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1981-05-27 第94回国会 衆議院 農林水産委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十六年五月二十七日(水曜日)     午前十時三分開議  出席委員    委員長 田邉 國男君    理事 津島 雄二君 理事 羽田  孜君    理事 福島 譲二君 理事 新盛 辰雄君    理事 松沢 俊昭君 理事 武田 一夫君    理事 稲富 稜人君       逢沢 英雄君    上草 義輝君       小里 貞利君    亀井 善之君       川田 正則君    岸田 文武君       近藤 元次君    佐藤  隆君       菅波  茂君    田名部匡省君       玉沢徳一郎君    保利 耕輔君       三池  信君    渡辺 省一君       小川 国彦君    串原 義直君       島田 琢郎君    田中 恒利君       竹内  猛君    安井 吉典君       吉浦 忠治君    神田  厚君       近藤  豊君    寺前  巖君       木村 守男君  出席国務大臣         農林水産大臣  亀岡 高夫君  出席政府委員         防衛政務次官  山崎  拓君         防衛庁参事官  岡崎 久彦君         防衛庁参事官  石崎  昭君         防衛施設庁総務         部長      森山  武君         外務政務次官  愛知 和男君         水産庁長官   今村 宣夫君  委員外出席者         議     員 島田 琢郎君         議     員 武田 一夫君         外務大臣官房審         議官      堂ノ脇光朗君         外務大臣官房外         務参事官    松田 慶文君         参  考  人         (日本海さけ、         ます延繩漁業協         同組合組合長理         事)      麓  光成君         参  考  人         (日本海ます流         網漁業組合連合         会会長理事)  石山  寛君         農林水産委員会         調査室長    小沼  勇君     ————————————— 五月十九日  農産物自給促進及び備蓄確保のための農  業生産振興に関する法律案安井吉典君外八  名提出衆法第四三号) 同月二十日  栽培漁業振興法案武田一夫君外三名提出、衆  法第四四号) 同月十四日  食糧管理制度の拡充に関する請願(野間友一君  紹介)(第四九八四号)  食糧管理法の一部を改正する法律案に関する請  願(安藤巖紹介)(第四九八五号)  同(榊利夫紹介)(第四九八六号)  同(寺前巖紹介)(第四九八七号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  農産物自給促進及び備蓄確保のための農  業生産振興に関する法律案安井吉典君外八  名提出衆法第四三号)  栽培漁業振興法案武田一夫君外三名提出、衆  法第四四号)  農林水産業振興に関する件(日本海における  ます漁業被害問題)      ————◇—————
  2. 田邉國男

    田邉委員長 これより会議を開きます。  農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  日本海におけるます漁業被害問題について、本日、日本海さけ、ます延縄漁業協同組合組合長理事麓光成君、日本海ます流網漁業組合連合会会長理事石山寛君を参考人として出席を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 田邉國男

    田邉委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  4. 田邉國男

    田邉委員長 この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。  参考人各位には、御多用中にもかかわらず、本委員会に御出席をいただきましてまことにありがとうございます。日本海におけるます漁業被害問題について、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお聞かせいただきたいと存じます。  次に、議事の順序でありますが、麓参考人石山参考人の順で、お一人十五分程度意見をお述べいただき、その後、委員から質疑がございますので、これにお答えをいただくことにいたしたいと存じます。  なお、念のため申し上げます。参考人委員長許可を得て発言をしていただき、また、委員に対しては質疑ができないことになっておりますので、御了承ください。  それでは、麓参考人にお願いをいたします。
  5. 麓光成

    麓参考人 参考人といたしまして御意見を申し上げます。  私は、日本海さけ、ます延縄漁業協同組合組合長北海道乙部町の麓光成でございます。  最初に申し上げますが、今回の日米合同演習期間を短縮していただき、諸先生方に厚く御礼を申し上げます。  さて、私ども組合は、日本海に面した北海道から福井県までの一道七県の関係漁業者によって組織され、組合員の数は二百五十九名であります。日本海サケマス延べなわは一道七県の知事の許可を受け、日本経済水域内と朝鮮海域漁場として三月十五日から六月二十五日までの間操業しておる非常に零細な階層であります。  経済水域二百海里設定までは沿海州海域がこの漁業の主たる漁場で、操業船大半がこの海域に集中し操業しておりましたが、経済水域設定後、すなわち昭和五十二年からは、一番遠い経済水域線までは約百七十マイル、一番近い線では約八十マイルしかなく、約半分になりました。この狭隘な漁場に十トン以上の延べなわ船二百五十九隻と十トン以下延べなわ船推定で七百五十隻以上、それに流し網百二十五隻の約千百三十隻程度操業しております。この漁業期間中は非常に込み合い、そのため延べなわ船は、操業する場合、船と船との間隔を〇・五マイルから一マイル程度より間隔がとれない危険な操業をしております。  この漁業大半漁船は、三月は福井石川県沖合いから始まり、四月は朝鮮海域利用する船団と、大和堆の南側及び新潟県沖合い利用する船団に分かれ、五月は山形、秋田青森県沖合い北海道の一部海域及び朝鮮海域利用し、六月は北海道沖合いに集中して操業するのが実態であります。この漁業最盛期は五月で、漁期間中の漁獲の約六〇%はこの月に集中しております。  この漁業方法は、零時ごろから投なわし、約三時三十分から四時間程度で終了します。その後約一時間程度漂泊し、はえめ個所から揚げなわをいたします。この時間は約十から十三時間を要します。漁具は一枚のなわに平均四十本の針がついており、針と針との間が約三メーター五十センチあるので、一枚の長さが約百七十五メーターあります。その漁場操業隻数または海況によって異なりますが、普通は一回の操業で約三百枚のなわを一本で投なわするので、その長さは約五万二千五百メーター、すなわち五十二キロになります。この間になわ五枚に一本のぼんでんをつけ浮力にします。えさはイカナゴを使用しております。  以上が本漁業操業概要です。  今回発生した漁具被害状況ですが、今回の日米合同演習を知ったのは、五月九日に報道された各社の新聞を見て初めてわかり、その時点で流網連合会と協議し、流網連合会水産庁延縄北海道庁に手分けして、新聞に報道された内容の事実関係を聞くことにいたしましたが、両庁とも合同演習内容については不明であり、防衛庁に問い合わせることにいたしました。それが事実なら、演習海域盛漁期漁船が集中する海域なので、直ちに中止するよう水産庁北海道庁に申し入れました。  われわれも直ちに上京し、関係官庁要請なり抗議をすることにしましたが、五月十日は日曜のため、五月十一日に上京し、水産庁に対し、直ちに演習中止するよう防衛庁に申し入れることを要請いたしました。  その後、水産庁防衛庁との話し合いの内容を聞いて、防衛庁に対し演習中止抗議をいたしましたが、防衛庁は、飛行機を飛ばしすでに漁船の動向を把握している、演習当時も飛行機事前調査させ、漁業には一切迷惑をかけないので協力願いたいと言っておりました。  われわれは、延べなわの漁具構造からいって飛行機調査しても絶対わからない、それは夜間に投なわすることと、海面から一メートルないし一メートル五十センチの海中に浮設され、長さが五十二キロにもなること等を説明し、必ず被害が発生することを漁具の現物を見せて繰り返し説明いたしましたが、防衛庁は、事前調査を厳密に行うので漁船には絶対に迷惑をかけないので、そのまま操業してもよいと無条件で安全を保証しました。  しかし、われわれは、漁具被害が必ず発生することを力説し、演習中止場所または演習期日変更と、今後このようなことは事前水産庁と協議すべきであることを申し入れましたが、防衛庁は、前述のとおり、場所期日変更はできないので、予定どおり実施する旨の話のみでありました。  各漁船には五月十一日夕方より演習内容連絡しました。五月十五日午前九時に、ます組合下部組織である青森県ます延縄協議会より鰺ケ沢漁業用無線局を通じ、演習海域外操業している、軍艦がいて演習のような行動をしているが、演習海域変更になったのかと聞いてきました。この内容北海道水産庁防衛庁電話等連絡をしました。防衛庁からは演習海域変更はしていないという連絡があったので、各船にその旨各無線局を通じ連絡いたしました。  同日十時四十分ごろから、軍艦による被害が全船に出ている、これは演習に間違いない、直ちに中止を申し入れよとの連絡が各船より岩内無線局江差無線局鰺ケ沢無線局にあったので、このことを防衛庁に申し入れたが、防衛庁からは、今回の合同演習に参加する艦船ではないとの連絡がありました。  十二時三十分ごろから国旗及び艦船番号が各船によって確認され、無線連絡がありまして、この内容防衛庁連絡し、演習中止を再度申し入れたところ、防衛庁からは、米軍連絡をとってみるとの回答がありました。  演習と思われる軍艦飛行機行動内容連絡無線局を通じて刻々とありました。この行動によって乗組員たちは不安と恐怖、それに緊張の連続で、なわ拾いも全く手につかない状態で、危険を感じるので直ちに中止させるようとの連絡が再三ありました。各船より、日没までなわを探すが、全船全く揚げなわするなわはないとの連絡があって、投なわしたなわは全滅したものと判断いたしました。  各船からの報告では、米軍の星条旗を確認しており、また艦船番号も確認し、後日の新聞発表によればこれらは米海軍艦船であり、間違いなくこの米海軍艦船によって被害が発生したものと私は確信しております。  十六日も朝から軍艦行動漁具被害報告がありました。十八日に上京し、後期演習を直ちに中止するよう、十八日と十九日に農林水産省、防衛庁、外務省に要請をしましたが、防衛庁は、今回の被害演習海域外のもので、前期の演習によって被害を受けたものではないので、後期漁船に十分注意するから中止はできないということでありました。われわれは、被害を与えた艦船日米合同演習に参加をした艦船であって、全く別のものではないので、直ちに中止することを強く申し入れました。また各省官庁には、このような演習を今後も行う場合は必ず事前水産庁と相談すること、起きた被害には早期に全額を補償することを申し入れました。  しかし、その後の新聞によれば、防衛庁自衛艦によって発生した漁具被害ではないので補償責任がないという発言をしているようでありますが、われわれは日米合同演習に参加する軍艦によって被害を受けたので、補償責任防衛庁にあると考えております。このことは、先ほど説明したとおり、防衛庁に、必ず被害が発生する、そのときは補償請求防衛庁にするということを申し入れておりますので、日本政府責任補償措置をお願いしたいと思います。  私ども漁具被害発生と同時に、漁船から連絡があった情報に基づき被害額の概数を積算しましたが、五月十八日現在のまとめによれば、漁具が二万五千六百九十一枚、金額にして漁獲損失も含め約九千二百万円となっております。正確な被害額は個々に調査した後でなければ判明しませんが、帰港次第調査しております。最終船の入港は六月三日ごろの予定です。  補償の件でさらにお願いしたいことは、演習区域に指定された海域は、この期間最も重要な漁場であって、演習のためのトラブルを避けるため、漁船はこの海域利用を避けて他の海域に移動したものや、十四トン型の漁船は遠い海域に出漁できないため出漁を中止した漁業者もおりますので、逸失利益補償も考えてもらいたいと思います。  最後にお願いしておきたいことは、再びこのような漁民無視演習は絶対に行わないようにお願いいたしたいことと、もし演習を行うのであれば、水産庁と十分協議し、漁業に影響のない時期、区域で行うことを重ねてお願い申し上げます。零細な漁業者立場を十二分に御理解願い、諸先生方の御尽力を強く御期待申し上げる次第でございます。  以上でございます。(拍手)
  6. 田邉國男

    田邉委員長 どうもありがとうございました。  次に、石山参考人にお願いいたします。
  7. 石山寛

    石山参考人 私は、日本海ます流網漁業組合連合会会長理事石山寛であります。北海道岩内町に在住しております。  以下、今回の日米合同演習に関連した漁業被害について実情を申し述べたいと存じます。  ただいま麓参考人からのお話もございましたので、なるべく重複を避けながら意見を申し上げたいと存じます。  まず初めに、御理解をいただくために、日本海流し網漁業に従事している私ども漁船概要を申し上げますと、北海道から石川県まで一道六県でございます。そのトン数階層は、四十トン以上が九十八隻、三十トン以上が十一隻、十トン以上が七隻、十トン未満が九隻、合計百二十五隻でございます。このうち四十トン以上の九十八隻はほとんど冷凍凍結船でございます。以上のような小型船によって操業が行われております。  次に、漁期漁場でございますが、漁期は三月十日から六月二十五日まで許可されております。これは日本海マス実情上、海に下った稚魚が二年目の春から母なる川に向かって遊泳し、六月の下旬ごろから逐次遡河を開始します。こういう実態の中で、われわれ日本海マス業者、特に流し網業者は、二百海里の水域設定されたことによりまして、対ソ、対北朝鮮及び二百海里は宣言しておりませんが、韓国、この三カ国の中で線引きをして、漁場を半分に削減され、また北限でございますけれども、これは日ソ中間線によりまして、おおむね北緯四十六度に限定されておるわけでございます。したがいまして、漁期はそういう制約の中でおのずから制限が厳しくなっている、こういう現状でございます。  次に、漁場移動状況を簡単に申し上げますと、三月は大体青森県から島根県沖合いまでの比較的沿岸近くで操業いたします。四月ごろには新潟県の沖合い、いわゆる大和付近から朝鮮沖合いにかけて移動し、一部は北海道にも漁場を求めるものもあります。五月になりますと盛漁期になりまして、朝鮮沖北海道沖に大体分かれますが、一部はその中間大和付近漁場とし、また秋田県船は、後に申し上げますが、秋田県沖合い中心操業しております。六月にはほとんどの船が北海道沖合いに移動している、こういう現状でございます。  また、漁獲状況を申し上げますと、三月中は水温も低く、いまだ魚体も小さいので漁獲はわずかでございます。四月になりますと、漁期の推移とともに次第に魚体も大きくなり、五月ごろから盛漁期に入ります。  次に操業方法でございますが、流し網というのは、先生方御案内でしょうが、ちょうどテニスのネットを水の中に入れた、こういう状況を御想像願えれば一番わかりやすいのではないかと思います。一方の上の方にウキをつけまして、下の方におもりをつけて、そして水中にたらしまして、潮の流れのままに浮遊させていく、こういう漁法でございます。網の長さは、いろいろございますが、中心となるものは一反が三十七・五メーターありまして、これを百五反つなげます。これをわれわれの言葉で一配と申します。これを三つ、三配投網いたします。それで網の両端には、ぼんでんと申しまして、竹に旗をつけたものやら、だるま灯をつけたり、あるいは網端にはラジオブイといいまして、電波の出る器具をつけております。  そういうことで、投網はおおむね夕方の十六時ごろから行い、大体十八時ごろで投網を終わります。五、六時間経過した深夜二十三時か二十四時ごろから網揚げを開始しまして、朝六時ごろには完了する、こういうのが通常でございます。したがって、操業は全く夜間に行われるということでございます。  次に、日米合同演習時の流し網漁船漁場利用状況を申し上げますと、大半北海道沖朝鮮沖合い、二つに分かれておりましたが、秋田県沖合いには秋田県船十隻が操業しておりました。特に秋田県船は底びき漁業との兼業船でございまして、トン数制限がございますので、三十一トンが主体でございます。四月の中旬まで底びき漁業をやっておりまして、流し網は四月の下旬ごろから出ております。したがいまして冷凍設備もございません。漁場も比較的近い自県沖合い主体となってやっております。ことしは特にサクラマス状況がよくて、ほとんど九九%、現在もサクラマス漁獲しております。例年であれば大和堆から秋田県沖にかけて操業する漁船がありますが、ことしは秋田県船を除き、ほとんどの船が北海道武蔵堆と北朝鮮の海区で操業しております。  次に、日米合同演習のあることを新聞報道テレビ等でわれわれは知りました。したがいまして、五月十一日に日本海ます流網連合会日本海延縄協同組合合同防衛庁へ参りました。  先ほど麓参考人からもるる申し上げましたが、とにかく日本の二百海里水域というのは、これはもう非常に狭いのです。しかも二百海里で沖合いから締め出されてきた漁具漁業種類がみんな日本の二百海里の中でやっている。各種の刺し網カニかごエビかご延べなわ、底びき等、いままで日本海全部を使っていた商売が全部日本の二百海里の中でよりできなくなっているのだ。こういう中でわれわれ漁業者同士で、もう一生懸命操業協定等をしながら、お互い注意を払ってトラブルのないようにやっている非常に狭い現状なんである。  また夜間操業を行いますので、そういう流し網形式のものでございますので、発見ということになりますと非常に困難である。もし仮にそれを見たとしても、艦船のように大型船であればスピードがついていてとうていこれを避けることなんかできないのじゃないか。飛行機もそんな、見えるといいましても、あの細い漁具を可視することもむずかしいのじゃないか。夜間は当然困難である。さらにいま日本海は一番盛漁期に入っているのだ、どうか演習中止または海域を変えてください、このように要望しました。  その際、防衛庁担当官は、被害を起こさないよう万全を期するから従来どおりの操業をしても心配はない、こういう一辺倒でございました。そしてどうぞ操業はやってください、こう申されました。  次に、先ほど麓参考人の申し上げたように延べなわ船が大きな被害を受けた第一次演習時、なぜ流し網被害がなかったかということについて申し上げますと、北海道沖武蔵堆域に四十ほど流し網船はおりました。しかし艦船が通過したのは五月十四日の昼から十四時ごろであって、流し網船はそのころはまだ投網しておりません。したがって被害がなかった。もしあの艦船が数時間後にあの場所を通ったら、これははえなわより前に流し網船被害が出ていることは確実だったろうと思います。  また、秋田県の沖合い操業していた秋田県船は、秋田県の漁連漁船の事故を懸念しまして、演習海域での操業はなるべく避けるようにというようなサゼスチョンをしたこともあったように思われます。  以上が第一次では被害がなかったことでございまして、第二次の演習時の秋田県沖の操業でございますけれども秋田県沖合い演習海域の東の北側の端でございます、ここで操業しておりました。先ほど申し上げましたように、いま一番値段のいいサクラマスの好漁場となっておる状況もありまして、第一次は遠慮しましたけれども、第二次には、防衛庁の東山海将補が五月十八日に秋田市にお見えになって秋田県知事と会談し、海将補漁業には絶対被害を与えないことを確約されております。こういうことでございますので、秋田県船は、それであればということで、これを受けて演習海域操業したわけでございます。  しかしながら、現実には延べ十そう、実隻数六そうの漁船が五月二十日から二十一日と、二十一日から二十二日の二回にわたって、流し網約四十六反が被害を受けております。約四十六反と申し上げましたのは、帰港していない二隻を含め漁船からの事情調査が完了しておらないために、このように申し上げた次第でございます。  以上、日本海流し網漁業概要日米合同演習に対してのわれわれの主張を申し上げたわけでございますが、何と申しましても、われわれの操業している日本海というのは対外的にも対内的にも非常に制約がある。  対外的というのはどういうことかと申しますと、二百海里で日ソ中間線がわずかに鉛筆の線一本でございます。その漁場で分割されて半分となり、昨年、流し網のうちから、ソ連監視船によってソ連水域内で操業していたという疑いをかけられ、拿捕されました船が三そうございます。三十八珠の浦丸は約六千万で、これは涙をのんで支払いました。これは、水域ソ連朝鮮海域にふくらましていたためで、われわれのあずかり知らないことではございますけれども、やむを得ず六千万を払っております。第十一明豊丸というのは約六億の罰金を申し渡されまして、これと、第二十五若竹丸は約三億余りの罰金を申し渡されまして、一生かかっても、孫子の代までかかっても払えませんので、これはいまだにソ連の最高裁に上告をしております。  また、対内的と申し上げますのは、沿岸漁業沿岸もごく近くから沖合いに出ておりますので、漁具トラブルが生じまして、昨年度は四千三百万の見舞い金流網連合会は払っております。  こういうことで、対外的にも対内的にも日本海は非常に狭い、制約がある、やるところがない、その中の一番の盛漁期に抜き打ち的に二十数隻の軍艦演習をやったということについては、われわれとしては全く納得しかねるところであります。しかも万全の措置をとって漁業被害を与えない、こう言っていて、現実にははえなわ、流し網被害が生じている、きわめて遺憾に存ずるわけでございます。  今回の漁業被害に対しては、防衛庁艦船によるものではないという新聞報道がきのうか出ておりましたが、私どもの考え方としては、すべての原因は、日米合同演習が起因して、この原因によって生じた事態であると考えております。責任を他に転嫁するがごとき言動については、きわめて不可解に存じております。したがって、今回の漁具被害補償等については当然のことであり、請求いたしますれば速やかに全額補償されてしかるべきものと考えております。  最後に、わが国の漁業は、国民のたん白資源供給の大命題のもとに、二百海里の規制にあえぎながら、経済的には燃油の高騰の重圧を一身に浴びつつ、漁業経営の危機を必死に乗り越えようとしているときに、漁民不在の今度の事件のようなことはまことに心外でございまして、もしこのようなことが続発するようなことであれば、経営意欲すらも失われることが予想されます。  今後、演習が行われる場合には、防衛庁関係省庁と少なくとも十分前広に協議していただいて、関係業界にも十分の理解を得た上で、そういう措置を講じられながらやられてしかるべきものと考えております。このような配慮の欠如がこのたびの被害問題に対して漁民が怒りを示した最大の原因であると存じます。  以上をもちまして私の陳述を終わらしていただきます。ありがとうございました。(拍手)
  8. 田邉國男

    田邉委員長 どうもありがとうございました。  以上で両参考人意見の開陳は終わりました。     —————————————
  9. 田邉國男

    田邉委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。津島雄二君。
  10. 津島雄二

    ○津島委員 麓、石山参考人、大変お忙しいところを御苦労さまでございました。  ただいまお話を伺いまして、私ども新聞報道等でいろいろ伺ってはおりましたけれども、直接いまの実態をお聞かせいただき、また非常に困難な二百海里の環境の中で大変御苦労しておられるさなかの演習事故であるということを、認識を新たにいたしまして、非常に強い感銘を受けた次第であります。  私ども、今回の事故は非常に残念なことだと思っておりますけれども、何をおいても早く実態を究明いたしますとともに、漁民の皆様方が今後とも意欲を失わずに仕事に取り組んでいただけるようにしたいという気持ちで、お二人のきょうのお話をできるだけ有意義なものにいたしたい、かように思っておる次第でございます。  そこで、まず一つだけ御質問いたしますが、いまの麓参考人のお話のはえなわの方の二百五十九隻等々で、年間の漁獲量が大体どのくらいになっているか、概略で結構でございます。  それから石山参考人の方も、流し網について概略の数字をお知らせいただければと思います。
  11. 麓光成

    麓参考人 お答えいたしますが、五十四年度は四十六億円ばかりです。それから五十五年度は二十八億円ぐらいの水揚げでございました。以上でございます。
  12. 石山寛

    石山参考人 お答えいたします。  流し網の方は、多いときで年間大体五十億ぐらい、少ないときで三十五億ぐらいでございます。以上でございます。
  13. 津島雄二

    ○津島委員 ありがとうございました。  さて、今回の事件でございますが、合同演習の事態を承知されたのは五月九日、しかも一般の新聞報道であったということでございますが、地元の行政機関、たとえば県庁等にもそのような話は全くなかったのかどうか。もし仮にあったとすれば、いつごろどういうところに連絡があったのかということを、両参考人の組織への通知ではございませんからお二人にお伺いするのはちょっと筋違いかと思いますが、何か聞いておられるところがあればお伺いをいたしたいと思います。
  14. 麓光成

    麓参考人 新聞に報道されまして、道庁の方に事前連絡がありましたかどうか私の方でお伺いいたしましたところ、道庁の方も何ら連絡がなかった、私の方の呼びかけでびっくりしたというふうなことでございました。以上であります。
  15. 津島雄二

    ○津島委員 もしさようなことであるとすれば大変遺憾なことだと思います。そしてその後、直ちに上京されまして防衛庁当局とお話をされたということで、いま折衝の中身については概略をお伺いをいたしたわけでございますが、その際には漁業実態、たとえばいまの、はえなわがそれこそ五十二キロに及ぶという長いものを引っ張っていくということ、それから夜間操業実態であるというようなことについて、防衛庁当局の方ではどの程度の真剣な認識を持っていたのでございましょうか。  いまお話を伺いますと、とにかく迷惑をかけないようにするから、絶対迷惑をかけないように保証するからの一点張りであったというようなことだそうでありますが、そのような発言がどの程度の認識に基づいていたのか、ちょっとお伺いいたしたいと思います。
  16. 麓光成

    麓参考人 当時の事情を申し上げますが、この漁法は先ほど申し上げたとおり夜間であって、それから視認、すなわち見通しが悪い、そういう漁法である。水中から一メーターから一メーター五十のはえなわで、なわである。いかに機器が発達していてもこれは事前に発見いたしまして捕捉するようなことはとうてい不可能である。必ずこれは被害を受けます。  それで私が、認識を改めるために現地からそのなわを持参いたしまして、ウキもついたそれを目の前に示して、このようななわで、船体は確認されても、船体から離れて五十二キロも海上に各分団がそろって一斉にやりますので、船団は捕捉してもなわは捕捉はできません。必ず被害を受けますよ。そうしたら、事前飛行機も飛ばすし、見張りも十分にするし、私たちは機械を高く評価して行動しておるので、絶対被害は発生しない。したがって私たちに協力をしていただきたい。私は、必ず出ますよという強いことを一時間も話しておりますが、向こうでは協力していただきたい、全面的に私たちが見張りを十分にして、被害のない方法行動するからということで、私たちもやむを得ず下がってきたような次第であります。  以上でございます。
  17. 津島雄二

    ○津島委員 そのような保証にもかかわらずこういう事態を惹起したわけでありますけれども被害実情でございますが、実際に被害を起こした事態は日中に行われたのか夜間に行われたのか。いずれにしても揚げてみないとわからないわけでありますが、揚げてみて被害が確認されたことと、それから艦艇の通過、それからどのような艦艇が通ったのか、この辺の因果関係の究明でございますけれども、どの程度現地の方でおできになっているのか。これは特に夜間のものであるか日中のものであるかで大分違うと思うのでありますが、その点、もしおわかりでございましたらお知らせいただきたい。
  18. 麓光成

    麓参考人 船の方からの連絡によれば、早いのはやはり夜中の一時ごろから、そうして、ジグザグで南下したら北上してくるという関係で、もう真昼も夜もやったというようなことでございます。
  19. 津島雄二

    ○津島委員 夜間であるといたしますと、当然艦艇の確認というのは非常に困難が伴うというふうに考えてよろしいでしょうか。
  20. 麓光成

    麓参考人 夜の艦艇の確認はなかなかめんどうでございまして、ただ列をなして、そうして航行している、ジグザグをしている船を発見した。それから私たちは船に連絡いたしまして、その被害艦船の確認を急げということで命令いたしまして、それから四隻の船の米艦の国旗、それから船体番号が私たちに無線局を通じて船から連絡がございました。それは昼の時点で確認の連絡を受けたような次第であります。  以上でございます。
  21. 津島雄二

