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1981-08-26 第94回国会 衆議院 逓信委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    八月二十六日  佐藤守良君及び森美秀君が委員会において電波  ・放送に関する小委員長に追加選任せれた。 ————————————————————— 昭和五十六年八月二十六日(水曜日)     午前十時十分開議  出席委員    委員長 佐藤 守良君    理事 伊藤宗一郎君 理事 加藤常太郎君    理事 畑 英次郎君 理事 堀之内久男君    理事 阿部未喜男君 理事 鈴木  強君    理事 竹内 勝彦君 理事 西村 章三君       秋田 大助君    川崎 二郎君       長谷川四郎君    森  美秀君       久保  等君    武部  文君       楯 兼次郎君    米田 東吾君       鳥居 一雄君    木下敬之助君       藤原ひろ子君    依田  実君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 山内 一郎君         国 務 大 臣         (内閣官房長         官)      宮澤 喜一君  委員外出席者         内閣法制局長官 角田禮次郎君         大蔵大臣官房審         議官      吉田 正輝君         郵政政務次官  渡辺 紘三君         郵政大臣官房長 澤田 茂生君         郵政大臣官房経         理部長     奥山 雄材君         郵政省郵務局長 魚津 茂晴君         郵政省貯金局長 鴨 光一郎君         郵政省簡易保険         局長      小山 森也君         郵政省電気通信         政策局長    守住 有信君         郵政省電波監理         局長      田中眞三郎君         郵政省人事局長 奥田 量三君         日本電信電話公         社総裁     真藤  恒君         日本電信電話公         社総務理事   山口 開生君         日本電信電話公         社総務理事   小川  晃君         日本電信電話公         社総務理事   西井  昭君         逓信委員会調査         室長      芦田 茂男君     ————————————— 委員の異動 六月五日  辞任         補欠選任   依田  実君     河野 洋平君 同日  辞任         補欠選任   河野 洋平君     依田  実君 七月十三日  辞任         補欠選任   木下敬之助君     近藤  豊君 同日  辞任         補欠選任   近藤  豊君     木下敬之助君     ————————————— 六月六日  一、国際電信電話株式会社法の一部を改正する    法律案内閣提出、第九十三回国会閣法第    二〇号)  二、逓信行政に関する件  三、郵政事業に関する件  四、郵政監察に関する件  五、電気通信に関する件  六、電波監理及び放送に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  小委員追加選任の件  逓信行政に関する件(金融分野における官業  の在り方に関する問題等)      ————◇—————
  2. 佐藤守良

    佐藤委員長 これより会議を開きます。  逓信行政に関する件について調査を進めます。  郵政大臣から発言を求められておりますので、これを許します。山内郵政大臣
  3. 山内一郎

    山内国務大臣 一言ごあいさつ申し上げます。  逓信委員会皆様には、平素、郵政省所管業務の適切な運営につきまして格別の御尽力をいただき、まことにありがとうございます。  さて、去る八月二十日、金融分野における官業在り方に関する懇談会から内閣総理大臣報告が提出されたことは、皆様御承知のとおりでございます。  この報告の中には、預貯金金利一元化定額郵便貯金見直しサービス改善否定郵便貯金資金自主運用否定等々、預金者国民利益を全く無視し、郵便貯金制度の根幹を揺るがす重大な問題が含まれており、私といたしましては慎重に対処していかなければならないと考えているものであります。また、経済社会環境が大きく変化している中で、国民的な課題である個人金融分野充実等について触れていないことも、大変遺憾なことであります。  したがって、所管大臣として、八月二十一日の閣議におきましても、この点を強調して、この報告書取り扱いについては、関係三大臣が慎重に検討することとされたところであります。  私は所管大臣として、昨年来の客観情勢変化国民世論の動向などを十分に踏まえ、利用者国民立場を十分考慮して対処してまいりたいと考えております。  今後とも郵便貯金事業及び簡易生命保険事業運営に当たりましては、国民の御期待にこたえまして国民生活の安定と福祉の増進を図ることが何よりも肝要なことと心得ております。  皆様には、この上とも御理解と御支援を賜りますようよろしくお願いを申し上げます。     —————————————
  4. 佐藤守良

    佐藤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。堀之内久男君。
  5. 堀之内久男

    堀之内委員 去る二十日、かねて総理大臣私的諮問機関として設置されておりましたいわゆる金融懇から総理大臣あて答申がなされたところでありますが、本日はその答申について、郵政大臣の今後の取り扱い決意について御所見を承りたいと思って質問をさせていただく次第であります。  この金融懇設置に当たりましては、昨年、個人年金創設発足に当たりまして、大蔵大臣郵政大臣並びに官房長官の立ち会いで金融懇設置がなされたところであります。この金融懇答申最初に、政府自民党もこれを了解のもとにしたというようになされておりますが、私ども与党としてはこれは関知しないところでありまして、政府閣僚の中でこれはやられた、こういうように私ども理解をいたしておるわけであります。まずこの点について、大臣考え方を承っておきたいと思います。
  6. 山内一郎

    山内国務大臣 先ほど決意の表明をさせていただきましたけれども、これの取り扱いにつきましては、閣議で私、発言をいたしまして、非常に重大な問題であるので慎重に扱うようにしてもらいたい、そこで総理は、官房長官大蔵郵政、三大臣において十分協議をして、結論が出れば今度は閣議に持ってくるように、こういうようなことにいま相なっているわけでございます。
  7. 堀之内久男

    堀之内委員 私がお尋ねしたのはそういうことではなくて、この金融懇設置そのもの、そしてその内容自民党与党も、この答申から見ますと、一体となってその責任を負うというような形の文章が冒頭に書かれておるわけです。これを読んでみますと、「「検討の結果については、大蔵大臣郵政大臣もこれを尊重することを確約する。」との合意が政府自由民主党間で行われた。」こうなっておりますが、私どもは、自由民主党はこれは関知しない、これは政府責任で、閣僚の中で行われたわけで、自由民主党がこれを尊重するということを申し上げたことはないわけでありますが、その点について大臣に伺っておるところであります。
  8. 山内一郎

    山内国務大臣 党の問題でございますので私からお答えするのはどうかと思いますが、われわれは先ほど申し上げたとおり今後進めてまいる決意でございます。
  9. 堀之内久男

    堀之内委員 これは基本的な問題で、大臣が、いやそれは自由民主党もそのときに了解されたんだ、こういうような解釈をされるといかぬわけでありまして、私ども自由民主党はこのことについては関知してない、政府で行われた、こういうように理解して差し支えございませんか。
  10. 山内一郎

    山内国務大臣 私、いま郵政大臣でございますので、自民党の方でどういうふうに取り扱っておられるかということについて発言することはどうかと思いますので、遠慮さしていただきます。
  11. 堀之内久男

    堀之内委員 それでは、これ以上大臣に申し上げましてもお答えできないと思いますので、その点は今後検討することにいたしまして、内容等についてちょっとお伺いいたします。  先般、答申がなされましたときに、その夜のいろいろな談話がありました。その中で銀行協会の某会長は、今回の答申内容はまことにすばらしい、点数をつければ九十五点、こういうような銀行側の反応というか、これはその当事者から見れば本当に名答案であったろう、こういうように考えております。しかし、今日までいろいろと懇談会でも各界の御意見が出されたとは思うわけでありますし、また郵政省皆さん方郵便貯金の現状あるいは歴史伝統等についても詳しくお話があったろうと思うのです。それにもかかわりませず、あのような、銀行協会から満点に近い点数をつけられるような答申がなされて、私どもはまことに遺憾に存じ、また、この懇談会の中立的な立場というか、この辺を非常に疑わざるを得ないわけです。  一方また郵政省では、郵政審議会というものを開かれまして、今後の郵便貯金の果たすべき役割りという問題について大臣諮問をなされて、これまた去る七月に答申を受けておられるわけでありますが、この両方の答申内容等について簡単に御説明をお願いしたいと思います。
  12. 鴨光一郎

    鴨説明員 金融懇報告でございますが、この中身につきまして簡単に御説明申し上げますと、私どもこれを見まして、内容はもっぱら金融政策金融行政を執行する立場から郵便貯金を制限するという立場を貫いておりまして、郵政省の主張は、報告書の中に記載はされておりますけれども報告結論におきましてはほとんど顧みられていないという状態でございます。それから、官業としての郵便貯金あり方につきましては、民業を補完すべきものとしての位置づけがなされております。  内容要点だけ申し上げますと、所要の法律改正による金利一元化の仕組みの確立、当面は現行制度のもとにおける運用のルールを閣議決定すること、金利調整審議会郵政審議会の構成の見直しというのが一つございます。  二つ目に、新規業務拡大個人金融分野への業務拡大抑制ということがございます。また、預入限度額の引き上げの抑制定額貯金預入期間の短縮、据え置き期間延長等見直しによる商品性の切り下げ、資金の直接運用否定といったことが中心になっております。  それから、民間金融機関につきましては、顧客サービス充実、各分野変化に対応した適切な資金供給社会一般からの理解促進を、それからまた金融行政につきましては、民間金融機関自由競争促進金融効率化の推進、金融機関社会性公共性発揮等を指摘しておりますけれども、これらはきわめて常識的なことを述べただけで不十分なものであるというふうに考えられます。  また、財政投融資につきましては、立ち入った検討がなされておりませんで、個別の財投機関検討臨時行政調査会検討にゆだねるというふうなことに相なっております。  一言で申しまして、預金者国民利益を無視したきわめて一方的なものというふうに私どもは受け取っている次第でございます。  それから、郵政審議会中間答申でございますが、これは七月十七日に答申がなされております。  要点は、金融における官業民業あり方につきましては、貯蓄というものがわが国の経済社会発展の活力の源泉であるということで、これが低下をするということがあってはならない。そういうことで、こういった貯蓄の総量を減ずるような政策はとるべきではないということ。  それからまた郵貯は、昨年の一過性急増をとらえて、ことさらにこれを左右しようとすることがあってはならない。それから、民間金融機関サービス競争によって対処するのが正しい方法であるというふうなことを、官業民業については述べておられます。  それから、郵便貯金金利あり方につきましては、個人貯蓄性預金は、民間金融機関においても預金者利益を擁護するために、営業性預金と分離することが望ましいということ。それからまた、個人貯蓄性預金は、消費者物価上昇率を若干上回るようにしていくのが理想的であろうということ。  現在の臨時金利調整法は早晩廃止の方向に向かうであろうけれども、現在の金利規制下においては、民間金融機関預金金利について金利調整審議会、それから郵便貯金金利について郵政審議会にそれぞれ諮問されているこの現行制度というものは妥当であると認める、こういう答申をいただいております。  それから、郵便貯金資金運用につきましては、郵便貯金資金性格に応じまして、国民のニーズに応じて資金運用面について金融機関として本来の姿に漸進的に戻すべきであるということを述べられ、郵便貯金独立採算制のもとに自主運用するとすればその経理状況はより明らかになるであろう。それからまた、その郵便貯金性格が全国から広く集められた個人貯蓄の集積であることからいたしまして、なるべく地方還元個人預金者への直接、間接な還元といった方向でその運用検討することが必要であろう。その際、国債、地方債優良債といった各種債券への運用中心とすべきであろう。  概略このような答申をいただいているところでございます。
  13. 堀之内久男

    堀之内委員 ただいま局長説明でわかりましたように、今回の金融懇答申内容と、さらに大臣責任もって諮問されました郵政審議会答申内容とが、まあ一致するところも一部ありますが、大部分が相反するような内容になっておるわけであります。法律上は、郵便貯金金利等につきましては郵政審議会の議を経て郵政大臣が決めるということになっておるわけでありますが、今回この二つ答申内容を見まして、大臣は今後どのように措置されようとするのか、まず大臣のお考えを聞かせていただきたいと思います。
  14. 山内一郎

    山内国務大臣 三閣僚話し合いというのはこれから進めるわけでございますけれども、私の立場としては、郵政審議会から御答申をいただいておりますので、それを基本にして話し合いを進めてまいりたい、そういうふうに考えております。
  15. 堀之内久男

    堀之内委員 先般の金融懇答申、そしてまた郵政審議会答申を見ますときに、ただいま大臣が言われましたように、当然私も、法的に設置されたこの郵政審議会答申が重きをなすわけであって、これを今後の大臣のあらゆる折衝の基礎とされる、この決意についてはまことに喜ばしいわけでありますが、しかしまた一面、昨年の申し合わせで、その答申を尊重することを確約する、これまた大臣同士申し合わせでありますので、同じ政府内の確約でありますから、これもまた恐らく大臣としては無視するわけにはいかぬのじゃないか、この辺を非常に心配をいたしておるわけであります。これが危惧に過ぎればいいわけですが、この点の、符申を尊重することを確約するというこの問題点について、大臣先ほども申されたような、郵政審議会答申を強く尊重して、まあ一応別な方は後に置くというように解釈をして差し支えございませんか、もう一回お伺いします。
  16. 山内一郎

    山内国務大臣 金融懇報告に基づいて、これから三閣僚話し合いが始まるわけでございます。したがって、内容報告内容になると思いますけれども、私のとる態度考え方話し合い中心となるものは、郵政審議会結論を踏まえて話を進めてまいりたい、こう考えておるわけでございます。
  17. 堀之内久男

    堀之内委員 昨年この金融懇設置された経過は、郵便貯金増加が非常に著しいということが一つの発端になりまして、昨年暮れに個人年金創設と引きかえにこういう形で設置されたわけでありますが、その後今年に入りまして、審議過程で、郵便貯金というものが著しく減少しておる、あるいは増加してないという状況を私は聞いておるわけでありますが、その辺の状況をもう一回貯金局長から説明をお願いしたいと思います。
  18. 鴨光一郎

    鴨説明員 昭和五十六年度の郵便貯金の純増加額でございますが、四月以降前年同期の実績を下回る状況が続いております。八月二十日現在の累計で申し上げますと、一兆六千六百四十五億円ということでございまして、前年実績から三六%、約九千六百億円下回っております。前年がわりあい好調であったわけでございますが、これを不振でございました前々年度実績と比較いたしましても、約八百億円下回っているという状態でございまして、これは昭和五十一年以降六年間で最も不振な増加状況ということになっております。近年の郵便貯金の趨勢といたしまして、昭和五十五年度、昨年度におきましては、金利天井感のもとで一時的な急増が見られたところでございますけれども昭和五十二年度をピークにいたしまして、以後昭和五十三年度、五十四年度と連続して純増加額が前年実績を下回っておりまして、長期的に見て伸び悩みの傾向にあるところでございますが、最近、先ほど申し上げました昭和五十六年度の低調な実績も、この延長線上にあるものというふうに私ども受けとめておるところでございます。
  19. 堀之内久男

    堀之内委員 先般来大臣は、この当委員会で、今回の金融懇については最初審議過程に入ったときは大して心配しておられないような答弁がずっとなされてきておるわけです。今回郵政省状況をPRする絶好の機会でありますというような、非常に楽観したような答弁をなされておったのがこの委員会での大臣態度であったと思う。また郵政省自体も、国民皆さん方あるいは財政当局説明する、意見を述べるいい機会だとお考えになっておられたと思います。ところが、結果は全く郵政審考えていないような方向答申がなされております。その間に郵便貯金というのは、ただいま局長説明いたしましたように大幅な減収ということになってきております。こうしたことは、恐らく国民の末端というか、国民皆さん方郵便貯金に対しての不信というものが出てきた、あるいは第一線で働く郵便局職員の意欲と申しますか、これが大きく影響して、こういう大幅な貯金の減ということになったものと思うわけでありますが、大臣はこうした貯金の減に対してどのように今後対処していこうとお考えになっておるのか、大臣のお考えをお聞きします。
  20. 山内一郎

    山内国務大臣 昨年は異常な伸び方をいたしたのでございますけれども、昨年の十二月から金利が下がりまして、なおことしの四月にも金利が下がりましたので、そういう金利が下がったというのも一つ原因ではなかろうかと思いますが、伸びがいままで以上に低くなっているという現象があらわれているわけでございます。  いろいろ働いている職員の方にも影響があったかと思いますけれども、どれがどうでこうなったかということはよくわかりませんが、ことしの目標でございます八兆九千億、これは何としても実現をしなければいけないという努力を今後も続けていかないといけないのでございますが、このままの情勢でいきますと、約一兆円ぐらいは目標に達することができないんじゃないかということを憂慮しながら、極力これを埋めていくようにやってまいりたいと考えているわけでございます。
  21. 堀之内久男

    堀之内委員 今後それぞれこうした貯金の大幅な落ち込みに対しては当局でも何とかいろいろ工面されると思いますが、私はこの点は、一面でまたこれからの預金獲得の非常にいい機会ではないかとも思うのです。  ということは、数年前に日米農産物戦争がございました。非常に日本の牛肉が高い高いといってたくさんのマスコミやあらゆる機関が宣伝をしてくれたおかげで、五十三年は恐らく牛肉消費量でも二けた台というのは、これはもう始まって以来だ、高い牛肉が非常に伸びた、非常に国民関心を持ったということで、逆に日米間の農産物輸入、一九八三年度までに入れる数量というものを五十三年で全部入れなければ需要が賄えなかったという一つのおもしろい現象が出てきております。  私は、今回大蔵省あるいは銀行協会銀行皆さん方は逆に郵政省預金というものの増加について手をかしておるんじゃないか、こういうように解釈しておるのです。いままで郵便貯金銀行預金とがそんなに格差があるとか知らずして貯金した国民が大多数あると思う。  ということは、二万数千軒の特定郵便局というのは普通、金融機関のない、本当に農村の、田舎のすみずみまである。これが郵便局であり、そしてそういう方々の貯金を集めてこられたのが現在の郵便貯金だと思う。ところが今回、このように郵便貯金の方が銀行金利より率がいいんだということをこれだけたくさんのマスコミが宣伝し、あるいはいろいろな機関が宣伝してくれれば、おのずと国民は、そんなに郵便貯金は有利なのかということを理解をしまして、今後第一線郵便局職員預金獲得に当たっての活動においては大変しやすくなったのではないか、こういうように感じております。  また、この郵便貯金というものが、各新聞の社説にもいろいろ賛否両論あります、一部批判的なものはありますが、しかし帰するところは、最終的には郵便貯金の持つ性格等考えますときに、やはりこれは一般庶民預金であり、あるいは低所得者老齢者等の老後の預金というものを頼りにしている立場から考えると、先日の金融懇答申は何らこれに配慮がなされていない、したがって、弱者救済という立場からもこういう今回の答申には賛成できないというような一部の社説もございます。  それやこれや考えますと、今後郵政省皆さん方努力いかんによっては、昨年の水準とは言わなくても、一昨年ぐらいの水準までは大きく預金獲得もできるのではないか、私はこういうように感じます。災いを転じて福となすという言葉もありますが、ぜひそのような形で、今後郵政当局の一層の努力と申しますか、御精進を希望しておきたいと思います。  そして最後に、大臣先ほどから、郵政審議会答申基礎にして今後の三閣僚間の協議には臨みたい、こういう御決意のほどを承りましたので、安心いたしておるところでありますが、再度、大臣は、今日までの長い歴史伝統を持つこの郵便貯金制度というものを守り抜くというかたい決意の一端をお述べいただきまして、私の質問を終わらせていただきます。
  22. 山内一郎

    山内国務大臣 本日まで営々と長年にわたりまして築き上げたこの郵便貯金制度でございまして、国民皆さん方から愛され、国民皆さんから貯金をしていただいて非常に安堵していただいているりっぱな制度でございますので、この制度を守り抜いていきたいと思っております。
  23. 堀之内久男

    堀之内委員 終わります。
  24. 佐藤守良

    佐藤委員長 堀之内久男君の質疑は終わりました。  畑英次郎君。
  25. 畑英次郎

    畑委員 私はまず郵政大臣に、ただいま国民的な大きな関心を寄せておりますこの金融懇答申が二十日になされましてから今日までおとりいただいておりますその姿勢につきましては、深く敬意を表してやまないところでございます。  そういう中にございまして、先ほど堀之内委員から御指摘がございましたけれども、この金融懇発足時におきまして、なおまた年が明けました本年二月でございましたか、当委員会におきましても、この金融懇設置に対する物の考え方、これにつきましていろいろ論議が交わされたところでございます。  その際、大変失礼な言い方でございますが、郵政大臣におかれましては、一つ郵便貯金をよりよく理解を願うチャンスである、あるいはまた、これは郵政審議会のこの問題に対する論議の結果と当然同じものになるであろうというような意味合いにおける御答弁がなされておるわけでございます。  私ども、昨年の暮れあるいはまたこの金融懇発足以来、こういうような郵便貯金にとっては厳しい結果になるということを非常に心配をいたしておった一員でございますけれども、こういったような答申がなされましたこの時点に立ちまして、いわゆる発足当時における大臣の認識、これが結果におきましては大きく変わってきたわけでございます。残念な結果になってきておるわけでございますが、その辺の、大臣とされまして、よって来る原因は那辺にあるか、どのような御理解を持っておられるか、あるいはあの人選に問題がある等々、いろいろ意見があろうかというふうに考えるわけでございますが、この辺につきまして、まず大臣の受けとめ方をお答え願いたいと思っております。
  26. 山内一郎

    山内国務大臣 金融懇発足をしたときの経緯は、いまお述べになったとおりでございますが、私といたしましては、省を挙げて、私ももちろんそうでございますけれども、何とかしてこの際、郵便貯金制度がいろいろ言われておりますので、この誤解を解きたい、こういうことで私も各委員の先生お一人、お一人、個別に懇談をしてまいったのでございます。また、郵政省職員も全力を挙げて各方面のPRをしてまいったのでございますけれども、ふたをあけたその結論というものは、まことに郵政省のことは一言も取り上げておられないということで、私はまことに残念であると同時に、本当に私の力が非常に弱かった、こういうことをいま痛感をしているような次第でございます。  しかし、これからの問題もございますので、郵政審議会結論中心として、ひとつ三閣僚の懇談に臨み、これからのいい結果が出るように、一層の努力をしてまいりたいと考えております。
  27. 畑英次郎

    畑委員 なお、話がくどいようでございますけれども、本年の二月の委員会のやりとりの中におきましても、先ほども指摘がございましたけれども、いわゆる郵政審議会金融懇答申に差が出ました場合に、それに対応する大臣のお考えとしましては、郵政審議会結論につきましては、尊重というよりもこれに従わなければいけないというような発言があったやに私は記憶をいたしておるわけでございまして、この辺につきまして、これは先ほどの御指摘のやりとりの中におきましても、いろいろ問題のあるところでございますが、大臣のお気持ち、取り組み方につきましては、従わなければならない、郵政審議会結論には従わなければならないという認識の仕方にお変わりがないかどうか、再度お伺いしたいと思います。
  28. 山内一郎

    山内国務大臣 金融懇報告につきましては、先ほど申し上げましたように、関係三閣僚でこれから話し合いを進めていくわけでございます。私としては、郵政審議会結論、本当にいろいろ御検討いただいた貴重な結論でございますので、これを踏まえて、これを中核としてその懇談会に臨みまして、いい結果が出るように、あくまでがんばってまいりたいと考えております。
  29. 畑英次郎

    畑委員 次に、最近私は特に感じておりますことは、いわゆる民間金融サイドにおきまして、期日指定の定期預金、こういったものが新しい商品としまして行われておるわけでございますが、私は、この実績その他を見ました場合に、いわゆる金融懇発足当時と今日では、非常にすべての分野におきまして、ただいま申し上げましたような意味合いにおきましても、具体的な問題がすでに解消しておる。逆に申し上げれば、郵便貯金の方にこそ、さらに力を入れなければならない、あるいはまたサービスその他の面におきましても改善をしてもらわなければならない、そういうようなこの九カ月間に激変をしたというような、私はとらえ方をいたしておるわけでございますし、なおまた、昨年のようなああいったケースは、当然民間金融側におきましてやらなければならなかったことをやっていなかった、いわゆる銀行間の競争あるいは新種の開発等、こういったことをやるべきことをやっていなかったことによっての問題があったわけでございまして、最近は、この期日指定の定期預金によりましても、国民サイドにおきましては、一つの喜ばしい現象が出てきておる。これもやはりいい意味での刺激剤には、郵政省側、郵便貯金側がなっておったというふうに理解をいたしておるわけでございますが、今回の答申を見ますと、そういう中におきましても、商品間のイコールフッティングの問題、いろいろ定額貯金等につきましても、その抑制措置といいますか、商品価値を下げるような意味合いでの指摘がなされておるわけでございますが、この辺の商品面のイコールフッティングの問題、これにつきましては、郵政省側はどのような見解をお持ちであるか、お答えを願いたいと思います。
  30. 鴨光一郎

    鴨説明員 先生お尋ねの郵便貯金民間金融機関の比較の問題でございますが、われわれといたしましては、何が利用者である国民利益の増進につながるかという観点からの検討が必要であるというふうに考えております。  ただいまお話の出ておりました商品面での問題でございますが、金利の面について見ましたときに、利用の大宗を占めております定期性の預金で見ますと、短期は民間金融機関の方の預貯金、長期は郵便貯金が有利というふうに、これまでも相互の均衡に配意されてきておったわけでございますが、六月から民間におきまして期日指定定期預金というものが発売されました。このことによって有利になる期間が拡大をされました。また、預入元本方式をとるということで三百万円までの非課税扱いの預入ができるというようなことで、税制面でも改善がなされております。  こういうことでございまして、私どもかねがね、定額貯金を含めましての郵便貯金抑制をするのではなく、民間側の努力が必要なのではないかということを申し上げていたことのあらわれであろうかというふうに受けとめておりますが、総じてイコールフッティングということを問題とするということでございますれば、いま申しました商品面のみならず、店舗の地域的な配置とかあるいは運用面といった問題についても、総合的に考えていく必要があるのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  31. 畑英次郎

    畑委員 特に私ども今度の答申の中で問題視せざるを得ないのは、金融懇におきまして、定額貯金の、これは改悪というように申し上げることが正しいというように考えるわけでありますが、これにつきまして、特に郵便貯金の場合はこの定額貯金によって今日までの歴史がつくられてきたというように申し上げても過言ではないというふうに考えているわけでございますが、実はこの問題がああいった答申がなされまして新聞等で大きく取り上げられますと、先ほど堀之内委員発言とやや趣を異にするかもしれませんけれども国民皆様方、たとえば先般年金問題につきまして年金財政が破産をするというようなことが報道されたことによりまして、年輩の方々等におきましては、年金の掛銭を引き続き掛けることはどうであろうかというような、私ども田舎の方に帰りますと、お問い合わせがある。そういうような受けとめ方をする階層、国民の方もいらっしゃることは私はやはり事実ではないかというふうに考えますし、さような意味合いでは、こういうことが大きく報道されますと、何か定額貯金がもうすでになくなってしまう、預けがえをしなければならないのではないかというような意味合いで、私は非常に定額貯金の今後の獲得がむずかしい、第一線職員の方々も仕事がしにくいという要素がすでに発生しているのではなかろうかというようにも考えるわけでございまして、さような意味合いでは、先ほどこの問題は三閣僚云々というようなお話もございましたけれども、速やかにやはりきちっとした、あるべき姿の結論を出しませんと、第一線職員の方々も、なおまた国民経済にとりましても、なおまた預金者側におきましても、大きな御迷惑がかかるというように考えるわけでございまして、この定額貯金の改悪の指摘に対しまして郵政大臣はどのような御見解をお持ちになっておられるか、お答えを願いたいと思います。
  32. 山内一郎

    山内国務大臣 郵便貯金の中で定額貯金が、預けていただく方が非常に多うございます。割合にして八八%、約九割が定額貯金でございます。したがって、中心をなすものは定額貯金でございますので、いろいろ民間の金融機関から、それはよ過ぎるじゃないかというような議論がございますけれども、ちゃんとした収支決算のもとに運用している、りっぱな貯金であると私は考えているわけでございます。したがって、民間の方においても、今回たとえば期日通知短期貯金というものをお出しになりましたけれども、これは、定額貯金の三年まで、それといまの期日通知と比較いたしますと、民間の方が有利になっております。したがって、こういう方向でそれぞれ競争していくのがたてまえであろうと私は考えるわけでございます。いま畑先生の御心配も非常に重要な点でございますので、そういうことがないように、ひとつ懸命なPRをしてまいりたいと考えております。
  33. 畑英次郎

    畑委員 なお、この金融懇答申の中で、残念ながら直接運用の問題につきましても、全く意に反するといいますか、期待に反する内容に相なっておるわけでございます。特に財政投融資、財投の問題の検討が意識的に避けられておるといいますか、そういうような姿ではなかろうかというように考えるわけでございます。逆に申し上げれば、最近臨調絡みの中におきまして行革デフレ、こういうことがいろいろ言われるわけでございまして、すでに五十七年度の予算編成の中におきましても、こういう時期には、さらに財投資金の重要性というものがここ当分従来とは比較にならない、さような意味合いで、この財投資金に貢献しております郵便貯金の問題はより重要性を増しておるというような考え方を私はいたしておるわけでございまして、この辺につきましてもひとつ御意見を伺いたいがというように考えるわけでございます。さような意味合いにおきましては、あくまでもこの郵便貯金の事業を伸ばしていく、そういう観点での財投との関係につきましての御見解を伺いたいがと考えるわけでございます。
  34. 鴨光一郎

