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1981-05-06 第94回国会 衆議院 農林水産委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十六年五月六日(水曜日)     午前十時三分開議  出席委員    委員長 田邉 國男君    理事 津島 雄二君 理事 羽田  孜君    理事 福島 譲二君 理事 新盛 辰雄君    理事 松沢 俊昭君 理事 武田 一夫君    理事 稲富 稜人君       上草 義輝君    小里 貞利君       亀井 善之君    川田 正則君       佐藤  隆君    田名部匡省君       高橋 辰夫君    玉沢徳一郎君       保利 耕輔君    渡辺 省一君       小川 国彦君    串原 義直君       田中 恒利君    竹内  猛君       安井 吉典君    吉浦 忠治君       神田  厚君    寺前  巖君       木村 守男君  出席国務大臣         農林水産大臣  亀岡 高夫君  出席政府委員         農林水産大臣官         房長      渡邊 五郎君         農林水産省農蚕         園芸局長    二瓶  博君         農林水産技術会         議事務局長   川嶋 良一君         食糧庁長官   松本 作衞君         食糧庁次長   石川  弘君  委員外出席者         警察庁刑事局保         安部保安課長  内田 文夫君         大蔵省主計局主         計官      的場 順三君         農林水産省農蚕         園芸局農蚕企画         室長      近長 武治君         食糧庁業務部長 中山  昇君         通商産業省基礎         産業局アルコー         ル事業部業務課         長       新村  明君         農林水産委員会         調査室長    小沼  勇君     ————————————— 本日の会議に付した案件  食糧管理法の一部を改正する法律案内閣提出  第六四号)      ————◇—————
  2. 田邉國男

    田邉委員長 これより会議を開きます。  内閣提出食糧管理法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。安井吉典君。
  3. 安井吉典

    安井委員 食管法改正法案に対し、わが党は全委員が質問するということにしておりますので、私はその第一陣ですから、大筋の問題を中心にしてお尋ねをしてまいりたいと思います。時間がないものですから、なるべく演説部分を少なくして要点をお聞きしたいと思います。ですから、お答えの方もひとつ端的にお願いをしたいと思います。  食管法根幹論争がかつて激しく行われたことがありましたが、最近、農林水産大臣の二月の所信表明でも、制度基本は維持するという言葉になっているし、今度の提案理由説明の中にも、根幹という言葉を使わないで基本という言葉になっていますね。根幹基本とどう違うのですか。
  4. 松本作衞

    松本(作)政府委員 従来から、根幹につきましては、食管法の目的に書かれた内容を根幹考えておるわけでございますが、私どもといたしましても、この根幹考え方は変えておりません。ただその中で「配給統制」というような表現を「流通規制」というようなより広い概念に置きかえたということもございまして、総体として根幹と同様の考え方基本というような表現をとっておる次第でございます。
  5. 安井吉典

    安井委員 かつて食管根幹というのは、米の全量政府買い入れ、二重価格制米流通の国による一元的管理というこの三つを掲げられたということであったと思いますけれども、四十三年ごろから四十六年にかけましてのいわゆる根幹論争の中で、全量買い上げということについては、いや必要量買い上げでいいのだということに政府統一見解で押し切ったり、さらにまた、自主流通米施行令第五条の五で認めた問題については、これも激しい論争の末、政府は、食糧管理政府所有権を取得しての管理と取得をしない管理と二通りあって、どちらも直接の管理統制に間違いない、こういうこじつけで押し切ってきたという経過がございます。  農林水産省として、いわゆる食管法根幹というのは昭和十七年の制定以来全く変わりないと言われているのか。私は、政府考え方というのは時代とともに変遷してきたように思うのですけれども、変わっていないと思うのか、もし変わったとすればどういう点が今度の改正で変わってきたのか、それをひとつ伺います。
  6. 松本作衞

    松本(作)政府委員 食管法全量管理と言っておりますのは、国民が必要とする食糧全量管理するという考え方でございまして、この全量管理考え方のもとで現在の自主流通米制度も位置づけられ、また限度数量考え方も位置づけられておるわけでございますが、今回の食管法改正におきましてもこの考え方は変えておりませんし、こういった考え方食管法の一貫した考え方であろうと思っておるわけでございます。
  7. 安井吉典

    安井委員 昭和十七年以来食管根幹は変わらない変わらないと常に言ってきたわけですよ。そういう一貫不変という状況だと考えていいのですか。
  8. 松本作衞

    松本(作)政府委員 ただいまお答えいたしましたように、私ども食管法全量管理考え方は一貫して変わっておらないと思っておりますし、今後もこの考え方を変えないつもりでございます。全体としての食管制度を取り巻く需給事情変化ということがございますから、こういった需給事情変化に対応するという面はございましても、食管法全量管理考え方自体は変えていないつもりでございます。     〔委員長退席福島委員長代理着席
  9. 安井吉典

    安井委員 大体、いわゆる根幹などというのはありもしない幻想ではないかと思うのですよ。それをさもあるようなふうに言いふらしながら、今日まで何とかかんとか強弁を続けてきたというのが実態ではないかと思います。そういう陰に、食管問題は次第に深刻さを加えてきた、私はどうもそういうふうに思えてなりません。しかし、きょうは根幹論争はやめます。  そこで、食管法について最近はそのさまざまな欠陥があげつらわれているように思います。あるいは財界などでは、無用の長物だと言う人もいます。しかし、大正から昭和にかけての米の自由流通による暴騰、暴落、その場合にも米の統制法があらわれてまいりましたし、それからまた、戦時体制から戦後体制の中で食管法が生まれて一応の役割りを果たしてきた。最近でも四十八年、四十九年の物不足パニックのとき、あるいはまた昨年の大冷害の際等にも存在価値が再確認されてきているのではないかと思うのです。ただ、いまのようなままでは本当意味の値打ちがあらわれてこないという立場から、私どもの党は、日本農業の重要な基幹立法一つとして食管法を位置づけるために、世界的な食糧危機に対しわが国の食糧管理をむしろ拡大強化しようという立場から、総合的な食糧管理体制の確立、生産計画と連動する需給管理輸入備蓄計画化、あるいは二重価格制の堅持は当然のこととして、価格決定民主化等を図った案にしたつもりであります。  しかし、提案されております政府法案は、今度で十九回目の改正で、昭和二十七年以来二十九年ぶりの改正だと言われますけれども、その表現かたかな書き文語体法律条文をそのままに改正したものであって、戦後育ちの若い官僚諸君は大分苦労したのじゃないかと私は思うのですけれども、またもやかたかな書き文語体改正しているというそのことが、まさに現状追認だけであって、積極性前進性のない改正であるという本質を率直に物語っているように思うわけです。今日のこの状況の中で、実態との乖離だとか、あるいは三Kの一つとしての食管赤字問題だとか、財界からの攻撃だとか、いままた臨調に問題が移されつつあるわけでありますけれども、そういうようなものに追い詰められて、農林省当局危機感が今度の改正になったといったようなことでは、何とも物足りないと私は思うわけであります。そんなようなことでは、現状維持にきゅうきゅうとして、もう二、三年を待たずして本格的な改廃論が必ず出てくること間違いなし、私はそう思います。  そういうようなことからいって、政府案問題点で特に再検討を要求する点を数点挙げてお尋ねをしていきたいと思うのです。  まず、食管法対象拡大をもっと図るべきではないかと思うわけです。主要穀物全体を対象とするというふうな運びにすべきであり、これは一九五〇年までは米麦のほかに雑穀バレイショカンショまで入れた経過もあるわけですね。いままで米だけに対象を限定したということが、施策がはなはだしく米に傾斜して、農業構造がゆがんだものになってきたという一つの大きな原因でもあります。そしてまた、雑穀類が軽視されて、世界一の穀物輸入国になっちゃったということにもなっているわけです。  したがって、食糧を総合的に管理することで農業総合的発展に寄与していくという立場を推し進めるべきではないか。そのことによって、米の購入費というのは家計の三%しかないじゃないか、それをなぜ家計の安定だなどと偉そうなことを言うのかという批判もあるわけですけれども、やはり食糧の総合的な管理をこの法律でやっているのだという、そうなれば消費者側にも納得性が出てくるのではないかと思います。私は、そういうふうな改正にこの際出直すべきであり、特に、法律は麦も入っているわけですけれども基本計画に麦が落ちていますね。ですから、それも含めた主要穀物全体の基本計画を打ち立てていく、そういうようなことで初めて食管法が前向きの役割りを果たすことができるのではないかと思います。そういうようなものにもう一度改正し直して出直すべきだと思うのですが、大臣、どうですか。
  10. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 安井委員の御批判の点、実はわからないわけではないわけであります。かたかな書きをひらがなの法律にしたいという気持ちは私自身も実はあったわけでございますが、いざこれをやりますとあらゆる面に影響してまいる、こういうことでございまして、とても、そういうことになりまするとそれぞれの合意を得ていくということが非常にむずかしいという事態も、それぞれ団体等とも接触をしておる間にわかってまいりましたので、もう本当に、現状追認というようなお言葉があったわけでありますが、そのような事態に結果的にはなったということは私も認めざるを得ない、こう考えております。  しかし、私が就任したときには、まだ第二臨調等のこともあったわけではございませんので、私自身としては前々から、食管法は、もし農林水産大臣に就任することができればこれはもうぜひともやはり、守られる法律として最小限改正案を御審議をお願いするようにしたい、こういうことでございましたので、実は事務当局も督励いたしまして、このような案で提案をさせていただいた次第でございます。  御指摘のように、米麦以外の穀物食糧等もこの食管法で取り扱ったらどうかという御主張でございますけれども、とにかく現行食管法国民生活の上で米麦中心にした管理法ということにいたしてあるわけでございまして、米麦以外の穀物等対象にするということにつきましては、食糧管理制度の性格を根本的に改変することとなるわけでありまして、特に大豆などの主要穀物につきましては、品目ごと生産流通などの特性に応じた価格対策輸入制度が講じられていることなどから、これを直ちに食管で扱うということは適当ではない、こう考えておる次第でございまして、私どものとるところではない、こういうことを申し上げざるを得ない次第でございます。
  11. 安井吉典

    安井委員 食管になじまないようなことを言われるけれども、私さっき申し上げましたように、一九五〇年までは雑穀類カンショバレイショもみんな入っていたわけですからね。なじまないどころか、むしろ本来の意味合いとして、食糧管理法なんですよ、米管理法じゃないのですよ。しかも、麦までが基本計画の中に落ちているなどというのは実におかしいと思うのです。  それから第二に、食糧安保という言葉も出ているわけでありますけれども食糧自給力を向上させるという観点が今度の改正の中に全く欠落をしているという感じを私は受けるわけです。国会自給力向上決議をしているわけです。例の農政審の答申というのはかなりそれとは色合いの違ったものになってはいますけれども国会決議に沿ったものでなければ——いまその決議を一番初めにやった農林水産委員会にお出しになった法案なんですから、まあ、自給力向上のためにはいろいろな問題がありますけれども、せめて私は自給輸入関係だけでもこの法律の中で明確に計画化する、そういうような運びが必要ではないかと思うわけです。  麦を入れないということも、米はまあ輸入はないですけれども、麦を入れれば輸入の問題にどうしてもかかわってくるので、そういうことで麦をオミットしたのかどうか、その辺はよくわかりませんけれども自給輸入輸入をどんどんふやして、自給の方をしり込みさせているという、その現状に対する対応、せめて、自給力を積極的に広げるというよりも、むしろそのことだけでも明らかにすべきではないかと思うのですが、どうですか。
  12. 松本作衞

    松本(作)政府委員 今回の食管法改正は、ただいま大臣からもお答えいたしましたように、国民主要食糧であります米麦についての食管制度自体が、非常にその基盤が緩んでおりまして、このままではこの食管法自体が崩れてくるということに対応いたしました改正でございますので、これによりまして、国民食糧カロリー数でいきますと約四割以上を占めます米麦についての管理体制を明確にしていこうということでございます。  したがいまして、この食管制度を健全化することが、私どもといたしましては、いわゆる食糧安全保障につながる措置であるというふうに考えておるわけでございますが、先ほど御指摘ございました、この中で麦について基本計画に入れておりませんのは、今回の改正が主として米の部分についての改正でございまして、また米と麦はいわゆる直接統制間接統制との違いもございますので、いわゆる全体として国が一元的に管理のできる米についてこの基本計画で明確にしたような次第でございます。したがいまして、この基本計画の中には備蓄の問題というようなものも入れまして、いわゆる安全保障考え方をより鮮明にしていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  13. 安井吉典

    安井委員 いまの御説明も、私はどうもこじつけで納得できるような答えになっていないように思うのですね、麦をなぜ入れなかったかということを含めて。  いま備蓄の問題をちょっとお触れになりましたけれども、私は第三番目の問題として、今度の改正法案備蓄を入れるのなら、もっと明確な打ち出し方をすべきではないかと思うわけです。現在の国家備蓄状況は、ここに数字がありますけれども時間がないから読み上げませんが、いずれにしてもお粗末きわまる状況の中にあります。私は、食管制度の重要な任務は、一つ備蓄なんだということを明確にすべき段階にいま来ていると思います。食糧安保という以上、自給とそれから備蓄というのが非常に大きな柱になってこなければいかぬわけですね。  そういうことからすれば、備蓄にはこれは財政の裏づけがなければいかぬわけです。単なるローテーション備蓄では、日本国民の食生活の現状からいったらなじまないと思いますから、やはりたな上げ備蓄というような方向にいかなければいかぬと思いますよ。いずれにしても、財政的な裏づけがきちっとされた備蓄、そういうものを食管法の中に明らかにすべきだと思うのです。どうですか。
  14. 松本作衞

    松本(作)政府委員 基本計画の中に、いわゆる「基本方針」なり、政府管理すべき「米穀ノ管理方法ニ関スル基本事項」というようなことをうたってございますが、この基本方針なり基本事項の中では、当然備蓄あり方備蓄方法というようなものも明確にしていくというふうに考えておりまして、その意味で、私ども基本計画の中に備蓄あり方を明確に示す考え方でございます。その際に、備蓄あり方としましては、ただいま先生からお話がございました、従来のいわゆる回転備蓄だけではなくて、たな上げ備蓄というような点についても触れていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  15. 安井吉典

    安井委員 そこまでお気持ちがあるのなら、私は法律の中にはっきり備蓄ということを書くべきだと思うのです。それがないものですから、結局、この法律によって基本計画ができる、その中に入りますよということでは迫力がないのですよ。やはり食糧安保というような今日の状況の中では、そこまで明確にいかなければ本当主張にはならないと思うわけであります。その点が一つあります。  それから第四番目には、自主流通米を今度の法律の中で認知したという点についてでありますが、いままでは法第九条による施行令第五条の五の例外規定として、食管法を曲げて解釈して処理してきたものだ、私がさっきも言ったとおりであります。食管法基本は直接全量管理だというその原則を崩すものだということで、この委員会でもしばしば指摘があったのは御承知のとおりであります。今度、私生児か庶子が認知をされたようなことになるわけでありますけれども認知をされた方が大いばりで歩いて、本来の嫡出子である政府管理米の方が小さくなってしまわなければいけないというような状況が生まれては大変ではないかと私は思うわけです。自主流通米政府管理の中なんだ、こう幾ら強弁されたって、政府がみずからきちっと自分の手の中に入れて管理するのとは違うのですから、これが直接だなどというような言葉は、これはまさに強弁以外の何物でもないと思うわけです。これは名前だけの管理なんですよ。  特に私は、自主流通米の中に四類、五類のいわゆる特別自主流通米というようなものができて、安売り米といいますか、それが自主流通そのものの変質につながっていると思いますね。自主流通米価格市場メカニズムで決められるわけですね。そういうようなことで決まったものが、結局食管法本来の生産費所得補償方式という価格方式を否定するものだし、本来の価格決定方式に微妙な影響を持ってくることになりはしないかと思いますが、その点はどうお考えですか。
  16. 松本作衞

    松本(作)政府委員 自主流通米は従来から政府全量管理の中に位置づけられまして、これによっていわゆる多様な品質別需要に対応する米の供給が図られまして、生産者にとりましても品質に応じた価格形成がなされますとともに、いわゆる需要者に対しましても適切な米の流通が確保されたというような役割りを果たしてまいったと考えておる次第でございます。  しかし、従来この自主流通米政令で定められておりましたために、今回この自主流通米をより明確な形で食管制度全量管理の中に位置づけるというふうにすべきであると考えまして、法律規定をすることにしたわけでございます。したがいまして、この法律によりまして、消費者に対し計画的に適正かつ円滑なる供給がなされるものとしての役割りが明確にされましたし、また、基本計画及び供給計画におきましてこの自主流通米数量につきましても明確にされるわけでございますので、私どもといたしましては、ただいま御指摘のありましたような心配をむしろ今度の法改正で明確になくしていきたいということに考えておる次第でございます。  ただ、価格との関係につきましては、品質に応じた価格形成ということでございますので、それぞれの品質に応じた適正な価格形成されることになるわけでございますが、この中におきまして、四、五類米というような米につきましても、その適正な需要拡大を図っていくというために、いわゆる特別自主流通米という形で発足を見ておることは、今後の適正な流通を図る上においても十分な役割りを果たすものと考えておりまして、このことによりまして価格の、政府買い入れの従来の考え方を変えていくというようなことは考えておらないわけでございます。
  17. 安井吉典

    安井委員 価格問題はまた後で触れますけれども自主流通米で売れ残りといいますか、その米の政府米へのUターンはずっとお認めになっていきますね。
  18. 松本作衞

    松本(作)政府委員 自主流通米Uターンにつきましては政府の全体管理として当然にあるものと思っております。ただ、自主流通米を今後計画的に進めていくということで、できるだけこういったUターンというものがなくて済むような適正な計画が立てられることが望ましいものと考えておる次第でございます。
  19. 安井吉典

    安井委員 毎年自主流通米がふえつつある今日の現状であり、しかも米の全体的な消費量は八〇年見通しにおいても下がっていくというようなこと、この両方から考え合わせると、自主流通米数量的にあるいは比率的に今後大きくなっていくことを心配するわけです。そのことが本来の全面管理といいますか、直接管理部分を減らしていくことになるわけですから、食管自体についての重要な問題になってくると思います。数量なり比率なりはふやすべきではないと私は思います。むしろ自主流通そのものをやめた方がいいというぐらいに私は考えるわけなんですけれども、その点についてはどうお考えですか。
  20. 松本作衞

    松本(作)政府委員 自主流通米数量につきましては、いわゆる需要者側品質別の米の需要実態というような点から考えまして、また、五十三年、五十四年におきましては自主流通米につきましても過剰な米が出たというような実態からいたしまして、私どももこの自主流通米が今後急激に拡大するというようなことはあり得ないというふうに思っておる次第でございまして、現在程度の規模がほぼ妥当な線であろうというふうに思っております。
  21. 安井吉典

    安井委員 これは、四十四年二月二十六日のこの委員会での当時の檜垣政府委員答弁の中に「政府国民のために負っております需給調整の機能を害するような姿になる、つまり、自主流通米をむやみに増大して政府調整能力がなくなるということであれば、これは明らかに食糧管理法違反ということになると思います。」こういう答弁がありますね。この点はどうですか。
  22. 松本作衞

    松本(作)政府委員 私ども、今回の法改正によりまして自主流通米というものも食管法の中で明確に位置づけをしていく考え方でございますので、この自主流通米数量につきましては、この基本計画に即した適正な数量を維持していくというふうに心がけていくべきであろうと考えております。
  23. 安井吉典

    安井委員 私は、自主流通米を、いまそういうお考えをお示しですけれども政府だけに預けておくのがどうも心配なんです。むしろ法律で限界を決めるとか、そういうような措置が必要ではないかと思うわけであります。  それはまた後で議論をすることにいたしまして、非常緊急時にはこの自主流通米はどうするつもりですか。
  24. 松本作衞

    松本(作)政府委員 非常緊急の場合におきましては、この自主流通米というものをやめまして全量政府管理にするということもあり得ると思いますが、その緊急の程度によろうかと思っております。
  25. 安井吉典

    安井委員 いま非常緊急という問題が出たわけでありますが、そういう場合における流通規制につきましては第八条ノ四に新しい規定が置かれています。つまり緊急事態配給制度にもう一度戻らなければいけない場合は政令で定める、しかもその移る場合の要件についてかなり具体的に書いてあります。ところが、配給の方はそういうふうな非常事態に移行する場合の要件を書いてあるのだけれども、集荷をする方ですよ、これも恐らくそんな事態になったら供米、昔の供出みたいなことになるのかもしらぬが、そういう場合に移ることについての要件は第三条に何も触れてないわけですよ。昔の条文のままですよ。昔は、昭和二十三年に食糧確保臨時措置法というような法律までできて問題を解決した。これがいい解決だったかどうかは別として、そういうような事態があるのですけれども、第三条は、つまり平常の状態も第三条、それから異常な状態も第三条、それもみんな政令移管なんですね。政令一本なんですよ。配給の方は、その政令を出す際においても非常の要件をつくって限界を決めておるのに、一番問題になる供米の方はもうさらりと言ったままで、あっさりし過ぎているのではないですかね。私は、そういう際は一片の政令に任せるということではなしに、法律措置が必要ではないかと思います。それとも、いかなる場合でも供米などというようなことなしにいけるとおっしゃるならそれでも結構なんですがね。どうですか。
  26. 松本作衞

    松本(作)政府委員 第三条の政府の買い入れの規定につきましては、従来からこの政府の買い入れの規定がありますことによって国の直接管理実態裏づけられておりますし、また生産者側から見ましても、この買い入れ義務ということが逆に政府が買い上げてくれるいわゆる権利に取り上げられておったというような理解もございますので、現在の食管法根幹でございます全量管理をするという前提で、改正いたします今回の食管法におきましてもやはり第三条の規定の原則的な考え方は変えておらないわけでございます。したがいまして、この規定によりまして、いわゆる通常時におきましては需給の実態に応じた売り渡し、ないしは不足時におきましても必要に応じた売り渡しが確保されるものというふうに考えておる次第でございまして、これらを裏づけるために、基本計画の内容で政府管理すべきものというものを定めていく、具体的にその年々の需給事情によって決めていくというふうに考えておる次第でございます。
  27. 安井吉典

    安井委員 では伺いますが、不足時になって、かつてのような供出割り当てのようなことは一切なさらない、それまでは心配する必要はない、こういうことでよろしいですか。
  28. 松本作衞

    松本(作)政府委員 この第三条の規定で「政府ニ売渡スベシ」ということになっておりますので、ただいま申しましたように、需給の事情によりまして基本計画等によって政府に売り渡してもらいたいという数量につきましては、やはり売り渡しをお願いすることになるというふうに考えております。
  29. 安井吉典

    安井委員 そうすると、供米割り当てにいくような心配はない、そういうような異常な事態が起きる起きないはだれが判断するのですか。
  30. 松本作衞

    松本(作)政府委員 これは再び配給制度に戻る場合の判断とも関連いたすわけでございますが、世界的な異常な食糧不足ということがわが国の食糧輸入に大きな影響を与えまして、米をもって相当程度国内の食糧を充当、確保しなければならないというような事態になりましたときに、行政庁の判断によりましてこれを決めてまいりたいというふうに思っておる次第でございますが、この際におきましては、先ほど御指摘のような供出の割り当てという表現をとるかどうかは別にいたしますが、必要なものを生産者から売り渡していただくような措置をとっていく必要があろうかと思っております。
  31. 安井吉典

    安井委員 配給に移る場合にはいろんな要件を掲げていますけれども、これは何にも要件がないのですよ。いまは米が余っているから自主流通で泳がせておいて、市場原理を働かせて米価を幾らか安くしておく、しかし、一たん緩急あれば強権発動でこれは召し捕るのだという、一片の政令だけでどっちもできるのですよ。非常立法ですよ。有事立法ですよ。そういうようなことまで——食管法そのものが昭和十七年から今日までの長い経過の中でいろいろな動きがあって、いまのこの段階で自主流通米までできるのがあたりまえだというみんなの気持ちでしょう。そういうところに強権発動を政府の勝手な判断で一片の政令だけでできるなんて、そんなばかげたこと、許せるはずありませんよ。いかなる場合にどのような政令措置をとるのか、そういうものを明らかにするか、あるいは立法措置が必要だと思います。大臣、どうですか。
  32. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 非常事態、どうしても食糧の適正な配給をすることの困難な事情が予測された際、どのような処置を生産者に対してとっていくかということは、その事態になって政府がこれを決めていくわけでありますけれども、私としては、かつて終戦直後のあのような食糧の困難な事情においてさえも、大方の農家の諸君の協力を得てあの食糧危機を乗り切ったという経験を持っておるわけでございますので、強権を発動をして何が何でもという形じゃなく、理解あるもとにおいて政府の施策、いわゆる集荷という面に対する協力をしてもらえるような方向に持っていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。  しかし、極端な冷害凶作というような問題になったとき、政府の手持ち量がないからということで、どうしても強力に集荷をしなければいかぬという事態もあり得るわけでありますから、そういうときにはどうするかということになりますと、これは輸入食糧というものに大きな期待をかけて政府が努力をしてまいる、農家の食い分まで召し上げるというようなことは私は考えておらないわけでございます。
  33. 安井吉典

    安井委員 少しピンぼけのような大臣の御答弁だと思うのですが、この問題は、いかなる事態においてもかつてのような強権発動のような供米はいたしませんと言明してくださるなら結構です。もしそうでないとするならば、いかなる場合に限定するかということ、そして私はこれは政令に簡単に任せ切りというようなことは断じて承服できないと思います。これは後のいろいろな質問がありますので、後まで問題点として残しておきます。  次に、基本計画の問題でありますけれども、いろいろ問題があります。わずかな時間ですから深入りはできませんが、きわめて重要な問題であることは間違いないので、米審に報告するというようなことをおっしゃっていたように思いますけれども、米審のきちっと付議事項として決めていく、米審に付議しなければいけないということにし、国会への報告ということもなければならぬのではないかと思います。  それからまた、需給計画があるのに生産計画政府にはないのですね。生産がないところに需給はないわけですよ。そして農民の作付動向を十分に把握し、農業団体の意向を十分にくみ取ってそれを積み上げる形で需給計画も立てていくのがあたりまえなんで、そういうことがなければ、需要の見通しがない米が出たり、生産者の対応できないような需要が出たり、混乱してくるのじゃないかと思うのですね。生産計画というようなものを、この法律で決めるのかあるいは別な法律によるのかは別として、それが必要だということ。  それからもう一つは、品質別格差を拡大するということが食管制度基本を危うくするようなことになるのではないか。こういったような点についてお尋ねをします。
  34. 松本作衞

    松本(作)政府委員 基本計画につきましては、全体の需給の見通しに基づいて政府管理すべき数量の内容等を示すわけでございますが、これはいわば政府管理についての方向づけを示すわけでございまして、これが直ちに生産者消費者を拘束し、規制をするというような性格のものではなく、むしろ関係者の指針としていただくために出すわけでございます。したがいまして、米価等のようにはっきりとした形で生産者消費者に直接利害の影響を与えるというものではございませんので、米価審議会にかけて答申をいただくというような性格のものではないと思っております。しかし、この基本計画の作成に当たりましては、関係者の意見をなるべく反映させる必要があると考えておりますので、米価審議会等の場におきましても十分に御意見を聞く、ないしは関係者の御意見を聞くような機会をぜひつくっていきたいと思っておる次第でございます。  また、この基本計画につきましては、あくまでも食管制度考え方がいわゆる流通される食糧についての管理でございますので、その前提となる生産それ自体を直接これによって規制するということは考えておらないわけでございまして、したがいまして、生産調整との関係等は従来どおりに考えておる次第でございますが、この基本計画を直ちに生産計画まで拡大するということは、食管制度のたてまえからいたしましても考えておらない次第でございます。  それから品質格差の問題につきましては、食糧、特に米につきましての需要実態品質別に非常に多様化いたしておりまして、食管制度国民の必要とする米を適切に流通をさせるという点からいたしますと、品質に応じた供給が必要でございますし、品質に応じた供給を図ります際には、やはり品質別の格差というようなものが必要になってくるということで、従来から売り渡し価格ないしは買い入れ価格におきましても品質格差の導入を図っておる次第でございます。しかし、このことはあくまでも現在の食管法考え方でございます、生産者に対しましてその再生産を確保し、消費者に対しまして家計の安定を図るというような考え方の範囲から超えるものではないというふうに考えておる次第でございます。
  35. 安井吉典

    安井委員 私は、食管法生産計画をつくれと言っているわけではありません。根拠の法律は別の法律でもいいが、いずれにしても生産計画というものが先にあって需給計画というのがたてまえなんで、需給計画ができているから何でもかんでもそれに合わせということでは大きな矛盾が出てくるのではないかということの指摘をしているわけであります。  そして、この基本計画生産の問題には無関係だというふうにいま食糧庁長官は言われたわけでありますけれども、たとえばいま行われている稲作の生産調整の問題、基本計画需要の面から買い入れ限度数量が決められていく、それによって転作の面積というものが強制されてくるのではないのですか。私は、そういうようなことから、今度の食管法改正が、基本計画というその道筋を通って実質的な転作を強制する法規となっていくのではないか、こういう見方ができると思うのですが、どうですか。
  36. 松本作衞

    松本(作)政府委員 先ほど申し上げましたのは、この基本計画自体が生産調整を強制するという考え方ではないということを申し上げたわけでございますが、当然需給の関係生産関係は関連をしておることは言うまでもございません。しかし、今回の基本計画はあくまでも需給の実態に対応した方向づけを考えておるわけでございまして、一方におきまして需要の動向に対応いたしますとともに、一方におきましては生産実態というものも反映する必要があるわけでございますので、一方的に需要を決めて、それに基づいた生産規定をし尽くしてしまうというようなものではないと考えております。  具体的には、生産調整の基準になります考え方の中では、従来の生産調整が可能であるかどうか、転作が可能であるかどうかというような諸般の状況も見た上で生産調整のあり方というものが決まってくるというふうに考えておりまして、そういう点で総需給の見通しにつきましては、需給基本計画考え方も、いわゆる生産調整の前提となる需給の考え方も同一であろうと思っておるわけでございますが、その総需給の中におきましてどのような米を流通させていくのが望ましいかということにつきましては、消費者需要の動向、品質別需要の動向というようなものにもなるべく適合するような形で供給を誘導していくということが、米の健全な流通のために必要であるという観点から基本計画をつくっていこうという考え方でございまして、この基本計画によって一方的に生産規定していくというふうには考えておらない次第でございます。
  37. 安井吉典

    安井委員 稲作の生産調整には、それを強制する法規はないのですよ。いずれにしても、協力を求めるという行政措置でいままではやっていたわけでしょう。そういうことをしばしばおっしゃりながら、今度の法改正基本計画という側面からどうもつながってきて、そちらから強制力が働いてくるということになりはしないか、その関連性を私は申し上げていて、大体なり得るのではないかというふうに受けとめるようなお話があったように思うのですけれども、あくまでも生産というものと消費というものはこれは一体でなければいかぬし、むしろ生産者の協力がなければ消費を満足させることはできないという、そのことをひとつ明確にしてやっていただかなければならぬと思います。  次に、価格政策の点でありますが、麦の政府買い入れ価格に関する第四条ノ二の第二項の規定を、初めは改正すると言われていながらおやめになった理由は何ですか。
  38. 松本作衞

