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1981-06-26 第94回国会 衆議院 農林水産委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十六年六月二十六日(金曜日)     午前十一時開議  出席委員    委員長 田邉 國男君    理事 菊池福治郎君 理事 羽田  孜君    理事 福島 譲二君 理事 新盛 辰雄君    理事 松沢 俊昭君 理事 武田 一夫君    理事 稲富 稜人君       逢沢 英雄君    上草 義輝君       亀井 善之君    岸田 文武君       北口  博君    近藤 元次君       佐藤  隆君    高橋 辰夫君       保利 耕輔君    三池  信君       渡辺 省一君    小川 国彦君       島田 琢郎君    田中 恒利君       日野 市朗君    安井 吉典君       吉浦 忠治君    神田  厚君       寺前  巖君    木村 守男君  委員外出席者         農林水産政務次         官       志賀  節君         農林水産大臣官         房技術総括審議         官       山極 栄司君         農林水産大臣官         房審議官    矢崎 市朗君         農林水産大臣官         房審議官    高畑 三夫君         農林水産省経済         局統計情報部長 関根 秋男君         農林水産省畜産         局長      森実 孝郎君         農林水産技術会         議事務局長   川嶋 良一君         食糧庁次長   石川  弘君         水産庁長官   今村 宣夫君         気象庁総務部企         画課長     駒林  誠君         気象庁予報部長         期予報課長   菊池 幸雄君         農林水産委員会         調査室長    小沼  勇君     ————————————— 委員の異動 六月五日  辞任         補欠選任   上草 義輝君     正示啓次郎君   小里 貞利君     小渡 三郎君 同日  辞任         補欠選任   小渡 三郎君     小里 貞利君   正示啓次郎君     上草 義輝君     ————————————— 六月六日  一、総合食糧管理法案安井吉典君外八名提    出、衆法第三二号)  二、農産物自給の促進及び備蓄の確保のため   の農業生産振興に関する法律案安井吉典   君外八名提出、衆法第四三号)  三、栽培漁業振興法案武田一夫君外三名提    出、衆法第四四号)  四、農林水産業振興に関する件  五、農林水産物に関する件  六、農林水産業団体に関する件  七、農林水産金融に関する件  八、農林漁業災害補償制度に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  農林水産業振興に関する件(生産者麦価問題  等)      ————◇—————
  2. 田邉國男

    田邉委員長 これより会議開きます。  農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  この際、昭和五十六年産麦政府買い入れ価格米価審議会への諮問について、政府から説明を求めます。石川食糧庁次長
  3. 石川弘

    石川説明員 五十六年産麦政府買い入れ価格算定内容につきまして御説明をさせていただきたいと思います。  お手元に、諮問諮問内容でございます価格算定内容を書きましたペーパーをお配りいたしておりますが、それを用いまして御説明をさせていただきます。  御承知のように麦の政府買い入れ価格につきましては、食管法規定に、昭和二十五年と二十六年の政府買い入れ価格平均に対しまして農業パリティ指数を乗じて算出されました額を下回らないようにという規定と、これを基準にして麦の生産事情その他の経済事情を参酌して再生産確保することを旨として定めると書いてございます。この規定に従いまして昭和五十二年以降は、米価審議会における生産者麦価算定方式に関する決定を踏まえまして、麦の生産振興を図るという観点から、法定されておりますパリティ価格生産振興奨励金を含めました水準を考慮して調整を加えるという方式をいたしておるわけでございます。  五十二年産算定におきましては、当時麦の生産伸びていなかったという事情がございまして、それを生産振興するという観点から、当時パリティ価格の外側に二千三百円の生産振興奨励金がございましたが、これをも含めました数字パリティでスライドアップするという方法をとりまして、五十二年、五十三年、五十四年もこの方式を採用したわけでございます。  御承知のように、その後麦の生産が順調に伸びてまいりまして、昨年の麦価算定におきましては、生産振興奨励金につきまして、前年産でございます五十四年産奨励金の額を据え置きまして、これを含めました額を麦価とするという方式をとったわけでございます。  そういう経過がございまして麦生産伸びてきたわけでございますが、本年の算定方式につきましては、いまから御説明いたしますような形で、本体パリティを掛けるというところは全く同様でございますが、生産振興奨励金の取り扱いにつきまして、麦生産が比較的順調に拡大をしているという状況を踏まえまして、この調整の額につきまして若干の修正を試みて調整額を加算するという方式を基本的にとっております。  そこで、資料で御説明をいたしますと、お手元資料の中の算定方式は、食管法施行令附録第一に算式が定められておりまして、これでいわゆるパリティ価格を算出するわけでございます。非常に長い連鎖式で書いてございますけれども、簡単に申しますと、求めますパリティ価格と申しますのは、先ほど申しました昭和二十五年と二十六年の政府買い入れ価格平均昭和五十六年五月のパリティ指数を乗じて答えを求めるということでございます。このパリティを求めます数字は、大変複雑な式になっておりますが、一言で申しますと、パリティ指数は、農家家計及び経営の両面におきまして支出いたしますものあるいは役務の価格指数でありまして、これをできるだけ二十五、六年から現時点まで的確に反映させるということから、御承知のように昭和三十二年、三十五年、昭和四十年、四十五年、それから五十年と五回にわたりまして、農家支出構造の変化に即応いたしまして、農家購入品等品目及びそのウエートについて改定を行ってきたものでございます。  この数字がお手元資料の二ページから三ページ、さらに四ページにかけまして何年の指定品目の評価というぐあいにずっと書いてございますが、これが各年度ごと数字でございまして、これを連鎖式によりましてつなぎまして五十六年の五月まで引っ張ってきているわけでございます。  途中五ページのところに若干、それで出てきました数字の中に九八・六七分の四九九・一六という数字がございますが、これは御承知のように、基準年次の二十五、六年の麦価算定のころは三ないし二月を基準としてやっておりましたものを、現在四ないし三月という基準を一〇〇とする指数に改めます形で一カ月ずらすためにこういう算定をいたしておりますが、そういう手法は従来ともとっている手法でございまして、こういうような形でパリティ指数が出てまいるわけでございます。  それに先ほど申しました平均価格を掛けましたものが五ページの下段に書きました、小麦につきまして八千五百二十九円、大麦、これは実は五十二・五キロで書いてございまして、後ほど五十キロに算定し直すわけでございますが、六千五百四十一円、裸麦につきまして八千八百七十八円という数字が出てまいるわけでございます。  次に、六ページからの指数でございますが、これは御承知のようにパリティ価格に五十二年以降調整額を加えておるわけでございますが、この調整額の出し方でございます。  調整額の出し方につきましては、最近におきます国内産の麦の生産事情を考慮いたしまして、引き続き生産振興を図るという必要があるわけでございますが、この際、麦の生産が非常に安定的に伸びてまいっておりまして、そういう生産性向上部分をこういう調整額に若干調整をして答えを出すという方式を今回とっておりまして、これは五十四年、五十五年の調整額二千五百七十二円に、最近におきます十アール当たり収量年平均上昇率、ここに書いてあります一・〇二一六という数字がございますが、その数字の逆数を掛けまして、単収向上の率と申しますか、そういうものを乗じまして若干の減額を行っているわけでございます。  ここにありますように、そういう指数で割りますと生産振興奨励金が二千五百十八円という数字が出てまいります。この数字小麦について算出される額でございますが、従来とも生産振興奨励金につきましては、小麦大麦裸麦いずれも同様の生産振興奨励額を加えておりますので、これを小麦あるいは小麦と同様の算定方式によりまして大麦裸麦についても加えることといたしております。  ただ、ここにございますように、大麦につきましては五十キロの単位での価格を決めておりますので、大麦につきましては六十分の五十というのを掛けまして一俵当たり奨励額を出しているわけでございます。最後に求める額が七ページにございますように、PプラスAということで、小麦大麦裸麦につきましてそれぞれの価格が出てまいるわけでございます。  最後に、八ページをお開きいただきますと、ことしの諮問いたしております価格小麦につきましては一万一千四十七円、対前年比三百四十三円の増加伸び率で申しますと三・二形でございます。それから大麦につきましては五十キロでございますが、八千三百二十八円、これは対前年比二百四十五円増でございまして、伸び率が三・〇三になります。裸麦につきましては一万一千三百九十六円、三百六十円の増加で三・二六%の増加でございます。  それから付属の資料としまして五十六年五月の農業パリティ指数算定値を書いてございますが、これは皆さん御承知のように経営家計と両部門に分かれておりまして、比率で申しますと経営が約三で家計が七というようなバランスでございまして、五十年基準からの伸び率で申しますと、経営で比較的高い伸び率になっていますのは光熱費あたり、それから労賃のあたりが比較的高うございます。家計で申しますと光熱とか、あるいは教育、教養といったところの比率伸びが高いわけでございます。  十ページ以下は、そのパリティ算定します場合の個別の品目等につきまして、その品目なりウエートというものを書いてあるわけでございます。  大変簡単でございますが、以上が本年の麦の算定方式でございます。
  4. 田邉國男

    田邉委員長 以上で説明は終わりました。     —————————————
  5. 田邉國男

    田邉委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松沢俊昭君。
  6. 松沢俊昭

    松沢委員 きょう麦の価格諮問するところの米価審議会が開かれまして、新聞を見ますと来月の七日は米価の前広米審、そして十三、十四が本番米審、こういう日程になってまいりましたので、例年の米価のシーズンに入ったわけなんであります。  しかし、ことしの状況というのは大変厳しいものがございまして、とりわけいま第二臨調が始動いたしております。去る二十二日各部会報告がございましたが、それを新聞によって見ますと非常に農業の問題につきましては厳しくて、しかも具体的である。特に麦価等につきましては買い上げの価格、それから売り渡しの価格等においても注文をつけまして、総体的には赤字を出してはならぬ、こういう報告になっておりますが、これらの部会報告農林省側ではどう受けとめておられるのか。要するに、この臨調報告どおりにいけば大変日本農業そのものに重大な支障というのが出てくるのじゃないかと私は心配しておりますが、その辺、政務次官来ておられますので、お答え願いたいと思います。
  7. 志賀節

    志賀説明員 松沢先生ただいまお話しございましたとおり、きょうは麦価諮問いたします関係上、亀岡農林水産大臣米価審議会に出席しておりますので、かわって私が答弁させていただきたいと存じます。  御承知のとおり、臨時行政調査会第一特別部会及び第二特別部会は、先般二十二日でございますが、調査会に対して「行政在り方見直しによる中央地方における支出削減収入確保について」及び「行政在り方見直しによる中央地方における合理化効率化について」という部会報告を行ったところでございます。  特別部会報告は、第一部会関係では、食糧管理制度水田利用再編対策農業基盤整備等農政全般に関し広範な指摘がなされておりまして、第二部会関係では、公務員の定員削減強化特殊法人役職員定数の縮減、補助職員合理化等、国、地方を通ずる行政部門減量化効率化のための措置が幅広く提言されているわけでございます。  現在の厳しい財政事情のもとで貴重な国費を投入していく以上、今後の農政各界各層の十分な御理解を得つつ推進する必要がございまして、その意味で今般の部会報告は、ゼロシーリングとあわせて考えれば、きわめて厳しい内容と私どもは受けとめておるわけでございます。  数日前の自民党におきます臨調に関する報告会がございました席上、瀬島龍委員が見えまして、土光会長経団連会長としていろいろ財界筋から要望等をたくさんしょわされることをがえんじない、これが姿勢だというわけでございますけれども経団連には臨調会長をお引き受けになってから一度も行っておられないというお話とか、あるいはまた一日臨調を各地で行っておるわけでございますが、この際、国費の冗費を避ける意味から、八十有余歳でありながら委員各位とともに日帰りを断行しておられる、こういうような厳しい姿勢も聞かされまして、この提言に対する賛成、反対のいかんはともあれ、こういう姿勢で臨んでおられるわけでございますから、今後調査会の正式な答申を待った上で慎重な上にも慎重な検討を行いまして、ゼロシーリングによる五十七年度概算要求と厳正な組織、定員要求に省を挙げて取り組みたい、努力してまいりたい、こういう姿勢でございます。
  8. 松沢俊昭

    松沢委員 昨年の春の国会におきましても、食糧自給力強化に関するところの決議というのが全会一致で採択をされているわけでございます。なかんずくこの麦は大方が外国依存ということになっておりますので、将来の二十年先、三十年先を展望いたしました場合におきまして、世界的な人口増、そして食糧がそのわりあいに生産増にはなっていかない、これはどこの予測もそういうような基調に実はなっているわけなんであります。特に日本の場合におきましては現在自給率が三四%、こういう状態でございまして、これの引き上げをやるというには、やはり外国の麦に頼らない日本国内麦相当重点をかけていかなければならない。もう一つは、やはりえさ穀類を相当生産していかなければ自給率向上を図るというわけにはいかぬじゃないか、こんなぐあいに実は考えるわけなんであります。  そういう観点に立って、きょう米価審議会諮問されましたところの諮問案は、去年と方式はやや同じ、いわゆる生産振興奨励金を除外して、そして本体に対してパリティを掛けて生産振興奨励金を足す、ただ、足す場合におきましては、いままでよりも減額をして足す、こういうやり方なんであります。  これは私たちの考え方からいたしますと恐らく——麦外麦に依存して、全く壊滅寸前というところの状態まで入ったわけなんですね。それを生産振興奨励金というものをつけて、さらにそれを基本麦価の中に組み入れて、農林省の方でもいろいろそういう工夫をこらされまして、それで今日まで麦作振興をやってこられた。そのことによって、農林省の方からいただきました麦価をめぐるところの資料にも出ておりますように、大変に伸び率というのが高まってきている。しかし、去年、基本麦価の中に織り込まれるはずの生産振興奨励金を引っ張り出して、そして本体にだけ掛けるというやり方をしてある程度とめられると、やはり麦作面積というのは伸び率が下がっているのではないか、こんなぐあいに考えるのですが、一体政府はそういうような状況というものにつきましてどのようにお考えになっているのか、その点お伺いしたいと思うのです。
  9. 石川弘

    石川説明員 お答えいたします。  御指摘のように、五十一年前後から麦の生産にいろいろな施策を集中してまいりまして、御承知のように十七万ヘクタール程度まで落ち込みましたものがその後大変順調に伸びてまいりました。麦は御承知のように現時点食糧といたしまして考えても一〇%程度自給でございまして、これが長期見通しで二〇%の線、小麦で申しますとめん用を完全自給するという線まではぜひ持っていきたいと私ども思っておりまして、そういう面では、過去の五十二年、五十三年、五十四年の算定方式はそういうことに大変益したものだと考えております。  ただ、率直に申しますと、いわばアクセルを踏むという踏み方につきましても、かなり強く踏む踏み方と、需要動向等を見まして、やはりそれに若干の手心を加えるというような要素がございませんと、一本棒のように伸びてまいりました結果、品質の問題等も含めまして、若干あつれきが生じてきていることも事実でございます。  したがいまして、私どもは、基本的には国内の麦、特に小麦の増産につきましては今後もその方向を堅持するわけでございますが、パリティにプラスします生産振興奨励金考え方につきまして若干の調整をしながら生産動向を見守って、いまの生産の増の動向が安定的に続くようでございますればそういう方向に持っていきたい。ここ数年の伸びは、実はこの種の農産物伸びといたしましては、端的に申しますと破格の伸びでございまして、そういう一本調子にいくことに、むしろ需要サイドで問題ができました場合にかえって国内麦の将来の自給という問題にマイナスもあるのではないかということも考えまして、いわば私どもの気持ちを率直に申しますと、アクセルの踏み方に若干手心を加えた程度でございまして、生産増強を将来的に見込んでいる点につきましては従来とは変わっていないわけでございます。
  10. 松沢俊昭

    松沢委員 非常に事務的な質問になりますけれども昭和五十二年から生産振興奨励金を加えてパリティ指数を掛ける、こういうやり方をとってこられたわけなんでありますが、昨年からそれを除外して答えを出されたわけですね。掛けて足して、そして答えを出す。昨年除外しないで答えを出したら麦価幾らになったのか、また、除外をしないで、そして減額をしないでことしの麦価を出した場合、麦価は一体幾らになるのか、それをひとつ説明してもらいたいと思います。
  11. 石川弘

    石川説明員 昨年同様の方式をとりました場合の小麦価格は一万一千百一円でございます。  それから、もし根っこからパリティを掛けてというお話がございましたが、ただいま計算をいたしましてお答えをいたします。
  12. 松沢俊昭

    松沢委員 麦作はこれからも進めていかなければならぬ、ただアクセルの踏み方というものが一つ問題なんだ、こういうお話であります。  そこでひとつお伺いしたいわけでありますが、この農林省からもらったところの資料を見ますと、麦作が非常に進んでいるというのが、北海道関東東山、それから九州、こういうぐあいになっているようであります。そこで北海道労働時間というのを見ますと、十アール当たり四・二時間、関東東山が十アール当たり四十六・三時間、九州が六十・四時間、統計はこうなって出ているわけであります。  そこで、これからの麦作振興していく場合におきまして、これを単に平均して労働時間というのがどの程度であるというやり方をやりますと、やはり府県麦作振興というものはそう思うぐあいに伸びていかないということになるのではないか、私はこういう心配を実はいたしているわけなんでありまして、やはり府県基礎にしながら全体的な麦価決定や、あるいはまた麦作振興というものを考えていかなければ、日本の麦の生産を思うぐあいに伸ばしていくというわけにはいかぬと思うのです。この辺大変な開きになるのですけれども、その開きにつきましてどういう御見解を持っておられるのか、お伺いしたいと思います。
  13. 石川弘

    石川説明員 御承知のように、北海道は大変広大な経営面積を持っておりまして、大型機械を駆使してやります関係上、いま御指摘のように、特に労働時間が僅少で済むということはございます。もちろんそれなりの大きな資本装備をいたしますから、経営上にいろいろ問題があることは事実でございます。ただ、麦価につきまして、地域的な価格を設定しまして麦価を運用するということは事実上困難でございまして、私どもとしましては、やはり全国における麦作農家というものを頭に置きまして、そこで生産性向上なりあるいは経営の改善なりが行われますれば、そういうことも織り込んだ価格を決めていきたいというのが基本的立場でございます。  先生指摘のように、北海道内地でかなり数字の差がありますことは事実でございまして、そういう場合に、それでは北海道だけがあらゆる数字伸びてまいりまして、内地都府県伸びないという状況でございますと、御指摘の問題が拡大するわけでございますが、近年の傾向は、実は北海道内地の基本的な経営差はございますけれども内地都府県につきましても御承知のような集団化とかそういうことが進んでまいりまして、戸当たり経営面積だとか、あるいは耕作機械を使用します度合いだとか労働時間というものはそれなりの短縮をいたしております。御指摘がございますような都府県というものを通じていろんな数字も見たわけでございますが、都府県だけの数字を見ましても、実はこの平均値の、平均的に合理化が進んでおりますのと同じテンポで実は進んでおるようでございまして、要は、北海道都府県の基本的な規模の差というものは縮まりませんけれどもそれなり合理化都府県においても行われている、そういう指標がございますので、私ども、従来と同様に一応全国平均的なものを算定基礎に使って麦価算定をやっておるわけでございます。
  14. 松沢俊昭

    松沢委員 私は、北海道府県というのを分けて、そして価格を決めるべきであってという主張をやっているのではないのでありまして、そうではなしに、府県の方の麦作状況からしますと、大変規模も小さい、労働時間もかかっているわけなんだから、したがって価格を決めるなり麦作政策を打ち出すにしても、やはり府県を土台にして、そして価格なり政策なりというのを打ち出していくべきなんではないか、こういうことを言っているわけなんでありまして、分けるという主張ではございませんので、誤解のないように願いたいと思うわけなんです。  それで、ずっといままで、五十二年あたりからの麦作伸び率ですね、それはこの説明からいたしますと、二〇%、三〇%伸びてきている、こういう説明でありますが、しかし去年の麦価算定方法が変わったことによって伸び率が下がっているのじゃないですか、どうですか。
  15. 石川弘

    石川説明員 麦につきましては、御承知のように単年度収量差が相当ございます。米よりもはるかにそういう意味では安定性がございませんで、たとえば五十六年につきましても、大麦等につきまして主要産地で若干単収の伸びなどが抑えられているということもございますけれども、作付の面積自身は順調に伸びてきているわけでございます。小麦につきましては特に順調に伸びてまいっておりまして、昨年の麦価算定方式がことしの麦作について特段の影響があるとは私どもは考えておらないわけでございます。
  16. 松沢俊昭

