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1981-07-13 第94回国会 衆議院 農林水産委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十六年七月十三日(月曜日)     午前十時三十四分開議  出席委員    委員長 田邉 國男君    理事 菊池福治郎君 理事 津島 雄二君    理事 羽田  孜君 理事 新盛 辰雄君    理事 松沢 俊昭君 理事 武田 一夫君       逢沢 英雄君    上草 義輝君       小里 貞利君    亀井 善之君       川田 正則君    木村 守男君       北口  博君    北村 義和君       近藤 元次君    佐藤  隆君       田名部匡省君    高橋 辰夫君       丹羽 兵助君    渡辺 省一君       小川 国彦君    串原 義直君       島田 琢郎君    田中 恒利君       竹内  猛君    日野 市朗君       安井 吉典君    吉浦 忠治君       神田  厚君    木下敬之助君       野間 友一君  出席国務大臣         農林水産大臣  亀岡 高夫君  委員外出席者         経済企画庁調査         局内国調査第二         課長      遠山 仁人君         農林水産政務次         官       志賀  節君         農林水産大臣官         房審議官    高畑 三夫君         農林水産省経済         局長      松浦  昭君         農林水産省経済         局統計情報部長 関根 秋男君         食糧庁次長   石川  弘君         農林水産委員会         調査室長    小沼  勇君     ————————————— 委員の異動 七月十三日  辞任         補欠選任   近藤  豊君     木下敬之助君 同日  辞任         補欠選任   木下敬之助君     近藤  豊君     ————————————— 本日の会議に付した案件  農林水産業振興に関する件(昭和五十六年産  米穀政府買価格等)      ————◇—————
  2. 田邉國男

    田邉委員長 これより会議を開きます。  農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  この際、昭和五十六年産米穀政府買い入れ価格米価審議会への諮問及び昭和五十五年産米生産費について政府から説明を聴取いたします。石川食糧庁次長
  3. 石川弘

    石川説明員 「諮問」及び「諮問についての説明」及び「昭和五十六年産米穀政府買価格試算」について御説明させていただきます。  「諮問」と諮問の理由は朗読させていただきます。      諮  問   昭和五十六年産米穀政府買価格について、米穀需給均衡を図るための対策が行われている需給事情に即応して生産費及び所得を考慮して決定することにつき、米価審議会意見を求める。   昭和五十六年七月十三日          農林水産大臣 亀岡 高夫     …………………………………      諮問についての説明   米穀政府買価格は、食糧管理法第三条第二項の規定により、生産費及び物価その他の経済事情を参酌し、米穀の再生産の確保を図ることを旨として定めることになっており、その算定については、昭和三十五年以降生産費及び所得補償方式により行ってきたところであります。   米穀政府買価格につきましては、昭和五十三年産以降その水準を据え置く等近年の米穀需給事情を考慮した決定を行ってきたところであります。また、一方で水田利用再編対策及び米消費拡大対策を中心とする各種施策を通じて米需給均衡を回復するための努力が続けられております。   しかしながら、最近の米需給の実情は、昨年の冷害等の影響で同年産米が大幅な減産となりましたが、前年産米持越量が十分ありましたので、これを活用することにより全体としての需給につきましては特段の支障は生じておらず、また、基調としては、米の生産力が高い水準にある一方で米消費の減退がなお引き続いているため、依然として過剰傾向を脱するに至っておりません。このため、本年度から第二期に入る水田利用再編対策におきましては、昨年度に引き続き転作等目標面積を大幅に拡大せざるを得なかったのであります。また、米の管理に係わる財政運営も、国家財政が深刻な状況にある中で、極めて困難な局面に直面しております。   今後の米の管理におきましては、以上のような事情に対処し、米需給均衡の回復に一層努めるとともに、各般の面にわたり合理化努力を強めていく必要があるものと考えられます。  本年産米穀政府買価格につきましては、以上の事情にかんがみ、現下の米穀需給事情に即応し、生産費及び所得補償方式により算定することとしてはどうかということであります。 以上が「諮問」及び「諮問についての説明」でございます。  算式につきまして御説明をいたします。  この算式自身は従来と同じいわゆる必要量に基づきます生産費所得補償方式算定でございますので、算式の内容を簡単に御説明しますと、この一ページの算式の分母に当たりますものは、御承知のように過去三年間、価格決定年より前三年、したがいまして五十三年、五十四年、五十五年の十アール当たりの単収でございます。分子に当たりますものが、これまた五十三年、五十四年、五十五年のそれぞれの平均の十アール当たりのいわゆる評価がえの生産費でございます。  この評価がえの生産費につきましては、下欄にございますように価格決定年の前三年の各年におきます米販売農家、これは二〇%以上の被災農家は除くわけでございますが、そのうちの価格決定年必要量に見合う販売数量までのもの、これは御承知のように一定の数量標本の中で生産費の低い方から順次並べまして、その中で総販売数量がいわゆる必要量に見合うまでの販売数量の各販売農家の十アール当たり平均生産費につきまして、家族労働については都市均衡労賃評価がえをする。後ほど詳細を申し上げますけれども、物財雇用労働のような現実の支払いを伴いますものにつきましては、現時点への物価修正をして価格決定年評価がえをしたものでございます。  それから下欄の方は、先ほど申しましたように各三年の十アール当たり収量平均でございます。  次の二ページをお開きいただきまして、この「算定」と書いてありますのは、いわば、以下に御説明することによって算定しましたものの結論を書いてあるわけでございます。  一にあります「求める価格」と申しますのは、後ほど申します「算定要領」によりまして算定します数字に基づいて出されますものでございますが、これはいわば米全体の農家庭先価格ということになろうかと思います。  それで、算定要素を先に申し上げたいと思いますので、四ページの方をお開きいただきたいと思います。  「算定要領」の一の「十アール当たり平均生産費算定」でございますが、これは前年同様の必要量平均生産費でございます。   ここに書きましたように五十三年、五十四年、五十五年の各年につきましてやるわけでございますが、御承知のように五十三年につきましては、ことしのいわゆる予約限度数量七百六十万トンに対しまして、当年の出回り数量が八百八十六万トンでございますので、八六という数値になります。それから五十四年につきましては、同じく七百六十万トンに対して八百四十五万九千トンでございますので、これは九〇という必要量比率となります。五十五年産にございましては、御承知のように災害生産高がこの七百六十万トンを下回っておりますから、標本のすべてを使って計算をするということで必要量比率というものは一〇〇という数字になるわけでございます。こういうものを使いまして必要量比率を出してくるということでございます。  その次の家族労働でございますが、家族労働につきましては先ほど申し上げましたように、これは評価に属する部分でございますが、この点につきましては従来同様の都市均衡労賃という手法を継承いたしておりますけれども、その算定の仕方につきまして、前年と異なるいわば要素をとって算定をいたしております。  これを概括的に申し上げますと、過去におきましてもこの評価につきましては、ときどきの需給事情あるいはときどきの米の生産状況等を勘案しましたいろいろな要素をとってきた歴史がございますが、実は算定方式の中でそういう算定方式として従来需給事情なり米の過剰の基調なりが最も強うございました四十六年ないし四十七年におきまして算定をしました手法と同一の手法をとったわけでございますが、実は現状を申しますと、御承知のように生産調整数量を一つとりましても、四十六年ないし四十七年あたりは大体二百万トン水準生産調整をいたしておりましたけれども、現段階では御承知のように第二期転作としましては三百二十万トンという大きな調整を必要としているというような事情、それから生産調整に伴いまして負担します財政負担につきましても、四十六、七年におきまして二千億弱あるいは二千億程度の規模でございましたのが、現在すでに三千億を超えます財政負担をして生産調整をしているというような事情、いずれも米の生産の力と申しますか、潜在的な生産の力というのはこの四十六、七年にも劣らない非常に大きなものがございまして、基本的には需給均衡してないという事情がございますので、このような点につきまして考えながら四十六、七年にとられました方式をとったわけでございます。  これにつきましては御承知のように、この「算定要領」に書きましたように、五人以上千人未満規模製造業常用労働者賃金水準をとるわけでございますが、従来の算定方式は、端的に申しますと、これを算定いたします場合に製造業に従事します労働者の頭数と申しますか、そういう労働者規模がそのまま平均的に、平均といいますか加重的に出てきます算定方式でありましたけれども、四十六、七年にとりましたこの方式につきましては、これを平均して出します場合に米の販売量ウエートを加味する、どの地域でどれだけお米がつくられているかというその販売量ウエートに入れまして、したがいまして、米の生産の大きいところで支払われます賃金水準というのが加重平均の中へ出てくるという手法をとったわけでございます。そういう手法をとりまして計算しましたものが四ページの下欄にあります一時間当たり労賃単価となるわけでございます。  五ページのところにその手法を若干書いてございますが、これは非常に簡単に御説明をしますと、いわば都道府県別労賃をとります場合、労賃をとると申しますか算定基礎に入れます場合に、全国平均でございますと五人以上千人未満というのが出てくるわけでございますが、都道府県別数字は三十人以上という形の統計数値しかございませんので、その三十人以上という数字を五人以上九百九十九人、要するに千人未満にするための手法でございます。  それからもう一つは、都道府県賃金を出します場合に、この賃金算定期間が前年四月から三月という数字しかございませんので、これを近時点に合わせますために六月から五月という近時点へ合わせるためのいわゆる期間修正をするということを書いてございますが、考え方は、私が先ほどから申し上げましたように、四十六、七年にとられた手法をとっているということでございます。  それからその次に、イに書きました「現物給与相当額」は、現物で支払われるものはそれを加味をする、要するにプラスするということでございまして、この方法は変わりません。  それから通勤手当につきましては、農家の場合、この種のものは必要でございませんので、これを減額するという、このことにつきましても従来と全く変わっていないわけでございます。  めくっていただきまして六ページには物財雇用労働、現に支払われます物財雇用労働費算定の仕方でございまして、これにつきましては、ここに書きましたとおり五十三年、五十四年、五十五年という過去の数字につきまして、生産費を最近時五十六年の一−五月のところにパリティを使いまして物価修正をするということでございまして、これにつきましては、昨年と全く同様の手法でございます。変化率はその下に書いてあるとおりでございます。  それから副産物につきましては、御承知のようにわらとかくず米といったものを収入として差し引くということでございますが、これについても生産費調査によりまして各年の副産物価額を出しまして修正するという手法につきまして、従来と全く同様でございます。  その次七ページにございます資本利子でございますが、資本利子につきましては、御承知のように現実に借り入れられております借り入れの利子と、それから自己資本でございますが、その割合補完調査にもございますように二二%と七八%の割合でございまして、この二二%の借入金につきましては、五十三年産米生産費補完調査でやりました資金の種類ないしその利率もとにしまして現時点における借入金利率修正をしていくという手法でございます。これにつきましても従来の手法を変えてないわけでございます。  それから自己資本をどう見るかということは、先ほど申しました家族労働費をどう見るかとか、あるいは自作地地代をどう見るかということと同様に評価にかかわるものでございます。これにつきましてはいろいろの評価方法がございますが、過去においてもいろいろな需給事情等を見まして調整をしてきたものでございます。これをどう見るかという考え方でございますが、昨年は御承知のように前年の金利水準を据え置くということで五・三五%というものを使用しておりましたけれども、現時点でそれを定期的なものだけで見るというのはいかがかということもございまして、今年の算定におきましては、五・三五%という前年の金利水準と本年の乳価の算定等において使っております農協普通預金金利、年率二・五%、これを折衷すると申しますか、この間ということで三・九三という数字が出てくるわけでございますが、これを大体標準としまして、いわゆるかつての郵便貯金金利等もいろいろあったわけでございますが、そういう水準として四%という水準を見ておるわけでございます。そういう手法をもちまして全体としての資本利子算定をいたしております。  それから、物件税及び公課諸負担につきましては、これも生産費調査に基づきます数字を使いまして、ここにございますような実数をそのまま入れておるわけでございます。  それから、次のページをめくっていただきまして、(6)の地代でございますが、これも御承知のように小作地地代につきましては、生産費調査を使いまして実納の小作料水準を使っておりますが、自作地地代につきましては、これは昨年以来いろいろと検討いたしたわけでございますが、去る七日の前広の米価審議会におきましていろいろな考え方、これはたとえば実納小作料はどうかとかあるいは標準小作料はどうかとか、あるいはむしろ固定資産税評価額によってその土地資本利子を見たらどうかとか、あるいはここに現実に使っておりますが、やはり水準継続性というようなことを考えて現在の水準を考えたらどうかということで御議論を願ったわけでございます。いろいろの御議論はございましたけれども、大方の御意見は、やはりこの水準、要するにたとえば自作地地代小作地の実納小作料をそのまま使うということは、やはりいまの算定方式基本にかかわることではないか。と申しますのは、そういう高い地代を支払うという前提であれば、そのときに考えられる農家自家労賃というものは決して現在評価しているような高い評価ができるはずはない、したがって同じ算定方式の中で、地代評価の仕方と労賃評価の仕方の矛盾が出てくるではないかというような御指摘も多うございまして、将来の検討課題としてさらに検討すべきものとされましたけれども、当面の現実的取り扱いにつきましては、現在考えられておりますいわゆる水準、これはかつての統制小作料水準でございますが、その水準を継続的に使用しながら、さらに労賃評価の問題も含めて検討すべきであろうという大方の御意見でございましたので、それをそのまま使わせていただいておりまして、五十五年産算定をされております自作地代評価額をそのまま使わせていただいているわけでございます。  それから、その次の2の十アール当たり平均収量は、先ほども申し上げましたように五十三、五十四、五十五の各年の米販売農家、これは平均生産費必要量方式による平均額でございますが、これを各数字を出しまして平均しまして五百二十キロ。これは昨年はこの五百二十キロのところが五百三十一キロでございますけれども、これは御承知のような災害等のこともございまして、五十五年産収量が著しく落ちているということから平均収量は下がっているわけでございます。  実は、恐れ入りますが二ページへお戻りいただきまして、いま申し上げましたことの数字を使いまして算定しましたのが一に書きました「求める価格」、これは米全体の農家庭先価格とも考えられる一万七千二百四十九円でございます。これに、その次に恐れ入りますがもう一遍最後のところへ返っていただきまして、3に「運搬費」というのがございますが、この運搬費につきましては、米生産費補完調査に基づきまして、農家庭先から政府の買い入れます指定倉庫までにかかります運賃その他の経費を見込むわけでございますが、これが、こういう計算方式に基づきまして計算いたしますと、百六十五円ということでございますので、恐れ入りますがもう一度二ページに返っていただきまして、との百六十五円を足しましたものが、一−三等、一−五類全体の基準価格と言われるもの、一万七千四百十四円でございます。  それから以下は、いわゆる各類別とかあるいは等級別とかいうことを算定いたしますために、この基準価格を使いまして、3にございますウルチ軟質類一等裸価格、実はこれは私ども米価計算しますとき、これをもとにしまして格差をつけたりするわけでございますが、そのもととなります価格算定しますと、この一万七千四百十四円からその一−三等の一−五類と三類、要するに先ほど基準価格は、先ほど言いましたように一−三等一−五類全体の基準でございますので、これを三類の一等にしますので、一−三等の一−五類平均と三類の格差三十五円を引きまして、それに今度は一−三等平均一等、これは一等だけでございますので、一等の方は高うございますので百七十円を足しまして、これは軟質でございますので歩どまり加算十九円を引きまして、それに補整額を足したということは、この水準で、要するに基準となる額で計算をいたしますと、実は昨年水準より六円下がるわけでございますが、それを補整してこの水準で同額とするということで一万七千五百三十六円にしたわけでございます。  次に、4でございますが、これがいわば米価というときによく基本価格と言われているものでございまして、これは一−五類の一−二等平均包装込み生産者手取り価格、2のところは基準価格と言っておりますが、この4のところは通常基本価格と言っておりまして、米価が幾らだというときに数字を使われるところでございますが、これにつきましては、ここに書きましたように、一−二等の三類と一−五類平均との格差五十一円を足しまして、今度は、さっきは一等でございましたので、これは一等と一−二等の平均格差百十円を引きまして、歩どまり加算を足して、包装代百九十三円、包装代は去年百九十一円ということになっておりますが、予算でわれわれ積算しております百九十三円を加えますと、いわゆる基本価格としまして一万七千六百八十九円、前年が一万七千六百七十四円でございますので十五円プラス。こういう数字が出ますのは、出回りの比率が比較的等級の高いものが出てくると考えられますので、基本価格のところで十五円アップという数字になるわけでございます。  それから、三ページに参考を書いてございますが、これを類別等級別に分けますと次に掲げたとおりでございまして、まず類別格差につきましては、従来と同様の数字、一類が四百円加算、二類が二百五十円加算、四類が二百円引き、五類六百円引きの水準は変えておりません。それから一−二等、二−三等の格差につきましても、一−二等格差は三百二十円、それから二等−三等間格差は千円というこの格差につきましても従来変えていないわけでございます。  以上が価格試算でございまして、最後算出基礎の表がございますが、これは私がいま御説明しましたものを各年産別に原生産費価格決定年評価生産費を対比したものでございますので、御参考までにごらんいただきたいと思います。  以上で終わらせていただきます。
  4. 田邉國男

  5. 関根秋男

    関根説明員 昭和五十五年産米生産費について御説明を申し上げます。  お手元に資料がお配りしてあると思いますけれども、一ページのところに結論部分が書いてございます。昭和五十五年産水稲の第二次生産費は十アール当たり十五万八千三十五円でございまして、前年より六・二%のアップとなっております。六十キログラム当たり平均生産費は一万九千三百九十一円で一二・二%のアップでございます。十アール当たり所得は七万三千八百八十五円で、九〇・二%でございます。一日当たり家族労働報酬は四千九百七十二円でございまして、八六・六%となっております。  この生産費が上がりました要因につきまして、二ページ以下で説明をしております。  簡単に申し上げますと、二ページの(2)のところからでございますが、十アール当たり生産費主要費目の中の労働費でございますが、労働費につきましては、前年を二・六%上回っております。これは、労働時間は減少いたしましたけれども、労賃単価が上がったということのためでございます。  農機具費につきましては、前年を十三・二%上回っております。これは、高性能機械を導入したり、更新に伴います償却費の増加によるものでございますけれども、水田利用再編対策によりまして二戸当たり水稲作付面積が減少しておりますので、その差し引きで一二・二%の上昇ということになっております。  肥料費につきましては二・一%上昇しておりますが、これは良質米指向等によりまして施用量は控えられましたけれども、肥料価格が上昇したために差し引き二・一%の増となっておるわけでございます。  それから賃借料及び料金でございますが、これは前年を二・六%上回っております。これは十アール当たり収量の減少によりまして、委託します作業の量は減少しましたけれども、賃借料料金単価が上昇したことによるものでございます。  農業薬剤費は九・八%上昇しております。これは御承知のように、昨年いもち病の発生によりまして農薬投下量がふえたということと、農薬価格が上昇したことによるものでございます。  光熱動力費につきましては二七・七%上回っておりますが、これは軽油、灯油等の値上がりによるものでございます。  地代は三・〇%のアップでございます。  その結果、水稲収益性は十アール当たり収益十五万七百三十三円で、前年を〇・七%下回っております。十アール当たり所得は、先ほど説明をいたしましたように七万三千八百八十五円で、前年を九・八%下回っております。家族労働報酬につきましては四千九百七十二円ということで、前年を十三・四%下回っております。  以上が生産費の概要でございます。     —————————————
  6. 田邉國男

    田邉委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。安井吉典君。
  7. 安井吉典

    安井委員 農林水産大臣にまず伺いたいのでありますが、臨時行政調査会の第一次答申が十日の日に行われました。いつもですと、米価審議会はそういうものにかかわりなく開かれるのでありますけれども、ことしはわざと十日の調査会の後二、三日置いて米価審議会を開く。いまの臨時行政調査会のその中身を何とか反映させようというその継続性の意味で、私はわざと政治的な意味合いを持っての設定ではないか、そう思わざるを得ないのであります。しかも、臨時行政調査会が、この間も農民のいろいろな集まりの中でも、財界主導で農業のことをさっぱり考えてくれない、そういう中身の審議が結論として出るのではないかと言われていた、それがそのとおりになっているわけでありますだけに、そのような設定のあり方に対して非常に疑問を持つわけであります。その第一次答申と今度の生産米価決定との関係について大臣はどうお考えなのでしょうか。
  8. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 第二臨調の答申が出たわけでありますけれども、私が当初考えておった、またいろいろ喧伝されておった農業いじめとかあるいは農業をねらい撃ちにしているのじゃないかとか厳しい情勢判断があったわけでありますけれども、出てまいりました答申を見ますと、私どもが戦後、自由民主党が中心になりまして進めてまいりました総合農政というものの基本路線と申しますか、基本の筋というものを一応認めておるということについては、私どもも実はほっといたしておるところでございます。  その具体的な一つ一つの問題の中には、改善を図りつつある問題、また改善を図らなければならないと思っていたような問題についての指摘はありましたけれども、それらはこれから改善を図ってまいらなければならぬわけでありますけれども、私といたしましては、臨調があろうとなかろうと、米価は、食管法改正の際には、この委員会でたびたび申し上げてまいりましたとおり、三条によりまして、しかもこの三条は食管法改正においていじっておりません、手をつけておりませんので、いわゆる生産費所得補償方式と申しますか、三十五年来続けてきておりますその方式算定をして適正にこれを決定してまいりたい、こういうことを申し上げてきておるわけであります。もちろん米価審議会の審議を十分経ました上に適正に決定をしてまいりたい、こう申し上げ続けてきておるわけでございますので、その辺は臨調の答申云々とはこれは別の次元において私としては事を進めてまいってきておる、こう申し上げていいと思うわけであります。
  9. 安井吉典

    安井委員 もう一度確認したいと思いますけれども、食管法の改正審議に当たってこの委員会で大臣は、第三条の生産米価、第四条の消費者米価決定方式については変更もないし、全くそのとおりなんだということの言明をいただいているわけでありますが、だから第二臨調の答申よりも法律の方が私は当然優先すると思うのですがね。法律どおりやるのだという確認でよろしいですね。
  10. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 そのとおりでございます。
  11. 安井吉典

    安井委員 私は、ただ問題だと思うのは、先ほど食糧庁次長から御説明があったその中身で、いま伺ったばかりですから詳細な検討を私もやっているわけじゃありませんけれども、算式は変わってないかもしれないけれども、算定要領が変わっているわけですね。ほとんど据え置きと言ってもいいような最終的な答えが出ている、そういう算定要領になっているわけです。大体において、米価だけじゃなしに、すべて農政というのは一貫性があってそれで初めて公正が保たれて国民の信頼もあるはずであります。それが毎年算定要領が勝手に変えられるということでは、行政そのものに対する国民の信頼を失うということになるのではなかろうか。どうもさっきの御説明を聞いておりますと、まず据え置きという答えがあって、それに逆算して算定要領をお決めになった、そういうような印象をぬぐえないわけであります。どうですか。
  12. 石川弘

    石川説明員 先ほども御説明いたしましたように、過去の算定要素の中では、家族労働費あるいは自作地地代あるいは資本利子といったいわば評価にかかわりますものにつきましては、ときどきの米の需給事情その他の事情を勘案いたしまして、いろいろな数字をとってきましたことにつきましては先生御承知のとおりでございます。私どもそういう中で現在の需給状況をどう見るかということでございますが、先ほども若干御説明いたしましたように、四十六年、七年といいますのは、御承知のような第一次の過剰の直後と申しますか、その最中でございまして、その際にやはり米の生産力水準と実際の需要との間に大きな格差が出てまいりまして、これをいかにして需給均衡に持ち込むかという際に、いろいろと算定要素につきまして変更を加えた実例があったわけでございますが、その時点現時点とを対比いたしました場合に、御承知のような昨年の災害という事情はございますものの、米の生産の構造といたしましては四十六、七年よりもむしろつらい事情にあるのではないかというようなことも考えまして、私ども、そういう時点に採用しました算定要素をやはりとる必要があるのではなかろうか、これは非常につらいことではございますが、そのような考え方をいたしまして算定要素をとったわけでございます。
  13. 安井吉典

    安井委員 なるほど食管法三条の規定には勘案という意味の言葉はありますけれども、それは、きちっとした計算をした後でいろいろな勘案が行われるという、私はそういう読み方しかできないわけですが、まず勘案をして算式を変えてしまって、答えから逆算した算式によって進めようというあり方がどうしても納得できないわけです。  それでは五十五年度の、昨年産米のあの算式でそのまま計算したら一体試算米価はどうなるのか。  それからもう一つ、四十二年方式というのも一つ特徴的なものでありますけれども、それで計算した場合の試算はどうなるか、ちょっと参考にお聞かせいただきたい。
  14. 石川弘

    石川説明員 昨年同様の算定要素ということでございますが、その要素の中で、やはり物価上昇等で上げるものは上げて計算をいたしませんと算定要素としてはおかしくなりますので、先生のおっしゃいました御趣旨が、生産費につきまして必要量生産費という方式をとるということ、それから都市均衡労賃につきましては五人以上千人未満というものを、私先ほど申し上げましたような米生産ウエートではなく、従来の算式を使うということ、それから資本利子につきましては、これは前年たまたま据え置いたということでございますので、これも前年と同じという意味でただ五・三五というものを使うということ、それから地代につきましては、自作地統制小作料で、小作地は実納小作料を使う、その他物価で上がったものはそのまま上げていくということで算定をいたしますと、前年対比一一・七%の上昇となります。  それから先生先ほどおっしゃいました四十二年方式といいますのは、実は算定要素のありとあらゆる部分につきまして最も価格が上昇する方式でございますが、四十二年方式をそのまま、これは私がいま申しましたように、上がるものは上げて四十二年の各要素をそのまま積み上げて計算をいたしますと、前年の基準価格一万七千四百十八円に対して約六〇%アップ、二万八千円水準になろうかと思います。
  15. 安井吉典

    安井委員 ですから素直な計算をすれば、去年のままで二・七%上がるという試算米価になるはずだし、いままでで一番高い数字が出る計算をすれば六〇%アップになるわけですね。それを何とか据え置きにしようというので大変な無理をして算式を変えておられる。そこがどうも納得がいかないわけであります。  ところで、農家所得状況でありますけれども、昨年の冷害で大きな痛手をこうむっているのは農林水産省の所得調査その他で明らかであります。サラリーマンの場合は、物価が上がるに応ずるいわゆるベースアップというのが春闘その他であるわけですね。もしもその物価上昇のベースアップがなくたって、昇給というのは必ずあるのですよ。どこの役所でも会社でも昇給規則があるわけですよ。農民については、米価の上に手を加えない限り、昇給もベースアップもどちらもない、こういうことになるし、その上、手心をこのように加えてしまえばまさに所得は停滞してしまう。だから、所得の向上については経営の改善その他でやらなければいかぬでしょうね。それも必要なことであることはわかるのですけれども、去年は冷害であんな痛手じゃありませんか。そういうことで、結局農外収入に依存するというような方向に走らざるを得ないわけです。ことしの場合も、こういうふうに据え置かれれば農家所得が少なくなるわけですから、いわゆる現実より減るわけですから、結局農外収入に頼らなければやれない、そういう方向を強めるということだけになってしまう、私はそういうふうに思うわけです。とりわけ、生産費調査をさっき御説明いただきましたけれども、去年の生産費調査の特徴は、ついに政府の買い上げ価格よりも生産費が高くなってしまった、こういう結果が出てまいったわけですね。わずかな引き上げではないわけですよ。買い上げ価格よりも生産費の方が千七百十七円高いんですね。現実にそれだけ経費がかかっているものを、政府がそれを安く買っているという数字が、同じ政府部内の統計の中で明確に出てきてしまっているわけです。北海道の統計情報事務所の数字で拾ってみますと、北海道は特に単収が悪かったものですから、私の計算では三千二百二十五円買い上げ価格よりも実際は経費がよけいかかっているという数字が出てしまっています。こういう状態でありながら、さらに今度据え置かなければいけないという論理が先走るということ、それが非常に大きな問題ではないかと私は思います。それは後でまとめてお答えをいただきたいと思います。  それから、米の過剰という問題もありますね。余っているというが、足りないのではないかという批判もあって、食糧庁大わらわになっていろいろ説明をされているようであります。八十万トンぐらいはいまのままであっても持ち越しが可能だということが結論のようでありますけれども、五十四年産米を食べたりして、大体それぐらいは可能だと言われるわけでありますけれども、もしことし、去年のように百万トンとり不足というようなことになったら、八十万トン余るというのが百万トンとり不足になったら足りなくなるのじゃないですか。ここで外国から輸入しなければいけないというようなことになっては、これは減反を強制されている農家にとってはたまったものではないということになると思います。  そこへ持ってきて、五十三年産米を放出するという新聞報道も出てくる、百万トンぐらい出すとか。これはどの程度の信憑性があるのかわかりませんけれども、そういうような話が出てくる。モチ米を六万トン輸入するというのは、これは従来の例もありますけれども、どうもこの一連の報道から見て多くの疑問を持たざるを得ないのでありますが、その辺について御説明いただきたいと思います。
  16. 石川弘

