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1981-02-28 第94回国会 衆議院 予算委員会第五分科会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十六年二月二十八日(土曜日)     午前九時三十分開議  出席分科員    主 査 海部 俊樹君       唐沢俊二郎君    藤本 孝雄君       井上 普方君    岡田 利春君       中村 重光君    渡部 行雄君       草川 昭三君    柴田  弘君       岩佐 恵美君    寺前  巖君       野間 友一君    山原健二郎君    兼務 岩垂寿喜男君 兼務 上田 卓三君    兼務 鈴木  強君 兼務 広瀬 秀吉君    兼務 水田  稔君 兼務 村山 喜一君    兼務 草野  威君 兼務 鈴切 康雄君    兼務 春田 重昭君 兼務 西村 章三君    兼務 小杉  隆君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 塩川正十郎君  出席政府委員         運輸大臣官房長 角田 達郎君         運輸大臣官房総         務審議官    石月 昭二君         運輸大臣官房会         計課長     大塚 秀夫君         運輸省海運局長 永井  浩君         運輸省港湾局長 吉村 眞事君         運輸省鉄道監督         局長      杉浦 喬也君         運輸省自動車局         長       飯島  篤君         運輸省航空局長 松井 和治君         海上保安庁次長 大塚 正名君         気象庁長官   増澤譲太郎君  分科員外出席者         防衛庁防衛局運         用第一課長   萩  次郎君         国土庁長官官房         審議官     島崎 晴夫君         国土庁大都市圏         整備局整備課長 平野 侃三君         国土庁地方振興         局地方都市整備         課長      寒川 重臣君         大蔵省主計局主         計官      伊藤 博行君         水産庁研究部漁         場保全課長   川崎 君男君         運輸省自動車局         整備部長    宇野 則義君         郵政省電気通信         政策局総務課技         術室長     松尾 勇二君         建設省都市局街         路課長     松下 勝二君         建設省道路局企         画課長     萩原  浩君         自治省財政局公         営企業第一課長 井上 孝男君         日本国有鉄道総         裁       高木 文雄君         日本国有鉄道常         務理事     半谷 哲夫君         日本国有鉄道常         務理事     橋元 雅司君         日本電信電話公         社施設局次長  池沢 英夫君         参  考  人         (日本鉄道建設         公団理事)   濱  建介君         参  考  人         (本州四国連絡         橋公団理事)  山根  孟君         参  考  人         (帝都高速度交         通営団総裁)  山田 明吉君     ————————————— 分科員の異動 二月二十八日  辞任         補欠選任   岡田 利春君     渡部 行雄君   中村 重光君     井上 普方君   草川 昭三君     柴田  弘君   寺前  巖君     野間 友一君 同日  辞任         補欠選任   井上 普方君     中村 重光君   渡部 行雄君     岡田 利春君   柴田  弘君     草川 昭三君   野間 友一君     山原健二郎君 同日  辞任         補欠選任   山原健二郎君     岩佐 恵美君 同日  辞任         補欠選任   岩佐 恵美君     寺前  巖君 同日  第一分科員岩垂寿喜男君、上田卓三君、鈴木強  君、広瀬秀吉君、草野威君、鈴切康雄君、第二  分科員村山喜一君、小杉隆君、第三分科員水田  稔君、春田重昭君及び第四分科員西村章三君が  本分科兼務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和五十六年度一般会計予算  昭和五十六年度特別会計予算  昭和五十六年度政府関係機関予算  (運輸省所管)      ————◇—————
  2. 海部俊樹

    海部主査 これより予算委員会第五分科会を開会いたします。  昭和五十六年度一般会計予算昭和五十六年度特別会計予算及び昭和五十六年度政府関係機関予算運輸省所管について、前日に引き続き質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。  まず、渡部行雄君の質疑に入るのでありますが、同君の質疑に際し、参考人として日本鉄道建設公団理事濱建介君が御出席になっております。  なお、御意見は質疑をもって聴取することといたします。渡部行雄君。
  3. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 最初に運輸大臣並びに国鉄総裁にお伺いいたします。  実は野岩線の問題についてでございますが、野岩線は御承知のとおり地域住民が九十余年にわたって陳情を続けてきた路線であります。それが最近、会津滝ノ原から新藤原まで開通が確定したと承っておりますが、この開通計画内容、これをひとつ明らかにしていただきたいと存じます。  さらに、この新藤原会津滝ノ原間の路線は第三セクターによる経営、運営をやるというふうに承っておるのでございますが、第三セクター内容構成はどういうものになっていくものか、あるいはまた、会津若松駅から会津滝ノ原までは国鉄になっており、それから新藤原駅から南の方は東武電鉄というふうになっておりますので、その両者の乗り入れ関係どもひとつ承っておきたいと存じます。よろしくお願いいたします。
  4. 杉浦喬也

    杉浦政府委員 お答えいたします。  野岩線につきましては、従来鉄道建設公団によりまして建設を進めてきたところでございますが、最近の国鉄事情等によりまして第三セクター方式ということを考えてまいったわけでございまして、昨年の九月二十二日、栃木県、福島県両県知事から、工事ができ上がりましたならば、新藤原会津滝ノ原間の三十一キロにつきましては第三セクター運営を引き受ける、こういうような意思表示がございました。現在鉄建公団におきまして引き続き工事を継続をいたしておるところでございます。  五十六年度に入りましたならば早速第三セクター設立をしていただくことになろうかと思います。これはすでに発表されておりますが、出資予定総額は当面三億円を予定しておりまして、出資予定者福島県及び栃木県、それから沿線関係市町村並びに会津乗合自動車株式会社東武電鉄株式会社それから両県の指定金融機関、こういうところが出資予定をいたしております。  目標といたしましては、昭和六十年度を一応開業目標ということで、開業時におきまして一日当たり輸送密度千二百五十人を一応予定をいたしております。一日七往復という事業計画を立てておりますが、これらの詳細につきましては、今後この第三セクター設立中心になります両県あるいは第三セクターができました場合の第三セクターの方のお考え、こういうものを十分に御意向をお伺いいたしまして、それらの希望を実現でき得るような方向で考えてまいりたいと思います。  なお、その場合におきまして国鉄あるいは東武、これらがどのように乗り入れを相互にするかという問題等は、今後の問題といたしまして十分検討してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  5. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 そうすると、国鉄東武乗り入れというのは今後考えるとおっしゃいましたが、乗り入れ考えるのか、乗り継ぎでやっていくのか、その辺をもっと明らかにしていただきたいと存じます。  それからもう一つは、この金融機関選び方でございますが、これはどういう方法でこの構成員の中に選んでいくのか。金融機関と一概に言うと相当の数があるわけですが、その辺についてお伺いいたします。
  6. 杉浦喬也

    杉浦政府委員 福島県、栃木県両県とも東武のこの線への乗り入れ希望いたしております。その乗り入れ方法あるいは現実の乗り入れをどういうふうにするか等につきましては、この第三セクターの方あるいは関係者の方の協議によりまして今後決定していく必要があろうかと思います。  それから金融機関でございますが、これは具体的には私どもまだ聞いておりませんけれども、これは福島栃木両県がそれぞれ御指定を願うということになろうかと思います。
  7. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 そうすると、この金融機関選び方は、言ってみれば県知事に任せる、こういうふうに理解していいのかどうか。
  8. 杉浦喬也

    杉浦政府委員 そのとおりでございます。
  9. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 そこで、野岩羽線ですが、いまのところは野岩線で終わっているわけです。羽が抜けておって、しかも一日当たり千二百五十人を営業開始時に予定しておると言われておりますが、これはもっとふえた方がもっとよいと私は思うのです。それではどうしてふやすかという問題になるわけですが、いまのままではもうそれほど私はふえないのじゃないか。なぜかというと、野岩線では、これは会津若松から浅草まで通じていくわけでございますけれども、問題は、郡山経由会津若松に入ってくるというのは、いまの路線からすればなかなか時間がかかって大変なわけです。しかもこの線というのは観光地沿線に非常に多くて、観光客を誘致するに大変有効な線路でございまして、そういうふうに考えてまいりますと、これはどうしても羽の方にまで延ばさなければ意味がない、私はそういうふうに考えるのです。したがって、いま日中線のこの熱塩から米沢までを抜けば、これはもう大した区間じゃありませんから、そこまでやれば、東北の西の方、つまり青森から秋田、山形というこの住民、あるいは場合によっては北海道からもその線を利用して鬼怒川やあるいは川治やその他日光の方に行くにもどんどんと入ってくる可能性が出てくるわけです。したがって、私はいま日中線が非常に廃止の危険にさらされていると聞いておるのですが、こういう考え方企業としての考え方ではなくて、ただ今日的な、赤字だからこれをなくすという意味でしかないと思うのです。いまのままで日中線考えたのではこれは全く意味がない。これでは話にならないのです。あの日中線をつくったというのは、米沢まで抜くという目的があってつくったところに意味があるので、いまそれをしないで中途半端でこれをもし廃止するようなことを考えるとすればとんでもないことではないだろうか。国鉄運営の面から考えて、この辺は国鉄総裁はどう思いますか、ひとつお願いいたします。
  10. 高木文雄

    高木説明員 野岩線の問題がようやく地元の御発意と御熱心な取り組みによりまして見当がついてきたわけでございますが、それを今後どう発展させていくかということにつきましては、やはり地域の方々に考えていただかなければならないわけでございまして、私どもといたしましては、現時点では、率直に申しまして日中線はやはりどうも余りお客様に乗っていただけないという現状でございますので、現段階ではバスによって地域の足を確保するということで考えざるを得ない、こう思っております。  ただ、大変な新しい発想で野岩線への取り組み地元で行われておるわけでございますから、それがさらにいまお示しのような形で発展することがもしあり得るならば、これまた次の問題であろうかと思いますけれども、今日ただいまの段階ではやはり日中線としてはバスへの切りかえをお願いいたしたいと考えております。
  11. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 いまの段階ではそういう考え方が、赤字ということ、沿線住民の人口からしましても将来についてこのままでは見通しがつかない、それは当然だと思います。しかし問題は、企業というものはもっと意欲的に取り組むのが企業だろうと私は思うのです。ありのままをそのまま継承してそのしきたりに従っているだけでは、何らここに企業意欲というものが感じられない。これはどうすれば鉄道が盛んになり、その敷設した意味が出てくるかということに取り組んでこそ本来の姿になるのではないだろうか。そういうふうに考えますと、しかも、この沿線住民が今日まで九十余年この陳情のために要した費用だけでも相当数線路建設ができると思うのです。そのくらいエネルギーと金銭とを費やしてきたそのことにこたえるに、いままでの成果を今度はバスに切りかえて踏みにじるようなことは、私は国鉄という国民サービス一つの府としてやるべきことではないと考えますが、その辺は運輸大臣はどういうふうに思いますか。
  12. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 国鉄戦前並びに戦後は大変な力がございましたし、また、財政的にも余裕がございましたので、そういう御希望に沿って全国にずっと線を敷設してきたわけでありますが、三十年代、四十年代に入りましてからモータリゼーションが進み、それが一つの構造的な欠陥となりまして、いまや財政的に非常に窮迫いたしております。こういう中で、御希望はよくわかるのでございますが、しかし一面から言いましたら、また代替交通機関によってかなりの交通がとられておるということも事実でございます。  そこで、これからのそういう新しい開発につきましては、先ほど鉄監局長が言っておりますように、地元の方の御意向をくみ上げて、国鉄もお手伝いできるものは当然協力いたさなければなりませんけれども、大体その地元の御希望中心として、またあるいはその地元の資本を中心とした建設をやっていただいて、国鉄の幹線的な路線との結合ということについてわれわれも協力いたさなければならぬと思うのであります。そういう時代になってきたというところに時代の変遷もございましょうし、また、いわば国有鉄道としての使命というものも新しい考えに立たなければならぬという時代になったということを御認識いただきたい。したがいまして、地元でそういうことを決意され、また計画されましたならば、われわれも十分な協力をさしていただきたいと思っております。
  13. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 ただいま大変誠意のある御答弁をいただきましてありがたく思います。地元誠意を示して、そういう一つ見通しに立って国鉄当局と一緒になってやろうという場合には考えるというお答えでございましたが、地元は本当に先祖伝来希望でございまして、国鉄当局がこの日中線野岩羽の羽まで延ばして、これを奥羽中央線というような性格にまで持っていこうとするならば、どんな協力でも惜しまないと思います。  そこで、この日中線の位置づけでございますが、これは一つは、大きく言って奥羽地方全体にわたる一つ観光として、あるいはまた逆に関東地方からここに吸い上げていく観光路線としては非常に重要な役割りを果たす、これが第一点。  第二点は、いまこの地方定住圏地域指定を受けておりますので、したがって、過疎地になろうとしておるところに対して活を入れて、この定住圏構想を着々と進めていくには、どうしてもローカル線というものの充実が欠かせないわけでございます。そういう観点から見ますと、まさにこの政府の施策というものは定住圏構想と一体になって進められるのが最も大事ではないか、これが第二点であります。  それから第三点というのは、御承知のように戦前会津若松というところに二十九連隊、六十五連隊がありまして、これはまさに要衝の地であったわけです。ところがこの会津若松から山形の方に抜けるには大峠という非常な難所がありまして、そこはとても普通の車じゃなかなか通れないくらいの難所でございます。そういうことを考えますと、日本専守防衛という立場考えるならば、まさに国内が戦場になる。一たん緩急の場合は国内においてあらゆる防御をしなければならない。そういうことを考えると、国防的観点からいたしてもこの日中線米沢につないで、奥羽会津地方とを結ぶ、あるいは栃木日光それからまた関東、東京というふうにつないでいくには欠かせない線路だと思います。しかも、軍が移動する場合には相当の重量のものを運搬しなければならない。現在のような道路ではとてもこれは運搬し切れないと思うのです。そういう際に、国防的見地からもこの線は非常に重要ではないか。そういう将来についての見通しを立てながら鉄道という特殊な輸送機関を見ていかないと、ただそろばんづくで帳じりだけでやっていくということは、やがて日本の国の将来を誤るのではないか、私はこういうふうに考えますので、その辺は防衛庁並び国鉄当局からお伺いいたします。
  14. 萩次郎

    萩説明員 ただいま先生からお話がございましたように、わが国は専守防衛でございますので戦闘国内で行われるということになるわけでございまして、その点、鉄道というのは非常に有効であり、また頼りになるものであるというふうに考えております。したがいまして、現在ございます鉄道あるいは将来敷設されます鉄道についても、防衛庁といたしましては非常に重要なものであるというふうに考えております。  と同時に、国鉄の再建というものも国の重要な目的ということに現在なっておりますので、その辺の兼ね合いについては運輸省ともよく協議して決めていかなければならない問題であるということで、現在運輸省と鋭意協議をしておるところでございます。
  15. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 国鉄当局赤字だから、それと兼ね合わせながらという御答弁でございますが、そういうことを考えて戦略というものを編み出すということは非常に危険だと思うのです。防衛庁というのは、戦闘に勝利するためにどうするかという、敵を排除するためにどうするかという観点以外に考える必要ないのですよ。あとは、その予算とか何かは防衛庁考えるのでなくて、政府考えればいいのであって、そういう観点から必要なものはぜひ確保してくれというのが防衛庁立場じゃないでしょうか、防衛庁
  16. 萩次郎

    萩説明員 御指摘のとおり、戦闘を行うに際して必要な物資、特に重量物、それから鉄道というのは大量輸送が非常にききますので、これは非常に有用であることは事実でございます。  それで、防衛庁、自衛隊としては有事の際の物資輸送というのは鉄道、それから輸送艦、それからトラック、大型トレーラー、こういうものをいろいろ組み合わせて有事物資を動かすということを考えでございます。その際、鉄道というものが非常に重要でございますが、戦闘がどういう様相になるかによって異なるわけでございますけれども、ある路線については、現在ある路線でございますが、必ずしもそれがないと全く戦闘ができないというわけでない路線もございますし、それから、これがないと非常に困るという路線もあるわけでございまして、その辺のところを、いろいろな状況を勘案しまして運輸省の方とも御相談申し上げている、こういうことでございます。
  17. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 時間がありませんので、これはもっと詰めたいと考えておったのですが、詰めることができません。  ただいまあるものだけで考えてはならないということです。いまあるものの条件を、さらに将来どういうふうにすれば最も理想的な、最もいい立場重要物資の運搬なり、あるいは何十トンという重量物を運搬することができるかということを考えてほしい。これはそういう観点で、いまのローカル線の整理問題についてはもっと介入をしていただきたい、こういうふうに思います。  それから次に、時間がありませんからはしょりますが、いまの只見線でございますが、只見線は一体今後残すおつもりなのか、それともこれもまたバス路線に変えるとか何とかそういう考え方であるのか、その辺をまずお伺いいたします。
  18. 杉浦喬也

    杉浦政府委員 只見線につきましては、現在行っております政令によります基準にどのように該当するかというようなことを具体的に検討いたしますのは今後の問題でございます。只見線輸送量あるいは沿線道路事情あるいは冬季積雪事情等々いろいろと考慮いたしまして、只見線をどういうふうにしていくかということを今後十分検討してまいりたいと思っております。
  19. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 道路事情とか乗客とか豪雪状況などはもうすでにわかり切ったことであって、条件は全部わかっておるのですから、その条件から見て大体の見通しが言えないはずないと思うのですが。
  20. 杉浦喬也

    杉浦政府委員 ただいま申し上げましたように、政令で現在基準は鋭意検討をしているところでございますので、この基準只見線がどのように当てはまるかという問題につきまして、現時点で明確にお答えできないのはまことに残念でございますが、只見線の非常に大きな特徴といたしましては、冬季にかなり積雪が多いということがございます。この辺に着目をする必要があろうかと思います。
  21. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 冬季豪雪が非常にあって大変だというところに着目するということは、将来そういう点で残していきたい、こういうふうに理解をしていいでしょうか。大体そういう考え方である、確定はしないがそのような一つ考え方として、どうでしょうか、これは大臣でもどちらでもいいです。
  22. 杉浦喬也

    杉浦政府委員 ただいま申し上げましたように、雪の問題につきまして十分着目したい、こういうふうに思っておるところでございます。
  23. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 それでは残されると仮定しますと、この線路電源開発のためにつくられた線路で、言ってみればトロッコを走らせるようなきゃしゃな線路なんです。そこで、いま豪雪になるともうラッセル車もなかなか通せない、大きなラッセル車を通すと逆にレールがおかしくなってしまうのじゃないか、そういうような関係もあるわけです。どういうものか、只見から小出までの線は非常にりっぱなレールが敷かれているのに、只見から西若松の間は大変貧弱なレールが敷かれているわけです。西若松、これはちょっと正確さを欠くかもしれませんけれども。そういうので、早急にレールの取りかえをしていかなければならないのじゃないか。  それから、今度の豪雪では只見線は相当運休しておるわけでございまして、それらを排除するにはもっともっと予算をつけてなだれ防止対策をしなければならないと思うのです。これはかつて、いまは亡き久保三郎さんと私どもで調査をしまして、それから年間大体四億以上の予算を使ってきたのですが、今後はその見通しについてはどういうふうにお考えでしょうか。
  24. 半谷哲夫

    半谷説明員 只見線につきましては、いま先生お話しのように、一部電源開発水力発電所建設する際に建設されたものを国鉄がその後引き継いで、旅客輸送貨物輸送を行っているという線がございます。これは会津川口から只見の間でございます。雪による被害が非常に多いという線でございまして、これは一つには日本有数豪雪地帯であるということに起因しているわけでありますが、もう一つは、やはり非常に急峻なところに線路建設されているという自然的な条件がございます。したがいまして、この只見線が休止されるというのは、降雪時点にもございますけれども、いままでの実績で考えてみますと、やはりなだれの時期が非常に危険状態になりますので休止するケースが多いということでございます。ただいままで私ども年間数億の金を投じましてこの数年来なだれ防止の斜面に対する対策を実施してきているわけでございますが、まだ現状で完全だというところにはとても至らない状況でございます。したがいまして、今後とも、いろいろ予算事情はございますけれども、できるだけ重点的に安全を確保し、休止区間を短くするようなポイントを選んで対策をやっていきたいというふうに考えております。
  25. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 時間が参りましたので、以上で終わります。どうもありがとうございました。
  26. 海部俊樹

    海部主査 以上で渡部行雄君の質疑は終了いたしました。  次に、井上普方君。
  27. 井上普方

    井上(普)分科員 私はまず関西新空港計画についてお伺いいたします。  この際、大臣に申しておきますが、計画の地点の候補地が大臣地元でもあります。長々とおっしゃりたいだろうとは思いますけれども、ひとつなるべく簡潔に御答弁願うことをまずお願いいたしておきます。  今度の予算に二十四兆五千億ともかく金が計上されておりまが、これは一体何に使うのですか。まずこれからお伺いします。大臣でなくて結構です。
  28. 松井和治

    ○松井(和)政府委員 来年度の関西新空港関係予算は、空港整備事業調査費二十四億五千万円でございます。この調査の内容は、従来から引き続き関西新空港の予定地でございます泉州沖候補地につきましての自然条件調査、これは年間を通じて調査を行う必要がございます気象条件、海象条件の調査でございますが、これを引き続き調査することを予定いたしております。そのほかに、来年度は泉州沖候補地につきましての土質、地盤の調査等を行うことにいたしておりますが、詳しい調査のやり方、中身につきましては、今後財政当局と実施計画を詰める段階で決定していきたいと考えております。
  29. 井上普方

    井上(普)分科員 そうすると、この予算は実施計画調査ではないのですね。この点をお伺いします。
  30. 松井和治

    ○松井(和)政府委員 実施設計調査費ではございません。
  31. 井上普方

    井上(普)分科員 そうすると、実施計画調査でないということになると、泉南沖に空港をつくるということを前提としない調査費と考えて差し支えございませんか。
  32. 松井和治

    ○松井(和)政府委員 調査費の性格は、先ほど申し上げましたように、空港整備事業調査費といういわゆる一般調査費でございます。ただ、その調査を行います場所につきましては、従来の泉州沖案を基礎として行うということになっております。
  33. 井上普方

    井上(普)分科員 そこでお伺いいたしたいのだが、当初計画では泉南沖が大体候補地として挙げられておりますが、一体どれくらい金がかかるのです。本体工事において幾らあるいは周辺整備に幾らあるいはまた環境整備等々に幾ら、これはいわゆる三点セットと言われておるようでございますが、どれくらいかかるものですか。
  34. 松井和治

    ○松井(和)政府委員 私ども、関西国際空港の計画につきまして航空審議会の答申を昨年九月一日にいただきまして以来、その具体的な建設のやり方につきまして鋭意検討いたしまして、昨年の十一月に一応の私どもの計画をつくったわけでございます。これは御承知のように空港を四段階に分けて建設をするという段階施工案でございます。その第一期といたしまして六十四年度までに一兆五千三百億円という金が空港のための事業費として考えられております。二期、三期、四期ということで逐次建設をしてまいりまして、四期までの合計が二兆四百億円でございます。さらにそれから後、これは何年から何年までという具体的な計画を持っておりませんが、航空審議会の答申をいただきました最終の空港の姿に仕上げるというところまで入れまして、空港本体の事業費が二兆三千億円というふうに見積もっておるところでございます。
  35. 井上普方

    井上(普)分科員 そうすると、この二兆三千億円にはアクセスあるいはまた環境整備等々の金は入っていますか。
  36. 松井和治

    ○松井(和)政府委員 まずアクセスについてでございますが、空港本体は海上につくる空港でございますので、当然陸上部までの橋をかける必要がございます。この橋梁部分の金はこの中に含まれております。それからさらに、その橋梁は鉄道併用橋を考えておりますが、鉄道ないし道路の金はこの中には含まれておりません。  なお、環境につきましては、これは工事を行います際に十分環境に配慮してまいるつもりでございますので、そういう意味ではこの中にその金は含まれておると申し上げてよろしいかと思います。
  37. 井上普方

    井上(普)分科員 周辺整備、アクセスをつくるということには大変な金がかかりますね。成田新空港ができましてから今日、もう成田空港というのは東京都心との交通が不便であるということは常識になっている。ともかく非常に時間はかかるし大変なところにできておる。私らは成田空港を世界の不評の最たるものだろうと思うのです。そうすると、いまの計画の二兆三千億では橋はつくる。それはそうでしょう、海の中につくるのだから。橋はつくらなければならない。それだけの金ですね。そうすると、その周辺の飛行場に至るまでのアクセスの金は全然含まれていないということになったら、アクセスはどれくらいかかるものなんですか。予想できますか。できなければならないはずなんですが、いかがでございます。
  38. 松井和治

    ○松井(和)政府委員 このアクセスというものをどの範囲まで含めるかということが一つの問題かと思います。近畿地方におきましては近畿圏整備計画に基づきまして大阪、和歌山を結ぶ各般の道路あるいは鉄道等の計画がすでになされておるわけでございます。いずれにしましても空港を前提にしてそういう南北に走る道路なり鉄道から空港の方にいわば引き込み線をつくらなければならない。これは明らかに空港のためにつくらなければならない道路であり鉄道であろうかと思います。ちょっといま私手元に数字を持っておりませんが、その引き込み部分の金は数千億円、ちょっと数字を実は記憶しておりませんので申しわけございませんが、数千億円のオーダーであったと思います。
  39. 井上普方

    井上(普)分科員 大阪、和歌山の間にこういう鉄道を敷く、こういうのはオーソライズされているのですか。
  40. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 当面のアクセスというのは、私たちは道路が三本、それから鉄道二本ということで予定しております。しかしながら、これは空港のためにやらなければならない部分と、それからいままで既設の計画あるいは実施しつつある計画、そういうようなものを活用してのアクセスであります。  まず第一に阪神道路公団のやっております湾岸道路というのがありますが、あれを約二十二、三キロ延長するということが一つアクセスとして計算されてきます。それから、近畿自動車道におきます、これは現在工事をやっておるところでありますが、これの導入路に十数キロが必要ではないかと思っております。それからもう一つは、第二阪和道路というものがございまして、それが主要地方道から国道に昇格しておりますが、これの導入路に数キロ必要ではないか。それから鉄道につきましては、阪和線、これ位国鉄でありますが、それが導入をする部分並びに南海電車が導入する部分、それらはアクセスとして考えられるものだと思っております。
  41. 井上普方

    井上(普)分科員 私がお伺いしておるのは、いまの道路のうちの湾岸道路であるとかあるいは和歌山に至るあの道路、近畿自動車道、これはオーソライズせられておりますけれども、あとは全部オーソライズされておりませんね。あるいは鉄道もオーソライズせられておりませんね。そのオーソライズせられていないのを前提にしておる以上は、新しくつくるものと考えなければいけない。そうするとその金は一体幾ら要るのです。計算していますか。結局建設省の計画に便乗する形になっている。便乗するというよりも、むしろ新しくつくらなければならない金というのはアクセスとして当然入らなければならない。このごろ徳島におきましても、あそこにできるのなら明石との間をトンネルでひとつ鉄道をつくろうじゃないかなんという話が出てきた。一体そんなところへ鉄道なんというのはだれが決めたんだ、鉄建公団ですかの一部の技術者が言うただけだ、何でオーソライズせられているんだ、いや、それはないんだ、ただあそこにできるといって運動せられたので、私らはそれに賛成しておるだけだ、こういうような話なんだな。  そこで、アクセスというのはどういうようにできておるのか、それがオーソライズせられておるのかどうか、そこのところをお伺いしたい。どうもそこをチャンポンにしながらお話ししておるから、一体この空港には幾ら金が要るのかわけがわからない。
  42. 松井和治

    ○松井(和)政府委員 先ほど大臣が御答弁申し上げましたとおり、鉄道二本は、現在すでに開業しておる鉄道からの引き込み線をつくればよろしいということでございます。道路三本のうち、近畿自動車道、第二阪和国道はすでに計画済みでございます。したがって、これまた引き込み線をつくるということかと思います。残る湾岸道路につきましては、泉大津までがオーソライズされておりますが、それより以南はオーソライズされておりませんので、今後の計画に入れる必要がございます。これを空港の対岸部まで延長いたしまして、さらに空港まで引き込むという金が必要になります。これが先ほど申し上げました、そこまでを、引き込み線、それから湾岸道路の泉大津以南の部分、これをひっくるめて、ちょっと数字を宙に覚えておりませんが、数千億のオーダーでございます。
  43. 井上普方

    井上(普)分科員 あなた局長だよ。しかも、関西新空港を阪南沖に建設しようという意欲に燃えた運輸大臣を長にいただいておる、そこの航空局長だよ。私は、具体的なことを言うときにはこれはお知らせしなければいかぬと思いますが、おおよそ局長というのはこういうようなことは全部精通しておらなければいかぬと思うのです。数千億円でございましょうなんという話で一体審議できますかな。私は決して揚げ足をとるんじゃないのですよ。おおよそどれぐらい——それはまあいいでしょう。おおよそこれくらい大ざっぱな計画なんだ。それで強引にともかく着工しようという考え方は、私はどうも納得できない。  そこでお伺いいたしたいんだが、ともかく二兆三千億円要る。第一期工事までに一兆五千三百億円要る。本体工事だけであって、片方で、これは島なんだから、島と本土とをつなぐだけの道路の金なんだ。当然アクセスというものを考えなければ成田の二の舞になることは明らかなんです。その計画さえ示さずに、そして阪南沖にこれだけの膨大な金をつぎ込もうとする。ことしも現に二十四兆五千億も金をつぎ込もうとする。どこか間違っておると私は思うのですがな。どうです。
  44. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 物の見方というものは、井上先生、それはそう見ればおっしゃるようなこともあるだろうと思うのです。それは私も否定しません。その立場に立って物を見ればそうだと思います。第一、成田空港ができたときをごらんなさい、何か計画ができておったのですか。それが今日成田があんな状態になって、十何年経てやっと開港できて、開港してからでも千五百名の機動隊で守られなければ維持できないというようなこと、われわれはあんなばかなことは絶対いたしません。ちゃんと計画を進めて、その上で建設をいたすようにいたします。しかしながら、そこに至るまでの間には紆余曲折はあります。だから、十分ではない、いまおっしゃるように、私は、もう完璧に計画できたなんて思っておりません。これから計画を進めていかなければならない。そのためにはまずその海の下がどんな土地なのか、そういうことから調べていかなければなりません。それをやはり担当省の役所としても運輸省が進めていくということがわれわれの仕事でございまして、だから、だんだんと計画を明確に持っていくようにいたします。
  45. 井上普方

    井上(普)分科員 成田空港というのはどこが主管してやったのですか。運輸省でしょうが。あれが成功しておるとはわれわれ考えていない。あんなような、成田空港のような姿に関西空港をさせちゃいかぬというための、このためにわれわれは質問しているのです。それを、あれを見てくれ、十数年たってあの姿だからあんなことはさせませんなんておっしゃる。あなたが運輸大臣じゃなくておっしゃるんなら話はわかる。運輸省という役所の長でしょう、あなたは。その長が過去の失敗をしゃあしゃあとして人がやったような顔をしておっしゃるのはわれわれ納得いかない。納得いかないところか無責任この上ないと思う。だから、ともかく十分な計画を立て、その上でどういうような問題があるか、しかも金は幾らぐらいかかるか、こういうことをわれわれに提示するのこそ責任ある、二十四兆という金でしょうが。大金です。国費ですよ、これは。税金ですよ。それらの計画を立ててわれわれに納得させる資料を提供しなければ、こういう予算は私らは認めるわけにはいかないと思う。また、提出したところか、これからとにかくなにするんだと、ああいう成田みたいな空港にさせたくない。あたりまえな話です。しかも、成田空港の最初の計画自体がおかしいからこういうようになってきている。だから、その最初の計画というのは一体どういうのだ、幾らかかるのだと、こう言って聞いているのです。
  46. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 先ほどから井上先生二十四兆と言っていますが、二十四億五千万で、これは人工島をつくる、その下の土質を調査するのです。これは、前に環境評価をつくりますときに事前調査した資料はあるのです。それは、粗い目でしかボーリングやって調べておらないのです。それで設計図をつくるということをやりますことはちょっと危険なんです。さっきおっしゃるように、精密な計画を立てろとおっしゃるならば、そこでこの費用を使いまして精密な土質の調査をしたい、これが今度の予算の主要目的であります。そういうふうに、これからやはり調査もしていかなければならぬのがずいぶんあると思うのです、そのたびごとに予算も組み入れてやっていって、それで地元との協議をしながら、これはやっぱり地元が賛成してくれなければできませんので、その協議を重ねながら本格的な計画をまとめていきたい、いまこういう過程であるということを御承知いただきたいと思うのです。
  47. 井上普方

    井上(普)分科員 そういう過程、しかし、泉南沖ということを決定した上での過程でしょう。そこに私は問題があると思う。現に、地元十三市町村のうちで五市四町が反対をしている。地元が反対をしている。あなたがおっしゃったから、私地元のことを言うつもりはなかったけれども、十三のうち九つまでが反対している。決議しているのでしょう。こういうような実態あるいはまた、環境アセスメントも全然できてないでしょう。こういうようなことであるならばまた考え方が新たに出てくるのじゃないだろうか。新聞紙上で拝見しますと、他の候補地も挙がっておるようであります。その他の候補地というのは神戸沖でございますけれども、阪神沖といいますか神戸沖といいますか、聞いてみると、金額は、これは言うとおり私まともにこれを受け取って、新聞紙上等々で拝見いたしますと、本体工事においても安い、あるいはまたアクセスも安い、こういうようなことになったならば、両方を御調査になる必要があるのじゃないだろうかと私は思うのですが、両方御調査になるお気持ちはありますか。
  48. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 両方調査する意思はありません。
  49. 井上普方

    井上(普)分科員 ない、なぜないのでございますか。
  50. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 位置決定につきましては、長年にわたりまして航空審議会が専門家を駆使して調査をした客観性を持った位置決定であった。それが泉州と決められたので、とりあえず泉州沖に建設するということを前提にしてわれわれはあらゆる計画をしておるのでございまして、いま神戸沖とあわせて検討するということはいたしません。
  51. 井上普方

    井上(普)分科員 しからば、航空審議会がいままで決定したこと全部をお守りになりますか。
  52. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 航空審議会の位置決定は守ります。
  53. 井上普方

    井上(普)分科員 しからばその結論としては、航空審議会を私も拝見しますと、大阪空港は、できた場合には廃止するということが欠けておりますが、これはお約束できますか。
  54. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 大阪空港、いわゆる伊丹空港につきましては、新空港が開設のときまでに存廃を含めて地元意向を聞いて決定するということになっておりまして、そのとおり実行いたします。
  55. 井上普方

    井上(普)分科員 その結論は、伊丹空港反対運動をやっておる方々と運輸省とのたび重なる交渉において、大阪空港は新空港ができた場合には廃止するという約束になっておる。このことは御存じですな。その約束をお守りにならずに存廃を検討するというのは私は納得いきかねる、どうです。
  56. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 反対同盟はどう言っているか知りませんが、こういう文書をちょっと読んでみます。「関西国際空港は、大阪国際空港の廃止を前提として、その位置を大阪湾南東部の泉州沖の海上とし、当面その規模を、」云々と書いてございます。そうして伊丹空港の措置につきましては、大阪国際空港騒音対策協議会会長伏見正慶ですか、伊丹市長ですね、これが会長なんです。それとの間に、内村という運輸省航空局長との間に覚書が締結されておりまして、その第二項に、「現大阪国際空港の将来のあり方については、新関西国際空港との関連において十分検討を要するものであるが、その開港時点にこれを撤去することをも含めて可及的速やかに検討するものとし、その検討に際しては地元公共団体の意志を十分尊重する」、つまり地元公共団体がどう言うかということを聞かなければ決定できないということになっております。
  57. 井上普方

    井上(普)分科員 いまあなたの読まれた審議会の答申というものは、新空港は現空港の廃止を前提として、その位置を大阪湾南東部の泉州沖の海上とするとなっておるはずです。片一方では、そのときになってともかく考える、廃止については検討するとおっしゃる。これは答申を前提としてと言っている。だから、あなたがここで泉南沖に固執するならば、伊丹空港を廃止するということを前提として話をしなければいかぬ。まあともかく審議会の答申なんというのは、行政機関の隠れみのになっておることは私らも十分存じています。この審議会というものを、学識経験者なんというのをともかくうまいこと使おうとしておるんだけれども、これはどうも政策決定をオーソライズするためにやっておるとしか思えない。しかし一方におきましては、もう時間もございませんのでなんでございますけれども、阪神沖の案にいたしますと、工期は泉南沖よりもはるかに短い。これはどこまで正確なものか私はわかりませんけれども、泉州沖であれば二十五年かかるが、十年以内にできるんだと言う。供用開始は、泉南沖であれば昭和七十年ごろだろうと言うし、片方阪神沖であれば六十三年ごろであろうと言う。そしてアクセスにいたしましても、先ほど聞きますとアクセスはまだこれから考えるんで、幾ら金が要るのかわからない、これはアクセスもすでに十分現存する。少なくとも島から島へ通ずる道はできない、両方とも同じでございますが。金額は一体どれくらいかかるんだと言えば、片方はアクセスまで含めれば五、六兆円かかるだろうと想像される。片方は幾らかかっても二兆円くらいでできるだろう。こう言われれば、政治に携わる者としては、安くて早くていいものができるとするなら、当然片一方の方も調べてみる必要があるんじゃないだろうか、こういう帰結になるのは当然のこと。だから、このたびの二十四億ですかの金というものもそちらの方の調査にも一部使ったらどうだ。両方御調査になる必要があるんじゃなかろうか。航空審議会の答申があるからそれに固執するんだ。それは大臣地元だということは百も承知の上で質問している。大臣は優秀な方だから、運輸大臣ではなくてほかの大臣になって、こういうものから手を抜いておいた方が、李下に冠を正さずと申しますか、そういう立場であるあなたの胸中は察するに余りあるものがある。しかし着工しての年限もこれだけ短いし、実用までの間、片一方は二十五年かかる。片一方は十年。金額においてもそれの三分の一だ。あるいはアクセスについても、片方には問題ないけれども片一方には問題があるというのであれば、これは当然両方を調査してみる必要がある。私はそう思うし、こういうものを一方的に片方だけやるというのは、私はどうも納得いきかねる。したがって、この二十四億の金は、両方をお調べになることが国家百年の大計を間違わないゆえんだと思うので、この点御勘案願いたい、こう思うのでございますが、いかがでございますか。
  58. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 御意見としてお聞きいたしておきます。  しかし、一番最初に井上先生いみじくもおっしゃったように、一つの計画があってこう決まっておるはずなのに、何かトンネルを引いてやれと言ったら、鉄建公団の技師のある者が何かこんなことを勝手に言っておる、そんなことでは困るじゃないか、こういうお話でございました。私たちもこっちで、一応泉州の沖合いということで答申が出ておるのをやっておって、そこで、先ほどお話しのように、ある技師がだれかが言っている、この程度にわれわれは受けとめておりますが、しかし御意見は御意見として、井上先生のおっしゃることもわれわれは一応は御意見としてお聞きいたします。
  59. 井上普方

    井上(普)分科員 この泉南沖にオーソライズされたのは航空審議会の答申だけなんです。しかし、片方で伊丹空港を廃止するということを、それも前提にしておるのでしょう。ところが、あなたのお話であれば、それはそのときになって検討してみるのだ、こうおっしゃる。審議会の答申というものをそれほどまでにともかく軽視する姿勢が片方においてはある。片方で泉南沖だけに固執しておる。私はどうも納得ができません。  私は、もう時間が参りましたのでこの程度にしますが、いずれにしても、いまの運輸省の関西新空港に対する態度は私らには納得できないということを申し上げまして、質問を終わります。
  60. 海部俊樹

    海部主査 以上で井上普方君の質疑は終了いたしました。  次に、広瀬秀吉君。
  61. 広瀬秀吉

    広瀬分科員 まず、高木総裁にお伺いいたしますが、昨年もこの分科会で、国鉄経営再建特借法に関連して、一番焦点である特定地方交通線廃止の問題、なかんずく足尾線の問題について質問をいたしたわけであります。  その際、この法律を見ましても、十条、十一条等において、特定地方交通線を廃止する場合の輸送確保という点では、必要があると認めるときは一般乗合旅客自動車運送事業による輸送を行うべきことの指示その他の措置を講ずることというような第十一条がある。一体貨物はどうしてくれるのですかということを申し上げた。  特に足尾線においては、もう百何十年という歴史を持っている江戸時代から続いた有名な足尾銅山があるところだ。しかも、昭和四十八年に足尾銅山が鉱脈の枯渇によって閉山をされた。その後は銅鉱石の臨海地帯からの輸送、こういうようなものが月に一万四、五千トンありますよ、そしてまたそれが銅になりあるいは濃硫酸になって搬出をされる、これがやはり一万四、五千トン毎月ありますよ、一日当たりにして八百トンを超えている、こういうような問題に対して一体どういう対策を用意されておるかということを質問したわけでありますが、当時、総裁もまた運輸省も、その点についてはまだ十分な勉強をしていないというお話であったわけです。これは非常に率直な答弁であったと思うのです。  その後この問題について、旅客輸送のことだけ考えておったということについて、この特定の足尾の問題について、そういう特殊事情によって貨物輸送というのが非常に大きなウエートを占めておる、これをどう転換をしていくのかということについて、それぞれ検討を十分この一年間になさったはずだと思うのでありますが、それらの点についてどういう検討をなさり、また旅客におけるバス転換と、今度は貨物におけるトラック転換とかタンクローリー転換とかいうような問題については、これはすぐに道路行政の問題とも関連をしてくる。そうすれば、建設省あたりとも十分打ち合わせしたに違いないだろうと思うし、それらが特に濃硫酸という危険物輸送という問題についてどれほどの確信を得られたか、そういう点についてまずお伺いしたいと思います。
  62. 高木文雄

    高木説明員 昨年やはり予算委員会の席で広瀬先生から御指摘がございまして、いま考えておるところの法律案ではいささか貨物についての配慮が十分でなかったかもしれないということを申し上げたことは事実でございますし、それから、その後通産省ともいろいろお話をいたしましたり、あるいはまた具体的に当該鉱山の方々も何度もお見えになりまして、その後私どもとしては事実関係についての理解は深めてまいったつもりでございます。  ただ、今回の法律のたてまえといたしましては、基本の方針は法律で定められておりますけれども、その具体的な線区をどこにどういうふうに当てはめるかということについては、先生御存じのとおり、政令で定められることになっておるわけでございます。いままさに、その政令によってバス転換への基準をどういうふうに定めるかということが、政府レベルで連日非常に熱心な議論が行われておる最中でございます。  私ども国鉄立場といたしましては、政令が定められました後で、具体的にどの線区についてどうするかという問題になりました段階で、いよいよ私どもの方で責任を持って対応しなければならないことになるわけでございますが、まさに現段階は、その政令をどう定めるかということで運輸省で御議論いただいておるところでございまして、私どもとしては、その決まりぐあいによって、これにどう取り組むかということを考えていかなければならぬというふうに考えております。  御指摘の道路との関係でございますけれども、これは考え方でありますが、現在の輸送密度は、五十二年から五十四年の平均で見ますと大体八百トン程度でございます。したがいまして、仮にこの八百トン全部が道路の方へ転換をするといたしましても、部分的に問題があるところが多少あるかもしれませんけれども、全体としては全くトラックへの転換が不可能であるということではないというふうに考えておりますが、地元の方々としては、やはりトラックが相当な頻度で走ることになるので、自動車公害といったようなものが発生するということで強く反対をしておられるわけでございます。その辺についてはいささか見解の相違があるわけでございまして、いよいよ問題が浮かび上がってまいりましたときには、それらについて、あの法律によります協議会等におきまして、よく意見を交換していかなければならぬというふうに考えております。  なお、どうしても鉄道輸送でなければうまくいかないという場合には、貨物の場合には旅客の場合とはいささか趣を異にいたしまして、全く経済的な問題でございますので、よく言われますような、たとえば第三セクターというようなことが考えられないかということも、とつおいつ考えておるわけでございますけれども、これまた企業そのものが必ずしも活力のある企業ではない、いろいろな意味企業自体もいま大変骨が折れるということから、なかなかそれはむずかしいと言われておるわけでございまして、問題認識は私も昨年来今日までの間に深めてまいったつもりでございますけれども、なかなか出口が見つからぬという現状でございまして、この問題は、全国のたくさんありますローカル線についての路線問題でも、かなり際立ったむずかしい問題であるというふうに考えておるわけでございます。
  63. 広瀬秀吉

