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1981-05-12 第94回国会 衆議院 本会議 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十六年五月十二日(火曜日)     —————————————  議事日程 第二十二号   昭和五十六年五月十二日     午後二時開議  第一 自動車事故対策センター法の一部を改正     する法律案内閣提出)  第二 昭和四十二年度以後における地方公務員     等共済組合法年金の額の改定等に関す     る法律等の一部を改正する法律案内閣     提出)  第三 国際電気通信衛星機構特権及び免除に     関する議定書締結について承認を求め     るの件  第四 条約法に関するウィーン条約締結につ     いて承認を求めるの件  第五 業務災害の場合における給付に関する条     約(第百二十一号)付表I職業病の一     覧表)の改正受諾について承認を求め     るの件     ————————————— ○本日の会議に付した案件  第二十四回オリンピック競技大会名古屋招致に   関する決議案江崎真澄君外三十一名提出)  日程第一 自動車事故対策センター法の一部を   改正する法律案内閣提出)  日程第二 昭和四十二年度以後における地方公   務員等共済組合法年金の額の改定等に関す   る法律等の一部を改正する法律案内閣提   出)  日程第三 国際電気通信衛星機構特権及び免   除に関する議定書締結について承認を求め   るの件  日程第四 条約法に関するウィーン条約締結   について承認を求めるの件  日程第五 業務災害の場合における給付に関す   る条約(第百二十一号)付表I職業病の一   覧表)の改正受諾について承認を求めるの   件  鈴木内閣総理大臣帰国報告についての発言     午後四時三十四分開議
  2. 福田一

    議長福田一君) これより会議を開きます。      ————◇—————
  3. 福田一

    議長福田一君) 御報告いたすことがあります。  元本院議長山口喜久一郎君は、去る五月六日逝去せられました。まことに哀悼痛惜の至りにたえません。  つきましては、議院運営委員会の議を経て同君に対する弔詞を贈呈することといたしました。これを朗読いたします。     〔総員起立〕  衆議院は多年憲政のために尽力し特に院議をもつてその功労を表彰されさきに本院議長の要職につきまた再度国務大臣の重任にあたられ終始政党政治発展につとめられた正三位勲一等山口喜久一郎君の長逝を哀悼しつつしんで弔詞をささげます      ————◇—————
  4. 鹿野道彦

    鹿野道彦君 議事日程追加緊急動議提出いたします。  すなわち、江崎真澄君外三十一名提出、第二十四回オリンピック競技大会名古屋招致に関する決議案は、提出者の要求のとおり、委員会審査を省略して、この際これを上程し、その審議を進められんことを望みます。
  5. 福田一

    議長福田一君) 鹿野道彦君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 福田一

    議長福田一君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。     —————————————  第二十四回オリンピック競技大会名古屋招致に関する決議案江崎真澄君外三十一名提出
  7. 福田一

    議長福田一君) 第二十四回オリンピック競技大会名古屋招致に関する決議案議題といたします。  提出者趣旨弁明を許します。江崎真澄君。     —————————————  第二十四回オリンピック競技大会名古屋招致に関する決議案     〔本号末尾掲載〕     —————————————     〔江崎真澄登壇
  8. 江崎真澄