    石川説明員 全体の米需給でございますが、先生いまおっしゃいましたとおり、私どもとしますれば、五十四年、五十五年産米をもってしてことしの米需給は量として十分対応できるということを前から御説明したわけでございます。この場合に、五十四、五十五の米を使って、五十五の米をことしの十月末に八十万トンないし九十万トン持ち越しできるだろうということを申し上げたわけでございますが、それとは別個に、ことし、五十六年実行いたしております生産調整を緩めておりまして、その緩めましたもので約二十五万トン前後のものが量として出てくるだろうということもあわせまして、そういう全体の操作しますときには百万トンを超えるものを操作上持ち得るのではないかということを申し上げているわけでございます。     〔委員長退席、菊池委員長代理着席〕 先生御指摘の五十三年産米につきましては、実は五十三年産米というのは十分食用にたえるわけでございますけれども、私どもの最近の需給操作からいいまして、せいぜい前年産米までということで、当初から五十四ないし五十五と申しておったわけでございますが、御承知のように、昨年の冷害の結果、比較的品位の高い米につきまして一部に供給がどうしてもついていかないというような話も出てまいっておりまして、それにつきましては五十三年産米の中の低温で保管をいたしております十九万トンの、特に一類一等といったようなものにつきまして都道府県あるいは需要者サイドから大変強い要請がございました。私ども、そういうことにつきましてもむしろこたえてやることが、若干質の問題になりますけれども、そういう安定に役立つと考えておりまして、特に希望があれば、都道府県から申し出があればそういう五十三年低温古米を活用することも考えるということで、いま都道府県あるいは関係業者との間で話し合いをしながら、これも使おうといたしておりますが、これはむしろ量としては純増でございます。私ども、使わなくても操作は可能ではございますが、そういう質の問題も若干加味しました場合にそういうものを使ったらいかがかということでございます。  それから、新聞報道でございました低温古米以外の常温米につきまして、これも使うという話でございますが、これは、従来から二年古米につきましていわゆる徳用上米原料、これはまさしく業務用でございまして、価格も安いわけでございますが、そういう徳用上米原料に使うということをやっております。これも徳用上米ということで、用途あるいは値段等もはっきりさせまして、要請がありますと出すということでございますが、月月せいぜい三千トン前後のものでございますから、量的に補完するとかどうこうというものではございません。  そういう意味で、ことしはやはり災害の次の年でございますから、そういう質の問題も含めました需給ということについては細心の注意を払わなければいかぬとは思っておりますけれども、量そのものが足らないという実態ではございません。
  17. 安井吉典

    安井委員 災害でとれ不足だということをいいことにして、古い、えさにしかならないような米を消費者に無理無理食べさせるというようなあり方は私は問題があると思いますね。転作を少し緩めれば新しいおいしい米が幾らでもとれてくるわけですからね。それを抑えておいて、しかも冷害をいいことにして古い米をここでみんな食わせてしまおう、これは消費者泣かせということになるおそれがあると私は思う。  それから、大体去年ぐらいの冷害になっても何とかいけるというお話でありますけれども、備蓄二百万トンという約束が政府にあるわけですね。それとのかかわりはどうなんですかね。みんななくなってしまえば二百万トンの備蓄なんというのはなくなってしまうでしょう。八月にも農政審議会に備蓄の問題について諮問をする方針だという報道もありますけれども、食糧安全保障、それからそれに対応するいわゆる備蓄の問題、これも非常に重大な問題だと思うのですけれども、その辺のお考えをもう一度伺いたい。
  18. 石川弘

    石川説明員 備蓄の問題につきましては、さきに御審議をいただきました食管法の中でも申し上げましたとおり、従来の二百万トン回転備蓄という方式をいたしますと、どうしても非常に高い古米消費率、百七十万トンぐらいのものを翌年必ず食べるという形で運営せざるを得ないという欠点がございまして、最近の消費者の非常に良質な米を嗜好するという面からは必ずしも十分じゃないという問題点もございまして、新しい食管法で需給基本計画を立てます際に、そういういわゆる回転備蓄だけではなくて、むしろ一部の回転と一部の積み上げの備蓄というものを組み合わせた新しい備蓄方法を考えるということを検討いたしているわけでございますが、これは八月とかいうような時点ではございませんで、来年の一月に施行をいたしまして、新しい計画を立てる時点までにそういう考え方を詰めていきたいと思います。  ただ、お断りしておきたいのは、積み上げをしましたものというのは、やはり古米ないしは古々米ということでございますので、災害の翌年、たとえば去年からことしにかけてと同じように、大きな災害が参りました場合には、そういう積み上げました古々米をやはり使うということでございませんとこの制度は成り立ちません。そうでないと、単年度で非常に甘い需給計画を立てて、災害がなければ全部古米処理するという形になりますので、そういうことはございますけれども、これは、私先ほど申しましたように低温保管等いたしますれば十分活用できるわけでございます。そういう意味で、私ども新しい備蓄の組み立て方を検討いたしておりますが、これは新しい法律の施行の段階から実行できるようにしていきたいと思っております。
  19. 安井吉典

    安井委員 短い時間ですから、次に算定要領の問題に移りたいと思います。  いま伺ったところではたくさん問題があるわけですが、一つは必要量生産費方式ですね。五十五年産の場合は、実際は必要量まで生産が伴わなかったわけですから、いまのこの算式で言うと一一六%ぐらいになるんですね、とれないんですから。前の年は、ここで言うように九〇%、その前の年は八六%ですが、五十五年産米は一二八%というのが本当じゃないのですかね。それを実際の頭で抑えてしまった。だから、そういうことから言えば、ことしももしとり不足だなんということになれば、必要量生産費方式というのは全く行き詰まってしまったのだ、こう見ていいと思うのですが、どうですか。
  20. 石川弘

    石川説明員 予約限度数量をその年のとれたもので割りますればいま先生御指摘のように一一六という数字が出るわけでございますが、実はこれはそういう数字そのものに意味を持たしているわけじゃございませんで、そういう必要量いっぱいの場合に生産費の安いものから順序で並べまして、その中の総量を満たすまでの量を生産する農家平均値を出すという意味でございます。したがいまして、一〇〇ということは一俵以上お米を売っている、いわゆる生産費調査に入っております全部の農家生産費を使って平均をしたということでございますから、一俵販売なさっているサンプルまで入れて計算して生産費を出したということでございますので、一〇〇を超えます場合には、要はありとあらゆる、要するに生産費調査の対象となっています全農家生産費平均をしたということでございます。
  21. 安井吉典

    安井委員 全農家を入れても必要量には足りないのですよ。だから、必要量というものを表に立てた算定方式そのものが非常に大きな疑問に逢着をしている、私はこのことだけは指摘をしておかなければならぬと思います。  それから、今度の算定要領の最大の問題点は家族労働費算定にあるように思います。先ほどの御説明によりますと、とにかくはるか昔の算式を調べてきて、都道府県別の米販売数量による加重平均として算出をする。農林水産省の役人の人は実に物覚えがいい人ばかりだなと感心するわけですが、とにかく労賃計算を一番安く算出ができる方法はどうかということを調べ抜いて、それをここにほこりを払って出してこられるわけですから、大したもんだと思うのですが、それだけに大変無理な作業をやっているわけですね。都道府県別の米販売数量を出すということであるだけに、労賃の方も都道府県別のものを出す、こうなると、三十人以上しかないのでそれを五人以上に修正をするという規模修正、しかも、一年間のうちのできる限り安い時期に限定をしようということでの期間修正、これは大変御苦労をされてなるべく安い労賃にしようと努められているというように私は受けとめられるわけです。  それじゃ、もと数字ですね、去年並みの数字でそのまますんなり出されると、男女込み、男子ということで、一時間当たりどれぐらいになるわけですか。
  22. 石川弘

    石川説明員 お答えいたします。  男女込みにつきまして千百七十八円、それから男子につきまして千四百四十三円でございます。
  23. 安井吉典

    安井委員 それをここまで値切るためにずいぶん御努力をされたというようなことになるのではないかと思うのですが、私は需給均衡を図らなければいけないという気持ちはわかるのですけれども、需給均衡を図るということと労賃計算を変えるということと何の因果関係があるのですか。需給均衡都道府県別労賃と何の関係があるのですか。その辺がわからないわけですよ。ただ単に低い労賃をはじき出すというその目的だけでやられたのですか。何か関係があったらお答えください。
  24. 石川弘

    石川説明員 先ほどもお答えいたしましたように、たとえば米価水準で申しますと、四十二年方式が最も有利な計算方法と申しましたけれども、当時米の需給はどちらかといいますとタイトであったということで、生産を刺激するためにあらゆる要素につきまして有利な要素をとりまして算定をいたしまして、そのことは生産が伸びて大変よかったわけでございますが、その結果は、御承知のように第一次過剰、先ほど申しましたような最高七百数十万トンの過剰ができてきたという実態がございます。したがいまして、これは労賃のところだけの論議ではございませんが、先ほどから申し上げておりますように、米の算定の中で実質支払わるべき性質のものにつきましてはやはり物価修正その他をして適切に反映すべきだと思っておりますので、そういう需給というようなものを勘案してある程度所要の調整ができますものは、いわばそういう現実に支払われてない部分家族労働費であるとかあるいは自作地地代であるとかあるいは自己資本といったところの調整にまつしか手法がございません。したがいまして、私ども、需給状況、特にそれが単年度需給と申しますよりも構造的なそういう需給のアンバランスということがあります場合、そういう評価の点につきましては、大変心苦しいことではございますが、やはり厳しい算定方式をとる必要があるのではないか。御承知のように、四十六、七年にそういう方式をとりましてある意味では大変厳しい算定方法になったわけでございますが、その後、日ならずして、まあこれはさらにまた過剰が起こったことはございますけれども、一時的には需給均衡に近づいてきたということがございますので、やはりそういう方式をとらざるを得ないと考えたわけでございます。
  25. 安井吉典

    安井委員 大変苦しい胸の内をいまお話しがあったわけですけれども、余り関係ないのですよね。需給均衡ということと労賃と関係ないやつを、ただ何とか低い価格にしたいというそれだけの念願で、御苦労をされて四十六年、四十七年の手法をそのまま採用されたと受けとめざるを得ません。  農業団体等から企画管理労働費をぜひ算入してもらいたいという要求があるのはもう毎年のことでおわかりのとおりだと思うのですが、もうこんなような状況ならそれまで考えられるどころかというお気持ちだろうと思うのですけれども、検討はされたのでしょう。
  26. 石川弘

    石川説明員 企画管理労働につきましては、過去四十二年から四十四年の間これを入れた経緯がございます。これは先ほどから申し上げます非常に有利な算定方法の中で一度出てきたわけでございますが、その後採用をいたしておりません。これについてはいろいろな考え方がございまして、企画管理労働というのはやはり相当規模の稲作農家にとっては十分算定さるべき性質のものであるということも議論として十分成り立つ議論だと考えております。ただその場合に、現在のような三反未満とか比較的規模の小さな、兼業率の非常に高い方も含めて算定するという方法をとりますと、企画管理労働をそのまま織り込むことには問題があるのではないか。むしろ企画管理労働を正規に織り込むのであれば、対象農家をもう少し米の専業率が高いとか米に対する経営規模が大きいというようなところを要素にすればそういうものは入れられるのじゃないかというような基本論がございまして、企画管理労働については実は毎年御議論のあるところでございますので、私どもも企画管理労働の取り扱いについて一応論議をしたわけでございますが、四十四年以来、やがてもう十年ぐらいはそういう形は入れておりませんけれども、今回も、企画管理労働算定することはできないと考えたわけでございます。
  27. 安井吉典

    安井委員 もう一つ伺いたいのは副産物価額変化率でありますが、去年と比べるとまさにその変化が大き過ぎるのに気がつくわけです。ここでも数字を何かいじったのじゃないですか。その辺はよくわからないのですが、去年の数字とことしのと比べると余り差が大きいものだから。どうなんですか。
  28. 石川弘

    石川説明員 実は五十五年に副産物価格が相当上がっておりまして、それが反映されてそういうことになっております。これは団体の数字も上がっておりますので、バランスは同じだと思っております。
  29. 安井吉典

    安井委員 次は資本利子でありますけれども、これも下げ要素の一つの重大な役割りを果たしているように思うわけです。特に借入金利子は、去年は年利七・四三%だったのが、きょうお出しになったのは六・二二%と、一・二%以上も引き下げた年利を出しておられる。それから自己資本についても、昨年の計算は年利五・三五%、ことしは四%、ここも大きな引き下げをなさっておられるわけであります。先ほど農協の普通預金利子云云というお話もありましたけれども、どうもこれも答えが先に出て、そこまで下げなければそろばんが合わないというので、かげんをしたような気がしてならぬのですが、もっとしっかりした御説明を聞きたいと思います。
  30. 石川弘

    石川説明員 最初に、現実に借りております借入金の、いま先生御指摘の七・四三が六・二二になったというところでございますが、ここから御説明をいたします。  これは五十三年産米について生産費調査補完調査をやっておりまして、その補完調査の中で、どれだけの資金をどのようなウエートで借りているかというのが調べてございます。項目は大変多うございまして、財政資金、近代化資金、それから農協資金も、普通貸し出しの短期と長期、それからその他の農協資金、それに売り掛けというものまで入れて農協、それから銀行のような農協以外の金融機関、それから個人借り、これだけの項目に分けまして、それぞれのウエートをつけております。たとえば財政資金は約一二%、近代化資金が非常に比重が高うございまして五五%ぐらいございます。それから農協の資金が短期で一〇%、長期は三%弱、それから売り掛けが八%弱あるというぐあいに、ずっと項目別でやっておりまして、このウエートというものは五十三年の補完調査をそのまま使います。それが一体どれくらいの金利であったかというのは、補完調査時点で金利が書いてございますが、それをもとにしまして、それから変わっておりませんものはそのまま使っております。たとえば財政資金なんかは四・六七%の平均借入金利でございますが、そういうものは四・六七ということでとめてございます。  それから、そういうもので若干変わっているものあるいは非常に大きく動いているというものを入れかえてまいっておりまして、たとえば一番大きく変わっておりますのは、農協の普通貸し出しが補完調査のときは八・六一でございますが、これが七・九三、そういうように、直近時にそういう金利を、変わっているものは調査をしながらみんな直してきているわけでございます。そういうことで、特に農協関係の短期の貸し出しの金利等につきましては、御承知のように緩んでまいっておりまして、貸す金利は下がっておりますので、そういうのが大きく反映しまして、七・四三が六・二二まで下がってきております。この算定方式については従来と全く変えてはおりません。  それからその次に、自己資本利率をどう見るかということでございますが、これは何度も御説明しますように、現実に金利を払ってないわけでございますから、これについては農家所得になる性質のものをどう想定するかということでございます。五・三五%という金利は昨年のそのときの金利水準を実は据え置いたわけでございますが、その五・三五%というのは、どちらかというと金利にいたしますと定期型の金利の水準であろうかと思います。実は、ことしの乳価の場合に、御承知のように自己資本というものをどう見るかという場合に、定期に預けるかどうかという選択ではなくて、むしろその金を借りてきて使うかどうかという場合、自己資本を、要するに流動的に使える資金であるということから、そういう長い性質の金利だけで見るのはということもございまして、二・五という普通預金金利を使ったという実態がございましたけれども、いわば金利の見方につきまして、余り極端に大きく動かしますことについてはやはり問題もあろうかと考えまして、実はその五・三五%というのと農協の普通預金の金利二・五%と両方にらみまして、実はその中間のところ、三・九幾つという数字になろうかと思いますが、それを大体にらんだ水準が四%。たまたま、これは御承知のように農家経済調査生産費調査のときに自己資本算定します金利が四%でございますことも若干頭に置きまして、四%という金利を見たわけでございます。
  31. 安井吉典

    安井委員 あとわずかになりましたので急ぎますが、地代ですね。地代についてもかなりたくさんの手法を提示されて前広米審でも御相談をされてきたし、これはもう一年間の宿題だったわけですね。ところが、それに何らの結論がなくてただ継続、去年のやつをそのまま使うといったって、標準小作料というのはもうすでに存在しないのですから、架空のものをここに取り上げてやろうというのですから、これぐらいひどい話はないわけであります。あり得ないものをここに出してきている。地代の問題は、これはもう自作地の場合には所得の方に入るので、したがって家族労賃との関係が出てくるということを農林水産省はいつも言われるわけでありますけれども、家族労賃の方も先ほどのように猛烈な引き下げ作業をやっているわけですよ。それなら地代の方は実納地代というような方向を進めるとか、そういうような配慮がこれはあってよかったのではないかと思うわけであります。これが一つ。  それからもう一つは運搬費でありますが、昨年は運搬費六十キログラム当たり百七十二円だったわけですね。それがきょうの諮問は百六十五円で、七円ですか安くなっているんですね、去年よりも。こんな物価の上がった状況の中で、特に労働費がかなり安く計算されているというようなことで、運賃が安くなったということの原因をそこに置く、労賃が安くなったというところに置いているんですかね、これは。どうも私はわからぬと思うのですがね。だれに聞いたって、去年よりもことしの方の労賃が安くなるなんというようなことはおかしいと思うのですよ。これも何かつじつま合わせのためにこんなふうに算式をおつくりになったのではないかというふうな気がするわけであります。この二点について。
  32. 石川弘

    石川説明員 最初御指摘の地代の見方でございますが、実はいろいろな議論が出ておりまして、むしろ理論的に言えば土地資本利子ということで、固定資産税評価額見合いで一定の利率を掛けてということもございましたし、それから先生御指摘のような、現実支払われているものでやっていったらという御指摘もあったわけでございますが、先ほども申しましたように、七日の前広米審の御議論の中でほぼ大勢としまして、やはりそのどちらの方式をとるにしろ、現在の米価算定方式に多大の影響を与えるということで、これは今後ずっとこれでということではございませんが、暫定的手法としてはやむを得ないのではないかという御指摘がございましたので、われわれも今後の検討課題としながら、統制小作料を使うと申しますよりも、統制小作料でつくられました水準をそのまま使うということで前広米審でも御了解を得たように考えております。  それから運搬費でございますが、これも、ちょっと先ほど説明を落としたかと思いますが、農機具費あるいは賃料料金は若干値上がりをしておりますので、その数字をそのまま使っておりますが、労働費につきましては、これは結局は農家の方がそこへ運ぶということでございますので、結果的には家族労働費で幾らの単価で見るかということでございますので、それが反映されましてこういう数字になっているわけでございます。
  33. 安井吉典

    安井委員 だから家族労働費をわざと下げたということにしかならぬわけですよね。  そこで、もうあとわずかになりましたけれども、三百億円、全体の二%ぐらいを政治加算というようなことで支出すると政府筋が言ったというのですが、一体この政府筋というのはどこなんですかね、大臣。いずれにいたしましても、お金があるのならそれは当然基本価格そのものを引き上げることに使うべきだという、これはもう自民党の中だってそういう正論が出ているわけですね。政治加算というような言葉そのものが私はきわめて不見識なものだと思わざるを得ないわけであります。いまの場合に、一応諮問だけは据え置きにして、後で政治加算をするというような運びを大臣考えておられるのですか、どうですかね。そしてまた一説によれば、食管の中で措置をするので、たとえば自主流通米に対する助成金を削ってその政治加算の方に回すとか、そういうような報道もあります。いろいろありますね。勝手な憶測かもしれませんけれども、しかし私は、この政治加算そのものの考え方について大きな疑問を持っています。この点について明らかにしていただきたい。
  34. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 政治加算という新聞で報ぜられたような額等について、私は全然承知はいたしておりません。私ども、もっぱら各界各層の御意見を十分拝聴をいたしまして、前広米審等の審議の状況等も十分踏まえまして、そうして、いかに責任のある諮問案、国民に対して、農家に対して責任のある諮問案をつくるかということに全力を傾注をいたしておりまして、そうして、先ほど次長から説明申し上げました諮問案が、まあ私ども農林水産行政を責任ある立場で任されておる立場からいたしまして、これ以上の案はないという一応の自信と申しますか、確信と申しますか、それは私どもの責任の上からこの諮問案が私どもの立場としては最良のものである、こう考えておりまして、政治加算とかなんとかというものを、まだ答申もちょうだいをしないうちに考えること自体いけないという自己認識さえ私は持っておるくらいでございまして、その点は御理解いただけるものと存じます。したがいまして、自主流通米あるいはその他の問題等については、いままでの線で軌道に乗りかけておるわけでございますので、大きく変えるというようなことは考えておりません。
  35. 安井吉典

    安井委員 不満でありますけれども、時間ですからこれで終わりますが、委員長にお願いしたいと思います。  私もこれだけ、きわめて問題点を述べましたし、これからも質問がいろいろあると思うのですけれども、それらの疑問を明確にしたこの委員会としての意思を決議というような形で残したいと私は思うのでありますが、委員長においてお取り計らいをいただきたいと思います。
  36. 菊池福治郎

    ○菊池委員長代理 ただいまの件は、理事会に諮りまして取り計らっていきたいと思います。
  37. 安井吉典

    安井委員 終わります。
  38. 菊池福治郎

    ○菊池委員長代理 武田一夫君。
  39. 武田一夫

    ○武田委員 臨時行政調査会、いわゆる第二臨調の一次答申を受けまして、そういう形での米価審議会がきょうから始まっているわけでございますが、本年度産米の政府買い入れ価格がそこで諮問を受けていろいろと審議をされるわけでございますが、いまいろいろと食糧庁から御説明をいただきましたが、結局はその諮問は、まるっきり据え置きという事態でございます。十五円の値上げということ、これはまるまる同じということでございまして、私は、こういう五十三年、五十四年、そして昨年の二・三%といえども、これもやはり物価の上昇等を考えますと実質マイナスである、そういう大方評価でございますから、四年間こういう事態になるということは、農家の皆さん方にとっては非常にやるせない、せつない思いではなかろうか、非常に憤りさえ感じているのではないかと、私は同情するわけでございます。春闘におきましても六%から七%近い賃上げがございますし、物価の上昇これあり、こういうときにこうした答申をなさるという当局、とりわけ農政を預かる最高責任者としての大臣の姿勢の中に、農家を守り農業の発展を考えていく、そういう心はあるのかどうかと、私はまず率直に伺いたいわけでございます。この臨調の答申というのによってのこうした措置というもので、農家に対する大変なる苦労といいますか苦悩というものをいや増していくことに対しては、私は、避けなければならない、避けるのは当然だと思うわけでありますが、まずその点についての大臣の御見解からお尋ねをいたしたいと思います。
  40. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 昨年の冷害、豪雪、ひょう害、干害等々によって農家の方々が非常な御苦労をされておるということは、私も十分認識をいたしております。したがいまして、それら災害に対しましては十全の災害対策を講じまして、そして農家の再生産の意欲を消磨しないようにという配慮は、国会の御協力もちょうだいいたしましてやってきたところでございます。  武田先生御承知のとおり、日本の農業というものはいろいろな面で非常に厳しい情勢の中に置かれておるということ、これはもう私も就任して一年になるわけでありますけれども、外国からの農産物を日本が買うべきである、買わなければならないのじゃないかと、そういう声がきわめて強いことは御承知のとおりであります。そういう中において、やはり一面自給力を強化していかなければならないという使命もあるわけでございます。そういう中で日本農政を発展せしめるためには、やはりそれ相当の厳しい試練を経ていかなければならない、たくましい努力をしなければならないと、こう思うわけでございます。  御承知のように乳価等もこれまた四年も据え置かれる、基準糸価等についても非常に厳しい処置をとらざるを得ない、そういう厳しさを乗り越えて酪農家あるいは養鶏、あるいは養豚、施設園芸、果樹関係の農家の諸君は歯を食いしばってその難関を切り抜ける努力をしておると、こういうことをこの委員会を通じて私は申し上げてきたとおりであります。したがいまして、米価決定当たりましてもやはりそういう点を踏まえまして、何といっても大事な主食ではありますけれども、かつて昭和四十六、七年当時過剰米に苦しんだ時代にこれを乗り切るために先輩が残してくれた考え方、やり方等も参考にいたしまして、そうして、特にわが内閣が厳しい国家財政の再建を至上命令として国民に閣議決定を通じて約束をしておる情勢等も考えまして、この際は米作農家の皆さん方からも御協力をいただくということで、私は、むしろそういう意味で農家の方々に、厳しい情勢ではありますけれども、厳しい実態を十分考慮して協力を願えるという立場でこのような諮問米価決定をさしていただいたということでございまして、この点ひとつよく御理解を賜りたいと、こう思う次第でございます。
  41. 武田一夫

    ○武田委員 大臣は東北の米どころの方でございますし、かつてはベトコン隊長としていろいろと御活躍になったいきさつもございまして、いろいろと農家の苦しいそういう実情は重々御承知と思うわけでございますが、なおかつその上でそうしたお答えが出るということは、私は大変な問題だと思うのでございます。  私は、ことしの米価につきましては、生産者団体、農家の皆さん方も大変危機感を持っている、それなりの理由があると思うわけでございます。皆さん方がその危機感を訴えてくる大きな理由は、御承知のとおり、いま最初に申し上げましたような、ずっとここ三年の据え置き、そしてもしことしも据え置きとなるならば、実質その値下げ率というものは二〇%近くにもなってしまう。一般の勤労者の場合では名目所得が減少してさえも社会的な大問題になる。それが農家世帯の場合はマイナスになるということ、それもがまんをしなければならないということは、これはとても許されるものではないと私は思うわけでございます。     〔菊池委員長代理退席、委員長着席〕 農家の皆さん方に言わせれば、財政赤字と言うが、それじゃ同じ三K赤字の中で国鉄が赤字なのにどうして賃金が上がるのだ、ここをどういうふうに説明してくれるのだという、素朴な、またこれは聞きたい理由ではないかと、私はこういうふうに思うわけであります。さらにまた、昨年は東北を中心とした冷害で農業収入というものは非常な目減りでございまして、二八%、特に米作地帯、北陸や東北の場合などはその農業所得に占める比重というものは大変なものでございますから、そうした地域におけるその農業所得の目減りから来る経営の非常な窮状、そしてそれに加えて農業用資材の値上がり、こういうものがございまして、米の生産費も一〇%も上昇しているというような、こうした多くの現実を農林水産省としても認めているわけでありまして、先ほど説明のございました生産費の中の一つ一つを見ましても、すべてが多くの値上げをしているということは、とりもなおさず、農家の経済、経営というのが大変な状況にあるということを認めているわけでありまして、それではこうしたところにさらに米価の据え置きがあるならば、農家の方はそういうマイナスの生活をどうして、どういう手段で補えというのか、そういう点をはっきりと示してやる必要があるのじゃなかろうか、私はこう思うのであります。その点についてお伺いいたします。  たとえば、この図がございますが、これは東北農政局の図です。ちょっと見苦しいでしょうけれども、これは農業所得率、こちらは東北で、こちらは全国ですが、いままではこの米どころ東北というのは、全国から比べますと格差は非常にあいていたのです。最近はこれがだんだん狭まってきているということは、特に米どころが非常に大変な経営状況であるということを物語っています。  それで、こちらは米の価格生産資材の状況ですが、昭和五十三年の暮れ、五十四年ころからはもうすでに生産資材の方はぐんと上がって、米は下がっている。こういうようなグラフの中における実態等も見ますと、これは今回四年間待てといっても、農家の皆さん方は待てるはずがない、こういうふうに思うのでありますが、重ねてこの件、どういうふうにお考えなのか、お尋ねをいたしたいと思うのであります。
  42. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 日本の農政を発展せしめていこうということで、基本法ができ、また昨年は農地三法の改正をしていただき、国会で食糧自給力強化の決議もしていただき、そうして外国からの輸入農産物に対しては十分配慮をしていけ、こういう当委員会等の御決議等もちょうだいをいたしておるわけでございまして、その線で日本の農政を発展せしめていかなければならないという大命題は、これはもうきちんといたしておるわけであります。  そういう中で、実際に農家所得を上げていくということになりますと、これは言うはやすくして実行は短期間に実現してまいるということはなかなか容易ではない。やはりある程度計画的に時間をかけてやってまいらなければならない。それには、強い政策をやってまいりますためには、何としても一番税金を使っておりますところの食管の問題、その食管の問題の中の一兆円に近い支出を余儀なくされるということ、それはどこからそういう問題が起きてくるかということになりますと、需給のバランスがとれない、過剰であるというところによりまして、過剰米処理というだけでも、今後三百数万トンの過剰米処理をやろうとしてもこれはもう一兆円近い支出が必要である。こういう厳しい財政情勢で、ゼロシーリングの中で予算編成をやらなければならぬというときに、とにもかくにも七カ年計画でこの一兆円の古米処理をしていこう、こういうこともあるわけでありまして、それらの財源をどうするかというようなこと、さらには第二臨調から指摘されましたような問題等々を考えますと、これらのことは後ろ向き政策、こういうことでありまして、やはり前に基盤整備でありますとか、あるいは特に基盤整備の中の用排水の整備、田畑輪換の経営ができるような体制に持っていくための基盤整備の完遂等々、さらには農村の環境整備等々を強力にやっていかなければならぬというときにそういう方面に十分予算が回らないということであってはまことに残念であるという感じを特に強くいたしておるわけでございます。  そういう点を考えますと、いま大きく伸びんとする日本農政、伸びんと欲すれば、いっときは屈して、歯を食いしばって伸びるための努力をするというのがことしあたりではなかろうか、私はそんなふうな気持ちでおるわけであります。
  43. 武田一夫

