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1981-03-24 第94回国会 衆議院 物価問題等に関する特別委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十六年三月二十四日(火曜日)     午前十時十一分開議  出席委員    委員長 井上  泉君    理事 青木 正久君 理事 岸田 文武君    理事 谷  洋一君 理事 吹田  愰君    理事 小野 信一君 理事 武部  文君    理事 長田 武士君 理事 塩田  晋君       小澤  潔君    亀井 善之君       木部 佳昭君    田名部匡省君       長野 祐也君    牧野 隆守君       金子 みつ君    春田 重昭君       中野 寛成君    岩佐 恵美君       依田  実君  出席政府委員         経済企画庁物価         局長      廣江 運弘君         運輸省鉄道監督         局長      杉浦 喬也君         運輸省鉄道監督         局国有鉄道部長 永光 洋一君  委員外出席者         文部省大学局学         生課長     菴谷 利夫君         日本国有鉄道総         裁       高木 文雄君         日本国有鉄道常         務理事     加賀山朝雄君         日本国有鉄道常         務理事     吉井  浩君         日本国有鉄道常         務理事     橋元 雅司君         特別委員会第二         調査室長    秋山陽一郎君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  物価問題等に関する件      ――――◇―――――
  2. 井上泉

    井上委員長 これより会議を開きます。  物価問題等に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小野信一君。
  3. 小野信一

    小野委員 国鉄運輸大臣申請いたしました運賃改定のための理由を拝見いたしますと、国鉄再建法成立によって再建のための法的基盤が整備され、抜本的な国の行財政上の対策がとられることになったと評価しておりますけれども、私はそれほど今回の再建法成立によって国鉄財政が抜本的に改善されるとは考えませんけれども、具体的に再建のための法的基盤とは何を指しており、抜本的な国の行財政上の対策とは何を指しておるのか、まず説明を求めます。  この二つのことは、国鉄みずからの厳しい経営改善努力を前提としながらも、物価上昇に見合う運賃値上げをすることによって、五十年代あるいは六十年の初頭に収支均衡ができるという内容を含んでおるのかどうか、答弁を求めます。
  4. 高木文雄

    高木説明員 国鉄再建につきましては、五十二年の暮れに閣議了解がなされまして、二年間で再建についての具体的な案を立てるべしということになりました。そこで五十四年の七月に、私ども基本構想案というものを運輸大臣に御提出いたしたわけでございます。さらにそれを政府部内で御検討の結果、五十四年の十二月段階でまた閣議決定がありました。その中で、法律を必要とする事項についてのみ再建法という形でまとめられたわけでございます。  したがいまして、ちょっと再建法だけでは全体の姿が必ずしも明らかになっているとは言えないわけで、再建のための所要事項のうちの要法律事項だけが法律としてまとめられたという経緯でございますので、あるいは再建法成立といいますか、再建法があるということであたかも国鉄再建できるかのごとき表現を先ほどの申請の文書の中でも、読み方によっては確かにそういうふうに読めるかもしれないので、その点はいささか不十分な面があったかと思います。  そこで、法的措置としてどういうことが認められたかといいますと、何といいましても一番問題点になりますのは、私ども法律に基づきまして経営改善計画を立てまして、それを政府に御提出いたしまして政府の御認可を得るということになっております。具体的には、この再建計画の中で収入をどういうふうに見込んでいくか、経費をどういうふうに組み立てていくか、なかんずく一番問題となっております人件費の問題をどう扱うかというようなことを盛り込みまして経営改善計画を御提出いたさなければならないわけでございますが、実はまさにその作業中でございまして、いささかおくれておりますけれども、現在作業中でございまして、一日も早くこれを御提出申し上げて御認可を求めたいと思っております。  それからもう一つ大きな点は、五十四年末でいわゆる過去債務のたな上げ、これは大変むずかしいことでございますけれども財政負担を伴うものでございますけれども、これをお認めいただいた。これは法律でなければできませんので、お認めいただいたわけでございます。なお、所要助成等につきましても、助成をすることあり得べしという旨の規定が再建法の中に入っておるわけでございます。その意味で私どもがかねてからお願いしておりました助成というものについての位置づけが従来よりはより明確になったというふうに言えるかと思います。  そうしたことを踏まえまして、先ほど御指摘になりました、申請段階再建基盤がほぼ整ったという趣旨のことを触れたわけでございますが、さて、これが実際完全にその再建にたどりつき得るや否やというのは、むしろ今後におきまして私どもがどのように企業努力をしていくかということにかかっているわけでございまして、われわれとしては真剣に一生懸命にこれに取り組んでまいりますけれども、なかなか多くの問題を含んでおり、率直に申し上げて非常に努力努力を重ねなければできない仕事であるということで、覚悟を決めておるということでございます。
  5. 小野信一

    小野委員 今回の運賃値上げ旅客貨物とも改定平均して九・七%申請になっております。国鉄再建法第二条、経営再建目標からしても五十年代に、すなわち昭和六十年度には収支均衡の回復がなされるための第一歩でなければならないし、そういう目標のもとに今回申請がなされたのだろう、そう考えます。  そこで、六十年度の収支バランスがもし図られたとした場合に、事業収入に占める運賃割合はどの程度目標にしておるのか。何割程度目標として今回の運賃改定が逆算して設定されたものなのか。そうなりますと、逆算いたしまして毎年どの程度運賃値上げが図られなければならないと算定されておるのか。同時に、この計算経費増加額と表裏の関係にあるわけですから、経費増をどの程度見込んで計算されておるのか、説明を求めます。
  6. 加賀山朝雄

    加賀山説明員 お答え申し上げます。  六十年度におきます運賃収入ウエートいかんということでございますが、むしろこの計画を現在いろいろ検討し、作成しておる段階でございまして、現在その数字の詳しい点は申し上げられませんが、先ほど総裁申し上げましたように、そもそもの基本的な考え方というものは、五十四年の七月に出しました基本構想案をつくりました段階で私ども考え方をまとめたわけでございます。その段階におきます考え方といたしましては、やはり何とか六十年までに経営健全基盤を確立をする。経営健全基盤を確立すると申します意味は、御承知のとおり国鉄におきましては、たとえば年金とか退職金というような問題が大変この時期異常な問題を抱えております。したがいまして、それらを含めましてすべてを収支均衡に持っていくというのは、大変むずかしい命題でございます。むしろその問題は、六十年度以降において急速に退職人員が減るというような問題も抱えている問題でございますので、いわゆるこの時期におきます異常な年金退職金のような分は一応除きまして、いわゆるノーマルな姿におきます経費を何とかバランスに持っていきたいということを基本的な考え方にいたしました。その過程におきまして、まず何といいましても国鉄企業努力が最優先すべき問題である、いかにして経費を減らせるかということを詰めたわけでございまして、いわゆる人件費におきまして三十五万人で何とかやり得る体制をつくりたいということを中心にいたしまして、物件費その他もろもろ経費におきまして最大限の努力をして、経費を極力少なくするということがまず第一点でございます。さらに、そのほか収入をいかにしてふやすかということが同時に収支バランス基本的命題になってまいりますが、収入におきましては運輸収入、いわゆる運賃収入というものが国鉄事業の主体でございますから、当然大きな幅を占めております。五十六年度の予算で見ますならば、全体収入の約八四%が運輸収入でございまして、関連事業収入が六%、助成金が約一〇%という構成になっておりますが、そのような構成割合をどうするかということよりも、いわゆる関連事業収入その他運輸収入におきましても企業努力によりまして増収を図れる分がどのくらいあるかということを見込みまして、さらに先ほど来のいろいろな助成措置等も加味いたしまして、運輸収入を少なくとも物価上昇率見合い程度のものは何とか上げさしていただくならば収支均衡に達するであろうという一つ見通しを立てたわけでございます。  御承知のとおり、国鉄運賃法定緩和法によります改定限度額というものは経費上昇率範囲内となっておりますが、経費上昇率範囲という形になりますと、現在収入経費を下回っている状態におきましては同じ金額をかせごうとすれば上昇率は若干高くなるわけでございますけれども、それを物価上昇率並みに何とか抑えた形で収支均衡、先ほど申し上げました特別な損失を除きまして収支均衡に持っていきたいという想定をいたしたわけでございます。その結果の割合というものは、大体現在程度の、約八割程度運輸収入で賄うという形になっているわけでございます。
  7. 小野信一

    小野委員 過去運賃値上げがありますと乗客あるいは荷物の方が国鉄離れをする、こういう実績があります。今回九・七%の運賃値上げ申請いたしておりますけれども皆さん専門家から見ればはなはだ不十分なものとは思いますが、私ども調査した結果によりますと、昭和五十年の十一月二十日、改定率一一%の際には実収率は八・六%、五十一年十一月六日、五〇・四%の改定率の場合は実収率か三六・九、五十四年の五月二十日、八・八%の場合には八%、五十五年四月二十日、四・五%の場合には三・六%、こう計算されております。今回九・七%申請した場合に幾らの増収を見込んでおり、これは見込み額に対して実収率をどの程度見込んで計算しておるのか、計算内容報告を求めます。
  8. 橋元雅司

    橋元説明員 先生おっしゃいますように、最近におきましては旅客貨物とも運賃改定の都度若干のいわゆる国鉄離れの現象が生じておるわけでございます。五十五年実績はまだちょっとまとまっておらないわけでございますが、過去五年間におきまする運賃改定実績増収予定との乖離でございますが、もとより毎年の収入実績と申しますのは賃率改定による増収景気動向、それからその年の他の運輸機関競争関係といったものに影響されるわけでございますが、仮に昭和五十年を一〇〇といたしますと、五十四年の運賃水準が、旅客は一八八になっております。対する収入実績でございますが、旅客は一六五の収入実績でございます。同様に貨物につきましては、運賃水準が五十年に比較しまして五十四年で一七四になっておりますが、実績は一四七となっておるわけでございます。  この数字に見られますように、ある程度輸送量減は事実でございます。しかしながら、運賃改定が相当の収入増加をもたらしておることもまた事実でございます。  そこで本年の運賃改定でございますが、改定率客貨ともども九・七%の名目改定申請を申し上げたわけでございますが、最近におけるそういった実績を踏まえて、私どもこれを利用減と申しておりますが、旅客につきましては九・七の名目に対して実収率は七・七%であろう、そしてまた貨物については、九・七%の名目改定に対しまして実収率は八・六%であろうということでございます。  その利用減につきましては、三十年代からこういったモータリゼーションの進展に伴って利用減は事実あらわれてきておるわけでございますが、四十年代に入りまして、従来はミクロ的に積み上げてまいりましたものを、かなり専門家による計算式によって、利用モデル式を使って算定をいたしております。そのモデル式もろもろ説明変数を加味いたしましたモデル式によりましてこういった利用減率をはじき出し、名目実収をそれぞれはじき出しておるわけでございますが、今回につきましてもこういった改定に伴う名目実収乖離が見られますので、この乖離をできるだけ埋めるべくきめの細かい増収施策を展開しなければならないと考えておる次第でございます。
  9. 小野信一

    小野委員 この申請理由を見ますと、今回九・七%で一千九百七十億円の増収を見込んでおります。これは法定限度額を下回ると同時に、その理由を見ると、輸送市場実態物価動向からすれば私は値上げしない方が最善の方法だろうと考えています。しかし、九・七%の値上げ申請を行っておりますので、その増収内容がもし計算してありましたら報告を求めます。増収内訳です。
  10. 橋元雅司

    橋元説明員 先生御承知のように、今回の運賃改定申請におきましては四月二十日以降実施をさせていただきたいということで、まず旅客でございますが、千六百五十四億の増収を予定いたしております。その内訳でございますが、普通運賃は八百四十四億ですが、料金につきましては四百十七億、それから定期運賃につきましては三百七十二億、荷物運賃につきましては二十一億ということで、以上四つのそれぞれで最初申し上げました千六百五十四億に相なるわけでございます。貨物につきましては、車扱いが二百五十八億、コンテナが五十八億、しめて三百十六億ということでございまして、以上旅客の千六百五十四億と貨物の三百十六億を合計いたしますと、千九百七十億ということに相なるわけでございます。  以上でございます。
  11. 小野信一

    小野委員 国鉄再建至上目的として日夜御努力しているわけですけれども、今回法定限度内の値上げに抑えなければならなかった理由について、輸送市場実態物価動向、こういう言葉で表現しておりますけれども、その内容、その背景について、総裁から改めてお聞きいたします。
  12. 高木文雄

    高木説明員 限度額と申しますと約三千億をちょっと超えるような数字が出てまいります。それを現在の収入二兆強というものと比較しますと、限度額では一五%ぐらいの運賃改定幅ということが法律上許されることになるわけでございますが、一つは、特に昨年の二月、三月ぐらいから経済がかなり停滞ぎみといいますか、低調ぎみであるということもありまして、五十五年度に入りましてから、貨物旅客輸送実績がかなり低調でございます。運賃水準の問題も確かに非常に大きな問題ではございますけれども、私ども収入というのはやはり経済活動が活発であるかどうか、それから消費者のふところぐあいがどういうぐあいであるかということによって非常に動くわけでございまして、昨年の四月二十日に五%弱の改定をさせていただきましたけれども、その影響もございますでしょう。しかしまた、たまたまそういう景気動向もございますでしょう。そういうものからの影響を受けまして、収入は思ったほど伸びておりません。  そこで、今回の場合にどう考えるかということでございますけれども、そういう輸送実態あるいはお客様の動向というようなものから考えるならば、ただいまお触れになりましたように、あるいはまたしばしば各方面から御批判をいただいておりますように、運賃をできれば改定しないことが望ましい、あるいは上げるにしてもその上げ幅を小さくすることが望ましいと考えるのが常識的であろうかと思っています。  ところが、そういう営業政策立場をやや離れまして、今度は経営収支状況の方を見てみますと、実は五十五年の四月一日に電気料金改定がございましたし、五十四年の暮れから第二次オイルショックの影響で、私どもが使っております燃料費等の値上がりが非常に大きくあらわれまして、五十五年度は、当初見込みましたのと比べまして千億を超える燃料費あるいは動力費といったものの増加を見たわけでございます。そういう点から残念ながら五十五年度は当初予算改定して補正予算を御提出申し上げ、御審議願わなければならないことになり、その補正予算では年度末に一兆三百億円を超える赤字が予想されるような状態になりました。そっちの経営状況から申しますと、先ほど申しました営業政策の見地とはまた違う立場から見てみますと、どうしてもこの際収支バランスさせる努力をしなければならないということでございまして、一方においてはなるべく上げない方が望ましい、一方においては何とか少しでも収入を上げさしていただきたいということで、予算編成過程において二千億前後の収入増を見込むことにしたわけでございますが、その二千億という数字は、大体名目現行運賃に対して一〇%増ぐらいに当たるわけでございます。  一〇%というところに一つのこの判断基準を置きましたのは、基本的にはいまの経済情勢なり輸送事情から言えば決して環境がよくないわけでございますし、それから国民生活の面からいいましても、家計状態は、最近発表になっておりますように実質所得が減るというような状態になっておりますから、物価の問題、家計負担問題等からいいまして、とても大幅な値上げはできない、一方においてうちの経営から言えばそういうことだということからぎりぎり一〇%を超えないところで何とかやっていくかということに、これは私どもだけではなくて政府段階でも御判断いただいたわけでございまして、ことしの改定はそういう相矛盾する二つ環境のもとにおいて非常に苦しいところにあるわけでございます。  いまの御説明でなかなか御納得がいただけないと思いますけれども、要するに営業的な立場経営的な立場の一種のクロスポイントというようなところで求めたつもりでおるわけでございます。
  13. 小野信一

    小野委員 次に経済企画庁にお尋ねしますけれども、今回千九百七十億円の増収を図るために九・七%の運賃値上げ申請をいたしております。これが物価に与える影響についてです。五十五年度でも政府は、公共料金物価上昇に与える影響は非常に軽微でわずかに〇・八%程度だ、こう説明しておりました。しかし五十五年の四月から十一月までの消費者物価指数の対前年同月比上昇率は八・三%であります。この中に公共料金の占める割合は二・二%と計算されております。政府算定の三倍弱になっています。昨年初めの公共料金主導型の物価上昇をわれわれはこの物価委員会で警告いたしました。私どもの警告の方が正しかったように思います。五十六年度もまた同じ轍を踏まないという保証はございません。やはり心配なところであります。政府消費者物価への影響試算は、消費者物価指数作成時のウエートを使って直接効果だけを計算して発表いたします。二次、三次の影響力計算されておりません。これらを計算いたしまして、今回の鉄道運賃消費者物価に与える影響はどの程度計算しておるのか、経済企画庁説明を求めます。
  14. 廣江運弘

    廣江政府委員 最初に五十五年度の公共料金について申し述べたいと思いますが、当初政府は、予算関連公共料金の五十五年度消費者物価への寄与度を〇・八%と申し上げました。予算関連だけではなくて、そのほかにも公共料金はあるわけでございまして、ただ政府が当初見通しで申し上げますのは予算関連について申し上げるだけでございまして、そのほかの公共料金につきましては、申請を待ちまして部内で調整をいたしまして決めますものですから、あらかじめこれを申し上げるというのはいかがなものかということで控えさせていただいているわけでございまして、当初から〇・八で終わる、〇・八で済むというふうには申し上げなかったわけでございます。もちろんその段階でも電気ガスといったようなものは想定されておりましたし、そのほかのもろもろ地方公共団体等公共料金等もございますわけですから、〇・八で終わるとは申し上げなかったわけでございます。結果で申し上げますと、先ほど委員が御指摘になりましたように、この一月までの平均でございますと八・一%上がっておりますが、そのうち公共料金寄与度は二・二%程度でございます。その二・二%程度のうち最初〇・八と見ました予算関連公共料金は〇・五でございます。そして一番大きなウエートを占めますのは電気ガスでございまして、これが一・一%程度引き上げております。そのほか〇・六%程度のものがその他ということになりまして、合わせて二・二%ということになっておるわけでございます。  そこで、五十六年度でございますが、政府は先ほど申し上げました予算関連公共料金は五十六年度は〇・三%程度、こう見ております。もちろんそのほかにも、先ほど申し上げましたように、予算関連以外のものもカウントしなければいけないわけでございますが、これは前もって申し上げるのはいかがかということで控えさせていただいておるわけでございます。  さて、お尋ねの国鉄運賃値上げでございます。これは申請改定額が九・七%というのをベースにいたしまして試算をいたしますと、国鉄運賃値上げ消費者物価指数に与える影響は先ほど御指摘になりましたように約〇・一三%と考えております。これはもちろん直接影響を見ておるわけでございますが、間接的影響が全然ないとは考えられないかとも思いますが、物価は御承知のようにそのときどきの需給関係によって左右されます。したがって、間接効果を的確に把握するということは非常に困難なわけでございます。需給状況もございますし、またこちら側での生産性の向上もございますし、節約効果といったようなものも考えなければいけませんので、一義的に間接効果はこれこれというふうにはなかなか算定できない、困難である、したがって私ども国鉄運賃値上げ影響は〇・一三%程度である、こういうふうに申し上げておるわけでございます。
  15. 小野信一

    小野委員 次に、地方交通線への割り増し運賃制度導入についてでありますけれども国鉄再建法第十三条を根拠にして特別料金制導入を図るようでありますけれども、三月三日のある新聞の夕刊に、二百四十五線のうち地方交通線百七十五線に特別料金割り増し制度導入する、こういう記事が出ておりました。もしこれが事実として、四月二十日平均九・七%の値上げ、そして年度内にまた地方交通線割り増し制度導入になりますと、一年に二度の運賃値上げということになります。しかし、国鉄の方も運輸省の方もこの導入制については新聞に出ておるような内容を提供したことがない、こういう話をいたしております。ただ、国会の論議の過程からして本年度導入されるごとは確実なようでありますけれども、この特別料金制度導入についていま国鉄なり運輸省はどのような考え方を持っておるのか。もし導入するとすれば、いまどのような作業を進めて、いつごろこれを実施に移そうとしておるのか、答弁を求めます。
  16. 高木文雄

