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1981-04-15 第94回国会 衆議院 法務委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十六年四月十五日(水曜日)     午前十時二十分開議  出席委員    委員長 高鳥  修君    理事 青木 正久君 理事 木村武千代君    理事 横山 利秋君 理事 岡田 正勝君       上村千一郎君    大西 正男君       太田 誠一君    亀井 静香君       高村 正彦君    中川 秀直君       前川  旦君    武藤 山治君       鍛冶  清君    塚本 三郎君       安藤  巖君    林  百郎君       田中伊三次君  出席国務大臣         法 務 大 臣 奥野 誠亮君  出席政府委員         法務政務次官  佐野 嘉吉君         法務大臣官房長 筧  榮一君         法務省刑事局長 前田  宏君         法務省訟務局長 柳川 俊一君  委員外出席者         警察庁刑事局捜         査第二課長   漆間 英治君         国税庁直税部法         人税課長    四元 俊明君         通商産業省機械         情報産業局車両         課長      三野 正博君         最高裁判所事務         総長      矢口 洪一君         最高裁判所事務         総局人事局長  大西 勝也君         最高裁判所事務         総局民事局長  川嵜 義徳君         法務委員会調査         室長      清水 達雄君     ————————————— 委員の異動 三月二十七日  辞任         補欠選任   高村 正彦君     久保田円次君   佐藤 文生君     坂田 道太君 同日  辞任         補欠選任   久保田円次君     高村 正彦君   坂田 道太君     佐藤 文生君 同日三十一日  辞任         補欠選任   今枝 敬雄君     阿部 文男君   上村千一郎君     山村新治郎君 同日  辞任         補欠選任   阿部 文男君     今枝 敬雄君   山村新次郎君     上村千一郎君 四月九日  辞任         補欠選任   今枝 敬雄君     前田 正男君   上村千一郎君     村上  勇君   太田 誠一君     佐々木義武君   亀井 静香君     牧野 隆守君 同日  辞任         補欠選任   佐々木義武君     太田 誠一君   前田 正男君     今枝 敬雄君   牧野 隆守君     亀井 静香君   村上  勇君     上村千一郎君 同月十日  辞任         補欠選任   鍛冶  清君     大野  潔君 同日  辞任         補欠選任   大野  潔君     鍛冶  清君     ————————————— 三月二十八日  法務局、更生保護官署及び入国管理官署職員の  増員に関する請願小林政子紹介)(第二二  六九号)  同(瀬崎博義紹介)(第二二七〇号)  同(野間友一紹介)(第二二七一号)  同(松本善明紹介)(第二二七二号)  同(蓑輪幸代紹介)(第二二七三号)  同(村上弘紹介)(第二二七四号)  同(渡辺貢紹介)(第二二七五号)  同(小林進紹介)(第二三五二号)  同(武藤山治紹介)(第二三五三号)  同(山花貞夫紹介)(第二三五四号)  同(栂野泰二紹介)(第二三六九号)  同(横山利秋紹介)(第二三七〇号) 四月三日  国籍法改正に関する請願田中恒利紹介)  (第二六二二号)  同(土井たか子紹介)(第二六二三号) 同月十三日  国籍法改正に関する請願田中恒利紹介)  (第二八二二号)  同(土井たか子紹介)(第二八二三号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  裁判所司法行政法務行政及び検察行政に関  する件      ————◇—————
  2. 高鳥修

    高鳥委員長 これより会議を開きます。  お諮りいたします。  本日、最高裁判所矢口事務総長大西人事局長川嵜民事局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 高鳥修

    高鳥委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  4. 高鳥修

    高鳥委員長 裁判所司法行政法務行政及び検察行政に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。横山利秋君。
  5. 横山利秋

    横山委員 本日、同僚委員とともに、板垣判事谷合判事補に関する問題を取り上げることは、まことに遺憾千万と申しましょうか、巷間うわさを聞きますと、裁判官よ、おまえもか、こういう話がございまして、まことに法曹界の権威地に落ちたりと言わぬばかりの状況でございます。このようなことが日ごとごと新聞に書かれますと、わが国における伝統と歴史、そして国民的な信頼感があります裁判制度も、一体どうなるのかという心配までせざるを得ない状況にあります。  後で事務総長がおいでになるそうでありますから、まず、最高裁として調査をされました事実関係事態は一体どういうことであったのかという報告を求めたいと思います。
  6. 大西勝也

    大西最高裁判所長官代理者 今回の板垣谷合裁判官の問題につきまして、まず、事実の経過を簡単にかいつまんで申し上げたいと思います。  昨年、昭和五十五年の九月でございますけれども、問題の破産会社、新日本興産株式会社という会社でございますが、この破産会社債権者と称する者から、事件担当東京地裁民事二十部の裁判官に対しまして、質問状形式内容証明郵便が参ったわけでございます。この質問状の中に、まず、破産管財人である井上恵文弁護士がけしからぬということで井上弁護士を非難するとともに、谷合裁判官管財人などと一緒ゴルフをやった事実があるというふうな指摘がなされておったわけでございます。  そこで、東京地方裁判所におきましては、谷合裁判官から事情を聴取いたしましたところ、谷合裁判官は、五十四年の九月に井上管財人一緒当該破産会社経営するゴルフ場ゴルフをしたことを認めたわけでございます。そこで、東京地方裁判所といたしましては、いわば李下に冠を正さずという趣旨で、直ちに谷合裁判官破産部であります民事二十部から他の部、民事九部へ配置がえをしたわけでございます。  その後、この破産事件につきましては、実は債権者が二派に分かれておりまして、二派での対立抗争が続いておったようでございますけれども井上管財人のやり方を支持しておる債権者の方が多数でございますが、それに反対するいわば少数派債権者のグループから、東京地方裁判所民事二十部に対しまして、井上管財人解任してほしいという解任を求める申し立てなどが出てきて、両者対立紛争がますます激しくなるような様相を呈してきたわけでございます。  以上のような点につきまして、最高裁判所も当時報告を受けたわけでございますが、最高裁判所東京地裁も、どちらも、現にこの破産事件が係属しておることでもございますし、さらに、先ほど申しましたように債権者が二派に分かれて紛争を続けておる、しかも管財人解任申し立ても出たというふうなことでございまして、直ちに何らかの調査を直接やるということは、そういうもろもろの具体的事件が係属しておることをも考えますと、そういう事件に直接介入することになる、事件関係者間の紛争に介入することになるというふうなことで、そういう結果になることを恐れまして、一応他の部へ谷合裁判官配置がえをいたしました上、その処分等につきましてはもう少し事態の推移を見ようということで静観しておったというふうなわけでございます。  ところが、先月、三月二十九日のある新聞朝刊に、谷合裁判官が五十四年の九月に管財人一緒ゴルフをしてその金を支払っていない、なおそのほかに、以前に同事件を担当しておった板垣裁判官、これは破産宣告をした裁判官でもございますが、板垣裁判官についてもゴルフ場で無料でゴルフをした疑いがあるというふうな事実が報道されたわけでございます。そこで、最高裁判所といたしましては、四月二日に臨時裁判官会議を開きまして、この民事二十部関係の疑惑を究明するために、最高裁判所事務総局調査委員会を設置することに決定したわけでございます。この調査委員会では、早速、板垣裁判官が現に山形地裁鶴岡支部におりますので、山形地裁所長に対して、板垣裁判官からの事情聴取を指示するというふうなことをやったわけでございます。  ところが、四月の三日の朝刊で、このゴルフの事実以外に、井上管財人がこの梓ゴルフ場買収のために設立した東京二十という株式会社に対して、板垣判事が四百万円を融資していた疑いがあるというふうな事実が報道されまして、この点についても早速、山形地裁所長に対して調査委員会の方で事情聴取を指示したわけでございます。  ところが、さらに四月七日の朝刊で、今度は谷合裁判官井上管財人から外国製ゴルフセット、それから背広上下を贈られた事実があるというふうなことが報道されたわけでございます。  そういうことで、同日、四月七日でございますが、調査委員会は、板垣裁判官谷合裁判官両者最高裁に呼びまして、直接事情を聴取したわけでございます。  この事情聴取の結果をごくかいつまんで申し上げますと、谷合裁判官は、事件担当中に二回、梓ゴルフ場へ事実上の検証に行った際にゴルフをした事実があることを認めました。それから、時期ははっきりしないけれども、やはり事件担当中に井上管財人の使者からゴルフセットを受け取って、現在も手元に置いておるという事実も認めたわけでございます。さらに、井上管財人紹介で新調した背広の費用をまだ支払っていないという事実も認めたわけでございます。細かい点におきましては新聞報道等と違った点もございますけれども大筋においてそういう事実を認めたと言っていいのではないかと思います。板垣裁判官につきましては、その事件担当中に、やはりゴルフ場へ事実上の検証に行った際にゴルフクラブを借りて振ったことがある、その範囲においては認めたわけでございます。これをゴルフのプレーをしたかどうかということになりますとやや問題があるかと思いますが、平服、背広のままでゴルフクラブを振ったことがある事実は認めております。なお、井上管財人への三百万円の出資について、板垣裁判官の妻の名義が使われておるということを認めたわけでございます。それから、もう一つ問題になっておりました井上管財人からせんべつ十万円を受領したのではないかというような事実も新聞報道されておりますけれども、この点は、全くそういう事実はないというふうに言っております。  それから次に、四月十日の朝刊で、今度は板垣判事井上管財人から宅地を購入した事実があるという報道がなされました。そこで、調査委員会におきましては、同日板垣判事を再び最高裁に呼びまして調査をいたしました。この事情聴取におきまして、板垣判事土地購入の事実関係はほぼ認めましたけれども、これは正当な取引であるというふうに述べております。  それからさらに、四月十四日、昨日でございますが、谷合裁判官が、井上管財人から背広を贈られたかわりに、井上管財人に対して自分がかいた水彩画二点を贈って返礼をしておる。プレゼントの交換と考えているというような趣旨新聞報道がなされたわけでございます。そこで昨日、調査委員会といたしましては、もう一度谷合裁判官を呼びまして、これらの関係中心として事情聴取を行いました。この内容につきましては、従前背広を贈られたという大筋の事実関係については、従来の供述と変わっていない、そういうふうに申し上げてよろしいのではないかというふうに思います。  この板垣裁判官谷合裁判官両者の問題につきまして、昨年の秋以来きょう現在までのあらましの経過は以上のとおりでございます。
  7. 横山利秋

    横山委員 板垣判事井上弁護士自宅の庭の一部を購入した。購入した土地弁護士土地と合わせて弁護士銀行取引の根抵当とした。そしてその担保力限度額は一億円と言われておるわけですが、なぜそういうことをしたのか。そして、それによって弁護士融資を受け、その融資を受けた金でゴルフ場買収行為をしようとした、資金にしようとしたのではないかという点についてはどうですか。
  8. 大西勝也

    大西最高裁判所長官代理者 板垣裁判官井上管財人から、現在井上管財人が居住しております建物の敷地の一部を購入したということは認めておるわけでございますが、それについて担保に供したかどうかという点につきましては、この点も、井上管財人から担保に供することについての依頼を受けまして権利証等を交付した事実は認めておりますが、これがはっきり東京二十という株式会社との関係買収資金に使われるかどうかという点については、明確な供述は必ずしもないわけでございますけれども、当時そういう問題があって井上管財人が金が必要だというふうな認識は大体においてあったというふうに考えてもいいのではないか、そういう趣旨での供述はあったと申し上げてよろしいのではないかと思います。
  9. 横山利秋

    横山委員 少なくともこの井上管財人は、自分破産管財人としてゴルフ場破産を担当した。担当して、なおかつ東京二十という会社をつくってこのゴルフ場経営権を取得しようとした。そこまではどうも事実のようでございますね。その資金が必要であるから、自分土地板垣判事に売って金を取得する、そして板垣判事自分の妻の名義東京二十に出資をする。伝えられるところによりますと、井上管財人は、裁判官出資をしているからと言うてゴルフ場従業員役員諸君から出資を求めた。裁判官が応援をしておるということが社会的信用を得る一つの道具にされた。しかも、ゴルフ場はその後経営が上向いておるから、少なくとも二割の配当は得られるであろうということが伝えられておるわけでありますから、管財人自分が担当しておる問題について自分経営実権を得ようとした、その経営実権を得るについて裁判官をぐるにして社会的信用を得ようとした、この二点がまず第一問題だと思いますね。破産管財人がそのようなことをすることが適当であるかどうか。  聞くところによりますと、管財人はそういうことをしていいかどうか弁護士会に了解を求めたところ、弁護士会はそれは適当でないということを言うたのでありますが、適当でないから実権を何らかの形で掌握しようとした、こういうふうに見られるわけであります。破産管財人としての職責上そのようなことが適当であるかどうかが第一。第二番目に、いまお話によりますと、板垣判事はこのような私どもの判断を、自分は必ずしもしていなかったと言うけれども奥さんが数百万円を出資しているということそれ自身知らないとは言わせないのでありますが、裁判官がそういうようなことを暗にであれ公式にであれ承知をして、自分が担当しておった事件について出資をし、そして友人をしてそういうことをやらせることについてどうお考えになっているのですか。法律上の立場、道義上の立場に分けて説明を願いたい。
  10. 川嵜義徳

    川嵜最高裁判所長官代理者 まず、第一点につきまして私の方から申し上げたいと存じます。  破産管財人は、御承知のように裁判所破産宣告をいたしますと同時に選任するものでございまして、破産財団管理処分をする権利はこの管財人に専属するというふうにされております。しかし、管財人は全く自由な立場でその権限行使するというわけではございませんで、裁判所監督に服しながらその職権を行使するというふうに法律上なっておるわけでございます。したがいまして、管財人といたしましては、この裁判所監督に服しながら善良なる管理者注意義務をもってその職務を行うべきものというふうにされております。あくまでも破産債権者の一部あるいは破産者代理人として行動するのではなくて、破産財団代表機関として行動すべきもの、中正、公正な立場職務を行うべきものというふうにされておるわけでございます。したがいまして、債権者間に対立があるような場合、特にその公正を疑われるような行動があってはならないのは当然のことでございます。  本件におきますような場合、一般的に申し上げますならば、その破産財団に属する財産を買い受ける受けざらとしての会社を設立するということまで行うことは、いかがかというふうに思われるわけでございます。
  11. 横山利秋

    横山委員 法律的な立場でありますから、いかがかと思うというのは、違法であるというのですか、道義的にいけないというのですか、どっちですか。
  12. 川嵜義徳

    川嵜最高裁判所長官代理者 一般的に申し上げまして、違法というふうに決めつけられるかどうかは、しかく簡単に断定することはできないと思われます。仮にその破産財団に属するゴルフ場処分しようとしても、買い手がどうしても見つからないというような場合にどうするのかということになりますと、管財人はできるだけ破産債権者のために有利に換価する立場にあるわけでありますが、その換価の手段として受けざら会社管財人が肝いりでつくるということが、果たして違法であるとまで言えるかどうかという非常に極端な場合を考えますと、しかく断定できないというところから、先ほど申し上げたようなことになるわけでございます。
  13. 大西勝也