    ○武田委員 農家の皆さん方もそうした事情をよく御承知でございますから、努力を一生懸命して、たとえば生産調整にしましても、涙の出るような努力をしながら毎年目標を上回る生産調整もしているわけでありますから、私は、そういう中でのこうした対応というのはまことに残念だと思うわけでございます。  時間が来ましたが、これからの農村ということを考えるときに、まず現状の窮状を何としても救ってあげるという一つの観点と、もう一つは、長期的には日本の農業というものを安定的に発展させるというための、やはり農家の皆さん方が意欲を持って働けるという環境づくりを米価の中に見出せるような御配慮を私はひとつお願いしまして、時間が参りましたので質問を終わります。
  44. 田邉國男

    田邉委員長 野間友一君。
  45. 野間友一

    ○野間委員 きょうも生産米価についての説明を受けたわけですけれども、新聞報道等では生産米価は据え置きかというような報道がずっとなされておりました。ところが、農家の皆さんに話を聞いてみますと、これだけ生産費が上がっておる、これ以上もうがまんができない、据え置きなどというようなことはおよそ考えられない、これが農家の皆さんの考えでありました。  ところが、実際に諮問を見てみますと据え置きということで、生産農家の皆さんにとってみればこれは大変なことだということで、大変な憤りをいま感じながら米審を見守っているわけでありますが、私ども野党六党も、御案内のとおり、七月の九日に、全中が要求をしております一七・七%のアップ、二万四百九十八円、せめて最低これだけは値上げをしてほしいという申し入れをすでにしておりますし、また私ども日本共産党独自の立場からも、同じ日に申し入れをしておるわけでありますけれども、しかし残念ながら結果は据え置きということであります。  そこで、まず亀岡大臣にお聞きしたいのは、こういう野党六党の、こぞって農民の切実な要求を吸い上げた申し入れ、あるいはわが党の申し入れ、こういうものをどう受けとめて、これを十分検討した上で諮問案として出されたものかどうか、この点についてまず見解を聞かせていただきたいと思います。
  46. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 御指摘のような線をあらゆる面から検討をし、いろいろ苦慮をいたしまして、最終的に現時点においては本年産米価については諮問案による行き方が、国民並びに農家の方々からぎりぎりのところで、まあ御不満ではありましょうけれども、わかっていただける線ではないか、私はこういうふうな気持ちになりまして、決心をし、そうしてけさほど諮問を申し上げた次第でございます。
  47. 野間友一

    ○野間委員 この背景にあるのは、安井委員も指摘をされておりましたが、第二臨調の第一次答申、私はこれにあると思うのですね。これは各報道機関なども厳しく批判し、指摘をしておるところでありますが、要するに社会的弱者にすべてのしわ寄せ、福祉や教育の切り捨て等々、これが中心でありますけれども、この臨調の答申を見ましても、このままの考え方で進めるとするならば、農業の破壊、これは目に見えて深く進行するのじゃないかという懸念を私は常に持ち続けておるわけであります。  そこで、この諮問の中での試算について、若干これは安井委員との質問と重複するかもわかりませんが、私の方も少し指摘をしていきたいと思います。  昨年どおりの計算でいきますと、たしか一一・七%のアップになるというふうに答弁があったと思いますが、それはそうでしょうか。
  48. 石川弘

    石川説明員 そのとおりでございます。
  49. 野間友一

    ○野間委員 そこで、これまた安井委員の指摘にもありましたけれども、初めに据え置きありき、それに合わせていろいろな計算方法を考える、こういうことになっておると思うのですね。  まず二、三お聞きしたいのは、家族労働費部分でありますけれども、これが全国製造業平均賃金、五人以上千人未満規模、まあいろいろと説明をされておりますが、結局、地方製造業労賃、これは五人以上しかも千人未満ということで計算方法を変えておられるわけですね。そうしますと、労賃単価計算しますと具体的にどのぐらいの率のダウンになるのか、これは試算の結果どうでしょうか。
  50. 石川弘

    石川説明員 約二%のダウンでございます。
  51. 野間友一

    ○野間委員 私が試算したところによりますと、一九%のダウン、これは実質労賃単価ですね。それから、米価換算で約七%から八%のダウンになるという計算になりますけれども、これは間違いでしょうか。
  52. 石川弘

    石川説明員 いま先生がおっしゃいましたのは、上がったものとして、上がったところからのダウンかと思います。私ども申しましたのは、昨年の単価と比較して申し上げたわけでございます。
  53. 野間友一

    ○野間委員 これは大変なことになるわけですね。  それから自己資本利子、これが一年ものの定期利子五・三五から四%、普通預金の利子にダウンをさせられたわけですけれども、これも合理的に説明できる根拠があるのかないのか。つまり、いろいろと言いわけをされると私は思うのです。しかし、こういう計算方法をころころ変えられるということは、米価算定に当たっての算定方式あるいは算定評価そのものに一貫性がない、そのときそのときの御都合によっていかようにでも計算評価なり方式がとられる。こうなりますと、農家、国民の中から、一体どうやって計算するのか、その計算方式なり計算評価に客観性がないのじゃないか、ますます不信感を持つのは私は当然だと思うのですね。これは合理的な説明が——いま私の指摘した家族労働費部分の改定というか評価の変更ですね、それから自己資本利子についての問題について、具体的に納得いくような説明が一体できるのかどうか、その点についてお伺いしたいと思います。
  54. 石川弘

    石川説明員 家族労働費評価につきましてはいろいろな経緯がございまして、御承知のように規模を変えてみたり、あるいは先ほど申しましたように、四十六年ないし四十七年には米の生産の比重をかけたということでございますが、四十六、七年にもこういうものをとりましたときに私ども申し上げておりますのは、結果的に全国の一定規模労働者賃金評価いたします場合に、工場の労働者の頭数でこの評価をいたしますと比較的大都市中心と申しますか、米の生産の地帯と離れたところの比重がかなり大きく出てくるわけでございます。そういう場合に、四十六、七年こういうものをとりましたのは、やはりそういう需給事情が厳しい、特に生産構造と需要の構造からいって乖離が大きいときに、そういう最も有利な条件として考えるのがいいのか、それとも、米をつくるかあるいは他の労働所得を得るかというときに、むしろ米の生産をしている地域における労働、これも規模は同じでございますから大きな工場が入るわけでございますが、そこの比重をかけたものでバランスさせたらいいかということについては、これはもちろん賛否両論はございますが、そういう米の生産地における工場の労働者のそういう給与の水準というのが十分加味される。これは別にそこの賃金で決めるということじゃございませんで、要するに労働者の頭数だけで分けるのがいいのか、そうじゃなくてこの地帯でこれだけの米を生産されているのだから、その地帯における賃金水準がそれなりに反映されるような算定方式がいいのかということでとったわけでございます。したがいまして、私どもは、方法として、これはいろいろ御批判があることも十分承知いたしておりますが、方法としては十分とり得る手法であると考えておるわけでございます。  それから資本利子でございますが、これも論議の分かれるところでございまして、自分の金を投入して仕事をするというわけでございますが、そういう資本をたとえばもし非常に安く評価されるとするならばほかに運用した方が得だよというような論理で言えば、非常に高い金利か何かをとりましてどこか横へ預けておいたら、ほかから借りてくるのと同じだからという論理もあるかと思います。しかし、逆に言いまして、そうじゃなくて現実に使うものでございますから、そういう長く寝かせておくといいますか、定期的に使えるということ自身おかしいじゃないかという議論もあり得るわけでございます。同じ政府算定の中で、ことしの乳価につきましてそういう農協普通預金金利という言葉を使いましたのもそういう理屈があってのことでございます。  ただ、先生御指摘のように、それが余り大きい水準で変わるということにつきましては論議もあろうかと思いまして、今回の使い方としては、その効き目を半分と申しますか、定期と普通預金の半分の水準のところで四%。しかもこれは、実は農家経済調査で自己資本利子算定いたしますときの水準が四%でございますので、そこをも見ながらそういう水準にしたということでございます。
  55. 野間友一

    ○野間委員 時間が限られておりますので、なんですが、結局、下げるときにはその下げるにふさわしいそういういろいろな理屈を編み出してくる、そして結論は据え置きということになるわけで、全く御都合主義としか言えないと私は思うのです。  さらに自作地地代についても、これも見てみますと、要するに八〇年、去年の九月末でもう統制小作料は廃止されておるわけですね。ところが、それでいくというわけでしょう。統制小作料は、たしか十アール当たりが五千六百六十円ですか、しかし実納の耕作料というものは十アール当たり二万九千三百二十四円というふうに私は承知しておりますけれども、そうなのかどうか。そうすればこれは相当な開きがありますね。少なくとも実態に即したこういう計算方法ということになれば、すでになくなったものに依拠するということはおかしいのじゃないか、こういうふうに言わざるを得ないと思うのです。その点についてはいかがでしょうか。
  56. 石川弘

    石川説明員 先ほどもちょっと御説明いたしましたけれども、実は自作地地代をどう見るかというのは、基本論としまして全く論議が分かれるところでございます。一つは、払ってもいないものだから、一番極端な議論で申しますと算定に入れる必要なしというところから始まる議論もあるわけでございますが、そういう極端な議論は別にいたしまして、いま先生御指摘のように、現実に支払われている地代、これは二万五千円とか、そういう水準がございます。現在三万円ぐらいの水準のもあるわけでございますが、そういう水準算定いたしますと、そんな高い地代を払って一定水準の米の値段をとろうと思いますと、今度は労賃が、いま考えていますような高い都市均衡労賃評価がえしたような賃金を払えるはずがないではないか。ということは、片っ方で、地代のときには都合よくわずか七%前後しかないところのいわゆる現実に賃貸されています地代を使いながら、今度は労賃評価のときはその地代では払えないはずの高い労賃評価をするのはおかしいではないかという基本論が実はございまして、そういう議論の線上から論議なさる方については、もし自作地地代現実の実納小作料水準でやるのならば、労働費評価を全く変えるべきであるという強い御意見があるわけでございまして、こういう御意見は、現に前広米審でも非常に多くの方から主張されてございます。  それからもう一つ、労賃評価がえすることはいいのだけれども、逆にいって、地代をそういう実納で見るのではなくて、公的にオーソライズされているものとすれば何だと言えば、固定資産税の評価額もとにいたしまして、その資本下限と申しますか、そういう形で、要するに土地資本利子ということで算定すべきだという、こういう考え方もございます。実は、現実にいまそれを算定しますと、現在の五千円水準どころか三千円水準というような非常に低い水準が出てまいります。  そういう両極端の議論が実はございまして、七日の前広米審でもいろいろな方の御意見があったのですが、御意見大方、ほとんど大部分の方は、そういう基本論がやはり越せないうちに、いずれの方法をとるにも問題があるのではないか。したがって、先生御指摘のように、統制小作料がなくなったのを使うということではございませんで、これは結果的には地代と申しますものの農家所得になるわけでございますので、農家所得継続性という観点から、五十五年産米価に織り込まれましたその水準をそのまま使うのが妥当ではないか、しかし、これはあくまで暫定的なことなんで、将来さらに検討を進めるべきだ。結局七日の御議論を私ども拝聴させていただきますと、結果的には地代論から始まって算定方式に及ぶというような議論になろうかと思いますが、その点は私どもも検討させていただきたいと思いますが、大方の御意見がそういうことでまとまりましたので、その御意見を採用させていただいたわけでございます。
  57. 野間友一

    ○野間委員 もう時間が参りましたので、あと一点だけ、政治姿勢について大臣にお聞きしたいと思います。  これはもうすでに論議がありましたけれども、三百億円のいわゆるつかみ金の問題、与党で政治加算するのじゃないか。これについてはきょうの新聞によりますと、櫻内幹事長はどこか遊説先でも暗にそういう政治加算を示唆するような形での発言があったやに、報道には出ております。  そこでお聞きしたいのは、諮問されてそして答申が出てくる、その後、自民党と政府との折衝によってそういう政治加算をするというようなことがすでに内々話し合われて、そういう方向で進められるのかどうか。これについては農協の関係の緊急代表者会議で、そういうことでなくて、基本米価を上げてくれというような緊急決議まで実はやっておるわけですけれども、御案内のとおりだと思います。この政治加算について、どういうお考えを持っておられるのか、再度お答えいただいて、質問を終わりたいと思います。
  58. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 先ほどもお答え申し上げましたように、私どもといたしましてはあらゆる観点から検討いたしまして、諮問を申し上げた線が政府としては最良のものと、こういう気持ちで出してございますので、米価審議会からどのような答申が得られますか、その答申をちょうだいいたしましてから適正に決定をしてまいりたい、こう考えております。まだ答申もちょうだいしないうちから、あの場合はどうか、この場合はどうかということを申し上げることは、私の立場上、私が決めさしてもらうわけでございますので、これは発言を許していただきたい、こう思います。
  59. 野間友一

    ○野間委員 そうしますと、それは否定も肯定もされないということになるわけですか。する場合もあり得るということをいま答弁の中で含めておっしゃったわけでしょうか。
  60. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 先ほどお答えいたしましたとおりでございます。
  61. 田邉國男

    田邉委員長 神田厚君。
  62. 神田厚

    ○神田委員 政府諮問がされたわけでありますが、その内容は実質据え置きということでございます。  大臣にお伺いをしたいのでありますが、生産米価は、昭和五十一年度が六十キロ当たり一万六千五百七十二円、五十二年度が一万七千二百三十二円、ここで約三・九八%上がっております。それから以降は、御案内のように昨年ちょっと上がった程度で、ことしももしも据え置きということになりますと、五年間で約六%の値上げにすぎない、こういう状況であります。五年間に物価がどのぐらい上がり、あるいは労働者賃金がどのぐらい上がっているか、それはもうすでに御案内のとおりでありますけれども、五年間で約六%、実質四年間でほぼ据え置きのこういう生産米価のあり方というものは、私は非常に問題があるというふうに思っております。  今回、昨年に引き続きまして据え置きの諮問をされましたが、それはどういうふうなお気持ちでございますか。
  63. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 結果的に日本の米生産というものをここ数年振り返ってみましても、やはり米作農民の方々の生産意欲はきわめて旺盛である。したがいまして、食管法第三条に再生産を旨としてということが示してあるわけでございますので、私は総体的にいって、われわれがやってまいりました米価決定の各年度における実情というものは、御不満ではありましょうけれども、農家の方方からお認めいただいてきておるというふうに考えておるわけでございます。  しかし、米価はそのような据え置きをいたしてきてはおりますけれども、そのほかの米の生産基盤でありますとかあるいは用排水の問題でありますとか、さらには消費拡大でありますとか、いろいろな面において米作農民の間接的な政策というものに対しては従来以上の力を政府としても尽くしておるということは農家自身からも理解していただけるのではないか、私はそんなふうにも考えておる次第であります。
  64. 神田厚

    ○神田委員 米価以外のものでカバーをしているという話でありますが、たとえば、これから先の問題にしますれば、臨調の答申を受けてどういうふうにしていくのかという中で、臨調はそういう面についての非常に厳しい指摘をしているわけでありますから、これはやはり非常に問題の残っているところであります。  臨調問題については、時間がありますれば後で触れさせていただきますが、当面この米価の問題につきまして、実質四年間は据え置かれたと同じだというふうな中で、またしても据え置きの諮問がなされているということは大変問題であると思っております。その中で、先ほどから委員の中から指摘をされておりますように、算定方式算定要素を変えてまたこの据え置きに近い数字を出している、例年のことでありますけれども、こういう形で果たして本当に生産農民や多くの良識のある人に信頼のされる米価になっているのだろうかという疑問を持つわけであります。たとえば家族労働費の問題が問題になりました。これも従来どおり計算しますれば、約二〇%ダウンをされているような状況になっている。  それではお伺いしますが、なぜ昨年と違って家族労働費要素のとり方をことしに限って変えたのか。この一年の間にそれを変える正当な理由があったのかどうか、その辺はどうでございますか。
  65. 石川弘

    石川説明員 最初に申し上げましたように、算定をいたします際に現実に私ども考えなければならないのは、米の生産がどういうような条件になっているかということかと思います。  御承知のように、本年は第二期転作を開始した年でございます。転作数量で申しますと三百二十万トン、これは実は最も大きな規模転作でございまして、御承知のような四十六年ないし四十七年にほぼ二百万トン規模のいわば水田利用再編と申しますか転作をしておりました規模に比べても、はるかに大きな規模になってきているという事情がございます。そのために支払われております財政資金につきましても、かつて四十六年ないし四十七年が大体二千億程度の規模でございましたが、現在転作のために使われております財政規模は約三千億を超えております。そういうように、米の生産の構造といいますか、いわばつくろうと思えばつくれるという力は四十六、七年よりも現在の方がむしろ強い状況にございまして、そういう状況の中で、昨年の不作ということもございますけれども、生産の構造としては五十六年は非常に大きな調整をやって、ようやく均衡に向かおうとしているときだ。  こういう場合にどのように算定の中でそれを生かそうかということでございますが、毎度申し上げますように、いわゆる実際に支払われる費用につきましては、これは評価の問題でございませんで、物価にスライドいたしましてそのまま使うという方式でございますので、過去において生産費及び所得補償方式がとられて以来、需給事情その他の要素を勘案いたしますのは、結果的には労賃家族労働費評価とか、あるいは自己資金の利子評価というようなところでそういう経済事情を織り込んできたということでございます。そういう事情をしんしゃくいたしまして、本年、米の供給量といいますか、都道府県別生産の量を反映させて家族労働費評価するという手法をとったわけでございます。
  66. 神田厚

    ○神田委員 そういうふうな考え方なら昨年だって同じようなことでしょう。昨年とことしと経済指標としてその要素のとり方をそんなに変えるというものはないわけです。なぜことしになってそういうふうな形で、地方都市の労賃をとるという形で経済指標を変えなければならなかったのか。五十六年度から転換期だという話でありますけれども、それは理屈のこじつけみたいなもので、昨年だって一昨年だってそれは変わってないわけでありますから、その辺のところはどういうふうに御説明いただけますか。
  67. 石川弘

    石川説明員 検討の過程におきまして、昨年におきましても、労働費評価をどうしようかというのを十分論議をいたした経緯はございました。しかしながら昨年におきましては、御承知のように昨年はまだ一期でございまして、一期につきましては、平均的に言いますと、これは途中で直しましたので規模を上げましたけれども、一期は百七十万トンという水準での転作をお願いしているという期間の最中でございまして、内容的にそういう労働費評価を変えるということも検討はいたしましたが、実行すべき段階ではないということで採用してないわけでございます。
  68. 神田厚

    ○神田委員 そうしますと、これは第二期期間中は、全部労賃のとり方はこういう労賃をとるということですか。
  69. 石川弘

    石川説明員 いまから先のことまでそういうことを申し上げるわけにはまいりませんで、実はその年々の需給事情その他がいろいろあるわけでございます。そういうことも考えなければいかぬと思いますが、労働費評価に関して、現時点ではこういう評価をとらざるを得なかったということで御答弁させていただきたいと私は思いまして、これ以上先のことにどういう評価でいくかということにつきましては、結果的には労賃評価以外のいろいろな要素も動いてまいりますものですから、その辺等をかみ合わせながら考えていきたいと思っております。
  70. 神田厚

    ○神田委員 時間がありませんから詳しい話はできませんが、要するに据え置き米価をつくるために算定方式算定要素を変えるということを毎年繰り返しているということであります。こういうことでは本当に適正な米価なのかということについて多くの人が疑問を持ってきます。ですから本当に生産農民の皆さんやあるいは多くの国民の皆さんの理解を得るためには、米価算定そのものについて、その都度苦しい説明をしなければならないような算定方式の変更や要素の変更はすべきではないと思っているのです。今回もこういうふうな形で二〇%にも及ぶ大幅なダウンを家族労働費のところでとってきているわけでありますが、この辺のところをこれからまたどういうふうにいじってくるのかわかりませんけれども、私は、これは非常に問題があって、農林大臣から、算定方式の問題をその都度その都度変えるようなことでいいのかどうか、これは大臣どうですか。毎年毎年困るのじゃないですか。
  71. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 その点は食管法の御審議の際にもそういう質問がございましてお答えしたことがあるわけでございますけれども、生産米価を決めるに当たりましては、生産費及び物価その他経済事情をしんしゃくして、農家の再生産を旨として定めなさい、こう書いてあるわけであります。その他経済事情、そういう点を十分考えてやらなければ、納税者に迷惑をかけたり何なりというようなこともあるのだから、そういう点も十分考慮して決めなさいよ、こういう趣旨であろうと私は思うのです。需給状況というものも経済上いろいろ影響するところが大きいわけでありますので、その辺のところをできるだけ負担を少なくして、食管運営というものをがっちりと確保していくことができるという事態を生産価格決定においても食管法は企図しておる、こういうことでございますので、景気のいいときもありますし悪いときもありますし、そのときどきの経済事情というものがございますので、そういう点を考え、また農家の再生産を旨とするということは、昨年のような大きな農作物の被害がありましたときに、もう農業をやめたというような農家が出てこないようにということで災害補償法等も制定されておるわけでありまして、その共済制度によって再生産の意欲を起こしてもらう、こういうこともあるわけでありまして、農政全般の中で、農家の方々の立場を政府としてはしっかりと後ろ盾となってやっておる、こういうことであり、また今後もそういう体制を崩さないでやっていこう、こういう気持ちであることを私は率直に申し上げたい。
  72. 神田厚

    ○神田委員 時間が来ましたから、最後に政治加算の問題であります。  いま、補助金問題を初めとしまして農政が特に問題にされておりますのは、その補助金その他の使い方、そういうふうなことで新臨調初めいろいろ指摘があるわけであります。国民がこぞって農政にそういう目を向けているときに、いわゆるつかみ金のような形で政治加算をするということは、多くの国民に対しまして非常に納得をされないところであるというふうに思っておりまして、農政にさらに一層の批判を加えさせるもとになるというふうに心配をしております。ですから、私は、それだけの財源がありそれだけの考え方があるならば、これは基本米価の値上げでやるべきであって、いわゆるつかみ金というような形でのものを明らかに出すということはますます農政不信をつのらせることになりますから、その辺のところは大臣の方からもはっきりした答弁が出ておりませんけれども、大臣がもしもそういうお考えがあるならば、何とか基本米価に近い形のものに組み入れていく努力をすべきだというように考えておりますが、最後にお答えをいただきたいと思います。
  73. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 先ほどもお答え申し上げたとおりでございまして、米価審議会がいま開催されておるわけでございまして、そこに御諮問を申し上げておる線が私の五十六年産米に関する気持ちでございますので、そのほかの問題につきましてはやはり答申をちょうだいしてからというのが米価審議会に対する私の責任である、こういうふうに私は考えておりますので、この点は御了承いただきたい、こう思います。
  74. 田邉國男

    田邉委員長 この際、午後一時三十分から再開することとし、暫時休憩いたします。     午後零時四十二分休憩      ————◇—————     午後一時三十五分開議
  75. 田邉國男

    田邉委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。新盛辰雄君。
  76. 新盛辰雄

    ○新盛委員 五十五年産生産米価決定に入っているわけでありますが、本日米審に対する政府諮問が行われたわけであります。     〔委員長退席、菊池委員長代理着席〕 大臣の答弁を聞いておりますと、どうも釈然としない。それは、今回の生産米価決定への第二臨調との絡みもございますけれども、特に巷間伝えられておりますように、鈴木内閣としては政治加算を認めない、一方では政府筋の方から、政治加算も恐らく二%前後でもって決着がつけられるのじゃないかとか、あるいはつかみ金、集荷奨励金か何か知りませんが、そういう面で三百億ぐらいどうだこうだという話が伝えられるかと思うと、そういう話し合いは一切ないのだ、十一日の日には白紙に戻したという話など、全く混乱をしているわけです。それで、この場は、われわれが、生産米価はどうあるべきか、その算出の基礎なり、生産資材が上がったということに対するもろもろの問題を検討していく委員会でありますけれども、五十五年産生産米価を決める際に、これは政府と与党が決めることだとするなら、もうすべて米審など、あるいはまたこの委員会も必要ないじゃないか、こういう声すらあるわけです。大臣の先ほどの答弁では、結局据え置きであるので、諮問がそうだから、結論も恐らくその意向を受けて据え置きになるだろう。仮にそうなった場合には、後は政治加算の道が残される。そうなれば一これはもう結果的には何にも審議する必要はないじゃないか、こういうことも一面言われるわけでありますが、この決定に至る政府の姿勢について再度明確に、政府あるいは党の側からもぜひお答えいただきたいと思うのです。しかし、ここは党じゃありませんから、政府の方の御見解を再度伺っておきます。
  77. 志賀節

    ○志賀説明員 ただいま新盛先生の御質問を承っておりまして、私も、もし所を変えて新盛先生のお立場であれば全く同じ気持ちであろうと思います。米審を軽視するなどということはもってのほかでございまして、政府といたしましてはそのような気持ちは毛頭ございません。したがいまして、いままでいろいろなことが巷間伝えられたわけでございますが、私もその出所あるいは何ゆえにそのような報道がなされたかにつきましてはつまびらかにいたしませんので、私自身これを雑音と受けとめておるわけでございます。私どもはそういう姿勢で今後もやってまいりたいと思いますので、どうかよろしくお願いをいたしたいと思います。一なお、大臣は、あくまでも、諮問の結果が出るまでは、自分としては何も申すことも考えることもないというような御趣旨を午前中の答弁で言っておられましたが、政府としてはまさにそのとおりでございます。
  78. 新盛辰雄

    ○新盛委員 第二臨調の答申が出されて、その答申を受けて売買逆ざや解消の問題が指摘されているのですが、今回の米価がもし仮に据え置かれて、後は政治加算、こうした話などになっていく際に問題が残るわけでして、私どもはあくまでも基本米価を引き上げるべきではないかということを先ほども主張しておるわけでございます。この売買逆ざやの問題では、たとえば今年度麦の価格平均三・二%上げたわけですね。そしてこの引き上げがあったことによって、すでに食管の麦勘定から見ても当初の九百四十一億から約百六十億ぐらいはふえたであろう、ここにまた赤字が増大しているわけですね。米の場合でも当然そのことば予想されるわけでありますが、こうなりますと米は四年続きの据え置き、麦は三年の据え置きという形になるけれども、逆に消費者の米と麦は一体どうなるのだろうか。これは逆ざや解消ということ等で強い指摘を受けておられるので、巷間伝えられるところによると、澤邊事務次官が、もはや消費者米価あるいは麦価を引き上げざるを得ない。こうなりますと米の方は四年、麦の方は三年連続引き上げるということになるわけですが、生産米価に対比して消費者の米、麦価格は引き上げられるのかどうか、ここで明確にしていただきたいと思うのです。
  79. 志賀節

    ○志賀説明員 ただいまお答えをいたしましたとおり、米価審議会に対して私どもは、今回の生産米価の御審議を十分尽くしていただくという立場から、いろいろな要素を念頭に置いてないわけでございます。たとえば、その結果が出たらば政治加算をするとかつかみ金をするとかいう発想もないのと同じように、私どもが念頭に消費者の米価、麦価の上げとか手直しということを考えておるとすれば、これまた米価審議会軽視につながることでございますから、そういうことば現段階においては全くない、こういう立場でございます。
  80. 新盛辰雄