    高木説明員 今回の運賃改定申請いたします場合に、いまお触れになりました地方交通線といいますか、幹線以外の部分についての特別運賃システムをことしの改定の機会に導入させていただくかどうかということを検討いたしたわけでございますが、申請をいたしました二月上旬の段階ではいわゆる幹線概念あるいは地方交通線概念というものをどういうふうに整理するかということについての整理が終わっておりません。再建法に基づく政令が出ましたのは三月でございますので、その政令が決まっておりませんでしたから申請段階では技術的に無理だということで見送ったわけでございます。ただ、再建法の御審議の過程でもしばしば関係委員会で御説明をいたしましたけれども、現在のように全国統一運賃というシステムでありますと、都会地では私鉄等に比べて国鉄の方が非常に高くなっておる。それから地方へ参りますと地方は余り私鉄が発達はしておりませんけれども、さらにバス等関係を見ますと国鉄の方が大変安い水準にある。これはなぜかというと、いまの運賃システムは私バス、私鉄その他につきまして主としてやはり具体的にあるいは地域別にあるいは企業別にコストをベースにして、コストを頭に置きながら運賃が立てられるわけでございます。ところが国鉄の場合は必ずしもそういうことでなしに、現在かなり赤字のままになっておりますけれども、それでもなおかつ慣例的にもうずっと古くから全国統一運賃ということになっているわけでございます。そこで、現在それぞれの地域におきます地域交通の問題を考えます場合には、いままでのように国鉄が統一運賃であることに一つ問題があるんではないかということがございます。  それからもう一つ地方交通線につきましては、五十六年度予算で見ますと約千二百億円の助成金が一般会計負担で出されておるわけであります。そこで、鉄道を御利用にならない国民の方々、納税者の方々の御負担において千二百億円もの補助金が出ているということを考えますならば、やはり御利用いただいている方に何分の負担増を求めるのが筋ではないかということが考えられるわけでございまして、運賃制度全体として統一運賃についてこれを漸次直していきたいという考え方があり、もう一つは、いまの補助金との関係からいって利用者負担と納税者負担バランスを若干でもとるべきではないかということから再建法特別運賃システムが取り入れられたわけでございますので、私どもといたしましては、政令が出されたということによってほぼ条件が整ってきたわけでございますので、条件が整いましたならばなるべく早く準備をして、そして年度内にもあるいは年内にも申請をいたしたいというのが現在の考え方でございます。  ただ、一方またこの地方交通線問題は大きな社会問題として地域の方々に非常にショックあるいはハレーションを与えておりますので、いま地方交通線問題で特に特別地方交通線につきましてレールからバスへの転換ということについて地元の方々と御協議を申し上げなければならぬという事態になっておりますから、そういう時期にまた特別運賃制度を導入してくることについて相当刺激的であるという問題がありまして、たてまえとしてはなるべく早い時期にこのシステムを持ち込みたいとは思っておりますけれども、その時期の選択等についてはなお私自身がまだその決意をいたすところまでは来ていないわけでございます。なお、技術的な面等につきましては大分前から研究をいたしておりますので、技術的にはそういうシステム導入することは十分可能であるというふうに考えておるわけでございます。  それから、ただいまお触れになりましたように、四月に改定があってさらに加えて年内にというのはいかがかということでございますけれども、これは確かに年内に二回というのは、いかにも国鉄はしょっちゅう値上げしているではないかという印象になりますので好ましくないということは私ども承知をいたしておりまして、それらを考えながら、どのような時期にどういう形でお願いをすることになるのか、これはもう少し地方交通線問題についてのいろいろの取り組みの具体化の進行とにらみ合わせながら決めなければならないと思っておりますが、予算ではことしの運賃改定は二千十億ということになっておりますし、今回お願いしております運賃改定実績で千九百七十億となっております。そこに四十億の乖離があるわけでございますが、これはやはり地方交通線についての特別運賃のことを頭に置いたものでございますので、いずれその問題を御提案申し上げ、諮問をいたしまして、御審議願わなければならないであろうというふうに考えております。
  17. 小野信一

    小野委員 結論から申しますけれども地方交通線、特に特定地方交通線が走っておるところというのは、私から言うまでもなく、過疎であり、低所得地域であり、低開発地域でありまして、その逃げ場のない地域に特別料金制度導入されるということは、まことに過酷な条件が付加される、そう考えられますし、今回の導入が行われますと、地域住民に大きな衝撃を与えることは間違いありません。特に現在の四千人未満の特別地方交通線、現在四千人以上であっても、特別料金導入によって四千人未満に乗客が減少した場合に、また他の輸送機関に転換するという施策が国鉄なり運輸省の方から提案されるのではないか。要するに、運賃値上げ導入が行われることによって客離れすることによって、廃止からあるいは転換から免れたけれども、今度は適用されるのではないか、こういう心配をしている地域がたくさんあります。したがって私は、特別料金導入制度というのは、単に料金だけの問題ではなくて、地方交通線の存亡にかかわる問題に発展いたす可能性の大きな問題でありますので、十分配慮していただきたいと思いますけれども、再度総裁の考え方をお聞きいたします。
  18. 高木文雄

    高木説明員 御指摘のことはよくわかるわけでございますし、そういう御批判を各方面からいま寄せられております。  ただ、あえて一言だけ申し上げさせていただきますと、現在地方交通線ということで納税者負担で補助金をいただいております千二百億という金額の対象路線は、いま廃止とかなんとかということの議論の対象になっております特別地方交通線とは別に、全国で約一万キロ弱前後のもの、いわゆる幹線以外の地域についての助成金でございますので、先ほども申しましたような観点から、特別運賃システム導入するといたしますと、レールからバスに切りかえるとかいう地域についてではなくて、もっと広い範囲について考えているわけでございますので、それは決してそういう制度を導入することを通じて、さらに過疎化といいますか、乗客が減ることを何らかの意味においてねらいとしているというものではないわけでございます。ただしかし、そうは申しましても、いま御指摘のように、非常に都会中心的な物の考え方といいますか、地方を軽視した物の考え方ではないかという感情的、気分的な反対が非常に強いということも十分承知しておりますので、その辺をどのように仕組んだらよろしいかということについては御指摘のように、よけい負担をしなければならないことになる方々のお気持ちも十分考えながら具体案をつくることにいたしたいと考えておるわけでございます。
  19. 小野信一

    小野委員 民間企業が経営が悪化した場合に、最初増収を図るための手段は、何といってもお客さんに対するサービス向上であります。しかし、国鉄の場合に、三月九日の岩手日報を見ますと、地方線が本線に、盛岡駅に入ってくる場合に、一分遅いために特急に間に合わないという例が具体的に出ております。  私、それをヒントにして時刻表を調べてみますと、盛岡駅だけで、はつかり一一号、十六時四十四分で、花輪線が十六時四十六分着、二分の差のために間に合いません。はつかり一五号は、盛岡発十六時二十六分ですけれども、田沢湖線が十六時二十三分着、これもまた三分差で間に合いません。そのほかに、四分差、五分差、七分差と、各二分ずつローカル線と東北本線特急との時間のずれのために接続不便をいたしておる事実があります。  私は、こういう事実を見まして、果たして国鉄がローカル線を大切にし、地域住民を大切にし、ひいてはお客様を大切にするという感覚を持っているんだろうか、まことに不思議に感じました。もし私鉄であるならば、こんなことが許されるはずがありませんし、絶対に行われないはずです。私は、改めてこのような悪ダイヤの改正を、今回の値上げを機会に、あるいはダイヤの改正の機会に徹底的に洗い直して改善していただきたいと考えます。総裁の決意のほどをお伺いします。
  20. 高木文雄

    高木説明員 接続が悪いという問題には、私どもも実はほとほと弱っておるわけでございます。決して意識的にそういうふうにしてあるわけではないのでございまして、どういう理由でそういうことになるかといいますと、結局駅におきますレールないしプラットホームの設備が足りないものですから、いまの例で申しますと、本線の方の特急なり急行なりが発車しました後のレールとプラットホームを利用して、支線から入ってきた車両をそこへとめるという形になっておる駅が、全国的にかなりの数になっております。  その問題を解決するためには駅設備を改良しないことには何にもならぬわけでございまして、これについては全国でかなり多くの分岐駅においてそういう問題が発生いたしております。気持ちといたしましては、いかにも間が抜けているというか、営業的に見てもまずいわけでございますし、お客さんにも、待ち時間が長くなって大変御迷惑をかけておるわけでございますので、基本的には、そうしたものを何とか解決をしていきたいという気持ちを持ちつつ、同時にしかし、あれをもっと工夫すれば何とかなる場合も残っているかもしれませんけれども、一般的にはかなりいつもそういう御指摘なり御批判をいただいておりますので、現場でもできるだけのことはしていると思うのですけれども、どうも設備の関係でうまくいかないということでございます。可能な範囲のものにつきましては、いろいろな機会にそれを直していくという努力はいたしていくつもりでございますけれども、実は余り御期待いただくほどにはなかなかいかない。駅設備を改良するとなりますと、やっぱり何億あるいは十億を超える経費が一駅についてかかりますものですから、いまの状態からいくと、そこへの投資は金の面でもなかなか余裕がない面もありますし、また、それだけの投資効率は上がってこないということもありまして、思うようにできないわけでございます。しかし、基本的には、御指摘のように少しでも可能なものであれば、そういう努力をしなくてはならぬというふうに考えておるわけでございます。
  21. 小野信一

    小野委員 政府国鉄は、地方線の赤字が国鉄の赤字の元凶である、こういうような言い方をいたしております。確かに地方線は、政治路線として建設されたところもたくさんあります。しかし、そこの住民あるいは農漁民、零細企業者にとっては、不可欠の輸送機関に定着いたしております。その維持は、決して採算が合うとも私は考えておりません。しかし、本来公共事業であるという観点を、十分腹の中に据えておっていただきたいと思います。病院や学校は、本来採算の合わないものでありますけれども、社会生活を営む上に欠くことのできない事業あるいは仕事であるということで、これを維持、運営いたしております。社会的、生活維持のために欠くべからざる事業であります。国鉄もまた、特に地方交通線は、そのような要素を持っておるものだ、私はこう考えます。しかも、地方交通線赤字は、五十四年度で二千三百十二億円、国鉄赤字全体の二八%。そのうち廃止対象の八十八路線の赤字は九百三十五億で、一一%にすぎません。私は、赤字の絶対額の大きいのは、何といっても新幹線が通った在来幹線であることを十分承知した上で、特定地方線の廃止、特別料金制度導入について、どうか十分特段の御配慮を心からお願いして、質問を終わります。
  22. 井上泉

    井上委員長 金子みつ君。
  23. 金子みつ

    ○金子(み)委員 私は、きょうは時間も十分ございませんので、今回の国鉄運賃値上げにかかわります幾つかの質問をさせていただいて、そして国鉄側の御見解を伺わせていただきたいと思うのでございます。  一九七八年、国鉄運賃法の一部が改正されましてから、運営上の赤字を解決する目的として、毎年運賃値上げが繰り返されてきたわけでございます。今回は、実に四回目になるわけでございます。私ども社会党では、この法案が審議されます際に、この法案が通過するならば運賃値上げは安易に行われるのではないかということを大変懸念しておりました。ですから、この法案の通過につきましては、無条件で通ることにつきましては反対をし続けてまいったわけでございますが、結果的にこれか成立いたしましたところが、申し上げるまでもございません、今日のような状態になってしまったという事実でございまして、大変残念でございます。遺憾に思っております。  そこで、この運賃値上げが毎年毎年繰り返されるという、そのことによって、また上げたのか、また上がったのかということであって、利用者はだんだん少なくなっていく。いわゆる国鉄離れというのが生じてくるわけでございます。その結果、申し上げるまでもなく、収入は減少するでございましょう。そこで赤字になった、それでまた運賃値上げする、この繰り返し、いわゆる悪循環と言われておりますが、これが続けられてきている。それでもせめてサービスでもよくなったらいいわけでありますけれども、いまの同僚の小野議員の質問の中にもありましたように、一足違いで幹線に乗れないというようなダイヤの問題がありましたり、あるいは、とまるべきはずの駅を通り越してしまったというようなうかつな運転の仕方がありましたり、あるいは最近の五千万円の話もありますが、いろいろなことがあってどうも国鉄には風当たりが強くなってくるのは仕方がないのじゃないかというふうに思います。私は、大変残念なのですけれども、こういうようなことになったということは、ここまで国鉄を追い詰めてきてしまったということになったのは、やはり過去に何か原因があったに違いないと思います。何もなくてこんなことになるはずはないと思うのでありますが、その原因はいろいろあると思いますけれども、何と申しましても、国鉄は親方日の丸というような甘えが関係者の考えの底辺に横たわっているのではないだろうか。それはないとおっしゃるかもしれませんけれども、やはりそれがあるのじゃないかとどうしても考えないわけにはいきません。私鉄でありましたならばこんなことはないはずだと、素人の私どもですらそんなことはわかるわけでありますから、この甘えの考え方が非常に大きく災いをしているのじゃないだろうかというふうに考えております。その辺はいかがでしょうか。
  24. 高木文雄

    高木説明員 日本の経済が、油の値上がり等にもかかわらず、それを乗り切って、世界経済の中で安定的な地位を占めておるわけでございますけれども、それはどのようにして可能になったかと言えば、相当激しい競争の理念と、それから思い切った減量経営が行われたことによるところが非常に多いと存じます。そうした民間企業におきますここ数年来のいろいろなお骨折りと比べまして、国鉄におきますところの経営姿勢といいますか、頭の切りかえといいますか、そういうものがおくれた、十分でなかったということは、私は、率直に認めざるを得ないことではないかと思います。  ただ、あえて弁解がましいことを申し上げさせていただきますならば、鉄道というシステムが全体として本来非常に硬直的である。たとえばバスや飛行機であれば、お客様の数に応じて随時臨時便、続行便を出すことによって繁閑に応じた仕事ができやすいわけでございますけれども、どうもレールの仕事というのは、あらかじめダイヤを決めておいて、そして多少の繁閑対応はありますけれども、なかなかそれができにくいという体質がありまして、いささかその体質に甘えて、どうも弾力的な運営に欠くるものがあったことは事実でございますけれども、また、そういうことがあるということもひとつおくみ取りいただきたいと思うわけでございます。  そこで、現在の国鉄再建の中心をどこに置いているかといいますと、おくればせながら減量経営を相当大規模に行いたいということでございまして、御存じのように六年間で七万人余り、大体現在の職員の二割前後の職員数の減少をひとつ前提として、それによって国鉄の運営経費の中で一番かかっておりますところの人件費ウエートを下げるということによって、これの解決に向かって進んでまいりたいと考えております。  なお、いろいろと企業的精神が欠けておるとか、いかにしていわば収入を上げるかという心構えに欠けておるとかいろいろ御指摘があるわけでございますが、これは明治の初めから昭和五十年までは年々お客がふえ続けた。貨物については四十五年度までお客がふえ続けたということから、いわば比較的恵まれた環境にあったからそうなってきたわけだと思いますが、それはまず何とか直さなければいかぬということで、商売人の魂といいますか、営業的精神、企業的精神といいますか、そういうものをこの国鉄という組織の中に導入することによって何とか基本的に物の考え方を変えるようにしてまいりたいと思っておるわけでございますが、何せ長い間そういうシステムになっておりますので、どうも私自身思うようにそれが進んでいないという現状でございます。しかし、それにいたしましても、そう言っておったのでは問題の解決にならないわけでございますので、一層営業的精神といいますか企業的精神といいますか、あるいはそこまでいきませんでも、お客様を座っておってお迎えするというのではなくて、お客様をどうやって乗っていただけるように誘導するかということの努力をし、そのためにはもろもろのサービス改善に努めるということに取り組まなければならぬわけでございまして、いまそういう心組みで努めております。
  25. 金子みつ

    ○金子(み)委員 総裁がいまお答えくださいましたような内容、問題につきましては、一般国民には明らかにされていないわけですね。一般国民は、なぜ運賃値上げばかりするのだろうというふうにしか考えていないのであって、国鉄がどんな内部努力をしていらっしゃるか、してきているのか、こういうこともああいうこともというようなことが、いま十分お話しなさる時間もなかったと思いますけれども、いろいろ考え、運賃値上げだけじゃなくて、運賃値上げに至るまでのさまざまな計画対策を立ててこられたに違いないと思うわけです。それで、それでもなおかつ、その上での運賃値上げなんだ、こういうことなのだろうと私ども思うのですけれども、そのことが十分明らかでないものですから、その最後の運賃値上げだけが具体的に明らかに実現されるものですから、非常にその点の無理解といいますか、十分理解しかねるという点か多いと思いますので、今後それらの点につきましては折を得ながらもっとはっきりとわからせていただきたいというふうに思います。  そこで、私は、国民生活への影響が非常にあるということについて、申し上げるまでもないことですけれども、ぜひ考えなければならないというふうに考えるわけです。国鉄運賃法の中には、その一条の二項ですか、運賃及び料金は次の原則によってこれを定めるとなっておりまして、「公正妥当なものである」とかあるいは「原価を償うものである」とか「産業の発達に資すること。」とか「賃金及び物価の安定に寄与すること。」とかというように項目が決められておりますけれども、これを見ますと、あくまでも国民の負担の度合いというものが基本になっていると考えられるわけなんです。ところが、果たしてそのことが行われているかどうかという問題なんですが、私は、この点につきまして、今度の国鉄運賃値上げが、平均して九・七%という大きな数字、ほとんど一〇%になるわけでありますけれども、そのことは直接国民の生活に大きな影響を及ぼしているのではないかということを大変懸念するわけでございます。その一つは、政府が五十五年度の消費者物価指数を六・四%に抑えると踏んでずっときたわけでございますが、それが六・四%におさまらないで、年が明けてから七%前後と置きかえをされました。ところが、それがさらに進んで、七・九、八というふうに今日ではなっているわけであります。しかしこれは五十五年度のことですが、五十六年度については、政府ガス電気などの大型アップがないから五・五%で消費者物価指数を抑えられるというふうに言っておられるのでありますが、これに対して九・七%のこの今度の運賃値上げがどんな影響を及ぼすか、私はインフレ助長になるのではないかという不安を持つわけで、この点について、経企庁、どなたかおいでになっていらっしゃいますか、経企庁のお考えをちょっと聞かしていただきたい。
  26. 廣江運弘

    廣江政府委員 最初に、五十六年度の物価から申し上げたいと思いますが……(金子(み)委員「時間がないので簡単にお願いします」と呼ぶ)五十六年度は、五・五%のうち予算関連の、国鉄はその中に入るわけでございますが、寄与度が〇・三%と考えておりますが、そのうち国鉄運賃値上げの分を〇・一%強という程度に考えておるわけでございます。
  27. 金子みつ

