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1981-05-15 第94回国会 衆議院 法務委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十六年五月十五日(金曜日)     午前十時十五分開議  出席委員    委員長 高鳥  修君    理事 青木 正久君 理事 木村武千代君    理事 熊川 次男君 理事 山崎武三郎君    理事 稲葉 誠一君 理事 横山 利秋君    理事 鍛冶  清君 理事 岡田 正勝君       今枝 敬雄君    上村千一郎君       大西 正男君    高村 正彦君       中川 秀直君    平沼 赳夫君       小林  進君    前川  旦君       安藤  巖君    林  百郎君       田中伊三次君  出席国務大臣         法 務 大 臣 奥野 誠亮君  出席政府委員         法務政務次官  佐野 嘉吉君         法務大臣官房長 筧  榮一君         法務省入国管理         局長      大鷹  弘君         厚生省児童家庭         局長      金田 一郎君  委員外出席者         法務大臣官房参         事官      山本 達雄君         法務委員会調査         室長      清水 達雄君     ————————————— 委員の異動 五月十五日  辞任         補欠選任   太田 誠一君     平沼 赳夫君 同日  辞任         補欠選任   平沼 赳夫君     太田 誠一君     ————————————— 五月十四日  スパイ防止法の制定に関する請願足立篤郎  君紹介)(第四六三八号)  同(相沢英之紹介)(第四六三九号)  同(逢沢英雄紹介)(第四六四〇号)  同(愛野興一郎紹介)(第四六四一号)  同(秋田大助紹介)(第四六四二号)  同(天野光晴紹介)(第四六四三号)  同(有馬元治紹介)(第四六四四号)  同(井出一太郎紹介)(第四六四五号)  同(伊藤宗一郎紹介)(第四六四六号)  同(池田淳紹介)(第四六四七号)  同(池田行彦紹介)(第四六四八号)  同(石井一紹介)(第四六四九号)  同(石川要三紹介)(第四六五〇号)  同(石田博英紹介)(第四六五一号)  同(石橋一弥紹介)(第四六五二号)  同(石原慎太郎紹介)(第四六五三号)  同(稲垣実男紹介)(第四六五四号)  同(稻村左近四郎紹介)(第四六五五号)  同(稲村利幸紹介)(第四六五六号)  同(今井勇紹介)(第四六五七号)  同(今枝敬雄紹介)(第四六五八号)  同(上村千一郎紹介)(第四六五九号)  同(植竹繁雄紹介)(第四六六〇号)  同(臼井日出男紹介)(第四六六一号)  同(内海英男紹介)(第四六六二号)  同(江崎真澄紹介)(第四六六三号)  同(江藤隆美紹介)(第四六六四号)  同(小此木彦三郎紹介)(第四六六五号)  同(小里貞利紹介)(第四六六六号)  同(小沢一郎君外一名紹介)(第四六六七号)  同(小澤潔紹介)(第四六六八号)  同(小渡三郎紹介)(第四六六九号)  同(小渕恵三紹介)(第四六七〇号)  同(越智伊平紹介)(第四六七一号)  同(大原一三紹介)(第四六七二号)  同(太田誠一紹介)(第四六七三号)  同(奥田敬和紹介)(第四六七四号)  同(加藤紘一紹介)(第四六七五号)  同(加藤常太郎紹介)(第四六七六号)  同(加藤六月紹介)(第四六七七号)  同(鹿野道彦紹介)(第四六七八号)  同(海部俊樹紹介)(第四六七九号)  同(梶山静六紹介)(第四六八〇号)  同(粕谷茂紹介)(第四六八一号)  同(片岡清一紹介)(第四六八二号)  同(金子岩三紹介)(第四六八三号)  同(金丸信紹介)(第四六八四号)  同(亀井静香紹介)(第四六八五号)  同(亀井善之紹介)(第四六八六号)  同(亀岡高夫君紹介)(第四六八七号)  同(唐沢俊二郎紹介)(第四六八八号)  同(川崎二郎紹介)(第四六八九号)  同(川田正則紹介)(第四六九〇号)  同(木野晴夫紹介)(第四六九一号)  同(木村武雄紹介)(第四六九二号)  同(木村武千代紹介)(第四六九三号)  同(木村俊夫紹介)(第四六九四号)  同(菊池福治郎紹介)(第四六九五号)  同(北口博紹介)(第四六九六号)  同(北村義和紹介)(第四六九七号)  同(久間章生紹介)(第四六九八号)  同(久野忠治紹介)(第四六九九号)  同(久保田円次紹介)(第四七〇〇号)  同(工藤巖紹介)(第四七〇一号)  同(熊川次男紹介)(第四七〇二号)  同(倉成正紹介)(第四七〇三号)  同(小泉純一郎紹介)(第四七〇四号)  同(小坂善太郎紹介)(第四七〇五号)  同(小坂徳三郎紹介)(第四七〇六号)  同(小宮山重四郎紹介)(第四七〇七号)  同(小山長規紹介)(第四七〇八号)  同(古賀誠紹介)(第四七〇九号)  同(高村正彦紹介)(第四七一〇号)  同(國場幸昌紹介)(第四七一一号)  同(近藤鉄雄紹介)(第四七一二号)  同(近藤元治紹介)(第四七一三号)  同(左藤恵紹介)(第四七一四号)  同(佐々木義武紹介)(第四七一五号)  同(佐藤一郎紹介)(第四七一六号)  同(佐藤文生紹介)(第四七一七号)  同(佐藤守良紹介)(第四七一八号)  同(齋藤邦吉紹介)(第四七一九号)  同(三枝三郎紹介)(第四七二〇号)  同(坂本三十次君紹介)(第四七二一号)  同(桜井新紹介)(第四七二二号)  同(櫻内義雄紹介)(第四七二三号)  同(笹山登生紹介)(第四七二四号)  同(始関伊平紹介)(第四七二五号)  同(塩川正十郎紹介)(第四七二六号)  同(塩崎潤紹介)(第四七二七号)  同(澁谷直藏紹介)(第四七二八号)  同(島村宜伸紹介)(第四七二九号)  同(白浜仁吉紹介)(第四七三〇号)  同(菅波茂紹介)(第四七三一号)  同(砂田重民紹介)(第四七三二号)  同(住栄作紹介)(第四七三三号)  同(瀬戸山三男紹介)(第四七三四号)  同(関谷勝嗣君紹介)(第四七三五号)  同(染谷誠紹介)(第四七三六号)  同(田名部匡省紹介)(第四七三七号)  同(竹内黎一君紹介)(第四七三八号〉  同(谷川和穗紹介)(第四七三九号)  同(田澤吉郎紹介)(第四七四〇号)  同(田中龍夫紹介)(第四七四一号)  同(竹中修一紹介)(第四七四二号)  同(玉生孝久紹介)(第四七四三号)  同(田村良平紹介)(第四七四四号)  同(田邉國男紹介)(第四七四五号)  同(田原隆紹介)(第四七四六号)  同(竹下登紹介)(第四七四七号)  同(地崎宇三郎紹介)(第四七四八号)  同(津島雄二紹介)(第四七四九号)  同(戸井田三郎紹介)(第四七五〇号)  同(戸沢政方紹介)(第四七五一号)  同(東家嘉幸紹介)(第四七五二号)  同(友納武人紹介)(第四七五三号)  同(中川秀直紹介)(第四七五四号)  同(中尾栄一紹介)(第四七五五号)  同(中西啓介紹介)(第四七五六号)  同(中野四郎紹介)(第四七五七号)  同(中村喜四郎紹介)(第四七五八号)  同(中村弘海紹介)(第四七五九号)  同(中村正三郎紹介)(第四七六〇号)  同(中山利生紹介)(第四七六一号)  同(永田亮一紹介)(第四七六二号)  同(長野祐也紹介)(第四七六三号)  同(楢橋進紹介)(第四七六四号)  同(野上徹紹介)(第四七六五号)  同(野中英二紹介)(第四七六六号)  同(野呂恭一紹介)(第四七六七号)  同(羽田孜紹介)(第四七六八号)  同(羽田野忠文紹介)(第四七六九号)  同(葉梨信行紹介)(第四七七〇号)  同(橋口隆紹介)(第四七七一号)  同(橋本龍太郎紹介)(第四七七二号)  同(長谷川四郎紹介)(第四七七三号)  同(長谷川峻紹介)(第四七七四号)  同(畑英次郎紹介)(第四七七五号)  同(八田貞義紹介)(第四七七六号)  同(浜田卓二郎紹介)(第四七七七号)  同(浜野剛紹介)(第四七七八号)  同(林大幹君紹介)(第四七七九号)  同(林義郎紹介)(第四七八〇号)  同(原健三郎紹介)(第四七八一号)  同(原田憲紹介)(第四七八二号)  同(平泉渉紹介)(第四七八三号)  同(平沼赳夫紹介)(第四七八四号)  同(福島譲二紹介)(第四七八五号)  同(藤井勝志紹介)(第四七八六号)  同(藤田義光紹介)(第四七八七号)  同(藤波孝生紹介)(第四七八八号)  同(藤本孝雄紹介)(第四七八九号)  同(船田元紹介)(第四七九〇号)  同(古屋亨紹介)(第四七九一号)  同(細田吉蔵紹介)(第四七九二号)  同(堀之内久男紹介)(第四七九三号)  同(前尾繁三郎君外一名紹介)(第四七九四  号)  同(前田正男紹介)(第四七九五号)  同(牧野隆守紹介)(第四七九六号)  同(松永光紹介)(第四七九七号)  同(松本十郎紹介)(第四七九八号)  同(三塚博紹介)(第四七九九号)  同(箕輪登紹介)(第四八〇〇号)  同(水野清紹介)(第四八〇一号)  同(宮崎茂一紹介)(第四八〇二号)  同(宮下創平紹介)(第四八〇三号)  同(武藤嘉文紹介)(第四八〇四号)  同(村岡兼造君紹介)(第四八〇五号)  同(村上勇紹介)(第四八〇六号)  同(村山達雄紹介)(第四八〇七号)  同(毛利松平紹介)(第四八〇八号)  同(粟山明君紹介)(第四八〇九号)  同(森清紹介)(第四八一〇号)  同(森美秀紹介)(第四八一一号)  同(森喜朗紹介)(第四八一二号)  同(森田一紹介)(第四八一三号)  同(森山欽司紹介)(第四八一四号)  同(安田貴六君紹介)(第四八一五号)  同(山崎武三郎紹介)(第四八一六号)  同(山崎平八郎紹介)(第四八一七号)  同(山下元利紹介)(第四八一八号)  同(山下徳夫紹介)(第四八一九号)  同(山村新治郎君紹介)(第四八二〇号)  同(山本幸雄紹介)(第四八二一号)  同(湯川宏紹介)(第四八二二号)  同(綿貫民輔紹介)(第四八二三号)  同(渡部恒三紹介)(第四八二四号)  同(渡辺栄一紹介)(第四八二五号)  同(渡辺紘三君紹介)(第四八二六号)  同(渡辺秀央紹介)(第四八二七号)  同(大野明紹介)(第五〇三四号)  同(佐藤隆紹介)(第五〇三五号)  同(丹羽兵助紹介)(第五〇三六号)  同(松野幸泰紹介)(第五〇三七号)  在留外国人に対する国民年金法適用等に関す  る請願外二件(石橋政嗣君紹介)(第四八二八  号)  同外二件(木島喜兵衞紹介)(第四八二九  号)  同(矢山有作紹介)(第四八三〇号)  同(武藤山治紹介)(第五〇三八号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  出入国管理令の一部を改正する法律案内閣提  出第七〇号)  難民地位に関する条約等への加入に伴う出入  国管理令その他関係法律整備に関する法律案  (内閣提出第七二号)      ————◇—————
  2. 高鳥修