    ○新盛委員 いま生産米価の問題で議論しているわけですから、生産資材の高騰とかあるいはまたすでに農林省が発表されましたように、五十五年産生産指数は一二・二%だということなども言われているだけに、これは何らかの形で基本米価を引き上げざるを得ない、私どもはそう見ているのですから、きょうから明日にかけまして米審の動きを見守っているのですが、結果はどうなろうとも、逆ざやは解消しなければならないという第二臨調の指摘もあるわけですね。だから、生産米価がそういうことになったとしても、消費者米価の方はまた考えなければならないだろうということにつながる、これは非常に関心の高いところなんですよ。この辺はもう先行きの問題だから——消費者米価あるいは麦価を上げるのは私どもは反対ですよ、だけれども、政府はそういう意向を持っているのではないかと推測されるので、その辺はどうかということを聞いているのですが、どうですか、率直に。
  81. 石川弘

    石川説明員 いま政務次官からお答えいたしましたように、具体的な米麦価の引き上げということは現段階で考える時期でもございませんし、考えておりません。  逆ざやの解消ということにつきましては、かなり前から方針として打ち出し、かつ実行してまいりましたけれども、これをどの時点でどのようにやるかということはまさしく生産米価決定の問題であり、かつ消費者米価決定の問題でございまして、そういう長期にわたりまして経済事情を見ながら消費者米価なり生産米価決定という具体的な姿でやってきたということでございまして、何かそういう方針があって、オートマチックに消費者米価なり生産米価を動かすという性質のものではございませんので、政務次官がお答えしましたとおりが現実の姿でございます。
  82. 新盛辰雄

    ○新盛委員 明確ではありませんが、いまの段階ではそういうお答えだろうと思います。いずれにしても、将来の問題として、食糧政策上の問題として農林省はどう受けとめていくか、第二臨調の結論を踏まえて、生産者側、消費者側の問題としてこれはおろそかにできない問題でありますから、その面は今後明らかにしていかなければならないと思います。  そこで政府の買い入れ限度数量の問題でありますが、この買い入れ限度数量を超過した米の買い入れを今後はどうするのだ、そのままほうっておくのかどうか、この間食管の議論のときにもしたわけでありますが、これは端的にお答えいただきたいと思うのです。  それと、相も変わらず不正規流通米とか混米の防止、取り締まり対策ということで何回となく議論はしてきたのですが、一向にその効果が上がっていない。というのは、最近七年ぶりに政府が業務用の放出米として古々米を、これは数字を明らかにしてほしいのですけれども、私ども十九万トンだと把握しているのですが、いずれにしても五十三年度産米を放出されたらしいのですが、それがいつの間にかやみ米となってやみ市場に横流しされている。これは業務上の問題もあるのでしょうが、この米は古々米といえども低温貯蔵がしてあるので質が非常にいい。それでやみ米相場では一俵、六十キロ当たりで一万九千円程度で売買されているらしいのです。放出される政府売り渡し価格は一俵当たり一万五千円から一万五千三百円、これは悪徳業者というか、相当なさやをかせいでいるということになるわけで、こういうやみ米等が出てくる、いわゆる自主流通米の拡大等で食管の欠陥がこうして端的に出てくる。結局、そのことは消費者サイドから見ましてもあるいはまた生産者の皆さんだって、この行方を見ていけば非常に意欲が減退する、こういうことになるわけで、これは政府としてはどういうようにお考えになっているのか、明確にお答えいただきたいと思うのです。
  83. 石川弘

    石川説明員 最初に予約限度超過米の扱いについての御質問がございましたが、予約限度超過米につきましては、要するに政府の必要とする量を超えるわけでございますので、政府がこれを直接買い入れるということはできないわけでございますが、従来からその予約限度超過米につきまして、いわゆる自主流通のルートを通じて販売いたします場合に、このルートに乗りやすくするという手段をとっておりまして、今後もその手法でやっていきたいと考えております。  それから、次に御指摘の五十三年低温保管米の販売の問題でございますが、これは御承知のような需給事情の中で、比較的良質の米に対する需要が強いという状況の中で、先ほどもちょっと申し上げましたように都道府県やあるいは関係業者の方からの強い要請もございまして、その希望数量について売却を行うということをしているわけでございます。総量といたしましては十九万トン程度の低温保管米を持っておりますが、現在希望数量としてはそのうち五万トン程度が実際に要望として上がっております。これはまだ販売しましてから日が非常に浅うございますので、最終的にはどの程度になるかは私ども予測がつきませんが、その十九万トンの範囲内で、所要の要請があれば供給をしていきたいと思っております。  このことにつきましては実は先日新聞紙上に、いま先生御指摘のように比較的高い価格で横流しをされているという記事が出てまいりまして、私どもも万が一そういうことがあってはならないということで、現在東京周辺の主な消費県におきまして食糧事務所を通じまして、そのような行為があったかどうかということを調査をいたしております。これは、売りますときには一応受け払いの状況その他をきちっと報告するようにという条件をつけて売っておるわけでございますけれども、そのような受け払いの状況等を十分調べまして、そういう不適切なものがあれば厳しい措置をとるつもりでございます。
  84. 新盛辰雄

    ○新盛委員 後また同僚議員の方からこうした問題について追及があると思いますが、ここで昭和五十五年産米穀政府買い入れ価格試算における品質格差問題で、地元の問題を含めてぜひひとつ政府の御見解をいただきたいと思うのです。  御承知のように、買い入れ価格指定基準の問題で、鹿児島県では隣の宮崎県と同じように早期水稲のコシヒカリが現在はいわゆる銘柄区分で二類になっておるのですが、どうしても一類にひとつ上げてほしい、そしてまた、良質米奨励金交付区分をA1ランクに格上げをしてほしい、こういう強い要望が先般の県の農民大会で出されているわけであります。  まず、五十五年産米政府買い入れ価格に関する銘柄米区分の一類指定基準でありますが、この要件を満たす条件として、過去三年産の自主流通価格と限界価格水準との価格差の平均が三百円以上、あるいは過去三年産政府米及び自主流通米の出回り数量に対する自主流通数量比率が三〇%以上だとか、あるいは過去三年産の自主流通数量平均が三千トン以上とか、こういうことでは、実態はどう把握しておられるかわかりませんが、すでに鹿児島県の過去三年間のコシヒカリの自主流通米、価格の面でも三百八円あるいは比率の面では九六・五%、それから自主流通数量の場合でも四千七百八十二トン、しかも奨励品種としては、昭和三十六年三月に鹿児島県告示第二百八十一号で県の奨励品種に採用されているということで、これはもう完全にこの指定基準を上回っておりますし、当然格上げをさるべき筋合いのものであります。隣の宮崎県、同じたんぼが隣同士で一方は一類、一方は二類、こういうことは内容的にも農民感情としても許されないことでありまして、政府の御見解をいただきたい。  次の、五十五年産良質米奨励金のAランク基準についてでありますが、これもほとんどその基準を上回っている。いまBランクでございますけれども一挙に、兵隊の場合は何かいいことをやれば特進二階級というのがあるのですが、まあ二階級特進はどうだろうかという話はございますけれども、これは指定基準の内容としては内容的にも明確でございますので、いま米価決定がなされて、その後この銘柄問題でも当然政府としてはお考えになるわけでありますが、どういうふうに考えておられるか、ひとつお聞かせをいただきたいと思います。
  85. 石川弘

    石川説明員 先生御指摘の類の問題と良質米奨励金のランキングの問題と二つございまして、類別の格づけにつきましては、政府がどの類のものをどのような値段で決めるかということでございますので、この米価決定と同時にそういう類別決定はいたさなければいけないわけでございます。先生もいま御質問でおっしゃいましたとおり、自主流通比率とかあるいは価格差といったような各数値におきまして、われわれが定めております類別基準に適合する状態にありますことは十分私たちも承知をいたしております。  それから、二番目に御指摘の良質米のランキングの問題につきましては、これは各都道府県いろいろなところからこのランキングの問題がございまして、現在それを全体的に整理をいたしておりまして、そういう全体の整理の中で処理すべきことでございます。タイミングといたしましても米価決定よりもおくれたタイミングで過去においてもいたしておりますので、しばらく時間をいただきたいと思いますが、御指摘の銘柄につきましては近年、価格あるいは自主流通の比率等につきましてかなり好ましい結果も出ているわけでございますが、先生もいま御指摘のように他の品種とのバランスだとか、あるいはこれは上げます場合に買い方の意向等もいろいろ反映するわけでございますので、そのあたりをどのように調整するかは今後の問題として考えさしていただきたいと思います。
  86. 新盛辰雄

    ○新盛委員 非常に前向きの答弁で、米審の方よりはこちらの方が政治としては非常に前向きだったと思います。政府としてはこの銘柄の面については一応熟知、承知している、そういう雰囲気も感じられるわけですが、その決定の時期ですね、こうしたことについてはいま米価を決めようという段階ですから、そのことは若干問題があるでしょうけれども、この第一の問題もそうした面では一応熟知、承知していらっしゃる面で、私どもとしては非常に希望を持って対処したい、こういうふうに考えておりますし、第二の良質米奨励金ランク基準の引き上げ等については関係の諸問題もこれありということで、しばらく時間をかしてほしいということですが、これもやはり第一の問題と同じように同一条件の中で、次元の中で一応御配慮いただけるものと思うのですが、いかがでしょうか。
  87. 石川弘

    石川説明員 大変具体的な案件の処理でございますので、他の各県につきましてもいろいろ似たような状況もございまして、その辺の横並び等を見まして処理をさせていただきたいと思っております。私どもそういう一つの処理の基準というものを持っておりますが、これもいずれその具体化しました際にも申し上げたいと思いますが、やはり良質米というのは生産サイドだけではなくて買う方のサイドもそれに対してそれなりの高いものを支払うという性質のものでございますので、生産サイド、需要サイドの意向が合致し、かつそれが円滑に受け入れられるような素地をつくっていくことが大切だと思っておりますので、その辺の事情も十分含みながら処理をしていくつもりでございます。
  88. 新盛辰雄

    ○新盛委員 以上をもって終わりますが、最後に、冒頭申し上げました今回の米価決定に当たる最終的な決め手になる政治加算だとか、つかみ金だとか、こういう表現が、巷間伝えられるようなことがあってはならないのでありまして、これは厳にひとつ、政府と党がと言うのならば、ほかはこの委員会なんて、米審なんて要らないわけですから、ぜひ心して、やはりこの委員会等で議論をする内容を中心にして、生産農家が希望を持てるように基本米価を引き上げるという方向でひとつお進めいただきたいと思います。  以上です。
  89. 菊池福治郎

    ○菊池委員長代理 小川国彦君。
  90. 小川国彦

    ○小川(国)委員 最初に食糧庁に伺いますが、タイからモチ米を三万トン買い付け契約をされたということでございますが、これは期日はいつでございますか。
  91. 石川弘

    石川説明員 七月十日でございます。
  92. 小川国彦

    ○小川(国)委員 タイから三万トンのモチ米を輸入契約をされたその必要とする理由はどういうことでございますか。
  93. 石川弘

    石川説明員 御承知のように五十五年産が大変凶作でございまして、モチ米の生産量も大変大幅に落ち込んだわけでございます。  一応モチ米総需要量は五十万トン程度と考えていたわけでございますが、五十五年産のモチ米のいわゆる供給量が三十九万トン程度と見込まれるわけでございます。幸い五十四年産を約四万五千トン持ち越しておりましたので、これを加えましても四十四万トン弱の供給量しかなく、その間に約六万トン程度の不足があるのではないかということを昨年以来恐れていたわけでございます。  ただ、このモチ米の場合は、総流通量といわゆる農家等の段階で保有されます量というのはなかなかっかみづらいという実情もございまして、まず昨年の暮れにかけましてモチ米高騰というような事情が出ました際に、何とかこれをしのぐ手法といたしまして契約をいたした、要するに供給契約を予定いたしました二十二万五千トンと供給可能量、そのときには持ち越しが四万五千トンと十五万トンが自主流通で供給されるという状況でございまして、二十二万五千トンと計十九万五千トンの差、これはすでに契約を結んでいてしかも供給できないという、そういう必要量として三万トンをとりあえず輸入することを決めました。操作といたしましても、国内産のモチ米を極力主食用に回すようにという指導をしまして、その結果幸い暮れから正月にかけて、いろいろうわさもございましたけれども、ほぼ自主流通の値上がりに見合う程度、それを若干上回りましたが、その程度の値上がりにとどまったわけでございます。しかしながら、それだけ主食用の国内産モチを充当させたものですから、工業用需用ということには結局先ほど申しましたように三万トン不足する、これをとりあえず輸入して鎮静をさせるということをやったわけでございます。  その後の経緯を見ておりますと、やはり今回の場合は減産が大きかったわけでございまして、農家保有等で多くのものが持たれているという状況ではございませんで、先ほど最初に申しましたとおり、五十万トンと約四十四万トンという供給の差六万トンはやはり不足するのではないか。そのうち三万トンにつきましてはすでに輸入をいたしておりますので、これの不足分三万トンをこれから端境期の間の手当てとして輸入することを決めたわけでございます。
  94. 小川国彦

    ○小川(国)委員 いま政府の余剰米は何トンぐらいお持ちになっていらっしゃいますか。
  95. 石川弘

    石川説明員 全体で申しますと、余剰と申しますか政府保有で持っていますのは四百万トン強でございます。
  96. 小川国彦

    ○小川(国)委員 ことしの減反の実施状況はどのぐらいに把握されておりますか。
  97. 高畑三夫

    ○高畑説明員 五十六年度の水田利用再編第二期対策の実施状況につきましては、現在農業者の転作等実施計画を集計中でございます。まだ全部の集計は終わっておりませんけれども、各方面の情報等を総合いたしますと、五十六年度の転作等目標面積を若干上回り得るというふうに見込まれると考えております。
  98. 小川国彦

    ○小川(国)委員 いま政府の方は非常に軽々と政府の余剰米は四百万トン余っている、これは手持ちという言葉も含めましょうけれども、四百万トンの米が余っている、それからもう一つは、減反の実施状況は五十六年目標を上回る、こういうふうに言っておられるのですが、地域の状況はそれほど甘くはなくて、これは目標達成のために各市町村が血のにじむような努力をして、関係農家の了解を得られないものを無理無理やる。農林省が後、政策でペナルティーを科してくるのだから、何としても農村のいろんな地域事業をやっていくためにはこれはどうしても泣く泣くも承知してくれという形で無理無理青刈りをやらせている。そういう中であなた方は目標を達成できるということを言っているわけなんですが、そういうふうに四百万トンの米が余り、それから六十二万ヘクタールですかの減反を強行する。そういう農林省がいわばきわめて政策的には米を余らしている、余らしているがゆえに減反を強行している。これは全国農民の憤激を買っている状況の中で行われているのですが、そういう状態を踏まえてモチ米の輸入ということは私はあってはならないことだというふうに考えておりまして、その点では日本の農民の手でつくれるモチ米を、本年度二回にわたって六万トン輸入するわけですから、これは許されない問題ではないかというふうに考える。  こういう事態を私は予想して、昨年の十一月二十九日に質問主意書を提出をいたしました。これに対しては総理大臣の方から答弁書を十二月五日にちょうだいしております。この答弁書は当然農林省の皆さんがお書きになって政府決定したものと思いますが、この中でモチ米の需給についてはどういう方針を述べられたか、ちょっともう一度確認したいのですが、答弁書でどういうことを政府はお述べになったのでしょうか。
  99. 石川弘

    石川説明員 先生からの質問主意書は、項目六項目でございまして、最初は、非常に高騰している、これについてどのような引き下げのための措置をとるかということ。それから外国産のモチ米を輸入するということを聞くが、その事実はどうかということ。それから六百五十万トンも余剰米を抱えている中で輸入するのはおかしいのではないかということで、五十年以降の輸入の実態をお聞きになっております。四番目には、国内のモチ米の価格安定対策が、そういう輸入を行わないでできないかということ。それから五番目には、農業団体に必要な助成をして、国内で必要数量を確保できるよう対策をやるべきではないかということ。それから、今後二度と輸入を繰り返さないという措置をとり得るかという趣旨でございました。  それに対する政府としてのお答えは……(小川(国)委員「五、六だけお答えください」と呼ぶ)はい。五、六については、五につきましては、「もち米については、うるち米と同様、国内必要量は国内生産で確保することを基本としている。  このため、もち米の需給の安定を図る見地から、自主流通制度の下における契約生産方式の導入、生産団地の育成等につき所要の助成措置を講じており、また、豊作等により供給が需要を上回った場合には、指定法人が行う調整保管に対し所要の措置を講じてきた。今後においても、関係者の意見を聞きつつ、需給実態に即し、所要の措置を講じ、もち米需給の安定を図っていく考えであり、御指摘の点についてもその一環として今後検討してまいりたい。」  それから六につきましては、「もち米については、うるち米と同様、国内必要量は、国内生産で確保することを基本としており、もち米生産団地の育成、契約栽培体制の推進等を通じ、需要に見合つた適正生産の確保に努め、需給及び価格の安定を図ってまいりたい。」とお答えいたしております。
  100. 小川国彦

    ○小川(国)委員 この私の質問主意書に対する内閣総理大臣鈴木善幸氏が議長を通して昨年の十二月五日によこされた答弁書というのは、いわば閣議決定を経ている内容のものであります。ですから、当然、閣議決定に基づいて政府がこれに伴う施策を実行されてきた、こういうふうに思うわけなのです。いまの答弁の五項目、六項目目、いわゆる今後モチ米の輸入というようなことは、二度とこういう失敗を繰り返さないかということを質問したのに対して、モチ米についてはウルチ米と同様に国内必要量は国内生産で確保することを基本としておって、モチ米生産団地の育成、契約栽培体制の推進を通じ、需要に見合った適正生産の確保に努め、需給及び価格の安定を図ってまいりたい、この答弁をよこされたのは十二月の五日なのです。したがって、この十二月の五日に答弁をされたことは、その後どうふうふうに具体的な措置としておとりになったか、これをひとつ簡潔に御答弁していただきたい。
  101. 石川弘

    石川説明員 先生からその質問主意書が出てまいりまして、私どもお答えしました段階では、すでに五十五年産の作は終わっておりまして、実は、単年度需給均衡から申しまして問題があるということで、すでに輸入せざるを得ないという決心はしていたわけでございますが、その中で、輸入いたします場合にも、国内の生産物が円滑に流れるのであれば輸入数量をふやす必要はないわけでございますので、先ほど申しましたように、特に契約数量と供給数量の差をまず第一義的に輸入をし、万が一農家保有等にももう量がないということであれば第二次の輸入をせざるを得ないと私ども考えていたわけでございます。したがいまして、前回の輸入ないし今回の輸入は、あくまで五十五年産の不足に対応した輸入でございます。それから、先生の御指摘の、これからどうするかという点につきましては、私ども実はモチ米の限度数量はことしも二十五万トンということで数量も落とさないで、実はむしろ五十四年ごろは若干過剰のきみがございまして、生産者団体等からモチ米の限度数量を若干落としたいというような話も出てきたわけでございますが、私どもはむしろ二十五万トンという量は確保したいということでお願いしたわけでございます。ただ、最近の実情を見てまいりますと、モチ米につきまして必ずしも有利ではない。比較的品位の高いウルチをつくった方が手取りが高いというようなニュアンスで、受け入れがたい地域もございます。逆に、一定の地域ではモチ米でも相当消化するという地域がございますので、その点につきましては農業団体ともよく相談しながら、二十五万トンなら二十五万トンという限度数量を確実に消化していただけるように協議をいたしているわけでございます。それからもう一つ、先生の質問主意書にもございますように、こういう過剰になったり不足になったりするということは、一つは、自主流通の中で特に五十三年産、五十四年産等について供給過剰といいますか、需要を上回る供給があったころから、特にこれを取り扱います農業団体等においてこれを販売するのに苦慮したという事態がございました。そういうことで、たとえば五十四年産について販売促進費の金利、倉敷の助成期間を長くするというような形で応援はいたしましたけれども、これをもう少し制度的なものにしたらというサゼスチョンもございまして、私どももそれを検討しているわけでございます。そういうものを今後のモチ米の生産なりあるいはこれの需給調整の手段として考えていきたいと思っておりまして、具体的には今回成立いたしました食管法の中で需給基本計画を立てていくことになっておりますけれども、その中で、モチ米の取り扱いもいままでのいろいろな経緯も踏まえまして前向きに展開させていきたいと考えております。
  102. 小川国彦

    ○小川(国)委員 調子のいい答弁を聞くのはきょうあたりで終わりにしてもらいたいと思うのですよ。あなた方、この十年来答弁はかっこういいことを言うのだけれども、毎年毎年輸入をやっているのだ。不況の年には六万トンから八万トン、不況の年ではなくても数千トンの輸入は毎年欠かさずやっているのですよ。きょうも日本の農家が大ぜい来ていますけれども、三番町にも大ぜい来ているけれども、日本の農家の皆さん、モチ米をつくる力は十分持っているのだ。全国の農民が持っているのだ。それを毎年毎年何だかんだと言って理屈はつけながら輸入をやめないという食糧庁の姿勢は、真剣に食糧行政を考えているのかどうか私は非常に疑問に思うのです。きょうは次官も次長も出ている。これは大臣と長官が米価審議会に行っているからやむを得ないのだけれども、食糧庁の次長も農林次官も責任を持ってここに来ていると思うのです。そういうことならば、次官も農林大臣の気持ちで答弁してもらいたいと思うし、食糧庁の次長もその気持ちで答弁してもらいたいと思うのですが、もうこういった愚かな、日本の農民がつくれるモチ米を、四百万トンも米を余らしている食糧庁が、そのための倉敷、保管料、大変な金です、また一反歩当たり五万円の減反補償を出しているのも大変なことです、そういうことまでやって米を減らしている日本の政府が、毎年毎年輸入してきて、それをいつになったらやめられるのかということなんです。それをはっきりここで答弁してもらいたいと思う。
  103. 石川弘

    石川説明員 御指摘のように毎年ということではございませんで、五十四年・五十五年は輸入をいたしておりませんが、これは御承知のように私どもがいままでやりました経過から申しますと、モチ米をいわゆる自主流通の商品にしたというときに一つの転機がございまして、自主流通にすることによって、価格数量のバランスということで本当にうまくいけばよかったわけでございますが、結果的には若干過剰になると荷もたれして値が下がる。値が下がると次の年に農家の段階でなかなか十分な数量がつくっていただけない。そうなると不足になって輸入をするという意味では先生御指摘のような一種の悪循環みたいな形になったのではないかと思っております。私が先ほどちょっと申し上げましたように、かつてモチ米が比較的有利な農家手取りということが考えられました段階では、どちらかというとつくっていただきやすいということだったかと思いますが、最近における……(小川(国)委員「言いわけはいいですよ、やめるかどうかはっきり見通しを出してくださいと言っているのです」と呼ぶ)はい。最近におきます良質米のそういう価格形成との関連もありまし、御指摘のように結果的には不足のときには輸入せざるを得ない。特に正月の物価問題というような攻められ方をしますと、量が不足しては困るということになったかのように思います。  先生の質問主意書でも御指摘があり、私どももお答えしていますように、ウルチのみならずモチにつきましても基本的には国内で十分供給できるものと考えておりますので、いままで生産団地の育成とかそういう生産対策の方である程度の力を入れてまいりましたけれども、結果的にはやはりもう少し需給調整と申しますか調整保管と申しますか、そういうあたりにも力を入れないと、いま申しましたようなことの実効が上がらないと思っておりますので、その点につきましては先ほどお答えしましたように、来年一月施行の食管法の中の需給基本方針の中に、これは用途別の需給ということを書いてありますので、モチ米につきましてもその需要、供給の見通しを定め、そういうものについても必要であれば調整保管をするということも中に含めた案をつくって、御指摘のようなことが起こらないようにしていきたいと思っております。
  104. 小川国彦

    ○小川(国)委員 全然だめだね。情けない話ですよ。  農林次官、どうですか。麦とかえさを入れているのは、これも勘弁できないことだけれどもまあがまん。米を四百万トンも余らして、六十三万ヘクタールも減反をやらせて、日本の農家の二割から三割、北海道じゃ五割もたんぼを遊ばしているのだ。そこでこういうふうに輸入しているのです。  それから次長、あなたは不勉強だね。毎年輸入しなかった年はないですよ。輸入しなかった年は、昭和四十五年から五十六年までの間に四十六年一回ゼロがあっただけで、あとは毎年全部輸入しているのです。ちょっとそこを答弁の誤りを直してください。
  105. 石川弘

    石川説明員 私申し上げましたのは、沖繩には自主流通がございませんので、それで入りました数量以外に、要するに国内産モチ米不足という状態でということを抜かしておると思いますが、そういう条件でのお話をしたつもりでございます。
  106. 小川国彦

    ○小川(国)委員 沖繩も日本の国土なんですよ。復帰しているのです。  それで、あなた方はそう言うけれども、モチ米の砕米を除いても輸入しているのですよ。四十七年四千百トン、四十八年五万一千九百トン、四十九年二万九千トンとずっときまして、さっき言ったように平均二万トンは入れているのですよ、少ない年で。農林次官、これはやめるというようなことは言えませんか。いや、こんなばかなことを自民党がやっているとしたら、農民は納得されないと思いますよ。  米が余っているから米価を上げないというのでしょう。それは一つ世論の背景にあるのですよ。そういうふうに余らして減反までやらしている中で、これはあなた方は物価対策だと言うけれども、言うならば食糧庁の政策のまずさですよ。あなた方は毎年モチ米が四十万トン、五十万トン必要だと言うなら、二十五万トンの限度数量を三十万トンまでにして、五万トンぐらい政府がちゃんと備蓄をしていれば輸入しないで済むはずなんですよ。四百万トンも余らしている米の中に、モチ米を五万トンか十万トン政府が保有していれば買わなくて済むはずです。そういうことを食糧庁はやらなきゃいけないのですよ。  いま全国の農民感情を聞いてごらんなさいよ。この八月一日までに、やりたくない減反で、泣く泣く青田刈りでみんな穂が実りつつある米を刈らされている農民から見たら、おれたちにこんな思いをさせておいて、何でタイの米を買わなければならないのだという、これは農民の憤りがあるのですよ。あなた方は机の上で毎日都道府県へ電話をかけて、減反が一〇〇%達成できるといま答えていたけれども、都道府県から市町村の末端の農協の職員や市町村の農産課の職員は、毎日毎日農家へ行って頭ごなしにどなられて、何でおれのたんぼを休ませるのだと怒られているわけですよ。  あなた方が今度入れる三万トンを考えてみれば、六千二百五十ヘクタールに相当するのです。これを県別で見れば福井県、奈良県、島根県、徳島県、鳥取県、石川県、香川県、愛媛県、長崎県、これはみんな六千ヘクタールぐらいの減反をやらされている。これらの県一県に相当する分をあなた方は輸入しているのですよ。この一年間でも二県分輸入しているのですよ。これをやめればこの二県の減反をやめることができるはずなんだ。そういうばかなことを自民党というのはまだまだこれから繰り返そうというのか、あなた方政府は続けようというのか。  農林次官、これだけ言われて恥ずかしかったら、私は政府のメンツにかけて、自主流通だって食管の中なんだから、来年はしっかり日本の農家にモチ米をちゃんとつくってもらって輸入はやめますというぐらいのことを言ってくださいよ、食糧庁、言ってくださいよ。それぐらいのことができなかったら米価を審議する資格はないと私は言うのです。
  107. 石川弘

    石川説明員 基本論は先生に答弁書で申し上げましたとおり、ウルチ同様に国内で生産するという前提でございます。  昨年からことしにかけましての事態につきましては、御承知のように八七という大変な作況の中で、やはりどうしてもモチ米の不足の中での高騰という事態がございまして、そういう中でどのように処理するかということでございまして、基本論は先生の質問主意書にお答えしましたとおりの方向でやろうと思っております。
  108. 小川国彦

    ○小川(国)委員 次官、どうですか。
  109. 志賀節

    ○志賀説明員 政府として、先生の質問主意書に対してのお答えどおりでございまして、このモチ米の問題につきまして先生のお気持ちはよくわかるのでございますが、そのような意図は現在私どもは持ち合わせておりません。
  110. 小川国彦

    ○小川(国)委員 あきれた話で、こういうことを自民党が、政府が続けている限り日本の農民は——これは私は一時だと思いますよ、いま自主流通米の値上がりそれからモチ米の値上がり、これは食管を外したらこうなるといういい例だと思います。モチ米はいま流通の中で三万九千円から四万円している。  こういうような状況を引き起こしてしかも、食糧庁に聞きますけれども、あなたの方は去年の十一月に私が質問主意書を出した後に、本当はことしの作付を、モチ米を五十万トンぐらい要るのなら三十万トンぐらい限度数量を買い上げるとやれば、ことし足らなくても済むけれども、あなた方下手してことし冷害だったらまた来年輸入を繰り返しますよ。去年の十一月に私が注意したことを、あなたは閣議決定のとおりやっていない。  いままでの作付面積を見ると、モチ米の作付面積は全くふえていないのだから、これをふやすように、買い上げ限度数量を、余ったら政府がちゃんと調整保管する。金利、倉敷を持っても五万トンぐらいは、四百万トンも持っているのだから、そういう中に持っておるという決意がなければだめだと思うのです。私はくどいようだけれどももう一遍、次官は、気持ちはわかるがなんと言うが、そういう考えでは、私はあなたの選挙区の農民がそれで信頼しているのかと不思議に思いますよ。だけれども食糧庁の次長さん、あなたもきょう長官にかわって来ているのだから、食糧庁の役所がこの十年間、三年に一回ずつだけじゃない、毎年こんなふうに輸入をしてきている。恥ずかしいことはやめるという考え方を表明できませんか。
  111. 石川弘