    大西最高裁判所長官代理者 横山委員の御質問の第二点でございますが、まず、事実関係といたしましては、板垣裁判官出資したと言えるかどうか、これはいまのところ、そこまで断定する資料はございませんで、新聞等でも報道されておりますように、親戚がお金を出す場合に妻の名義が使用されたという範囲においては間違いのないところであろうというふうに申し上げることができるであろうと思いますが、いずれにいたしましても、妻名義で三百万円の出資が行われておるということは間違いのないところでございます。  管財人が、そういうふうに相対する債権者がある場合に、債権者受けざらとなるようなそういう会社を設立してその会社への出資を求めるという場合、板垣裁判官はその時点において当該破産事件に関与していたわけではございませんけれども、かつて関与していた者でございますし、それが横山委員指摘のように、仮に他の出資者を募る場合の一つの有利な宣伝材料と申しますか、そういうようなことに利用される——そういう事実があったかどうかは私どもとしてはわかりませんけれども、そういうおそれもあるわけでございまして、裁判官といたしましてはそういう事態は極力避けるべきであり、他人のお金であるにしても妻名義が使われるということにつきましては、少なくとも裁判官のモラルとしてはできるだけ避けるべきものであるというふうに言わざるを得ないと思います。
  14. 横山利秋

    横山委員 管財人につきましては、かつて私が当委員会において管財人あり方について質問をいたしたことがあります。私も管財人の一、二の人を知っておるわけでありますが、いま民事局長から話がございましたように、債権者代理人ではない、裁判所監督下においてかなり自由な権限を付与されておる。しかも、この管財人は年間一千万円の報酬だとどこかに書いてあったわけであります。その報酬についてすら自分が事実上決めるということでありますから、管財人あり方は、この権限を乱用すればかなりのことができるわけです。二つぐらい管財人をやっておればそんなに食うに困らない、悠々たる仕事ができると言う人もありますし、あの人に管財人になってもらったならばいかなる会社も再生できるという名管財人がおることも私は承知しておるわけであります。  問題は、その管財人に与えられておる事実上の権限、膨大な裁量権が乱用されないための担保は一体何であるか。これは裁判官監督下にあるから、重要事項については裁判官承認を受けてやることになると思うのでありますが、どういう点が管財人裁判官承認を受けなければできないのか、これが一つであります。  それから問題は、その監督すべき裁判官が、その管財人が所有しておる庭先を買ったり奥さん出資したり、あるいはゴルフセットを贈られたり背広を贈られたりというような関係は、よしやかつての司法修習生の同期生であるといたしましても、これで一体監督ができるのか、管財人がおかしなことをやったときに、おまえけしからぬと言える柄かということが、今日天下で騒がれておる裁判官あり方だと思うのであります。  ですから、私がお伺いしたいのは、裁判官管財人に対してどういう権限行使できるのか、管財人監督しておる裁判官義務は一体何なのか、あるべき状態はどうであるか、それについて見解を聞きたい。
  15. 川嵜義徳

    川嵜最高裁判所長官代理者 先ほどもちょっと申し上げましたように、破産管財人を選任いたしますと、管財人はかなり大幅な権限を持つことになりますが、その権限行使は、一般的に言えば裁判所監督下で行われるということでございます。具体的に申し上げますと、その監督権行使というものは、解任権裁判所が持っておりますが、その解任権行使、あるいは報酬枠の決定、職務分掌常置代理人選任許可といったような形で行使いたしますし、委員指摘の重要な事項については許可を与える。たとえて申しますと、破産財団に属する主要財産処分行為、あるいは営業譲渡、借財をすること、あるいは否認権行使の訴訟を提起して破産財団に逸失した財産を取り戻すということ、あるいは和解を行うこと、さらには、最終段階に至りますと配当ということが出てまいりますが、その配当についても許可を得なければならない、裁判所はこれに許可を与える、こういう形で裁判所管財人監督することになろうかと思います。
  16. 横山利秋

    横山委員 一応その御説明を聞けば、裁判官管財人に対して監督すべき、許可すべきあるいは指示すべきことはかなり具体的になっておる。それがどうしてこんなことになるであろうか。管財人裁判官に対していろいろなことをしたことの中に、よもや見返り報酬を期待していなかったということはあるまいと私は思うのであります。ゴルフへ行きましょう、あるいは背広一つ納めましょう、そういうことが、最初の両裁判官の物の言い方を聞きますと、自分は決して悪いことをしたと思っていなかった、うっかりしておったかもしれぬけれども、そういう悪いことをしておったという犯罪意識はないというような印象を世間に与えておるわけであります。一体そういう温床というのはどこにあるのだろうか。  きょうの新聞によりますと、今度は、民事二十部の中堅書記官自宅井上弁護士植木屋一緒に訪れて、松など植木二本、盆栽一個を勝手にプレゼントしていたことがわかった。その書記官は、問題の梓ゴルフ場の破算事件の実務を担当していた中心人物で、この贈り物の事実は認めたが、軽率だったかもしれないが、後で十万円払ったから問題ないと釈明しておる。後でということが一体いつなのか、本当に十万円払ったのかわからないのですけれども、問題は、この両裁判官ばかりでなくて、書記官に至りますまで民事二十部の中に温床があるのではないか。  大体、東京二十という会社を設立したというのですが、東京二十というのは東京地方裁判所民事二十部、それをもじって東京二十と名づけたと伝えられておる。そんなことはないと言ったって、東京二十という会社がきわめて妙な名前であるから、だれだってそう言われれば、東京地裁民事二十部の言葉をもじって株式会社東京二十と名づけたのであろうというのは、常識的にも容易に想像される。そんなばかなことが世の中にまかり通っていいものだろうか。それは、会社名前をどうつけようと勝手だと言えば言える。けれども、まことに天を恐れざる、世論を全く恐れざる——東京二十という会社ができた、あれは東京地裁民事二十部の略称だ、そして裁判官が応援しておる会社だ、そして書記官も贈り物をもらったということになったら、一体裁判所というのはどうなっているんだという感じがちまたに横溢するのは当然のことだと思うのですが、この点お調べになりましたか。
  17. 大西勝也

    大西最高裁判所長官代理者 先ほど申し上げましたように、現在調査委員会事情聴取を行いましたのは、板垣裁判官谷合裁判官のみについてでございまして、管財人である井上弁護士からはそういう事情聴取を行うすべも実はいままでないわけでございます。したがいまして、東京二十という会社の設立経緯等につきましては、私どもの方といたしましては、むしろ新聞報道等で知るよりほかはないわけでございます。やや推測を交えて申し上げますと、裁判所としても、東京二十という会社が設立されて、そこがこのゴルフ場を買い受けようとしておるという事実自体はもちろんわかっておったであろうというふうに推測いたしますけれども、あくまで破算会社とは別会社でもございますし、そこら辺の名前のつけ方をも含めた東京二十の設立経緯の詳細そのものは、私どもの方としてはわからないわけでございます。  ただ、横山委員指摘のように、新聞報道されましたようなそういう東京二十という会社あり方等から考えまして、裁判官が、自分の金を出したかどうかは別といたしまして、それに妻の名義出資することについて了承しておるという事実があるといたします場合には、国民の疑惑を招くということはまことにお説のとおりでございまして、そういうことはあってはならないことだというふうに考えております。  そのほかに、書記官の問題についてもきょうの朝刊にも出ましたけれども、破算管財人書記官、破算管財人裁判所に参ります場合に、裁判官に会う前に書記官といろいろ打ち合わせをするというような機会もございまして、そういうことがあり得ないわけではないだろうというふうに思います。ただ、具体的な問題につきましてはきょうの朝刊で初めて見たわけでございまして、できるだけ早急にそれらの点をも含めまして調査を行わなければならない、かように考えておる次第でございます。
  18. 横山利秋

    横山委員 裁判所がおる前で刑事局に聞くのはまことにいやな気持ちがするわけでありますが、しかし、裁判官を検察庁が取り調べるという異常な事態に発展しておるわけであります。東京地検が井上管財人を初め両裁判官調査しておる状況報告を求めます。
  19. 前田宏

    前田(宏)政府委員 お尋ねの事件につきましては、新聞等にも報道されておりますが、昨日、東京地検におきまして、捜査上必要ありと認められる数カ所につきまして捜索、差し押さえを行っております。また、関係者の一部につきましても、事情聴取と申しますか、取り調べも始めておるところでございますが、何分にも捜査としてはきのうから始めたばかりでございますので、それ以上のことはちょっと申し上げかねるわけでございます。
  20. 横山利秋

    横山委員 地方検察庁が裁判官の家屋を立ち入り調査する、強制捜査する、そして贈収賄容疑で告発するという事態に発展いたしますことは、わが国のこの種の問題に類例のない重大事件だと思います。それなるがゆえに、この問題が国民の目の前で厳正に行われて、司法の威信をきちんと、悪いことはだれがやろうと悪いというような措置が行われることを私どもは衷心望んでおるわけでございます。検察庁が裁判官のことだからと、まあ手心を加えるようなことはないと思いますが、どうもどこかでそういう和解が予想されるとしたならば、ますます問題はぬかるみに落ちていくと思うのであります。法務大臣はこれらの事件についてどうお考えになっておりますか。
  21. 奥野誠亮

    ○奥野国務大臣 横山さんからるるお話がございますように、非常に重大な事件だと考えております。しかし、事実あることでございますので、あります以上は、事態を国民の前に明確にいたしてまいりますことが今後再びこういう問題を起こさないための条件ではなかろうかと思っておるわけでございます。最高裁判所といたしましても非常な苦悩の中にこの問題と取り組んでおられるわけでございますけれども、それなりに強い決意を持っていらっしゃるように私は見受けておるわけでございます。また、それだけに最高裁判所からも検察庁に事件の御連絡があったわけでございまして、検察庁としてもまた、いま刑事局長が申しましたように、事態を明確にするための努力を続けておるわけでございます。  私は、裁判所で不幸な事件が起こったのでありますけれども、そのときに私の頭に起こりましたことは、検察の中でこんな問題を起こしては大変なことだ、みずからを戒めなければならない、こんな気持ちでございました。裁判所も検察庁も法秩序を守る立場にあるわけでございますので、他の立場にある人以上に身辺をきれいにしていかなければならない、疑いを持たれるようなことがあってはならない、こう考えるわけでございます。したがいまして、起こりました以上は、事態を明確にして、それなりの筋道を立てていくことが今後に対する私たちのとるべき立場、態度ではなかろうか、こう思っているところでございます。
  22. 横山利秋

    横山委員 本件は、先ほどから少し解明されますように、法律に基づいて違法な行為をしたかということと、裁判官として品位を汚したかという二点から解明されなければならぬと思うのであります。検察陣の行っておりますことは違法な行為についての摘出にあると思うのです。それが明らかになりましても、裁判官としての品位を汚す、司法の権威を汚すという点はまた別の問題として処理されなければならぬと思います。承れば、最高裁調査を続けておられるのでありますが、その結論はどういう過程においてつけられるのであるか、裁判官の罷免の訴追請求をなさる気持ちがおありになるかどうか、伺います。
  23. 大西勝也

    大西最高裁判所長官代理者 現在、調査委員会でまだ調査を続けておるところでございますけれども、ある程度いって、処分を検討するに足りるだけの調査ができました段階におきまして、裁判官会議を開いていただきましてその処分について御検討をいただくということになるわけでございます。いま横山委員指摘の訴追の問題は、最高裁判所長官が訴追請求をするかどうかということでございますが、ここら辺のところも、長官ということにはなっておりますけれども裁判官会議で御審議をいただきました上で決定することになると思います。訴追、分限その他いろいろ考えられるわけでございますが、すべての問題を含めて、調査結果を待ちまして裁判官会議で御検討いただく、こういうことになるわけでございます。
  24. 横山利秋

    横山委員 最高裁判所として昨年の段階でこの種のことがわかったが、二派で争われておることであるから、一応配転をさせることによって静観をした、こういう報告がありました。その際に、一体この種のことが予見をされなかったであろうか。その際、もう一歩進めて最高裁としての深度の深い調査をし、問題の処理をしておればある程度自発的に解決ができたのではないかという疑問が生じます。  それから、第二番目の問題として、いま承れば、最高裁長官が決断をするのはまだ時間がかかりそうではありますが、その間にお二人の裁判官が辞意を表明する、辞表を出すということになった場合には一体どういうことになりますか。
  25. 大西勝也

    大西最高裁判所長官代理者 まず第一点でございますが、板垣裁判官の場合にはすでに五十二年の春に他の部へ移り、それから山形・鶴岡の方へ転勤でございますし、谷合裁判官につきましては、昨年の九月にいわゆるゴルフ問題がわかりました時点で他の部へ移したということでございます。その後の処理といたしましては、東京地裁二十部では、従前破産事件を一人の裁判官で受け持っておりましたのを、三人の裁判官の合議体で行うというふうに処理体制を改めてやってきておりまして、昨年の九月以後はそういう処理体制を確立いたしまして、いまのところ特段の問題があるとは思っておりませんし、今回の問題もすべて昨年の九月以前に起きた問題であるわけでございます。先ほど来申し上げておりますように、当該裁判官管財人その他について直接調査をいたすことが、解任申し立てをも含めた債権者間の争いに直接介入するという結果になるためにやらなかったわけでございまして、配転以後何らかの問題が起きたというふうにはなっていないと考えていいのではないかと思います。  それから、辞職の問題でございますが、これは新聞等でも報道されておりますように、谷合裁判官につきましては一応辞意の表明があるわけでございますが、御承知のように、訴追、分限等の問題をいま控えておるわけでございますので、仮に辞職願が出ましても、その問題が決着するまでは、辞職願をどの段階で留保いたすかは別といたしまして、少なくとも内閣で退職、退官の発令が行われないような段階での留保というものを行わなければならないと考えておるわけでございます。
  26. 横山利秋

    横山委員 事務総長がまだおいでになりませんので、その間、次の問題で質問を続けたいと思います。  新潟地方裁判所長岡支部の松永裁判官に対しまして訴追請求が出ておるわけであります。これは、新潟地方裁判所長岡支部に係っております原子力発電所設置禁止請求事件及び工作物収去土地明渡断行仮処分申請事件に関する問題についての訴追請求であります。いまこの訴訟指揮に関する問題を私がここで余り申し上げるのもいかがかとは思うのであります。しかしながら、この訴追請求の中にございます理論的な問題、また、裁判官のとった行動について訴追請求者たちが非常に憤慨をいたしておる問題でございますから、少し訟務局の意見を伺いたいと思うのです。  第一は、入会権の問題であります。  この砂丘地の一部は登記名義こそ荒浜村名義となっているが、実体は旧荒浜村民の共有の性質を有する入会地であった、そういうところに理論的な問題の一つがあるわけであります。したがいまして、法的地位を確立した共有的入会地であるにもかかわらず、それを東京電力が買収して、その権利、入会権というものを全く無視した、しかも、その裁判官がこの問題について十分な考慮をしないというところに第一の問題があると思われておるわけでありますが、この点について訟務局はどうお考えになっていますか。
  27. 柳川俊一

    ○柳川(俊)政府委員 お答えいたします。  先生がお話しになっておられる事件は、新潟地方裁判所長岡支部に係属しておりました仮処分事件と、同じく本案訴訟としての原子力発電所設置禁止不当利得返還請求訴訟であろうかと思います。これらの二つの事件につきましては、被告になっておりますあるいは仮処分債権者になっております者は東京電力株式会社あるいは柏崎市でございまして、私ども国の立場では関与しておりません。したがいまして、内容は詳細は存じておりませんが、過日仮処分決定があったということは聞いております。その仮処分決定の主たる争点が入会権の存否に係る訴訟であったということも聞いておりますので、その限度で答弁申し上げるということで御勘弁を願いたいと思っております。
  28. 横山利秋

