○小川(国)
委員 そうしてみますと、昨年、一昨年から見ると、皆さんが見込んでおられた推定の
生産量においても十万トンから十五万トンの不足があるわけです。ですから、御承知のようにことしの集荷量自体が昨年から見ると十万トンも低い、一昨年から見ても同様に十二、三万トン低いというように、これは
生産数量自体が、先ほど
大臣が
答弁したように冷害凶作のために落ち込んできている。しかし、昨年、一昨年においては十分賄えるだけの
生産量を国内で持っているわけです。本年度のこういう冷害凶作というものは何年かに一遍あるわけなんです。
昭和五十一年にも同様な冷害があって、このときにもやはり集荷
数量が本年と同等
程度のものしか集荷できなかった。そういう冷害の苦い経験を持って五十二年には大量のモチ米
輸入をやっているわけです。
ですから私は、
国会に出ましてからすでにもう再三にわたって
食糧庁に、あるいは農林省に対してこのモチ米の
輸入をやめるべきだ、そのために、国内においては十分モチ米を
自給できるような、
日本の農民がモチ米を十分つくれるわけですから、そのための需給
体制というものをとっておくべきだ、そういうことをこの
委員会で再三追及もしてきているわけです。
昭和五十二年の十一月十七日に私がこの衆議院の
農林水産委員会で質問したのに対しまして、当時の大河原太一郎
食糧庁長官は「大体二年サイクルぐらいで
生産が過剰になり、あるいは不足するというような
事態を実はいままで繰り返してきておる」わけであるので「その年々の変動によって、需給について、非常に外米を
輸入せざるを得ないというような
事態は避けるべきものであるというふうに思うわけでございます。」と、こういうふうに答えているわけです。「したがいまして、これについては」「
生産団地をしっかりつくって、それに対する契約の履行その他について相当な助成を行い、過剰になった場合には調整保管を
制度的につくっておく、先生のおっしゃいますような一種の
備蓄でございます。」と、こういうようなことを言っておられる。
それから、いまおられませんが、当時の政務次官であった羽田孜政務次官は「調整保管の
制度、こういったものをぴしっとすると同時に、これに対する国からの助成、こういうものによって、この増減というものがやたらに起こらぬように私
ども十分努めてまいりたいと思います。」と、これはいまお見えになった羽田孜次官が、非常にりっぱな
答弁をされておられる。ところが、この羽田さんも次官をおやめになるし、それから大河原さんも農林次官からおやめになると今度は参議院議員にお出になる。こういうことになってしまいますと、これだけの名
答弁が名
答弁のまま終わってしまって、実を結んでない、そういう
状況にある。
この問題について私は昨年の十一月十一日にも、
松本食糧庁長官、あなたにこの問題を質問した。「この
輸入についてはできるだけ慎重に
考えていかなければならないと思っておるわけでございますが、今後の集荷の
状況も見まして
輸入の問題も含めまして十分に検討をしてまいりたいと
考えております。」と、こういうふうにお答えになっておられる。これは私関連質問でやって、非常に時間がなかったので、
輸入をやめるという長官のはっきりした
答弁をもらえなかった。
ですから昨年の
国会の最終日の十一月二十九日、私は「モチ米高騰の
緊急事態に関する質問主意書」というのを六項目にわたって
政府に提出をしたわけです。そのときに、六項目の質問では私は「今後において、モチ米の外国
輸入の失敗を再び繰り返さない
措置をとり得るか。」と、こういう質問をしたのに対しまして、
政府の
答弁書においては「もち米については、うるち米と同様、国内必要量は、国内
生産で確保することを
基本としており、もち米
生産団地の育成、契約栽培
体制の推進等を通じ、
需要に見合つた適正
生産の確保に努め、需給及び
価格の安定を図つてまいりたい。」こういうふうに
答弁しているのです。この
答弁書は総理
大臣鈴木善幸さんの名前で出された
答弁書なんですが、
輸入のことは一言も触れてないのです。非常にきれいごとの
答弁なんです。この
答弁書もまた実は偽りであって、
昭和五十六年、ことしに入って三万三千トンのモチ米を
輸入契約をしているのです。
こういうふうにして見ますと、歴代の
大臣とか次官とか長官の
答弁というのはその場限りのものであって、一体
食糧庁として、
政府として、だれがいつこの責任を全うするのか。大河原長官のときも、もう
輸入はやめたいということをはっきり言われた。それで当時の次官も、そのためには国内のモチ米の調整保管の
制度というものをきちっとして、そうしてもう
輸入の愚を繰り返したくない、こういうことを言っておられるのです。それで私は昨年末にそういう質問主意書を出したら、
輸入はしないで済むような、国内の
自給で間に合うだけのことしか
答弁をしてくれないのです。総理
大臣を通してくる
答弁がそういう
答弁なんだ。そういうことであっては、ここでまた
松本長官と
亀岡農林
大臣に伺うわけですが、二人ともおやめになってしまって、またそのときの名
答弁だけで終わってしまっては困るわけなんです。
一体、
大臣と長官の
答弁というものは農林省や
食糧庁の組織や機構の中でどういうふうに引き継がれていくのか。それは単なる
大臣や長官のそのときの個人的な発言にすぎないのか、組織や機構としてはそれを一体どういうふうに受け継いでいくのか。私はこの五年間追及してきた問題をいまだに繰り返している
政府のやり方に、これは農民の怒りもあるし、
国民としての怒りもあるし、この辺できちっとひとつ
亀岡大臣や
松本長官、これは優秀な方で、
大臣もこれから総理になられるかもしれないし、また
松本さんも農林省においてますます活躍されていくと思いますので、この辺でひとつしっかり歯どめのきいた
答弁をお聞かせいただきたい、こういうふうに思うのです。