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1981-05-13 第94回国会 衆議院 農林水産委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十六年五月十三日(水曜日)     午前十時三分開議  出席委員    委員長 田邉 國男君    理事 菊池福治郎君 理事 津島 雄二君    理事 羽田  孜君 理事 福島 譲二君    理事 新盛 辰雄君 理事 松沢 俊昭君    理事 武田 一夫君 理事 稲富 稜人君       逢沢 英雄君    上草 義輝君       小里 貞利君    太田 誠一君       片岡 清一君    亀井 善之君       川田 正則君    北口  博君       北村 義和君    近藤 元次君       佐藤  隆君    笹山 登生君       菅波  茂君    田名部匡省君       高橋 辰夫君    玉沢徳一郎君       丹羽 兵助君    保利 耕輔君       渡辺 省一君    小川 国彦君       串原 義直君    田中 恒利君       竹内  猛君    野坂 浩賢君       日野 市朗君    安井 吉典君       吉浦 忠治君    神田  厚君       近藤  豊君    米沢  隆君       寺前  巖君    野間 友一君       木村 守男君  出席国務大臣         農林水産大臣  亀岡 高夫君  出席政府委員         農林水産政務次         官       志賀  節君         農林水産大臣官         房長      渡邊 五郎君         農林水産省農蚕         園芸局長    二瓶  博君         農林水産省畜産         局長      森実 孝郎君         農林水産省食品         流通局長    渡邉 文雄君         農林水産技術会         議事務局長   川嶋 良一君         食糧庁長官   松本 作衞君         食糧庁次長   石川  弘君  委員外出席者         警察庁刑事局保         安部経済調査官 本多 義光君         行政管理庁行政         監察局監察官  塚原 喜朗君         大蔵省主計局主         計官      的場 順三君         食糧庁業務部長 中山  昇君         農林水産委員会         調査室長    小沼  勇君     ――――――――――――― 委員の異動 五月十二日  辞任         補欠選任   川田 正則君     太田 誠一君   岸田 文武君     笹山 登生君   三池  信君     片岡 清一君   島田 琢郎君     野坂 浩賢君   近藤  豊君     米沢  隆君 同日  辞任         補欠選任   太田 誠一君     川田 正則君   片岡 清一君     三池  信君   笹山 登生君     岸田 文武君   野坂 浩賢君     島田 琢郎君   米沢  隆君     近藤  豊君     ――――――――――――― 五月十二日  水源林確保に対する受益者負担制度確立に関す  る陳情書  (第一八八号)  肉用牛生産振興対策拡充等に関する陳情書  (第一八九号)  都市農業振興対策確立等に関する陳情書  (第一九〇号)  水田利用再編対策に係る団地化促進対策の推進  に関する陳情書  (第一九一  号)  同外一件(  第二五七号)  圃場整備事業に対する国庫補助制度充実強化  に関する陳情書  (第一九二  号)  マツクイムシ防除制度拡充強化に関する陳情  書  (第一九三号)  蚕糸・畜産酪農政策確立等に関する陳情書  外四件  (第二五〇号)  林業振興等に関する陳情書外二件  (第二五一号)  農地の転用に関する陳情書  (第二五二号)  飼料用水稲転作作物として開発、実用化に関  する陳情書(第二五  三号)  ビール大麦振興対策に関する陳情書  (第二五五号)  畜産経営危機打開に関する陳情書  (第二五六  号)  サケ・マス漁業の安定に関する陳情書外三件  (第二五八  号)  富良野営林署存置に関する陳情書  (第二五九号)  函館営林署統廃合反対に関する陳情書  (第二六〇  号)  芦別、上芦別両営林署統廃合等反対に関する  陳情書(第二六  一号)  八雲営林署存置等に関する陳情書  (第二六二号)  営林局・署・事業所等統廃合反対に関する陳情  書外四件  (第二六三号)  食糧自給率の向上及び食糧管理制度拡充に関  する陳情書外二十一件  (第二六四号)  食糧管理制度及び米麦価算式改悪反対に関する  陳情書外二十六件  (第二六五号)  都市農業確立に関する陳情書外八件  (第二六六号)  酪農経営安定対策等に関する陳情書外六件  (第二六七号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  食糧管理法の一部を改正する法律案内閣提出  第六四号)      ――――◇―――――
  2. 田邉國男

    田邉委員長 これより会議を開きます。内閣提出食糧管理法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。質疑の申し出がありますので、順次これを許します。串原義直君。
  3. 串原義直

    串原委員 私は本会議でも食管法改正問題についてただしたところでございますが、今回の改正でも食管制度根幹は崩さない、こういう答弁をされたわけでございますけれども、今日時点大臣考えている食管根幹とはどういうことか、改めて私、確認をしておきたいと思います。
  4. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 食管制度のいわゆる根幹とは、国民基本的な食糧である米の必要量を確保いたしまして、国民経済の安定を図るため政府が米の需給並びに価格調整をいたしまして、米の流通について必要な規制を行うことというふうに考えておりまして、今後ともこれを維持してまいるということについては本会議答弁申し上げたとおりでございます。     〔委員長退席菊池委員長代理着席〕  しかしながら、現行食管制度食糧不足の時代にできた法律でございますために、食糧不足ということを前提として、特に配給制度による量的な公平配分というものに理念を置いておるように見受けられまするし、このままでは昨今の需給事情等に即応し切れないという問題も出てきておるわけでございます。したがいまして、今回の食管法改正は、こうした問題に対処するために、自主流通米も含めて国民の必要とする米を国が責任を持って全量管理し、その安定供給を図るという現行制度基本を維持しながら、過剰、不足、いかなる食糧事情にも的確に対応し得る制度に再編成いたしたいということで提案をいたしておるわけでございます。  そういう意味で、いわゆる制度根幹変更するというような気持ちはみじんもないわけでありまして、むしろ私といたしましては、この食糧管理制度根幹を維持、再生するためにも今回の改正が必要である、こういう認識を持っておる次第でございます。
  5. 串原義直

    串原委員 つまり根幹というのは、大臣もいま若干触れたけれども政府の直接買い入れによる全量管理、これが一つ二つ目としては、生産者には再生産確保価格を補償していくということ、三つ目には、消費者には家計の安定を保障する価格政府が決定して供給をする、こういうことだろうと思うのです。大臣は、これを確認していいですか。
  6. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 そのとおりであると私も考えております。
  7. 串原義直

    串原委員 若干角度が違った立場で改めて確認をしておきたいと思うのです。  いま答弁されたわけでありますが、第三条において政府機関以外を流通する米を法定した、こういうことによりまして、法律的には従来の政府が直接管理するという仕組みを変えたわけですね。ということになると、いま言われた根幹変更があったと見るべきではないのか、こういう意見も多いのですけれども、どうなんでしょう。
  8. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 必要量買い入れ、しかも全量管理をするということにつきましては、今回の改正案につきましても何ら変更はいたしておらないわけでございまして、串原委員指摘のとおり、政府による必要量買い入れ全量管理生産者に対する再生産の補償、消費者に対する家計の安定を旨とした価格での安定供給ということを含んでおります。しかも、それぞれの価格決定問題等につきましても、現行制度をそのまま踏襲をしていくという態度をとっておりますので、根幹変更を加えるという考え方は全く今回の改正案には取り入れてない、現行どおり、こういう考えでございます。
  9. 串原義直

    串原委員 つまり、配給統制をやめたということになったわけでありますが、これは法律政府消費者に直接米を届ける、こういう直接管理仕組みというものがなくなったということでありますから、販売店消費者との関係、取引、売買というものは自由になった、こういう理解でいいわけですか。
  10. 松本作衞

    松本(作)政府委員 ただいま大臣からもお答え申し上げましたように、私ども、今回の法律改正によりましても政府責任を持って全量管理するという考え方は変えておらないわけでございます。ただ、消費実態からいたしましても、従来のように小売店から個人の消費者まで配給統制の網を張っておくということは現在の消費動向に合っておりませんので、政府責任をもって管理をする流通ルート特定いたしまして、卸売業者販売業者に対して、責任を持って消費者に対して米の販売供給をしてもらうという仕組みにいたした次第でございまして、そういった特定流通ルートを定めて責任を持ってもらうという前提小売店消費者の間のつながりをつけておるわけでございまして、全く小売店消費者の間が自由になったというふうには考えておらないわけでございますが、一方におきまして消費者の自由な選択というものが可能になるように、消費段階におきまして従来の統制配給と違った自由化の要素を織り込んだということでございます。
  11. 串原義直

    串原委員 でありますから、政府から直接消費者にという仕組みがなくなったということになりますと、物統令廃上以来ひたひたと進行してきた消費者価格自由化というものがさらに進んでいくのではないか、言うならば今日わずかなりとも残っておりますところの消費者米価に対する政府の関与、こういうものもほとんどなくなってしまうのではないかと考えられるわけです。どうなんでしょう。
  12. 松本作衞

    松本(作)政府委員 現在におきましても、小売段階における消費者価格につきましては、一つ標準価格米におきまして、政府が定めた価格で標準的な米についての販売を実施させておるわけでございますが、今後におきましてもこの標準価格米考え方を変えるつもりはございません。また一方におきまして、消費者品質に応じた選択を可能にするということが消費実態に即しておると考えますので、従来から品質に応じた価格差がつけられておるわけでございますが、その際に消費者が十分に品質に応じた価格判断ができるように、品質構成というような、原料内容につきまして明確に表示をさせるということで消費者が適正な判断選択ができるような指導もしておるわけでございますが、今後とも小売段階における価格が適正に維持されますように指導してまいりたいと考えております。
  13. 串原義直

    串原委員 品質構成という立場から正しい品質にイコールした価格消費者が承知し、理解してもらえるようにやっていくためには、つまり標準米という制度をこれからも守っていく、こういう答弁でしたね。ところが、現在標準米という制度をなくしている県が相当あるのじゃないですか。
  14. 松本作衞

    松本(作)政府委員 私どもが承知しておる限りでは、標準価格米をなくした県はないと考えております。ただ、ことしの特別な事情といたしまして、昨年の冷害のために、供給する米が従来の供給した米と違ってきておるところがございます。古米を入れるとか、四、五類米を多く入れるとかいうようなことで、従来の標準価格米構成供給される米の原料が異なってきておる地域がございますから、そういうふうな地域につきましては、いわゆる特例標準価格米という形でその品質に広じた価格指導をさせておるわけでございますが、考え方といたしましてこの標準価格米というのは各県とも実施をさせておるわけでございます。
  15. 串原義直

    串原委員 そうすると、一部に報道されている標準価格米を具体的に取り扱っていないという県があるという話を聞いたことは、今年限りの特殊事情ということですか。
  16. 松本作衞

    松本(作)政府委員 ただいま申しましたように、標準価格米についての常置義務というものは従来どおり課しておるわけですけれども、ただことしにりきましては従来の原料構成供給される米が違ってまいりましたので、標準価格米を置けない場合、特例標準価格米という形で原料内容も明確にいたしましてこれを常置させるということでございまして、特例標準価格米を特に設けさせたのはことしの供給事情に基づくものであるというふうに御理解いただきたいと思います。
  17. 串原義直

    串原委員 それではもう一度確認しておきますが、標準価格米というのは、仮に法が改正になったとしても今後は続けていきます、特殊の標準価格米はことしだけのものです、こういうことでいいですね。
  18. 松本作衞

    松本(作)政府委員 標準価格米については今後とも従来の考えどおりに維持していきたいと考えております。なお、ことしのような事態という場合には特例標準価格米というようなものになる場合もございますが、これは例外的なものというふうに考えております。
  19. 串原義直

    串原委員 予約限度超過米は、当然ですけれども政府全量管理の中に入る、こういうふうに考えておりますが、その取り扱いをどうするのかということをこの際明らかにしておいてもらいたいと思います。
  20. 松本作衞

    松本(作)政府委員 今回の法律改正によりまして、作付前に作成されます基本計画におきましては、需給均衡を図っていくということを前提考えておりますので、この基本計画段階ではあらかじめ超過米を予想して計画を立てるということは考えておらないわけでございますが、実際供給されました米を具体的に供給していく供給計画段階になりますと、豊作等の影響で超過米が出てくるということが当然予想されますので、その段階供給計画の中に入れまして、計画的な供給の米穀として取り扱ってまいりたいと思っております。その流通仕組みにつきましては、現在におきましても自主流通ルートによって供給をしていくというふうに考えておりますが、今後もこの超過米につきましては自主流通ルートを通ずる供給ということで流通ルートを明確にして、適正な流通が行われるように規制をしてまいりたいと考えております。
  21. 串原義直

    串原委員 自主流通米政府管理に含まれるわけでありますけれども、前回当委員会でこの自流米Uターンは従来のように認めていきます、こういう答弁でした。しかしそのUターンになる米がないようにやっていけるでしょう、これからは計画をきちっとするから、という意味答弁もつけ加えられた。その言おうとすることはわかりますけれども、つまりUターンは認めていくのだということが大原則であることは間違いないということだけは、もう一度この際、私は確認しておきたいと思うのです。いかがですか。
  22. 松本作衞

    松本(作)政府委員 自主流通米についてUターンを認めていくという考え方は、今後も変えないつもりでございます。ただ、先日申し上げましたのは、生産者方々にとっても、できるだけ自主流通米として販売しようという米が自主流通米として流通されることが望ましいわけでございますので、そういう意味自主流通米については、Uターンのような過剰な状態が起こらないように適正な計画を立て、運営されていくことが望ましいということを申し上げた次第でございます。
  23. 串原義直

    串原委員 つまり、Uターンは従来のように認めていくということでありますが、もう一つここで確認しておきたいわけですけれども特別自主流通米、つまり四、五類の米もUターンを認める、こういうことですね。
  24. 松本作衞

    松本(作)政府委員 特別自主流通米自主流通米でございますので、一般の自主流通米扱いと同様に考えてまいりたいと思っております。
  25. 串原義直

    串原委員 先ほど御答弁願ったように、豊作になったり、ときによると都合によって生産調整が思うに任せないということで超過米が出ることも想定されるわけですね。その場合でも集荷業者流通業者、つまり集める業者販売する業者、両者の扱い、その機関を通過しておるということになればこれは政府管理しているものであります、こういう言い方でいいわけですか。政府の見解をひとつ伺っておきたい。
  26. 松本作衞

    松本(作)政府委員 先生の御指摘のように、超過米も、発生した段階におきましては政府管理として特定ルートを通じて流通されると考えておるわけでございます。ただ、これがいわゆる必要とする量であるかどうか、または政府管理すべきものとして考えるかどうかという点について、私どもは、やはりこれは本来政府管理すべき必要量というふうには考えられないということでございます。
  27. 串原義直

    串原委員 いま申し上げた集荷業者流通業者の手を経ておるならば政府管理しておるものと理解はするけれども政府が必要とする管理とは考えない、こういう答弁、ちょっとよく私はわからないのです。もうちょっとそこのところを明確にしてください。
  28. 松本作衞

    松本(作)政府委員 政府管理すべき必要量といたしましては、従来と同様に限度数量ということで都道府県、市町村、農家に配分をするという考え方でございますので、この限度数量段階では当然超過米は予定しておらないわけでございます。その意味におきまして、限度内の米、それから超過米とでは性格を異にするということを申し上げた次第でございます。
  29. 串原義直

    串原委員 性格を異にすることはわかるけれども全量管理という立場で私は伺おうとしているわけです。全体的に予定よりとれた、そのとれた米が、政府が許可した業者の手をずうっと通っていっているものであるならば政府管理として考えるのでございますか、そういう理解でいいのですかということを私は伺っているのです。
  30. 松本作衞

    松本(作)政府委員 発生した超過米につきましての取り扱い先生の御指摘のとおりでございますし、私ども供給計画に乗せて管理をする考え方でございますから、政府管理の中であるというふうに考えております。
  31. 串原義直

    串原委員 では、次に移ります。  基本計画水田再編対策とはどう関連するのか、伺います。
  32. 松本作衞

    松本(作)政府委員 基本計画は、その年々における需給状況のもとで品質内容も加味いたしました需給均衡を図るために政府管理方向づけを明確にしようということでございますので、こういった考え方の中で全体需給均衡を図っていく点につきましては、従来の生産調整における需給均衡考え方を一にしておるというふうに考えております。  それと、今回の基本計画は、あくまでも政府管理方向づけを示すことによりまして関係方々にこれを指針として活動していただく、これによって食管制度の運営全体を円滑に進めていくということを考えておるわけでございますので、この基本計画生産者または消費者を直接拘束し、強制するというような性格のものではございません。したがいまして、この基本計画によって生産調整を強制するということは考えておらないわけでございまして、生産調整生産調整として、従来の、理解と協力に基づく行政措置として進めてまいりたいと考えております。
  33. 串原義直

    串原委員 そうしますと、仮にこの法が改正になったとした場合に、すでに決められている二期水田再編対策変更しない、こういう理解でいいのですね。
  34. 松本作衞

    松本(作)政府委員 考え方としては、現在実施しております第二期生産調整対策変更するつもりはございません。
  35. 串原義直

    串原委員 現在予約制度がございますね。これは従来どおりですか。
  36. 松本作衞

    松本(作)政府委員 予約限度数量考え方は、従来と同様に申し込みの予約限度数量配分していくということでございますが、全体の管理すべき量は、基本計画に掲げられた数量と一致させてまいりたいと考えております。
  37. 串原義直

    串原委員 そうすると、水田二期対策で示された数字、それは事によると変更がある、こういうことも言えるわけですか。
  38. 松本作衞

    松本(作)政府委員 私ども水田二期対策考えております需給均衡考え方基本計画需給均衡考え方は一致すべきものというふうに考えておりますので、現在水田利用再編対策が進められている間におきまして、基本計画考え方はそれにのっとって樹立されていくべきものというふうに考えております。
  39. 串原義直

    串原委員 そうすると、予約概算金制度も従来と同じである、こういう理解でいいですか。
  40. 松本作衞

    松本(作)政府委員 予約概算金につきましても、原則的に従来の考え方を継続してまいりたいと思っております。
  41. 串原義直

    串原委員 そこで、二条、八条と関連をしてお聞きするわけです。基本計画供給計画について記されているところでございますけれども、この計画によりますと、類別品質別にこの供給計画基本計画を立てられる、こういうふうになっているわけですね。さきの委員会答弁を聞きますと、都道府県知事意見等も聞きながらこの計画を立てていく、こういうような答弁もあったわけでございますが、私若干気になるのですけれども、この消費者のニーズにこたえていこうとする方向は理解できるとしても、この方画に力点を置かれたというようなかっこうになった場合に、基本計画供給計画というものが品質別類別ということに答えとしてあらわれてきて、山間部水田地帯、言うならば力の弱い農業地帯と言ったらよいでしょうか、そういうところに順次しわ寄せが行くのではないか、実は私はこういう憂慮をするわけなんであります。そうなってきますと、私、長期計画を想定した場合に危惧の念を抱くわけでございますけれども、そういうことになってくるとするならば、やはりこの際、知事意見を聞くこともさることながら、生産者意見も聞いていくという配慮、努力をしなければいけないのではないか、全体的に心配ない生産を確保していくという立場から見てそういうことを私は考える。いかがでしょう。
  42. 松本作衞

    松本(作)政府委員 基本計画につきましては、品質別需給均衡ということを考えておるわけでございます。この品質別需給均衡は、一方におきまして消費者需要動向に即応した生産に誘導していくという面があります反面、先ほど来御指摘がありました、生産調整等によりまして供給実態というものは制約があるわけでございますから、与えられた供給条件のもとにおいて流通される米をできるだけ消費してもらわなければならないというような需要面からの対応も考えていただくということで、生産面需要面と両々相まってこの品質別需給が達成されていくものというふうに考えておりますので、消費者の意向だけによって品質別需給方向づけられるというふうには考えておらないわけでございますが、この作成に当たりましては、できるだけ関係者意見を聞きながら樹立をしてまいりたいと思っておりますので、ただいま御指摘ありましたような生産者または生産者団体意見を聞くことを心がけてまいりたいというふうに考えております。
  43. 串原義直

    串原委員 長官言われるように生産者意見を聞く努力をしてもらいたいと思いますが、御答弁でき得ますならば、その生産者意見を聞くということに対して今日時点ではどんなことを、こんなふうにしたらいいじゃないかという点について御答弁願えたら、お願いします。
  44. 松本作衞

    松本(作)政府委員 現在米価の御審議を願っております米価審議会がございますが、この米価審議会におきましては生産者の代表の方々も含めて構成されておりますので、この米価審議会の御意見を聞くというのも一つ考え方であろうと思っております。また、流通に直接関係しております生産者団体等と定期的に、基本計画作成に当たって、ないしはその実行に当たっての協議をしていく場をつくるということも考えてまいりたいと思っております。
  45. 串原義直

    串原委員 いま御答弁願いましたが、米審の生産者側の委員先生方の意見を聞く、それからときどき生産者団体との話し合いをする場を設けたい、こういうお話がございましたが、ぜひそれを実現して間違いのない生産確保の道を歩いてもらいたい、このことをお願いをしておくわけです。  次に移ります。法改正の中に緊急時に対する条項が盛られているわけでございますが、これは非常に大事な問題だと思うのです。大事という表現だけで言いあらわせないほど重要だと思っておるのです。  そこで伺いますけれども、緊急時とはどういう事態とどういう事態を想定されていらっしゃるのか、お聞かせください。
  46. 松本作衞

    松本(作)政府委員 緊急時の発動の要件につきましては、法律面におきましても比較的詳細に規定をしておるわけでございますが、具体的にどのような事態かということにつきましては、一つ需給の不均衡の度合いがどの程度になるかという具体的な裏づけ、それからその事態がどの程度の期間継続すると見込まれるかという期間の見込み、それからその場合に他の代替食糧によってどの程度置きかえられるかという見込みを具体的に判断をいたしまして、法律の趣旨に沿った発動を考えてまいりたいというふうに思っておるわけでございます。  そういう事態がもたらされる状況といたしまして、私どもは、この前の石油ショックの際に輸入穀物の途絶が心配された時期がございまして、その時期にはほとんど輸入食糧が入ってこないという見込みが立てられましたので、これに対応する措置をいろいろ検討いたした次第でございますが、幸いにその時期は短期間で終息いたしましたので事なきを得たわけでございますが、具体的にはそういった輸入食糧がストップするというような事態が一番可能性が強いものというふうに考えております。
  47. 串原義直

    串原委員 いま石油と関連して輸入食糧が入らなかった場合ということについて例を挙げておっしゃられた。災害もあるだろうし、いま言われたように輸送事情もあるでしょうけれども、この程度が緊急時という判断になるのですか。
  48. 松本作衞

    松本(作)政府委員 この第八条ノ四におきましても、需給事情が著しく逼迫しまたは逼迫するおそれがある場合ということ、それから基本計画なり供給計画に即する米穀の適正、円滑なる供給の確保が相当の期間きわめて困難になるということで、国民食糧の確保に重大なる支障を生ずるというような条件がつけられておりますので、私どもといたしまして、通常の災害という程度ではこういった重大な支障を生ずるというところまでは来ないのではないかというふうに考えておりまして、この法律に述べられておるような事態というのは、よほど異常な事態であるというふうに考えておる次第であります。
  49. 串原義直

    串原委員 よほど異常な事態ということであろうと思うのですけれども、それを具体的に表現することはなかなかむずかしいだろうと思いますが、その判断はだれがするのですか。その判断をしたときにはどのような手続を経ることになるのですか。
  50. 松本作衞

    松本(作)政府委員 この判断は、政府責任を持って判断をすることになるわけでございますが、その手続といたしましては、この法律に基づきました政令を出しまして、この政令によって、配給に関する具体的な手続、方法ないしはその方法に違反した場合に対する罰則措置というようなことを明確にしてまいりたいと考えております。
  51. 串原義直

    串原委員 異常な事態に遭遇したときに、政令でこれに対応するということでいいのでしょうか。
  52. 松本作衞

    松本(作)政府委員 こういった異常な事態はあらかじめ予想されるわけではございませんので、緊急に措置をしなければならないと考えておりますので、機動的に処置をするために行政府責任において処理をさせていただきたいと考えておるわけでございます。その場合のやり方につきましては政令をもって明確にしていきたいと考えておりまして、この政令の内容等につきましては、従来の配給制度のもとにおいて行われておりました事実もあるわけでございますので、これに準じた内容を決めてまいりたいと考えております。  なお、こういった緊急事態に政府判断によって実施をするというものにつきましては、これと似たような石油需給安定措置の制度の場合も同様の取り扱いになっておる次第でございます。
  53. 串原義直

    串原委員 大臣、いま答弁政府判断をするというお話でございましたが、異常な事態、緊急事態、このときに食糧に対する対応というものは行政府だけの判断でいい、こうお考えですか。
  54. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 国会方面の意向等も十分配慮しつつ、この食管法で与えられた法律の精神に基づいて判断をしてまいることは差し支えない、私はこう考えております。
  55. 串原義直

    串原委員 政令でその場合決めていくという答弁でしたけれども、どのような措置を順次講じていこうとしているのか、その手順を具体的にお示しを願いたいのです。
  56. 松本作衞

    松本(作)政府委員 手順といたしましては、政府といたしましてこのような決定をいたしました上で、政令についての早急な公布をいたしていく、それに基づいて具体的な行政措置を講じてまいるというふうに考えておるわけでございますが、そういった行政措置を講じてまいるためには、日ごろから適正な流通ルートが確保されておらなければなりませんので、今回の法律改正による流通ルートを使いまして、配給統制が可能になるように実施に移していくということになろうかと考えております。
  57. 串原義直

    串原委員 その場合、生産者消費者にはいかなる規制が及びますか、教えてください。
  58. 松本作衞

    松本(作)政府委員 生産者につきましては、現在の政府に対する売り渡し義務という形で実行していくわけでございますが、消費者に対しましては、今回の法律改正以前の状態、すなわち各個人に米穀の割り当てをいたしまして、その割り当てを担保するものとして配給通帳、購入券を発行いたしまして、この購入券に基づいて、そこに記載された量を指定された小売店から購入するというような形がとられることになろうかと考えております。
  59. 串原義直