    石川説明員 私このモチ米の問題をいろいろと農業団体とも話し合っております中でも、農業団体の方も五十三、五十四は御承知のように過剰傾向でございまして、過剰の際は、むしろ生産者組織の中でも、モチ米の限度数量が余り大きいということは農業者の立場からいっていろいろと価格交渉上も問題だというようなことがございまして、私どももその時点においては、何かモチ米の需要自身が若干でも停滞し、なかなか有利な条件ができないのかなと思った事態があったわけでございますが、一転して五十五年の災害の後、モチ米というものについていま先生御指摘のように高騰の時期に入ってきているわけでございます。  このモチ米につきまして、どうしてもそういう商品の特性から言いまして普通のウルチ以上に動く可能性のある商品でございますので、それは一定の量はつくっていただくということは間違いないわけでございますが、そうかといいまして一定の量が必要以上ということになって過剰処理に即つながるようでもむずかしいわけでございます。そのあたりを生産者組織とも十分話し合いながら限度数量も決め、かつ限度数量だけではございませんで、やはり調整のあり方も相談をしてまいりたい、そのように考えております。
  112. 小川国彦

    ○小川(国)委員 私の時間も終わりまして、日野委員の時間が後に控えておりますからこれでやめます。  農林次官にも大変私、失礼申し上げましたけれども、次官も食糧庁も含めて、日本の農業行政の中で、米が余って減反を強制している厳しい状況の中で、外国から米を買わなければならない恥ずかしいことはひとつこの委員会でもう審議しなくても済むように、私は今後もこの問題は厳重に監視して注目して、何回でもこの問題をただしていきたいと思いますが、ただされることのないように改善を強く要望して、質問を終わりたいと思います。
  113. 菊池福治郎

    ○菊池委員長代理 日野市朗君。
  114. 日野市朗

    ○日野委員 いま米価審議会、どうなっておりますか。
  115. 志賀節

    ○志賀説明員 きょう午前中私も大臣とともに出ておったのでございますが、休憩に入りまして、その休憩中私、大臣について出てまいりまして当委員会に大臣とともに出席をいたしておりましたが、この委員会が先ほど休憩になりましてから、私は別でございますが、大臣だけ米価審議会の方に出席をされまして、一時四十九分に再開された、このように報告が入っております。
  116. 日野市朗

    ○日野委員 あなたはいまさりげなく休憩に入った、こう言われましたけれども、私の方の認識では、生産者側委員諮問案の撤回を求める動議を出した、それをめぐって生産者側委員が総退場をするというような事態を迎えたのじゃありませんか。
  117. 志賀節

    ○志賀説明員 日野先生の御認識と事実関係は違うと思います。  生産者側委員のお一方から、諮問が行われかつその説明が行われた後に、暫時の間この諮問の内容についてわれわれ生産者側の委員で相談をしたいから時間が欲しい、こういうお話が座長になされまして、座長の方から五分間それでは時間を差し上げましょう。その結果、五分間休憩になりまして後、生産委員が全員再び出席をされまして、この諮問の内容では、この諮問は事実上据え置きであるから、これを前提としての審議会には応じにくいと思うので、この辺座長にお取り計らいを願いたいがどうか、この諮問の内容を練り直してほしいというような意味の御発言がございましたのに対して、この問題は米価審議会のやはり運営上の問題でございますので、座長から暫時休憩をしてこの問題を取り計らいたい、こういうことで休憩に入りましたので、その間生産者側の委員の退場、退席はございません。
  118. 日野市朗

    ○日野委員 私の方で聞いているのは、これは生産者側委員の退場というきわめて異例な事態であったというふうに聞いているのですが、そこいらの事実の認識は、現在これは遠く離れて、三番町で行われていることでありますから遠くもありませんけれども、きちんとお互いに見てきたわけではありませんから、その点はさておくとして、きわめて異常な、生産者側委員諮問案に対する非常に強い批判、これが沸き起こっていることは間違いのないところでありましょう。どのような経緯をとってその後委員会が再開されたか、私は、これはつまびらかにはわからないわけでありますけれども、私は、この生産委員の人たちの気持ちというのはよくわかるのであります。志賀政務次官も岩手県の南部だ、これは私のすぐ隣のところ。農林大臣もこれは福島県、すぐ隣の県であります。いずれもここの農民たちは米づくりをやって自分たちの生活も支える、それと同時に、米づくりをやって日本の国民の食糧をきちんとやっていくのだという誇りに燃えてやっているわけですから、そういう生産者を大事にするという姿勢がなければ、これからの農政というのは、これはお先真っ暗だろうというふうに私思います。  実は、私きょうこれは受け取ったものでありますが、ここに「昭和五十六年産米政府買価格の引上げ・食糧自給政策の確立並びに農業破壊政策阻止に関する要請書」という要請書があります。これは宮城県栗原郡というところの町五つですが、まず若柳町、これは岩松清美さん外千七百名。築舘町、高橋勇さん外千五百名。志波姫町、菅原輝夫さん以下千三百五十名。瀬峰町、中野芳夫さん以下九百名。高清水町、佐藤勇さん外六百八十名。これだけのものがきょう寄せられている。これはもう半分だけですよと言っておりましたが、あとまた出てくるでありましょう、この要請書は。こういう要請書、これを見て私、心が痛むのですね。これは署名簿だ、紙の量にすればこれだけです。しかし、これだけの署名を集めて、そして何とか自分たちの生活、これの中心になっている米価の引き上げをやってもらいたい。それから現在、農業に携っている者からすれば耐えがたいような農業破壊政策がどんどん進んでいる、これをやめてもらいたい、こういう強い意思をみんなで集めあって、これだけの署名をとってくるというのは、これは容易なことじゃないです。私は、こういう状況をよく政務次官にも理解してもらいたいし、農林大臣にも理解してもらいたい。それから農林水産省のお役人の各位にも理解してもらいたいと思うのです。  まず私、ことしの諮問案をここで見まして、私も実は非常に腹が立った一人なんでありますが、米審の生産者側の委員も同じような心情であろうというふうに思っております。きょうの午前中の審議なんかでも聞いてみましたが、これは四十二年度の方式計算すれば二万八千円の水準に達するということは、これは食糧庁お認めになったところである。昨年どおりの試算であったら一一・七%の米価の引き上げになるはずだということは、これはよく御存じなわけですね。それと、こういうふうにことし事実上これは据え置きという諮問案を作成してきた。それはさっきからいろいろな数字いじりをやっているのですが、私はこの数字いじりというのは説得力はないと思うのですよ。これはずっと見てみますと、数字というのはまず結果を出しておいてそれに合わせるような数字をいじっていった、そのようにしか考えられない。しかもこの政治的な状況から見るならば、米価を据え置けという非常に強い声が財界あたりを初めとして出てきている。そして第二臨調が逆ざやを解消するように努力をしろ、こう言う。こういうような政治状況から見るならば、まず最初に据え置きを決めておいてそれに合わせるように数字をいじっていった。そうでしょう。違いますか。
  119. 石川弘

    石川説明員 最初の諮問案についての御説明で申し上げましたように、いま米を取り巻く事情の中で特に需給均衡を図ることが肝要だと考えるわけでございますが、昨年の冷害等によって、単年度の需給問題につきましては御承知のような事情ではございますが、米を生産する力と申しますか、潜在的な生産力という観点に立ちますときに、現在、御承知のように三百二十万トンの数量調整をする。それにつきましては三千数百億の財政資金を投入して、これは農家にとっては大変つらいことをお願いしているわけでございますが、それだけのことをしながら需給均衡に向けているという事態でございます。  何度も申し上げましたように、これと比較的似通った事態は昭和四十六年ないし四十七年の第一次過剰期でございますが、そのときと比較いたしましても、いわゆる転作規模、当時はまだ二百万トン規模でございますし、それに要しました財政資金も二千億程度でございますが、それを上回りますようなことを現在お願いしている。これは五十六年から第二期の転作としてお願いしているわけでございますが、そういう情勢の中では、生産費その他具体的に支払われるものにつきましてはやはり物価修正その他をいたしまして織り込む必要がございますが、評価にわたります分について、過去にとりましたような、農家の方々にとっては結果的に大変厳しい方策ではございますけれども、そういうものをとってあの四十六年、四十七年以後単年度需給に近づいてきた。現在も御承知のようにそういう効果が上がってまいりますと、たとえば自主流通の取引条件というようなものについて明るさが見えてくるとか、いろいろな情勢がございます。そういう意味では私ども算定方式の中で厳しい数字を使いますことには大変心が痛むものがございますけれども、やはりそういう方式を加味をいたしませんと、先ほどちょっとおっしゃいましたような四十二年の方式というのは、そのときは農家の方にとっては有利な方式だったかもしれませんが、結果的には第一次過剰を生み出してきたというようなこともございますので、私どもとしては現在とりましたような算定要素をとらざるを得なかった、その結果数字としてはこういう数字になったということでございます。
  120. 日野市朗

    ○日野委員 これはあなた方の言う過剰、これを解消するためにこういう数字をとらなければならないという、それはあなた方の立場でしょう。それはあなた方の立場なんです。しかし米を実際につくって、もうそれぞれにコストがどのくらいかかる、農業経営をやっていくためにはどのくらいのものが必要だということは、農家の側の立場としてはそんなことはよく知っているのですよ。しかも一応は——私、一応はと言いましょう。これは算式もつくる、算式もきちんとあるわけでありますし、算定要領についても、どういったものがどういうふうに問題になっていくものかということは農家側がよく知っていますね、生産者側も。こういう算定数式を置かれてその算定要領がどうなるかということを一応もっともらしく出される。そうすると、農家の側としては、ことしは上げ要因が非常に多いのだ。たとえば労働賃金家族労働費がどうなるという問題。それから地代なんかは特に、いままでの小作料、統制小作料なんかはもうなくなったということはみんな知っていますからね。そのほかにもいろいろな上げ要因が多いということがあれば、ますます期待感を持つのは当然でしょう。そういったものを農水省側の一方的な事情によって適当にいじられてはかなわぬ、こう思うのは当然じゃありませんか。どうでしょう。
  121. 志賀節

    ○志賀説明員 話が前後して恐縮でございますが、最初に、先ほど米価審議会状況は、私がその場におりましたものですから、また聞きではございませんので、重ねてそのとおりであったと報告をさせていただきます。  それから、ただいまの算式につきましては、今回の米価問題が出てまいりましたその間に、大臣あるいは私どもも同席をして農業団体の責任ある立場の方々とお話し合いをしたことがございます。その際、農業団体から強く御要望がございましたのは、朝令暮改的に昨年の算定方式をことし変えるというようなことは絶対にしないようにというようなお話がございました。もちろんそのことは生産費及び所得補償方式を変えるな、こういうことでございます。私自身、個人的なことで恐縮でございますが、自分の郷里に帰ったり選挙区を歩きます間にも同じような御注文をいただきました。少なくともこのことに対しては絶対に動かしてはいけない、こういうことで臨んだわけでございます。ただ、食管法の中にもうたわれておりますとおり、客観情勢、客観条件を若干勘案しなければならないことがございまして、そのような数値が方程式の中に出てきて、ただいま先生からの御質問あるいはおしかりをいただいておるというようなことだと思うのでございますが、農林水産省といたしましては、農民の立場を全く度外視しての今回の算式ではないのだ、この点はひとつ御理解を賜りたいと思う次第でございます。
  122. 日野市朗

    ○日野委員 そう言われましても、理解できないのですよ、結論から言いますと。大体生所方式、昨年どおりの方式をずっと踏襲して計算してみたって一一・七%のアップになるのだということは、食糧庁自身がお認めになっていることです。私は、こういう点から、非常に政治的な背景を踏まえて米価を据え置いていくという、農業サイドよりはむしろそれ以外のサイドからの非常に強い圧力にべたべたっと農水省が屈していくという姿に思えてならないのです。いませっかく志賀さんそうおっしゃったけれども、考え方としては、別の考え方というのはきちんとして片っ方にあるのだということだけは理解した上でこれからの農政を進めていただかなければいけないと思う。  私は、そういう観点と同時にもう一つ、これは重大なことであろうと思いますから、地代の点についてだけはきちんとさせておきたい。  これは米価審議会でも、この点はきちんとしなさいよ、こういう注文を去年もつけられているところですね。ことしの地代算定、これをさっき説明されるときは当面の現実的な取り扱いだ、こういうような言葉を使われた。これはことしは何のかんのといったって地代については正確にどういうふうに算定したらいいかわかりませんから、当面はこのようなことで御勘弁くださいという意味なのか、それとも地代がどうあろうと、いままでもそうだったのだけれども、地代というのは常に米価の大きい一つの枠をつくるための材料としてこれからも使っていきますぞということなのかどうか、これはひとつはっきりさせていただきたいと思うのです。きちんとした算定方式、この地代の決め方、これを食糧庁としてはこれからどのように考えていくのか、将来の問題にわたりますが、ここはきちんとしてもらいたいと思います。
  123. 石川弘

    石川説明員 地代につきましては、現実に支払われています地代につきましては調査をしましたその時点におきます地代水準、過去の部分についてはパリティアップしました地代水準をそのまま入れるということを申し上げたところでございます。問題は自作地地代でございます。自作地地代は本来だれにも払われない性質のものでございますから、結果としては農家の方々の所得になる性質のものでございます。圧倒的に自作地地代部分が多いわけでございます。現状では小作地割合は非常に小さいわけでございます。したがって、そういう小さい小作地だから成立する高い地代ということもあるわけでございますが、いずれにしましても昨年の米価審議会の際に、自作地地代考え方をどのようにするかということについて勉強するようにという御指摘がございました。かなり時間をかけまして、これは地代論等について詳しい方々にも御意見を聞いたわけですが、その結果としまして、考え方とすれば、単純に言いますと四つある。一つは現実に成立している小作料、いまの実納……(日野委員「そういう考え方なんかはわかっているからいいのですよ」と呼ぶ)  それでは飛ばして申し上げますが、そういう四つの意見を出しまして七日の米価審議会にお諮りをしたわけでございます。その結果は、議論として出ましたのは、実納小作料によって評価すべきであるという御意見、理論的には固定資産税評価額による土地資本利子によるのがいいという御意見固定資産税評価額による土地資本利子考え方には賛成できないという御意見、この際、家族労働都市均衡労賃による評価がえをやめるとともに類地小作料によることも考えられるという、この四つの具体的な意見がございましたけれども、これはいずれもこういう意見をおっしゃっている方々が、直ちに採用できる問題ではないということで、暫定的に前年と同額の自作地地代を算入するという考え方につきまして大方の御意見が一致をいたしまして、本年の現実的な取り扱いについては継続性の観点から暫定的にこれを使ってやむを得ぬのではないかというのが結論でございました。  そこで、私どもも、暫定的にということでございますので、これをいつまでも使っていくという考え方はございませんが、先ほどちょっといろいろな考え方を申し上げようとしましたのは、結果的には、この中のたとえば実納小作料を使えというような考え方になりますと、いまの家族労働費都市均衡労賃評価というそこにまで話が及ぶ、地代論の範囲に済まなくて労働費評価問題までいくということがこの御意見の中の非常に多くの部分でございましたので、そうなりますと単なる地代論の決着ということじゃなくて、労働評価都市均衡労賃評価にも及ぶということになりますと、いわば生産費及び所得補償方式そのものにも及ぶということでございますので、これにつきましてはやはりもっと慎重な検討が要ると思いますので、今回の御指摘を踏まえてわれわれも早速に、この次の対応ということを考えるためさらに検討を進めていかなければならないと考えております。したがいまして、いつまでもこれを使うということではございません。
  124. 日野市朗

    ○日野委員 本当はここのところ興味のあるところですが、どうも時間がないので、後日の議論にいたしましょう。  そこで、米の過剰基調ということを、これは農水省非常に強く言われるのですが、現在われわれが知っている範囲では、農業倉庫はかなりあいてきておりますね。去年一年の不作でかなり米は消費をしてきたわけであります。かなりその過剰と言われるものが解消してきているわけなのですが、ことしもまた不作ですね。私見ておりますところ、分けつが非常に少ない。ここ二、三日の高温と日照で分けつはかなり進んでいるようですが、その分けつしたものの中にどれだけ米ができるかということになりますと、これはちょっと疑問であります。ことしもこういう不作が続く、来年も不作が続く、まあ来年のことを言うと鬼が笑うかもしれませんけれども、これはわれわれも一応考えてみなければいけない。来年も不作ということになると、これは過剰基調なんということを言っていられない事態になりますね。そうすると水田、要するに減反、これがどういうふうになっていくとお考えですか。こういう不作が続いていくということになった場合、どういうふうにするおつもりですか。
  125. 石川弘

    石川説明員 私ども、これはあくまでことしの作を十分見なければならないと思っておりまして、架空の議論として何万トン減ればと言うことはできるわけでございますが、私ども先ほどから申し上げましたとおり、通常の自給状態は十分こなし得る米を持ちまして五十七米穀年度へ入っていくわけでございます。したがいまして、それがすぐさま供給が非常に不足するという事態になるとは考えておりません。万が一、これはあくまで万が一の話でございますが、かなりの規模の不作が参りまして、いわゆる政府の在庫の数量が減少してきた場合には、それは当然その事態において対応しなければならぬと思いますけれども、現時点でどれくらい不作だろうという大前提での議論の展開ははなはだむずかしいと思っております。私どもとすれば、幸い天候も若干回復してまいっておりますし、技術陣もいろいろとこういう事態に対応し、また生産農民も昨年のいろんな冷害ということを相当肝に銘じて対応いたしておりますので、そういう事柄の進捗状況を見ながらわれわれの自給の操作なりあるいは転作規模の問題ということを考えていくべきだと考えております。
  126. 日野市朗

    ○日野委員 ことしの作柄を見て、これが不作だったらやはり考え直さざるを得ない、こういう御答弁だったというふうに伺っておきます。  それから、自主流通米の助成措置についてですが、きょう午前中ちょっと気になったのですが、いままで自主流通米の助成措置については従前のとおりこれを維持していくというふうに農水省側では言っておられたように私は思う。この態度はことしの米価がどのようになろうと変わらぬ、こういう基調については変わらぬというふうに伺っておいてよろしいでしょうか。
  127. 石川弘

    石川説明員 自主流通の助成については、この自主流通制度が総流通量の三分の一を占めまして、しかも品質によるいろいろな価格形成とか需要の誘導ということに大きな役割りを果たしておりますので、私ども健全にこれが発展するようにという前提で自主流通助成を考えてきておりますが、現時点といいますか、過去におきましても所要の合理化措置はしているわけでございます。たとえば流通促進奨励金といいますようなものは、逆ざやの二分の一ということで運営をいたしておりますから、逆ざやの大きさが縮まればある意味ではオートマチックに縮むというようなこともございます。それから良質米奨励金につきましても、昨年良質米奨励金のランキングの見直しというのをやりまして、A、B両ランクのものをA1、A2、Bというふうに三ランクに分けるといった所要の措置はとってまいっております。私ども、その他販売促進奨励費とかいろんな奨励金がございますが、合理的なものは維持し、結果的に、たとえば自主流通を極端にただ切るだけということでありますれば、これは政府管理に移ってまいりまして財政負担はかえって増高するということでございます。そうかといって自主流通というのは何もかも全く変えないということではございませんで、先ほどから申し上げておりますような従来の考え方の中でも合理的な改善もいたしているわけでございます。大臣が申し上げましたのは、そういう基本線は守っていく、そういう必要な合理化措置はあわせてやる必要があろうかと思いますけれども、基本的には、この自主流通の健全な育成という考え方でやっていきたいということでございます。
  128. 日野市朗

    ○日野委員 残念ながら時間がありませんので、これで終わります。
  129. 菊池福治郎

    ○菊池委員長代理 串原義直君。
  130. 串原義直

    ○串原委員 先ほどから政府の答弁を聞いていると、四十六年ごろ第一期米の余剰期という言葉を使って、需給均衡というふうに何回か答弁されている。私は、この質問に入るに当たって明確にしておきたい。  それは、四十五年、四十六年、つまりあのころの米の余剰期といまとは、基本的に中身がまるで違うのだ、これを私はきちっとしておきたいと思う。あのころは米をつくろうじゃないかというのでみんなで力を合わせてきたら、幸いにと私は表現しておくけれども余った、こういうことでしょう。ところが今日は、政府の行政指導によって全国的な規模生産調整をやってきている。その中で米が余剰になったということは、全く昭和四十六年ごろとは中身が違うのだ。需給均衡というふうに言われるその言葉を否定はしないけれども、その均衡を図るための姿勢というものは根本的に違わなければならぬ、このことを私は最初にあなた方にきちっと質問をしておきたい。御答弁願いたいですね。
  131. 石川弘

    石川説明員 その四十六、七年におきましても生産調整をいたしておりまして、御承知のように四十六年は二百三十万トンの調整、四十七年につきましても二百十五万トンの調整をいたしております。それに要します財政負担も、四十六年は千八百四十億円、それから四十七年は二千二十九億円の調整のための資金を使っておりますので、政府が相当の財政負担をしながら生産調整してきたということにつきましては、四十六、七年と現時点においても変わりがないのではないかということでございます。
  132. 串原義直

    ○串原委員 そこはあなた方と私の認識の違いなんですよ。確かに余った、四十六年度、七年度、生産調整をした。けれどもあのときに余ったのは、生産調整のような行政措置をやって余剰になったわけではないわけだ、そうでしょう。四十五年度に米が大変に余ったという時代は、そうではなかったわけでしょう。今日の余剰は生産調整という厳しい行政措置をやりながら、農民各位に協力を得ながら、なおかつ余剰になったというのは、一〇〇%とは言わないがほとんどが政府の責任なんですよ。そういう立場に立った認識でないと、これからの米価問題を議論するのに誤りを犯しますよ、そういう視点で私はいま質問をしているのです。いかがですか。——これは次官に答弁してもらいたいな。
  133. 石川弘

    石川説明員 先生のおっしゃいます意味が、過剰処理が四十六、七年から出てきたのではなくて、四十四年ごろから——先ほどの四十二年米価その他の刺激的な効果もありまして急速にふえて、消費も三十八年をピークに落ちてきたということで、生産調整をする前に余ったものを過剰処理をしたという意味では、現在の過剰処理とはいささか趣が違うと思いますけれども、四十六年、四十七年段階は、政府がそういう生産調整をお願いし、そのことについては二千億近い財政負担を毎年した、そういう意味では現在と大差がないのではないか。先生のおっしゃいますのは、過剰処理については四十五年に七百二十万トンあったというのは、まだ生産調整も何にもしない時分に積み上がったものであるということでございますれば、それはそのとおりであろうかと思います。
  134. 串原義直

    ○串原委員 あなた方と基本的に私認識が違うのですよ。今日米の過剰があるとすれば、過剰は農民の責任ではない、このことをきちっと認識していかないと、米価問題は正しく議論できない、こういうことを私は強調しているわけなんです。このことだけやっていると時間が来ますから、これは機会を譲りますけれども、そういう立場に立って以下質疑をしていきたいと私は思っています。  いま日野委員が若干指摘をされました。私も、日野委員が指摘をするように米は余っていないと思うのです。古い米、人が食べられない米は確かにあるようです。数字を具体的にずっと並べていく時間がありませんけれども、総量で言うならば、ことしの十月、米穀年度ですね、四百万トン近くの在庫があるようですけれども、この中身は五十五年分は八十万トンぐらいで、五十四年分はゼロで、あとは全部五十三年から以前のものである、食べられない米である、こういうことを認識しなければならないと思うし、私の地元長野県の農協青年部諸君が実は倉庫の調査を過般された。私は大変いいことをやってくれたと思っているのですけれども、彼ら青年諸君に聞いてみたらば驚くほどの数字だ。非常に倉庫の米が減っている。例年から比べると驚くほどの数字になってきている。これは長野県だけの問題じゃないと思う。私どもだけの問題じゃないと思う。全国的ではないかと心配をしているわけなのであります。そして気になりますことは、ある新聞に過般、早場米を高く買い入れようとする動きがあるとかないとかという新聞報道も若干あった。その辺に対して皆さんはどんなふうに情報を把握されているのか、御答弁を願いたい。  そして、いま申し上げるような在庫の状況の中で、われわれが食べることのできる米はほとんどことしの秋はなくなるだろう。こういう状態の中で、日野委員が若干指摘したけれども、万一冷たい夏であったということになったら大変だ、こういう心配をするのですけれども、私の心配だけではなくて、専門家もそういうふうに言っている。そういう状態の中で、もし昨年と同様に冷たい夏であったとしたら、本当に需給というものは大丈夫なのか。ただ日本じゅうの倉庫の中にある米の量だけで判断してはいけない時期に来ているのではないか、こう思っているのです。その辺に対してきちっとした御答弁を願えませんか。
  135. 石川弘

    石川説明員 まず米の総量と申しますか、量の問題で申し上げますと、私ども、御承知のように食べられるかどうかということでございますれば、現にわれわれが輸出しておりますのは五十二年産米も輸出しているわけでございますから、十分食べられる。食べられないというあれではございませんが、一応は私どもは五十三年産米以前のものは過剰処理の対象たり得るものということで、皆さん方に御説明いたします場合に、五十四年と五十五年の米を使って操作しても、ことしの十月の末、十一月の米穀年度の変わり目には八、九十万トンの五十五年産米をもっていわゆる年度がわりを迎えられるということを申し上げているわけでございます。  そこで、いま先生もおっしゃいました早場米云云のように、米の量の問題として、絶対のボリュームとしては十分な米を持って年度がわりを迎えるわけでございますが、御承知のようにこういう大きな災害の次の年は当然のこととしまして、米の品質の面を申しますと、たとえば良質米の比重が下がっているとか、三等米のような米の比重が高いとか、あるいはこの二年間は、過去二年間五十四年産、五十三年産につきましては大量の過剰が出るという前提で比較的良質米の比重の高い操作をしてまいりましたから、それに比べまして品位が若干劣ります米の操作に使うとかという意味で、量の問題じゃなくて質の問題でいろんな論議があるということは事実でございます。したがいまして、先ほども申しましたように、五十三年低温古米というようなものも非常に需要があるというのはそういう状況にあろうかと思います。しかし、これは災害というような事態を考えまして、前年産米で対応するということになればどういう事態でも起こることでございまして、どんな災害に遭っても質の問題も全く関係ないように操作をしろということでございますれば、単年度に膨大な過剰処理を前提とした操作計画を立てなければならぬわけでございますので、私は、現在の米の量あるいは質の問題も十分対応できる形だと思います。ただ御承知のように、特に良質米に評価が高いと申しますか、自主流通で評価の高い米につきましては、現に早場の地帯でこれを切望する声が強いということも事実でございます。こういう声が出てまいりますのも、ある意味では、かつてのような事態に比べれば、米の需給というものについて若干明るい面が出てきたということではなかろうかと思いますけれども、そういう問題はともかくといたしましても、量の問題、それから質の問題を特別やかましく言わない限りは、十分対応できるのが現況だと私は思います。  それからもう一つ、農業倉庫の御指摘でございますが、そういう御指摘があちこちにございます。これは従来の超過剰と申しますか、率直に申しまして、需給操作の外側に六百数十万トンというような大きなものを持つ、そのことを持つことが食糧管理費の中で数千億の管理費増につながった非常に苦い姿ではございますけれども、そういう状態から見れば、御承知のように昨年産米でも百万トンの数量が少ないわけでございます。それから幸いなことに、過剰処理も、輸出、加工等によりまして順調に出てまいっておりますから、特にそういう、たとえば輸出しやすいような地区の倉庫とか、あるいは非常に良質米で足が速いような品物をお持ちの倉庫といったようなものは、過去に比べて倉庫の在庫量が少なくなっているということは、ある意味では当然でございます。しかしながら、かつての均衡時における倉庫の在庫量よりも、現時点でははるかに大きい在庫であることはまた事実でございます。特に一定の地域におきましては、かなり大きい在庫を現在でも持っているというのは実情かと思います。  そういうことで、そういう全体の需給につきましても、幸いにして相当多くのものを持っていたということで、操作は十分可能だと私ども考えておりますし、それから質の問題につきましても、極力五十六年産の新米をうまく活用していくとか、五十六年産につきまして、端境期における政府の操作に弾力性を加えていく、これは良質米の需要が強いということでございますれば、一、二類の操作を円滑にするというような形で端境期についても問題がないように操作をしたいと考えております。
  136. 串原義直

