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1981-04-16 第94回国会 衆議院 内閣委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十六年四月十六日(木曜日)     午前十時三十五分開議  出席委員    委員長 江藤 隆美君   理事 愛野興一郎君 理事 稻村左近四郎君    理事 染谷  誠君 理事 塚原 俊平君    理事 岩垂寿喜男君 理事 上田 卓三君    理事 神田  厚君       有馬 元治君    上草 義輝君       小渡 三郎君    狩野 明男君       粕谷  茂君    亀井 善之君       木野 晴夫君    倉成  正君       田名部匡省君    竹中 修一君       宮崎 茂一君    上原 康助君       角屋堅次郎君    矢山 有作君       渡部 行雄君    市川 雄一君       小沢 貞孝君    榊  利夫君       中路 雅弘君    楢崎弥之助君  出席国務大臣         農林水産大臣  亀岡 高夫君  出席政府委員         人事院事務総局         給与局長    長橋  進君         臨時行政調査会         事務局次長   佐々木晴夫君         科学技術庁計画         局長      園山 重道君         農林水産大臣官         房長      渡邊 五郎君         農林水産大臣官         房審議官    高畑 三夫君         農林水産省構造         改善局長    杉山 克己君         農林水産省農蚕         園芸局長    二瓶  博君         農林水産省畜産         局長      森実 孝郎君         農林水産省食品         流通局長    渡邉 文雄君         農林水産技術会         議事務局長   川嶋 良一君         食糧庁長官   松本 作衞君         林野庁長官   須藤 徹男君         水産庁次長   山内 静夫君  委員外出席者         科学技術庁研究         調整局調整課長 堀内 昭雄君         沖繩開発庁振興         局振興第二課長 塩澤 更生君         大蔵省理財局国         有財産審査課長 高橋 公男君         農林水産大臣官         房総務審議官  角道 謙一君         建設省道路局地         方道課長    本山  蓊君         自治省税務局市         町村税課長   浅野大三郎君         内閣委員会調査         室長      山口  一君     ————————————— 四月十五日  旧勲章叙賜者名誉回復に関する請願小沢貞  孝君紹介)(第二九八五号)  同(加藤常太郎紹介)(第二九八六号)  同(國場幸昌紹介)(第三〇四〇号)  同(稲村利幸紹介)(第三〇七六号)  同(小川平二紹介)(第三〇七七号)  同(小沢貞孝紹介)(第三〇七八号)  同(川田正則紹介)(第三〇七九号)  同(木部佳昭紹介)(第三〇八〇号)  同(菊池福治郎紹介)(第三〇八一号)  同外一件(田中龍夫紹介)(第三〇八二号)  同(藤本孝雄紹介)(第三〇八三号)  同(保利耕輔君紹介)(第三〇八四号)  同(村田敬次郎紹介)(第三〇八五号)  同(松野幸泰紹介)(第三一一八号)  同(吉田之久君紹介)(第三一一九号)  外地派遣旧軍属の処遇改善に関する請願(大原  一三君紹介)(第二九八七号)  旧満州棉花協会等恩給法による外国特殊機関  として指定に関する請願有馬元治紹介)(  第二九八八号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  農林水産省設置法の一部を改正する法律案(内  閣提出第一〇号)      ————◇—————
  2. 江藤隆美

    江藤委員長 これより会議を開きます。  農林水産省設置法の一部を改正する法律案議題といたします。  趣旨説明を求めます。亀岡農林水産大臣
  3. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 ただいま議題となりました農林水産省設置法の一部を改正する法律案提案理由改正内容を御説明申し上げます。  農林水産省農業関係試験研究機関につきましては、昭和三十六年の農業基本法制定を背景に、専門別技術開発を強力に推進する体制として再編されて以来、その整備が進められてまいりました。このような体制のもとで、畜産園芸等作目別技術開発が著しく進展し、わが国農業の発展に多大の貢献をしてきたところであります。  また、昭和五十年代に入って、筑波研究学園都市に十に及ぶ農業関係専門試験研究機関が移転し、世界的水準研究施設を備えた農業研究団地が概成したことにより、広範な分野の研究者が結集して、専門別試験研究を一層深化、発展させ、高度な技術開発を促進する条件が整備されたところであります。  一方、近年におけるわが国農業は、米を初めとする農産物需給の不均衡石油消費型農業からの転換等多くの困難な問題に直面しており、従来の専門別試験研究機関のみでは対応しがたい総合的な試験研究を推進し、地域の実情に即した生産性の高い農業を実現するための技術体系を確立する必要性が一層高まっております。  このような情勢に対処するためには、高度な素材技術開発する専門別試験研究を引き続き実施するとともに、各種の新しい研究手法を駆使しつつ、専門別試験研究の成果をも活用して、総合的な試験研究を推進する体制整備することが緊急の課題となっております。  このため、筑波研究学園都市への農業関係専門試験研究機関の集中の利点を生かし、各機関の協力のもとに、地域農業試験場との連携を保ちつつ総合的な試験研究を推進することとし、この法律案を提出した次第であります。  次に、この法律案内容につきまして御説明申し上げます。  第一は、農林水産省の本省の付属機関として農業研究センター設置することであります。  このセンターにおいては、農業に関する多数部門の専門的知識を活用して行う技術上の総合的な試験研究及び調査を行うとともに、土地利用型農業の再編成中心となる普通作物等に関する試験研究及び関東東海地域農業に関する試験研究をあわせ行うこととしております。  第二は、農業研究センター設置に伴い農事試験場を廃止することであります。  以上が、この法律案提案理由及び主要な内容であります。  何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。
  4. 江藤隆美

    江藤委員長 これにて趣旨説明は終わりました。     —————————————
  5. 江藤隆美

    江藤委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。上原康助君。
  6. 上原康助

    上原委員 いま農林水産大臣から、今回提出されております農林水産省設置法の一部改正法律案趣旨の御説明があったわけです。きょうは余り気乗りもしないのですが、法案も、質問をする人がいないとどんどん通っても困りますので、いろいろお尋ねする面で足りない面もあるかと思うのですが、若干法案関係あるいはわが国をめぐる農政基本的な面等についてお尋ねをさせていただきたいと思うのです。  そこで、まず今回の法律改正の問題との関連でございますけれども、いまも趣旨説明でも少し述べておられましたが、せんだって五十五年十月に農政審議会答申をいたしました「八〇年代の農政基本方向」という中でもいろいろ指摘されているわけです。素人ですのでなかなか全般的なことに触れるわけにはまいりませんが、今回の「農業研究センターの概要−新しい農業を目指して−」というその趣旨の中でもお触れになっておりますが、「我が国農業は、現在、米をはじめとする農産物需給の不均衡、兼業の深化耕地利用粗放化石油消費型農業からの転換や環境問題の発生等多くの困難な問題に直面している。」まさにそのとおりだと思うのです。「今後、これらの問題を解決し、我が国食料自給力維持向上を図っていくためには、農業生産全体を捉えた総合的な視点に立って、生産性の高い農業展開を可能とする技術開発を促進していくことが、強く要請されている。」こういう基本構想に立っているようでありますが、わが国をめぐる八〇年代の農政あるいは農業農業技術開発というようなことはどこらに力点を置いておられるのか、そういった基本姿勢といいますか基本的なお考えといいますか、その面をもう少しお聞かせいただきたいと思います。
  7. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 「八〇年代の農政基本方向」という答申をいただいたわけでありますが、これの基本的な考え方としておりますところは、まず日本型食生活の形成とこれを定着していこうということを基礎にしようということでございます。二千五百キロカロリーを中心といたしまして、たん白質、炭水化物、それから脂肪といったような摂取の割合が日本型食生活において非常に適切である、うまくいっているというのが厚生省の医療審議会からの答申にも出ておるわけでございまして、これが日本のいわゆる平均寿命延長等にも大きな貢献をしておる、こういうことで、先進国においても、この日本型食生活というものを非常に高く評価をして、これらを取り入れる検討を始めておるということも言われておるところでございます。  これを基本にいたしまして、食糧安全保障の問題をどうすべきであるかといったような問題、さらには需要動向に応じた、いま米が余っておるわけでありますから、この米を余らないようにするということを目指しての農業生産の再編成と、どうしてもやはり生産性向上を図っていかなければならぬ、こういう問題、さらには需給調整機能を重視した農産物価格政策というものを今後考慮していかなければならぬといったような問題、さらには中核農家を育成して、地域ぐるみ農村地域社会というものの中で、いま申し上げたような経営規模拡大というようなことを円滑に図ってまいれるような農村地域社会づくりをしていかなければならぬといった問題、また豊かな緑の地域社会づくりやあるいは食品産業というものが非常に大きくクローズアップされてきておるわけでありますが、この食糧供給体制整備消費者対策の充実といったような問題等を含めて、今後の農政をどう進めていったらいいかということを明示したのが、この「八〇年代の農政基本方向」ということでございます。  これと同時に、「農産物需要生産長期見通し」というものを御答申いただいたわけでございます。これを基本といたしまして、これからの農業政策を進めてまいりたい、こう考えておるわけでございます。  需要面では、何といっても米というものはわが国では農村地帯で一番よくできるものでありますから、これを中心にして日本型の食生活を定着させていく、これはもうどこまでも基本である、こういうことでございます。生産面では、国内生産できるものはできるだけ国内生産をしていこう。特に国会で去年の四月に食糧自給力強化決議をちょうだいしたわけでありまするし、その趣旨に従って、やはり国内でできるものはできるだけ国内生産をしてまいるという方針をとっておるわけであります。しかし、小麦でありますとかトウモロコシ、そういうものは、国内えさ分まで生産することはなかなか困難であります。こういうものは、やはり安定的な輸入によるということでありますけれども、それでもうどんとかめん類用小麦は少なくとも国内小麦で賄っていくようにしよう、そういう方向を定め、米、野菜、果実、畜産物など国内生産可能なものは極力国内生産で賄うこととして、需要動向に応じた農業生産の再編成を進めていこう。  次に、農用地利用増進法というものを昨年の国会決議とほとんど同時に制定をしていただきましたので、この法律趣旨に従いまして経営規模拡大を図ってまいる。  さらに、これから御審議をいただく農業研究センター中心にして、品種改良栽培技術改善、これらの問題がこれから非常に重要になってくるわけでございます。えさ米研究等につきましては超多収米、超という字をつけて多収穫を図っていくというような研究にもう入らなければならぬ。遺伝子の組みかえといったようなものも取り入れていくような体制も、これからどんどんと積極的に進めていかなければいかぬ。そういうことで、そこで開発された技術改良普及員の手によって農家の先々まで普及徹底をさせてまいる。同時に、優良農地水資源というものを確保して、農業基盤整備というものを積極的にしていかなければならない。  同時に、最近農村地域社会にも農業者以外の方々の定住が増加してまいりまして、心の通うといったような面で欠けるところが出てきかかっておる面もなしとしない。それではいけないということで、心の通う地域社会としての農村整備という面にも力を入れてまいろう、こういうことを中心にいたしまして、わが国農業に明るい展望を切り開いていこう、こういうことで進めておるところでございます。
  8. 上原康助

    上原委員 いま農政審答申内容とかあるいは農水省としてお考えになっておられる今後の農政に対する基本的なお考えについていろいろ述べておられるわけですが、確かに高度成長から低成長への移行過程で、最近国あるいは地方を含めて農業の見直しというものが強くといいますか、反省点を含めてだと思うのですが、出てきていることは確かだと思うのですね。しかし、なぜ、食糧自給率の面にしましてもあるいは農村の荒廃、離農ということにしても、これだけ深化したかということを、国の農政基本として考えてみる必要があるのではないかという気が私はするわけです。そういったことについては、後ほどまた御専門立場からもいろいろあると思うのです。  そこで、いまお述べになったこと等を含めて、この「八〇年代の農政基本方向」で盛られた盛りだくさんのいろいろな注文がつけられております。もちろんこの種の答申とかあるいは政策計画というものが、そのものどおりに行くとはいきませんけれども、おおよその目標達成といいますか、実現可能性というものはどう見ておられるか、その点についても少しお聞かせをいただきたいと思います。
  9. 渡邊五郎

    渡邊(五)政府委員 八〇年代の農政基本的方向につきましては、ただいま大臣からお話し申し上げましたとおりでございますが、こうした考え方に沿いまして、先般農産物生産需要に関します長期見通しを立てまして、昨年十一月に閣議決定をいたしまして、わが国農産物の全体の十年後のガイドポストというものをお示しして、一般の御理解を得るとともに、農政の向かうべき方向を指し示した、このような作業をいたしまして公表したところでございます。
  10. 上原康助

    上原委員 ですから、いまおっしゃった昨年十月の農政審答申、それに基づいてたしか十一月に閣議決定がなされていますよね。その参考資料としていろいろ出ておりますけれども、これは長期見通しとして、目標は、需要生産の比較とかいろいろ出ておりますけれども、それは達成可能だというふうにお考えですか。
  11. 渡邊五郎

    渡邊(五)政府委員 私どもこの作業をいたします際にも、ただいま先ほど来お話し申しましたような、これからの需要の形態を、日本型の食生活の確立、定着、かつ生産につきましては、そうした需要に見合う農業の再編成ということによりまして達成できる、また達成すべきものとして私どもは想定しておるわけでございます。もちろん各般の経済社会変動等はございますが、こうした方向に向かって私どもは進めていきたい、ぜひそういう方向に進めることによって、わが国農産物自給度向上等を図ってまいりたい、こういうことを念願としておるものでございます。
  12. 上原康助

    上原委員 そこで、自給率を高めていくということは国会決議もなされておりますし、また農水省としても、そういうお考えで進めておられる、同時に政府全体としてもそういうお立場だと思うのですね。しかし、奇異に思うのは、長期見通しによると、一例ですが、穀物自給率はたしか五十三年度は三四%ですか、しかし、六十五年度になると三〇%にもっていっているわけですね。これはかえって減にしかなっていない。なぜそういうことになるのか。穀物自給率向上こそいま国民の期待もあると思うし、同時にまた、後ほど少し触れますが、食糧危機ということが八〇年代半ば以降あるいは九〇年代にかけて、紀元二〇〇〇年にかけて大変指摘をされているさなかに、こういう計画では果たしてどうなのかという疑問を持たざるを得ません。その点はどのようにお考えなのか、どう御説明なさるのか、ひとつお聞かせいただきたいと思うのです。
  13. 渡邊五郎

    渡邊(五)政府委員 お答えいたします。  先ほど来申し上げております長期見通しにおきましても、わが国農業生産につきまして需要に見合うようにできるだけ生産を高めていくという際に、まず第一義的に必要なものは、わが国生産が可能でありかつ国民生活に直結するものといたしましては、やはり目下の重要な作物といたしましては小麦大豆飼料作物、こういうふうに私ども考えております。したがいまして、現在進めております水田利用再編対策におきましても、こうした作物自給度をまず高めていかなければならない。そうした観点で、先ほど大臣からもお話し申しましたが、小麦につきましては、日本めん用の全部を賄っていく、大豆につきましても食品用、納豆、みそ等でございますが、こうしたものの六割はわが国で自給できるようにいたす、飼料作物につきましてもほぼ六割増という大幅な増加をいたしまして、国内自給度を高めていく、こうしたわが国におきまして可能なものについてまず高めるべきであろうと考えておるわけでございます。これが第一点でございます。  第二点として、それならば穀物自給率がなぜ下がるかという御指摘でございます。この点は、先生も御承知のように、わが国中小家畜、豚、鶏の類でございますが、これらはほとんど輸入によりますトウモロコシマイロ等穀物を大量に消費していることは事実でございます。これらは非常に粗放的な大経営におきまして外国では生産されておりまして、トン当たりのコストにいたしましてもきわめて安い、こうしたものはわが国においていま直ちに生産が可能でないというのが今回の見通し立場に立つわけであります。十年を見通しますと、これらの豚、鶏等中小家畜需要増は、従来よりも伸び率は低いのでございますけれども、若干とも伸びていく、そうしますと、その若干とも伸びていくのに見合います輸入増加はやむを得ないというふうに私ども考えておるわけでございます。したがって、結果的には三四%が三〇%にはなりますが、こうした問題については恐らく御指摘もあろうかと思いますが、たとえばえさ米問題というような問題も御指摘を受けておりますが、こうした問題が現実的に可能性を持って見通せるという段階でございません。そういう段階としては、私どもは、これらの輸入飼料穀物等については安定的な確保を図って、国民生活を安定させるように図るべきだろう、そういう立場に立ちまして自給率を算定いたしたわけでございます。
  14. 上原康助

    上原委員 ちょっと納得しがたいのですが、そうしますと、情勢の変化とかあるいは国内生産また輸入量問題等々の関連においては、やはり相当変動といいますか、修正をしなければいけないような感をいまの御答弁は受けるわけですね。そういう面で疑問をはさまざるを得ない。  そのほかにもございますが、それはまた後ほどお尋ねするとして、そこで、いまのことと基本的な面と関連をしていくわけですが、私は、これからの国民食生活といいますか、あるいは世界的な食糧危機というものが言われている中では、食糧安全保障というものをどう確保していくかということが重要な政治課題だと思うのですね。確かにいま日本は、米は余る、その他の食物にしましても何不自由はしない、こういう環境に置かれているわけですが、しかし、一たん言われているような国際危機あるいは有事が仮に起きたとする場合には、海洋国である日本立場としては、食糧確保ということなくして国民生活の安全というもの、平和というものが成り立たないと私は思うのですね。そういう観点から食糧安全保障という面でちょっとお尋ねしてみたいわけです。  御承知のように、昨年夏のアメリカの熱波による食糧減産あるいはソ連の二年続きの不作や、中国も最近非常に不作だと言われておりますね。そうしますと、先進国あるいは大国がそういった食糧不作が出ているということと、日本でも昨年は冷害でいろいろ問題を醸しております。そういった天候不順による世界的な食糧減産という徴候がわが国に及ぼす影響というものは、全く考えられないのかどうか。そういうことに対しても、やはりこれからの農政においては少なからず考慮に入れた食糧備蓄とか在庫の点検といういろいろな面に配慮をしておく必要はないのかどうか。いまはそういう事態でないと言えばそれまでかもしれませんが、やはり国民としては関心のあるところだと思うのですが、そこいらの点はどうお考えなのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  15. 渡邊五郎

    渡邊(五)政府委員 御指摘の点はごもっともでございまして、農政審議会におきましても、先般非常に御議論を重ねていただいた点でございます。そうした事態の想定といたしまして、世界的な穀物不作というような問題もございましょうし、また港湾ストというような非常に短期的なトラブルのような事態もございます。さらにそうした事態が長期化するというような事態も想定しなければならないかと存じます。  私ども短期的な問題といたしましては、やはり輸入安定化という意味におきまして、外交的な折衝におきます密接な連携をとって、輸入農産物等につきましては十分な確保をしていくことも必要でございますが、また同時に、こうした短期的な変動に対しましては、備蓄対策をとるべきである。すでに御承知のように、主食たる米の在庫は昨年の十月末で六百六十六万トンもございます。食糧用小麦在庫につきましても、外麦需要の二・六カ月分を食管で確保いたしております。そのほか民間在庫も約一カ月ございます。飼料穀物につきましても、先ほど申しましたトウモロコシ等でございますが、これらにつきましても、特別の助成をいたしまして、配合飼料の主原料の一カ月分を備蓄機構備蓄させております。民間におきましても、このほか一カ月程度の備蓄をする。大豆につきましても、同じくそうした備蓄の組織によりまして食品用大豆需要の約一カ月分、そのほか民間保有通常在庫で約〇・七カ月分というようなことで現在備蓄対策をとっておるところでございます。  ただ、これらにつきましては、さらに拡大するように五十六年度予算でも要求いたしまして、拡大いたしますが、こうした短期的な対策とあわせまして、将来におきます長期的な課題もございます。不作が相当続いたというような事態に対しましては、食生活自体日本型の食生活のような、タイプとして余り輸入に頼らない食生活がやはり必要で、欧米型と違った日本型の食生活基本的には必要だろうと存じますが、同時に、そうした事態に備えての担い手の育成を中心にしました農地なり水資源確保等の総合的な対策が必要だろう。審議会過程におきましても、輸入農産物が半減あるいは三分の一減になったどきの所要カロリーなり、それに伴います生産展開なりについていろいろな検討をいたしましたが、なおこうした問題につきましては、いろいろなそのときの石油の問題あるいは資材の問題、労働力問題等なお広範に検討すべき課題があるという御指摘を得ておりますので、先般来省内にこうした問題についての安全保障に関する特別なプロジェクトチームをつくりまして、多少時間はかかりますが、真剣に検討してまいりたい、このように考えております。
  16. 上原康助

    上原委員 そこで、食糧の不測の事態への備え、備蓄問題等がこの基本方向にも触れられて、いまその概要的なものをお述べになったのですが、一つには備蓄には大きな負担が伴うということだと思うのです。それに適正な在庫量というのは、どれだけを確保しておくかというようなこととか、備蓄の規模、主体、負担のあり方あるいは国民的な合意と協力を得る必要があると思うのです。石油の場合もよく六十日から九十日あるいは百日、百五日ぐらいにいまなっているかと思うのですが、そういった方向性というものも、ある程度計画を立てて、不測の事態の場合でも国民生活の最低限度の食糧確保は大丈夫だということをぜひやっておく必要があるんじゃなかろうかという点、これは何も戦争危機とかそういうことじゃなくして、仮に不作がずっと続いていったという場合と、いまさっきも申し上げましたが、現在の世界人口が二〇〇〇年ごろには倍の八十億にも達するんじゃないかという国連の推定も出ているわけですね。FAOの「二〇〇〇年に向けての農業」という報告書によっても需要が非常に増大をしていく、さらに開発途上国の人口増大に伴う世界の食糧事情というものが危機的状況に達していくんじゃないかということも指摘をされている。そういう面への、開発途上国へのわが国のいろいろな海外援助、経済援助ということも、食糧を含めて考えながら、国民食糧確保というものを健全ならしめる、こういうことも私はやはり考えておく必要があるんじゃないかという考えを持つ一人なんですが、この点については大臣はどうお考えですか。
  17. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 全く同じ考えを持つものでございます。したがいまして、農政審議会においても、これはにわかに結論は出せない、したがって、機関を設けてさらに検討を進めろということで、当省としましても、その機関を設けましていま検討に入っているところでございます。  いまのところ、御承知のように、今年はもう絶対大丈夫、それじゃことしもし去年ほどの不作であった場合にはどうなるか、こういうことでございますが、たとえそういう事態になったといたしましても、来年いっぱいは大丈夫ということでございますので、とにかくできるだけ早く食糧安全保障体制のもとにおける備蓄の問題をどうすべきであるか、あるいは備蓄量はどのくらいが適当であるのか、また備蓄をすれば、それは当然古米というような形になっていくわけでありますから、二年備蓄した後のその取り扱いをどういうふうに見ていくのかといったような問題を、どう取り扱っていくかというような問題についての結論を早急に出さなければならぬということで、いま検討をいたしておるところでございます。
  18. 上原康助