    江崎真澄君 私は、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合日本共産党、新自由クラブ、社会民主連合を代表いたしまして、ただいま上程せられました第二十四回オリンピック競技大会名古屋招致に関する決議案趣旨弁明をいたします。(拍手)  まず、ここに決議の案文を朗読いたします。   衆議院は、来る昭和六十三年(千九百八十八年)の第二十四回オリンピック競技大会名古屋市・東海地域招致するため、その招致運動を強力に推進するとともに、その準備態勢整備すべきものと認める。   右決議する。     〔拍手〕 以上であります。  オリンピック競技大会が、世界各国スポーツ発展とともに、スポーツを通じて民族の相互理解青少年国際性向上世界の平和への貢献などに輝かしい成果を上げてきましたことは、昭和三十九年の第十八回東京大会開催に見ましても、また、過去二十二回に及ぶ世界各国開催により、万人のひとしく認めるところであります。  第二十四回オリンピック競技大会は、オリンピック憲章改正により、複数都市での広域開催が認められることとなったのであります。これを受けて、今度は、日本列島の中央に位置する名古屋市、愛知県、岐阜県、三重県の三県一市が中心となり、広域開催を目指して開催しようとするものであります。  最近、わが国民の中流意識の高まりとともに、ややもすれば体力や気力の衰えが危惧されております。こうした傾向に活力を与え、また、次代を担う青少年体力向上を図るとともに、広く国際的視野に立って物を考える機会にいたしたいと思います。さらには、一九八四年ロサンゼルス・オリンピックの後を受け、一九八八年の大会は、二十一世紀に向けて一つの方向づけをするような秩序ある実質的な大会を実施することにより、国際オリンピック運動発展に貢献したいという理想のもとに、招致運動を展開してまいったのであります。  東京オリンピック開催されました昭和三十九年、この年の国民総生産に一例をとりますと、当時わが国国民総生産は三十兆円余りでありました。これを現在の基準値で計算し直してみますと、実質約六十六兆円となります。わが国が、中進国からようやく先進国仲間入りをしようとした時期であったと言えましょう。  今日、新経済社会七カ年計画の試算によりますと、昭和六十年には国民総生産は約二百九十九兆円と、おおよそ五倍近いものとなるのであります。その六十年から三年後、約四半世紀、二十四年後に開かれる昭和六十三年の名古屋オリンピックは、まさに先進国仲間入りをしたわが国を、世界人々に直接、またはテレビ、ラジオ等を通じて、改めて見ていただくことができる貴重な機会でもあると思うのであります。(拍手)  三県一市の招致希望は、まず日本オリンピック委員会総会において、昭和五十四年十月、全会一致承認を受けました。その後、支援の輪は全国へと広がりを見せ、全国市長会を初め、地方自治六団体挙げての支持決議が行われ、続いて五十五年十一月には、日本体育協会理事会においても協力が了承されたのであります。  一方、政府におきましては、五十五年五月、大平内閣当時、内閣官房長官を座長とし、関係省庁大臣長官構成員とする名古屋オリンピック大会招致に関する閣僚会議が設置されたのであります。その後、新たに発足いたしました鈴木内閣は、これを引き継がれ、鈴木首相担当大臣田中文部大臣を指名され、数次にわたる検討の結果、昭和五十五年十一月二十一日の閣議において、名古屋市・東海地域オリンピック招請を正式に了解されたのであります。(拍手)  さて、これを受けて、五十五年十一月二十六日、三県一市関係者は、スイスのローザンヌにある国際オリンピック委員会本部を訪れ、正式の招致申請書提出、国際的に開催希望地として認められたのであります。同じく立候補をしたソウル特別市との間で今後開催地を競うこととなりましたが、最終的決定は、本年九月三十日、西ドイツのバーゲンバーゲンにおける第八十四次国際オリンピック委員会総会でなされることとなっております。  オリンピック競技大会という国際的な大事業を実現するためには、国民的な盛り上がりを背景に、全国的規模態勢で取り組む必要があります。政府及びスポーツ団体等関係者挙げての御支援を受け、本年一月二十七日、東京オリンピック成功に導かれた当時の東京都知事、現IOC名誉委員東龍太郎先生を会長に名古屋オリンピック招致委員会を発足させ、国の内外に向けて招致活動を活発に展開しているところであります。(拍手)  わが国におきまして再びオリンピック競技大会開催することは、以上申し上げましたとおりきわめて意義深いものがありますが、ここにまた、わが国の伝統や、すぐれた文化、美しい人情、美しい国土を世界人々に知っていただくことになり、わが国は一層世界の平和と友好に貢献できるものと確信する次第であります。(拍手)  わが国が過去において成功をおさめた東京、札幌両大会と同様に、オリンピック精神最高度に発揮した名古屋大会開催されますよう、この際、政府地方自治体及び民間が一体となって、万全の受け入れ態勢を確立すべきであります。  何とぞ、ここに満場一致賛成をいただきまするようお願いをして、趣旨弁明を終わる次第であります。(拍手)     —————————————
  9. 福田一

