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1981-04-24 第94回国会 衆議院 逓信委員会電波・放送に関する小委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    本小委員会昭和五十六年二月二十五日(水曜 日)委員会において、設置することに決した。 二月二十六日  本小委員会委員長指名で、次のとおり選任  された。       秋田 大助君    伊藤宗一郎君       加藤常太郎君    長谷川四郎君       畑 英次郎君    堀之内久男君       阿部喜男君    久保  等君       鈴木  強君    竹内 勝彦君       西村 章三君    藤原ひろ子君       依田  実君 二月二十六日  加藤常太郎君が委員長指名で、小委員長に選  任された。 ————————————————————— 昭和五十六年四月二十四日(金曜日)     午前十時三分開議  出席小委員    小委員長 加藤常太郎君       秋田 大助君    伊藤宗一郎君       畑 英次郎君    堀之内久男君       阿部喜男君    久保  等君       鈴木  強君    鳥居 一雄君       西村 章三君    村上  弘君       依田  実君  出席政府委員         郵政政務次官  渡辺 紘三君         郵政大臣官房長 奥田 量三君         郵政省電波監理         局長      田中眞三郎君  小委員外出席者         逓信委員長   佐藤 守良君         参  考  人         (放送評論家) 大森 幸男君         参  考  人         (評 論 家) 古谷 糸子君         逓信委員会調査         室長      芦田 茂男君     ————————————— 四月二十四日  小委員依田実君同月一日委員辞任につき、その  補欠として依田実君が委員長指名で小委員に  選任された。 同日  小委員竹内勝彦君及び藤原ひろ子君同日小委員  辞任につき、その補欠として鳥居一雄君及び村  上弘君が委員長指名で小委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  電波放送に関する件      ————◇—————
  2. 加藤常太郎

    ○加藤小委員長 これより電波放送に関する小委員会を開きます。  電波放送に関する件について調査を行います。  本日は、参考人として大森幸男君並びに古屋糸子君が御出席になっております。  参考人には、本日は御多用の中ありがとうございました。  それでは、大森参考人に御意見を述べていただきます。どうぞお願いいたします。
  3. 大森幸男