    横山委員 第二の問題として、裁判所裁判官のありようの問題であります。  仮処分における評議内容の漏示もしくはこれが防止の懈怠をした、裁判官自分で決めたことを外へ漏らした。すなわち、昭和五十六年二月十六日、本件仮処分決定がなされた。しかし、少なくとも決定の五日以前には東電及び警察当局は右決定の日時、内容を知っていた。決定以前に裁判所の評議内容が東電、警察当局等外部に漏れていた。司法の独立、評議の秘密が公然と踏みにじられたのである。すなわち、大藤新潟県警本部長は、三月七日の県議会の席上、田辺栄作県議の質問に答え、「浜茶屋・団結小屋の強制撤去をすることを知ったのは何時かということでございますけれども、執行日につきましては、二月一一日に新潟地裁長岡支部の執行官が柏崎警察署長に援助要請に来られた時点で承知したところでございます。」旨答弁しており、さらに二月十二日、東電新潟原子力建設所は各報道機関に対し、二月十九日午前十時同所内における所長の記者会見を予告しているわけでありますから、少なくとも東電、警察当局が決定、執行に至る一連のスケジュールを裁判所から聞いておった、知っておった、こういうようなことについて、一体裁判官としてこの問題を、この種の内容、全貌を漏らすことが適当であるかどうかという点についてはどうお考えですか。
  29. 川嵜義徳

    川嵜最高裁判所長官代理者 御指摘の仮処分事件につきましては、本年二月十六日に決定が行われまして、同日、債権者であります東電、東京電力側の代理人に告知されたようであります。翌二月十七日に、東電側の代理人から長岡支部の執行官に対しまして、仮処分の執行の申し立てがございました。この執行申し立てを受けまして、執行官は執行の日時を二月十九日と定めました。夜間執行の許可申し立てをいたしまして許可を受け、さらに柏崎警察署長に対して警察上の援助請求をしたということであります。ただいま二月十一日に援助要請をしたというふうに御質問の中にあったように思いますが、これは二月十七日の間違いではなかろうかと思うわけでございます。  大体経過は以上のとおりでありまして、現実に執行が行われましたのは二月十九日でございます。     〔委員長退席、青木委員長代理着席〕 したがいまして、私ども承知している限りでは、仮処分の決定内容が事前に当事者に漏洩していたということはないというふうに考えております。
  30. 横山利秋

    横山委員 お見えになりましたか。途中ではございますけれども最高裁の責任者としておいでになったわけであります。  先ほどからるる大臣を初め各位の報告、御意見を伺っておったわけでありますが、私が申しましたことは、史上類例のない裁判所の威信を失墜し、国民から疑惑を抱かれたことはまことに遺憾千万である、また同時に、今後のありようについては検察庁は厳正にやれ、国民の前で明らかにしなければいかぬ、もしもかりそめにも地裁並びに最高裁判所がこの問題の処理を誤るならば、二重、三重に間違いを犯すことになる、こういう意見を申し上げておったわけでありますが、最高裁の責任者として、本件に関する経過はあらまし承りました、今日までの反省と今後の決意について伺いた  いと思います。
  31. 矢口洪一

    矢口最高裁判所長官代理者 所用で遅くなりまして、まことに申しわけなく存じております。     〔青木委員長代理退席、委員長着席〕  概要につきましては、いま横山委員から、すでに担当局長が申し上げたということでございますので、その点は省かせていただきますが、御承知のように東京地裁民事二十部、これは破産部でございますが、事件処理をめぐりまして数々の疑惑が出てまいったわけでございます。私ども疑惑の一端を承知しなかったわけではございませんが、すでに御説明を申し上げたかと存じますが、具体的事件の処理に関する問題でございますので、司法行政当局といたしましては、できるだけ事件処理を優先させ、かりそめにも事件に介入するということの疑いの目で見られることのないように自制をいたしてまいったわけでございます。  しかし、事はきわめて重大でございまして、裁判官が具体的な事件の処理に関して疑惑の目で見られる数々の行為を行っておるということ、また、本日の新聞ですでに御承知のように、担当の書記官につきましても問題が波及しておるということでございまして、私どもといたしましては、何とも国民の皆様に申し開きのない事態に立ち至っておるわけでございます。  現在、調査委員会を設置いたしまして問題の徹底的な究明と、これに関します厳正な措置と、その後における問題点の改善、二度とこのようなことを起こさないようにするということにつきまして、実は十分の検討をいたしておる段階でございます。  また、すでに御承知のように検察庁もこの問題につきまして捜査をお始めになったようでございますが、私どもは、検察庁はそのお立場で十分に徹底的に事件を究明していただくように希望をいたしておる次第でございます。  検察庁の御処置は御処置といたしまして、私ども司法行政当局といたしましては、私どもに与えられたあとう限りの努力と、あとう限りの措置をとりまして、疑惑に対する国民の信頼を何とか回復したいというふうな決意を持っておる次第でございます。
  32. 横山利秋

    横山委員 事は両裁判官あるいは管財人あるいは東京地裁二十部であります。しかしながら、国民がそれにとどまらず、裁判官よ、おまえもかという印象は、残念ながら、全国的にもう一遍裁判官を見直すという雰囲気になりつつあることも疑うことのできない問題だと思います。  この問題の処理を誤らぬように厳正に行われることはもちろんではございますけれども、当委員会が鬼頭判事補を初めあるいは先般女性を旅館へ連れ込んだ人や、そういう一連の状況を考えてみますと、裁判官というものに対する認識が最近とみに衰えておる、信頼が衰えておる。またか、しかも今度は決定的な問題ではないかということでありますから、この問題はもちろん厳正な、公正なあるいは世論が納得する措置をとらなければなりませんけれども、同時に、この機会に、権力を行使をしろと言うつもりではありませんが、少なくとも裁判官裁判所に携わる者が自粛自戒、ともにこの国民の信頼を回復する全般的な立場というものが必要ではないかと思いますが、いかがですか。
  33. 矢口洪一

    矢口最高裁判所長官代理者 全く横山委員指摘のとおりでございまして、事は一東京地方裁判所関係者にとどまらず、全国の裁判官の国民に対する信の問題でございます。どのようにしてそれを回復するかということについては、微力でございますが、全力を挙げてこれに取り組んでいきたい、このように考えております。
  34. 横山利秋

    横山委員 それでは、裁判官会議がおありだそうですから、どうぞお帰りください。  先ほどの御答弁の中で、評議の秘密が漏れたことはないと思うという答弁がありましたが、私が説明しましたように、三月七日の県議会で警察本部長が通知があったということを言うておるわけでありますが、この点はどうお考えですか。
  35. 川嵜義徳

    川嵜最高裁判所長官代理者 ただいまの御質問にございました県議会での答弁につきましては、私ども承知しておりませんので何とも申し上げかねるのでございますが、私ども報告を受けておりますのは、決定がありました二月十六日の翌日である二月十七日に執行官が柏崎警察署長に援助依頼をした、このときが初めて警察への援助依頼であるというふうに承知しておりますので、先ほどのとおり申し上げたわけでございます。
  36. 横山利秋

    横山委員 その事実関係については、また別の機会に申し上げます。  わが国の入会権の権威渡辺洋三東大教授が鑑定書を出しておりますが、その中でこういうことを言っております。「入会については慣習が法源である。よって裁判官は入会権の主張があったとき、場合によつては百年に近い過去に遡って当該地域の慣行を調べなければならない。本件土地については入会権の存在をうかがわせるに足りる資料と根拠がある。裁判官は一応本件仮処分を却下した上で、いずれ本訴において十分な証拠調べにもとずき、入会権の存否を確定的に判断するのが妥当である。入会慣行を調べないで、仮処分を認めるようなことが、もしあるとするならば、その裁判官は、法律家としての資格をうたがわれてもやむを得ない。すなわち法律家として、入会権の法律判断をさけ、原発がやりやすいように政治家として政治的に判断したということになるであろう。これは法曹として、最もさけなければならない。まさに裁判官法律家としての資格が根底から問われているのである」、こう言っております。  渡辺教授は、入会権が争点となっている以上、断行仮処分という審理方式それ自体が無謀であることを指摘しているのである。だから、住民、弁護団は被請求人に対し、繰り返し、最少限度口頭弁論を開催せよと要求し続けてきたわけでありますが、この口頭弁論をしないでやってしまったという点について非常な憤激を持っておるわけでありますが、法律的にどうお考えになりますか。
  37. 川嵜義徳

    川嵜最高裁判所長官代理者 仮処分事件の審理方法につきましては、御承知のとおり口頭弁論を開いて審理する方法と、双方を審尋して決定手続で審理するという方法とがございます。いずれの方法をとるかは当該事件を担当する裁判所の裁量によるものでございまして、いずれでなければならないと一般的に申し上げることはできない事柄であろうというふうに考えております。
  38. 横山利秋

    横山委員 訴訟指揮の問題であるから、いずれをとるかについては裁判官の判断事項だということが言えないことではないと私も思う。けれども、この裁判官は前任者と違っていろいろな点で、前任者の裁判官と約束したこと、あるいは御本人もいつでも弁護士に会うとかあるいはいつでもなにするというような約束があったにかかわらずこれを踏みにじる、そして住民や弁護団をある意味では暴徒扱いにする、警察には仮処分の執行について事前に知らせる、そして用意万端整えてこの抜き打ち的な行いをする、こういうようなことが続出をいたしまして、そして弁護権の正当な行使ということについて権利を剥奪したということが問題の争点となっておるわけであります。  きょうは時間がございませんので、本件について余り深く議論するわけにはまいりませんが、改めて適当な機会にこの裁判のありようといいますか、非常にむずかしい問題ではありますけれども、少し理論的な問題について質問することにいたしまして、私の質問を終わることにいたします。
  39. 高鳥修

    高鳥委員長 安藤巖君。
  40. 安藤巖

    ○安藤委員 いまも横山委員の方から、最近の新日本興産株式会社破産の件について、これまでの一連のいろいろな裁判官の不祥事件との関連でいろいろ質問がありましたが、私も、これはだれが何回指摘してもあるいは追及をしても過ぎるということはないというほど重大な問題だと思いますので、事務総長お見えになっておりますので、一、二、まず最初に事務総長にお尋ねをしたいと思います。  最近のこの新日本興産株式会社破産に関する板垣裁判官、それから谷合判事補の行動について、これは私があえて言わなくても、いま事務総長さんもおっしゃったように、国民に申し開きのないことだというふうに言っておられるのですが、最高裁判所として、前の安川簡裁判事補の問題も含めて、今回の問題も含めてどういうような責任のとり方をされるおつもりなのか、それをまず最初にお尋ねしたいと思います。
  41. 矢口洪一

    矢口最高裁判所長官代理者 先ほど横山委員のお尋ねにも申し上げましたとおり、二度とこのような問題を起こさないように、人的にも、また必要があれば機構的にも、十分の欠陥是正の措置をとりたいというふうに考えておりますが、現在まだ、率直に申し上げたところ、全容の解明には至っていないわけでございまして、全容を解明いたし、再びこのような問題が起こらないようにするということがまず第一の責務であろうというふうに考えております。しかし、問題は個々の裁判官の問題にはとどまらないわけでございまして、私どもを含めましてどのように国民の御納得いくような体制をとるかということにつきましては、十分これを胸に秘めつつ現在調査を続行しておる、このような段階でございます。
  42. 安藤巖

    ○安藤委員 個々の裁判官を、本件で言いますと谷合判事補あるいは板垣判事に対して罷免の訴追をするかどうかというような問題、あるいは検察当局がいま着々と進めておられる刑事処分的な方向での処理の問題だけではなくて、こういう不祥事をしでかした裁判官をこういうふうに処しましたということではおさまらない、これはいまもおっしゃったからよくお考えだと思うのですが、その辺のところを十分考えていただく必要があると思うのです。  そこで、よく前に裁判官が宅調のときにゴルフをやっておったというようなことが問題になったことがありましたが、これはけしからぬことだと思うのですが、そういうようなことをきっかけにして裁判官に対する監督の強化というようなことがすぐ手返しされるように行われるというようなことでは、私は問題は解決しないと思っているのです。だから、これは人間だれでもそうですが、特に今回の場合は不正を憎むという心、この辺が抜けておったのでは何ともしようがない。それから、普通の公務員もそうですけれども、特に裁判官には憲法感覚、これをしっかりと貫く、徹し切るということが必要だと思うのですね。そして基本的人権の尊重は言うまでもないと思うのですが、その辺のところにきっちりと腹を据えて対策をお立てになる必要があるのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  43. 矢口洪一

    矢口最高裁判所長官代理者 裁判所、ひいては個々の裁判官の責務は、基本的人権を擁護し、正義を実現するということに尽きるわけでございまして、そのようなことなくしては、いかようなことをやりましてもそれは意味のないことと申し上げても過言ではないわけでございます。個々の問題は個々の問題として、その是非善悪、正邪曲直は明らかにしなければならないと存じますが、かりそめにも全裁判官が、いま申し上げましたその職務と責任の重大性を自覚してそのことに徹するという措置をとらない限りは、司法行政としては万全の措置とは言えないわけでございます。御指摘の点、十分肝に銘じまして今後の事態に対処したい、このような決意を持っております。
  44. 安藤巖

    ○安藤委員 事務総長裁判官会議もきょうはあるということでお忙しいと思いますので、御退席いただいて結構でございます。  そこで、この破産管財人の選任の問題について一、二お尋ねをしたいと思うのですが、井上恵文破産管財人弁護士と、この弁護士破産管財人に選任をした板垣判事は、司法研修所の同期生、同クラスということがいろいろ新聞報道されておりますし、その辺は最高裁も篤と御承知のことだと思うのですが、だれを破産管財人に選任するかということは、すぐれてこれは担当の裁判官のお決めになることなんですね。ですから、これについていまあれこれと言うべき筋合いではないのかもしれませんが、私がお尋ねしたいのは、最高裁判所調査委員会をお設けになって、板垣裁判官からもいろいろ事情をお聞きになっている。ですから、この辺のところは明らかになっていると思うのですが、同期の同クラスの親しい弁護士破産管財人に選任したという問題について、調査委員会としてはどういうような見解をいまお持ちなんでしょうか。
  45. 大西勝也

    大西最高裁判所長官代理者 板垣裁判官井上管財人は、ただいま安藤委員指摘のとおり、司法研修所の十九期という期でございまして、同じ十九期であり、同じクラスであるということ、御指摘のとおりでございます。  この選任の経過も一応調査いたしておりますが、実はこの破産事件の前にも比較的小さい破産事件がありまして、その破産事件で、やはり板垣裁判官でございますけれども井上弁護士管財人に選任したという事件があるわけでございます。本件の新日本興産株式会社管財人に選任いたしましたのは、二回目ということに実はなるわけでございます。  板垣君に聞きますところでは、この破産事件ゴルフ場という非常な特殊な事件でございまして、当時非常に財産状態も悪くて、最初の見込みといたしましては、場合によっては破産廃止ということになるのではないかというふうな懸念も非常に大きかった、そういう破産事件というふうに言っておりますが、そういうことで、同期の弁護士を選任することについて、しかも同じクラスであるということについて一応問題がないかということも考えないわけではなかったけれども、逆に言って、安藤委員よく御承知のように、破産廃止になりますと報酬も何もなく、全部抵当権者に取られていってしまって財団何もないという、そういうようなことになっても同期であれば報酬なしでもいわば勘弁してもらえると申しますか、そういうふうなことも考えてやったのだというふうに板垣裁判官は述べておりますけれども、当該具体的事件がその事件であったかどうかは、ちょっといま私どものところでは具体的にはっきり確定することはできませんけれども、一応の弁明はそういう弁明をしておるわけでございます。  ただ、一般論といたしまして、非常に親しい同期の弁護士を選任するというそれだけの事実をとらえて考えますときには、何か問題が起こりましたときには疑惑の目で見られるおそれは十分あるわけでございまして、そこら辺のところ十分検討した上でやったのかどうかわかりませんけれども、私どもから見ますと、そういうことをもう少し一歩踏み込んでよく考えてみればよかったのではないかなという感じはいたしておるわけでございます。
  46. 安藤巖