    上原委員 この件であと二点ぐらい。  一つは、政府の方に総合安全保障会議というのができて、たしか九名の閣僚で構成されて、農水大臣もそのメンバーのお一人だと思うのです。したがって、いまのことはぜひそういった総合安全保障の中で食糧安全というもの、食糧確保ということをどう位置づけていくかということも積極的に御提言をいただきたいということ。またいまお答えになったような姿勢で臨んでいただきたい。ややもすると、総合安全保障とか安全保障ということを言うと、すぐ軍事面だけが先行してしまって、本当に国民生活に重大な影響を及ぼすであろう食糧の問題あるいはその他のことについては常に二次的、後追いをする可能性なきにしもあらずなんですね。私たちなんかも沖繩戦で食糧難で非常に苦しめられたのです。本当に黒砂糖の一かたまりを持って谷間をさまよいながら飢えをしのんだという経験を持っておるわけですね。そういう面からしても、食糧事情というもの、万一の場合の食糧確保というものがいかに国民にとって大事かということ、このことはぜひこういう面でも反映をさせていただきたいということを注文をつけておきたいと思うのです。  それと、米ソの動きを見ましても、八〇年代後半あるいは今後は食糧というものが非常に戦略物資として使用される可能性があると思うのですね。アフガンへの侵攻問題をとらえても、いろいろ経済制裁を加えた、あるいはまた逆の方もあると思うのですが、そういう面からすると、必ずしも軍事面だけが戦略武器として、戦略というか武器として使用されないというこれからの問題が出てくると思うのです。こういうことも考えた場合には、日本としてはもっとこういった経済力あるいは余剰米というものを効果的に利用していく、活用していくという方向も出てしかるべきじゃないのか。  御承知のように、現在アフリカあたりでは、相当の難民がいて食糧危機に瀕している、あるいは餓死寸前、そういった面でまさに死に追いやられているという状況が出ているわけですね。カンボジア難民しかり、あるいはその他のアジア、中近東諸国においてもそういう状態が出ている。そうしますと、国民感情として、私は、これだけ日本は古々米、古々々々米、お米も余っているという状態にあるということならば、そういった飢えに耐え切れないで死者まで出している難民対策として、食物、食糧を与えていくというような積極的な姿勢を日本側としてはもう少し考えてもいいのじゃないかという気がしてならないわけですね。これは外務省なりいろいろな関係があろうかと思うのです。しかし、実際問題としては、農水省の意思も相当重きをなすと思うのですが、この面についてももっと積極的にイニシアチブを農水大臣がおとりになるなりあるいは政府全体として考えるなり、総合安全保障政策の中で提言をなさるなりしておやりになったらどうかと思うのですが、いかがでしょう。
  19. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 もう御趣旨は十分理解できるわけでありまして、したがいまして、そういう援助要請のあった国々に対しては、できるだけやってきておるわけでございますが、何しろ米を輸出しておるアメリカでありますとかタイでありますとかカナダでありますとかいう国々が、日本の古米を輸出いたしますと、援助でありましてもクレームをつけてくるわけでございます。大変自分たちの商売のシェアを荒らされるという意識なんでしょうか。したがいまして、国際機関の了承を得ながら援助をしておるというのが実態でございます。したがいまして、日本だけの考えで援助をしていくということがなかなかむずかしいという現実のあることをひとつ御理解いただきたい。食糧庁といたしましても、そういう趣旨を果たすために精いっぱい努力をいたしております。  詳しいことは、長官から御説明を申し上げます。
  20. 松本作衞

    ○松本(作)政府委員 過剰米を食糧の困っている国に輸出する点につきましては、現在過剰米処理計画に基づきまして輸出を行っておるわけでございますが、従来までの実績といたしまして、五十四年度におきましては、全体で玄米換算約九十三万トン出しておりまして、その中におきましては、延べ払いといたしましてバングラデシュ、シエラレオネ、タンザニア等がございますし、また無償援助といたしましてバングラデシュ、セネガル、タンザニア、マダガスカル等々東アフリカの国が含まれております。それからまた五十五年度におきましては、七十一万トンの輸出をいたしましたが、その中におきまして、延べ払いといたしましてはバングラデシュ、モザンビーク、タンザニア、マダガスカル等でございますし、また無償援助といたしましてもバングラデシュ、シエラレオネ、ケニア、ザンビア等の国が含まれておりまして、ただいま大臣もお答えいたしましたように、われわれとしては努力できる範囲で輸出をしておるつもりでございます。
  21. 上原康助

    上原委員 それは確かに国際的な問題ですから、いろいろASEANあるいはアメリカその他豪州等々の言い分もあろうかと思うのですが、せんだってASEAN諸国を総理が御訪問なさったときも、ASEAN諸国との農業技術提携あるいは食糧問題等々触れられておりますし、より積極的にひとつこれからも御努力をいただきたいと思います。  そこで、次にお尋ねしておきたいことは、行政改革問題が非常に強く出されてきております。恐らく農林省としても、内心どうなっていくかというお気持ちを相当お持ちの面もあろうと思いますし、また内閣全体として行革を進めていかなければならないという方針からすると、らち外に置かれるとは思われないわけです。そこで、細かい議論は第二臨調の答申なりいろいろ出た段階でやらなければいけないと思うのですが、最近は行革行革で、行革の二字の出ない新聞はないほど行政改革問題が出ておるわけです。われわれも基本的には改革すべき面あるいは是正すべき面いろいろあると思いますので、検討なりそれぞれの立場で勉強も進めているわけですが、新聞報道などによりますと、たとえば五十七年度予算は八%ないし一〇%の補助金削減をしていくのだ。いうところの補助金の一律削減。私たちは基本的にこの考え、やり方には反対なんです。そうしますと、どうしても弱者の方に比重が置かれてしまう、あるいは切ってはならない補助金などがばっさりやられて、また力の強い方だけが温存されるという結果が出てこないとも限らぬ。そういう面で非常にむずかしい面が出てくると思うのですが、たとえば農林省の予算を見てみますと、深くは勉強しておりませんのでよくはわかりませんが、いろいろ説明を受けたところでは、相当合理化も進めておられるようではありますが、五十六年度ベースで見ますと、補助金件数が千百二十六件、金額にして二兆六百十二億というふうになっておりまして、農林省予算の六〇%以上を占めているという状況のようであります。こういう面からしましても、相当農林省というのもにらまれるといったら変な言い方ですが、一応削減対象になる省庁と見て差し支えないんじゃなかろうかと思うのですね。こういうことに対して、農林水産省としては、あるいは農林大臣としてはどのように行革なり補助金問題なりを今後進めていかれるのか、少しく御見解を聞いておきたいと思うのです。
  22. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 鈴木内閣として、行政改革は断行しようということで総理が政治生命をかけるとまで申されておるわけでありますので、私どもも国務大臣の一人として、内閣として一致団結してこの目標を達成しようという基本的な気持ちでおるわけでございます。  しからば、農林水産省としてはどういう取り組み方をするかということは、これは大変大事なことでございます。大事ではありますけれども、やはり知恵を出し、手法を検討し、そして今日までの補助金にもそれぞれ検討を加えまして、最終的には内閣の企図するところを実現しなければならない、こういう構えでいるわけであります。  先般の閣議でこういう話が出ました際に、閣議終了後本省に帰りまして、事務次官以下事務当局に対しましても、その知恵を出すこと、手法を考えることと今日までの補助金に対する検討を始めるように指示をいたしたところであります。そして第二臨調でどのような答申が出ますか、私は事農業、命から二番目の大事なもの、食べ物をつくる農業、そしていざとなった場合にはこれがなければどうにもならぬという大事なものをつくる農業、それに対していろいろ経済合理性だけで論議をしておるような面もあるわけであります。あるいは過保護であるとかなんとか言っております。しかし、この高度所得国家とでも申しますか、日本で経済合理性だけでやったら、農林業を積極的にやるなんという人がだんだんなくなってしまうようになることは火を見るよりも明らかであります。そういう点を考えますと、私はそういう点は、臨調の土光委員長初め委員の皆さんは、そう筋の通らない答申はしないであろうということでございまして、これが筋が通らないということになりますと大変なことになるわけであります。国全の決議にも、食糧自給力を強化しろというふうに国権の最高機関の意思決定がなされておるわけでございますから、われわれ政府としても、特に所管大臣の私といたしましては、その国会決議を尊重して、自給力を強化して、そして国民食糧供給に責任を持つ者としては、これはやはり筋の通った、だれが考えてもこれなら協力すべきであるという線が答申されるもの、農林省だけいじめられるなんということはさらさらない、これは総理にも確認をいたしておりまして、総理も、農林省だけ目のかたきにするようなことはしてはならぬし、できないよというようなことも言っておられますから、この点は、私はやはり行政改革はしなければならない、筋の通った形で工夫をこらしてやっていかなければならない、非常な苦しみも経なければならぬということも覚悟をいたしております。
  23. 上原康助

    上原委員 御心境、御心中を察して、この問題はきょうはこの程度にとめておきたいと思うのです。なかなか複雑な問題が——別に総論賛成、各論反対を言っておるわけじゃないのです。予算面から見てもそういう比重でありますから、基本的なお考えだけお尋ねしたわけであります。  そこで、次に法案に入っていきたいと思うのですが、せんだって三月十六日に委員長を初め私、筑波の農業研究センターを大急ぎでしたが、視察をしてまいりました。行って感じたことは、筑波の学園都市全体そうですが、あれだけ豪華な施設をよくもつくったものだ、いまの財政、経済状況ならとてもじゃないが手も足も出なかったんじゃないかということで、あれをどなたが構想したかわかりませんが、相当思い切ったことを考えた先人がおられたものだと思ったのですね。しかし、外観を見ても内部の施設を見ても、われわれ素人から見ても非常にりっぱにできているような感じがいたします。ある面では余りりっぱ過ぎて環境がよくて、学者の方も研究が少しおろそかになるんじゃないかという感じもしないでもないのですが、そういう環境下でいろいろの研究をやるということも大事でありましょうが、この種の農業研究センターのメリットというものが、地域農業とかあるいはほかの県の試験場、そういう面と他の公共団体と連携してどう生かされているのか疑問を持つのです。先ほど大臣のお考えでも、熱帯研究センターなりその他でやるのは、その成果を末端の農家まで伝授というか伝達していくのだというようなことをおっしゃっておったのですが、果たしてそういうルートが確立されているのかどうか、私なりに大変疑問を持ったのですね。単なる研究者なり研究員の研究で終わっている面があるんじゃないのか。多額の国費を投資しておるわけですから、それでは困ると思うのです。場合によっては、そういう面にまさに行革のメスを入れなければならぬ、こういうことになるかもしれない。そういうことのないようにするには、せっかくの施設や研究成果というものをもう少し効果あらしめるように積極的にやっていただきたいと思うし、またやっていただいておるのかわかりませんが、そこいらの関連について、少し御説明と御見解をお聞かせいただきたいと思います。
  24. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 上原委員も御承知のように、日本の米作一つを考えてみましても、米は南方性植物でございますから、われわれの子供のころは、こういうふうにしてたたいたりこいたりしてやるものですから、脱粒性、早く落ちる方がいいという時代もあったわけであります。現在もASEAN諸国に参りますと、米そのものが非常に落ちやすい。ですから、農機具を持っていってコンバインを持っていってなんというと、とても脱粒が激しくて機械が入らない、こういう現状も見てまいりました。脱粒性の強い米を、いまコンバインにかけても脱粒をしないという品種に改良してきた、この技術というものは、日本の米作にとっても非常に大きな技術陣の貢献である、こう思いまするし、さらに去年の冷害では考慮が若干足りずに大被害を受けたわけでありますが、とにかく冷害に強い品種、藤坂系統の種類でありますとかあるいはいもちや病害虫に強い品種、そういう品種をつくり上げてきたこの農業技術というものは、私は非常に高く評価していい、こう思います。  現在でもえさ米等の研究に取り組んでおります。さらには野草を牧草化する研究等にも取り組んでおります。さらにバイオマスといったような新しい分野にも挑戦いたしております。それぞれの優秀な技術者諸君が新しい品種を一つつくるということは、日本農業進展のためだけじゃなく、農家の収入増にも大きく貢献してくるわけでございます。特に東南アジア等の国々から技術的援助を非常に強く要請をされております。そういう際には、熱帯関係の試験場も筑波にできておりまするし、また沖繩にもそういう試験場を設置をいたしまして、熱帯に所在する国々に対する技術援助等の際の研究も続けていかなければならない。  そういうことで、私は技術面の貢献というものが日本の農、林、水、畜産関係においても非常に大きな成果を上げておる、こう思います。リンゴを見ましても、ナシを見ましても、桃を見ましても、花卉類を見ましても、世界のどの国に比較しても相当進んだ品種改良をやっておる。ところがその速度がなかなか暇がかかるという面もあるわけであります。新品種をつくり上げる時間をできるだけ短縮していくというためには、総合的なセンターも必要である。そしてそれらのものをうまく組み合わせて、農業経営の上にどういうふうにしてかみ合わせていったならば、農家経営が本当によくなるかといったような研究になりますと、いままでは机の上でという感じが非常に強かったわけでありますが、そういう問題については、試験場を中心にした総合的な試験研究というものを取り上げていく、そして県の試験場と国の試験場と専門的な試験場をうまく行政的に組み合わせていく機関がいままで残念ながらなかったわけであります。それを今度つくっていこう、こういうことでこの法案を提出させていただいておる、こういうことでございます。  私も就任しますとすぐ筑波を見てまいりました。確かによ過ぎるというような感じを持つ面もありますけれども、ああいうところに入った以上は、ぼやっとしておってはいけませんぞと言ってしりをたたくためにも、ああいう施設でいいものが出てこないというようなことであったんでは、もう国家公務員たる技術者の資格なし、こう言ってもいいわけでありますので、そういう意味で、私はこの技術関係については、さらに重点的な扱いをしていきたい、こう考えております。
  25. 上原康助

    上原委員 私も何も成果が全然上がっていないというふうに言っていませんし、研究員といいますか、公務員の皆さんのこれまでのいろいろな御苦労、その努力を高く評価する一人です。品種改良とかいった試験研究というものは、そう短期間にできないですよ。最低十年サイクルだということも聞かされまして、それはそれなりに素人でも理解できるわけですが、いま後段でおっしゃった面が、どうも縦割りだけになって、横との関係、提携が日本の行政の仕組みには非常に欠けているのじゃないのか。今度このセンターができれば、その面は改善されるということですので、そういうふうに期待をしたいわけです。  私はせんだって筑波を見ました。また筑波の関係者も、大臣が御就任早々筑波まで足を運んで見ていただいたということで大変感激しておりました。ほかの大臣で来た方はなかったとかなんとか私の記憶ではそんな説明でした。そういう意味で、せっかく農業研究センター法案が出されるのだと思って、私は私なりに、足元を見ないでは議論もできまいと思って、四月三日に沖繩の石垣市にある熱帯農業研究センター沖繩支所へ行ってみたのです。それで沖繩総合事務局の農水部長の樋口さんに大変お世話をいただいたことに心から敬意を表しておきたいわけですが、宮良川の農業水利事業あるいは名蔵川の農業水利事業等々も見てまいりました。また県の肉用牛生産供給公社、農用地開発公団の石垣開発事業所等々にも行って、実際に職員の皆さんなり関係者から意見も聞いてきたわけです。  熱帯農業研究センターの沖繩支所は設立されてから十年になるようであります。設立されたのは昭和四十五年の六月のようですね。復帰前です。それから十年になったということで、ここに「熱研沖繩支所研究十年」というパンフも出しているわけです。ここで非常に不思議に思ったことは、正直申し上げて、地域の方は、ここは全く別世界のような存在だと言っているのですね。隣には県の農業試験場石垣支場もあるのですよ。そことの連携も余りないようなんですね。御承知のように、あの地域だけは特別区域みたいにもくもく防風防潮林が生い茂っておって、ほかは土地改良事業なんか進めておって大変りっぱになりつつあるのですが、そういう環境で果たして皆さんが当初設立のときに——私もにわか勉強ですが、一つと調べてみたのです。沖繩支所を設立する段階においては、「熱帯及び亜熱帯農業研究においては、熱帯及び亜熱帯農業技術プロパーの研究のほか、亜熱帯地域における作物の導入、馴化を通じて熱帯、亜熱帯間、さらには温帯を含めて適作の拡大、品種の向上等に資する研究を行うことが重要である。」とか、一、二、三とありまして、四点目では「熱帯農業研究センター沖繩支所は広く亜熱帯について、また熱帯、温帯とも関連した一のような研究を実施するものであるが、このことは当然沖繩農業の振興に寄与するところ大なるものがあると考えられる。」ということで、大変期待をされたわけなんです。また現在も私たちは期待しているわけなんですが、残念ながらこの十年間の研究成果というものは、研究支所そのものとしては相当上げておられると思うのですが、その波及効果というものがなさそうな気がしてならないのです。また職員の皆さんもほとんど地域の方々との接触というものが持たれていないような感じを受けました、私の誤解かもしれませんが。そういう面からして、もう少しここの運営なり、あるいは閉鎖的と言ったら言い過ぎかもしれませんが、そういった面は本省として少し御努力をいただいてみる必要があるんじゃなかろうかという気がしてならないわけです。その点皆さんはどのように御認識しておられるのか、お聞かせいただきたいと思います。
  26. 川嶋良一

    ○川嶋政府委員 沖繩の熱帯農業研究センター支所につきましては、ただいま先生からいろいろ御指摘いただいたような状況があるというわけでございますが、あそこの支所は、亜熱帯の農業につきまして作物あるいは病害虫、土壌肥料、各方面からいろいろ研究をしているわけでございますが、先ほど先生御指摘の四番目というところでお話のございました地元沖繩の農業に対する貢献ということを具体的なこととしては考えているわけでございます。研究そのものは大変抽象的あるいは基礎的でございますけれども、その成果というものは、地元に直接波及していくということを私どもは念願をしてやっているところでございます。  ただ、研究の性格上、国と県、あるいは研究と普及、行政、こういったようないろいろな役割りがございますので、研究機関が直接普及とかいったことをやっておりませんので、外から見ますと、何か遊離したような感じを持たれることが非常に多いわけでございますけれども、私ども研究機関の役割りとしては、いいものをつくっていくということが使命でございます。できたものを県なり普及員なりにいろいろと普及していただく、その交流はお互いに密接にやりながらやっていくということになっておりますので、そこのところは御理解をいただきたいと思います。しかし、研究の性格上、どうしても内部にあるいは個別に深化をしていくということから、どうしても周りを離れて当面の目標に非常に執着をしていくという点から、とかく個別、遊離していくという傾向もないわけでもありませんけれども、一方ではそういうことが非常に必要であるということと同時に、広く技術化をしていくためには、いろいろな関係の方々に開かれた研究機関が必要であるということもあります。これは沖繩の支所ばかりではございませんで、今回の農業研究センター趣旨そのものがそういったようなことを強力に推進していこうということでございますので、これから私ども大いに努力をしてまいりたいというように考えておるわけでございます。  なお、沖繩の支所につきましては、まだ十年でございますので、これからますますいろいろ成果が出ると思いますけれども、あそこから出ました技術としまして最近非常に大きな成果を上げておりますのは、ウリ類の大害虫でございますウリミバエの技術開発の発端があそこから出ておりまして、その成果がだんだんと広がりまして、最近久米島でウリミバエの根絶という大事業をなし遂げたというようなことがございます。あそこから出たいろいろなものがいろいろな形を通って沖繩の農業の発展に大きく寄与しているというように私どもは認識をしているわけでございます。  そのほか、サトウキビとかパイナップルの品種改良ですとか、非常に瘠薄なサンゴ石灰畑の土壌改良ですとかいろいろ努力をしているわけでございますけれども研究深化と同時に、そういったような地元との関係を深めていって、自分たちの成果がよりよく早く普及されていくということは必要なことでございますので、私どもあるいは現地の研究者一丸となって今後努力をしてまいりたいというように考えているわけでございます。
  27. 上原康助

    上原委員 ぜひもう少しそういった面の改善を、助言といいますか、していただきたい。私も、時間もそうありませんでしたから、そんなに専門でもありませんし、深く聞きませんでしたが、特にいまウリミバエそのものの研究については相当成果を上げてやっているし、そのほかでも、この「研究成果、成績概要集」専門書なのでわれわれが見てもよくわかりませんが、相当やっているのはわかるのです。しかし、そのことが沖繩農業振興にどう役立っているかという面が非常に欠けているような感じがします。たとえば、ではサトウキビの品種改良とか種苗育成、そういうものについてはどういう御研究をなさっているのか、パイナップルの品種改良、そういうようなのはどうなのかと聞くと、パインについては、県の名護の農業試験場に種苗を取り寄せて向こうでやっているんだというのですね。キビについては、首里にある県の農業試験場でやっているんだという説明であって、向こう独自ではやっていないという感じを受けたのです。私は後日またそういった面も調べてみたいと思うのですが、仮にやっているにしても、もう少し相互に交流を図り連携をとって、よりましなものを早目に育成していくということはできないことじゃないと私は思うのです。せっかくあれだけの施設があるわけですから、そういう点を少しお考えになっていただきたい。それを法律ができた段階においては十分やっていただきたいということを御要望申し上げたいと思います。  この「十年の歩み」の中で「今後の問題点」ということで指摘をされております。恐らくお持ちだと思いますが、十一ページに「組織の見直しと改善」ということが言われております。やはり現地におられる方々は現地なりにいろいろ問題点を指摘しておられる。十二ページに「(1)亜熱帯農業技術開発研究の充実」ということでいろいろ挙げておりますね。三項目挙げている。それから「(2)国内研究の領域拡大」「(3)地域対応(沖繩県)」。それから「支所運営上の問題点」これはさっきの行政改革問題とも絡むのですが、こういうふうに述べているのです。「支所は研究体制をとり、各室は研究室長と研究員が一−二名で構成されているが、室員は研究室長を含めて一人一人が別々の分野を担当している。例えば、第四研では問題の多いサトウキビ、パイナップルの育種研究を二名で担当、第二研ではウリミバエ、サトウキビの土壌害虫およびウイルス病についてそれぞれ一名で担当している。このような状況では、沖繩対応はもちろん亜熱帯農業技術開発研究にとっても問題である。」そのほかたくさん書いてありますけれども、そういう面で、やはり組織上の問題、人員の問題、研究員の問題等があるのだということが指摘をされております。五十六年度で二名か何名か増員をなさったようでありますが、そういうことについても継続してこの種の充実強化を図る必要があるのじゃないか。  いま一つは、特にASEANなり亜熱帯地域との研究員の交流の問題と、支所独自でのいろいろな研究機関を持つところまで——まあ最近国際センター設置問題等も出てきましたので、そういう面とも関連をさせて、もう少し本格的に亜熱帯農業をどうするのかということと、沖繩農業振興に役立てていく機構充実というものを将来展望としてやはりやっていただかなければいかぬ。そのことは、わが国全体の農業に寄与するところも私は大なる面があると思うのですね。そういうことについてはどのように改善策をお持ちなのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  28. 川嶋良一

    ○川嶋政府委員 沖繩の支所につきましては、十年たちましてほぼ建設時代を終わりまして、これからいろいろと発展をしていく時代ではないかと思っております。今日まで十年間に研究室あるいは人員、施設等の整備を年々重ねて強化をしてまいったわけでございますけれども、これからはいままでの成果を踏まえまして、これからいろいろと東南アジア等の国際的な協力関係も発展をしてまいるということでございますので、今後ともそういったような点については研究の一層の発展を図り、またいろいろと各方面から期待されている面につきましても十分任務を果たせるように努力をしてまいりたいと思っておるところでございます。
  29. 上原康助

    上原委員 いま私が申し上げたこととの関連でお答えあったわけですが、亜熱帯農業振興あるいは沖繩の農業振興という立場で、この支所の強化措置について大臣の方はどういうお考えなのか、少し御見解を聞いておきたいと思います。
  30. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 沖繩をASEANの人材養成なり技術研究なりいろいろな面のセンターにしようということを日本から提案をして、各国とも賛意を表してくれておるわけでございますので、やはりその方向に向かいまして施設あるいはもろもろの機関設置等について具体案をつくっていかなければならぬ、こういうことでいま鋭意勉強、検討中でございます。
  31. 上原康助

