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小熊政府委員 先生御指摘のように、今年度もそうでございますが、ベースアップに関しましては四月一日から実施しておるわけでございます。その
改善の指標としまして、前年の公務員のベースアップ率といいますか、
改善を指標として用いておるわけでございます。これは、従来は
先生御
承知のように、十月から始まりまして、だんだんいま四月に追いついてきたわけでございます。
この
恩給年額の
改定でございますが、これの
改定の基礎になるのが
恩給法の二条ノ二というのがございまして、これによりますと「国民ノ
生活水準、国家公務員ノ
給与、物価其ノ他ノ諸事情二著シキ変動が生ジタル場合二於テハ変動後ノ諸事情ヲ総合勘案シ速ニ
改定ノ措置ヲ講ズルモノトス」というのがありまして、これを根拠として
改善を行ってきておるわけでございます。
増額指標のとり方としましては、現職公務員の公務員
給与の
改善率をとっておるわけでございます。これが一番、昔公務員だった者の
改善指標としてはいいのではないかということで考えておるわけでございます。
これを、仮に現職公務員と同じように、
恩給で言いますと、その前の年の四月からやろうということになりますと、ある程度公務員のベースアップを予測して翌年度の
恩給予算を考えていかなきゃならないという、
一つ技術的な問題がございます。このこと
自体が技術的に非常にむずかしいという面と、それからほかの
年金等でも、たとえば厚生
年金なんかでも前年の物価上昇率を翌年の指標として使う、こういうようなことにもなっておるわけでございまして、これは、
一つにはやはりその技術的なむずかしさとか、そういったものが影響しておるのだろうと思います。ですから、角度によると思うのですけれ
ども、
先生おっしゃるように、確かに一年おくれという見方もあるかと思いますが、これはベースアップについて、その指標を何に使うかという
意味で言えば、
給与水準そのものが果たして一年おくれているのかどうかということには、まだこれは研究する余地があるんじゃないか。というのは、
恩給の
改善というのは必ずしもベースアップだけではなくて、いろんな低額所得に対する
改善であるとか、その他の
改善をそれぞれの時期に応じてやっておるわけでございまして、なお今後ともこの一年おくれをどうするかということも含めまして検討する必要はあるんじゃないかとは思いますが、いまのところ指標として、水準そのものが一年おくれているというふうに考え得るかどうか、これはちょっと検討する必要もあるんじゃないかと思います。