○
船田委員 これまでの
質問は、いわゆる
現職教員の研修ということについてでございましたが、今度はちょっと立場を変えまして、新しく
教員を
養成する課程について、自民党におきましては、最近文教部会の中に五つの小
委員会をつくりました。たとえば
教育の正常化を図ったり本当の意味での国民
教育を実現するために五つの小
委員会に分けていろいろと議論を始めたことは、皆さんもよく御承知のことと思います。
その一つに、
教員問題小
委員会というのがございますけれども、現在の
教員養成制度のあり方、それから免許を付与するときの制度のあり方、さらには各都道府県の
教育委員会が行う採用試験、そういったものについても、これからどんどん
調査を行って、
問題点があれば、それをどんどん提起して、そして必要に応じて意見を発表していこうということになっているわけです。
特に第一回目の会合で問題になったことは、
教員養成における
教育実習というのが、現在の段階では大変不十分である、ですから、新任の
教員が初めて
学校の教壇に立ったときに立ち往生してしまうというようなことがしばしばある。あるいはまた免許状取得者の数に比べて実際に教職に就職する者の数が非常に少ない。たとえば
昭和五十五年度三月卒業の
大学、短期
大学、
大学院の
学生、これは全部合わせますと五十三万四千二百人になる、その中で免許状を取った者が十七万四千五百人、卒業者三人に対して一人が少なくとも何がしかの免許状を持っている、こういう
現状でありますし、さらには、その五十五年度三月に卒業した者の中で実際に教職についた者が四万二千人、すなわち免許状取得者四人に対してわずか一人しか実際に教職についていないという
現状であるわけです。
こういった
現状を生み出したのは一体何か。それは免許状を与える基準がいまのところ非常に甘過ぎるのだ、あるいはまた
教員免許を受けるときの
学生の心構えというのでしょうか、
教員免許でも取っておこうかというような甘い
考え方がその数字になってあらわれてきている、こういう議論が出たわけです。もちろん、これらの問題については、すでに五十三年九月の
教育職員養成審議会教育実習に関する専門
委員会の報告の中にも挙げられているわけです。たとえば「多くの
学生が免許状を取得することについては、これを通じて
初等中等教育への関心を深めることができること、これら多数の免許状取得者の中から
資質の優れたものを
教員として採用することができること」という長所を挙げているわけですが、それと同時に、欠点といたしまして、「こうした多くの
学生の中には、教職についての意識や態度、能力等に問題がありながら、一種の経歴ないし将来の必要に備えての資格として免許状を取得するものがあり、そのため免許状の社会的及び専門的評価を低下させているという意見も否定できない。」ということも挙げているわけで、これは非常に鋭い
指摘である、このように考えているわけです。
この議論をもっと進めていきますと、現在の開放制の
教員養成制度そのものの正否ということも問われるわけでございまして、実際に先ほど申し上げた小
委員会の中では、現在の開放制よりもむしろかつての師範
学校の制度の方がよかったのじゃないか、もちろん、その師範
学校には
教員になる者だけしか入れなかったわけですね、ですから、その
教員になるという意欲といいますか心構えというものは、戦前の師範
学校の方がむしろ強かったのじゃないか、こういう議論まで出されたわけでございますが、このことにつきまして、大臣あるいは
大学局長は一体どのようにお考えになっているでしょうか。