○島田
委員 私は、百九十三万トンの限度数量をオーバーしたアウトサイダーの分まで入れて考えろと言っているのではありませんよ。そのインサイダーの
部分でそういう事態が起こっておることに対して、
政府がこれを看過するというのはおかしいではないか。法五条に基づいて
大臣は勧告してしかるべきではないか。そうでないと、今後こういう問題が続々起こってくるということになりかねません。納得できませんが、時間の関係で次に進みます。
四年の連続据え置きともろもろの支出がかさみまして、
酪農家の実質手取りはどんどん目減りをしていくという状態にあります。しかし、物価は容赦なく上がってまいります。この一年間で二けた台の資材費の値上がり。
価格は上がらぬわ、生産の
制限はされるわ、物価は上がるわ、労賃は上がっていくわ、われわれが直接使う農業用諸資材も軒並み値上がりだ。肥料がそうであります。農薬がそうです。えさは大変な値上がりになりました。周囲を見て、これで
経営ができるという判断材料は
一つもない。維持できるという材料は
一つもない。神様でない限り、この
状況の中で一年間の収支を償い得るはずがない。だれが考えたって赤字が出るのはあたりまえという
状況の中でいま苦しみ抜いているのだ。
当然、返すべき負債は固定化の方向に向かって急速に進みつつある。借入金は大変な額に達しておりますから、一年でもつまずいたらこれは大変。
経営を維持し発展させていくことはほとんど不可能に近い。絶望です。ここらでその最も大きなネックになっている負債という問題を、これまた第三の政治課題として真剣に考えなければならない時期にいま来ている、こういうふうに思うのです。
このままで進んでまいりますれば、一口に言って、北海道の主産地と言われている地帯の
酪農家でも、半分の
酪農家は脱落していかざるを得ないでしょう。あとは命をとっていくか、借金をとるかどっちかだという開き直り以外には方法がない。われわれは借りた金は返したい。ネコババを決め込んで何とかたな上げしてもらって、たな上げといいますか払わないで済まそうなどという魂胆はだれ一人持っておりません。何とか
経営の中から生み出して借金を払い、
経営を維持させ、生活を明るい方向に持っていきたいという願いは、いま切実にあるわけです。そういたしますと、
農家の負債という問題は真剣に考えざるを得ないではないでしょうか。
たまたまこういう時期に
酪農家、
畜産農家の負債の問題を持ち出しますと、
政府はすぐ乳価の引きかえでちょぼちょぼっとお金を出してそれでごまかすというたぐいになるから、この問題をいま取り上げるのはきわめて用心しなければならない。わかりやすく言って、抜本的な
措置というものが必要だということであって、乳価を上げない材料に使われちゃかなわない。ここのところはひとつ明確に区分して私も
質問したいと思うので、だんごにするような
考え方だけは今回は絶対持たないということをぜひひとつ考えに置いて話を聞いてもらいたい、こう思うのです。
中身につきましては、先ほどの前者の
質問の中で、
実態の
調査を
農林省としても進めている、こういう
趣旨の
答弁がありました。ぜひそれを急いでいただきたいということと、ただお話の中で、そうは言うてもまた資産がふえましたからねと
局長はおっしゃいました。どうもその辺が私は気に食わない。
そもそも、われわれは資産がふえたことによって毎年の
経営の収支が黒字になるというふうにでも理解されているのでしょうか。資産で金が生まれてくるなら、私
どもはこんなことは言わないのです。また、一年間一生懸命かせいで何とか黒字が出ました、余剰金が出ました、その余剰金で土地を買った、牛舎を建てた、サイロを建てたというのなら、そんなことは言いません。これは
政府が御親切にも出してくれた金で資産がふえたのですよ。もっと平たく言えば、借金の変形でしかないのでありまして、この建物はあるいはこの土地は、われわれが一生懸命働いて一年間の働いたかせぎの中から少しずつでも返して、スムーズに返し切って、そして島田琢郎なら島田琢郎の名義に変わったときに、名実ともに私のものになったときに、これは資産としての価値が発揮できるのであります。いまは単なる借金の肩がわりでしかない、変形なんです。いまその苦しみの最中にあるわけですね。
資産がふえたという言い方は私は納得ができない。資産で飯が食えるのなら、
局長どうか私の農場に行って飯を食ってもらいたい、やってもらいたい。食えないから
酪農家の皆さん方はいま苦しんでいるのです。机の上に数字を並べて、借金がこれだけあった、おれの資産はこれだけだ、プラスマイナスしたら資産の方が多いからこれでおれは飯が食える。数字だけながめていて飯が食えるのなら世話はない話であります。資産が幾ら一億になろうと二億になろうと、単年度の収支が償わなければ、借金がきれいに払っていけるような状態になければこの
経営は維持できないのです。イロハのイの字でしょう。これは経済の大原則です。
そこのところを履き違えての御発言であるとしたら、私は許せないような気がいたします。借金がふえたけれ
ども、かわって資産がふえたではないかというのが、
農林省内部ではよく聞こえる言葉であります。考え直していただかなければならない。
実態を無視していると言わざるを得ない。まずはそういうことによって固定化されている負債の
実態に正しく目を向けて、それに対する抜本的な
対策を組まなければ、ぼくは時すでに遅しという感さえあるが、いまからでもやらなくてはならない大事な課題だ、こういうふうに考えるので第三の問題としてこれを取り上げたのです。
くれぐれも申し上げておきますが、またぞろ少しばかりの金を持ってきて、一年据え置き五年払いだなどというようなやり方で乳価を抑えた肩がわりの材料に使うなどという魂胆であるとしたら、私はこれは絶対容赦できないと思いますから、そういう
手法は今回はおとりにならないということも含めて御
答弁をいただきたいと思うのです。