    議長福田一君) 採決いたします。  本案を可決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 福田一

    議長福田一君) 御異議なしと認めます。よって、本案は可決いたしました。(拍手)  この際、文部大臣から発言を求められております。これを許します。文部大臣田中龍夫君。     〔国務大臣田中龍夫登壇
  11. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 第二十四回オリンピック競技大会名古屋市・東海地域招致し、再びわが国で平和と友好大会開催されますことは、まことに有意義であり、喜ばしいことであると存じます。  政府といたしましても、ただいまの御決議趣旨を十分尊重いたしまして、昨年十一月に閣議了解されました方針に従い、招致の実現並びに準備態勢整備に最善の努力を払ってまいる所存でございます。  ありがとうございました。(拍手)     —————————————  日程第一 自動車事故対策センター法の一部   を改正する法律案内閣提出
  12. 福田一

  13. 斎藤実

    斎藤実君 ただいま議題となりました自動車事故対策センター法の一部を改正する法律案につきまして、交通安全対策特別委員会における審査経過並びに結果を御報告申し上げます。  本案は、最近における自動車事故による重度後遺障害者の実態にかんがみ、重度後遺障害者を収容して治療及び養護を行う専用の施設整備するための措置を講じようとするものであります。  その主な内容は、自動車事故対策センター業務を追加し、自動車事故対策センターは、自動車事故による被害者後遺障害が存するため治療及び常時の介護を必要とするものを収容して治療及び養護を行う施設を設置し、及び運営することができること等であります。  本案は、去る三月十六日当委員会に付託され、四月八日塩川運輸大臣から提案理由説明を聴取し、以来、慎重に審査を重ね、五月七日質疑終了討論採決の結果、本案は多数をもって原案のとおり可決すべきも一のと決した次第であります。  なお、本案に対し、療護施設の開業に当たっての医師、看護婦等の適正な配置と治療養護の充実についての検討施設運営における経営基盤整備施設モデル事業としての成果重度後遺障害者対策への活用等内容とする附帯決議が付されましたことを申し添えます。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  14. 福田一

    議長福田一君) 採決いたします。  本案委員長報告は可決であります。本案委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立
  15. 福田一

    議長福田一君) 起立多数。よって、本案委員長報告のとおり可決いたしました。      ————◇—————  日程第二 昭和四十二年度以後における地方   公務員等共済組合法年金の額の改定等に   関する法律等の一部を改正する法律案(内   閣提出
  16. 福田一

    議長福田一君) 日程第二、昭和四十二年度以後における地方公務員等共済組合法年金の額の改定等に関する法律等の一部を改正する法律案議題といたします。  委員長報告を求めます。地方行政委員長左藤恵君。     —————————————  昭和四十二年度以後における地方公務員等共済組合法年金の額の改定等に関する法律等の一部を改正する法律案及び同報告書     〔本号末尾掲載〕     —————————————     〔左藤恵登壇
  17. 左藤恵