    上原委員 ぜひその検討なさっておられることが、いまの熱帯研究支所との連携あるいは今度できる国際センターとの関係等も含めて、地域並びにASEAN諸国にも十分寄与できるように組織、陣容等々を強化していただくことを要望申し上げておきたいと思うのです。  そこで、こういうこととも関連いたしますが、せっかく大臣がおいででありますし、沖繩の農業問題について、そのほかでもちょっとお尋ねをさしていただきたいと思うのです。  私たちは、従来から沖繩にはもっと国立の農業試験場とか研究機関設置すべきだということを主張をしてまいりましたが、なかなか現状ではむずかしい状況もありますが、そのことも今後の研究課題としていただきたい。  それで、私は四月六日に、東村の宮城にある原原種農場、これは五十三年の七月に設置を見ました。さらに今帰仁村の諸志の沖繩県畜産試験場の移転整備計画がいま進められておるのですが、そこも視察をしてまいりました。原原種農場はまだ建設途上でございまして、なかなか十分とはいえませんが、相当期待をされて、すでに種苗も作付をされておったところもあります。そこでこういった政府直轄のもの、あるいは今帰仁村にできつつあります畜産試験場などは、五十七年度までに大体完成をする予定のようですが、若干ずれるんじゃないのか、残事業として残る可能性があるという説明でした。そういうことについては、国庫補助の問題等は継続して進めていただかねばならない問題だと思いますので、この点はどのようにお考えなのか。また原原種農場は、五十八年の夏ごろから一般の農家栽培への種苗といいますか、それへの提供ができるという説明でしたが、その計画は十分達成できるのかどうか。今後の原原種農場問題の整備充実化の面と畜産試験場に対する国としての助成策はどのようにしていかれるのか、お聞かせをいただきたいと思います。     〔委員長退席、愛野委員長代理着席〕
  32. 川嶋良一

    ○川嶋政府委員 畜産試験場の関係につきましてお答え申し上げます。  沖繩県の農業関係の試験場につきましては、沖繩振興開発特別措置法に基づきまして農業試験場畜産試験場その他各試験研究機関の施設の整備あるいは備品の整備等を行ってきているわけでございます。いまお話しの畜産試験場につきましては、諸般の事情によりまして着工がおくれましたので、五十六年度までに整備をすることができなかったという事情がございます。若干整備未了のところが残っているわけでございますが、この点につきましては、この特別措置法に基づいてやってきた経過もございますので、現在開発庁の方でその点について御検討いただいているというふうに聞いておりますので、その結果を踏まえながら今後対応してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  33. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 さとうきび原原種農場の関係についてお答え申し上げます。  さとうきび原原種農場は、現在建設といいますか、整備を進めておる段階でございますが、現実にこの原原種が配付になるのは、まずことしの秋に一部配付ができることになります。そういたしますと、これは原原種でございますので、県の方に配付をするわけでございます。県の方が原苗圃にこれを使用する。そしてさらにその次の年に今度は市町村に県で移管いたしますが、採苗圃に回るということでございまして、ことしの秋に配付をしますが、その配付したものが一般圃場に、農家の手に渡るのは五十八年度という形に相なるわけでございます。
  34. 上原康助

    上原委員 ですから、そのことは私もこの間聞いてわかるわけですが、その原原種農場の今後の陣容の問題とかあるいは仮に計画どおりいかない場合の経過、継続措置というものも十分お考えだと思うのですが、そのように進めていかれるのかということを含めてお尋ねしているわけです。
  35. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 五十三年度から設置をいたしまして、予算面さらに定員の面、逐年充実をいたしております。そこで、五十七年度以降におきましては、なお五億円ぐらいさらに予算が必要かと思います。人員の方もあと六名ほど既定計画からすればまた不足をいたしております。したがいまして、これらの面につきましては、五十七年度以降確保したいと思っておりますが、これは予算なり定員という問題でございますので、いつまでということにつきましては、いま断言できませんけれども、例年予算的には大体二億程度の予算は確保しておりますし、定員の方も五十六年度などは六名の増員が認められておるということでございますので、そう長い期間かかるものではない、かように考えております。
  36. 上原康助

    上原委員 これも長い間の懸案でありましたので、ぜひ目標が十分達成できますように。それと、さっき申し上げましたように、各市町村なり農協関係者もかなり視察に来られるようで喜んでいましたが、そういった地域社会との最初からの交流といいますか、連携というものも持ちながら、その実を上げていただきたいと思うのです。  そこで、こういう機関整備も逐次なされつつあるわけですが、やはり沖繩の農業の振興を図るには、農用地の開発と同時に急がねばならない問題として、農業基盤整備事業の促進といった問題がございます。これも復帰後、特に五十年以降相当進められてきているわけですが、この中には灌漑排水事業、畑地帯総合土地改良事業、農道、圃場の整備、土壌改良事業、畜産基地建設事業等いろいろありますが、この中で最もおくれているのは圃場の整備事業ではないかと思うのですね。この圃場整備事業は、先ほど申し上げましたように、復帰後四十九年ごろまではかなり低迷をしておりましたが、五十年以降相当着実な整備がなされてきている。たしか五十五年度は七十一億二千万で九百八十ヘクタールの整備が実施されたと思うのですが、五十六年度は二百一億三千五百万のうち半分の約百億円が圃場整備事業に充てられることになっているようであります。これによる整備面積は一体どのくらいなのか、お聞かせをいただきたい。  さらに、沖繩の場合は、御承知のように不在地主や相続不明地なども多いし、土質が悪くて客土をしなければならない面も相当あります。また赤土の流出問題などで、この基盤整備なり圃場整備をやる場合、本土よりも単価が高くつく難問も抱えている。したがって、こういう整備を進めていくには、今後とも国の特段の助成措置が必要であり、振興開発特別措置法ももう来年の三月で切れる、われわれはさらに十年は延長すべきだと思うが、特に農業基盤整備問題等が大きくおくれをとっておる状況からして、この点については農林水産省としてはどういうふうにお考えなのかをこの際ひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  37. 杉山克己

    ○杉山(克)政府委員 沖繩の農業基盤整備についてでございますが、先生御指摘のように、沖繩の今日までの農業基盤整備状況は、一般都府県の場合に比べましてなお十分ではございません。私どもその格差を解消するために、沖繩につきましては、たとえば採択基準を一般の場合よりも緩和する、それから補助率も特例の高率の補助を行う、それから予算枠につきましても、沖繩のシェアを通常の場合よりも大きくとるというような格段の措置をとりまして、沖繩の農業基盤整備の推進に努めているところでございます。  その結果、先生御自身もお認めいただきましたように、五十年三月末の農地整備率を見ますと、全国平均が一七・三%であったのに対しまして沖繩が一・四%、格差がきわめて大きゅうございましたが、五十六年三月末時点でこれを見ますと、全国平均が三三・四%であるのに対し沖繩は二七・一%というふうにかなり縮まってまいっているわけでございます。  それから、五十六年度の事業についてでございますが、これは国費総額が二百一億三千五百万円ということで、宮良川の農業水利事業を初め、各般の国営の補助事業を行うこととしているわけでございます。これによる整備面積はどのくらいかということでございますが、実は整備面積は事業が終わった段階で、その事業によってどれだけでき上がるということになりますので、単年度だけで面積を申し上げるのはちょっと適当でございませんので、先ほど申し上げましたように、全般的に整備率を高めているということで御理解いただきたいと思います。  それから、沖繩に対する特別振興措置の法律の扱いでございますが、これは農林水産省だけで決められる話ではございませんので、関係各省とも相談してその扱いは決めるということになってまいると思います。ただ、私どもといたしましては、先ほど申し上げましたような沖繩の基盤整備についての格差がまだ残っているという実態を認識して、今後ともその整備には十分全力を尽くしてまいりたいというふうに考えております。
  38. 上原康助

    上原委員 基盤整備全体の数字をいま明らかになさったのですが、たとえば圃場整備なんかは達成率はまだ一九・四%、灌漑排水施設が二一・二%と非常に低いですね。一番高いのが農地防災が四七・七、農地開発にしても三二・四というふうに私の手元の資料ではなっておりまして、それは大体間違いないですか。
  39. 杉山克己

    ○杉山(克)政府委員 いま先生のおっしゃいました個別の数字、年次等によって若干差はあると思いますが、おおむねそのような水準であるというふうに理解いたしております。
  40. 上原康助

    上原委員 ですから、これは後ほどまとめて大臣の方からもお答えいただきたいのですが、ようやく軌道に乗りつつあるわけですね。農業基盤整備の問題とか、冒頭で言いました農業に対する意欲が県民、農民に出てきたというところなんですよ。この芽を摘んじゃいかぬと思うのです。これはやはり持続し、さらに意欲を高めて二次振計と結合させて、一次産業の振興に重点を置かなければいかぬというのがわれわれの主張、考え方なんですね、これだけじゃないのですが。そのことはぜひ基本的な問題として御理解をいただきたいと思うのです。  開発庁もいらっしゃると思うのですが、後ほどちょっとお尋ねをしますが、いまの件とのかかわりで、いまもお答えがありましたように、石垣島の宮良川あるいは名蔵川の農業水利事業、私は三回ぐらい現地へ行くのですが、この間行ったときにはもう相当りっぱなものになりつつございました。この「宮良川農業水利事業概要」を見ましても、国営事業としてこれまでたしか三百五十六億円、これは治水分の十九億円を含んでいるようですが。あるいは県営、団体営事業が三百三十五億円で、御承知のように相当大きな水利事業をいま進めているわけですね。「五十六年度は、真栄里ダム、石垣ダムをはじめ、事業効果の早期発現を図るため、平喜名右岸揚水掛りの送水路並びに配水池等を進捗させるとともに大浜、磯辺地区を対象に通水を開始する予定である。」その他ありますけれども時間の都合で割愛いたしますが、「昭和六十二年度完成を目指して目下鋭意事業の進捗を計っているところである。」こういう問題があるということ。さらに、一方の名蔵川農業水利事業は、「事業の経過及実施方針」は「国営事業は五十年度から調査が開始され、五十四年度に基本計画がとりまとめられた。これに基づき、五十五−五十六年の二ケ年で全体実施設計をとりまとめ、五十七年度から着工すべく、鋭意努力中である。」こういうことになっておって、これからというところなんですね。宮良川の方は、大体半分段階といいますか、それ以上来ているかもしれませんが、そういう面がある。  そういうことを念頭に置いて考えました場合に、でき上がった段階では相当の圃場整備ができるわけですよ。受益地は三千六百五ヘクタールになる、受益戸数が二千十戸ぐらいになる。そうしますと、ここに作付するというか、何を営農作物としてやっていくかということは、考えなければいかぬ問題があると思うのですね。キビにするのか、パインにするのか、野菜にするのか、あるいは畜産も含むのでしょう。  そういう営農作物をどうするかということと同時に、流通輸送体系の確立というものが急務だと思うのですね。せっかくこれだけの水利事業をやって圃場整備をやり、土地改良、いろいろなことをやってりっぱな農業環境ができたけれども生産はしても流通機構が十分でないということになりますと、これは豊作貧乏になっていくという可能性があるし、逆にまた最悪の場合は活用できなくなる、そうはならないと思うのですが。そういった点についても、これは石垣市なりあるいは沖繩県なり各農業団体の考え方、意欲の問題、計画等々勘案総合しなければいかない問題ではあると思うのです。国としても、やはりそれだけの助成措置をやっている以上は、そういったリードといいますか指導というもの、あるいは農政の一環として位置づけていくということは、私は大事だと思いますので、そこいらについてはどういうふうにお考えなのか。また十分実を上げ得るという御判断で進めておられるのか、ぜひお聞かせをいただきたいと思います。
  41. 杉山克己

    ○杉山(克)政府委員 計画段階における作目をどうするかという点についてお答え申し上げます。  当然、先生細かく御指摘になりましたように、きわめて大きな土地改良事業、現在は国営で実施しているわけでございます。宮良川にしても名蔵川にしても、受益面積、それから受益農家の数もきわめて大規模なものでございます。そこで、こういう計画樹立に当たっては、当然先々の見通しを立てて、作目を何を入れるかというようなことも検討した上で事業を進めているところでございます。やはり何といっても沖繩県、それから地元の農家あるいは農業団体の方々の御意見を中心にしてということでございますが、現在沖繩の基幹作目でありますところのサトウキビ、パインアップル、それから野菜類、こういった畑作作物中心にして入れていくということで、さらに一部たばこでありますとか花卉といったようなものも考えられているわけでございます。  事業の進行とともに、さらに情勢の変化等も織り込んで、こういった作目については慎重な検討を加えてまいりたいと考えております。
  42. 上原康助

    上原委員 それとあわせて流通問題ですね。
  43. 渡邉文雄

    ○渡邉(文)政府委員 先生御指摘のように、沖繩はその地域的特性を生かした作物がいろいろございます。基盤整備等も進み、その生産も順調に進んでまいりますれば、流通問題が大事であることはもちろん御指摘のとおりでございます。たとえば野菜等につきまして申し上げましても、現在のところ非常に単価の高い内地の冬場の端境期対策というようなことで、各種の冬場の野菜がつくられておるわけでございますが、約四割ぐらいが航空機で送られ、六割ぐらいが輸送船で送られてきているわけでございますが、その船につきましてもコンテナ等の導入がここ数年進んできております。私ども、そのコンテナ輸送をさらに効率的にするために、シャシーコンテナの助成等も今年度の予算として計上し考えておるわけでございます。  いずれにいたしましても、それぞれの商品特性に応じた合理的な輸送体系の確立につきまして、県あるいは生産団体等ともよく連絡をとりながら、できるだけ合理的な輸送体系ができますように今後とも指導し、必要に応じまた御援助を申し上げたいというふうに考えておるわけであります。
  44. 上原康助

    上原委員 ここはぜひ県の意向も十分聞かなければいけないと思うのですが、流通輸送体系というものを抜きにしてはあれだけの土地利用というものがどうなっていくか不安でもありますので、よくお考えになっていただきたいし、そういう意味では東京−石垣直行の航空路の確保というものもあわせて考えなければいけない問題で、いま飛行場設置の面で若干問題があるようですが、そういうことなども含めて考えれば、私は相当有望な面が出てくると思うのです。それもぜひ大臣としても御理解をいただきたいと思います。  そこで、時間もだんだんたってまいりますので、沖繩のこれからの農業というものを考えました場合に、一つには基幹作物であるサトウキビ、また農業生産としては非常に落ち込んではまいりましたがパインの保護育成、これは何と言っても守っていかなければいかぬと私たちは思っておるのです。その点は生産性を高めていくということとか、品種改良その他機械化の問題、省力化の問題、いろいろあるのですが、これからは農家の複合経営的なことも相当考えていかなければいかぬ、基盤整備が先島あるいは本島も進んでいるわけですから。そういう意味では花卉とか野菜、特に畜産、そういうところにももっと力を入れていかなければいかぬ。こういった面に対しても、国としての政策指導なりあるいはいろいろな御配慮が必要だと思うのですが、まとめて言いますと、これからの沖繩農業の位置づけ、展望というものはどう見ておられるのか。またいま言ったようなことに対してはどういうところにもっと力を入れていかれようとするのか、その点総合的にお聞かせをいただきたいと思います。
  45. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 先ほど来のお話のとおり、沖繩はわが国唯一の亜熱帯性気候地帯であるという特色を持っておるわけでありまして、この特性を生かした農業の発展ということを基本考えるべきである、こう思っております。  沖繩の農業は、沖繩の地域社会発展のために大変重大な役割りを果たしてきておるばかりではなく、今後においては本土の端境期における野菜の供給基地というきわめて重大な使命を果たしていただかなければならぬ、こう私は今度しみじみ思いました。今回の物価問題について、端境期一月、二月、三月、もうぎりぎり消費者物価の上昇を何とか食いとめたいというときに、残されているのは野菜だけということを毎年毎年繰り返しておるわけであります。このときに、今回も沖繩からいろいろと供給をしてきた結果、そういう面においても非常に重要な役割りを果たしてもらっておるということでありますので、そういう面においても沖繩県とも十分慎重な連携をして、そうして野菜の端境期における供給基地というものを計画的に何かできないものだろうか。そういうふうにして生産者の方の生産の安定を図っていきたいものだな、特にサトウキビとそれからパイナップルに加えて、この点を重要視していく必要があるんじゃないかな、こう考えております。  それと同時に、何といってもパインとそれからサトウキビというものは沖繩の基幹産業、こう私ども考えております。したがいまして、先般ASEANに参りましたときも、パイナップルは余り日本に市場を期待してもらっては困りますということをはっきり実は申し上げてきました。お互いにアジア同士で足を引っ張り合って、せっかく汗を流してつくったものがたたき合いになるようなことは避けようじゃありませんかということで、その点については向こうの方々も、いやそういうことをはっきり言ってもらった方がいいということで、そういう意味においては合意に達した面が多かったわけであります。したがいまして、フィリピンにおいてもそれからマレーシアにおいても、このパインのことは余りやかましく言ってこなくなっている。こちらも輸入の面でも少しずつ遠慮してもらうというようなこともやっていく、こういうことで、沖繩の基幹産業として、そういう点にも配慮しながらパインやサトウキビによる農家の増収を図っていくということを考えております。  しかしへこれらのことを充実してまいりますためには、基盤整備というものが欠かすことができないことは、先ほど来の先生の御主張どおりでございます。この土地基盤の整備というものが非常におくれておるわけであります。日本は特におくれておる。戦後初めて取りかかったと言ってもいいくらいでありまして、仕上げはこれからということでございます。補助金カットというような厳しい情勢も踏み越えていかなければなりませんけれども、その辺は知恵も十分出して、事業量は落とさないでいきたいものだなというような感じを持ちながら対処していきたい、こう考えております。
  46. 上原康助

    上原委員 大変御誠意のあるお答えをいただいて、ぜひそういうふうに進めていただきたい。  私もパイン問題では二回ぐらいお会いしたことがあったのですが、ASEANを御訪問なさったときも、そういう御発言をなさったということで意を強くしているわけです。  それにしても、現在でもパイン問題は大変深刻ですから、きょうはあえてそれは多くを触れませんが、いまのお答えが十分生かされて、パイン生産農家に明るい希望が持てるような方途、方策をもっと積極的にお進めいただきたいと思います。  せっかく開発庁もおいでいただきましたので、復帰後の農水関係予算、公共、非公共を含めてどのくらいになっているのかということと、さっき農業基盤整備の問題で、これからなんだという大臣のお答えがありましたが、やはり継続していくべきだということですので、それに尽きるのですが、沖繩開発庁としても、二次振計の関係でも、一次産業の振興というものは継続性を持たす、より重要視するということでないといかぬと思うのですね。そういうことについて少しく御見解を聞いておきたいと思います、簡潔でいいですから。
  47. 塩澤更生

    ○塩澤説明員 沖繩が本土に復帰して以来五十六年度で十年間たつわけでございますけれども、この間におきまして沖繩の農林水産業の振興を図るためにいろんな公共事業を実施してきておるわけでございます。それと沖繩におきます農業振興を図る上に大切なウリミバエの防除等の植物防疫対策、あるいは糖業振興対策等の事業も講じてきておるわけでございます。これを十年間合わせますと千八百三億ということになっておりまして、この中では公共事業費が千五百七十九億、それから非公共の事業が二百二十四億という額になっておるわけでございます。  それから、沖繩におきます農業基盤整備の重要性につきましては、先生の方からも十分御指摘がございましたし、また農林水産省の方からも先ほど来御答弁があったわけでございますけれども、復帰後におきますこの事業の積極的な実施によりまして、かなり成果を上げてきていることは事実でございますが、まだ本土に比べまして立ちおくれておる状況にございますので、沖繩開発庁といたしましても、今後とも関係省庁とも連携をとりながら鋭意努力をしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  48. 上原康助

    上原委員 相当の予算が投入されてきていることはわかりますが、全体的にはまだまだ問題が残っておりますので、二次振計の中ではそういったことも含めてぜひお考えになっていただきたいと思います。  そこで、先ほど来申し上げておりますように、原原種農場あるいは県の畜産試験場の移転計画、また農用地開発公団事業として石垣市における畜産の問題。農用地開発公団がやっておる事業については石垣市の関係者は大変期待をしているのですね、畜産振興の面では。そういう面では今度また五十六年度で与那国の方にも畜産基地を設ける、山原の方にも第二畜産基地を設けるという計画が進められておりますので、ここいらのことについてもぜひ国としても積極的な御配慮をいただきたいということ。  後で糸満漁港のことについて若干お尋ねしますが、これらの問題を進めていくにはどうしても特別措置の継続が必要になってくるわけですね、助成措置というものが。補助金カットとかいろいろありますけれども、いま大臣もおっしゃいましたように、ようやくある程度、高額助成であったればこそ今日の状況まで何とか追いつきつつある、来ておりますから、きょうは農水大臣しかいらっしゃいませんので、沖繩振興開発、二次振計をつくる場合のそういった特別措置の補助措置については——まだ十年そこいらで全部直せと言ったってだめですよ、これは本土だってどんどん進んでいくわけですからね。  そういう面では、農業関係もさることながら、私たちはほかの面においてもやはり継続措置をとってもらいたい、とらなければいかぬという立場で、これまで開発庁や政府に対して強く求めておりますので、まとめて、この種のことについても特段の御努力をいただく、そういう立場からの御見解を聞いておきたいと思うのです。
  49. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 上原先生の御趣旨は十分理解できるわけでございます。農林水産省といたしましては、お話しのとおり土地改良、圃場整備、いろんな面についても基盤整備等についての進捗率がまだ非常に低いということも私ども十分承知をいたしておるわけでありますので、国の土地改良計画も来年までで再来年からこれを改めなければならない、そういう中においても、やはり沖繩の国営事業とそのほかの土地基盤整備事業等については、この十カ年計画で実行してきておるわけでありまするし、これはもう一度十カ年計画を実施しなければ農地整備は、沖繩を初めとして日本全体の農地基盤の整備も非常に不十分である、こういうことでありますので、そういう面でも努力をしていきたいと思います。御指摘の沖繩振興開発特別措置法の今後の取り扱いについては、現在沖繩開発庁の方で各分野にわたって検討が進められており、近くその方向が示されると聞いておりますので、農林水産省としては、その結果を踏まえて対応してまいりたい。  なお、本日の委員会における上原委員の御主張は担当大臣によくお伝えをいたしておきたい、こう考えます。
  50. 上原康助