    広瀬分科員 総裁も、足尾の問題は、特定地方交通線として政令指定する基準に表面的に少なくとも旅客輸送の面では該当するであろうということであるけれども、そういう貨物輸送の問題、特にそれが鉱石であり、しかも今度は搬出されるものについては濃硫酸という危険物であり、しかもこれが日に八百トン程度も出るということで、これはかなり特殊なものであるという御認識は持っていただいていることがわかりました。  そこで、運輸大臣にお伺いいたしますが、これはバス転換なりあるいは貨物の転換なりというようなことで、そういう問題については建設省あたりが——あそこも国道百二十二号線が走っているわけですけれども、この中に少なくとも足尾線と並行して走る道路は確かにあることはあるのです。現在の足尾線は、貨物では足尾本山までで四十六キロ、旅客輸送をやっているところが四十四・二キロ、こういうことになっておりますけれども、そういう面で、いまの道路事情でそういう濃硫酸、これは長距離の場合は四百キロ以上も硫酸を運ぶというようなことになっておるわけですし、大体平均的には二百キロないし二百五十キロぐらいは運ぶという状況なんです。そうしますと、地方の、あるいは東京都内も含めて大都市圏を、市街地のど真ん中を濃硫酸を積んだタンクローリーが走るということになって、もしそういう問題が事故に結びついたような場合に、濃硫酸が街頭にばらまかれるというようなことになったら大変な社会問題にもなるだろうし、甚大な被害をそれぞれの市街地圧民に及ぼすおそれも十分ある。  そういうようなことを踏まえて、それらの問題について、道路運送に転換した場合の必要性の問題等についてかなり勉強もされたと思うのですが、どのように建設省あたりと打ち合わせをし、安心して大丈夫だというような結論が得られているかどうか、そういう打ち合わせを何回ぐらいやって、建設省側からどういう意見が出てというような点について、やられたのだと思うのですけれども、その状況をこの際お述べいただきたい、こう思います。
  64. 杉浦喬也

    杉浦政府委員 ただいまの道路に関連いたします諸問題、特に危険物輸送という問題でございます。  先生承知のように、国道百二十二号線の道路事情につきまして建設省とも打ち合わせし、実情を把握いたしております。率直に言いまして、全般的には道路事情バス輸送がおおむね可能であるというふうに私ども思いますが、一カ所だけ幅員が狭い個所がございます。こうした点につきまして、なお今後建設省さんの方に十分協議いたしまして、これが解決ができるかどうか、その辺のめどを実はつけなければならぬというふうに思っておるところでございます。  もちろん、道路輸送当たりましては、バス輸送とトラック輸送との関連におきまして、一般的には安全ということが非常に重要な問題でございます。これは重々承知いたしておりますが、現行のいわば消防法令等による危険物輸送につきまして、一般的には危険物、毒物、劇物というようなものについて、消防法令に従いまして安全輸送が確保される。具体的にこの百二十二号線の輸送につきましてもそうした安全面で十分な体制を整えて、輸送をすればする、こういうふうなことを今後とも考えてまいりたいというふうに思っておるわけでございます。
  65. 広瀬秀吉

    広瀬分科員 監督局長は、まだ事態の深刻な認識を欠いておるようにいまの答弁では受け取れます。  都会地のど真ん中でも、混雑した今日の交通地獄などと言われる状況の中を劇毒物あるいは危険物を積んだものが、いままで鉄道路線だから事故もほとんどなかったけれども、これが大量に、月に八百トンからそれぞれの市街地を通過するというようなことについて、もっとシビアな受けとめ方をしてこの問題に対処していただかなければならぬと思います。  しかし、きょうは地域振興計画や発展の問題との関連を中心にしたいと思うものですから、その点余りやると時間がなくなっちゃいますものですからあれですが、ぜひひとつ運輸大臣、そういう危険物を、線路ならばこれはある程度道路から隔絶された線路というところを通るから、まあ踏切以外には危険はあり得ないわけですけれども道路でしかも大都市圏内もどんどん通過をするというような場合に、もし事故があったら一体だれが責任を負うのかというようなことを含めて、そういう点についてもう確たる確信を得られる状況まで来ているかどうか、そういう点についてちょっとお伺いしておきたい。
  66. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 濃硫酸を運んでおります足尾線のこの転換につきましては、実は国鉄としてこれからの運営をしていくのに一つの大きい問題を投げかけておると思うのです。こういう危険貨物というものは、やはり国鉄で運搬できるならばそれはいたしたい。しかしながら、一方におきまして、国鉄の再建の中で議論されておりますのは、貨物の赤字というものに対してどう対処するかということも言われております。ですから、これは確かに一つの問題点でございまして、われわれもでき得るならばこれを鉄道で維持するのが、運搬するのが望ましい、そういう気持ちは十分に持っておりまして、先ほど鉄監局長もそういう意図を含めて答弁しておるようなことでございます。  ところが、今度の特定地方交通線の考え方は、人間を、お客さんを運ぶのを主体にして考えております。でございますから、足尾線は産業線としても重要であることは承知しておるが、と同時に、人間もやはりたくさん乗っていただけるような路線にならないものだろうか、これもやはり大事な問題でございまして、地元の方の意向というものも私たちも承っておりますから、だから、現にこの足尾線の将来の利用というものをわれわれ十分検討する必要があるだろう、それは思っております。
  67. 広瀬秀吉

    広瀬分科員 十分検討に値する問題であるという大臣のお話であります。そのとおり確認をさしていただきます。  それで、私どもも、もう足尾線、特に私は、単にこのことは地元だからということだけで取り上げている問題ではないわけでありまして、もう先ほども申し上げたように、足尾という町は、これはまさに銅山とともに発展し、銅山とともに、閉山になったら三八%も人口が減ってしまうという状況になる。製錬部門はかろうじていま残っておる。その製錬の銅鉱石は、自分の山からは出なくなったものだから、臨海工業地帯から運ぶというような経緯をたどっているわけです。現在、五十五年の国勢調査で人口六千七人というところで、まだ過疎はとまっていない、そういうような状況にあるわけです。  しかも、やはり地元でもいろいろな努力をして、観光の方にさらに町全体の力を出していこうというようなことで、地域発展計画の中でそういう努力をしておった。ところが、観光客が入ってくるのに一番都合のいい時間帯の列車が、五五・一〇のダイヤ改正で、一本ぴたっと非情に切られてしまっている。そういうようなことを国鉄はやっているのですね。銅山観光は、そういう悪条件があったにもかかわらず、なおかつ予定よりも、町当局が過疎対策振興法によって計画した銅山観光というようなことで、その予定した観光客よりも大体倍の観光客が、去年の四月からオープンしたのですが、入り込んでいる。その人たちが一番来やすい時間帯の列車が切られている。こういうようなちぐはぐな、もう廃止を前提にしたようなそういう非情なことをやって、乗せないように乗せないようにダイヤを組むという習性が、どうも国鉄にはある。  これは、いまのローカル線の問題、なるほど国鉄のこれからの使命は何かというようなことで、大都市間の輸送であるとか、あるいは大量定型貨物であるとかいうようなことで、地方ローカル線、今度の特定地方交通線に指定されるようなものの本線への接続をどんどん悪くしたりというようなことが、どうしても本線優先でやるものですから、そういうことになる。そういうようなことがあるということも、ひとつこれは皆さんの頭の中にきちんとしておいていただきたい。これは、地元の人たちもできるだけ利用したい、利用したいが利用できないような状況国鉄自身でつくっているというような一面もあることを、やはり厳しく反省をしておいていただきたいと思うわけであります。  ところで、これも運輸大臣にまずお伺いいたしますが、この国鉄経営再建というもので特定地方交通線を廃止していこうという大きなねらいがあるわけであります。この特定地方交通線が存在しているようなところは、これはもう大体において過疎地と見て差し支えない。この私が問題にしているところも、わが栃木県には足尾線と真岡線があるわけですが、真岡線の一番奥の茂木町も過疎地として指定を受けている町でありますし、またこの足尾町も、いま栃木県には五つしか過疎地指定の町村がないわけですが、いずれも、足尾もそうだし、茂木もそうだということになっておるわけであります。  それで、それなりに足尾町——あそこは人口六千人に減ってしまった町であるけれども、こんなりっぱな「過疎地域振興計画」というものをつくって、過疎法の適用を受けていろいろ財政援助もいただいているものですから、何とか過疎を食いとめて、銅山閉山という事態の中から町の新しい発展を期していこうということで、こういうわずか十二億くらいの年間予算でやっている町で、必死に取り組んでいるわけですね。地域振興の計画を立てて、こういうりっぱな書物も出して、交通通信体系の整備を図る、教育文化施設の整備を図る、生活環境施設及び福祉施設等厚生施設の整備を図る、医療の確保、産業の振興、集落の整備というような六つの大きい項目を掲げて、必死に取り組んでおるわけでありますが、これはあくまで足尾線なり真岡線なり、そういうものが残るであろう、こういうものを前提にした上でその計画の進行が図られている。  ところが、足尾の場合に例を引けば、足尾は銅山でもってきた町である。古河鉱業が立地して製錬事業をずっとやっているから、まだ古河関係の従業員だけで労働者が約七百名いる。その人たちが養っている家族を含めますと二千名を超えるというような状況にある。そうすると町の人口の約三分の一である。そういう企業が、硫酸の排出も非常にむずかしくなる、銅鉱石を今度はトラックで運ぶというようなことになったら、それもできないというようなことになったら、これはその計画の基礎である人口の問題がもう決定的に、過疎対策法で地域振興をやろうとしても、そういう事態になったら防ぎようもない、恐らく人口六千の町が半減するであろう。そのほか高等学校も、いま県も相当な費用をかけて、小さな高等学校であるけれども、高等学校を存続させている。そういうものも恐らく維持できないし、それから、それだけの人間が流出すれば、関係の商工業者もとうてい生活が成り立たぬというようなことで出ざるを得ない。そういうことで、この過疎地域を振興させようという方向に対して、この線路を外すことによって全くそれと反対な、地域交通は何とかバスやトラックで確保するというけれども、こういうものを廃止することによって、そういう百何十年も続いた企業が完全に撤退をせざるを得ない。そのことの上に完全に成り立ってきた町という特殊性において、それでもう町の体をなさなくなる、町としての機能をもう果たし得ないような決定的な過疎の町に陥ってしまう。  片方で過疎振興の財政投資をしながら、恐らく足尾に対しても二十九億ぐらいの金がつぎ込まれる予定になる、片方で国鉄を切ることによってそれが全く成り立たなくなるという、そういう国全体の政策における整合性というようなものは、一体この国鉄再建法では考えられておったのかどうか。全くそれは政策の不整合である。一方において振興を図り、一方においてその振興が絶望的になるような政策をやる。  こういうことで、国鉄経営再建法における特定地方交通線の問題はまさに先行きを見通してない、そういう地域の発展計画に対して何らの理解がないというようなことで、欠陥法案などと言われる大きな原因が私はそこにあろうと思うのです。そういう地域振興、それから、これから発展をするためにいろいろな努力がなされている、そして現に効果も上げているというようなものに対して、全く決定的に水をかけ、そういう計画を完全にスポイルしてしまうような、そういうものになりかねないものであるという点について、運輸大臣として、というよりは、むしろ国務大臣としてどういうようにお考えか、この点をお伺いし、あとまた国土庁の方からも……。
  68. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 私も地方行政委員会の委員をやっておりましたときに、この過疎対策振興法の法案の作成に参画したこともございまして、過疎地域の実情もよく承知しておるつもりでおりますが、過疎対策で一番必要なのはやはりいま道路建設ではないかと思うのです。道路さえしっかりしておれば過疎は一つの安心感を持っておりますし、そしてまた過疎に対する便益も与えられる、そういう意味で、今日まで政府は一貫して過疎地域を重点にした道路建設も並行してやってきたと思うのです。  そのことが結局鉄道の依存率と申しましょうか、鉄道の特性というものがだんだんとなくなってまいりまして、今日国鉄の再建で特定地方交通線の整理ということをやらざるを得なくなってきた。けれども、いま地方鉄道というのが長年、百十何年にわたりまして地元民の生活と国鉄という関係はいわば感情的にまで一体となっておる、そこに私はこの政策を進めていくのに非常にむずかしいことを感じておるのであります。でございますから、どうしても特定地方線を決めるのには一定の客観性を持った基準で決めざるを得なくなってまいりました。だからといって、これを無制限に拡張し、採算性中心国鉄考えるべきではないと私は思っております。ですが、一応は他の代替交通機関に切りかえて、バス等による交通の頻度をつくる方が、鉄道よりはバスの方が頻繁に運転し得ると思いますので、そういうところにおいてはそういう措置を一応とってみるべきではないかというのが今回のこの法案提出、成立いたした経緯でございますので、その趣旨をやはりやっていきたい。  しかし、仰せのように過疎地帯との関係というものは、私らは十分配慮しなければなりません。ですから、幹線と過疎地域との交通のあり方というもの、これはそれぞれの地域によって異なってくると思いますので、ぜひひとつ地域ごとに、地域の公共陸上輸送の審議会を通じて結論を出していただき、それに対し、われわれ運輸省といたしましても、もちろん国鉄も相協力していくような体制を組み立てていくべきだ、こう思っております。われわれは決して過疎対策を無視して特定地方交通線政策というものを進めようとは思っておりませんが、しかし過疎対策のあり方の本当の望まれるものは何かということも十分承知して、整合性をとっていきたいと思っております。
  69. 広瀬秀吉

    広瀬分科員 これ一問でやめますが、せっかく国土庁においでいただいておりますから、国土庁として、過疎振興対策を国土庁中心でやっておられるわけですが、地域のそれぞれの真剣な努力、計画、そういうもので振興しているときに、この特定地方交通線が廃止されるという事態になったら、かなりの悪影響を振興の面で受けるのではないか、こういう問題に対して国土庁の見解をお聞きして、やめたいと思います。
  70. 島崎晴夫

    ○島崎説明員 お答えいたします。  過疎地域の住民の方々のいろいろな陳情を承りますと、最近ではマイカーの普及に伴いまして、道路をつくっていただきたいという要望の方が非常に強うございます。地方振興に当たりましては、線的な鉄道よりも面的な広がりを持ちますところの道路網を整備した方が、地域振興のためにプラスであるという考え方もございます。ただ、私どもといたしましては、総合交通体系のあり方もございますし、地域振興との絡みもございますので、ただいま運輸省さんの方には、過疎対策あるいは地域振興対策とそごのないようにということで、いろいろと特定線の問題につきまして一般論としてお願いしている状況でございます。
  71. 広瀬秀吉

    広瀬分科員 終わります。
  72. 海部俊樹

    海部主査 以上で広瀬秀吉君の質疑は終了いたしました。  次に、草野威君。
  73. 草野威

    草野分科員 私は、成田空港へのアクセス対策につきまして、初めに質問をいたします。  先日、国鉄高木総裁から、成田空港への交通手段といたしまして国鉄の在来線を空港まで延伸するという計画が発表になりまして、近いうちに運輸省に認可申請を出したい、このようなことが報道されておりました。開港前後から、空港から都心への直接の足がないということが非常に大きな問題でございました。今回の総裁のこのような発言によりまして、暫定的とはいえ都心への足が確保できるということは、私どもも非常に期待しているところでございます。したがって、一日も早く実現することを望んでいるわけでございますけれども、本日はこの延伸計画につきまして、計画の概要とかまた国鉄としての必要性とか、さらにまた工期とか工事費とか、またこの路線の採算性とか、こういうものを総裁の方から直接御説明いただきたいと存じます。
  74. 高木文雄

    高木説明員 成田空港へのアクセスといたしましては、従来はいわゆる新幹線で空港と東京駅とを結びつけようということが政府の御方針として決まっておりまして、現実に工事も進められてはおりますが、成田空港の周辺については、かなり用地問題その他工事が進んでおるようでございますけれども、東京駅方の方は、いろいろな問題があってなかなか進まないという現状にございますし、それから京成線につきましては、空港の中の駅の状態陣なりいろいろな状態から、アクセスとして必ずしも十分でないということから、何らか私どもとしてもこれに参加させていただきたいものだということをかねがね考えておったわけでございます。     〔主査退席、唐沢主査代理着席〕  これは、昔と大分様子が変わってまいりまして、たとえば東京と札幌とか大阪と鹿児島とかいう非常な遠距離のところにつきましては、昔のように鉄道主体で旅客輸送をやるという時代ではなくなってまいりました。そこで、むしろそれぞれの空港と鉄道とをどうつないだらいいかというのが、今後のわれわれの営業面からの一種の戦略といたしましても、またお客様に対するサービスといたしましても、いままで考えられておりませんでしたけれども、そういう面に今後日を向けていくべきではないかというふうに考えておりますので、そういたしますと、比較的空港に近い上ころにわが方の路線が現在ございますから、これを結びつけることがお客様に対するサービスとしても、またわれわれの営業からいっても有意義ではないかと考えまして、運輸省の方に、そういう仕事をやらせていただきたいということをお願いいたしておるわけでございます。  ただいまお触れになりましたように、今日ただいますぐこれが営業的にうまくいくかどうかというような問題につきましては、現在空港の使用方がややフルには動いていないということがありまして、まだお客様の量がそれほど多くはなっていないということもございますので、今後空港がどういうふうに発展していくかということ、そこにどのくらいお客様が、空港利用客のほかにたとえば見学のためのお客というようなものも相当数が予想されるわけでございますけれども現時点ではいろいろ警備の都合その他で制約もあります。そうしたことが今後どう展開していくかということを考えながら、これをお認めいただけるように運輸省にお願いをしてまいりたいというふうに思っております。  私ども考え方は、その上に、昨年十月から横須賀線が東京駅をスルーいたしまして千葉、さらに成田の方まで延びてまいるようになりましたので、もう少しのところで神奈川県サイドと千葉県サイドをつなぐような列車を走らせることができるようになってまいりましたので、そうした東海道におきますところの横須賀線と東海道線との分離運転問題が解決をしたということとも関連をいたしまして、この仕事を進めることの現実性が高まってきたのではないかというふうに思っております。  それから、これに要する工事費等はまだ精査をいたしておりませんが、そんなに大きな金額はかからない、百億をちょっと超すかどうかというぐらいの金額で、いままで鉄建公団の方で投資されたものはちょっと別にいたしまして、現実に運転に結びつけるには百億をいささか超える程度の金額であればいけるんではないかというふうに思っております。  それから、旅客の数等につきましては、まだどうも空港の使用方がフルにいっておりませんし、それから、最近はどこでもそうでございますけれども、空港利用客も五十五年度は若干停滞ないし減少ぎみであるというようなこともありますが、これが五十五年に限っての一時的現象であるのかあるいはそうでないのかというふうなことも、今後この計画の細目を詰める上において非常に重要な要素だと考えております。  新聞等でごらんになりまして皆様お受けになりました印象といたしましては、あすにでもこの仕事に取り組むようにお受け取りになった向きもあるわけでございますが、私どもとしてはやや長期の計画として考えておるわけでございまして、もう少しもろもろの点を調査したり詰めたりいたしました上で本格的なお願いをいたしたいというふうに考えておるわけでございます。
  75. 草野威

    草野分科員 成田新幹線計画が事実上宙に浮いたような状態になっているわけでございまして、いま高木総裁からお話がありましたこの案につきましては、ぜひとも早期に実現することを私どもは期待しているわけでございます。  そこで大臣にお伺いしたいと思いますが、この計画につきましては、私どももかねてから深く関心を持っておりまして、昨年の十月一日から、横須賀線それから総武線の乗り入れが始まりまして、早速、昨年のたしか十月三日だと思いましたけれども運輸大臣のところにこの件につきまして申し入れに上がりました。そのときの大臣のお話は、京成電鉄の問題もまだ未解決であるけれども、この都心からのアクセス確保の解決をいま私は急いでいる、こういうような意味のお話がございました。それから非常に期待しておりましたところ、高木総裁から二度にわたってこのような発表があったわけでございます。  そこで大臣にお伺いしたいわけでございますが、一つは、いまのこの国鉄の計画、これは非常に暫定的なものであると思いますけれども、この国鉄の計画についてどのような基本的な見解をお持ちになっていらっしゃるか。  それからもう一点は、問題になっております京成電鉄との調整問題の見通しはおつきになっているのかどうか。この二点について大臣の御見解をお示しいただきたいと思います。     〔唐沢主査代理退席、主査着席〕
  76. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 国鉄からかねて要望がございまして、いわば暫定輸送的な計画でございますが、私はこれはぜひ積極的に進めたいと実は思っております。せっかくああしてりっぱな駅舎も空港にできておるのでありますし、これを活用すべきだと思っております。  一方、京成の方も、そういうふうになりますと京成の経営が決定的なダメージを受けるということで、京成のそのダメージをわれわれは無責任にただ拱手傍観しておるわけにいきませんので、京成も双方共同で利用できるような、アクセスは多い方がいいのでございますから、そういう方法がとれないものだろうか、こういうことが実際のこちらの方の悩みでございます。ところが、京成は御承知のように経理状況が非常に悪い状況になってきておりますので、これは京成側とも十分相談しなければならぬと思うのでございますけれども、積極経営を図ることによって、国鉄も京成もともに成田へのアクセスということが果たせるならば最良ではないかと私は思って、そこらの計画について鋭意詰めておるところでございます。
  77. 草野威

    草野分科員 ただいまの大臣の、積極的に進めたいという御発言に大変期待をするわけでございますが、北海道の千歳空港の例を見ましても、国鉄駅は昨年の秋に開設いたしまして非常に好評を博しておる。この例からも、成田空港の場合もこれは一日も早く実現していただきたい、このように要望するわけでございます。  それともう一点は、先ほど触れました成田新幹線の計画、一体いまの延伸計画の実現によってこれが廃止されるのかどうかという問題、さらにまた成田空港への直結とともに千葉ニュータウン等から都心への通勤、さらにまた成田空港への連絡、そしてまた別に京葉湾岸方面からの都心への通勤対策、こういうことを含めまして、いろいろな新しい高速鉄道の計画等も出ておるようでございますけれども、成田新幹線計画をどうするのかという問題とこの新高速鉄道の問題につきまして、現時点運輸省の御見解といいますか、お考えをひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  78. 杉浦喬也

    杉浦政府委員 御案内のように、成田新幹線は四十七年から工事をすべく認可をいたしておるところでございますが、いろいろな事情で事業が進んでおりません。一方では新東京国際空港が開港になりまして、これと都心とを結ぶアクセスにつきまして高速鉄道がぜひ必要である、これは私どももそのように思っております。  そこで、いろいろな考え方があるわけでございますが、一つは千葉ニュータウンという大規模な住宅開発計画がございまして、その真ん中を通るような新しい高速鉄道というものについて、鋭意前向きに検討したいというふうに考えておるところでございまして、五十六年度の予算にそのための調査費が運輸省鉄道建設公団に計上をされました。この調査費をもちまして、最も適切なルートあるいは経営建設主体というような問題につきまして総合的に検討いたしてまいりたいと思います。  新幹線の問題につきましては、現在は成田の駅の近くから成田空港の間の工事につきまして鋭意建設をなお継続いたしております。これは、先ほど申し上げましたような新高速鉄道との関係におきましては決して手戻りにならない工事でございますので、この工事につきまして予算に従いまして鋭意建設をなお継続したい、このように考えております。
  79. 草野威

    草野分科員 では、この問題は終わりまして、次に移りたいと思います。  最近いろいろと話題になっております自動車の継続検査の問題、車検の問題でございます。時間の関係もございますので簡単に伺いたいと思いますが、この車検の問題につきまして、大変素朴な質問をさしていただきたいと思います。  その一つは、一般自家用車の場合、車検期間が二年、このように決まっております。その二年とする根拠というのは一体どういうところから来ているのだろうか、これが一点でございます。  この車検期間につきましては、道路運送車両法の第六十一条に定められているわけでございまして、昭和二十七年から二年間と決まって現在まで来ているようでございます。その前は一年だったようでございますけれども、ともかく日本の車が技術的にも非常に優秀であって世界一故障も少ない、このように言われる中で、あれから三十年たってもまだこの二年という制度がこのままこれからも続いていくのかどうか、こういう問題につきまして、多くの国民から疑問も出ているわけでございますので、車検を二年とした根拠につきまして、まず伺いたいと思います。  それからもう一点は、たとえば車検を受けた後、事故が起きた場合、国はどういう対応をされるのか。この問題につきましては、現在国がこの車検制度を制度的に行っているわけでございますが、事故が起きた場合に責任がない、こういう話も出ているわけでございますけれども、そういう問題につきまして、ひとつ御説明をいただきたいと思います。
  80. 飯島篤

    ○飯島政府委員 まず、車検期間を自家用自動車について二年としている根拠いかんという御質問でございますが、この車検の制度は、先生よく御存じのとおり、自動車を使用する上で、社会的な責務として、使用者が保安基準に適合した良好な状態に保っておく必要がある。このため、使用者に点検及び整備を義務づけているのでございますが、自動車の検査は、それが適正に行われ、車が良好な状態で維持、管理されているか否かを国として後見的に確認するために実施している制度でございます。  それで、二十七年のときに二年にいたしました理由を調べますと、当時は自家用自動車は余り使用されない、走行距離も短い、それから整備の状況もまあまあ使用者にゆだねてもいいのではないかというような理由等で定めたようでございます。その後、確かに自動車の性能が向上をしてきております。しかし、一方で、安全、公害の規制を強化したりいたしまして、自動車の構造、装置が非常に高度化をし、複雑化してきております。また、使用の形態も大衆化、多様化、高速道路ができまして高速化が進んでおります。なお、外国におきましても、最近は車検制度を充実する傾向にございまして、通常、かなりの国が車検期間を一年または二年といたしております。したがいまして、現在も有効期間を二年のままといたしておるわけでございます。  今後の問題でございますが、本件に関連いたしましては、検査あるいは整備につきましてもいろいろな角度から問題が提起され、意見が寄せられておりますので、自動車の安全確保と公害の防止を前提としつつ、時代の要請に対応した今後の自動車の検査、整備のあり方について、去る二月二日、運輸技術審議会に諮問をいたしたところでありました。その結論を待って検討いたしたいというふうに考えております。  それからもう一つ、自動車の車検と安全性の保障の問題でございますが、車検の趣旨につきましては冒頭に申し上げたとおりでございまして、要するに前提といたしましては、自動車の使用者が当該自動車を保安基準に適合した良好な状態に維持管理し、必要な点検、整備を実施する責務があるという前提に立ちまして、一定期間ごとに特定の、要するに車検の時点におきましてそれを後見的に確認するのが車検の制度でございます。有効期間内におきまして、各部位はいろいろ摩耗、劣化いたします。これは、自動車の使用形態や使用者の整備の仕方によっていろいろ異なるわけでございまして、したがいまして、期間内すべてにわたりまして、車検を受けたからといって安全性を保障していくことは事実上もきわめて困難でございます。
  81. 草野威

    草野分科員 一つは車検二年という問題でございますけれども、実際に標準的な走行キロ数で二年経過した場合に、現在の車両で交換をしなければならない部品が現実にあるのでしょうか。もしあれば、どういう部品が二年ごとに交換をしなければならないほど消耗してしまうのか、そういうものがあったらひとつ言っていただきたいと思います。ということは、半年ごとに定期点検を受けているわけでございますので、十分に安全性の確保だとか整備ということはされているわけでございまして、その上なおかつ二年ごとに検査をしてあと部品を取りかえる必要が出てきているのかどうか、そういう問題が一つです。  もう一点は、車検を受けた後に整備不良ということが原因で事故が起きた場合、国としては、車検ごとにただ整備が完全にされたかどうかという確認をするのが目的であって、補償する義務はない、困難である、こういういまの御答弁でございましたけれども、大体一般の運転者の場合には、技術的な知識を持っていらっしゃる方はきわめて少ないと思います。したがって、整備工場で車の整備をし、あるいはまた車検に合格した場合、車は完全に整備をされている、安全な車である、このように期待をして車を運転しているのが通常であろうと思います。しかし、そういう車がもし整備不良が原因で事故を起こした場合、国は全然知りませんよ、こういうことで果たして済まされるのかどうか。では何のために国は車検という制度をやっているのか、こういうような疑問も出ているわけでございますので、もう一回この点についてはっきりした御見解をいただきたいと思います。
  82. 宇野則義

    ○宇野説明員 お答えいたします。  第一の、定期点検のときに二年ごとにどのような部品を交換している事例があるかという御質問でございますが、車の走行キロあるいはその使われ方によりましてかなり状態が違いますので、二年ごとの定期点検を行った場合に取りかえなければならない部品というのは、その都度車によって変わってこようかと思いますけれども、一応の目安といたしまして現在でも点検の対象になっておりますものを申し上げますならば、ブレーキ関係のゴム製品あるいはエンジンに空気を吸入いたしますところのエアフィルターのエレメントといったようなものにつきましては、その間に汚損されるケースとそれから経時的に、時間がたつことによって非常に傷んでくるケースがございますので、そういう部品等につきましては二年ごとに交換するという前提で指導をしておるところでございます。  また、定期点検の実施率でございますが、現在マイカーについて申し上げますならば、六カ月点検ということが法律で義務づけられておりますけれども、その実施率につきまして私どもの方でつかんでおります数字は、大体半分、約五〇%前後というような数字になっておりまして、必ずしも法律で義務づけられております定期点検が実施されてないというような状況にございます。  また、二年ごとに陸運事務所、国で検査をしておるわけでございますけれども、その際におきましても、車の状態がふぐあいでございまして、保安基準に適合してない状態にあるということで不合格になる車が現在でもまだ、五十四年度でございますが、一二%ほどある現状でございます。  それから、整備不良を起こした場合の事故の問題でございますけれども、先ほど御説明がございましたように、一定の時点におきまして国が検査をしておるわけでございます。それから以降におきまして、自動車の使われ方次第で車の傷み方もがなり差がございますし、工場で整備したときの状態というものがかなり影響をしてくると思います。  それで、第三点の整備という問題と事故との関連でございますが、定期点検を行って工場で整備する場合に、その車のこれからの使われ方というものを勘案した上で工場で適正な整備をするように、たとえば現在は保安基準に適合している状態であるけれども、もうすぐにでも保安基準に適合しなくなるおそれがあるというような場合には、その場合の部品を取りかえるなどしてその寿命を長もちをさせる、あるいは保安基準に適合した状態を維持させるというような整備をするように、私どもも業界を指導しておるところでございます。現実的にもいろいろな事件的なことがございますけれども、その都度法の場に上がりまして、いろいろな事案が審理をされておる現状でございます。
  83. 草野威

    草野分科員 この車検の問題につきましては、さまざまな議論がこれからも出てくると思います。期間の延長、また民間へすべて移行したらどうかとか、また医薬分業的な考え方で、車の診断とそれから整備を分けてやったらどうかとか、さまざまな課題があろうと思いますけれども、これからもひとつ運輸省でも十分にこの問題については御検討いただきたいと思います。  大臣に伺いたいと思いますが、この件につきまして運輸大臣は行管庁長官と最近相談されまして、その結果、今後の自動車の検査や整備のあり方などにつきまして運輸技術審議会に諮問されていらっしゃいますけれども、これは車検を延長するということを前提とした諮問なのかどうか、また、この問題につきましていつごろ答申が出されるのか、この点についてお伺いをしたいと思います。
  84. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 車検の期間を延長するということをあながち前提にしたものではございませんが、そういう車検の期間を検討したらどうだということが主体でございます。そこで、運輸技術審議会に二月の二日に諮問をいたしました。恐らく年度内を目途に結論が出るのではないかと思っております。その動向を見まして、運輸省で検討いたしたいと思っております。
  85. 草野威

    草野分科員 時間が参りましたので以上で終わりたいと思いますが、この問題につきましては、これからも十分にひとつ御検討をいただきたいと思います。  ありがとうございました。
  86. 海部俊樹

    海部主査 以上で草野威君の質疑は終了いたしました。  次に、西村章三君。
  87. 西村章三

    西村分科員 時間の制約がございますので、関西新空港問題に限ってお尋ねをいたしたいと思います。  関西新空港の必要性につきましては、これはもういまさら私から申し上げるまでもございませんが、国際社会の中でわが国が世界の国々と友好を保ちながら政治、経済、文化の交流を深めて将来の発展を期する上で、その国際交流の門戸ともいうべき空港の整備というものは重要な国家的課題でございます。ところが残念なことに、わが国における国際空港の現状は、新東京、東京、大阪と三空港とも時間規制あるいは便数規制がなされておりまして、完全にその使命なり役割りというものを果たしておりません。特に西日本唯一の玄関口であります現大阪国際空港、すでに能力限界に達しておりまして、多くの国々から乗り入れ希望があるのにかかわらず、それにこたえることができない。また、国内地方空港からの増便要求に対しましても、全く応ずることができない状態でございます。このことは、結果的に国際交流に門戸を閉ざして、国内航空需要の増加にも対応することができずに、わが国の将来にとってもまことに憂うべき事態だ、私はそう考えるのであります。  この際、私は、二十四時間使用が可能で、かつまた過去の貴重な教訓から、公害がなくしかも地元と共存共栄のできる本格的な国際空港、この必要性を痛感するものでありますが、その意味では、かねてから調査を進められてきましたいわゆる関西新空港、これは西日本の経済、文化の発展、これだけにとどまらず、日本国土の均衡ある発展あるいはナショナルセキュリティの観点からも不可欠な国家的事業だ、あるいは国家的なプロジェクトである。ローカルの問題ではございません。国の総力を挙げてこの早期実現に取り組むべき課題だと私は考えるのでありますが、まず、関西新空港の必要性についての大臣の御見解を承りたいと思います。
  88. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 西村先生仰せのように、現在、成田空港そして羽田とございますが、これらは十分な機能を発揮できない。ましてや伊丹空港等におきましても非常な制限を受けております。それは、民間航空が盛んになりまして、飛行場を増設いたしましたその当時は、騒音というものは余り考えてなかったのです。大気汚染ということも余り考えてなかった。だから、全部内陸地につくりました。これが今日、騒音というものを抜きにして空港を考えられなくなってきた。でございますから、内陸地につくりますと大変コストが高くなってまいります。そこで関西新空港は海中につくろうという発想でございまして、世界各国の大きい空港は全部やはり海を背景にしてつくってきております。  そういうことでございますので、われわれは、この関西につくります新空港に完全な国際空港としての機能を付与したい、そういうつもりで計画を進めておるのでございまして、そういう点から見ましても、これはまさに画期的な計画であるし、また、国際需要にこたえる唯一の空港になっていくのではないかと思っております。  そこで、これを国家的なプロジェクトとして進めていきたいという時点において財政難にぶつかって、ここに一つの大きい苦労があるということでございますが、空港建設の趣旨なり目的というものは、おっしゃるとおりでございます。
  89. 西村章三

    西村分科員 私も、国家財政の現状につきましては十分認識をいたしておるところでございますが、このままの事態で推移をすれば、日本は世界の中から取り残されてしまう。そういうことを考えますと、新空港計画の中断あるいは非常に難航しておるということは、もう国家百年の大計を誤るのではないか、国に対する同時に国民の信頼も失う、こういう意味で非常に心配をいたしておるわけでございます。重ねて、この財政再建下の中にあって、しかもやり遂げなければならぬこの事態について、大臣の見解はいかがですか。
  90. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 幸いにいたしまして、空港整備は特別会計によって行われております。でございますから、できるだけ国の負担をかけないようにして、財政投融資を中心にして空港が建設し得られるようにいたしたい。  そういたしますと、問題は収支計算だということになってくるわけでございまして、その収支計算も償うような空港の投資額を頭に置いて考えなければならぬと思っております。おいおいその計画をみっちり詰めたものに持っていきたいと思っております。
  91. 西村章三

    西村分科員 次に、具体的に一つずつお尋ねをいたしたいと思うのであります。  まず、この新関西空港建設計画でございますが、これはもう大臣承知のとおり、四十年代当初から十数年にわたって長い歴史的経緯がございます。さらに百億円近い高額な調査費も投入してきた。その結果、航空審議会から答申が出たわけでございます。四十九年八月の第一次答申あるいは五十五年九月の第二次答申、これは当然いろいろな観点からずいぶんと検討してやられた結果の貴重な答申だと思うのであります。したがいまして、これは政府といたしましても、内容的にはもちろん精神的にも尊重していかなければならぬと思うのであります。  その中で、特に大阪湾岸を中心に幅広く調査をされた。あらゆる条件を考慮して最終的に泉州沖を決められた。この海上という空港位置、これは先ほど大臣もおっしゃいました、いわゆる環境面を考慮して画期的な海上空港にしたのだ、しかもその位置は泉州沖だ、こういうことでございます。この点について、ひとつ御確認をいただきたい。  同様に、海岸から五キロ沖、これも環境面から導き出された結論でございます。さらに二回の答申で示された空港の規模と能力、これも将来に向けて確定されたものでございますが、この点については答申どおりと考えさせていただいてよろしゅうございますか。
  92. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 海上空港に対する評価というものを、私たちはこれを非常に高く認めておるものであります。でございますから、ぜひ予定どおり海岸から五キロ——五キロといったら不経済のようには見えますけれども、しかし、いわば安物買いの銭失いで、国家事業というものはいままでずいぶん損をしてきているのです。だから、少々は高くつくであろうけれども、その方が将来に向かって安くつくと私は確信しておりますので、ぜひ予定どおりいたしたい。その意味において、航空審の答申は非常に画期的なものであったし、また将来を見通したぎりぎりの線を出しておるように私は思っております。  それから、機能の面でございますが、確かに基本計画によりますと千四百ヘクタールの埋め立てを必要とし、また消波堤等につきましても十分な要求をしております。私はそういう答申の精神は十分尊重いたしたいし、最終的にはそういう空港であってほしいとわれわれも念願をいたしております。  けれども、それでなければ空港の機能というものが発揮できないかといえば、そうではない。しかも財政状況等はこういう状況でございますし、それから航空需要の伸びの動向というものも将来予測していきますと、あの基本計画に示されたとおりにやらなくても、おいおい基本計画に一致するような方向に年数をかけて完成していけばいいと思っておりまして、とりあえず一機離発着できる状態に一刻も早く建設を急ぐべきだ、そういう趣旨から、新しく建設手法、工法というものをわれわれで検討いたしまして、航空審の精神を阻害しない範囲で、これを尊重しながら一つの手法を考えたということであります。
  93. 西村章三

    西村分科員 空港をつくるに当たっての最大の配慮は、こうした環境面に留意をされておるわけであります。空港そのものの発端も、そういう意味では大阪国際空港の環境問題であります。しかし、この環境問題は、そのまま今度の新空港の問題の原点でもあるということでございます。  地元住民の最大の不安といいますものは、やはり空港が地域環境にどのような影響を及ぼすのか、こういう点にしぼられておるわけであります。今回の答申といいますものは、過去の苦い経験から慎重かつ広範囲に調査をされてきたその結果が出ておるように伺っておるのでありますが、その環境アセスメントそのものは、一向に調査内容というものが公表されておりません。聞くところによりますと最終の取りまとめ段階だ、こう聞いておるのでありますけれども、やはり速やかに調査結果を公開して検討資料に提供すべきだと私は思います。  あわせて計画のアセスメント、これは当然のことでございますが、今後その建設に伴う工事あるいは交通アクセス、さらには施設関連工事、事業実施面、いわゆる事業実施面におけるアセスメントには、それぞれだれが一体責任を持ってやっていくのか。地元住民の不安を解消するためにも、今後それぞれの工事なり施設についてだれが責任を持つのか、この辺を明らかにしていただきたいと思います。
  94. 松井和治

    ○松井(和)政府委員 ただいま先生御指摘のとおり、この関西新空港の計画の原点は公害問題にあったわけでございます。  そこで、関西新空港につきましては、まず飛行機の騒音を陸地からシャットアウトするという意味合いから海上に位置を定めたということでございますが、当然空港を建設する段階におきましてあるいは空港を運用する段階におきまして、その他の公害が発生したのでは意味がないわけでございます。そこで、私ども五十一年度から五十五年度まで五カ年間をかけまして、みっちり環境の影響調査を実施してまいりました。その範囲は、騒音、振動、大気汚染、水質汚染、水質汚濁、景観、それから植生への影響、海岸利用への影響、水産への影響、海上交通への影響といったような項目に分けまして、詳細に調査を実施してきたわけでございます。  先生もただいま御指摘のように、現在最終的な取りまとめにかかっておりまして、数百ページに及ぶ膨大な資料を作成中でございます。これができました場合には、当然のことながら地元の方々にこの内容をお示しいたしまして、その理解を深めていただきたいというふうに考えている次第でございます。  ただいま申し上げましたのは計画のアセスメントでございます。  もう一つ、事業が実施の段階に至りますならば、これは事業主体が事業の実施アセスメントを行う、これは当然でございます。したがいまして、たとえばアクセスの問題に限定して申し上げますならば、それぞれのアクセスの事業主体が事業実施アセスメントを実施する、こういうことになろうかと思います。
  95. 西村章三

    西村分科員 この環境問題とあわせて、地元の関心はやはり地域整備計画でございます。  今日まで地元の府県なりあるいは市町村がこぞっていわゆる三点セット、これを中心とした事前の協議というものを要望いたしてまいりました。ただ、このうち地域整備の計画についての取り組みが非常におくれておるようでございます。このまま進展をいたしますと、地元では必要最小限のアクセスにしかならないのではないかという悲観的な見方もされている現状でございます。私は、各省庁間の調整、いろいろな問題がありましておくれておるのだろうとは理解はいたしておりますけれども、せめて中身のある地域整備大綱をつくるために最大限の御努力をいただいて、地元に早急に提示をしていただくように努力をいただきたいと思うのであります。  そこで、具体的にお尋ねいたしますが、各省庁間の連絡協議機関、これはかねてからいつまでにやる、いつまでにやるということが何回も国会審議の中でも言われ、各大臣の方々も発言をされてきましたが、それがずるずると延びてきておる、これが一点。  それからもう一つは、過日、塩川運輸大臣予算委員会の中で、それぞれアクセス二鉄道道路につきましては発表されまして、大体この線でいきたいのだ、こういうことでございましたが、このアクセスにつきましても当面最小限の措置だという理解をまずしていいのか。さらに、この最小限の措置は、建設省なり国土庁なり、それぞれ関係省庁との話が煮詰まっておるのか。この点について聞かしていただきたいと思います。
  96. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 各省庁との連絡機関の設置でございますが、これは残念ながらまだできておりません。しかし、各省庁との事務的な連絡はいたしております。でございますから、まだ完全に各省庁間において調整がついたというところまではなっておらないのでございまして、われわれもできるだけこの機関の設置を急いでおるわけでございますが、いまのところはできておりません。今後も努力いたしたいと思っております。  このアクセスでございますが、これは他の公共事業におきますがごとく、これのためにやはり多少のアクセスは必要であることは当然でございますが、しかし幸いにいたしまして、あの地域にはかねてからの道路計画がございまして、その道路計画、既設の計画とこのアクセスとを兼ねるように持っていきたい、こう思っております。  ここで一番問題となりますのは、阪神高速道路公団の湾岸道路がございます。泉大津から約二十二、三キロであったと思いますが、それを空港地点まで延長するということ、これがやはり一番大事なアクセスであると私は認識しております。そのほかは、近畿自動車道なりあるいは第二阪和道路というのが、それぞれ公団なり建設省において建設をされておりますので、それからの枝線を入れることによってアクセスの用が達し得るものと思います。  それからなお、地元におきますところの周辺整備でございますが、これはいままでの成田空港なり羽田空港、現在の大阪空港、これの周辺整備とは根本的に違うと私は思っておるのです。従来のような、空港ができるから地元としてこの際の要求を出せという考え方に立つのではなくして、空港という一つの大きな経済的、社会的な施設ができたことに伴って、それを中心として新しい町づくりといいましょうか、町の、都市のあり方はどうあるべきかという、この基本から考えていくべきだと思っておるのであります。  でございますから、われわれは、いわばハードの面とソフトの面で周辺整備について地元との協議はいたしますけれども、でき得るだけソフト面については、やはり地元意向を早くまとめていただくべきだと思うのでありまして、それに伴ってハード面が出てまいります。このハード面も、空港ができたから一遍にやるというのではなくして、空港の利用、活用、発展とともにそういう町をつくっていくという、長期にわたった町づくりの観点から周辺整備ということを考えてもらうべきだと私は思っておりますし、また現に地元に対しましても、そういう意見の交換をいたしたいと思っております。
  97. 西村章三

    西村分科員 確かにいま大臣がおっしゃられたことにも一理があると思うのでございますが、やはり将来における空港設置に伴う町づくり、長期的な展望に立っての都市基盤の整備あるいは施設の整備、これを着実に進めていくことが空港都市機能を強化をしていく。そういう面では、一挙に何もかもできるものではないということは理解ができるわけでありまして、その意味で、国の援助体制も、同様に長期にわたってやっていただければ非常にありがたいと私は思いますし、また地元の方もそういう要望がきわめて強いわけです。  私がなぜそういうことを申し上げるかと申し上げますと、実はいま初めて大臣からそのことを伺いましたけれども、従来の運輸省の方針というものはそうではなしに、いわゆる一発回答といいますか、何もかも取りまとめて一挙に示してそれで合意を取りつけよう、こういう考え方が非常に強かったわけであります。そのためにあらゆる資料は公開をされてこなかったし、今日に至るもそれらのものが全然公開をされておらない、ここに大きな不信があるわけであります。  そういう意味では、大臣がこの間予算委員会でおっしゃられましたように、四、五月ごろをめどに予備的協議を進めたいということは一歩前進だとわれわれは受けとめておるわけであります。まず、やはり地元に可否判断の材料になるものはすべて出していく、そしていわゆる下折衝といいますか、十分に地元の要望も聞く、あるいは各市町村の意向も聴取をした上で総合的な地域整備計画を練り上げていく、そしてそれは長期にわたって施行していく、このことが必要だと思うのです。大体、大臣、予備協議を四、五月ごろとおっしゃいましたけれども、この予定に間違いございませんか。
  98. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 政府決定案ということに至りませんけれども運輸省が現在持っております資料、先ほど仰せになった空港計画それから環境影響評価、そしてアクセスを中心とした当面の周辺対策、そういう計画をそろえまして、とりあえず運輸省の案として大阪府初め地元自治体と協議を、相談を始めたいと思っております。
  99. 西村章三