    左藤恵君 ただいま議題となりました昭和四十二年度以後における地方公務員等共済組合法年金の額の改定等に関する法律等の一部を改正する法律案につきまして、地方行政委員会における審査経過及び結果を御報告申し上げます。  まず、本案概要について申し上げますと、  その第一は、地方公務員共済組合が支給する退職年金等について、恩給の増額改定措置に準じ、本年四月分から、その額を平均約四・四%引き上げるとともに、遺族範囲の見直し及び遺族年金に加算される寡婦加算額引き上げ等措置を講ずることといたしております。  第二は、地方議会議員共済会が支給する退職年金等について、その額の増額改定を行うとともに、地方団体関係団体職員年金制度について、地方公務員共済組合制度改正措置に準じて所要の措置を講ずることとしております。  第三は、行政改革計画に基づき、昭和五十七年四月一日をもって地方団体関係団体職員共済組合地方職員共済組合に統合することとしております。  以上が本案概要でありますが、本案は、三月十六日本委員会に付託され、四月二十八日安孫子自治大臣から提案理由説明を聴取し、五月七日質疑終了いたしましたところ、本案に対し、工藤巖君より、施行期日に関する修正案提出され、その趣旨説明を聴取いたしました。  次いで、討論の申し出もなく、採決を行いましたところ、修正案及び修正部分を除く原案は、いずれも全会一致をもって可決され、よって、本案修正議決すべきものと決しました。  なお、本案に対し、附帯決議を付することに決しました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  18. 福田一

    議長福田一君) 採決いたします。  本案委員長報告修正であります。本案委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  19. 福田一

    議長福田一君) 御異議なしと認めます。よって、本案委員長報告のとおり決しました。      ————◇—————  日程第三 国際電気通信衛星機構特権及び免除に関する議定書締結について承認を求めるの件  日程第四 条約法に関するウィーン条約締結について承認を求めるの件  日程第五 業務災害の場合における給付に関する条約(第百二十一号)付表I職業病一覧表)の改正受諾について承認を求めるの件
  20. 福田一

    議長福田一君) 日程第三、国際電気通信衛星機構特権及び免除に関する議定書締結について承認を求めるの件、日程第四、条約法に関するウィーン条約締結について承認を求めるの件、日程第五、業務災害の場合における給付に関する条約(第百二十一号)付表I職業病一覧表)の改正受諾について承認を求めるの件、右三件を一括して議題といたします。  委員長報告を求めます。外務委員長奥田敬和君。     —————————————  国際電気通信衛星機構特権及び免除に関する議定書締結について承認を求めるの件及び同報告書  条約法に関するウィーン条約締結について承認を求めるの件及び同報告書  業務災害の場合における給付に関する条約(第百二十一号)付表I職業病一覧表)の改正受諾について承認を求めるの件及び同報告書     〔本号末尾掲載〕     —————————————     〔奥田敬和登壇
  21. 奥田敬和

    奥田敬和君 ただいま議題となりました三件につきまして、外務委員会における審査経過並びに結果を御報告申し上げます。  まず、インテルサットと呼ばれております国際電気通信衛星機構特権及び免除に関する議定書について申し上げます。  昭和四十八年二月十二日に効力を生じたインテルサットに関する協定は、各締約国は、できる限り速やかに同機構との間で特権及び免除に関する議定書締結することを規定しております。この規定に基づき、昭和五十三年五月にワシントンにおいて開催された特別会議においてこの議定書が作成され、昭和五十五年十月九日に効力を生じました。  本議定書は、インテルサットの任務の能率的な遂行のため、インテルサット、その職員インテルサット加盟国代表等が享受する特権及び免除について定めております。  次に、条約法に関するウィーン条約について申し上げます。  従来、条約についての国際法規則は、主として国際慣習法によって形成されてまいりましたが、戦後、国家間の関係を規律する条約の数が増加し、複雑化するに伴い、条約法法典化必要性認識されるに至り、国際連合の主催により、全権代表会議ウィーンにおいて開催され、昭和四十四年五月二十三日この条約が作成されました。  本条約は、国家間の条約締結効力発生、適用、解釈、無効、終了運用停止等に関する規則について定めております。  次に、業務災害給付条約改正について申し上げます。  わが国昭和四十九年に批准しました業務災害の場合における給付に関する条約は、その付表職業病一覧表を掲げております。  職業病範囲は、産業技術進歩、医学の進展に伴い変化してきており、昭和五十五年六月に開催されましたILO総会は、このような進歩進展を踏まえ、付表I改正を採択いたしました。  本改正の主な内容は、付表Iに掲げられている職業病項目の一部を修正するとともに、カドミウムによる疾病、騒音による難聴等を含む十四の項目を新たに追加するものであります。  以上三件は、三月十四日外務委員会に付託され、三月十八日伊東外務大臣から提案理由説明を聴取し、質疑を行いましたが、その詳細は会議録により御承知を願います。  かくて、昨十一日質疑終了し、採決を行いました結果、以上三件は、いずれも全会一致をもって承認すべきものと議決いたしました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  22. 福田一

