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草川委員 では、以上で、とりあえず海外基地の問題は終わりたいと思いますが、いま建設大臣の答弁に私は非常に不満でございます。通産の方は通産なりに、今度の問題についていわゆるジャッジというのでしょうか、一応
対応のためのいろいろな会を開こうということも言っておみえになるわけでありますから、私は、建設の方も具体的な問題について国民の
皆さん方に明らかになるように、そしてまた諸外国の
方々にも理解ができるような具体的な
対応を立てられるということを強く望んで次の問題に移りたい、こう思います。
次は、時間の
関係等もございますので、医療問題に入らせていただきたい、こう思います。
まず簡単に医療問題について、過日も十全会問題等が具体的になっておりますが、医療の産業化という問題が、いま非常に大きな問題になっております。この医療の産業化というものについては、医療というものが金もうけの対象になるということは絶対許されないことでございまして、私
どもは、とうとい人命をお預りをするお医者さんあるいは病院等が正しい
運営、そしてまた、安心して経営ができるようなそういうものも支払いながら、保健行政あるいはまた医療行政というものはやられなければいけないわけでございますが、どうもながめておりますと、最近、医療の産業化というものが少し露骨になり過ぎておるのではないだろうか、こういう感じがするわけでございます。
いま皆様のお手元に資料をお配りをしたと思いますけれ
ども、この資料を見ていただいてもおわかりのとおりに、先ほどの
財投の方にも
関係するわけでございますけれ
ども、開発銀行の融資が非常に医療の方にも流れてきておる。これは果たして開発銀行の本来のあり方にマッチをするかどうかという問題提起をしたいわけであります。
開発銀行というのは、本来が
民間金融機関の量的な補完あるいはまた質的な補完、それは政策目的に応じて開銀は融資をするわけでございますが、ホテル業界にかなり力を入れている。これは過去にも何回か問題になりまして、開発銀行はホテル銀行かと言われるような批判もあるわけでございますが、たまたま私が取り上げる例は第一ホテルというところにいろいろな融資をしてみえる。もちろん融資をして表中身は施設整備ということで出ておるわけでございますが、その第一ホテルの下にエンタープライズといって不動産業者が子会社であるわけです。このホテルの不動産業者が、ホテル
関係の不動産をやっておるならいいのですけれ
ども、静岡県の小笠郡大須賀町で総合病院を経営したい、こういう言い方で、現地の医師会と大変なトラブルが実はいま起きておるわけです。現地の医師会は、医療の産業化に反対だということでトラブルがあるわけでございますが、これは一つの例でございますが、こういうような流れというもの、
お金に色がついておるわけではございませんから、別に開銀はそのために出したんではない、こうおっしゃいますが、こういう流れが一つはあるわけです。あるいは、そのほかいろいろな、結婚式場だとか中華料理だとかというようなところにも出しておみえになります。別に出して悪いということではないのですが、
民間との競合が多過ぎるのではないか、これがこの上の表であります。
昭和三十一年から三十五年、
民間金融機関の融資割合、特にこれは産業設備
資金の割合ですが、七五・五%ございましたのが最近では五三%に減ってきております。
政府系金融機関、一六・八%は三五・九、こうふえてきておる。その中でも開銀融資は五・八から一一・五にふえてきておるわけです。
それで私は、先ほど
財投の
お話をいたしましたけれ
ども、
財投の
資金というものも非常に不安定です。特に
年金財政が小さくなってきた。
資金運用部の方もいろいろと将来確たる計画が立てづらい状況になってまいりまして、いわゆる預金業務をしない銀行というのは開発銀行と輸出入銀行、こういうところですが、こういうところは預金業務の苦労がありませんから、出す方へものすごくやりますから
民間との競合というものが非常に目立ってきておりまして、それがこのホテル業だとか病院経営になる。一方では、最近非常に大きくなりましたリース産業に開発銀行が積極的に融資に乗り出されます。
たまたま、ここに
日本リースという会社がありますが、これもリース専門で「はまなこ病院」というものに出資をいたしまして、この「はまなこ病院」というのが、実はこれは老人専門病院でございます。ミニの十全会病院のようなものでございますが、これが倒産をいたしました、五億円で。病人が、寝たきり老人がたくさんおみえになるまま競売に付されたわけであります。病人つきの競売になったわけです。その大口債権者というのは
日本リースなんです。いまお医者さんは、リース会社が医療器具はほとんど持ってきてくれますから、
お金を出さなくてもリース料だけで病院経営ができますから、簡単に新しい機械を買われる。これが実は保険
財政を大変圧迫をすることになるのではないか。一番右に、これも埼玉県の診療所志木クリニックというのがあるのですが、これもつぶれたのです。これもオーナーはリース会社なんです。
この医療リースという問題は、通産省にお伺いをいたしますが、通産省はリース産業発展のために、医療もやれと言って
制度融資をやっておみえになるわけです。ICUのような救急医療なんかも、補助金出してリースやれ、こう言っておみえになる。一方ではプレッシャーがかかるわけです。ところが、受ける方の保険
財政というのはどうなるかというと、保険の方はたまったものではないです。お医者さんは、レントゲンであろうが、断層写真なんかも新しいものを欲しいわけですから、リースの方がいいじゃないか、いいじゃないかと言って、結局高いものになってしまう。そして、医療産業というのはもうかるから、さあ新しい、付加加値の高い医療機器をつくって売ろう、こういうことになるわけです。
この犠牲をどこか裏で開発銀行が支えておるとするならば、それはもう本来の政策目的でないじゃないか。かえって
日本の医療というもの、保険というものの首を締めるために開銀は積極的な営業活動をやっておるのじゃないかということが出てくるわけです。いやらしい言い方ですけれ
ども、結果としてはそういうことになるわけです。だから、医療の産業化という問題についてどう考えるのか、あるいは少なくともこのようなリースの問題について、私は、国立病院だとか大学病院は避けてやっていただきたいと思うわけでございます。
通産省にちょっとお伺いをいたしますが、
制度融資等もやっておみえになりますが、国立病院だとか大学病院にリースをどの程度使われておるのか、お伺いしたいと思います。