    大森参考人 大森でございます。  きょうはお招きいただきまして、果たしてお役に立つかどうかと内心不安なのでございますけれども、現行放送法制全面見直し作業というこの委員会のお仕事に何か少しでもと思いまして、平素考えておりますことを若干申し上げたい、かように思っております。  申し上げるまでもないのですけれども、いまの放送法制は三十年前の放送法電波法を骨子に組み立てられております。この間、放送法に関しましては昭和三十四年の番組適正化に関します注目すべき一部改正があったわけでありますけれども、大綱においてはほとんど大きな改正がなく現在に至っておるということでございますが、昭和四十一年の放送関係諸法制の根本的な改正問題が五十一通常国会で廃案、流産の憂き目に遭ってから、なおかつ現在まで十五年が経過しているという状況でございます。この四十一年の放送関係法制根本改正論議において調査を担当されました臨時放送関係法制調査会では、向こう十年は手をつけないで済む新しい法制をというふうに発意されたやに聞いておりますけれども、これが廃案となってさらに十五年という状況であります。逓信委員会現行法制全面見直しに着手されましたことはそういう意味合いでもまことに妥当であり、喜ばしいと私は考えております。  ただ、一歩を進めまして、見直し、検討にとどまらず、私は、どうしてもあと数年後には全面改正、これは現状を踏まえ、また、新しい近未来の情報化時代に視点を据えました総合的な放送関係法制立法化が図られるべきだ、かように考えております。ただ放送法がわが国で唯一の言論立法であるという点で非常に困難な問題も付随しておりますけれども、やはりもうどうしてもそういう時期であるというふうに考えます。  もちろん、そういう背景を形づくっております環境の変化ということがございます。もう皆様に申し上げるまでもないわけですけれども、受信料制度によりますNHKと、広告収入に依存いたします民放との二本立てで三十年を経過した。そして大過がなかったというよりは、むしろ順調なあるいは急成長に近い発展を遂げて現在に至っているということがまず前提にございます。この二本立て制度、両々相まって国民の精神生活文化生活の向上あるいは民主社会の健全な形成に寄与してきたということは疑いのないところでありまして、この二本立て制度というものはあくまでも維持されなければならない、かように考えております。  後で御質問がございましたらまたお答え申し上げたいと思いますけれども、私はこの点で、放送大学放送局がこの制度に参入いたしますことについて疑問を持たざるを得ない。これは大学制度あるいは国の財政問題、行政改革問題など私の専門外の分野のことはともかくといたしまして、多額な国費を投入して、しかもなおかつほとんど際限ないまでに国費を投入し続けていく準国営放送局という全く新しい形態の放送局が誕生いたしますことが、果たして放送制度上どういう結果をもたらすのかという点で非常に不安を感ずるわけであります。  しかし、とにかく三十年を経過いたしました現在、まず社会的な変容がいろいろございます。これはもう申し上げるまでもないことでございますけれども、いわゆる市民社会というふうなものが、受け手の意識が非常に変化をしてくる、価値観が分岐して多様化してくる、あるいは受け手の側からメディアアクセスの要求が非常に顕在化してくるという形をとる。たとえばNHK受信料制度に対する批判あるいは民放のCMに対する批判、いずれもそれぞれの事業体の経営の根幹に触れるような批判がアクセスの形で非常に顕在化してくるということ、あるいは民放の非常に大幅な発展のためにNHKの地位の相対的な低下ということも考えられなくはない。つまり以前は基幹放送そのものであったと考えられるものが、基幹的な放送といいますか、テレビジョンで言いますならば、民放の四つの系列に並列する一つのネットワークというような状況にさえ入りかねない状況がございます。社会的な変容ということは、これは皆様重々御承知のことでございますけれども、テレビというものを見る目がいろいろ変わるということも、受け手の側に非常に大きく存在しているということ、あるいはその技術的な発展、これがまた大変大きな問題であろうと思うわけです。  もともと放送法制論議と申しますものは、無線という技術的な手段と、それから周波数希少性という条件、この二つを前提にしてなされてきたわけでありますけれども、御承知のように、電気通信技術の発展がこの前提を変えつつあるということであります。  たとえば多重放送が大きく実用化に動き出しているという点、周波数の効率的な利用という意味合いから搬送波、チャンネルがふえるということがございます。それから放送衛星の利用のスケジュールももう間近な問題として差し迫ってきているということであります。地上系テレビジョンに対する宇宙系テレビジョンの出現ということであります。また、今度は有線によります情報搬送路の開発も進んでおります。これはCATVということでありますが、いわゆるテレビの難視聴解消共同受信のところから、いまやケーブルテレビそのものに変貌しようとしているということ。また、電話回線テレビ受像機をドッキングいたしました画像情報システム、現在実験の行われておりますキャプテンシステムがございますが、さらにVRSその他新しい情報サービスの手段が開発される。家庭のテレビが、単に放送局番組の放映の場でなくて、いろんな電気通信の信号のディスプレーの場所に変わろうとしている状況があるわけであります。  そういう点を踏まえまして、放送法制見直しのポイントを若干並べて申し上げます。  問題点といたしまして、いろいろございましょうけれども、まずNHKについて、それから民放について、関連いたしまして番組の問題がございますし、テレビの難視聴解消の問題がございます。それからさらに、行政の問題がございます。放送行政あり方の問題、それから近未来、ニューメディアヘの対応の問題、大ざっぱに分けてこの程度かと私は考えております。  NHKにつきましては、非常に多局化いたしてまいります民放があります、それから放送衛星その他ニューメディアの確定的な登場という見通しがありますが、すでにペイテレビの申請までなされているという状況を踏まえ、また無線通信、それから有線通信の融合していく将来図というものがありますが、こういう中で二本立て制度の一方の極にありますNHKが果たしてどうなっていくべきかということであります。  前提として私は、NHKはどうしても存続し、維持されなくてはならない公共放送事業体であると考えておりますが、こういう雑然とした将来の見通しの中で、単一の公共放送事業体としてまず特色、性格、存在意義を一層明確にしておく必要があるということ、それを支える受信料制度というものをはっきりと位置づけるという必要があるということ、この二点であります。  ただ、そのためには、やはりパブリックコントロールと申しますか、国民を基盤といたします文化事業体放送事業体としてのNHKについて反省され、訂正されなければならない点が幾つかある。  第一は、視聴者との結びつき、対応という点からの経営委員会の制度についてであります。現在の経営委員会が果たして放送法の期待しているだけの機能を発揮しているかどうかという点について、私は必ずしもそうではないと言うと現在の委員会に失礼に当たりますけれども、いまの委員会とは別に、たてまえ論として申しますならば、視聴者とのつながり、パイプのなさ、こういうふうなものから、NHKの最高の意思決定機関としての経営委員会あり方が今日的でない、あるいは将来も法律が期待している機能は果たしていかがかと思われるわけであります。  ではどうすればいいのかというふうなことになりますと、具体的には私もはっきりした案を持ち合わさないのでありますけれども、あくまでも国民の代表、視聴者の代表ということが名実ともにはっきり見えるといいますか、そういう活動が望ましい。必要ならば経営委員会事務局を持つことも可能でありましょうし、あるいはその人選そのものにもいろいろと現状を変えることが必要かもしれません。あるいはその委員会に対して現在NHKでは報酬を出しているわけでありますけれども、いわゆるワンダラーコミッティーの方がもっといいのではないか。やはり放送公共性、社会へのロイアルティーということを中心に、だれしも納得する著名な知識人言論人経営委員会の座につかれる、そしてその活動が外部から十分に見える。NHKでは現在各地の視聴者会議を持っております。これは全国五十三カ所、一千人という視聴者会議でありますけれども、NHKが自発的につくられました視聴者会議とこの経営委員会とのつながりというふうなものも何か考えられなくはないか。あるいは中央番組審議会地方番組審議会とのつながりも同様であります。  イギリスのBBCはやはり同じように十二人の経営委員会を持っておりますけれども、このBBCには一般諮問審議会という六十人ほどのメンバーの助言の審議会がございます。これが経営委員会の前の日に会合を開かれていろいろと論議をする。その内容をメモにして翌日の経営委員会がいろいろな審議をするというふうなことをやっているように聞いておりますが、こういう一般諮問審議会のようなものも十分参考になろうかと思われるわけであります。  経営委員会をあえて取り出しましたけれども、いずれにしましても、NHK経営そのものに対して新しい今日的な色づけが必要であるということであります。シビルミニマムと申しますか、ナショナルミニマムと申しますか、NHK存在理由という意味からの経営委員会重要性を強調したいと考えるわけであります。  第二点は受信料制度でありますが、国民がこれまでつくり上げてきたNHKであり、さらにこれから国民の財産としてのNHKを維持し、重用していくことの必要性というものは動かしがたいと考えます。そのためにどうしても受信料制度唯一最善の方法だ、ほかの財源措置というものは思い当たらないということであります。  ただ、これも御承知のように、現在、NHK受信料制度をめぐりましていろいろな批判がございます。かつて昭和四十一年の改正論議のさなか、NHK受信料支払い義務制がはっきり条文化されております。そしてこのときにはさしたる論議がなかったというふうに私は記憶しております。あるいは消滅いたしましたけれども沖繩の放送法支払い義務制をとっていたわけであります。それが現在の契約の強制、受信契約の締結を強制するという方式について、昨年これを支払い義務制に変えるという法の改正案が準備され、大変大きな反発、反対があったことは御承知のとおりでありますが、十五年前にさしたる論議がなかったものが、なぜいまこれだけの反発の対象になるのかというところにやはり十五年という歳月の流れがあり、やはり社会環境の変化というふうなものがあるという感が痛切にするわけでありますが、しかし、これは臨放調の答申にもございますように、契約の強制という形はやはり擬制、フィクションだ、直接的に支払い義務化の方がいいのだということが明記されておりますけれども、私もやはりそうだというふうに考えます。  ただ、これが何かNHK国営化につながるというふうな印象を与える社会環境があるということ、私がいま申し上げました経営委員会あり方論議あるいはその改善というものをめぐり、あるいはその受け手の側のアクセスの傾向も考えて、NHKがいろいろな部分でもっと受け手の側におりてくる、そのバランスの中で受信料制度支払い義務化への移行というものが考えられるべきである。唐突にこれだけの条文の改正が飛び出した。それがやはりNHK国営化というふうな印象を何となく与えてしまい、反発を買った経緯だった、昨年の状況をそのように考えております。やはりNHK全体の改善の中のバランスの中で受信料支払い義務化への移行というものは考えられるべきだし、この方が私も直接的でよろしいという感じがいたします。  NHK番組の現状につきましては、私は特に最近の番組につきましては、十分に法の期待にこたえておるというふうに考えております。この傾向が伸びていくことが望ましい。これはいろいろとそれぞれに御意見もございましょうけれども、総体として私はNHK番組全体のいまの方向は誤っていないというふうに考えております。  民放につきましてでありますけれども、民放につきましてもいろいろとございます。ただ、NHK民放、ひっくるめてと申しますよりは、むしろ民放について番組の内容の問題がウエートが大きく占めるわけでありますけれども、これはまた後ほど古谷先生の方からお話もあろうかと思われますが、特にNHKとの併存の体制の中で、民放が何をやるべきかというふうなはっきりした目的意識、これが抽象的でありますけれども、考え方としてはまず大事なことであろうと思われます。  そして具体的に言いますと、たとえば民放は御承知のように地域免許であります。地域免許であるということから、ローカル番組放送の義務づけというものが放送法にはないわけでありますけれども、経営の要請からいたします番組系列化中央集権化といいますか、ネットワークの形成によりまして、やはりローカル番組そのものの量は現在やはり少ない。一昨年の再免許の際の郵政省の資料を拝見いたしましても、やはり一二、三%程度にとどまっておるということで、やはりローカル番組自社制作番組がもっとふえるのが好ましいし、そうあらねばならないと考えます。  またテレビ難視聴解消努力も、NHKと違いまして民放の場合は義務づけがなされておりませんけれども、これはやはり国民の電波を独占的に利用して企業いたします民放であってみれば、やはり公共性という意味合いから、もっとテレビ難視解消努力があってもいい。いまのところNHKに対比して、これはNHKの場合には法の義務づけがありますから当然ではありますけれども、少ないという感じがいたします。  テレビ番組の低俗、俗悪論議というものが一ころ非常に盛んでありました。ただ、ここ一、二年、これがテレビのCMに対する批判にとってかわられた印象が非常に強くいたします。これはアメリカでのCMをめぐるいろいろな批判の動きとも連動しておりますし、国際児童年があったというふうなことから、特に子供向けのCMについての論議がにぎやかになったということもございます。  これは消費者団体婦人団体からの批判の火の手が高くなり、公正取引委員会もこれを取り上げて、報道によりますと、ガイドラインの作成まで考えているというふうに伝わっております。しかし、やはりCMといえども番組でありますから、軽々な法によります規制は問題であります。  ただ、CMも番組である半面、広告でありますから、当然経済法規によります規制は受けるということであろうと思います。虚偽、誇大、不当表示、こういうふうなCMにつきましての経済法規による規制というものはあってもやむを得ない。そのほかはやはり番組同様、あるいは各社の番組基準の問題であり、番組審議会の問題であり、あるいは民放連放送基準あるいは放送基準審議会の問題であり、日本広告審査機構あるいは放送番組向上委員会、こういった自主規制の機関の仕事の枠の中に入るというふうに考えます。  番組の低俗、俗悪問題につきましても、やはりこの点自主規制にゆだねるしかないというか、ゆだねるのが法としてとるべき道であるということであります。ただ、番組審議会あるいは番組基準、これが有名無実といいますといまの民放に失礼でございますけれども、やはりもう少し規定の整備をするなり、この自主規制の機能がもっと効率的に作用をできるような何か方法はないかという必要最小限な整備をあるいは考えてよいのではないか。現在の民放界では、これも失礼な言い方になりますけれども、責任の第三者委任といいますか、そういう傾向が若干目立ちます。たとえば何か問題が起これば、民放連放送基準はこうだとか、あるいは番組向上委員会はどうだとか、ジャーナリズムでもこういうふうな取り上げ方が非常に強く目につきます。番組が自分のところの唯一の商品であり、それがりっぱに社会に役立つという前提で言うならば、自社の番組基準番組審議会の運用こそが大事なのであるということであります。  もう一つ民放につきまして、マスメディア集中独占排除措置見直しという問題がございます。これはマスメディア特定者によって独占され、あるいは特定者に集中する状況が好ましくないのは明らかでありますが、これはもう民衆社会にとって当然のことであります。この大前提で見ました場合、現在どうなのかという点、すでに幾つか問題は考えられるわけであります。あえて端的に申し上げますならば、たとえば大新聞社民放テレビキー局との提携、ドッキングの形、これがこれでいいのか悪いのか。いいとするならば、じゃどこまでが限度とされるべきか。特に行政という面で見ますと、私どもの目に映りますのは、やはりこういうマスコミ集中独占の排除ということが中央に甘くて地方に厳しい。民放の場合、地域免許でありますから、そのたてまえから言いますならば地方に厳しく映るのでありましょうけれども、しかし現実にネットワーク番組系列ということで縦割り民放勢力ができ上がっております状況の中で、これでいいか悪いかという——悪いと言っているわけではない。これでよいならばよいというふうにはっきりすればよろしいわけでありますけれども、これがもたらす弊害その他をいろいろと御勘案くだすって御審議いただければと思うわけであります。  あるいは関西の一部の民放では、代表取締役が二社、大阪と、もう一つの地域代表取締役を同一人物が兼ねているというケースがあるように聞いておりますけれども、こういうことが少なくともいまの行政のたてまえからどうも首をかしげざるを得ないということがございます。  ただ、これからいろいろな電気通信技術電波技術が発展していく中で、ブロードキャスティングがいわゆるナローキャスティングにかわっていくということですから、三十年前のこういうマスコミ集中独占排除措置がそのままいま生きるとはゆめ思えないわけであります。これも今日的な視点で改めていろいろとお考えを願いたいということであります。  もう一つ、行政についてでありますけれども、これも問題点の指摘にとどめて、あと御質問がございましたらちょうだいいたしますが、やはり現在の行政機構といいますか、かつて昭和二十五年当時電波監理委員会があり、それが数年を経ずして消滅したといういきさつから、独任制郵政大臣という行政機構で推移してきたということでありますが、周波数割り当てという最も重要なアクションにつきまてしも、やはり割り当て基本方針は法律で明記しておくべきではないかという気がいたします。と申しますのは、現状では大臣の裁量の幅が大き過ぎるということ。こういう点でメリット、デメリットを考えるというよりは、やはりある程度法律で基本方針を明示しておいて、そしてそれに準拠した形での大臣裁量というものが行われるという方が自然であり、合理的であろうかと考えます。  行政委員会の構想の是非についても当然論議があるわけであります。この行政委員会という構想が、アメリカと違って日本の政治風土になじみにくいということもあり、これが消滅したといういきさつがあったわけでありますが、ただ、行政委員会問題を論議することによっていまの電波監理審議会の権限の問題が浮かび上がる。私はいまの電波監理審議会の権限がもう少し強化されてもいいというふうに考えております。議決が大臣を拘束する範囲というものを、いまのところ異議申し立てについてのみでありますけれども、省令の制定やら予備免許の交付その他についてまではどうであろうかというふうに考えます。むしろ具体的にはそれぞれ行政府の方のお考えもございましょうし、はっきりとした点は申し上げにくいわけでありますけれども、やはり電波監理審議会がもう少し強い権限を持つ。単なるいまの審議会とは別に、たてまえ論として申し上げますが、お飾りといいますか、民主的な手続ということだけで終わっていてはいけないという気がいたします。あるいは、周波数割り当てその他につきましても、国民参加聴聞会の開催といったふうなものも考えられはしないかというふうな希望も持っております。  先ほどから申し上げておりますが、有線、無線の融合ということが情報化時代の一つの特徴として浮かび上がってきておりますが、いまの行政府電波監理局電気通信政策局と二頭立てでいろいろお仕事をされている、これでいけるのかどうかということでありますが、有無線の融合というふうなことを前提に考えまして、この二つの局の融合なり合議というふうなことから新しい将来の見通しが描かれなければならないという気がするわけです。  非常に端的に希望を申し上げますと、この委員会での御審議の進捗によって、今度は行政府の方が第二次臨放調というふうなものでもつくられて、そう遠くない将来放送法制根本改正を考えるべきだ。これは現在郵政省の方には、たとえば放送多様化に関する調査研究会議、あるいは電波利用開発調査会、この下部に衛星部会というのがございます。私も加えていただいておりますBS13の分科会というものもこれに所属しておりますけれども、放送衛星を主としてやるわけであります。あるいは有線テレビジョン自主放送の発達普及に関する調査研究会議、あるいは電気通信政策局の方では電気通信政策懇談会というふうな会合をお持ちになっていらっしゃいますが、これらのプロジェクトの結論、報告が公になりました時点あたりが私はタイミングではないかという気がしております。  関連いたしまして、そのほかの有線テレビジョン放送法その他の法律あるいは関係省令の整備その他も当然急がれなければならない、かように考えております。  時間が超過いたしまして申しわけございませんが、後でまた御質問をちょうだいいたします。
  4. 加藤常太郎