    ○安藤委員 裁判官が判断される中身の問題についてあれこれ言うべきことではないと思いますので、これ以上はお尋ねしませんけれども、いまおっしゃったようなことがそもそも間違いの発端じゃないかなという気もするんですね。同期、同クラスだから無理を聞いてもらえるだろうというその発想方法。しかし、これ以上言いませんが、裁判所破産管財人監督するわけですが、これは井上弁護士新聞記者に話したことで、新聞報道されていることなんですが、裁判官と親しくないと管財人というのはやっていけないのだ。意思の疎通をしっかり図ってやられることはいいんですが、どうもひっかかる言葉なんですね。こういうところに本件のようなことの一つ温床が基礎としてあるんじゃないか。  それから、裁判所破産部に親しい——大方の弁護士も親しいのかもしれませんが、いろいろ事件関係で贈り物をするのはもう日常茶飯事だというふうな指摘もあるくらいなんですね。だから、その親しさというものがこういう贈り物というところへつながっていくことになりかねない。これはいい面もあるかもしれませんが、あるいはしかし、悪い面に働く本件のような場合もある、日本の風土みたいなところがあるわけですから。その辺のところはやはりしっかりしていただく必要があるんじゃないかなというふうに思っておるのです。だから、これは今後の問題として、いろいろ裁判官が独自に判断されるときの問題ですからこれ以上言いませんが、肝心なところではないかというふうに思っておるということだけ申し上げておきます。  それから、谷合判事補配置転換ですが、配置転換をなさったときにはもうすでにいわゆる債権者団の一部の再建協議会からの質問書というようなものがあって、その質問書の事項を見て、そしてとりあえず配置転換をした、こういうようなことのようですね、先ほどの経過説明をお聞きしましても。それで私がお尋ねしたいのは、去る九日、当院の決算委員会でこの問題についての質問がありましたときに、その段階でいろいろ調査するということになると司法行政の介入というおそれがあるので、一応配転ということだけで済ましたんだ、こういう答弁があったというふうに聞いております。そこで私は、この質問書の中身についてそのときに東京地方裁判所調査をされたのかどうか、調査をされないで配転をされたとすると、まさに中身の事実を確かめないで配転したわけですから、これこそ逆に言うと司法行政の介入になるのじゃないかと思うのですが、その点どうでしょうか。
  47. 大西勝也

    大西最高裁判所長官代理者 昨年九月にある債権者から質問状が参りましたときには、先ほど申し上げましたように、東京地方裁判所の方で谷合裁判官から事情聴取を行ったわけでございます。そのときに、事実上検証いたしましたときにゴルフをやったことがあるということを谷合裁判官は認めたわけでございます。一応それだけの調査をいたしまして他の部への配転という措置をとったわけでございます。本来それ以上に、たとえば管財人とかその他いろいろ調査をする方法もあるわけでございまして、もっとほかにもあるかどうか、事情がどうかと詳しい調査はやろうと思えばできるわけでございますが、そこら辺のところまで進むことが、解任申し立て債権者間の紛争というような背景を考えますときには、もっともっと踏み込んでというところまでいくのはどうかということで、一応谷合裁判官に対する簡単な事情聴取だけを行って配転をやった、こういう経過になるわけでございます。
  48. 安藤巖

    ○安藤委員 そうしますと、最高裁判所としては、谷合判事補を二十部から九部へ配転する前の段階から、最高裁の人事当局としてはもう承知しておられたことになりますか。
  49. 大西勝也

    大西最高裁判所長官代理者 ちょっと私、正確に記憶しておりませんが、この質問状が出てから配転までの間はごく数日でございます。その配転と同時か配転の前か、ちょっといま明確にはできませんけれども、恐らく配転の直前に聞いていたのではないかと思います。それと同時に配転も行ったということもすぐに聞いた、こういう経過になるだろうと思います。
  50. 安藤巖

    ○安藤委員 そこで、ゴルフに参加したというのは、板垣判事谷合判事補も合わせて四回くらいあるんですね。二十名の書記官の人たちも参加したコンペとか、あるいは三人ほどの書記官が参加したゴルフだとかあるんですが、何か裁判所の中には、東京地裁だけと承知しておるのですが、グリーンクラブというゴルフクラブがありまして、グリーンクラブの人たちも参加したというふうに報道があるのですが、板垣谷合裁判官以外にも、板垣谷合裁判官は別々の機会ですけれども、井上恵文弁護士一緒ゴルフに参加した事例があるのかどうか、どうですか。
  51. 大西勝也

    大西最高裁判所長官代理者 新聞報道でいわゆる招待ゴルフというふうにして報道されておりますものは、調査いたしましたところでは三回でございまして、板垣裁判官は、一度事実上の検証に行った、検証をいたしまして車で参りまして、もう背広を着たままでゴルフをやったことがあるということが一回ございますのと、谷合裁判官につきましても、谷合裁判官は服装は向こうへ行って着がえたようでございますけれども、二回ある。そのとき費用を支払ったかどうかという点については、費用を支払っていないということになるわけでございまして、それが招待ということになるとすれば招待になる。  ただいま仰せになりましたグリーンクラブは、何かそういう名称のゴルフの同好会のようなものがあるようでございまして、これはいわゆる招待ゴルフとは全く違うものでございまして、会費を支払って行ってゴルフをしたというふうに聞いております。
  52. 安藤巖

    ○安藤委員 この問題につきましてはほかにいろいろ関連する事実もありますので、それは別の機会にまたお尋ねすることにいたしたいと思っております。  そこで、関連しまして東京地裁破産部の件についてお尋ねをしたいと思うのですが、そこへ入る前に、最近サラ金による破産申し立て事件というのが非常にふえているというふうに聞いておるのですが、最近五年間ぐらいでどういうようなふえ方をしておるか。これは後から資料もいただけたらありがたいと思うのですが、どういうようなふえ方をしておるか、お尋ねします。
  53. 川嵜義徳

    川嵜最高裁判所長官代理者 破産総数、それからその中に自己破産が占める数、この統計はございますのですが、自己破産の中にサラ金による自己破産申し立てが何件含まれるかという点については目下その資料がございませんので、破産の総数と自己破産の数を申し上げたいと思います。  全国的な計数でありますが、昭和五十一年、総数千五百十五件、うち自己破産四百八十件。五十二年、同様に千九百八十四件、八百十三件。五十三年、二千七十件、千百三十件ということになっております。東京、大阪、名古屋の大庁におきます数字もございますが、必要ならば資料として差し上げますので、ここでは一応全国的な数字だけを申し上げておきます。
  54. 安藤巖

    ○安藤委員 東京、大阪、名古屋というふうに分けて、どういうふうなふえ方の経緯かということはいま言えますか。
  55. 川嵜義徳

    川嵜最高裁判所長官代理者 それでは、三庁につきまして申し上げます。最初に申し上げるのが総数で、後から申し上げるのが自己破産の数ということで御理解いただきたいと思います。  まず東京地裁昭和五十一年、二百十二件、五十二件。五十二年、二百四十九件、六十六件。五十三年、二百四件、八十四件。五十四年、二百四件、九十件。五十五年、二百三十六件、百三十七件。次に、大阪地裁でありますが、最初が総数で後が自己破産数であります。五十一年、二百十七件、八十七件。五十二年、三百七十四件、百九十四件。五十三年、三百六十一件、二百三十二件。五十四年、四百件、三百一件。五十五年、四百八十九件、三百七十六件。次、名古屋地裁でございます。五十一年、百二十二件、四十六件。五十二年、百六十八件、百二十五件。五十三年、百九十八件、百三十三件。五十四年、同じく百九十八件、百四十件。五十五年、二百五十四件、百九十二件。  以上のとおりになっております。
  56. 安藤巖

    ○安藤委員 いまお聞きしたばかりですが、大体の傾向は東京に比較して大阪が大分多いですね。もちろん、これがサラ金かどうかということはいまのお話でちょっとわかりませんが、自己破産ということでいくと。そして、とにかく五十四年、五十五年ということになってきますと、名古屋の方も東京よりも多いですね。そこで、私はこの統計を裏づけるような話を実は聞いておりまして、東京の方はサラ金の破産申し立て事件が非常に少なくなってきている、大阪、京都、名古屋も多いという話を聞いておるのですが、これは破産宣告の手続に対する裁判所の扱い方に違いがあるのでこうなっておるのだという話を聞いておるのです。  これからその中身についてお尋ねをしますけれども破産法の百三十九条に予納金を納めるという制度がありますね。これは素直に読みますと、「債権者破産ノ申立ヲ為ス場合」、いわゆる自己破産でない場合ですね、ということになっているわけです。そして、この問題につきましては昨年の八月二十七日に当委員会でやりまして、予納の問題につきましては、これは西山最高裁判所長官代理者、西山さんがお答えになっているのですが、「自己破産の場合でも」「費用の用意があるならばそれを予納してもらいたいということを促しまして、それで当事者の方が理解して同意をしていただければ、それに応じて任意予納していただく、」こういうふうに答弁しておられるのですが、そういうことになりますと、これはあくまでも自己破産の場合は、予納金は納めてもらえますかということを促して、納めますと言った場合に納めてもらうんだ、こういうものだというふうに理解してよろしいですね。
  57. 川嵜義徳

    川嵜最高裁判所長官代理者 そのとおりでございます。
  58. 安藤巖

    ○安藤委員 ところでもう一つ破産法の百四十条、予納金の国庫からの仮支弁という制度があるのです。この問題につきましても、先ほどの当委員会でも質問があったのですが、どうもはっきりしてないのでお尋ねするのです。この国庫からの仮支弁は、自己破産申し立てをすると同時になされるというのが普通だと思うのですが、百四十条の、これは三段くらいに分かれておるのですが、一番最初の「破産申立人カ債権者ニ非サルトキ」、いわゆる自己破産がこれに該当すると思うのですが、こういう場合に、破産申し立て者が仮支弁の申し立てをして、そしてこの仮支弁が認められたというケースは何件かありますか。
  59. 川嵜義徳

    川嵜最高裁判所長官代理者 破産法百四十条によります国庫仮支弁は、予算上は項裁判費、目保証金というところに五千百三十万円計上されております。仮支弁の決定がありますと、この予算から支出されることになるわけでありまして、そのための上申が最高裁の方へ各下級裁から来るわけでございます。その件数でございますが、五十二年度におきましては五件、金額にいたしまして百十三万一千四百円、五十三年度が十三件、金額にいたしまして八十四万七千三十三円、五十四年度が六件ございまして、金額が二十三万一千百四十四円、以上のような実績になっております。
  60. 安藤巖

    ○安藤委員 私は、念のために、百四十条の自己破産申し立ての場合のことに限定してお尋ねしたのですが、その限定された範囲のものに間違いないですね。
  61. 川嵜義徳

    川嵜最高裁判所長官代理者 ただいま申し上げましたのは、特に限定がございませんので、経理上そういう数字が出てきているということで御理解いただきたいと思います。
  62. 安藤巖

    ○安藤委員 限定がなければ、裁判所が職権をもって破産の宣告をなしたときとか、破産の宣告をなしたのだけれども予納金が不足になってしまったときとかということも入ってくるわけですね。私が聞いているところによりますと、まさに百四十条の前段といいますか、自己破産申し立ての場合では、昨年の大阪地裁での昭和五十五年(フ)第三百八十二号、債務者大園勝巳という人の件だけだというふうに聞いておるのですね。といいますのは、これは五十二年度の大阪弁護士会と大阪地裁との司法事務協議会、この席上で裁判所の方が、この国庫仮支弁の問題については、要望に応じることは実情としては困難だ、だからできるだけ予納に協力願いたい、そして、なぜ困難であるか、予算措置がないのである、こういうふうに言っておるのです。だから、予算措置がないということになると、先ほど項目の中にあるとおっしゃるのですが、これは百四十条全体ひっくるめての話であって、自己破産での仮支弁の申し立てに対する予算、これはもう一つ何かあるのかどうかちょっとわかりませんが、それはないんだということを裁判所の方が言っておられるのですね。こうなると、これは問題だと思うのですね。  自己破産の場合の予納金の納付については、先ほど最初にお尋ねしましたように、裁判所の方から促して、そして納めますよと言ったときに納めてもらうんだということからすると、それでも納められませんと言っても、予算がないから仮支弁はしないんだということだったら、予納金を納めることができないから、結局破産申し立てをすることができない。そうすると、これはまさに大問題で、憲法三十二条の裁判を受ける権利そのものにも影響してくる問題だと思うのですね。だから、その辺のところをはっきりしていただきたいと思うのですね。大阪の裁判所ではそういうようなことを言っておる。だから、これはきちっと、そういうようなことを言わなくても済むような——百四十条全体としての予算だとおっしゃるから、入っているんだとおっしゃっても、実際の扱いはそうでないのが実情のようですから、これはきちっと予算化できるような方法を、そういうことを裁判所が言わなくても済むような方法を講じていただきたいと思うのですが、どうでしょうか。
  63. 川嵜義徳

    川嵜最高裁判所長官代理者 ただいま御指摘の大阪の協議会におきまして、要望に応じることは困難である、できる限り予納に協力してもらいたいという裁判所側からの要請があったというふうに記録に残っております。できる限り予納に協力願いたいということの趣旨は、先ほど委員指摘のような状況で、ゆとりのある人は予納してもらいたい、仮支弁でございますのでいずれ徴収しなければならない、手続が終わった場合、後で徴収しなければならない、そのためにはまた手間暇と費用がかかりますので、あるならば予納しておいてもらった方が、後々当事者のためにも便利だというようなことから、できるだけ予納に協力願いたいという実務の慣行になっておるわけでございます。  ただ、御指摘のように予納する金が全くないという場合に、それでも何とか予納しろと言うことは、そういうことを申し上げることは法律のたてまえに反することでございます。先ほども申しましたとおり予算措置もとってございまして、先ほどの項裁判費、目保証金で自己破産の仮支弁を賄うということが当然予定されております。もし予算措置が全くないので裁判所としてはもう予納してもらうほかはないというような考えがあるとすれば、それは誤解でございます。どうしても予納ができない方については、仮支弁の方法をとって破産手続を進めていくということは、現にできるたてまえ、体制になっております。
  64. 安藤巖

    ○安藤委員 できるたてまえ、体制というふうにおっしゃるのですが、いまの大阪での司法事務協議会での裁判所説明は、まず、先ほど言いましたように、予算措置がないから困難だということを言っておられる。それからいまおっしゃるような趣旨のことも後の方でちょこっと言うておられるのだ。しかし、非常に切り詰められた裁判費の項目の金額は、ほかの裁判費用にほとんど充当使用されている窮屈な関係で、自己破産申し立ての手続費用も満足に賄い得る余裕のないのが実情であるという説明までやっているのです。となると、そういうたてまえであり、そういう仕組みになっているのだといま幾らおっしゃっても、現場の裁判官はどうもそうじゃないという考えですね。これが国民にはね返ってくるのですよ。その辺のところは十分考えていただきたいと思うのですよ、こういうことを裁判官が言わなくてもいいように。そして、破産申し立てをする場合に、予納金が払えなくても国庫からの仮支弁という制度を生かして裁判を受ける権利というものを着実に実行できるような体制をつくっていただきたいと思うのですが、重ねてその点どうでしょう。
  65. 川嵜義徳

    川嵜最高裁判所長官代理者 破産事件の処理につきましてはいろいろの問題がございます。ただいま御指摘の国庫仮支弁の問題もその一つであろうと思います。裁判官の協議会あるいは書記官の研究会等の機会におきまして、いまの点を含めましていろいろ意見交換をして間違いのないような扱いがされるように、そういう機会を持っていきたいというふうに考えております。
  66. 安藤巖

