○志賀(学)
政府委員 石油の問題につきまして、お答え申し上げます。
現在の石油
企業の経営状況でございますけれども、確かに五十五
年度の上期に、ユーザンス差益を
中心にいたしましてかなりの好決算を上げたということであったわけでございますけれども、現状を申し上げますと、昨年の十二月のOPEC総会の合意を受けての各産油国の価格の
引き上げもございました。現状を申しますと、非アラムコ系の石油
企業の経営状況というのはかなり苦しい状況になってきているのが実態でございます。
今後の石油製品価格でございますけれども、こういった原油価格の
上昇などのコストアップ要因、それから為替レートの動向、こういったものを見きわめながら、元売り各社が
対応していくということになってくるというふうに思っておりますけれども、当省といたしましては、とにかく上期におきましてかなりの為替差益を計上した、こういうことを背景といたしまして、できるだけ
企業努力により価格の安定が図られるように
期待しておる、こういう状況でございます。
それから灯油の問題でございますけれども、灯油の供給につきましては、五十五
年度現在まで順調に供給は図られてきておるというふうに思っております。一月末の在庫が約四百九十万キロリットルということで、前年同月の水準を一二、三%下回っておるわけですけれども、これはむしろ昨年の水準が非常に高かったということでございまして、これは暖冬の
影響で昨年の在庫水準が非常に高かったわけでございます。過去五年の一月の在庫レベル、これは大体四百二十八万キロリットルでございまして、そういった過去五年の
平均に比べますとやはり上回っておるということでございまして、私どもとしては、今
年度の灯油の安定供給については心配はないというふうに思っております。
なお、いわゆるC重油ネックの問題です。ちょっと申し上げますと、C重油の需要というのは、これは燃料転換あるいはエネルギー節約、そういった
影響がC重油の分野で非常に大きく出てくるわけです。そういった
関係で需要がかなり落ち込んでおります。
他方、生産の方は、石油製品が連産品であるという特殊
事情から申しまして、灯油の安定供給確保のためにある
程度の生産、原処理をしていかなければいけないということから申しまして、生産はこれも前年水準を下回っておりますけれども、ある
程度の水準を維持してきている状況でございます。その結果といたしまして、現在C重油の在庫レベルというのは非常に高い水準にございます。
私どもとしては、こういったC重油の問題というのは非常に重要な問題というふうに
考えているわけでございまして、あるいは電力業界に対して原油生だきからC重油に切りかえてもらう、それによってC重油の取引量の増加を図るというようなことも対策としてやっておりますし、あるいは精製設備の運転
条件の変更、できるだけ重油の得率を下げ、灯油の中間三品の得率を上げるというような運転
条件の変更の指導といったようなことをやってまいっているわけでございます。
いずれにいたしましても、灯油につきましては、先生御指摘のように
国民生活に非常に重要な物資であるということから、私どもとしては灯油の安定供給確保に万全の
努力を傾けてまいりたいというふうに思っています。