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亀岡国務大臣 ただいま長官からお答えいたしたわけでありますが、
食管法改正をしなければいかぬな、こう私が頭の中に描いたのは国会に当選さしてもらったときからですから、もう二十年前からですね。その間ずっと本当に、私は戦争の経験があるものですから、いわゆる帝国憲法で戦争ばかりやった、しかし、命を投げ出してやった戦争が果たしてどれだけ自分の人生観にあれになったのだろうと思っていろいろ悩みながら
考えた結果、戦争によって得るところは何もない、幸せは戦争ではできない、そんなことになって政治の道に入ったわけでありますから、やはり戦前のかたかな書きの
法律というのはどうしてもそんな感じでございます。
それで、かたかな書きをひらがな書きにならぬのかと、農林
大臣になるとすぐに事務当局に言ったら、そんなことしたらその
改正案は国会ではもみくちゃになって、もうとても通るどころじゃありません、こういうことで、私も一時迷ったのですが、しかしとにかく「臨検」だとか、いろいろなすごい言葉がいっぱいあるわけですね。
せめてそういう言葉だけでもいまの平和憲法のあれに直せないか、そこから始まっていきまして、とにかく
法律と事実
関係の乖離の問題、この
委員会で今日までいろいろ論議が尽くされておりますような
事情で実は提案を決意をいたしまして、しかもこれはやはり大事な
法律であるし、とにかく
国民の
基本食糧である米の
供給の
基本法、
生産の
基本法と言っても過言ではないこの
法律を国会に提案をして、検討がまずかったために提案はしたけれ
どもなかなか成立さしていただけないということでは相済まない、やはり農民の信を得るゆえんではない、こういうことで、いろいろ名界各方面の意向を聴取をいたしまして、そして大方の合意を得ることのできる線に今回は限らざるを得ないだろう、そういうことでただいま御
審議いただいておる案を提出さしていただいた次第でございます。
このように、ずいぶん前から農林省も準備をいたしておりましたし、私自身もそんな心の準備をしながら
農林水産大臣を拝命したというようなことで、この
法律改正については第二臨調のことなんかは全く頭の中に当時は描いていなかったというのが率直なる私の
考えでございます。
しかるところ、農林
大臣が農林
大臣としての国家行政組織法の中に示されてある任務を遂行するために必要なことをあたりまえに言うと、新聞に、行革に消極的になった、こう大きい活字で批判を受ける。これはよほど
農林水産大臣はしっかりしないといかぬなとそのとき思ったわけであります。
いつも申し上げておりますとおり、日本の農業の一番大事な基盤整備なんというのは戦後やっと始まった。戦後三十年ごろから、本格的に始まったのは戦後だと思うのです。戦前は、私の方の田舎なんかで地主さんの気のきいたところは耕地整備なんかやられておりましたけれ
ども、そのほかは基盤整備なんかやられるところは全くない。二千年前のたんぼのかっこうをしたところでみんな百姓をやってきた。そういうところで戦後の国際競争の中に農業だってさらされるのに、そういうところに基盤整備の金を使っていくということが絶対に必要なことであるはずであります。
そこで、先輩は農業
基本法を制定されたわけでありますし、そういうことをあれやこれや
考え、いまその路線に乗って農業基盤の整備にどうにかこうにか取りかかって、スタートを切ったというところであろうと思うのです。進捗率なんか見ましてもまだ四〇%までいってないと思うのです。しかも、条件のおくれたところほどその基盤整備が進んでいない。そういうところをこれからやらなければならない。しかも、そういう中で外国からの農産物の攻勢が物すごい。そういう中で農家に光を与えていけ、こう農林
大臣に言われましても、片一方では農林省の補助金は何とかの巣窟だなんて言われまして、これはまことにもってけしからぬ話である。私は新聞の諸君の勉強
不足、こう言っておるわけでございます。
したがいまして、鈴木内閣で決めたことはやりますけれ
ども、しかし農業の本質というものを十二分に
理解してもらって、そして
食糧をつくる農家の諸君や、あるいは板子一枚本当に死の海に通ずる漁
業者の漁業意欲をふるい起こすような臨調の答申であってほしい、こう思うのです。その精神だけは阻害してもらいたくない、こういう感じを持つわけでございまして、鈴木内閣として決定いたしました行政改革の問題については、私は
責任を持って進めなければならぬということでいま事務当局に命じておりますけれ
ども、事農業、林業、水産業のことにいま一歩過たんか、これは大変なことになるわけでありますので、その点だけは何ぼ言われても声を大にして言っていきたい、こういう気持ちでございます。