    西村分科員 何回も申し上げて恐縮ですが、いままでの運輸省のやり方というのは、もういまにも出そうな物の言い方をしながらどんどんと延びてきた。すべての資料が公開をされないために、ずいぶん不安や疑念が起こってきたということでございます。したがって、そういう意味では、ぜひ四月か五月にまずとりあえず予備協議に入っていただきたい。もう一度大臣の御決意といいますか意思を聞かしてください。
  100. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 できるだけ早く、私は四月をめどにいたしておりますが、四月、五月をめどにいたしたいと思っておりまして、どういう方法で相談をするかということにつきまして、近いうちに地元自治体と打ち合わせをいたしたいと思っております。
  101. 西村章三

    西村分科員 近い時期というのは、まず地元の自治体と打ち合わせるその時期はいつでございますか。
  102. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 こちらの方も忙しいものでございますから、大体、三月に入りまして少したてば一度地元の責任者と、どういうかっこうで協議を始めるかということを打ち合わせいたしたいと思っております。
  103. 西村章三

    西村分科員 それ以上申し上げても御無理だろうと思います。  そこで、最近運輸省は、地元からいろいろなお尋ねに行ったときだとかあるいは陳情に行きましたときに、しきりに、地元の合意形成、これとあわせて国民的合意の重要性、これを非常に説いておられるのであります。私もどちらもきわめて大事な問題だと考えておりますが、この国民的合意を取りつけるための方法といいますか、あるいはその具体的な対象といいますか、こういった内容、それからさらに国民的合意を取りつけるための主体というものは一体どこが、だれがやるのか、この辺について明らかにしていただきたいと思うのです、
  104. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 国民的合意といいましょうか、われわれは、当面、この空港、新しいそして完全な機能を持つ国際空港が必要であるということは、おおよそ国民合意としてつくられてきておるのではないか、現在の成田空港だけでは将来の航空需要には対応できないということは大体合意が得られておると思うのです。したがって、空港建設の是非ということにつきましての合意というものは要するにつくられてきておると思うのですが、一方、地元との合意ということがどういう形でなされるべきかということでございますが、これにつきましては、われわれは、あくまでも地方自治体との間の合意ということをもっていわば合意としてみなしていきたい、こう思っております。
  105. 西村章三

    西村分科員 私は、これは大いに議論のあるところでございまして、時間が足りませんからきょうはできるかどうかわかりませんが、まず資料の公開あるいは具体案の提示、協議というものがこれの前提だと思います。これがなくして、府県、市町村の反対決議を撤回せよ、こう強調されましても、いろいろとこれは問題が出てまいります。鶏が先か卵が先かということでございます。  地域整備も先ほど申し上げましたように同じこと、欲が突っ張って、何でもかんでもやってくれ、取れるだけ取れというような考え方地元には余りございません。空港ができれば必然的に人口がふえる。すると、ごみ問題、屎尿問題、あるいは上下水道から学校問題、病院、ありとあらゆるものが必要性が生まれてくる。それはそれだけ、いわば自治体や市民の負担につながってくるわけでございます。それらの負担をどこまで地元がするのか。地元負担能力はおのずからやはり限界があるものでございまして、それらの対策事業を市町村がやるのか、府がやるのか、あるいは国がやるのか、これは別としても、各関係省庁の認知をどう取りつけるかということが非常に重要なことでございます。そういう意味でのこれらの問題に対しての適切な対応というもの、それが地域整備だと私は考えておるのですが、この見解についてお尋ねをしたい。同時に、そういう意味での反対決議はなおかつ今日存在しておるということも十二分に御了解をいただきたいのです。いかがでございましょう。
  106. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 地域整備の考え方、本当におっしゃるとおりでございます。ですから、やはりそこらは率直に、最初からナショナルプロジェクトだということで、あらゆる負担を国で、あれもやります、これもやります、だからやらしてください、私はそういう姿勢で臨む考えはございません。十分話をして、そして分担すべきものは分担する、そのかわりに新しい町をつくるという、そういう考え方で臨んでいきたいと思っております。
  107. 西村章三

    西村分科員 時間が参りましたが、最後に、これも大臣にお伺いをいたしたいのでありますが、昨年の八月に大臣は、今後のスケジュールとして五十七年度着工を言明をされてきたわけでございますが、今日の時点でこのスケジュールに変更はございませんか。
  108. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 私は終始一貫、就任いたしましたときから最初に申しましたのは、五十七年着工をめどに鋭意努力すると言ってまいりました。私は、この気持ちはちっとも変わっておりません。
  109. 西村章三

    西村分科員 現在非常にデリケートな時点でございますので深く追及はいたさないつもりでおるのですが、五十七年度着工のためには、やはり五十六年度中に地元合意あるいは計画の決定ということが必要になってまいります。もうすでにこれは時間的には半年ずれ込んでおるわけでございまして、逆算して、地元合意にはやはり最低半年からかかるということを考えてまいりますと、実際上これができるのだろうか、その場合には、いわゆる予備的協議と正式協議、この時間的な差というものはほとんどなくなってくる、こういう気がしてならないのです、いかがでありましょう。
  110. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 それはできるだけ詰めなければならぬと思いますが、私は地元の合意形成もそう簡単にできるのかなという気持ちもいたします。そこで、むしろ安易な合意を拙速でやった場合かえって禍根を残すようにも思うのです。成田空港の経験を見まして、何でもかんでも国が金を出します、大盤振る舞いで何でも抑え込んで計画を推進した。これは私たちも過去を反省いたしますと、非常に教えられるところがあると思うのです。急がば回れということではございませんけれども、やはり十分に意を通じるところは十分に意思を疎通した協議というものをやらなければ、かえって私は手間暇かかって目的を達成するのがおくれるような感じもいたします。でございますから、予備的な協議を通じまして、そして正式に協議をするという段階に至りますときには、もうすでにある程度の地元の合意が形成されるようなことになるように、できるだけ私は十分な協議を尽くしたいと思っております。
  111. 西村章三

    西村分科員 時間が参りましたのでこれで終わりますが、最後に、いろんなネックがいまございましょうけれども大臣地元でございます、ひとつ大いに御努力をいただきますことをお願いいたしまして、私の質問を終わります。
  112. 海部俊樹

    海部主査 以上で西村章三君の質疑は終了いたしました。  午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時七分休憩      ————◇—————     午後一時開議
  113. 唐沢俊二郎

    ○唐沢主査代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  運輸省所管について質疑を続行いたします。野間友一君。     〔唐沢主査代理退席、岡田(利)主査代理     着席〕
  114. 野間友一

    野間分科員 関西新空港の問題から運輸大臣にお尋ねしたいと思います。  この空港の問題を考える場合の基本的な立場として、五十一年九月二十日付の航空局長から大阪府、当時の黒田知事あての回答「関西国際空港の計画に係る調査の実施方針について」、いわゆる六項目の確認書があるわけですけれども、これを遵守するということから出発しなければならぬ、当然だと思いますけれども、いかがでしょうか。
  115. 松井和治

    ○松井(和)政府委員 仰せのとおり、六項目の遵守を旨といたしております。
  116. 野間友一

    野間分科員 そこで運輸省、この間の予算委員会では運輸大臣、予備協議というようなことを言っておられるわけでありますが、私はまず第一にお尋ねしたいのは、この確認書の中にある調査結果の資料の公開ということだと思うのですね。  私、実は二月の十四日と十六日、現地に調査に参りまして、いろいろと自治体の首長あるいは議員の皆さんともお会いしたわけでありますけれども、皆言われるのは、共通しての訴えとして、政府からの公式の情報とかあるいは資料が非常に不十分だ、こういうことであります。地元住民や自治体との合意を得るためには、調査の資料を公開する、そして十分ここで討議をしてもらう、このことが、本体計画等々のセット、三点セットあるいは四点セット、私たちは四点セットを要求しておりますが、こういうことと同時に非常に重要な問題だと思います。  そこで、公開の問題についてまずお伺いしたいのは、五十一年から五十四年度にかけまして調査の全体計画というものを立てまして、その中で自然条件あるいは社会条件、空港条件、環境影響の四項目について調査を実施しております。物によっては民間の機関に委託をしましてやったのもあります。私も運輸省に対しまして資料要求いたしまして、五十三年度と五十四年度の分の委託先あるいは委託費用等々の一覧表をもらったわけでありますが、これにはずいぶんの調査結果が実はあるわけですね。これは予算委員会運輸大臣答弁されておりますけれども、これをなぜ公開しないのか、ぜひ公開してほしい、こういう要求が非常に強いわけで、私も要求したいと思いますが、いかがでしょう。
  117. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 そういうものを公開するために、できるだけ早い時期に関係自治体と事前の予備協議に入りたい、こう思っております。
  118. 野間友一

    野間分科員 いまの時点でたくさんあるわけですね、政府からいろいろ取り寄せますと。なぜいまの時点で公開しないのか、いかがですか。
  119. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 またそれは十分に、整理し、完全なものに、より精密にするために現在われわれは鋭意努めておるところでございます。
  120. 野間友一

    野間分科員 環境アセスメント、これはどういう評価をするかは最終的には運輸省が決めるかもわかりませんが、いま申し上げたように、五十一年から五十四年にかけてたくさん調査をしているわけですよ。しかも、これらの調査の結果は発表されない。どういう手法で、何をどういうふうに実態を調べたのかという、そういう基礎資料がわからなければ、実際運輸省の出します予定の環境アセスメント、これが果たして適切かどうかということを担保するものはないわけです。だから、私は三点セットと同時に、そういう基礎資料の公開が必要だということを申し上げているわけです。どうですか、局長
  121. 松井和治

    ○松井(和)政府委員 これまで私どもが調査してまいりました調査の結果につきましては、先ほど先生仰せられました調査の実施方針に基づきまして、たとえば関西国際空港の実機飛行調査をいたしましたその実機飛行調査とか、あるいは気象海象観測月報あるいは年報、大気汚染測定結果の年報等々の形で、データを公表できるものはすでにいたしております。また、最終的には、先ほど大臣が御答弁申し上げましたとおり、空港計画案とか環境影響評価案というかっこうでまとめて特さんに御報告をする、もちろん公表をするというつもりでございます。  いま先生の仰せられました個々の調査についてでございますけれども、これは取りまとめの過程で他の調査と関連をつけるとか、あるいは場合によっては総合的に検討する過程で、あるものは却下するとか、あるものは再検討するというようなものが出てくるわけでございます。  したがいまして、まだ成案を取りまとめる以前の現段階におきまして、これをばらばらの形で公表するということは問題があるのではないかと考えておるのでございますが、先ほど申しましたように、環境影響評価案というかっこうで関係府県にお示しできる段階になりました場合に、公表することが非常に何か社会的に問題を引き起こすようなごく一部の資料を除きまして、これを全部一括いたしまして一般の閲覧に供するという予定にいたしております。
  122. 野間友一

    野間分科員 後からまた触れますが、予備協議ですね、これは四月、五月と言っておられますが、その前にこれを出さなければ、果たしてそれが適切なものかどうか、この担保するものはないわけですよ。私は実は漁業関係の調査をした一冊のあれを持っているのですけれども、これがそうですよ。これは説明会用資料として一部関係者に配ったものですね。これはきちっと印刷したものなんです。独立した、まとまったものなんでしょう。そうですね。こういうものをなぜ出さないのでしょうか。いま申し上げたように、各地域に行きますと、こういうものはないから、果たしてこれがどうなのかということを自治体が判断する上において非常に支障がある。なぜもっと情報を公開しないのかという要求は私は当然だと思うのですよ。一部とあなたはおっしゃるけれども、説明資料として使っておるわけです。しかも独立、完結したものがあるわけですよ。だから、アセスメント案を出すときに、同時に、できるだけですね、いま出すとおっしゃいましたけれども、できるものから出してこれを公開して、約束はこの確認書の中にもあるわけですから、速やかに公開して、そして皆さんの批判の対象にしていく、皆の討議の対象にしていくということは、大臣、当然じゃありませんか。
  123. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 それは協議いたしますときに、できるだけその努力はいたしたいと思います。
  124. 野間友一

    野間分科員 協議のときにはもう遅いんですよ。だって協議といったって、そのときさっと出して、それから検討しなきゃならぬ、こういうことになるわけでしょう。だから、こういう一連の資料については、先ほど局長の答えもありましたけれども、速やかに出すということでひとつ検討をされたいというふうに要求をしておきたいと思います。     〔岡田(利)主査代理退席、唐沢主査代理     着席〕  それから、予備協議の問題についてお尋ねをしてみたいと思いますが、予算委員会大臣は四月、五月ごろにというお話がありましたけれども地元と予備協議する、そういうことですね。その地元とは一体何なのか。つまり三府県を指すのか、あるいは、たとえば泉佐野という、いわゆる予定されるであろうそういうところの自治体、つまり関係の市町村、和歌山で言いますと和歌山県とかあるいは和歌山市というものを指して言われるのか。つまり地元の範囲ですが、どういうものをお考えですか。
  125. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 私は、またこれは省内で相談して決めたわけでもございませんので、どう変わるかわかりませんが、私がいま思っておりますのは、大阪府、和歌山県、兵庫県という府県を地元と思って、とりあえず相談を始めたいと思っております。
  126. 野間友一

    野間分科員 そうしますと、これは確認書に基づくいわゆる合意の問題がありますけれども、その事前の段階でも、いわゆる大臣おっしゃる予備協議ですね、その段階でも、府県との協議ということだけで、各市町村との協議というものは頭にないわけですか。  そうしますと、たとえばいま私申し上げた環境アセスにしても、これは事前に十分に皆さんに知ってもらう、いまその基礎資料も全部提供して公開すると言われました。そういうものを全部資料を公開して、その上で各関係市町村、そういう人たちに十分な討議をさせていく、そうでなければ、協議したってこれは形だけのものに終わってしまうということになるわけですね。ですから、各関係市町村との協議、これはお考えないんでしょうか。
  127. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 府県がやはり市町村と非常に密接に連絡しておりますから、府県と協議をする中で、府県と市町村との間の協議は、一体となったものが府県を通じて反映されてくると思っておりますので、いまのところは府県単位で協議をいたしたいと思っております。
  128. 野間友一

    野間分科員 そうしますと、本体計画あるいは環境アセス、それから地域周辺の整備計画ですね、そういうものは関係府県との予備協議の場で全部出されて、そして各府県を通じて関係市町村におろして、そこでいろいろと相談なり検討してもらうというようなことで、あくまで窓口は府県というお考えでしょうか。
  129. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 現在のところ、そういう考えを持っております。
  130. 野間友一

    野間分科員 そうなりますと、相当膨大な対象がありますので、そこで一々そういうものを下におろして、また府県が集約するとするならば、四月、五月に予備協議とおっしゃる以上、もう三月ですから、そうしますと四月、五月はあとわずかでしょう。ですから、もっと十分事前にそういう一切の資料、これは確認書に基づく公開ですが、こういうものを出した上でなければ協議と言ったって意味ないじゃないでしょうか。
  131. 松井和治

    ○松井(和)政府委員 先ほど先生仰せられました六項目でございますけれども、まずその四項目のところに、御存じのとおり、「調査の全体計画及び調査の結果は公開し、関係地域社会の理解を得られるよう努める。」とございます。ここには「調査の結果は公開し、」と書いてございますけれども、先ほど申しましたように、私どもその個々の調査結果についても、取りまとめの結果だけではなくて、その際に閲覧に供したいというのは、先ほど御答弁申し上げたとおりでございます。  それから、六項目のところには、「関西国際空港の計画は、関係府県の合意を得て決定する。」とございますし、また五項目のところにも、「関係府県の意見を尊重しながら、関係府県及び関係機関に対し、積極的に資料を提供し説明する。」とございます。  そういうことで、私どもあくまでも関係府県を通じまして、地元の意見を集大成していただこう、かように考えておる次第でございます。
  132. 野間友一

    野間分科員 ですから、そうだとするならば、予備協議がいいのかどうか、これは別におくとしても、事前に十分みんなが検討の対象にできるような時間的な余裕を持って資料を全部公開して、その上で協議をされるならともかくとして、いきなり出して、さあどうだどうだということではこれは協議にならぬわけですね。  そうすると大臣、予備協議というのは四月、五月ごろから始められるというお話ですけれども、大体何回ぐらい、どのくらいの期間を予定されておるでしょうか。
  133. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 いまのところまだ不確定で、お答えできるような成案を持っておりません。
  134. 野間友一

    野間分科員 しかし、四月、五月というともう目の前ですよ。差し迫っているわけですが、いまだにそういう資料の公開がないという現状の中で、実際大臣、あなたの地元ですからあれですが、行けばみんなそう言いますよ。——言っていますといま言われましたけれども、どうしていいかわからぬというわけですよ。だから、速やかにこれは出すことがやはり大臣の責務ではないでしょうか。これはくどいですけれども
  135. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 だから、できるだけ早くその相談に入りたいと思っておるのです。そのときにできるだけの資料は提出しなければいかぬ、これはもう当然だと思います。
  136. 野間友一

    野間分科員 そうすると、協議の以前には公開はしないということですか、協議の場でそれを出すということですか。
  137. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 そのつもりでございます。
  138. 野間友一

    野間分科員 そうお聞きしておきます。  それから、予備協議といわゆる確認書に基づく関係府県の合意ですね、これとの関係はどうなんでしょう。
  139. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 もう一回言ってください。
  140. 野間友一

    野間分科員 進められる予定の予備協議と、この確認書に基づく関係府県の合意というのがありますね、これはいわゆる正式な合意ですね。
  141. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 わかりました。  予備協議といいますのは、要するに、まだ政府案として関西空港の計画をきちっとこれでやるということは決まってないのです。これにはまだ若干時間がかかると思います。とはいえ、先ほどいみじくもおっしゃったように、地元では、どないなるんやと言ってわいわい言っておるじゃないか、こういうことだから、これはほっておいてもいけません。やはり地元の意見というものは尊重しなければいかぬ。  そこで、これから政府も最終案を固めるについて、地元の方はどう考えておられるか、こちらの方の原案は運輸省としてはこういう案を持っておるのだが、これはどうだろうか、そのほかに検討すべき項目はどういうものがあるだろうかということを一回じっくりと相談をしていく、そうしてこれだけの協議事項で、あるいはまた項目で協議をするという、そういうことの項目が決まってまいりましたら、それを政府に、運輸省から政府全体の計画として持ち込んでいって、そうして政府で決定したものを改めて正式に地元へ出しまして、そこで正式の合意を得る、こういうことの手順になっております。
  142. 野間友一

    野間分科員 時間がありませんので次に進みますが、提示されるいわゆる三点セットですが、これは予算委員会の中で大臣おっしゃっておりますが、これは新聞でも言っておりますように、二・わずか、二・二とか二・三とか言われておりますけれども、つまりアクセスを中心としたそういうものしかない。三本の道路と二本の鉄道、そのうちで運輸省所管といいましたら鉄道だけですからね。しかも、道路の三本というのは、これは空港とは関係なしに前から計画し、われわれも要求、陳情してきたことです。(塩川国務大臣「そうです」と呼ぶ)いまそうですとおっしゃいましたけれども、そうすると、周辺地域の整備大綱なり計画ですね、こういうものはほとんどない。つまり運輸省所管鉄道二本だけということになるわけで、これはまさに二点セット・プラスアルファということにならざるを得ないと思うのです。  そこで大臣、この二月十四日の予算委員会の中で、この地域整備計画について「泉南並びに和歌山を取り込んだ一つの新しい都市圏というもの、しかもそれが独特の都市機能を持ったものに育っていくような、そういう構想もわれわれは持っておる」、こういうふうに言っておられますね。つまりそれなりの地域整備計画を運輸省は持っておる。それから、この予備協議に出すのは周辺整備計画であるけれどもこれはアクセスを中心としたものだ、こういうことを言われていますね。そうしますと、いま申し上げました新しいそういう機能も持った周辺整備計画、これをいま運輸省でやるとするならばなぜ出されないのか。恐らく各省庁間の調整云々とおっしゃるのは私は目に見えておると思うのですけれども、しかし少なくとも協議に入るとするならばこれだけのものを出さなければ、いま予定されておる三本の道路と二本の鉄道じゃこれはもうどうにもならぬわけですよ。これはお笑いなんですよ。大臣、これはやはりおかしいじゃありませんか。
  143. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 ですから、予備協議段階でそういう周辺整備はどこまで、どういう範囲でそれぞれ分担をして計画を担当するかということなんかも相談しなければいかぬし、それと周辺整備を決めていく手法といいましょうか、検討する対象をどうするかということ等も、そういうようなものをこれから相談したい、こういうことも含んでおるということです。
  144. 野間友一

    野間分科員 そうしますと、これも時間の関係でこれ以上質問はこの点についてはできないわけですけれども、この確認書では予備協議でなくて、「公開し、」そして「関係府県の合意を得て決定する。」ということで、そういう予備協議ではないわけですね。しかも、予備協議の中身というか手順を聞きますと、関係府県との協議ということで、その中の関係する自治体が入っていない。こうなりますと、一体本協議と予備協議とどう違うのか。予備協議は一体何のためにあるのかと非常に疑問を持つ向きが自治体でもずいぶん出ております。  それだけを申し上げて次に進みますが、和歌山で、御承知のとおり、一度東に振りましたね。振ったことによる実機テスト、これをぜひやるということを九月あるいは十一月に地元では言っておられる。五十五年度はこれはやれないけれども、五十六年度は必ずやるんだということを言っておられる。いつごろやられますか。
  145. 松井和治

    ○松井(和)政府委員 滑走路の方向が一度振られましたので、それに基づく実機飛行をやれ、こういう御要望があることはよく承知しております。これは来年度の予算のことでございまして、財政当局と実は調査の中身についてまだ確定しておらない段階でございますので、いつごろという時期を申し上げるのは控えさせていただきたいと思います。
  146. 野間友一

    野間分科員 そうすると、五十六年度にはこれは必ずやるということですね。
  147. 松井和治

    ○松井(和)政府委員 私どもはそう希望いたしております。
  148. 野間友一

    野間分科員 それから、夜間の飛行なんですが、これも国会でずいぶん論議がありまして、運輸省は、これは大変むずかしい問題があるけれども研究したい、こういうふうに言っておられます。この点について、技術的に確かにそうそう簡単ではないと思いますが、和歌山県独自で実施案、これならできるというようなものを案をつくっておるようですけれども、これは御存じかどうか。もし、これがあるとするならばこれに基づいて、実際それにかわるようなもの、こういうものを運輸省は検討する余地があるのかないのか。いかがでしょう。
  149. 松井和治

    ○松井(和)政府委員 まことに申しわけございませんが、その和歌山県の案というものは私どもまだ聞いておりません。
  150. 野間友一

    野間分科員 それじゃお聞きいただいて、あるとするならばそれを検討していただけますね。
  151. 松井和治

    ○松井(和)政府委員 そもそも夜間飛行テストが困難であると申し上げておりましたのは、航空保安施設がないからというのが主たる原因でございます。和歌山県の案がその航空保安施設にかわるものを考えられて、そしてその飛行コースが的確にその航空保安施設で飛べるような案であるならば、これは十分検討に値すると思います。
  152. 野間友一

    野間分科員 夜間飛行についてさらにいま研究中というのが国会での答弁でございますので、これもぜひ、困難な条件はあると思いますけれども大臣、引き続き研究していただきたい。いかがでしょう。
  153. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 研究します。
  154. 野間友一

    野間分科員 水なんですが、まさか紀ノ川の水をということじゃないと思いますが、これはこの計画案を見ますと相当使うわけですね。十六万回発着て上水を七千五百二十トン、それから二十六万回発着なら一万トンですか、これが必要だというのが予定されておりますけれども、この水はどこから取られる予定ですか。
  155. 松井和治

    ○松井(和)政府委員 ただいま仰せられました水の数量、私どもの計算した数量とほぼ合っておるわけでございますけれども、私ども、貴重な水のことでございますので、できる限り水の還元も図りまして、上水の恒かに中水を入れるというようなことで、総量では仰せのとおりのトン数が必要になろうかと思っております。この供給につきましては、今後、地域関係の機関と十分に調整をしてまいりたいと考えております。
  156. 野間友一

    野間分科員 それじゃ空港の問題についてあと一点ですが、大阪府下のある市ではたくさんの反対決議をしておりますね。その決議を撤回せいというようなことを運輸省の人が言って大変物議を醸し出しておりますが、自治体で自主的に決めたものを運輸省がこれを取っ払えというようなことを言うのはとんでもない話だと思うのですが、いかがですか。
  157. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 私は少なくとも、自治体の決めた意見というものを撤回せいなんて、そんな不遜なことを言ったことはございませんし、運輸省の者もそういうところまでは、自治体の意思決定までは介入してないと思います。
  158. 野間友一

    野間分科員 そうですか。そういう方針ですね。それじゃこれはこれまでにいたしまして、あと最後に少しまとめて、国鉄総裁もお見えだし、二、三国鉄と、それから有田交通タクシーの問題についてお伺いしたいと思います。  まず、国鉄の問題です。私は四十九年の衆議院の決算委員会で和歌山線をぜひ電化してくれ、こういう要求をしまして、これは必ず近い将来実現させなければならぬと思う、そういうふうに答弁があったのですが、それから七年たってもまだ電化の予算がついていない。これは五十六年度はどうなるかわかりませんけれども、早い時期にこれをぜひ予算をつけてほしいというのが一つと、それからもう一つは、小さな問題ですが、国鉄和歌山駅の裏側、東側になりますが、ここでいま都市計画が、天鉄の管理局長も審議委員として計画が進みまして、裏側の人口がずいぶんふえました。ところが、和歌山駅には裏側に改札口がない。これも懸案で、われわれもずっと要求しておったわけです。ぜひ裏側に改札口をつけてくれ、こういう要求がありますが、これに対してどうお考えになるか、この点について。  それから、時間の都合で最後に一点、有田交通タクシーについて関係者にお聞きしたいのですが、これは異常な経営者の中で労使の紛争だけではなくて、いまでは他のタクシー業者との矛盾も出ておりますね。それから、旅客サービスという点からも大変な問題になっておる。労働基準局は基準法違反で告発もし、いま検察庁がこの事件の捜査をしておるわけでありますし、運輸省も何回かその改善の命令を出した。聞くところによりますと、二月の末、きょうですね、改善命令に対する回答を求めて、そしてその上でさらに新たな対処をするというふうに考えておるようでありますけれども、これは改善されなかった場合に厳しい行政の措置も含めて検討し、そしてこの有交タクシーが正常になるようにする責務が運輸省にあると思います。  この二点について答弁を求めて質問を終わりたいと思います。
  159. 高木文雄

    高木説明員 電化につきましては全国的に大変御要望がたくさんあるわけでございますし、いろいろな角度、エネルギーの面あるいは職員の要員数の面等から考えますと、大きな目で見ればやはり国鉄としては電化を進めていくべきだと考えております。その場合に和歌山線がどうかということでございますが、和歌山線は全国のもろもろの計画の中で優先順位はかなり上の方にあるというか、そういう位置づけになっております。したがいまして、過去におきまして、お尋ねに対してもそのような前向きのお答えをしたことも十分あり得ることだと思います。  ただ、非常に困っておりますのは、全体としての設備投資計画が、設備投資の資金手当てが、私どもから見ますとまだ不十分なわけでございますし、率直に申しまして、ここ四、五年の間は、その設備投資のお金を主として東北新幹線等に枠を出さなければならぬというような関係がありまして、おくれおくれになっているわけでございます。これはそう遠からざる時期には御要請におこたえする時期が来得るものというふうに考えております。  和歌山駅の裏口改札口の開設の問題でございます。これも全国的に改札口の開設要請というのは非常に多いわけでございますけれども、改札口をつくりますればそれなりに職員の配置が必要であり、それだけ経費がかかるわけでございます。お客様の数がある程度見込まれる場合にはそういう措置をとりますけれども、いまのところは、私は詳しく知りませんが、まだ全国のほかの地区と比べましても、どうも御利用いただける数がそこまで至っていないのではないかということで、現在のところでは、率直に申しまして消極的な考え方でおります。
  160. 飯島篤

    ○飯島政府委員 有田交通の業務の正常化につきましては、大阪陸運局の方でいままででもいろいろ努力をしてきているところでございます。いまお話にありましたように、最近は、昨年の十一月十一日に大阪陸運局及び和歌山県の陸運事務所が同社の和歌山営業所に対して監査を行いました。十二月の二十四日に三点について改善命令を出しております。それにつきましての実施結果を、先生御指摘のとおり、きょうまでに報告するようになっております。今後はこの実施結果の報告及びその実施状況をよく見た上で、関係省庁とも連絡の上、必要な措置を講じていきたい、そういうふうに考えております。  先生御存じのとおり、この問題については非常に長期にわたって不正常な状態が継続しております。なかなか道路運送法に基づく処置だけでは簡単に解決しない面がございます。でき得る限り、関係者の話し合いが十分に行われるような状況づくりとか、私どもの方でできることはいろいろ考えてみまして、解決に努力してまいりたいと思います。
  161. 野間友一

    野間分科員 終わります。
  162. 唐沢俊二郎

    ○唐沢主査代理 以上で野間友一君の質疑は終了いたしました。  次に、村山喜一君。
  163. 村山喜一

    村山(喜)分科員 私は、きょうは気象庁が今度合理化計画をつくっております十四の測候所の夜間の閉鎖の問題についてお尋ねして、できるならばこういうようなものは取りやめてもらいたいという気持ちから、地元の意見を反映をしながら申し上げてみたいと思うのですが、この前、電話で長官にはどういうような理由で廃止することになったのかということを聞きました。その後、行政管理庁の方から報告書並びに勧告書が出ておりますので、これも読んでみました。なお、二月の二十一日には現地に参りまして、現地の測候所の状況も見てまいったところでございます。団体署名百、それから個人の署名が千六百集まりまして、私も請願書を提出をしてこの阿久根測候所の夜間業務の廃止は取りやめてもらいたいという意思表示をしているところでございます。  そこで、具体的な問題としてお尋ねをしてまいりますが、当局の説明を聞いておりますと、これは気象業務の近代化、それから気象台の強化、それに情報伝達手段の強化、こういうようなことによって夜間の業務を廃止しても支障がない。それから、行政管理庁の方から勧告を受けて再編整理の必要性が指摘をされた。この二つの理由で地元サービスの低下につながらない、こういうふうに考えていらっしゃると見て間違いございませんか。
  164. 増澤譲太郎

    ○増澤政府委員 お答え申し上げます。  先生がいまおまとめになりましたことで尽きているかと思います。
  165. 村山喜一

    村山(喜)分科員 そこで、具体的にお尋ねしてまいりますが、いま測候所に参りまして調べてみましたら、測候所には地上気象観測装置、これはございますね。ところが、アメダスは測候所にはつないでおりません。それから、静止衛星の受信装置、これは一台が二千万円ぐらいだそうですが、これは本庁と名瀬の測候所、二カ所しか設置してない。それから、レーダー観測伝送網、これは気象台までしかつないでない。したがいまして、管区とそれから海洋とそれに地方気象台、この数だけしかないと思うのですが、そのとおりですか。これが第一点。  それから第二点。国内気象通報式というのがございますね。これによりますと、たとえば風速が平均二十メートル、最大瞬間風速が二十五メートル、五メートル刻みで電報を打ちなさい、こういうことになっておりますね。あるいは不連続線が顕著なものが通過した場合には電報で知らせなさい。そういうような意味においては、こういうようなのはもうなくなるわけですか。そうすると、国内気象通報式というのはこれからどういうふうにされるのでしょうか。その二点をまず承ります。
  166. 増澤譲太郎

    ○増澤政府委員 まず第一点でございますが、測候所にはアメダスに集信される装置は入っておりますけれども、阿久根の測候所だけでなく、測候所にはアメダスの資料は配信しておりません。先生御指摘のとおり、アメダスの資料は地方気象台に配信するにとどめてあります。理由は、大変費用のかかるものでございまして、地方気象台まで配信して、そこから県内各地にお知らせするというふうなシステムをとっておるものでございます。  それから、気象衛星の資料につきましては、目下地方への配信は、生の資料の配信は計画中でございまして、いずこへも配信しておりませんけれども、気象衛星から得られた画像に手を加えたものについては全部配信をいたしております。  それから、第二点の国内通報式に関する件でございますけれども、これは国内で気象電報を打つときの形式を定めたものでございまして、電報を打つ場合にはこれを用いよということでございます。  それで、このたび夜間の観測を機械で置きかえることになりますと、当然この方式は使わないことになりますが、いままでも夜の三時の観測は通報されておりません。夜の九時の観測だけがこの方式によって通報されているわけでございます。これが無人化されることによって通報はされなくなるわけでございますけれども、これは周囲の測候所等から資料が入ること、あるいはアメダス等から資料が入ることによって業務に差し支えないというふうに私どもは判断しているわけでございます。
  167. 村山喜一

    村山(喜)分科員 どうも模写したものを送るようにはなっていることは聞いております。それも何時間もおくれて到着をしているじゃないかといって行管の方から指摘をされている。これは読めばわかることです。だけれども、静止気象衛星というものが非常に高く評価されているから、一体そういうようなものが、何台受信装置がすわっているだろうかと聞いて調べてみると、わずかに二台しかすわっていない、こういうような状況ですね。アメダスにいたしましても、これは電電公社の借り物で、どういうような機械かと思って調べてみたら、DT−22−1型、月に四万八千円ぐらい、そんなに高い金じゃありませんよ、莫大な金がかかるとおっしゃるけれども。だから、それをやれば、測候所にあります地上気象観測装置と合わせてその周辺の状況を的確に把握できるのですから、それだけ住民のサービスにこたえることができるという意味においては、それはできれば配置したにこしたことはない。これは予算との関係だろうと思う。いま簡単に長官はおっしゃったけれども国内気象通報式は使わないことになるでしょう。  じゃ、そういうふうにした場合に、一体これからどういうふうになるのですか。いま雷が発生をした。そのときにはこれは電力気象として、電報で電力会社やあるいは航空、飛行機の方ですね、これは連絡しますという協定を結んでいますね。これもだめですね。そうなると、それはサービスの低下につながらないのですか。サービスの低下につながらないというのは、私は間違いじゃないか。いまよりもサービスの低下につながるけれどもやむを得ないとあなた方がお考えになっているのか。もの点を、サービスの低下にはつながりませんと言い切れますか。言い切れないのじゃないですか。
  168. 増澤譲太郎

    ○増澤政府委員 いままで電報でお知らせしたものは減るという点については、確かにある意味でのサービスの低下というふうに申せるかもしれませんけれども、そのほかアメダスの資料によりましてもっと広範な、その測候所を含む周辺の資料に基づいてインフォメーションを与えることができるという立場から見ますと、全体としてサービスの低下にはならないというふうに私どもは判断しているわけでございます。  それから、前半で先生のおっしゃいましたアメダス等の資料を測候所まで配信することはよいではないかというふうなお話でございますけれども、受信する装置そのものは比較的安いものでございますけれども、それを送る電電公社の専用線料が大変なお金の高になるものでございまして、それを含め、またそれらを維持するについては経費も人員も要することになるわけでございます。
  169. 村山喜一

    村山(喜)分科員 これは一体どうなるのですか。いまどういうようなサービスをしているのかということを聞いてみたのですよ。阿久根に参りまして、市役所やあちこち寄ってみました。そうしたら、実は災害のときの資料というものをデータとして記録が残してありますから、それで時間最大二十ミリの雨が降った。そうすると災害が発生する。災害復旧には、測候所の記録というものに頼ってわれわれは災害復旧の予算を要求をすることにしております。それから、専売公社とかあるいは土木事務所、農林事務所、海難審判所、警察、土建業者、そういうところ、特に土建業者の場合なんか納期内に完成ができないという場合には、気象証明というものをもらって、そして証明書をつけて延期願を出している、こういうような状況もございますし、この近くには防災ダムがございまして、前、四十七年、八年でございましたか、まさに決壊するというものですから、そのダムを維持するために放水をしたのです。そのために大変な災害が出た、こういう事例がございます。このほかに、近くにも高川ダムといって国営のダムがございます。多目的ダムですが、そういうようなのを管理するためにも非常に役に立っているのだ。ところが、夜間のなにが廃止されたら、自記記録でそれはあるから構わぬじゃないかとあなた方は考えておいでになるけれども、しかし一体夜間の勤務が廃止をされましたときに、停電をした場合にはどういうふうにするのですか。夜間勤務員がおったら、自家発電の機械があるようですから、それを入れまして、それで自記記録の継続ができるけれども、そういうように停電をして二、三時間したら役に立たないようになるでしょう。夜間の勤務員を外すということは、そういうような記録装置が働かないということになってくる。災害のときなんか特にそうですから、私はそういうような意味から、これは住民に与える、他の役所に与えるサービスというものは、夜間勤務員を外すというだけで大変な影響があるのだなということが、今度現地を見てみて初めてわかったのです。そこら辺は、停電の場合はどうされますか。
  170. 増澤譲太郎

    ○増澤政府委員 前半の方の先生がいろいろと例を挙げて御説明になりました、気象資料あるいは気象情報がいろいろな側面に対して重要な役割りを果たしていることはおっしゃられるとおりでございまして、われわれもそういう利用のされ方がされていることを常々心にとめて仕事をしてまいっておるわけでございます。  いまお尋ねの第二点の停電対策の問題でございますけれども、現在では停電は非常に少なくなっておりまして、私どもの調査によりましても数が非常に少のうございます。特に長時間にわたるような停電は、多く計画停電でございまして、あらかじめ通告されておるようなものでございまして、それに対しては、いま先生がおっしゃいましたように、停電対策をあらかじめとることができます。     〔唐沢主査代理退席、主査着席〕 不時の場合でございますけれども、私どもの調べた範囲内では、停電する場合は非常に少ないし、また非常にわずかな時間でございます。そういうものについては、臨時に停電の対策をとるような装置を置こうというふうに検討しております。
  171. 村山喜一

    村山(喜)分科員 そういうような異常事態に対応することができなくなるということは、人間がいなくなるのですから、それだけ的確なサービスができなくなる。サービスが現実に低下することは間違いない。その点はやむを得ませんよと正直にあなた方がおっしゃるのだったら、じゃそれは国民に対するサービスがその程度低下してもやむを得ないかどうかという問題にかかわってくることになる。  ところが、現実に天気予報をやる場合でも、霧の状態はどうか、海面の状態はどうかということで予報官は気象台から問い合わせるわけですね。そうして、霜なんか目で見ないとわかりません。そういうように予報官は鹿児島という非常に大きなエリアの中で——これは塩川運輸大臣も御承知のように、コンパスで回しますと大阪のあたりまで届くぐらいの広い領域を持っているわけですから、そういうようなところで地勢なり産業の構造なりを的確に頭の中に入れておる予報官というのはなかなか得がたいのじゃなかろうか。したがいまして、現地の測候所に電話して、おまえのところはどうかということを確かめた上で正確な予報をするわけですね。それが今度はなくなる。なくなったら、いまでさえも天気予報というのはどうも余り当たらないじゃないかというようなことで評判が悪いものがなお悪くなる。せっかく気象庁という役所がありながら、どうも国民の信頼をかち得ないような形になっていくのじゃ、これはますます気象業法に定めるなにからいいましても、目的に反する結果になるのじゃなかろうかと私は見ているのです。  その点でさらにお尋ねをいたしてまいりますが、そうなると、夜間の勤務をやめるということは、十四地区は特殊気象観測はもうやらなくてもいいですよ、それは外しなさいということになるわけですか。
  172. 増澤譲太郎

    ○増澤政府委員 特殊な観測につきましては、人間が観測しなければならないような項目については、先生おっしゃられるように外すことになります。しかし、大部分の基本的な資料は自動観測装置等によりまして資料が得られるわけでございまして、その資料は地方気象台で利用することができるわけでございます。人間がする観測の中で最も基本的な要素は目視観測という項目でございますけれども先生も御想像いただけるように、人間の目で観測するということは夜はかなり限定されているわけでございまして、それの資料は昼間のようには精度よくは観測はできないわけでございまして、そういうものについてはアメダス等で入った気温とか風とかそういった資料、あるいは気圧分布とかそういったものから推定することになるかというふうに思います。
  173. 村山喜一

    村山(喜)分科員 あなた方は合理化をやりたい、そして迷惑をかけても支障がない、大したことはないとたかをくくっていらっしゃるようだけれども、現地の人たちは、ここは特に漁業を中心にする町なんです。阿久根の町の人は海面が見えますから、海の状況はどうだということで夜出ていきまして魚をとって朝帰ってくる、これはわかるんですよ。ところがほかの、目に見えないところの人たちは、その沖合いが非常にいい漁場ですから、そこに出ていくのにはどんな状況ですかといって電話をしてくるわけですね。それをなにして出ていく。  運輸大臣、私もいろいろ調べて初めてわかったんですが、海難事故の発生の度合いは沿岸部で九一%出ているんだそうですね。それで、その観測資料がきわめて不足しているんだということも行管の指摘でされている。しかも、ここもございませんが、沿岸の波浪計というものも全国で七カ所しか設置をされていない。そういう意味においては量的な波浪予報というものがなされていないということも書かれている。  ですから、気象業法十三条、同施行令の四条から見ましても「一般の利用に適合する予報及び警報をしなければならない。」そして、注意報及び警報の対象となる異常気象現象というのは局地性が強くて、またその発達、衰弱はきわめて短時間に変化しやすい特性を持っている。その特性に対応するためには、測候所のそういう一日まる稼働するような体制というものがなければならないのに、十四地区についてはそれはもう排除する、こういうようなことになって特殊気象観測は外してもよろしい、もし海難事故やそういうような問題が出てきたら一体どういうふうにして責任をとるのですか、その点は大臣の方からお答えをいただきたいのであります。  それから、時間が余りございませんので、郵政省の松尾技術室長と電電公社の池沢施設局次長にお尋ねをいたします。  例の夜間の電話の転送装置、これは現在の時点においては、きのうも前田施設局長と私、電話で話をしたのですが、郵政大臣の定める技術基準に合致しているかどうかというのでメーカーを呼んで、来なさいと言っても来ない、これは設置の基準に達していないから出てこれないんですと言っておりました。そうなると、その基準に合わないような違法の付属物を設置すること自体がこれは間違いです。そういうふうにして転送装置によって大丈夫ですからということで、いままで地元の方には協力要請をしてきた運輸省のその立場というものは科学的でなかった、そういう事情を十分に察知しないでおったというところに問題があるんじゃないか。こういうことから見まして、技術的にはいつ見通しがあるのか。四月一日から合理化をしようとしている。少なくともこの三月中にめどがあるのかないのか、その点を明確にお答えをいただきたい。その結果、大臣は後で最後にまとめて御答弁をいただけば結構ですが、一体こういうような無理な合理化計画というものをやらなくても、もっと国民にサービスを低下させない方法があるんじゃないか。それには、塩川運輸大臣、一律にあなたのところは何%削りなさいという行政機構改革を推進をしておるいまの内閣の行政整理の方針が間違っているのじゃなかろうか。中には、気温の観測を間違ったら種なしの果物ができなくなるから、私のところは金を置いてでもいいですからぜひ測候所の職員は残ってくださいというところもある。魚をとりにいくのはやはり海が荒れたら大変ですから、命にかかわるような問題だというので深刻な気持ちでながめている、そういうような国民の要望にこたえるためには、やはりそういうような一律の行政整理というのはおやめになってはどうですか。そういう点から、これは大臣にお答えをいただかなければならぬだろうと思います。  以上です。お答えください。
  174. 松尾勇二

    ○松尾説明員 お答えいたします。  電話につきましては、電話機から電話機まで加入者に迷惑をかけないように一定の通話品質を保証しております。先生ただいまおっしゃったような装置を用いますと、二つの接続系を使用して一つの通話を構成するというようなことになりますので、現在の技術レベルでは、伝送損失と言っておりますが、そういうものが大きくなりまして、結果的に声が小さくなる、不明瞭になるというようなことがございまして問題があるのではないかというふうに推定しております。しかし、将来技術の進歩によりまして、このような通話に支障を来さないような技術が開発される可能性もございますので、郵政省といたしましては、そういう技術動向の把握には今後とも努めてまいりたい、こういうふうに思っております。
  175. 池沢英夫

