○辻(第)
分科員 私は、いわゆる西名阪自動車道の香芝高架橋の超低周波空気振動や騒音による公害問題について
質問をいたします。
この問題はもうすでに長い期間の問題であります。それから国会の中で何回も
質問をされておるという問題で、大臣もよく御存じの問題だというふうに思うわけでありますけれども、実際のところ、現在まで何ら実効のある対策がやられてこなかった、いまだに深刻な被害が続いておるというのが現状であります。私は、本当に国民が健康で文化的な最低限の
生活を営む、そのような憲法の権利の問題から見てみましても、また、公害対策の基本理念の面から見てみましても、速やかに解決を図っていただく、このことが
政府の責務ではないかというふうに思うわけであります。そして大臣よく御存じだと思いますけれども、この被害の実態についてしばらく述べさせていただきたいというふうに思うわけでございます。
私の地元でもございますので、私はこの被害を受けている
方々から何度もお話を聞きました。現地にも赴きました。現地では実態調査にも参加してまいりました。また、
環境庁から調査にお越しいただいた方にも御同道した、それから試験家屋というのがあるわけでありますが、そこでも私は二回ほどそれぞれ一時間体験をした、こういうことであります。
いま資料をお渡ししたと思いますが、その一ページ目にありますように、五十二年十一月ですか、二度にわたって被害者同盟、香芝町あるいは県が調べてまいりました。それに見られますように、本当にたくさんの
方々が頭痛だとか不眠だとかいらいらだとか肩こりあるいはむかつき、そして県や香芝町が調べたのでは四十五人も鼻血が出るというような、そういう深刻な被害が出てきておるわけであります。しかもすでに
昭和四十七年に四車線になり、四十九年ぐらいから地域の住民からこういう被害も起こっておるという声が出ました。そして社会的に大きな問題になったのは、五十二年十月に被害者同盟ができて、そこから大きな問題になってきたわけでありますけれども、もう最初から見ますと七年を超えておるというような状況ですね。
しかも昼間だけではなしに夜中、特に夜中の方がきついですね。四六時中、しかも七年間にわたってこのような状態が続いてきておる。そしていろいろ対策もやられたわけでありますが、実効のあるものがなかった。最近また大阪の環状線、松原線ですか、それとの
連絡がとれまして、一層自動車の通過量がふえておるというような状況の中で、さらに被害はひどくなりつつあるというのが現状であります。
もう本当に、どう言いましょうか、四六時中でしかも七年間、家というのはお互いに帰ったら憩うということでありますし、また家庭の団らん、そういうこともできない。ですから、中にはいろいろな症状のために会社をやめたという人もありますし、どうしてもしんぼうできなくて転居をした人もある。それから、夜中に毎晩こわいと言って泣く
子供が出てくる、こういう状態ですね。それから、いらいらしますから、家庭の中でけんか、トラブルというようなことも起こりやすい。まさに憲法で保障された状態に相反して、大変不健康で、そして非文化的な状態が続いておる、こういうことであります。私は、この状態を一刻も早く解決をするために御努力をいただきたい、このことを強く要望をするわけでございます。
しかもこの被害の原因、因果
関係というのは、私どもから言わせれば非常にはっきりしているわけですね。それは、二枚目の資料にありますように、いろいろ調査をしてまいりますと、低周波では中央値で大体七十デシベルを超えております。それから、これは試験家屋のとこるだったと思いますが、ピーク値では九十デシベルを超えておるということであります。また、騒音の問題を見てみましても、これは五十二年でございましたか、ピーク値では七十ホンを超えておりますし、中央値では大体五十ホンから六十ホン、こういう状態であります。私も試験家屋でなにしてきたわけでありますが、本当に頭が重くなるような、それから、いらいらします。私は一時間の経験ですが、そういう状態。
こういうふうに調査をしてみますと、大変な超低周波や騒音があるということも明らかでありますし、それから、橋から遠くへ行きますと、無論低周波が低くなりますし、騒音も低くなりますね。それから、被害者の症状も遠くへ行けばだんだん軽くなります。うんと遠くへ行けば全くなくなる、こういうことですね。それから、この地域はもともと静かな田園地帯であったわけでありますが、ここへ高速道路ができて、どんどん車が走るということになってからこういう状態が起こってきた。
こういうふうに見てまいりますと、もう因果
関係ははっきりしておる。この高速道路からこのような被害が出てきておることは明らかな問題だというふうに思うわけです。しかし一面、そのような低周波あるいは超低周波の橋からの発生メカニズムがどうなのか、あるいは超低周波の人体に及ぼす
影響の科学的な、またあるいは病理学的なといいましょうか、そういうメカニズムがどうなのかということになりますと、これはまだ明確でないものもあるということでありますけれども、現地で見てみれば、もう疫学的に因果
関係は明らかであります。
こういう問題が、いまだに実効ある対策ができずに、しかも現在の段階では、道路公団は、因果
関係がはっきりしない、また発生メカニズムが科学的に明らかになっていない、そして規制の
基準がはっきりしていないということで、道路の補修あるいは家屋の補修に限ってはするけれども、それ以外のことはしない、こういうことなんですね。現地の人は、そういういろんな症状が起こりますから、必ず医者にかかります。
医療費がどうしてもかかりますね。それから、もうそこにいたたまれずに逃げていかれる、移転される、そういう方もたくさんあります。それから、家屋が傷みます。こういう状態。そういう面については何ら対策がとられていない、そういうものは拒否をされている、こういうのが現状であります。
こういう状況の中で、一刻も早くこのような被害をなくして、静かな夜を返してあげる、そして問題を解決していく、このことが緊急に求められている状態だ、私はこういうふうに心の底から訴えるわけであります。ところが、現在この問題が裁判で係争中でございます。そして先ほど申しましたように、
基準もないということ、因果
関係が明らかでないということで、道路公団は手詰まりというような感じで、ほとんど対策がとられていない、あるいはしようとしない、きわめて不誠意な状態であります。
それで、これまで公害問題というのは、
基準のあるなしにかかわらず、やはり迷惑をこうむっている
人たちに対する対応は何らかの形でしなければならない、このように言われたこともあるわけでありますが、大臣、いかがなものでしょうか。環境
基準があるなしにかかわらず、規制
基準があるなしにかかわらず、あるいは現在裁判で係争中であるにかかわらず、被害を受けている方に本当に適切な対応がされるべきではないか、こういうように思いますが、その点についてのお考えをひとつお聞きしたい。
それから、先ほど私がいろいろ長い間述べてまいりましたこのような状況、一刻もゆるがせにできない深刻な被害の状況に対し、現在実効のある対策がとられていないというような状況に対しまして、大臣はこの問題をどのようにおとらえになっているのか、そしてこの問題について今後どのように御対策をされようとしているのか、この二点について
お尋ねをしたいと思います。