    ○加藤小委員長 どうもありがとうございました。  次に、古谷参考人にお願いいたします。
  5. 古谷糸子

    古谷参考人 古谷糸子でございます。  いま大森さんから基本的な問題についていろいろとそれこそすみずみまで御説明がありまして、私もその中で、たとえば経営委員会とか番組審議会あり方、それからCMの誇大広告のはんらん、それから電波監理審議会の強化、そういう点で大変共鳴するものでございますが、いまはかたいお話ですので、私はもっと砕いて——砕いてと申しましても、私は大森さんのように放送評論家ではなく、ほかにいろんな問題、仕事を抱えておりまして、ただ、番組について私いまも一つ新聞に放送についてのことを書いておりますし、それから芸術祭とか、放送文化基金賞、テレビ大賞などの審査員もしておりますし、五、六年前までは一週間に四つぐらい新聞に番組評を書いておりましたので、多少は番組を見ていると思いますが、そういう観点から何かお話ができるかと思いましたのですが、余り前もって私の方から申し上げるよりも、後で皆様からの御質問にお答えするという形の方がいいのじゃないかと思いまして、きょうは何も用意しないで参りました。  ただ、これはテレビ放送の弁護になるかと思いますが、わりと最近は、ことにお母さんたちは、テレビというものを何か悪いもので、テレビはうちではもう見ないことにしましたとか、それからテレビはよそにやっちゃったとかということを大変いいことのように話しておりますが、これは大変な時代錯誤で、やっぱり放送というものは現代の重要な文化財の一つであって、ただそれが修身のようにきちんとしていることがいい番組だとは思わないわけです。ただ、大変話をあれして申し上げますと、やっぱりテレビは、ラジオもそうですけれども、速報性ということ、これは非常に重要なあれで、これを無視して、テレビはくだらないからやめるとかなんかという考え方は少し飛躍していると思うのです。  やっぱりテレビ、ラジオの速報性ということ、これは新聞もかなわないと思うのです。たとえば今度のストの場合にしても、テレビを見ていますと、もうスト解除になったなということは新聞の前にわかるわけですから、これをもっと重要視すべきだと思いますし、それからこれは何かの機会に書こうかと思っているのですけれども、各放送局NHKや民法も皆独自の取材網を持ち出したということ。前は通信社とか新聞社のニュースに頼っていたと思うのです。何かありますとすぐ新聞社なり通信社の特派員や何かの話を聞くというようなことでしたけれども、ここ六、七年、もっとになりますか、皆自分のところの放送記者というか、特派員を通していろいろな話を解説したりしています。これは大変な進歩だと思いますし、そういうことでお互いに競争することによって特だね競争もあるわけで、特だね競争というのは報道の速報性、それから言論の自由というものを公開するという意味で、これは非常に軽く見てはいけないことであって、やはり必要だと思うのです。私も新聞記者をやっていましたので、そういうことを非常に敏感に感じるわけですけれども、このごろは放送の方が先に特だねを出して、それで新聞社がそれを追っかけるということもあります。民放にもNHKにもそういう例がありましたけれども、最近では防衛庁のスパイ事件ですね、あれをNHK放送しましたので、私はそういうときすぐほかのチャンネルを回して聞くんですけれども、ほかではやっていなかった。しかし新聞、夕刊を待って見たけれども、夕刊には出ていない。おかしいなと思って、翌日の朝刊を見たけれども、朝刊にも余り出ていない。これはどういうんだろうかなと思って、後で聞いたら、NHKの特だねだった。だけれども、テレビの場合は、新聞と違って、速報性が特だねにも影響しまして、これが特だねだという印象は一般の人はあるいは感じないかもしれないんですけれども、そういう面が非常にあるわけですね。だから、各局が取材網を強化して、お互いに競争してニュースを報道するというような形に持っていけばいいのじゃないかと思います。  それから、そういうニュースや何かに対して一つの圧力みたいなものがかけられて、できない、そういうことは余りないと思うんですけれども、そういう圧力に対して放送局自体が自粛するというようなことがあったとすれば、やはり報道の上でマイナスでございますし、あくまでも大っぴらに競争させて、そういうものをどんどん放送して、それに対して反対なり何なり批判をすることは一向構わないことだと思う。ただ、これはけしからぬということで抑えつけることはやってほしくないということ、これは一般の視聴者も非常にそれを希望しているわけです。そういう圧力がかかったということになりますと、たとえば圧力をかけてそれを取りやめにした場合、やはり視聴者はそういう放送というもの、またはそれをやめさせた圧力に対して不信感を持つと思うのです。ですから、これはあくまでも公開すべきだと思います。それはニュース報道だけではなく、娯楽番組とか——くだらないとか、つまらないというものはずいぶんあると思います。暴力の問題それからポルノ的なあれもあるわけで、必ずしもいいとは思わないけれども、それを一つの圧力でやめさせるということは、映像の自由というたてまえからあってはいけないことだと思うんです。  そういうようなことで、私はわりと放送ということに対して寛大なんです。寛大だから何でもいいということではないんですけれども、基本的には寛大であって、その上でいろいろ批判なり何なり出てくれば、それは一向に構わないことじゃないかと思います。  そのぐらいにしまして、あと皆様からの御質問にお答えすることにいたしたいと思います。
  6. 加藤常太郎

    ○加藤小委員長 以上で参考人からの御意見の開陳は終わりました。     —————————————
  7. 加藤常太郎

    ○加藤小委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。鈴木強君。
  8. 鈴木強

    鈴木(強)小委員 きょうは両先生には大変御多用のところ、本小委員会にお出ましをいただき、貴重な御意見を拝聴させていただきましてありがとうございました。何せ十分間だそうですから何もお伺いできませんで大変残念でございますが、また機会を改めてお尋ねすることにいたしまして、実は大森先生にちょっとお尋ねしたいのでございます。  御意見にございましたように、昭和三十九年に臨時放送法制調査会から答申が出まして、御指摘のように四十一年、改正法案が出されました。これが流産になりまして今日に至っておるわけでございます。その間、放送大学学園法というものがいま国会で審議中でございますが、準国営的な放送が一本入りまして、公共放送民放二本立てというものがここに崩れたとわれわれは見ておるわけでございます。したがって、いま先生がおっしゃったように、それから十数年の歳月が流れておるわけですから、もう一遍洗い直して、そして第二臨時放送法制調査会というものをおつくりになってやったらどうか、こういうお話でございますので、私どももまた同じような意見を持っておるものでございますから、また懇談会でこれからも引き続いて郵政当局ともいろいろやりたいと思います。  そこで、問題になりますのは、御指摘の大臣免許の件でございますが、現在はストレートで郵政大臣の認可になっているわけですね。これがテレビが発足した当時から大変な問題になりました。いろいろ政治的な裏の動きもあることを私も承知しておるわけでございます。ですから、ここのところは速やかに改正をしなければならぬと私は思うわけですが、特にFM放送は、NHKは全国的に各県ごとに許可されているわけですが、民放につきましては大阪とか東京とか福岡とか限られた地域にのみ免許されているわけです。これをわれわれは、NHKと同じように全国的に早くチャンネルプランを立てて許可すべきであるという意見を述べておるのでございますが、なかなか進捗しないというので、ちょっと頭を悩ましておるのでございます。先生はこのFM放送免許に対してどのようにお考えでございましょうか、それをお伺いしたいのです。  それからもう一つは、一般放送事業者の場合に、放送法第五十一条の二にございますが、電波法第十四条第三項第三号によりまして放送区域が決まっておるわけですね。この五十一条の二におきましては、明確に「一般放送事業者の放送局放送区域と他の一般放送事業者の放送区域とが重複する場合において、その重複する部分が当該いずれかの一般放送事業者の放送区域の三分の二以上に当たるとき又はその重複する部分の放送区域内の人口が当該いずれかの一般放送事業者の放送区域内の人口の三分の二以上に当たるときは、これらの一般放送事業者は、共同して審議機関を置く」、これは番組審議会のことでございますね。そこで、電波法によりまして放送区域が大臣免許の際に決められるわけです。これは電波法第十四条三項でございますが、これが最近非常に入り組みまして問題になっているのでございまして、いわゆる相互乗り入れ、こういった制度の改革をしたらどうかという意見があるのでございますが、これについてどんなお考えをお持ちでございましょうか。  もう時間がありませんので、あとちょっと古谷先生の方にお灘ねすることといたしまして、とりあえず大森先生、その点いかがでございましょうか。
  9. 大森幸男