    ○池沢説明員 技術的な見通しについて……(村山(喜)分科員「いや、見通しじゃなくて、現在の時点で三月までにできるかできないか」と呼ぶ)この三月でございますか——この三月までにはちょっとできるという見通しはございません。
  176. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 この四月一日を期しまして、気象庁で測候所の一部で宿直制を廃止するということが出てまいりました。それに伴いまして、その当該測候所の周辺の方々からいろいろな陳情を受けておることでございまして、その中には、一つは、先ほどお話しになりました、漁港等においては海難の心配があるということも陳情で受けております。しかし、最近におきます気象業務は非常に近代化し機械化してまいりましたので、それをより高度に集中的にやりますのに、地方気象台を中心とした情報のまとめをやる、それをそれぞれの測候所に、先ほど来問題になっております何らかの方法で伝達をする方法をとる、これによりましてサービスの低下を来さないようにしたい、こう思っておりまして、それについての技術につきましては十分な配慮をしてまいりたいと思っておるのであります。  この行政改革が単に一律の行政改革でというお話でございました。しかし気象庁といたしましては、長年にわたりまして重点的な人員配置を前提とした行政改革をやってきております。したがって、測候所の人員を他の重要な場所に回すということも、機材の近代化に伴うて当然やらなければならぬことでございますので、ひとつこういういわば技術革新からくる改革とあわせて行政改革の一端としてやっておるということの御認識を賜りたい。ただ、測候所とか灯台とかいうのは住民との間に特殊な感情的なつながりがございまして、いわばアイドルのようになっておるところが多い。この気持ちは私は十分わかるのでございますが、時代の推移というものもございますので、われわれもやむを得ずこういう改革をしていかなければならぬと思っております。しかし、残ります施設につきましては、地元で十分活用していただけるようにわれわれも配意していきたいと思っております。
  177. 村山喜一

    村山(喜)分科員 時間がありませんので申し上げておきますが、転送電話装置も、いま大臣お聞きのように、技術的なめどはついたといっても三月までには間に合わないのですよ。そういうようなことで、住民に著しいサービスの低下を来すことは間違いない。そういう点から、この点についてはそういう代替措置を講ずることをもって解決をしようとあなた方はしていらっしゃったのが欠けたわけですから、その点は十分に御考慮をいただいた上で処置を願わないと大変だと思います。その点はよろしゅうございますね。
  178. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 われわれも十分に御趣旨は検討し、そういう不安の起こらぬようにいたしたいと思います。
  179. 村山喜一

    村山(喜)分科員 それからもう一つ気象庁長官。  行管の勧告書によりますと、統廃合、廃止することも考えられていますね。あの中に五十キロというのがございましたね。この阿久根の場合には五十七キロぐらい、気象台との距離ですよ。私は、統廃合というところまで踏み出す以上は、これが一つのきっかけになるのじゃなかろうかという点を心配しているのですよ。その点は心配しなくてもいいのですか。一言だけお答えください。
  180. 増澤譲太郎

    ○増澤政府委員 いま御指摘の測候所の統廃合は、先生御指摘のように行政勧告の中に入っておりますけれども、われわれとしては、測候所が持っている観測並びにサービス提供の機能はまだ十分必要であるということを考えておりますので、統廃合については慎重に検討しなければいけないというふうに考えております。
  181. 海部俊樹

    海部主査 以上で村山喜一君の質疑に終了いたしました。  次に、水田稔君の質疑に入るのでありますが、同君の質疑に際し、参考人として本州四国連絡橋公団山根孟君が御出席になっております。  なお、意見は質疑をもって聴取することといたします。  水田稔君。
  182. 水田稔

    水田分科員 私は、本四連絡橋のDルート、いわゆる児島−坂出線の中の鉄道部分について二点ほど質問したいと思っております。  これは昭和五十三年の十月の十日に起工したわけですが、その際、私、別の委員会でこのルートの問題と駅の問題について質問いたしました。それからすでに二年半という歳月が流れておるわけです。いまだに決着がつかないわけであります。もはや海の中ではケーソンの枠型を沈設してモルタル注入をやるとか、あるいは陸上部門でもすでに水島インターの取りつけ道路工事にかかっておる、あるいはまた田之浦の海岸では基礎工事として一万七千平米の埋め立てをやっておる。まさに地元の者にとってみれば、工事は着々と進んでおる。そういう中で、基本になる、一つは木見から岡山へどうつなぐかというルートの問題、もう一つ地域開発との非常に絡みの深い駅の問題がいまだに未決定なわけであります。私は不思議でかなわないわけですが、本来、鉄道で本州から四国へ渡るわけですから、本州のどこが起点で渡っていくという法律上の手続がなされて工事に入るものだ、こういうぐあいに思っておるわけですが、木見というのは全くどこの鉄道ともつながっていない。そこからちぎれたものが、坂出、宇多津まで行っておるわけでございます。着工までにできなかったのは一体何が理由なのか、今日なお決定できないのは一体どういう理由なのか、まずそれをお伺いしたいと思います。
  183. 杉浦喬也

    杉浦政府委員 先生御指摘のように、現在の基本計画におきましては、岡山の木見以北のルートにつきまして検討が長引いております。したがいまして、取りつけルートの部分についていまだに指示がされておりませんが、ようやくこの検討が終了をいたしましたので、近く本州側の起点を現在の木見から倉敷市の茶屋町に基本計画を変更することによりまして変更をいたしたい、それによりまして宇野線の茶屋町駅に取りつけるという案で運輸大臣鉄道建設審議会に諮問をいたしまして、答申を得次第措置を講じたい、こういう段取りを考えておる次第でございます。
  184. 水田稔

    水田分科員 これは鉄道建設審議会の議を経なければならぬと思うのですが、そういう点の見通しについて、近々ということはどのくらいなんですか。二年半前に聞いたときも、着工するわけですから、本来ならば着工の時点では決まっておらなければならぬ問題、こう言って私は申し上げたのです。近々というのは、大体その判断ができるくらいの御返事をいただけませんですか。
  185. 杉浦喬也

    杉浦政府委員 これは重要な問題でもございますので、国会が開会中は鉄道建設審議会はなかなか開催ができない状態にもございますが、二、三カ月くらいをめどにいたしまして何とか開催をいたしたい、こう考えております。
  186. 水田稔

    水田分科員 二、三カ月というのは、二カ月とすれば五月の末、三カ月として六月の末、そういうぐあいに理解してよろしいですか。
  187. 杉浦喬也

    杉浦政府委員 そのとおりでございます。
  188. 水田稔

    水田分科員 これはそういう御返事をいただきましたので。  私は、実は疑問に思うので、ちょっとこの際、運輸省の見解だけ聞いておきたいと思うのですが、本邦における必要なる鉄道建設するために予定鉄道線路というのがありますね。これに基づいて鉄建審にかけて、調査線、建設線とこう上がっていくわけですね。どう読んでみても、これには岡山から四国へ渡る——宇野付近から高松というのはあるのですけれども、全くないわけですね。そういう点と、それから、本四連絡橋公団の基本計画のいわゆる倉敷市南部−木見ですからね、それから宇多津町へ至るという、こういう決定というのは、この鉄道敷設法の別表に全くないものができるのかどうか。そういう手続上の問題で計画段階、いわゆる着工までに決まらなかったし、また今日非常にむずかしい問題になっているのじゃないかと思うわけですが、法律上の解釈の問題はいかがです。
  189. 杉浦喬也

    杉浦政府委員 御指摘のように、鉄道敷設法には、岡山県の宇野付近から香川県高松に至る鉄道ということで昭和三十六年にすでにこれが別表に追加されておるいきさつがございます。一方では、本州四国連絡橋公団法が四十五年に制定をされまして、その規定に基づきまして、最初は基本計画の調査線といたしまして同じような表現で宇野付近から高松市に至る路線の指示を行ったわけでございますが、その後、その調査の結果を踏まえまして、昭和四十八年に答申を得まして、現在のような倉敷市南部から香川県綾歌郡宇多津町に至る路線ということで工事の基本計画が決められました。  この両方の関係でございますが、法律的にいろいろと検討をいたしたわけでございますが、この鉄道敷設法の別表なりそれに基づく行為とそれから本州四国連絡橋公団法に基づく行為というものとは、やはり公団法に公団の業務といたしまして本州と四国を連絡する鉄道施設の建設、管理を行うことということが規定されておりますので、鉄道敷設法とは別個なものとしてこれを取り扱うことは可能であるというふうに解釈をいたしておるわけでございます。
  190. 水田稔

    水田分科員 その解釈は私はとれぬと思うのです。ちゃんと一条と三条を読んで別表を見ると、そうは読み切れないわけです。それはこれを御存じで言っておられる。私は、こういうことが、今日まで地元の者が大変工事をやるについての協力と同時に、少なくとも大変な世紀の事業ですから、その中における地域開発というものを考えたいということに対してこたえられなかった最大のあれだろうと思うのです。いま五月の末か六月の末ぐらいまでにはこの点明確になるということですからこの点はあえてこれ以上追及いたしませんが、やる場合にはきちっとやはり地域状況というものを考え、法律の適用を誤らぬようにやっていただきたい、このことを申し上げておきたいと思います。  もう一つの問題は駅であります。駅というのは決まってないわけであります。幾ら聞いても、ルートが決まらぬことには駅の問題には入れない、こう言うのです。これは距離は恐らく岡山から児島まで三十キロ足らずだろうと思うのです。二十八キロぐらいだと思うのですね。児島というのは、人口八万、もうちょっと超えていましょうか、九万近くおります。産業から言えば、畳の光輝ぶちは全国の七割をつくり、学生服はいま行田に少し負けて率は落ちましたが、それでもワーキングウエアその他を入れれば繊維の縫製品については相当部分を占めておる工場地帯なんですね。それさえもいま信号所のままなんです。これはどうして私が申し上げますかというと、さっきも言いましたように、地元としては、この工事に問題がある、たとえば環境問題で心配もあるという意見もたくさんあります。これは建設省の道路の方の部分で聞きますけれども、しかし、これはただ通過地点になってもらったのでは困る、われわれは協力するけれども地元にもやはりメリットというものを考えてもらいたいということで、いま倉敷市が市の区画整理事業で、いま信号所となっておる周辺を新しい駅前としての開発考えているわけです。これは五十四年の三月からかかって六十七年の三月完成、ちょっと完成の時期はずれますけれども。しかし、いまだに信号所ですから、一体それでいいのかどうかというような不安が常につきまとっておるわけです。  それからもう一つは、ルートの問題では、いま茶屋町ということが出ましたね。その前はそれが出ていないわけです。だから、倉敷市としては、茶屋町へ複線で電車が入るようになれば、これはいまの倉敷の東の玄関になるわけですね。そこからの道路は、現在現道は六メートルでそのままいっておるわけですが、これはいまの倉敷駅とほとんどウエートが同じくらいに使えるところ。ルートの決定がおくれるために、地域ではそれに対応する計画をいま全く持ってないというような問題が起こっているわけです。ですから、これだけの事業をやって、しかも地元に大変な協力をしろ、あるいは地方公共団体も出資しろと言って、この金のないときに今度も七億幾らですか、そういうことをやっておるのなら、当然地元のそういう対応してやろうということに対してこたえられる条件というのは、本来は着工までにつくるべきなんですね。それができてないということに私は一番不満を感ずるわけですが、駅の問題が具体的日程としてはどうなるのか。  それからもう一つは、こういう開発ですから、私が申し上げたように、ルートの問題にしろ、駅にするかしないかという問題も、受け入れの地元の側としてに大変大きな変動として受け取っているわけです。その中で、それに対応できるような街づくりをしようということについて、運輸省なりあるいは本四の公団についても、単に工事をすればいい、その日程だけで物を考えてはだめだと思うわけです。細かい点はいいですから、その点についての大臣の基本的な取り組みの姿勢についてお答えいただければありがたい、こういうふうに思います。
  191. 杉浦喬也

    杉浦政府委員 おっしゃるように、現在児島駅は、工事実施計画におきましては信号所ということになっております。この信号所を駅に変更するというようなことにつきまして、本四公団と国鉄との間で協議が調いまして大臣に変更認可申請がございますれば、全体の輸送計画等を踏まえまして十分検討したいというふうに私ども考えておる次第でございます。
  192. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 こういう交通機関の大きい、新設あるいは移動ということが起こってまいりますと、これは新設で結構な話なんですが、当然地元にも大きい影響を与えます。そこで、この地元の影響を、それじゃ私たちがこのようにリードしようといいましてもこれは無理でございますし、したがいまして、関係自治体が一体となりまして、私たちにも相談していただいて、私たちもできる範囲のお手伝いもいたさなければならぬ、こういうことは思っておりますので、協議がございましたら私たちも積極的に取り組んで努力いたしたいと思っております。
  193. 水田稔

    水田分科員 大臣言われたように、両々相まってと、こういうことでなければならぬと思うのです。そうしますと、いま私は、運輸省の方の答弁はいまのとおりのことしか返ってこないと知っておるわけです。公団に答えさそうと思う。  これを見ますと、公団が発議して国鉄協議して、そして運輸省へ上げてと、こうなるわけですね。駅の問題は変更のあれですから、鉄建審の議を経なくてもいい、こういうことなわけです。私がいま大臣に申し上げたのは、地域ではそれだけのことを現実に計画を進めつつある。それでもなおかつ審議をする。もともと言えば信号所で、あの瀬戸内海に橋がかかったといたしましても、台風もないことはありません。あるいは濃霧が、船の場合はほとんどとまりますけれども、ひどい濃霧のときはとまらなければならぬ。宇多津側と児島側に幾らかの待避線をつくるというのは当然のことじゃないですか。そういうことと、さっき産業の状況を申し上げたのですが、そういう場所に、距離も二十八キロぐらいですね、一般論で結構ですが、そういうところなら駅を置いてもおかしくないということはお考えになりませんか。側線一本の待避では十分賄えない。台風のときには、台風通過までは少なくとも半日近くはとまるわけですからね。だから、駅ということで何本かの側線をつけておくということもありましょうし、一般的な鉄道を通すときの駅の場所の問題として、地域の人口はどのくらい、あるいはどういう産業のところであるか、いまの交通体系はどうということでお考えになる、一般論で結構ですから、答えてください。
  194. 杉浦喬也

    杉浦政府委員 なかなか、一般論と申しましても具体的な問題を頭に置きながらの事柄だと思いますので、公団なり国鉄なりと協議をいたしまして、十分前向きに検討をしたいと、こう考えております。
  195. 水田稔

    水田分科員 公団から山根理事がおいでですから、この駅の問題について公団としてはどうお考えになっているか、私の先ほどの運輸省に対する質問を踏まえて、それに対するお答えとして同じことを答えてください。
  196. 山根孟

    ○山根参考人 お答えいたします。  駅の設置につきましては、先ほど大臣からもいろいろお話ございましたが、やはり全体の土地利用の問題等々もあるわけでございまして、事実地元からもいろいろな御要望も実は承っているわけでございます。現実に駅を設定をいたすとなりますと、やはりそれなりの線区におきます旅客流動の問題、列車計画の問題、それから、仮に駅をつくるとした場合の駅勢人口と申しますか、利用人口といったものを総合的に検討いたしまして、日本国有鉄道の方と協議をいたしまして、その上で決定されるものであるわけでございます。したがいまして、現在、木見以北のルートが決まりました段階におきましてこの線区全体の路線が明らかになりますれば、具体的に検討いたしております事項等についていろいろ協議をして決定をしていかなければならない、かように考えておるわけでございます。
  197. 水田稔

    水田分科員 さっきから何遍も申し上げますように、距離が約三十キロ前後岡山から離れておる。そして人口は約九万。いま新幹線で新倉敷駅というのが、ここは人口が約七万なんです。産業の状況は、先ほど言ったような繊維を中心にした軽工業地帯なわけですね。そして地元は、もう話があった最初から、通過地点だけでわれわれは公害だけ受けるのはかなわぬ、少なくともこの地域のプラスになることを考えてほしいということを口を酸っぱくして言っておるわけですね。なぜか言うたら、駅ができなければまさに通過ですね。そのことを言ってきているわけです。  それからもう一つは、廃塩田の跡地が中心になるわけです。いまの商店街というのは、そこへ外資の大きいのが来れば全滅するわけです。そういうことを含めた区画整理なり、そこへどうやって県や市が指導して新しい街を形成していくかということを検討しておるわけですね。それにこたえるというのは、片一方では少々のところはしんぼうしてくれと言って、道路部分なんかは、稗田地区はそれでなくてもいま基準値をオーバーするぐらいの水島からの被害を受けておる、その谷間になっておるところへ、さらに大きな六車線からの自動車がどっと通れば大変なことになると心配もしておる。それらも整理をしていきますけれども、そういう中で、地元の要望というのは何かというと、ほかにはないわけですよ。それにこたえるということは、何遍聞いても同じこと、運輸省は、公団と国鉄協議して上がってくればと、こう言うのです。公団の方へ言うと、公団は、それは言われぬわけですよ。  じゃ、もう一つ質問の方向を変えますが、たとえばいまお話があったように五月の末か六月にルートが決定する。そうすると駅の問題については、その時点からは、いまのお答えからいうと、ずばっと公団としての態度を決められる条件ができると、こういうぐあいに私の方は理解してよろしいですか。
  198. 山根孟

    ○山根参考人 私どもといたしましては、やはり木見以北の問題についてはしかるべき手続が早くなされますよう御要望申し上げているところでございまして、その結果決まりますならば、駅等の問題につきましてもできるだけ早い機会に決定できるような作業を進めていくようにいたしておるわけでございます。
  199. 水田稔

    水田分科員 私が申し上げたことは、あの地域状況というのは、私が言わなくても公団は百も承知のはずなんですね。ですから、内部的な事務的な調査なり調整というのは、恐らく公団の中だけであれば終わっておると見ていいのじゃないか。その中で、ルートの決定がないからなかなか駅という問題については結論を先に出すことはできない、上げることができないというのがいままでの公団の態度だったと思うのです。  いまの質疑の中で、五月ないし六月にはルートは決める、こう言っていますね。その時点からそれではどのくらいあれば意思表示が正式にできるのですか。——それはいいです。駅にする、あるいは信号所のままでいく、どちらの結論でもいいです。駅にするということは言いにくいでしょうから、いずれかの結論を出すということは、ルート決定の鉄建審の結論が出たら、そこからどれだけの期間でできるか言ってください。
  200. 山根孟

    ○山根参考人 基本計画が決まりました後、私ども実施計画を策定いたしまして認可をいただくわけでございますが、この作業には、国鉄等との協議等々も含めましておおむね一年を考えております。
  201. 水田稔

    水田分科員 一年といいますと来年の六月、こういうことですか。
  202. 山根孟

    ○山根参考人 仰せのとおりでございます。
  203. 水田稔

    水田分科員 答弁は公団の立場がおありでしょうから、駅にすることを発議して相談かける時期ということを言わなかった。これは信号所でいいのですという結論でもどちらでもいいのですが、その態度を決めるのはいつですか。五月か六月にはルートが決まると仮定しますね。公団としてそういうことを国鉄協議するという意思決定をするのはいつですか、こう聞いているのです。
  204. 山根孟

    ○山根参考人 基本計画の御指示をいただきました後、ただいまの内容につきまして協議を始めるということになろうかと思います。もちろん、その前にいろいろ地元その値とのお話し合い等も進めてまいらねばならない、こう考えておりますが、基本計画の御指示をいただきまして、工事実施計画の策定段階におきまして策定にかかれることになるわけでございますので、その段階でただいま先生御指摘の点についても検討してまいるということになろうかと思います。
  205. 水田稔

    水田分科員 ルートを決定してそこで初めて起こってくる問題じゃないのです。これは着工の段階以前から問題になって、公団としての検討はもう何もすることがないところまでいっている、ただ、これは手続上の問題として今日まで残っておる、こういうことでしょう。だから、駅にするということは言えないと思うのですね、いまの立場では。だけど、駅にするかあるいは信号所のままでいくか、どちらの結論でもいいのですが、その腹をくくるのはいつですか、ルートが五月か六月に決まるとしたら。それだけでいいのです。いままでに腹は決まっている。なぜならば、これだけの歳月を、ちゃんとあの状況をよく知って、調べて、ほかのところは全部用地買収して工事にかかっているわけですよ。その中で一番メーンになるところの駅の問題というのは、これから内部の検討、公団の中ですよ、国鉄との協議あるいは運輸省へ上げていくということは、当然その手続の期間というのはあるでしょう。公団として、五月ないし六月にルートが決定した公団としては、それまでに内部的なことですから、外へわかることではないのですから、私どもとしてはそこからまた一年というのは本当にけしからぬ、こう思うわけですよ。いままでこれだけ待たせたのですから、最小隈の手続の期間はどのくらいかかる。それはやむを得ぬと思いますよ、少なくとも公団として駅にするということはいまの立場で言えないわけですから。駅にするか信号所のままいくか、いずれかの決着は、公団自身の腹をくくるのはいつになりますかと言ったのです。
  206. 山根孟

    ○山根参考人 駅につきましての認可をいただきますまでにはかなり時間がかかるというぐあいに考えておりますが、私どもとしては、いろいろな観点からの検討を現在も進めておるところでございますし、基本計画の御指示をいただきましたならば、早速そういう方向でいろいろ協議その他全体の取りまとめ等々の作業に入る、こういうことになろうかと思います。
  207. 水田稔

    水田分科員 それじゃ、もう何遍言っても同じような答えしか返ってきませんからこっちの方から……。  ルートを決定すれば最小の時間、一、二カ月ですか。公団自身としての内部的な調査は皆済んでおると私は見るのですね。いわゆる公団だけでの内部的な腹は、大体ルート決定以来そう多くの日にちを要さないで腹をくくるというぐあにお考えになっておる、こういうぐあいに理解してよろしいですか。
  208. 山根孟

    ○山根参考人 仰せのとおりでございます。
  209. 水田稔

    水田分科員 終わります。
  210. 海部俊樹

    海部主査 以上で水田稔君の質疑は終了いたしました。  中村重光君。
  211. 中村重光

    中村(重)分科員 大臣、この間の総括質問の際に、時間の関係があったので身体障害者の運賃割引の問題等について一問一答でできなかった。きょうも盛りだくさんあるんで、できるだけ簡潔にお尋ねをしますし、お答えもそのつもりでお願いしたいのです。  この運賃の割引は、身障者の一種と二種が割引の対象になっているんだね。一種の場合は介護者がついたらば距離制限なし、介護者がつかなければ百一キロ以上、こうなっているんだね。ところが、その身障者の置かれている家庭環境で、介護者がついていかなければならないんだけれども、やはりついていけないような、そういう環境もあるだろう。だから、同じ一種を、介護人がつく、つかぬということによって区別をするということはいかがであろうかという点が一点。  私は、これは距離制限はもう撤廃しなさいと、一種も二種も、そういう考え方。この前も言ったにように、料金にしても、急行料金は割引の対象になっているが、特急は割引の対象になっていない。これも当然割引をすべきである。体の不自由な人ほど早く目的地に着きたいという気持ちであることは言うまでもないわけだ。そこらに余りにも愛情がなさ過ぎるじゃないか。一つは、この間も言ったように、何もかも国鉄におんぶするものだから、公費負担を当然やるべきものをやらないで国鉄にそういう負担をさせるから、国鉄もシビアになっていくのであろうと私は思う。ですから、公費負担を速やかに実施するということと、いま申し上げたように距離制限は撤廃するということ、ましてや介護人がついたとかつかないとかということによって区別をするということは、余りにも理解がなさ過ぎると思うのです。  それから、船も同様なんだね。船も同様なんだけれども大臣、あなたも御存じないと私は思う。旅客業者すら知らないと思うんだね。船はいわゆる旅行という形なんで、汽車に乗って船に乗っていって、それが百一キロ以上、こうなっているわけだ。船と汽車、別々じゃないわけだね。そうすると、船が、あなたは百キロ未満です、いや私は汽車に乗ってきました、ああそうか、じゃ証明書を出しなさい、一々証明書を提示しなければならぬようになるでしょう。そんなめんどうくさいことができますか。だから、そういうことではなくて、身障者の手帳を提示するということだけによってやるようにしないと、国際障害者年というときだから、いままではもう過ぎたことだからやむを得ないとしても、これから改める、そういう必要があるだろうと私は思う。いかがです。国鉄総裁もこの間わざわざ来ていただいたのですが、きょうはぜひお答えをいただきたい。
  212. 石月昭二

    石月政府委員 先生の御質問、三点ほどあったかと思いますが、第一番目の第一種身体障害者の場合でございますけれども、この場合も、介護人がつかなくても百キロメーター以上を超える場合には五〇%以上の割引を国鉄の場合はいたしております。  それから第二の場合の、いわゆる特急の問題でございますけれども、これにつきましては従来から御要望の強いことはよく承知しておりますけれども、御承知のように国鉄の財政は非常に悪いという現状でございますので、この問題につきまして、今後交通機関の負担においてこれ以上割引を拡大するということについてはかなり困難ではないか。したがいまして、今後、関係の省庁におきまして、どのような運賃上の負担を軽減するかということをいま協議しておりますので、その結論を見まして検討させていただきたい、このように思っているわけでございます。  それから第三点の、割引証を一々もらってこなければいかぬ。仰せのごとく、現在国鉄や定期船等におきましては、市役所なり福祉事務所なりへ行きまして障害者手帳を見せまして割引証をいただく、それを提示して割り引くという形をとっております。これは身障者の皆さんからも、非常に手続的に煩瑣である、手帳を見せるだけで簡単に割り引くようにしてほしいという要望があることも十分承知しております。しかし、収入の管理という面からいきますと、何らかの形で証拠書類を残す必要があるということでございますので、割引証というもの以外のもっと簡便な方法がないか、その辺につきましては、今後関係の事業者の御意見も聞きまして前向きに検討させていただきたい、このように考えておる次第でございます。
  213. 中村重光

    中村(重)分科員 それは介護者がついたらば距離制限はないのです。介護者がつかない場合は重くないのだということで百一キロからだから、同じ一種が、介護者がつくとかつかぬということによってこういう区別をする必要はないじゃないか。それはもう当然の話ですよ。それから、証明とあなたは言われる。そんな証明を一々とって、私は船にこうして乗るのです、汽車にこうして乗るのです、そんなことを本当に気の毒な人に無理強いをするというようなことでなくて、写真は証明書に載っているのだから、写真をつけてやったら本人かどうかわかるじゃないですか。そういうことをやるのが当然だと私は思う。大臣、あなたはどう思う、常識人だから。
  214. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 できるだけ障害者の方々に便利なように計らっていきたいと思っておりまして、それでこの前も予算委員会の御質問がございまして、直ちに国鉄総裁等にも連絡いたし、そのことをわきまえて国鉄総裁から先生の方へ返事に行ったのであろうと思うたりいたします。われわれも努力したいと思っていろいろ考えておりますが、しかし、実際に割り引いたものの計算をどうしてとるかという内部の監査の問題も一つあるだろうと思うたりもいたしますが、そういうこと等を事務的にどういうふうにするか、もう少し研究させていただきたい。決してこのままでいい、これが最高だとは思っておらないと思うのですが、何かいい方法がほかにいろいろあるだろうと思いますが、引き続き検討はさせていただきます。
  215. 中村重光

    中村(重)分科員 国鉄総裁からも一言聞きたいのだけれども、確かに閣議で公費負担を原則にすると、もう数年前には決めたはずなんだね。むずかしくああだこうだと言ったら、これはもう切りがない。だから、これは身障者という立場に立つと、国が特別の措置をするというならば、公費負担でやらせるということが原則でなければならぬ。総裁、いかがですか。
  216. 高木文雄

    高木説明員 もろもろの身障者間で一種のアンバランスといいますか、そういうものが発生していることは御指摘のとおりでございまして、私どもも気になっておるのでございますが、先ほども運輸省から御答弁いただきましたように、何分負担の問題があるわけでございまして、私どもとしては大変申し上げにくいのですけれども、現在以上にさらに国鉄自身の負担をふやすということは何とか御勘弁いただきたいという気持ちがありますし、さてどこか制度をいじろうといたしますと、どうしても負担がふえる方にのみ動くということになるものでございますから、長年御指摘を受けながら非常に消極的な態度をとり続けてきているわけでございます。どうかひとつこれは政府全体としてお考えおきいただきまして、その一定の範囲内においてバランスのとれた制度に仕組み直すということについては、私どもも前向きに取り組んでまいりたいと思うわけでございます。
  217. 中村重光

    中村(重)分科員 心身障害者対策基本法ということによって割引の対象になっているのは肢体の方だけです。いわゆる精薄者というのは対象になっていないのですよ。これは当然やるべきなんだ。なぜに精薄者をやらないのか。大臣、お互いに議員立法で基本法をつくったのだ。あなたが大臣になっているのだから、そういうことは改めるということを実施させないと私はいかぬと思う。その点いかがです。
  218. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 これは、先ほども申しておりますように、私は気持ちは十分わかっておるのですが、精薄の分もこれはわかっているのですが、それでは国鉄で単独で持てといっても、いまの状態でなかなかいかない。だからこれは、こういう負担をさせるのに各省いろいろななにがありますが、それではこれをどこでまとめるのかということでいま研究会をやっておりまして、昨年の五月以降十回開いておりますが、なかなかその結論が出てこないのです。
  219. 中村重光

    中村(重)分科員 塩川運輸大臣がそんななまぬるいことじゃ話にならぬ。私は、あなたが運輸大臣になったときに大いに歓迎した、こういうことは勇断をもってやるだろうと。それはなまぬるいことではなくて、大いにひとつやってください。国際障害者年だということをしっかり頭に置いてもらわないといかぬですよ。  それから次に、海上運送法によって一航路三十日以内は自由にやっていいということになるのですね。  それから、いま一つ指摘したいのは瀬渡し船のことですが、この間の遭難船栄福丸、あれが十二人以下であれば許可を受けないで客を自由に運べることになっている船ですが、この制度は、従来親子代々仕事をしていた人たちの生活を考慮し、社会党の主張で附帯決議をつけ、経過措置のような形で認めた制度です。この制度の十三人以下という基準はどこから考え出したのかということと、十三人以下であればよろしいということで新規に今後も認めていくのか。そうなると、管理がうまくいかないで、海上遭難事故も起こるのではないかと私は思う。最初に申し上げた一航路三十日以内は商売が自由にやれるという制度を野放しにしておくと、シーズン時にかせぎ回り、十二航路をやったら一年じゅう自由に商売できるじゃないですか。それじゃ何のため航路許可をしたのだろうか。許可なく三十日以内はいいのだというので、シーズンをねらって荒かせぎをするためにやるということになれば、航路権の制度はめちゃくちゃになってしまうじゃないか。これは私は法の盲点だろうと思う。こういう点は改めなければいけないですよ。大臣、いかがです。
  220. 永井浩

    ○永井(浩)政府委員 先生御指摘のように、年間三十日を超えない不定期航路事業につきましては、許認可の対象でございませんで、事後の届け出でございます。ただ、これがいいか悪いかという問題でございますけれども、三十日を超えない場合には、航路の需給関係にそれほど大きな影響がないのじゃないか。むしろ繁忙期あるいは多客期のときの需要に弾力的に対応できるというような面もございます。  また一方、安全面につきましては、三十日以上であろうと以下であろうと、船舶法あるいは乗組員の資格については船舶職員法ということでチェックが行われておりますので、現在のところそれほど安全面については問題がない。  あとは、最初に申し上げたような、需給関係をどう見るかということでございますが、どうしても輸送機関は、輸送需要についてピーク等いろいろございますし、突然の需要というものもございますので、ある程度やむを得ないのではないか、このように考えておるわけでございます。
  221. 中村重光

    中村(重)分科員 航路業者というのはシーズンを当て込むんだよね。シーズンに収入があるからということで、一年間の平均でもってあなた方も運賃の認可をするのでしょう。シーズンにほかの船に三十日以内だというので自由にじゃんじゃんやられてごらんなさい。そうしたら、路線の認可を受けているところの航路業者というものは打撃が大きい。そのために今度は運賃の値上げをする必要もないのに値上げをしなければならぬということになってくる。まさかこれを認めたときに、もうどの航路でも白ナンバーみたいなことでどんどん飛び回るだろうとは思わなかっただろう。ところが、いま申し上げたように、十二航路であれば年じゅう商売がどこでも、そのシーズンどきをねらってできるじゃないか。これは法の盲点であったら盲点であったとしてこれを改めなければならぬと私は思うのです。そうしないと路線の許認可の秩序そのものを乱すだろう、このように私は考える。大臣、いかがですか。
  222. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 私たちも引き続き十分検討はいたしていきたいと思っておりますが、これはやはりいままでの規制を十分見直してはきたのでありますけれども、しかし、現在の状況でそれじゃ十分かといいましたら、そうでもないように思いますが、なお検討させます。
  223. 中村重光

    中村(重)分科員 どうも歯切れが悪いな。  それから瀬渡し船の問題も、それらとの関連も実はあるのですよ。先ほど言ったように十三人以下であればいいというので自由に客を運ぶやり方、その十三人の基準は何かということについてはお答えがなかったけれども、これはアメリカの貨物船が十三人以下であれば旅客を乗っけてもよろしい、これが基準になって十二人ということになったんだろうと私は思う。ですけれども、ああいう海上遭難事故なんかが起こってみると、これもやはり再検討していくのでないと、安全面について問題がないということにはならぬと私は思う。この点もひとつ検討してもらいたい。  それから船舶整備公団の金利、これはかつては固定しておったのだね、七%ぐらいで。ところが金利が非常に安くなったとき等の関係があって、いま連動制になってきている。これはいま八%ぐらいかな。だから、連動制がいいのか固定がいいのかという議論があるところだろうけれども、この点はどうお考えになります。
  224. 永井浩

    ○永井(浩)政府委員 先生承知のように、船舶整備公団の共有船の金利につきましては、その調達資金でございます資金運用部資金あるいは政府保証債等の金利が関係してまいるわけでございまして、これらの調達資金のコストを勘案して金利が決められておるわけでございます。それで最も大きなものは御指摘のような資金運用部資金でございますが、これは決して固定資産ではなくて、たまたま資金運用部資金の金利が変動がなかったということでございまして、最近のように金利が変動いたします場合には、これに連動いたしまして共有船の金利も変わるということでございます。
  225. 中村重光

    中村(重)分科員 これはどちらがいいのかという議論の問題だろうし、別に議論する必要もないだろうが、この問題は十分研究はしていく必要があるわね。関心を持って対処してください。  それから航路補助の問題、これは大蔵省の査定が非常に厳し過ぎるのだな。しかも査定をするときと、これを実施するという段階になってくると違う。いろいろな資材、燃料あるいは人件費等も上がる。そうすると赤字が出るね。累積赤字というものはさらに大きくなっていくということになる。そうすると生活航路、これは補助航路、それがまた運賃の値上げにも影響してくるということなんで……。この航路補助の問題は後でお答えをいただきます、時間の関係があるから。  そういう航路補助という制度を頭に置かないで、ぶった切りさえすればよろしいというような考え方でこの予算査定に当たるということは適当でない。航路補助は、運輸省はできるだけ概算要求しただけもらいたいということだろうから、私の言うことに異論はないだろう、大蔵省の側に問題があるだろうと私は思うのだけれども、これは大蔵省、いかがですか。簡潔にお答え願いたい。
  226. 伊藤博行

    ○伊藤説明員 離島航路の補助につきましては、先生御案内のように、五十六年度におきましては、百三十五航路対象にいたしまして、三十七億一千九百万円計上しております。この伸び率、前年に比べますと三七%の増になっております。御案内のような国の財政事情、一般歳出で申しますと四・三%を伸ばすのが精いっぱいであったという財源事情のもとで、運輸省としてもこの予算については大いにウエートを置かれた。私どもといたしましても、非常に限られた予算の中で最大限の配慮をしたというつもりでおります。伸び率だけで物が言えるわけではございませんけれども、いまのような財源事情のもとでのこういった予算計上という点につきましては、御理解をいただけるのじゃないかというふうに思います。
  227. 中村重光

    中村(重)分科員 四十億の概算要求に対して三十七億つけたのだから、相当重点を置いたということは評価をします。ただ、特に頭に置いてもらわなければならぬことは、離島の住民は消費プラス運賃、生産マイナス運賃と、こうなっていくのです。そういうことで、置かれている離島住民立場考えて、この航路補助の問題はできるだけ今後とも留意をしてもらう、しかもこれは単に航路業者を潤すということではなくて住民にこれが十分還元される、そういう実績の面についても十分留意していく必要があるだろうというように思います。これはまだ、言えば、路線が黒字であっても赤字であっても会社が黒字であればなんて、いろいろあるのだけれども、時間がありませんから触れません。  大臣、新幹線整備五線、これはどうするのです。
  228. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 新幹線は国土の均衡ある発展を図る、そういう意味でこれはぜひ推進しなければならぬのであります。しかし、現在、東北、上越につき込んでおります金額が余りにも巨大な額でございまして、これの運行が近く行われまして、その結果、国鉄全体として将来における投資というものはどのように考えるべきかというその基本問題もございます。  そこで、この新幹線整備五線をこれから進める上におきましては、国鉄自身の財源ではとてもできない。ですから、公的助成というものをどうするか、あるいはまた地方の方々の負担もどういうふうにするか、そういう制度の見直しを待って、相伴って着工に踏み切っていきたい、こう思っております。
  229. 中村重光

    中村(重)分科員 私は、新幹線に頭から反対だとは言わないのです。言わないのだけれども、まず何から手をつけるか。私は、電化複線化というのをまず優先しなさいと言いたいのですよ。新幹線になったら赤字が出るでしょう、巨額の経費を投じて。それで在来線まで赤字になるでしょう。新幹線に乗る必要のない人まで、間引きされるから新幹線を利用しなければならぬ。運賃負担になるじゃありませんか。この前言ったが、交通安全標語の、何でそんなに急ぐ、狭い日本日本人というのはせっかち過ぎるんだね。こういうことに余り力こぶを入れないで、電化複線化を推進しなさいよ。  もし新幹線をおやりになる場合、長時の新幹線について党三役が、ほかの四線におくれないように長崎新幹線は着工いたしますという一札が入っているのは御存じですね。
  230. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 党の方からはまだ、そういう連絡は受けておりません。
  231. 中村重光

    中村(重)分科員 当時の大平幹事長、中曽根総務会長、江崎政調会長連名でもって、他の四線におくれることはいたしませんという一札が入っております。
  232. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 了解いたしました。  それは、整備新五線の着工について順位をつけて着工をするということは、その当時の段階で、大平幹事長の当時に、そういうことはいたしませんと、そういうことは私たちも聞いております。
  233. 中村重光

    中村(重)分科員 その当時とはどういう意味ですか。その当時とかなんとかというのじゃなくて、他の四線におくれないように長崎新幹線はやりますということを党三役が約束したというのは、政党内閣制なんだから当然これは尊重されなければならぬだろう。もしそうやらないと、いま車いすで登庁しておる久保知事は運輸省の前に座り込むと言っている、こんなでたらめなことをやったらばと、こういうことなんです。  私の意見は、先ほど言ったように、こういうものよりも、ともかく電化、複線化をやるべきであるということで、頭から新幹線に反対しているわけじゃないけれども、ともかく従来の惰性とかなんとかというものにとらわれて財政再建なんということはできない。本四架橋の三木の橋なんて要るのですか、大体これは。こういうことだって検討していくということが私は当然だろう、そのように思います。もう一度……。
  234. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 大平幹事長当時にそういう書類が地元との間で意見書として出されて、それを確認しておるということは私も承知しております。
  235. 中村重光

    中村(重)分科員 承知しているからと、それから先を聞くんだ。今後どうするのかと。
  236. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 でございますから、長崎が他の路線におくれてということは、裏返して申しますと、いずれの線においても特定の線だけを先走ってやるということはしないという、そういう表現であります。
  237. 中村重光

    中村(重)分科員 それでわかりました。  それから、新幹線は地元負担をやれ、こんなばかげた話がありますか。新幹線を地元に負担させるなんて、どうしてそういうことができます。そういう無理なことはしないで、そして現実に国鉄の再建というものをやらなければならないのだから、やるためには、労働者にだけしわ寄せをするような、それが国鉄の再建であるというような物の考え方でなくて、ローカル線問題等も含めて、わが方からも再建法案も出ているのだから、それらの点も十分参考にして国鉄の再建には当たってもらう、こういうことでなければならぬと考えますが、いかがですか。
  238. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 国鉄の再建は、いまや私はその根本は、労使相提携いたしまして、本当に国鉄を愛する気持ちで、やはり奉仕の精神を持ってやってもらうのが、これが一番大事だと思うのです。それがためには、単に労働者の犠牲において再建するとか、あるいは国の助成において再建しようとか、そういうことを考えてはやはりできるものじゃないと思うのです。やはり一体となって自分の職場を守っていくのだという気持ちでないと、これだけの財政窮迫の国鉄は乗り切れないと思っております。  そういう気持ちのもとで、しかもどうしても鉄道の特性が損なわれておるところ、そして鉄道でやるよりも他のバス等でやる方が経済的であるというところは、これまた先ほどの仰せのように、従来の習慣にこだわらず、積極的に転換すべきものはしていく、そういう姿勢でも臨んでいきたいと思っております。
  239. 中村重光

    中村(重)分科員 再建の問題については、これだけを議論していても何時間もかかりますから触れませんが、わが方で責任を持って提案をしていますから、十分参考にして対処してほしいということを要請しておきます。  それから、中小企業庁から確認団体の証明というのを出すのですが、たとえば造船の下請なんかの場合に、確認団体だから資格があるといって運輸省にこれを持っていくと、そんなものは知りませんよと言って問題にしないのだ。こんなことをやっておったら政治に対する信頼なんていうものはなくなってしまう。だから、中小企業なり中小企業問題というのは、各省が連携を十分密にして、少なくとも通産省から発行したもの、中小企業庁から発行したものは、運輸省であろうとも建設省であろうとも十分それを承知する、そうしてそれを生かしていく、そういうことをやらないと、そんなばらばら行政では話にならぬじゃないですか。いかがですか。
  240. 大塚正名

    大塚(秀)政府委員 ただいま先生の言われました確認団体につきましては、わが省関係の有資格名簿にも約五十社ございますが、今後さらに確認団体が増加するような形で、もし周知徹底していませんでしたら、一層周知徹底させるように各部局を指導していきたいと考えております。
  241. 中村重光

    中村(重)分科員 時間が来ましたから、終わります。
  242. 海部俊樹

    海部主査 以上で中村重光君の質疑は終了いたしました。  次に、柴田弘君。
  243. 柴田弘

    柴田分科員 私は、名古屋市を中心といたします中京圏の鉄道網の整備について、まず大臣にお伺いをいたします。  この問題は、昨年の本分科会におきましても私は取り上げまして、当時の地崎運輸大臣からも大変御理解のある御答弁をちょうだいをいたしているわけでありますが、改めて塩川運輸大臣にお尋ねをしていきたいと思います。  御案内のとおり、中京圏は首都圏、京阪神圏に次ぐ人口、産業の集積度を有しながら、交通体系、とりわけ交通網の基幹をなす鉄道の整備状況を見ますときに、きわめて低い水準であります。その実態は、昭和五十二年に発表されました運輸省の都市交通年報によりましても、各都市圏の鉄道営業キロ比較では、首都圏が千八百三十六キロ、京阪神圏が千二百八十五キロ、これに対しまして中京圏はやっと八百キロということでございまして、鉄道網の密度がきわめて低い、また輸送機関の分担比率も、鉄道対自動車交通で比較をしてまいりますと、首都圏の六対四、京阪神圏の五・六対四・四、これに対しまして中京圏は三対七と圧倒的に自動車交通に依存をいたしている実態であります。  こうした状況の中で、省エネルギーの観点から公共輸送機関の重要性が再認識をされ、国土整備の方向が定住社会を志向されている今日、生活の基盤であります交通体系、特にその根幹をなすと言われております鉄道整備を地域住民は非常に熱望いたしているわけでございますが、この中京圏の鉄道網の整備について大臣はどのような柳認識を持ち御所見をお持ちなのか、まずお伺いをしたいと思います。
  244. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 中京地域は、御承知のように、戦後復活しますときに道路に大変お力添えをされた、それが効果がありまして、現在自動車交通が主体となっておる、御質問のとおりでございます。  しかし、近郊都市との連絡なりあるいは都市間におきます過密交通を避けるために新しい高速鉄道、地下鉄を実施しようとしておりまして、答申時整備キロ五十キロを含みまして二百四十キロの計画を持っておるということを聞いております。私ちょうど、昨年の秋でございましたか、中京地域三県の知事並びに名古屋市長との懇談会を持ちまして、そのときに、各県の知事とも名古屋市の地下鉄を非常に要望しておられた、私はそれはやはり非常に貴重な意見であると思っておりますし、私自身も、地下鉄が過密化しないうちに早く整備されることを望んでおりますし、特に郊外への延伸について、先手を打って団地との統合というものをお考えになったらいかがですかということを言っておった次第でございまして、名古屋におきます地下鉄の整備にわれわれも積極的に取り組んでまいりたいと思っております。
  245. 柴田弘

