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井上(普)
分科員 そこで
大臣、
アメリカは国際
協力機関の拠出金を減らそうというような話らしい。そして二国間の
協力関係を増大さして、そして
アメリカの
経済力、力の
外交を展開しようというのがレーガンの考え方のように私らには見られてしようがない。そこで考えられるのは、国際
協力というのは、もうおわかりのとおり、人道上の立場に立っての開発
協力であるとか難民
協力であるんだから、ここらあたりはひとつ
アメリカ側に強く要求することをお願いする次第であります。
年に一遍の
分科会でございますので、まだまだ言いたいことはたくさんあるのでございますけれ
ども、きょうは
一つ、二つ私が痛切に感じておること、この間新聞に出ておりましたので申し上げたい。
それは
日本の
外務省にはかなりの各省庁からのアタッシェの諸君が来ておる。ところがアタッシェの諸君とキャリアの諸君とがうまくいってない。新聞ではこう書いてあるのです。アタッシェの諸君はとにかく花見遊山のようなやり方で来ておるという、新聞記事には外務キャリアの言うとおりを書いているらしい。
外務省OEは、「
外交がふるわないのは、
一つには第一線に素人がふえたからだ。」「奥さんを含めて
外交官としての訓練ができていない。常に
日本の
出身省庁を向いて仕事をし、三年たつと交代でまた素人が来る。一生に一度のレクリエーションのつもりの人もいる。」こういう認識でともかくアタッシェに出しておるらしい。
ところが私ら
在外公館でお世話になる、海外出張すると。そうすると、まず第一番に私らが気づくのは、
在外公館のわれわれ
国会議員に対する過剰サービスだ。何とまあこれはひどい過剰サービスかいなということを私は痛感する。要求するのもおるんでしょう。しかし、
日本の
国内へ帰って悪口を言われたらかなわぬというので過剰サービスをしておるらしい。私はそう感じて、このことは二回、三回この場で
発言をしておる。ところが
在外公館の諸君を比べてみると、アタッシェの諸君の方がはるかに全般について勉強しておる。各省庁から出て行っているのですから、警察庁から行っているのだったら治安
関係を勉強しているのはこれはまた当然だ。しかし、その国の内情についてははるかにキャリアの諸君よりも勉強しておる。
こういうことがある。私はこの間バンコクへ行った。バンコクへ行って、私はドリアンという果物が好きなんでドリアンを食ってきた。そしてその晩外務
委員会の諸君と一緒になった。ドリアンといううまい果物があるぞと言って私がほらを吹いたところが、そのときの参事官がすくっと立ち上がって、ドリアンというのはいまシーズンオフでございます。バンコクには全然ございません。私の辞書によりますれば、
日本人はドリアンというのを好む人は二〇%しかございません。そしてこれは臭うございまして、とてもじゃないが
日本人には合わないです。いまシーズンオフで全然ございません。こういう
お話です。ほほう、今度は私の
発言だ。私の辞書によると、ドリアンという果物は非常に美味なるもので、好む人もおるし好まぬ人もあるけれ
ども、少なくとも好む人はこれに何するんだ。タイでは、これを品種改良をやって、においも少なくなるし味のいいのもつくっておる。産地はタイ国南部であると言ったらげっときて、それでもなおいまシーズンオフでございますからないと言うから、私はきょう午後三時どこそこで食ってきたまで言った。そうするとげっとなる。それくらいともかく庶民の実情を
御存じないのがキャリアの諸君です。
なぜこういうことになるかといいますと、そして痛切に感ずるんだが、そこへ行かれたキャリアの諸君がその国に対する愛情を持っていない。これはここにおるキャリアの諸君に聞いておいていただきたい。ひどいものだ。余りにも侮べつ的な
言葉を使っておったので、私はたしなめた経験もある。二年すればともかく転勤する、ほっておけば百何十人おる大使、
在外公館の大使になってのうのうと過ごせるという意識があるのじゃなかろうかと私は思う。なければ幸いです。そして百四十人にわたるところの大使館のうちで、ノンキャリアの諸君が大使になっておるのは、今度高橋さんがデンマークの大使になられたので、わずか三人か四人じゃないですか。ともかくところてん式に大使になってしまうというので、キャリアの諸君はのんびりしておっても、やがてわしは大使になるわというような意識があるのじゃなかろうか。なければ幸い。そこに仕事に対する熱意というのが足らぬのじゃないか。その上に持ってまいりまして、ここに書いてある、キャリアの諸君の「奥さんを含めて
外交官としての訓練ができていない。」という考え方、これがともかく非常にエリート意識のかたまりになっている。ここに
日本の
外交、
日本の
外交と言いましても、このごろ私が
外交官はのんびりしているわという話をしましたら、いや、
外交官が忙しくなったときは
日本は大変なんだ、のんびりしておるときが平和なときだ、こう言われました。なるほどな、逆説的にそういうことも言えるわなと思ったのではありますけれ
ども、しかし、いまの
外務省は果たしてどういうことなんだろうか。ここにも書いてございますけれ
ども、やがてこのままであれば儀典と翻訳の仕事だけになるだろうというようなことも、私が言うのではないんですよ、新聞の記事で言われておる。本当にキャリアの諸君をそこに二年で転任さすというのはよしまして、もう少し長くおらして、そこで勉強さすというようなことの必要性があるのじゃないだろうか。それには
国内における採用時の教育の仕方にも問題があるのじゃなかろうか。いままでは
外国語を二カ国語以上でなければ採用しないなんという方針があったそうですが、これは変えたらしい。まことに結構なことだと思います。
私はアタッシェの諸君にいつも言っている。おまえみたいな優秀なやつはみんなともかく
外務省のキャリアに転向せよ、
日本で橋が少しゆがんだところで、道路がゆがんだところで
日本の国は大したことはない。一番大事なのは
日本の
外交なんだ、
外交と教育ほど
日本に必要なことはない。おまえみたいな優秀な者は
外交官をねらえと、私はいつも冗談紛れに言っておるのです。しかし、それは
日本という国がこういうような国でございますので、それで
外交の重要さを私は痛感しておる一人のつもりです。もちろんいまの
外交官に目覚ましい
外交が展開されるならば、人員を三倍にし、
予算を五倍にすることについても私らは賛成するのです。しかし、いまの
外交官、キャリア諸君の
行動を見れば、少なくとも私はその気にならない。心して
日本の
外交を進めていかれんことを心から望みまして、
質問を終わります。