    ○高鳥委員長 これより会議を開きます。  内閣提出出入国管理令の一部を改正する法律案及び難民地位に関する条約等への加入に伴う出入国管理令その他関係法律整備に関する法律案の両案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。横山利秋君。
  3. 横山利秋

    横山委員 出入国の問題は、本委員会におきまして、私はもちろんでございますが、同僚委員からもいまの出入国管理状況についてしばしば質疑応答があったところでございます。  その中の一つのウエートとして不法入国者あるいは不法滞在者、この問題が常に社会の環境の中で問題点がある。それから治安上についても問題点がある。しかも、五万だとか十万だと言われるそれらの諸君は、まさに息をひそめて日本地域社会生活しておる。いつ自分が資格がないことが露見しやしないか、したがって、公的な場面へ出ることあるいは公的な問題に関与すること等について非常に憶病で、その家族についても同様な条件下にある。これが一体どうしたらなくなるのか。われわれは、入管行政がそういう問題について水際作戦が完璧ではないとか、警官の取り調べによって偶発的に発見されるというようなことではなかなか問題を解決することができないではないか、何かこれらについていい知恵はないのかということをしばしば言うてきたわけであります。  いま、不法入国者あるいは不法滞在者現状はなかなかその数を捕捉することはできないけれども法務省現状をどう把握をしておるか、その知る限りの状況について御報告を願いたいと思います。
  4. 大鷹弘

    大鷹政府委員 潜在密航者は、そのほとんどが朝鮮半島からの密航者だと思われますけれども、その数は巷間数万人と言われておるようでございます。不法入国者は、摘発されて初めてその存在が把握できるという事情にありますために、正確な数は私どももつかんでおりません。しかしながら、最近における摘発件数減少傾向を示しております。たとえば昭和五十一年には九百五十四名だったものが、昭和五十五年には五百八十一名と減っております。
  5. 横山利秋

    横山委員 そこで、大臣相談があるのですが、私は、これらの五万とも十万とも言われるものをオーソドックスに摘発するなんということはなかなかできるものじゃないと思うのです。かつてカナダオランダでこういう政策をとったことがあります。要するに、自主的に申告してもらいたい、そして一定条件に合う者はこの際思い切って認めよう、こういうことなんです。そのカナダオランダのやった状況——オランダはなかなかそううまくいかなかったという話ですけれども一つの卓見だと私は思うのです。  なぜそういうことをいま私が言い出すかといいますと、いまのお話のように発覚したのが減少しているということは、相対的には密入国者が減っているということだと思うのです。密入国はなぜ行われるか、密入国してくるか。要するに、韓国経済状態が悪い、食うに困る、日本へ行けば何とかなるということだと思うのですが、それが減っているということは、とりもなおさず、韓国密入国しても日本へ行くという要因がだんだん減少してきた。そういう時期を選んで、いま日本におります不法滞在者あるいは不法入国者をこのままに放置しておくということは、言い方は余り適当じゃないかもしれませんけれども地域社会の中における悪い要素だと思うのです。そして、息をひそめて生きておるという意味においては犯罪の温床ともなりかねない、そう思うのです。  そこで、私の提案は、一定の期間に自主申告してもらいたい、そして一定の要件に合致するならば、つまり長期間だとか、あるいは生活も安定しておるとか、一定の技能を持っておるとか、あるいは本人の社会生活も順調で安定しておるとか、そういう者についてはこの際、法律改正しなくてもいいのですから、あなたが、毎日やっていることなんですから、思い切って水準を高めて——低めてか、潜在的な人たちを顕在化させるということにして、一挙に数万人の人にきちんとした社会生活を営ませるということがあなたの政策でできる。もちろん、それについては欠陥がないとは言いません。私がそれを想定しますと、そういうことがあるならこの次もやってもらえるということがあってはいかぬ。今回限りである。同時に、それによって密入国なりあるいは不法滞在者についての思い切った措置をこの機会にする。つまり、厳重な調査もして、この問題にメスを入れるというようなやり方によってやるべきではなかろうか。  ただ、自主申告をしてきた、一定条件がある程度示してありますから、おれは条件に合うと思って申告してきた、ところが、おまえは不合格だ、だから大村行きだ、強制退去だというようなことがないとは言えない。そこのところが大変私は、恐れながらと訴えてきた者を、おまえは言ってきたがいかぬ、行けという点について若干の問題がなしとはしないけれども、少なくとも日本国地域社会における数万あるいは十数万と言われるこの問題について、一遍はメスを入れるべきである。先ほど理事会で私がちょっとお話をしたら、一遍理事懇談会で懇談しようという話なんですが、大臣はどうお考えでしょうか。
  6. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 不法入国して多年にわたっている方々の心情、それに深い同情を寄せられてきょうの横山さんの発言になっているのじゃないかなということ、私にもよく理解できるような気持ちがいたします。同時に、形式的には不法でございましても、人それぞれによりまして同情すべき事情がいろいろあろうかと思います。そういう事情につきましては、あとう限り人道的な配慮をしていかなければならないとも考えておるわけでございます。  ただ、御提案になりました、この際一定条件にはまる者はみんな届けさせるということになりますと、ある者は在留を認め、ある者は退去を命ずるというわけにはいかない、御指摘になったとおりだと思うのであります。ということになりますと、一種の徳政を行うかあるいは時効観念を持ち込むかということになるのじゃないだろうかなと思います。徳政観念を持ち込みますと、これも御指摘になりましたように、一度したことはまた次の機会にも行われるのだということになりかねませんし、また、時効観念を持ち込むということになりますと、許可を要するものについて一体時効観念がなじむのだろうかということになろうかと思うわけでございます。  卑近な例で申し上げますと、公訴権の提起などについては時効措置がございますけれども医師免許を要する者が免許なしに医療行為を多年にわたってやっておったということで、もう多年医療行為をやっているのだから医師として認めるというわけにいかない、これも御理解いただけるのだと思うのでございます。  入国に当たりまして承認を要する、そういうようなことにつきまして、多年にわたって在留してきているのだから承認あったものと認めるということにはちょっと即しない性格のものじゃないだろうかな、こう思います。したがいまして、せっかくの御提案でございますけれども、そのままには私たちとしては受け取れない。しかしながら、人それぞれによって同情すべき事情はいろいろあろうと思いますので、個々に具体の事情をよく調べまして、あとう限り人道的な配慮をしていくということではなかろうか、それが横山さんの提案に対する私のお答えであり、またとるべき措置ではないだろうかな、こう思っております。
  7. 横山利秋

    横山委員 私の提案は、思い切って——いまあなたのやっていらっしゃることなんですよ。入管個々については、私の気持ちは多少ながらも生かされておる問題ですよ。私はやってないことを言っているわけではない。けれども、私の提案は、少なくとも思い切った措置をしないと百年河清を待つようなものではないかという意味において、一つ政策として、地域社会のある意味では恥部とも言うべき、日本社会恥部とも言うべき問題を一遍えぐり出して、そして一挙とは言いませんけれども、思い切った措置をとれ、こういうわけなんです。  入管局長にお伺いをしたいのですが、いま大臣がおっしゃった個々にはその気持ちはくんでおるという個々について、たとえば巷間伝えられるところによりますと、密入国してから十年以上くらいたった者、そしていま大臣のおっしゃるように社会生活も素行も生活水準も安定をしておるという者については、自主申告をした場合には検討に値するというふうな水準だと言われておるのですが、いかがですか。
  8. 大鷹弘

    大鷹政府委員 個々の事案につきましては、その不法入国者居住歴家族状況等、諸般の事情を慎重に検討して、人道的配慮を要する場合には特にその在留を認めているわけでございます。したがいまして、不法入国者が摘発されまして強制退去の手続がとられた後でも、法務大臣特別在留許可がこういう場合には出るということになります。  それでは、その居住歴というのは何年ぐらいかということは、現在はっきり何年と申し上げることはできません、個々のいろいろなケースの中身によるわけでございますから。しかし、十年以上は居住歴があるということが必要でございましょうし、それから家族状況の場合でも、日本人と結婚しているとかあるいは日本にすでに生活の本拠を築いてしまった、こういう場合が想定されております。
  9. 横山利秋

    横山委員 私の経験で、十年くらい前だったか、七、八年前だったか、かつて、ある密入国者から相談を受けたことがあるのです。私は法務委員として相談を受けて、私が率直に言いましたことは、自主申告しなさい、あなたは十年——十年ちょっとだったかな、だから自主申告しなさいと言って勧めたことがある。それがよかったか悪かったか、それを勧めたら、だめだというので強制退去の決定があったのだ。私はえらいそれで恥をかきまして、先生が十年たっているから自主申告しろと言ったので私が申告したら強制退去だ、というので私も大変メンツをつぶしまして、そんなはずじゃなかったがというわけで、結局は大村行きはやめて、しばらく三カ月更新ですか二カ月更新ですかということになったことがある。  一体、自主申告ということをどういうふうにあなたがいま言ったような特別在留の中の判断の要素になさるつもりですか。恐れながらと訴えた者を、いいことをされた、おまえはいかぬ、ちょうどいいことを言ってきた、おまえはいかぬ、大村行きだ、強制抑留だなんてやられたら、私ども相談のしようがない。私ども法務委員として妙なつもりは全然ないので、なるべく顕在化させたいということで努力しているのに、かえって迷惑してはかなわぬですよ。自主申告ということをどういうふうに判断されますか。
  10. 大鷹弘