    松本(作)政府委員 現在の麦の政府買い入れ価格規定につきましては、その基準とする時点が昭和二十五、六年というような離れた時期でもございますし、またパリティ価格を下回らないということで、生産性の反映というような点につきましても問題があり、また他の畑作物の価格の決め方とのバランスというようなこともありまして、私どもとしてはやはりこれを見直していくべきであろうというふうに考えておるわけでございます。この点につきましては、米価審議会等におきましてもそのような議論がされておるわけでございます。  しかし、現在の価格水準につきましては、必ずしもこのパリティ価格だけではありませんで、生産奨励金を加えた形での価格形成になっておりますので、いま直ちにこういった問題点価格形成上発生するわけではないという点もございますし、また一方、このような価格の改定につきましては関係者の十分な理解を得る必要がございますので、現在水田利用再編対策の中におきまして麦の振興を図っておる時期でもございますので、こういった点につきましての理解を十分得るための時間を今後かけてまいりたいというふうに考えておりまして、今回は見送った次第でございます。
  39. 安井吉典

    安井委員 農林水産省は、初めは麦の問題は入れませんと、こう言っていた。ところが後になって急に、入れます、こう言い出して、そして最後は、やめました。反対世論の高まりの中で民主的に処理されたのかどうか知りませんが、そういう経過があるわけであります。  それはそれとして、米の生産者価格の決定方式については、第三条第二項の規定は何ら手が触れられていません。したがって、変化なしということだろうと思うのですけれども、しかしこれも基本計画に絡んできて、類別の格差とか、品質格差を拡大するために自主流通米を新たにふやしていく、そういうような中で需給均衡価格を市場原理でつくり上げていく、それを政府価格にも反映させていく、そういうような過程を経て生産費所得補償方式というものにこれは微妙なかげりが出てくるのではないか。  生産費所得補償方式が完全に否定されたとは私は言いませんよ。しかし、いまのような自主流通米という一つの道筋を通して微妙な影響が出てきはしないか。そしてそれを逆用して、意識的に品質格差の拡大計画の中に織り込んでいく、そういうようなことになる心配もないのか。そういうことでは食管生産費所得補償方式というようなものは形骸化してしまうわけです。産地間の競争が激化したりする、そういうようなことになるわけです。あくまで第三条第二項の規定は厳守さるべきである、こう思いますが、どうですか。
  40. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 それはもうもちろんでございまして、第三条の二項はそのまま手を触れずにおいたというゆえんもそこにあるわけでございます。
  41. 安井吉典

    安井委員 それでも微妙な変化というものを私は恐れるものですから、特に念を押したわけであります。  それから消費者価格の問題でありますけれども政府米を卸す場合に、売り渡しの仕方では、原則は随契だ、しかし不適当な場合には競争契約にするということがあるわけでありますが、随意契約不適当と認めるときというのはいかなるときか。私はそれは特殊な場合だと思うのですけれども、その点をここで明確にしておいていただかないと、政府自身がただ不適当という見方だけで標準価格からぐんと安い価格に引き落としたりするなどというようなことになれば、これは食管制度そのものにかかわってくる問題だと思います。そういう意味で、不適当と認めるときということの解釈をこの際明確にしていただきたいと思います。
  42. 松本作衞

    松本(作)政府委員 今回の政府売り渡し価格の改定におきまして、従来必ずしも明確でございませんでした政府売り渡し価格考え方といたしまして、随意契約を原則とするという点を明確にした次第でございますが、なおこの随意契約によることが不適当な場合という事例といたしまして、私どもは過剰になりました古米の売却等の場合に、品質によって随意契約のように固定的に決めかねるというようなものを需要実態に応じて売り渡すというような場合が考えられるわけでございまして、通常の主食の売却につきましては考えておらない次第でございます。
  43. 安井吉典

    安井委員 問題がたくさんあり過ぎて、残った短い時間の中で選択に困るのですけれども、集荷と卸、小売の問題、その前に縁故米、贈答米の問題についてちょっと伺っておきたいと思います。  政令によってこの処理が定められると思うのでありますが、どういうふうな規定考えておられますか。
  44. 松本作衞

    松本(作)政府委員 従来、生産者の縁故者に売り渡す縁故米でありますとか、消費者同士のいわゆる贈答米というようなものにつきましては、一切これが譲渡の禁止または流通の禁止というようなことで定められておったわけでございましたが、今回は、この中でいわば個人間の無償譲渡にかかわりますようなものは、実態といたしましても規制をすることが困難でございますし、他方流通面におきまして適正な規制を行うことによってこれが不正流通に流れることを防止できるという前提で規制対象から外すことにしたわけでございますが、これらの規制対象から外れる縁故米、贈答米につきましても、これがいわゆる業としての流通になりませんように、取り扱いにつきましては十分な監視体制をとっていきたいと考えておる次第でございます。
  45. 安井吉典

    安井委員 これも恐らく第九条による政令でしょう。政令規定見込み事項はいただいておりますけれども、その部分がありませんから、第九条による政令の見込み事項、つまり縁故米に関する部分です。これをひとつ後でお示しいただきたいと思います。  そして、私どもの党は、縁故といってもこれは規制のしようがないので、実質的にやみ業者の入り込む余地ができても困る、そういうようなことでいわゆるアリの一穴になりはしないかという心配も持つわけであります。したがって、私どもの案では、あくまでも無償で、代償がないという場合に限るということ、それから一回の数量を制限する、事情を最もよく知っている市町村長の許可証を必要とする、こういうような規制づきの新しい仕組み、こういうことにすべきだと思うのでありますけれども、その点はどうお考えですか。
  46. 松本作衞

    松本(作)政府委員 この縁故米、贈答米につきましては、考え方といたしましては、ただいま御指摘ありましたようにいわゆる無償の譲渡ということに考えておるわけでございますが、具体的な手続等につきましてはさらに検討してまいりたいと考えております。  ただ、規制を解除するというたてまえからいたしますと、その都度市町村長等からの許可を受けるということはやはり規制になりますので、そのような厳格な措置はなかなかむずかしいのではないかと考えております。
  47. 安井吉典

    安井委員 その点はさらにまた私ども考え方をもっとまとめていきたいと思います。  松沢委員に関連質問がありますのでバトンを渡したいと思いますが、最後に、集荷の問題やあるいは卸、小売の認可等の問題について触れられませんでしたが、この集荷の問題について、農協側は集荷区域を隣接町村まで拡大してほしいという商系の希望に対して反対、商系はそれを希望する、そういうふうな状況があらわれているようでありますが、農林水産省としての方針はどうなんですか。
  48. 松本作衞

    松本(作)政府委員 米の集荷につきましても、今回の法律改正におきまして集荷業者の地位と責任を明確に位置づけまして、適正な全量集荷が確保できるように努めておる次第でございますが、運用面におきましてもこういった全量集荷が確保されるための措置について現在検討をいたしております。  ただいま御指摘がございました集荷区域の問題につきましては、こういった全量集荷が達成されるための方法として現在検討中でございますが、私どもといたしまして従来の考え方を大幅に変えるということではなくて、できるだけ実態に即した全量集荷が確保できるような措置考えていきたいと思っておる次第でございます。
  49. 安井吉典

    安井委員 残った問題については、また別な機会にしたいと思います。  あと、松沢君に譲ります。
  50. 福島譲二

    福島委員長代理 松沢俊昭君。
  51. 松沢俊昭

    ○松沢委員 私は、これからの米の管理をやる上におきまして重大な関係がございますので、えさ米の問題で若干質問をいたしたいと思います。  えさ米の試験研究につきましては、この委員会におきましてもしばしば取り上げられてまいりました。ことしの予算では国の方で試験研究をやるために五千五百億、それから道府県に対しまして委託をやるということで八百億、こういう予算を計上されまして国の試験研究が行われることになったのでありますが、どんな構えでやっていくのかという考え方をまずお伺いしたいと思います。  あわせまして、この研究というのがどの試験場でどのようにしてやられるのか、これにつきましてもお伺いいたしたいと思います。
  52. 川嶋良一

    ○川嶋政府委員 飼料用稲のことにつきましてはいろいろ問題があるわけでございますが、当面は品種がございませんので、超多収品種の育成ということに焦点をしぼりまして全力を挙げているところでございます。  この超多収品種の育成につきましては、すでに農事試験場等関係のところで新しい素材の探索あるいは外国品種と日本の多収性品種の交配等いろいろやっているわけでございますが、現在までのところ外国品種等にやや有望のものもございますけれども、脱粒性の問題ですとか耐冷性、耐病虫性その他いろいろ問題がございまして、まだ飼料用稲という形で農家の方々に栽培をお勧めをするという段階に至ってないわけでございます。こういう状況を踏まえまして、国としては五十六年度から、先ほど先生御指摘のような予算もつけまして本格的な研究を進めてまいりたいということでございます。  その基本的な考え方といたしましては、いろいろあるわけでございますが、まず、その収量性が抜群でなければいけないということがございます。この点につきましては、わが国の水稲の単収というのは世界的に非常に高いわけでございますので、これからさらに高くするということは大変でございますけれども、これまでのところ単収五割というのを一つの常識的なめどにしているわけです。従来の経過からいたしますと、この五割単収を上げるということには五十年の年月を要しているわけでございます。こういうことからいたしますと、短期間に多収を得るということはなかなか大変でございますけれども、私ども全力を挙げてその試験研究を推進することによって目標を達成したい。一応のめどといたしましては、段階的に向上を図りながら、おおむね十五年ということをめどにしてこの五割達成を考えているわけでございます。これも大変年月がかかってということもあろうかと思いますが、先ほど申し上げた点から言いますと、技術的には大変目いっぱいの努力目標ではないかというふうに考えている次第でございます。  また、これを達成するために試験研究機関挙げて、この関係の研究所を動員してやっていこう、こういうことでございます。一つは、基礎的な問題といたしましては、農業技術研究所あるいは畜産試験場あるいは熱帯農業研究センター、こういったようなところで基礎的な研究あるいは外国からの母本の導入あるいは畜産的な観点、こういったことをいろいろと検討する予定にしてございます。それからもう一つは、実際に育種を進めていくということで、これは従来国の試験場では農事試験場あるいは地域農業試験場で実施しておりますので、こういうところで実施をいたします。合計七カ所になります。それから道県の八つの指定試験地、こういったところで実施をしていこうということでございます。
  53. 松沢俊昭

    ○松沢委員 完全なものにするにはなかなか大変な時間がかかる、こういう事務局長のお話でございますが、この研究をやるに当たりましては、国だけではやはり限界があるのではないか、かように私は考えております。やはり民間の試験研究も活用していくことによって完成品をつくるスピードを速めるということになるのじゃないか、こう思っておるわけでございます。  この前の渡邊官房長答弁によりますと、国の試験研究に役立つ範囲のものに限り、民間の場合におきましてもこれを認めて、そして転作田としてのカウントをするよう前向きに検討している、こういうふうな御答弁があったわけでございますが、もっとこれを具体的に、どういう要件のものについて検討をするというふうにお考えになっているのか。たとえば、品種の面においてはこういうような品種で、そしてまた面積の面におきましてはこの程度の面積という、いろいろな条件というものが転作田としてカウントする場合においては当然考えられると思いますが、もっと具体的に御説明をいただきたいと思います。
  54. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 超多収品種の育成に関します試験研究は着手されたばかりでございますので、国の試験研究機関を中心に体系的に進めるということにいたしているわけでございます。  その際、民間の試験研究につきましては、実用規模によります諸特性の検定のための試験田として、国の試験研究の参考となり、全体の試験研究体系の中に位置づけることができるというものにつきまして、栽培する品種なり作付の規模等一定の要件のもとに、転作奨励補助金は交付いたしませんけれども、これを転作面積にカウントするという方向で現在前向きに検討いたしておるわけでございます。  その際、具体的な要件でございますけれども、これにつきましては、試験研究の面なりあるいは食糧管理の面等、さまざまな角度からの検討が必要であるわけでございますが、民間の試験研究は全体の研究体系の中に位置づけ得るものを軸に考えるべきものであろうというふうに考えられますので、試験実施計画というものをつくっていただきまして、これを国の認定に係らしめるということ、それからその試験研究をやっていただいた結果につきましては国に報告をしていただくというような手続を考えておりまして、その手続のもとで、試験研究の主な要件といたしましては、一つは栽培する品種でございますけれども、これは多収性素材として試験研究機関が定める基準に合うものであるということでございます。したがいまして、たとえば外国の多収品種、韓国系なりいろいろあるようでございますが、そういうようなものが決められるのじゃないかと思います。それから作付の規模でございますが、これはポット試験をやるとかいうようなものではございませんで、一品種十アール以上というようなこと、それから横流れ防止のための行政機関の確認を受けるというようなこと、こういうものを試験研究の主な要件にいたしたいというふうに考えておりまして、そういう方向で現在鋭意検討をいたしておるところでございます。
  55. 松沢俊昭

    ○松沢委員 民間の試験研究田、これを転作面積にカウントするということがはっきりしたわけでありますけれども、実はいま私たちの方といたしましても、そういう試験研究田を全国的に大体千町歩くらい考えているわけであります。いよいよ作付の時期に入りましたので、いま二瓶局長の方から御答弁がございました考え方というのは本年度からカウントする、こういうふうに理解して差し支えございませんか。
  56. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 ただいま申し上げましたように、現在この転作カウントの面につきましては鋭意検討しておるところでございます。できるだけ早期に結論を得たいというふうに考えております。したがいまして、本年度の水田利用再編対策、これについても、間に合うものについては当然転作カウントということをやりたい、そういう考えで鋭意詰めておる、こういうことでございます。
  57. 松沢俊昭

    ○松沢委員 そうすると、当然その通達が都道府県に出るということになりますが、その通達はいつごろになりますか。
  58. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 遅くとも今月の中旬までに成案を得て通達は施行いたしたい、こういう心組みでございます。
  59. 松沢俊昭

    ○松沢委員 最後に大臣に御質問申し上げます。  いま面積の面においてはカウントする、しかし奨励金の問題についてはどうもはっきりしておりませんけれども、いまえさ用として青刈りなんかやっております。それにつきましては奨励金を出しているわけであります。将来にわたっての畜産振興というところの立場、水田の管理というところの立場で、民間でもこの問題が大きく取り上げられているわけでありますが、面積だけでなしに、奨励金もあわせてやはり考えていくということはできないものかどうか、この点、大臣の方からお伺いしたいと思います。
  60. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 たびたびこの件につきましてはお答え申してきたところでありますが、とにかく先ほど来からの御議論のとおり、えさ米につきましては一つの固定した品種をつくるために国としては全力を挙げる、その試験研究に協力していただく方のそのものに対してはカウントだけはしていきましょうということを申し上げておるわけでありまして、これに転作奨励金を出すというようなことはいまのところは考えておりません。なぜかと申しますと、結局品種が固定してないということ、脱粒性もあるし収益性も低いしといったようなもろもろの難点のあるものに、奨励金をつけてこれを奨励をするという段階までにまだ品種が固定していません、こういうことでございますので、当分の間は奨励金は出さないということで、長期的に見て考えていこう、こういうことでございます。
  61. 松沢俊昭

    ○松沢委員 要するに、出さないとはっきり言ったわけでもないのであって、長期的には何とかしよう、こういうお考えなんでありますが、これはやはり国の方で本気になってやる、それに対しまして民間のそういう試験研究というものを活用していくということになれば、県の方でやる場合においては委託費というものも出しているわけなんでありますから、そういう点で財政の面でもある程度裏づけというものを考えていただくということも私はどうしても必要だと思いますので、この点、いま大臣の御答弁では長期的に考えるということでございますけれども、奨励金を長期的に考えるという暫定的な方法をひとつ御検討いただきたい、こう希望いたしますが、どうでしょうか。
  62. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 えさ米につきまして、民間の試験研究につき単に転作カウントということだけでなしに、奨励金を出すということでいろいろ前向きに考えられぬかというお尋ねでございますが、先ほど大臣からもお答え申し上げましたように、えさ米につきましては、収益性あるいは識別性あるいは脱粒性等を含みます技術面等の問題があるわけでございます。したがいまして、現段階で本格的生産を見込むというのは困難でございます。当面、先ほど来申し上げておりますように超多収品種の育成に関する試験研究を大いに推進していこう、それから長期的な課題として取り組んでいこう、こういう姿勢で取り組んでおるわけでございます。  ただ、えさ米の試験研究は相当長期間を要するというので、当面その推進に全力を挙げるということから、先ほどお答え申し上げましたように、民間の試験研究田の転作面積のカウントの問題につきまして、試験研究を円滑に進めるということの一端といたしまして前向きに現在鋭意検討しておるということを申し上げたわけでございますが、このことはえさ米自体の取り扱いとは別個の問題である、かように理解をいたしております。えさ米を今後どう取り扱うかということにつきましては、収益性の補てんの仕組み等について関係者の合意形成が必要でございますので、長期的な課題として検討を進めるということにいたしておるわけでございます。したがいまして、この転作面積カウントということによりましてえさ米の本格的生産を認める契機とするものとは考えておらないわけでございます。  したがいまして、当面、水田利用再編対策の第二期が五十六年度、今年度からスタートをするわけでございますが、この二期対策の面におきまして転作作物というようなことで奨励補助金の交付対象にするというようなことは、現段階のえさ米の研究の段階等から見ますとこれは困難であるというふうに言わざるを得ない、かように考えるわけでございます。
  63. 松沢俊昭

    ○松沢委員 前向きにひとつ財政の問題につきましても御検討をいただきたいということを希望いたしまして終わります。
  64. 福島譲二

    福島委員長代理 竹内猛君。
  65. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 食管法改正に関連をして若干の質問をしたいと思いますが、まず最初に、この食管法昭和十七年にできたものでありまして、まず字句、文言が現在に合わない、これをなぜ直さないのか、そこから質問します。
  66. 松本作衞

    松本(作)政府委員 今回の食管法改正は、いわゆる食管法根幹ないしは基本を変えないで実態に合わない点を改正をし、さらに長期的に長続きのするような制度にしていきたいという改正でございますので、従来からこの食管法規定はかたかなでつくられておりますので、このかたかなをもとにいたしました法律体系というものの基本はこれを変えないで所要の手直しをするということにいたしました結果、かたかなが残った次第でございまして、改めてここでひらがなにすることになりますと、食管法の全面改正ということになってまいりまして、この基本的な考え方自体再検討を迫られるというようなことも考えられますので、私どもといたしましてはこの基本を守るということでかたかなで改正をした次第でございます。
  67. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 現在に適当でない言葉が初めからたくさんありますね。最近国語審議会で復活した言葉もありますけれども、ああいう言葉はきわめて適当でないから、余りいい気持ちではないですね。  そこで、今回の食管法改正する基本が、従来の配給統制から今度は流通規制に重点がある、こういうふうに理解してよろしいか。
  68. 松本作衞

    松本(作)政府委員 従来の食管法におきましては、食糧不足時を前提といたしまして米の公平配分をしていくというような考え方になっておるわけでございまして、流通面につきましてもいわゆる「配給統制」というような規定になっておるわけでございますが、今回の食管法改正におきましては、食管法が、過剰、不足、いかなる需給事情にも対応できるような姿ということを考え改正をいたした次第でございますので、したがいまして、流通につきましても「配給統制」というよりもより広い言葉でございます「流通規制」という表現に改めた次第でございます。
  69. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 そこで私は、農政と現在の米の位置、これについて若干質問をします。  現在農林水産省の予算の中で補助金の多くの部分が土地改良費、構造改善事業に使われている。本年においても、公共事業が四〇・七%、そのほかに構造改善事業の八・八%、それから水田事業が二八・六%というように、米を中心としたものに金が使われていること、それは結構だと思うのですね。土地改良等々をやることは結構だと思うが、問題は、日本型食生活という去年の十一月に出した八〇年代の展望、これは、米の消費が減ってきた、こういうことになっている。一方で米をつくるように努力をする。一方では食生活が変わる。そこで今度は畜産の方に行くけれども、畜産の方も飼料作物が余りうまく伸びない、外国から輸入がふえる、こういう矛盾をしている。こういうふうに思いませんか。大臣いかがです。
  70. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 大体、竹内君がいま指摘された方向は私としてもこれを了承といいますか、よく理解できるわけでありますが、確かに米を生産するための基盤整備のために相当な投資がされておる。畜産や水産あるいは林業関係等に比較いたしますと、米には相当投資をされておる。しかし、その投資をされてよくできる米が消費をしてもらえないという、ここに非常に大きな私どもの悩みがあるわけでございまして、この悩みを解決していくことが刻下の急務である、こういうことで、日本型食生活の定着を図っていかなければ長期見通しも画餅に帰する、こういうことになるわけでありますので、どうしてもこの際はやはり米の消費拡大にも全力を尽くさなければならないという姿勢をとっておるゆえんもそこにあるわけでございます。
  71. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 そこで、なおこれをさかのぼって追求しますと、三十五年に三百三十万ヘクタールの米ですね、これは陸田も含めますが、これが五十五年になりますと二百三十七万ヘクタールですか、面積にすると二八%米づくりの面積が減っているにもかかわらず、米の生産量は二〇・八しか減っていない。こういうように、努力によって生産はふえておりますね。ところが、消費の方がそれに伴わないために過剰が出て、その過剰のために食管に赤字が出たということで世間から指摘をされている。これは行政の責任じゃないですか。農家の皆さんは努力をしてきているのですから、農家の責任じゃなくてこれは行政の責任でしょう。そのために消費者価格を上げ、生産者価格を抑え、減反を押しつけられている。米しかできないところに減反をしろと言う。ずいぶん無理なことじゃないですか。こういう点をどうお考えですか。
  72. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 行政の責任との御指摘でございますけれども、確かに農業基本法をつくりまして以来何回か十年間の長期見通しを立てたわけでございますが、その長期見通しの中で米の消費量を算出する際の基本的な見通しについての判断の甘さというものもあったことは、政府としても十分認めておるところでございまして、その結果、今回農政審議会において、二千五百キロカロリーというような点に基本を置いて、日本型食生活というものを基本にして、そして今度こそは十年後の見通しをきちんと誤りのないものたらしめていこう、こういうことで今年からもろもろの施策を講じておるところでございます。  したがいまして、その行政の責任というものについては、私どもも感じておればこそ、あらゆる施策を講じまして、そして米の需給のバランスをとり、そして農政のひずみを是正をしていこうと、こういう体制をとっておる次第でございます。
  73. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 さらに問題があります。それは、米をつくる農家は現在三百八十万戸、売る農家は二百八十万戸。そこで、前にも質問をしましたが、この減反というものは、米をつくる農家も売る農家も平等に割り当てをしなければならないという形で、これは先ほど安井委員が言われたように、法律ではないけれども行政でやっている。そのやり方は、まさに徳川時代の五人組制度ですね、これは。国の責任というものを明らかにしないで、末端の部落の中の個人個人が責任を負うという。一人の耕作農家がおれはいやだ、できないと言えば、あとのすべてのところに奨励金が来ない、ときによるとそこの町の許認可権まで奪われるというところでいま割り当てが行われている。これは決して農家が喜んでやっているのじゃない、実際。こういう状態であるわけですね。また、土地改良はやったけれども、そのやった土地改良が、地下水位が低いために米しかできない、そういうところに大豆や飼料作物、麦を植えろと言っても無理なんです。そういう面積がまだ百万ヘクタールほどあるということは前々から指摘をされたとおりなんです。  こういう状況の中で、あるいはえさ用の米を植える、あるいはアルコールをしぼるための米、工業用、いろいろな多目的のものにしてそれを活用するという、水田を活用して、そうして日本における総合的なエネルギー、総合的な食糧政策をするという考えはありませんか。
  74. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 水田利用再編対策につきましては、農業の再編成という大きな柱もあるわけでございますが、何といいましても米の需給調整、こういう面の施策であるという性格が非常に強いわけでございます。その際に、この理解と協力を得てこの施策を進めるに当たりましては、やはりすべての稲作農家の協力を得て実施していく必要があろう、専業農家もそうでございますし、あるいは兼業農家、特に飯米農家というような方にも御協力を得てやっていく必要があろうと、こう思っております。この水田再編の際には、先生御案内のとおり地域ぐるみの計画転作というようなものも仕組んでおるわけでございますけれども、こういう地域ぐるみで転作を推進をしていくという際にも、やはり集落内の土地の利用調整等の問題もございまして、地域の実情に応じまして飯米農家の方にも直接間接に協力を願わなければならないということでございます。  いずれにいたしましても、農家別にいろいろ目標面積を配分するというような際には、やはりその農家ごとの経営条件というようなものに精通をしておられる市町村長さんにお願いをして適正な配分なりこれの推進をやっていただくということを考えて、現在その線で進めておるわけでございます。  その際に、湿田の多い地帯とか、いろいろな問題も確かにあるようでございます。こういう面につきましても、やはり地域の特性に応じて農業生産の確立を図るというような方向で進めなければならぬことは当然でございます。そういうことで、湿田の多い地帯などにつきましても、いわゆる当初配分をいたしました七項目という際にも、乾田化率といいますか、そういう面等も配分要素に織り込んで、その他の要素もございますが、総合的に勘案して配分なども行っておるわけでございます。まあ湿田では畑作物をつくるという面では条件が悪いわけでございますので、排水対策特別事業等々、この排水改良の面等の条件整備というような諸対策もいろいろ進めておるわけでございます。  それとともに、こういう湿田等でも栽培可能な転作作物の開発研究というものも積極的に進めてまいりたいということでございます。従来、レンコンなり青刈りヒエあるいはイグサというようなものの導入もやってまいったわけでございますが、第二期におきましてはハトムギなども重点作物として位置づけまして、特定作物というようなものに一定の要件を満たすものは新たに採用して奨励していくということで、湿田におきましても転作可能なものは転作を大いに進めていきたいというようなことで、湿田の有効利用といいますか活用といいますか、そういう面も配慮しながら水田再編対策を進めていきたい、かように考えております。
  75. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 きょうはこの議論を中心とするわけではありませんが、ともかく限られた土地で農家がそれぞれ歴史的、伝統的に営農を努力されているわけですから、そういうところに無理やりに行政が上から補助金や奨励金で押しつけて、そしてある意味では上意下達ですね、民意を尊重するということは余りない。これからりっぱな土地を減反の対象にしていかなければならない。いままではある意味においては粗末に扱った土地もあったかもしれない。もうこれ以上ないですね。そういうことになると、これは全く命がけだ。  そういう場合に、画一的ではなくて、やはり立地条件に合わせて、米価というものを基準にして、それに合うような形で他の作目を並べていくような努力をしていかなければいけないのじゃないかと思うのですね。適地適産、米価準拠、こういう努力をするようにこの機会に再検討してもらいたいと思うけれども、そういう考え方大臣どうですか。
  76. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 農産物の価格によって農家経営をよくしていこうという考え方もわからないわけではないのでありますけれども、これにはやはり限度があるのではないかという感じがいたします。特に御指摘のように、食糧以外の原料としての米の利用というお話もあったわけでありますけれども、工業原料として米を使っていくという場合にも、やはりコストというものが一つの大きな要因になることは、もう竹内委員も御承知のとおりでございます。  そういう意味におきまして、超多収米といったようなえさ並びにその他の原材料としても、将来は、水田という大きな意義を持つ土地があるわけでありますので、これを活用するということは日本農業において忘れてはならない問題であろうと思います。その点はよくわかりますが、そういう点につきましても、いままで考えてもいなかった点に試験研究という大きな体制でぶつかっていかなければならぬわけでございますので、この点については、私どもとしても、まずえさ米を突破口として試験研究に大きな力を尽くしていこう、こういう体制をとっておる次第でございます。
  77. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 特に五十四年度の農業粗収入の中でも、十一兆五千億の中で米が三兆六千億というように依然として米の収入が多いのですね。三一・五%というように粗収入に占める米のウエートは多い。減反をこれだけしていてもなおかつ米のウエートが多いということを考えるときに、やはり米以外のものでこれを奨励していく。特に今度は研究センターもできるわけですから、この際に米価に準拠して他の作目に対して努力してもらいたいと思うし、特にこの機会に、石油等々の価格が値上がりをする、非常に不安ですね。そういう点について通産省ではかなり前から努力をされてきた。えさ米の問題については先ほど松沢委員から質疑があったから私は重複を避けますが、この際、通産省から、アルコールとしての米あるいは農作物からのアルコールに対する努力というものに対してどういうふうにしており、どこに問題があるかという点について、ちょっと説明をしてもらいたい。
  78. 新村明

    ○新村説明員 お答えいたします。  アルコール事業部で製造しておりますアルコールでございますが、これらの原料につきましては現状では残念ながらその大半を輸入に依存しておるという状況でございます。しかしながら、当事業部といたしましては、国産の原料をいかに使うかということにつきましては終始検討を続けておりまして、技術的あるいは経済的に可能であれば極力これを取り込んでいきたいというのが基本的な考えでございます。  その一例でございますが、ミカン果汁のしぼりかす、これはミカンのジュースをとったあとの残ったかすでございますが、この中にまだ若干のいわゆる果汁みつが含まれておるということがございまして、従来これは顧みられていなかったわけでございますが、当事業部といたしまして昭和四十九年より研究を行いまして、現状では毎年恒常的にこれを使用いたしておりまして、重要な原料として扱っております。  それから、カンショあるいはいまお話しになっております米につきましては、これからアルコールをつくるという技術は相当昔から一応は確立されておるわけでございますけれども、いま御指摘のようにいろいろと燃料が上がっておるということもございまして、できる限りの省エネルギーということを通じまして、さらにその技術開発を進めていかなければいけないと考えております。  カンショにつきましては、これはごくわずかな量ではございますが、私どもの九州の工場におきまして毎年カンショを原料としたアルコールを製造しておりまして、そういった実際の製造過程を通じまして、糖化法あるいはその高濃度な発酵といった面で技術を改善していっております。  それから米につきましては、三年ぐらい前に一度黄変米を使用させていただいたことがございますが、それ以降は米については使用しておりません。しかし、今後いろいろとその可能性ということもあるいはあるかと思いますので、その技術的な蓄積ということを目的といたしまして、今年度、小規模な実験ではございますが、米からのアルコールの製造につきまして研究を行う予定でございます。  この問題点と申しますと、まず第一には経済的な面でございまして、残念ながら現状価格でございますと米からのアルコールというのはなかなかその見通しが立たないということでございますが、今後とも省エネルギーの問題、あるいはその発酵によって生じます廃液の処理の問題、こういったようなことを常に研究を続けまして、将来そういう可能性がございますれば、そういう原料が安価に供給していただけることがございますれば、これにつきまして積極的に取り組んでいきたい、かように考えております。
  79. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 いま通産省からもお話があったように、米自体あるいは農産物自体を食糧として考えると同時に、もう一つはエネルギーとして考えていくという考え方、その中で特にアルコール等々をしぼり出すということは非常に大事なことだ。農林省がやはりやられていると思うけれども、いま民間でも、また各地区でもこういう努力をしているわけですから、これはやはり鋭意取り組んでもらわなくては困る。こういう点について、これは大臣にも要請をしたいわけですが、特に土地を利用して農産物を生産をして、それからアルコールをとっていく。経済性の問題については、品質と収穫の問題を考えなければならないと思いますが、いまの食用のためにつくっているものから考えれば、それは合わないことはわかるけれども、そういうことではなくて工業用に考える。あるいはまた純米から酒をつくるということについては、もう議員連盟もできてこれから出発をするわけですから、そういう点で多目的に使っていくということについて、その考え方はどうですか。
  80. 松本作衞