    大森参考人 大変むずかしい御質問で、論評する立場からとしてはお答えしにくいわけでありますけれども、FM放送につきまして、民放FMの拡充ということでいま予備免許処理が進み始めているというふうに拝見しておるわけであります。FM放送は、既存の大都市四局の業績その他から見まして、あるいは最近の一般の方々のオーディオファンの激増やらいろいろな状況もありまして、FM放送が新しいラジオ、音声放送として非常に高く評価されているという状況は確かにある。ですから、FM民放をふやしていくというその行政の方針はまことにもっともだと思うわけでありますけれども、ただそれがなぜきちんと——FM放送の、とりあえず東京、大阪、名古屋、福岡にある四つの局に準じた音楽専門局的な民放をふやしていく。しかし、ほかの二局目あるいは三局目については一体どう考えているのか。あるいは外国混信に悩む中波の民放がその代替を要求したときにどうするのか。あるいは総合局だけでは同じようなことになるから、むしろ別な専門局を考えてもいいのではないか。いろいろな意見があります。それを行政府として、大臣として幅広い、はっきりしたスタンダードをお示しにならないと、小出しにちょこちょこと割り当てをする、それで競願が殺到する、延々と競願状態が続く、そういうふうな状況は決して好ましくない。日本の音声放送のこれからをこうするんだというはっきりした指標を郵政大臣がお示しになる、これがまず先決であろうと思うわけです。  その免許全体について、いまの物理的な、施設的な一般無線局の免許と同じやり方が、いいのか、あるいは一部にいろいろございます事業免許制がいいのか、これはこれからの法制論議の中で非常に大きなテーマだと思います。これも論議を尽くされる必要があるのですけれども、少なくともいまの状況の中でも、これからの日本の音声放送はこうあるべきだ、もうとりあえずの第一次的な民放FM免許の拡充が終わったならば、一斉に全県やってもいいではないか。思い出したようにぽつんぽつんと第一次、第二次、第三次というふうに割り当てていかれることは、次はどこだという、何かそういうレース的な興味みたいなことさえあって、決して好ましいことではない、私はそういうふうに考えるわけです。  ただ、競願が非常に殺到する、一本化調整のむずかしさというふうなものも十分にわかりますが、申請が多いというのはその地域住民のニーズが多いというふうに割り切らなければ仕方がないわけであります。地域によってこれから数が決まりましょうけれども、とりあえず全県ひとしく一斉にチャンネルの割り当てがあってもいいのではないか、私はかように考えております。  御質問の二番目の相互乗り入れでありますけれども、これも非常にむずかしい問題であります。まあ予備免許処理あるいはチャンネルの割り当てその他、いろいろと拝見しております限りでは、基幹的地域と準基幹的地域、そういうものの区別がだんだん薄くなって、全国三局ないしは四局地域になる。あるいは民力度の低い——低いと言うと失礼でありますけれども、経済的に余裕のない県では、四局のかわりにむしろ隣接する県と相互乗り入れをして、四系統の民放番組を見せる。それはそれでよろしいわけでありましょうけれども、ただ、地元の申請というものをやはり第一義的に考えるのが筋だろう。地域免許であります。そしてその地域でやれるという申請があるならば、やはりそれは十分に考えなければならない。やみくもに相互乗り入れを行政のアクションとして強行するのには、やはりワンクッションもツークッションもあっていい。考えるべきことはもっとあるのではないかという気がしてならないのであります。  お答えになりましたかどうかわかりませんけれども、やはりここで新しく、地域免許という原点に民放、特にテレビは戻るべきだ。番組系列が四つだからどうだということの前に、やはり地域社会のための民放という原点に戻って考え直すべきではないかという気がしております。これは少し青臭い、書生っぽい議論でございまして恐縮ではありますけれども、少なくともいまの法制のたてまえがそうであるならば、それを議論してから相互乗り入れば考えるべきだ、かように考えます。
  10. 鈴木強

    鈴木(強)小委員 それから放送免許のことですけれども、御承知のように大臣免許になっておりまして、先生のお話の中にも、四十一年の行政委員会設置のような問題もございました。いずれにしても電波監理審議会というのがあるわけですから、審議会がもう少し強化されて、そしていろいろなものについてもう少しやったらどうかというような御意見でございましたかね。したがって、何かチェック機関があって、そして大臣がストレートでなくて、各方面の方々が集まってそこで十分に審査して、大臣がそれに諮問して、その答申を得て免許するというふうな、そういう形に早く持っていった方がよかろうとぼくは思うのでございますけれども、なかなかこれが、十数年もたなざらしにされまして、一向に電波法改正というものが、ちょこちょこっとその場限りのものが改正されて、基本的なものは依然としてそのままになってきているということで、われわれとしてもじりじりしておるわけですけれども、せめて法律改正が全面的にできないとするならば、この免許権の問題にかかわる、仮に審議会でもいいですから、それに諮問をして大臣が認可するというふうな、そういう形にした方が非常にいいと思うのですけれども、その辺はいかがでございましょうか。
  11. 大森幸男

    大森参考人 私も同感でありまして、電波監理審議会権限強化ということは、まあ電波行政全般についてもそうでありますが、電波放送行政の根幹をなす免許処理の問題については、先生のおっしゃるとおりだというふうに考えております。
  12. 鈴木強

    鈴木(強)小委員 それでは、時間がありませんので、古谷先生にちょっとお尋ねしたいのでございます。  まず、NHK民放、両立しておるわけですけれども、まあNHKが二チャンネルですね。あと、4、6、8、10、12と、民放が五チャンネルあるわけですね。したがって、番組を見ましても朝から晩までやっておるわけです。十二時半、一時ごろまでやっているのもあるのです。省エネの関係でこの委員会でも要請がありまして、できるだけ早目に切り上げたらどうかというような意見もありますけれども、生活状態も変わっておりますしするので、なかなかそうもいかないというのでやっておられるのだと思いますけれども、NHKは大体、特殊の日を除いて十一時十分が最後ですか、ですから半ごろには終わるのではないかと思うのですけれども、民放がたくさんありまして、何かむだなような気がするのですが、それが一つです。  それからもう一つ番組のことで、先生非常に寛大だとおっしゃるわけですけれども、それはそれで言論、報道の自由を守るという立場からよくわかります。ただ、放送基準というものが一つありまして、民放NHKもそれに基づいて番組を編成するわけですけれども、その基準を逸脱していくようなものがわれわれの目から見てかなりあるように思うのですね。ですから、公序良俗に反しないということを条件に言論、報道の自由というのが認められておるわけですから、そういう意味から言いまして、先ほどのポルノの問題だとかいろいろな、ちょっとわれわれチャンネルを切りたいような番組もあるわけでございますが、そこらについて青少年の非行化の問題との関連がなきにしもあらずというふうに私は思うのでございますけれども、先生、どんなふうにお考えでございましょうか。
  13. 古谷糸子

    古谷参考人 最初に、たくさんあるということですね。確かに同じような番組をやっています。そういう意味では確かにむだだという感じを受けないことはないのですけれども、ただ、たくさんあるということは、ある意味では自由に競争できるという意味で必ずしもそう悪いことではないという気もするのです。それは非常に寛大と言えば寛大ですけれども、私はできるだけたくさんのものがお互いに競争し合って、そしてそこで切磋琢磨すればいいのだけれども、切磋琢磨じゃなくてお互いに変なものをつくっているという面も確かにございますね。そういうものに対しては批判があっていいし、当然そういう批判は出てきておると思うのです。だからそういう点を、これはけしからぬからやめろというようなことは、それは決していいことではないけれども、批判することは一向に構わないと思うのです。  それから、夜遅くまでやっているということ、これは私も初めはそう思ったのですが、お年寄りは夜眠れなくて、そういう人たちはテレビの最後のぎりぎりまで見て、それから寝るのだということをよく聞くのです。それで私も、年もそうですけれども、昔から寝床へ入ってから本を読みます関係で、わりと夜は遅くまで、ときには朝まで本を読んでいることがあるのです。そういうことで、いまでもときには夜遅くまで眠れないというか、眠らないというか、そういうことからお年寄りの人たちはどうなのかなと思ってそれぞれ聞きますと、皆そういうふうに言うのです。だから、最近大分最後の時間が早くなりましたので、あのお年寄りたちは困っているのじゃないかなという気もするのです。それもできれば、くだらないものを遅くまでやるのはよくないけれども、前はわりと名画、外国もの、洋画のいいものを二時くらいまでやっていました。そういうのは私はよく見ていましたけれども、このごろは本当に見る気のしないような、種がなくなったのかもしれないですけれども——そういうことを考えますと、必ずしも早くやめることがいいことかどうかということ、お年寄りの場合なんかをあれしましてそういう気がするのです。だから、どっちとも言えないような気がするのです。
  14. 鈴木強

    鈴木(強)小委員 青少年の非行化との関係……。
  15. 古谷糸子

    古谷参考人 それは、やはりそういう変な番組はありますね。ああいうのを見ていて、これはやはり若い人たちが見たらどうか、刺激されるのではないかなという気は私もするのです。ところが、外国特派員で行っていました商社マンの人に——私は、これはポルノ映画のあれで証人に行って法廷へ出たことがあるのです。私は決してポルノ映画を好きじゃないし、自分でも見ないのですけれども、そういう関係の委員もやっておりますので、仕事の関係で見ることがあるのです。そうでなければ、自分がお金を出して見に行くとか、それからテレビで見るというようなことはしないのですけれども、そのときに若い人の意見を聞きたいと思って聞きましたら、主に東南アジアの方に行っている商社マンたちですが、向こうはそういうものが全然ない、ところが日本へ来てみて、日本というのはとてもいい、いながらにしてそういうポルノ的なものが見られていいということ、それは必ずしも好奇的な意味ではなくて、それを見たために非常にすかっとするのだというようなことを聞きまして、そういう利益もあるのかなとそのとき初めてわかったのです。だけれども、それがいいかどうかということはちょっと即断できないですね。やはり規制ということはできないにしても、ある程度批判して、なるべくそういうものをよくしていかなければならないということは私も同感ですが、ただそれだからそれをやめてしまえというようなことは、やはり言論の自由という上からどうかと思うのです。それで、逆のそういう効果もあるらしいですね。若い人たちでも、それを見たために何かつかえたものが治ったというふうな話を聞きます。だけれども、それはちょっと横着じゃないか、そういうものを家庭で見なくても、たとえば映画館へ行きまして、成人映画なんかありますね。そういうところへ行って見ればいいじゃないかという気もするのです。だから、そこら辺のところは私もこれがよくてここまではいけないということは、ちょっとはっきりとした答えは出せないので、ただ何とかもう少し上品というとおかしいのですけれども、いいものというとおかしいのですけれども、局側が自粛してほしいという気はいたします。
  16. 鈴木強

    鈴木(強)小委員 ありがとうございました。
  17. 加藤常太郎

    ○加藤小委員長 阿部喜男君。
  18. 阿部未喜男

    阿部(未)小委員 大森先生、古谷先生、お忙しい中を大変ありがとうございます。私どもの不手際で時間が非常に少なくなりまして申しわけないのですが、問題をしぼらせていただきます。  大森先生からのお話で、いわゆる放送大学学園法について、放送法制上いかがなものだろうかというお話を承りましたが、私も実は財政の問題とかあるいはカバレージの問題、学問の自由というような問題を抜きにしまして、いわゆる放送法制上の問題としていま計画されております放送大学学園は、明らかに全国民を対象にした生涯教育でございまして、その中で一定の条件を持った者だけがいわゆる大学、放送大学卒業の免許を与えられる、そういう性質のものでありますだけに、二本立て放送という、いわゆる国家権力が放送を持つことに対する国民の拒否反応が大体定着してきておる中で、全国民を対象にする生涯教育がいわゆる政治権力の手によって、早く言えば準国営的な放送局として開設をされるということについて、先生は問題があるという御指摘でございましたが、もう少し明確に先生のお考えをお聞かせいただきたいのです。  二点目。まとめて質問させていただきます。二点目はNHK受信料の問題ですけれども、いわゆる義務制の問題が十五年前には問題にならなかったのに、今日受信料の義務制が非常に問題になった、それ自体に問題があるのではないか、そういうふうな御指摘でございましたが、しかしやはり法律改正して義務制については考えるべきではないかというのが先生の御主張のように受け取られましたけれども、今日受信料義務制が問題になった陰に、私は公共放送としてのNHKの中立性に対する国民のそれぞれの考えがあろうかと思います。そういう意味からするならば、公共放送としての中立性を維持させるための担保として、支払いの自由とは言いませんが、現行でもある程度規制はされておりますけれども、現行ぐらいで、中立性が失われたときにはそのNHK受信料に対して抵抗できるぐらいの、いま程度制度の方がいいのではないか、そういう気がするのですけれども、これが二点目、大森先生にお伺いしたい点です。  それから古谷先生、先ほど来言論の自由、放送の自由という立場から、番組についてはかなり寛容であっていいのではないかという御指摘でございました。私ども全くそのとおりだと思います。しかし、最後に先生は、規制ではないが自粛してもらいたいようなものもあるのだというふうなお言葉でございましたし、私どもも、だれが見てもこれがワーストだ、これはいい番組だとは言えないまでも、何となくみんなが見て、これはどうもワースト番組ではないかというふうなものがやはりあるように思われます。そういうものの場合に、先生のおっしゃった自粛という手段がどういう具体的な方法で自粛をさせられるのだろうか、その手段について何かお考えがあればお聞かせいただければありがたいと思います。  以上、三点でございます。
  19. 大森幸男