    議長福田一君) とれより採決に入ります。  まず、日程第三につき採決いたします。  本件委員長報告のとおり承認するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  23. 福田一

    議長福田一君) 御異議なしと認めます。よって、本件委員長報告のとおり承認するに決しました。  次に、日程第四及び第五の両件を一括して採決いたします。  両件は委員長報告のとおり承認するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  24. 福田一

    議長福田一君) 御異議なしと認めます。よって、両件とも委員長報告のとおり承認するに決しました。      ————◇—————  内閣総理大臣発言帰国報告について)
  25. 福田一

    議長福田一君) 内閣総理大臣から、帰国報告について発言を求められております。これを許します。内閣総理大臣鈴木善幸君。     〔内閣総理大臣鈴木善幸登壇
  26. 鈴木善幸

    内閣総理大臣鈴木善幸君) 私は、五月四日から九日まで、伊東外務大臣とともに米国を訪問し、レーガン大統領と二回の会談を行ったほか、ブッシュ副大統領ヘイグ国務長官ほか関係閣僚米国議会両院指導者米国財界人言論人等と懇談いたしました。さらに、ナショナル・プレスクラブにおいて、わが国外交基本姿勢日米関係等中心に演説を行いました。  私はまた、五月九日に、短時間ながらカナダを訪問し、オタワにおいて、トルドー首相と親しく意見交換を行いました。  私の今回の訪米の主な目的は、多くの難問を抱えている国際社会の中で、現下の国際情勢に対する基本認識につき、レーガン大統領との間で、大所高所から意見交換を行うとともに、自由世界の責任ある構成員である日米両国が連帯、協調して、世界の平和と繁栄を目指し、緊密に協力していくべきであるとの姿勢を確認する点にありました。この点は、共同声明の冒頭にうたわれております。  レーガン大統領との会談では、相互信頼感友好的な雰囲気の中で、東西問題、アジア情勢中心とした国際情勢防衛問題等日米国間関係国際経済問題等両国の共通に関心を有する諸問題について幅広く意見交換を行いました。  会談成果は、私とレーガン大統領との間の共同声明にて表明いたしましたが、この際、特に次の諸点を指摘しておきたいと思います。  東西関係については、ソ連軍事力増強、第三世界におけるソ連の動きに対し憂慮の念を示し、ソ連軍のアフガニスタンからの即時無条件全面撤退が実現されるべきであり、ポーランドの問題は、いかなる干渉にもよることなく、ポーランド国民自身により解決されるべきであるとの立場を再確認しました。  他方、ソ連との対話の窓口を閉ざさないことが必要であることにも意見一致が見られました。また、当方より、軍備管理及び軍縮の努力を進めることが、世界平和のために重要であることを強調し、合意を見た次第であります。  その他国際情勢については、アジア中心意見交換を行い、アジアの平和と発展に向け、日米おのおのがこれまで果たしてきた役割りを評価し、今後引き続き、互いに協力しつつそれぞれの役割りを果たしていくことで意見一致を見ました。  また、日米両国を含む西側先進民主主義諸国は、世界政治軍事及び経済上の諸問題に対して互いに緊密に連絡をとりつつ、国力、国情に応じ協力しながら西側全体の安全を総合的に図り、それを通じて世界の平和と繁栄を確保していくことにつき、意見一致を見ました。  防衛問題については、日本防衛並び極東における平和及び安定を確保するために、日米安全保障条約の果たしてきている役割りを再確認するとともに、右目的を達成していく上で、日米両国間の適切な役割り分担が望ましいことを確認いたしました。  