    ○津島委員 一方、流し網の方でございますが、先ほど私も大変認識を新たにしたのでございます。第一次の被害はえなわの方が多かったが、流し網の方がたまたま出ずに済んだのは、艦艇が通ったのが昼から午後二時ごろまでであったというお話でございます。この間に航行した船については日中ですからかなり確認ができるのではないかと思いますが、その点と、それからこの五月十四日の第一次の被害は、いまのはえなわの方も日中の被害であったのか、それとも巻き上げるのが現実に夜でありますから、それまで実はわからなかったのか。いまの流し網の方がちょうど日中通ったから被害がなくて済んだということとの関連、事実関係をもうちょっと教えていただければ大変幸いでございます。両方の参考人の方から御意見を賜りたい。
  22. 石山寛

    石山参考人 お答えいたします。  先ほども申し上げましたとおり、流し網は大体十六時ごろから投網いたします。完了が約二時間ぐらいかかるということでございますので、ちょうど米艦隊が通っていったときは、大体朝六時ごろに終わりまして、それから魚を裁割といいましておなかを切ったり冷凍パンへ入れて、そして処理をして、八時ごろから休みます。漁師は夜仕事をしますからお昼に寝るのでございまして、ちょうど十二時、一時、二時というころは、ごく一部の船の人が起きて、そろそろ仕事を始めようかというような時間だと思います。それで私どもは、まだ流し網の第一次の問題につきましては、各船から船を見たかとかそういう確認はしておりません。はっきりはしておりません。ただ、中には艦船へ手を振ったという船はございましたけれども被害がなかったので、その番号とかそういうことは確認はとっておりません。  以上です。
  23. 麓光成

    麓参考人 お答えいたしますが、はえなわの方は、御承知のとおり、朝五時から六時ころ揚げなわにかかるわけなんです。夜一時ころから艦船が交錯しておるので被害があったというふうに来ましたが、本当の確認はその揚げなわを六時ころからして、九時、十時ころ、ほとんどの船から被害が発生して大分大量に切断されておるというふうな情報が来たような次第であります。  以上であります。
  24. 津島雄二

    ○津島委員 いままでに、はえなわのような長い網でございますから、外国の艦船、特に軍艦による被害があったということはございましたでしょうか、ちょっとこの点もお伺いしておきます。
  25. 石山寛

    石山参考人 お答えいたします。  ちょっと正確な内容は調べてきておりませんのであれですが、十年前と申しますか、やはり日米の合同演習だったと記憶しております。四十六年の年だったと思いますが、これに類似したようなことがございました。その当時大湊の海上自衛隊の方がわれわれの方へ参りまして、非常に申しわけなかったということで漁民のうちを一軒一軒回りまして謝罪をし、その後被害請求で、見舞い金だったと思いますけれども、そういうことで処理されたことを記憶しております。金額その他はちょっと私どもいま記憶ございませんので、お許し願います。  以上です。
  26. 麓光成

    麓参考人 お答え申し上げます。  なわの方はいままで切られたことはありますが、今回のように大量の艦船が航行したために寸断された、そのためのなわの被害はいままでなかった。一そうの艦船が通って切断された場合はその個所一カ所でありますので、探せばいままで見つかっております。それから被害が甚大になるということをおそれまして、小樽−舞鶴間の定期のフェリーの会社に対しては、この時期にこの海区が一番込みますから遠慮して航海していただきたいというふうなことを申し出まして、それを向こうの方も了といたしまして被害の防止に当たっております。  以上でございます。
  27. 津島雄二

    ○津島委員 それでは善後措置の問題に入ってまいりますが、私どもこちらから伺っておりまして大変やりにくいであろうと心配しておりますのは、相手が農林水産省そのものじゃなくて防衛庁であり、それからまた、外国の艦艇も含まれているということから、よほど適切な対応をしていただきませんと、結局右左にキャッチボールになって責任の所在がわからなくなる。それから皆様方としてもどこへしりを持っていったらいいかわからないということになる。これを私どもも一番心配をいたしておりますが、折衝の窓口と申しますか、責任を持って対応してくれる場所をやはりきちっと決めることがいままず大事ではないかという感じがいたします。その場合にどのような配慮が必要であるか、またどこに統一してもらったらいいかというような御意見があれば賜りたいと思います。
  28. 麓光成

    麓参考人 お答えいたします。  先ほど申し上げたとおり、当初は、必ず被害が出ますので、被害が出た場合、防衛庁運用二課のあなたのところを窓口にいたしますからという強い抗議をしてまいりましたが、やはり数字的にこれからいろいろ相談していただける、そして私たちの窓口になっていただけるところは、農林水産省を窓口にしてまいりたいというふうに考えております。  以上であります。
  29. 津島雄二

    ○津島委員 皆様方の仕事の御苦労、被害の深刻さ、こういうものを一番理解しやすい立場のお役所が責任を持つ方が妥当であるという御意見と拝察をいたします。  さて、善後措置補償の問題でございますが、まず数字的に伺いますと、いま言われております、たとえば九千数百万円という金額の中には、先ほどお触れになりました逸失利益が含まれているかどうか、この点ちょっと事実関係でお伺いいたします。
  30. 麓光成

    麓参考人 お答えいたしますが、逸失利益が入っておりません。
  31. 津島雄二

    ○津島委員 時間が参りましたので最後に一問だけお伺いをいたします。  今後の対策でございますが、今後仮に共同訓練というような話が出てまいりますとすれば、少なくともこういうことは考えてほしいという点がございましたらお伺いをいたしたいと思います。
  32. 麓光成

    麓参考人 お願い申し上げたいと思いますが、先ほど申し上げたとおり、私たちは限られた漁期と限られた漁場より利用できませんので、でき得ればやはりこの時期をずらして、それで場所変更するとか、そういう態度をひとつとっていただきたい。そのためには、水産庁の方々が私たちの動向を一番知っているので事前協議していただきたいというふうに考えております。
  33. 津島雄二

    ○津島委員 ありがとうございました。終わります。
  34. 田邉國男

    田邉委員長 新盛辰雄君。
  35. 新盛辰雄

    ○新盛委員 各参考人の皆さんには、今回の日本海における漁業被害を受けられて、被害者として大変いろいろな面で御苦労されておりますことと、さらにきょうはこの農林水産委員会においでいただきましたことに対して厚くお礼を申し上げます。  時間がございませんので簡潔にお聞きしてまいりたいと思います。  日米共同訓練が実施されるという情報を耳にされたのはいつでしょうか。
  36. 麓光成

    麓参考人 九日の新聞で見ましてびっくりしたような次第でございます。
  37. 石山寛

    石山参考人 全く同じでございます。
  38. 新盛辰雄

    ○新盛委員 今回の共同訓練というのは十年ぶりということになっているわけですが、十年前に若干日米共同訓練による被害が出たのでありますけれども、そのことについては御存じですか。
  39. 石山寛

    石山参考人 お答えいたします。  先ほど申し上げましたとおり、十年前、たしか昭和四十六年だと記憶しておりますが、流し網被害がございました。はえなわの方はそのときはなかったと思います。  それで、先ほども申し上げましたとおり、これは被害を道を通じて水産庁へ上げまして折衝の結果、見舞い処理ということで処理されたと記憶しております。以上です。
  40. 新盛辰雄

    ○新盛委員 十年前の事故の際に見舞い金という形で処理をされたというふうに私も聞いているのですが、今回の場合も、加害者の方がまだ明確じゃございません。特定しているかどうか、これからの論議を通じて明確になると思いますけれども、前回の場合は加害者が明確であったのか。そしてまた、水産庁を窓口にして見舞い金ということになったのですが、今回の場合も見舞い金という話が出ているわけです。そのことについてはどういう御感想でしょうか。
  41. 麓光成

    麓参考人 私の方ではそのような新聞の報道を承りましてまことに遺憾でございます。ということは、私たちの方の漁船で、二四号、二五号、九五〇号、一〇四一号というふうに米艦の船体の確認をはっきりとっております。そういう関係で、これはあくまでも私は補償でもらいたいというふうに考えております。
  42. 石山寛

    石山参考人 お答えいたします。  ちょっと記憶が不確かでございまして、訂正いたします。  十年前の分は、防衛庁被害補償するということで、金額で和解をした、こういう内容になっております。以上です。
  43. 新盛辰雄

    ○新盛委員 だとすると、それは補償ということの理解ですか。それとも防衛庁としては被害額に対する全面補助としてやったのか、あるいはそれではなくて一時金的なものになったのか、その辺の当時の理解はございますか。
  44. 石山寛

    石山参考人 お答えいたします。  御案内のように、被害を明確にするということにつきましては、われわれ漁民でもなかなかむずかしい作業でございまして、通常の風浪、波浪でも傷む場合もございますし、そういうことをやはりセレクトしながら請求をする。したがって、出てくるものも個人の請求でございますので、上から見てこれはちょっと多いじゃないかとか、そういう問題もいろいろあります。あるいはこれは抜けているのじゃないかという問題もございまして、そういう問題を含めて、あるいは単価の問題、その使用年度の問題、いろいろございまして、そういう点で金額的に請求額よりも下回った金額で和解した、内容は損害補償である、こういうことでございます。
  45. 新盛辰雄

    ○新盛委員 航行警報というのがございます。五月の九日に海上保安庁航行警報として、秋田沖における日米共同訓練について、防衛庁海上幕僚監部防衛部長から海上保安庁の水路部長ないしは海上保安庁警備救難部長あてに対潜特別訓練についてという通知が行われた。この発信の日は五十六年五月九日、こうなっておりまして、実は海上保安庁がこれを受信したのがまた五月九日、こうなっているわけです。この航行警報について、最盛期に入っているサケ・マスのはえなわあるいは流し網、そういうことの最盛期にわたる部分について海上保安庁は直ちに皆さんのところへ通知をしたものかどうか。  五月九日なんですが、先ほどのお答えによりますと知ったのは実は五月九日なんだ。それで、私ども新聞で知りましてすぐこの場所で、実は十二日の日に私が緊急質問をしたわけです。そうしたこともございまして、この航行警報というのは皆さんのところへ行き渡るまで時間がかかるのかどうか。警報が受理されたのか。漁船のそれぞれの船がこの日米共同訓練の場所はこことここだということについて知られたのはいつごろでしょうか、あるいは通報がなかったものかどうか、その辺をひとつ参考人御両者に確かめてみたいと思うのです。
  46. 麓光成

    麓参考人 私の方の参事から聞いた話を申し上げますが、五月八日ごろ海上保安庁では各船に、演習をやる、演習でなくして実弾のロケット訓練をやる、それは大和堆周辺だというふうな情報を受けたということで、私たちの方の組合漁船から連絡がありました。それで大湊に私の方でロケットの訓練は中止していただきたいというふうなことで、そうしたら二時間か三時間後にやめますというふうな情報でありまして、航行の関係のことはさっぱり受けておりませんでした。ロケットの大和堆周辺の演習のことは各漁船が海上保安部から受けたというふうに連絡ありました。  以上でございます。
  47. 石山寛

    石山参考人 お答えいたします。  現状はただいまの麓参考人と同じでございますが、航行警報と申しますとこれは普通の一般の警報になりまして、そういう警報が漁業無線局に流れてまいります。漁業無線局はその所属の漁船に定時的にいつ幾日どういうことがありますよということで、そのルートに従って警報は流れていたと思います。  以上です。
  48. 新盛辰雄

    ○新盛委員 五月八日とおっしゃいましたが、その日にロケット射撃の訓練をという、海上保安庁が事前に知らしておったのだが、実弾射撃はやらない、五月十二日から五月十五日までが第一回目、そして十九日から二十三日が二回目、こういうことで、これは実弾射撃ではないので、一応訓練海域だけを示した通報を海上保安庁に防衛庁は落としている、こうなっておるのですが、そのロケット砲の方は海上保安庁が単独で、これは後の昼からの質問で明確にしますけれども、海上保安庁がその通報はしたけれども後の部分については聞いてはいない、こういうことだと思うのですが、そうでしょうか。そのことについてはどうですか。いわゆる警報を、前は受けたけれども後は受けなかった、これはもう事実ですね。
  49. 麓光成

    麓参考人 私の方の組合に対しては、海上保安部からも合同演習に対する通報はございませんでした。
  50. 石山寛

    石山参考人 私の方の情報によりますと、そのロケットといいますか、それは青森県の私の方の下部の組織から情報が入って、こういう話があるということで早速大湊の方へ話したところが、演習中止する、こういう経路だそうでございます。以上です。
  51. 新盛辰雄

    ○新盛委員 内容についてはまた審議の際に明確にしたいと思っております。  そこで、この訓練海域に集結していくアメリカの艦船あるいは日本自衛艦、そしてそれらを取り巻くかのごとくソ連の船艦も実はいた。集結へ向かうその途上に今回のここの第一回の漁網被害が起こったわけですね。そのことについても全然皆さんは御存じでなかったのでしょうか。
  52. 麓光成

    麓参考人 お答えいたします。  十一日に防衛庁に参りまして演習中止を強く主張し、かつ参加するアメリカの艦船の航行の件もお尋ねいたしましたが、どっちの方から来るやら、そのことに対しては防衛庁ではいまのところ全然わかりません、私たちの方の船であれば佐世保とか舞鶴とかいろいろありますが、アメリカの艦隊の動向はいまのところつかんでおらないというふうな返事でございました。
  53. 新盛辰雄

    ○新盛委員 それでは、漁獲物の被害額の算定の仕方でございますが、水産庁はきょうお昼から、被害額の総括をここの場で説明することになっておりますけれども、皆さんから提出された被害状況を大体集約しているのじゃないかと思われるわけです。  今回の最終的な集約といいますか、延べ百四十五隻、実数にして八十五隻、被害額にして九千七百万円、こう出ておりますし、資料でもそのように承っているのです。北海道で受けました漁具被害が約三千万円、そして青森県側で約一千四百万円、はえなわにしても流し網にしましても、漁具については時価の相場で一応算出することは可能ですね。漁獲物は、いわゆる最盛期における漁獲量という、その算定基準に大体よっておられると思うのですね。網に入っていたけれども、網、はえなわで一応漁獲はあったが、途中で切断されたのでどれだけ漁獲物が入っていたかは推定以外にないわけですね。この場合、北海道側のはえなわの漁獲物の被害は三千三百万円、青森県側の漁獲物の被害は一千五百万円、こういうようになっているのであります。推定額ではございますけれども。  先ほど基準のことについて明らかにされたようでありますが、再度、漁獲物の算定基礎ですね、これは最盛期の場合の上限、下限の平均値を出すとか、いろいろ推測があるのでしょうけれども提出された側とされてはどういう基準によられたのでしょうか。
  54. 麓光成

    麓参考人 お答えいたします。  被害があった当日、ぼんでんを拾い集めまして、ぼんでんのところには二、三枚、四、五枚なわがついております。そのなわをつり上げまして、一枚につきどのくらい食ってあったか、つれてあったかということの船長からの当日の報告を受けまして、大抵その時点では四匹から五匹とれてあった、そういう算定のもとになわ数に掛けております。例年の大漁、不漁という線より、実質その当日の拾いなわの釣獲を算定の基礎にしております。
  55. 石山寛

    石山参考人 お答えいたします。  同じような内容でございますけれども、等業船と申しますか、同じくその業をやっていた船の漁獲を参考にして適正な数字を出しているのが現状でございます。
  56. 新盛辰雄

    ○新盛委員 最後に、窓口論の話なんですが、先ほどのお答えでは水産庁を窓口にしてこれからの賠償交渉等もやってもらいたいという御意見なようなんですが、今回の事件というのは、これは日米共同訓練を立案した、そこから事が始まっているわけですから、この関係においては、当座の責任の所在というのは、これは防衛庁がこの十二日のここの委員会でも被害が出たら補償しますと明確に答弁しておられるのですから、防衛庁だと理解をしております。ただ、事故は領海外の公海で起こったことであるから、加害者国と被害者が直接賠償交渉をやるのが筋道だという防衛庁内における意見ども実はあるわけでありまして、そのことについてはどういうふうにお考えでしょうか。
  57. 石山寛

    石山参考人 私も麓参考人と同じく、水産庁が窓口になってほしいと思います。そのゆえは、物事を解決していく上に、認識が離れていけば離れていくほど解決がむずかしい。水産庁はわれわれの業界を常に係官、監督官、取り締まり船等を出して指導しているわけでございまして、そういう内容を把握している役所がわれわれの窓口になって交渉していただければ、われわれは防衛庁あたりと話してもなかなか話が、何か昔の軍隊のような感じになってはいけませんので、われわれとしてはやはり、われわれの内容を一番よく知っている水産庁が窓口になってやっていただければと思います。
  58. 麓光成

    麓参考人 先ほど津島先生にも私、お答えいたしましたが、それで関連いたしましていま先生にも申し上げたいと思いますが、窓口はということは、資料の取りまとめは、一番知っておりますので水産庁にしていただきたい、それから交渉の関係の窓口は、これはほとんどアメリカの船だ、外国艦船でありますので、外務省を窓口にしてもらいたいというふうに私は考えているような次第でありますので、津島先生もそのことをひとつお聞き願いたいと思います。  責任はやはりあくまでも、防衛庁が先頭となって私たちに十二分にこたえる、その態度を持ってきておりますので、責任の所在は防衛庁だというふうに私は現在でも考えております。
  59. 新盛辰雄

    ○新盛委員 どうもありがとうございました。
  60. 田邉國男

    田邉委員長 松沢俊昭君。
  61. 松沢俊昭

    ○松沢委員 お二人の参考人には大変お忙しいところおいでいただきまして、ありがとうございました。  いろいろと御質問がございましたが、社会党といたしましても二十五日、第一班の調査団といたしまして秋田に行ってまいりました。第二班がきょうの午後、北海道の方に出向くということになっておりますので、なおまた現地でいろいろとお世話になると思いますが、よろしゅうお願いしたいと思います。  そこでまずお伺いしたいのは、突然新聞報道によって日米の共同訓練、演習ですね、これが行われるということがわかったということでありますが、秋田へ行きましたところが、秋田の方では、これは県知事さんとお会いしたのですけれども、四月一日と四月二十四日、防衛庁の方から調査に来ました。その際、県知事の方としては、いまが一番大事なサケ・マスの最盛期なのであって、そういう訓練、演習というのはやはり中止をしてもらいたい、さもなかったならば別な場所でやってもらいたい、こういう申し入れといいますか、説明を防衛庁の方にやった。しかし、それにもかかわらず新聞でわかって、そして防衛庁のやり方に対して大変憤慨しておられたのでありますが、皆さんのところに対しまして、予備調査といいますか、そういうようなことはあったのでしょうか、どうでしょうか。
  62. 麓光成

    麓参考人 お答えいたします。  全然ありませんでした。以上でございます。
  63. 石山寛

    石山参考人 全く同様でございます。
  64. 松沢俊昭

    ○松沢委員 それで、秋田の海上保安部に参りましたら、二管航行警報第十七号というのがございまして、これが五月一日、第二管区海上保安本部から出ているわけなんです。それで見ますと、秋田の船川区では小型船の操縦訓練実施があるとか、あるいは津軽海峡南西方に射撃等訓練実施、こういうふうにしてずっと、いつ、どこでやるか、どの海域に何時ごろ何をやっているかということを警報として海上保安部は把握しているわけなんです。こういう海上保安部が把握しているものは漁連なりあるいはまた県当局なり、そういうところにあらかじめ連絡をとって、それで対策を立てていくということが望ましいのじゃないか。  ところが、これはさっぱり漁連にも連絡がない、あるいはまた県の水産課の方にも連絡がない、こういうことで、現地の各団体、各機関へそれが連絡不十分な面というのが非常に明らかになったような気がしますのですが、いままでこの種の訓練が行われている場合におきましては、あらかじめこういう現地の団体なり機関なりの連絡調整というものはなかったのでしょうか、どうでしょうか。
  65. 麓光成

    麓参考人 私たちの団体にはいままでもありません。でも、道庁にはやはり事前水産庁の方からいろいろな問題か入りますので、行政機関として私たちの方に道庁からはちょいちょい、このようないろいろな問題があれば即刻教えていただいて対処しております。以上でございます。
  66. 石山寛

    石山参考人 お答えいたします。  実弾射撃と申しますか艦砲射撃と申しますか、こういう通知は、漁業無線局に四点位置を明示して、この囲いの中で何月何日からやりますよというようなことは、実弾射撃ももしくは艦砲射撃とか、そういう場合は漁業無線局に入って、漁業無線局から沖合いに出ておる各漁船には通知されております。そういう現状になっております。
  67. 松沢俊昭

    ○松沢委員 私も素人でよくわからぬわけでありまするが、水域図というのがありますね。そこで、このところのどことどこと、どの辺が要するに皆さんの漁場になっているのですか。ちょっと番号で教えてもらえばわかりますが。
  68. 麓光成

    麓参考人 経済水域の線は、私たち自主的に、国と国との関係では設定しておりませんが、やはり二百海里設定後は経済水域を対岸と合わせた等しい線で私たち業界では線を引いております。私たちの国の百海里以内は私たちの全部の漁業利用しております。以上であります。
  69. 松沢俊昭

    ○松沢委員 十六日と十七日でアメリカの態度がちょっと変わったような気がします。十六日にはアメリカ艦船によるところの可能性がある、十七日になったらソビエトの船という話が出ておりまして、ソビエト大使館の方では、よその国の艦船被害を与えたのをソビエトになすりつけるとは何事だ、こういうことになったということを経過の中で聞いておりますので、結局ソビエトだかアメリカだかお互いになすり合いをやってアブハチ取らずという、そういう可能性もあるような感じがするわけなんであります。さっき麓さんのお話によりますと、ちゃんと艦船の確認をやっているのだ、こう言っておられますが、聞き落としましたので、艦船の番号をひとつもう一回お聞かせ願いたいと思うのです。
  70. 麓光成

    麓参考人 先ほど申し上げました十五、六日の艦船の確認番号は、二四、二五、九五〇、一〇四一、このような艦艇の番号を確認しておりますし、それからアメリカの国旗をはっきり確認しております。以上であります。
  71. 松沢俊昭

    ○松沢委員 流し網の方はどうでしたか。
  72. 石山寛

    石山参考人 お答えいたします。  その第一次の演習の最中、前後と申しますか、それにつきましては私どもの方では被害がございませんでしたので、正確に調査をいたしておりません。  ただ、後ほどの第二次演習海域の北東のところで五月二十一日十五時三十分に茂浦丸というのが、これは被害船でございますけれども、十五時三十分の位置は出ておりません、十六時の位置は出ておりますが、これが双眼鏡により、本船の沖側を航行する艦船ナンバー一六三を見ております。この十六時の位置は四十度三十分、百三十八度三十二分でございます。  それで、被害がございましたので、八時半に無線局に対する定時連絡の際にこの旨を申し入れましたところ、県庁において、東山海将補から交付された演習参加船名簿がございまして、それによって、ナンバー一六三というのは「あまつかぜ」という船だということが確認されております。  以上です。
  73. 松沢俊昭

    ○松沢委員 秋田の方へ行きましてお聞きいたしましたところ、それが被害を与えたのかどうかはわかりませんけれども、アメリカの船を見たという報告は私受けてまいりましたが、アメリカの艦船というのが、被害を与えたかどうかわかりませんけれども、その辺にいたという確認はないのですか。石山さんの方に。
  74. 石山寛

    石山参考人 私どもの方に、秋田県の流し網組合長も本日参っております。この方も実は被害船のお一人なのでございますけれども、その方の帰ってきてのお話の様子では、レーダー等で——レーダーというのはかなりの船の大きさも判別できますので、艦船らしいものがレーダーにかなり映った、しかしそれがどこの国の船なのか、そこまでの識別はしておりません、そう申しております。  以上です。
  75. 松沢俊昭

    ○松沢委員 それで、今回の被害を受けたことによっていろいろこれからの対策ということになりますが、サケ・マスの日ソ漁業協定もありますので、はえなわは四月三十日から六月三十日までですか、それから流し網は三月から六月までですか、ということになりますね。それで、さっきの石山さんの方からのお話にもございましたように、それだけでなしに、罰金を取られたり、いろいろなトラブルというのがあるのだ。そういう海域なのだから、この場所演習なんというのをやること自体問題があるのじゃないか。  だから、この地域は、日米の合同演習だけでなしに、そういう防衛庁演習、訓練というのは大体やる地域じゃないのじゃないかと私は考えるわけなんでありますが、皆さんは、いや、やってもいいけれども、こういうふうにしてやれば被害は出ないのだというお考えなのか、この地域はやはりやるべきじゃないというお考えなのか、その点お伺いを申し上げたい。  それからもう一つは、九千二百万の被害、損害額の算定の問題でございますけれども、これはいろいろあると思うのですね。つまり、漁具被害は言うに及ばず、それが切断されたことによってとれるところの魚がとれなくなってしまった、これも被害でありますし、それから合同演習があることによって、いい場所で漁をやろうと思ったけれどもやれなかったという、いわゆる逸失利益ですか、この被害もあると思います。  それからもう一つは、精神的な慰謝料というものもあると私は思いますが、皆さんが損害の要求をおやりになる場合、どういう計算でやったら一番いいのか。私は、精神的な慰謝料というものも含まれてしかるべきだと思っておりますが、その点、お二人からお伺い申し上げまして、時間が参りましたので、終わりたいと思います。
  76. 麓光成

    麓参考人 お答えいたします。  いま先生が話されたとおり、一番狭隘な場所で、それで国際漁業関係から始期が三月十五日、終期が六月二十五日、この限られた期間、それから限られた漁場でありますので、この期間を外してやってくれるのであれば私たちは協力することにはやぶさかでない。したがって、そのことは事前水産庁と話をしてくれれば、どの漁区でどの時期が、場所がということは一目瞭然でありますので、私たちは演習をやるなということは言いませんが、場所と時期をはっきり認識してやっていただきたいというふうに考えております。  それから補償関係の算定でありますが、私たちは、逸失利益に対しては、最寄りでやっている船もございますので、そのようなことを踏まえながら十二分に検討いたしまして、皆さんにはっきりそうであるという方法をいま検討しております。  それからまた逸失した、すなわち寸断されたなわ、漁具が痛わしいので、普通であればなわ時間、十時間から十三時間、これはスローで、本当に機械が稼働をしているかどうかという微速でやっておりますが、このなわを探すために、十時間あるいは十五時間くらい全速力でこのなわの行方を求めて歩いた。したがって、平生のなわ取りの稼働時間と全速で稼働して探して歩いたこの比較の油代を請求してみたいというふうに考えております。  また、先ほど私の方で申し上げましたが、船舶からは、大変精神的の痛手を受けた、危なくて大変な目に遭ったというふうな報告がございますが、私にしてみれば、その辺までいまのところどうだかというふうに考えておりまして、このことは流しの方とも、あるいはまたでき得れば各県の、被害を受けた県ともいろいろ相談してみたい。したがって、このことはいまはっきり、精神的な補償はもらうというふうなことの発言はちょっと差し控えたいというふうに考えております。  以上であります。
  77. 石山寛