    松沢委員 その面積伸び率というのがございましたならばひとつ出してもらいたい。
  17. 石川弘

    石川説明員 ここ数年の伸び率を申し上げます。  小麦につきましては、五十二年までは御承知のように八万ヘクタールから九万ヘクタール弱でございましたけれども、五十三年に十一万ヘクタール、これは対前年の伸び率として三〇%伸びております。それから五十四年が十四万九千ヘクタールでございまして、これが三三%伸びております。それから五十五年につきましては、十九万一千ヘクタール、二八%でございます。それから五十六年は、二十二万ヘクタールでございますので、一五%程度伸びと考えております。これは御承知のようにだんだんふえてまいりますので、率で申しますと若干すぼむようなことになるわけでございますが、増加面積として考えましては相当な面積伸びているわけでございます。  それから六条につきましては、伸び率だけで申しますと、五十三年が一四%、五十四年が三九%、五十五年が二五%、五十六年の見込みが二五%でございます。  それから二条につきましては、五十三、五十四が三一%とか二〇%伸びまして、その後五十五、五十六はほぼ横ばいでございます。  裸麦面積が一万数千ヘクタールでございますから、余り率として考えるほどの変化はございません。
  18. 松沢俊昭

    松沢委員 次長の説明からしましても、ずっと順調に伸びてきたのが、ちょっと計算の方法を変えるとやはり敏感に影響が出てくる、これだけは間違いないと思うわけなんであります。  そこで、やっとここまできているわけなんでありますが、御承知のように、食管法の一部改正のときにおきましても、当初の原案は、麦価の問題についてもこれは手をつけるということになっておりましたのですが、その後変更されまして、今回の一部改正にはそれが取り上げられなかった。しかし、臨調報告などからしますと大変また厳しくなってきている。こういう点で、せっかく麦作振興をここまで農林省が力を入れてやってきたのを今度暫時後退をさせる。実は去年から後退をさせているという以外に解釈のしようがないわけなんであります。  ことしあたり生産奨励金を値切るなんという、これもやはり後退させると思うのです。そこへ持ってきて臨調がまたああいう部会報告をやっている。農林省の方でも一部改正のときにおいてはこれを切り捨てをやろうという考え方が当初ありました。これがその後修正されたということでありますが、この先、来年もまた財政の問題からして奨励金というものを削っていく、最終的には奨励金をとってしまう、こういう危険な方向へ歩き始めたのではないかというぐあいに私は危惧をいたしておるのですが、食糧庁の方ではどういうお考えなんですか。
  19. 石川弘

    石川説明員 麦の生産状況を見ながらやはり価格を考えていかなければならないと思っておりまして、私ども、先ほどから申し上げておりますように、麦につきましては他の作物とは比較にならない順調な姿で生産が拡大してまいっておりますので、そういう要素も若干組み入れました生産振興奨励のやり方を考えたわけでございますが、これは将来ともこういう考え方でずっと踏襲するのかどうかということは、やはり麦の生産状況を見ながら考える必要があると思っておりますので、法律に書かれましたとおりパリティ基礎といたしまして、それにそのときどきの生産事情を加味した生産振興奨励を行うというのが基本でございまして、ことしの減額方法、これはたとえば単収でやったわけでございますが、そういうものが決定的なものかどうかというのは、若干今後の推移を見てやる必要があろうかと考えております。
  20. 松沢俊昭

    松沢委員 これも農林省の方から出してもらった資料でございますけれども、米の場合におきましては、六十キロ当たりの逆ざやですね、千二百八十三円、それから麦の場合におきましては、これは売買逆ざやでありますが六千八百九十二円、こういうふうに出ているわけなんですね。  こういう資料をお出しになるということは、まあ米が千二百八十三円という状態のときに麦が六千円以上の売買逆ざやがあるというのは、これは財政的に問題があるのじゃないか、こういうことを示唆するところのデータだと私は思うのです。この米の千二百八十三円というふうになったというのも、実はおおむね五カ年で赤字の解消をやるという方針を打ち出されて、そして生産米価というのを抑えて消費者米価を引き上げる、こういう方法でやってこられたわけなんでありまして、その結果はどうかとなりますと、農家農業収入というのがもう激減をするという状態になっているわけなんですね。  そして、一方におきましては米が余っているから麦ですよということで麦の奨励をやる、麦はどんどん伸びてくる、そうすると今度逆ざやが六千八百九十二円にもなる、これまた大変だということで、また生産者の価格を抑えていくということになりますと、これは生産農家の立場からすると、どっちへ行ってもだめじゃないか、こうなるのですね。  米はだめだから麦をつくりなさい、今度は麦に赤字が出てくるから麦の価格を下げる、こういうようなことになれば、麦の方へ行ってもだめ、米の方へ行ってもだめ、日本農業全体がだめになるじゃないか、こういう結果に現実になりつつあるわけなんでありまして、そうなった場合、農家生産意欲というのは非常にそがれることになるわけです。自給力を高める、自給率向上をやる、こういうことを盛んに言っても、こういう価格政策であっては自給率は高まらないと私は思いますので、そういう点は一体どうお考えになっているか、お伺いを申し上げます。
  21. 石川弘

    石川説明員 御指摘のように、逆ざやとかあるいは財政負担という観点だけから申しますと、米の方がはるかに政府にとって財政負担の少ない作物でございます。しかしながら、国民が必要とします食糧というものをなるべく国内自給できるものは自給しようというたてまえから、麦につきましても、先ほど申しましたように小麦めん用の一〇〇%自給をやるということを言っているわけでございまして、そういう面では財政負担はむしろ米より重いかもしれませんが、六十五年見通しの線まではわれわれとしては小麦生産を伸ばしていきたいということでございまして、あの逆ざやをお示ししました表は、決してそのことによって小麦生産を抑圧するという趣旨のものではございません。  ただ、やはり国民各層の御理解を得ます際に、麦についても生産性向上いたしましてコストをより低減できるという見通しが全くございませんと、財政論というのが前向きに出てくるというおそれもございますので、私どもかねがね申しておりますように、効率的な麦生産にだんだん誘導することによって、それは米よりは財政負担は多いかもしれませんけれども、必要な量を自給するということについて消費者も含めた全体的な理解ができるような態勢に持っていきたいというのが基本的な考え方でございます。
  22. 松沢俊昭

    松沢委員 これで終わりますが、とにかく十日に臨調の中間答申というのが出てくるわけなんでありまして、その影響というのをやはり農業団体も農民団体もみんな注目しているところであります。日本の財界主導型のそういう臨調の答申、農業団体関係からはだれ一人この臨調のメンバーに加わっていないわけなんであります。農業というものは金がかかるのだ、金をかけなかったならば日本農業というものはつぶれてしまうのだ、こういう不退転の構えでやはり農林省もがんばってもらわなければ、これは本当に大変なことになるのじゃないかと私は思うわけなんであります。  そういう意味で、今回の麦価諮問のこの答えを見ましても、その臨調考え方に対しまして開き直ったというところの答えは出ておりません。ですから、やはりある程度開き直って日本農業を守るという決意を固めていただきたいという御注文をつけまして、私の質問を終わります。
  23. 田邉國男

    田邉委員長 島田琢郎君。
  24. 島田琢郎

    ○島田委員 いま石川次長から、特に小麦についてアクセルを踏み過ぎる、こういうお話がありまして、六十五年見通しというものについて、それは確実に達成するという構えではあるけれども、どうもテンポが早過ぎてまいっているといったような意味説明があったのでありますが、私は結論から言えば、それなら六十五年見通しを変えればいいじゃないか。何といったって国内の穀物の自給率を高めていく最大の戦略作物は麦だ、こういうふうに位置づけしてもいいと私は思っているのです。  ですから、何も六十五年見通しにこだわらなくたって、これだけ生産が順調に伸びるなら、国内自給率は、どれだけ鳴り物入りで宣伝もし、また力を入れてきても、四%まで落ち込んだ自給率を二けた台にのせることはなかなかむずかしいというような状況の中にあるわけですから、むしろ私は喜ぶべきことだと思っているのですが、どうも政府側のお考えを再々にわたって聞いていると、困ったものだという考えの方が先に立っているように思えてなりませんが、私のこの提案に対してはいかがですか。
  25. 石川弘

    石川説明員 困ったというつもりで申し上げたのではございませんが、一つの作物が生産がどんどん伸びてまいりまして、これがやはり需要サイドとぴったりつながって利用されていくわけでございますが、そのテンポが著しく早い場合に、どうしても利用の面での若干の障害が起こっているということも事実でございます。私どもそういうことを困っているということよりも、むしろそういうものを円滑にこなしながら国内産麦というものを十分使える態勢に持っていきたいというのが基本でございます。  先ほどアクセルと申し上げましたのは、単年度で二〇とか三〇という大きい伸び率が実は連年続きましたものですから、若干そういうものに対応する態勢が手おくれをしているということを申し上げたわけでございまして、最終的に目標に到達するように、しかもいま先生おっしゃいましたように見通しでございますから、これが一年早いか遅いかというようなことを論議しているわけではございませんが、やはりなだらかに上昇してそれが需要に結びつくというのが一番必要ではないか、それを願って今後麦の諸施策をやらなければいかぬと思っているわけでございます。
  26. 島田琢郎

    ○島田委員 ぼくは生産に対応する姿勢としては、やはりそれを正確に消化できるという、つまり受けざらというものが一つは必要だと思う。それからもう一つは、やはり政策的な積極的な誘導というものがあって、そういうものが三位一体になって初めてそこに成果が上がるわけであります。  ところが、全体の農業政策、ここに立ちますと、私どもは厳しく政府姿勢を追及しているのでありますけれども、たとえば麦が年率二〇%以上も近年上がっているとおっしゃいますが、しかし北海道で言えば昨年の作付面積はおよそ十万ヘクタールであります。しかしそのうち四万ヘクタール、つまり四割は稲転によるものであります。米から麦に転作されている。こういうことなんですから、私は米の減反政策の中でも厳しく指摘しましたけれども、米をつくるなと言うのなら一体何をつくるのか。そういう中から特定作物として麦も位置づけされ、北海道においては麦が四万ヘクタール畑作専業地帯に上乗せされて、現状十万ヘクタールに迫る作付がなされている。  つまり、減反政策が打ち出されたなら、その受けざらとなるべきものは何なのかという、そういうものがきちっと想定されて、それが政策的にきちっと提起されてきて初めてよしきたということになるのではないのか。ところがそういう受けざらが全くなくて、麦をつくったらえらい伸び過ぎて困っちゃった、実需はこれに追いつかない、こう言うのですけれども、そういうものが、六十五年見通しで言えばこれからですけれども、いままでで言えば、五十五年見通しできちっとやってくるということがなくてはならなかったはずであります。その中間において、米をつくる状態からほかの作物への転換ということが打ち出されてきたのですから、そのときから今日を想定しておかなければならないはずだし、想定するだけでは済まなくて、それを具体的に受けざらするべきものがなかったら、それは政策の一貫性を欠くということになりはしないのか、まさにその指摘状態にいま陥っているわけです。  だから、できたものだけ言われて、おまえらっくり過ぎる、こう言われたって、一体それじゃ米の後に何をつくれと言うのかと開き直りたぐなるわけであります。この辺の一貫性が全く欠けている。しかも今度は麦を一生懸命つくれと言うからやったところが、生産性向上部分だと言ってメリットはみんな農林省に持っていかれてしまう、これではどうも血も涙もないやり方であって、まさに政策の一貫性を欠いていると私は断ぜざるを得ないのですが、いかがですか。
  27. 石川弘

    石川説明員 最初に申し上げましたように、困っているという趣旨で申し上げたのではございませんで、生産性が上がってまいりまして、それに応じた生産振興のあり方はどうしたらいいかという問題になっているのではないかと思います。  最初、御承知のように五十一、二年、かなりの強度の助成措置もいたしました。初めは思ったほど進まなかったわけでございますが、やはりこれが浸透してまいりまして、大変なテンポで伸びてまいりまして、いま御指摘のように水田利用再編対策との関係もございますけれども、非常に伸びてまいった。  この段階で、いわばパリティでつくられました価格に上乗せします生産振興奨励金をどう扱うかという、それだけの意味アクセルの踏み過ぎかどうかと申し上げたわけでございまして、基本的には私どもいまの順調な伸びというのを続けていただくことは結構なわけでございますが、それを生産振興奨励金にたとえばパリティを掛けるとか、あるいは同額で据え置くという趣旨でやるのかどうかということで若干の議論のあるところではないかということでございます。  そういう意味では私ども、御指摘のように生産伸びてまいりますとそれなりの流通加工問題があるわけでございまして、現在、まさしく国内麦につきまして、従来の非常な小規模生産のものからかなり大量かつ均質的なものを円滑に流すという段階に参ったわけでございますので、麦に対する施策の重点をむしろそういうところに移していかなければいかぬのではないか。そういうことも含めて、国内麦が円滑に需要サイドに引き継がれるようにというところに政策の力点が相当向けられる必要があるのではないか、そういう意味で申し上げたわけでございます。
  28. 島田琢郎

    ○島田委員 石川さんは困っているということで言っているのではないと言っても、いろいろなファクターを積み上げてみますと、政府側としてはその対応が実は後追いになっているものだから私はそう言わなければならぬ、こう思うのです。  たとえば実需面のお話がありました。しかし、これもまた結論を申し上げますが、麦はまだ一〇%台にのらない自給率なんですね。つまり、九〇%以上外国から買ってきているのです。米とは違うのですね。単純明快ではないでしょうか。国内伸びてきた分だけ外国から入るのを減らせばいいわけです。需給のバランスはずばりつくのではないでしょうか。そっちの方をやらないで、国内伸びてきたところだけで実需関係も考えようとするから無理があるのです。いまの実需の実態はどうなっているのですか。
  29. 石川弘

    石川説明員 数字で申し上げますと、先生がおっしゃったようなことが実際の数字にございまして、国内生産されます小麦で申し上げますと、政府の買い入れ量が五十年は十七万三千トンでございましたのが、五十五年には四十五万七千トンでございます。この間に二十八万四千トンの増加がございます。これに対しまして外国小麦は、五十年の数字で申しますと、買い入れ量が四百四十三万トンございましたが、これを五十五年で申しますと四百十六万八千トン、二十六万六千トン減少させております。  この差、これはほぼ同じ数字でございますが、若干差が小さいのは国内需要の増がございますけれども、結果的には国内生産されました小麦増加はそれだけ外国小麦の輸入の減、これは小麦につきまして現在一人当たりの消費量が年間大体三十一キロ前後にとまっておりますものですから、国内産をふやすものは外国産を減らすという形で需給を均衡させているわけでございます。
  30. 島田琢郎

    ○島田委員 そうすると極端なことを言えば、国内麦が二倍、三倍になってもそういう仕組みで対応する、こう理解していいですね。
  31. 石川弘

    石川説明員 用途につきまして若干の制約がございまして、御承知のように長期見通しの中では、めん用小麦の一〇〇%自給ということを頭に置いていまのところプランがなされておるわけでございます。したがいまして、ハード系の麦につきましては国内生産がいまのところなかなか見通せないという問題があるものでございますから、そういう意味での制約はございますが、いま申しましためん用小麦自給するという基本的な考え方から申しますれば、国内産が増強されます場合に外国産を減額するというのは既定の方針でございます。  問題は、要するに質の問題が絡んでまいりましていろいろ需要者サイドにフリクションがございますので、ここは品種の改善だとかあるいは各種の流通関係の努力というものをいまからじみちにやって、いま申しましたようなことが円滑に需要サイドにつながるようにするのがこれからの重要な観点ではないかと思っております。
  32. 島田琢郎

    ○島田委員 さて、その実需、つまりユーザーの実態でありますけれども、いま国内小麦はその大半をめん用に向けていくという方針だ、こういうお話であります。いまのめん用に向けるべき小麦の実需の実態というのはどうなっておりますか。
  33. 石川弘

    石川説明員 現在、めん用に向けられております総需要量は百三十四万トン前後でございます。ただ、めん用の中でもたとえば中華めんといったようなものは全部ハード系でございますので、こういうところは実は国内産の麦は需要サイドとしてはなかなかっなげないものでございます。その百三十四万トンの内訳でございますが、生うどんとかそばが二十八万トン、それから生中華が三十二万トンぐらいでございますか、それから乾めんが二十九万トン、即席メンが二十九万トン、その他が十六万トンでございます。
  34. 島田琢郎

    ○島田委員 めん用に使われる小麦の量が百三十四万トンと言えば、国内産麦はたかだか六十万か六十二、三万トンでありますから、これは倍になったって実は消化し切れるわけですね。では、どこに問題があるのでしょうか、いまちょっとお触れになったが、中華用のものはハード系でないと使う上でちょっと問題があるという指摘でありますけれども
  35. 石川弘

    石川説明員 先ほど申しました百三十四万トンのめん用の中で内麦使用が可能だと私ども考えておりますのは、いま言いました生うどん、そばのところ、それから乾めんのところが主力でございます。これは将来見通しでございますが、その両方で約八十万トン前後のものが使用可能ではないかと推測いたしております。もちろん生中華なり即席めんについても若干のソフト系の麦も使えるということでございますので、当然そういうところについても、これは両方合わせましても十万トン前後でございますが、そういうようなものも使用を期待した計画をつくって、先ほど申しましたようなめん用小麦の一〇〇%自給という考え方をつくったわけでございます。
  36. 島田琢郎

    ○島田委員 そこで、国内小麦の半分を占める北海道小麦についてでありますけれども、そうすると北海道小麦というのはどういうふうに位置づけをしようと考えているのですか。
  37. 石川弘

    石川説明員 北海道生産性が一番高い地帯でございまして、しかも大量なものを供給できるという意味では、将来におけるわが国の小麦生産の主力基地であると考えております。ただ、現時点におきましては、北海道の麦がめん用適性において若干問題があるというような指摘もございまして、これは御承知のようにいろいろな品種の改良問題その他も含めて、将来的な位置づけをしていかなければならないと考えております。
  38. 島田琢郎

    ○島田委員 北海道小麦については、いま次長が言われたような品質上の問題、それは品種から来るものでありますが、具体的に言えばハード系でもなしソフト系でもなし、きわめて中途半端だ。だから、めん用に向けるでもなしパン用に向けるでもなし、困ったものだ、こうなるのであります。  しかし、小麦をつくっているわれわれ農家は、こういう宙ぶらりんな、中途半端だなんと指摘されている小麦を好んでつくっているわけじゃない。品種改良というのは、言うまでもありませんが、ことし始めて来年完成するものじゃない。いままでだって、やれムカがいいと言うから一生懸命ムカをつくった。ところがそのうちに、やれ腰が弱いの、アミノ数値が低いのとイチャモンをつけられる。これだって農林省が奨励したから一生懸命つくった。それは時代とともに需要というものの態様と生産というものが変化をしていくということを否定する考えで私は申し上げるものではないのですが、品種改良というものはなかなか問題があるわけですね。ムカがだめだと言うから、一体何をつくればいいのか、ホロシリだ、タクネだ、どうも最近はそれもうまくない、こんなふうに朝令暮改、ネコの目のように変わっていく品種に、実際に耕作をしている農家は振り回されて、実は農家自身も困り果てているというのが実態なんです。  それじゃ将来とも北海道の麦というものをどういう品種で、どういう用途に、そしてそれはどれくらいの面積で何方トンくらいの生産ということを、少なくとも全国の半分の生産量を占めている北海道でありますから、その辺のいわゆる目標というものを明確に示してもらう、このことがいま一番必要なときではないかというふうに考えるのです。  どうもお聞きする範囲においては、品種改良思うに任せぬ、こういう状況の中で、これが完成するのが十二、三年先だなどと聞かされては、その間それじゃ一体北海道は、まま子扱いされて売るにも売れず使ってももらえずという悩みを抱えながら麦をつくっていかなければならぬのか。もとの水田の面積に戻してくれると言うなら話は別であります。二次減反で半分に減った水田、この中から麦をつくらざるを得ないという、またそういう強い要求のもとに置かれているのも北海道の麦つくり農家だ。この辺の明確な方針というものをやはり一刻も早く明示してもらうことが、不安を解消する最大の決め手ではないかと私は思うのですが、こういう考え方はもうすでに省内でまとまっているのでしょうか。その辺お聞きをしたい。これは農蚕園芸局も所管でしょうし、技術会議もその衝に当たっているでしょう。三者からお答えをいただきたい。
  39. 川嶋良一