    松本(作)政府委員 米の消費拡大の一環といたしまして、多目的に米を利用していくということは私ども必要なことであろうと考えております。現在行っておりますのは、一つは酒米につきまして従来自主流通米のみで行っておりましたものを、政府の売却を含めることによりましてアルコール添加率を下げるということで、より米の使用量を拡大するような措置を酒造業界の協力のもとに実施をしておるわけでございます。  それ以外のたとえば加工用につきましては、先ほども出ましたようなコストの問題等もありまして進んでおりませんが、食用といたしましては、米の新製品の開発というようなことで、たとえば米からの新たなめん類でありますとかクラッカー類でありますとかいうような新製品の拡大につきましては、試験研究用の米を安く出すというようなこともいたしまして、できるだけ食用としての広い利用を確保していきたいという努力をしているところでございます。
  81. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 今度の食管法改正に当たって、総理並びに農林水産大臣は、政府国民の必要とする米穀を自主流通米をも含めて管理をするという現行制度基本は維持するという、いわゆる全量管理の堅持を明らかにしたが、この全量管理と今度の改正案との関連について、私は次の点について質問したいと思います。  自主流通米制度については、先ほど安井委員からも御質問がありましたが、食管根幹を崩すものであり、わが党としては基本的にこれについては余り賛成できない。改正案では、これまで政令以下での運用とされてきたものを、今度は第三条並びに第二条ノ二の基本計画において明示することになっております。その理由並びに自主流通米の定義、役割りを明確にしてもらいたい。
  82. 松本作衞

    松本(作)政府委員 自主流通米につきましては、現在の食管制度の枠内におきまして流通量の約三分の一を占めておりまして、これによりまして消費者の多様な需要に対応する供給が図られ、また生産者に対しましても品質に応じた適正な価格形成が行われるというようなことで、食管制度の中において重要な役割りを果たしてきておると考えております。  ただ、この制度につきましては、従来政令の段階で規定がされておりましたものを、今回は自主流通米考え方といたしまして、第三条の中におきまして、消費者に対して計画的に適正かつ円滑なる供給がなされるものというような形でその性格づけを明確にいたしますとともに、基本計画及び供給計画の中におきまして、流通における管理の態様別の内容ということで、政府米と並べまして自主流通米の位置づけに従った数量というようなものをはっきりさせることによりまして、全量管理の枠内での自主流通米の位置づけを明確にした次第でございます。したがいまして、私どもといたしましては、今後ともこの自主流通米食管制度全量管理の枠内で健全に運営されることを期待しておる次第でございます。
  83. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 政府が枠内で管理するということですが、直接管理をする政府米と、それから直接管理をしない自主流通米との流通割合はきわめて重要だと考えるわけですが、この適正な水準というものはどう考えられるか。
  84. 松本作衞

    松本(作)政府委員 自主流通米政府米の割合につきまして、これを一律的に定めることはなかなかむずかしいと思っております。実態といたしましても、自主流通米の割合は年によって変動をいたしておりますので、需要の動向、生産の対応というようなことからいたしまして固定的には決めかねると思うわけでございます。したがって年々の基本計画の中におきましてこの関係を明確にしていきたいと思っておるわけでございます。  しかし、現在の自主流通米数量につきましては、五十三年、五十四年におきましてすでに自主流通米の良質米が過剰になったというような事態もございますので、今後この現在の数量が大幅に拡大するというようなことはないものというふうに考えている次第でございます。
  85. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 その比率がまだはっきりしないのですけれども政府米自主流通米の比率は現在は二対一でしょう。それは正常な形なのか、それはいつまでも続けていくのか、それともまだ変化があるのかということです。
  86. 松本作衞

    松本(作)政府委員 現在の割合は大体二対一になっておるわけでございますが、私どもといたしましてこれを固定的に何割というふうに決めるべき性質のものではなくて、消費者品質に応じた需要実態に対応して自主流通米数量というようなものも定まってくると考えておりますので、年々の需給事情に対応して基本計画の中で政府米自主流通米との割合が明確にされていくべきものと考えておる次第でございます。ただ、総体といたしまして、現在の自主流通の割合というものが今後大幅に拡大するというようなことではないだろうというふうに考えておるわけでございます。     〔福島委員長代理退席、委員長着席〕
  87. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 第二条ノ二の基本計画において「政府管理スベキ米穀ノ数量」とは一体どういうものを言うのか。またこの中には予約限度数量を超えて売り渡されている米、さらには厳格な配給統制の廃止に伴って可能となる贈答米、縁故米も含まれていると考えるが、これに対してはどう考えられますか。
  88. 松本作衞

    松本(作)政府委員 基本計画において政府管理すべきものというふうに定められますものは、いわゆる政府直接操作米と自主流通米とを考えておりまして、いわゆる国民生活に必要な流通量というふうに考えておる次第でございます。したがいまして、この基本計画の中には限度超過米というものは入ってこないというふうに考えておりますし、またいわゆる縁故米、贈答米等のように無償の流通が個人的に行われるというようなものは、政府管理すべきものには入ってこないというふうに思っておるわけでございますが、この基本計画の中の需給の見通しの中におきましては、全体の数量についての需給の見通しを立てていくということを考えておる次第でございます。
  89. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 もしマル超米が発生した場合には、これを自主流通米として取り扱うということですか。
  90. 松本作衞

    松本(作)政府委員 基本計画はあらかじめ播種前に立てる計画でございますので、その段階であらかじめ超過米を予定するということはいたしませんが、実際に発生しました場合に、供給を必要とするわけでございますから、供給計画の中におきましてはこの限度超過米についても織り込んで考えていく必要があると思います。その場合には、自主流通米そのものではなくて、自主流通米のルートを通じて供給される米という形で位置づけてまいりたいと考えております。
  91. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 それではなお、ちょっとくどいようですけれども、縁故米を政府管理すべき米穀の枠外とすることは全量管理と矛盾すると考える。少なくともその数量流通についての方針を明確にすべきだと思うけれども、縁故米というものは一体どれぐらいあって、どういう取り扱いをすべきか、この点はどうですか。
  92. 松本作衞

    松本(作)政府委員 縁故米、贈答米につきましては、従来から、主として縁故米につきまして農家消費等というような中でその数量を予定しておるわけでございますが、今後縁故米がどの程度数量になるかということは明確にできませんけれども実態を今後把握するようにしてまいりたいと思っております。ただ、この米が、先ほどから申しておりますように個人間の無償譲渡というような性格のものでございますので、これを政府管理すべき米穀ということに入れることはむずかしいと思いますが、その流通が不正流通にわたらないような監視を十分にしていきたいと考えております。
  93. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 ある地区に行きますと、一人の飯米が米三俵だというのですね、百八十キロ。五人家族であったときには九百キロになりますね。ところが実際消費をする場合には、これはそんなに消費はできない。農家であってもそれほど消費ができない。五十五年度の農家の飯米が三百三十万トン。こうなると、農家の保有米と農家の消費するものとの間にはかなりの幅がある、これが縁故米あるいは超過米という形で出てくると思うのですが、わざわざそういうものを予想してつくってくるわけですか。
  94. 松本作衞

    松本(作)政府委員 従来から、全体の需給計画の中におきまして、農家消費等ということで、直接農家の飯米とそれから農家が縁故者等に贈与する米等も含めて需給計画考えておった実態がございます。今後これらのものをどの程度政府管理に取り組むべきかというようなことにつきましては、従来の農家の消費の実態等もございますので、これを急激に変えるということは困難であろうと考えておるわけでございますが、先ほど申しておりますように、農家が無償で譲渡するような縁故米の中に不正規流通があらわれてこないような監視、適正な流通の促進ということには努めてまいりたいと思っておるわけでございます。
  95. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 今度の改正案の中の表に出た中心は、自主流通米法律の上に明らかにした、その次は縁故米等々についても明らかにしたということ、それと政府米、この三つを明らかにした。これで全量管理と言えますか。それ以外には米はありませんか。
  96. 松本作衞

    松本(作)政府委員 いわゆる流通する米の中には、政府が直接買い入れる米とそれから自主流通米及びその他の米ということが考えられるわけでございますが、現在の法律によりましても、自主流通米政府米がそれぞれ位置づけられておりますほか、その他の米といたしまして、農林大臣が特に認める場合の米ということで流通規制を行っておるわけでございます。  従来、この関係は主として九条の譲渡、処分等に関する政令という形で規定しておるわけでございますが、今回の法律改正によりまして、特に政府の買い入れにつきまして、第三条の規定政令で明確にする、それからまた自主流通米につきましても、第三条のただし書きの政令で明確にするということにいたしますが、そのほかの流通につきましても、従来に準じまして第九条の、法律に基づきます政令という形で流通規制をしていく必要があると考えております。その中に、先ほど申しました限度超過米というようなものも明確に位置づけをしていく考え方でございます。
  97. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 小作料を物納でやってもよろしいということになっているのだけれども、これはどういう種類になりますか。
  98. 松本作衞

    松本(作)政府委員 ただいま申しましたように、食管制度のもとにおける流通の形といたしましては、政府が直接買い入れる米、それから自主流通米がありますほかに、特に農林水産大臣の認める場合ということで、種子用の移動でありますとか、ないしは限度超過米のようなものがございますので、これらのものにつきましては九条の譲渡、処分に関する政令という中で決めてまいりたいというふうに考えております。
  99. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 先ほどからいろいろ議論を聞いていると、どうしてもやはり不正規米の取り扱いが不十分。その米が七十万から百万トンと言われておりますね。これがいま長い間の世の流れの中で制度化して、一種のルート化している。これをどういうように指導するのか。取り締まるということはよくないけれども、それを整理するのか、この点は非常に重要なことだと思うけれども、どうです。
  100. 松本作衞

    松本(作)政府委員 今回の食管法改正によりまして、この食管制度の基礎が崩れないようにしていくというためには御指摘のような不正規米の流通を阻止していく必要があることは当然でございます。そのために、今回の法改正におきまして、一つは需給全体についてアンバランスが生じないようにするということが不正規米を発生させない一つの問題であろうと思いますので、基本計画を作成する等によりましてこの全体の需給のバランスをとっていくということを考えたいと思っております。  それからまた、消費者品質別需要に対応できませんと不正規米の発生する根源になる可能性がございますので、できる限り消費者需要に対応した米の供給をしていくということで、品質別の需給等につきましても基本計画供給計画等で配慮をしていく考え方でございます。  それからまた、消費者が買いやすいというような状況で正規の米が供給されませんと不正規流通が出てくる可能性がございますので、今回の法改正による、特に販売業者の地位と責任の明確化という中で、販売業者が消費者需要に即した円滑な供給ができるような仕組みを考えていくということで、消費者が正規の流通米で十分に満足していけるような供給体制をとっていきたいと思っております。  さらにまた、集荷業者につきましても、集荷業者の責任を明確にすることによりまして不正規米が流れていかないようにというようなことも考えておるわけでございまして、こういう形で全体として不正規米の発生を防止していくということに努力をしてまいりたいと思っておりますが、一方におきまして、発生してくる不正規米につきましては、今回の法律改正によってだれもが守れる食管法にしていくという考え方でございますので、そのかわり法律どおりに守ってもらうということで、この取り締まりにつきましては関係省庁とも十分連絡をとりまして、適正かつ厳正な流通の取り締まりをしていくことに考えておるわけでございます。
  101. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 問題は、基本計画をつくることが問題だと思うのですね。それで、先ほど安井委員から物の管理と同時に価格の問題生産者価格及び消費者価格の問題については触れておりますからこれは省略をいたしまして、基本計画の問題についてもかなり深くやりとりがありましたが、この基本計画というものは、需給というものを決める場合に、長期計画というものを、八〇年の段階のものを出された、そして今度は毎年毎年基本計画を立てられる、それは予算が決まってからそれをやるということになるのか、それともそうではなくて、当然基本計画というものは需給あるいは備蓄まで含めて考えられていくのかどうなのか。いま答弁のあったことは、品質の問題から何から全部含まれておる、これが基本計画になる、基本計画はどういうメンバーで、いつごろ、どうしてつくるかということについては先ほど聞いているとどうも不十分だ。この点はもう一回、これは大臣の方からお答えをいただきたい。  生産調整が強制にならないように、ともかく農林水産省考えている安全保障としての食糧というものを、本当に農家が喜んで気持ちよくつくれるようにするためにはどうしたらいいかということなんです。そういうことについてのお答えをしてもらいたいと思う。
  102. 松本作衞

    松本(作)政府委員 基本計画は、御指摘のように関係するところが大きいわけでございますので、私どもなるべく早く農家の方々にも理解してもらうということで、播種前にこれを策定をしてまいりたいと思っておる次第でございます。  なお、基本計画につきましては先ほど来申しておりますように、米の需給につきまして、用途別、品質別ないしは政府米自主流通米別というような内容にわたりまして、政府管理についての方向づけを示すわけでございますので、この方向づけに従いまして、生産者を含め関係者の方々がこれを指針として需給の均衡を図るように御協力をいただきたいというふうに考えておるわけでございまして、そういう意味で、この基本計画の作成に当たりましては関係者の御意見もなるべく聞くようにしていくとともに、この基本計画は公表をすることになっておりますので、できるだけ一般の方にわかるような形で公表をしていきたいと考えております。
  103. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 今回の食管法改正の中の基本計画によって生産調整を強制的にしていくのじゃないかという御指摘でございますけれども、そういう考え方は全く持っておりませんで、生産調整をする際には、あくまでも農家並びに関係諸団体、地方自治体の御了解を得て、御協力のもとに実施してまいっておるわけでありますので、その精神を踏襲をいたしまして、この食管法改正によって生産調整を押しつけるというような考えは全く持っておりません。
  104. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 しばしば申し上げるように、上から補助金や交付金や奨励金をもって問題を押しつけるのではなくて、やはり生産農民の理解の上にその構想が立てられて、そうして本当に喜んで安全保障としての食糧をつくれるような、そういう体制ができることが望ましい、そういうふうにぜひしてもらいたいと思います。  そこで、米の消費の問題について。生産の方はいつもやっていることですが、消費についてやや抜かりがある。この点は養蚕の問題でもそうです。生系の在庫が十五万俵たまってしまった。だから基準糸価が決められない、繭の値を下げなければならないということにいまなって、いまだに決まらない。きのうの読売新聞を見ると、大臣は政治生命をかけて値を下げるのだということをまた言っている。そういうことを言うたびに横浜と神戸の生糸相場が下がってそのままになっている。これでは非常に困る。私は最近養蚕農家のところを歩いて、何をしているのだということで大変しかられている。  そういうわけで、この点も同じように、消費の問題についての努力、たとえば米についても学校給食をやるということを五十一年に閣議で決定をした。ところがその閣議で決定した学校給食がそのとおり進んでいないじゃないですか。それは施設がうまくできていない、人件費がかかり過ぎる、こういうことで約束どおりにできていない。できてないでしょう。これでは困るのです。閣議で決定したことが守られないようでは困るじゃないですか。ほかの方だけは一生懸命守らせておいて、農民には一生懸命守らせておいて、閣議で決定したことが守られないということはどういうことです。これはまずいでしょう。その点をひとつ。
  105. 松本作衞

    松本(作)政府委員 学校給食につきましては、米の消費拡大の重要な柱として、文部省とも協力をして推進をしておるわけでございますが、五十六年度までに全校で週二回の目標を達成するということで努力をしておるわけでございますが、実態といたしまして、地域によって非常にむらがあるということは否定できない事情にございます。しかし、全体といたしまして八四%の学校が学校給食を実施するところまで来ておりますので、今後とも、特に大都市等におきまして学校給食のおくれの目立っておるところを重点として、学校給食の推進に努めてまいりたいと考えておる次第でございます。
  106. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 特に東京であるとか神奈川であるとか、大阪であるとか横浜、大都市においてこれが進まないというところに問題がある。これは米の消費地でしょう。消費地で学校給食が進まないということになったらこれは問題だ。これは農林水産大臣、閣議でもう一遍米の消費について再確認をしてもらいたい。それから、先ほど松本長官が言った、もっと米の粉を活用するというようなことを努力をしてもらいたい。  それから、繭の値段についてはどうです。
  107. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 まことに、繭糸価格の件については、基準糸価決定に至らず御心配をかけておるところでございますが、申し上げてきておりますとおり、諸般の情勢をよく検討し、党とも調整を図っておりまして、大体九日ごろに決めさせていただきたい、こう考えております。十分養蚕農家のことも考え、養蚕農家の立っていくような基準糸価を決めたい、こういうふうに考えておる次第でございます。  また、学校給食の問題につきましては、これは本当に一時は学校給食会をつぶすという閣議決定を、私が官房副長官のときにやったことがあるのです。ところが、いつの間にかまた学校給食会が、その閣議決定が全く実行されずに現在に至っておる。そのゆえんは、米を食べさせます、こういうことで生き返ったと記憶しておるわけでありますが、その約束もまた、一週二日というのが都会では実行されていない。これは文部大臣にやかましく私から申し上げまして、少なくとも大都市地域においても週二日は実行してほしい。同時に私はパン業界にも要請をしておるわけでありますけれども、米の粉をパンに活用してまいるという技術的研究というものが非常にまだおくれているのではないかという感じがいたすわけでございますので、そういう点の検討も食糧庁を通じてやらしておる次第でございます。
  108. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 改正案は、通常時の配給統制を廃止するが、かわりに第八条ノ四で逼迫時には政令をもって配給統制を復活させることとしている。これはさらに第三条の生産者の売り渡し義務の存続によって裏づけられている。このような生産者並びに消費者の利益に重要な影響を持つ事項、言ってみればこれは食管法の生命線ですね、こういうものを政令でやる。先ほど安井委員からもるるお話がありましたから詳しくは追及はしませんが、政令ではなくて、やはりこれは明確にすべきじゃないですか。
  109. 松本作衞

    松本(作)政府委員 緊急時というのはいかなる事態に、いかなる時点で起こってくるかということが予想されませんので、一応発動につきましては法律に基づく政令の手続によりまして、発動の判断は行政府に任せていただく方が実態に即した運用が可能になると考えておるわけでございまして、こういった事例は、同様の緊急の条項が設けられております石油需給適正化法等におきましても同様の措置がとられておる次第でございます。
  110. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 それでは、後でまた議論をすると思いますから、次に進みますが、米穀の流通業者の地位と責任の明確化が改正の第三の理由として説明されておりますが、このことによって現在と改正案では具体的にどのように変わるのか。すなわち、集荷業者に対しては指定をする、おまえ、やってよろしい、販売業者に対しては許可をする、販売することを許します、こういうことになるのですけれども、どういうふうに変わりますか、これは。
  111. 松本作衞

    松本(作)政府委員 集荷業者につきましては、現在の法律では、法律上は必ずしも明確な規定がございませんでしたが、今回、適正な集荷を確保するという考え方から、法律上も集荷業者の地位と責任を明確にするということにいたしたわけでございます。集荷業者は販売業者と異なりまして、農家から定まった米を集荷をして主として政府に売るという、いわゆる仲介的な仕事でございますので、これを政府の指定という形にした次第でございます。  一方におきまして販売業者につきましては、今回の法律改正によりまして、消費者需要の動向に対応して適切に円滑な米の供給を図っていく責任を果たしてもらうということでございますし、また、政府の米につきまして消費者の段階まで配給割り当てをするというような仕組みを外したわけでございますので、そういった意味で販売業者の自主的な活動に期待するところが大きいわけでございます。したがって、この販売業者の秩序が、特定された流通ルートにおいて整然と行われるという必要がありますために許可制にいたしました。とともに、他方、適正な活動が保障されるという十分な指導監督をするためにも許可制というものが必要であるというふうに考えまして、今回の許可制という仕組みをとった次第でございます。
  112. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 最後に私は食糧の検査について質問をしたいと思うのです。  四十五年には五百十一支所、二千七百九十五の出張所があり、そこに二万六千二百四十七人の検査の職員がおりました。五十五年になりますと二千七百九十五の出張所はゼロになり、四百十七の支所に二万八十の職員がおります。しかし検査をする場所は二万四千カ所という形になっている。それから、食糧の検査業務というものは、世に言われるような食糧検査士というようなものでやられるのか、それとも現在の制度をそのまま続けるのか。続けるとしたら余りにも職員の負担が重過ぎやしないか、こう思いますね。この点はどうなります。
  113. 松本作衞

    松本(作)政府委員 食糧検査員につきましては、食管経費の節減を図っていきますとともに検査の合理化をしていくということで、その人員の削減に努めてきておるわけでございまして、現在約一万三千名ほどおるわけでございますが、今後は食管財政の健全化を図りますためにこの検査の合理化をしていくということを考えておりまして、従来の悉皆検査、毎個検査を抽出検査に切りかえてまいりまして検査の合理化を進めてまいりたいと思っております。この検査の合理化によりまして検査員につきましても削減が可能であるというふうに考えておりまして、おおむね六、七年の間にこの検査官の定員を半減をしていきたいと思っておるわけでございます。  そういうふうにいたしますと、御指摘がございましたようにそのままでは過重になるというようなことも考えられますので、検査の事前準備の段階におきまして農協等集荷業者の協力を仰ぐようにしていきたいと考えておりまして、抽出検査の前提となるいわゆるロットの仕分けにつきましては、この仕分けをするための職員といたしまして検査士というような形のものも必要になってくるのではないかというふうに考えておるわけでございますが、私どもといたしまして、この検査士に米の検査をすべて任せるということではなくて、国の行うべき部分とそれから国の検査をする前提としての事前検査を行うべき部分とを仕分けをいたしまして、検査の合理化、経費の節減に努めてまいりたいと考えておる次第でございます。
  114. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 以上で終わりますけれども、米及び食糧、特に今度の場合、米は一日に八十億もの売買をする非常に大事なものであります。日本の歴史的な生産物であり、生産農家も、同時にいま農林水産省も土地改良や構造改善でこれに重点を置いている。そしていま過剰だということで、三Kだということで、それぞれ赤字の出ている根源が違っていても同じように犯罪視されている。しかし私は、最近は農林水産省は大分努力をしておると思うのです。  ところが、この過剰の問題については農民の責任ではない。農家はちゃんと割り当ての数量を消化しているのです。だから農家に対してこれ以上の負担をかけないように、やはり適地適産で、米価準拠の他の農産物を振興するようにひとつ大いに努力をしてもらいたいと思います。最後に農林大臣言葉をいただいて私は終わります。
  115. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 御趣旨を体していろいろと具体的な施策を進めておるわけでございますが、第二臨調と申しますか、行革に当たっての農林水産省に対する風当たりというものは異常のように強いのじゃないかなという感じが私はいたすわけであります。と申しますのは、農林水産大臣である私が農林水産業を振興し守っていくような発言をしますと、ジャーナリストに、消極的になった、こういう指摘を受けるくらいでございますので。  しかし、やはり御指摘のように命から二番目に大事なものをつくっているのだ、それをつくらなくなったらどうするのかということを考えなければならぬのではないかと私は思うのです。それは大事な税金ですから、その税金を使う場合には大事に大事にして、そしてむだ遣いのない、浪費のない、本当にその趣旨にぴたっと合ったような施策をやっていかなければならないことはもう当然わかり切ったことでありますから、そういう点はどしどしきちんとしていきますけれども、農林水産業というものの持つ特性というものは、ちゃんと国会基本法に制定をされ、しかも昨年の四月に、食糧自給力強化を怠ってはなりません、こう言われておるわけでありますから、その辺のことはまあ臨調の賢明なる委員の皆さん方は十分理解しておられるであろうというふうに期待をしておりますと、こう言い続けておるわけでございます。  その辺、農林水産省はどっちかというと宣伝が下手でございますので、諸先生方の御支援もお願いしたいと思います。
  116. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 終わります。
  117. 田邉國男

    田邉委員長 この際、午後一時から再開することとし、暫時休憩いたします。     午後零時三十分休憩      ————◇—————     午後一時五分開議
  118. 福島譲二

    福島委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  委員長所用のため出席が少しおくれますので、その間、私が委員長の指名により委員長代理を務めます。  質疑を続行いたします。武田一夫君。
  119. 武田一夫

    ○武田委員 食糧管理法の一部を改正する法律案につきまして、農林水産大臣及び当局のお考えをいろいろとお尋ねいたしたいと思います。  食管法改正は、二十七年のあの麦の間接統制移行を決めてから実に二十九年ぶりのことであります。その間に改革論議やいろいろな提言あるいは改善の動き等々がございまして、しばしば世上をにぎわしたことがございました。特に、最近では財界あるいは労働界の一部の御意見、提言、さらにまた学者グループの食管制度に対する提言等もあり、全国農協中央会などもそうしたものに対する中央会としての見解なども相次いで出されたわけでありまして、昭和五十五年十一月には御承知の農政審議会が「八〇年代の農政の基本方向」を答申されました。その中でもやはり食管制度の運営改善についての方向を示しているというような、いろいろな過程を踏まえて、今回こうした法案の審議が行われようとしているわけであります。  私は、今回の法改正に当たりまして、まず現行の食管制度は米の不足基調を背景として制定された統制色の濃いものであった、しかしながら、今日の米の過剰基調に対しましては弾力的な対応ができないということからいろいろな矛盾が表面化し、そのことが結局はいろいろと国民批判を受けるというようなこともあったというようなことを考えますと、やはり法と実態の乖離というものを是正しながら、現実に即応した制度に改めなければならないということは理解をするわけであります。  そこで、今回の改正案を見てみますると、政府当局は現状追認程度であるということ、あるいはまた、部分改正ないし運用面での多少の改善措置程度にとどめたいというようなことを伺っているわけでありますが、食管法への国民の信頼を高め、そして守りやすい食管とするためには、その程度のことであるならばわれわれとしても理解を示すことはできるわけであります。  われわれとしましてはそういう政府のお考えを少しく細部にわたって伺いたい、こう思うわけでありますが、その前に政府に確認しておきたいことは、わが党としましては、食糧の不足時において米を安定的にしかもかつ公正な分配ができるよう、平素から万全の措置を講じておかなければならない、こういうふうに考えております。そしてそのためには適正な米価を保証し、農業経営基盤の維持を図るとともに、米を国家管理貿易品目とすることによって米の輸出入を厳重に規制するといった現行の食管制度が持つ機能を大切に堅持していかなければならない、こういうふうな主張をしているわけであります。  そういうわれわれの主張も踏まえまして、果たして今回の法改正がそうした問題等に対して十分の配慮をなされているかどうか、そして健全な制度へとスタートしていくためのしっかりとした内容のものであるかというような点を十分に考えながら、限られた時間内で御質問申し上げる次第でございます。  そこで、まず最初にお尋ねいたしますが、今回の食管法改正の真のねらいは何なのか、こういう問題でありますが、私いま申し上げましたように、政府現状追認だけだという、それだけのものであって、法の根本理念は変わらないものかどうか、この点をまず最初にしかと確認をしておきたい、こういうように思うわけであります。お答えをひとついただきたいと思います。
  120. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 食管制度根幹はこれを堅持して改正案を提案した次第でございます武田委員指摘のとおり、いろいろ政令等によって改善措置はとってきたわけでございます。そして、そのときどきにおいて大きな役割り食管法は果たしてまいったわけでありまして、四十年近い間、終戦直後を除いては食糧によって国民が動揺をするというようなことは一度もなくそれぞれの仕事に励むことができた、こういう役割りを果たしてきたのが食管法である。  ところがその食管法も、御指摘のとおり、食糧券の問題等は有名無実のように形骸化しており、事実と法律とは乖離をしておるといったような問題でありますとか、さまざまな矛盾が出てきておる。しかも、大事な役割りを果たしておる食管法が、一方においては、この法律に違反者がおってもどうすることもできないといったような、法治国家においてあり得べからざるような点が見過ごされてきておる。こういうことでは、大事な食管法を今後健全に運営してまいりますためにはいろいろな支障を来してくることは火を見るよりも明らかである。こういうふうに考えまして、実は改正に踏み切ったわけであります。  ところが、御承知のように、大事な大事な国民の食生活を支えてまいりますところの基本法でありますから、これは下手をすると大変な混乱を巻き起こす可能性を持っておるわけであります。したがいまして、各界各層の意見を十分勘案いたしまして、そして大体、大方の合意を見ることのできる線でひとつ改正案を出して、その改正案によって食管制度を一層強力なもの、健全なものにしてまいりまして、今後の食糧安保の時代でありますところの八〇年代の日本食糧基本法として盤石の体制をつくっておかなければならない、こういうことで今回の提案をさせていただいた次第でございます。
  121. 武田一夫

    ○武田委員 そこで、日本の今後の主穀政策のあり方にこの食管改正というのが何らかの影響を及ぼさないのかという問題があるわけであります。やはり食管制度というのは、国民食糧安全保障に基づく食糧の需給政策が基本となるべきだというふうに考えているだけに、今後の日本の主穀政策のあり方というものも重要な課題でございますので、この点伺いたいと思うわけであります。  われわれが危惧することは、食管法はわが国の農業あるいは食糧政策に及ぼす影響が非常に大きいものではないか、特に今後、中長期的な観点から見た場合に、減反の問題あるいは米の自由化の促進というふうな形で政策が強められるのじゃないか、こういう懸念があるわけでありまして、そうした懸念を多くの農家の皆さん方もお持ちのようでありますだけに、これらの今回の改正というものがそうしたものに対する一つの政策遂行の道具にされないかというおそれ、こういうことは果たしてないものかどうか、この点についての当局の考えをひとつ明らかにしていただきたい、こういうふうに思うわけであります。     〔福島委員長代理退席、委員長着席〕
  122. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 今度の改正は将来の米の自由体制の何かにするのじゃないかといったようなことをよく指摘を受けるわけでありますけれども、私としてはそういうことはもう絶対考えておりません。石油ショックのときあるいは昨年の冷害凶作のとき、ああいうときにも日本国民食糧問題で安心して生業につくことができたという過去の体験を考えれば、やはり主食だけは国の管理のもとに置いて、国ががっちりと米びつを持っていてくれるという安心感、そうすることが近代国家として大変大事なことではないか。そうすることによって外国からの農産物の圧力もいまのところ受けないわけであります。もしそれそういう方向に持っていったとすれば、自由体制の方に行くようなことにでもすれば、外国からの輸入圧力というものはもうもろにかぶってくる、こういうことも考えられますので、そういう意味においても、とにかくこの食糧管理法は、農業基本法とともに日本の農政を支える基本法の一つという考えさえ私は持っておる次第でございます。
  123. 武田一夫

    ○武田委員 いま食管丸といいますか、それには大きな悩みが伴っているわけであります。御承知のとおり、米の過剰という問題、赤字財政という問題、それから制度の実際と運営のウエート、制度間の乖離といいますか、ひび、断層といいますか、こういうような問題がありましていろいろと御苦労があるわけであります。  その中で一つ財政の問題、これはいろいろと食管問題が論議されるときに出てくる大きな課題でありますが、今後過剰米の処理に伴ういわゆる損失補てんの増大というのが最も見込まれるのじゃないか。そうしますと、その負担のあり方、これは食管改革論議をもたらす最大の原因ともなってくるし、また現実になっているわけであります。特に八〇年代の厳しい財政環境の中では、食管会計の健全化をどうするかという問題は非常に重要な問題だと思うわけでありますので、その点についてどのようにお考えになっているのか、この点伺いたいと思います。
  124. 松本作衞

    松本(作)政府委員 食管財政の健全化を図るためには、食管財政において特に不健全になっている点の是正を図っていく必要があるわけでございますが、それらの問題といたしまして、一つは過剰による財政の負担がございます。過剰米の処理に伴いまして非常に膨大な赤字が発生いたしますばかりではなくて、その処理に至るまでの間の管理経費が非常に膨大なものになりますので、この過剰をなるべくなくしていかなければならないということで、従来から生産調整、消費拡大を行っておりますが、今回の法律改正によりまして、基本計画を作成して需給の均衡を図るようにすることによって三たび過剰を起こさないということが可能になってくるものと期待をしておるわけでございます。  第二点は、いわゆる売買逆ざやの問題がございます。この点につきましては今回の法改正においては直接触れておらないわけでございますが、今後、売買逆ざやのあり方につきましては、生産流通、消費に及ぼします影響ということも考えまして、適正な価格形成を図るべきであると考えております。  第三点は、いわゆる管理経費の問題でございますが、管理経費につきましては、先ほど申しました過剰を少なくするということによりまして経費の節減が達成されると考えております。それ以外につきましても、流通の合理化を図りまして管理経費の節減を図る、また組織、定員等につきましても、できるだけ合理化に努めまして管理経費の節減に努力をしていきたいというふうに考えておるわけでございます。  こういった方向は、今回の食管制度改正に伴います運営の改善も含めまして今後取り組んでいくべき課題であると考えておる次第でございます。
  125. 武田一夫