    串原委員 長官の答弁の中でちょっと気になることが、生産者に対してのことで一言あった。  緊急時、不足時でも、大臣は私どもの安井委員の過日の質問に答えて、戦後の食糧危機にも農家の協力を得て乗り切ってきた経験を持っている、緊急時には輸入に依存して確保したいと考えている、強権供出みたいなことは私としては考えていない、こういう答弁大臣はなすったわけですね。ちょっといまの長官の答弁とはニュアンスが違っている感じを持つ。でありますから、大臣にこのことを聞きましょう。  改めて確認をしますが、過日の安井委員答弁された強権供出なんということは私としては考えていない、つまり、政府としては考えません、こういうことでこの際は理解してよろしいかどうか確認しておきたいと思います。
  60. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 私は、気持ちとしてはもう、権力で物を言わせずにといったようなことはやりたくない、絶対にそういうことはいたしませんと、この前安井さんにたしか答弁したはずでございます。いまでもその気持ちは変わりございません。もうそんなことをしたら、本当に信頼関係というものが、せっかくつくる努力をしておったものが画餅に帰するわけでありますから、強権をもって供出させるというようなことは考えていません。
  61. 串原義直

    串原委員 長官、緊急時に輸入に頼るということは考えられますか。
  62. 松本作衞

    松本(作)政府委員 緊急時の事態の内容にもよるかと思いますが、先ほど申しましたように、緊急時の原因として海外からの輸入が途絶した場合ということの可能性が大きいかと考えておりますので、緊急時におきましては必ずしも輸入に依存をするということはむずかしい事態があろうかと思います。ただ、輸入先を多元化するというようなことによってその事態を回避していくという道もあるのではないかと考えます。
  63. 串原義直

    串原委員 輸入論議をやりますと時間がかかりますから、きょうはこの程度にいたしますし、他日に譲りますが、しかし、ことほどさように輸入問題はそう簡単ではないと日本としては理解していくべきだ、こう私は考えている。したがいまして、緊急時に十分役割りを果たしてまいりますためには、常に全量管理という仕組み確立していくことがどうしても重要だと考えているわけであります。  そう考えますだけに、今日までの論議で、ああそうか、それなら大丈夫だなというふうにどうしてもまだ私は思えないのであります。これだけ自由化色を強めた後の法改正ということになると、ますますその感を強くするわけでありますが、言い方をかえるならば、どろなわはこれからは絶対に通用しない、こう考えているのです。法改正が、非常に多くの皆さんから危惧をされているように部分管理志向になってきたのじゃないか、ある人に言わせるならば、一歩部分管理に足を踏み入れた、こんな見方もあるわけなんであります。いまの論議に改めて私、この際確認をしますけれども、いや緊急時にも心配ないのだ、全量管理ということを踏まえてこういう措置をきちっと講じていくのだという施策と決意を、この緊急時の問題の締めくくりに御答弁を願いたい、こう考えるわけです。
  64. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 その点が食糧政策の中で一番大事なことである、したがいまして、今回も政令でやっておりました自主流通米法律できちんとして、そして政府購入の分と自主流通の分と法律によって全量管理いたします、そしていかなるときにも食糧について心配かけないように全力を挙げます、そういう姿勢をもってこの食管法改正案を出しておるということでございます。  私どもといたしましては、部分管理というものの結果がどうなるかというようなことは、これはちょっと考えればわかることなんでありまして、去年のあれだけの凶作でさえもササニシキやコシヒカリとか、そういううまい米の買い占めがあるのじゃないかといったような情報が一部に流れて、私どもの耳にまで入ってくるというような事態が起きかかったことも事実でございまするし、もし部分管理でやっていけば大変な事態になってくるということが予想されるわけでありますから、主食に関しては全量管理ということで、米びつは政府が預かっておきます、米でもうけたり損をしたりするような人を置いてはいけません、こういう意気込みを政府がきちんと示しておくべきである、こういうことで今回の改正案を出してあるわけでありますので、その点はひとつ御理解をいただきたいと思います。
  65. 串原義直

    串原委員 念を押すようでありますけれども、ただいまの大臣答弁を踏まえて、危惧の念、心配の点は省政令できちっといたします、こういうことでいいですか。
  66. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 当然、これは法律の精神を正しく実行するために政府が決めていく規則が政令でございますから、その辺のところは、やはり国会には閉会中といえども委員会審査というものがあるわけでありますから、そういうところでもいろいろまた御議論をちょうだいして、そういう意向を十分に参照して誤りなきを期していきたい、こう考えております。
  67. 串原義直

    串原委員 えさ米について伺いたいわけでございますが、私、今回の法改正でまことに遺憾だと考えておりますものの一つは、生産からの視点が見られないことなんです。食糧は米麦だけではないことは論をまちませんけれども、総合的な食糧自給向上の立場を踏まえて食管制度が論議をされて、その内容が具体的に確立されなければならぬ、私はこういうふうに信じているわけでございます。つまり、生産があって集荷があって販売があって消費者のところへ行く、こういうものでなければならぬので、その生産という視点を今後食管法食管制度の中で明記されなければならぬと考えているものの一人でございますが、その詳細な質疑は時間がかかりますので他日に譲りますけれども、それと関連をして、えさ米についてこの際伺っておきます。  えさ米は多収穫品種でなければなりませんけれども、十アール当たり何キロくらい収穫できるものであればえさ米として公認をし、転作作物などに取り入れる等々政府の施策に参加をさせると考えているか、この点御答弁願います。
  68. 川嶋良一

    ○川嶋政府委員 えさ米につきましての取り扱いについて、行政的な判断に関連いたしまして私の方から技術的な点だけ申し上げたいと思います。  どれくらい収量が上げられればどうかということでございますが、これは現在の米の単収を基本にいたしまして、これからどれだけ上げられるかという点からも考えませんといけませんので、私どもといたしましては、従来、米の単収は世界的に大変高いわけでございますが、この高いレベルを踏まえてどれくらい上げられるかということをいろいろ検討してみたわけでございます。  これまでのところ、この百年間五割の単収を実現するのに五十年かかっております。そういうことでございますので、それと現在の進歩した技術から見て、それをどれだけ短縮できるかというのが技術的な検討のポイントでございます。いろいろ議論はございますけれども、私どもとしてはこの五割というものを十五年程度で段階を立てまして向上を図ってまいりたい、こういうことでございます。一見、大変時間がかかって収量レベルも十分ではないのではないかという御議論もあろうかと思いますけれども、これまでの経過並びに今日の技術レベルから考えますと、その点を非常に高い目標として私ども鋭意努力をしてまいりたいということにしているわけでございます。
  69. 串原義直

    串原委員 大臣、いま五割アップの収量を確保できるようになればえさ米としてはいいのじゃないかという立場で試験を進めているという話があったわけですけれども、えさ米として日本農政の仲間にしていくということになるとするなら、いまお話しのように五割アップ収量品種ができればそれを考えていく、こういうことでいいですか。
  70. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 収量も確かに大事な問題の一つでありますけれども、やはりえさ米をいまの畜産の中にどのように取り入れていくか、配合飼料の中にどういうふうに配合すれば卵をよけい産むとか、あるいはいろいろな栄養上の問題等がどうなるのか、そういう研究というものが果たしてなされているのであろうか、これは牛にやるという場合の混入ぐあいはどうしたらいいのかという問題も、ともに解明をしていかなければならない問題であろうと思うのです。  それと同時に、畜産の盛んなところでえさ米をつくってもらうと、そこに運搬賃というものが非常に節約できるというような問題もあるのじゃないか。畜産の全くないところでつくられたえさ米というものは、そこに運賃なりもろもろの経費がかかってくるということでありますから、五割増の新品種を造成したからといって、遠くでつくったものを運賃をかけて持ってきて果たして採算がとれるかどうかという問題等もあろうかと思います。  そういう総合的な検討も、品種改良と同時に進めていかなければならないこれからの問題であるわけでございますので、それらをすべて総合的に勘案をして、判断を下す時期か近い将来といいますか、四、五年内には下さなければならぬのではないかなという、率直に言ってこれは私の感じでございます。技術者の諸君は十五年かかる、二十年かかると言っておりますけれども、その辺に政治的な決断をどうつけるかというようなことについては、私は、これだけの盛り上がりのある問題でございますので、やはりいろいろな研究を同時に農林水産省としてもやっていかなければいかぬということで指示もいたしておりますので、その辺を総合的なデータを見た上で判断をしていきたい。  とにもかくにも多収穫で脱粒のない、本当に収益性から見ても、畜産農家が直接近くで耕作することによって十分にやっていけるという一つの見きわめというものも大事だろう。せっかく意気込みを持ってつくらしたものが、採算性からいって農家がまたその熱を失ってしまうような低い採算性であったのでは困るわけでありますので、その点も政府は十分慎重に検討しながらデータを出して、やがては結論を出さなければいかぬ、こんなふうに考えております。
  71. 串原義直

    串原委員 実は農林省も大臣の意向を受けたのでございましょう、若干前向きになってきたというふうに私は受けとめているところでございますが、技術者の立場で検討されること、慎重であることはよくわかりますけれども、これだけ民間で試験研究が盛り上がってきた、政府も本気になって予算を計上してやろう、そこまで来たということになりますならば、いま大臣が言われるようにできるだけ早くこのえさ米を公認していく、こういうことで日本農業の柱に取り上げていかなければならぬ。  いま大臣は少なくとも数年ぐらいの間に、こういう答弁でございました。実は私はちょっと手元に持っておるのですけれども、このことを昨年十一月二十六日、委員会で私が大臣に質問したときに、大臣は第二期水田再編対策の終了時点、つまりことしから三年後ですね、その後ころには何とかめどをつけたいと思うという意味答弁をなさった。一年やそこらのずれは別といたしまして、ともかくいま大臣が言われるように官民一体になっての試験研究、汗を流していかなければなりませんが、それに対して一つのめど、目標を示していくために、ぜひとも、もう一度私はこの際大臣答弁を期待するわけですけれども、少なくとも四、五年、五、六年後には日本農業の大事な柱にえさ米を公認していくためにがんばっていきます、こういう立場で改めて取り組む、こういう答弁をひとつお願いをしたいわけです。
  72. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 えさ米は、これは水田を活用してやっていけるという非常に大きな意義を持っておるわけでありますので、どんなことをしても全力を挙げて、この水田の自力をえさの問題解決のために活用していくことのできる方法がここにあるわけでありますので、できれば本当にできるだけ早く、こう言いたいところでありますけれども、なかなかすぐに三割増産、五割増産というわけにもまいりません。先ほど申し上げましたように総合的な検討も進めなければなりませんので、五、六年くらいの間にきちっとした政策が展開できるようになってほしいな、していかなければいかぬな、こんな感じで指導していきたいと思います。
  73. 串原義直

    串原委員 いま大臣も私の考えていたことをずばり指摘をされましたが、えさ米の飼養試験、家畜に与えてどうなるのだという、つまり飼養試験ですね、これを農林省として積極的に取り組むべきだと思いますが、どうでしょう。
  74. 川嶋良一

    ○川嶋政府委員 一般的な事柄につきましてはすでに実施をしておりまして、玄米あるいはもみ、そういった点について家畜への給与等については格別の支障はございませんので、ほかのえさと同様に栄養その他考えまして給与して差し支えない、こういうことになっておりますが、いろいろ問題がございますので、今年度からの本格的な試験研究の中でさらに多方面な検討をしてまいりたいと思っておるところでございます。
  75. 串原義直

    串原委員 それで大臣、一年も早くえさ米が公認される品種ができ上がることを期待をし努力をする、そういう立場で、その目標を達成してまいりますために有効な施策であるならば、民間試験に対してもぜひ政府は援助を与えるべきである、こう考えるのです。いま地方自治体でもそれぞれ具体的に実施することになりました。私どもの長野県でもすでにやっているところでありますが、そういう立場政府はこの目標達成のために投資を惜しんではいかぬ、こう思うのですけれども大臣、どうでしょう。
  76. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 具体的な援助という問題はいまのところまだ考えておりません。ただ、先般官房長から答弁申し上げたように、この新品種を造成してまいりますために国も積極的に真剣に試験研究に全力で取り組む、官民挙げて試験研究に精進をしてまいる、これに協力する意味においての試験田等についての生産調整のカウントについては、検討を進めて前向きに処理していきたいということを答弁いたしたわけでありますので、現時点においてはそういうことを考えておるということを申し上げたいと思います。
  77. 串原義直

    串原委員 それでは、米価の問題についてこの際伺うわけでありますが、いよいよあと六十日少しくらいでまた米価を決めなければならないときになっているわけです。今後も生産者米価の決定方式は従来と変わらないか、お尋ねいたします。
  78. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 その点はたびたび申し上げてきておりますとおり、従来と法律がそのままでございますので、その法律に基づいて決定をしていきたいと考えております。
  79. 串原義直

    串原委員 つまり生産費所得補償方式で取り組んでまいります、こういうことでいいわけですね。
  80. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 これはもう私ははだ身離さず食管法を持っておられるのですが、第三条に「政府ノ買入ノ価格ハ政令ノ定ムル所ニ依リ生産費及物価其ノ他ノ経済事情ヲ参酌シ米穀ノ再生産ヲ確保スルコトヲ旨トシテ之ヲ定ム」こう明記してありますので、この条文に従って決めていきたい、こう考えております。
  81. 串原義直

    串原委員 それでは、最後にちょっと備蓄の問題について伺いますけれども品質別需給見通し、つまり品質別需給見通しと備蓄というものはどう関連させて考えているか、これを伺いたいわけです。さきの答弁で、長官であったと思いますけれども、そのバランスは、品質別の備蓄も含めて考えてまいります、そういう意味答弁をなさったと思いますけれども、これは具体的にはどういうことなんでしょうか。
  82. 松本作衞

    松本(作)政府委員 品質別需給のあり方と備蓄の問題は一応別個のことであるというふうに考えておりまして、品質別にできるだけ需給のバランスをとっていくということが必要でありますとともに、一方におきまして備蓄のあり方を検討いたしまして、国民食糧確保に必要な備蓄を行っていくようにしていきたい、そのために備蓄のあり方等につきましても現在検討を加えているということを申し上げたわけでございます。  ただ、この備蓄のやり方の中で、従来のようにいわゆる古米を漸次主食用として消化をしていく回転備蓄のやり方のほかに、一定量をたな上げいたしまして、この部分については備蓄の役割りが終わった段階で加工用等に消費していくという部分も含めて考えていきたいというふうに思っておるわけでございますが、品質別需給等、需給調整をいたしました結果、豊作等の影響で余剰が出るという場合にこのたな上げ備蓄に充てられるということが考えられるというふうに申し上げた次第でございます。
  83. 串原義直

    串原委員 言いかえるならば、在庫になったものを備蓄にする、こういうかっこうに結論としてなるのですか。
  84. 松本作衞

    松本(作)政府委員 備蓄は一定量を通常の需給以外のものを保管しておくわけでございますから、その意味で在庫になったものが備蓄の役割りを果たすようにする、もちろんその場合に適正な数量の範囲内ということになろうかと思います。
  85. 串原義直

    串原委員 そうすると品質別に、つまり対象の米を想定して備蓄米にしていくということは考えない、それは考えていません、こういうことでいいわけですね。
  86. 松本作衞

    松本(作)政府委員 備蓄の内容につきまして品質別に想定して考えるということは考えておりません。
  87. 串原義直

    串原委員 基本計画におきまして備蓄の数量の見通しを掲げるというようなことを含めて、私は備蓄を法定すべきだというふうに思っているのです。時間が来ましたから詳しくは触れられませんけれども、この基本計画等々でほかのことは、こういうことは決める、こういうことは決めてまいりますと詳細に書いてあるのに、ある意味では一番重要な備蓄のことが載っていない、文言がない、これは私は大事な点だ、片手落ちだ、こう思っているわけです。備蓄を法の中に明記すべきではないか。法の中に明記できないとするならば省政令の中でもきちっとすべきではないか、こう思うのですが、いかがでしょう。
  88. 松本作衞

    松本(作)政府委員 備蓄につきましては国の管理の重要な事柄でございますから、当然基本計画の中におきまして備蓄の数量、やり方等について明記していく考えでございますが、ただ、基本計画の表現といたしましては、「米穀ノ管理ニ関スル基本方針」とか「米穀ノ管理ノ方法ニ関スル基本事項」とか「需給ノ見通ニ関スル事項」とかいうような、いわば抽象的な表現でございまして、その中身についての買い入れとか売り渡し、輸送というような形の表現をとっておらないわけでございますので、そういう意味で備蓄につきましても、この管理の方法ないしは管理に関する基本的な方針というような中で、当然他の買い入れ、売り渡しの場合と同様に織り込んでいく性質のものであるというふうに考えております。
  89. 串原義直

    串原委員 時間が来ましたから、終わります。
  90. 菊池福治郎

    ○菊池委員長代理 武田一夫君。
  91. 武田一夫

    ○武田委員 二十分の時間で、主要な問題につきまして六点ほどお尋ねしたいと思います。  食管制度は昭和二十七年に改正されて以来の二十九年ぶりの改正でありまして、事の重要性にかんがみまして、これまで質問してきました問題とも重複する点もございますが、再度確認意味でお尋ねいたしますので、政府の簡潔、明快なる御答弁をまずお願い申し上げます。  第一点は、米穀の需給管理の指針となる基本計画の策定の問題でありますが、これにつきましては米価審議会等の意見を聞くなど、広く民意を反映させる方途を講ずべきだと思うわけでありますが、いかがお考えか。と同時に、基本計画生産調整の法的根拠にならないよう運用面での十分なる配慮をすべきであると考えるわけでありますが、この点につきましての御見解をお伺いいたしたいと思います。
  92. 松本作衞

    松本(作)政府委員 基本計画の策定に当たりましては、ただいま御指摘がありましたように米価審議会意見を聞くほか、生産者団体流通団体等との基本計画に関する打ち合わせの場を明確にしていくというような形を通じて、関係者意見が反映されるように努めてまいりたいと思います。  それから、基本計画につきましては、いわゆる政府方向づけを示すものでございまして、関係団体においてこの政府考え方を指針として適正な活動を行ってもらうことを期待しておるわけでございますので、この基本計画生産者消費者を直接強制するというような性格のものではございませんので、生産調整につきましても、従来からの生産調整考え方を変えることなく、この基本計画生産調整を強制するというようなことにはならないように取り扱ってまいりたいと思っております。
  93. 武田一夫

    ○武田委員 第二点は、本制度基本である政府全量管理の実効性を確保するために、政府米、全自主流通米予約限度超過米につきましては国が全量を、間接でなく直接に管理するという基本に立った運用をすべきであり、特に自主流通米の安易な拡大はすべきでないと思いますが、この点につきましてお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  94. 松本作衞

    松本(作)政府委員 自主流通米超過米につきましても政府全量管理考え方の中で今後とも処理してまいりたいと考えておりますが、超過米につきましては、基本計画段階ではまだ超過米が出るかどうかということは前提にできませんので、基本計画の中には入ってまいりませんが、超過米が発生した段階におきまして供給計画の中できちっと位置づけをし、また流通ルートにつきましても従来どおり規制のもとに適正な流通をさせるようにしていきたいと考えております。  それから自主流通米につきましては、従来から食管制度のもとにおいて重要な役割りを果たしておると考えておるわけでございますし、今後におきましても、消費者の多様な需要に対応した供給を可能にし、また生産者に対しましては品質に応じた適正な価格を形成するというような役割りを果たすことによりまして、適正な流通の確保を図っていくことが可能であると考えておるわけでございます。この数量政府米との関係につきましては、需給事情等によりましてこれを一律に定めるということは困難であろうと思いますが、自主流通米性格からいたしましておのずから一定の限界がございますし、この限界につきましては、現在の自主流通米政府米の比率というものが今後大きく変動するものではないというふうに考えておりますので、今後基本計画供給計画の中におきまして、この自主流通米の適正な数量の維持ということについて十分に心がけてまいりたいというふうに思っております。
  95. 武田一夫

    ○武田委員 三番目には、米穀の流通秩序の正常化という問題でありますが、やみ流通についての徹底的な取り締まりを強く要望してきたところでございます。守れる食管という言葉は今改正一つの旗印として注目されておるだけに、万全を期してほしい、こう思うわけでありますが、その対応方をお聞かせ願いたいと思います。
  96. 松本作衞

    松本(作)政府委員 今回の食管法改正が、守れる食管法にするというねらいが大きな内容でございますので、この不正規流通米につきましては厳正な態度で対処してまいりたいと考えておりますが、そのためには、まず不正規流通米の発生をできるだけ抑えていくということで、一つはできるだけ需給均衡を図っていきたい。それからまた消費者が正規米で十分に必要とする米の供給が受けられるように、消費者の必要とする品質別の米を供給できるような対応を考えていきたい。それからまた流通業者につきましての指定制、許可制というような形で流通ルート特定いたしますとともに、その責任を明らかにすることによりまして、こういった流通段階からの不正規流通が行われないように十分な指導監督をしてまいりたいと思っております。  また、こういった流通ルート特定と関連いたしまして、許可ないしは指定を受けておらないような流通業者がやみの行為をするということがないような厳正なチェックをしてまいりたいと思っておりますが、そのためにも、流通実態につきましての情報を的確に把握することによりましてこのような不正規流通の事態を防止してまいりたい。また、発生をした場合には、これに対して厳正な態度で処理をしてまいりたいということを考えておるわけでございます。
  97. 武田一夫

    ○武田委員 次に、今回の改正を機会に生産者米価の抑制が行われるのではないかという懸念があるわけでありますが、これにどうこたえていくつもりか、お聞かせいただきたいと思います。
  98. 松本作衞

    松本(作)政府委員 今回の法律改正におきましては、政府買い入れ価格及び売り渡し価格についての規定は何ら変更いたしておりません。したがいまして、生産者米価を今回の法律改正によって抑制するというようなことは毛頭考えておらないわけでございまして、今後とも、生産者米価につきましては現在の食管法の規定に従って適正な価格形成に努力するつもりでございます。
  99. 武田一夫

    ○武田委員 第五番目に、今回の法改正は部分管理に一歩踏み込んだものという批判もあるようでありますが、政府は今後とも部分管理や間接統制への移行をさせるものでないということを私はここで確約すべきと思うわけでありますが、当局の明快な御答弁大臣にひとつこの点お答えいただきたい、こう思うわけでございます。
  100. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 部分管理とか間接統制は、この改正案の中からはどこを探しても出てこないわけであります。私はむしろ、今回の改正によってそういう心配を一掃することができるとさえいま思っておるわけでありまして、その点は武田委員にも十分御理解いただけるものと確信をいたしております。
  101. 武田一夫

    ○武田委員 最後に、もう一間大臣に御質問いたしますが、いま懸念されている食糧危機の到来に対しまして、食管制度のみでわが国食糧の安全保障は確保できると判断されているものかどうか。  さらに、飼料穀物あるいは大豆を食管制度に入れることはなじまないということでございますが、それならば、国際食糧事情のこうした状況にかんがみまして、これらの国内生産の拡大のために、別途新たな立法措置を含め、画期的な生産対策を講ずべき時期に来ていると考えるわけでございますが、どういうお考えをお持ちか、お答えをいただきたいと思います。
  102. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 食糧政策はもちろん食管法だけでその目的を果たされるとは考えておりません。やはり畜産価格安定法なりあるいは大豆、なたねその他もろもろの振興立法、また価格対策の立法がそれぞれの作目ごとに制定をせられておりまして、これらの総合的な効果の発現によって日本の食糧が確保され、維持されておる、こう考えておるわけでございます。戦後三十数年の間、皆様方また先輩の努力によって関係法律も整備をされ、制度確立をされておりますので、いま武田委員指摘のように食糧確保のための生産振興立法というようなことを考えておるかどうかということでございますが、私はそういうことはいまのところは考えておりません。
  103. 武田一夫

    ○武田委員 いろいろとお尋ねいたしましたが、最近の食糧管理をめぐる諸情勢、非常に厳しいわけでありますから、そうした問題に的確に対処するために制度根幹を堅持していっていただきたい、こう思うわけであります。  いま大臣が、部分管理、間接統制等に移行はあり得ないということをおっしゃられたわけでありますが、そうしたことを十分に留意いたしまして、運用の面、特にこの運用の面の万全を期するということが今後大きな課題だと思うわけでありまして、その点を強く要望し、健全なる食管制度の運営が行われまして、不安のない、そうした今後の利用方を私は強く要望いたしまして、質問を終わらしていただきます。ありがとうございました。
  104. 菊池福治郎

    ○菊池委員長代理 米沢隆君。
  105. 米沢隆

    米沢委員 この問題につきましては、すでに多くの皆さんが質疑を重ねておられますから、重複する点があるかもしれませんが、お許しをいただいて若干の質疑をさしていただきたいと思います。  この食管法の一部を改正する法律案の提案趣旨説明というものを読みますと、現在の食管法は、食糧の絶対的不足の時代の限られた食糧国民に公平かつ平等に配給することを眼目にして制定された経緯からして、今日のような米の需給の大幅な緩和や消費者需要の多様化など種々の経済環境の変化に対しては対応できなくなっている、ために法の規制内容と経済実態の乖離が生じ、いわゆる守られぬ食管になってしまって、このままこの制度を放置すれば食管制度そのものの存在意義が問われかねない、したがって、現行制度基本は維持しつつ一時代の変化に対応し得る管理制度改正を図ろう、こういうことで、昭和二十七年以来二十九年ぶりに法の改正をしよう、こういうことでございます。  しかしながら、提案されています改正内容を見ますと、通常時における厳格な配給制度を廃止するとか、需給調整その他の法目的遂行のための米穀の管理に関する基本計画の樹立、消費者に対する米穀の供給計画を策定して、政府の米穀の管理方向づけを明確にするとか、流通ルート特定し、流通業者の地位と責任を明確化するとか、種々盛り込まれておりますが、率直に申し上げまして、内容は、ただ現在の法律と現実の乖離を埋めて整合性あるものにするという、現状あるいはいままでやってきたことを言葉を変えて追認するという域を出ていないという感じがいたします。  そういう意味で、改正意図が明らかでなく、その上大事なところはすべて政令にゆだねられておりまして、すべて法の運用次第、官庁の思惑次第、こうくれば、わかろうにもわかりようがないわけであります。このことは、あなた方の権限を強めるということではあったとしましても、関係者は無論のこと、国民はどういうことになるか不安でたまらない。欲求不満を起こすのはあたりまえの話だと思うのです。この点、大臣の所信を伺っておきたいと思うのです。
  106. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 現状追認ということにすぎないじゃないかという御指摘でございますけれども、私はそれでいいと思うのです。昭和十七年に立法されて、いろいろな経験をしながらとにかく国民基本食糧である米麦の管理をして、国民食糧についての不安をなからしめてきた。終戦直後のあのような事態においてすらも、餓死者も出さずにともかく乗り切ってくることができたというように、大きな役割りを果たしてきている法律でありますから、本来であれば改正はしなくてもいいのではないかというようなことで、今日まで改正がなされなかったのだろうと私は思うのです。  ところが、われわれはお互い立法府の議員でありますから、あの法律を読んでみましたときに「移入」という言葉があったり「移出」という言葉があったり、実態にそぐわない。それから食糧配給券の問題についても事実と法文とは全く乖離しておるというような問題、そういうものを直すだけでも国会議員としての責任ではないのかなと私は日ごろ思っておったわけです。そうして、とにかく終戦直後のああいう非常に極端な食糧不足の時代、また需給バランスのとれた時代、さらには今回のように非常に米の需給緩和の時代、こういう時代時代を経験してきまして、それにいつでも対応できるような食管法たらしめておくことが、むしろ食管制度を堅持していくゆえんではないかということで提案をいたしたわけでございます。  私としましては、今度の改正によってきちんと守られる法律、法文と事実が乖離しないような法律にしておくことによって、米作農民の立場を守り、しかも消費者に安心していただくことができるという、むしろ積極的な意義を感じて提案申し上げたわけでございます。したがいまして、私どもがみずからの権力を強めるというようなけちな考えは毛頭持っておりません。今回の改正案を取りまとめるにつきましても、各界各層の御意見を十二分に拝聴いたしまして、またみずからも勉強いたしまして、とにかく農家の方にも消費者にも御賛同いただけるような立場で提案をする努力をしたということは、ひとつ御理解いただきたいと思う次第であります。
  107. 米沢隆

