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亀岡国務大臣 私はもう四年ほど前から、死なばもろとも、養蚕、製糸、機屋、この三者が息を合わせてこの急場を乗り切らないと大変なことになりますよと、言い出しっぺであり言い続けてきたわけでございます。
しかし、竹内
委員御承知のとおり、糸価の決定については戦後ずっといつも非常に謙虚な
立場をとってきまして、労賃も、ほかの農産物資、食い物ではないというような
立場から一番労賃が低位に見られてきた、しかしお米が二年据え置きというようなときでも糸価は上がってきておる、乳価は三年、四年据え置きというときでも糸価は上げてきた、こういうことで、その間に養蚕農家が生・産性の
向上を図る
努力を行い、製糸は製糸としての近代化を進め、機屋は機屋としての企業としての基礎を築くということでやってきたわけでございます。
しかるところ、それだけの
努力をしながらも今日のような状態にぶつかっておる。外から糸を入れるからだ、織物を入れるからだ、こういう
指摘もあるわけでありますが、これはおととしから去年、特に私が就任いたしましてから、二国間協定で厳しく、通産、農林の諸君の協力を得て輸入数量を相当思い切って減らしてきておるわけであります。したがって、もうそろそろよくなっていっていいのではないかな、こう思っておるにもかかわらず、糸価は去年、ことしと低迷して先行き真っ暗というか、
事業団に糸がたまるばかり。原因は一体どこにあるのだろう。私なりに考えてみまして、結局いままで問屋とか機屋とかの倉庫にあった生糸がいまなくて、そうして蚕糸
事業団の倉庫に集中してしまっている、こんなふうになっていやせぬか。死なばもろともというようなことを業界で大体わかってもらったつもりでありましたが、私の見方は甘かったのかなという感じはするわけであります。
先ほど一番先に御
指摘のあったとおり、養蚕農家は基準糸価を
生産費及びその他の条件で上げるべしという声が強い、
一元化を守れと言う。機屋の方は
一元化はもう自分らの首をくくるゆえんだから、あんなのは撤廃してしまえと陰では言っておる。こういう状態であったのではこれはもう危機突破はできない。こういうことで、死なばもろともという形ができたのかなと思っておったのですが、
現実になかなかできないわけです。ここにこの糸価の問題の非常に厳しい、むずかしい問題が出てきた、こういうふうに私は理解しております。
それじゃどうするかというと、この死なばもろともという気分を実行にあらわしてもらって、それぞれの
立場立場で信頼
関係を回復してもらうことが一番大事じゃないか。それには
政府が腹を固めて、蚕糸業というものをどんなふうになっても大きくバックアップして、
伝統産業だから維持存続、発展させていくのだというきつい姿勢をとらなければいけないな、こういうことであります。しかし、
現実は厳しい。その厳しい試練も酪農家はとうに何年か前から、厳しい情勢を踏み越えようとして
努力しているわけです。米作農家も
努力しておる。養蚕農家も製糸も機屋も、この際そういう意味においてほぞを固めてやっていってもらわなければいかぬなという感じを率直に申し上げて、ただいま
局長から
お答えいたしましたとおり、
最善の策を尽くして結論を導き出したい、私はこんなつもりでおる次第でございます。