    大森参考人 それでは、まず放送大学についての御質問でございます。  私も申しましたし、いまの御指摘にもございましたように、大学制度上、あるいは国の財政上、大変な問題を抱えている放送大学でございますが、私、文部省の第一回目の委員会委員にさせられた経過がございまして、そのときにも、その放送大学の中身はともかく入れ物についてどうするかという点で私は非常に異論を申し立てて、結局そこはさわらずに中身だけの答申をしたという記憶がございます。いまだにそこが解決されずに現状に至ったなという感慨を持っております。  ただ、これが文教委員会の方の先議事項というようなことで逓信委員会の方での十分な御意見放送大学学園法に入っているかどうか、私はよく存じ上げないわけですけれども、いまのお話にもございましたように、放送大学、いわゆる大学教育、イギリスのオープンユニバーシティーに範をとったユニバーシティー・オブ・ジ・エアという構想でスタートして、大学卒業、学士号を与える、いわゆる学士さまに茶の間でなれるといううたい文句で来ましたものが、昨年の衆議院の文教委員会の附帯決議を見ますと、生涯教育が一番最初に出てきております。私は、大学教育についての問題もさることながら、改めて生涯教育を真っ向から振りかざした放送大学であるならばますますぐあいが悪い。生涯教育というのはテレビの教育的機能そのものの問題でありまして、いわゆる準国営ともいうべき、巨額な国費を使う準国営放送国民の生涯教育を担当することにまずどうしても疑問を抱かざるを得ないということがございます。  それから、以前から申しておることでございますけれども、放送大学の講義はすなわち放送番組でありますが、これが、四十四条関連のいわゆる番組にかかわる最小限の歯どめはございますが、大学の自治、学問の自由というものと番組の編集権の自由、放送言論の自由の最小限の歯どめとの兼ね合いが果たしてうまくいくのかどうかということが大変気になるところであります。  しかもなおかつ、教養学部だけの単科大学だということでありますが、これが東大をつくるような大変な騒ぎで論じられております。そして、その放送大学教養学士という学士号が社会的に十分に認知されるのかどうか。それだけのお金を使うならば、私は、通信教育の方にもっともっと助成をすべきであろうし、あるいは生涯教育ということを言うならば、NHKの教育放送、教育テレビそのものの問題でもあろう、そういうふうに考えておりまして、どうも放送大学学園はともかくとして、放送大学放送局あり方について、受信料によるNHK広告収入による民放という二本立ての中に、非常に大変な国費を使う準国営放送の参入が大きな動揺を持ち込む。これが将来に悔いを残すことがないように十分に国会での御審議をお願いしたいと考えておるのです。  それから、受信料支払い義務化の問題でございます。これは私は、いまの受信契約強制する条文の規定が受信料の支払い義務と実態においてさして変わりがないという前提で話を実は申し上げたわけでございます。契約強制するということよりも支払いを義務づける方がわかりいいし、むしろ憲法上の疑義がないのではないかという気もしております。ただ、御指摘のようにNHKの中立性その他がいろいろ言われます時点で、契約というワンクッションを置いておいた方がいいというお説にも十分首肯できるわけでありますけれども、ただ私が申し上げますのは、昨年の三十二条の改正案の出し方が非常に唐突で、たまたま時の状況NHKをめぐるいろいろな別な問題もあって、NHKの国営放送化ということがジャーナリズムで取りざたされたという状況があったわけでありますが、ただNHK全体の視聴者対応国民との結びつきを強固にしていくというバランスといいますか、その勘定といいますか、てんびんにかけて、これだけNHK視聴者の方に近寄るし、中にも入ってもらうし、みんなの代表でやっていこう、だから支払い義務化という明確な形にしてほしいというような、いわば一種の取引というような形と考えてよろしいわけですけれども、そういうところで初めてこの支払い義務制の問題が論じられるべきだ。私は昨年の三十二条だけの改正については大変不満でありましたし、疑問も持ったし、これでは誤解されても仕方がないという印象すら持ったわけであります。先生がおっしゃるようにNHKの中立性について先行き不安を持たれる方がおります。われわれもそうでございますけれども、それはNHK全体の仕組みを大きく変える今度の全面的な見直しの作業の一環でこの受信料問題を包括してとらえるべきだ、さように考えております。
  20. 古谷糸子

    古谷参考人 大変むずかしい問題で、口で言うことは簡単ですけれども、実際問題としてはむずかしいと思うのです。大人の場合は問題ないですよね。そういうのを好きで見る人は私は一向構わないと思うのです。若い人が非行に走る。私はああいうものを見て非行に走るというのは言われるほどはたくさんはないような気がするのです。それと、そういうものを見なくても外にはいろいろなブルーフィルムなんかありまして、そういうことから見るよりは、ああいうふうに大っぴらに見る方がむしろ、いいとは言えませんけれども、被害は少なくて済むのじゃないか。と思いますのは、実はこれは私の自分の考えだけではなく、若い人の意見をそうしたたびにいろいろ聞くのですけれども、非常にまじめな青年なんですが、その人にポルノ映画やなんかどう思うかと言ったら、そういうものはポルノ映画とかテレビであるとかそういうものを見なくても、外でブルーフィルムを見る機会が幾らでもある。自分も高校生のときにそういうものを見せられて、非常にショックを受けて学業を放てきしたことがある。これは自分だけじゃなくて、友達にもそういうのがあるということを聞きました。外へ行けば、たとえば週刊誌なんかでもかなりえげつないことを書いていますね。そういうことを考えますと、テレビだけがそんなにあれかなという気もするのです。だから、テレビはどんなことをしてもいいとは思いませんし、悪いところは考えていかなければいけないのですけれども、言われるほどああいうものを見て非行に走っているかなという疑問も一面にあるのです。だからこうしなさい、こうすれば大変明確にあれになるということはちょっと私も言えるだけの自信がないのです。むしろ隠れて若い子が見るというのじゃなくて、親たちも一緒になって見るというふうにした方がいいのじゃないかという気もするのです。また、そういうものが向こうから出てきても、テレビの場合いつでもスイッチをひねればいいわけですから、週刊誌とかほかのところでそういうものを見るよりはあるいはいいのじゃないか。これは少し寛容過ぎるかもしれませんけれども、そういう気もします。それをどうしたらいいのかなといつも自分で自問自答していますので、はっきりとこうすべきだという答えは、大変申しわけございませんけれども、いまのところございませんです。
  21. 阿部未喜男

    阿部(未)小委員 どうもありがとうございました。
  22. 加藤常太郎

    ○加藤小委員長 鳥居一雄君。
  23. 鳥居一雄

    鳥居委員 鳥居一雄でございます。きょうは大変お忙しい中、ありがとうございます。いろいろ御陳述をいただきましたが、私は最初に大森参考人にお伺いしたいのです。  昭和四十一年の全面見直しに当たりまして、視聴者の意向を十分に反映できるようにということで、世論委員会ということで法制化の動きがございました。現在NHKの場合には視聴者会議がございますが、当時考えていた世論委員会なるものの役割りをこの視聴者会議そのものが現在果たしているだろうかという点、疑問に思うわけですが、この点はいかがでしょうか。
  24. 大森幸男

    大森参考人 世論調査委員会構想は、いま御指摘のとおり四十一年の改正案にもございましたし、あるいはそれ以後歴代大臣放送法改正問題に触れると間々御発言もございました。あるいは現在でも、全面見直しの中に法定の第三者機関という形での世論調査委員会的なものの設置論議が確かにございます。  ただ、世論調査委員会というのが法定で果たして何をどうやるのかということが私はよくわからない。NHK視聴者会議は、両院の逓信委員会の附帯決議その他で指摘されました視聴者意向の吸収ということから、NHKが自発的に視聴者会議を全国的につくられて意向吸収に努める。その効果が、現実にはNHK番組に反映して、目立たないながら上がってきているという印象を受けるわけでありますけれども、いま論議されております世論調査委員会機能とは少し別であろうと思われるわけです。ただ、これは四十一年当時のいわゆる一億総白痴化、低俗、俗悪番組批判、こういったものが念頭に買かれての委員会であったと思われますけれども、私はこういう法定の機関が事番組に関して出てくるのは好ましいことではないと思う。やはり事番組に関しては業界の自主規制にゆだねるのが何よりも大事なことであるということでございます。  御承知のように、放送番組向上委員会という任意団体がございます。これは、特に任意団体にしておりますのは、いろいろな政治の束縛から離れるという意味合いでございましょうが、今日出海先生を委員長にしていま活動しておりますけれども、こういう現在ございます番組向上委員会あるいはこういう自発的な機関NHK民放がもっともっと力を入れて活動させる。これはもう金銭的な経済的な支援ということも含めましてこういう活動を盛り上げるというふうなこと、各社の番組審議会とこの向上委員会とのつながりのようなものも具体的にもっともっとあっていい。  私は向上委員会のお供でよくときどき地方に参って視聴者懇談の席に連なることがございますけれども、番組向上委員会というものがりっぱな先生方をそろえて現在存在しておりながら、余り周知されていない。あるいはこういうことを言っては失礼でありますけれども、NHKは、番組向上民放のことだ、おれの方は関係ないというふうな考えがあるかもしれない。民放さんの方では、ひとつアクセサリーにああいうものをつくっておこう、こういうお考えの方があるいはいるかもしれない。そういうところのはざまの中に落っこちた形で向上委員会というりっぱな機関が十分な機能をしていないということもある。こういうものの育成がまず先でありまして、法律が何か事番組にかかわる世論の吸収というふうなものをあえて設置することには私は賛成しがたい、そういう考えでございます。
  25. 鳥居一雄

