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岡安参考人 糖価安定事業団の
理事長の
岡安でございます。
ただいま御審議いただいております
蚕糸砂糖類価格安定事業団法案に関しまして、
糖価安定事業団の
立場から若干
意見を申し上げたいと存じます。
わが国の
砂糖は、戦後、
輸入糖につきましては外貨割り当てによりまして需給の
調整が行われてまいりましたが、
昭和三十八年に粗糖の
輸入自由化が行われたことによりまして、国内の糖価は国際糖価の影響をまともに受けることになったのでございます。
元来、
砂糖は国際相場の騰落の頻度及び
変動幅がきわめて大きく、これによる
輸入糖価格の
変動が、国内産業及び
国民生活に与える影響も少なくないため、この
変動を
調整し、国内糖価を平準化、安定させるとともに、
国内産糖類の
価格支持を行うことを通じて、甘味資源作物等による農業所得の
確保と
国民生活の安定を図るための
制度が必要となり、
昭和四十年六月に
砂糖の
価格安定等に関する
法律、いわゆる糖安法が制定されたのでございます。
そして、この目的を達成するため、
輸入砂糖の
価格調整と、国内産の
砂糖とブドウ糖の
価格支持のため、
砂糖とブドウ糖の
買い入れ及び売り戻しの
業務を行う機関として、
昭和四十年八月十九日に
糖価安定事業団が
設立されたのでございます。
事業団の主な
業務は、
輸入砂糖の売買
業務と国内産の
砂糖の売買
業務でございます。
輸入砂糖の売買
業務につきましては、
輸入申告者から
砂糖を
買い入れ、直ちに売り戻すわけでございますが、その際、平均
輸入価格の
水準に応じ、安定資金や
調整金を徴収したり、または安定資金を支払うことによりまして、
輸入糖の国内供給
価格を安定上下限の
価格帯の中に
調整することとしております。
御承知のように、一昨年秋から昨年の暮れごろまで国際糖価が上昇しましたために、昨年六月から本年一月まで安定資金を支払っております。他方、国内産の
砂糖の売買
業務は、国内産の
砂糖製造
事業者の申し込みに応じ
買い入れ、
輸入砂糖との
価格差を
調整した
価格で直ちに売り戻すわけでございますが、その際生じた売買差額は国の交付金と
輸入砂糖から徴収した
調整金によって充当されております。
次に、
糖価安定事業団設立以来の、国の内外の
砂糖事情の推移について簡単に申し上げます。
当
事業団は、
設立以来約十五年余り経過いたしておりますが、この間、
砂糖は国際的な相場商品であるという商品特性から、数度にわたる
価格の暴騰、暴落を経験しましたし、また、需給事情も大きく変化してまいっております。
一方、国内の動向を見ますと、総
需要量は、
昭和四十年当初は年間約二百万トン
程度であったものが、四十年代半ばごろから急激に増大し、四十七、四十八年には三百万トンを突破するほど大幅に増加いたしました。しかしその直後、いわゆる第一次
石油ショック時の
価格の暴騰の影響を受けまして、急激に消費が減退し、
昭和四十九年には年間で約二百七十万トンとなったのでございます。そして、その後消費は次第に回復基調にありましたが、最近はいわゆる甘味離れ現象のほか、でん粉を
原料とする異性化糖の増加等甘味の多様化もあり、
砂糖の消費は
減少傾向にあります。
次に、
国内産糖について見ますと、北海道で
生産されますてん菜糖については、
昭和四十八年をピークとして一時
減少傾向をたどっておりましたが、
昭和五十二年を境として作付面積が着実に増大し、五十五年産は六万四千八百ヘクタールに達し、単収も大幅に増大いたしまして、産糖量も約五十三万トンに達することが予想され、史上最高を記録しようとしております。
また、鹿児島県南西諸島及び沖繩県で
生産されます甘庶糖につきましては、最近においては作付面積が若干の増加を示してまいりましたが、単収については、台風その他の気象災害や病害虫による被害もあり
変動しておりまして、産糖量も二十二、二十三万トン
程度で推移しております。以上から、
国内産糖全体の
生産量は、
昭和五十五年産で七十五万トン
程度に達しようとの見込みでございます。
次に、内外の
砂糖価格について若干申し上げますと、まず、
砂糖の国際
価格は前にも申し上げましたように騰落の激しいものでございますが、第一次
石油ショックに端を発した暴騰は、ロンドンの現物相場、いわゆるLDPの月平均で四十九年十一月に五百六十六ポンド、瞬間的には六百五十ポンドまで暴騰しましたが、その後しばらく百ポンド台で低迷を続けました。
しかし、五十四年度後半から上昇に転じ、五十五年二月には二百ポンドを超え、以後次第に上昇して、一時は四百ポンドを超えるような高
水準で推移しましたが、現在やや落ちついてまいりまして、二百二十から二百三十ポンド
程度となっております。
一方、このように国際糖価が三、四倍に高騰する中にあって、国内の
価格につきましては、国際糖価の上昇により若干上昇しておりますが、その幅は小さく、糖価安定
制度のもとで比較的安定的に推移しております。
なお、割り高な豪州長契糖の引き取り拒否が日豪間の外交問題となったことを背景として、
砂糖の需給
調整を目的としたいわゆる臨時特例法が
昭和五十三年二月から施行されておりまして、昨年の
法律改正により来年三月まで期限を延期されて実施されております。
以上申し上げましたように、糖価安定
制度のもとにおきまして、糖業を取り巻く
情勢の変化はありましたが、
事業団の目的とする
価格調整につきましては、大筋において十分その
機能を果たしてまいりましたし、今後においてもその必要性は変わらないものと
考えております。
次に、
日本蚕糸事業団及び
糖価安定事業団を
統合し、
蚕糸砂糖類価格安定事業団を
設立する問題でございますが、新
事業団の
業務につきましては、両
事業団が現在実施しております
業務は区分経理の上引き続き行うこととされておりますし、附則第八条において、
糖価安定事業団の一切の権利及び義務は
蚕糸砂糖類価格安定事業団が承継することとなっておりますので、
機能的には何ら支障はないものと理解しております。
特に、当
事業団の場合、
価格がめまぐるしく
変動する
砂糖の売買を行うわけでございますので、事務の停滞等により
業界に不測の損失をおかけすることのないよう迅速に事務を
処理するため、出先機関として全国に事務所、出張所合わせて十六カ所ございますが、
事業団の
統合に際しましては、
業務の停滞や
関係業界へ迷惑をおかけすることのないよう、円滑な移行に努力する所存でございます。
最後に、
統合に当たっての
職員に関する問題でございます。この問題はきわめて重要でございますし、また、健全な
労使関係の維持が、新
事業団がその
機能を十分発揮する上でぜひとも必要であるわけでございます。
糖価安定事業団には従来
労働組合はございませんでしたが、つい最近、三月末に
労働組合が
設立されましたので、今後、
労働組合とも十分話し合った上、新
事業団への移行が円滑に行われるよう対処してまいりたいと
考えております。
以上、いろいろ申し上げましたが、今回の
統合が
行政改革の
一環として行われるものであることを念頭に置きつつ、円滑な移行が行われますよう私の
立場として努力することを申し上げ、私の
意見陳述といたします。ありがとうございました。(
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