    ○金子(み)委員 わかりました。それでは国鉄に戻ります。  今度の運賃値上げの問題の中で私は特にお尋ねしたいと思っていますのは、今度の運賃値上げ国民生活に非常に影響があるというふうに考えられますことと、それからそのことはすなわち家計のために非常に大きな負担になってくるということになるわけなんですが、わけても通学定期の値上げの問題でございます。今度は全般に値上がりになったわけでございますね。普通旅客運賃値上げ九・五%、通勤定期九・六%、通学定期二三・九%、そのほか特急の料金とか手荷物貨物等ございますけれども、この際立って目立つ通学定期の値上げの問題についてでございます。  通勤定期というのは、会社その他企業が負担をいたします。全額あるいは一部負担をいたしますので、性質が違うと思いますが、この通学定期ということになりますと、これはもろに家庭がかぶるわけで、家計に大きな影響を及ぼすわけでございます。国鉄の資料を拝見いたしますと割引率を三%修正しただけなんだというふうにおっしゃっていらしゃいますけれども、結果的には二三・九%のアップになります。したがって、二年もたたないうちに一・八倍、約二倍の額になってしまったということでございます。  この点ですね、通学は、大学生が百万人、高校生が六十七万、中学生が十九万、小学生も入れると三万、総計百八十九万、約百九十万人の人たちが利用しているわけでございますが、これは非常に大きな問題になっております。大学生の場合なんかはことに、自宅から通っている者もありますが、下宿の人たちもいますし、いろいろな点で大変に大きな負担が家族に寄せられることになるわけでして、なぜ通学割引をこのように大きな形に思い切ってなさったのかということの理由を御説明いただきたい。
  28. 高木文雄

    高木説明員 現在国鉄の赤字の問題として、その素因の問題として問題になっておりますのが、通学通勤による割引の問題でございます。教育的な見地あるいはまた御父兄の負担ということから考えますと、それに割引のシステム導入されておることも理解できるわけではございますけれども、今日の割引率は七七・三%ということでございますので、普通旅客から百円いただいているところでは学生さんについては二十二円七十銭だということになるわけでございまして、このバランスがいかがなものであるかということは、私どもとしては、私ども運賃システム論から言えば黙っているわけにもいかないという問題があるわけでございます。  そこで、この問題は、しばしば、いろいろな法律を国会で御審議いただきます機会にも、国会でも御論議願っておりまして、これは、今日までの衆参の運輸委員会での御議論では、国鉄の赤字の問題と御父兄の負担の問題をどう調整するかということについて、この種のものは政策官庁であるところの文部省の方で御負担を願うべきではないか、またこれとは直接関係ございませんけれども、身体障害者に対する割引システムについても厚生省の方で御検討願うべきではないかということを前提とした附帯決議を数回にわたっていただいているわけでございまして、それに基づいて現在運輸省が幹事役になられまして、文部省なり厚生省なりとの間でお役所間の御相談が行われておるわけでございますが、なかなか文部省なり厚生省なりとしても容易なことではないということで、今日まで結論を得ておりません。  私どもとしましては、実はしりに火がついているような心境で、どこまで、どういうふうな程度ならよろしいかということはわかりませんけれども、七七・三%の割引というのはいかにも割引率が高いのではないかということで、昭和五十三年の改定、五十四年の改定、五十五年の改定、今日まで三回にわたりまして直さしていただきまして、五十二年の時点では八一・八%でありました割引率を少しずつ直さしていただいて、いま七七・三%ということになったわけでございます。決してこれが大きな御負担の変化ではないというふうには考えているわけではございませんけれども、私どもとしては、他のお客様とのバランスも考え、また現在の赤字経営実態を考えまして、お許しいただける限度において直さしていただきたいというふうに考えてお願いをいたしているということでございます。
  29. 金子みつ

    ○金子(み)委員 歴史的な経過はわかったわけでありますけれども努力をしておられることもわかるわけですけれども、そうすると、振り返ってみると、もともと七七・三%の割引をしたときの考え方がすでに常識を逸していたと申しますか、バランスの上でバランスを失していたと申しますか、それをいま直していくのが大変なんだというふうに聞こえるわけです。そういうふうに一つ聞こえます。  それと、学生割引の場合は、いまお話しのように文部省があれするべきではないか、あるいは障害者の場合は厚生省等々の話もありますし、そういう考え方もあるかと思いますけれども、しかしそれはなかなかむずかしいことだと思います。労働者に対する企業側の負担というようなこととはちょっと種類が違いますのでむずかしいんじゃないかとも思いますが、要するに学生割引の場合は、いまの考え方はわからないわけじゃありませんけれども、これだったら絶対取りはぐれはないですね。取りはぐれはないといいますか、取りやすいところから取ると申しますか、そういうふうな考え方があったとすれば、これは大変に問題だというふうに思いますが、そんなことを考えてなすったわけじゃないでしょうね。
  30. 高木文雄

    高木説明員 現実の問題といたしましては、学生さんが学校に通われる場合には、私ども鉄道をお使いいただく場合もありますし、東京のような大都市では私鉄なり地下鉄をお使いになる場合もありますし、地方に行きますと非常に多くの方がバスを使われるというようなことがあるわけでございますが、私どもといたしましては、他の輸送機関の運賃水準との関係で現在見てみますと、地方へ参りますと、バスの場合は国鉄の大体三倍を超えるような水準になっておるわけでございまして、かなり大ぜいの学生さんの御父兄はそれに耐えて負担をしていただいているわけでございます。  私どもとしては決して取りやすいからということではございませんので、そこで割引をしているということはそれだけ多少とも赤字がふえる、赤字がふえるということは納税者負担になっていく、あるいは赤字のまま残っている分においては後代国民の負担になっていくということでございますので、現在全体が非常に赤字になっている関係からいいますと、やはりある種の負担バランス、お客様同士の負担バランス、それからお客様と御利用にならない一般納税者、ならなくても負担していただく結果になります納税者負担バランスというものから考えまして、いろいろ御批判はございましょうけれども、もう少し現在よりはバランスをとるべきではないかという考え方を持っているわけでございます。  しばしばいま御指摘のように取りやすいから取るのじゃないかという御批判があるわけでございますが、そういう面が全くありませんと言ったら、あるいはうそになるかもしれませんけれども、決してそういうことから発想しているわけじゃなくて、いま申し上げたような意味の御利用の方々、納税者の方々のバランスの問題として、この点は少しずつではありますが直させていただきたいものというふうにお願いをしておるわけでございます。
  31. 金子みつ

    ○金子(み)委員 国鉄再建法によりますと、今度この再建法が行われることによって国鉄のいまの大きな問題である再建は完全にでき上がるというふうには考えておられないと思いますけれども再建するその足固めと申しますか基盤はできるというふうに考えておられるように思うのですけれども、果たしてそうかどうかということを確認させていただきたいと思うのです。  なぜかと申しますと、昭和六十年を目標に置いて、六十年には基盤ができるのだ、こういうことになるわけですが、その昭和六十年を目標に置いていろいろなことを考え、計画しておられることもわかります。ところが、その六十年のときまでにはこういうふうになるとか、六十年の時点ではこうなるとかいうことが出ているわけですけれども、その見方が、何か本当にそれでいいのかなという疑問を持たないわけにはいかないわけです。  たとえば、旅客の利用について、五十四年度は千九百六十億人キロに対して六十年度は二千五十億人キロ、だから大した違いはございません、この間に六年間あるのですが。あるいは貨物については四百億トンキロ、それが六十年はやはり同じ四百億トンキロというふうに推定しておられるわけですけれども、この推定が果たして正しいのかどうかという疑問があるわけです。そんなに伸びないものなのだろうか。伸びていかない、あるいは私どもの考えでは、伸びるよりもむしろ減少するのじゃないかというような気がするわけです。  なぜかと申しましたら、時間がありませんので詳しくは申し上げませんが、長距離は航空機にとられておりますね。何十%というシェアをとられています。それから、近距離は私鉄、これがはなはだしいところは国鉄の二分の一あるいは三分の一の運賃でお客を運んでおります。  こういうようなことがありますと、いまの六十年を目標とするところの推定というのは甘いのじゃないだろうかというような気がするわけです。それでもやはり基盤は確立できるというふうに確信をお持ちになっていらっしゃるのかどうかということを伺わせていただきたいと思います。
  32. 高木文雄

    高木説明員 前にお示しいたしました再建基本構想案におきましては、いまお示しのような輸送量を想定をいたしております。その後多少変化がございましたので、現在再建計画の細目を練っておるところでございまして、今月中かあるいは来月にでもそれをお示しすることができようかと思いますが、私ども作業中の状態では、輸送量はいまのお示しのような数字で組んでいきたいと思っております。  なぜいわばそういう横ばい的なことで考えたかということを申しますと、今後減る要素といたしましては、一つ運賃改定の問題がございます。第二に、道路も六十年までにはなお一層整備される可能性がございまして、その意味ではわれわれの競争相手の輸送力が強くなっていくということが考えられます。また飛行場、港湾等も着々整備が進んでおりまして、現在鉄道に対する投資額とそうした航空、道路、港湾に対する投資額は、私どもの方に比べまして他の交通関係投資額が伸び率が非常に高くなっております。したがって、そういう面から見ますと、御心配のようにお客も貨物も減るのではないかという心配がございます。  一面、先ほど来申しておりますように、どうも親方日の丸といいますか、座っておって仕事をしておるような傾向がございますので、これを大いにふるい立って仕事をする、大いにお各様を集めてくるといいますか、貨物を集めてくるという姿勢で臨むことによりまして、多少とも下げの傾向をとめ得るのではないかという問題があります。  もう一つ大きな要素は、燃料コストという点から考えますと圧倒的に鉄道が有利な面があるわけでございまして、世の中でいろいろ伝えられますように、油の値段がかなり脅威的に上がっていくことが考えられますので、油の値段の上がりを考えますと、大勢観察では私ども運賃改定率は理論的には少なくて済むはずでございます。私どもの消費エネルギーがお客様一人当たりにしましても、貨物一トン当たりにしましても、グローバルに見ますと能率的でございますので、そういう意味では競争力がむしろわれわれの方につく可能性があるわけでございますし、政府の方針とされましても、油の消費を節約する方策が恐らくは何らかの形で、多少時間がかかるかもしれませんけれども、とられるのではないか、甘い期待かもしれませんけれども、そんなふうに考えております。  そこで、五年先を考えること、見通すことは非常にむずかしいわけでございますが、一定の前提を置いてでないと計画が立ちませんものですから、とりあえず輸送量については現在の輸送程度は見込んでもいいのではないかということで、率直に申しまして貨物昭和四十五年から、旅客昭和五十年からだんだん減り続けておりまして、一番多いときに比べますと貨物は三分の二ぐらいに減りました。旅客は九〇%ぐらいに減りました。でございますから、その減ったところで今度は、今後減らないといいますか、変動なしということで見込むことはそう危険な、あるいは楽観的な見通しではないのではないかという考えを持っております。  何分計画でございますので、また非常に交通関係もろもろの投資が他のフィールドで活発に行われておりますのでむずかしい問題はありますけれども、一応そういう前提でひとつ計画を立ててみようということにいたしたわけでございます。
  33. 金子みつ

    ○金子(み)委員 時間が参りましたので質問はここでとめたいと思っておりますけれども、いろいろといまお話しくださったように、大変なときに総裁になられて大変に御苦労だというふうに思いますけれども、せっかく立てられた六十年までの計画を実現させていただきたいと思いますし、ことに国民に直接接触する部分あるいは場面、そういうところに改善の効果をあらわしていただきたい。ダイヤとか窓口とか改札とか、国民が接触する場面、そういうところでサービスの改善というものをはっきりと見せていただくことによって、国民も考えていくということになるんじゃないだろうかと思いますので、その点はひとつ特に気をつけて改善政策をお進めいただきたいと心からお願いをしまして、質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  34. 井上泉

    井上委員長 武部文君。
  35. 武部文

    ○武部委員 私は、大変時間が短いので、三つばかりの点にしぼってお伺いをいたしたいと思います。  第一の点は、昨日首相の諮問機関であります物価安定政策会議の特別部会が開かれたようでありまして、その席上で、国鉄の当面する問題について大変議論が集中したということが報道されています。いま国鉄の重要な問題は合理化の問題。それから大都市の一部にある私鉄との運賃格差の問題、言うならば国鉄運賃体系の問題というふうに言われております。第三点は、先ほど来話にございますように、二三・九%という大変大幅な値上げ申請されておる通学定期の問題について慎重な配慮をすべきである。私は、そのほかに論議はされたかどうか、新聞に報道されておりませんが、ローカル線の廃止の問題、これが当面をして運輸省国鉄にいま大きな問題として出ておるだろう、このように理解をいたします。総裁、副総裁はその部会に出ておられたようでございますから、十分その論議をお聞きになったと思うのです。したがって、私はこういういま当面をする問題、総理の諮問機関であるこういうところでも取り上げられる、そういう点にしぼってお伺いをしたいのであります。  そこで国鉄総裁にお伺いをいたしますが、あなたは運輸審議会の公聴会で、国鉄運賃を六十年度まで毎年五%ずつ値上げをする、こういうことを発言をされたようでございますが、そういうことになりますと、まさに国鉄運賃値上げは五十三年以来連続八年間、毎年値上げが続くということになるわけであります。そういうことで現在破綻に瀕した国鉄というものが一体立ち直るだろうか。値上げによって国鉄を立ち直らせる、そういう見解でこのようなことをお述べになったのか。むしろ値上げをすれば客離れだということは、もうだれもが指摘をしておるところであります。しかも申請された九・七%という数字は、物価上昇率よりもはるかに高い数字であります。こういう点について、どういう見解でそのようなことをお述べになったのか、まず最初にそれをお伺いしたい。
  36. 高木文雄

    高木説明員 先ほども他の委員のお尋ねにお答えいたしましたけれども営業政策の見地からいいますと、決して値上げは望ましいことではないわけでございます。あたかも毎年値上げということは、利用者国民の皆さんに非常にいやな感じ、きらわれるわけでございますので、それは望ましくないことは言うまでもないわけでございますが、現在、五十六年度予算で見まして七千三百億円の補助金をいただいて、つまり納税者負担で七千三百億円持っていただいて、それで残念ながら五十六年度単年度で一兆円の赤字がある、こういう状態でございます。  この赤字は、償却前でも五千億前後の赤字になっておるわけでございます。民間経営で言いますところの経常収支といいますか、そういうものが償っていないということになります。こういう現状の場合には営業的見地もさることながら、経理的といいますか、経営的見地によりウエートを置きまして、少しでも収入をふやし、少しでも経費を早く節するということがどうしても必要になるのではないかと考えます。  現在、大体において私鉄につきましても、他の交通機関等につきましても、二年ローテーションということが行われておるわけでございますけれども、それはそうしないと配当ができなくなるというようなところから二年ローテーションでやっておられるようでございますが、われわれの方は、何しろ経営状態が償却前で単純な収入と単純な経費の比較だけで赤字になってしまっておるわけでございます。そしてその赤字の部分をまた借入金をする。そしてまたその利子の負担が後年度に乗ってくる。こういう状態でございますので、何ともそういう非常事態の場合には、こういうこともまたやむを得ないのではないか。大変お客様には悪い印象になりますけれども、これはやむを得ないのではないかというふうに考えております。  それから運輸審議会において、公聴会といいますかそういう機会に確かにお尋ねがありまして、お答えをいたしましたが、いまの経営改善計画を立てますにつきましてどういう前提を置くかということでございますが、大体賃金、物価は年率五%ぐらいで上がっていくのではないか。したがってコストが五%ぐらいふえるのではないか。それを前提に考えますと、年率で言いまして少なくとも収入の五%ぐらいを上げさせていただいて、いま収入経費が、経費の方が多くなっておりますから、経費の五%というのは収入の五%よりも多くなるわけでございますから、一般の物価、賃金の上昇程度改定をさせていただいたのでは実は赤字はさらにどんどんふえるわけでございますけれども、その分は経営の合理化等によりましていまの赤字体質を直す、この五年間で直すことによって単年度でどうにか収支が償うようにいたしたい。ただし、前提といたしましては、年金の問題、退職金の問題といった、現在それをコストなるがゆえにどうにも収入にはね返すことのできない性格のものがございますので、そうした分野におきましては行財政上の手当てをしていただきたいということをお願いしておりますし、また、明年の春から開業することになっております東北・上越の新幹線につきましては、開業後十年ぐらいはかなりの額の赤字体質が生まれます。これは、その後は償却が進みますから、十年進みますならば今度は逆にかせいでくれるラインになると思いますけれども、その十年間くらいはさらにいまよりも国鉄に赤字がふえる要素になります。そういった問題、いろいろございますけれども、そうした一定の条件のもとにおいては、何とか単年度で少なくとも赤字のためのまた借り入れをするというようなことから逃れたいと考えておりまして、そのためには、まことにある意味では非常識と思われるかもしれませんけれども、毎年の改定をお許しいただきたいと考えているわけでございます。
  37. 武部文

    ○武部委員 大変短い時間なので先を急ぎますが、先ほど来お話がございました割り増し運賃。たしか再建法第十三条に関連すると思いますが、これで、私ども承知しておるところでは、ことしの秋一〇%程度、しかもこれは六十年度までに対象の百七十五線で五割増しが目標だということが言われておりますが、これが事実かどうか。先ほどのお話の中で総裁はちょっと抽象的にことしの秋のことについてお触れになっておりましたが、まだ決定したものではないが収支の差額からいうと約四十億というものが出ておるということをおっしゃったわけですが、秋十月ころから上げていけばこの四十億は百七十五線の一〇%で大体とんとんになると理解をすることがいいのかどうか。そんなふうに思えたのですが、それでいいかどうか。私は、いわゆる地方交通線百七十五線の割り増し運賃というのは大変大きな意味を持っておると思うのです。時間があればゆっくりお話をしたいのですが、それができませんが、このローカル線の第一次対象線四十二線がとりあえず五十七年度末までに廃止の方向に向かってこれから各地方でいろいろ問題になるわけですが、この四十二線の赤字総額は百四十億円と聞いておりますが、それでよろしゅうございますか。
  38. 加賀山朝雄

    加賀山説明員 大体お説のような数字になっております。
  39. 武部文

    ○武部委員 国鉄の赤字は五十四年度で八千億を超えていますね。五十五年度では一兆円を超すだろう。四十二線ではわずか百四十億円。百四十億円の赤字のために四十二の線路をはぐということ、これは利用している住民にとっては耐えがたいことだと思うのです。東海道線の赤字を聞くと、一年間に千三百三億円だということを聞きましたが、東海道線だけで千三百三億、四十二の線路でわずかに百四十億。こういうものが赤字という名においてはがれるということについて恐らく国民、利用者の皆さんは納得できないと思うのです。これから協議会が地方で開催をされるわけですが、そういう抵抗は非常に強く出てくるだろうと思います。四十二、これは第一次対象です。その後に控えたものは一体どうなるだろうか。いまから考えると、もうとても、この四十二ですらなかなかむずかしいのではないか、こういうふうにも思えます。しかしこれは運輸委員会でも十分論議されたことだと思いますからそれ以上のことは触れません。しかしこの四十二の路線も廃止までは運賃の割り増しが恐らく百七十五の中に入っていると思うのです。そういうことになってくるならばますます客が減ってくる。割り増しをして運賃増収になるどころか減ってくる、客離れが起きてくる、こういう結果になることを大変私は恐れるのであります。そういう点についても御意見を聞きたい。  もう一点は、このローカル線の廃止の問題でこんな意見が出ました。私鉄国鉄の合理化のやり方を見ておると大変大きな差がある。たとえばお客がどんどん減ってきた。そこで私鉄は六両編成を四両編成にして従来どおりのダイヤで運転しておる。それでも減ってきた。今度また一両減らして三両にした。そしてダイヤだけは走らせてお客の便利を、乗る人の便利を図っておる。しかし乗る人が少なくなっておるから車両は少なくてもいい。国鉄はそうじゃない。六両で走っておったものが、お客が乗らなくなった。同じ六両で、三遍走っておったのを一遍落としてしまう。これはちょっと合理化の中でも本末転倒じゃないか。こういうことを一つの例としてわれわれは論議したことを覚えております。やはり国鉄の合理化というものはそういうところにメスを入れていかなければだめじゃないだろうか、こう思います。ですから、冒頭申し上げるように、いま大きな話題になっておるのは、合理化の問題が一番先に載っておるのは私はそこにあると思うのです。したがって四十二の線路で百四十億の赤字を消す、線路をはぐというようなことはちょっと酷じゃないかということを思います。これは後で御感想をひとつ述べていただければ結構です。  私は、時間の関係でもう一つ先に質問をして御回答を聞きたいと思います。  定期の割引率の問題が先ほど出ておりましたが、副総裁が運輸審議委員の質問に答えてこういう発言をしておられます。運賃法第五条によって割引率一カ月最低五〇%を六十年度末に三〇%から五〇%の線まで引き下げたい、こういうことを審議委員の質問に答えておられます。国鉄は今日定期割引は通勤通学も同時だそうですが、同じように考えておるということを言われておるわけであります。今回の値上げで私は相当またこれから離れていく者が出るだろうと思います。小学生から大学生まで国鉄の通学定期の利用者は大体百八十万人と言われておりますが、こういう人たちが今度の二三・九%の大変な値上げでどういう傾向が出てくるだろうか、こういう点も非常に心配でございます。特別部会でもこのことが取り上げられておる。これについて二つの面でお答え願いたい。
  40. 高木文雄