    上原委員 そこらは慎重にならざるを得ないかもしれませんが、特に農業関係ではそういった実情であるということを御理解の上、農水大臣としても特段の御努力をお願いしておきたいと思います。  そこで、時間も押し迫ってまいりましたので、最後に水産業、漁業振興の問題についてお尋ねをしておきたいのですが、この分野も非常におくれているのです。せっかくあれだけ四囲海に囲まれておりながらなかなかうまくいっていない。そういう面で栽培漁業の問題、これも栽培漁業振興の基盤づくりという立場で昨年から本部町に県営の栽培漁業センターが着工されている。これは五十八年にオープンするようですが、国の助成も受けながらやっている。こういう養殖漁業の振興というものをもっと積極的に推進をしていかなければいかぬと思うし、そういう立場からすると、今度農業センターができましたが、国営の栽培漁業センターは九カ所もあるようですが、沖繩にはそういうのがない。こういう点についてももっと御努力をいただきたいと思いますし、またどのようにお考えなのかということ。  二点目としては、糸満漁港が非常にりっぱに整備されつつございます。目下水産加工団地の形成、一次産品の既存工業の拡大発展による地域全体の振興、新しい土地形態の整備などが着々と進められておりますし、陸揚げ量、漁獲高、漁船の入港隻数、漁港施設の整備等も進められて、本土の漁船の利用度も逐次高まってきております。そういう面からしますと、いまのように二種漁港ではいかぬじゃないのか、第三種にこの際格上げをして、この施設の後背地利用を含めて積極的にやるべきだと思うのです。こういうことについても、県側からまた関係者からもいろいろと要請が出ていると思うのです。この際、そういった漁業振興の面からも糸満漁港の第三種への引き上げ、格上げというものをぜひやっていただきたいと思うのですが、この二点についての御見解をお聞かせいただきたいと思います。
  51. 山内静夫

    ○山内政府委員 第一点は沖繩の栽培漁業の関係でございます。  栽培漁業の振興につきましては、日本全体の立場といたしましても、二百海里時代を迎えまして、沿岸漁業の重要な柱として今後とも推進していかなければならない、こう考えているわけでございます。沖繩県につきましては、御存じのように、黒潮の源流の方に位置しまして、周年高水温の亜熱帯性海域である、こういう特性を生かした栽培漁業を振興する必要がある、こう考えておるわけでございます。このためには、先生御指摘のように、県営センターとして昭和五十五年から五十八年度までに主要魚種であるフエフキダイ、ミナミクロダイを中心といたしましての栽培漁業を振興すべく現在事業を続行中でございます。国営センターにつきましても、現在沖繩周辺海域がマグロの産卵漁場となっているとか、あるいはカンパチ等主要な魚種がある関係で、技術開発を行うために国営の栽培漁業センターを沖繩に設置すべくことしから調査を行っているところでございます。  第二点の糸満漁港の問題でございます。糸満漁港につきましては、沖繩の主要な漁港でございまして、沖繩の漁業の振興を図る見地からも必要でありますし、全国からの出漁漁船の前進基地であるとかあるいは中継基地、こういうことからも必要である観点から、現在第六次の漁港整備におきまして、長期計画に基づいて鋭意整備の促進を図っているところでございます。  第二種漁港であります糸満漁港を現在の時点で第三種の漁港に指定変更する、こういう問題につきましては、現在のところ同港の水揚げ量あるいは施設の現況等を見て非常に困難な問題があるわけでございます。今後におきましていろいろの陸上施設備等ができまして、同港の水揚げ量がふえるとかあるいは漁船の利用範囲が非常にふえていく、こういうことが予想されますから、改めてその時点におきまして検討をしてまいりたい、こう考えておるわけでございます。
  52. 上原康助

    上原委員 これで終えますが、いまの糸満漁港の三種指定の件は、これは確かにいまおっしゃったように、まだ整備すべき点があるかもしれませんが、逆に、指定をすればまたそれだけ環境整備が早まるということもありますから、この点、農水大臣、ぜひ十分御検討をいただいて、早急にそういう関係者の要望にこたえていただきたい。  結びとして、実は私もきょうすぐの質問と思いませんで勉強不足の面もあったのですが、一応法案との関係、いろいろ問題点を提示した面もありますしお尋ねしましたので、そこらの点につきましては、おくれている沖繩の農業、亜熱帯農業振興という面での沖繩の位置づけをこの法案が成立をした段階で鋭意進めていただいて実を上げていただきたい、そのことを強く要望申し上げて、質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  53. 愛野興一郎

    ○愛野委員長代理 午後三時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時三十八分休憩      ————◇—————     午後三時三十三分開議
  54. 江藤隆美

    江藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  農林水産省乳酪直法の一部を改正する法律案議題とし、質疑を続行いたします。市川雄一君。
  55. 市川雄一

    ○市川委員 私は、今回出されております、この農業研究センター関連しまして、これからの農政について農林水産省はどういうお考えを持っていらっしゃるのか、そういう点を含めてお聞きをしたいと思います。  いまの日本農業、これはもう皆さんの方がよく御存じですが、お米とか牛乳を初め主要農産物が過剰状態にある。それから輸入外圧あるいは農産物価格の抑制という問題が非常に山積していて、言ってみれば、戦後最大の転機というかそういう局面に当たっている。農業収入の伸びは非常にマイナスの状態になってきている。こういう中で、いまこそ政府サイドでの、これからの農業はどうあるべきかということについてのリーダーシップが非常に期待されているのではないかと思うのです。  農業農林水産省がやるわけではなくて、あくまでも実際に現場で農家農業をやっているのだという基本的な認識に立ちましてお伺いをしたいのですが、最初に、百三十六億円というかなり巨額な予算をかけて、いまなぜこの時期にこうした農業研究センターをつくろうとしておるのか。その設置の目的というか、意義というか、その点を簡潔にお答えいただければと思います。
  56. 川嶋良一

    ○川嶋政府委員 農林水産省農業関係試験研究、これは昭和三十六年の農業基本法制定を背景といたしまして、専門別試験研究を強力に推進してきたわけでございます。その関係では、畜産園芸等いろいろな面で大きく農業生産の発展に寄与してまいったわけでございます。またこれと関連をいたしまして、筑波に研究団地をつくりまして、専門関係の試験場が一カ所に集中したわけでございます。しかし、一方、近年わが国農業はいろいろな変換を来してまいりまして、特に個別の専門では、それはそれで重要でございますけれども、総合的に対応をしませんと、なかなか問題が解決しない、こういう状況になってきているわけでございます。そういうことがございますので、筑波に研究機関が集中したということを踏まえまして、総合的な研究を推進いたしまして、現下の非常に多岐にわたります農政の問題解決のために研究を進めてまいりたい、こういうことで設置をしたいということでございます。
  57. 市川雄一

    ○市川委員 その趣旨はよく理解できるのですが、私がお伺いしたい点は、どういう目的意識を持った研究が行われるのかということなんです。たとえばお米、牛乳、豚、鶏、野菜、こういう主要生産物が非常に過剰ぎみである。実際現地で生産活動に従事している農家としては、これから何をつくっていったらやっていけるのか、こういう現場での戸惑いというものがあると思うのです。そういうものに対してどういう答えを出していこうとしているのか。そういうことに対して何か本格的な研究をやろうということなんですか、それともそういう趣旨ではないのですか、どうですか。
  58. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 市川先生御承知のように、農作物という植物は、品種改良をしたから、一つの新しい品種を創生したからということで、それがそのまま永久にそういう性質を保って、いい品種として持続していくのかということになりますと、やはり品種改良の努力の手間を抜きますと、もとに返るということが言われておるわけでございます。したがいまして、そういう面における研究の持続と、さらにより多収穫でより病虫害に強い、より日本の天候、気象に合った品種をつくり上げていくという努力はもうしょっちゅう続けていかなければならない、こういう問題が一つございます。そのためにはどうしても、これだけの規模の耕地面積につけてまいります、米から始まって麦類、豆類等の品種改良全般にこれは続けていかなければならないということが一つと、それから既成品種の品種改良をするという場合におきましても、総合的な新しい品種を創生するということを常に心がけていかなければなりません。昨年の冷害等の経験も生かしていかなければなりません。そういうことになりますと、一人の研究者が非常に突っ込んでやった研究の資料があっても、その人がおっても、その場に温存されておって、それがなかなか一般の農民のところまで届かないという面が間々あるわけでございます。そういう貴重な研究というもの、あるいは民間の中にも非常に先行して研究が進められておるという問題等がある。そういう幾つかの専門的なものを持ってきて、一つの農家立場に立って、それをどう組み合わせて経営の中に取り入れていったらいいかといったような研究はほとんどなされていない。昨年国会で自給力強化の決議をされました趣旨を生かしてまいりますためにも、またいま御指摘になりました生産過剰ぎみの米にかわるべき転作物をどう優秀なものをつくり上げていくかという問題もございます。そういう問題もとにかくできるだけ早期にできるだけ普及しやすい状態で新品種を創生していくということが非常に大事である、こういうことで、私は就任以来技術関係の面にまあハッパをかけたといいますか努力目標を示して、そうしてこの研究関係機関に対してもより効率的でより合理的な研究が進むように、しかも、それが今度は普及制度とかみ合って農家の手元に届いていくように、そこまでやるようにということででき上がったのがこのセンター法ということでございますので、その点よろしくひとつ御理解をいただきたいと思います。
  59. 市川雄一

    ○市川委員 いま大臣のおっしゃった御趣旨はよくわかるのですけれども、要するにどうですか、大臣大臣農政に非常にお詳しいというふうに伺っておるのですが、いま農家が実際生産過剰ぎみで、これから何をつくったらいいのかという非常に戸惑いを持っているという御認識はまずございますか、どうですか。
  60. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 十分にそれは持っております。
  61. 市川雄一

    ○市川委員 要するに、経営規模が小さいとか国際比較の上ではいろいろな制約条件がある、そういう中でこれからどうしたらいいのかという、何というのですか、これからの農業の路線というのですか、そういうものが先に言ってみればあって、今回の研究所で研究なさるというのは、どちらかというと品種改良であるとか、そういう農業技術面の、もちろん技術レベルだけではない、もっといろいろな幅広い研究をなさろうとしていると思うのですが、どちらかというと技術面の研究。しかし、その技術面の研究そのこと自体は結構なんですけれども、何をつくったらいいのかという方向性の論議があって、しかも、こういう分野で活路を見出すべきではないのかというぐらいのある程度の方向性というのは出ていて、その分野をひとつ本腰入れて研究してみようじゃないか、こういう研究の目的意識がそこから生まれてくるのじゃないのかな、こういうふうに私は思うのですけれども、その辺、今回のそのセンターですか、ただ単に研究専門、分化していた、それを総合的にやるんだというこのこと自体もわかるのですが、それだけではない、もっとこれからの日本農業が厳しい日本的条件の制約の中でどう生き残っていくのかというような、そういうものを研究するぐらいの意気込みがこの研究所の構想にはあるんですか、どうですか。
  62. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 そういう意識は、もちろん今日までの農林水産行政政策の中で私どもとしては遂行する体制をとってきておるわけでございます。すでに一年半、もう二年近くになりますか、農政審議会に対しまして諮問をし、そうして勉強していただいて、昨年の十月にその答申をいただいたという一つの過程をごらんいただいても、その辺の政府基本的な立場というものは御理解いただけると思います。これによりまして、やはり同じく農政審議会で十年の生産需要長期見通しを御審議いただいて、これを閣議決定をして、それに基づいてこれからの農政展開していこう。一番先に、米が余っておる、これを需給のバランスをとらなければならないという問題が大きく一つあることと、さらには自給力強化の国会決議をしていただいた動機になりました農林水産物資の膨大なる輸入という問題もありまして、えさ等については二千万トン以上も輸入を現実にしておる。そうすると、そういう問題を何とかして国内で、しかも水田という条件の中で、日本の一番適している耕作方法である禾本科を水田でつくっていくという技術を生かして、えさの方に転換できないかといったような考え方えさ米という問題が起き上がってきております。こういう問題を取り上げて、現に筑波でももう数年前から超多収米、超という字をつけておるわけでございます。そういう品種の創生をしていこう。同時に今度は、新たにまた草関係の、野草を牧草に仕立てていくという研究の強化というようなこと等々、数えていけば果樹においてもあるいは養蚕の桑においても、あるいは養蚕そのもの、蚕そのものの品種改良、あるいは桑のかわりになる人口飼料の研究等々、数えていけば本当にたくさんの研究を筑波で実はやっておるわけでございます。したがいまして、こういうことが常に行われておることによって、農業経営の一般農家の方々に、厳しい条件の中においても農業に希望を持って取り組んでいただけるという環境づくりのために、やはりこういう面も非常に大事であるということで、農林水産省としても積極的に取り組んで、このような法案も出させていただいておる次第でございます。
  63. 市川雄一

    ○市川委員 たとえば、これは一つの考えですけれども日本人の食生活が非常に多様化してきて畜産物需要がふえてきた、肉をたくさん食べるようになった。これにつれて飼料用の穀物がかなり需要が出てきた。しかし、これはほとんど輸入に依存している。一方では、いま主要農産物が過剰ぎみである、どこへ活路を見出すかという問題がある。一方では飼料用の穀物需要がある。需要があるけれども、国際価格ではかなわないので輸入に依存する。もちろんこれはいろいろな要素があって簡単にはいかないと思いますけれどもえさ米という問題もあるわけですが、こういうもの、これは将来国際価格の面で競争力を持ち得るというふうには私も思っておりませんが、しかし、自給力の維持強化ということを考えますと、やはり飼料穀物の自給力というものも当然必要になってくるのじゃないのか。そういう場合に、こういうものが一つの転作の対象として十分研究の余地はあるんじゃないかというふうに思うのですが、この辺はどのくらいの力を入れようとしてお考えになっていらっしゃるのですか。
  64. 角道謙一

    角道説明員 ただいま御指摘もございました飼料穀物でございますが、飼料穀物の中にはトウモロコシあるいは麦等もございますが、トウモロコシ等につきましては、マイロを含めまして、日本ではなかなか収量、価格等から見ましても問題がございます。  そこで、いまお話のございました米でございますが、水田利用再編成関連をいたしまして、転作作物として、たとえば湿田等ではなかなかいい作物がないというところから、現在えさ米についてこれを奨励したらどうかという御議論がございます。えさ米につきましては、確かに水田をそのまま利用できるという点では非常に技術的な利点もございます。また農産物輸入に不測の事態が生じた場合、この場合には米をそのまま飼料に使用できる、あるいはまたさらに問題がございます場合には、食用にも転じ得るというような点がございまして、利点がございますので、確かにえさ米研究開発については非常に意味があると考えております。  しかしながら反面、現在のえさの穀物の価格水準から見ますと、トウモロコシ等トン当たりで大体三万数千円で輸入されますし、米は三十万近い価格で国内食糧管理法で政府が買い入れております。飼料米そのものも、本来はやはり米でございますので、飼料米という特殊なものは現在のところはございません。そこで、食用の米とどのように識別するかというような問題もございます。そのために、私ども、現在技術会議等を中心にいたしまして、先ほど大臣からお話がございましたように、飼料米の超多収穫性という点に着目いたしまして、その開発を進めているところでございますが、現在飼料用米に使われております、たとえばアルボリオというような品種がございますが、これには技術的に、まだ脱粒性が多い、また現地の圃場で農家が一般的に容易に栽培できるというようなところまで来ておりません。したがいまして、私どもいま申し上げました収益性の問題あるいは食糧用の米との識別性の問題とか、あるいは技術的な多収性の問題という点を踏まえまして、現在農林省の中におきまして研究グループをつくりまして、この問題に取り組んでおりますし、この問題の解決にはまだ時間がかかるかと思いますけれども基本的に重要な問題でございますので、私どもはなお慎重にこの研究に努めたいと考えているわけでございます。
  65. 市川雄一

    ○市川委員 大臣、これは国際情勢等いろいろな事情があったとは思うのですけれども農家の方から見ますと、戦後食糧増産ということで、そういう方針というか、そういう状況だったわけですね。それが一転して、国際分業とは言いませんが、そういう国際分業的な、日本は工業で立っていくのだという方向農業が何となく軽視されたというか、軽視されたと言うとちょっと語弊がありますが、都市集中型になってきた。それがオイルショックや食糧危機ということが叫ばれて、今度は一転して自給力の維持、強化ということが非常に重要な政策になってくる。そうすると、食糧増産、国際分業だ、あるいは自給力の強化だ、実際の現場でやっている人間から見ると、何となく揺れ動いておる。その揺れが、その都度農家に一定の打撃を与えてきた、こういうことで、何か非常に不信感がある一こういうことに対する御認識というかあるいは反省というか、そういうお考えはございますか、どうですか。
  66. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 そういう見方も確かにあろうかと思いますけれども、戦後の日本の農林関係政策、農林水産行政というものは、ある一定方向に向かって強化されつつ進められてきた、私はこういう認識を持っております。国の予算を見てみましても、また昭和三十六年に農業基本法制定いたしまして、農家の所得を都市並みにしていこうという発想から、農村地域社会の進展を図る、農家生活向上を期するというような目標を掲げて農政を進めてきたわけでございます。したがいまして、多くの説明を申し上げますよりも、終戦直後は別といたしまして、戦後三十数年間、主食のお米であるとか食糧について国民に不安を持たせるようなことは一度もなかった。それほど農家の諸君が、一般勤労者の所得がどんどん上昇いたしまして、そうして世界でも一、二を争う高賃金国家、こういうふうに言われるように成長してきた日本において、非常に生産性の低い農業に意欲を持って、そうしてあらゆる面において国民の要求する農作物の供給を担当してくれてきたというこの現実を見ますときに、いろいろ批判はあるかもしれませんけれども、私どもの先輩がずっと戦後から今日までやってこられた農業政策というものは、大筋において間違いはなかった、私はこういう感じを持ちます。  ただ、食生活の変遷と申しますか、変化と申しますか、だんだんと洋風になって米を食わなくなる、そういう見通しの誤りという面については、確かに私どもも判断が正確ではなかったという反省は持っております。なかなか予見をすることはむずかしいものである。と同時に、施策が国民食生活にも大きく影響を与えてくるものだなという経験も持ったわけであります。終戦直後、食糧がない。脱脂粉乳をアメリカから輸入をしまして、そうしてそれを中心にして学校給食を始めた。米を食うと病気のもとになるようなことを言いながら、どんどん学校給食に牛乳とパンということで非常な努力が三十年間なされたわけでございます。その結果が食生活の変化というものに大きな影響を与えたこと、これは私は事実であろう、こう思います。  したがいまして、これからも、何といっても日本の気候はモンスーン地帯で米が一番よくできるわけでありますから、米を中心にした、そうしてそれに畜産なり果樹なりというものをメニューの上でどういうふうに上手に取り合わせて国民の健康を維持していくかということが今回の農政審議会で非常に強く論議をされまして、それを基本にして日本型食生活をもとにした食構造というものを定着させていこうという発想がなされたわけだろうと思います。したがいまして、私どもといたしましては、米を中心にして、そうしてたん白、炭水化物といったようなものを適当にあれした日本型食生活の定着を図りつつ農業の進展を図っていくという方向を示して、そしてそれに全力を挙げて取り組んでおるということでございます。
  67. 市川雄一

    ○市川委員 そこで、これまで農林水産省が労働生産性向上ということを強調されて機械化の推進を行ってきた。その結果として、生産性はかなり向上したのですが、反面兼業農家が非常にふえてきた。しかも、その兼業農家がふえた結果として、また出かせぎという問題が起きてきた。これに対して、いま生産の集団化あるいは組織化ということを進めようとされていると思いますが、何となく集団化とか組織化というものは必ずしも農家の人たちの気持ちとマッチしていない。  そこで、集団化、組織化の方が農家収入にプラスになる、何かこういう結論をいまの時点でお持ちなのかどうか、この点が第一点。  それから第二点は、恐らく農業人口をふるいにかけようというお考えが長期的にあるのではないかというふうに私は推測しているのですが、最近何かいわゆる中核農家とそうでない農家という色分けということを意識しておやりになっているような感じが強いわけですけれども、この中核でない方々、分けられておる人たちは、非常に何か意欲を失う、こういう強い批判もございますが、この点についてどういうお考えですか。
  68. 渡邊五郎

    渡邊(五)政府委員 お答えいたします。  集団化あるいは組織化というような形の進め方でございますが、先生御案内のように、昨年農用地利用増進法案が通過いたしまして、いわゆる農地三法が施行されて、従来、所有権の移転を中心にいたしました規模の拡大等にかわりまして、賃借を主体といたしまして非常に流動化しやすい条件を設定いたしました。おかげさまで、そうした農用地利用増進という形での比較的規模を拡大する方向、これはまた規模拡大をして、その人だけではなくて、やはり集団的にそれらの土地利用を図るというような形がとられておりますが、この実績も昨年の十二月末で約四万七千ヘクタールまで、かなり面積も伸びております。このメリットという点はすでに米の生産費等にもあらわれておりますように、大規模化の有利性というのは、非常に最近土地利用型農業におきましても顕著にあらわれておるわけでございます。やはり所得面等考えましても、そうした形での大規模化あるいは集団化等によりますメリットを確保すべきじゃないかということで、目下地域農政等を中心にしました地域活動として、そうした利用増進を普及してまいりたいというふうにいま進めておるところでございます。  第二点の、しからば中核農家の育成ということが兼業農家を切り捨てると申しましょうか、非常に零細規模の農家を追いやるというようなことになるのではないかというような御指摘かと存じますが、確かにそうした形で、中核的担い手を中心にしまして規模が拡大することは、農業生産性を高めていくということでは重要な点でございますが、同時に、こうした第二種兼業農家等が、私ども結論的に言いますと、併存すると申しますか、住み分けて農村社会で両立するような姿を今後描きたい。これは大変むずかしい問題でございますが、現在の農村は、御存じのように大変老齢化傾向は都市よりも進んでおります。そうした形で、第二種兼業農家で自家消費的な農業を続け、地域社会におきましての生きがいなり食生活あるいは健康を保持していきたいという向きもあるわけでございます。こうした人を農村から離すというようなことではなく、地域社会の中に取り込んで、中核的農家のそうした規模拡大の活動とが両立するような方向をぜひとりたい。そのために農村の環境の整備であるとか、各般のきめ細かい施策が必要ではないか、このように考えております。非常に理想的な点はあろうかと思いますが、現実的にはそうした形で地域地域の問題として、それぞれの地域に即してきめ細かい対策をすべきじゃないか、このように考えております。
  69. 市川雄一

    ○市川委員 今度は少し具体的に質問したいと思います。  今回、研究所をつくろうということですが、大臣もさっきおっしゃっておりましたけれども、いままでの研究専門分化し過ぎていて、実際、統合という観点で見ると、役に立たないというと言い過ぎですけれども、そういうきらいがあった。特に実際農業を営んでいる現場に役に立つ研究は少ないという批判が強かった。その現場の農業者に密着して役立つ研究テーマが少ない。今回、こういう研究所ができるのですが、たとえば具体的に申し上げますと、イチゴ、トマト、キュウリなど温室野菜の研究というのは非常に多いのですけれども大臣が指定した重要野菜、大根、キャベツ、タマネギ、白菜、こういうものに対する研究テーマが少ないのではないのか、こういう批判がありますが、その点について今後どんな考えを持っていらっしゃるのか。  それから、土壌微生物の研究、たとえば微生物の量とかバランスとか天敵の生態系とか一いわゆる農薬に頼ってきて地力が衰弱した。その地力を回復したい。回復するには、深く掘る。その場合に、そういう土中の微生物の研究というものは、現場サイドの農民としては非常に欲しているわけですね、そういう研究が進んでいくことが。こういうことにもっと本気になって取り組むべきではないのか。それが今回のこういう研究所ができることによってかなり本腰が入るのかどうかということですね。  それからもう一つは、先ほども大臣ちらっとおっしゃっておりましたが、いままで国レベルでのこうした研究成果が、一番その研究成果を必要としている農民に適切に届いていないという欠点ですね。国から県まではわりかし来るのですけれども、しかし、県から先は、わかりやすいということなんでしょうけれども、余りにも常識的なものであって、いま苦しんでいることに余り役に立たないとか、今度はどうせむずかしくておまえたちにはわからないだろうということで、本当に知りたかったら聞きに来いという形になってしまう。本当に汗を流して働いている人たちがいま困っている問題の研究、その研究成果というものが県でストップしてしまって、積極的に一番現場で必要としている人にその情報が的確に届いてない、こういう指摘が現場では強いわけですが、まずこういう御認識を持っているかどうかということ、それから今後そういう反省の上に立って、こういう総合センターでやっていくのだということなのかどうなのか、こういうこともちょっとお伺いしたいと思います。
  70. 川嶋良一