    ○安藤委員 予納金を納めさせるかどうか、それから予納金を幾らにするかどうかということは、裁判官が判断される事項ですね。うなずいておられるし、これはあたりまえだと思うのです。それから、先ほどの仮支弁の問題もそうだろうと思うのですが、破産申し立てをして、一応本人からの言い分も聞いて財産状態も調べて、これは破産手続を進めるような状態ではないという場合に、百四十五条の同時廃止の手続があることは私が申し上げるまでもないところなんですが、これもいろいろ利用されていると思うのですが、同時廃止にするかどうかということもまさに裁判官が判断することだと思うのですが、予納金の問題と同時廃止の判断、あたりまえのことですが、一遍そうかどうか、いかがですか。
  67. 川嵜義徳

    川嵜最高裁判所長官代理者 同時廃止の場合には、管財人を選任いたしませんために、管財人報酬というものを見込んだ予納ということが必要なくなる、そういう意味で予納額は非常に少なくていい。しかし、自己破産申し立ての場合でありましても、同時廃止するかどうかということはそう簡単にはまいらない事案もあるようでございます。たとえばサラ金事件でありましても、その債務者がサラ金から競馬、競輪のための金を借りまくって、そして自己破産に持ち込んできたというようなケースだとか、あるいは財産をどこかに隠匿しているおそれがあるというような場合には、やはり管財人をつけてその辺の調査をした上でないと判断が下せないというようなケースもあるようでございます。したがいまして、同時廃止にする、すなわち管財人をつけないで手続を終わらせるかどうかということは一概に言うことはむずかしい、それに伴って予納金の額がどうなってくるかということも一概に申し上げにくい関係にあるというふうに理解しておるわけでございます。
  68. 安藤巖

    ○安藤委員 いまおっしゃったことは私も十分わかっております。だから私がお尋ねしているのは、同時廃止にするのかどうか、破産管財人を選任するのかどうか、予納金を幾らにするのかどうかということは、いまおっしゃったようなことも含めて裁判官が判断をしてお決めになることなんですねということを、私は念のためにお尋ねしておるのです。
  69. 川嵜義徳

    川嵜最高裁判所長官代理者 その点はおっしゃるとおりでございます。
  70. 安藤巖

    ○安藤委員 ところが、最初にちょっと言いましたのですが、大阪地裁あるいは京都、名古屋もそうですが、いまおっしゃったように、具体的な事案に即して予納金は幾らにするか、同時廃止にするかどうかというようなことを裁判官がお決めになる。ところが、東京地裁破産部は、予納金は自己破産の場合でも、もちろんこれは原則としてということを言っておられるようですが、原則として五十万円から八十万円だ、そして同時廃止というのは、これも原則としてなんですが、やらない方針であるということを破産部の窓口でおっしゃるようなんです。そしてこれは、東京に三つの弁護士会がありますから普通東京三会というふうに言っておりますが、東京三会と裁判所との懇談会の席上でも、裁判所の方からそういうふうに公式の場で言っておられるそうです。ということになると、どこでどういうふうにしてそういうことが決まったのか知りませんが、まさに裁判官が独自の立場裁判官の独立の名において事案の内容に従って判断すべきことが、これは当部の方針だということで決まっておるというのは一体どういうことなのか、これは裁判官の独立を侵すことはなはだしいではないかと思うのですが、どうでしょう。
  71. 川嵜義徳

    川嵜最高裁判所長官代理者 東京地裁民事二十部、破産部におきましては、自己破産申し立てがありました場合におきましても原則として管財人を選任する、と申しますことは同時破産はしないという扱いで処理をしております。そのために管財人報酬を予納してもらわなければならないということで、最低限五十万円は予納してもらうという扱いを原則としているというふうに私どもも聞いております。これは東京地裁にはいろいろな特別部がございまして、その中の処理基準というものがいろいろな形でありますけれども、それは一応の基準でございまして、特別なケースについてまで、この基準があるからこれに従って五十万円どうしても予納しろということにはならないのではないかというふうに理解しております。
  72. 安藤巖

    ○安藤委員 そういう理解をしておられるということは、これは語弊があるかもしれませんが、少しおめでたいのじゃないかという気がするのです。というのは、先ほど私が件数をいろいろお聞きしましてそのときにも申し上げたのですが、東京は非常に少ないという原因は、やはり破産宣告手続に対する裁判所の扱いがそうさせているんだという指摘があるのですよ。だから予納金、そんな五十万や八十万、とてもじゃないが納められません、それならもうあきらめますわ、任意整理ということになるのです。そうすると、いわゆる暴力団が介入してきたり自殺したり夜逃げしたりというようなことにも発展していくのですね。だから、もう自分で抑制してしまう。あるいは弁護士さんに相談しても、幾らぐらい予納金を納められるのかと聞いても幾ら幾ら、五万か十万、いやとてもじゃないが東京地裁破産部ではそんなもの受け付けてもらえないよ、あんた、あきらめな、こういうことになるわけなんですね。だから、こういうような事態で、先ほど報告していただきましたような数字になっている。  そして、いまいみじくも東京地裁民事二十部、破産部ではそういう扱いをしているんだと最高裁自身もお認めになっているとなると、最初に私が念を押しましたように、まさにこれは裁判官が個々の具体的な事件内容を見て判断すべきことを、一応原則とは言いながら、部の方針としてそういうように決めておる。それによって申し立てをしに来た人あるいは相談に来た人たちに対してそういう態度でもって応対されるということになれば、これは門戸を閉ざすことになるじゃないですか。  たとえば大阪の事例なんかを見ますと、予納金五万円という事例が非常に多いのです。私、ここに資料を持っていますけれども、非常に多いのですよ、一々言いませんけれども。もちろん、破産管財人がつけられた、しっかりやられたというのは三十万円というのもありますが、五万円、五万円、五万円、五万円というのがずらっと並んでいます。東京地裁では原則として五十万円から八十万円ですから、一けた違うのですよ。これでは裁判官の独立の問題とあわせて、サラ金の被害者と言える場合と言えぬ場合とありますけれども、やはり被害を受けている場合もあるのですから、そういう人たちが破産申し立てをして、もうこれできれいさっぱりしたいと思って裁判所へ行こうと思っても、拒否されるということになるのですよ。これは重大問題と思うのですが、その点何かお考えありますか。
  73. 川嵜義徳

    川嵜最高裁判所長官代理者 先ほど東京地裁の実情を承知している限りで申し上げましたが、大阪地裁につきましても、ただいま御指摘のように自己破産申し立ての場合、財団不足によりまして同時廃止が見込まれるような場合には、予納金は五万円という扱いにしているということも承知しております。大阪と東京の扱いがこのように違っておるわけでありますが、そこに何か特殊性があるのか。特に民事調停事件の中におきますサラ金調停の事件は大阪では非常に多うございまして、東京の場合の約十倍くらいサラ金調停がございます。そういう特殊性があって、サラ金関係の自己破産というものがあって、どうしてもそういう方のために同時廃止ということを考えていかざるを得ないケースが多いということもあるのかもしれません。  しかし、実情はなおよく調査いたしませんとわかりませんですが、いまのような問題、東京と大阪で取り扱いが違うということになりますれば、全体としての公平ということからも問題になります。しょせんは担当する裁判官の考え方によるわけでございますので、そういう破産事件担当裁判官に集まってもらって、そういう点の意見交換もどんどんやっていってもらいたい、そういう場を当局といたしましては設定するよう努力をしたい、このように考えております。
  74. 安藤巖

    ○安藤委員 私がお尋ねしている趣旨は、東京地裁民事二十部、破産部のように、当部の方針としては予納金は五十万円以上から八十万円ですよ、同時廃止はいたさない方針ですよ、こういうような決め方、これはいいのですか。これは個々の具体的なケースによって裁判官が独自の立場で判断すべきことでしょう。それが当部の方針としてそういうふうに決まっておる。これはいいのですか。
  75. 川嵜義徳

    川嵜最高裁判所長官代理者 破産事件におきます予納金を幾らにするかということも一つの裁判内容でありますから、画一的に裁判官が拘束されるような基準の設定はできないことは、もう申し上げるまでもないところであります。ただ、大量的な処理、同種の事案をたくさん専門的に扱っておりますと、事件事件との間のバランスということも考えていかなければならない。そうなりますと、一定の基準的なものをつくっておいた方が公平上ベターであるというようなことも考えられますので、あるいはそういうような処理の方針というものを裁判官仲間で相談いたしまして、一応の処理基準をつくっているということは考えられるところでございます。
  76. 安藤巖

    ○安藤委員 そうしますと、一応の処理基準として、あくまでも内部で裁判官同士で一応のことを話し合っておられる、これは判断の一つだと思うのですが、外部に向かって当部はこういう方針です、五十万から八十万予納金を納めなければ受け付けませんよ、同時廃止しませんよ、破産管財人を選任するのだから、こういうことを外部に向かって言われるというのは問題だと思うのです。そのことをひとつ答えてください。  もう時間がありませんからもう一つ、これはあえて答えていただかなくてもいいのですが、本件のような谷合判事補あるいは板垣判事の問題、これはマスコミ等でもあるいは論説等でも批判をされて、こういうところに原因があるといろいろ言われております。しかし、私もそういういろいろな議論に賛成する面もあるし、なるほどなと思うところもあるのですが、東京民事二十部が外部に向かって、いま言いましたように権力的に、当部はこうだ、これでなかったら受け付けないのだと、一般国民の裁判権を侵害しかねまじいような原則をつくってしまって、そしてばっととびらを閉めてしまうというような体制、これが裁判官が直接国民の実情について深く洞察するという機会を失わせ、正邪の判断を誤らせるところまでに至った一つの原因じゃないかと思うのですよ、こじつけでなくて。この実態を見まして私はそういうことも考えざるを得ない。だから、これはあえて答えていただかなくてもいいのですが、その辺のところもやはり考えていただきたい。  前のところの質問だけお答えいただいて、私の質問を終わります。
  77. 川嵜義徳

    川嵜最高裁判所長官代理者 先ほど申し上げましたような処理の方針といいますか基準というものを内部的につくって、公平を図ろうということ自体は十分考えられるところでありますが、それは裁判官の内輪における基準でありまして、これをあたかも法令、規則のごとく第三者に対する関係で適用していくとい、いますか押しつけていくといいますか、そういうことはあってはならないことだろうと考えております。
  78. 安藤巖

    ○安藤委員 どうもありがとうございました。終わります。
  79. 高鳥修

    高鳥委員長 午後一時再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時十八分休憩      ————◇—————     午後一時一分開議
  80. 高鳥修

    高鳥委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。林百郎君。
  81. 林百郎

    ○林(百)委員 私は、日本競輪選手会、競輪界の、ことに会計問題についてメスを入れたい、こういうように思うわけなのです。  きょうは、国税庁の四元さん、警察庁の漆間さん、前田刑事局長もお見えになっておりますが、これは監督官庁が通産省ですから、通産省を主として、監督権限が十分行使されていなかったということからこういう事態が発生したのではないかということで、事態内容を主として通産省の車両課長質問するようになりますが、四元さんも漆間さんも前田さんも聞いていただいて、捨ておきがたいとお考えになる節々がありましたら、ひとつ適当な方法で手を入れていただくし、また私の方でも、場合によっては選手会の方から警察庁の方へしかるべき手続をとるようになるかとも思いますが、そういう意味で、質問中心は三野車両課長さんを中心としていたしたいと思うわけです。  日本競輪選手会の経理の不正問題、これは選手が四千人近く、実働三千八百人と言われますが、四千九十人くらいでございまして、車券の売り上げが一兆数千億、二兆円近く、これが自治体の財政を潤したり、そして一方では日自振や日本競輪選手会の財政の一部をなしているわけなのです。それから、選手の賞金が三百六十億円なのです。  日本競輪選手会、いわゆる日競選と申しますが、これは二十七年にできました通産省認可の社団法人で、本来なら労働組合的な性格も持った社団法人でございまして、競輪施行団体の自治体と労使交渉したり、賞金額を決めたりするわけなのです。この日本競輪選手会の年間の予算が約二十二億くらいになっているわけですが、これが日競選の中央の幹部によって大分壟断」されておるという不満が選手の方から起きてまいりました。  問題が発生してまいりました経緯を、時間を追って概略たどってみますと、五十五年の六月二十六日の五十四年度決算総会で、競輪運営の改善対策会計、これから多額の工作金が政界へ流れている。私の方もちょっと受取をとってみたのですけれども、至るところに、国会関係、国会関係、中央政界、それから国会関係、それも場所はどこだというと、ゆかり、レミー、岸本、こういう料亭。それから佐々木秀世氏に至っては、普通の新聞紙にも出ておりますけれども、五十年から五十四年までに約四千七、八百万円の金が日競選から、事務所の開設費から病院に入っている入院費から看護費まで出ている。何で特定の国会議員にこんな四千何百万円もの金を出すか。それからそのほか、額は小さいから額は言いませんけれども、出ている名前を見ますと、宮澤喜一さん、あるいは東京都から出た天野さんだとか島村さんだとか、あるいは参議院の斎藤栄三郎さんだとか、あるいは谷川和穗さんだとか、こういう名前もずっと出てくるわけですね。だから、どうしてこういう政界とこんなに癒着をしなければならないか。それから官房副長官の瓦力さんですね。これに百万円も金が入っている。  こういうことから、選手会の方が、これはおかしい、競輪の運営の改善のための資金あるいは選手の訓練のための資金がこんな政界へどかどかと流れていく、そうして理事者の受取のない出金伝票で、伝票だけで金を引き出してきて、後何に使ったか全然受取がついておらないというような問題もあるということで実は問題になりまして、五十五年の八月六日から七日、日競選の監事が会計について調査をいたしまして、五十五年の八月十一日の臨時総会で監査報告が出たわけなんです。  その監査報告を見ますと、どうもこれは通産省へ出たのの裏報告があるわけなんですね。この監査報告を見ますと、主なところを拾い上げてみますと、「支払先の領収書がとれない事(とりずらい事)を理由に取扱者の領収書が伝票に添付されているが、これは本来、支払証明書をおこし責任者の署名捺印を受け処理すべきものであると考える。」要するに、支払い先の領収書がとれないということを理由に取扱者の理事者の領収伝票だけがある。何に使ったかはわからない。  それから、「支払先支払事由が定期的な定まったものでありながら、領収書の処理が違うのが見受けられた」、定期的に払うべきものが領収書が違うものがくっついている。  それから、支払いの発生日と支払い期日の違いが数カ月に及ぶものがたくさんある。  「昭和五十年度、五十一年度、五十二年度は決算書に基づき担当者より説明を受けたが、監事としての意見は差し控える。」といって、監事としての意見は述べておらない。  最後に、「尚私達の判断では適確を逸すると思われるので、公認会計士を含め、調査をすることも必要かと考えます。」こういうように書いてあるわけなんです。  さらに、「関係者との懇親会、会食等の出席者が明確になされていないが、機密事項に基づくとあれば、その様な処理を考えるべきである。」とか、「改善対策業務に携わる組織が明確にされていない。よって理解しずらい点が多々出てくる。」  こういう監査報告昭和五十五年の八月十一日に臨時総会を開いて出されたわけなんです。  これは十三日に通産省にも出していますが、どうも通産省の方には私がいま読んだ部分は出さなくて、「監査の結果並びに意見」として、「昭和五十三年度、五十四年度についての監査の結果、事務処理方法に改善を要するものがあるが、証憑書類の整備はほぼなされていた。しかし指摘する点も多々あった。」というようなものです。これは「十三日通産省へ」と書いてあるわけなんです。  こういう事実がありまして、いま言ったような監査報告が八月十一日の臨時総会に出されたのですが、総会では、これでは承知できない、しかし指摘する点も多々あったというのだから、指摘する点が多々あったなら、どういう点が指摘する点が多々あったのか、それをさらに調査すべきだということで、最初は運営改善対策会計だけだったのですけれども、新たにこれに対する特別調査委員会が小川崇氏を委員長として発足したのですが、これがやがて訓練会計からカレンダー会計までずっと調べざるを得なくなった。やっている間に改善対策会計だけで済まなくなった。こういう経過があったのですが、これは通産省知っていますか。
  82. 三野正博

