○小山
説明員 まず第一点でございますが、肥大化しているという問題でございます。この肥大化の
原因をどこに求めているかということが非常に私
どもこの
報告からわかりかねるのでございますけれ
ども、最近十年間における
資金量ということをここで申しております。ところがこの
資金量と申しますと、
資金量だけということは、簡易保険事業の経営規模というものを論ずるときには非常に片手落ちになるわけでございます。大体保険事業は、民間生命保険にかかわらず、保険事業全般についての経営規模を何で判断するかと申しますと、常識的にはでございますけれ
ども、常識的にはまず契約件数それから保険契約金額、それに第三点にいわゆる
資金量、この三点からこの事業というものはどのような進み方をしているかということを見るのが当然でございます。
この点について見ますと、この十年間についての例示でございますので、その十年間について見ますと、まず保険の契約件数でございます。これについては、この十年間簡易生命保険が、四十五年度を一〇〇にとりますと、
昭和五十四年には一一八になっております。これに対しまして民間保険は、同時期一〇〇に対して一二七になっております。ですから、民間の方が
伸びているということになります。
また保険金額でございますけれ
ども、これは簡易保険が四十五年を一〇〇といたしますと、五十四年は四三〇という指数でございます。これに対しまして民間保険は四十五年一〇〇に対しまして五六八という指数でございますから、百数十の差があるわけでございます。
次に
資金量でございますが、これも同様な試算をいたしますと、実数で申し上げますと、四十五年度が
資金量二兆五千四百億というのが簡易保険でございます。五十四年度は十三兆四千百億でございます。これに対しまして、民間生命保険の
資金量は、四十五年が五兆八千五百億、これが現在二十二兆七千四百億になっております。
どの点をとりましても、指数で、まことに私
ども努力不足と感じているのですけれ
ども、いずれもシェアが当時に比べまして落ちているわけでございます。しかもこの十年前と申しますのは、保険には
一つの周期的な呼吸運動みたいなものがございます。契約期間というのがございまして、簡易保険の場合、十五年、二十年というような契約期間、これが終わりますと満期になりまして落ちるわけでございます。これが戦後の二十四、五年からの
一つの呼吸運動みたいなものでございまして、三十八年から四十五年までは契約件数が最低に落ちている段階でございます。そこから新たにもう一度とり直したというところで、この時点におきます簡易保険の力というのは最低に落ちている。その最低に落ちている四十五年を指数にとってもこのような
状況でございます。
したがいまして、これを三十五年度にとりまして二十年間にわたって見ますと、この差がもっと出てきているという
状況でございまして、どこをどういうふうな論点でこの肥大化しているということかは、私
ども、この
答申といいますか、
報告書を見ただけでは全く不明であるということでございます。
次に、最高制限額、この問題でございますけれ
ども、これにつきましても、経済の
伸び、ということは
国民の
皆様方がいわゆる生命に対して保障を求める額というのは、そのような経済の動きに対して当然移動があるはずでございます。そういった移動とともに生じまする
国民全体の少なくとも平均的な生命に対する保障額というものを——平均的でございます。最高とは言っておりません。平均的な保障額にこたえ得るような
状態でなければ、いわゆる国営としての保険を行っている意味がないと私
どもは信じております。
次に、新しい
分野の問題でございます。いわゆるこういった簡易保険あるいは民間保険を問わず、保険事業と申しますのは、もうすでに私がここで申し上げるまでもございませんけれ
ども、いわゆる人間の生命を対象といたしまして経済生活をそれによって保障していこうというきわめて
公共性の高い側面を持っておりまして、単なる営業するところの企業になじまない点もあるわけでございます。したがいまして、このような場合には、
官業、
民業を問わず事業者としての利用者奉仕に向けての強い事業意識とコスト意識というのがなければいけない。それと同時に、いわゆる企業としてこういった事業を営みますと、必ずしも企業が本来の目的といたします利潤を高く生む事業ばかりが
国民から求められるものではない。事業ではありますけれ
ども、その中にそういった
分野があるわけでございます。それを手がけても必ずしも高い利潤を出さない。しかしながら、国営でございますと、そういったような
一つの何といいますか、収支相償——もうけなくともよい、しかし収支は相償していかなければいけないといった場合においては、国営としてはそういった
分野に進出しやすい。結局そういった
分野の場合に、いつも利潤を求める事業と実際の
国民の要望というものがずれる場合がございます。やはりそういった場合には、国営というものがまず先に進出いたしまして、事業にも、企業
分野にもなじむような
一つの経済環境といいますか、土壌をつくっていくというようなことが必要ではないか。したがって、そういった意味で、新しい
分野には当然出ていくべきではないか、こう思っております。
最後に、
臨時行政調査会への問題でございますが、これにつきましては、
先ほど若干申し上げましたので、時間も長くなりますので省略させていただきたいと思います。