○小林(進)
委員 私はこれが最大の不満なんだ。君たちは学者の
意見を聞いたり、専門家の
意見を聞いたり、あるいは経団連等
利益団体の
意見を聞いたり、そういうことをすることを私は決して拒否しない。非常に結構だと思っている。結構だと思うが、それほどの
意見を聞くなら、それよりも五倍も十倍ももっと親切丁寧に聞かなければならぬのがこの立法府のわれわれの
意見じゃないがと言うのだ。この立法府の
法律を採用しているわれわれの
意見をその人たちよりももっともっと時間をかけ、もっともっと慎重に聞かれて、その中で修正すべきことは修正するような
立場に立つ。立法府尊重ならば、あなた方にそういう
姿勢が出てこなければならぬじゃないか。
いま言うように、一月に
法制審議会の答申を受けてこの三月二十四日にわれわれのところに
法案を出すまで一体何をやった。要綱を
条文化するための手続もあっただろうが、その間において、君たちは公認会計士協会や税理士会の
意見を聞いて、たとえば負債を百億を二百億にしたとか、
利益の百億を削除したとか、最終的に出された答申案も
関係団体、
利益団体などの手直しで修正しているじゃないか。それほどの修正までやっておきながら、一たんここへ顔を出したら、われわれの修正に応じようとか
意見を聞こうという
考えは
一つもない。
委員長、これは政府側にも言いたいことだし、あなたにも言いたいことだ。いつでも立法府などというものは、もはやそこまで来たらなるべく修正はしてくれるな、早く原案を上げてくれ、それまでは
委員長としてある
程度目をつぶってもしゃべらしておこうという
姿勢しか映らない。これは自民党とか社会党とかいう問題ではなくて、立法府と
行政府との
関係です。君たちが依然として一番重要視しているのは、この
法案修正に関する
利益団体の
意見だけだ。そういう
意見だけは実に緻密に聞いているじゃないか。くどいようだけれ
ども、私は了承できない。
私は、まだこれをもっと研究したいし、税理士会や公認会計士協会や経団連等の修正
意見以上に、
国民全般に奉仕する
立場から修正したいような
意見がまだ幾つもあるので、私に修正の
意見を出させてください。私の修正
意見を聞くだけの時間の猶予を下さい。これは
委員長、あなたに言っておく。さもなければ、私は
国民から選ばれたる立法府の一員としてこれを了承するわけにはいきません。私は、これは
国会議員の
立場で厳重に申し上げておきます。
まだ問題は山ほどありますが、時間が限られていますから駆け足で言わなければなりません。
これはどなたでもいいですが、次に、使途不明金問題についてひとつお尋ねしたいと思うのです。これも
国税庁に
意見を聞けばいいのだけれ
ども、うっかりあなた方にしゃべらせると、このうるさいやつを時間切れにするにはたらりたらりと長い間
答弁した方がいいということでやられたらかなわないから、君の言い分も兼ねて私は言う。
国税庁の調査による使途不明金の額は、
昭和五十一年七月から五十二年の六月まで、資本金一億円以上の法人一方五千社のうち約五千社について実地調査をした結果、行き先を言えない、使った道を公表できない使途不明金が二百九十五億だ。
昭和五十二年度の事務年度、五十二年七月から五十三年六月まで、この資本金一億円以上の法人四千三百社を税務調査した結果、七百社で使途不明金が合わせて二百四十二億円だ。
昭和五十三年度の事務年度に、やはり資本金一億円以上四千二百社を税務調査した結果、一千百五十六社の中で使途不明金が三百三十六億九千五百万円。
昭和五十四年度も資本金一億円以上四千二百社を税務調査した結果、千四社で使途不明金が三百二十一億円だ。以上のように使途不明金は毎年増加しているじゃありませんか。
この使途不明金はだれの金だ。みんな
株主のお金ですぞ。それが使途不明金という名前のもとに毎年毎年増加していることを監督官庁は認めているが、税務署もこれを認めている。税務署はむしろ喜んでいる傾向がある。いわゆる使途不明金というのは、読んで字のごとく支出先がはっきりしない金のことを言っている。はっきりしないのじゃないんだ。
会社の中でみんなわかっている。わかってないと言ったら重役の重大なる
責任です。その使途不明金と称する金をだれが受け取ったか、ちゃんとわかっている。それを隠すために使途不明金という名前を使っているのだから、これは何でもない、
株主の財産の使途隠匿金だ。隠匿金ということで
株主を土足にかけ、大衆を土足にかけて隠している。
これに対して
国税庁は、税金だけ取っているからいいじゃないかという態度なのだ。こんな態度、
考え方で一体結構なんですか。今度の
改正でどうされましたか。
株主の
立場からすれば、使途が明らかにできないような支出自体があることが問題なのだ。これを今度の
改正で一体どう改めましたか。——待て待て待て、君が出るとまた長話をされるから、私の方でまだ
質問する。
その使途不明金を出した
企業みずからが、使途不明ですと損金の計上を否認している。だから、
企業としては損益計算をすれば税金が安いのだからやってもいいのを、特に税金をかけられることを覚悟してもその
内容を明らかにしないというところに、私の言ういわゆる
企業性悪説がある。このやり方は悪人ですよ。こういうケースが目立っているのだが、これからが私の
質問だ。
今回の
改正でこの使途不明金が生じないような方策がきちっと講じられているかどうか、これが
一つ。
監査役は
現行法上一体いかなる監査をしているか。この監査がきちっとやられていれば、使途不明金などというインチキな計算方式が許されるわけはないじゃないか。一体どういう計算をやっているか。
特に
企業の決算書類を検査する公認会計士は、一銭一厘の行方まで検査するのが仕事でございましょう。その
会社の経理
内容をチェックしているはずの公認会計士が使途不明金をそのまま認めている理由は一体何だ。これで公認会計士の任務が果たされると言い得るのか、これは
法務大臣にお
伺いしたい。一銭一厘まで明確にしなければならないのが、こういうことを言って公認会計士の任務は終われりという形を一体正当なりとして認めているのかどうか。これが三点ですよ。
第四点目に申し上げますが、経営状態に重大な影響がない範囲の見落としや落ちこぼれならば、
企業がつくった財務諸表は適正と判断してよろしい——よろしいとは言ってないけれ
ども、まあまあ認めているようだ。
企業会計の原則で定める重要性の原則というのは一体何だ。こういう使途不明金をどんどんみんな出していることも、重
要件の原則から見て支障がないという見解をとっておられるのかどうか。
それから私が特に申し上げたいことは、経理
内容をよりガラス張りにしていくことが社会的要請なのだから、これが今度の
改正のポイントでなくちゃいけない。営業報告書または附属明細書でこういうことはきちっと明快にするように一体やる気があるのかないのかです。これを
法務省令か何かでちょこちょことおやりになるというふうなことも聞いているけれ
ども、最初の
法務省の草案はそんなことじゃなかったはずだ。この明細書や報告書の中にきちっとした
規定を設けて、そうして
一つ一つ明細に公表するというふうな
考えが
法務省の原案の中にあったと私は聞いているが、この点はどうか。
以上、ひとつ御
質問いたします。