    鳥居委員 それで、先ほども実は現行の免許制度免許あり方について御議論がございましたけれども、考えてみますと、FMがNHKの場合には全国やっとカバーができまして、民放の方のFM免許がこれからずっと一斉にある。  あるFM局の免許の様子をずっと見ておりますと、行政の当局としては非常に頭を痛めて、チャンネルプランの発表をしまして翌日締め切りをする、申し込んだ四十二のうちほとんど全部がこの基準の中にあるものですから、二人ずつ手分けをしまして一つ一つ電波監理局の職員がぐるぐる回っておりていただく、全部いったんおりていただいた上で目指すものに名乗り上げていただいて免許する、こんなようなかっこうのものがこれまでの免許の仕方だったと思うのです。一定の物差しを持たなければならない、免許しなければならない、これはもう抱きかかえていて、いまどこにどういうふうに波を免許していくかということで時期を見計らうというようなかっこうで推移しているわけですけれども、免許制度あり方というものは非常に重大な問題だと思うのです、放送事業者であるだけに。現行の免許制度についてどんなものでしょうか、何かいい知恵はないかということなんです。
  26. 大森幸男

    大森参考人 結局突き詰めれば、現在の無線局の免許に準じた施設的な物理的な免許、若干事業免許的な要素は加わっておりますけれども、大もとはそうでございます。つまり、チャンネルの割り当てがあって適正な適法な申請がなされれば免許するというたてまえであります以上は、申請が非常にたくさん競合いたしました場合、一本化調整というものはやむを得ない処理であるという気がするわけであります。  ですから、ここで現在の施設的な免許というたてまえと、あるいは事業免許制、どちらを選ぶべきかという二者択一の問題が現行法制見直しの、との免許制度に関して一番大きな問題として出てくる。事業免許制を採用すれば、郵政大臣権限が非常に強くなる、行政機能の介入が大きくなる、だから弊害が出るという、たてまえ論としてまことにそのとおりの状況がございますが、しかしあるいはこれ以上の多局化が果たして国民に利益するところがあるかどうか。多局化はイコール低俗化を招き、視聴率競争を招き、経営基盤を危うくしというマイナス面も確かにあるわけであります。ですから、この過当競争、現在の地域における置局の適正規模といいますか、そういうふうなものを勘案した場合に、事業免許制も考えなければならぬところはあるだろう。この辺の選択は委員会の先生方のこれからの御判断にかかわってくると思うわけでありますが、ただ、いまのFMにつきましてもあるいはUのテレビにいたしましても、せんだって開局いたしましたあるテレビ局では実に四百四十九の申請があったと聞いておりますけれども、申請書自体のチェックというふうなものが何か可能であれば、いわゆる中央の勢力のダミー申請がチェックできるならば、やはり申請書を受け付けます段階である程度のチェックをしないと、本当に名義貸しみたいな申請もあるのではないか。でなければ、そんな一地区に二百も三百も四百もという申請があろうはずがない。ですから、事前の申請の受け付けの段階でのある意味での、形式的なチェックであれ、やはりこの局の申請に免許を与えたときに放送が可能かどうかというところからだけでも判断をすべきじゃないか。そうすれば申請の件数が大幅に減るであろうと私は考えるわけです。  ただ、一本化調整という意味で地域免許というたてまえでいきますと、かなりしぼられた数にしましても、最終的にはその地域の、たとえば知事なりあるいはその地域社会の最も信望のある地位にある人がまとめ役になった一本化ということは、やはりいまのたてまえ上避けられまい。選択してどこかに免許を与えるという方がむしろ弊害を持ち込むというふうに考えております。私はいまの状況郵政省当局の御苦労は重々わかりますが、やはり申請書を受け付ける段階でのチェックという点ぐらいしか実は思いつかないわけであります。  ただ、FMにしましても、Uのテレビにしましても、放送衛星時代がもうやってくるということとの関連が余りにもなさ過ぎる。FMについては若干問題が違いますけれども、地上のテレビ局の三局目、四局目の増局を急ぐ、あるいは地域の相互乗り入れをいろいろ考えていく。しかし宇宙系民放テレビの出現もそうそう遠くない時期にはあるわけであります。BS−3、郵政省の言います第二世代のテレビ放送衛星時代に入りますと、当然商業局としての宇宙系テレビが出てまいりましょうし、そういうものまでにらんだ地上局の置局計画もやはり当局としてはお考えいただきたいなという気がしております。  ただ、それを揺り動かしております中央マスコミ勢力というふうなものもございましょうし、一概にたてまえ論だけでは割り切れない面はございますけれども、論評する者として言わせてもらえば、そういう考えでございます。
  27. 鳥居一雄

    鳥居委員 ありがとうございました。申し合わせの時間ですので終わります。
  28. 加藤常太郎

    ○加藤小委員長 西村君。
  29. 西村章三

    西村委員 どうも御苦労様でございます。時間の関係もございますので、私もまとめてお尋ねをさせていただきたいと思います。  先ほどからの御質問と若干重複することもあるかと思いますけれどもお聞かせいただきたいのですが、まず第一点目は、先ほど大森参考人の方から、いわゆるNHK経営委員会あるいは郵政省電波監理審議会が十分にその機能を発揮しておらないのではないか、いわゆる形骸化しておるのではないか、こういう御意見でございました。私どももそれを非常に痛感をいたしておるところでございます。  そこで、その機能を最大限に発揮してもらうための経営委員会あるいは電波監理審議会あり方について何か私見がございましたらお聞かせをいただきたい、これが一点です。  それから二番目は、受信料制度の問題でございますが、これも明確に支払い義務を課すべきだ、そうした方がいいだろう、こういう御意見でございましたけれども、支払い義務の明確化ということは、ある意味では税金と全く同じことになってしまう。そうすると、いわゆるNHKとしての、公共放送としての根韓にもかかわってくるのではないか。ある意味では国営という意味にも解釈ができるのではないか、こういうことも考えるわけでありまして、この点についても御意見をもう少し詳しく聞かしていただきたい。  それから、NHK受信料収入というのは、御承知のように現在もう頭打ちでございます。ところが放送法によりまして、いま国から難視聴の解消義務であるとか、あるいは受信料の減免措置であるとか、放送衛星の打ち上げ等についても多額のいわゆる義務的な負担というものが課せられているわけでございます。これは本来国が行うべきものでありますが、現在の状況の中では、場合によれば、難視聴の解消というのは先ほどおっしゃったように、一部民放の方にも御負担をいただけるようなところがありはしないか。こういう面での御意見も聞かしていただきたい。  それから四番目でございますが、これは最近視聴率競争が非常にエスカレートいたしてまいりました。民放では、ある意味ではその必然性があるわけでございますが、NHKまでもがこの競争に参画をしているということでございます。視聴率競争というものは長所短所もちろんあるわけでございますが、視聴率競争についての御意見を伺わしていただきたい、こういうことであります。  最後に古谷参考人にお尋ねしたいのです。  お母さん方最近は、テレビをよそへやったりあるいは置かないことがいいことだ、こういう御解釈でございます。家庭教育という面から、その番組を見せてはならぬという影響の方を心配されているわけでございます。そういう中で、たとえば言論の自由という一つの大きな制約がございまするけれども、私は、やはり一定の規制が必要じゃないか、ガイドライン的なものをつくるべきだ、こう考えるのです。たとえば映画にいたしましても映倫というのがございます。そういう意味で、最大公約数の基準は設けて、それに基準を置いて放送をしてもらう、こういうことが必要じゃないか、こう思うのですがいかがでございましょうか。  以上でございます。
  30. 大森幸男

