○小林(進)委員 私は素人の立場で申し上げるのですが、
裁判官の行動といいますか、日常生活といいますか、そういうものに対する社会的評価がどうも定着をしていないという感じを常日ごろ持っているのでございます。こういう機会でないとお伺いできないから、素人は素人なりに率直にお伺いするのでありますが、かつて戦争の直後には、何とかという
裁判官がやみ物資を食わないということで、ついに栄養失調ですか何かになって亡くなられた。さすがに
裁判官はりっぱだ、渇しても盗泉の水を飲まず、見上げたものだというような世論が大分沸き立ったが、私
自身は、そのときから
一つ疑問があった。
裁判官だって人間じゃないか、食わないで生きているわけにはいかない、そういう感じを持ったのであります。
その後、最近では鬼頭
判事補でしたか、あの
事件が起きた。これは、天下の政界の首脳を、そういうインチキ電話で動かそうとする。これは公私ともに許さざる行為です。
その次に、いまおっしゃいました安川、これは簡易
裁判所の
判事でございますかの
事件が起きたわけでございますが、私はこれを見ながら、
裁判官だって人間じゃないか、酒も飲むだろうし、友人と会合もするだろうし、ときには、法律で許される範囲ならば変わった女性と情交を交えることも何で悪いのだ、あえてそういう感じを受けたのです。しかし、安川さんの場合には、自分が
取り調べといいますか、判決を下すことにかかわっている
事件がまだ終わらない、その途中でやったことですから、これはどう善意に
考えても、常識的であるとかシロとかいうことは言えない。
言えないが、しかし、私はあの
事件を見ながらも、彼が下した判決というものは、あの女性と情交を交えて
——情交といってもただじゃない。ちゃんと払うべき金は払っているなんて、実にりっぱですよ。やはりこれは
判事だなと思った。払うべき金は払って関係を結んで判決を下したが、私はそのときから、その判決が不当な判決じゃないと思っていた。この女性のために自分の量刑をまけてやったという感じは受けなかったのであります。しかし、その後彼の問題が暴露せられて、たしか控訴された。控訴されて、また、もとの判決が却下せられて出た最終判決はどうでした。あの安川君がやったのと、一体刑の裁量に軽重がありましたか。私の記憶では同じじゃなかったかと思っております。安川君が下したのと同じなんです。結果においては同じなんです。そうすると、客観的に見れば、彼は情交を結んだけれ
ども、そのために決して不当な刑を行わなかったということになるわけです。
私は、それやこれやを
考えまして、これから先は質問なんです。
判事というものは普通の人間と別格なもの、そういう全く別の日常生活を
国民が要求しているとすれば、少し不当じゃないか。やはり
判事にも友人あれば同級生あり、同窓生あり、あるいは近所のつき合いあり、いろいろな人間らしい交際は全部許されていいのじゃないかと思うわけでございます。だんだんいきますけれ
ども、私は、そういうこと、第一等に
判事の社会的評価といいますか、こういう点をどうお
考えになっておるか、ちょっとお伺いをしておきたいと思います。