なお、わが国がいわゆる集団的自衛権の行使をなし得ないことは憲法上明らかでありますので、極東の平和と安定のための日本役割りは、日米安保条約の円滑かつ効果的な運用のほか、政治経済社会文化の各分野における積極的平和外交の展開に重点が置かれることとなります。  わが国防衛努力については、第二回首脳会談において、私から、わが国の基本的な考え方を率直かつ詳細に説明しました。すなわち、わが国としては、自主的に、かつ憲法及び基本的な防衛政策に従って防衛力整備努力を行うものであることを明言するとともに、世論の動向、財政状況、他の諸政策との整合性近隣諸国への影響などの要素にも十分な配慮を払う必要がある旨を説明しました。大統領よりは、日本が、憲法その他の制約の範囲内で従来より防衛力整備努力してきたことに理解を示すとともに、引き続き防衛力整備努力されるよう期待する旨の表明がありました。  経済関係については、世界経済が現在直面している諸問題につき話し合い、両国は、自由かつ開放的な貿易の諸原則の維持と強化に引き続き努力する決意を確認し、また、日米二国間の経済関係を今後一層拡大させていくことの重要性につき認識一致を見ました。  なお、自動車問題につき大統領より、日本側自主的措置を多としている旨の発言がありました。  先進工業国開発途上国との関係重要性につき意見一致を見、オタワサミット南北サミット等を通じ、南の諸国との関係に対処するに当たり建設的な進展が得られることへの期待を表明しました。  原子力の平和利用問題については、日本にとって再処理が特に重要であるとのわが方見解に大統領の支持が表明され、今後懸案事項の進展が期待されます。  これらの意見交換を通じて、私とレーガン大統領との間で、日米間の友好協力関係が、民主主義、自由、開放経済等、両国の共通の政治経済上の基本理念に立脚したものであることを確認し、かかる同盟関係にある日米両国が互いに連帯して、世界の平和と活力ある国際社会の実現に向け協力していくことが、いま強く求められていることを確認いたしました。  なお、原潜問題については、私から大統領に対し、米国が誠意を持って首脳会談前に中間報告を出したことを評価しつつ、今後できるだけ早く最終報告が行われることを期待すると述べ、大統領は、米側としても徹底的に調査を行う考えである旨を明らかにしました。  私は、今回の訪米を通じて、レーガン大統領との間で親密な信頼関係を築き上げることができたものと確信しております。言うまでもなく、わが国にとって日米関係外交の基軸であり、大統領と今後とも率直に話し合うことができることは、日米両国間の関係発展のみならず、世界の平和と繁栄にとって少なからず重要な意味を持つものと考えております。  トルドー首相との会談では、カナダが来る七月の先進国首脳会議議長国であることから、オタワサミットが話題の中心でありましたが、お互いに会議成功のために今後とも緊密に協議を続けていくことで意見一致を見ました。また、日加関係の現状と将来の展望についても率直に意見交換を行いました。  私は、今回の米国及びカナダ訪問を通じて、わが国国際社会の中で果たすべき役割りに対する期待が日増しに強まってきていることを強く感じました。私は、総理大臣として、今後とも世界の平和と繁栄に向け、国益を踏まえ、わが国にふさわしい貢献を行ってまいる所存であり、引き続き国民の皆様の御支援を賜りたいと存じます。(拍手)      ————◇—————
  27. 福田一

    議長福田一君) 本日は、これにて散会いたします。     午後五時十分散会      ————◇—————  出席国務大臣         内閣総理大臣  鈴木 善幸君         外 務 大 臣 伊東 正義君         文 部 大 臣 田中 龍夫君         運 輸 大 臣 塩川正十郎君         自 治 大 臣 安孫子藤吉君      ————◇—————