    米沢委員 この改正法案をまとめるに当たりまして、関係者各位からいろいろ御意見を聴取された、その努力は認めるにやぶさかではありませんが、本当のところ、全般的に政令にゆだねられるという部分が確かに多いことは事実でございます。したがって、御意見を聞かれて出された法案でありますけれども、一体どうなるかというのが、まさにいま関係団体の関心の的なのでございまして、そういう意味で、この質疑を通して明らかになった部分もたくさんありますけれども、それを一体どういう形で整理をされて、どういうかっこうで政令が出てくるのか、出てきたときはまた違ったものになりやせぬだろうか、そういう不安があることは事実だ、私はそう思うのでございます。  そういう意味で、この法律が通った後におきましても、質疑を通じて答弁をなされたものが端的に関係者各位にわかるように、あるいはまた、いまからかなりの質疑、話し合いをしなければならぬ部分があるのじゃないかと思いますが、その点は十分留意をされて、遺漏なきようにがんばっていただきたいと思うのでございます。  そこで、先ほど大臣答弁の中で、くしくも、現状追認でもいいのじゃないかとおっしゃいました。しかし、現状追認だけでもない部分があるわけですね。現状追認以外に何が改正されたのか、わかりやすく説明をしてもらいたいと思うのです。
  108. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 政令で行っておりました自主流通米法律によってきちんと位置づけたということでございます。これによって全量管理という食管根幹というものを法律上明定をしたと言うことができると私は思う次第でございます。  それから大変心配されておるというお話でございますけれども、これはもっともっと私どものPRと申しますか、改正案内容を農家の方々消費者の皆さん方にも知っていただく努力をしなければならぬわけでございますが、こういう点は、今後も不安のない内容であることを知っていただく努力を続けていきたいと思います。  と同時に、大事な部分をみんな政令に任しておるのではないかという御指摘でございます。しかし、米価決定の方策、全量管理のいわゆる食管根幹の問題、さらには生産者価格消費者価格の決定の条文等につきましては、そのまま法律にきちんと明定をしてあるわけでございまするし、さらには流通関係の面を法律できちっと明定をいたしまして、そうして不正規業者を取り締まることのできやすい体制も法律上整備をしておる、こういうことをいたしておるわけでございますので、私はこれをまとめるにつきまして、事務当局に対しまして実は大方の合意を得られるところだけでも今回は改正すべきときに来ておる、こういうことで提案をさせていただいておるということを申し上げたいと思います。
  109. 米沢隆

    米沢委員 そこで、食管制度を取り巻く関係者と言ったら、生産者、第二に需要消費者、それから流通業者、三者あるわけでございます。今回の法改正によってこの三者にどういう関連で影響が出てくるか。これがまた先ほど申しましたように、どうも政令にゆだねられてわけのわからないところがありますから、法改正消費者にとってはどういう影響をもたらしていくのか、あるいは生産者に対してはどうなのか、流通業者についてはどうなのか、そういう意味で法改正がどういうかっこうでこの三者に関連をし、どういうメリットが出てくるのか、考え方でも結構ですから大要を御説明いただきたい。
  110. 松本作衞

    松本(作)政府委員 先ほど来大臣から御答弁申し上げておりますように、今回の法改正によりまして、食管法をだれにも守れる、長続きのする食管法にしたいということでございますので、従来から食管法によって守られておりました生産者の稲作生産及び消費者の主食の安定確保というような面が、この法改正によってより明確になってくる、そのことが生産者消費者に対する一番の影響ないしはメリットであると考えておるわけでございますが、具体的には、生産者との関係におきましては、基本計画供給計画等によりまして需要動向を見定めながら供給を進めていくというふうな方向づけがされますとともに、従来から運営されておりました自主流通米等につきまして、法律上の役割りを明確にされたという点でございます。  それからまた消費者に対しましては、消費動向に対応する供給というものが計画的に方向づけられていきますとともに、消費者に対する供給責任を持って実施をする販売業者につきまして法律上の地位と責任を明確化することによりまして、販売業者の自律的な活動によって消費者のニーズに即応した米穀の供給が期待できるという点でございます。  それから流通業界につきましては、従来、法律集荷業者につきましての定めが明確ではございませんでした。また販売業者につきましても配給所的な色彩になっておりましたものを、特定された流通ルートの中で位置づけられますとともに、集荷、販売につきましての責任を明確にしたということでございまして、責任ある活発な活動が期待されることになり、これによって業務の内容等につきましても法律上の方向づけがされることになったという点が違ってまいったというふうに考えております。
  111. 米沢隆

    米沢委員 御承知のとおり、今日の食管制度そのものが問われておる課題は三つあると思うのです。  第一は、米の構造的な供給過剰という情勢を前にいたしまして、食管制度需給調整機能を有効に働かせることができるかどうかというのが一つ。第二に、消費者需要の多様化に対応して、ひいては消費者のいわゆる米の消費拡大につながる供給体制あるいは流通体制を確立できるものかどうかということ。第三に、いまや目のかたきにされております食管に要する財政負担の軽減の問題など、食管制度の改革をどう進めるかという、この三つに要約されるのではないかと思うのです。そういう意味では、この三つの課題を念頭に置いた改正でない限り、現状追認で結構だというのではなくて、こういうような三つの課題に挑戦するような改正でないと、本当は現実的な、あるいは妥当性のある改正とは言えないのではないかという気がしてなりません。  そこで、今回の法改正におきましての、この三つの課題に対応して出てきたものもありましょうけれども、もし現状追認だけでそんなものはないというならば、今後の政策課題として、この三つにどういうようなかっこうで対応されるかというのがやはり重要な課題ではないか、そう思います。そういう意味でこの三つの、食管制度需給調整機能がこの法改正で一体どうなるのか、それから供給体制、流通体制が果たして米の消費拡大につながるようなものに本当になるのかどうか、あるいは食管のいわゆる行政改革、こういうものについてどのような対応をいまからなされるのか、この三点について説明をいただきたいと思うのです。
  112. 松本作衞

    松本(作)政府委員 私ども、今回の食管法改正におきまして、ただいま先生から御指摘されました三つの大きな課題についてはできるだけこれに取り組んでまいりたいというふうに考えておる次第でございます。  第一点の需給調整につきましては、今後とも食管が健全に運営されますためには、需給均衡需給調整を図っていく必要がございますので、このためには、ただ単に総量だけではなくて、品質内容に即した需給調整が必要であるというふうに考えまして、まず、国の全体的な基本計画作成をいたしまして、これによってその年々の需給事情に対応した需給調整方向づけを明らかにしていき、この国の方向づけに従って関係者方々がこれを指針として適正な活動をしていただくように期待をしていくということ、それからまた、集荷されます見込みが立ちました段階で、この供給されます米穀についての供給計画を、県別も含めまして内容にわたって樹立をいたしまして、この供給計画に従って適正な供給が行われ、需要に沿った供給が対応できるようにするということでの需給調整考えておるわけでございます。したがいまして、この基本計画なり供給計画を通じて品質内容も考慮した需給調整計画的に進めていこうというのが第一点の問題であります。  それから第二点の、消費者の多様な需要にこたえて適正な供給をしていく、そのための流通機構を整備していくという問題でございますが、ただいま申しました基本計画供給計画の中におきましても、品質別、用途別等を含めまして消費者需要動向に対応した供給を図れるように計画的に進めるわけでございますが、それとともに、具体的な消費者に対する供給仕組みといたしましては、販売業者につきまして、これを法律上許可制にいたしますとともに、この販売業者についての責任を明確にするということで、販売業者についての業務運営基準というようなものも法律上明確にいたしまして、この業務運営基準に従って消費者のニーズに対応する供給を実施をしていただく。また、その場合に、十分でないときには行政命令というものも発しまして改善措置を講じてもらうというようなことも明確にしたわけでございますので、こういった販売業者の積極的な活動によりまして消費者の多様な需要にこたえていくような供給を促進してまいりたいというふうに考えております。  それから第三番目の食管の財政問題でございますが、従来からいわゆる食糧管理特別会計に対する一般会計の繰り入れが必要とされておるわけでございますが、その中で特に問題がありますのは、過剰に伴って、過剰の処理をするための財政負担及び過剰在庫を抱えておるための保管料その他の経費が非常にかさんでおるわけでございまして、これが食管財政の健全化を損ねてまいっておるわけでございますので、先ほど申しました需給均衡を果たしていくことによりましてこの過剰による財政負担というものを節減していきたいと考えております。  それから、今回の法律改正と関連をいたします運営面の努力によりまして、流通面における流通改善でありますとか、それからまた管理経費の中で特に機構、定員というようなものにつきましても合理化をいたしまして、これによって食管の財政負担をできるだけ軽減していくというような努力を並行して行っていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  113. 米沢隆

    米沢委員 問題になりますのは、第一点は、今度の法改正によって需給調整機能が強化されるのか、あるいは調整機能が回復されるのかという問題だと思うのです。従来からこの需給調整機能というのは、自主流通米を創設するとか等々の手段によっていろいろとなさってきたことはよくわかりますけれども、今回のこの法改正が果たして需給調整機能を強化する方向に向かうのかという問題は、やはりはっきりと解明されねばならない問題だと思うのです。  たとえば、この趣旨説明を読みますと「農林水産大臣は、毎年、米穀の管理に関する基本方針等を内容とする基本計画を樹立し、公表して、米穀の生産流通消費に関する基本的な指針とすること」「また、この基本計画に即して消費者に対する適正かつ円滑な米穀の供給を確保するため、農林水産大臣は、毎年、都道府県知事意見を聞いて、都道府県段階までの米穀の具体的な供給計画を策定し、その概要を公表すること」こう書いてあるわけです。  これを読みますと、果たして基本計画を策定し、供給計画を策定することがどういうかっこうで需給調整機能を発揮するのだろうかという、ここはみんな不安で関心を持っておるところだ、そう思います。  生産者からしたら、ただ基本計画供給計画をつくる、それを指針にするのだと簡単に書いてあるけれども、実際は低米価につながるのじゃないかとか、生産調整につながるのではないか。したがって、この計画をつくられることが果たしてどういうかっこうで需給調整機能を発揮するのか、あるいはどういうかっこうでそれを期待されておるのか、そのために何かしようとするのか、そのあたりを具体的にはっきりしていただかないと、どうしても何となくかすみのかなたでわからないという感じがするわけです。  見ようによっては、こういう計画をつくって政府消費者の方と生産者の中に立ってクールに指針を出して、この指針に従って、需給関係はこうなっておるのだから自由に自分で判断をなさって生産考えなさい、消費考えなさい、政府の介入はちょっとやめます、こういうふうにとれるのです。そうでなかったら一体どういうかっこうで需給調整機能を発揮されようとするのか、具体的に説明してもらいたい。
  114. 松本作衞

    松本(作)政府委員 従来から食管法の目的には需給調整ということが掲げられてあるわけでございますが、現在の食管法の中におきましては配給をしていくという仕組みだけが書いてありまして、需給調整をする仕組みというものが法律上書かれておらないわけでございます。したがいまして、今回需給調整仕組みといたしまして、その年々の需給事情のもとで需給のあり方というものを国が方向づけをしていくということを考えまして、これがまず基本計画という形で示されておるわけでございます。  この基本計画性格はあくまでも政府管理に関する方向づけでございまして、これによって生産または消費を直接強制するというような性格ではないわけでございますが、このような指針を出すことによりまして、関係者方々のこの指針に基づいた活動を期待することができる、それによりまして品質も含めた需給調整方向づけができるというふうに考えております。  それから、この基本計画は播種前、作付前につくられる見通しでございますが、出来秋の供給される米の量が明確になりました段階供給計画をつくるわけでございます。この供給計画は、そういった供給される数量がわかってまいりますので、この供給された数量についての都道府県段階までの供給計画でございますので、この供給計画によって供給方向づけというものはより具体化するというふうに考えておりまして、この供給計画による方針に従って政府管理が運営されていく、また自主流通につきましても、この供給計画の中で位置づけられることによってその流通方向づけられてくるというふうに考えておるわけでございます。
  115. 米沢隆

    米沢委員 いまの話を聞きますと、基本計画供給計画をつくられるのは、需給調整生産者に対しあるいは消費者に対して強制されるようなものではなくて、ただ期待するものだ、こういう話ですね。となりますと、わざわざ基本計画をつくったり供給計画をつくるような法律になりましたけれども、実際はいままでと同じように、ただ運用面でうまくやるのだ、ただそれだけにすぎないのですか。何のためにこんな基本計画供給計画や何かをつくるのか。現状追認でただかっこうだけをつくるというならわかりますよ。しかし、基本計画をつくり供給計画をつくるということは、少なくとも需給調整機能を何とか指針という形で訴えたいわけでしょう。そうでないと意味がないですね、これは。そうじゃないのかな。もう一回答弁してもらいたい。
  116. 松本作衞

    松本(作)政府委員 先ほども申しましたように、現在の食管法におきましては、法律上の目的としては需給調整ということが書いてございますけれども、その具体的な仕組みというものが何も触れられておりません。今回この基本計画という形でその年々の需給事情に対応する需給動向なり政府管理方向づけを示すということは、私どもとしては従来と違った需給調整についての一つの目安ができたものというふうに考えておりますので、これが決して意味がないものというふうには思っておらないわけでございます。
  117. 米沢隆

    米沢委員 そこが一番問題なんでしてね。結局、基本計画供給計画かつくられることによって、生産者立場からしたら、低米価につながるのではないか、生産調整につながるのではないか。この基本計画をつくられて指針的なものをつくられるということは、需給のバランスが崩れて米が多かった場合、やはり生産者に対しては生産調整的なものをしてもらいたい、そういうことを結果的には、この計画をつくることによって世論を醸成するとか、あるいはまた生産者と話し合いに入るために、やはり計画、指針みたいなものをもとにして、強制という言葉は悪いかもしれませんけれども、そういう情勢を固めていくというものに利用されようとしておるのでしょう。そうじゃないのですか。
  118. 松本作衞

    松本(作)政府委員 生産調整につきましては、従来から需給均衡を図りますために生産者理解と協力を得て行政措置で実行しておるわけでございますので、今回の基本計画をつくりますことによってこの生産調整考え方を変えるわけではございません。また、先ほど来申しておりますように、基本計画は指針を示すという考え方でございますから、これによって生産調整を強制するということも考えておらないわけでございます。
  119. 米沢隆

    米沢委員 くどくて申しわけありませんが、そういう御説明を聞きますと、それならば、この計画をつくられることは需給調整機能との関連ではどういうことになるのですか。需給調整機能がないとおっしゃるならば、おっしゃったことで結構ですよ。しかし、需給調整機能を一つの目的にしてつくられるものは、それを目的につくろうとされているのですから、どうもかみ合わないのですね。済みませんが、もう一回説明してもらいたい。
  120. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 その点は、長官もたびたび申し上げておりますとおり、第二期生産調整対策をやっておるわけです。水田利用再編対策をやっておるわけでありますから、そちらの方で三カ年の計画を立て、三カ年のやり方をきちんともうすでに行政的に決めてあるわけですから、基本計画の中で結局生産調整が強化されるのじゃないかというような不安は三年間はないと私は考えます。三年後、需給のバランスがとれてまいりますれば、農家の皆さん方が生産調整という問題におびえなくてもいい事態をみんなの力でつくり上げていく。これはもう米のみならず、需給のバランスを見ながら生産をしていくことが農家の自己防衛の基礎だとさえ実は私は思っておるわけでございますので、その辺、政府が米びつをお預かりするという以上は、やはり無計画に、一億国民の皆さん方に、任せておきなさいと言うだけでは責任を果たせない。こういうふうに小麦を輸入してまいり、大豆を入れて、米についてはこれだけ生産をしていきますから心配は要りませんよ、そういう基本計画をつくる。  一方、その計画によって、流通機構に携わっておられる方々は、それぞれの府県なり地方の実情に対処する営業の展開についても、これまた事業計画を立ててやっていくことができるということになりますので、この仕組みというものは、食管法の中身においていろいろ言われますけれども、非常に国民立場を思った仕組みである、私はこういうふうに理解をいたしておるわけであります。
  121. 米沢隆

    米沢委員 次は、全量管理と不正規流通の取り締まりの件に関してでございます。  不正規流通を防止しようとするならば、その温床になる米をつくらない、こういうことですね。もしできるとすれば、いま考えられますところでは、たとえば自主流通米Uターンをうまくやれるかどうか、あるいは予約限度超過米をどう処理するかという問題、また縁故米、贈答米の贈答が今度できるようになりましたけれども、このあたりが異常にふえてくるとやはりこれは温床になる。あるいは縁故米、贈答米とも関連すると思いますが、農家が消費される米、その計算と実際に使っている実需とは違う。その差額がやはり温床になる可能性のあるものですね。したがって、自主流通米Uターンをどうするか、予約限度超過米をどう管理するか、縁故米、贈答米をどれぐらいの範囲で認めるか、あるいは農家の消費米と実需との差額の米を一体どう管理するか、こういうところが非常に大事な問題ではないか、そう思うのでございます。  そこでお尋ねしたいことは、たとえば予約限度超過米管理でありますけれども、いろいろ予約限度数量を決めて生産をされても、豊作等によって出てくる、こういうことはよくあり得るわけでございまして、その発生は避けられないわけでありますが、全量管理前提として予約限度超過米をどう管理していくのか、この点をちょっと聞かしてもらいたいということと、御承知のとおり、政府は、転作目標を達成したにもかかわらず発生した超過米に対しては、従来は自主流通ルート流通することと、販売に当たって政府米との差しかえを行っているだけにすぎないわけですね。したがって、超過米の農家手取り価格水準というのは政府の売り渡し価格よりも下回る、それがやみになって流れていくということでありますから、その防止対策を含めて、予約限度超過米管理をどうなさろうとするのか、はっきりしてもらいたいと思います。
  122. 松本作衞

    松本(作)政府委員 豊作等の影響によりまして予約限度超過米が出ました場合には、先ほど申しました供給計画の中に織り込みまして、供給計画によって適正な流通を確保していきたい。また流通ルートにつきましては、従来と同様自主流通ルート、すなわち指定された集荷業者を通じて許可を受けた卸売業者販売されるという自主流通ルートで適正に流通されるようにしてまいりたいと考えております。  なお、価格面におきまして、これは政府が必要とする米とは扱いを変えていく必要があると考えておりますので、自主流通米と同様の助成は困難であるわけでございます。したがって、農家の手取りが政府管理米よりも若干下回ることは予想されるわけでございますが、ただいま申しましたような流通ルートを明確にすることにより、また供給計画等によって数量を明確にすることによりまして、これが不正規流通に回らないように十分な指導、監視をしてまいりたいと思っております。
  123. 米沢隆

    米沢委員 今度は、自主流通米Uターンとその助成についてちょっと考えを聞かしてもらいたいということと、自主流通米Uターンの不正規流通に回らないための対策をどう考えるか、それから、先ほど申しました農家の自家消費米と実需との差額、その部分を一体どういうかっこうで防止されるのか、お聞かせいただきたい。
  124. 松本作衞

    松本(作)政府委員 自主流通米Uターンにつきましては、従来も制度的にそのような道を開いておりますので、今後とも自主流通米Uターンが必要な場合にはこれを認めていく考え方でございます。ただ、自主流通米につきましても、やはりこれが計画どおり自主流通米として流通されることが生産者にとっても需要者側にとっても望ましいことでございますから、自主流通計画を適正なものにいたしまして、できるだけこういったUターンが発生しないでいいような、あらかじめの調整を十分にしていくよう指導してまいりたいと思っております。なお、自主流通米として把握されましたものが、たとえUターンになるからといって不正規米に回るということはないと考えておりますし、そのような事態は避けていかなければならないと思っております。  それから農家消費の問題でございますが、従来から、総生産量の中から集荷されます残りにつきましては、需給計算上農家消費その他ということで流通外に考えておるわけでございますが、この数量の中に実際農家の消費に充てられない部分が相当あるのではないかという御指摘がございます。この数量につきましては必ずしも正確な把握がされておりませんが、われわれは約百万トン近いものがあるのではないかというふうに推定をいたしております。したがいまして、この百万トンの中におきましては、直接農家が親戚、知人等に贈与するような米もあるわけでございますが、それ以外に不正規に回るものがないとは言い切れないと考えております。  今後できるだけ集荷力を強めることによりまして、流通に回るものは流通に回していくというふうに考えていく必要があると思うわけでございますが、一方、農家の親戚、知人等に対する縁故米につきましては、これを個人別に全部チェックをするといっても実際上不可能でございますから、これは譲渡を認めていくというふうに考えておるわけでございますが、その場合におきましても、この縁故米に名をかりた不正規流通が行われないように十分流通面での監視、規制を強めてまいりたいというふうに考えております。
  125. 米沢隆

    米沢委員 大臣にちょっと聞かしていただきたいのでありますが、いま例の逆ざやが毎年縮まっておりますね。最終的にこの売買逆ざやというのがなくなってしまいますと、これは競争力としては一緒になりますね。そうなったときに、どっちにいっても一緒だということになれば、これはまたやみに入っていく可能性のある問題だと私は思いますね。そういう意味で、売買逆ざやというのは財政の問題からはある程度の縮小はやむを得ないと私は思いますけれども、しかし逆に全然ゼロになるということは問題である。したがって、適正な売買逆ざやを確保するということが不正規流通を防止する意味では将来的には大事な問題ではないかと思うのですが、いかがでしょう。
  126. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 その点は、財政問題もあろうかと思いますけれども生産者米価の決定につきましては、食管法によって「生産費及物価其ノ他ノ経済事情ヲ参酌シ米穀ノ再生産ヲ確保スルコトヲ旨トシテ」決める。また四条には「家計費及物価其ノ他ノ経済事情ヲ参酌シ消費者家計ヲ安定セシムルコトヲ旨」とす、これで決めるわけですから、これがぴたっと一致すれば、うまく調整してそこに中間経費を考えていけば逆ざやは出てこぬわけですね。ところがそういう点は、やはり消費者生産者米価がいつもバランスのとれるような、逆ざやの起きないようにうまく決められるということはなかなか困難であろう。そういう意味において、逆ざやをできるだけ少なくするということは望ましいのかもしれませんけれども、やはり一般管理経費ぐらいはこれはどうしても逆ざやが出てくるというのはやむを得ないのじゃないかなという感じがいたします。
  127. 米沢隆

    米沢委員 いままでは食管法そのものが実態に合わない規制をやっておりましたから、みんなで守らなければこわくないというかっこうでみんな違反をやっておったわけですね。今回からは流通ルート特定される、あるいは不正規流通を許さない、守られる食管にしようということでございますから、かなりの監視の目がない限り不正規流通を防止するという意味ではやっかいな、あるいは大変な仕事がここに付加されてきたと私は思うのです。そういう意味で、具体的に不正規流通行為の取り締まりをどんなかっこうでやっていこうとされるのか。これは大事な問題ですね。警察の方、来ておられると思いますが、そのあたりの取り締まり体制をどう確保されるのかという問題。  もう一つは、現に御承知のとおり、神奈川あたりでは三千軒ぐらいの正規登録米穀店があり、大体それと同数ぐらいのやみ販売者がおる、こう言うのですね。ここらは一挙に違反者になってくるわけですね。現にそこで飯を食っておる連中なんですね。経過措置を含めて行政指導で、そこらを立ち退きというのか、やめさせていくのか、一挙に取り締まりの対象にしていくのか、そこらは、やみ業者といえどもそれで飯を食っていると思いますと、現在までの法律がそもそもおかしかったわけですから、どうも情において忍びがたい部分もあるわけでございます。したがって、ある程度の経過措置を含めて行政指導でそこらを解消さしていくという方法がとられねばならないと思うのですね。そのあたりを一体どういうふうに考えておられるのか。  あるいは新聞なんかを読みますと、いままでの産地直結、生産消費とを直結した生協活動なんかで、無公害の米だとか農薬を使わない米だとか、そのあたりは、法律のたてまえからしたら公然と違法を犯して、しかし守られない法律でありますから、そこはあたりまえのこととしてやってこられた、そこらを一網打尽にやろうとなると問題があるのじゃないか、こう思うのです。そのあたりも含めて、どういうかっこうで取り締まりをされるのか、経過措置を含むのか含まないのか、一体現在までのやみ業者をどうするのか、説明してもらいたいと思います。
  128. 松本作衞

    松本(作)政府委員 食糧庁としての考え方を申し上げたいと思いますが、今後食管法を適正に守っていきますために不正規流通の取り締まりというものは厳正に実施していかなければならないと考えておるわけでございます。そのためには、まずできるだけ不正規流通米の発生を防止していくということに努力をしていかなければならないというふうに考えておりまして、需給均衡を図り、また流通ルート規制を明確にしていくというような措置を講じてまいりたいと思うわけでございます。  ただいま御指摘がありました、現在相当程度不正規流通が行われておる、これをどうするのかということでございますが、今後販売業者についての許可制の運用に当たりまして、この許可の条件といたしまして遵法要件というものも加えて考えていきたいと思っておりますので、不正規の業者というものが当然に認められていくというふうには考えておらないわけでございます。この新たな許可の際にはできるだけ厳正な態度で臨みたいというふうに考えておりますが、一方において消費者需要に対応した適正な販売組織というものが必要になってまいりますので、消費者の必要とする販売店の位置としてどのような位置を考えたらいいのかというような問題については、新規参入の問題として考えてまいりたい。  新規参入の問題といたしましては、従来の業務との継続性ということも考えます一方、商業調整的な関係に相なりますので、その商業調整についての仕組み考えまして、地域における実態に沿った新規参入が可能となるように今後指導をしてまいりたいというふうに考えております。  それから、御指摘がありました産直の問題でございますが、従来から消費者の必要とする特定の米を産地から直接購入をするというようなルートがあるわけでございます。多くの場合、これは自主流通ルートを通じて実施をいたしておりますので、この自主流通ルートを通ずる特定されたルートに乗って、また全体計画の中に位置づけられた産直であれば、今後もこれは継続して差し支えないものというふうに考えておるわけでございますが、産直という名をかりて不正規流通が行われる場合には、こういった正規の自主流通ルートに乗った産直に切りかえてもらうように指導をしてまいりたいというふうに考えております。
  129. 本多義光