    石山参考人 お答えいたします。  われわれ漁民は、海はわれわれオンリーのものなりとは決して考えておりません。これが国防上とか、そういう高い次元の解釈につきましては、われわれとしては国民の一員としてそれなりの考え方は持っております。ただ、再三申し上げますとおり、あれほど申し上げたのにこの時期にやったということが最大の原因でございまして、幾らでも日本海、この狭い海でもあいている時期がございます。その時期にやっていただく分には差し支えないのじゃないか、このように考えます。  それから補償の問題につきましては、何かアメリカだ、いやソ連だなんという話もございますけれども、これは一にかかって日米合同演習、これがあるからそういうことが起きてきたのだというふうにわれわれは考えております。そういう意味合いで、ひとつ内容を諸先生方にも千分吟味していただいた上で、こちらの希望をできるだけ満度にお願いしたい、このように考えております。  以上で終わります。
  78. 松沢俊昭

    ○松沢委員 大変ありがとうございました。  おっしゃるとおり、どこの国が加害者であろうと、その計画を立てたところの防衛庁責任があると私も思います。でありますから、とにかく防衛庁の方としては立てかえ払いでもして補償していくべきなのじゃないか、こんなぐあいに考えておりますし、皆さんの方でも言うべきことは言って、要求すべきことは堂々と要求していっていただかないと、要するに日本漁場を守るというわけにはまいらぬと思いますので、これからも一層御健闘を賜りたいということをお願いしまして、私の質問は終わります。ありがとうございました。
  79. 田邉國男

  80. 武田一夫

    武田委員 麓、石山参考人には、お疲れのところ大変御苦労さまでございます。  今回非常に遺憾な事故が起こったわけでございますが、日ごろ厳しい環境の中でお仕事をなさっているだけに、ひとしお身にしみて御苦労だと私痛感しております。われわれとしましては、十八日に総理に、この件につきましては万全の対応をして、皆さん方にお困りのないように対応するようにと申し入れをしておったわけでございますが、きょういろいろとまたお話を聞きまして、今後一層その原因を究明いたしまして、皆さん方の御期待に沿うようにわれわれとしても精いっぱいがんばらしていただきたいと思いますので、よろしく今後ともがんばっていただきたいと思います。  そこで、二、三お尋ねいたしますが、先ほど、この共同訓練、いわゆる合同演習については新聞報道等で初めて知ったということでございますが、その周辺をいろいろと皆さん方の関係の船などが行き来しているのではないか。そうすれば事前に何かしらそういう徴候か、ひょっとすると何かあるのじゃないかなというようなことは少しも感じられなかったものかどうか、その点お聞かせ願いたいと思うのです。
  81. 麓光成

    麓参考人 いつもであれば、いろいろな問題はすぐ監督官庁から入りますので、それなりに漁民の方に私たちの組合を通じて連絡いたしますが、今回はもう全然そのような様子もなかったし、船の方からもそのような模様も訴えてきませんので、全然わからなかったというふうなことは事実でございます。  以上であります。
  82. 石山寛

    石山参考人 実情は全く同じでございますけれども、われわれも実は新聞よりテレビの方で先に知りまして、これはえらいところでえらいことをするものだということの衝撃を覚えた。いまでも覚えております。それで、早速東京の方には専務を通じて水産庁にも行かせましたし、札幌の方は私自身道庁へも電話をかけて聞きましたけれども、いずれも正式な通知は入っておらないということが実情でございます。  以上でございます。
  83. 武田一夫

    武田委員 事件が発生しまして防衛庁中止申し入れに行ったとき、担当の方々にお会いしたと思うのですが、何でこんな一番の盛漁期に、しかもこうした漁場の近くで、その周辺でやるのだといろいろとお尋ねしたと思うのです。そのとき、その担当の方から何かそういうことについてお話はございましたか。その理由、その地域を選んだ、この時期を選んだということについては了解できるような話があったわけでしょうか。
  84. 麓光成

    麓参考人 防衛庁に行って演習中止を強く求めましたが、私、先ほど意見を申し述べたとおり、事前飛行機でこの演習海域調査をしておる、その場合、十二、三そうからそれぐらいの船形は見えた、したがって、この演習は日米合同の形で、期日が両国間で決定しておりますので、その船を避けながら、また皆さんにも協力してもらってやってまいるからぜひ協力していただきたいというふうにおっしゃいました。事前チェックは飛行機でとっておるというふうに話されておりましたことを申し上げます。  以上であります。
  85. 石山寛

    石山参考人 全く同じでございますが、防衛庁は船舶に重点を置いた物の考え方をしておったのではないか、このように考えられる節がございます。それで、漁具等こういうのだと言っても、そういうことはほとんど頭に入らなくて、船舶にはそういうことはないというような頭ではなかったかと想像されるところがございます。  以上です。
  86. 武田一夫

    武田委員 いま石山参考人の御意見を聞きますと、これは防衛庁としてはえらいミスだと私は思うわけです。上だけ見て下の方を知らぬというのは、まことにもって作戦を立てる上においては状況判断の甘さ、これはゆゆしき責任だと私は思います。  そこで、被害の額がいま九千二百万、こう言いますが、他の海域に移動したとか、それによって漁獲量が少なくなるとか、あるいはまたその分の燃料費がかかるとか、あるいはまた操業中止した方もいたということで、今後この被害額がさらにふえるというように私も思うのでありますが、最終的にこれがわかるのはいつごろであって、どのくらいまでいくというような見通し、予測をされていますか、その点、ひとつ聞かしていただきたいと思うのです。
  87. 麓光成

    麓参考人 お答えいたします。  私たちの方の所属船が今月二十八、九日、それから六月三日が最後漁場を切り上げて帰ってきます。その時点で大きな数字の取りまとめがはっきり出てまいるであろうというふうに考えまして、そして十日ごろまでには数字をはっきり決定したい。現在の帰ってきた船たちの予想からいたしまして、この金額より若干下がるのではないかというふうに考えております。  それから、漁場を離脱した、このような逸失補償だとかあるいは先ほど申し上げた油の消費量だとか、いろいろこういうものの換算を私たちは考えておりますので、まだこれがどの線になるか、このことはやはりこの被害と同じくして十日ごろまでに決定してみたい、したがって九千二百万、この数字を上回るというようなことはないと私は思っておる、この数字より下回るのではないかというふうに予想しております。  以上であります。
  88. 石山寛

    石山参考人 お答えいたします。  流し網の方は、先ほど陳述でも申し上げたとおり約四十六反という数字でございますので、網は一反二万円弱というふうに御理解願えれば結構だと思います。そういうことの中でございますので総体の金額といたしましては御想像願えると思いますが、まだ帰ってこない船が二隻ございますので、それが帰りまして調査をいたしましてから正確に請求を出したい、このように考えております。  ただ、網の場合は演習海域の中でございますので、これは漁船といたしましてはまことに心外であるということだけ申し添えておきます。  以上です。
  89. 武田一夫

    武田委員 時間が来ましたので最後に一つ聞きますが、真犯人はだれかということです。麓さんは確信を持ってこれはアメリカの船だ、こうおっしゃっています。あるいは最近になるとソ連の船じゃないかと、きょうの新聞などでは写真まで出ましたね。あるいはまた先ほどの話によりますと、ひょっとすると自衛艦関係しているのではないか。こうなりますと非常にめんどうなこと、いずれにしても総体的に考えればこれは演習を計画した防衛庁責任ということになるわけでありますが、こういう責任のなすり合いをずっとここ一週間の新聞等を見ますとやっておるようですが、このことについていかがお考えでありますか。皆さん方としては、最後は結論としてどういうふうな考えでこの真犯人を決めていくかという問題、このことについて何か御見解でもあればひとつお聞かせいただいて、終わらしていただきたいと思うのです。
  90. 麓光成

    麓参考人 何回も申し上げておるとおり、この演習は日米合同で、やはり主体日本政府であろう、したがって、防衛庁がその計画を立てた窓口でありますし、艦船ははっきり確認しておりますので、私たちはソ連の船であろうと第三国の船であろうと、確認したその船の国に対して外務省を通じて、そして防衛庁責任を持ってこの打開に骨を折っていただきたい。  このような私たち惨めな零細な漁業者に、あっちだこっちだというようなことで責任をなすり合いをしたら大変な問題でございますので、あくまでも日米合同演習がこの被害の発生の拠点であった、話のもとはやはり防衛庁の線から、防衛庁ということは国でありますので、国からこの合同演習の計画がなされた、したがって、どこの船であろうと被害を与えたことは事実でありますし、船舶が四杯も米国の船だということばはっきりわかっておりますので、私たちはあくまでも、米国に対して外務省を通じて厳重に、一日も早く補償を出していただきたいということを強く抗議するとともに要望し、そして理解のある先生方がバックになってこの問題を一日も早く解決していただくことに御尽力をお願い申し上げたいと考えておるような次第であります。
  91. 石山寛

    石山参考人 全く同じでございまして、とにかく先ほどから申し上げているような本当に規模の零細な、しかも内容の貧弱な業界でございますので、どこがどうという話はわれわれといたしましてはまことに迷惑千万でございます。とにかくだれかがやったことには間違いないのでございますから、ひとつそういう点で漁民の立場を御理解願って、諸先生方の御後援のもとに補償の面をひとつ速やかにお願いしたい、このように考えております。
  92. 武田一夫

    武田委員 どうもありがとうございました。
  93. 田邉國男

    田邉委員長 近藤豊君。
  94. 近藤豊

    近藤(豊)委員 両参考人には本日は大変御苦労さまであります。  まず確認をさせていただきたいのですが、先ほどからのお話を承っておりまして、秋田沖の方でソ連艦船が日米の艦船にぴったりとついて行動しておった、そしてある時点で前へ出て対潜訓練を行う、特にそのときはソ連の潜水艦が前方に浮上をしていたというようなことが情報として伝えられておりますけれども、この場合ソ連艦がそのような操艦行動をしていたかどうか、その辺は組合員の方々あるいは被害を受けられた方々で確認をされた方はございませんか。
  95. 麓光成

    麓参考人 防衛庁に参りまして、私たちは国民の一人として、演習することに全力を挙げる、被害も出さないというような言葉を聞いて、それから移動させておりますので、私たちは秋田沖の関係は、そのような艦船の識別はしておりません。
  96. 石山寛

    石山参考人 秋田沖で米艦がいて、ソ連の潜水艦がいてというお話でございますけれども、私どもはそういう秋田沖で会ったというふうなことは聞いておりません。テレビで見るとおり、はえなわの方の漁場でははっきり米艦もソ艦も映っておったようなことはわれわれも承知しておりますけれども秋田沖ではまだそれは確認しておりません。
  97. 近藤豊

    近藤(豊)委員 この漁場は、大体一年間を通じてきわめて短い期間、かなり限られた水域で行われるということなんですが、これは毎年ほぼ同じ水域で行われる、つまりある程度その辺の情報に詳しい人なら、常識としてこの時期はあそこで訓練があるなというふうにわかっていることだ、あるいは今後わかり得ることだと考えてよろしゅうございますか。
  98. 麓光成

    麓参考人 私たちはそのような予想も全然しておらなかったし、今後もまた、そのような海域場所変更期日変更もなくして演習をやることに対しては、絶対反対でございます。したがいまして、私は期日場所変更で、防衛庁が私たちの出先である水産庁と十二分に事前協議したら、演習をやれる期日はたくさんある、また場所もあると考えておりまして、私たちのこの漁場、それから漁場の位置、盛漁期がいつ、そのようなことはこの狭い中で、三月であればどの辺、五月であればこの秋田沖、それから五月下旬、六月にかけて北海道沖というふうにもうパターンを繰り返して、はっきり漁場の移動がわかっております。そういう関係でこの時期にやっていただくのは大変迷惑だ、今後ともこのような動きがあるということであれば、事前抗議いたしますし、中止をお願い申し上げたいというふうに考えておるような次第であります。
  99. 石山寛

    石山参考人 全く同じでございます。
  100. 近藤豊

    近藤(豊)委員 被害の金額についての話がいろいろと出ているわけですが、被害を受けた網あるいはなわは、切れてしまったものは全く残存価値がないものかどうか、これも専門的なことだと思うのですが、その辺のことをちょっと御説明いただきたいと思います。
  101. 麓光成

    麓参考人 今回のなわの切断事故は、いままでの事故と違いまして寸断されたために、それから対処するという——艦船が二十五、六マイルも速力がありますし、私たちの漁船は七マイルか多くて九マイル、とうてい追跡するなんということはかなわないし、身の安全を守るために右往左往したというふうな関係で、寸断されたなわを拾い集めるのに全力を挙げましたが、ぼんでんがついておってもそこに一枚か三枚くらいのなわよりついておりません。ほとんど潮の流れで流失しております。したがって全損と等しいので、私たちはあくまでも全損の補償を求めたい。  それから、船によっては五枚や三枚はなわは揚がっております。それによって尾数の積算もできておりますが、そのなわが全滅しているし、拾いなわを解いて、またもとどおりにして一人前のなわにするなんということは、買うに等しい金額になります。したがって、拾われた若干のなわなんといっても、全然使いものにならないというふうに算定しております。
  102. 石山寛

    石山参考人 網の場合は流失という言葉を使います。探せないものは流失という言葉で、被害は流失という届けになっております。
  103. 近藤豊

    近藤(豊)委員 そうしますと、もうほとんど残りの網もなわもなかった、そしてもちろんそこにかかっていた漁獲物もゼロに等しいのだ、したがって、被害を受けた網もなわも、そこにかかっていたものも、全部残存価値ゼロと考えてよろしい、こういうことでございますか、確認をしてください。
  104. 麓光成

    麓参考人 そのとおりでございます。
  105. 石山寛

    石山参考人 ただいま申し上げたとおり、失ってしまいましたので、ゼロと考えます。
  106. 近藤豊

    近藤(豊)委員 網の標識の問題で、夜間にわたって艦隊が動いたりする場合、今後ともこれはあることかと思うのですけれども、標識は夜間でもはっきりと見やすい、目につく標識になっておるものなんでしょうか。私は実物を知らないのでこの辺を御説明いただいて、あわせてさらに目につくような標識が可能なものかどうか、技術的な問題としてその辺はいかがか、御説明いただきたいと思います。
  107. 石山寛

    石山参考人 いま網のお話が出ましたので、私からお答えします。  海の場合、かなりの風力のあるところで操業をいたします。したがって、波の一メートルから一メートル半くらいのところでもやりますので、かなり高い標識はつけておりますけれども、波がこうなりますので、飛行機等からは当然これは確認できないと思います。それから、船も同じようにこうなっておりますので、一番確実なのは、われわれが自分で親機械を持っていて、網にラジオブイというブイをつけてあります、これは電波が出ますので、自分の方で電波を受けて、ああここにあるなということで、われわれ本船でも目で見てその網を探すということはほとんどもう不可能でございます。そういう機械をつけて網を探していくということが現状でございますので、ほとんど視力で網を確認するということは無理だと思います。それから、当然ラジオブイだるま灯ぼんでん旗、そういうものはつけておりますけれども、いかんせんそういう波のあるようなところでやっておりますので、なかなか可視することは困難かと思います。  以上です。
  108. 近藤豊

    近藤(豊)委員 そうしますと、可視ができないということになりますと、これは一定時期、一定水域、皆さんの漁場になる地域では演習が具体的にはもうできない、演習を遠慮してもらうしかないのだ、そうしないとこの限られた時期に行う皆さんの漁業はできなくて、これはもう生活権の問題にもかかわってくるのだ、こういうふうに了解してよろしゅうございますか。
  109. 麓光成

    麓参考人 そのとおりでございます。ぜひそういうようなことで先生方にも御協力を願いたいというふうに考えております。以上でございます。
  110. 近藤豊

    近藤(豊)委員 終わります。ありがとうございました。
  111. 田邉國男

  112. 寺前巖

    寺前委員 最後の質問でございまして、確認をさしていただいて午後の質問に役立てたいというふうに思いますので、御協力をお願いしたいと思います。  先ほどからお話を聞いておりまして、狭くなった二百海里域内の漁業のやり方だ、それだけによほど慎重に日本漁業専管といいますか、ここにおける漁業のあり方に対して国家機関が十分な保護をしてもらいたい、積極的な援助をしてもらいたいという御趣旨であったというふうに私も思いますし、またそうしなければならぬと思います。  そこで、幾つかの確認をさしていただきたいと思うのですが、まず第一点、先ほどからのお話を聞いていますと、事実の確認をされたのは、アメリカの旗があった、二四、二五、九五〇、一〇四一、こういう番号の船があった、そのときに被害を受けていた、これが確認された事実だ。それからもう一つお話があったのは、双眼鏡で確かめたら、秋田沖の場合に「あまつかぜ」の番号があった。これが事実として御指摘になった点であろう。ところが一方防衛庁の側は、秋田沖における事件は私の方には関係ございません、こう言う。それから、北海道の積丹沖の問題については、アメリカの船もおったけれどもソビエトの船もおったよという言い方をしていま宣伝もされている。これがいまやられている客観的事実だろうと思うのです。  そこでお聞きしたいのは、先ほど御説明になった以上に、そんな事実確認についてそういうふうに逃げ口上は許さぬぞという何らかの他の事実があるのかどうか。指摘をする、逃げ口上を許しませんよ、加害者はあなたですよという明確なものがこれ以外にあるのかどうか。  それからもう一つは、客観的な事態において、あれほど事故が起こって以後も、言うてあるのに引き続いて事故を起こしているということは、ここでこの時期に演習をやったという責任があるのだから、事の発生は、そういうことをやめてくれと言うているのにもかかわらずやり切ったというところにあるのだから、文句を言わずに事態の責任を政府の方でとりなさいという意味において加害者責任を追及されるのか。どっちかその内容が明確にされ得るならば、両方とも言い切れるというのか、そこのところをお教えをいただいたらありがたいというふうに思います。
  113. 麓光成

    麓参考人 お答え申し上げます。  後者の方の関係については、私はもうこの口で、そして防衛庁の係の方とも十二分に渡り合って、防衛庁も必ず被害を出さないという、そのような見張りなり厳重に船舶の安全を考えるという言質もあるし、それからまた、被害は必ず出るからその場合には私はあなたのところを窓口にするというふうに強く申し入れてありますので、後者の関係で、私はやはり責任をとってもらうという覚悟でございます。  前者の方に対しては、私は実際沖に行っておりませんので、ソ連の船か、また他の第三国であるか、そのことを私はつかんでおりませんので、船の方の確認の番号で追及するより方法はないというふうに考えております。  したがって、私は、前者の方はアメリカの艦艇四隻をはっきり、もう六十九そう全部確認しておりますし、それから後者の方は、いま言うとおり防衛庁に私行って、くどくこの問題を煮詰めて抗議を申し込んでおりますので、両面にわたりまして私は責任をとってもらいたいというふうに考えております。  以上であります。
  114. 石山寛

    石山参考人 お答えいたします。  流し網の方は、秋田県沖だけの被害でございますので、はっきり申し上げましてナンバー一六三の番号を確認したということだけでございまして、それ以外に他の艦船を確認はしておりません。  それから補償問題でございますけれども、私は日米合同演習がこの時期に行われたことによって起きてきた被害については、われわれ漁民側としては追及してその補償は受けたいものだ、このように考えております。  以上です。
  115. 寺前巖

    寺前委員 お二人の御意見、いずれにしても防衛庁のいまとっている態度はけしからぬ態度だ、従来の話し合ってきた立場から見てもとんでもない態度だという御指摘だろうというふうに考えます。  第二点に、先ほども出された点ですが、被害補償という場合にはどの範囲を補償するのかということに対してお答えになっております。そこでお聞きをしたいのですが、十年前に起こった事故のときには直接的な漁具補償あるいはそのときの漁獲補償の範囲であったのか、それともそれをめぐってさらにいろいろ、演習のために出漁できなかった、あるいは出ていったけれども、先ほどおっしゃったように油代の補償とか広い範囲にわたって補償をやられたのか、どういうことであったのだろうか、御存じだったら御説明をいただきたいと思うのです。
  116. 石山寛

    石山参考人 大変申しわけございませんけれども、十年前のを調べてくればよかったのでございますが、私の方としていま正確にお答えする内容は持っておりません。  ただ、被害補償であって、漁具のみではなかったと思います。その逸失利益まではどうだったかはちょっと記憶がございませんのであれですが、漁具のみではなかった、漁獲も含めて補償があった、こういうふうに記憶しております。  以上です。
  117. 寺前巖

    寺前委員 それではその次に、三番目に、迷惑をかけませんということを、当初の段階も、あるいは第一回の演習が終わった直後の第二次が始まる前にもおっしゃったようです。そのお話し合いの過程の中で、実際上、迷惑をかけないということは絶対にあり得ないのだということを恐らくおっしゃったのだろうというふうに思うのです。  そこでお聞きをしたいのは、先ほどからの漁法を聞いておると、私は、出漁しておったら、そこで演習をやったら必ず迷惑がかかるように聞こえるのです。ですから、防衛庁があの操業しているところへ出ていって演習をやること自身が間違った見解なんだ、やるべきではなかったんだということが明確に言い切れるのではないかと思うのですが、その点はいかがでしょうか。
  118. 麓光成

    麓参考人 お答えいたします。  そのことに対して一時間半にもわたって、それから現物、その海へ浮設する漁具を私はたがえていって、そして、このような漁法、漁具でありますので、いかに見張りが厳重であろうとも必ず被害が起きますよというふうに口が酸っぱくなるだけ言い切っております。  したがって、私は認識を深めたのではないかというふうに考えておりますが、あくまでも被害が起きますよ、したがって防衛庁は、今後被害の出た場合には、あなたを窓口にいたしまして、そうして私たちは被害の要求をいたしますから、その場においてあっちこっちというようにせぬで、態度を濁さないでほしい、あくまでもあなたをひとつ窓口にいたしますからというふうに厳重に言ってきておりますので、私は、私たちの政治力の足りない、すなわち、余り漁民の数もないので見下してそのようなことの行動に出たのではないかということで、まことに残念なんです。  それから、私も漁民に対して、やはり一番力の弱い私たちであるから押し切られた、会長も政治力がないというふうに非難も受けました。必ず被害は出る、これはもうどなたであっても出るのです。それをあえて暴挙だというふうに私は解しているのです。  以上でございます。
  119. 石山寛

    石山参考人 申し上げます。  絶対被害は起こさない、迷惑はかけないという約束で始めたのですから、現実被害が起きたら、私は中止するのが本当だ、これが物の筋道ではないかと思います。その一点だけ申し上げます。
  120. 寺前巖

    寺前委員 お約束の時間が来ましたので、ちょっとまとめて最後にひとつお願いをしたいと思うのです。  あえてこの時期にこの場所演習するということをやらなければならないという目的があるとするならば、そのときは操業制限をやって補償をするという明確な態度を打ち出したならばいいとおっしゃるのかどうか、これが一つです。  それから、もしもこれからいままでのような形で、そういう補償を明確にしない形での演習をやりたい、あるいは演習の計画を、この日本海でやるという場合には協議をするということ、その協議の内容については、演習場の範囲だけではなくして、ここに多数の船が来るのだから、その通航上の問題についても検討する必要があるだろうし、あるいは事が起こった場合にはどうするかという、細部にわたってまでの意思統一をするという性格の協議がない限り絶対にやらすべきではないというふうにおっしゃるのかどうか、これが二点です。  三番目に、演習の途中で海域の縮小ということが出されました。この海域の縮小というのは妥当なことであったのか、それともいかがなものであったのか、その見解をお聞きしたいと思うのです。
  121. 麓光成

    麓参考人 お答えいたします。  私たちは、いかに生活が苦しくても、ただ単に政府から補償を受ければいいのだというふうな気持ちは、いまでも考えておりません。あくまでも額に汗を流して、自分たちの手で収獲をとりたいというふうなことが私の考え方でもありますし、また零細な漁民の方々もそのことに徹しておると私は思うのであります。そういう関係からいたしまして、補償を出すから漁業を一時中断してほしいというふうなことに対しても私は反対いたしたいと思うのです。あくまでもやはり漁場を私たちに使用させていただきたい、この一点のみでございます。  それから協議のことは、やはりこのことば一番重要な問題だというふうに考えておりますので、このことに対しては、私たちの一番の出先である水産庁と十二分に今後ともやっていただいて、それでもつかない場合にはやはり演習中止してもらいたい。私たちの窓口である各県の知事さん、それから総まとめの水産庁にも、私たちのこの気持ちを受けていただきたい。あくまでも私たちは、補償だけで生活するという意図は全然ない。したがって、事前協議があっても、その行為がもし私たちに知らされる場合はよほど有事の際で、このような事態だから漁業者ひとつ納得してくれというふうなことが私たちの漁民の立場に立って判断できた場合には、私たちは協力にやぶさかではないというふうに考えております。  それから最後に、私たちが防衛庁に行ったら、八分の一ぐらいの漁場の縮小をするから協力してほしいというふうなことでございますが、これはただ単に私たちの気を休めるだけの問題でありまして、漁業に対しては、私たちはこれだけ縮小されても全然私たちの利益にはならないというふうに解しておりまして、ただ私たちのきげん取りだというふうに考えておるような次第であります。  以上であります。
  122. 石山寛

    石山参考人 お答え申し上げます。  話の続きですから三番目から申し上げますけれども、われわれと相談をして、あなた方がここの漁場でやっているのだからここを縮小しますという話であれば、われわれは縮小には意味があると思います。しかしわれわれに何の相談もなく、ただ勝手に向こうの都合で端っこをこれだけ減らしますと言われたって、ただいま麓さんが申し上げたように、あなた方の漁場はここにあるのだから、船はここでやっているのだからここはあけますよと言うのなら縮小の意味はあると思いますけれども、私らにとっては何の意味もなかった縮小だった、このように言わざるを得ません。  それから一番初めの問題ですけれども、ただいま麓さんからも申し上げましたが、われわれ漁民というのは何も補償を目当てにして暮らしているわけじゃないのです。魚をとって国民の食ぜんにのせるというのが親の代、先祖代々からの生命でございますので、魚をとることが第一番で、それの中でそれをいかに補償してやるからというような御趣旨での相談がございましても、これは本来的に受けるわけにいくものではない、このように考えます。どうしても演習をこの時期にやる、いつかやる、あなた方に関係あるところでやるという相談がよしんば来たとしても、とにかくうちの漁場はやめてくれということは当然申し上げます。  場所変更し、時期をずらしてくれということですけれども、そうしてやってもなおかつ被害が出ることが予想される場合には、これは最終的には全責任を負ってもらいますと言う以外に条件はありません。起きたことは全責任を負ってもらいます、こう言う以外にはないのじゃないか、このように考えます。  以上です。
  123. 寺前巖