    ○三野説明員 お答え申し上げます。  先生の御指摘のございました日本競輪選手会の経理の問題につきまして、私ども、競輪関係の運営に重要な役割りを果たしております競輪選手会が経理の問題について会員あるいは社会的に不信の念を抱かれたということは非常に遺憾なことだと思っております。すべての法人に共通でございますけれども、経理処理というのはきちっとやるというのが当然のことでございまして、基本的にはそういう姿勢で臨んできたわけでございます。  ただいま先生の御指摘でございますけれども、私ども承知しておることとしていないこととございますので、その点をちょっと御報告さしていただきたいと思います。  先生お話しのとおり、昨年六月二十六日の総会におきまして、選手制度改善対策費の使途が一部会員から問題にされまして、議論されたことは事実でございます。それで、私どもといたしましては、改善対策費というのは日本競輪選手会の会員が会費を納めましてやっておる事業でございますものですから、基本的には会員の納得のいく処理をすべきであるというスタンスで臨んできたわけでございます。  それで、その使途の中で、先生いま具体的な先生の名前を挙げて言われました点につきましては、私ども承知いたしておりませんので、その点については通産省としては了知しないということを申し上げたいと思います。  それから、こういう問題が出た後の具体的な処理でございますけれども、これは先生御指摘のとおり私どもも指導したわけでございますが、この選手制度改善対策費というのは、古くは選手の地位の向上を確保するために輪友会という任意の組織をつくりまして、そこで会費を取って各種の事業をやるということをやってきたわけでございますけれども、選手会の方では五十年、正式の規程をつくりましたのは五十一年以来、そういう選手の地位の向上といいますか、選手制度改善対策費以外に、共済会の助成金とかやめた選手のせんべつ金といったようなものにも払える特別会費、特別会計というものをつくって処理してきたわけでございます。  その処理につきましては、特別会費規程という総会の決議に基づきました規程がございまして、何に使うかについては理事会限りで決めれる、経理も別途処理するということになっておりまして、そういう処理をしてきたわけでございますけれども、先ほど先生お話もございましたような、総会におきましてその使途について納得できないという事態があったわけでございます。それで、通産省としては、従来この費目の具体的な使い方については監事の監査というものをやってなかったわけでございますので、三人おります監事による監査が行われたわけでございます。  監査の中身について、先生が先ほどお話しなさった八月六日、七日付の監査報告書は、五十三、四年については証憑書類の整備は行われているが、多々指摘する問題があったという分についてはそのとおりでございます。ただ、多々指摘する問題につきましては、通産省としては、多々指摘するものがどういうものであるかということは、事情は聞いたわけでございます。それにつきましては、領収書の処理の仕方、支払い期日と請求の仕方、担当部局の問題等がございましたものですから、それはきちっと整理するようにということを申しまして、その後、日競選の執行部におきまして特別会費の処理規程というのをつくりまして、後に出てまいります臨時総会で処理することになったという状況でございます。  あと、その臨時総会でございますけれども、実は八月十一日というのは理事会でございまして、先生お話しの総会は九月十七日でございます。その席で、先生お話しのとおり小川崇氏を委員長とする特別調査委員会が設けられました。そういう状況でございます。
  83. 林百郎

    ○林(百)委員 私も特定の名前を出したいとは思いませんけれども、もう新聞に、たとえばことしの三月六日の読売に、「競輪選手会の不明金 佐々木秀世元代議士へ流れた 一億円中の相当額が—」、これは計算しますと約四千五百万ですが、出ております。それから、三月二十六日の毎日新聞にも、「競輪選手会、新たに二千七百万の疑惑使途不明金(一億一千万円)調査で発覚」と出ています。それから、同じく毎日新聞の三月二十七日、「不明朗会計認める 競輪選手会 通産省も聴取へ」、こうやって大きく佐々木秀世さんの名前が出て、そして四千五、六百万の数字まで出ているわけなんです。  一応通産省としては、何のために佐々木秀世さんに出したか、内容を調べてみれば、事務所の開設費だとかあるいは入院費だとかあるいは看護費だとか、それから毎月の顧問料だとかあるいは顧問ボーナスだとか、何だかんだでそういうのをやりますと約四千五百万くらいになるのです。何でこの佐々木さんに四千五百万もの金が流れたのか。また、瓦さんに百万流れたという。  これはいま相当の地位にありますから、私も慎重に言いたいし、宮澤さんなんかも金がわずかですから、この点は余り追及したくないのですが、少なくても佐々木氏や瓦さんに、どうしてこういう自民党の有力議員と思われるような人に金を使わなければ競輪の運営が改善されないのですか。そして、こういう人たちに働きかけて金をたくさん便って、どういう点が改善されたのですか。そういう点を追及しなければ、通産省が監査すると言ったって、何の監査の役目も果たしてないということになるんじゃないですか。新聞にこれだけ大きく出ておるのに、何も私は特定の人の名前は知りませんでしたなんて言えますか。あなたの所管事項ですよ。どうなんですか。その点をまず答えてください。
  84. 三野正博

    ○三野説明員 お答え申し上げます。  先ほども申しましたように、選手制度改善対策費というのがあるのは事実でございまして、その使途については日本競輪選手会が使用している。したがって、原資といいますか資金は、選手から会費として徴収した費目でございまして、規程上にのっとって、理事会の議決を諮りながら進めているという状況でございます。それについては、私としては、これは選手の賞金の中から、あるいは出場手当でございますけれども、広い意味では賞金の中から拠出されたお金でございますので、会員の方々が納得する使い方をするという必要があると思いますけれども、どういう使途にするかということにつきましては、これはやはり選手会に判断をゆだねるべき問題であると考えておるわけでございます。  それから一つだけ。佐々木秀世前代議士の名前が出ましたけれども、私ども聞きました限りでは、佐々木先生は三十七年以来日本競輪選手会の非常勤顧問、五十三年度以来常勤顧問としてなられておると聞いておりまして、顧問に対しましてどのような処遇をするかというのは、これはもう日本競輪選手会が決めるべき問題である、そのように考えておる次第でございます。
  85. 林百郎

    ○林(百)委員 選手会が承認しなかったから監査が起き、それから小川委員会が設けられたのでしょう。だから、選手会が総会にかけたところが承知しないのに、こういう金を使ったのはどういうことなんだ。選手会にどういう説明ができるんだ。これは競輪の運営の改善なんですから、どういう改善に寄与するかということが、その金の使途の目的としてただされなければならないわけでしょう。それをあなたがたださないというのは、監督官庁として全く手抜きだと思うのですよ。  だから、われわれが勘ぐれば、いまの日自振の会長の柳井さんですか、これもあなたと同じように元車両課長だし、それから地方の八競技場の七競技場が通産省の天下りの役人がなっておるし、これは全く通産省と競輪界が癒着しているんじゃないですか。だから、思うことを言えないんじゃないですか、先輩が日自振の会長だというようなことになっているので。そんなこと言ったら、あなただめですよ。条文上は通産省の監視だなんて言ったって、あなたの先輩が天下って日自振の会長になっていたんじゃだめですよ。だから、あなたの言うことがちっともはっきりしないであいまいで……。そうじゃないですか。  だから、それは顧問もいいですよ。何で四千万円もこんなに飛び離れた金を出して、そして顧問でどういうことを頼んだのですか。日自振かあるいは選手会へ入る賞金の率でも上げてもらったというのですか。あなたが言わなければ私の方から呼び水を出しますけれども、何ですか、一体。瓦さんが百万というのはこれは何ですか。言えなければ言えないで、いつまでついていてもあれですけれども……。  それから、改善資金の受取を見ても、具体的な名前は出ておりませんけれども、中央政界だとか国会関係だとか、国会関係なんというのはわれわれも国会議員ですから共同責任があることになるのですが、伽羅だとかざくろだとかゆかりだとかレミーだとか、こんなところへ国会関係、国会関係、それから中央政界。何ですかね。こんなことを日競選の会計の中に書かれては国会の名誉にもかかわります。こういう点は、あなたお調べにならなかったのですか。これはマージャン屋だとか料亭だとか高級レストランだとかバーだとか、そんなところで国会関係の何の打ち合わせをしたのですか。マージャンやりながら国会関係の打ち合わせができるのですか。そういうことを監視するのが監督官庁の役目じゃないのですか。あなたを責めても、あなたも言いにくいかもしれないから、次へ移ります。  そこで、小川崇委員長報告書が出て、これが委員会にかけられたのですが、この小川崇報告書をざっと見たのですが、これはどういうことなんですかね。まず、競輪運営改善対策会計を調査したところが、「昭和五十五年九月十七日開催の第十九回臨時総会において、執行部は伝票、帳簿その他の証拠書類一切を焼却ずみであるとの説明を行ったが、当委員会調査によっても証拠書類を見出し得ず、この内容を精査することはできなかった。」焼いちゃったというのです。これは本来なら五年の保管責任があるわけでしょう。これは日競選経理規程の第十二条によって、バランスシート、財務諸表は十年、帳簿は七年、伝票、証拠書類は五年、その他は三年とある。これに準じて処理しなければならないのを焼いちゃって、ないというのです。  それからその次、今度は五十一年度分については、「第十九回臨時総会における昭和五十年度と同様に会計記録一切は廃棄した旨の執行部の説明にも拘らず、金銭出納帳及び元帳を入手することができた。」だから、総会では廃棄した廃棄したと言っているのですが、何で廃棄しなければいけないのか。このことについても、あなた聞いてみましたか。
  86. 三野正博

    ○三野説明員 お答え申し上げます。  その前に、先ほど車両課長として監督不十分じゃないかという御指摘ございましたけれども、私としてはできるだけの監督をして、一時悪代官と言われたこともあるわけでございますので、その点については課長として職務を誠実に遂行しておると思いますので、それは先輩がいるということとは一切関係ないということをちょっとお答えさせていただきたいと思います。  ただいま御指摘の点でございますけれども、選手制度改善対策費といいますのは、先ほど申しましたように、五十年度でございますけれども、総会におきまして特別会費規程というのを御承知のとおりつくりまして、それで特別会費規程につきましては、基金の経理は別途会計によって処理するという意味で、これの処理については具体的な処理規程が実はできていなかったという問題がございます。それで、事実上執行部において処理してきたというのが現実でございまして、先生お話しのように、一般の経理につきましては経理規程というのがございまして、それには証憑類の書類については十年、七年、五年、三年とその書類に応じて決めているわけでございます。  したがいまして、先ほど申しましたように、特別会費の使い方、それの経理処理の仕方、それぞれ会員の納得のいく使い方をしなくちゃいけないわけでございまして、それは執行部なり理事会に諮り、あるいは監事さんの監査を受けという形でチェックしていくわけでございますけれども、従来たとえば予算が総会にかけられてないということもございまして、私どもそれはきちっと処理するようにということも申しましたし、それから、こういう処理の仕方は従来慣行として認められたとしても、やはり会員がその処理について疑念を抱いているという状況であるとすれば、やはり明確な処理要領をつくるべきであるという指導をいたしまして、先般九月十七日、問題の委員会ができました総会におきまして、執行部の方から「「競輪運営改善対策会計」経理処理要領」というのを明確に定めまして、その中に、「証憑類の処理については本会経理諸規程に定める規定を準用する。」いろいろ適用範囲とか会計原則とか運用組織、帳票組織、勘定科目、支払い手続、証憑類、予算、決算書等々細かく規定いたしてございます。  その中で証憑類につきましてはどういう証憑を備えるべきだというふうに書いてございますが、保管期間については規定はございませんので、「要領に定めがないときは、本会経理諸規程に定める規定を準用する。」ということで先ほどの原則に戻るのだと思います。したがいまして、私どもとしてはそういう経理処理については明確な処理をする。従来されてないという事実がわかったわけでございますので、指導をいたして改められている状況でございます。
  87. 林百郎

    ○林(百)委員 財務諸表を初めとして、受取やいろいろ何で焼却しなければいけないかということをお聞きにならなかったのですか。それから総会で、これはやめた理事者ですけれども、これも五十一年度についても廃棄してしまった。どうしてそういうことをするのだということはお聞きにならなかったのですか。こんなことをすれば疑いが持たれるのはあたりまえで、小川調査報告書の最後にはこういうことがあるのですね。「兎角の批判を仄聞してきたが、この調査によって想像を絶する乱脈な金銭処理をみせられ、やはり「火のない処には煙がたたない」という譬えを実感として味わった」。これはことしの三月の総会に初めてかけられたのですが、ことしの三月に至るまでこういう想像を絶する金銭の乱脈が行われてきた。やはり火のないところには煙が立たないなと言われている。  この監督官庁があなたのところなのですね。だから、素人の監査委員が、これもサイドワークでやったといって嘆いているのですけれども、そういうことまで小川監査報告には出ているのに、通産省では気づかなかったのですか、あるいは小川報告書が出てきてから初めてあなたがそういう措置を言われたということなのですか。想像を絶する金銭の乱脈さがあったというのですよ。小川報告はごらんになったでしょう。ごらんになりませんか。ごらんになったとすれば、これは一体どういうことかということをお聞きになったと思いますが、どうですか。
  88. 三野正博

    ○三野説明員 お答え申し上げます。  日本競輪選手会の経理処理につきまして、先生御指摘の小川崇氏を委員長とする特別調査研究委員会において調査をいたしまして、それのレポートが三月三日付で須賀理事長に提出されたことは事実でございます。  それで、まずこのレポートの取り扱いでございますけれども、そこで先ほど申しました選手制度改善対策費、カレンダー会計、選手訓練会計、この三つの会計の問題を取り上げまして事実を指摘しているわけでございますけれども、これにつきましては、現段階では通産省としてはその個別の事実についてまだ確認をしている状況にはございません。  ただ問題は、選手制度改善対策費は、先ほど申し上げますように、私どもといたしましては、選手の会費から賄われて従来理事会の決議で充当できるという運用をしてきた経緯でございますので、会員の納得するような使途あるいは経理処理というものを行うべきかと考えております。それから、カレンダー会計の問題につきましては、従来事業はやっていることは承知しているわけでございますけれども……(林(百)委員「そこまでまだ聞いていません、いいです」と呼ぶ)経理処理面で十分じゃない、その収支が総会にかけられていないという事実と、それから収益性が問題がございますので、執行部に対しましてしかるべき措置をとるように、それから、訓練会計につきましては、事実関係の確認というのがございますので、日本自転車振興会に対しまして事実の確認をするように指示している段階でございます。  通産省は、競輪選手会に対しまして昨年の一月に定期的な監査をやったわけでございますけれども、限られた時間に基本的なところといいますか、各種の規程その他勤務時間の問題等に至るようなことをやりまして、その段階で十分その事実が明らかになっていないという点は、時間的制約がありましたけれども、今後こういう委員会報告の事実関係を確認するということを行いながら、必要な指導をやっていきたいと考えております。
  89. 林百郎

