○渡邉(文)
政府委員 精製糖企業をめぐる厳しい情勢につきましては先生よく御理解いただいていると思います。
現在精製糖企業では、いわゆる構造
改善といいますか、体質
改善ということに取り組んでおるわけでございますが、昨年の春に精糖工業会としましても
一つの目標を定めまして、現在自主的に各企業ごとあるいは商社グループ系列ごとにいろいろ努力をしているところでございます。私
どもといたしましては今後とも、各精糖企業の財務体質あるいは設備
削減を含みます業界全体の体質強化ということにつきましての努力を評価し、できるだけその前進につきましての指導、応援を行っていきたいと思っております。
御指摘の雇用問題でございますが、五十二年に
砂糖の特例法をつくりましたときに附帯決議をいただいております。その中でも
関係者の雇用の不安につながらないようによく指導するようにということが指摘されてございまして、私
どもそれを念頭に置いていままでもやってきたわけでございますが、たとえば特例法施行後に行われましたある会社の工場閉鎖の例を見ましても、閉鎖に当たりまして従業員の方と十分話し合いを行い、その閉鎖された工場の従業員につきましても、その会社の他の工場への配置転換とか
関係の子会社に対する就職あっせん等によりまして、特に問題のないようにおさまっているというふうに理解をしておるわけでございます。
それから、もう
一つの特例法の問題でございますが、これは現在の糖安法、
糖価安定制度におきましては、御承知のように
輸入の自由化を前提として、国内の各企業の自由な競争の中で
輸入糖の売買を通じ、あるいは国産糖の価格支持を通じまして、一定の幅の中に国内
糖価を安定させていくということであるわけでございます。現実にはただいま御指摘のように、企業の過剰設備を背景といたしました過当競争というふうなことで、しばしば
糖価が低落することがあるわけでございます。
一方特例法自体は、五十二年に国際
糖価が非常に下落をいたしました際に、そのときまでに、五年間の約束で日豪で、
民間で非常に高い水準での長期の契約糖がございまして、国内精糖企業が非常に疲弊したということで、その契約いたしました
砂糖を引き取ることができないということで大変な国際問題になったわけでございます。そのことを背景に臨時応急の措置としまして数量規制的要素を持ちます特例法をつくったわけでございます。したがいまして、特例法はあくまでも臨時特例ということでございますし、この措置を
糖価安定制度の中自体に組み込むということはなかなかなじみがたいのではないかというのが現在におきます私
どもの認識でございます。
しかし、いずれにしましても
糖価の安定を期することが大事なことでございますし、そのためには業界の体質
改善によります、業界全体として適正な価格の実現を図るような体質に持っていくということが基本だろうと思いますので、そういう
意味におきましての体質
改善につきましての指導につきましては、今後とも努めてまいりたいというふうに
考えております。