    鴨説明員 先生御指摘のとおり、金融懇報告におきましては、財政投融資の問題につきまして立ち入った検討をすることなく終わっている。そして、私どもが、郵政省といたしまして預金を集めた機関がみずから運用することが経営責任をより明確にすることになるということ、それからまた、資金性格に応じた最もふさわしい運用が可能になるということから主張いたしておりました直接運用考え方につきましても、これはまた民間の方からもそれがいいのではないかというふうな声の上がっておりました国債の運用につきましても、報告では、たとえ国債に限定するとしてもとるべきではないというふうな指摘がなされております。  なお、先生御指摘のように、財政投融資でございますけれども、われわれ、庶民の皆様からお預かりをしました資金は、現在までのところ、財政投融資原資として日本経済のためにあるいは国民生活の向上のために、これまで大変大きな成果を上げてきていると考えております。私どもといたしましては、今後におきましてもこういった財政投融資の重要性は一向に減ずることがないであろうと思いますし、先ほど申し上げました私の方からの運用ということにつきましても強く主張をしてまいる、これは郵政省のためということではなくて、国民預金者のためであるという点に立って主張してまいるつもりでございます。
  35. 畑英次郎

    畑委員 私は、いずれにしましても今回の金融懇答申につきましては、先ほど来御指摘を申し上げておりますとおり、郵政審議会結論と全く相反する。そしてまた、最近最も重要課題になっております臨調の第一次答申の中におきましても、いわゆる郵便貯金あるいは簡易保険業務のオンライン化等による一層の効率化に努力をしろということがうたわれておるわけでございますが、今回の金融懇答申の中ではそういった業務もストップをかける、そういうような内容にも相なっておるわけでございます。言葉をかえて申し上げれば、ただいま申し上げますように臨調の答申にも反する、郵政審議会答申にも一〇〇%相反する、こういうような内容に相なっておるわけでございます。  先ほど来、郵政大臣がお話しのとおり、三大臣協議の上云々と、慎重にというような御発言もあったわけでございますが、私はこの現実を踏まえました場合には、協議をするあるいはまた妥協をする、譲る余地がないように思うわけでございまして、さような意味合いでは、協議をする余地すらないのではないかというように申し上げても差し支えがないがというように思うわけでございますが、この辺につきましての大臣の御認識あるいはまた今後の取り組み方、この辺につきまして御決意のほどをお伺いをしたいと思います。
  36. 山内一郎

    山内国務大臣 金融懇報告が提出をされた段階でどうするか、直ちに閣議においてこれを尊重する申し合わせをやろうじゃないかというふうなことも一時は流れたわけでございます。こういうような基本問題がそう簡単に取り扱われては大変である、こういうことで、現段階は三閣僚話し合いということに相なっているわけでございます。したがって、これは進めざるを得ないと思いますけれども、私がその懇談会に臨む態度考え方、それは郵政審議会結論に沿ったものを主張してまいる、こういうふうに考えております。
  37. 畑英次郎

    畑委員 最後に私が申し上げたいことは、よくあらゆる問題で、いわゆる学者グループといったようなお立場での提言あるいは答申報告等がなされましても、政治、行政の場におきましては、庶民感覚あるいは庶民感情、国民感情、そういうものを実際に大きく取り入れていない事の運びといいますものは決していい結果を生まないというように考えているわけでございまして、さような意味合いにおきましては、先刻来大臣がさような点におきましての非常にかたい決意をお持ちのほどを伺いまして、いささか安堵をいたしておるわけでございますが、郵政事業の、郵便貯金業務の根幹に関する問題でありますだけに、ひとつ大臣の徹底した今回とられております姿勢を崩すことなくお取り組みを願いますように、私から重ねてお願い申し上げまして質問を終わります。ありがとうございました。
  38. 佐藤守良

    佐藤委員長 畑英次郎君の質疑は終わりました。  森美秀君。
  39. 森美秀

    ○森(美)委員 私は、自由民主党の通信部会長、そして自由民主党の郵貯や守ろうという三百三十三名の代表、そして国民の多くの気持ちをくんできょうこの席に立っておるわけでございます。この機会を与えていただきましたことを委員長に感謝いたします。  この金融懇ができましたときに、私ども自由民主党の通信部会は、公平、中立であってほしいということを強く金融懇に要望したわけでございます。しかしながら、出た結果を見ますと、全く一方的な見解が述べられております。それにつきまして、結論から申しますと、あの報告は私どもは認められないということを御認識いただきたいと思うわけでございます。それを二、三気がつきましたことを申し上げたいと思います。  まず、議論する前に、結論を出す前に、必ずややらねばならないことがある。それは、過去の功罪を論じて、その立脚点からスタートを切らねばならない。ところがあの報告は、金利一元化をするのだというもとに書き上げられた報告でございます。その点で私は大変な不満を持ち、なおかつ否定をしなければならないという観点に立つわけでございます。  私ども若いころには、私の町は三、四千人の町でございました。しかし銀行がございました。その銀行郵便局と肩を並べて、小さな店舗で頭取以下が一生懸命預金を集め、そして一生懸命貸し出しをやっていた姿を子供心に見ております。しかしながら、大蔵省のいわゆる銀行行政が、戦時中も銀行の統合、統合を重ね、全部姿を消してしまいました。そして、町村合併になっていま三万人の町になっておりますが、一つしか銀行がない。こういう姿でいまいろいろなことを論ずるということは間違いでございます。国民とともにある銀行について論ずるならばよろしい。しかし、国民から外れた銀行を私は評価はできない。一方御承知のように、郵便局というものは大変な苦労を重ねて、地下たびを履いて田のあぜをくぐり抜けて貯金をもらっている、こういう姿、それから、狂乱物価で世の中が全く狂ってしまったあの当時、五、六年前、銀行はその狂乱物価に油を注ぐようにどんどん金を貸し付けていった。そして、土地の値上がりその他があった。そういうときに郵便局はこつこつ国民貯金をもらい、そして、わずかながらも利息を出しながら国民とともにあった。こういう姿というものが当然冒頭に審議されねばならない。  しかも、金利一元化と言っていながら、日本銀行の中の金利調整審議会にはだれ一人預金者の代表、預金者の気持ちをくむ人たちがいない。大蔵省ないしは日本銀行の総裁の代弁者であるにすぎない。こういう金利調整審議会を是とするような物の見方で論じているあの報告、これを私は否定いたします。  しかし、郵政省側はどうお考えになっているか、政務次官、明確に誓えてもらいたい。
  40. 渡辺紘三

    ○渡辺説明員 通信部会長、まことに御激励の言葉、感謝を申し上げる次第でございます。まさに私も同感でございます。私といたしましても、今回の答申に関しましては、やれ尊重だとか確約だとかいろいろ申されておりますけれども、今回の答申内容を見ますると、まさに郵政事業の根幹を覆す大きな問題であり、国民生活に多大なる影響を及ぼすことになります。私といたしましては、今回の答申は全く尊重いたすことができません。
  41. 森美秀

    ○森(美)委員 声が小さいことが不満でございましたが、一応は評価いたします。  私は、金利というものは元来自由化されねばならないものと考えております。しかし、あの報告を熟読玩味いたしますと、こう書いてあります。六ページですね。「預金金利の規制を撤廃してみても、郵便貯金金利がプライスリーダーとなることは明らかであり、市場の実態に即して各種金利が形成されていくという金利自由化のねらいは達成できない。」この意味は、郵貯が個人預金の三〇%、残高六十兆円である、こういう事実をうたって、しかりしこうして自由化できないと言っている。私は、あの五人のメンバーを見て驚きましたね、こんなばかな。銭があるから、もう六十兆も集まっちゃったから金利自由化できないというなら、行政はできないわけでございます。金利自由化がいいというなら、あらゆる困難を排して、障害を排して金利自由化をすればいい。ところがそう否定しておいて、金利自由化はしたいのですよ、だけれども預金が集まり過ぎたからできませんよ、そこで国家統制するんだ、こう言っている。国家統制という言葉は使ってない。しかし、一元化というのは国家統制です。これがやがては、もう審議会は要らないのだ、大蔵大臣なり日銀の総裁が両方で電話し合って、そろそろ公定歩合を上げようじゃないか、下げようじゃないか、電話一本でいくことになる。こういう、まさに世に逆行する、自由社会の日本に逆行するようなことが白昼堂々と報告となってあらわれていて、しかも郵政省以下ふるえ込んじゃっている。こんなばかなことが許されていいのか。  やはり金利自由化をするのにはどうしたらいいかということを、お互いに血の小便を流し合ってやるところに財政の運用があるのだと私は考えておりますが、ひとつ郵政大臣、いかがでしょうか。金利自由化はしない方がいいというお考えでしょうか。金利自由化はする方がいいというお考えでしょうか。
  42. 山内一郎

    山内国務大臣 森委員の御提言、まことにごもっともだと私も考えております。  先進世界各国の情勢を見ても、アメリカは自由、イギリスもそろそろ自由——自由になったかもしれませんが、そういう情勢でございまして、しかし、郵便貯金金利を自由化するためには、集まった金の運用というものもやはり郵政省で扱わさしていただかなければいけない。その両方を考えながら金利を決めるのが本当の自由化だと私は思っておるわけでございます。貸す方のことを考えながら預金者の意思も考えていく。したがって、そういうふうになれば、いろいろと民間の方に言われることもなく、郵政省一つの、郵便貯金一つのグループとしてうまく運用できると思いますので、資金運用部の資金運用、これも郵政省にやらしてもらいたい。そうして将来は金利についても自由にさしていただいて、いろいろと民間から苦情が出ないようにやっていけるのじゃな  いか、こういうように確信をしております。
  43. 森美秀

    ○森(美)委員 大田も、金利自由化の方が原則なんであるということをお話し願いまして、私も力強く感じておりますが、最後に一つ皆様方に本当に御認識いただきたいのは、戦後の世の中というのは一歩一歩インフレが進んでいるということでございます。そこで、郵便貯金をする人は、いかに郵政省が一生懸命金利を見てやっても、目減りをしているということは厳然たる事実でございます。そういう目減りをしながらも、土地を買うことも商品を買うこともしない、一生懸命郵便貯金をしてくれた国民に対して、本当に感謝の心を持っているということをお話し申し上げまして、一応私の質問を終わります。ありがとうございました。
  44. 佐藤守良

    佐藤委員長 阿部未喜男君。
  45. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 理事会で質問についていろいろ申し合わせをさしていただきまして、質問の時間をいただいたわけでございますけれども、実は私は、政府の方から大蔵大臣の出席を要請をしております。ところが大蔵大臣が出席できないということでございまして、私も決して無理を言う気はございませんから、それは行政の事務も忙しいでしょうから、時間を割いて集中的に大蔵大臣に何分かの時間質問できるように計らってもらいたいということを申し入れておきましたけれども、どうしても出られない。仕方がないから、それじゃ銀行局長に出てもらいたいということを要請したら銀行局長も出られない。先ほどは課長の出席でがまんをしてもらいたいというのですけれども、これは行政府の方では、何かよその委員会、いわゆる逓信委員会に他省の出席を求められた場合には大体課長どまりだ、局長は出さない、こういうことに申し合わせをしておるやに仄聞をしておりますが、国会軽視もはなはだしいと思います。しかも今度の金融懇の問題は、いわゆる内閣官房長官、大蔵大臣郵政大臣、三人の申し合わせが基本になっておるわけでございますから、その申し合わせをした大蔵大臣が出席できないようでは、とてもじゃないが私は質問をしても全く意味がないと思います。したがって、大蔵大臣が出席をするまで私はこここで質問を保留しておきたいと思いますので、委員長、ひとつよろしくお計らいを願いたいと思います。
  46. 佐藤守良

    佐藤委員長 ちょっと速記をとめてください。     〔速記中止〕
  47. 佐藤守良

    佐藤委員長 速記を起こしてください。  阿部未喜男君。
  48. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 委員長のせっかくのお言葉ですから、出席されておる方々に対して質問をしたいと思いますけれども、基本的に行政府の立法府に対する姿勢の問題だと私は思うのです。従来からそういう形で、後ほど官房長官が見えましたら強く要望しておきたいと思っておりますけれども、大体行政府が立法府を軽視して、よその委員会には課長しか出さないなどという申し合わせをするに至っては、私は言語道断だと思っております。そういう意味合いもありまして、大蔵省に対する質問を保留して、後ほど大蔵大臣が出席してから大蔵省に対する質問をしたいと思います。  それではまず郵政大臣に伺いますが、先ほど郵政大臣から今回の金融分野における官業在り方に関する懇談会報告について決意の表明がございました。私も全く同感でございますけれども、やはり大臣、その前提として、少なくとも金融懇などというものをつくるに至った経過を振り返って、大臣の認識、大臣の見通しが誤っておった、そのことが私はまず先決問題として大臣の心の中にないと、今後のいろいろな話し合い、折衝の基本の姿勢が崩れるのではないか、そういう気がしますが、先ほど来もう議論がありましたから繰り返しません。少なくともあの金融懇をつくるに至った経過の中で、大臣が、恐らく郵政審議会金融懇結論は別々のものにはならないと思っておるとか、いや郵便貯金の宣伝をするところにしたいとか、いろいろ申しておられましたけれども、われわれは最初からこういうことになるだろうということを想定して質問をしてきました。したがって、大臣答弁の中から考えられることは、分析が甘かった、認識に誤りがあった、このことをまず認めておいてもらいたいと思うのです。
  49. 山内一郎

    山内国務大臣 先ほどもちょっと触れましたけれども、せっかくの機会金融懇の場においてわれわれも郵政省全体、総力を挙げてやったのでございますが、私自身といたしましても委員の先生お一人お一人に郵便貯金の重要性についてよく説明してまいったのでございます。しかし、その結論はもう御承知のとおりでございますので、私の力の足りなかったこと、これはまことに遺憾に考えているわけでございまして、今後はそういうことを踏まえながら、ひとつりっぱな結論が出るように前進をしてまいりたいと考えておるわけでございます。
  50. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 私はそもそも郵貯懇などというものをつくるそのときから、こういう結論を出すためにつくる委員会である、郵便貯金抑制するためにつくる懇談会である、ですからそういう抑制できるような人選を初めからやる、結論が先にありきと、そう私どもは見ておったわけです。その理由をいまから少し説明しながら質問させてもらいたいと思います。  まず内閣法制局に伺いますが、金融分野における官業在り方に関する懇談会というこの会議は法的にどういう根拠を持っておる懇談会でございますか。
  51. 角田禮次郎

    ○角田説明員 金融分野における官業在り方に関する懇談会の法的性格いかんという御質問だと思いますが、この懇談会を含めまして一般に懇談会と言われるものにつきましては、過去にそういうものが置かれた例が多々あります。また、国会の答弁を通じてその法的性格につきましても何度もお答えを申し上げているところでありますが、一般に懇談会と言われるものは、御承知のような国家行政組織法第八条に基づく法律によって設けられる審議会というような性格のものではなくて、個々の有識者に別々に意見を聞くかわりに、それらの方に一堂に集まっていただき、そういう方々の意見を参考にして行政に反映させる、そういう性格のものであります。したがいまして、法的には、行政機関として機関意思を公の権威をもって表示する、そういう性格のものではございません。
  52. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 大体私が思っておったのと同じことを答えていただきましたが、そうすると、個々の意見を聞くかわりに、今回の場合は内閣総理大臣が何人かの人に集まってもらって意見をお伺いしたにすぎない、いわば何人かの方に集まってもらって、茶飲み話をしながらその茶飲み話の結論がいいものであるならば行政に反映していこう、そういう性格のものである。それならば、たとえば総理大臣が委嘱はしていないけれども、日曜の朝、時事放談などというのがありまして、細川隆元先生などいろいろおっしゃっておられますが、あれなんかもやはり一つのりっぱな意見としてお取り上げになる、こういう性格のものになるわけでございますね。
  53. 角田禮次郎

    ○角田説明員 茶飲み話というお言葉でございますが、それは私にはちょっと理解しがたいと思います。  それから細川先生のことにつきましても、どういうふうな御意見をお持ちか、またどういう性格のお話をされたかわかりませんので、ただいまの御質問に対しては私の立場ではお答えいたしかねます。
  54. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 性格として、個々の意見を聞くかわりに何人かの方に集まっていただいて御意見を聞くのだ、そういう性格であるならば、個々の意見もまたお聞きになるわけでございますから、私の言ったのは一つの例ですよ、一つの例ですが、郵便貯金について時事放談で細川隆元先生がいろいろお話しになるそういう意見に耳を傾けるのも、何人か集まって話をするのも余り変わりがないのではないですか。そういう性格のものでございますね。耳を傾けるという点ではそういう性格のものでございますね。法的な拘束力も権威も根拠もないものでございますね、こう伺っておるのです。
  55. 角田禮次郎

    ○角田説明員 内閣総理大臣としては、先ほども申し上げましたように、有識者の方の御意見を行政上の参考としてそれを施策に反映したいということで、しかるべき方にお集まりを願って意見を伺ったわけであります。したがいまして、お言葉を返すようですが、細川隆元先生の放言を参考にするということは……(「放言じゃないですよ」と呼ぶ者あり)時事放言ですか、そういうものでお話しになった——いまの放言というのは時事放言とかなんとかという題でお話しになったというふうに言われましたが、それを引用したわけですが、そういうことでの御意見を伺う、参考にするというのとは意味が違うと思います。  ただ、先ほど審議会の場合と比較して申し上げましたけれども、国家行政組織法に基づく審議会というものについては尊重規定が法律に決められている場合がございますが、そういう場合はもとよりのこと、そういう規定がない場合でも、やはり法的に機関としての統一意思というものを尊重するという前提があると思います。ただ、私的懇談会の場合はそこまでの前提はないということだけは言えると思います。
  56. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 よくわかりました。ただ、名誉のために言っておきますが、放言ではなくてあれは放談でございましてね。  そこで、郵便貯金業務につきましては、国家行政組織法を受けて、郵政省設置法、郵政審議会令あるいはまた郵便貯金法の十二条、これらに、郵政審議会設置をされ、その意見を聞くことになっております。これはいま長官の申された公的な審議会でございます。したがって、これは尊重しなければならない。従わなければならないとは規定していないが、その意見を聞かなければならないとかいうふうに定められております。そういう公的な、いわゆる立法府が法定をしたその機関と、単に総理大臣が御意見を承る有識者の意見というものは、行政の上に反映される場合において、いずれが重きをなす性格のものでしょうか。
  57. 角田禮次郎

    ○角田説明員 先ほど大変失礼な言葉を申し上げましたので、それは訂正させていただきます。  ただいまのご質問にお答えいたしたいと思いますが、先ほども申し上げましたように、私的な懇談会という場合には、その意見というものを当然に法的に尊重しなければならないというような意味合いのものではないということは、明らかに審議会との差があると思います。  ただ、いやしくも有識者の意見を求めるわけでありますから、しかもそれは、行政上の参考に供して、行政上の施策を進めるに役に立たせよう、そういう気持ちで聞いているわけでありますから、初めからその意見を尊重しなくてもいいというようなことはあり得ないと思います。  ただ、それが当然の法的前提ではないという点において明らかに審議会との違いでありまして、それは個々具体的な場合に応じてそれぞれ判断されるべきものであろうと思います。
  58. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 私は、決してりっぱな意見を取り入れていけないなどと言っておるのじゃないのです。問題は、法定された正規の郵政審議会意見と、単に御意見を承った、言われるところの郵貯懇の意見とが、全然反対の意見になっておるわけなんです。そういう場合に、行政はいずれの意見を反映するのが正しいのか、そのことをお伺いしているのです。
  59. 角田禮次郎

    ○角田説明員 先ほど来の御答弁を繰り返すほかはございませんが、法的な重みというのは明らかに違うと思います。  ただ、それを具体的にどちらを採用するかというのは、個々具体的の場合に応じて判断されるべき問題であろうと思います。
  60. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 いずれの意見を採用するかはそのときそのときで決まるというのならば、私は、国民の代表である国会、立法府においてつくった法律の軽視にならないかと思います。やはり郵政審議会は立法府が法定してある機関でございますから、その意見が個々の問題については軽視をされて、一般の方々の意見が重要視されるとするならば、郵政審議会の存在価値は非常に薄いものになってくると思われます。  ですから、私はその点は、そういう意見の違いがあるときには、公的な立法府の意思によってできておる機関の意思が尊重されることが正しいと思うのですが、これはお考えはどうですか。
  61. 角田禮次郎

    ○角田説明員 私の立場でお答えできることは、法的な意味合い、重みというものは違う、そこまでは申し上げられると思います。しかし、郵政審議会答申と、この金融分野における官業在り方に関する懇談会報告と、どちらを尊重すべきかというようなことについては、私の立場ではお答えいたしかねます。
  62. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 法的な解釈から言えば、いま申されたように、やはり法的な重みは全然違うんだというその解釈以上あなたは言いにくいかもわかりませんけれども、後は行政府がどこをとるかの問題でしょう。  さてそこで、その次にお伺いしたいのですが、大蔵大臣が来ていないので非常に困るのですけれども、これはそこにお並びになっている政府委員の専門家の方から御答弁を願いたいのです。  第一点目は、金利一元化ということと金利の自由化ということにはどういう違いがあるのか、その解釈を教えていただきたいのです。——専門家はおりませんか。
  63. 佐藤守良

    佐藤委員長 ちょっと速記をとめてください。     〔速記中止〕
  64. 佐藤守良

    佐藤委員長 では速記を起こしてください。
  65. 吉田正輝

    ○吉田説明員 金利一元化金利の自由化の違いということでございますけれども、私ども金利の自由化ということは、市場原理の需給に従いまして、金利が自由化された結果は、金利が一定の水準になっていくということであろうと思っております。  金利一元化と申しますときには、これはやはり金利が同一水準になることを意味するわけでございますけれども、自由化された金利と規制された金利がございましたときに、それが同一水準になる姿というふうに区別して考えております。
  66. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 もう一つ伺いますが、自由競争とその金利の自由化、これはどうなりますか。
  67. 吉田正輝

    ○吉田説明員 ただいま申し上げましたように、金利の自由化と申しますのは、金利が規制されないで市場の原理に従いまして定まっていくという姿でございますから、自由競争が行われる結果、市場の金利も自由化されつつ同一水準で推移する、かような姿であろうと考えております。
  68. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 どうもよくわからないのですが、その自由化になるためには、自由な競争がある、自由な競争の結果自由化されるんだ、そうおっしゃられていますけれども、もう一方では、何か自由化というのは、全部一緒に趨勢として下がったり上がったりするのが自由化だ、こうおっしゃっています。  私は、自由化というのは、自由な競争の結果趨勢として落ちつくもの、それが自由化であると解釈していますけれども、あなたの解釈には、前段としてその自由な競争というものを抜いて、自由化だ、自由化だとおっしゃっています。私は、自由化は、自由な競争の結果落ちついたものが自由化だ、こう思うが、これはどうですか。
  69. 吉田正輝

    ○吉田説明員 御説明の仕方があるいはまずかったのかと思いますけれども、おっしゃるとおりでございます。
  70. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 そうすると、金利の自由化ということは自由な競争をさせるのだということになるわけですね。自由な競争をさせるのが金利の自由化だ、そう解釈して間違いありませんか。
  71. 吉田正輝

    ○吉田説明員 自由な競争が市場の中で行われる結果、市場原理に従って金利が一定水準になることが金利の自由化である、こう申し上げます。
  72. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 それでは自由化について、たとえばいま金利が二元的に決定をされておるということは、これは決定という言葉は使っていますけれども、ある意味では自由化の方向である、一元的よりも二元的の方が自由化に近い、そういう解釈になりますね。
  73. 吉田正輝

    ○吉田説明員 一元化と二元化の両者があって、その二元化の方が自由にされているから自由化に近いのではないかという御質問だと思いますけれども、自由化の場合には、金利が全く規制されていないという前提があるわけでございます。でございまして、一元化の場合には、規制された金利が、たとえば民間の預金金利、それから郵貯の金利ということでございますときに、それが同一水準になるということが一元化でございまして、仮にどちらかの金利が規制されているというようなことになりますと、どこかの金利が自由化されておりましても、市場原理に従わない金利がございますために、それは自由化を逆に阻害するというふうに考えております。  前提といたしましては、やはり完全な自由競争、規制されざる金利、全部が規制されていない金利の中で自由化が実現されるというふうに考えておりますので、規制された金利二つあるということは、金利水準の同一化ではなくて自由化にはむしろ遠いということでございます。
  74. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 たとえばデパートなどでも、その設置についてはある程度の規制はありますね。しかし、一つのデパートよりも二つのデパートがあって競争する方が自由化されているといいますか、自由経済の原理に即しておるということになりますね。一社だけで製品をつくらせるよりも二社が競争する方が自由経済の原理にのっとっておる。ならば、いまのデパートのように若干の規制はあろうとも、一つだけで金利を決めるよりも二つ金利の決定機関があって競合する、いい意味での切瑳琢磨をすることの方が自由化に近いじゃないですか。なぜそれが遠いのですか。
  75. 吉田正輝

    ○吉田説明員 ただいまデパートの例で先生がおっしゃいましたので、デパートの例で申し上げさせていただきますと、デパートの商品の価格は公的なものによって規制されていないということでございます。それから自由競争がそこでは行われている、何らの規制も行われていないという意味で、自由競争の結果一元的な一物一価の原則が貫かれてくるだろう、かように考えております。しかし、金利の二元化と先生がおっしゃる場合には、規制された金利、つまり自由競争でもなく、市場原理と無関係にあるいは市場原理と別個に政策的意図を持って決める金利というものがございますときには、むしろ自由化よりも遠い、かように考えております。
  76. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 どうも私はあなたの答弁では納得はできません。銀行局長が出たそうですから、銀行局長に改めて聞きます。  念のために申し上げておきますが、金融政策というものは市場原理を無視してやるものなのですか。市場原理を無視した金融政策があるのなら、それはあなた市場原理なんか初めからないので、規制された金融しかないわけでしょう。常にあなた方がおやりになる場合には、市場原理というものをながめながら金利というものを動かしていくはずなのですよ。その場合に、一つだけの決定機関で決めるよりも二つ金利の決定機関があって、より努力をすれば預金者のためにより多くの利息が払えるというふうな努力があることがいわゆる自由競争への道なんでしょう。努力をすることによってよりサービスの提供をよくすることができるというのが自由競争の原理であるならば、二つ決定機関があって、こういうふうに努力する、こういうふうに努力すると努力し合いながらいいものをつくっていくことの方が自由競争じゃないですか。一本にまとめることがどうしてそんなにいいことなのですか。
  77. 吉田正輝

    ○吉田説明員 金融政策はもちろん市場の資金の需給の動向あるいは景気の動向あるいは物価の動向、あらゆるものを考慮しながら行われていくものでございます。その場合にその金利の中で、市場の原理を反映していない、まさに先生のおっしゃるとおり市場の需給を考えているものですから、市場の原理と別個の判断、政策目的で決まる金利がありましたときには、金融政策は市場原理をそのまま実現する形で運営されることができないということでございます。そこら辺が先生のお考えとの違いかと思います。私どもといたしましては、金融政策はまさに市場原理を尊重したい、市場原理にのっとっていきたいと思っておりますけれども、その中で市場原理と離れた形で規制された金利があるという場合には金融政策が円滑に機能できない、こういう考え方でございます。
  78. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 だから私が言ったとおりでしょう。市場原理、市場の趨勢を無視した金融政策などというのはあり得ないことなんでしょう。そうでしょう。だから自由化に向けてやるためには、自由な競争、自由な努力によって預金をする側には選択肢を与える、また借りる方の側にも選択肢を与える、それがあくまでも自由な競争である。その自由な競争は一元的であるよりも二元的である方が、二つであるよりも三つである方が、三つであるよりも四つが競争することがより自由な競争への道ではないか、こう私は言っているのです。
  79. 吉田正輝

    ○吉田説明員 二元的、多元的といろいろございましょうけれども、たとえば簡単に申しますと、非常に多数の銀行があるといたします。非常に多数の銀行がありまして、それぞれが自由競争であるということで貸出金利預金金利を決めるという前提があるといたします。その場合にその市場原理、自由競争が働くときには、一物一価の原則によりまして金利が市場の一定水準に決まってくるであろうということが金利の自由化であり、金利の最終的姿であろうと考えております。
  80. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 そのとおりですよ。その方向に向かっていくのには、一挙に全部が自由競争ができないとするならば、一元的な決定よりも二元的の決定の方が自由化への道ではないか。もっとできるならば、三元、四元、それぞれの銀行性格金融機関性格によって決めていけれるならばそれが自由化の道ではないのか、こう言うのです。それをことさらに一元化するというのは自由化に逆行することになりませんか、こう私は言っているのですよ。
  81. 吉田正輝