    大鷹政府委員 潜在不法入国者のうちには、子供がいよいよ学齢に達したとか、そういう事情からみずから名のり出て、先生のおっしゃいましたいわゆる自主申告をする人がおります。こういう場合には、私どもといたしましては、当然、情状を考慮するに当たりましてプラスの材料と考えております。  なお、先ほど居住歴とかいうことで申し上げましたけれども、相当長い居住歴がないとだめなのでございます。したがって、相当古い不法入国者であるとか、あるいはただいまおっしゃいましたように、身分関係からいって相当その理由がある者、こういう者を対象として私ども特別在留許可適用をしておりますので、その辺は先生の方でも御理解いただきたいと思います。
  11. 横山利秋

    横山委員 御理解いただきたいと言ったって、法務委員をやっておればいろいろ相談があるのですよ。結局あなたの言っていることは、おまえは自主申告したら損だよ、おまえは自主申告しろと言えというわけだ。私ども責任ある法務委員として、おまえは自主申告したら取っつかまえられてしまって、かえって損するからやめろ、隠れておれ、そんなことを勧めるわけにいきませんな。そういうときにどう言ったらいいのですか。
  12. 大鷹弘

    大鷹政府委員 ただいま私ども特別在留許可を出す一応の基準のようなものを先生に御説明いたしましたので、その基準に当てはまらない者は自主申告されてもむだであるということを申し上げざるを得ないと思います。
  13. 横山利秋

    横山委員 だから、大臣基準みたいなものがあるわけだ。基準というものを知らぬ人が多いのです。そういう基準があるのだから、自主申告すれば何とかしてもらえるからということを知らぬ人が五万、十万とおるわけですよ。基準を一遍顕在化したらどうですか。
  14. 大鷹弘

    大鷹政府委員 私、ただいま基準という言葉を使いましたけれども、それは厳密な意味基準ということではございません。その個人の個々の具体的な事情というものを勘案いたしますけれども、そのときに私どもとしては、居住歴であるとか身分関係とか、当然そういうところには着目するわけでございます。したがって、非常にはっきりした基準という形のものがあるわけではございません。
  15. 横山利秋

    横山委員 それを基準化しろと言うのです。それが私が大臣に要請しておることなんです。別に大きなことを言っているわけじゃないのです。そういうことを知らぬ人がある。そして、あろうことかあるまいことか、この間もばか話をしておったら、政治家に頼むと千万単位の金を出せば何とかなるとか、あるいは法務省入管のお役人に何とかすれば何とかなるという巷説がその人たちの中にあるわけです。そんなことはない、そんなばかなことをしたら承知せぬと私は言うたのですよ。  いま入管局長の言うのは、ぼやっとした基準ではあるけれども——基準じゃないと言うのだけれども、あなたの方の内部規定で、審判課でやるのかどこでやるのか知らぬですが、内部的に、こういう者は条件さえ合えば特別在留許可をするという判断の要素があるでしょう。この判断の要素を顕在化しろと言うのです。こういう基準に合う者は特別在留を認めるから、この際なるべく自主申告をしてもらいたいということを明白にしたらどうかと言うのです。そういう意味なんですよ。どうですか。
  16. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 自主申告を慫慂するということにつきましては、当初のお尋ねに対しまして私からお答えを申し上げたとおりであります。また、何か基準があるのかということにつきましては、入管局長からお答えしたとおりでございまして、個々の具体の事情を検討した上で結論を出す。強いて申し上げますと、永住を許可します場合には、独立生計維持能力でありますとか、素行が善良でありますとか、あるいは国の利益に適合すると考えられるとかいうことが法文に明記されておるわけでございますので、そういうことから判断されていくということになるのじゃないかなと思うわけでございます。  なお、その他のことにつきまして、これまでどういう事情許可されてきたかということを積み上げていきますと、あるいはある程度の基準めいたものが生まれてくるかもしれません。親族関係の状況でありますとか、いろいろなこともそれに絡んでくるだろうと思うわけでございます。これまでやってきたことを一遍調べ直してみることも一つかなと思います。
  17. 横山利秋

    横山委員 再度繰り返しませんけれども個々の問題を処理しておれば、それで役所の仕事は済むという問題ではない。今日、日本地域社会における恥部、犯罪の要因——人たちは、いまの話では十年以上日本で息をひそめて生きておる、そして子供も大きくなっておる、その子供も入学させなければならぬ、朝鮮人学校へ行けばいいと言うかもしれぬけれども、それでもやはり社会生活を営まなければならぬ、そういう人間が日本にまさに数万とおる。その人たちの心情も考え、密入国してきたら悪いあるいは不法滞在も悪いけれども、十年以上たってもなおかつ息をひそめて生きておる、子や孫にそれが受け継がれる、親戚にも伝えられるという状況を考えれば、いまあなたは時効問題をおっしゃったのですが、私は時効理論は成立すると思うのです。そういう意味合いでは税金もきちんと納めてもらわなければならぬのですよ。  そういうことを考えますと、この際、百尺竿頭一歩を進めて、どういう方法が適切であろうかという点は議論がありましょう、また、いま実行されておるその特別在留許可水準を少し上げてもらいたいというのが私の言う意味ですけれども、それを整理して、何らかの方法で、国会の討議を通じてでもよろしい、あるいはしかるべき方法で自主申告を思い切って慫慂する措置をおとりになってもらいたい。われわれも、法務委員ですから大体のことはわかっています。わかっていますけれども法務委員でない人たちがそういう相談に乗ったときに、その相談の過程で、韓国人内部で伝えられるつまらぬうわさが、政治家に絡まる問題が合理的に払拭されるということも私は大事なことだと思いますよ。それをこそこそと役所で一人一人やっておる、その基準も明白にしない、そういうことによって問題が生ずる温床にもなっておるのではないかと私は思うのです。重ねて大臣としてひとつ前向きに御答弁を願いたい。
  18. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 自主的に申告していただくことはありがたいわけでございますけれども、申告した方については必ず特別在留許可する、こう受け取られると入管行政というものは混乱すると思います。同時にまた、特別在留許可あるいは永住許可をもらえるのはどういう人であるかというある程度の基準が明らかになってくることも、私はいまのようなお話を伺っていますと大切なことじゃないかなと思います。これまでやってきたことを振り返ってみて、まとめるのも一つかなと、いまお話を伺いながら考えたわけであります。さらに、個々の事案について処理する場合にも、従来以上に人道的な配慮を加えていくことも一つの転換になるんじゃないかな、こう思うわけでございまして、私としてはできる限り人道的な配慮というものを重く見ていきたいな、こう思っております。  ただ、残念なことに、不法入国というものが今日もなお相当続いておるわけでございまして……(横山委員「非常に減っておる」と呼ぶ)とおっしゃっているのは特定の地域からの問題だろうと思います。そうじゃなくて、ある部分においてはふえてきておる、そういう試みはふえてきておるというような面もあるわけでございます。特定の国に対しまして影響を与えることでありますので具体のことは差し控えますけれども、いろいろな今後のことも考えてまいりますと一律的なことも申し上げかねる。そこで、いまの御提案を私なりに過去を振り返ってみて、それらの中からこういうものは許可されてきたというようなことが明らかにできぬものだろうかな、こう思いますし、さらに、人道的な配慮というものを従来以上に決定に当たっては加えていくことも大切なことじゃないかな、こう思っております。
  19. 横山利秋

    横山委員 ともかく、この問題についてはいろいろな角度から私はお願いをしておるわけでありますから、十分善意を持って前向きに検討をしていただきたいと思います。  法案の中で幾つかの問題点がございます。時間の関係でポイントだけ申し上げますが、一二六該当者の子については永住許可の特例措置に期間の制限がないが、孫、ひ孫については一九八六年十二月三十一日までに生まれた者という制限があって、それ以後生まれた者についてはこの特例には触れられていない。結果としては許可するという趣旨だと理解をするわけですが、子と孫、ひ孫について区別をしたということ、その区別というものは法務大臣の裁量権を介在させるということであるとするならば、何でそんなことをしなければならぬかということについて少し納得ができないのですが、いかがですか。
  20. 大鷹弘

    大鷹政府委員 法一二六—二—六該当者の子供につきましては、親が元日本人であったという特殊な事情を考慮して、五年の申請期間経過後に出生した場合でも、出生後三十日以内に永住許可の申請をすればそれを許可するということにいたしましたけれども、三世以下の子孫につきましては、協定永住者の三世以下の子孫の法的地位が定まっていないことをも考慮して、今回の特例措置の対象とはしなかったものであります。今後の朝鮮半島の情勢の推移等を踏まえて、その法的地位の問題に対処いたしたいと思います。  なおその間、孫、ひ孫、三世以下の方々は、このたび私ども一般永住の要件を緩和いたしましたので、それによって永住資格を取得することは可能でございます。
  21. 横山利秋

    横山委員 永住を可能にさせるけれども、子と孫、ひ孫を何で区別をさせなければならぬか。結果としては可能であるとおっしゃる。区別をした孫、ひ孫については、こちらは自動的である、こちらは法務大臣がうんと言うか言わぬか、多分うんと言うだろうと思うけれども、だから結果は一緒だ、こうおっしゃるが、何でそういうことに孫、ひ孫に法務大臣の裁量権を特別に差しはさまなければならぬかという理由なんです。
  22. 大鷹弘

    大鷹政府委員 それはただいま申し上げましたとおり、いわゆる協定永住、日本韓国の法的地位に関する協定に基づきまして取り決められました協定永住者の場合についても、三世、四世のものについては特段の定めがなくて、自後しかるべき時期に両国で協議するということになっているわけでございます。したがって、その協定永住者の場合との均衡を考慮したものでございます。
  23. 横山利秋