    高木説明員 現在通学の割引率は、先ほどちょっと申しましたように、七七・何%かになっております。それから通勤と言われるものについては五〇%になっております。五〇%は、これは法律で限度が決められておりまして、法律の限度いっぱいの割引率ということになっているわけでございます。そこで、通勤につきましては定期を御利用いただきますと、いろいろな面でたとえば改札とか出札とかという面で私ども経費が少なくて済みますから、定期については普通切符よりは割引があってよろしいわけでございますけれども、それにしても五〇%は割り引きなさいというのはいささかきついわけでございまして、それを将来いつの時期かわかりませんが、改定をさせていただきたいという気持ちを持っておるということを運輸審議会において副総裁が申したわけでございます。ただこれは法律で限度が決まっておりますからそう簡単にはできないわけでございまして、十分国会での御審議を要することになります。それから学生の方につきましては現在法律では五〇%以上引きなさいというのに対して七七%引いておりますから、法律の改正とは関係なく多少とも直していかれる。そうかといって余り激しいことはできませんので、年々少しずつ直さしていただいておるということでございます。  そこで、定期につきましても、いわゆる値上げあるいはそうした割引率の是正によって、一体国鉄離れが進んでいるかどうかということでございますけれども国鉄全体としては、お客さんが五七年度をピークにして減っておりますけれども、通勤利用者は主として大都会である関係もありまして、現在のところは、定期利用者は、学生さんあるいは通勤を通じましてほぼ増減なしという状態であるわけでございます。  そこで今後の問題としては、通勤につきましても、法律を改正していただくことを前提にして、いずれかの時期に多少の手直しをさしていただきたい。学生の方は、いまのところまだ法律関係ございませんこともあり、しかし一方において、先ほどのお尋ねにもございましたように、家計負担への影響を考えて少しずつの改定をしていくということでございます。  その場合に、どのくらいの割引率ならばいいと考えるかということにつきましては、まだ十分研究ができておりませんけれども、やはり通学と通勤とでは若干の差があってしかるべきものではなかろうかという前提では考えておるわけでございまして、学生さんについて通勤と同じようにしなければいかぬのだというところまでは考えておりません。これらの作業は、先ほども触れましたように父兄負担の問題いかんということで、厚生省、文部省、運輸省の間でいま御協議をいただいておることもありますし、まだ余り詰めた議論はしていないわけでございます。  それから、先ほどお触れになりました中で、東海道線だけで物すごい赤字があるじゃないかということなんですけれども、それはそのとおりでございます。これをどうするかということについては、御存じのように人員を全体として二割減らすということをいま考えておるわけでございますが、いまのところの見通しでは、東海道線についても二割人員を減らしますと、大体とんとんか少し黒字になるという状況になろうかと思います。地方交通線につきましては、もうすでにいろいろな意味で簡素化が行われておりますので、余り大ぜいの職員を使っておりません。余り大ぜいの職員を使ってないにもかかわらず、収入が少ないために赤字になっておるわけでございますので、これはいわゆる合理化だけではなかなか収支償わすところにはいかないわけでございまして、それに、エネルギー的にも非常にロスが大きい。国鉄の車両というのは風袋が非常に大きいわけでございますが、バスであれば車両そのものの目方が軽い関係がございまして、お客様の少ない場合には、車両の目方の軽いバスの方がエネルギー的にも非常に効果が大きいということで、単に赤字だけのことではなくて、やはりこれはそういうエネルギー資源あるいは労働資源という見地から見ましても、全体の合理的な運営という点から言えば、御迷惑は十分承知の上ではございますが、減らさしていただきたいということで、東海道線は東海道線として何とか黒字にするように努力をいたしますので、その点だけはお含みをいただきたいというふうに考えます。
  41. 武部文

    ○武部委員 いずれにいたしましても四十二の線路で百四十億、これは国鉄の一兆円の赤字から見れば全く微々たるものでございますし、それしか利用できない者にとっては大変なことです。ですから、先ほど申し上げたように、政令が出てから反対運動というものが地方自治体も一緒になって大変高まってきたのは、それなりの理由があると私は思うのです。これは運輸委員会でも十分論議されたことですから、きょうはここでこれ以上のことは申し上げません。  そこで、国鉄労働組合が、初めてのことだと思うのですが、提言をいたしました。私はこれをずっと読んでみました。その中で特に「利用拡大と増収努力」それから「運賃料金の改善」という項目があります。これはまさしく労働組合としては初めてのことだろうと思うのです。大変膨大なものですから、これを一々申し上げることはできませんが、いわゆる労働組合としては勇気ある提言だというふうに私は思います。これを具体的な問題として国鉄労使で受けて立つというか、受けて、こういう問題については協議する、意見は意見として、とるべきものはとる、そういう態度があるでしょうか。その点いかがですか。
  42. 高木文雄

    高木説明員 かねて国鉄の労使関係一つ問題がございますのは、どうも労使が互いに対立するものだという概念が両側に強過ぎたように思うわけでございまして、労働組合といえども国鉄労働組合であり、そのメンバーは国鉄の職員であるわけでございますから、何とか労働組合も国鉄経営あるいは企業的取り組みというものに対して積極的であってほしいということを言い続けてまいったわけでございますが、一部の組合からはもうすでに早い時期からいろいろな提言がなされておりましたが、今回、最大の組合である国鉄労働組合からもこういう提言があったということについては、私は、労働組合の物の考え方が少しずつ前進をしているものという趣旨で、大変高く評価をするというか、喜んでおるわけでございます。また今日までも、労働組合の提案に応じて、ごく一部でございますけれども、新しい営業施策をとったというようなことも、ここ一、二年は行っておるわけでございます。  そのことで御理解いただけますように、今回の一月二十七日の提言につきましても、私どもは十分論議の対象にし、この中にいい知恵もありますので、とるべきものは私どもそれを取り入れることにいたしてまいりたいと思います。  基本は、ただ収入増だけではいけません。それだけではとうていこの再建が図れませんので、同時に経費の減ということについての取り組みもしてもらわなければならぬわけでございまして、そういう点で、この提言は、いい面もありますけれども、まだまだ必ずしも私どもの期待するところまではきてないということでございます。
  43. 武部文

    ○武部委員 時間が来ましたので、最後に値上げの時期についてちょっとお伺いをしたいと思います。  先ほど来申し上げたように、ローカル線の問題は、いま全国で対象地区は大変大きな不満を持っておる。ところが国鉄はその返す刀で、今度は運賃値上げだ、秋には特別運賃制度を導入する、これはちょっとひど過ぎるじゃないかという声が出ておるわけであります。しかも四月二十日を目途に運賃値上げ実施したいということで運輸審議会に諮られておるわけですが、当委員会では、先般私鉄大手の経営者の方に来ていただきまして、私鉄運賃の問題についていろいろと質疑をやりとりいたしました。御承知のように、私鉄は昨年の秋に申請をして二月一日値上げを希望しておるのであります。しかし今日の物価情勢あるいは私鉄申請内容、大変厳しい査定をしなければならぬ内容を持っておるというように私ども思いますが、そういうことから、経済企画庁物価の問題との絡みから閣内においてこの意見を相当強く出され、今日この私鉄運賃値上げ実施時期が大きくずれ、五月二十日ごろではないか、まあ査定の数字はまだよくわかりませんが、このように理解してよろしゅうございますか。
  44. 杉浦喬也

    ○杉浦政府委員 先生御指摘のように、現在、私鉄運賃申請事案に対しまして運輸審議会において検討をしております。実施時期についてはまだ確定を見ておらないというふうに思うわけでございますけれども、なお審議会におきまして検討の結果をいただきまして、その上で判断をしてまいりたいと思います。
  45. 武部文

    ○武部委員 この私鉄値上げ時期というのは、もうすでに巷間伝わるように物価の波及効果も非常に大きいし、内容の査定も私どもから見れば事業報酬率その他から見てもこれは大幅に査定しなければいかぬということを委員会でも申し述べたわけでありますが、そういう意味で、実施が延びておることについてはこれは物価対策上大変結構なことだと思います。  そこで、今度は国鉄が四月二十日ということを要請をしておられるようでありますが、運輸審議会でもこの問題をいま取り上げておやりになっておるわけですが、私は一つの注文をつけたいと思います。  きのうの部会でもお話があったように、都会の一部において私鉄国鉄との間に非常に大きな格差がある、それは問題だということが取り上げられたのです。確かにそのとおり。一番いい例は、いつも出ますのは小田急の並行線路と、それから東京の新宿――八王子の比較であります。これがいつも取り上げられておりますが、きょうは私は新宿――八王子の通学定期の例をとってみたいと思いますが、現在国鉄は一カ月で四千四百三十円、これが申請で五千四百八十円になる。私鉄は現在千八百円、それが申請で二千三百五十円になる。これは申請書に記載されておるわけです。  そこで、先ほど申し上げたように、私鉄が五月にずれ込んで五月二十日ごろに実施になってこの金額に仮になったとする。国鉄申請どおりに仮になったといたします。そうすると、国鉄は四月二十日を要望しておる。そして、私鉄はずれ込んで五月二十日だというふうに仮になったとする。そういたしますと、もうここで一カ月間というものは私鉄の方が国鉄よりも三分の一安い。私鉄は千八百円、国鉄は五千四百八十円、実に三倍の運賃の開きがこの一カ月間は出てくるわけです。これはいまの状態から見てとても納得するものではない、こういうふうになるわけです。  したがって、われわれがいまここで皆さんに要望できることは、最悪の場合でも、少なくとも国鉄運賃値上げというものは、私鉄運賃が五月二十日、こういうことが予想されるわけですから、せめてその時期まで延ばさなければ、いま言ったような格差のところでは大変大きな問題点が出てくるわけです。経済企画庁は一体こういう点をどういうふうにお考えだろうか、また運輸当局はこういう現実の姿というものをどのように理解しておられるか、これを最後にお聞きして、私の質問を終わります。
  46. 杉浦喬也

    ○杉浦政府委員 おっしゃいますような時期のずれを前提にいたして計算いたしますと、いまの例でございますと確かに相当な格差が出てくることは事実でございます。国鉄の全国一律運賃制度、田舎では逆な形になっている、都会では高くなっているというような格差につきましては、何とかこれを是正をしていきたいとは思いますけれども、現状におきまして、当面私鉄国鉄の若干の期間のずれということはある程度はやむを得ないのではないか。国鉄自身につきましては、当初より約二千億の増収というものをどうしても予定をしなければならない。国では七千三百億円の助成金を出しておる、国鉄自身も経営改善に努力する、三位一体となりましてその点国民も御負担いただきたいという仕組みをつくっておるのでございますが、四月二十日というような線で何とかやっていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  47. 廣江運弘

    廣江政府委員 いま運輸省の方からお答えになりましたような次第でございますが、国鉄につきましても民鉄につきましても、現在運輸審議会において鋭意審議が進められておるところでございます。  当庁といたしましてもこれらを見守りながら、物価国民生活への影響に十分配慮いたしまして、慎重に対処してまいりたいと思います。
  48. 井上泉

    井上委員長 長田武士君。
  49. 長田武士

    ○長田委員 まず初めに、国鉄総裁にお尋ねをいたします。  国鉄は、昨年十一月に成立いたしましたいわゆる国鉄再建法案によりまして法的基盤が整備され、国からの助成額も五十六年度からは増額七・九%、金額にいたしまして七千三百四十一億円されるわけでありまして、経営改善に向けてスタートしたわけであります。しかしこれは、国鉄みずからの厳しい経営改善という努力が当然前提になります。今回申請されている運賃改定もその改善を担う重大な意味があるわけでありますが、値上げ案の内容を見てまいりますと、一けた台に抑えるために旅容運賃は九・五%、それから各種料金を九・四%、そして貨物運賃を九・七%というように、ほぼ一律のアップとなっておるわけであります。  そこで、平均九・七%という値上げの根拠についてまず御説明をいただきたいということ、それから今回の値上げ申請の中でどのような政策的配慮をしたのか、この二点についてお尋ねをしたいと思います。
  50. 高木文雄

    高木説明員 値上げによりましてどのくらい収入を上げさせていただくかという場合に、どういう角度で判断をいたすかと申しますと、一つ値上げの率でございます。それからもう一つは、値上げによりまして収入をふやさせていただく金額の大きさの問題でございます。  五十六年度におきましては、ただいま御指摘ございましたように、こういう財政状態のもとではかなり無理をして一般会計からの補助金を五百億強ふやしていただきました。今回二千億の値上げを予定をいたしますが、それでもなおかつ年間を通ずる赤字額が大変ふえまして一兆三百億にもなろうかということで、どうも二千億というのは大変大きな金額ではございますけれども、現在の財政状態なり現在の赤字の状態なりから言えば、その程度改定はやむを得ないのではないかと判断したわけでございます。  その場合に、それはなぜ二千億なのか、たとえばなぜ千七百億ではないのか、なぜ二千三百億ではないのかという点につきましては、ちょうど二千億の場合に、全体として実質増収率ではなくて名目改定率が一〇%ぎりぎりぐらいだとちょうどそういう金額になりますので、一般の方々のお受けになる印象として一〇%を超えるようなという場合と、まあどうにか一〇%以内かなというのとでは大分違うであろうということから、二千十億という金額が出てまいりました。同時に九・七%という率が出てきたという経過でございます。  なお、ことしのような場合に、運賃をもう少し全体としてこの時期だから抑えるべきではないか、あるいは上げ幅を少なくすべきではないかということがあるのでございますけれども、実は昨年四%前後の改定をさせていただいたのですが、それによる収入額とそれから電気料金の値上がり等による経費増加額というものを比べますと経費増加額の方が非常に大きくなりましたものですから、五十四年に比べて五十五年が非常に悪い成績になりましたので、まことに申しわけございませんけれども、ことしはその状態を少し改善せざるを得ないというところから幅も額も大きくなったわけでございます。  なお、その前提としては経費を減らさなければならないわけでございますので、いろいろ努力をいたしまして五十六年度の予算定員は五十五年度の予算定員よりも一万一千人少なくなっておるわけでございまして、五十六年度は五十五年度よりも約二・五%人手を減らしてやる、これは一例でございますが、経費についてもできるだけの努力はいたしておるということを御承知いただきたいと存じます。
  51. 長田武士

    ○長田委員 今回の申請理由を見てまいりますと、その中に輸送市場実態物価動向などを考慮してというようにうたっておるわけであります。五十五年度における消費者物価は大体八%弱と予想されておるわけであります。去年の賃上げも六・七%であったわけであります。こうした実情を見てまいりますと、当然今回の値上げの率でありますところの九・七%、いま総裁は一〇%、二けた台ではなくて一けた台のぎりぎりな線ということで何となくバーゲンセールみたいな感じがするのでありますけれども消費者物価上昇や賃上げの率を大幅に上回るものであるということは事実ですね。そういう点で物価動向から見てこの点は非常に納得できない数字ではなかろうかと私は思うのです。この点、総裁、どうでしょうか。
  52. 高木文雄

    高木説明員 実は御指摘のとおりでございまして、営業の見地から言えば物価上昇に比べて改定率が高いということは一つ問題でございます。ただ、事情をおくみ取りいただきたいと思いますのは、五十五年度の名目改定率が五・一%でございます。そこでなぜそうであったかというと、昨年の一月の段階でいろいろ作業をいたしまして申請をいたしますときには、そのくらいで経費の増高に見合っていけるのじゃないかと思っておったのですが、その後急遽電気料金の大幅改定がございまして、電気料金だけで約千億ほど経費がふえてしまったわけでございます。その結果、五十五年度の決算見込みは、先般の補正予算の御審議でごらんいただいたと存じますけれども、一兆三百億を上回る赤字になるということになってしまったわけでございます。  そこで、簡単に申しますと、五十五年度はいかにも運賃改定率と経費増加率の間にディファレンスが生じまして、これは私どもの勝手な計算ではございますが、今回は九・七%上げさせていただくということになりますが、そういたしますと、昨年度の分とことしの分とを合わせますと一五・三%、つまり五十六年は五十四年ベースに比べて名目での改定率が一五・三%になります。二年間で考えるというのは私どもの勝手な考えでございまして、国民の方々、利用者の方々にはわかりにくいあれでございますが、経費増加収入とをどう調整していくかという見地からいたしますと、そのくらいは上げさせていただかないと昨年度のディファレンスがいつまでも残ってしまうということになるわけでございますので、そういう点もひとつ御理解をいただきたいと思います。  確かに今回の改定は一般の物価上昇率その他見込み上昇率等よりは上回っておるわけでございますけれども、私の方の経理状況等も考えますとそういう点を含めて判断をせざるを得ないことになったということで、大変つらい事情にあることを御承知願いたいと存じます。
  53. 長田武士

    ○長田委員 総裁、国民の大方の考え方と申しますのは、国鉄経営努力という点で甘いのじゃないかということが第一点挙げられるのですね。  第二点は、いま総裁は経理内容が非常に苦しい、赤字を膨大に抱えておる、私たちはよく理解しております。しかし、安易に値上げし過ぎる、安易に値上げに頼る、依存するという点について、国民の多くの人は国鉄に対する疑問を持っておると思うのですね。そういう点で、経営努力という点においてはどうしたならば収入が上がるかという点についてもっともっと焦点を当てましてやった方がいいと私は思うのです。赤字だからすぐそれ値上げ、そういう意味では非常に悪循環といいますか、そういう経営状態に陥っているんじゃないかという感じがするのです。そういう意味では経営努力という点では国民の皆さんに、これまでやりました、したがってこれ以上はもう切れません、したがってこれこれの運賃値上げをお願いしますというのが筋のように私は思うのですが、その点どうも理解できないのであります。国鉄運賃法の第一条には運賃及び料金の四原則が規定されております。その第一番目には「公正妥当なものであること。」第二には「原価を償うものであること。」第三には「産業の発達に資するごと。」第四には「賃金及び物価の安定に寄与すること。」私はこの四原則を見ますとむしろ逆の方向へ行っているんじゃないか、物価押し上げの要因になっているのは国鉄である、そう言わざるを得ないのじゃないかと思いますが、総裁、どうですか。
  54. 高木文雄