    ○川嶋政府委員 最初の研究内容に関することでございますが、最初に先生から御指摘のありましたイチゴとかそういったようなものは、専門的なところで、かなりいま野菜試験場等でやっておりますので、それはそういうところでなお一層進めていくということを前提としまして、そういういろいろな作目をどういう形で経営の中で取り入れていくのか、あるいは地域の中にそれを具体的にいろいろな作目の総合性を生かしながら入れていくか、そういったようなことを総合的にやるというのが研究センター考え方でございます。  なお、この土壌微生物等の関係につきましては、この研究センターが土地利用を基本として研究を進めていこうということから、これは非常に中心的な研究課題になります。従来とも土壌微生物につきましては、この微生物そのものの研究あるいは土壌の研究作物研究、いろいろございますが、そういったようなことは当然やっていくわけですから、この土壌微生物あるいは連作等の問題はそれぞれのところを幾らつついてもそれだけでは解決いたしませんので、それを各専門の人が集まりましてチームをつくって総合的に研究していこう、こういうことを特にこのセンターでは力を入れてやっていきたい、こういうふうに考えているわけでございます。  なお、そういったところで成果が十分農家に浸透していないのではないかということにつきましては、農業研究が実際に農家に利活用されるという場合には、それぞれ農家経営あるいは地域性その他いろいろございますので、工業製品のように、一つのものが中央でできますと、それがそのままの形で農家のたんぼや畑で使われるということは非常に少のうございます。そういうことがございますので、だんだんと地域地域でその地域適応性を確認し、それをさらに仕上げをしながら農家に伝えていく、こういうことでそれぞれ試験研究、国、県あるいは普及、こういったような形で成果が生かされていくということになっているわけでございますけれども、こういう非常に高度に技術が発達しているという状況あるいは情報等も従来に比べますと大変各種の方法があるわけでございますから、そういうことを踏まえながらそれぞれ努力をしてまいりたい。  特にこの研究センターについて申し上げますと、できるだけ国の方が、先ほど御指摘がございましたような、座っていて向こうから来るのを待っているということではなくて、積極的に出ていくという形のものを研究の運営、成果の利活用の中で進めてまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  71. 市川雄一

    ○市川委員 要するに、せっかくお金をかけて研究するわけですから、見てもわからないだろうという発想じゃなくて、現場サイドではせめて研究テーマぐらいふるいにかけないで見せてもらいたい。それは確かに地域の違いとかあると思うのです。北海道では役に立つけれども神奈川県では役に立たないとか、そういうことはあるでしょうけれども、テーマくらい見せてもらいたい。テーマを見ることによって新しい発想だって生まれてくるんだ、こういう意見もあるわけです。どうかその点、そういう姿勢でお願いをしたいと思うのです。せっかくの研究成果が、さっきも大臣おっしゃっていたように、現場での農業にかなり的確に生きてこないということでは、農林水産省がやる研究というのは、何も大学がやる研究のための研究ではないのですから、そういう意味では、現場と密接につながっている研究でなければならないと思うのです。そういう点もひとつ十分に留意をしていただきたいと思います。  最近脚光を浴びているというか遺伝子工学の研究というのですか、たとえば上海、南京では大根と白菜のあいのこを研究してみたり、あるいはトウモロコシを複合さして丈夫な稲をつくるとか、こういう研究ですね。こういう研究が実現できれば、稲にも根粒菌がつかず窒素肥料なしで育てることができる。こういう遺伝子工学の研究などということも、今回のセンターではおやりになるおつもりですか、どうですか。
  72. 川嶋良一

    ○川嶋政府委員 この研究センター基本的な目的といたしまして、総合性というのをたびたび申し上げているわけでございますけれども、そういったような意味では、一方ではきわめて専門的なものがございませんと、この総合性も生きてこないということで、従来の専門型の研究は、それぞれの研究機関でより一層深化をしていくということが一方にありまして、それと両輪になって進めていくということでございますので、ただいま先生の御指摘になりましたような遺伝子工学の研究そのものにつきましては、農業技術研究所ですとかその他いろいろの基礎の研究をやっているところがございますので、そういったところで分担してやっていくことになるわけでございますが、このセンターでも普通作物等品種改良をやることになっておりますので、そういったような基本的な手法を活用しまして、より早くよりすぐれた品種を改良していくというところには積極的に利用してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  73. 市川雄一

    ○市川委員 またさらに、地域の問題を少しお伺いしたいのですが、これは大臣に聞くのは非常に失礼な話かもしれないのですが、昨年の三月、二十号台風の被害がありまして、三月一日ですか、農林水産大臣が重要野菜指定産地ということで三浦市にお見えになった。そこで現地に依頼されたことは出荷奨励です。早く野菜を出してくれ。それから今回ことしの二月冷害があって、政務次官等がお見えになって農業関係者に同じく早期出荷の奨励をされた。もちろん大臣が現場に行かれたり、政務次官が現場に行かれて、台風で被害があったその被害をごらんになりに行ったのもあったのだろうと思いますが、とにかく野菜が足らないから出してくれ、それから冷害があった、野菜が足らないから出してくれ、そのこと自体結構なことなんですけれども、しかしまた反面、そういう台風があったとか冷害があったというときだけと言うと語弊がありますけれども、お見えになって、ただ品物を出せと言う、悪い言葉で言えば野菜のかき集めというのですか、それだけでお見えになる。こういうことに対する非常な反発もあるわけですね。それだったらなぜもっと日ごろ、そういう冷害に強い野菜を育てるとか、そういうことになぜもっと力を入れないのか、こういう地元の気持ちがあるわけです。  そこで、冷害や干ばつに強い野菜の生産体制を確立するということが非常に重要だと思うのです。ことしの二月の場合なんかは、普通だったら市場に出しても売れないようなもの、B品というのですか、これさえも早く出してくれ、こういうことだったらしいのですけれども、そういう困ったときの神頼みではなくて、ふだんからもっとそういう冷害や干ばつに強い野菜の生産体制というものをつくるべきじゃないのか。そういう観点考えると、少なくとも最低次のような施策を講ずる必要があるのではないか。  一つは、地力の回復ということですね。これは農林水産省の地力保全基本調査でもすでに御承知のように、わが国の不良土壌面積は、水田で三九%、畑で六七%、果樹園地で六四%、こういう不良土壌というものが指摘されているわけですが、これは主に化学肥料の使い過ぎではないかと思うのです。そういうことで、これからこういう化学肥料の使い過ぎによって低下した地力をどう回復していくのかというのは非常に基本的で、しかも重要な問題だと思うのです。あるいは抵抗力のある野菜をつくる。気温が一、二度下がっても大丈夫、こういう抵抗力のある野菜をつくる。そういう品種の改良ということが一つは不可欠だと思うのです。  もう一つは、水を潤沢に供給する体制というか、機械装置、こういう体制づくりですね。少なくともこの三点に力を入れないとならないのではないかというふうに思うのですが、この点、大臣どんな御認識を持っていらっしゃいますか。先ほどの、台風のときや冷害のときだけ来るということに対する反発ということを含めて御答弁をいただきたいと思います。
  74. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 冷害に強い蔬菜の品種をつくり上げていくということも、これは一つの大きな命題であろうかと思います。特に私もことし一年農林水産省におりまして経験いたしたわけでありますが、平均気温よりも気温が下がるなんというようなことはもうないであろうと思っておりましたところへ、六十年ぶり、あるいは八十年ぶりといったような低温がやってまいる、そのために去年の十二月から一月にかけまして葉菜類がほとんど寒害によってやられて、野菜の一月期における暴騰を招いた、こういうことがあるわけでございまして、三浦半島あるいは鹿児島、沖繩県等にも大変御苦労をおかけしたわけでございます。  そういう点から考えますと、やはり寒冷地帯においても葉菜類が収穫できるような品種改良ができれば一番いいわけですが、それを造出するまでにはなかなか容易ではない。しかし、努力は続けなければならないということでやっておるわけでございますけれども、そういう意味で、品種の改良はもちろんでございますが、さらに地域的に冷害や台風のときばかり来るという批判があるわけですけれども、日ごろ生産者の声というものを十二分に農林水産省当局がキャッチして、そうしてそれにこたえておればあるいはそういう批判が出ないのかもしれません。そういう意味において、私どもとしては県を通じ、市町村を通じ、また農業改良普及員あるいは養蚕の普及員、畜産の普及員、あるいは林野関係の普及員の諸君等を通じて農業、林業、水産の技術農家、漁家、林家のもとにつないでまいるという指導をしておるわけでございます。今後もそういう点について、その制度を積極的に運営をいたしてまいりますとともに、やはり技術の浸透、普及というものは、この改良普及員、あるいは養蚕技術員の手を通じて農家の庭先に、あるいは圃場に届けておるわけでございますので、この点ももっと積極的に行政的な強化を図っていかなければならぬのかなというような感じも持っておる次第でございます。
  75. 市川雄一

    ○市川委員 さっきの設置法絡みなんですけれども、前回たしか農林水産省設置法のときに同じことを質問したのですけれども、先ほども申し上げましたが、土中微生物の研究、これは今回の研究センターではどこの課というかどこのセクションでやるのですか。そしてそれは何人ぐらいで研究体制を組まれているのですか。
  76. 川嶋良一

    ○川嶋政府委員 先ほど概括的なことを御説明申し上げましたが、専門的な従来やっているのをさらに深化していこうというところは、耕地環境部というところに研究室がございまして、そこでやります。(市川委員「環境部のどこですか」と呼ぶ)環境部の一般的な病害というところはいろいろやるわけですが、特に線虫害でございます。これは研究室、大体いまの研究室は三名程度の研究員でやっておるわけでございますが、これが中心になりまして、あと畑病害、そういったところで中心にやることになります。それは全く土壌微生物そのものでございまして、それに関係いたしまして土壌肥料の研究室、そういったところ等でもそれに関連したことをやってまいります。この研究センターはこういったような細かいことを特に中心にやるというところではございませんので、そういうようなもっと専門的なところは、農業技術研究所とかほかの方でやっておりますので、ここはこの研究センターの中での中心的な研究室でございます。こういうような従来型の個別のものを総合的にやっていこうということで総合研究官というのがございまして、そこにプロジェクトチーム研究するチームがいまのところ五チーム考えてございます。そのうちの一チームは、この土壌微生物を中心としまして連作障害、これをそれぞれの専門の方たちを大体五人から十人ぐらい集めまして、そこで総合的にやっていこう。これはただあちこちでいろいろな研究を勝手にやっておりまして、当然それはそれぞれ生きていくわけですけれども、ある一定の目的を持たせまして、関係者が集まって緊急にやっていこう、これもここだけですとおのずから限界がございますので、関係研究機関、都道府県も含めまして相当大規模なプロジェクトを組んでやっていきたい、ここはその中核になってやっていく、こういう考え方でございます。
  77. 市川雄一

    ○市川委員 それから、ちょっと具体的に確認しておきたいのですけれども農業改良普及所は月に一回程度定例会で市や農協や研究所の人たち、関係者が集まる。こういう農業改良普及所にいま国がどんな研究をしているかという研究テーマのリスト、研究テーマだけでもいいから定期的に知らせてもらうと非常にありがたい、こういう意見もございますが、技術的にどうなのかということがありますけれども、そういう何か積極的にいま国がこういう研究をしておるぞと知らせていくお考えはございますか、どうですか。
  78. 川嶋良一

    ○川嶋政府委員 それぞれの研究機関で、たとえば野菜ですとか果樹ですとかそういったような研究機関が、それぞれ全国的に幾つかに分けまして、普及員を全部集めるということは大変でございますので、各県の専門技術員というのがございますが、こういった人たちに集まってもらいましていろいろ情報を流す。それからさらに普及所の方に流していく。これはかなり流動的に、年に一回とか印刷物とかそういうことでなくて、人と人との関係の中でいろいろな話し合いをしていくというのがございます。今回の農業研究センターは、そういったような専門は従来かなりやっているわけですけれども、もう少し広い経営的な視野とか地域的な問題とか、そういったような問題については抜けておりますので、そういった点も今後積極的にやっていきたいと思っております。  なお、公のルートはいろいろございまして、私どもの方では全研究機関の全リストを印刷しまして配付しております。それからまた、それはなかなか見にくい点もありますので、いろいろ砕いてやっていこうということで、今回私どもの事務局の組織もいろいろそういう反省も含めまして、われわれが何をやっているかということを、従来は非常に単純な生産目的ですので、米を一生懸命生産している人は米の試験場へ行けばわかる、こういう非常に単純な関係がありますので、お互いの情報は非常にしやすかったのですけれども、いろいろな人がいろいろなことを考える、いままで米をやっておる人が別なものをやる、どこへ聞きに行けばいいかということが非常にわかりにくいわけでございますので、私どもの方でそういう広報を強化していこうということで、そういう組織がえをいたしました。  それからまた、筑波には情報センターというのをつくっておりまして、いまのところは研究のサービスというのに非常に重点を置いているわけですけれども、さらにそういったものをより多くの人が利用できるような形で、最近情報が非常に発達しておるわけでございますので、オンライン方式でできるような方向へ情報を流していけるような努力もこれから始めたいと思っておるわけでございます。
  79. 市川雄一

    ○市川委員 先ほど地力の回復ということを申し上げたのですけれども、ここでぜひ御理解いただきたいのですが、地力の回復に当たって堆肥の確保ということが切実な問題になってくるわけです。重要野菜指定産地である三浦市の例を挙げて申し上げますと、堆肥が三浦市にはない。したがって丹沢とか離れたところから堆肥を運んでこなければならない。運んでくるのですが、今度は堆肥を置いておく場所がない。そういうことで堆肥舎というものをぜひつくらないとこの地力回復という事業ができないということで、五十二年度から市の計画として三カ年、百棟の堆肥舎建設をやってきた。一棟約八坪弱で建設費が二十五万円、うち市が半額負担する、あと個人が負担する、こういう形で進めてきたのですが、しかし、市としてもいろいろな意味で悲鳴を上げているわけですね。この堆肥舎の建設に、この地力回復ということ、それから重要野菜指定産地ということで、何とか国の理解を得たいということで努力しているのですが、国の方では、野菜指定産地整備近代化事業というのがあって、この適用で三浦市に二百坪のものが一カ所確かにできたのですけれども、まだこれだけではどうにもならない。確かに大きいものですと、いろいろなところから堆肥を運んでくる。すると、堆肥の質が違うわけですね。質が違うので、違う質のものを一緒の場所に入れてまぜちゃうというわけにいかない。こういうことで、小さいものを数多くつくりたい、こういう要望が一つあるわけです。  実際、野菜指定産地の整備近代化事業の分は、今回一つ終わりましたけれども、今後の一つの問題として、要望なんですけれども、国庫補助はあくまでも建設費の五〇%ということになっているわけですが、やはりこの堆肥舎建設の最大のネックは用地確保。いま大体賃借が多いのですけれども、これから用地をたとえば買収するという場合も当然出てくると思うのですけれども、そういう用地確保に向けてかかる費用、これについて、そういう堆肥小屋利用組合をつくってやっているわけですけれども、そういう組合に対する何らかの国としての援助というものを考えてもらえないだろうか、こういうことなんですが、この点いかがでしょうか。
  80. 杉山克己

    ○杉山(克)政府委員 三浦市におきまして、堆肥舎の建設については、従来から市当局等による助成事業が行われておったわけでございます。農林水産省関係でも、それぞれ野菜の関係なり畜産関係なりからの助成事業、補助事業がございましたが、一番総合的に行っておりますのは構造改善事業関係でございます。  五十六年度の事業といたしまして、堆肥舎十棟の建設が予定されております。それで、その補助対象となりますものは、いま先生がおっしゃられましたように、堆肥舎、建物の建設に要する経費の二分の一ということになっております。  ただ、用地につきましては、直接補助対象とはいたしておりませんけれども、公庫資金なりあるいは農業近代化資金で低利それからかなり長期の資金を融通するという制度が開かれておるわけでございます。  それから、用地関係でございましても、たとえばそこに至る農道でありますとか、それから堆肥舎を建設する土地の整備に要する事業については、これは補助対象として取り上げるということにいたしておるわけでございます。
  81. 市川雄一

    ○市川委員 まあそれを十分わかった上でいま御要望申し上げたのです。今後の問題として、この地力の回復ということ、これがやはり野菜を確保するという意味において非常に重要なので、御検討いただければ、ぜひ検討していただきたいと思うのです。  野菜の指定産地整備近代化事業の三浦市を対象にした今年度の第二次がたしか終了した。しかし、この整備近代化事業での適用分は終わったのですけれども、これで三浦市としては堆肥舎の建設が全部終わったわけではなくて、これからも堆肥舎をぜひつくっていきたい、こういうことなんで、この整備近代化事業以外の方法で、こういう堆肥舎建設に対する国としての補助をこれからしていくお考えはございますか、どうですか。
  82. 渡邉文雄

    ○渡邉(文)政府委員 ただいま構造改善局の方から、構造改善事業としても計画があり助成をする予定があるということでございますが、別途私どもの方の局で、野菜だけに着目した形での助成事業をいろいろ考えておりますが、先生御指摘のように、指定産地の整備事業は終わりますが、地力維持、作柄安定の重要性は御指摘のとおりでございますので、今年度から新しく野菜の作柄安定のための助成事業を一つもくろんでおります。その中で、御指摘のような堆肥舎等の整備につきましても、地元の御要望をよく伺いながら、助成の対象にしてまいりたいというふうに考えております。
  83. 市川雄一

    ○市川委員 ちょっとその前に、たとえば野菜指定産地整備近代化事業で第二次の適用を受けた、だからそういうところは後回しにするとかいうお考えはありませんか。いまのは、やはり必要度に応じてやっていくというお考えですか。
  84. 渡邉文雄

    ○渡邉(文)政府委員 前に整備事業をやったから、そこを後回しにするとか何かという考えは持っておりません。
  85. 市川雄一

    ○市川委員 そうすると、あくまでも地力回復の事業の一環として、堆肥舎の建設を急がれているところについては適用してやっていくんだ、こういうことですか。
  86. 渡邉文雄

    ○渡邉(文)政府委員 そのように実行してまいりたいと考えております。
  87. 市川雄一

    ○市川委員 それから、またテーマは変わりますが、国庫補助を前提にした事業、農林水産省が補助している事業ですね。たとえば市で三カ年なり四カ年で一つの農地開発事業を計画する、それで農林水産省の許可を受けてその事業に着手する。ところが、国の財政事情ということもよくわかりますが、四カ年で着手するのですが、その予算が、現実の補助がついてこない。そのためにこの事業が、四年で計画したものが、たとえば八年になってみたり六年になってみたり七年になってみたり延びる。延びると諸物価が高騰して、いろいろな維持費がかさんできて、事業そのものが挫折するわけですね。そうすると、せっかく市もお金を出して、国の貴重なお金も出て、しかし事業そのものは中途半端、こういうことになるわけですね。したがって、その辺の運営というのですか、やはり四年でつくるんだということで出す、農林省としては、それは四年で、そういう計画のもとで許可する、そういう許可をした以上は、ある程度四年できちんとつくらせる、こういう運営を図っていかないと、市の方のお金もむだになるし、国の方のお金もむだになってしまうんじゃないか。  こういう問題が一つあるのですが、この点についてどうですか、これからそういう運営の仕方を改善するというようなお考えはありませんか。
  88. 杉山克己

    ○杉山(克)政府委員 補助の農用地開発事業の実行状況でございますけれども、いま御指摘になりましたように、確かに個所数も多い、それから年々工事費単価も上がってくる、それに比べて予算の総額は特にここ数年伸び悩みであるというようなことから、工期が長期化するという傾向が出てまいっております。ただ、私どもの実行の段階におきましては、全体としては若干長期化するのはやむを得ないにしても、本当に必要な優先的に実行すべきものを先に完成させるということで、特に、圃場の整備、こういった面的な事業を先に優先させて実行するということにいたしておるわけでございます。今後、地区数の採択等の点にも配慮いたしまして、できるだけしかかりのものを早く仕上げるということで、厳しい財政事情のもとでありますが、その配分、運営について努力してまいりたいというふうに考えております。
  89. 市川雄一

    ○市川委員 たとえば、具体例を申し上げますと、三浦市の毘沙門地区の農村基盤総合整備事業の一環として行われているものですが、五十四年度から五十七年度、この四カ年で計画を達成する、こういうことで発足したのですが、いま金額面で言うと、三カ年たって達成率は一九・六%、こういう状況。これは農林水産省の方も恐らく反論はあると思うのですよ。金額だけで見れば、そうかもしれないと。金額で見ると一九・六%で、しかし事業内容でこれをよく見てみますと、四年でやるものがいま三年たった、あと一年しかないわけですが、たとえばこの主な事業として、農業用排水路施設整備がメーンですけれども、これが四六%の達成率。まだ四六%。あと農道整備事業はゼロ%。それから農業集落排水施設整備事業、出荷所の用地整備事業、これもゼロ%。農村防災安全施設、これが一・七%という状況です。確かに優先度からいって農業用排水路施設整備には四六%という進捗はあるのですけれども、しかし、計画全体から見ればあと一年しかない。あと一年では残りの金額の三億二百万ですか、これがたとえついても、つくわけはないと思いますが、とてもこなし切れません。こういう状況が現実にあるわけですね。こういうことでは、これから先何年かかったらこれができるのか見通しが立たない、非常に困っているわけですけれども、この点について何か改善のお考えはございますか。
  90. 杉山克己

    ○杉山(克)政府委員 お尋ねは特定の個別地区のお話でございますが、一般的に最近の平均工期を申し上げますと、内地と北海道では若干差はございますが、内地の場合はおおむね六・二年ということになっております。  それから、ただいまの個別の毘沙門地区の実施状況でございますが、これにつきましては、大体先生と同じような見方をしておるわけでございます。ただ、事業の仕切りの仕方が違うせいか少し数字に差がございますのと、五十六年度の予定の事業量を入れておるわけでございますが、一番中心になるところの農地造成、面的な整備、これは五十六年の執行でおおむね六三%まではいくというふうに私ども見ておるわけでございます。あと排水路、それから道路関係、これらは残りますが、その後できるだけ早い期間にということで考えておるわけでございまして、この点は地元の実情も考慮し、農家の方々の意見も聞きながらできるだけ早く完成させることを必要とするものから予算の配当をしてまいりたい、そしてせっかくの御指摘でもございますので、全体の工期もできるだけ早く完成するようにしてまいりたいというふうに考えております。
  91. 市川雄一

