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広瀬分科員 十分検討に値する問題であるという
大臣のお話であります。そのとおり確認をさしていただきます。
それで、私
どもも、もう足尾線、特に私は、単にこのことは
地元だからということだけで取り上げている問題ではないわけでありまして、もう先ほ
ども申し上げたように、足尾という町は、これはまさに銅山とともに発展し、銅山とともに、閉山になったら三八%も人口が減ってしまうという
状況になる。製錬部門はかろうじていま残っておる。その製錬の銅鉱石は、自分の山からは出なくなったものだから、臨海工業地帯から運ぶというような経緯をたどっているわけです。現在、五十五年の国勢調査で人口六千七人というところで、まだ過疎はとまっていない、そういうような
状況にあるわけです。
しかも、やはり
地元でもいろいろな努力をして、
観光の方にさらに町全体の力を出していこうというようなことで、
地域発展計画の中でそういう努力をしておった。ところが、
観光客が入ってくるのに一番都合のいい時間帯の列車が、五五・一〇のダイヤ改正で、一本ぴたっと非情に切られてしまっている。そういうようなことを
国鉄はやっているのですね。銅山
観光は、そういう悪
条件があったにもかかわらず、なおかつ
予定よりも、町当局が過疎
対策振興法によって計画した銅山
観光というようなことで、その
予定した
観光客よりも大体倍の
観光客が、去年の四月からオープンしたのですが、入り込んでいる。その人たちが一番来やすい時間帯の列車が切られている。こういうようなちぐはぐな、もう廃止を前提にしたようなそういう非情なことをやって、乗せないように乗せないようにダイヤを組むという習性が、どうも
国鉄にはある。
これは、いまの
ローカル線の問題、なるほど
国鉄のこれからの使命は何かというようなことで、大都市間の
輸送であるとか、あるいは大量定型貨物であるとかいうようなことで、
地方ローカル線、今度の特定
地方交通線に
指定されるようなものの本線への接続をどんどん悪くしたりというようなことが、どうしても本線優先でやるものですから、そういうことになる。そういうようなことがあるということも、ひとつこれは皆さんの頭の中にきちんとしておいていただきたい。これは、
地元の人たちもできるだけ利用したい、利用したいが利用できないような
状況を
国鉄自身でつくっているというような一面もあることを、やはり厳しく反省をしておいていただきたいと思うわけであります。
ところで、これも
運輸大臣にまずお伺いいたしますが、この
国鉄経営再建というもので特定
地方交通線を廃止していこうという大きなねらいがあるわけであります。この特定
地方交通線が存在しているようなところは、これはもう大体において
過疎地と見て差し支えない。この私が問題にしているところも、わが
栃木県には足尾線と真岡線があるわけですが、真岡線の一番奥の茂木町も
過疎地として
指定を受けている町でありますし、またこの足尾町も、いま
栃木県には五つしか
過疎地指定の町村がないわけですが、いずれも、足尾もそうだし、茂木もそうだということになっておるわけであります。
それで、それなりに足尾町——あそこは人口六千人に減ってしまった町であるけれ
ども、こんなりっぱな「
過疎地域振興計画」というものをつくって、過疎法の適用を受けていろいろ財政援助もいただいているものですから、何とか過疎を食いとめて、銅山閉山という事態の中から町の新しい発展を期していこうということで、こういうわずか十二億くらいの
年間予算でやっている町で、必死に取り組んでいるわけですね。
地域振興の計画を立てて、こういうりっぱな書物も出して、
交通通信体系の整備を図る、教育文化施設の整備を図る、生活環境施設及び福祉施設等厚生施設の整備を図る、医療の確保、産業の振興、集落の整備というような六つの大きい項目を掲げて、必死に取り組んでおるわけでありますが、これはあくまで足尾線なり真岡線なり、そういうものが残るであろう、こういうものを前提にした上でその計画の進行が図られている。
ところが、足尾の場合に例を引けば、足尾は銅山でもってきた町である。古河鉱業が立地して製錬事業をずっとやっているから、まだ古河
関係の従業員だけで労働者が約七百名いる。その人たちが養っている家族を含めますと二千名を超えるというような
状況にある。そうすると町の人口の約三分の一である。そういう
企業が、硫酸の排出も非常にむずかしくなる、銅鉱石を今度はトラックで運ぶというようなことになったら、それもできないというようなことになったら、これはその計画の基礎である人口の問題がもう決定的に、過疎
対策法で
地域振興をやろうとしても、そういう事態になったら防ぎようもない、恐らく人口六千の町が半減するであろう。そのほか高等学校も、いま県も相当な費用をかけて、小さな高等学校であるけれ
ども、高等学校を存続させている。そういうものも恐らく維持できないし、それから、それだけの人間が流出すれば、
関係の商工業者もとうてい生活が成り立たぬというようなことで出ざるを得ない。そういうことで、この
過疎地域を振興させようという方向に対して、この
線路を外すことによって全くそれと反対な、
地域交通は何とか
バスやトラックで確保するというけれ
ども、こういうものを廃止することによって、そういう百何十年も続いた
企業が完全に撤退をせざるを得ない。そのことの上に完全に成り立ってきた町という特殊性において、それでもう町の体をなさなくなる、町としての機能をもう果たし得ないような決定的な過疎の町に陥ってしまう。
片方で過疎振興の財政投資をしながら、恐らく足尾に対しても二十九億ぐらいの金がつぎ込まれる
予定になる、片方で
国鉄を切ることによってそれが全く成り立たなくなるという、そういう国全体の政策における整合性というようなものは、一体この
国鉄再建法では
考えられておったのかどうか。全くそれは政策の不整合である。一方において振興を図り、一方においてその振興が絶望的になるような政策をやる。
こういうことで、
国鉄経営再建法における特定
地方交通線の問題はまさに先行きを
見通してない、そういう
地域の発展計画に対して何らの理解がないというようなことで、欠陥法案などと言われる大きな原因が私はそこにあろうと思うのです。そういう
地域振興、それから、これから発展をするためにいろいろな努力がなされている、そして現に効果も上げているというようなものに対して、全く決定的に水をかけ、そういう計画を完全にスポイルしてしまうような、そういうものになりかねないものであるという点について、
運輸大臣として、というよりは、むしろ国務
大臣としてどういうようにお
考えか、この点をお伺いし、あとまた国土庁の方からも……。