    ○川嶋説明員 最初に、小麦の品種改良につきましてお答え申し上げます。一先生先ほどからお挙げになりましたように、北海道の品種改良につきましては最近非常に力を入れておりまして、いろいろと新種を出しているわけでございますが、私どもといたしましては、できるだけ早く世の中に新種を出したいということで、でき次第出しているわけでございます。それは現在の水準から一歩でも二歩でも早く引き上げていきたい、こういうことで出しているわけでございますので、品種の更新が非常に早いということは、ある意味では実際につくっている方々には大変御迷惑ではあるわけですけれども、一方では品種の改良が進んでいることでもございますので、私どもとしては、できるだけ早く安定して品質のいい品種をつくることについて今後とも努力をしてまいりたいと思っているわけでございます。  ただ、世界的に見まして、小麦の栽培される条件からいいますと大変厳しいわけでございますので、大変品種改良はむずかしいわけでございますが、こういう状況でございますので、私ども全力を挙げてこれから努力をしてまいりたいと思っております。     〔委員長退席、菊池委員長代理着席〕
  40. 高畑三夫

    ○高畑説明員 麦生産の基本的な考え方につきましては、先ほど食糧庁からも御答弁がありましたように、昨年閣議決定いたしました農産物の長期需給見通しに即しまして、生産性向上を図りながら需要に見合った生産振興を図っていく、同時に、転作麦の振興を軸としまして、総合的な自給力の向上を図るということにあるわけでございますが、その際、特に小麦につきまして品質向上、物流の合理化といったこともあわせて推進する必要があると考えておるわけでございます。  北海道につきまして、この数カ年の麦の面積の拡大につきましては、確かに御指摘のような転作の拡大に伴います小麦の相当高いテンポの拡大というものがあるわけでございます。もちろん、長期見通しの目標から見ますと、まだ相当拡大の余地があるわけでございますから、北海道小麦生産につきまして、現時点で特段どうというわけでございません。生産振興につきましては、やはりあくまで生産性向上、品質向上、物流の合理化といったことがあわせて推進される必要があると考えておるわけでございます。  ただ、北海道麦作につきましては、先ほどの品質上のそういう問題と、もう一つは、畑作におきまして小麦の過作といったことも一部懸念があるというふうに言われておりますので、畑作地域におきましては合理的な輪作体系の確立ということにつきましても十分配慮してまいる必要があると考えております。  以上のようなことで北海道におきます麦作振興を進めてまいりたいと考えております。
  41. 石川弘

    石川説明員 品種改良とかそういうことが進む間、北海道の麦というのはどういう立場かという御設問かと思います。  私ども、御承知のように、北海道麦の引き取りにつきましては、従来いろいろな形での行政指導なり、ある種の助成をやってまいっておりまして、たとえば売却枠の操作みたいなことをやったこともございます。それから、御承知の運賃助成というような手法をとったこともございます。いずれにしましても、そういうできました麦が何とか実需につながるようにという趣旨で行った政策の展開がございまして、これもいろいろな形での努力をしながら進めてきたわけでございます。  そのいろいろな売却枠操作なりあるいは運賃助成といった手法、そういう形だけでは、どうも将来うまく実需を誘導することにならぬというようなこともございまして、御承知のようなバラ化の促進だとか、いろいろな新しい考え方に基づいた、実需との結びつきを円滑化する手法を麦管理改善対策の中等で考えております。そういうことを通じまして、でき上がりましたものが実需につながりにくいということは極力回避する方向で努力していくつもりでございます。
  42. 島田琢郎

    ○島田委員 いまそれぞれの部局からの御説明を聞いていて、私は、まことに失礼な言い方かもしれぬが、これは全く官僚の答弁でございまして、恐らく傍聴席で聞いておられる皆さんだって、何を言っているのか一つもわからなかったと思うのです。言ってみれば、米と麦は、石川さん、あなたのところの責任ですね。おれのところは責任ないみたいな顔をされたのでは困るのであります。食糧庁のしりぬぐいを、まるで高畑さんのところと技術会議の事務局長のところが負っているみたいな感じでしょう。技術会議の事務局長さん、見たところ大変まじめそうだから、これ以上追及する気持ちはないのだけれども、いまのお話を聞いていたら、私も、そこにいて答弁しろと言えば、それくらいの答弁ならできるのですね。そうじゃないのです、私の言いたいのは。  品種改良、われわれは種をまいて、それを乾燥して俵に入れるなりバラにするなりして実需者に向けて売ってもらうというところにいま一生懸命努力をする。それ以上品種改良を農家でやれと言うなら話は別ですよ。どうしようもない品種のところがある。だから、北海道なら将来、実需との関係からいって、どういう品種で一体いつごろまでにそれが完成して、そしてつくる農家に安心してつくれと言えるのか、こういう具体的なものを明示してほしいということをいま申し上げたのですよ。  農蚕園芸局は北海道の畑作ローテーションの問題にもお触れになった。勘違いしてもらったら困りますが、畑作のローテーションは現在きちっと守られているのですよ。麦が十万ヘクタールと言うが、先ほど申し上げたように、そのうちの四万ヘクタールは水田、稲転なんだ。畑作地帯における面積は六万ヘクタール、北海道の畑作面積は三十七万ないし三十八万ヘクタールというところであります。ビートは七万ヘクタールということになりましたが、それを含めたって、麦は六万、豆だって七万、そして芋だって六万四、五千、麦だって水田の転作部分を除けば六万ヘクタール、実にみごとなローテーションが組まれているのです。  ローテーションを崩しているのはほかならぬ食糧庁じゃないですか。不当な減反を押しつけるから、ビートだって八万ヘクタールまでいくかもしれないという問題にいまさらされている。そうやって行政の側からローテーションを乱す、そういう行為が私どもはがまんがならぬ。だから、北海道で輪作の体系をきちっと守っていきたいから、このところできちっとした方針を示してほしい。きょうは麦の問題だから麦のことで、麦は六万ヘクタールでいいのか、あるいはもうともっとつくって八万ヘクタール、十万ヘクタールまで畑作地帯でつくっていいのか。その場合には、いまのタクネだのホロシリでいいのだろうか。実需との関係からいえば、ハード系でいくのか、ソフト系でいくのか、その辺のところをしっかり明示してほしい。  北海道は、何回も言うようですけれども、全国生産の半分の責任を持っているわけです。しかも、いま涙ぐましい努力を重ねている一つの例として申し上げれば、技術会議の事務局長さん、あなたのところに協力しようと思って、一俵当たり五十円拠出して品種改良に乗り出すという方針を決めました。涙ぐましいことなんです。そこまでわれわれが乗り出している。しかし、国の方針が明確でなくて何をつくっていいかわからぬなら、何を品種改良していいかわからぬということになるじゃないでしょうか。  私は多少演説調になりましたけれども、そういう悲痛な気持ちを麦づくり農家も持っているから、それを私は代弁して申し上げているのであります。これ以上、第三次、第四次で減反されてきたときに、一体何に転換していくのだろう。麦をつくったら、またこてんぱんにやっつけられて、北海道の麦はおかしい、こうやられる。つくったものは、かたいかやわらかいかわからぬけれども、こんなものは使い物にならぬなどとまた言われる。どうやって生き延びればいいのでしょうか。ここなんですよ。  いまのお答えでは私は納得ができない。この席でお答えができないというのであれば、少なくとも省内で、私がいま御指摘申し上げた点についてしっかり御論議いただいて、即刻ひとつ北海道麦作振興についての方針といいますか、ターゲットを明らかにしてほしい。紙に書いて示してほしいです。そうでなければ、いいものをつくるように現在努力いたしております、ローテーションを崩さぬようにしてやってもらうようにいたします、実需者の関係からいったら、こんなものをたくさんつくられては困るからとだけ言われたって、私がお尋ねしていることにお答えになっているとは言えないのじゃないでしょうか。少し厳し過ぎる姿勢かもしれませんが、真剣に私は北海道の畑作ローテーションを守っていきたい、そういう立場ですから、ひとつそういう意味でお聞き取りを願いたいのです。  そういう点で言えば、三者それぞれに力を合わせて省内でやっていただかなければならぬが、とりわけ食糧庁は、転作との絡みからふえてきた麦の問題、それについて最大の責任を負うべき部局ではないでしょうか。その石川さんの答えに私は納得ができない。もう一度お答え願いたい。
  43. 石川弘

    石川説明員 私、北海道の麦が使い物にならないというようなことを申し上げているわけではございませんで、そういう需要者側に、いまのところ他の産地の小麦と違った意味で、若干のめん用としての問題があるというようなことを言っている者もあるということを申し上げたわけでございます。現に北海道小麦も完全に最終的には結びつけるように努力をしまして、そのためにいろいろな枠の操作だとかあるいは運賃の問題、これはほかの地域にないことをしながらつないできたのは、やはりそういうできましたものを実需に結びつけるための努力をしてきたわけでございます。  ただ、それがそういう手法だけでは行き詰まってきておるということもございますし、北海道が幸いにして非常に大規模生産をやり、大量のものをつくられるという形でございますから、政策の運用の中で、たとえば大量輸送のための手法としての港湾サイロをつくってみる、そういう方向だとか、いろいろなことを今後そういう展開の方向として考えているわけでございまして、そういういろいろな指摘、たとえば米につきましてもいろいろな指摘がありますけれども、だからといってそういうものを使わないというのではなくて、むしろそういうものをどうやって実需につなぐかという努力を今後していかなければいかぬという意味で申し上げたわけでございます。  そういう意味では、先生の御指摘のように、私どもの立場だけでできないこともございますので、農蚕園芸局なり技術会議と十分相談しまして、私が申しますように、一番コストを安く生産ができる北海道のものを使えないなんという前提で国の麦の対策はつくれぬわけでございますから、いま先生の御指摘のありましたことを十分腹に置きまして、今後の政策展開を考えていきたいと考えております。
  44. 島田琢郎

    ○島田委員 私は、一〇〇%努力していないということで申し上げているつもりはありません。確かにバラ化の問題とか、あるいはカントリーエレベーター、産地サイロの建設にも力を入れよう、こういうことで取り組んできたということについて、一定の評価をするにやぶさかでありません。  ただ、一言で言えば、先ほどから言っていますが、こういう状態というものをやはり相当早い時期から見通しをして、その受けざらとなるべき諸施策があわせて推進されていかないとこのような事態になる、こういうことを指摘したい。つまり、一生懸命いま後ろの方からなわをなっているようなありさまであります。これでは困るのは生産者だ。実需者の一部にも困っているという声もあります。それも私は耳にしているから否定はしません。  そこで、実需に向けます過程における流通問題、これは業務部長の所管でしょうけれども、きょうはいらっしゃらぬが、石川さんは何もかも御存じの方だから、あなたに一つの方針なりあるいは考え方なりを含めてひとつ示唆を願いたいと思うのですけれども、われわれ麦をつくっている立場では非常に不公平だという感じを一つ持っている点がある。  それは何かといいますと、麦は産地買い入れ、こういうことになっていますね。実態もいまそのように進んでいます。しかし、声として出ているのは、北海道の麦を関東臨海地域の製粉工場地帯に持ってくるのには、どうも運賃が問題である。だから、何とか運賃に対して方法を考えてほしい、特に実需者側からそういう声が上がっている。具体的に言えば、せめて釧路や、あるいは試験的にいまつくられております広尾の産地サイロ、この辺のところまでは取りに行くけれども、陸上、内陸部における輸送については、そこまで取りに行くのは煩わしくてしようがない、煩わしいというよりも、金がかかってかなわぬ、何とか考えてほしいという要請が恐らく農林省にも再三再四にわたって出されていると私は思っておりますが、私の耳にもそういう要求が入ってまいっております。  そこが最大のネックかどうか私はわかりませんが、北海道でつくっております私どもの麦は、つくっている者の立場から言えば、何も厄介者だなどと思ってつくっているのではないことは、石川さんと私は全く同じ意見であります。自信を持ってつくってきました。また、自信を持ってこれからもつくるという考えであります。しかし、つくったものが流通しないのでは、これは困ってしまう。ここに新たな手法という説明がいまなされましたけれども、それが含まれているのかどうか、その点もお聞きをしたいのですが、流通面、最大のネックになっておりますその点について、一体どういう具体策をお持ちなのか、この際お聞きをしたいと思います。
  45. 石川弘

    石川説明員 御承知のように麦につきましては、間接統制へ移行をいたしました時点から、極力実需と結びつけて、品質面等も含めた生産の円滑化ということで、いわば政府が結果的には買い入れまして売るという形なんですが、その間の契約につきまして、御承知の契約生産奨励金等を交付いたしまして、実需者との結びつきを強化するという手法をとってきたわけでございます。  その手法でいろいろと、契約生産奨励金等の運用の中で、御承知のように北海道が遠隔の地であるというようなことから、経過的に運賃助成というような手法をとってやってきたわけでございますけれども、この考え方は、基本的にはそういう考え方をとりますと永久にそういう運賃助成という方法に縛りつけざるを得ない、幾ら助成をいたしましても距離が縮まるわけではございませんので、そういう手法が果たして適切なのかどうか。同じ契約生産奨励金というようなもので援助をしていきます場合でも、むしろいま先生も御指摘のように、北海道の場合は大量生産、大量輸送の可能な地域でございますから、そういう輸送手段の合理化といったようなものに使うことが将来的展望につながるのではないか。  それから需要者側におきましても、やはり北海道が相当の生産基地となって、将来内麦の供給基地となるということを考えておりますので、いまのような、たとえば小袋で一々輸送してくるということは運賃が高い、むしろ港湾にそれなりのサイロ等を設けて船輸送にした方がはるかにコストは安くなるのじゃないかといったようなことも考えておりまして、私ども先生さっき御指摘の若干考えるのが遅いという御指摘もそのとおりかと思いますが、私は将来方向とすれば、むしろ、契約生産奨励金といったようなものの活用の仕方も、そういう輸送手段の合理化、そのための施設整備、これについては御承知のように農蚕園芸である種の助成措置もすでにあるわけでございますが、そういう方向が基本ではなかろうかと考えております。  したがいまして、過渡期的にやっておりましたような助成方式を続けるということになりますと、他の地域間とのアンバラ問題も出てまいりますし、それから売却枠の操作等のようなことで無理をいたしますと、これまた他の地域とのひずみも出てまいりますので、やはり北海道生産地域としての優位性というものが生かせるような大量生産、大量輸送、そういうことが可能なような手法に誘導していくのが適切かと思って、そういう考え方のもとに具体化を進めるつもりでございます。
  46. 島田琢郎

    ○島田委員 もう時間がなくなりましたから、私の方から最後の問題を申し上げて終わることにいたしますが、調製機能を最大限に活用しながら等外麦等の発生を防ぐ、いいものをつくる、こういう努力を私たちは忘れておりません。しかしながら、いかんせん天気という問題がある。例年何%かの等外麦が発生するということは避けられないという、北海道の刈り取り時期の天候によります宿命的な一面もまたある。正面切っては、等外麦の買い上げはできません、こうおっしゃるかもしれないが、この辺のところは運用で何とかきちっとしてくれるのだろうなという期待を私は石川さんに持っているのですが、これは後ほどひとつ含めてお答えを願いたい。  統計情報部がおいでだから、北海道で、先ほども松沢委員の質問にもありましたし、あるいはまたこの資料の中にも出ておりますけれども北海道の五十四年産麦は十アール当たりの投下労働時間は三・一時間である、これはどう考えても不思議でならぬ。そんな短く、アメリカ並みの投下労働時間で生産ができているとは思えない。これは統計情報部の統計調査上に何か問題があるのではないかと私は勘ぐらざるを得ない、疑わざるを得ないのでありますが、本当にそんなに短い時間で麦がつくられているのか、そのうちにゼロになってしまうのじゃないか、こう思うのです。  これは、調査農家というのはどういう仕組みでやられているのか、何戸で、どんな規模なのか、そして地域的にはどういうところが調査の対象になったのか。きょうお答えいただく時間がもうなくなってしまいましたので、私は、詳細なそういう調査農家の実態というものを一覧表にでもしてひとつ提出願いたい、こう思うのです。これは委員長にひとつ要求をしておきたいと思うのですが、いかがでしょうか。時間がありますればここでお答えいただこうと思ったのでありますが、私の持ち時間がなくなってしまったのでありまして、後ほどひとつ資料として御提出いただけるかどうか、委員長を通じてお願いを申し上げておきたいと思います。
  47. 菊池幸雄

    菊池委員長代理 資料を後日提出ください。
  48. 島田琢郎

    ○島田委員 それでは、これで質問を終わりますが、石川さん、等外麦のことでちょっとお尋ねをしておきますから、ひとつ前向きの御答弁を願いたい、こう思っております。
  49. 石川弘

    石川説明員 先生御自身おっしゃいますように、形式的に申しますと、等外というのは食用じゃないというような話から始まりますと、買わないという話になるわけでございます。過去におきまして、そういう形で運用しております中で、災害が起きまして、災害対策上やむを得ないという判断になりましたときに過去に買ってある事例があることも事実でございます。ことしの麦の作付、収穫の状況等を十分考えまして方針を決めてまいりたいと思っております。
  50. 菊池幸雄

    菊池委員長代理 安井吉典君。
  51. 安井吉典

    安井委員 きょう農林水産大臣が米審諮問いたしました麦価のありようについては、私もきわめて疑問を持っている一人であります。  そこで、伺いたいのは、二十二日に臨時行政調査会第一特別部会報告が、麦価について「国内麦買入価格については、現行の固定的な算定方式見直し検討を進めるとともに、」とあるわけですが、これを受けておやりになったのか。一説によれば、後でこれは米価のこともありますのであわせて伺いますけれども米価を据え置くとか、麦についてはいままでの算式を変えるとか、そういうようなことを臨調の方と裏で話し合いをして、こちらの文章はそう書かせて、そのとおり農林水産省はこれからの米麦価の問題を処理するのだと、初めからそういう取引のもとに行われている、その一環としてのきょうの諮問だ、こういう説もあるわけです。その辺をひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  52. 石川弘

    石川説明員 麦の算定方式につきましては、前国会で御審議、御可決いただきました食管法改正の際に、私ども昭和二十五、六年の平均値基準としてパリティをつくっていくという、まあ二十五、六年という時点と現在では農家経営とかいろんなものが非常に変わっている、そういう問題とか、あるいはパリティ価格を下らざるものとしと書いてあるところなどが、いわば生産性向上ということが織り込みにくいとか、そういう意味で問題ありといたしまして、内部で検討したことは事実でございます。ただし、御承知のように、現在の麦生産事情等を考えまして、さらに検討を深めようということで、前回の食管法改正には織り込んではございません。  したがいまして、そういう検討につきまして、私どもがこの前の法改正の時点から考えておりますようないろんな検討を進めるというようなことを御示唆になっているものと理解をいたしておりまして、あくまで「算定方式」と申されておりますので、これは法律上の問題点の検討を進めるようにというサゼスチョンではなかろうかと思っております。  したがいまして、今回の私どもがやっております麦価算定そのものにつきましては、法律的な根拠を変えないで、現行の法律に基づいた、しかも調整額の加え方の問題としてやっておるわけでございますので、これに基づいて算定したということではございません。
  53. 安井吉典

    安井委員 そうすると、この臨調部会報告の中の「固定的な算定方式見直し検討を進める」という意味は、現在のパリティ方式食管法規定を変えろというふうに農林水産省はとっているわけですか。
  54. 石川弘

    石川説明員 積極的に変える変えぬという問題までは言及していないかと思いますが、法律上定められておるあの算定方式自身について検討を加えるようにというサゼスチョンではないかと思っております。
  55. 安井吉典

    安井委員 この問の食管法の改正のときに、農林水産省の最初の原案づくりのときには、この麦のパリティ方式を変えるという考え方があったわけですね。それが後に落とされて出てきて、しばらくしてまたよみがえってきて、それからまた国会に提案するときにとうとうこれは削られた。そういうことで国会が決定をしたわけですね。そういう二度三度浮いたり沈んだりして最終的な国会の判断が示された。こういう段階で再び、算式を変えろということについてもう一度国会に諮るというようなことは非常におかしいのじゃないかと思いますが、これは政務次官、どうですか。     〔菊池委員長代理退席、委員長着席〕
  56. 石川弘

    石川説明員 法律の問題といたしましては、前国会で御可決いただいたばかりでございまして、私ども前回検討いたしました際に、さらに検討を深めようということで前回の法改正にはのせなかったわけでございます。したがいまして、急にと申しますか、直ちにまた直す直さぬということになるのではなくて、もう少し麦の生産状況なりを見ながら対応すべきものだと私どもは考えております。
  57. 安井吉典