    高木説明員 いまお示しいただきました運賃法の基本精神というのは戦後長くその基準としてきたものでございます。それによって国会に運賃改定をお願いをいたしたわけでございますけれども、現実問題としては、いろいろな事情があって多少運賃改定がおくれぎみになってきた、その間に赤字が生まれ、その赤字を埋めるために金を借りた、その借りた利子をいま一生懸命払わなければならぬ、こういうことになっておるわけでございまして、そういううちの経営状態の著しい変化を考えますと、いまの四項目は肝に銘じて守っていかなければならぬことであると同時に、しかし現状から申しましてなかなかその幅が思うようにいかない、理想どおりにはなかなかいかないという現状になっております。私どもは、先ほど御指摘のように何といたしましても増収に努め、経費の節減に努力をいたしました上ではありますけれども、とりあえずはいまの著しい経営のアンバランスをどうして消していくかということについて、経営努力だけではなかなかいかない、増収努力だけではなかなかいかない部分がございますので、やはり運賃改定もまたお願いせざるを得ない、利用者負担と納税者負担バランスという点からいってもそうならざるを得ないのではないかというふうに考えておるわけでございまして、一日も早く文字どおり運賃法で決められましたようなことが胸を張って言えるような時期を迎えたいと思うわけでございますが、それまではいささかそのとおりにいかない点をお許し願わざるを得ないのではないかと考えております。
  55. 長田武士

    ○長田委員 総裁、いまの御答弁で、私は経理内容というのはよく理解できます。決してわからなくないのです。しかし、いま国鉄がとっている考え方というのはどうも再建につながらないのじゃないかなという感じがするのです。一つの商売をやってみまして、どうももうからない、経営状態が悪い、借金ができた、借金に追われて利息にも追われておる、では品物を高くして販売しよう、こういうことが自由経済社会の中にあって経済一つの原則として可能なんでしょうか。そういう意味で私は国鉄再建というのはそんな甘いものじゃないなという感じがするのです。むしろ経営努力の中でも根本にしなければいけないのは何といってもお客をふやす、私鉄に奪われた乗客を国鉄に奪うくらいの情熱、政策、そういうものがあっていいんじゃありませんか。赤字だから何となく値を上げる、そういう姿勢そのものが親方日の丸なのですね。全部消費者あるいは利用者に負担をかける、そうしてやれ再建しようということ自体が大きな誤りじゃないかと私は思いますが、総裁、この点どうですか。
  56. 高木文雄

    高木説明員 御指摘のことはよくわかるわけでございまして、全体として赤字をどうやって減らすか、その場合に納税者の御負担も利用者の御負担も起こさないようにして赤字を減らすということがもちろん第一であると思います。そのためにはどうしたらいいかというと、やはり経費を節するということが第一ではないかと思いますし、そのために、先ほど申しましたように、五十六年度では予算定員で約一万一千人減らしておるわけでございまして、そのためには、いろいろ労使問題等むずかしい問題もございますけれども、なおかつそれを乗り切っていたしてまいるつもりでございます。また、収入増加につきましても、ここ数年来いろいろな形で営業割引というシステムを考えましたり、あるいは関連事業をふやす、実は大分土地等で遊ばせてあるところがあるものですからそれをうまく使って少しでも土地貸付料金をふやす、あるいは広告料収入をふやす、あるいは不用の資産は売り払うということも織り込んでおるわけでございますが、何分少し手おくれという感じで、過年度におきます借入金の利息負担だけでも大変な額になってまいるわけでございます。基本の理念はお示しのような考え方でいきたいと思いますが、運賃改定なしでやっていくというところまでは現実的には行き得ないというので、残念ながらまた改定をお願いせざるを得ないことになっておるわけでございます。しかし、基本の精神は御指摘のようなことでなければならぬという点では全く同感でございます。
  57. 長田武士

    ○長田委員 次は、運輸省にお尋ねをいたします。  大臣が国鉄運賃値上げ申請に対して許可する場合、私がさっき申し上げました四項目の原則を踏まえるということはあたりまえでしょう。そこで、今回の申請に関しまして、賃金と物価安定に寄与するという項目がありますね、この規定をどのように考慮されるのかお尋ねいたします。
  58. 杉浦喬也

    ○杉浦政府委員 四原則に沿いまして運賃を考えるということでございますが、四原則は一つ一つばらばらなものではなしに全部一体として考えてきております。片方で原価を償うものであることという原則がある、片方では物価上に寄与するというような、端的に見ますと相矛盾するような内容にもなる場合もありますが、そうしたものを総合的に勘案いたしましてこの基準を当てはめて最終的な判断をするということでございますので、もちろん物価上の配慮もいたしますが、原価を償うという配慮もするということでございます。全体を一体として考えたいということでございます。
  59. 長田武士

    ○長田委員 次に、先ほども話に出ておりましたが、通学定期についてお尋ねしたいのであります。  この改定率が二三・九%と非常に高率なのですね。しかも、これによる増収分というのは百十四億円しか見込まれていません。もともと通学定期の値上げについては、通勤定期と違いまして全額が家庭負担であるということは総裁もよく御存じのとおりであります。そこで、通学定期の割引率を見ますと、五十三年には八一・八%、五十五年には七七・三%、そして今回の申請では七四・三%と、年々低下いたしておるわけであります。これに対して大手民鉄の平均は現在八二・二%なのですね。この割引率において、国鉄と民鉄とは大きな差があるわけであります。また、通学定期について五十三年からの値上げ率を見てまいりますと、五十三年が二七・五%、五十四年が二七・九%、五十五年が一一・五%、今回の申請では二三・九%となっております。こうした教育関係費についての配慮を国鉄は一体どう考えておるのか、この点どうでしょうか。
  60. 高木文雄

    高木説明員 学生さんの負担、したがって御父兄の負担に非常に大きな影響を及ぼすということは、われわれが運賃システムをつくるときに頭に置かなければならない問題でございます。しかし、同時にこれは、国鉄財政的、経済的に余裕があった時代には、言ってみれば他のお客様の御負担において学生さんの関係負担を軽減することができたわけでございますけれども、赤字になりました現状から見ますと、結局その負担は、現時点における助成金か後年度における財政援助かになってくるわけでございますので、このような経理状況になりましたときに、学生さんあるいは御父兄の御負担ということから一般納税者の負担の方に相当かかっていっている状態のままでそれを放置しておいていいかどうかということになりますと、それは十年前、十五年前に国鉄が全体として黒字でありました時代とはやはり変わってこなければならぬのではないかと考えるわけでございまして、私どもの相談相手になっていただいております諮問委員会等におきましてもいまから十何年前から、この種の公共負担についてはもし必要とあらば政策官庁の方で持っていただくのが筋道であって、他のお客さんの負担に振りかけたり、赤字という結果を通じて納税者に振りかけたりするのは必ずしも適策ではないのではないかという指摘を受けておるわけでございまして、私どもは、気持ちといたしましては御父兄に対し、また教育問題ということに対して全く冷たい姿勢ではないかということについては大変気にはいたしておりますけれども、そこのところは筋道を、国鉄経営状態が変わってきたことを前提にしてその負担のあり方も変わっていかざるを得ないという前提で、急激な負担の変化を避けながら少しずつ直させていただくという案で取り組んでおるわけでございます。
  61. 長田武士

    ○長田委員 国鉄はかねてから、通学定期の割引につきましては文教政策上の公共的視点による面が必要である、こういうふうに言っておりました。     〔委員長退席、武部委員長代理着席〕 この方針で臨んできたわけですね。じゃ、こういう方針というのは、経営状態が悪化したので今後とれないというのですか。
  62. 高木文雄

    高木説明員 これは、先ほど来申しておりますように、政府におきまして運輸省がお世話役で文部省、厚生省等と御協議願っておるところなのですが、なかなかむずかしい、長い歴史を持った問題だけに御協議が調っておりません。それで、何とかその御協議が調う日を待っておりますけれども、その間いかに何でも七十何%とか八〇%という割引率は少し幅が大き過ぎるのじゃないかということでお願いをいたしておるわけでございまして、この最終的な解決法としては、本来文教政策的な見地で考えられるべきか交通対策ということで考えられるべきか、その結論をなるべく早くお出しいただくということでないと、われわれとしても最終的にどの程度のところで落ちつけたらいいかという判断はなかなかできにくいわけでございます。
  63. 長田武士

    ○長田委員 現行の通勤、通学定期の割引率は、通勤が五五・四%。これはほとんど会社の負担が多いようですね。通学が七七・三%、先ほど申し上げましたとおり全額家計負担であります。そこで、中長期的に見まして、通勤通学とも将来の適正な割引率をどの程度と見ておられるのか、この点どうでしょうか。
  64. 高木文雄

    高木説明員 その点はいろいろ内部でも研究しております。また、専門家の御意見も承っておりますが、しかとした結論には至っておりません。ただ、現実に通勤の場合には、また通学の場合には、定期であるということについて私どものコストも少なくて済むわけでございますので、現在の五割ないし七割七分になっております割引率を三割とか四割とか、そういう率のところあたりが妥当なところではあるまいかというようなことが一部研究の過程において言われておるということでございますが、まだそれは結論的なものではないということでございます。
  65. 長田武士

    ○長田委員 今回の値上げ申請分とは別に、地方交通線運賃割り増しについて、昭和六十年までに五割程度国鉄は考えておるようであります。そのために五十六年度中にも地方交通線では、先ほどもちょっと論議されたわけでありますが、運賃が一割前後の割り増しをされることが当然私は予想されるのじゃないかと思うのですね。  そこで、地方交通線料金割り増しはいつごろを予定されておるのか、またどの程度の割り増し率になるのか、この点をお尋ねいたします。
  66. 加賀山朝雄

    加賀山説明員 先ほど他の委員の方に総裁からもお答えをいたしましたように、特別運賃を五十六年度におきましてどういう形で入れてくるかということはまだ具体的には決めておりません。いろいろ勉強をしております。この問題は、先般政令がやっと決まりまして、地方交通線範囲もまだこれから決めるという段階でございます。そういう考え方で、現在の段階はまだ一割とか、そういうような方針等も決めておりませんし、また時期等もいつにするかということは具体的に決めていない、目下検討を進めている。また、これにつきましても運輸省ともいろいろ御相談を申し上げて、新しい制度の導入につきまして、どういう段階で踏み切っていくかということを決めたいと考えております。  また、これを六十年までにどのようにいたしていきたいかということでございますが、これは先般の法律の審議に際しましても総裁の方から御答弁申し上げておりますように、私どもといたしましては、一応六十年ごろまでには五割ぐらいを一つのめどとして考えていきたいという形で現在考えているところでございます。
  67. 長田武士

    ○長田委員 このような地方交通線料金割り増し制度、これこそ先ほど申し上げました四原則に反するのじゃないでしょうかね。一部の利用者に対する負担が重くなるということは公平の原則からいってもおかしいと思います。こうした値上げによる増収分を見ましても、増収と見込まれておるのは約四十億円前後ですね。五十六年度の累計赤字は約五兆円ありますから、果たして四十億円程度増収を見込んで一体国鉄再建に役立つのか、この点私は非常に疑問ですね。  さらに、この地方交通線料金の割り増しよりも、もう少しお客さんをふやすというような方向転換というのが必要じゃないでしょうか。そこに焦点を当てないと、国鉄はだんだんじり貧になってしまうというような感じが私はするのですが、その点どうでしょうか。
  68. 加賀山朝雄

    加賀山説明員 地方交通線の特別運賃の問題につきましては、確かに収入ウエートといたしましては、全体といたしましては先生御指摘のとおり大きな額ではございません。しかしながら、地方交通線の維持に関しまして、従来は国鉄の内部におきまして幹線の黒字で支え切れてきたわけでございますけれども、御承知のとおり、今日、千二百億を超える補助金を地方交通線だけのためにいただいております。さらに今後その赤字の幅は拡大をしていく、経費増加につれて収入の増がそう多く期待できるわけではございませんので、拡大をしていく状況にございますので、そういった一般納税者の方にもかなりの額を負担していただいて地方交通線を維持していくという状態の中におきまして、利用される方々にもある程度の御負担を願いたいというのが考え方でございます。そのこと自体が国鉄の全体の収支に対しましても若干の貢献をするということにもなりますので、そういう意味で今回法律の中でそういう特別運賃というものの導入をお決めいただいたわけでございます。  それで、国鉄の大宗をなします幹線におきまして、どういうふうに収入をかせぐかということが当然これからの大変大きな課題の一つになってきております。私どもといたしましては、当然ある程度運賃改定をお願いしていかなければならないという経営事情の中におきまして、どうやって収入をふやすかということはまさにあらゆる知恵を使わなければいけないと思っております。現実にすでに京都の往復割引であるとか、あるいは「こだま」の三人料金であるとか、あるいは団体旅行に対する特別な割引であるとか、その他いろいろな形におきましてお客様に利用していただけるような弾力的な運賃制度上の適用も考えてまいりましたし、それよりも何よりも国鉄職員自体のサービスの精神と申しますか、フロントのあり方というものも今後十分教育をしてまいりまして、気持ちのいい鉄道にすることが何よりも大事なことだと考えております。
  69. 長田武士

    ○長田委員 実は先日民鉄の代表の方を参考人としてお呼びいたしまして、いろいろ経営状態をお伺いいたしました。大変努力をされておりまして、私もその点は認めるわけでありますけれども、どうですか、端的に申し上げまして、いま国鉄のお客さんに対するサービス、民鉄のサービス、どっちがいいと思いますか。
  70. 加賀山朝雄

    加賀山説明員 国鉄の場合の輸送の態様が民鉄と必ずしも全部一緒でございませんが、総体的に言いまして、いろいろの窓口あるいは改札あるいはその他の応対等におきまして、民鉄に見習わなければならぬことはたくさんあるというふうに考えております。
  71. 長田武士

    ○長田委員 そういう点から国鉄が体質を改善しませんと、やはり親方日の丸だなあという感じがどうしても私は出てくるのですよ。だから、そういう意味で私はお客さんをふやすためにどうするかという施策が足らないと言うのですよ。  高速道路に乗りましても、昔は切符もらっても、おいなんと言ってやっておりましたけれども、いまは、ありがとうございます、おはようございますなんてえらくサービスが変わってきたのですね。これは公団総裁が大分努力をしたようであります。そういう点で、タクシーでも、最近、どうもお待たせいたしましたと言ってサービスをしまして、ちょっとしたことで気持ちがやわらぐと申しますか、国鉄さんも変わったなというようなニュアンスで出てくるのじゃないでしょうかね。乗っけてやるみたいなかっこうではお客はふえませんよ。そういう点で、同じ料金ならばひとつ国鉄に乗ろうというような、そういうようなお客さんのつくようなサービスというのが必要じゃないでしょうか。その点どうでしょうか。
  72. 加賀山朝雄

    加賀山説明員 まさに先生御指摘のとおりでございます。非常にきめ細かく現場の末端に至りますまでいろいろな形で指導はしておりますが、なかなか長い体質というものは簡単に直らない点もございます。これらの点につきましては、今後現場の管理者教育も含めまして徹底をし、さらに管理者から現場の第一線の職員一人一人に至るまでそういう気持ちを持たせるような教育指導をしてまいりたいというふうに考えております。
  73. 長田武士

    ○長田委員 たとえば出札とか改札ですね、こういうところは女性を使われたらどうでしょうかね。そうすればもっと感じがユニークになってくるのじゃないでしょうかね。そうすれば合理化という点では一歩前進するのじゃないかなという感じもするのです。その点どうですか。
  74. 加賀山朝雄

    加賀山説明員 国鉄で現在女子職員というのは全体の一・六%ぐらい、大変少ない数でございます。ほとんど看護婦あるいは電話の交換というような形の人たちが多いわけでございます。  なぜ女子職員が採用できないかと申しますと、現在、国鉄の労働条件というものは、四十万人の半数以上が深夜業務を必要とする業務になっております。そのために、現在女性の深夜労働が基準法上禁止をされておりまして、この適用除外に国鉄が入っておりませんので、女子職員をつくりますと結局夜中は男で昼間の職場をみんな女子職員が占めるという形になってまいります。それともう一つ、これは内部の問題でございますが、国鉄のいろいろなプロモーションの関係で、まず若い人たちは現場に入りまして構内作業とか屋外の作業から順次屋内の作業へと移ってまいります。女子職員をなかなか屋外のそういう作業に使うわけにもいかないというような条件もございまして、どうしても女子職員を使いにくいという条件があるわけでございます。ただ、御指摘のように一部そういった点でテスト的に女子職員の採用をし、現場で働いてもらっておりますが、現在の段階ではそういう労働基準法上の条件等がございますので、一挙には余りふやし得ないという条件があるということも御理解いただきたいと思います。
  75. 長田武士

    ○長田委員 次に、国鉄が現在とっておりますところの通勤、通学定期以外の各種割引制度、それはどんなものがあるか、また新たに導入する割引制度についてはどのようなものを考えておるのか、この点をお尋ねをいたします。
  76. 橋元雅司

    橋元説明員 運賃を路線あるいは区間に応じて、御利用の実態に応じて、硬直的でなく弾力的に適用したいということはかねてから心がけておるところでございます。したがって、毎年いろいろな形で具体的な運賃割引の適用をいたしております。  その代表的なものを二、三申し上げますと、まず、関西地区におきまして、五十三年の七月でございましたが、京都-大阪間あるいは京都-神戸あるいは三ノ宮といった私鉄と並行しております関西のこういう区間におきまして、営業キロに見合う運賃より一段下の運賃を適用いたしております。私どもこれを特定割引運賃と申しておりますが、この新しい運賃制度を開きましたことによりまして、昨年十月の実績でございますが、京都、神戸合わせまして一日大体一万五千人くらいの御利用がございます。これはほぼ前年並みの水準でございまして、他の路線におきましては若干減りぎみの中で、この区間におきましてはほぼ前年の水準を維持しておるということでございます。  また、先ほど来御指摘がございました東京地区におきまして、中央線の八王子、高尾などの各駅と東京、新宿など都心、副都心の主要駅との間に往復のお徳用のお買い物切符と言っておりますが、そういった形の割引切符を発売いたしております。これはちょうど昭和四十二年でございましたか、中央線に特別快速電車を運転させるということに伴いまして、この電車の利用促進を図るという見地もございまして設定をいたしたものでございます。その後、発売範囲あるいは割引率などを強化いたしまして今日に至っておるわけでございます。これは、実は御利用の実績が従来余り芳しくございませんでした。昨年、かなり御利用の皆様に周知徹底方を図りました結果、この一年で三倍くらい御利用が伸びております。それにいたしましてもなお一日五十枚程度の御利用でございますので、今後さらにこれの増売方について努力をいたしたいと考えております。  いずれにいたしましても、特に大都市における私鉄との運賃格差の問題についてはもういろいろと御批判をいただいているわけでございまして、十分問題意識を持っているわけでございますが、格差が余りにも大き過ぎまして、多少の割引では追いつかない、効果が少ないという関係もございますし、また内方の区間、八王子の運賃と東京方のたとえば立川の運賃との調整を必要とする、調整がなかなか困難である、仮に実施いたします場合に、そういったものを含めますと減収額がかなり大幅になるということ等がございます。  実は、先生特にお詳しいと存じますが、八王子とたとえば東京、新宿の区間の御利用は、昭和四十九年、運賃がほとんど私鉄と格差のない時代におきましても国鉄の御利用は私鉄に比べて四分の一程度でございました。その後、格差が広がるにつれてその御利用のシェアはもちろん国鉄は下がっているわけでございますが、それにいたしましても運賃の条件だけではない、その他の輸送条件等々、いろいろ問題がございますので、それらを含めまして十分今後勉強してまいりたいと考えております。  その他の割引制度につきましては、たとえば新幹線におきまして回数特急券を設定するとか、あるいは中長距離のお客様に対して往復乗車をお願いして、「Qきっぷ」と称しておりますが、割引切符を発売するといった形であるとか、あるいは先生御承知の、昨年でございますが、運賃改定の際に新幹線を三人の方の料金で四人の切符を発売をいたすというようなことをいたしております。  いずれにいたしましても四年連続の今回の値上げでございますので、運賃は、賃率は上がったけれども実際の収入がそれに相伴わないということでは、これは意味がございませんので、よほどきめ細かく各般の努力をいたさないといかぬということでございまして、実施日までに十分その点の具体的な施策を考えてまいりたいと考えております。
  77. 長田武士