    ○串原委員 次長、つまりこういうことですか、ことしの秋五十五年産米は八十万トンくらいいまの様子なら繰り越しができるだろう、五十四年産はゼロになってしまう、こういう見通しですね。これはあなた方の資料ですよ。そうして、ことし不幸にして去年のような冷たい夏で不足傾向になったとするならば、三年前の五十三年米、四年前の五十二年米があるから大丈夫ですよ、言うならばそういうことですか。
  137. 石川弘

    石川説明員 五十三年産米につきまして、先ほど低温古米十九万トンくらいは操作の対象と申しましたけれども、そういうことを除きましても、五十四ないし五十五、いまの計画では五十四を先に売り切って五十五だけ持っていこうと思っておりますが、いずれにしても大した数量の差はないと思いますが、そういうもののほかに、ことしの限度数量自身で約二十五万トンぐらい単年度需給をオーバーするような生産計画になっております。これは四万六千ヘクタールの転作を緩和してございます。そういうことを含めますと、端境期における操作量として約百十万程度のものは考えられる。もちろん端境期のときには早い新米は出ているわけでございまして、従来からも新米の早食い等もいたしておりますけれども、これは量が足らぬという意味じゃなくて、質を均衡化させるためにそういうこともやっておりますが、そういう意味では、万が一不幸にしてかなり大きな規模災害があっても量的に困る事態ではないということでございます。
  138. 串原義直

    ○串原委員 私は、事ほど簡単ではないという心配を実はしているわけです。もう秋に答えが出ますから、またその時点議論をいたすことにいたしたいと思っております。  私は、次官にちょっとお聞きをいたしますけれども、米穀生産費が発表されたとおり五十五年一二・二%上がった。つまりいまの米価と比べますと、生産費米価との差がマイナス二千円近くになっている、こういう実態ですね。それがいよいよことし、五十六年度はもっともっと大きくなっていくというふうに現時点では見通される。こうなっていくというと大変なことだと私は思うのですけれども、にもかかわらず、政府米価は据え置きにしたい、こう言うのですね。理由はさっきから答弁があったように米が余剰なんだ、こういうお話だ。それから、食管会計の財政負担が多くなるというのですね。さっきも申し上げましたけれども、私は、それらの理由はともかく、減反政策、水田再編政策に協力してきた農民には責任がない、政府がいまの事態は責任を負わなければならない、こう思っているわけです。そうなりますと、さきに申し上げました生産費は上がっている、諸物価は上がっている、けれども米価だけは据え置きなんですよということ、どうやって農民に、いま三番町に座っている農民諸君に理解をしてもらえるような説明をするのですか。余り弁解は必要ないと私は思う。すぱりとここで御答弁を願いたいと思っています。
  139. 志賀節

    ○志賀説明員 食管法第三条の再生産の確保を旨としてと言っております文言がございますが、国民の必要な量の米穀の再生産が確保できるように米価決定するという趣旨の規定であると私は考えておりますが、米価生産費を下回っているのではないかという御指摘でございますけれども、これは一俵以上の販売農家全体の、しかも自作地地代や自己資本利子といった利潤的部分を含む第二次生産費と比較した場合でございまして、費用的性格の強い第一次生産費での比較では依然として米価生産費を上回っていると理解をしているわけでございます。また実態としても、このような米価水準もとで国民の必要な米の再生産に何らの支障はないばかりか、むしろ生産調整を強化せざるを得ないほどの過剰基調にあるのではないか、こういう理解でございます。そういうところから、現行米価水準は食管法の規定に相反するものではないという考え方でございます。そういうようなところから出てきた今回の諮問でもございます。いろいろ農民の心情を思いますと、私も政治家の一人として、先生が御指摘をしておられますこと等心の中に一つ一つ刺さるような気もするのですけれども、以上具体的にお答えしますとそのとおりでございます。  なお、この機会にちょっとお許しをいただいて、先ほど来日野先生、串原先生から今年のお米のできがもう不作ではないかという、あるいは相当可能性の濃い意味合いを込めての御指摘がございますが、この委員会の席をかりまして大方の米作農民にお願いをしたいと思いますことは、農林水産省といたしましては、ただいまも石川次長がお答えをいたしましたとおり、まだまだ悲観的な状況だとは思っておりませんで、まだ事の推移を見定めないうちには何とも申し上げかねると思います。ただ、いまのうちから農民が悲観的になり、かつ投げてしまうようなことに不幸にしてなりますと、どうしても病害虫、こういうもののえじきに稲作がなりかねない。どうか最後まで希望を持って米作農民には事に当たっていただけないか、この席をかりてお願いをしたいと思う次第でございます。
  140. 串原義直

    ○串原委員 時間がありませんから次に行きますけれども、先ほど申し上げますように、諸物価高騰の中で、生産費が一二二%上がる中で米審に対して米価据え置きを諮問した、その算出の根拠を先ほど来聞いておりますというと、結局先に据え置きの答えを出しておいて、それを全部計算していって当てはめた数字合わせである、私はそう判断せざるを得ないのです。特にその数字合わせのもとになったのは、家族労働賃金を、一口に言うと地方賃金に変えた、昭和四十六、七年のように変えた。もう一つは資本利子を下げた。いま一つは運搬費の中の労働賃金部分を下げた。この三つによって数字合わせをぐあいよくおやりになった、こういうことだと私は実は判断をしているところであります。ところが、特に米の生産地における労働者賃金水準が反映される方法労働賃金の場合にとりましたという答弁でしたね。そうしてこれは一三%ダウンになるという話がありました。私は、米は全国的な視点で対処さるべき重大な政治課題だと考えているのですよ。特に厳しい水田再編の二期対策第一年目、とりわけ食管法が大きな政治問題になって先ごろ国会で議論されたというこの年に、先ほど時間を急いで四十六年ごろの議論をいたしましたけれども、あのころに使った地方賃金制を思い出したようになぜ適用なさろうとするのか、どうしても私は理解できない。納得がいく説明を願えませんか。
  141. 石川弘

    石川説明員 米価算定につきましては、特に生産費及び所得補償方式をとりました三十五年以来、途中で四十年、四十一年でございますか指数化方式という方式を採用しました以外は、この生産費及び所得補償方式でやってきたわけでございますが、この間の歴史を見ますと、やはり端的に申しまして需給の関係というのが価格にある程度反映していく。生産を刺激すべき時期と、あるいは生産を抑制していただきたいときにはそういういわば米価の中で評価に属する部分、結果的には家族労賃自作地地代自己資本ということになろうかと思いますが、そういう要素につきまして実はいろいろな組み合わせがございます。そういう中で現在われわれが対応しておりますのは、その最も厳しい時期に類似をしているのではなかろうか。決して前のものを急に思い出したということではございませんで、米価算定をいたします際には常々どういう労賃評価をするか、これは論議が規模に集中することもございますし、あるいは今度のように単に全国平均を出さないで、こういう米の生産の量というものの地域のバランスということを考えるときといろいろございますけれども、そういうものの中で、結果的には厳しいことになりますが、もしいまのすべての規模農家について算定をするという方式をとりますればやはりこういうことにならざるを得ないのではないか。立場を変えまして、たとえば米の専業比率が高いとか米の経営の比重がうんと高いサンプルを使って算定するということでございますれば、賃金水準にとっても別の水準が出るという考え方もございましたけれども、先ほど政務次官からもお話ししましたように、現在の、要するに必要量生産費方式ということについては、生産者団体とわれわれの間も極力これに従ってやっていきたいという基本的な考え方がございまして、そういう中でとり得る方式としては先ほどから申し上げております労賃につきまして、先生、地方労賃というお言葉をお使いになりましたが、これは何か地場賃金ということで誤解を招いてもいかぬと思いますので、私ども米の生産量に応じたということを申しておりますが、そういう算定方式をとらせていただいたわけでございます。
  142. 串原義直

    ○串原委員 その十年前の方式をいまとるということに対して、私はどうにも賛成できません。しかし、四十六年、四十七年いま御説明のような方式をとって米価算定したときに、四十六年でも三%米価は値上がっていますね。四十七年は五・一%上げている。据え置きではない。私はやはり物価の値上がり、生産費の高騰等々を算定、勘案する中で真剣に今後とも考えなきゃいかぬ。今後ともと言っても、もうあす、あさって、ここ二、三日ですけれども、考えなきゃいかぬと思っているわけでございます。より一層米審の答えを踏まえてということではあろうけれども、積極的、前向きに取り組んでいくということを期待しつつ、時間が来ましたからこれで質問を終わりますが、御答弁願いたい。
  143. 石川弘

    石川説明員 先生いま御指摘の四十六年諮問時がゼロで三・幾つか上がったと申されましたのは、実はあの三%前後のものは米価の外側にありました奨励金を価格に入れたわけでございまして、農家の手取り水準としては実は同額のときでございます。四十七年は若干上がったという経緯がございます。  私ども先ほどから申し上げましたように、現在の米の需給状況を考えました場合、私ども大変心苦しいわけではございますが、現在の算定方式によらざるを得ないのではなかろうかということで諮問案を出したわけでございまして、これによって米審の御論議がきょう、あす行われるわけでございます。そういう御論議も十分聞きまして政府決定に持っていきたいと考えております。
  144. 串原義直

    ○串原委員 終わります。
  145. 菊池福治郎

    ○菊池委員長代理 吉浦忠治君。
  146. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 時間が短いものですから、簡潔にお答え願いたいと思いますが、次長に先にお尋ねいたします。  通告をしておきましたが、視点を変えまして、千葉県山武郡大網白里町における白里農協瑞穂支所の倉庫に保管してありました政府米の紛失事件について先にお尋ねしておきたいと思います。七百九十三袋、約二十四トンが紛失した事件についてでございます。調べてみますと、同支所にある二つの倉庫にあったはずのお米が紛失しておりまして、政府買い上げ価格から換算すると約六百七十万円というふうに膨大な盗難が起こったわけでありますが、これは紛失がいつ、どのようにしてわかったのか、まずこの点から経過を説明していただきたいと思うのです。
  147. 石川弘

    石川説明員 先生ただいま御指摘の件につきましては、ことしの六月十二日の夕刻に大網白里町農協から千葉の食糧事務所に対しまして、同農協瑞穂支所の五号倉庫に寄託中の政府所有米の一部が亡失しているという報告がございました。翌十三日に千葉食糧事務所がその五号倉庫及び六号、七号の寄託米を全量積みかえをいたしまして数量を確認いたしました結果、三十キロ袋で七百九十三袋の米が不足しているということがわかりました。その損害額につきましては、いまお話がございましたように約六百七十万円の損害でございます。  以上が事実でございます。
  148. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 私、調査に入りまして、五十一年産米、五十二年産米、五十三年産米とそれぞれ袋がなくなっているようですけれども、このことを次長は御存じですか。
  149. 石川弘

    石川説明員 省略をいたしましたが、五十一年産米が四百十袋、約三百四十万円、五十二年産が三百九袋、二百六十五万円、五十三年産が七十四袋、六十四万円でございます。
  150. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 そうなりますと、五十一年産米から紛失をしているということになると、五十一年ごろからその盗難事件が起こっているということになるわけですね。そうですね。ですからこの検査体制がどういうふうになっていたのか御説明を願いたい。
  151. 石川弘

    石川説明員 政府が寄託いたしました物品の保管につきましては倉庫業者に一応の責任がございまして、彼らにやらせるわけでございますが、食糧庁といたしましても保管管理の指導だとかあるいはたな卸し検査によりまして確認をするということにいたしております。  食糧事務所支所の職員を大体地域ごとに保管担当者として指名いたしまして、おおむね一カ月に一度地域内の倉庫の保管管理につきまして巡回指導するということがございます。  また、年一回すべての指定倉庫につきまして寄託食糧等の検査を行いまして、在庫確認を行いますほか、毎年三月末には物品たな卸し検査を行って在庫確認をするということをいたしております。  今回の事件につきましては非常に保管が大量であって、過剰に積み上げていたというようなこともございますし、特に中にやぐら等を組みまして擬装したという通常にはない大変悪質な隠し方をいたしておりまして、発見に手おくれをしたということはわが方としてもまことに遺憾でございまして、その後、そういう擬装してまで隠すというようなことがないよう今後のそういうはい積みの仕方なりそういうものの検査なりにつきまして別途新しい指導を始めているところでございます。
  152. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 発覚の時点をお尋ねしたのに発覚の日にちだけで、どういうことでそれがわかったのかということですね、お答え願いたい。
  153. 石川弘

    石川説明員 発見の端緒は、六月十二日の夕刻に農協から千葉の食糧事務所に、五号倉庫に寄託中の政府所有米の一部が亡失しているという報告がございました。したがいまして、発見をしましたのは保管管理をしております農協でございます。
  154. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 私が答弁を求めたいのは、恐らく古米等を、五十四年産米ですか、他のところへその倉庫から発送なさってそれを食べた結果、これは五十五年産米と思って食べたものがどうも古米じゃないかということから波及してこの調査に入られたのじゃないかということを耳にしておりますけれども、これは事実でございますか。
  155. 石川弘

    石川説明員 私どもが承知をいたしました結果によりますと、当該倉庫の五十五年産米を全部倉出しをいたしました際に、農協の保管管理者が五十五年産以前の五十一年、五十二年、五十三年産の積み荷に異状を認めて通報してきたということでございまして、食べてどうこうというのは発覚の端緒ではないと聞いております。
  156. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 そうなりますと、その検査体制が、先ほど次長の方からの答弁で私は納得できないのでございますけれども、四月の時点におけるたな卸し、また七月の時点における県内農協の一斉の定期検査というふうなことを地元で私は調べてまいりましたけれども、それでわからないということになると何か問題がありはしないか、食糧事務所の手の届かないところに問題がありはしないのかという疑問がわいてくるわけでございます。この点、どういうふうにお考えでございますか。
  157. 石川弘

    石川説明員 今回の事件は、実は現在その倉庫の管理責任を負っております管理担当者が手引きをして起こった事案であるということが警察の調査でわかってきておりますけれども、先ほどちょっと申し上げましたように、五十一年産、五十二年産、五十三年産というような非常に古い米を積み上げておりまして、しかも非常に高い高さまで積み上げ、普通の見方ではなかなか発見しにくい。しかも普通の場合、そういう盗難に遭いますとはいが崩れるというような形で発見しやすいわけでございますが、やぐらを組みまして、中を空っぽにして抜いてくるという非常に常識外れと申しますか、いわばそういう手口を使ったことでございまして、たとえば、そういう場合でもはいの上へ上がって上からその中を見るということをしなければいかぬわけでございますが、異常に高く積み上げて上からも見にくかったとか、状況としては非常に発見しにくい状況にあったのは事実でございます。そういうことでは問題でございますので、はいの積みかえその他をいたしまして、外からでも常時監視できるようにするというのが先ほど申しました新しい指導のやり方でございます。しかし、それまで発見ができなかったことについては十分反省をし、担当者としてそういうことが万が一にも起こらないようにということで関係者を指導しているところでございます。
  158. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 この検査体制についてもう一度お尋ねをしますが、何人一組でこういう一つ一つの米袋の山を数えていくのですか。それとも片方だけすっと数えて、あとは中身は全然見ないでオールオーライ、こういうふうなやり方をするのですか。どういう検査体制をとっていらっしゃるわけですか。
  159. 石川弘

    石川説明員 二人以上組になりまして、一人ははいの上へ上がって、要するに積み上がりました上から見るということを指導いたしておりますが、先ほど申しましたように、異常に過剰な、上から見れないような積み方もされていたというような事情もあったようでございます。
  160. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 この問題は、倉庫の管理と食糧事務所の検査体制の調整というものについて何か問題があるように私は思うのです。それは検査したからいいというものではなくて、その食糧倉庫を管理している管理責任者とその食糧事務所の検査官との問題、そういう問題点が何かそこに重複してうまくいかない点がありはしないかというものを感覚として私は受けるわけですけれども、この点どうでございますか。
  161. 石川弘

    石川説明員 実は、倉庫業者にとりましては寄託物品を亡失させるということは、当然のこととしてその責任を負わなければいかぬことでございまして、倉庫業者はそういう自分の倉庫の営業といいますか経営の責任という面からも、こういう亡失があってはならないわけでございます。しかるところ、今回の案件は実はいわばそういうことをしてもらわなければいけない担当者が出来心でそういうことをしたという、ちょっと異例な状況もとで起こったことでございますが、やはり私どもとすれば、倉庫業者は、たとえばこういう不祥事を起こしますと、倉庫自身、政府の物品を寄託してもらえなくなるという危険だとかあるいは賠償しなければならぬという金銭的なことだけではなくて、倉庫業者としての当然の善良な管理義務が要るということでございますので、去る十一日に、今回起こりました非常に異常な事態ではございますが、そういうことを万が一にも繰り返してはならないという意味で、はいの積み方その他も含めましたそういう管理に関する要請というものを出しております。  それから先生御指摘のそういう倉庫業者の管理と食糧事務所がやっているたな卸しその他の検査がどこかすれ違っているのではないかという御指摘につきましては、私どもやはり過剰なものを積みました段階で、いささかそういうところに、かゆいところにも手が届くような意味でのきちっとした検査が行われにくかったのではないかということもございますので、倉庫業者に対する要請をいたしますと同時に、検査業務をいたします者に対しまして、今回の事案、もう一つ別途の事案がございますが、そういう事案等を例として引きながら、そういうことが二度とないような確実な検査をするようにということも通達をいたしております。
  162. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 もう一点だけ。  品質検査もあわせて行っておられるということになると、一袋一袋の品質検査なのか、それとも、先ほどの品質検査の一列を見ればその品質はもうオーケーというふうな形の品質検査になっているのかどうか、お尋ねをいたしたい。
  163. 石川弘

    石川説明員 特に水分等の検査につきましては、倉庫の管理をいたします温度等の関係もございますので、これにつきましては刺しでさすわけでございますから、そういう全体をさすというわけではございませんで、抽出的にさすわけでございますが、そういう条件を見ながら、倉庫の室温の管理とか湿度の管理とか、そういうことをやらせるわけでございます。
  164. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 時間もございませんので、その問題はそれくらいにいたしますけれども、いま第二臨調等で食糧事務所等に対する今後の取り組み等については、大変厳しいものがあろうというふうに思うわけでございます。綱紀粛正の折から、こういう問題等が未然に防げますように、また、そういうことがこういう委員会で取り上げられますと、往々にしてまた波及するものでございまして、連鎖的に起こるようなものもあるわけでございまして、私が指摘したいのは、食糧事務所が及ぶ範囲の中における管理体制の中でそうなったのか、あるいは食糧倉庫等の保管者とのいろいろな問題の中からそういうものが生まれたのかという点を心配してこの問題を取り上げたことでございまして、当然紀律を守らなければならぬのはわかり切っておりますけれども、そういう点でも配慮していかなければいかぬ、こういうふうに思っておるわけでございます。  続きまして、お米の季節で大変ことしも冷害ではないかというふうに、この前の委員会では政務次官も冷害とは言わないけれども、それに準ずるような形に本年なろうとしておるわけでありますが、私の近所でいま葉いもち病が発生をしておりまして、特に私のところでは千葉県下でも有数の穀倉地帯でありますけれども、例年になく葉いもち病が大量発生をしておるわけでございますが、特に風通しの悪いところとか低湿地では葉がもう黒ずんでおりまして、また黒ずんでいなければ葉に黒い斑点が出ておりまして、これは稲にとって大切な幼穂形成期でありますし、天候も回復してきましたので、これから大丈夫かなというような点もありますけれども、空中防除等でこれ以上広がらないように現地では望んでおりますが、特に今年の場合の集いもち病の発生の原因を調べてみますと、日照が不足しているところへ低温多湿で稲が軟弱に育っている。先ほど同僚委員からもいろいろ指摘がありましたが、分けつが余り行われていない上に、その軟弱な稲の状態からいもち病が発生したのではないかというふうなことが言われているわけであります。全国的なこういう病状というものはどういうふうに農林省でつかんでいらっしゃるか、その点をまずお答え願いたい。
  165. 高畑三夫

    ○高畑説明員 本年の葉いもち病の発生につきましては、全国的に見ますとやや遅い、発生量も少ないという状況と見ております。しかし、先生も御指摘のように、五月から六月にかけまして低温、日照不足等もございましたので、いもち病に対する稲の抵抗力は弱まっておりますので、今後、気象の推移に注意するとともに、発生の早期把握に努める必要があると考えております。  いもち病に対する指導といたしましては、すでに水稲の作付前に春夏作の技術指導なりにつきまして事務次官通達等を発しまして、いもち病の早期予察と適期防除ということを指導しておるわけでございますが、いま申し上げましたような状況でもございますので、今後一層、発生予察組織等を通じまして、早期的確な把握とこれに対する防除の徹底ということを進めてまいりたいと考えております。
  166. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 そうなりますと、ことしの見直しというものはこれからでありましょうけれども、私ども農林水産大臣に先月の二十二日に米価のことでも申し入れを行いました。その二週間前には冷害の問題等でも申し入れを行ったわけでございますが、ことしも異常気象の恐らく二年目ではないかというふうに心配をされているわけであります。農林省で、これからのことはこれからでございますけれども、一応希望的観測ということで、先ほど次官から農民の方にあるいは全国の方に、ここの委員会を通して、勇気を持って取り組むようにというような話がございましたけれども、やはり東北地方を含めたいわゆる米作地帯のところでは、不安感がつきまとっているのはこれはやむを得ないのじゃないかと思うぐらい異常な時代に地球そのものが入っているというふうに言っていいのじゃないかと私はとらえております。  したがって、そういう点で冷害に強い品種等を特に東北地方等では改良されて本年取り組まれておるというように聞いておりますけれども、こういう点に対する農水省の対策というものをどういうふうに現時点で押さえていらっしゃるか、心配ないと言うならばそれをどういうふうに指導されて取り組みをなさってきたか、時間がございませんので簡潔にお答え願いたい。
  167. 高畑三夫

    ○高畑説明員 本年の水稲作につきましては、先ほどもお答えをいたしましたように「五十六年春夏作の技術指導について」の事務次官通達並びに「今後の天候見通しと技術対策について」という官房の技術審議官通達を発しまして、適地、適品種の選定並びに健苗の適期移植、その他施肥、水管理、病害虫防除等の徹底等を内容といたします技術指導を行っておるところでございます。     〔菊池委員長代理退席、委員長着席〕  特に、昨年東北地方を中心に甚大な冷害もあったわけでございますので、本年の水稲作につきましては、そういった各地域の条件に応じました品種の選定につきましては、特段意を用いるように指導徹底を図っておるところでございます。
  168. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 時間が来ましたので終わります。ありがとうございました。
  169. 田邉國男

    田邉委員 長武田一夫君。
  170. 武田一夫

    ○武田委員 午前中に続きまして若干質問いたします。  まず最初に、経済企画庁おいでになっていると思いますので、お尋ねいたします。  昨年の冷害により農家の農業収入というのはかなり減ったわけでありまして、その影響というのは地域経済にかなりの影響を与えている、こういうふうに思うわけでありますが、昨年の影響はどのような形でその地域経済に影響を与えているかという点を簡潔にひとつお知らせいただきたい、こういうふうに思います。
  171. 遠山仁人

    ○遠山説明員 御説明申し上げます。  農業生産は五十四年度に停滞的に推移した後、五十五年度も、冷害によりまして稲を初め農業生産は大幅な減少になったわけでございます。この間、農業資材価格が上昇した、それから農産物価格はそれほど上昇しなかった、こういうことで、農業所得は五十四年度、五十五年度ともほとんどの地域で前年度より減少というふうになったと承知しております。しかし、農外所得の方は比較的順調な伸びを示しまして、それから農業共済金の支払い等もございまして、農家経済の影響は、地域によって違いますけれども、全体として見ますとかなり緩和されたのではないかと考えております。それでも全国平均で見ました農家の可処分所得は、前年度に対する伸び率でございますが、五十四年度、五十五年度とも勤労者世帯の可処分所得の伸びを下回る伸び、こういうふうになりまして、特に五十五年度につきましては、北海道や四国が前年度比で減少というふうになった、それから中国や北陸等でも低い伸びとなった、こういうふうに承知しております。  こうした農家所得の伸び悩みが地域経済にどのような影響を与えているかということでございますが、消費の面では、農家の家計費の伸びを見てみますと、地方ブロック別程度で見ますと、勤労者世帯の家計費の伸びとそれほど違いはない、こういうことでございますが、乗用車の購入とか農機具などの購入というのは多くの地域で落ち込んでいる、こういうふうに見ております。  また、東北や北海道では、ことしに入りまして五月中旬以降低温が続いていることから、二年続きの冷害を懸念しまして消費態度が若干慎重化しているというふうなお話が聞かれるわけでございます。こうした地域では、全体的に見まして百貨店の売り上げや乗用車の販売が他の地域に比べて不振となっているということで、先ほど申しましたような農業所得の減少が地域経済にそういった面から影響を及ぼしているのではないか、こういうふうに考えられるわけでございます。  今後農業所得の減少が続いた場合にどうなるかということでございますけれども、はっきりとしたことはわかりませんけれども、北海道や東北などは、ほかの地域に比べまして景気の回復がこのところややおくれている、このような状況ではないかと私ども見ております。ですから、もしそういうような状況もとで農業生産の落ち込みがなお続くような場合には影響は少なくないのではないか、こんなふうに考えております。
  172. 武田一夫

    ○武田委員 もう一つちょっとお尋ねしますが、家電関係ですね、これはどうですか。要するに電気製品ですね、それについての掌握はしておりませんか。
  173. 遠山仁人

    ○遠山説明員 家電関係の需要は、まあ品目によりましていろいろでございますが、VTR、ビデオテープレコーダーみたいな好調に伸びているものもございますけれども、夏物の家電というのはこのところの低温で全国的に大分伸びが低いようでございます。そういった状況が地域によってちょっと違いまして、やはり天候不順の影響を大きく受けている地域あるいは全体的に消費が鈍化している地域は家電関係の需要も強めに落ち込んでいる、こんな状況ではないかと思われます。
  174. 武田一夫

    ○武田委員 ありがとうございました。  それでは農林水産省にお尋ねしますが、政府は、農家の手取りは自主流通米の値上がりもあってふえ、その生活は一般サラリーマンよりも裕福であるというようなことを通しまして、米価抑制の一つの牽制の材料にしているように私は思うのでありますが、いま伺ったことでもわかりますように、特に米を中心として生きてきている北陸、東北においては、いま経企庁から話があったようなことは一層深刻です。これでこういう一般のサラリーマンより裕福であるから云々というようなことはどこから、どの地域がそのような状況なのか、私ははっきりさせてほしい。しかもいま話があったように、要するに農業収入の落ち込みを農外収入の増でカバーしておるわけです。それだけ一生懸命農家の人がほかに収入源を求めて働いているわけでありますから、このことをとって農家の手取り云々というようなことを言うなんというのはとんでもない。これは単なる米価抑制のためのへ理屈ではないか、私はこういうふうに思えてならないのです。その点少しはっきりここで説明してもらいたい、こう思うのですが、いかがですか。
  175. 関根秋男

    関根説明員 農家経済につきましては、先ほど経済企画庁の方からお話がございましたとおりでございまして、農家経済全体として見ますと、ことしは御承知のように冷害の影響がございまして農業粗収益も一・六%減少した、こういうことでございます。農外所得でカバーをしたわけでございますが、農家所得という点から見ますと前年対比では三・九%の増加、こういうことになっておるわけでございます。  そういう中で勤労者世帯と比べてどうかというお話でございますが、勤労者世帯の可処分所得農家の可処分所得というものをとってみますと、勤労者世帯では三百七十万九千円、農家の世帯をとってみますと四百六十三万四千円ということで、一見農家の可処分所得が非常に多いような感じもいたすわけでございますが、この対前年の伸びというものを見てみますと、勤労者世帯では六・六%伸びておる、しかし農家の方では前年対比では三%の伸びにとどまっておる、こういう状況がございます。  それから、その農家所得自身が多い数字が出ておりますけれども、農家の方の就業者、これは勤労者世帯と比べてみますと就業者の数が多くなっておる、そういうことの結果として農家所得全体としても伸びておる、こういう事情でございまして、農家所得それ自身は昨年の冷害等の影響もありましてかなり困難な状況にある、こういう判断をしておるわけでございます。
  176. 武田一夫