    安井委員 ですから、この答申の文章を中心にして——これはまだ答申じゃなしに報告ですから、最終的には七月十日の中間答申というのを待たなければなりませんけれども、これについて、麦の問題ではそういう基本的な法律論、法律をどうするかという問題が一つあるということと、それから当面の問題として、全くこれによって算式の見直しを現実にやっているということの問題点、大きな問題と当面の問題と二つあるわけですよ。この二つとも、特にいまわれわれは現実の問題に直面しているわけでありますけれども、この臨調の答申などに早くも呼応するような形で問題を出してきているのではないかということを心配するわけです。  というのは、臨時行政調査会が一生懸命議論していることはわかりますけれども、たった二カ月足らずの議論の中で国の政治全体を結論づけようなんでいうのはどだい無理なんですね。これを読む限りにおいては、日本農業をどう持っていくのか、食糧自給率を上げるのか下げるのか、全く理念なしに、ただ財政を節約できればいい、そういう考え方だけが先に立っている今度の報告ではないか、私はそう思うわけですよ。長く議論をして、私たちも農林水産の問題にみんな携わっていてもなかなかすぐ結論が出ないようなものを、二カ月足らずの議論でばっと問題を持ち出すなどというのは、これは問題がある、そう思うわけでありますだけに、いまのその点について、ひとつ明確な政府としての考え方を堅持して農政に当たっていただかなければならぬ、そう思うわけであります。  それから、ついでですから米の問題もお聞きしてまいりますけれども、この報告の「政府米の売買逆ざやの解消に努める」というその言い方は、だから今度の米の価格はこれを受けて据え置きをするのだ、澤邊農林事務次官の発言として、消費者米価の方を上げるのだという意味のことも言われているそうですね。だから早くもこの結論を、生産米価は据え置いて消費者米価を上げることによって逆ざやを縮めるのだという、つまり生産者と消費者にしわ寄せするかっこうで国の財政を節約するのだ、そういう構想が何かもうすでにでき上がっている、そんな感じがする。  あるいはまた、その次の「品質別需給の動向を踏まえつつ、今後の品質格差の取扱いに適正を期する。」というこの表現からすれば、むしろいまある品質格差はことしの米価のときにはもっと広げるのだという、これを根拠にしてそういうふうなことをあなた方は考えるのじゃないかという心配もある。  あるいはまた、その次の自主流通米の問題についても「自主流通助成の一層の縮減合理化を図る。」こういう提言をそのまままともに受ければ、いまある自主流通米の助成措置が今度の米審あるいは来年度の予算の中で縮められてしまう、そういう問題点も出てくるわけであります。  きょうは麦の段階でありますけれども、この次すぐ米の問題も参ります。売買逆ざやの問題と品質格差の問題、それから自主流通米の助成縮減の問題がこの中に書いてあるわけですね。こういう具体的な提起に対して農林水産省としてはどう考えておりますか。
  58. 志賀節

    志賀説明員 臨調と農林水産省との関係、対応についての御質問をいろいろいただいたわけでございますが、農林水産省としては、臨調のこの報告をむしろ利用、活用してやるなどというような発想はございません。たまたま偶然の一致でただいま安井先生指摘のようなものが出ておりまして、その売買逆ざやの解消であるとかあるいは米の品質を向上させるというような発想がこの段階から出てきたものではないことは御承知のとおりでございます。  むしろ、すでに農林水産省の施策がそのとおり走っておるわけでございまして、もとより表現の強弱はあろうかと思いますが、私個人の考え方からすると、むしろ一部においては臨調は農林水産省の後追いをしているのではないかとすら思われるくらいのところでございます。したがいまして、決して当方が気脈を内々に通じ合ってこういうことをやっておるということではないのだ、このように明言をすることができる次第でございます。  なお、先ほど松沢先生からの御質問にお答えをいたしましたとおり、今後調査会の正式な答申を待った上で慎重な上にも慎重な検討を行って、ゼロシーリングによる五十七年度概算要求、厳正な組織、定員要求に省を挙げて努力をしてまいりたい、こういうことを申し上げておるわけでございまして、まだ中間報告的な段階で、これに相呼応するという段階ではない、このように申し上げたいのであります。  ただ、報告が出た以上は、これを無視するとかあるいはこれが全くなかった段階と同じようなそぶりでいくこともできませんので、これからこの問題について一生懸命勉強を重ねてまいりたい、こういうことでございます。
  59. 安井吉典

    安井委員 次長さん、いま政務次官から総体的な御答弁があったわけですが、私、三つの問題を挙げましたね。これについて具体的にいまの段階のお考えをお答えいただきたい。
  60. 石川弘

    石川説明員 政務次官がおっしゃいましたように、正式の答申になってそれをどう行政に反映させるかという問題でございますので、私、むしろいまどう考えるかというよりも、過去において農林省といたしましては、たとえば売買逆ざやにつきましては、生産者の米価あるいは消費者の米価という形でそれぞれ違った原理でつくられるわけでございますが、そのつくり方の中で売買逆ざやは適正な水準まで縮減した方がいい。特に当初は末端の逆ざやまであったわけでございますが、そういう形で現在の水準まで来たわけでございます。これを現在の水準で売買逆ざやはいいのだということでございませんで、さらに縮減も可能ではなかろうか。ただし、あくまでもそれは生産米価なり消費者米価なりという違った原則から定めた上での話でございます。  それから、品質格差につきましては、御承知のように、さきに品質格差の導入をいたしまして、その後の格差水準が適正かどうかというようなことで、特に北海道、青森等におきましては、特別自主流通制度等を設けて農家の自主的な努力の中でそういうものをいまどう展開するかということをやっておるわけでございまして、先ほどの食管法の改正の際、長官からも申し上げましたように、いまこれを直ちにどうこうするという段階にはないということを長官がはっきり申し上げたと思いますが、そういうことを頭に置いて、将来方向としましては、先生も御承知のとおり、食管法の中で品質というものを頭に置いた需給を考えるということをすでに制度で打ち出しておりますけれども臨調答申でどうこうだからいつどうするというような性質のものではなかろうと思います。  それから、自主流通助成につきましても、これも政務次官からお答えしましたように、過去においてわれわれもある種の合理化措置に努力をしてまいっておりまして、特に昨年におきましては、良質米奨励金につきまして三つの段階を新設しまして、それぞれの合理化措置をとったこと。それからいわゆる流通促進奨励金につきましては、売買逆ざやの縮減に応じた合理化もいたしております。さらに目標達成奨励金についても所要の合理化措置をしておるわけでございまして、われわれがそういう米の管理の面で必要な合理化をするということは当然でございます。  ただ、むちゃくちゃに自主流通助成を減額をいたしまして政府に売った方が有利だという段階になりますれば、自主流通は成り立ちませんで、全部政府に返ってまいりますれば結果的には財政負担が重くなるというようなこともございますから、私ども、いままでも努力をしたそういう方向の中で自主流通助成につきましても所要の検討はいたしますけれども、そのことは決して、ただ切れば済むという問題ではないことは御承知のとおりでございます。
  61. 安井吉典

    安井委員 短い時間ですからもう一点、ことしの異常気象の春先からの状況から見て、これから先どうなるのかという心配がある点、その点を伺っておきたいと思うのです。  たとえば北海道の北部では放牧中の牛が死んだり、それからまた、これは至るところに出ているわけですが、稲も伸びるだけ伸びるが分けつがちっとも進まない、そういうような異常状況が続いておるわけでございます。クーラーが売れないという町の話もありますけれども、われわれのこの農林水産委員会の立場では、去年の二の舞をまた踏むようでは、減反して米が少ない生産のところでまた足りなくなるのじゃないかということも含めて、非常な心配をするわけであります。もう時間がなくなりましたけれども、気象庁おいでいただいておりますね。手短に見通しと、それから農林水産省からのそれへの対応のお考えもあわせてお聞かせをいただきたいと思います。
  62. 菊池幸雄

    菊池説明員 今後の天候ということでございますけれども、まず問題になりますのは梅雨がいつ明けるかということだろうと思います。沖繩、奄美は御承知のようにすでに明けました。その他の地方につきましては、全般に七月半ばから下旬にかけて明ける見込みでありますが、梅雨明けの一番遅い東北地方北部は七月下旬後半になるであろう、そう考えております。  これから梅雨明けまでの平均気温でありますが、これは平年並みかやや低い見込みと考えております。梅雨明けの後、八月前半までは暑くなると考えております。しかし、八月後半には北日本を中心に低温や局地的な大雨の心配があります。八月の平均気温で言いますと、北日本では平年並みかやや低く、その他の地方は平年並み、そう予想しております。  以上でございます。
  63. 山極栄司

    山極説明員 先生御案内のとおり、ことしは四月から五月の中旬までは天候が平年並みでございましたけれども、五月の中旬後半から北日本を中心にしまして低温が参ったわけでございます。特に、御指摘のように北海道に降雪、あるいは東北、北関東等に降霜とか降ひょうを見るということがございまして、野菜とか果樹、桑等につきましては大変な被害が出てきているわけでございますが、一方、水稲につきましても、御指摘のように北日本を中心にして生育がかなりおくれてきているわけでございます。  たとえば、北海道では一ないし五日、これは道東ではたしか五日から九日くらいでございます。東北では五日ないし十日、あるいは青森県の下北地方では十日から十四日、北陸では二ないし五日程度のおくれになっているわけでございます。関東以西につきましては、田植えの終期を迎えている地域が多いわけでございますけれども、一部につきましては多少山間地等につきまして生育のおくれはございますが、低温の影響というものは余りございませんで、生育は平年並みないしは若干のおくれというふうなことになっているわけでございます。  農林水産省といたしましては、御存じのように昨年の経験も生かしまして、これまでも技術指導の徹底に努めてきたわけでございます。いま気象庁の方からお話のございましたような気象の見通しでございますが、今後の生育の見通しにつきましては、気象との関連もございますけれども、水稲の生育が全般にまだ初期段階にあるということでございますので、収量への影響というものは今後の天候いかんにかかわっているわけでございます。しかし、いずれにいたしましても、農林水産省といたしましては、北海道なりあるいは東北等に水稲の生育のおくれが見られますので、今後、気象状況につきましては十分気象庁と連絡をとりまして、現地の実態に的確にこたえられるように技術指導の万全を期してまいりたいというふうに考えているわけでございます。
  64. 安井吉典

    安井委員 終わります。
  65. 田邉國男

    田邉委員長 田中恒利君。
  66. 田中恒利

    ○田中(恒)委員 麦価の問題を中心に据えた委員会でありますが、私は牛乳の問題につきまして、わずかな時間でございますので要点をしぼって御質問をいたしたいと思っております。  先ほど見たわけでありますが、けさの農業新聞にも「泥沼化する牛乳乱売」、これは東京都牛乳商業組合のスーパー調査でありますが、「四五%が一九九円以下(一〇〇〇cc)」こういう大きな見出しの報道がなされております。ともかくいま酪農問題は——米、麦、酪農、果樹、すべてでありますが、非常に深刻な事態に追い込まれております。  御承知のように酪農家が十万五千八百戸、昨年一年間で約一万戸減っておりますね。一日当たり約三十戸近く酪農家が毎日減っておる、こういう状況であります。この酪農経営の悪化の背景にあるものは、言うまでもなく外国乳製品の洪水のような輸入のあおりを食って需給事情が非常に緩和しておるということが一つありますが、同時に、牛乳の販売環境が大変乱れてきておる、ここに当面大きな問題にぶつかっておると思うわけであります。  けさの新聞報道にまつまでもなく、最近スーパー業界の牛乳市場に対する支配力の強化に伴って、非常に乱売が各地に見られて、五割近く千cc二百円を切る、こういうちょっと考えられないような状況が現出をしておるわけでありますが、この事態に対して畜産局は現状をどういうふうに認識し、これにどういう対処を、特に事緊急の対策として立てられておるのか、まずその点からお伺いをしたいと思います。
  67. 森実孝郎

    森実説明員 御指摘のように、牛乳の大宗を占めます飲用乳の価格が、昨年来乱売の過程で急速に小売価格が低下しておることは事実でございます。現在御指摘のように、私ども調査ではもうちょっと高いのではないかと思いますが、紙容器の分だけで申しますと六七、八%のものが二百円を割って売られているという実態でございます。同時に、このことはメーカーの、これは農協、中小、大手、皆そうでございますが、メーカーの小売店に対する納入価格の実質的な値下がりとなっております。現在納入価格は大体百八十七円前後が基本的な建て値でございますが、大体十円から十五円くらいは少なくとも値下がりしているというふうに見ざるを得ないだろうと思っています。  このことが生産者にも当然のことながら悪影響を来しておりまして、従来牛乳は、飲用乳向け生乳についてはいわゆるメーカーと農協との取引の建て値がございます。たとえば内地で言えば、大体百十八円弱がその基本建て値でございますが、これに対して各種のメーカーからの広い意味でのリベートなりあるいは経費の加算等があったわけでございますが、ほとんどこれは全部切られてしまっている。このままの状況で言えば、いまの百十八円弱という建て値を維持するのも非常に困難ではないかという状況が生まれております。  この原因をどう見るかということでございますが、やはり基本的には、一方においては売り手でございますメーカー、これは先ほど申し上げたように中小と農協プラントと大手の三者が混淆して競争しているわけでございます。これが、全国一律ではございませんが、関東初め幾つかの地域で大変な過当競争をやって、安値納入をやっている、多額のリベートを出しているという事実がある。それからもう一つは、買い手の方では、今日の状況からいいますと大手数社のスーパーのバイイングパワーというものが非常に強力になりまして、やはり買いたたく、リベートを要求するという実態があるし、また先ほどの過当競争からそれにメーカーも応じているという実態があることだろうと思います。  こういった問題を通じまして、私どもといたしましては、実態的には、生鮮食品でございます飲用乳についてはやはりバルブを締めていくと申しますか、需給の調整を図っていくことが基本であり、その上に立って先ほど申し上げましたような農協プラント、大手プラント、中小プラントの協調のもとで、やはりスーパーに対して売り値を守っていく、そういう体制をつくらしていくことが必要だろうと思っておりまして、いま乳業、さらに生産者団体と、いろいろ交錯した形で話し合いなり指導を進めているところでございますが、総論賛成、各論反対というふうな問題もありまして、生産者団体の中でも基本論としては意識の統一ができても、地域の問題としてなかなかつかないというところで難航している状況でございます。さらに個別の条件整備には努力してまいりたいし、指導なり勧奨はできるだけ努めていく必要があると思っております。
  68. 田中恒利

    ○田中(恒)委員 それで局長、一つはいま御指摘のあったように、生産者団体が共同販売体制を強化をするために必要な組織的な体制なり、あるいは買いたたきに対応し得るそれぞれの販売条件などについての意識統一もしなければいけないと思います。  すでに酪農についてはいわゆる生産調整生産割り当てを持ち、最近は農林省の方も、御承知のように用途別乳価、いわゆる飲用乳の総量を規制をして、この体制をとっていく、場合によれば共補償をやっていく、こういうものもすでに決定をせられて一定の方向づけは出てきておる。しかし中小プラントなりあるいは農協プラントなどにおいても、既存のいろいろな関係があって、特に買い手市場というこういう市況の中では、いま言われたように総論賛成、各論反対ということでなかなか思うようにいかないという現状があることは私たちも承知をしておりますが、この線はこの線で徐々に進みつつあると思うし、それからこれはいま始まったことじゃないので、これは昔から農業団体が基本にしなければいけない問題だから議論してきたのです。しかし、なかなかそれぞれの地域なりいろいろなつながりがあって十分でないという面があったと思いますが、こういう状況になればなるほど私は生産者組織としてその対応をとらなければいけない、急がなければいけぬ、こういうように思います。  同時にいま一つ、局長も言われたスーパーというものが今日約五割に近い牛乳の支配力というものを持ってきた。昔の牛乳個別販売店にかわって、スーパーの位置が絶対的に強くなってきた。こういうスーパーに対してどういう対策を立てておられるのか。これは私は当面緊急行政指導として、とられる内容の範囲でとっていかなければいけないと思いますが、それらの点についての局長のお考えやこれからの取り組む決意のほどを篤とお伺いしておかなければいけぬと思うのです。
  69. 森実孝郎

    森実説明員 問題はスーパーに対して、特に強力なバイイングパワーを持ったスーパーに対して、独禁法の立場からどういうふうな指摘なり、指導なり、警告を与えていくかという問題が一つあるだろうと思います。それは私も事実だと思います。その場合問題になる点は、恐らく二点あるだろうと思います。  一つは、一つの取引について、仕入れ価格以下の、コストを割る価格でダンピングをしているような事実があるのかどうかという問題だろうと思います。それからもう一つは、今日の圧倒的に強い優越的な地位というものを利用して、リベートという形で実質的に値引き要求をどの程度やっているかという問題だろうと思います。  ただ、この問題は、実はいろいろな具体的な事例については公正取引委員会とも私ども役所の組織として相談をしているわけでございますが、実際問題としては立証が非常にむずかしいという問題が現実にございます。私どもも幾つかの事例の調査をとっていきますが、たとえば販売促進費で取っているものがどういう角度で徴収されているのか、その取引とその販売促進費の照応関係がどうかというふうな、非常にむずかしい問題があります。  そういう意味で、ただいま申し上げました件は、結局独禁法の二条九項の各号に該当する事案として一般指定なり特殊指定として公取によってどうやって指導していただくかということだろうと思いますが、今日の状況を見ますと、実は反対運動が押しかける、あるいはいろいろなアドバイスがあるという、その行われているやさきに、現実に農協プラントからも、中小のプラントからも、場合によっては大手のプラントからも安売りのオファーが行われている。つまり何とか飲用乳に回そうということで、生産者団体の間で激しい競争があって、それがプラントの競争につながっているという実態があるわけです。  私は率直に申し上げまして、今日の牛乳の状況を考えますとき、先生指摘のように、スーパーに対してどういう行政指導なり警告を行うかということは私も大事なことだろうと思いますが、それがいたずらに独走しても、有効な効果を上げられるほど事態は簡単な状況ではないという認識を持っているわけでございます。その意味において、やはりバルブをしっかり締めていくという問題と、乳業間の協調をしっかり維持させる、そういった農協の活動なり、それからもう一つは、乳業者の協調体制というものをむしろ独禁法上適法なものとして評価していただく、こういう状況をつくっていただくことの方が大事ではないだろうかと思うわけでございます。  私ども、これからも御指摘のような点、特に私がいま申し上げましたような二点に着目して必要な調査なり監視は続けてまいりたいし、公取との連絡は密にしてまいりたいと思いますが、何と申しましてもバルブを締めていくという体制が生産者にあり、それに応じて乳業者側が協調するという体制ができない以上は、どうもさいの河原の石積みになってしまうという実態があるわけでございまして、やはりそこを、多少迂遠であってもその基本を固めることに努力をしたい、また指導してまいりたいと思うわけでございます。  その場合、独禁法の運用に当たって、そういった農協のある程度バルブを締める販売計画というものが是認されるかどうか、さらに中小メーカーが協調して商工組合なり何なりをつくってそういうふうな対抗措置をとり、それに農協なり大手が協調していくことが独禁法上どういう扱いを受けるかという問題もありますので、そういう実態を形成する努力をしながら、同時にその面からも、単にスーパーに球を投げるというだけではなくて、生産者なり乳業が行う対応が独禁法上是認されるような状況をつくっていくということも非常に必要だと思いますので、そういう努力は続けてまいりたいと思っているわけでございます。
  70. 田中恒利

    ○田中(恒)委員 独禁法上、いわゆる仕入れ価格を下回ってダンピングで乱売していくということになると、当然これは独禁法に触れるということになるのでしょうが、これは商法上自由取引ですから、余りぎくしゃくするまでもなく、このままいけば、まずたとえば中小のプラント、農協のプラントの中からは、大手はまだ余裕があるでしょうけれども、ぶっつぶれていくのが出てきますよ。  それから一番どろをかぶるのは、今日もうすでに酪農家がこれだけ生産から離脱をしていく状況になっておるわけですから、これはこのまま突き進めていけば結局スーパーだって乳業だってまた逆にもろにかぶるわけなんだから、その辺の状況農林省が中に入って、生産者団体や乳業の関係の方はこれまでの長いしきたりもあって皆さんいろいろ連携をとられておるようですが、新しく今日の日本の食品流通部門の中に進出をしてきたスーパー、これは酪農だけじゃございませんけれども、これを農林省行政の一つの大きなウエートに置いて、このスーパーと農林省とがよく話し合う。現状はこういうことになっておるんだ、おまえさんのところも余り無理なことをしてもらっては大変なことになるが、こんな程度のことから話を始めて、もう少し、何か自粛というと横着だけれども、それじゃできるのかというと首をかしげたくなるけれども、しかし、おたくの方はそのこと自体もやっておるのですか。  私が業界の関係もそれから団体の関係もいろいろ聞いてみると、農林省の方はそっちの方の手はほとんど打たれていないと聞くので、ひとつそこのところをもう少し突っ込んでやってもらわないと、このまま飛ばしておったら、いまの市場が牛乳については買い手市場なんだから、買い手市場ということになったら出す方は弱みになりますよ。ですから、どうしてもじりじり縮まってくると思いますから、そこのところをもう少し踏み出してもらいたいと思っているのだけれども、どうですか。
  71. 森実孝郎