    横山委員 協定永住者との均衡を考慮するということは、向こうとこっちとの協議事項である。しかし、いま国内の法案を審議しているのですからね。日本政府としては、そういうような協議をすることになっておるけれども、子までは自動的だ、孫、ひ孫は法律上はわからぬぞ、こういうことなんでしょう。われわれは日本国内の法案を審議しているのだから、子まではいい、孫、ひ孫はわからぬぞということを法律に書く必要はない。孫もひ孫も一緒であるとどうして書かぬのか。よその国との交渉なんかよりも、われわれが法案を審議しているのだから、そうすればいいでしょう。
  24. 大鷹弘

    大鷹政府委員 先ほどお答えしたことの繰り返しになりますけれども、協定永住者との均衡というその視点は、私どもとしては保ってなければならないと思います。  なお、この一二六—二—六の子孫の孫、ひ孫の方につきましては、今後、未来永劫、無条件の特例永住を認めないと申し上げているわけじゃないのでございまして、朝鮮半島の情勢の推移等を踏まえてさらに検討することにしたい、こういう立場を堅持したいと思います。
  25. 横山利秋

    横山委員 それは意見の衝突になるかもしれない。なぜそんなところに朝鮮半島の今後の状況が関係があるの。なぜそれを考慮に入れなければならぬの。孫、ひ孫のときには朝鮮半島がどうなるかわからぬのでまあこうしておく、こういうわけですか。なぜそういうことが関係があるの。
  26. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 韓国とは日本は国交を結んでいるものですから、日韓地位協定に基づきましてすでに協定永住権を与えておるわけでございます。与えておるわけでございますけれども、孫、ひ孫のことにつきましては将来協議しようじゃないかということになっておるわけであります。北の方の問題につきましては、不幸にして国交がないものでございますから、今日までそのままになってきたわけでございますけれども日本側の判断によりまして、とにかく申請さえあれば永住権を与えよう、こうしたわけでございます。しかし、今後どういう考え方を他国が持つか、日本に帰化してしまえばいいじゃないかという判断を持つのか、あくまでも国籍を離脱してはならないという方針をとられるのか、そういういろいろな問題もあって、日本韓国の間では将来協議しようじゃないかということになっているのじゃないかな、こう思うわけでございまして、そうなっていますので、朝鮮半島全体を一つにとって考えますと、やはりはずを合わしておいた方がいいのじゃないかな、こういうことでございます。いずれ孫、ひ孫の問題につきましては法律上明確にしなければならない時期も来ると思いますので、そういう際にはあわせてそれぞれの国の意向も尊重しながら考えればいいじゃないか、こういうことでございます。そういう意味で、日韓地位協定と合わせた永住権の取り扱いに今回はしておこうということでございます。
  27. 横山利秋

    横山委員 まあ、見解の相違でございましょう。  再入国許可について、これは法案要綱なんですが、5に「再入国許可の有効期間の延長の事務は、日本国事官等に委任すること。」とありますが、「領事官等」の「等」は何でしょうか。難民は「一年」となっておりますが、「一年を超えない範囲内」と4ではなっておりますね。なぜ難民と同一にできないのだろうか。日本におります朝鮮民主主義人民共和国の諸君が共和国に行って病気になったというて一年超える、そうすると、わざわざ北京にあります日本領事館に頼まなければならぬのであるか、あるいは日本において、この「等」が問題なんですが、日本において日本政府に直接、ひとつ病気になっておるで延ばしてくれということになるのか、どういう方法で行われればいいですか。
  28. 大鷹弘

    大鷹政府委員 「領事官等」の「等」は、これは領事館のほかに大使館も含むという意味でございます。そこで、北朝鮮には日本の「領事官等」はございませんので、同地において再入国許可の有効期間の延長事務を取り扱うことはできません。そこで、最寄りの日本国の大使館とか領事館等、たとえば中国にございます日本の大使館等で延長の手続をしていただくほかはないと思います。
  29. 横山利秋

    横山委員 日本で、法務省に直接あるいは外務省に直接やって、何でいかぬのですか。
  30. 大鷹弘

    大鷹政府委員 法務省で直接それをやることは差し支えございません。
  31. 横山利秋

    横山委員 もう少し何か方法を考えてもらわなければいかぬと思いますが、次に移ります。  保証金の上限の引き上げですが、三十万円を三百万円に上げるというのは、これはまるっきりめちゃくちゃな金額だと思います。恐らく、当時の金額に物価倍数を掛ければ云々という議論があると思うのですが、余りにも唐突過ぎる。もしどうしても必要性があるならば、何でいままでにほうっておかないでやっておかなかったか。いま三十万円を三百万円に上げるということがいかにも唐突、いかにもぎらぎらしておる。もう少しこれを安くするわけにはいかぬのですか。
  32. 大鷹弘

    大鷹政府委員 この金額は、昭和二十六年以来三十年間据え置かれてございますけれども、その間、入管令の改正のたびごとに保証金の引き上げを考えたのでございますが、今日まで入管令の改正が実現しなかったので、その機を逸したというわけでございます。  三百万円ということで十倍になりますけれども、これは物価指数のほかに賃金・所得指数等も考慮して決めたものでございます。賃金・所得について言えば、これはこの三十年間に十八倍以上になっておるわけでございます。  なお、この機会にぜひ御指摘申し上げたいのは、この三百万円というのは上限でございまして、常にいかなる場合でも三百万円を適用するというわけではございません。
  33. 横山利秋

    横山委員 実績はどのくらいですか。
  34. 大鷹弘

    大鷹政府委員 現在は三十万円でございますので、この三十万円については、現在の物価のあれから見て非常に低いので、かなり高い三十万円の限度に近いところで取っておりますが、平均いたしまして大体二十万円でございます。これでは逃亡防止の担保にはならないということで、ただいま申し上げましたように、物価指数それから賃金・所得指数、こういうものの上昇等も考えて限度額を定めたものでございます。
  35. 横山利秋

    横山委員 限度額でもあろうけれども、その運用がどうなるかわかりません。わかりませんが、大臣、考えてくださいよ、一人の問題じゃないのだから。もしそうなれば、夫婦で子供が二人おれば、四人で千二百万円持ってこい、こういうわけですね。大体、これらの人の生活水準なり何なりを考えてみますと、低所得者が圧倒的に多いのですよ。千二百万円持ってこなければ仮放免しない、常識的にちょっと酷じゃありませんか。当時の三十万円がどうだこうだと言ったところで、現在われわれが考えて、法律として実際問題としてやるについて、三百万円、四人だったら千二百万円というのは、単に官僚が倍数を掛ければこんなものになるで済まされぬ問題じゃないですか。法務大臣は三百万円、気がつかなかったのじゃないですか。もう少し考えたらどうですか。
  36. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 いま入管局長からお話し申し上げましたように、最高限度でございますので、非常識な決め方をしないように留意していきたい、こう思います。
  37. 横山利秋

    横山委員 これは先ほど理事会で、野党の諸君すべてが、これはちょっとえらいぞという話なのですよ。それは実際適用に三百万円全部取るということではなかろうとは思う。なかろうとは思うけれども、判断次第で幾らでも上がっていくわけですね。そして、百万円持ってこい、二百万円持ってこいということが、低所得層に対してどんなに大きな負担になるかということを考えますと、上限を決めたからといって全部上限ではないけれども、上限を決めればまあこのくらい、もう少し下げればこのくらいというふうについて回るものですから、上限については修正をなさる御意思がございませんか。
  38. 大鷹弘

    大鷹政府委員 ただいま大臣からもお答えがありましたように、個々のケースにつきまして、十分その本人の事情を踏まえて保証金の金額は定めることになっております。したがって、先ほど先生が御指摘のように、低所得者の場合にまるまる一人三百万円ずつ取るというようなことはとうてい考えられません。逃亡の防止を担保するに足る金額であれば十分でございます。したがって、運用によって不都合は生じないはずでございますので、上限の金額を変えることは現在考えておりません。
  39. 横山利秋

    横山委員 この要綱の3に、「国籍を有しない外国人等旅券を取得することができない外国人に」「再入国許可書を交付する」とありますね。後で難民の問題とも議論いたしますが、難民の旅行証明書とどう違うのですか。  それから、在日朝鮮人にも数次旅券を採用するのでしょうね。これが一つ。そして、採用するとすれば、一体この一年という問題とどういう関連を数次旅券は持ってまいりますか。
  40. 大鷹弘

    大鷹政府委員 難民に対して発行されます旅行証明書と再入国許可書でございますけれども、その間大きな差はございません。難民の旅行証明書は一年の期限の数次往復を許すものでございますが、再入国許可書の場合にも数次の制度を今度設けることになりました。それで、再入国許可書の場合には一年以内ということになっておりますが、在留期間が当該の一年を超えるものを持っていらっしゃる方につきましては、目いっぱいの一年の再入国許可書を発給する、そういう方針でございます。したがって、この両者の間に格別の差はございませんが、この延長に関しましては、難民に対して発行されます旅行証明書については六カ月の延長だけが認められますのに対して、再入国許可書につきましては、さらに一年これは延長される可能性を定めております。  それで、数次の再入国許可書はどういう人に発給されるかということでございますが、商用その他一年間に何度も海外に旅行することがはっきりしている方々、そういう方でございますが、同時に、国際的な慣習、慣例といたしまして、こういう数次再入国許可書のようなものは相互主義の要素を考慮に入れることになっております。
  41. 横山利秋

    横山委員 大体、再入国ということがおかしいと思うのです。もちろん、出国許可であり再入国許可なんですが、再入国許可書というものが、一般旅券と全く同じに国際的に通用すると解してよろしいのですか。
  42. 大鷹弘

    大鷹政府委員 そういうふうに解しておられて差し支えございません。それで、再入国許可書は、発給しましたわが国が本人の再入国を認めるということを保証しているのでございますので、外国から見た場合には、当然これは旅券として通用するはずのものでございます。
  43. 横山利秋

    横山委員 要綱の十八「永住許可の特例」の二行目に、「本人からの申請に基づき」の次に何だかむずかしい日本語が書いてあるのですね。漢字制限にひっかかるような文字が書いてあるが、これはどういうふうに読んでどういう意味なのか。われわれ学問のない人間にはもう少しわかりやすく書いてもらわぬといかぬ。こういう勝手な文句を使って、わざわざ質問させて、われわれの知識のないことを宣伝するようなものでけしからぬ。どういう意味なんです。
  44. 大鷹弘