    大森参考人 経営委員会電波監理審議会機能の発揮が不十分だ、私は形骸化というふうな表現は余り使いたくないわけでありますけれども、やはり法律が期待している機能を果たしていないといいますか、従来は果たしていたのであろうけれども、いま果たせない状況に落ち込んでいる。NHK経営委員会の場合、特に高度成長の波に乗ってカラーテレビの普及がどんどん進んでおる状態の中で、経営委員会の果たしている役割りはそう目立たずに済んだし、それはそれでよかった。しかしNHKの最高意思決定機関として、受信料収入が頭打ちになりいろいろなメディアが殺到し始めてきた中で、新しい機能の開発を期待する場合、いまの経営委員会のやり方ではどうしても不足だ、そのためにどうするかということであるわけでございますが、先ほども申し上げましたように、やはり視聴者が、あれこそわれわれの代表だとだれしも思う方、こういう方々、またああいう方の言うことなら納得できるという方、私さっきワンダラーコミッティーというふうな言い方を申し上げましたけれども、やはり公共放送公共性を十分に承知し、社会へのロイアルティーということを第一義に考えられる方が、非常に端的に申しますと実費支給みたいな形で献身的にこのお仕事につかれることが望ましいし、あるいはその経営委員会活動がもっと見えるといいますか、可視的なものになる。密室的なものでなくて、たとえば定例の記者会見を経営委員の方がおやりになるなり、テレビに出られて視聴者に何か話されるなり、予算審議のときには国会に顔を見せられて質疑に答えられるなり、いろいろな活躍の仕方はあろうと思うわけです。非常にずけずけと申してしまいますけれども、やはりそのために必要ならば、経営委員会視聴者のためにやっているということで、若干NHKのいわゆる実行機関であるNHKと距離を置いた形で、事務局を持つなら持ってもいいではないか。いろいろな方法考えられます。先ほど申し上げたことですけれども、視聴者会議とのつながり方ということ、視聴者会議は従来あるグループでありますからそう申し上げたのですけれども、いわゆる視聴者との具体的なパイプを何か考える。法律でそれを決めるなら決めても差し支えはない。そういうふうにもっともっとよく見える経営委員会、もっと視聴者と一緒に考え経営委員会、抽象的でありますけれども、そういうふうなことを望んでおります。  電波監理審議会につきましては、行政委員会論議というものがもう一度改めていまなされて、それが日本になじまない制度である、そういうふうな結論であろうかと私は考えておりますけれども、そういう論議の中から、しからば電波監理審議会がもっと権限を強く持つ、大臣をある程度拘束する形で、大臣裁量の幅を縮めるというふうな点で非常に強い権限を持つべきだ。さっき申し上げましたけれども、拘束するのが異議申し立てについてのみというのでは少し足りないという気もいたします。そのために具体的にどうなるのか。行政府あり方としての、そこに位置づけられる電波監理の一番重要な審議会が、民主主義のアクセサリーのようになってはいけないということ。免許の問題についてもこの審議会権限強化、どの程度になるかにもよりましょうけれども、かなりいろいろと変わったものが期待されるという気がしております。  受信料制度支払い義務化イコール税金というふうに私は考えておりません。租税公課というものとは全く違う。受信料を支払う契約強制するという現行法のたてまえよりも、直接的に受信料を支払わなければならないというふうに書けばそれでいいではないか。ただ、前回出ました改正案では、罰則的な文言が非常に目につき過ぎたわけです。四十一年に流れました改正案では、NHKの規定で決めるという程度のことであったように記憶しておりますが、放送法は罰則的な規定はなじまない。その前提から言いますと、支払い義務制をとりますけれども、その条文のとり方は慎重を要するということ。それから繰り返すようでありますけれども、NHK全体の民主化といいますか、視聴者とのパイプを太くするということとのバランスの中で、支払い義務化考えればいい。そこで国民的な合意というものをもう一度改めて問い直す、国民の側からのいろいろな意見がございましょうから、それに従うべきでありますけれども、もう一遍これを問うてみる必要はどうしてもあるという気がします。ただ唐突にこの部分だけ問うては昨年と同じことだということであります。  それから、NHKの収入が頭打ちになっておる、政府なり法律が要請しておる義務についてまでNHK受信料の中から割いておる状況。いまの国際放送と同じように法律で義務づけられ、あるいは政府が特に強く注文をつけておるようなものにつきましては、それなりの国庫からの負担があっていいと単純には考えます。もちろん、これは実施命令という国際放送のようなものとの兼ね合いでもございましょうけれども、NHK受信料一本で果たしてこれからやっていけるのか。いろいろなたくさんのことをやらなければならないのに、何の財源の保証もない。いまの受信料のカラー料金に依存した、財源の保証のないままにこういうものを迎え撃つということは非常にむずかしいと考えております。ただ、国庫からの支出はやはり限定されなければならない、法律で義務づけたものに限定されなければならないでありましょうし、営利事業をやることは妥当ではない、少なくとも積極的にこれを行うことは好ましくない。受信料を営利事業に回した場合のNHKのイメージダウンもありますし、損金、欠損が出たときに一体どうなるのかということもあります。営利事業は好ましくない。あるいは広告放送の問題もあります。これもさしあたり妥当ではない。いままで一切外部から資金を求めなかったNHKのイメージにもかかわりますし、広告市場に混乱を起こすということもあります。ただ、あるいは遠い将来NHK広告放送を試みてもいい時期、あるいはそれが許容される時期が来るかもしれない。その場合も必要最小限、非常に厳しい条件下に限定されるということであります。  NHKの財政についていろいろな案はございますけれども、私も名案がない。ただ、いまの受信料制度が維持されて、あるインターバルを置いた単純値上げに国民が納得するという状況しかいま頭に思い浮かばないわけでありますが、これから先につきましては、先生方のいろいろな御検討を私どもも期待しております。  視聴率競争の点でございますけれども、これはこれだけ局がふえ、それに民放テレビがある意味では広告産業的な側面を非常に強く持っております場合、その状況をはかるめどとして、物差しとしての視聴率というものが現存いたします以上は、これは免れ得ない宿命みたいなものでございますが、NHK番組が視聴率競争に加わっているということもありますけれども、ただNHK番組で最近は硬派の番組が非常に視聴率を上げているということも御記憶にとどめていただきたいと思います。これはNHKの場合、目的ではなくて結果だということで、民放もそうなってほしいと思っております。  少し長くなりまして、申しわけございませんでした。
  31. 古谷糸子

    古谷参考人 テレビ規制の問題ですが、私、映倫に関係していまして、映倫の青少年映画の審議委員をやっておりますが、理想としてはああいうものもない方がいいのですけれども、やはりテレビと比べますと成人映画なんというのは大変なものなんですね。ちょっと見るにたえないような、それから題名なんかでもすごい題名をつけてくるわけですよね。それを一々、それはもう一般の人は御存じないくらい、何回も何回も直させて、それでいまのような状態になって、それでもまだあれしてくるわけで、とてもテレビなどの比ではないのです。だから、映倫というものも理想としてはない方がいいのですけれども、いまはあってもしようがないんで、その中で妙な規制をしてあれするようなことにならないような発言をいろいろしているわけですけれども、テレビの場合ですとそういう規制をお母さんたちはなかなかうるさく言います。私も講演なんかに行きますとよく言われるのですけれども、いまのところそんな規制をしなければならないほどひどいものではないと思うのです。やはり社会がそんな純粋培養して通る社会ではないですよ。そこで子供番組だけがそんなきれいごとで済ますことは、社会へ出たとき子供に及ぼす影響を考えますと、ある程度そういうばい菌はあっても、それを規制することの害よりは私はいいと思うのです。そういう意味で、いまのところ私はわりと見ています。それから文化庁の子供番組なんかの審査もやっていますので見ていますけれども、くだらないのはありますけれども、それほど神経質になる必要はないんじゃないかと思いますので、規制ということにはやはり賛成できないですね。  それからもう一つ大森さんがおっしゃったことについてよろしいでしょうか。番組審議会番組向上委員会のことですが、私は番組審議会委員をやっていたことがありますけれども、確かに大森さんがおっしゃったように、名前を言えばだれでも知っているような大学教授とか評論家とか著名人の集まりなんですよね。だけれども、その人たちというのはほとんどテレビを見てないのですよ。だから批判はほとんど出てないのです。全部の人がそうだとは申し上げませんけれども、そういう点で、もう少しテレビを見ていて、それを批判できるような人を委員にしなければ、何か有名無実で終わっているというような感じがいたします。
  32. 加藤常太郎

    ○加藤小委員長 村上弘君。
  33. 村上弘

    ○村上(弘)小委員 藤原ひろ子委員がかぜで熱を出しまして、急にかわってお伺いさせていただきます。  日本テレビの普及は世界に例を見ないほどですし、国民テレビ放送に対する接触率も平日で九割を超しているという状況で、国民が生活を営んでいく上でテレビの果たす役割りというのは非常に大きな位置を占めているというふうに思います。ですから、放送事業者は情報通信分野におけるテレビの位置、さらにはテレビ放送国民に与える影響について最大限の配慮が必要だし、そういう立場での放映が必要だと思うわけです。特にテレビの特性として、放映される番組視聴者が一方的に受けざるを得ない関係にありますから、視聴者にとってみれば、各放映番組に対する意見や要望がどのような形で具体的に反映されているのか、またどのような方法をとると反映されるのか、十分知らされていないという現状があると思うわけです。  そこで、お二人の先生にお伺いしたいわけですが、テレビが持っている特性として、どうしても視聴者の方が受け身にならざるを得ないことを考え、また現実もそのような状況にあることにかんがみまして、一つは、視聴者が積極的に番組の制作を含めて意見、要望を反映できる、そのような体制を名実ともに確立するという問題、もう一つは、その体制やその方法を広く知らせるということ、これが必要だと思うのですけれども、この点についてどうお考えになっておられるか、お聞きしたいと思うのです。
  34. 大森幸男

    大森参考人 結局、いまの先生の御質問は、放送番組問題全般にかかわる、それから受け手の側の放送局へのアクセスの問題だろうというふうに考えます。ただ、いまの放送制度見直しをやっていきます場合に一番重要なことという意味合いで、たとえばいままで一方的あるいは画一的だった放送が、いろいろなニューメディアの到来から、あるいはそのリクエストにこたえるような手段も講じられるかもしれないし、あるいは双方向通信というものもケーブルを使って可能になっていく状況も出てくる。そういう中でテレビがいまのまま一方的、画一的な放送を続けていたのでは取り残されていくというふうな状況があることも確かであります。  それは先のことだ、現状をどうするかと言えば、これはNHK視聴者センターをつくり、視聴者会議を設け、あるいは視聴者本部をつくりというふうに、民放各社でも視聴者対応のセンター組織をぼつぼつつくり始めてきております。これがそこに直接物言いを言い、注文をつけるということも可能でありましょうし、あるいは番組審議会改善といいますか、いま古谷先生がおっしゃいましたような、余りテレビを見ていない人の集まりではない、もっと身近な人たちの集まりというふうな方向に番組審議会自体が変わってもいいし、あるいは民放が、各局ごとには無理でありましょうけれども、その地域において、視聴者会議といいますか、視聴者と懇談を持つ機会を自発的につくっていくというようなこと、まあいろいろ考えられはいたします。しかし、これを法制的にどうせいというふうになりますと、これも局側の自主的な判断にゆだねるべきだというふうに私は考えます。  ただ、受け手の側の要求に応じていかないと、いままでのような考え方だと、いまのテレビは取り残されていくのではないか、そういう状況がいま現に来ておる。民放が昨年の十月の改編、あるいはこの四月の改編もそうでありますけれども、報道番組の強化に非常に力を入れ始めた。あるいは情報番組の強化を考え始めた。あるいは東京のキー局では初めて首都圏の地域情報の番組をつくった。こういうふうなものは、いままでのような十年一日のような娯楽偏重だけではもうやっていけないという判断だろうと思うのです。アメリカでもまさしくそうのようでありまして、三大ネットワークがいま非常に困惑しておりますのは、やはりそういうふうな社会の流れ、変化があるからだろう、そういうふうに考えております。  ですから、法律的にどうせいというよりは、放送界を取り巻く環境変化が私はおいおいいい方向にいくのではないかなというふうに考えております。
  35. 古谷糸子