    ○本多説明員 警察としましては、所管行政庁とよく連絡いたしまして、その所管行政庁がいろいろおやりになります行政措置が効果が上がりますように、米穀の正常な流通を著しく阻害するような事犯を重点にいたしまして取り締まりをしていく、そのように考えております。
  130. 米沢隆

    米沢委員 できれば警察が出てこないことが一番いいわけでありますから、行政努力を第一義的に考えて不正規流通米を発生させない、そこに全力を挙げていただきたい。  それから最後になりますけれども食管制度の改革という観点で、いま御承知のとおり行政改革がフィーバーいたしておりますから、かなりやり玉に上がることは事実でございます。大蔵省が昨年でしたか出されました歳出百科、これあたりを見ますと、食管制度の改善を図る課題として、一つは米の需給均衡を回復するため、米の生産調整数量の拡大、価格数量の両面における生産抑制的な運用を図ることが必要である、こういうふうに書いてあるわけですけれども基本計画において、こういう観点を貫くような、そういうこれから先の折衝がなされていくのか、大蔵省に聞きたいと思います。  それから財政負担の軽減を図る見地から、米麦の価格関係のあり方について検討し、政府管理経費の節減合理化の必要性を指摘いたしておるわけですが、具体的にはどういうことを大蔵省は言おうとしておるのか、その点聞かしてもらいたい。  それから行管庁として、いまから第二臨調の答申に向けて作業がなされておりますが、この第二臨調とは全然別個の問題として、従来まで食管にかかわる行政監察というのをやっておりますね。そこで問題になっているのは一体どういうことであったのか、それに対して行政管理庁として、どういうかっこうで食管を改善した方がいいというふうな意見を持っておられるのか、両面から聞かしてもらいたい。
  131. 的場順三

    ○的場説明員 お尋ねは二点でございますが、一つ需給均衡させるために、基本計画の策定に当たって大蔵省はそういう方向で農林水産省と折衝するのかどうかということでございます。これは御承知のとおり、五十六年度から生産調整の二期対策が実施されておりまして、その面で総量としての需給均衡するという形になっております。食管として幾らを買い、自主流通米としてどうするかという点については、その年々の作柄等も見ながら決めるわけでございますが、御指摘のような方向で食糧庁と御相談したいと思っております。  それから管理経費でございますが、これは一つは事務人件費等がございますし、それから米の管理に伴います運賃あるいは保管料その他もろもろの経費、それに金利等がございます。金利につきましては全体の金融政策との関連がございますけれども、その他の経費につきましては、これは極力節約をしていただくように、また定員について行管とも御相談しながら、農林省とも御相談しながら、定員の縮減等を行うことによって事務人件費についても節減合理化を図っていく。いずれにしても予算編成の段階一つ一つ具体的に御相談させていただきたいというふうに考えております。
  132. 塚原喜朗

    ○塚原説明員 御説明申し上げます。  私ども行政管理庁では数次にわたって食糧管理制度についての監察を行っておりますが、食糧管理制度そのものを真正面から監察いたしましたのは、昭和四十三年度における監察でございまして、この場合は政府米の運送、保管の合理化とかあるいは検査、買い入れの合理化等について勧告をいたしております。  その後、昭和四十九年度に許認可行政の監察ということで、配給業務にかかわる行政監察を実施しております。この結果は、四十九年の十一月に行政監理委員会の答申として、米穀類販売業者の登録事務の簡素化あるいは搗精業者の登録事務の簡素化、米飯提供業者についての登録の廃止等について提言をしております。  その後、五十一年度に米の検査関係につきまして行政監察を行っております。この結果につきましては、五十二年の七月に行政監理委員会の答申が出ております。その内容は、検査体制の見直し、それから検査等級区分の簡素化、抽出検査の推進、検査手数料の適正化あるいは売り渡し事務手続の簡素化、こういうことでございます。
  133. 米沢隆

    米沢委員 もう時間もありませんので、余り詳しく御質問できませんが、いま、くしくも大蔵省の方から、いま農林省がつくられようとする基本計画にはいわゆる行革的な感覚のものを入れてもらうように折衝するのだ、こういう話がありましたね。結局、先ほどから農林省の方は、基本計画というものは生産調整的なものに直接つながるような議論は全然しないのだというようなことで答弁は逃げておりますね。ところが、実際は折衝されるのは、具体的には大蔵省あたりとの金の折衝をされる場合には、基本計画そのものに生産調整的なものを入れてもらいたいとか、米価の問題とも絡んでその基本計画に盛り込んでもらうようにいま話をするのだという答弁ですよ。大変矛盾しておるわけですね。一体守り切れるのですか、農林省。あるいは基本計画の策定については、まさにこれは大蔵省とは全然関係のないものとしてつくられるのですか、実際。そこをはっきりしていただきたい。
  134. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 農林水産省としては、農林水産省の考え方立場において物事を進めてまいりたいと思います。
  135. 米沢隆

    米沢委員 いろいろとまだ質問を残しましたけれども、今後この食管制度が、守られる食管として、そしてまた生産者流通業者あるいは消費者等々、かなり利害の錯綜する分野の調整もありますから、ぜひ御検討いただきたいと思います。  終わります。
  136. 菊池福治郎

    ○菊池委員長代理 この際、暫時休憩いたします。     午後零時二十七分休憩      ————◇—————     午後一時三十二分開議
  137. 田邉國男

    田邉委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。木村守男君。
  138. 木村守男

    ○木村(守)委員 食管法が昭和十七年に制定されて以来、国民生活の安定に果たした役割りはきわめて大きいものがあると思います。特に主食の米で安定的供給食糧の確保があったことのその経済的な役割り、民生安定に寄与したことは高く評価されるものだと思うわけであります。今日、米は三百八十四万戸の農家が生産し、農家総生産額の三七%を占めていると理解しております。中でも二百八十三万戸の農家が販売し、米の販売額においては二兆五千億円に達しているのが現況であります。これは当然自主流通米を含むわけでありますが、この米が国民の食生活のカロリーのうち三割を担っているわけでありまして、今日の改正に当たり、食管制度についてはきわめて大事なものがあると私は改めて理解しているわけであります。  そこで、大臣にお尋ねいたしますが、この際改めて素朴な質問でございまして恐縮でありますが、食管制度根幹とは何なのか、この点をまずお聞かせ願いたいと思います。
  139. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 食管制度根幹とは、国民基本的な食糧であります米の必要量を確保し、国民経済の安定を図るため政府が米の需給及び価格調整をして、米の流通について必要な規制を行うこと、こういうふうに考えております。しかしながら、現行食管制度食糧不足時を前提として、特に配給制度による量的な公平配分という考えに立っていることから、このままでは昨今の需給事情などに即応し切れないという問題が出てきておる、こういう事情にありますために改正法を出したわけであります。しかし、先ほど申し上げたように根幹は変えません、こういうことで提案をいたしておる次第でございます。
  140. 木村守男

    ○木村(守)委員 根幹は変えないという大臣の御答弁ですが、その根幹というのは、かつて昭和四十五年、政府においては食管制度根幹についての統一見解を出された経緯がございます。その統一見解当時と今日では食管を取り巻く情勢はきわめて変化をいたしてきている。ただいまの大臣答弁の中でもそれが示唆されたようでもあります。今回の法改正もその辺のあらわれになっておるわけでありますが、そうすると根幹は四十五年当時の政府統一見解といささかも今日なお変わらない、そのように受けとめてよろしゅうございますか。
  141. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 食管法の制定された当時の目的、ここに根幹が明示されてあるというふうに理解しているわけです。先ほど申し上げたように「国民食糧ノ確保及国民経済ノ安定ヲ図ル為食糧管理シ其ノ需給価格調整並ニ配給統制ヲ行フコトヲ目的トス」、これが食管根幹である、この目的を達成するために生産者価格をどうする、消費者価格をどうする、全量管理をするというような手法が生まれてきておる、こういうふうに理解しておるわけでありまして、この一条の目的を達成するための手法、これが世に全量管理とかいうふうに指摘されておる点であり、今回の改正案についてはいささかもその根幹を変えるという考え方はとっておらない、こういうことでございます。
  142. 木村守男

    ○木村(守)委員 さらにこの機会にお尋ねしておきますが、そうしますと、水田利用再編対策が進められているわけですけれども、これの目標年次までに順調にいくと見て、そういう時代になってなお根幹は当然堅持されていく、こうも受けとめておいてよろしゅうございますか。
  143. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 十年後どういうふうになるか、そのころでもやはり食糧管理制度はその根幹を維持していくのかどうかというお尋ねかと思いますが、私は、このまま進めばやはりそうあった方が日本のためになるのではないかな、こう考えますね。というのは、戦後の三十六年間の動きをずっと見てきておりますと、食糧管理制度に対してもいろいろな発想がなされ、いろいろな批判が起き、そのときどきにおいて食管制度の改革が叫ばれたこともありましたけれども、その根幹を変えないでやってきたことが今日の日本をつくり上げるために大きな力になってきた、こう言うことができるわけでありますので、これから十年後を予測してみましても、私はやはり根幹は変えない方が日本のためになる、こういう見方をいたしております。
  144. 木村守男

    ○木村(守)委員 いま大臣から四十五年当時の政府統一見解と変わらないという答弁をいただきましたけれども、長官にも念のために伺います。私は当然守ってもらわなければならないという立場でお尋ねしたわけですが、今度の改正案を踏まえて、なお運用の任に当たる長官におかれてもその辺の決意のほどをまずお聞かせ願いたいと思います。
  145. 松本作衞

    松本(作)政府委員 ただいま大臣からお答え申し上げましたとおり、今回の食管法改正におきましても従来からの食管法根幹を変える考え方はございませんので、この考え方に即して改正法の運用に当たりたいと考えております。ただ、表現の問題でございますが、従来根幹を示しております第一条の目的のところで「配給統制」という用語を使っておりましたけれども、今回これを「流通規制」というふうに改めましたのは、「配給統制」というのはいわゆる不足時だけについての考え方でございますから、過不足両様の事態に対応するということを考えますと、より広い概念であります「流通規制」ということが妥当であるということで表現を変えておりますけれども、精神においては変わるところがないというふうに思っております。
  146. 木村守男

    ○木村(守)委員 次に、第二次臨調が設置されて七月中には中間答申が出されるとスケジュールを聞いておりますが、その際、行財政改革と食管制度、その運営とのかかわり、これがどう出てこようとしているのか、そして、食管がまず取り上げられているようですが、今回の改正との関係はどのように受けとめるべきなのか。出されてくるものによってはまた法改正なりがあり得るのかどうかをも含んでお答え願いたいと思います。
  147. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 私は、ここで審議されていただいておりますもの以上のものが第二臨調から出てくるとはとてもとても考えられませんですね。私ども責任を持ち、議員の諸先生方からもいろいろと御審議をいただいておるものでありますから、私はここで審議されているもの以上の答申が具体的に出てくるとは予測はできない、こう思います。  それと、第二臨調との関係はどうかということでありますけれども、第二臨調がああいう体制をとる、答申をするというようなことが全くわからないときに私は農林水産大臣に就任いたしたわけであります。私は就任する前から、農林水産大臣に就任したら食管法は少なくとも事実と法律と乖離している分、合致していない分は直さなければいけないという感じを持っておりましたので、就任早々、あらかたの方々の合意ができる点は改正すべきである、こういうことで事務当局といろいろ検討して、そして一応まとまりましたのでただいま御審議いただいておる改正案を提案をさしていただいた、こういうことでございます。
  148. 木村守男

    ○木村(守)委員 いまの大臣のお話ですと、そうすると第二臨調では、財政再建の一環として、具体的にたとえば逆ざやの問題解消ですとかあるいは転作奨励金のカットとか、そういう具体的なことは当然考えられない、こう受けとめておられるわけですか。
  149. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 これは、財政再建の立場からの第二臨調の法律が成立をした経緯はよくわかっております。したがいまして、そういう意味において三Kの問題の一環として、金のかからぬ食管運営をやりなさいというような答申、見方、そういうことは予想はできるわけでございます。     〔委員長退席菊池委員長代理着席〕 その点はわれわれが日ごろ機会あるごとに、またわれわれ農林水産省の責任立場からもできるだけ合理化を図り、そうして健全な食管会計の運営という目標を目指してやっておるわけであります。しかし、御承知のようになかなかいろいろな問題、米の過剰というような問題が出てきまして、いろいろと新たに問題も出てきておるということ等もあり、確かに相当な財政負担をしてきておるわけでありますけれども、その面の合理化なり健全化なりについては第二臨調から言われなくてもやっていかなければならない、これはわれわれの当然の責務でもある、こういうふうな考え方で処理をしておる次第でございます。
  150. 木村守男

    ○木村(守)委員 そうしますと、行財政改革は確かに国を挙げて、農林省たりともこれは理解を示して協力する、一体でやるべきものだとは私どもも思います。しかしながら減反政策に入ってからの農家の実態などを踏まえた場合、大臣のお話ですとそういう具体的なことは、努力してきているのだからそこまでは要請されないのじゃなかろうかというような見きわめもあるやに受けとめておりますが、いまの御答弁ですと、もう一つ伺っておきたいことは、少くとも第二臨調にかかわらず、あるいはそれにもよるのかもしれませんけれども、農林省当局としてはこの逆ざやの解消とか補助金のカットということについて、健全化という名のもとに段階的に解消の方向に行くことがあるのかどうか。そうでなく、水田利用再編対策ということで御協力願っておる、そういう基本的なことを進めるためにはそういう段階的な解消はあり得ないということで進んでもらえるのかどうか。
  151. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 とにかく今日の農政を支えてきたもろもろの施策の実態というものを詳細に分析してまいりますと、それぞれ歴史を持ち、沿革を持ち、そしていろいろの成果をまた上げてきておる補助金であり、しかも生産調整についても第二次の三カ年の計画確立をいたしまして、五十六年度からは第二期対策に入っておるという、農林水産省にとっては大変重大なときにも当たっておるわけであります。したがいまして、これらの補助金も節約をしカットをしようというのは、これは鈴木内閣の大方針でありますから、どうしてもやらにゃいかぬという一面の使命も私どもは負っているわけであります。そこをどううまく農村に不安、動揺を与えずに、しかも今日の農林水産行政を生産意欲を落とさせずにやっていくかということが、五十七年度予算編成に当たって一番大事なことになるであろう、私はこう思っております。したがいまして、その面についてはメニュー方式にするとか、あるいはいろいろ同じような型の補助金を統合をして、しかもその内容にメニュー方式を取り入れて、それによって地域地域の要請にこたえていくといったような合理化を図っていくということでありますとか、あるいはある仕事に対しましては、もう奨励段階を過ぎて実質的にもやっていけるというようなものについては低利長期の融資制度に転換をしていくとか、いろいろ手法はあろうと思います。そういう点を詰めまして、来年度予算の編成に万遺憾なきを期していくということが第二臨調の線に沿っていく根本姿勢であろう、私はこう思っていま寄り寄り省内においても対策確立をしつつあるところでございます。
  152. 木村守男

    ○木村(守)委員 時間が余りないものですから、次の質問に移ります。  基本計画供給計画について、今日の改正需要動向をさらに重視した管理基本としているが、基本計画作成に当たって需要の見通しが供給の見通しを規制し、生産調整そのものに大きく影響を与えることも出てくるのじゃなかろうか、こう考えられるわけですが、その点についてはどうなりますか、長官。
  153. 松本作衞

    松本(作)政府委員 今回樹立しようとしております基本計画におきましては、需給均衡を図る、しかもその需給均衡を、総量だけではなくて品質別内容にわたって図っていこうというような考え方に基づいて樹立されるわけでありますが、この基本計画に基づく需給調整につきましては、一方において需要動向に対応する生産を誘導していきますとともに、他方におきましては、地域ごとの生産実態前提といたしまして、この生産された米を需要と結びつけていくという需要面での開発も必要になってくるかと思いますので、生産面需要面、両面からの需給調整を図っていこうという考え方でございます。
  154. 木村守男

    ○木村(守)委員 具体的な点について少し伺います。  四類、五類米、これは基本計画供給計画においてはどのように位置づけられるというふうに理解したらいいのですか。その四、五類米が、運用の仕方によってはやがて生産制限の方向になりはしないのかどうか、そういう点をはっきりしておいてもらいたい。
  155. 松本作衞

    松本(作)政府委員 基本計画供給計画におきましては、品質別需給考えるわけでございますが、その際には四類、五類という品質に応じた需給調整していこうという考え方でございます。しかし、この四類、五類等は特定地域に限られておるわけでございますので、この生産につきましては、従来から生産調整考え方におきまして地域ごとの生産調整、または米の生産に対する限度量の割り当てというようなことをやっておるわけでございまして、これらの米につきましては一定の生産があるということを前提にして需給調整を図っていくということでございますので、私どもこの基本計画によって四、五類米生産を不当に抑制をしていくということではなくて、むしろこういった米の需要との結びつきを調整していこうということを考えておるわけでございます。
  156. 木村守男

    ○木村(守)委員 そこで、現実の問題として、たとえばいま四、五類米は、青森県の場合四類米は二十六万トン、四百三十万俵です。これには共補償ということで百円を出している、四億三千万円を生産農家が出し合っているわけですね。北海道では、聞くところによると五類のうち三万トンには二百円を出し合っている、今日でもそういう現況にあるわけですよ。まああえて言えば生産農家が一つの犠牲に立っているような姿にもとられるわけです。こういう問題は、たとえば生産者の手取りが低下しているという困難性から来るものなんでしょうけれども、それにしても現実の問題としての現況を考えた場合、全量管理のたてまえ、これをどう整合性づけるのか。いまの長官のお話からいくと四、五類米をある意味では理解をされて、そのためにも留意していくやにお答えがあったようですけれども、ではこういう角度から言った場合はどうなるのかですね。
  157. 松本作衞

    松本(作)政府委員 現在、自主流通米生産者団体と実需者団体との間において流通されておるわけでございますが、この自主流通米によりまして品質に応じた需要の拡大ということが実現されておるわけでございます。従来四、五類米につきましては政府需給操作の範囲内ではどうしても過剰になりがちであるという実態があったわけでございますが、従来四、五類米については自主流通という形での生産者販売努力がほとんど行われておりませんでしたので、他の都道府県における自主流通米による販売努力と同様に、四、五類米についても生産者団体販売努力によって市場の拡大、確保ということを図るという考え方はいかがであろうかというようなことにつきまして生産県の関係者方々とお話し合いをしました結果、昨年度から四類米、五類米についても自主流通という形で市場の開拓に努力をしてみようということで合意がされましたので、政府といたしましても特別自主流通米に対する助成ということで助成をいたしまして、今後の四、五類米の市場開拓のための援助をいたしておるところでございます。  したがいまして、この四、五類米特別自主流通米につきましても、一般の自主流通米と同様にこれは全量政府管理の枠内で処理をしておるわけでございますので、こういった考え方は今後とも変えないつもりでございまして、そういう意味からも基本計画供給計画等において明確に位置づけをしてまいりたいと考えておるわけでございます。
  158. 木村守男

    ○木村(守)委員 それでは、そういういままでのお話でございますとこの際改めてお尋ねいたしますが、今回の法改正では自主流通米を政令事項から第三条ただし書きに位置づけられました。その理由とねらいは何なんでしょうか。
  159. 松本作衞

    松本(作)政府委員 自主流通米につきましては、従来からも消費者生産者にとってそれぞれ重要な役割りを果たしてきておるわけでございますし、また数量におきましても流通量の三分の一程度を占めてきておるわけでございます。この自主流通米は従来から政府全量管理の枠内に位置づけられておるわけでございますが、法律上の規定といたしましては必ずしも明確ではございませんでしたので、今回この性格法律上明確にするということで「消費者ニ対シ計画的ニ適正且円滑ナル供給が為サルルモノトシテ政令ノ定ムル所ニ依リ政府以外」に売り渡すものであるというような定義づけを明確にいたしますとともに、基本計画及び供給計画の中におきましてその数量を明確にすることによりまして、先ほど来申しております全量管理としての枠内にあることを明確にしたわけでございます。これによって自主流通米政府管理の中においてしかるべき役割りを適正に果たしていくことが担保されたものというふうに考えておるわけでございます。
  160. 木村守男

    ○木村(守)委員 それから、この機会にお尋ねしておきたいのですが、先ほどの長官の答弁の中にも、補助金が出されているという話でございます。そのとおりでございまして、特別自主流通奨励金、千八百五十円ということですが、これは、これから米価が決まって、その前に臨調、米価というスケジュールを踏まなければ、きょうの段階ではまだはっきりしたことは出ないと思いますけれども、ことしも、五十六年産米についても当然考えてもらわなければ困るわけですが、その見通しについてお答え願います。
  161. 松本作衞

    松本(作)政府委員 自主流通米に対する助成も前年に引き続きまして継続していく考え方でございます。
  162. 木村守男

    ○木村(守)委員 世界の食糧事情の中期的見通しというものはきわめて厳しいという大まかな見きわめを残念ながら持たざるを得ない段階に入っているようですが、さきの国会では食糧自給力の向上に関する決議がなされました。この食管改正に当たってもあの国会決議というものはきわめて重要視しなければいけない。そこで、せっかく大臣出席ですから伺います。  自給力の向上という大きな使命を農林省は持っているわけですけれども、今回の法改正を踏まえて、将来の自給率の向上へ大臣はどのように方針を貫くのか、決意のほどを伺いたいと思います。
  163. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 昨年食糧自給力強化の御決議が当委員会並びに衆議院、参議院両院の本会議で議決をされたわけでありまして、私といたしましては、国権の最高機関の国会の御意思というものが明確にされた以上、その線を実行すべく努力することが行政府の長であります農林水産大臣責任である、こういう理解の仕方をいたしまして、就任以来今日まで努力をいたしておるところでございます。  この食管法改正につきましても、米の過剰ぎみの中で生産調整を行いながら国民食糧を充足する、しかもできるだけ合理的に経済的に考えなければならないという立場で、米の需給のバランスをとりながらこの食管法というものを健全なものとしてやっていくことも、やはり食糧生産にいそしむ農家の立場強化にも通ずる、こういうことで改正案を提案をしておる次第でございます。  したがいまして、農産物、林産物あるいは水産物をめぐる日本の情勢はまことに厳しいわけでありまするから、国内生産に対しましてはやはり応分の適時適切なる国家投資を続行いたしますとともに、外国からの輸入問題等につきましてはこれまた真剣に相手国と十分話し合いをして、そうしてできるだけ相手国の了解を得ながら外国農産物のこれ以上の増大を防止をしてまいるということ、さらに水産関係の漁獲資源の確保のための漁場の維持というような点につきましては、やはり積極的な水産外交を展開いたしまして、そうして国民のたん白資源の確保を図ってまいるというような方針で進みたい、こう考えております。  と同時に、先ほどの私の答弁で、実は旧法の目的を申し上げたわけでありますが、「配給」というような昔の言葉、今度の改正案では「流通規制」というふうにいたしまして、むしろ範囲を広くしておりますので、この点を訂正させていただきます。
  164. 木村守男

    ○木村(守)委員 行財政改革という時代にも入りましたし、そういう認識の上に立った場合、みずから農林省が努力をしていく、そして主食米を中心とする管理にかかわる食管法改正という審議に入っているわけですが、その間水田利用再編対策というものが農家に強いられてきております。そういうことなどを踏まえた場合、やはり政策的に原点に立ち返って適地適作の農政をやらなければいけない、私はそう考えます。転作をやるといっても転作作目が定着しない、そういうやれない地域とか、あるいは逆に米が適しているところをも転作させるということはまたよろしくない。そういう意味での、地域などを重視しながら適地適作の農林政策をこの際もう一回高く評価して、そして政策を基本的に打ち立て直していく、そういう方向での御努力大臣あるいは長官にお願いしたいと思います。  これについての答弁は要りません。御苦労さまでございました。
  165. 菊池福治郎

    ○菊池委員長代理 野間友一君。
  166. 野間友一

    ○野間委員 標準価格米についてまずお伺いをしたいと思います。昭和四十七年の物統令適用廃止のときに臨時的な経過措置として設けられて今日に至っており、一定の役割りは果たしておるということは私も承知しておりますが、この標準価格米、いまでも購入の割合が二七%というふうに私は承知しております。  ところで、今度の改正でこの標準価格米制度はどうなるのかということを大変消費者も心配をしておるわけでありますが、六日の本委員会において寺前議員の質問に対しまして、長官は当面廃止しないというふうに答弁をされております。この当面廃止しないということは、廃止を前提にしてまあ当面、こういうのが答弁の趣旨からうかがわれるわけですが、廃止をするという前提答弁されたのかどうか、当面とは一体何を指すのか、お答えいただきたいと思います。
  167. 松本作衞

    松本(作)政府委員 標準価格米につきましては、物価統制令の適用を廃止しました際の臨時的な経過措置として設けられたというような経緯がございます。それからまた、他の米との価格関係というものが米の品質別需給の中で変わってくるというような事情考えられますので、将来にわたってこの標準価格米を絶対的にこのまま維持するのかどうかということについてはなお検討すべき余地があるというふうに考えておりますけれども、現在におきましては、この標準価格米が一般消費者の間に定着をしてきておるというような事情考えまして、今回の法律改正に関連してこれを廃止するというような考えはございません。したがいまして、そういう意味も含めまして当面この制度を存続していく考えであるということを申し上げた次第でございます。
  168. 野間友一

    ○野間委員 いま全国平均が二七%ですね、こういうものを将来の方向を検討する一つの目安にしてやるというようなことは考えているのかどうか、その点どうでしょう。
  169. 松本作衞