    ○林(百)委員 それでは、あなた各会計について言われましたから、まず訓練会計からお尋ねしますが、この訓練会計というのは、言うまでもなく交付金がこれに使われているわけですから、この使途については厳格に使われなければいけないわけですね。日自振から年に約一億六千万ぐらい、それから選手負担が二千万ぐらい、これはちゃんと自転車競技法の中にも法律的にも決まっているわけですね。これは非常に厳格に使われなければならない交付金なのですけれども、これが裏資金があって裏操作がなされている。小川報告だけから見ましても、裏操作資金が千七百五十六万あって、一から十三までずっと裏操作で使われた金があるわけですね。  その中に、中央政治経済研究会だとか副理事長の渡欧の、ヨーロッパへ行ったときの交際費というのは何のことだかわかりませんが、そういうものも入っているとか、あるいは顧問事務所開設諸費、佐々木さんの事務所の開設費まで。これは訓練費ですから、委託費と助成費、それから選手の負担金は選手の訓練のために使われなければならない金ですね。佐々木さんの顧問事務所開設費が選手の訓練と一体どういう関係があるのですか。それから、副理事長がヨーロッパへ行ったときの交際費が選手の訓練とどういう関係があるのですか。  あなた、そう言うと、いや二千万の自由に使える選手の負担金があると言うけれども、負担金は五十五年度の決算ではゼロになっていますよ。全部使っていることになっている。ところが、小川報告で見ますと千七百五十六万三千幾ら。これは余ったら日自振の方に返さなければいけないわけですね。ところが、金庫の中には九百八十六万残っている。ちゃんとあるというのですよ。これは一体どういうことなんですか。明らかに役員が背任をしているということになるのじゃないですか。  本来使うべき性質の金をこんな副理事長がヨーロッパへ行ったときの交際費に使うとか、顧問の事務所開設のために使うとか、在仏、これはどういうことですか、フランスにいる理事にお礼金として六十五万出すなんということは、選手の訓練とどういう関係があるのですか。選手は汗水たらして競輪やっているのですよ。その金で全部の会計が成り立っているのですよ。それを中央の理事がこんなふざけた使い方をしていて、どうして選手が納得できますか。この訓練費の五十五年度の使い道、どう考えますか。金庫の中に九百八十六万ちゃんとあったということも小川報告にあるでしょう。これに対してどういう指示をしているのですか。
  90. 三野正博

    ○三野説明員 お答え申し上げます。  特別調査委員会報告書におきまして、訓練会計について種々の指摘があることは事実でございますけれども、その具体的な事実につきましては、現在日本自転車振興会をして調査をさせるという考え方でおります。  ちょっとその前に申し上げますと、現在日本競輪選手会が事実上行っております訓練事業につきましては、先生お話しのように、日本自転車振興会からの委託費あるいは日本競輪選手会がみずから行います事業に対する助成金というものが相当の割合を占めておりまして、別途二千万ばかり自己資金があることも事実でございます。  それで、日本自転車振興会におきましては、五十三年以来、委託費につきましては、上期、下期に日本競輪選手会の方に参りまして、帳票類を調査の上支払いをするという手続を踏んでおりまして、その段階では、一部たとえば使途として適切じゃないというようなこともあったわけでございます。その場合は、すぐ訂正させるという形でチェックをしながら支払ってきているわけでございます。委託費につきましては、年五回払いということで、実施状況を見ながら支払うということでやってきたわけでございまして、私ども、日本自転車振興会の方からは、訓練会計についてはそういう事実はないと聞いていたわけでございますけれども、答申書の中でそういう指摘がございますので、これは選手の会費が適正に使われるということが必要であるばかりでなくて、日本自転車振興会のお金も、これは施行者から交付して競輪の公正、安全、円滑な運営というために使うお金でございますので、それが正しく使われないということは私ども非常に遺憾あるいは重大な関心を持っておるわけでございまして、日本自転車振興会に早急に事実、事情の聴取、必要な調査等を行い、報告するように求めているところでございます。
  91. 林百郎

    ○林(百)委員 あなたはそう言うと思ってわれわれの方も調べてきたのですが、五十六年の選手訓練予算書の五十五年度決算によりますと、選手の負担金は、五十五年度予算案による選手の負担金はゼロになっているのですよ、これは訓練費の決算書を見ればわかりますけれども。それで、余った金は日自振に返すという契約もできているわけです。それが、千七百五十六万の裏金があって、そしてさらに、調査委員会が調べに行ったら九百八十六万の金が金庫の中にあるというのでしょう。これはもう裏金をちゃんとつくって、そしてそれだけのものを操作していたということ以外の何物でもないじゃないですか。この点をお調べになったのですか。あなたの言う自由に使っていい部分、それは二千万の選手の負担分だということを言うと思いますけれども、これは五十五年度の決算では一文もないことになっているのですよ。一文もないことになっているのが、金庫へ行ってみたら九百万もあったというのですよ。これは一体どういうことなのですか。
  92. 三野正博

    ○三野説明員 先ほども申しましたように、日本競輪選手会の訓練費の支出が適正でなくちゃいけないというのはいまさら申すまでもない点でございまして、私ども、先ほど申しましたように、日本自転車振興会では、選手の訓練の種類を分かちまして、たとえば教養訓練あるいは特別教養訓練といったものにつきましては委託事業ということにいたしますし、あるいは技能訓練とか新人の訓練等につきましては、日本競輪選手会がみずから行う事業に助成をするという形で使途を厳格に定めまして助成をしているわけでございます。したがいまして、助成なり業務を委託しているわけでございまして、委託費につきましては、委託の趣旨に反する使用があればこれは返してもらうというのが当然でございますので、先ほど申し上げましたように、日本自転車振興会に、みずから委託し助成をしている事業が事業目的どおり使われているかどうか正確に事実を調べてそれで報告するように、もちろん、そのときに委託費がその委託の目的に使われていないという事実が判明いたした場合には返還していただくのは当然と考えておりますけれども、現在はそういう事実の調査を日本自転車振興会に対して指示しているという段階でございます。
  93. 林百郎

    ○林(百)委員 選手の訓練のために使うべき金が、副理事長がヨーロッパへ行って交際費に四十五万使うのは、選手の訓練とどういう関係があるのですか。ヨーロッパへ行ってごちそうを副理事長が食べるのと、選手の訓練と何か関係があるのですか。佐々木さんが事務所を開いている費用を百七万出すのが、選手の訓練とどういう関係があるのですか。フランスに理事が行っているというのに六十五万、何のお礼を出すのですか。そういうのがずっと出ているでしょう。これは血の出るような、選手の訓練のために使えという金でしょう。余ったら返しなさいよ、これは交付金だから、というのでしょう。それじゃ、これ、あなたそういう指示しましたか、小川報告報告しているようなこういうものは返せと。あなたの言うことは、たてまえだけ言っているけれども、事実と全然違って、全然わかりませんよ。こういうのはどういう措置をするのですか。  それから、もう一つ言いますが、裏金として千七百五十六万あったのですよ、訓練費に。それで、調査会がいろいろ入ったものだから、そのうちいろいろに差っ引いて、九百八十六万だけ、どうしてもこれはもう使い道を出すことができなくて、金庫に残っていたわけですよ。だから、本来なら千七百五十六万返さなきゃいかぬかもしれない、これは。そういう点もこれは十分調査しなきゃいかぬわけですよね。これは施行者からの交付金ですから、公の金なんですからね。こういう点、あなた、この小川報告から出ているこの訓練会計の使い道をいろいろ調べて、その後の指示をしましたか。
  94. 三野正博

    ○三野説明員 お答え申し上げます。  小川報告書に各種の指摘があることは事実でございますが、先ほど申しましたように、日本自転車振興会も従来委託費の調査ということでやってきておりますので、日本自転車振興会をして、具体的にあそこに書いてあるような事実があるのかどうか、あるいはあった場合は、それが訓練費という本来委託しあるいは助成する目的に照らしていかがなものであるかという判断をいたしまして、それで返還を含む必要な措置をとるようにということをいま指示している、そういう状況でございます。
  95. 林百郎

    ○林(百)委員 こういうことをした中央の執行部はもう辞任しているのですよ。辞任して、それで小川調査委員会が調べた結果、こういう事実が出てきているのです。それで、これはことしの三月二十六日の総会にかけて、これは認める、一応了承するということになっているんですよ。それをまた事実を調べろということはどういうことなんですか。旧執行部がやったことでこういう点が納得できない、これは訓練費としての目的から外れている、しかも返すべき金が九百八十六万残っている、これはこの会計の使用が正確を期しておらないんだ、本来の使い方に反しているんだ、こういう指示をしているのに、それで総会で承認されているのに、なお調べろと言ったら、今度はだれがどうやって調べるんですか、あなた、調べろ調べろと言っているけれども。あなた、自分で調べる気がありますか。  だから、きょう私は税務署と警察庁を呼んで、もう通産省は当てにならぬ、どうも三野さんは人がいいのか悪いのか、言うことはのらりくらりでちっともわからぬから、選手はもうはっきりさせてくれと言っているんですよ。おれたちの汗でつくったこの日競選の年二十二億の、まあ地方へその半分ぐらいは流れますが、それが中央の幹部で勝手にされておるのはもうがまんできないんだ、ところが通産省はちっとも当てにならないんだ、何とかこれを調べてもらうには、国税庁か警察庁の方からでも何らか手でも入れてもらわなければできないのじゃないかといって、そして私のところへ来て、きょうもここで大ぜいで傍聴しているのですよ。それをまた調べろと言って、何を調べるのですか。
  96. 三野正博

    ○三野説明員 お答え申し上げます。  小川崇氏を委員長とする特別調査研究委員会調査なさったことは事実でございます。ただ、訓練費というのは施行者から日本自転者振興会に納められたお金でございまして、それの適正な使い方というのは、私どもいまさら申すまでもなく、日本自転車振興会はまず第一義的にむだなお金を使わないようにということは必要なことでございますので、みずから委託したりあるいは助成したお金の使途でございますので、確認するように。ただ、私どもちょっと残念に思っておりますのは、時期が少しかかっているじゃないかということでございますけれども、これは三月二十六日に理事長の交代がございまして、理事長、理事及び監事は決まっているわけでございますけれども、現在まだ新しい執行体制が決まっていません。具体的に副理事長、常務理事というものを選定をして、それで体制をつくるわけでございますけれども、そういう体制ももうすぐできると聞いております。そういう状況を待って日自振に、基本的には施行者から預かった交付金でございますので、先生御指摘のとおり一円たりともむだに使ってはいけないことでございますので、全責任を持ってよく調査するようにということを言っているわけでございます。
  97. 林百郎

    ○林(百)委員 どうもわからないのですが——やめた。やめたというのは、こういうことがあったから責任を負ってやめたのでしょう。それで小川委員会調査して報告書を出して、総会で承認されたわけでしょう。それで、日自振が調査するわけじゃなく、日競選が調査するわけでしょう、委託費として日自振から日競選へ来ている金なんですから、それがこう使われているのですから。日自振が日競選へおろすのは選手の訓練用にです。選手の訓練におろすのに、ヨーロッパへ行っている副理事長の交際費が四十五万だとか、あるいは何のことだかよくわかりませんが、フランスにいる理事にお礼として六十五万出すとか、佐々木さんの名前が出てくる事務所開設費百七万とか、訓練と関係ない金だといって小川調査委員会が出している金でしょう。これは明らかじゃないですか。それをまた調査しろというのは、だれにどう調査しろというのですか。新しくできる執行部に再調査しろというのですか。日自振は関係ないですよ、日競選が使ったんだから。
  98. 三野正博

    ○三野説明員 お答え申し上げます。  訓練会計につきましては、先ほど申します委託費でございますけれども、これは日本自転車振興会が日本競輪選手会と契約を結びまして、教養訓練等の事業を委託しているわけでございます。それで、委託者であります日本自転車振興会は、自分お金が正しく使われたかどうかについてはみずからきちっと調べる必要があるわけでございまして、それは今後調査委員会のメンバーの方からも聞くでしょうし、執行部からも聞いて事実の確認をするということを申し上げているわけでございます。  日本自転車振興会は、自分の契約に基づいてお金を払っている事業が、従来は年に二回行きまして証憑類を見てやってきたわけでございますけれども、それの委託費の部分に係るのか、あるいは年五回実施状況を見ながら支払ってまいりました助成部分に係るのか、その点は定かではございませんけれども、そういった点について正確に事実を把握して、それを適正に処理すると同時に、通産省の方に報告するようにということをいまやっているわけでございまして、調査は、もちろん日競選の中でみずからの会にかかわる経理について適正に処理するように調査委員会をつくり、その調査委員会報告を受けて、日競選独自で経理体制の処理システムの改善、監事体制の強化とか各種の改善策はもちろん必要だと思っておりますし、新執行部には、今後会員の疑惑を生ずるような経理処理にならないようにどのようにやっていくかという点については、報告書でも提案がなされておるようでございますけれども、そういう点は日競選から聞きたいと思います。  日自振には、まずその事実は事実として正確に把握して、それを確認の上報告するようにということをやっておるわけでございます。
  99. 林百郎

    ○林(百)委員 あなたに幾ら聞いても進みませんから——ただ、日自振は日競選に年に一億六千万ですか、選手の負担金は除いても出して、そして余ったら返しなさいよということで、その使い道は日競選に任せておるわけなんです。日競選がどう使ったああ使ったなんて、一々調べて使わせているわけじゃないのですよ。その使い道が、本来訓練に使うべきものが訓練に使われていない、裏金がある、しかも返さなければならない金が九百八十六万もあった。そういうようなことがあって旧執行部は退陣し、新しい小川理事長が出たわけなんですから、それをまた日自振に再調査させるなんて言ったって、日自振がそんなことできっこないじゃないですか。それはそれでいいです。  次に、カレンダー会計に移ります。  カレンダー会計というのは、金が一億七、八千万できたわけでしょう。社団法人が営利事業をやっていけないことはないということはあるにしても、社団法人の日競選がカレンダーを売って一億七、八千万の金が余っているのです。所得があったら税務署に納めなきゃいけないじゃないですか。税務署にその利益を納めているのですか、どうなっているのですか。  念のために言いますが、これは小川報告の中の五十嵐次長の事情聴取の中にあるのですよ。カレンダー会計について、「ようするに収益事業をやっていかんというところへもってきてね、やってるってことと、」この人は公益法人だから収益事業をやってはいかぬという厳格な解釈をしているわけですね。「それからこのことが、全部が全部税対策の問題があったということで、」税対策まで講じているのですよ、利益が出ちゃったものですから。これは報告の中にちゃんとあるのですよ。幾ら社団法人だって、利益が出たら法人税を納めなきゃいかぬじゃないですか。しかも、ここに税務署に対する対策を講じていると書いてあるんだ。これはどうするのですか。
  100. 三野正博

    ○三野説明員 お答え申し上げます。  日本競輪選手会では、四十八年にカレンダーをつくって選手に配付いたしまして、四十九年にファンにも有償で配付することになったわけでございます。以後、事業としては継続してカレンダーを配付してきたわけでございますけれども、経理処理といいますか、会計面で一般会計の予算に計上していなかったという問題があります。カレンダー関係だけ申しますと、この日競選の社会的地位といいますか、有名選手をカレンダーに掲載いたしまして、選手に対します社会の認識を高め、ファンサービスにも努めるという目的でやっておりますけれども、私どもはそういう事実を昨年知りまして、まず一つは、経理処理を明確にする、会員に対して収支を明らかにする必要がある、それから、収益が出れば、先生御指摘のとおり納税報告をして税金を納めるのはもちろんでございまして、もし仮に税金を逃れたりなんかするようなことがあったら、それは言うまでもなく反社会的な行為だと考えますので、私どもとしては、事情を知りまして以後早急に税務署に連絡をとりまして、税理士の方に具体的な事実関係——収支状況は経理の計算でございますので、収益がどのように上がっているのか上がっていないのか、収支を明確にした上で納税申告をするようにという指導をして、早々に税務署の方に提出をするというような状況になっております。  それから一言だけ。レポートの中で、累積の収益金につきましては千八百万と書かれておりますが、ちょっとその点だけ、レポートの記載でございますので……。
  101. 林百郎

