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1981-04-14 第94回国会 衆議院 内閣委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十六年四月十四日(火曜日)     午前十時三十四分開議  出席委員    委員長 江藤 隆美君   理事 愛野興一郎君 理事 稻村左近四郎君    理事 染谷  誠君 理事 塚原 俊平君    理事 岩垂寿喜男君 理事 上田 卓三君    理事 神田  厚君       上草 義輝君    小渡 三郎君       狩野 明男君    片岡 清一君       亀井 善之君    木野 晴夫君       倉成  正君    田名部匡省君       竹中 修一君    船田  元君       宮崎 茂一君    上原 康助君       小野 信一君    角屋堅次郎君       矢山 有作君    市川 雄一君       小沢 貞孝君    榊  利夫君       中路 雅弘君  出席国務大臣         外 務 大 臣 伊東 正義君  出席政府委員         防衛庁防衛局長 塩田  章君         防衛施設庁施設         部長      伊藤 参午君         外務大臣官房長 柳谷 謙介君         外務大臣官房審         議官      関  栄次君         外務省アジア局         長       木内 昭胤君         外務省北米局長 淺尾新一郎君         外務省欧亜局長 武藤 利昭君         外務省条約局長 伊達 宗起君         外務省国際連合         局長      賀陽 治憲君  委員外出席者         大蔵省国際金融         局総務課長   大橋 宗夫君         通商産業省生活         産業局文化用品         課長      水野  哲君         海上保安庁警備         救難部長    吉野 穆彦君         内閣委員会調査         室長      山口  一君     ————————————— 委員の異動 四月十日  辞任         補欠選任   上草 義輝君     坂本三十次君   小渡 三郎君     古井 喜實君   粕谷  茂君     山中 貞則君   笹山 登生君     狩野 明男君   東家 嘉幸君     亀井 善之君 同日  辞任         補欠選任   坂本三十次君     上草 義輝君   古井 喜實君     小渡 三郎君   山中 貞則君     粕谷  茂君 同月十四日  辞任         補欠選任   有馬 元治君     船田  元君   粕谷  茂君     片岡 清一君   渡部 行雄君     小野 信一君 同日  辞任         補欠選任   片岡 清一君     粕谷  茂君   船田  元君     有馬 元治君   小野 信一君     渡部 行雄君     ————————————— 四月十三日  国家公務員退職金削減定年制導入反対に関  する請願岩佐恵美紹介)(第二七九四号)  外地派遣旧軍属の処遇改善に関する請願矢山  有作紹介)(第二八二一号)  同(山中貞則紹介)(第二九三七号)  旧勲章叙賜者名誉回復に関する請願大塚雄  司君紹介)(第二八四五号)  同(島村宜伸紹介)(第二八四六号)  同(与謝野馨紹介)(第二八四七号)  同(塩川正十郎紹介)(第二九三五号)  同(塩谷一夫紹介)(第二九三六号)  戦後ソ連強制抑留者恩給加算改定に関する請  願(加藤紘一紹介)(第二九三一号)  戦後ソ連抑留中の強制労働に対する特別給付金  支給に関する請願加藤紘一紹介)(第二九  三二号)  引揚者等に対する特別交付金支給に関する法  律の一部改正に関する請願加藤紘一紹介)  (第二九三三号)  同(田中恒利紹介)(第二九三四号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  在外公館名称及び位置並びに在外公館に勤務  する外務公務員給与に関する法律の一部を改  正する法律案内閣提出第九号)      ————◇—————
  2. 江藤隆美

    江藤委員長 これより会議を開きます。  在外公館名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員給与に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。     —————————————
  3. 江藤隆美

    江藤委員長 この際、外務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。伊東外務大臣
  4. 伊東正義

    伊東国務大臣 冒頭に私から、米国潜水艦日本貨物船衝突事故について御説明を申し上げます。  去る九日に貨物船日昇丸米国原子力潜水艦衝突して沈没し、日本人乗組員二名がいまだ行方不明であるこの不幸な事故と関連し、経過の概要を御報告申し上げます。  米側からは、十日正午前、在京米大使館より外務省に対し、本件事故米国潜水艦関係している可能性があるので、現在米側において調査中であるが、結果判明次第通報するとの連絡がありました。  日本側からは、できるだけ早急に調査してもらいたいとの要請をいたしたのでございます。  在京米大使館からは、その後、同日夜九時過ぎに、衝突を起こしたのは米海軍ポラリス型原潜であるとの電話連絡があり、また、本件事故に関する米海軍スポークスマン発表文とともに、本件事故発生について遺憾の意を表明するマンスフィールド日米大使のステートメントを手交越したのでございます。  十一日には、マンスフィールド大使が私を訪ね、本件事故について重ねて遺憾の意を表明するとともに、本件事故について念入りな調査を行うことを保証し、また責任及び補償の問題についてもこれに取り組み、迅速に処理されることについて確信していただきたい旨述べたのでございます。  さらに、レーガン大統領ヘイグ国務長官ワインバーガー国防長官レーマン海軍長官を初めとして米政府関係者も、本件事故に対し遺憾の意を誠意をもって表明しているのでございます。  政府としましては、本件事故発生したことを非常に遺憾と考えており、また行方不明の二人の方ができるだけ早く無事に発見されることを切に祈っており、政府としてはかかる不幸な事故が二度と発生しないことを強く希望するものであります。  また、かかる事故が今後の日米関係に悪影響を与えることがないよう、政府としては、今後の本件事故処置につき米側損害補償事故徹底的究明等遺漏なく対応し、事故原因等が一日も早く明らかになることで、この事故日米関係に与えるかもしれない影響最小限度にするよう期待しておるのでございます。  また本日は、米側に対しまして、事故原因究明を徹底的になるべく早期にやるようにということを重ねて要請するという手続をいまとっておるところでございます。     —————————————
  5. 江藤隆美

    江藤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。上田卓三君。
  6. 上田卓三

    上田(卓)委員 いま伊東外務大臣から、アメリカ原子力潜水艦日昇丸衝突事故につきまして簡単な御報告があったわけでございますが、それに関連いたしまして若干御質問を申し上げたい、このように思います。  すでにマスコミ等で報道され、また昨日の安保特別委員会でもわが党の議員からも指摘があったわけでございますが、この事件につきまして数多くのなぞめいたものがあるわけでございまして、われわれ国民にとっては非常に不可解な事件であると言わざるを得ないし、非常に遺憾な事態である、このように考えておるところでございます。  特に、第一の問題につきましては、事故当時の状況をめぐるなぞでございますが、アメリカ海軍発表では霧と雨で貨物船の姿が見えなかったとなっておるわけでございますが、救助された日昇丸乗組員証言とは著しい食い違いが見られるわけでございます。  そこで、まず海上保安庁にお聞かせいただきたいわけでございますが、衝突事故発生いたしました四月九日の午前十時半ごろの現場付近気象状況はどうであったか。雨は降っていたのか、霧はあったのか、波の高さはどれくらいであったのか、視界は何メートルか、こういうようなことにつきましてできるだけ詳しく御報告を願いたい、このように思います。
  7. 吉野穆彦

    吉野説明員 お答えいたします。  当時、現場付近には海上保安庁巡視船等はおりませんでしたので、現場状況というものは海上保安庁としてはとれておりませんけれども救助されました乗組員から聴取したところによりますと、当時は、天候は雨または霧、風は南東の風で毎秒約五メートル、波浪は高さ約一メートル、視界が約二キロメートルということでございます。
  8. 上田卓三

    上田(卓)委員 第十管区海上保安本部発表によりますと、同本部日昇丸乗組員から得た供述として、当日の現場天候はいま御報告のような形となっておりますので一致しておるわけでございますが、それでは当日の昼ごろの天候はどうであったのか、また夕方、特に三時から四時ごろの天候はどうであったのか、その点についてわかれば御報告願いたい、このように思います。
  9. 吉野穆彦

    吉野説明員 現場から少し離れておりますが、女島の灯台の観測によりますと、九日の十二時三十七分、天候は晴れ、風向は東、風速が七メートル毎秒、視界が一キロメートル、それから当日の夕方、十八時三十七分、天候は曇り、風向は西、風速は八メートル毎秒、視界は四キロメートルとなっております。
  10. 上田卓三

    上田(卓)委員 いまの説明でも当日の状況というものはある程度理解ができるわけでございますが、当日の状況について乗組員の話だと、日昇丸が沈没して九日の昼間ゴムボートで漂流している間ときどき空に晴れ間が出ているのを見た、このように証言をされておるわけでございまして、そういう意味では、当日の気象状況は雨と霧で貨物船の姿が見えなかったというような状況でないということだけは明らかになるのではなかろうか、このように考えるわけでございます。  実際に乗組員証言によりますと、衝撃音とともに船首が突然浮き上がった。その後後方約五百メートルの海上潜水艦が浮上したのを見た、このように言っておるわけでございまして、水面上に出ている部分では貨物船の方が潜水艦よりははるかに大きいわけでありまして、貨物船から潜水艦が見えたのに、潜水艦から貨物船が見えなかった。貨物船の方が潜水艦よりも出ている部分がはるかに大きいわけでありますから、貨物船から見えたのにもかかわらず、潜水艦からは貨物船が見えなかったということはどうもおかしい、私はそのように考えざるを得ないわけであります。  そこでもう一度、海上保安庁の方からお聞かせいただきたいのですが、乗組員から事故当時の模様を詳しく聴取されておる、このように思うわけでございますが、一体何人の乗組員潜水艦が浮上するのを見ておるのか、この点についてお答えいただきたい、このように思います。
  11. 吉野穆彦

    吉野説明員 ほとんどの乗組員が見ております。
  12. 上田卓三

    上田(卓)委員 ほとんどの乗組員が見ている、当然のことだろうと私思うわけでございます。特に少なくとも三等航海士の竹島さん、それから二等航海士堅山さん、それから甲板手の中津さん、この三人は、潜水艦が浮上するのを見た、このように新聞で私は報道を見たわけでございますが、日昇丸の方からはこれだけはっきりと潜水艦を見ておるというような証言があるのに、潜水艦の方から見えなかったというのはどうしても腑に落ちない、このように思うわけでございまして、さらに浮上した潜水艦日昇丸の沈没するまでの約十五分間程度浮上したままだった、こういう証言もあるわけでございます。潜水艦が浮上したときの様子、それから浮上していた時間、再び潜航していったときの状況等について、乗組員はどのように話しておるのか、わかれば御報告願いたい、このように思います。
  13. 吉野穆彦

    吉野説明員 浮上していた時間につきましてはまだ明らかでございませんけれども、同船の後部二百メーターないし五百メーターくらいに黒色の潜水艦の船橋及び船体後部が浮上しているのを視認したと申しております。
  14. 上田卓三

    上田(卓)委員 非常に簡単な説明で残念なんですけれども、それでは衝突したときの状況はどうであったのか、どの程度の衝撃があったのか、こういうことでございますが、それと同時に、日昇丸のどの部分に当たったのか、当たった潜水艦はどの部分であるのか、その点についてお聞かせ願いたいし、日昇丸はどのように沈没していったのか、こういう状況も非常に大事でございますので、船尾の方から沈んでいったとの証言もあるが、そうするとその船尾衝突したということになるというふうに思うのですが、その点についてどのようにお考えでしょうか。
  15. 吉野穆彦

    吉野説明員 救助された乗組員から聴取したところによりますと、左舷の機関室付近にドーンという衝撃音を感ずるとともに、船体が浮き上がるような感じを受けた後、機関室船底から海水が吹き上げてきて、約十五分後に沈没したと申しております。
  16. 上田卓三

    上田(卓)委員 そういう話を聞いておりますと、とにかく日昇丸が沈没したときの状況からして、米海軍発表乗組員証言とは大きく食い違っておるのではないか、これが私にとってはわからないなぞでありますが、次の問題といたしまして、日昇丸潜水艦衝突したときに上空を飛んでいたという飛行機でありますが、アメリカ側発表によれば、潜水艦ジョージワシントン号と同時に行動していた飛行機が一機おり、日昇丸乗組員もこれを目撃しておる。しかし、乗組員証言によれば、この航空機双発飛行機だった、こういうように言っておるわけでございまして、星印標識が見えるくらい低空を飛んでいた、こう言うから間違いなかろう、このように思うわけでありますが、しかし、アメリカの第七艦隊が沖繩など日本方面に配備しているところの対潜哨戒機は、すべてP3Cでありまして、P3Cは四発のプロペラ機であるわけでございまして、そういう意味で、上空を飛んでいた飛行機双発だったということになりますと、ここにまた一つなぞが出てくるわけでございますが、この点についてどのように考えておられるのか、お考えをいただきたいと思います。
  17. 吉野穆彦

    吉野説明員 乗組員から聴取したところによりますと、双発航空機ということになっております。
  18. 上田卓三

    上田(卓)委員 双発航空機……。  それじゃ防衛庁の方にお聞かせいただきたいのですが、いわゆる米軍機日本海周辺を飛行しているもので双発機はあるんですか、どうなんですか。
  19. 塩田章

    塩田政府委員 双発機があるかどうか、いまちょっと急なお尋ねでわかりませんけれどもプロペラ機でなければ、E3Aなんかは双発機であります。ただし、これはジェットでございますから、今回の場合とは関係ないと思いますけれども、そのほかに小さい飛行機双発機があるかもしれませんが、ちょっと具体的にいま承知いたしておりません。
  20. 上田卓三

    上田(卓)委員 ちょっと言葉を濁されておるわけでございますが、もしこの飛行機がこの乗組員証言どおり双発機であるということでありますと、先ほど申し上げましたように、米軍機日本周辺に飛行しているものの中に双発機があるのかということを申し上げたら、その点について十分定かでない、こういうことのようでございますが、これは調べればすぐわかることではないか、こういうふうに思うのであります。  そこで、大きな疑問になってくる問題でありますが、海上自衛隊のたとえばP2JあるいはR2のV7の可能性もあるのではないか、こういう疑いが出てくるわけでありまして、日本の対潜哨戒機米原子力潜水艦と共同訓練していたというような可能性も出てくるのではないか、われわれ自身はそういうふうに疑わざるを得ない。あの双発機海上自衛隊のものではなかったのか、米軍飛行機ではなかろう、こういうように疑問がわき上がってまいるわけでございまして、いわゆる乗組員証言しておりますところの双発機機種について、防衛庁はどのように考え、それを国民にどう明らかにしていくのか、その点ひとつお聞かせいただきたい。
  21. 塩田章

    塩田政府委員 まず、当日同方面航空自衛隊にせよ海上自衛隊にせよ、自衛隊飛行機が飛んでおったという事実はございません。  なお、当日の上空におった飛行機につきましては、私ども航空自衛隊の甑島のレーダーサイトがキャッチしておりますので、その件につきまして米軍側に照会しましたところ、P3機である、P3のAかBかCかは言っておりませんけれども、P3機であるという回答は得ております。  P3機だとしますと、御指摘のように四発になりますので、そうなりますと、いまの証言とはどういう関係になるのか、この辺はいまからのアメリカ側調査を待たないとわからないところでございます。
  22. 上田卓三

    上田(卓)委員 乗組員双発機であった、星印が見えておった、こういうことですから相当低空飛行——やはり見ているわけですから四発か二発かということぐらいはすぐわかることであって、私は、恐らく乗組員証言双発機ということの方が正しいのではなかろうか、こういうように思うわけでありまして、そういう意味で、双発機ということになると米軍飛行機日本海周辺を飛んでいる飛行機があるのかないのか、これはもうすぐにわかることであって、防衛局長はそういうことを知りながら、何か乗組員の見間違いであって、やはり四発の米軍飛行機だというような形に思いたいというのですか、そういうことにしかわれわれとしては理解できないようなことになるわけであります。そういう点で非常にこの点は不明確でありまして、われわれとしては、双発機ということになれば日本海上自衛隊飛行機ではなかろうか、こういうように考えざるを得ないわけであります。  そこで、事故発生後の調査によって、当時その事故現場の海域を飛行機が飛んでいたことは航空自衛隊レーダーで確認されておるのではなかろうか、私はそういうように考えておるわけでございまして、この飛行機はどこから発進して、どこを飛んで、どこに帰っていったのか。発進基地がわかれば、機種はもちろん、あるいは飛行した航空機そのものを特定することは不可能ではない、このように考えるわけでございまして、もう一度その点について明らかに御答弁をいただきたい、このように思います。
  23. 塩田章

    塩田政府委員 甑島のレーダーサイトがキャッチしました飛行機につきましては、当日は当然アンノーン機でなくてわかっている飛行機でございますから、通常レーダーサイトの場合、アンノーン機につきましてはずっと追跡するわけですけれども、そうでない飛行機については、率直に言って余り関心がないわけでございます。したがいまして、翌日になりまして、こういう事件が起こりましてテープを巻き直しまして、果たして飛んでおったかどうかということを確認したわけでございます。その結果、同時刻に一機飛んでおったということの確認ができた。したがいまして、それを米側に照会しましたところが、先ほど申し上げましたように、P3機であるという回答は来ておりますが、それ以外のいろいろないま御指摘のような点につきましては、いずれ私ども米側調査結果を待って判断いたしたいというふうに考えているわけであります。
  24. 上田卓三

    上田(卓)委員 局長、どうなんですか、これは自衛隊機であったんじゃないのですか、そうでなかったということを言い切れますか。
  25. 塩田章

    塩田政府委員 絶対に自衛隊機ではございません。
  26. 上田卓三

    上田(卓)委員 絶対って、それはなぜ絶対になるか私はよくわからないのです。絶対ないことを望むというのならわかるのですけれども……。そのことは、まあ言わんとする気持ちはわかりますよ。わかりますけれども、やはりそういう疑いもわれわれはかけておるわけでございまして、このことはいずれわかることでありますし、また同時に、自衛隊としても十分に国民の疑問にこたえるという意味で徹底的にこの問題についてメスを加えていただきたい、このように思うわけであります。  航空機なぞと関連いたしまして、この飛行機がかなりの低空を飛行して、乗組員の中に、先ほど申し上げた飛行機につけられた星印標識まではっきりと見ておる方がおるわけでありますし、また全員で手を振って救助を求めているのに、なぜか救助の手が差し伸べられなかったということはどうも不思議ですね。甲板から手を振っているのです。そして飛行機低空を飛んでいるというのに、それに対して何ら援助の手が差し伸べられなかった、これはどのように理解されますか。
  27. 塩田章

    塩田政府委員 そこら辺がまさに私どもも一番疑問に感ずるところでございまして、米側から詳細の調査をするということでございますので、その結果を待ちたいと思っておるわけであります。
  28. 上田卓三

    上田(卓)委員 ゴムボートに乗った乗組員飛行機から発見できなかったということは絶対ない。いわんや甲板から皆が手を振っているという状況もあるわけでありまして、乗組員証言によれば、日昇丸が沈没してから夕方まで姿は見えないが上空飛行機爆音がずっと聞こえておった、こういうように言っておるわけでございまして、この間九日の午後三時から四時の間に、漂流中のゴムボートの周りを二隻の潜水鑑が数回旋回したとの証言もあるわけであります。だからアメリカ側からの報告がないから云々というよりも、日本人であり、被害者である存命しているそういう乗組員証言というものをまず——それはあんな状況の中ですから動転しているから、記憶違いというよりも、そのときの状況というのは、生死にかかわる問題でありますから、鮮明に冷静にそういう爆音も聞いたし、飛行機双発であるかどうかも、すべてそういう意味では逆に記憶が生々しいのではなかろうか、私はこういうように考えておるわけでございまして、そういう点で、やはり外務省なりあるいは防衛庁においても、当然アメリカ側資料云々ということもありますが、乗組員証言というものをもうと大事にして、そうしてそういうものをもっとアメリカ資料を求めていくような交渉をするような態度があってしかるべきだ、私はこのように思うのですが、その基本的な認識について外務大臣、どのようにお思いでしょうか。
  29. 伊東正義

    伊東国務大臣 上田さんおっしゃるように、一つ通報がどうしてこんなにおくれたのかということと、それから事故発生後の人命救助努力についてどういう努力をされたのか。おっしゃったように、浮上してみたが霧と雨で見えなくなった、あるいは航空機が飛んだけれども見つけることができなかったということが簡単に報告があるわけでございますので、その間の事情を国民がわかるような、納得するような、われわれも納得できるような調査をしてもらいたい。特にその点は補償問題等もございますが、いま上田さんの御質問になっている点は、国民の納得のいくように調査をしてもらいたいということを特に私はアメリカ大使に申したのでございまして、通報のおくれたこと、人命救助についての努力がどうだったかというこの二点は、特に国民関心があるということの一つの問題として私は向こうへ伝えたのでございます。  それで、きょうも結果を早くということの催促をする手続をやっているわけでございますが、いまおっしゃった海上保安庁日本側調査をやっておられるわけでございますから、この調査向こう調査と突き合わせることは当然しなければならぬのでございまして、あるいはこっちの調査が早くできたとすれば、それを向こうに伝えるということも私は一つ方法かと思っております。方法はいずれにしろ、そのところをはっきりすることが、この問題はどういう原因だった、どうして事後処置がこうなったのだということがわかることになりますので、日米関係に悪い影響を残さぬようにするには、やはり是は是、非は非としてはっきりしてやることが大切だということを私は思って、この調査の問題、原因の探求の問題あるいは事後処置の問題には、そういう考え方で取り組むつもりでございます。
  30. 上田卓三

    上田(卓)委員 はっきり飛行機は見えなかったが爆音がずっと聞こえておったとか、あるいは三時から四時の間に二隻の潜水鑑ゴムボートの周りを旋回したようだ、こういうような証言もあるわけでありまして、何か見張られているようだ。あるいは中には軍事機密のためにこのまま抹殺されるのではないかというような不安さえ受けたということも述べられておるようでありまして、本当にそういう数々のなぞというものをこれから解き明かしていかなければならないわけでありますが、先ほど私が申し上げましたように、アメリカ側はまさしく、まあ後から私申し上げるように、果たしてこれが衝突事故であったのかどうかというようなこと、あるいは米原子力潜水鑑がジョージ・ワシントン号だというようなこともアメリカ側発表しているのだけれども、果たしてその船であったのかどうかということすら実際疑わざるを得ないような問題があるわけでございます。  いずれにいたしましても、日本側として、外務大臣乗組員のそういう行方不明の方についてどうするのかという問題も、徹底的にひとつ海上自衛隊海上保安庁の方なども協力していただいて早急に捜索しなければならないわけでありますが、少なくとも事件の当日の生々しい状況証言している方々の意見というものを大切にしていただきたい、このように思うのです。  私がなぜこういうことを申し上げるかというと、対米関係ということもあり、あるいはその後のたとえば補償というような問題も出てまいりますと、ややもすれば、そういうところの状況というものをだんだん一つ一つ消していくというのですか、そういう状況の中で何かやみからやみへ政治的に解決されていって、国民には何のことであったのかわからないというようなことになりかねないのではなかろうか、こういうように考えておるわけでございます。  それから、ちょっとお聞かせいただきたかったわけでありますが、外務大臣、これについてまずアメリカ側に厳重な抗議を国民としては政府にやっていただきたかった、こういうふうに思うのですが、なぜ抗議をしないのか、その点についてひとつ明確にお答えをいただきたい、このように思います。
  31. 伊東正義

    伊東国務大臣 いまの点でございますが、私はマンスフィールド大使になるべく早く事故原因、その他さっきの疑問に思うことを調査してよこしてもらいたいということを言っているわけでございまして、私はその事情調査の結果、また日本側のおっしゃった現場の証人からの証言という言葉はなんでございますが、そういうものも大事にしまして、そこを突き合わせをしてみて、そしてその結果、日本がどういうことをするか、いま上田さんのおっしゃったようなことも含めまして、日本政府としての考え方を決めようということで、まずいまの疑問点を早く解明してもらいたいということを私は向こうへ要請をしているところでございまして、それを待ちまして、私は日本政府の態度をはっきりしよう、こういうふうに思っております。
  32. 上田卓三

    上田(卓)委員 普通の交通事故でも何でもそうですけれども、やはり被害者の側に立って相手に対して抗議するということがまず最初じゃないですか。究明してから、時間がたってから、それではいまから怒りますよということには実際ならぬのではないですか。国民の感情として、まず証言があり、当然アメリカにおいてもその原子力潜水艦がジョージ・ワシントン号であったということも明らかになっておるわけですから、その船がどこの船かわからない、国籍不明であればアメリカの原潜らしいということだけで抗議するというのもどうかということですけれども、もう認めておるわけでありますから、あと原因ですか、そういう疑問点をどう解明するかということが残っているだけですから、そういう原因を追及してから云々というのはおかしいのじゃないですか。外務大臣、あれですか、原因はこちら側に少し問題があるのではないかと思っているから抗議できないのですか。抗議できない理由はどこにあるのですか。
  33. 伊東正義

    伊東国務大臣 そういう事故といいますか、起こった原因がはっきりして、それと日本の生存者の証言をやはり両方突き合わせてみて判断をする必要があると思っておりますので、抗議とかそういう問題につきましてはもう少しはっきりしてから日本政府がどうするかという態度を決めよう、こういう考えでございます。
  34. 上田卓三

    上田(卓)委員 政府として民間の協力も得て原因究明に乗り出すということは当然でありますが、アメリカ側がそれについてなかなか協力態勢にないというのですか、物が物でありますから、そういう点でこれが、そういうことはわれわれ望みませんが、一年も二年も原因がわからないというようなことになっていったら、いつまでもそれは抗議できないということになるのですか。一定の段階が来れば、究明されなくとも日本政府としてそういう行動をとるということなのか、それとも、もう日米の関係が大事だから、究明されてもこの抗議は一切いたしません、あとの問題が大事だというようになるのですか、その点どうですか。
  35. 伊東正義

    伊東国務大臣 一切そういうことをしないなんということは何もいま決めておりません。いまなるべく早くということを実は向こうにも言っておるわけでございまして、国民感情からすれば、これが半年も一年もわからないというようなことでは日米関係にも悪い影響が出てくることは当然予想されますので、やはりなるべく早く向こう調査の結果を、中間でもいいかもしれませんが、もらうということが大切だ、それを見て判断をして、日本側調査と突き合わせて、その結果政府の態度を決めよう、こういうことを考えているわけでございます。わかっても、もう一切何もしないんだとか、わからぬ間は待っているんだ、そういうことは何もいま決めているわけではなくて、調査の結果を一日も早く知らせてもらいたい、実はきょうもまた改めてその手続向こうへしているわけでございます。でございますので、いましばらく調査の結果を待つということをやっているわけでございます。
  36. 上田卓三

    上田(卓)委員 納得できませんね。もう少し質問を続けたいと思います。  私が疑問に思うのは、三つ目の問題でございますが、衝突日昇丸はたったの十五分間で沈没しておるのですね。しかし、ジョージ・ワシントンというこの原子力潜水艦はごく軽微な損傷を受けただけだ、このように発表されておるようでございます。ということは、ほとんど無傷に近いということではなかろうか。軽微というのですから、そういう意味では無傷に近い状況。こういうことは物理的にあり得ることだろうかというように思うわけであります。常識的に考えても、六千トンの潜水艦で鉄板の厚さは四センチあるようでございます。片や二千トンの貨物船で鉄板は二センチの厚さでありますが、これがぶつかり合っているのですから、当然潜水艦の方も相当なダメージといいますか損傷を受けたと考えざるを得ない、このように思うわけでありますが、こういうことがあり得るというようにお考えでしょうか、その点ちょっと担当の方から聞かせていただきたいと思います。
  37. 塩田章

    塩田政府委員 実際の状況は私どももわかりませんが、ともかく衝突した後潜航しておるわけでございますから、潜航に耐え得る程度の損傷であったということは間違いないわけでございます。実際にそういうことが起こり得るかというと、現に起こっていると言えばそれまででございますが、ちょっとその辺は私どもも詳しい事情をお聞きしないと率直に申し上げてわかりません。どういう状態でこういうことになったのか、あるいはどの程度の損傷であったのが。言えますことは、いま申し上げたように、その後潜航を続けておるということが事実でございますから、潜航できる程度の損傷であったということがいまわかるだけでございまして、それ以上のことはわかりません。
  38. 上田卓三

    上田(卓)委員 アメリカ海軍発表どおりジョージ・ワシントン号が本当に損傷を受けていないというのですか、損傷を受けてもそれは軽微である、こういうことでありますと、本当に日昇丸衝突——果たして衝突かどうかというようなことも疑わしく思うわけでありますが、果たしてそれがジョージ・ワシントン号であったのかどうかというような疑問さえ出てくるわけでございます。潜水艦は普通浮上する際には潜望鏡で海上を確認してから浮上する、こういうのが常識だろうと思いますし、潜望鏡は約十メートル程度首を延ばせるわけでありますし、また沈没した日昇丸の喫水は約四メートルから五メートルと推測されておるわけでありますから、ジョージ・ワシントンは潜望鏡すら出さずにいきなり浮上したということになるわけであります。こんなことは普通は考えられないというように思うわけであります。しかも、潜水艦は水中聴音機をつけて他の船艦の接近を絶えず警戒するものでありまして、もしそれが故障していたとしても、すぐ上を船が走ればエンジンの音やスクリューの音がやかましいほど艦内に聞こえてくるものではなかろうか、このように考えるわけでございまして、すぐ近くを貨物船が通っているのに全く気づかずに浮上するということは、どう考えても考え切れない、このように思うのですが、そういう疑問についてどうお考えでしょうか。
  39. 塩田章

    塩田政府委員 いま御指摘の点、まさに私どももそういうふうに思うわけであります。したがいまして、海上自衛隊潜水艦のベテランの人にもいろいろ聞いてみましたけれども、当然注意は十分しなきゃいけないし、潜望鏡にせよあるいはソーナーにせよ、そういうものはフルに使って浮上するわけですから、その辺は率直に言ってちょっと考えられないような事態であるということなんです。したがいまして、そこら辺はまさに今後の調査結果を待って判断しないと、ちょっと私どもも、どうしてこういうことになったのか、率直に申し上げて先生と同じような意味で疑問に感じておるわけであります。
  40. 上田卓三

    上田(卓)委員 日昇丸はいわば米の原子力潜水艦の攻撃訓練の標的にされたんではないか、こういうような疑問も出てくるわけでございまして、ジョージ・ワシントンはミサイル潜水艦であるにせよ、あるいは攻撃型原子力潜水艦であるにせよ、通常魚雷は装備しているはずであります。日昇丸を標的にして訓練しているうちに接近し過ぎて衝突したか、あるいは過って魚雷を命中させたか、いずれかではないかという疑いも出てくるわけでありますが、そういう可能性もあるとお考えでしょうか、外務省にもできたら伺いたい。
  41. 淺尾新一郎

    ○淺尾政府委員 先ほど来外務当局あるいは防衛庁からも御説明しておりますように、私たちとして目下原因究明を国内の各官庁とも協力し、またアメリカ側にも要求している段階でございまして、いまの御質問に対してここで答えることは差し控えたいと思いますが、アメリカ側発表は浅い深度で通常の活動をしていて、そこで日本貨物船にぶつかった、こういうのが発表の内容でございます。
  42. 塩田章

    塩田政府委員 いま外務省からもお答えしましたように、私どもがいろいろどういう訓練をしておったのであろうかとかなかろうかということを想像して申し上げることは、いまの時点では慎むべきではないかと思います。思いますが、そういう可能性があるのかと言われますと、率直に申し上げてそういうターゲットにしてやっておったとはちょっと私には考えられませんが、これはしかし想像になりますから、これ以上のことを申し上げることは差し控えたいと思います。
  43. 上田卓三

    上田(卓)委員 私も想像をめぐらせてそういう可能性があるのではないかと申し上げておるのは、余りにも今回の事件なぞが多い、不可解である、こういうことから、アメリカ側発表だけではどうも理解できないので、実際はこういう裏があったのではなかろうかというような形でここで質疑をしているというのが現状であるわけでございまして、ここですべて解明して云々ということじゃなかろうと思いますが、やはりそういう国民の抱いている疑問というものをこの国会の審議の中で少しでも晴らす参考になれば、こういうように思って私自身御質問申し上げておるわけであります。  私は幾つかのなぞめいたわからない点について指摘したわけでありますが、もう一つあるのは、この事故の端々に見え隠れするというのですか、海上自衛隊の動きなんですね。それ自身も私は非常に理解できないことの一つでありまして、アメリカ海軍からの事故通告が届く前に現場海域に海上自衛隊の護衛艦が二隻も居合わせて、そして乗組員救助したという点でございます。ジョージ・ワシントンがSLBMを積載したミサイル原潜とすれば、考えられないような浅いところで行動しておったということ、それから随伴機がいたこと、あるいは乗組員潜水艦は二隻以上いたと証言していること、しかもすぐ近くを海上自衛隊の護衛艦が二隻も航行していたということを考えれば、これは先ほどもちょっと申し上げたわけでございますが、日米共同で対潜訓練をやっていたのではないか、こういう強い疑問を抱かざるを得ないわけであります。  そこで、まずお聞かせいただきたいのは、海上自衛隊の護衛艦でありますところの「あきぐも」それから「あおくも」は、事故発生当時どこにいたのか、わかればお教えをいただきたい、このように思います。     〔委員長退席、愛野委員長代理着席〕
  44. 塩田章

    塩田政府委員 事故発生が九日の十時半ごろと見られておりますが、その時点では「あきぐも」、  「あおくも」は、その直前の九日の九時に奄美大島の古仁屋という港を出港しまして、奄美大島の東側を通って北上といいますか東北に向かって進んでおった、ちょうど十時半ごろが奄美大島の一番北の部分の東側に当たる、そういうところを通航しておったという状況でございます。
  45. 上田卓三

    上田(卓)委員 その乗組員たちを救助したところの護衛艦「あきぐも」あるいは「あおくも」は、いまお話しのように九日の午前九時に奄美大島の古仁屋港を出港して云々、こういうことでありますが、佐世保基地に向かった、こういうことにされておるわけでありますが、古仁屋港から救助現場までは約三百九十キロ、二隻の護衛艦の最高速力は時速二十七ノットと聞いておるわけでございますが、仮に半分の速力で航行したとしても、九日の深夜には現場を通過しているはずではないか、こういうふうに考えるわけであります。半分の速力で行っても九日の深夜には現場を通過しているはずだ。ところが、乗組員が実際に救助されたのは十日の午前五時だ、こういうことでございますから、どうもつじつまが合わないように思うわけであります。しかも、乗組員救助されたとき、「あきぐも」の乗組員たちが衝突事故のあった九日の朝には現場から三時間のところにいたということを聞いておるようでございますが、そういうことを考えますと、どうもつじつまが合わないし納得ができない。そういう意味で「あきぐも」と「あおくも」の行動をはっきりと、その事故発生前後の二隻の護衛艦の行動について報告してもらいたいし、当日の航海日誌といいますか当時の航海日誌を明らかにしてもらいたいと思いますが、それは出していただけますか。
  46. 塩田章