    寺前委員 どうもありがとうございました。
  124. 田邉國男

    田邉委員長 以上で両参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人各位には、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。厚く御礼を申し上げます。  午後一時から再開することとし、暫時休憩いたします。     午後零時二十二分休憩      ————◇—————     午後一時四分開議
  125. 田邉國男

    田邉委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  安井吉典君外八名提出農産物自給促進及び備蓄確保のための農業生産振興に関する法律案を議題とし、趣旨の説明を聴取いたします。島田琢郎君。
  126. 島田琢郎

    島田議員 ただいま議題となりました日本社会党提案に係る農産物自給促進及び備蓄確保のための農業生産振興に関する法律案につきまして、提案者を代表して提案の趣旨を御説明申し上げます。  御承知のとおり、二十一世紀に向けて食糧は、世界的な規模で不安定時代を迎えると言われています。特に、世界の人口が現在の二倍の約七十億人に達するであろうとする国連発表を裏書きするように、途上国を中心に増加の一途をたどりつつあり、そのため、現に飢餓状態に陥っている国が続出しています。さらに、近年の異常気象は、世界各地に寒波、熱波、長雨、干ばつ、冷害等々と、さまざまの災害をもたらし、世界の穀物需給は極度に緊迫の度を加えています。わが国の昨年の未曽有の冷害は、この地球規模の異常気象の一環であり、今冬の大豪雪と、最近の低温続きの天候に不気味な感じを持つのはひとり私だけではありません。この上さらに、冷害は二年続くと言われていますが、気象庁がすでに予告しているような冷夏が再び襲ってくるようなことになれば、わが国の食糧は、たちまちパニック状態に陥るのであります。  加えて、食糧が戦略物資として外交の手段に使われ始めて、一層食糧不安が加速されています。主要な穀物生産国であるアメリカが、ソ連のアフガン問題に対する制裁措置として穀物の輸出禁止を発表し、食糧の戦略化が顕在化しました。  世界最大の食糧輸入国であるわが国が、こうした異常気象や、食糧の戦略化によって国際的な需給逼迫や、国際紛争などによる輸入停滞が起これば、たちどころに恐慌事態に陥ることは、過去のドルショックで痛いほど味わい尽くしています。一九七三年、小麦の輸出削減と大豆全面禁輸は、豆腐が小さくなって値段が三倍になっただけでは済まず、洗剤や砂糖や、果てはトイレットペーパーまで市場から消えて一大パニック状態を生み出し、台所を直撃したことは記憶に新しいところであります。  さて、翻ってわが国の農業の現状はどうなっているでしょうか。この期に及んでもなお政府は、米過剰を理由にその減反政策を強行しようとしています。  さらに、選択的拡大の戦略作目と政府みずから宣伝してきた畜産酪農、果樹も、米と同じ運命のもとにさらされ、非常な低価格のもとで生産農民は、厳しい経営と生活を強いられ、将来への希望を失っているのであります。  前述のごとき国際情勢の中で、国の安全が叫ばれ、食糧は、エネルギーとともに、国民にとって安全保障の二大主柱として位置づけ、世界の先進国の自給率水準にまで高めていかなければならないとされているにもかかわらず、わが国の食糧の自給率は年々低下の一途をたどり、政府の六十五年見通しでは、さらにそれを下げると発表されています。これで果たして国民の生命を守ることができるでしょうか。  食糧は自分の国でつくり賄う、この世界共通の原理と原則が、いま一番わが国に求められているのであります。総理府の世論調査でも国民の六七%が、食糧の自給率を上げなければならないと主張しています。  そのゆえに、国会では、昨年四月八日「食糧自給力強化に関する決議」が、全会一致でなされたのであります。これはまさに国民に対しわれわれが確約をしたものであります。  わが党は、この約束の上に立って、さきにその一つである総合食糧管理法案を国会に提出いたしました。  いま、その根拠法であり母法となる食糧の生産を、自給率向上と備蓄確保することによって振興を図り、国民の不安を解消し、国の安全保障の柱となり、生産農業者の励みとなることを目指し、この法律案提出することといたしたのであります。  さらに、いま行革のあらしが吹き荒れています。特に、補助金の多い農林水産部門に鋭いメスが入れられようとしていますが、そこに小手先や短絡的な発想や手法で行財政を論ずることが、いままで述べてきた結論から許さるべきことでないことは明らかであります。  以上が、本法律案提出するに至った理由であります。  次に本法案の主な内容について、その概要を御説明申し上げます。  第一は、本法における「主要農産物」の定義であります。  これは国民の基本食糧となる米・麦を初めとした穀類、食肉、牛乳など畜産物、果樹、野菜などであって国民生活と農業経営上重要となるものを指定し、また、将来、国民の食生活などの変化によって需要の増加が見込まれるものも含めて「主要農産物」といたしました。  第二は、主要農産物自給備蓄の目標であります。  この基本的な考え方は、国民の栄養水準を一人一日二千六百カロリー、たん白質八十五グラムの摂取を目途とし、穀物自給率を十カ年で七〇%まで高めることを目標としております。また、備蓄は国民の主食である米・麦については必要の六カ月分、大豆、飼料穀物にあっては必要量の三カ月分とし目標を明らかにしたことであります。  第三は、国及び都道府県、市町村における長期計画と年度別計画の策定と農業生産者の生産計画についてであります。  まず、その一は、国の長期計画の策定に当たっては、主要農産物の種類別の需要見通し、種類別、地域別の生産目標と備蓄目標を立てることにしていますが、この策定に当たっては、あらかじめ、都道府県知事を初め農協中央団体、農民組合など関係団体と協議し、新たに設けられる総合食糧審議会の意見を聞かなければならないものとしました。同時に、年度別計画についても同様な手続によって定めるものといたしております。  なお、国はこの目標達成のために必要な、農用地の開発と高度利用、農業の協業化及び近代化のための施策、農産物の価格保障などを初め、農業生産振興に必要な金融、財政の措置を講じなければならないものといたしております。また、国の長期計画と年度別計画を決定した場合には、これを国会に提出し承認を受けるとともに、公表しなければならないものといたしております。  その二は、都道府県及び市町村における長期計画、年度別計画の策定については、都道府県においては国の計画に基づいて都道府県内における主要農産物の生産に関する長期計画、年度別計画を策定しますが、この場合、計画策定に当たっては、あらかじめ県の農協、農民組合など関係団体と協議するとともに、新たに設けられる都道府県農業生産振興審議会の意見を聞かなければならないことといたしております。なお、都道府県における長期計画、年度別計画の決定は都道府県議会の承認を受けるものとし、この決定を経た後は公表しなければならないものとしております。  なお、市町村における長期計画、年度別生産計画についても、市町村内における農協や農民組合などとの協議、市町村農業生産振興審議会の意見を聞き、市町村議会で決定しなければならないものとしております。  その三は、農業生産者の生産計画の作成であります。市町村の長期計画、年度別計画の策定のため、農業生産者はあらかじめ主要農産物の生産計画を作成し市町村に提出し、市町村農業振興審議会の議を経て認定されるものとします。この場合、この生産計画がすべての基本であることを十分認識の基礎に置かなければなりません。  第四は、市町村、都道府県、国に報告の義務を与えたことであります。市町村長は都道府県知事に、都道府県知事は農林水産大臣に対して、長期計画及び年度計画の進捗状況を毎年度報告することとし、また、政府は国会に対し、国の長期計画、年度別計画の実施状況報告し、次年度以降の実施計画等の変更を図らなければならないものとしております。  第五は、総合食糧審議会と都道府県、市町村農業生産振興審議会の設置についてであります。  すでに述べましたように、本法案の目標を達成するためには、政府の減反政策の一方的な押しつけに見られるような強権的なことはやめて、真に生産者の自主性と地方公共団体が一体となった農業振興対策を推し進めていかなければ、食糧自給向上の具体策とはなり得ません。したがって、その民主的な手続の保障となる審議会は重要な役割りを担っていると言えます。  まず、総合食糧審議会は農林水産大臣の諮問機関とし、その諮問に応じて自給備蓄に関する調査・審議を行います。委員は学識経験者、生産者、消費者で構成し、二十五人を限度といたしております。また、都道府県、市町村の農業生産振興審議会は同じような目的と構成を持たせ、委員は十五名以内といたしております。  なお、本法案施行に要する経費でありますが、本法案が計画法的性格でありますので、長期計画、年度別計画の作成に要する費用、審議会設置と運営に関する費用として七十億円程度を要するものと見込んでおります。  以上がこの法律案の主なる内容であります。  すでにおわかりいただけたとおり、本法案を提出することによって、さきの総合食糧管理法案との関連が明らかになりました。同時に、農業生産の今日的役割りと課題も新たに与えられるわけであります。そのことは、現状追認の形式的手段で済まされないことを明らかにしたわけであります。さらに、行財政改革に単におびえるだけで済まされないことも明白であります。  したがって、わが党提案の二法案が真剣に国会において論議されることが、国民の不安にこたえ、生産農業者の負託にこたえる道であることを強調したいのであります。  何とぞ、十分御審議の上、速やかに可決されるようお願いを申し上げます。      ————◇—————
  127. 田邉國男

    田邉委員長 次に、武田一夫君外三名提出栽培漁業振興法案を議題とし、趣旨の説明を聴取いたします。武田一夫君。
  128. 武田一夫

    武田議員 ただいま議題となりました公明党・国民会議及び民社党・国民連合提出に係る栽培漁業振興法案につきまして、その提案理由と概要について御説明申し上げます。  近来、わが国の栽培漁業は、二百海里時代における沿岸漁業資源の維持増大の必要性及び中高級魚介類を指向する需要動向等から見て、関係漁業者を初め多くの国民から、その飛躍的発展を強く望まれるところとなっています。  また、このような強い要請にこたえることは、これまでの産業、経済政策のもとで進行した海洋汚染、あるいは魚介類のふ化、生育にとって必要な場としての公有水面の埋め立て等によって、わが国周辺の漁業資源を縮小させてきた国の責務とも考えるものであります。  今日における栽培漁業現状は、その技術が未熟なことからいまだに事業化の水準に達していない魚介類が多く、また、技術的水準が事業化の段階に達している魚介類にあっても、放流後の移動範囲が広いものほど、事業化が立ちおくれがちになっております。ことに、放流後の移動範囲が広い魚介類にあっては、漁獲される場合の受益が特定されにくく、したがって、それらの魚介類の放流の事業は公共性が強いという性格を持っております。  しかるに、栽培漁業に係る法的整備はきわめて不十分であり、一部を除き多くの魚介類の場合、予算措置で場当たり的に対応されているにすぎません。  このような状況にかんがみまして、栽培漁業を飛躍的に発展させるため、法的措置を講ずることとし、栽培漁業振興していく上で必要な国の役割りの明確化と、一貫した施策の体系の確立を図ることを目的とした栽培漁業振興法案をここに提出する次第であります。  次に、本法案の概要について申し述べます。  第一には、資源培養事業の推進に関する基本方針及び基本計画の策定についてであります。  まず、本法案における資源培養事業とは、栽培漁業の対象とするのに適した魚介類すなわち魚、エビ、カニ、貝類等の水産動物について種苗を人工的に大量生産し、これらを自然海の適地に放流する事業を称して言っておりますが、当該事業を総合的かつ計画的に推進するために、農林水産大臣は資源培養基本方針を定め、都道府県知事は資源培養基本方針に即した資源培養基本計画を作成し、農林水産大臣の認定を受けることができるものとしております。  これらの資源培養基本方針及び資源培養基本計画は、計画の期間をおおむね五カ年として五年ごとに策定するものとし、資源培養事業として推進することが適当な水産動物の種類ごとの種苗の生産及び放流の目標並びにその目標を達成するために必要な施設の整備及び技術開発の推進に関する事項等を定めることとしております。  第二には、資源培養事業の実施についてであります。  まず、本法案においては、放流後の移動範囲が広い水産動物を第一種水産動物とし、放流後の移動範囲が狭い水産動物を第二種水産動物とし、貝類など定着性の強い水産動物を第三種水産動物として区分することとしております。  そこで、当該事業の実施主体についてでありますが、第一種水産動物に係る事業はもとより、第二種水産動物及び第三種水産動物であっても試験的に実施するものについては、国が行うものとし、国が試験的に実施するものを除き、第二種水産動物に係る事業は都道府県が、第三種水産動物に係る事業は市町村が行うこととしております。  これらの事業実施を計画的に推進するため、国は、毎年度、事業の実施に関する計画を定めるものとし、第二種水産動物に係る資源培養事業を実施しようとする都道府県は、毎年度、資源培養基本計画に適合した都道府県事業計画を定めるものとし、第三種水産動物に係る資源培養事業を実施しようとする市町村は、毎年度、市町村事業計画を作成して都道府県知事の認定を受けなければならないものとしております。  なお、この場合、国は、資源培養事業を行う営利を目的としない法人に、また、都道府県及び市町村は、漁業協同組合その他資源培養事業を行う営利を目的としない法人に、当該事業を委託して実施させることができるものとしております。  第三には、試験研究及び技術開発の推進についてであります。  国は、資源培養事業の促進のため、水産動物の種苗の生産または放流についての技術が未開発である水産動物に係る基礎的な試験研究、技術開発を推進し、その成果の普及に努めなければならない旨を規定しております。  第四には、政府の補助についてであります。  政府は、都道府県事業計画を定めた都道府県に対し、第二種水産動物に係る資源培養事業の実施に必要な施設の設置に要する経費については百分の八十五を、事業実施に要するその他の経費については百分の五十を補助するものとしております。  また、市町村事業計画について都道府県知事の認定を受けた市町村に対し、第三種水産動物に係る資源培養事業の実施に必要な施設の設置に要する経費については百分の七十を、事業実施に要するその他の経費については百分の四十を補助するものとしております。  さらに、政府は、事業実施に関する研究者、技術者の養成を行う都道府県に対し、その養成に要する経費の一部を補助することができるものとしております。  第五には、この法律の目的を達成するために必要な放流に係る水産動物の保護育成、漁業者の協力及び施行期日等について規定しております。  なお、本法案が成立して施行された場合、国の必要な予算額は、初年度で五十億円、初年度を含む第一期の五カ年間で二百七十億円と見込んでおります。  以上が本法案の骨子でありますが、何とぞ、御審議の上、速やかに御可決いただけますようお願い申し上げます。
  129. 田邉國男

    田邉委員長 以上で両法案の趣旨の説明は終わりました。      ————◇—————
  130. 田邉國男

    田邉委員長 農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  この際、日本海におけるマス漁船漁具被害状況について、政府から説明を聴取いたします。今村水産庁長官
  131. 今村宣夫

    ○今村政府委員 日本海におきますサケ・マス漁船被害状況について御説明を申し上げます。  お手元に資料をお配り申し上げてございますが、第一は、はえなわ関係被害でございます。合計の欄をごらんいただきますと、延べ隻数で百三十五隻ということになっております。これは(注)の(1)で、日本海さけ、ます延縄漁業協同組合からの報告水産庁において取りまとめたものでございます。五月二十五日までに報告のあった被害状況でございます。延べ隻数は百三十五隻でございますが、実隻数は七十九隻。北海道は五十二隻、青森は二十六隻、山形が一隻でございます。以上のほかに北海道からの報告によりますと、北海道の小型マスはえなわ漁船八隻にも漁具被害が発生したという情報がございますが、これは現在、道庁において調査中でございます。  それから、次のページでございますが、流し網関係で、五月二十日から二十一日までに秋田所属の船が五隻、五月二十一日から二十二日にかけまして五隻、合わせて延べ隻数で十隻でございます。実際の隻数は六隻でございます。  以上が被害隻数でございますが、それでは、被害額はどの程度になるのかということでございますが、この被害隻数は、漁船から無線で基地に入りまして、その状況を取り急ぎ水産庁報告をして取りまとめたものでございますから、実際の被害状況は、それぞれの被害を受けた船が帰港いたしまして、よく事情を聴取した上、取りまとめる必要があるというふうに思っております。最終の船は六月三日に帰ってくる予定でございますから、実際の被害額をまとめ得るのは六月の上旬になろうかと思っております。できるだけ急いでその被害状況を把握するつもりでございます。  そこで、一応日本海さけ、ます延縄漁業協同組合が五月十八日の時点で私ども報告をしてきた被害額をそこに掲げてございます。この時点におきまして、被害隻数は、はえなわ漁船では延べ百十七隻、実隻数で七十三隻でございますから、それをベースにしたものでございまして、合わせまして総計で九千二百万円ということでございます。漁具は四千四百万、漁獲物は四千八百万、合計九千二百万、こういうことに相なっております。漁具についてもそうでございまして、耐用年数その他のいろいろな問題がございますから、そこら辺の状況もよく調査をいたさなければなりませんし、また、漁獲物についての被害の算定というのは、漁業者の事情をよく聞き、あわせて県ともよく協議をして決定すべきものであるというふうに考えておりますが、延縄漁業協同組合が私ども報告をしてまいった被害額が、五月十八日時点で一応の積算をするとそうなっておるという状況でございます。  被害状況につきましての御報告を終わらしていただきます。     —————————————
  132. 田邉國男

    田邉委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。津島雄二君。
  133. 津島雄二

    ○津島委員 今回の日本海におけるマス漁船被害につきまして、ただいま被害現状について水産庁の方から御報告がありましたが、この問題を理解し今後の善後策を検討していく上で大事なことは、さらに客観的な事実がどうなっているかということであろうと思います。  けさ被害者の側であります協同組合の代表者の方に来ていただきまして、それぞれ現状についてお伺いをいたしたのでありますが、これはどうしても政府の責任者の側にもう一度確認をしなければいけないということで、まずお伺いをいたしたいのであります。  私ども、今度のことを伺ってどうしてもわからない点があります。それは、参考人の方々が、二百海里時代が到来をいたしまして、とにかくはえなわ漁船流し網漁船、非常に漁場が狭められた、昔の半分以下になってしまった中で、いわばやむを得ず過密操業をさせられておる、しかもその過密操業も、限られた三月から六月までの漁期に集中しておって、五月はその最盛期である、この最盛期を避ければ、狭い漁場ではあるけれども幾らでも演習をやっていただける時間はあるのだ、何ゆえに五月のこういう時期をお選びになったかということだけはどうしても理解がいかない、こうおっしゃるわけであります。  まずお伺いしたいのですが、なぜこの時期をお選びになったか、防衛庁の方から責任ある御答弁をお願いいたします。
  134. 山崎拓

    ○山崎(拓)政府委員 なぜこういう時期を選んだのかという御質問でございますが、この日米合同演習に関しましては、昨年の暮れから、日米双方におきまして対潜特別訓練を中心として合同演習を行いたいということで打ち合わせを開始したわけでございます。その後ことしに入りましてから、訓練の海域あるいは時期等につきまして日米間において調整を取り進めてまいったのでございますが、海上自衛隊といたしましては、この時期が漁業最盛期であるということは承知をいたしておりまして、その漁業に支障を来さないように万全の措置を講ずることを前提に、今回の海域、時期を定めたのであります。  それは海上自衛隊独自の訓練でございます場合にはあるいはこの時期を避け得たかもわかりませんが、しかし、日米合同演習でありますために、米海軍の都合もございまして、第七艦隊も年間を通じまして六十隻の艦船がそれぞれ作戦行動を行っておるわけでございますから、その中で特に日米合同訓練に割き得ることのできる期間も限定されてまいるわけでございまして、そのようなことから、双方の訓練に最も都合のいい時期を選ぶということで、時期、海域の選定を収斂してまいりました結果、このような時期に落ちついたわけでございます。  もとより、先ほど申し上げましたように、漁業にあしき影響を及ぼさないように十全の配慮をとるという方針でこの時期を定めたのでございますが、いま申し上げましたような経緯によりましてこの時期が定められたということを申し上げたいと思います。
  135. 津島雄二

    ○津島委員 逐次お伺いをいたしますが、そのようにして決定をされた前提として、海上自衛隊では漁業実態を十分理解をしていたと言われた、これについて私は相当の疑問を持っております。それをまずここで申し上げておかなければならないのでありますが、時間を節約するために、今回の被害をいろいろ見ておりますと、訓練地域外の被害が非常に大きいわけであります。そこで、防衛庁の方から、私どもが正確に事実を理解できるように可能な限り事実関係をお示しいただきたいのでありますが、なぜ積丹半島のあの沖合い漁船操業している地域に向かって入ってこざるを得なかったか、どこの国籍の船が入ったかどうかはそちらの方から知る限りの事実をお話しいただきたいのですが、どういったような状況のもとにそういうことになったのか。  それから、一部にはかなりジグザグ行動をやった。見ていた漁船の方もそう言っておりますから、そういうジグザグ行動を訓練地域以外でやらなければならなかった何か理由があるのではなかろうか。訓練するものについては一定の地域を公表しておやりになったのですけれども、それをめぐる周辺においていろいろ起こっているということについて、もう少し私どもがよく理解できるように、わかっている範囲内の事実をお示しいただきたいのでございます。
  136. 石崎昭

    ○石崎政府委員 事実関係について御説明を申し上げます。  積丹の西で大量に被害が発生した、あの場所にどうして外国の艦船が来たのかということについてでございますが、御存じのとおり、共同訓練を行う予定である海域はそれよりずっと南の秋田の西方の海域でございます。そこへわが自衛隊の艦艇と米国の艦艇と両者が合流して訓練をやったわけでございますが、米国の艦艇がどういう経路で訓練海域までやってくるか、これはそういうことを申し上げるとおしかりを受けるかもしれませんが、外国の艦艇が公海上のどういうところを通ってくるか、これは全く米国の自由であるわけでございまして、われわれは米国の艦艇がどういう経路で訓練予定海域にやってくるかについては米国側に指図する立場にはないわけでございます。  そうは言っても、漁業トラブルが起こってはいけませんので、私ども、計画立案段階で十分調べた結果のあらゆる情報を米側に提供をいたしまして、こういう海域を通れば現在こういう状況があるということは逐一細かく米側に通報してあったわけでございます。訓練開始前はそういうことで既存のあらゆる情報を米側に提供して、こういう経路で来ればこういう状況がこの辺の海面にはある、だからそれに十分留意して来る必要があるということを連絡しておいたわけでございます。  その結果、訓練の日がだんだん近づいてまいりまして、米国の艦艇がどっちの方向からやってくるのかということがだんだんわかってまいりまして、前半の訓練に参加する艦艇は、自衛隊の艦艇と行をともにしまして、全部佐世保からそろって出かけまして、何らトラブルなく訓練海域に到達したのでありますが、後半の訓練に参加する予定の米艦が、宗谷海峡から日本海に入って、問題の積丹半島の西側のコースを通って訓練海域に近づいてきたというわけでございます。  それで、被害が出始めたという知らせを受けまして、私どもは何とかそれを最小限度に食いとめなければならないと思いまして、訓練の日が近づいた段階では、前の情報提供に加えて次々と新しい情報を米側に提供をいたしました。特に、五月十二日の訓練開始後は、毎日自衛隊の飛行機を海面に飛ばして漁船状況などを毎日毎日掌握しまして、それを毎日毎日米軍に流すということでやったわけでございます。そして、不幸にして事故が起こってからは、なるべく早く漁船が多く出漁している海域から離脱するようにということで、第七艦隊に早期に離脱することを求めまして、第七艦隊もその求めに応じて、事故が起こってから後ということではございますが離脱をした、こういうような状況がその経過でございます。  何遍も申し上げますとおり、私どもは、訓練計画段階であの海域における漁業実態についてはあらゆる材料を集めて検討し、それを米側にも正確に伝えてトラブルが起こらないように手を打ったことは打ったのでございますが、結果としては不幸なことにああいう事故が生じたということで、まことに残念に思っている次第でございます。
  137. 津島雄二

    ○津島委員 事情が必ずしもよく理解できないのであります。  まず第一に、米側に漁業に関するあらゆる情報を送ったと言われておりますけれどもはえなわ漁業実態について、あの二十五キロという長い網を引っ張っていくという実態、それは飛行機から見たってまずわからない。漁業者自身が電波を使わないと網の位置がわからないというような実態、こういうものを理解していたとは私は思わないのですね。そういう意味では正確な情報を送っていたとはどうも理解ができないのであります。  追加してお伺いいたしますが、私どもがけさ参考人からお伺いした事実によれば、自衛隊の艦艇も二次被害が出たときにはどうも関係をしているらしいということを言われておりますが、その点についての御見解と、それから、漁業実態について自衛隊の内部でも真に理解をして対処をしていたかどうか、この点についての御見解とをお伺いしたいと思います。
  138. 山崎拓

    ○山崎(拓)政府委員 いま先生から御質問のありました二次被害ということでございますが、これは恐らく後期訓練中の被害をお指しになったものと存じますけれども、この期間に事故が発生したのでございますが、これはこの訓練に参加をいたしました自衛艦並びに米海軍の艦艇によるものでないというふうに考えておるわけでございます。  それから、漁業実態について十分承知をしておったかということでございますが、訓練の一カ月ぐらい前から、数回にわたりまして航空機を飛ばしまして実態調査し、現状を把握することに努めてまいったのでございます。また、その状況につきましては米海軍にもその都度通報いたしておったのでございますが、今回の積丹沖における事故等、米艦艇あるいはソ連の艦艇等によって事故が引き起こされた可能性があるという事態に立ち至りまして、はなはだ遺憾なことであると存じておりますし、今後、今回の教訓を生かしまして、さらに精緻なる情報を米海軍に伝えまして、また米海軍側も、この教訓を生かしまして、今回のような、可能性があるという事態でございますけれども、そういうことが二度と発生しないようにさらに注意深く行動してくれるものと私どもは期待いたしておるわけでございます。
  139. 津島雄二

    ○津島委員 今後の反省に入る前にまだまだ問題があるわけです。私は、今度のことをいろいろ事実を究明して、国民も関係者も正確にこれを理解し、そこから教訓を導き出すのでなければ意味がないと思っておりますから、もう少しお伺いするわけでありますけれども、先ほどから訓練区域外でいろいろ起こったではないかということを御質問している実は背景は、私どもは、日本海という海域は決して波静かな海域ではない、かように思っておりますが、そこに共同訓練が行われるということは、私は日本の防衛上は当然必要なことだと思っております。しかし、その共同訓練をやることから起こってくるいろいろな問題については、かなり正確な理解を国民に持っておいていただきたいという気持ちがあるわけであります。  ですから、訓練海域に、たとえば日本防衛庁艦船にしろ米軍艦船にしろ、そとに到達するのにいろいろな問題があるのではないか、もしそういうことが今回の事件に関係をしているならば、それはひとつ私ども理解の材料としてお示しをいただきたい。けさの新聞でも、たとえばソ連艦船が同時に遊よくをしておったし、対潜訓練もやっておった、また、米軍の艦艇がジグザグ行動をするについてはいろいろな理由があってやったのではなかろうか、つまり、共同訓練をやるということから、平時はきわめて穏やかに見えます日本海というものが一種の緊張状態が表に出てきて、それが不幸にして今回のような事件を引き起こす一つの起因になったのではないかという考え方があるものでございますから、率直にこの点について御説明をお願いしたいわけでございます。
  140. 山崎拓

