○
大出委員 総長もおやりになっておいでになった藤井さんのことでございますから、私も長い討論、議論の相手方でもございまして、そんなに違った認識になるはずがない、そう思っていま承ったのでありますが、私の認識と全く同じであります。
そこで問題は、機が熟した、その時期が来たということでない、だが閣議が決めた。だから先ほど私が言った、
閣議決定が先じゃないか。この
総理府の書簡というのは一体何だ。分限にかかわる問題だから人事院の所管なんだというふうに
考えたというなら、まずもって代償機関の人事院が、一体機は熟したのか、あるいは意見の申し出をすべきときなのか、どう
考えているのかということを確かめるのが先だ。これじゃまるきり人事院無視じゃないですか。ずばり閣議で決めちゃって、決めた中身を後ろに一枚ひっつけている。これは不届き千万ですよ。人事院が何でもかんでも
総理府や
政府の言うことを聞いているなら、人事院の代償機関たる価値はない。
閣議決定一枚ひっつけているだけじゃないですか。表面は三くだり半で、貴意を得たいと書いてあるだけじゃないですか。それを、機も熟していない、その機にもなっていないというのに、ぶっつけられたら出さないわけにいかないから出したと、こう言う。したがって、二十三条の形式はとらなかった、こう言う。そうでしょう。
公務員法には二十二条もある。「人事
行政改善の勧告」というのもございます。しかし、これは人事
行政改善の勧告だ。二十八条「情勢適応の原則」という勧告もある。五%の上下による賃金勧告、これも
国会、内閣です。つまりいずれにもよらなかった。ここにいま御答弁なさっておる総裁の真意がある。そういうことで、この法律をつくったから
審議しろということに無理がある。だから、私はこの法律については、この席から質問をする各党の諸君の意見を十分に聞いて、入れるべきものは入れて改めるべきものは改めてまとめていく必要があると言うのだ。暴走しようったってそれぞれの
公務員の身分にかかわる。さっき申し上げたでしょう。私の出身は郵政省だが、炭鉱離職者だけで五百人いるのですよ。六十でぽんと決められてごらんなさい。年金権がつかないでみんな町にほうり出されるじゃないですか。炭鉱でほうり出されて、せっかく郵政に拾ってもらって、外務員その他やっていたら、また六十で切られたら、年金もつかないでほうり出される。駐留軍の基地に働いている諸君もわざわざ試験種目を変えて、落としてまで郵政省は雇っているのですよ。これだってみんな切られちゃうじゃないですか。だれかこの間答えたそうだが、いかなる年金にも属さない者百二十八名とか言ったそうだが、それは人事院の所管だけでしょう。五現業等見てごらんなさい、そんなことになっていない。だから、そこらのところは皆さんが本当に五百万の
公務員にかかわるんだから入れるべきものは入れて、時間がかかっても大方の意見をまとめてけりをつけなければいけません。
ついてはもう
一つここで承っておきたい。私は、これはやがて
総理にいずれかのところで出てきていただいて承らなければいかぬ、こう思っておるとさっき申し上げましたが、実は本
会議、事本
会議なんですね、本
会議における
総理の答弁なんだ。いいですか、読み上げますよ。いま議事録はないんだ。出てない。いたし方ないから記録部に参りまして、
部長さん以下に
了解をいただいて、皆さんが立ち会ってくださって、その席で私が書いてきた。これしかないんだ。ほかにとりようがない。一字一句間違っていません。「内閣
総理大臣(鈴木善幸君)お答えいたします。
国家公務員の定年制法案と人事院との
関係及び改正法案の趣旨についてお尋ねがありました。この法案は、一昨年八月の
人事院総裁の書簡に盛られた人事院の公式見解に基づいて取りまとめられたものでありますが、
政府としては、この書簡は実質的には勧告ないし意見の申し出と同じものと受けとめているのであります。」これでは人事院は単に利用されただけになってしまう。閣議で決めておいて人事院に書簡をぽんとぶつけた。判断の余地がない。
回答しないわけにいかない。
回答した。したら、意見の申し出、勧告と同等のものだ、だから法律をまとめた、こう
総理が答えた。これで問題にならなければおかしいじゃないですか。われわれ命がなくなったってこの制度は続くのだ。議会制民主主義という制度も、
国家公務員法という法律も改正はあったって続くのだ。そんないいかげんなことを後世に、後から来る方々に、後から身分を取得する
公務員に残せますか。だから問題になるのはあたりまえじゃないですか。いまだに議運で結論が出てないでしょう。私は出してもらいたい。議事録もできない一本