    塩田政府委員 いまここでお答えいたしますが、先ほど申し上げましたように、九日の九時に古仁屋を出まして十時半に、ちょうど事故のあった時刻には奄美大島の北端の東側のところを航行中であった。先ほど申し上げましたが、ちょうどその十時半という時点から二隻の船でもって戦術通信訓練というのを、これは予定の訓練でありますがそれを始めまして、そのままその方向にしばらく行きまして、奄美大島の東、東経百三十度の線でもって今度は進路を北に向けまして、十五時十分までそのまま北に向かって進みまして、それから十五時十分から吐喝喇列島の真ん中を突き抜けるような方向へ、つまり西北の方向へ進路を変えまして、しばらくしていま申し上げました通信訓練を終わった。これが最初の通信訓練でございますが、その後吐喝喇列島を横切る形で突き抜けました後、九日の二十時、午後の八時でございますが、ここでまた進路をほとんど真北に向けまして、これはちょうど佐世保に向かって真っすぐの線でございますが、ちょうど真っすぐの線の途中が甑島、先ほど申し上げましたレーダーサイトのある甑島の西南の方を通っていく線になっておりますが、そこに向かって進路を変えまして、十日の午前四時まで夜間の当直訓練、それから夜間の通信訓練、そういったものを実施しながら佐世保に向かって航行した。この間のスピードは約十二ノットでございます。そうしまして甑島の西南二十一海里のところで先ほど御指摘のようなある信号を四時三十分ごろに見つけて救助に当たった、こういうことでございます。
  47. 上田卓三

    上田(卓)委員 防衛庁が幾らそうでないんだ、飛行機双発か四発かという話も含めてそうでないんだ——と言っていないかもわかりませんが、いずれにしましても、非常に話がうまくでき過ぎておるというのですか、政府自身がこの問題に対するたとえば厳重な抗議ができないということ自身も、何かそこにもともとこの事故日本が一枚加わっておったから抗議できないのではないかというようにいま思わざるを得ない。幾らそうでないとおっしゃっても、少なくともアメリカの原子力潜水艦日本海上自衛隊の間に何らかの連絡があったのではないかというふうに思えてならないわけであります。  そこで、第六のなぞといいますか、わからない点でありますが、なぜアメリカ事故発生から三十五時間以上もたってから事故を通告してきたのか、しかも衝突したのはジョージ・ワシントンだと船名まで明らかにしてきておるわけでございます。このことについて、これは私の憶測ということになるかもわかりませんが、この事故発生当初、アメリカもあるいは日本防衛庁も、衝突したのは国籍不明の潜水艦として片づけようとしておったのではなかろうか、これは私の憶測、推測で申しわけないかもわからないけれども、私はそういうふうに考えざるを得ない。海上自衛隊の担当者などは、米海軍による事故発表された後においても、なおソ連の潜水艦ではなかったかというように言ったようでございまして、海上自衛隊の幹部の発言には明らかに米軍をかばったものが多かった、こういうふうに思うわけでございます。しかし、国籍不明船として片づけるには余りにも多くの目撃者というのですか生存者がおられるわけでございますし、また当時東シナ海を航行していた第三国の船艦も一つや二つはあったはずであろう、こういうように思っておるわけでございまして、ゴムボートに残った乗組員証言一つ見ても、自分は殺されるんじゃなかろうか、抹殺されるんじゃなかろうかという危機感さえも持った、こういうことでございます。そういう意味ではゴムボートが自然に沈んでしまって、そして関係者が皆いなくなってしまうことをじっと二隻の潜水艦あるいは飛行機が監視しておったんじゃないか、助けるというよりもゴムボートが沈没するのを目撃をしよう、助けるどころか、要するに関係者がいなくなることの方がいいと思っていればこそそういう不可解な行動がとられておるのではなかろうか、こういうように思うわけでございます。ところが、そうでないという状況の中で、そういう人為的な形ではできない、こういうことの中から、やはりその原潜はジョージ・ワシントン号であるという形で船名まで明らかにして通告してきた、こういうように考えられなくもない、このように思っておるわけでございまして、今回の事件は、そういう意味で、日米安保体制のもとでアメリカ軍と日本自衛隊がいろいろの形で行動をとられている、その中での犠牲者の問題についてやはり十分な対処ができない、そういうものがあるんではなかろうか、こういうように考えざるを得ないわけであります。  特に、何を言いましても、海上自衛隊の周辺海域の防衛、こういうことでございますが、この周辺海域の防衛ということは、とりもなおさず実はポラリスの核ミサイル潜水艦の周辺を守るというように理解できなくもないというように思うのです。もっと端的に言うならば、ポラリス核ミサイルの潜水艦日本海上自衛隊の護衛艦が守っている、こういうような状況がもしかあるとするならば、幾ら非核三原則であるとか、核を持ち込まないとか、いろいろ言ったって、結局日本自身がそういう核を持っておるのと同じ状況になりはしないだろうか。     〔愛野委員長代理退席、委員長着席〕 本当にそういう意味では、日米安保体制の中で、こういう状況の中で今回の事故が起きておる。当然こういう島国でございますから、本当にソ連の原子力潜水艦もその辺をうようよしているだろうし、アメリカの原子力潜水艦がおるところには必ずソ連の潜水艦もおるかもわからないし、本当にそういう意味では、こういう海面下ではどういう危険な状況があるかということを考えた場合に、われわれは本当に背筋の寒くなるような思いがするわけでございまして、そういう点も含めてこの日本の置かれている立場、今回のこういう偶発的とも見られるこの事故は決して偶発じゃなしに、今後大いに起こり得る危険性としてわれわれは考えざるを得ないし、過去においてもなぞめいたそういう船の沈没というんですか、行方不明の船も幾つかあるわけでございまして、そういうことで今回の事故考えてみると、やはりそういうことにあったのじゃないか。端的なことを言うならば、先ほど言ったように、乗組員が、二隻の潜水艦がぐるぐると回って自分たちを監視しておった、殺されるのじゃないかというふうに感じたということは、そういう背景からきておるのじゃなかろうか、こういうように考えざるを得ないわけでありまして、そういう点について外務大臣防衛庁考え方というものを明確にひとつ出していただきたい、このように思います。
  48. 伊東正義

    伊東国務大臣 上田さん、いろいろ推理して御質問ございましたけれども、私どもはそういうことは考えていないのでございます。ただ、こういう事故ができたということは、これは現実の事実でございますから、なぜこういうことが起きたんだということを究明すること、二度とこういうことを起こしちゃいかぬということを考えておるわけでございまして、いまのような推理をされることは、われわれは全然考えてないということでございます。
  49. 塩田章

    塩田政府委員 いま外務大臣からお答えになったことにつけ加えることはないわけでございますが、いまのお話の中で、ポラリス潜水艦の周辺を日本海上自衛隊が防衛するということになるのじゃないか、あるいはそういう訓練をしているのじゃないかというようなお話でございましたけれども、ちょっとそういうことは考えられないわけでございます。というのは、要するに最高に隠密であることがポラリス潜水艦の値打ちでございまして、その周りを守っておるということであれば、全く意味のないことになります。そういう意味から考えただけでも、そういうことはあり得ないし、私ども現にそういう訓練なり演習なり、そういうことは全然やっておらないことをつけ加えさせていただきます。
  50. 上田卓三

    上田(卓)委員 その潜水艦が隠密であるということ、だからそのぐるりを守っているということは、私も表現がちょっといけなかったかもわかりませんが、要するに、日米安保体制の中で常に米海軍、米原潜と十分連絡を取り合って結果的にはその周辺を守っている、こういうことではないかと私申し上げておるわけでございます。やはりそのことをアメリカ側日本に求めてきておることは当然のことじゃないか。それは推測というよりも事実というように理解せざるを得ないのではないか。先ほどの伊東外務大臣の御答弁でございますが、推測とかという言葉、私の申し上げ方からそういう言葉となってはね返っている面もあるかもわかりませんが、現実に日本の周辺海域にそういうアメリカの原子力潜水艦があるということから、その原因がどうであれ、あるということから今回の事件があるわけでございまして、そのところにアメリカの原子力潜水艦がなければ今回の事故は起こってないわけでありますから、そういう点でやはり日米安保体制というものについて、この際、この事件を契機にして洗い直しをするというか見直していくということがぜひとも大事じゃないか、このように思います。  まだ持ち時間もあるわけでございますけれども、他の質問もさせていただきたいので、あとまた上原先輩の方からも午後御質問があるようでございますので、次に移らしていただきたい、このように思います。  次に、PLOの問題につきまして若干御質問申し上げたい、このように思います。  三月二十三日、伊東外務大臣アメリカヘイグ国務長官ワインバーガー国防長官との会談の際、中東問題に触れて、特に予定されている——予定されていると言うことがいいかどうかわかりませんが、アラファト議長が来日されるのじゃなかろうか、われわれはぜひともしてほしいという希望を持っておるわけでございますが、そのことに関連して若干のやりとりがあったとこの委員会でも御報告があったわけでございますが、そのことについてちょっと御報告をいただきたい、このように思います。
  51. 伊東正義

    伊東国務大臣 ヘイグ国務長官と世界情勢の認識といいますか、そういうことをやりましたときに中東問題を話しました。  その中で、中東問題の公正な永続的な解決、そういうことについてはパレスチナ人の自決の問題を解決しなければなかなか考えられぬじゃないか、キャンプ・デービッドで、第一段階でいまアメリカがエジプト、イスラエルとの和平ということでやっておられる、それはそれで非常に結構なことなんだが、それをまた伸ばしていまのパレスチナ人の自決ということを考えなければいかぬということを私は言ったわけでございます。そしてその際に、PLOの話が出まして、PLOにつきましては、これはパレスチナ人の一つの有力な団体である、このPLOをその公正な永続的な和平というテーブルにつかせるということが大切だと思う、でございますから、イスラエルもPLOの存在というものを承認する、PLOもまたイスラエルの生存権ということを相互に認めるということでテーブルについて話をするということが必要じゃないか、武力で紛争を解決するということでなくて、平和裏に中東の平和の話し合いをすることが大切なんだ、ついては日本は、日本パレスチナ議員連盟が去年行かれて、ことしはアラファト議長を日本に招請するという計画があるのだという話を私はいたしました。  PLOにつきましては、ヘイグ国務長官と、中東の和平問題と言った方がいいかもしれませんが、PLO問題も含めて意見の完全な一致はしなかったということは事実でございます。
  52. 上田卓三

    上田(卓)委員 国際情勢についてアメリカとの間に基本的な一致を見たということを帰国後おっしゃっておるわけでございまして、中東政策あるいはPLOに対する認識という問題について、どこが一致してどこがアメリカとの関係で一致していないのか、もう少しお聞かせいただきたいわけであります。  これまで政府は、たとえば一九七九年当時の園田外相の発言で、イスラエルとPLOが相互に相手の立場を承認し合い、PLOが中東和平の過程に参加することが不可欠というようなことを述べられておるようでございます。また同じ年に参議院の本会議で、亡くなられました当時の大平首相は、パレスチナ人の独立国家樹立の権利を認め、同時にPLOをパレスチナ人の代表とみなしている、こういうように言明されておるわけでございますが、これらは明らかにアメリカの言動、とってきた行動とは独自の立場ではないか、私はこういうように考えるわけでございます。訪米前の国会質問の中でも、日本の独自の立場を説明し理解を求めるんだという方向が確認されておったというように思うのでありますが、この点についての考え方に変わりはないか、その点どうですか。
  53. 伊東正義

    伊東国務大臣 変わりございません。そのとおりの考え方でヘイグ国務長官とも話しました。つい最近イギリスのキャリントン外相が見えたわけでございますが、キャリントン外相ともその話をしました。ということはECも大体同じ考えでございますので、大体ECと日本は似ている、お互いがアメリカにその考え方をもっと説得しようじゃないかというようなことをこの間イギリスの外相とも話したわけでございまして、変わりございません。
  54. 上田卓三

    上田(卓)委員 ところが、ヘイグ国務長官との会談で話をされたと言われるのだが、その会談で、たとえばPLOのアラファト議長が来日すれば、テロ行為をやめるように説得するなどという言葉があったやに聞いておるわけでございます。何かあたかもPLOが過激派テロリスト集団であるような印象を与えて、きわめて私は不穏当じゃないかと考えるわけでございます。このような表現というものは、これまでの政府の公式発言の中にはなかったというように私は理解をいたしておるわけでございまして、この点について、私がPLO東京事務所のハミード代表あるいは他のアラブ諸国の方々とも接触をいたしました中で、大変疑念として出ておるわけでございます。その点についてはどのようにお考えでしょうか。
  55. 伊東正義

    伊東国務大臣 PLOをテロリストの集団と言っておるのは、アメリカがそういう言葉をずっと使っておるわけでございます。日本では、武力で紛争を解決するということではなくて、話し合いで平和的な解決をすることをと言っていたのでございますが、ヘイグさんとのやりとりで、テロ集団という話が出たりしましたので、PLOはそういう武力とかテロとかいうことで物事を解決することはやるべきじゃないということを私言ったことは確かでございますが、PLOが武力で物事を解決することは避けるべきだという意味でございまして、二人の話の間でテロ集団という話が向こうから出たりしたときに、そういうことはやめるべきだということを言ったことはございます。日本の認識では、PLOはイスラエルを認めるべきだ、そして武力を使って物事を解決することはするべきじゃないということを私は常に言っているのでございまして、PLOがイスラエルを認めるかわりにイスラエルもPLOを認めなさいということをイスラエルの外務大臣にも言ったのでございますが、それは武力を用いて物事を解決するという態度はよろしくないという意味でございます。誤解があったとすれば、二人のやりとりでございますので、それがどういうふうに外へ出たかは別としまして、真意はそういうことでございます。
  56. 上田卓三

    上田(卓)委員 そうしたら外務大臣、PLOが過激集団であるとかテロ的な活動をしている、だからアラファト議長が来たらそれをやめるようにという意味では全然ない、そういうことですか。
  57. 伊東正義

    伊東国務大臣 PLOは武力で紛争を解決するとか物事を解決するという態度は改めるべきだという意味でございます。
  58. 上田卓三

    上田(卓)委員 パレスチナ人の民族の自決というのですか、この問題を解決するのに、何も好んでそういう武力的な解決をということじゃなかろうと私は思います。やはり対イスラエルとの関係で、もしかそういうことがあるとするならば、イスラエルの方にも、この問題に対する解決の仕方として、平和的な方法ではなしに力で、特にアメリカあるいはエジプトの支援のもとでそういうことがあるということになるわけであります。PLOも含めて中東諸国の方々は、この問題は武力で解決するのじゃなしに平和的な方法で解決を図ることがいいというように当然思っているだろうし、イスラエル側に対してもそういう立場で説得をするという立場であろう、こういうふうに思っておるわけです。アメリカへ行って、PLOだけが何か過激な行動をとっているのだという印象を与えるようなことは絶対いけないと私は思っておりますので、PLOの代表の方あるいはアラブ諸国の代表の方が日本におられるわけでありますから、ぜひともお会いになられて誤解のないようにしていただきたい。またアメリカのいままで主張してきたことに同調しているのじゃなしに、いままでの日本の立場を堅持していく。さらにパレスチナの有力なというのですか、いまパレスチナ人民を代表する組織というのはないに等しいわけですからね。いま現地で会議をやっておりまして、かつてPLOから離れていった勢力がまた復帰している。そういう意味ではPLOにおいてパレスチナ人を代表する政府に当たるものがない。だから、直ちに政府として承認をせよと私は迫りたいわけでありますが、そこまでいかなくとも、PLOがパレスチナ人を代表する組織であり、重要な勢力であるということの理解は、いまの政府はしておるのですか。その点はどうですか。
  59. 伊東正義

    伊東国務大臣 有力な代表する団体だということを認識しております。
  60. 上田卓三

    上田(卓)委員 パレスチナでほかにそういう有力な勢力というのはありますか。
  61. 伊東正義

    伊東国務大臣 そのほかに有力なという意味のことは、私いまちょっと知っておりません。唯一、合法、正統ということをよく言われるのでございますが、唯一かどうかということを決めるのはパレスチナ人じゃないか。われわれが外からいろいろなことを言うのはおかしいじゃないか。私は日本の立場でございますので、有力な団体だということは認識しております。
  62. 上田卓三

    上田(卓)委員 私も、去年の八月下旬から九月にかけまして、特に九月の六日にベイルートでアラファト議長と約二時間ほどお会いしてきたわけでございますが、アラファト議長もそのとき、パレスチナ人にとっては、ないのは領土だけである、あと政府機関もあるし、経済、文化、特にその中でも医療など、保育所とかそんなものはちゃんと完備をしておるのだ、こういうことをおっしゃっておったようでございます。PLOをパレスチナ人の唯一の合法的な政府として認めるか認めないかというのは国内問題であるかもわかりませんが、有力なものであれば、実効支配という言葉がいいかどうかは別にして、本当にそういう組織があるということであれば、やはり日本が通常の政府として認めていくということは当然のことではないか、こういうふうに私は思っておるわけであります。そういう意味で、パレスチナ問題を解決する、あるいは中東問題を解決するということをまずしなければならぬ、こういうことは多くの国々も認めつつあるわけでございますけれども、PLOはパレスチナ人の合法的な政府であるという形で国交を結んでいくということの中からイスラエルとの問題も解決されていくのじゃなかろうか、こういうように思っておりますので、そこらあたりの見通しもひとつここで出していただいて、アラファト議長は、超党派の議員連盟の招待といいますか、そういう形で来られるわけでありますが、やはり正式の政府扱いという形で国賓として歓迎することが一番大事ではなかろうかというように考えておりますので、アラファト議長の来日に関連して、その点についての考え方をもう少しお聞かせいただきたいと思います。
  63. 伊東正義

    伊東国務大臣 有力な団体であることはそのとおり、これは前からの考えでございまして、特にアメリカとはそこが意見の違うところでございますが、前の考え方は変えないということを申し上げたのでございます。  ただ、承認ということになりますと、いま承認と言っておりますのは国家の承認あるいは政府の承認でございますが、PLOは国家とか政府ということからいきますと性質の違うものでございますから、そういう意味の承認ということは考えていないわけでございます。たとえば東京にありますPLOの事務所にも外交特権とか免除とかいうことをしておりませんのは、ECや何かは認めていますが、これは政府あるいは国際機関、そういうものではございませんので、前からの約束で外交特権とか免除とかいうことはしていないというのが日本の立場でございます。ただ、有力な団体ということは十分認識しており、これは中東和平に非常に大きな役割りを果たすものだろうと私は思っておりますので、日パ友好議員連盟の招待で議長が来られて、会いたいというお話があれば、私はお会いしていろいろ意見の交換をするというつもりでございます。
  64. 上田卓三

    上田(卓)委員 二月十四日にわが党の岡田利春議員の質問に対して、鈴木総理また外務大臣は答弁として、アラファト議長が来れば喜んでお会いし、中東和平について隔意ない意見交換をしたい、こういうことを述べておられるわけでございますが、いまの発言とあわせて、この二月十四日に発言された考え方は、その後いささかも変わっていないということを確認できますか。
  65. 伊東正義

    伊東国務大臣 鈴木総理がおっしゃったことは、そのとおりでございます。私も、たしか来られればお会いします、意見の交換をしますということを言った気持ちは変わっておりません。
  66. 上田卓三

    上田(卓)委員 私もアラブ諸国を回ってまいりましたが、PLOの存在というものは、われわれ日本から見ているよりも現地をずっと回ってみてもっと大きなものだ。非常に影響力も強いし、パレスチナ人がアラブ諸国に相当多くおられまして、大変重要な役割りを果たされているということで、多くのアラブ諸国がパレスチナ人の国家というものでPLOを見ておる。  私も、ちょっと飛行機の名前を忘れましたけれども飛行機に乗ったら、その世界地図あるいは中東の地図の中にはイスラエルの国はないのでありまして、そこにはパレスチナというような、だから中東へ行くともうイスラエルの国がなくてパレスチナの国があるんだ、PLOが政府なんだというような認識をしている国が多くあるというようでございます。  当然アメリカにおいては、アメリカの独自の考え方があるだろうと思いますが、やはりヨーロッパ諸国の動き等もあるわけでございますから、アメリカに追随するんじゃなしに、わが国独自の判断で早期にPLOを政府として認めるということが大事であろうし、いずれ好むと好まざるとにかかわらず、世界の大勢がパレスチナの合法国家としてPLOを認めていくことになろうと思いますので、時代の流れにおくれないように、資源外交という意味から見ても非常に私は重要な存在であろう、このように思いますので、十分にひとつ努力をしていただきたいし、アラファト議長が来られたら最大級の歓迎をしていただきたい、このように思います。  次の質問に移りたいと思いますが、ポーランド問題について若干述べさしていただきたい、このように思います。  十日ほど前まで、いまにもソ連がポーランドに軍事介入をする、そのように言われていたし、また新聞などでもそういうような報道があったわけでございますが、外務省内部でも、高島外務事務次官が鈴木首相に事態はかなり切迫していると報告したような時期があったわけであります。しかし、この一週間ばかりの動きを見ておりますと、ソ連のブレジネフ書記長のチェコスロバキア共産党大会でのあいさつ、あるいはまた東ドイツのホーネッカー書記長の党大会発言など、東側諸国の中からポーランドの自主的努力を呼びかけた柔軟な発言が聞こえるようになったこと、また四月七日にワルシャワ条約機構軍の演習が終了したと発表されたことなど、事態はかなり好転しているように思われるわけでございます。そういう点でポーランド情勢について外務省の判断をお聞かせいただきたい、このように思います。
  67. 伊東正義

    伊東国務大臣 高島次官が総理に申し上げたという時期は、たしかブレジネフ書記長がチェコへ行く直前だったんじゃないかという気がいたしますが、あの当時は演習がまだ終わっていない。たくさんの軍隊が配備されている。その中で、ブレジネフ書記長が党大会に言ってないのに行くというような、これは介入が近いかなという徴候がいろいろ出た時期に高島次官もそういう判断をしたわけでございますが、その後ブレジネフ書記長がチェコへ行きまして、党の首脳会議というのじゃなくて、あそこで演説をして、比較的穏やかな演説があったわけでございます。私は介入が切迫しているという環境は少し遠のいたかなというふうには見ております。ただ、まだ周囲にたくさんの軍隊が配備されている。またブレジネフ書記長の演説も、党首脳部というようなことは言わないで、ポーランドの党員がというようなことで、党首脳部のことは言及していない。あるいは信頼がないのかなというふうな考えで私読んだことがありました。まだまだ全然介入はなくなったんだというふうには私は判断はしておりませんが、あの当時の切迫した空気は若干遠のいたかなという感じでポーランド問題を見ているわけでございまして、第三国が介入することなく、ポーランド問題は何とかポーランド人がみずから解決していくということになることを本当に心から望んでおるところでございます。
  68. 上田卓三

    上田(卓)委員 伊東外務大臣もお認めのように、ポーランドの問題はポーランド人が解決する問題で、外国がそれに対してどうのこうのと言うことはなかろう、こういうふうに思うわけであります。当時のそういう切迫した状況が薄れておる、こういう認識のようでございます。にもかかわらず、アメリカのレーガン政権といいますか、アメリカだけではないわけですけれども、やはり介入の危機というのですか、危険は去ってない、こういうような認識のようです。これは日本もそういうように考えておられるかもわかりませんが、しかしアメリカのクリスチャン・サイエンス・モニター紙が指摘しているように、警告の連発といいますか、かえって緊張をあおっている、こういうような面があるわけでございまして、ソ連の介入があるんじゃないかということによってかえってそれを期待しているというような——期待をしていないだろうけれども、あるんだあるんだということで、何かないことを望んでおるのか、あることを望んでいるのかわからぬようなことであってはならぬのではないか、こういうように思っておるわけでございます。そういう点で、そういう介入がなければ、われわれがこうやって警告をしたからなかったんだというような理屈にもなるだろうし、あればあったで、さあ見たことかという形で、どちらにも言えるということになるのかもわかりませんけれども、いたずらにこういう問題についてとやかく騒ぎ立てるということはいかがなものだろうかというような感じがしないでもないわけでございます。  アフガン問題もあったとは言うものの、一つのポーランド問題ならポーランド問題を口実にして、日本の防衛力といいますか自衛力を増強していく、そして防衛予算を別格扱いにしていく、こういうような気がしてならないわけでございまして、その点についてせっかくのそういう緊張緩和といいますか、SALTIIの締結も含めて世界の平和、緊張緩和、デタントという方向にわが政府も積極的に協力していくということでなければならぬ。当然ソ連に対してもわが国の考え方を述べるということも大事でありますが、また片やアメリカ政府に対しても、やはりもっと自重を求めて、米ソが仲よくしてもらわなければ他の周辺諸国、多くの国民は困るんだ——アメリカとかソ連という国は相当経済大国のようで、資源もあるわけでございます。そこが角を突き合わせることによって、日本にしてもヨーロッパ諸国においてもそうでございますけれども、やはりむだな軍備増強ということになってきて、それが経済にはね返ってくるわけでございます。当然米ソにおいても無限に予算があるわけではないわけで、彼ら自身も真剣にSALTIIのことを考えなければならぬということもあるわけでありまして、相手がやるからこっちもやるということで、かえって仲裁役を待っているという面もあるわけでありますから、アメリカが手を振り上げたときに、日本が、もっとこういうようにこぶしを振り上げよ、わしらも応援するというようなことじゃなしに、逆に押しとどめて、もっと冷静になれという立場になることが必要であろう。また当然ソ連側に対しても、冷静な対応を求めるということが大事だと思います。日本の置かれた立場からして、そういう外交が大事だ、このように考えておるわけでございますので、ポーランド問題も踏んまえて、そういう考え方に御同意されるのかどうかお聞かせいただきたいと思います。
  69. 伊東正義

    伊東国務大臣 ポーランドに対する第三国の介入がなくなったと私は見ておるわけじゃなくて、一時言われたことよりも遠のいたなという感じを持っておるわけでございまして、ポリャンスキー大使にも、アフガニスタン侵入ということ、北方領土に対する軍備の配備ということで、これだけ日本とソ連との間は冷たい関係になったんだから、ポーランドに入ればますます冷たくなるんだから、そういうことのないようにしてもらいたいというようなことをこの間会ったときも私は言ったわけでございます。警告を出しているということは、あおっているということではなくて、それが本当にないように、やったらもう世界じゅうがいわゆる冷戦構造みたいなことになるおそれが多分にございますので、ないようにということをみんな考えているわけでございまして、今後歩もポーランドを支援していく、あるいは第三国の介入がないようにしていくというようなことは、世界がみんな考えていかなければならぬことだというふうに私は思っているわけでございます。  それから、米ソの問題でございますが、この間私もアメリカに行きましたときに、米ソがもし全面的な対決をするということになったら、これはもうそれこそ人類の破滅ということになるんじゃないか。片一方で力のバランス、それはわかる。それは私はよくわかるが、しかし片一方で話し合いの道を開いておく。首脳会談でございますとか、上田さんがおっしゃったSALTの話し合いでございますとか、そういう窓口もあけておいてもらって、話し合いで平和な関係を維持していくということが大切だということを実は私はアメリカに言ったわけでございます。これはアメリカだけでなくソ連も同じでございますが、国際緊張緩和ということにつきましては、両超大国がやはりよく話し合う、話し合いで平和ができていくということになることは本当に世界じゅうが望むところだと私は思うわけでございまして、そういう考え方、バランスの問題はわかる、それはそれとして片一方でこういう平和維持の努力をすべきだというようなことをこの間アメリカで話してきたところでございます。
  70. 上田卓三

    上田(卓)委員 聞くところによりますと、万一ソ連のポーランド介入があった場合に備えて、すでにアメリカとイギリス、フランス、西ドイツなどのいわゆるNATO諸国が対ソ制裁措置の案文の作成作業を終えてわが国にもその内容を通告してきている、このように聞き及んでおるわけでございます。その中にはシベリア開発協力の全面停止、ソ連との漁業協定破棄など、わが国としてはとうてい同調し得ないというのですか、そういうことになれば、たとえばシベリア開発への協力などでは三十億ドル、六千億円というヤンブルグ・ガス・パイプラインの計画とか、わが国の産業界にとっては相当魅力あるプロジェクトがあるわけでございまして、そういう点で、あったときに云々ということも大事ですけれども、こういうものはいまの国際環境の中で、どんどん日本がシベリア開発等に協力できるような、あるいは漁業協定の破棄ということになりますと漁民がたちまちにして困るわけですから、そういうことのないような形で——あったときにしかじかこうするんだ、だからそういう経済措置をほのめかすことによってソ連の介入をとめるんだという一つ考え方であろうと思うのです。  そういうことよりも、いまもっと大事なことは、たとえばポーランド問題の解決のためにいま何をすべきかということを考えた場合に、ポーランドの経済が破綻というのですか、物価高も含めていろんな形で困難な問題を抱えておることは事実なんですね。なかなか解決がつかないということになっておるわけでございますから、そういう意味でポーランド経済の立て直しということが非常に大事ではなかろうか。そういう意味でやはり日本としても経済援助をしていく。これは西側諸国からもいろいろな形で、西ドイツなども相当な債務というのですか援助がなされておるようでございますが、わが国に対するいわゆる債務の状況はどうなっておるのか、その点ちょっとお聞かせいただきたい、このように思います。
  71. 武藤利昭

    ○武藤政府委員 ポーランドがいま非常に外貨に困っておるということは先生御指摘のとおりでございます。全体といたしまして昨年末現在で二百三十億ドルというような数字が言われておるわけでございます。各国別の個別の債務の状況につきましては、ポーランド側のお話し合いもございまして申し上げないことになっておりまして、差し控えさせていただきますが、ただいま先生の御指摘のございましたような認識のもとに、西側の債権国といたしましては、ポーランドの現在抱えておる困難を救済するために何回かにわたって会合しておりますし、つい最近は四月九日、十日にも会議が開かれたわけでございます。さらに四月の下旬再度会合を開きまして、ポーランド側とも協議しながら、ポーランドの債務問題を解決するためにどのような協力をするかということを相談することになっております。
  72. 上田卓三

    上田(卓)委員 いまお話しのように、ポーランド経済が破産してしまうというようなことになってしまうと、総額二百二十億ドルと言われるポーランドの債務が返却不可能ということにもなりかねないわけでございます。そういうことがありますと世界経済に、わが国に対してもそうですけれども、甚大な影響を及ぼすということになるわけでありますから、四月九日から十日とパリで開かれた債権国会議では、ポーランドが今年中に返済すべき政府ベースの債務四十五億ドルについても支払いを繰り延べることで合意に達した、このように聞いておるわけでございます。日本もこの会議に参加したわけでございますから、そういう点でその会議の結果を踏まえて日本としてどうするか。また、この七月以降のポーランドに対する新規信用供与についてはどうするのかという問題もあるわけでございます。  さきの債権国会議では、議長が各国に新規信用供与についても積極的に働きかけるとの確認にとどまっているわけでございまして、フランスなどが新規信用供与の方向を打ち出していることに対してアメリカが強く反対しているということも聞いておるわけであります。しかし、そういうアメリカの動きがあるにしても、わが国としても、今後ともポーランドとの貿易を継続していくためには、長期の視野に立って新規の信用供与をぜひとも行っていく必要があるんじゃないか、このように思いますので、大蔵省もお見えでございますので、大蔵、外務のこれに対する決意というものを述べていただきたい、このように思います。
  73. 武藤利昭

    ○武藤政府委員 四月九日、十日の会議におきまして話し合われた内容につきましては、関係国の申し合わせがございまして、公にしないことになっておりますので、御報告は差し控えさせていただきたいと思いますけれども、わが国といたしましては、先ほども申し上げましたとおり、西側の諸国と協調しながらポーランドの債務救済問題に対処するということを基本方針としているわけでございまして、そのような方針のもとで、今後どのようにわが国としての措置をとるかにつきましては、先ほど申し上げました月末での会議の結果等から出てまいります西側のコンセンサスというようなものを踏まえながら関係省庁の間で今後十分御相談してまいりたいと考えております。
  74. 大橋宗夫

    ○大橋説明員 大蔵省といたしましても、ただいま外務省からお答えになりましたとおりの基本的考え方で関係各省との協議に臨んでまいりたいと考えております。
  75. 上田卓三

    上田(卓)委員 そういう立場で、今後ともポーランド経済の立て直しという意味も含めて積極的な援助をしていく。いたずらにソ連の介入があることを喜んでいるんじゃないかというような、あるいは逆にそういう状況の緊張することを助長するようにとられないようにひとつ十分慎重な行動をとっていただきたい、このように思います。  次に、ワシントン条約の問題につきまして、若干御質問申し上げたいと思います。  野生動植物の保護に関する国際条約、いわゆるワシントン条約が昨年の国会で批准され、ことしから発効することになったわけでございますが、地球の自然保護、動植物の保護という観点からして、ワシントン条約の発効はまことに喜ばしいことでありまして、関係の議員としても積極的に過去取り組んできた者としても非常に高く評価をいたしておるところでございます。しかし、この条約が全面的に発効して、すべての野生動植物の輸入が禁止される、こういうことになりますと、たとえば東京の墨田区を中心とする爬虫類なめし業界の方々が壊滅的な打撃を受ける。特に同和対策という観点から見ても、やはりこのワシントン条約の批准に先立ちまして何点かの留保条件をつけなきゃならぬのではないか、こういうことで通産省初め関係省庁とも業界の方々が何回となく熱心に話し合いをされまして、一定の合意を見て留保条件がつくことになったわけでございます。そういう点で、このワシントン条約の批准後の運用といいますか、そういうものを考えた場合に、きわめて劣悪な条件下で爬虫類なめし業に携わっている、そういう地区の方々の経営、生活というものを今後とも十分配慮をしてもらいたい、このように思っておるわけでございます。  そこで、まずこの二月の二十五日から三月の初めまでインドのニューデリーで開かれた条約国会議の結果について、特に爬虫類業界に関係する部分を中心に若干御報告をいただきたい、このように思います。
  76. 関栄次