    ○長田委員 いま御答弁がありました関西地区、ここは私鉄と競合しているのですね。この地域を割引をしようということで特定運賃制度を導入をしているわけであります。しかし、割引いたしましても私鉄の方がまだ安いのですよね。たとえば大阪-京都、国鉄四百四十円、私鉄二百五十円、大阪-三ノ宮間、国鉄三百二十円、私鉄百八十円と、割引してもなおかつこれだけの格差があります。そこで、こういう競合するところはこの特定運賃制度を導入するというのはそれだけの意味があると私は思います。ところが、いまお話がありました東京周辺のいわゆる特定運賃制度というのはないのですね。競合しておる中央線、こういうものにはいま話がありましたお買い得、お徳用切符、これがあるのです。お買い得じゃない、お徳用だ。余りお徳用じゃないんだけれども、これは八王子-新宿間で片道が四百四十円、往復で八百八十円、このところをこの制度によって往復切符を買えば六百八十円になりますね。だけれども、こういうことを知っているお客さんというのは余りないんじゃないですか。これは全然知らないです。したがって、関西の方はもう特定運賃できちっと制度が決まっているのに、東京の方は往復切符を買わなかったらこういう具体的な優遇措置は受けられないということですね。したがって利用率が非常に悪いということで、PRしたところがまた上がってきた、こういうことではうまくないんじゃないでしょうか。関西みたいに特定運賃制度にしたらどうですか。
  78. 橋元雅司

    橋元説明員 先ほど申し上げましたとおり、確かに実績はそのように相なっております。率直に申し上げまして国鉄のこの首都圏における割引問題については多少腰の引けていた面がございました。  そこで、先ほど申し上げましたように運賃条件の問題だけではない、たとえば輸送時間、輸送のフリークエンシーの問題等々、いろいろな条件がございますので、具体的な線区あるいは路線について具体的に措置をしてまいりたいと考えております。特に先ほど申し上げましたとおり、中央線の問題につきましては内方区間の運賃との調整がはなはだ困難でございまして、仮に大阪のような制度をいたしますとどの程度の減収額になるか、これもはなはだ現在の国鉄の情勢の中では耐えがたいところもございますので、その辺を十分慎重に検討いたしたいと考えておるところでございます。
  79. 長田武士

    ○長田委員 そこで私は、国鉄利用者の増加を図る意味からも新しい運賃制度をぜひ創設された方がいいんじゃないかと思うのです。たとえば小グループに対する割引運賃やお年寄り、シルバー割引運賃などの制度を考えてはどうかと思いますが、どうでしょうか。簡単に答えてください。
  80. 橋元雅司

    橋元説明員 かねてからそういった御提案、各方面からいただいております。御老人の方々、子供、女性あるいは青少年、学生さらには小グループの方々に対して割引をするという方策はいかがかという御提案をいただいているわけでございます。  現在、たとえば小グループに対しましては、先ほど申し上げましたように新幹線「こだま号」を四人で御利用いただく場合に「こだま四人きっぷ」ということで三人分の運賃で御利用いただいておりますし、往復乗車をお願いする場合には、先ほど申し上げました往復割引切符あるいは「Qきっぷ」といった制度もあるわけでございます。  ただ、老人の方々に限って割り引くというようなことについては、多少割引制度になじまない点がございまして、私どもとしましてはそれぞれの顧客層を対象としてきめ細かい他の方策を考えてまいりたいと考えております。たとえば最近、昨年でございますが、「振り向けばきみがいて。」というキャンペーンを始めまして、シルバーエージの方々の旅行意欲を盛り上げるというような施策を考えておるところでございます。  いずれにいたしましても、先生御指摘のようにマーケットを十分精査いたしまして、お客様の層と申しますか、ターゲットを十分しぼった上で具体的にきめの細かい方策を考えてまいりたいと思います。
  81. 長田武士

    ○長田委員 それでは、あと二点お尋ねをいたします。  国鉄の関連事業につきましては、五十二年度の国鉄改正法によりまして出資の対象が認められたわけであります。その結果、投資事業範囲は著しく拡大されておるわけでありますが、関連事業収入の推移を見てまいりますと、五十年は三百二十八億円、五十一年は三百七十四億円、五十二年は四百三十億円、五十三年は四百七十億円、五十四年は五百十一億円、五十五年は六百十億円というように年々拡大されておるわけであります。しかし、投資事業はあくまでも間接投資なんですね、直接投資じゃないわけであります。しかも国鉄の遊休地、未利用地は現在千八百八十万二千平米ありますね。年々資産処分が行われておるわけでありますが、五十六年度には六百億円の処分が予定されておる、こういうふうに聞いております。  そこで、これらを含めた土地の高度利用、資産の活用はもっと積極的に私はやるべきであろうと思いますが、その点、直接投資をされてもいいんじゃないかと思いますが、どうでしょうか。
  82. 高木文雄

    高木説明員 土地の中で遊休なものを別の形で使うということは積極的に取り組むようにいたしております。  ただ、そういうふうになってまいりましたのはまだ二、三年でございまして、また遊休の土地をどう使うかという場合に、いろいろ土地の利用方については一種のノーハウが必要でございまして、私どもの方の職員なりあるいは関連のところなりにまだそういう点が十分でありませんので、だんだんなれてまいりましたから、拡大をしてまいりたいと考えておるわけでございます。  同時に、やはり公共企業でございますので、私どもとして収益を上げることも考えなくちゃなりませんけれども、地域の方々のいろんな意味での御要請に合うようにしながらやっていきたい。前は国鉄が何かいたそうといたしますと、民業圧迫ということで非常に強い反対に遭遇して、とかく消極的になっておったわけでございますので、今後積極的に取り組むといたしましても、地域の方々とのお話し合いの上で、地域にも喜んでいただけるという使い方をしたいと思っておりますので、いささかテンポが遅いかもしれませんけれども、方向としてはそう考えておりまして、計画目標の六十年時点では、こうした関係収入を千億オーダーまで上げていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  83. 長田武士

    ○長田委員 それでは最後に、首都圏におきますところの交通体系それから運賃体系、これについては年々複雑化しております。そういう意味では地方から見えました利用者が非常に不便さを感じておるわけですね。先ほど運賃ばかりじゃないという話がありましたけれども、私は運賃もさることながら、複雑さという点でも利用者が国鉄を利用しないという面もあるのじゃないかという感じがするのです。  それはどういうことかといいますと、大阪や札幌では、市営地下鉄と市営バスを乗り継ぐと割引ができるのですね。あるいはヨーロッパなどでは、異なった交通機関でも利用できる共通の切符というのがあるのです。そこで、首都圏においても国鉄と他の交通機関との共通の切符の制度が必要じゃないか、そういう共通切符ができて便利になれば国鉄の利用者というのはもっともっとふえるのじゃないか、私はそういう感じを強くするのですけれども、この点いかがでしょうか。
  84. 杉浦喬也

    ○杉浦政府委員 おっしゃるように、首都圏におきましてそうした共通の切符ができますと、利用する側は大変便利でございますし、また安くなるという大きな利点はございます。したがいまして、私どもも鋭意検討を進めておるわけでございますが、実はなかなかむずかしい。むずかしい理由は、私鉄、東京都、地下鉄、国鉄ということで大変業種が分かれております。こういったものを共通の形で精算事務を含んだ事務をやることが大変むずかしいということ。それから、共通切符にいたしまして共通部分は安くなりますけれども、その分だけ全体の賃率が上がらなければいけないというようなことで、ある線だけを利用されてきた方にとりましては運賃が上がってしまうというような感じを受けるわけでございます。そうした点の問題等々、いろいろな難点がございまして、なかなかこれは実施に踏み切るまでの状態に至っていないということでございますが、利用される方にとりましては非常に便利な制度でございますし、外国でも実態がございますので、今後とも鋭意検討を進めたい、こういうふうに考えております。
  85. 長田武士

    ○長田委員 以上で終わります。
  86. 武部文

    ○武部委員長代理 次は、中野寛成君。
  87. 中野寛成

    ○中野(寛)委員 私は各論に入りますまでに、問題意識といいますか認識を一つにしておきたいと思います。いろいろ審議会その他に諮ったり協議をしたり、そしてそれによる結論で具体的な作業を進めていくということもあろうと思いますが、しかし、あらゆる企業、会社においても経営者は経営者独自の哲学なり計画方法なりを持っているわけであります。そういう意味で、今日のこの事態に至ったいわゆる赤字国鉄の根本原因は何であるのか、そしてそれに対してどのようにメスを入れ、どのように今後対応していこうとしておられますのか、それを個条書き的に、項目的に主なものをまず列挙していただきたいと思います。
  88. 高木文雄

    高木説明員 個条書き的にということでございますので申し上げますが、やはり基本的には、先ほど来各委員から御指摘のございますように、官業的な雰囲気というものが非常に全体に強くて、日本の平均的な民間企業にありますような企業的精神といいますかそういうものが欠けておる。たとえば切符を売るにいたしましても、出札口でお客さんが見えた、その見えたお客さんに切符を売るということが中心であって、さらに街まで出かけていってどんどん売りましょうというような雰囲気が伝統的にないわけでございまして、その心構えの問題が一つあると思います。  それから二番目は、現行の弾力化法案が成立いたします前には、国会にお願いをしてその都度運賃改定を行ってまいりましたが、過去の事例を見ますと、その都度相当御意見がございまして、提出いたしましたときにお認め願うということにはなりませんで、かなり成立がおくれ改定がおくれた時期がございました。そのことを別にとやかく申すわけではございませんけれども、それに対応するために借金をいたしまして、結局それは、金利負担が非常に大きなものになってきまして、この金利負担経営全体の圧迫になったことは否めないと思います。     〔武部委員長代理退席、委員長着席〕  それから三番目に、戦後今日までの交通関係の投資額をごらんいただきますと、私どもの投資額に比べて道路なり港湾なり航空なりについての投資額は伸び率が非常に多くなっております。しかも、私どものいわゆる投資の中には相当部分が車両等の取りかえ資産、あるいはトンネルや橋梁の改修といったような、つまり老朽資産の取りかえといったようなものも含めての投資規模でありまして、港湾や飛行機の場合にはメンテナンスのための投資というのはそう大きくありませんので、そういう意味から見ますと、実質投資額はかなり他の交通手段よりもおくれてきておるというふうに思います。  それから、最近の問題ではございますけれども、いま非常に問題になっておりますのは、職員構成に非常にゆがみがございます。最近は退職者が非常に多いわけでございますけれども、退職者のために払います退職年金等につきまして以前から引き当てをしていないわけでございまして、現在は毎年非常に巨額の退職金支払いをしなければならぬ。しかし、それをにわかにいまコストと見て運賃にはね返すわけにいかないという問題さらには年金負担が非常に大きくなってきておりまして、現在厚生年金も含めましたわが国のもろもろ年金制度の中でいわゆる成熟度が最高のものになっておるわけでございます。現在でも従業員百人に対しまして年金受給者の数が大体八十人ぐらいということで、年金として体をなさない状態になってきておりまして、この年金退職金等によりますところの負担が圧迫になっているわけでございます。  それと同時に、もう一つ大事なことは、ここ七、八年の間、オイルショックの過程を通じて民間の企業では減量経営が大変進んだわけでございます。それによって、コストの削減のために血の出る努力をなされたわけでございますが、私は、いろいろなめぐり合わせもありまして、国鉄の場合にはちょうどこのオイルショックによるコストプッシュ時代に十分な減量経営をすることができなかった、それがおくれたということがごく最近の赤字様相の因をなしておると思います。  なお、今後の問題といたしましては、貨物については昭和四十五年まで、旅客については昭和五十年まで絶えずお客さんがふえておったわけでございますが、その年を境にしましてお客さんが減り始めた。その減り始めた理由は、競争の輸送機関の発展が大きいことが一つと、それから経済の成長が高度なものから安定的なものに移ってきた、そういうことの両方からそういう状態になっていると思いますが、今後の問題といたしましては、国鉄に対する輸送需要がどういうふうになっていくかということが、これは最近の問題というよりはむしろ今後の問題として大きな問題だというふうに考えております。  大変ばらばらに並べましたけれども、そんなことが問題ではないかというのが私の問題意識でございます。
  89. 中野寛成

    ○中野(寛)委員 問題点については列挙していただいたわけでありますが、これらに対してどのように対応し、そしていつごろまでにどのような効果が上がるとお考えでございますか。
  90. 高木文雄

    高木説明員 国鉄再建法で示されておりますように、経営改善計画というものを私どもは立てまして、ごく近々に政府に御提出申し上げることにいたしておりますが、そこでは基本はやはり減量経営ということでございます。特に現在人件費の額が大変大きなものになっておりますので、この際、大変骨の折れる仕事でございますが、六十年までに約二割職員を減らしまして、いわゆる三十五万人体制というものを立てることが一つでございます。  それから収入面につきましては、恐縮でございますけれども、やはり毎年物価に見合う程度運賃改定はお願いせざるを得ない。同時に、先ほどいろいろ申しましたいままで欠けておる営業的精神と申しますか企業的精神と申しますか、そういうものをふるい立たせて収入増加に努めたいと思いますし、いわゆる関連事業収入という言葉を使っておりますが、遊休地の活用等による収入増、さらにまた、遊休地の中で将来も私どもで使う見込みのないものについては相当積極的な資産処分ということで収入をふやしたいと考えております。  しかし、それだけやりましても、なおかつなかなか収支が償うところにまいらないわけでございまして、その原因は、大きなものとしては、先ほど触れました年金負担退職金負担とがございます。これらについては、大変申し上げにくいわけでございますけれども政府の行政上あるいは財政上のお力添えをいただきたいというふうに考えておるわけでございます。  そういうことによりまして、昭和六十年時点においては、過去の赤字は特別といたしまして、単年度では何とか収支が償うところへ持っていけるのではないかということで経営改善計画作業をいたしております。  それからもう一つ、その場合にめんどうな問題になっておりますのは東北・上越新幹線の開業の問題でございます。東北・上越新幹線につきましては、残念ながら、これに並行いたします在来線とあわせて考えますとどうしても十年ぐらいは赤字になってしまう。これは投資額が非常に大きいのでその利子負担、償却負担のために赤字額が相当出てくるという問題が別途あるわけでございます。
  91. 中野寛成

    ○中野(寛)委員 大要をお聞きしたわけでありますが、先ほどからの同僚議員の質疑応答をお聞きいたしまして、総裁も大変御努力をいただいているのだと思います。しかしながら、具体的な御提案を申し上げましても、またお尋ねを申しましても、何かのれんに腕押しという感じで、本当にこれは救いようがないのかなという印象をつくづくと持ったわけであります。それであえていまのようなお尋ねをしたわけであります。しかしながら、職員の二割削減といいましても、果たしてこれが本当にできるのか。またやる内容にいたしましても、先般の予算委員会の総括でわが党の塚本書記長がお尋ねをいたしましたけれども、その内容について私どもとしては不十分な印象を強く持ったわけであります。そういう意味で、いまおっしゃられたことにつきましては、毎年物価に見合う運賃改定と言われますと、これに即賛成と言うわけにいきませんけれども、しかし一つ一つのことを忠実に、より一層効率的にやっていただきたいと思っておりますが、物価に見合う運賃改定の分なんですけれども、これは少なくともそれ以上にプラスされるというふうなことはないと考えてよろしいのでしょうか。
  92. 高木文雄

    高木説明員 数年前にいわゆる運賃法定制度を緩和する法律をつくらしていただきましたときには、経費増加に見合う運賃改定という考え方を持っておりました。それはどういう意味かといいますと、経費が一割上がりました場合には収入を一割上げるというのではなくて、現在経費より収入の方が少ないわけでございますので、経費増加額、実額を収入によって補っていくということで考えておりましたけれども、その後だんだん他の輸送機関との運賃の競争力が弱くなってまいりました。したがって、現在の段階では経費に見合う運賃改定ということはなかなか現実的ではない。そういうことではいよいよお客様が減るということになりますので、物価あるいは国民生活に及ぼす影響の問題は仮に別といたしましても、ただ営業の観点からだけ考えましてもそのような改定はむずかしいというふうに考えておるわけでございまして、現在のところでは大体日本全体の物価、賃金の上昇に見合う程度改定を行わせていただけるならば、それは改定幅として合理的な限度ではなかろうか。そのこと自体でも大変問題でございますけれども、どうしても速やかに収支の改善を図るためには改定をお願いするとして、その場合の幅というのはまずまず賃金、物価上昇見合いというぐらいが限度ではないか、そうでないとますます競争力を失うことになるのではないかというふうに考えております。
  93. 中野寛成

    ○中野(寛)委員 次に、先ほど申し上げた三十五万人体制の問題なんですが、これは昭和六十年度で三十五万人ということでございます。民営ならば十五万人でりっぱにやってみせる、こういうふうに民鉄関係者の皆さんもおっしゃっておるわけでありますけれども、三十五万人体制を一たん六十年を目指してやる。その後これは三十五万人で固定化されていくのでしょうか。その後もより一層の経営合理化と同時にこの人数についての削減の努力が継続されて行われる、その一つのプロセスというふうに考えてよろしいのでしょうか。
  94. 高木文雄

    高木説明員 率直に申しまして、一口に三十五万と申しましてもなかなか大変でございます。なぜかというと、少ない人でやれるようになるというのにはシステムを変えていかなければいけませんし、また相当部分は、いままで人力に頼っていた部分を設備力に頼ることによって、投資額、利子負担等考えても人手でやるよりは設備、機械によった方が経済的だということで、人を減らしていくことが可能になる部分も相当ございます。また、いままで直営でやっておりました分を、直営でやるよりは外部にお願いをして請負でやっていただく方がコスト的に見ていいという場合もございます。  そういうことで、どういうふうにやるにしましてもシステムを変えていかなければなりませんので、そのシステム変更に伴いますもろもろの手続と、それから、さらに労働条件が変わってまいりますので、労働条件についての労使間の話し合いといったものが前提とならないと、三十五万人と一口に言いましてもなかなか実現がむずかしいわけでございます。私どもといたしましては、現時点ではとにかく何とか六十年までに、石にかじりついてもそこまで持っていきたいということを考えておるわけでございまして、大変恐縮でございますが、その先どういうふうになっていくかということについては、まだ十分勉強もしておりませんし、予測を申し上げるのは避けさしていただきたいと思います。しかし、そうだからといって三十五万人というのが絶対のものであって、一切変更がないんだということではないわけでございますし、また、そもそも非常に人手がかかっております貨物輸送といったようなものについて、一方においてエネルギー事情等の変化もありますので、今後どういう輸送をしたらよろしいのか、その辺も、旅客につきましても貨物につきましても、現在程度輸送量を私どもが担っていかなければならないという前提で考えておりますが、経済の動きが非常に激しいので、いろいろそういう変化もございましょう。したがいまして、その点についてはまた計画達成時点においていろいろと見直すことが起こってくるのではないかというふうに考えております。
  95. 中野寛成