    松本(作)政府委員 消費者の米に対する消費の傾向は少しずつ変わってきておりまして、いわゆる標準価格米に相当する中米に対する需要も年々減少していく傾向があるわけでございますが、今後こういった消費動向も見定めながら標準価格米のあり方も考えていきたいと思っております。
  170. 野間友一

    ○野間委員 次に、自主流通米についてお伺いします。  今度の法改正の中で、私ども自主流通米について法的な根拠を与えたと思うのです。そして実質的には部分管理がさらに進むということが予測されるわけです。現在、政府米と自主流通米との割合が二対一ということになっておりますが、これまた寺前議員の質問に対しまして長官は、この比率が大きく逆転することは好ましくないというふうに答えておられますが、このことが一体どういう意味を持つのか、たとえば二対一が一対二になることを指しているのかあるいは一対一くらいならいいというような考え方なのか、ひとつ具体的にお伺いしたいと思います。     〔菊池委員長代理退席、委員長着席〕  それから関連して、この自主流通米というのは農民とかあるいは農協、いわゆる生産者側の自発的な選択にゆだねられる。好ましくないということが前提となる以上、具体的ないまの実態、そういうものを存続させる手だてはあるのかないのか、あるとすればどういう方法でやるのか、これについてお伺いしたいと思います。
  171. 松本作衞

    松本(作)政府委員 自主流通米につきましては、今回の法律におきましてその性格づけを明確にいたしますとともに、基本計画供給計画等におきまして数量面におきましてもその位置づけを明確にしようとしておるわけでございます。  先般の寺前議員の御質問に対しまして、この自主流通米につきましては現在の比率が大きく変化することはないであろうということを申し上げたわけでございますが、私ども現在までの自主流通米に対する消費者需要動向、それからまた五十三年、五十四年産米におきまして自主流通がむしろ過剰になりまして特別販売をしたというような経過等からいたしまして、この自主流通米の比率が現在の需給事情のもとで大きく変化することはないというふうに思っておりますし、また、今後の自主流通米のあり方としても、この関係が大きく変化することは望ましくないと考えておるわけでございます。  それではどれだけの数量がいいのか、半々がいいのかどうかというようなことにつきましては、自主流通米につきましては消費者需要動向ないしは需給動向、良質米についての供給の可能性というようなことも考えなければなりませんので、ここで一律に何割ずつであればいいかというふうには決めかねるわけでございます。今後の年々の基本計画なり供給計画の中において数量が明示されるわけでございますから、この運用において適切なバランスがとれるように考えてまいりたいと思っております。  それからまた、自主流通計画のことであろうと思いますが、これにつきましては、今後の自主流通米の運用に当たりましても農林水産大臣の認可ということで運営をしてまいりたい、このことによりまして、法律に明記してあります「計画的二」という点を守っていくようにしていきたいというふうに考えております。
  172. 野間友一

    ○野間委員 四条に関連してお伺いをしますが、入札の問題です。  これまた長官は、主食用米には適用しない、こういう答弁をされております。しかしこの四条を読む限り、法文上限定される、そういう保証は全くないわけですね。そればかりか、農水省の改正法案の検討過程で、たとえば人気のない米あるいは需要が強く平等割りでやるしかないような米、そういう場合には主食用米であっても入札の対象にもなり得るというような検討の経過を私も承知しておりますが、この主食用米には適用しないということ、これは、そういう議論の経過を踏まえていま農水省の見解としてはそういうふうに固まったものであるかどうか、この点についてのお伺いと、私が懸念しますのは、米の流れだけではなくて、価格の面でも、入札制度を使うことによって非常に変動させることが今度の改正で可能になったのではないかと思うのです。この四条の三項が、随意契約の場合も、競争入札、競争契約の場合でも、いずれも適用される。しかも「消費者家計ヲ安定セシムルコトヲ」云々、この三項は当然主食用の米についても当てはまるわけですから、そういう懸念を持つのは当然だと思いますが、この点はいかがでしょうか。
  173. 松本作衞

    松本(作)政府委員 今回の政府の売却の規定でございますが、従来はこの売却の方法が必ずしも法律上明確ではございませんでしたので、今回の法律改正によりまして政府米売却の原則は随意契約であるということを明らかにいたしますとともに、この随意契約によることが不適当の場合ということで、例外的に入札制をとることができるというふうに規定をしたところであります。  したがいまして、今回の入札制は、通常の主食用等の売却において政府の定められた価格に基づいて売却することが不適当な場合というふうに限定をしてございますので、古米の処理というような加工用やえさ用に処理をするような場合にこの競争入札の規定が適用されるということは、法律上からも明らかになってくるものと考えております。私どもは、現在の消費者家計を安定することを旨として主食用に売却するものについては、当然随意契約によって売却すべきであって、それによることが不適当な場合ということは、それ以外の古米等の売却の場合に適用されるものというふうに考えておりまして、これが現在の私ども考え方でございます。
  174. 野間友一

    ○野間委員 ただ、申し上げるように、法律的には主食用の米についても適用できる、こういうたてまえでしょう。したがって、いま長官が答弁されたように主食用の米については適用しないとしても、一たん法律ができた以上、将来の運用上、主食用米についても法上何ら問題ではないということになって、これが価格自由化という一つの突破口にされるということに道を開くのじゃないか、私はそう懸念するのですけれども、そういうような不安やおそれはないのかどうか、再度答弁を求めたいと思います。
  175. 松本作衞

    松本(作)政府委員 先ほど申し上げましたように、今回の規定は、随意契約によることが不適当な場合に競争契約ができるということになっておるわけでございまして、主食用の米につきましては、消費者家計の安定を旨として定められた価格で売り払うということが法律上も規定されておるわけでございますから、この考え方は当然、決まった価格で売り払う随意契約の考え方になるというふうに考えておりまして、これによることが不適当の場合というのは、先ほど申しましたように古米の処理というような場合に適用されるということが法律上の考え方からも出てまいるというふうに考えておるわけでございます。
  176. 野間友一

    ○野間委員 いや、それは法の読み方というより書き方ですね。それなら私はおかしいと思うのですね。「前項ノ標準売渡価格」でしょう。「前項」というのは二項ですね、二項は一項を受けるわけですから、一項には随意契約だけに限るというようなたてまえになっていないわけですね。これは、随意契約も競争契約もいずれも入っておるわけですね。もし長官が答えるようなことが今度の改正の趣旨であるとするならば、そういうことを明記するべきでありまして、この法のたてまえからすればいま私が言ったような解釈をするのが当然なんですね、これは明らかに私の解釈がこの四条からは当然出てくるということで、この不安やあるいは懸念を払拭することはできないわけですが、当面、いま長官はそういうふうに答弁されておりますので、それはそうお聞きしておきますけれども。  次に、やみの流通について質問を進めてみたいと思いますが、この実態法律との乖離、これは大臣もしょっちゅう今度の法改正の理由として言っておられます。いわゆる守られる食管、こう言っておられますね。私も、乖離があるということは、これはもちろん否定をするものではないわけですが、その最大のものは、現行法が厳しく禁止しておりますはずのいわゆる不正規流通、やみ流通、これに大きな問題があると私は思うのですね。  そこで、まずお伺いしたいのは、未検査米の出回り、あるいは正規の流通ルートから横流れしたもの、三つ目としては、無登録で米の集荷と販売を行っておることの実態、さらに四つ目は、登録業者であってやみ行為を行っておる者の実態、こういうものについては実態を把握されておるのかどうか、この点についてお伺いしたいと思います。
  177. 松本作衞

    松本(作)政府委員 農家の段階から流れ出るいわゆる未検査米の数量につきましては、私ども必ずしも正確につかんでおらないわけでございますが、生産量から正規の出回り量及び農家の自家消費量として充てられたと推計されるものを除きますと、平年であれば約百万トン程度のものが未検査米として流通しておるのではないかと考えられます。ただ、その中には農家が親戚、知人等に譲渡する縁故米のようなものが含まれておりますから、これがすべてやみ米であるというふうには考えておらないわけでございますが、こういったものがやみに流れる実態があることも否定し得ないと思っております。  それからまた、登録業者の中からいわゆる検査をした米についてのやみというものも流れ出ておるという事情も予想されるわけでございますが、これにつきましては、その実態の把握が現在までのところ一層困難になっておるわけでございます。
  178. 野間友一

    ○野間委員 一つは、いま平年で未検査米は百万トンと言われましたが、農水省からもらった資料によりますと、推定未検査米数量として、百万トンでなくて、たとえば三十五年百三十三、五十年百十六、五十二年百三十九、五十三年百五十一、五十四年百三十九。百万トンを下回ったのは、四十年八十五、四十五年九十一、五十一年七十五、これだけですね。これはわざわざ農水省からもらった資料に基づいて私は申し上げておるわけですね。したがって、平年作の場合、これは縁故米も含めてですけれども、やはり百万トンを大きく上回っておるわけですね。  そこでお聞きしますけれども、このうちで、縁故米もありますけれども、いわゆる不正規米として流通しておるのは大体どのぐらいの割合か推定されておりますか。
  179. 松本作衞

    松本(作)政府委員 ただいま御指摘がありましたように、私が約百万トンと申しましたのは平年ベースで申し上げたわけでございますが、五十二年、五十三年、五十四年と比較的作況がよかったために、百万トンを超える未検査米が出たという推計がされておるわけでございます。  このうちどの程度がいわゆる縁故米を除いたものになるのかということにつきましては、私ども把握をしておりませんのでなかなか申し上げられないわけでございますが、通常縁故米として五、六十万トンぐらいがあるのではないかというふうに見込んでおりますので、残余のものがいわゆる不正規米に流れていたのではないかと推定されるわけでございます。     〔委員長退席菊池委員長代理着席
  180. 野間友一

    ○野間委員 この五、六十万トンは縁故米。そうすると、これを差し引いても六十万トンとか七十万トン、あるいはそれ以上というような、かなりのものが不正規に流れているということが推定されるわけですね。  そこでお聞きしたいのは、この量の重さというか大きさですが、東京都の年間の米の販売量は一体どのぐらいあるのか、これと比較してどうなのか。
  181. 松本作衞

    松本(作)政府委員 五十六米穀年度の見込みでございますが、東京都の年間の販売量は約七十四万トン程度に見込んでおります。
  182. 野間友一

    ○野間委員 そうしますと、この大きさというものは年間に東京都で消費する量に匹敵するものが市場に出回っておるということが農水省の推定でも出てくる。これは大変なことなんですね。  大臣はたしかこの前の委員会で——長官でしたか、この自由米を予約限度数量に取り込むべきだという寺前議員の質問に対しまして、不正規米の数量はきちんと押さえていない、取り込みはむずかしいとか、あるいは販売業者の方から不正規流通規制することによって抑えることができるとかいう答弁をされておったと思いますけれども大臣、お聞きのとおりこれは大変な量になるわけですね。  しかも、これが結局市場に出回って、消費者がこれを購入しておるわけでしょう。私は、これは大変なことになると思うのです。したがって、これは決して米があり余ってあれこれでなくて、消費者が全部これを消費しているわけですから、当然それだけ需要があるということになりますから、これを実態を正確に把握して、やはりこのいま申し上げた予約限度数量に取り込むべきじゃないか。末端から実態を把握していくのだとおっしゃいますけれども、したところで、結局その川上まで行きましても、川上では、出てきた、捨てるあるいは不正規に流すということはできないわけですから、したがって、不正規な流通であってもこれは消費者の手元で消費されておるということが実情ですから、これを正確に把握をして、この分を限度数量に加えるということが必要じゃないかと私は思いますが、この点について大臣の御答弁をお伺いしたいと思います。
  183. 松本作衞

    松本(作)政府委員 私どもも、今後農家の段階からの不正規米の流出というものをできるだけ食いとめていかなければならないというふうに考えておりますが、従来、長年にわたりまして地域において浸透をするような形で農家から出ていっておる米というものがあるわけでございますので、この米についての集荷力を強めていくということが重要であると考えております。従来までの集荷は、集荷業者が非常に努力をしていただいておりますが、それでもいま言ったような集荷に乗ってこない米が出ておるわけでございますので、今後一層この集荷力を強めていくということが重要である。それによってこういった米の流出を防止するようにしていかなければならないと考えておる次第でございます。
  184. 野間友一

    ○野間委員 私の質問に正確に答えていないと思うのです。つまり、私は実態を申し上げたわけですね。しかもこれは決して農家は捨てていない。そんなばかなことをするはずがない。これが市場に回って消費者消費の対象になっておるわけですね。しかもこの量が、いま申し上げたように東京都で年間消費する量に匹敵するものが回っているということになりましたら、正確にこの実態把握をして、正規のルートに乗せていくということを当然とらなければ、いろいろなそれこそ流通の中での乖離が生じてくるのは当然だと私は思うのです。これはどうでしょうか。限度数量に取り入れるべきだと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
  185. 松本作衞

    松本(作)政府委員 ただいま申しましたように、これらの米を限度数量内に入れるためには、まず集荷の中に取り込んでくるような体制が必要でございますので、この集荷力を強めるというような措置を講ずることによって、漸次農家の未検査米についても集荷体制の中へ乗せてくるようにすべきでありまして、直ちにこれをすぐ限度数量に取り入れたから集荷ができるということにはならないものと考えておるわけでございます。
  186. 野間友一

    ○野間委員 だから、そういう姿勢が自由米とかやみ米、後からまた申し上げますけれども、こういうものを放置しておる最大の問題ではなかろうか。つまり、法律でどんなに規制しても、いま実態を正確に把握してないと言いながら、推定した数量についてはいまお答えになった。これを予約限度数量に組み入れろ、これはしない、漸次集荷力を強めていくというふうに言われるだけで、こういう実態を正確に把握しないばかりか、そういうように放置しておられる。このことが不正規米を生み出して、これを放任されておる、そこに農水省の大きな姿勢の問題があるのじゃないか、こう私は言わざるを得ないと思うのですね。農林大臣、いかがですか。
  187. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 長官からお答え申し上げたように、とにかく食管の事業そのものは、今日まで流通業者等は法定されておりませんでした。したがいまして、御指摘を受けるような面があるいはあったかもしれません。しかし今回はそういうことをさらに改善をいたしまして、業界が責任を持ってこの米を適正な流通体系の中に全量乗せて食管制度を健全なものにしていこうということで、流通関係業者の諸君のことも法律によってきちんと規制をしていく、こういう処置をとったわけでございます。     〔菊池委員長代理退席、委員長着席〕  私は、主食がこういうふうに管理されておる中から、特定の人間が食糧を動かして、特に米を動かして高い利潤を上げるというようなことは許されない問題であると日ごろ考えておりまして、こういう問題については、やはり大事なお互いの食糧管理制度でありますから、情報収集と、今回のこの改正案に伴いまして集荷業者販売業者それぞれ責任を持った仕事をしていかなければならないという立場になるわけでありますので、これらの業界の方々はもちろん、一般の方々の御協力もちょうだいして、特に農協、農業団体の協力をちょうだいいたしまして、やはり地方地方に参りますと、だれがやみ米を扱っているのだということはうちうち実はみんな承知をしておるわけでありますけれども、今日までお互いに見て見ないふりをしておるという点なしとしなかったと思うのです。  今回この食管法改正を契機といたしまして、そういう点は、とにかく米によって望外の利潤をむさぼるというような立場の人をつくっていかないように、全量の米を管理制度の中に乗せていくような努力をしてほしいということで、この法律流通業者の許可制と指定制度等を取り入れた、こういうことでございますので、これらの協力を受けまして、そして違法な者に対する処置はやはりきちんと取り締まっていくというふうにしていきたい、こう思っております。
  188. 野間友一

    ○野間委員 誤解されては困るのですけれども、私は農家がやみ流通に流すということの責任を追及しておるのじゃないのです。減反をさせ、そして買い入れを制限する。ところが農家としてはたくさんとりたい、とったものは売りたい。ところが制限されますから売れない。やむを得ずというふうになるわけですね。ですから農家の希望としても、やはりつくったものを買い入れてほしい。ところがそれができませんからこういうところに回ってくる、これが実態なんですね。しかもこれを知りながら、実態を正確に把握しないままに今日に来たというようないままでのことから考えたら、これはきょうやきのうに始まったことではないわけですね。そういう点から考えたら、今度の改正によってこれが正規のルートに正確に乗って、そういうことがなくなるという保証はむずかしい、私はこう言わざるを得ないと思うのです。  時間の関係がありますから次に移りますが、今度は登録業者のやみ流通です。これはいまの長官の答弁の中でも、実態把握されていないということなんですね。当委員会においても大きく問題になったのは名古屋の米常商事の関係でありますけれども、これはいろいろな経過があります。警告書を出し、誓約書を出した。そして農水省としては一定のその後の結末をつけたというふうに考えておられると思いますけれども、その経過と、いまどういう時点にあるのか、その点についてのお答えをいただきたいと思います。
  189. 松本作衞

    松本(作)政府委員 米常事件に対しましては、この不正規販売の事実を確認いたしまして、五十五年の三月に愛知県知事からの行政命令によってこれを中止するようにさせたわけでございますが、その後米常は愛知県に対して不正規販売を中止した旨を申し出ましたので、愛知県がこれを確認いたしましたところ、不正規販売されておった米常ブランドの米は販売されておらないというような実態になったと承知しておるわけでございます。  ところが一方におきまして、従来米常ブランドの米を販売していた店舗で新たに東北食糧の「みちのくライス」という形で販売されておるというような風説が出てまいりましたので、県といたしましてはこの実態を調べたところ、これは役員構成等から見まして、一応従来の米常とは別会社であるというように判断はいたしたわけでございますが、やはり同様の違法行為を行っておる事実が認められましたので、愛知県といたしまして同社に対してもその中止を強く申し出ておるわけでございます。昨年の十二月、本年の三月、四月の三回にわたりまして県に社長を呼びつけまして、不正規流通の中止をするよう口頭で指導をし、さらに二月には部長名で文書により中止の勧告をいたして、鋭意この是正方について指導をしておる段階であるということでございます。
  190. 野間友一

    ○野間委員 そうしますと、東北食糧というのは米常とは全く別会社、そういう判断をされておるわけですか。これの実態をあなた御存じですか。
  191. 松本作衞

    松本(作)政府委員 県からの報告によりますと、役員構成等から見まして一応米常とは別会社であるというような判断をしておると聞いております。
  192. 野間友一

    ○野間委員 私ども名古屋に行きまして調べたわけですが、愛知県の米穀の小売商業組合、こういうところの方にも話を伺ったわけですけれども、これは別会社じゃなくてまさにダミーだというふうに言っておるわけですね。形の上では米常は手を引いておるようですけれども、ところが、この役員の人的構成を見ますと、米常の営業部長が東北食糧の代表者、さらに社員二十名、これも米常の社員だった者がここに行っておるわけですね。またその小売商業組合の発表によりますと、土地と事務所、これも米常のものだと言っておるわけですけれども、こういう実態を正確に調べて役所をせせら笑うかのごとく何度警告してもなか、なか言うことを聞かぬ、あげくの果てには別会社をつくるということを正確に把握しないまま放置しておるということは、私は大変問題だと思うのですね。ですから、いまあなたのおっしゃるのは私どもの調べとはちょっと違うわけですが、再度調査の上で、役所がせせら笑われるようなことのないようにぜひしてほしい、私はこう思いますが、いかがですか。
  193. 松本作衞

    松本(作)政府委員 従来、米常にいた人間が退社をして新しい会社に入ったということは聞いておるわけでございますが、一応退社をしておるので直接の関係は切れたというふうに申し上げたわけでございますが、なお実態につきましては十分調査をさせていただきたいと考えております。
  194. 野間友一

    ○野間委員 何でこういうことを聞くかといいますと、どうも農水省、食糧庁、態度が甘いと申しますか煮え切らない、そういう点から、これは本当に無視され、あざ笑われて、そしていろいろなことが次から次へと波及してくるということを私は特に申し上げたいから言っておるわけなんですね。  また、同じ愛知で聞いてみましても、無登録店は五十三年度で二百六十九店、昭和五十五年度は実に四百七店になっておる。ふえておるわけですね。しかもこの中では「米の大特価」こういうビラまで流されておる。これは登録店ですけれども、私も入手してきました。あるいは牛乳屋さんが米を特売として団地にビラを配る。これはもちろん小売商の中でも一部のいわば不心得な小売商でありますけれども、そういう大きなところがどんなに悪いことをしてもなかなか規制ができない。いまのお話のように東北食糧ができてもこれは別会社だというような観点でおられますから、愛知では次から次へとこういう不心得な人が出てくる。  さすが小売組合のいろいろな抗議の中で、いま申し上げた大特価、これはやめたそうですけれども、これを見ましても、ササニシキ、コシヒカリを十キロで三千九百五十円、約千円弱の割引で販売しておるわけですね。こういうことがビラで堂々とまかり通る、こういうことがあるから私は執拗にいまお聞きしているわけです。こういう実態をいいと思われるのかあるいはよくないと思われるのか、これは聞かなくてもおわかりのとおりですけれども実態はこういうことがあるから聞いておるわけで、これについて長官どうお考えになるのか。
  195. 松本作衞

    松本(作)政府委員 従来、食管法内容におきまして、たてまえと実態との食い違いがありましたために、必ずしも食管法が一般に守られておらない、そのことのために食管法についての規制、取り締まりがともすれば緩みがちになりまして、不正規流通が行われてきたものに対して十分な指導、チェックができなかったという点は私どもも率直に反省をしておるわけでございます。  今回の法律改正を契機といたしましてこの法律がだれもが守れる法律にしていくということでございますので、今後はこの不正規流通につきましても厳正な態度で臨むようにしてまいりたいと思っております。そのためには、やはり不正規流通の発生を防いでいくということが必要でございますので、これに必要な需給均衡なり、消費者に対して不正規流通米に目を向けなくてもいいだけの適切な正規米の流通を確保する、ないしは流通業者につきましても、先ほど大臣申し上げましたように法律上の地位と責任を明確にいたしまして、責任を持って適正な流通をしてもらうというようなことも考えますとともに、米の流通につきましての情報をできるだけ正確に把握するようにいたしまして、こういった不正規米の流通についての十分な監視体制をとるようにしてまいりたいと考えておるわけでございます。
  196. 野間友一

    ○野間委員 お役所の形式的な答弁を聞いておったって説得力ないですよ、実際これはあるのですから。こういう実態がたくさんあるにもかかわらずいままで放置されてきたというところに大きな問題があるわけです。  しかも、大阪の場合には愛知よりさらにまた進んでおると言われております。つまり卒業しておるわけですね。大阪で調べてみますと登録小売が四千百店、これに無登録が千五百から二千店、つまり登録店の約半数に上っております。しかも大阪の特徴は、卸が肩入れをしまして二十から三十社の大型小売が幅をきかしておる。そして、これらが言わば仲卸の役割りをしまして登録店あるいは無登録店、これを含めて小売を支配しておるというのが現状なんですね。大阪のある卸の幹部、これは大阪第一食糧のある人ですが、この人の話によりますと、われわれは食管法改正の先取りをして、いわゆる沖繩型を目指している、こう言っているわけですね。つまり沖繩の場合には御案内のように卸、仲卸、小売、この三段階ですね、小売はもちろん自由化でしょう、これを目指してすでに大阪ではいろいろないま申し上げたようなことが行われておる。  こういう中で、いろいろな事例を挙げて恐縮ですけれども「商経アドバイス」という新聞があります。これは自由米の新聞ですが、五十六年一月八日付、これに幸福米穀というところが大きな広告を載せているわけです。これを見ましたら、主要仕入れ先として「大阪中央米穀株式会社 大阪第一食糧事業協同組合 その他約百社」、堂々と大きな広告が載せられているわけですね。こういう実態をどうごらんになるのか、ひとつお答えいただきたいと思います。
  197. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 そういう事態がもう目に余るような状態にまでなってきておるということが、法律とその事実との乖離という、一つの大きな実例をお示しいただいたわけでございます。そういうことを続けてまいりますと、本当に食管法に基づいて、そして政府の方針に従ってまじめに流通機構の仕事をやっている人が、わずかな手数料で非常に苦しい経営をしていかなければならぬ、一方、勝手ほうだいなことをして相当な利潤を上げておるというようなことを放置をしておけば、やはり食管法の存在そのものにも大きな影響を及ぼしてくるということを考えて、流通業者法律的な足場を与え、そして名古屋の米常というのですか、そういう関係で一般にお米屋さんをやっている方々の話も十分聞きました。そうしてみますと、もう非常にいい方々ばかりといいますか、向こうの口の達者な頭の回りの早い連中には一人一人ではとても太刀打ちできないような善良な方々が非常に多い、ほとんどがそうであるような感じを受けたわけです。そういう方々にも、とにかく食糧管理法改正をして皆さん方の仕事に法律的なバックを置いて、そしてそういう政府の言うことを聞かぬ者はぴしっと取り締まるから団結をしながらやってくださいということを言って、本人たちもそうしていただければということで帰っていった例も私は経験いたしております。  そういう意味においては、やはり今回の法改正を契機といたしまして法律的根拠を与える、その法の運営のよろしきを得ることによって、さらにはその法を守らない人たちには厳しい取り締まりをもって臨んで、まあ一遍にこれを改善するということは容易じゃないということは承知いたしておりますけれども、これは長く食糧管理制度というものを健全に維持、培養していくという、またそのことが国民の食生活の安定的確保に通ずるのだということをやはり私どもは銘記をして、根気強く体制の改善を図っていかなければならない、こんなふうに考えております。
  198. 野間友一

