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稲葉委員 それは、立法は結局は妥協ですからね。ことに数字の場合には妥協の場合が多いですから、私は無理は申し上げません。
ただ、ここに商事法務のナンバー八四五「機関改正問題を語る」という中で、日産自動車の
取締役会長川又克二という人が、聞く人は鈴木竹雄さんという法制審議会の
商法部会長ですが、川又さんはこういうふうに言っているのですよ。「
株主総会で質問も何もないというのは無気力だからない場合と、本当に問題がない、これで結構だと思っているからスムーズにいく場合もあるわけですね。ところで、経団連の
意見書では、
株主の
提案権とか質問権には反対していますが、あれはない方がいいですね。」と言っている。経団連としては、
株主の
提案権、質問権というものはない方がいいと言っているのですよ。いいですか、よく聞いていてください。
そして、経団連の
意見書というのが出ているでしょう。経団連から出ている
意見書というのをこの次までに提出してください。あなたの方に来ているわけだから。それをほとんど取り入れてこの
商法というものはできたのじゃないですか。あなた方の善意でいろいろ考えたことは確かにある。確かにあるけれ
ども、経団連の
意見書というものができてきて、それらが法制審議会なりその他のところからのプレッシャーというか何か知らぬけれ
ども、それでできてしまったということになるのじゃないですか。はっきり言っているのだもの、日産の川又さんは。
株主の
提案権とか質問権には経団連は反対している、
意見書で言っている、こんなものはめんどうくさくてしょうがないからない方がいいと言っている。ない方がいいと言っているに決まっているでしょう。
それから、鈴木さんなんかはひどいことを、ひどいというか、本当のことを言っている。「
株主総会が
会社の経営に役立つものになるかといったら、それは私もならないと思うのです。」こう言っている。これは味の素の経験から言ったのかもしれませんけれ
ども、本当かもわからぬですよ。そういうふうにいろいろ言っているのです。それから鈴木さんは、ディスクロージャーやいろいろな問題は、「営業報告書に書けばいいといわれますが、あの営業報告書というものはだれもが読みたくなるような文章ではないのですね。ある
意味では大変な形式的な文章が多い。」と言っているのです。確かにそのとおりかもわかりませんね。
こういうふうにして、経団連の
意見というものがいろいろな形で入ってきている。あなた方は善意で、一生懸命もっといい株式
会社——もっといい株式
会社というのもおかしいけれ
ども、民主的な形にしようと思ったのでしょうね。だけれ
ども、それはそういう形でゆがめられてきているというようにひが目で、私は目がいいのですけれ
ども、私のひが目で見るとそういうふうになるのですね。どうもその点が理解できないと思います。
もう一つお聞きしたいのは、ディスクロージャーについてある雑誌社がコンクールをやったことがあるのですよ。知っていますね。そうしたら、模範的なものが出てきましたね。その模範的なものというのは、結局優秀賞か何かもらった
会社があるのでしょう。あれは実業の日本社がやったのです。それは、本当にわかりやすく、「
会社の営業状況をいろんな統計を使って生産高、販売高の状況、あるいは製品の開発の状況など実際の営業活動が本当にわかるような数字とか統計で示すということが大事じゃないかと思うのです。」ということで、将来の
会社の見通しな
ども入れて一番いいのをつくったと、こういうのですね。だから、そういうふうに親切にやはり
会社の状況というものを
株主に知らせてあげるのがディスクロージャーの目的じゃないかと私は思うのです。それを、いま言った(g)項というのは一番大事なところだと思うのですよ。ほかにも大事なところがあります。(a)、(b)、(c)、ずっと大事ですが、特に(g)項というものは総会屋対策その他の問題に大きな影響があるのに、それも法務省令で避けてやっていこうというのは理解できない、こういうふうに思うのです。あなた方の善意は私は信頼しますけれ
ども、ずいぶん無理をされたのもよくわかりますが、そういう点については私にはわからない。
試案の段階では、「
株主に
提案権を認めることが、
株主総会の形骸化の防止に役立つとの考えから、機関改正試案は、この
制度の導入を
提案している。この
提案権は、1追加
提案権、2反対ないし修正
提案権、3選挙
提案権に分けられる。」とかいろいろ言っていますね。そして「試案は、
提案権を少数
株主権にしている。すなわち、六月前から引続き議決権を有する株式の総数の一〇〇分の一の株式または一〇〇株(
会社が単位株
制度を採用しているときは、一〇〇単位)のいずれか少ない数以上の
株主が
提案することができる。
提案は、その
内容と
理由を含めて四〇〇字以内の書面でしなければならず、」こんなことまで決めたのですか。
提案するのに四百字以内でなければならないなんて、
株主の
提案権に何でそんなことを決める必要があるのですか。百株以上というのは、できるだけふやそうとしたとかなんとかいろいろな
考え方があるのでしょうがね。善意だったのでしょうけれ
ども、四百字詰めの原稿用紙か何か知らぬけれ
ども、一枚で
提案をさせるというのは、
提案の
理由も
説明しなければならないし、なぜ法務省がそんなことまでするのですか。どうもやり方が理解できませんね。実際はどうなんですか。その経過を
説明してください。