    ○武田委員 私は、この食管制度維持のためには、やはりそれ相応の財政支出は国民的にも当然のことだという理解を得さしめる努力がまだまだ足らないのじゃないか、こういうふうに思うわけであります。節減するところは節減する努力、これは大いにしなければならない、これは当然のことでありますから、その点については努力をしながら、鋭意そうした改善の方向に行っていただきたいのであります。  たとえば、戦前と現在の米の中間流通経費の比較を見てみましても、戦前の場合は生産者米価に対する中間流通経費比率というのが三二・二%、それが最近、昭和五十四年度二九・二%、まあ流通コストは現在の方が安いわけであります。ですから、こういうことをどういうふうに考えておるのか、財政負担の問題にはこのことを含めていろいろと考えられているのかどうか。そして、いろいろと金がかかり過ぎるとかいうような問題に対する批判に対して、こういうようなことをきちっと対外的にアピールするという努力の中で、適正な負担とはかくあるべきものだということをこの際に明確にしていかなくてはいけない。ですから私は、食管制度の維持のためにどの程度の財政支出が容認されるかというような問題もあわせてこの際議論しておきたいと思うのですが、この点はどのようにお考えになっておりますか。
  126. 松本作衞

    松本(作)政府委員 ただいま御指摘ありましたように、私ども食管財政に対します一般会計の繰り入れ自体が決してすべて不必要なものであるとは考えておりません。やはりこれだけの数量食糧管理するための適正な経費というものは、当然一般財政において負担をすべきであろうと考えておる次第でございます。しかし、合理化すべきものは合理化しなければならないということで、この経費節減の努力もいたしておるわけでございまして、過去数年来見てみましても、食管会計に対する繰入額というものはむしろ減少をしておるわけでございまして、そのような努力もしておるということについて一般の方の御理解を得たいと考えております。  これらの点につきましては、今回の制度改正も含めまして、食管制度国民経済に対する効果というものについて十分一般の方々の理解を得るように努めまして、その中で適正な財政負担についての理解も得るようにしていきたいと考えておる次第でございます。
  127. 武田一夫

    ○武田委員 この際、改正の中身がもっと具体的にわかる方向というのが必要じゃないか、こういうふうに思うのですが、適正の負担規模といいますか、そういうものは出せないものですか、考えてないわけですか、どうですか。
  128. 松本作衞

    松本(作)政府委員 最近の米に関する財政支出を見ましても、五十年の七千億円が最近では約六千億程度に減少はしてきております。したがいまして、私どもといたしましては、今後どの程度これを節減できるかということの見きわめを立てまして、ただいま御指摘がありましたような適正な財政負担のあるべき姿ということを出さなければならないと思っておりますが、現時点でどれだけが必要であるかということを明確にお答えする段階にはなっておらないわけでございます。
  129. 武田一夫

    ○武田委員 改正をいろいろと見てまいりますと、やはり具体的にはっきりとわかるようにしておかないと、何せ私は農家の皆さん方のところへずっと行ったけれども、正直言って食管制度改正の中身も知らないという人もずいぶんいましたよ。ましてや一般消費者にとっては食管制度改正とはどういうことか全然わからぬ。これじゃ、こういう重要なことを行うにしても、国民的な合意という観点からは非常に心配きわまりない。それで私も、新聞にもいろいろなことが書いてあるが、どういうふうに書いてあるか調べさせたのです。社説等ではある程度あるのですが、もっとかみ砕いて国民的な合意が得られるようなわかりやすい論議がなかなか思うようになされていないということを非常に残念に思うわけであります。その点で、具体的に答え得るものは包み隠さず国民の前にはっきりしてほしい、こういう願いを込めて次の質問に移ります。  ところで、この改正の中身でありますが、従来の配給計画にかえまして今度は米の需給の基本計画供給の実施計画をつくることになっておるわけでありますが、この点についていろいろ質問したいと思うのであります。  基本計画はその内容として、需給の見通しあるいは政府管理すべき数量などを定めるとしておるわけでありますが、このことが生産の面あるいは価格の面で何らかの変化を及ぼすのではないかという心配があるわけであります。そうした変化等があり得るものかあるいはそういうことはないと言えるものか、その点についてまずお答えいただきたいと思います。
  130. 松本作衞

    松本(作)政府委員 基本計画は、政府管理すべき米穀についての需給の見通しないしは内容別の方向づけをいたしまして、この政府考え方に基づきまして、関係者の方々がこれを指針として食糧の需給の安定、流通の適正化を図ってもらいたいということでございます。したがいまして、この基本計画が直ちに生産面を強制するというようなことではございませんで、先ほども大臣からお答えいたしましたように、これによって生産調整を強制するということは考えておらないわけでございます。  他方、この基本計画はあくまでも需給上の問題でございますので、この需給のあり方を方向づけるということが価格面についてこれを規制をしていくということは考えておりませんで、価格面につきましては現在の食管法規定に基づきまして、生産者価格につきましては再生産を確保し、また消費者価格につきましては家計の安定を図るという考え方に基づいて決められていく点については、何ら変更がないということでございます。
  131. 武田一夫

    ○武田委員 品質別数量を定める、決めるというわけでありますが、この定め方のいかんでは生産調整に相当な影響が出てくるのではないか、大きな規制力が働くのではないかというふうに思うのですが、そういうことも心配ない、こう確認をしておきたいのですが、どうでしょうか。
  132. 松本作衞

    松本(作)政府委員 この基本計画におきまして、全体の需給につきましては需給の実態に基づいて定められるわけでございますから、これは生産調整の前提となります需給の考え方と一致するものというふうに考えておるわけでございますが、この生産調整自体は生産調整の考え方に基づきましてその実施がなされていくわけでございますから、基本計画が需給面、流通面を主体とした計画でございます点から、この基本計画によって生産調整を強制していくということは考えておらないわけでございます。  ただ、基本計画の内容におきまして品質別の需給ということに立ち入って考えておるわけでございますので、全体の需給均衡の中におきまして、生産面においてなるべく消費者に喜ばれる需要のある米の供給に誘導していくということにつきましては、そういうふうな役割りは持つことになろうと思いますが、これはあくまでも方向づけでございまして、これによって生産調整を強制するということではないわけでございます。
  133. 武田一夫

    ○武田委員 そうしますと、品質別需要量を考えて適地適作の推進とかあるいは良質米の需要に応じた需給計画というのを策定すべきだと思うのですが、その点はいかがですか。
  134. 松本作衞

    松本(作)政府委員 基本計画におきましては、一方におきまして需要面からの品質別需要ということを考えますとともに、生産面からも供給可能な品質別供給量というものが出てまいるわけでございますので、需要面と供給面と両方で調整を図っていくという考え方でございまして、一方的に需要実態に基づいて生産品質別に強制をしていくという性格のものではないと思っております。ただ、長期的に考えまして、より需要の強い品質の米に生産が誘導されていくということを期待している点は否定し得ないわけでございます。
  135. 武田一夫

    ○武田委員 消費の問題について、地域内消費の原則というのは考えているのかどうか。その点どうですか。
  136. 松本作衞

    松本(作)政府委員 現在、政府の米の売却につきましては、経費の節減というような点から、できるだけ県内産のものをその県の消費に充てるというような考え方をとっておるわけでございますが、これも品質別の区分をいたしましてそういった考え方をとっておりますので、その県内で生産をされないような品質の米については当然他県からの導入も考えるという仕組みになっておるわけでございます。今後ともこういった経費の節減もできるだけ配慮していかなければならぬと思いますが、一方におきまして県内消費の実態等も見まして、できるだけきめの細かい形で品質別需要に応じた米の供給を図っていくというふうに考えております。その結果、県間の流通というようなものが出てくることは当然であると思っておるわけでございます。
  137. 武田一夫

    ○武田委員 それでは実際問題として、計画と実績のずれの調整という問題ですが、生産調整が進まなかったりあるいはまた生産調整を達成したが豊作になった、それで計画以外の米が出回った、こういうふうになったとする。その結果、政府米の売却が進まず過剰在庫が残るというような場合、政府は次年度の基本計画をどのように定めるというふうに考えているのか。その点、お聞かせ願いたいのです。
  138. 松本作衞

    松本(作)政府委員 過剰在庫の処理の問題につきましては、備蓄等の問題も含めて考えなければならぬと思っておるわけでございますが、その年々の基本計画におきましては当然需給全体の動向を前提として立てられるわけでございます。しかし、生産面におきまして非常に大幅な変動があるということは当然望ましくはございません。したがいまして、生産面におきましては、現在の生産調整によりますある程度安定的な総需給の均衡ということを前提として考えていき、その考え方基本計画考え方も一致さしていくべきものであるというふうに考えております。
  139. 武田一夫

    ○武田委員 そこで、備蓄という問題と消費拡大という問題が重要な一つの問題でもあるわけですが、これはどのような位置づけをするつもりか、ひとつ私は聞きたいと思うのです。それで、目標をはっきりと明確にすべきじゃないか、こういうふうに思うのでありますが、これについてはどういうお考えですか。
  140. 松本作衞

    松本(作)政府委員 ただいま御指摘ありました備蓄につきましても消費拡大につきましても、今回の基本計画の中でその内容を明確に位置づけをしていきたいというふうに考えております。  備蓄につきましては、従来からいわば古米を漸次消化していく形での回転備蓄を前提として考えられておったわけでございますが、これによりますと消費者に対して相当多量の古米を消費してもらわなければならないというようなことから、消費者需要実態にもそぐわない点がございますので、今後の備蓄あり方といたしましては、こうしたある程度回転をしていく備蓄部分のほかに、たな上げをいたしまして、備蓄としての役割りが終わった場合には主食用以外に処分するような形の備蓄も含めていきたいと思っておるわけでございますが、これらの点につきましては今後の基本計画の中でさらに一層具体化をしていきたいと思っております。  また消費拡大につきましても、基本計画の中におきまして消費拡大あり方について明らかにしていきたいと考えておるわけでございますが、その内容といたしましては、従来から実施しております学校給食なり地域ぐるみの消費拡大事業、新製品の拡大というようなことにつきましてさらに進めていきたいと考えておる次第でございます。
  141. 武田一夫

    ○武田委員 そこで私は、これは重要な二つの課題ですので、この二つは基本計画で定むべき事項の規定に加えるべきであるという主張をしておるのでありますが、こういう重要な問題をそうした方向で明確に位置づけるという考えについてはどういうふうにお考えでしょうか。
  142. 松本作衞

    松本(作)政府委員 今回の法律規定表現といたしましては、基本計画につきましては、基本方向であるとか政府管理すべき米穀についての基本的事項であるとか、その他特に配慮すべき事項であるとかいうような抽象的な表現になっておりますので、この中で直ちに備蓄のやり方等を法律上明定するということは法律の体裁としてそぐわないのではないかと考えておる次第でございますが、具体的な内容につきましては、この基本計画規定に基づきまして明らかにしていきたいというふうに考えておる次第でございます。  それから消費の拡大につきましても、その内容につきましてはこの基本計画規定に基づきまして明確にし、公表をしてまいりたいと考えております。
  143. 武田一夫

    ○武田委員 備蓄は、大体どのくらいが適正な規模であるというふうにお考えですか。
  144. 松本作衞

    松本(作)政府委員 現在備蓄の規模といたしましては、米について約二百万トン程度ということを目標にいたしておるわけでございますが、これらの備蓄につきましては、先ほどお話しいたしましたように、全量回転備蓄という考え方から、むしろ一部分備蓄用として専門にたな上げして積んでおくというようなものも考えていきたいと思っておりますので、そういったことも含めますと必ずしも二百万トンまでは必要がないのではないかというふうに考えておりますが、具体的な数量につきましては、この備蓄のやり方をさらに詰める段階で明確にしてまいりたいというふうに思っております。
  145. 武田一夫

    ○武田委員 それは聞くだけにしておきます。また次回でいろいろとお尋ねします。  次に、米の消費量が減りまして過剰をもたらした原因の大きなものは、やはり小麦の大量輸入ではないか。これを野放しにしておいてはならぬ、こう思うわけでありますが、この計画を作成する上において小麦輸入についての何らかの歯どめ、あるいはまた削減措置等明確にすべきじゃなかろうか。そうじゃないと、いかに基本計画をつくろうともしり抜けになってしまうのじゃないか。ですから、主要食糧基本計画があって、その中に米の基本計画があるというような、そういう計画というものの必要というものを私は認めるわけでありますが、当局はその点についてどういうふうにお考えでしょうか。
  146. 松本作衞

    松本(作)政府委員 今回の基本計画は米穀についての基本計画でございますので、米穀の需給についてその内容としておるわけでございます。ただいま御指摘がありました小麦の輸入につきましては、実際小麦についての消費需要があります前提で政府管理をいたしておるわけでございまして、この輸入量につきまして消費の実態と別に一定量に制限をしていくということは、消費者需要にもそぐわないと思いますし、また、不当な価格の高騰というようなことも考えられますので、こういった形での制限ということは困難であると考えておりますが、小麦の輸入につきましても、政府管理の中におきまして国内産小麦の消費を阻害しないような形で運営上努めておるところでございます。
  147. 武田一夫

    ○武田委員 次に、基本計画は毎年の需給の動向を見て大臣が決定する、こういうふうになっているわけでありますが、生産者あるいは消費者あるいは流通関係者等の意見がどのように反映されるかという問題であります。この点についてはどのようにお考えでございますか。
  148. 松本作衞

    松本(作)政府委員 この基本計画につきましては、先ほど来申し上げておりますように、国の管理すべき米穀についての品質、内容等も含めた需給の見通し等を明らかにいたしまして、政府管理についての考え方を明確にいたしますとともに、これについての関係者の協力を得るための指針とするという考え方でおるわけでございます。したがって、関係者の意見を十分反映できるようにということを心がけていきたいと思っております。そのために、米価審議会等の場を活用することも含め、また関係団体の御意見を聞くような機会もつくっていきまして、適正な基本計画の樹立を考えていきたいと思っております。
  149. 武田一夫

    ○武田委員 とするならば、米価審議会における意見諮問というのは非常に重要なものになってくる、私はこういうふうに思うわけでありますが、今回の法案の中にその点を明記して、米価のみならずそうしたすべての問題につきましてきちっと十分に意見を聴取しながら反映させていくという項を入れて当然であるし、そうした権威のある機関として制度化すべきものが米価審議会というものでなければならぬと思うのです。これは、本会議の席上、わが党の吉浦議員が質問したわけでありますが、そういう意味において、権威ある機関としての制度化、そしてまた、そのためにその構成についても十分に民意が反映できるような構成の充実を期すべきではないか、こういうふうに私は思います。  われわれは、主要食糧審議会というものを農林水産省の付属機関として設置して、そこで十分な意見聴取を行いながら、その意見が計画策定に十分に反映するようにという提案をしているわけでありますが、この点について再度重ねて当局のお考えを聞きたい、こういうふうに思います。
  150. 松本作衞

    松本(作)政府委員 今回の基本計画考え方は、先ほど申し上げましたように、政府管理すべき米穀についての管理の方向づけをするわけでございまして、これが生産者消費者等を直ちに直接的に拘束をするというような性格のものではないわけでございます。したがいまして、米価等のように生産者消費者を直接拘束するという形のものを決定する際の米価審議会における諮問、答申というような形をとることはいかがかというふうに考えておるわけでございまして、あくまでも政府の方向づけを理解していただく、そのために適正な計画づくりをしていくということの場として米価審議会等も十分に活用してまいりたいと考えておる次第でございます。
  151. 武田一夫

    ○武田委員 十分な意見を聞きながら反映させるというこの行き方、これは非常に重要な問題だと思うのです。その点の内容の重要性を十分に考えていただきたい、こう思います。  ところで、この計画の策定につきましては農林水産大臣がするということでありますが、主要食糧の中の米という問題については、やはり国家的な重要な事柄を決めるというふうに理解をして、その上で政府が一体として取り組むという姿勢が必要ではないか。理解ある農林水産大臣であれば非常に幸いでありますが、そうでない場合もあり得るのじゃないかという心配もこれあります。そこで私は、計画の策定についての農水大臣というところは、政府が策定する、そういう方向で取り組まれたらいかがなものかというふうに思っているのですが、この点はいかがでございますか。
  152. 松本作衞

    松本(作)政府委員 基本計画につきましては、国民食糧を確保するために、需給の均衡をとりながらその必要量を確保をしていくという考え方でございますが、これらのいわゆる食糧政策の課題、これは農林水産大臣の所管にかかわる事項であろうと考えておりますので、この政府管理すべき米についての方向づけを示すことは農林水産大臣が実施できるものというふうに考えておるわけでございまして、関係大臣のすべての合意を得なければつくれないという、いわば政府全体の手続が必要であるということは、かえって実態にそぐわないのではないかと考えておるわけでございます。ただ、もちろんこの基本計画自体が政府の重要な計画でございますから、当然政府としても合意の得られるようなものにする必要はあると考えております。
  153. 武田一夫

    ○武田委員 次に、水田利用再編対策により稲作転換が進んでいるわけでありますが、飼料米の導入という問題、これは食管制度の中でどういうふうに対応していくか、これは今後基本計画の策定の場合に重要な要素として将来に問題を投げかけるものではないか、こういうふうに思うわけでありますので、その点についてのお考えを伺っておきたいと思うのです。
  154. 松本作衞

    松本(作)政府委員 飼料米につきましては現在まだ実験段階でございますので、いまの段階で飼料米についての政策的な方向づけをするということはまだ尚早であろうと考えておるわけでございます。しかし、食管制度におきましては、流通する米につきましては規制対象としておるわけでございますので、飼料米につきましてもこれが種子用等で流通される場合には、これは農林大臣の指定する場合というようなことに当てはまりますので、そういった農林大臣規制が必要になってくるものと考えておる次第でございます。
  155. 武田一夫

    ○武田委員 時間の関係で、次に自主流通米の問題について二、三お尋ねいたします。  これまで政令事項とされていた自主流通米を、第三条のただし書きとして法律にその位置づけを明らかにしたのでありますが、その理由、ねらいはどこにあるのか、まずお答えいただきたいと思うのです。
  156. 松本作衞

    松本(作)政府委員 自主流通米は、現在におきましても流通量の約三分の一を占めておりまして、消費者に対して需要の動向に応じた供給が可能となり、また生産者に対しましては品質に応じた価格形成が行われておるものと考えておりまして、今後ともこの自主流通米というものは政府管理の中におきまして重要な役割りを占めていくべきものと思っておるわけでございます。  しかし、従来の法律におきましては、この自主流通米についての規定が必ずしも明確ではございませんでしたので、今回の法律改正におきまして、自主流通米の定義といたしまして、消費者に対し計画的に適正かつ円滑に供給がなされるものということで、自主流通計画に従って適正に流通されるべき米としての性格を明らかにしたわけでございますが、これとともに基本計画及び供給計画の中におきましても、自主流通米につきまして流通における管理の態様別の区分という中で明確にいたしまして、その数量等についても全量管理の中での位置づけを明確にしようとしているものでございます。
  157. 武田一夫

    ○武田委員 自主流通米は第二条ノ二あるいは第三条で言う政府管理する数量に含まれる、こういうふうに理解していいのでしょうか。
  158. 松本作衞

    松本(作)政府委員 そのとおりでございます。
  159. 武田一夫

    ○武田委員 政府が直接買い入れて管理をする政府米の割合が著しく減少した場合、流通ルートの特定などにより政府が間接にしか管理しない自主流通米の割合が著しく増大するということが考えられるわけでありますが、こうした事態をこの全量管理という基本に照らしてどのようにお考えになっているのか、この点について。
  160. 松本作衞

    松本(作)政府委員 先ほど来申しておりますように、自主流通米全量管理の中におきまして政府の適正な管理のもとに位置づけられ、流通規制されていく性質でございますので、決して自主流通自体が政府管理から離れたものとは考えておらないわけでございますが、その数量につきましては、需給の実態によりまして、消費者の良質米の選好等によって定まってくるものでございますので、一律に固定的に考えるべきものではないと思っておるわけでございます。したがって、その年々の自主流通米のあるべき姿を基本計画の中において明確にしてまいりたいと考えております。  ただ、全体といたしまして現在の自主流通米の規模につきましては、五十三、五十四年で過剰になったというような事情もございますし、また消費者需要の動向から見ましても、これ以上急激に増大するというようなものではないというふうに判断をしておる次第でございます。
  161. 武田一夫

    ○武田委員 そうすると、政府の買い入れ数量自主流通米数量の適正比率というものはどのようなものが望ましいと政府はお考えなのか、その点についてお知らせいただきたいのです。
  162. 松本作衞

    松本(作)政府委員 先ほど申しましたように、自主流通米政府米の比率につきましては、需給の動向等によっても異なってまいりますので一律に固定的には決めかねると思っておりますが、現在の自主流通米政府米との割合というものはほぼ妥当な線になっておるのではないかと考えております。
  163. 武田一夫

    ○武田委員 そうすると、大体三分の一くらいという数字があるわけであります。そこで、四類、五類というものもやはりある程度自主流通米として流通していますね。これはいま三万二千トンくらいなんですか、三万三千トンくらいなんでしょうか。今後これはどうしますか、これはふやしますか、それともこの程度で抑えるか、この点どうですか。
  164. 松本作衞

    松本(作)政府委員 四、五類米自主流通米につきましては、四、五類米が現在の政府操作の範囲内だけではなかなか需要拡大がむずかしいというような実態からいたしまして、むしろ生産地の生産者団体を中心として市場の確保、拡大をしていく手段といたしまして昨年度から新たに設けたわけでございます。昨年は冷害等の特殊事情がありましたために数量が限定されたわけでありますが、現地におきましても今後この充実を図っていきたいというような考え方を持っていると聞いておりますので、これが急激に増加するということはないと思いますが、漸次拡大の方向をたどっていくものと考えている次第でございます。
  165. 武田一夫

    ○武田委員 これは拡大の方向でいったときに、混米のおそれがあるのではないか。いわゆる良質米の中に混入されて、味の低下というものを恐れる良質米の生産県があるわけでありますが、こういうものをきちっと防止する手だてというものは十分なのかという点ですが、この点はどうでしょう。
  166. 松本作衞

    松本(作)政府委員 混米の問題につきましては、四、五類米のみではなくて、品質別流通を図っていきます際に、適正な品質のものが確実に消費者に渡っていくということがどうしても必要でございますので、この点につきましてはいわゆる表示の問題といたしまして指導をいたしておるところでございます。特に昨年来表示の方法を変更いたしまして、品質別の原料構成を明確にするというような形の表示を全国的に実施をしてきておるところでございまして、これによりまして四、五類米も含めて、それぞれの品質の米が末端においてどれだけの割合で入っておるかということを明確にされておるものと考えておるわけでございますが、今後ともこの表示の適正化については十分な指導をしてまいりたいと思っております。
  167. 武田一夫

    ○武田委員 次に、自主流通米生産者手取り価格政府の買い入れ価格を著しく下回ったり、自主流通米に売れ残りが生じて生産者にその犠牲が押しつけられたりする場合、現在でもあるわけでありますが、こういう場合は政府による全量管理に値するものかどうかという疑問があるわけです。自主流通米に対する政府の助成とかあるいはまた販売に当たっての計画の承認とか、売れ残りの政府米へのUターン措置、こういうようなものは、安定供給あるいは安定流通という観点から、政府全量管理の具体的な実行の一環として今後も実施するものかどうか、こういうものがもしないとすれば、いたずらに生産者が苦労するという心配が一層大きくなっていくのじゃないかと思うのでありますが、この点についてはどのように取り組まれるつもりか、ひとつお聞かせいただきたいと思います。
  168. 松本作衞

    松本(作)政府委員 自主流通米計画的に進めていくべきものでございますから、できるだけ過剰が生じないようにあらかじめ計画を立てて進めていくことが望ましいと考えておりますが、実態といたしまして過去にも自主流通米の売れ残りがありまして、そのような場合には政府が買い入れるというような措置をとったわけでございまして、今後ともこういったUターンというものを制度上排除するということは考えておらないわけでございます。
  169. 武田一夫

    ○武田委員 聞くところによりますと、うまい米ばかり無制限に販売するのはいかぬのだ、おいしくない米も販売してやらなければいけないのだということを聞いたのでありますが、そういうことによってうまい米が余っているのだぞというような話もこれ聞くわけであります。そういうようなことはあっていいものでしょうか、その点どうでしょうか。
  170. 松本作衞

    松本(作)政府委員 品質別消費者需要というのはある程度変動するわけでございますから、計画的に供給をするたてまえになっておりましても若干の変動が出てくるということはやむを得ない面があろうかと思いますが、今後できるだけこういった消費者品質別需要に対応した供給が図られていかなければならないと考えておりまして、基本計画におきまして品質別の内容というようなものを明確にしていこうというのも、そういった趣旨から出ておるわけでございます。したがって、御指摘になったような事態を今後なるべく起こさないように計画的な努力をしていくべきものと考えております。
  171. 武田一夫

    ○武田委員 次に、縁故米、贈答米、いわゆる個人間の無償譲渡行為、これは認めるわけでありますが、この定義、縁故米、贈答米というのは、どういうものが縁故米でどういうものを贈答米と言うのか、これははっきりしてほしいのです。
  172. 松本作衞

    松本(作)政府委員 縁故米は生産者の段階におきまして、生産者が親戚、知人等に対して、いわゆる縁故者に対して譲渡をしていく米であると考えておりますが、今回規制対象から外しますのは、特に無償による譲渡を対象にしていきたいと考えております。  それからまた贈答米は、消費者の段階におきまして個人間の贈答用に使われるような場合でございますが、今回規制対象から外すものにつきましても、同様にいわゆる無償の贈答というようなものに限定をしていきたいと考えております。
  173. 武田一夫

    ○武田委員 これらは政府全量管理という観点から、その数量とか流通についての方向性というか方針を明らかにする必要はないか、こういう点ですが、どうですか、その点は。
  174. 松本作衞

    松本(作)政府委員 ただいま申しましたような縁故米、贈答米につきましては、いわゆる個人間の無償の譲渡でございますので、これを一々公的な機関が立ち入ってチェックをしていくということはなかなかむずかしい点もあろうと思いますが、むしろこういった縁故米、贈答米の名をかりまして不正規の流通が行われるということを排除していかなければならないと考えておりまして、この点につきましては、集荷業者、販売業者の指定、許可をいたします際、さらにはその業務の適正な運営を図っていきます際に十分に指導、監視をいたしまして、贈答米、縁故米というような名前による不正規流通が起こらないような指導、監視体制を強めていきたいと考えておる次第でございます。
  175. 武田一夫

    ○武田委員 これは無制限に放置しておくわけにいかぬと思うのですが、いま話がありましたように不正規流通した場合、これは非常に問題になってくるわけであります。  そこで、改正後の運用の段階で、いわゆるやみの問題ですね。やみ業者が非常にばっこしておるわけでありますが、果たして徹底して取り締まれるかという問題、この点についてきょうは警察庁の方にもおいで願っているのですが、これまでの状況を踏まえながら、今後取り締まり対策というのは十分にできるかという問題についてどのようにお考えか、その対応についてひとつお聞かせ願いたいと思うのです。
  176. 内田文夫

    ○内田説明員 食管法の違反につきましては、最近では年間数件ないし十数件の検挙をしておるわけでございますが、その内容は、たとえば沖繩の復帰に伴います特別措置に関する法律によりまして、米の価格の安い沖繩県から鹿児島県内に米を移送するとか、あるいは著しく量目の違う表示をした米を販売するとか、そういうような悪質な事犯を検挙いたしておるわけでございますが、今後、この法改正後におきましても、警察といたしましては、米の流通秩序の維持につきまして、所管の行政庁が行います行政措置が十分に効果を上げることができるようにという立場から、国民に重大な被害を及ぼすような事犯、たとえば価格つり上げを目的としました不当な買い占めだとか、あるいはまた米の正常な流通を著しく阻害する組織的、計画的な悪質な事犯につきまして重点的に取り締まりをしてまいりたい、こう存じております。
  177. 武田一夫

    ○武田委員 しっかりした取り締まりをするとなると、かなり警察の皆さん方大変じゃないか。これは個人間の問題もありますし、業者間の問題もありますね。これはやり方によっては相当えらいことになるのではないかと私は心配しているのです。そこまで余り追及しませんが、どうぞ御苦労ですが、ひとつしかと法にのっとった取り締まりをしていただきたい。そうでないと、せっかくのこの法改正も何のためかという、そういう批判、これ起こってくること間違いない、こう思うのでありますから、よろしくお願いします。  そこで、無農薬米というものがあるわけですが、この扱いはいまどうなっているのか。これからどうしていくのか。やはり健康安全という観点から、値段が高くてもいいというので買っている消費者がかなりいるようでありますが、この扱いについてどういうふうになさるつもりか、ひとつお聞かせ願いたいと思います。
  178. 松本作衞

    松本(作)政府委員 無農薬米につきましては、現在でも産地と消費地との間におきまして特定の結びつきによりまして流通されておるというような実態があるわけでございますが、これらはいわば自主流通ルートに乗せまして流通がされておるわけでございまして、こういった形で自主流通ルートに乗せて無農薬米が流通されるということは、今後の制度においても認められるべきものであろうというふうに考えておる次第でございまして、事例といたしましては、たとえば山形県の庄内の遊佐農協から東京の生活クラブ、生協にササニシキが二千トン流通しておるというような事例がございますので、今後もこういった事例をさらに十分実態を把握いたしまして、このような自主流通ルートによる流通として、秩序の中に流通を確保してまいりたいと考えております。
  179. 武田一夫

    ○武田委員 次に、入札の問題ですが、第四条の第一項の中での問題であります。「農林水産大臣ニ於テ随意契約ニ依ルコトヲ不適当ト認ムル」云々というところがありますが、ここのところはもう少し具体的な、はっきりした表現というのが必要じゃないか。これはやはり入札の方法によって、いろいろとその導入について心配される方が多いわけでありますから、厳格な運用をすべきだというのが、私は重要な問題だと思います。  そこで、政府はそうした点も検討しなかったのかどうか。たとえば「農林水産大臣」の前に「政令ニ定ムル所ニ依リ農林水産大臣」云々というようなことを明記して、それで政令の中身として、古米のような場合というような具体的なケースをそこに明示するというようなことは考えなかったのかどうか、あるいは考えているのかどうか、検討するのかどうか、この点ひとつはっきりしてほしいのです。
  180. 松本作衞

    松本(作)政府委員 今回の政府売り渡しの規定におきましては、従来法律上必ずしも明確でありませんでした売り渡しのあり方につきまして、随意契約を原則とするという形を明確にいたしますとともに、これによりがたい場合に例外的に競争契約を認めることにいたしておるわけでございますが、その具体的な内容といたしましては、古米の処理のように品質によりまして価格形成が個別的に非常に違ってくるというような場合には、むしろ競争入札によることが適当であるというふうに考えられるわけであります。  なお、こういったことをむしろ法律上より一層明確にすべきではないかということにつきましては、実は政府の会計処理の一般的な規定がほぼこういうふうな形になっておりまして、それに準じた次第でございますが、この随意契約によらない場合には個別的な事情がいろいろございますので、そういった事情ごとに判断をしていくべきものでございまして、必ずしも画一的に規定をすることはむずかしい事情があるのではないかと考えておる次第でございます。
  181. 武田一夫

    ○武田委員 時間がなくなりましたので、最後に集荷、販売の件についてちょっとお尋ねいたしたいと思いますが、これは農協あるいは業者の間にお互いに意見の、それぞれの主張の違っているところがあるわけでありますが、両者の意見の食い違いといいますか、主張の食い違いというのをどのように調整するかという問題について、当局としてはどういうふうにやっていったらいいものか、そういうことをどう考えているか、ひとつお聞かせ願いたいのです。
  182. 松本作衞