    森実説明員 実は先生の見方と私どもの見方と多少食い違いがあるかもしれませんが、率直な感じを申し上げますと、いまの状況で言いますと、スーパーは非常に巨大化しておりますが、スーパー自体の過当競争が非常に激しいという実態がございます。それからもう一つは、私は地域や個々のプラントの名前を挙げることは避けたいと思いますが、たとえば首都圏での現実の各種の中小プラント、それは農協もありますし商人系もございますが、そのスーパーに対する売り込みの実態は、競争的、排他的な関係が大変強く出てきております。それから、さらに実は北海道内地の飲用乳向け生乳の配分という問題が絡んできております。  私は率直に言いまして、いまの状況で個々のスーパーあるいは業界に協力を求めましても、これは恐らく言っただけになるということは目に見えているというふうに見ざるを得ないだろうと思うのです。私も実はいまの食品産業の実態全体から見まして、乳業だけではなくて、ほかの多くの業種を含めて、ビッグパワーに対して、スーパーマーケットの巨大なバイイングパワーに対してメーカーなり何なりがどうやって結束していけるか、それを国の制度なり行政の上で、従来の独禁法と若干スタンスを変えてどうやって是認していただくかということは非常に重要な課題だと思っておりまして、そういう意味においては、非公式な形でございますが、公正取引委員会にもいろいろな注文やお願いを持続的に行っているという実態があります。  そこで、実は私も、先生の御指摘の判断をいま受け入れることが可能かどうかということは非公式にはいろいろな形でサウンドしてみました。はっきり申し上げると、少なくとも生産者団体が状況に応じてしっかりバルブをとめるという合意がつくれるかどうか。もちろんバルブをとめるためには一定の範囲では計画余乳を出さなければなりませんし、その補てんということも考えなければならぬという問題があるわけでございます。  それからもう一つは、関東が特に激しいわけでございますが、関西地区もそれに次いでおりますが、そういった問題のある地区で、たとえばいま百八十七円という建て値があります。私は実質は十五円、場所によっては二十円割っていると思うのです。それをいまメーカーさんや生産者団体さんは、百八十七円の建て値を守るのだ、二十円、十五円戻すのだという非常に無理なスローガンを掲げておられるのじゃないか。五円でも十円でもしっかり戻すために一定以上のリベートには応じないとか、実質建て値を守るという協調の決心、決定ができるのかどうか。私も実は非公式な形でそれぞれ生産者やメーカーさんの幹部の方には意向をサウンドしたつもりでございます。  しかし、はっきり申し上げると、ちょっと待ってくれというのが偽らざる実態です。生産者団体なりメーカーの中でも、やろうじゃないかと言ってくださる方と、それはちょっと無理だ、もっと行くところまで行かなければ無理だという方と、それからやるけれども一年待ってくれ、私に対する回答も、こう三通りあるような実態でございます。  私は、そういう実態のもとでいま役所が、しかも業界としてまとまってない、相互に非常に厳しい競争をしているスーパー業界に具体的に要請をしても、それは大変おかしなものになってしまう。お言葉を返すようで恐縮でございますが、基本原則だけでもいいから何とかメーカーと生産者の合意ができたところで、それを踏まえて要請をしていく。さらに、一方においては独禁法の問題として論議すべき点は論議していただくというふうに持っていきませんと、そこはなかなか作動しないで、空振りになるだけじゃなくて、かえって紛糾を招くのではないだろうかということを憂慮しております。お気持ちは私もよくわかりますが、なかなかそこは決め手になる材料がないということは御理解を賜りたいと思います。
  72. 田中恒利

    ○田中(恒)委員 時間が余りないのでたくさん質問できないのですけれども、私もいろいろなスーパーの宣伝ビラを集めております。これは宇都宮ですが、百四十八円、こういうのが出ておりますよ。建て値が百八十七円だというのに百四十八円で売っておる。こんなのがあちこちでもう出始めておるわけですよ。これが全部酪農家へしわが寄ってきておるわけです。いま日本の酪農家の中には、乱売がわれわれをこういう状態にしておるのだ、これを何とか手を打ってくれという声が非常に高くなっておるのですよ。  あなたのところで、生産者団体やメーカーの中にいろいろ意見があると言われましたけれども、いま飲用乳の流通をめぐって、ともかくスーパーを中心とする異常な乱売合戦というものに農林省がじっと手をこまねいておって、それでいろいろな三様の意見を聞いてどうしようかということじゃないと私は思うのですよ、いまの段階は。  まず、これを手を打っていただいて、生産者の問題もあります。これはこれなりの動きも始まっております。しかし不十分な面がたくさんあります。もっと強力にやってもらって結構だと思いますけれども、量販店の今日の異常な混乱ぶり、特に大阪、首都圏を中心としたこの両地域について、重点的に通産なり公取なり農林水産省なりが、三者が一体になって当たっていけば、やはり一つの方向が出てくると私は思うのですよ。——いや、あなたは首を振るけれども、それをやらなければいかぬ。やってもらわなければ、何か脈探りみたいなことをやったことでとどまってもらっては困ると思うのです。  私は、きょうは時間がありませんのでこれはもうできませんけれども、この問題はいずれいろいろな形で今後ひとつ意見を述べさせていただきたいと思っております。  終わります。
  73. 田邉國男

  74. 武田一夫

    武田委員 昭和五十六年産の麦の政府買い入れ価格決定を目前にしているわけでありますが、これはこの後に生産米価の問題もございまして、いろいろ深いかかわりがありますものですから、若干の時間、当局にいろいろとお尋ねをしたいと思います。  さて、その前に、まず一つ政務次官にお尋ねしたいのであります。非常に重要な問題として先ほど各委員からもいろいろ話が出てまいりました問題でありますが、世間をいまにぎわしておる行財政改革と農業問題とのかかわりという問題についてお尋ねをいたしたいと思います。  鈴木内閣は命運をかけて行財政改革をやるということでありますが、どうも行財政改革に名をかりた農業に対する風当たりが特に強いということ、特に補助金等の整理など、あらゆる面の農業に対するねらい撃ちが行われているということは、農家の皆さん方あるいは関係団体の皆さん方にとっては非常な不安とともに言い知れぬ不満を抱いているのは事実でありまして、各地におきましてそうした声をわれわれは見聞きするわけであります。  そこで、こうした一つの風潮というものに対しまして、当局といたしましては今後どのような姿勢でこれを受けとめていくか、こういう問題につきましての今後の対応をひとつ政務次官からお聞かせをいただきたい、こういうふうに思うわけでございます。
  75. 志賀節

    志賀説明員 すでに同様の御趣旨の御質問に対しまして松沢先生安井先生にお答えをさしていただきましたので、若干方向を変えた点からお答えをきしていただきたいと思います。  ただいま先生の御指摘のように、もし農林水産関係だけがねらい撃ちになるのであれば、これは当然行政面における大変へんぱな姿でございますので、この反省と是正を求めて、少なくとも私自身は反対の態度をとらなければいけないと考えております。  しかし、過般、二十二日でございますか、臨時行政調査会に対して行われた第一特別部会、第二特別部会報告等を拝見いたします限り、必ずしも農林水産関係だけではないことがわかって、まあ安堵の胸と申しますか、そういう点では安堵するわけでございます。しかし、まだまだ詰めなければいけない点があろうかと思いますので、この点は、いずれ正式な答申を待った上でこれに対する対応をさせていただきたい。当然、そのことについては慎重な上にも慎重な検討を要するわけでございますので、農林水産省といたしましてはその姿勢を堅持をするつもりでございます。  ただ、同じ補助金をとりましても、ざっくばらんなお話をいたしますと、地元の方で大変求めておられる補助金もある反面、何か押しかけ女房的な補助金なきにしもあらずと私は判断をいたしておりまして、そういう点での事宜に即した立て分けはつけるべき時期に来ておるのではないだろうか。そういう点で、臨調のいろいろな考え方をしっかり受けとめ、検討をさせていただきながら、その面も明確にしていくべきではないかというのが私の考え方でございます。
  76. 武田一夫

    武田委員 いま政務次官の話されたこと、私も理解できます。  そこで、行政改革に関連した問題として、転作奨励金には手をつけることはしないということを断言できないか、できるか、この点はどうなんですか。
  77. 高畑三夫

    ○高畑説明員 先般出されました臨調の第一特別部会報告の中に、水田利用再編につきまして御提言がございます。私ども拝見いたしておりますが、先ほど政務次官からお答えいたしましたように、近く正式の臨時行政調査会としての答申が出るという予定でもございますので、また正式に出ました段階で十分慎重に検討さしていただきたいと思っておりますが、先般の特別部会報告に関しまして、水田利用再編対策につきましても、現体系の枠組みを維持すべきことにつきましては御理解を得たものと考えておるわけでございます。そのような考え方でおりますので、また正式に答申が出ました段階で十分検討さしていただきたいと思っております。  特に、水田利用再編奨励補助金の水準等につきましても、現体系の枠組みの基本要素と考えておりますので、先ほど申し上げましたような考え方をしておるわけでございます。
  78. 武田一夫

    武田委員 しないとはっきり言ってほしいのだね。  大臣は、ちょっと前に聞いたときには、せっかく二期対策を農家の皆さん方にお願いして、これからさらに一生懸命努力してもらうときであるのだから、私はそういうことはさせません、こう言っているのですからね。農林水産省も、大臣のその心を踏まえて、この場ではっきりそんなことは絶対しないと政務次官が言わないから大蔵省に攻められるのですよ。その点、私ははっきりしていただきたいと思うのです。  それで、最近澤邊次官が麦の奨励金削減を示唆するような発言をしていると新聞に載っているわけであります。生産性向上に見合った奨励金の軽減が世間の理解を受けることができるというようなことを言っているわけであります。これは事実だと思うのですが、この発言をどう思いますか。
  79. 石川弘

    石川説明員 お答えいたします。  次官が発言なさったという記事は、多分麦価算定につきまして、けさほど御説明いたしましたように、パリティで乗じます基本的な価格部分と、五十二年以来生産振興奨励金として加えられる部分があるわけでございますが、その生産振興奨励金部分について、最近における単収向上等を考慮いたしまして一定の減額をするということをサゼストされたことではなかろうかと思います。特段、別の補助金をどうこうするという御趣旨ではなくて、本日御説明いたしました麦価算定に用います生産振興奨励金の加算額について若干の調整をするということではなかろうかと思っております。
  80. 武田一夫

    武田委員 そこで、この麦価の問題について、それと関係して入っていきます。  今回、小麦三・二、それから大麦三・〇三、裸麦が三・二六、そういう程度の引き上げということで説明があったわけでありますが、この数字が出てきた根拠をもう少し詳細に説明をしてもらいたいと思うのです。
  81. 石川弘

    石川説明員 お答えをいたします。  麦につきまして、御承知のように二十五年と六年の政府の買い入れ価格平均額にその後のパリティ指数を掛けるわけでございますが、それを掛けました本体と、それから昨年まで生産振興奨励金としてございました二千五百七十二円という、この二つの部分からなっているわけでございます。  まず、本体の部分につきましては、けさほど御説明しましたような基本額にパリティ指数を掛けますとそれぞれの金額が出てまいりますが、ここまでは自動的と申しますか、計算すればそうなるという自動的な数字でございます。     〔委員長退席、菊池委員長代理着席〕  いま御指摘のありましたのは、生産振興奨励金として調整をいたしましたその金額、二千五百七十二円が二千五百十八円となっておりますが、そこをどうして計算したかという御趣旨かと思います。  これにつきましては、最近におきます麦の単収の向上をどう見るかということでございますが、昭和四十四年から昭和四十八年まで五カ年間の単収がございますが、その中の最高と最低を引きまして三カ年平均をいたしますと、四十四年から四十八年の平均単収は二百六十キログラムでございます。例の織り込みをいたします起点でありました五十一年から五十五年、昨年まで、この五年間の中でやはり最低と最高を引きまして三カ年平均いたしますと、この間の平均単収が三百二キロでございます。したがいまして、この二百六十キロから三百二キロに上がりました年の平均伸び率が一・〇二一六という数字でございます。その数字を使いまして、その逆数を掛けましたものがこの二千五百十八円でございます。そこで、この二千五百十八円を小麦パリティのところに足しまして小麦価格を出しました。  それから大麦あるいは裸麦につきましても、従来の生産振興奨励金がいずれも小麦と同額のものを加えておりますので、いま申しました二千五百十八円、これは大麦につきましては五十キロ換算をいたしておりますので金額が違いますが、それをそれぞれ足しましたのが、きょうお諮りをしております麦価算定方式でございます。
  82. 武田一夫

    武田委員 わかりました。  そこで私は、そういう内容の話を聞いていると、また麦の生産が非常に急増している、それから生産性向上が目立っているというようなことを考えた中で、生産振興奨励金相当に調整係数を導入してこの引き下げをしたということになるわけでありますから、この点はちょっと一いままで低迷を続けてきたこの麦の生産が、ようやく五十三年以降、特に転作奨励金等々のいわゆる配慮によって、農家の方々も米並みの所得が可能であるということで、大変な苦労の中で転作をして麦を植えてきている、それが各地においてどんどん広がってまいりまして、機運がこう上向いているときでありますから、私は、この生産が急増したというのは非常に好ましい事態だと思うわけです。今後もそれがどんどん続いていって、昭和六十五年の見通しにあるような目標というものが可能な方向へ誘導していくのは、これは施策の大事なポイントだと思うわけです。それからまた、生産性向上が目立っている、これは結構なことだと思うのですね。ただし、それがいまの時点ではまだ定着していない、これからが本格的に定着をさせる時期だ、私はこう思うわけです。  であるならば、こうしたときにこそ、多少の苦しいことがあってもそこに努力をして、こうした引き下げなどをしないで、そのまま奨励の方向で軌道に乗せて、一つの固定した安定的な経営、そういうものができるところで判断するという方向麦作振興の上で非常に重要なポイントだと私は思うのですが、この点はどういうふうにお考えでしょうか。
  83. 石川弘

    石川説明員 私どもも、こういう時期にどのような判断をして生産を伸ばしていくかということにつきましては、昨年来いろいろと検討していたわけでございまして、御承知のように、一昨年までは生産振興奨励金にまでもパリティを掛けるという手法をやってきたわけでございます。したがいまして、本体伸びると同時に生産振興奨励金伸びた。これは御承知のように、五十一年には二千三百円でありました生産振興奨励金が二千五百七十二円の水準までふくらんでまいりましたのは、そういう手法をとってきたからでございます。  昨年、そういう事態の中で、生産も順調に伸展をいたしますし、麦作に関する諸指標、特に労働時間なり単収なりといういろいろな数字を見ましても、すべていい方向に向いてきたということもございまして、基本の額についてのパリティアップは、これは法律に書いてありますとおり当然の措置ではございますが、生産振興奨励金にまでパリティを掛けるという必要はないし、むしろ国内麦生産についても、やはり国民全体の理解を得るにはそれなり生産性向上のメリットというものを価格にあらわすべきじゃないか、そういう御議論が米審等におきましてもあるいは農政審等におきましても非常に多くございましたので、昨年においては据え置きをしたというのが実態でござ  います。  昨年からことしについて見ましても、そういう方向は基本的に変わっておりません。したがいまして、そういう見直しをいたします際に、極端な議論とすれば、かつて入れました二千三百円という生産振興奨励金の額でも十分じゃないかというような御議論があったり、あるいはいろいろな、単に単収向上だけではなくて労働時間の縮減というような要素も入れれば、もう少し奨励金の額についても検討すべきじゃないかというような御議論もありましたけれども、私どもは、いま先生がおっしゃいましたように、いまはその方向を見守る時期でございますので、そういう極端な奨励措置の変更ということについてはやはり時期尚早ではなかろうか。現在やれますのは、先ほど申しました二千五百七十二円という部分について、単収向上で上がってきている傾向程度については配慮してもいいのではなかろうか。昨年来の他の作物の価格支持の中でもその種の手法もとっておりますので、そういう程度に限って奨励額から若干の減額をしたというような考え方でございます。  したがいまして、私ども、麦の生産を増強しようという基本的考え方を変えているわけではございませんで、先ほどちょっと比喩的に申しましたように、決してブレーキを踏んでいるというのではなくて、アクセルの踏み方を若干かげんをしているという程度のことで、こういう形での麦作振興状態を見ながら今後の政策を展開をするというつもりでございます。
  84. 武田一夫

    武田委員 私は、アクセルを踏んでいるつもりでブレーキに足が踏みかかっているというような感じがしないでもないのです。  それでまたさっきの、近年の労働時間の短縮とか生産性向上ということもありますが、それは一部ではそういうことも言えるかもしれないけれども、全体的に見たとき、生産費に対する農家手取り所得の割合というのが低下しているということもあるし、地域的に見ては、北海道を除けば生産性向上というのはこれから本格的に出てくる問題だと私は思うのですね。  ですから、そういう一部地域、これはどんどんそういうところは進めるけれども、それにまだいっていない水準のところをどうするかということを考えたときに、やはりこうした地域の方々に対する配慮というのは、多少というよりも相当きついな、こういうふうに私は思うのですよ。ですから今回の対応につきましても、それと並行しながら、やはりそうした地域の皆さん方が生産性向上によって安定した所得の中で麦作振興に取り組めるという対応も考えてやらないといけない、私はこういうふうに思うわけです。  そこで、その次にちょっとお尋ねしたいのですが、今回のこうした価格決定がそのままなされるとすると、政府としましては、農家の皆さん方が主張している、いわゆる所得補償による再生産確保を基本にその生産振興が図れるような価格にしてほしいという要望が出ていますね、それにこたえるものであるというふうに自信を持って言える値段になるものかどうか、その点どうですか。
  85. 石川弘

    石川説明員 先生の御指摘は、いわば生産振興奨励金の若干の減額をやっているので、そういう面について農家の理解が得にくいのではないかという御指摘かと思います。  私ども、五十二年に米審で答申をいただきました生産者麦価算定方式決定がございます。これは、要するにパリティに所要の生産振興奨励金をつけて価格を決めるようにという御決定でございましたが、その趣旨に従って、先ほど申し上げましたとおりパリティアップはパリティアップをいたしました。それに生産振興奨励金そのものも足しているわけでございまして、しかもその中で先ほどから申しております若干の単収増程度のものを減額したということでございますので、麦作農家の方々についても、われわれがそういう形で麦生産をさらに推進するという考え方は御理解いただけるのではなかろうかと思っておるわけでございます。
  86. 武田一夫

    武田委員 最近もちょっとこういう話を聞きました。ある組合長さんが、われわれは米が余っているからといっていろいろと説得されて転作に踏み切った、断腸の思いで農家を説得して転作に協力をさせてきた、その中で何がいいかというと、やはり比較的安定的にいくであろうと思う麦やあるいは大豆を進めている、しかしながら、これが生産がふえるに従って、財政の問題に絡めて価格抑制にかかってくるような風潮がある、それじゃわれわれは、こういうことが今後進むならば、転作という問題に対する指導というもの、説得はもうできない。そういう本当に切実な現場の方々の胸のうちというものを聞いてほしいな、こういうふうに私は思うわけであります。  やはりそうした方々の努力があって今後の転作並びに麦作振興も大いに力を発揮するわけでありますから、私はその点の当局の御配慮を十分にひとつお願いをしておきたい、こういうふうに思うわけであります。  時間がございませんので、次に、この問題と関係してやはりまた非常に心配されているのは、前々からこの問題は議論されているわけでありますが、外麦の問題ですね。要するに外麦輸入の計画的削減と、それから国内産の麦の優先的利用といいますか、この問題について、どのように今後当局は取り組んでいくつもりかという問題について所見を伺っておきたいと思うのでありますが、いかがでございますか。
  87. 石川弘