    大鷹政府委員 横山先生指摘の言葉は、「覊束的に」と書いてあるその言葉だろうと思います。大変むずかしい言葉でございますが、その意味するところは、無条件にということでございます。したがいまして、一二六—二—六の方及びそ子孫につきましては、申請があれば無条件で永住を許可する、こういうことを言っておるわけでございます。
  45. 横山利秋

    横山委員 そういう無条件と書けば一遍でわかるものを、何でこういう「覊束的に」と書くのです。そういうことが入管行政の一環を示すような気がして、これは注意をいたしておきます。  残念ながらお約束の時間でございますから、次回にまた保留いたしまして、質問を終わります。
  46. 高鳥修

    ○高鳥委員長 稲葉誠一君。
  47. 稲葉誠一

    ○稲葉委員 出入国管理令の一部を改正する法律案、これについて質問するわけですが、きょうは本会議もありますし、二回に分けて質問をいたしたいと思います。  最初のところは、大臣、お聞きだけ願っておいて、後でいろいろ御相談していただきたい、こう思うのですが、率直に申し上げまして、私は出入国管理の管理という言葉に引っかかってしょうがないのですよ。そうすると、入国管理局というのがありますね。あなたは入国管理局長だから。入国管理局というのは英語で言うと何というのですか。
  48. 大鷹弘

    大鷹政府委員 法務省入国管理局は、英語でイミグレーション・ビューロー・ミニストリー・オブ・ジャスティスというふうに訳されております。
  49. 稲葉誠一

    ○稲葉委員 そこで、イミグレーションという言葉は、移民というような言葉に普通訳していますかあるいは入国者という言葉に訳しています。それは別にしますが、それはいいのですが、管理という言葉は普通コントロールという言葉ですね。だからイミグレーションビューローと普通言っているので、管理という言葉は出てこないはずですよ。訳の中には。それは法務省設置法にそういうふうにあるから、そう使っているという意味だろうと思うのです。  そこで、たとえば「出入国管理の回顧と展望」というのが、昭和五十五年度版の新しいものが出ましたね。これを見てみても、「出入国管理令改正作業の展望」というようなことで書いてあります。たとえば、二百三十ページあるいはその他のところにもありますが、「出入国(管理)」と、こう書いてある。管理が括弧に入っているのです、これには。何カ所かありますよ。いや、何カ所かあるのです。二百三十ページもそうだし、二百二十九ページもそうです。だから、管理という言葉は、これは出てこないと私は思いますよ、英語そのものからは。ジャスティスというのだから、正義というのかな、法というのか、それはいろいろ理解の仕方がありますが、そこで、管理というのを括弧してありますね、これには。だから、これは出入国法という形で提案したこともあるんじゃないですか。あるいは提案しようとしたということもあるんじゃないですか。
  50. 大鷹弘

    大鷹政府委員 管理という言葉が、その「回顧と展望」の中で括弧に入っているのは、先生指摘のとおり、かつて入国管理令の改正案をお諮りしましたときに、そのすべての場合ではございませんけれども、何度か、その管理という言葉を落として御提案申し上げた経緯があるからでございます。
  51. 稲葉誠一

    ○稲葉委員 管理という言葉を落として、だからどうするのです。出入国法案という形にしようとしたことがあるんじゃないですか。それを聞いているわけです。
  52. 大鷹弘

    大鷹政府委員 そういう名称にすることを考えたときもあったようでございます。
  53. 稲葉誠一

    ○稲葉委員 管理という言葉はどういう意味かというと、どういうのかな。いろいろな意味はあるけれども、とにかく日本にいる外国人を俗に言えばコントロールというのかな、犯罪者扱いするという意味ではありませんよ。だからコントロールするという意味ですね。そうすると、アメリカの大統領が日本に来たときでも管理するの。管理という言葉になるのですか、具体的にどういうことなの、管理というのは。
  54. 大鷹弘

    大鷹政府委員 もちろん、アメリカ大統領が見えたときにも、アメリカ大統領も外国人でございますので、入国管理令の公正な管理のもとに置かれるわけでございます。したがって、その対象になるわけでございますが、その管理という言葉だけを見ますと、すべてを規制しあるいは制限しようとしているとの印象を持たれる向きもあるかもしれませんが、出入国管理令の目的とするところは、ただいま私が申し上げました第一条に規定する「すべての人の出入国の公正な管理」でございまして、「出入国の公正な管理」とは、外国人の取り扱いに関する国際法上の基準及び国際慣例を踏まえ、わが国にとって好ましからざる外国人の入国を拒否し、国内にある外国人の在留活動について公安上または社会経済上わが国の不利益とならないよう規制する反面、在留期間の更新、再入国許可を初めとする外国人に一定の便宜を与えることや、出入国に際しての手続を定めること等を広く包摂した概念でございます。  英語でイミグレーションアクトと言い、これを移民法と邦訳するのが通例ではございますが、その目的とするところはこれと全く同様でございますが、日本語で移民という表現を用いますと、あたかもわが国が移民受け入れ国であるかのごとく連想させることもあって、結局、出入国の管理という表現が最も適当なものではないかと考えておるわけでございます。
  55. 稲葉誠一

    ○稲葉委員 それはどこの国だって、公平な管理と言うんで、不公平な管理をしますと条文に書く人はいないでしょう。いま移民法の話が出ましたけれども、これはいわゆるアメリカ法系とそれからヨーロッパ法系とで取り扱いが違いますね。それでアメリカの移民法というか、アメリカの場合はいろいろ事情がありますね。メキシカンの問題だとかいろいろあるわけですね。そういうようなもので移民法という法律ができているわけですけれども、それはそれとして、それでは問題になってくるのは、難民条約を批准する、すると難民も一体管理するのかということになってきますね。法律的には、管理という言葉はいまあなたが言ったようないろいろな問題を含んでいる。便宜を図ることも入っておるけれども、それは一番後ろの方にくっついているだけの話で、だから大臣、いまここでお答えにならなくてよく御研究願いたいのですが、難民を管理するんだということになってくると、この難民条約の趣旨に反する形になって、世界から日本は何だということになって袋だたきにされますよ。  それは管理という言葉の持つ意味が、たとえばアライアンスと同じだね。同盟という言葉が持つ意味がいま問題になっているけれども、あれと同じで、管理という言葉の持つ意味日本での使われ方から来て、そこでその問題が起きてくるわけですよ。難民を管理するなんということは、難民条約の中でこれはそういう理解の仕方ではないでしょう。条文そのものというか、法律的にはわかりますよ。法律的に説明されればぼくらもわかるけれども、しかし、一般的な人は、これはそうは考えませんよ。管理という言葉から受ける印象というものは、そういうふうにとらないのですよ。そこに私は問題があると思うのですね。  だから難民との関係、難民もやはり管理するということを、大臣、これはいまお答え願えるかどうかは別として、それを真正面から打ち出して、難民管理のために今度は難民の認定法やなんかつくるんだということを、法務省、発表しますか。そんなことをしたら大変な問題が起きるでしょう、外国から何だといって。いまでさえ日本難民に対して冷たい国だと言われているのに、難民を管理するためにこの法律をつくるのかというふうにやられるでしょう。一部の法律家はわかりますよ。一般の国民なり受ける人はそういうふうにとらないでしょう。それは非常に問題がありますよ。  難民をどうするの。これは難民を保護するというのが目的じゃないですか、難民の場合には。だから全体を通じて難民と、それから前からいる日本人であった者で自己の意思によらず国籍を奪われたわけでしょう。本来なら国籍選択条項というものが入るわけですよ、平和条約の中で。あれは日本の場合入らなかったわけですから、そういう人たちとの間に差があるということもおかしいんだし、難民の場合に、これを保護するのでなくて難民を管理するんだというふうに、法務大臣、答えられますか。そんなことを答えたら、国際的な反響が大きくて、ひどい目に遭うのじゃないですか、日本として。私は管理という言葉はとった方がいいと思いますよ。その点についてはどうですか。
  56. 大鷹弘

    大鷹政府委員 先ほども申し上げましたけれども、管理という言葉の中には、規制という面と、それから便宜を与えるといいますかサービスを提供するというか、そういう面と両面あるわけでございます。その限りにおきまして、難民といえども公正な管理の対象になる。つまり私どもは、難民もその意味の管理の対象になると考えております。そういう管理を通じまして、難民に対する保護というものが実現していく、こういうふうに考えているわけでございます。
  57. 稲葉誠一

    ○稲葉委員 それはあなた方の考え方ですよ。一部の専門家の考え方はそれでいいかもわかりませんよ。だけれども、一般の人はそうとらないだろうというのですよ。いまの管理という言葉の中で、あなたが言ったのは規制が先でしょう。便宜を図るというのは後段の話でしょう。それならば、一般の人は規制の方に重点を置いてだれでも考えますよ。だから、これは名前がおかしいのですよ。今度できる法律の名前はどういう法律になるのですか。令が法律になって、難民の認定が入って一緒の法律ができるのでしょう。どういう名前の法律をつくるわけですか。
  58. 大鷹弘