    ○関(栄)政府委員 お答え申し上げます。  ただいま上田委員指摘のワシントン条約に関しますニューデリーにおきます会議は、二月の二十五日から三月の八日まで開かれたわけでございますが、この会議におきましては、ワシントン条約を円滑に実施していく、そのための施策につきましていろいろ検討が行われたわけでありまして、特に輸出入の許可書等の記載内容を統一するとか、あるいは養殖の問題、それから象牙取引の際の手続等につきまして決議が採択されたわけでございまして、そのほかまた規制対象の種を定める附属書の改正が行われたわけでございます。特に日本関係いたしますものといたしましては、三種の鯨だけでございまして、この鯨が多数決で附属書の改正の結果、附属書の1に掲載されることになったわけでございます。その点だけでありまして、ただいま先生御指摘の同和関係産業につきましては、特に関係のある事項はございませんでした。
  77. 上田卓三

    上田(卓)委員 批准に際して爬虫類なめし業界の組織であります全爬連の方々にも相当犠牲を払っていただいたわけでございまして、輸入自主規制と引きかえに留保条件をつけていただいたということでございますが、しかし、自然保護に向かう国際的な潮流からして、いつまでも留保を続けるわけにもいかないというふうに思うわけでございますが、かといって、この零細な業者を壊滅させるわけにもいかない。そういうことで、特にワニとかトカゲなどについてなめし業者または産地国とも協力して養殖事業を興していく方向が確認されたわけでございますが、すでに昨年から予算をつけていただきまして、まずワニについてフィリピンなどの東南アジア諸国を中心に二回の事前調査をしていただいておるわけであります。ことしはトカゲの調査が予定されているわけでございますが、昨年の調査について一回目の報告はもう出ておるわけでございますが、二回目の報告ももうすぐ出ると聞いておるわけでございまして、事前調査の進みぐあいについても少し御報告願えればありがたい、このように思います。
  78. 水野哲

    ○水野説明員 先生いま御指摘いただきましたように、爬虫類業界は非常に小零細企業でございまして、かつ地域の重要な産業でございます。この産業の原料である爬虫類関係をほとんどすべて海外に依存いたしておりますので、昨年いろいろ御審議をいただきました際に、個別の基本的な方向として増養殖事業を推進したい、こういうことで現在までやってまいっております。私ども、いま先生御指摘の養殖事業のワニと、そのほかにもタイマイというものについても同じように養殖試験事業というのを行って、試験事業のためのフィージビリティー調査というものを行ってまいっております。ワニにつきましては、先生いま御指摘いただきましたように、第一次調査団として昨年の十月から十一月にかけてタイ、インドネシア、それからシンガポール、フィリピン、こういった国をめぐって調査に行っていただきました。現地における種の生息状況あるいは現地関係機関の協力体制等を調査してまいったところでございます。それからそれを受けまして、特にその中でも有力な地域でありますフィリピンにつきまして、この三月に第二次調査団を派遣いたしました。この調査団が養殖試験事業の候補地等の調査を行ってまいった、こういう実態でございます。タイマイにつきましても昨年九月と本年の一、二月に同様な調査を行っております。
  79. 上田卓三

    上田(卓)委員 昨年度に行われましたワニについての調査では、フィリピンにかなり有望な適地が見つかったと聞いておるわけでございますが、事前調査を踏まえて、次はいよいよ試験事業に取りかかる段階に来ておるわけでありますが、フィリピン政府としても養殖事業に大きな期待を寄せておる、このように聞いております。政府間ベースの協力事業としてこの計画をいま進めたい意向のようであります。事前調査段階では業者の方々が中心になって調査してきたわけでありますが、もとより爬虫類の養殖という未開拓の事業でもあるわけでございまして、民間業者の手に余る大事業であろう、こういうように思います。本格的な養殖事業に道を切り開く試験事業についてはぜひとも政府の責任で早急に取り上げてもらいたい、このように考えております。試験事業に向けたところの政府としての決意と見通しというものについて、通産省からもう一度決意を聞かせていただきたい、このように思います。
  80. 水野哲

    ○水野説明員 先ほど御説明申し上げましたように、すでに二回の調査をやっておりますが、第一回の調査につきましてはすでに報告書をいただいております。第二回の調査はつい先ほど行ったものでございますので、いまだ報告書が出てまいっておりません。  私どもといたしましては、今後の事業計画でございますが、こういった既往の報告書が提出、完備されましたところで、政府の部内でもいろいろ関係方面がございますので、こうした関係方面と十分に打ち合わせを行って進めてまいりたいと思っておるわけであります。
  81. 上田卓三

    上田(卓)委員 これは民間の手ではなかなかやることのむずかしいことでございますので、政府の積極的な御協力をお願いしたいと思います。  爬虫類の養殖事業について、これは自然保護に役立つことでありますし、また東南アジアの諸国との協力関係を深める、平和事業という意味でも、政府としてぜひとも積極的に取り組んでいただきたいわけでございまして、いま通産省から積極的に取り組むという御返事をいただいたわけでございますが、外務省においてもぜひとも全面的な御協力をいただきたい、このように思います。また国内の爬虫類なめし業者の保護といいますか、業者の育成のために、この養殖事業が軌道に乗るめどが立つまでワシントン条約の保留条件についてはぜひとも維持していただきたいと思います。外務大臣の決意のほどをお聞かせいただきたい、このように思います。
  82. 伊東正義

    伊東国務大臣 養殖を早くやってもらうという努力をしてもらわなきゃならぬことは当然でございます。私どもとしましても、上田さんの御希望に沿えるように努力します。
  83. 上田卓三

    上田(卓)委員 ぜひとも全面的な御協力をいただきたい。  最後の質問になりますが、先ほど申し上げましたように、現地調査にはすでに国の調査事業で三回、業界独自で十数回も、業界の身銭というのですか、彼らの費用で調査を行っておるところであります。今回の七月上旬のフィリピンのミンドロ島の調査は、ワニの養殖事業の試験研究を始める重要なものであろう、このように思っておるわけでございまして、私も国会明けにこの調査に参加したいと思っておるわけでございます。  先ほど水野文化用品課長に答弁いただいておるわけでございますけれども課長が一度も現地調査に参加していないことは私自身も不満ですし、業界の方々にもそういう不満の声が上がっておりますので、よその国へ行かれるのもいいですけれども、このワシントン条約にかかわって御苦労いただいてきたわけでございますので、ぜひともひとつ御参加をいただきたいし、生活産業局長として文化用品課長をぜひとも現地調査に行くように督励もしていただきたい、このように思います。その点について、ちょっと個別に入ったようでございますが、一言意見を求めまして、私の質問を終わりたい、このように思います。
  84. 水野哲

    ○水野説明員 先ほど御説明申し上げました調査団はすでに二回参っておりますが、その第一回のときには、この種の調査団の例では通常役所が余り参りませんけれども、私どもの課からも一人随行をして、いろいろ現地の大使館等との打ち合わせをやってまいってきております。今年度も各種の調査が予定されておりますので、関係業界ともいろいろ意見を聞きまして、特にこの事業は相手国政府の意向が非常に重要でございますので、相手国政府の意向も踏まえまして、経済協力、技術協力の枠の中で今後とも私どもとしては努力してまいりたい、こう思っております。
  85. 上田卓三

    上田(卓)委員 どうですか、これは課長、自分独自でそれじゃ現地調査に一緒に行きますということにはならぬと思いますけれども局長とも十分相談していただいて、ぜひともひとつ行っていただくようにお願い申し上げまして、ちょっとオーバーしたようでございますが、私の質問を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。     —————————————
  86. 江藤隆美

  87. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 大臣初め関係者の皆さんに、せっかくの昼休みの時間なのでそれに食い込むことをおわびをしながら、けさ理事会で、各党十分ずつでございますが、ポラリス潜水艦の問題に関連をして質問をすることになりましたので御協力をいただきたいものだと思います。  最初に、土曜日の日に淺尾北米局長に、私、党を代表して飛鳥田委員長の名前で質問を行いました。要点は御存じのとおりだろうと思いますが、でき得ればこの質問に対する御回答を文書でいただければ大変ありがたい、このように思いますが、その点はいかがでしょうか。
  88. 淺尾新一郎

    ○淺尾政府委員 御趣旨に沿うように現在起案中でございますので、でき次第お届けしたいと思います。
  89. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 新聞報道などで拝見をしますと、ポラリス潜水艦の所属がどうもまだはっきり示されていません。これはグアム島の第十五潜水隊所属の潜水艦だというふうに考えてよろしゅうございますか。
  90. 淺尾新一郎

    ○淺尾政府委員 私たちの承知しておるところでは、この潜水艦は統合参謀本部直属でございます。ただし、形式的には十五潜水隊がまた統参の命令を受けて指揮監督しているというふうに承知しております。
  91. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 アメリカの統合参謀本部直属の潜水艦であるとすれば、事故の経過あるいはその後の措置などを含めて日本側調査報告あるいは中間報告が行われるのは、たとえば今明日中というふうに考えることができるのかできないのか、物理的に少しおくれるというふうに考えなければならないのか、この点についての御答弁をいただきたい。
  92. 淺尾新一郎

    ○淺尾政府委員 土曜日の日に大臣の方からマンスフィールド大使に対して、先般来御説明しているように、できるだけ早く事故原因究明してわが方に知らしてほしいということでございまして、マンスフィールド大使もそれに協力するということを話しておりましたが、その過程の中で、たまたま月曜日の安保特、それから本日の内閣委員会という話も出ましたけれども、まずきのう、きょうというわけにはまいらないだろう、こういうことでございます。いまのところ、急いではおりますけれども、この場でいつということをちょっと申し上げかねるのが状況でございます。
  93. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 外務大臣マンスフィールド大使に要求をした口上の中に幾つかございましたが、二度とこのような事件を繰り返さないようにという要請が行われています。その要請は当然具体性がなければ、今後気をつけますということだけでは国民は納得できないだろうと私は思う。その具体性について何を期待しておられるか、御答弁をいただきたいと思います。
  94. 伊東正義

    伊東国務大臣 私は二度とこういう事故を起こさぬようにということに続いて、どういうことが事故原因であったかということをはっきり調査して教えてもらいたい、そうすれば今後の防止の役にも立ちますし、二度と起こさないためには、今度はこういうことで起きたのだということをはっきりしてもらうことが大切だから、それはひとつ徹底的に調査して報告してもらいたいということを通報の問題とか補償の問題とか人命救助の問題とか、大切な問題と思っていろいろ言った中の一つの問題でそれを言いました。
  95. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 私は外務省が安保があるからという、あるいは公海上だからということがあるにせよ、ポラリス潜水艦があそこで作戦行動をとっていたこと、そしてその任務やあるいはその行動の態様について国民は非常に大きな不安を持っていると思うのです。この辺がないがしろにされてまいりますと、二度と繰り返さないという議論をしてみたところでどうもそれには説得力が欠けているのではないだろうか、こんなふうに思うのですが、政府としては、やはりあそこでああいう作戦行動をとっていたことをどのように御判断なさっていらっしゃるか。アメリカに聞く前に日本の判断というものがあってもよろしいのではないだろうかと私は思いますが、外務省でも防衛庁でも結構ですが御答弁いただきたいと思います。
  96. 淺尾新一郎

    ○淺尾政府委員 アメリカ側は、事故が起きた後で海軍の声明にございますように、通常の活動に従事していたということでございます。そしてわれわれの考えといたしまして、現在の国際情勢からしてお互いの核抑止力を持った潜水艦が行動しているということは現実でございます。これはやはり日本としてアメリカの核の抑止力に依存するという立場からは、あの地域においてアメリカ潜水艦が活動しているそれ自身がやはり核の抑止力の一つではないかというふうに理解しておるわけでございます。
  97. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 抑止力だというふうにあなたがお考えになるにしても、非核三原則という立場から見ると、本当にそれじゃ領海に入らなかったのかどうかという問題も含めてあるわけです。それから同時に、私ども余り深い理解を持っているわけじゃないのですけれども、攻撃型の原子力潜水艦ということについて米ソの関係というふうに考えることはできるとしても、あそこまで核戦略の潜水艦が堂々と出入りしているということについては不安が残ると私は思うのです。それをお考えにならないとすれば異常だろうと私は思うのです。一方的にアメリカを信頼しなさいということを言っただけでは説得力は弱い。その点で、そういう事情についても、私は国民の前に明らかにする努力日本政府として必要だというふうに考えますけれども、いかがでしょうか。
  98. 淺尾新一郎

    ○淺尾政府委員 繰り返しになりますけれども日本としてやはり日米安保体制というもので日本の安全を自衛力の整備と相まって守っておりまして、その日米安保体制の一つの根幹をなすものがアメリカの核抑止力ということでございます。ただ、先生御指摘になりましたように、核の持ち込みについては、日本政府としては、従来から核を持ち込ませずということで一貫しておりまして、この点については従来からアメリカ側日本のその政策はよく理解しておりますし、再三にわたってアメリカの最高首脳からこの日本の政策あるいは日本国民に背馳しない政策をとっているということでございますので、われわれとしては、日米間の信頼関係という上からアメリカのそういう政策あるいは声明ということを確信して、領海内に核が持ち込まれているということはないというふうに信じている次第でございます。
  99. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 このやりとりをしても時間がかかるばかりですが、それではただ信じなさい信じなさいと言われても信ずるわけにはいかぬ、国民の率直な感情というのは私はそうだろうと思う。そのことだけ申し上げておきたいと思います。  次に、日昇丸にはいささかの瑕疵もないわけです。当て逃げということによって尊い人命が損なわれました。また国民の貴重な財産が失われました。生存する乗組員も重大な危険にさらされたことだけは事実であります。この事実関係考えただけでも、国民の生命と安全を守る日本政府の立場からアメリカに抗議することが必要だろう、こう思います。けじめをつけるということは日米友好の立場から考えても、私は矛盾する立場ではないと考えます。その意味外務大臣に、先ほど上田委員とのやりとりの中ですっきりなさらなかったわけだが、日本国民の立場から考えて、今後アメリカに抗議するということもあり得るというふうに私は理解したいと思うのですが、いかがでしょうか。
  100. 伊東正義

    伊東国務大臣 私さっき申し上げましたのは、上田さんから御質問がありましたから、いまおっしゃったようなこともみんな含めまして日本政府がどういう態度をとるかということを調査の結果あるいは中間報告、そういうものを見て決めるつもりであるということであります。
  101. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 決めるということは抗議することもあり得るという意味も含まれていると私は理解をしますが、問題点は、日昇丸の側に何か瑕疵があって、そして事故が起こったということならば、これは実態を調査した上でこちら側の瑕疵というものがいかなるものであるかということを前提にしてやりとりがあることになるだろうと思う。しかし、どう考えても、私どもが知る限りにおいて日昇丸の側には全然瑕疵がない。それなのに、いま申し上げたように尊い人命が損われている、財産が失われている。乗組員の人たちの恐怖というのは大変だったろうと私は思う。だから日本政府の立場から、こういうことはきわめて遺憾である、そして不当であるという前提に立って抗議をしないことには済まないだろう、こう私は思いますが、もう一遍御答弁を煩わしたいと思います。
  102. 伊東正義

    伊東国務大臣 考えは一緒でございまして、先生おっしゃったようなことも含めて日本政府の態度を決めようというふうに思っております。
  103. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 補償問題について伺いますが、これまでアメリカ軍の不法行為に対する損害賠償というのは、安保条約は日本の安全を守ってやるのでというようなことで十分な補償が行われた例が少ないわけでございます。報道によると、被害者船体及び遺族に対する補償乗組員に対する精神的な慰謝料も含めてでしょう、六億円の補償を要求すると言われています。政府はこの被害者の立場に立って、あるいはこの被害者の要求を基礎として対米交渉を行うべきである、このように考えますが、そういう構えを御確認いただけますか。
  104. 伊東正義

    伊東国務大臣 調査の結果を見るということはそういうことも含めての問題でございます。補償の問題になりますと、直接は民間が向こうアメリカ改府を相手取ってということになるわけでございますが、これはなかなか大変なことでございますから、手間とかいろいろございますから、政府も極力便宜を図ってあげる、被害者の立場に立って損失補償のことは考えるという態度でやってまいります。
  105. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 放射能汚染の調査を科学技術庁がやった結果、シロである、異常がないというふうに発表されましたけれども、どうも事故の態様から見ると、衝突海面だけ調査してシロでございましたというわけにはいかぬような気もする。それではちょっと不十分ではないかという意味では、帰投する航路とでもいいましょうか、そういうところも含めて調査をするべきだと思いますが、その点に対する御見解をいただきたいと思います。
  106. 淺尾新一郎

    ○淺尾政府委員 とりあえず海上保安庁の方で当該水域の海水サンプルの採取をし、さらに科学技術庁の方から係官が鹿児島に行って、そのサンプルを持ち帰って研究所において分析するというふうに聞いております。この点につきましても今後さらに国内官庁と十分協力しながら万全の対策をとっていきたいというふうに考えております。
  107. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 最後に一つ防衛庁にお伺いしますが、結果的にはつんぼさじきに置かれたわけですね。それで問い合わせたけれども、大したことはない、大したことであったかどうか別として、調査中であるというやりとりである。外務省は昼の時間に電話で非公式だけれども連絡があった、この点について遺憾だと思いませんか。
  108. 塩田章

    塩田政府委員 御承知のように、八時半ごろに米海軍の該当艦はないかという照会をしましたのに対して、十時ごろに目下のところ該当の報告を受けていないがなお調査をするという返答があったこと、それから昼過ぎに米軍機が飛んでおったという情報があるが確認してほしいということに対して、五時過ぎに米軍機であるという返答があったこと、こういったやりとりはあったわけでございますが、肝心の潜水艦であることにつきましては、夜の十時まで連絡はなかったということでございます。  一般論といたしまして、日米、特にそういった在日米軍関係との連絡というようなことは今後とも十分図っていかなければいけない問題でありますので、肝に銘じて今後の参考にしていきたいというふうに考えております。
  109. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 十分たちましたから終わります。
  110. 江藤隆美

    江藤委員長 市川雄一君。
  111. 市川雄一

    ○市川委員 今回の事故は非党に不可解なことが多いし、また非常に遺憾であるし、日米友好関係が非常に重要であるということは私たちも十分承知しておりますが、しかし是は是、非は非として十分ただしていかなくてはならない問題だと思うのです。  それではまず海上保安庁にお伺いしますが、当日、事故が起きたとき雨か霧で、風は南東五メートル、波浪一メートル、視界二キロ、こういうことでございますが、海上保安庁は海難救助の経験を持っていらっしゃると思うので、こういう気象状況救助に十分な気象条件ではなかったかと思いますが、その点は保安庁としてどういう判断を持っていらっしゃいますか。
  112. 吉野穆彦

    吉野説明員 海上視界が二キロメートルと申しますとよい方ではございませんけれども、海難救助そのものが実施できないような風の状況あるいは波の状況ではなかったと思います。
  113. 市川雄一

    ○市川委員 深上保安庁の一つの判断として、事故当時の気象条件では海難救助ができない状況ではなかった、こういう認識があるわけですが、外務大臣も全く同じ認識に立っていらっしゃいますか。
  114. 伊東正義

    伊東国務大臣 私はそういうことに関して余り詳しい知識を持っておりませんので、これは海上保安庁の判断が私は正しいと思うわけでございます。ただ、本当に不可解なところが、どうも私もわからぬ、遺憾なことだとおっしゃるとおりでございまして、その点については、日本国民感情として、どうもこれはわからぬということがあるから、今後のことが非常に心配なんだからその点ははっきりしてくれということは特に言った事項の一つでございます。
  115. 市川雄一

    ○市川委員 防衛局長お見えですから伺いますが、きのうは、この種の潜水艦は強力なソーナーを持っている、したがって浮上するしないにかかわらず周辺の艦艇については神経質なぐらい把握している、それがぶつかってしまう、非常に不可解だということを申し上げたのですが、同時に、二千トンの日昇丸が六千トンの原潜と衝突した、日昇丸の方は沈没してしまって原潜の方には損傷が全くないということは普通常識的には全く考えられない、衝突ではなくて他の何かがあったのではないか。新聞によりますと、防衛庁筋でとか云々されておりますが、その辺どうですか。  常識的に考えてみて、二千トンと六千トンの船が衝突して、衝突された方は沈没した、衝突した方は何でもなかったということは考えられるのかどうか。その辺どういう判断ですか。
  116. 塩田章

    塩田政府委員 先ほどもそのお尋ねがあったわけですが、おっしゃいますように、片一方が何にもなかった、無傷であったとは私どもちょっと考えられません。ただしかし、実際にはその後の行動、特に潜航行動をしておるわけでございますから、それが可能な程度の何らかの損傷であったのであろうというふうに考えます。  常識的にこういうことが考えられるかというお尋ねでございますが、まさにそこら辺は調査の結果をよく聞いてみないとわかりませんけれども、常識的に言えば通常考えられないような状況でございます。しかし、現実がそうでございますから、そこら辺は調査の結果を待って判断したいということを申し上げたわけであります。
  117. 市川雄一

    ○市川委員 常識的には考えられないこと、したがって、衝突ではない他の方法による沈没ではないかという推測が当然成り立つわけですが、それはそれでおきまして、外務大臣、この真相究明米側に申し上げたということですが、もちろん米側が真相究明という形で関係者を集めて調査すれば、なぜこういうことになったのかということはある程度わかると思うのです。しかし問題は、米側調査結果が直ちに日本側にすべて間違いなく通報されるという確約があるかどうかですね。それは米側で調べればかなりのことがわかると思うのですね。しかし、これが軍事機密ということで日本側に割り引いて知らされたのでは、これはわからない。したがって、その米側調査結果が間違いなく一〇〇%日本側通報されるという保証を取りつけてあるのかどうか、この点はどうですか。
  118. 伊東正義

    伊東国務大臣 私はそういうことを向こうに言ったわけではございませんが、二度と起こさぬためにはなぜこういうことが起きたかということをはっきりしてもらわないと困るということで、徹底的な調査をしてもらいたい、徹底的に調査をする、こういうことの話し合いでございますから、向こう調査の結果はそのとおり日本側通報してもらえるというふうに私は思っております。
  119. 市川雄一

    ○市川委員 その点再度、米側調査が一〇〇%日本側通報されるという保証をぜひ取りつけていただきたいし、同時に、外務省が手に入れたけれどもそれが公表されないということではまた国民が納得しない。そういう意味で直ちに公表なさいますか、どうですか。
  120. 伊東正義

    伊東国務大臣 実はきょうも、こちらにおります海軍の武官とかそういう人たちに会って、私の方の課長から国会の審議の状況その他をいろいろ伝えるということになっておりますし、またこれは海上保安庁ともまだ相談はしておりませんが、海上保安庁の方で遭難した人から聞かれたことがまとまっておるなら、それも向こうへそのまま伝えて、日本側調査ではこうなっているということも伝えて、向こう側の調査とどうなるかということをはっきりさせようというようなつもりで、いま中で相談をしているところでございますので、調査はそのとおり報告してもらいたいということはあたりまえのことでございますが、私はそういうことをつけ加えまして向こう側に伝えたいと思います。
  121. 市川雄一

    ○市川委員 国民発表するかどうかという点をいま伺ったのですが、この点はどうですか。外務省米側から報告を受けた内容を国民に公表しますか。その点はどうですか。
  122. 伊東正義

    伊東国務大臣 向こう調査報告がどういう報告が来るか、その場合に何かそういうことがつくかどうかということは、私どももいまここの場でどうかということを申し上げかねますので、私は、まず調査の全貌をはっきり知らせてもらいたいということを言おうと思っております。
  123. 市川雄一

    ○市川委員 外務省調査報告が来ても、これが発表されなければ外務大臣のおっしゃる国民の納得ということはないわけですから、その点、国民の納得する形でという意味ではぜひ公表すべきだと思うのですね。  それから、きのう独自の調査ということをお伺いしたのですが、これはただ海上保安庁に任せておいたのでは調査にならないのではないか。したがって、外務省あるいは防衛庁海上保安庁、こういう合同の委員会というか、政府としてどういう対処をするのか。たとえば防衛庁には救助した当時の状況あるいは救助した直後日昇丸乗組員から聞いた証言内容あるいは海上保安庁が海難事故としていろいろ調査されている調査内容、こういうものは当然あると思いますが、そういうものをどこで一括して、対米交渉の窓口は外務省でしょうが、どうするのか。この辺、海上保安庁防衛庁外務省等でそういう調査委員会というようなものをつくらないと恐らくできないのではないかと思います。その点についてまずどうなのかということを伺いたい。  それから、二度と事故を起こさないようにという外務大臣の御発言でございますが、先ほどもお話がございましたけれども向こう側から一方的に調査結果が発表された、さようでございますかということでは事故防止にはならないわけでして、やはり日本側もかむという意味で日米両政府の合同調査委員会みたいなものができないと本当の真相究明にはならないのではないかと思いますが、この点についてどうですか。
  124. 淺尾新一郎

    ○淺尾政府委員 まず国内の関係でございますけれども、私たちとして得ている情報についてはすでに関係の省庁にいろいろと渡しておりますし、かつ関係の省庁からもいろいろな情報をいただいております。いま御提案になりました合同委員会をつくるのがいいのかということを含めまして、関係省庁の間の連絡は今後ともさらに密接にしていきたいと思います。  第二の日米合同の調査委員会、これはアメリカ側で現在事故究明にすでに着手しておりまして、その結果日本側回答が参ると思います。その時点でさらに日本側としてただすべき点があればまた質問するというかっこうにして考えていきたいと思います。
  125. 市川雄一

    ○市川委員 今回の事件で非核三原則について国民の不安が非常に強まったと思うのですね。先ほどもお話が出ましたけれども事故そのものは公海上で起きた、しかし、日本の領海を通っていたかもしれない、こういういろいろな意味での不安がある。そこで五月に予定されている日米首脳会談、ここで改めて日本側の非核三原則についての立場を説明し、米側の理解を求め、これを何らかの形で、共同声明とか公式の文書という形で確認する、こういうことをやったらどうかと思いますが、その辺について外務大臣としてどんなお考えですか。
  126. 伊東正義

    伊東国務大臣 国会でいろいろ御質問を受けておりまして、国民の皆さんがどういうふうに考えておられるかというようなことがいろいろ御質問からわかりますし、その点はありがとうございます。  ただ、いま日米首脳会談で非核三原則の再確認をしたらどうかという御提案でございましたが、これはそういうことをする必要はあるのかどうなのかなと、いまここに座って伺っておったのでございますが、これはもうアメリカもいままで日本との折衝で十分知っていることでございますし、日本はそういう原則、基本方針を持っているということをあらゆる場所で世界じゅうに伝えてあることでございますので、私はそういうことを特にやらなくてもいいんじゃないかな、こう思っております。御提案をどうするかということはよく考えてみます。
  127. 江藤隆美

    江藤委員長 神田厚君。
  128. 神田厚

    ○神田委員 原潜の事故問題につきまして御質問申し上げますが、まず、この問題についての外務省の態度というのはどういう態度なんでございますか。抗議ということの態度なんですか、それとも説明を求めるというような形なんですか。
  129. 伊東正義

    伊東国務大臣 先ほどから申し上げておりますとおり、まずは調査を早くやってくれということを向こうに要請しておるわけでございまして、その調査それから日本側調査、これを見て政府の態度ははっきりするということでございまして、先ほどから抗議をするのかどうかという御質問がございまして、そういうものを含めて政府の態度をはっきりするというつもりでございます。
  130. 神田厚

    ○神田委員 そうしますと、対応は米側の方の対応、誠意の見せ次第ということであると考えますけれども外務省としては調査報告をいつまでに出すように言っておるのでありましょうか。
  131. 伊東正義

    伊東国務大臣 実はまだ日は決めて何日ということは言ってないのでございますが、きょうも実は催促するのでございます。これはワシントンと東京と両方でやりますけれども、国会の御審議もずっとありますので、これはなるべく早く知らせる、先ほどありました是は是、非は非としてそのまま知らせるということが今後の本当の友好関係を強く保っていく上で必要でございますので、なるべく早くということをきょうもまた催促をするつもりでございます。
  132. 神田厚

    ○神田委員 日米安保条約というのはアメリカ日本の信頼関係、これを大前提にしているわけでありますが、どう考えても今度の事故につきましては非常に無責任な米側の態度があり、国民の多くがこういうふうなことでは困るというふうな非常な憤りを持っていると思っております。したがいまして、すでに米側では事故原潜との連絡もとれているわけでありますから、少なくとも幾つかのしぼった問題についての回答というのは、これはもうすぐにでも取り寄せることができるというふうに思っておりますが、その辺の見通しはどういうふうに考えていますか。
  133. 淺尾新一郎

    ○淺尾政府委員 先ほど来申し上げておりますように、アメリカ側事故の徹底的究明と、それをできるだけ早く日本側に伝えるということでございますので、私たちも、先ほど来大臣からも御説明しておりますように、折あるごとにアメリカ側日本側の立場というものも明らかにしております。ただ、この段階でいつまでにある部分がいつ来るということを申し上げるところまで実はまだいっていないというのが現状でございます。
  134. 神田厚

    ○神田委員 そうすると、この問題に対するアメリカの誠意というのはどういうところにあるとお考えでありますか、大臣。
  135. 伊東正義

    伊東国務大臣 この間マンスフィールドさんも私のところへ参りまして、いまの調査については極力責任を持って早くやるということ、それから海軍の方も責任の問題、補償の問題については十分真剣に取り組むという態度でいるので、それは日本も確信ということ、信用してもらってという意味でございましょう、向こうもそういう態度で遺憾の意を表しているわけでございますので、これからの調査報告、そういうものを見ればアメリカがどういう態度でこの問題に政府として取り組むかということがわかると思いますので、その調査結果を見まして判断をしよう、こう思っております。
  136. 神田厚

    ○神田委員 そういう中でいま大臣がおっしゃったような形でないものが出てきた場合には、厳重抗議というふうな態度もやはりとっていくというふうなことでございますね。
  137. 伊東正義

    伊東国務大臣 私は、なぜ通報がおくれたかとか、なぜ人命救助の問題が新聞で言われ、また向こう報告されているようなことであったのかというようなことをはっきりしなければ、やはり国民は納得しないという心配がある、それが日米関係に悪い影響を与えるというおそれがあるから、そういうところはもうはっきりしてもらいたいというようなことを言ったわけでございまして、やはり納得のできない報告であれば、これはわれわれとしても、これで終わりだと言われても、そうですがと言うわけにはいかないという気がします。
  138. 神田厚

    ○神田委員 外務省の中では、一部事故原因究明とは別に補償問題の方を先に手をつけていくというような考え方もある、こういうふうに聞いておりますけれども、その辺はいかがでございましょうか。
  139. 淺尾新一郎

    ○淺尾政府委員 やはり事故究明がないと補償の問題が出てこないというか解決にならないわけでございまして、すでにこの二点について、アメリカ側に早急に解明してほしいということを申し上げているわけでございます。ただ、すでに日昇丸の弁護士さんも任命されたということで、アメリカ側に対してアメリカ法にのっとって解決する場合にはどういうふうにしたらいいのかというようなお尋ねもございますので、そういうような御照会については、外務省の中でできる限りいろいろな参考になるようなことがあればその点については便宜を図っていきたいと考えております。
  140. 神田厚

    ○神田委員 そうしますと、基本的には、事故原因がはっきりして、その後補償問題に入っていく、こういうふうに考えて、大臣、よろしゅうございますか。
  141. 伊東正義

    伊東国務大臣 そのとおりだと私は思います。本件につきましては、レーガン大統領ワインバーガー国防長官もヘイグさんもみんな遺憾の意を表するということで、ヘイグさんから私に手紙が来たりいろいろしているわけでございますので、私はアメリカ側が誠意を持ってこの点は報告をよこすというふうに思っております。
  142. 神田厚

    ○神田委員 今後このような事故を再び起こさないというふうなことが非常に大事でありますが、もしもこういうふうなものが起こった場合についてのアメリカとの一つの協定なり考え方なりをやはりあらかじめ研究をしておかなければならないというように考えるのですが、民間船舶とこのような米軍の艦船等との事故につきまして、今後それらの問題のあり方について、日米安保やその他で何か新しい関係をつくっていくお考えはございますか。
  143. 淺尾新一郎

    ○淺尾政府委員 今回の事件をわれわれとしては教訓といたしまして、日米間でより早い通報ができるようにお互いに努力していきたいと考えております。
  144. 神田厚

    ○神田委員 ガイドラインその他の問題等とも関連しまして、これからやはり統合部隊、統合演習というような考え方、日米ガイドラインの中にそういうふうな問題、詰めていかなければならない問題もあるし、さらに防衛研究の中にも統合部隊、統合演習というような考え方がやはり相当出てきておると聞いておりますが、この辺のところは防衛庁はどういうふうに考えていますか。
  145. 塩田章

    塩田政府委員 いま統合部隊、統合演習というお言葉でございましたが、防衛研究では確かにそういう観点でやっておりますが、日米ガイドラインは、日米は指揮権が別でございますから、統合部隊あるいは統合演習というようなことは全然考えておりません。
  146. 神田厚

    ○神田委員 そうすると、防衛研究の中におけるこの統合部隊、統合演習では、当然アメリカとの統合部隊の中で、空と海の問題はアメリカとやるんだというふうな形で内々検討されていると聞いておりますが、いかがでございますか。
  147. 塩田章

    塩田政府委員 防衛研究の中の統合部隊といいますのは、陸海空自衛隊間の統合の話でございます。防衛研究では日米間のことは全然研究しておりません。日米ガイドラインによる研究でアメリカとの共同対処を考えております。その中でもちろん海空との共同対処、そういうようなことも当然考えておりますが、それは統合部隊ではございません。
  148. 神田厚

    ○神田委員 日本の周辺の海が米ソ両国の原潜によって非常に頻繁な往来がある、こういう中で、どうしても、たとえば情報収集が日本としては非常に少なく、さらに情報を与えられていないというような状況になっていると聞いておりますが、やはりこの事故一つの契機として、これから先の問題としましては、特に日米安保条約の中にあるアメリカにつきましては、きちんとした情報を伝えてもらうような努力をしていかなければならないと私は思っておりますので、その辺のところを最後に大臣の方からお答えいただきまして、終わりたいと思います。
  149. 伊東正義