    古谷参考人 いま大森参考人がおっしゃったようなこと、大体同じですけれども、やはり放送関係者は常に番組に視聴率ということ——視聴率だけを気にしていると申しますが、私はそれにはちょっと異論があるのです。確かに、視聴率を気にしていて、つまらない、くだらないものをつくっている場合もありますけれども、やはり何かそこに視聴者を引き上げる、そういうものをあれしようとして努力はしているのじゃないかという気がします。それはNHKの場合にしても民放局の場合にしてもあるのですが、ただ、的外れでそれがちっとも視聴率のかせぎにならない場合が非常にあるわけですね。その的外れということが非常に問題なんであって、本当の意味の視聴率を高めるための努力、これは必要だと私は思うのです。幾らいいものをつくっても、見てくれる人がいなかったら意味ないわけです。ただ、いい番組が必ずしも視聴率は高くない、これは言えるわけですね。ただ、視聴率の商いものはそれなりに見せるものがある。それだからというので、何かばか騒ぎしたり、くだらないことをやって、それが一向に視聴率が上がらない、そういうものはやはり見ていてつまらないですね。私は、娯楽番組とか、それからニュースとか、そういう硬軟の番組をわりとよく見ている方なんですけれども、やはりおもしろいものにはそれだけのものがあるし、それで、つまらないものにはなかなかついていけないものがあるわけなんです。そういう点で、もう少し的外れをなくしていくということ、それが大事なんです。  それじゃ、それをどうすればいいのかというと、これはやはり制作者の教養なりセンスの問題だと思うのですが、必ずしもその制作者が教養があり、センスがあるとは限らないわけですから、そこのところを局側が目を光らしていかなければならないわけです。それから視聴者がつまらないときはそれを見ないようにすれば、それは自然に淘汰されていくわけですから、これはやはり視聴者の方に問題が非常にあると思うのです。それは選挙の場合もそうだろうと思うのです。当選するためには投票者の投票のいかんによってそれは左右されるわけですが、テレビの場合も、視聴率が高くなる、それから低くなるということ、端的に言えば高くなり低くなるのですけれども、それをあれするためには、視聴者の心に何か訴えるものがなければいけないわけで……。だからそういう視聴者考え方が、つまらないときは全然見ないようにして、それでその番組がオミットされるような——いまはそれがそのとおりにいかないで、いい番組が視聴率が低いためにやめになる場合がありますね。それはぜひ視聴者の人たちで投書なり何なりして盛り立てていくようなぐあいになっていただきたいと思うのです。  そんなことで、お役に立ちますかどうか……。
  36. 村上弘

    ○村上(弘)小委員 もう時間がないのですが、先日、ラジオ関東から、ラジオですが、「現代瓦版」で、原子力潜水艦の当て逃げ問題、ああいう問題で、いわば原発だとか原潜などについて擁護する立場の人が一方的にしゃべって、それを批判する側の人がほんのお飾り程度の扱いになっている、こういうことについてずいぶん意見やら批判がくるのですね。だから、そういう聴取者、視聴者意見をどうやって反映するのか、一体だれが番組審議会委員なのか、これもわからないような状態があるのですね。こういう点についての御意見、どうでしょうか。
  37. 大森幸男

    大森参考人 番組審議会あるいは各社の番組基準、これが余りにも周知されな過ぎる、放送局の責任の第三者委任というふうな傾向が際立って続いてきていることから、やはり年に一度、もしくは改選のたび、日刊新聞紙上に審議委員の名前を公にする。あるいは各社の番組基準の項目ぐらいは地域の人々に周知する必要がある。番組基準というと民放連にしかないとか、番組審議会というのはどうもさっぱりわからないのですが、しかも何か番組審議会の運営自体にも局側のリーダーシップが効き過ぎるのではないか、若干想像を加えてでありますけれども、そういうふうな不安は私ども常々考えております。やはり地域免許の、特に民放の場合、そういうふうな方法が講じられていいと考えます。
  38. 村上弘

    ○村上(弘)小委員 では、時間ですから……。
  39. 加藤常太郎

    ○加藤小委員長 依田実君。
  40. 依田実

    依田委員 長い間申しわけありません。大森さんに二つばかりまず伺わせていただきたいと思います。  一つは、例の放送衛星、これが実用化近くなっておるわけでありまして、国際機関で与えられているチャンネルが八チャンネルということで、簡単に割り当てれば、NHK1、3、放送大学、あと民放キー局五局、こういうふうになるのでしょうけれども、そうなるとローカル民放局にとっては死活問題ということであります。この放送衛星をどういうふうに利用するのがいいのか、その辺をひとつ伺わせていただきたい。  二つ目は、アメリカの方であるペイテレビ、先ほども大森さんのお話でちょっと触れられましたけれども、日本でもそろそろ申請が映画会社から出ておるわけであります。これをどういうふうにやるか、まだ行政関係の対応の仕方がはっきり決まっていないということで申請は保留になっているわけです。却下というわけでもないらしいですが、こういうものはいまの申請されている母体や何かを見てみると、下手をすると番組内容が一段と低下する、つまりポルノ映画みたいなものをやる、こういうような状態にもなる可能性もあるわけで、ペイテレビというものを日本ではどうしたらいいか、この辺について。  私見で結構です、二点について伺わせていただきたい。
  41. 大森幸男

    大森参考人 放送衛星実用化問題でございますけれども、先ほどちょっと申し上げましたように、郵政省電波監理局の衛星部会のBS−3分科会に私は加えていただいております。その会合で、いまいろいろとその点を検討中といいますか、いずれ何らかの形でレポートが公になると思いますが、私、いまの場合個人的な意見で申し上げますと、やはり放送衛星、特に五十八年度に上がりますNHK衛星の次の星、いわゆるBS13以降でございますけれども、このいま与えられております八チャンネル、これはまたいろいろな技術的な利用方法もございましょうし、あるいは全国画一放送でなくて地域分割の放送すらそう遠くない将来と申しますか、一九九〇年代の後半ぐらいには可能になるやにも聞いております。さまざまな形の宇宙系テレビが実現するわけでありますけれども、民放さんの方では、いま地上系の既存の秩序の保全、維持ということに当然関心が向くわけでありますから、かなり消極的なように聞いておりますけれども、ただこういう新しい放送手段が開発されてくる、現実に視聴が可能になった状態で、やはりこれが商業的に使われない限りは大きな発展は望めないという言い方もできますし、これを行政当局の方でどういうふうに判断されるのかという点、私ども大変注目もするわけでありますが、放送衛星だから、宇宙テレビだから公共的なものでなければいけないというような理屈はないわけであります。商業的に使う、では、だれにどう使わせるのかということはこれからの判断になろうと思います。  ただ、放送衛星の実験が地上系テレビに与えるインパクトの大きさというものは、その時点に至ったときに恐らく想像を超えるものがあろうかと思われますけれども、混乱のないように立法府なり行政府なりでの十分な検討を期待するというふうなことでしか、いまのところないわけであります。  このBS問題にも関連いたしますけれども、申請が出ております初めてのペイテレビ、これはUHFを使った無線波のいわゆるペイテレビであって、アメリカでもうすでに実用化されて三大ネットワークに非常に脅威を与えておりますペイケーブルとは違うわけでありますが、いま出ておりますペイテレビの申請は、いろいろな形で実現は私は不可能だろうと思います。いまのたてまえからでは免許はとてももらえるものではない。これはいわゆる料金を取る、受信料といいますか、視聴料を取るというふうな形が、果たしてNHK民放二本立て制度になじむかどうか、そこで認められるのかどうかということもありましょうし、ペイテレビ特有の送信技術、いわゆるスクランブル送信方式の技術基準もまだ決まっていないということもありましょうし、放送法が期待しておりますさまざまな公共的な使命というものを全うするにふさわしい局かどうか。いわゆる一般放送事業者として放送法が期待しておりますさまざまな公共的な使命には私はそぐわないのではないか。適正な番組の配分がなされるのかどうかという点を加え、またいま先生がおっしゃいました若干低俗的な要素に落ち込む可能性があるという事業体考えました場合も、さまざまな問題がございます。しかしこれは、ある意味では同報通信のような特定者向けの送信であるということで、不特定多数を対象とする放送局とは明らかに違うわけであります。放送局の申請として適当かどうかという点はいまはっきり否定できるわけでありますけれども、将来ペイテレビというものは十分にあり得る。これがいわゆるペイケーブルのような形でCATVを使いました、アメリカで言われておりますスーパーステーションのような形も考えて、放送衛星と同軸ケーブルというのを情報化時代のシンボルと見ますならば、この二つをつなげたペイケーブルというものがアメリカ同様日本でもこれから発生し、かなり脚光を浴びてくることは当然あり得る。そういう意味でこのペイテレビの今度の申請というものは興味深く見ておるわけでございます。  お答えになりましたかどうか、どちらも先の将来の問題でございまして、私の頭の中でも十分に固まっておりません。この程度のことでございましょうか。
  42. 依田実

    依田委員 古谷さんに一つだけ。  番組内容については先ほどからいろいろお話がございました。古谷さんの古谷さんなりのお答えが出たわけでありますけれども、われわれは放送時間帯といいますか、いまのように朝から夜夜中まで放送するということ、これに非常に疑問を持っておるわけであります。外国などでも途中空白の時間があるところが非常に多い。いろいろ家庭の団らんとか子供の教育あるいはまた奥様方の生活時間帯のようなことを考えてみましても、一日のべつ幕なし放送するという必要はないのじゃないかと思うのです。特に夕方、子供さんの食事どきとかそういうときにはテレビというものは放送しない方が、日本の家族関係、そういうものから考えて将来いいのじゃないかと思うのですが、放送時間帯についてどうお考えになりますか。
  43. 古谷糸子

    古谷参考人 それは私も全くそうだと思います。時間が長過ぎるためについつくる方もいいかげんなもの、その穴を埋めるためにつくっているものがずいぶんあると思うのです。それを取っかえ引っかえ各局が朝から夜までずっとやるから、いいものができるわけがないのですよ。そういう意味で、朝はニュースとか、その間は少し休むとか、そういうことはあってもいいと思いますね。これからテレビ局の課題として、朝から夜までやらなければいけないというのじゃなくて、時間は減らして、それでそのかわり内容をいいものにする、それは確かに必要だと思うのです。私もずっと見ていまして、取っかえ引っかえくだらないものをやっているわけですよ、ずっと昼もあれば、夕方もあるし、また夜まで。子供も、孫ですけれども、夢中で見ていますよね。母親はわりと見せたがらないんですけれども、私はそう熱心に見ているものなら見せていいと言うのです。ただ食事のときにまで見ているということはちょっと神経にさわりますので切っちゃうのですが、確かにそれは言えると思うのです。これからの課題としてもう少し時間を短縮する。これは民放局はコマーシャルの関係があるからそう簡単にはいかないでしょうけれども、NHKあたりそういうことを率先してやれば、各局もある程度はできるのじゃないかと思うのです。その御意見には私も全く賛成です。
  44. 依田実

    依田委員 どうもありがとうございました。
  45. 加藤常太郎

    ○加藤小委員長 小委員長より各小委員代表いたしましてお礼を申し上げます。  参考人の方には貴重な御意見を述べられ、また、われわれの勝手な質問に対して丁寧な御意見をいただきましてありがとうございました。本当に御苦労さまでございました。(拍手)  どうぞ御退席ください。  これより懇談に入ります。     〔午後零時十三分懇談に入る〕     〔午後零時四十二分懇談を終わる〕
  46. 加藤常太郎

    ○加藤小委員長 これにて懇談は終わります。  本日は、これにて散会いたします。     午後零時四十三分散会