    ○武田委員 五十五年の四月から五十六年の二月でこの農業所得が一七%減少、これは五十四年が五・四%減少、それで農外所得転作奨励金、出かせぎ等の所得の増加があっても、いま話したように総所得は三・九%しか伸びない。サラリーマン家庭では七・三%と伺っていますが、これは三・四%も下回っておる。こういうようなことでございますから、こういうような事態が今後やはり米価の据え置き、さらにまた、私も二、三日地元の宮城県等々を回ってみますと、やはり冷夏の影響は今後間違いなく出てくるであろうということを考えますと、さらに農家の経営といいますか生活は大変なピンチに追い込まれるということは見え見えでございます。こういうときに、農家経済のそうした二重三重、いや私は四重苦というように思うのでありますが、そういうものを救済する方策というのは、もし米価を上げないとすればどこでなさるか。先ほど大臣に聞いたのですが、答弁がなかったのです。  政務次官、どのようにしてこうした落ち込み、これはもろに地域経済に返ってくるわけでありますから、それを食いとめるにはいかにすべきかというその方策をひとつここで聞かしてもらえないか、こう思うのですが、いかがでございますか。
  177. 志賀節

    ○志賀説明員 生産米価は、農家所得形成上の重要な要素の一つでございまして、その点で農家経済なり農村地域の経済ともかかわりを持っておりますことは、先生の御質問の御趣旨あるいはただいま経済企画庁から答弁がございましたことでも明らかでございます。しかし生産米価は、あくまでも食糧管理法の規定に基づきまして生産費物価その他の経済事情を参酌して、米の再生産を確保することを旨として適正に決定されるものでございますから、現下の米の需給事情や財政事情に照らせば、政府諮問は妥当なものではないかというのが私どもの考え方でございます。  したがいまして、この諮問を、いま先生の御指摘が米価の中で解決されなければならないということであるとすると、私どもの現在とっております態度あるいは考え方とは相異なるものでございますので、その点大臣からもお答えが出なかったのではないだろうか、このように考える次第でございます。
  178. 武田一夫

    ○武田委員 それならいつの時点にそうした、きょうの説明を聞きましても、あらゆるものが計算上からも高い数値が出ているわけです。たとえば農地にしましても地代にしましても、そういう一つ一つの算定要素を見ますと、いろいろと説明をしてもらいましたけれども、いずれにしても昨年から比べると値上げをすべき要素というのは十二分にあるわけです。たとえば労賃ですとか地代というものあるいはまた資本利子、こういうものを挙げましても、私は正当に評価をしていないと思うわけです。これは農家の人にとっては非常につらいことではないかと思うのです。  たとえば労賃評価について伺いたいわけでありますが、生産性向上ということを強調して、農家がその線に沿って一生懸命努力していく、そして労働時間が短縮されていくと、労賃分はこれはマイナスという要因になってくる。これじゃやり場がない。それじゃ、それをどういう方向でカバーしてやるのかという問題がある。かつて昭和四十二年ころでしたか、その分の還元といいますか、たとえば労働時間の半分くらいというものは生産性向上のメリットという点を考慮して価格に組み入れた、こういうようなこともあるわけです。そういう意味で、私は農家の皆さん方が要求している管理労働を認めてほしいというその気持ちは当然のことではないかと思う。こういうようなことさえもせずに、生産性向上云々ということのみによって米価価格の面で据え置きあるいはまた実質マイナスということは、これは耐えられないことだというふうに思うわけです。  また、資本の利子につきましてもこれは余りにもこんな安い、たとえば自己資金の利子四%などというのは果たしてあるかという、あるいはまた借入金にしたって農協でこんな安い利子で果たして貸してくれるのかというような問題等々、要素の中で非常に意図的なものがあるということを考えるときに、もうこれは本当に、言うなれば、財政への負担の問題がどうこうということを盾にいつまでもこういう状態が続くということは、明らかに農業の軽視につながるというふうに私には思えてならないのでありますが、短期的には先ほども申し上げましたが、こうした窮状を救うことが農政の務めであり、長期的にはそうしたいろいろな要素の中で真剣に農家の立場を考えながら意欲を持って農業に取り組めるような方向性というものを明示するのが当然のことだと私は思うのであります。その点について重ねて政務次官から御見解を伺いたい、こういうふうに思うのですが、いかがでございますか。
  179. 志賀節

    ○志賀説明員 武田先生の御指摘を一部始終承っておりましたが、確かに先生御指摘の点、納得のできるものもございます。ただ、農林水産省といたしましても手をこまねいているわけではございませんで、たとえば農家生産資材等の抑制あるいは値下げ、たとえば肥料等でございますが、そういうこと等にも配慮をしながら、なるべく厳しい環境下で農家が成り立っていけるような努力をいたしておる、決していいかげんに扱って、これを手ぬるく扱っているわけではないのだということを御理解をいただきたいと思うのでございます。私どもの今回の生産米価に対する考え方はさきに申し上げたとおりでございまして、その諮問によっていずれ答申が米審から出てくるわけでございますから、それを待って私どももこれに対処してまいりたい、このように考えております。
  180. 武田一夫

    ○武田委員 時間が来ましたので、最後に一言お尋ねしたいのでありますが、先ほどから問題になっている加算金の問題でありますけれども、米価というのは審議会の討議を経て決められることになっている。それが不思議なことに審議会が開かれる前に何か実質決まったような報道がなされていろいろな混乱が起こってきた。こういうことはいかぬと思うのでありますが、幹事長がみずから、地方の場における発言とはいいながら、そうした発言をするということは、党と政府の間に、もうそうした根回しがきちっとできていた、それがたまたまそういうところで出てきたと私は思わざるを得ない。だから、そのくらいの金ならあるのだということを言ったということは、生産者団体も、そんならそれを基本米価の中に組み入れろ、こう言ってくるのも当然ですし、そういうことから考えましたときに、こういうようなことが平然と今後も行われるということを私は非常に懸念するわけであります。ですから、このことは当然審議会の威信というのも傷つけざるを得ない。何のために審議会があるのだ。また、農家の皆さん方にとってはその金がつかみ金とかという、要するに農家の皆さん方によって自民党は支えられているのだから、都会では余り票もとれないし、だめなんだ、東京都議選を見てみろなどというような議論まで出てきて、それで財源がないのは消費者米価を上げればカバーできるのではないかなどというような無責任な発言も出てくるということを考えますと、どうも本気になって生産者を守るためのそういう言動ではなかった。党利党略以外の何ものでもない、私はそう思わざるを得ないのです。こういう点につきまして、自民党そして政府という一体のそういうつながりの中で、農家が本当に孤立に陥るような姿勢というのは問題でありますし、こうしたことを考えますと、真剣に農業のためという問題から米価を考えているとは私は思えない、そういう気持ちにはなれないのでありますが、そういう点についてどういうふうにお考えでしょうか。私は、こういうような行き方は断固として反省して、農家のため、そして農業の再建という観点からの米価決定という問題についての取り組みを要求をしたいと思うのでありますが、最後にそうした問題につきましての御見解を伺いまして質問を終わらせていただきます。
  181. 志賀節

    ○志賀説明員 いろいろな発言がなされたやに新聞報道がございますが、政府筋の発言というのは実際私はどなたの発言であるかを全く知らないし、その背景もつまびらかにしないわけでございます。ただ、新聞報道によりますと、明らかに櫻内幹事長の名は挙げているわけでございます。櫻内幹事長がいかなる意図のもとにいかなる背景をもってその発言がなされたか、私、これまたつまびらかにいたしませんが、もし与党として当然のことということで政府と内々話し合いをした結果の御発言であるとするならば、これはまことに遺憾なことでございまして、現に私自身、農林水産省を大臣のすぐ下でお預かりをする者といたしましてつんぼさじきでございます。私自身もしそのような失態を犯しておれば、私自身反省を厳にしなければなりませんが、私自身はこれをいたしておりませんので反省の要はない、むしろこれに憤りを感じておる一員でございます。したがいまして、今後このようなことが絶対に起きないように私からも十分に注意をいたしますとともに、米価審議会の権威を損なうことのないよう、今後高める方向で私自身も努力をさせていただきたいと思うのであります。  なお、先ほど来盛んに算式のことについていろいろお話がございましたが、これも私個人につきましては考えておることでございますが、昨年と同じ算式で昨年と同じ計数をもって計算をして数値を出していくのであるならば、これはまさに算式のひとり歩きでございまして、これも米価審議会の軽視あるいは無視につながるかもしらぬとすら思っておることでございます。したがいまして、その都度こういう問題は真剣にこの委員会等で取り上げて御研究をいただく問題ではないか、このように考えておりますので、この点もあわせて申し添えさせていただきます。
  182. 武田一夫

    ○武田委員 時間が来ましたので終わります。
  183. 田邉國男

    田邉委員長 野間友一君。
  184. 野間友一

    ○野間委員 午前に引き続き質問をいたしたいと思いますが、まず数字の点について説明を求めます。  「昭和五十六年産米穀政府買価格試算」きょうもらいましたこの資料の四ページの「算定要領」のところ「十アール当たり平均生産費算定」ですね。この数字の中で、この終わりの方「各年産米の総販売数量の、五十三年産にあっては八六%、五十四年産にあっては九〇%、五十五年産にあっては一〇〇%になるところまでの米の販売農家とする。」こういう記載がありますね。ここでちょっとお聞きしたいのは、「五十三年産にあっては八六%、五十四年産にあっては九〇%、」この数字は去年と違っておると思うのですけれども、どうなのか。去年の同じ資料の中では「五十三年産にあっては八九%、五十四年産にあっては九三%」こういうふうになっておるわけです。これは客観的に事実だと私は思うのです、この数字そのもの、率が。なぜ去年とことしと記述の中でこんなに違いがあるのか、御説明いただきたいと思います。
  185. 石川弘

    石川説明員 昨年は、計算をいたしますときの分子に当たりますものが、限度数量が七百八十五万トンでございます。それぞれの数字を、たとえば五十三年産は去年あるはずでございますが、これは八百八十六万一千トンで七百八十五万トンを割るということになります。ことしは、ことしの限度数量が七百六十万トンでございますから、五十三年産で申しますと八百八十六万一千トンで七百六十万トンを割るということでございますので、限度数量の違いがその数量の差になるわけでございます。
  186. 野間友一

    ○野間委員 どうもよくわからぬのです。これだけの違いをコストで見てみますと、約一%ぐらい下げる効果があるように、この数字のいじくりで私は思ったものですから。ですから、とにかく生産原価は低く抑えるというか、低く見積もるということでこういう数字になっているのじゃないかと思うのですけれども、いまのそういう説明のとおりでいいわけですか。これは客観的な数字じゃないかと思っておったので……。
  187. 石川弘

    石川説明員 必要量生産費といいますのは、その年に政府が必要とする量といいますのは予約限度数量でございますから、その予約限度数量を総出回り量、たとえば五十三年で申しますと総出回り量が八百八十六万トンあったわけです。その中で、去年で申しますと七百八十五万トンが予約限度数量でございますから、それを割りまして百を掛けたものがこの八九という数字でございます。ことしはその七百八十五万に当たりますところ、ことしわれわれ予約限度数量は七百六十万トンと考えてやっておるわけでございますから、八百八十六万一千トンで七百六十万を割るということでございます。しかし、五十五年が入ってまいりますと、五十五年は現在実際総出回りしましたのが六百五十七万九千トンでございます。それに対しまして七百六十万トンという予約限度数量は一〇〇を超えるわけでございます。一〇〇を超えるということは、その生産費調査で累積しました販売数量の全部を使う。先ほどもちょっと申しましたように、一俵以上販売農家から並べましても一番その効率が悪いところも全部とって計算をしろということでございますから、こういう計算をいたしますと、ことしは実はこの必要量生産費方式をとって、昨年災害収量が少なかったということは、この式全体としましては米価を上げる要素でございます。
  188. 野間友一

    ○野間委員 よく理解しにくいわけで、十分検討した上でまた改めて説明を求めたいと思います。  質問を進めますが、諸資材の高騰と米価との関係についてお尋ねをしたいと思います。  昨年の七月三十一日当委員会におきまして、私、当時の食糧庁次長に質問をしたわけですが、そのときの答弁として、この諸資材については、今後の値上がりということがあるとしても、これは来年の米価に反映される、こういう答弁があったわけです。そこで、現に去年の米価算定から諸資材がどのくらい上がっておるのかということ。これは全中のいろいろな計算を私拝見したわけですけれども、それによりますと農機具は四・四%、肥料が二〇・三%、農薬が五・七%、総合で八・九%のアップに実はなっておるわけです。そうしますと去年、諸資材はずいぶん上がっておる、それを何とか反映するような価格になぜしないのかという私の質問に対して、それは今後の値上がりだから、来年度の米価に反映されるのだ、こういう答弁があったわけです。しかし、いま申し上げたように、これだけ上がっておるにもかかわらず諮問を見ますと据え置きということで、コスト増はカバーされていないということになるわけですね。そうしますと、いかにも何か答弁の中で、上がった分については来年度ちゃんと上げさせますよということで安心させながら、あとは算定方式をいろいろな方法で改ざんあるいは改悪して、結局ふたをあければ、トータルとしては実際こういうもののコストアップを反映していないということになりますと、農民が何となくだまされたというか、せっかくの期待を裏切られたことになると思うのです。  政府は、いろいろ事前に聞いてみますと、ことし七月以降の肥料代は若干値下げするとか、あるいは農機具が据え置かれる、こういうことも私は聞いたわけでありますけれども、これは、五十七年度産米についてはその生産費にかかわる問題であって、すでに五十六年度の分については、いま申し上げた値上がりした分を全部支払っておるわけです。だから、仮に生産米価を据え置くというならば、当然その前提としては、資材価格をさかのぼって据え置くとか、あるいは今後資材価格は厳しく規制していくというような姿勢がなければならぬと思うわけですが、いまの政府の姿勢の中で、なかなかこういうものが見られないことは私は大変残念であります。  この点について、資材高騰の問題は大体このとおり間違いないかどうかということと、それから、いま申し上げた資材価格についてメスを入れて——これは全中も、物財費について据え置きないしは値下げを強く主張しておりますけれども、これらの点について農水省はどう考えておるのか、聞かせていただきたいと思います。
  189. 石川弘

    石川説明員 最初に、そういう物財費の値上がりが織り込まれているかどうかということでございますが、きょうお渡しをいたしてございます試算の六ページをお開きいただきますと、ここに「物財雇用労働費」の算定の仕方が書いてございまして、五十三年産生産費、五十四年産生産費、それから五十五年産生産費調査いたしましたものに、それぞれここに書いてありますような一一六・五九とか、一一六・〇五とか、一〇六・六七といった変化率を掛けて額を定めるように書いてございます。五十五年産、去年のものにつきましては、この一〇六・六七という上がり方を掛けまして、本年の資材費の算定をしているわけでございますから、結果的にこういう形で完全に織り込んでいるわけでございます。  もう一つそれを申し上げますと、一番最後に「算出基礎」五十三、五十四、五十五というのに分けました、実数がございますが、これをごらんいただきますと、各原生産費のところに数字がございまして、その隣に、「価格決定年評価生産費」と書いてあります。この「物財雇用労働費」の欄、これは五十三年では原生産費では五万九千二百六十三円でございますものを、その後の物価スライドで現在の時点に直しますと六万九千円である。五十四年の調査で見ますと、同じく六万四千円のものを七万四千円に評価する。それから五十五年、去年のものは七万四千円を七万九千円に評価するという形で、こういう計算でそれぞれの値上がり部分評価してあるわけでございます。
  190. 野間友一

    ○野間委員 確かに数字の上ではそういうふうに見ているように見えるわけですけれども、いまも答弁にありましたように、結果としてはトータルで据え置きというふうになりますと、結局それだけ上がっておるにもかかわらず、その分については全く配慮されていない、こういうふうに感じるのは私は無理ないと思いますし、どうもこのあたり勝手気ままに、とにかく値下げというか下げる要因については積極的にいろいろな方向を考えながらいろいろな理屈を使うけれども、しかし客観的に上げられるそういう要素なり条件がある場合には、それは一見見るかのごとく装いながら実際には見ていないということが結果として私は出てきておると思うのですね。いろいろ配られた資料などを見ますと、いかにも農家のためにはいろいろなことを考えておる、農家はいまは豊か——豊かと申しますか農家に有利なような要素が私は目立って仕方がないと思うのです。  その一つは可処分所得の問題です。米審に七日に提出された資料を見てみますと、農家と勤労者世帯の可処分所得の比較がありますね。そして、農家がいかにも数字の上では豊かであるかのように描かれていると思います。これは結局、米価を据え置いてもよろしいという雰囲気なりムードをつくるための数字としか私は受け取ることができないわけです。特に、可処分所得だけを勤労者世帯といろいろな比較をしてありますけれども、これについては、第一に、この数字は稲作農家だけではなくて全農家平均値なんですね。二つ目は、農家所得も兼業所得も一緒にした平均値だということで、この数字の中での問題があると私は思うのです。農家経済の状況は決してこんな楽観的なものではない。  昭和五十五年度の農家経済、これは統計情報部の資料によりますと、先ほどもいろいろ答弁がありましたが、農業所得は一六・一%減、これは減が二年連続です。しかもこれは戦後最大の減少率でしょう。こういう問題。あるいは農家の総所得、これでも三・九%増にすぎない。いまの勤労者世帯の約半分ですね。物価の上昇を考えれば実質的にはこれも減なんでしょう。それから、農家の農業に対する依存度を見ましても、五十四年度が二五・五%、これが二一・三%に落ち込みまして、史上初めて四分の一を割ったというのが現状だろうと思うのです。ですから、可処分所得についてこういうふうに書くことによって一見農家が豊かなような記載になっておりますけれども、同じ農林省の統計を見てみますと、先ほど申し上げたようにいろいろな問題を抱えておるというふうに私は思うわけです。  しかも、家族労働報酬についてですが、これも資料によりますと、昭和五十五年産の一日当たりは前年比一三・四%の減、四千九百七十二円という数字が出ております。これは一時間当たりにしますと六百二十二円。これは昨年の米価算定に使った都市労賃、これは製造業の五人以上千人未満で千九十三円ですね、これに比べて実に五七%ということが数字の上で出てくると思う。  実際この可処分所得が果たして農水省の統計——これは間違いないと思いますけれども、統計どおりかどうか。私もいろいろなそういうファクターを考えてみましたら問題があると思いますけれども、仮にそうだとしても、これは農家の皆さんがよく働く、勤勉に多方面で仕事をするという結果にほかならないというふうに思うわけですね。そういうような具体的ないろいろな実態、事実を全部あからさまにして、客観的、公平な世論なり識者の批判にたえると申しますか、判断の資料にするということが私は農水省としてもやらなければならぬ仕事ではなかろうかというふうに思うのです。  くどいようですけれども、こういうようないろいろな数字の羅列からいたしますと、いかにも農水省に都合の悪いものは無視して、都合のよいものだけを抜き書きして、そしてこれをキャンペーンするというようなことになっておると私は思うのです。この点についてもっと正式に正確な公正なさまざまな資料を提供すべきじゃないか、そして批判にこたえる、こういうことが私は必要じゃないかと思うのです。どうもその点欠けておると思うのですけれども、この点いかがでしょうか。
  191. 石川弘

    石川説明員 米価審議会その他に資料をお配りしましていろいろと御説明いたします際に、最近、巷間いろいろ農業に対する御批判もありますけれども、私どもはむしろありのままの数字を見ていただいて、本当に農家の経営がどうなのかあるいは都市の勤労者との対比はどうかというようなことをわかっていただくためには、やはりこういう農家と勤労世帯というものとの間の関係を御説明するのが適切ではないかと思います。かつて農家の可処分所得が都市勤労者のそれに及ばなかったときはむしろ値上げをする要因としてそういうことをいろいろと御説明したような時代もございました。幸いにしてほぼ均衡がとれておりますが、先生御指摘のように、農業の場合にどちらかというと非農業所得の伸びというものでカバーするという場合もございます。  それから、先ほど先生稲作を出してというお話でございますが、稲作の数字だけを出しますと、五十四年の数字ならばむしろこの農家全体を若干上回る数字が出てくるはずでございます。しかし、これはあくまで何の作というのではなくて、農家対勤労世帯ということでこういう対比をしたわけでございます。並べましたものは、決して農家の方がいいのだということだけを並べたわけでございませんで、この資料の一番下の方に「就業者一人当たり所得」という欄もございます。農業の場合は世帯主だけじゃなくて主婦も就業に加わる場合が多いわけでございますので、そういう就業者一人当たりで申しますと、五十四年の水準でもなお勤労世帯の八〇%程度であるという数字も明らかに出してございます。  そういうことで、どちらがいいとか悪いとかというのではなくて、客観的に判断をしていただけるようにそういう数字を整理したつもりでございますし、先ほど統計情報部の方からもお話がありましたように、水準自身は高いわけでございますが、伸び率は最近都市の方が高くて農村の方が低いということでございますから、傾向として、かつて非常に大きく——大きくといいますか、一時点、大体四十五年ぐらい、五十年代に入って逆転してくるわけですが、それから非常に開いたものがまた接近してきているというふうな事態もかなりの長期の数字を使って御説明をしているつもりでございます。
  192. 野間友一

    ○野間委員 どうも私は納得できないわけで、繰り返しはやめますけれども、農業所得の減少とか、勤労者世帯に比べて農家の総所得の伸びが非常に低い、約半分とか、あるいは農業依存度が非常に低くなった、四分の一を割ったというのは初めてでしょう。こういう実態を踏んまえた場合には、こういう数字の中から、農水省とは逆に、生産米価を上げるべきだという数字が出てきて当然だと思うのです。私はどうもいまの説明には納得できないわけですけれども、次に進みます。  今度は需給事情と冷害の問題について少しお伺いしてみたいと思いますが、先ほども質疑がありましたけれども、昨年の冷害後の秋からことしにかけまして、政府指定倉庫あるいは米屋の倉庫から米が紛失するという事件が相次いでおります。千葉の例が先ほど出されたわけですけれども、これは千葉だけではなくて、農業新聞等々によりますと、かなりあちこちで、規模といい数量といい非常に多い、こういうふうに思うのですけれども、これは恐らく、戦後の米不足の時期ですね、これを別にいたしましては、過去に比べて多いのではないか、目立っておるのではないかというふうに私は思うのですけれども、どういう状況なのか、全国の特徴的なものと、それから過去に比べて多いのか少ないのか、その点について、まずお答えいただきたいと思います。
  193. 石川弘

    石川説明員 政府の保管しておりますと申しますか、政府の米を盗まれました事件は、ことしの一月の茨城の倉庫の事件が一件と、先ほどちょっとお話がございましたことしの六月に発見しました千葉の農協倉庫からの盗難と、この二件でございます。いずれも盗み出しました時点から考えまして、五十一年から五十五年にかけての盗難でございまして、最近における需給事情が直接関係しているようなものではないと私ども考えております。その他、要するにお米屋さんの倉庫から持ち出したというような事案が秋田とか神奈川等に見られますが、これらはいずれも、俵数その他を見ましてもごく少量でございまして、これは決してこういう盗難というのは結構なことではないわけですが、特段何か特徴的なものとは私どもは理解をいたしておりません。
  194. 野間友一

    ○野間委員 農業新聞等には「品薄見越し」云々という見出しで、いまあなたも答弁されたけれども、秋田の例とかあるいは神奈川の例ですね、そういうものも含めて指摘をしておりますけれども、どうも私は、何か異常な多さを実は感じておるわけです。  関連して聞きますけれども、やみ米の業者等の話などを聞きましても、自主流通米が今月から九月にかけて不足状態になる、こう言っておりますし、また、それを裏づけるようにやみ米の相場はいま非常に上がっていますね。しかも、新聞報道では、早場米地帯での青田買いですね、これがいま、はでに行われている。これも報道では伝えております。食糧庁は、計算上は、先ほども論議がありましたが米の需給に心配はない、こういうふうに言っておりますけれども、実際、端境期の見通しと早場米地帯でのいま申し上げたいろいろな動き、青田買いの動き、こういうものについてどう見ておるのか、お答えいただきたいと思います。
  195. 石川弘

    石川説明員 先ほど申し上げましたように、量としまして五十六米穀年度末に八十万トンから九十万トンの米を持ちまして越年をするわけでございますし、そのころには、十一月の米穀年度のころには、五十六年産新米というのは相当量がすでに早場米として出回ってまいるわけでございます。そういう中で、先ほど申しましたように昨年の冷害によりまして、特に良質米につきましては品薄ぎみであるというようなことをはやしまして、いま先生御指摘のような良質米にはうんと高い相場がつくとか、あるいはどこでどれだけのそういうことが行われたといううわさがいろいろございます。しかしながら、私ども、集荷団体等を督励いたしましていろいろ聞いておりますと、実はあの新聞報道等にはやみが幾らだというようなことを、金額は表示してございますが、実は数量等は全く書いてない、そういう情報でございまして、いわばそういう大量なものがやみに流れるというよりも、その場限りの手当てとしていろいろな相場がついたというようなことが多いようでございます。幸い農業団体も自主流通米につきまして、年度間を平均して売っていくという施策をやっておりますから、これから端境期にかけても安定的に五十五年産米の自主流通米を売っていっていただく、政府も極力それに協力して、必要であれば政府のお米の操作もやっていくということでございますから、まあ特に不作ということをはやしてどうこうするというような動きは、順次おさまってくるのではないかと思います。特に最近のいろんな気象条件等も考えて、そういう不安を駆り立てるような言動はむしろおさまってくると申しますか、まあそういうことを言っている人たちが、どちらかというと不正規な業を営む方が多いわけですから、そういう不正規な行為をやっていた人にとっては、こういう需給均衡してくるということは自分たちにとって必ずしも商売のしやすい条件ではありませんから、そういう意味で、そういう虚報といったようなものは順次おさまってくるのではないかと思っております。  しかしながら、やはり今度の端境期は特にそういう意味で注意深く運用をしなければならない時期だと思っております。したがいまして、集荷団体、農協は特に今回の食管法の改正を契機に全量集荷ということに力を入れておりまして、そういう集荷を活発にいたしますと同時に、そういうものが端境期にうまく販売につながるようにということを、集荷団体と販売業界が寄り寄り集まりましてそういう計画もいたしておりますし、私どもの方としましても、そういう今回のような事態の中で、変則的な事態が起こらないようにということを集荷業者及び販売業者にきつく指導をしているわけでございます。  特にそういう端境期問題といたしましては、自主流通の適切な運用のほかに、良質米の需要につきまして、要すれば翌年に持ち越しを予定しております政府の持っております一、二類米のような良質米も地域的に手当てをすることも考えておりますので、万々そういう端境期における混乱がないように処置するつもりでございます。
  196. 野間友一

    ○野間委員 どうもやっぱり末端の実態と申しますかそれが十分情報として集まっていないのじゃないかという感じが実は私しておるわけです。食管法の改正のときにも私はこの場で愛知とか大阪の具体的な例を挙げて、いわゆる米の不正流通の問題についていろいろと実態を示して明らかにしたわけですけれども、どうもそんな感じがしてしようがないのです。  このやみ相場ですが、これが三千円から四千円、三割前後、四月、五月の時点では実は高かった。ところが、その後も、たとえば新潟産のコシヒカリについていいますと、いま二万七千円前後、異常に上がっておるわけですね。食糧庁は、五十五年度産米、これは五十六年度十月末で八十万トン、これを持ち越せるということを理由にして需給を安定するのだと言っておるわけですけれども、やみ市場の暴騰とかあるいは先ほど申し上げた早場米の青田買い、こういうようなことを放置しておけば、その八十万トン、これは数字上は出てくるわけですが、これも放出せざるを得ないというような状況がくるのではないかというふうに私は大変懸念をするわけです。これは実際、懸念で、懸念にすぎなければそれでいいわけですけれども、実際そういう危険性があるのかないのか、非常に不安に思いますけれども、どうでしょう。
  197. 石川弘

    石川説明員 いま私が申し上げましたように、いま先生御指摘のたとえば二万六千円という相で大量のやみ米が動いて、そういうところに量が確保されて、正規のルートに乗るべきものがないという事情になりますと、先生御指摘のような心配ございますが、いまの事実はそうではございませんで、自主流通米についても、適正な量につきまして、自主流通の出荷団体でございます全農その他の集荷団体と販売業者の団体との間に、これから端境期に向けて一カ月一定量の米を流していくということは需給計画の中で定まっておるわけでございます。そういうことで、比較的政府管理下のきちっとした自主流通とかあるいは政府の米の流れははっきりしてまいりまして、要は周辺におりました比較的潤沢で、かつて過剰基調が強かった段階で流れていたいわば自由米の量が減ってきた。特にその中でいま御指摘のような良質米の自由米の量が減ってまいりまして、それがパイプが細くなって、数量も細くなって、そこでいま先生御指摘のような高い相場が形成されているという形ではないかと思います。政府米等につきましては前年を上回る販売がされているという状況でございますので、いま御指摘のようなことが起こらないように、私どもとすれば、今度は農業団体としても新食管法の中で集荷団体としての任務は果たしていくのだということで全量集荷の運動もやっておりますし、そういうものについて必要な援助も考えているわけでございますけれども、いま出ている値段というのは決してそういう大量なものがやみで流れるような値段ではなくて、ごく一部に出ます相場がそのように出ているという理解でございます。
  198. 野間友一

