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藤井説明員 去る七日に本
年度における
給与に関する
勧告を
国会及び
内閣に対して
提出をいたしました。機会をお与えいただきましたので、この際、
給与勧告の
概略について、お手元に配付されでおると思いますが、「
給与勧告の骨子」という資料がございます。これに従いまして、ごく
概略を簡明に御
説明を申し上げたいと存じます。
本年の
官民の
較差は五・二三ということでございまして、五十三年から三年間は五%を切っておったわけでございますが、四年ぶりに本
年度は五%を上回ることに相なったということでございます。ちなみにこの
較差は、本年の
仲裁裁定が五・三八%でございますが、これに
比較をいたしまして、これを下回る結果に相なっておるわけでございます。
この
較差の
配分につきましては、
生計費の問題とか
物価の問題あるいは
公務員給与制度をめぐるいろいろな
問題点等を踏まえまして、
配分をいたすことに
苦心をいたしたわけでございますが、その結果、
俸給表の
改定に四・三五%、
生活関連の諸
手当に〇・六二%、その他はね返り、
給与改定が行われますと当然に
影響をしてまいるものがございますので、それの分に充てるものが〇・二六%ということに相なったわけでございます。
俸給表につきましては、本年は、例年と大体同様でございますが、上下とも大体同率の
配分というふうに相なっております。ただ、
世帯の
形成層なり
中堅層というものにつきましては、
民間と
比較いたしましても、やはりどうしてもやや
不足ぎみという
傾向もございますので、これにつきましては、特に
重点的に
配慮をするということに心がけたつもりでございますが、それと同時に、
高位号俸については、
抑制の
方向をさらに強化していくという
措置をとっておる次第でございます。
指定職の
俸給表につきましては、これは
民間の
会社の重役というものを
対象に、大体参考にして
比較をいたしておるわけでございますが、本年も
調査をいたしました結果、出てまいりましたのは大体二五%
程度の
開きが出てきております。ここ数年来こういう
情勢でもございますので、
推定職については
抑制ぎみでずっと
措置をいたしてまいりました結果、
開きがかなり大きくなってまいっておりますが、しかし、これを急に一度にというわけにはとてもまいりません。
一般の
職員の
俸給表の均衡の
問題等もございますのでとうていそういうことを一時にというわけにはまいりませんので、
一般並みに抑えるということに
措置をいたした次第でございます。
俸給表が
重点になりましたが、その他につきましては、
手当について、特に
生活関連の
手当について
措置を講ずることにいたしました。
その中で、特に申し上げたいと存じますのは、
調整手当でございます。これはいわゆる
都市手当に当たるものでございまして、
物価その他が何としても
大都市関係はかさむという
実態がございますので、
民間の
企業でも、
大都市に勤務をする
従業員に対しては、それなりの
措置を講じておる
実態がございます。これに応じて、
現行制度は
調整手当を最高を八%といたしまして、あとは六%
地域、三%
地域、それから非
支給地ということに分かれていままでやってきておるわけでございますが、その中で八%
地域であります東京、
大阪等につきましては、これも
民間の大きな全国的な規模の
会社を
対象に調べて、その
傾向をずっと見てきておりますが、その結果、ここ数年来ずっと大体一〇%
程度の
措置は講じておるという
傾向が続いてきております。そういうこともございまするし、一面、各
省庁の
人事当局者も、最近の
情勢だと、
一般の
Uターン現象とかそういうこともさりながら、大都会へはやはり来たがらないというような
傾向もあって、何らかの
措置を講じてもらいたいという熾烈な
要望もございます。そういう点も踏まえまして、一挙にということにもまいりませんので、これは一%だけ引き上げまして、八%
地域を九%にするということにいたしております。
それから、
扶養手当、
通勤手当、
住居手当については、それぞれ
民間の
動向を反映した
措置を講じたいということでございます。
それから、
筑波研究学園都市というのがございまして、現在
筑波研究学園都市については、大体当初計画の官署の
移転は終了いたしまして、最近は
環境の
整備一
施設の
整備等に
重点を置いてやっておりまして、体裁もだんだん整ってきておるようでございます。当初、ここに計画的に
移転をするということでございますので、そこにおります
職員に対して
移転を容易ならしめるというような
趣旨で、
移転手当の御設置を願ったわけでございまして、これについては、当初これが始まりました四十六年から十年間ぐらいたてば、大体これの存廃なり
あり方についてめどがつくだろうというようなことで、本年の十二月十四日までにこれについての
勧告をするということが
人事院に義務づけられております。ところが、この
移転が計画どおりまいりませんで、五年ばかりおくれた
実態がございます。最近ようやく完了したということがございまして、この
施設の
整備状況、その他
環境整備の
状況等をよく考えてまいる必要もございますので、いましばらく
情勢を見たい、
推移をながめたいというふうに考えまして、今後五年間を区切りまして、それまでにこれについての
手当を
勧告をする、それまでは
現行の
手当をそのまま存続をするということにいたしたわけでございます。それから、
特別給、いわゆる
賞与でございますが、これにつきましても、ことし調べました結果は四・九八月分ということで結果が出てまいりました。
小数二位以下は切り捨てるという従来の方式に従いまして、本
年度も据え置かざるを得なかったということでございます。
以上は
勧告の
内容でございますが、それに
対応いたしまして、
給与の
適正化、
合理化ということを一つ打ち出しております。これは従来もこの線でやってきたわけでございますが、
臨調等でも指摘されたもののうち、
人事院として今後ともその
方向に向かって
努力すべき点、またやろうと思えばできる点は特に強調をいたしまして、
成績主義の一層の推進、年齢、
地域等の観点からの
給与配分の
適正化等について、
努力目標を掲げて今後やっていこうという決意を表明をいたしております。
それから
最後に、
人事行政諸
施策の
総合的検討については、昨年の
報告におきまして、戦後三十年にわたる
情勢の
変化に適応して
公務員制度全般の根本的な再
検討をすべき時期が来たのではないかということを申し上げた次第でございまして、本
年度はそれの
実行第一
年度ということで、
調査に
重点を置いて本格的に取り組んでおります。大体私たちの現在の考え方といたしましては、六十年に
定年制が
動き出しますその時期を
目標といたしまして、根本的な再
検討の結果が出ましたものを
実行に移すような段取りで
施策を進めてまいりたいというふうに考えております。そのことについて、昨年の
報告を受けて本年はどうするか、これから後はどういうふうな展望で物を考えていくのかということについて申し上げることにいたした次第でございます。
以上が本年の
勧告の
概要でございます。ありがとうございました。
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