    石川説明員 政府の麦管理の需給の操作のあり方でございますけれども、私ども従来から国内産の麦で供給できるものは供給をしていただく、それに不足するものを輸入するという原則で操作をいたしておりまして、そういう意味国内の麦の生産が増強されますと、それは結果的には外麦の輸入を縮減するという姿になっております。  たとえば小麦で申しますと、最近の五カ年間の推移を見ますと、昭和五十年度から五十五年度までの間に、内麦の生産量で申しますと二十四万トンから五十八万トン、結局三十四万トン増加いたしておりまして、これは政府の買い入れ量で申しますと、先ほどちょっと数字でお示ししました十七万トンから四十五万トンということで、二十八万トン増加をいたしております。それに応じまして、食糧用として輸入をいたしております外国小麦につきましては、四百四十三万トンから四百十七万トン、二十六万トン減少をしているわけでございます。  そういうぐあいに、需要側の適性の問題等がございまして、ハード系とかそういう国内生産できないものはやむを得ませんが、外国製品にかわるもので国内生産できますものは当然国内生産を優先させてまいりまして、例の六十五年の見通しの線に達します際には、当然それに対応します外国産の小麦の量というものは縮減をしていく。若干の人口増とかそういうものの変動はございますけれども、基本的にはそういう姿になろうかと思います。
  88. 武田一夫

    武田委員 この問題はしかとそうした方向を持続しながら、国内産麦の優先的利用によって、つくったものは安心して買っていただけるし、利用してもらえるというような対応をしてあげなければならない。この問題につきましてはそのくらいにしておきますが、この点ひとつお願いを申し上げておきたいと思うのであります。  それからもう一つお尋ねしますが、私は、今後の中長期の対策というものをはっきりと麦作振興については示していかなければならない、こう思うわけであります。  一つには、六十五年の見通しというものが打ち出されているわけであります。この目標に向かって政府としても今後いろいろと手を打っていくわけでありますが、今回のこうした一つの問題を取り上げて私が指摘したいことは、やはり中長期の対策の確立ということは、麦の需要拡大及び用途別流通の円滑化を図るためにどうしても必要な課題ではないか、こういうふうに思うわけであります。そこで、団体の方などでは、総合的な麦流通管理の制度化を図るべきでないかというような提言もあるわけでありますが、こういう問題等を含めて政府としての今後の中長期の対応というのをどのように考えているか、アウトラインだけでも結構ですので、ひとつ示していただければありがたいと思うのです。
  89. 石川弘

    石川説明員 先ほどお答えいたしましたように、麦の国内生産の問題につきましては、御承知のように六十五年の見通しの線、小麦につきまして、めん用等考えられますもののほぼ全量を自給をするという目標を立てておりますので、生産もそういう形に拡大をしていただきますし、さらに、それによって生産したものは完全に需要サイドにつなぐという大前提で考えているわけでございます。  大麦裸麦等につきましては、御承知のように最近の需給動向から見ますと生産拡大がなかなか困難だというようなこともございますけれども、たとえば新しい用途として、実は最近大麦めんというようなことを考えたり、いろいろな努力はいたしております。まだ数字でこれだけという形にはなっておりませんけれども、そういう需要が比較的伸びないというような分野もございますが、これについてもえさというような問題としての展開もあるわけでございますので、主力を小麦に置きますけれども、そういう大麦等も含めましてある程度全体として生産が安定し、かつ生産性向上できるようにというようなことを頭に置いた基本的な展開を図っていきたいと考えております。
  90. 武田一夫

    武田委員 時間が来ましたので、最後に一つ。  これは、現在の時点で非常に心配な、先ほども質問がありましたこの天候の状況です。遅延型冷害が心配されているということで、私たちは、東北に住んでおりまして昨年えらい経験をしたわけでありますが、ことしも、いろいろな状況からいいますと、これは大変心配をしておる。こういうことで、東北そして関東を中心とした異常低温、これは北海道や北陸あるいは東海の一部でも農作物全般にかなりのそうした影響もあるという話でありますが、この問題は、天候の状況によるわけでありますけれども、非常に心配でございます。  そこで今後、やはり当局としまして、余り大騒ぎをすると農家の人が構えてしまうので困ると言って対策本部の設置等はいつもぎりぎりまでやらないようでありますが、東北ではすでに、たとえば青森県などの東北地方、ここでは不順天候対策本部を設置しまして取り組んでいるわけであります。ですから、そういう表立ったものを出されるのをちゅうちょするならば、やはり一つのそうしたものを内部的に十分に構築しまして対応していく必要があると思うのですが、しているとは思うのですが、その点の対応。  それからもう一つ、どうも最近天候のぐあいが毎年のように、しかも全国的におかしい、世界的にもおかしいということでありまして、全天候型作物ということが言われておりまして、その研究というものにも力を入れているというようなことでありますが、この問題についてどのような状況になっておるのか、この二点についてひとつお答えいただきたい、こういうふうに思います。
  91. 山極栄司

    山極説明員 先ほども答えしたわけでございますが、本年は、四月から五月の中旬ごろまでは天候は平年並みに推移したわけでございますが、五月の中旬後半から、北海道なり東北を中心にいたしまして気温が低くなってきた。特に北海道には降雪、あるいは東北、北関東等につきましては降霜なり降ひょうを見るというようなことで、五月の下旬から六月の上旬にかけまして、御案内のような野菜なり果樹なり桑等を中心といたしました被害がかなり発生をいたしたわけでございます。  一方、現在、いま先生指摘のように水稲の生育が遅延をしておる、ことしも冷害が心配であるということでございますが、御指摘のように北海道では、水稲の生育は大体一日から五日、道東では五日から九日程度でございます。東北では五日から十日程度、青森県でも下北地方では十日から十四日程度おくれているようでございますし、北陸では二日ないし五日程度のおくれになっているわけでございます。また、関東以西の地域につきましては、田植えの終期を迎えている地方が多いわけでございますが、山間部等につきましては若干低温の影響があらわれているわけでございますが、全般的に見ますと関東以西につきましては低温の影響は少ないのではないかということもございまして、水稲の生育は平年並みないしは若干のおくれということになっているわけでございます。  今後の生育の見通しにつきましては、現在生育がまだ初期の段階というようなこともございまして、収量への影響というものはこれからの天候にまたなければならないわけでございまして、現時点で予測することは大変むずかしいわけでございます。  なお、今後の天候につきましては、先ほど気象庁の方からも説明があったわけでございますが、三カ月予報を気温の側面から見ますと、七月は、沖繩地方を除いて全国的に並みかやや低い、八月と九月は、北日本では並みかやや低いが、ほかは平年並みというふうに予想されているわけでございます。  農林水産省といたしましては、昨年の冷害もございますので、これまでにつきましても技術指導の徹底というようなことについて努めてきたわけでございますが、御指摘のように、いま水稲の生育がおくれているというようなこともございますし、気象も不安定であるというふうなこともございますので、今後の気象状況につきましては気象庁とよく連絡をとりまして情報の把握に努める、あるいは現地の実態を的確につかみまして適切な指導をしてまいりたいというふうに思っているわけでございます。  対策本部等をつくる必要はないかという御指摘でございますが、現段階では私たち省内で関係各課によります連絡会議というようなものを開いておりまして、情報の把握なり対策の検討を行っているわけでございます。気象が不安定でございますので、いま申し上げましたようなことで、そういう連絡会議というようなことを通じまして万全を期してまいりたいというふうに思っているわけでございます。
  92. 川嶋良一

    ○川嶋説明員 全天候型作物に対する試験研究の取り組みはどうかというお尋ねでございますが、特にこの寒さあるいは日照不足、こういったような異常気象が近年大変頻発をしておりますので、こういったような気象の激変に耐え得るような作物の品種の開発あるいはそれに対応できるような栽培法等の対策、こういったようなことが結果的には全天候作物ということになろうかと思います。  そういう点については、これまで農業の試験研究の重点をそういったところに置いてやってまいったわけでございまして、かなりの成果を上げてきていると思いますが、昨年あるいはことし等のこういうこともございますので、私どもとしてはそういう点に全力を挙げてまいりたいと思っているわけでございます。  特に五十一年から、五十一年度の冷害が発生する以前でございますけれども、世界的な異常気象ということで、水稲、麦、大豆、果樹、野菜、もろもろの作物につきまして包括的に重点的に対策を講じようじゃないかということで、技術会議が主導いたしまして、今日までほぼ十億円近い研究費を投じて研究を進めております。これらの成果につきましては、すでに技術総括審議官や普及関係者によって、実際の技術対策という形で農家に普及をいたしているところでございます。  また、品種につきましても、北東北でのハマアサヒとか、あるいはつい最近、ササニシキの改良ということでサトホナミといったような品種も出さしていただいたわけでございます。麦などにつきましても、ナトリオオムギとか、そういうたような東北向きの品種もつくっているわけでございます。  また、表東北のやませ対策等につきましても、これは農林水産省だけではなくて、気象庁とかその他のところとも連携をとって研究を進めているところでございます。  そういうことでございまして、私どもとしては結果的に全天候型といったような感じの作物の育成あるいは栽培技術の開発に今後とも全力を挙げてまいりたいと思っているところでございます。
  93. 武田一夫

    武田委員 では、時間が来ましたので、終わります。
  94. 菊池幸雄

    菊池委員長代理 神田厚君。
  95. 神田厚

    ○神田委員 五十六年産麦政府買い入れの問題につきまして御質問を申し上げますが、その前に、過日報告がなされました臨調の第一特別部会報告農業の部分に関連しまして、先ほどから何回か御質問がありましたが、政務次官の方から、これらの問題についての政府の御見解あるいは取り扱い、それらの問題についてお聞きをしたいと思っております。何点か指摘がされておりますけれども、特に米と麦と補助金等の問題にしぼって最初に御質問をしたいと思うのであります。  米価の取り扱いについては、そのこと自体明確な形で触れてはおりませんけれども、それのもたらすいろいろなものにつきまして、たとえば売買逆ざやの解消等の問題あるいは食糧管理との関連におきまして「品質別需給の動向を踏まえつつ、今後の品質格差の取扱いに適正を期する。」「自主流通米の流通実態、政府米の売買逆ざやの状況等を踏まえ、自主流通助成の一層の縮減合理化を図る。」こういうことが触れられております。さらに「過剰米処理の合理化に努め、その損失を極力圧縮する。」ように求めておりますが、まず米の関係につきまして、政府としては臨調の第一特別部会報告についてどのようにお考えでございましょうか。
  96. 志賀節

    志賀説明員 今回の第一特別部会指摘されました売買逆ざやの取り扱いにつきましては、これまでその縮小に努めてきたわけでございますが、今後の取り扱いについては、生産、流通、消費等各般の面に及ぼす影響、そしてまた財政事情などに十分配慮してこれを判断する必要があると考えているわけでございます。  なお、生産米価に関しましては、食管法規定に基づきまして、生産費、物価、現下の米の需給事情財政事情等を勘案いたしまして米価審議会の議を経て適正に決定する、こういう基本的な方針は従来どおりでございます。
  97. 神田厚

    ○神田委員 逆ざや解消についてのこういう提言を受け入れていくということになりますと、消費者米価の値上げが必然的に問題になってくるわけでありますが、その辺につきましてはそういうふうに考えてよろしゅうございましょうか。
  98. 志賀節

    志賀説明員 売買逆ざやの解消に関しましては、今次臨調報告を待ってスタートしたものではございませんで、すでに前々から行ってきておる、たまたま軌を一にして臨調の方からも報告にそういう御提言がある、このように理解をいたしておりまして、臨調によって左右されておるものではない、このように御理解をいただきたいと思います。
  99. 神田厚

    ○神田委員 そうしますと方針としては、臨調報告と同一になったけれども、いわゆる消費者米価の引き上げという方向農林省自身も考えているというふうに受け取ってよろしゅうございますか。
  100. 志賀節

    志賀説明員 その点は先ほど申し上げましたとおり、各般の事情をしんしゃくし、かつ米価審議会の御判断を待って適正に処理してまいりたい、こういう方針でございます。
  101. 神田厚

    ○神田委員 澤邊事務次官がこの臨調部会報告が出た後記者会見したときに、同じように、消費者米価引き上げの問題に関しましてはこれまでもそういうやり方でやってきたと語って、食管会計の赤字縮小には生産米価の抑制とともに消費者米価の引き上げが必要だとの見解を強調した、こういうふうに新聞等で伝えられておりますけれども、そういう点で間違いございませんか。
  102. 志賀節

    志賀説明員 私自身不敏にして澤邊事務次官からこの事実関係については聞いておりませんが、新聞報道はまさに神田先生指摘のとおりでございます。  ただ、私見を申し添えさせていただきますと、澤邊事務次官の発言は必ずしも目新しいものではない、たまたまこの臨調の時期に、ああいう発言が仮に本当に行われたとすれば、臨調と絡んでマスコミが耳目をそばだてたのではないだろうか、私はそのような見方をしておるわけでございます。
  103. 神田厚

    ○神田委員 ちょっとはっきりしないところがありますが、米価の問題はまた後で触れますから、その程度にしておきます。  同時に、この臨調部会報告の中で、麦の問題につきましては「国内麦買入価格については、現行の固定的な算定方式見直し検討を進めるとともに、麦の政府売渡価格決定については、内外麦あわせて収支に赤字を生じさせないことを基本とする。」こういうふうに触れられております。このことは生産者麦価、麦の政府買い入れ価格算定見直しの提言だ、こういうふうに言われているわけでありますけれども、農林水産省もこの算定方式変更の必要性というものを昨年の六月ごろから盛んに、これは武藤農林大臣等も話をし、さらに新しい亀岡大臣も、ことしに入りましても、こういう問題について算定見直しをかなり強調した時期があったわけであります。期せずして臨調からこういうふうな問題点が提起されまして、農林省は一たん麦の算定見直しについてはたな上げをしたような状態になっておりますが、このことによってまた新しい論議に発展させるというような可能性があるのでしょうか、その辺はいかがでございますか。
  104. 石川弘

    石川説明員 ただいま御指摘のように、麦の算定方式につきましては、御承知のようにいまの法律上定めております昭和二十五、六年の平均価格からパリティで伸ばしてくる手法、大変古い時代のものから伸ばしてきますために、いろいろと事態の変化に対応しにくいのじゃないかというような問題がそこにありましたり、あるいは特に、パリティ価格を下らざるという表現をいたしております結果、生産性向上のメリットを反映できない仕組みじゃないかというような意味での御批判がありましたことは御承知のとおりでございます。そういう意味で私どもも、いま先生指摘のように算定方式について検討を要するということで、前国会で御可決いただきました食管法改正の際にも検討し続けてきたことは事実でございます。  ただ、あの段階ではまだ検討を必ずしも十分尽くし切ってはいなかったということやら、あるいは麦の生産増強がいま転作とも絡んで必要である、それに対して農家の方々の十分な御理解が得にくいような条件にあったということもありまして、検討をやめたということではございませんが、法改正の俎上にはのせなかったということでございます。  今回の臨調における御指摘につきましても、私どもがかねがね考えておりましたような意味で、方式について検討を進めるようにということでございますので、私どもは、臨調だけではございませんで、農政審議会においても麦価算定方式について検討を進めるようにという御指摘もございますので、少し時間をかげながら検討を進めていく課題かと思っております。
  105. 神田厚

    ○神田委員 この算定方式の変更につきましてはいろいろ議論があって、それで農林水産省は自由民主党の農林部会等にこれの説明を精力的に行って変更しようということになったわけであります。しかしながら、いろいろな情勢の中から変更することについてこれを見送ったわけであります。したがって、今度臨調から部会報告でこれが出されたからといって直ちにその方向に沿って、また、いわゆる麦価引き下げにつながるような形での算定見直しをやることについては非常に問題がある。ですからその点は、ひとつそういう形でなくて、いわゆる麦の生産振興等も含めた、そういう大枠の中から検討していくならいいけれども麦価を下げるための見直しの検討は、われわれとしては反対だということを強く表明をして、次に移ります。  もう一つ臨調が出しておりますのは水田利用再編対策の問題であります。この転作奨励金の単価の引き下げということについての問題でございますが、これも農民にとりましては死活問題といいますか、非常に大事な問題であります。これをどういう形でやっていくのか。つまり、現在行われているものについては変更することはもちろんないと思うのでありますけれども、将来にわたって行われるものについて奨励金依存から脱却せよという非常に厳しい表現での報告が出ているわけでありますから、この辺につきまして農林省としてはどういうふうに受けとめるおつもりでありましょうか。
  106. 高畑三夫

    ○高畑説明員 先般出されました臨調の第一特別部会報告の中に、御指摘水田利用再編対策につきまして御提言があるわけでございます。  これにつきましての農林水産省といたしましての対応につきましては、先般来政務次官からも申し上げているところでございますが、特にお尋ねの水田利用再編奨励補助金の二期対策における扱いなり今後の問題ということでございます。  今回の第一特別部会報告におきましては「当面、現体系の枠組の中で、経費の節減合利化に極力努める。さらに、第三期以降の対策については、転作作物の選択に配慮しつつ奨励金依存からの早期脱却を図る。」という報告になっておるわけでございますが、私どもといたしましても、水田利用再編対策の第二期が本年度から発足したところでございまして、第二期の期間中につきましては現体系の枠組みを維持すべきことにつきましては御理解が得られたものと考えておるわけでございます。水田利用再編奨励補助金の水準につきましても現体系の枠組みというものの中心的な要素と考えておるわけであります。  今後の問題というお尋ねでございますが、この第一部会報告には、第三期以降のことが「奨励金依存からの早期脱却」ということで御指摘があるわけでございますが、長期的な水田利用再編のあり方につきましては、昨年の農政審議会の答申におきましても、転作営農の定着を図ることによりまして奨励金依存からの脱却を図っていく必要があるということをはっきり述べておられるところでございまして、私どもといたしましても、長期的な水田利用再編対策の推進におきましては、生産対策、構造対策、価格、流通対策を総合的に推進いたしまして、転作営農の生産性向上、定着を進めまして、奨励金依存からの脱却を進めていくことが必要だと考えておるわけでございます。
  107. 神田厚

    ○神田委員 御答弁でありますけれども水田利用再編対策は非常に長期的につくられているわけであります。いわゆる転作奨励金の問題は、ほかの施策がこれを肩がわりをする形で奨励金からの脱却をしていきたいということでありますが、臨調等の報告は、すべてのいわゆる農業補助金等について問題がある、あるいは基盤整備等についても施行するにはこれから先なかなか問題がある、こういうことの指摘をしているわけでありますから、答弁のように、ほかの施策で代行することによってこの奨励金からの脱却を図るということはなかなかむずかしい問題になってくるのです。  むずかしいというか、むしろそういうことで価格政策も抑えられる、あるいは田畑輪換等の構造政策も抑えられる、それから流通等の問題についてもいろいろ出てきている、そういう問題がある中で、どうしてこの奨励金を肩がわりをする形でそこから脱却することができるのか、これは私は本当の答えになっていないと思うのです。  したがいまして、この長期の水田利用再編対策自体をどういうふうに進めるかという問題については、もしも奨励金から脱却するという臨調の方針によってやっていこうとするならば、もう少しこの再編対策そのものを再検討していく必要が出てくる、こういう形になってくると思うわけであります。ですから、きょうは時間がありませんからその辺のところは指摘をするだけにしておきますけれども、そういう問題も含んでいるということで、正直にもっと厳しい意味農林省自身が現在の農政を見詰めていかなければならないというふうに考えております。  続いて麦の問題に移っていきますが、そういうように臨調の問題をとらえましたが、この第二次臨調米価の問題や麦価の問題やそういう価格の問題にまで立ち入って、これは来年度の予算との関係で余り物を言い過ぎているというふうなことを私は考えているのです。本来行政機構の改革、行政簡素化の方向を出すということにあるにもかかわらず、いわゆる麦価から米価からその算定方式から、そんなことまで言われてしまったのでは、たとえば農政審議会なり米審なりという役割りはどこにあるのだ、こういう問題もあるわけでありますから、われわれとしましては第二次臨調が出しているこういう姿勢については必ずしも賛成はしてないわけであります。  しかしながら、それはここでの論議と違いますからまたほかのところでやらしてもらいますけれども、いずれにしましても臨調はいま国が挙げてやろうとしていることでありますから、それが言ってくることはそれなりに世間の注目を浴びるし、それに対応をしていかなければならない情勢でありますから、それはそれで農林省としてはよく検討して、間違いのないような形の対応をしていただきたいと御注文を述べて、麦の問題に入ってまいります。  時間がありませんので簡単に触れていきたいと思います。  まず麦の政府買い入れ価格、先ほどその案が述べられましたが、われわれがいつも主張しておりますのは、所得補償による再生産確保、これを基本とするのだということであります。そしてその生産振興が図れるように引き上げを十二分にしてほしいというような要望をしているところでありますが、今年度の場合は特に生産振興奨励金相当額の取り扱いが問題になるというように指摘をされております。  このことは、すでに御案内のように昨年、一昨年とこの生産振興奨励金相当額が変わってまいっております。一昨年の決定時までは基本価格と同様農業パリティの上昇分だけ引き上げられてきたわけでありますが、昨年の決定時では基本価格と分離されている。そしてことしは調整係数によって初めてこれを切り下げられている。こういうふうにしまして、この生産振興奨励金相当額が麦価の引き下げの一つの道具として使われているという傾向があって、われわれはこれは非常に問題だと思っております。したがって、どうしてことしこういうふうな形で調整係数を入れて引き下げをしたのかという問題についてお答えをいただきたい。  さらに、小麦への生産誘導奨励、この小麦生産がいろいろ問題になっておりますけれども、それらに積極的にどういうふうに対応していくのか、あるいは等外上麦の買い上げ及び規格外麦価格補てんのための麦振興特別基金の拡充、これをどういうふうに図っていくのか、この四点につきまして御答弁をお願いいたしたいと思います。
  108. 石川弘