    柴田分科員 御理解ある答弁をいただいたわけでありますが、大臣も御承知のように、昭和四十七年の三月、運輸大臣の諮問機関であります都市交通審議会、都交審が「名古屋圏における旅客輸送力の整備増強に関する基本的計画について」の答申を出しております。この答申は鉄道網計画におきまして地元といたしましては非常に理想的な将来ビジョンではないか、こう言って実現を期待しております。もちろんその中には先ほど大臣から御答弁をいただきました地下鉄の建設の推進というような問題もあります。いま大臣から、でき得れば名古屋市域外、いわゆる名古屋市から外への延伸ということをおっしゃっていただいたわけですが、これは非常に結構なことでございまして、それには、やはりこの事業主体というものが、果たして名古屋市でやるのかあるいは愛知県がやるのか、そういった問題、とにかくこの建設には莫大な資金を要するということはよく御理解をいただいておるわけでありますが、どうかひとつ、そういった面を含めまして、この答申に沿って地下鉄の建設の推進に大臣の御努力をいただきますことをとりあえず御要望いたしておきたい、このように思います。  それから、これに関連をいたしまして、いま地下鉄に御理解をいただいたわけで、あわせてお伺いをしてまいりますが、やはり昨年の分科会におきまして私も質問をさせていただきましたが、とりあえず名古屋市といたしましては六号線の路線免許の認可の問題があるわけです。地方鉄道法によりまして昨年の三月二十五日運輸省路線免許の申請をいたしました。この六号線といいますのは中村区役所から野並というところまでの十六キロ間の建設ということでありますが、ちょうどこの路線免許申請をいたしましてから一年になるわけであります。漏れ承るところによりますと、この路線免許の最終審査の段階に、おおむね一年ということであったわけでありますが、そろそろこの免許がおりてもいいのではないか、このように思います。名古屋市としては、でき得ればこの年度内、三月末までにぜひともひとつお願いをしたい、こういうことでございますが、この点はどうでしょうか。
  246. 杉浦喬也

    杉浦政府委員 先生いま御指摘の六号線の問題につきましては、申請がありましてから内部におきまして各般の審査を行っておりますし、また関係省庁と連絡と協議をいたしております。まだ完全にこれが終了いたしておりませんが、できるだけ早く諸問題を解決いたしまして運輸審議会への手続をできるだけ早く進めたい、こういうふうに考えておるところでございます。
  247. 柴田弘

    柴田分科員 もうそろそろ最終段階ですが、そのめどはいつですか。何月ということじゃなくて大体いつごろということで結構ですから。
  248. 杉浦喬也

    杉浦政府委員 先生いま本年度中にもというお話でございますが、ちょっとまだ、それよりも時間がかかるのではないかということでございまして、やや不明確な答弁で申しわけございませんが、期日につきましてはもう少し時間をいただきたいと思います。
  249. 柴田弘

    柴田分科員 五十六年度早々というふうに理解してよろしいですか。
  250. 杉浦喬也

    杉浦政府委員 早々ということでお答えできますればいいのでございますが、なかなかそのように明確にお答えができません、できるだけ早く審査をしたいと思っております。
  251. 柴田弘

    柴田分科員 それで、できるだけ早くお願いしたいわけでありますが、今度この路線免許の認可の後には、地方鉄道法によりまして御案内のとおり工事施行の申請、認可といくわけであります。名古屋市といたしましてはこの着工をでき得れば五十六年度中にしたい、遅くとも五十七年度にはしたいというのが要望であります。でございますから、この工事施行の認可までに半年ぐらいかかるということでありますので、これは先ほど言いました路線免許の認可というのが大事になってくるわけでありますね。だから名古屋市が言っておりますように遅くとも五十七年度の着工ということに、工事施行の認可を含めて大丈夫かどうか、ひとつこの点はっきりした御答弁をいただきたい。
  252. 杉浦喬也

    杉浦政府委員 ただいまの工事施行認可でございますが、まだ免許も出ておりません段階でございます。工事施行認可の準備はそれからであろうかと思いますし、またさらに、この路線関係いたしまして都市計画決定等の問題等もございます。したがいまして、なお工事施行の認可を得て工事に取りかかるにはかなり時間がかかるのではないかというふうな感じでございます。
  253. 柴田弘

    柴田分科員 では、工事着工はいつごろできるのですか。大体のめどでいいです。
  254. 杉浦喬也

    杉浦政府委員 五十七年度中には着工できるようにしたいと思います。
  255. 柴田弘

    柴田分科員 どうかひとつできるだけ早く免許をおろしていただきまして、遅くとも五十七年度着工できるようにお願いをいたしたいと思います。  それから、これに関連をいたしまして、この後、七号線ということになってきます。御承知のように、この七号線は上飯田から市役所を通りまして金山までの路線でございますが、名古屋市といたしましては六号線に続きまして建設できるように諸準備の促進を図っております。調査費等もつけましてやっているようでありますが、今後、いわゆるこの行政手続ですか、免許申請を含めたそういった行政手続、名古屋市と協議をいただいて対応していただくということになると思いますが、この市当局の意向に沿った対応については、運輸省としてはどのようにお考えになっておりますか。
  256. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 名古屋の地下鉄建設予定計画でありますが、これはオリンピックがもし名古屋が候補地として決定いたしましたら若干の変更もあるのではないか。そのとき懇談会に行きまして私自身が申し上げたのでありますが、名古屋のオリンピック誘致に際し、既定の計画は既定の計画とし、そしてオリンピックが決定したならばその分の計画も追加でやる、こういう考え方を変えられて、むしろ既定の計画であっても、それをオリンピックが決定すればオリンピックの計画に変更されるというぐらいの勇断を持ってオリンピック誘致に取り組まなければということを私は提案したことがございました。そのときに、当然そういうときにはこの計画変更がどうのこうのよりも着工の順位の問題として県は考えなければならぬと思うと、だから着工の順位とかあるいは一つの事業の計画の期間とかいうもののいろいろ調整が必要になってくると思う、でありますからオリンピック開催決定と同時にもう一度改めて相談をいたしたい、こういうふうに申し上げたことがございます。でございますから、この七号線の問題、八号線、あるいは予定されております検討線、こういうものについての若干の変更はあるのではないかと思うたりいたします。
  257. 柴田弘

    柴田分科員 つまり、こういうことでございましょうか。オリンピックが実現をするといたしまして、それに合わせた計画変更をしていかなければならないかもしれない。しかし、それはあくまでも昭和四十七年三月の都市交通審議会の答申に合わせた、いわゆる既定八路線の中での建設順位の変更、こういうことか、それとも八路線以外の新しい路線もオリンピックのメインスタジアムだとかあるいは選手村とか、そういうことを含めて地元と相談してやっていくというのか、この辺、どうでしょうか。これは大事なことですね。
  258. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 私は、名古屋市当局が中心となって決められた、希望しておられるいままでの計画、それを直ちに私の方から変更しろとか、あるいは改正しろということ、それは私は一言も言っておりません。そうではなくして、名古屋市並びに愛知県等が負担をしていかれるのに、あれもこれもとたくさん一遍に負担せなければならぬということになってくると大変やないか、そうすると、そこで優先順位というものとそれから工事の量というのを当然勘案されるべきではないか、そういうことから来るところの相談はぜひしてください、こういうぐあいに申し上げたのです。ですから、これは財政上との絡みと思っていただいたら結構だと思います。
  259. 柴田弘

    柴田分科員 要するに、計画いたしております八路線の中での考え方、こういうような理解でいいわけですね。オリンピックがメルボルンが辞退をしたということで実現の可能性が十分あると思います。また、決まりましたらひとつ名古屋市の交通体系、よろしくお願いいたします。  次に、航空騒音に対する施策についてお伺いをしていきたいと思うのですが、公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律第六条並びに同施行令第五条、これを根拠規定といたしまして、特定飛行場の周辺において航空機騒音による住民生活の障害の緩和に資するため「一般住民の学習、保育、休養又は集会の用に供するための施設」の建設、整備について「その費用の一部を補助することができる。」となっております。これはよく御案内だと思います。  それで、現行の運用といたしましては、いわゆるWECPNL、等価騒音量が七十以上であることを目安に運輸省が定める地域で、共同施設といいますか、学習と休養施設が、運輸省が補助を出して建設をされるということになっております。私はまた名古屋市の場合、特定に限って御質問をするわけでございますが、これがいままで名古屋市の方から運輸省の方へ全然申請がなされておりませんでしたので、いままでは補助をされておりませんでしたが、五十七年度を含めてそれ以降の建設につきまして名古屋市は検討いたしております。この等価騒音量が七十以上である地域は、名古屋市の場合、千種区と東区と北区と守山区、この四区にまたがっておりまして、その中で十四の学区が含まれる、該当している、こういうことになるわけであります。それで名古屋市もこの五月にこういった補助を受けて、そして先ほど申しましたように、五十七年度から該当学区に建設をしていくという方針を立てているわけでございますが、運輸省としてはどのようなお考えで対応されるのか、お伺いします。
  260. 松井和治

    ○松井(和)政府委員 名古屋空港につきましては、御承知のように従前は防衛庁が騒音対策を実施しておりました。五十四年度から私ども運輸省が引き継ぎまして騒音対策を実施しておる空港でございます。ただいま先生が仰せられましたように、学習と共同利用施設についての補助、これも騒音対策の一環として私どもが行っておるわけでございます。名古屋市につきましては、ただいまお話がございましたように、これまで実績がございませんでしたが、五十七年度から施設の整備に取りかかられる計画であると私ども伺っております。したがいまして、その計画されました施設がどういう位置につくられるのか、その位置が先ほどお話がございましたように騒音影響区域というものの中に含まれるのかどうか、それから、利用される対象世帯数がどうなのか、こういうものを確認いたしまして、その要件が満たされております場合には当然補助の対象にする予定でございまして、五十七年度の計画を具体的にお聞きいたしました上で五十七年度の予算要求に組み入れていきたいというふうに考えております。
  261. 柴田弘

    柴田分科員 いまの対象に該当するということはこういうことですか。補助金額は大体建設費の三分の二程度というふうに理解しておりますが、この点はよろしゅうございますね。  それからもう一点、たとえば対象世帯数が五十世帯の場合は建築床面積が延べで八十平米、補助金額が八百四十万、これが百世帯、三百五十一世帯、六百世帯以上、こうなっておりまして、たとえば六百世帯以上の場合は五百平米で七千二十万、これが補助金額であお、こういうことにお聞きしておりますが、大体こういう考え方でよろしゅうございますか。
  262. 松井和治

    ○松井(和)政府委員 仰せのとおりでございます。
  263. 柴田弘

    柴田分科員 それで現実に、地元のことで非常に恐縮でございますが、いま五十七年度建設ということをおっしゃいました。それで、この北区に如意学区というところがありまして、ここは世帯が千三百五十世帯あるわけであります。一〇〇%全部指定区域に入ります。まず名古屋市議会の方へ住民の方から請願書が提出をされまして、満場一致でこれが採択をされております用地元では、学区の建設委員会が設置をされまして、これは自治会とか婦人会とかPTAとか老人会、そういう会がつくっているわけでありますが、とにかくそういった実態で、名古屋市といたしましても、五十六年度中にこの用地を求め、そして五十七年度に建設をする、とりあえずことしの四月に大阪航空局の方へ計画書を提出したい、こういうように言っておるわけでありますが、そういうふうにきちっと該当をしておればそれを受理していただきまして五十七年度の予算要求に組み込んでいただけるかどうか、ひとつ確認の意味でお聞きしたいと思います。
  264. 松井和治

    ○松井(和)政府委員 私自身その具体的な計画の位置について承知しておるわけではございませんけれども、ただいまお話しの如意地区といいますところは、おおむね騒音影響区域に含まれるというふうに考えられますので、具体的な計画をお出しいただいて御相談いただければ、先ほど申し上げましたように、要件を具備しております限り極力予算要求に盛り込んでいきたいというふうに考えます。
  265. 柴田弘

    柴田分科員 時間もあとわずかでございますので、最後に一問、都市基幹バスの構想についてお尋ねをしていきたいと思う。  この都市基幹バスというのは、今日の省エネルギー、低公害、交通混雑の緩和並びにマイカーからのバス輸送への需要の増加を図りながら採算性の向上をねらう、いわゆる将来の望ましい交通体系の整備を行うというのがその目的であるわけであります。これは名古屋市を初め全国的な各都市から要望が強いということでありますが、名古屋市といたしましては、昭和五十五年度運輸省から都市基幹バスに関する調査委託を受けまして、年度当初、名古屋市基幹バス調査委員会を設置をいたしまして、モデル路線の検討あるいは市民意識調査の実施を今日まで行ってまいりました。それでこの基幹バス調査委員会は、検討路線として十三路線設定をいたしました。そのうちの大路線が名古屋市の基本計画、これは六十五年までの基本計画でありますが、その中に組み入れられております。最近、この二九の初めごろだったと思いますが、第三回の基幹バス調査委員会を開きまして、とりあえず三路線選択をいたしました。その三路線というのは、一つは山手通線、それからもう一つが新出来町線、そして三つ目が東効線、この中から昭和五十六年一路線選定をいたしまして、いわゆるモデル路線として走らせよう、こういう計画を出しているわけであります。これにつきましては、運輸省予算の概算要求といたしまして一億三千八百万円の予算措置がなされておるわけでありまして、名古屋市の単費も含めまして総事業費二億七千六百万、これで一路線走らせる、こういうことであります。  それでお尋ねをしていきますが、一つはこの名古屋市が全国で初めてのケースであります。このモデル路線が成功すれば、将来運輸省としてはこの計画を全国的に広げていくお考えであるのかどうか、あるいはまた名古屋市の基本計画に沿って、このモデル路線が成功すれば、そういった方向へのバス路線の拡大というものを図っていく考えがあるのかどうか、この二点をまずお伺いをしたいと思います。
  266. 飯島篤

    ○飯島政府委員 都市基幹バスにつきましては、その目的はまさに先生がいま御指摘になったとおりでございます。具体的には、名古屋市内のバス路線のうち都市交通体系の骨格を形成するバス路線のうちから一つ路線を選びまして、バスの専用レーンを設けまして運行回数をふやす、そのために車両、それも相当いい車両を用意する、それから停留所、これもシェルターつきあるいは電照式ポールの施設の停留所を整備する、その費用につきまして国がその二分の一を補助することとしているものでございます。  今後の方針でございますが、何分新しい構想でございます。五十六年度名古屋市で行われますモデル事業の実施の状況、補助の効果及び将来の財政負担等を十分検討しながら対処してまいる考えでございます。
  267. 柴田弘

    柴田分科員 とりあえず五十六年度のいわゆる一路線についての補助要綱というのを大蔵省との間で協議をしていただいて、まずつくっていただく、こういうことになると思うのですが、この点どうでしょうか。
  268. 飯島篤

    ○飯島政府委員 補助金の交付要綱の策定に当たりましては、名古屋市におけるモデル事業の実施に支障の生じないよう今後大蔵省と十分協議しながら適切に作業を進めてまいりたいというふうに考えております。
  269. 柴田弘

    柴田分科員 時間が参りましたので、終わります。ありがとうございました。
  270. 海部俊樹

    海部主査 以上で柴田弘君の質疑は終了いたしました。  次に、岩垂寿喜男君。
  271. 岩垂寿喜男

    ○岩垂分科員 最初に、昭和五十六年度予算案における港湾環境整備事業、港湾環境整備の問題を中心にしてきょうは伺いたいと思います。その予算だとか国の政策的重点についてお述べをいただきたいと思います。
  272. 吉村眞事

    ○吉村(眞)政府委員 お答え申し上げます。  昭和五十六年度の港湾整備事業の予算案につきましては、総事業費で約四千四百三十二億円程度の規模を考えて実施をいたしたいというふうに考えておりますが、このうち環境整備関係の事業につきましては、事業費でおよそ五百億円を実施することと考えております。  内容を具体的に申し上げますと、海水の油濁防止施設の整備事業それから港湾公害防止対策事業、港湾環境整備事業及び海洋環境整備事業、それから海洋環境整備パイロット事業等に係る実施設計調査を行う予定でございます。特に海域の底質浄化を図るために海洋環境整備パイロット事業を実施いたしておりますが、これは瀬戸内海、伊勢湾海域に続きまして、昭和五十六年度には東京湾においても新規に着手をいたす予定でございます。
  273. 岩垂寿喜男

    ○岩垂分科員 いま一番最後に述べられた海域の底質浄化は、非常に重要な課題だろうと思うのです。海を取り戻す、とりわけ内海や内湾における浄化ということは、底質問題を抜かしては論ずることができないほど深刻だと私は思いますが、港湾局はそれに対する取り組みをどんなふうにお考えになっていらっしゃるか、まずそれをお伺いをしておきます。
  274. 吉村眞事

    ○吉村(眞)政府委員 海域の底質浄化が大変必要であるという点につきましては全くいま先生御指摘のとおりでございまして、この底質を浄化して二次的な汚染を防ぐということがきわめて重要であると考えております。従来から瀬戸内海、伊勢湾等におきまして実施をいたしておりますが、これに加えて東京湾も今回考えようとしておるわけでございます。  こういった閉鎖性の海域におきましては、赤潮の発生原因の一つとしてこの底質の問題が考えられております。底質が悪化いたしました結果、富栄養化をいたしまして、陸からの汚染物質の流入とともに、底にたまったものからの富栄養化が赤潮の原因になるというような点も考えられておりますので、これを処置するということが大変重要だと考えておるわけでございます。  それで、流入の負荷につきましては各種の法規制等がございますが、海底の汚泥からの溶出負荷を削減いたしますためには今後どういう対策が有効であるかというようなことを十分に研究いたしまして対策を講じていかなければならないというふうに考えております。  そのために運輸省におきましては、溶出負荷を削減するための対策をいろいろ考えまして、一つは汚泥を除去する方法、あるいは汚泥の上を良質の土砂によって覆土をいたしまして、きたない汚泥を覆ってしまう、そういった方法に係ります実施設計調査を実施をいたしておるわけでございます。  以上でございます。
  275. 岩垂寿喜男

    ○岩垂分科員 少し遅きに失するという面もあるわけですが、いままでどんな対象で、予算はどのくらい使ってきたのでしょうか、それをちょっと教えてください。
  276. 吉村眞事

    ○吉村(眞)政府委員 底質浄化のための実施設計調査は、昭和五十四年度に大阪湾及び広島湾において開始いたしまして、その後昭和五十五年度に伊勢湾及び周防灘で始めております。  金額の実績について申し上げますと、大阪湾については五十四年度に着工いたしまして、現在までに三億円の事業を行っております。広島湾も同じく五十四年度に開始いたしまして、三億五千万円を投入いたしました。周防灘は五十五年度に始めまして、五千万円の調査を行っております。伊勢湾も同じく五十五年度に始めまして、一億円の調査をいたしまして、合計で五十四年度から現在まで八億円の調査を実施いたしております。
  277. 岩垂寿喜男

    ○岩垂分科員 広島の呉の先でおやりになったそうなんですが、これはパイロット事業になりますね。これの実績はどんなふうになっているか、ちょっと細かく教えてくださいませんか。今後この問題は非常に重要視しなければならない問題だと私は思いますので、ぜひひとつ親切に御答弁をいただきたい。
  278. 吉村眞事

    ○吉村(眞)政府委員 広島湾におきましては、昭和五十四年度以来ただいま御説明しました実施設計調査を実施いたしております。  内容は、呉の地先の海域において、現在海底に堆積して周辺の水質あるいは生物相に悪影響を与えております汚泥を、その上に良質の土砂をまくことにより汚泥の上を覆ってしまって汚泥を封じ込めることによる海洋環境の改善効果についての検討をいたしておるものであります。  これまでの実施は、総額については先ほど申し上げたとおりでございますが、五十四年度に一億五千万円を投入いたしまして、五十五年度は二億円を実施しております。いずれも試験工事でございまして、工事を行いました後の周辺環境の改善効果についても追跡調査を実施するという目的で事業を行っておるわけでございます。  現在までにやりました試験工事の浄化の効果について御説明申し上げますと、現在まだ調査を実施中でございまして完全に最終的な判定が出たというところまでまいりませんけれども、覆土いたしまして汚泥の影響をなくした区域においては、そこのどろからのCODあるいは燐等の溶出が低下しておることが認められております。また、生物相が回復をいたしまして、いなくなった各種の生物がまた帰ってきているという傾向が観察されております。
  279. 岩垂寿喜男

    ○岩垂分科員 覆土というのはどのぐらいの層をつくるのですか。  それからもう一つ、汚泥というのは、吸い上げるときどうしても拡散しますね、そういう問題点というのはいままでのテストの中ではやっておられませんか。
  280. 吉村眞事

    ○吉村(眞)政府委員 覆土の厚さは三十センチから五十センチぐらいの厚さで覆土をいたしております。  それから、吸い上げるときの拡散を防ぐ方法についても調査をいたしておりまして、これはしゅんせつをいたしますときの機械の改良でございますとか拡散を防ぐための幕をたらす方法でありますとか、いろいろ実施いたしております。
  281. 岩垂寿喜男

    ○岩垂分科員 これは水俣でもそんなことの取り組みを長いことやってきているわけですから、そういう経験やら技術上の問題点やらを総合的にとらえながら効果的な対策をぜひ進めていただきたいと思うのです。赤潮の発生原因といったところがやはり底質汚泥に非常に大きく影響されているのじゃないかという考え方があるわけですから、これはもう東京湾、瀬戸内海あるいは伊勢湾と言わず、内湾、内海についてぜひ積極的な手だてを講じてほしい。  お伺いしますが、東京湾がちょっとおくれていますね。ことしからパイロット事業に取り組むわけですか、その方向をどんなことをお考えになって予算措置をおとりになったのか、御報告をいただきたいと思います。
  282. 吉村眞事

    ○吉村(眞)政府委員 東京湾につきましては、湾の奥の方でございますとかあるいは湾の中央部等にかなり広く汚泥が堆積しておることが現在までの調査で判明いたしております。それで既存の、これまで数年にわたってやってまいりました調査の結果によりますと、堆積汚泥の厚さ付最大では一メートル五十ぐらいの厚さまで達しておるところもございます。こういった多量の汚泥がたまっておりますので、これを何とかしなければならないというふうに考えておるわけでございまして、底質の汚泥が堆積した結果、化学的酸素要求量、いわゆるCODでございますが、これは湾の奥で平均して三十ミリグラム・パー・グラム、それから多摩川の沖合いでは五十ミリグラム・バー・グラムに達しておる状態でございます。  それで、これを何とかしなければならないということで来年度から予算措置をするということにいたしたわけでございますが、この実施設計調査のやり方について申しますと、東京湾では、数年間にわたりまして数ヘクタール程度の海域につきまして試験的に、これは覆う方ではなくてしゅんせつのやり方でその効果を把握するための各種の調査を行うことといたしたいと考えております。  その実施設計調査を行います場所でございますが、これは厚くヘドロがたまっております湾の中央部付近を予定をいたしたいと考えております。
  283. 岩垂寿喜男

    ○岩垂分科員 そのスケジュールですけれども、パイロット事業をやった後、効果があると結論が出ているわけですから、それをもうちょっと広げていくというような手だてについて東京湾でお考えになっていることはございませんか。
  284. 吉村眞事

    ○吉村(眞)政府委員 現在実施いたしておりますのはパイロット事業に至るまでの実施設計調査ということで、先生御指摘のように、すでに他の地域では多いところでは二年にわたる経験がございます。しかし、先ほどもちょっと触れましたように、まだその効果を完全に最終的に判定するところまで至っておりませんので、なお数年にわたりましてこの実施設計調査をやって最も有効な対策というものを見つけ出しまして、これは恐らくそれぞれの場所によってどの対策が一番有効かというようなことが違うことになるかと思いますので、それを見つけ出した上で今度はパイロット事業に移行をしてまいりたい。パイロット事業をやった効果によりまして、また今度は全面的にとるというようなこともあるいは考えなければならぬというようなことになろうかと思います。
  285. 岩垂寿喜男

    ○岩垂分科員 大臣にお願いしたいのです、及ばずながら私、自然保護議員連盟の幹事長をやっているものですから、やはり日本の内陸、内湾の自然を取り戻していく、浄化をするということは非常に大きな政治課題だと思うのです。だけれども、汚してしまったものを片づけるのですからなかなか予算もとれないのじゃないだろうかと思うのです、私どもできるだけ応援をしていくつもりですが。別に差別をされたとは思いませんが、瀬戸内海の方が先で東京湾が一番おくれているわけですけれども、この政策にぜひひとつ大きな御努力を願いたいということと、それからもう一つは、積極的にパイロット事業をやらざるを得ないし、その延長線上で考えていらっしゃると思う。だから、実際にそれをやっていく場合に東京湾もおくれを来すことのないように積極的な手だてをお願いしたい。このことをお願いをしておきたいと思うのですが、御答弁をいただきたいと思います。
  286. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 瀬戸内海が先行いたしましたのは、御承知のように瀬戸内海沿岸は漁業で食っている漁村が相当あったもので、その方々の生活権益を守るというところから瀬戸内海の浄化ということが叫ばれて、それに対しまして瀬戸内海沿岸の十一府県の知事が一致結束してやった。それは非常に成功したように私は思うのです。ところが、東京湾の方は、言っては失礼でございますけれども、わいわい騒ぐ人といいましょうか、生活に余りぴんとこなかったもので、そこへ港湾優先というようなことで港を港湾として使っておった、そこらがあったと思うのです。しかし、最近これが非常に問題になってまいりまして、先ほど来、局長の説明しておりますパイロットをやっておりますが、これは私は知事とも約束しておるのです。東京都知事それからこの前も横浜の市長も来て約束しておりますのは、港の環境の整備も結構だけれども、こういうこともぜひひとつやってもらいたい。廃棄物処理場、東京もいずれ広域廃棄物処理をしなければならぬ、埋め立て計画もございますが、そういうときなんかも、あわせてこのパイロットの推進をお願いしたいということで、知事も非常に熱心でございますので、私らもそれに相呼応してやっていきたいと思っております。
  287. 岩垂寿喜男

    ○岩垂分科員 いまのことはそれで……。きょうは私は運輸省をやや激励する質問をしたようなかっこうになっているのですが、ぜひ積極的な努力をお願いしたいと思うのです。  いま横浜のことで大臣の御答弁があったので、横浜の金沢地区海の公園構想が市当局から発表されていますね、相当な規模の臨海緑地公園を整備するということなんですが、これは運輸省としてはやはり積極的に取り組んでもらわなければならぬと思うのです。ついでで大変申しわけないのだけれども、ぜひその方向を明らかにしてもらいたい。
  288. 吉村眞事

    ○吉村(眞)政府委員 港湾におきまして緑地等の整備をいたします港湾緑地等整備事業でございますが、これは港湾の環境の維持改善にとってのみならず、港湾を取り巻いております、その地域の周辺住民の方々が港湾及び海とよく触れ合っていただく、そういった意味の要請に対応する観点からいたしましても大変重要な事業であるというふうに理解いたしております。  中でも、東京湾岸の諸港におきましては、これはいわゆる大都市圏港湾でございまして、本事業の必要性が一段と強いものと理解をいたしております。したがって、このような認識に基づきまして、来年度から発足を予定いたしております第六次の港湾整備五カ年計画におきましても、従来に引き続きましてこの事業を積極的に対応して実施してまいりたいと考えております。  御指摘いただきました横浜港の金沢地区における海の公園構想、これは相当大規模な臨海緑地の構想でございますが、地元横浜市の要望も大変強いことを承知しております。運輸省といたしましても、横浜港の港湾計画の変更をいたしまして、そして第六次の港湾整備五カ年計画の策定作業を通じて所要の検討をしてまいりたい。まだ変更ということを検討いたしております段階でございますので、先生の御指摘も十分に踏まえて検討さしていただきたいと思っております。
  289. 岩垂寿喜男

    ○岩垂分科員 ついでで恐縮ですが、いまの東京湾の予算は新年度でどのくらいつくのですか。肝心なことを聞くのを忘れました。
  290. 吉村眞事

    ○吉村(眞)政府委員 東京湾パイロット事業の実施設計調査は、初年度五千万円でございます。
  291. 岩垂寿喜男

    ○岩垂分科員 港湾関係はそれで終わります。  国鉄総裁、お忙しいところ、どうも申しわけございません。実は去年、湘南電車と横須賀線が分離されましたけれども、横須賀線はともかくとして、湘南電車の方の混雑というのは余り変化がないという実感を持っているわけなんです。国鉄は分離運転後に実態を調査したことがあるのかどうか、それに対する対策を、いまお考えになっていることについてお述べをいただきたいと思います。
  292. 橋元雅司

    ○橋元説明員 お答え申し上げます。  改正後、二度にわたりまして調査を実施いたしました。第一回目は十月の十三、十四、十五の三日間でございます。二度目には十二月の九、十、十一日の三日間、再度調査をいたしました。  その結果の数字を御報告申し上げるわけでございますが、東海道線につきましては、従来、改正前は二九一%でございましたが、改正後は二五六%になっております。それから横須賀線は従来、改正前三一一%でございましたが、改正後は二一三%になっております。  先生御指摘のように、私ども予想いたしておりましたよりは東海道線の方の混雑度の緩和がどうも多少手ぬるいという感じがございます。  その原因として考えられますものは、まず第一に、やはりどうも東京までの運転時分の差がございます。大船−東京間で、東海道線は五十分でございますが、横須賀線は五十五分ということで五分間の差がございます。それから東京地下駅の立地条件の問題、これもかなり大きな要因であろうかと思います。しかし一番大きな要因として私ども考えておりますのは、やはり従来混雑するということで多少朝早目に出られる、あるいはラッシュを避けて多少うちをゆっくり出られるといった方々がこのラッシュの時間にむしろ予想以上に集中されたということがあるように考えております。  そういった実態をよく分析をいたしまして、一方、横須賀線の方への御利用に誘導すると申しますか、そういったことをあわせ考えまして、東海道線の混雑度を少しでも緩和するように、目下勉強を急いでいるところでございます。できるだけ早く具体的な案を御案内できるようにいたしたい、こう考えておる次第でございます。
  293. 岩垂寿喜男

    ○岩垂分科員 横須賀線の逗子とまりというやつですね、これは逗子以遠の横須賀市民などになってみるとやはり切り捨てられたという感じですよ。大変不便になっています。これじゃ京浜急行の方が便利ですから、ますます国鉄離れということになってしまうと思うのです。これは地方自治体なんかからも、横須賀行きあるいは久里浜行きというようなダイヤの編成をお願いしたいというふうに出しているのですが、将来そういう具体的な検討をなさっていらっしゃるのか、それから可能性があるのかどうか、ぜひひとつ御答弁をいただきたいと思います。
  294. 橋元雅司

    ○橋元説明員 先生御指摘のような御批判をいただいておりまして、改正前までは横須賀まで直通いたしておりました電車が、改正後は、ホームは同じでございますが逗子で乗り継ぐということになりまして、多少とも御不便をおかけいたしておるわけでございます。  この理由は、先生承知のように、十一両編成でございましたものをデータイム十五両の編成で総武線方面、成田あるいは木更津方面へ電車を運行するということにかかわることでございまして、逗子駅でのデータイムで分割併合の要員をそれだけ張りつけることがどうしてもできないといった事情がございまして、そこでその辺をこれからどうするかということで、これもそういった御批判を念頭に置きまして、いろいろ需要の実態でございますとかそういったものもよく精査をいたしまして、よりよい工夫と申しますか知恵がないかということで鋭意勉強いたしております。これもできるだけ早く具体的な案をもって御案内を申し上げたい、こう思っております。
  295. 岩垂寿喜男

    ○岩垂分科員 全部というわけでなくても、車両ごとにそっちまで持ってくることは技術的に不可能じゃないのです。私もその辺よくわかっています。だから、朝から晩まで全部そこまで行けということは申しませんけれども、できるだけ本数を多くやるようにしていただけるというふうに考えてようございますか。
  296. 橋元雅司

    ○橋元説明員 おっしゃるとおりでございまして、そういった編成をうまく使いまして、できるだけそういう御趣旨に沿うようにいたしたいと思っております。
  297. 岩垂寿喜男

    ○岩垂分科員 これは逗子以遠だけでなしに、今度は定期券の発売というのを集中するそうですね。どこの駅でも売らないというのですよ。たとえば鎌倉とか横須賀とかという大きな駅でしか売らないというのですよ。これではますます切り捨てという感じでしかないのです。私はそういう差別をするのはけしからぬと思うのですが、この点はぜひそんなことのないようにお願いをしたいと思いますが、いかがでしょうか。
  298. 橋元雅司

    ○橋元説明員 ちょっと私はその事情はつまびらかでございませんが、よく調査いたしまして、そういったことのないようにいたしたいと思います。
  299. 岩垂寿喜男

    ○岩垂分科員 最後になりますが、これはちょっととっぴもない質問なんですけれども、私は川崎で乗るのです、そして、乗客に言われたのですけれども、横浜あたりから来ますと急行がとまる駅は同じなんです。それからスピードも大体同じです。だから急行へも乗れるようにしてもちっとも国鉄は損にならないじゃないか、こういうふうに言われたのです。私はそのときには国鉄立場で、何か事情があるのだろうというふうに言ったのですが、別に車両が新しいわけじゃないし、同時にラッシュの時間というのは、急行は通りませんから、そういう意味では急行料金というものをあそこで取るというのはちょっと実際問題としての効果がないという批判もございます。国鉄の代弁をしておいたのですが、その説得力が決して十分でございませんで結局やり込められた形になってしまったのですが、これは合理的な理由というのはあるのですか。
  300. 橋元雅司

    ○橋元説明員 これは、そもそも先生に急行列車とはということを申し上げるつもりはございませんが、事実、上りの通勤時間帯の場面でそういった御感想をお持ちになるのは当然のことだと思っております。事実、車内で乗務員がかなり一生懸命そういった問題を規正してあるいは増収に励んでおるわけでございますが、いろいろ私ども制度的に勉強いたしておるのですが、なかなか実態になじまないということで、ちょっと困惑をいたしております。類似の線区としては、たとえば上野と大宮の間あるいは新宿と立川、八王子というようなところもそういった問題がございまして、うまい知恵がないかなということで頭をひねっているところでございます。
  301. 岩垂寿喜男

    ○岩垂分科員 これは説明もできないのですよ。時間は同じ、車両もだんだんよくなってきたからいい、とまる駅も同じというのですから、それならいっそのこと川崎あたりから、あるいは横浜あたりから、ラッシュの時間じゃないのですから乗せたっていいじゃないかというのが率直な気持ちなんです。いま常務もおっしゃったように、合理的な説明ができない。あなたもできないわけですから私ができるはずないのですけれども。こういう問題点というのは、制度の問題と言ってしまえばそれまでですが、やはりそういう実情に応じた対応をできるようにぜひ御指導願いたい、このように思うのです。総裁、せっかくお見えですから、一言それじゃひとつ御答弁をいただいて、終わりたいと思います。
  302. 高木文雄

    高木説明員 横須賀線と東海道線の分離につきましては、ずいぶん長い時間かかりまして、関係住民の方々にもいろいろ御迷惑をおかけしたわけでございますが、結果としてサービス向上が余りうまくいってないじゃないかという御批判を昨年十月のダイヤ改正以来いろいろ受けております。その一つが東海道方が思ったよりも大変混雑が緩和しないという問題であり、また二番目の問題が逗子と横須賀の間の問題であり、そしていまお触れになりました川崎なり横浜なりの問題、そこらに大分集約されているようでございます。何分全然別の線でありました横須賀線と総武線が一本になった、これはある意味ではその線を東京駅をまたがって御利用の方々には喜ばれておるわけでございますけれども、いまいろいろとお触れになりましたようなデメリットも伴ってきております。これにつきましては、現実にお客様の流動がどうなるかということについての予測がある程度はつきましても、実際やってみなければわからぬということがあったものですから、率直に言って私どもも思ったほどでない面がいろいろ出ておりますので、これにつきましては、担当常務がただいま御答弁申し上げましたように、少しでも早く対応策をとるべく、いま中でいろいろ勉強いたしておりますので、そういう利用者の方々の御意見がございましたならばいろいろな機会にお寄せいただきますことをむしろ私どもお願いをいたしまして、それに対応して措置をとってまいりたいというふうに考えます。
  303. 岩垂寿喜男

    ○岩垂分科員 最後に一つ、時間ですから申し上げますが、騒音振動の問題が横須賀でちょっと問題になっていますので、これはもうできるだけ積極的に取り組んでいただきたい。  総裁はわざわざお越しいただかなくてもいいと言ったのですが、律義に御出席いただいたことに感謝しております。ありがとうございました。
  304. 海部俊樹

    海部主査 以上で岩垂寿喜男君の質疑は終了いたしました。  次に、上田卓三君。
  305. 上田卓三

    上田(卓)分科員 大阪の城東貨物線を複線電化し客車化して大阪外環状線を建設する計画は、沿線住民、自治体の三十年来の悲願であったわけでございます。一九七一年に都市交通審議会で大阪東部の生活交通路線として社会的必要度の高い新設すべき路線として答申されてからはや十年が経過いたしたわけでございます。その間、沿線の市街化、産業と人口の集中は一層進みまして、環状線計画の実現はますます必要となってきた、このように考えておるわけでございます。三年前にこの問題で質問をさせていただいた際に、国鉄高木総裁から、他を差しおいてでも必ずやる、こういうありがたいお言葉をいただいたわけでございます。それ以来計画は具体的に進み始めたわけでございまして、昨年の十二月に技術調査委員会の報告が発表されまして、十九・五キロに及ぶ新大阪から上の第一期工事計画が固まりまして、地元自治体も一応まとまったわけでございます。今度は国鉄がこれにこたえる番ではないか、このように考えておるわけでございまして、この三月上旬にも事業認可申請に向けた準備が整うやに聞いておるわけでございますが、国鉄高木総裁の決意のほどをまずお聞かせいただきたい、このように思います。
  306. 高木文雄

    高木説明員 当委員会で過去においてもお尋ねをいただきお答えを申し上げたわけでございますが、当時申しておりましたのは、何よりも都市側との調整の問題がたくさんございます、これを進めることが必要だと申し上げたわけでございますが、いまお触れになりましたように、そうした問題を中心にして技術委員会での検討が行われました。ようやくにして中間答申といいますか、中間報告といいますか、そういうものがまとめられましてわれわれもそれを拝見することができるようになってまいりました。大変御同慶と存じております。  今後の問題といたしましては、もう少し経営的な面でどう考えたらいいか、具体的には輸送需要の推計といったような面、つまり、ハードの面はほぼまとまってまいりましたので、今後の問題としては、輸送需要の推計をいたし、そしてどんな輸送計画になろうかということによりまして経営的な判断の段階にいよいよ入ってまいったわけでございまして、当然こうした投資は最初は投資額を償うだけの収入は上がってこないわけでございますけれども、一体どのくらいの期間たてば投資を回収させていただけるような状態になるかというような計算をしてみまして、そして他のもろもろの投資計画と対比をしながら私どもの決断、判断をいたしまして、そうしてこれを大臣の方にお持ちをする、認可申請をお願いするということになろうかと思っております。これは何しろ長いお話でございますし、関西の関係の各位から非常に強く御要請もあるわけでございますので、計算のいかんにもよりますけれども、これをなるべく早く整備し、方針を決めるということにいたしたいと思います。ただ、今日の段階におきましては、ただいま三月というような日にちを御指定でございましたけれども、何月何日ごろまでにこれをまとめ得るということまではまだこの場でお答えできませんのは残念でございますが、気持ちとしては、前々から申しておりますように、なるべく早く整備をして方針を決めて、そして運輸省の方にお願いに出たい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  307. 上田卓三

    上田(卓)分科員 これは地元三十年の悲願でございますし、答申が出てもう十年ということで、何を差しおいてもということで、総裁は特に大阪はよく御存じの方でございまして、採算の問題もお話に出ましたが、私は、必ずこれは採算がとれる、このように思っております。特に大都市圏というだけじゃなしに、あの沿線は非常に人口がふえておりますし、そういう点では間違いなかろう、私はこういうふうに思っているわけで、安心して事業認可申請をされても、地元大臣、塩川先生もおられるわけでございますので——私も三月上旬ごろというように聞いておったわけですけれども、何かそうでもないようでございますが、何月何日ということでないにしても、この前後に早急に出していただくというふうに理解していいですか。
  308. 高木文雄

    高木説明員 いま大変つらいことになっておりますのは、いわゆる赤字対策、再建対策ということで、全体として新しい投資を多少抑制ぎみにすべきだ、つまり、借入金の金利負担が私どもの経営全体に大きくのしかかっておるということから、投資を抑制ぎみにすべきだという基本論がございます。そのことと個別個別の線区をどういうふうに新しく手をつけていくかということを調整することにいろいろ問題があるわけでございまして、気持ちといたしましては、数年前にお答え申しましたように、他に優先してこれをお願いしなければならぬとは思っておりますが、なおかつ難関は、投資計画全体との調整の問題でございますので、せっかく重ねてのお尋ねではございますけれども、いつごろというところまではちょっとまだきょうの段階では申しかねる、しかし、優先的なプロジェクトであるというふうには考えておるということでお許しをいただきたいと思います。
  309. 上田卓三

    上田(卓)分科員 新線じゃないわけでして、すでに貨物線が走っておるわけでございまして、それを複線電化をするわけでございます。用地買収も大半が終わっておる。あと三カ所、ちょっとネックがあるようでございますが、これも地元の自治体が先行取得も含めて協力的な姿勢をとっていただいておりますし、来年度予算で東大阪の俊徳から加美まで連続立交事業の調査費がついておることも御存じだろうというふうに思うわけでありまして、大体地元条件は全部終わった、あとはもう総裁の、はい、わかったということで塩川運輸大臣に事業申請するということでございます。ただ、まあ採算の問題も含めて、これは非常に大事なことでありますから、それは十分——これは本当は検討はもう終わっておらなければいかぬ問題だと思うのです。長年の懸案なんですから。そういう点で、いま何年何月ということは言えないということでございますが、早急に他を差しおいても——これは二言ないと思うのです。その気持ちは変わりないだろうと思うので、そういう点で、来月ということでないにしても、この春をめどに、ぜひともひとつ結論を出していただくようにお約束願えますか。
  310. 高木文雄

    高木説明員 私どもも、これは余りにも前からの案件でございますので、御趣旨を十分体して取り組んでまいります。
  311. 上田卓三

    上田(卓)分科員 この問題に対して、運輸大臣の塩川さん、ひとつこの事業は非常に大事なことで、いろいろわれわれがともに主張してきたことだと思うのですが、一番適任の立場におられるわけですので、明確に言っていただきたい。
  312. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 もう、おっしゃるように一刻も早くこれを決定したいと思っておりまして、それがためには何としても国鉄から申請書が出てこなければなりませんが、この申請書を一刻も早く出すように、要するに先ほども言っております収支計算とそれから資金の配分との関係、これを一層詰めさすように、急いで詰めさすようにいたします。
  313. 上田卓三

    上田(卓)分科員 ここで問答するわけにもいかぬかと思いますが、ひとつ塩川大臣と総裁と相談して、地元の長年の懸案を一刻も早く解決していたたくように。そして、大阪は非常に放射線状の交通網はあるのですけれども、同心円状のそういう環状線が不足しておるわけでございますので、どうかひとつ、ぜひともその点について御留意をいただきたい、このように思います。非常に不満なのですけれども次に進ませていただきます。  関西新空港をめぐる最近の動きを見ておりますと、何か運輸省の一人歩きというのですか、そういうものがちょっと目立って仕方がないように、私自身そう思っておるわけでございまして、先ほどの城東貨物線と同じだとは私は申し上げませんけれども、当然地元の出身大臣として大いにハッスルする、熱意を燃やすということは、これは非常にそのお気持ちはわかるわけでございますけれども、しかし、政府内部でも、大蔵省が航空計画の建設的見直しを唱えたり、あるいは関係省庁の足並みがちょっとそろっておらないのじゃないかというようなことで、地元関係者も非常に心配をしている、こういうことでございます。成田の二の舞は避けようと、こういうことで、やはり新空港については、十分政府内部を固めて、そして地元協議をするということが一番大事ではないかと、このように私は思っておるわけでございます。ところが、新空港の可否というのですか、そういうものもまだ決まっていないような段階で、その可否判断のためのいわゆる三点セットといいますか、空港の本体の計画、あるいは環境影響評価、アセスメント、それから地域整備計画、この三つがあるわけでございますが、これがまだ十分政府案としてまとまっていない。こういうような状況で、五十六年度予算で着工を前提としたところの調査費の予算が要求されておるわけでございまして、そういう点で、もっとやらなければならない仕事がまだあるのではないか、まず、政府内部の統一というのですか、意見調整ということが一番大事だ、こういうふうに思うわけでございます。何か二月十四日の予算委員会大臣は、四月から五月ごろには運輸省案だけでも示して地元と予備協議に入りたい、こういうようなことをおっしゃっておるようでございますが、この予備協議とは一体何なのかということで、地元の方々は、やはり少なくとも政府案というものがまとまって、これなんだということで、それを一つのたたき台にして地元協議することはいいのだけれども、何か運輸省案だけで先走りするということで、後からまた変更になったらどうするのかということで非常に心配されておるわけでございまして、そういう点で大臣はどのようにお考えなのか、ちょっとお聞かせいただきたい、このように思います。
  314. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 御承知のように、この関西空港案は地元にとりましても非常に強い要望で、長年の要望でございましたし、また国としても、十年、十五年の先を見通してみますと、国際空港がもう一つ関西になければならぬということは当然の意見であろうと思っております。ところが、この航空審議会に答申いたしましてから結論出るまでがなかなか年月がかかりまして、やっと九年目に最終答申が出たのでありますが、これが出た昨年はまた財政再建の元年にぶつかるというような、非常に悪いときに答申が出ました。したがって、いまの財政状況から申しますと、こういう巨大なプロジェクトを安易に認めるということは、いわば一般の公共事業を引き締めにかかっておる財政当局としてもなかなか心理的につらいところだろう、これは私らも察するのです。しかし、このプロジェクトは十年、十五年先を見越したものであり、その準備過程というものは非常に長い年月をかけて十分に地元との協議もしなければならぬ。そうするならば、いま発足することが遅いの早いのという議論ではなくして、十分な時間をとって協議するというその意味から申しましても、いまやはり始めるべきであろう、こう思いまして、私はとりあえず地元との協議を進めたい、こう思っておるのです。  ところが、これに対しまして政府全体として、やはり財政関係あるいは国土庁を中心といたします。辺整備、こういうものも十分煮詰まっておりません。ですから、政府案であるということではこれはまだ協議に入れない段階だと思うのですが、しかしながら一方、政府案がまとまってから地元協議いたしますと、そのこと自身が協議の過程で政府あるいは地元もお互いにこだわるのではないか、こだわり過ぎてはいかぬ、これは率直に相談をするのが一番いい。そうすると、運輸省が中をとって地元政府案を固めるまでの間の調整をしていくのが一番いいのではないか。そのための素材となるもの、これは何かと言えば、現在運輸省が計画しております空港建設計画とそれから環境評価あるいは運輸省立場考えている周辺整備、そういうものを一応たたき台として出して、それで地元からいろいろな協議要件等は追加されてくると思うのです。そういうものを持ち帰って検討し、政府内で意見の交換をし調整して、またその案を地元に提示する、そういう押し固めをしていくのも一つのやり方ではないかと思っております。そうしてお互いが協議項目が決まり、協議の中身も決まってまいりました段階で、政府政府として政府案の取りまとめにかかって再度地元に正式に協議をいたしたい、こう思っておる次第です。
  315. 上田卓三