    ○山崎(拓)政府委員 今回の訓練がなぜ行われたかという御趣旨も含まれての御質問だと受けとめたのでございますが、これは、日米合同訓練をやりますことは、さまざまな条件下の海域、時期におきまして合同訓練をやる必要があるわけでございます。それは海底の形状、海水の温度等々さまざまな条件がございますので、日米の合同演習はあらゆるケースを想定いたしまして訓練を行うことによりまして練度を高めていく必要があるわけでございます。  さすれば日本海状況はどうなのかということでありましょうが、これは確かに、ソ連の海というようなことも言われておりますように、米海軍の通常におけるプレゼンスはございません。また、ソ連の太平洋艦隊は七百八十五隻に達しておる、その一部が日本海で日ごろから訓練あるいは作戦行動等を行っているということであろうかと存じておるわけでございます。  今回の訓練期間並びにその中間、前期、後期との中間を含めましてそれはどういう状況であったかと申しますと、前半の訓練実施期間に、訓練海域の北方にあります積丹沖合いソ連のカラ級巡洋艦一隻が、後半の訓練参加予定の米軍艦四隻につきまとっていたことが一海上自衛隊のP2Jによりまして視認されております。さらに、後半の訓練期間中におきましても、訓練海域内で共同訓練を実施しておりました米艦艇に、カラ級巡洋艦及びペチャ級小型アリゲート艦及びドニエプル級情報収集艦各一隻がつきまとっていたことも確認をいたしておるところでございます。いま申し上げましたような米艦艇あるいはソ連の艦艇が事故を起こした可能性があるわけでございます。
  141. 津島雄二

    ○津島委員 平時の状態でなしに、一種の共同訓練という緊急事態において起こったいろいろな出来事をいま詳細に説明しろと言っても、非常に困難が伴うであろうということは理解をいたしますが、いずれにしても、日本海における訓練は日本の防衛上どうしても必要であるということを前提とするならば、しかし同時に、そのことから起こってくるいろいろな危険といいますかリスクというものを正確に把握することもまた必要でございます。私は、日本の防衛の必要性は強く強調したいものでありますけれども、同時に、日本の防衛努力が真に国民によって理解されるためには、やはりそのことが不測のまた不必要なトラブルを起こすことについては、十分に慎重でなければならないということを御指摘申し上げたいわけであります。  そのような意味で、今度のこの海域において、しかも最盛期はえなわ漁業あるいは流し網漁業の、五月を外せばもう漁獲が激減するというようなこの時期に、しかも、あの漁法から言えばきわめてトラブルが起こるであろうということを私ども素人でもけさ参考人の皆さん方のお話を聞いて理解できたわけでありますが、そういう中で現実に行われてトラブルが生じたということは、私は非常に残念に思うわけでございます。問題は、いまから死児のよわいを数えても意味がないわけでありまして、まず、この善後措置をしっかりやるということと、それから同時に、今後同じことを繰り返さないという最善の努力が必要になるわけであります。  そこで、まず、善後措置でございますけれども、善後措置を考える場合に私はどうしてもひっかかりますのは、私ども青森県でも御承知のとおり相当数の漁船被害を受けておる。直ちに知事からも、第一期の積丹半島沖合いの事故があってから演習中止のお願いをいたしまして、国会議員も同道して防衛庁にお願いに行ったことは御承知のとおりであります。そのときに責任の方、これはまさにトップでありますけれども、絶対に迷惑をかけないことを保証するからやらせてほしい、こういう御答弁があったのです。私は、このような状況の中で一体だれがそういうトラブルは起こらないことを保証するということを言わせたか、これが問題だと思うのですよ。本当に事実がわかっていれば、そんなこと言えるはずはないのじゃないか。つまり、漁業実態に対する認識が非常に甘かったのじゃないかと言わざるを得ない  わけであります。  そのような認識の甘さからいって、問題は、たとえば直接の責任はどうであるかとか因果関係はどうであるかという議論の前に、やはり合同演習が起因となってこういうトラブルが生じたということは、私どもは残念ながら申し上げなければならないという感じがしておるわけでありますが、重ねて、前の質問と同じになりますけれども、そういう事実関係を踏まえて防衛庁として、今回の漁船に対する被害、それからそれが起こるに当たっての合同演習との関係、これについてどのような見解をお持ちか御答弁をいただきたいと思います。
  142. 山崎拓

    ○山崎(拓)政府委員 まず、前段の御指摘でございますが、わが国自衛隊はわが国の平和と独立を維持いたしますために国防の任に当たっておるわけでございます。国防の基本方針によりますと、外部からの侵略に対しましては、国際連合が有効に対処し得るようになりますまでは日米安保条約に基づいて対処する、こういうことになっておりまして、日米合同訓練もそのような基本方針に基づいて訓練を行っておるものと考えております。また、さらに、国防の基本方針の中で、わが国の自衛力は国力、国情に応じまして効率的な防衛力を漸進的に整備する、こういうふうにうたってあるわけでございますが、効率的な防衛力にいたしますために日ごろから演練に励んでおるわけでございまして、そういうことから今回の合同訓練が行われた、かように考えるわけでございます。  さはさりながら、国力、国情という文言がございますように、国情の中に水産国日本という国情がございまして、加えて今回は先生御指摘のようなマス漁の最盛期に際会しておった、こういうことからいたしますと、できることならばこの時期を避けて行った方が望ましかったということは、先生の御指摘のとおりであろうと思うのでございます。ただ、さきに御答弁申し上げましたとおりの経緯で、はからずも今回このような時期に訓練をいたしまして、訓練に参加をいたしました自衛艦並びに米海軍艦艇によって引き起こされたものではないと私ども考えておるのでございますけれども、参加する過程におきまして、あるいは訓練期間中は参加艦艇以外のものによりまして、この事故が引き起こされた可能性があるという事態に立ち至りましたことにつきまして、今回のこれを貴重な教訓と受けとめて対処してまいりたいと存じておるわけでございます。  それから、後段の御質問でございますが、絶対に事故を起こさせないということを防衛庁側で申したという御指摘でございます。この点につきましては、後期の訓練期間中に訓練参加の艦艇によりまして絶対に事故を起こさないように万全の措置を講ずる、そういう方針で臨んだのでございます。事実徹底的にその方針どおりに訓練をいたしたのでございまして、参加艦艇によって事故は起こらなかったものと私どもは判断をいたしております。ただ、訓練期間中、訓練海域内に参加艦艇以外の何らかのものによりまして事故が発生したのではないかと考えられる事態に立ち至りまして、これまた、先ほど申しましたように、国情ということを十分しんしゃくをいたしまして、農林水産大臣からの強い要請もございまして、この訓練を途中中断する措置をとった次第でございます。自衛隊の艦艇によりましてこの事故は起こしてないということは、先生の御質問のお答えになるかどうかわかりませんが、この際申し上げておきたいと存じます。
  143. 津島雄二

    ○津島委員 訓練に参加した自衛隊の艦船が直接これに責任がないということを私どもは希望したいわけでありますし、事実そうであれば大変胸をなでおろす気持ちであります。しかし、けさの参考人の御答弁の中に、二度目の流し網被害を受けた際に、被害漁船の方から自衛隊の艦艇を確認しておるという、具体的に「あまつかぜ」という名前が挙がっておりましたけれども、この点について何か御見解があれば伺っておきたいと思います。
  144. 石崎昭

    ○石崎政府委員 ただいま御指摘の二度目のとおっしゃるのは、多分訓練海域内におけるその後の被害の問題であろうと思いますが、これについては私ども早速実態を調べてみました。その結果わかりましたのは、被害が発生した時における訓練参加艦艇の位置は、被害が発生した場所から一万メートル離れた場所であったということで、私どもは、訓練参加艦艇が引き起こした事故ではない、ほぼ間違いないという確信を持っております。
  145. 津島雄二

    ○津島委員 事実関係についてはこれから究明する余地がまだいろいろあるようでありますが、問題は、これを今後処理していくために関係各官庁がどのように対処していただけるかということでございます。被害を受けた漁民の皆さん方の意向を聞けば、まずその点を非常に強く要望しておるのでありますが、水産庁及び防衛庁側から、また必要に応じて外務省から、この問題を処理するに当たってのいまの考え方と申しますか、分担、役割りというようなものについて御説明をいただきたいと思います。
  146. 今村宣夫

    ○今村政府委員 今後の問題としては私は二点あるのではないかと思っておりますが、一つは、今回不幸にして起こりました被害に対するいわゆる補償問題でございます。  私どもとしてまずなさなければいけない第一は、被害を的確に速やかに把握するということでございます。これは、それぞれ各基地に県庁職員その他を配置しまして、漁船が帰ってくる都度その状況を聴取いたしまして、被害状況を速やかに把握し、同時にまた、逸失被害といいますか、漁獲被害等につきましてはいろいろと問題もございますから、関係県とも十分協議してそこのところを詰めて、被害額の速やかなる把握をいたしたいと思います。  これの損害賠償問題ということになりますと、基本的には被害者から加害者に対して要求するということに相なるわけでございまして、基本的には当事者の間で折衝、解決すべき性格のものであると思います。外務省に来ました米国側の回答によりますれば、米国としては加害責任を認めているわけではないけれども、米国に責任があるとすれば、米国側は、との問題をこの種の事柄の取り扱いに関する確立した経路を通じて迅速に処理することができるように、日本側主張の損害について詳細にわたる事項を提供するように依頼をしてきておりますから、私どもといたしましては、その被害額を把握した上で外務省とも協議し、米国及びソ連にどういうふうにつないでいくか、恐らく米国の窓口は在日米海軍の法務部になるものと思われますが、それとの話し合いに速やかに入るように考えていきたいと思っております。しかし、今回のケースは加害船舶が外国のものでございますから、まず加害責任を当該国に認めさせるということが肝要でございます。この点につきましては十分外務省と協議して取り進めてまいりたいというふうに思っておるわけでございます。  第二の点は、今後こういう問題が起こらないようにどういうふうに措置するかという問題でございますが、今回の経緯にかんがみまして、事前に十分連絡協議を行う必要があるということは防衛庁に申し入れをいたしておりまして、防衛庁におきましても原則的に同意を見ておるところでございます。農林水産省としましては、この種訓練については、関係省庁との間で訓練の期間区域それから出入経路などについて事前連絡協議体制を定めていくことが必要であるというふうに考えて、現在すでに防衛庁と協議をいたしております。  ただ、私が非常に心配をいたしておりますのは、日本自衛艦はいいのでございますが、先ほども話がございましたように、米国艦船行動について日本側はこれをどのように通知、連絡を受けるかというところでございまして、ここのところが問題点として非常に重要なところであるというふうに考えておる次第でございます。
  147. 松田慶文

    ○松田説明員 お答え申し上げます。  米側は、今回の事故に米軍艦船関係しているかもしれない、その場合には所定の手続に従って補償を行う用意がある旨を述べておりますが、ただいま水産庁長官が御答弁のとおり、どの部分につき米側に責任があるかを特定することはきわめてむずかしい状況にございます。よって、米側は、わが方の被害状況の詳細を通報していただきたい、そして米側の行動と照らし合わせて、その中から米軍責任のあるものを特定し得るか否か調べたいという申し出をしております。外務省といたしましては、水産庁から調査結果をいただいた上は、米側に伝達し、米側にその確認を求めることといたしたいと思っております。  なお、そのようにして確定されました部分につきましては、米側の法的な手続規定に従いまして当事者間で補償の話し合いが進められるものと承知しております。
  148. 堂ノ脇光朗

    ○堂ノ脇説明員 補足して説明させていただきます。  今回の事故につきましては、ソ連艦船関係していた可能性もあるということで、在京ソ連大使館に対して事実関係調査の申し入れをしておりまして、もしソ連側にその責任があるということが明らかになりますれば、ソ連政府とこの損害賠償問題も含めまして話し合っていきたいと考えております。
  149. 石崎昭

    ○石崎政府委員 事後措置について防衛庁がいまどういう取り組みをしているかについて申し上げますと、被害の後の措置の問題でありますが、先ほど申し上げましたとおり、海上自衛隊が被害を与えたということはほぼ間違いなくないとわれわれは思っておりますけれども、ただ、共同訓練の時期に外国艦船被害を起こしたという可能性がある以上、全く無関係だと言っているわけにいきませんので、何とか早くこの問題に善処しなければいけないということで、実は今週の月曜日に関係官庁の皆さん方とまず集まりまして、どこの役所の所管だなんということを論じていてもしようのない問題でありますので、早速、とにかく何が問題であるのか、どうしたら解決の道が探れるかについて御相談を始めたところでございます。今後必要に応じてどんどんそれを進めていって、何とか国民の納得の得られるような道を探していきたいということで努力中でございます。  それから、被害に対する措置でなくて、訓練を今後どういうふうに計画し、どういうふうにやっていくかという問題についても、早速それに対する対応を始めておりまして、すでに水産庁等の関係官庁とも御相談しまして、従来のような、射撃訓練の場合だけ事前に早目に通報するというようなことでは不十分であると思いますので、どういう訓練の場合に事前にどういうところと御連絡をとりながら協議していくかという、いわば新しいルールづくりというようなものをすでに協議を開始しつつあるという状況でございます。
  150. 津島雄二

    ○津島委員 事後処理につきましては、ひとつ責任を持ってお願いを申し上げたいのでありますが、特に、漁民の立場をよく理解をしておる水産庁、また、農林水産大臣の御理解ある措置を特にお願い申し上げ、関連して福島委員から御質問があるそうでありますから……。
  151. 田邉國男

    田邉委員長 福島譲二君。
  152. 福島譲二

    ○福島委員 関連しての質問を予定しておりましたけれども、予定した時間が過ぎておりますので、残念でございますが、次回にまたお願いをさせていただきたいと思います。
  153. 田邉國男

    田邉委員長 新盛辰雄君。
  154. 新盛辰雄

    ○新盛委員 去る五月十二日にこの農林水産委員会で、私は緊急質問として、このサケ・マスはえなわ漁業最盛期に行われる日米共同訓練については直ちに中止してほしい、防衛庁はえなわ漁業というのを一体知っているのか、そしてまた、その訓練の状況の中で必ず事故が発生すると思われる、そのことについて責任を持つか、こうお尋ねをしました。それに対して明確に防衛庁として、海上自衛隊としてその責任は持ちます、このことを明言しておられるのです。議事録にありますからごらんいただきたいと思います。  今回のずさんな計画によって発生したこの事故について、一体どこが責任を持つのですか。そのことをひとつお答えいただきたいと思います。     〔委員長退席、福島委員長代理着席〕
  155. 山崎拓

    ○山崎(拓)政府委員 防衛庁が先生の御質問に対しまして事故が起こらないように責任を持つという答弁をいたしたという御指摘でございますが、その意味は、今回の合同訓練期間中またはその海域内において、この訓練に参加いたしました日米の艦艇が事故を起こさないように万全の措置をとるべく責任を持つ、こういう趣旨で御答弁したものと存じます。したがいまして、先生がおっしゃいました事故は、この訓練に関連してと申しますか、訓練に参加予定の艦艇が訓練海域外で起こした可能性がある、また、その米艦艇を追尾いたしておりましたソ連艦艇、あるいは追尾ではなくて単に訓練中のものもあったかもわかりませんが、そういう米艦艇あるいはソ連艦艇が引き起こした可能性があるということに相なりまして、先生のおっしゃるように、今回まことに私どもは遺憾であると存じておりますが、答弁を申し上げました趣旨を厳密に照らしますと、今回は、ここで申し上げましたとおり、海域内、訓練期間中に参加艦艇は事故を起こしてないもの、間違いなく起こしてないものと判断をいたしておるわけでございます。
  156. 新盛辰雄

    ○新盛委員 そんな答弁を聞きたくはないのですよ。  今回のこの計画というのは日米間における共同訓練として、対潜水艦訓練として行われたわけです。この策定は一体どこがやったのですか。
  157. 山崎拓

    ○山崎(拓)政府委員 防衛庁米海軍と協議いたしまして策定いたしたものでございます。
  158. 新盛辰雄

    ○新盛委員 十年前に日米軍事共同演習というのが行われて、その際にも流し網の一部が切断をされた事故があって賠償をした経緯があるのですよ。それから今回、十年目の計画がなされた。その計画も、事前関係の省庁に打ち合わせはない、特に水産庁あたりはつんぼさじき。現地の漁民の皆さんがこれを知ったのは五月八日だとおっしゃっていました、けさほどの参考人の御回答で。  そこで、この訓練の時期、海域について、四月の上旬ごろ、もうすでに外務省と防衛庁は打ち合わせをしておられるわけです。その際に外務省から、漁業最盛期でもあるし若干問題が起こりそうであるので、この際延期してほしい、こういう話があったことを御存じですか。
  159. 松田慶文

    ○松田説明員 外務省が承りました相談とその回答ぶりについてまず御報告申し上げます。  私ども外務省は、防衛庁から本件訓練の概要につきまして、先生お言葉のとおり四月初めに内々の御相談がございました。四月に入りまして、私どもいろいろと検討をさせていただいている段階で、御記憶のとおり原子力潜水艦と日昇丸の事故がございました。また、四月二十二日には日本海においてソ連軍艦による無通告射撃事件というものも発生いたしました。したがいまして、そういう一連の事件を踏まえまして、外務省といたしましては、この水域での訓練を行うに当たっては、その方法、時期につき慎重に検討する必要があると考えまして、その旨を防衛庁にお伝えいたしました。と同時に、当初の計画には実弾を射撃する部分が若干ございましたので、この実弾射撃につきましては、その時期おやりになるのは適当でない、それはその直前に、いま申し上げたソ連の実弾射撃もございまして関係者のいろいろな問題提起もあったばかりでございますので、その意味において実弾射撃はおやめになってはどうかという示唆をいたしました。  以上が私どもの相談事と対応ぶりでございますが、一点申し上げなければならないのは、私ども漁業の専門ではございませんので、当該水域における漁業を十分認識した上で外務省として申し上げたのではなくて、ソ連との関係、原潜事故との関係、国民感情を踏まえて、そういった外交的配慮から申し上げた次第でございます。
  160. 石崎昭

    ○石崎政府委員 計画は、前にも御答弁がありましたように昨年の暮れから日米の間で相談が始まりまして、その検討段階で漁業関係の情報資料は可能な限りたくさん集めまして、そしてこの時期にこの海域漁業最盛期に入っているということはよく承知をしておりました。その結果選んだ海域は、水温とともに北上するサケ・マスの動きを考えまして、秋田沖の一番漁船の出方が少ない海域を選んだわけでございます。そして、おっしゃるとおり十年前にも日本海で日米共同訓練をやったときに事故があったということも十分考慮しまして、そして慎重にそういう情報資料を調べました結果そういう場所の選び方をしたわけでございます。結果として、何遍も申し上げますとおり日米共同訓練は何ら事故なく終了しておりますので、ことしは十年前の経験というのはその意味では生かされていると思うのでございます。  ただ、その共同訓練に参加する途上の外国艦艇が事故を起こしたというふうに言われているのは私どもにとってはまことに残念なことで、ソ連には提供してありませんが、米海軍に対しては必要な情報資料はたくさん出しまして、この海域でこの時期にどういう問題があるのだということはよく知らせておったわけでありますから、それにもかかわらずこのような事故が起こったということは本当に残念に思っておるわけでございます。  関係官庁との協議については、そういうわけで、情報資料をたくさん集めまして慎重に練ったものでありますから、そしてその情報資料は水産関係の各方面から集めたものでありましたので、水産庁とは事前に検討する段階で格別御協議をしておりません。そういう情報資料を通じてそれはわれわれはつかんでおるというつもりでありました。  ただ、外交関係につきましては、漁業のような毎年大体予想される状況というものでなしに、常時情勢というものは変わっていきますから、外交関係に対する配慮については特に外務省と御相談する必要があると思いまして、三月と四月の二回にわたって外務省に御相談をいたしました。そして日本海における日米共同訓練が外交上、政治上どういう反応をもたらすかについて外務省の御検討を煩わしたわけでございます。その結果、射撃訓練などについて御協議の結果若干手直しをした部分はありますけれども、全体としてはこの訓練をやることについて特にやめろという御要求もありませんでしたので、外務省の御了解を得たという前提でわれわれはこの訓練を計画し、実施に移したわけでございます。  ただ、残念ながら、この訓練計画が明らかになった段階で大変大きな地元の漁民の方々からの反応、関心の高さというものが示されましたので、われわれは手持ちの情報資料だけの検討で慎重に検討されたという確信は持っておったのでありますが、やはり関係者にこの際正確な訓練計画などをお知らせする必要があろうということになりまして、遅まきながらという御批判はあろうと思いますけれども水産庁に御連絡をし、海上保安庁にも御連絡し、それが地元の方へも伝わるように措置した、こういうわけでございます。
  161. 新盛辰雄

    ○新盛委員 昨年の暮れごろから策定をしている、そしてまたそのことについて外務省などとは国際間の問題もこれあり打ち合わせをしたとおっしゃいますが、肝心な漁業の方の、いわゆる操業安全のために水産庁となぜ話をしないのですか。実態の面から見ても、あなた方ははえなわ漁業というものを御存じですか。あなた方が資料で机上で相談をするものと現実とは違うでしょう。二十五キロから五十三キロにわたるはえなわが引かれているときに艦船が航行すれば、艦が網を切るのですよと私は十二日に指摘をしているのですよ。その前になぜ水産庁に相談をしないのですか。水産庁に相談をしないし実態もわからない。実態がわからない以上米国に対しても、はえなわ漁業というのはこういうものだということも知らせていないはずですよね。だから、ジグザグコースをとったとかあるいはソ連艦がそこにいたとかという話になっているわけですが、今後の問題は亀岡農林水産大臣から強く申し入れて、内容的にはそういうふうに三者含めて相談したいとおっしゃっているのですから、そのことはもう触れません。  いま、こういう重要な事故を起こし得る要素をつくったのは何といったって防衛庁でしょう。その責任を明確にしてほしいと言っているのですよ、どうですか。
  162. 石崎昭

    ○石崎政府委員 先ほど申し上げましたように、多種多様な情報資料を集めまして検討いたしました。したがって、はえなわ漁業というものがどういうものであるかについては十分承知をした上でございます。  そこで、米海軍に対しても、米海軍は海上自衛隊ほどはえなわ漁業というものについてよく認識していないかもしれませんから、はえなわ漁業とはどういうものであるかについてもよく連絡をしたわけでございます。特に夜間はウキなどが非常に発見しにくいとか、実際にその艦が行動するに役に立つような必要な情報は非常に細かく提供したのでございます。ですから、実態を知らずに、よく調べずに計画を立てたということではございません。そのことはよく申し上げておきたいと思っておるわけでございます。  それで、何遍も申し上げますとおり、そういうふうにして計画を積み上げ、練ってやった結果、訓練そのものは何ら事故なく終始しておるわけでございます。ただ、私どもが非常に残念に思いますのは、訓練そのものはよく練られた計画であったがゆえに事故なく終始しておるのでございますが、にもかかわらず、その訓練に参加する途上の外国艦艇、あるいはそれに絡むようなかっこうで登場してきたソ連艦艇も疑いが持たれておりますが、これらが事故を起こしたと言われることによって、訓練そのものがきわめてずさんであるとか、訓練の実施も欠陥があったのではないかというふうに受け取られてしまうということを私どもは大変残念に思っている次第でございます。
  163. 新盛辰雄

    ○新盛委員 この問題についてはまた後ほど同僚議員の方から追及があるかと思いますが、一体、訓練海域の方へ集結をする米国艦船あるいは自衛艦、こういう、いわゆる集結へ向かっていく航行警報というのは出されたのですか出されなかったのですか。そのことは、私の知る限りはそれこそ知らされていないのです。五月九日に航行警報を海上保安庁の方に出されていることは、受信をしたという資料で、私が求めた資料、たったこれだけの資料で、電文の写しとそして計画としてその海域設定しましたという報告だけでございました。しかしこの積丹半島の沖合いにおいて、いわゆる訓練海域外のところでありますが、ここを航行中に結局漁網を切断したのです。集結をする、そこの航路を通る、どちらから入ってくるかわからないということじゃないでしょう。それほど機密ですか。だから、そういうことがなぜ知らされなかったのですか。漁民が知っておれば切断することにはならなかったと思うのです。それはどういうことですか。
  164. 石崎昭

    ○石崎政府委員 訓練海域に向かう途上の日米の艦艇は佐世保から出港したわけでございますが、訓練海域に到達する間何ら事故なく航行しております。その際、これは民間の船舶の航行と同じようなことでありますから、航行警報というのは別段出ていないわけでございます。また訓練が終わってから、自衛隊の場合は佐世保へこれまた帰ったわけでございますが、これも同じ理由で民間船舶の航行と同じ安全義務を負いながら航行したわけでございますので、航行警報は出ておらず、かつ事故なく帰っております。  それから訓練中の海域については、この訓練海域へはどういう船が入ろうと全く自由であるのは当然でございますが、ただ一定の海域で訓練が行われるということはお知らせしておいた方が、安全上も漁船の便宜上もよりいいであろうということで海上保安庁に御連絡をした結果、海上保安庁が航行警報をお出しになったということでございます。  それから積丹半島の西側を米艦及びソ連艦が行動したということにつきましては、外国の艦艇の行動でありますので別に事前の通報もなければ航行警報ももちろん出ていないわけでございます。ソ連艦は別としまして、訓練に参加する途中の米艦の動きが、事前通報もなく、また詳細がつかめないのはおかしいではないかという疑問は、私は常識的にはだれでもが感じる疑問であると思いますけれども、外国の艦艇がどういう海域をどういうふうに行動するか、これは私どもの指揮命令権の及ぶ問題ではありませんし、いわば全く自由に行動できるわけでございますので、宗谷海峡を通過したとか、いま米艦がどの辺にいる、あるいはソ連艦がいるということは、私どもは一応は可能な限りはつかんでおりますけれども事前にこういう経路を通るというような通報は外国艦艇は私どもにしてくる義務もなければ、私どもがそれを要求する立場にもないということで、常識的に、日米間のことだからどういう経路でやってくるのかについてつかんでいないのはおかしいではないかという御疑問は、私はごく自然であると思いますけれども、以上のようなことでございます。
  165. 新盛辰雄