    ○吉田説明員 先生の御指摘の点で申しますと、私が申し上げておりますのは、自由化されているというのは、完全に全部の金利自由競争になっているという意味での自由化というふうに申し上げているわけでございますが、先生のおっしゃっている二元的というときは、その場合には、政策的にあるいは市場原理と別個の判断で決まる金利がある。そういうときには、むしろ自由化されていない金利、市場原理と別個の判断でやっている金利がある、そういう意味での二元化、三元化が行われますならば金融政策はうまく円滑に機能できないということを申し上げているわけです。  仮にたとえば、民間の金利が自由化されている、それから郵貯の金利政策金利として預金者保護の見地なり何なりという政策目的でお決めになるということがございましたときには、その金利に対してもし民間金利が低い場合には高い方にシフトするということで、金融政策を仮に円滑に行おうとしても資金の移動が行われるとか、低金利にして景気を維持しようとしても規制金利の方に誘導されるとか、そういうことがございまして、結局は金融政策はうまくいかない。そういう意味では、市場原理がない規制金利が存在しているところでは、まさに金融政策が、先生御指摘のとおり市場原理を尊重し、あるいはそれを考慮に入れながら運用しなければならないところに、市場原理と離れた規制金利があることは、なかなかやりにくいのではないかということを申し上げているわけでございます。
  82. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 およそ自由主義経済の中で、市場原理を離れた金利なんかがあり得るわけはないでしょう。あなた方そんなものあると思っているのですか。市場原理を離れた金利なんかがあり得ますか。それは初めから成り立たぬでしょう。成り立ちますか。どういうことをやれば成り立つのですか。そういう市場原理を離れて、ほかの銀行が七%しか払えぬときに二〇%も金利の払えるところがありますか。できぬです、そんなばかなことは。あれば倒産するでしょう。そうでしょう。だから、常に金利というものは市場原理の趨勢に従って決まっていくものなのです。その中でどんな努力をすれば幾らかでも利用者に高い利息を差し上げ、安い貸し付けができるか、これが自由競争じゃないですか。どうですか。
  83. 吉田正輝

    ○吉田説明員 いま先生のおっしゃっておられますのはそのとおり、金融機関は、いま私が申し上げているのは、自由競争の中では、先生がおっしゃったとおり、一つ銀行が七%、一つ銀行が二〇%ということはとうていできないので、自然に、競争原理が働けば、高い金利で貸し出している方は低い方の金利に収斂していく、こういうことであろうかと思います。ただ、仮にそういう形でだんだん金利水準が一物一価で安定してくる、決まってくるということでございますけれども、そういう市場原理と離れて、あるいは市場の自由主義経済の原理と離れて規制金利が別個に存在いたしますときには、自由化は、その場合にはやはり市場の中に二つ金利があり、片っ方の金利は規制されて決まるとなりますと、それが動かないということになりますと、その民間金利というのはどうしても全体として見ましたときには市場原理、全体の市場の中での市場原理として金利が決まっている姿ではないんじゃないかというふうに考えております。
  84. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 国債を発行しますね、政府は。あれはやはり利子を払うわけですね。十年ものの国債の利子は、それでは市場原理に従って安くなったり高くなったりするものですか。
  85. 吉田正輝

    ○吉田説明員 国債の金利はなるべく市場の実勢を尊重しながら決めていくことになっております。
  86. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 市場の金利の趨勢に従って、一遍契約した国債の金利が、十年間の契約の中で上がったり下がったりしますかと聞いておるのですよ。
  87. 吉田正輝

    ○吉田説明員 最初に発行した金利は変わりございませんですけれども、市場で流通しましたときには、流通の利回りが市場の需給動向で変動いたしております。
  88. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 国債の金利は変動するのですか。発行したときに八分なら、八分利付の国債を発行して、途中変動するのですか、それは。
  89. 吉田正輝

    ○吉田説明員 発行時の表面金利、クーポンレートは変更ございませんけれども、流通市場で売買されますときには、そのときの市場の需給の動向、資金の需給の動向に応じまして国債の価格が変動いたします。それに応じまして流通利回りは変動いたします。発行の利回りは全然変わりません。
  90. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 それは貯金だって同じなんですよ、物価がどんどん上がれば実質的には目減りするのは。それと同じように、金融分野においても国債が、実質的にほかのものが上がれば価値が低いものになるかもわかりませんし、それは価値が高くなるかもわからぬ、それはあるでしょう。私は、政府が契約をした金利が変わるか変わらぬかと聞いておるのです。
  91. 吉田正輝

    ○吉田説明員 一回発行いたしました国債の金利は契約上変わりません。
  92. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 それでは一定の期間を区切って貯金を預かる金利の契約をすることも少しもおかしくないわけでしょう。それが二年がいいか三年がいいか、それぞれの貯金性格によって、長期のものについてはある程度高い利息を払う、短期のものについては利息を安くする、しかしその性格上、たとえば短期のものについては民間の金融機関の方を高く金利をしておく、それから長期のものについては、郵便貯金等の貯蓄だけを目的とするものについては、長いものについて若干利回りが高いというふうな金利あり方というのはきわめて当然じゃないですか。
  93. 吉田正輝

    ○吉田説明員 個別それぞれでございますけれども、長期の方が短期よりも高いということは一般的に言われることではないかと思います。
  94. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 だから、問題はその長期のものの期間の設定が問題になるわけですね、その場合には。そうすれば、当然そういう目的に応じて貯金金利、利息に若干の上がり下がり、でこぼこはあってもいい、そう私は考えるのです。ところが、どうも大蔵省のお考えはそうではなくて、何もかも一緒じゃなければならぬというようにお考えのようですが、私はそういうふうなそれぞれの性格に応じて貯金金利というものは決められて構わないものだと思うのです。どうですか。
  95. 吉田正輝

    ○吉田説明員 まさに御指摘のとおりでございまして、預貯金の種類にはいろいろございます。期間、目的、特に流動性、収益性その他、そういうような要素によりまして、金利が種々ございますことは、それで結構なことだと存じております。
  96. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 官房長官お忙しいようですから……。忙しいところを恐縮です。  官房長官、いま私は委員長にもお願いしたのですけれども、最近内閣は国会を非常に軽視をいたしまして、委員会大臣が出ないというケースが非常に多うございます。しかし、やはり内閣は連帯して国会に責任を負うことになっておるわけですから、国会から要請があった場合には、これはもう何はおいても国会に出席をするという姿勢を内閣官房の方で明確にひとつ考えていただきたい。どうしても要求をした大臣が出られないというときには、その理由を付して委員長のところまで届けていただいて、少なくとも理事会でこれはやむを得ない——決してわれわれ無理なことを言うつもりはないのです。しかし、最近、実は私が仄聞するところでは、自分の所管といいますか対応する委員会以外のところには大臣は出ない、課長以下を出すのだということを政府部内で申し合わしているという話を聞くのです。これは国会軽視もはなはだしいと私は思うのですけれども、もし、そういう申し合わせがある、そのために大臣がそれぞれの他の委員会に出ないというようなことであるならば、これはゆゆしい問題ですが、官房長官どうお考えですか。
  97. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 おっしゃいますことはまことにごもっともなことだと思います。そういう申し合わせがあるということを私承知いたしておりません。
  98. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 それでは、ひとつ官房長官責任を持って、閣議の際にでも、国会から要請があった場合にはそれぞれの関係大臣は出席をするようにということをお伝えをいただいて、実行していただく。あわせて、私は、国会に対してどうしても大臣が出席できない場合には委員長にその旨を届けて、かくかくの理由で出席できないから了承をいただきたいぐらいの措置はとられてしかるべきだと思うのですが、もし国会軽視というような考えがないということであれば、そういう措置をおとりいただけましょうか。
  99. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 政府といたしまして、十分に国会の御審議に御協力ができるように、万全の態勢をとりたいと存じます。
  100. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 そこで官房長官、早速で恐縮ですけれども、ことしの一月につくられました、金融分野における官業在り方に関する懇談会というものができたようでございますけれども、これが報告というのをなさっておりますが、先ほど法制局の方の御見解も承ったのでございますけれども、この懇談会というのは別に法的な根拠のあるものではない、ただ有識者の意見をお聞きする。何人かの方に集まっていただいて、有識者の意見をお伺いして、いい意見は行政に反映していく、そういう性格のものであるというふうに承ったのですが、これは官房長官も同じお考えでございますか。
  101. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 この懇談会の場合には、問題が長いこといろいろな観点から論じられまして結論が出ておりませんので、有識者の方々、中立的な方々から御意見をひとつ総理大臣として聞いてみよう、そういう意味でお願いをしたものでございます。
  102. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 私は目的ではなくて性格をお伺いしておるわけですが、懇談会というものの性格は、法的な根拠に基づいてつくられるものではない、ただ有識者の御意見を聞くためにつくられるものである、そういう性格のものでございますかと、こう聞いておるのです。
  103. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 このたびのこの懇談会は、組織法等の規定に基づいたものではございません。
  104. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 そこで、実は、国家行政組織法あるいはそれに基づく郵政省設置法等によって郵政審議会令というものがございまして、これは国民を代表する国会が、立法府がつくったものでございます。その郵政審議会には明らかな任務が与えられております。その任務の中に、郵便貯金に関する業務について重要なものについて検討するという任務が与えられております。また、金利の決定については、郵便貯金法十二条によって、これは郵政審議会意見を聞いて決めるんだというふうに決められております。したがって、事郵便貯金につきましては郵政大臣所管でございまして、しかもそこに立法府がつくった法律による審議会があるわけでございますから、これが尊重されないようなことであるならば、私はゆゆしき問題だと思いますが、長官どうお考えですか。
  105. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 郵政審議会の与えられました法律上の立場、それから機能、これは当然尊重しなければなりません。
  106. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 郵政審議会が、たしか七月の何日かだったかと思いますけれども郵便貯金あり方についてりっぱな答申政府になさっております。これは必然尊重されるということでございますね。
  107. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 郵政審議会の与えられました権限、責任の内における意見であれば、それは当然尊重されなければならないと考えます。
  108. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 そうすると、その意見と、総理大臣の私的な諮問機関、単に御意見を承る懇談会意見、その重みはおのずから違うと理解をしてよろしゅうございますね。
  109. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 御承知のように、総理大臣の設けましたこの懇談会は、郵政審議会が与えられております問題、権限と申しますか、何々について審議しなければならないという範囲とは次元的に違うものを扱っているものと考えております。金利決定のあり方であるとか、あるいは金融における官業民業あり方であるとか、あるいはいわゆる資金運用部関係のことであるとか、あるいは民間の金融機関あり方であるとか、いろいろそういう問題を広く議論をいたしておりますので、したがいまして、扱っております問題の種類、次元がおのずから郵政審議会の機能としておられるところと一緒ではないというふうに考えております。したがいまして、その間に矛盾があるというような性格のものではないであろうと私は思っております。
  110. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 確かにおっしゃるように懇談会の御意見は、金融全般にわたる御意見かもわかりません。しかし、その中に郵便貯金事業運営にかかわる部分があって、郵便貯金事業運営にかかわる部分について意見が異なる場合には、これは優先的に郵政審議会意見が重きをなさなければならない、この点はいかがですか。
  111. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 郵政審議会調査審議事項は郵政省設置法十九条に定められておるとおりでございますから、これにつきましては当然郵政審議会調査審議、これが優先をすると考えるべきだと思います。
  112. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 したがって、繰り返しますが、郵政審議会の仕事の中に、郵便貯金業務に関するいろいろな諮問を受けて重要な意見を述べることになっていますから、その分野については、ほかのことはそれは広範な関係ですから資金運用部や財投の問題は別にして、郵便貯金に関する部分については郵政審議会意見が尊重される、そう私は理解をいたしました。よろしゅうございますね。
  113. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 もとよりそのことに問題はございません。
  114. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 次に、これは官房長官大蔵省かわかりませんが、政府の方針なのかどうか、いわゆる官業民業の補完に徹するべきであるというようなにしきの御旗みたいな意見が最近流行していますが、官房長官もそうお考えでございますか。
  115. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 これは、いま問題を具体的な問題として御提起になりますと、必ずしも簡単に申し上げることはできません。ただ、私どもの政党の物の考え方は、市場経済を中心考えておりますから、一般論といたしまして、できることは市場経済でまずやるのが本当であろう、こういう考えは持っておりますけれども、ただいま阿部委員が恐らくお考えになっておられますような具体的な問題について、それがすぐそうであるかというようなことを一般的に申し上げることはむしろ誤解を生ずるかと思います。
  116. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 いわゆる自由主義経済の原則については私も官房長官と同じ考え方でございます。しかし、具体的な個々の問題についてその原則が全部適用されるとするならば、これは国民の負担は大変なことになってくるのではないかという気がするわけでございます。たとえば、自由主義経済の中では利益のあるものがいわゆる民業として成り立つわけでしょう。利益のあるものが成り立つのであって、利益のないものは、これは営業として成り立たないのです。そうでしょう。そうすると、官業はあくまでも民業の補完に徹せよというならば、広い意味ではもうかる仕事は民間がやる、狭い意味ではもうかる部分だけ民間がやって、もうけのないところは国民の生活上必要であるならば官業でおやりなさい、こういう言い方にかわってこないでしょうか。
  117. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 市場経済において、いわゆる私企業に対して利益のない企業を営めということは本来市場経済の原理ではないと思います。
  118. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 こういう例を出すことが妥当かどうかは別にして、たとえば国鉄がいま大変な赤字を抱えて苦しんでおります。しかし、人口の多い近郊の輸送は民間の企業でやっておられる、もうからない遠いところの路線を国鉄が荷物をかるっておる。言いかえれば、これは官業民業の補完的な役割りを果たしておる典型的なものではないかという気がするのですけれども、そういうふうになりますと、いま郵便貯金の問題についてもそういう意見が出されておるようでございますが、もうかる部分は民業でやりましょう、もうからない部分はひとつ官業でおやりなさい。そうすると、利益を追求をするわけですから、なるべく安い利息で預かって高い利息で貸し出す方が得だし、同時にコストに合わないところはやらない方が得でございますから、当然それは一方では国民の税金という形で赤字が負担される、一方では、そういう形になれば、より利益の追求のために安い利息で預かって高い利息で貸し付けようということになってきて、国民そのものが不在の状態になってこないだろうか。ですから、やはり官業としてやらなければならない場合には、ひっくるめてバランスをとらなければ、もうかる部分は民間に移してしまって、損をする部分だけは官業でやったのでは、国民は負担に耐えられなくなってくるだろう。そういう意味合いから、この仕事はある部分官業でやるとすれば、それはひっくるめてやらなければ、もうかるところだけは民間、もうからないところだけは官業でやるというこの官業民業補完論というのは非常にむずかしい問題になってくると思うのですが、これはどうお考えになりますか。
  119. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 これも一般論としてお尋ねがあったものとしてお答えを申し上げますが、ただいまのお話のうちで、私ども民業と申しますときに、これが独占企業であってはならないというふうに考えておるわけでございます。つまり、民業の間で絶えず競争が行われる、したがって、独占企業でございますともうからないものはやめてしまうということをあっさり申すかと思いますが、絶えず競争が行われておって、その間でユーザーに対してぎりぎりの採算でサービスを行っていく、こういう体制を理想として考えておりますことを申し添えておきます。
  120. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 先ほどちょっと議論したのですが、これは官房長官の直接の所管ではないのですけれども、そういう意味で、独占的なものはぐあいが悪いといってやめてしまわれては困るから自由な競争をやらせるべきだ。そうすると、たとえば貯金をする国民立場からするならば、預かる貯金金利一元化されて一定のものである、これは自由な競争から大変遠のいていく。少なくとも二つあることの方が一つよりも競争によって国民サービスを提供できるだろう、自由な競争の原理からすれば。それを一元化するということは、どうも自由な競争の原理からは外れる。一つよりも二つある方がいいし、できればそれぞれの金融機関がそれぞれ努力をし合いながらよりよいサービスを提供する、それが自由競争の原理であり、自由主義経済の原理ではないのだろうか、こう私は先ほど大蔵省の方にもお話し申し上げたのですが、どうお考えですか。
  121. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 その点は私は多少違う考えを持っております。私ども戦後、日本の経済のあらゆる分野をできるだけ自由化しようと図ってまいりましたけれども、今日までそれが十分に行われておりませんのは、まさに御指摘の金利分野でございます。金利が自由化されていないというところにいろいろな問題があると考えておりまして、もし金利が自由化されておりますと、金利がどのようにして決定されるかということは、本来ならば市場の状況によって決定されるということであるべきなんでございましょうが、残念ながら金利が自由化されていないというところにいろいろな問題が出てきておる。これは私ども戦後追求してまいりました政策が行きつくところに行っていないので、今後とも金利というものは、本来もっと自由に形成されなければならない、それによってユーザーがいろいろな選択を与えられなければならない、そう思っております。
  122. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 そこで私は、自由化というものへのプロセスを考えてみて、一元的な金利の決定よりも二元的な金利の決定の方が、互いに切磋琢磨し合っていいサービスを提供することができるだろう。二元的よりももっと三つ、四つ、さらには、いまおっしゃったようにそれぞれの金融機関がそれぞれ努力し合いながら自由に金利を決めて競争していく、その中で趨勢として落ちつくところに落ちつく、それが金利の自由化だ。だからプロセスとしては、一つよりも二つがいい、二つよりも三つがいいし、最後には全部自由化されて自由な競争になって、そしてそれが落ちつくところに落ちついていく、これが自由化への最も正しい過程ではないのだろうか。それを一元化するということはどうも逆行しておるんじゃないですか、こう話したのですが、どうですか。
  123. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 この点は、このたびの懇談会報告でも、その底流としていろいろの議論をされておるわけでございます。つまり、いまのわが国の金利あり方というものは、現実に理想とされる状態からはるかに遠いものである。そこで懇談会は、できるだけこれが自由に決定されるように政府としては努力をしなければならないということを申し述べておるわけでございます。したがって、いまこの金利の決定が一元的に行われることが望ましい云々ということを申しましても、それは理想の状態において言っているのではなくて、いまの状態はきわめて理想から遠い状態であって、早く金利というものは自由に決定されるようになるべきだ。それが一番理想の状態である。しかし、そうでないいまの現実のところにしばらくおらなければならないとすればどうしたらいいかということを報告は論じておるの、だと私は思っております。
  124. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 私はちょっと見解を異にするのです。右に行くことが正しいと言っておるのに、とりあえず左に後戻りという言い方だと私は思うわけですわ。申し上げたように、一つ機関で決定するよりも、二つあるいは三つの決定機関があって切磋琢磨する方が選択肢が多くなるわけですから、いいことは当然でしょう。ですから右に行けと、こう言っておるのです。それを一元化するのは左に戻ることになるでしょう。その辺に私は議論の矛盾を感じておるのですが、これは後ほどいろいろ行政内部で御議論なさる問題でしょうけれども、そういう関係が私は一つあると思います。  それから、あとは同僚の議員からも官房長官質問があるそうですから、もう一つだけ聞きます。  私は、先ほど来ずっと郵政大臣に述べてまいりましたように、事郵便貯金事業については、これは郵政大臣所管であり、同時に郵政審議会答申を受けて運営をするというのが原則だと思っております。もちろんこれは内閣全体の責任でもございますけれども、国家行政組織法によっても明らかなように郵政大臣所管をしておる。ということになれば、お茶飲み話で集まって何人かが話をした懇談会結論などというものは、これは拘束される筋のものではないと私は思っております。  したがって、郵政審議会答申に基づいて、たとえば前から大臣が主張なさっておりましたお年寄りの皆さんの生活設計のための貯金については、ある程度総額の制限を引き上げてシルバー貯金みたいなものをつくるとか、あるいは非常に利用者の期待の大きい小口の貸し出し、そういうものについての道を開くとか、現行の総額制限を決めた時期から考えて貨幣の価値が非常に変わってきておりますから、総領制限の引き上げとか、そういうものについては既定方針どおり郵政省はお進めになるべきだと思っておりますが、この点はいかがですか。
  125. 山内一郎

    山内国務大臣 来年度予算に関係する問題でございますので、いま鋭意検討中でございまして、大蔵省に提出するまでに十分検討して、そういう結論をどういう方向に持っていくかということを決めてまいりたいと考えております。
  126. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 検討の方同ですよ。検討中じゃ困る。検討方向は、郵政審議会答申を尊重すると言われたんですから、その郵政審議会答申に基づいて新年度予算についてはそういう方向で対処していくという決意なのかどうか、それをお伺いしているんです。
  127. 山内一郎

    山内国務大臣 郵政省としては考えておりますけれども大蔵省に提出までにはいろいろ党との話し合いもございまして、そういうことを踏まえてやってまいりたいと考えております。
  128. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 私は結果がどうであるなどということを言うんじゃないんですけれども、それは行政全体の問題ですから、必ずしも郵政省が望むとおりになるかどうかはわかりません。私が申し上げておるのは、郵政審議会答申を踏まえて、その方向郵便貯金事業運営については郵政省努力しなければならない、その御決意はございますかと言っているんです。
  129. 山内一郎

    山内国務大臣 その点はたびたび申し上げましたとおりでございます。郵政審議会答申に基づいて、ひとつ今後行動してまいりたいと考えております。
  130. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 それでは、同僚議員の関連質問もあるようですから、これで終わります。どうもありがとうございました。
  131. 佐藤守良

    佐藤委員長 阿部未喜男君の質疑は終わりました。  鈴木強君。  ちょっと速記とめてください。     〔速記中止〕
  132. 佐藤守良

    佐藤委員長 速記を起こして。
  133. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 大変お忙しいところ恐縮でした。  去る二十日に金融懇から答申がございまして、私ども心配しておりましたような、内容大蔵、そして民間金融機関意見を全く代弁するようなものでありまして、郵便貯金というものは全く無視されておるというふうに言っても過言ではないと私は思うのでございます。したがって、郵政大臣の談話が出てまいりました。それから自由民主党の逓信部会の決議がございまして、櫻内幹事長に申し入れをするという事態も出ておりますし、もちろんわれわれ社会党も直ちに談話を発表し、こういうものはまことに一方的であり、国民大衆の中で庶民的な立場に立つ郵便貯金事業を利用している人たちから見ると全くこれはナンセンスであって、とうてい国民の合意は得られない、こう一いう談話を発表いたしました。  そこで、二十一日に閣議があり、山内郵政大臣から慎重な御発言があり、渡辺大蔵大臣官房長官と御三人に扱いを任してあるように聞いております。したがって、その結論を持って閣議報告をして了承する、こういうことだそうでございますが、私がいま申し上げましたように、この答申というのはまことに、私的諮問機関でありましても異例なものであって、自民党、すなわち三百三十三人の皆さんが反対署名しているというような、こういう事態の中でこの問題が出てきたと私は思うのでございますね。ですから、郵政大臣閣議発言するのは当然ですし、国民は拍手を送っていると思うのでございますね。  そこで、あなたがこれから、大蔵大臣は賛成、郵政大臣は反対、こういう中に立って采配を振るわれるわけでありますから、あなたは公正、中立の立場に立ってひとつ善処をしていただかなければならぬ、こういうふうに思いましておいでいただいたわけでございます。したがって、ここで釈迦に説法、いろいろなことをあなたに申し上げるつもりは私はございません。ただきょう、私は堀之内委員発言を聞きまして、今度の答申の前段に、金融懇設置されたいきさつについて述べてありますね。これは五十五年度予算の予算折衝の過程において、例の郵便年金、個人年金の問題と引きかえに中立的な検討の場を設けるということでこの金融懇設置されたと聞いているのですね。そして八月の二十日に答申が出たわけです。その検討の結果については、大蔵郵政大臣もこれを尊重することを約束するとの合意が政府自民党の間で行われた、こう書いてある。  ところが、自民党の堀之内議員の質問を聞いておりますと、そういうことは自民党の間ではやられておらぬ、こういう発言がありました。これは重大であります。少なくともこの報告の中に自民党の議員が知らない合意がなされたとするならば、これはまさにでっち上げであって、こんな報告をわれわれは受けるわけにはいかぬ。したがって、この審議もむだだ、私はこう考えるのでありますけれども、まあ、一応委員長のお計らいでいま進めておりますので——この点は看過することはできません。したがって、これから休憩に入ると思うけれども、ひとつ官房長官責任を持ってこのいきさつについて、あなたが直接来れなければ代理でも結構ですから、私の質疑は続きますので、冒頭にそのことについて明確な回答をしていただきたい。少なくとも自民党の議員がそんなこと知らぬ、こうおっしゃるのですから、それは私は間違いないと確信するがゆえに、本当ならここで質疑をストップしたいのですけれども、一応時間を置きまして、あなたにそういうことを約束を求めますが、いかがですか。
  134. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 昨年の十二月の終わり、二十八日であったかと思いますけれども、予算編成の最終段階におきまして、政府間並びに政府与党との間で合意をいたしました経緯がございます。それにつきましては、文書が残されておりますので、後ほどしかるべき場所にその文書を中心に御説明を申し上げさせていただきたいと思います。
  135. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 その文書はひとつコピーにして、もらいたいと思います。  それで官房長官、ここであなたにぜひ銘記しておいていただきたいのは、一つ金利一元化の問題についてですが、この報告の中では、基本的には一元化のための法律改正をしろ、こう言う。その法律改正をするまでの間は、実質的に一元的決定をするための措置をとることを閣議で決めなさいというのですよ。これは越権もはなはだしいですよ。一方に法律があって郵政大臣金利を決めることになっているのです、郵政審議会の議を経て。これを法律改正をするまでに一元化をするような措置をとれなんということは、これは最も法律を無視するものであり、これは認めるわけにいきませんよ。こういう点はひとつぜひ銘証しておいていただきたい。  第二番目は、郵便貯金への資金の集中の問題でありますが、官業民業を補完するということを基本に置きまして、現在の定額郵便貯金の見画しとか期間短縮、据え置き期間の延長、限度額の凍結、募集手当の見直し、総額制限遵守、それから問題は、郵便貯金の発生主義で資料の公開をするようにとなっているのですが、これは現金主義でいまやっているわけですね、なぜ発生主義で公表しなければならないのか。これは郵政省で、審議会の中で反論したようですけれども、そんなことは全然無視して、発生主義で資料を出すというようなことが出ている。まことに一方的なやり方だと私は思うのですね。これについてはそれぞれ——もう一つ、この資金の直接運用についても全面的に否定をしております。  私は各新聞その他、ずっと論説を見ておるのですけれども、この金利一元化の問題についても、それから官業あり方についても、あるいは財政投融資あり方についても、もっと深く突っ込んだ論議をすべきであるということを強く主張している面が多いのです。ここで一々言えませんから、後で私はコピーにして官房長官の方にお渡ししますから、そういうような点も十分肝に銘じて、そして庶民のための郵便貯金、これを大切にするような方途を考えてほしい。そして、銀行の殿様経営といいますか、りっぱなビルをつくって、そして他人の預金でもって、ふんどしで相撲をとっている。金融政策その他の面についても、やはりいろいろと問題があると私は思うのですね。店舗の開設についても大蔵省が認可する、業務の問題についても認可を受けなければならぬというようなことがあります。そして、大蔵省からたくさんの人たちが天下りをしていく。どう見たって、民間銀行を擁護するというような、そういう立場に立ったものとしか思えない。ですから、その辺をひとつ十分長官として肝に銘じて、国民の期待に沿えるようなりっぱな結論を出すように、三者会談の中で協議をしていただきたい。こういうことを私は強くあなたに要請いたします。  御所見を伺って、一応これで官房長官への質問を終わります。
  136. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 ただいま鈴木委員の言われましたことは、私としても十分に理解をいたします。  三大臣で、これから後どうしていくかを考えなければならないわけでございますけれども、不幸にしまして、この問題をめぐりましては行政府の間にかなり深い不信感が、実は長いこと生まれておりまして、残念なことでございますが、こういう状況では何をやろうとしても建設的にできないような環境が、正直申しましてございますので、この点をまず改めてまいりませんと、問題は前進をしないということを私は心配いたしておりますので、ただいま言われましたようなことも十分考えながら調整をいたしてまいりたいと思っております。
  137. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 一応これで……。
  138. 佐藤守良

    佐藤委員長 午後一時から委員会を再開することとして、この際、休憩いたします。     午後零時十七分休憩      ————◇—————     午後一時五分開議
  139. 佐藤守良