    上田(卓)分科員 まあ国土庁だけじゃないですが、関係する省庁の中にも、いわゆる運輸省の本体計画がまだ正式に決まっていない、そういう段階で整備計画などまとめようがないじゃないか、本体がまだ決まっていないのだから、こういうような意見もあるやに聞いておるわけでございまして、やはり政府一体となった三点セット、これを確立することがぜひとも大事だ。その中心運輸省であることは間違いないわけでございますが、どうですか、政府案はいつごろできるのですか。運輸大臣とそれから国土庁の方お見えだと思いますので、ひとつお聞かせいただきたい、このように思います。
  316. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 正式に政府案をまとめて協議するのはいつごろか、ちょっと私、見当つきませんが、予備的な協議というものはできるだけ円滑にかつ早くやりまして、それを政府部内に持ち込んで政府部内の調整を終えて正式に協議いたしたい、こう思っております。
  317. 平野侃三

    ○平野説明員 国土庁といたしましても、近畿圏整備の観点から積極的に協力してまいりたいと思っておりますが、現在の状況では事務的な打ち合わせをしている段階でございます。
  318. 上田卓三

    上田(卓)分科員 政府に聞くと何かめどが立たぬということで、そういうことで運輸省案だけで地元と事前協議すると言ったって、恐らく地元自身が、そういう不確かということはないにしても、政府案でないのだから、そういう点は私ちょっと走り過ぎているような気がしないでもないわけで、それは気持ちは私わかりますよ。しかし、いま大事なことは、その運輸省案というものを各省庁とやはり協議して政府案にまずまとめていくということの方が大事じゃないか。当然地元地元でいろいろ関係市町村協議したり、住民団体の方でも、こういうものはこうしてほしいという要望はもうすでに大臣の方にも入っているのじゃないかと私は思いますので、そういう点で政府の統一した案を早急にまとめられるということがやはり地元の人たちの願いではないか、こういうように考えておるわけであります。  それと同時に、準備案にしても、当然、事前協議、準備交渉もそうでございますが、やはり地元にいろいろ意見もあるわけですから、先ほど成田の二の舞にならないようにということを申し上げましたように、十分地元の自治体あるいは住民の方々と話し合いをしてまとめていく、これが民主主義のルールだと思うわけでありまして、見切り発車とか強権的にやるということは大臣考えでないでしょうね。どうですか。
  319. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 拙速に走って見切り発車するということは、私はするつもりはございません。したがって、予備的な相談をいたします段階で十分そういうことの協議を、どういうかっこうで調えていけばいいかということの問題もあわせて相談いたしたいと思っています。
  320. 上田卓三

    上田(卓)分科員 新空港の問題に関連して現空港の問題も大きな問題があるわけでございまして、一九七四年に大阪空港の周辺整備機構が発足したわけでありまして、その間約二千億円の予算が周辺整備という形でつぎ込まれておるようでございます。防音工事とか移転補償などをやられておるようでございますが、たとえば対象地域のうちで、一万六千世帯のうち二千世帯はすでに移転した、こういうふうに聞いておるのですけれども、ところが移転したにもかかわらずまだ別途二千世帯ほどがこの地域に住まいをしている。同じ場所という意味じゃなしに、その周辺に住まいをされておる。そういう点で、この効果が全然上がっていないというようにも聞いておるわけでございます。金網を張って、本当に虫食い状態になっておるようでございまして、特に大阪府や豊中市などが要望しておりますところの航空機騒音防止法の一部の改正、あるいは都市計画事業への繰り入れなどの改善策についていろいろ御要望があると思うのでございますが、その点について運輸省としてどう考えておられるか。また、建設省の御意見もお伺いしたいと思います。
  321. 松井和治

    ○松井(和)政府委員 ただいま先生おっしゃいました移転跡地の整理の問題、これを俗に町づくりという表現をいたしております。昭和五十二年以来、このために現地に大阪国際空港周辺整備計画調査委員会というものを設置いたしまして、地元の市あるいは地元代表の方と私どもと一緒になりまして、今後のその跡地の計画をどういうふうにしていったらいいのか、またその計画を実現するための手法をどういうふうにしていったらいいかということを御相談してきたわけでございます。  現在まで検討してまいりました非常に騒音の高い問題の地区が六つほどございますけれども、そのうちの一部の地区について最近かなり作業が進んでまいりまして、これをまた俗称で恐縮でございますが、跡にどういうものをつくっていくかということを、そういう絵をかくという意味でわれわれ絵づくりと称しておりますが、その絵づくりが相当進んでまいったわけでございます。一方で、その計画を実現するための手法につきまして、いろいろとまたこれを検討してまいったわけでございますが、その間で幾つかのネックにぶち当たったわけでございます。  一つの問題は、先ほど先生ちょっと仰せられましたように、本来騒音対策を講じますのは、運輸大臣が区域を指定いたしました日の前からそこに居住しておられる方、前から存在している住宅に対して補助をする。その後から来られた方は、騒音が著しいということを承知して来られたのだから、これに対しては特段の措置を講じない、こういったてまえになっておるわけでございまして、このいわゆる告示日後の建物をどうやって撤去していくかという話が一つのネックでございます。  それからまた、移転を希望される方に、本来でございますなら騒音区域の外に移転していただくのが筋でございますけれども、諸般の情勢で余り遠くに行きたくない、いまのところよりは多少なりとも騒音の少ない土地ならば若干騒音があってもいいのだ、こういう御希望もおありでございます。しかしながら、これも移転補償のたてまえから言いますとなかなか解決がつかない、こういう問題点を抱えて作業が難航していたわけでございます。  そういう問題点の解決につきまして、騒音防止の見地からのアプローチではやはり限界があるのではなかろうかという観点から、先生先ほど御指摘ございましたが、何とか実現を可能にするような現行法制の利用というものはできないだろうかというのが検討の過程で出てまいりまして、たとえば都市計画手法が使えないだろうかとか、あるいは住環境整備手法が使えないだろうか、こういう問題が出てきたわけでございまして、関係の向きとこれまた事務的に御相談をしておるわけでございますけれども、私ども先ほど申しました絵づくりの進んだ地域がございますので、とりあえず来年度そういう地域につきまして緑地系の施設整備の計画策定についての調査を行いたいと思っておりまして、そういうかっこうで少しずつでも前進をさせていき、その計画の中身が、ある程度こういうふうにしたいのだという計画を持って、次の手法をどういうふうにしたらいいのかという順序で作業を進めていきたい、かように考えておる次第でございます。
  322. 上田卓三

    上田(卓)分科員 ちょっと時間がありませんので、もう一点大臣に聞いておきたいと思うのですけれども、この泉州沖の新空港の設置については、航空審で現空港を廃止するということが前提になって答申されたというふうに私は思っておるわけですね、ところが、いつの間にか運輸省においては、その新空港が開港するまでに、直前ということになるのですか、それまでに現空港の存廃を決めたいというような形で、これは現空港の廃止が前提になって答申されたと思っているのですが、そういうふうに変わっている。それから五段階方式で分割をさせていくというわけですけれども、来年からやるとして十年後には、その段階であったら、存廃を決めるといったって、まだ廃止するというような状況に恐らくならぬのじゃないか。端的な言葉で言ったら、いまから三十年後になって初めて、この規模のものが一〇〇%完成して初めて現空港が廃止してもいいというような計画になってきているのじゃなかろうか。非常に新空港の工事が分割されていくというような形でおくれるというような状況の中から、さらに開港までに存廃を決めるといったって、実際に決まるのは二十年後、三十年後になってしまうのではないかというように私は思っているのですが、そういう点の矛盾について大臣どういうふうにお考えですか。
  323. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 関西新空港の方は、伊丹を廃止することを前提にしてというよりも、伊丹を廃止したならば全部新空港で受け入れられるようにということで、三本の滑走路を急いでつくろう、こういう計画になっておることは御承知のとおりですね。  ところが、伊丹の方の話はどうかといいましたら、伊丹の空港は廃止するのかしないのかを含めて、新空港ができるまでにその存廃を含めて地方公共団体の意見を聞け、こうなっておるのです。ですから、この意見に従って廃止と決まるかもわかりません。廃止と決まったら、こちらの新空港の方の建設を急がなければならぬだろうし、廃止しなくて条件つきでこれを存置ということにもしなったとしますと、これは住民の意見を聞かなければならぬのですからわかりませんが、そのときには新空港の建設はもう少し、両方の航空需要を見合わせて、計画を二期、三期と進めていってもいいのではないか、こう思われる。ですから、何といたしましても伊丹の存廃をできるだけ早く意見を聞いて決定するということは、これは新空港の建設のスケジュールにも大きい影響を持っておると私は思っております。
  324. 上田卓三

    上田(卓)分科員 時間が来ましたから、終わります。
  325. 海部俊樹

    海部主査 以上で上田卓三君の質疑は終了いたしました。  次に、山原健二郎君。
  326. 山原健二郎

    ○山原分科員 きょう一斉に朝刊で報道されております、いわゆる国鉄赤字ローカル線廃止基準政令案骨子の全文というものでありますが、もうすでに質問があったと思いますけれども、突然けさ起きて見ましたので、これはどんな性格を持っておるものですか、最初に伺いたいのです。
  327. 杉浦喬也

    杉浦政府委員 ただいま特定地方交通線を初めといたします地方交通線問題を中心とする政令の案につきまして、なお鋭意関係各省と折衝をしておる段階でございます。したがいまして、新聞の報道につきましては私どもあずかり知らぬところでございまして、いろいろな問題点を含んだところでございますので、なおよく詰めまして、できるだけ早く政令案として決定したい、こういうふうに思っておるところであります。
  328. 山原健二郎

    ○山原分科員 あずかり知らぬところということでございますが、きょう出ております骨子の中で、いわゆる選定基準の三項目につきましては、一応いままでも運輸委員会の審議などで出ておりましたね。ところが、今度はもう一つ第四項目が加わりまして、さらにそれにいわゆる選定手順というのが出ておるわけですね。これなどはまだ全く国会においても審議をされておるようには思いません。そういうものが出てきまして、しかも各紙とも出ておるわけでございますし、そしてその中には三月三日の閣議で正式に決定するという報道もございます。そうしますと、いままで塩川運輸大臣の御答弁の中でも、二月の末前後というお話がありましたから、これは三月三日なのかなと思うわけですね。そうしますと、もう日はないのだから、大体これは煮詰まったようなことになっておるのかという感じを受けるわけですが、そうではなくて、いまなお関係省庁との話し合いがなされておるさなかであって、それは運輸省としては知らないことだというふうに理解してよろしいですね。
  329. 杉浦喬也

    杉浦政府委員 かなり各省からの御要望とわれわれとの調整は進んでおります。もう一歩というところだと思いますが、さらにこれを完全に調整をいたしまして決定に持っていきたい、このように思っております。
  330. 山原健二郎

    ○山原分科員 私の感触としては、かなりのところまで進んでおるというものが、出たのか出なかったのかという感じを受けますね。  それで、時間がありませんが、私は高知県で、予土線、中村線の問題、ずいぶんいままで大臣にも陳情して、これは超党派でやってまいりましたし、ずいぶん県内の各団体も心配をしてきました。ところが、けさのこういう発表が出ますと、これを当てはめてみると、この新聞の見出しは「中村線も予土線に引き続いて廃止」、八路線の中に含まれておるという見出しが出てまいりますと、県民に対してきわめて大きな衝撃を与えておるわけです。いわば廃止宣言がなされて、死刑の執行そのものは、ちょっと次に延びるというようなかっこうになっておるような感じで受け取られておるわけでして、いままでずいぶん愛媛県とも一緒になってこの路線の廃止はやめてくださいという陳情もしてまいりました。また条理を尽くして言ってきたのです。去年のちょうどこの予算委員会分科会で地崎運輸大臣に対して私から質問を申し上げまして、予土線の地図を持ってきてお見せしたわけですが、そうするとこれは循環線の性格を持っておるということまでおっしゃったわけですね。その後またいろいろ陳情がなされまして、自治大臣に会っても、こんな路線を廃止するのかという疑問が逆に大臣の方から出てくる。     〔海部主査退席、唐沢主査代理着席〕 また宮澤官房長官に会いましても、こんな線まで廃止するとは思えません、こうおっしゃる。それから塩川運輸大臣に会いましても、大変にこやかに応対をして、とにかくあいそがよかったわけですね。ところが本当にわかってくださっておるのかなという心配が出てまいりましたが、塩川運輸大臣は、これは個別のことを申して大変恐縮でございますけれども、予土線については現在のところ四国における循環線の形態をなしておるというふうに御了解をいただけるか、この点を伺いたいのであります。
  331. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 予土線は確かに四国におきます循環線の一部を形成しております。
  332. 山原健二郎

    ○山原分科員 それで、台風のたびに——ここは道路の整備というのが二四%しかできていないという問題もございます。確かに過疎地ではありますけれども、災害あるいは雪害なんかも出てまいりまして、しばしば道路は不通になるというような事態、しかもその道路自体が未整備であるというようなことはこれは当然勘案をしていくべきではないかと思うわけです。ことに幡多郡というところはこれは陸の孤島と長く言われてきたところでございまして、現在県におきましても西南開発ということに全力を挙げているという状態なんですね。ここを何とかしなければ、高知県の県民全体の所得水準が上がらないという立場からこの問題を取り上げてきております。  国土庁の方におきましても、いわゆる定住圏構想の中で幡多モデル定住圏構想というものを設定をしておるわけでございますが、国土庁お見えになっておると思いますけれども、あの設定をします場合に、鉄道というものは当然中村に向かって走っておる鉄道であります。また予土線につきましても、これはその構想の中の一つの要素として考えられておったのではないかと思いますが、この点はいかがでしょうか。
  333. 寒川重臣

    ○寒川説明員 モデル定住圏計画は、昨年、全国四十圏域で策定されたわけでございますが、これは地域の主体性のもとに戦略的なプロジェクトをいま考案中でございまして、それを中心とした計画をいま関係省庁が支援するということでまとまっておるわけでございますが、四十圏域、高知の幡多圏域もそうでございますけれども地方交通線存廃の問題は特に取り上げられておりません。
  334. 山原健二郎

    ○山原分科員 しかし、存廃の問題と申しましても、たった一本しかない鉄道路線ですからね。当然開発当たり、またその地域を、さらに人口もふえていく、将来の産業開発の展望をしていくという、せっかくのモデル地域とした場合に、これは重要なものだと思いますが、国土庁としては、そんなものはなくなったって、モデル設定ちっとも構わないのだというお考えでしょうか。少なくとも大平さんが地方時代を言われましたときには、そういう考えではなかったように思うのですが、その点はいかがですか。
  335. 寒川重臣

    ○寒川説明員 関係地方公共団体におきまして地方交通線存続の要望が非常に強いということはよく承知いたしておりまして、現在、モデル定住圏計画を含めまして地方振興に十分配慮していただくことを運輸省と折衝中でございます。
  336. 山原健二郎

    ○山原分科員 この問題に関しまして、大臣に対しまして。いろいろ紆余曲折はありながら政令を発表する段階を迎えつつある、しかもそれはごく接近した日時だということを私ども感じております。しかし、これだけ重要な問題、しかも本当に必死の思いで県段階では陳情もしておりますし、またそれなりに理由もあるわけでございますから、そういった点は画一的なやり方でなくて、住民の納得できるような立場での政令の決定をぜひお願いをいたしたいと思いますが、この点御意見を承っておきたいのです。
  337. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 鉄道とその地域に住んでおられる方々の長年にわたる密着と申しましょうか、一体となった感情は、私はよくわかっております。しかも生活上あるいは経済活動上、鉄道に依存しておる地域が非常に多い、これも承知いたしております。ですから、法律で政令に委任をされたと言いまして、私たちが委任範囲で勝手にもう実情を無視して決めようなんというようなことは全然思っておりません。それだけに、もっと早く政令も制定しなければならぬと思いながらも、今日まで調整に努力もし、また調査も十分してきたつもりでございまして、慎重には慎重を期しておりました。  それで、近く決定いたすに際しまして再度関係閣僚会議を開くなどして、さらに慎重を期して詰めをやって、その上で決定いたしたい、こう思っております。
  338. 山原健二郎

    ○山原分科員 ぜひ慎重な御審議をお願いしたいと思います。  次に気象庁の方にお伺いしたいのですが、いわゆる地方測候所の夜間業務閉鎖の問題で、四月から十四名の人員の削減をいたしまして、四国では多度津とか高知県の宿毛測候所の人員削減と夜間業務の閉鎖という問題が出ております。これにつきましても、もう実情を詳しく申し上げることはできませんが、その夜間業務を停止した際に、サービスを低下させないということで、地方の自治体その他に対して要請をされております。  これも恐らく質問がすでにあったと思いますが、その際に、特に地元への影響が出ることのないように配慮するという中で、その二番目に、一番重要な問題として、測候所に無人電話転送装置を新たに設置する、だからサービスは低下しませんというお話で説得をされてきたわけでございますが、電電公社の方にお伺いいたしますけれども、新聞によりますと、この転送装置というのは違法性を持っておるということで認可しがたいということがすでに出ておるわけでございますが、そういうふうに理解をしてよろしいのでしょうか。
  339. 池沢英夫

    ○池沢説明員 お答えいたします。  公衆電気通信網に加入者が端末機器を取りつける場合には、公衆電気通信法という法律がございまして、それによって、その機器の利用によって他の電話の利用者に迷惑がかかってはまずいということで、そういう迷惑をかけないものでなきゃいけないというふうに決められているわけでございます。  それで、いま先生がおっしゃいましたこの種の機器については認定の申請が出ておりませんので、支障を及ぼすものかどうかという点につきまして正確には判断できませんが、一応雑誌の広告等で、認定されていない機器が出回っているというふうに考えられましたので、数回にわたってメーカーに認定を申請するよう勧告をいたしました。しかし、これまで本件に関しては認定の申請がなされていないというのが現状でございます。  それで、そのときにメーカーから機器についていろいろ内容を聞いたわけでございますが、申請ではございませんので、まあ大体のアウトラインでございますけれども、そのときの状況からして、この種の機器は公衆電気通信サービスに支障を与えるおそれがあるというふうに考えております。そういうことでございます。
  340. 山原健二郎

    ○山原分科員 気象庁から申請があった場合も、そういう差しさわりがあるというふうなことで認定はできがたいということですか。簡単に言ってください。
  341. 池沢英夫

    ○池沢説明員 そういうようなことでございます。
  342. 山原健二郎

    ○山原分科員 これに出ておりますように、一番大事な問題としてこの転送装置があるわけですが、気象庁として、いまのような電電公社の見解から言いますと、とてもそれがそのまま適用できるようなものではないと思います。  そうしますと、いままで説明をして、サービスの低下はしないんだ——これとてもサービスの低下になると思いますが、時間がありませんからそこまで申し上げませんが、そうして夜間業務を閉鎖するんだ。まあ、宿毛なんかは台風がしょっちゅう来るわけですから、漁民の人にとりましても、また、台風が来れば長期間にわたって停電をする、電話は殺到する、それをさばくこともできない。高知の地方気象台を呼び出すといったって、一本しか電話がないんです。そんな状態でサービスの低下は明白なわけですけれども、しかし、そのサービス低下に対してもなおかつこれがあるんだというただ一つの転送装置というものも、これもだめになったということになりますと、これは明らかに今度の人員削減、夜間業務閉鎖、これは誤算だと思いますね。この誤算を生じたときにどういう態度をとられるのか、伺いたいと思います。
  343. 増澤譲太郎

    ○増澤政府委員 いま先生御指摘のとおり、この装置については問題があることがわかりましたので、ただいまその処置につきまして、これに準ずる、あるいはこれと同等の方法によって、照会が測候所にあった場合には、地方気象台でその照会にお答えできるような方途を講ずるように検討しているところでございます。
  344. 山原健二郎

    ○山原分科員 それが検討されてこの転送装置という問題が私は出てきたように思うのです。一方では行政改革の問題がありますから、気象庁がいろいろ板ばさみになった状況はわかりますけれども、とにかく起死回生の思いで、これでサービスは低下しないと、こう検討されてきたものがここで蹉鉄を生じたわけですね。  そうしますと、道は一つか二つしかありません。一つは、この夜間業務の廃止を延期して、あるいは新しい機器その他ができるまで待つのか、それとも、この四月から業務閉鎖されるというわけですから、四月までに何らかの方法考えるのか、しかしその方法といいましても、二月の八日にすでに北海道新聞にこの転送装置はくあいが悪いということは出ているわけですから、それからもういま二月の末になっているわけですが、その間に当然、どういう方法でこの問題を地元が納得できるような方法に切りかえていくか、この案があります、この案がありますという計画がなければならぬと思うのですが、それがないということは私は怠慢だと思うのです。いまの長官のお話では依然として漠然としておりますが、その辺はどういう機関でどういうふうに検討されておりますか。しかも三月末までに間に合うようなものができるという御自信がありますか、伺っておきたいのです。
  345. 増澤譲太郎

    ○増澤政府委員 ただいまお答え申し上げましたように、電電公社の関係当局とこの無人電話転送装置が使えない場合についていろいろな方法について検討をさせていただいておりまして、三月三十一日までには、何らかの方法地域住民の方々に御迷惑をかけないでサービスを提供できるようにできると考えております。
  346. 山原健二郎

    ○山原分科員 三月三十一日までに検討されるということですから、いま、それはどんな方法があるかということを私がお聞きしても、これはまだ出てないところだと思いますのでこれ以上申し上げることはできませんけれども、私は、とてもそれは、いろいろ言葉ではサービス低下にはならないような方法をおっしゃるかもしれませんが、少なくとも人間にかわり得る機械としての転送装置というものがだめになったときに、それにかわり得る新しい機械などというものが出てくるものとは思えません。  そうしますと、当然ここで夜間業務の停止につきましては、もう少し時間をかけて慎重な態度ををとられることが気象庁としての正しいあり方ではないか、またそのように市町村長初め地元の人たちに説得をしてきておる経過がありますので、その約束違反をしてはならぬと思います。その意味での行政庁としての責任を明確にすべきであると思いますが、この点について再度伺いたいのであります。
  347. 増澤譲太郎

    ○増澤政府委員 先生御指摘のとおり、地方地域の方々にこういう方法によってサービスの低下にはなりませんから御理解をいただきたいと御説明してまいったわけでございますので、形は変わるにせよ、皆様方に御迷惑をかけないようにして計画の実行に当たりたいというふうに思います。
  348. 山原健二郎

    ○山原分科員 四十三年の災害対策委員会におきまして、むしろ気象庁、気象観測等につきましては人員その他の充実ということを国会は議決をいたしております。そういう点から考えましても、ぜひ長官におかれましては、それらの趣旨を生かしながら、残念ながらこの誤算を生んだ原因を究明されまして、それらの点について効果のある対策を発表していただきたい。特に、長官が決裁をまだしていないわけですから、その決裁をするまでに万全の対策をとっていただきたいということを切に御要請申し上げたいと思いますが、よろしゅうございますか。
  349. 増澤譲太郎

    ○増澤政府委員 先生の御指摘になりました意を体しまして全力を尽くしてやってまいりたいと思います。
  350. 山原健二郎

    ○山原分科員 次に、いま策定されようとしております第六次五カ年港湾整備計画についてでありますが、この第六次五カ年計画の策定は日程的に大体どんなふうにお考えになっているでしょうか。
  351. 吉村眞事

    ○吉村(眞)政府委員 昨年、五カ年計画の総額が決定を見ておりまして、現在の時点で、その総額を幾つかの項目に分けた柱の額が固まったところでございます。この柱の固まった段階で閣議にお諮りをいたしたいと考えておりますが、さらに、その柱の額が決まったところで各港湾管理者から事情を聴取いたしまして、個々の港の計画を固めていくことにいたしたいと思っております。そして可及的速やかに各港の内訳を決めて閣議決定をしていただくようにしたい、こういうふうに考えております。
  352. 山原健二郎

    ○山原分科員 大体目安は何月ごろに置かれていますか。
  353. 吉村眞事

    ○吉村(眞)政府委員 なるべく早くということでございますが、大体夏、七月、八月ごろまでには何とか各港全部を決めてしまいたいというふうに考えております。
  354. 山原健二郎

    ○山原分科員 私は高知新港の問題でお尋ねをしたいわけですが、高知新港は高知の三里地区というところに設立をされるのではないかということでいろいろ問題が起こっております。特に地元住民の中にも反対意見がありますし、それに対して、町内会連合との話し合いは数日前に一度行われただけでございますし、また、基本的なものは全く地元にもわかっておりません。  それから、いわゆる五十億円の負担金を出さなければならない高知市自体が市議会の中に特別委員会をつくっておりますが、これもほとんど審議をしておりません。今度開かれた二月市議会でも審議をされないという実情にあります。  それから同時に、中央審議会もまだ開かれておりませんが、それを開くに当たって地元漁民の了承なしには開かないというような話し合いもなされておるわけでございますから、そういう意味で、中央審議会も無理に開こうとすれば開けないことはないでしょうけれども、その前提条件としてのいろいろな構想その他がほとんどまだわからないというような状態、肝心の市も納得をしていないというようなことが続いております。  それで私は、実は漁民の人たちがどういうふうになっているのか、いままで漁民のことを知らなかったのですが、今回お聞きしますと、この地域には十一の漁業協同組合がありますけれども全部が反対なんです。いま予定されておる新港の前に砂のぼり漁場というのがありまして、これは海水と真水とが合流をする独特な漁場となっているわけです。これが奪われますと実は死活問題になるということ、また防潮堤の延びによる燃料その他の問題、また、大型船が入ることによって航行権が奪われるという問題、台風の危険性などというさまざまな疑問が生じておるわけでございます。  地元の高知新聞の主張の中にも出ておりますけれども、その中には、高知新港が必要かと言えばだれでも必要だと答えるだろう。しかしそれが三里地区となると頭をかしげざるを得ない。何が何でも国の計画に乗せようとする姿勢には無理があり、逆に、なぜそれほど事を急ぐかと疑問がわくというような主張、社説も出ておりまして、そして目立つデータも不足している。  それから、市が高知大学に委嘱して分析しました結果も、県が考えておることよりもそれは水増しの経済発展が出ておるという非常に厳しい判定が出ておりまして、それに対して具体的な反発を県の方もなし得ない状態にあるわけであります。  このように新しい港をつくるということについては、それ自体に反対をする者はありませんが、地点の問題と一緒にして考えますと、相当煮詰まらない問題が残っておりますし、地元住民の相当猛烈な反対も予想されるわけでございますが、これらの策定に当たりまして、当然地元の市あるいは地元住民あるいは地元漁民の声を十分に反映をして策定をすべきであると思います。  この点について運輸大臣のお考えをいただきたいと思いますと同時に、その前に、農林水産省の方からお見えくださっておりますから、漁民の漁場を守るという農水省はこういう場合にどういうふうにお考えになっておるか先に伺いまして、後で大臣の御意見を賜りたいと思います。
  355. 川崎君男

    ○川崎説明員 お答えいたします。  高知外港建設計画につきましては、私どもは第六次の港湾整備計画の中で検討されていく問題だと承っております。一般に、港湾の建設に伴いまして漁場の環境あるいは漁業操業等に影響が出ることが考えられることでございますが、これらにつきましては、個々の実態に即しまして地元におきまして関係者間で事前に十分検討、調整されるべきものじゃないかと考えております。
  356. 吉村眞事

    ○吉村(眞)政府委員 高知港の外港地区計画につきましては、四十九年に港湾審議会の議を経まして現在決定された計画がございます。そういうことでございますのは、先ほど先生御指摘ございましたように、必要性ということについては恐らく地元でも御了解がついておるというふうに私ども考えておりますが、この具体的な実施の段階に移ってまいります際の諸問題がまだいろいろな方面に未調整で残っておる、こういうことではないかというふうに思います。それで私ども、こういった地元のもろもろの調整の問題は当然十分に行われることが必要であるというふうに考えておりまして、先ほどお答え申し上げましたように、現在港湾整備五カ年計画の大枠が決まって細かい各港の御説明を伺っておる段階でございますので、この御説明を伺ったり検討をいたします際には、港湾管理者から十分に、そういった地元の調整の状況でございますとかその進みぐあいでございますとか、そういうことを伺いながら、先生の御趣旨も十分に取り上げられるように措置してまいりたいというふうに思っております。
  357. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 先ほど局長申しましたように、四十九年からの問題でございます。総論賛成、各論反対、これはどの地域でもございます。でございますから、こういう問題は高知県の政治家、特に行政庁が中心となってリーダーシップを発揮して調整していただく以外に方法はないだろう。それを国に持ってきて、国はけしからぬと言われてみたってどうにもなりません。ですからこれは地元で調整していただくように先生からも十分、県庁が中心になって調整しろ、これはそういうぐあいに言っていただくのがしかるべき問題であって、それで運輸省どうするのですかと言ったって、いまの段階では強行してやろうなんという気はさらさらございませんから、どうぞ高知県で考えていただきたいと思います。
  358. 山原健二郎

    ○山原分科員 わかりました。どうもありがとうございました。
  359. 唐沢俊二郎

    ○唐沢主査代理 以上で山原健二郎君の質疑は終了いたしました。  次に、鈴木強君。
  360. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 時間が非常に制約されておりますので、ローカル的なことで恐縮でございますが、二、三質問をさせていただきます。  最初に、中央線甲府駅の近代化の問題でございます。  日本国じゅう歩いてみましても、県庁の所在地で甲府の駅ほど老朽化している駅はありません。したがって、地元甲府市二十万の住民、さらに山梨県八十万の県民が、甲府駅の近代化についてはぜひ一日も早く実現していただきたいということで、今日まで運輸省並びに国鉄当局にお願いをしてまいっておるのでございます。たまたま昭和六十一年には、山梨県におきまして国体が開催されるということになりましたので、国鉄財政等の問題もありまして困難であることは承知しておりますが、この機会に県民の願いをかなえていただきたい。私は、そういうふうな県民の気持ちを体してお願いをするわけでございますが、たまたま私、昨年の十一月二十六日に交通安全特別委員会の方で国鉄当局質疑をいたしております。その際、杉浦建設局長から国鉄側の答弁として、あそこの甲府の駅の現有地に駅ビルを建てる、それが一つ。二つ目には橋上駅舎を建てる。三つ目には南北に自由通路をつくる。こういうようなことで話し合いを進めておるとおっしゃいました。この三つのいわゆる三点セットと言われる基本的な考え方は、もうすでに、地元の甲府市に甲府駅近代化協議会というのがございますが、そことの間に基本的了解は得られておるのでございましょうか。
  361. 高木文雄

    高木説明員 私どもも、甲府の駅はかなり老朽になっておりますしいたしますので、全国的には老朽施設建てかえの御要請がたくさんございますけれども、甲府の場合はかなり緊要度の高いものと考えております。  ただ、一たん駅をつくりますと、四十年、五十年という長い期間使うわけでございますから、現時点考えられます理想的なものであってほしいと考えるわけでございまして、それを考えますと、いまお示しになりました、私どもの担当局長がお答え申しましたいわゆる三点セットと言われておりますものが好ましいのではないかと考えております。そのことで地元の方々とお話をいたしております。いわゆる駅ビル建設計画につきましては地元の商圏に与える影響がいろいろございますので、地元の方々の中でこれに賛成をしていただける方とどうも余り気が向かないという方に分かれておるやに伺っておるわけでございますが、私どもはやはり地元の方々に喜んでいただきながら改築を進めたいわけでございますので、地元にいささかでも反対がございますと、無理するわけにもいかない。さりとてちょっと使い勝手の悪いものでとりあえずつくってしまうのはどうもぐあいが悪いということで、何とか早く地元の方々の同意、意見の一致を見、そして喜んでいただけるという日が参るのを心待ちいたしておるわけでございます。私ども承知いたしておりますところでは、商工会議所その他の方々のお骨折りによりまして、多少の反対意見がありましても皆さんの御意見がだんだん集約してきつつあるやに聞いておりますけれども、あるいはまだ少し時間がかかるのかもしれない。その辺は私も地元の事情をさほど詳しくは承知しておりませんので、そんなふうに私自身はいま受け取っております。
  362. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 総裁おっしゃるように、確かに商店街の中には利害に絡みまして賛成、反対があることは事実です。しかし、駅前の平和通をはさみまして東西の商店街、一方は、平和通というのがありまして、あれが甲府の駅前で駅に向かってちょっとカーブを右に切っておりまして、それをできればまっすぐに伸ばして玄関にしてほしいというような程度で、原則的にも賛成しておられます。それからもう一つの方は、まあ中心街でございますが、あそこに大きなビルを建てられますと御商売がうまくいかないのじゃないだろうか。これもごもっともな心配でございます。そういう問題がございますが、施すべき手を施してやれば両者ともに意見は一致してくる、私は、こう確信をいたしております。商工会議所が中に入りまして責任を持ってまとめていく、こういうふうな方針でございますが、その点は地元の甲府市あるいは県の知事等も一生懸命やっておりますので、地元の方にひとつお任せをいただくことにいたしまして、ぜひひとつ前向きの方向に進めていただきたいと思うのです。それには駅ビルをどの程度の床面積でどういうふうにするのか、あるいは橋上駅はどの程度になって南北の自由通路というのはどうなるのかというような具体的な補助プランぐらいのものは示してもらわぬと話にならぬと思うのですね。ですから、そういう点も急いでやっていただいて、総額的にはどのくらいの金がかかるのか、そして地元にはどの程度の御負担をいただかなければならないのか、そういった点を示していただくということが前進への道に通ずるように私は思うのですよ。  ただ三点セット、三点セットと言いましても、何が何だかよくわからない。できればテナントの場合でも地元優先。県外の方がだんだん入ってこられますと商売に関係しますので、そういった点は当局とのお話し合いの中で地元優先という原則の上に立っていただくとか、そういうふうな点が出てきませんと、なかなか右すべきか左すべきか明確な判定が下し得ないような事情もあるわけですから、ぜひひとつ、概括的なものでも結構ですからそういうものをおつくりになりまして、早く地元の方と折衝していただくというふうにしていただきたいと思うのです。  この三点セットというのは、いままでの交渉の過程から国鉄側のその方針について地元も了承している、こう理解していいのでしょう。別に判こを押したとかなんとかいうことじゃなくて、そういうふうな理解のもとに国鉄もやっておられる、私たちもそう理解してよろしいですか。
  363. 高木文雄

    高木説明員 私の方はぜひいわゆる三点セットでやらしていただきたいと思っております。そして三点セットについて決して御異論があるわけではないようでございますけれども、いまもちょっとお触れになりましたように、一部の地域の商圏にどうしても影響が出ますので、そちらの方々の間で御反対があるようでございますが、その辺はいまもお触れになりましたように、地元の方々のお話し合いの中でおまとめいただけることを強く期待をいたしておるわけでございます。  なお、もう少し具体案を示せということにつきましては、どういう時期にどういうふうにお示しするのがいいのか、これはまだ地元情勢等もございますし、余り刺激をしてもいけないというようなことがあって、まだはっきりしたことはお話していないかもしれませんが、もしそういうことが望ましいのであれば、そしてそれが促進剤になるのであれば、そういうことも考えてまいってよろしいのではないかと思います。
  364. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 昨年の質疑で、逆算してタイムリミットは大体五十七年中に結論が出ないと六十一年には間に合わない、こういうお話でした。そして、定期的に地元協議をする、こうおっしゃっておられましたので、そういう定期協議がその後やられていると思いますが、そういう中でお話を具体的に詰めていただいたらいいと思うのですけれども、ぎりぎりいっぱいでなくて、一年でも一日でも早く完成したいわけですから、タイムリミットはタイムリミットとしてわかりますが、なお積極的に早い機会に、定期的な協議もやっておられると聞いておりますから、そういうところで煮詰めて、みんなで意見を闘わして、そして商店街の意見の中でどこが問題なのか、それに沿える市の政策、県の政策というものが打ち出されて、将来に向かって甲府市全体の発展、山梨の発展になるということの上に立ってやらなければならぬと思うのですよ。私は、ただ商売上の利害得失に立って、われわれの子や孫の末まで続いていく国鉄の駅舎というものに対して、ただそういう利害だけでもって反対をしたりすることはおかしいと思うのです。ですからその点は、これは政治でありますし、行政でありますから、できるだけそういう地元の皆さんの意見がどこにあるのか、その意見が政治の中で解決できる、行政の中で解決できるということであれば、私はどんどんとして差し上げる。そういうことによって、とにかくささいな点で地元ががたがたしておって、何か早くやれというふうなことになっては相済まないわけでございますから、私どももそういう点については一生懸命がんばっておるわけでございますが、できるだけみんなが理解し合って前進できるようなものを考え出していただいてそれを進めていただきたい。いまのところは漠然としていまして、何が何だかこれはわからないですよ。ですから、そういうことを私はお願いしているわけですから、ぜひ早い機会にそういう方向に持っていけるように御配慮いただきたいと思います。よろしいですか。
  365. 高木文雄

    高木説明員 御趣旨を十分心得て取り組んでまいりたいと存じます。
  366. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 それから次に、中央新幹線の新設、と言ってはちょっとあれかもしれませんが、便宜上そう言わしていただきますが、そのための調査研究がいま行われておるわけですが、五十六年度予算には調査費が継続して幾ら計上されておりますでしょうか。
  367. 半谷哲夫

    半谷説明員 中央新幹線の調査費につきましては、国鉄工事経費の中で処理いたしておりまして、したがいまして、五十六年度予算の決定された段階でこの調査費についても幾らというふうに決めることになるかと思いますが、現在の時点ではまだ決定いたしてない状況でございます。
  368. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 もちろん予算が衆参を通って成立したときにそうなるのでしょうが、およそ国鉄として、中央新幹線の調査費として考えている額は幾らになりますか、いまここで言うのに差し支えないということで。
  369. 半谷哲夫

    半谷説明員 五十五年度までの調査費を申し上げますと、大体毎年度約二億の調査費を使っているわけでございます。
  370. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 そうすると、五十六年度も大体二億程度と考えでいいですか。
  371. 半谷哲夫

    半谷説明員 いまの段階で決まりませんけれども、毎年二億程度やってきておりますから、その前後で決まるのではないかと考えております。
  372. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 それで大変御苦労いただいて、非常に地形、地質の悪いところですから難儀もあったと思いますが、いままで調査をいたしましての結果の概要を簡潔に報告していただけませんか。
  373. 半谷哲夫

    半谷説明員 調査の指示が出ましたのは四十九年七月でございますが、これは、甲府市付近から名古屋市付近までの間の山岳トンネル部分にかかわる区間につきまして、地形、地質等に関する事項の調査を行うということが指示の項目でございます。したがいまして、これに基づきまして、以降、航空写真測量あるいは地表踏査、ボーリング、弾性波探査等調査を行ってきているわけでございます。  五十三年十月に五十二年度までの調査結果を中間報告書という形で取りまとめまして、完成したわけでございませんけれども、中間報告という形で取りまとめまして運輸大臣に提出いたしております。その後引き続きさらにこの調査の深度化を進めているわけでございます。  それで、この中間時点で調査報告書を大臣に提出いたしましたけれども、これにつきましては、簡単に申し上げますと、甲府市から名古屋市付近に至りますまでの間、この間に南アルプスといいますか、赤石山脈あるいは地形的に谷がございます。伊那谷あるいは木曽谷等の谷がございますが、こういった自然条件の大変厳しい状況のところにルートを選定するわけでございますので、比較ルートとして三ルートほど調査対象にいたしまして、これらにつきまして諸条件を調査したわけでございます。その結果いろいろ利害長短があるわけでございますが、この中間段階では、いずれのルートも可能性はあるというところまでの取りまとめをして御報告申し上げたというのが、中間報告の概況でございます。
  374. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 南アルプス、赤石、これは相当に長いトンネルになると思うのですが、かつてはあそこは中央自動車道が計画路線として入っておったこともあるのです。そうしますと、いまのところは三ルートというのは、在来線の中央線、これに沿って行くのと、南アルプスと、もう一つどこなんですか。
  375. 半谷哲夫

    半谷説明員 ほぼ現在の中央東西線に沿いまして入りますルートと、それから現在の中央西線は木曽谷に敷設されておるわけでございますが、それの東側に伊那谷、飯田線の通っている谷がございます。その辺のルートをたどりまして西に向かうというのが一つのルートでございます。もう一つのルートは、赤石山脈の南側を迂回いたしまして通るというルートになっております。
  376. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 いずれにしてもリニアモーターが大変発達をいたしましていい成績を上げているようにも聞いております。またフランスでは、けさのニュースでも出ましたが、日本の新幹線を上回るような超スピードの列車が開発されたというようなことで、国鉄もますます困難な中でしょうけれども、技術開発をしていただかなければなりません。いずれにしても、ひとつぜひ積極的に調査を進められまして、できるだけ早い機会に新幹線ができますようなことを私たちは願っておるわけです。  大臣、これはまだ整備線の中にももちろん入っておりませんけれども、私どもは、いまの東海道新幹線が飽和状態になっておる、地震その他の災害時を考えましても、やはりどこかに迂回ルート線というのは必要であろうと思いまして、われわれはいまの中央新幹線というのをこいねがっているわけですけれども、ぜひ御協力をいただいて、なかなかむずかしいことですぐというわけにいきませんけれども、ぜひそのようなことができますような御協力をお願いしたいのですが、ちょっと御所見を承りたい。
  377. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 リニアモーターの研究は国鉄がやっておりまして、相当技術的に進んでまいりましたが、しかしこの技術的な実用化への完成までにはまだ相当の年月がかかると思うのです。それが完成いたしました時分に、日本交通機関のそれぞれの特性をどう生かしていくかということは改めて問題になろうと思うのですが、私も大阪におりまして、東京−大阪一時間、これは大変な魅力でございますから、私も積極推進論者の一人ではございますけれども、なかなか事はうまく運ばないのでじくじたるものがございますが、これからもできる限りの積極的な対応はしてまいりたいと思っております。
  378. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 大臣から大変力強い御意見を承りまして、私どもと一緒になってやってもらいたい、こう思います。  次に、これは国鉄ローカル線の廃止の問題が俎上に上っているときですからちょっと言いにくいのですけれども、長い間の地元の懸案ですからこの機会にぜひ国鉄当局にお聞きしておきたいのです。  御承知のように、小淵沢から小諸に通ずる小海線というのがございます。ここは八ケ岳のいわば東側の山ろくをずっと走る列車でして、高原列車、野辺山駅というのは国鉄の中では一番標高の高い駅でございまして、南には南アルプス、東には富士、非常に絶景の地でございます。地元の方では観光的な立場からも、昭和四十七年十二月にSLが廃止になりましていまはディーゼルが走っているわけですけれども、その後地域住民の熱烈な要望によりまして、国鉄当局昭和四十八年の七月から九月の二カ月間、毎日曜日、休日にSLを走らせてくれまして、マニアを初め、観光で立っていこうという地域の人たちは大変喜んだのでございますが、二カ月で終わってしまって今日に至っておる、こういうことになっております。  初めは長野、山梨両県の知事、両県民が一緒になって、これを電化にしてもらいたいというので国鉄にも何回もお願いしましたけれども、財政困難な折でなかなかむずかしいという情勢もございました。そんなこともありまして、それを捨てているわけではありませんが、当面SLを走らせていただいたらどうだろうということで、期成同盟をつくって、いま運輸、国鉄当局陳情しておるわけでございますが、その返事が余りはかばかしくない、味もそっけもない、そういうようなことでございまして、思案投げ首というところでございます。どうかこの地元の願いを生かし、そして観光事業によって生計を立てていくような人たちも大分いるわけですし、人がだんだんあそこへ行きますと国鉄の繁栄にもなるわけですから、何とかこれを復活してもらいたいと思うのですけれども、総裁、これは無理ですか。
  379. 高木文雄