    ○市川委員 その点はぜひ御留意をいただきたいと思います。  それから今度は土地改良事業の国の補助の面積制限のことなんですけれども、たとえば農水路事業の場合ですと、農振農用地域の全体が重要野菜指定産地となっているため、国の補助は十ヘクタール以上であれば対象となるということで十ヘクタール以上という制限がついている。しかし、三浦市の場合、ここは重要野菜指定産地ですが、地形が谷地田というのですか、山と山の谷合いの畑が多いわけですね。ですから大半が〇・六ヘクタールから三ヘクタールという畑が多いわけです。そうすると、この面積制限の十ヘクタールにひっかかって補助対象にならない。また排水施設、あるいは給水施設というのですか、この場合でも同じことが言えるわけでして、井戸水をポンプでくみ上げて、給水管のネットを張りめぐらしてスプリンクラーで水をまく、こういうことになりますと、かなり大きい土地でないとできないわけですが、三浦市では、そういうやり方は、土地の面積からいってちょっとお金がかかり過ぎますので、タンク車にくんできて水をまくというやり方をやっているわけです。  そこで、こういう谷地田という地形の特色というものにぜひ農林行政の上で留意していただきたい。たとえば五十三年度から実施された新農業構造改善事業の目標の中では、地域の特色、性格に即して農業の担い手を育てていくのだ、あるいは農用地利用管理の適正化ということがうたわれているわけです。したがって、そういう地域の特性というものを無視して全部十ヘクタールで切ってしまうということではなくて、こういう特殊な地域性というものもこれからは十分に配慮をしていただきたい、理解をいただきたい、こういうことなんですが、この点について、全くだめなのか、それともこれからそういう都市近郊の重要野菜指定産地を育てるという意味において、柔軟な態度が期待できるのかどうか、その辺どうですか。
  92. 杉山克己

    ○杉山(克)政府委員 三浦市の個々の地区ごとの実情がどうなのかということによって、その応用の仕方といいますか、対応の仕方は変わってくると思います。一般的な原則で申し上げますと、規模によりまして国営から県営、さらには団体営へということに下がってまいるわけでございますが、団体営で取り上げます事業につきましては、年々採択基準について小規模なものもとれるようにしてまいっており、現在では十ヘクタール以上までは取り上げられるということになっておるわけでございます。  ただ、先生の御指摘ですと、これでも大き過ぎるのではないか、谷地田の多いところでは採択条件をもっと下げられないかというお話でございますが、実は土地改良総合整備事業におきましては、その基本的な部分が十ヘクタール以上まとまっておれば、それに付随するところの事業として二ヘクタールとか三ヘクタールとか小規模のものがありましても、それをあわせ行う事業として取り上げるということは可能でございます。やはり公共事業でございますから、どこか全体として基本にまとまったものがあって、公共性があるということでないと、その個々の地区ただ一カ所の二ヘクタールか三ヘクタールのところだけを対象に取り上げるというわけにはまいりません。ですから、全体の中でそれをうまく拾えるような計画を組んでいくということならば対象として取り上げることも可能でございますし、それから公共事業ではございませんけれども、非公事業のたとえば構造改善事業にいたしましても、あるいは山村とか定住とか、それ以外の、地域の基盤整備中心とした構造政策のいろいろな事業もございます。そういった事業の中でほかの総合的な地域の構造政策とあわせて行う場合には、小規模の圃場整備、畑地の整備というものも取り上げることはまた可能でございます。  それで、三浦市の実態がどうかということは、これは県が一番よく承知していることでございましょうから、ひとつ県でそこら辺の状況も判断して御検討をいただければというふうに思います。また御相談があれば、私どもとしても十分検討いたしたいと存じます。
  93. 市川雄一

    ○市川委員 いまの意味をちょっと確認しますが、要するに一カ所が十ヘクタール以上ではなくても、たとえば六ヘクタールと五ヘクタールの土地が離れ離れにあったとしても、その二つの土地を合わせて十ヘクタール以上で、しかもこの事業を同時にやるのだ、こういうふうにまとめて出してくれればいい、こういうふうに理解していいのですか。
  94. 杉山克己

    ○杉山(克)政府委員 全部寄せ集めて十ヘクタールというのではなくて、基本に十ヘクタールというのがどこか一カ所あって、それとあわせ行う場合はという意味でございます。ただ、それは公共事業の場合でございまして、非公の場合には、非公共事業の場合はそういうことまではいっていない、そういう意味で申し上げたわけでございます。
  95. 市川雄一

    ○市川委員 趣旨はよくわかりましたが、最初の台風のとき、私たちも実際見に行きましたけれども、キャベツとか大根がどろをかぶって全部ネジで巻いたみたいになっていてひどい状態だったわけですよ。そういうときに農林省から、とにかく野菜が暴騰する、また野菜が足らないから協力してほしいということで大臣や政務次官の方がお見えになる。そのこと自体は努力は多とするのだけれども、したがってそういうことで協力したいのだけれども、実はいま申し上げたような問題で個々に困っているわけですね。要するに、こういうことを余りしゃくし定規にやらないでくれということなんですよ。困ったときだけ来て、普通だったら市場に出さないような品物でもいいから出してくれなんて言われるとちょっとかちんとくる。ですから、こういうところはもっときめ細かく耳を傾けて聞いてもらいたい。それが行き届いていれば一声かければ気持ちよく協力してくれると思うのですよ。そういう意味で、どうかそういうことも十分に配慮していただきたいというふうに思います。  それから、自治省の方にちょっとイロハを聞いて申しわけないのですが、これは後の質問と関連しているのですけれども、農協の建物に対して固定資産税が非課税措置になっているのはどういう趣旨なんですか。
  96. 浅野大三郎

    ○浅野説明員 ただいまお話のございました農業協同組合の所有する事務所、それから倉庫もあるわけでございますが、事務所及び倉庫に係る固定資産税の非課税でございますが、これは昭和二十七年に国会の方の御修正で非課税措置が講じられたということでございまして、そのときの趣旨説明等を拝見いたしますと、これは農業協同組合の保護育成ということであったように理解いたしております。
  97. 市川雄一

    ○市川委員 大枠ではその趣旨に合致するのではないかと思うのですけれども、そういう農協の建物は非課税措置になっている。しかし、各農家が共同出荷するときに、その集出荷の場所ですね。運営費という項目で全売上高の一・五%から二・五%の手数料を農協が取っている。その手数料というのは、要するに集出荷場に課税されている固定資産税分である。したがって、農協の建物が非課税になっているなら、実際こういう農家が共同の集出荷に使う建物、これもそういう趣旨から見ると非課税の適用を受けてもおかしくはないのじゃないか、こういう意見あるいは要望なのですが、この点についてどういうお考えですか。
  98. 浅野大三郎

    ○浅野説明員 税制上の特別の措置を講ずるにつきましてはいろいろ検討課題もあるわけでございまして、一つは政策の緊要性あるいはいろいろな施設の性格ということもございましょう。それとやはり税負担のバランスということについても十分考えなければいけないのだろうと思うのでございます。そういう点で集出荷施設が重要な機能を果たしていることはそうだと思うのでございますけれども、では農業協同組合のいろいろな施設でほかにそういう重要な機能を果たしているものもあるのではないか、農業協同組合以外の事業主体が持っておりますいろいろな施設で重要なものもあるのではないか、その辺のバランスはどうかという問題がございます。  なお、農業協同組合の施設の中だけで考えますと、事務所、倉庫というものはいわば基本的な施設とでも言うようなものでございましょう。それから集出荷施設というのは、農業協同組合によってはそういうものを設置してないものもある、こういうようなところもあるのではないかと思います。その辺の事情をいろいろ考え合わせまして、あわせて現在国の財政と同様地方財政も非常に厳しい状況にあるわけでございまして、一般論として申し上げますと、むしろ税制上の特別措置というのは見直して整理合理化を図らなければいけない、こういうようなことが課題になっておる時期でもございますので、ただいまの集出荷施設につきまして特別措置を講ずるということは、非常に困難ではないかというふうに考えております。
  99. 市川雄一

    ○市川委員 時間が迫っておりますから、もう一問。これは農林水産大臣にもぜひ御理解をいただきたいことなのですけれども、直接の農水省の所管ではないかもしれませんが、旧陸軍省が持っていた旧軍道ですか、これが二本三浦市にある。この旧軍道の所有権がいま大蔵省にある。大蔵省から無償でいま借りて、市道に認定して市が使っている。ところが建設省から三分の二の道路補修の補助は受けておりますが、三分の一の道路整備の負担に市は財政的にたえられないということで、なかなか道路の整備が進まないわけですね。  もう一つは、カーブが非常に多いので、道路をつくる場合カーブを真っすぐにさせたい、真っすぐにするにはカーブしている部分を代替地として交換したり何かしたい。ところが、これは所有権が大蔵省にありますからそういうことはできない。きわめて能率の悪い、効率の悪い道路の整備の仕方をせざるを得ないわけですね。真っすぐできるものが真っすぐできない、こういうことでいま困っていて、県道の指定をしてくれということで県に何回か働きかけたのですが、県の方は距離が短いということで、距離が短いといっても三千四百二十メートルあるいはもう一本の道は千五百メートルなのですけれども、この道が言ってみればキャベツや大根の集出荷の本当に主要道路になっているわけですね。ところがその道が岩はだが生に出ているような道でして、車に乗っていきますと頭が上にごつんと突っかえるような、バウンドするような悪い道である。したがって、この道が集出荷に非常に障害になっているわけです。何とか整備したい。  そこで、本来もともとの始まりは、旧陸軍省が地元住民から強制買収した砲台に通ずる道路ということなのです。ですから、本当は戦後早い時期に自治体に払い下げるか、あるいは国が持つなら持つで、国が整備をきちんとするか何かしなければならないものがそのまま放置されてきた。それがいまキャベツとか大根とかいうものの輸送に非常に支障を来しているということで、この解決についてぜひ農林水産大臣の方も御理解をいただいてお力添えいただきたいということなのです。歴史的な経過から見てどうでしょうか。農林水産省の方で重要野菜指定産地に指定している三浦市の野菜の輸送に非常に重要な役割りを果たしている道路がそういう状況にある。この問題の解決に何らかのお力添えを大臣いただけませんか、どうですか。
  100. 杉山克己

    ○杉山(克)政府委員 いま御指摘になりました問題の道路は、これはすでに市道十九号線として取り扱われており、建設省の補助事業、市町村国庫補助道路事業ということで採択されておって、五千五百九十一メートルのうち二千八百六十六メートルが改良済みであるということになっております。実はこれは先ほど神奈川県に電話で照会して確かめたところでございますので、それ以上の詳細はまだわかっておりません。  ところで、こういった道路が非常に整備が不十分であって、しかも野菜の集出荷のためにきわめて重要な役割りを果たしているから、その整備について農林水産省としてどうかということでございますが、これにつきましては、やはり県があるいは市がどういうふうに考えているかということをまず確認いたしたいと思います。  それから、そういった道路について農道としての整備ができるのかという問題があるわけでございますけれども、すでに市道として管理され、それから補助事業として事業が現在まだ継続的に行われている状況でありますと、その管理責任の問題もございます。もちろん市道だから農道の改修の対象にならないということはないのでございますが、そこら辺の調整が必要であろうと思います。そういう関係で、関係方面とも十分打ち合わせをしてみたいというふうに思います。
  101. 市川雄一

    ○市川委員 それから、建設省と大蔵省の方お見えになっていらっしゃると思うので、この際要望しておきたいのです。  建設省に対しては、大体毎年度二百メートルくらいの補助だと思うのですが、これをもうちょっとスピードを上げていただいて、たとえば三百メートルとか四百メートルとか、こういうスピードアップはできないのかということが一つ、これは建設省。さっき農水省の方のお答えがあって、農道ということになるとかいろいろ工夫の余地はあるようですが、あるいは県が引き受けてくれると非常に助かるわけです。  それから、大蔵省はこの所有権だけ持っていて放さない。所有権を早く無償で譲渡したらどうですか。無償で譲渡しない理由は何か特にあるのですか。その所有権が邪魔して、真っすぐつくるものが真っすぐつくれない、こういう問題もあるわけですから、その点どうなのか。大蔵省が無償譲渡できない理由の一つとして、整備が終わってから無償譲渡してやる、こういうお考えもあるやに聞いていますし、あるいは地籍不明地があるのじゃないのか、こういう指摘もあるのですが、その辺含めてお答えいただきたいと思います。
  102. 本山蓊

    ○本山説明員 三浦市におきます軍道につきましては二本ございまして、市道十九号、市道二十一号として昭和四十九年に認定しております。現在、市道二十一号の約一キロにつきましては整備済みでございますが、市道十九号につきましては、ただいまお話がございましたように五キロ七百につきましては未整備でございます。昭和五十三年度よりそのうち急がれる分につきまして、一キロ百四十メーターにつきましては、国庫補助事業として採択しております。五十六年には三千三百万の事業費で事業を進めますが、大体いまのところ、来年の事業にはわかりませんが、五十七年度中には終わりたいと思っております。その後、その残りの約二キロ四百につきましては、その事業の進み次第、国庫事業として採択して進めたいと思っております。  現在、軍道につきましては先ほどお話がありましたように、一般にほとんど国有地でございまして、大体無償貸し付けで受け付けておりまして、その他の拡幅分については用地買収して事業を行っております。  以上でございます。
  103. 高橋公男

    ○高橋説明員 お答えします。  大蔵省が一般に、大蔵省所管の普通財産につきまして道路用地として地方公共団体に無償貸し付けをしようということを決める場合には、その後のことを考えて決めております。すなわち、相手方が道路の整備を終え、道路として供用を開始した後におきまして、譲与申請をしてくれば当然に譲与するということの腹を決めて無償貸し付けの決定をするということでございます。したがいまして、無償貸し付けをした道路用地につきまして、先方が道路として整備を終え供用を開始した後に譲与の申請をしてきました場合には、当然に譲与をいたします。大蔵省が譲与を惜しんで自分で抱え込んでおるということはございません。  御質問の土地につきましては、大蔵省の出先機関であります関東財務局の横須賀出張所で管理をいたしておりますので、詳細についてはつぶさには把握しておりませんが、取り急ぎ調査いたしました限りにおきましては、五十年に最終的な無償貸し付けが終わっておりますが、それ以降市から譲与の申請がないので、譲与の手続をしていないということのようでございます。したがいまして、私どもといたしましては、出先機関に、事情調査の上、三浦市とも連絡をしてしかるべく処理をしろということを指示したいと思います。  以上です。
  104. 市川雄一

    ○市川委員 ちゃんと整備してから譲与するというのですが、その整備の事業に所有権が隘路になっておるわけですから、その点をぜひ御考慮をいただきたいということと、譲与申請を取り下げたということですけれども、どうも何かの圧力があって取り下げろということで取り下げたみたいな経緯があるやにも聞いておりますし、どうぞ十分な配慮をいただきたいと思います。  きょうは、問題によっては大分御配慮のある御回答もいただいたのですが、個々の問題について、御要望した点を含めてぜひこれから留意をされてやっていただきたいということを要望して、質問を終わります。
  105. 江藤隆美

  106. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 同僚議員の質問に引き続きまして私からも、今回政府から提案されております農林水産省設置法の一部改正の問題に関連をいたしまして御質問を申し上げたいと思います。  きょうは、農林水産大臣初め農林水産省関係政府委員以外に、臨時行政調査会関係、科学技術関係あるいは人事院関係、それぞれ政府委員の御出席をお願いしておるわけでございます。これから相当時間やることにいたしております。大臣初め政府委員の方々はもちろんでありますが、委員長初め委員の各位にも御協力を願うわけでありますので、なるべくスムーズに議論を展開してまいりたい、こういうふうに考えております。  亀岡農林大臣も御案内のとおり、ことしは農林水産省百周年記念式典を去る四月七日に行ったわけでございます。その際に、農林水産省側から「農林水産省創立一〇〇周年記念農林水産省の百年」というパンフレットや「国の試験研究から生まれた農林水産技術百選」というものをいただいたわけでございます。「農林水産省の百年」というこの題字は、亀岡大臣自身筆をとられたわけでありまして、大臣の字は私は初めて見たのでありますが、やはりきちょうめんな、誠実な性格がそのままこの題字にあらわれておるように拝見をしたのであります。  それは別といたしまして、私もかつて農林水産省に籍を置いた関係もございまして、本年四月七日に百周年を迎えるということは感慨もございますが、御案内のとおり、農林水産省のそもそもの発足は明治十四年四月七日、当時農商務省として発足をする、そして大正十四年の四月に、これは高橋是清農商務大臣の裁断というふうに言われておりますが、ここで初めて農林省と商工省に分かれて独自の官庁としてスタートする。大東亜戦争の激しい段階で、昭和十八年の十一月に再び農商省になる。終戦直後の二十年の八月に再び農林省に返る。そして昭和五十三年の七月に農林水産省のタイトルで今日あるわけでございます。恐らく農林水産省の百年を迎えるときの現役の大臣としては、明治、大正、昭和農政の非常に激動のあった変遷を顧みて大臣自身も感慨ひとしおのものがあるだろうと思います。ことにことしの場合は、国際的に見ましても国内的に見ましても、農政のかじ取りとしては大変むずかしい時期に直面をしておるわけでありまして、われわれの大臣に期待する点もきわめて大きいわけであります。  そこで、まず大臣から基本的な考え方として農政の問題でお伺いしたいのでありますが、御案内のとおり、本委員会でも議論されておりますように、昨年の春にこれからの日本農政の重要な柱として、バックボーンとして、国会で衆参両院とも食糧自給力の強化に関する決議というのをやったわけであります。これはやはり今後の農政の一つのバックボーンであろうと思っております。スタート以来相当の期間たっておりますけれども亀岡農政としては、農政基本をどこに置いて農政展開をやられようとしておるのか、その辺のところをまず大臣からお伺いしたいと思います。
  107. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 どこに基本を置いてというお尋ねでございますが、私はやはり農林水産業に従事する方々が本当に生産に喜びを感じながらその使命を自覚して、そして農林水産業に積極的に取り組んで生産を上げようという意欲を起こさせる環境をどうしてつくるかということが農林水産業の政策並びに行政を推進するに当たっての基本ではないか、そういう感じがいたすわけであります。  戦後急速なる鉱工業の発展によりまして急成長した日本におきましては、農業の面が農業基本法制定して懸命の努力をいたしましたにもかかわりませず、現実問題として自給率がどんどん低下してきたわけであります。しかも、外国からの輸入の農林水産物資が三百億ドルに迫らんとした。こういうことをやっておってはいけませんぞ、政府は何をしているんだということで、国会からあのような自給力強化の決議が示されたということは、政治の上において大変画期的なと申していいほど重要な節目であろう、私はこういうふうに当時あれを受けとっておりました一人でございます。したがいまして、たまたま農林水産大臣を拝命いたしましてから、やはりあそこに大きな足がかりを一つ置きまして、あれを足がかりといたしまして、省内においてなかなか結論の出ない農政審議会答申をできるだけ早く出していただけるように、そうして十年間の長期見通しをできるだけ早く閣議決定をしたい、それをもとにしてひとつやろう、こういうふうに考えた次第でございます。したがいまして、その結果、冷害とかいろいろございましたけれども、非常に厳しい中ではありましたが、あのような「八〇年代の農政基本方向」と「農産物需要生産長期見通し」という答申を得まして、「長期見通し」の方は閣議決定をさせていただいて、そうして一応これをもととして、これを踏んまえてこれからの農政展開を図ろう、こういうことで取り組んでおる次第でございます。
  108. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 私は、亀岡大臣の場合には、御答弁の言葉よりも、農林水産大臣就任以来の農政に取り組むというこの経過を見てまいりまして、かねて一度は農林水産大臣をやりたいという熱意をそのままに誠実に取り組んできておられるというふうに受けとめております。もちろん党の立場はございますから、ときにはこれから農林水産委員会に出てくる法案なんかについて、これは議論もございますけれども、やはり食糧の安全性という政治の大きな課題を前提にして、しかも第一線で働いておる農林漁業者に希望と期待をつなぐ愛情のある農政展開していくということが基本だろうというふうに私は思います。特に、私は元来がそういう半農半漁地帯の出身でありまして、父もあるいはおじいさんも沿岸漁業をやったりあるいは農業をやったりという、そういうところで育ったわけでございますから、今日の農政の現状については、これでは十分でない、やはりもっと考えていかなきゃならぬという実感を持っておる一人でございます。  きのう衆議院の農林水産委員会で、中曽根行政管理庁長官と亀岡農林大臣ともども御出席のもとで、行革その他の農林水産関係の問題を議論されたわけでございまして、私は今回そういう点の議論をここでしようとは思っておりません。しかし、本内閣委員会では、昨年の国会臨時行政調査会法案を通したわけでございまして、これが華々しくスタートしていよいよ本格的な取り組みに入ろうとしておる段階でございます。したがって、行政管理庁臨時行政調査会担当の佐々木さんの方から若干お答えを願いたいと思うのであります。  第二臨調がスタートいたしまして、今日中間答申を目指す体制整備をとっておるわけであります。従来でありますと、九人のメンバーにふえましたけれども、いわゆる行政管理委員、二十一人の専門委員、さらに参与、今回は顧問制度もつくられるという形で陣容を整えられ、新聞報道等では、明日の第五回の会合を通じて専門委員の配置をどうするかといったようなことで、専門部会の設置やあるいは場合によると特別部会の設置等も含めた体制をとろうというふうに聞いておりますし、また臨調自身として、これから中長期の問題にどういうふうに取り組むかといったようなテーマについても、ほぼ決めつつある段階のように承知をしております。この機会に佐々木さんの方から、臨調スタート以来の今日までの経過あるいは今後のスケジュールといったものについて簡単に御答弁願いたいと思います。
  109. 佐々木晴夫

    ○佐々木政府委員 お答え申し上げます。  先生すでに御案内のとおり、臨時行政調査会は昨年十一月にこの委員会を通していただきました。自今、委員の人選その他の準備を進めまして、三月十六日に第一回の会合を行ったわけでございます。それから現在までに四回の会議を行っております。毎週月曜日を定例日といたしております。  まず臨時行政調査会が取り組んだ審議事項といたしましては、今後二年間に何を審議検討するのか。御案内のとおり臨時行政調査会法律によりまして「行政制度及び行政運営」の全般につきまして調査審議するということになっております関係で、行政をいかなる切り口をもって検討してまいるのかということにつきまして、四回まで種々検討いたしてまいったわけでございます。同時に第一回会合で、五十七年度予算に間に合わせるために、この夏ごろまでに歳出削減、機構簡素化、事務の合理化、こうしたものを中心としました意見を、短兵急なお願いではあるけれども、出してもらいたいというような御要請が内閣総理大臣からございました。こうした事項につきまして、どのような取り上げ方をするのかということにつきましても、いままで審議をいたしてまいったわけでございます。おおむね現在までの段階で、中長期課題といいますか、この二年間の基本検討項目につきましては、大きく言いまして三つ、つまり行政の機能面の改善合理化、行政の基本的制度の面の改善合理化、それから今後に向けましてのいわば体制面での整備充実、こうしたようなことを基本として取り組んでまいろうということについて大方の委員の合意を見ておるわけでございます。また、緊急課題につきましては、いわば歳出削減、行政の減量化を中心に問題を考えてまいろうということで多くの委員の同意をすでに得ておる、一応このように考えております。つきましては、あすが第五回目の会合でございますけれども調査会の議論によりまして、できれば部会構成その他につきましても決定の運びになるのではなかろうか、このように推測をいたしておるわけでございます。  なお、今後の段取りといたしましては、そうした部会等でいろいろと御検討いただきまして、この七月ごろをめどにしまして、第一次の意見を提出するというようなことを一応考えておるわけでございます。
  110. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 いま経過の御報告と、今後のスケジュールについての大綱の御答弁をいただいたわけでございますが、これはわれわれが臨時行政調査会法案を議論する際にもそうでありましたし、また臨調発足以降においても、行政管理庁長官と自治大臣関係、いわば地方公共団体との関係の問題で、安孫子さんの委員会での御答弁その他も含めて、不協和音というのですか、そういうものが出てきておるように思うのであります。  第二臨調では、当然のこととして地方公共団体の組織、定員、給与を対象として総合的な論議の俎上に上せようとしているわけであります。それは一方では憲法上の地方自治の立場あるいは地方自治法の関連といった立場から、地方公共団体関係あるいは自治省関係では、おのずから臨調が取り上げるべきものについては限界があるのではないかという立場で御発言等が出ておるわけでございますが、臨時行政調査会として議論し、これを取り上げていく考え方というのはどういうところに置かれておるのでございましょうか。
  111. 佐々木晴夫