    ○野間委員 いまの大臣や長官の答弁を聞いておりますと、いまはできないけれども今度の改正に、そういうふうに私は聞こえてしようがないわけ七すね。ところが、実際にはそうではなくて、やる気があればいまの中でもできるわけでしょう。これはやってないわけですね。  たとえば縁故米のように、確かに形式的とか実質的な理由がある場合にはともかくとして、大量の、しかも正規の、あるいは不正規のそういう一部の方が公然と印刷文書に広告まで載せる、そして堂々と営利行為をやっている、これは全然取り締まっていない。いまでもやろうと思えばできるわけでしょう。その点を私は問題にしておるわけですね。  この幸福米穀の中でも、主要仕入れ先が約百社、いま申し上げたように中央米穀あるいは大阪第一食糧、これは挙げてあります。そのほか約百社、これは一体、こんな仕入れができるのですか。しかも第一食糧の中には、糧友会の名簿などを見ますと農水省から天下りでここへ行っておる人もあるわけですね。こういう人がおるところ、こういうところも含めた主要仕入れ先約百社から堂々とこういう営利行為をやっておる。私はやはりそういう点から考えて、農水省のいままでの姿勢、やろうと思えばいまできるわけですから、それをやっていないところに問題があるのです。それをやらずに今後改正したら云々と言われても全く国民に対して説得力がない、私はこう言わざるを得ないと思うのです。  ですから、乖離があり、これは現状に会わせなければならぬ、こう言われます。しかしその乖離としても、私は縁故米等々そういうようなものについてはともかくとしても、こういう大々的なものをいままでほうっておいて野放しにしておるということになりますと、恐らく今度の改正の中でも十分これらの是正が保証されるものがないのじゃないか、こう言わざるを得ないと思うのです。  次にお聞きしますけれども、無登録の純然たるやみ業者の問題でありますが、関米商というのがありますね。関東普通外米雑穀商業協同組合、これはモチ米の統制撤廃の要望書を農林省に対して昨年の十月に出しております。「農水大臣に要望」として、米穀新聞ですか、これに出ておりますけれども、この中を読みましても、食管法の米穀類の流通に対する欠陥に着目して、米穀類の品質に合致させた価格と合理的な流通を熱望して、日本経済新聞に自由米相場の情報を提供したということを、実は誇らしげに書いているわけですね。これは関東です。こういうものも公然とまかり通っておる。愛知でしかり、大阪でしかり、関東でもしかりなんですね。  これは農水大臣にもこういう要望書が出されておるから、農水省は百も御存じのはずだと思うのです。こういう点から考えてみましても、私はやはりいまの姿勢というものは大変なことだ、こう言わざるを得ないと思うのです。この関米商も、これはほとんどがいわゆる無登録の人たちの集まりで、いま会員が三十八名、これを百名にする、こう言っておるわけですね。そして四条による入札制度が開放されるということを大変期待している、こういうことも書いてあるわけであります。こうなりますと、本当にまじめな登録業者もたまったものではない。  そこで私はお伺いしたいのは、こういう実態を正確に把握する、そして今度登録から許可制度に変わるわけでありますが、無登録店、こういう大々的なものが不正規なことをやっておるということを調べた上で、こういう人たちに対しては当然排除の措置をとらなければならぬ、こう思いますが、いかがでしょうか。あるいはいま幾つかの名前を挙げましたけれども、こういうところに対してはどう対応されるのか、この点について明確な答えをいただきたいと思います。
  199. 松本作衞

    松本(作)政府委員 今回の販売業者に対する許可制を実施いたします際の許可の要件といたしまして、その中で遵法要件というものも明確にしていきたいと考えておりますので、ただいま御指摘があったような問題も含め、この許可の実施に当たりましては厳正に対処してまいりたいというふうに考えております。
  200. 野間友一

    ○野間委員 米転がしというのが現実に言われるわけです。とにかくいまの乖離の一つの問題としては、食管制度の一定の硬直化、硬直性ということも私は否定するわけではありませんが、やはり問題は投機あるいは米転がし、この側面が非常に強い。特にことしのような新米が不足というような事態の中では一層これが増幅されておる、こう思うわけです。  これまた、お持ちしておりますが、これは同じものです。富山のコシヒカリ、これは生産者の水稲ウルチ玄米、五十五年度産のものですが、これに富山米、富山コシヒカリ、こういうものがついた、三枚でワンセットになっておるわけですね。これとこれとは全く同一のものです。  これはなぜ私は示すかといいますと、こちらは正規の卸業者から小売が買ったものです。ところがある小売の業者が卸のところに、需要があるから同じ富山のコシヒカリが欲しいと注文した。ところが昨年の実績しかもうだめだから、これはもうだめですと断られた。そこでやむを得ず、消費者のニーズにこたえなければならぬということで今度は別のところから入手してきた、袋も私、部屋に置いておりますが、袋も全く同一、それについてる絵符、これも全く同一なんですね。ですから、これを見ても、これが不正規流通でこれは正規流通ということはここでは言えないわけですけれども、同じものが片方では正規の米ですよ、正規の卸から小売へ入ってくる、ところが片方ではそうでなくて横から入ってくる、こういうことになっておるわけですね。  しかも、六十キロ二万一千円ですね、普通の正規のルートで手に入れたのは。ないからということで心ならずも横から同じものを入れた。これは二万四千円あるいは二万五千円、こういうことになっておるわけですね。つまり政府が買い上げて正規のルートを卸していく、これが途中でどこかへ流れてまたこういうところに入ってくる。ここで二万一千円のものが二万四千円、二万五千円のものになってくる。ところが小売にしましたら、これは顧客との関係では高く売れないわけですね。これはやみで買ってきたから高く売るというわけにいきませんね。それだけ損をしなければならぬ。  こういう愛知での調査の中で、私もこういうものをいただいて、また話も聞き、訴えも聞いてきたわけですけれども、つまりこの中で申し上げたいのは、正規のルートをたどったものでも横に流れて、そして消費者の手元へ入ってくるというのがずいぶんあるということ、こう思うわけですね。先ほど冒頭に長官は未検米の推定は言われました。ところがそれ以外には実態把握していない、こう言われた。ところが、私ども一日、二日とちょっと回るだけでもこういう資料があちこちから集まるわけですね。つまり、やろうとすればいつでもできることがいままで放置されてきた、ここに問題があると思うのです。しかもいま申し上げたように、米の転がし、投機、これがすでに始まっておる、こういう実態についてこれは把握をなぜしないのか、いまからでも遅くありません。してないとすれば早急に実態把握して、これらの不正規なものは、投機や転がしはやめさせるということは当然じゃないかと思いますが、その点いかがでしょう。
  201. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 その点については御指摘のとおりだと私も考えます。とにかく先ほど申し上げましたとおり、制度に従ってまじめにやっている関係者方々が非常な苦労をして、そうしてその裏をくぐってやる連中がナウな生活をするということは絶対に許されるべきものじゃないわけでありますので、その点は本法成立をさしていただけたならば、その趣旨の徹底を図りますと同時に、何といっても現状を十二分に把握しなければいけませんので、その点は食糧庁を通じまして、やはり食糧庁の職員諸君にも、この食管制度を守るという立場から全国民の公務員としての責任を果たすというために、具体的な指導を私の方からも長官を通じてきちんとやらしていきたい、こう考えます。
  202. 野間友一

    ○野間委員 長官にお聞きしたいのですが、「商経アドバイス」これは米穀、穀物、飼料、食品、肥料、燃料、これの新聞のようですが、「商経アドバイス」という新聞を、御存じかどうか、いかがですか。
  203. 松本作衞

    松本(作)政府委員 承知しております。
  204. 野間友一

    ○野間委員 ことしの四月二十三日、これの「時の声」というところに「現在自由米市場で取引されている米は、ほとんど自主流通米の一等、二等米である。」公然とやはり活字になってこれが出ているわけです。これは次から次と追い打ちをかけるようで大変恐縮ですけれども、こんなことがまかり通っておるわけでしょう。全部自主流通米だとはっきり新聞の中に活字で書いてあるわけです、あなたが御存じの新聞の中で。やはり実態がこうでありますから、こういう実態の中でいままでこれは放置されてきたということになりますと、しかも、いまの法律の中でもできるわけです。これがされていない。これは大臣がどんなに答弁されても、私どもはなかなかそのとおり受けとめることはできない。改正されたら云々と何度も言われます。私も執拗に聞きますけれども、しかし、いまでもやろうと思えばできるわけですから、私はこの点についてやはり食糧庁に対して、大臣もいま言われましたけれども、きちっと転がしや投機がないようにしなければなりませんし、そのためにひとつ再度督励をお願いしたいと思います。商社に対しては一指も触れさせない、こう大臣も言われました。しかし、商社と米の関係については現状がどうなっておるのか、これは御承知なら教えていただきたいと思います。
  205. 松本作衞

    松本(作)政府委員 商社が米を一般的に扱うということは認められておらないわけでございますので、通常の、いわゆる従来の登録業者の中に商社が入っておることはないというふうに承知しております。  ただ、モチ米、酒米等を業者が購入をする際に、買い入れの代理業務を商社に頼むというような形で米を扱っている場合はあるというふうに承知をいたしております。
  206. 野間友一

    ○野間委員 かつて丸紅のモチ米の扱いの問題、私も当時物特でやったわけです。これも農水省からいただいた資料ですが、特定の商社の名前は挙げてありませんが、それぞれ米に関するセクションをこれらの商社は持っております。いま言われたように、酒米あるいはモチ米、こういうものを扱っている、こういうことでありますが、これはやはり商社としても、米についてはそれぞれが商売をしておるわけです。  そこで、これまた愛知の例を挙げて恐縮ですが、トーメンの一〇〇%出資の子会社で中部食糧というのがあるわけです。これは東京に営業所がありますし、仙台にも、トーメンの営業所の中にあるわけですが、一体中部食糧というのはどういうものかということで、いろいろ愛知の方でこれまた小売の組合の皆さんから聞いたわけです。米屋としては余語商店株式会社、これは正規の登録店のようですが、実際に愛知へ行って小売商の組合員の人に聞きますと、トーメンがバックのやみ屋というふうにこの中部食糧を呼んでいるわけです。こういう実態については御存じなのかどうか。私もきょうは正確な証拠は持っておりませんけれども、このトーメンが一〇〇%出資した中部食糧が余語商店をダミーとしていろいろなことをやっている。不正規流通をやっている。これを何とかならぬかという声も非常に強いわけですけれども、こういう点についてはどうお考えなのか。
  207. 中山昇

    ○中山説明員 中部食糧株式会社というものについて、私どもそういう会社があるということは承知をいたしておりまして、トーメン系列の子会社というふうには承知をいたしております。  その業務内容につきましては、雑穀等の穀物の取引きを行うあるいは酒米等の代行事務を行うというふうには聞いておりまするけれども、ただいま御指摘のようなやみを扱っているかどうかという点については、私どもも承知をいたしておりません。
  208. 野間友一

    ○野間委員 愛知のいま申し上げた小売の組合の人から聞きますと、いま申し上げたように余語商店ですね、これは正規の登録店のようですけれども、これを一つのダミーにして中部食糧がいま申し上げたような不正規な流通の商いをしておると、愛知ではそう言っておるわけです。これも確かに、丸紅の例のモチ米の買い占めから商社は後退したと言われておりますし、私もそういう傾向があることは認めるわけですけれども、ただ、やはりこの食管法改正を当て込んで、価格の面でも流れの面でもいろいろな問題があります。こういう中で商社としては、今後のいろいろな問題を展望しながら、米を扱うというような動きをいま示しておるのじゃないか、こういうふうに私は思うわけです。大臣は、商社には一指も触れさせないというふうにこの間の答弁でもおっしゃっております。しかし、事務当局、食糧庁長官でも何でもそうですけれども、一遍こういう点について実態を正確に把握して、不正規流通と商社との関係を洗う必要があるのではないか。  いま私、一つの例を申し上げましたけれども、ほかにも、これは悪いことをしているとかしてないとかは関係ありませんが、たとえば新潟県米、これは三井物産が出資しておりますし、それから千葉にはイワサフナショクというのがありますが、これは日商岩井の出資ですね。これはやはり米関係の商売をしているわけですけれども、これからはこういうものは出てくるのじゃないか。特に酒米、モチ米、これらの全流通量の約一二%をいま扱っておると思うのです。しかもこれがどこか途中で横流れするということもよく言われております。したがいまして、いまの実態を把握して、こういうことのないように、大臣は一指も触れさせないと言われておるわけでありますから、そのためには、前提としての事実関係を正確に把握する、問題点を正確に捕捉するということが必要だと私は思うのです。それに対してどう対応されるのか、その点についてもお答えいただきたいと思います。
  209. 松本作衞

    松本(作)政府委員 そういった実態について、問題がないかどうかをできるだけ調査するようにしていきたいと考えております。
  210. 野間友一

    ○野間委員 次にお聞きしたいのは、いま申し上げた川上かち川下までいろいろな機構、部署がありますが、食糧庁のいわゆる天下り一私は天下りが全部悪いとかいいとか、決してそういう評価をこの場でするものではないわけですけれども、糧友会というOBの会がありますね。この名簿を洗って整理してみますと、米関係だけでも三百人近くが民間の企業あるいは団体に天下りをしておる。いま例を挙げました中部食糧に二人、あるいは大阪の第一食糧にも二人、天下りをしておるわけですね。食糧庁におった人が民間にいま勤務しておるわけであります。ですから、そうなりますと、本当に規制しようと思えば、これはプロ、専門家ですからできるわけです。逆に、上司、上下の関係で、お目こぼしなりあるいは見逃す、そういうことをしようと思えばこれまたできるわけなんです。  ちょっと整理をしてみますと、糧友会の名簿から拾い出してみたのですけれども、糧友会の中で会員が八百二十三名、そのうちの三百二名が米関係の企業や団体へ天下っておる。これを一部ちょっと大臣に渡してください。——いま糧友会の名簿から整理したらそういう数になるわけです。しかも、この中で、いま申し上げた幾つかの、不正規な行為を行っておるやに疑惑の持たれるところにも天下りしておる。こうなりますと、事は単に民間の会社や団体だけの問題じゃないと思うのです。したがって、農水省としても、そういう実態を踏まえながら、たくさんの人が民間に行っておりますから、不正規なそういう行為のないように、厳しく対応、指導されるべきじゃないかと思いますが、その点についていかがでしょう。
  211. 松本作衞

    松本(作)政府委員 食糧庁に在籍した職員が、退職後、米関係の団体、企業に就職しておるということは御指摘のとおりの事実がございます。この点につきましては、食糧庁といたしまして、できるだけ人員の新陳代謝を図るということで、退職の勧奨をいたしておるわけでございますので、その場合に、民間からの希望によっていわゆる関係会社等に就職するということはやむを得ない事情があるかと考えておるわけでございます。  ただ、この再就職先につきましては、御指摘がありましたように、いわゆる癒着関係等が発生しませんように、公務の中立性の確保という観点から、就職以前に関係のあった就職先につきましては、国家公務員法ないしは人事院規則等によりまして差し控えさせておりますので、できるだけ再就職につきましては適正を期しておる次第でございます。今後も、この再就職といわゆる業務の適正、公平な実施との間にいやしくも問題が生ずることがないように、十分に配慮してまいりたいと考えます。
  212. 野間友一

    ○野間委員 この点について大臣、どういう御感想をお持ちなのか、つまり不正規な流通を取り締まるという点からお答えいただきたいと思うのです。
  213. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 いま食糧庁長官から答弁申し上げたのに尽きるわけでありますけれども、やはり農林水産省といたしましても勧奨退職ということもやっておりますので、再就職ということも考えていかなければならない、こういうことになりますと、いま資料を拝見しましたように、それぞれのところで、第二の就職先を求めてそこで勤務しておる、これはもう食糧庁だけではなくて、官公吏に共通する問題でございます。  二十年あるいは二十五年と長い間国家公務員として勤務したその人は、やはりそこの間において、勤務中に公務員としての、公平に仕事をするという訓練を受けて世に出るわけでありますから、そういう意味においては比較的評価も高いし、再就職の機会も多いのではないか、こういう考えも成り立つわけでございますので、そういう方々に対しては、いま長官から言ったように、公務員として食糧庁に勤務中にいろいろとそういう誘惑に巻き込まれないように、公務員としての仕事をきちんとするようにということをかねがね日常教育をし、訓練をいたしておるわけでございますので、私も就任と同時に、そういう誘惑に負けないような公務員としての適切なる環境づくりに努力をするということを申し上げたわけでございます。  そういう面においても私どもは、天下りということで批判をすると同時に、やはり公務員の現実というものも十分考えて、それに対する対応もきちんとしていかなければならぬというふうに考えます。
  214. 野間友一

    ○野間委員 第二の出発をされる職員の人、これは私は当然だと思うのですね。ただ申し上げたように、川上から川下までいろいろなセクションにおられるわけですから、やはり模範を示して、食管法を厳守していくというふうな指導を私はお願いしておるということをつけ加えておきます。  次に、静岡の食糧事務所の問題について法務省に聞く予定にしておりましたけれども、時間がありませんので別の質問として、流通問題に返りましてお伺いしておきたいと思いますが、最低取扱数量以下の業者扱いをどうするのかということです。  私、この間も地元和歌山の業者あるいは東京の業者の人とも懇談をしてきたわけですが、非常に心配をしておるわけですね。七日の参考人の意見聴取の中でも懸念が表明されておりますし、食糧庁の人に委員会外でもお聞きしたわけですが、米の安定供給のため流通ルート特定しており、独占的地位を与えているので、一定の経営基盤あるいは信用を持つ必要がある、その観点から見れば余りにも取り扱いが少ない業者は問題がある、こう言われております。そうなりますと、多分六千百業者ですね、その中には今回許可しないという人も出てくるのじゃないかという懸念を業者が持つのは私は当然だと思うのですね。食糧庁の資料でも、最低取扱数量以下の業者は全国で六千百軒ですか、そういうふうに私は聞いておりますが。
  215. 松本作衞

    松本(作)政府委員 最低取扱数量以下の業者数としては、六千百というふうに把握いたしております。
  216. 野間友一

    ○野間委員 しかもこの最低取扱数量は、四十四年以降ですか、たしか変わってないというふうに私は聞いておりますが、米の消費も減っておる、しかも不正規な流通が商系の中へ入っておるというふうなことからこういう事態が出てきておると私は思うわけですが、今回、こういう既存の登録店、いま申し上げた最低取扱数量以下の業者に対する対応についてどうされるのか、これをお聞きしておきたいと思います。
  217. 松本作衞

    松本(作)政府委員 今回許可制を実施いたします際の許可の要件といたしましては、経験の要件であるとか信用の要件であるとか遵法要件であるとかいうものと並んで、設備なり規模の要件ということも考えてまいりたいと思っております。  その場合に、ただいま御指摘がありましたように、非常に零細な業者についてどうするかというような問題につきましては、一方においては、やはり適正な販売業務を営んでいただくに足る体質の強化をしていただかなければなりませんので、そういう意味での規模の充実ということを図ってもらわなければならないと考えておりますけれども、他方におきましては、そういった努力を行うにいたしましても直ちにそれができるということでもないかと思いますし、そういった現在との継続性というようなことも考えて配慮をしなければならないというふうに考えますので、具体的に判断をしてまいりたいというふうに思っております。
  218. 野間友一

    ○野間委員 ぜひ切り捨てることのないように要望しておきたいと思います。  それから、時間が来ましたので最後に卸売と小売との結びつきについてお伺いをしておきますが、参事官の阪田さんが全農の経済連米穀部長会議に出席されまして、「消費については複数卸を実施し、東京、大阪から開始したい。また、産地においては卸間売買を公認するとの方針を説明した」これが五十六年四月九日付の「商経アドバイス」という業界紙に載っておりますけれども、卸、小売の結びつきについてどう対応されるのか、お聞かせいただきたいと思います。
  219. 松本作衞

    松本(作)政府委員 今回の法律改正によりまして、できる限り消費者需要動向に即した流通販売が確保されるようにということを考えておるわけでございますが、その場合に、小売段階における品ぞろえを整えるというようなことのために現在の卸、小売の結びつきの関係でいいのかどうかということについて現在検討しておるわけでございまして、現時点におきましてまだ具体的な案を固めるまでには至っておらないわけでございます。
  220. 野間友一

    ○野間委員 阪田さんはそういう方向で検討中だということを説明されたようですけれども、ではこういう方向で検討中というふうにお聞きしておいていいわけですか。
  221. 松本作衞

    松本(作)政府委員 検討の内容といたしましてそういう点も含めて考えておるわけでございますが、一方におきまして従来の制度との継続性というようなことも考えていかなければなりませんので、両面から検討しておる次第でございます。
  222. 野間友一

    ○野間委員 まだまだ問題はありますけれども、時間が参りましたので、これで終わりたいと思います。
  223. 田邉國男

    田邉委員長 松沢俊昭君。
  224. 松沢俊昭

    ○松沢委員 一番最後の質問ということになりますが、まず私のお伺いしたいのは、今回のこの法の一部改正、確かに言われるとおり、制度と現実というのが乖離をしてきた、だからその部分を現状追認をやって、流通秩序が乱れてきているのをもう一回立て直すのであるという御答弁のようでありますが、どういうわけで制度と現実というのが乖離したのであるか、その点、経過を含めまして御説明を願いたいと思います。
  225. 松本作衞

    松本(作)政府委員 この食管法につきましては昭和十七年に制定されたわけでございますが、その時点におきましてはいわゆる食糧不足統制経済の時代でございますから、その当時にできました食管法の骨格は、不足時代に食糧をできるだけ公平に配分するという考え方に基づいて法の体系ができておるわけでございます。  その後、経済情勢、食糧事情の変化に対応いたしまして、現行法律のもとで改定できる部分につきましては改定をし、運用面での改善を図ってまいったわけでございまして、その過程におきまして自主流通米の制定でありますとか、小売と消費者との結びつきの廃止でありますとか、または品質別価格制度でありますとか、さらには限度数量の制定というようなことで、食糧需給事情実態に合った改善をしてまいったわけでございますが、この法律基本であります流通面におきましては、配給制度というものを前提にして組み立てられておりまして、現在の法律によりますと、この流通につきましては、配給計画配給割り当てに基づいて行政庁の指示によって米が消費者まで割り当てられ、その割り当てられたものを基準にして流通業界が米を配給をするというような仕組みになっておるわけでございまして、この点は変わっておらないわけでございます。  しかし、現在の需給実態からいたしまして、また消費者消費動向からいたしまして、このような画一的な配給統制ということは実態にそぐわない状態になってきておりますので、すでに十年以上前から漸次配給割り当てという仕組みが守られがたい制度になってきておるわけでございます。配給通帳というものもほとんどどの家庭でも使われないままに流通が行われているということがございまして、このような点が特に実態法律のたてまえが乖離した内容になっておると考えております。
  226. 松沢俊昭

    ○松沢委員 昭和四十四年の三月、ここで食管法施行令の改正が行われまして、そして外食券だとか米穀類特別購入切符、そういうものの廃止、それから消費者と小売業者との結びつき登録の廃止、小売販売業者と卸売販売業者との結びつき登録の改善、それから人口急増地域におけるところの小売販売業者の新規参入、これが四十四年の三月、それから四十六年の二月には買い入れ限度数量の導入、こういうふうにして変化が起きてまいりまして、四十七年の二月には、物価統制令の適用廃止、これに伴うところの販売業者制度改正、そして最近におきましてはペナルティー減反、こういうことで、ずっと変わってきておるわけなんであります。  そのたびごとに私たちは、たとえば自主流通米制度というのが導入されるということはやはり食管根幹に触れるということになるのではないか、あるいはまた、買い入れ限度数量の導入、これも結果といたしましてはやみというものが出ることになるのではないか、あるいはまた、無理な減反ということになりますと、当然のことながら、仮に減反したとしましても、減反した分は減反しないところのたんぼから米を上げなければならない、こういうことになれば、これもまた、政府限度数量の枠を狭めるわけなんでありますから、当然よそに売らなければならない、こういうような状態で、食管根幹がだんだん崩れ、空洞化してきたということになるわけなんであります。つまり、食管制度と現実の乖離、乖離したところの最大の責任者というのはやはり政府であるのではないか、こういうぐあいに私は考えるわけなんでありますが、どうでしょうか。
  227. 松本作衞

    松本(作)政府委員 先ほど申しましたように、食管法が制定されまして以降、経済事情食糧事情、特に食糧需給事情が大幅に変わってまいりましたので、そういった実態に合わせて食管の運営をしてまいったということが、ただいま御指摘のあったようないろいろな改善点になっておったと思うわけでございます。こういった改善を行うことによりまして、むしろ食糧管理制度は現在まで条件の変化の中で維持してこれたものと考えておるわけでございますが、私どもとしていままでとってまいりました措置は、やはり現在の食管法法律の中で読み得る最大限のところまで運営上の改善をしてきたものと考えておるわけでございます。
  228. 松沢俊昭

    ○松沢委員 いままでの説明からいたしますと、つまり「配給統制」というのが「流通規制」に変わった、しかし内容の面においてはほとんどいままでと変わりがない。あるいはまた、自主流通米というものがいままでは法定化されておらなかった、しかし、それをいままでもやってきたのであるから、これを法定化した、したがってそれは変わりがない。ただ変わっているというのは、配給通帳の廃止、それから縁故米、要するにこれを認めるという程度のものであるということであるとするならば、何もそういま急いで食管改正案をここに出さなくとも済むのじゃないかと私は思うわけなんであります。  内容が大きく変わっていくようにしたいために改正案を出したということであれば意味も通るわけなんでありますが、ところが、いままでとほとんど変わりのないような制度でいくということになれば、別に法律改正の必要はないじゃないか、こう思いますが、どうでしょうか。
  229. 松本作衞

    松本(作)政府委員 先ほど申しましたように、現在まで法律の範囲内で改善できる点はいろいろと措置を講じてきたわけでございますが、先ほど申しましたいわゆる配給ないしはそれに伴います購入通帳等の規制につきましては、やはり現行食管法におきましてはそのとおりのものが維持されておるわけでございます。ところが実態からしますと、こういうふうな配給割り当てでありますとか購入券、通帳による売買というようなことは、実態として守られがたいような状態になっておりますので、こういう点を改善をいたしまして、適正な流通法律に沿ってできるようにしていきたいということが今度の改正一つ内容考えておるわけでございますので、その意味では現状追認という面もあるわけでございますが、やはりこの法律を明確にすることによって、またこの法律をだれもが守れるような制度にすることによりまして、現在までいろいろと問題が指摘されております食管制度を再構築し、それによってこの食管制度が持っておる生産者に対しまた消費者に対する役割りを十分に果たしていけるような体制にしていきたいと考えたわけでございます。
  230. 松沢俊昭

    ○松沢委員 自主流通米が導入されるときにおきましても、ここでいろいろと議論をやったのです。それは、法律改正をやらぬ限りにおいては、政令ではやれないのじゃないか、当時の渡辺農林政務次官とここでこういう一問一答をしたことを私は覚えているわけなんです。ああいう大きな問題が法律改正なくしてやれる、あるいは限度数量の問題にいたしましても、やはり全部政府に売り渡さなければならないとちゃんと決まっているわけなんです、それも政令をつくって、そして買い入れ限度数量というのを決めたわけなんです。  そういうことであるとするならば、配給の通帳の廃止だとか縁故米ぐらいは政令によってできるのじゃないですか。ああいう大きな問題すら、法律改正しなくてもできると言って皆さん押し切ってきたわけなんです。なぜ今度、要するに通帳だとか縁故米、そういうものを改正する場合においては法律改正しなければならぬのか、私は納得いかぬわけなんです。どういうことなんでしょうか。
  231. 松本作衞