    高木説明員 SLを走らせてほしいという御要請はかなり多くの地域から寄せられております。しかし私どもとしては、現在もうすでに走れる状態にある車両がきわめて限られておりまして、各地域の御要望に応ずることは非常にむずかしいわけでございます。そこで、一昨年から山口線では半年間運転をいたしておるわけでございますが、これは大変好評を得ておりまして、大ぜいの方が全国から集まって喜んでいただいておるわけでございます。皆さんSLを御歓迎いただいておりますので、その後どういう形で動かすかということで、昨年は横浜の港の開港百年記念ということに絡みまして、横浜で約一週間でございましたが、ごく短かい期間だけ走らせたことがございます。それから十一月に北海道で、北海道に鉄道が初めて敷かれてちょうど百年目というのを記念いたしまして走らせました。これらにつきましては毎年繰り返してということではなく、また長期間でなくて、一週間なり十日間という短い期間でいたしたわけでございます。  現在の私どもの持っております車両の関係、それから転車台とか給水設備、石炭を積む施設とかの関係で、どこでやることができるかは限られておるわけでございますが、その限られておる条件に該当することが一つと、もう一つは何分大変赤字なものでございますから、SLは大変コストのかかるものでございますので、SLを走らせましてもそれに見合うだけの収入があるかどうかということにも一つ問題があります。そういう一定の設備条件が整っていることと、もう一つ赤字を出さないようにする、それがためにはいろいろな面においてしかるべく地元の方々にも経営の面、経費の面でも応援していただくことが一つ。もう一つは、非常に困りますのは、写真を撮るために子供さんたちが集まってくるわけですが、過去においてそういう方にけがをさせたり死亡事故を起こしたりしたことがございますから、その警備等について、地元の警察を初めとした皆さん方の警備についての御協力を得られるということ。そのほかいまは余り煙を出さないようにして走っておりますからめったなことはありませんけれども、多少どうしても火の粉が飛ぶというようなことがありまして、それに対して後でおしかりを受けると困るものですから、そういったことについての御理解を得られることといった一定の条件が整ってまいりますれば、またここ数年間は運転経験のある職員がおりますから、その間であれば、しかも短期的なものであれば御熱心な地域については御要請におこたえしてまいりたいと考えております。  ただ、山口線でやっておりますように、約半年にわたって一週三回とか四回という頻度で走らせるにつきましては相当いろいろな問題がございますので、こうした走らせ方は現在の段階では山口線だけにとどめておきたいと考えておるわけでございまして、なお地元の方々の御意向を集約していただきますならば、いろいろ御相談してまいりたいと考えます。
  380. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 わかりました。国鉄の財政状況もよくわかっております。しかし条件が整えばやってもよろしい、こういうふうに受けとめましたので、両県の関係者がよく相談いたしましてまた改めてお願いに参ると思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。  時間が非常になくなってしまいましたので、実は身延線のことでちょっと伺いたかったのですが、簡単に要旨だけ申し上げましてお答えいただきたいのです。  御承知のように、身延線は中央、東海を結ぶ主要幹線だと私は思っております。経営が苦しい苦しくないということは別にして、これはなくてはならない幹線だと思います。そこで最近CTCを導入するということで、その面からの要員削減というようなこともありまして若干問題になっております。実はその概況についても承りたかったのでありますが、もうすでに合理化が大分進みまして無人駅が非常に多くなってきている。手荷物、貨物等の集約駅ができまして、それぞれの駅では扱ってくれない。要するにサービスダウンをやられておるわけです。その上にさらにまた無人駅をふやし、集約された少数の扱い駅を縮小するということになりますと、とてもがまんしておられないわけでございまして、ぜひそういうことのないようにひとつ御配慮いただくようにお願いしておきたいと思いますが、その概略だけでいいですからお答えいただけますか。
  381. 橋元雅司

    ○橋元説明員 身延線につきましては、たしか昭和四十七年でございますが、営業面でかなり大幅な近代化をさせていただきました。その際には先生に大変御迷惑をおかけいたしまして、いろいろまた御指導も賜ったわけでございます。その後、ただいまお話のございましたCTC化につきまして昨年十月に工事に着手いたしました。来年度、五十六年度中には工事は完成する見込みでございます。それに伴いまして若干の手小荷物の集約あるいは貨物駅の集約等させていただきたいと考えておりますが、いずれにいたしましても先生御指摘のように、この問題は地元の十分な御理解、御納得を得た上で実施をいたしたいと考えておりますので、今後ともよろしく御指導をお願い申し上げたいと思います。
  382. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 ちょっと不十分ですが、時間を守りますからこれで終わります。
  383. 唐沢俊二郎

    ○唐沢主査代理 以上で鈴木強君の質疑は終了いたしました。  次に、鈴切康雄君。
  384. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 大臣、遅くまで御苦労さまでございます。  私は、羽田空港の沖合い移転並びにそれに伴う総合交通体系をどうするかという問題について若干お伺いをしたいと思っております。  羽田空港沖合い移転につきましては、いろいろな経過があったにしても、三者機関でいろいろ協議がされてまいりまして、すでに政府における段階の計画案もずいぶん煮詰まってきた、そして言うならば青写真も鮮明になってきた、そのように聞いております。  で、実は昨年の四月十日ですか、参議院の運輸委員会におきましてわが党の同僚議員が質問をいたしました。運輸省の修正案の提示の時期をと質問をいたしましたところ、当時の松本航空局長答弁されている、その議事録を見てみますと、「私どもの心づもりとしてはいま仰せられましたように年内ぐらいにはもうめどをつけるというぐらいの覚悟で対処してまいりたい」、このように御答弁されております。ところが、年内といいますと十二月ですから、もうすでにきょうでちょうどまる二カ月間過ぎているわけでありますけれども、実はまだ何の提示もされていないわけであります。いつ修正案が提示されましょうか。
  385. 松井和治

    ○松井(和)政府委員 羽田空港の沖合い展開計画につきましては、ただいま先生のお話にございましたように、東京都並びに関係の特別区と私どもの三者で話を煮詰めてまいったわけでございます。  私どもが当初提示いたしました案に対する東京都並びに大田区、品川区の御要請がございました。私どもその御要請をいかにして案に取り入れるかということで、鋭意検討を進めてきたわけでございまして、仰せのように何とかこれを早く、実は昨年中にもと考えておった次第でございますけれども、若干時間がかかりまして私どもも残念に思っておるわけでございます。最終の詰めの段階にまいっておりますので、できる限り早く提示したいと考えておりますが、年度内に提示することは無理ではないだろうか、来年度早々に提示をいたしたいと考えております。
  386. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 いまできるだけ早く、しかし年度内にはちょっと無理だというお話があったわけでありますけれども、年度内に無理だというならば、そうしますと四月の早々にでも御提示いただけましょうか。
  387. 松井和治

    ○松井(和)政府委員 先ほど申しましたように、なお関係機関と最後の詰めが残されておりますので、確定的な時期を申し上げることは控えさせていただきたいと思うのでございますが、何とか四月中にも提示したいなという感じを持っております。
  388. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 昨年の四月十日の時点で、年内にはめどをつける覚悟で対処するというふうに言われておったわけでありますが、実はいまだにそれが提示されていない。果たして航空局の方では本気にやっているのかどうか疑わしいように思う節も実はあるわけでありますが、具体的にそのすり合わせをするという、そのすり合わせをする光とどういうふうな問題が残っているのでしょうか。
  389. 松井和治

    ○松井(和)政府委員 御承知のように、羽田の沖合い展開につきましては船舶の安全航行と重要な関係がございます。また建設省の御計画されておられます湾岸道路計画との調整問題もございます。あるいは私どもの部内でございますけれども、港湾局の港湾計画、東京都の立てます港湾計画との調整というものがございます。あるいは地元の東京都、特別区、千葉県というような関係都道府県との関係関係市町村との関係というものがございまして、ほとんど九分九厘と言ってもいいようなところまで煮詰まってきたわけでございますが、最終的な意見の調整のためにいま少し時間をちょうだいしたいと思っておる次第でございます。
  390. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 昨年の八月二十九日ですけれども、大田区と品川区の両助役が運輸省の航空局飛行場部長を訪れたと聞いておりますが、その際、羽田空港の沖合い移転の修正案の提示について要望したところ、飛行場部長は、Bランを動かさないと絶対まとまらないので、譲るべきは譲ってBランを少し川崎側に寄せ、できる限り第一航路側に寄せる。またC´、Dランの方位も少し振ることで検討している。この内容であれば地元も納得できるものと確信している、こういうふうに回答したと聞いておりますけれども、それには間違いございませんでしょうか。
  391. 松井和治

    ○松井(和)政府委員 当初私どもが東京都並びに地元関係区に提示いたしました案では、Bランは動かさないという案であったわけでございます。これに対する地元の主要な意見は、Bランウエーを一番沖の方に出してくれ、こういう意見でございました。ところが、Bランウエーを一番沖合いに出しますと、これが船舶の航行に非常に障害を与えるということが一つ。それからC並びにDランと交差いたします関係で、主として南から着陸し、南へ離陸する飛行機とそのBランウエーが交差するということで、空港の機能を著しく阻害するという問題がございました。  そこで、いろいろ検討いたしまして、Bランウエーを少しでも動かすということは、それだけ音の問題が陸地から遠ざかるということでございますので、私どももBランウエーを動かすことが可能かどうかということにしぼって検討していったわけでございます。また、C´、Dの両滑走路につきましては、当初の計画ではCランウエーに平行に考えていったわけでございます。これを若干角度を振れという御要請は、これまたそれだけ陸地に及ぼす音の問題を軽減するという見地からの御要望でございますので、私どもその点につきまして、航空機の航行に支障がないかどうかという見地を十分に検討いたしまして、そういう方向が可能かどうかということで検討を進めたことは事実でございます。
  392. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 当初大田、品川におきましてもB滑走路の問題がやはり一番大きな問題になりまして、B滑走路についてはもう川崎の方へ全部寄せてしまえという極論もあったわけでございますけれども、いろいろ三者協議で話をしてまいりますと、そこはB滑走路を何とか沖の方に動かしてくれ、あるいはまた幾らか川崎の方にというような、そういうことで大分話は煮詰まってきたように実は私は思うわけであります。  そこでお聞きしたいわけでありますけれども運輸省の方でこれから煮詰めをされていくわけでありましょうけれども、しかし青写真ももうほとんどでき上がっているということでありますと、B滑走路について一番問題になるのは沖へ出すということ、これはなかなかむずかしいことでしょうけれども、それは大体三、四百メートルぐらいになるのでしょうか、その点はどうでしょう。
  393. 松井和治

    ○松井(和)政府委員 Bランウエーを沖の方に出すということは、すなわち東京都に入ります第一航路の航行船舶に影響を与えるということでございまして、これがどのくらい出せるかということが実は一番の問題点であったわけでございます。しかも、ただ単に数百メートル出すということではもろに船舶航行に影響が出るという結論になりました。しからばそれを可能にするための条件は何かということで、滑走路の端、端と申しますのは俗語で申しわけございませんが、滑走路の東寄りの方を少し高さを高くすることによって船舶が障害にならないようにすることが可能かどうか、こういうことを検討したわけでございまして、その限りにおいてある程度沖に出すことが可能であるという結論を得ております。ただ、最終的に何メートルにするというところが最後の詰めとして残されておるわけでございます。
  394. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 可能な限り沖合いに出していただくというわけでありますけれども、幾らか高さをつけてということですね。しかし高さをつけてということにしても、それは交通安全の立場から言いますと極度に高くするというわけにもいかないでしょうし、可能な限り高くした場合においては大体どれくらいの長さまでできるのでしょうかね。
  395. 松井和治

    ○松井(和)政府委員 先ほど申し上げましたようにその辺が最終の詰めの問題でございますが、概数で申し上げて恐縮でございますが、約三百程度は可能ではないだろうかというふうに考えております。
  396. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 三百メートル出るということ、これは非常に画期的な御努力だと思うのですけれども、そうなりますと、三百メートル出すことはわかったのですけれども、こちらの方に振るといいますか、平行に移動するというのも大体同じぐらいの長さぐらいは平行して移すことができる、こういうことでしょうか。
  397. 松井和治

    ○松井(和)政府委員 おおむね三百メートル程度移すということが可能かと考えております。
  398. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 C´、Dランでございますけれども、これは先ほどお話がありましたように幾らか振るということですが、角度としては三度か五度ぐらいでしょうか。
  399. 松井和治

    ○松井(和)政府委員 この辺が実は飛行経路に関係してまいりますので微妙でございますが、三度ないし五度程度の範囲内であろうかと思います。
  400. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 羽田空港の沖合い移転に伴っていわゆるアクセスの問題あるいは跡地利用の問題等が生ずるわけでありますけれども運輸省として総合的な輸送体制と交通渋滞の緩和の問題をどのようにしてとらえておられましょうか。
  401. 松井和治

    ○松井(和)政府委員 羽田を沖合い展開いたしますということは、騒音問題の解決のみならず輸送力の増大につながるわけでございまして、当然羽田空港を利用されるお客さん方はふえるということでございます。そこでアクセスが問題になるわけでございますが、特に現在主要な輸送路になっております環状八号線あるいは首都高速一号線というようなものは、沖合いに展開された新羽田空港まで延伸されるということはどうしてもやらなければならない問題だと思いますが、そのほかにやはり大量高速交通機関を導入する必要があるのではないかというふうに考えておりますが、実はまだこの点につきましては十分な煮詰めはしておりませんで、今後計画の具体化とあわせまして関係者協議しながら検討してまいりたいと考えております。
  402. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 現在の高速道路とかそういうものとは別に、湾岸道路というものは非常に自動車のアクセスとしてはメーンになってくるのじゃないだろうか、このように思うわけでありますけれども、湾岸道路についてはどういうふうな構想なんですか。一般の道路と高速道路とともに並行するような形になるんでしょうか、その点はどういうふうにお考えになっているんでしょうか。
  403. 松井和治

    ○松井(和)政府委員 先ほど御説明の中で湾岸道路を落としましてまことに申しわけございません。沖合い展開をいたします新しい埋立地の下に湾岸道路が入り込むかっこうで計画をいたしておりまして、すでに現在のBランウエーの下にその湾岸道路を通す工事等も実施しておるわけでございます。この湾岸道路につきましては、主要な交通機関になるということは御指摘のとおりでございまして、高速と一般道路と抱き合わせのような形で利用できるようにいたしたいと考えております。
  404. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 またこれから新しい羽田空港ができることになりますと、当然現在使われておりますモノレールがございます。そのモノレールあるいは京浜急行の延長ということでターミナルまでつないでいくということは当然考えられることなんですが、その点についてはどうお考えになっていらっしゃるでしょうか。
  405. 松井和治

    ○松井(和)政府委員 先ほど私が大量交通機関についての検討を今後進めていきたいと申し上げましたのは、まさしくその点でございまして、これは私ども航空局だけで考えられるわけではございませんので、部内の鉄道監督局とも十分相談して検討してまいりたいと考えております。
  406. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 マスタープランの中で当然空港と地元をつなぐ道路というものもこれから少し考えていきませんと、せっかくモノレールとか京浜急行をターミナルへつなぐとしても、バス輸送とかそういう問題等にもかなり影響を及ぼすわけであります。     〔唐沢主査代理退席、藤本主査代理着席〕 また、環八等もこれから拡幅を進めていかれるわけでありますけれども、そういうことで地元と空港をつなぐ道路についてはどういうふうな考え方でおられましょうか。
  407. 松井和治

    ○松井(和)政府委員 御指摘のように地元と空港をつなぐ道路といいますものは大変重要な問題かと思います。現在明確な計画を持っておるわけではございませんが、東京都その他関係機関と十分協議してまいりたいと考えております。
  408. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 京浜急行の方からぜひ京浜急行の延長を含めてターミナルまで乗り入らせてもらいたい、そういうような申し入れはございませんでしたでしょうか。
  409. 松井和治

    ○松井(和)政府委員 要望を受けておることは事実でございます。
  410. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 モノレールの延長についてはどうでしょうか。
  411. 松井和治

    ○松井(和)政府委員 同様要望を受けております。
  412. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 京浜急行からターミナルまで延長するという、そういうことの申し出を受けているわけでありますけれども、そこで問題になるのは、実は国電と京浜急行はいずれにしても並行に走っているわけですね。ですから、国電を使って蒲田駅におりますと、今度はバスに乗るかあるいは正直なこと言って蒲田駅から京浜急行まで歩かなければならないというような問題が出ているわけでありますけれども、京浜急行の京浜蒲田と国電蒲田駅の延長接続の問題というのも、これは住民にとっては大変に関心のある問題なんですけれども、この点についてはどうお考えでしょうか。
  413. 松井和治

    ○松井(和)政府委員 その点につきましては、鉄道監督局と十分相談をしてまいりたいと考えております。
  414. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 鉄道監督局と相談をするということは、どういうふうに相談をされるつもりなんですか。
  415. 松井和治

    ○松井(和)政府委員 実はまだそのアクセスの、先生御指摘の具体的な蒲田駅の問題について、私どもとして特別な案を持っているというところまで行っておりません。申しわけないと思います。
  416. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 アクセスの問題については、これはもう早日に計画を練りませんと、羽田空港の沖合いの問題についても政府としては修正案を出される、それに伴っていろいろの交通体系についてこれから御協議いただかなければならないわけですから、やはり早く詰めていただかなければならない問題じゃないかと思いますけれども、産業道路と羽田空港線との立体交差の事業計画はどういうふうになっていましょうか。
  417. 松下勝二

    ○松下説明員 お答えいたします。  大鳥居の踏切のことかと存じますが、この踏切は、交差点の中を京浜急行空港線が平面で斜めに通過いたしておるわけでございます。きわめて変則的な交差点でございまして、都内でも有数の交通渋滞の個所でございます。そこで、これまで交差点の改良計画の検討をいろいろ進めてまいりました。立体化の方法として、京浜急行を地下化するということが一番適切ではなかろうかというふうに現時点では考えておるわけでございますが、東京都におきましてそういった問題につきまして現在調査、設計中でございます。昭和五十六年度にはなお詳細な設計を固めて、早急に事業化を図ってまいりたい、そういうふうに考えております。
  418. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 実は東京都の方も、確かにその問題が一番ネックになっておりまして、できるだけ早くやりたいということで、すでに東京都の方から京浜急行の方にも、例の大鳥居のところを地下に掘って入れ込む、こういうことで話が来ているということは私は実は聞いているのです。そうなりますと、確かに、五十五年度に概略設計がなされて、五十六年度、もう本当に近々事業認可がおりるだろう、そういうふうに当事者間では言っているわけなんですけれども、その点についてはどうなんでしょうか。
  419. 松下勝二

    ○松下説明員 関係者が多数ございますし、地元の方々の御理解も得なければなりませんので、その辺の御協力、御理解を得た上で、早急に事業認可申請を出せるように、こぎつけるように努力してまいりたい、また、東京都をそのように指導してまいりたいと思っております。
  420. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 では、地下に入っていくということについて、関係の方々の御了解はまだ得ていませんでしょうか。それとも得られて、ある程度事業認可ができるという段階になっておりましょうか。その点はどうでしょうか。
  421. 松下勝二

    ○松下説明員 まだ最終的にはすべての御了解を得る段階まで至っておりませんが、ほぼそんな方向が固まっているというふうに聞いております。
  422. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 そうなると大体いつごろになりましょうか。
  423. 松下勝二

    ○松下説明員 早ければ、先生おっしゃいますように五十六年度じゅうにでも事業認可にこぎつけるのではなかろうかと思います。
  424. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 当初産業道路は地下にもぐるかあるいは上を通るかという話であった。ところが、羽田空港線が産業道路の地下を貫通するという形になりましたですね。そういうふうなことでお考えになっているわけでありますけれども、そうなりますと、環八はそのままずっと進めていくということになれば、産業道路はやはり上を通るという立体交差になる、大体こういうふうに判断してよろしゅうございましょうか。
  425. 松下勝二

    ○松下説明員 とりあえずは京浜急行の地下化、それから環八そのものの整備といいますか拡幅でございますが、それが急がれるわけでございます。ただ将来の構造といたしましては、先生がおっしゃいますように産業道路そのものの立体化という問題も出てまいると思っております。
  426. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 立体化をするということは前々から言われているわけでありますけれども、いま、事業認可を間もなく出そうという形で、京浜急行が地下にもぐるということになりましたから、そのまた地下を産業道路がもぐるということは常識ではちょっと考えられない。そういうことから考えますと、当然京浜急行は地下にもぐって、そしてまた、いずれにしても環八も蒲田からずっと貫通するわけですから、これは言うならば真っすぐ進んでいく。結局産業道路は高架になっていくという形におのずと結論が出ると思うのですが、その点何か言うこと自体に支障があるのでしょうか。
  427. 松下勝二

    ○松下説明員 先ほども申し上げましたように、京浜急行の地下化そのものが最終的に決まったわけではございませんので、いまのお話の産業道路の立体化の問題は、まだそこまで話が煮詰まっておるわけではございませんが、地下化が確定いたしますと、産業道路を立体化するためにはやはり上を越えるということだろうと思います。
  428. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 それなら、産業道路は下を通すか上を通すか、前からお決めになっておったその中にあって自然とそういう形にならざるを得ないということで私は理解をするわけでありますけれども、例の大鳥居の駅は、やはり地下にもぐっていきますと当然地下に設けるような形になるのでしょうか、その点はどうですか。
  429. 松下勝二

    ○松下説明員 先生のおっしゃるとおりでございます。
  430. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 現在環八もかなり工事が進んできております。しかし、空港が沖合いに移転されれば当然交通量もふえてまいりますし、交通渋滞もさらにふえてくることが非常に危惧されております。そこで、産業道路の渋滞緩和とか騒音とか排ガス公害の防止のためにも、どうしても東京湾岸道路を早くやってくれという要望が実は強いわけです。湾岸道路は御存じのとおりずたずたになっているわけであって、一番大田区に近いところですと、あそこは環状七号線に入り込まなければなならない、あの環七がまた非常に渋滞しているということで、地元としてはもう悲鳴を上げているわけですね。ですから、湾岸道路を早く神奈川の方に通していただくような形をとっていただきませんと車の逃げようがないわけです。湾岸道路の計画促進についてはどのようにお考えになっておりましょうか。
  431. 萩原浩

    ○萩原説明員 先生御指摘のように、新しい空港に関連しますアクセスといたしまして、道路関係では湾岸道路というのが非常に大きな役目を果たすものと思っております。御承知のように、現在湾岸道路は主力を千葉方面に向けておりまして、これが大体形をなしてまいりました。これはやはり埋め立て計画が先行しておりましたために、どうしてもそちらの方に力を置くということでございます。現在、先生御指摘のように環七まで行っておりまして、あと一つ水路を越えますと現在の羽田空港のところまで行けるという段階になっております。それで、先ほど航空局長からもお話がございましたように、現在新しい滑走路と一緒になって、どういう形で湾岸を入れ込むかということにつきましていろいろ協議をしておりまして、おおむね意見の一致を見たという段階でございます。今後、その空港の築造とあわせまして湾岸道路を築造していきたい、こういうふうに考えております。  羽田から先、神奈川方面でございますが、これにつきましては埋め立てが進行いたしませんとなかなかうまくまいりません。それと同時に、現在の、たとえば多摩川の河口をどう行くか、あるいは埋立地と埋立地の間をどう渡るかということで、非常に大きな構造物がたくさん出てまいります。したがいまして、これらの技術的問題であるとか計画面の調整というものを今後精力的に図ってまいりたいと思っております。  なお、御承知のように横浜のベイブリッジでございますが、そちら側からまた押してまいりまして、御承知のようにベイブリッジは五十五年度に着工いたしておりまして、これの完成もまた鋭意図っていきたい、こういうふうに考えております。
  432. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 そうしますと、結局羽田空港の沖合い移転の工事が進まないと、この問題については、あの場所を開通して横浜に持っていくということは技術的になかなかむずかしい、こういうふうに判断していいのか、あるいは湾岸道路の部分はいまの非常に技術の進んだ工事によってもっともっと早く開通することができるのか、その点についてはどうなんでしょうか。
  433. 萩原浩

    ○萩原説明員 先生御指摘のように、やはり埋め立てであるとかあるいは空港であるとか、それができませんと道路がつくれないわけでございます。そういう計画に合わせた形で事業の進捗を図ってまいりたい、こういうふうに考えております。
  434. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 最後です。  いままでの御質疑、専門的な問題でしたから大臣にはお聞きしませんでしたけれども、羽田空港の沖合い移転の問題についてあるいはまた総合交通体系について、これは私は国としても非常に重要な一つの政策だと思っているわけでありますけれども、これに対して大臣としてはどういうふうに取り組み、そしてこれからそれを解決する方向を見出していかれるか、その点について御決意を伺って質問を終わります。
  435. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 羽田の沖合い展開がいよいよ本格的になってまいりまして、これに対するアクセスは当然十分やっていかなければならぬと思いますが、幸い湾岸道路は先ほども課長が言っておりますように、埋め立てが先行すれば、これは反対運動はないのですから、反対運動があればどこをやったっておくれますけれども、これは反対運動がないからわりと早く進むのではないかと思っております。
  436. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 では、以上です。
  437. 藤本孝雄

    ○藤本主査代理 以上で鈴切康雄君の質疑は終了いたしました。  次に、岩佐恵美君。
  438. 岩佐恵美

    岩佐分科員 昨年八月に、調布の飛行場を飛び立った小型飛行機が調布中学校の校庭に墜落をして、飛行機に乗っていた二人の人が即死する、こういう恐ろしい事故が起こりました。犠牲者の方には心から御冥福を祈ります。  この事故では、不幸中の幸いで、周辺の方々への被害がありませんでした。しかし、この事故発生によって、以前から危惧されていた調布のように人口密集地にある小型飛行場の存在そのものについて否定する声が住民の中からなお一層広まり、いつ同じような事故が起こるかわからない状態の中での現在の飛行について、即時やめるべきだという周辺の住民の皆さんの運動が高まり、調布市長、市議会も住民の皆さんの要求に基づいて国に対する申し入れや話し合いを行っていることは周知のとおりです。私は、この調布の飛行場問題についてきょう質問をいたしたいと思います。  まず初めに確認をしますけれども、定期運送事業と共同で使用している飛行場を除いて、固定翼機が使える小型機専用の飛行場は関東地方には何カ所ありますか。
  439. 松井和治

    ○松井(和)政府委員 関東地方という意味を伊豆七島まで含めて申し上げますと、小型機の専用飛行場として、公共の用には供されませんが、非公共用のものとして四カ所、それから場外離着陸場が三カ所、それとただいま御指摘の調布飛行場、以上八カ所でございます。
  440. 岩佐恵美

    岩佐分科員 この八カ所のうち、いわゆる関東地方というふうになりますと、大利根と新島と調存ということになるわけですね。
  441. 松井和治

    ○松井(和)政府委員 すべて申し上げますと、調布のほかの七つは、非公共用飛行場といたしましては、埼玉県桶川市のホンダエアポート、茨城県龍ケ崎市の龍ケ崎飛行場、群馬県にございます大西飛行場、茨城県の阿見町にあります阿見飛行場、それから御指摘いただきました新島にございます新島場外離着陸場、それと大利根離着陸場、これは千葉県にございます。それから群馬県にございます太田大泉場外離着陸場、以上七カ所でございます。
  442. 岩佐恵美

    岩佐分科員 そうすると、関東にあるこうした調布のようないわゆる飛行場というのは、航空法第七十九条ただし書きによる場外離着陸場ということになるわけですね。ですから、関東地方には本格的な小型飛行機の飛行場は一カ所もないということになると思います。近畿圏には八尾空港が二種で告示されて、最近土地問題が基本的に解決し、いよいよ本格的に整備することになるというふうに聞いています。ところが首都圏には一カ所もない、これは大変大きな問題だというふうに私は思います。首都圏にも本格的な告示された小型飛行場が必要だと思いますけれども、仁の点についてのお考えを伺いたいと思います。
  443. 松井和治

    ○松井(和)政府委員 御指摘のとおりでございまして、近畿地方と並びまして、日本のいわゆる産業航空と称されております小型機あるいはヘリコプター等の基地が、正式の飛行場として関東地区にないというのはまことに残念な状況だと考えております。
  444. 岩佐恵美

    岩佐分科員 先ほどから話が出ている非公共用飛行場や場外離着陸場では安全施設の義務づけもありませんし、周辺対策をとる必要もない。これは搭乗者にとっても周辺の住民にとっても生命、財産にかかわる保障がないということになります。つくるなら告示された飛行場でなければならないと思います。  首都圏の代表的な小型機の飛行場はもちろん調布だというふうに思いますけれども、この調布は歴史的に長らく場外離着陸場としてあったために、周辺には住宅が密集し、それからごみ焼却場の煙突が、かなり高い煙突ですけれども、これが立っています。高速高架道路もできるということで飛行場としての条件は非常に悪くなっています。離陸時に不慮の事故などがあったら不時着する場所もない、そういうような状況です。これからずっと調布の飛行場を使って飛行機を飛ばすということは、このことから見ると非常に不適当だというふうに思います。本格的な飛行場ということになれば当然調布以外の適地を見つけなければならないと思います。  昨年八月の不幸な事故以来、冒頭に申し上げましたように住民の運動が高まりました。運輸省はしばしば移転をするということを言っておられますけれども、このことを確認をしたいと思います。そして実際に候補地探しをやっておられるのかどうか、そして現状、それはどういうことになっているのか御説明を願いたいと思います。
  445. 松井和治

    ○松井(和)政府委員 調布飛行場の代替飛行場につきましては、従来から調査を実施してまいったわけでございますけれども、都市化が大変広範囲に進展しております首都圏の中におきまして、現在の調布飛行場と規模が大体同じ程度、すなわち滑走路が千メートル程度取り得る飛行場を探すというのはきわめてむずかしい状況でございまして、ただいままで適地が見出し得ない状況でございます。したがいまして、今後の代替飛行場の適地の選定に当たりましてはもう少し範囲を広げようではないかということを考えておりまして、首都圏だけではなくて、さらにもう少し範囲を広くとりまして、図上の検討並びに現地調査を行っている状況でございます。
  446. 岩佐恵美

    岩佐分科員 去年の八月の事故以来、調布での飛行回数制限が行われました。これによって、調布を基地としている産業航空、この方々が現在はともかくも、将来の営業発展のための展望は閉ざされた、意欲的な事業計画を立てるわけにいかない、そういうことで非常に悩んでおられます。また、そのことは、当然そこに働いている千人近い労働者にとっても大きな問題であります。ですから、早く適地を探して引っ越しをする、これは周辺住民にとってもちろんのことではありますけれども、飛行場関係者にとっても大変死活の問題にもなってきている、そういう重要な問題だと思います。当然事を進めるに当たりまして、いつまでにどういうような段取りでやるかというようなことで、目標を持って進めておられると私どもは判断をするわけでございますけれども、その点についてお伺いをしたいと思います。
  447. 松井和治

    ○松井(和)政府委員 先ほども申し上げましたとおり、首都圏というような人口の集積した地帯におきます適地選定というのは大変むずかしいために、私どもできるだけ早くやりたいという気持ちを持っておりますけれども、いついつまでにという明確な予定を立てるというのは大変困難な実情にございます。ただ、もし仮に適地が見つかりました場合に、そこに飛行場を建設するということになりました場合には、その建設にはおおむね五年程度あれば完成できるだろう。しかし、その前段階の適地を見つけるまでの期間、これはなかなか予定が立てにくいのが実情でございます。
  448. 岩佐恵美

    岩佐分科員 私も何度か交渉にも伺ったわけでございますけれども、いつもそういうような問答で終わってしまうわけですね。周辺住民にとってみますと、一体その適地探しの作業がどういう段階で、どんなふうに進んでいるのか、そのことをやはり誠意を持って説明をしてくれないとわからないわけですね。やはり大事な飛行場を探すといってもそう簡単な事業ではないわけですから、たとえば特別な部門を持っているのかとか、あるいは特別な人間を配置しているのかとか、あるいはそういう予算を組んでやっているのかとか、そういうこともみんな関心を持っているわけなんですね。ですから、私は、その段取りについてもっと住民に親切にわかりやすい、あるいは関係者にわかりやすいそういう情報を提供すべきだというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
  449. 松井和治

    ○松井(和)政府委員 代替飛行場の適地選定につきまして全力を挙げてやっておるわけでございますが、たとえばどことどこを候補地としてやっておるというようなことが漏れますと、これは非常に大きな影響を及ぼすわけでございまして、とことこ河川敷なんと言うだけで非常に問題が大きくなります。したがって、私どもが選定作業を行った具体的な場所等につきまして申し上げるのは差し控えさせていただきたいのでございますが、個所数で申し上げますと、約十カ所について調査を行っております。
  450. 岩佐恵美

    岩佐分科員 その調査選定につきまして、十分人の配置もして、そして万全の措置をとってやっているということをお約束できるわけでございましょうか。
  451. 松井和治

    ○松井(和)政府委員 これは当然私どもの通常の業務の範囲内でございますので、私どもの職員が先ほど申しましたような図上の検討並びに現地調査というものを行っておるわけでございます。
  452. 岩佐恵美

    岩佐分科員 先ほど答弁の中で、適地が見つかってもそれを飛行場として使えるための整備に五年くらいかかるということになりますと、この適地が非常に好運なことにことし見つかるということになったとしても最低六年はかかるということになるわけですね。それが、見つけるまでの時間がもっとかかるということになれば、当然現在の調布の使用については暫定使用ということになると思います。現在調布のあの土地の大部分を所有しているのは東京都ですけれども、この土地の使用協定、こういうものについて一体どうなっているのかということを調べてみると、非常に不明確だ、戦前の亡霊のような三者協定に固執をしている、こういうことではどうしようもないのではないか、やはり東京都と協議をして正式に暫定使用協定を結ぶべきだと思いますけれども、その点はいかがでしょうか。
  453. 松井和治

    ○松井(和)政府委員 御指摘のとおりこの調布飛行場はいろいろ古い歴史がございまして、昭和十五年の三者協定というものが、確かにいまもって有効か無効かというような争いの的になっておるのは御指摘のとおりでございます。私どももこの辺はすっきりした形で使用する場合には使用させていただきたいということを考えておるわけでございまして、常々東京都ともお話し合いをしておるわけでございます。今後も努力してまいりたいと考えております。
  454. 岩佐恵美

    岩佐分科員 私は、昨年現地調査を行いましたけれども、滑走路、それから管制塔に至ってはもう大変ひどい状態で、びっくりいたしました。周辺のさくも直さない、乗り越えて入ってきて飛行機のガソリンを抜いたというような人があると聞いています。これはもう危なくてしょうがないわけです。周辺住民にとってもあるいは飛行場の関係者にとってもなおざりにすることができない問題だと思います。業界紙によりますと東京航空局長地元三市に了解を求めて回ったということですけれども、この飛行場の安全性についてどういうような補修をするとか、どういうような期間、どういうような内容なのかということについて御説明を願いたいと思います。     〔藤本主査代理退席、唐沢主査代理着席〕
  455. 松井和治

    ○松井(和)政府委員 御指摘のとおり、調布飛行場の施設につきましてはかなり老朽化しておるのが実情でございまして、私どもこれまでもできるだけ早く御指摘の管制塔を含めて各種施設の補修を行いたいということを地元に申し入れをしておったわけでございます。これが調布飛行場の永久使用につながるのではないかという危惧の念を持たれて、現地の地元市の方々がなかなかそれを認めていただけないという実情がございまして、さらに老朽化が進むという悪循環を繰り返したわけでございます。私どもそのため、これは放置できないという観点から、御指摘のように最近になりまして地元市に対し、滑走路、エプロン、誘導路のかさ上げ改良工事、管制塔及び庁舎の新設、場周さくの必要最小限の改築、この三点を中心といたしまして、関係三市に申し入れを行いまして、現在協議を行っているという状況でございます。
  456. 岩佐恵美

    岩佐分科員 私は、そのことはそのことで早くやるべきだというふうに思いますけれども、そのほかに見てきて気がついたことがあります。  それはVFR飛行というのは非常に天候に敏感な飛行だというふうに言われているのですけれども、それが調布の気象情報の場合には三時間に一回だというふうに聞きました。大空港なら三十分や一時間ごとに観測されているのに、天候に敏感なVFRがこのような状態であるというのはどうかと思います。八尾のように一時間ごとにすべきではないかということを思いました。  それから、気象観測も目視に頼るのではなくて、必要な機器を置いて、そして十分各種の情報が提供できるように、そういう体制をとるべきだと思いますけれども、その点いかがでしょうか。
  457. 増澤譲太郎

    ○増澤政府委員 お答え申し上げます。  調布飛行場は供用時間が短うございますので、定時観測の回数は八尾空港よりも少のうございます。しかしながら、天候の変化に応じて行う特別観測とかあるいは利用者からの求めに応じて行う照会観測というものがございますけれども、このような観測の回数は八尾に比べて多くなっております。最近利用者からの御要望も強うございますので、定時観測の増加を検討中でございます。  また、観測の施設につきましては、昭和五十六年度における諸施設の整備に合わせまして雲高測定器、雲の高さを測る測定器でございますけれども、これらを含めて航空交通に必要な観測測器の移設、更新等に努めてまいりたいと考えております。
  458. 岩佐恵美

    岩佐分科員 次に、移転することになれば、当然現在ある事業所あるいは労働者にとって大変大きな条件の変更になるわけでございます。ですから、一方的に適地がどこかに見つかってすぐにというような形でいきな旦言われても困るという声が地元でも強いわけです。私は、できるだけ事業所や労働者の方々とよく話し合って、そして希望が入れられるような形で、つまり運輸省が一方的にやるのではない、そういう形をとるべきだというふうに思いますけれども、その点いかがでしょうか。
  459. 松井和治

    ○松井(和)政府委員 調布飛行場の当面の処理並びに将来の扱いにつきましては、なお東京都と十分相談してまいりたいと考えておりますが、仮に代替飛行場が見つかったと仮定いたしましたときの航空関係者への影響、これは当然配慮しなければいかぬ問題だと考えております。  実は、そのことも代替飛行場を見つけることの一つの困難な理由になっておると思うのでございまして、飛行場の適地というのは過疎地に行けば行くほど見つかるわけでございますが、逆にそういうところに行ったんでは産業航空の基地としては全くふさわしくないということになる。したがって、ある程度便利なところであって、かつ一定の広さを持ち、周辺に迷惑を及ぼさない土地を探さなければいけない。これが二律背反の問題でございまして、適地の選定を困難にしている理由だと思います。  しかし、いずれにいたしましても関係航空業界に非常に大きな影響が出るということを念頭に置いて、今後検討を進めていきたいと考えております。
  460. 岩佐恵美

    岩佐分科員 最後に大臣のお考えを伺う前に、私は、全運輸の「航空フォーラム」ナンバー九に書かれております「VFR機の安全対策を進めよ」という小さい論文につきましてちょっと御紹介をさせていただきたいと思います。  日本ではVFR行政が非常に遅れています。そのことは、調布や八尾という、日本を代表する空港へ行けばすぐ削ります。また墜落事故等があっても何ら改善されないことからもうなずけます。遅れの最大の原因は、VFRとは自分勝手に飛ぶものだという、間違った考えが蔓延しているからです。確かにVFRは、特殊なケースを除いては自由に飛べますが、「自由」であることと、「放置」であることとは違います。日本の場合は「放置」の状況に近いと云わざるをえません。  数年前、航空局がVFR関係者の要望についてアンケートを実施したところ、空港施設についての要望が数多く出されました。調布や八尾の施設の不備だけでなく、全国に普遍的な問題が出ました。野ざらしの駐機場(格納庫の不備)、給油施設の不備(とりわけ長時間飛行の場合の中継給油施設の不備)、舗装の不完全な滑走路や誘導路、などなど、IFRの場合に比べてその行政の遅れは歴然としています。勿論、飛行中の交信施設の不備についても要望が出されています。  こうした要望は、その大半が放置されています。VFRの飛行目的を「好きな者が勝手に飛んでいる」と解釈していたら、永久に対策は進みません。逆に、私たちは極めて公共性の強い飛行と考えます。航空写真撮影、地図測量、ダム建設協力、ニュース取材、自治体協力事業、救難事業などどれをとっても国にとっても大切な仕事です。これら中小企業の多くは経営基盤が弱く、国からの強力な助成を待っています。最近は共同運航を目指すなど近代化を模索する動きがありますが、それにしても余りにもVFRに関する無理解があって、遅々として進まないのが現状です。こういう訴えをしているわけでございます。  私は調布の飛行場を見て、この小論文を読んで本当にそのとおりだというふうに思いました。先ほどから議論をされておりますけれども、調布の移転を可能な限り早く行ってほしい。そして暫定使用期間中も安全対策を万全にしてほしい。また移転について労働者やあるいは業界の関係者とよく話し合いをしてほしい、民主的に進めてほしい。この三点につきまして、先ほどの論文の小型機の産業航空の発展についての配慮も含めてお考えを伺いたいと思います。
  461. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 私は就任いたしまして早々にこの事故が起こりましてそのとき異常に思いましたのは、非常に簡単なミスが大事故を起こしたということで、直ちに空港閉鎖を命じたのでございます。そして、点検をせしめまして一週間飛行を禁止いたしました。  私は八尾でございまして、生まれたのも育ちも八尾でございますから八尾飛行場はよく知っておりますが、八尾飛行場は会社がお互い牽制し合って、定期検査を厳重にやっておると思うのです。だから私は、おっしゃるVFRというのは今後先端産業としても非常に伸びていかなければならぬと思うのですが、それだけに業者も真剣に整備というものを考えてもらわなければいかぬ。私、事故原因を聞きまして、これは粗漏ではないかという感じがしておるのです。私は今後とも抜き打ちにしばしば点検をしろ、こう言っておるのです。  さて、それはそれとして、飛行場の新しい適地を見出すのは実にむずかしい。私も二、三候補地を言いまして検討をせしめたことがございましたが、結局移転をすると大部隊が移転しなければならぬ。ただ飛行機だけ持っていけばいいということと違いますから、そういうことで非常にむずかしいなと私自身も経験いたしました。  そこで、とにかく一生懸命探すけれども、その間暫定使用できちっとやるべきだ。国も金を出して整備したいと思っておるのです。この前東京都の鈴木知事がお越しになりましたので、私はこの苦衷を訴えまして、ぜひひとつ信頼していただくよりしようがないだろう、ここで居座ってしまうということになれば反対されるのは当然だが、必ず適地を探すということにするから、暫定使用に耐えるようにこちらも金を出して整備するからやらしてくれぬか、こう言っておるのです。それに対しまして知事は、地元意向を聞かなければ何とも申し上げられませんが、私も努力はしてみましょうとおっしゃってもらっているので、私はそれをもう一度機会があればお願いしてみよう。知事が地元市長なり市民の団体に話をしていただくのがやはり一番いいんではないかなと思っておりまして、そういう機会をつくって再度お願いいたしたいと思っております。
  462. 唐沢俊二郎

    ○唐沢主査代理 以上で岩佐恵美君の質疑は終了いたしました。  次に、春田重昭君の質疑に入るのでありますが、同君の質疑に際し、参考人として日本鉄道建設公団理事濱建介君が御出席になっております。  なお、御意見は質疑をもって聴取することといたします。  春田重昭君。
  463. 春田重昭

    春田分科員 本題に入る前に大臣に確認しておきたいわけでございますけれども国鉄赤字ローカル線の廃止基準運輸省側の考え方といいますか構想が出たわけでございます。きょうの夕刊によりますと、自治省を中心といたしましてかなり強い抵抗があるみたいでございますか、これを受けて、官房長官も手直しといいますか、見直しの必要があるような談話が出ているわけでございますけれども、これに対する運輸省の御見解をまずお伺いしたいと思います。
  464. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 私はまだその夕刊を見ておりません。官房長官は見直しとはおっしゃっておらないと思います。それは新聞のとりようでそうとったのかもわかりませんが、見直しとはおっしゃらないで、慎重に考えてくださいよ、こういうことはおっしゃいました。それは、長年国鉄地域住民とのつながりがございますだけに、私も慎重を期すべきだと思っております。
  465. 春田重昭