    大鷹政府委員 今度私どもが御提案いたしております法律案の名前は、出入国管理及び難民認定法でございます。
  59. 稲葉誠一

    ○稲葉委員 だから、出入国管理難民認定というのは、それが一体となった法律で、法律体系として正しいかどうかということは確かにちょっと議論があるところですよ。だけれども法務省難民の認定の仕事が与えられてしまったわけです。外務省がいやだと言ったのでしょう。いやだと言ったら語弊はあるかもしれないけれども、いやだと言ったわけだよ、きょう外務省呼んでないけれども。では委員会をつくってやるという話があったでしょう。委員会をつくのはおかしいということで、結局入管でやるのだから法務省やれということになっちゃったのでしょう。これは法務省の中でもずいぶん反対があったでしょう。これ以上言わないけれども、とにかくそういうことになっちゃった。  だから、大臣にお考え願いたいのは、出入国法という形でこれは前にも出したのですし、そういう方が、これから国際交流がだんだん盛んになってくるときに受けがいいと私は思います。管理という言葉は日本語ではあるけれども、成田でもどこでも管理という言葉を使ってないのですから、あそこにはイミグレーションビューローしか書いてないでしょう。あんなところでコントロールするのだとかなんとか英語で書いてごらんなさい。アメリカの大統領がこれを見て、何だ、おれをコントロールするのかと言って怒るよ。大統領だけじゃなくて、今度ヘイグも来るのでしょう。何だ人をばかにするなということで、またこれ怒るよ。外国との間の関係がどんどん進んでくる状況に従って、条文の名前から管理をとって、前にもあったように出入国法という形にした方がいいと思うのです。外国人法というのは名前がちょっとまずいと思うのです。これはいかにもまずいから、出入国法なら出入国法という形にするとか、その中に難民を含ませるかどうかということになってくるとまたちょっと問題なので、どういうふうにするかまた別の問題として、きょう理事会にも提起したのです。理事会で十分この問題についても論議しようというふうなことになっていますから、その点については大臣もよくお考えを願いたいというふうに思います。
  60. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 いまのお話を伺っておりまして、日本で管理という言葉が必ずしもコントロールを意味しないような場合が多いような感じがいたします。  私の体験ですけれども、占領時代にある言葉を直訳しますと、総司令部は反発いたしました。そこで、いや日本ではそんなに反発するような言葉じゃないんだよ。それじゃおまえの言う言葉を英訳の場合には使おう。日本語はこれでいくよ。日本語を直訳すればあなたの言う言葉にならないよ、こういうことで妥協した私の体験がございます。  稲葉さんがおっしゃること、よくわかるわけでございまして、出入国管理法を英訳します場合には、イミグレーションアクトでいいのじゃないか、こう思うわけであります。あえてコントロールという言葉を使う必要はない、実態はそうなんですから。ですから、そういう性格のものじゃないかな。日本の場合には、管理というと必ずしも規制するばかりでなくて、相手のことも心配していろいろな措置をとっていくということがたくさんあると思うのであります。工場管理の場合であっても、労働者の安全を図るためにいろいろなことを工夫していかなければならない課題をたくさん含んでいると私は思うのであります。管理というと、労働者に労働を強制するようなふうにはみんな受け取らないと私は思うのでございまして、やはり日本での言葉の使い方と、外国における言葉の使い方に若干違いがあるところにこういう問題が起こってくるのじゃないかなと思うのでございます。せっかくのよいお話でございますので、英訳の場合にはイミグレーションアクトでいいじゃないか、こんな感じを持ったところでございます。
  61. 稲葉誠一

    ○稲葉委員 労働者の場合は、労働者の安全衛生管理というような形で、上へつくわけです。ただ労働者管理という文字を使っているわけではないですからね。だから英訳の場合に、イミグレーションアクトならば移民法と訳すわけにいかぬです、日本の場合にね。だから、やはり出入国法とかそう訳すのが本当じゃないかね、素直に言って。これは理事会でもよく協議いたしますから。幸い、こういう点非常に理解のある委員長もおられるし、それから山崎理事という方がいらっしゃいますからね、ゆっくり協議したいと思います。  これは私、実は心配するのですよ。難民を管理するという形になってくると、世界に与える影響がまずいのじゃないかと思いますよ。それが大きく出てごらんなさいよ。今度難民を五百人から千人ふやして三千人にふやすとかということですけれども日本難民に冷たいというふうなことでありますから……。  そこで、さっき横山さんからいろいろ質問がありましたので、その点についてはまた別な機会に私も質問したい、こう思うのですが、さっきの中に出てまいりましたのは、子孫の問題、孫の問題については別の機会にまた質問いたします。  「出入国管理の回顧と展望」の中にはみんな子孫と書いてあるのです。どこを見ても子孫と書いて並べてあるわけです。ですから、孫というふうなことが書いてあってもなくても、実際の取り扱いは同じになるのだ、こういうふうにいままでの例からいって、具体的な事実、日本のいまの対外政策その他から見て当然だと思いますけれども、やはりそこまで書いてないと心配するということもありますから、それはまたあとで質問したいというふうに思います。  そこで、私が質問する一つは、局長証明書というのがあるでしょう。これがどういうものなのかよくわからないのです。これと、難民に対して発行する難民旅行証明書、こういうのもありますね。これを今度のときに両方持ってきてください。いいですか。ということは、局長証明書というのは薄っぺらの紙でしょう。一枚の紙でしょう。難民の旅行証明書というのは日本の旅券と同じような、ただ上は違いますよ。最初の中身はちょっと違うけれども、実際は開きになった旅券みたいなものでしょう。そうすると、局長証明書というのはいかにも安っぽいのです。安っぽくて、これは持っていく方もちょっと困るのですね。一枚の紙っぺらでしょう。そこで、これを同じようなものにしなくちゃいけませんよ。同じようなものにするために局長証明書というものをもっとりっぱなものにしろというわけじゃないけれども難民の旅行証明書と同じようなものにしなさいよ。旅券に準ずるような形にしなさいよ。この次、両方持っていらっしゃいよ。その点はどうですか。
  62. 大鷹弘

    大鷹政府委員 現在の局長証明書は、今度の法案の改正によりまして再入国許可書ということになります。この再入国許可書の体裁につきましては、旅券に近いような形のものにすることを考えております。
  63. 稲葉誠一

    ○稲葉委員 旅券に近いはわかるけれども難民の場合の旅行証明書とは違うでしょう。今度の場合でも違うのじゃないですか。難民の方の場合はほとんど旅券と同じ体裁じゃないですか。文章はもちろん違いますよ。だから同じようなものにして——中身は違いますよ。中身は違うけれども、同じような体裁にしなさいよ。持っていくのにあの薄っぺらな紙ではみっともないですよ。その点どうでしょうか。
  64. 大鷹弘

    大鷹政府委員 再入国許可書もそれから難民旅行証明書も、同じような体裁のものにすることをいま考えております。
  65. 稲葉誠一

    ○稲葉委員 考えているなら、最初からそういうように言ってくださいよ。いまのはひどいですね。薄っぺらな紙一枚でしょう。これはおかしいですよ。それじゃ同じようなもの——同じようなものにするというのもまたはっきりしない。同じものにするというのと同じようなものにするというのとまた違うけれども、言葉は余りやかましいことを言うのもあれだからあれしません。  アメリカの再入国許可書というのがあるのです。これは本当に旅券と同じですよ。これは知っているでしょう。ほとんど旅券と同じです、もちろん国籍とか何か書いてない場合もあるかもわからぬけれども日本の場合、特に国籍を書かないというような場合がありますね。ところが、アメリカの場合の再入国許可書というのは旅券の場合とほとんど同じです。これはあなたの方でもどこかが持っておると思うけれども、あったらこれも今度持ってきてごらんなさい。これと同じようなものにしなさいよ。でないと、いかにも難民条約の批准に伴って、前から日本にいる外国人と難民との間に違いがあるというのはこれまたおかしな話なんで、その点はどういう書式にするのかわからぬけれども、この次にもう一遍質問しますから、そのときに持ってきてください。  それから、もう一つお聞きしたいのは、この「永住許可の特例」のところで直系卑属の問題、孫の問題は横山さんから質問があってあなたお答えになりましたね。それはまた別にしますが、その九のところで「法務大臣は、法律第百二十六号第二条第六項該当者の子として申請期間最終日後に本邦で出生した外国人が、法務省令で定める手続により、その出生の日から三十日以内に第四条第一項第十四号に該当する者としての在留資格の取得の申請をしたときは、これを許可するものとする。」というのがありますね。これは要綱では六十日以内となっていたのですよ。これが法律で三十日以内になっちゃったのはどういう理由なんでしょうか。外国人登録の場合の出生でも六十日から九十日ですね。法的地位協定の場合でも六十日じゃないですか。これはどうしたのですか。
  66. 大鷹弘

    大鷹政府委員 この法案の中身を検討しております段階で、これを六十日にするということを考えた時期がございます。しかし、その後よくよく考えてみますと、外国人の在留資格の取得、これは現在の入管令の二十二条の二の第二項でございますが、そこに三十日という規定がございます。そこで、むしろこれと合わせるのが正しいんじゃないかということで、その後六十日を三十日にいたしました。この三十日は、私どもとしてはそう短い期間ではないと考えております。
  67. 稲葉誠一

    ○稲葉委員 だけれども、要綱では六十日にしたのでしょう。六十日にしたときには六十日にした根拠があったわけでしょう。あなたの方でいま言った二十二条の何項で三十日というのがありましたが、本当はそれを気がつかなかったというんじゃないのか。
  68. 山本達雄

    山本説明員 ただいま局長から答弁いたしましたとおりに、立案検討の過程ではこれを六十日とすることを考えたこともあったわけであります。しかしながら、なお検討を加えていく過程におきまして、現行法第二十二条の二は新しく出生した場合の在留資格取得のことを定めた規定でありますが、それによりますと、出生後三十日以内に在留資格の取得の申請をしなければならないということになっております。そういたしますと、この永住許可の特例の申請期間を六十日といたしました場合にはどういうことになるか考えてみますと、まず出生後三十日以内に第二十二条の二に基づく在留資格の取得の申請をしなければならない。そうした上で改めて三十日経過後に今度は特例永住許可の申請をするのか、そういうナンセンスな話になってまいりますので、結局二十二条の二の申請期間である三十日と合わせざるを得なかったということであります。
  69. 稲葉誠一

    ○稲葉委員 要綱では六十日として発表しちゃったのじゃないですか。発表して、新聞記者会見もして、六十日という要綱でみんなに配ったんじゃないですか、それ以上聞きませんけれども。配って、みんな六十日と思っていたところが、法案が出てきたら三十日になっているので、あれっということになった。外国人登録の場合は六十日から九十日でしょう。そうでしょう。法的地位協定の場合には六十日ですからね。ここら辺のところもよくわかりませんがね。  そこでもう一つの問題は、これは私もよくわからないのですが、外国人が入ってきて、その場合に後から妻が来るという場合と日本人と結婚している外国人が来る場合、その取り扱いというのは在留資格やなんかは違うのですか。これはどういうふうになっているのですか。私の質問の意味、よくわからないかな。ぼくもちょっときのう聞いたのだけれども、七十三条の改正案に関連してこういう問題が何か出てきているようなんです。これは私ももう少しよく研究させていただきたい、こういうふうに思うのですが、何か外国人の家族の場合と日本人と結婚している外国人を呼んだときの両方の配偶者なり何なりの在留資格が違うのだということを言うのですがね。まあそれは後でいいです。ぼくの方ももう一遍研究しますから。  そこでもう一つの問題は、「出入国管理の回顧と展望」というのがあるでしょう。一番最後のところ、四百四十六ページに「外国人の権利義務に関する法令」ずっと書いてあるわけですね。これは外務省条約局法規課が編さんした「日本における一般外国人の国内法上の地位」というのをもとに記述したものだというのでしょう。一番最後の四百四十六ページの注があるでしょう。「本節4、その他の法令の部分は、」云々とあるでしょう。場所わかりましたね。これはいつできたのですか。外務省条約局法規課が編さんした「日本における一般外国人の国内法上の地位」というのはいつできたのですか。
  70. 山本達雄