    松本(作)政府委員 従来運営上実施をしてまいりました自主流通米等につきましては、これは食管法の中で「命令ヲ以テ定ムルモノヲ政府ニ売渡スベシ」ということになっておるわけでございますので、この「命令ヲ以テ定ムルモノ」という考え方の中で運用上の措置としてできるということをいままでも申しておるわけでございますが、今回改正をお願いしております配給計画配給割り当てまたは購入券による売買ということは法律上はっきりと定められておりまして、米の流通につきましてはこういった仕組みによって規制をされておるというのが法律上のたてまえでございます。したがいまして、法律を直さない限りは、やはり正式には購入通帳によって米の売買がなされなければならないということになっておりますので、これを政令等で直すということはできないわけでございます。したがって法律改正をお願いしておる次第でございます。
  232. 松沢俊昭

    ○松沢委員 通帳はそれとしても、縁故米はどうなるのですか。やはり法律改正をしなければだめなんですか。
  233. 松本作衞

    松本(作)政府委員 縁故米につきましては、これは法律問題というよりもむしろ運用上の問題でございまして、従来政令によりまして流通規制がすべてかかっておりましたので、生産者でありましょうと、または米を保有しておるどんな人でも、何人も米の流通を農林大臣の許可なしに行ってはいけないということになっておるわけでございますが、この点につきまして、個人間の無償譲渡のようなものまで規制をするということは実際上困難でございますし、また、今回の法律改正によりまして流通ルート特定いたし、また流通業者についての責任を明確にいたしますとともに、取り締まりの体制も明確にしていくというような措置を講ずることにいたしましたのと、また一方において、いわゆる個人間の消費者段階における米の消費内容について、消費の方法についての規制を取りやめることにいたしましたので、それとの関係でこういつた個人間の無償譲渡についての農林大臣による特別の許可というようなものは取り外してもいいのではないかということで、今回の法律改正の全体との関係でそういった運用上の措置をとってまいりたいということでございます。
  234. 松沢俊昭

    ○松沢委員 私は行革絡みという感じでこれを受け取っておるわけなんですが、御承知のように財界の方ではしばしば食管の問題に関しまして提言が出されているわけなんです。つまり、これは前々から大蔵委員会などにおきましても、一の型から四の型まで検討をされております。それからまた、日経調等におきましてもクーポン券制度というようなものを提言しておられるわけなんです。そういうことで、率直に申し上げますと、安上がりな食糧管理の体制をどういうふうにしてつくったらいいかという提言にこれらの提言はなっているわけであります。  今回、第二次臨時行政調査会が動き出しているわけなんでありますが、私の仄聞するところによりますと、いま農林水産省関係で一番やり玉に上がっているのがこの食糧管理の問題、それからもう一つは、農民に非常に関係ありますところの専売のたばこの問題、こういうのがやり玉に上がっている、そういうことを仄聞しておりますので、そういう絡みから急遽この一部改正案というのが出されたように私は感じざるを得ないわけなんでありますが、その点は一体どうなっておるのですか。聞くところによりますと、各省の意見というものも臨調が聞くということになっているそうでありますが、そのところにこの問題というのが出てくるのではないかと思いますので、お伺いをしたいと思います。
  235. 松本作衞

    松本(作)政府委員 私ども食管法改正問題は従来から長年にわたってその改善を検討してきたわけでございますが、特に最近におきまして、食糧の安全保障という中において食糧管理制度というものをより実態に合った健全なものに再編成をしていく必要があるというふうに考えておりまして、二年ほど前から食管法改正につきまして検討し、関係方々とも御意見を交えてこの改善案を練ってきた経過があるわけでございまして、私ども、経過といたしまして、行政改革が出てきたからにわかに食管法改正考え出したということではございませんで、あくまでも食糧管理制度本来の必要に基づいて改正案を検討してきたわけでございます。  ただ、この食管法改正によりまして今後食管制度が健全に運営されるということになりますれば、このことは現在第二次臨調で検討しております行政改革なり財政の合理化というような方向と合致するものであるというふうに考えておるわけでございますが、決して臨調のためににわかに食管法改正を思いついたというようなものではございません。
  236. 松沢俊昭

    ○松沢委員 大臣、臨調との絡みで、要するに食管問題というのはどうお考えになっていますか。
  237. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 ただいま長官からお答えいたしたわけでありますが、食管法改正をしなければいかぬな、こう私が頭の中に描いたのは国会に当選さしてもらったときからですから、もう二十年前からですね。その間ずっと本当に、私は戦争の経験があるものですから、いわゆる帝国憲法で戦争ばかりやった、しかし、命を投げ出してやった戦争が果たしてどれだけ自分の人生観にあれになったのだろうと思っていろいろ悩みながら考えた結果、戦争によって得るところは何もない、幸せは戦争ではできない、そんなことになって政治の道に入ったわけでありますから、やはり戦前のかたかな書きの法律というのはどうしてもそんな感じでございます。  それで、かたかな書きをひらがな書きにならぬのかと、農林大臣になるとすぐに事務当局に言ったら、そんなことしたらその改正案は国会ではもみくちゃになって、もうとても通るどころじゃありません、こういうことで、私も一時迷ったのですが、しかしとにかく「臨検」だとか、いろいろなすごい言葉がいっぱいあるわけですね。  せめてそういう言葉だけでもいまの平和憲法のあれに直せないか、そこから始まっていきまして、とにかく法律と事実関係の乖離の問題、この委員会で今日までいろいろ論議が尽くされておりますような事情で実は提案を決意をいたしまして、しかもこれはやはり大事な法律であるし、とにかく国民基本食糧である米の供給基本法、生産基本法と言っても過言ではないこの法律を国会に提案をして、検討がまずかったために提案はしたけれどもなかなか成立さしていただけないということでは相済まない、やはり農民の信を得るゆえんではない、こういうことで、いろいろ名界各方面の意向を聴取をいたしまして、そして大方の合意を得ることのできる線に今回は限らざるを得ないだろう、そういうことでただいま御審議いただいておる案を提出さしていただいた次第でございます。  このように、ずいぶん前から農林省も準備をいたしておりましたし、私自身もそんな心の準備をしながら農林水産大臣を拝命したというようなことで、この法律改正については第二臨調のことなんかは全く頭の中に当時は描いていなかったというのが率直なる私の考えでございます。  しかるところ、農林大臣が農林大臣としての国家行政組織法の中に示されてある任務を遂行するために必要なことをあたりまえに言うと、新聞に、行革に消極的になった、こう大きい活字で批判を受ける。これはよほど農林水産大臣はしっかりしないといかぬなとそのとき思ったわけであります。  いつも申し上げておりますとおり、日本の農業の一番大事な基盤整備なんというのは戦後やっと始まった。戦後三十年ごろから、本格的に始まったのは戦後だと思うのです。戦前は、私の方の田舎なんかで地主さんの気のきいたところは耕地整備なんかやられておりましたけれども、そのほかは基盤整備なんかやられるところは全くない。二千年前のたんぼのかっこうをしたところでみんな百姓をやってきた。そういうところで戦後の国際競争の中に農業だってさらされるのに、そういうところに基盤整備の金を使っていくということが絶対に必要なことであるはずであります。  そこで、先輩は農業基本法を制定されたわけでありますし、そういうことをあれやこれや考え、いまその路線に乗って農業基盤の整備にどうにかこうにか取りかかって、スタートを切ったというところであろうと思うのです。進捗率なんか見ましてもまだ四〇%までいってないと思うのです。しかも、条件のおくれたところほどその基盤整備が進んでいない。そういうところをこれからやらなければならない。しかも、そういう中で外国からの農産物の攻勢が物すごい。そういう中で農家に光を与えていけ、こう農林大臣に言われましても、片一方では農林省の補助金は何とかの巣窟だなんて言われまして、これはまことにもってけしからぬ話である。私は新聞の諸君の勉強不足、こう言っておるわけでございます。  したがいまして、鈴木内閣で決めたことはやりますけれども、しかし農業の本質というものを十二分に理解してもらって、そして食糧をつくる農家の諸君や、あるいは板子一枚本当に死の海に通ずる漁業者の漁業意欲をふるい起こすような臨調の答申であってほしい、こう思うのです。その精神だけは阻害してもらいたくない、こういう感じを持つわけでございまして、鈴木内閣として決定いたしました行政改革の問題については、私は責任を持って進めなければならぬということでいま事務当局に命じておりますけれども、事農業、林業、水産業のことにいま一歩過たんか、これは大変なことになるわけでありますので、その点だけは何ぼ言われても声を大にして言っていきたい、こういう気持ちでございます。
  238. 松沢俊昭

    ○松沢委員 大臣の臨調に対するところの所信表明を聞かせていただきまして、本当にありがとうございました。  そこで、一番問題点というのは、この法律改正によって生産農民にどういうメリットがあるのかということなんです。やはり生産農民なくして日本農業の発展というのはないわけなんです。ところが、いまも大臣の御指摘のように、食糧管理法というのは昭和十七年にできたところのいわゆるかたかなの法律であるわけなんでありまして、要するにかたかなの法律の中で、農民の基本的な人権というのが保障されていないところに現行食管法の一番問題点があると私は思います。  でありますから、改正ということになりますと、私も改正した方がいいと思っております。ただ、改正するということであるならば、そういうかなめのところをきちんと直して、そうして改正していかなければならぬじゃないか。たとえば第三条には「米穀ノ生産者ハ命令ノ定ムル所ニ依り其ノ生産シタル米穀ニシテ命令ヲ以テ定ムルモノヲ政府ニ売渡スベシ」、こういうようなのは農民の基本的人権を全くじゅうりんしたところの条文であろうと思うわけなんであります。そのことによって、非常事態に入って、そうして食糧というのが逼迫した場合におきましては、政省令によって、要するに強権の発動によって農家から米の強制集荷をやる、こうなるわけでしょう。これは直っていないですよ。  そうして一方、後からゆっくりと御質問申し上げたいと思いますけれども、米がいまのように潤沢だという場合におきましては、これは基本計画でいろいろ今度決められると思いますけれども生産調整買い入れ限度数量、そういうものによって作付の抑制というのがなされる。そうして米価の面におきましても、もう三年も据え置き米価、こういう状態になっているのです。どこの分野におきましても賃金は上がっているのですよ。あるいはまた、物価は御承知のとおり上がっている。ところが、農民だけは三年も低米価を強要されている、こういう状態であるのじゃないか。これが今度の法改正によってそういう間違った米価決定というのは改正するのだというものが明らかであれば、これまた大変結構なことでございまするけれども、その保証というのはない。だから潤沢の場合においては作付制限と、そうして低米価、それから今度逼迫した場合におきましては強権によるところの米の集荷、何のメリットもないじゃないか、こう思いますが、それは大臣、どうお考えになりますか。
  239. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 松沢先生にはそう言われるのじゃないかなと思っておったわけですけれども食管法がざる法だとか、いろいろ言いたいほうだいのことを言われながら、あっちからもこっちからも火の手が上がってくる、こういうときに、少なくとも事実と法律との乖離したような点は是正をして、そうして批評、批判を受けるような点をできるだけ少なくしていく、しかも守られやすい、また取り締まりやすいような考え方を入れて、そうしてきちっとしたものにしておくということが、むしろ農家の諸君にも、また消費者の皆さんにも、これは立法府に所属している者、また行政を預かる者としてやらなければならない責任ではないか、そんなふうに考えておるわけでございます。  と同時に、この食管法は、私は何回も読んでみましたのですが、戦前の立法としては珍しい、目的を持った法律なんですね。三Kの健康保険法、あるいは鉄道敷設法といったような法律、こういう法律には目的がないのです。ところがこの食管法だけは「本法ハ国民食糧ノ確保及国民経済ノ安定ヲ図ル為」という、天皇主権のもとでは比較的、国民のことを考えてこの法律は定めるのですよ、こう言ってあるのですね。私はこれは、この食管法が今日までいろいろと言われながらもその効果を発揮してきたゆえんではないか、こう考えるわけであります。  したがいまして、この法律を批判の少ない、国民食糧の根拠法として、米の根拠法として整備をするということは私はマイナスはない、こう思うわけでございます。あるいは御指摘のように大きなプラスがないかもしれません。しかし私どもの気持ちもわかっていただけるのではないか、こんなふうに感じます。
  240. 松沢俊昭

    ○松沢委員 具体的にお聞きいたしますが、基本計画というのをつくることになっているわけなんでありますが、この基本計画をつくる基準というのはどこに求めておつくりになるのですか。
  241. 松本作衞

    松本(作)政府委員 この基本計画は、政府の米穀の管理に関する方向づけを明確にしようということでございますので、その年々の需給事情前提といたしまして、この需給事情に基づいた管理方向づけないしは管理の方法に関する基本的な事項等を定めますとともに、需給の見通し、特に政府管理する米穀についての内容別の見通しというようなものを明らかにしていきたいというふうに考えておりますので、基準と申しますれば、そのときどきの需給事情に合った適正な政府管理をしていくということを基準にして設定をしてまいりたいというふうに考えます。
  242. 松沢俊昭

    ○松沢委員 要するにその基準というのは、前年の需要状況というようなものを基礎にしておやりになるのですか。
  243. 松本作衞

    松本(作)政府委員 この基本計画は、農家が作付をする前、播種前にその年の見通しを立てるというふうに考えておりますので、その時点ではやはり前年までの需給事情というものを前提にして、またその年における需給の見通しというものを考えながら作成をしていくということになろうかと思います。
  244. 松沢俊昭

    ○松沢委員 過去の趨勢というのを考えながらおやりになるというわけですか。  この第二条ノ二に基本計画を立てるとなっていますが、その一は「米穀ノ管理ニ関スル基本方針」、二番目は「米穀ノ管理ノ方法ニ関スル基本事項」、三番目は「米穀ノ需給ノ見通ニ関スル事項」、四番目は「用途別、品質別流通ニ於ケル管理ノ態様別ノ数量ノ見通ニ関スル事項」、五番目は「其ノ他」ということになっています。これは四のところが一番理解しやすいのですが、生産する前に基本計画をつくる、こういうことになっているわけであります。その場合、前年にどういうような米をどの程度消費者消費をした、どういう米が非常に喜ばれているというようなことを考えながら基本計画というものを立てる、こういうことになるのですか。
  245. 松本作衞

    松本(作)政府委員 その年における見通しもあろうかと思いますが、前年ないしはそれ以前の動向というようなものを大きなよりどころにして計画を立てていくことになろうと思います。
  246. 松沢俊昭

    ○松沢委員 そうすると、たとえば五類の米だとか四類の米というのが、生産はしたけれどもなかなか需要がなかったということになりますと余ってくるわけなんですね。そうすると、仮に六十万トン北海道で生産してくれた、三十万トンしか消費がなかったということになりますと、実績を見ながら基本計画を決めるわけだから、三十万トンという数量になるわけなんですか。どういうことなんですか。
  247. 松本作衞

    松本(作)政府委員 従来の品質別需給の中で特に四、五類米等が余ったというような実績はございますが、これはむしろ全体の需給のギャップが大きく出ておりまして、そういった全体の需給ギャップが特定品質にしわ寄せされた結果出てきたわけでございますので、このことをもって直ちに四、五類米消費されない米というふうに決めつけることはできないと考えております。  私ども、この需給均衡品質別にとるという場合には、一方において需要動向も見定めていきますとともに、一方におきましては現在の生産調整実態に基づきまして地域ごとの米の生産というものを前提にして考えていかなければなりませんので、そういった米の生産前提としてその米の需要を開発していく、ないしは需要を確保していくというような需要面調整も必要になってくるというふうに考えておりまして、この需給調整生産面需要面と両方から考えていかなければならないというふうに考えておりますので、一つは全体需給のバランスをとっていくということと、その中における品質別需給調整というものは生産面需要面と両面から調整を図るように考えていくべきものというふうに思っております。
  248. 松沢俊昭

    ○松沢委員 それにしても、この消費の拡大というのは、なかなか皆さんも努力してこられたわけなんでありますけれども、非常にむずかしい問題になっているわけなんですね。そういう状況の中でどう考えてみても、消費をさせようとしてもこれはなかなか消費ができそうもないということになれば、それは作付等の制限をしながらバランスをとっていかなければならないということになるのじゃないでしょうか。要するに、この基本計画というのは減反をしていくところの一つのてこの役割りを果たすということになるのじゃないか、こう考えるわけなんですが、その点はどうでしょうか。
  249. 松本作衞

    松本(作)政府委員 この基本計画政府需給管理についての方向づけをするわけでございますので、この政府方向づけに対しまして、関係団体等におかれてはこれを指標としてこれに沿った活動を期待しておるわけでございますが、この基本計画自体が生産調整を強制するというような性格のものではないというふうに考えておるわけでございます。  生産調整につきましては、従来から生産調整についての考え方に基づきまして配分をし、その実行については生産者生産者団体理解と協力のもとに進めておるわけでございますから、こういった生産調整の進め方というものは今後とも変わることがないというふうに考えております。
  250. 松沢俊昭

    ○松沢委員 しかし、一方で生産調整をやっているわけですから、それと結びつきのない基本計画というのはおかしいのじゃないですか。
  251. 松本作衞

    松本(作)政府委員 生産調整につきましても、総需給均衡というものを前提にして生産調整が進められておるわけでございますが、この生産調整は米の流通面だけの問題ではなくて、むしろいわゆる潜在生産力も含めました生産力全体を他の作物に転換をしていくということで、転換先の生産の振興ということに重点を置いて生産調整が進められておるわけでございます。  そして、その全体需給考え方といたしましては、基本計画の場合の全体需給考え方と一致するものというふうに考えておるわけでございまして、この全体需給の中でできるだけ消費者需要動向に合った生産ないしは供給を進めていく、またこの供給前提といたしまして、これに見合った需要の確保をしていこうということがこの基本計画考え方でございますので、生産調整考え方基本計画とは、前提となる需給均衡という点においては同じでありますけれども、一方は主として生産面についての問題でございますし、一方におきましては流通面についての方向づけをしていこうということでございます。
  252. 松沢俊昭

    ○松沢委員 八条の供給計画というのは県知事のところまでおりるわけですが、基本計画というのは下の方へおろさないわけなんですね。
  253. 松本作衞

    松本(作)政府委員 基本計画は全体的な需給の状況のもとにおける政府管理方向づけでございますので、これは県別におろすというふうには考えておりません。
  254. 松沢俊昭

    ○松沢委員 そうすれば、各県別に生産計画を立てるにしても、具体的なものがわからぬということになれば、政府が幾ら基本計画を立てたとしてもそれは空文に等しいものになるのじゃないですか。生産をやる現場と基本計画がどこかで結びついていかなければ、これは空文ということになるのじゃないですか、どうですか。
  255. 松本作衞

    松本(作)政府委員 基本計画自体はあくまでも政府の全体的な管理方向づけでございますので、これによって直ちに個別の生産規制していくというふうには考えておらないわけでございますが、全体需給動向に基づきまして関係者生産面需要面での指針としてこれを活用していただくことを期待しておるわけでございます。
  256. 松沢俊昭

    ○松沢委員 そうすると、この基本計画で、たとえば政府米が幾らとか、自主流通米が幾らとか、あるいはまた自主流通米の中のササニシキが幾らとか、こういうふうに細かに区分する、等級の面においても区分するというふうに受けとめておりましたのですが、そういうものはどうなるのですか。
  257. 松本作衞

    松本(作)政府委員 基本計画の中におきましては、先ほども申しましたように、政府管理する米穀につきまして、主食用、加工用、酒米用というような用途別、それから品質別、これは類別等でございます、それから流通における管理の態様別と申しますのは政府米と自主流通米ということでございまして、こういった内容に即した管理方向づけ、その見通しを立てていくということでございます。
  258. 松沢俊昭

    ○松沢委員 その中には贈答用の米なんかも含まれるのですか。それから備蓄の米というのはどうなるのでしょうか。
  259. 松本作衞

    松本(作)政府委員 贈答用の米は、消費者販売されたものが主として消費者間で贈答されるということでございますから、これは総需要の中に入ってくるものというふうに考えております。それから輸出用の米は、現在は過剰米だけが古米となった段階で輸出に処理しておりますので、基本計画のその他の重要事項というようなところで過剰米の処理についても触れることになろうかと思っておりますが、いわゆる通常の需給の中に輸出米を前提とした需給考えるということは、今後はないものというふうに思っております。
  260. 松沢俊昭

    ○松沢委員 供給計画は県別にやるわけですね、そうして米はこれからは消費者がどこの米屋から買っても差し支えない状態になるわけですね。そこで、東京の米は非常にまずい、高い、ところが栃木へ行くと非常に安くてうまいということで栃木の方に行って買ってくるというようなことになった場合におきましては、栃木県の供給計画は狂ってくる、そういう問題は起きませんですか。
  261. 松本作衞

    松本(作)政府委員 供給計画につきましては県別につくるわけでございますが、一方におきまして今後の米穀の流通は、いわゆる流通販売業者、特に小売業者から消費者に売り渡される点は自由になるわけでございますので、消費者がいろいろな店から買うということが考えられるわけでございますが、その場合でもやはり事業区域というものを定めていく必要があろうと思っておりまして、県間にまたがるような事業区域ということは考えられませんので、県内での需給関係は明確に区分されるもの、また区分していくというふうに考えておるわけでございます。
  262. 松沢俊昭

    ○松沢委員 それは販売業者の事業区域でしょう、それは消費者の場合は関係ないのじゃないですか。
  263. 松本作衞

    松本(作)政府委員 極端な例として消費者が遠くへ出て買っていくということがあろうかと思いますが、現在の消費者の購買様式からいたしますと、日常に使うものは自分の居住区域で買っているということが通常でございますので、運賃を払って遠くへ行って買うということは、例外的にはあろうかと思いますが、通常の需給操作の中ではこれは考えなくてもいいのではないかというふうに思っております。
  264. 松沢俊昭

    ○松沢委員 それはあなたが考えているだけの話で、東京の米は非常にまずいということでどんどん県外へ行って買ってくるということになれば、これは狂ってしまうのじゃないですか。
  265. 松本作衞

    松本(作)政府委員 今回の食管法実態に即しまして規制のできる範囲でのことを考えておりますので、個人の購買活動で非常に例外的なものを全部織り込んで規制をしていくということになりますと、従来のような、一人一人の購買活動を全部規制し切るような統制をとっていかざるを得なくなりますので、私どもそこまで規制をしなくても、従来の消費者の購買活動の様式からいたしまして流通秩序に大きな混乱は生じない、また、需給の見通しについて大きな混乱を生ずることはないというふうに判断しております。  従来、消費者の購買様式をアンケート等でとった場合がございますが、少なくとも八割の消費者は決まった小売店から米を買っておるということでございますし、それ以外の人たちもときどき他の店から買うこともあるというようなことでございますので、やはり日常消費いたします米について消費者の購買活動が地域的に非常に長距離にわたるということは、需給計画上原則として織り込まなくてもいいのではないかというふうに考えております。
  266. 松沢俊昭

    ○松沢委員 いろいろいままでの質疑を通じて私が感じられるのは、不正規流通の米、いわゆるやみ米と言われる米ですね、そういうものが発生しないように努力をしていく、こう言われておりますけれども、はっきり申し上げまして「配給統制」から「流通規制」ということになると、食管制度というのはいままでよりは緩んでくると私は思うのです。だから、緩んできたのに今度は取り締まりをやるというようなことは、私はなかなかできないと思うのですね。  さっきも野間さんの方からいろいろなデータを出しておられたわけなんでありますけれども、現状はどこでもそういう状況に実はなっていると思うのです。しかし、いまの法律であるならば、やる気であるならば改正後よりは徹底的にやれるのじゃないか。ところが、やれないから今度改正してやるということを言われるのだが、ここがどうも納得のいかぬところなんですよ。  いま申し上げましたように、どこからでも米が買えるというのです。縁故米も贈答米も自由自在だ、こういうことになれば、そしてまた、いまの状況からいたしましても、たとえば農協で集荷したところの米というのは問屋さんのところへ行く、問屋さんから小売のところまで行く。いままでは配給だったわけなんでありますが、今度配給でないのですから、必要だという米は売ってやる、こういうようなことになるわけなんでありまするから、したがって米屋と米屋の間で米転がしも起きてくるわけだし、いろいろな状況が出てくると思うのです。そうすると、いままでは配給なのだからきちっと抑えることができたけれども、今度はなかなか抑えるわけにはいかない。また、これは転がされたところの米であるかストレートに来たところの米であるかという区別はなかなかつかぬと思うのです。だから全体的に、消費者の間におきましても緩みます。それから米屋同士の間においても緩む。いろいろ考えられるということになるわけなんでありまして、そういう状況になれば不正規流通というのを今度がっちり抑えるのだと言っても、私は抑えることができないのじゃないかと思う。  そこで、私、聞きたいわけなんでありますけれども、現状追認ということを言っておられるのでありますが、たとえば神奈川県なんかの場合におきましても、小売業者の登録業者の数と、不正規米を取り扱っているところの業者の数が半々だ、こう言われているわけなんですね。そういう状況であるとき、今度、これは質疑の中で明らかになっておりますけれども、来年の春これは施行していく、こういうことなんでありますが、本当にこの不正規業者をぴしっと、来年の四月なら四月、規制をするということになったら、それこそ大混乱が起きてくると私は思うのですよ。そういうことをおやりになるのか、それとも、いままで不正規の米を取り扱って飯を食っておったそういう人たちを、今度は、これは生活を破壊するようなことはできません、だから、いままでのように不正規だとか正規だとかいうことなしに、改めて見直して、そしてその不正規の米の取り扱いをやっておるところの業者も現状追認で認めていく、こういうことなのか、一体どっちなのか、はっきりしてもらいたいと思うのです。
  267. 松本作衞

