○中西(績)
委員 私は、
日本社会党を代表して、
日本学校健康会法案の採決に当たり、
政府提出原案並びに公明党・国民
会議、民社党・国民連合、新自由クラブ提案の修正案に反対の討論を行います。
本
法案が次のような問題点があることを
指摘してまいりますと、まず第一に、五十五年行政改革に基づく
文部省関係特殊法人日本学校給食会、
日本学校安全会を
統合しようとするものでありますが、同じ
文部省関係特殊法人であっても、
学校給食会は、
学校給食用
物資の適正、円滑な
供給等を図り、
学校安全会は、
児童生徒等の災害に関する必要な給付を行うことがそれぞれの
業務内容であって、共通性は希薄であり、むしろ異質のものであります。
このようにそれぞれ
目的、
業務の異なる両
法人を
統合することは、
政府関係機関等の改組、再編についての勧告にある統廃合基準、たとえば設立当初に
目的とした機能を果たしていないものを廃止するとか、同種
業務を行うものを
統合するとか、自律的
運営能力を持たないものは他に移管するなど、こうした統廃合基準にも合致せず、もし合致しているとするなら、
日本学校給食会が
昭和四十二年整理対象とされて以降、何回もその機会はあったはずであります。この
統合によって、統廃合の
目的である効率化、能率化、簡素化を目指すことは不可能であります。
しかも
日本学校健康会は、その
業務内容を見ても、単に両
法人の
業務内容を引き継ぐだけであって、何も新規の事業は見当たらず、
統合する
目的、理由は、ますます不明確であります。
五十五年行革は、中曽根長官に言わしむるならば、国民的
要望であり、五十五年改革を抜きにして前進はあり得ないと主張されていますけれども、この
統合は、
放送大学学園設立との引きかえによる数合わせ以外の何物でもなく、行政改革の真の
目的に反するものであります。
第二に、
日本学校給食会については、その発足当初の
特殊法人が
学校給食用
物資を
供給するという食糧難の時代背景を持った
役割りはすでに終っています。しかも
日本学校給食会は、大手企業と結びついた
物資の
供給、高級官僚の天下り人事などの批判を浴びており、
物資供給をめぐっての疑惑さえ呼んでいます。
このように
日本学校給食会は、すでにその設立当時の
目的を終えている事情に照らして、そのあり方に抜本的な検討を加えるべき時期になっています。
統合は、この課題をあいまいにして、しかも事業内容等何ら改革、改善もなく、従来の機能、組織を存続させようとするもので、この際にこそ行うべきである民主的改革を実行する機会を失う
ことになります。
第三に、
日本学校健康会の
運営組織の中で
日本学校安全会、
日本学校給食会には、
運営審議会、評議員会が設けられ、定款の変更、毎事業年度の予算及び事業
計画等については、
理事長は、あらかじめ
運営審議会あるいは評議員会の
意見を聞かなければならないことになっているが、
日本学校健康会の
運営審議会は、単なる
理事長の諮問
機関で非民主的な
運営機構になっており、
運営上
理事長の権限強化は将来禍根を残す結果になります。
以上の理由から、
政府提出原案に反対します。したがって、自民党修正案については、「廃疾」を「障害」に改めることは理解できますが、期日の変更等もあり、原案に反対でありますので、自民党修正案に反対をします。
さらに、公明党・国民
会議、民社党・国民連合、新自由クラブ提案内容については、
日本学校給食会に問題あることはよく理解できますが、法の修正に係る内容ではなく、修正する
意味が不明であり、賛成できません。誤りある五十五年行革路線に沿った数合わせにすぎないこの
統合は中止すべきであります。
昭和五十五年九月十二日、行政管理庁が示した「今後の行政改革に関する
基本的な
考え方」の中にあるように、納税者の
立場に立って、親切、清潔かつ能率的な行政を
実現するための行政サービス改革としなくてはなりません。拙速的な
統合をやめて、
日本学校給食会の民主的改革と国家賠償を基調とする
安全会のあり方を、この際、一定の期間と余裕を持って中長期にわたる
計画立案のための再検討をすべきであります。この主張が、第二次臨時調査会の行政改革案の中に生かされるならば、国民要求に沿った真の行政改革を成功させることになると確信します。
以上、
政府提出原案並びに修正案に反対する私の討論を終わります。