    ○佐々木政府委員 これにつきましては、先生御承知のとおり、臨時行政調査会設置法の中には、第二条に「調査会は、行政の実態に全般的な検討を加え、行政制度及び行政運営の改善に関する基本的事項を調査審議する。」という規定がございます。行政に特段の限定はございません。しかしながら憲法九十二条に、地方自治につきましては、「地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定める。」このような規定がございます。一応そのような趣旨を受けまして、実は過日衆議院予算委員会の第一分科会で御議論がございまして、政府といたしましての統一見解を委員会の席でもってお答えをいたしております。  その趣旨は、第一に、臨時行政調査会は、行政制度及び行政運営の改善合理化について調査審議する機関として設置されるものであり、地方制度調査会との関係におけるその調査審議の範囲は、前回の臨時行政調査会におけると同様であり、地方自治の本旨を尊重し、地方自治の問題については国の行政との関係において調査審議する、このような取り扱いになっております。それで具体的な調査審議の対象については、臨時行政調査会の委員として地方制度調査会長が参加されていることにかんがみ、臨時行政調査会において適切な選択が行われることを期待するものである、このようなことで、地方自治の問題につきましても、国の行政との関連において調査審議し、具体的項目の選定につきましては、臨時行政調査会自身が地方自治の本旨を尊重しつつこれを考えてまいる、このようなことに一応定まっておるわけでございます。
  112. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 そこで、先ほども佐々木さんからの御答弁の中でもありました七月を目途とした中間答申の問題であります。ここでは来年度予算編成とも絡んで、補助金の問題が一番中心になるというふうに予測されておるわけでありますけれども、この七月の中間答申の場合にはどういうものにスポットを当ててまとめられようとしておるのか、その辺のところをひとつ明らかにしてもらいたいと思います。
  113. 佐々木晴夫

    ○佐々木政府委員 先ほどもお答え申し上げましたように、総理の御要請もございまして、歳出削減、行政の減量化、こうしたものを中心として検討してまいるということがいまの委員会考え方でございます。したがいまして、いまお話しの補助金の問題はもちろんのこととしまして、歳出面につきまして行政のいわば手段あるいは行政の制度、こうしたものにつきまして切り込みを一応考えてまいる。かつまた、たとえば機構、定員問題、こうしたものにつきましても、その減量化をいろいろと検討してまいる、このようなことになろうかと考えております。
  114. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 われわれは、第二臨調がこれから取り上げる中間答申に向けての取り組みあるいは二年間の期間中における中長期の展望に立った行財政改革、こういう問題については、今日の諸般の情勢あるいは国民のこういう問題に対する期待その他から見て、これは当面の政治的課題の重要な一つであるという認識はもちろん持っているわけでございますけれども、だからといって、いわば財界主導型という形でこの問題が土光さんを中心に進められるということがあってはいけない。やはり行財政改革というものは、中長期の展望に立って、現実に即した適切な改革が当然提示されなければならないというふうに思っておるわけであります。  そこで、亀岡農林水産大臣にお伺いしたいわけでありますが、中間答申に向けて盛んに補助金整理というような問題が出てまいっておりまして、総理も行革については政治生命をかけるという強い決意を表明されておるわけでありますが、数日来の報道によると、総理が各省に八%から一〇%の補助金削減というのを自主的に作成するように言われたとかいうことでありますけれども、こういった各省一律主義ということでは、行政全般の中での選択肢あるいは重要性というものから見て、基本的に問題になるだろうというふうに思いますし、ことに非常に困難な情勢の中でこれから農林水産行政を進めるという立場からいたしますと、他省とのつき合いという形でこの問題の答えを求められるということは、きわめて問題であろうと思うわけでありますが、そういった点について亀岡大臣としてはどういうふうに取り組まれようとしておるのか、この点についてお伺いをいたします。
  115. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 総理から各省八ないし一〇%の整理をするようにというような話は、私は全く聞いたこともありませんし、指示を受けたこともございません。どこからどういうふうになって新聞記事になったのか、私ら自身も実は驚いておるところでございます。臨調の答申もないのにそういうことが言われるはずがない、行管長官なんかもそういう感じを述べておられるようでございます。しかし、先ほど行管から説明のありましたような線で、鈴木内閣としては歳出の削減をし、そして予算編成をする、機構を整理をして来年度の予算を編成をする、こういう方針を決めておるわけでございますので、内閣として、私どもも省を挙げて協力をしていかなければならないという決意を持っておる次第でございます。いま角屋委員からも御指摘のありましたとおり、農林関係はいろいろな面で財界からの提言あるいは賢人の提言、何々の提言といったように厳しい批判を受け、しかも過保護であるとかいろいろなことを言われる中で、食糧の供給を黙々として続けてきておるわけでありまするし、適宜適切な輸入によって本当に食糧に対して国民に心配をかけたことのないような体制をつくってきておる農林水産省という自負もあるわけでございます。特に私は声を大にして閣議でも何でも言い続けてきておりますことは、とにかく日本のいわゆる土地基盤の整備先進国では土地基盤の整備等は百年、二百年前からもう推進されてきておるわけでございます。日本の場合は戦後基盤整備らしい措置がとられてきておる、こう言っても過言ではないと思うわけでございます。したがいまして、先ほども議論のありましたとおり、土地改良、農業基盤整備等はまだまだやらなければならぬところが非常に多く残っておる。農村の環境整備も進んでおらないというような、そういう中で、しかも農業の近代化あるいは生産性向上立場から見た規模拡大の推進というような点もこれからである。しかも去年国会から食糧自給力強化決議をちょうだいをしておる。これによってこれからの十年間の長期見通しを立て、「八〇年代の農政基本方向」を答申をいただいて、これからだ、こういうことで全国農民にも厳しいこの国際情勢の中で、もう乳価も据え置き、あれもこれも据え置きといったような厳しい要請を農家の方々に示して協力をいただいておるという、こういうさなかに、しかも農林省百年目というときに、この厳しい行政改革を断行しなければならないというわけでございます。したがいまして、これはもう何としても私としては、少なくとも五十六年度の事業費をどんなことをしても下ってはいけないなというような感じがいたすわけでございます。そんな器用なことができるかという御疑問を持たれる方がおるかと思いますけれども、そういう点にいろいろな知恵を出せないものだろうかということで、省内で鋭意検討をいたしておるところでございます。  したがいまして、私はもう過保護というのは、大変広い農林水産行政の中の一部分をとらえてみれば、あるいは過保護になっておるということがあるかもしれませんけれども農政全般としては非常に厳しい中から生産者、消費者の要請にこたえて農政を推進しておるという確信も持っておるわけでございます。したがいまして、やはり農家の協力も理解も得られるような筋の通った第二臨調の中間答申がなされるもの、こう確信をいたしておるわけでございます。
  116. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 これから行われていく臨調を中心にした行革に対する各省対応、こういう点で御案内のとおり財界にも対応の組織ができたり、労働界にも対応の組織ができたりあるいは農林漁業団体でも対応の組織ができたり、いろいろこれからの行革に対しては、単に臨調を中心にした陣容の整備、各省の対応ばかりでなしに、そういうふうな姿でこれから議論が展開をされていく。私はその際に、たとえば中曽根行政管理庁長官が、今度はこれは当面の緊急の政治課題だから、各省にも、これは大臣じゃなしにいわゆる各省の官僚陣に、余り有無を言わせぬといったような考え方は、私は民主社会において少しくいかがかと思うのですね。最終的にどういうふうにやるかはもちろん内閣の政治判断ということであろうと思うのですけれども、やはり省内においてもあるいは団体関係その他においても、そういう意見がそれぞれの問題について真剣に議論が行われるということは、民主社会において当然だと私は思うのです。  そういうふうな点で、農林水産省のトップの責任者として出されてくるいろいろな問題、あるいはみずから検討して提示していく問題等も含めて、やはり議論は議論として十分やる、そしてどういうふうに最終的にするかというところはやはり決断を要するだろうというふうに私は筋道として考えるのですけれども大臣はこれからの行革問題に対する取り組みの姿勢についてどう考えておられるか、お伺いをしたいと思います。
  117. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 どんないい発想でありましても、これが行政の路線に乗って、一つの法案あるいは予算という形になってまいりますためには、これはもう大臣が一人で幾らじたばたしてみても、官僚諸君の協力なしには、これは私の経験からすれば一歩も進まない。私自身、もう建設大臣をやってみましたときもしみじみとそういうことを感じておるわけでございます。知恵も持っております。発想も、とにかく日本の世の中ではどっちかというと頭のいい人が集まっておるわけですから、やはりそういう人の力、能力を十分に発揮してもらうという姿勢を私は就任以来強く主張をしておるわけであります。そしてそういう諸君が本当に国家公務員として後顧の憂えなく思う存分活躍してもらうことのできるような環境をつくるのが、大臣の一番先の仕事だということも、私はもう一番先に、総理から任命を受けたときに、テレビを通じて公約もいたしておるわけであります。したがいまして、今回もそういう意味において、もう本当にお互いに裸になって、そうして日本の将来のため、日本の二十一世紀へ向かっての農政基本をたまたま創立百年目の今日築いていくんだという立場でひとつ仕事に協力してほしい、こういう呼びかけをいたしておるわけでございます。したがいまして、農業団体でいろいろそういう自分たちの自衛体制と申しますか、そういうものをおつくりになる。総理も心配されまして、どうなんだということですから、それは筋が通った答申を出していただければむしろ協力体制に動いてくれるかもしれません、筋が通らぬとなるとなかなか容易じゃありませんですねという話を申し上げたわけでございます。もう私らよりもよく事情を知っておられる総理でありますから、そういうわけだ、こういうことであったわけでございます。したがいまして、臨調の委員の皆さん方には、声を大にしてやはりあるべき姿、その実態というものを機会あるごとにお耳に達するように主張し続けておるというのが私の姿勢でございます。
  118. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 臨調の佐々木さんの方はこれで結構でございます。  次に、科学技術振興の若干の問題についてお聞きをしたいと思います。  ことしの科学技術振興費等の予算を見てまいりますと、総額にいたしまして五千五百十五億七千八百万円、そのうちで科学技術振興費プロパーということになりますと三千七百四十七億六千五百万円、これが科学技術庁初め各省にそれぞれ配分をされて経済大国ナンバーツーと言われる日本の平和的な科学技術の振興がなされていく、そういう姿になるわけであります。  そこで、科学技術庁の方にお伺いをしたいのでありますが、今日の科学技術政策というものの基本的な方針といいますか、そういうものについて若干御答弁を願いたいと思います。
  119. 園山重道

    ○園山政府委員 お答えいたします。  先生御案内のように、わが国はエネルギー資源を初めといたしまして、鉱工業資源等が非常に乏しい国でございますので、このわが国が今後とも経済の安定成長を維持いたしまして、国民生活の質の向上を着実に図っていきますためには、科学技術立国以外になしという御認識が各方面で非常に強く出ているところでございます。このため、いま先生御質問の科学技術政策基本的な考え方ということでございますが、かねてからわが国の科学技術振興に関しまして、御指摘のように、戦後外国技術を導入いたしまして、非常な苦労をいたしまして、これをいい製品に結びつけて輸出するというパターンで今日までの経済成長をいたしたわけでございますけれども、これに対する一種の反省といたしまして、わが国独自の技術というものを育てていかなければならないということがあるわけでございます。このために、政府といたしましては、科学技術振興の基本的な課題といたしまして、一つは研究開発投資を拡大していくということ、それからいわゆる官、学、民の有機的な連携の強化ということ、あるいは人材の育成、確保というような手段を講じまして、これによりまして、先ほど申し上げましたわが国独自のいわゆる自主技術というものをもっと育てていかなければならない。そういたしまして、このわが国技術というものをもちまして、国際協力につきましても、積極的な展開を図っていかなければならない、こういったことがかねてから大きな課題としてあるわけでございます。  特に最近のように、科学技術が非常に高度化いたしまして、分野が専門化する、一方多くの分野の科学技術の協力が必要であるというようなことでございますので、最近特にわが国の科学技術政策の中核的ないわゆる考え機関といたしましての科学技術会議の総合調整機能の強化ということがうたわれているところでございます。このために、御案内のように、五十六年度予算におきましても、この科学技術会議の方針に沿って運用するという科学技術振興調整費というものが、新たに三十三億五千万でございますが、計上されておるところでございまして、私どもこういった科学技術会議の総合調整機能の強化ということを軸にいたしまして、今後できるだけ有効にわが国の科学技術の振興を図る、そうして世界各国に対しまして誇ることのできる自主技術を育てていかなければならない、これが科学技術政策基本であるのだ、このように考えておるところでございます。
  120. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 そこで、それを受けて農林水産技術開発、改良、こういった面への農林水産省基本的な取り組みという点について御答弁を願いたいと思います。
  121. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 農林水産業の生産性向上、総合的な食糧自給率の強化など、今後わが国農林水産業の健全な発展を図っていく上で技術の果たす役割りは、先ほど来申し上げておりますように非常に重要であるわけでございます。したがいまして、農林水産省におきましては、先般の農政審議会答申基本といたしまして、わが国農業の再編成生産性の高い農業食品産業展開を図るための技術開発、さらに資源エネルギー問題などに対処しながら、長期的視点に立った画期的な新技術開発、さらに林業、水産業関係につきましては、その資源維持増大を基本としながら、環境問題も含めて解決してまいりますための技術開発、さらに以上のような技術開発を効率的に推進するための試験研究体制整備及び研究勢力の重点的配置を進めることといたしておるわけでございます。このセンター法案提案させていただいたゆえんもその考え方に基づくものであり、また技術会議の機構も改革をいたしましたし、さらに農林省に技術総括審議官というような仕組みをつくらせていただいたゆえんもその辺にある次第でございます。
  122. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 科学技術振興費等の推移ということで、昭和四十一年以降五十六年、これの科学技術庁を初め農林水産省等も含めた予算の推移を見てまいりますと、たとえば四十一年を一〇〇として、科学技術庁では五十六年が指数として一五〇五、文部省が一〇五八、厚生省が一〇五四、農林水産省が五四〇、以下各省ございますけれども伸び率といいますか、そういう関係になっておりますし、省庁別の比率というものを昭和四十一年で見ますと、科学技術庁三八、文部省一〇、厚生省四、農林水産省は二〇、通産省二〇というふうな形にございましたが、五十六年になりますと科学技術庁五六、農林水産省は二〇から半分になりまして、各省庁別のシェアでは一〇%、これは各省の大型プロジェクトのスケールという問題も関連しますから、比重の低下だけで言うわけにいかないかもしれませんけれども、しかし四十一年と五十六年を対比した場合における伸び率あるいは省庁別のシェアというものを見てくると、明らかに農林水産省は地盤沈下を来しているわけであります。これは農林水産業の重要性から見て、今後における食糧問題といったようなことも考えてまいりますと、もっとこういう面に強化をするような努力が必要ではないか、こう思うわけでございますが、いかがでしょう。
  123. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 私も角屋委員と同じ考えを持つ次第でございまして、就任以来科学技術の重要さというものを農林行政の中にやはり積極的に生かしていかなければならないということで努力をいたしておるわけでございますが、なかなか一度に改革をするということの至難さをしみじみと味わっておる次第でございます。しかし、今後もそういう面で大いに努力をしていきたいと考えております。
  124. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 引き続き科学技術庁の関係で二点お伺いをいたします。  一つは、人当研究費単価の問題であります。これは実験系と非実験系に分かれておりまして、実験系も一と二に分類をしております。そこで、農林水産省の三十の研究機関で見ますと、実験系の一に該当するのが農業土木試験場、水産工学研究所の二つ。それから実験系の二は、農業総合研究所と一に属するものを除いた二十七の試験研究機関。そして非実験系に農業総合研究所が一つ該当しておるわけであります。問題は、それだけ言いますとよくわからぬと思いますけれども、要するにこの人当研究費単価というのは、たとえば実験系の一の場合は、ことしは五万円上がりまして百四十四万円、二は百二十六万円、非実験系になりますと九十一万円、これが掛け算になるわけでありまして、そういう点で農林水産関係は人当研究費の高い一に、これが工学関係ということになるので二つしかない。大半は実験系の二に該当しておる。そこで、最近の研究手法の高度化というふうなものを考えてまいりますと、実験系の一と二の格差是正というふうな問題ももちろん出ておりますし、同時にこれをもう少し強化をしなければならぬじゃないかという強い要請も出ておるわけであります。こういった問題について、科学技術庁としてどう取り組まれておるかということが一点。  それから、先ほども御答弁にございました、ことしから科学技術振興調整費というのが新規にできまして三十三億五千万円が予算としてついたわけであります。これはいま各省別の御相談をしておると思いますけれども、どういうふうな取り組みと運用をされようとしておるのか、簡潔にこの二点についてお答えを願います。
  125. 堀内昭雄

    ○堀内説明員 ただいまの研究員当たりの積算庁費につきましては、国立研究機関における研究活動を支える基盤でありますところの経常研究に充当される経費でありまして、当庁としましても、その重要性にかんがみ、増額につきましては毎年度努力しておるところでございます。  先ほどのお話の格づけの問題でございますけれども、最近年度、五十四年度におきましてある程度の格づけの変更が行われまして、是正も行われたわけでございますが、その後もいろいろ研究の高度化等なされておるのは事実でございます。これにつきましては、各省庁の研究機関のバランス等も考え研究の質的な内容をよく見まして、各省と協議しつつ対策を練っていきたい、こう考えております。
  126. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 終わりの時間をお待ちのような空気もございますので、予定は相当大量の予定をしておりますが、少しく重点的にお伺いをいたしたいと思います。  今回の農林水産省設置法の一部改正案では、従来の農事試験場中心にした機構を農業研究センターに改組するというのが中心になるわけでございますが、これの設立の趣旨、任務、特色といったものについて、まず簡潔に御説明願いたいと思います。
  127. 川嶋良一

    ○川嶋政府委員 農業研究センター設立の趣旨でございますが、農林水産省農業関係試験研究機関は、現在の体制は三十六年の農業基本法制定を背景といたしまして、専門別技術開発を強力に推進していくという体制編成をされております。畜産とか園芸とかいろいろの作目の技術開発が、これによりまして著しく進展をいたしました。これがわが国農業の発展に多大な貢献をしたことは御案内のとおりでございます。また昭和五十年代に入りまして、筑波研究学園都市農業関係専門機関が移転をいたしまして、世界的な水準の研究の設備が整ったわけでございます。一方、近年わが国農業は、農産物の不均衡の問題ですとかエネルギーの問題ですとかいろいろな問題が発生をいたしておりまして、従来の専門別研究体制ということでは十分対応し切れないという問題が出てまいりましたので、これを総合的かつ地域性に即した技術体系に確立していく必要が出てまいったわけでございます。こういうことから、筑波研究学園都市に集中をしたというメリットを生かしまして、かつ総合的にこれを推進していくということで、農業研究センター設置することといたしたわけでございます。  なお、こういうような趣旨に従いまして設立いたしますならば、その任務といたしましては、各いろいろの専門がございますが、そういったような専門研究成果を十分生かしまして総合的な研究をしていくということでございます。なおこのほかに、他の専門機関では分担しておりませんところの普通作物ですとか機械ですとか経営ですとか、そういったような研究も基幹的な素材の専門研究として実施をしてまいります。また各専門で、あるいはこのセンターで体系づけましたものを各それぞれの地域に適用していくということで、各地域には農業試験場がございますが、関東、東海地域農業に関しましては、このセンターで実施をしていくというような、大きく分けますと三本の任務を持った研究機関として位置づけているわけでございます。  それから、そういうことで設立され、任務が定まった場合に運用の方法でございますが、これは試験場とか研究所とかということではなくて、農業研究センターという形で組織をするということは、従来の研究機関は、その特定の研究機関にかわる研究をそこだけで完結するということでございますが、このセンターにつきましては、各機関いろいろと協力を得て広くやっていこう。これは国のみならず県あるいは大学、民間等も含めまして広く共同研究的な特色を持たせたい、こういうことで農業研究センターという名称をつけさせていただきたいと思っておる次第でございます。
  128. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 試験研究機関でございますから、プロジェクトの編成等もやりながらいろいろな研究を進めるということになるわけでございますが、昭和五十二年から昭和五十六年までのプロジェクト研究の一覧という資料を見てまいりますと、特別研究あるいは一般別枠研究、大型別枠研究ということでずいぶんたくさんなテーマが、数年あるいは長いものになれば十年というふうな形で継続して今日までなされておりまして、昭和五十六年の場合は新規のテーマとして七つ、従来からの継続で二十二課題、これが特別研究、それから一般別枠研究として新規のものが一つ、継続のものが四課題、それから大型別枠研究として、新規に生物資源の効率的利用技術開発に関する総合研究がことしから十年間で、いわゆるバイオマス変換計画ということになるわけですが、こういうふうに特別研究、一般別枠研究、大型別枠研究等の形でたくさんのテーマでやられているわけであります。  こういう研究の推進体制、あるいはこれを進めていく組織体制というものが十分こういうものに対応できるような条件にあるのか。あるいは大型プロジェクトにいろいろ取り組んでいるわけでありますけれども、従来の取り組みの経過等について若干説明を願いたい、こう思います。
  129. 川嶋良一