    松本(作)政府委員 集荷面につきましては、集荷の適切な実施、特に全量集荷を達成するというようなことからいたしまして、現在の集荷制度あり方について検討の余地があると考えておるわけでございます。しかし、実態といたしましてすでに集荷の体制ができ上がっておるわけでございますので、こういった実態からいたしまして従来の姿を大幅に変えるということは考えておらないわけでございますが、地域の実態によって、より適切な全量集荷を達成するためのあり方についてはさらに検討の余地があると思っております。  一方、販売業につきましては、今回の法律改正によりまして、販売業者の責任といたしまして、消費者に対して消費者需要に即応するような形で円滑な米の販売活動を期待をしておるわけでございまして、そういった責任を果たすために流通の仕組みをどのようにすべきかということにつきましては、いろいろと検討すべき余地が残っておると考えておる次第でございます。  これらを検討するに当たりましては、一つは今回の法律改正の趣旨を踏まえますとともに、従来の実態との継続性、さらにはまた地域の実情というようなものを勘案して具体的に判断していくべきものであろうと考えておるわけでございますが、具体的に実施するに当たりましては、地域の商業調整的な問題がいろいろと出てくると思いますので、こういった商業調整をする仕組み等につきましても検討をいたしまして、今回の法改正の趣旨が生かされますような流通改善を図っていきたいと思っております。
  183. 武田一夫

    ○武田委員 各都道府県には米穀の流通適正化協議会というのが組織されまして活動をしておるわけであります。どういうことをやっているかということは御承知と思いますが、必要に応じて知事あるいは食糧事務所長等にいろいろと意見を述べる機関として、消費者、卸業者あるいは小売業者、あるいは都道府県、食糧事務所等々の構成によって大体一回ないし三回か四回くらいやっているようですね、全国的に。大体一回というのが多いのですが、まあ二回のところもありますが、こういうようなところでたとえば小売業、販売業、設置の問題とか、あるいは新しく設けるとかというような話し合いもなされるようなシステムにしたらいかがなものか。こういうものはいまのところはこの協議会ではなされていないようでありますが、そういうところの意見も十分に反映するような方向を今後御検討なさるべきじゃないか、こういうふうに思うわけです。  それからまた米屋さんの、いわゆる販売業者の場合などは米穀小売商業組合というのがあるわけですね。そういうところの意見というのを十分に聞いていかないといけないと私は思うのです。特に米屋さんがいま心配しているのはスーパー等々の扱いが非常に多くなってきているということで、そういうスーパーあるいはまた生協は消費者の皆さんにとっては非常に便利なようでございまして、これは非常に結構なことでありますけれども、それが既存の業者の皆さん方の販売量を減らすというようなことになりやしないか。特に最近は一日じゅう営業しているような、そういうスーパーですかが出ているわけですね。そういうところは非常に便利なために、そういうところから買うという方もいるのだそうです。そういうところは許可を持っていないのだけれども、頼んでおきまして買っておいてもらう。聞いたら、サービスなんです。それを目玉にして自分の品物をたくさん買っていただこうということでいろいろと便宜を図ってくださる。これは消費者にとっては、いろいろ夜のお仕事をなさる方あるいは学生等々非常に便利なようです。  こういうようなものがいろいろあるわけでありまして、そうした実態をよく確認した上での扱いをしないとえらいことになるのじゃないか、こういう心配をしているわけでありますが、そうした関係機関の意見の十分なる反映の中で行うべきだろうと私は思うのですが、この点についてはいかがお考えでございましょうか。
  184. 松本作衞

    松本(作)政府委員 流通改善の問題につきましては、先ほど申しましたように今回の法律改正の趣旨に即して消費者に対してできるだけ円滑、適切な流通が行われることが必要でございますが、一方におきまして流通ルートの特定をいたしまして流通秩序を維持していくということも考えておるわけでございますので、具体的な流通改善のあり方といたしましては、地域の実態なり従来の既存の事業との商業調整の問題なりというようなものも十分配慮していく必要があると考えております。そのために、先ほど御指摘がありました適化協のようなものを活用していくということも一つ方法であろうと思っております。また地域における商業調整の機関というようなものを設けることも検討に値する問題であると考えておる次第でございます。
  185. 武田一夫

    ○武田委員 そこで、集荷業者の指定あるいは販売業者の許可ということでありますが、集荷業者の場合、指定の要件あるいは業務運営の基準あるいは業務改善措置、さらに法、命令違反、欠格のときの業務停止、制限の内容、それから販売業者の許可についても同様の内容を具体的にお話しできるものがあればひとつ聞かせていただきたいと思うのです。
  186. 松本作衞

    松本(作)政府委員 集荷業者の指定の要件といたしましては、遵法要件、施設の要件、資産、信用の要件、または適正な業務運営に必要な生産者数または取り扱い数量の保持、さらには経験要件というようなものを具体的な内容として指定をしてまいりたいと考えておる次第でございます。  それからまた販売業者につきましても、遵法要件、施設要件、資産、信用の要件、経験要件、それから卸売業者と小売業者との間の結びつきというようなことを内容といたしまして、許可の要件を卸売業者、小売業者ごとに決めてまいりたいと思っております。  それから業務運営に関する基準といたしましては、集荷業者、販売業者それぞれに適正な集荷、販売を達成するために必要な具体的な運営の方法を定めてまいりたいというふうに考えております。
  187. 武田一夫

    ○武田委員 最後に、時間ですので一つお尋ねしますが、小売の複数仕入れの問題、それから系統農協への卸、小売資格の付与という問題についてはいか、がお考えでしょうか。
  188. 松本作衞

    松本(作)政府委員 小売の複数からの仕入れの問題につきましては、消費者に対してできるだけ品ぞろえを確保するというようなことから、そのあり方について現在検討しておるわけでございますが、しかし卸、小売の結びつきというものは秩序を保つ必要がありますので、原則としては卸、小売の結びつきというものを保持していきながら、さらに品ぞろえ等の面からこれらの問題を広めるための措置というようなものについて今後検討してまいりたいと思っております。  それから農協への小売の問題につきましては、私ども先ほど来申しておりますように、今回の法律改正によりまして消費者に対してできるだけ円滑に米の販売が確保されるための、流通改善の措置の一環として検討をしていくべきものと考えておるわけでございまして、農協におきましても組合員に対する購買活動として必要が明らかなものについてはこれを認めていく。その際にも、先ほど申しましたように地域の事情なり、従来の業者との商業調整の問題というものを具体的に判断をして決めていくべきものであろうと考えております。
  189. 武田一夫

    ○武田委員 時間が来ましたので、あとは後ほどまた質問することにしまして、きょうはこのくらいで質問を終わらしていただきます。どうもありがとうございました。
  190. 田邉國男

    田邉委員長 神田厚君。
  191. 神田厚

    ○神田委員 食糧管理法の一部を改正する法律案につきまして以下御質問を申し上げます。  まず第一に、なぜこの時期に食管法改正を提出したのか。この改正本当のねらいは一体どういうところにあるのかということについていろいろ言われておりますが、この時期に食管法改正を提出いたしました意味についてお聞かせをいただきたいと思うのであります。
  192. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 かねがね申し上げておりますとおり、実は昭和二十七年に食管法改正になりましてから今日まで、政令等によって改善はいろいろ行われてきておるわけでありますけれども基本でありますところの食糧配給券なんかもあることを知らない人も多い、しかし法律には厳然とそれが生きておるということで、事実と法律との乖離、さらにこの法律は不足時に制定された法律であって、需給のバランスがとれておるときあるいは過剰のとき、そういう点までこの法律が配慮して立法されていないというような面から、事実関係において法律とそぐわない点がいろいろ出てきておるという点、しかし一面、先ほど申し上げましたとおり非常に大事な法律である、一億国民食糧問題の中核をなしておる法律であり、しかも石油ショックや昨年の冷害のときにおいても国民食糧の不安を持たせなくても済んだのは、ある意味においてはこの食管法があったからと言うこともできるのであります。  それだけ重大な法律にもかかわらず、やみの問題に対しては食管法は一体何をしておるのか、法治国家ではないかといったような批判も起きてきておるわけでございまして、私といたしましても就任早々、できることなら守られる食管法にして、そして健全な将来の食糧自給強化をせなければならない折から、また食糧安保という議論も多くなってきております折から、大事なときに大事な法律を守りやすくして、そうして生産者に対しましても消費者に対しましても、需給バランスのとれているとき、過剰のとき、不足のとき、いかなる事態においても国民食糧基本法として絶対盤石なものにしておくべきではないか。一遍にそうしたいわけでありますけれども、とにもかくにも世の中の一応の合意を得る線で、あるいはそれがために現状追認というような批判を受けてもこれはやむを得ないということで、提案をするように実は事務当局を督促いたした次第でございます。
  193. 神田厚

    ○神田委員 この改正案提出に当たってはどのような機関でどのような検討がなされたのか、その点はいかがでございますか。
  194. 松本作衞

    松本(作)政府委員 食管法の問題につきましては、農政全体の検討をお願いいたしました農政審議会の場におきましても、食管制度を過不足いずれの需給事情のもとでも健全に運営できるように改善すべきであるというような答申が出されておるわけでございますが、食糧関係といたしまして米価審議会の席上におきまして、懇談会等の場でこの食管法改正につきまして検討していただきましたし、さらに、今回の具体的な改正につきまして関係団体等の意見も十分に聞きまして改正案をつくったような次第でございます。     〔委員長退席、津島委員長代理着席〕
  195. 神田厚

    ○神田委員 さきの国会におきましては、自給力強化の国会決議、さらに昭和六十五年度の長期見通し、こういうこれからの農政についての大きな環境づくりといいますか、その問題点がいろいろ論議をされているわけでありますが、それらのものとこの食管法改正との整合性といいますか、そういうものについてはどういうふうにお考えでありますか。
  196. 松本作衞

    松本(作)政府委員 自給力強化の決議につきましては、今後の農政の向かうべき道として私どもこれを尊重してまいらなければならぬと思うわけでございますが、そのためにも、食管制度国民食糧を安定的に確保する基本法制として健全な形で運営される必要があるというふうに考えておりまして、この食管法改正自体がそのような意味を持っておると思うわけでございます。より具体的には、今回の食管法改正におきまして、基本計画を策定いたしまして需給の過剰、不足いかなる状態においても需給の安定的な確保を図っていくという点でありますとか、さらには備蓄考え方を明確にしていくというようなこと等を通じまして、この食糧自給力の強化の方向に即してまいりたいと思っておる次第でございます。
  197. 神田厚

    ○神田委員 今回の改正につきまして、食管法根幹が変更されるのではないか、基本が変わるのではないか、つまり、食管制度そのもののなし崩しの改正になるというような指摘があるわけでありますが、食管制度根幹というのは一体どういうふうなことだというふうにお考えなのか、さらに、今回の改正根幹の変更あるいは制度のなし崩しにはならないということが答えられるかどうか、その辺はいかがでございますか。
  198. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 食管根幹というのは、とにかく米の全量政府管理をしてまいる、そうして国民にこれを平等に供給をしてまいる、この制度を私は根幹と心得ておる次第でございます。したがいまして、この根幹を堅持する、こう申し上げておるゆえんのものは、この改正が将来に対して食管をなし崩しにしていくのだというような考えはいささかも持っておらないということはしばしば申し上げてきたとおりでございます。
  199. 神田厚

    ○神田委員 食管根幹を守るということは基本でありますから、そういう意味でその根幹の変更あるいは制度のなし崩しには至らないという大臣答弁でありますので、その点につきましては、私どもといたしましても大臣の御答弁を信用したい、こういうふうに思っております。  以下、この法案の中の少し細かい部分につきましても御質問を申し上げたいと思うのであります。  まず、この法案を見ますと、どうも生産条件よりも需要面からの対応といいますか、そちらの方が重要視されておるようなことがありまして、これを推し進めていきますと、水田利用再編対策にいたしましても、需要面からこれが規制をされるのではないかということを非常に恐れる意見がございます。私どももそういう懸念を持つものでありますけれども、この需要面からどういうふうに水田利用再編対策との関連を持っていくのか。いま一つ計画のもとで再編対策がやられていますけれども、この需要面からの問題をさらに推し進めていきますと、この水田再編がさらにもっと対策を強化するというような形になるおそれはないのかどうか、その辺もあわせてお聞かせをいただきたいと思うのであります。
  200. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 水田利用再編対策は、閣議決定に基づいて農家並びに関係団体、関係自治体の全面協力のもとに実行いたしておる施策でございまして、この食管法改正によって、この基本計画によって水田利用再編対策を強制的に行っていくというような考え方はみじんも考えたことはないわけでありまして、そういう点はひとつそのように御理解をいただきたい。この食管法改正案によって基本計画ができたから、その基本計画によって水田利用再編対策が強制的に執行されていくのじゃないかという御心配は当たらない、私どもはそういうふうには考えておらない、こういうことでございます。
  201. 神田厚

    ○神田委員 いろいろ各団体からも意見が出されておりますけれども、全国農協中央会では「米の需給と管理基本方針の樹立については、そのことによって生産の制限や価格の抑制を行わないこと。」こういうような要請が出ております。また、全国農業会議所では「米の品質別等の需給計画を樹立する場合、需要の動向のみに左右されることなく、水田利用再編対策等が実施されていることを考慮し、米の生産事情を十分に配慮すること。このことの関連で、生産者米価における品質格差の拡大が懸念されるが、これについて慎重に対処すること。」こういうふうなことを述べておられますが、この点につきましてはどういうふうにお考えでございますか。
  202. 松本作衞

    松本(作)政府委員 ただいまも大臣からお答えいたしましたように、今回の食管法におきまして、特に基本計画に定められます内容が直ちに生産調整等の強制になるということはないわけでございますが、この基本計画の中におきまして品質別の需給の均衡を図っていくという考え方をとっておりますのは、やはり米の生産が長期にわたって安定的に継続されるためには、国民の必要とする内容の米の供給が望ましいわけでございますので、そういう意味におきまして、需要の動向にできるだけ対応した米の供給を誘導していこうということの考え方があるわけでございます。  しかし、一方におきまして、米の生産生産の立地条件等によりまして制約がございますので、そういった与えられた生産条件の中における米の生産というものを前提としてこれを消費をしていく、消化をしていくというための需要の確保ということも必要でございますので、需給の均衡という考え方需要面と供給面と両方からの調整が必要になってくるものというふうに考えておりまして、先ほど来お話がありますように、需要面から生産面を一方的に規制をしていく、さらにはまたこれによって価格面においても価格を抑えていくというようなことは考えておらないわけでございまして、価格面につきましては、今回も食管法価格規定は変更しておりませんので、従来の価格あり方に基づいて定められていくべきものというふうに考えております。
  203. 神田厚

    ○神田委員 価格の問題に入ってまいりましたけれども、米の需給均衡政策は、政府の言う類別需給の不均衡問題も含めまして、水田利用再編対策でやればこれは十分である。しかも、本制度にこういう需給調整機能を持たせるということは、需給均衡米価の道を開くのではないか。したがって、需給均衡米価の道というのは現状におきましては低米価につながっていく、こういうふうなことを懸念をしておりますけれども、この点はいかがでございますか。
  204. 松本作衞

    松本(作)政府委員 先ほど申しましたように、米が国民の主食である以上、この米の需要に即して生産の安定的な拡大を確保していくという点からいたしますと、やはり消費者品質別需要の動向を念頭に置いた供給というものが必要になってくると思うわけでございますが、そのことが直ちにいわゆる全体の需給といたしまして生産の調整ないしは生産の抑制を強制していくというような性格のものでないわけでございます。したがいまして、今回の基本計画における需給均衡の考え方は、あくまでも需給面における均衡、しかも生産調整の前提となります総需給のバランスにつきましての考え方は変わらないわけでございますので、その総需給の中における供給需要とできるだけ結びつけた形にしていくという意味の需給の品質別の均衡であるわけでございまして、これが直ちに価格面において需給均衡価格という形で価格を抑え込んでいくというような考え方にはつながらないと思っておるわけでございます。
  205. 神田厚

    ○神田委員 そうしますと、いまの御答弁ですと、米価の抑制やあるいは生産調整の強制、こういうことにはならない、こういうふうに断言なさっているように受け取ってよろしゅうございますね。  それと関連しまして、もう一つは、いままで米価の算式が、需給の問題を中心として算定要素その他で非常に変更があった、こういうふうなことがあったわけでありますが、今回こういう形で需給を中心とした、需給均衡というものを前面に打ち出した形でこの問題を取り上げていきますと、米価問題で、米価の決定に当たっての算式等の変更をなさるお考えはあるのかどうか、この点はどうでありますか。
  206. 松本作衞

    松本(作)政府委員 今回の需給均衡の考え方は、あくまでも量の世界におきまして内容に即した需給のバランスをとっていこうということでございまして、価格面につきましては従来の生産者価格消費者価格考え方を変えておらないわけでございます。したがいまして、今回の需給均衡の考え方価格算定の方式自体を変えていくということは考えておりませんで、現在の生産者米価、消費者米価の価格算定の考え方はそのまま堅持してまいりたいと思っております。
  207. 神田厚

    ○神田委員 次に、基本計画は需給の動向に応じてこれを定める、こういうふうに決められておりますし、品質別数量を定める、こういうことを言っておりますけれども、どういう定め方になるのか。この数量の決め方いかんでは特定産地の特定品位米の生産規制、こういうものにつながらないのかどうか、その点はどういうふうにお考えでありますか。
  208. 松本作衞

    松本(作)政府委員 供給計画におきまして品質別供給の見通し等を明確にしていきたいと考えておるわけでございますが、これは先ほど申しましたように需要の動向によって影響されますとともに、生産の条件によりまして生産量が決まってまいる面があるわけでございますので、一方的に需要面から特定の類別、品質別の米を抑え込むということを考えておるわけではございません。ただ、長期的に見まして、先ほど来申しておりますように消費者需要と結びついた米の供給ということを考えていかなければなりませんので、漸次消費者需要供給品質別にも結びついていくような方向づけというものは考えていく必要があると思っております。
  209. 神田厚

    ○神田委員 そうしますと、消費者需要の傾向を重視するということになりますと、必然的に特定生産地の特定品位米の生産規制というか、基本計画の中で生産に対する考え方等の指導といいますか、そういうものはあると考えてもよろしゅうございますか。
  210. 松本作衞

    松本(作)政府委員 先ほど来申しておりますように、現在の県別の生産調整の枠組みの考え方と今回の基本計画考え方はそごしないというふうに考えておるわけでございますので、それによって、現在の県別の生産調整の姿が基本計画によって大幅に変わってくるということは考えておらないわけでございます。しかし、その枠内におきまして生産者供給ができるだけ消費者需要に合う品質のものに誘導されることが望ましいというふうに考えておりまして、そういった指針といたしましてこの基本計画が機能していくことを期待しておるわけでございます。
  211. 神田厚

    ○神田委員 都道府県の問題につきましては、県別需給操作の問題についてはまた後で触れますけれども、その前に、基本計画の策定に当たりましては関係者の意見を反映する仕組み、これをどういうふうに考えているのか、関係者の意見を基本計画の中にどういうふうに反映させていくのか、これらについては何か制度化をすべきだというふうに考えますけれども、そういうお考えをお持ちでありますか。
  212. 松本作衞

    松本(作)政府委員 基本計画を作成するに当たりましては、生産者、実需者を含めましてできるだけ関係者の意向を反映させていくことが必要であろうと思いますが、その過程におきまして米価審議会等の意見も十分に聞いてまいりたいと考えております。しかし、この基本計画はあくまでも政府管理の方向づけを示すものでございまして、これによって直接生産者消費者規制するというものでもございませんので、いわば米価のように米価審議会で諮問、答申を得るという性質のものではないと思っておりますけれども関係者の意見を織り込むような機会は十分につくってまいりたいと思っております。
  213. 神田厚

    ○神田委員 いまの答弁のように政府管理の方向づけを行うということであるならば、たとえば国会の意見は当然聞かなければならない問題だと思いますが、農林水産委員会やあるいはそういう意味での国会の機関での審議なり検討なりのどういう場をお考えでありますか。
  214. 松本作衞

    松本(作)政府委員 政府の決定いたします施策につきましては当然国会の場におきまして種々御論議がされるわけでございますので、そういう意味におきまして、基本計画にかかわる問題につきましても御審議をいただく機会をつくる必要があると思っております。しかし、米価等におきましても、あくまでも形の上におきましては米価審議会の意見を聞いた上で政府が決定することになっておりますので、決定の形といたしましては政府が決めるものと御理解をいただきたいと思います。
  215. 神田厚

    ○神田委員 しかし、米価審議会は米価の問題について審議をする機関で、すでにそのための専門的な委員等の選任もされているわけでありますが、今度の基本計画の問題につきましては、政府の方で需給均衡という一つの原則の中でこの計画を出してくるというわけでありますから、言ってみれば、米価審議会の中でこれを全部ゆだねて審議をさせるということとはまた違うと思うのです。したがいまして、政府管理の方向づけだということを食糧庁の方ではっきりと述べているのであれば、この基本計画そのものについての委員会なり国会の中の意見を、十分に審議することを義務づけるといいますか、その基本計画を策定するに当たって十二分に国会の意見を聞かなければならない、こういうふうに考えるわけでありますが、その点はいかがでありますか。
  216. 松本作衞

    松本(作)政府委員 先ほど申しましたように、基本計画食糧管理に関する重要な問題でございますので、施策について広く国会の御議論を煩わすということは当然にあろうかと思っておりますが、ただ、この基本計画の策定自体は政府の行政的な措置考えておるわけでございますので、その作成のプロセス自体におきまして国会の意見を必ず反映させるということを法定することはいかがかと思っております。
  217. 神田厚

    ○神田委員 いずれにしましても、基本計画を立てる前に何らかの形で関係者の意見がきちんと反映できる機関をつくるのか。これは米審等の意見を聞くと言いますけれども、米審等の意見を聞くのはもちろん米価との関連もありますし、いろいろありますからそれは当然でありますけれども、またそれとは違った形でこの基本計画そのものについて専門的に論議をする機関なり何なりを当然設定していかなければ十分な論議が尽くされない、こういうふうに考えているのですが、その点はどうでありますか。
  218. 松本作衞

    松本(作)政府委員 基本計画につきましては政府自体が管理する方向づけを示すわけでございまして、この政府の方針を指針といたまして関係者にそれぞれ御理解と御協力をいただくと考えておるわけでございますので、米価等のごとく政府基本計画の決定が直ちに関係者を直接拘束するという性格のものではございません。したがいまして、この作成の過程におきましてはできるだけ関係者の意見を聞くということは努力していく考えでございますが、特定の機関を設けて、その機関に諮ってでなければ決定できないということではなくて、関係者の意見を十分に織り込みながら政府自身の責任において決定をしていくべき性質のものであると考えております。
  219. 神田厚

    ○神田委員 それでは、関係者の意見を十分聞いていくというのはどういう関係者からどういう形でお聞きになるつもりでありますか。
  220. 松本作衞

    松本(作)政府委員 先ほど申し上げましたが、米価に関して生産者消費者、中立委員を含めた米価審議会がございますので、米価審議会の御意見を聞きますほか、直接関係のございます生産者団体または実需者団体、さらには消費者の方々というような各方面の御意見を伺うようにしたいと思っております。
  221. 神田厚

    ○神田委員 米審それから生産者団体、実需者団体、それらの意見を聞くというわけでありますが、それは一つ明らかになってまいりまして結構でありますけれども、どういう形でこれをお聞き取りになるのでありますか。
  222. 松本作衞

    松本(作)政府委員 特定の機関をつくるということではなくて、基本計画の策定前にこれらの方々の御意見を聞く機会をつくりたいと思っておるわけでございます。
  223. 神田厚

    ○神田委員 たとえば、基本計画の策定が何月にやられるのかという問題もありますし、予算編成期前にやるとか田植えの前にやるとか、ひとつ時期もお聞きしたいのでありますが、いずれにしましても、こういう生産者団体その他の意見を十分に聞く場所なり、あるいはその意見がきちんと反映できるようなものを食糧庁としては、政府としては考えているということですね。
  224. 松本作衞

    松本(作)政府委員 関係者の意見を聞く場をつくっていきたいと思っております。
  225. 神田厚

    ○神田委員 先ほど指摘しましたように、特に需給均衡というものを前面に出した基本計画は、生産者等につきましては非常に心配をしている向きがございます。先ほど、これで価格抑制や生産調整の強制はしないという確約がございました。同時に、この基本計画の策定に当たっては、生産者団体や生産者の意見がきちんと反映できるような場所をつくるという御答弁食糧庁長官の責任においてありましたけれども、これは非常に大事なことであります。したがいまして、念を押すと言っては失礼でございますが、同時に大臣考え方もお聞かせいただきたいと思います。
  226. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 食糧庁長官から申し上げたとおりでございまして、とにかく基本計画策定に当たりましては、特に生産者消費者両方の皆さん方に納得してもらえ、安心してもらえるような計画にしていくことが一番いいわけでありますから、食管会計の中の計画生産者の方々にもよく御理解いただくというためにも、長官の申し上げましたとおりの機会を積極的につくりたい、こう考えます。
  227. 神田厚

    ○神田委員 この問題については、食糧庁あるいは政府として、どういうふうな場をつくって生産者等の意見を聞くことになるのか、いますぐ御答弁をと言ってもまだ明らかになっていないようでありますから、方針がはっきりした段階で私どもの方でもいろいろ御注文を申し上げさせていただきたい、こういうふうに考えております。  ところで、この基本計画は何月ごろおつくりになる御予定でありますか。
  228. 松本作衞

    松本(作)政府委員 まだ具体的に決めておりませんが、少なくとも播種前にはつくっていきたい、生産者が指針とできるような時期につくっていきたいと考えております。
  229. 神田厚

    ○神田委員 これは当然予算との関係も出てくると思うのですが、その辺のところは、基本計画と農林予算の関係はどういうふうに考えていますか。
  230. 松本作衞

    松本(作)政府委員 基本計画と予算との関係が出てまいるわけでございますが、正確に予算の成立の時期まで待つかどうかというようなことにつきましては、今後具体的に詰めてみたいと思いますが、予算との整合性というようなことも念頭に置いて考えなければならないと思っております。
  231. 神田厚

    ○神田委員 そうしますと、種まき前と言っても、予算との関連で考えますと大体の時期というのはおのずから決まってくるのじゃないでしょうか。
  232. 松本作衞

    松本(作)政府委員 私どもといたしましては、予算との関連の見通しもつきました大体一、二月ごろの段階につくってまいりたいと考えております。
  233. 神田厚

    ○神田委員 それからこの基本計画との考え方の中で、県別需給操作、供給計画の中でこれが出てくるわけでありますが、都道府県別の需給操作の原則はどういうところにおとりになるのか、この辺はいかがでありますか。
  234. 松本作衞

    松本(作)政府委員 今回策定いたします供給計画におきましては、県別の供給量を内容に即して定めることとしたいと思っておるわけでございますが、この県別の供給の操作につきましては、この供給計画に即して進めていきたいと考えております。  なお、県別の需給操作という点からいたしますと、生産と消費の関係ないしは供給需要との関係が出てまいるわけでございますが、従来はできるだけ経費の節減を図るということで、生産されたものをその県で消費をしていく方向を原則としておるわけでございますが、今後におきましては消費の多様化というようなものにも対応いたしまして、消費者の必要とする米が供給できるように、この県間の操作等についても弾力化が必要であろうというふうに考えておる次第でございます。
  235. 神田厚

    ○神田委員 次に、備蓄との問題で御質問申し上げます。  昨年産米の検査が三月末で六百五十一万四千トン、前年比二二%の減少になっておる、事前申し込み限度数量七百八十五万トンに対しまして八三%にとどまった、こういうふうに言われております。こうしたことで米の需給に心配はないのかどうか、政府の見通しはどういうふうになっているのか。また仮に、五十六年度の作柄いかんで需給不安などということは考えられないかどうか、この点をまずお聞かせをいただきたいのであります。
  236. 松本作衞

    松本(作)政府委員 五十五年産米が異常な冷害によりまして総生産量が約九百七十五万トンほどに落ち込んだわけでございますが、一方、五十六米穀年度に必要といたします米につきましては約千七十五万トンが予定されますので、その間に約百万トンほどギャップがあるわけでございます。しかし、五十四年産米を約百八十万トン弱持っておりますので、この百万トンのギャップを五十四年産米の備蓄によって充当いたしまして、なお八十万トン程度ゆとりが出てくる計算になるわけでございます。さらに五十六年産米につきましては、生産調整の面積を災害によりまして若干緩和をいたしましたので、ここで供給余力として約二十万トンほどが出てまいる計算になりますので、先ほど申しました約八十万トンの繰り越しと二十万トンの生産余力を合わせますと、約百万トン程度になるわけでございまして、もしも五十六年産米におきまして不作が起こりましても、百万トンまではこの部分によって十分賄える。ことしのような大冷害でも不足分が百万トンでございましたので、来年の需給についてはほぼ間違いがないというふうに私ども考えております。
  237. 神田厚

    ○神田委員 冷害等の問題から、備蓄が大変重要だというような認識はもちろん多くの国民も持ったのでありますが、こういう中で、この際備蓄を大幅に拡大して食管法の中にはっきりとそのことを明記すべきだ、備蓄の問題についてもう少しはっきりとした形でこれを規定したらどうかという意見もありますが、その点はどういうふうにお考えでありましょうか。
  238. 松本作衞

    松本(作)政府委員 備蓄の問題につきましては、今回の基本計画の中におきまして、基本方針なり基本的事項の中で明確に位置づけをしてまいりたいと考えておるわけでございまして、そういう意味備蓄役割りということを制度上明確にしていきたいと考えておる次第でございます。  また、備蓄のやり方につきましても、従来二百万トン程度を目標としておったわけでございますが、その全体につきまして回転備蓄といいますか、漸次古米を消費しながら備蓄役割りを果たしていくというたてまえをとっておりました結果、古米を多量に消費者に消費してもらわなければならないというような問題も出ておりますので、今後はこういったいわゆる繰り越しをする備蓄分のほかに、たな上げをいたしまして備蓄専用として保存をし、備蓄期間が終了した後には加工用等に使用をするというような形の備蓄米を設けたいと思っておるわけでございます。  したがいまして、備蓄の量等につきましても、こういった備蓄のやり方の再検討を含めて検討していきたいと思っておりますが、いずれにいたしましても、こういう形で国民食糧安全保障のために食管制度備蓄が十分に役立つように措置してまいりたいと考えております。
  239. 神田厚

    ○神田委員 ただいま長官の御答弁でありましたたな上げ備蓄方式というのは、農協等も強くこの実現を要請している問題でもありますし、私どもといたしましても、いままでのような回転備蓄方式の問題も多少ありますから、それらを解消する意味でもたな上げ備蓄方式についての実現を期待をしておりますので、そういう形での実現をお願いをしたいと要望申し上げておきたいと思います。  続きまして、農政審の答申の「八〇年代の農政の基本方向」というものの中で用途別価格について触れておりますが、この用途別価格というのはどういうふうな考え方であるのか、また、基本計画で用いている用途別というのはどういうことなのか。今回のこの備蓄と用途別価格は関連があるのかないのか。私どもとしましては、備蓄用として用途別価格が設定され、結果として価格が総体的に抑制されるというようなことになりますと、これは非常に問題があるというふうに考えております。備蓄はあくまで主食用としていざというときに備えるものでありますから、用途別の問題についてはどういうふうなお考えであるのか、その辺をお聞かせいただきたいと思います。
  240. 渡邊五郎