    石川説明員 いま先生指摘のように、生産振興奨励金相当額の扱いにつきましては、パリティを掛けてふやしていくという方向から、昨年パリティを掛けないで据え置きにするという方向を出したわけでございます。  これはいずれも五十二年の例の米価審議会の答申の中で、基本的な二十五、六年平均価格パリティアップ部分に生産振興奨励金相当の金目を加えることによって生産振興したらという御趣旨の中の行動でございまして、最初はうんと奨励措置をきつ目にやっていくということもございまして、パリティもあえて掛けてきた。その後の生産の経緯をずっと見てまいっておりますと、生産も順調に伸びますし、たとえば単収とか、あるいは労働時間とか各種の経営要素が非常に順な回転をしてまいりまして、生産が安定的に拡大するという徴候が見えてきたわけでございます。  そういう中で生産振興奨励金は、入れました際は御承知のように二千三百円という水準でございまして、これを固定することなく、いろいろな生産状況によってあるいはふやしたりあるいは据え置いたりあるいは若干減額したりということは、五十二年の米審の答申の御趣旨の中でできることではなかろうかと私ども考えておりまして、やはりこれだけ生産性が上がってまいって相当の規模になってまいりますと、そういう奨励金についても、私がいま申しました程度の若干の操作をしながら生産誘導していく方がむしろ適切ではなかろうかということで、今回若干の減額をしたわけでございます。  それから、需要に対応して生産を拡大しなければなりません小麦につきましては、御承知のように契約生産奨励金に段差を設けまして、小麦に重点的な傾斜をかけた奨励金にするというのが私どものやっている奨励措置の一番強いところでございますが、その他生産原局におきましても小麦生産誘導いたしますことについてのいろいろな考え方をいたしております。
  109. 高畑三夫

    ○高畑説明員 麦の生産につきましては、先ほど来お話しございますように、長期見通しに即しまして生産性向上を図りながら総合的な自給力を強化するという観点から推進をしておるわけでございますが、その際特に、大・裸麦につきましては最近の需給動向等から当面生産拡大の余地は少ないと考えられますので、今後は生産拡大の余地の大きい小麦を主軸とした生産指導を推進していくということにいたしております。  その際、先ほど食糧庁からもお答えありましたように、価格政策面からもそういう配慮がなされますと同時に、生産対策面におきましても、生産指導上は特に小麦の耐湿性、耐寒性等の特性を重視いたしまして、一毛作地帯等におきましては極力小麦の作付指導を行うことにいたしておりますし、またその他地域におきましても小麦を重点的に作付指導することにいたしております。  その際、特に麦作集団化、排水条件の整備、高性能機械施設の導入あるいは小麦と大豆と組み合わせた営農作付体系の導入等につきまして積極的に推進してまいることにいたしております。このための予算措置等も地域農業生産総合振興対策事業等を使いまして推進をしておるところでございます。  それから次に、お尋ねのございました規格外麦に係る価格差補てん金制度の拡充ということでございますが、御案内のように五十二年度に十八億円の価格差補てん金制度を創設したわけでございます。これは、五十一年度まで価格の外に生産奨励金がございましたのを、五十二年度価格決定の際に価格の中に織り込んだ際に、規格外麦につきましては買い入れ対象にならないということで、その価格差補てんということでできたわけでございますが、この制度のその後の推移を見ますと、五十二年度に全国的に価格差補てんを行ったのと、五十四年度、五十五年度に若干ずつ補てんを行いまして、トータルで約六億円を支出いたしております。本年三月末現在で運用益を含めまして約十四億円の残額がございます。そのような状況でございますし、基金創設の経緯等からいたしましても、基金の拡充はきわめて困難と考えておるようなところでございます。
  110. 神田厚

    ○神田委員 時間が来ましたので、これで終わりますが、生産振興奨励金相当額の問題一つとりましても、麦を振興するのだ、麦を振興しろと言っておきながら、今度は調整係数でこういうものを引き下げるというようなことでは、どうしても生産者は納得しないと思うのであります。  さらに、外麦の輸入、あるいはビール麦等につきましてはその麦芽製造能力等の不足によりまして、せっかく生産意欲がありながらそれを満たすことができないというような、全般的に麦の問題については行政が非常にばらばらな形になっております。これらはひとつ、これから先の水田利用再編の問題等も含めまして、日本における三麦の情勢というもの、これを農林省は一体どういうふうに進めるのか、もう一回再検討をしていただかなければならない問題になってきていると思います。  後日機会を改めましてこれらの問題について質問をさせていただきたいと思います。きょうはこれで終わります。
  111. 菊池幸雄

    菊池委員長代理 寺前巖君。
  112. 寺前巖

    ○寺前委員 朝からいろいろな御意見が出ておりましたので、できるだけダブりを避けて重点的にお伺いをしたいと思います。  まず生産者麦価の問題についてですが、五十六年産麦価算定の上で大きな特徴点は、生産振興奨励金に去年はパリティ指数を掛けるのをやめて据え置くということをやったわけですが、今度は引き下げたというところに特徴があると思うのです。     〔菊池委員長代理退席、委員長着席〕  振り返って生産振興奨励金について見ますと、五十二年麦価決定のときに、基本麦価奨励金の両方にパリティを掛けるという算定方式を新しく採用しておりましたが、そのときの米価審議会の記録を見ると、食糧庁の長官は次のようにおおむね答えています。  第一番目は、麦の自給率向上長期見通し目標を達成するためには、奨励金についてもパリティを掛けた麦価水準にする必要があるというのが一つです。それからもう一つは、奨励金は実質的には価格と一体のものであるということを言ってます。この二点を取り上げて、その審議会の結論的なまとめを米審会長も、政府も含めた議論の集約としてこう言ってます。いまの麦の生産事情がこういう状態、すなわち自給率が低い状態である限りはこういう状態が続いていくだろう。そのほかに生産事情でまた別のとんでもない変化が来るとか、世界じゅうの麦が大減産になって、もっと大急ぎで増産せねばいけないという事情の変化が来れば、それはそれにさらにプラスアルファとして考慮をせざるを得ない、こういうふうなことを言っておりました。これが大臣の答えだったというふうに結んでいます。  そうすると、この二つの要件、長期見通しの目標を達成するためには両方に対してパリティを掛けるということが必要だと言ったことと、それから実質的には価格と一体なんだという問題提起をやっておられるわけですが、さあ事情変更、五十二年の算定方式に言ったことと、変えざるを得なくなったという理由との間に、私は朝の提案では理解に苦しむものがあるのですが、一体どういうものなんでしょうか。  麦の生産量の分野について言いますと、小麦生産量は、五十二年が二十三万六千トン、五十五年が五十八万三千トン、自給率は四%から九%に上げました。大麦裸麦の分野でも九%から一七%に上げました。しかし同時に、政府の目標も、これではだめなんだというので、五十年決定小麦は五十五万トンであったものを百二十二万トンに、大麦裸麦の場合でも五十八万トン。この数字を見ると、五十五年の生産量の、小麦で二倍、大麦裸麦で一・五倍の目標を現実に持っているのだ。  こういうふうに考えてみると、長期の目標に向かって達成させるために、奨励金についてもパリティを掛けた水準に達する必要があるという従来の態度を変えなければならないという理由は、そこから何も出てこないのじゃないか。それとももう増産の必要は、いろいろ言うてきたけれどももうやめるのだ、奨励金についてはパリティ指数を掛けるどころか、切り下げてもよいのだという方向に明確に認識の転換をされたのか、端的にお答えをいただきたいと思います。
  113. 石川弘

    石川説明員 五十二年の算定方式が決められました米価審議会の答申の中では、生産振興奨励金を含めた水準を考慮して二十五、二十六年を基準とするパリティ価格調整を加えることが適当であるという御決定が行われたわけでございます。当時、先生も御承知のように非常に生産が停滞をいたしました時期でございますから、大いに生産振興するという面で、いまお話のありました生産振興奨励金にまでパリティを掛けるという手法をとりまして、五十二、五十三、五十四と来たことは御承知のとおりでございます。  その間生産は順調に拡大をしてきておりまして、少なくとも六十五年見通しに至る直線よりも高い伸び率伸びてきたわけでございます。そういう状況や、あるいはその生産の量が単に拡大したというだけではなくて、麦に関する生産性向上してきたということも考えまして、昨年、奨励金パリティを掛けるというほどの手法をとる必要はない、しかしあくまで生産振興するわけでございますから、生産振興奨励金を加えた算定方式をとったわけでございます。その後におきましても麦の生産は順調に拡大をいたしておりまして、御承知のように今回御説明しました生産振興奨励金の中に、若干単収向上とかあるいは労働時間の縮減といったような要素を加味したような形での生産振興、これは決してやめるというようなことではございませんで、進める進め方の度合いの問題かと考えますが、そういう方式を入れたわけでございます。  したがいまして、こういう生産振興奨励金の取り扱いの方法につきましては、私ども米審で御決定をいただきましたそういう範囲の中のことと考えておるわけでございます。そういう意味で、私ども依然として麦に関する生産奨励を続けているわけでございまして、方式そのものを極端に変えたということではございません。
  114. 寺前巖

    ○寺前委員 言葉では変えたわけではないと言うけれども、実際的には変わっていっているし、現に経団連などはこういう意見を言っているのじゃないですか。「食品工業からみた農政上の諸問題」というのをことしの二月十日に出しておりますが、その報告の中で、麦の増産に強い不満を唱えて、小麦やビール麦云々と書いて、急激な増産に対し引き取り側としても当惑していると述べ、また日本製粉社長の八尋氏は、麦の増産を無条件に歓迎するわけにはいかない、国内産麦の適正な増産をゆっくり進めていくほかはない、こうやって政府長期見通しに対してブレーキをかける発言を出してきておる。  臨調の第一特別部会報告を見ても、水田利用再編対策経費の節減のために、転作作物の選択という問題に配慮せよと、転作奨励金単価の高い麦などの選択を抑える方向が具体的に言われるようになってきているだけに、私はこのように自給率が上がったといっても、まだ小麦の場合で九%とかあるいは一七%という大麦裸麦状況を考えたときに、積極的に、この奨励金問題というのは従来の範疇で考えるというならば、あの二つの点を強調した点を守るべきではないかというふうに思うのであります。十分に検討願うということにして、次に移りたいと思います。  もう一つは、米の場合もそうです。食管財政対策問題がいろいろ言われるようになってきているわけですが、しかし生産部門に非常にそれが大きな打撃を与えているという結果に対して、軽視することはやはりできないと私は思うのです。  昨年は据え置きに等しい米価決定がやられました。ところが、御承知のように米関連の生産資材価格は、五十五年の十一月からことしの三月、対前年比で見ると九・二%上がっています。農業経営費も一一・九%上昇しているという数字が出ているわけです。ですから、私はいまこういうふうに考えてみると、生産資材価格にもっとメスを入れていかなければならないのじゃないだろうか。  この間うちから、農水省の統計情報部が三月にお出しになった「米及び麦類の生産費」という五十四年産資料が配付されましたので、これを読ましていただいておりますと、こういう数字が出てきます。米の場合に、この十年間、生産費の中で労働費はどういう位置を占めているのだろうか。見ると、昭和四十四年には労働費が五二・一%を占めていた、それが五十四年では四二・八%、逆に言うと物財費というのはどんどん上がっていっている。麦の場合でも、五〇・三%であったものが三一・九%というふうに労働費が下がっているわけです。つまり米で六割、麦で七割が物財費になっている。農民の実際の取り分は非常に少なくなっていっているという傾向がこの十年の中で見えるわけです。  そうすると、どうしたって考えなければならないのは生産資材価格、そこのところにメスを入れてみるという必要はないのだろうかということを考えざるを得ないわけです。  日本農産物が割り高だとか生産性が低いとか、いろいろ言われてきました。実際にその間における十年間の姿を見ると、米の場合で十アール当たりの投下労働時間は、この資料によると百二十八・一時間から六十九・四時間へと四六%も減らしている。十アール当たり収量は四百八十四キログラムから五百十六キログラム、七%もふやしている。そうすると、生産性の分野はかなり前進をしている。ところが、この間に十アール当たりの物財費はどうなっているかというと、二万五百七十七円から六万八千四百八十三円、三・三三倍にもふえていっている。ですから、その投下資本、物財費の生産費に対する位置というのは、農民にとってずいぶん高い位置を占めてきている。  それを細かく分野別に見ると、農機具の場合には七千七百三十二円から三万二千十九円、十年間に四・一四倍も農機具代はふえていっている。肥料代は四千八百二十二円から九千二百七十円、一・九二倍。農薬費は千四百六十四円から五千五百四十円、三・七八倍もふえている。一方、労働費はどうかというと、二万二千四百九十三円から五万一千三百三十二円ですから二・二八倍だ。農機具、農薬などの独占的な企業は低成長期の中でもずいぶん大きく利益を上げていくという結果になっているわけです。  この間、私は「農業協同組合」という雑誌の去年の秋ごろからことしにかけて出しておられるものを読んでおりましたら、分析が載っていました。東洋経済「会社四季報」や日経新聞の「日経会社情報」などをデータにしていろいろな資料が載っておりましたけれども、農薬主軸企業の総資本の経常利益率はどう変わっていっているのかを見ると、昭和五十年に七・二二%あった。そのときに農機具も大体七・二九%、同じくらい、ですが、この分野の産業全体の平均を見ると一・二七%ですから、ざっと六倍、農薬や農機具というのは産業全体の中でうんと利益を上げておったのだということが、この時代わかります。  その後ずっと変化をしてきて、五十三年を見ても農薬は九・五〇、農機具は二・二四、産業平均が三・〇八ですから、農薬の分野は産業全体の中でもやはり三倍を占めているということが言えるわけです。五十四年を見ても同じような数字が出てきます。  それでは農機具が産業の中でももう一つ伸びていないなと思って見ると、これはまたそう単純には言えないわけです。たとえば井関という会社がありますが、利子負担率というのは四十七年に七・一四%であった。製造業の平均はそのときは三・四七%ですから、倍からの利子負担率を持っていたわけですが、それが五十四年になると一・六%に減っているわけです。製造業平均で言うとそのときは二・五四%ですから、利子負担率をこれだけ減らしてしまうというふうな蓄積の仕方をやったわけです。あるいは久保田というところを見ると、四十七年に内部蓄積は三六%であったものが五十四年には四八・一%、機械の分野についてもこうやって資本蓄積がどんどんされていく。不況の中でも農業のこれらの資材メーカーなどが高収益を上げているというのは、ちょっと振り返って皆さん方が出しておられる統計なり「会社四季報」を見ると出てくるわけです。  いかにこれらの分野のメーカーが高い製品を農民に売りつけているか。ここにメスを入れなかったならば、農民の皆さんが米審にたくさんいつでも押しかけてこられるというのは自分の生活を改善したいからだ、あるいは都市並みの労働者のような生活にならぬか、いま実際は逆になってきているじゃないか、ここを改善するためにお願いしますよと言って押しかけてくるのだけれども、そこで取り上げられた米価決定なり麦価決定、逆ざやをいろいろ論議するけれども、一番メスを入れなければならないのは、こういう農民の要求とは別なところで実は食い物にされておったというのは、私はちょっと統計を整理してみただけでも歴然たるものがあると思うのです。  この間、全国農民総連盟など農民五団体の方々が私のところにお見えになりました。そのときに、農業生産諸資材の原価を公表して価格を大幅に引き下げるように御指導願えないですかという話をされていきました。私はこの数字から見るならばできる相談ではないか。  そこで私はお聞きしたいのですが、私のいま提起してきた問題の資料というのは、皆さん方が出しておられる資料の整理の中からだけでもこうやって出てくるのですから、もっと細かく分析をされて、そうして農民団体の皆さんが言われるように、生産調査の形で農民の場合には原価が明らかにされるのですけれども、資材の分野については少しもみんなの前に公開されていない。米審の審議のときにみんなにそういう資料を配って、そしてみんながわかる中で、やはりべらぼうにここに利益がいっているのだから、そこにメスを入れるようにしようじゃないかというふうな審議の仕方をするべきではないでしょうか。  あるいはまた政府自身も、農民がこんなに困っているのにその分野の諸君たちだけがこうやってうまいことをやっている、原価を国民の前に知らせて、それではちょっと済まなんだということでそこの利益を減らさせるように、政府の場合でも積極的に指導しなかったならばいけないのじゃないだろうかというふうに私はつくづく感ずるのです。この私の問題提起について、一体どこが間違っているのか、皆さんの意見をひとつ聞かせていただきたいと思います。
  115. 高畑三夫

    ○高畑説明員 御指摘になりました、最近の農業経営費の中で農業機械等物財費の額なりウエートが高まっておるということにつきましては事実でございます。ただ、これはやはり農業生産技術の進展、特に営農の機械化の進展、労働強度の軽減といった技術の進展でございますとか、農業経営の近代化ということに非常に役立ったその結果という面も非常に大きくあるわけでございます。  もちろん行政といたしましては、農業生産資材価格の安定が農産物生産費の上昇の抑制とか農家所得の安定を図ります見地からきわめて重要であるというふうに認識いたしまして、従来から肥料、農薬、農業機械の価格につきまして、全農と生産業者が交渉して価格を決めることになっておりますけれども、これらにつきまして関係の団体、業界を指導してきておるところでございます。  現に五十六肥料年度、これは本年の七月から来年の六月まででありますが、肥料の生産者販売価格につきましては、かねて全農と生産業者の間で交渉が行われてまいりましたが、肥料全体で〇・五%の引き下げということで妥結いたしております。農業機械の五十六年度価格につきましても、この七月から価格改定を迎えますが、全農と生産業者との間におきまして本年十二月までは現行価格を据え置くということで妥結をいたしております。資材、原材料価格とかその他人件費等、それぞれアップ要因のある中で、引き下げなり据え置きという結果になっておりますので、この時点における結果としては妥当ではないかと考えておる次第でございます。  なお、農業団体と生産業者との間で価格交渉が行われます際に、原価の公表というふうな御要望が農民団体から出ておるということは承知いたしておりますけれども、これはやはり民間同士の価格に関する交渉でもございますので、企業側が原価を公表できないと言っておりますのは、企業の秘密ということからいってやむを得ないのではなかろうかと考えております。
  116. 寺前巖

    ○寺前委員 いま肥料と農機具の話を出されましたが、物すごい経常利益を上げているのが農薬なんですね、この統計からいいますと。「会社四季報」などを調べますと、五十四年で九・八四、産業の平均が三・九八なんです。二倍、三倍です。これはずっと続いてふえていく一方ですね。これが妥当で今日まできているのだと言うたら——農民相手の仕事ですからね、農薬というのは。農民だからわからぬと思うて平気でこれを上げてきているのと違うかいなと思いますよ。だから、別に企業秘密だとかなんとか、そんなこと言うてない。こうやってべらぼうな利益を上げられておって黙っていられますかいな、はっきりしてくれと言うて農民団体の皆さんが提起してくるのはあたりまえだ。  だから、この農業という分野における、これは米とか麦の買い入れ価格決定するという国家的な保障のもとに行われているこれとの関連の事業体であるだけに、農民の生産米価や消費者米価決定するに当たっては、そういう企業は自主的にでもそれはちゃんと公表して、国家的な事業の中に加わっているのだから、資料を公開して御審議いただきたい。少なくとも米審あたりには資料を出して審議してあたりまえだ。それが云々されるならばどんな形ででもいいですよ、本当にもっとメスを入れる処置を考えるべきだ。そうでなかったら、農民の方はだんだんいかれていって、そして逆ざや、いやそれは何やと言われて、そして農業だけで生活ができなくなっていく。それはその地域の産業に全体として影響を与えていく。ぬくぬくしていくのは企業の側だけだ。これでは筋が通らぬ国家的な事業になるではないか。ですから、これはぜひ検討していただきたいと思うのです。  加えてちょっとお聞きをしたいのですが、ことしの農業白書を見ておっても、日本農業生産資材価格の上昇率は、一般工業製品価格に比べてきわめて割り高になっている。つまり資材価格の工業製品価格に対する相対価格を見ると、三十五年を一〇〇として、日本は五十三年に約一五〇になっています。これに対してアメリカや西ドイツ、イギリスなどは大体一一〇から一二〇ぐらいです。日本は工業製品価格が安定しているのに資材価格が異常に高くなっている、こういう数字が出てきます。  また肥料は、国内価格は輸出価格の二倍近い値段で売られている。五十一年の国内価格、硫安を見ると、トン当たり二万三千三百十八円、輸出価格は一万一千四百二十六円になっている。二・〇四倍。五十四年になったらトン当たり三万円、輸出価格は一万七千二百八十一円、一・七四倍。何でこんなに輸出価格が安くて国内価格が高いのか。尿素の場合でも、五十一年で四万七千六百八十八円、これが輸出価格になると二万九千四十八円、一・六四倍。五十四年になると六万五千七百円、輸出価格が三万三千九百三十三円、一・九四倍ですか。いずれにしたって、日本国内においてこの肥料を農民に高く売って、外国に安く売って、それで外国日本の事業は進出するのかしらないけれども日本の農民の犠牲においてやられていっているというのが、この価格国内と国際の比較の中にもまた私は出てくると思うのです。  これは、どうもこういう問題は解せないですよ。農産物価格の国際比較をずいぶんいろいろ云々されますよ。日本の米は外国から見て高いとか、あるいは麦はもううんと高いとか、そういう国際比較はするけれども、こういう農業に必要な資材、その分野において国際、国内価格の比較をした場合に、日本の農民が泣かされている。これについてメスを入れていくということもまた重要な問題ではないか。何で輸出価格国内価格が差を開いたまま存在させておくのか。これに対する見解を聞かせてほしいと思うのです。
  117. 高畑三夫