会議の提案
理由の説明の議事録もできないで一体何を
審議するんだ。
審議ができるか。
政府が提案した提案
理由の説明の正確な議事録もない。だから、それに基づく本
会議の質疑応答の議事録もない。ないままで何で一体内閣
委員会で
審議ができるんだ。提案
理由の説明が見られないじゃないですか。そんなべらぼうな話がありますか。そして総務
長官の答弁もここにある。総務
長官「第三のお尋ねでございますが、定年制度という職員の分限の根幹にかかわる事項を法制化するときに、人事院勧告によらずに、単なる
総理府総務長官と
人事院総裁との間の往復書簡に基づいて措置をするということは、労働
基本権制約の代替機能を有する人事院制度の否認を意味するのじゃないかというお尋ねでございますけれども、」これはこの質問のとおりなんだ。「
国家公務員の定年制度は、
公務員制度の根幹にかかわる重要な問題でございますので、
政府といたしましては、人事院の制度の趣旨を十分に尊重して、その意見を求めた次第でございます。これに対して、
昭和五十四年八月に
人事院総裁から見解が表明されました。そうして
総理府総務長官あての書簡という形式をとっておりますけれども、
総理の御答弁でもございましたように、人事院の公式な見解として
政府は尊重しておる次第でございます。」
総理の発言を追認されておるわけですね、総務
長官は。そうでしょう心議事録のとおり一字一句違っておりません。だから議運で問題になるのはあたりまえです。だからきょうも議運どうなりましたかと聞いてみたら、きょうも議運で取り上げられて問題になっている。そっちの方は提案
理由の説明も正式な議事録もできない。にもかかわらず
審議している、これは議会制民主主義違反ですよ。ルール違反。
ところでもう
一つ承りたい。さて議運の
関係者がやりとりをされたその席上で、自民党の加藤紘一さん、当時の官房副
長官、今日の議運の自民党さんの
理事、この方が、われわれの側の不穏当な発言、的確を欠く発言、意見の申し出でもなければ勧告でもない、同等とはどこを押せば言えるのか、これを取り消してくれ、これに対して何とか御勘弁願いたいと言う。なぜならば、当時の事情も知っているけれども、
政府内部でこの間の十六日の
総理答弁、いま私が読み上げた答弁、もみにもんでいろいろあったのかけれども、あの
総理答弁にまとめたのだ、だからこれを何とかされるということになるととんでもないことになってしまう。もちろんこれを取り消すならこの法案を引っ込めてもらわなければいかぬ。うそを言ったのだから引っ込めてもらわなければいかぬ。人事院を単に利用するだけなんだから。その時期も来ていない。意見の申し出をする気もない。ぶつけて取ったのだから、そうして同等というのだから、これはペテンだ。何とかそこのところはと言う。それで話がついてない。私は加藤君をここへ呼んでもらいたいのだ。しかもこのまとめるときに人事院が一枚かんでいるというのはどういうわけだ。これが私は腹に据えかねる。
総理府は人事院にぶつけたのだ、第三者に対して説得力をという、あるいは野党のわれわれに対して説得力をと。人事院の権威をかさに着ようというのだ。それで、実質的にというのだからいいじゃないか、こう言う。やかましく言われたようですな、人事院の方は。それから
政府が
考えるというのだからいいじゃないかと。しかし皆さん、これは大変な問題なんだ。事
公務員法というきちっとした法律で立てられている秩序があります。前の総裁の佐藤達夫さんも人材確保法案を一番最初にぽんとぶつけられたときに、きちっと答弁した。秩序が壊される、これだけは何としても防ぐ、その秩序の中に入れてくるのでなければ認めない。再三がんばりまして、その秩序の中に入れさした。それだけ制度というものは大切なものですよ。みんなが苦労してつくってきているのだから。
国会だって長い間質問してきているのだから。そこで、少なくとも人事院の総裁たるもの、先ほどの答弁のとおり本来実質的に同等などというものはあり得ないのだから、意見の申し出や勧告と実質的に同じもの、同等のもの、そんなものは本来ない。本来ないのははっきりしているのだから、
政府から人事院に物を言ったのなら、本来同等になどというものはあり得ない、認めない、こう出なければいかぬじゃないですか。
政府が勝手にそう受けとめるから。勝手に受けとめられては困る、人事院の意思は
一つしかない、こう言わなければいかぬじゃないですか。それでなければ法律体系や制度は守れないじゃないですか。だれが一体
政府がそう言うなら仕方がないと言ったのか答えでもらいたい。事と次第によってはただではおかぬ。