    ○渡邊(五)政府委員 お答えいたします。  先般の農政審基本方向におきましては、最近の農産物需要の動向が、通常の生食用に加えまして、加工食品依存度の高まりとかあるいは畜産物に対する需要の増大というような問題から、単に生食用のほか、加工食品とか配合飼料の原料用というような需要の伸びが高くなっております。他方、国産農産物につきましても、最近の需給動向から見まして需要をできるだけ拡大していくような工夫をしていかなければならないだろう。こういうような観点から、農業生産の面でも従来の生食用あるいは飲用というような直接的な消費のほか、加工原料用なり飼料用といった需要に積極的に対応していかなければならない。農産物の価格政策一般論としてそういうような積極的な対応が必要であろう。  したがいまして、同じ種類の農産物にありましても、用途別に異なる価格形成考えなければならない。現に牛乳の場合あるいは果実の一部につきましては、そうしたことで加工原料用と生食なり飲用向けとの価格差を生じているようなことがございます。需要の確保を図っていくためには、農産物につきましてもそうした用途別の価格形成ということを真剣に考えなければならないという一般論として申し上げておるわけでございます。
  241. 神田厚

    ○神田委員 どうも何か答弁がちょっとはっきりしないのでありますが、そうしますと、この基本計画で言う用途別と農政の基本方向において使われている用途別という問題、それから今回の備蓄と用途別価格との関連はあるのかどうか、その点はいかがでありますか。
  242. 松本作衞

    松本(作)政府委員 基本計画ないしは供給計画におきます用途別といたしましては、主食用、加工用、酒造用というようなものを区分けをしていくということを考えておるわけでございまして、こういったものにつきましては政府の売り渡し価格の段階におきまして用途別の価格を差をつけておるのが実態でございます。今後の生産者価格につきましては、私どもとしては、現在の生産者価格規定にあります再生産を確保する価格あり方というものを変える考え方は持っておらないわけでございますので、この用途別の売り渡し価格が直ちに生産者価格を変えていくものというふうには考えておらないわけでございます。
  243. 神田厚

    ○神田委員 時間がありませんので、もっと論議を深めたいのでありますが、次に移ります。  自主流通米を法定した理由は何か。このことで現行自主流通制度のやり方が変わるのかどうか、この辺はいかがでありますか。
  244. 松本作衞

    松本(作)政府委員 自主流通米につきましては、現在流通量の約三分の一を占めておりまして、これによりまして消費者の多様な需要に対応いたしました米の品質別供給が行われておりますし、また生産者にとりましても品質に応じた適正な価格形成が図られておるわけでございますので、今後ともこの自主流通米制度食管制度の枠内において適正に運営されていくべきものというふうに考えておるわけでございます。  しかし、現在の法律におきましてはこの自主流通米規定法律上必ずしも明確ではございませんので、今回食管法改正の第三条におきまして、自主流通米の性格といたしまして「消費者ニ対シ計画的ニ適正且円滑ナル供給ガ為サルルモノ」ということで政令で定めるものを自主流通米とするということにいたしますとともに、基本計画供給計画の中におきまして自主流通米を明確に位置づけまして、それによって今回の食管制度全量管理という中に明確な位置づけをしていこうということでございます。したがいまして、この自主流通米規定自体は、現在必ずしも明確でない自主流通米法律上の規定を明確にするということで意味があるものと考えておるわけでございます。
  245. 神田厚

    ○神田委員 そうしますと、一部に、自主流通米あるいはその買い入れ制限ということが合法化されたということで、つまり部分管理に進むのではないかということを懸念する意見が非常に強いわけであります。この部分管理に移行するのではないかという心配に対しましてはどういうふうにお考えでありますか。自主流通米の歯どめ策が出されるのかどうか、その辺はいかがでありますか。
  246. 松本作衞

    松本(作)政府委員 従来からこの自主流通米につきましては政府管理の中において運営されるものとして性格づけられておりまして、政府管理のタイプとして、直接政府所有権を移して操作するものと、所有権を移さないが政府の十分な管理のもとにおいて、自主流通計画の承認の上で定められた流通ルートに従って流通するものとしてこれは位置づけられておるわけでございます。  今回の法律改正によりましても、こういった自主流通米の性格を変えるものでは全くありませんで、むしろ従来法律上必ずしも明確ではなかった自主流通米法律上定義づけますとともに、基本計画供給計画等の政府管理すべき米穀の中に明確な位置づけをいたしまして、年々の自主流通米についての数量を明確にしていくということで、むしろ自主流通米部分管理というような形に流れることにここではっきりと歯どめをかけたものと考えておるわけでございます。
  247. 神田厚

    ○神田委員 次に、米の売り渡しに入札制度を導入しましたけれども、これはその運用いかんでは食管根幹が緩む可能性があるわけであります。導入した理由は、一体どういう理由から導入したのか。またどういうふうに運用していこうと考えているのか。そしてこの歯どめを政令とか省令で規定すべきだと考えておりますけれども、この辺につきましてはどういうふうにお考えでありますか。時間がありませんので、簡単で結構であります。
  248. 松本作衞

    松本(作)政府委員 政府売り渡し価格規定につきましては、従来必ずしも明確ではなかったものを、今回随意契約を原則とするという形に原則を明確にいたしますとともに、例外的に入札等を認めることにしたわけでございます。この例外的な入札の形といたしましては、古米の処理等、品質によって内容が異なり、価格形成が変わってくるようなものにつきましての売り渡しの際に適用していこうというふうに考えておるわけでございますが、いろいろなケースがありますので、これを一律に法定するということではなくて、この判断を農林水産大臣にゆだねてあるわけでございます。
  249. 神田厚

    ○神田委員 ですから、この運用をよほどよく考えないと食管根幹が緩むわけでありますから、その辺につきましてはどういうふうな運用をするのか。また政省令でこれらについての運用の歯どめをつけていく考えがあるのかどうか、この点簡単にひとつ。
  250. 松本作衞

    松本(作)政府委員 運用につきましては先ほど来申しておりますように、古米の処理というような例外的なものに限るつもりでございます。またその運用につきましては、政令という形は、契約をするための価格の決定の仕方等について定めていきたいと思っております。
  251. 神田厚

    ○神田委員 次に、休眠していますけれども、購入券を発動するということがあるわけでありますが、どういう事態のときにこれを発動するのか。また、現在購入券を持っているということで原則として米の買い入れが行われているわけでありますけれども、購入券なしで米を買えるというのは法律的にはどの条項で裏打ちがされるのか。現在の登録店以外のところで米を買うことができるようになるのかどうか、その辺はいかがでありますか。
  252. 松本作衞

    松本(作)政府委員 購入券制度を発動する場合は、いわば緊急に食糧の確保を図る必要がある場合でございますが、具体的には、海外におきまして異常な食糧不足が起こり、国内に対する輸入食糧供給がストップするというようなことが考えられるわけでございます。そういうふうな状況になりました場合には、この法律規定に基づきまして配給制度を復活するようにしていきたいと考えております。  なお、御質問の現在使っておる購入通帳が要らなくなるというのは、今回の法律改正によりまして、配給制度にかかわる部分をやめまして、特定の定められた流通ルートを通じて販売されることになりますので、その特定の許可をされた販売店から消費者はだれでも買うことができるという形になるわけでございます。
  253. 神田厚

    ○神田委員 そうしますと、具体的には、いままで買っていたところじゃない販売店から買っても構わないということなんですか。
  254. 松本作衞

    松本(作)政府委員 事業区域の考え方は今後も踏襲していく必要があると思いますが、その事業区域の中におきましてはどの店から買ってもいいという形になるわけでございます。
  255. 神田厚

    ○神田委員 次に不正規流通、これをどういうふうに取り締まるのか、その具体策と決意をひとつお聞かせ願いたいと思います。
  256. 松本作衞

    松本(作)政府委員 不正規流通につきましては、私どもとしては、まず不正規流通の発生をできるだけ防止していきたいと考えております。  そのために、一つは総需給の均衡を図ることによりまして過剰な米が不正規に流れ出さないようにする。それからまた、販売業者、集荷業者につきまして許可制または指定制という形で地位と責任を明確にすることによりまして、こういった流通過程での不正規米の発生を食いとめていく。それからまた、消費者に対してできるだけ消費者の好む米を供給するという品質に応じた供給を図りますことによって、消費者が正規米以外のところから購入する必要性をなくしていくというような形で、まず不正規米の発生を防止してまいりたいと思っておるわけでありますが、不正規米が発生する場合につきましての取り締まりにつきましては、今回の法律改正によりましてだれもが守れる食管法という形に改正をするわけでございますので、不正規米の取り締まりについては厳正に行っていくよう関係の機関とも十分連絡をとって進めてまいりたいと考えておりますとともに、また米の流通についての情報を十分に把握して、こういった不正規米の発生についてはできるだけ早期に発見するようにしていきたいと考えております。
  257. 神田厚

    ○神田委員 時間が来ましたので、最後に農林大臣にお聞きしたいのであります。  こういう形で食管法改正が論議されてまいりました。同時に、ただいま行政改革という形の中で食管あり方に相当多くのさまざまな議論がなされているわけであります。農林水産大臣は、食管の果たす役割りあるいは国民生活に与える影響、こういうことを重視しまして、閣議等でもそれらを守る意味から非常に積極的な御意見を出されているように聞いておりますけれども、行政改革の対象としてこの食管問題が議論されている中にありまして、私ども食管の果たしている国民生活に対する非常に大事な役割り考えますと、一律に行政改革の対象として食管問題を論じられることは非常に大変な問題になると考えておりますが、それらにつきましては大臣としてはどういうふうなお考えでこれから行政改革の中で食管制度の問題をお考えになっていくのか、最後に御意見をお聞かせいただきたいと思います。
  258. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 三Kが世の批判を受けておるわけでございます。その中に食糧管理制度の赤字というものが指摘されておるわけであります。政府もこの赤字の解消に年々努めてきておるわけでございますが、特に逆ざやはぐっと縮まってきておるわけであります。一番最近目につき出しておりますのは、古米処理の経費が非常に多いわけでございます。そのほか管理するための経費、このように分かれておるわけであります。したがいまして、何としても食管の財政を健全化してまいりますためには、米の需給の均衡を図ってまいるという問題が食管会計を健全ならしめる一番大きな方策であるということでありますが、これは古米処理の五カ年計画に基づいて着々実施をいたしてきておるところでございます。  次いで管理経費の節減という点につきましても、年々人員の合理化や機構の合理化等を行いまして進めておるところでございますが、さらに検査制度の改善等を契機といたしまして一層の行革を進めてまいる、こういう形で進んでまいれば、しかも食管法改正することによって、さらに管理経費の節減等にも十分配慮していくことのできる体制ができるものと私は考えておりますので、その方針で進んでまいりたいと考えております。
  259. 津島雄二

    ○津島委員長代理 寺前巖君。
  260. 寺前巖

    ○寺前委員 繰り返しみたいな質問をいたしますが、確認的にひとつよろしくお願いをしたいと思います。  二十九年ぶりに食管法律上の改正をやるというのですから、だれもが振り返ってみて食管とは何であったかなと思うのは当然だと思うのです。私も私なりに今日まで食管の果たしてきた役割りはどういう点があっただろうかと考えてみました。先ほどから根幹とかいろいろな形で言われておりましたけれども、少なくとも日本国民の主食である米については全量責任を持って国が管理をしてきた、そして生産者に対して再生産を保障する道をきちっと補償して、農村におけるところの農家経営を安定させる一定の役割りをしてきた、同時に消費者に対して国民生活を安定させる役割りもしてきた、したがって、そこにはお金がかかったことも当然であるというようなことを先ほどからいろいろな言い方をもって示されてきたと思うのです。  先ほどから大臣なり局長からのお話を聞いていると、食管法根幹を変えるものではないということを言っておられたわけですが、そこで私はお聞きをしたいと思うのです。  先ほど言いましたように、二重価格の問題というのは低所得者層には受益を大きく与える役割りをした。いわば一種の所得の再分配の機能という役割りを果たしていたのではないだろうか。今度の法律でも生産者米価と消費者米価をそれぞれ第三条の第二項なり第四条の第二項に基づいて決めていくという体系を維持しておられるようですけれども食管が今日まで果たしてきた二重価格の財政負担によるやり方は非常に重要であった。さらに、稲作を軸とした農家経済が地域経済の動向を左右するという点において、生産者米価の決め方というものがやはり非常に大きな位置を占めていた。米の保護というのが地域経済安定の土台としての役割りを果たしておった。こういう点を歴史的に踏んまえて今後も堅持していくという方向が根幹を変えないのだという内容として理解していいのかどうか、大臣の所見を最初にお聞きしたいと思います。
  261. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 今回の法改正に当たりまして生産者米価、消費者米価の条項に触れなかったゆえんは、根幹を堅持をするという大きな柱の一つと認め、さらに国が米の全量管理する、その線はあくまで変えない、堅持をしてまいる、こういうことで大体今回の改正案をまとめさしていただいた、こういうことでございます。
  262. 寺前巖

    ○寺前委員 それでは個別にわたってお聞きをしたいと思います。  先ほどからのお話の中で、法律がきちっと守れるという体制をやっていく、不正規流通つまりやみ米が発生しているので、それを抑えるためにも法改正が必要だという趣旨のお話がございました。そこでこのやみ米なるもの、不正規流通の発生源そのものにメスを入れなかったならば、また法が守られていくということにならないのではないだろうか。不正規流通という人為的な形態をとっているのですから、その形態を見てみると一体どこにやみ米の要素があるか、私はいろいろな要素があると思いますが、その中でも大きいのは余り米という問題があったのじゃないでしょうか。  この余り米という問題について従来もそれなりの対策をとったことがあると思います。さっき局長の答弁の中にもありました。余り米は流通ルートを自主流通ルートに特定するとともに、自主流通米に対する助成の二分の一前後の助成をやることを通じてやみに流れないように対応したという経験をお話しされておったように思うのです。だからこの余り米という予約限度超過米に対してこれからはどのように管理していくのか。従来の経験から見ても、余り米をきちんと自主流通米管理の中に置いてめんどうを見ていくためには、自主流通米と同じようなやり方を考えていく必要があるのじゃないか。そこをどういうふうに見ておられるのか。発生源の大きな一つとしてこの点を聞きたい、こういうように思います。
  263. 松本作衞

    松本(作)政府委員 農家が政府に売り渡し申し込みをしました以上に米の流通ができるという場合は、いわゆる超過米といたしまして自主流通のルートを通して販売をする仕組みになっておるわけでございますが、今日の需給事情からいたしまして、需給のバランスをとるために予約限度数量を決めまして、その限度数量の範囲内において必要な米の売り渡しをしておるわけでございますので、この限度内の米であります自主流通米と限度外になります超過米とを同様に扱うということは、せっかくの限度数量を設けて需給の均衡を図っていくという仕組み自体が問題になろうと思いますから、現在のような需給事情のもとにおきましては、やはり自主流通米に対する助成と超過米の扱いとは区別すべきものというふうに考えております。
  264. 寺前巖

    ○寺前委員 区別しながらも、従来二分の一前後なりのめんどうを見てきたわけですが、これはどのようにいたしますか。
  265. 松本作衞

    松本(作)政府委員 ただいま御指摘のように超過米に対する助成をしたこともあったわけでございますが、最近における需給事情実態からいたしまして、ここ二年ほどは超過米に対しての助成というものは打ち切っておるわけでございます。
  266. 寺前巖

    ○寺前委員 それでは、現にやみを発生させている発生源との関係から見るならば、またそこに原因を残すことにならないのだろうか。  次にいきます。農家消費等という形でそれ以外のお米の範囲があります。実際の農家消費を差し引いたら、常に百万トン前後の余剰が出ているという計数上の数字が出ております。そのうち半分が縁故米で、もう半分がやみ米に流れていると広く言われております。  まず、この縁故米ですが、これも先ほどからお話をされておりました。法改正によって認められることになるようですが、これに名をかりた脱法行為というものを果たしてチェックすることができるのかどうか。名前だけは合法性を持たせてしまって縁故米とつけても、実際にどういうふうなチェックをしていくことになるのだろうか。やはりこれがやみルートの発生源として引き続き公然と温存されていくことにならないのだろうか。それはいかがなものでしょうか。
  267. 松本作衞

    松本(作)政府委員 今回縁故米を規制対象から外していきたいと考えておりますものは、いわゆる農家の無償の譲渡にわたるものでありまして、販売にわたるというようなものを規制対象から外すことは考えておらないわけでございます。したがいまして、農家が個人間で無償の譲渡をするような行為を一々チェックをするということは実態としても困難であろうと考えておりますが、逆に、いわゆる販売されたものは必ず販売業者を通じて流通されるわけでございますから、販売業者につきましては、農家と直接接触いたします集荷業者の指定をいたします。それからまた、一般の販売業者につきましても許可制をとりまして、この流通については責任を持った正規米の扱いを義務づけることにしておるわけでございますので、これらの者が不正規米を扱うということについては十分なチェックができると思います。また、この指定または許可を受けない業者が脱法的に販売行為をすることにつきましても、罰則を設けて取り締まることにしておりますので、こういった形もチェックできると考えておりまして、こういういわゆる販売活動の面からチェックをすることによって、結果として無償の譲渡行為というものだけが認められる形がとり得るものと考えております。
  268. 寺前巖

    ○寺前委員 生産される一定量の米があって、その中で限度内のお米がある。その中には政府の買い上げ米もあれば、自主流通米があり、さらにそれを限度外に超えていくところの超過米が出てくる。この超過米なりあるいは縁故米なりというもの、これを区分しながらも、なおかつ公然とやみに流れる米の分野というのが整理した計数の中に出てくるということ、しかも現実にやみ米が需要があって流れるという実態があるとするならば、需要に基づく計画を立てるときに、すでにそれを組み入れた計画を立てればやみというのはなくなるのじゃないでしょうか。需要があるからやみがあるのだから、需要をちゃんとした計画の中に入れる余地があるのじゃないか。すなわち、限度数量というものの中にもっと組み入れる数字を出したならば、やみはなくなるのじゃないでしょうか。  私はきわめて素人ですけれども、やみというのは需要があるから発生する。その需要というのは、こちらの計画の枠外のものがあるからそこへ流れていく。その間にはいろいろな業者がつくかもしれないけれども、問題は、発生源というのは需要計画とのアンバランスのところにあるのじゃないだろうか。とするならば、計画そのものの中にやみを発生させないようにメスを入れていくということを考えないといけないのじゃないだろうか。私の考え方はきわめて素人ですから間違っておるかもしれませんが、わかりやすく教えてほしいと思うのです。  それからもう一つ、チェックをする段階があるというお話がございました。現に私が市町村に行ってみると、専任の米の担当者は市町村にはおりません。府県に行ったら確かにおりました。私の出身の京都府へ行ってみたら、三人か四人、米の担当者がおるだけです。この諸君たちがいままで以上の仕事をしてチェックをする、監視をするということはできるだろうか。不可能だと思いました。食糧事務所の方にはたくさんのいろいろな仕事をしている職員の人がおりましたけれども、この分野の仕事と言えば市町村なり府県ということになるのでしょう。実際にどういう状態でやみがなされているか、そういう調査をすることすら今日できませんよ。まして将来にわたってそういうことをやるような状況にはありません。むしろ食糧事務所の所長さんなんかの方が、あるいは職員の人なんかの方がたくさんの数を持っておられて、いろいろな面でよく知っておられました。それは現実に仕事がそうならざるを得ない実態にあると思うのです。  先ほどのように、これから法律をきちんと守っていかすようにしますと言っても、発生源で、一つは常にやみをつくる要因を持っていながら、しかも起こったものを抑えるという実際の機構が伴わない限りにおいて、どうして従来と違った、不正規流通を抑えるということを可能にするだろうか。それは可能にしないのじゃないだろうか。どう考えてもそういうふうにしか見えないのですが、いかがなものでしょう。
  269. 松本作衞

    松本(作)政府委員 不正規流通の発生源といたしましては、御指摘のように農家の段階にもございますし、また消費者の段階でそういった不正規米を求めるという需要があることも原因しているわけでございます。それらのものを全量計画として取り入れられるかどうかということにつきましては、ただいま御指摘もありましたように、不正規米につきましては全量計数的に把握をしておるという事情にはございませんので、これを全部計画の中に入れていくということはできないわけでございますが、私どもといたしましては、ただいま御指摘のようなやみの発生源、不正規流通の発生源に基づいて、これをできるだけ防止していくようにしていきたいというふうに考えておる次第でございます。  一つは、生産者段階におきましてはできるだけ全量集荷を確保していくということで、集荷機構の充実も図っていきたい。そのために集荷業者の指定制とその業務についての十分な指導監督をしていきたいというふうに考えております。  また一方、消費面におきましては、消費者需要に対応したような正規米の供給を促進していく必要があるわけでございまして、従来ともすれば不正規米に流れがちであった需要を食いとめるためには、できるだけ消費者品質に応じた需要に対応していかなければならぬわけでございまして、今回の品質別需給を重視しております点も、そういった消費者需要にきめ細かく対応できるようにしていきたいということでございます。また販売業者におきましても、そのような消費者需要動向に対応した営業活動が行われるように、その責任を明確にする形でいわば不正規流通の発生をできるだけ防止していくという措置を今回の改正の機会にとってまいりたいと思っております。  一方、このチェックの機関といたしまして、流通段階におきましては地方自治体に任せられておりますが、必ずしも地方自治体の機関が十分でないということは御指摘の傾向があるかと思っております。したがいまして、食糧事務所といたしましては、これらの地方自治体を指導するという立場からみずからもこの不正規流通についての調査、監督の仕事に今後努力をしていくべきであろうと思っておりますし、そのために、御指摘ありましたような実態を把握するための流通に関する情報の管理につきましても、機器の整備等を図って充実してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  270. 寺前巖

    ○寺前委員 私はどう考えても、やみという姿はいまのようなことではなくならないなということを正直言って思いますね。  次に、今度は、安くてうまいお米を食べさせてくれというのが広い国民の願いですから、そういう点では今度の法改正が一体どういう役割りを持つだろうかということについて二、三聞いてみたいと思います。  自主流通米というのが法的に認知された、そんなこといままで行われておったことだからいまさら言うまでもないことだと国民は思っていますが、この自主流通米認知されるということは、次には拡大をされていくのではないか。現状政府米二に対して自主流通米が一ぐらいの割合です。従来は自主流通米というのはもっと少なかったと思うのですが。政府米国民需要の一定の大きな位置を占めているということが、国民にうまいお米を安く提供する上における非常に大事な国家の責任を果たしていくことのできる要因になっているだろうというふうに思うのです。  そこで、自主流通米について国民の側からは、今後は自主流通米認知されたことを通じてこれのウエートがどんどん大きくなっていくということになったら、国家が安くてうまい米をという責任が、いまでも実際の末端の業者の段階にくると政府米の位置が少のうて自主流通米の位置の方が大きくなっているのだから、これがもっと崩されてしまうのじゃないだろうか、そうすると、価格の面においても不安定な要因をつくってくるのではないだろうかという不安を持っているわけです。これは米屋さんの段階で混米を通じて利益を上げることを考えますから、したがって政府米の存在の比率が小さくなっておる。それでももとにおいて大体二対一ぐらいの配分の位置にあればこそ今日一定の水準を持っているではないか、こういうふうに見ていると思うのです。  そこで、先ほどから聞いておったら、そこの問題の数量の限度というのをどういうふうに考えておられるのか、もう一つはっきりしないのです。一番最初の答弁のときにはいまのような実態を守っていきたいというような御趣旨の発言があったわけですが、私はこの政府米がいま三分の二ぐらい市場の中で占めている位置というもの、これが持っている役割りというものを重視する立場をおとりになるのかどうかということを、まずお聞きをしてみたいと思うのです。
  271. 松本作衞

    松本(作)政府委員 自主流通米につきましては、先ほど来申し上げておりますように、消費者品質に応じた需要に対応いたしまして適正な流通を図り、品質に応じた価格形成が行われておるわけでございますので、その役割り食管制度の中において重要なものを持っておるというふうに考えておるわけでございますが、ただいま御指摘のようにこの自主流通米がどんどん拡大いたしまして政府米が少なくなり、食管制度の姿が変わってくるというようなことは私ども適当ではないと考えておるわけでございますし、また現実の動きといたしましても、最近における良質米嗜好の動向、さらには五十三年、五十四年におきまして自主流通米が過剰になったというような事態からいたしましても、この自主流通米政府米の割合というものが現状から大きく変わってくるというふうには考えておらないわけでございますが、今後基本計画の樹立等の際に、年々の需給事情に応じて適正な自主流通比率が維持されるように努めてまいりたいと考えておる次第でございます。
  272. 寺前巖

    ○寺前委員 そこで、もう一つの問題は、物統令が廃止された後に標準価格米という形で指導されてきた。これは地域によってずいぶん違います。四割近くを標準価格米で買っているというところもあれば、少ないところもあります。指導がいろいろな形でなされているわけですが、少なくとも四分の一の米ぐらいは標準価格米で消化されているように思うのです。これもまた価格消費者の中で安定化させていく上において大きな位置を占めてきたわけですが、この標準価格米をやめるのだという動きがあるというふうに聞いておるのです。私は、これが今日まで物統令廃止後持ってきた役割りというのを見直してみて、堅持すべきだと思うのですが、いかがなものですか。
  273. 松本作衞

    松本(作)政府委員 標準価格米につきましては、御指摘のように物統令を廃した際の経過的な措置として設けられたといういきさつがあるわけでございますが、その後、この標準価格米が安定した消費者に対する米の供給という役割りも果たしておりますので、当面私どもとしてこの標準価格米を廃止するということは考えておらないわけでございます。
  274. 寺前巖

    ○寺前委員 先ほど、政府の売り渡し価格について入札制度を持ち込むのだ、その入札に当たっては主食用は考えていないという趣旨の御発言であったと思うのです。私は、これは本当に将来にわたって堅持されるのかどうか、たとえばこういうひがんだ見方でいろいろなことを私なりに考えてみた。まずい米だという理屈をつけて、たとえば北海道なり青森の一部の米を、これをみんなで買わぬから、ひとつあれは安かったらまあ使うところもあるから入札にせぬか、こういう話で入札制度をそこに持ち込まそうという卸売の段階の策動が生まれるかもわからない。あるいは財政問題をめぐって、おいしい米は政府管理するもとにおいて希望が多いからだということで、いまの食糧庁の長官はそんなことはお考えにならないかもしらないけれども、人がかわって、これは希望が多いから高く売りつけてやろうか、そういうふうなことを考えるということもなきにしもあらず。  こうやって考えていくと、この入札制度というものがもたらす役割りというのは、これは大変な事態をつくっていくことになると思う。だから先ほどからも、法律上も明確にしてもらわなかったら困るという意見が出てくるのは当然だ。そこで、これは農林大臣の責任においてやるというだけでいいのだろうかという疑問も出てくるのはそこにある。本当に入札制度は絶対に主食用にはさせないということを言明することができるのかどうか、そこはいかがなものですか。
  275. 松本作衞

    松本(作)政府委員 米の価格品質によって異なってくるということは実態としてあるわけでございますので、いま御指摘ありましたような点につきましては、むしろ自主流通米のルートで販売されるという形になろうかと思いますので、政府の買い入れた通常の主食用のものをこの入札制によって特定の値段で高く売るというようなことを考えておらないわけでございます。先ほど申しましたように、この入札制を例外的に設けましたのは、古米の処理というような加工用等の処理の場合に、品質に応じた適正な価格形成を図るためにこの入札制を導入した次第でございます。
  276. 寺前巖

    ○寺前委員 それじゃ絶対にやらないわけですね。確認してよろしゅうございますね。聞違っておったら訂正をしてください。  関連してお聞きをしておきたいわけですが、この間、大阪の食糧事務所へ行ってみたら、そこに来ておられた人たちの間で話が出たのです。どんな話が出たかというと、現在加工用に売却しているお米が一般の市場の中でふるい分けをされて、そして混米に使われてやみの市場で使われているということが公然と行われているという話が出てきたわけです。私はそういうこともあるだろうというふうに想像はするわけですけれども、これは書類や帳簿をチェックしているだけではこういう姿はなくならない。一体こういうことが本当に行われているというふうに理解をしておられるか、あるいはこういう問題についてこれからどういうふうにするという方向をお考えになっているのかをお聞きしたいと思うのです。
  277. 松本作衞

    松本(作)政府委員 消費地におきまして適正な品質の米が販売されるということは重要でございますので、私どもといたしましては、表示の内容を厳正にするということで、特に昨年度からは品質別の原料構成を明示をいたしまして、その原料構成に基づいた米の販売をしていくという形をとり、これを指導監督をしておる次第でございます。したがいまして、いまご指摘にありましたように、内容の不明確な米が正規米として流通をしていくということはあり得ないものというふうに考えておりますし、もしも不正規米としてそういうものが流れるということになれば、今後それを十分に取り締まっていきたいと考えております。
  278. 寺前巖

    ○寺前委員 取り締まっていきたいと言ったって、現にそれが広く行われているようですよ。新開地なんかはずいぶんたくさんいま届け出のお米屋さんでないのが広がっていますね。神奈川とか大阪とかそういう大都市において、いわゆるやみ販売というのが行われていますし、やみ販売の中では価格の面においてずいぶん安いものをつくり出していくというのが行われている。その中身としてそういうのがすでに行われているということが、私が先ほど言う、いまの体制のもとにおいて今後も果たしてやみがなくなるという保証があるのかと言えば、どういうことになるだろうかということに私は頭をかしげざるを得ないということをこの間大阪へ行ってきて感じたわけです。  もう一つ関連してお聞きをしておきたいのですが、先ほど主食の中には入札制度というような問題は持ち込まぬということが言われたわけです。私は逆に、需要状況計画の中に反映をしていく、こういう米が欲しいのだという声がずっと反映されていく、その反映が今度は生産の分野に、おまえさんのところの希望は少ないんだから、したがって減反をしてもらわなければならないというふうにして、基本計画の樹立と生産との関係というのは一つのタイアップした姿となって出てくるのではないだろうか。そういうふうにこの基本計画が発展するものなのかしないものなのか、そこはどういうことになるのでしょう。
  279. 松本作衞

    松本(作)政府委員 現在生産調整を行っておりますが、この生産調整は、全体の需給の均衡を図るという考え方で総需要に対応した米の供給を行うための生産調整を実施しておる次第でございまして、その意味におきまして総需給の均衡については、今後樹立される基本計画におきましても生産調整の前提となる需給の考え方と一致するものというふうに考えておる次第でございます。  ただ、その枠内におきまして、できるだけ消費者需要に対応した米の供給が図られるようにということで、品質別の米の需要に対応する米の供給というものを誘導していくということは出てくるわけでございますが、しかしそれも急激に生産事情を無視した形で考えるわけにはまいりませんので、需給の調整を考えます際には、一方において需要側からの要請を考えますとともに、一方におきまして生産側の事情というようなものも反映して立てられていかなければならないと思いますので、需給両面からの調整が必要になってくるかと思います。したがいまして、この基本計画生産調整を強制する、ないしは特定の地域においての米づくりに打撃を与えるというような性格のものではないというふうに考えております。
  280. 寺前巖