    山本説明員 ただいまのところ承知しておりません。調べました上で後刻御説明申し上げたいと思います。
  71. 稲葉誠一

    ○稲葉委員 きょうは外務省を呼んでなかったから。あなたは外務省出身だからあれだけれども、これは昭和四十年にできたのです、条約局の法規課で。あの当時は法規課長はいまのユーゴスラビア大使の中江氏じゃないかな。あるいは中江氏がかわった後かな。ちょっとわかりませんが、これができているのは昭和四十年なんです。その後の状況が非常に変わっているわけです。そしてこれはちょっと抽象的なんですよ。たとえば住宅公団に入る資格があるとかないとかという問題も出てきていますね。それから、外国人が公立学校の小学校、中学校の教職員になる資格があるとかないとか、これに対するこの資料はどうも古いのですよ。これはわかっているでしょう。古いということは知っているでしょう。昭和四十年のことなんだから古いのですよ。  それで、ただ法律が並べてあるだけで抽象的なんですね。たとえば、日本にいる外国人で内国民と同じような対遇を受けている場合もありますね。憲法の場合で、税金を払う関係とかなんとかの方は、「國民」と書いてあるけれども、外国人も含むわけでしょう。それから、二十五条の方の健康で文化的な生活ですか、あれは日本国民だけだとかいろいろな議論がありますけれども、あるいは二十二条の職業選択の自由の場合でしたか、外国人と国民とを区別しない条文が一カ所憲法の中にありましたね。  そこで問題は、これはいま法務省に聞くんじゃなくて、この次に文部省でも呼んできて聞きたいと思っているのですが、外国人であって小学校の先生なんかをやっているところ、採用しているところが日本の中にもあるわけですね。こういう点を文部省と相談してよく調べておいてください。これはいまのところ、そういうふうに採用するということにしていて、実際に採用してないところもまだあるのです。よくわかりませんが、中国人の場合に対してもありますしね。いま一番いいのは三重県でしょう。三重大学を卒業した女の先生が四日市の小学校におられますね、これは朝鮮人の人ですが。あるいは滋賀県でもありますね。兵庫でもそうですし、それから東京、大阪もそうなんですが、愛知県がだめでそういうのはやってませんけれども、こういうふうな形で、朝鮮人であっても日本人の小中学校の先生になっている人がいるんですね。四日市の例をよく調べてごらんなさい。そこで非常な人気というか何というか、評判がいい。李という先生ですがね。  だから、そういうような状況がありましてこれがどんどん国際化をしていく中において、日本に生まれて日本の大学を出た人が、日本の小学校、中学校の先生になれないなんということはないので、どんどんそういうふうにするように進んでいかなければいけない、こういうふうに私は思っておるのです。この点が各県によってばらばらなんですね。これはこの次に文部省に聞きますが、あなたの方でもそういう点をよく調べておいていただきたいと思います。  いま言ったのは条約局法規課の編さんですが、これはその後非常に変わってきているのもありますから、外務省とよく相談をして具体的に調べておいてください。  それから、大平要さんの「日本における外国人の法律上の地位−公法関係」というのがここに書いてありますね。私、大平さんは知っていますが、私よりも大分先輩の人でしたか、検事をやっていて後で判事になりまして、たしか高裁の判事をやっておられたですが、非常にまじめな勉強家の方でしたがね。この人の本もあるのですが、これも率直に言うと古いのですよ。ですから、いま日本における外国人の地位がどういうふうになっているかということを、その新しいものを外務省と相談をしたり何かしてよく調べておいていただきたい、こういうふうに考えるわけです。  そこで、その他いろいろ質問をしたいところもあるのですが、きょうは代議士会がありまして、どうしてもそっちへ出て説明しなければならないものもありますので、この程度にしておきます。  最後に、これは前にお話したときに大臣がお答えになったのですけれども、イミグレーションアクトという言葉はそれでいいじゃないかということなんですが、これは母法はそういうふうになっています。しかし、それを出入国管理法と訳すのは、いかにもちょっと取ってつけたような印象を私は受けるのです。これはあなた方の方としてはいろいろあるでしょうけれども出入国法という管理をとった法律を出したこともあるわけですからね。これについては私どもの方も理事会でよく相談したいと思っているのですよ。きょうその話を出しましたから、相談しますから、あなたの方としてもひとつお考えを願いたい、こう思うのです。同じことを申し上げて恐縮ですけれども難民に対して管理するということを日本がやるという形に発表されますと、誤解を招いて日本の外交上の非常に大きなマイナスになるのではないか、こういうことをぼくは考えるものですから特に申し上げる次第です。  その他の質問はまた別の日にさせていただきたい、こういうふうに思います。
  72. 高鳥修

    ○高鳥委員長 この際、休憩いたします。     午前十一時三十六分休憩      ————◇—————     午後三時三十六分開議
  73. 高鳥修

    ○高鳥委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。高村正彦君。
  74. 高村正彦

    高村委員 まず、出入国管理令の一部を改正する法律案について質問いたします。  出入国管理令の改正問題については、昭和四十四年から四十八年にかけて四回にわたりその改正案が国会に提出され、いずれも審議未了になった経緯があるわけでありますが、本案の改正の趣旨及び改正点の概略について説明いただきたいと思います。
  75. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 一つは、出入国管理令制定以来三十年を経過いたしているわけでございます。その間に出入国者が激増いたしておりますし、また同時に、交通機関も船舶から飛行機に変わっているわけでございますので、そのような変化に対応いたしまして、在留資格でありますとかあるいは再入国制度でありますとか、それらの問題の整備を図ろうといたしていることであります。  もう一つは、さきに日韓地位協定に基づきまして、韓国との関係におきましては、戦前からの在留者につきまして永住を認めるとして地位の安定を図ったわけでございますけれども、その他のかつて日本国籍を持っておった人でありながら朝鮮半島の出身者や台湾の出身者でいまだに地位が安定していない、そういう方々につきまして、この際、申請に基づいて永住許可を与えて地位の安定を図ろうと考えている、大きく申し上げますとその二点になろうと思います。
  76. 高村正彦

    高村委員 趣旨についてはよくわかりましたが、その概略について、事務当局からで結構ですから、もう少し詳しくお願いしたいと思います。
  77. 大鷹弘

    大鷹政府委員 まず第一に、変化あるいは時代の要請に対応する改正につきましては、短期滞在者や技術研修生の在留資格の新設などの在留資格を整備すること、特例上陸許可制度を整備すること、どの在留資格からでもほかの在留資格への変更ができるように在留資格の変更の制度を整備すること、貧困等により公共の負担となっていることを退去強制事由から外すことなど退去強制事由を整備すること、出国留保の制度を設けること、それから数次再入国許可の制度の導入などの再入国許可の制度を整備すること、仮放免や仮上陸の際の保証金を引き上げること等がこれでございます。  第二に、いわゆる長期在留外国人の法的地位の安定化を図ろうとするものにつきましては、かつて日本国籍を有していた朝鮮半島、台湾出身者及びその子孫に対して、申請があれば永住を無条件許可することとすることや、これとの関連で、日本人及び永住許可を受けている外国人の配偶者及び子に対する永住許可の要件を緩和することがそれであります。
  78. 高村正彦

    高村委員 いま御説明があったように、いわゆる法一二六—二—六該当者及びその子孫に対して、申請があれば無条件出入国管理令上の永住を付与する立法措置がとられているわけでありますが、この立法趣旨は何か、説明していただきたいと思います。  また、それと同時に、この特例措置の対象となる者の数を、その国籍別、在留資格別に説明していただきたいと思います。
  79. 大鷹弘

    大鷹政府委員 終戦前からわが国に在留しております朝鮮半島、台湾出身者及びその子孫の法的地位は、日韓法的地位協定に基づく協定永住許可を受けた者を除いて、前者についてはいわゆる法一二六—二—六該当者として、別に法律で定めるところにより、在留資格及び在留期間が決定されるまでの間、引き続き在留資格を有することなくわが国に在留することができるとされておりまして、また、これらの子につきましては、在留資格四—一—一六—二、在留期間三年、さらにその子、つまり一二六—二—六該当者の孫につきましては、在留資格四—一—一六—三、在留期間三年でわが国に在留することが認められております。  そこで、今回の措置は、これらの者がわが国に在留するに至ったいきさつ及びその在留実態にかんがみ、本人からの申請により出入国管理令第四条第一項第十四号に定める永住を付与することとし、その在留実態に見合うように在留上の地位の安定化を図ろうとするものでございます。  また、今回の特例措置の対象となる者の昭和五十五年七月一日現在における総数は、約二十八万七千名でございます。国籍別では、朝鮮、韓国が約二十七万九千人、中国が七千四百人、無国籍が約九百人でございます。在留資格別では、法一二六—二—六該当者が約十四万三千人、法一二六—二—六該当者の子である四—一—十六—二が約十四万二千人、四—一—十六—二の子、つまり一二六—二—六該当者の孫のことでございますが、四—一—十六—三を付与されておりますこれらの者は約二千三百人でございます。
  80. 高村正彦

    高村委員 改正案によりますと、日本人、永住者または法一二六—二—六該当者の配偶者または子については、永住許可の要件である素行善良、独立生計維持能力の二つを満たさないときでも永住を許可することにしているわけでありますが、その理由は何か、御説明いただきたいと思います。
  81. 大鷹弘

    大鷹政府委員 今回の改正案では、この項とは別に附則の改正という形で、戦前から本邦に在留する朝鮮半島、台湾出身者及びその子孫について、申請に基づき、無条件に永住を許可するという特例措置を設けることといたしましたので、これとの均衡を考慮し、また、わが国に生活の本拠を有する日本人や永住者の配偶者等は、家族単位で在留の安定化を図ることが相当であるからでございます。
  82. 高村正彦