    ○新盛委員 一体この加害者はどこの国ですか。先ほどの政務次官の回答では、特定できない、まだ調査中だとおっしゃるのですが、漁民の中ではいつの間にかうやむやにされるのではないだろうかと大変不安がっています。  いやソ連の船だ、いや米艦だ、いや海上自衛艦ではなかろうか、こういうことで三者の意見がまさにどろのなすり合いですよ。そしてはえなわ切断にはソ連艦船が関与したのじゃないか、その可能性もある、それはあの艦船の船尾の方に水中音波探知機をつけている写真を写している、これはカラ級ミサイル巡洋艦ペトロパブロフスクですか、八千二百トン、現場の写真がテレビでも報道されておるのですが、だからといってソ連艦船と明確に特定されたのですか。あるいは米国の方はうちの船であったかもしれない、もしそうだとするならば賠償の問題について手続を通じてやりたい、この程度に終わっているのです。海上自衛艦の方は訓練中もあるいはそこに集結をする航海中も全くそういう事故を確認はしていない、こうおっしゃっております。いわゆる領海外の公海上のことであるから被害者は加害国と直接補償の問題について交渉しなさい、これで逃げ回っているのです。  その特定できない加害国、どこと交渉すればいいのですか。いつまでに加害国が明確になるのか。そしてその加害国が明確になった時点でどこが窓口になるのか。外務省だとか、あるいは被害額を積算しそれを要求する、そのことは水産庁だと言い、これは防衛庁としては窓口になるはずのものですね、策定、いわゆる計画のもとをつくったのですから。そのこともはっきりと明確にしていただきたい。加害国の特定はいつできるのか、そしてまた補償についてどこが窓口になるのか。そして高度な政治的判断によらざるを得ない、国が補償すべきだと、きのう水産庁長官は参議院の農水委員会で答えておられるようであります。これは持って回ったような形ですから、けさほど来られたはえなわ漁業の代表とかあるいは流し網の代表の皆さんはそのことを不安に思っておられます。明確にしてください。
  166. 山崎拓

    ○山崎(拓)政府委員 先生の御質問の中でございましたように、今回の事故が米艦艇によるものであるかあるいはまたソ連の艦艇によるものであるのか、そういう点の特定が果たしてできるものかどうかということでございます。可及的速やかに加害責任が明確になるということを私どもは強く希望をいたしておるところでございますが、いつまでにそのことが可能であるかということは、残念ながらただいま申し上げる状況にないのでございます。しかしながら、今回の事故が漁民の皆様方に対しまして大変深刻な影響を与えておるという実態にかんがみまして、国民の納得のいくような解決が図られるということを私どもも強く望んでおるわけでございます。  そういうことでございますから、当面、先ほど外務省からアメリカ側の意向あるいはソ連側の意向、現在の段階における状況について報告があったところでございますが、まず被害額ができるだけ早く明確になり、そしてその被害額に基づきまして、外務省を通じてということになりましょうが、米側、ソ連側と折衝をいたしまして、折衝という表現は必ずしも適当でないかと思いますが、米側、ソ連側ともこの面で連絡をいたしまして、もし特定できますならば、まずそのことが先決である、かように考えておるところでございます。
  167. 新盛辰雄

    ○新盛委員 どうも答えにならないのですよ。補償被害者が受けるのです。その被害者の皆さんは一日も早く補償額をもらわないと、いま当座の網を買ったりあるいはまた失われた漁獲額に対して、もう借金をしているのですからどうにもならないとおっしゃっているのですよ。  いま加害国が特定できないという段階で、国が高いレベルの中で、これは防衛庁が計画を立てたのですから、補償を当然すぐやらなければいけないでしょう。だからこのことについては農林水産大臣、あなたは被害者の方でありますが、やはり内閣の一員としてこの取り扱いをどうされますか。見舞い金という話があります。もってのほかですよ。これは確実に防衛庁補償はします、しかも自衛隊法百五条による「訓練のための漁船操業制限又は禁止」この項における補償措置なり、あるいはまたいろいろな手続規定もございますけれども、そういうことにおいて当然これは国全体の問題としてわれわれはとらえなければなりません。  被害者に一刻も早くその補償を明確にして、また今後二度とこういうことが起こらないようにするということも当然でありますが、いま当座の問題ですから……。日昇丸の問題についてもそうでしょう。あなた、いまだにこれ解決していませんよ。民事事件として取り扱っているのですよ。今回の場合は民事事件じゃないでしょう。加害国と被害者が直接やるなんて、そういうことはどこにできますか。だから、大臣、ここのところは、内閣の統一見解があるならばそれをお聞かせください。
  168. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 政府といたしましては、はえなわ、あるいは流し網等に被害を受けた漁民の皆さん方に対して、それによって直接漁具被害、並びに被害を受けなければとれるであったろう、そういう漁獲被害等があるわけでございます。そういう問題に対しまして、やはりいままでの慣例による手続を講じてやっておったのでは相当の時間がかかることもいままでの例で理解できるわけですから、先生御指摘のように、今回はとにかく国の方針に従う訓練というような問題を契機として起こった事故である、こういうことにかんがみまして、いま外務省、防衛庁それから私のところとで、漁民の皆さん方の気持ちにぴたっとしたどういう具体的な対策があるかどうか、講ずべきか、そういう点を話し合いをいたしておるところでございますので、もうしばらく時間をかしていただきたい。何とかしなければならないということで前向きでいま話し合いを進めております。
  169. 新盛辰雄

    ○新盛委員 前向きで補償のことについて各省庁との協議をしておられるということでありますが、窓口だけは明確にしておいていただきたいと思うのです。水産庁が窓口だと言うし、外務省が外国との折衝だと言うし、防衛庁の方は何かどこか外に出ているようであります。ここで答弁されたのは防衛庁ですから、責任を持ちます、補償します、このことは明確にしていただきたいと思います。  以上です。
  170. 今村宣夫

    ○今村政府委員 補償についての考え方はいま大臣が御答弁申し上げたとおりでございますが、ちょっと私、訂正さしていただきたい点が一つございます。  それは先般内閣委員会におきまして補償の問題で質問がございましたときに、そういう手間のかかるようなことでどうするのだ、何らかの特別な措置を考えるべきではないかという御質問があったわけでございますが、先般来から大臣が、非常にむずかしい問題であるけれども、先ほど御答弁申し上げましたような事態であるので、関係省庁であえて協議、検討をしていきたいという御答弁を申し上げたわけでございまして、その点を援用をいたしながら、特別な措置ということになりますれば、これは相当高い程度のレベルにおきます協議、検討が必要であるということを申し上げたわけでございまして、国が賠償すべきものであるというふうに私はお答えを申し上げたのではございませんで、その点だけちょっと訂正をさしていただきます。
  171. 山崎拓

    ○山崎(拓)政府委員 今回の一連の事故につきまして、自衛艦が加害者であるということではございませんので、したがいまして、国家賠償法に基づく賠償責任はないかと存じますが、しかし先生が御指摘をされましたとおり、今回の共同訓練がなければ今回の事故は発生しなかったという判断も成り立つわけでございますので、そういうことを踏まえまして、防衛庁といたしましても、この問題の解決に血の通った政治をやるという決意のもとに最善を尽くしたいと存じております。
  172. 福島譲二

    ○福島委員長代理 松沢俊昭君。
  173. 松沢俊昭

    ○松沢委員 きょう午前中、延縄漁協の代表並びに流し網の代表の方々から、参考人として来ていただきまして御報告を受けたわけなんでありまするが、この人たちのお話によりますと、何といたしましても三月から六月にかけてはサケ・マスの漁獲をやるところの最も大事な時期である、そしてまた、そういう時期に網を投げておっても、われわれ、要するに漁船に乗っている者すらどこに網があるかということはなかなかっかみにくいというところの状況になっているのだ、ましてや空から見て網がわかるなんというところの状況ではないのです、こういう御説明をいただいたわけなんであります。ところが、突然新聞でその報道がなされて初めて関係者がわかった。しかもまた、水産庁の方にお聞きすれば、水産庁の方でも事前の協議、打ち合わせというのは全然受けておりません、こういう御答弁であったわけなんであります。  そしてその後訓練が行われて、われわれの方としては中止の申し入れをやる。絶対に心配がない、こういう防衛庁の御迷惑をかけないという答弁だけ。しかし結果としてはこのような被害を受けたわけなんでありまして、このことを考えてみましても、防衛庁のいままでの御答弁からしますと、昨年の暮れから計画を立てた、そして漁業状況につきましてアメリカに詳しく報告をやっておるわけなんだから、こういうお話なんでありまするが、魚をとっている専門家の方々からするならば、絶対に迷惑をかけぬとか絶対に被害が出ない、そういう状況ではないということを言っているわけなんであります。そうだとしますならば、関係水産庁事前に話し合いがあってしかるべきであった。なぜ協議もしないで突然このような合同訓練、共同訓練を行われたのかということをまずもってお伺いしたいと思うのです。
  174. 山崎拓

    ○山崎(拓)政府委員 今回水産庁事前連絡あるいは調整を行わなかったのかという御質問でございますが、結果として十分でなかったと考えておりますことは、直前になりまして連絡を行ったということでございます。直前になりますまで連絡を行わなかったのは、従来の訓練におきまして、射撃訓練を行います場合には、これは関係省庁連絡をとっておったのでございますが、今回は諸般の事情を勘案いたしまして射撃訓練を中止いたしましたので、一応従来のルールで事前連絡をいたさなかったのでございます。直前までいたさなかったのでございます。ただ、直前に至りまして漁民の皆さんが今度の訓練に大変不安を感じておられるということを私ども知りまして、先生の御指摘のように、大変遅まきであったと存じますけれども、直前になりまして連絡をいたした次第でございます。
  175. 松沢俊昭

    ○松沢委員 射撃訓練をやる場合においては事前に知らせを出す、射撃訓練をやらぬ場合においては知らせを出さない、こういうことなんですね。それはどういうわけで射撃訓練のときにおいては知らせを出して、射撃訓練でなかった場合においては知らせを出さないのですか。
  176. 石崎昭

    ○石崎政府委員 射撃訓練は御存じのとおりかなり危険を伴う場合がございます。そこで、射撃訓練の場合は従来かなり早目に関係方面に御連絡をするということでやってきたわけでございます。今度の訓練の場合は射撃訓練を含まないということにいたしましたので、これは具体的にどういうことになるかと申しますと、訓練をしているところへ漁船なり民間の船舶があらわれた場合にはこれを避けて、民間の船舶に場所を譲って訓練をやる、こういうやり方でございまして、そういう意味で私どもは、従来の、ここずっとやってきたルールで十分である、こう考えておったわけでございます。  ただ、結果として、そう考えてやったにもかかわらず各方面から非常に高い関心と不安が示されたということがあったので、遅まきながらになってしまいましたが御連絡申し上げた、こういうことでありまして、そういう従来のルールが果たして妥当なのかどうかという批判はもちろんあるわけでございます。そこで、今後は射撃訓練のような危険を伴わない訓練、つまり漁船があらわれたらそれに場所を譲るという方式の訓練の場合であっても、なおかつあらゆる観点から検討しまして、そういう訓練の場合も事前に御連絡して協議をするというルールを生み出そうということで目下御相談中というわけでございます。
  177. 松沢俊昭

    ○松沢委員 そこのところが問題なんではないですか。射撃をやる場合においては人命を損ねるという場合がある、しかし射撃をやらぬ場合においては人命を損ねるところの心配はないじゃないか、そこには漁場だとか漁民の生活というものを全く無視したところの訓練をやって差し支えないという、こういう考え方からして射撃をやらぬ場合においては事前の協議も通告もしない、こういう態度というのが結果といたしましては今回のような被害となってあらわれているのじゃないですか、どうですか。
  178. 石崎昭

    ○石崎政府委員 射撃を含まない訓練の場合でありましても、先ほど申し上げましたように漁業実態、あらゆる情報資料を集めまして、調べまして、一番漁船の出ていない、より出ていない海域を選びまして訓練海面を設定し、なおかついま申し上げましたように漁船を見かけたらそれを避けて訓練を行う、こういうやり方で訓練を実施したわけでございます。そうしてその結果、何度も申し上げますように訓練は事故なく終わっているわけでございます。  海上自衛隊に対しては漁船を見かけたら直ちにこれを避けて、それから特に後半の訓練の場合にはさらにそれを厳重にしまして、漁船を見かけたら直ちに訓練を中止して全く安全な場所へ移動いたしまして、しかる後訓練を再開するというふうに厳しい命令を出しまして、それから見張り員をたくさん立てまして、漁網、小さなウキを見かけたら直ちにこれを避けるというような、最大限の払える注意を払って、慎重の上にも慎重を期して漁民の活動を妨げないようにと、大変厳しく指導しまして訓練を行ったわけでございます。  これについては防衛庁長官は大変厳しい態度を海上自衛隊に示されまして、海上自衛隊は私は結果から見て非常によくその指示に従って、漁業を妨げないような努力をしたと思います。その結果、何遍も申し上げますとおり訓練は何ら事故なく終わったわけでございます。  ただ、返す返すも残念なのは、その訓練に参加する途上の外国艦艇が事故を起こしたというような結果が生じたということ、これがまことに残念なことであります。そういうわけでありますので、訓練策定が漁業を全く無視しているとか、漁民の利益を度外視して計画をつくったというようなことは全然ございません。最大限に漁業の円滑な操業ができるようにということを配慮しまして、何とか漁業と訓練とをスムーズに両立させたい。両方ともお国にとって大事なことでありますから、何とかトラブルなくこれを両立させたい。そのために払えるだけの努力は払ったつもりでございます。決して漁業を無視して計画をつくったということはございません。
  179. 松沢俊昭

    ○松沢委員 日米共同訓練ということなんでありますから、したがって一つの海域演習区域というのを決めますと、そこへ艦隊というものが入ってくるわけでしょう。そうなれば、要するにその艦隊が区域に入るまでの間に航行するところに網が流されているということになれば、それが切断されるおそれは十分あるのじゃないですか。だから、あなたの方では区域の中においては全然被害は出ていない、こう言っていますけれども、現にいままでのまとめにおきましても九千二百万円の被害が出ている。そのほかに流し網秋田の方からもやはり被害が出てきている、こういう状況であるわけなんであります。したがって、合同演習、共同訓練、このことによって被害が出てきたことは間違いないのじゃないですか。要するにその被害に対する責任というのは当然あなた方がとらなければならぬということになるのじゃないですか、どうですか。
  180. 石崎昭

    ○石崎政府委員 先ほど申し上げましたように、訓練計画は漁業を非常に重視しまして慎重に練り上げてつくったわけでございます。そうして慎重に実施いたしまして、事故なく終わったわけでございます。  ただ、それに参加する途上の外国艦艇が事故を引き起こしたと考えられているわけでございますが、これについても全く放置しておいたわけではございませんで、先ほども申し上げましたように詳細な情報を米軍には提供いたしました。ソ連には提供しておりませんが、米軍には提供いたしました。したがって、米軍はみずからの艦艇を動かす場合にはこういう情報を頭に置いて慎重に航行してほしいわけであります。結果としてこういう事故が起こった。そのうちどの程度の部分かわかりませんが、米艦が引き起こしたものもあるだろうと思います。結果としてこういう状況が出てきたということを私どもは大変残念に思っておるわけですが、何遍も申し上げますとおりに、米艦に対してはこの時期にこの海域でどういう状況があるのか、うっかり走るとどういう危険があるのか、これはよく情報を提供して必要な勧告もしておったわけでございます。  ただ一般に、これは無理からぬことだと思いますが、訓練計画が幾ら慎重に練られた計画であり、訓練そのものがいかに慎重に行われて無事に終わったとはいっても、その計画がなければ外国艦艇は来なかったではないかというふうに言われる、これもまたごく自然のことであろうとは思います。ですから私どもは、訓練が直接引き起こした事故ではないと理屈の上ではもちろん申せるわけでありますが、訓練なかりせば事故が起こらなかったのではないかということについても、やはりそういう見方に対しては謙虚に受けて立つ必要があろうかと思います。  そこで、起こった結果については理屈を一々言ってみても始まらないわけでありますので、すでに防衛庁長官も何遍も御答弁申し上げてきましたとおり、関係官庁と緊密な連絡をとって最大の努力を払って、加害者がだれであるかというような理屈ばかり言っても始まりませんので、何とか国民の納得の得られるような道を早く見出したいという努力をいま続けている最中でございます。
  181. 松沢俊昭

    ○松沢委員 理屈ばかり言っているって、あなた理屈ばかり言っているじゃないですか。被害が起きたことは間違いないじゃないですか。しかも訓練は無事終わりました、こんなことを言ったところで国民は納得しますか。そういうでたらめな答弁ではしようがないと思うのですよ。もっと謙虚になって、要するに被害実態というものをどういうふうにして解決をつけるかという前向きの考え方を起こしてもらわなければならないと思う。  しかも、アメリカの方にいろいろと情報の提供をあなた方やっていたと言う。だれからその情報を受けて、たとえば漁業協同組合の方から受けたとかあるいはまた水産庁の方から話を聞いたとか、そういうことで情報を流しておったのですか。水産庁とは全然連絡をとっていないじゃないですか。だから、その情報提供の資料というのは一体どこから出たのですか。はっきりしてください。
  182. 石崎昭

    ○石崎政府委員 私は理屈を述べているつもりではありません。起こった結果については誠心誠意最大の努力を払うという長官のいままで御答弁してきた線に従って、関係官庁寄り寄りいまやっている最中でございますので、理屈をこねてそれを免れようというようなつもりは毛頭ございません。  それから、どういう資料を集めて検討したのかということにつきましては、情報資料というのは非常にたくさんありますので全部申し上げるわけにはいきませんけれども、たとえば水産関係の方には非常にわかりやすい一例を挙げますれば、日本海漁況海況情報、常時新しい情報を盛り込んで流されている漁業情報サービスセンターで出しておりますもの、これなどは非常に詳しいものでありますので、こういうもの、そのほかいろいろなところから集めた情報であります。それから海上自衛隊がみずから調べた情報も、もちろん参考資料として検討の材料にしております。
  183. 松沢俊昭

    ○松沢委員 私、二十五日に秋田県の調査に行ってきたのです。秋田県の県知事が言っておられましたけれども、四月一日、四月二十四日、防衛庁の方から県の方に来て、そしていろいろと調査をしていかれた。その際においては、とにもかくにももう六月いっぱいまでは網がどんどん落とされているわけなんだから、この場所はやはり訓練をしては無理なところなんだ、だから中止をしてもらいたい、もしくは延期をしてもらいたい、さもなかったら別な区域でやってもらいたい、こういうことを本当にくどいほどよく防衛庁の方に話をしてあったのだ、にもかかわらず事前の協議もなしにやられたということに対してはなはだ遺憾にたえないと、非常に憤慨しておられるわけなんです。  しかも、いろいろな情報というけれども、なぜ同じ政府の省庁でありますところの水産庁の方と連絡をとって、そして事前の協議をやらなかったのですか。それはおかしいじゃないですか。
  184. 石崎昭

    ○石崎政府委員 確かに水産庁と直接毎日のように連絡をとり合うということはありませんでしたが、漁業関係の非常に役に立つ正確な情報と思われるものは多く集めまして検討を加えたのであります。それから自衛隊自身も飛行機を飛ばしていつも哨戒活動をやっておりますから、そういう自衛隊自身の目で、手で集め得た情報、これももちろんたくさん積み上げまして検討を加えたのでございます。  そこで今後の問題としては、そういうたくさんの情報資料を積み上げて検討したとはいっても、その上になおかつ水産庁に直接当たって見解を聞かしていただくということも必要であろうと思います。そういう点で、何遍か申し上げましたとおり、今後訓練計画をつくる場合にはそういう協議先をはっきりつくりまして、密接な連絡をとって御相談の上やるというふうに改善をしていきたいということで、いま検討中でございます。
  185. 松沢俊昭

    ○松沢委員 ちょっと水産庁長官に聞きますけれども、午前中の参考人のお話からしますと、とにかく飛行機の上から幾ら見ても、どこに網が流されているかというようなことはなかなか確認ができません、それから漁船そのものに乗っている人も、波が高いものですからそういう標識をつけておったとしてもなかなかわからないのだということを言っているわけなんです。であるから、とにかくサケ・マスの漁期においてはこの場所で訓練すること自体が無理なのだ、こういうことを強調しておられたわけなんですが、その点はどうでしょうか。
  186. 今村宣夫

    ○今村政府委員 今回の合同訓練の実施につきましては、残念ながら私たち事前連絡を受けておりませんでした。九日に新聞を見まして、すぐに防衛庁連絡をいたしたわけでございます。その後防衛庁から訓練の内容についてお知らせを受けたという経緯にございます。  その際、水産庁としては、防衛庁に対しまして、現在サケ・マス漁業最盛期でありまして、サケ・マスは御存じのようになわを三十キロも四十キロも流すわけですから、そういう漁業の特殊性につきまして十分御説明をすると同時に、サケ・マス以外の漁業日本海においてはこういう操業をいたしておるのであるということを申し上げたのでございます。そのときに水産庁としては、そういう一連の協議がなかったことはまことに遺憾であるということと、それから、そういうサケ・マスの最盛期にありますから、そういう特殊性を十分考慮してやってもらいたい、安全に万全を期してもらいたいというお話を申し上げたわけでございます。  防衛庁におきましてもいろいろと注意を払って演習をやられたということは承知をいたしておりますが、やはりサケ・マスの特性というのがございまして、漁船そのものについて万全の注意を払いましても、たとえば東京から横浜ぐらいまで網を流しておるわけでございますし、しかもそれはなかなか識別しにくい。特に夜間においてはなかなか識別することはむずかしいことでございますから、第二期の訓練を行いますときにも万全の注意の内容について連絡を受けましたけれども、それは漁具被害の発生を全く排除するものというふうには私たちは考えられませんということを申し上げたわけでございます。  ただ、訓練海域の中で被害が起こらなかったということはそのとおりでございますが、問題は訓練海域に進入していく経路ということについて、これは米海軍でございますから、防衛庁からも御答弁がありましたようになかなか掌握しにくいという問題がある。今後の問題を考えます場合には、一つは、演習をいたしますときに海域期間をどうするかという問題に十分配慮を払う必要がありまするし、同時に合同訓練ということでどこまでアメリカと連絡がとれるかわかりませんけれども、アメリカが訓練にジョイントするときの経路についてある程度承知をいたしておきませんとなかなか問題の解決にはならないのじゃないか。そういうことも含めまして現在防衛庁といろいろと協議をいたしておるわけでございます。
  187. 松沢俊昭

    ○松沢委員 防衛庁、いまお聞きのとおりなんですよ。海域期間、これは絶対的に避けてもらわなければ漁場を守るというわけにはいかない、こういうことを水産庁長官は言っているわけなんです。ですからそのことを無視してやったということは、つまり防衛庁の計画がずさんであった、この責任はやはりとってもらわなければならぬ、こう思いますが、次官、どうですか。
  188. 山崎拓

    ○山崎(拓)政府委員 水産庁からそういう御意向が示されましたのは、訓練開始の直前でございました。防衛庁といたしましては、訓練期間中、訓練海域内におきまして事故が発生いたさないように、艦艇、航空機等による見張りを続けながら、漁船を発見いたしました場合にはそれを回避して訓練を行う、そういう方針でございましたので、また訓練計画を定める段階におきまして、漁業の宝庫である大和堆を避ける等々といった配慮もいたしておりましたので、訓練による事故は起こらないものと判断いたしまして訓練に入ったわけでございます。  ただいま水産庁長官も言われましたが、そうではあっても、その訓練海域に集結してまいります米艦艇のルートにおいて事故が起こったではないか、こういうことでございますので、その点について、いままで米海軍に情報を十分提供しておったものの、米海軍が一体どのルートを通るかということについて防衛庁としても事前に承知いたしていなかったのでございます。これは公海上でもございますし、米海軍行動が機密に属するということもございますし、また米国における漁業日本における漁業実態が違っておったというようなこともあるいはあるかもわかりません。あるいはまた、米国における漁業の地位と日本における漁業の地位ともまた違いがあるように思うわけでございます。そのようなさまざまな要因が重なり合いまして今回の事故が起こったやに考えられるのでございます。  そのようなことを踏まえまして、今回の事態を私ども貴重な教訓といたしまして、今後このようなことが起こらないように、射撃訓練ではなくとも、漁業に与えます影響が大きいと判断されます場合には、水産庁ほか関係方面と事前に十分連絡調整をいたしまして、訓練の海域あるいは訓練の時期等について選定をいたしたい、そのように対策を講ずることが防衛庁責任である、かように考えているところでございます。
  189. 松沢俊昭

    ○松沢委員 これからの対策は、いまお話しになったように慎重に配慮をしてもらわなければならぬことは申し上げるまでもありません。だけれども、今回被害者がいるわけなんでありますから、それはやはり共同訓練というものが計画されて実行されたからこの被害というものが出たわけです。その責任というのは、要するに日本の政府の省庁の中で一体だれがとるのであるかということになれば、これは防衛庁ということになるのじゃないか、こう思いますが、防衛庁はこの責任をとるのですか、どうですか。
  190. 山崎拓

    ○山崎(拓)政府委員 あるいは先生のようなお考え方も成り立つものと考えるわけでございますが、今回の事故の責任という観点から申しますと、防衛庁長官といたしましては後期の訓練期間を、自衛艦あるいは米艦艇、この訓練に参加をいたしました艦艇が起こした事故ではないにいたしましても、後期訓練期間中に事故が発生をいたしたという事態にかんがみまして、直ちに訓練を中止する方向で検討いたしまして、御案内のとおり二十二日十六時をもちまして訓練を中断する措置を、長官の責任と判断において講じた次第でございます。  また、今回の事故の補償の問題でございますが、これはいま加害責任を特定できるかどうかという段階でございますので、にわかに申し上げにくいことでございますが、先ほども農林水産大臣の御答弁のニュアンスもお聞きいたしましたし、また、防衛庁長官もさように考えておりますが、要するに漁民の立場に立ちまして、また国民の理解と納得の得られる措置を講ずるということで、防衛庁といたしましても最善を尽くしてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  191. 松沢俊昭

    ○松沢委員 午前中参考人からいろいろお話を聞きましたところが、何か防衛庁の方ではソ連の船、アメリカの船と、いろいろなことを言っておられるわけでありますけれども、これはアメリカの二四、二五、九五〇、一〇四一、それから自衛隊の一六三、それから流しの方で、秋田で聞きましたところが、やはり二四、二五、それから日本の一一八、こういう艦船があらわれておった。それから、午前中の参考人のお話を聞きますと、ソ連艦船というのは確認されておりませんとはっきり言っているわけなんであります。もちろん、日米共同訓練、演習ということになりまするならば、ソビエトも大変な関心を持つということになりますから、ソビエトの艦船が近づくことは間違いないと思いますけれども、しかし、漁船の方で確認した限りにおきましてはソ連艦船というのは見当たらなかった、こう言っているわけなんです。ところが、いま防衛庁の話によりますと、防衛庁の方ではソ連の船というものを非常に重視しておられるようでありまするが、これはちょっとやはり問題があるのじゃないかと思いますが、どうですか。
  192. 山崎拓