    ○林(百)委員 国税庁にちょっとお尋ねしますが、一般論で結構ですが、具体的なことをここでいろいろお聞きしても答えにくいと思います。日競選なら日競選から多額の贈与を受けている、顧問料とかなんとかいって源泉徴収をされるほかにいろいろの金が贈与されているというような場合は、税金はその贈与した方が納める責任があるのですか、一般論として。あるいは贈与を受けた人の方が、所得がそれだけふくらんでいるのですから、贈与を受けた人の方が税金を納める義務があるのですか。これは税法上どうなるのですか、ちょっと説明願いたいと思います。一般論で結構ですから。
  102. 四元俊明

    ○四元説明員 お答え申し上げます。  公益法人等が顧問料を払うとかあるいは関係者に贈与をされる、この場合、顧問料の場合と贈与の場合で課税関係が違ってまいります。  まず、顧問料でございますと、常識的に考えますと、顧問という地位に基づきまして対価として支払われるという性格があろうかと思いますので、その場合は給与等として扱うというのが原則的な取り扱いでございまして、当然支払い者側が源泉所得税を徴収し、納める義務がある、こういうことになります。  それから、贈与を行いました場合でございますが、これは贈与をされた公益法人の場合と贈与を受けた方の課税問題がございます。  まず、贈与した側におきましては、公益法人の場合ですと、法人税が課税されますのは収益事業を行っている場合にその収益事業から生ずる所得についてのみ法人税が課税されておりますので、仮にその収益事業からの広い意味の経費として贈与されておりますと、これは当然寄付金の問題ということで損金算入が制限を受ける、限度計算をしなければいけないという問題がございます。収益事業以外の事業としてそういうことが行われている場合に、課税関係は贈与をする側にはございません。  それから、受けた場合でございますが、通常、個人だと思いますが、個人でございますと、法人から受けた贈与は、現在贈与税の対象ではございませんで、所得税法上の一時所得というのが原則的な取り扱いでございます。
  103. 林百郎

    ○林(百)委員 わかりました。国税庁としては具体的な事案についての答弁はできないと思います。  三野さん、いまの国税庁の答弁をお聞きになったでしょう。それに基づいて日競選とそれぞれの金をもらった人たちとの間の関係をきちっとするように、あるいはカレンダー会計で収益事業をやって収益が上がったものに対しては、先ほどあなたもちゃんとけじめをつけるつもりだと言ったのですが、ちゃんとけじめをつけるつもりですか。国税庁から追徴金など来て、ますます負担が多くなるようなことをどちら側にもさせないような措置をあなたは指導をしますか。
  104. 三野正博

    ○三野説明員 お答え申し上げます。御質問、二つの部分があると思いますけれども、最初の日本競輪選手会から具体的に支払った先の問題でございますけれども、それにつきましては、支払った先で適正に処理されるものという理解をいたしております。その点について日本競輪選手会を私どもが指導するということは考えておりません。  それから、カレンダー会計といいますか、カレンダーを有料頒布して生じました収入とそれに要した経費の関係でございますけれども、これは先ほど申しましたように、税理士さんといいますか、そういう税の専門家の意見をよく聞いて、法律に基づいた適正な申告をして、もちろん収益があれば法律に基づいた税金を納める、そういうことでやりたいと考えておるわけでございます。
  105. 林百郎

    ○林(百)委員 漆間さんと前田さんにお聞きしますが、いま非常に抽象的な質問で具体的なことはおわかりにならないと思いますけれども、たとえば競輪選手会という社団法人が、競輪選手の訓練のために扱っている金を、本当に選手の訓練のためでなくして、たとえば飲み食いのために使ったとかあるいは領収証を偽造しているとか、競輪の運営の改善のための資金がとんでもない方へ使われているというようぼ場合は、もし犯罪が成立するとすれば、どういう犯罪が成立する可能性がありますか。専門家だから前田さんで結構だと思います。いろいろの事例があると思いますし、私の質問非常に抽象的ですから、そういう任された金の使途が任務に反した方面に使われているという場合にはどういう犯罪の構成要件になるのかというようなこと、一般論でいいですから、御説明願いたいと思います。
  106. 前田宏

    前田(宏)政府委員 林委員も仰せになりましたように、事実関係がはっきりしませんと犯罪の成否ということは明確にお答えできないわけでございます。ですから、具体的なことを申し上げますとかえって誤解があるかと思いますけれども、一般的に申しまして、いわゆる不正な支出があった場合、場合によってはというようなことになろうかと思いますけれども、背任とか横領とか、あるいはいまおっしゃいました領収証の偽造ということがありますれば文書偽造とか、いろいろなことは考えられることは考えられるわけでございます。
  107. 林百郎

    ○林(百)委員 時間が参りましたので、それでは改善対策会計についてちょっと三野さんにお尋ねします。  この改善対策費会計の中で、中央政界あるいは青波会あるいは長谷川四郎さん叙勲祝賀会、あるいは中央政界、斎藤栄三郎さんとか、こういう政界にこの改善対策会計から非常に流用されているのですけれども、これはどういうことなんですか。お聞きになったことありますか。これはわれわれにも関係してくるので、ただ国会国会なんて書かれたのじゃ、皆さんにも迷惑かかることで、ひとつはっきりさしてもらいたいと思うのです。  私の方でとりあえず日競選の中にある受取を調査してきたのですけれども、非常に多いですよ。たとえば五十四年だけ見ましても、五十四年の四月二十四日、国会関係費で金額は二万ぐらいです。それからすぐ五月分事務所費、これも佐々木領収書というようなこと。四月分事務所費二万五千、これは佐々木領収書。国会関係東京園、これは何か八千円ばかりですが。続いて国会関係で四万五千、五月二十六日。五月二十六日、同じ日に中央政界、ざくろ——ざくろってなんだか知りませんけれども、料亭だか何だか、二万一千円。それから同じ日に中央政界七万五千円。五月三十日に中央政界、京王プラザ。それから六月十五日に国会関係、五月三十日ゆかり、五月三十日レミー、五月二十三日岸本、五月三十日岸本、何だか知らないがいっぱい国会関係があるのですよ。これは一体どういうことなんですかね。  それから、十月にいくと、十月十一日から二十九日ごろまでに、先ほど私が言ったような名前がずらっと並んで金が出ているのですね。これはどういうことなんですか。あなた、お聞きになったことがあるのですか。政治家だからといって遠慮していたら、これに関係ない国会議員や政界関係の者はとんだ迷惑ですよ、ただ国会関係、政界関係と書いてあるだけなんだから。われわれ困りますよ。はっきりさせてくださいよ。
  108. 三野正博

    ○三野説明員 お答え申し上げます。  先ほど来申し上げてございますように、選手制度改善対策費の使途につきましては、日本競輪選手会が理事会に諮って支出するというルールになることは承知しておりますけれども、具体的使途については承知いたしておりません。
  109. 林百郎

    ○林(百)委員 じゃ、具体的な使途を私が申し上げまして、少なくともこれは競輪の運営の改善対策費でしょう、それがこんなに、これも一部受取を写してきただけですよ。まるでもう一日おきくらいに中央政界関係、国会関係、具体的な名前でも出ているのならまだしも、ただ国会関係、国会関係、国会関係、それで何だかわけのわからないざくろだとかあるいは京王プラザホテルだとかゆかりだとかレミーだとか、こんなことで国会関係なんて書かれたら、国会関係者みんな迷惑ですよ。これ、自由だからいいってほうっておくのですか。われわれ迷惑ですよ。しかも、監督官庁はあなたでしょう。もっとはっきりさせてくださいよ。国会関係のどういうように使ったか、私のところへ報告くださいよ。そうでなければ議員みんなが迷惑ですよ。改善対策費だからいいんだ、それは自由に使われますよなんて、そんなことで監督官庁がうそぶいていられたら、こっちは迷惑ですよ。あなた、人の迷惑をさておいて、自分監督もさておいて、自由に使える金だからいいといったって、自由じゃないですよ。競輪運営改善対策費ですよ。競輪の改善対策でなければ困りますよ。これはどうしてくれます。
  110. 三野正博

    ○三野説明員 お答え申し上げます。  選手制度改善対策費の使途あるいは支出の仕方については、先ほど来申し上げているとおりでございまして、具体的にその使途をどういうように使うのがいいか、具体的なその使途がいいかどうかというのは、私としましては、日本競輪選手会執行部、監事あるいは会員の中で考えて決めていくべきものだと考えているわけでございます。
  111. 林百郎

    ○林(百)委員 それじゃ、国会議員がどんな迷惑こうむってもいいというんですか。このざくろだとかレミーだとかゆかりだとか、わけのわからないようなところへ国会関係、国会関係と金使われていても、それは自由に使える金だから私の方は別に監督はしません、そう言ってあなたうそぶいているつもりですね。それならそれでこっちも覚悟がありますよ。そんなことされて、われわれ全然関係のない国会議員が何か競輪といかにも関係あるように思われたらとんでもない話ですよ。これは少なくとも国会関係って何だ、どういう競輪運営の改善対策のために使っているんだ、そうでなければ国会議員さんにも迷惑かけるじゃないか、そんなことくらい監督官庁が聞いたっていいじゃないですか。聞く意思もないというのですか。  聞く意思がないというなら、私はっきり言いますが、あなたと同じ車両課長をやっていた人が日自振の会長に天下っているから、その辺はなれ合いで、おれもいずれ近く公務員法でもしかれたら競輪界でもおりようかなんて思っているのですか、あなた。あなたがそう疑われれば、あなただって本心でないことを疑われると思うでしょう。一方、われわれの立場になってごらんなさいな。ざくろとかレミーとかゆかりとかなんとかで、国会対策で競輪界からごちそうになった、金を贈られたなんて言われて、それっぱなしで置かれていいですか。お互いにその点は身の辺をきっぱりとしておくことが必要じゃないですか。だからこの点ははっきりさせてくださいよ。  委員長、お願いですが、監督権限があるんだかないんだかちっともわからないようですが、少なくとも国会関係というのはどういう関係なのか、もう少し具体的なものを出して、私個人でいいですから、調査したものを出してもらわなければ困りますよ。マージャン屋やバーや、そんなところで競輪の運営改善対策を講じられて、しかもそれは国会関係だなんて言われて、マージャン屋でどうやって競輪運営の改善対策を相談するのですか。調べてみましたらそういうことなんですよ。だから、少なくとも林代議士のところへ行って調査した範囲のことを言いなさい——まあ、これは委員長一人で決まらないことだったら、理事会で相談してくださってもいいですけれども、これは国会議員全体に対する名誉に関する問題だものですから。これが一日に三回も四回もあったり、一日おきにあったりするのですよ。国会関係とあったり、中央政界とあったり、何とあったりしていろいろで、ちょっと考えていただきたいと思うのですが、どうですか委員長理事会で相談してくれますか。
  112. 高鳥修

    高鳥委員長 林委員のただいまの御要請ですが、これはいろいろ方法があろうかと思います。監督官庁がいろいろ指導するということもあり得ると思いますし、あるいはまた、林委員がそれだけの資料をお持ちですから、直接当事者に対して明らかにされることを要請される方法もあろうと思います。いずれにいたしましても、ただいまの御要請については追ってまた理事会で相談してみます。
  113. 林百郎

    ○林(百)委員 それじゃ、答弁してください。
  114. 三野正博

    ○三野説明員 私も競輪担当課長を二年近くやっておるわけでございますけれども、所管の課長といたしましては、競輪界の公正、健全な運営と、さらに言えば大衆の健全娯楽のためにということで鋭意努力いたしております。  それから、競輪関係一つの団体でございます日本競輪選手会におきましても、みずからの具体的な行為が、国会の先生方はもちろん、社会的にあるいは競輪界等におきましていろいろ迷惑をかけることがあっちゃいけないというのもまた事実でございますので、これは先ほどの具体的な使途の問題ではございませんけれども、選手会といたしましても一社会的存在としてきちっと適正な行為をするようにということは厳しく注意しておきたいと思います。
  115. 林百郎

    ○林(百)委員 もう時間ですから、警察の漆間さんに大分お待たせして恐縮でしたが、選手会ではもうこういう想像以上の乱脈な経理を明らかにするために告発か告訴をする決意を固めて、近くそれが出るようになると思いますけれども、そうした場合は警察としてはそれに基づいて捜査をなさる、これは法律上決まっているから当然だと思いますが、そういうものが出た場合には誠意を持って、これは四千人に近い選手のたっての要望ですし、それから、競輪というものが庶民の健康な娯楽機関として発展もしてもらいたいと思いますし、また、競輪選手もまじめなスポーツマンとして将来伸びていってもらいたいと思いますので、そういうことのためにも——選手会はこういう財政の紊乱をそのままにしてはもう耐えられないと言うのですよ。三野さんのところに行って聞いてみても、調査調査調査でちっとも具体的な回答がない、近くもう腹を決めて告訴か告発をするつもりだということを言っていますが、そういうものが出た場合には警察庁としてはどういう態度をおとりになるか、えらいお待たせして恐縮だったですけれども、お聞きしたいと思います。
  116. 漆間英治

    ○漆間説明員 お答え申し上げます。  告訴ないしは告発というのは、御指摘のように捜査機関に捜査権の発動を促す行為でございますので、犯罪と考えられる行為があるということが前提かと思いますけれども、それを踏まえた上で適法な告訴ないしは告発がなされれば、それを受理して刑訴法の定めに従ってこれを処理するのは、捜査機関として当然の義務でございます。
  117. 林百郎

    ○林(百)委員 これで終わりますが、法務次官にもえらいお待たせして恐縮だったですが、競輪の車券の売り上げが一兆七、八千億円、約二兆円近くあるわけなんですね。地方自治体の財政を潤すそのもとは競輪選手の汗で出てくるわけです。その競輪選手が汗でかせいだ金の一部分、約二十二億近くが競輪選手会の予算として組まれているわけです。これが中央の一部のボス的な理事によってこういう乱脈な財政運営がなされているわけなんで、検察当局としてもきょうの私の質問をお聞きくださって、適切な機会がありましたら競輪選手会のこういう乱脈な財政についてもメスを入れて、四千人の競輪選手の期待にこたえるような措置をしていただきたい。具体的にいつどういう機会があるかということは、私いまここであなたに申し上げることはできませんけれども、そういう機会がありましたらそういう措置をひとつ考えていただきたい、いうことを要望いたします。  次官、えらいお待たせいたしましたが、念のために所見をお述べいただいて、私の質問を終わります。
  118. 佐野嘉吉

    ○佐野(嘉)政府委員 いろいろな団体がございますが、いずれにしても、そういう団体の経理というものは明確、明朗なものでなければならぬということは申し上げるまでもないことだと思うわけでございます。先ほど来いろいろお話がございましたが、刑事局長も答弁いたしましたが、仮に犯罪を構成するものであるという認識に立てば、そういう考え方で具体的な活動をすると思いますけれども、その辺のところがどういうふうなことなのか、まだ明確でないというようなこともあるようでございます。いずれにしても、先ほど申し上げましたように、きっちりやってもらうということは申し上げるまでもないことでございますので、いろいろな機会をとらえてそういうふうにやってもらうようお願いするということ以外にないと思います。
  119. 林百郎

    ○林(百)委員 時間がえらい超過して恐縮です。終わります。
  120. 高鳥修

    高鳥委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後二時二十三分散会