    春田分科員 運輸省もかなり譲歩はしたみたいで、二段階の廃止論を唱えているわけでございますけれども、それにしても第一段階の五十七年ですか、これについてはかなりの抵抗があるみたいでございまして、新聞では手直しという形で出されているわけでございますけれども運輸省側の考え方、構想は、これはがんとして貫き通す、二日には関係閣僚会議があるみたいでございまして、三日に政令が大体決まるということでございますけれども、いわゆる運輸省考え方で貫き通す、こういう強い意思なのかどうか、また自治省等の御意向等も受けて考えてみよう、検討する必要もあるのではないかという幅のあるお考えなのかどうか、再度御答弁いただきたい。
  466. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 現在でも原則論は全然崩れてやりません。原則は必ず政令に盛り込みたいと思っております。
  467. 春田重昭

    春田分科員 限られた時間でございますので、それでは本題に入りたいと思います。  いま言ったように、国鉄再建の中で赤字ローカル線の廃止が問題になっておりますけれども、一方、大都市間の国鉄輸送体制の見直し、これも重要な課題の一つじゃないかと思うのですね。そこで、この問題につきましての大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
  468. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 国鉄再建に消極的な姿勢で取り組んでは、これは成功いたしません。ですから、極度に非経済的な路線、これはやはり代替交通機関にかえた方が国民経済の面からいっていいと思う。けれども、一方におきましては国鉄は、鉄道の特性のある都市内におきますところの交通の増強、これに投資しなければいけません。いままで新幹線に余りにも投資し過ぎて、肝心のお客さんのたくさん乗ってくれるところをほったらかしておいた。これは確かに私は言えると思うのです。それが競争力を失ってきておるところだ。だから都市内においての国鉄の使命というのは、これからもっともっと積極的に取り組んでいくべきだ、こう思うのです。  それと都市間交通でありますが、これも路線が悪くなりましたし、それから輸送体系にいたしましても非常に時間的にももっと工夫しなければならぬところがあるだろうと思う。都市と都市との交通はやはり国鉄なんだ、この体制をとっていくべきだ。そのための投資も必要だと思うのです。  それと貨物ですね。こんなにエネルギーが上がって高くなってまいりまして、特にこれから給油は、ことに需給の関係が大変逼迫してくるだろうと思う。そうすると、そういつまでもトラックだ、バスだというのに頼っておれないのだろう。そうすれば貨物もだんだんと国民経済的な観点から見ても、鉄道に移行していかざるを得ないだろう。そういう施設に積極的に投資し、これをやっていくことで新しい国鉄と生まれかわって、それが再建になってくる、私はそう思っておるのです。
  469. 春田重昭

    春田分科員 きょうは総裁がお見えになっておりますので、いまの問題につきまして同じく総裁の御見解をお伺いしたいと思います。
  470. 高木文雄

    高木説明員 私どもといたしましては、やはり国民経済的に見ましても重要だというフィールドにおきましては、現体制を維持するのはもちろんのこと、むしろ拡充に努めなければならないと考えております。  いま大臣からも明快にお答えがございましたように、都市周辺の問題それから主要な都市間の問題、こうしたことについては、いささか私どものいままでの力の入れ方が十分ではなかったと考えざるを得ないわけでございます。それは、どうしても新幹線の方の工事費に投資枠を分けざるを得なかったという事情もあるわけでございますが、現在、東北・上越新幹線の工事のめどもほぼついてまいりましたので、本来のあるべきところへの投資へより重点化を図り得る時期が来つつあるのではないかと考えておるわけでございます。
  471. 春田重昭

    春田分科員 確かに私も同感だと思うのです。大都市間の国鉄の使命は非常に大きいわけでございますが、残念ながら私鉄から比べれば相当いろいろな面で劣る面がございます。列車本数にしましてもまた料金面にしましても、特に料金面なんというのは八割方国鉄は高いわけですね。そういう面でも考えていく必要があると思います。  そこで私は、大都市間の交通体系という問題につきましてここで大臣にお尋ねしてまいりたいと思いますが、御存じのとおり私は大阪でございまして、大臣はこの問題、政府委員に答弁させなくてもすべておわかりのことでございますから、本当に御認識もあろうし、御理解もあると思って御答弁をいただきたい、こう思っているわけでございます。  まず、大阪と奈良、京都を結んでいる国鉄の片町線というのがありますけれども、この片町線の京橋と長尾間の輸送量と乗車効率について御説明をいただきたい。数字をもって御説明いただきたいわけでございますが、それとともに、この乗車効率につきましての御見解を、簡単で結構でございますからいただきたいと思います。
  472. 半谷哲夫

    半谷説明員 最初に、お尋ねのございました片町線、京橋−四条畷間の輸送量でございますが、これは五十四年度の実績でございますけれども、終日、片道の輸送人員が九万六千四百人という数字になっております。それから四条畷から長尾間の輸送量でございますが、終日、片道一万九千九百人という輸送量でございます。それから長尾−木津間、これがやはり終日、片道の数字で千百五十人、このような数字になっております。
  473. 春田重昭

    春田分科員 京橋−四条畷間のラッシュ時間の輸送量と乗車効率はおわかりですか。
  474. 半谷哲夫

    半谷説明員 京橋−四条畷間の五十四年度の実績でございますが、ラッシュ一時間二万八千三百人という数字でございます。乗車効率が二二五%ということになっております。
  475. 春田重昭

    春田分科員 乗車効率が二二五%と出ているわけでございますが、これは現在の輸送体系ではやむを得ない、こう見ているのかどうか。いやこれは、二二五は大変だ、もっと本数をふやして緩和していきたいというお考えなのか。
  476. 半谷哲夫

    半谷説明員 一般的に通勤時間帯、最も混難いたしますラッシュ一時間の乗車効率の適正なところはどこかというところはいろいろ議論のあるところでございますが、現在東京付近の主要な通勤線区におきます最混雑一時間の乗車効率という点から見ますと、大体二五〇%を超えている線区が大分ございます。したがいまして、そういうところから見ますと、二二五%というのは確かに定員の二倍以上お乗せしているわけでございますけれども現状の相対的な見方でいきますと、それほどひどい混雑という状況ではないというふうに見ているわけでございます。
  477. 春田重昭

    春田分科員 ところがこの沿線では相当人口がふえているわけでございまして、それにも出ておりますように、五十三年度から五十四年度一年間輸送量が約一千百名ふえているわけです。国鉄全体が乗車人員が少なくなっている傾向の非常に強いときに、一千百人もふえているということは非常に驚異的な数字じゃないかと私は思うのです。将来、近くまたこの沿線では、民間とそれから公営の大規模開発も行われまして、相当な人口の流れといいますか、急増するような予想が言われているわけでございまして、二二五%以上を上回ることは間違いない、こう言われているわけです。そういう点からいったら、現在も一時間当たり十五本ということは四分ヘッドで出ているわけでございますけれども、これはもうこれ以上本数をふやすことは不可能なのかどうか。要するに二二五%は恐らく二五〇%以上上回っていくんじゃないかと私は思っているわけでございますけれども、その辺のいわゆる乗車効率になった場合に、この本数をふやすといいますか、車両をふやすといいますか、そういうことを考えていく必要があると私は思いますけれども、どんなものですか。
  478. 半谷哲夫

    半谷説明員 通勤時間帯の輸送力をつけるという方法には、いま先生のおっしゃられた電車の回数をふやすということが一つと、それから編成長を延ばしていく、一編成の電車の両数を延ばす、多くするということでございますが、列車本数一時間十五本、これはすでに複線になっている区間でございますから、能力的にはまだ電車を入れる余力は持っているわけでございます。したがいまして、今後の輸送量の増の状況を見ながらこれに合った輸送力をつけていく必要が出てくるわけでございますが、電車本数をふやす余地がございますし、あるいはまた編成長を延ばすという方法もまだ余力を残していると思います。  いずれかの方法で対処していくわけでございますが、先ほど申し上げましたように、確かに混雑しているわけでございますけれども、全般的なこういった通勤輸送対策の、東京、大阪その他地方都市においても出てきておりますけれども、この混雑状況を緩和するという全体のバランスを見ながら対策を打っていく必要があるのではないかというふうに考えているわけでございます。
  479. 春田重昭

    春田分科員 なお四条畷−長尾間では七本なんですね。四条畷−京橋間は十五本になっているわけですよ。その点からいったら特に四条畷以遠といいますか、長尾あたりが相当人口がふえてきているわけでございますから、この七本は十分に余力があるんじゃないかと私は思いますので、これはケース・バイ・ケースでふやしていく、こういう考え方でいいですか。
  480. 半谷哲夫

    半谷説明員 実は四条畷−長尾間が複線化されましたのがたしか一昨年だったと思いますが、それまでは単線区間でございます。したがいまして、現在は複線になっておりますので、一時間七本を、京橋−四条畷は現在十五本走っておりますかも、もちろん十五本入りますし、それ以上も入る能力を持っております。ただ現在の輸送量という面から見ますと、やはり四条畷を境にして相当差がございますが、四条畷−長尾間が複線化されたという影響もあるいはあってかと思いますけれども、いまは非常に発展といいますか、人口が非常にふえているという状況をつかんでおりますので、その増加傾向を見ながら私どもも対処していきたいというふうに考えております。
  481. 春田重昭

    春田分科員 ぜひそうしていただきたいと要望しておきます。  それから夏のシーズンにおける冷房車の運行状況でございますけれども、この片町線は何%くらいになっておりますか。
  482. 橋元雅司

    ○橋元説明員 片町線におきます冷房化でございますが、五十二年夏まではゼロでございました。五十三年の夏に一二%、五十四年の夏に二八%でありまして、ただいま五十五年、昨年でございますが三三%まで上がってまいりました。配置両数は百二十六両ばかりございまして、そのうち四十二両が冷房車になっておりまして、ちょうど三両に一両の割合で冷房になっておる、こういうところでございます。
  483. 春田重昭

    春田分科員 この大阪圏のいわゆる平均冷房化率は何%なんですか、ちょっとお伺いしたいと思います。
  484. 橋元雅司

    ○橋元説明員 東京、大阪の国電の平均で六〇%でございまして、大阪圏だけをとりますと六二%であると記憶いたしております。
  485. 春田重昭

    春田分科員 片町線に関しては半分、こうなるわけですね。大臣のところも関係があるわけですから、ひとつもっと高めていただきたいと思うのですよ。年々高くはしていただいているわけでございますけれども、まだ全体の半分なんですよ。こういうことからして非常に冷房化の要望が強いわけでございます。そういったように、一年間でも一千百人もふえてきて非常に需要が高い路線になってきております。これは五十六年度どれくらいするか御計画があるのですか。
  486. 橋元雅司

    ○橋元説明員 まことに申しわけないことでございますが、実は先生承知のように、この片町線の電車はかなり車齢の古い車が多うございまして、これを新しい車にかえた上で、それに伴って冷房化を進めるという計画にいたしております。したがいまして、五十六年度の夏には多くを期待できないのでございますが、その車両を早く更新いたしまして新型車両に置きかえてまいりまして、しかる上で冷房化を高める、こういうことでございます。したがいまして、いま定かに時期を明示申し上げて、冷房化はこうなるということを申し上げるわけにまいらないわけでございますが、できるだけ早い機会にできるだけ新しい車両にかえまして冷房化を高めてまいる、こういう決意でございます。
  487. 春田重昭

    春田分科員 それから、この片町線は一昨年の十月、長尾まで複線電化されたわけでございます。ところがまだ各駅停車なんですね。そういう点で快速の要望が非常に強いわけです。ちょうど一昨年の複線電化のときも、国鉄の当初の約束では快速を走らせるような意向があったように聞いておりますけれども、その快速の運行についてはどういう御見解ですか。
  488. 半谷哲夫

    半谷説明員 快速運転をやりますためにはいわゆる緩行電車を追い抜く設備が必要になるわけでございます。この長尾までの複線化がなされておりますけれども、快速運転をするということを計画に入れておりませんので、この追い越し設備ができていないために、仮に快速運転をいたしましても、前に緩行が走っておりますと、それを追い抜けなければその後をついていくよりしょうがないということになりますので、やはり快速運転をするためには、適当な駅に緩行も快速も停車できるという形の設備を整えなければいけないと思います。現在の段階ではそういった設備が整備されておりませんので、いますぐ快速運転をするということはちょっと無理だと思います。しかし将来、片町線の都心乗り入れというような問題もいろいろ出ておりますので、今後のそういった進展を見ながらまだ考えていくべきではないかというふうに考えております。
  489. 春田重昭

    春田分科員 それから、この片町線は木津まで走っておるわけでございますけれども、一昨年の十月長尾まで複線電化されて、長尾から木津までがまだ単線になっているわけですね。そこで延長大体十八キロぐらいですか、これまでもいわゆる優線電化の要望が強いわけでございまして、特に長尾以遠の田辺あたりでも相当に人口がふえている、こう聞いているわけですね。そういう面から言ってもこの複線電化というのは早急にやはり必要じゃないか。現に、データイムでは一時間半ないし二時間に一本しかないわけですね、長尾から木津までは。そういう点から言ってバスより悪いという苦情が出ておりますので、この複線電化についての要望が非常に強いわけでございますけれども、この点についてはどうお考えになっておりますか。
  490. 半谷哲夫

    半谷説明員 片町線の長尾までの複線化を一昨年完成させたわけでございますけれども、さらにそれの先につきましての複線化と、この先が非電化でございますから、電化の御要請が非常に強いということはよく承知しているわけでございます。ただ、現在の輸送量から見ますと、やはり長尾で相当の差がついているのが現状でございます。現在、全国的にこういった電化、複線化という御要望が非常に強いわけでございますが、現在の国鉄の財政事情から言いまして、投資につきましても相当慎重に、投資の内容あるいは収支採算性といったようなものも十分考慮して、順序をつけてやっていかなければいけないという状況にございますので、いまの段階ですぐにこれに取りかかるという状況にはなっていないのではないかというふうにわれわれは感じております。しかし、特に田辺付近までの間につきましては寸最近宅造が非常に進んでいるという状況でございますので、それらの進展を見ながら、また片方で、こういった投資の再建途上の枠の中でどうするかという整合性も考えながら検討していきたいというふうに考えております。
  491. 春田重昭

    春田分科員 次に、この片町線と国鉄奈良線を直結する短絡新線の計画があるやに聞いておるわけでございますけれども、この作業はどこまで進んでいっているのか、お伺いしたいと思うのです。
  492. 杉浦喬也

    杉浦政府委員 片町線と奈良線の短絡線の問題でございますが、これを短絡してほしいという地元の御要望が強いということは十分承知しております。しかし、現状国鉄の財政がきわめて悪い状況でございまして、また工事費等も非常に制約されておる現状でありまして、なかなか国鉄新線というものに取っかかるだけの余裕が、実は余り現在のところございません。そういうような事情でございまして、いろいろな御要望の強いところは十分承知しておるわけでございますが、この問題につきましては慎重に対応をしておるところでございまして、いろいろな観点から検討したいと思います。
  493. 春田重昭

    春田分科員 この計画については大臣はどういうお考えを持っておられますか。
  494. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 一般論で申さなければならぬのですが、こういうところがやはり国鉄の矛盾しているところなんですね、本当のところ言って。やれば絶対採算がい、もうかるところを、みすみすやれないというような状況で、これはやはり全国的な観点に立って国鉄というものは見なければならぬ。ですから東京、大阪を見まして、投資すれば完全にそれが生きてきて何倍にも相乗効果をあらわしてくるところでも、投資ができない。国鉄というのはいわば企業であって、実はもうがんじがらめに金も人事も抑えられてしまっておるところでございますから、なかなかこれはむずかしいように思う。しかし、私は春田さんと同じように、これは絶対やるべきだという気持ちを持っておるのです。そこで、本当に国鉄がやらないのだったら、これを私鉄でつながしたらどうだ。私はそう思うのです。これをおっしゃるように長尾から京都へつなげば、絶対これは開発されます。また、絶対いい線になります。そこらは、だから国鉄がやれないのだったらやれないと早く返事をしてやることが大事で、やるような、やらぬようなことをやっておるのではだめだ。それは春田さんも地元で一回相談してもらって、地元でも引き受けてもいいと言うのだったら、それはやはり新線建設で、地元が新線建設をやる。みんな一緒でやると思いますよ。そうしてこれに乗り入れ国鉄ももうかるだろうし、そして地域交通にもよくなるだろうし、そこらの結論は、私もできるだけ早く出すように国鉄とも相談してみたいと思います。
  495. 春田重昭

    春田分科員 作業としては、鉄道敷設法で昭和三十六年に答申が出ているわけですね。それで都交番で昭和四十六年、同じく答申が出ておるわけでございますけれども、この後は要するにどういう形でやっていくのかという鉄建審に対する諮問がやはり必要になってくると思うのですけれども、これは大臣はもう当然必要であるという御意向でございますけれども、大体いつごろ鉄建審に諮問する予定なのかどうか。具体的なスケジュールが決まっておればお話しいただきたいと思います。
  496. 杉浦喬也

    杉浦政府委員 実はそういうようなスケジュールは、いまのところ持っておりません。
  497. 春田重昭

    春田分科員 鉄建審というのは年何回ぐらい開くのですか。
  498. 杉浦喬也

    杉浦政府委員 このところ、かなり間隔が遠のいておりまして、新線建設という問題が抑えられたせいだと思いますけれども、回数は非常に少のうございます。
  499. 春田重昭

    春田分科員 回数が少なくても、年に数回開いておるわけですね。ことしも、いわゆるそれには入らない、鉄建審の中には入らない、こういうことですか。
  500. 杉浦喬也

    杉浦政府委員 なかなかむずかしいのではないかと思います。
  501. 春田重昭

    春田分科員 何か政府委員の答弁大臣答弁というのは大きな落差があるみたいですが、これは当然、そういう答申が二十年前に出ておるわけですよ。そういう形で第一関門の鉄建審は通っているわけですから、第二関門のいわゆるこれを調査していくための諮問というものはやはり必要になってくると思うのですよ。そういう点で、時間がございませんので、これは当然ことしも鉄建審にやはり諮問すべきだと強く要望しておきます。  そこで、きょうは鉄建公団の方がお見えになっておるわけでございますけれども、この計画に対するいわゆる調査といいますか、鉄建公団としての動きといいますか、これはやはり諮問が出て答申が出た段階でないと、鉄建公団としては動いていけない、こういうお考えですか。
  502. 濱建介

    ○濱参考人 おっしゃるとおりでございます。
  503. 春田重昭

    春田分科員 そうしたら、まだこの問題については一切調査をやってない、こういうことですな。
  504. 濱建介

    ○濱参考人 そのとおりでございます。
  505. 春田重昭

    春田分科員 鉄建公団にはもう少し詳しくお尋ねするつもりだったのですけれども、何かメモが来ましてあと二、三分しかないみたいでございますので、次の機会にまたやらしていただきますので、せっかくおいでいただいたのですが、恐縮です。  最後にまとめてお願いしたいわけでございますけれども、この問題も大都市間の交通体系で非常に重要な問題だと言われております京都、奈良、大阪、兵庫を結ぶ片福連絡線の問題ですね。それともう一つは、大阪外環状線の線増計画。この二つについての今後の見通し、それで現在との辺までいっているのか、あわせて御答弁をいただきたいと思います。
  506. 半谷哲夫

    半谷説明員 片福連絡線につきましては、地元で大阪市、国鉄中心になりまして技術的な調査委員会をつくりまして検討を進めてまいりまして、昨年の九月にその中間報告が出されております。その際に一番問題になるといいますか、この計画を進めるに当たって関連いたしますものとして、別途、府の方で、建設省の方で工事を進めておられます共同溝計画との整合等が問題になったわけでございます。それにいたしましても、その他駅の計画等おおむね調整ができた段階でございます。  また、大阪外環状線計画でございますが、これも大阪府、大阪市あるいは沿線都市を含めまして現地で国鉄も参加いたしました技術調査委員会というところで、この建設をまとめるに当たりましてのもろもろの問題を詰めてまいりました。昨年十二月にその中間報告書がまとまった状況でございます。この中には連続立体交差計画とか盛土高架をスラブに直すとか駅をどこに設けるとか、いろいろ地元との調整が行われたわけでありますが、大体これらについて結論が出てきたという状況でありまして、なおその実施に当たっての細部について現在いろいろ詰めているという状況であります。  そのような状況になりましたので、この両プロジェクトとも大変大きなものでありまして工事費も相当多額を要するものでございますので、現在国鉄としましては、この両計画につきまして、輸送需要の推計とかこれに基づきます輸送計画あるいはこれを実施した場合の再建計画との整合、資金計画、現在の財政再建途上にあります投資の枠というものをある範囲に抑えていかなければなりませんので、その予算の範囲内におさめ得るかどうかといったような問題、またそれが経営上にどのようなはね返りがあるかというような問題を詰めている状況でございます。これらのものを整理いたしまして、なるべく早くこの措置を決めていきたいというふうに考えている次第でございます。
  507. 春田重昭

    春田分科員 いずれにいたしましても、こうした問題につきましては、いわゆる大臣の決意と官僚の考え方に相当差があるみたいでございます。大阪の問題だから力を入れるというのじゃないのです。これは当然大臣もそういう気持ちはさらさらないと思います。大都市間の交通体系というのは今後非常に重要になってくる。もうかるところはどんどん投資していくべきである、さっきも大臣がおっしゃったとおりであります。そういう点でどうか強い指導力と行政力でこの大阪圏の交通体系を整備充実していただきたい、このように要望して、終わります。
  508. 唐沢俊二郎

    ○唐沢主査代理 以上で春田重昭君の質疑は終了いたしました。  次に、小杉隆君の質疑に入るのでありますが、同君の質疑に際し、参考人として帝都高速度交通営団総裁山田明吉君が御出席になっております。  なお、御意見は質疑をもって聴取することといたします。小杉隆君。
  509. 小杉隆

    小杉分科員 大変長時間にわたる審議で、大臣以下皆さんお疲れだと思います。また、きょうは特に営団の山田総裁、また自治省の井上公営企業第一課長、御苦労さまでございます。  それでは、時間に制約がありますから、私は東京都の地下鉄計画あるいは地下鉄の一元化というような問題にしぼって質問をしたいと思います。  まず最初に地下鉄計画についてであります。四十七年の三月、都市交通審議会の十五号答申で東京の地下鉄計画が発表されました。これが発表されて以来、すでに九年たっているわけであります。地下鉄はいま、大臣地元である大阪を初め東京、名古屋、そうした大都市の一つ交通のかなめでありまして、いまの路面交通現状から考えましても、その拡充、改善が望まれていると思います。この計画が発表されてすでにもう十年近くたっているわけですが、こうした計画、この答申の内容を手直しする必要はないのかどうか、そういう点をまず最初に実際に建設に当たっておられる営団の総裁に率直に御意見を伺いたいと思います。
  510. 山田明吉

    ○山田参考人 山田でございます。  いま先生が御指摘になりました点は、昭和四十七年に開かれました都市交通審議会の答申、たしか第十五号だったと思いますが、それの御指摘ではないかと思います。  その答申は、東京都内に十三路線建設すべしという内容でございます。それに接続する私鉄を加えまして大体五百キロ余の高速鉄道群ができる理想像が当時できたわけでございます。それにのっとりましてすでにできている緑もございましたし、その答申が出たときにも、営団としては新しい線を建設いたしておりました。それからその後も新しい免許を申請いたしました。現在も二線建設中でございます。現在営団としては約百三十キロの地下鉄を建設し、営業いたしております。そのほかに現在建設中のものが大ざっぱに言って二線ございます。それから免許申請中のものもございます。  先生承知のように、昭和三十年代、四十年代、通勤通学あるいは日常の交通が非常に逼迫したということで、地下鉄道網の建設が各方面から必要性が強調されたわけでございまして、営団としてはそのために全力を挙げて建設に邁進し、現在、いまの時間でも新線の建設に努力いたしている、そういう現状でございます。
  511. 小杉隆

    小杉分科員 質問の趣旨は、要するに十五号答申が出されてすでにもう十年近くたっている、実際に建設をしている立場で、建設というのは十五年とか二十年とか非常に長い期間かかるわけですから、実際にやってみて、あの答申の計画をいまのうちに早急に手直ししなければいけないとか、そういう個所はないかということを聞いているのです。
  512. 山田明吉

    ○山田参考人 私ども現在経営をいたしております七路線、それから現に建設をいたしております線、いずれも必要な線ばかりでございます。それから現在免許申請中のものについても、地元の方方の御要望はもちろんでございますし、私どもも必要なものと考えております。  それから、あるいは御質問の範囲ではないかもしれませんが、当時から見てさらに首都圏という大きな交通圏が現在できておりまして、むしろ首都圏の交通網の整備が必要ではないかというように私個人としても考えております。
  513. 小杉隆

    小杉分科員 運輸大臣、同じ質問で……。
  514. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 私はこの答申の趣旨が、いま建設途中でもございますし、円周の広がり等もあって、やはり適当な時期には検討はしなければならぬだろうと思いますが、現在のところは答申を見直す必要はないのではないかと思っております。
  515. 小杉隆

    小杉分科員 いまの地下鉄の計画を見ますと、大体東京都心を中心として放射状の路線が非常に多いわけですね。環状線の計画が非常に少ない。せっかくある地域から横へずっと行けば短距離で行けるのに、わざわざ都心へ出でまた戻るというような不都合なことがあるわけです。  そこで、たとえば環状六号線とか七号線とか八号線とか、こういういままで欠けていた環状の地下鉄計画というものを盛り込むべきじゃないか。それはいますぐにはできませんから、計画そのものはなるべく早くそういうものに盛り込んでいかなければいけないんじゃないだろうかというふうに考えております。その点はどうなのか。  それからもう一つは、たとえば私の地元を例にとると、都営の三田線、地下鉄六号線と言いますけれども、これは清正公前までは路線が確定しているわけです。しかし、清正公前というのは国電もなければ私鉄のターミナルもないし、全く何もないところへとまっているわけです。それから後は港北ニュータウンへ延ばすということでその経由地は未定になっているわけです。ですから、すぐ横浜まで延ばせというのは無理かもしれませんけれども、少なくともその途中の国電の目黒駅くらいまで至急に路線を確定してやればもうちょっと乗客の利便にもなるし、また経営の向上にもつながるというふうに思うのですけれども、そういった二点についてどうお考えか。
  516. 杉浦喬也

    杉浦政府委員 環状的な線の問題あるいは郊外への延伸等の問題等につきましては、先生の御指摘の点、情勢に応じて考えるべき点もあろうかと思います。  ただ現状におきましては、都営あるいは営団ともに現在の工事等で手いっぱいでございます。特に御指摘の都営の六号線の目黒延伸につきまして、現在二二・五キロを営業中のものをさらに延ばしたらどうかというようなことにつきましては、東京都自身は目黒まで延伸するというお気持ちがあるというふうに聞いております。ただ、まだ具体的な計画をつくっておるというふうにまでは至ってないというふうに聞いておるわけでございます。運輸省といたしましては、東京都が具体的な計画をつくりました際には十分御協議、御相談をいたしまして、その取り扱いを検討してまいりたいと思います。
  517. 小杉隆

    小杉分科員 それはおかしいですよ。すでに昭和四十五年度に東京都の交通局では目黒通り延伸の予定沿線の地質調査まで全部済ましているわけです。各民家にも立ち入り調査までして、地質調査まで全部やって受け入れ体制をつくっているわけです。それからさらに四十八年度、四十九年度、五十年度と三年間にわたって交通局の予算の中に目黒駅まで延伸する、下目黒までの建設予算を計上しているわけです。ところが運輸省がそれを握りつぶしてそのままにしているものですから、これはその後東京都も、運輸省がなかなか腰を上げないということで、とうとう途中で予算に計上することもストップしてしまっていま全く冷え切ってしまっている状態なんです。東京都が申請を出して、三年間現実に予算書に盛り込みながら、運輸省の反対でこれが握りつぶされてしまったということですから、それはちょっと事実と反すると思うのです。
  518. 杉浦喬也

    杉浦政府委員 ただいまの問題につきましては、三田と清正公前一・六キロ、この点につきましては、おっしゃるような検討がいろいろとなされたという事実があるようでございます。ただそれから先の問題につきまして、いろいろと検討すべき点があるということで現在処分がまだ行われていない、こういう状況でございます。
  519. 小杉隆

    小杉分科員 それはちょっとおかしいですよ。清正公前まではすでに計画も確定しているわけですから、これは当然だと思うのです。しかし東京都はどうしても目黒駅まで延伸しなければ、やはり採算からいってもあるいは乗客の利便からいってもこれは早急にやらなければいかぬということで、四十八年度から四十九年、五十年にかけて実際に運輸省に申請を出しているのです。どうしてそれをストップしてしまったのですか。
  520. 杉浦喬也

    杉浦政府委員 目黒への乗り入れといいますか、接続につきましては、地下鉄七号線との関係がございまして、ここら辺の調整があるということで検討の段階にとどまっていると思います。
  521. 小杉隆

    小杉分科員 これはこれ以上論争していると時間がなくなりますから、どうして東京都の申請を握りつぶしたのか、その経緯をひとつ資料で後刻出してください。  それでは次の質問に移ります。先ほど運輸大臣は、いまのところは新たな答申の必要性はないと言いましたけれども、先ほど営団の総裁から、東京都内だけじゃなくて、首都圏全体としての交通体系ということから考えて、その後いろいろ人口の移動とか社会経済上の変動があったわけですから、それで、しかも新線の建設というのはものすごく時間を食うわけですから、やはり将来計画として、もう十年もたって、いまの計画そのものでいいのだというようなかたくなな態度では私はちょっとまずいと思うのです、やはりもうちょっと長期的な視野から考えたら、もうこの辺で検討すべきところがあると思うのです。たとえばさっき例に出した清正公前でストップするというのは、だれが考えたってこんなところでとめておくのはおかしいので、そういう点で徴修正でも何でも、とにかくもう一度改めて検討し直すということが必要じゃないかと思うのです。再度お答えいただきたい。
  522. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 私は現在のところと申しましたのは、この地下鉄の計画を見ておりまして、営団あり都営あり、こういう状態のままでこれからどんどん拡張していくのがいいのかどうかと私は大いに疑問に思っておるのです、このことにつきましては東京都知事にも、なぜ都営で地下鉄をおやりになったのですかと聞いたのです。いや、いろいろ事情がございましてというお話でございましたが、そういうものもあわせてやはり答申で考え直さなければいかぬ。小杉さんおっしゃるように、外周辺ですね、これは私は必要だと思います。しかし、このような営団あり都営あり、こういうことで現在の計画を進めていってさらにどうなるのだろう、私はそういう一抹の疑問を持っておるわけです。そこをあわせて考えるべきじゃないかと思います。
  523. 小杉隆

    小杉分科員 私は、経営主体の問題を言っているのではなくて、路線の計画自体を言っているのです。だれが経営するかというようなことは後の問題ですから、計画自体、その後の交通情勢とか人口移動とか、そういうことを考えて、やはり検討してみる必要があるのじゃないかと思うのですけれども鉄監局長どうですか。
  524. 杉浦喬也

    杉浦政府委員 昭和四十七年につくりました第十五号答申、この時期は四十七年、高度経済成長の真っ最中でございまして、かなり先を見越して六十年までの計画にしたわけでございますが、その後の高度経済成長の山を過ぎまして、現在はいわば安定成長、人口の移動というもの、大都市への集中というものも現在は鈍化傾向にあるというような客観的な情勢もございまして、行政的に見まして個々のもので徴調整といいますか、それは必要かと思いますけれども、全体の路線の流れといたしまして時期的なずれという点は確かにあると思いますけれども、これが先の六十年以降にずれるという点は除きまして、全体の姿としていまここで大改革をするというふうには私は考えていないわけでございます。
  525. 小杉隆

    小杉分科員 環状線の問題はどうでしょうか。いま環六までは大体言葉では必要性をほのめかしているのですけれども、私はいまの東京の人口分布から言いますと、環状七号線、八号線等に地下鉄を入れるということは非常に有効だと思うのですけれども、いかがでしょうか。
  526. 杉浦喬也

    杉浦政府委員 非常に貴重な御意見だと思いますが、なかなかそうした点に踏み切るまでにはいろいろな議論が必要かと思います。私自身の現在の意見といたしまして、必要であるというふうになかなか断定できない。もしそういうことでやるとすれば、やはり審議会を開きましてその点を検討していただくということになるのではないかと思います。
  527. 小杉隆

    小杉分科員 この点は鉄監局の方が主管ですから、十年間もそのままにしておいていいのだろうかという疑問を率直に抱きますので、これはひとつもっと前向きに検討してください。  それから次に、運賃のあり方について申し上げたいと思います。都営地下鉄は、都議会で今回初乗り百円を百二十円とすることに議決をいたしまして、この三月から実施の予定ですけれども、もう三月は目の前でございますが、運輸省はこれを認可する見通しがあるのかどうか。何か営団との格差があるので少し得たしているのではないかという憶測があるのですが、どうでしょうか。
  528. 杉浦喬也

    杉浦政府委員 昨年の十二月二十七日にいまおっしゃいました申請がなされまして、本年の二月三日に運輸審議会に諮問をいたしております。現在鋭意審議中ということでございます。これらの点につきましては他の公営企業の運賃問題等もあるやに聞いております。そうした点も横並びで若干考慮をいたしまして慎重に対処しておるところでございます。
  529. 小杉隆

    小杉分科員 これは財政再建にとって非常に重要な柱になっておりまして、東京都の方は三月の予定ですけれども、いまの説明ですと現実には三月不可能ということですが、四月から実施できる見通しがあるのかどうか。
  530. 杉浦喬也

    杉浦政府委員 現時点で四月に認可するかどうかという点につきましては、明確にお答えをする自信がございません。
  531. 小杉隆

    小杉分科員 私は、いまのそういう認可制度のあり方に非常に疑問を持っているのです。これは私鉄とか営団とかということで、直接運輸省が管理しているところ、監督権限のあるところならいいのですけれども、やはり地方公営企業というのは、その法律に従って住民の代表である地方議会がこれをやっているわけですね。その審議の際には、当然いまの物価の問題とかあるいは他の地区の運賃とか、そういうことを全部勘案しながら自主的に決めているわけですから、私は、地方公営企業法にのっとって議決をされたこの新しい運賃をさらにまた運輸省が認可をするといういまのシステムというのは非常に繁雑であり、二重行政であり、地方自治の本旨にももどるのではないかと思うのですけれども、この点については自治省はどういう見解を持っていらっしゃいますか。
  532. 井上孝男

    井上説明員 私どもあるいは地方自治体の立場からいたしますと、ただいま御指摘のように、運賃改定の認可に当たりましては地方議会に付議いたしますし、付議いたします前には広く市民の意見を聞いたり、あるいは議会におきまして公聴会が開催されたりいたしまして、かなり民意を反映した上で申請が行われますので、原則として地方議会で議決がなされれば、それが直ちに実施できるという形が望ましいかと存じます。しかしながら、運輸省立場からいたしますと、公営及び民営の運賃のバランスという問題もあろうかと思いますから、一定の調整がなされるということにつきましてはあるいはやむを得ないかと存じますけれども、基本的には地方議会で議決をされれば直ちにそれが実施できるということが望ましいと考えております。
  533. 小杉隆

    小杉分科員 たとえば今回もし都議会あるいは都庁が予定どおり三月に実施できた場合とまたは四月から実施した場合、一カ月間にどれだけのずれができるかというと、バスで大体二十億、地下鉄で二十億、それだけ減収になるわけですね。地方議会だって値上げなんというのは余り歓迎しないわけですから、非常に慎重に審議していろいろな公聴会をやったり何かしているのに、またそれを運輸省が公聴会をやったり参考人に意見を聞いたりして認可をやるというのは二重の手間だと思いますし、地方住民のそれを無視していると言わなければいけないと思うのですが、こういう二重行政みたいなものはどんどんやめていった方がいいと思うのですが、運輸大臣、御見解いかがですか。
  534. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 私は、それもやはり一つ考え方だと思います。ですから、地下鉄の建設も市民の資力でやられるべきであって、それを国が補助金を出せ、いや起債はこうしろと言っておいて、運賃は自分でどんどん決めていく、線はどんどんつくります、これはちょっと理屈が合わない。それだったら、民営でやられたらいい、私はそう思うのです。そこらが、国が補助を出し、起債のなにもするということはなぜやっているのか、やはり国として全体の行政の整合性を持っていくことだ、そこに問題があることでございまして、地方自治体の意見の尊重、これは十分わかっております。わかっておりますが、だからといって何を決めてやってもいいという問題ではない、そこにひっかかると私は思います。
  535. 小杉隆

    小杉分科員 運輸大臣、そんな認識であったら大阪の地下鉄できないですよ。  それじゃ、とにかくこの議論は運輸大臣、もうちょっと認識を改めてもらわなければいけないと思うのですけれども、まず現実の問題として、仮に今度都営が現在の初乗り百円から百二十円に上がりますと、いまの営団が初乗り四キロまで八十円ですから実に格差が五割にも達するわけですね。営団の五割増しが都営の料金になる。同じ東京都内で、同じ地域で、同じ交通手段である地下鉄であって、こんなに五割も値段の格差があるということは普通ではとてもおかしいわけですね。これについて運輸大臣、どうお考えですか。
  536. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 それは経営のあり方がやはり全然違うと私は思っておるのです。だからこそ私は、これは一つは統合されるべきではないかという意見の持ち主なんですけれども、それは別といたしまして、これだけの差ができてまいりますと、やはり都営地下鉄の真剣な再建対策を講じてもらわなければいかぬ。われわれがいま国鉄で悩んでおるのと同じ悩みを都当局もしておられる、その心情はよく察するのです。よくわかるのですけれども、やはり厳しい企業の独立ということをある程度真剣に考えてもらわなければいかぬと思います。
  537. 小杉隆

    小杉分科員 営団の総裁に伺いますが、都営に乗るか営団に乗るかによっていまでも八十円と百円の差があって、今度は八十円と百二十円というような、そういう利用の仕方で運賃負担が異なるという事実、それから地下鉄は相互にネットワークを組んでいるわけですから、都営一駅乗って営団一駅乗って、普通同じ交通企業体であれば、当然これは初乗り料金で乗れるものを二倍払うというようなことになっているわけですね。そういういまの実態については営団の総裁、どういう御見解をお持ちですか。
  538. 山田明吉

    ○山田参考人 いま具体的にお話がございました営団の線と都営の線とまたがってお乗りになる場合に、現在の運賃制度ではいわゆる併算制でございますので、両方の運賃を足したもので計算をいたしておりますが、特に都営と営団線にまたがってお乗りになる場合には両方足したものから三十円値引きをいたしております。定期券でも同じような割引をいたしております。  それで最初にお話しになりました営団線に乗ろうか都営線に乗ろうかという選択の問題でございますが、現在の路線の状態では競合関係にございませんので、そういう迷われる乗客はほとんどおられないと思います。ただ、二線にまたがった場合に切符を二枚買わなければいかぬのは非常に手数だということが前から言われておりました。現在では都営それから営団、いずれも連絡乗車券を出しておりまして運賃は併算でございますが、一枚の切符で自由にお乗りになれる、そういうような状況でございます。
  539. 小杉隆

    小杉分科員 たとえばロンドンとかパリとか外国のそういうところですと、パリ運輸公社とかロンドン運輸公社とかというふうに一元化されておりますから当然一区間で乗れるのが、東京では二区間買わなければいけない。それでいま運賃割引をやっていると言いましたけれども、せいぜい一五%程度ですね。大阪はもう割引をやっていますけれども、大阪は二百十円になるところを五十円値引きしているということです。やはり同じ交通局でやっていますから値引きの率も非常に高くできるということです。いまこうやっていろいろ、利用者負担の公平とか、それから路線経営費用の節減というようなことから考えても、やはり地下鉄を一本化する、一元化するということを運輸大臣も再三申されておりますけれども、この一元化、一本化という問題について営団の総裁はどうお考えでしょうか。
  540. 山田明吉

    ○山田参考人 東京の地下鉄が確かに二つの企業体で運営されている事実、これについて前々から一元化の議論があることは私承知いたしております。しかし、従来のわれわれの考え方は、先ほどの都市交通審議会の答申にありますように、東京の混雑を一日も早く解消する、そのためには高速鉄道網を早く建設すべきではないか。高速鉄道網といいますと主力が地下鉄でございます。そういういきさつで都営も建設に進まれ、現在両者で新しい線を大いにつくって早くネットワークを完成しようということで進んでおりまして、いままで一元論といういろいろな意見が出ておりますことは承知いたしておりますが、そう掘り下げた検討は私どもはいたしておりません。
  541. 小杉隆

    小杉分科員 私は、地下鉄の路線の免許のあり方についても非常に問題があると思うのです。いま都営線は三線あります。それから営団は七線あります。都営線を仮に三線全部一緒にしたとしても、一日の乗客数は八十二万二千人にしかすぎない。これに対して営団の方は四百二十六万余人ということですから、約五倍の乗客を運んでいるわけです。ところが、延長距離にしますと都営の五十四・九キロに対して営団は百三十一・八キロですから、大体一対二・三ぐらいなんです。ところが乗客数になると五倍に差が開いてしまうわけです。これを見ますと、大体東京都営三線合わせても営団の銀座線にもかなわない。丸ノ内線にもかなわない。日比谷線にも及ばない。東西線、千代田線にも及ばない。実に三線合わせても五本の各線の乗客数にも及ばないというような非常に劣悪な状況になっているわけです。ですから、この東京都営に対してまま子扱いしているんじゃないか。もうからない路線ばかり免許して、営団の方にはもうかるところばかりやって、それでやっているからだんだん東京都はじり貧になっていってしまう。営団の方はもうすでに銀座線、丸ノ内線なんか償却を終わって、かなり裕福な、裕福など言ったら語弊があるけれども、楽な経営をやっているわけです。そういうように何か運輸省は東京都を非常にいじめてきたんじゃないかというふうに思うのですが、その辺いかがでしょうか、鉄監局長
  542. 杉浦喬也

    杉浦政府委員 東京におきます地下鉄の歴史でございますが、御承知のように昔から営団地下鉄一本でやってまいった歴史が長く続いております。昭和三十三年になりまして、やはり首都の交通を緊急に整備する必要があるというような観点から、東京都営地下鉄が一部の路線を譲り受けまして初めて発足したという歴史があるわけでございます。こういうような歴史的な経緯を経まして、現在東京都営は三路線五十五キロ、職員数四千六百人というようなかなり大世帯な形にまでだんだん大きくなってきた経緯がございます。歴史が都営は比較的浅いものですから、経営上はなかなか苦しいという事情があるわけでございますが、非常に金のかかる建設費の回収は、かなり長期的な観点で財政を見ませんと収支の問題は議論が少しかみ合わなくなってくるのではないかと思います。中長期的には現在の助成制度等をかみ合わせまして、東京都営も将来は収支が必ずよくなっていくというふうに私ども考えておるところでございます。
  543. 小杉隆

    小杉分科員 時間がありませんから、これ以上議論を進めることができないのは非常に残念ですけれども、いま鉄監局長が言われた地下鉄建設の補助制度というものについても、建設費の七〇%補助と言われていますけれども、実質的には六〇%弱ですね。そしてしかも十年間に分割交付されるために、その間の金利負担とかいろいろありまして目減りをして、実質的には四三・四九%でしかない。そういうことについて、要するにその補助の半分ずつを国と地方公共団体が出すわけでございまして、これが地方の財政を非常に圧迫している。こういう点で道路財源というのをたとえば地下鉄建設費の補助に回せないかということです。地下鉄を整備すれば、その地上の交通は軽減されて、車側はガソリン税を払ったって何だってそういう人たちは非常に利便を受けるわけですから、そういうことでもうちょっと実質的に、道路建設並みに、国が三分の二、地方が三分の一というようなことでやっていかないと、もうこれだけ膨大な、一メートル掘るのに何百万円、何千万円とかかるような時代はだめだと思うのです。こういう点の改善策についても、運輸大臣、ひとつ考え方を示していただきたいと思うのです、
  544. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 私は運輸大臣になります前からそういうことを提案しておる一人なんです。そこで、私も自由民主党の中にあって、揮発油税なんかの一部を陸上特会という特別会計に入れて、そうしてその一部を地下鉄に回したいということを考えて努力もしてみたのです。しかしそれが十分に実りをつけなかったのですけれども、私は小杉さんと同じような考えを持っておりますので、それを今後も一生懸命やってみたいと思っております。そういうこともあわせまして、いま運輸政策審議会で、そういう都市交通の財源はどうあるべきかということを審議してもらっておる最中でございまして、結論が出次第、直ちにそれを実行に移すように努力を重ねてみたいと思っております。
  545. 小杉隆

    小杉分科員 大都市の議員としての運輸大臣の奮起をお願いするとともに、きょう特別に御出席いただいた営団総裁と自治省の方に感謝を申し上げます。遅くまでどうも御苦労さまでした。
  546. 唐沢俊二郎

    ○唐沢主査代理 以上で小杉隆君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして、昭和五十六年度一般会計予算昭和五十六年度特別会計予算及び昭和五十六年度政府関係機関予算運輸省所管についての質疑は終了いたしました。  次回は、来る三月二日午前九時三十分から開会し、建設省所管について審査をいたします。  本日は、これにて散会いたします。     午後七時四十九分散会