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蓑輪分科員 私は、織維産業の振興、とりわけアパレル産業の振興について大臣に
質問いたします。
繊維産業は、
日本の近代化の
推進力として明治以来大きな役割りを果たしてきたにもかかわらず、現在では
政府の重化学工業重視の
政策によって日の当たらないところに追いやられ、深刻な危機に陥っています。この中で
政府は、ファッションの多様化に対応できる知識集約化を進めるということで、アパレル産業の振興ということを打ち出しておられます。このアパレル産業の振興策を本当に実のあるものにしていくには、産地の
実態をよく踏まえ、地元の
関係者、とりわけ実際に産地を支えている多くの
中小企業者の要望を十分に取り入れていくことが重要であるというふうに思います。ここでは、
全国有数の産地である岐阜アパレルの振興策について幾つかお伺いしたいと思います。
最初に、簡単に岐阜アパレルの実情について述べてみたいと思います。
岐阜アパレル産業の歴史は、戦後間もなく国鉄岐阜駅前に旧北満からの引き揚げ者が中心となってバラック建ての小屋をつくり、衣料を販売するようになったのが始まりで、これが現在の岐阜繊維問屋街を形成するきっかけとなっています。
その後、縫製下請、製造販売へと脱皮し、そのもとで縫製加工に携わる人たちを初めとする
関係者の努力と相まって、今日の岐阜アパレルへと発展してきたわけです。
現在、岐阜アパレルは
全国屈指の産地となっておりまして、企業数で約二千、店頭販売、出張販売などにより、中部地区はもとより、関東、近畿、九州、北海道などにも販路を広げてきています。岐阜の場合は婦人子供服、紳士服、スポーツウェアなどが中心で、年間売上高は
昭和五十四年実績で六千五百億円にもなっています。これは岐阜市の商品販売総額の約五〇%に達しています。また、
全国的に見ても生産額で婦人服の二五%を初めとして全体で二二%を占めており、トップレベルにあると言ってもいいと思います。この岐阜アパレルの大きな特徴は、大半が小
規模な企業によって支えられているということです。企業形態で見ますと、個人企業が五四・七%を占め、資本金で見ても一千万円未満の企業が五二・二%を占めております。また、縫製加工業の面から見ても個人企業が七八・四%を占め、企業
規模でも二百万円未満が七三・五%というふうになっております。
こういう
状況のもとで、岐阜ではアパレル産業を今後発展させるために、イタリアのフィレンツェ市と姉妹都市提携を結ぶとともに、ファッション産業として今後進んでいこうということで、ファッションタウンあるいはファッションセンター構想というものを打ち出してきているわけです。通産省でも
昭和五十五年の八月から五十六年の三月までの計画ということで繊維等服飾産業高度化街区等建設調査ということで繊維工業構造改善事業協会に委託して、ファッションタウン、ファッションセンターの調査が始められ、ファッションタウンの事例研究として岐阜地区が指定されております。
そこでお伺いしたいわけですが、通産省として今後この問題を検討していくに当たって、
一つは地元の業界、専門家などの指向を十分に踏まえるとともに、特に中小業者が大半を占めているという
実態を踏まえて進めていただきたいということ。それから二つ目に、今後地元で物産会館等の建設が具体化されていくわけですけれ
ども、これらの建設について十分な援助をしていただく、こういうことを
最初に約束していただきたいというふうに思っております。また、ファッション工科大学とかあるいは
中小企業大学校というのを設置してほしいという要望も出ているわけですが、この点についても前向きに検討していただきたいと思います。
こういう長期的なこととあわせて、私は三点にわたって以下具体的なことをも要望したいと思います。
まず初めに、岐阜アパレルがファッション産業として伸びていくためには人材養成ということが大変重要になるわけで、地元の方々でもこの問題で頭を痛めておられるというふうに伺ってきました。そこで商品規格や消費者の動向等のデータの集約などを行う研究機関またはセンター的なものをつくってはどうかということなんです。国がつくるのが無理ということならば、地元で各企業が出資してつくられるという場合に、それに援助をしていただきたいということです。
それから二番目に、最近は機械化も進んでコンピューターも入っています。ファッション化に伴う知識も必要になってくるわけですが、こうしたことを修得する研修等の機会が保証されていない。小
規模な企業ですから余裕がない。そこで大卒の人が入ってきても大手の方に移ってしまうということにもなってまいります。そこで、従業員が各地の研究所や大学あるいはファッションデザイナー
関係の学校へ研修に行く場合に、せめて短期間でも行けるように、国として何らかの援助を行ってほしいということが二つ目です。
三つ目に、岐阜市では毎年二回、一月と八月に岐阜メード
総合展というのを実施しています。これは
全国から業者を招いて大々的に行っているものです。ことしの一月は問屋、百貨店、専門店の業者ら二万八千人以上が集まって、二日間で商談誓約高は八十五億円を超えたというものです。現在、県と市はこれに援助を行っています。補助を出していますが、この岐阜メードに対して国からもぜひ補助してほしいという要望で、これらの点についてぜひ前向きに検討していただきたいと思っておりますが、その点をお伺いしたいと思います。