    ○川嶋政府委員 現在の農林水産関係試験研究機関は、農業関係が二十、林業が一つ、水産が九つということで、国の関係は三十ございます。私どもは国の試験研究機関中心にいろいろなプロジェクトを編成をし、推進をしているわけでございますが、組織の問題は、どう分類をいたしましても必ずしもそのときそのときの事業に十分マッチいたしませんので、ある程度大まかな組織をつくっているわけでございます。そういう三十の組織をつくっているわけでございますが、その実情に非常に合わなくなってまいりますと、ある時点ではそれを修正をしながら進めていくというのを基本にしておりまして、今回、先ほど御説明申し上げましたような趣旨で、試験研究機関体制編成し直しまして、現代の体制に合うような形に再編をしたわけでございます。それの趣旨は、いろいろ専門にまたがる部門につきまして総合的な問題を推進していこうということでございます。  そういうことからいたしまして、プロジェクト研究で、いろいろな研究機関にまたがって総合的な研究をしているもののうち、特にこのセンターで推進が強力に期待されるものといたしましては、水田利用の再編の問題ですとか、あるいは土地利用に絡まるもろもろのプロジェクト研究、こういったようなものはかなり強力に推進できるのではないかというふうに考えているわけでございます。  また、今回先ほど大臣からも御説明申し上げましたように、技術会議事務局の組織も改編をいたしまして、従来のやり方ではどうしてもそういう総合的なものが十分推進できないという関係もありまして、研究開発課の新設ですとか、あるいは長期的な調査を十分やって、そういうプロジェクト研究を進める場合の基本的な目標といったようなものを十分やっていこうとかいろいろ工夫した組織再編をいたしてあります。  そういうことで、プロジェクト研究というのはどうしてもあるものを基準にしながら、なおかつその基準では十分達成できないという両面を持っているわけでございますので、基本的な面を逐次再編をしていきながら、なおその上に立って総合的な柔軟な運営を図っていきたいということでございます。  そういった点につきまして、技術会議といたしましては、農林水産関係全体を見ながら全体の推進を図ると同時に、研究機関でも十分それに対応した研究を進めていかれるような、そういう方向で努力をしてまいりたいというふうに考えているわけでございます。     〔委員長退席、愛野委員長代理着席〕
  130. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 プロジェクト研究は、テーマの選択あるいはそれに取り組む組織体制研究体制、こういうものが十分セットしていかなければならぬと思いますが、私は必ずしも大型研究中心にということばかりではありませんけれども昭和五十三年度の場合は、農林水産業における自然エネルギーの効率的利用技術に関する総合研究に取り組む。あるいは五十四年度の場合は、転換畑を主体とする高度畑作技術の確立に関する総合的開発研究に取り組む。五十五年度には近海漁業資源の家魚化システムの開発に関する総合研究、これはマリーンランチング計画と言っておりますが、それに取り組む。ことしの場合は、注目をされております生物資源の効率的利用技術開発に関する総合研究、これは十年間でバイオマス変換計画ということで取り組んでいくということになっているわけでありますが、将来の食糧とかあるいは資源問題というものを考えてまいります場合には、もちろん基礎研究というのは各般にまたがると思いますけれども農林水産省としても相当大きなスケールのプロジェクトの研究というものに、やはり積極的に取り組んでいくことが必要だろうというふうに考えております。その場合には、単に農林水産省プロパーの試験研究機関ばかりでなしに、民間やあるいは大学、そういうところとも協力をしながら有効な目標達成のための推進体制というものをやはり積極的に考えていく必要がある。開かれた研究体制ということも言われておるわけでありますが、そういう点について亀岡大臣の御見解を承りたいと思います。
  131. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 角屋委員御指摘のように、将来の食糧、資源エネルギーの問題に対処してまいりますためには、農林水産省としても、ここ数年来多数の研究機関が共同して取り組む幾つかの大型プロジェクト研究を推進をいたしているところでございます。  今後ともこれまでの研究の蓄積を十分活用いたしますとともに、横の連携、各省間の連携を密にいたし、大学並びに民間研究機関などとも十分協力して、その充実を図り、成果を上げていかなければならないということで努力をいたしておるところでございます。
  132. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 この機会に、今度の国会に出てまいります、農林水産委員会にかかるわけですが、食管法の改正問題について、深く触れるつもりはございませんけれども、今回食管法改正というものを出す現状認識、そして提案理由といいますか、そういう点についてひとつ御答弁を願いたいと思います。
  133. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 私は、立法府の一員として二十年近く仕事をさせていただいておりまして、私どものつくった法律は、やはり守られる法律でなければならない、いろいろやみでありますとか配給券がどうなっているのかといったような、法律に定められたことがきちんと行われていないということに対して、一人の政治家としてこれはぜひその立場に立った際には、少なくともそこだけでも改善しなければ責任を持って行政をやるなんと言えたものじゃない、そんな気持ちを実はかねがね持っておったわけでございます。したがいまして、農林水産省に参りまして、米価審議会を経験をし、また農政審議会等の御議論等も承りながら、やはり食管制度は最小限、大方の合意を得られるような点は改善をしていこうということと、もう一つは、あの法律そのものが米の非常に不足の時代にできた立法でありまして、今日のように需給のバランスが崩れて非常に過剰を生じておるといったようなとき、需給のバランスがうまくとれているとき、いかような対応にも弾力的に運用のできる食管法というふうにしておくべきではないか。特に、昨年冷害を経験いたしまして、あのような冷害でも食糧の問題については何らの不安もなかった。と同時に、第一次石油ショックのときにもちり紙等についてはパニック的な状況も見られたわけでありましたけれども食糧については、事米につきましてはほとんど動揺がなかった。これはやはり食管のせいである。したがって、この食管の制度をきちんとして、生産者並びに消費者の信頼を受ける食糧管理制度というものを確立してまいるためにも、守られる食管法にすべきである、こういう立場で、実は各界のいろいろの御議論、御検討もちょうだいいたしまして、そして一応の案を作成いたしましたので、党ともよく相談しまして提案をさせていただいた、こういうことでございます。
  134. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 食糧管理法の一部改正の問題は、われわれの党の立場から言いますれば、今回の政府提案に対して、対案として党自身の食糧管理法の一部改正を出す、私も党の農林基本政策委員長立場もございまして、そういうことを寄り寄り準備をいたしておるわけでございます。いずれこれは該当委員会で十分論議がなされるということで、この程度にいたします。  総合食糧自給力の観点から、かねて該当委員会ではえさ米の問題が盛んに議論として出ておるわけであります。えさ米試験研究あるいはこれの実践ということに農林水産省としてももっと取り組むべきであるというふうに考えておりますが、これらの点についていかがでございますか。
  135. 渡邊五郎

    渡邊(五)政府委員 えさ米の問題でございますが、現在えさ米自体についての評価としまして、将来の農業方向といたしまして水田がそのまま活用できる、あるいはこれが飼料用穀物として評価されるならば、それだけ自給度向上に役立つ、あるいは不足の場合には、これが主食たる米に切りかえができるという多くの利点があることは事実だろうと思いますが、現状におきまして、やはりこれを本格的に実施するといいますと、三点ばかり問題がございます。  一つは、技術的な問題といたしまして、現状におきます品種の改良等からいいましても、超多収穫のものが安定的に得られるというところに至っておりません。まだ技術開発を要するという点がございます。  第二番目に、やはり食管制度の主食との識別性の取り扱いについて、かなり十分な仕組みがないと峻別できないという問題がございます。  第三点としまして、収益性の点におきまして、主食と非常に大きな格差があるというような問題がございます。そうしたことから、本格的な生産を見込むことは、現状において私どもとしてはできないと思いますが、先ほど申し上げましたような技術的な問題をまず解明すべきであろうということで、五十六年度予算におきましても、超多収穫品種につきまして、技術会議中心にいたしまして、これからのえさ米なりについて新種の開発とこれを安定化させることが第一だろう、多少時間がかかってもなすべき重要な課題考えておるわけであります。
  136. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 えさ米問題は、農林水産省は率直に言って及び腰の状態にある。しかし、これは生産者団体側でも積極的に取り組もう、あるいは農民組合関係でも積極的に取り組もうという姿勢でありますし、またわれわれの党といたしましても、今日、膨大なえさを海外に依存しておるという状態から脱却するためには、一つの重要な項目として、えさ米を取り上げていくことが必要であると考えておりますので、今後及び腰でなくて、飼料全体の立場からも積極的に取り組むようにお願いいたしたいと思うのです。  そこで、こういう試験研究機関でいろいろな研究をやってまいりますと、当然のこととして特許法で言われておるような発明ということが出てまいる。こういう発明というのは、勤務発明あるいは職務発明と言われておりますが、「国家公務員の職務発明等に対する補償金支払い要領五十五特総七三七号」というのが昭和五十五年七月二十四日に出ておりますし、また「農林水産省職務発明規程」というのがございまして、これは昭和五十一年十二月二十三日、農林省訓令第二十六号ということで出ておるわけであります。要するに、試験研究機関で勤務あるいは職務に基づいて発明がなされる、そういう発明を直接実施をした者に対してお金が出ることになっておるわけですが、こういった点で農林水産試験研究機関における最近の特許の件数あるいは支払い者数、支払い金額といったものについて御説明を願いたいと思います。
  137. 川嶋良一

    ○川嶋政府委員 農林水産省試験研究機関におきまして、研究成果を工業所有権ということで、先ほど先生御指摘のいろいろな決まりによりまして、実施している者につきまして、まず最近ということで五十年から五十五年度までを取り上げまして、年平均で見てまいりますと、工業所有権の登録件数は二十七件であります。それから支払い者は三十二人でございます。実施補償金の支払い金額は二百九十四万円でございます。  なお、これに伴います国の歳入は三千八百八十万円でございます。
  138. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 これはこれとして運用しておるわけでありますが、内閣委員会でおいでになる前に、私自身筑波の農林研究団地その他を視察してまいったわけでありまして、現地で御案内をいただいたわけでありますが、午前の質問では、国際的に見ても大変りっぱな建物だということがありましたけれども、力があれば、環境もいいし、りっぱな環境の中で十分研究に取り組んでもらうというのも一つの考え方だろうと思うのですけれども世界的水準研究施設ができ上がってきたわけでありますから、筑波だけでなしに各地域研究者もこれらの施設を利用して、共同研究が進むというような流動研究員制度の拡充ということをもっとこれから積極的に考えるべきじゃないか、こう思っておるわけでありますが、いかがでございますか。
  139. 川嶋良一

    ○川嶋政府委員 筑波にたくさんのりっぱな施設ができまして、そこで十分研究できるほかに、各方面で十分利用する、これは研究の相互の前進あるいはわが国全般の試験研究の推進にとってきわめて有益であるということについては全くそのとおりであろうかと思いますので、この筑波に集中したのを機会に、五十六年度からいま御指摘の流動研究員という制度がかねてあるわけでございますけれども、これは各地に分散をしておりまして、なかなか利用がしにくかったわけでございますが、今回、そういう事情で五十六年度から大幅に拡充をいたしまして、この仕組みを生かしてまいりたいというふうに考えているわけでございます。  また、いままでそういうことを余りやっておりませんので、いろいろ共同で研究をするという場合に、施設の管理運営その他いろいろ決めなければいけないことがございますので、そういった点も十分整備をいたしまして、積極的な共同研究等を進めてまいりたいと思っているわけでございますが、特に今回、先ほど御説明申し上げましたような農業研究センター設置趣旨というものもそこに一つ大きなメリットを生かしていこうというように考えているわけでございますので、一層そういった点については努力をしてまいりたいというように考えているわけでございます。
  140. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 次に筑波研究学園都市移転手当の問題について若干お伺いをいたしたい。  これは御承知のように、筑波学園都市の構想ができ上がりまして、昭和四十六年から異動が開始をされ、おおむね十年の予定ということで、今日、現地に行かれた方は、御案内のとおりのようなりっぱな研究学園都市ができ上がったわけであります。それを円滑に推進するために筑波研究学園都市移転手当というのが支給されることになりました。  この移転手当の支給の現状は、筑波地区への移転に伴って異動した職員、これは八%の異動手当が支給される、筑波地区へ他機関から異動した職員、これにも同じように異動手当が支給される、筑波地区への移転後採用された職員のうちでは、行(一)四等級以上の職員には三%の移転手当が支給される、行(一)の五等級以下の職員には支払われない、研究職の三等級以上の職員には八%の移転手当が支給される、行(二)の全職員に対しては支払われない、こういった状況になっておるように私は理解をしているわけです。  いずれにしても、筑波地区へ異動していく職員、他機関から異動した職員、これは異動手当がもらえる、筑波地区へ移転をした後採用された職員については、いま言ったような三%支給、八%支給のものと非支給のものに分かれるという形できておるわけであります。  そこで、これは今年の十二月で期限切れになるということで、優秀な研究職員の確保観点から、私どもの方にも、筑波学園都市の各省直轄研究所長連絡協議会というのがございまして、代表幹事の大平さんの方から「筑波研究学園都市移転手当に関する緊急要望書」というのが出ております。これは科学技術庁にも出ておりましょうし、科学技術庁を通じて人事院にも行っているんじゃないかと思います。  この要望書の趣旨は、時間の関係上細かくは読みませんけれども、「これまでの限時的な性格の手当を改め、従来の筑波研究学園都市移転手当を下回らない率の手当を全職員を対象に、恒久的に支給できるよう制度化されたい。」というところに要望のウエートがあるかと思うのでありますけれども、それがさらに検討を要する場合においては延長してもらいたい。今年の十二月十四日で一応支給対象の期限が来るということになっておるわけでありますが、この点について、まず科学技術庁から、この問題について要望書が来ておると思いますけれども、御答弁を願いたいと思います。
  141. 園山重道

    ○園山政府委員 お答えいたします。  先生御指摘のとおり、直研連と言っておりますところからの要望書、緊急要望書ということで、昨年の十月でございましたか、いただいております。科学技術庁といたしましては、この問題、非常に大きな問題であろうということを考えておりまして、人事院総裁に対しまして私どもの長官から昨年七月に前広にお願いをいたしたところでございますし、またその際、いわゆる八%の、先生御指摘の今年末という問題と、それからいわゆる権衡職員というものに対しましての期限を一昨年延ばしていただきましたが、昨年末ということでございます。あわせてお願いいたしまして、権衡職員につきましては一年延長していただいておるところでございます。  今年度につきましても、関係機関の意見等十分踏まえまして人事院に対してお願いをしなければならないかと思っておるところでございます。
  142. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 これは人事院の方で八月に給与勧告の時期が来るわけでありますが、その時期にこの問題についても勧告を出されるのか、あるいは若干検討の経緯があって少しく、十二月十四日までですから、おくれて勧告されるのか、それはわかりませんけれども、こういった現地側の強い要望やあるいは当初のプランニングよりも移転がやはり断続的におくれてきておるといったような状況もあるわけでありますが、この筑波研究学園都市移転手当という問題の恒久化あるいは期限の延長といったような形の要望に対して、どういうふうにこれから対応されようとしておるのか、お考えを承りたいと思います。
  143. 長橋進

    ○長橋政府委員 お答えを申し上げます。  筑波研究学園都市移転手当、ことしの夏に向けてどういう対応をするのかというお尋ねでございますが、御指摘のように、四十六年にこの手当を創設いたしましたときは、昭和五十年に一応移転は完了するという予定で設けられた手当でございまして、したがいまして、その改廃の措置について十年内に人事院は勧告するということが規定されております。そのように承知しております。  御指摘のように、当初五十年までに移転が完了するという予定でございましたが、大変ずれ込みまして、一部の機関はことしの十二月に移転する。統合移転する機関もございますし、そういう事情は十分考えなければならないと思っております。  それから、これは移転のおくれに伴いまして、当該地区の施設の整備の進捗状況、これもやはり見直さなければならぬということもございましょうし、それからさらには研究員等の職員の定着状況でございますとかあるいは異動の状況、さらにこういった方々の生活環境の整備状況、こういったようなものも整備いたしまして対応を考えたいというふうに思っております。
  144. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 この問題は現地側の試験研究機関関係ではきわめてやはり切実な、しかも真剣な要望の問題でございまして、人事院としても前向きに誠意を持って対応してもらいたいというふうに私からもお願いをしておきたいと思います。  そこで、科学技術庁に再びお伺いをしたいのでありますが、御案内のとおり、筑波学園都市の谷田部地区の場所で国際科学技術博覧会が行われることになっておるわけで、いま準備が着々進んでおるわけであります。これはテーマとしては、日本語で言えば「居住と環境・暮らしと科学技術」ということで、開催の時期は六十年の三月十七日から九月十六日まで百八十日間を予定をし、入っていただく入場者については二千万人を期待するということで準備が進んでおるわけであります。これは本来は全体的な計画に基づいて財団法人国際科学技術博覧会協会、いま土光さんが会長かと思いますけれども、そこが実際には推進の中心になってやっておられると思うのでありますが、この国際科学技術博覧会の今日までの準備や、これからの開催に向けての段取りについて、科学技術庁の方から簡潔に御答弁を願いたいと思います。
  145. 園山重道

    ○園山政府委員 お答えいたします。  御質問の国際科学技術博覧会でございますが、テーマその他ただいま先生御指摘のとおりでございまして、準備の状況といたしましては、一つは、これは国際博覧会条約に基づく国際博覧会でございますので、国際的な準備が必要でございます。このために一昨年の十一月に開催希望通告をいたしまして、その後条約に定められました各種の手続を進めまして、先月、三月二十六日にこれが確定いたしております。現在最終的な登録の運びになっておるところでございまして、昨日パリにありますBIEと言っておりますが、博覧会国際事務局の執行委員会がございまして、ここに登録の準備手続をいたしまして、これが了承されまして、来週二十二日の総会に登録される予定でございます。  それから、国内の準備状況でございますが、先生御指摘の博覧会協会、これを昨年三月に設立いたしまして準備に当たっていただいておるわけでございますが、谷田部地区に昨年十二月場所を決定いたしまして、現在この博覧会協会におきまして、基本構想でございますとか会場計画等を策定中でございます。大体基本構想につきましては、ことしの一月、原案が公表されましたが、五月ごろに策定をしたいということで進めております。この全体の会場計画は協会が作成いたしますけれども、その一番中心になります政府出展というのがございまして、これにつきましても、現在基礎調査を行っておりまして、さらにこの政府出展の基本計画をできるだけ早い時点でつくり上げたいと思っておるところでございます。  一番問題がございますのは、御指摘の二千万人に対します輸送対策でございます。これにつきましても、協会初め関係各省庁にお願いいたしまして、現在対策をいろいろ検討いたしておるところでございます。     〔愛野委員長代理退席、委員長着席〕  なお今国会におきまして、この国際科学技術博覧会の準備、運営のための特別措置法をお認めいただきまして、去る十日に参議院で可決していただいたところでございます。  なお、今年度の予算といたしましては、科学技術庁、通産省、国土庁等合わせまして合計約七億六千万ということでございます。  今後の国際的な問題といたしましては、先ほど申し上げました四月二十二日の登録が終わりますと、各国に対しまして出展参加の招請をいたす段階になっておるところでございます。
  146. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 この科学博覧会に対して農林水産省の対応というのはいかがでございますか。
  147. 川嶋良一

    ○川嶋政府委員 筑波の科学博覧会につきましては、先ほどからいろいろ御説明があったような次第でございまして、そのテーマも私どもと大変関係が深いということで、わが国の農林水産業の技術開発の発展に大変刺激を与えるものと私どもも積極的にこれに協力参加をしてまいりたいと思っておるわけでございます。  なお、この準備につきましては、ただいま御説明がありましたようないろいろな計画を進めているところでございますので、それを踏まえて対応してまいりたいと思っておるわけでございます。私どもといたしましては、筑波の団地に内外から多数の方々が来訪されるということでございますので、その具体的な対応については、現地の研究機関と目下検討を進めている段階でございます。
  148. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 これで最後にいたしたいと思います。  大臣にお伺いをいたしたいのでありますが、私はたまたま「農林水産省広報」ことしの三月号に「随筆筑波学園都市便り(四)草原の中の公務員集団」ということで、別当さんという試験研究機関の管理職の方が書いておられるものを読みました。別当さんは、筑波学園都市のああいうりっぱな施設、環境、そこへ筑波大学もできておって、そこには留学生が約二百人各国から来ておる、またあそこでは国際的な会議、シンポジウム、いろいろなものが開かれている、国立の試験研究機関が四十三も集中している筑波学園都市、特に筑波大学に留学生が勉強にきておられるわけでありますが、いずれそれぞれの国の指導者になられる方々だ、そういう点でもっと、留学生ばかりじゃありませんけれども、国際交流面ではあの地域の環境に沿ったものを積極的に考えていく必要があるのじゃないかという提言をされておるわけであります。また筑波学園都市には、私も乗馬をやりますけれども農林水産省関係では畜試、家畜衛生試験場、競馬会の美浦トレセン、日本農研の実験牧場、全農の畜産飼料研修所、畜産関連機関がそろっておる、馬もおる、だから場合によっては通勤も希望のある者は馬でやったらどうだ、あるいは乗馬クラブだとか馬のレンタルというふうなものも設けてはどうかというふうなこと等もこの随筆には書かれておるわけでありますが、それはともかくとして、筑波学園都市がりっぱな施設と環境のもとにでき上がっておる。国際交流の舞台としてもこれが生かされていく。留学生は将来リーダーになっていくのですから、そういう接触を通じて親日的な立場に立ってもらうことは長い目で見てプラスになる、こういうようなことは官僚的な発想じゃなしにもっと創意工夫する必要があるだろうというふうにも思っておるわけであります。  同時に、亀岡大臣に対しては、二水会の会合の中で大臣自身ごあいさつをされておりましたが、私も技術官僚の一人であったわけですけれども技術官というものは非常に重視していかなければならぬ。かつて私は建設大臣をやったけれども農林水産省関係においてもそういう点について工夫をしていきたいというお話をされておったわけでございますが、これらの問題も含めて、最後に亀岡大臣から御答弁を願いたい、こう思います。
  149. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 ただいま御指摘のありました筑波学園都市を将来国際科学技術中心地、メッカとしてやっていったらどうか、そのためにいろいろな発想をし、実施すべきであるという御提言を御紹介になったわけでありますが、そういう点は私も大変意義あることである、こう思います。国際的な科学技術博覧会も催されることでもありまするし、そういう方向で各省とも話し合わなければならぬことでございますが、前向きに検討さしていただきたい、こう思います。  それから、私はかねがね技術によって今日の日本の経済伸展を見ることができたと思っております。これは自動車産業にいたしましても、コンピューター産業にいたしましても、あらゆる産業を見ましても、経営の面あるいはハードウエア、ソフトウエアの面において科学技術の果たしてきている役割りは非常に大きい。ところがそういう事態にあるにもかかわりませず、かねがね農林水産省というところは、同じ東大を出ましても、農学部を出たばかりに、胸ふくらませて三十年間がんばったけれども、結局局長になれなかったと言ってさびしく去っていくということを私はこの目で見、この体で感じておったわけでございます。しかるところ、たまたま農林水産大臣を拝命しましたので、すぐにその日のうちに偉い皆さん方に集まっていただいて、どうじゃざっくばらんに言うけれども、これからの行政の活力というものは、いわゆるソフトウエアとハードウエアといいますか、技術と立法措置なり行政の面でそれが融合して渾然一体となったそこから出てくる活力というものが将来の農林水産行政の発展のために最も必要ではないか、こう思う、したがって、そういう方向に徐々にでも、一遍にやるということはなかなかむずかしいだろうけれども、ちょうど百年目でもあるし、ひとつ協力してやっていこうじゃないか、こう話しましたところ、皆さんそういう時代であるということで、先ほど申し上げましたように、官房に技術総括審議官というポストができ、農林水産省技術関係の方々の幹部要員としての訓練とか、そういう配慮をすることのできる仕組みをつくらしていただいた、こういうことでございまして、それに伴いまして、技術会議の方も機構を改善させていただき、そしてこのセンターによって筑波団地の体制もきちんとさせていただく、こういうことを考え、かつ実行させていただいておる、こういう次第でございますので、私が農林水産大臣をやめてしまったらもとのもくあみになってしまったなどということがないように、皆様方の御協力をお願いしたい、こう思う次第でございます。
  150. 江藤隆美

    江藤委員長 先ほど答弁漏れがありましたので、科学技術庁園山計画局長補足説明をお願いいたします。
  151. 園山重道

    ○園山政府委員 先ほどの御質問に対しまして答弁の機会を失しまして失礼いたしましたが、御質問の五十六年に新設された学術振興調整費の今後の使い方でございますけれども、これにつきましては、去る三月九日に学術会議の本会議におきましてこの基本方針をお示しいただきまして、これは先端的な研究、複数機関の協同、産、官、学の協同あるいは国際協力の推進、あるいは緊急的な研究の対応、あるいは事前事後の評価というようなことを柱にいたします基本方針が決められました。現在学術会議の運営会議におきまして具体的テーマを選定いたしますための委員会を設定いたしまして、鋭意御検討が進められておるところでございます。今後各省庁等の御意見も伺いながら、できるだけいいテーマを選ぶべく御努力されているところでございます。
  152. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 どうも遅くまで御協力ありがとうございました。  以上で終わります。
  153. 江藤隆美

    江藤委員長 次回は、来る二十一日火曜日午前十時理事会、十時三十分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時四十五分散会      ————◇—————