    佐藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。鈴木強君。
  140. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 午前中、官房長官に私、質疑をいたしました際に、今回の金融懇設置に対して、個人年金との引きかえに金融懇をつくるという合意があって、出た結論郵政大臣大蔵大臣は了承する、同時に党が加わっておるということだったのですが、堀之内委員のおっしゃるのには、それは知らぬ、党は全然関知してないということで、その間のいきさつを暴騰明確に報告するようにと申し上げておきました。  その後、私のところに、「個人年金に関しての政府・党合意(昭和五十五年十二月二十八日)」こういうものが届いておりまして、これを見ますと、「党合意」とありますけれども、この「結果については、大蔵大臣郵政大臣もこれを尊重することを確約する。」というのであって、党がこれに直接関与しているようには書いてないですね。ですから、その辺が非常に疑義がございます。しかし、時間的な関係もありますので、これはけさ官房長官に約束していただいておりますから、いずれ、その経緯をよくわかるように、ひとつ資料を出していただくように、委員長の方からぜひお取り計らいをいただきたいと思いますが、その点よろしゅうございますか。
  141. 佐藤守良

    佐藤委員長 後で理事会で御相談したいと思います。
  142. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 そこで、大臣にちょっとお伺いしたいのですが、大臣は、この申し合わせといいますか、によりまして出た答申は尊重する、こういう約束をしてあるわけですね。ところが、出てきたこの報告内容というものは、午前中申し上げたように全くなっておらぬ。ですから、大臣が八月二十日報告のあった日に談話を直ちに出されまして、内容は省略しますが、郵便貯金金利一元化定額貯金見直しサービス改善否定郵便貯金資金の自主運営否定等々につきましてはとうてい受け入れるわけにはまいりません、これで明らかに拒否の表明をされておるわけですね。けさほど渡辺政務次官からも、このような一方的な報告については受け入れられない、こういう強い意思の表明がございました。  そこで、党との関連については一応おきますが、郵政大臣としては、こういう約束は確かにありますけれども、出た結論というのは全く意に反しておるし、これは受け入れるわけにはいかぬ、こういうかたい決意を持っているというふうに理解してよろしゅうございますか。
  143. 山内一郎

    山内国務大臣 先般の閣議で、報告が出た後、私発言をいたしまして、今回の報告内容は非常に重大である、郵便貯金制度の根幹にも触れるような内容でありますので、ひとつここで閣議了解というようなことをしないで、いろいろと十分に検討するようにお願いを申し上げます、こういう発言をいたしまして、総理から、三閣僚官房長官大蔵大臣郵政大臣話し合いをすることにして、その結果決まれば閣議に諮るようにという指示がありましたので、その線に沿ってこれからやるわけでございます。  そこで、私の決意というのは、先ほども申し土げましたように郵政審議会結論に従って、これを中心にして私は話し合いを続けてまいりたいと考えているわけでございます。
  144. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 この報告がなされました後、全国の地方自治体の五八%、半数以上の議会が反対の決議をし、意見書を政府に提出しているわけです。ですから、どう見ても今度の報告大蔵金融機関のお先棒を担いだようなものでありまして、まさに郵便貯金を圧殺しようというようなワンサイドの立場に立ってのものですから、零細な預貯金をしております庶民、老齢期を迎えて金利に頼っているというようなお年寄りの立場考えましても、とうてい国民の合意を得ることはできない。大臣は、約束はしておったが、これは賛成できない、したがって郵政審議会答申、これも土光さんが出しておられるものでありまして、まさに金融懇報告とは逆な立場で、いわゆる郵政サイドといいますか、よく事業を知っておりますから、そういう意味ではりっぱな答申が出ているわけですので、これを大臣としてはどこまでも高く掲げてがんばっていきたい、こういう御所信のように思うのです。  ただ、私たちが心配をするのは、きょうあえて官房長官においでいただいたのも、三人ですから、大蔵大臣は賛成、あなたは反対、中に官房長官が入るわけですね。官房長官政府の大番頭でありますから、どういう采配を振るか、それによって二対一になるわけですね。民主主義の原理で通されることなきにしもあらず、しかし少なくともいま言ったように、自民党の三百三十三人の方々が反対の署名をしている、一元化すべきでない、自主運営しなさい。社会党もやっています。全国の議会の五八%が議決している。そういう大きな世論を背にしょってあなたはがんばるわけですから、皆さんもそう簡単にはいかないということは覚悟していると私は思うのです。もう少し良心的なもの、民間金融機関の殿様経営に対する指摘とか、日本全体の金融制度あり方金融行政あり方財政投融資について触れておる、それならばある程度わかるのですが、そのことは全然無視して、本当に郵便貯金を圧殺するような形に出ているから頭にきているわけです。  ですから、あなたの態度は正しいし、国民に支持されている、自民党からも支持されている、そういう決意に燃えてこれからもぜひやっていただきたいと思います。官房長官も、鈴木内閣の大番頭なんですから、鈴木総理私的諮問機関ということになるとなかなか扱いがむずかしいと思いますけれども、われわれは今後も官房長官にも、中立な立場に立ち、国民の世論を背にしてやっていただくようにお願いします。あなたは不動の気持ちで、少なくとも郵政審議会一つにしぼって、これで立ち向かっていく、こういう決意を、くどいようですけれどももう一度はっきり聞いておきたい。
  145. 山内一郎

    山内国務大臣 鈴木委員から非常な御激励をいただきまして感謝をいたしております。鈴木委員の言われましたとおり、私も先ほど申し上げましたとおり、郵政審議会結論を踏まえてこれからの三閣僚の会談に臨むという決意は変わらないところでございます。
  146. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 それからもう一つ官房長官にも申し上げましたが、この報告は、基本的には郵便貯金法を改正して金利一元化をやりなさい、当面ルールが確立されるまでは閣議決定によってやりなさい、とんでもない法律違反の報告がなされておるわけですね。これについても、いまの決意でわかりますけれども、こんなものはもう全然問題にならぬのですから、絶対にこんなことのないように閣議でがんばってもらいたい。これもいいですね。
  147. 山内一郎

    山内国務大臣 その文章といいますか文言、非常に理解に苦しんでおるのです。現在の法律がありながら閣議決定をすることによって両方の金利の調整ができるかできないか、いかにもできるようには書いてございますけれども、いままでの研究の結果は、そういうことは、なかなか法律を超えるものはできないのじゃないか。さらに検討は進めさせていただきたいと思います。
  148. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 資金集中のことですが、要するに郵便貯金というものは、官業民業の補完的な立場に立ってやるべきだ、こういう判断を下しているのだが、これもとんでもない話でありまして、国民から見れば、郵便貯金であろうが民間の銀行であろうが、国民のためになるものであればどっちを選ぼうと自由なんです。そういう立場に立って物を考えると、非常に不可解な報告になっておると思います。  これは私たちも新聞報道なんかでちょっと見たのですけれども、この論議の中で、郵貯の特別会計の累積赤字が五十五年度で一掃されるというようにたしか聞いておるのですが、何か八千億にも赤字が上って郵便貯金事業はとんでもない赤字をしょっている、そういう誤解を与えるような意見、主張が民間金融機関から懇談会の方に出されたと聞いておるのです。そういう記事を見まして預金者は、そんなに赤字があるのかなという心配を非常にしておるわけです。私は、郵便貯金特別会計は昭和二十六年以来現金主義をとっておるから、発生主義による計算かどうか知らないが、現実にはそういうことはないんだという話をしておきました。それで、そうですかといって安心をしておるのですが、こういうことについては、預金者立場から見ると大変問題だと思うのですが、今後徹底的によきPRをやっていただくようにしなければいかぬと思うのです。ですから、そういうことが審議の中であったかどうか。郵政省としては反論を出したようですが、その反論は全然認めていない。そして、今度は発生主義でもって会計報告をやりなさい、これが報告書の中に入っておる。これはけしからぬと私は思うのですけれども、その点について、時間がないから簡潔にちょっと報告しておいてもらいたいと思うのです。
  149. 鴨光一郎

    鴨説明員 お答えいたします。  民間金融機関の主張は八千億円の赤字があるのではないかということでございますが、郵貯特会につきましては、昭和五十五年度におきまして二千六百億円の単年度黒字でございます。これまでの累積赤字を解消いたしまして六百四十三億円の積立金、つまり黒字を保有するに至っております。今後の収支の見通しにつきましても、いろいろ変動要素が多い中ではございますが、現状のままで推移するといたしますと長期的には黒字基調になるというふうに見込んでおります。  国の会計では、先ほどお話がございました現金主義を原則にいたしておりまして、郵便貯金特別会計におきましてもこの現金主義の経理基準によっておりまして、郵便貯金特別会計創設以来継続的に適用してまいっておりまして、経営の健全性を判断するのに何ら問題はないと考えております。したがってまた、この会計制度のもとで預金者皆様にとりましても不安な要素は全くないと考えておるところでもございます。  このような見解につきまして、金融懇その他の機会でも私ども詳細に説明に努めているところでございますけれども、なお、そういった預金者の方々の御心配がないように、御指摘の趣旨に沿いまして、今後とも機会あるごとに理解を深めていくようにいたしたいと考えております。
  150. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 わかりました。これは啓蒙活動を国民に向かってよくやっておいてください、非常に誤解を受けておりますから。  ここに、私の選挙区の山梨の日日新聞というのがありますが、これは二十五日付のですが、ここに「県内金融界真っ二つ」「郵貯に“宣戦布告”」「民間金融機関が結束」こういう見出しで書いてあります。恐らくこれは山梨県だけではなくて全国的に民間金融機関が反戦に転じていろいろな宣伝をしてくると思います。山梨県の県議会は報告に対して反対決議をしております。ほとんど一〇〇%の市町村が全部決議をしておるわけです。そういう中で世論というものをつくるためにやっているんだと思いますが、こういった動きに対して郵政省として安閑としてはおられないと思うのです。したがって、いまの問題等を含めまして、これからもできるだけ郵便貯金というものが本当に国民のためになるものだという点を、郵便貯金法制定の趣旨を踏まえた宣伝活動というものを十分やってもらいたい、こう思います。その点いかがですか。
  151. 鴨光一郎

    鴨説明員 私ども郵便貯金につきましては、先生御指摘のようにあくまでも国民のためのものであるということを前提にいたしましてこれまでも努力をしてまいったつもりでございます。これから先につきましても、あくまでもその原点に立ちまして国民皆様方、特に有識者の方々あるいは地方の地元の方々、各界各層の方々により御理解を深めていただくように努力をしてまいるつもりでございます。
  152. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 それでは質問をほかに移させていただきます。  まず第一番に、郵政大臣と電電公社の総裁に御所見を承っておきたいのでございますが、御承知のように三公社五現業の仲裁裁定の問題でございますが、すでに一括議決案件として国会にかかっております。残念ですが、前国会継続審査になりまして、来るべき臨時国会において審議が行われるわけですけれども郵政、電電とも、これは完全実施をしてもらいたいというのが労使間の強い意向であろうと思うわけですが、たまたま臨調の方から国家公務員の給与については抑制をするというような意見が出されておりまして、この影響を受けるのではないか、そういう危惧を組合員大衆は持っておるわけです。ストライキ権を奪った代償として仲裁裁定が出されておるのでありますから、これだけはぜひ実施してもらいたい、特に仲裁裁定については今日まで制度発足以来ずっと裁定どおり実施されてきているいきさつもあるわけですから、その点はぜひ当事者である郵政大臣あるいは電電公社におかれましても最善の努力を尽くして実現できるように努力をしていただきたいと思うのです。もちろんこれは国会に移っていることでありますから、私たちもその意を体しまして一生懸命努力をしていく決意ではありますが、国会に議案が上がっている段階で質問がどうかと思うところもありますけれども、あえて当事者である大臣と総裁に、当事者の一人としてそういう決意を持ってやっていただきたいという私の心からの願いを込めてのことでありますので、御所見を承りたいと思うのです。
  153. 山内一郎

    山内国務大臣 仲裁裁定につきましては、前国会に、予算の面から実施可能とは言いがたい、こういうことで国会の議決案件にお願いしたのでございます。継続審議になっていま継続中でございますけれども、国会にお諮りをいたしたのでございますから、私の方はできるだけ早期に解決をしていただきまして実施ができますようにやりたい、こういうふうに考えているわけでございます。
  154. 真藤恒

    ○真藤説明員 お答えします。  私ども、仲裁裁定につきましては、諸般の事情の許す限り裁定どおりの実行をできるようにお願いしたいというふうに考えております。
  155. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 わかりました。私たちも一生懸命がんばります。また、そういう立場に立ってあらゆる努力をしていただきたいことをお願いしておきます。  それから七月十日に答申のございました臨時行政調査会の第一次の答申のことについてちょっと伺っておきますが、郵政省関係、電電公社関係について、法律改正を必要とするもの、あるいは政令の改正によって足りるもの、あるいは予算の実行の中でやれるもの、こういうように大体三つに分けましていままで政府の方では整理をしてきているように伺っております。電電公社の場合には法律改正によるものはない、こういうように理解しておりますが、まずその点、政令の改正等があるかどうか、予算実行上の問題は後からまたちょっとお伺いしますので、法律、政令の問題についてはないと理解していいですか。
  156. 澤田茂生

    ○澤田説明員 お答え申し上げます。  臨調の第一次答申を受けまして、昨日、閣議で基本方針並びに行財政特別措置法骨子というものを閣議決定されたわけでございます。  郵政省関係ということで法律改正等を要するものという御質問でございますが、法律改正、それに関連する政令ということで現時点で郵政省が対応する、あるいは公社関係で対応しなければならないものというものはないというふうに認識をいたしております。
  157. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 わかりました。  それでは、予算実行上の問題になると思いますが、たとえば国家公務員の定員と給与等の合理化という点が一つ、五現業の場合には全体として五年間で五%程度の定員削減というようにうたっております。それから事務・事業の見直しによる定員の削減、それから給与等の合理化、大体これが三つございますね。  それから第二の特殊法人の役職員の定数、給与の合理化、これが定数削減の強化、それから給与等の抑制、それから特殊法人等の整理合理化の中では、後から総裁にもお伺いしますが、電電公社の経営のあり方、具体的には要員規模の全体的縮減を図るということで、保守、電話手動運用部、それから電報のそれぞれの部門の合理化等、それからあとは職域病院の検討、あと補助金等について総額の中で一割削減、こういうような問題がございます。  これに対して郵政省としていまどういうふうな対応策を考えておるのか、簡単でいいですから、概略だけ説明していただきたい。
  158. 澤田茂生

    ○澤田説明員 郵政省関係の臨調の第一次答申にかかわるものについての郵政省考え方ということでございます。  ただいま申し上げましたように、昨日の閣議で、臨調を受けまして「行財政改革に関する当面の基本方針」あるいは財政再建法案骨子というものが閣議決定されたわけでございます。  郵政省といたしましてもこれらを踏まえまして、臨調第一次答申あるいはただいま申し上げましたような閣議決定等を踏まえまして、たとえば五十七年度予算の概算要求に当たりましては、一般会計分につきましては要求枠の伸びゼロベースという枠がございます。また補助金の一割削減というような方針もあるわけでございますから、こういったものを踏まえまして予算の編成をただいま検討いたしているというところでございます。  定員の削減の関係でございますが、答申におきましては具体的な事業の見直し等についての提言もございます。こういったものを踏まえて定員の削減に努めろという御提言でございますが、昨日の閣議決定の中におきまして政府全体を通じ、非現業の公務員については今後五カ年間に五%、それから五現業の公務員につきましては経営の実態に応じ、非現業に準じて削減するということにされたわけでございますが、省庁別の削減目標数等につきましては今後別途に定めるということにされております。私どもといたしましては、郵政事業の定員削減、業務運行を円滑に行うための要員を確保しつつこれを実施できるよう、関係の向きと鋭意検討、相談をしていきたいというところでございます。  また、職員の給与に関しましては、適切な抑制措置を講ずるようということでございますが、私ども郵政事業職員の給与につきましては、ただいま大臣から御答弁を申し上げましたように、仲裁裁定につきましては国会に御判断をお願いしているというところでございます。  なお、特殊法人につきましては、その経営の規模、事業の内容等がそれぞれ異なるわけでございますが、各法人それぞれが固有の公益目的を持っているので、その目的が十分達成できるよう、経営の実態に応じ自主的に事業の合理化、効率化を推進することを期待をいたしておりますが、省といたしましても、各法人とも十分意思疎通を図りながら適切に指導をしてまいりたいと思っておるわけでございます。  なお、職域病院につきまして、その運営の健全化について努力をするようにという提言があるわけでございますが、これにつきましても、いままでも努力をしてまいったところでございますけれども、今後とも一般開放を積極的に行うという方針でその運営の改善に努めてまいりたいということでございます。  以上が、郵政省関係の答申についての対処の方針と申しましょうか、概論について御説明を申し上げたところでございます。(鈴木(強)委員「補助金については」と呼ぶ)補助金につきましては、一割削減という提言がございますので、その範囲において予算を編成するよう目下作業をしているというところでございます。
  159. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 公社関係はちょっと後にしまして、経営形態等を含め職域病院の根本的検討を行う、これは日本医師会等の考え方も従来からいろいろございまして、開業医の立場からすると、どうもああいった特殊な、官庁とか団体の公的病院については反対だという意見もありました。しかし、この病院が果たしてきている使命というのは非常に大きいわけですから、軽々にこれをどうするというようなことは私はやるべきでないという考え方を持っておるわけです。  一般開放ということを考えながらというのですが、逓信病院の場合、聞くところによると、東北とか幾つかの病院はすでに一般開放をしておられるように聞いております。電電公社の方でもそのことについてどうなさっておるのか、ちょっとこの問題、別ですから、ひとつ一緒にお答えをいただきたい、こう思います。
  160. 奥田量三

    ○奥田説明員 郵政省の関係について御説明申し上げます。  御指摘のとおり、逓信病院の経営改善、郵政省関係だけでなくいわゆる職域病院全体について数年来会計検査院の指摘あるいは閣議決定または第一次答申等でいろいろと触れられているわけでございますが、私ども基本的には、逓信病院は単に疾病の治療のみならず、それぞれ特別な性格を持った業務に従事する職員の健康管理に従事する機関であるという立場から、基本的にはこれを維持していくものというふうに考えているところでございます。と同時に、経営改善あるいは地域住民へのサービスという見地から、地域の医療機関等ともお話を進めながら逐次一般開放を進めてまいりたいと考えているところでございまして、郵政省関係では現在までに六つの逓信病院の一般開放を行っております。今後もさらに地元との調整等を図りながら逐次これを進めてまいりたいと考えているところでございます。
  161. 小川晃

    ○小川説明員 お答えいたします。  職域病院の関係につきましては、先生御指摘のように、当面の課題としましては一般開放などによります収支の改善を図ることを強く求められておりまして、公社の病院の設立の目的につきましては先生もいま御指摘のとおりでございまして、今後ともその目的に沿うような運用は続けてまいらなければならないということはもちろんでございますが、今回の答申で指摘をされております一般開放などの収支改善等の諸施策につきましては、公社としましても、病院施設の一層の効率的な利用、さらにまた地域に貢献するという新しい角度からの見直しを踏まえまして、すでに私どもも東北逓信病院において実施しておりますように、その他の病院につきましても今後、逐次地元医療機関とも十分打ち合わせを行いまして、保険医療機関の指定を受けまして一般開放を目指して極力努力をいたしまして、極力効率的な病院運営に努めてまいりたいと考えております。
  162. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 この答申の中に「経営形態等を含め」と書いてありますが、郵政省の逓信病院ですね、それから電電公社も逓信病院、こういった職域病院の経営形態をとっておるのですけれども、この経営形態を含めて検討しろということですが、現状はいまの形でいく、こういうふうに理解してよろしいですね。  それから一般開放の場合に、それぞれの職員郵政省なり電電公社の職員の治療その他に支障があっても困るわけですけれども、だからといって私は開放をやっちゃいかぬという意味でなくて、できるだけ開放をして国民皆様と一緒になってやっていただいたほうがいいと思います。ただ、医師会というのがありますから、いまお話がありましたように、十分それぞれの関係の向きとも御相談なさってそういう方向に持っていくということだと思いますが、経営形態について、現状でいくと思いますが、これを直ちに改めるということは考えておりませんね。
  163. 奥田量三

    ○奥田説明員 郵政省所管の逓信病院につきまして、その経営形態につきましてはただいまの時点で私ども現在の形態を維持することが妥当ではないかというふうに考えております。  また、一般開放等を進めていくにつきましては、地域住民の利便と同時に職員の診療、健康管理等に支障を来さないように十分配意すべきはもちろんだ、重々心得てやってまいりたいと考えます。
  164. 小川晃

    ○小川説明員 お答えします。  ただいま郵政省の方からお話がございましたように、公社としても同様な考え方でございます。
  165. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 それから補助金の問題ですが、官房長、NHKの外国放送とテレビ難視聴地域における共聴施設に対する補助金がございますね。これはNHKの場合も逓信委員会で何回か論議されておりますが、この放送が全世界のすみずみにまで放送でき、聴取でき、そしてわが国の文化、経済その他の事情についてよく世界の国から理解をしていただく、友好親善のためにも外国放送をもっと充実しなきゃならぬ、こういう意見が出ております。したがって、現在補助金はわずかのものですけれども、もう少しこれをふやしたらどうかという意見がもう毎年あるわけです。そういうときに一割カットということは問題があると私は思うのですけれども、こういう点について、あるいはテレビの難視聴地域の共聴施設に対して、格別の配慮というのは全然できないのですか。大蔵省ともこれからお話になると思いますけれども、大いにがんばって、こういう僻地の住民のためあるいは広く世界のために裨益するようなこういうものについては、幾ら財政が困難だからといっても補助金を切るなんということは、これは私は主客転倒だ、こう思うのですが、その点はどうですか。
  166. 奥山雄材

    ○奥山説明員 お答え申し上げます。  先ほど来官房長が申し上げましたように、先般の臨調の答申並びに昨日の閣議決定におきまして、昭和五十六年度に成立しております各種補助金等のうち、生活保護関連のもの、あるいは個別具体的に除外例として指定したもの等を除きまして、各省庁ごとに総枠、具体的には一割削減をかぶせて五十七年度の予算を編成するという方針が政府全体として決定されたわけでございます。  ところで、お尋ねの郵政省の中の補助金に照らして考えますと、郵政省所管の一般会計に属する補助金のうち、お尋ねの一割削減に係る補助金は四件で、十億七千三百万円でございますが、そのうちに鈴木先生がただいまおっしゃいました国際放送に係る交付金とテレビ難視聴に係る補助金がございます。これらは、むしろ国際放送の交付金を拡大すべきではないか、あるいはテレビジョン放送の難視聴解消をさらに促進すべきではないかという声が強いときに、一割カットをかぶせるのは逆行ではないかというお尋ねかと存じますけれども、今回の、政府全体として一割削減を計画いたしました補助金等の範囲の中には、いわゆる狭い意味での補助金、具体的に申し上げますならば、国や国以外のものが行う特定の事業等に援助、助成あるいは誘導等の目的で財政的な援助を行うというようなもののみならず、補助金に類似した性格のもの、つまり、分担金、負担金あるいは補給金、交付金といったようなものまで含めて、それらを総合して財政再建を図るという方針でございますので、これから私ども予算編成を進めるに当たりましては、国際放送の交付金並びにテレビジョン放送難視聴対策に係る補助金につきましても、一割削減の対象にするという方向で取り運んでまいりたいというふうに考えております。
  167. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 これは大臣、事務当局ももちろんあれでしょうが、一面におきましては、閣議決定ということでございますから制約は受けるかもしれませんが、この委員会において、これは与野党を問わず全員一致の意見としてお聞き取りのような経緯があるわけですから、さらにひとつ十分そういう点に配慮して、できれば予算編成の中でふやしてもらいたいわけですけれども、少なくとも現状維持を最低にしていくような努力をしていただきたいと思います。よろしいですか。
  168. 山内一郎

    山内国務大臣 国際放送につきましては、前々から各委員の先生方、またその他の方から重要性について十分お聞きをいたしまして、もっと拡大するようにという御意見を拝聴しているわけでございます。  そこで、こういう財政のときでございますので、具体的にどうやって国際放送を拡充強化していくかということをやるのに、まず調査をしたい、こういうことで来年度はひとつ調査の時期にしていただきまして、財政再建が立ち覆ったときには、その調査の線に沿って、ここをこうすればいいじゃないかというような策を講じて実施に移してまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  169. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 時間がありませんので非常に残念です。  それでは総裁にちょっとお伺いしておきたいのですが、今度の答申の中で、現行公社制度あり方、それから民営化等を含め、経営形態について抜本的な見直しを行う、病院については先ほど申し上げたような三部門について縮減を図る、こういうことになっております。総裁は御就任以来大変御苦労をされておられるのでありますが、この前の国会で、公社の経営形態について私は御質問いたしましたけれども、適切なお答えがいただけなかったわけですが、いずれにしても臨調がさらに継続をされ、基本的な公社経営について審議を進めるわけでありますから、その過程において公社側の見解を聞かれることも当然出てくると思うわけです。  御承知のように公社発足以来二十九年近くたっておるわけでありまして、現行の公社法というのは制度上非常に欠陥が多うございます。総裁の権限もほとんどない。当事者能力がない。そういう中で大変な苦労をしてここまで事業を拡充発展してきたことも、国民はよく知っておるわけであります。御就任以来大変御苦心をされておると思いますが、総裁として、現行の制度の中でこういう点はよろしい、こういう点はこうしてほしい、こういうふうな建設的な御意見をもう勉強されてお持ちになっておるのではないかと私は思うのでございます。かつて梶井総裁、大橋総裁は、当時は公共企業体審議会でしたか、二十九年、三十一年と二回出ておりますが、それらの委員会の中で、公社の考え方としてこれをまとめまして委員会に提示をし、みずからその中に出席をして説明してきているいきさつを私は知っているわけでございます。  そういうわけで、いろいろ情報化社会にだんだんと突入をしてまいります事業だけに、その経営の最高の責任にあずかっている総裁として、現行の制度の中でこうしてほしい、ここはこうしてほしいというような御意見をお持ちだと思います。そういう点について、時間が足らないですけれども、ちょっとお話を承っておきたい。
  170. 真藤恒

    ○真藤説明員 いまの御質問につきまして、前の国会のときにああいう御返事をしておりますが、その後、具体的に臨調からの第一次答申にああいうことになりましたので、いよいよこれから公社としても本気になってこの問題について研究を始めなければならぬということで、いま研究のチームをつくって勉強を始めております。そのときが参りますまでにしっかりしたお答えができるようにしたいというふうにいま努力をしておりますが、現在のところ、ああいう臨調のお言葉に対して、いろいろな経営形態が考えられますので、考え得るいろいろな形の典型的なものを考えまして、それに対する得失というものの勉強を始めているというのが現状でございます。したがって、現状においては、ここでこの段階で結論的にどうだということを申し上げる段階までには立ち至っておりません。まだ時間がございますので、それまでに片づけていきたいと思っております。
  171. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 時間がないのでちょっと残念ですが、これは総裁御就任以来、回線開放、電話機能の開放、それからできるだけ借金をなくする、こういった経営のあり方、それから建設事業に対する問題等々をいろいろと御意見を述べられておるようでございます。私ども業界関係の新聞等によって知るしかないわけでありますが、総裁が意欲的にやられているということはわかるのですけれども、明治二年以来、わが国の電信電話事業というのは終始一貫国営、国営で経営され、そして昭和二十七年に公社形態になった。それにはやはり電気通信は独占事業として果たさなければならぬ使命があったからだと私は思うのです。ですから、何でもかんでも自由競争原理を持ち込んで、それによってやらなければならぬというのも問題があるように私は思うのです。その点は釈迦に説法、大変失礼な言い分ですから私は多くは申し上げませんが、総裁の一挙手一投足は全体に与える影響も非常に大きいと思うのでございます。ですから、今回「八〇年代の電気通信政策あり方」という答申ですか、報告ですか、電気通信政策懇談会から提言もあるようでございます。したがって、私どももこういう内容を十分勉強させていただきますが、いずれにいたしましても、歴史的な経緯というものを十分に考えていただき、公共性と採算性というのがどういうふうに調和をして今日まで来ておるのか。私は電気通信事業はもうける仕事ではないと思いますね。収支がペイすればいいんではないか。したがって、五兆何千億かの借金もありますけれども、これはもう計画をしました当初から、拡充法なり債券等の問題については計算した上で、きた借金でありますから、これは減価償却を含め償還計画を立てながらやってきておるのでありますから、その赤字そのものに直ちにあわてることもないのではないだろうか。  これから第七次計画というものもお立てになっていただくようにお願いしておるわけですが、聞くところによりますと、五十七、五十八、五十九、いわゆる財政再建の四千八百億を納める期間は一応暫定的に中期的なものにしていこうというようなお考えも聞いておるわけであります。われわれはこの計画の内容については非常に重大な関心を持って、すでに第七次計画はもっと早目に国民の前に明らかにすべきであるということを秋草総裁の時代から言ってきたのでありますが、それがおくれております。したがって、そういう点も次の臨時国会等には御所見が承れるようなことになると思いますけれども、建設財源その他の問題についても、これから新しい国民のニーズにこたえて、どういうものをどうおやりになるのか、個人別の料金明細書等を含めまして、世論は大変この公社にいろいろなことを要求していると思うのでございますね。ですから、そういうものをどういうふうにやっていくのかということを十分考え、そして今日まで電気通信事業発展のために、いろいろな角度から、メーカーなり建設業界なり、そういう人たちが協力してくれてきておるわけでありますから、そうした人たちがともに共存できるようなことも一方には考えながらやりませんと、本当に一生懸命やってきた、協力してきてくれた諸君に、裏切られた、そういうふうなことになってはこれは大変でございますので、それらの点も十分考慮していただいて、三年間の計画かどうかわかりませんが、ひとつやっていただくようにお願いしたいと思います。  これは総裁、総裁として公社形態についてこうしてほしい、ああしてほしいということは、当然これは言ってしかるべきことでございますから、遠慮することはないです。現に私は今度の第一次答申の中にも、経営形態と当面三部門について定員削減しなさいということもありますけれども、これはもう二十八年間の電気通信事業の発展する中において、労使間においていろいろと話し合いをして、要員問題等についてもきているわけですから、そういう中で現状を、多少でこぼこはあると思うのです。しかし、それはよってきたる原因があってのことですから、やがてそれがならされていく。それを現実の点だけ見て、人が多い、さあ減らせというようなこともこれは酷ではないかと私は思うのです。そういう点はひとつ歴史的な中で十分お考えいただいて、次の機会にはひとつぜひちゃんとしたものが出るように、お答えができるようにしていただきたいと思います。  それから、二十九年、三十二年の二回にわたる岸内閣への答申等もございますので、そういう点もお勉強になっておられると思いますが、内容等をひとつ見ていただいて、お願いしたいと思います。総裁から一言
  172. 真藤恒