    ○山崎(拓)政府委員 秋田沖での日米共同訓練の際、ソ連のカラ級ミサイル巡洋艦ペトロパブロフスク八千二百トンが、艦尾から可変深度ソナーのワイヤを海中にたらし航行している現場写真を撮影いたしております。その写真は、十五日午前十一時十分ごろ、積丹半島西方約百四十キロの沖合いを北上しているペトロパブロフスクを、海上自衛隊のP2J対潜哨戒機が真後ろから撮影したものでございます。この写真を分析いたしました結果、艦尾から可変深度ソナーの太いワイヤが海中にたれ下がっていることがはっきりと確認をされております。  なお、ペトロパブロフスクがつきまとっておりました四隻の米艦艇には可変深度ソナーは装備されておりません。  以上、これは事実関係を申し上げた次第でございます。
  193. 松沢俊昭

    ○松沢委員 漁船のみんなの確認をしているのはアメリカの艦船だけである。防衛庁の方はソ連艦船。これはやはり防衛庁自衛艦も出ているわけなんでありますから、防衛庁自衛艦だけに見えるところのソ連の船、これはおかしいのじゃないですか。漁船はアメリカの船はよく見たと言うのです。確認しているのですね。ソ連の船の確認はやってないと言うのです。その辺にも、これは日米のことですから何かソ連へなすりつけて、そしてアメリカの責任を逃れようとしている、こういう感じを非常に強く私は受けるわけでありますが、どうして自衛隊の方ではソ連の船が見えて、そしてアメリカの艦船がそれほど重視されないのか。漁船の方ではアメリカの艦船であってソ連艦船は見ないと言う。どういうことでしょうか。
  194. 山崎拓

    ○山崎(拓)政府委員 米艦船を見かけていないということは申し上げておりません。米艦船四隻ももちろん確認をいたしておるわけでございます。また、私が申し上げましたことは、米艦船四隻並びにただいま申し上げましたソ連のカラ級巡洋艦一隻は、間違いなく事故の発生いたしました海域を航行しておったのでございます。そこで、この五隻が事故を起こした可能性があるということは再三申し上げておるとおりでございまして、米艦艇四隻が事故を起こした可能性について私ども否定をいたしておるわけではないのでございます。  しかしながら、ただいま私が申し上げましたカラ級巡洋艦が可変深度ソナーを曳航しておったということは、これは参考までに申し上げますが、海上自衛隊の場合で申し上げますと、この可変深度ソナーは重さ約二トン、全長百七十から二百メートル、直径約五センチの太いワイヤで海中深くおろし、潜水艦の音を聞くためのものであります。ペトロパブロフスクは十二ノットの速さでこれを引っ張っておりまして、仮にはえなわがひっかかった場合は簡単に切断されるというものでございます。米艦艇四隻は先ほど申し上げましたように可変深度ソナーを備えていなかったのでございます。ただ事実関係をそのように申し上げただけでございまして、この五艦艇はいずれも事故を起こした可能性はあるということを申し上げておるのでございます。
  195. 松沢俊昭

    ○松沢委員 問題は、いままでのこういう演習に伴った被害補償をどうするかというのが漁民の一番関心事だと思います。これからの問題につきましては、事故を起こさないように十分な措置関係省庁が協議をして答えを出してもらわなければならない、こう思うわけであります。  そこで、いま加害者というのが非常にはっきりしないわけなんでありまして、これは時間が経過すればなお詳細に調査が進められるというものでもないと私は思うのです。やはり関係者の確認したのを、いろいろ聞き取りをやったり何かしてやっていく以外に方法はないと思いますけれどもソ連艦船であるとかアメリカの艦船であるとか自衛艦であるとかということは、非常にやはりむずかしい問題だと私は思います。しかし、むずかしい問題だけれども必ずこの加害者というのは把握をしてもらわなければならない、こういう立場にもあると思うわけなんでありまするが、それらの加害者が確認できるまで漁民は補償を受けるわけにいかぬというわけにはいかぬと思うわけであります。  そういうことで補償責任庁、これは一体どこなんだ、午前中漁業組合の代表の皆さんが言われましたように、やはりその責任というのは日米合同演習を計画したところの防衛庁なんだ、だから防衛庁の方でやはり責任をとってもらわなければならない、こう強く主張しておられるわけなんであります。  そこで私は、農林大臣にお聞きしますけれども、農林大臣の方は、むしろ全く寝耳に水ということで突然これが行われてきている。十二日のここでの御答弁におきましてもはなはだ遺憾であるということを言っておられるわけなんであります。したがって、きょうの午前中の漁業代表者の考え方といたしましても、やはり頼るものは農林水産省なんだ、だから農林水産省にわれわれの実態というものを把握して報告して、そしてそれを窓口にして防衛庁の方に上がってもらわなければならない、こう言っておるわけなんでありまして、農林水産大臣漁業者のその苦衷というものを十分理解しておられると思いますが、やはり加害者を確認するまでには相当時間がかかると思うわけなんです。それまでの間というのは立てかえ補償をやらせるということをしてもらわなければならないのじゃないかと思いますが、その点、大臣はいかようにお考えになっておりますか。
  196. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 気持ちとしてはいま松沢委員の言われたような気持ちも私はいま持って、防衛庁それから外務省と相談をいたしておるわけでございます。どういう具体的な方法が一番漁民の皆さん方の気持ちに合うか、また、将来こういうことは二度とないことを期待するわけでありますけれども、急いでやれる方法はどういう方法があるか、そういう点を相談しておりますので、もうしばらく時間をかしていただきたい。  したがいまして、いま県あるいは漁業協同組合、サケ・マス関係組合の皆さん方と協力して詳細な被害実態調査中でございますので、これができ上がり次第できるだけ速やかに措置できるようにしなければならぬな、こんな気持ちで対処しておりますので、この点しばらく時間をかしていただきたい。
  197. 松沢俊昭

    ○松沢委員 私はもうこれで終わりますけれども、今後二度と再びこのような事故の起きないために、関係省庁十分協議されまして万全を期していただきたいということと、それからいま農林水産大臣の方から御答弁をいただきましたように、ぜひとも立てかえの補償というものを考えていただきたいということをお願いしまして、終わります。
  198. 福島譲二

    ○福島委員長代理 吉浦忠治君。
  199. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 時間が制限をされておりますので簡潔にお尋ねをして、また明快な御答弁を求めたいと思います。  今回の秋田沖の共同演習にかかわりますはえなわ切断、流し網の切断等の問題に関しましてお尋ねをいたしたいと思いますが、今回の合同演習の目的と規模がどういうふうになっていたかを最初にお尋ねをいたしたいと思います。
  200. 石崎昭

    ○石崎政府委員 訓練の概要について御説明申し上げますと、今回の訓練は五月十二日から十五日までの前半の訓練と五月十九日から二十三日までの後半の訓練、こういうスケジュールで計画が練られました。参加の規模は、日米について申し上げますと、海上自衛隊の方は護衛艦七隻と補給艦一隻、潜水艦二隻、合計十隻でございます。それから米海軍は合計十二隻、こういう規模に日米の航空機が若干ずつついているわけでございます。  それから訓練の内容は、対潜水艦捜索攻撃訓練、それから通信連絡訓練、防空訓練、水上打撃戦訓練、最後にそれらを総合した訓練、以上のようなことが訓練の概要でございます。
  201. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 そうしますと、防衛庁いわゆる海上自衛隊は、従前は演習海域の通告体制はどのようになっていたかという点をお尋ねしたいわけでございますが、今回の演習について正式通告をしたのはいつかという点でございます。具体的内容はどういうふうに正式通告されたのかどうかという点を、簡潔にお尋ねいたしたいと思います。
  202. 石崎昭

    ○石崎政府委員 従来の関係官庁への連絡の仕組みと申しますと、射撃訓練につきましてはかなり長期間の猶予を置きまして、水産庁、海上保安庁、その他関係都道府県に連絡を行うということでやってまいりました。ただ、射撃訓練を含まない、つまり危険の伴わない訓練につきましてはこういう連絡を行っておらなかったわけでございます。今回の訓練につきましては、そういう従来から行ってきたやり方、流儀といいますか、そういうルールどおりに行ったわけでございますが、ただし、場所日本海であること等を考慮いたしまして、外交関係の反響をやはり正確につかんでおく必要があろうということで外務省には御連絡をして御相談をした、こういうわけでございます。そして訓練開始日の直前になって、まことにその点結果的に不手際だったと思いますが、九日に至って水産庁、海上保安庁に御連絡をし、またその後訓練直前に関係道県にも御連絡をしたというのが経緯でございます。
  203. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 きょうの先ほどからの御答弁を聞いておりまして、計画策定というのはもうかなり早くからお立てになったようでございます。そうなりますと、その際に漁業実態というものに配慮をなさる計画策定をなさったわけだと私は思うけれども、いま問題になっておりますのは漁業被害の問題にしぼられておるわけでありまして、こういう点を無視しておやりになったわけでは決してないと思いますが、計画策定の場合に漁業実態についてどういうふうな配慮を払われたのかを明確にお尋ねをしたい。
  204. 石崎昭

    ○石崎政府委員 日本海における漁業実態というのは、訓練を円滑に行う場合非常に重要な問題でございますので、私どもは計画をつくり始める最初の段階からこれを重視いたしまして、日本海のこの時期における漁業実態についての必要な情報資料を可能な限り集めまして、それを十分目を通しまして、どういう問題があるかあらゆる角度から検討をいたしたわけでございます。  その結果、この時点では、訓練を行う時点では、サケ・マスの漁業実態からすると秋田沖の今回訓練海域と定めた海域は比較的漁船が少なくなっておる、かなり北へ漁船は移動しておる、毎年の漁業の実績などからそういうデータが得られまして、そこで漁業になるべく支障を生じないような海面の設定ということを考えまして今回の場所にしたというような次第でございます。
  205. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 いまの答弁ではちょっと納得できませんで、マス漁業最盛期であるということはもう十分防衛庁も知っているわけです。こういうことを配慮しないで行うということは、いわゆる軍事優先のそしりを免れない、こういうふうに言わざるを得ないと思うのです。こういう点からしますと、軍事優先の発想があったのではないかというふうに国民に不信感を与えているわけでありますから、この時期にこの場所を決定したというのはどういう基準で行われたのか、こういう点をお尋ねしたい。
  206. 石崎昭

    ○石崎政府委員 この時期に日本海のあの海域がサケ・マス漁業最盛期に入っているということは私どもも集めた情報資料でよく知っておりましたので、何とかそれに支障を生じないように訓練を行いたいということで、ずいぶん慎重に検討いたしました。しかしながら、実は日本海のこの時期のあの海域の水温とか水流とか、いろいろ訓練に好条件というものもございまして、それから日米のそれぞれの年間を通じての配艦の計画であるとか兵員の運用計画とかいう、いろいろなスケジュール関係から、それからいま申しました自然条件が訓練に望ましい時期に当たっているというようなことから、私ども漁業の安全操業を最優先に考えながらも、何とか漁業と訓練を両立させたい、何とか支障を生じないようにしながら訓練をこの時期に行いたい、こういう希望を持っておったわけでございます。  そこで、そのためのいろいろ方法を考えまして、訓練時期が近くなるに従って航空機を飛ばし哨戒活動を強め、必要な情報を最大限集め、何とか漁業を円滑に行えるように配意しながら訓練をやろうということで始めたのでございます。
  207. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 配慮したとは考えられないから質問をいたしているわけでありまして、次官にお尋ねいたしますけれども、鈴木総理がアメリカに行かれましていわゆる日米共同、同盟の宣言がなされた直後にこの共同演習が行われているということも、関係がないとは言えないというふうに私は感ずるわけでありまして、この時期とこの場所というものが明快でないその答弁にどうも納得しかねるわけです。  先ほどからマスの最盛期であるということは認めますけれども、十年前にも同じ事故を起こしたこの場所で同様な事故を起こすようなことを繰り返すということについて、防衛庁はよほど慎重におやりになったとは感じますけれども、その点についてはどうも感じられないこの結果が出ている時点で、次官はどういうふうに感じられているか。     〔福島委員長代理退席、津島委員長代理     着席〕
  208. 山崎拓

    ○山崎(拓)政府委員 日米首脳会談の直後にこの訓練が行われたということでございますが、この訓練の時期を決定いたします過程は、先ほど来御答弁申し上げておりますように、昨年の末以来ずっと検討を続けてまいりまして決定いたしたわけでございまして、全く日米首脳会談の時期とは関係なく定めたものでございまして、その点は明確でございます。  しかしながら、今回の時期の定め方、海域の定め方については十年前の事故の教訓を踏まえてないではないか、こういう御指摘があったわけでございます。十年前に事故が発生をいたしましたので、今回はそのようなわだちを二度と踏まないように、十全の措置をとることにいたしまして今回の訓練を実施いたしたわけでございます。そのような次第で、今回は訓練海域内におきまして参加艦艇によって事故を起こさなかったのは、前回の事故の反省の上に立って実施したからであると思います。しかしながら、今回の訓練に参加するいわゆる集結ルートにおきまして米艦艇がその事故の原因になったのではないかという事態が発生をいたしまして、今回は新たなる教訓を得たのでございます。この教訓を踏まえて、先ほど来申し上げておりますように、農林水産大臣の閣議における御発言も踏まえまして、私ども今後は、射撃訓練を伴わない訓練でございましても、訓練の規模、態様、目的等々いかんによりましては、漁業への影響を勘案いたしまして事前水産庁初め関係方面と十分な連絡調整を行った上で訓練を実施する、そういう新しいルールを確立する方針に至った次第でございます。
  209. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 今回の演習は自衛隊法第百五条から見て違反というふうにならないかどうかということなんですが、少なくともこの百五条から見ますと、総理大臣は農林水産大臣あるいは知事の意見を聞かなければならないというふうな条項がございますけれども、要するに、これを聞かなかったということは怠慢という以外はなかろうと思うのです。こうした演習防衛庁長官一人で決めてよいものかどうか、あるいは防衛当局だけの判断で決定していいものかどうか。こういう重大な問題について、少なくとも閣議で決めるとか、あるいは当該の水産庁長官とか農林水産大臣等の意見を聞くかあるいは同意を必要とする、他の方法があろうというふうに考えるわけでありますけれども、政府の見解はどういう見解を持っていらっしゃるか、お尋ねをいたしたい。
  210. 石崎昭

    ○石崎政府委員 ただいま御指摘の自衛隊法百五条といいますのは、御存じのとおりに自衛隊が訓練とか試験研究のために水面を使用する場合に、内閣総理大臣は、農林水産大臣及び関係都道府県知事の意見を聞いて、一定の区域期間を定めて、漁船操業制限したりあるいは禁止したりすることができる、こういう規定でございます。つまりこの百五条に書いてありますのは、そういう訓練とか試験研究のために一定の場所漁船を立ち入らせない、操業を禁止する必要がある場合にとらるべき手続が定められているわけでございます。  ところが、今回の訓練は、こういう訓練の海域漁船を立ち入らせないということは全く考えておらず、立ち入らせない必要もない、禁止する必要もないという前提で計画をつくりました。つまり訓練海域とは申しましても、一応注意喚起のためにこれだけの海域で訓練をやるということは海上保安庁にも御連絡を申し上げましたけれども、その海域へは漁船も一般の商船も自由に立ち入りができる、こういうわけでございますから、百五条の規定に従って立入禁止、そのための内閣総理大臣がとるべき厳格な手続、これとは全く関係がなく、つまり全く自由に出入りできる、そういう前提で、漁船なり商船なりがあらわれましたならば、あるいは漁網を発見したならばそれを避けて訓練を行う、こういう前提で訓練の計画をつくってございます。そこで、こういう漁業制限したり立ち入りを禁止したりする措置のためにあるところの百五条、これは今回は関係がなかったというわけでございます。
  211. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 それがあればまた補償問題等もその枠の中でできたかもしれませんが、今度は補償の問題等がかなり複雑になりはしないかと私は心配をいたしておりますけれども、時間がありませんので、次に進みます。  簡潔にお答えを願いたいのですが、防衛庁はアメリカ艦隊の行動状況というものをどこまで掌握されていたのか。合同演習でありますから十分わからなければならないと思いますけれども、何もわからぬで合同演習はできないというふうに思うわけであります。その演習の海上まで来ることも何か掌握なさっていないというようなことが先ほど答弁にありましたけれども、そういうずさんなことで合同演習はできないのじゃないか、こういうふうに思うけれども、いかがでございますか。
  212. 石崎昭

    ○石崎政府委員 訓練に参加するまでの米艦隊の動向については、先ほども申し上げましたとおりわれわれは通報も受けておりませんし、詳細は掌握しておりません。事実上自衛隊の目で位置を確認したり発見したりということでわかっておる部分もございますが、全体の航行の計画は通報はないのでございます。  これは、日米の間でお互いがどういう行動をしているかについて通報がないというのは、ほかの国ならともかく日米の間でそれはおかしいではないかというふうに感じられるのはきわめて自然のことだと思いますけれども、米国艦隊と申しましてもやはり外国の軍隊であることには間違いないので、外国軍隊の動向はすべてが日本側に通報されるというものではありません。通報してくれる場合もありますけれども通報されてない場合もある。それを通報せよと要求をするわけにはまいらないのでございます。  それから、そういうことでは共同訓練が果たして整々と組めるのかという疑問があろうかと思いますけれども、今回の共同訓練の場合は、ほかの共同訓練の場合も大体そうでありますが、定められた日時に定められた地点へ両者が合流して、そこから共同訓練が始まるという形が普通でありまして、ほかの海域で行うところの日米共同訓練の場合も大体同じ方式でございます。そういう方法で約束の日時に約束の地点に合流してそこから共同訓練が始まるということで、共同訓練を進める上では別段支障がないのが実態でございます。  そういうようなわけで、今回この訓練に参加する米艦隊がいつごろどういうコースでやってくるかについては通報もなかったし、私どもも全部細かい点まで掌握していなかったというのが実情でございます。
  213. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 大事な点でありますけれども、今後実弾演習以外の場合でも通告をするというふうに、いかなる演習についても何日か前にはこれを行うということをルール化する必要があるのじゃないか、この点で反省させられるわけです。いわゆる射撃訓練を伴わない場合でも、海上演習に当たっては漁業操業などの実情を考慮して、必要な範囲で関係当局に事前に打ち合わせをするルールを設けるべきじゃないかという意見がいまほうはいとして出ているわけです。こういう点について、そういう考え方をお持ちなのかどうか、明快に、持っているか持っていないかだけでいいですから、答えてください。
  214. 山崎拓

    ○山崎(拓)政府委員 今回の事故を一つの教訓といたしまして、今後、漁業に与える影響が大きいということが判断されるような訓練におきましては前広に関係省庁連絡調整を行う、そのためのルールづくりを行う、そういう方針でございます。
  215. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 最後にお尋ねをいたしますが、いずれにいたしましても、法律論はともかく、国民感情からするならば、今回の事故の補償については政府の全面的な援助が必要だろうというふうに考えるわけでありますが、私としては、先ほどから質問がありましたように、見舞い金というあいまいなものではなくて、まず被害金を早急に立てかえ払いをする、そして漁業者の経営に不安のないように措置した上で、その後で加害者に対して適切に損害の賠償を求める必要があるというふうに考えます。この点について、防衛庁の方からと農水大臣からお答えをいただきまして、終わりたいと思います。明快にお願いします。
  216. 山崎拓

    ○山崎(拓)政府委員 今回の事故に伴います補償の問題につきましては、漁民の立場に立ちまして、関係省庁が十分協議をいたしまして最善の方法で解決をいたしたいと考えております。すでに事務レベルにおきましてはそのような協議を開始いたしておるわけでございます。  ただいま先生が御提案をされましたような、補償にかわるべき措置等も含めまして今後の検討の課題といたすわけでございますが、あるいは事務レベルではなかなか解決がつかない種類の問題になろうかと思いますので、農林水産大臣から御答弁があろうかと思いますが、防衛庁の方といたしましても、極力事務レベルで対策を検討いたしました上で、さらに先ほど申しましたような血の通った政治の観点に立ちました対策を講じたいと考えております。
  217. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 できるだけ速やかに被害実態を明らかにいたしまして、いま御指摘になられた立てかえ払い等も含めて、どういうふうにやれば一番漁民の皆さん方の気持ちに沿ってもらえるかというような点も十分考慮して、やはり早くやることが信頼関係を維持していく大きな基本だと私は思いますので、そのような方向で努めてまいりたいと考えます。
  218. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 以上で終わります。
  219. 津島雄二

    ○津島委員長代理 近藤豊君。
  220. 近藤豊

    近藤(豊)委員 きょうの朝、いろいろと漁業者被害についてはヒヤリングをして話を聞いたわけですが、被害があることは実は確定されているわけです。問題は、加害者の特定が非常にむずかしいというのがこの問題の困難な点だと思います。  そこで、きょうあたりから新聞に出始めておりますが、ソ連の艦艇も加害者として加わった可能性があるというニュースが出ておりました。  私がアメリカ大使館等、米側の方からヒヤリングをした結果によりますと、米側からも、このソ連艦の混在の可能性ということについては、すでに詳細の情報が外務省に対してあるいはその筋に対して日本側に提供されておる。しかるに、その提供された資料については公表されていない。どうも、関係新聞記者の一部等に聞いてみましてもそういう事実はないようでありますけれども、その情報の提供は先週末から日曜日にかけてあったはずであります。そういう情報の提供があったかどうか、まず外務省にお伺いしたい。その情報の提供があったとした場合には、なぜそれが公表されなかったかということについて、まずお伺いしたいと思います。
  221. 松田慶文

    ○松田説明員 御説明申し上げます。  米国大使館から十七日に詳細な情報の提供がございました。それは口頭で来ましたものを文書に書き記しまして、外務省所在の記者クラブに公表してございます。ただ、それがそのままの形では報道されませんでしたが、外務省としては全文をプレスクラブに渡してございます。  その内容、かなり長いものでございますが一点だけ申し上げますと、いろいろな状況を説明した後、今回の事故は米側が起こした可能性よりも、ソ連の巡洋艦によって引き起こされた可能性の方が大きいものと考える、そういう結論になっております。
  222. 近藤豊

    近藤(豊)委員 その点、松田参事官にもう一度お伺いしますけれども、何日にそれをプレスの方に流されましたか。
  223. 松田慶文

    ○松田説明員 この情報は十七日の午前に米側から寄せられたものでありますが、英文で参りました情報を翻訳し記述し、午後から記者クラブに公示したわけでございます。公示した時間は私、手元に正確な時間を持っておりませんが、午後でございます。
  224. 近藤豊

    近藤(豊)委員 情報はもちろん、外務省側の発表の仕方が、余りはっきりと記者クラブに言わなかったものか、あるいは日曜日であったために記者クラブの方が注意が薄かったものか、あるいはもうすでに米側が、日昇丸の事件の直後だったものだから、そこで被害があったら補償しますということを言って、あたかも米側が一方的に責任があるというようなニュアンスが伝わっていたために報道されなかったのか、いずれかわかりませんが、米側の提供された情報が余り伝わっていないということについて不満があるようでございます。  そこで、実は加害者の特定に関連して、きょうの朝も麓参考人から、艦船の確認を所属の組合員の船がしたという中に、艦船番号二四、二五、九五〇、一〇四一という話がありました。この四つの艦船のほかに、五月十八日の赤旗に「米軍艦すぐ出てゆけ」という記事がございます。かなり大きな記事ですけれども、この記事の中に、岩内郡漁協所属の第十二喜栄丸、増田堅太郎船長兼船主、この人が被害者であるそうですが、この人が下田京子参議院議員と津川武一前衆議院議員に陳述をしたということで報道が出ております。  この中にたまたま艦船番号が出ております。その艦船番号は一〇四一、五六五、二四である、それを自分たちは見た、時期は十六日の午後一時ごろ南から北にかけてなわの上に来た軍艦である、こう言っております。大体十六日の午後というのが問題の時期であるとされておりますし、さらに第十二喜栄丸という船などのなわが切断されておるわけですから、これが一番問題の多かった地域であると思われますが、まず第一に、防衛庁の方から、一〇四一、五六五、二四という船はどこの船でどういう船であるか、それから大きさとその喫水についてわかっていれば回答していただきたいと思います。
  225. 岡崎久彦

    ○岡崎政府委員 御指摘の一〇四一はアメリカのフリゲート、ブラッドレーでございます。それから五六五、これはソ連の巡洋艦カラでございます。それから二四はアメリカの駆逐艦ワーデルでございます。排水量はアメリカの駆逐艦が三千三百七十トン、フリゲートが二千六百二十トン、カラ級が約八千トンでございます。それから喫水は、それぞれ積載量によって違うようでございますけれども、大体六メートルないし七メートルというふうに考えてよろしいかと思います。
  226. 近藤豊

    近藤(豊)委員 そうすると、カラ級の八千トンというのも六、七メートルですか。
  227. 岡崎久彦

    ○岡崎政府委員 カラ級に関しましては、推定でございますけれども、さように推定しております。
  228. 近藤豊

    近藤(豊)委員 カラ級の巡洋艦には喫水の六、七メートル以外にかなりの長さのソナーをぶらさげて行動をしておる、また行動している場合が多い。またその写真も何か出ていたようですけれども、ソナーを下げた場合には、そのソナーはどのくらいまで通常は下げて行動しているものですか。
  229. 岡崎久彦

    ○岡崎政府委員 VDソナーと申しますのは、水中深くたらしまして、音響効果の最も適当な場所までおろすということでございまして、通常百メートルくらいの深度までおろしております。その先に重量約二トン程度の機材を引きずっているのが普通でございます。ただ、これは日米の艦船でございまして、ソ連につきましては推定でございます。
  230. 近藤豊

    近藤(豊)委員 水産庁にお伺いいたしますけれども、きょうの朝の参考人等の説明によりましても、網の識別は飛行機からはもちろん、艦船の場合でもかなり困難であるという説明がございました。この幾つかの軍艦がなわの上を行ったり来たりしていたということになりますと、当然なわの切断が複数の軍艦によってなされたと推定されていますけれども現実になわのたるみとか、あるいは網のたるみ、この場合ははえなわですから、なわのたるみはウキとウキとの中間地点等ではどのくらいあるものと通常推定されますか。また、この点について実際の船の乗組員と、それから水産庁所属の船だとかあるいは防衛庁の方の海上自衛隊の船だとか、そういう船の乗組員が経験上どの程度のたるみがあると考えているか、もしこれがわかりましたら水産庁防衛庁双方から答弁してください。
  231. 今村宣夫