    ○中野(寛)委員 これは長期の計画を立てながら、必要最小限度の人員で経営をしていくという努力がなされなければ、また継続的になされなければ本物の立て直しというのはむずかしいと思うのです。三十五万人体制に持っていくのも大変困難であることはよく承知をいたしますが、しかしながら、今後の合理化努力その他によって六十年三十五万人、それは一つのポイントだ、プロセスだという考え方を持ってやるのとそうでないのとでは、やはり取り組み方の姿勢にかなり大きな違いが出てくるのではないか、こう思うわけであります。そういう意味でぜひともの御努力を強く要望しておきたいと思います。  同時に、いま機械力等による合理化という御答弁がございました。ただ、私も以前にこの機械力の問題について、マルチプルタイタンパーと、それから操重車ソ六〇について、この場所でも、決算委員会でもお尋ねをしたことがございます。その稼働率が大変低いということで、実は今回もマルチプルタイタンパーにつきましてもどういう実態であるか、ちょっと事前にお尋ねをしたわけであります。やっと稼働率が上がりつつあるようでございますけれども、これにつきましても、実態を見ますとまだまだ十分な効果が発揮されていない。それから操重車ソ六〇、これはほとんど使われていないという実態が昨年の段階であったわけであります。使われないままに結局廃車といいますか、されていくという実態を実は指摘をしたわけであります。  このマルチプルタイタンパーでも、民営鉄道が国鉄から払い下げを受けて、そしてそれを活用しているわけです。それからそのほか、たとえば車両の更新にしても東海型電車というもの、これはこの前も塚本書記長が指摘したのですが、約二十年使っているわけですが、私鉄ですと二十年たっても現役でばりっと活躍をしているわけであります。  このようないろいろな機械化への努力、結構なんですが、しかし、たとえば労働協約ですとかそういうものの事前の打ち合わせが十分に行われていない。また、こういうものを使う、そのための合理化だと言えば、合理化反対というステッカーやポスターがあちこちに張りめぐらされる。そしてその協約の過程でそういう機械が実質上使えない。これだけの車両が通って、次の車両が通るまで何分以上あいていなければその機械は使えないというような協約を結ぶ。そして実際上その時間あいているようなタイミングというのはないというような実態がよく指摘をされるわけであります。今日そういうものに対してどのようにお考えになり、対応しておられますか。
  96. 高木文雄

    高木説明員 一例をマルチプルタイタンパーに置いて申し上げたいと思いますが、マルチプルタイタンパーに移ります過程におきまして、われわれサイド、働く人たちあるいは組合の人たちという意味でなくわれわれサイドにおいて十分研究をし、準備をしなければならなかった点が、やや不十分のままに機械が入れられたということをいま反省をいたしておるわけでございます。ようやくにして、最近に至りまして、その機械の操作等についての教育の問題であるとか、あるいはまた機械をうまく動かすために、逆に列車の間合いをとるふうにダイヤを改めることだとか、あるいは作業場と詰め所との距離関係を調整する問題だとか、いろんな問題をだんだんと片づけてまいりました。現在まだ不十分ではございますが、ここ数年の間にマルチプルタイタンパーの稼働率はかなり改善をされていっております。その改善されました理由は、いま申し上げましたような教育とかあるいは機械が壊れました場合の修繕の扱いの問題とか、それから作業場を適正配置にするとか、そういうことをいろいろ積み重ねてきたわけでございます。率直に申しまして、いままでの機械への置きかえの過程においてはいろいろなトラブルがあったし、またそうなる理由があったと思っております。労使問題も今日まだ相当といいますか、若干といいますか、残っておるわけでございます。しかし、そういう条件も整ってまいりますにつれまして、この問題についての労使間の紛争というものも次第におさまりつつございます。  それで、現在では、マルチプルタイタンパーで申しますと、計画といたしましては一台の年間稼働率を六十年時点で、たしか昭和五十四年を基準としておったと思いますが、五十四年を基準として約三倍ぐらいまで上げることにしておりますし、そうなりますれば、まあまあ機械の使い方としてはほぼ目標に達し得るのではないかと考えておるわけでございます。そういうことをやることによりまして、人力から機械力への置きかえによるところの効果経営にはね返るようにぜひ持っていきたいというふうに考えております。
  97. 中野寛成

    ○中野(寛)委員 私は以前質問しましたときにも申し上げましたが、たとえばマルタイにいたしましても、国産で一台七千万円、いま五百十一台たしかあると思いますが、外国製のスイス製に至っては一台一億四千万円から一億五千万円するという機械。それからもう一つのソ六〇型式の操重車、これは一台五千二百万円。一台買うだけでも大変な金額なわけです。そういうものが結局十分な下準備もなしに買い入れられて、そして野ざらしにされている。ほとんど稼働しないで下取りに出されてしまうというふうなこと、そういうことの積み重ねも、また今日までの国鉄の大きな赤字をつくっていくもとになった、こう思うわけであります。十分な反省と同時に、今後そういうことのないように御注意いただきたい。これまた強く要望したいと思うのであります。  次に、サービスの問題、国民の目から見た国鉄の問題なんですが、確かに働いておられます国鉄職員の皆さんとの労使関係の問題というのは真剣に考えられなければなりません。しかしながらわれわれの目に映るものは、労使が一体となって再建努力しているのかどうかということについては全く疑わざるを得ないことが多いわけであります。ここに写真を写してコピーしたもの、これはいわゆる、もうよく御存じのビラ、看板、そのたぐいであります。本当にこれ、一枚として同じものを写したのはないのですが、たくさん実例があります。車両にまで書いている。その文章を見ますと、三十五万人体制阻止、物価値上げ反対、国鉄運賃値上げ反対、安保反対、軍国主義復活を許すな、国鉄再建合理化反対、そして、国民の国鉄を守ろう、これ、このとおりにやったらどうして国鉄再建されるのか、全くよくわかりませんが、その内容は別にいたしまして、今日まで私どもは、こういう事態がありますたびに、一人の国民として、また利用者として、何というぶざまなかっこうだ、これをよく国鉄当局は見逃しているものだというふうに思ってまいりました。  その問題点として読み上げますが、私の認識する限りは、行為に対する現認が行われていない。ビラは放置されたままになっている。当局の手により撤去することもまずない。それから損害賠償も行われない。もちろんこれは訴訟を起こされた事例があります。当局が勝っておられます。にもかかわりませず、今日は損害賠償も行われない。そしてもちろん処分なども一切行われていないというのがその後の現状ではないだろうかと思うのであります。これを撤去するにいたしましても人手がかかります。職員でやっているんだといっても、その職員がたとえば残業をしてこれを撤去するのか。または時間内にやるとしたら、よっぽどこれを外すほどの人手が余っているんだということになるわけであります。いずれにいたしましても、そのことの手間暇、それは大変大きな損害になってくるわけであります。このようなことに対して、断固たる措置というものが望まれるわけであります。これからいわゆる季節的にもこれがふえてくる季節、そういうことを考えますと、どのように考えておられますか、明確にお答えをいただきたいと思います。
  98. 吉井浩

    ○吉井説明員 ただいま先生御指摘のように、またほかからもいろいろ御指摘を受けております。私どもも当然に国鉄の施設管理権という立場から、このような違法状態を放置してはならぬということで、いろいろそれぞれ管理局現場を指導してまいったつもりでございますが、実態はまだまだ、先生御指摘のように国民の皆さんの目に大変見苦しいところをお見せしておるわけでございます。先ほど現認の問題もお触れになりました。私どもも極力こうしたものに対しては現認せよということも強く指導するのでありますが、これは決して言いわけで申すわけではございませんが、大変残念ながら、この種のビラ張り等々は管理者の手薄な夜間に不意をつかれて行われるというケースが多うございます。それと、やはり自駅、自分の属する建物にそこの職員がそういうものを出すということはまれでございまして、大抵はよその方からやってまいる。したがいまして、現場を見てもそれが何のたれがしか、なかなか確認できないというふうなことがございまして、御指摘のように現認が十分に進んでおらないということでございます。しかしながら、先生御指摘のようにこれからさらにこのようなことの起こりやすい時期でございますので、十分に私ども、また特に車両に対する落書きあるいは駅舎に対するという問題について重点的に注意をいたしまして、それらに対する現認の場合には速やかに厳正な措置をとるようにということで、さらに強く指導してまいりたいというふうに思うわけでございます。  また、ただいま先生お示しになりましたのは、恐らくこれは釧路の駅の事例じゃないかと思います。これにつきましては、三月十八日の深更にどうもそのような掲示があったということでございまして、二十日以降それらについては撤去をしてまいりました。本日現在まだ若干詰め所の中など残っておるようでございます……(中野(寛)委員「釧路の駅じゃないのです。天王寺、和歌山、鳳、和泉府中、これ全部違う」と呼ぶ)それでは私が申し上げたのは一例というふうにおとりにいただいても結構でございます。  釧路につきましては、そのような措置で撤去いたしたということもございますし、今後ともそのような事例につきましては速やかに措置を講じてまいりたいというふうに存ずる次第でございます。
  99. 中野寛成

    ○中野(寛)委員 このような事態がそのまま放置されていること自体に当局の姿勢が疑われていることになると思うのであります。そういうことがきちんと整理されてこそ国民もまた国民の国鉄として納得をしていくということになると思いますし、まずさせないということ、そしてもしやったら早急に当局の手によってでもそれを取り外していくということ、その厳しい明確な姿勢こそが必要である、このように思うわけであります。国民の願い、または利用者の立場に立っての国鉄再建ということがとりわけ望まれるわけでありますが、その厳しい姿勢を望みたいと思います。  関連して、塩田委員の方からお尋ねをいたします。
  100. 井上泉

    井上委員長 関連質問の申し出がありますので、これを許します。塩田晋君。
  101. 塩田晋

    ○塩田委員 国鉄当局、高木総裁初め、電力、人件費の増高を初めとして諸経費値上げの中におきまして、努力をされておることを認めるわけでございますけれども、いま中野議員から質問がございましたように、国鉄は当局としてやるべきことをやらないで非常に安易に流れているという経営態度はどうしても国民は納得できない、怒り心頭に発しておるということでございます。  私は、経営方針として基本的に大きく誤っているのを四つここで指摘したいと思います。  一つは、諸経費が上がり、しかも運賃物価国民生活への影響から上げるべきでないという観点に立てば、生産性の向上しかない。生産性の向上というのは収入をふやすこと、そしてコストを下げること、これに尽きるわけです。ところが、収入をふやす方法それからコストを下げる方法、これは基本的に国鉄当局がいま歩んでおられる道は、重点を置いておられるところは誤っている。運賃は上げるべきでない。運賃を下げることによって利用客をふやす、このことによって収入をふやす、これは経済原則ですね。  それから、赤字が一兆三百億、国民の税金を七千三百億もつぎ込んでもなおかつそれだけ出る。この赤字を国民の税金に安易に頼るという姿勢は間違っておる。あくまでも独立採算でやっていくということで取り組まないといかぬ。  それから第三点は、民間へ委託すれば明らかに生産性が上がるものをいまだに抱えておられるというところですね。  それから、国鉄は公共の交通機関ですから国民に対するサービスをしなければいかぬ。サービスのためにあるわけですから、それをいま赤字だからといって、本当に全体の赤字からいって総額の一%ぐらいになるローカル線を廃止するという方向、これも間違い。サービスを減らすことによって公共機関としての責任を果たせない。むしろサービスを向上するということのために歴代営々として国鉄は国を挙げて取り組んできた。これをいま切るというのは全く昭和の大悪政です。これはもうぜひともやめてもらいたい。運賃は上げないで利用客をふやすこと、このような経営方針でやっていけば、この赤字ローカル線といういま対象になっておりますのも工夫すれば、努力すれば、かなりやれるものです。私のところは百万人程度の人口ですけれども、四線赤字対象線がございます。この加古川線というところは人を減らすために組合も非常に協力して無人駅がたくさんできています。人員もどんどん減らしてきています。努力しました。協力しました。その結果が四線また廃止という線が出ておるわけです。しかも客をふやすための努力を怠ることは、むしろその方向でいっておる。すなわちダイヤの改正にしましても不便なようになっておる。遅い。いろいろな面で利用客のための、ふやすための努力がなされてない、十分でない。それから神戸電鉄と国鉄の駅が五百メートル離れているけれども、これが連結されてないために利用客が非常に不便である。こういういろいろな点がありますので、こういった点、利用客をふやす、住民へのサービスをふやすということを真剣に考えてやるべきことをやれば、ローカル線を無情に切り捨てることはなくて済む、このように思います。こういった点につきまして、ローカル線廃止の基準をつくって具体的な廃止線を決められ、また協議に入られる際にぜひともこの点十分再検討して、国鉄はやるべきことをやってもらいたい、こう思いますが、総裁いかがですか。
  102. 高木文雄

    高木説明員 現在問題になっておりますローカル線の中には、いま御指摘のようにいろいろな点で若干の改善を加えることによってお客さんもふえる、収入もふえてくるという場合もあり得ると思います。いずれにいたしましても、地元でごらんになりますとこういうふうにしたらどうだ、ああいうふうにしたらどうだという御意見のある場合に、それを私どもが十分くみ取れてないという場合もあるわけでございます。したがいまして、そうした問題については十分地元の方々の御意向を承りましたり御意見を承りましたりということは尽くしたいと思っておるわけでございまして、そのためにいま協議会で御相談をいたすことにいたしておるわけでございます。そこで何らかの意味において新しい活路を見出す道が見つかるという場合には、当然にそういうことについての取り組みも考えなければならないと思っております。  いずれにしても、従来からこのローカル線問題とは取り組んでまいりましたけれども、地域の方々とのお話し合いといいますか、協議といいますか、お知恵拝借といいますか、そういう面においてどうもまだまだ不十分であったと思いますが、ただいまお触れになりましたように、今回はぜひその点は十分に真正面から御相談してまいるということにいたしたいというように考えております。
  103. 塩田晋

    ○塩田委員 強く要請して終わります。
  104. 井上泉

    井上委員長 岩佐恵美君。
  105. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 先ほどから伺っていて、国鉄は赤字だから値上げを認めよというふうな主張でございますけれども国民生活は、御存じのように五十五年度の勤労者世帯は実質賃金が物価高騰の中で年間通してマイナスという戦後初めての最悪の家計状況となっています。九・七%の国鉄値上げをとうてい受け入れることができない、それが国民の生活実態でございます。  そこで、数字的に確認をしていきたいと思いますが、今度の値上げによる利用者の負担、これは千九百七十億円だというふうに伺っていますが、五十四年度の単年度決算の赤字が八千億、そして値上げあるいは経費節減によって八百億円ですかの、言ってみれば国鉄側が増収になる。それから五十五年度の赤字につきまして一体幾らになるのか、’そしてまたこの経費節減、値上げによってどれだけの負担減がもたらされたのか、その辺数字的にちょっと明らかにしていただきたいと思います。
  106. 加賀山朝雄

    加賀山説明員 ただいま御指摘の点、ちょっとわかりかねるのですが、五十五年度の赤字がどうかということでございますれば、現在、五十五年度の補正予算で見込んでおります赤字は、全体として一兆三百八十九億という形でございます。
  107. 高木文雄

    高木説明員 ただいま加賀山常務が説明いたしました一兆三百八十九億というのは、つい先般国会で御審議いただきました補正予算で見込んだ赤字でございます。  そこで、これの決算見込みといいますか、あと十日ばかりの間にどういう経過をたどるかということは、まだちょっと予測がむずかしいわけでございますけれども、実はこのときに比べまして、さらに若干収入のダウンがございます。そこで、一方において経費の節約を図らなければならぬということで、いま鋭意努力をいたしておりますが、五十五年度単年度について、当初の予算と比べてどのくらい経費を節するかということについては、いまちょっと手元に数字を持っておりませんが、たしか三百億くらいは経費を節減することが可能であろうか。私も、いよいよ年度末でございまして、ことしの決算がどういうところへたどり着くかということで気にいたしておりまして、つい最近担当に調べさせましたところでは、そのくらいの見込みで何とか少しでも最後の決算じりを少なくできるだろうというふうに報告を受けておるところでございます。
  108. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 国鉄は今回の値上げによって四年連続値上げ、これは先ほどからずっと指摘されているところですけれども、その運賃について、他の交通機関と競合する点、これも先ほどからいろいろ指摘をされていますが、たとえば東京-新宿間をとりますと、国鉄では上がって百七十円、地下鉄が百二十円ですから一・四倍になる。それから新宿-八王子間では、国鉄が四百八十円、そして京王が二百十円。このままで行くと二・二八倍というふうになるわけです。それから、飛行機との差につきましても、東京-博多間が国鉄の場合には一万七千三百円、それが飛行機を利用すると二万四千八百円、その差が七千五百円、かなり縮まってきているわけです。その点で、どうしても他の交通機関に流れてしまうんではないかということが当然考えられるわけです。  国鉄運賃値上げによる最近四年間の乗客離れの数字ですけれども、普通の旅客で一七%、新幹線で二三%というふうに聞いていますけれども、その点についてどうか。それから、今回の値上げによって、また乗客が当然離れるというふうに推定をされるわけですけれども、この点についてどんな見込みを立てられているのか、伺いたいと思います。
  109. 高木文雄

    高木説明員 ただいまお尋ねの数字、いますぐチェックをいたします。  ただ、全体としては運賃水準は、五十年基準で五十四年が一八八%という段階になっておりますけれども、これに対して輸送実績は、五十年を一〇〇として九割、つまり一割減っております。つまり運賃改定一八八に対してお客さんの減が一割という結果でございます。これを、いまお尋ねのように、少し区分したものでいまお示しできるかと思いますが、全体としてはそういう姿でございます。
  110. 橋元雅司

    橋元説明員 いま数字をチェックしておりますので、もう少し時間をいただいたらお答え申し上げます。
  111. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 私はこの点、すぐに数字が出てきて当然なんじゃないだろうか、この点について関心を持っていただきたいというふうに思うんですけれども、それにしても今回の値上げによって乗客離れをどのくらいと推定しているのか、その点は出るんじゃないですか。
  112. 橋元雅司

    橋元説明員 今回の改定による需要減の見込みは一・七%程度でございます。  それから、先ほど御指摘のございました、五十年に対比いたしましての輸送人キロベースでの落ち込みでございますが、合計で約九〇の指数になっております。
  113. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 普通旅客と新幹線と分けて。時間がありませんので、後できちんとした数字をまた出してもらいたいと思いますけれども、出ないということは大変遺憾だと思います。今回の国鉄運賃値上げというのは、他の競合交通機関の値上げをしやすくする役割りを果たしているんじゃないか、当然国民の側からそういう指摘があるわけですけれども、こういう意味で、国鉄の安易な運賃値上げは絶対に許されないというふうに思います。  そこで伺いたいんですけれども、四年連続値上げ、これは国鉄運賃法の法定制緩和条項によって連続的に値上げをされてきているわけです。この緩和の問題について、ある一定の財政状況になれば当然法定制を復活することになるんだというふうに思いますが、その点について、どういう条件になったらそういうことになるのか、そのことを御説明いただきたいと思います。
  114. 杉浦喬也

    ○杉浦政府委員 御指摘の問題につきましては、先般の五十二年の改正によりまして、国鉄運賃法の附則で、この弾力条項を適用する当分の間ということの時点につきましては、繰越欠損金の金額が、いわゆる過去債務のたな上げ措置を行った金額、今回は五兆三千二百三十八億円をということでございますが、その金額を超えないこととなった時点というふうにされるわけでございます。
  115. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 そのことを数字に当てはめると、現状では一体幾らくらいになるんでしょうか。
  116. 杉浦喬也