    松本(作)政府委員 今回の食管法改正は、実態に即して守れる食管法にしたいということでございます。と申しますのは、ただいま先生の御指摘にありましたように、配給制度が確実に守れるものでありますならば、これは個人の消費まで完全に規制するわけでございますから、一粒たりともやみが流れる余地がないわけでございますが、現在の法制がこのように一粒たりとも動かさないという非常にきつい規制になっておりますために、現在の経済社会の中ではむしろそういった規制がとうてい守られないという実態になってまいりまして、特に、配給通帳に基づかなければ、また配給通帳に定められた一定量の米でなければ買えないというような現在の仕組みでは、消費者の方がだれもこれを守ってもらえないというような実情になっておるわけでございます。  このような消費者段階における実態に合わない、法律が守れないという状況が、いわゆる不正規流通というような、業として取り扱う不正規な法律違反に発展をしてきておるわけでございまして、私ども、こういった業としての不正規な法律違反と個人間の法律違反というものは仕分けをして考えていかなければならないというふうに考えておるわけでございますが、現在の法律のもとではその辺が明確になっておらないわけでございます。  したがいまして、今回の法律改正によりまして、個人の購買活動を規制しておるようなこういった法律規制は緩和をいたしまして、実態に応じて個人が自由に小売店から米を買えるというような仕組みにいたしますが、一方、流通ルートにつきましては、集荷業者販売業者とも法律上の指定または許可制ということで流通ルートを明確にいたしますとともに、それらの業者の活動につきましての責任を明確にいたしまして、この流通についての適正な活動を責任を持ってやってもらうということを法律上明らかにした次第でございます。  このことによりまして、従来は、販売業者と言いましても、法律上の性格は、配給通帳を持ってきた人に対して一定量の米を配給すればいいという単なる配給所の性格しか位置づけられておらなかったわけでございますが、今度は、責任を持った販売機能を営むということで、法律上の役割りも明確にするわけでございますので、私ども、これからの米穀の流通におきましては、こういった商売の人、流通を業とする形での不正規流通というものは十分に監視をし、取り締まることができるというふうに考えておりまして、いままでともすれば個人の不正行為と業としての不正行為を区別して取り扱いがたかった点を、今回の法律で明確にすることによりまして、いわゆる商売としての、業としての不正規の流通というものを十分にチェックをし、これを取り締まり、規制をすることができる、またそのように対処してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  268. 松沢俊昭

    ○松沢委員 私の聞いているのは、いろいろなことが想定できるわけでありますが、不正規米をなくする一番簡単な方法は、いま不正規米を取り扱っているところの業者を正式な業者として許可を与える、こうなれば不正規米はなくなるのですよ。だから、そういうふうにして不正規米をなくしていくのか、それとも、いまいろいろな例を挙げられましたけれども、そういうたくさんの不正規米を取り扱っている業者、これを来年の春はばっさりやってしまうのか、どっちなんだと言うのです。不正規米、不正規米と言うけれども、それは業者全部に許可を与えてしまえば正規米になりますよ。どっちなんですか。
  269. 松本作衞

    松本(作)政府委員 ただいま申しましたように、販売業者につきましては許可制にいたしまして、その流通上の責任を持ってもらうわけでございますが、この販売業者の許可要件といたしましては、経験の要件でありますとか信用の要件でありますとか規模の要件と並んで、遵法要件というものを設けていく考えでございますので、この遵法要件に照らして適正に判断をして許可を与えていくようにしてまいりたいと思います。
  270. 松沢俊昭

    ○松沢委員 遵法要件と言われるが、私はそのとおり遵法いたします、そういう誓約書を出せば、いままで不正規の米を取り扱っていた業者も許可をくれるのかどうかということなんです。
  271. 松本作衞

    松本(作)政府委員 遵法要件に従って許可をするというのは、そういう行為が明らかである者について、罰則を受ける者については認めていかないという考え方でございます。
  272. 松沢俊昭

    ○松沢委員 認めていかないと言われますけれども、それでは過去に食管法違反で取り締まりを受けたという者は認めないということなんですか、それとも、そういう可能性がある者は認めないということなんですか。どういうことなんですか。
  273. 松本作衞

    松本(作)政府委員 これは今後実態を具体的に判断してまいらなければならないと思いますが、食管法に違反しておるかどうかということを追及いたしますれば、国民一人一人が全部違反しておるという考え方も成り立つわけでございますので、その程度等については実態に応じて判断していく必要があるというふうに考えております。
  274. 松沢俊昭

    ○松沢委員 わかりました。そうすると非常にあいまいだということですね。  時間がありませんから次に進みます。  備蓄の質疑がございましたが、いままで大体二百万トンぐらいですか、今度回転備蓄からたな上げ備蓄も考えていく。たな上げ備蓄を考えるとなりますと、もっとよけい備蓄をしなければならない、二百万トン以上にしなければならないのじゃないかと思いますが、あべこべに長官の答弁では二百万トン以下でもできる、そういう御答弁があったようでございますが、この備蓄につきまして御意見を賜りたいと思うのです。
  275. 松本作衞

    松本(作)政府委員 現在まで備蓄につきまして約二百万トンというふうに考えておりましたのは、順次転がしながら備蓄の役割りも果たしていくということでランニングストックを前提にして考えておったわけでございます。今後はこのランニングで備蓄をする分野と、一定量をたな上げいたしまして、このたな上げしたものを備蓄の機能が完了しました後には加工用等で処理をするという形のものとの組み合わせを考えておりますので、その両方については従来の二百万トンという線は下回らない考えでございますが、具体的にどの程度にするかということにつきましては、備蓄に要する経費の問題等もございますので、数量については今後さらに詰めてまいりたいと思っております。
  276. 松沢俊昭

    ○松沢委員 大臣に聞きますけれども、長官は大変いい考え方を述べているのですが、今後たな上げ備蓄というものを考えていくと言うのですが、大臣は大体どの程度のたな上げ備蓄を考えているのかお伺いしたいと思うのです。
  277. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 その点はどのような取り扱い方にするかについて、財政負担の問題等もございますので、いま研究会をつくりましてそこで検討いたしておりますので、一応の結論を速やかに出したい、こう思っておるわけでございますが、私もどのくらいが適当かと言われましても、いままでの二百万トンがいいのか、百万トンずつ毎年毎年あれしていって三年間でたな上げしておいて、後一年ずつおろしていった方がいいのか、まだ議論の最中でして、その辺のところをどういうふうにやったらという結論を出しておりませんので、もう少し時間をかしていただきたいと思います。
  278. 松沢俊昭

    ○松沢委員 ちょっと聞きますけれども、縁故米、贈答米にかかわる第九条の命令の改正内容、これによりますと「生産者は、その保育米をその縁故者等に無償で譲渡することができるものとする」、それから二番目といたしましては「消費者は、小売販売業者から購入した米を他の消費者に無償で贈与できるものとする」こういう改正内容になると聞いておりますが、そうなりますと全くめちゃくちゃになってしまう可能性があると思いますが、これはどういうことなんですか。
  279. 松本作衞

    松本(作)政府委員 これは省令の問題になりますが、今後定めようと検討しておりますのは、生産者がその保有する米を無償で縁故者等に譲り渡すことができる点と、消費者が小売業者から購入した米を他の者に無償で譲り渡すことができるというふうに考えておるわけでございますが、この辺は、いわば縁故者というものは米を無償で譲り渡そうと考えるようなつながりのある人というふうに考えております。
  280. 松沢俊昭

    ○松沢委員 もっと端的に聞きますけれども、無償でやるということであるならば数量に制限がないわけですね。トラック一台くれるということもできるわけですね。それはもらったのか買ったのかというのはどこで識別をするのですか。
  281. 松本作衞

    松本(作)政府委員 今回の食管法改正におきまして守れる食管法にしたいと申しますのは、法律の規定だけを適正に書いておきましても、実際上チェックできないような規定は結果として守られない法律をつくることになりますので、そういう意味で個人間の無償の譲渡というものを一々追いかけて全部チェックしようとしても困難であろうということから、その点の規制は解除しようということでございます。  ただ、このことによりまして商売としての流通が行われる、いわゆる不正規の流通が業として行われることを防いでいかなければなりませんので、この点につきましては、集荷業者販売業者につきましての指定制、許可制の中でその運営を厳正に監視し、指導していくつもりでございますので、縁故米の名をかりた不正規流通が行われないようにということは、こういった業者の面から指導、チェックをすれば当然に把握できると考えておるわけでございます。したがいまして、そうなりますれば、個人間の無償譲渡というものはおのずから数量にも制限があると考えておりまして、常識的に判断できるのではないかというふうに思っておるわけでございます。
  282. 松沢俊昭

    ○松沢委員 長官に聞きますけれども、たとえば大相撲で優勝をした者に対して三十俵なら三十俵という米を贈るでしょう。あれは正規の手続が行われておると聞きますが、今度はああいう方法でいろいろな人がどんどん米を動かしていくことになれば、これはくれた米なのか売った米なのかわからぬでしょう。そうなれば流通の秩序が全く乱れてしまう。それで、法律改正というのはいままでより緩めるのでしょう。いままでより強めるということなら、やみの取り締まりを厳重にやるということを言われても差し支えないのですけれども、いままでよりも緩めればそういう問題が起きてくるわけだ。そうしてそこはきちんとやっていきますと言ったところで、やれっこないじゃないですか。あなた方の説明というのは、非常に矛盾した説明をしておられると思うのですよ。どうですか。
  283. 松本作衞

    松本(作)政府委員 私どもが守れる食管法にしたいと申しておりますのは、法律の規定だけを非常に厳格にしてありましても、そのことが国民生活の実態からして守れないというようなものでありますれば、法律だけが空文化してしまうということになるわけでございまして、現在の食管法は、そういう意味実態法律のたてまえが乖離をしておると理解しております。したがいまして、法律の決め方をだれもが適正に守れるような内容にいたしますことによって、この法律が厳正に実施できるということでございますので、今後は守れる食管法になると考えておるわけでございます。  ただ、その場合の法律の規定といたしましては、あくまでも政府全量管理ということで、国が責任を持って米穀の流通管理するというたてまえから規定をしておるわけでございますので、流通ルート特定して、その特定された流通ルートを通じて米が流通されるというような仕組みを明確にしておりますから、この流通ルートから外れるような、いわゆる商売としての不正規流通を厳正に取り締まっていくということは、今回の法律改正によって十分に実施できるようになるものと考えておるわけでございます。
  284. 松沢俊昭

    ○松沢委員 時間も参りましたので、最後に、自主流通米政府米へのUターンはいままでどおり認めていく、こういうことを答弁しておられますね。ただ、これから米価の時期に入るのですが、去年の十月の農政審の答申に価格政策が出ておりますね。それによりますと、需給均衡価格、それからもう一つは、いままでは全体の農家を対象にした価格政策、それを今度は中核農家に焦点をしぼって価格を決めていったらいいじゃないかという提言がなされているわけです。したがって、農水省の方でもそれを受けまして米価をお考えになると思います。そうなった場合、もう三年も据え置きなんでありますが、ことしの生産者米価はその農政審の答申を受けて決定をされるということになりますと、これは大変安い米価になることは間違いないわけです。  しかし、現状からいたしますと、去年並みの算定方式を使って米価の算定をすれば必ず上がる。これを抑えるということになると大変無理があると思いますし、そういうふうにして低米価政策をうんと続けていくということになれば、いかに松本長官がUターン制はいままでどおり認めていきますよ、こう言われても、Uターンしても、した意味がなくなってしまう。自主流通米の方が政府米よりうんと高いという状態で政府米の決定をやるということになれば、Uターンというのは認めてもらっても、実際上何の役割りも果たさないということになると思うのです。そういう点でUターンと絡めまして、米価の算定は今後一体どういうふうにして行われていくのか、その点をお伺いしたいと思うのです。
  285. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 たびたび申し上げておりますが、農政審の答申は農政審の答申として慎重にこれを尊重しながらこれからの施策にあらわしていきたいと思いますけれども米価につきましては、食管法にその決め方が「生産費及物価其ノ他ノ経済事情ヲ参酌シ米穀ノ再生産ヲ確保スルコトヲ旨トシテ之ヲ定ム」と、ぴしっと書いてあるわけであります。この点は今回の食管法改正でもそのまま踏襲しておりますから、この条項に従いまして適正な米価を七月になったら決めていきたい、こう考えております。
  286. 松沢俊昭

    ○松沢委員 その法律の条文は私も毎年見ていますが、物価も賃金も上がっている、だけれども、三年も据え置かれているわけでしょう。要するに、方程式の中身の数字の問題ですね。私が心配するのは、中核農家に焦点をしぼってやるということになりますと、必要量生産費方式、それで二、三年やってきたわけですからね。その条文はわかりますけれども、算定方式の数字の入れかえによりまして、三年も四年も米価は据え置かれるわけなんだが、ことしはそういうことはないのかどうかということを聞きたいのです。
  287. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 三年も四年もなんて据え置きしておりません。私が去年就任早々、三年据え置きという壁を打ち破った記憶をまだ残しております。したがいまして、米価に対しましては、農村の実態をよく頭に描いて、食管法に定めてある条文に従い、米価審議会の意向を十二分に拝聴いたしましてこれを尊重し、慎重に決定をしてまいりたいと考えております。
  288. 松沢俊昭

    ○松沢委員 これで終わりますけれども、この食管法の一部改正は、流通規制をきちっとやって、そうして不正規米をなくして秩序あるところの状態を再建しなければならないというものには決してっながらない。農業の立場からしますならば、つまり潤沢な場合においては生産調整、低米価、そうして逼迫した時期においては昔ながらのいわゆる強権発動によって農民から米を取り上げろ、こういう法律改正であろうと思いますので、私はそのようなことがないように大臣に十分考えていただきたいということを申し添えまして、質問を終わります。
  289. 田邉國男

    田邉委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  290. 田邉國男

    田邉委員長 これより討論に入ります。  討論の申し出がありますので、順次これを許します。逢沢英雄君。
  291. 逢沢英雄

    ○逢沢委員 私は、自由民主党を代表して、食糧管理法の一部を改正する法律案に対して賛成の討論を行います。  国民の食生活における米の比重は低下しつつありますが、その主食としての重要性と、また農業生産の中における米作の基幹作物としての重要性には、何ら変わるところはありません。  また、最近の国際情勢を背景として、わが国でもいわゆる総合安全保障の問題が各界で大きく取り上げられておりますが、私は、国の平和と安寧を守る厳然たる基礎の一つは、食糧の確保とその安定供給にあると考えております。  一方、今後の世界の食糧需給は、異常気象や発展途上国の人口の増加等により、中長期的に見て必ずしも楽観を許さないものと見込まれております。  このような見通しに立つとき、昨年四月に本院でも決議されたように、平素から食糧自給力の維持強化に努め、一億を超える国民食糧を安定的に確保する体制をつくっておくことは、きわめて重要な政策課題であると考えます。  このような米の管理を担ってきた食管制度がこれまで果たしてきた役割り、すなわち、農家に対しては米の再生産を確保し、また消費者に対してはその家計の安定を図るという、その役割りは高く評価さるべきものであります。  しかしながら、一方において、従来の制度が戦中戦後の食糧不足の時代を前提としているため、制度のたてまえと実態が乖離するなど、種々の問題が生じていたことは否定できないところであります。  この間、政府は、自主流通米制度の創設など、法の運用面において米穀管理の合理化、適正化に努めてきたところでありますが、今回の食管法改正は、食糧不足時だけではなく、過剰なときも含めて、いかなる需給事情にも柔軟に対応できるような制度に、言いかえるならば、だれもが守れて、また永続する制度に再構築し、需要実態に即した供給体制に取り組む新しい基盤をつくろうとするもので、まことに時宜を得たものであると考えます。  また、審議の過程でも明らかなように、本改正案は従来の食糧管理根幹を何ら変更するものではなく、今後、需要動向生産地域特性に十分配慮しつつ、適切な米穀管理に関する基本計画とその供給に関する実施計画を樹立、運用することによって、真に農業者消費者の双方から信頼をかち得る食糧管理の的確な運営が確保されることを期待しつつ、賛成の討論といたします。(拍手)
  292. 田邉國男

    田邉委員長 田中恒利君。
  293. 田中恒利

    ○田中(恒)委員 私は、日本社会党を代表して、食糧管理法一部改正案に反対の討論を行います。  食管法は、申すまでもなく日本農政の主柱であります。昭和十七年制定以来、日本経済の混乱、再建、発展、成長期に、その根底としての国民食糧の安定確保に大きな役割りを果たしたことは何人も否定できません。  今回、二十九年ぶりに改正案が提出されていますが、今日の食糧問題は国内外を問わずきわめて憂慮すべき事態にあることは、委員各位が御承知のとおりであります。  われわれは、食糧管理法が今日国民経済の中にもたらすきわめて重要な比重にかんがみ、生産者消費者並びに各関係団体など、各界各層の英知を集めて国民の合意を形成する必要性を強く政府に主張してまいりましたが、政府の取り組みは、先ほど指摘いたしましたように、行財政改革等の影響もこれあり、きわめて短兵急であることをきわめて遺憾とするものであります。  以下、具体的に五つの項目について反対理由を明らかにいたします。  第一は、食管法は戦時立法であり、食糧不足時における国民への公平な供給を中心に法体系が組まれ、今日のごとき過剰に対応しがたいので、米の過不足いずれにも対応できるものにされると言われますが、その内容をつぶさに検討すると、当面の米の過剰を念頭に置くことが明らかであります。  今日の米過剰の原因は、穀類二千万トン、小麦五百万トンと言われる膨大な輸入政策の中に起きておることも、これまた御承知のとおりでありまして、この輸入政策を放置して国内米の需給均衡を図ることは、将来の食糧政策に大きな影響を与え、米を基盤とするわが国の生産構造や国民の主食消費構造を今後大きく変えていくという不安をかき消すことができないのであります。これが反対の第一の理由であります。  第二は、昭和四十四年の生産調整、四十六年の買い入れ制限をめぐり、国会内外において食管法根幹基本理念をめぐる激しい論議が展開されています。その論点は、政府による直接全量管理、二重価格制、配給統制にあったと理解をいたしますが、今回、法の目的を配給統制から流通規制変更し、自主流通米を法制化し、政府外への売り渡しを容認し、縁故米、贈答米の除外などは、これまでの全量政府管理システムから部分管理へ一歩踏み込んだものであり、容認しがたいところであります。  第三は、改正の中心をなす流通規制でありますが、その意図する点は、配給制にかわって集荷、卸、小売段階の自主的商業活動にゆだね、そこから発生するリスクもまた負担させることにより、競争原理の導入を推し進めるものであることは、学界や関係者のほぼ一致するところであります。このことは品質別価格、用途別価格の格差を拡大させ、産地間、銘柄別の競争を激化させ、やがて零細な米穀業者を切り捨て、商社資本の米穀市場への進出に道を切り開くことは明らかであります。これらはやがて生産者消費者米価の季節変動をもたらし、国民生活を混乱させることは、大正、昭和期におけるわが国の米穀政策史上から経験として明らかにされておるところであります。  第四は、基本計画生産調整規制するものではないと言われながら、一方では長期的に需要に合った生産を誘導すると答弁もしばしばなされておりますが、基本計画による需給調整現行生産調整を法的に裏づけるものであるとの認識をかき消すことができないのであります。  第五は、今次改正点は、その運用いかんが法の趣旨をも左右する側面がきわめて大きいのでありますが、そのほとんどが政省令にゆだねられている点であります。かつて政府は、自主流通米制度買い入れ制限など食管法基本にかかわる事項をも政令により措置してまいりましたが、今回も異常事態における配給制度の復活など、今日食糧の安全保障論議に見られる有事立法措置に類する事項を含め、一切政省令にゆだねることは、立法府として認めがたいということであります。  以上、私は、本委員会においてわが党委員の質疑を通して日本社会党が本法に反対する諸点を明らかにし、本改正案が多年にわたる財界等の財政負担の軽減要求にこたえ、当面の米過剰の解消、消費者の多様な需要にこたえる道を流通業者に依拠し、政府の関与度を減らすものになっていると理解いたします。そのことが八〇年代におけるわが国の長期的食糧確保と国民生活の安定に逆行することを指摘し、わが党提出の総合食糧管理法の必要性を訴えて、反対討論を終わります。(拍手)
  294. 田邉國男

    田邉委員長 寺前巖君。
  295. 寺前巖

    ○寺前委員 私は、日本共産党を代表して、食糧管理法の一部を改正する法律案に対し反対討論を行います。  もともと食管法は戦時統制立法としてスタートしたものでありますが、戦後の国民の闘いによって米の全量買い入れ、二重米価制、流通及び輸出入の国家管理などの民主的な機能が形成され、維持されてきたものであります。穀物自給率が三三%にも低下しているもとで米だけは完全自給を達成し得たのも、またさきの狂乱物価のさなかに、商社の手で主食用の米だけは買い占めや暴騰に遭わなかったのも、食管制度があったればこそであります。  しかるに、政府は、軍備増強、大企業本位の財政政策の破綻を取りつくろうとともに、アメリカなどの圧力に屈して、米過剰を口実に、法解釈を曲げて制度のなし崩し改悪を進めてきたのであります。すなわち、減反の押しつけと連動させた米の買い入れ制限の強行、価格流通の両面で政府のコントロールが働かない自主流通米制度の導入、さらに生産者米価抑制と消費者米価値上げなどがそれであります。  本改正案について、政府は、現行制度基本は維持しつつ、制度実態の乖離を是正する現状追認的なものと説明しています。しかし、買い入れ制限や自主流通米制度を法文上明記したことは、従来運用によって弱められてきた食管制度基本的機能を合法的に一層弱体化させ、米の生産流通価格にわたる国の管理責任をさらに後退させるものと言わなければなりません。今後の政府の運用いかんによっては、財界の意向を全面的に受け入れて、部分管理の方向と大資本の米投機を促進するものとなり、国民生活と農業経営に新たな困難を押しつける道に一歩踏み込むことにもなりかねないと言わなければなりません。  すなわち、この法改正は、第一に、生産者にとっては、転作条件の整備も行わないまま減反押しつけを拡大する根拠法的性格を持つものとなり、青森、北海道産の四類、五類米を含む自主流通米の拡大や品質問題のいたずらな強調などによって生産者米価の抑制と買いたたきをもたらすものになります。  第二に、消費者にとっては、うまくて安い米を供給するどころか、価格野放しの自主流通米の拡大や米の政府売り渡しへの入札方式の導入と末端価格指導の放棄によって、流通のゆがみを拡大し、価格つり上げをもたらすものとなります。政府はわれわれの追及に対して、当面はこれらのことを強行するつもりのないことを表明せざるを得ませんでした。しかし、法律上、その保証は何もなく、改正案そのものの重大な問題点は何ら解消されていないのであります。  第三に、中小米穀小売業者にとっては、許可要件などの運用を通じて、営業を圧迫する不正規流通を事実上合法化し、かつての丸紅のモチ米買い占め事件のような大企業の米投機に道を開いて、零細業者の整理淘汰をもたらすものとなります。  さらに本改正案は、軍拡と大企業奉仕のために食管財政の圧縮をねらい、転作条件の整備を行わないまま強制減反を拡大し、日本農業を縮小させようとするものであります。これは、さきの日米共同声明が高く評価した日米経済関係グループなどの要求に屈し、農産物輸入の完全自由化と自給率の一層の引き下げによって日本経済の自主的基盤を掘り崩す道であります。食管赤字を云々するに当たっては、米の生産コストの六割を占める物財費の引き下げや、食管管理経費の節減によって財政負担の軽減を図るところにこそメスを入れなければなりません。  最後に、今次法改正に当たって、農民の強い反対で生産者麦価の引き下げを意図した改悪部分が取り下げられたことや、購入券の廃止など実際にそぐわないものの手直しを行うのは当然のことであって、これだけで本改正案の数々の重大な問題点を見逃すことは断じてできないのであります。  私は、日本農業の発展と国民生活の安定に反する本改正案に対し、強く反対することを重ねて表明して、討論を終わります。(拍手)
  296. 田邉國男

    田邉委員長 これにて討論は終局いたしました。     —————————————
  297. 田邉國男

    田邉委員長 これより採決に入ります。  内閣提出食糧管理法の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  298. 田邉國男

    田邉委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  299. 田邉國男

    田邉委員長 この際、本案に対し、武田一夫君外四名から、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合及び日本共産党の共同提案に係る附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者からその趣旨の説明を求めます。武田一夫君。
  300. 武田一夫

    ○武田委員 私は、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合及び日本共産党を代表して、食糧管理法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案について、その趣旨を御説明申し上げます。  まず案文を朗読いたします。     食糧管理法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、最近の食糧管理をめぐる諸清勢に的確に対処するため、全量管理基本とする制度根幹を堅持し、左記事項に留意しつつその運用に万全を期すべきである。       記  一 米穀の需給管理の指針となる基本計画の策定に当たっては、米穀の生産流通消費の各方面にわたる関係者の意向を十分反映するよう努めること。    なお、基本計画において定める米穀の需給見通しによって生産調整を強制しないこと。    また、基本計画における品質別数量の見通し策定に当たっては、需要動向に留意しつつ生産地域特性にも十分配慮して行うこと。  二 自主流通米については、本制度基本である政府全量管理の実効性を阻害しないよう対処するとともに、予約限度超過米の集荷、流通の適正化を図ること。  三 政府買入価格の決定に当たっては、従来どおり法律の定めるところにより再生産を確保することを旨として定め、また、政府売渡価格については、同様に消費者家計の安定を旨として定めること。  四 米穀の流通秩序の正常化を図るため、不正規流通を行う者に対しては法の厳正な運用により取締りを強化すること。    なお、縁故米・贈答米については、それに名を借りた不正規流通が発生しないよう適切な措置をとること。  五 農協、生協等の協調により行われているいわゆる産地直売方式については、自主流通制度の枠内においてその円滑な実施を図ること。  六 集荷、販売業者特定に当たっては、地域の実情等に応じ新規参入を行う必要がある場合には、既存業者の営業にも考慮し混乱が生じないよう措置すること。  七 米穀の消費拡大については、米飯学校給食の拡大、純米酒の推進、新規需要の開発等各般の施策を強力に推進すること。  八 緊急時に配給制度を発動する場合において、国民が必要とする米穀の集荷に当たっては、生産者理解と協力を前提として行うこと。  九 備蓄については、将来にわたる国民食糧安定供給に不安なからしめるよう現行方式の見直しを行うとともに適正数量を確保すること。  十 食糧自給力強化に関する決議の趣旨をふまえ、食糧の輸入政策の適正な運用を図り、需要動向に即応した国内生産の拡大を基本として食糧・農業政策の強力な展開を図ること。  十一 エサ米の試験研究を促進するとともに、その実用化に努めること。   右決議する。  以上の附帯決議案の内容につきましては、質疑の過程等を通じてすでに各位の十分御承知のところと思いますので、説明は省略させていただきます。  何とぞ全員の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。  以上でございます。(拍手)
  301. 田邉國男

    田邉委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  302. 田邉國男

    田邉委員長 起立総員。よって、本動議のごとく附帯決議を付することに決しました。  この際、ただいまの附帯決議に関し、農林水産大臣から発言を求められておりますので、これを許します。亀岡農林水産大臣
  303. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、決議の御趣旨を尊重いたしまして十分検討の上、善処するよう努めてまいりたいと存じます。     —————————————
  304. 田邉國男

    田邉委員長 なお、ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  305. 田邉國男

    田邉委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  306. 田邉國男

    田邉委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。    午後五時十一分散会