    ○真藤説明員 いまのお言葉を重々かみしめまして、今後に対処していきたいと思います。いまからのことでございますので、まだ十分間に合うと思います。
  173. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 じゃ、ありがとうございました。
  174. 佐藤守良

    佐藤委員長 鈴木強君の質疑は終わりました。  竹内勝彦君。
  175. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 総理私的諮問機関として発足したわけでございますけれども、この金融懇、正式には金融分野における官業在り方に関する懇談会ということで、その答申が出た、こういうことから、郵政大臣あるいは郵政省として非常に心配しておる状況を見るにつけ、何にそんなに心配するのかと私言いたい点があるんですよ。特に大臣は、まずさきの委員会におきましても私自身大臣に伺っておきました。この総理私的諮問機関である金融懇と、それからまた大臣が、正式に郵政大臣としての諮問機関である郵政審議会郵便貯金の果たす役割りを同時に諮問をしていった。そういう中で、もしもこの金融懇とそれから郵政審議会との間に開きが出てきたらどうするんだということで、私自身大臣質問をいたしました。ところが大臣は、まあ両方とも真剣にやっていただければ、従来の長い伝統とかそういう経緯を知っていただければ、同じような結論が出るはずだ、こうはっきりお答えしておりましたですね。しかし現実においてはそんな甘いものじゃないですよと私は言っておきました。そのとおりになったわけですね。  そこで大臣として、当然これは郵政省の、郵政大臣としてのいままでからの諮問機関である郵政審議会というものがございます。同時にまた、国民の郵貯として国民に支えられてきたその郵便貯金としての今後のあり方というものがございます。そういう意味から、当然大臣としては今後相当な決意で対処していかなければならない、こう考えるわけでございますけれども、いままでの例から、最初は各大臣、私いろいろと委員会におきましても審議をしてまいりましたけれども最初の姿勢というものは非常に強い姿勢で臨んでおっても、最終的には閣議等によって途中で押し切られるという事態というものは、もう何回もございました。そういう面から、本当にもう郵政大臣として今後この問題に対してどう対処し、どう決意して臨んでいくのか、最初にお答え願いたいと思います。
  176. 山内一郎

    山内国務大臣 金融懇報告が出ました後、初の閣議におきまして、この報告閣議了解というようなこともいろいろ話があったのでございますが、私といたしましては、この報告内容を見ますと、郵便貯金制度そのものの根幹に触れる問題がたくさんあるわけでございます。したがって、これを閣議了解などされると大変なことになりますということで、特に発言を求めまして、この取り扱いにつきましてはひとつ慎重にやっていただきたいというような発言をいたしましたところ、総理の方から、それでは官房長官大蔵大臣郵政大臣の三閣僚において話し合いをしながら、ひとつ決まったものは閣議に了解をとるようにするようにしよう、こういうことに現在相なっているわけでございます。  そこで私といたしましては、郵政審議会からりっぱな答申をいただいておりますので、あくまでもこの線を体しまして、この精神をわきまえながら、十分にひとつそういう三閣僚の会談、懇談会には臨んでまいりたい、そして郵政審議会の線のとおりやっていくように決意を固めているところでございます。
  177. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 郵政省に対してお伺いしておきます。  本答申問題点、預貯金金利決定のあり方であるとか、金融分野における官業あり方であるとか、細かにいけば定額貯金見直し、いろいろございますね。そういう中で郵政省としてこの金融懇答申に対して、どういった点に、全部あるだろうと思いますけれども、どういった点に特に問題点があると考えて、こういった面はどうしてもできないんだというような点が幾つもあると思いますけれども、その点をもうちょっとわかりやすく、整理していく意味からその問題点を概略御説明ください。
  178. 鴨光一郎

    鴨説明員 金融懇報告の基本的な問題点でございますが、郵便貯金金融政策あるいは金融行政を執行する立場からのみとらえ、預金者国民立場というものを無視して、郵便貯金抑制するための論議に終始をしているということが基本的な問題点であろうというふうにとらえております。またこれは、マスコミあるいは学者等を中心に沸き起こっております金融制度そのものの改革といった世論を無視するものであるとも思います。個々の論点につきましても、金利一元化あるいは定額貯金見直しサービス拡大の禁止、直接運用否定といったことで、郵政省の主張はすべて否定されているというのに対しまして、財政投融資あるいは民間金融機関金融政策金融行政、それぞれに問題点があるわけでございますが、それらにつきましては、各方面からの厳しい指摘にもかかわらず、いわばおざなりな触れ方がされているにすぎない。われわれから見まして中立公正なものとは言えないのではないかというふうに考えているところでございます。
  179. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 そこで、まず最も問題となっておる金利決定の一元化について、これは絶対反対だ、こういうように言っておりますけれども金融政策上の必要に応じて民間預金金利を一体として一元化に持っていこう、こう考えておる答申に対して、郵政省側は、従来のように民間預金金利とそれから郵貯の金利と二元的に、おのずとその分野が異なる、別々に考えていこう、こうしておりますけれども、その最も大事な理由は何ですか。
  180. 鴨光一郎

    鴨説明員 金融懇結論先ほども申しましたように、おおむね金融サイドの主張に沿ったものというふうに見られております。基本的に経済の安定成長期に入った現在、公定歩合に連動して預貯金金利を引き下げる、いわゆる機動的な運営というふうなことが言われておりますけれども、そのことが、現存の経済基調の変化あるいは企業の銀行離れあるいは国債の大量発行等の金融構造の変化の中では、これが十分な意味を持たなくなってきているのではないかというふうに考えるわけでございます。  先生御指摘の一元化の問題につきましては、われわれは、現在臨時金利調整法という形の中で民間の金利がいわゆる統制下にあるという状況の中では、預金者の声を代表して預貯金金利のレベルを決めるといたしますと、それは郵政審議会にお諮りをするという現在の郵便貯金法の趣旨のもとで行われております決定方式が最も妥当なものである。御指摘の点は、要するに預金者保護という点に大きなポイントがあるということでございます。
  181. 小山森也

    ○小山説明員 先ほど郵政省としてという御質問でございました。  実は、本懇談会報告には最後の二十数行にわたりまして簡易保険のことに言及いたしております。実はこの辺非常に困るといいますか、心外な点がございますのは、何らの、いろいろその結論に対しますところの一つの経過とか、いわゆる論議というものを書きませずに、いきなり結論として、まず懇談会として、この保険事業というものに対するどのような基本的な姿勢が示されてもおらないままに、民業補完論というものをあたかも理論的帰結であるかのごとくに掲げまして、これを出発点としまして簡易保険、郵便年金事業を全面的に抑制することにしております。  また、このような基本点に立っておりますものですから、第二点といたしまして、この報告書は、最高制限額は当面引き上げるべきではないとか、民間ですでに実施している分野へは進出することは適当でないというようなことも、これも何を論拠としているかわからないのでございます。結論だけ出ております。  私どもといたしましては、簡易保険、郵便年金事業を進める上におきましては、国民の求めるところの保障額に応ずるのは当然私ども国営事業の仕事でありますし、また新たなる国民のニーズに、新たな分野に対応していくということは、当然事業活動として行うべきであると考えております。  また第三点には、このような論点を展開した後に、さらにこの報告書は、官業民業の補完に徹するべきであるという立場から、臨時行政調査会にまで、簡易保険事業のあり方をそういった基調で検討するということを期待すると書いております。私ども理解するところは、臨時行政調査会というのは自由な審議をなされるべき場であると考えておりますが、そういった場に対しまして、一方的な考え方に基づきましてあらかじめ枠をはめることを要望しているというような点に見受けられます。  私ども郵政事業の、特に簡易保険の立場からこの点非常に問題のある答申であると考えておる次第でございます。
  182. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 その簡易保険のことに関してもちょっとまた後でお伺いさせていただきたいと思っておりますが、金利一元化の件でもう少し質問をしておきたいと思います。  大蔵省としての言い分、たとえば一本化しよう、こういう考えでいきますと、日銀が景気てこ入れのため銀行に貸し出す際の金利である公定歩合を引き下げようとすると、日銀所管預金金利を別にして、郵貯金利の利下げがともすればおくれるのだ。仮に日銀が見切り発車し、公定歩合や銀行預金だけ利下げしようとしても、郵貯金利が連動して下がらなければ、銀行は対抗上預金金利の引き下げに反発するし、貸出金利の利下げも渋ることになる、こういう考えがございますね。同時に、たとえば金利の一元決定で金融政策の機動性が回復されれば利点はあるのだ。公定歩合の機敏な引き下げで、銀行の貸出金利が下がり企業の投資活動が活発化すると、景気は回復する。そうなれば会社の倒産や失業の心配も少なくなるじゃないか、結果的には国民に潤うことになるじゃないか、こういう考え方でございますね。そういう利点と郵政省のいまの局長の言い分ございますけれども、確かにこの郵便貯金、本当に国民のまた零細な預金者、たとえばもう会社にも余り関係ない、定年後その零細な預金郵便貯金としておる、企業とは関係ないのだ、こういう言い分もございます。そういった面で、本当にこの金利一元化で持っていったならば、じゃあこういうデメリットでこれはどうしようもならぬのだというものが本当にきちっとしたものが出ていかないと、大臣決意というものは相当ありますよ。しかし、私非常に危惧を抱くのは、この政府の中にあって閣議、今後いろいろなものがございます。そういう中で、いままでの経緯からこれが押し切られるというような形になってはなりませんので、デメリットはこうなんだというものをもう一度明確にしていただきたいと思います。
  183. 鴨光一郎

    鴨説明員 現在の金利決定方式が現状においては最も適切なものであるということにつきましては、先ほどお答えをいたしましたとおりでございますが、なお先生御指摘の点につきまして、先ほどもちょっと触れましたように、金融懇結論の中で、金融サイドの主張に沿ったものが大部分を占めているというふうに見られるわけでございます。先ほど申しましたように、公定歩合に連動して預貯金金利を引き下げましても、貸出金利とか長期金利が容易に下がらなくなってきているというふうな実態がございます。それから一方で、高度成長期のように大幅な所得の増加が期待できなくなっているという実態、それからまた、高齢化社会の到来によりまして、雇用の拡大あるいは所得の分配にあずかれないといった人々が増加をしている。こういうことから、利下げが預金者利益につながる、いわゆる回り回って国民利益になるという論理が必ずしも妥当しなくなる面が非常に大きくなってきているのではないだろうかというふうに考えられます。  そういうことから、金利の引き下げをいたします場合に、機動的というふうなことで金利政策に過度に依存をするということについては、その有効性あるいは正当性に疑問があるというふうにわれわれ感じているところでございます。
  184. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 次に、定額貯金に関してお伺いいたします。  実に、この定額貯金のシェアというものが上昇し、郵貯の八六%を占めるに至った、この問題に関して、たとえば定額貯金の預け入れ期間の短縮など、見直しということを金融懇におきましては言っておりますね。たとえば、預け入れ期間と同時にまた、据え置き期間、現在六カ月といったものに対しての見直しであるとか、こういったものを入れていきたい、こういう考え方に関して、郵政省として、もしもこの定額貯金制度が変わっていくというようなことになれば、郵貯の根幹が崩れていくと言っても過言ではない打撃を受けると思います、八六%のシェアでございますから。そういう意味から、このような金融懇答申に対する見解はどのようにお持ちでございますか。
  185. 鴨光一郎

    鴨説明員 御承知のように、定額貯金は広く国民に支持をされている、いわゆる魅力的な商品でございます。仰せのように、郵便貯金の残高の九割に近くシェアを占めるに至っているわけでございます。よく言われますように収支面で問題があるという点につきましても、収支相償を維持しながら提供できる商品であるということが申せるわけでございます。われわれ、こういった点につきまして、金融懇その他の場でも強くそういった主張、説明をいたしてまいってきたところでございますけれども金融懇報告では、こういった事実を無視し、民業を圧迫するということを主たる理由として、定額貯金見直しといたしまして、預入期間の短縮あるいは据え置き期間の延長といったことを求めているわけでございます。これは国民から見まして、国民不在の論理というふうに受け取らざるを得ないわけでございまして、われわれとしてとうていとり得ないところであるというふうに考えております。
  186. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 この預け入れ十年間の期間短縮、それから六カ月たてばいつでも引き出せるという据え置き期間を延長せよなど、幾つかの見直しが必要だ、こう言っていますね。いま局長の言われたとおり、郵政省としてはこれはもう応じることはできない。銀行がこの前出した期日指定定期預金といったものと競合しておる点もございますし、この新種預金は、一年たてばいつでも引き出し自由で、そして一年複利による三年満期の預金ですね。いまでさえ二年十一カ月までは、金利面では定額貯金よりこっちの新種の銀行預金の方が有利でございます。場合によって、これがもしその金融懇答申のような形になっていったならば、これは大きな打撃を受けることは確かでしょう。逆にもう銀行預金の方が郵貯を食っていくという形になりかねないし、同時に、定額貯金のようなものが国民から非常に親しまれているのならば、むしろ郵政省として、競合していいのですから、大蔵省、銀行側にもっとこの定額貯金に見合うようなそういったものに歩み寄ってくるような、市中銀行がそういった形で努力していけるような働きかけをする意思はないかどうか、お伺いしておきたいと思います。
  187. 鴨光一郎

    鴨説明員 私ども定額貯金につきましては先ほど説明をいたしましたとおりでございますが、金融懇報告にありますように、定額貯金制度の改悪を求めるということではなくて、私ども自身、金融懇の場におきましても、民間自体においての努力をする余地があるのではないか、新しい商品を開発する余地があるのではないかというふうなことを言ってまいったわけでございます。そうした中で、いまお話にございましたような期日指定定期預金というのが六月から民間でも発売をされる。これまでも、それが発売されるまでの間におきましても、定期預金のいわゆる比較的期間の短いものにつきましては民間側が、比較的期間が長い場合には郵便貯金の中の定額貯金が有利であるというふうなバランスがあったわけでございます。それからさらに一歩踏み出したというふうな状態にもなってきているというふうに受けとめているわけでございます。われわれといたしましては、官民ともにこうした形で国民のためのサービスを強化していくということが望ましい姿であるというふうに考えております。  なお、郵便貯金につきましては、趨勢的に伸びが落ち込んできているという状態にございますので、今後とも努力を続けていこうというふうに考えているところでございます。
  188. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 同じく全国銀行協会連合会によりますと、定額貯金の利率が過去最高の年八%になったのは昨年の四月から十一月の間ですね。この間には実に約三十一兆円の定額貯金が集まったというんだから、これは脅威でしょうね。その結果、資金運用部への預託金利といったものは七年間固定されている。それでいきますと七・五%である、こう思うわけでございますけれども、これでは逆ざやを生じますね。いま申し上げました全銀協の試算では、五十六年度の郵貯特別会計の赤字額は、郵政省が計上しておる六百億円をはるかに超えて千七百五十億円に達するだろう、こう言っていますね。それから五十八年度末には累積赤字が恐らく五千億円近いものにふくれ上がるだろう、こう予測しておりますが、そうなってくると、一般会計の負担による赤字補てんという形で一般国民にツケが回るという疑念を持っておりますけれども郵政省はどう考えておりますか。
  189. 鴨光一郎

    鴨説明員 郵便貯金の特別会計でございますが、五十四年度、五十五年度におきまして単年度の黒字が出ております。そして五十四年度までにございました累積の赤字を解消いたしまして、五十五年度におきましてはいわゆる黒字と申しますか、積立金といたしまして六百四十三億円を計上いたしておるという状況にございます。  なお、先生御指摘の預託利率の点でございますが、いま申し上げました累積赤字が生じておりました原因は、オイルショック直後の経済状況の中で預貯金金利を引き上げました際に、預託利率の引き上げの幅がそれに対応していなかったということのためにお客様にお支払いをすべき支払い利子との差が縮まった、そのことによって生じたものでございます。現在の段階ではこうした問題は解消しつつあるというふうに見られるわけでございます。  なお、これから先ににつきましては、いろいろな変動要素がございますので、必ずしも的確な見通しができない面がございますけれども、現在の条件でまいりますならば、健全な経営が維持できるというふうに考えている次第でございます。
  190. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 郵貯に関してかなり厳しい評価をしておるこの金融懇答申でございます。先ほど郵貯もその増加状況というのは非常に厳しくなってきておるという答弁でございましたけれども、現在の郵貯残高は六十兆円を超した、個人預金全体に占める比重が三〇%になる、こういうものから見て、やはりこの郵貯と全国銀行預金との比較でいきますと、郵貯の脅威というものを、国民は、あるいはこういったものに関係しておる人たちは感じておる、こう思うわけですね。これは率直なものだと思うのですよ。やはりその辺もはっきりしておかなければなりません。  そこで、郵便貯金及び銀行預金増加状況というもの、ここ数年、わかるところで結構でございますが、どんな状況になっておるのか、御説明ください。
  191. 鴨光一郎

    鴨説明員 郵便貯金につきましては、五十六年三月末で残高六十兆七千億円ほどございまして、わが国個人貯金残高の三九・五%を占めるという状態になっております。ただ、最近数年間の伸びは必ずしも順調なものではございません。五十五年度につきましては、金利天井感あるいはマスコミの報道といったことから郵便貯金への関心が高まりまして、増加額が対前年度四八%増という状況でございまして、これは当時の全国銀行の一五・六%減に対比いたします伸びということになるわけでございます。五十六年度に入りましてからはこれが逆転をいたしまして、四月から六月の間、郵便貯金は対前年同期二六%減となったのに対しまして、全国銀行の数字でございますが、三〇%の増という大幅な伸びを示している、こういう状態にございます。  こうした動きは五十二年度から五十三年度にかけての郵便貯金の二〇・三%増から四・一%減へというふうな傾向、同時期に全国銀行が六・九%増から二三%増へというふうに推移をしたという、これは過去の一つの例でございますけれども郵便貯金が一方的に順調な伸びを示しているわけでは必ずしもございません。好調な時期もあり、不振な時期もあるというふうな形で郵便貯金あるいは銀行預金といったものの伸びが推移してきているという状況にございます。
  192. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 それで、なぜ同じような時期に総理の私的な諮問機関である金融懇郵便貯金法に基づいて郵政大臣の正規の諮問機関である郵政審議会で正反対の答申がなされたか、これは非常に国民にはわかりづらいですね。そもそも財政再建、行革、こういう面で行政を改革していこうというときに、一つの方は前からあったわけですが、同じようなものを二つつくって、しかも答えが全く反対のようなものが出てくる、こんなナンセンスな議論をしておること自体、真っ向から行革に反対したものになりますよね。こういうものに対して大臣どう考えますか。そもそも大臣自体が郵便年金の出発の時点で総理やあるいは大蔵大臣といろいろと話し合われたと思うのです。そういう中でこのような事態になってきたことに関して、大臣として今後どう決意してやっていくのか、そういう面をもう一度お答えをここで聞いておきたいと思います。
  193. 山内一郎

    山内国務大臣 昨年末のいろいろな経緯から郵貯懇というのができまして、それの審議が一月以降先般まで続いてまいったわけでございます。その結論は御承知のとおりでございますので、それを受けまして、その報告というのは郵便制度を本当に根底から揺るがすような事項がたくさん入っておりますということで、慎重に扱っていただきたいということを閣議発言をして、総理から三閣僚で調整しながらやるように、結論が出れば閣議にかけるように、こう言われて現在に至っておるわけでございます。  こういうふうになりましたのは、昨年の郵便貯金が大変な勢いで増加をしてまいりまして、原因はいろいろあろうかと思いますけれども、グリーンカードの制度ができますと郵便貯金は非常に有利である、こういうことは真実のあれではございませんけれども、そういうような宣伝をされまして、郵便貯金がぐんとふえてまいったわけでございます。したがって、ぐんとふえた郵便貯金を今後どういうふうに扱うかということについては、その当時から世論でいろいろ問題になっておりまして、これはいずれかの機会に解明をしていかなければいけない問題である、こういうことで郵貯懇というのを発足した背景があると私は思っております。  そこで、郵政省といたしましても、昨年郵便貯金がふえた問題、これからの郵便制度の問題につきまして、どうしても郵政審議会の御意見を聞いておかないといけない、こういうことで先般その答申をいただいたわけでございまして、これから三閣僚で話し合うわけでございますけれども郵政審議会の精神を踏まえていろいろと懇談をしてまいりたいと考えておるわけであります。
  194. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 特に金融懇考えておる中に、郵政審議会とこれだけ相違点が出てくるということに関して、郵政審議会のメンバーには金融機関の代表が入ってないのだ、こう言っていますね、これは本当か。同時にどういうメンバーで構成されておるのか。今後金融機関の代表を入れる考え方はあるのか、その点をお伺いしておきたいと思います。
  195. 鴨光一郎

    鴨説明員 郵政審議会でございますが、郵政審議会令に基づきまして、委員及び専門委員につきましては郵政大臣が学識経験のある方、それから郵便貯金預金者利益を代表すると認められる方、そのほかに簡易生命保険または郵便年金の契約者の利益を代表すると認められる方を任命するということになっておるわけでございます。現在三十四名の方々で構成をされている次第でございます。
  196. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 次に、ちょっと時間の関係で、先ほど小山局長から、簡易生命保険、こういったものに関して若干御答弁がございましたけれども、もう一度ちょっと聞いておきたい点がございます。  この答申では「民業の側からは、簡易生命保険事業が肥大化し過ぎており、民業を圧迫している」こう言っていますけれども、この実態はどうなのか。それから「既に実施している分野へ新たに進出することは適当でなく、」民間ですでに実施している分野へは新たに進出しちゃいかぬ、こう言っていますね、これをどういうふうに今後考えていくか。それから「限度額は当面引き上げるべきでない」「当面」というのはどこまでかよくわかりませんが、限度額を引き上げないなんというのは大変なことになると思うのですね。これを「引き上げるべきでない」こう答申では言っておりますけれども、これをどう考えてどうしようとしておるか。同時に、臨調にも、この簡易生命保険事業あり方について、一層掘り下げた検討をせよ——この臨調でどこか検討して行革をしていかなければならぬ点が簡易保険に関してあるのか、どうしようと考えておるのか、その面もあわせて御答弁いただきたいと思います。
  197. 小山森也

    ○小山説明員 まず第一点でございますが、肥大化しているという問題でございます。この肥大化の原因をどこに求めているかということが非常に私どもこの報告からわかりかねるのでございますけれども、最近十年間における資金量ということをここで申しております。ところがこの資金量と申しますと、資金量だけということは、簡易保険事業の経営規模というものを論ずるときには非常に片手落ちになるわけでございます。大体保険事業は、民間生命保険にかかわらず、保険事業全般についての経営規模を何で判断するかと申しますと、常識的にはでございますけれども、常識的にはまず契約件数それから保険契約金額、それに第三点にいわゆる資金量、この三点からこの事業というものはどのような進み方をしているかということを見るのが当然でございます。  この点について見ますと、この十年間についての例示でございますので、その十年間について見ますと、まず保険の契約件数でございます。これについては、この十年間簡易生命保険が、四十五年度を一〇〇にとりますと、昭和五十四年には一一八になっております。これに対しまして民間保険は、同時期一〇〇に対して一二七になっております。ですから、民間の方が伸びているということになります。  また保険金額でございますけれども、これは簡易保険が四十五年を一〇〇といたしますと、五十四年は四三〇という指数でございます。これに対しまして民間保険は四十五年一〇〇に対しまして五六八という指数でございますから、百数十の差があるわけでございます。  次に資金量でございますが、これも同様な試算をいたしますと、実数で申し上げますと、四十五年度が資金量二兆五千四百億というのが簡易保険でございます。五十四年度は十三兆四千百億でございます。これに対しまして、民間生命保険の資金量は、四十五年が五兆八千五百億、これが現在二十二兆七千四百億になっております。  どの点をとりましても、指数で、まことに私ども努力不足と感じているのですけれども、いずれもシェアが当時に比べまして落ちているわけでございます。しかもこの十年前と申しますのは、保険には一つの周期的な呼吸運動みたいなものがございます。契約期間というのがございまして、簡易保険の場合、十五年、二十年というような契約期間、これが終わりますと満期になりまして落ちるわけでございます。これが戦後の二十四、五年からの一つの呼吸運動みたいなものでございまして、三十八年から四十五年までは契約件数が最低に落ちている段階でございます。そこから新たにもう一度とり直したというところで、この時点におきます簡易保険の力というのは最低に落ちている。その最低に落ちている四十五年を指数にとってもこのような状況でございます。  したがいまして、これを三十五年度にとりまして二十年間にわたって見ますと、この差がもっと出てきているという状況でございまして、どこをどういうふうな論点でこの肥大化しているということかは、私ども、この答申といいますか、報告書を見ただけでは全く不明であるということでございます。  次に、最高制限額、この問題でございますけれども、これにつきましても、経済の伸び、ということは国民皆様方がいわゆる生命に対して保障を求める額というのは、そのような経済の動きに対して当然移動があるはずでございます。そういった移動とともに生じまする国民全体の少なくとも平均的な生命に対する保障額というものを——平均的でございます。最高とは言っておりません。平均的な保障額にこたえ得るような状態でなければ、いわゆる国営としての保険を行っている意味がないと私どもは信じております。  次に、新しい分野の問題でございます。いわゆるこういった簡易保険あるいは民間保険を問わず、保険事業と申しますのは、もうすでに私がここで申し上げるまでもございませんけれども、いわゆる人間の生命を対象といたしまして経済生活をそれによって保障していこうというきわめて公共性の高い側面を持っておりまして、単なる営業するところの企業になじまない点もあるわけでございます。したがいまして、このような場合には、官業民業を問わず事業者としての利用者奉仕に向けての強い事業意識とコスト意識というのがなければいけない。それと同時に、いわゆる企業としてこういった事業を営みますと、必ずしも企業が本来の目的といたします利潤を高く生む事業ばかりが国民から求められるものではない。事業ではありますけれども、その中にそういった分野があるわけでございます。それを手がけても必ずしも高い利潤を出さない。しかしながら、国営でございますと、そういったような一つの何といいますか、収支相償——もうけなくともよい、しかし収支は相償していかなければいけないといった場合においては、国営としてはそういった分野に進出しやすい。結局そういった分野の場合に、いつも利潤を求める事業と実際の国民の要望というものがずれる場合がございます。やはりそういった場合には、国営というものがまず先に進出いたしまして、事業にも、企業分野にもなじむような一つの経済環境といいますか、土壌をつくっていくというようなことが必要ではないか。したがって、そういった意味で、新しい分野には当然出ていくべきではないか、こう思っております。  最後に、臨時行政調査会への問題でございますが、これにつきましては、先ほど若干申し上げましたので、時間も長くなりますので省略させていただきたいと思います。
  198. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 細かい点で幾つもあるわけですが、何点かちょっと重ねて御質問しておきたいと思います。  一番大事な点は、郵政省として、利用者の利益を守るということですね。あくまでも国民にどうサービスをしていくのか。国民に支えられておるわけでございますので、その意味で特に私、何点か申し上げたい点は、たとえば市中銀行が行っておるような住宅ローンの貸し付けであるとか、あるいはまた気軽に中小企業への融資、こういった面を国民に対してどう利益還元をしていくのか。それといま問題になっておる名寄せの完全実施ですね。名寄せに関してはやはり限度額管理の徹底を図って、庶民の零細な貯蓄手段としての性格を一層明確にしなければなりませんので、どう取り扱うのか。さらにまた地方債に占める政府資金の割合の引き上げなど、今後の折衝になると思いますけれども、そういった面をどう考えておるか。それから預金の限度額の引き上げですね。現在三百万のものをどこまで引き上げようとする考え方があるかどうか。同時に、今後のシェアの拡大。いま六十兆円にも上っておる。しかし決していい状況ではないんだと先ほど答弁ございましたけれども、今後どう拡大していくつもりなのか。細かい点になりますが、郵貯の勧誘奨励手当、これは廃止すべきだ、こう言っておりますけれども、これはすぐに来年度予算概算要求に盛り込まれていくわけでございますので、こういった面は、いままでの目的、状況というものはございますけれども、今後どうするのか。  以上の点、時間の関係上概略で結構でございますが、まとめて御答弁いただきたいと思います。
  199. 鴨光一郎

