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阿部(未)
委員 もうずいぶん議論しましたから改めてやる気はありませんが、これは
局長、やはりあなたの認識の違いです。放送大学学園設立の趣旨というのが一番先に出てくる。その一番最初に、生涯教育を目標として、こう書いてあるのです。そう書いてあるのに、あなたがこれはやはり大学教育が先だ、こうおっしゃるのはうそで、立案した文部省そのものがこれは明らかに生涯教育を目的としてと書いてあるのですから、生涯教育に間違いありません。そうすると生涯教育は、
公共放送NHKと、ほとんどの予算を国が持ついわゆる放送大学学園法による放送で行われる。あなたはいい意味の競争が行われることを期待しているということをおっしゃったけれ
ども、国民の側から見ればむだなことで、そんなものは二つもなくたって、NHKがあるのですから、もう少しNHKの
内容を強化をして、カリキュラム等について整備をしていけば、それで結構事は足りると思うのですが、これはいままで論争してきましたからいまさらやってみても仕方がない。私がNHKにお願いをしておきたいのは、いま電波監理
局長から話がありましたように、これは競合することになることは恐らく間違いない。その競合することになったときどう対応していくのか。生涯教育に取り組んで、NHKが
公共放送としてどう対応をし、その自主性を堅持していくのか。あるいはもう生涯教育は向こうにお任せして投げ出してしまうのか。その辺はこれからのNHKの存在の
理由にかかわる大きな課題になると思いますから、この点は十分検討しておいてもらいたいと思っております。
次に、放送衛星についてちょっとお伺いしたいのですけれ
ども、私
どもの知っておる限りでは、一九八三年にはBS2を放送衛星として打ち上げる。それから一九八五年には今度BS2のいわゆる予備衛星を打ち上げる。これは二つなければ、予備がなければぐあいが悪いから。その目的は何よりも難視聴の解消を図るということに置かれておるようですけれ
ども、前からこの
委員会でも議論がありましたように、この二つの衛星の打ち上げで必要な予算は六百億に近いと言われております。この分担は国が四、NHKが六という割合ですから、仮に六百億かかるとするならば、三百六十億をNHKがこの衛星を打ち上げるために負担をしなければならない。さらに受信装置についても、各家庭がパラボラアンテナの小さいものをつくるのか、あるいはサテライト
建設方式によるのか、これもまた明確になっていないようですけれ
ども、各家庭に何万かかるかわからぬが、こういう衛星を打ち上げて見せてやるからおのおのパラボラアンテナを買いなさいというのもなかなか酷な話だ。そうするとNHKの方でサテライト
建設方式をとらなければならない。もしそうなれば、これにもまた相当なお金がかかるし、合わせれば恐らく一千億を超すお金がNHKとして必要になってくるのではないかと私は考えておるのです。先ほど山本
専務理事の方から、長期ビジョンの方でも財政等の小
委員会も含めて検討しておるということですが、そうすると長期ビジョンの
委員会が財政等も含めて検討中であるのに、片方では一九八三年から一九八五年、しかもこの衛星の寿命が仮に五年であるとするならば、そのまた五年先には同じようなことを繰り返していかなければならない。そういう莫大な予算を投じていまこの
計画を遂行しなければならないのかどうか、NHKの財政上からも私は非常に大きい疑問を持ちます。長期ビジョンの
委員会、特に財政の
委員会はかくあるべきであるという財政上の見通しが立ってからならともかく、まだ片方では財政の長期ビジョンを検討しておる過程で、片方ではすでに長期のこういう放送衛星というものを実行に移そうというふうに
計画をされておる、財政的にながめてきわめてずさんではないかという気が私はするのですが、この辺は
会長どうお考えですか。