    ○野間委員 関連して聞きます。  八十万トンの持ち越しと、それから先ほどの答弁にもありましたが、転作の軽減分二十五万トンですね、この合計で約百万トン、これでゆとりがあるというふうに言っておられますけれども、しかし、昨年の冷害による減収、これについてのカバーを見てみますと、五十四年度産米が百七十八万トン、五十二年度の低温米、これは十九万トンですね、トータルしますと百九十七万トン、これだけあって、古米あるいは古々米を食べることによってやっと五十五年度産米の八十万トン、これの確保ということが数字上は出てくると思うのですね。そうなりますと、二百万トン近くの主食向けの米のゆとりがあって初めて需要と供給の上で不安がないということが数字の上で出てくるのじゃないかと思うのです。どうも百万トンでは不足になるということはいまの一つの経緯からも明らかじゃないかと私は思うのですけれども、それでもなおかつ不安がないというようにおっしゃるのかどうか。五十三年度米の常温米とかあるいは五十二年度米ですね、こういうものをやはり食べろということになるのじゃないか。そうなりますと消費の拡大に水を差すことになりますし、この点についても私は大変不安に感ずるわけですけれども、納得のいくような説明をぜひお願いしたい。
  199. 石川弘

    石川説明員 不安の要素を積み重ねてまいりまして、たとえばことしも作況が八七だろうあるいは来年も八七だろうというぐあいにやりますと、これは実は無限に心配が広がってくるわけでございますが、過去の長い統計の中で見ますと、そういう二年連続の冷害という方が実は要素としては大変小さくて、むしろ豊作のときの方が多かったわけでございます。ただし、私どもは来ないに決まっておると考えているのではなくて、実はそういう場合にも対応できるということで、かねがね二百万程度の回転備蓄ということをやっておりましたのが、結果的にはこういう需給事情にも対応できたわけでございます。  そこで、こういうときにどのように生産調整して備蓄数量を積み増しするかということでございますが、ここ十年余りの作を平均しますと、実は作況は一〇二ぐらいの数字がすぐ出てまいります。たとえば作況が一%動きますと十万トン動くというわけでございますから、二%程度の生産の増でもこれが二、三年重なりますと相当大きな量が一挙に積み重なるということもございますので、これは私どもやはりことしの作をよく見まして、本当に積み増しを要するような事態であればそれはそれをしなければいかぬと思います。しかし、現段階で非常に作が悪いだろうという前提で、必ずしもその収穫の結果を待たないで積み増しのことばかり考えますと、実はこういう作況変動の中には相当程度豊作要因で積み上がってくる場合があるわけでございます。これは、豊作がけしからぬということはないわけでございますから、豊作ならばそれをやはり積み上げなければいかぬということでございますので、そういう単年度単年度の作の状況を見ながら、要するに生産規模との調整をしていくという考え方でございます。  それから、先ほども申し上げましたように、いまの回転方式だけでは的確な操作ができないということで、新食管法のもとで積み上げ備蓄的なものと回転備蓄的なものを組み合わせてより効率的な備蓄をしていくという考え方でございます。
  200. 野間友一

    ○野間委員 もう時間がありませんので最後に一点だけ、松浦局長にわざわざお越しいただいているので質問したいと思います。  農産物の輸入の拡大の問題ですが、レーガン政権が誕生して猛烈な輸出攻勢をかけておりますね。各国の大使に対しても、すべてセールスマンであれというような激まで飛ばしている。ボルドリッジ商務長官、ヘイグ国務長官、それからリン農務副長官、ブロック通商代表、こういうアメリカ当局の一連の発言を私は報道で承知しておりますし、九月にたしかブロック農務長官が日本にやってくる。こういう一連の発言等を見ますと相当なものですね。これは日米賢人会議の例の提言を受けてこれの具体化をこれから迫ってくるのではないかと思う。  特に私がお聞きしたいのは、柑橘の問題なんですね。これは八三年度では一応輸入枠を決めて、そして八四年度以降については、八二年度の後期以降において改めて日米の農産物交渉をやろう、こういうことになっておりますけれども、ところが、八四年度以降の分についてはもちろんですけれども、それ以前についてももっと枠をふやしてくれという攻勢が猛烈にかけられてくる。特に九月のブロック農務長官の訪日については私は非常に懸念をしているわけです。  実は三月の下旬に私はアメリカに行きまして、農務省のいろんな幹部の人に会って意見を交換してきたのですけれども、やっぱり自由化ですね。オフシーズンの枠の中での量の拡大、これはものすごい姿勢だったというふうに私は感じたわけです。  これに対して、八三年度までは輸入の枠の拡大は絶対やらないということ、それから九月にブロック長官が来たときに毅然として日本の特に柑橘農家の経営を守っていくという立場で対処されるかどうか、その点についての答弁を求めて質問を終わりたいと思います。
  201. 松浦昭

    ○松浦説明員 ただいま先生お話しのように、アメリカ側が柑橘を初めといたしますところの農産物の輸出拡大について非常に強い関心を持っていることは事実でございまして、特に最近の、七月八日だったと思いますけれども、上院財政委員会の国際貿易小委員会公聴会等におきましてブロック通商代表が発言しておられるその様子を見ましても、レーガン政権そのものが農産物の輸出の拡大について非常に強い関心を持っておることは事実でございます。ただ、いままでのところ、オレンジなりあるいは牛肉なりにつきまして東京ラウンドの合意の線、たとえば八三年度までの合意の内容あるいは八二年度末の協議を早めるといったような具体的な提案を受けてはおりません。  そこで、私どもといたしましてはこのような非常に重要な事項につきましていかに考えているかということでございますが、五月九日でございますけれども、鈴木総理が訪米をなさいました際に、リーガン財務長官あるいはボルドリッジ商務長官、リン農務副長官といったような方々がおられる前で、われわれは東京ラウンドの合意事項は忠実に守っていくけれども、しかしながら、総理のお言葉をそのまま申し上げますと、零細な日本の農民をこれ以上泣かせないでほしいということもはっきりとおっしゃいました。それからまた先般、七月二日でございますが、リン農務副長官が亀岡農林水産大臣もとを表敬訪問なさった際にも、この合意につきましては明確な発言をいたしております。したがいまして、私どもといたしましては従来の東京ラウンドの合意の線というものを変えるつもりはございませんし、また変えるべきものでもない。これにつきましては、先方が仮にそういうことを早めるといったようなことを申しましても、その合意があるではないか、また同時に、日本の農家の実情を相手方に十分に話をいたしまして、とことんまで話をするという態度で臨みたいというふうに考えておる次第でございます。
  202. 野間友一

    ○野間委員 終わります。
  203. 田邉國男

    田邉委員長 松沢俊昭君。
  204. 松沢俊昭

    ○松沢委員 一番最後になりましたが、けさ以来、日本社会党、公明党、民社党、そして日本共産党、四党で共同いたしまして「昭和五十六年産生産米価決定に関する件」のいわゆる決議案、これを理事会に提案いたしまして、いろいろお話し合いをやってまいりました。その結果、自民党の皆さんが反対されまして、これを決議をする段階に至らないという結果になりましたので、まず私の方でその案文を読んでみたいと思います。     昭和五十六年産生産米価決定に関する     件(案)   昨年の冷害に続き、今年もまた天候不順の兆  がみられる等米の生産事情は予断を許さない情  勢となっている。このような情況の中で、政府  は本日、本年産生産米価の据え置き諮問を行  った。   しかし、この諮問米価は昨今の生産事情や農  家経済の動向さらにはその算定基礎となる最近  の物価賃金生産資材、地代等の上昇を反映  したものといえず、また、最近の農家経済を取  り巻く諸事情もとで農業生産の再編成に取り  組む農民の生産意欲を後退させかねないものと  なっており、米の再生産確保はもとより国民食  糧の安定供給確保を図る上で問題である。   よって政府は、本年産米価の決定に当たって  は、これらの事情に十分配慮し、諮問米価に再  検討を加えその引上げを図るべきである。   右決議する。以上の決議案が実は不発に終わったわけなのであります。  そこで、政務次官にお聞きいたしますが、きょう提出されましたところの資料によりましても、生産費調査によりますと、昨年と比較いたしますと一二・二%上がっているわけなのであります。それから、算定方式は変えないと言っておりまするけれども、算定要素になりまするところの労賃評価がえだとか、あるいはまた地代だとか、こういうものを四十六年、四十七年並みに評価をやったということで、実際は答弁にもありましたように、それを変えなかったならば一一・七%の引き上げになるのだ、これもはっきりしているわけなのであります。さっきからいろいろ質疑がございましたけれども、その中におきましても明らかなように、農家の経済力というのは低下をしておる。これは統計でも出ているわけなのであります。もういま米作地帯におきましては減反があのように大幅なものになっておりまして、そして実質的におきましては、もう過去三年間米価が上がらぬわけなのであります。そうなりますと、単に農家所得が低下するというだけでありませんで、その周辺の商店街の連中も売り上げが下がって大変困っている。だから、これは地域全体にも経済的に大きな打撃を与えているということになるわけなのであります。こういうふうに数字が明らかに示しているように生産米価を上げなければならない、引き上げ要素があるのに、何で据え置きをやらなければならぬのか、私はそういう点全く合点がいかぬわけなのであります。きょうの米価審議会におきましても、生産者側がそれに対しましていろいろな動きをやりまして、米審の中でも紛糾いたしている、こういう状況でございます。しかも二%、三百億のつかみ金をプラスするというようなことが政府筋から話があったということで、自民党の中でも紛糾に紛糾を続けてきたということも新聞で明らかにされております。また、この新聞報道で、答申後に自民党の農村振興議員協議会が巻き返しをやることになっているということも知っているわけなのでありますが、要するに一体どうして据え置きをしなければならぬのか。据え置き諮問をやった後においてそれの巻き返しをやって、つかみ金なりあるいは基本米価なり、これをやはり引き上げるのかどうか、そういう点をひとつ政務次官から明らかにしてもらいたいと思います。
  205. 志賀節

    ○志賀説明員 ただいまお読み上げになりました御意見につきましては、本日の委員会におきましても種々御論議のあったところでございますが、現在米価審議会で審議が続行されておりますので、その答申を得て適正に決定してまいりたい、このように考えておりますので、その点御了承を賜りたいと思います。  なお、その後にお触れになりました新聞報道等につきましては、先ほど来、私、再三拝聴いたしておりますが、何を背景とし、どなたから出た御発言か全くわかりませんし、そういう背景等もつまびらかにいたしませんので、これに対してはお答えができかねるわけでございます。もとより八百長芝居のようなことは全くないと御理解をいただきたいと思う次第でございます。
  206. 松沢俊昭

    ○松沢委員 そこで、政府の米の需給事情に対するところの認識でありますが、私たちの方でいろいろと調査したりしている範囲におきましては、需給事情というのは非常に逼迫している、こういう判断をしておるわけでありますし、これもいままで同僚議員の方からいろいろと指摘されているわけなのであります。そこで、政府の方では大丈夫なんだというお話なのでありますが、四月現在、五十五年の米というのは約二百九十万トンですね。それから五十四年の米が六十万トン、五十三年産以前の米というのは、これはもう食糧に回さないで処理をするという方針が明らかになっているはずなのであります。ところが、石川次長のお話によりますと、十九万トン低温貯蔵のやつがあるからそれを使うというお話であります。それからもう一つは、災害で控除したところの面積というのがあるのだから、そこからとれる米二十五万トン、こういうことを言っておられるわけなのであります。これはちょっと奇妙な説明でないかと思うのですね。二十五万トンというのは、ことしの十一月以降に食べるところの米なんであります。ですから、私たちの聞いているのは、単年度需給はどうかということなんであって、二十五万トンは、これは米穀新年度から食べ始めるというところの米なんでありまして、二十五万トンは計算に入らぬじゃないですか。それから十九万トンというのは、本来これは古々米処理として始末をつけていくというところのそういう仲間の部類なんじゃないですか。だから結局、五十五年と五十四年の米でどうなのかというそういう問題だと私は思っているわけなんです。そうしますと、そう余っていないのじゃないか。逼迫しているのじゃないか。しかも政府の方といたしましては、年間二百万トンの備蓄ということを言っているわけなんです。それは約束されているはずなんです。その約束されているところの二百万トンがあるのかないのか。なかったならば逼迫している、こういうふうに判断すべきなんじゃないかと思うのですが、その点はどうでしょうか。
  207. 石川弘

    石川説明員 先生御指摘のことしの四月の数字と、それからことしの十一月、要するに新年度に入るときの数字で申し上げてまいりたいと思います。  ことしの四月の実数で申しますと、五十年産から五十二年産の米が三百十六万トンございます。これは主食に回す可能性をまず持っておりません。もちろんこれは食べれないということじゃございませんで、外国に輸出しているのはこの五十二年産を輸出しておりますので、十分食用には間に合うわけでございますが、国内操作として考えていないわけでございまして、それが三百十六万トンございます。それから五十三年産米が百十九万トン程度ございまして、この中で十九万トンは低温倉庫に保管された比較的品位の高い米でございます。先生、先ほど五十三年産米は過剰処理対象ではないかという御指摘がございましたが、これは主食用に充当されない場合は過剰処理をしてよろしいということでございまして、無理無理過剰処理をしろという形にはなっておりませんので、先ほども申しましたように五十三年産低温古米の中で、特に品位が高くて都道府県なりあるいは関係者からむしろいわば需給操作、階級の中に入れてくれということを言われているものでございますから、これは当然操作に入れて差し支えないもの。しかし、私どもはこれで量をかせぐという感じよりも、むしろ五十四年産ないし五十五年産だけで操作をいたそうとしますと、先ほど申し上げましたように災害の翌年でございますから、品質等の面で特に三等米比重が高いとか古米比率が高いとかあるいは四類、五類についてとかくのうわさがあるとか、そういうことを打ち消しますための質の向上というようなことで考えておりますので、別にこれを使わなければ操作が困難になるというようなことではございません。五十四年産は四月一日現在で六十万トンでございます。五十五年産は先生も御指摘のように約二百九十万トン手持ちがございます。  これがこれから十一月の米穀年度の変わり目にどのように変化していくだろうということでございますが、五十年産から五十二年産につきましては、これは御承知のように過剰処理対象として輸出をしたりあるいは工業用に払い下げをしたり、一部えさ用に払い下げをしたりすることでございますが、これはあくまで見込みでございますので、そういう見込みという前提でお聞き取り願いたいのですが、私どもの考えでは二百五十万トン程度ぐらいまで落ち込んでくるのではないか。これはむしろ過剰処理をすることが食管の財政の問題なり何なりに非常に適切に働くと思います。  それから五十三年産米につきましては、低温古米を全部売り尽くすかどうかというのは、これは需要に応じての話でございますから、先ほどちょっと申し上げましたように申し込みが当面は五万トン程度でございますから、十九万トンみんないくかどうかわかりませんが、それ以外に二年古米について従来からも徳用上原料として売っております。月額三千トン程度でございますから微々たるものでございますが、これはそういう両方の要素を頭に置いて百十九万トンというのを仮に丸めて百万トンぐらいになったと考えますと、いわゆる五十年産米から五十三年産米までの間で先ほど言いました二百五十万トンと三百五十万トンぐらいが十一月ごろに残るのではないか。そういう操作をしますと同時に、四月一日から十一月一日までの主要な操作でございます五十四年産ないし五十五年産の月別の大体の供給量を考えますと、先ほど申しましたように八十万トンないし九十万トンは十分残り得ると考えているわけでございます。そして十一月の一日という年度のときには、すでに従来からの早場米の集まり方から考えますと、二百七十万トンを超えますような五十六年産米が操作の対象に入ってくる可能性を持っているわけでございます。  それから先ほど四万六千ヘクタールの転作をしたから二十五万トンぐらいあるはずだと申しましたのは、先生御指摘のようにその次の年の操作として使える米でございますが、この二十五万トン程度のものは、もし作柄が一〇〇でございまして、政府の考えている単年度需給から見て需要量が同じだとすれば、その単年度需給の外側に出てくる性質でございますから、そういう意味では二十五万トンがいわゆる需給操作の外側へ出てくる、それにそれだけ余分のものとしてなる可能性を持っているということでございます。  それからもう一点御指摘の二百万トン持つべきではないか。それに対して年度末に八十万トンないし九十万トンは不足ではないかという御指摘でございますが、これは災害があるという前提をとりました場合に、災害、特に連年災等がございましたときに食い尽くすような前提で操作を考えませんと、どんな大災害が来ましても二百万トン必ず持っているという操作をするということは、逆に言って四百万トン持たなければできないことでございます。したがいまして、私どもはこういう災害が来ましたときには、ある程度そういう在庫量は減る。しかし、その後これは普通の場合、たとえば作況が一〇〇を超えます場合に積んでいくという手法もありましょうし、極端に在庫量が減れば、若干生産調整を緩めてでも積み増しを早めるような事態もあろうかと思いますが、そういうことがこれからの操作でございまして、こういう戦後二度目の大災害の後にしては、実はたまたま百八十万トン以上のものを持っておりました結果、この百万トンに近いものを持って越年できるのは不幸中の幸いかと思っておりますので、私どもはこれからの備蓄をどう積み増していくかということは、これからの生産調整の問題だけではなくて、たとえば豊作が参りましたときそれを受けとめる材料と申しますか、そういうことにもなります。私ども新備蓄を考えますときに、ありとあらゆる計算方法を使いましていろいろな積み増しの案を考えましたけれども、戦後の食管の歴史の中で見ますれば、こういう備蓄をしてそれを消化するようなことがむしろレアケースで、別に積極的に積み増ししなくても積み増しが行われて、結果的に過剰になったというのがむしろいままでの経緯でございますので、その辺につきましてはけさほどから御説明をいたしております新しい備蓄方式の中で考えさせていただきたいと思います。
  208. 松沢俊昭

    ○松沢委員 これは私の地元の農業倉庫を調べたのです。政府の倉庫です。去年の六月三十日現在で、五十一年産というのが七万二千百二十一俵あるのです。ところが、ことしの六月二十日現在で五十一年産は幾らあるかということになると七万二千百二十俵です。何も動いていないのです。それで五十四年の米というのは、これはゼロになっている。だから、操作するということになると、あと残っているところ、五十五年の米ですね、十三万七千八十八俵。この分では——二十万人人間が住んでいるのです、月八キロ食べるということになりますと、半月分ないのですよ。そして、倉庫にあるのは全然動かない米なんですよ。これは商品にならぬわけなんです。  それから、いま農協が予約をとっていますね。ところが、その予約の八〇%ぐらいしか農家は申し込んでくれないわけなんですよ。しかも、いま、まだ五十六年の米はできないのですよ。ところが、米屋さんがどんどん農家に入りまして、一俵二万三千円で手金を打って集めているわけなんです。そういうことになりますと、あなた、心配ないんだ、心配ないんだということを言いますけれども、日本の米そのものは心配ないかもしれませんが、流通秩序というのは一体どうなるのですか。政府が計画を立てようとしても、立てることのできない事態に入ってくるのじゃないですか。ですから、過剰基調であるから据え置きをしなければならぬという理屈はないと私は思う。政府は食管を守るということは言っているけれども、食管を守り切れない状況に入ってくるのじゃないですか。  そういうことから判断して、一体米が余っているのか、米が足りないのか、あるいはまたこういう状況の場合において計画的に需要、供給の関係というものをきちんとしていくのにはどうするかという判断で米価は決めていかなければならぬじゃないですか。そういう点はどうお考えになりますか。
  209. 石川弘

    石川説明員 先生の御地域における在庫のことでございますが、在庫は全般的に見まして、比較的品位の高い米を持っている地帯に少なく、そうでない地域に多いというのが実情でございます。それから、必ずしもそれだけとは言えませんのは、たとえば輸出等を相当いたしておりますので、立地上輸出に便利なところにある米が比較的早く出ていくというような事態もございます。  しかし、いま申し上げましたのは、先ほど私が数字で申し上げたものをそのまま県別に落としてみましても、総集計量は合致をいたしておりますから、特定の地域に米がないということが全体地域の米がないということにはならないかと思います。  それからもう一つ御指摘の予約申し込みの現状でございますが、つい最近、予約限度の事前売り渡し申し込みの受け付けを開始したばかりで、まだ日がございませんけれども、七月十一日現在で、私どもが予約をとっております割合から申しますと、ウルチで八二%、モチで七〇%、計八二%をすでに受け付けておりまして、例年並みの進捗状況かと考えております。県においては、一挙に一日で一〇〇%という予約申し込みをなさったところもございます。  それからもう一点、自主流通米と申しますか、比較的良質米についていわば青田買い的に手金を打ってやっているのではないかという御指摘でございます。私どももそういう話をときどき耳にいたしますので、関係の食糧事務所あるいは関係集荷業界等を通じましてそういう実態を調査いたしておりますが、そういうことが集団的にかつ大規模に行われているというような事実はないようでございますけれども、確かに先生御指摘のようなうわさを耳にしますので、これからも厳格にそういう点を取り締まり、指導してまいりたいと思います。特に、今回食管法を改正いたしまして集荷業者の地位と責任を明確にいたしまして、そういう違法行為をした場合に、従来とは違って、そういう業として指定を受けずして集荷を行いますときに厳しく扱うようにしましたのは、こういうふうに需給均衡してまいりまして、正規の業者が的確にやることを期待してやったわけでございますので、それが一月から施行される寸前にそういう乱れがあってはなりませんので、関係の集荷団体なりそれから都道府県あるいは食糧事務所を通じまして厳格にそういう取り扱いをしていきたいと思います。  何かそういう特段の違法行為が行われるというような事態がございますれば、早速私どもの方でそういう実情をはっきりさせまして、農協も全量集荷ということにいま努めているわけでございますから、正規のルートに乗せていきたいと思っております。
  210. 松沢俊昭

    ○松沢委員 いや、だからそれが問題なんじゃないですか。米の値段というのは実質的におきましては、ここにも日経の新聞を持ってきておりますけれども、二万六千円ですね、二万三千円、高いのは二万七千円で売れているわけですよ。それが実際の相場になっているわけだ。だから一万七千円だとか一万八千円などというのは相場でない、低米価なんですよ。それを押しつけて、集まらぬから適切な指導をやるということは、これははっきり申し上げますなら、強権で押さえつけることになるのじゃないですか。実際は米の値段は上がっているのですよ。政府が得手勝手なことをやって、そして販売数量によって賃金を出していくのだなどということになりますと、これははっきり言うと、理屈から言って合わぬでしょう。それじゃ、農村地帯の方は賃金がうんと高くなって、都会に近いところは賃金が安くなるという理屈になるのじゃないですか。現実とは逆な結果が出るわけですよ。販売数量労賃が関連性があるなんて、そう言う数学の先生は私は日本国じゅう探しても世界じゅう探してもいないと思うのです。全くでたらめな、上げないためのいろいろな工夫をやって押さえつけているわけなんです。そしていま申し上げるとおり、どんどんどんどん横の方へ出てしまうということになれば、需給操作はできないということになるのじゃないですか。そしてできなかった場合においては、今度は、要するに業者を使って圧力をかけて、安い値段で出しなさい、こうなる。これは強権発動じゃないですか。こういうやり方は決して民主的なやり方じゃないと私は思うのですよ。だから、いまの米価の据え置きというのは民主的ではないと私は思うのですよ。だから農民が騒ぐんだと思うのですよ。そういう点をやはりはっきりさせていかなければ、米のないときには強権発動をやる、そういう法律になるのじゃないかということを食管法の改正のとき私は指摘しておきましたのですが、まさにいまそういう状況になりつつあるのじゃないですか。とにかく商品にならぬ米は幾らあっても商品になりませんわ。農産物だけじゃありませんでしょう。商店のたなに並べられているところの商品にしたところで、何年たっても売れないなどという物は全部欠損処分でやらなければならぬということになるのじゃないですか。五十一年、五十二年、来年になれば五十三年の米などというのは売れない米なのでありまするから、これは欠損処分でやっていかなければだめなんですよ。問題は、やはりそれ以外の米が本当に余裕があるのかどうか、その判断でやはり米価というのは決めるべきなんじゃないか。そうでないと、私がいま指摘しましたように、そういう強権によって低米価で駆り集めるという結果になるのじゃないですか。その点を心配しているし、現に価格の面におきましても、政府米価よりもはるかに高い値段で取引が行われているわけなんです。日経の自由米とはというところの解説に出ていますけれども、これはいわゆるやみ米ということなんだ、これが二百万トンから三百万トン流通していると思われる、こういう解説がちゃんとここに出ているのですよ。ですから、あなた方のように低米価を農民に押しつけるとやはりうんと不正規流通米というのが出てくる。操作できなくなる。できないから、今度は権力によって押さえつけて集めろ、こういうことに通ずると私は思います。そういう点は政務次官、どうですか。政務次官の方がいいでしょう。
  211. 石川弘

    石川説明員 先生よく御承知の上でおっしゃっているのではないかと思うのですが、いま先生のおっしゃっておりますのは、自由米の相場が高いから、そういう形でむしろ米が集まるのではないかというお話でございますけれども、本当に自由米で二万六千円とか八千円とかという相場で米を売れるのならば、一部で言いますように、なぜ自主流通に政府が千三百億も金を出して助成をしているのだということを、何と申しますか勇気づけるような発言になるわけですけれども、私は決してそうは思っていないわけでございます。ほんの少数の者が必要上やむを得ずやります取引の相場のことを自由米相場と書いているわけでございまして、二万六千円とか二万八千円で百万トンの米が動いたとかなんとかという事実はございません。私はよくそういうことを書きます新聞に言うのですが、もし二万六千円とか二万八千円と書かれるのなら、その値段で何俵動いたかを書くのが流通情報ではないか。あの新聞はどう読んでみましても、値段は書いてありますが、取引数量は書いてありません。したがって、そういうものは米の流通の主力としてなされている価格ではなくて、あくまで生産者団体である全農と販売団体が年間取り決めて円滑に動かしている水準が自主流通米の相場だと私は思うわけでございます。その相場につきましては、御承知のように需給事情を反映いたしますから、五十三年産ないし五十四年産のように、良質米といえども過剰になりました場合に建て値を通しにくかったという事態はございますが、そういう面からすれば、政府が五十三年産以前の米につきましてこれを流通から隔離いたしております結果として、五十四年ないし五十六年等については比較的建て値は立てやすい条件になっているのではなかろうかということでございます。私どもは、やはり自主流通に必要な助成をしませんと円滑な流通がなされないと思っているわけでございまして、やみ値のような高さで自由に米が動くような状態でございますれば、政府とすればそういう多額の自主流通助成をする必要はないわけでございますので、その点は、そういう一部の新聞等に書いてあります相場というのは決して米が自由に流通できる価格ではないと私どもは考えているわけでございます。
  212. 松沢俊昭

    ○松沢委員 これで終わりますけれども、私は自主流通米の助成金を切れなんて言っているわけではありませんが、しかしそういう矛盾が出てきているのじゃないか。減反政策にしたってそうじゃないですか。財政負担がだんだんかさばってくる、そうなると結局減反奨励金そのものが財政負担になってくる。だから、三期以降は減反奨励金から脱却したところの減反をやらなければならない、こういう問題がもうすでに出てきているわけなんでありますから、結局無理なことをやっていくと次から次へと矛盾があらわれてくる。ですから、上がるべき要素があったならば素直に米を上げるべきだ、これがまともな農政だと私は思うのです。そういう点でまともな農政をやってもらいたい、それについて最後に政務次官の方からも御答弁を願いまして終わります。
  213. 志賀節

    ○志賀説明員 私も実は今月をもちまして政務次官まる一年でございまして、まともな農政とは何ぞやについて真剣に取り組んでおるつもりでございます。先生の御指摘のまともな農政ということはもっともな御意見でございますが、もとよりこれには主観の相違もあろうかと思います。私は、まともな農政に向かって今後とも邁進をさせていただきますし、先生のきょうの御質問の御趣旨も十分に頭に置いてまいりたいと思います。ありがとうございました。
  214. 松沢俊昭

    ○松沢委員 では、終わります。
  215. 田邉國男

    田邉委員長 本日は、これにて散会いたします。     午後五時二十三分散会