    伊東国務大臣 情報というのは、どういう情報でございますか御質問になりました神田さんの意味がよくわからぬかもしれませんが、安保条約の中でのいろいろな協議の問題でございますとか、そういう問題は、これは密にしなければならぬことは当然でございますし、またその他一般の情報につきましては、御注意のありましたことを十分心得てやっていきます。
  150. 神田厚

    ○神田委員 終わります。
  151. 江藤隆美

    江藤委員長 中路雅弘君。
  152. 中路雅弘

    ○中路委員 今回の事件ですが、日昇丸の側に公海条約上から見ても全く違反がない、原因はともかくとして、この事件は当て逃げをした相手側が一〇〇%悪い、この認識は大臣も変わりはないと思うのですが、いかがですか。
  153. 伊東正義

    伊東国務大臣 事件の判断をするには、やはりいろいろな調査が必要でございますので、調査をなるべく早くしてもらって、待って、そして政府の見解というものをはっきりしよう、私はこういうふうに思っております。
  154. 中路雅弘

    ○中路委員 日昇丸の側に航行上ミスがあったかどうか、この点については違反がないということはお認めになると思うのですが、どういう原因でこういう事故衝突が起きたかということは調査をされるにしても、日昇丸の航行についてミスがないということは大臣もお認めになると思うのですが、いかがですか。
  155. 伊東正義

    伊東国務大臣 調査を待たぬとわかりませんが、アメリカ側が、レーガン大統領あるいは国防長官、国務長官、海軍長官がこの事故について、アメリカの原潜が関係したということについて遺憾の意を表明してきていることは事実でございます。いまは、わかっておりますのは、そういうことでございますが、具体的な事故原因その他については調査を待ってから、私は日本政府の態度を決めるということでやってまいるつもりでございます。
  156. 中路雅弘

    ○中路委員 三十五時間、まる一日半日本政府に通告がない。また沈没した日昇丸乗組員十五人のうち十三人はまる一日東シナ海に漂流して二名は救助もされなかった。この問題は、いま原因調査は要請しているというお話ですけれども事故があってこの通告が三十五時間も全くなかった。そして先ほど海上保安庁説明ですと、救難のできない風や波の状態ではなかったということは、専門家の海上保安庁が言っておられるわけですが、この救助も全くされなかったということは、公海に関する条約の十二条にもありますけれども人命救助を最優先のこの国際的な義務から言っても反することだ、原因はいま調査と言いますけれども、この問題については、原因調査するまでもなく具体的な事実なわけですが、これについては外務大臣、明らかにこうした国際的な義務に反することだというお考えだと思いますが、いかがですか。
  157. 伊東正義

    伊東国務大臣 私もアメリカ大使に会って、中路さんと同じような疑問があるので、国民が納得するようにこれを説明してもらわぬと、どうしてそういうことがあるのか、向こうの意見は、浮上したけれども霧や雨で見失った、そういう救いを求めている人はなかった、飛行機も上から見たらなかった、こういうことを言っておるわけでございまして、向こう説明はそういうことでございますが、いま海上保安庁説明を聞いても政府委員からの御答弁を聞いても、やはり国民が納得するというふうには、それだけの資料ではいきませんので、アメリカからそのことははっきりこういうことだったという事実を言ってもらうことが大切だ。その上で、それがどういうことでそういうことになったのか、おくれたのか、あるいは本当に見えなかったのかというようなことについて、国民の皆さんが納得しませんと、日米の信頼関係に傷が残ることになりますから、私はその点はひとつはっきりしてもらおうと思っております。
  158. 中路雅弘

    ○中路委員 海上保安庁救助できないという状態、波風ではないというお話ですし、万一救助できない場合でも、少なくともこういう事故があったということを通報しなければならない。これは国際法でも決められているわけですし、またその地域もわずか七十キロという近海での出来事ですが、この通報もない。三十五時間もおくれてから通報があった。恐らく私は自衛隊の護衛艦に救助されてこの日昇丸乗組員が米原潜による当て逃げだということを証言しなければ、これはなぞの遭難事件として片づけられる可能性もあったのではないかと思うわけですが、大臣自身も私と同じような疑問を持っているとおっしゃっているわけですね。こうした国際法に明白に反するような、人道にも反する行為については、当然まず抗議すべきだ、この問題については。原因究明はもちろん調査を要請しなければなりませんけれども、三十五時間通報がなかった、しかも救助も全くされてないということについては当然主権国家として抗議すべきだと思いますが、いかがですか。
  159. 伊東正義

    伊東国務大臣 先ほどから何度もお答えしておりますように、向こうからどういう原因であったか、事実どうであったかというような調査が来るはずでございますから、それも早急によこしてもらいたいということを言っておるわけでございますから、それを待って政府はどういう態度をとるかを判断しようと思っております。
  160. 中路雅弘

    ○中路委員 重ねてですが、大臣、私が質問しているのは、調査を依頼されるのは当然なんで、そのことではなくて、国際的な条約に基づいても通報する義務がありますし、救助の義務がある、これを放棄しているわけですから、これについて当然抗議をすべきだと言っているわけです。日米の関係を悪くしたくないということだけで抗議もできないということになれば、これほど卑屈な外交はないわけですから、私の言っているのは原因究明を要請するということを言っているのではなくて、その前に明白な事実であるこの通報もされてない、救助もほっぽり出されていることについて、外務省として、日本政府として抗議すべきではないかということを言っている。再度これについて大臣のお答えをお願いいたします。
  161. 伊東正義

    伊東国務大臣 即刻レーガン大統領あるいは国務長官、海軍長官、みんな遺憾の意を表してきたわけでございます。私は、向こうとしては、すぐ大統領まで遺憾の意を表するというのは、一つの誠意と見ておるわけでございますが、先生のおっしゃるような、何もそういうことで抗議をしないとかいうつもりじゃ全然いまないのでございまして、わっと言うことも抗議だし、静かにしてやることも抗議の一種でございますし、その辺のところは向こう調査の結果を見てよく判断して、政府の態度をとるというつもりでございまして、卑屈だどうだ、そういうような考え方は毛頭ありません。
  162. 中路雅弘

    ○中路委員 静かにしていることも抗議の一つだ、そんなことを国民が決して納得するわけはないのです。  それでは大臣に聞きますが、調査をされて、これは当て逃げですからね、補償も重要ですけれども、決して示談で解決できる問題じゃないのですよ。やはりアメリカから報告があった場合、当然それについては抗議もしなければならないと思いますが、いかがですか。
  163. 伊東正義

    伊東国務大臣 私の日本語がどうも会津弁で聞きづらかったのかもしれませんが、静かに何もしないのが抗議だと言ったのじゃないのです。怒り方にもわっと怒るのもあるし静かに怒るときもあるし、いろいろあるということを言ったわけでありまして、静かに何もしないのが抗議だということじゃございませんから、それは誤解のないようにしていただきたいのでございます。調査の結果を早くもらって日本の態度を決めるということの中には、先ほどから岩垂さんからも上田さんからもみんなから何回も御質問がありました。私の気持ちはそういうことを皆含めて判断をする、こういうことでございます。
  164. 中路雅弘

    ○中路委員 わっと言うか、静かに言うかということは別なんですよ。物を言わないということは、抗議をしないということでは国民は納得しないということを言っておるわけです。いま調査の要求をされておるわけですけれども、先ほどお話を聞いていますと、報告はいつになるかわからないというお話ですが、これもけしからぬことだと思うのです。いつ報告を要請されておるのですか、いつごろ来るのですか。
  165. 伊東正義

    伊東国務大臣 私もいつまでものんべんだらりと待っておるつもりは全然ないのです。土曜日に私はマンスフィールド大使に会ったわけでございまして、きょうも東京とアメリカ大使館を通じまして国会の審議もそのまま伝え、海上保安庁も遭難された方から聞き取りをしておられるでしょうからそれも向こうへ伝え、なるべく早く報告を出してくれ、こういうことをきょうも催促をしたわけでございまして、いつまでも待っていてうやむやにというつもりは毛頭ございません。
  166. 中路雅弘

    ○中路委員 あと一、二問で終わりますが、先ほど御答弁の中で防衛庁は、このジョージ・ワシントン号の所属は統合参謀本部の直属でハワイの第十五潜水隊だというお話がありましたけれども、そうだとすれば、なおさらこの原因究明といいますか、調査も、所属もはっきりしておるわけですから早急にできるはずですね。その点で直ちに抗議するとともに、早急な報告アメリカ側からもとるべきだということを重ねて要請をしておきたいと思います。  時間が来ていますので、最後に一問だけ防衛局長がお見えになっていますからお聞きしたいのですが、この問題で日本側としても調査できる問題が幾つもあると思うのです。  その一つとして、昨年、現場上空を旋回していた航空機は甑島のレーダーでP3型の対潜哨戒機だという御答弁がございましたけれども、このP3がCかAかBかわからないというお話だったのですが、この点は西部方面レーダーにも、航跡を調べられればわかるはずですから、どこのP3か、何をやっていたのか、どこから飛んで来たのか、こういうことはわかるはずだと思うのです。P3Cだったら沖繩かグアムか三沢に限っていますし、AかBでしたら第七艦隊からということもあるわけですが、こうした当然日本側調査ができる問題については、防衛庁として調査をして報告していただきたいと思いますが、いかがですか。
  167. 塩田章

    塩田政府委員 自衛隊側としまして、調査のできることはもちろん調査するつもりでございます。  ただ、いま御指摘の点ができるかどうか、これはちょっと私いまここでどこまでできるかわからないから申し上げにくいのですが、レーダーサイトでキャッチしておることは事実であります。そのキャッチした飛行機がどういう飛行機で、どういう目的で云々ということになりますと、わが方の調査でできるかどうか、その辺がございますので、いま申し上げますことは防衛庁としてできることはいたします、こういうことを申し上げておきます。
  168. 中路雅弘

    ○中路委員 これは委員長にお願いしておきますが、レーダーで少なくとも航跡はわかるはずですから、その点については御報告をしていただくということを要請しておきたいと思います。いかがですか。——それではこれで終わります。
  169. 江藤隆美

    江藤委員長 午後一時四十五分再開することとし、この際、休憩いたします。     午後一時三十一分休憩      ————◇—————     午後一時四十八分開議
  170. 江藤隆美

    江藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。上田卓三君。
  171. 上田卓三

    上田(卓)委員 日ソ関係につきまして若干御質問申し上げたいと思います。  先ごろ行われましたポリャンスキーソ連大使伊東外相との会談につきましてお伺いしたいわけでありますが、ソ連側はいわゆる信頼強化措置ということを言ってきておるようでございますが、これについてどう受けとめておられるのか、まずその点についてお聞かせいただきたいと思います。
  172. 伊東正義

    伊東国務大臣 向こうから話が出ましたのは、日ソの友好関係を維持する、そういう関係は支持するということが一つ上田さんのおっしゃった信頼醸成措置でございます。これは日本と中国と北朝鮮とアメリカに同じものを出す、こういうことでございました。北朝鮮と中国とアメリカでございましたが、内容はヨーロッパのヘルシンキの最終文書に基づいた信頼醸成措置と同じような考え方でございまして、必要とあらば事務的に両国で相談することも考えられる、こういうことでございまして、これに対して日本側からまだ回答は出しておりませんが、いずれ回答は出すつもりでございます。  信頼とこう言われるならまずやってもらいたいことがあると言って私が話しましたのは、北方領土の問題と北方領土におけるソ連軍の配備の問題、これを話しまして、こういう問題をそのままにして信頼信頼と言われてもわれわれは納得ができないじゃないか、そういうことをまずちゃんとしてもらう必要がある。軍備の問題、領土問題を前提にした平和交渉でございますとか、そういうことをやってもらう必要があるというようなことをやりとりをしたわけでございまして、やはり信頼醸成措置と言われるなら、それぞれの国が信頼できるような基本がないといかないということを私はポリャンスキー大使に言ったのでございます。
  173. 上田卓三

    上田(卓)委員 信頼強化措置と言った方が私よくわかるんじゃないかと思って申し上げたのですけれども、それは信頼醸成措置でもどっちでもいいわけですけれども、いずれにしても、日ソ間が冷え切っている、こういうことから、ソ連側から何とかひとつ仲よくいろいろのことを相談したらどうか、こういうことのようでございますが、アフガン問題もありましたし、あるいは極東でのソ連軍の軍隊の増強というかそういうこともあります。ソ連の軍備の増強もあるが、日本の軍備の増強というか防衛力の強化ということもずっと行ってきているわけで、これも日本がソ連と軍拡競争したって、アメリカでさえも手をやいているという超大国でありますから、ソ連がこうだからわれわれもこうだという形でなかなか無限に軍拡競争できる立場にもないことも事実でありますから、やはり一定の段階でソ連との関係を修復するというかそういう信頼関係を強化するということは非常に大事ではないか、こういうふうに私は思っているわけですが、同時に領土問題が大きくかかわっているということもこれまた事実であります。  日中平和友好条約が締結されたわけでありますが、こっちは尖閣列島の問題があるわけです。これはまあ日本側が実効といいますか、実際あそこにはだれも住んでいないようでございますけれども、実効しているというような現実があるわけでございます。しかし、それでも日本と中国の関係がこうやって改善されている。また韓国との関係についても竹島問題があるわけでございますが、やはり領土問題として厳然としてありながら韓国との関係については友好的な交流が進められておる、こういうことでございます。  そういう点で、領土問題を解決しなければならない、領土を返してもらわなければならない、こういうことは当然過ぎるわれわれの主張であるわけでございますが、返ってこないから何もできないんだ、返したらソ連との関係は仲よくなるんだという言い方ではいつまでたっても返ってこないのではないか、こういうように私は思うのです。やはりソ連との関係で信頼を強化することによって、そういう深まりの中から領土問題が解決するのではなかろうか。いまのような形で対立している状況のもとではなかなか返ってこないのではなかろうかというように考えるわけでございます。  たとえば沖繩が返ってきたというのも、やはりアメリカ日本とのそういう日米友好関係強化の中で返ってきておるわけでございまして、アメリカ日本が戦後一貫して対立しておったならば、恐らくあれが返るということはなかなかむずかしかっただろうというように想像されるわけでございますので、そういう点で領土問題を解決するためにももっと現状の交流というものを促進していく必要があるのではないか、こういうように思っておるわけですが、その点について外務大臣はどのようにお考えでしょうか。
  174. 伊東正義

    伊東国務大臣 ソ連が日本の隣国として大国でございますし、日ソ友好関係というのは、やはり先生おっしゃるように、友好関係が長期的に続くことは大切なことだと私も思っておるわけでございます。いまこういう冷たい関係になりましたのは、特に北方領土に対する軍備の増強、アフガニスタンに対する軍事介入というようなことを契機にしまして冷たい関係になったというのは事実でございますが、私どもも返ってこない間は一切温かい関係にならぬのだということを言っているわけじゃないのでございまして、それは誠意のある態度を示してもらいたいということを言っておるわけでございます。ソ連は領土問題についてはもう終わった、ないんだということを言われるわけでございますが、われわれは日本の領土であり、これはまさに第二次大戦後の懸案事項だということを言っておるわけでございまして、鳩山さんの共同声明でも田中さんの共同声明にもあったわけでございまして、われわれは懸案事項なんだ、話し合いをして平和的にこれを解決したいのだ、こう言っておるわけでございますが、いま現在はもう終わった、ないんだ、こういうことでございます。  私は、ソ連の誠意ある態度というものは、それはひとつ平和条約の中で解決していこう、懸案事項ということでこれをいろいろ話し合いをするというのも一つの態度だろう、こう思うわけでございまして、いまのままこの冷たい関係を何も続けることが日本の希望ではない、やはり懸案事項は話し合いをして、そして日ソ関係は平和友好関係が長期的に続いていくということを私どもも心から願っている。ただ、現在はそういう誠意のある行動がソ連からは示されてないということを私は言っておるわけでございます。コンブ漁一つとってみても領土関係だ、こう言われるわけで、これが実現をしてない。墓参の関係というような問題もございますので、そういうことでは誠意ある態度と言えないのじゃないかというのが日本考え方でございます。
  175. 上田卓三

    上田(卓)委員 外務大臣、これはどうなんですか。北方領土は返ってくるんですかね、いまのようなやり方で。見通しを聞かしてください。
  176. 伊東正義

    伊東国務大臣 これは相手のあることでございますから、いつどうということではございませんが、日本としてはあの四島返還というものは国民の本当に総意なんだということで粘り強くソ連には話していくつもりでございます。ただ、情勢はいろいろなむずかしい問題があるということだけは私も十分知っております。
  177. 上田卓三

    上田(卓)委員 北方領土を返してもらうためにももっとソ連との友好関係を深めていく、お互いに信頼を深めていく、それが私は領土問題解決の一番の早道だと思うのです。そうでしょう。要するに、もうまず出てくるのが北方領土ということだけでは、いつまでも窓口の問題といいますか、その入り口の問題で前に進まない、信頼関係は前進しないということになるのじゃないですか。確かに外務大臣は、領土問題が一切解決しなかったら、何もソ連と話し合わないのだということを言っているのじゃない、こういうことのようですね。その中で、たとえば極東あるいは北方領土でのソ連軍の基地の強化というのですか、軍備の増強というようなことも言われたわけでございますが、これについても、大臣、私ちょっと感じるのですけれども日本で何か北方領土を返せ、返せと言えば言うほど、ソ連の方は、北方領土自身、もう実力でも何か日本人が攻めていってというようなことになってはならぬということで、かえってそこが増強される、そういう向きはなきにしもあらずだと私は思うのです。返せ、返せということによって、いよいよということで強化してしまうというような、太陽と北風の話じゃないですけれども、当然返せというような要求を出すことは、これはわれわれ日本人として当然の権利だし、また言わなければならないわけでございますが、返してもらい方についてもっと工夫があってしかるべきではないのかというように私は思うわけであります。  それとコンブあるいは漁業問題一つを見ましても、領土の問題が云々というのは、わが国の方が言っておるわけでございまして、やはりそこらあたりについて、北海道の漁民などでは、もう極端な意見を言うならば、島の問題は当分いい、先に魚の問題を解決してくれと言わんばかりの状況もあるようにマスコミ等で私も聞いておるわけでございます。ところが日本政府は漁業の問題も大事だけれども、北方領土の問題が先決だ、こういうような形になっておるわけでありますが、その点についてどういうふうにお考えですか。
  178. 伊東正義

    伊東国務大臣 ソ連がいま言っておりますのは、もう領土問題はないんだ、そういう問題はない、解決済みだというような表現を使われるわけでございますが、鳩山さんとの日ソの共同声明のときも、歯舞、色丹だけは明文でもうはっきり書いてある。日本に引き渡す、そしてあとの残った国後、択捉は名前は書いてありませんが、領土問題として交渉するということは、これは松本・グロムイコ、当時の第一次官の交換公文でもはっきりしたわけでございます。ところがその後、ソ連側は日米安保の改定のときからもう歯舞、色丹の問題はないんだというような一方的な文書が日本側に来たことは御承知のとおりでございます。田中さんが行かれたときは、第二次大戦後の懸案事項の中には、これは領土問題だということではっきりしておるわけでございますが、いまはもう領土問題はないんだ、こういうことを言っておられますので、私は、この間グロムイコ外相に会ったときも、あなたが外務次官で領土問題は一番知っているんだ、それをないというようなことはおかしいじゃないですかということで大分やり合ったわけでございますが、いまはないという前提でございますので、日本としては、これは当然の懸案事項だ、こういうふうに考えているわけでございまして、ないということを前提にした、いろいろな経済関係の長期取り決めでございますとか、いろいろなこと言われるのでございますけれども、それはおかしいじゃないですか、やはり懸案事項は懸案事項として、ちゃんとこれは認めるべきだというのが日本の態度でございまして、上田さんのお考えとちょっと違うのでございますが、これにつきましては非常にむずかしい問題がある、やり方はどうやったら一番いいのかということにつきましては、これは私どもも苦労しているところでございます。  それから、領土はもういい、魚さえとればいいじゃないかという考えが一部の人にあるということも私は聞いております。これは昔も大問題になったことがフルシチョフ時代にあるのでございますが、そういうことを言われ、一部の人にそういう考えがあることは私も知っておりますが、しかし、何とか日本人の総意として領土返還の問題をやっておりますし、また経済的に困る人には本当に、これは根室地区で言ったのですが、いろいろ振興対策を考えてあげるというのは、私はやはり政府一つの仕事だというふうに思っております。
  179. 上田卓三

    上田(卓)委員 ソ連側も歯舞、色丹の二島返還は一たん認めたというのですか、そういう経過がありますだけに、私は、いま確かにソ連側は日ソ間には領土問題はないんだということを言っていることも事実でありますが、ソ連側の言い分だけを聞いてみますと、その後状況が変わったんだ、特に日米安保条約、安保体制というもの、そしてだんだん米ソの関係も悪くなる。一方的に悪くなっているのでなしに、いろいろ協調している部分もあるわけですが、やはり日本アメリカの軍事基地が存在しておるし、また日本自衛隊が何もソ連を仮想敵国にしているわけではないにしても、ソ連側から見るならば、アメリカ日本が手を組んで、銃口はソ連の方に向いておるではないか、こういうような状況の中で、北海道にも自衛隊がある、こういうような状況の中で、もしかいま領土を二島、あるいは四島にしても同じことでありますが、日本に返した。そこへまた安保体制に基づいて北方領土にアメリカの軍事基地なり日本自衛隊が進出して、またその銃口がソ連の方を向く。相手が仲がいいときは、たとえば簡単な凶器になるものを相手が持っても、それは自分に被害がないと思うが、けんかをやって仲が悪いときに相手に渡したら、またそれで襲いかかられてもいかぬということで警戒することは当然のことではないか、私はこういうように思うのですね。そういう意味で、米ソの関係が非常に平和共存の関係に雪解けになってもらうという努力は最大限に続けなければならぬわけでございますが、同時に米ソの関係がどうあろうとも、わが国の国益から考えた場合、独自に日ソ間の雪解けというのですか、回復、修復を真剣に図っていく。そういう中で日本が平和国家である、ソ連と一戦を交えたり、いわんやアメリカと一緒になってソ連と一戦を交えるというような考え方がないんだということが、そういう長いつき合いの中で、信頼関係の中で、この領土問題も必ず解決する、そういう努力日本側が続けることによって実現するのではないか、私はこういうように思っておるわけでございます。ところが、ややもすれば日ソ間の友好、修好というものは、ソ連側の方がちゃんとすればいつでもなるんだという形で、何もこちらが北方領土を返してほしいために卑屈になる必要はないにしても、こちらの方が何かいろいろ文句をつけているというのですか、そういうような向きがあるのではなかろうか、こういうように思っておるわけでございます。  私も何回かソ連へ行ってまいったわけでございますが、現在日本国民の全部、九〇%以上とは言いませんが、私の選挙区の人でもそうですが、多くの人が、ソ連は信頼できないとか、いわゆるソ連に対する不信感というのはわりと強いことも事実であります。しかし、ソビエトへ行ってみますと、非常に親日家が多うございまして、かつてのそういう日本の陸軍といいますか軍隊に出兵を受けていろいろな苦い経験も年配の方にはおありだと思うのですが、日本人に対して、そんなに日本人が好戦的で、またソビエトへ攻めてくるんだというような、そういう認識でないような、そういう意味日本での反ソキャンペーンというのですか、あるいはソ連の脅威論というものについて、日本国民の意識というものと、ソビエトの国民の意識に相当ずれがあるのではなかろうか、こういうように私は思っておるわけでありまして、その点について、いままでのそういう日本政府のかたくなな態度がかえって領土返還をむずかしくさしておるのではないか。いまのようなままであれば、もう二十年たっても三十年たっても返ってこないのではないか。返ってこないなら返ってくる方法をもっと日本自身が考えないといかぬのではなかろうか、こういうように思っておるわけでございます。  確かに日本は経済大国ということでありましょう。しかし、資源にしてもエネルギー源にしても、外国からの輸入に頼らなければならない。世界の国々の中で本当に一番貿易でやっていかなければ自給自足できない国は日本ぐらいじゃないか。小さな国は別にしても、経済大国と言われている日本が、足元の問題で大変弱い立場にあるわけでございまして、経済措置だと言ってみたところで、そんな偉そうなことを言えるわけではないので、逆にいろいろな面で経済措置を他の国からされたら、たちまちにして困るのがわが国の立場じゃないのかというように思ったりしているわけでございまして、ソビエトという国を特に考えた場合に、日本が経済措置をいろいろやってみてもへこたれるような国じゃないのです。そういう意味では、恐らく六十数年前世界で初めての社会主義国家になったわけでありますが、その後列強からのいろいろな干渉とか経済的な封鎖も含めていろいろあったけれども、やはり今日ずっとそれなりの力を持ち、米国と並び称されるだけの超大国になっておるわけですから、若干農業問題も含めて、経済の問題でいろいろ困難な問題があるんじゃないかというようなことも報道されておりますけれども、若干そういうことはあったとしても、もしあったとしても、ソ連の国民はそれだけ耐える力を持っているというのですか、いままでそうであっただけに、変に日本にシベリア開発について協力してもらわなければいかぬからどうのこうのというような形で、向こうの方から頭を下げてくるような状況はないように思います。当然こういうような重要な問題ですから、こちらも頭を下げられないというようなことで、いろいろな高度な政治的な解決というものも必要になってくるだろうと思いますが、同時に、政府間だけじゃなしに、経済ベースあるいは民間ベースでいろいろな形の交流を図って、お互いの信頼を高めていくということが非常に私は大事ではないか、こういうように思います。  若干それに関連いたしましてお聞きいたしたいのでございますが、先般ソ連におきまして、共産党の第二十六回大会でしたかが終わったようでございますが、そのときにブレジネフ書記長の党大会での演説の親書というのですか、アメリカそれからイギリス、西ドイツなど重立った諸国に書記長からの親書が出された、こういうように聞いておるわけでございます。しかし、日本に対してはポリャンスキー大使から口頭でこの覚書が届けられた、こういうように聞いておるわけでございますけれども、ソ連の欧米に対する対応の仕方と、日本に対する対応の仕方が違うのでありますが、この問題についてどのように大臣はお考えですか。
  180. 伊東正義

    伊東国務大臣 お答え申し上げます。  親書を出した国と、いま先生おっしゃったようなメッセージの国とがいろいろあることは知っておりますが、それがどうしてそういうことになったのかということにつきましては、これはソ連の考え方でございますので、ここで私はそれをとやかく論評することは避けたいと思うわけでございます。ただ、アフガニスタン事件の介入の後でも、ヨーロッパの中にも経済措置をやった国の度合いの問題、あるいはオリンピックに出た国もあれば出ない国もあるとか、首脳部が会見をしている国、してない国、いろいろあるわけでございます。でございますので、どういうことで向こうが親書であり、メッセージであったかということにつきましては、私ここでそれをどうこうということを言うことは差し控えたいと思っております。
  181. 上田卓三

    上田(卓)委員 やはりソ連からはその程度にしか思われていないのじゃないですか。欧米に比べて日本に対するソ連の考え方がその程度、欧米よりも低い段階で扱われている、その結果ではなかろうか、私はこのように思うのです。  次に、ちょっとお答えいただきたいのですが、一九七〇年代、十年間あるわけですが、もう一九八一年になっておるわけでございますが、欧米の大統領とか、あるいは首相とかいわれる方々がブレジネフ書記長と過去どのくらい会われておるのか、重立った国で結構です。それをちょっと聞かしていただきたいと思います。  わが国の場合、七〇年代には恐らく田中元首相が会われた程度で、歴代の総理がソ連の最高首脳部と会うたことはないというふうに考えているのですが、欧米の場合ちょっと聞かしていただきたいと思います。
  182. 武藤利昭

    ○武藤政府委員 いま私の手元にございますのは、ドイツのシュミット首相とフランスのジスカールデスタン大統領がブレジネフ書記長と何回会われたかという資料はあるわけでございますが、シュミット首相は七四年、七八年、八〇年の三回ブレジネフ書記長と会見しておられます。それからジスカールデスタン大統領は七四年、七五年、七七年、七九年、八〇年、五回会談しておられます。わが国の場合は、いまお話がございましたとおり、田中元総理が一九七三年に会談したという例があるということでございます。その他の主要国につきましては、私ちょっと記憶だけでございますので、正確を期しがたいわけでございますが、アメリカの大統領がブレジネフ書記長と会談された例はもちろんあるわけでございますが、そのほかのイギリス等になりますと、ちょっと記憶にございませんので、お答えを差し控えたいと思います。
  183. 上田卓三

    上田(卓)委員 西ドイツのシュミット首相については三回ですか、それからフランスのジスカールデスタンは五回、こういうことでわりと会っていますね。日本の場合は、どこで会うかとか、どっちが言い出すかという問題はあるにしても、わが国の平和と安全あるいは極東と言ってもいいですし、ひいては世界と言ってもいいと思うのですが、また日ソの経済交流というのですか、そういうことを含めても、わが国を取り巻く世界、わが国を中心にして世界との関係を見た場合に、いま一番悪いのはソ連との関係でしょう。一番悪いところとますます悪くなっていくのか、一番悪いところと仲よくすることによって、余り防衛力を強化しなくても、その分を教育や福祉とか勤労者にもっともっと予算を回していくということも非常に大事だろうと私は思いますし、また日本の企業に対して、中小零細企業の倒産防止のためにそういう費用を使う。日本はお金があり余っている。そのあり余った余分のものを防衛力に予算を回すというような、そんな余裕がないわけですから、そういう点で日ソの関係——まあ日中の関係がこうやって改善されておるわけですから、当然アメリカとの関係はこれ以上発展させなければいかぬかというぐらいに、いろいろ経済摩擦の問題もありますから、それは今後の問題はあるにしても、アメリカ日本が経済戦争と言われても、実際の武器を持って戦うというようなことはだれも想像できないわけでございます。日本と中国の関係についても、あのプラントの問題で中止とか延期とかいろいろあっても、それじゃあすから日中関係が壊れるということでもなかろうと思うのです。  そういう点で、やはりこの日ソの関係が一番大きな問題になっているんじゃなかろうか、私はこういうように思っておるわけでございまして、今度鳩山参議院議員が団長になって、近く自民党の議員さんが訪ソされる。だれにお会いされるのかよくわかりませんが、こういうことを一つのきっかけにされまして、両政府の首脳同士のトップの会談であるとか、あるいは向こう外務大臣伊東外務大臣の話し合いであるとか、経済レベルでも結構でございますが、そういう形で、やはりもう最大限努力しなければならない課題は、この日ソの関係でどうしていくか、そのことを通じて米ソの仲介をも果たしていく。あるいは世界各国で米ソの対立が言われておるわけでございますが、常にそういうときには必ず日本の総理大臣が行って調停をして、両方から喜ばれるというような、一方に肩持ちするんじゃなしに——それは確かに片っ方は資本主義の盟主であり、片っ方は社会主義の盟主であるかどうかは別にしても、そういう国同士でありますから、思想信条ということになってきたらもう全然違います。物の見方、考え方も違ってくるわけであります。しかし、世界の平和ということを考えた場合に、この平和共存ということが非常に大事ではないか、こういうふうに思うわけでありまして、そういう意味において、この日本の果たすべき役割りは大きい。  ただ、北方領土の問題だけじゃなしに、もっと人類の、そういう核の危機から人類を救うという大きな立場から見ても、非常に大事な問題ではなかろうか。そういうものに貢献する中で、ソ連とのつき合いの中で、やはり北方領土も解決していくのではなかろうか、このように思いますが、この考え方について、大臣のお考えをお聞かせいただきたい、このように思います。
  184. 伊東正義

    伊東国務大臣 ここでソ連との問題につきまして考えの違いを論争する考えはございませんので、上田さんの御意見は伺っておきます。  日本の総理大臣が会っている数が少ないんじゃないかと言われるのは、恐らく原因は、やはり日本とソ連とにある特殊な問題、領土問題というものが根底にあるものですから、そういうことが根底にあるので、首脳会談をされる機会が、ヨーロッパ、特にドイツ、フランスよりは少ないんじゃないか、私はこういうふうに考えていますが、それはそれとしまして、日ソの友好関係を長期的に何とかして維持することをどうやったらいいんだというお考えにつきましては、私も、日本の外交として、日ソ関係というのは本当に重大な問題でございますから、今日このままがいいとはちっとも思っていないわけでございまして、どういうきっかけかで長期的な友好関係が結べるということを私は望んでいるわけでございますが、その考え方は、さっき言いましたように、やはり日本としては懸案事項の領土問題があるんだから、ソ連もそれに対して誠意を示してもらいたい、示すべきだというのが考えの前提になっていることは確かでございます。  今度鳩山さんが行かれるということを聞いておりますが、私はどなたが行かれましても、やはり領土問題はあるんだということだけは、ちゃんと通すべき筋は通しておいてもらいたい、その上に立っていろいろ話し合いをされるということは、それなりに結構だと思っておるわけでございます。
  185. 上田卓三