    ○今村政府委員 ぼんでん、ウキをずっとつけておりますから、そのウキとウキとの間のなわのたるみというのは大体通常一尺だと言われておりますから、三十三センチメートルくらいなたるみがあるわけでございます。
  232. 近藤豊

    近藤(豊)委員 防衛庁の方、何かその点について……。
  233. 岡崎久彦

    ○岡崎政府委員 なわのたるみに関しましては、これは水産庁の方が日本のなわでございますから御存じと思いますけれども、アメリカから参りました資料では一・五メートルないし七メートルだろうと言っております。これは防衛庁の護衛艦乗りの話でございますけれどもはえなわの上というのは通ることがしばしばあるそうでございます。もちろん波により、それから潮流により非常にたるむこともあるし、また非常に張ることもある。むしろ余り張ると、張った結果それだけで切れることもある。またもう一つは、これはスピードの問題がございまして、それで、両方のブイの間を非常にゆっくり通った場合ははえなわの上を通れるケースがたびたびあるそうでございます。
  234. 近藤豊

    近藤(豊)委員 この赤旗の記事によると、第十二喜栄丸が、十六日の午後一時ごろからそういう三つの船及びジェット機が二機から四機上をしょっちゅう徘回しておったということを述べているわけですけれども、この十六日の午後一時ごろからたとえば二時か三時ごろまでにかけて、その一〇四一、五六五、二四を含む艦船群の行動の軌跡と申しますか、どういうふうに動いていたかということを防衛庁の方では何か報告を受けているはずと思いますが、それについて説明をしていただきたいと思います。
  235. 岡崎久彦

    ○岡崎政府委員 防衛庁のP2Jは哨戒専門でございまして、それで通常、同盟国の艦艇及び自国の艦艇はもちろん哨戒する目的に入っておりませんし、それまでの余裕もございません。カラ級につきましては、十四日、十五日、十六日、またその後の演習海域への航行に向かいまして、数回にわたりまして目撃者あるいは写真を撮っております。その間全部を見ているわけでございませんけれども、あの事故が発生しました地域につきましては、大体あの事故が発生し得る海域にいたということは確認しております。  それから、先ほど赤旗を御引用になりました十六日の午後一時ごろ南から北へ向かってはえなわを渡っていったという船長の発表でございますけれども、確かにそのころ、ちょうどあの事故発生地域のあたりを北上しております。
  236. 近藤豊

    近藤(豊)委員 そうしますと、カラ級の八千トン、九千トンの大きな巡洋艦とアメリカのフリゲート艦あるいは駆逐艦、このいずれもが、少なくとも二の被害地域を問題の時期に徘回しておったわけであります。しかも、カラ級の巡洋艦の方は二トンもの重いものをぶら下げて歩いているということになりますと、このいずれもがはえなわを切断をした可能性がある、こういうふうに断定できるだろうと思うのです。  そうしますと、これはアメリカ及びソ連双方に協力を求めなければなりませんが、巡洋艦及びそれらの船の行動の軌跡というものは恐らく記録がちゃんととってあると思うのですが、そういうものを照会してこの調査を進捗させるということについての可能性について、ひとつ防衛庁側から見解を承りたい。
  237. 岡崎久彦

    ○岡崎政府委員 先ほども申し上げましたとおりに、わが方が確認し得た限りは、P2Jで視認した限り、それからたとえば赤旗に載りました船長の証言、これもまた私人の証言でございますのでどこまでということもございますけれども、一番確実なのはP2Jの確認でございます。アメリカ及びソ連につきましては、それぞれの船は自分の航跡を知っているのでございましょうけれども、これはそれぞれに対して調査を求めている段階でございます。
  238. 近藤豊

    近藤(豊)委員 外務省の方にお伺いしますが、それぞれに対して、防衛庁調査はするのですけれども、外務省の方からその調査に協力をするようにこうした事実を踏まえて申し入れをすでになさっていると思いますが、それについての先方の協力ぶりというか、反応はいかがであるか、その点をお答えいただきたい。
  239. 松田慶文

    ○松田説明員 お答え申し上げます。  米側との関係におきましては、このような事故が発生したということを一般的に話し合っており、先方もみずからの責任があり得る可能性もあるとは言っておりますが、詳細の確認は水産庁から全被害状況の明細、すなわち位置、時刻、被害状況等のリストをいずれ外務省がちょうだいして、それを米側に伝達し、それに基づいて米側がみずからの行動記録に徴して確認していくという手はずになります。したがって、まだ先方は私どもの資料を待っておる、こういう段階でございます。
  240. 堂ノ脇光朗

    ○堂ノ脇説明員 ソ連との関係についてお答えいたします。  十七日、先ほどお話のございましたような、ソ連艦船も今回の事故に関与しているという情報が参りまして、早速十八日午後に外務省のソ連課長が在京ソ連大使館のコマロフスキー参事官を呼びまして申し入れを行っておりまして、その際こちら側から申し入れましたのは、当時この水域におりましたソ連艦船の艦名それから隻数、第二としましてこれらの艦船が本件被害を起こしたか否か、その事実の確認をしてくれ、第三点としましてこれらの艦船がこの水域でどのような行動を行ったかということを問い合わせている状況でございます。
  241. 近藤豊

    近藤(豊)委員 米側については、恐らく米側も一生懸命これには善意を持って協力をするというようですから、積極的な回答が出てくると思うのですが、ソ連側については、かなり先方の協力ぶりというものは悲観的ではないかというふうに懸念するわけです。  このことは、補償を要求する漁民の側にしましても、ソ連側の協力がなければなかなか加害者の責任について特定ができませんので、ソ連に対する交渉は実は大変重要な意味を持ってくる。数年前三陸沖で、魚のはらわたなんかをぼんぼん加工船が投げ捨てて、それによって海が汚染されて被害があったとか、いろいろな漁具被害等について日ソ間は大変ぎくしゃくしております。こういう点で今後外務省は非常に苦労をしていただかなければいけないのですが、政務次官がここにおられますから、対ソ交渉については手を緩めることなく、こうした事実がたくさん挙がっておるわけですから、ソ連側も全面否定するということも、現在のソ連日本関係から見てこんなことでさらに日ソ関係の改善のタイミングをずらそうとするとも思われませんので、あぐむことなく、ソ連側に対してきつい態度で責めていただきたいと思いますが、その点、外務次官からお伺いいたしておきたいと思います。
  242. 愛知和男

    ○愛知政府委員 御指摘のとおり、ソ連側は今日までの例で申しますとなかなか対応が鈍いケースが多うございます。私ども誠意ある対応をしてもらいたいものと念願をいたしておりますが、外務省といたしましても今後粘り強くソ連に対しまして折衝を続けていきたい、対応していきたいと考えております。
  243. 近藤豊

    近藤(豊)委員 それから防衛庁の方にお伺いいたしますけれども、このような事故が起きることも、結局ある特定の時期には、はえなわや流し網がほとんど毎年例年の場所で行われているということについて、十分の配慮が関係者一同に足りなかったということだと思うのです。  そこで一つの大事なステップとして、ソ連とアメリカの双方に対して、この地域での今後の演習のみならず艦船の通航に際して、日本の漁民が毎年こういう時期はこの地域では漁業をやっているのだということを申し入れて、したがってそこでは、今後通航したり演習したりする場合には漁業被害の問題が非常に複雑な問題として起きてくるかもしれませんよという、ウォーニングをしておくことが大切だと思うのですが、そういうステップをとられるつもりがございますか。まず防衛庁の方からお伺いしたい。
  244. 石崎昭

    ○石崎政府委員 日本海漁業実態を外国に知らせるという問題については、相手が外国の問題でございますから、防衛庁としては外務省とよく御相談した上で一番いい方法を探りたいと思います。
  245. 近藤豊

    近藤(豊)委員 もちろん外務省と相談をしていただくのですが、防衛庁米軍の間には通常事務レベルでもいろいろなルートがあるわけなんで、そういうルートを通じて事務の上でのインフォメーションとして先方にインプットされるのはあたりまえだと思うのです。その点いかがですか。
  246. 石崎昭

    ○石崎政府委員 政府から政府へというレベルの話と私、最初了解しましたが、御指摘のようにもちろん日米の自衛隊と軍隊との間には緊密な関係がございますから、あらゆる機会を利用してそういう必要な情報は向こうに伝え、その辺の実態について正確な理解を持っておいてもらうようにいたしたいと思います。
  247. 近藤豊

    近藤(豊)委員 外務省としてもこれは米ソ双方に対して、お互いの関係が悪くならないために、今後またいやな問題が起きないために、ぜひこれは正確なところを知らしめることが必要だと思いますが、この点についての御回答を求めたいと思います。政務次官、どうぞ。
  248. 愛知和男

    ○愛知政府委員 御指摘のとおり外務省も勢力を続けてまいります。
  249. 近藤豊

    近藤(豊)委員 農林大臣は被害者の立場で大変つらい立場にあると思うのですが、ひとつこれまでの議論を踏まえて、閣内で特に対ソ交渉についてあぐむことなく総理、外務大臣に強く進言しながら、本件の解決のために交渉を進めていただきたいと思います。要望いたします。
  250. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 御指摘の点、十分意を体しまして、できるだけ早く事実関係被害高、そういうものを明らかにいたしまして、先ほど申し上げたように漁民の立場に立ったとりあえずの方策を講じなければならぬ。そういう点で外務大臣、防衛庁長官とよく相談をしてスピーディーにやりたい、こう思います。
  251. 近藤豊

    近藤(豊)委員 終わります。
  252. 津島雄二

    ○津島委員長代理 寺前巖君。
  253. 寺前巖

    寺前委員 もうかなり皆さんから突っ込まれましたから、私は確認的に幾つかのことについてお聞きをしたいと思います。  まず第一に農水大臣にお聞きをしたいと思います。  今回行われた演習の時期と場所、そしてその方法上においてかなりの批判が集中したと思います。私は最終的に、この演習については適切な演習ではなかった、やるべきではなかった演習であるというふうに考えるのですが、大臣はいかがなものでしょう。
  254. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 私はやはり、海上自衛隊としては演習はやらなければならないし、またやることが海上自衛隊の任務達成の一つの大きな立場と言うことができると思うのです。ただ、いま御指摘のあったように演習の時期また訓練海域に選んだ場所等が、私ども素人から見ればもう少し配慮があってしかるべきじゃなかったかなという感じがいたしますとともに、共同に戦闘行動をとるというような場合に一番大事なことは信頼関係でありますから、やはりその辺の、演習場に至るまでの状況でありますとか、昔で言えば兵要地誌といったようなものをお互いに通報し合って、その演習が国民に安心感を与え、そして不安を取り除くために行われなければならないものである、私はこう考えるのです。  そういう立場からすると、国民に不安を与え損害を与えてしまったというようなことをやったのでは、その演習がいかにうまくりっぱな演習として成果を上げたとしても、結果的には国民の信頼を失うことの方が大きな欠陥ということになるだろうと私は思うのです。そういう点を十分配慮されて大村長官も中止の決断をされたのであろう、こう拝察するわけであります。  演習海域と時期、防衛庁でもそういう点は十分配慮はしたとは思いますけれども、私ども後でいろいろ考えまして、もっと水産庁あたりと緊密な連絡をとってくれておればなという感じは十分にいたしました。
  255. 寺前巖

    寺前委員 漁民の皆さんはずいぶん被害を受けられました。二百海里時代です。漁業をやる海域が非常に狭められた。したがってまた時期的にも集中的に漁業をしなければならなくなった。そういう条件下に置かれた状況の中において、この軍事訓練が与えた影響が今日の漁民に対するああいう批判をつくり上げている。考えてみたら、そういう点では軍事訓練が今日の被害の大きな要因だというふうに位置づけられるのではないかと思いますが、大臣、いかがなものですか。
  256. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 いままでも海上自衛隊はしょっちゅう演習をしておるわけでありまして、その演習の間に漁民に被害を与えるというようなことはなかったわけであります。たまたま今回不幸な、まことに遺憾なああいう事故が起きたということは十分反省をして、二度とこういうことのないように注意をしていかなければならぬ、こう考える次第でございます。
  257. 寺前巖

    寺前委員 防衛庁の政務次官にお聞きをします。  この訓練海域においては自衛艦被害を与えていない、あるいはアメリカの艦隊も与えていない、こういうことを言い切っておられます。ところが現地の漁民の発言から、この訓練海域被害を受けたことは事実だ、そしてそこで見た艦はこれだった、きょうも参考人から述べられております。そうすると、訓練海域を設けてやった諸君たちは、私は知らぬぞ、そんなものほかのものがやったんじゃないか、ということを言われた日には漁民はたまったものではない、これが率直な意見だと思うのです。そこで、それでは加害者でなかったと言い切れる証明は一体あるのでしょうか。
  258. 山崎拓

    ○山崎(拓)政府委員 詳細は政府委員から答弁させますが、訓練海域内におきまして事故が発生をいたしたのでございますが、その時期、地点におきまして、参加をいたしました日米の艦艇はいなかったのでございます。もちろん漁船の方から、五マイルほど離れた地点に参加艦艇を視認したというような情報がございますが、その点につきまして海上自衛隊の方でその後調査をいたしました結果、状況判断からいたしまして、ほぼ間違いなく参加艦艇はその事故の原因となっていないという判断をいたしておるわけでございます。  その海域内におきまして、たとえば先ほど来御質問の出ましたソ連のカラ級巡洋艦、ペチャ級小型フリゲート艦あるいはドニエプル級情報収集艦各一隻がつきまとっておりましたし、あるいは貨物船の航路にも当たっておる等々、他の原因も考えられるのではないかというふうに判断をいたしておるわけでございます。  詳細は政府委員がお答えいたします。
  259. 寺前巖

    寺前委員 私は、さっきからのそういう話を踏んまえた上で聞いているのです。要するに漁民が見たのはこれこれの艦だと言っているのです。それでやられていることも事実、これは否定できない事実が並んでいる。それでいて私は知らぬと言われた日にはたまったものではない。だから、それではそこに被害を与えていないという証明はできるのか、これだけのことなんです。証明できるのだったら、こうやって証明しますということを漁民の前に明らかにしなかったならば、知らぬぞと言われた日には当て逃げと同じことです。この間九州沖でやられた船の話と似てくるわけです。だから何でもって証明をするのか。
  260. 山崎拓

    ○山崎(拓)政府委員 知らぬぞということは申しておりません。事故が伝えられました直後、直ちに現場の日米ともに連絡をいたしまして、そのような事実があったかどうか確認を急いだわけでございます。その詳細は先ほど来申し上げておりますように政府委員から答弁させますが、もし漁船を発見いたしました場合には、直ちにその漁船を回避して訓練を行うという方針でございましたので、そのような行動をとったのでございます。
  261. 石崎昭

    ○石崎政府委員 問題の事故が発生したと言われている時間、その時点、その場所、これについて、事は重大でありますので私どもは早速慎重に調査いたしました。その結果わかったことは、被害が発生したと思われる時間、被害が発生したと言われる場所、位置関係を見ますと、被害の発生した場所から日米の艦艇は一万メートル離れている場合におったということで、まず日米の艦艇が被害を起こした可能性はない、こういう結論を出したわけでございます。
  262. 寺前巖

    寺前委員 それは防衛庁だけがうちはおらなんだぞと言うている話じゃありませんか。漁民の方は双眼鏡で見たという問題提起までしているのでしょう。そうするとその時刻にどういうふうに艦を動かしたとか、納得のいく証明に値するものをまず出さなかったならば、それは皆さんだけの資料で物を言っておっても納得する状況にならないのではないのか、私が聞いておるのはそのことなんです。そこについては先ほどから聞いておって何も新しい問題提起がないのです。だから、そこは納得のできる何らかのものを出すのですか、どうなんです。
  263. 石崎昭

    ○石崎政府委員 確かに私どもが御説明しておりますのは、防衛庁側が調査した結果、その時点、その場所における位置関係は一万メートル離れておるので、日米の艦艇がこの被害にかかわっていることはあり得ないという結論は、防衛庁の考えている結論、防衛庁の見解であります。一方、漁船が見かけたというのは、これまた漁船と日米艦艇が相互に視認し合える状況がいつあったのかについて私ども調べておりますが、時間的にかなりずれがあるようであります。  結局、公正な第三者が存在しない以上は、双方の主張にもし食い違いがあるとすれば証明のしょうがないということになるわけでございます。その点はおっしゃるとおりであります。ただ、私どもが正確な日米艦艇の航跡などを調べて、被害が発生したと言われている時点、地点について調べた結果では、さっきのような結論であると申し上げているわけでございます。     〔津島委員長代理退席、委員長着席〕
  264. 寺前巖

    寺前委員 それでは一方的に防衛庁が言っておられるだけだから、先ほど大臣がおっしゃったように、国民感情は納得できないままに推移していくじゃないか、だからそれはどういうふうに今後おやりになるつもりですか、そこをお聞きしているわけです。
  265. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 その点につきましては、いま県を通じまして一隻一隻事情聴取といいますか、被害高調べをやっておりますから、そういう各漁船ごとの、延べ百何隻かの被害があったわけでありますから、それらを詳細に聞き取って調査をして、それを集計すればある程度の中正的な公正な一つの判断が出てくるのではないか、これは私の推測と感じでございますのであるいは間違っているかもしれませんが、私はそういうことを期待しております。
  266. 寺前巖

    寺前委員 そうすると、水産庁の方は被害調査しておられる、それで被害調査する過程で加害問題についての意見も聞かれる、防衛庁に対して、こういう加害の意見について、水産庁の方が責任を持って漁民の納得のいくように防衛庁の持ってくる資料を点検する、こういうことになりますか。どこが責任を持って納得をする処置をとります。加害者はだれかということを、漁民はこっちはこっちで言うとる、そっちはそっちで言うとる、これではたまったものじゃないというところをどうするつもりか。これはどうされます、防衛庁
  267. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 政府の中で話し合って政府で決めていく、こういうことになります。
  268. 石崎昭

    ○石崎政府委員 防衛庁は、事柄の重要性にかんがみて手持ちの正確な資料をすべて提供して、水産庁で行われる調査に御協力する、こういう姿勢でございます。
  269. 寺前巖

    寺前委員 次にお聞きをいたします。  四十六年に同じような事故があったということが先ほどから何回もありました。四十二年の五月にもありました。四十六年の五月にもありました。どういうわけか知りませんがいつも五月に事故が起こっています。四十二年は一隻で補償金が二十二万円。四十六年は二十八隻で補償額が二千五百万円。今回は百二十九隻、さらにもっと広がるのか知りませんが、直接被害が一億近くという形で出てきています。回を重ねるたびに日米合同演習被害がどんどん広がっていくように思うのです。  そこで防衛庁としては、これらの過去の経験からして、今度の訓練をやるに当たってどういうふうに手を打たなければならないと思われたのか、過去の問題については全然念頭になかったのか。留意されたとするならばどの点が留意点であったのか、御説明をいただきたいと思います。
  270. 石崎昭

    ○石崎政府委員 御指摘のように、十年前にも日本海で日米共同訓練が行われまして事故が起こっております。私どもはそういう過去の事例というものを非常に貴重な検討材料と心得まして、そのときの事故の態様、どうしてこういう時期にこういう海域で訓練をやればこういうことが起こるのかというような原因、いろいろなものを慎重に検討いたしました。そこで、私どもはそういう過去の実績を決してむだに無視したつもりはありませんので、十分検討いたしました。その結果、そういう事故が再発しないようにということで、漁業の円滑な操業確保するための方法を考えまして訓練計画をつくった。その結果、再々申し上げておりますように訓練は何ら事故なく終了したということで、私どもは、訓練計画は慎重に練られて、かつ訓練も慎重に実施されて所期の成果を上げ得たと考えておるわけでございます。  ただ残念なことは、その訓練に参加途上の外国艦艇あるいはその外国艦艇に関連する外国艦艇、そういうものが事故を起こしたというふうに言われておる、そして大きな不安を漁民の皆様方に与えておる、こういうことはまことに残念であると考えております。
  271. 寺前巖

    寺前委員 私、当時の新聞なり当時論議になったことを調べてきました。そしたら、一番目に指摘している点は何かというと、まずこの時期をやめてくれという問題が第一番目の指摘でした。この時期に事故が起こっていて、この時期をやめてくれという指摘に対してなぜごたえなかったのか、これが一つです。  もう一つ強く言われていることは、予告期間をもっととれということを注意しています。ところが今回の場合も予告期間、相談が全くない。それではそのときに指摘した問題は何ら聞いていないということになるではないか。私はそういう点で四十二年なり四十六年のあの経験を生かしていないということを指摘せざるを得ないと思うのです。  そこで防衛庁の政務次官に聞きたいと思います。  万全の措置をとると何回も、始まった直後あるいは中間の段階で防衛庁は言っていますが、漁民の関係者に言わすと、飛行機を飛ばして、あるいは艦船に見張り員を置いて目視でやれるものではないということを繰り返し言っています。ですからそういうことは万全の措置にはならないのだ、そういうことでは手を打つことはできないのだ、だから四十二年、四十六年の経験からいっても、それを万全の措置と考えているとするならば、経験を生かしていないということになるではないかという指摘があります。これについてどうお思いになるのか、これが一点です。  第二番目。先ほどのお話によると、日本の海上自衛隊だったらそういうことは避けることができるけれども、アメリカとの関係だということをおっしゃいました。なぜアメリカに対して、この時期は過去の経験から困るのだということを指摘して、時期を変えるということをやらし得なかったのか、日本としては断固としてその点は批判をしたのかどうか、これが第二点です。  第三番目に、先ほどからの報告を聞いていると、あの海域あるいは日本海現状について、アメリカの側に対してどういう状況にあるかということを資料を渡して説明をしてきた、再三にわたっていろいろな資料を送ってきたということを言っておられます。外国の艦艇は自由ですからとことんどういうことになるのかということは責任を持てません、だけれども資料は提供してきた、こうおっしゃっているわけです。資料を提供してきてなおかつああいう事態が生まれるとするならば、今後はますますもってこの地域にやってきてもらうことは困るということを明らかにしなければならないのではないでしょうか。あれだけ皆さんの方からやっているとおっしゃるならば、今後の保証は一体何によってとるのかということを第三番目に聞きたいと思います。  第四番目に、あの海域を縮小するという措置を中途でとられました。八分の一の縮小です。ところが、漁民が出ている地域は東の側である。私はちゃんと向こうへ行って見てきました。どの地域に出漁しているのか、網を張っているところを見てきました。ところが、なぜ北西の方だけを切ったのか。きょうも朝、参考人の人に言わしたら、気休めの措置をやっただけだ、本当にどこを縮小しようかとまじめに考えるのであったならばあんなことにはならなかったであろうということを言っています。相談をしなかった、ここにも新しい段階における問題点があったと思うのです。一体縮小のあの措置というのは場所としても適切であったと考えておられるのかどうか。  そうして最後に大臣にお願いをいたします。  先ほどから何回も出ておりましたけれども、これが演習をやるという状況のもとで発生した以上は、その責任として処理をしてもらいたい、加害者責任がどこかということになっていったら時間がかかる、そして非常に不明確なことに陥れられかねないということを漁民の諸君たちは言っています。そこで、国の責任において処理をするという方向をしっかりと押さえるのかどうか。しかもその場合には、その被害というのは網だけではなくして、その水域に出ていくことを遠慮するという問題とか、あるいは一緒に出ていった船でも、網は破られていないけれども引き揚げてこなければならないという事態が途中で生まれたという問題なり、実際にいろいろな形で広範囲にわたって被害という形は存在している。直接的な被害だけではなくして、この地域の操業制限を結果として加えてしまったということを含めて対応策、補償を検討してもらいたいという意見を大臣はどういうふうにお考えになるか。  以上で質問を終わりたいと思います。
  272. 山崎拓

    ○山崎(拓)政府委員 四点の御質問がございました。  まず第一点、過去の教訓を踏まえて万全の措置をとったのかということでございますが、再々申し上げましたとおり、今回の海域の選定に当たりまして大和堆を避ける等の考慮をいたしましたし、また訓練の実施に当たりまして航空機、艦船による見張りを強化いたしたのでございます。また、漁船を発見いたしましたならば、直ちに漁船を回避いたしまして訓練を行うという方針をとったわけでございます。その結果、訓練期間中、訓練参加の日米艦艇による事故は避け得たものと判断いたしておるわけでございまして、万全の措置がとられました結果、事故を避け得たものと考えておるのでございます。  第二点と第三点は関連いたしておりますので、一緒にお答えをいたしたいと思います。  今回の事故は海上自衛隊の艦船で起こされたものでなく、また訓練に参加いたしました米艦艇が訓練期間中、訓練海域内で起こしたものではない、かように判断をいたしております。しかしながら、今回の事故を、訓練に参加するために海域に赴き中でありました米艦艇四隻が起こした可能性があるという事態に立ち至ったということを申し上げたのでございます。  それは先生から、十分な資料を提供しておったのになぜそのようなことになったのか、こういう御質問をいただいたのでございますが、その点に関しましては、訓練海域内、訓練期間中にはそのような事故が起こらなかった、資料の提供によって起こらなかったものと判断をいたしております。ただ赴く途中で起こった可能性があるのでございますが、もし米艦艇四隻がこの事故を起こしたものであるとするならば、それは他の質問者の際に御答弁を申し上げましたとおり、公海上のことであり、米海軍日本漁業に対する理解や認識が私どもの方からの資料の提供にもかかわりませず十全でなかったということも考え得るので、その点ははなはだ遺憾なことであるということを申し上げたわけでございます。  今後、今回の経験にかんがみまして、さらに精緻なる情報を米海軍に提供し、訓練期間中あるいは訓練海域内以外の、その訓練に参加する過程、訓練から引き揚げる過程において事故を惹起しないように、米海軍にも十分なる配慮を今後強く求めていきたいという考え方に立っております。  それから縮小した海域の問題でございますが、これは航空機によります訓練海域内の状況をつぶさに偵察をいたしておりまして、縮小いたしました八分の一の海域部分に最も漁船が集結しているという状況がございましたので、その部分を特にカットいたしまして訓練を続行いたしたのでございます。
  273. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 御指摘の点、いろいろ事情をよく相談をいたしまして決めていきたい、こう考えております。
  274. 寺前巖

    寺前委員 時間が参りましたので、終わります。
  275. 田邉國男

    田邉委員長 この際、本日午前、当委員会に御出席を願った麓参考人及び石山参考人から、両君の津島委員に対する答弁中、はえなわによるマス漁獲高を五十四年度十億円、五十五年度七億円に、また流し網によるマス漁獲高を年間十億円程度に、それぞれ訂正願いたいとの申し出がありましたので、御報告申し上げます。  次回は、来る六月三日水曜日、午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時四十六分散会      ————◇—————