    ○寺前委員 それだけによけい、先ほど言いましたように需給の名のもとに入札制度が利用されていく、そうすると、ますますもって生産に直接的に影響を与えていくという関連性を持っていくのじゃないだろうか。それだけに私は、この入札制度の問題が、長官が言われるように主食の分野には絶対にさせないのだということが明確にされる必要性、疑問というのは一層そこに強くあるというふうに思いますので、念のために後ほど大臣からも御見解をお聞きしたいというふうに思うわけです。  次にいきますが、せっかく先ほどえさ米の話が出ました。食糧というか主な主食の自給率というのが、ECの諸国と日本を比べてみても、みんな自給率を高める方向に最近の歴史は進んできておった。ところが昨年の農政審の姿を見ても、日本の場合は下がる方向が打ち出されている。米は確かに一〇〇%以上の自給率です。あるいは幾つかの分野ではそうあるけれども、麦や大豆というのは非常に自給率が低い。これは高める方向を打ち出している。ところが、一番問題になるのはやはり飼料用ということになるだろう。そこで、飼料用の問題の自給率をもっと高める、そういう方向の追求はないものか。  転作をするというこの時期に、一番目の前にでき上がる姿というのは、この飼料用のえさ米だというところに農民が目をつけるというのは、私は当然だし、これは日本政府においても考えなければならない点だ。先ほど園芸局長ですか、政府の本年度の予算の中にも、国としてあるいは府県に対しても一定の援助をしながら研究をやっていく、民間の研究に対してもそれを取り入れていくように五月の中旬には通達を出して、そして積極的にこのえさ米の展開を図っていきたいという趣旨のそれぞれ御答弁があったと思うのです。  そこで、農民が、政府がいまさら言っている段階ではなくして、もう去年もおととしもの段階からこのえさ米の追求というのはやっているわけです。自主的にもうこの春、たくさんの地域においてえさ米の試作をやっているわけですが、先ほどのお話を聞いていると、十アール以上の一定の段階という形で決めておられるようですけれども、私は自主的にやってきているそれらのものを総合的に、あるところは十アールより少ないかもしれない、あるところでは多いかもしれない、それを一定のグループの研究として、これを府県が認知をするというやり方を認めてやったらどうなんだ。積極的に描き出してきているこの活動なんですから、後からこういう条件のときには認知しますよということではなくして、現実進んでいるものを都道府県の側で認知をし得る条件を考え認知したらよろしいというふうに、積極的にさらに発展をさせるということをしてやったらどうなんだろうかということをぜひ聞きたいというのが一つです。  それからもう一つは、先ほどの話を聞いていたら、五〇%という段階を目標にしてそういう多収性のものをつくり上げていくのだ、今日まで五十年かかってきたのだから、そう簡単にはいかない、十五年間はかかるだろうという見通しのもとにやっているのだということを、これは技術会議の事務局長ですか、おっしゃっていました。  いま緊急に転作を必要としている、その転作条件をつくってやるということがやはり国家的にも必要だというならば、五〇%という多収穫を研究する目標としてはいいかもしれないけれども、現実に執行していくのには何も五〇%を待たなくても、一〇%でも多収穫のものをえさ米として考えようという努力があるならば、それは積極的に組み入れたらいいじゃないか。積極的に、横流れをしないことを明確にしていくものができ上がるならば片っ端からそれをえさ米として認定をしていくというようなやり方をしていくならば、何も十五年という固定を待たなくてもいいじゃないか。もっと短期間に一〇%ぐらい多収益というものはすぐにつくり上げていくことは、私はできると思うのです。五〇%ということになるとかなり困難を伴うかしらない。あるいはまた脱粒性がどうだとかいう問題になってくると、研究というのは固定をしていかなければならないから、それは十五年かかるかしらぬ。しかし、いま緊急にもっと展開をしていこうというならば、何も研究の位置づけじゃないのだから、えさ米として認めていくという方向の活動を展開する上においては、もっと短い目標の中において設定をしていくということをお考えになってもいいのではないだろうか。なぜそれを十五年というふうに固定しなければならないのだろうか。五〇%ということに固定しなければならないのだろうか。それは現状に合わない問題提起ではないのだろうか。この二点についてお聞きをしたいと思います。
  281. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 第一点でございますけれども、この点につきましては、現在超多収品種の育成に関する試験研究はまだ着手されたばかりでございます。したがいまして、国の試験研究機関を中心にいたしまして体系的に進めていきたいということで技術会議の方で進めておるわけでございます。その際に、民間の試験研究は、ただいまお話がございましたようにいろいろ試作田というような形で各地で研究ないし試作が行われておるわけでございますけれども、この中で実用規模による諸特性の検定のための試験田というようなことで、国の方の試験研究に非常に参考になる、しかも体系的に進めるという中におきまして全体の試験研究体系の中で位置づけ得るというようなものにつきまして、栽培する品種なりあるいは作付の規模、こういうもの等から見て一定の要件を満たすというようなものにつきまして、この民間の試験研究田を転作面積にカウントする、こういう方向で前向きに現在検討を進めておるということを申し上げたわけでございます。  そこで、その際に一定のグループの研究というようなもの、こういうものを面積その他も多少小さくとも、くくって、しかも県の段階での認知というようなことで転作カウントできないかというお尋ねでございますけれども、民間の試験研究というものにつきましては、国の試験研究機関が中心で進めるという考え方に立ちますと、それに相当の意味のあるものということでございますので、やはり国の方での認定といいますか、これに係らしめていくということが必要であるというふうに認識されるわけでございます。その際に、研究の規模、こういうものも、作付規模はポット試験なりあるいは坪刈り等でどうというような場合も現実問題としてはいろいろあるようでございますけれども、やはり国の試験研究というものについての参考にするという角度で物をながめますと、やはり一品種十アール以上というぐらいの規模でないとまずいのではないかというようなことが考えられるわけでございまして、そういう方向で現在検討を深めておるということでございますので、御了承いただきたいと思うわけでございます。  それから第二点でございますけれども、これにつきましては、現在えさ米といいますものにいろいろ問題点がございます。ただその際にも一つの大きな問題といたしましては、現在使われております飼料穀物価格水準等から見ますと、その収益性がきわめて低い。過剰米をえさ用に売るという場合でもトン当たり三万円台、食糧で購入いたします際は約三十万円弱というようなことで、相当大きな開きがあるわけでございます。したがいまして、極力収益性を高めるという角度からすれば、やはり相当超多収のものということでないと、価格関係等も踏まえますと、収益性という問題からすると非常に問題ではないかということで、試験研究の目標といたしましては、先ほど農林水産技術会議の事務局長から御答弁を申し上げましたように、従来五割の収量を上げるということに五十年ほどかかった。しかし、そういうマンマンデーでやっていくというのはいかがかということで、十五年で五割というぐらいの研究目標というものを置きまして、総力を挙げて超多収品種の育成ということに取り組んでいきたいということを答弁をされたわけでございます。  一割あれしてでもいいではないかというようなお尋ねであったわけでございますが、現在の収益性という問題からすれば物財費もなかなか償えないというような状況もございますので、やはり研究のレベルとしては相当高い収量目標をめどにして、精力的に超多収品種の育成、栽培法の確立等に努めていくということで技術会議の方で考えておるということでございます。
  282. 寺前巖

    ○寺前委員 流通業者にとって、今度の食管法改正で大きないろいろの見解を持っています。それは現状にやみ業者が横行している大阪とか神奈川などにおいては、特に小売のお米屋さんの中で意見が出ています。  どういうことかというと、たとえば現状、私の方でも宇治市というところでは、届け出の業者の数とそれからやみで商売をやっている人というのが同数の業者がおります。急速に人口がふえていく地域でこういう現象というのは広く見られます。私いま写真も持ってきていますが、店先におしょうゆ屋さんなどがしょうゆなどと一緒に置いているわけです。それはどこから持ってこられたのですか、こう聞いたら、中にはちゃんと証明を持っておられて、このお米を売ることを通じて何か事があった場合には一切責任は私の方で持ちますと、ちゃんと書いた証明まで明確にして、やみ米が公然と売られている。やみ米ですから、したがってそこにはどこの米屋というのは、初めから袋に米を入れて持ってきているわけですが、その米の袋には書いてないというような実情で現に売られている。現に売られているだけではなくして、最近に至っては、今度法律が変わりますのや、需要の皆さんの期待にこたえることのできる体制でお米屋さんが今度は認可されることになりますから、おたくいまのうちに実績をつくっていられたら認可の対象になりますよ、こうやって一層激しくその活動が展開されてきている。  それだけじゃないのです。この法律改正の話が出て広がってきた話というのは、目玉商品としてお米を使い出している、ササニシキが四千何百円で買えまっせとビラの中に書いて、ここに持っていますが、ビラでだあっとまかれるわけです。それは四輪車に乗せて、そうして宣伝用として回ってくるところもできてきておる。公然とビラが流れている。やみでお米を売っている、そのやみ屋さんのための新聞が、これまた公然と食糧事務所などにも送り届けられている。いま卸業者と小売屋さんは一店が一店と結びついていくという関係で登録がされているはずなのに、その広告の中には、ちゃんといろいろなところからお米を仕入れていますという、公然たる大きな広告が載せられていますよ。いまや何がやみだと言わざるを得ないところまで来ている。  これが公然と広がっていく要素というのは、それはお客さんの側に、このごろ共働きになってきて、昼間は家におらない、夜でなかったならば売れない。したがって、配達するお米屋さんの忙しい時間というのは六時、七時だ、こう言っています。そのお米屋さんは今度は無線を持っておって、それで自分のところの店の人に、あっちへ行け、あそこへ持っていけ、ここへ持っていけという関係になってきているし、買うお米の量も二キロ、三キロというふうにわずかになっている。昔の感覚の消費者との関係でなくなってきているという需要がある。ですから、いまのお米屋さんも、そういう動向に対して、昔と同じように座っているわけにはいかないわけです。その動向にこたえるように必死になって走り回っている。このお米屋さんはちゃんと今日まで国民食糧を確保するために、安定的な活動をするためにお世話をしてきた人たちである。ところが、法律では許されないルートで配給をしてきている、目玉商品のごとくにしてそれがだあっと展開されて、そうして金のある諸君たちの手でお米屋さんの市場が奪われてしまうのではないかという不安を持っているわけです。  そこでお聞きをしたいのは、こうやって今日、消費者との関係において、ある府県ではやみ屋さんの方が大きくなってしまっている。これは現状需要があるからそういう結果を生んでいるのかしらない。だけれども、こうやってやみ屋さんというのは、大手の資本力を持った諸君たちの手で市場を握ってきているという実情がある。苦労してきた小さいお米屋さんの方は、いろいろな新しい対応に対して無線機までつけて必死になってやっている。さて、新しい制度に変わるときに、いまのうちにやっておいたら得でっせと言われて、大手によって動かされているところを認めていくということになるならば、既存のお米屋さんは泣かざるを得ないという、商売の戦いの中で一生懸命やっているけれども、このやみ屋さんに、資本力のある者に市場が奪われてしまうという結果になると思うので、もう必死の思いでおるわけです。  さて、これの対応を結果的にどうされるのか、これはお米屋さんみんな見ているわけなんです。それは消費者の皆さんの要求にこたえて認めざるを得ない、こう言い切るのかどうか。ある府県へ行ってお話を聞いたら、それはいままで府県段階に生産者とか消費者とかあるいは流通業者などを組み入れたところの米穀流通適正化協議会というのですか、そういうのが設けられている。     〔津島委員長代理退席、委員長着席〕 これの人間の数は十人前後だとか非常に少ないですけれども、この協議会、一年のうちに一回やるかやらぬかという運営だけれども、むしろいまこそこういう協議会を強化してもらって、もっとたくさんの代表が入れるようにして、そこで慎重に審議をして既存の業者を保護してくれるというやり方を考えてくれぬだろうか、こういう意見を言っておったところもあります。やみ屋さんあるいは資本力の大きな者によって小売の市場が握られていく道ということにならないように、その施策をどうするのか、この期待に対してどうこたえられるか、御説明をいただきたいと思います。
  283. 松本作衞

    松本(作)政府委員 今回の法改正によりまして、できるだけ消費者需要に対応した適正な米の流通を促進していきたいという考え方をとっておるわけでございますので、従来の既存の流通組織ではこういった要望に十分こたえられないという点については、運営上の改善をしていく必要があると考えておるわけでございます。しかし、一方におきまして今回の法改正におきまして流通ルートを特定いたしまして、秩序ある流通機構によりまして消費者への円滑な供給を図っていくということを考えておるわけでございますので、こういった法律考え方に基づいて地域における米の流通を円滑化するための措置を具体的に考えていかなければならないと思っております。  その際に、ただいま御指摘がありましたような流通業者間の問題等につきましては、従来の制度の継続性というようなことを考えていかなければならぬとともに、一方におきまして地域の実態に基づいて新規参入というようなことも考えていかなければならないと思いますが、その際には地域の商業調整的な問題になるわけでございますので、こういった具体的な商業調整的な問題を解決していきますために、その話し合いの場、商業調整の場というようなものも考えていく必要があるのではないかと思っておるわけでございます。  さらに、こういった関係で、ただいま御指摘がありました流通適正化協議会というような場におきましても、このような問題を生産者流通業者、消費者の共通の場としてこれを取り上げてもらうということは必要であろうかと思っておるわけでございますが、いずれにいたしましても、地域の実情を十分見ました上で、今回の法改正の趣旨に沿った流通改善を進めてまいりたいと思っております。
  284. 寺前巖

    ○寺前委員 昭和五十三年十二月の米審終了後の米審会長の記者会見の記事が、この間たまたま新聞のとじを開いておりましたら出ておりまして、おもしろいことを言っているものだなと感じましたので、ちょっと大臣に聞いてみたいと思うのです。  四十七年から食糧危機、狂乱物価のときにあって米だけが買い占めや暴騰に遭わなかったのは食管制度があったからであり、食管制度は守っていかなければならない、これは全米審委員の一致した見解である、こういうことを記者会見で米審の会長が言っておるわけです。なぜ私これをちょっと大臣にお聞きしたいなと思ったかといいますと、かつて四十八年でしたか、丸紅が食管からモチ米が外された途端に買い占めた事件があって、そして暴騰するという問題があった。商社が乗り出してきて、そうして市場支配をしてしまうという事態が生まれてきたら大変なことになるな、食管制度があればこそああいうことに、狂乱物価のときにならなくてよかったなという反省として、この米審の会長の話があるのかなと思って新聞を読んでいたわけです。  そこで今度食管制度改正されるに当たって、米というものは保存がきくし、絶対確実な需要が国内に広く存在しているし、そうして単品として消費の最大の商品になる、三兆円からあるのだから。だからこれが投機物資となって商社の手で左右される事態になったら、これは石油どころの話ではないなということを感ずるだけに、絶対に商社の手によってこの市場が左右されないという事態は行政機構としても常に考えておかなければならない問題なんだという認識をお持ちなのかどうかを、ちょっと大臣に聞いてみたいと思うわけです。
  285. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 今回食管法改正を急ぎ提案したというのも、私としても寺前君の考えと大体同じでして、とにかく食管法がもしなし崩しになったようなことを想像してみますと、それこそ大変な事態になることは、去年の冷害のときでさえも、仙台に買い占めの徴候が出てきたというようなうわさが入ったと思うと、もう銘柄米がぐんと相場が上がるというような情報も私の耳に届いたくらいでございまして、これはもうだれしも予想できるところであります。  したがいまして、食管を堅持してまいりますには、健全な姿で法律的にきちんと守られるように、生産者消費者も、関係業界も農業団体も、国も市町村もそれぞれの立場立場においてこの制度を守る、自分の米びつを守るということに通ずるわけでありますので、ぜひともこの食管法を早く成立させていただいて、そうしていままで以上の意欲を持って法律に反する者の取り締まりをしてまいるというふうにしていきたいものだ、私はこう考えるわけであります。人の弱みにつけ込むという言葉がありますけれども、大体食糧一つの投機の対象というようなことにした場合にはその国の国民がいかに苦労するかということは、私ども自身が過去長い間経験したことでありますので、その結果の食管法の成立、自来四十年やってまいりまして今日の安定した日本がある、こう考えるわけでありますので、御指摘のとおり商社などに一指も触れさせないという気持ちで指導していきたいと考えております。
  286. 寺前巖

    ○寺前委員 ところで、私がそれを言い出したというのは、実は先ほど言いました大阪へ行ったときに、大阪のやみの関係で、精米業者ややみを卸している小売業者の中に伊藤忠の系列の会社が存在しておって、これが北海道からタマネギという名のもとにコンテナで送ってくる、タマネギのそのコンテナをあけてみたら中は米だったという写真も見せてくれました。運送業者がちょうどそこに来ておりまして、それが、実は私はこういうことをやっているんですよと言うて説明をしてくれる話の中で出てきたもので、何とえらいことが起こっておるのだなということを私は感じたのですよ。  そういう意味で、この流通市場をそういう商社などが握ろうという新しい動きがあるのではないだろうかと私は懸念するのです。最近のモチ米や酒米の分野に商社が入ってきていることはきわめて明確ですけれども、米の流通の分野の中に入ってくるという懸念は現在起こっているのか起こっていないのかお答えをいただきたいという問題が一つと、それから集荷業者の問題について、競争原理を導入して事業区域の拡大を行う動きがあるというふうに聞いているのだけれども現状を変えなければならないという理由が存在するのかどうか。この二点についてお答えをいただきたいと思うのです。
  287. 松本作衞

    松本(作)政府委員 商社の米の流通との関係につきましては、酒米、モチ米等の実需者が買い付け代行というような形で商社を利用している場合はありますが、通常の主食用の米の流通に対して不正規に商社が関与しておるということは、残念ながら私ども承知をいたしておらないわけでございます。私どもとしては、責任のある商社でございますから、そのような不正規なことがないものというふうに考えておる次第でございます。  また、集荷業者の集荷区域の問題につきましては、私どもは、先ほども指摘がありましたように、生産者の段階からできるだけ完全集荷を達成させていくということを考えますと、現在の集荷体制で十分かどうかという問題を検討する必要があると考えておるわけでございますが、その過程におきまして、集荷区域のあり方についても検討の余地があるのではないかというふうに考えておるわけでございます。現在のところこの集荷のあり方につきましては、これを大幅に変えるということは考えておらないわけでございまして、地域の実態に応じて、特に集荷の適正化、完全集荷の促進を図るためにどのような措置をとったらいいかというようなことについて検討をしておるところでございます。
  288. 寺前巖

    ○寺前委員 転作が市町村単位で現状行われております。そうすると、片っ方で転作の指導を市町村単位自身においてやっていくときに、片っ方は市町村を乗り越えて郡単位なりに持っていくということになると、それはちょっと無責任ではないかという意見があるのですが、そういう点から考えて、集荷に当たって現状で不適当だという理由にはならないのじゃないだろうか、その点についての見解を重ねて聞きたいと思うのと、もう一つは緊急の事態という問題、すなわちパニックが発生した場合に配給統制の復活というのはどういうことになるのだろうか。例の石油不足のようにパニックがいろいろな形で起こります。そういう事態のもとにおいてどういう対応をされるのか、これについての見解を聞きたいと思います。
  289. 松本作衞

    松本(作)政府委員 集荷区域の問題につきましては、私どもとしても現状を大幅に変えていくという考え方はないわけでございます。地域によりまして集荷の適正を図る、さらには完全集荷の促進を図っていくという関係上、集荷区域等も含めまして検討の余地があるのではないかというふうに考えておるわけでございますが、そのような場合におきましても、市町村別の集荷量というような問題は当然明確にして、転作、生産調整との関連を明らかにしていく必要があるというふうに考えております。  それから緊急時に配給を復活するという場合でございますが、私ども現在想定しておりますのは、世界的な食糧不足によりましてわが国に対する食糧輸入が非常に滞ってくる、このために国内全体の食糧需給関係が非常に逼迫してくるというようなことが考えられるわけでございまして、そういった場合に再び配給制度の復活を準備しておくことがあるということでこれを法定しておるわけでございまして、私どもといたしましては、いわば心理的なパニックというようなことは、現在の食管法を整然と守っていくことによって起こすことはないであろうというふうに考えております。
  290. 寺前巖

    ○寺前委員 時間が参りましたので、私は最後に大臣にお聞きしたいと思うのですが、四月九日付の韓国経済新聞の社説に「導入米価格の政治算術政府米放出価を引き下げよ」というのが載っているわけです。内容はどういうことかというと、日本から七十万トン近くの米を、緊急輸入の買い付けをやった、そして買った米を二・四倍で国内で売っている、したがって九百億円のもうけじゃないか、日本の対韓米輸出というものが全斗煥政権の政治資金となっているじゃないかという批判が韓国の新聞に出ているわけです。  それで、その内容をよく読んでみますと、輸入米の中で日本からのものは、古米でまずいかしらないけれども十年、十五年の延べ払い、その上据え置き五年がついているからすぐ支払う必要がない、ありがたい話だ、こんな結構な援助はないということを言っているわけなんですが、韓国にこういういい条件で九百億円ももうけさせる結果になるような米の輸出、十年、十五年の延べ払いというやり方でやったこのことについてどういうふうにお考えになるのか、大臣の見解を聞きたいと思うのです。
  291. 松本作衞

    松本(作)政府委員 韓国に対しまして売り渡すときの価格は、そのときの国際相場に準じて売り渡しておるわけでございまして、私どもとしては、国際的に見て正当な価格で売却をしておると考えております。また支払い条件につきましては、アフリカ等の国に対しましては十年据え置き、返済期間二十年ということで計三十年でございますが、韓国の場合は昨年から据え置き期間五年、償還期間十年、計十五年という形に短縮をして、支払い能力に適合するように努めておるところでございまして、私どもとしては、韓国に対する輸出は適正に行われておるものというふうに考えております。
  292. 寺前巖

    ○寺前委員 七十万トンで概算九百億円というのはちょっと私読み間違えまして、最初の三月五日の報道で流れたときはそうだったのですが、その後の報道では千三百億から二千億円の巨額だというふうに発展をしているわけなんです。どう考えたって有利な延べ払いがそうやって行われているということが解せぬわけなんです。向こうの国民食糧に困っている、相手がどこであろうとめんどうを見るという立場、これは私はいいと思うのですが、しかし特定の政権の利益のためにそれが利用されているということになると、これは少し考えさせられる問題ではないのだろうか。大臣の最後の御答弁を聞いて終わりたいと思います。
  293. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 韓国は昨年、日本以上の非常な不作ということで、急遽食糧の援助の要請があったわけでございます。したがいまして、これは人道上の問題でもありますので、それぞれ米を主なる輸出品としておる国々ともいろいろ相談を、意見交換をいたしまして、その結果、先ほど長官から申し上げましたような条件で輸出することといたしたわけでございます。量も相当多いわけでございますので、具体的な輸出の処置等については食糧庁としてそれぞれ計画的に輸出をする、こういうことにいたしておる次第でございまして、輸出した先で、韓国がどのように処置いたしておるか、私どもはいまだその事実は聞き及んでもおらないところでございます。
  294. 寺前巖

    ○寺前委員 終わります。
  295. 田邉國男

    田邉委員長 小川国彦君。
  296. 小川国彦

    ○小川(国)委員 私は、この食管法改正の問題に関連をいたしまして、日本の米の輸出入の問題について質問し、その中から食管制度あり方に対する一つの再検討の問題提起をしてまいりたい、こういうふうに思います。  最初にお伺いいたしますが、最近六カ年間において日本政府が外国から、いわゆるウルチ、モチ米含めまして、総額でどの程度の米の輸入を行ってきたか、それから、昭和五十五年度においてはどの程度輸入を行おうとしておるか、その点について伺いたい。
  297. 中山昇

    ○中山説明員 お答えをいたします。  最近五カ年間におきます米の輸入状況でございますが、数量で五十一年は一万一千五百トン、金額にいたしまして七億三千六百万円余、五十二年は八万一千三百トン、金額にいたしまして九十億四千万円余、五十三年は一万六千四百トン、金額にいたしまして十三億四千四百万円、五十四年は一万一千五百トン、金額にいたしまして七億二千万円、五十五年は数量にいたしまして四万トン余、金額にいたしまして三十六億二千二百万円程度ということになっておりまして、このほとんどがタイの砕精米と、それからモチ米でございます。
  298. 小川国彦

    ○小川(国)委員 この五年間に五十年を加えますと、総額でどのくらいになりますか。数量、金額におきましてそれぞれお答えいただきたいと思います。
  299. 中山昇

    ○中山説明員 五十年度でございますけれども数量にいたしまして二万五千トンでございます。金額はちょっと手元にございませんので、恐縮でございますが、後ほど申し上げます。
  300. 小川国彦

    ○小川(国)委員 これを累計いたしますと約十八万六千二百五十トン、こういうことになろうかと思いますが、それでよろしゅうございますか。
  301. 中山昇

    ○中山説明員 おおむねそのとおりでございます。
  302. 小川国彦

    ○小川(国)委員 農水省の方にお伺いいたしますが、昭和五十四年の減反面積でまいりますと、約四千ヘクタールの減反割り当て面積を受けております県が滋賀県、奈良県、徳島県、香川県、愛媛県、若干出入りがあると思いますが。それから八千ヘクタールの減反割り当て面積を受けている県は宮城、埼玉、千葉、愛知、岡山、鹿児島、こういう県が大体その程度の規模になっているというふうに思いますが、この点はいかがでございますか。概数で結構でございます。
  303. 近長武治

    ○近長説明員 御説明申し上げます。  第二期が昭和五十六年からスタートいたしますが、もし必要があればまた詳しく申し上げますけれども、大きいところで北海道の目標面積が十一万七千四百七十ヘクタール、それから青森が一万八千十ヘクタール、岩手が一万六千百八十ヘクタール、宮城が一万二千五百三十ヘクタール、それから同じく東北で秋田が二万一千三十ヘクタール、山形県が一万四千九百四十ヘクタール、福島県が一万六千七百十ヘクタールでございます。それから北陸では新潟が二万四千二百ヘクタール、こういうところが比較的目標面積の多いところでございますが、なお北関東では茨城県が二万二千ヘクタール、栃木県が二万四千八百十ヘクタールでございます。
  304. 小川国彦

    ○小川(国)委員 ちょっと参考に。その中で四千ヘクタールから八千ヘクタールぐらいの減反を受けている県はどういう県がございましょうか。
  305. 近長武治

    ○近長説明員 御説明申し上げます。  八千ヘクタールというところを探しますと、群馬県が八千六百九十ヘクタールでございます。それから四千ヘクタールといいますと、米どころでは比較的少のうございまして、たとえば京都府が四千八百七十ヘクタール、これが五十六年度の目標面積でございます。
  306. 小川国彦

    ○小川(国)委員 私、いま参考にそういう数字を出していただきましたのは、政府昭和五十年から五十五年までの間に外国からモチ米とウルチ米を輸入した総数をはじき出してみますと、いま御報告がありましたように十八万六千二百五十トンということになるわけでございます。私、およそこれを減反面積に換算してみますと、この六年間で、大体単収、十アール当たりの収量を四百八十キログラムというふうに計算してこの輸入トン数を割ってまいりますと、昭和五十年では四千百七十ヘクタール、五十一年では二千三百九十六ヘクタール、五十二年は一万六千九百四十八ヘクタール、五十三年では三千四百十七ヘクタール、五十四年では二千三百九十六ヘクタール、五十五年では八千四百三十八ヘクタール、こういう毎年の減反面積に匹敵をしていくわけです。いわばこの減反面積に匹敵する米、モチ米を農林省は毎年輸入をしてきた、こういうことになるわけでございます。  いま参考にお話しいただきましたように、たとえば昭和五十五年度単年度でとらえてみましても、群馬一県の八千六百ヘクタールですか、それと八千四百三十八ヘクタールですから、ほぼ群馬県一県に見合うだけの米をタイなり中国なり、それぞれから輸入をやっている。それからまた県別に見れば、京都のような県の二県分に匹敵する米を外国から輸入をしてきている、こういう状況にあるわけです。さらにまた、過去六年間、五十年から五十五年までの集計をいたしました減反面積は、これは私は昭和五十四年の統計で見ましたけれども、全国に割り当てた減反割り当て面積のほぼ一〇%に相当する面積の輸入量になってきている、こういうふうに見られるわけであります。  これは、六百五十万トンという過剰米を抱えて、現在では四百三十五万トンということでございますが、そのために非常に強引な減反政策、本年度は三割近いあるいは地域によっては五割を超えるこういう減反政策を進めている政府において、一方でこうした六年間の通算をすれば全国に割り当てた一割、そしてまた本年だけでも一県分に相当するような米の輸入をせざるを得ない、せざるを得ないではなく、そういう過ちを犯してきている、こういうことについては、政府において厳しい反省がなければならないのじゃないかというふうに思うわけでありますが、その点について食糧庁としては、こうした米輸入あり方を廃止する、こういう強い考え方はお持ちになれないのかどうか、この点をまず伺いたい。
  307. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 事実は御指摘のとおりでございます。私といたしましても、昨年は米は一粒も輸入はしたくない、これはもう小川委員の御指摘を受けるまでもなく、だれだっていま米を輸入したいなんて思っているのは一人もおりません。しかし、昨年の十一月末から十二月、冷害が進行し、そうしてモチ米が足りない。正月用のモチということになるともう二、三万トンどうしても足りない。あるいは四万トンぐらい足りなくなるかもしれない。そうしたらこれが暴騰する。それがさなきだに鈴木内閣としては物価政策にいろいろと批判を受けておるときでもございましたので、私といたしましては苦心に苦心を重ねまして万やむを得ずモチ米の輸入をした。これによってモチ米の暴騰を抑えることができたわけでございまして、もしこれを輸入しなかったということにいたしますれば、どんなふうにモチ米の暴騰が悪用されたか、こういうことが言えるわけでありまして、それぞれのやむにやまれぬ理由があって輸入をいたしたということを私はこの際はっきりと申し上げておきたい、こう思うわけでございます。  そのほか、これは特別の年々のあれでありますが、沖繩のあわ盛りの原料のお米、これはやはりその米じゃないと沖繩の伝統あるあわ盛りができない、こういうことで輸入を少しやっておる、こういう事情でございます。この事情だけはよくひとつ知っていただきたい、こう思う次第でございます。
  308. 小川国彦

    ○小川(国)委員 いま農林大臣がお答えになられた、昨年度日本の全土にわたって冷害凶作があった、こういう事実は私どもも十分承知をしておるわけです。ただしかし、問題は、五十五年度において大臣おっしゃるように三万三千トンのタイのモチ米を輸入をされている。現在輸入されたものもありこれから輸入されるものもある。しかし、総体としては三万三千トンという契約、金額にして三十一億一千四百七十一万六千円、こういう大変な金額のタイからのモチ米の輸入が行われておることは承知しております。  しかし、問題は、それじゃ輸入をしたことによって高騰を続けているモチ米価格が果たして値下がりをしただろうか。私は、モチ米の実勢価格の動き、特に自由米の価格の動きを追って見てまいったのですが、昨年、五十五年九月の、六十キロ、一俵当たり一万八千九百円、それが十月には二万五千百五十円、十一月には二万七千円、それから本年、五十六年の一月になりまして二万八千五百円、それから二月には二万九千九百七十五円、そして四月二十九日の日経新聞の相場欄によりますと、米穀欄を見ますと三万五百円から三万一千円、こういう状況にありまして、この実勢を見ますと、外国のモチ米を輸入しても価格の引き下げにはならない、外国産を入れてもある程度しか代替の役割りを果たさないで価格を冷やすことができないという結果がいまこの実勢価格の中に出ているわけです。  ですから、こうして見ますと、いま外米を入れることによって国内のモチ米価格を引き下げるのだと言っておりますが、この実勢においては下がっていない。そうすると、三万三千トンものモチ米を輸入はしましたけれども、結果的には価格引き下げの役割りを果たし得ていない、こういう状況にあるのではないか、こういうように思うのでございますが、この点の役割りをどのように食糧庁としては理解されているか。
  309. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 もしそれを入れなかったならば、そういう勢いであったわけでありますから大変な勢いで暴騰したのではないかな、それを辛うじて食いとめる役割りを果たした、こう考えておる次第でございます。
  310. 松本作衞