    上田(卓)委員 北方領土を返してもらうために、よその国の元首あるいはそういう政府の責任者が三回、四回会うところを、わが国の場合は五回も六回も会うという態度が必要ではないか、私はこういうふうに思っています。向こうの人と会うのですから、会ったときには必ず北方領土の問題はちゃんと要求するということは当然でありますが、もうそれだけで膠着するというんじゃなしに、それを言いながら別な分野でどんどん信頼関係を増していく必要があるのではなかろうか、私はこういうように思うのですね。  だからそういう点で、今回ポリャンスキー大使と会ったときに、信頼関係の強化ですか、そういう信頼強化措置という提案があった場合に、確かに向こうは、領土問題を抜きにした、それをたな上げにして云々というようにあったにしても、われわれは領土問題は解決していないんだという観点に立って、その他の分野についての関係の改善を図っていくということは大いに大事なことであって、決して領土問題を言ったらあとのことは言えないんだ、あるいはほかの問題を取り出したらもう領土問題がなくなったんだと解釈されるというように、別段われわれはそう理解しなくてもいいのではなかろうか、私はこういうように思っておるわけであります。  そこで、去年のオリンピックのボイコットあるいは日本のソ連に対する経済措置といいますか、そういうものの中で、経済措置を受けたのがソ連の方じゃなしに、逆に日本がそれで魅力ある大型プラントを西ドイツとかフランスに取られるというような形に実際なったのではなかろうか、こういうように思っておるわけでございます。この一年間で日本の対ソ貿易はほとんど伸びず、西ドイツとかイギリスとかフランスなど大きなプラントをそういう諸国に奪われる。その結果、ヨーロッパ諸国の対ソ貿易は二〇%から三〇%伸びておるようですね。わが国の場合は、第二位から第五位に対ソ貿易の順位が落ちておるというのが現状のようでございます。  それから、たとえばアメリカがソ連に対する穀物の禁輸というような措置をとったようでございますが、その結果アメリカの農民が泣いておる、こういう現状があるわけでございますし、せっかくアメリカがそういう穀物禁輸をしている、そのしりから、たとえばオーストラリアとかあるいはアルゼンチンから相変わらず穀物がソ連に輸出されておる。確かにソ連の国民政府は高い穀物にはついたかもわかりませんけれども、穀物自身が現実に不足なく入っておるというような現状があるわけでありますから、いかに経済制裁とか経済措置というものが若干の効果があったとしても、いまのようなこういう国際経済の中で、抜け駆けをするところもたくさん出てくるだろうし、必ずしも足並みがそろうというわけにはいかぬ。とりわけアメリカとの信頼関係の強いヨーロッパあたりのソ連に対する足並みというようなものは非常に乱れがあるということ自身も外務大臣の御存じのことではないか、こういうように思うわけでございます。  そこで、ちょっと具体的な問題になりますが、ヤンブルグ天然ガスのパイプライン計画についてであります。去る三月二十四日から東京で行われたソ連代者団と日本側との交渉では、向こう四年間に三百五十万トンの大口径鋼管を輸出することに決まったと聞いておるわけでございますが、それに伴う金融協力についての課題が残されているように思うわけでございますが、総額三十億ドルにも上る大プロジェクトになるわけでありますが、それに対する日本側の金融協力について、実際協力する方針なのか、その基本的な考え方というものをここで述べていただきたい、このように思います。
  186. 武藤利昭

    ○武藤政府委員 ヤンブルグの件でございますが、この件は御承知のとおりソ連からヨーロッパに天然ガスを供給するという計画でございまして、この計画についてソ連と西欧諸国との間で話がついたときに、この計画を実施するために必要な資材、機材等について日本にも売り込みのチャンスがある、そういう形になるわけでございます。  そこで問題は、まずソ連と西欧との間でこの計画を実現することについて話し合いをつけるということが先決なわけでございますけれども、聞くところによりますと、まだなかなか詰まっていないようでございまして、これは西ヨーロッパの側からいたしますと、ソ連との間にいろいろ複雑な問題が絡んでいる。一体どれぐらいの天然ガスを輸入するのか、それからその価格をどうするのかというようなことも絡んでくるわけでございますので、なかなか簡単には解決を見るという種類のものでもないというふうに承知しておるわけでございます。したがいまして、日本との間におきましても、そのような計画が実現することを前提といたしましていろいろ商談の機会はあるということにはなっているわけでございますが、肝心のソ連と西側との話し合いがまだ最終段階に達していないということのために、日本といたしましても、どのような機材をソ連に輸出するかということについての具体的な詰めにまではまだ立ち至っていない現状と承知いたしております。  それから、それと別途、この計画に日本の機材、資材等を輸出する場合の金融の問題につきまして、先方から人が参りまして、日本の輸銀の方たちと話し合いをされたことがあったわけでございますが、そのとき日本の新聞報道には決裂等の表現が使われておりましたけれども関係の方からお話を伺いますと、前回の会合は、いろいろソ連と西欧との間の話し合いの進捗状況について説明を聞くという趣旨であって、最終的な解決を目標とした交渉をやったわけではない。そこで、説明は、現段階の状況について十分伺ったし、今後なおソ連と西側との間の話し合いは続くので、今後もまたそのような説明を伺う機会をつくりましょうというようなことで別れたというのが前回の輸銀の方との話し合いだったと承知いたしております。  そういうことでございますので、本件につきましては、まだその商談自身が必ずしも固まっていない。政府といたしましては、その商談がある程度はっきりした形をとった段階におきまして、その金融の問題について判断を下すことになるわけでございますけれども、まだそこまでの段階に至っていない、政府としてはまだそのような御相談を受けるに至っていないというのが現状でございます。  政府といたしましては、かねがね申し上げておりますとおり、ソ連に対します公的信用供与につきましては、ケース・バイ・ケースで慎重に検討するということになっているわけでございますので、商談が最終化し、政府として判断を下すという状況になりました場合には、いま申し上げましたような方針にのっとりまして検討するということになろうと存じております。
  187. 上田卓三

    上田(卓)委員 アメリカあたりがいろいろ日本なりあるいはヨーロッパ諸国にも圧力をかけて云々、こういうことのようでございますが、私は、いずれにしても、こういうものが遅かれ早かれやはり実現していくのではないか、商談として調っていくのではないか、日ソの信頼関係という意味も含めて、ぜひともこの問題を、三十億ドルの信用供与について実現方を図ることが望ましい。これはヨーロッパに向けての、西ドイツに向けての大口径のそういう天然ガスのパイプラインであるわけですけれども、サハリンの天然ガスの問題も、チュメニの油田の問題もあり、また第二シベリア鉄道と言われていますバム鉄道も完成するとかいうふうになってきたら、このシベリアには無尽蔵なそういう資源が埋蔵されておるとも言われておるわけでございまして、やはり極東に位置するわが日本としても、そういう資源の確保ということだけでなしに、大型プロジェクトという意味から見ても非常に魅力あるものではなかろうか。対アメリカとの関係もありますが、同時に日ソの関係、ひいてはそれが米ソの関係にもつながるというようにわれわれ考えていかなければならないだろう。アメリカの立場ではやはり反対ということを言わざるを得ないのかもわかりませんが、そこらあたりは、やはり自主外交という形で、ヨーロッパ勢に負けないぐらいに日本が積極的に日ソの関係改善のために努力することが非常に大事だ、このように思うわけであります。  関連いたしまして、日ソの貿易支払いの協定が、期限切れになっておるわけで、経済措置の間に切れてしまったというような形になっておるようでございますが、この種の協定は、たとえば西ドイツとソ連との関係などでは、十五年から二十年という長期政府間協定が結ばれておるように思うわけでございます。日本の場合は五年間ごとの短い協定、それが今日切れているということでございますので、この際やはり長期安定的に日ソの関係、貿易関係が正常に軌道に乗るというためにも、そういう措置がぜひとも必要ではないかこういうように思うわけでありますが、このことに対して政府のお考え方をお聞かせいただきたい。
  188. 武藤利昭

    ○武藤政府委員 五年間の貿易支払い協定でございますが、これはいまお話がございましたとおり、前回の分が昨年の暮れで切れたわけでございますが、新協定の締結につきまして、先週から今週にかけましてソ連から人が参りまして交渉いたしまして、昨日実質的な妥結に到達いたしました。その後それぞれの国内的な手続を終えまして、早い機会に本調印に入るということにいたしております。  この貿易支払い協定につきましては、当初は一年で始まったのが三年になり、いま五年ということでやっているわけで、今回もソ連の方から、五年ということで従来どおりの形で新しい協定を締結したいという提案がございまして、わが方もそれを入れまして、おおむね従来どおりのパターンの五年間の貿易支払い協定を締結することにしたということでございます。  片や、西独とソ連の間には、いまお話がございましたとおり、これはまた貿易支払い協定ともちょっと性格が違う協定でございますが、経済産業技術協力協定と言っているようでございますが、これは二十五年の期間を持っているということは御指摘のとおりでございます。  わが国の場合、ソ連との間に二十五年というような長い協定を結ぶというためには、やはりそれに相応した安定的な政治関係というものが前提になるのではなかろうかということが基本的な考えでございまして、現段階におきまして、二十五年というような長期経済協力協定を結ぶような客観的情勢にはないというのが判断でございますけれども、片や貿易支払い協定につきましては、冒頭申し上げましたとおり、五年の協定をまた新たに締結することにしたということでございます。
  189. 上田卓三

    上田(卓)委員 私、大阪の出身でございまして、そういう意味で、関西財界が中心ではなかったにしても、大阪のそういう復権とかあるいは経済基盤の沈下というような議論の中から、相当日中にかけたというんですか、日中の経済交流というんですか、ところが、今回の大型プロジェクトが中止とか延期とか、そして先行きについても非常にむずかしい、若干の調整はされているとは言うものの、そういう中で非常に、日本の財界全体もそうでありましょうけれども、特に関西の財界においてはショックが大きいという面が出てきておるわけでございますが、それだけにまた同時に、日ソにも何らかの形で、政治的な圧力の問題もあるわけですけれども、全部が全部じゃございませんけれども、関西の財界あたりに、日中がだめなら日ソというわけではございませんけれども、やはりそういうように期待する向きもあるわけでございます。  それに関連して申し上げるわけでございますが、いま東京にありますところのソ連の通商代表部ですね。それの出先という形で、大阪にその大阪事務所というものを設置してもらいたいという意見があるわけでございますが、それについてどのように考えておるのか、どういう条件が整えばそれが実現するのか、その点についてお聞かせいただきたいと思います。
  190. 武藤利昭

    ○武藤政府委員 東京にございますソ連の通商代表部には、ソ連が国家貿易であるということを勘案いたしまして、大使館と同様の特権免除を与えているという特殊な関係にあるわけでございまして、モスクワにおります日本の商社駐在員とはステータスを異にする特権的な存在であるわけでございます。この支部を大阪にも設置したいという要望は、政府レベルでも寄せられておりまして、ことしの一月にソ連との年次貿易協議を行いましたときに、先方から私に対しても話があったわけでございますが、そのときに私から、現在、大阪に通商代表部の支部を設置するという具体的な必要性はまだ認められないようだ、東京は通信、交通が便利だし、東京の通商代表部の方が大阪に行かれるとき等もすぐ行ってくれるということだし、大阪には総領事館もあるということだし、通商代表部の支部を大阪に置くというのは、現状では必要ないのではないかという話をした経緯があるわけでございます。そのときに向こうから、あわせまして、東京にある通商代表部の増員をしてほしいというような要望もあったわけでございます。また今回、先ほど申し上げました貿易の支払い協定締結のためにキセリョフ局長が参りまして、私といろいろ話をした経緯があるわけでございますが、そのときにキセリョフさんは、大阪の支部の話はいたしませんで、東京の通商代表部の増員のことを一生懸命言っておられましたので、本件につきましては、日本としても必要があれば増員は認めるという立場なので、少し詰めた相談をいたしましょうということで別れた経緯があるわけでございます。  ちなみに西側諸国は、いずれもソ連に対しまして日本と同様の特権を有する通商代表部というものの設置を認めているわけでございますが、その支部を首府以外のところに認めているという国はほとんどないようでございます。たとえば、アメリカもあれだけ大きい国でありますが、ワシントンに通商代表部があるだけで、支部はニューヨークにもシカゴにもどこにもないということのようでございますし、フランスも日本よりかなり大きい国でありますが、パリに通商代表部があるだけということのようでございます。もちろん日本といたしましての対応は、わが国独自で判断すべきものではございますけれども、このような西側諸国における取り扱いというものも参考にはいたしておるということでございます。
  191. 上田卓三

    上田(卓)委員 時間が来たようでございますので、日ソ関係の改善にさらに御努力願うということで私の質問を終わります。  どうもありがとうございました。
  192. 江藤隆美

    江藤委員長 上原康助君。
  193. 上原康助

    ○上原委員 もうすでに昨日来安保特別委員会なり、またきょうは本委員会でもいろいろ議論をされたのですが、私もまず九日に起きた米原潜の衝突事故の問題から入っていきたいと思うものです。本来ですと、法案関係から入るのが筋かと思うのですが、きわめて重要な問題であると同時に、昨日来の政府関係者の御答弁を聞いておっても納得しがたい。このままほとぼりが冷めるのを待つような姿勢というのは私たちとしては断じて許せない。そういう観点もありますから、改めてお尋ねをさせていただきたいと思うのです。  そこで、まず最初にお尋ねをしたいのは、米側日昇丸衝突をした原子力潜水艦はジョージ・ワシントンと言っておるようですが、この点は確認されたのですか。
  194. 淺尾新一郎

    ○淺尾政府委員 十日の夜、アメリカ側から事故を起こした潜水艦について通報がありまして、その際にわれわれの照会に対して、船名はジョージ・ワシントンであると答えております。     〔委員長退席、愛野委員長代理着席〕
  195. 上原康助

    ○上原委員 ジョージ・ワシントン原子力潜水艦というのはどういう性能を持っているのか、説明をしていただきたいと思います。
  196. 淺尾新一郎

    ○淺尾政府委員 ジェーンの海軍年鑑によりますと、ジョージ・ワシントンは、いわゆる弾道ミサイル搭載原子力潜水艦でございまして、一九五九年の十二月に就役しております。排水量は基準時で約六千トン。それから武装はポラリスのA3ミサイル十六基でございます。
  197. 上原康助

    ○上原委員 要するに、ポラリス核ミサイルを搭載しておったSSBN潜水艦だったということは確認できるわけですね。
  198. 淺尾新一郎

    ○淺尾政府委員 船名からしてジョージ・ワシントンということでございますので、それはSSBNであろうということは十分理解されるところでございます。
  199. 上原康助

    ○上原委員 またいろいろ軍事機密その他で明確な御答弁をしないかもしれませんが、SSBNとしますと、その任務とか、あるいはどういう目的で事故を起こした現場付近におったのか、そういうことは疑問として出てくるのですね。防衛庁、この潜水艦がそもそもそういうエリアにおったということに対してはどういう認識を日本側は持っておられるのですか。
  200. 塩田章

    塩田政府委員 SSBNの行動につきましては、アメリカ側は一切私どもの方に通報しておりませんので、行動の概要については私どもはわかりません。  今回の事故によって、あそこにおったということについてどう考えておるかということでございますが、午前中の議論にもございましたように、日本の防衛のための核抑止力につきまして、日本アメリカの核に待つということでございますが、そういった点から見て、アメリカ海軍一つの核抑止力のプレゼンスということがここに実証されたわけでございます。私どもとしましては、日米安保体制の一環として、こういうアメリカの核搭載艦艇の展開を見たわけでございますが、私どもはそれ以上具体の行動につきましてとやかく申し上げるべきではないというふうに思います。
  201. 上原康助

    ○上原委員 部隊の行動についてとか、あるいはこのSSBN潜水艦のオペレーション等を聞いているわけではないのです。ジョージ・ワシントンであるということ、SSBNであるということ、SLBMを搭載しておるということ、そういう観点からしますと、きわめて疑問が出てくるわけですね。そのことに対しては、防衛庁は疑問をお持ちでないのかと聞いているのです。
  202. 淺尾新一郎

    ○淺尾政府委員 ただいま御指摘の点につきまして、どういう活動をしていたかということについて、アメリカ側はわが方の照会に対して、当該潜水艦は東シナ海において浅い深さで通常の活動に従事していた、こういうことでございます。  さらに、詳細の点については、従来からアメリカ側は、潜水艦を含めましてこういう部隊の活動については公表しないという政策をとってきておりまして、今回もそれ以上詳しい任務については回答を差し控えたいということでございます。
  203. 上原康助

    ○上原委員 通常の任務とはどういうことですか。ではSSBNの通常の任務を説明してください。
  204. 淺尾新一郎

    ○淺尾政府委員 ジョージ・ワシントンはSSBNでございます。SSBNはアメリカの核抑止力の一つ、いわゆる三つの柱のうちの一つということでございますので、通常の任務ということは、その目的を達成するということであろうかと思います。  もう一つ、先生の御質問の中で、先ほど私御返事を落としましたけれども、SSBNということでございますけれども、それがSLBM、核弾頭といいますかミサイルを積載していたかどうか、その点についてはわれわれとして本当に積んでいたかどうかについて承知しておらず、また核の所在についてアメリカ側はあるともないとも肯定も否定もしないというのが政策でございます。
  205. 上原康助

    ○上原委員 おかしいのじゃないですか。少し説明が矛盾するのじゃないですか。SSBNとしての目的を達成するその通常の任務についておった。そうすると、攻撃型潜水艦ではないという考え、出ますね。そういった通常の任務についておったとするならば、先ほど冒頭に性能、性格はどうですかと聞いたら、ジェーン年鑑からしてそういう性格を持っている。そうであるならば、SLBM、核弾道ミサイルを積んでおったということは想像にかたくないですね。確認はしないで、それは積んでおったかどうかわからぬというふうな濁し方、そういうところが問題なんですよ。確認できない理由は何ですか。
  206. 淺尾新一郎

    ○淺尾政府委員 理由は、アメリカは核の所在については肯定も否定もしない、こういうことでございます。
  207. 上原康助

    ○上原委員 核の存在について肯定も否定もしない、それは常識論としてそういうことが言われているわけですね。しかし今回は、わが国の二千三百五十トンもの商船に追突をして、当て逃げですよね、全く。しかも人命まで失っているわけでしょう。本当に外務大臣外務省あるいは防衛庁も、あの十三名のゴムボートにおって漂流した方々の心境に立ったことがあるのですか。船長、一等航海士はまだ行方不明ですよ。何たること。何が国民の生命と安全を守る防衛ですか、日米関係ですか。しかも三十五時間も経て通告をしたというごときに至っては言語道断。これはまさに、口を開けば核の抑止については日米安保でアメリカに依存する、防衛の基本方針でも防衛大綱でも確かにそううたってあるはずです。しかし、まさにアメリカの核の抑止に依存するというようなことで、これは日米安保体制下における象徴的な不幸な出来事じゃないですか。日米安保体制とかかわりがないと言えないはずですよ。  そこで、核の存在については否定も肯定もしないので、これが核弾道ミサイルを搭載しておったかどうかについては確認できないということですが、少なくともこれだけの問題を起こしたからには、しかもそういう目的を持っておった米原子力潜水艦が鹿児島沖東シナ海で作戦行動を展開しておったということが公にされた以上は、そのことについてもアメリカ側に確認を求めるということは、日本政府としては当然の姿勢でなければならないと思うのです。きのうの安保特で北米局長は、公海だから確認はしない、こういうふうな御答弁をなさっていますね。いま核の存在については肯定も否定もしないからやらないのだ、また言葉を変えてきている。しからば、領海内でもしこの問題が起きたら、核弾道ミサイルを積んでおったかどうかは聞くのですか。
  208. 淺尾新一郎

    ○淺尾政府委員 領海内でそういう事故が起きるということは、仮定の問題でございまして、なぜならば、領海内に核を搭載した潜水艦が入ってくるということは、当然安保条約の事前協議の対象になる問題でございます。でございますので、事前協議を経ることなく核搭載の潜水艦が領海内に入ってくるということは考えられないわけでございます。昨日お答えいたしましたのは、一つには公海上であるということ、それからきょう申し上げましたのは、それ以外にアメリカの核に対する政策として核の所在については肯定も否定もしないということを申し上げたわけでございます。
  209. 上原康助

    ○上原委員 ですから、少し議論をかみ合わせてみたらどうですか。そういうことは一般論としてあるいはわかりますよ。しかし、仮定には答えられないというが、もし領海内で起きたという場合はどうするかということを聞いているのですよ。本当にでは皆さん非核三原則は守られているといまでも思っていらっしゃるの。私は守られていないと思う。わが党も、この点については沖繩国会から何回もずっと追及してきた。常識的に考えても持ち込ませずというものはもう形骸化しているとしか受けとめられない。今回の場合だって領海内とほとんど変わりはないじゃないですか、公海と言ったって。領海に入ったか入らなかったかということをだれが調査できるの。そういうことは、全くアメリカ側の示威行動というかアメリカ側の言い分だけを聞いて、非核三原則は守られているとか、核の存在については肯定も否定もしないというような論理で来るからますますこんがらかるし疑惑が疑惑を生むのですよ。改めて答えてください、領海内でもしこの種の事故が起きたという場合は一体どうするのかということを。
  210. 淺尾新一郎

    ○淺尾政府委員 国会においても、岩国の基地あるいは沖繩の基地に核兵器が持ち込まれているのではないか、いろいろな御論議がございました。その都度日本政府としては、アメリカ側に照会いたしまして、アメリカ側としては、日米安保条約に基づく事前協議の義務を遵守している、そういう政策に背馳するような行動をとっていないということを明確にしております。  そこで、今回の場合は、まず第一に公海で起きた事故であるということ、第二の点は仮に領海の中で起きるということがあるかどうかということでございますが、いまここでそういう仮定の問題についてお答えするのは差し控えたいと思いますけれども、先ほど申し上げましたように、やはり政府としては、日米の安保条約に基づくアメリカの歴代の大統領にわたって誓約しているその義務は遂行しているということを信頼しているわけでございます。
  211. 上原康助

    ○上原委員 それは納得しかねますね。  そこで外務大臣、先ほど言いましたように、これだけ国民に疑惑とアメリカに対する不信感というものを一挙に投げかけた事件というのは最近はないと思うのです。また昨年八月には沖繩の喜屋武崎東方でソ連のエコーl型が火災事故を起こして問題になった。そうすると、わが国周辺は米ソのそういった核ミサイルを搭載した原潜のいわゆる遊よく地域あるいは発射地域になっているというふうに見て差し支えないと思うのです。安保体制で日本を核攻撃その他から守るというよりも、むしろ今回の事件によって国民はいっそういった不幸な衝突事故とか不測の事態によって、これが商船であったということも大変不幸なんですが、貨物船ではなくして本当に人客輸送の船舶であったという場合にはどうするのか、こういう面から考えても、この問題は通常の日米間の核問題とかあるいは非核三原則というようなことではなくして、今回はやはり真実を究明すべきだと思うのです。したがって、SLBMを積んでおったのかどうか、どういう任務を持っておったのか、どうしてああいう事故を起こしたかということについては、もう少し毅然たる態度で米側に申し入れる。レーガン大統領から文書で遺憾の意を表明するとかマンスフィールド大使が遺憾の意を表明した、これは当然でしょう。そのくらいのことで事が済ませる問題じゃないと思うのです。改めて外相の決意と、どうするのか、国民の前に明らかにしてください。
  212. 伊東正義

    伊東国務大臣 こうした事故が起きたことは、私どもも本当に遺憾に思っておるわけでございますので、二度とこうした事故が起こらぬように、どういう原因でこういう事故になったのかという真相を、事故原因というものを徹底的に究明してもらいたいということを私はアメリカ側に言っておるわけでございまして、この事故に対する認識といいますか、あるいはその後の通報の態度といい、私は国民を納得させるには十分に調査してもらいたいということを言っておるわけでございます。
  213. 上原康助

    ○上原委員 そんな抽象論ではだめですね。ですから、この原子力潜水艦ジョージ・ワシントンがどういう装備をしておったのか、これを含めて、それでは真相を明らかにしますね、いまのお答えは。
  214. 伊東正義

    伊東国務大臣 軍事上のそういう問題につきまして、いままで一々どういう目的でどこからどこへどういう兵器を積んでいたかというようなことは、アメリカにも聞いておらぬわけでございまして、特に核兵器の問題はあるともないともいままで言ってないわけでございますから、そういうことではなくて、私はどういう状況でどういう原因事故が起きたのか、二度とそういうことは起きないようにということが、究明してもらう、国民を納得させる事後調査でないかというふうに思っておるわけでございます。
  215. 上原康助

    ○上原委員 きのうからの答弁、いまの御答弁にしましても、そうしますと、アメリカが軍事上の機密だと言ってしまえばこれ以上の解明はできなくなるんじゃないですか。そうでしょう。それでは国民は納得しませんよ。二千三百トンの商船にぶっつけてこれだけの事故を起こして、軍事上の機密だからといって済ませる問題じゃないはずですよ。大体アメリカのそういった潜水艦がどういうような軍事作戦行動をやっているかは、今度のことでみずから天下に暴露しているじゃないですか。それでもなおかつ核の存在、不存在云々で濁すというそういう対米姿勢というものが問題だと言うのです。それなら正直申し上げて、この外務省設置法なんか要らんよ。  そこで、そのような姿勢やお答えではわれわれは納得できませんので、もう少し確認をしておきたいわけですが、少なくともなぜあのような場所でああいう形の事故が起こったのかということと、本来ですと、さっきもありましたように、SSBNならいつも海中深く隠密行動をとっている原潜のはずなんですね、あなた方の説明にもあるとおり。しかも、これは五九年に就航したとはいえアメリカのポラリス型の核ミサイル搭載艦であるとするならば、隠密行動をとり、かつ二カ月ないし三カ月の潜航期間も場合によっては持つんじゃないですか。あるいは通常どのくらいの海底を潜航しているのですか、そういうタイプの原子力潜水艦は。どうなんですか。
  216. 塩田章

    塩田政府委員 いまのお尋ねのような点につきましては、一切私どももわかりません。
  217. 上原康助

    ○上原委員 あなた、わからないと言って、日本の防衛を担当する防衛局長として、そういう潜水艦がどういう性能を持ち、どのくらいの深さをもぐってやっているのか、作戦行動をやっているのか判断できないのですか。なぜ一般に明らかになっていることまで皆さんは隠そう隠そうとなさるの。アメリカ側が言っているとかいないとかは、これは別なんですよ。あなたはこの種の原子力潜水艦の機能あるいは性能、性格からして、どういうような、任務と言わないですよ、どういうような潜航をしながら行動をやっているか、やっていると思いますか、この程度も言えないんですか。それはおかしいんじゃない。
  218. 塩田章

    塩田政府委員 ジェーン年鑑によりますところの性能はもちろんわかります。私がわからないと申し上げているのは行動でございます。行動につきましては、米側は一切私どもにも連絡してまいりませんので、そういう意味でわかりません。
  219. 上原康助

    ○上原委員 そうしますと、後ほど少し聞きたいのですが、日米防衛協力とか、有事体制とか、いろいろ言います。皆さんは少なくともそれがどの地域で作戦行動をやっているとかあるいはどういう目的で、スケジュールで動いているとか、そういうところまではアメリカは情報提供しないかもしれませんが、少なくともジョージ・ワシントン・クラスの米原子力潜水艦はどういう行動をできるというようなことぐらいは、それは日米間でわかるはずなんです。わかっているが言えないのか、あるいは言っちゃ困るのか、どうなんですか、そこは。
  220. 塩田章

    塩田政府委員 性能につきましては、私どももジェーン年鑑等によりましてある程度わかります。先ほども北米局長からもお答えいたしましたが、何トンでありますとか、何年に就役したとか、あるいはポラリスA3を十六基積んでおりますとか、そのほかに魚雷発射管六基積んでおりますとか、水上が二十ノット、水中は三十一ノット、乗組員は百十二名、こういったような性能については、私どもも承知することができます。行動についてはわかりません。
  221. 上原康助

    ○上原委員 そうしますと、今度の事故が起きたという背景、この状況についてはすでにいろいろ議論されていますね。原子力潜水艦の司令塔が海上すれすれか、あるいは少し見えた、そういう状況で追突されたということを言っているわけでしょう、乗組員の皆さん。そこは確認をしたんですか。そうしますと、通常の任務とか、こういうタイプの原子力潜水艦というのは、そういった海面すれすれに作戦行動を普通やるんですか。そうじゃないでしょう、まさか。それは防衛上から見て疑問に思わないんですか。しかも東シナ海というのは、沖繩航路あるいはあの一帯、鹿児島、相当の船足があるわけでしょう。そういう危険な地域で、危険というよりも船舶の航行の激しい地域、多い地域で、衝突するかもしれない、あるいはいろいろな危険、危害を他の船舶に与えるかもしれないということは十分予測できますね。核ミサイル原子力潜水艦、非核の潜水艦でも商船でも、二千トン余りの船が航行しているのが海上からわからぬとか、幾ら何でもそんなばかなことはないでしょう。そのことに対しては、実際問題としては外務省防衛庁も知っておって、相当重大な秘密があって隠しているんじゃないですか。皆さんがそういうことを知らなかったとか、わからぬとか、聞くことができないと言えば言うほど疑わざるを得ません。  事故を起こしてから三十五時間も日本側に通告もしなかったということは、外務大臣として本当に許せますか。こんな日米関係があっていいんですか。皆さんはなぜそのことに対してもっと迅速に解明をしようとしないんですか。アメリカの軍事機密のベールに隠されて、こういう形で本当にいいんですか。国民は納得しませんよ。外務省防衛庁もわかっておって言わないんじゃないですか。本当のことを国民の前に明らかにしてくださいよ。
  222. 伊東正義

    伊東国務大臣 わかっておって言わないなんて、そんなことは全然ございません。わからぬから、どうやって起きたんだということを早く原因究明して知らしてもらいたい、向こうもなるべく早く知らせる、こう言っているわけでございます。上原さんさっき言われるように、軍事上の機密だから言えないということだけで国民が納得するかと言われるのは、それはしませんよ。やはりこういう原因でこんな事故が起きましたという衝突原因というものは、国民皆さんが納得してもらえるように説明をしてもらわなければいかぬわけでございまして、それはそれでひとつ調査をしてくれということと、なぜ通報がおくれたんだということも、いまのままでは納得できませんから、国民に納得できるように、どうしておくれたかということを早く調べて知らしてもらいたい。  もう一つは、人命の救助の問題について、浮上して捜したが、霧や雨で見えなかった、あるいは飛行機が捜したが見えなかったということを言ってきておるわけでございますが、そういうことかどうかというのは、日本海上保安庁でもいま調査しておられるわけでございますから、その調査向こうへすぐに送りますし、またどういうことだったということも国民の納得のいくように調査してなるべく早く知らしてもらいたい、こういうことを言っているわけでございます。  私どもも、本件は納得しないものをそのまま出して、こうでしたというわけにはいかぬと思うわけでございまして、やはり徹底した調査をしてもらってなるべく早くこっちへ通報してもらうということが大切だ、日米間の信頼関係を保つためにも、これは大切なことだというふうに私は思っております。
  223. 上原康助

    ○上原委員 われわれは正直に申し上げて、そういう答えをしても、なおこれは理解しがたいわけです。  それじゃもう一遍確認をしておきたいんですが、まず外務省がこの通報を受けた日にち、時刻、防衛庁が最初にわかった日にち、時刻、それから海上保安庁が最初にわかった日にち、時刻、それぞれお答えください。
  224. 淺尾新一郎

    ○淺尾政府委員 四月十日大体正午でございますけれども、まず在京のアメリカ大使館から北米局に対して、日昇丸事件に関してアメリカ潜水艦関係している可能性があり、現在アメリカ側において調査中である、こういう通報がございました。引き続き在日米軍の方からも同趣旨の通報がございました。それに対して、それぞれ外務省といたしましては、早急に事実関係調査してほしいということを要請いたしました。越えて同日の午後九時ごろでございますが、同じく在京米大使館から、すでに発表になっておりますように、日昇丸衝突したのはアメリカ潜水艦であるということ、あるいは救助活動をしたけれども、悪天のために残念ながら乗組員を見失ってしまったという通報があったわけでございます。
  225. 塩田章

    塩田政府委員 防衛庁の場合、この事件に関しましては、米側から通報があったのではなくて、こちらから照会したのが一番最初でございます。つまり十日の午前八時三十分ごろに、海幕の方へ救助した方々の証言の内容についての電報が参りまして、その中に潜水艦衝突されたのではないかという意味のことがあった、それと、上に飛行機が飛んでおったということがございましたので、直ちに海上自衛隊潜水艦の行動をチェックして、海上自衛隊には該当艦なしということを確認し、同時に航空自衛隊レーダーサイトに飛んでおった飛行機があったかどうかの照会をし、同時にアメリカ海軍に対し該当潜水艦の有無の照会をしたわけであります。  それに対しましてアメリカ海軍の方から、十時ごろになりまして、当海域に米潜水艦が行動しているとの報告を受けていないが、なお調査してみる、こういう連絡がございました。それから一方、午後になりましてから自衛隊レーダーサイト報告で、飛行機が飛んでおったということが確認できましたので、米側に対しまして米軍機であることの確認を求めましたところ、十七時三十分ごろに米軍機であるとの確認があった。それから二十二時ごろ米海軍から、今回の潜水艦米国海軍潜水艦である旨の連絡があった、こういう状況でございます。
  226. 吉野穆彦

    吉野説明員 海上保安庁では、外務省に照会した結果、昼過ぎに米大使館から衝突した潜水艦米海軍のものである可能性もあるので調査中という連絡があったということにつきまして、十八時四十分に外務省からお聞きしております。その後二十二時五十分に外務省に照会した結果、これは米原子力潜水艦のジョージ・ワシントンであるということを知りました。
  227. 上原康助

    ○上原委員 非常に奇妙なんですね、そういう実態というのは。これはすでに報道されていることなんですがね。  そうすると、外務省一つ確かめておきたいのですが、報道されておるところによると、最初は在日米大使館か在日米軍司令部からかは、アメリカ潜水艦可能性もあるけれどもソ連の潜水艦かもしらぬ、ソ連ということも入っておったのですか。
  228. 淺尾新一郎

    ○淺尾政府委員 ソ連ということは一つも入っておりません。
  229. 上原康助

    ○上原委員 しかし、報道によると、外務省のどの高官か、その顔を見たいんだが、アメリカの原子力潜水艦だと言って絶句したということが書かれています。私はこの報道を聞いてひやっとしたのは、もしやソ連の原子力潜水艦ででもあるのかなという感じもしたのです。沖繩近海でも起きたからね。もしもソ連の原子力潜水艦だったら、いまごろ日本は本当にひっくり返るほど変な大合唱が出ておったでしょうね。その反面、アメリカのものとわかったので、顔が真っ青になった外務省政府の態度というものが目に見えるような感じもしますが、最初からソ連云々はなかったわけですか。この点確かめておきたい。
  230. 淺尾新一郎

    ○淺尾政府委員 外務省に対する通報の限り、ソの字の一つもございません。
  231. 上原康助

    ○上原委員 私は、きょう官房長官も呼んだのですが、官房長官から、どうしても伊東外務大臣のそばに座って答弁するのは控えさせてくれとたってのお願いをされまして、私も外務大臣の福島と同じように人情県の出身なので、きょうのところは勘弁しましたが、本当はこれは内閣全体の問題なんですよ。  それは別として、そうしますと、外務省がまず最初に知ったわけですね。外務省防衛庁とは連絡をとらなかったわけですか。いまのお話を聞きますと、海上保安庁外務省に照会をして初めて知ったと言っておりますね。こういう緊急事態について横の連絡というものはなかったわけですか、あったわけですか。
  232. 淺尾新一郎

    ○淺尾政府委員 正午の段階では、まだ先方がアメリカ潜水艦かもしれないということでございましたので、わが方としてはアメリカ側に対して事実関係の確認を急がせたわけでございます。他方、九時過ぎになりまして、アメリカ潜水艦が関連しているということがありまして、その後各関係の向きに対しては連絡をしているわけでございます。
  233. 上原康助