    鴨説明員 何点かの御指摘がございました。  まず財政投融資原資としての郵便貯金でございますが、これを今後どのように国民のために利用するのかという点でございます。郵便貯金資金というのは、これまで財政投融資を通じまして、産業基盤の整備とかあるいは国民生活の基盤整備等を通じまして、わが国経済社会の発展に大きな貢献をしてまいっております。今後ともこういった面で果たす役割りは大きいことに変わりはないと思っておりますが、さらに預金者サービスの向上を図ることにつきましても十分検討してまいりたいと考えております。  それから限度額管理という面で、名寄せの完全実施でございますが、これは昨年大蔵省との間にグリーンカード制度の実施に関します合意をいたしまして、この中で、これまでも十分に名寄せの徹底を図ってきておりましたものを、五十九年以降郵便貯金の名寄せをグリーンカード番号によるというふうなことで、完全決着を見ているところでございます。もちろんその間におきましても、オンライン化の進展等に合わせながらこれまで以上の限度額管理の徹底を図っていくというつもりでございます。  それから地方債に対します問題でございますけれども、これまでの財投に果たしてきました郵貯の役割りというものは、先ほど申し上げたとおりでございます。いま御指摘の地方還元という観点も、郵便貯金資金性格から見まして、これが大変重要なことであろう、ひいてはそれが預金者のためにもなることであろうということで、郵政省がそうしたサービスを実施することにつきまして検討をいたしているところでございます。  それから、現在ございます限度額、これは三百万円ということになっておりますが、これも引き上げる方向検討をいたしております。  それから、郵便貯金のシェアの問題でございます。これはいろいろな状況、条件のもとでお客様が選択をされる結果でございます。先ほどもお話が出ておりましたように、官民ともどもお客様に対するサービスの向上を図っていくという方向の中でのおのずからなシェアの結果というものが出てくるだろうと思っております。しかし、先ほど申しましたように、郵便貯金伸び自体が決して楽観を許さない、財政投融資という面から申しましても非常に重大な状況にあるのではないかというふうに考えているところでございます。  そうした意味におきまして、先ほど募集手当に関しましての御質問がございました。われわれは、この募集手当と申しますものが、やはり国民皆様貯蓄心を涵養する、そしてさらに大事な貯蓄をふやしていくということのために大きな力を発揮してきたものであるというふうに考えておりますので、しかもまた、組合との間に協約を結んで支給をしているという側面もございます。こうした点から、現在の制度というものを維持してまいりたい、このように考えている次第でございます。
  200. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 どうもありがとうございました。以上で終わります。
  201. 佐藤守良

    佐藤委員長 竹内勝彦君の質疑は終わりました。  西村章三君。
  202. 西村章三

    ○西村委員 去る二十日の金融懇答申というものはわれわれの予想を上回る非常に厳しい内容であったわけでございます。郵便貯金事業の根幹を脅かすのみならず、預金者無視、国民無視の立場で貫かれたものでございまして、とうていわれわれ納得のできるところではございません。     〔委員長退席、畑委員長代理着席〕  そこで、まず最初大臣にお尋ねをしたいのでありますが、この金融懇答申そのものは、けさほども大臣の見解を申し述べられました。また、先ほど来同僚委員質問に対しても大臣は答えておられますが、とうていこれは受け入れられるものではない、こういう認識が非常に強いわけでございます。結果的に金融懇の中ではいわゆる郵政側の意見というものはほとんど無視をされてしまって、結論には何ら反映をされなかったということでございます。貯金局長先ほど金融懇自体が果たして中立かつ公平な立場審議をしたものとは思えない、こういう発言をされておるわけでございますが、大臣として、いわゆる金融懇が中立かつ公平な審議を行ったと思われるのか、あるいは行わなかったと思われるのか、その辺の御見解をまず承りたいと思います。
  203. 山内一郎

    山内国務大臣 金融懇のいろんな話し合いが始まって大体一回りヒヤリングが終わった段階におきまして、それまで省を挙げていろいろ説明をしてまいったわけでございますが、その段階において私も各委員の先生のお一人、お一人に懇談を申し上げまして、郵便制度の重要性についてお話をしてまいったのでございます。そのときは、いろいろ御質問もございましたけれども、大体御理解を得たものと考えていたのでございますが、結果の報告は全く郵政省のことは取り上げておられない、こういう段階でございましたので、先ほど申し上げましたように閣議において発言をいたしまして、これは郵便貯金制度の根幹に触れる重大な問題であるので、ひとつ慎重に取り扱ってもらいたいということで、報告についての閣議申し合わせということはそこでやめてもらいまして、総理から、それでは官房長官大蔵大臣郵政大臣話し合いをして、結論が出たら逐次閣議に持ってくるように、こういうようないま段階に相なっておるわけであります。  そこで私といたしましては、いずれそういう話があるかと思いますけれども郵政審議会にもいろいろ御審議をいただいてりっぱな御答申をいただいているわけでございますので、その線に沿いまして話し合いに応じてまいりたい、こういうように考えているわけでございます。
  204. 西村章三

    ○西村委員 これは当初懇談会設置の時点で、いわゆる内閣官房との約束というのは、およそ中立かつ公平な審議機関である、こういうことが提示されていたようでございます。ところが実際には、金融懇委員の中には利用者、国民一般の声を代表する委員が全くいなかった、そういう意味で、委員の人選や検討項目などについて利用者や主管庁である郵政省意見等が全く取り入れられなかった、こういう結果になったわけでございます。そういう形が進行する中で懇談会答申の取りまとめに入った。その時期に、郵政省としてはどういう形でこれに対する抗議をなされたのか。何らの措置もとらずにそのまま見送ってしまったのか。大臣は個々の委員にお会いになって、それぞれ郵政省立場を強く伝えた、こうおっしゃるわけでございます。答申取りまとめの段階で、こういうものは困るというような抗議をされたのか、されなかったのか、お答えをいただきたいと思います。
  205. 鴨光一郎

    鴨説明員 郵政省といたしましては、金融懇が設けられることになりました直後の一月七日に、内閣官房副長官に対しまして、懇談会委員については公平に人選をすること、委員の決定に先立って当省と相談をしてほしいということ、そのほか検討項目といたしまして、政府金融機関及び民間金融機関あり方等を含め広く金融の全般にわたって取り上げることとすること、あるいは懇談会においては当省の意見を十分聴取されたいこと、こういったことの要望を行いました。さらに人選につきましては、一方的に通知がなされました一月十四日に、内閣官房長官に対しまして不満の意を表明いたしますとともに、預金者立場理解した委員の人選について再考、善処方の申し入れを行ったところでございます。  先ほども申し上げましたように、この五人の委員の方々はもちろんそれぞれりっぱな方々でございますけれども、出てまいりました報告内容につきましては、私どもといたしましては、われわれの主張がほとんど顧みられていないということで、大変遺憾に思っている次第でございます。
  206. 西村章三

    ○西村委員 最終の答申の取りまとめの段階で、郵政省としては二回意見開陳をされる機会を持たれたわけですが、十六回のうちでただわずかの二回ですね。そういう全般的な経緯から推しはかって、これは非常に危険な方向結論が出るということが考えられなかったのか。郵政省としては、従来から持っておられたいわゆる五項目の要求、これはもうその時点だけで終わってしまったのか。金融懇答申会議を続けておられる期間中ずっとやっておったのか、その辺はどうですか。
  207. 鴨光一郎

    鴨説明員 一月七日の申し入れのうち、委員の人選につきましては先ほど申し上げたとおりでございます。そのほかの項目につきましては、検討項目について広く金融の全般にわたって取り上げていくことという点につきまして……(西村委員「項目の内容はわかっている。どういう努力をしたかということを聞いているのです」と呼ぶ)御指摘の努力につきましては、これまで与えられました二回のヒヤリングの機会にわれわれの主張をできるだけ理解していただく努力をいたしましたほかに、先ほど大臣からもお話がございましたように、大臣を初めといたしまして私ども事務当局の担当者といたしましても、五人の委員に個別に、いろいろ金融懇の場以外のところでの状況説明あるいは理解を求めるようなお話を申し上げたわけでございますけれども、何分その点十分な御理解が結果的に得られなかったということでございます。
  208. 西村章三

    ○西村委員 いまさら死んだ子供の年を数えるようなことは言ってもしようがないのでありますけれども、当初の郵政省の五項目の申し入れもほとんど無視されたままでこの懇談会が推移をしたということを考えてみますと、当初から一つ結論がもう見えておったということになると思うのです。ところが答申内容の見通しにつきましては、大臣は非常に甘い考え方をなすっておられたのではないか。特に二月二十五日の委員会質問の中で答えて、懇談会設置はむしろ郵政省にとって理解してもらえるチャンスだ、こういうことをおっしゃった。あるいは金利一元化しなければならぬという結論が出るとは私は思っていない、さらに偏った結論が出るとは思っていない、われわれと同じような方向理解が得られる、こう答弁をされているわけでございます。しかし結果は全くこれと逆な方向でございまして、大臣自身も受け入れられないというような結論になったということ、明らかに大臣のこれに対する見通しが甘かったのではないか、私はこう思うのでありますが、お認めになりましょうか。  さらに、私はもう一つさかのぼって、個人年金問題の時点でいわゆる懇談会設置、これに同意をされた時点で、そのことが力関係として、あるいは屈服させられるのではないか、しかし同意せざるを得なかったということだったのか、あわせてこの点もお聞きしたいと思います。
  209. 山内一郎

    山内国務大臣 郵便貯金が昨年大変増加してまいりまして、いろいろ原因はあろうかと思いますけれども、いろいろな点で郵便貯金は有利だ有利だ、こういうような宣伝をされてふえてまいったのでございます。したがって、いずれかの機会郵便貯金の問題がいろいろ討議されるであろうということは、そのときの情勢として、いつかという問題は別にいたしましてあったわけでございます。したがって、そういう話が内閣において起きた場合には、郵便貯金制度というものも十分ひとつ全力を挙げて説明をさせていただいて御理解を得る機会である、こういう考えのもとに私も同意をしたわけでございますが、その後全力を挙げて、先ほど申し上げましたように、御理解を得るべく省を挙げてやったのでございますが、結果はごらんのとおりの報告に相なりましたことについては、私が力が及ばなかった、こういうことで、まことに残念、遺憾に思っている次第でございます。
  210. 西村章三

    ○西村委員 いまさら力が及ばなかったとおっしゃっても、すでに答申は出ておるわけでございます。これからいかに三者間で折衝していくか。その中における郵政側の意見をどのように反映していくかということにかかってくるわけでありますが、けさほど来同僚委員からも、この答申についての拘束力の問題が出ておりました。いかなる拘束力があるのかということでございますが、けさの法制局の発言も、法的な重みというものは、私的な懇談会よりもむしろ郵政審議会答申にある、こう言っておられるわけでございます。もちろん私自身も先般の委員会で申し上げましたように、総理大臣といえども、私的な諮問機関である。一方は法律に基づく機関としての審議会だ、当然これは重みが違うわけであります。わが国は法治国家でございまして、社会の秩序というものは法律によって守られておるということから勘案をいたしましても、当然のことながらこれは郵政審議会答申の方に重点が置かれてしかるべきだと思うのでありますが、この点について大臣のお考えを明確にしていただきたいと思うのです。
  211. 山内一郎

    山内国務大臣 この金融懇報告取り扱いについては、先ほど私申し上げたとおりでございます。これから三閣僚の間において話し合いを進めていこう、話のまとまったものは閣議にかける、こういうことでございますので、その話し合いの段階におきましては、私は、郵政審議会でお決めをいただいたこと、これをもとにして話し合いの根拠にしてまいる、こういう決意でございます。したがって、そういう点でまとまればこれは閣議にかかるわけでございますが、その点については十分に注意をしながらやってまいりたいと考えております。
  212. 西村章三

    ○西村委員 非常に国民利益、利用者の利益に直接関係することでございますので、ひとつ大臣とされましても、最高責任者として郵政審議会答申を最大限に尊重していただいて、この立場から折衝をやっていただきたい、不退転の決意を持ってやっていただきたいと強くお願いをいたしておきたいと思うのであります。  そこで、答申に関しまして具体的にお尋ねをいたしたいと思います。  限られた時間の中でございますから、総括的なことしかお聞きできないのでございますが、まず最初に、今回の金融懇設置されました直接の動機ですね。これは、昨年の七月から十一月にかけまして郵便貯金の預入量が急増した。きわめて顕著な現象であったわけでございますが、この現象について、郵政省の側は、これはあくまでも一時的なものである、一過性のものである、こう判断をされておるのであります。その根拠というものを具体的に、その前後と比較しながら数字で示していただきたい。  また、本年に入りまして貯金量が非常に減少しておるということでもございます。来年度の郵便貯金増加目標額も非常に減るんだ、こういうことも報道されておるのでありますが、その辺のことも含んで、ひとつ数字をもって示していただきたいと思います。
  213. 鴨光一郎

    鴨説明員 郵便貯金の近年の増加状況でございますが、純増加額で申しまして、五十二年度の五兆十八億円という数字をピークにいたしまして、以後、昭和五十三年度四兆七千九百六十八億円、これが五十二年度対比で九六%、それから五十四年度が四兆千六百十七億円、前年対比で八七%というぐあいに連続して前年実績を下回ってまいりました。  ただ、昭和五十五年度につきましては、七月から十一月の間におきまして、金利天井感が強まったことと、郵便貯金をめぐりますマスコミ等の報道が郵便貯金に対する国民関心を著しく高めたことによりまして、前年、つまり昭和五十四年の同じ時期に対しましては二一一%というふうに急増をしたわけでございます。  ことしに入りまして、昭和五十六年一月以降先日の八月二十日までの間の累計の実績を見てみますと、前年同期に対しまして六六%でございます。ただし、先ほど申しましたように、これは急増した実績が一部入っている期間でございます。前々年、つまり連続して前年実績を下回りました五十四年の同期に比べましても七九%という状況になっているところでございます。  で、昭和五十七年度の増加目標額につきましては、これは財政投融資の計画額に関連をいたしてまいります。以上のような増加状況の低調さ、また、これは一般的に郵便貯金が家計可処分所得の伸びと密接に関連をいたしておりますけれども、その家計可処分所得の伸びが鈍化をしているといったことなどを勘案いたしまして、目標額といたしましては七兆九千億円ということを考えているところでございます。
  214. 西村章三

    ○西村委員 当初計画比一兆円減の七兆九千億円、こういう見通しだそうでございますが、これは申すまでもなく、郵便貯金というものは資金運用資金の有力な原資としていわゆる財投の資金に充てられておるわけでありますが、来年度の減額は、この数字からいいますと、もう必至だ。これにつきましては大蔵省の方もずいぶん頭を痛めておられるようでありますが、郵便貯金の急激な落ち込み現象、この理由は郵政省として一番大きなものは何であったのか。さらに、郵貯資金の使途である財政投融資につきましても、今回の金融懇答申ではほとんど触れられておらないのであります。将来の財投のあるべき姿について郵政省としてはどういう考えを持っておられるのか、これもあわせてお尋ねをしたいと思います。
  215. 鴨光一郎

    鴨説明員 私、先ほど申し上げました七兆九千億円という数字は、昭和五十七年度の増加目標額として予定を考えているものでございます。なお、五十六年度の見通しにつきましては、先ほど大臣からお話がございましたけれども、本年度当初予定の八兆九千億円に対しまして一兆円程度の減が見込まれるということで、数字的には五十七年度の目標額として申し上げましたものに近くなるのではないかなというふうに考えている次第でございます。  それで、財投の関係でございますが、郵便貯金はこれまで財投を通じましてわが国経済の発展に大きく貢献をしてまいっております。こうした面においての郵便貯金の果たす役割りというのは今後とも大きなものであると考えております。  御指摘のように、今回の報告では、この点についての、現在財投の運用に多額の資金未消化あるいは民間との融資競合といった問題がございます。郵政省としてはその見直しが必要であるというふうに考えているわけでございます。この見面しが必要であるということにつきましては、単に郵政省だけが必要と考えているのではございません。学者グループあるいは経済記事といったものでも指摘をされているところでございます。  落ち込みの原因につきましては、一つには、これまで家計可処分所得と密接な伸びの関連を示しておりました、そのもとになります家計可処分所得の伸びの低下と、それから、一般的にいわゆる借金がふえてきているということで、貯蓄に回るべきお金が借金返済の方に回っていく形でその額が大きくなってきているという状況、それからまた、債券とか投資信託といった形でいわゆる金融資産の選択の幅が広くなってきたために、郵便貯金に振り向けられるお金の伸びが減ってきているというふうに考えている次第でございます。
  216. 西村章三

    ○西村委員 金融懇答申は、一口に申し上げまして、銀行の権益の擁護、そして一方的偏見に偏ったいわゆる郵便貯金の敵視だ、こう申し上げても過言ではないと思うのであります。しかし、郵便貯金の問題は、本来国民のニーズの上に立ったあるべき金融像の姿の中で論じられなければならぬ問題であります。また位置づけられなければならない問題でございます。答申のように非常に偏った取り上げ方というのはするべきではない、私はそう思うのでありますが、郵政省としての見解はいかがですか。
  217. 鴨光一郎

    鴨説明員 先生御指摘のとおり、金融懇報告はもっぱら金融政策あるいは金融行政を執行する立場から郵便貯金を制限をしようということになっているというふうに見られます。私たちから言いましても、国民立場を無視した一方的なものと言わざるを得ないわけでございますが、新聞の論調等を見ておりましても、庶民に対する温かみに欠けるとか、あるいは国民に対する説得力に欠けるといったものが見受けられるということで、私ども考え方が当を得ているものというふうに確信をいたしております。
  218. 西村章三

    ○西村委員 同時に、官業民業の補完に徹すべし、こういうことも答申の中でうたわれておるのでありますが、現在、民間と同じ土俵の上で競争をして、しかも独立採算をとっておるこの郵便貯金に対しまして、この原則を当てはめるということは余りにも無理があり過ぎるのではないか、なかなかこれは当てはまらない問題だ。いま仮に答申の趣旨を尊重したとして、たとえば郵貯が民業で採算のとれない地区あるいは事業だけをやっていたとしたら、それこそ財政はパンクをして税金による補てんが必要となる、あるいは国民にそのことによって負担をかける、迷惑をかける、こういうことになるわけであります。それよりも私はむしろ、今日の郵貯の存在というものがいわゆる民業との競争を通して国民利益をもたらしておる、こういう立場の方を強く主張したいのであります。私の言うことは間違っておりますか。
  219. 鴨光一郎

    鴨説明員 先生の御指摘のとおりでございます。官業民業あり方につきましては、サービスを受ける国民立場に立って、いかなる金融サービスをどういう形で効率的に提供していくかということが問題であるというふうに考えております。  一般に、官業民業より効率が悪いというふうに受け取られがちでございますけれども郵便貯金は、収益性の低い山間辺地にまでもサービスを提供しながら、独立採算制のもとで収支相償を図りつつ効率的な経営をしているというふうに自負をいたしております。また、郵便貯金サービスの向上につきましては、民間金融機関に対する誘導機能ということも果たしてきたというふうに考えております。郵便貯金法の趣旨に即しまして、あまねく公平なサービスというものを今後とも国民のために続けていきたいというふうに考えておるところでございます。
  220. 西村章三

    ○西村委員 今回の動機のもう一つの大きな原因といたしまして、いわゆる金融政策を機動的、有機的に運用ができない、こういうことのために金利一元化が必要である、こういう根拠に基づいて今回の懇談会設置をされ、答申が出たわけであります。しかし、これとて現実に照らして考えてみますと、若干のおくれを伴うだけで、従来から預貯金金利というものは連動しておった。そのおくれが金融政策の遂行を著しく阻害をするような決定的影響を与えたことはなかったと私は思っておるのでありますが、これは与えたと思われるか、あるいは与えていないと思われるか、まずその点答えてください。
  221. 鴨光一郎

    鴨説明員 現在の金利決定方式は、預金者利益を反映する唯一のものだということで、われわれとしましてはこれが最も適切な方式であるというふうに考えているわけでございます。その形の中で、これまで金利変更に際しましてどういうことがあったかということでございますが、タイムラグにつきましては全くないか、ありましても僅少な日数でございました。これによる民間からの資金移動というものもほとんど認められないというふうにわれわれ見ております。むしろ、現在のような規制金利のもとで一元化ということが行われるということになりますと、預金者利益が損なわれることになるという点を、われわれ大いに懸念をしているところでございます。
  222. 西村章三

    ○西村委員 局長がいま答弁されましたように、いわゆる金利決定の若干のおくれ、タイムラグによりまして銀行預金から郵貯へシフトをした、資金が移動したということは、これは言えないと思うのであります。これは実態が証明していると私は思うのであります。  いずれにいたしましても、このタイムラグだけの問題ではなしに、いま銀行というものは、行政の庇護のもとにといいますと若干大げさになりまするけれども、いわばそういう形の中でさらに銀行を保護するような金利一元化、これにはとうていわれわれは賛成することができないのです。かねてから郵政省の方も、今回の問題についての明確な態度を、現行制度維持だ、こうおっしゃっておられるのでありますが、再度この点について、金利一元化について郵政省の見解を表明していただきたいと思うのであります。
  223. 鴨光一郎

    鴨説明員 先ほどから申し上げておりますように、いま言われております金利一元化というものは、預金者利益を損なうおそれがあるというふうに考えられます。したがいまして、現在の規制金利のもとにおきましては、郵便貯金法の現在の十二条によります決定方式というものが最も適切なものであるというふうに考えております。
  224. 西村章三

    ○西村委員 預金金利というものが大蔵省の指導のもとに今後一元的に決定をされていく。いわゆる臨時金利調整法体制、これを前提にして預貯金金利が決定されるということ、私は、必ずしもこの一元化というものは実勢金利を反映しているものとは言えないと思いますし、むしろこのことによりまして預貯金者に大きな犠牲を強いるものではないかと思うわけであります。特に、経済の低成長に入りまして、収入、所得の大幅な伸びというものがもはや望めない、さすれば庶民といたしましては、わずかの資産、これもインフレによる目減り防止、これが非常に重要になってきた今日の時点におきまして、金利決定の一元化というものは働く庶民にとってもより大きな犠牲を強いることになる、こういう結果になると思うのであります。郵政省の見解はいかがでございましょう。
  225. 鴨光一郎

    鴨説明員 現在の臨時金利調整法体制につきましては、郵政省がとかく申すまでもなく、経済学者あるいは評論家といった方々の間でも、戦後体制の残ったものであるというふうな指摘のなされている点でございます。そういった面から、こういういわゆる規制的な金利のもとでの金利一元化ということは決して預金者のためにならないというふうにわれわれ考えている次第でございます。
  226. 西村章三

    ○西村委員 先ほども同僚委員からお尋ねがございました貯蓄の重要性の問題でございますが、経済が低成長の時代に入った、あるいは急速に高齢化社会が到来をしておる、さらには国際経済が非常に変動しておる、こういう不安定要素が非常に多いわけでありますが、こうした中で私は、むしろ貯蓄の重要性というものは一段と強まるんではないか、特に個人金融分野における中心としての郵便貯金、この利用はさらに年々高まっていくんではないか、かように見通しておるんであります。郵政省としては今後の郵便貯金の増減についての見通しをどのように考えておられますか。
  227. 鴨光一郎

    鴨説明員 現在、わが国の国民貯蓄の意欲というものは高いものがございますけれども貯蓄の目的を見てみますと、不時の出費に備えるもの、老後の生活に備えるもの、土地、住宅の購入や新増改築といったもののため、それから子弟の教育、結婚のため、要するに貯蓄というものがこういった国民生活の安定と向上を図る上できわめて重要な役割りを果たしているというふうに心得ております。したがって今後、わが国の経済が安定成長を続ける中で、国民生活の安定、向上、それから活力ある経済社会の発展を図るためにも、貯蓄の重要性は引き続き高いというふうに考えておりますが、郵便貯金につきましては、趨勢といたしまして、五十二年度をピークにして、五十五年度は一時的に増加傾向を示しましたけれども、対前年度の現金増加額というものの比率が年々落ち込んできているということで、われわれといたしましても努力をいたしまして、これを国民皆様方とともにより回復をしていくことに努力をしなければいけないというふうに考えております。
  228. 西村章三

    ○西村委員 問題化されております郵便貯金の中で、やはり一番強く見直しを求められておりますのがいわゆる定額貯金でございます。定額貯金がなぜ人気があるのか、これは言うまでもございませんが、いわゆる収益性あるいは安全性、さらには流動性が非常に高いということであります。ところが、今回の答申の中では、この定額貯金につきまして、据え置き期間の延長、預入期間の短縮と強い見直しを求められております。しかし、これはあくまでも本末転倒の議論でございまして、むしろ、定額貯金見直しを求めるよりも、銀行がこれと競争し得るような新商品の開発を行う、預金者にとって有利な商品を開発して競合していく、こういうことが筋であり、正しい対応の仕方であると思うのであります。庶民にとってはいわゆるとらの子の貯金、この資産を有利に保持することのできる定額貯金をいま見直すということは非常に筋違いだ、私はそのような見解を持っておるのであります。郵政省としても当然のことであろうと思いますが、再度この問題について答えていただきたい。     〔畑委員長代理退席、委員長着席〕
  229. 鴨光一郎

    鴨説明員 定額貯金につきましては、広く国民皆様に支持をされている魅力的な商品であるということで、郵便貯金の残高の八八%を占めるに至っております。また、収支面ということにつきまして世間から指摘を受けている点につきましても、これまで収支相償を維持しつつ提供することができてきた商品でもございます。金融懇報告では、こうした事実を無視いたしまして、民業を圧迫するということを主たる理由にして定額貯金見直しを主張しているわけでございます。おっしゃるとおり、国民不在の論理ということで、預金者利益の増進を図るという立場からは本末転倒ではないかというふうに考えております。
  230. 西村章三

    ○西村委員 最近、定額貯金に対抗する形で、新しい銀行の期日指定定期預金ですか、これが出されたわけでございます。非常に人気がいいらしくて、ことしの夏のボーナスもほとんどそちらの方に行ったのではないか、こういう判断がされておるのでありますが、この例が一ついいものを示しておるわけでありまして、庶民生活の知恵としても国民は非常によく知っておるということでございます。いかに収益性が高いかということにつきましての関心が非常に高いわけであります。  さらにもう一つ言わしてもらうならば、ことしの九月からいよいよ郵便の個人年金が始まるわけでございます。これにつきましても、競合する意味で、民間生保の側もいま新しい商品というものを次から次へと開発をしておる、お互いに競合し、切磋琢磨して、よりよいものをつくり出していく、これが共存共栄の道であろうと思うわけであります。そういう意味で民間金融機関も、郵便貯金を目のかたきにするだけではなしに、その抑制を蓄えるのではなしに、むしろいい商品をつくり出すことによってこれに対抗していこう、こういう形が日本の金融あり方といたしましても正しいものだと私は考えるわけであります。  さらに、定額貯金だけの問題ではなしに、郵便貯金全体としても今後のサービス改善、これをやらなければならぬと私は思うのでありますが、しかし、答申の中では残念ながらそれらのことも抑制をされておるようであります。これはある意味では不当な干渉だと思うのであります。現行の郵貯そのものがすでに客観情勢に必ずしも対応しておるということは非常に言いがたいことでございます。預け入れ限度額の問題にいたしましても、引き上げは八年前に行われたままでございまして、いまだにその額が固定をされたままでございます。物価にスライドはいたしておりません。また、高齢化社会に突入をしておる今日におきましても、かねての構想のいわゆるシルバー貯金構想も凍結をされたままであります。利用者サービス一つであります総合口座の開設もそのままになっております。すべて国民の要望に背を向けておるというのが今日の郵貯全体でもあろうかと私は思うのであります。そういう意味からいたしますと、これは何のための郵便貯金なのかと、むしろ言いたいくらいでございまして、サービス抑制などとんでもないことでございます。むしろ積極的に改善を推進していくことこそが国民のニーズに合致する、こういう観点で私ども考えておるのであります。  先ほど申し上げましたいわゆるシルバー貯金創設あるいは限度額の引き上げ、総合口座の開設、これについて郵政省は今後前向きにさらに強く前進をしていただきたいと思うのでありますが、その御見解を承りたいと思います。
  231. 鴨光一郎