    松本(作)政府委員 補足して申し上げますと、ただいま先生が御指摘になりましたのはいわゆる自由米でございまして、これは数量的に非常に限定されたものであるわけでございますが、私どもが調べております主食用モチ精米の東京の小売価格を見ますと、五十六年三月におきまして一キログラム当たり五百九十四円でございまして、対前年同月比で一三%のアップになっております。これは本年産米の自主流通米の建て値が一三%引き上げられたことに基づくものでございまして、私どもとして、正規のモチ米の流通につきましては安定した価格が維持できたものというふうに考えておる次第でございます。
  311. 小川国彦

    ○小川(国)委員 長官は大変楽観的な数字を言っていらっしゃるのですが、私ども自主流通米価格の推移も、この五、六年間の推移をずっと流れを追って統計をとっております。しかし、長官おっしゃるように自主流通米自体も、五十四年度は一万九千九百四十円で推移したものが、現状では二万二千七百円になっている。しかもこれはかなり抑えられた価格でありまして、そしてその自由米の動きというものの数量は、モチ米全体の流通の中ではかなりなシェアを占めているというふうに思うのです。ではことし、長官おっしゃるような価格でどれだけのモチ米が集荷できましたか。
  312. 松本作衞

    松本(作)政府委員 五十五年産のモチ米につきましては、集荷量が十五万トンでございます。
  313. 小川国彦

    ○小川(国)委員 必要とされる数量はどのぐらいというふうに見ておられましたか。
  314. 松本作衞

    松本(作)政府委員 必要とされる数量は一応二十二万五千トンというふうに考えておったわけでございますが、ただいま申しました本年産の集荷のほかに持ち越しの数量が四万五千トンございますので、供給が十九万五千トンと考えておるわけでございます。したがいまして、この需要の二十二万五千トンとの間に約三万トンの不足がございますので、この部分を先ほど大臣がお話しいたしましたように輸入に依存せざるを得なかったということでございます。
  315. 小川国彦

    ○小川(国)委員 もう一つ伺いますが、ことしの生産数量はどのぐらいに推定されておりますか。
  316. 中山昇

    ○中山説明員 モチ米につきましては正確な生産統計がございませんけれども、私ども推定をいたしておるところでは、約三十八、九万トンではないかというふうに考えておるところでございます。
  317. 小川国彦

    ○小川(国)委員 昨年、一昨年はどのぐらいの生産量と押さえておられますか。
  318. 中山昇

    ○中山説明員 昨年は約五十五万トン前後、一昨年は五十五万トン前後ということでございます。
  319. 小川国彦

    ○小川(国)委員 そうしてみますと、昨年、一昨年から見ると、皆さんが見込んでおられた推定の生産量においても十万トンから十五万トンの不足があるわけです。ですから、御承知のようにことしの集荷量自体が昨年から見ると十万トンも低い、一昨年から見ても同様に十二、三万トン低いというように、これは生産数量自体が、先ほど大臣答弁したように冷害凶作のために落ち込んできている。しかし、昨年、一昨年においては十分賄えるだけの生産量を国内で持っているわけです。本年度のこういう冷害凶作というものは何年かに一遍あるわけなんです。昭和五十一年にも同様な冷害があって、このときにもやはり集荷数量が本年と同等程度のものしか集荷できなかった。そういう冷害の苦い経験を持って五十二年には大量のモチ米輸入をやっているわけです。  ですから私は、国会に出ましてからすでにもう再三にわたって食糧庁に、あるいは農林省に対してこのモチ米の輸入をやめるべきだ、そのために、国内においては十分モチ米を自給できるような、日本の農民がモチ米を十分つくれるわけですから、そのための需給体制というものをとっておくべきだ、そういうことをこの委員会で再三追及もしてきているわけです。  昭和五十二年の十一月十七日に私がこの衆議院の農林水産委員会で質問したのに対しまして、当時の大河原太一郎食糧庁長官は「大体二年サイクルぐらいで生産が過剰になり、あるいは不足するというような事態を実はいままで繰り返してきておる」わけであるので「その年々の変動によって、需給について、非常に外米を輸入せざるを得ないというような事態は避けるべきものであるというふうに思うわけでございます。」と、こういうふうに答えているわけです。「したがいまして、これについては」「生産団地をしっかりつくって、それに対する契約の履行その他について相当な助成を行い、過剰になった場合には調整保管を制度的につくっておく、先生のおっしゃいますような一種の備蓄でございます。」と、こういうようなことを言っておられる。  それから、いまおられませんが、当時の政務次官であった羽田孜政務次官は「調整保管の制度、こういったものをぴしっとすると同時に、これに対する国からの助成、こういうものによって、この増減というものがやたらに起こらぬように私ども十分努めてまいりたいと思います。」と、これはいまお見えになった羽田孜次官が、非常にりっぱな答弁をされておられる。ところが、この羽田さんも次官をおやめになるし、それから大河原さんも農林次官からおやめになると今度は参議院議員にお出になる。こういうことになってしまいますと、これだけの名答弁が名答弁のまま終わってしまって、実を結んでない、そういう状況にある。  この問題について私は昨年の十一月十一日にも、松本食糧庁長官、あなたにこの問題を質問した。「この輸入についてはできるだけ慎重に考えていかなければならないと思っておるわけでございますが、今後の集荷の状況も見まして輸入の問題も含めまして十分に検討をしてまいりたいと考えております。」と、こういうふうにお答えになっておられる。これは私関連質問でやって、非常に時間がなかったので、輸入をやめるという長官のはっきりした答弁をもらえなかった。  ですから昨年の国会の最終日の十一月二十九日、私は「モチ米高騰の緊急事態に関する質問主意書」というのを六項目にわたって政府に提出をしたわけです。そのときに、六項目の質問では私は「今後において、モチ米の外国輸入の失敗を再び繰り返さない措置をとり得るか。」と、こういう質問をしたのに対しまして、政府答弁書においては「もち米については、うるち米と同様、国内必要量は、国内生産で確保することを基本としており、もち米生産団地の育成、契約栽培体制の推進等を通じ、需要に見合つた適正生産の確保に努め、需給及び価格の安定を図つてまいりたい。」こういうふうに答弁しているのです。この答弁書は総理大臣鈴木善幸さんの名前で出された答弁書なんですが、輸入のことは一言も触れてないのです。非常にきれいごとの答弁なんです。この答弁書もまた実は偽りであって、昭和五十六年、ことしに入って三万三千トンのモチ米を輸入契約をしているのです。  こういうふうにして見ますと、歴代の大臣とか次官とか長官の答弁というのはその場限りのものであって、一体食糧庁として、政府として、だれがいつこの責任を全うするのか。大河原長官のときも、もう輸入はやめたいということをはっきり言われた。それで当時の次官も、そのためには国内のモチ米の調整保管の制度というものをきちっとして、そうしてもう輸入の愚を繰り返したくない、こういうことを言っておられるのです。それで私は昨年末にそういう質問主意書を出したら、輸入はしないで済むような、国内の自給で間に合うだけのことしか答弁をしてくれないのです。総理大臣を通してくる答弁がそういう答弁なんだ。そういうことであっては、ここでまた松本長官と亀岡農林大臣に伺うわけですが、二人ともおやめになってしまって、またそのときの名答弁だけで終わってしまっては困るわけなんです。  一体、大臣と長官の答弁というものは農林省や食糧庁の組織や機構の中でどういうふうに引き継がれていくのか。それは単なる大臣や長官のそのときの個人的な発言にすぎないのか、組織や機構としてはそれを一体どういうふうに受け継いでいくのか。私はこの五年間追及してきた問題をいまだに繰り返している政府のやり方に、これは農民の怒りもあるし、国民としての怒りもあるし、この辺できちっとひとつ亀岡大臣松本長官、これは優秀な方で、大臣もこれから総理になられるかもしれないし、また松本さんも農林省においてますます活躍されていくと思いますので、この辺でひとつしっかり歯どめのきいた答弁をお聞かせいただきたい、こういうふうに思うのです。
  320. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 大臣の引き継ぎというのは厳粛なものでありまして、実は詳細に記録した引き継ぎ書というものがございます。これには詳細、特にその大臣の指示したこと等についてはきちっと記録がございます。それを読み読み、なるべく小川委員のようなおしかりを受けぬような努力をいたしておるわけでございます。  先ほど申し上げましたとおり、天候、気象によりましていろいろな事態に遭遇するわけでございまして、気持ちは一粒も外国から米は輸入したくない、大体日本の農家の立場考えただけでも、米を輸入するなんということが農家にわかったら農家にしかられるという気持ちは、農林水産省としてはみんな持っておるわけでございます。しかし、片や先ほども説明しましたような物価問題等至上命令というようなときには、万やむを得ないということもある、これもひとつ御理解をいただきたいと思うのです。  したがいまして、今年の米作につきましても、やはり年々小川委員から指摘されておりますとおり、モチ米は暮れにおいていつも問題を起こすわけでございます。これはなかなかむずかしゅうございます。おととしが大豊作でありましたために売れ残ったという事情もありまして、持ち越しが非常に多くなったということで昨年は植えつけが少なかったところへもってきて冷害ということで、前々年の持ち越し米を三万トンほど持っておりましたからどうにかこうにか防げたものの、そういう点については、やはり正月が毎年来るのですから、そうするとモチ米が要るのですから、そのくらいの知恵を働かして食糧庁としてもその対策をあらかじめきちんとすることは、これはもうだれが考えてもそれをやらなかったのがおかしいと、こう思うところもございますので、これらは団体ともよく打ち合わせをいたしまして、そのような御指摘を受けぬように、外国から米を入れなくてもいいようにしていく努力を続けたいと思います。
  321. 松本作衞

    松本(作)政府委員 私ども、先生が提出されましたモチ米高騰の緊急事態に関する御質問とそれに対する答弁は十分に承知をしておるわけでございまして、原則として、先ほど大臣から申し上げましたような、国内産をもって主要なモチ米は充当するという考え方は変わっておりません。ただ昨年の場合、何分にも予想し得ないほどの不作でございまして、そのような特殊な事情がありましたため、輸入の時期もなるべく情勢を見ておくらしてきたわけでございますが、先ほど大臣からお答えがございましたように、物価高騰等の心配も出ましたので、五十六年に入りましてから輸入をしたというような事態があるわけでございますので、この点は御理解をいただきたいと思います。
  322. 小川国彦

    ○小川(国)委員 大臣も物価対策だと、それからいま長官は原則として国内産をもって充当するというふうに言われているのですが、私は物価対策もあり原則もよろしいのですが、ではその問題は国内産でこのモチ米を用意しておくことができないのかどうか。たとえば、いままでモチ米の政府買い入れ限度数量というのですか、数字を見てまいりますと、五十一年が二十万トンで、五十二年以降五十三年、五十四年、五十五年と毎年二十五万トンというのが政府の買い入れ限度数量になっているわけです。そうすると、平年作でとれていればよいわけですが、五十一年とか昨年の五十五年のような冷害凶作の事態があると、この二十五万トンという買い入れ限度数量を保持しているのでは無理がある。そうすれば、ここで当然凶作に備えて五万トンか六万トンぐらいのモチ米の備蓄をいたしておれば、凶作があってもモチ米を買わないで済むのではないか。  私はそれの試算をしてみたのですが、五万トンといいますと俵数にして八十万俵、この金利、倉敷を二千円というふうに計算しますと十六億円。政府がいま団地加算を含めて減反に対して反当七万円の転作補償をしているのを見ますと、一万ヘクタールでは七億円ですし、二万ヘクタールを見れば十四億円でございますから、二万ヘクタールの減反補償分を考えてみれば、その予算をもってして十分備蓄のための予算が組めるのではないか。そのためにきょう大蔵省からもおいでいただきましたが、こういう要求が考えられないものかどうか。大蔵省としてもこうした米の輸入政策というものはもう中止すべきである。国内産の余った米に対して、トン三十万で買ったものを十万で、二十万も損をして売らなければならない。また、減反に対しては反当七万もの補償を出さなければならない。そういうことをやっている国において、外国から十八万六千二百五十トンも、あるいは本年で八千四百三十八ヘクタール分も外米を輸入しているという実態はやめさせるべきじゃないか。そういうことのために、こういう備蓄の予算措置というものは考えられないかどうか、これをお答えいただけたらと思う。
  323. 松本作衞

    松本(作)政府委員 ただいま御指摘がありましたように、モチ米の需給の調整を図りますために備蓄的な機能を持たせまして、指定法人が調整保管を行います際に政府としても所要の措置を講ずるということは、実は従来もやってまいったわけでございます。今後におきましても、生産団地の育成なり契約栽培体制の推進という形でモチ米の需給、価格の安定を図っていくという措置とあわせまして、この調整保管のあり方についても検討してまいりたいと考えております。
  324. 的場順三

    ○的場説明員 モチ米の輸入問題につきましては、大蔵省も従来から原則として輸入はしないということで、いつも予算のときに需給計画をつくらしていただいております。ただ、豊凶に左右される商品でございますので、結果的に不足をするという事態が生じて、輸入をしなければいけないという事態が生じているのもまた事実でございます。  御指摘の、ある程度の調整保管で持ち越せばどうだという話につきましては、先ほど先生の御指摘にもございましたようにかなりの財政負担が伴う話でございます。また豊凶というのは、必ず凶作ばかりが続くということでもございませんで、豊作が続いた場合にはあるいはその需要を上回った在庫が恒常化するという点もございますので、財政負担の問題、それから需給調整の問題、食糧庁と十分に相談をして今後検討いたしたいと思います。
  325. 小川国彦

    ○小川(国)委員 むしろ大蔵省の方が積極的な御答弁があるわけなんで、その点では大臣と長官、これはどうなんでしょうか。皆さんのようなぬるま湯につかったような考え方でいると、二年後にまた輸入事態が起こったら、ことしがどうなるか来年どうなるかわりませんが、いままでの繰り返しを見ると、大体二年サイクルで凶作と豊作とを繰り返してきている。そしてまた、凶作のたびにこういう輸入をほとんど毎年度やっていくというような形があらわれてきている。どこかでこの悪循環を切らなければいけないと私は思うのですね。断ち切るには、やはり農林省がそれなりの決意がないと、私もかなり粘り強い方ですから、大臣、長官、どこにおいでになっても、もう一遍こういうふうになりましたよと追っかけていかざるを得ないと思うのですね。ですから私は、この辺で悪循環を断ち切るという考え方をぜひ農林省として真剣に取り組んでいただきたい、こういうふうに思いますが、いかがでしょうか。
  326. 松本作衞

    松本(作)政府委員 調整保管、契約栽培等の問題も含めまして、真剣に取り組んでまいりたいというふうに思います。
  327. 小川国彦

    ○小川(国)委員 長官の在任中のこれに対する今後の取り組みをひとつ十分見守らせていただきたい、こういうふうに思います。  次に、米の輸入をめぐる業者の取り扱いの問題なんですが、私ども、農民サイドや国民サイドから見ますと公開された行政になっていない、こういうような印象を非常に強く持つわけなんです。私が先ほど来質疑しておるモチ米についても、輸入を取り扱った商社別の取扱数量、金額、商社名、こういうものを公表していただきたいということを申し上げているわけですが、これが公表をされない。私の資料要求の中で、最近五カ年における米の輸出の問題についても、輸入の問題もそうでありますが、商社別の取扱数量とか金額、商社名、こういったものが公表されないわけです。  これについて私が再度提出を求めましたところが、商社名はABCの記号で出された。それから、商社の取扱手数料が幾らであった、こういうことも公表をされない。しかも、輸出金額については適当に割り振った数字の報告が出されてきている。こういうことでは、政府が輸出のために各商社に一体幾らの輸出手数料を支払ってきたのか、そういうことのためにどれだけの費用がかかっているのか、こういうことをわれわれ国政調査の中で確かめることができない。再度要求いたしましたところ、今度は五十四年、五十五年の輸出米の取扱業者名を二十社ほど提出してきましたが、これとABC記号の関係は不明なわけなんです。こういう資料の提供の仕方では、われわれが国政調査をやっていく上で十分な審議ができないのじゃないか。なぜこういう資料が出せないのか、この点をちょっとお伺いしたい。
  328. 松本作衞

    松本(作)政府委員 私ども、先生の御要求に従いまして鋭意作業をいたしまして、できるだけ実態に近いものを資料として提出したつもりでございますが、その中におきまして、具体的な商社の具体的な数字につきましては、これはやはり商社の営業活動にかかわりますので、従来から公表を差し控えさせていただいておるわけでございます。しかしながら、どのような形になっておるかということにつきましては、商社の内容なり、また商社別に記号は付しておりますけれども、どの程度の取り扱いになっておるかというようなこと等も提出した次第でございまして、私どもとしてできる限りのことはやったつもりでございますので、この点御理解をいただきたいと思います。
  329. 小川国彦

    ○小川(国)委員 この六百五十万トンの在庫処理、その中で大きいのは、やはり何といっても輸出用の百六十二万トンという数字であります。その百六十二万トンの米が輸出された。先ほどの議員の質問の中でも、韓国に輸出された米をめぐっては疑惑がある、こういうような発言がなされているわけでありますが、最近の五年間においてインドネシア、リベリア、コンゴ、韓国あるいはタンザニア、バングラデシュ、シエラレオネ、こうした国々に米が輸出をされてきているわけであります。  ところが、その取り扱った商社別の数量は一応出されているのですが、その社名のところはC、J、I、O、A、Gとかいうので、これは記号でわからない。それから、もう一つ別に輸入業者名というのは、昭和五十四年のタイのモチ米を輸入した業者名とかあるいは五十五年の同じくモチ米の輸入取扱業者名とか、五十四、五年のタイのウルチ砕精米の輸入業者名とか、五十四、五年の輸出米取扱業者名とか、こういうのはもらったわけですが、これでは——いま商業者の秘密ということを言われるのですけれども日本の余った米を輸出するのに、実質的に商社は輸出の手続を行う、そういう手数料的なものが主であって、そこには何ら商業的、利権的なものは存しないというふうに考えるのです。しかも、国民の感情から見れば、国民の余った米を外国へ出すのに、どういう商社がどのぐらいの手数料をもらってやっているのかということは、当然知り得べき情報であり事実であるというように私は思うのです。それを国会に対してもそういうものを出し得ないということは、私はこれは一つは官庁の独善的な考え方ではないのかというふうに思うわけなんです。  大臣、いかがなんでしょうか。私はモチ米の問題について質問主意書を出しましたら、総理大臣答弁書の中では商社名を挙げてきているのですよ、どういう商社が輸入に当たったかということを。これは国会議員に与えられた質問主意書を出せる権利というものがあるわけなんですが、そのためには、わざわざ火曜日と金曜日にある閣議で、その答弁書のために閣議で何分間か時間も煩わすであろうし、大臣のお手間も煩わすわけなんですが、そういう質問主意書で出せばこの商社名も発表されるので、一般的なわれわれの要望に対してはこういうものが公表されないということでは、一体どのサイドでこういうものが公表されるのか、私はそういう段階がわからないのですね。  それから、もしまたそれが、国民の利益の立場から見て、六百五十万トンの米の在庫の処理をしていくのに、どういう商社がそれをどの金額で、どの数量を取り扱ったということが知り得ないといえば、これは裁判を行ってでもそういう事実を明らかにさせろ、こういうことも起こり得ると思うのですね。ですから私は、こういう情報についてあるいは資料についてこれを公開していくという基本的な考え方、内容的に国民的なサイド、農民的なサイドに立てば当然公表されていいという事実、こういうものを公表していく考え方がなければならないのじゃないか、こういうように思うのですが、この点長官と大臣からそれぞれ御答弁いただきたいと思います。
  330. 松本作衞

    松本(作)政府委員 ただいま御指摘がございました質問主意書の答弁の中で出しましたものも、各年度ごとの輸入先の数量につきまして全体を出しまして、その主な相手商社として商社名を列記してあるわけでございますが、私どもが先生に差し上げましたものも、全体の数量と全体の商社名と、それから具体的に商社に符号を付しまして、その符号ごとに、どれだけの取り扱いをしておって、個別の商社がどの程度の規模のものを扱っておるのかというようなことについてまでお示ししたわけでございますので、先ほどの質問主意書よりはむしろ細かい形で御提出申し上げたものというふうに考えております。
  331. 小川国彦

    ○小川(国)委員 私は念のために申し上げますが、五十四年、五十五年の米の輸出米取扱業者名というのは、伊藤忠商事とか伊藤萬、兼松江商、加商、加藤商会、金商又一、丸紅、明和産業、三菱商事、三井物産、日綿實業、日商岩井、野村貿易、大倉商事、住友商事、東邦物産、東京貿易、トーメン、東食、ユアサ産業、二十社の名前は表でもらいました。  それからその次に、今度はたとえば、五十二年インドネシアに、円借款、水稲ウルチ玄米、五十二年十一月二十四日、九万二千八百五十七トン、六十五億円、十年据え置き二十年年賦。ところがここになると、商社名はC、J、I、O、A、G、L、U、こういうふうになっていっちゃう。それで、八千四百三十トン、八千三百トン、Iは八千三百トン、Oは八千三百トン。取扱金額は五億九千万、五億八千万、五億八千万、こうなっていくのですが、一体この二十社の出された名簿と、それからたとえばインドネシアではC、J、I、O、Aというところが取り扱う、五十二年のインドネシアではK、Vという会社が扱う、五十三年のリベリアではAという社が扱う、こうなんですが、この記号とこのもらった社名とどういうふうに結びつけて判断したらいいのか。これはとてもできないことだと思うのですよ。A社が何社であるかということがわかればいいのですが、こういう判じ物みたいな資料を私どももらっても、これは国政のまともな審議ができないと思うのですね。  だから、少なくとも今後の資料提供のあり方としては、商社名があって、そしてトン数があって、金額があって、商社名も実名をきちっと出す。それに払われるものは、一定の手数料というものは公式によって導き出されている手数料であるというふうに思うのですね。だから、買い付けに行くのと違うわけなんです。日本の米を輸出する取扱手数料なんですから、それを払っているだけにすぎないものを、なぜこの資料をこういうふうに隠さなければならないのか、非常に疑問に思うのですね。こういうものを今後きちっと出せるという考え方は持てないものなんでしょうか。
  332. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 よく予算委員会、大蔵委員会等でも問題になる点でございますが、企業別の資料についての資料要求でございますが、政府としては、ただいま事務当局から先生の方に提出いたしておりますように、極力御要望に沿うように資料を提出しておるわけでありますけれども、企業別のいわゆる実績の公表という問題については、各企業の営業活動の公開ということになりますので、各事項それぞれの理由から公表しない方が妥当ではないかということで、いままで公開、公表をいたしておらぬわけでございます。そういう事情をよく御理解賜わりたいことと、どうしてもという場合には委員会の御要請等という例もあるわけでありまして、委員会の御要請で提出をするというやり方もあるわけでございます。政府といたしましては、営業の自由と申しますか、そういう面で企業の秘密というような点に触れるおそれありということで公開をしておらない、こういうことをまあ戦後ずっとそのあれでやってきておりますので、その点を御理解をいただきたい、こう思うわけでございます。
  333. 小川国彦

    ○小川(国)委員 そういうことですと、ではどういうものが委員会の手続を経るのかという問題にもなってくると思うのですね。そうすると、百六十二万トンの、昭和五十四年、五十五年に日本が外国へ輸出した米を取り扱った商社名と、それから取扱金額、数量というものは、いずれも企業の営業活動、商業活動のために出せない。  もう一つ私、タイからのモチ米の買い入れ状況についても調べてまいりましたときに、タイからのモチ米の買い入れ価格、トン当たりの価格、これは五十二年から五十五年まで出していただいた。今度、売り渡し価格も五十二年、五十三年、五十六年、それぞれ幾らで売り渡したかという数字も出してもらえた。ところが、肝心のタイにおいてFOB価格、いわゆる船積み価格は幾らであったのか、これがわからないわけですね。モチ米をタイで買い付けた値段、いわゆる船積みで買い取った値段、商社組合が幾らで買い取ったのか、その値段がわからない。日本政府が買い入れた価格はわかる。それから今度は、それを払い下げた売り渡し価格もわかる。しかし、一番肝心なタイ国で買い付けたFOB価格がわからない。そうすると、ではモチ米はタイ国で本当に適正に買われたのかどうか、安く買うことができたのかどうか、高いものを買ってしまったのかどうか、そういう審査はできないわけなんですね。この点も同じように、これはやはり商業活動、企業活動のために公表できないのでしょうか。
  334. 松本作衞

    松本(作)政府委員 タイ国からの米の輸入につきましては、タイ国との間で契約をいたしまして輸入を決めておるわけでございますが、この場合の取り決めの価格につきまして、タイ国政府の方から、他の輸出国に対する影響等もあるのでこの価格は公表しないでもらいたいという強い希望がございますので、私どもとしてこれを公表することは差し控えたいというふうに申し上げておるわけでございます。そのかわり、基準になりますタイの輸出指標価格、いわゆるBOT価格がどの程度のものかというものにつきましては先生の手元へお示しをしておるわけでございまして、それから類推をしていただくということになるわけでございますが、買い付け価格自体につきましては、相手国との約束でこれは公表できないわけでございます。
  335. 小川国彦

    ○小川(国)委員 この点も非常に疑問がありますね。それほど重要な外交交渉の内容とは私は思えないのですよ。タイは各国に、アメリカと並んで米を輸出している国ですよね。輸出したFOB価格を公表されない政府というのはあるのかどうか、これは私、今後調査をしてまいりたいと思いますが、恐らく、そういった外交的理由にして米の買い付け価格も明らかにしない政府というのは日本だけじゃないか、こういうふうに思うのです。  いずれにしても、この問題とか、それからさらに、輸出するに当たって米を搗精工場に委託した、これも委託した搗精工場が昭和五十四年では二百六十四社、十億三千七百万の掲精賃を払っている。それから五十五年度でも三百八十七社にやはり委託をして米をついてもらって代金を払っている。これも、各業者ごとに何トン委託して幾ら金を払ったかを公表しないのですね。だから私ども食糧庁の行政というのはもう少し——国民の大切な米を輸出したり、足りない米を輸入したりするのですから、原価が幾らで買われたか、あるいは売るときにどういうところにどういう手数料をかけて売ったのか、こういうことを国民は知る権利があると私は思うのですよ。そういうものが、食糧庁の一セクションだけでそういうものを知っていて国政の審議の中に供し得ないというのは、今後大変な問題じゃないかというふうに私は思うのです。こういう点について、やはり大臣なり長官なり、もう少し積極的に、こうした資料のどういうものが公開でき、できないのかという、その分類とか仕分け、そういうようなものをおやりになっていらっしゃるのかどうか、それをちょっと伺いたいと思います。
  336. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 情報公開につきましては、閣議決定に基づきまして各省でそれぞれ基準を設けて、それに基づいて判断をして決定をいたしておる、こういうことでございますので、御理解をいただきたいと思います。
  337. 小川国彦

    ○小川(国)委員 食糧庁としてはどうなんでしょうか、こういうものについて、一つの分類とか仕分けとか、そういうものをなすってらっしゃるのですか。
  338. 松本作衞

    松本(作)政府委員 私どもといたしましても、できるだけ情報の公開に努めたいと考えておりますが、先ほど来申しておりますように、個別企業の、いわゆる企業の活動の秘密にかかわるようなことにつきましては公表を差し控えたいということを考えておるわけでございまして、そういった観点から、資料の提出についてお許しを得たいということを申し上げている次第でございます。
  339. 小川国彦

    ○小川(国)委員 私はその答弁には納得しないのです。食糧庁の行政というものは企業の秘密のためにあるのじゃなくて、やはり国民のために、農民のためにどういう食糧行政をやっていくかという点にあると思うのですね。そういうことのために明らかにされないで、そして、それを取り扱っている企業のためにそういう具体的な数字を公表できないということは、私は行政の本来のあり方から見て、やはり問われるべき問題だというふうに思います。きょうは時間がありませんから、この問題はまた改めてお伺いをしたいと思いますが、もう少し農林省や食糧庁においても、こういう情報公開のたてまえから、どういう分類、どういう仕分け、どういう判断基準でこういうものを取り扱っているのか、これを明らかにしていっていただきたいというふうに思います。  最後に一点だけ。お米を輸出するために容器代が約十六億円かかっております。これは本来ならば、従来麻袋等の五回も繰り返して使えるようなものを使ってきていれば、米を輸出する際に払われた大変な容器代——五十四年では約八億、五十五年でも七億円が新規な容器の購入のために充てられております。私はいろいろこの現場を調べてみますと、供米のために使った紙袋、そういうものは一回きり使えないので、入れかえるために全部破って捨ててしまう。これは本来食糧庁がお金を払っている袋ですね。そういうものがいま五十数%もウエートを占めている。しかし、輸出をするときにはその紙袋は使えない。麻袋のようなものであれば入れかえもききますが、しかし樹脂袋もこれは一回きりしか使えない。かぎでかけて引っ張ったら穴があいて後はもう使えない。麻袋ならばつくろいもきいて、二回、三回、五回まで使える。そういうものの経験は、第一回の過剰米のときに十分経験されたはずなんで、今度もそういった麻袋を中心とした米袋の使用をしてきておれば、こんな十六億円も出して五十四年、五十五年の米の輸出のためにこの容器を新しく買い込まなければならないということはなかったのじゃないか、こういう点は私は十分反省されるべき問題だと思うのですが、この点を最後に伺いたいと思います。
  340. 中山昇

    ○中山説明員 ただいま先生お尋ねの件は、輸出精米の話ではないかというふうに思うわけでございますけれども、玄米の輸出につきましては、玄米の包装に入ったものをそのまま輸出をいたしております。それから精米につきましては、先生御指摘のように紙袋に入っております玄米を搗精をいたしまして、輸出をいたします場合には新しく包装を調達をしなければならないということになっておるわけでございます。  その場合にどのような包装を使うかという点につきましては、先ほども長官からお答え申し上げましたように、米の輸出の場合には、相手国と、どのような価格で、どのような積み期で、またどのような包装、荷姿で輸出をするかという点につきましての交渉を行うわけでございます。一般的に申しまして、国際的にやはり米の袋、包装と申しますものは新しい容器に入れるのが普通でございまして、輸出国との契約におきましても、健全な麻袋または樹脂袋を使用するということで契約をいたしておるわけでございます。したがいまして、搗精工場で新しく精米につくりました場合には、麻袋もしくは樹脂袋を使用するということになっておるわけでございます。  その場合に、あきました玄米の容器というのは、それぞれ一般の配給の精米工場がやっているのと同じように、他の用途、麻袋であればもう一回使うということもございますし、また紙袋はそれぞれの用途に活用するということで、その分につきましては委託搗精工場の副産物収入になるということで、私どもも評価をいたしまして、その分につていは委託加工賃の中から差し引きをしておるというようなことで、その点についての損得はないわけでございます。  それから、新しい包装を使います場合に、先生御指摘のように、もしも空き麻袋が使えればそれは非常に安上がりということになるわけでございますけれども、国際貿易でございますので、麻袋につきましてもやはり植物防疫等の問題もございます。それから、先ほど御指摘のように手かぎがついたとかいうようなことで、麻袋につきましては修理をしなければならない、またそういうような施設は搗精工場にない、また薫蒸いたしませんと麻袋は輸出をすることができませんので、そういう設備というのが搗精工場にないということから、やむを得ず新しい麻袋なり樹脂袋を使う場合が多い、あるいはほかの工場で発生をいたしましたB麻袋、空き麻袋を使ってやるということがございます。  いずれにいたしましても、私どもといたしましては、過剰米の処理ということでございますから、できる限りこういう包装容器につきましても安上がりでやらねばならないというふうに思っておりますので、今後ともできる限り安い麻袋を使用していくという原則は考えてまいりたいというふうに思っております。
  341. 小川国彦

    ○小川(国)委員 またこの問題については、私、次回に改めて質問いたしたいと思います。  以上で終わります。
  342. 田邉國男

    田邉委員長 次回は、明七日木曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時四十七分散会