    ○上原委員 ですから、防衛庁は、漂流している方々を救助したい、その方々の証言というかその方々の言い分を聞いて在日米海軍に照会をしたというわけでしょう。私はこれはある面では国民にとっては心外というよりも本当に驚くべき事実だと思うのだな。外務省は情報はあるわけなんだ。アメリカ潜水艦であろうが何であろうが、とにかくわが国の二千トン余りの商船がぶっつけられて沈んで、何名かの国民が漂流しているかもしらぬ、そういう救助対策をとらなければいかぬという場合は、まず初めに外務省が中心になって、海上保安庁とか防衛庁に対して協力要請なり政府全体の対策を講ずるのが本当のあるべき姿じゃないですか。われわれの常識ではそうしか考えられませんね。それをやらなかった理由は何ですか。一体そういうことで、皆さんはいろいろ国民の生活を守るとか生命を保障するとか有事体制とか何とかかんとか言うけれども政府は全く各個ばらばらじゃないですか。これでは何のための国民の行政ですか。本当に外務省は要らぬ。アメリカの言うことは一部始終イエス、軍事機密だからいまは余り言うな、実情を調べるまで当分待ってくれと恐らく言われたのでしょうね。なぜ横の連絡をとって救助対策というものを、あるいは実態の究明というものを政府全体として早急にやろうとしなかったのですか。ここにいまの縦割り行政、外務省の外交姿勢というものがいみじくも露呈しているのじゃないですか。こういう点は反省すべき点だとは思わないのですか。
  234. 淺尾新一郎

    ○淺尾政府委員 御指摘でございますが、その夜の九時過ぎに、アメリカ潜水艦関係しているということがございましたので、その後、われわれとしては防衛庁及び保安庁にもその旨は連絡しております。
  235. 上原康助

    ○上原委員 私が言っているのは、あなたは最初はアメリカ潜水艦可能性ありと正午ごろ受けたと言うのでしょう。その時点で情報の交換ぐらいは政府間でやるべきではないですかと言っているのです。それでは官房長官にどのぐらい外務省から情報を提供したのですか。あなたが第一報を受けたときに、直ちにそういう連絡はとってあるの。恐らくとってないのじゃないですか。
  236. 淺尾新一郎

    ○淺尾政府委員 正午の段階では、もちろん官房長官の秘書官等には通報はしてございます。ただ、その際に、なぜ外務省としてアクションをとらなかったかということでございますが、これはまだアメリカ海軍が完全に関係しているかどうかということが不明だったということ、それからすでに沈没は九日の午前十時に起きていたわけでございますが、それとアメリカ海軍との関連性がまだ正午の段階でははっきりしなかったということでございます。
  237. 上原康助

    ○上原委員 アメリカであろうがどこであろうが、事故が起きたのは事実なんだよ。二千トン余りの船が沈めば人命にかかわりがあるというのは当然わかるわけでしょう。三十四時間も経過した後だからなお急ぐべきじゃないですか。  それで、外務大臣、沈んだのはわかった。飛行機も飛んでおった。しかし、視界が悪くて、雨と霧で見失った。簡単に言うとそんなことだね。本当かどうか知らぬけれども、一応新聞や皆さんの言うのを聞いているとそういう言い方をしている。人道面からすると、これもおかしいですね。天気が悪くて視界も悪ければ、なおさら人命救助というのは急がなければいかぬわけでしょう。ボートで漂流している人は、天気も悪くて波も荒ければ、なお急いで救助しなければいけないというのが本来とるべき対策なんでしょう。全くあべこべじゃないですか。アメリカの軍事優先政策あるいは日米合作の軍事優先政策、人命軽視、それが証明された事件だと私は思うのです。本当にアメリカが人道上の立場に立つならば、飛行機も飛んでおったということであるならば、いまの情報通信網関係でそういう事故を直ちに知らせるということぐらいできないはずはないんだよ。この点どうお考えですか。  しかも、アメリカ調査調査と言って、いつまで調査をさせるのですか。九日、十日、十一日、十二日、十三日、きょうは十四日、やがて一週間になります。六日たっていますよ。アメリカ側に対して期限を切るお考えはないですか。きょうも申し入れをなさったと言うのですが、どういう申し入れをなさったの。日本側としてはこれ以上待てない、国民は納得しない、したがって、期限を切って、この実態について明らかにせよというぐらい言い切れないのですか。そのおつもりはあるのでしょうね。
  238. 伊東正義

    伊東国務大臣 後でおっしゃった、通報がおくれたこと、人命救助についての努力がどうであったかということは、私も向こうからの通報だけでは国民に納得させるわけにいかぬものがございますから、国民の皆さん、みんなが納得するようなことでないといかぬ。事実をはっきりしてもらいたい。間違ったことがあったら非は非、是は是としてやることが、やはり今後の友好関係に大切なことでありますから、これはもちろんそういう態度で臨んでもらわなければならぬと思っておるわけでございます。  きょう催促しましたのは、まだ日は何日までと切っておりません。しかし、これがうんと延びるような気配でもありましたら、国民から言えば、いつまでも時間がたっていてはぐあいが悪いということで、そういう日を切ってやるかどうかということについては、またわれわれとしても判断をしてみる必要があると思います。  それから、最初におっしゃった、昼ごろそういう連絡があったのなら、どの国ということでもなしに、それは人道上の、人命の問題もあるのだから、海上保安庁あるいは防衛庁連絡すべきじゃなかったかという御質問でございます。私もここに座っておりまして、そのことをした方がよかったという感じを持っておりますので、これは私の責任でございますから、以後はこの点は十分注意したいと思います。
  239. 上原康助

    ○上原委員 いつまでも待たされては納得できない、これはもちろんでしょうね。しかし、いまのところ日にちを切るお考えはない。そうしますと、先ほどもお尋ねが出たようですが、この事故の内容について米側から報告があると思うのですが、仮に米側から報告があっても、いま各党からいろいろ指摘をされたような事柄が不明のままだったらどうなさるの。見なければわからぬと、また言うかもしらぬね。日にちがたてばたつほどアメリカ側の軍事機密というベールに包まれて、うやむやどころかむにやむにやにされるのじゃないの。やはりこういうのは日にちを切った方がいいですよ。後ほど聞きますが、日米首脳会談もあるわけでしょう。この問題を軽はずみに扱って、日米首脳会談もくそもあったものじゃないですよ、言い方が失礼かもしらぬが。いま日米関係いろいろあるのに、いかにこの問題が深刻な問題であるかということの認識が私は少し甘いんじゃないかと思うのですね。改めて米側に期限を切って回答せよということを、閣議ででも取り上げて鈴木内閣として申し入れてください。そのぐらい重要性のある問題じゃないですか。一外務大臣が処理すべき問題だという御認識ですか。鈴木内閣全体の問題だと緊急閣議でも持ってやるぐらいの重要性のある問題だと私は思うのだよ。冗談じゃない。  皆さん、きのうのNHK、その他の民放も含めて言っているあの乗組員の方々のあれを聞いてみないのですか。おぼれる人々を見て見ないふりをする国がどこにありますかと言っているのですよ。幾ら軍事機密でも、人道上そういうぶざまなアメリカの態度を許すのですか。特に海の男にはシーマンシップというものがあると言われておるぐらいじゃないですか。それをアメリカの高度の軍事機密だからということで、期限も切らないでアメリカ調査待ちだ、こういう態度で納得できますか。できないですよ、それは。そうなら、きょうのこの法案、われわれは通さぬ。はっきりしてください。
  240. 伊東正義

    伊東国務大臣 うやむやに過ごすとか、そんなことは毛頭考えていないのです。私もマンスフィールドさんに言ったことは、再発防止の意味事故原因究明してもらいたいということと、いま先生おっしゃったような通報のおくれたこと、あるいは人命救助にどういう努力をされたかということは、これは国民が納得しないと本当に両国の信頼関係にひびが入るようなことになるのですから、この点は補償の問題ももちろんあります。そのほかの問題もありますが、国民の納得がいくような調査をしてもらいたいということを私は言ったわけでございます。いま総理も十分にアメリカと話をして、調査をするように言われているのでございまして、私はこの問題をうやむやに過ごすとか、そういうことは全然考えていないということでございます。
  241. 上原康助

    ○上原委員 ですから、くどいようですが、改めて外務大臣としても、これは外務省だけだということじゃないと私は思う。このことについて相談をして、アメリカ側に期限を切るとか——きょうはどういう申し入れをなさったの。ただ早く調査をして報告をしてくれや、野党にうるさいやつらもいるからというぐらいのことですか。そうではいかぬでしょうと言っているのですよ。あなたの人道主義的な気持ちはわかるよ。  十七、八時間も洋上で漂流させて、しかも、どかんと瞬時にして二千三百トンの大きな船が沈む、そんなことが平和時にあっていいのですか。これは国際情勢もいろいろ緊迫した云々もあるけれども、かつての日本海軍ならこんなことされたら宣戦布告するよ。それだけ重要な問題であるにもかかわらず、なおアメリカ調査待ちというのは合点いかぬですよ。調査待ちと言ったって、調査にも、完璧なものでなくても中間報告だってあるんじゃないですか。なぜ三十五時間も通報がおくれたということを調査するのにそんなにかかるのですか。なぜ人命救助をすぐしなかったのかということを調査するのにそんなに時間かかるのですか。こういう問題については、中間報告でもきょうじゅうにでもあすじゅうにでも改めて求めるという意思はないのですか。
  242. 伊東正義

    伊東国務大臣 きょうも訓令を出し、こちらでアメリカ大使館に申し入れ、要請をしておるわけでございますが、それは先生がおっしゃるような、そんなうるさいからというようなことでやっているわけじゃないので、これは本当に早期に真相を解明したいということでやっておるわけでございます。おっしゃるように、調査も全部一〇〇%そろわなければというのも問題かもしれませんが、中間報告というのもあると私は思うのです。それも私は、遅くなるようであれば、この点だけは早く中間報告をしてもらいたいということを言ってもいいと思います。きょう私が聞いたのは、土曜の午後マンスフィールドさんに会って聞いたわけでございますので、また重ねてきょう言ったということでございますから、アメリカ調査状況も聞きますし、日本としましてはできるだけ迅速にやってもらい、それもあるいは中間報告を求めるということもあるかもしらぬし、私は最善の努力をするつもりでございます。
  243. 上原康助

    ○上原委員 そこで、今回の件で防衛庁が全然関知をしなかったと言っておられるわけですね。きょう午前中も上田委員の方からもいろいろお尋ねがあったのですが、どうもまだ納得しがたいのです。私も直接乗組員の方から聞いたんじゃないのですが、鹿児島県の方から電話があって、乗組員の皆さんは護衛艦が古仁屋から佐世保に向け航行中偶然に救出したということに非常に疑問を持っていると言うのですね。どうしても納得いかないと言うのですよ。納得しがたい。通常は、そういった漂流か事故が起きた場合に、ゴムボート救助を待つという場合に、照明弾を持つようですね、乗組員の方々は。通常どのくらい持っておるのですか。海上保安庁、御存じならお聞かせください。
  244. 吉野穆彦

    吉野説明員 何個持っておりますか、ただいま記憶しておりません。
  245. 上原康助

    ○上原委員 今回の場合は、何個持っておったかはどこかわかるのですか、防衛庁なり外務省は。そういう面は調べたのですか。それと、日本政府調査もしているということですが、海上保安庁だけがやっているのか、あるいは乗組員から実情を聞くという調査などはどこがやっているのか、あわせてお答えください。
  246. 吉野穆彦

    吉野説明員 乗組員から事情を聴取したところによりますと、今回は落下傘つきの信号弾を一個使用したということは聞いております。  それから、乗組員の事情聴取は海上保安庁の現地の機関で行っております。
  247. 上原康助

    ○上原委員 それでは防衛庁海上自衛隊の方で救出をするきっかけになったのはどういうことですか。少し説明してみてください。
  248. 塩田章

    塩田政府委員 九日の午前四時三十分ごろ「あきぐも」と「あおくも」と佐世保に向けて航行しておったわけでございますが、「あきぐも」の左舷の見張り員が信号弾を発見した、これがきっかけでございます。  大変失礼しました。十日でございます。
  249. 上原康助

    ○上原委員 九日だったら、うそがばれるということになっちゃう。しかも、午前四時半あるいは五時近くというと、洋上はまだ真っ暗やみですね。そういう状況でも一応信号弾が上がったので、それが的になって救出のきっかけになったんだ。乗組員の皆さんは、恐らく漂流している海域というものを米側なりあるいはある面から報告を受けて、その護衛艦は遊よくをしておったんじゃないのか、そう見ておるわけですね。ですから、その「あきぐも」、「あおくも」はどのくらいのトン数なの。
  250. 塩田章

    塩田政府委員 両艦とも二千五十トン型でございます。
  251. 上原康助

    ○上原委員 それより大きい商船が沈んだんだよ、七分から十分間にね。そういう船影を見たというところまで私も確認はしておりませんが、いわゆる照明弾を上げたので助かったんだというようなことが一応は言われているわけですが、どう考えても、そのあたり腑に落ちないというのです。しかもなぜ、たまたま時間帯が午前四時半か五時というように、一致したと言えばそれまでかもしれませんが、そこいらに非常に疑惑が持たれているということ。  それと、きょうは防衛庁長官も出てきていただきたいとお願いしたのですが、いらっしゃいませんが、この件で、防衛庁が全くわからなかったと誇らしげに言うことも非常になぞなんですね。一体、皆さん、アメリカ側と緊急時に情報交換をやるとか、有事即応態勢とまでは言わぬが、共同防衛とかいろいろ言っていますね。作業もやっているんだ。本当にだれのためにやっているわけですか。日本のためでないということは今度ではっきりした。有事体制とか共同防衛とか何とかかんとか言ってみたって、おぼれかかる人に対しても救命とか何もしょうとしない。そんな共同防衛なら要らぬですね。本当に防衛庁はこの件について知らなかったということに対して、国民に申しわけ立つのですか、皆さんの従来からの持論からすると。皆さんが従来言っている論点、論理からすると、アメリカの原子力潜水艦がそういうぶざまな行為をやって、非人道的なことをやって、防衛庁が照会するまであなた方は知らなかった。何の有事の際の情報交換ですか。何にもないじゃないですか。それを、きのうのテレビでも見たのですが、大村防衛庁長官も知らなかったということを肩を張って誇らしげに言っている。逆に私から言わせれば、おかしいんだ。だからアメリカ側から言うと、高度の軍事機密か何かあって、あるいはよほどののっぴきならない事態が生じたか、善意に解釈をすれば。そういうことで本当に私は、皆さんが言うような日米の協力体制とか情報交換とか、システム上も問題があるし、いろいろな面で防衛庁外務省のやっているということが、国民の立場に立たない、予算のむだ使いをやっていると断ぜざるを得ない、この問題は。そのことに対してどうお考えですか。
  252. 塩田章

    塩田政府委員 まず自衛艦二隻が、このことを連絡を受けておってこの付近を遊よくしておったということでは絶対にございませんので、その点はまず明確に申し上げたいと思います。  それから、私ども連絡を受けていなかった、たまたまそこを通りかかっただけであるということについて、別に誇らしくも思っておりませんし、ただ事実を申し上げているわけでございまして、決して誇らしげに申し上げているつもりはございません。  なお、こういうことでは日米の有事の連絡体制がどうだと問われるではないかという趣旨のお尋ねだったと思いますが、御承知のように、日米ガイドラインに基づく有事の情報交換、通信連絡体制といったことの研究は、きわめて重要なことであると思って現在進めておるところであります。
  253. 上原康助

    ○上原委員 それじゃ、お答えにならないのじゃないですか。有事のときに、まず国民の生命を安全に確保するということが第一義でなければならないと思うのだな。そのことは後で聞きますが、そうしますと、外務大臣にも防衛庁にも聞くのですが、今度のことをきっかけに——ぼくは何も有事体制を強めなさいとか、皆さんが言うように、防衛力を、力の面だけを強くしていけばいいというのではない。だから、そこに平和外交とかあるし、防衛力とかそういった軍備だけでは国民の生命、財産は守れませんよ。今度の事件も証明しているわけですね。このことをきっかけにして、日米間のそういった非常時に対する情報交換というものについて、人命尊重の立場から考えても、あるいは皆さんの側から言うと、いわゆる共同行動というか、防衛とまでは言いたくないんで、共同行動というか、何かそういった面での欠陥、欠落があったということがやはり証明されたと思うのですね。こういう面の是正はお考えですか。
  254. 淺尾新一郎

    ○淺尾政府委員 今回の事件がいわゆる戦時あるいは有事という関係と直接関係ございませんけれども、確かに通報の面で日本側と、アメリカ側の特に今回の通報がおくれたというのは事実でございますので、私たちとしては、今回の事件をよく研究し、今後こういう事件が起きないことはもちろん期待するわけでございますが、もし万一そういう事件が起きたときの通報のやり方について十分研究していきたいと思います。  なお、お許しを得まして、先ほど外務省から関係各省庁への通報がおくれたのではないかというおしかりを受けましたけれども、実はたまたま私、その日、国会に出ておりました関係上、若干事実関係を把握しておりませんので、補足させていただきますが、四月十日の正午ごろアメリカ側から、アメリカ潜水艦がこの衝突事件に巻き込まれている可能性があるという通報があった直後に、担当課の方から防衛庁の海幕にその情報を伝えまして、防衛庁の海幕から実は十日の午前五時に十三名の方が救助されたという連絡を受けておるわけでございます。
  255. 上原康助

    ○上原委員 さっきの防衛局長の意見と違う。海幕の方に行ったのを、防衛局長は知らなかったわけか。これはまた内部でもうシビリアン無視だな。本当におかしいですよ。全然システム化というか、もう外務省外務省だけ、海上保安庁海上保安庁防衛庁防衛庁、海幕は海幕、陸幕は陸幕。まるでちゃんばらだよ、あなた方のは、失礼ですが。どうなんですか。いまのお答え、あなたがさっきおっしゃったこととちょっと違いますよ。
  256. 塩田章

    塩田政府委員 先ほど私がお答えしましたのは、アメリカ海軍防衛庁との間の連絡についてお答えをいたしました。各省庁間の連絡につきましては、いま北米局長から海幕との間のやりとりのお話がございましたが、また別途、当然のことでございますけれども、私ども救助しました後に、まず第一報は当然海上保安庁の管区本部に入れております。その入れた後の七時三十五分だったと思いますが、災害発動の要請を受けております。そういったことによる活動はしておりまして、そういった横の連絡はしておるわけでございまして、さっき私が申し上げたのは、米海軍との連絡についてのお答えをしたわけであります。
  257. 上原康助

    ○上原委員 それは、そばで外務省北米局長がそう言ったら、あなたはつじつまを合わさなければいかぬですな。その程度は私だってわかるよ。  ですから、大臣、お疲れでしょうが、今回のことはいみじくもいろいろな問題が浮き彫りにされてきているわけですよ。日米関係、防衛問題も、それから政府間の横の連絡問題。何もこういった原子力潜水艦云々事故とかいうことだけでなくて、これもさっきから言うように、非常に大事な問題で、たとえば地震とか大きな災害が起こった場合の政府間の連絡機構とか協議とか、本当に迅速即応に国民の生命、財産を守るための体制確立ができるかどうか、われわれはこの例を見ても疑問なんだ。そういう面で、改めて政府全体としてこの種の問題に対しては迅速に対応できる状況を確立することが望まれると思うのですが、大臣はどうお考えですか。
  258. 伊東正義

    伊東国務大臣 これはおっしゃるとおりでございまして、公務員一人一人がやはり心がけなければならぬことでございまして、一省だけでできる問題とできない問題もございますから、なるべく迅速に情報を伝えるという心がけ、あるいは機構と言われますと、これはなかなかむずかしい問題になりますので、そういう心がけで取り組まなければならぬということはおっしゃるとおりでございます。
  259. 上原康助

    ○上原委員 お言葉を返すようでちょっと恐縮ですが、大臣、おっしゃるとおりというお言葉がお好きなようで、この間も関連質問で言ったら、おっしゃるとおりでありますと言ってすぐ終わったのです。この種の問題は、特におっしゃるとおり具体的にやっていただかなければ困るよ。  そこで、私はこれは委員長に要望しておきたいのですが、いま米側からの調査待ちということですが、場合によってはいま少し様子を見て、期限を切るとか中間報告を求めるということを言っておられるわけですね。それがどの程度のものか、およそ推測もつくような感じもするのですが、これは事は重大だと思うのですよ。したがって、私は本委員会にこの日昇丸乗組員の代表の方に何名か来ていただいて参考人として当時の実情、実態というものをもっと明確にした上で対策を講ずべきだと思うのですね。よく言います補償問題賠償問題、これはあたりまえなんだよ。だから私はあえて触れませんが、何か起きると、沖繩でもどこだって米軍飛行機が落っこちて損害を与えると、すぐ二度と起きないようにしますとか、そう言いながら、その舌の根も乾かぬうちに起きたりするのです。賠償については、被害補償については十分考えたいと思います、これはあたりまえのことなんだよ。幾ら金を積んでも人命にかえられますか。皆さん、ああいう形でやられたその親御さんや家族の皆さんのことを考えてみてくださいよ。しかもほったらかされた。これは憎みても余りある行為なんだよ。そういう面からして参考人として乗組員の皆さんの中から、また現地の意見も、ぜひ国会で参考人として証言もしたいと言っているようですから取り上げていただきたいのです。
  260. 愛野興一郎

    ○愛野委員長代理 ただいまの上原委員のお申し出につきましては、後刻理事会でその取り扱いを協議、決定いたします。
  261. 上原康助

    ○上原委員 ぜひそういうふうに各党理事の方で御配慮いただきたいと思います。  そこで、もう少し進めてみたいのですが、きのうの安保特でも、この非核三原則の問題と安保体制におけるかかわりでいろいろお尋ねされたようですが、先ほど局長答弁もありましたが、私はやはり非核三原則について大変疑問を持っているのです。領海内にはつくらず、持たず、持ち込ませずという一方の持ち込ませずの原則というのは、沖繩返還以降本当に形骸化されたと思うのですね。これは言うまでもなくラロック証言これありでしょう。一九七四年九月、米上下両院合同委員会で行われた。その主要部分からしますと、かつてのラロック海軍少将はこういうふうに言っている。「私の経験から言えるのは、核兵器積載の能力を持っているすべての船は、核兵器を積載しているということです。それらの船が日本など他の国の港に入るときも核兵器を外すことはありません。」これはいろいろ問題になりましたが、皆さんもあのときに、アメリカ側の言い分を信頼しますということで逃げたのです。改めて非核三原則ということを皆さん確認をしてもらわなければいかぬ。確認をすると同時に、本当にわが国の領海を通過する、航行している、あるいは横須賀とかホワイトビーチとか佐世保とか、そういうところに入港している米軍潜水艦なり艦船が核を積載していないという確認を今度はとってもらいたい。公海で起きたものだからあるいは高度の機密だからできないというなら、わが国に入るものについて点検するくらいのことをやってもらわなければこれは困る。常識で考えてもわかるんじゃないですか。公海では積んでおって日本の領海だから外すって、どこで外すの。そんな手品なみたいなことができますか、常識で考えても。そういうことを国会でぬけぬけといつまでも言って、野党の言うことをはぐらかしておって、これじゃ納得できませんよ、今回の事件も。今後は確認しますか、一つ一つ海上でチェックしてみてください。共同チェックだ、専門家を入れて。そういうことを一遍もやったためしはないわけでしょう。一遍だって事前協議の対象になったことはありますか。なければ、いまの装備論からしても何からしても、核兵器を積んでいるということは常識じゃないですか。このことに対して改めて政府としてどうなさるのか。
  262. 淺尾新一郎

    ○淺尾政府委員 ただいま引用されましたラロック事件の際に、すでに国会等でも御説明いたしましたように、その際に当時のインガソル国務長官代理から在米大使に対して、ラロック証言に関してアメリカ政府は、日米安保条約並びにこれに関連する取り決めに基づいて、日本に対する約束を誠実に遵守してきている、さらにアメリカ政府は一九六九年の佐藤・ニクソン共同声明第八項に基づく核兵器に関する日本国民の特殊な感情を深く理解している、さらに一九六〇年の岸・ハーター共同声明第二項に含まれている誓約及び佐藤・ニクソン共同声明八項で与えられている確約、さらに一九七二年五月十五日付の福田外務大臣あてのロジャース国務長官等の書簡を引用しまして、常に事前協議に関するアメリカ側の誓約というものは遵守されてきているし、また引き続き遵守するということを言っております。  もう一つ申し述べさせていただけば、軍艦についてこれをよその国が点検するということは、国際法上認められていないところでございます。われわれとしては、あくまでもアメリカ政府の累次にわたる、いま引用いたしましたような誓約に基づいて日米関係は規律されているというふうに確信しております。
  263. 上原康助

    ○上原委員 それはあなたが確信をなさっても、私だって国民の一人なんだよ。確信をなさろうが疑問を持つ国民も多くいるというということは忘れては困ると思うのです。  そこで外務大臣、今回こういう不幸な事件が起きて、これだけ国会でも議論され、国民も非常に不満、不信感をつのらしている。こういう事態では、いま局長からいろいろ過去の事例については御答弁ありましたが、改めて核問題についてアメリカ側日本国民の立場というものを申し入れるお考えはないですか。これはやっていただきたいのです。
  264. 伊東正義

    伊東国務大臣 日本側の非核三原則というのは、国会、国連、至るところで、日本はこう考えている、こういうことを実行しているということを言っておるわけでございますので、私は今度の事件を契機に改めてそれをまた言う必要があるかどうか、もう常に言っていることでございますので、私は常に言っていることでいいんじゃないか、こういうふうに思っております。
  265. 上原康助

    ○上原委員 領海内だけでなくして、いわゆる公海というか近海、そういう経済水域ということもありますね。そういう面での核ミサイル搭載艦の原子力潜水艦の作戦行動については、日本側としては、もう少し国民感情なり今度の事件等との関係において、アメリカに対してもソ連に対しても自粛を求めるとかあるいは規制をするとか、日本側の立場を軍縮という立場から、あるいは非核三原則、平和憲法を持っているという立場から、持っているというよりもそれを遵守、尊重するという立場から、アメリカに対してもソ連に対しても、世界に対して日本の態度を明確にする必要があると思うのですが、この御意思はありませんか。
  266. 伊東正義

    伊東国務大臣 非核三原則の適用というのは、領土、領海、領空ということでございまして、いま上原さんおっしゃった経済水域という二百海里、あれはまだ条約はできておりませんけれども、条約草案にもはっきりしておりますことは、二百海里というのは、たとえば水産とか海底の鉱物資源に対する排他的な権利を認めるということでございまして、そこでは汚染の問題もございます。いま先生のおっしゃっております航行の自由あるいは上空の通行ということについては、これはほかの世界は皆自由を持っているということをわざわざあの条約の草案に書いているのでございまして、二百海里まで非核三原則を及ぼすということは、あの条約草案からはできないことでございますので、日本の非核三原則ということは領土、領空、領海ということでもうはっきりしているわけでございますから、ここで改めてこの問題でそれを言うとか、あるいは経済水域にそれを及ぼすのだというようなことはいま考えておりません。
  267. 上原康助

    ○上原委員 いまおっしゃったように、経済水域そのものを二百海里にストレートにやるやらぬは、これは条約上もいろいろ議論はあるかもしれません。しかし、私が言いましたように、平和憲法の理念、非核三原則あるいは被爆国という立場からすると、正直申し上げて、今度の事件では国民は相当不安を持つはずですよ。そういう面からすると、考える余地のある課題じゃないのかということを言っているわけですよ。  そこで、私は以前からこの核問題については少し調べてみたりしたこともあるのですが、予算委員会などでも岩国の問題等をほかの党が取り上げましたね。わが党も以前に取り上げたことがあるのです。沖繩でも何回もこの問題は疑問、疑惑があるということを言いましたが、皆さんは非核三原則がある、あるいは領海、領空、領域には持ち込みはされていないのだということを絶えず言っているわけですが、依然として疑惑があるということですよ。  私は、その疑惑のある一つの証拠を今回もまた明らかにしたいと思うのです。これは以前からわれわれがいろいろ調査をしてやっても皆さんは否定をしましたがね。ちょっとこれを大臣に見せて。——私は最近、在沖米軍の電話帳をいろいろ調べてみました。これは現在使っているものです。これに書いてありますように、一九七九年のセプテンバーですから九月ですか、その九十ページにNBCスペシャル・ディフェンスNCOICというのがある。これは核・生物・化学兵器特別防御当直下士官とでも言うのですかね。それから九十七ページにはスペシャル・ウエポンズ・チーフというのがある、特殊兵器担当責任者とでも訳すのですか。それでわれわれが沖繩返還のころ、七五年ごろまでいろいろ取り上げたら電話帳から消えておったのです。ある在沖の将校は、おまえがちり箱まであさって国会でいろいろ言うからうるさくてしようがないよと私に言ったことがあるのです。それは本当ですよ。それで一時消えておったが、最近また出てきている。現在使っている一九八〇年オーガスト、八月ですが、これにNBCスペシャル・ディフェンスNCOICと九十四ページに出ている。NBCスペシャル・ディフェンスウエアハウスというのも出ている。倉庫ですね。これも九十四ページです。スペシャル・ウエポンズ・チーフというのも百一ページにある。これは電話帳もあるからうそだと思ったら調べてみてください。本当にこれはあるんだ。全くそのとおりです。  こういうことからしまして、岩国なり沖繩の基地には、現在でも核兵器はやはり貯蔵されていると私は見ている。だから、皆さんの言うことからすると、相手は持ち込んでいないのだということだから、残念ながらそこで爆発でもしないとこれはもうわからないのですね。事実関係はこれまでもう何回か明らかにしてきたけれども、問い合わせてみたが、そういう担当者はいるけれども兵器そのものはないのだということで逃げてきたのですね。どうなんですか、いま私が指摘をしたものを含めてですね。
  268. 淺尾新一郎

    ○淺尾政府委員 ただいま御指摘の電話帳の件については、沖繩においても特殊の兵器を扱う名称が付された班があるのは事実でございます。しかし、それと核があるということはまた別個なことでございまして、従来から国会の場で御答弁しておりますように、アメリカ日本との約束に基づいて核兵器の持ち込みはしていないということを明白にしております。さらに化学兵器につきましても、沖繩返還の際に、いわゆる致死化学兵器については昭和四十六年九月九日に撤去を完了したということを声明しておりますし、あるいはたとえば枯れ葉剤等の兵器についても、四十六年の三月十六日にわが方から在京米大使館に確認済みで、そういうものはないということでございます。したがいまして、そういう特殊な部隊があるということと実際に核があるということは、全く別個の問題でございまして、アメリカ側は従来再三にわたって、沖繩あるいは本土においてそういう特別な兵器を維持するということは、従来からのアメリカの安保条約に基づく誓約にのっとっておるので、あり得ないことであるということを随時申し述べているわけでございます。
  269. 上原康助

    ○上原委員 いつもの逃げの答弁だけですが、それではいま私が指摘したものは、どういう実情なのか改めて照会しますね。その特殊部隊があることは認めるわけですね、正確に調査をして報告いたしますね。
  270. 淺尾新一郎

    ○淺尾政府委員 御指摘の電話帳については、いま御答弁したとおりでございますが、せっかくの御指摘でございますので、何年度の電話帳ということをお示しになりましたので、その点については、なお事実関係についてわが方としてまず内部で調査をしてみたいと思います。
  271. 上原康助

    ○上原委員 一事が万事こういうような状況で、そういった取扱者、担当者がいるということは認める、またあります、しかし、実際に核兵器があるかないかはわからぬということです。またアメリカの軍隊は交代勤務だから、その技術を持っている人はどっかへ行くんだというようなその種の答弁もありましたよね。しかし、ずっと一貫して流れはあるわけですよ。これだけの担当者がおって、倉庫もある。私は前に弾薬庫の番号まで言ったことがある。ということは、疑惑は晴れていないということなんですよね。少なくとも有事の際には、自由に持ち込むという前提でなければこういう対策なり訓練とかはいろいろやらないはずなんですね。  それでは改めてお尋ねしたいのですが、こういう事実があるということからしまして、われわれは疑惑を持っているわけです。しかし、皆さんとしては、非核三原則は守られているのだ、日米間のこれまでの交渉経過からして、そういう核の存在はないのだ、核兵器はないのだということを言っているのですが、万一有事の際でも、非核三原則あるいは憲法のそういう考えからして核兵器持ち込みはないと断言できますか、大臣。
  272. 淺尾新一郎

    ○淺尾政府委員 まず私から答弁いたします。
  273. 上原康助

    ○上原委員 それは大臣だ、あんたじゃない。あんたが答弁したら、大臣はそのまま喜べ。あなたは引っ込んでおけ。大臣から答弁しろ。アメリカは大統領しか核のことを言えないんだ。何で局長が核のことを言う。
  274. 淺尾新一郎

    ○淺尾政府委員 委員長から御許可を得ましたので御答弁いたします。  従来からの繰り返しで恐縮でございますが、日本の非核三原則は厳然たる国是、政策でございます。たとえ有事であっても非核三原則を貫くというのが日本政府の方針でございます。
  275. 上原康助

