○志賀(学)
政府委員 それでは、非常に広範な御質問でございますので、私の方から円レートの円高基調が石油製品価格にいかなる影響を与えたかという問題、それから石油安定供給の問題、それから石油製品の値上げの問題、この三つについて
お答えいたします。残りの問題につきまして、円レートの今後の見通しの問題、これは大蔵省の方から
お答えいたします。その他のエネルギー
関係は、
資源エネルギー庁の担当の
部局の方から
お答えいたします。
まず、円高がいかなる影響を石油製品価格に与えたかという問題でございますけれ
ども、
先生御案内のように、昨年の四、五月ごろから円高傾向が続いたわけでございます。こういった円高傾向を背景にいたしまして、昨年の六月下旬から七月初めにかけまして石油業界は元売り仕切り価格の引き下げを行ったわけでございます。他方、実は昨年の六月以降現在までにOPEC諸国がGSPベースでバレル当たり大体四ドルの値上げを行ったわけでございます。ただ、引き続きます円高傾向を背景にいたしまして、その後も石油業界におきまして石油製品の価格の安定に
努力をしてまいったところでございます。
ただ、
実情を申し上げますと、昨年の秋ごろから実勢価格が低下をしてまいりまして、他方、先ほど申し上げましたように、OPECの原油価格の引き上げがあったわけでございます。そういったことを背景にいたしまして昨年の秋ごろから民族系を中心といたします非アラムコ系の石油企業の収支、
経営状況は次第に悪化してまいっているところでございます。特に昨年の十二月にOPEC総会におきまして原油価格の引き上げがあったわけでございますけれ
ども、あわせましてことしの二月ごろから円安傾向に転じつつあるということも重なりまして、最近におきましては石油企業の収益
状況は去年の秋に比べまして非アラムコ系を中心にしてさらに悪化してきている、こういう
状況でございます。一言で結論的に申しますと、円高基調は昨年来
日本の石油製品価格の安定に寄与してきた。ただ、一方において石油企業の
経営状況は非アラムコ系企業を中心にして悪化してきた、こういう
状況でございます。
それから、石油の安定供給の問題でございますけれ
ども、私
どもの
考えといたしまして、価格の安定を含めまして需要に見合った石油を安定的に
確保していくということがやはり石油
政策の基本であるというふうに思っているわけでございます。そのために、第一は、やはり産油国とのつながりを深めるということ、それから第二には、
日本の周辺海域を含めましてその自主開発などを進めながら、供給先の多角化を図っていくということ、これが基本であろうというふうに思っております。
同時に、
先生から御
指摘がございましたように備蓄の問題でございます。備蓄につきましては、御案内のように民間備蓄九十日を目標にいたしまして従来から
施策を展開しているところでございまして、大体所期の
目的は達しつつあるというふうに理解をしております。ただ、民間備蓄九十日だけではやはり不足でございまして、そういう
意味合いから五十三年度から国家備蓄三千万キロリットルを目標に現存石油公団におきまして準備を進めつつあるということでございます。すでにむつ小川原あるいは東苫小牧におきまして会社の設立及び着工というような運びになっているわけでございます。
それから次に、石油製品価格の値上げの問題でございます。先ほど申し上げましたように、石油業界におきましては昨年来の円高傾向というものを背景にいたしまして価格の安定に努めてまいっているところでございます。ただ、先ほ
ども申し上げましたように、他方において実勢価格の下落というようなこともございましたし、あるいはGSPの引き上げという問題もあったわけでございます。こういったようなことから、昨年の秋ごろから民族系企業を中心といたします非アラムコ系企業の収益
状況というのが逐次悪化をしてまいっているところでございます。特に昨年の十二月のOPEC総会の引き上げもあったということ、あるいは最近の円安傾向というような傾向がございます。そこで、こういったような
状況を踏まえまして石油元売り会社におきまして価格の安定のために
努力をしてきたわけでございますけれ
ども、企業
努力にも限界が見えつつあるというような
見地から値上げを検討しているというように私
どもは
承知しております。いずれにいたしましても、値上げのタイミングあるいは
内容、そういった問題につきましては基本的には各石油元売り会社の判断にまつべきものであるというふうに思っておりますけれ
ども、私
どもといたしましては、石油企業から値上げのお話があった場合には、その値上げを行う事前に十分
事情を聴取いたしまして、便乗的な値上げがないように厳重に監視をしてまいりたいと思っているわけでございます。