    鴨説明員 今日、官民を問わずに個人金融分野充実に努めることが要請されておるという状況でございまして、先生御指摘の期日指定定期というものもそのニーズに即した民間側のサービスであろうというふうに考えます。一方で、金融懇報告の中で郵便貯金サービス改善につきまして一方的な抑制考えているということは、私どもといたしましてはとうてい認めるわけにはいかないものでございます。御指摘の総額制限額の引き上げあるいはシルバー預金創設等につきましては、国民の御要望にこたえるべく今後とも努力をしてまいりたいと考えておりますが、その中で、先ほど御指摘の総合口座の開設につきましては、この六月から神奈川県で開始をいたしまして、この秋からさらに地域を広げていく。これは現在の法律の枠の中で実施可能なものでございますので、われわれといたしましては国民の健全な資産形成、福祉の増進という見地からこういったもののサービスの向上に努めてまいりたいと考えているところでございます。
  232. 西村章三

    ○西村委員 時間が残り少なくなってまいりましたが、関連をいたしましてお尋ねをしたいと思います。  去年の郵貯の急増の一因はいわゆる駆け込み預金であったと思うのでありますが、その理由の一つに、郵貯の限度額管理が銀行などに比べて非常に甘いといううわさが立ちまして、そのために預入者が集中したという点もあったわけでございます。われわれは、これは率直に反省をしなければならぬと思うのでありますが、これには実際に架空名義を使った悪質な大口預金者もあったという事実がしばしば報道されたところでございます。また現在、利用者の中にも、零細小口預金者にまじって法人の運転資金等の分割的な口座の使用といいますか分散して口座を使う、こういうものもあると指摘をされておるのであります。これらの汚名を返上するためにも郵政当局は、さらに名寄せというものを従来以上にも増して厳重に行う必要があると思います。限度額管理というものを徹底させて、脱税の温床と言われないように、そういう誤解を生まないように努めるべきであると思うのでありますが、徹底できますかどうですか。
  233. 鴨光一郎

    鴨説明員 限度額管理につきましては、これまでも全国一本で各お客様の名寄せをいたしてきておるわけでございますが、現在、先ほど申しましたオンライン化の中で、コンピューターによる名寄せによって一層効率的に行うということを進めているところでございます。  なお、昨年大蔵省との間でグリーンカードの実施に関連をいたしまして、五十九年からのグリーンカード実施の際には番号による名寄せを行うということに合意をいたしまして、この問題の決着を図ったところでございます。そうしたいま申し上げましたような方法の中で、御指摘のように、脱税というふうなことの疑惑を招くことがないように一層限度額の管理を徹底してまいりたい、このように考えております。
  234. 西村章三

    ○西村委員 郵便貯金と関連をいたしまして、簡易保険につきましても、官業民業あり方の中で見直しが求められております。さらに、最高限度額の引き上げも、これはだめだ、こういうことになっておるのであります。しかし、これとて先ほど郵便貯金と同じように、いわゆる経済社会の情勢の推移に合致をするような方向で改善をしていかなければならぬと思うのであります。限度額につきましても、もうすでにこれは五十二年から据え置かれたままでございます。こういう情勢下ではございますが、改善の余地はまだまだやるべきところが多い、積極的に改善すべきだ、こういう意見を私は持っておるのでありますが、保険局長、いかがでございますか。
  235. 小山森也

    ○小山説明員 お説のとおり私どもの生活環境は、経済の発展とともに、認識とまた自己の経済生活に対する生命の保障というものも変わってまいります。したがいまして、その変化とともに、生命保険に求められますところの保障額も当然変化してくるわけでございます。したがいまして、少なくとも国営事業といたしまして平均的な国民からの保障要求というものに応ずること、これが国営事業としてあるべき姿だと考えております。したがいまして、そういった意味合いにおきまして、私ども具体的にこれに応ずる施策を早急に立てるべきだ、このように考えております。
  236. 西村章三

    ○西村委員 時間がございませんが、これはいわゆる郵便貯金の問題と次元を相違をいたしますが、大臣にお尋ねをしたいのであります。  仲裁裁定の実施の問題でございますが、さきの通常国会では残念ながら継続審議ということになったわけであります。しかし、この仲裁裁定の早期完全実施というものは、事業運営にとりましてもきわめて重大な影響を持つものでございます。それだけに、大臣も今日までいろいろと御苦労いただいているわけでございまするけれども、残念ながら今日のところまだ見通しというものが立っておりません。前回の国会の中で、国対委員長会談の中では、しかるべき時期に実施をするということのみが示されたままでございます。今日、臨調答申に基づく国家公務員の給与の見直しでありますとか、あるいは人事院勧告の取り扱い、この問題について非常に関連を持つものでございまするけれども、私は一日も早く実施ができるように最大限の努力をしていただきたいと思うのです。大臣の方から一言答えていただきたい。
  237. 山内一郎

    山内国務大臣 前回の国会におきまして、公労委の裁定についていろいろ検討をしてまいったのでございますが、国会でひとつ御決議をいただきたい、こういうことで本日に至っているわけでございます。  われわれといたしましては、働く職員が十分気持ちよく働けますように、こういうことで、国会において一日も早く決議をいただきますよう期待しているものでございます。
  238. 西村章三

    ○西村委員 最後に。冒頭に申し上げましたように、この金融懇答申を今後いかに折衝していくか、今後の折衝いかんあるいは決着いかんによりましては、郵政事業が壊滅的な打撃を受ける、こういうことにもなるわけでございます。まさに正念場を迎えておると思います。郵政省も、大臣以下いまこそ不退転の決意をもって事に臨んでいただきたい、このことを強く私どもは願うわけであります。最後に、大臣のわれわれに対する約束といいますか決意というものを伺いまして、私の質問を終わりたいと思うのです。
  239. 山内一郎

    山内国務大臣 ただいま西村委員の言われましたことは、まことに重大な問題でございまして、この取り扱いいかんによっては郵便貯蓄事業の根幹を揺るがすものである、こういうことは十分に認識をいたしておるわけでございまして、郵政審議会の御答申に沿ってひとつ最大の努力をしてまいりたいと考えております。
  240. 西村章三

    ○西村委員 終わります。
  241. 佐藤守良

    佐藤委員長 西村章三君の質疑は終了いたしました。  藤原ひろ子君。
  242. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 私、きょうは郵便貯金あり方の問題について質問をさせていただこうと思っているわけでございますが、その前に一点だけ確認をしておきたいと思います。  それは、去る八月十七日の夕刊で報道いたしておりますが、郵便小包業務の縮小を郵政省考えているという問題でございます。郵政省としてはこのようなことを考えていらっしゃるのかどうか、お答えをいただきたいと思います。
  243. 魚津茂晴

    ○魚津説明員 お答え申し上げます。  小包業務を縮小していくという考えは、郵政省はいささかも持ち合わせていないところでございます。むしろ、民間の宅配サービスといったもの等をしんしゃくするなどして、本当に国民皆様方のニーズに合った小包のサービスあり方を鋭意研究いたしまして、需要の拡大を図っていく、こういう考え方で現在対処しておるところでございます。
  244. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 よくわかりました。それでは本論に入らせていただきます。  金融分野における官業あり方についての懇談会報告書の中で触れられております預貯金金利の一元的決定につきましては、預金者利益が損なわれるものであり受け入れることはできないと郵政省は反対の態度をとっておられます。そこで、私はこの点についてお尋ねをしたいと思います。  郵政省は、個人預金金利は公定歩合と連動するものではないし、させる必要はないと言っておられますが、これはどういう理由なのか、またいつからこのような考えを持っていらっしゃるのか、お尋ねをしたいと思います。
  245. 鴨光一郎

    鴨説明員 郵便貯金金利は、御承知のように、郵便貯金法の十二条によりまして決定されることになっておりますが、その中では、民間の大衆の利益の増進に配意しつつ、民間の預貯金金利にも配慮をするということで決められることになっております。公定歩合は日銀の専管事項ということで決められるわけでございまして、私どもは民間の預貯金金利には配慮をいたしますけれども、公定歩合とは関係を持たないということでございます。  なお一これまでの実績からいいましても、公定歩合の変動と民間をも含めました預貯金金利の変動とは、いつも一緒ということではございません。
  246. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 そういたしますと、預金者保護の観点を貫いていかなければならないということになるわけですね。私もその点賛成です。しかし、やや不安そして疑問が残りますので、改めてお尋ねをしていきたいと思います。  いままで郵貯金利の決定につきまして、過去を振り返ってみますと、あなた方は過去十年間に何回か利下げを行っているわけですけれども、その場合の理由というのは一体どのような問題があるのでしょうか。
  247. 鴨光一郎

    鴨説明員 先ほども申し上げましたように、郵便貯金の利率の改定に当たりましては、郵便貯金法の原則にのっとりまして総合的に判断をしてきております。もちろんその場合に、そのときどきの経済金融情勢というものを勘案しながら総合的な判断を行っているということでございますが、最近の郵便貯金の利率の引き上げは昭和五十五年四月十四日でございます。これは、物価の急騰、円安に対処するということのために昭和五十五年三月十九日に公定歩合が引き上げられましたが、それとの関連で民間金融機関預金金利等の引き上げが実施されることとなったという状況を勘案して引き上げたものでございます。  それからまた、利下げの方は、最近のものは昭和五十六年、本年四月十三日でございますが、これは、物価が落ちつく方向にある一方で景気のかげり現象が広がってきているという当時の経済情勢に対処するため、公定歩合が一%引き下げられましたことに伴って民間金融機関預金金利等の引き下げが実施されることを考慮いたしまして引き下げたということでございます。
  248. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 郵便貯金金利引き下げというのは、過去十年間で八回も行われてまいりました。しかも、その利下げというのは事実上公定歩合の引き下げに連動して行われてきたわけです。国民貯蓄を目的といたしますのは、貯蓄増強中央委員会貯蓄に関する世論調査でも明らかになっておりますように、単にレジャーが目的で貯蓄をするというのではなくて、たとえば病気や不時の災害の備えとしてとか、老後の生活のためにというようなことなどの理由が圧倒的に多いわけでございます。つまり多くの国民は、みずからの生活を切り詰めて将来の生活の不安の防衛手段として貯蓄を行っているというのが現実の姿でございます。ところが郵政省は、いままで政府や日銀が景気浮揚策として行ってまいりました公定歩合の引き下げに追随をするという形で郵便貯金金利の引き下げを行い、郵便貯金利用者から批判を受けてきたという事実があるではありませんか。すなわち、郵政省は今日まで、郵貯の利下げのときに見られるような預金者利益保護をないがしろにするというふうな態度をとってきたわけなんです。まあしかし、そういう態度ではなくて、現在郵政省が立とうとしておられる利益保護という姿勢を今後ぜひとも貫いていただきたい、このことを思うわけです。そういうことでありませんと、郵政省大蔵省や日銀とのなわ張り争いのためにいいかっこうをしたと言われることになりかねないというふうに思います。この点、私は強く申し上げておきたいと思うわけです。  そこで、もう一点お尋ねをいたしますが、郵政省懇談会のヒヤリングの際に、個人貯蓄性預金営業性預金と分離して金利は決定されるべきだ、このように主張をしておられます。また、個人貯蓄性預金は、その性格からして営業性預金とは異なるものであり、個人貯蓄性預金利益は十分保護されるべきだ、こういうふうにも主張をしておられます。  郵政省にお尋ねをしたいわけですけれども個人貯蓄性預金というのは、単に郵便貯金にとどまるだけでなくて民間の小口預金も含んでいるのだというふうに理解をしてよろしいでしょうか。
  249. 鴨光一郎

    鴨説明員 私ども個人貯蓄性預金営業性預金を別建てに主張いたしておりますのは、それぞれが性格を異にしているということでございます。それは、個人貯蓄性預金は、小口性あるいは貯蓄目的から来る長期安定性、金融資産の選択が事実上制約されているということ、安全性、流動性をも重視せざるを得ない面があるということ、それから個人金融機関に対する交渉力の弱さ、情報の不十分さといった特性を有しておる、こういった面から個人貯蓄性預金営業性預金とは区別し、その特性に十分配意がなされるべきであるというふうに主張してきたものでございます。
  250. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 それで、民間の小口預金を含んでいますか。
  251. 鴨光一郎

    鴨説明員 失礼いたしました。もちろん、そういうことでございますので、われわれの主張いたしております個人貯蓄性預金につきましては民間にも同じような性格のものもあるということでございます。
  252. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 私は、金利決定の一元化につきましては、貯金をいたします国民大衆の利益の増進を考慮することを趣旨としております郵便貯金法第十二条第二項の前段部分を事実上放棄するものだ、こういうことで容認をできるものではないということをはっきり申し上げておきます。郵便貯金というものは、その性格から国民大衆に依拠したものでなくてはなりませんし、その利用者の利益保護については十分な配慮がなされなければなりません。この点から申すならば、金融分野における官業あり方についての懇談会報告書の中で提起をされております定額郵便貯金見直しであるとか、郵貯サービスの改善の否定などは、預金者利益を損なうものだと思います。国民の零細な貯蓄を預かる郵政省として、国民大衆の預金者利益保護の立場を今後一層貫くべきだと思います。この点につきまして、郵政大臣決意を改めてお聞きをして次の質問に移りたいと思います。
  253. 山内一郎

    山内国務大臣 郵政省貯金を扱っておりますけれども、これは一般の方々の貴重なお金を預って、責任を持って運用しているところでございます。したがって、できるだけ皆さん方利益を増進するように、また信頼を失わないようにということが当然考えるべき問題でございます。したがって、利子の決定におきましても法律で制定されておりますし、国民利益の増進をするように、ただ民間の金融機関の利率も配意するように、こういうような考慮のもとに利率を決めるという方式が決まっているわけでございます。  そこで、一元化ということは、言葉はございますけれども、そういうことをやめろという一元化には絶対反対である、こういうことは当然考えるべき問題でございます。  また、魅力のある商品として定額貯金というのもございます。これはずいぶん前からやっておりまして、いま郵便貯金の約九割は定額貯金であるわけでございます。これについていろいろ言われておりますけれども、民間で最近に期日指定定期というものができました。それは三年定期でございますが、その三年と定額預金の三年近くまでを比べてみますと、民間の期日指定の方が有利になっているわけでございます。したがって、そういうふうに私の方の定額貯金についていろいろ言われるというよりも、民間においてもいろいろ御検討願って、両々相まって一般の方々の利益になるように、こういうのが私は筋であろうと考えておるわけでございます。
  254. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 それでは次に、郵貯の資金運用につきましてお尋ねをしたいと思います。  郵便貯金法の第一条は、郵貯につきまして「簡易で確実な貯蓄の手段としてあまねく公平に利用させることによって、国民の経済生活の安定を図り、その福祉を増進することを目的とする。」こううたっております。こうして集めましたこの資金は、国民から預かったお金であり、公のお金であるわけです。これを運用するとなれば、公金にふさわしく、国民の生活安定、福祉の増進に役立つようにすべきだと考えますが、この点、どうお考えになっておられるのか、お答えをいただきたいと思います。
  255. 鴨光一郎

    鴨説明員 先生御指摘のとおり、郵便貯金法には「郵便貯金を簡易で確実な貯蓄の手段としてあまねく公平に利用させることによって、国民の経済生活の安定を図り、その福祉を増進することを目的とする。」ということが第一条に掲げられているところでございますが、われわれは当然、郵便貯金事業運営につきましてはこの趣旨を体しながら運営をしているところでございます。
  256. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 それでは、この郵貯資金を原資といたします財政投融資につきましてもその趣旨が貫かれるべきだと思うわけです。     〔委員長退席、畑委員長代理着席〕 ところが、現在財投の制度運用には問題点が多いわけです。郵政省としても抜本的見直しということをこの中で主張しておられるわけですが、具体的にはどういう問題点があると見ていらっしゃるのでしょうか。
  257. 鴨光一郎

    鴨説明員 財投の問題でございますが、私ども、財投のこれまで果たしてきた役割りというものは大変大きなものがある、その中で郵便貯金がこれに大きく貢献をしてきたと考えているところでございます。そしてまた、こうした役割りは今後とも十分大きなものがあるであろうと考えております。しかし、現在の財投の運用につきましては、多額の資金未消化とか、あるいは民間との融資の競合といったものが見られるという問題がございまして、郵政省といたしましても、その見直しが必要であると考えているところでございます。なお、この種の見直しの必要性につきましては、学者グループあるいはマスコミの記事等にもそういった指摘をしているというものがあるわけでございます。
  258. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 あなた方は、財投については郵便貯金資金性格に応じた対象に運用されるというふうに要求をしていらっしゃるわけですけれども、この対象というのは具体的にどういうものなのか、説明をしてください。
  259. 鴨光一郎

    鴨説明員 郵便貯金として受け入れました資金は、資金運用資金法によりまして「郵便貯金の日常の払いもどし及び郵便貯金法の規定に基づく貸付けに必要な資金を除く外、資金運用部に預託しなければならない。」ということになっております。     〔畑委員長代理退席、委員長着席〕 この資金運用資金法では、郵便貯金その他の資金を「確実且つ有利な方法で運用することにより、公共の利益の増進に寄与せしめることを目的とする。」ということになっておりまして、産業基盤の整備あるいは生活基盤の整備といったようなことで、たとえば住宅関係あるいは道路関係、その他のいま申し上げましたようなところにこれらの資金が充てられているということでございます。
  260. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 資金運用資金法では、資金運用審議会を設置して資金運用資金運用に関して審議をするということになっておりますね。郵政省からは内閣総理大臣の任命によりまして二名の専門委員がここに出ております。それは貯金局長と簡保局長のお二人でございます。この人たちはこの審議会の中で、先ほどあなた方が説明をされた郵政省考えというものは主張されたことがあるのでしょうか。また郵政省として大蔵省に公式に財投についての郵政省意見というものは今日まで述べてこられたことがあるのでしょうか。いかがでしょう。
  261. 鴨光一郎

    鴨説明員 私ども、いま御指摘のように、資金運用審議会とのかかわりを持っているわけでございますが、いま御指摘の財投の問題につきましては、近年に至りましてこの種の問題が出てきております。そういうことで、われわれといたしましては大蔵省との間で、公式というようなことではなくて、日常的な機会をとらえまして、私どもがお客様からお預かりした大事な、貴重な、しかも有償の資金であるということで、その使途について十全の配慮を望んできているところでございます。
  262. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 近年に至ってこの種の問題が出てきているという御答弁でしたけれども、なぜいままでそのような主張をしてこられなかったのでしょう。ちゃんと法律でも、この審議会を設置して、それにお二方が出ることができるという場がありますのに、なぜそのような主張をされてこられなかったのでしょうか。再度お答えを願います。
  263. 鴨光一郎

    鴨説明員 私どもといたしましては、意思疎通ということで大蔵省といろいろな意見の交換をする機会がございますので、その場で十分にわれわれの考え方を反映してきていると考えているわけでございます。
  264. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 ちょっと御答弁になっていないと思うのです。郵政省が現在主張しておられる点、つまり財投の批判ですね。これを、今日まで資金運用審議会で強力に主張する場というものはきちんと保障されていたわけです。その場その場でとか、ばったり会ったときにとか、そういうことでなくて、きちんと保障されていたわけです。たとえば多額の不用額が生まれたとか、あるいは資金の配分に問題があるというのはいまに始まったことではないではありませんか。昭和五十三年度には一〇%もの不用額が出ておりますし、配分につきましても、大企業のための高速道路建設とか、あるいは貿易の後押しを重点にしているということや、財投の資金に絡む不正腐敗事件が頻発いたしました。行き過ぎた融資などというようにいままで問題は山積されているわけです。いままで問題がなかったなどととんでもないことだと思います。それに、あなた方は今日までこの点を批判し、財投の抜本的な見直しを主張してこられなかった。だから私は、どうも今回この問題が突如として出てきたように思えて仕方がないわけです。ですからまた、正直言って私は、あなた方の財投問題に対する意見というのはおっしゃっている額面どおり受け取ってよいものかどうかというふうに疑問も持ちますし、信用ができないわけなんです。  私どもは、この点につきましては、財投のあり方について改善をしてもっと国民生活の基盤整備にこの財投を使うべきだとかねがね主張をし続けてまいりました。郵貯というものの性格から考えまして、この資金はもっと国民の生活に役立つものに使われるということを郵政省としても強く主張すべきであって、この点は一貫して貫いてもらいたいというふうに考えております。この点いかがでしょうか。
  265. 鴨光一郎

    鴨説明員 御指摘の点につきましては、先ほども申し上げましたように大蔵省との間で、いつからということではございませんで、これまでも、お客様からお預かりをした貴重な資金であるということで、その趣旨を十分に反映をしてもらうべく、折を見てわれわれの考え方を申し述べてきたということでございます。
  266. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 答弁になっていないわけです。折を見てとか、機会を見てとかでなくて、資金運用資金法では、資金運用審議会を設置をして、そこで資金運用資金運用に関して審議をする、郵政省から貯金局長簡易局長が出られるんだ、そういう場が保障されてあるのに、なぜ折を見てとか機会を見てなどとおやりになるんですかと、こう聞いたわけです。そうしたらあやふやだったので、その点もう一遍、それではだめじゃないですかということで私の質問はもう次に進んでいるわけですね。もっと国民生活に密着して財投を使わなければならない、もう先に進んでいるのに、まだ前のことを何か弁解をされるというふうな点はどうもわけがわからないんですけれども、私が申しておりますように、いまそういう立場に立たれたのは結構だ、だけれども、いままでの点で信用し切れない分がありますよ、それはそれとして、財投のあり方を改善をして生活基盤整備、こういうものに国民のために財投を使うべきじゃありませんか、一貫してその立場をぜひ貫いてください、このことを言うているわけです。そういう一貫した態度を今後おとりになりますかと、これを聞いているわけです。
  267. 鴨光一郎

    鴨説明員 私ども考え方につきましてはこれまでも大蔵省に申し述べてきたところでございますけれども、これから先につきまして、なお御指摘のような趣旨を踏まえまして、大蔵省と十分意思疎通を図っていく所存でございます。
  268. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 では次に、自主運用の一方法といたしまして郵貯による国債の引き受けを提起しておられるわけです。しかも、この方が現在やられている資金運用資金による引き受けよりもいいというふうに説明をしていらっしゃるわけですが、それはどういう点なんでしょうか。
  269. 鴨光一郎

    鴨説明員 現在、郵便貯金資金は、先ほどお答えいたしましたように、資金運用部に預託をいたしておりますけれども、これまでこの預託をして受け取ります預託利率といいますものは、いまお話のございました国債のいわゆる応募者利回りと比較をいたしまして、これまでのところ、大体国債の応募者利回りが預託利率を上回っているという状態にございます。  私どもはそういう意味からと、同時に、みずからお金を集めた者がそれを運用するということがいわゆる経営責任を明確にするという意味、それからまた資金性格に沿ったきめの細かい運用ができるという観点、そういったことから、国債に運用をすることが現在の預託よりも有利な状況になるということで、われわれの考え方を申し述べているところでございます。
  270. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 私どもは一貫して国債の増発政策というものには反対をして、国民立場に立った行財政の改革と国債発行の計画的で大幅な縮減を図るように要求をしてまいりました。今日の財政危機の重大な原因一つといたしまして、過去の国債発行のツケだということは自明のところです。今後とも国債の大量発行を続けてまいりますとどうなるか、一層危機を深刻化するということであって、私はこの点は認めがたいところでございます。  しかし、この問題をおいておくとしても、どうして郵貯で引き受ければ発行に歯どめがかかるのか、この点明快にお答えをいただきたいと思います。
  271. 鴨光一郎

    鴨説明員 歯どめの問題でございますけれども、これは現在、国債を発行いたしておりますのが大蔵省でございます。そういう意味で、資金運用部を所管いたしております大蔵省がみずから発行すると同時に引受者に回るということでございますと、歯どめがきかなくなるおそれが多いということ、そういうことで私どもが引き受けをする方がといった意味で歯どめとしての意味があるであろうということを申し述べているわけでございます。
  272. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 あなた方が国債の発行、これは引き受けないというのならともかく、高い利回りなら引き受けますよと、こう言っていらっしゃるんですから、これは国債発行の歯どめどころか、高利の国債増発を主張するものであって、かえって財政の負担を大きくすることにしかならないんじゃないでしょうか。国民は、赤字国債の発行はできるだけしてほしくない、こう考えているわけです。そのことが実現できればいいわけなんです。そうなれば別に郵貯資金で国債を買う必要もなくなるというふうに思うわけです。郵政省としては、国債をどんどん発行すればよい、発行してほしいというふうに考えていらっしゃるんでしょうか。
  273. 鴨光一郎

    鴨説明員 国債の発行それ自体につきましては、私どもの直接の所管でございませんので回答は差し控えさせていただきたいと思います。  なお、郵便貯金は、もちろんのことお客様からお預かりをするということが第一義でございまして、国債運用と申しますものもあくまでもその中の一環でございます。ただ、その場合に、お客様からお預かりをした貴重な財産であるこの資金を、郵政省が仮にこれを国債に運用するということになりますと、市場実勢を反映した条件で取得をすることができる。そして、そのことが公社債市場の健全化にも役立ち、それからまた、先ほど申しましたように経営上の責任という側面、つまりわれわれが官業として運営をしておりますときにコスト意識がないというふうな御指摘を受けることがあるわけでございますけれども、そういった疑問にお答えをする適切な道であろうということで申し上げている次第でございます。
  274. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 自主運用による国債の引き受けというのは、郵貯にとりましては高利を手にするという当面の利益はありますけれども、それと引きかえにどうなるか。郵貯のあり方をゆがめて、健全な経営を阻害して国民の支持をも得られなくなる可能性があるというふうに、きわめて危険なものだと思うのです。今回の金融機関からの郵貯攻撃の背景に、大量国債の引き受けで銀行などの経営が悪化した、こういう問題があったということは周知のところでございます。無理な国債の大量発行が金融混乱の原因ということになっているのですから、それを抑えていく努力こそ郵政省も加わってやるべきだ、私はこういうふうに思うのです。大蔵省の発行はだめだけれども郵政省が買うのはよいというのは、全く賛成ができないわけです。その点、強く申し上げておきたいというふうに思うわけです。  それから次に、これも自主運用策として出されてきている住宅ローンの問題なんですけれども、現在ある住宅金融公庫融資とダブるし、その融資条件より悪くはなっても、よくなりようがないと思うのですね。しかも、貸付審査であるとか回収業務の問題も出てまいります。この点一体どうするのか。さらに重要なのは、預金担保貸しの範囲を超えて新たな信用創造となるような問題も出てくるわけです。むしろ財投資金としての活用を拡大、改善をして、公庫融資の枠とか条件を改善するという方が国民の要求にかなうものだというふうに考えるわけです。こういう点から見て、私はこの自主運用という点は軽々に主張すべきことではないというふうに考えます。  これとは逆に、現在七十万円が限度となっておりますゆうゆうローン、これについては預担貸しの範囲内の原則を守ってさらに拡大するというふうなことをして、利用者の身になった改善をこの際図るべきだと考えますが、こういう点いかがでしょうか。
  275. 鴨光一郎

    鴨説明員 私ども郵便貯金自主運用ということを言っておりますのは、一つには、金融懇の場に向けまして私ども一つの基本的な考え方というものを主張してまいった、それが世上に明らかにされているということによるものと思います。具体的な問題ということになりますと、いまお話のございました国債の問題にいたしましても、あるいは住宅の問題にいたしましても、いずれもまだ検討をしているという段階のものでございます。  なお、ゆうゆうローンにつきましては、昨年も要求をいたしておりますけれども、この貸付限度額の引き上げにつきましては、昨年行いました要求の線で来年度もこれを実現していきたいなというふうに考えているものでございます。
  276. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 具体的なことは検討中ということでございましたが、検討中であればこそ私はこのことを主張をするべきだと思いますし、きょうの場があってよかった、こういうふうに思うのですが、検討の中に私が申し上げましたことなど検討をしていただけるでしょうか。
  277. 鴨光一郎