    高村委員 出入国管理令の一部改正案についてはそのぐらいにいたしまして、難民地位に関する条約等への加入に伴う出入国管理令その他関係法律整備に関する法律案について質問したいと思います。  本案の改正の趣旨及び改正点の概略について説明していただきたいと思います。
  83. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 難民地位に関する条約及び難民地位に関する議定書へ加入したことに伴いまして、出入国管理令整備する必要が生じたわけでございます。難民の認定に関する手続を定めたりあるいは難民に対しまして難民旅行証明書を交付したりする一連のことがございます。  なお、これらの方々に対する社会保障の見地からの改正といたしまして、国民年金法等四法律について国籍条件を撤去する、そして難民につきましても四法律の適用が行われるような改正をしたいということでございます。
  84. 高村正彦

    高村委員 改正点の概略について、もう少し詳しく説明していただけますか。
  85. 大鷹弘

    大鷹政府委員 改正点の概略について御説明申し上げます。  まず、出入国管理令の一部改正でございますが、その第一は、難民認定手続の新設でございます。難民の認定を受けようとする者は、入国後原則として六十日以内に法務大臣に対しその申請をしなければならないこととし、法務大臣難民の認定をしたときは、難民認定証明書を交付するとともに、難民の認定を受けている者が難民条約第一条に定める同条約の適用停止事由または適用除外事由に該当することとなったときは、その難民の認定を取り消すこととするほか、難民であると認定しない処分または難民の認定を取り消す処分については、法務大臣に対し異議を申し出ることができること等を定めたものでございます。  第二に、難民旅行証明書の交付でございます。難民の認定を受けて在留する外国人が出国しようとするときは、原則として難民旅行証明書を交付することとし、難民旅行証明書の交付を受けた者は、その有効期間内は、原則としていつでも本邦に出入国することができることとするほか、海外における難民旅行証明書の有効期間の延長ができるようにしたものでございます。  三番目が、永住許可要件の緩和でございます。難民の認定を受けている者につきましては、永住許可要件のうち、独立生計維持能力の要件を満たさない場合でも永住を許可することができることといたしました。  四つ目が、退去強制手続における法務大臣の裁決の特例でございます。難民の認定を受けている者に対しては、退去強制手続において退去強制事由に該当する場合であっても在留特別許可を与えることができることとしたものでございます。  五つ目が、一時庇護のための上陸の許可でございます。難民条約の趣旨にかんがみ、人道的観点から、難民に該当する可能性のある外国人については、旅券を所持しない等上陸のための条件を満たさない場合でも、上陸の特例として、とりあえずの緊急措置として、一時庇護のための上陸を許可することができることとしたものでございます。  六つ目が、迫害国向けに送還しないという原則でございます。退去強制をする場合には、被送還者が難民条約に定めるような迫害を受けるおそれのある国へは、原則として送還しないこととすることを明らかにいたしました。  これまでが入管令改正に関することでございますが、国民年金法等の一部改正につきましては、難民条約に規定する社会保障の面における内国民待遇を図るため、これらの法律における国籍要件を撤廃したものでございます。
  86. 高村正彦

    高村委員 この改正によって法律の題名を変更した理由はどういうことなんでしょうか。
  87. 大鷹弘

    大鷹政府委員 これまでの出入国管理とは異質な難民認定手続について規定することになったため、その目的規定と合わせ、題名をも改正する必要が生じたものでございます。
  88. 高村正彦

    高村委員 次に、一時庇護のための上陸の許可の制度を新たに設けた理由はどういうことなんでしょうか。先ほど人道的観点と申されましたが、もう少し詳しくお願いします。  また、上陸の許可を受けた者の衣食住を確保するための施設等が必要であると考えるわけでありますが、どのような対策を考えておられるのでしょうか。
  89. 大鷹弘

    大鷹政府委員 難民に該当する可能性がある外国人につきましては、旅券を所持しない等上陸のための条件を満たさないからといって直ちに上陸を拒否することは、難民に対する各種の保護を与えることとしている難民条約の精神にそぐわないので、難民に該当する可能性があるような外国人について、とりあえずの緊急措置として、一時庇護のための上陸を許可することができることとしたものでございます。  なお、これによりまして、今後わが国に到着するいわゆるボートピープルにはこの許可が与えられることになります。  また、一時庇護のための上陸許可を与える外国人の中には着のみ着のままで本国から逃れてくる者もあり、このような者については何らかの形で衣食住を確保する必要があるものと考えます。これまでは、これらの者に対しましては、国連難民高等弁務官事務所からの補助金や民間諸団体の協力により衣食住を確保してきたところでございます。今後の問題といたしましては、政府関係の施設、たとえば一時庇護センターとでもいった施設を設け、ここに収容して一時的な生活保護を与えることも必要ではないかとの考えもあると思われますが、施設の新営及び運営経費等新たな手当てを伴う事柄でもありますので、しばらくは情勢の推移を見て関係省庁間で協議されることになろうかと存じます。
  90. 高村正彦

    高村委員 外国人の入国規制や退去強制を担当している法務大臣難民の認定を行うことは妥当ではないではないかという意見が一部にあるやに聞いておりますが、それについてはどういうふうにお考えでしょうか。
  91. 大鷹弘

    大鷹政府委員 難民条約がその対象としておりますのは当該国にある難民であり、難民または外国人であることから、法務省の行政と接点を有しているので、適正な難民の認定が行えるよう法制度の整備をして、法務省がこの業務を担当するのが最も妥当であると考えられたことから、法務省がこれを行うことになったものでございます。難民認定手続は、従来の出入国管理令上の在留の可否を決する諸手続とは全く別個の手続により行うこととしておりますので、自由裁量に基づく他の処分と混同することはなく、難民の認定が適正に行えるものと確信しております。
  92. 高村正彦

    高村委員 その点について諸外国ではどういうことになっているのでしょうか。難民認定権の所在について、諸外国の例をお示し願えたらと思います。
  93. 山本達雄

    山本説明員 諸外国の例をたくさん調べたわけではございませんが、若干の調査したものに基づいて御説明申し上げますと、西ドイツでは難民認定庁という独立の、日本でいいますと外局ということになるのでしょうか、そこで認定を行っております。もっとも、この難民認定庁は、外国人管理を行っております司法省に所属しておるという話であります。また、フランスにおきましては、難民事務所とでも訳すのでしょうか、そういうところで行っておる。これはフランスにおきましてやはり外国人管理を行っておる外務省に所属しておるということのようであります。そのほか、スイスのように、外国人管理を行っておる警察が認定も行っておるということのようでございます。  若干、整理した資料がございますので、必要でございましたら、後刻お届けしたいと存じます。
  94. 高村正彦

    高村委員 いわゆるインドシナ難民、特にわが国にすでに定住しているインドシナ難民は、この法律で難民と認定されることになるのでしょうか、どうなんでしょうか。
  95. 大鷹弘

    大鷹政府委員 わが国に定住しておりますインドシナ難民難民と認定されるかどうかは、認定の申請が行われました段階で、個々の具体的事案について、難民条約第一条に言う難民に該当するかどうかを審査して決定することになります。  なお、難民と認定されなかった者または認定の申請を行わない者は、難民条約上の難民として取り扱うことはできませんが、これまでと同様、引き続き在留を認める方針でございます。
  96. 高村正彦

    高村委員 最近よく流民という言葉を聞くわけですが、流民というのはどういうものを言われているのか、あるいはこの難民法上はどういうふうに取り扱われるのか、御説明願いたいと思います。
  97. 大鷹弘

    大鷹政府委員 いわゆる流民の大部分は、かつてインドシナ三国のいずれかに居住していて、戦乱等の際に脱出して第三国に逃れ、第三国の旅券を何らかの手段で取得いたしまして、そしてその旅券に基づいてわが国への入国査証、主として観光査証のケースが多いのでございますが、そういうものを取得して日本入国して、観光査証の期限が過ぎてもそのまま残留した、そういう人たちを指すわけでございます。  こういういわゆる流民の人たちは、難民条約上はいわゆる難民とは分類されないというふうに規定されております。と申しますのは、こういう人たちは一度は難民であったかもしれませんが、その後第三国の旅券を取得してその国の保護を受けるようになった、したがって、もはやその段階で難民としての性格は失ったというふうに難民条約上では規定されております。
  98. 高村正彦

    高村委員 そういう場合でも、具体的事例に応じては、日本国内で特別の保護を与えるというようなことはしておるのでしょうか、これからもされるのでしょう。
  99. 大鷹弘

    大鷹政府委員 流民の問題は、直接は難民条約問題と関連ございません。しかしながら、従来ともこういう方々につきましては、個々事情調査いたしまして、もし特別の事情があると判断される場合には在留許可を与えるということで対処してきました。
  100. 高村正彦

    高村委員 厚生省にお聞きしたいと思いますが、国民年金法、児童扶養手当法、特別児童扶養手当等の支給に関する法律及び児童手当法の改正案について、改正の理由及び改正点並びに新たに支給の対象となる人数及び所要予算額等について説明していただきたいと思います。
  101. 金田一郎

    ○金田(一)政府委員 難民問題に対するわが国の国際協力を一層促進するという見地から、今般、難民条約及び議定書に留保を付することなく加入することとなりましたことに伴いまして、社会保障につきましては、同条約及び議定書に定める内国民待遇を実現いたしますため、ただいま先生おっしゃいました国民年金法、児童扶養手当法、特別児童扶養手当等の支給に関する法律及び児童手当法における国籍要件を撤廃することとしたものでございます。この改正によりまして、難民はもちろん、広く外国人一般につきましても、これらの法律が日本人と同様に適用されることとなるわけでございます。  また、今回の改正によりまして、まず、国民年金法につきましては、わが国に居住する外国人で自営業を営む方々等につきまして新たに加入が認められ、加入後の老齢、障害等に対して給付が行われることとなります。この加入対象となる者は二十九万人程度と見込んでおります。  次に、児童関係諸手当におきましては、第一に、生別の母子世帯に支給される児童扶養手当、第二に、障害児を養育する者に支給される特別児童扶養手当、第三に、重度障害者に支給される福祉手当、第四に、三人以上の子を有する者に支給される児童手当、以上の各手当につきまして、改正後、それぞれの支給要件に該当する外国人に対しても支給されることとなるわけでございます。新たに改正により受給対象となる外国人は、児童扶養手当では三千人、特別児童扶養手当では七百人、福祉手当では二千五百人、児童手当では一万四千八百人程度となる見込みでございます。
  102. 高村正彦

    高村委員 以上で、私の質問を終わります。
  103. 高鳥修

    ○高鳥委員長 次回は、来る十九日火曜日午前十時理事会、午前十時十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時二分散会