    ○杉浦政府委員 数字と申しますと、ちょっと意味がわかりませんが……(岩佐委員「現状で」と呼ぶ)こうした状況に到達するまでには、やはりかなり長期にわたりまして、国鉄経営努力その他各般の政策の実施、こういうことが相まって初めてこういう状態になり得るというふうに思います。いつごろになるかという点につきましては、ちょっといまのところまだ、予測しがたいという状況でございます。
  117. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 「日本国有鉄道の再建の基本方針」ということで閣議了解が五十二年になされていますね。そして、そこのところで「収支均衡回復の目標」ということで、「昭和五十年代に達成することを目標とする。」というふうにこれは出ているわけですけれども、今度五十四年の同じような閣議了解では、その部分について、「昭和六十年度までに国鉄の健全経営基盤を確立するとともに、可及的速やかに収支均衡の実現を図る。」というふうになっているわけですね。これは、読み方でもって、六十年度までに「健全経営基盤を確立」して、そして収支均衡の実現というのは「可及的速やかに」であって、それは別に六十年にこだわることはなくて、それから先いつになるかわからぬというような状況であるということなんだそうですけれども、その点についてはそうなんですか。
  118. 杉浦喬也

    ○杉浦政府委員 大体先生のおっしゃるとおりでございますが、六十年度の目標は、経営の健全性を確保するための基盤を確立するということで、鋭意六十年度まで努力する。この点につきまして、近々経営改善計画国鉄から出されますが、その中身を拝見するわけでございますが、おおむねの目標といたしましては、いわゆる年金とかあるいは退職手当とかいうような、いわば異常部分を除きました経常収支におきまして、おおむねとんとんになるようなことを一応目標とするものというふうに考えております。ただ、これは異常部分を除外しておりますので、そうしたものもさらに勘案をし、あるいは政策上の配慮をするというようなことによりまして、全体の収支均衡を引き続き図ってまいるということが法の趣旨である、あるいは閣議了解の趣旨であるというふうに考えておるわけでございます。
  119. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 先ほどの説明で、これまでの累積赤字というのは六兆円になるけれども、そのうち五兆円強がたな上げだ、そうすると、一兆円が残るわけですね。それから現在まで八千億円の赤字が出ている。わかっているだけで一兆八千億もの累積赤字を抱えることになるわけです。ローカル線切り捨てによる経費節減というのは、先ほどから同僚委員がいろいろ指摘をしているところですけれども、全体で一千億ぐらいではないかというふうに言われています。値上げ、繰り返しによる値上げ、あるいは経費節減といっても、赤字分にとうてい追いつかない状況である。こういう実態から見ると、かなり未来永劫、値上げがずっと繰り返されていかなければならない。常識的に考えるとそういうふうに思えるわけですけれども、これはとんでもないわけで、一体いつまでをめどに値上げをやめるのか、その点を私は、きょうのこの委員会できちっと明らかにしていただきたいというふうに思いますけれども運輸省のお考えを伺いたいと思います。
  120. 杉浦喬也

    ○杉浦政府委員 未来永劫に値上げをするつもりは毛頭ございません。できるだけ早い時期に、値上げがなしで健全経営が確立できることを私ども念願をしておる次第でございます。ただ、いつまで値上げするか、続けるかということになりますと、なかなかお答えがむずかしゅうございます。精神といたしましては、そういう気持ちでございます。
  121. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 私は、いまの答弁には納得ができないんですね。国民生活に非常に関係がある、そして日本の国民経済にとっても重要な影響を与える国鉄再建なり運賃値上げ問題、それがそういうことでは許されないと思うのです。その点いかがでしょうか。
  122. 高木文雄

    高木説明員 私どもといたしましては、当面、昭和六十年ということを一つ目標といたしまして、基本的には経費を思い切って節してまいる。また、収入をいろいろな形で、運賃改定もございますけれども、それ以外の形でもふやすということで努力してまいりたいと思います。残念ながら、現在のところ、どうも六十年までの間におきましては、改定をお願いせざるを得ない環境にあるというふうに考えております。その後の問題につきましては、先ほど他の委員お触れになりましたが、この数年の間にいろいろ経済環境も変わってまいりますでしょうし、他の輸送機関との関係において、われわれがどういう環境に置かれることになるか。特にもろもろの投資との関係において他の輸送機関がどういうふうな形になり、われわれがどういう形になるか。また、エネルギー問題との関連においてどのような地位を国鉄に与えられることになるかということによって、非常にバリエーションに富んだ結果が出るのではないかと考えておるわけでございます。現在の時点で六十年以降、全体の経営計画あるいは運賃改定を余儀なくされるかどうかということについては、もうしばらく事の経過を見ないと何とも申し上げられない現状でございます。ただ基本は、どうやって能率経営にするか、特にコストを下げていくかという問題でございますので、鋭意それに取り組んでまいりますと同時に、六十年度以降についてもこれで終わりということではなしに、その時点におけるもろもろの情勢で見直しをいたすということを考えておるわけでございます。
  123. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 いまの答弁を伺っていても、恐らく国民はわからないし、また納得ができない。つまり、国鉄再建については、抜本的な問題を解決していないからこういう状況になっているのだし、恐らく未来永劫値上げが繰り返されていく悪い状態に突っ込んでいくのではないか。そういう気が、現状から類推をされるわけで、それはそうではありませんという答弁が聞かれないというのは非常に危険な状態だということを裏づけしているのではないかというふうに思います。  次に、学生の実態について伺いたいと思いますが、現在の大学生の生活実態、これはこの間も当委員会で言ったところですけれども、大学生協連の調査によりますと、食費と住居費と交通費で学生の支出の六割を占めております。そのうち住居費が前年比一二%、交通費が一一%アップとなっています。この住居費交通費、そして食費、この三つのうち二つについて、つまり食費を除く住居費交通費というのは、これ以上切り詰めることができない、そういうものであるわけです。下宿生の実態をさらに調べてみると、食費について、現状一日、朝、昼、夜合わせて九百六十円となっているそうです。そのうち昼食費が三百六十一円、これは大学生協連の学生食堂を利用したりしているので、そこが出てきている。それを差し引くと六百円になってしまう。夜、外食をすると、六百円というのはもうぎりぎりの状態だというふうに思います。だから朝抜きという形になってしまいます一非常に深刻な状況に学生が置かれていて、勉強するどころではないのだ、そういう訴えが寄せられています。今回の値上げでは二三・九%という、平均よりもずっと高い学生定期の割引率の引き下げによる値上げが行われるわけでございますけれども国鉄にお伺いしたいのですが、小、中、高、大、これは小中学生は一緒になるのですか。高校生、大学生の国鉄利用実態というのは現在どのようになっているか、お示しをいただきたいと思います。
  124. 橋元雅司

    橋元説明員 現在、通学定期利用人員の数でございますが、五十四年度で大学、これは各種専修学校、各種学校を含むわけでございますが、九十三万人でございます。それから高校生が六十九万人、それから小中学校が二十一万人、合計いたしまして百八十三万人となっております。  それから、先生が先ほどお求めになりました数字について御報告申し上げますが、先ほど旅客の合計で五十年度を一〇〇といたしまして五十四年度が九〇と申し上げたわけでございますが、その内訳でございます。新幹線は五十年一〇〇にいたしまして五十四年度七七でございます。それから在来線、普通旅客でございますが、これは八七になっております。それから定期旅客でございますが、これは一〇四という数字でございます。
  125. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 文部省に伺いたいと思いますが、今回の値上げについて、学生に対する影響、それから父母負担の増大、これがかなりのものになると思いますが、それについてどうお考えですか。
  126. 菴谷利夫

    ○菴谷説明員 お答え申し上げます。  先生いま御指摘のように、今回の国鉄からの申請がそのままでございますと二三・何%ということになります。それで、私どもちょっと試算をしてみたのでございますが、まあ試算でございますからそのまま実態をあらわすかどうかわからないのですが、これは大学生の場合でちょっと申し上げますと、現在大体平均して十四キロくらい乗っているという感じでございます。そうしますと、月に約三千四百二十円くらい。それが二三%だということでございますから、それだけの名目上の増になるわけでございます。学生生活費、学校に納めますいろいろな金額等も含めました比率でいきますと、現在五十五年度を一応推定してみますと約三・九%ぐらい、それがいまのがそっくりいった場合には四・六%ぐらいということで、全体の比率でいくとその程度ということです。いずれにしましても額的には上がるということでございますので、文部省としては、学生の国鉄利用者を考えた場合はできるだけ、国鉄財政再建の逼迫ということも私どもわかっておりますので、そういったもの両者を勘案して御判断いただくようにということを希望しておるわけでございます。
  127. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 過去三回の運賃値上げに当たって、運輸審議会が割引に関する要望事項を出していて、昨年の要望事項でも「政府においては、日本国有鉄道が現に行っている公共的な見地からの運賃上の割引に関しては、これまでにも繰り返し要望してきたところであるが、政府の各政策実行部門においてこれを負担する等必要な措置が早急に講ぜられるよう、今後、可及的すみやかに、この問題についての関係省庁間の連絡会議を開催する等により、前向きかつ具体的に検討を進めるべきである。」と指摘されているわけです。すでに割引等についての論議、もう十回程度連絡会議が開かれ、そのうちの何回話し合われたかわかりませんけれども、その検討対象になっているというふうに伺っていますが、学割についてどういう結論が出ているのか、運輸省の考えを伺いたいと思います。
  128. 杉浦喬也

    ○杉浦政府委員 御指摘のように、この国鉄公共負担軽減対策検討会議は約十回程度開催しております。特に学生定期の問題が非常に金額的にもまた社会的にも大きな問題でございますので討議を重ねているところでございますが、なかなか結論が出ないまま現在に至っておるのが率直な実情でございます。非常に長い歴史があるということと、これらの問題まあ国鉄負担をかけないという形で考えた場合の財政上の問題というような諸点、それが政策官庁としてどういう判断を持ち得るかというような点等、非常に問題が多うございまして、現時点ではまだ結論に至っていない、大変申しわけございませんが、なお引き続きこの検討会議を開きまして、なるべく早く結論を得たいと考えているわけでございます。
  129. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 一方ではいろいろその会議が難航して結論が出ない、ところが一方では値上げだけがどんどん進められる、そういうことでは国民、利用者はたまったものではないわけです。やはりここのところを一体どうするのかということについて、期限を決めてこういう問題というのはある程度論議をしていかないと進まないのではないか。結局みんな自分が被害を受けるというのですか、そういう見方をすれば自分が負担をするのはいやだというようなことでいるわけですから、そこのところを運輸省として一体どういうふうな目標を持って決断を下していくのか、もうちょっと明らかにしてもらわないと、これじゃもう学生あるいは通学している子供たちを持つ親にとってはたまらないというふうな実態になると思うのです。とりわけ国鉄が乗車密度八千人未満の地方交通線で割り増し運賃を取るというふうなことになるわけですが、これは参議院のわが党の小笠原議員の試算がございます。国鉄の八五年度の営業収支試算を前提にして、毎年六・八%値上げした運賃に五割の特別割り増しをする、そうなると通学定期が三・七倍になる、そういうようなことが予想されるわけです。こういうことになっては大変なことになるので、その点運輸省考え方を再度伺っておきたいと思います。
  130. 杉浦喬也

    ○杉浦政府委員 大変家計といいますか、父兄に与える影響があるということは十分認識しております。ただ、公共割引、特に通学割引の割引率の各交通機関ごとの数字を見ましても、大手私鉄等を除きまして、国鉄よりもかなり下がっているところが多うございます。そうした点を総合的に考えまして、ともかく少しずつでも是正をしていきたいということのあらわれが今回特に通学定期の割引率の削減になった、こういうふうに思うわけでございます。先ほど来から申し上げておりますように、特に重要な問題でございますので、関係会議におきまして、期限をつけるということはなかなかむずかしゅうございますけれども、一生懸命努力をしてまいりたいと思います。
  131. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 次に、国際障害者年の問題ですけれども、五十六年度の障害者対策費、これは一体どのくらい国鉄としては国際障害者年に当たって組んでおられるのか、伺いたいと思います。
  132. 橋元雅司

    橋元説明員 実は五十六年度の予算については、目下実行予算策定中でございますので、申し上げかねるわけでございますが、従来の実績では、大体各年四、五億というところでございまして、本年度は、国際障害者年ということでもございますので、その辺積極的に前向きに対処してまいりたいと考えております。
  133. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 国鉄として障害者対策を進めるための障害者対策推進委員会なり事務局なり、そういうものがあるのかどうか、伺いたいと思います。
  134. 橋元雅司

    橋元説明員 特に委員会等を設けてとり行っているわけではございませんが、営業担当の常務でございます私が推進責任者となっておりまして、担当部局間で連絡会を逐次開催をいたしております。  なお、私、担当常務といたしまして、総理府にございます審議会にも、メンバーとして出席させていただいております。
  135. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 国鉄の障害者対策について、いままでやっていることについて一つ二つ伺ったわけですが、点字ブロックは五千駅中二百九十駅である、それから点字券売機が五千駅中百三十六カ所、あと手洗い所の改造とか改札口の拡大、エレベーター、スロープ、それぞれについても非常に、それこそコンマ以下から最高の改札口拡大でも二・八%、百四十二駅百六十七カ所ということで、まだまだ十分でないというふうに指摘をせざるを得ないわけですが、国鉄に伺ったところによると、たとえば山手線の中で点字ブロックが設備されている、あるいは誘導ブロックが設備されている駅が一体何駅くらいあるのか、あるいは中央線でどのくらいあるのか、総武線ではどうか、そういう数字をこの間伺ったときには持っておられないわけですけれども、こうしたたとえば首都圏、非常に利用者が多いところについてそういう数字を持つべきだし、また今後、国際障害者年に当たって推進をしていくというのであればその目標といいますか、たとえば非常に利用者が多いところについては最低点字ブロック、誘導ブロック、これは生命にかかわることですので、やるというようなことを決めるべきだというふうに思いますけれども、その点はいかがでしょうか。
  136. 橋元雅司

    橋元説明員 仰せのとおり体の御不自由な方々に対する安全対策でございますが、従来とも積極的に取り組んできたつもりでございますし、今後ともいままでの考え方のもとにさらに深度化してまいりたいと考えております。  御指摘のような各駅の設備状況等につきましては、本社でしさいにわたって把握をいたしております。特に本年度は、先生にもお目にかけたかと存じますが、一月以来時刻表の冒頭のページに国際障害者年のPRページを設けまして、部内あるいは部外に対しましても積極的なPR、啓発活動に取り組んでおるところでございますし、ただいま御指摘のございましたもろもろの設備改善につきましても、本年はいままで以上に積極的に取り組んでいきたいと考えております。  いま御指摘のございました各駅の数字は大体そのとおりでございます。目の御不自由な方に対しましては、点字ブロック、点字運賃表、点字案内板等、五十五年度末におきましては四百二十九駅でございます。車いすを御使用になられる方の対策としましては、トイレの改良であるとかあるいは改札口の拡大、エレベーター等、五十五年度では百八十八駅ございます。特に新幹線の「ひかり号」は五十五年度末におきまして九十九編成、全部の編成を改造いたしました。  以上のようなことでございますので、私鉄等に比べましても必ずしもおくれているとは考えておりませんけれども、特に御不自由な方の御利用の多い駅を中心に重点的に今後とも推進をしてまいりたいと考えておるところでございます。
  137. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 次に、ローカル線の問題について伺いたいのですが、八高線について電車化、複線化の要望が関係自治体から寄せられておりますけれども、この中で八高線の電車化について、川越線の電車化の流れの中で八王子-高麗川-大宮のループ化、それから電車化をしよう、そういうことでプロジェクトチームができているというふうに伺っているのですが、その点は実際にそういう作業が行われているかどうか伺いたいのです。それと同時に、八高線の拝島-八王子間を貨物線にするということが、これは国鉄の資料ではございませんで、別の資料でそういう想定図が書かれたりしているので、八王子の人たちはちょっと心配をしています。  その点、二つ、時間がありませんので済みませんが簡潔にお答えをいただきたいと思います。  それからさらに五日市線の問題について、秋川市、五日市町などのきわめて貴重な足になっているわけですが、サービス水準がきわめて悪い、そういうことが現場から出されています。現在国鉄は中央線に最新型の電車を投入して輸送力を増強するそうですけれども、現在の五日市線側からするとますます格差が広がってひどいというふうな声が上がっています。この中で五日市線改善促進協議会からサービス改善の要望事項が出されています。うち、東秋留駅の跨線橋設置について国鉄の応分の負担で誠意を持って自治体と協議をしてもらいたい、こういう要望があります。それから西秋留駅北口に簡易の改札口をつけてほしい。それからトイレの改善、屋根の設置、それから拝島駅における五日市線と青梅線、八高線、西武線とのダイヤの接続が非常に悪い、その点の改善を要求しているわけですが、これらの点についてお答えをいただきたいと思います。
  138. 橋元雅司

    橋元説明員 それでは簡単に御答弁申し上げます。  まず、八高線のサービス改善あるいは高麗川から大宮までのループ線の電化の問題でございますが、この線区は事実ここ教年輸送量は漸増状態になっております。微増傾向にございます。この線区を電化するという問題でございますが、今後の沿線の地域の開発あるいは輸送需要の動向等を勘案しながら検討いたすわけでございますが、御存じのような厳しい財政事情でございますので、とりわけ投資の採算性というものが強く求められているわけでございます。したがいまして、ただいまお話もございました再建計画全体との整合性を勘案しながら総合的に判断をいたしたいと考えております。現在のところ本社にはそういうプロジェクトチームのようなものはございません。ただ、関係地方管理局では企画室などで勉強をいたしておるところでございます。  それから、拝島-立川-八王子間でございますが、貨物輸送の件は私ども承知をいたしておりません。そのようなことは考えておらないわけでございます。  それから、五日市線の輸送サービスの改善でございますが、地元の方々からいろいろ御要望があることはよく承知をいたしております。とりわけただいま御指摘のございました東秋留駅の跨線橋の問題でございますが、仮に跨線橋を設置いたしますと、その設置の位置が、現在踏切がございますが、その踏切道の上になりますので、国鉄限りでこれを設置することばできないわけでございます。踏切を管理いたします道路管理者が踏切廃止を前提に跨線橋を設置するということになりますれば、国鉄といたしましても受益の相当分について前向きに検討してまいりたいと考えております。  その他、接続の改善でございますとかあるいはトイレの問題等々、しさいにわたって御要望の趣は承知いたしておりますので、よく検討させていただきたいと考えております。
  139. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 最後に総裁に申し上げたいと思うのですけれども運賃値上げというのは国鉄離れを起こします。それから地方ローカル線について割り増し運賃をするということ、これはますます地方ローカル線を廃線に追いやっていくという結果になるわけです。国鉄再建というのは利用者の立場に立って、運賃を引き下げてもっと利用してもらう、あるいはローカル線については利用者をふやす方向で積極的にそれを生かしていく、そのことを工夫をしていくべきだというふうに思うのですが、一言でよろしいのですけれども、お考えを伺いたいと思います。
  140. 高木文雄

    高木説明員 収入をふやすということは一番大事なことでございまして、その場合に運賃改定しないでできればもちろん望ましいわけでございます。私どもも決して好んで運賃改定を行っているわけではないのでございますが、私ども考え方では、現状ではまだ運賃改定させていただいた方が収入総額がふえるという現状は変わってない。ただし次第次第に、そういう環境から改定が実際上むずかしくなると申しますか、お客さんが減る心配が大きくなるということでございますので、そこらは十分心してまいりたいと思います。  それから、特別運賃の問題は、若干運賃体系論の問題でございますので、御意見ではございますが、またそれは皆さんよくおっしゃいますから、十分参考にさせていただきますけれども、やはりどうも現状では特別運賃は避けられないのではないか、残念ながらそう思っておるわけでございます。
  141. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 終わります。
  142. 井上泉

    井上委員長 次回は、来る四月七日火曜日午前十時理事会、午前十時十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後二時二十一分散会