    ○上原委員 有事であっても、核持ち込みは、日本政府はノーと言いますね、大臣。
  276. 伊東正義

    伊東国務大臣 これは予算委員会で総理もお答えになっていることがたしかあるはずで、私もお答えしたことがあります。そのとおりでございます。
  277. 上原康助

    ○上原委員 照会をしてみると、答えはまた、照会したが、部隊はあるけれども、担当者はいるけれども、核はないというふうに言うかもしれませんけれども、今回のこの事故から見ても、わが国周辺の海域あるいは米軍基地、そういうところに核兵器が持ち込まれている可能性は、私はますます濃厚になってきたと見ているわけです。したがって同時に、安保条約で核の抑止力はアメリカに依存するということを言われてみても、そのアメリカの核戦略によって、有事の際に核を使用していこうとする作戦計画によって日本がかえって危険な状態にさらされているということが今回は浮き彫りにされたと思うのです。そこに私たちが、今日までの日米の軍事同盟、安保条約の危険性——皆さんは、安保条約があるから日本はここまで繁栄したのだと言うけれどもアメリカが海底からポラリスを発射しても日本には通告ないかもしれませんよ。ソ連がボタンを押しても、場合によっては飛んでくる直前まで日本は知らないかもしれませんよ、今度のことから考えても。そういうことさえ予測できるわけです。いかに危険な状態に置かれているかということが、今回のジョージ・ワシントン原子力潜水艦事件は証明していると私は思うのです。  そこで、日米防衛協力の面から、核とかそういうものについては一切触れないという前提になっているようでありますけれども、しかし、もし米ソ間で、局地紛争でなくて全面戦争ということになると、恐らく核戦争であることは間違いない。そういう事態を想定をして、国民の生命、財産を核戦争からどう防御していくかということを含めて、わが国の安全保障を考えることがいま政府にとって本当にやるべきことじゃないですか。アメリカの言いなりになって、予算を九・七%にするとか護衛艦をもっとつくるとか、戦闘機の機数をふやすとかということじゃなくして、米ソの核戦争に対して、それが起こらないための外交、抑止政策をとると同時に、万一起きた場合に、一体日本の国土、国民の生命、財産をどう守るかということを含めて政府全体として考えなければならない問題を提起していると思うのですよ。だから私たちは、核兵器も要らない、防衛力では生命、財産を守れぬという立場をとってきたのですが、そのことは、まず整合性がない、あるいは距離があるといたしましても、少なくとも核戦争に対して日本がどうするかというようなことも、私は、やはりこの際、国民の納得のいくような外交方針なりやり方を考えていただかないといかないと思うのです。全然その必要がない、アメリカが核の問題については極秘にしているから、核抑止力に依存するのだというだけで済ますのかどうか、ここいらはどうなんですか。     〔愛野委員長代理退席、委員長着席〕
  278. 伊東正義

    伊東国務大臣 日本の安全保障というものは、先生おっしゃったように、日本の国土を防衛する、日本の平和、安全を守るためであり、また自衛隊の役目はそういうものだということは、いま言われたとおりだと私は思うのでございます。  それで核の問題でございますが、日本としましては、現在は核のバランス、恐怖のバランスあるいは力のバランスとかいろいろ言われているわけでございますが、現実の問題として、核がやはり抑止力になっていることも、また現実の姿でございます。日本の外交としましては、核が抑止力で使われておるという現実を認めることはそのとおりでございますが、核を使われるような紛争、戦争を何とか防止する、巻き込まれないようにすることが外交の役目だと私は思うわけでございますので、この間アメリカに行ったときも、米ソ間で平和関係が続くように努力をすべきだ、力のバランスということは一方ではわかるが、片方では話し合いで平和、友好関係を続けるべきだというふうなことを私も言ったわけでございまして、核戦争というようなことが起こらぬようにするのが外交の大きな役目だと私は考えております。
  279. 上原康助

    ○上原委員 核戦争が起きる前に事故で吹っ飛ぶかもしれぬですよ。そういう危険な状態に置かれていることに対して、やはり従来の皆さんがおっしゃるような防衛力増強路線とか、そういうことじゃなくして、日本はもっと方向転換を考えなければいかぬじゃないかと言っておるのですよ。この状態なら本当に核のえじきにされる可能性はありますよ。それは御免ですよ。本当に核戦争になると、真っ先に相手国、敵国からたたかれるのは、やはり沖繩あたりでしょうね。今度のイラン・イラク戦争を見てごらんよ。石油基地と軍事基地しかたたいていない。やはり軍事基地のあるところは、岩垂先生のところの横須賀だって、佐世保だって大変です、福島なんか何もないからあなたは大丈夫かもしらぬけれども。本当ですよ。それだけ恐怖感を軍事基地を持っている周辺の国民に与えていますよ。やはり政府としては、そういうことも考えて安全保障の問題を考えなければいかぬじゃないかということなんですよ。  だから皆さん何かついでに一ついでと言ってはあれですが、鈴木内閣発足で総合安全保障政策をえらい意気込んでおられたのですが、最近だんだんしりすぼみになっていますね。総合安全保障政策をやると言って、どうなっているのですか。
  280. 伊東正義

    伊東国務大臣 今月もまた総合安全保障の閣僚会議が開かれるという連絡を受けておるわけでございます。上原さんおっしゃるように、安全保障は単に軍事力だけでできるものじゃないのだという前提に立って、食糧もあればエネルギーの問題もあれば運輸の問題もある。特に外交の問題は、この総合安全保障の中で非常に重要な役割りを果たすのだということでございまして、総合安全保障の問題は、総理は非常に熱意を持っておられますので、大体毎月一回閣僚会議は開かれておる。そして単に軍事力だけじゃないということで閣僚が意見の交換をしていく、これが現状でございます。
  281. 上原康助

    ○上原委員 きょうは時間がありませんから、総合安全保障についてはもう少し経緯も見ながら考えたいのですが、総合安全保障の中では、やはり核軍縮ですよ。外務大臣、正直申し上げて、日本の生きる道は平和に徹することなんですよ。核軍縮問題、核不拡散ということに対してもっと真剣にならなければいかないと思うのです。いまのように、米ソがどんどん核軍拡をやって一体どうなるのですか。八〇年代、八五年には戦争もあるなんという物騒なことを防衛庁長官まで言い出している。少し狂っているのじゃないかと思う、防衛庁長官も。きょうこっちに来られたらよかった。何で核戦争が起きるのか聞いてみたい、全く。防衛庁長官ともあろう者が簡単にそういうことを言ってますます軍事力をエスカレートしていく。本当に核戦争が起きた場合、日本が対応できますか。皆さんのいまの防衛力計画ももう所要防衛力に変えてきているわけでしょう、基盤的なんて言っても。  そのことは後にして、総合安全保障の中では、外務大臣、やはり核軍縮の問題、核不拡散の件、核不使用のことを、アメリカの言いなりになるのじゃなくして、日本がイニシアチブをとって国際会議も起こすぐらいの意気込みがないとだめなんですよ、これは。そういう総合安全保障でなければ、防衛力を強化してアメリカの方に加担するようなものであるなら、それは要らぬよ。  そこで、もうこの日昇丸の不幸な事件についてはこの程度にとどめておきますが、先ほど申し上げたようなことについてはひとつ誠意を持って解明をしていただきたいし、場合によってはアメリカに抗議もいたしますね、最後に。
  282. 伊東正義

    伊東国務大臣 上田先生、岩垂先生みんなお答えしたのでございます。中路先生にもたしかお答えしたのでございますが、国民の納得のいく、本当に原因でございますとか通報のおくれとか、そういうものは解明をしてもらいたいということをアメリカに強く要請をし、催促もしているのでございますから、その調査あるいは中間報告かどちらかわかりませんけれども、そういうものを見て、先生のおっしゃったことを含めて判断をします。
  283. 上原康助

    ○上原委員 国民の納得いくというのは、自民党が納得することじゃ困りますよ。その点も指摘をしておきたいと思うのです。  そこで、この件ともかかわり合いが出てくると思うのですが、今回の事故と今後の日米関係に及ぼす影響についてはあるのかないのか。特に日米首脳会談は予定どおり開かれるのかどうか。米国政府からは日米首脳会談についてはどういう打診なり話し合いがあるのか。また事務レベルというかいろいろ両国の外交ルートで首脳会談の準備をやっていると思うのですが、目下のところどうなっているのか、お答えをいただきたいと思います。
  284. 伊東正義

    伊東国務大臣 日米首脳会談は六日、七日に総理がワシントンに行かれるということでございますので、これは向こうからそれを変更してもらいたいとか、日米首脳会談の日程を変えるとか、そういう連絡は一切ございませんので、私どもは従来のスケジュールどおり行われるものと思っておるわけでございます。そのときの議題等については、いま詰めておる最中ということでございます。
  285. 上原康助

    ○上原委員 スケジュールどおり行われるとしますと、討議事項といいますか、あるいは会談での重要な、主要なテーマあるいはサブジェクトといいますか、それはどういうことが想定できますか。
  286. 伊東正義

    伊東国務大臣 いまちょっと日にちが七、八でございますので、六日はニューヨークにおりますので、七、八がワシントンです。ちょっと訂正さしていただきます。  それから、議題はいま詰めておりますので、どういうふうに決まったということではございませんが、恐らく私の行った経験から言えば、一般の国際情勢についての意見交換あるいは恐らく二国間の問題として経済一般のことが出ますか、あるいは防衛の問題あるいは原子力の問題、原子力の平和利用、そういうような問題等が話し合いになるのではなかろうかと思っておりますが、まだこれこれというふうに決まったわけではございません。
  287. 上原康助

    ○上原委員 確かにこれは米国の大統領と日本の総理が会談をするわけですから、国際情勢全般についてお話し合いもするでしょう。しかし、日米間の問題となると、防衛と車が中心になる可能性はありませんか、エネルギーも当然でしょうが。
  288. 伊東正義

    伊東国務大臣 いま申し上げましたように、日米間の問題では、経済問題一般、防衛問題あるいはエネルギーの中の原子力というようなことが予想されますということを申し上げたのでございますが、これはまだ決まったわけではございませんので、私の頭にあることでございますが、経済問題の中で自動車の問題につきまして、首脳会談の前には、大筋はお互いがもう首脳会談では持ち出さぬでいいように了解がついているということが望ましいということが、この間私のレーガン大統領との会談でもあったわけでございまして、この間アメリカから説明のためのチームが参りましたので、これからどうするか、首脳会談の前にはできるだけ大筋は話がもう終わっているということにしたいと思っているわけでございます。
  289. 上原康助

    ○上原委員 車のことについては、私は余り詳しくありませんので、ちょっとだけ後で聞きますけれども、そこで三月末にたしか外相は行かれましたね。ヘイグ国務長官あるいはワインバーガー国防長官ですか、お会いなさったと思うんだが、あのときに報道はどうもレーガン政権の、いわゆる強いアメリカをというレーガン大統領の言い方からすると、日本に対する防衛力増強、防衛力の強化ということについては、かつてのカーター政権以上に求めてくるんじゃなかろうかというのが一般的見方で、私はそれは間違いないと思うのですが、せんだって予算の分科会でも少しお尋ねしたんですが、意外とソフトだったということで、何か日本政府は大変気をよくしたんだという見方も一部にあるわけですね。実際、前首相の大平さんが行かれたときのカーター政権のいわゆる顕著にして着実なという防衛力増強路線、そういうものとの関連において、今回の首脳会談においては、外務大臣にはソフトであったかもしれませんが、あなたのソフトさに向こうもソフトになったかもしらぬが、どうなんですか、そこらの御認識は。私は予算の分科会でもちょっと聞いたんですが、余り的確な、私が考えているようなお答えじゃなかったんで、改めて聞きたいのですが、本当にレーガン政権の防衛問題、日本に対する期待というものについてはどういうことが想定されているのか、それに日本側はどう対応していこうとするのか、いま一つ定かでないですね、皆さんのこれまでの言動といいますか、やりとりを聞かしていただくとね。そこいらのお考えを少し明らかにしてから具体的な点についてお尋ねをしてみたいと思うのです。
  290. 伊東正義

    伊東国務大臣 レーガン政権とカーター政権が日本の防衛力に対する期待といいますか、私は大きい違いはないと思っているのです。そんなに違いはない。ただ言い方は、若干違いがあるかもしれませんが、大きくは違っていないと私は思うのでございます。今度行きまして防衛問題が出たのは、ヘイグさんとワインバーガーさんとブッシュ副大統領、その三人に会ったとき、あとは議会に行ったときに出たわけでございます。そういうところで防衛の問題は出ましたが、これは私との話は、大体の場合は一般論でございました。世界情勢は厳しくなっているという認識から、一般論として防衛力の強化の努力をしてもらいたいということがあったのでございまして、具体的と言えば、在日米軍の駐留費をもっとよけい持つように考えてもらいたいという期待を込め、これはまさに具体的な話でございましたが、そのほかは一般的に努力をしてもらいたいという表現でございましたし、特にレーガン政権は、パーセンテージとか数字を挙げてどうこう言うような期待表明はしないつもりだ、そういうことは結局日米間でプラスにならぬ、よく意見の交換をして、方針が決まったら、後それによって各国がどういう防衛力の整備をするかということは、各国が自主的に考えることだというような話があったわけでございまして、レーガン政権もカーター政権も、日本の憲法の制約、専守防衛というようなことにつきましては、これはもう両政権とも日本の立場を理解しているというふうに私は思っておるわけでございます。  私はそのときに、防衛というものは自分の国が自分の国を守るのだから、これは自主的に考えるべきものだということと、軍事力だけでなくて、経済協力でございますとかあるいは外交の問題とか、広い立場に立って安全保障というのは考えるんだというようなことを意見の交換をしてきたのでございまして、恐らく総理が首脳会談に行かれても、具体的なことでなくて、一般論の話じゃなかろうかと私は予想しているのでございますが、ワインバーガー国防長官にも言ったのでございますが、事務レベルの協議もあるだろうし、防衛庁長官がワインバーガーさんと会うこともあるだろうから、そういうときに具体的な問題は、話し合いがあれば、そういう機会でなかろうかということを言ってきたわけでございます。
  291. 上原康助

    ○上原委員 われわれは米側の態度というものはそう甘くないと考えざるを得ないのですね、レーガン大統領がどういう提起をするかわかりませんが。といいますのは、すでにマンスフィールド大使の御発言などを経過立って見てみますと、いろいろあるのですが、ごく最近のものを見ても、四月九日の日本新聞協会での講演内容、日本の現在の自衛力は「“防衛計画の大綱”の水準を相当下回っており、防衛力強化のペースをもっと早める必要がある」と、まさに内政干渉めいたことを言っていますね。「米国国民一人当たりの負担は五百二十ドルだが、日本は八十ドルぐらいだ。平和を維持するためには、最悪の事態に備える必要がある」こういうこと。その以前にもいろいろありますね、防衛分担海域を決める。そういう言葉の端々からしますと、相当強固な姿勢に出てくるであろうということは予測できると思うのです。  それにもう一つは、いま具体的な問題として、在日米軍の駐留経費についての提起があった。あるいは中業の前倒しの問題等がこの間の外相訪米でも出てきているようです。さらに一説には、五十六年度予算の二兆四千億、七・六一%増というものを、概算要求自体の二兆四千四百六十五億、例の九・七%、こういったものについて日米間で何らかの補正、修正をやるので、そういうものがあるから余り強固な姿勢に出てきていないのじゃないのかという見方もあるわけですね。  また、よく問題になります海上防衛分担のグアム以西、フィリピン以北という問題ですね。あなたは、日本は憲法上の制約があり、専守防衛の立場に立つので、そういった提案については受けられないというか、なかなか問題があるということを御返答したというわけですが、どうなんですか、グアム以西、フィリピン以北というのは、今回防衛庁がすでに策定を一部やったところの共同作戦計画では、日米間で明確にされているのじゃないですか、図表含めて。そうであるとすると、外務大臣が言っているのと、防衛庁が実際に制服組なり実務レベルで詰めていることとは食い違いがあるということが言えると思うのですね。この種の問題は、首脳会談で細かいところまでは出ないでしょうが、すでに日米間の重要な討議事項としてあるいは合意事項として当然なされつつあるのじゃないかという見方もできるわけです。要するに、こういった新たな防衛負担を強いられることに首脳会談はなりはしないかという懸念を私どもは抱かざるを得ないのですが、このことについて両方からひとつ明確にお答えをいただきたいと思うのです。
  292. 伊東正義

    伊東国務大臣 まず、私の方から御説明いたしますが、日米間で何か予算の補正のことを話し合っているのじゃないかという御質問でございましたが、私は全然そういう話は聞いたことがないわけでございまして、予算はおかげで通ったばかりでございますので、これを運用することでいまみんな頭がいっぱいでございまして、補正なんということは全然いまだれの口にも上っていない、ましてやアメリカへ行ってそん話をすることは全然ございませんので、誤解のないようにお願いしたいと思います。  それから、日米首脳会談で何か防衛の分担で重荷をしょわされるような話が出るのじゃないかということでございますが、これはこれからの話し合いでございますから、どういう話になるか私はいまここではっきり申し上げることはできませんが、実は私、行きましたときに、グアム以西、フィリピン以北という話が出たことは確かなのでございます。  そのときの話は、よく誤解があるので正しくお答えしたいと思うのですが、ワインバーガーさんが、アメリカはいろいろ防衛努力をしているんだ、特にペルシャ湾、インド洋、南西アジア、東南アジアとこう言ってまいりまして、グアム以西、フィリピン以北の北西太平洋でも、非常にソ連の航空機潜水艦問題等があるので、防衛力強化の努力をしているんだという話が一般的にずっとあって、その後で出ましたのが、日本も防衛努力を一段とやってもらいたいという一般論と、それから沖繩のことが出たわけでございまして、向こうもグアム以西、フィリピン以北の海面を日本が防衛分担をしてくれという言い方じゃないのです。一般論としてそういう話が出ました。具体的にそういう名前が出ましたので、一般的に防衛の努力ということでございましたが、私は何か誤解をされるといかぬ、具体的に名前が出たところで防衛海域分担論ということにとられちゃいかぬというふうに思いましたもので、すぐに私は、海域分担論というのは、それは憲法上の集団自衛権になるので、日本として法律上はできないことなんだ。  それから、私の頭にもう一つ出てきましたのは、航路帯千海里、日本本土周辺数百海里というのが海上自衛隊の装備の整備の目標ということがありますので、グアム以西、フィリピン以北、こう厳密に言うと、それよりも広がる、そういうことになりますと、いまの「防衛計画の大綱」の枠からはみ出すじゃないかということが頭にきましたので、政策論としてそれはまたむずかしいことだ、こういうことを言ったわけでございまして、向こうからグアム以西、フィリピン以北の海域を日本の防衛分担の区域にしてくれという話ではなかったということだけははっきり正確にお伝えを申し上げておきます。  総理がおいでになりましたときどういう話になるか、いま本当にわからぬのでございますが、一般的な防衛力の強化の努力ということになるんじゃなかろうかな、そういう一般論じゃないかなと私は思っておるわけでございます。
  293. 上原康助

    ○上原委員 どうも一般論、一般論ですりかえてもらっても困るんです。沖繩の話も出たというから、後で何かそれも聞かしてもらいたいのです。  防衛局長、いまの外務大臣の御答弁のあれと防衛庁長官なり防衛局長の言っていることとは、答弁の内容が食い違いがありますね。改めてお尋ねしたいんですが、今月八日の日米共同作戦計画研究と防衛研究の概要、これもトップシークレットだということで、説明を求めても全くはしにも棒にもかからぬくらいの説明しかしていただけませんでしたが、そういうことを首相に報告をなさっておるわけですね。その中で防衛海域の拡大を首相は認めた。私はその内容は線から面に発展をしていると思うのです。いわゆる従来の航路帯とかあるいは周辺海域というようなことではなくして、グアム以西、フィリピン以北という、とりようによっては数百海里ではなくして一千海里をかなり上回ることになりますね。この件について、いま外相がお答えになったことと防衛庁の認識はどうなのか、また防衛研究なり日米間で取り決めてあるという共同研究の中身というのはどうなっているのか、改めて明確にしておいていただきたいと思うのです。そのことは日米首脳会談のサブジェクトになるのかどうかということも明確にしていただきたい。  さらに、日米首脳会談後、六月に例年ハワイでやっている日米事務レベル協議会ですか、それがあるというわけなんだが、そういう面は事務レベルというか防衛担当者に任そうということになると、外務大臣がおっしゃるよりは、防衛庁が拡大をしている解釈というか、そういう面が日米間の取り決めになっていく可能性は十分あると私たちは見るし、そういう判断が正しいんじゃないかとも思うのですが、その点一体どうなっているのか、改めてお答えをいただきたいと思います。
  294. 塩田章

    塩田政府委員 まず第一点の総理に私が説明しました海域の拡大の問題に関連をしまして、いまの外務大臣の御説明防衛庁との間に食い違いがあるのではないか、こういう点でございますが、ただいまの外務大臣のお答えで私ども全然食い違いがないと思っております。私が総理に御説明しましたのは、海面の拡大ではございませんで、航路帯を設けた場合に約一千海里という従来の整備目標につきまして、関連しまして現在の実際の対潜水艦作戦のやり方を説明をしまして、航路帯という、帯という言葉からくる船が通る狭い線のようなものではなくて広がりつつある、面的な要素を持ちつつあるということを説明したわけです。しかしながら、私は面そのものになったとは決して申しておるわけではございませんで、従前のような、昔の船団護衛方式のような狭い線、帯というようなものではございません、もう少し広くなりつつありますという説明をしただけでございまして、いま外務大臣のお答えになったことと私は少しも食い違っているとは思っておりません。  それから二番目に、日米共同作戦の中でグアム以西なりフィリピン以北なりという地名あるいは海域というようなものが出てきておるのではないかということでございますが、これは全然出ておりません。それははっきり申し上げたいと思います。  それから三番目に、首脳会談で防衛の問題が出るのではないかということでございますが、この首脳会談のテーマにつきましては、現在外務省の方で取りまとめておられまして、私の方からコメントする立場にないということを御理解いただきたいと思います。  それからさらに、その後六月ごろと思いますが、例年やっております事務レベルの会議も予定されるわけでございますが、この議題等につきましては、今後の問題ということで、まだいまの時点で議題を詰めるというようなところまでいっておりません。
  295. 上原康助

    ○上原委員 ちょっと外務大臣いらっしゃらないのですが、そうしますと従来よりは少し、帯じゃなくて面に広がりつつあるんだ——そこが問題なんだよ。少し広がったらあなた方はずんずん広がっていくわけだ。アメーバーとまでは言いませんが、そういうふうに拡大をしていく可能性があるのですね。  じゃ、日米共同作戦区域として言うところのグアム以西、フィリピン以北というのは、防衛分担区域というか防衛海域として確認をしたものでない、そういうような図表なりあれはないというふうに断言できるのか。それと現在の防衛大綱の、航路帯は大体一千海里、周辺が数百海里、これ以上拡大されていくことはないですね。いまはそこまでの対潜能力なり海上自衛隊の能力で、防衛大綱を仮に満たした場合でも、そういうことしかできないからそう言っているのか。そういう面からだけじゃなくして、憲法上の制約あるいは専守防衛ということから、日本の領海の周辺海域という面からすると、われわれは一千海里——一千海里というのも最初数百海里だったのよ。三百が五百になり五百が七百になり七百が一千になり線から面というふうになってだんだん広がっていく。これ以上の拡大はありませんね。これは外務大臣もそういうふうにお考えだと思うのですが、意思と能力はよう違うのだと言うたりしているのですが、最大限そういうところまでが日本海上における防衛区域だというふうに見ていいわけですね。われわれはそのことにも問題があり疑問を持っているわけですが、アメリカ側ともそういった約束はない、あるいは憲法上の制約があるのだ、またグアム以西、フィリピン以北ということについてもきっぱり——きっぱりとまでは言いませんでしたが、日本側は難色を示したというせんだっての国防長官と外相の話からすると、私がいまお尋ねしていることが筋だと思うのですが、そのことは明確にしておいていただきたいと思うのです。
  296. 塩田章

    塩田政府委員 防衛分担区域としてグアム以西あるいはフィリピン以北という言葉が出たのではないということは、先ほども外務大臣からもお答えがあったとおりでございますし、私どもが共同作戦計画の研究をやっておる中でも、そういう区域は出ておりません。  それから、いまの一千海里程度の防衛力整備を目指すというようなことで、これは憲法上の制約があるのか、これ以上また広げていくのかというお尋ねがございましたが、先ほど外務大臣のお答えの中にもちょっとございましたけれども、憲法上の制約として考えられるものは、いわゆる区域分担といいますか海域分担といいますか、集団的自衛権に触れるような分担方式をとる場合には憲法上疑問が出てまいります。したがって、そういうことに対しては、私どもは憲法上の疑義のないように慎重でなければいけないと思っておりますが、いまの周辺数百海里あるいは航路帯を設けた場合に一千海里と言っておりますことは、憲法上の問題ではないというふうに思っておるわけであります。したがいまして、現在の大綱の整備目標として、周辺数百海里、航路帯を設けておる場合には一千海里というめどを持って防衛力の整備をいましておりますけれども、「防衛計画の大綱」にまだ達していない現在の段階で、「防衛計画の大綱」を見直すことは考えていないということはしばしば申し上げておるとおりであります。
  297. 上原康助

    ○上原委員 あなた、また人の話をすりかえたりして……。防衛大綱を見直しなさいと言っているのじゃないよ。集団自衛権がないのはあたりまえじゃないですか。では、集団自衛権に該当しなければ、一千海里どころじゃない二千海里でも、帯なら行っていいわけなの。単独行為ならできるわけですか。そのことを聞いているのです。マキシマム、最大限一千海里なり数百海里というものが大体限界じゃないですかと聞いているのだよ。いまの大綱を満たした場合には、さらにまた一千が一千二百になり一千五百になるということになるのですか。それは当然憲法上の問題も出てくるでしょう。あなたに憲法上のことを聞いたって、また私もほかの方に聞かなければいかぬのでね。そのことを言っているのですよ。それが一つ。  そうしますと、防衛分担区域としては、グアム以西、フィリピン以北というものは出なかったといまおっしゃいましたね。そのほかでは何か出たのですか。アメリカ側から、グアム以西、フィリピン以北の海域については日本側が防衛をしてもらいたいという要望があるのかないのか、具体的にあったのかなかったのか、あるいはこれから予想されるのかどうか、もしあったとしたら、さっき外務大臣はそう言ったのだが、防衛庁はそれに対してどうすると言ったのか、ここを明確にしてください。
  298. 塩田章

    塩田政府委員 憲法上の制約の話は先ほども申し上げましたが、区域が広いとか長いとか狭いとか短いとかということじゃなくて、区域を分担する方式が、いわゆる海域分担方式をとると集団的自衛権になるおそれがある、それはとれないということを申し上げたわけであります。それから、分担区域についての話はない、これはもう申し上げたとおりであります。  それじゃそれ以外に出たのかというお尋ねでございますが、外務大臣の訪米の際にどんな話が出たかは私はわかりませんが、防衛庁といたしましては、米側とは具体的に共同作戦計画の研究をいま詰めておるわけでございます。その際には、ガイドラインにありますように、周辺海域については自衛隊が主体となって防勢作戦を行う、米軍が必要な機能について支援を行うという考え方で、少しも従前と変わっておらないわけであります。
  299. 上原康助

    ○上原委員 ですから、防衛局長、ごまかさぬでもう少しはっきり答弁してください。一千海里以上拡大することはありますかありませんか。  それから、分担区域は決めない。確かに、ここからここは日本が守ります、ここはアメリカだよ、ここはNATOとまでは言わぬでしょうが、ASEANだ、いろいろ出てくるでしょう。そういう分担というのはなかなか容易じゃない、むずかしいでしょうね。しかし、逆に言うと、グアム以西、フィリピン以北というこの海域について、日米共同で防衛しようということはやっているわけでしょう。そのことをアメリカは言っているのじゃないですか。特にその面の対潜能力については日本側が分担をしてもらいたい、見てもらいたいというのが内容でしょう。あなたの説明も、逆に聞くとそうなっちゃうんだよ。そうでしょう。違いますか。そこをもう少し明確にしてください。
  300. 塩田章

    塩田政府委員 日米共同作戦の中でも、それからわれわれの大綱に基づく整備目標としても、わが国周辺数百海里、航路帯を設けた場合には約一千海里ということで、私どもはいま海上防衛力の整備を目指しております。また作戦計画の中でも、そういった区域で自衛隊が主体となって防勢作戦を行うという方針で現在進めておるわけであります。
  301. 上原康助

    ○上原委員 グアム以西、フィリピン以北という海域はどうなんですか。いま言っているのは一千海里で、あなた、それは出なかったと言うけれども、距離にすると、若干の食い違いはあるが、大体海域はそうなっていくわけでしょう、一千海里、数百海里。違うの。そこはどうなんですか。
  302. 塩田章

    塩田政府委員 先ほど来申し上げておるのですが、グアム以西とかフィリピン以北とかいう地名を挙げて、この区域をどうしようとか、そういう話がいま私ども米軍との間に出ているわけじゃないのです。それは繰り返し申し上げておるとおりでありまして、私どもは、米軍との共同作戦の中においても、それから「防衛計画の大綱」に基づく整備目標としても、わが国周辺数百海里、航路帯を設けた場合には一千海里を目標にしておるのだ、こういうことを先ほどから申し上げておるわけであります。
  303. 上原康助

    ○上原委員 そうしますと、当面、一つは、たとえグアム以西、フィリピン以北という海域の共同防衛について米側から提案されても、そういうつもりはないというように理解していいのかどうか。  もう一つは、あなた、その先は言いたくないらしいが、「防衛計画の大綱」は一応一千海里あるいは数百海里ということまでは目標としている。その目標後はどうなるかわからぬが、それ以上の拡大はいま考えていないというふうに理解していいのかどうか。
  304. 塩田章

    塩田政府委員 いま拡大を考えていない、その範囲で整備を目標としているということは、そのとおりでございます。
  305. 上原康助

    ○上原委員 外務大臣、先ほどのお答えにもありましたように一千海里、これはちょっと疑問ですがね。あるいは数百海里といういまの防衛局長の答弁の問題とか、さっき引用しましたような海域について、仮に米側から話が出たとしても——この間も米側からその話はあったわけでしょう。それに外相は難色を示されたわけでしょう。その理由として、憲法上の制約なり専守防衛という問題があるのだというふうに私たちは聞いている。そうしますと、それ以上の拡大は好ましくないというふうに理解できるのですが、外務大臣としてはその点についてどうお考えですか。
  306. 伊東正義

    伊東国務大臣 話が出たというのは、ペルシャ湾とかインド洋とか、そういう名前と一緒にグアム以西、フィリピン以北という話が出ただけであって、そこの海域を日本で分担してくれとかどうしてくれという話じゃないのです。そういうペルシャ湾とか一連の話がずっと出まして、そういうところでアメリカは防衛努力をやっているのだ、ついては日本も、経済的に力強くなったのだから防衛力強化の努力をしてもらいたいという一般論として出たわけでございまして、海域分担とかそういう依頼はなかった。ただ、そういう話が出たときに、それを黙っていますと、必ず後から何かグアム以西、フィリピン以北と言って日本は黙っていたじゃないかというようなことを言われると、これは誤解を与えるといかぬと私が思いまして、その海域を分担してくれと言われたのじゃないのでございますが、海域分担の思想であれば、それは憲法上できませんということが頭の中にあるものですから、法律上海域分担というようなことであれば、それはだめです。もう一つは、これは千海里、数百海里ということを何回も国会で防衛庁の答弁を私は聞いておるわけでございますので、グアム以西、フィリピン以北というと、それから大分足が出るんじゃないか。それは政策判断として防衛大綱で決めていることよりも予算的にも足を出すことになるおそれがありますので、これは政治的に妥当じゃないという判断で、両方のことから、片っ方は海域分担であれば法律違反になるし、海域分担でなくても、千海里以上になる、数百海里以上になるということであれば、政策上これはむずかしい。この二つの理由で私は誤解があるといけないからということで、それをむずかしい、できない、こういうことを言ったわけでございます。
  307. 上原康助

    ○上原委員 日米首脳会談で、この種の問題も恐らく出るでありましょう。そこで私たちが非常に懸念するのは、いろいろ細かいこともあるでしょうが、今度の日米首脳会談で新たな防衛負担というか、防衛力増強要求にコミットをしてくるんじゃないかということなんですね。十分予想されると思うのですが、改めてお尋ねしておきたいのです。  「防衛計画の大綱」を見直せということが仮に提案されたという場合に断わるのか。いま言ったようなグアム以西、フィリピン以北というような海域分担の提案がなされた場合にお断りできるのか。さっき言いましたように、九・七の予算修正というものは、一説によると、日米合意、これはいつやるかわからぬけれども、そういうようなことを提案された場合、一体断われるのか。またさらに、中業見積もりの前倒し、そういうものが具体的に提案された場合どうなるのか。あるいは具体的な例としては、駐留経費の増額も要求されたというふうにさっきおっしゃいました。こういう提案があった場合どうするのか、断るのか。  皆さんよく、日本独自の防衛計画なんだ、日本独自の判断で防衛力の整備を進めているのだということをおっしゃっているのですが、そうであると、アメリカ側の要求に屈服をしたり、アメリカ側のそういう計画なり防衛分担ということについては、話し合いというのは、これは日米間だからあってもいいと思うのだが、それを安易に受け入れるとか、その計画に乗っけていくということは主体的判断じゃないですね。自主防衛力整備じゃないですね。このことについてぜひ外務大臣の明確な御答弁をいただきたいと思うのです。
  308. 伊東正義

    伊東国務大臣 私ども向こうに行って話してみましても、私は要求というふうに感じたことはございません。そういう期待表明があるということはわかりますけれども、要求だとかそれに追随するとか、そういうような考えは私は全然持たぬのでございます。  それで、先ほどおっしゃった九・七なんという話、一説と言われますけれども、だれがそんな説を唱えているのかなという感じがするぐらい、いままでもアメリカとそんな話をしたことはないわけでございます。これは先ほどグアム以西、フィリピン以北の例としても出されました。そのとき私の言ったこともさっき答弁したとおりでございますし、総理も予算委員会で「防衛計画の大綱」を見直すというようなことをいま考えてない、まずこの達成に努力をするんだということを言われておるわけでございまして、私は私の考え方も総理には十分に申し上げておりますし、また向こうにお供するときには、その考え方をはっきり総理にも私の考え方として申し上げるつもりでございます。  ただ、日本は安保がありますので、有事の際には日米共同して危機に対処するんだということがございますので、そのパートナーの日本側がどうなっているんだということについてアメリカ側がいろいろな期待表明するということも、これはあり得ることでございますし、また日本が日米安保のアメリカのパートナーとしまして、やはり有事の際には、日本を守ることがアメリカを守ることの国益につながるんだというふうにアメリカが十分認識することが大切でございますから、日本としても、みずからそういう努力をするということは必要だというのが私の基本的な考え方でございます。先ほどから御質問になりましたようなことは、私の考えは総理にも十分申し上げるつもりでございます。
  309. 上原康助