    鴨説明員 私ども郵便貯金資金自主運用ということを考えておりますのは、一つには、いわゆるみずから資金を集めたという立場でこれを運用することが経常責任を明確にするということにかなうということ、それからまた、みずから集めたものを運用するということが資金性格に即したきめの細かな運用に資するであろう、こういうふうなことで主張をいたしておるわけでございます。先生のお話は私承っておりますので、そういった点は承ったということで、今後の検討の中で私ども検討させていただきたいと考えております。
  278. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 ぜひ参考にして検討していただきたいと思います。  そこで一つだけ、さらに検討していただきたいのですが、私の方はもう少し具体性を持っておりますので申し述べておきたいと思います。  いま、三百万円が定額ということですね。その中で現行七十万円貸し付け、こういうふうになっているのですが、たとえば限度額を取り払って九〇%までは貸し付けてよろしい、そうすると額で言いますと二百七十万円までですね。これぐらいはできると思うのですが、いかがでしょうか。いかがでしょうかと言っても、いま、はい、どうこうということは言えないと思いますから、とれも参考にしていただきたい。時間もありませんので、簡単に参考にするとかしないとかだけで結構ですから、お願いいたします。
  279. 鴨光一郎

    鴨説明員 参考にするということで承らせていただきました。
  280. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 また直接運用といたしまして、地方債の引き受け拡大の話がございました。政府資金でのこの引受枠を拡大するということは賛成なんですけれども、これも何ら郵貯で独自にやらねばならないものだとは思えないわけです。ですから、これも現在の資金運用資金や財投を改善をして、抜本的に改善をするべきだと思います。以上、私は、若干の点にしぼりましてお尋ねをしたわけでございますが、郵貯の基本を無視した自主運用論というのは、郵貯をもうかる運用に走らせて、郵貯を高利貸し機関機関投資家にしてしまうということになりかねないと思うのです。これでは郵貯のあるべき姿もゆがめられてしまうだろうというふうに思うわけです。郵政省は、やはり郵貯のあり方の基本に立ち返って、国民の生活安定、福祉の増進を実現するための預金者の保護と財投の国民利益にかなうという方向への改革をするということで、強い努力をしていただきたいというふうに思うわけです。ぜひとも大臣決意のほどを明らかにしていただいて、時間が参りましたので終わりたいと思います。
  281. 山内一郎

    山内国務大臣 せっかくお預かりしている庶民の皆さん方、大衆の皆さん方貯金でございますので、決められた利子は必ず払わなければいけない。そのためにはいろいろな工夫をしているわけでございますけれども、その工夫についてさらにさらに努力をして、国民の信頼をいただいて、十分な貯金をしていただきたい、こういうふうに考えているわけでございます。
  282. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 どうもありがとうございました。
  283. 佐藤守良

    佐藤委員長 藤原ひろ子君の質疑は終わりました。  依田実君。
  284. 依田実

    依田委員 先日、いわゆる郵貯懇の答申が出たわけでございまして、その日発表されました大臣の談話を見ますと、とうてい受け入れるわけにはいきません、こういうふうに書いてあるわけであります。また、郵政省がわれわれに配ってくれましたこの報告についてのいろいろ郵政省考え方、これを読ませていただくと、普通官庁がお出しになる文書に比べると非常に極端な言葉が使ってあるわけでありまして、わざわざ点線を引いてありまして、とうてい公正妥当なものとは言えない、あるいは国民立場を無視したものとしてきわめて遺憾である、とうてい容認できるものではない、こういう言葉が使ってあるわけであります。私自身もこの答申内容をいろいろ読ませていただきました。確かにこの郵貯の自主運用の問題を全面否定する、あるいはまた幾つかの点で納得のいかないところがあるわけでございますけれども、しかし、じゃせっかく総理大臣諮問機関といたしましてつくられた懇談会のこの答申、これを国民利益が全然無視されておるということで二万的に否定し去っていいものかどうか、こういう気もするわけであります。世のマスコミには、郵貯戦争、そういうようなことがいろいろと書かれているわけでありまして、あるいはまた勝った負けた、大蔵省、郵政省の間のやりとりがいろいろマスコミにも書かれておりますけれども、そういうことじゃ困るんだろう、こういうふうに私思っている次第であります。  きょうは、大臣は、午前中の御発言では、今後慎重にこの問題に対処したい、こういうふうにお答えになっていらっしゃる。これから三者会談が行われるわけでございますけれども、発表になった当初の、とうてい受け入れるわけにはまいりません、こういうことと、これから慎重に対処する、この間の大臣のお考え方に何か変化があったのかどうか、その点についてお伺いしたい。
  285. 山内一郎

    山内国務大臣 報告が出された直後の閣議の席上でございますので、この問題を取り扱うのにどういうふうに閣議に持っていくか、一時は、答申でなくて報告を尊重する申し合わせ閣議でやろうじゃないか、こういうことも考えられたようでございますが、それでは今後の検討もできない状態で尊重してしまう、こういうことになりますので、私は、特に発言を求めまして、これらの問題は非常に郵便貯金制度の根幹に係る問題である、ひとつ慎重に閣議において取り計らっていただきたい、こういう発言をいたしまして、総理大臣は、それでは官房長官大蔵大臣郵政大臣の三閣僚において十分検討して、まとまればひとつ閣議に持ってくるように、こういうことに相なったわけでございます。
  286. 依田実

    依田委員 全然国民利益を無視する、こういうような前提ではなくて、聞くべきものは聞く、こういう形で、何がこれからの日本経済全体の運営のためにいいのか、こういう見地からぜひひとつこの三者会談に臨んでいただきたい、こういうふうに思うわけであります。  ところで、この答申、大きく言いまして大体三つの問題を提起しておるわけでありまして、第一は金利の一丸化、第二番目が官業あり方、中でも定額貯金あり方、三番目は運用あり方、大体こういうことで書かれておるわけでありますから、ひとつその順序で御質問させていただきたい、こう思うわけであります。  まず最初の、金利一元化からお尋ねをさせていただきたい、こう思うわけであります。  よく世上、いわゆる金利の変動のときに郵貯だけがなかなかそれに従わない、こういうことで金融政策が機動的に運用できない、こういうことがよく言われておるわけであります。古い話でありますが、昭和四十六年、ニクソン・ショックの後、あるいはまた、昭和五十年だったと思いますけれども、いわゆる石油ショック後の不況の中、いわゆる金利の変動をさせたい、こういう中で、郵貯との金利の連動についていろいろ意見が闘わされました。ややもすると、時期を逸した、こういう例が過去にあるわけであります。特に最近は財政が逼迫をしておるわけでありまして、いわゆる財政による景気刺激というものがやりにくくなる。それだけ金融政策の機動的運用というものが景気振興のために大事になってきたわけでありますけれども、ひとつここで、過去の公定歩合引き下げ、それに伴う郵貯の金利引き下げ、この相関関係がどうなっておるのか、この過去の実例をちょっとお聞かせをいただきたい。
  287. 鴨光一郎

    鴨説明員 手元にございます資料で申し上げまして、公定歩合と貯金金利の変動の関係でございますが、利上げ、利下げそれぞれあわせまして、公定歩合につきましては、四十八年の四月、このときは上昇期でございますが、四十八年四月から最近五十六年三月までの間に、公定歩合の上下の変動が合計二十一回ございます。それと、郵便貯金の利率の改定は、いま申し上げましたこの期間の中で十五回行われております。
  288. 依田実

    依田委員 最近はいわゆる公定歩合の引き下げと郵便貯金の利率の引き下げとの間にタイムラグがなくなってはきておるわけでありますが、過去に幾つかの例でこのタイムラグがあった、そういうことで景気政策運用がうまくいかなかったということもあるわけでありまして、そういう意味から言うと、果たして国民利益にいわゆる金利の引き下げが役立たないのか、あるいはまた景気刺激をおくらせた方が役立たないのか、この辺の議論はいろいろ二つに分かれるところじゃないか、こういうふうに思うわけであります。また最近は、いわゆる金利を引き下げるとすなわち利益を損なう、こういう議論があるわけでありますが、われわれ最近は、住宅ローンを含めまして借金も非常に多くなっておるわけであります。果たして金利引き下げが、それ即われわれにすべてマイナスになる、こういうことも言えないのじゃないか、こういうふうに考えておるわけであります。  また郵政当局は、貯金金利が引き下げられると貯蓄意欲を失う、しばしばこういうふうに言われるのでありますが、私はいろいろ過去の実例を見ておりますけれども、じゃ金利が下がったから貯蓄をしないか、こういうことは言えないのじゃないかと思うのであります。日本人は、悲しいかな、老後であるとか、あるいは進学であるとか、また住宅であるとか、こういうもののために、金利が多少下がってもやっぱり貯蓄というものはするわけであります。それよりも何が貯蓄意欲を失う大きい原因かというと、やはり個人所得の伸びが減る、あるいはインフレ、こういうものだろう、こういうふうに思うわけであります。そういう意味で、金利一元化すると、いわゆる貯蓄意欲を失って国民利益を損なうのだという議論についてももう少し深く最近の実情というものを検討していく必要があるのではないか、こういうふうに考えておる次第であります。  それよりか一番大事なことは、これからの国内経済の運営、あるいはまた国際金融情勢変化の中で、金利の自由化、こういうものが至上命令になる、これは大方が認めておるわけでありまして、この日本の国内で見ましても、二、三年先には、五十年代初めに大量に発行されましたいわゆる十年ものの長期国債、これの満期が近づいてくるわけであります。これが流通市場に出てまいりますと、いわゆる高利回りな短期債と同じ性格を持ってくる。こうなるといわゆる金利の自由化というのは意外に近い、こういう気がするわけであります。  そこで、ひとつ大臣にお尋ねをさせていただきたいのでありますが、金利の自由化こういうものが将来どういう形で出てくるのか、そして、いまのままの郵貯のあり方でそういう自由化の中の経済運営が乗り切れるのかどうか。郵貯はどう対応したらいいのか、この辺のお見通しをお尋ねをさせていただきたい、こう思うのであります。
  289. 山内一郎

    山内国務大臣 欧米先進国では、だんだん金利が自由化してまいっているわけでございます。そこで、日本でもそういう方向に向かうことは間違いないと思うのでございますけれども郵便貯金を預かっているだけでこれを自由化しろと言われても、私はなかなかむずかしいのじゃないか。やはり自分で貯金運用して、運用と預かりとの関係において自由化しないといけないのじゃないか、そういう時代が来るべきじゃないかというような自由化を考えているわけでございます。
  290. 依田実

    依田委員 もう一度お尋ねさせていただきますけれども、確かに私もこの運用の問題、一番最初に申し上げましたように、入り口だけ規制して出口を考えない、こういうことじゃ困るのでありまして、そういう意味で今度の答申については多少疑問があるわけでありますけれども、しかし、いまのままのいわゆる金利が二元的に決められておる、こういう状態を続けて金利の自由化にそのまま臨んでいいのかどうか、この点をちょっとお尋ねをさせていただきたいと思います。
  291. 山内一郎

    山内国務大臣 いま表面上は金利二元化というふうになっているわけでございます。どういうふうにできているかというのはもう御承知のとおりでございますので、御説明いたしませんけれども、両方の、民間の金融機関郵便貯金の最高金利というのは六・五%になっている。これは単なる二元化ではないと私は思うのです。どこかで調整をとりながら、お互いの最高金利はひとつ合わせようじゃないかというような考え方で言う二元化でございますので、このやり方を進めていっても、自由化された場合にはその制度が生きておればこれはお互いのアンバランスは生じない、こういうふうに考えているわけでございます。
  292. 依田実

    依田委員 私は、この郵便貯金金利と民間の預金金利が一緒である、こういうことを主張しているわけではございませんで、いま大臣のおっしゃるように、話し合いのルールさえ決まっておればそれでいいと私は思っておるのです。ただ、いまの状態は、その話し合いのルールというものが決まってないのじゃないか。個々の公定歩合の引き下げのときになって初めていろいろ議論をする。そこにルールというものが何らかの形でできるということが大事だろう、私はこういうふうに考えておるわけであります。  この金利一元化という問題については、けさからいろいろ郵貯懇の答申について意見が出ておりました。何か郵貯懇だけが金利一元化を唱えて国民利益を損なうようなことを言っておるようでありますが、しかしこれは、私、最近のいろいろな中立的な報告書を読みましても、いまのこの郵便貯金金利の決め方でいいという議論をしている人は余りないのであります。もちろんそうかといって、郵政審議会とこの金利調整審議会を一本化しろ、こういう議論じゃないわけでありまして、たとえいまのままでこれを一本化いたしましても、かえってこの会の中の議論を複雑にしまして、生産者米価と同じでありまして、二本立ての答申が出るようなことになったらこれは意味がないわけであります。しかし、先ほどから繰り返しますように、この自由化の将来に対していまのあり方でいいという意味の方は少ないのじゃないか、こういうふうに思っているわけであります。  まあこの金利一元化といっても、機動的あるいは弾力的かつ均衡のとれた形ということが大事だろう、こういうふうに思っておるわけでありますが、大臣、再び繰り返しますけれども話し合いのルール、いまのままでいいとか、あるいはまた将来の自由化に備えてこの金利の動かし方の一つの慣行、こういうものを早急に確立する必要があるのじゃないか、私はこう思うのでありますが、その点いかがでしょうか。
  293. 山内一郎

    山内国務大臣 金利の二元化と言われておりますけれども、民間の金融機関金利郵便貯金金利がばらばらに決められた場合は、私は大変な問題を生ずると思います。どちらが高くなってどちらが低くなっても、高い方に金は回っていく。しかしそれは、現在はそういうことはない。先ほども申し上げましたように、最高は六・五%で調整をしてやっているということは、まあ一元化とは言えませんけれども、一元的な運用をされている二元化であるというような見方を私はしているわけでございます。
  294. 依田実

    依田委員 時間が半分になってしまいましたので、次の問題に移らしていただきますけれども、例の定額貯金の問題についてお尋ねをさせていただきたいと思うのであります。  私は、別に官業が肥大化してという——まあ肥大化はしておるわけでありますが、いたずらにそれを縮めるということじゃございませんけれども、しかし民間と同じ土俵の上で運営される、これが大事じゃないかと思うのであります。最近のいろいろ金利の動き、金融情勢変化、そういうものを見てまいりますと、いまの定額貯金あり方、これが果たして長い目で国民皆さん利益になるのかどうか。タコ配じゃありませんけれども、目先高い利息を食ってしまって、将来赤字になって一般会計からこれを埋めるということじゃ困るわけであります。まあ普通考えましても、十年間、昨年で言えば八%というような高い利息、そしてまた半年ごとで複利、そして六カ月たてば解約自由だ。これは郵政省皆さん方は、民間もそういう国民のニーズに沿った有利な預金考えればいいじゃないか、こういうことでありますけれども、やはりそれはなかなか無理な議論じゃないか、こういうように思うのであります。果たしてそれだけの利子を払えるのかどうか。  昨年大きいシフトがあって、定額貯金約三十一兆円、こう言われておるわけであります。将来はきっと財投の問題についてもいろいろ議論が出てくるでありましょうし、また、さあ国債自主運用だといっても、そんなに国債が大量発行になる、それでは困るのであります。そうなると結局預託金利を上げる以外にない。預託金利を上げれば補助金がつく、こういうことでありまして、さあ八%の利息をこれだけ膨大になった定額貯金に将来にわたって払い切れるのかどうかということについて、素朴な疑問をわれわれは持っておるわけであります。この点について、貯金局長いかがでしょう。
  295. 鴨光一郎

    鴨説明員 定額郵便貯金は、国民皆様から親しまれ広く利用されている郵便貯金であることは、先生も御承知のとおりでございます。昨年金利天井感に達する、あるいはマスコミ等の報道によって定額貯金のよさが喧伝されるというふうなことで、大幅な増加が見られたところではございます。しかし、こうした貯金につきましても、当然のことに漸次払い戻しが行われます。同時に、新たに預入される貯金もあるわけでございまして、こういった利率の高いときに預け入れられた貯金の残高のウエートというものが小さくなっていく。こういうふうなことから、長期的に見ました場合に、これは先ほども触れました預託利率との関連もございますけれども、この預託利率と申しますものは、国の借金でございます国債の利回りよりも低いものでございます。そういう形の中で、郵便貯金特別会計の収支が相償できるという仕掛けになっておるわけでございます。この収支の見通しにつきましては、経済情勢の変動が激しい中でいろいろ変動、要素がございますけれども、現状のまま推移するとすれば黒字の基調でいけるのではないかというふうに、われわれは考えているわけでございます。  なお、そういう変動等についてはわれわれも十分配慮をしながら、この商品をお客様に対して魅力のあるものとして提供をしていきたいと考えております。
  296. 依田実

    依田委員 確かに現在の定額貯金というのは、国民に非常に魅力のある、親しみのある、こう言うとおりだろうと思うのであります。しかしながら、初めにっこり後ごつんじゃ困るのでありまして、さっきも同僚の議員が例を挙げられましたけれども、民間の試算によりますと、三年間で五千億の赤字だ。これもいまの郵政省のおやりになっていらっしゃる会計方法でそうであって、本当は民間的な会計方法でやればもっともっと赤字は大きくなるんだというふうに書いてあるわけであります。これに対する数字的な反論はまた後で資料として出していただくことで結構でありますけれども、一、二お尋ねをしたいのは、いま定額貯金の構成比がどうなっているのか。構成比と申しましても、適用利率別構成比がどうなっているのか、この点についてちょっとお尋ねをしたいのです。
  297. 鴨光一郎

    鴨説明員 御指摘の五十六年三月末現在における郵便貯金の現在高は六十一兆九千五百四十三億円でございまして、このうち定額貯金の現在高は五十四兆六千五百九十億円でございます。この数字によりますと、郵便貯金の現在高に占める定額貯金の割合は八八・二%になりますけれども、いま先生から御質問のございました分類は、私どもで把握をいたしているものがございません。
  298. 依田実

    依田委員 これは非常におかしいことじゃないかと思うのでありますけれども金融機関といたしまして、どれだけの定額貯金の利率がどうなっておるのか、どれだけの定額貯金の利率はどうなんだ、こういうことがわからないで、将来に経営が黒字だという議論は全くナンセンスだと私は思うのでありますが、本当にないのですか、それとも隠していらっしゃるのですか。
  299. 鴨光一郎

    鴨説明員 御指摘のような形で私ども把握をいたしておりませんで、マクロ的な把握をいたしておるのが現状でございます。
  300. 依田実

    依田委員 私は、そういう意味じゃとても金融機関として将来われわれの貯金をお預けすることはできないんじゃないか、こういうふうに考えておるわけであります。出さない、ないと言うのならこれは仕方がございませんけれども。しかし、さようにいろいろ一般の有識者の方が、やがて郵貯は第二の国鉄になるんじゃないかという心配を持っておるのでありますから、それに対してそうじゃないという反論は正確な数字でもって示していただきたいと思うのであります。今度の答申の前にも先ほど申した中立的な報告書がいろいろ出ておりますけれども、すべて取り上げているのは、やはり無理な運用国民利益にならない、こういうふうに書いてあるのです。ひとつその点をぜひ反省をしていただきたいと思っておるわけであります。  また、会計の仕方でありますけれども、郵貯は御承知のように現金主義、資金運用部からの預託金利の収入は三月三十一日収入になっておるわけであります。しかしながら、支払いの利子の方は払ったとき、こういうことになっておるのでありますが、皆さんは、これは郵貯だけじゃない、官庁の会計がすべてそうだ、こうおっしゃるかもしれませんけれども、しかし郵便貯金というのはわれわれの金を扱っておるのであります。国家の中でわれわれ個人のお金を扱っておるのでありますから、これはひとつ安全の上にも安全を見ていただいて、発生主義に改めていただくのがいいのじゃないかと思うのであります。われわれでも物を買うときには、何月に支出が要るとなればちゃんと前からそれを計算しておくわけであります。そういう意味で、経理方法を改善する用意があるかどうか、お尋ねをさせていただきたいと思います。
  301. 鴨光一郎

    鴨説明員 先生御指摘のように、現在の会計の原則は国の会計原則と同じ現金主義をとっているわけでございますが、この現金主義は長い期間にわたって継続的にこれを維持してきております。会計の原則に現金主義と発生主義の二つあることは天下公知の事実でございますけれども、この一方での現金主義というものも一つの会計原則としてございまして、私どもはこれを長い間継続してきておりまして、その中で収支の安定というものを評価をしてまいっているところでございます。決してお客様に御心配をかけるようなことにはなっておりませんし、それからお預かりをしたもののいわゆる利率が変動した場合の試算等につきましても、われわれ試算をいたしてみまして、いろいろなケースに相応しての対応ができるというふうに確信を持っている次第でございます。
  302. 依田実

    依田委員 経理の公開については、そのほかいろいろ言われておるところでございまして、経費の明細及び算出根拠を明らかにしろとか、この特別会計の資金の調達及び運用の詳細だとか、いろいろ公開しろという議論があるわけでありますが、なかなかそこまで質問するわけにもまいりません。時間がございませんから、ここでもう一つだけ……。  基本的に郵貯でわれわれが問題にしておりますのは、これが果たして庶民のささやかな預金であるのかどうか、こういうところの一点にかかっているんじゃないかと私は思うのであります。そういう意味で、例の名寄せ、これを厳しくしていただいて、三百万円という限度額が必ず守られて庶民のささいな金融だ、貯金だ、こういうことになればまたおのずからそこに多少の考え方も変わるんでありますが、どうもそこの管理の仕方がルーズじゃないか。五十九年度にグリーンカードが完全実施されるときの申し合わせがいろいろあるわけでありますけれども、具体的処置、これが進んでおるのかどうか。外から見ておると一向に進んでいないような気もするわけでありますが、この完全実施に向かって着々とおやりになっておるのかどうか、この点を伺わせていただきたい。
  303. 鴨光一郎

    鴨説明員 名寄せにつきましては、私どもこれまで精いっぱいの努力をいたしてきておるわけでございますが、グリーンカードの実施に伴いますグリーンカード番号によるという中身の合意を昨年大蔵省との間に取り交わしまして、決着を見ているわけでございます。私ども、このグリーンカードの実施が五十九年以降ということでございますので、五十九年一月一日以降はこのグリーンカードによる本人確認を行い、かっこのグリーンカード番号による名寄せを行うということを予定しておりますけれども、その場合、われわれといたしましては、この昨年の大蔵省との合意の中でも、名寄せを行うについて大蔵省及び国税庁の協力をいただかなければ私どもの方の対応もいたしかねるということで、大蔵省に協力を要請をしているという状態でございます。いま大蔵省の方でもこのグリーンカードについて実施準備に入っているということで、私ども十分な意思疎通を行いながら対応に万全を期していく所存でございます。
  304. 依田実

    依田委員 時間がございませんのでやめますけれども、いまの名寄せの問題、これは一番大事だろうと私思うのであります。そういう、本当に限度額を守って、庶民の金融として、貯金としてこの郵便貯金というものが利用されていくということが、長い目で日本の国の経済のために役に立つ。いまのような定額貯金制度で、一部脱税に使われておるようなことですと、たとえばこれは先ほど申し上げましたように、実質的に短期の高利の国債が流通市場に出てくる。そうしますと、六カ月で解約自由なんでありますから、去年あたり集まった資金がまたどっとそっちの方へ流れ込むというようなことも考えられるわけでありまして、今度の答申が出た機会にぜひひとつ、全く受け入れられない、こういうことじゃなくて、やはり改めておかなくちゃならぬ点は改めるという方向で臨んでいただきたい、こういうふうに思うのでありますが、一言大臣の御意見を伺わせていただきたいと思います。
  305. 山内一郎

    山内国務大臣 いろいろと御批判もございますし、しかし、第一は国民皆さんの信頼を得なければいけない。それには運用も気をつけなければいけない。いま指摘をされました限度額の管理の問題、こういう点の信頼が第一であろうと私は思いますので、絶えず貯金局に申し渡しまして、絶対にこれは守るべきであるというような点で厳重にいまやらせつつあるところでございます。
  306. 佐藤守良

    佐藤委員長 依田実君の質疑は終わりました。  森美秀君。
  307. 森美秀

    ○森(美)委員 きょう六時間座っておりますと、政府側の答弁、何かもう郵便貯金のお葬式をやっているような気分で答弁しているような気がします。病は気からと申します。私も、みんな気力で生きている人生を、何かおれたちが悪いことをしたんじゃないかという錯覚を起こしているような自信のない答弁、私にとって大変不愉快な思いがしております。昔の人は偉かった。昭和三十八年池田総理大臣は「私は従来から、いわゆる一般の預貯金郵便貯金の利率の差につきまして、いろいろ検討いたしてみました。今後におきましても、私は郵便貯金自体を考えるべきである、他の金融機関との関連を主にして考えるべき問題ではないと、私は確信を持っておる。」この池田総理大臣は御承知のように大蔵省出身でございます。また、四十八年には大蔵省出身の、当時の大蔵大臣の愛知揆一さんがやはり同じようなことを言っている。何でいまああいう報告が出たからといってわれわれが自信を失う、こんなばかなことはないと思います。  先ほど鈴木先生が官房長官質問をしました。答えが、郵便貯金に関しては郵政審議会答申が優先すると答えておりますが、大臣、いかがでございましょうか。御記憶ございましょうか。
  308. 山内一郎

    山内国務大臣 ええ、記憶いたしております。
  309. 森美秀

    ○森(美)委員 郵政大臣の部下である郵政政務次官が私の質問に対して、私が、あんな報告はとうてい受け入れられないけれども君はどう思うんだ、という質問に対して、郵政政務次官、こう答えた。国民立場を無視した一方的なものとなっており、とうてい受け入れるわけにはいかない、と申しております。これもお聞きでしょうか。
  310. 山内一郎

    山内国務大臣 記憶しております。
  311. 森美秀

    ○森(美)委員 昨年末、多分十二月二十八日だと思いますが、内閣に中立的な検討の場を設け、これらの問題にいかに対処すべきかを早急に検討する、そしてこの検討の結果を大蔵大臣郵政大臣は尊重することを確約する、私どもはそういうことを聞いておるわけでございますが、ここで問題なのは、「内閣に中立的な検討の場を設け、」とある。ところが、実際に出たものは政務次官が言うように一方的なものだということであるならば、この協議に入っていくこと、それが全くおかしいことだと私は考えておりますが、いかがなものでございましょうか。
  312. 山内一郎

    山内国務大臣 それは先ほども申し上げましたけれども閣議におきまして、報告を尊重する申し合わせをやろうじゃないか、こういうような空気が流れたのでございます。したがって私は、それは防がなければいけない。そのためには、これはいろいろ大変な問題点が含まれております、したがってこれはひとつ慎重に検討するようにしたいのでそういうふうにさせてくださいというところで、総理大臣は、それでは官房長官大蔵大臣郵政大臣で十分検討して、結論が出ればそれを閣議にかけるように、こういうような指示があったわけでございます。
  313. 森美秀

    ○森(美)委員 それではそのときになぜ、昭和五十六年七月十七日に法的にぴしんとなっている郵政審議会答申があって、その答申はあの報告とは全く違うのだということを、むずかしい問題があるというんじゃなくて、現実に答申が出ている、その答申を私は尊重するんだとなぜ言ってくれなかったのか、私は大変不満でございますが、これ以上郵政大臣を詰めても何だと思いますから、お答えはいただきたくございません。しかし、私は自由民主党の通信部会長として、どうあろうともこれだけりっぱな郵政審議会答申が出ている以上、断固として協議の場に入らないことを期待をしておりますが、いかがなものでございましょうか。
  314. 山内一郎

    山内国務大臣 報告に対する懇談会の問題でございますけれども、あの内容で、たとえば閣議決定によって両方の、民間と郵便貯金ですね、それの利率の調整が可能なようなことも書いてあるわけでございます。私も今日までいろいろ検討させていただきましたけれども、現行法律を置いておきながらそれはできないのじゃないか、こういう考え方を持っておりますけれども、さらに私はこれは検討を続けさせていただく問題であろう、こういうふうに考えておりますので、そういうような懇談があるいはあるかもしれませんから、それに備えて十分ひとつ用意をしてまいりたいと考えております。
  315. 森美秀

    ○森(美)委員 これ以上詰めません。しかし私は、私たちの見ている前で、私たちの目の黒いうちに郵便局というものを滅亡させたくないということを、郵政大臣よく御認識いただいて御活動お願い申し上げますことをくれぐれもお願い申し上げまして、質問を終わります。  以上。
  316. 佐藤守良

    佐藤委員長 森美秀君の質疑は終わりました。      ————◇—————
  317. 佐藤守良

    佐藤委員長 この際、小委員追加選任についてお諮りいたします。  当委員会設置されております電波放送に関する小委員会の員数を二名追加することとし、その選任は委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  318. 佐藤守良

    佐藤委員長 御異議なしと認め、       佐藤 守良君    森  美秀君を小委員に指名いたします。  本日は、これにて散会いたします。     午後四時五十九分散会