    ○高畑説明員 肥料につきましての輸出価格国内価格との問題についてお尋ねでございます。  最近時点でこの比較を見ますと、わが国から輸出されております肥料はアンモニア系窒素が大部分でありますが、しかも中国向けがその大宗を占めておりますので、中国向けの輸出価格を窒素肥料の代表であります硫安で比較いたしますと、本年二月から七月積み期契約で、これはFOBトン当たり百二十七・〇五ドルとなっております。輸出価格はFOB建てでございますから、フレートなり相手国へ行ってからの流通経費は含まれておりません。これに対しまして国内価格の方は、消費地最寄り駅貨車渡し価格でありますので、ほとんど流通コストの全部を含めた額というようなことになります。  したがいまして、この輸出価格、これを最近の為替レートで換算いたしますと二万八千三百円ということになりますが、国内のその消費地最寄り駅渡しで三万三千九百五十円ということになります。この輸出FOBにフレートなり諸掛かり、相手国内における流通コストを含めてみますと、どちらが高いということは言えないような状況にはなってきております。  それで、まあ確かに従来輸出価格は安いという状況もあるわけでございますが、これは他国を見ましても、肥料生産輸出国といたしましては国内価格よりも輸出価格が安いというのが一般的になっております。その理由といたしまして、輸出競争力を持つことによりまして大量生産メリットを生み出しまして、それが国内価格を一定水準以下に抑えるという大きな要因になっておるということでありまして、もし仮にこの輸出をやめてしまうということになりますと、大量生産のメリットが出てまいりませんので、むしろ現在の国内価格よりもっと上がるということにもなるわけでございます。  そのようなことで、輸出価格それだけ見ますと国内よりも安い場合が多いじゃないかという御指摘でありますけれども国内価格の安定にとってもむしろ理由があるというふうに考えるわけでございます。
  118. 寺前巖

    ○寺前委員 約束の時間が来ましたのでやめますが、一言だけお聞きをしておきたいと思うのです。  せっかく政務次官お見えなんですから、物財費にメスを入れてもらわなかったら本当に農民は救われない、その点に対する見解をひとつ聞きたいと思うのです。  それからもう一つは、青森県の地方紙である東奥日報というのをこの間見ていたら、米の予約概算金について大蔵省が廃止の見解を打ち出したということが書いてあるのです。これが出たものだから東北各県から電話がかかってくるのです。昭和五十一年の冷害のときには翌年の概算の予約時期が早まって、ほぼ一カ月早めてやってくれたものだ。それから、東北農政局の調べを読むと、昨年の冷害によって、借入金や日雇い、貯金の引き出しで生活費を補てんしている農家が四六%を占めているという数字も出てくるのです。さらに、農家経営にとって年度途中の概算金が占める位置が非常に高いということがいろいろな資料からも出てくるわけですね。  こういうことを考えてみた場合に、従来行ってきたこの概算金の予約の前払いというのですか、これをやめるという大蔵省の態度はとんでもない。一体農水省としてはこの問題について、大蔵省にそんなことを言わしたままでおくのかどうか、この二点を最後にお聞きをして、終わりたいと思います。
  119. 志賀節

    志賀説明員 最初の物財費のことでございますが、もとより寺前先生指摘のようなことがあれば、これは厳に正していかなければならない点でございます。私は少なくともそのように考えます。  ただ、農林水産省の調べによりますと、昭和五十年度基準として、これを一〇〇としてでございますが、農業生産資材価格と一般卸売物価を比べてみた場合、昭和五十五年度の物価指数は、農業生産資材価格が一二三・三、一般卸売物価が一三三・一となっておりまして、むしろ低いわけでございますので、もとよりこれで何もかにも合格というわけでもございますまいが、そういう状況にあるということは、ひとつ事実は事実として御理解をいただきたいのでございます。  なお、ただいま東奥日報の記事について御指摘がございましたが、この記事の内容につきましては、真偽のほどを私どもつまびらかにいたしておりません。したがいまして、この点につきましては十分調査の上善処させていただきたいと思います。
  120. 石川弘

    石川説明員 本年度の予約概算金の支払いにつきましては、目下そのための政令案の準備をいたしておりまして、七月上旬には概算金が支払われることになろうかと思います。
  121. 田邉國男

    田邉委員長 木村守男君。
  122. 木村守男

    ○木村(守)委員 時間が限られておりますので率直に伺いますが、答えは簡潔にして前向きに願えれば幸いだと思います。  まず一つは、このたび五日、六日と青森県を初めとする降ひょう被害が出ました。この降ひょう被害、あるいはその前の降霜被害について、全国的にはどういう状況に相なったのか、その対応策について伺うわけでありますが、ちなみに、青森県の場合はリンゴだけでも被害面積が二千三百四十五ヘクタール、被害金額にして十九億三千五百万円以上、約二十億が見込まれてまいりました。そういう状況にありますが、まず政務次官から、全国的な被害状況とその対応策についてお願いいたします。
  123. 志賀節

    志賀説明員 五月下旬から六月上旬にかけての降霜、降ひょう等による農作物の被害状況については、現在調査中でございます。  これまでに都道府県から報告があったところによりますと、東北、北関東東山等の地域を中心として、野菜、果樹、桑等に被害が発生をしておる状況でございます。このため、農林水産省としてはすでに所要の技術対策、共済金の早期支払い等の指導を行ってきたところでございますが、今後とも被害の状況がさらに明らかになるにつれて、必要な措置を講じてまいりたいと考えております。
  124. 木村守男

    ○木村(守)委員 そこで具体的に二、三点伺いたいわけですが、国としては、この降ひょう被害の集計はいつごろまでにするつもりなのか。  時間がないから、二、三続けて質問事項を先に申し述べさせてもらいます。  それから天災融資法の早期発動をお願いしたい。この天災融資法を検討してもらう場合に、被害についての被害量、被害金額の見方が地方自治体と農林当局、統計事務所になりますか、農政局など、異なっている節がある。そういうことになりますと、結果においては比較対照さえもできなくて、意味をなさなくなってくる、混乱を来すおそれがないとしない。したがって、その辺の適正な指導あるいは統一的な指導が必要でなかろうか、こう思うわけであります。たとえば品質の低下分を、生果として見られないものを被害額に入れる認定の時期はいまなのか、秋なのか、そういうようなことなどもあるようであります。  いずれにいたしましても、地方自治体との調整、統一がなされているのかどうか。それがしっかりしていなければ被害算定が、時と場合によっては多くなる場合もあるだろうけれども、多くなるときであればまだ問題ないが、もし地元のいろいろな調査よりあなた方農林当局の調査が低く出た場合、多くなった場合も低く出た場合も問題は問題だけれども、被災農家にしてみれば低く出たのではかなわない。そういうことが心配されております。それがそのまま万が一低く出た場合などは融資枠の設定にも問題がすぐ絡んでくる、こういう点が心配でありますから、そういうことのないようにお願いをしながら、その点の説明あるいはまた見解を御説明願いたい。  さらには、果樹そのものの被害だけでなく樹皮まで降ひょう被害が甚大な地域もあります。皮が裂けてしまっている。そうなりますと、度合いにもよりますが、大体いままでの体験、経験、私も農家ですから経験していますが、ことしのような降ひょう被害ですと、板柳地区などは四年ぐらいは収穫が正常に戻らない。その間は普通以上に防除費などもかさんで、雑菌を防止しなければいけないということになりますので、いろいろな意味でこういうところまではどのように救済するつもりなのか、その点も具体的にお願いをしたいと思います。  そこで、この際、天災融資法発動のための時期はいつをめどにしているのか、その辺も率直にお知らせ願いたい。農家の人方に、まずこういう災害の場合は、資金手当てを初めとして精神的にできるだけの立ち直りをさせてほしい、そのためにはできるだけ迅速でなければいけない。そういう意味で天災融資法の発動のめどをこの際明らかにしていただき、一日も早い発動をお願いしたいと思います。  それからいま一つは、去年も冷夏のために稲作を中心にやられて、あるいは一昨々年ですか、部落、地域は違うけれども同じ弘前では降ひょう被害がありました。その際にも農林省にお世話になった。こういうことで、冷害とかいわゆる天災といいますか、冷夏というのですか、異常気象によるいろいろな災害が連続しております。たとえば自創資金一つとってもあるいは天災融資法一つとっても、せっかくいろいろ手当ていただいても借金は借金。あるいは連続して来るものだから、ダブルパンチを受けている農家を救うために、この際、政務次官なり担当官にお聞きしたいことは、天災融資法そのものもひっくるめた総合的な見直しが必要ではなかろうか。来年また来ないという保証はないということになってくると、行政上このままでいいだろうかという点を考えさせられます。そういう点についてもお答えを願いたいと思います。  いま一つは、果樹共済金の年内の支払い、仮払いをぜひともお願いしたい。これは現地でやろうという意思があるかどうかにもかかわるわけですが、その指導を強めてほしい、その点をお答え願いたいと思います。  いま一つは、自創資金の限度額の引き上げ、去年の場合ですと百五十万から二百五十万をいただいているわけですけれども、これが三年据え置きの二十年償還ということで、実際は災害がないときでも生かして使わせてもらって非常に助かっている。ぜひともこれを今回もお願いをしたいが、そのめどはどのくらいの引き上げ限度額を考えているのか。もちろんこの被害状況が把握された段階での枠の確保ということは当然にお願いをいたしたい、その辺もお答えを願いたいと思います。そういうことなどをひっくるめた金融対策についてお答えをお願いしたいと思います。  それから気象庁にお願いしたいことは、最近降ひょうなどで突然の気象災害が発生して、気象通報に対する不信の声が出てきている。特に局地的気象変動予測といいますか、それについては技術的には全くこれ以上対応できないのかどうか。あるいはまた研究体制がどうなっているか。これは気象庁よりも科学技術庁になりますかもしれませんが、いずれにしても農林との連絡で、国では国立の防災科学技術センターとかいうのが筑波研究学園都市内にもあるようですが、こういうところと連絡をとって、気象予測あるいは対応のため、農林当局もただ予測発表、情報を流すだけでなく、降ひょうとか降霜被害を粉砕していく、克服する、そのための研究体制はどこまで進んできているのか、どういう研究がなされているかも簡単にお答えをお願いしたいと思います。それから、特に今回の場合もそうですが、日本海側なども合理化という名のもとにロボットでの観測地点というのが切りかえられて、非常に近代的な装置なりあるいはある意味では合理的かもしれませんが、その段階に入ってからとかくこの気象判断というのが地元の実際の農家では混乱している、当たらないことが多い。そういうことが間々ある。そういう点では日本海側地域の体制が弱体化してきていやせぬかどうか。アメダス方式とかということで予報資料を整えるようであります。アメリカなどにおいてもこの方法がとられているようですが、西ドイツとかオランダなどではもっと多角的な体制をとっているようであります。そういう点なども判断した場合に、このままでいいのかどうかということを懸念いたしますので、今後日本海側地域を中心とする体制の強化というものをお願いしたいと思います。  それから、いま一つ水産庁、日米合同訓練によるはえなわ被害がございました。これについて、その被害金額の算定のための算定方法調整が行われておったわけですが、それは完了したかどうかということ。そして、そうだとすれば、大まかにその被害金額は総額でどのくらいになっているか。それから交渉は国が責任を持つべきだが、あくまでも被害漁業者と相手国になるのか。あるいは国がそれを代弁してあくまでも当事者を代理して行うのかどうか。そしてその交渉はいつから始める予定なのか。加害者側は米軍だけなのか、ソビエト艦船もおうたやに聞いているが、その辺の確認がなされたかどうかを明らかにしていただきたい。  以上であります。
  125. 関根秋男

    ○関根説明員 簡単にお答えいたします。  最初の、国の被害集計はいつまとまるかという話でございますが、ただいま被害の集計を急いでおりまして、私どもとしましては、来週にも公表の運びに持ち込みたいと思っております。  それから第二点の、国の被害調査と県の調査に違いがあるのではないか、特に品質低下などを織り込むかどうかということでございますが、国と県の被害の額に違いが出るのはいろいろ理由はありますけれども、一つの大きな点は、被害の基準になる値段をどういうのをとるか、こういう点が一つの大きな違いでございます。県の場合は時価をとりますし、私ども生産所得統計というものを用いまして、全国一本の数字で掛け算をすべき価格を出しておる、こういう点で違いがございます。  しかし、いま先生がおっしゃいました品質低下の問題につきましては、生食用に考えておったものが品質が低下したために生食に向けられなくなった、こういうものは私どもも被害としてカウントしております。  それから全般的に申しまして、国と県との被害額というのは、かつては二倍とか三倍とか大きな違いがございましたけれども、最近、私ども調査自身も県とも連絡をとりながらやっておりますので、今度発表されるであろう私ども数字というのは、県との額はかつてのような開きはないのだろうというふうに見ておるところでございます。
  126. 矢崎市朗

    ○矢崎説明員 天災融資法の問題でございますが、ただいま統計情報部長からのお話にありました被害結果がまとまりますれば、できるだけ早期に判断をいたしたい。過去の被害の状況から見ましても、今回も十分に発動し得る状況になっているのではないかというふうに思っておりますが、いずれにいたしましても正式には被害結果を待ちまして、関係省庁とも協議をしながら早急にその決定をいたす段取りにいたしたい、かように考えております。  それから自作農維持資金の問題でございますが、これは性格上天災融資法の処理を検討いたしました後において、なおかつ負債状況等からこの種の措置が必要かどうか、こういう段取りになりますので、どうしても天災融資法の処理後の検討課題になるわけでございます。したがいまして、いまの時点で、先ほど御指摘のような限度額の問題も含めまして、それにつき判断をする段階にまだ至っておりませんが、これにつきましても、私ども被害の程度あるいは被害農業者の資金需要、負債の実態、こうしたものを十分に見きわめまして適切な対応ができるようにいたしたい、かように考えております。  それから農業共済金、特に果樹の共済についての御指摘でございます。できるだけ共済金が早期に支払われるようにという指導をすでにいたしておるわけでございますが、果樹につきましても、御指摘のとおり、必要な個所におきましては年内には仮渡しができるようにという線で指導をいたしてまいりたいと思います。  なお、金融制度、災害全般についての御指摘がございましたが、現在でも実情に即したかなり弾力的な対応ができるという形で、私どもいろいろとそれに即した措置をいたしておりますが、なお長い目におきまして、ただいまのような御指摘も十分留意をしてまいりたい、かように存じます。
  127. 駒林誠

    ○駒林説明員 お答え申し上げます。  局地的な豪雨、豪雪、ひょうなどにつきましては、それらの現象の規模が小さく、短い時間に急速に発達、衰弱するため、予測にはむずかしい面がかなりあります。しかしながら、これらの現象による災害は、とうとい人命の損失を含めきわめて大きく、気象庁は災害の防止、軽減に資するように局地的予報体制の強化を図ってまいりました。  具体的には、局地的現象の即時把握のための地域気象観測網やレーダー観測網の整備、情報の迅速な伝達のための気象資料伝送網の整備などを進めております。技術的に前進すべき分野はまだまだ残されておると考えております。今後さらに予測技術の開発を行い、局地的な現象の予報体制を強化する所存でございます。  それから、先生おっしゃいました西ドイツ、オランダとアメリカや日本は違うのではないかという点でございますが、御承知のように西ドイツやオランダは平野部の割合が多うございまして、しかも大陸西岸に位置しますために、いわゆる西岸気候と申しまして、気候が日本及びアメリカの東部の東岸気候に比べまして非常に均一でございます。そのために自動機械をそれほど用いないでも、あらし、雷雨というものに対処してございまして、そこで降るひょう、雨量等もアメリカ東部並びに日本全体に比べればきわめておとなしいものでございます。  したがいまして、日本の場合は自動機械を導入しまして非常に迅速に対応しなければならないという、宿命的な気候状況のもとにわれわれがいることを御理解いただきたいと思います。しかしながら、決して機械だけに頼っているわけではございませんで、組織を持つ人間のチームプレーによって予報をいたしております。予報の成績につきましては私ども決して満足しているわけでございませんで、今後向上に一生懸命努力したいと考えております。  それから研究でございますが、研究面につきましては、先生の御指摘のことは、単に予報するだけでなくて、積極的にひょう害をわれわれ人間の力で押さえ込んではどうかという御発言だったと思います。  世界気象機関が国際連合の中にございますが、その中に人間が積極的に気象を変える委員会がございます。それの報告によりますと、緯度の北で、特にソ連とかカナダのように水蒸気の少ないところにつきましては、ひょうを防止する方策、これは沃化銀を詰めた高射砲弾をひょう目がけて撃ち込む方法でありますが、一定の成果を上げているようでございます。しかしながら、水蒸気の多い地方、アメリカの平野部、そういうところではいま一つぱっとしない。これは原理的に、沃化銀が雲の中に入った一分か二分間効いているうちに次の新しい水蒸気が入るために、その効果が消されてしまうためであると考えられております。日本は冬でも夏でもかなり水蒸気が多うございますので、この方法でひょうを撲滅することは必ずしも適していないのではないかと考えております。  それでその基礎研究といたしましては、ひょうをもたらす対流活動の発生起源、それの追跡方法、雲の中で雪のかけらが、ある場合なぜひょうになり、ある場合なぜひょうにならないか、そういうことにつきまして気象研究所の各研究室において鋭意研究を進めているところでございます。  以上でございます。
  128. 今村宣夫

    ○今村説明員 日本海のサケ・マス漁船の被害につきましては、関係道県及び団体との算定方法といいますか、被害額を出す考え方調整は終えております。したがってそれに基づきまして現在計算中でございますが、ごく近くその数字が出ると思っております。  それから第二点目の被害の処理でございますが、この被害補償の問題は、被害状況がまとまり次第被害者から加害者に請求をする、ですから、基本的には被害者が加害者に対して請求すべきものでございます。したがいまして、国は代弁ということではございませんが、しかし被害の補償につきましては、私たちは、取りまとめを待ちまして外務省等関係省庁と早急に協議を行いまして、速やかに加害者から適切な補償が行われるように努力をいたしたいと思っております。  それから第三点目でございますが、私どもとしましては、関係道県を通じまして加害船と思われます艦船の視認状況調査しているところでございますが、これまでの調査によりますれば、視認された外国艦船の中にはソ連艦船と思われるものが含まれているという報告を受けております。
  129. 木村守男

    ○木村(守)委員 大変時間をオーバーして申しわけありません。お許しいただいて一言だけ。  天災融資法の発動のめどは七月と見てよろしいかどうか、一応のめどを立てておるはずだから、素直に答えてほしい。
  130. 矢崎市朗

    ○矢崎説明員 統計報告がまとまるのが来週というふうに部長がめどを言っておられましたので、その結果がまとまりますれば、それから一両日のうちには、どうするかという方針は決めたいというふうに思っております。
  131. 木村守男

    ○木村(守)委員 終わります。
  132. 田邉國男

    田邉委員長 次回は、来る七月十三日月曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時十七分散会