    ○上原委員 相当のプレッシャーといいますか要求が出てきて、日本側が新たな防衛負担の約束を取りつけられるようなことにならないことを私たちは期待をしているのですが、今後の推移を見守っていきたいと思うのです。  次に進めていきたいと思いますが、ガイドラインの問題はいま若干触れましたので、時間の配分もありますから、緊急展開部隊と在日米軍基地の件についてお尋ねをしたいと思うのです。  これはレーガン政権の防衛政策とも密接なかかわりがあると思うのですが、御承知のように、ワインバーガー米国防長官の上院軍事委員会の聴聞会、たしか三月四日ころだと思うのですが、そこで証言をしておるようであります。これを聞いてみますと、レーガン新政権は、一つは世界のいかなる地域、いかなる規模のソ連の脅威にも対応できるよう米軍備を強化することを基本方針としている。二点目に、特に予見し得る将来に南西アジア、ペルシャ湾、さっき外相がおっしゃったペルシャ湾地域が闘争の焦点になるとして、中東防衛重視の姿勢を打ち出している。三点目、そのため兵器装備の近代化に予算増額のうち最大の額を振り向けていきたい。四点目は、制海権の確保を重視して、海軍艦船の大量建造と緊急展開部隊の強化を計画している。そして五点目として、同時に米日欧の共同防衛努力がレーガン政府の国防政策の主要な政策だ。こういうことを言って、そのために日欧の応分の貢献を強く要請をしているわけですね。これが先ほどペルシャ湾とかインド洋とか、いろいろ出たという、沖繩ということのかかわりもあるかと思うのですが。  いずれにしても、強いアメリカというか、力の政策というものを推進をしていくというのがレーガン政府の基本姿勢だと見て差し支えないと思うのです。  そこで、いま私が申し上げたことでも、緊急展開部隊の強化を図るということを明確に打ち出してきているわけですが、このアメリカの緊急展開部隊というのはどういう構成になっておって、どこに展開をしているのか、外務省なり防衛庁の御見解を聞いておきたいと思います。
  310. 淺尾新一郎

    ○淺尾政府委員 御承知のとおり、緊急展開部隊というのは、昨年の国防教書の中でも、またカーター大統領の一般教書の中でも出てきた構想でございまして、NATO以外の各地域における地域紛争、主として地域紛争でございますが、そういう局地紛争に対応するために緊急展開部隊をつくる。緊急展開部隊は、陸海空及びマリーンの四つから成り立つものであるということでございまして、その後司令部はアメリカのフロリダに設けられておりますが、具体的に紛争が起きた時点で、どの部隊を投入するかということが決定されるわけで、現在緊急展開部隊それ自身がすでにでき上がっているというわけではございません。
  311. 上原康助

    ○上原委員 でき上がっているわけじゃないわけですか、本当に。カーター政権時代からいろいろあるでしょうが、一つにはペルシャ湾の危機に対応するためですよ。ペルシャ湾の油田地帯の防衛あるいはインド洋上、そういうところに展開をしておるし、もちろんこれはまだ完熟というか完成はしておりませんね。そこで、これもなかなかいろいろの問題点があるわけですが、いずれにしても、この緊急展開部隊の強化というものをアメリカ、レーガン政権が持っているということは紛れもない事実、いまも引用しましたとおり、公にされている。その緊急展開部隊の展開のあり方とか基地使用ということと在日米軍基地とのかかわりがあるのかどうか、この点はどうなんですか。
  312. 淺尾新一郎

    ○淺尾政府委員 現在、具体的に問題になっているわけではございません。
  313. 上原康助

    ○上原委員 具体的に問題にはなっていないが、緊急展開部隊と在日米軍基地は一切かかわりはないとあなた言えるの。われわれからすると問題になっているのだよ。何でそんなことを言うのですか。問題になっているのじゃないですか、RDFが那覇軍港を使っているのじゃないですか。わかっていながら、何でそんな——問題になっていませんか、本当に。かかわり合いは全然ないのですか。
  314. 淺尾新一郎

    ○淺尾政府委員 いま御指摘の点は、恐らく先般ジュピター、マーキュリーという事前集積船が那覇軍港に入港したということを指されているかと思います。この目的は二つございまして、一つは当時行われておりましたチームスピリットという韓国における演習に参加、もう一つはそのマーキュリー号に積載されております装備品の点検を行ったということでございます。
  315. 上原康助

    ○上原委員 那覇軍港にはマーキュリー号あるいはその他ジュピター、これまで何回入ったのですか。
  316. 淺尾新一郎

    ○淺尾政府委員 まずマーキュリーについて申し上げますと、二月三日に入港いたしまして二月九日に出港し、さらに二月二十七日に那覇に再入港して、装備品の積み込みを行って、三月三日に那覇を出港しておるわけでございます。  それから、もう一つお尋ねのジュピター、これは三月の十五日に那覇に入港いたしまして、十七日に出港し、さらに四月の三日に那覇に入港し、四月五日に那覇を出港しておるわけでございます。
  317. 上原康助

    ○上原委員 おかしいよ、あなたのおっしゃるのは。二月三日——日にちはともかくとして、要するに、では、この船はどこから入ってきたのですか。
  318. 淺尾新一郎

    ○淺尾政府委員 私たちの承知しておるところでは、ジエゴガルシアから入ってきたというふうに承知しております。
  319. 上原康助

    ○上原委員 よくわからないのだが、そのジエゴガルシアというのはどこにあるの。
  320. 淺尾新一郎

    ○淺尾政府委員 インド洋上でございます。
  321. 上原康助

    ○上原委員 緊急展開部隊はどこに展開するのですか。インド洋、ペルシャ湾でしょう。ですから、これまで三回入ってきているのです。私でも少しは調べてきているのです。この間も、ぼくは予算の分科会でも時間がなくて余りお尋ねできませんでしたが、人が真剣に物事を聞こうとしたらもう少し素直にお答えになったらどうですか、わかる点は。そんなにこれは秘密でも何でもないでしょう。アメリカが認めているのでしょう。  そこで問題は、あなたがおっしゃるジエゴガルシア、これはインド洋上ですね。それはインド洋上のどういう地域かというと、世界地図の上で見て、右手にはマラッカ海峡をにらんでいる。左方向にはペルシャ湾とホルムズ海峡をにらんでいるのですね。これはそこに展開している部隊なんだよ。まさにカーター政権時代に、中東油田の防衛という立場で、あるいはアメリカのそういった中東情勢に対応して緊急展開をしていくというための精鋭部隊なんだ。そこで軍事行動をやっている部隊が那覇軍港に三回も入っているということは、在日米軍基地と関係ないと言えますか。  あなたが言うジエゴガルシアまでは、那覇軍港から向こうまでの距離は、どのくらいあるのですか。私はわかりませんから、教えてください。
  322. 淺尾新一郎

    ○淺尾政府委員 ジエゴガルシアから沖繩までは約四千五百海里でございます。
  323. 上原康助

    ○上原委員 四千五百海里。遠いときは海里で言って……。キロに直したらどうなるの。
  324. 淺尾新一郎

    ○淺尾政府委員 私、数字は弱いのですが、四千五百海里に一・八を掛けていただけばキロでございます。
  325. 上原康助

    ○上原委員 あなたよりぼくはなお弱いですよ。皆さんはそういうところがよくないんだよ。わからぬ人ならもう幾らでもごまかそうとする。数百海里と言ってみたり、また大きさを小さくするときは海里、マイルで言ってみたり。一・八を掛けたらどのくらいになりますか。七、八千キロあるでしょう。七、八千キロもあるところから、日本の在日米軍基地に戦車やその他の軍事物資を積んで堂々と出入りをしているわけですよ。確かにあなたがおっしゃるように——あなたはアメリカ局長だから、相当、条約やら何やら政策上の問題、いろいろひねくり回さなければいかぬところはあるかもしれません。確かにチームスピリット81に行っているよ。そこが皆さんの逃げ道なんだよ。本来は那覇軍港でいわゆる整備と点検をやるために入ってきたのではないですか。それを持ってきて、法律上の、条約上のつじつま合わせにまだ——第三海兵隊のチームスピリットに行く軍事物資を積んで出ていっただけ。向こうでおろして、帰ってきて、今度また行ったわけなんだよ。そうすると、RDF部隊の主要な基地に那覇軍港がなりつつあるということは、ここは否定できませんよ、外務大臣。だから、おかしくなっているのじゃないかと私は言うのだ。あなた、首をひねりひねりしますが、八千キロも——こっちの方も三時間近くも質問していると頭がこんがらがるよ。極東の範囲どころじゃないじゃありませんか。このように皆さんの言う地位協定とか安保条約で言う日本の安全とか極東の何とかかんとか言ってみたって、どんどんエスカレートしているというこの実態を一体どうなさるの。これについては日米間でどういうお話し合いをしてきたのか。少なくとも作戦行動でないからということで、これはそのまま見逃すわけにはいかない。これは使用条件の重要な変更なんだよ。そうじゃないですか。何でも皆さんが勝手に解釈されればいいということじゃないのだよ。これは外務大臣からお答えください。
  326. 淺尾新一郎

    ○淺尾政府委員 上原委員は、この事前集積船がもっぱら中東用に展開されている船であるから、那覇の港を利用するのは地位協定、安保条約に違反するのではないかという前提に立って質問されていると思いますが、この事前集積船を含めた緊急展開部隊というのは、先ほど私が御説明いたしましたように、まさにNATO以外の各地域の局地紛争に対処するための部隊でございます。さらに事前集積船についても申し述べれば、この事前集積船は第七艦隊に所属しておりますし、今回のチームスピリットの例でもおわかりになるように、まさに極東の安全と平和のためにも行動しておる、そういう実態があるということでございますので、私たちとしては、この事前集積船が那覇の港を利用したということは何ら地位協定の拡大解釈というふうには考えておりません。
  327. 上原康助

    ○上原委員 そうは言ってみたって、それはつじつま合わせのお答えじゃないですか、NATO以外のどこでもというふうになると。しかし、主要な目的は何ですか。さっきおっしゃいましたように、何でジエゴガルシアから、向こうから来ているの。主要な基地は向こうじゃないですか、インド洋じゃないですか。
  328. 淺尾新一郎

    ○淺尾政府委員 先生はそう言われますが、第七艦隊に所属している関係上、その母港はむしろアメリカ本土でございまして、アメリカ本土というのは語弊がございますが、西太平洋に所属しておりまして、現在中東の情勢にかんがみてジエゴガルシアに展開しておるということでございまして、たまたまジエゴガルシアに展開しておるから、この船は常に中東向けというふうに断定することはできませんで、国防総省が明らかにしておりますように、これはNATO以外の有事の際に使える船ということでございます。
  329. 上原康助

    ○上原委員 NATO以外の地域となりますと、これは極東とは関係がなくなりますね。もちろんあなたの言い分は、極東で有事とか局地衝突が起きた場合、紛争が起きた場合は、第七艦隊に所属しているからそこに行くこともあるから、安保や地位協定上の問題はないと言っているが、主要な任務は中東でなくて、さっき言ったでしょうが、ペルシャ湾なんだよ、あなた。マラッカとペルシャとホルムズをそれはにらんでいるのだよ。しかも、距離にしてはさっきおっしゃったような地球のずっと向こう側、ここまで勝手に基地の使用条件を変えられたり、法律もそれにつじつまを合わせていくということになると、絶対にこれは問題ですよ。そういうことじゃ納得できませんよ。あなたのいまの言い分からすると、安保条約にしましても、六条では「日本国の安全に寄与し、」になっている。「日本国の安全に寄与し、」ということになると、もうNATO以外はどこでもいいということですか。NATOだって日本国の安全に寄与すると解釈できないこともないですな、あなた方の拡大解釈からすると。あなたの解釈論からすると、極東という限定はなくなりますよ。基地使用条件ですよ。
  330. 淺尾新一郎

    ○淺尾政府委員 安保条約六条に基づいて米軍が施設、区域を使用している目的は、まさに日本の安全と極東の安全と平和に寄与する、こういうことでございます。  そこで、その施設、区域がこの目的に合致して使われているかどうかということは、その施設、区域の全般的な使用状況ということから判断されるわけでございまして、まず那覇の軍港それ自身が極東の平和と安全のために役立っているということは紛れもない事実でございます。  さらに、そこを使用します軍艦なり飛行機が、これもまたその行動が極東の安全と平和に寄与しているかどうか、これは全般的に見ていただく必要がございまして、この事前集積船の場合も、再三にわたって申しわけございませんけれども、その目的は何も中東に限らず、極東に一たん紛争があった場合には、この極東でも使えるという船でございますし、さらに第七艦隊に所属するという実態も重ねて持っておりますので、私たちとしては地位協定の拡大あるいは違反というふうには考えておりません。
  331. 上原康助

    ○上原委員 これまでも極東の範囲とか、事前協議制問題とか、作戦行動とかいろいろ議論をしてまいりましたが、われわれが幾ら具体的に事例を挙げてやっても、結局権力を握っている方の解釈というものが正当化されていく。これは正直申し上げてまさに本当にでたらめですよ。いままでこういう基地使用条件というのはなかったのよ。外務大臣アメリカの施政権下においても、正直申し上げてそんなめちゃくちゃなことはなかった。  では、いまそういうお答ですが、極東の局地紛争にも寄与するとか第七艦隊に属しているということなんだか、もっぱらインド洋、そういった中東に展開をする部隊の使用ということの場合は、逆に言うとそれは拒否できますね。
  332. 淺尾新一郎

    ○淺尾政府委員 お尋ねがもっぱら極東以外のために日本の施設、区域が使われるということであれば、これは明らかに地位協定に抵触するということでございます。
  333. 上原康助

    ○上原委員 この種の問題も、あなたが国会でそういう御答弁をなさっても、やはりこの那覇軍港を使用している事前集積船がどういう軍事展開をしていくかというのはわかる。これからもわかる。私はその御答弁は非常にごまかしだと思う。ほかの極東地域にそれが展開しているということはわれわれとしては合点がいかない。  それで、外務大臣、もう時間もだんだん来ましたから、いまそういう新たな問題が出てきているわけよね。あるいはこの間横浜のノースドックに行った第三海兵隊の沖繩からの展開にしたって、四、五年遊休化しておったんでしょう。そういうものをどんどんエスカレートしてきている。これがレーガン政権の新たな世界戦略の一つの波として出てきているわけですよね。今日の国際情勢ともかかわりがあるでしょう。それだけ極東の範囲とか地位協定云々と言ってみたってつじつまが合わなくなっているという実態を知ってもらわなければいかぬと思うのです。私はいまの御答弁でこれは納得できません。これは推移を見ますが、そういうようなつじつま合わせでは、まさにアメリカの全土基地使用ですね。いざという場合もそうでしょうが、もう世界のどこにでも行く。NATOだってやがて行くかもしらぬよ。そういう論理でいくど地球上至るところに行くかもしれぬ。あなた、そんなばかな話がありますか。これは推移も見ますが、いまの局長答弁ではなりません。この点について外務大臣の御見解ありますか。いまやりとりをいろいろ聞いたでしょう。そんなつじつまの合わないことでは合点がいきませんよ。
  334. 伊東正義

    伊東国務大臣 私は、北米局長がいま説明した、この間の韓国におけるチームスピリット81にも参加したのでございまして、私は北米局長の解釈でいいと思っております。
  335. 上原康助

    ○上原委員 外務大臣、何をおっしゃったかようわからなかったね。  そこで、このこととも関連しますが、皆さんは復帰時点で沖繩の基地の整理縮小については、本土並みに持っていくのだ、形態は、そうおっしゃいましたね。あなたはそのころは外務大臣おやりになっていなかったので、あるいは十分定かでないかもしれませんが、いまの那覇軍港なんかも条件づき返還のところなのですね。七二年の佐藤総理の施政方針演説でも、在沖米軍の施設、区域については、復帰後できる限り整理縮小することについては米側の理解を得ている。まあ理解を得たのだから、理解をしても、実行しなければこれは意味ないのでね。こういうようになっておる。あるいは振興開発計画の方でも「基地依存経済から脱却して自立経済の確立をはかるため、米軍施設・区域の整理縮小をはかり、その跡地および跡施設を産業振興および社会資本整備のために活用」していく云々とあるのですね。さらにもう申し上げるまでもないと思うのですが、日米安保協議会でも合意を見ているわけですよね、返還の面で。しかし、実際に返還されたというのは幾らくらいと思いますか。もう時間もないから私の方で言いますが、その約束が守られていないということなのですよ。約束が守られていない。約束を守らないどころか、五、六年も遊休化しておったいまの那覇の軍港なんかは、ペルシャ湾からまだあんな物騒なやつを持ってきて積んで、軍事活動をどんどんやっている。しかもあなた、那覇空港から那覇の都心部に入る目と鼻の先でしょう。幽霊よりもなおこわいよ、あの砂漠の迷彩色というのは。そういうように軍事強化をされているという実態について、もうやがて十年になるのですよ。今度の五月十五日からは十年目ですよ。もうすぐそこだ、どうお考えですか。どうなさるの、この問題について。
  336. 伊東正義

    伊東国務大臣 沖繩の施設、区域の実態についてまだ私はこの目で見たことはございませんので、なるべく早い機会に参りまして、この前からいろいろ沖繩から出ておられます先生方から御質問もございましたので、一回この目でも見てこようと思っているわけでございます。施設、区域というのは、地元の方の理解なくしては、これは円滑に運用することはむずかしいのでございますから、民生の安定ということとあわせて国の防衛というむずかしい問題の調整の問題があるわけでございますから、私は、一度行って、この目でいろいろ見、皆さんの話を聞くという機会も自分で持ってみたいというふうに考えております。
  337. 上原康助

    ○上原委員 いつごろ行かれるの。
  338. 伊東正義

    伊東国務大臣 もう国会開会中に、なるべく私は行って見てこようというふうに思っております。
  339. 上原康助

    ○上原委員 まあ行かれるのはいいかもしれません。行ってこられて、直後にまた内閣改造で、あなた外務大臣でなくなったらどうなさるの。そんなことないですか。
  340. 伊東正義

    伊東国務大臣 それはお答えをする御質問じゃありませんので、御勘弁を願います。
  341. 上原康助

    ○上原委員 そういうことも疑いたくなる。ここにも沖繩開発庁長官をして大いに功績を上げた方もいるようですが、大体やめる前にはみんな行くのよね。そこで——ときにはユーモアも交えぬと、三時間にもなりますとなんですので。  問題は、行って実態をごらんになられるのも結構ですし、ぜひそうしていただきたいわけですが、要するに復帰時点で二億八千八百六十万八千平米あった。それがその後返還面積はわずかに二千六百六十五万七千平米、そのうち自衛隊が百九十万六千平米使っていますね。安保協で返還合意の面積というのが十四回から十六回にかけて五千七百三十七万平米。そのうち返還面積は、外相、わずかに一千六百四十二万平米。そのうち自衛隊使用面積が八万九千平米。  いま私が言った数字は大体合っているのかどうか、防衛施設庁、答えてください。
  342. 伊藤参午

    ○伊藤(参)政府委員 先生のいまお読み上げになった数字、細部ちょっと聞き漏らしたところもございますけれども、大筋において先生のおっしゃったとおりと承知しております。
  343. 上原康助

    ○上原委員 これは後で資料をお出しになっていただきたいのですが、実際そういう八一年の四月一日現在、日にちはちょっと……。ごく最近のやつです。四月一日じゃないです。  そこで、こういう問題とのかかわりで、いま復帰時点でも言いましたように、これは国会決議もなされたのですよ。われわれは返還協定の問題でがたがたして、社共は参加しませんでしたが、われわれが言ったとおりなったんじゃないですか、結局。さっき言いましたように、核は抜かない、基地は本土並みでない、ますます強化されている。そういうことからしますと、たとえばこれまで条件つきで返すと言ったところ、那覇軍港とかあるいは伊江島補助飛行場とか、さらに問題になっている読谷補助飛行場の問題、那覇海軍・空軍補助施設等々日米間で合意をしておきながら、今日まで一体もう何年になるの。この種の問題について改めて日米間で協議をして、もちろんそれは地主の意向もあるでしょう。いろいろ問題点もあるのは私も知っていますが、私が言いたいのは、日米両国の政府間で取り決めておきながら、それが実行されていないというこの事実。しかも、そういう中で、遊休化しておったものが次から次へ新たな形で使用されているという事実ですね。これに対しては、どうしても県民感情としても、全国の五三%は依然としてまだ沖繩にあるのですよ。これに対してもう一度政府は、責任を持った沖繩の基地整理縮小、基地色を薄めていくという努力を、私はこの際やるべきだと思うのですが、大臣の決意のほどを伺っておきたいと思います。その決意いかんによっては、もう来られることをお断りしますよ。
  344. 伊東正義

    伊東国務大臣 お答えします。  いま隣で、外務大臣が行ったことあるかと聞いたら、ないということでございますので、行くという気持ちを起こしているだけでも評価をしていただきたいと思います。  まあそれは別にしまして、沖繩が本土と違いまして非常に施設、区域が多いということは、私も、これは沖繩の県民にとって本当に大変なことだということはわかるわけでございます。沖繩開発庁もあり、経済の復興にも努力をされておるわけでございますし、いろんな面で努力しなければならぬと、政府もそう思うわけでございますが、いまの施設、区域の問題は、恐らく、私一つ一つは知りませんが、代替地とかそういうものが見つかればというような条件のついたものも相当あるんじゃないか。伊江島の飛行場やなんかたしかそうだったと思うのでございますが、なかなかそういうものがないとかいういろんな事情があると思うのでございます。しかし、それはそれとして、前に国会決議があり、あるいは政府が前の時代にいろいろお約束したということがあれば、これは極力やはり守っていくということは、政治はうそをつかぬということが大切なことでございますから、これはもう努力を私もしてまいるつもりでございます。
  345. 上原康助

    ○上原委員 もう少しは親身にお考えになっていただかないと、これは困る点がたくさんありますね。十年の節目に当たって、われわれも努力いたしますが、特にいまの点は指摘をしながら要望しておきたいと思うのです。  そこで、あと一点は北部訓練場の使用問題なんです。これはこの間も沖特なりほかでも他党も取り上げているのですが……(発言する者あり一いや、これは外務省と密接に関係——五・一五メモなんですよ、あなた。五・一五メモと言ってもわからぬでしょう、少し黙っておって。  問題は、五・一五メモによりますと、北部訓練飛行場の使用条件の中でいろいろ書いてあるのですが、「大砲の実弾射撃は、着弾区域が特定されるまでは行われない。」そういうふうになっておりますね。ここも時間がいろいろありますから簡単にいたしますが、特にこの地域は世界でも唯一の特別天然記念物のノグチゲラが存在しているということ、あるいは沖繩の重要、重要というか唯一の水資源涵養林になっているということですね、こういう点。かつて一九七〇年でしたか、復帰前にここへ大砲を据えて実弾射撃訓練場をつくろうとしたのだが阻止されたいきさつもあるわけですね。私も当時あの現場に行きました。まだなってじきでしたが、行って阻止をした経験を持っている。その後は、この五・一五メモにもありますように、大砲の実弾射撃というものはやらなかったわけですが、最近そういう動きがあるということですね。そこで、日本側はこれを認める考えなのか。断じて認めてはいかぬと思うのですね。これは外務省からお答えください、五・一五メモを結んだのは外務省だからね。
  346. 淺尾新一郎

    ○淺尾政府委員 まだ現在のところ御指摘のように着弾区域が特定されておりません。そこで、着弾区域が特定された場合にこれを認めるかどうかという御質問でございますが、私たちとしては、一方に地位協定でアメリカ軍に施設、区域を提供している、しかし他方、御指摘のように、このメモにもあります水源酒養林あるいは特別保護鳥の問題がございますので、そういう点も十分頭に入れながら、慎重に検討していきたいと思います。
  347. 上原康助

    ○上原委員 特定をしてもらいたいという申し入れば米側からあるわけですか。
  348. 伊藤参午

    ○伊藤(参)政府委員 北部訓練場におきます実弾射撃の実施というものについて、米側が五・一五メモ当時もそれを想定し、また米側自身がその要望を持っていることは事実でございます。私どもとしましては、四十七年以来の北部訓練場の使用について、折に触れて射撃場の指定、着弾区域の特定について米側と話し合っておるというのが実情でございます。米側との折衝に当たっては、沖繩の水資源の問題とかノグチゲラの問題とか、そういったような問題もありますので、当然射撃場の指定や着弾区域の特定に当たっては、そういう条件も考慮した上で米側と話し合っております。
  349. 上原康助

    ○上原委員 どうも皆さんの言い分からすると、それを特定をしようという動きに聞こえるわけですよ。これは本当に重大な問題ですよ、外務大臣。そうしますと、特定をする段階においては、この五・一五メモの内容を変えなければいかないのですね。これは日米間でまた協議しなければいかぬですね。あえてそれを変えてまでやろうというわけですか、協議をすればできるということになるかもしらぬけれども。これは外務大臣、断ってもらいたいですね。もうこれ以上沖繩に新たな軍事演習場を持つということはやめてくださいよ。本当、冗談じゃない。幾ら基地の提供義務があるといたしましても、水資源、ノグチゲラの存在、そういった自然環境からしたってこれはだめですよ。しかも、ダムは使用されて渡河訓練やっているんじゃないですか、いまでもじゃんじゃんマリーン兵が。大臣の御見解を求めたいと思うのです。これをやると言って沖繩へ行ってごらんよ。あなた、石投げられますよ、正直申し上げて。
  350. 淺尾新一郎

    ○淺尾政府委員 大臣がせっかく沖繩に行かれると言っておりますので、行かれるような環境をつくりたいと思います。しかし、私たちとしては、いまのところまだこれは仮定の問題でございますので、ここでどうこうするということをお答えすることは差し控えたいと思いますが、先ほど申し上げましたように、確かに御指摘のような水資源あるいはノグチゲラという問題もございますので、その点は慎重に検討していきたいと思います。
  351. 上原康助

    ○上原委員 またがやがやが始まったら困りますので、終えますが、大臣、こういうことまでアメリカ側の言うことを聞いてもらったのでは、正直申し上げて困りますよ。いまさっきの那覇軍港の問題にしてしかり、一体沖繩を何と思っているの。もう北部しか自然林が残ってない。私はきょう林野庁を呼びませんでしたが、やはり森林法を適用して、もっといまの訓練さえも規制すべきなんですよ。ここに新たに百五十五ミリあるいは二百三ミリか、そういうものを据えて、大砲ですよ、それはあなた。空砲じゃないのですよ。そういう実弾射撃をさせるという新たな施設の構築に対して、日本側が毅然たる態度をとれないようでは本当に外務省は要らぬ。それは県民のためにもならなければ国民のためにもならぬ。そのことは篤とお考えになって大臣の一言——本当にこれは重大な問題ですよ。
  352. 伊東正義

    伊東国務大臣 この前も、あれは外務委員会でございましたか、ノグチゲラの話が出て、私と環境庁の長官が一緒に出たわけでございますので、ノグチゲラの問題は環境庁の長官が十分承ったわけでございます。  水資源涵養林の問題は、実は私、農林水産大臣に連絡をしまして、こういう問題があるのでよく検討してもらいたいということをもう連絡をしたわけでございます。  それで、着弾地域の特定の問題をどうするかということを沖繩選出の先生方からみんな御質問があったわけでございまして、みんな一緒に重要だという御認識をお持ちなこと、よくわかりましたので、私も本当に近い機会に行ったときには、この問題も自分の目で見てこようか、こう思っているわけでございまして、どういうふうにするかということは慎重に検討したいと思います。
  353. 上原康助

    ○上原委員 絶対にそういうあれは合意していただきたくないということを、念には念を入れて強く求めておきたいと思います。  もう終えますが、法律のことを一言も言わぬでは怒られそうですから、きょうはずいぶん聞くつもりで準備してあったのですが、もう時間ですから在外公館の問題でちょっとこれも要望を申し上げておきたいのです。  最近外務省在外公館とかあるいは海外子女の教育問題等、私もちょっと視察もしたことがあるのでわかるのですが、そのことについてはいろいろ理解をいたします。しかし、外務省の予算が少ないとか人員が少ないから外交政策なりが不十分だということには必ずしも同意できません。そういう面では外務省の行政改革の点もあるのですが、外務省の体質改善の問題とか機構問題あるいはノンキャリアとキャリアとの待遇とか配置の問題とか、もっとノンキャリア組についてもいろいろ実績なりそういう経歴を持って希望のある職場にしていくという、風通しのよさというものもやらなければいかぬと思うのですね。こういう面が非常に沈滞をさせているのではないか、これが一つ。改善してもらいたい。  さらに、外務省がつくっている海外パンフ、「ザ・ジャパン・オブ・ツデー」、実にみごとなものをたくさんつくっている。これも中に少し問題がある。あるいは「ファクツ・アバウト・ジャパン」、こういうふうにつくって、目新しいものもあるけれども、余り目新しくないのもある。また君が代なんというのも丁寧に音符までつけて、こういうふうにみんな国歌として御熱心さがあるのも少し問題のような感じがするのですね。中身を見ますと、非常に古い資料が使われているのですね、こういうものに随所に。たとえば東京の気候なんというのはアベレージが一九四七年から一九七〇年のものを使っている。このほかにもいろいろなものがたくさんありますよ。これはもう少し日本の実態というものを在外公館を通して外国人に知らしていくという面では考える必要があるんじゃないかということで、在外公館のいろいろな果たしている役割りについては理解をいたしますが、もっと毅然たる態度も外務省も必要じゃないかと思うので、こういうことについて改善をどうするのか、伺っておきたいと思うのです。
  354. 柳谷謙介

    ○柳谷政府委員 外務省の外交強化体制の充実について御理解をいただいて感謝しております。  私見るところ、在外二千人、本省千五百人のわれわれの同僚は、全体として見ますと一生懸命に仕事をしていると思っております。能力に応じて酷熱、瘴癘の地でがんばっておると思います。ただ、そう申すことは、すべてが完璧であるとうぬぼれているわけでは毛頭ございませんで、そういう意味では、さまざまの建設的な御批判を受けて、日夜その改善に努力しているということを御理解いただきたく、その意味で今後も引き続き温かい御支援をお願いしたいと思うわけでございます。  ただいま御指摘のありました一、二の点、ちょっとだけつけ加えますと、ノンキャリアという言葉をお使いになりましたが、私どもはキャリア、ノンキャリアという言葉は省内では一切使っておりません。上級職の合格者につきましても、努力しない者については淘汰してまいりますし、専門職合格者につきましても、登用の道を開きまして、大いにその専門家としての能力を生かすという努力は特に近年著しく払っているつもりでございます。  海外パンフレットにつきまして御指摘ございました。貴重な税金を使っての広報でございますから、綿密にチェックしてやっているつもりでございますけれども、たまにミスが出ることは申しわけないと思います。ただ、古いものと御指摘がありましたけれども、いろいろな予算の関係で二年ごととか三年ごとに改定して新しい版を出すというような工夫をこらしているところでございます。
  355. 上原康助

    ○上原委員 これで終わりますが、いろいろ長時間お尋ねしまして、言葉の端々でつい失礼になった点もあったかと思うのですが、それは流れでありますから御了解をいただいて、質問を終えたいと思います。少しオーバーして済みませんでした。
  356. 江藤隆美

    江藤委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  357. 江藤隆美

    江藤委員長 この際、自由民主党愛野興一郎君から、本案に対する修正案が提出されております。  提出者から趣旨の説明を求めます。愛野興一郎君。     —————————————  在外公館名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員給与に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  358. 愛野興一郎

    ○愛野委員 ただいま議題となりました修正案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。  案文はお手元に配付してありますので、朗読は省略させていただき、その趣旨を御説明いたしますと、原案では、在ヴァヌアツ日本大使館の設置に関する規定を除いて、昭和五十六年四月一日から施行することといたしておりますが、すでにその日が経過しておりますので、これを公布の日から施行し、在勤基本手当の基準額及び研修員手当の改定に関する規定につきましては、本年四月一日から適用することに改めようとするものであります。  よろしく御賛成くださるようお願い申し上げます。     —————————————
  359. 江藤隆美

    江藤委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
  360. 江藤隆美

    江藤委員長 これより本案及び修正案を一括して討論に付するのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決に入ります。  在外公館名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員給与に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。  まず、愛野興一郎君提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  361. 江藤隆美

    江藤委員長 起立総員。よって、本修正案は可決されました。  次に、ただいま可決いたしました修正部分を除いて原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  362. 江藤隆美

    江藤委員長 起立総員。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。     —————————————
  363. 江藤隆美

    江藤委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、愛野興一郎君外三名から、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議及び民社党・国民連合の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨の説明を求めます。岩垂寿喜男君。
  364. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 ただいま議題となりました自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議及び民社党・国民連合の各派共同提案に係る附帯決議案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     在外公館名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員給与に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、次の事項について、速やかに検討の上善処すべきである。  一 激動する国際情勢の中にあって、我が国の外交を一層機動的に展開し、我が国の国際的責務を遂行しうるよう外交実施体制の一層の拡充、強化に努めること。  一 在外職員、特に生活及び勤務の環境が厳しい地域に勤務する職員が、職務と責任に応じて能力を充分発揮しうるよう環境の整備、処遇の改善等必要な措置を講ずること。  一 在外公館の事務所及び公邸の国有化を推進するとともに、在外職員宿舎の整備に努めること。  一 海外子女教育の一層の充実を期するため、在外日本人学校及び補習授業校の拡充、子女教育手当の充実、帰国子女教育の制度及び施設の改善整備等の対策を総合的に推進すること。   右決議する。  本附帯決議案の趣旨につきましては、先般来の質疑を通じまして明らかなことと存じます。  よろしく御賛成くださいますようお願いを申し上げます。
  365. 江藤隆美

    江藤委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  366. 江藤隆美

    江藤委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付すことに決しました。  この際、外務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。伊東外務大臣
  367. 伊東正義

    伊東国務大臣 ただいま在外公館名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員給与に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、附則の施行の日につきまして適切な修正の上御可決いただきましたこと、まことにありがとうございました。  また、本法案の御審議の過程におきまして、外交活動の基盤強化につき、深い御理解と貴重な御提案を賜ったことに対し、厚く御礼を申し上げます。  法律案と同時に可決されました、外交の実施体制の拡充強化あるいは在外職員の処遇の改善あるいは宿舎の整備、海外子女の教育等の附帯決議の内容につきましては、御趣旨を踏まえて適切に対処してまいる所存でございます。  本当に慎重に御審議いただきましてありがとうございました。御礼を申し上げます。(拍手)     —————————————
  368. 江藤隆美

    江藤委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  369. 江藤隆美

    江藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  370. 江藤隆美

    江藤委員長 次回は、来る十六日木曜日午前十時三十分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時五十九分散会