運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1981-04-22 第94回国会 衆議院 逓信委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十六年四月二十二日(水曜日)     午前十時十五分開議  出席委員    委員長 佐藤 守良君    理事 伊藤宗一郎君 理事 加藤常太郎君    理事 畑 英次郎君 理事 堀之内久男君    理事 阿部未喜男君 理事 鈴木  強君    理事 竹内 勝彦君 理事 西村 章三君       秋田 大助君    浦野 烋興君       鴨田利太郎君    川崎 二郎君       中西 啓介君    早川  崇君       吹田  愰君    森  美秀君       久保  等君    武部  文君       楯 兼次郎君    米田 東吾君       鳥居 一雄君    木下敬之助君       藤原ひろ子君    村上  弘君       依田  実君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 山内 一郎君  出席政府委員         内閣法制局第二         部長      関   守君         郵政省貯金局長 鴨 光一郎君         郵政省電気通信         政策局長    守住 有信君         郵政省電波監理         局長      田中眞三郎君  委員外出席者         内閣総理大臣官         房参事官    本多 秀司君         警察庁刑事局保         安部保安課長  内田 文夫君         防衛庁防衛局運         用第一課長   萩  次郎君         通商産業省機械         情報産業局電子         機器電機課長  田中 達雄君         海上保安庁警備         救難部参事官  豊福 滋善君         海上保安庁警備         救難部救難課長 藤原 康夫君         建設省道路局路         政課長     山本 重三君         逓信委員会調査         室長      芦田 茂男君     ――――――――――――― 委員の異動 四月十七日  辞任         補欠選任   鳥居 一雄君     大野  潔君   依田  実君     伊藤 公介君 同日  辞任         補欠選任   大野  潔君     鳥居 一雄君   伊藤 公介君     依田  実君 同月二十二日  辞任         補欠選任   福永 健司君     浦野 烋興君   森山 欽司君     中西 啓介君   依田  実君     伊藤 公介君 同日  辞任         補欠選任   浦野 烋興君     福永 健司君   中西 啓介君     森山 欽司君   伊藤 公介君     依田  実君     ――――――――――――― 四月二十日  一般テレビ番組への字幕・手話通訳挿入に関す  る請願浜田卓二郎紹介)(第三三七一号)  文字多重放送聾唖者向け利用に関する請願  (浜田卓二郎紹介)(第三三七二号)  身体障害者に対する郵政行政改善に関する請願  (坂田道太紹介)(第三三七三号)  同(近岡理一郎紹介)(第三三七四号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  電波法の一部を改正する法律案内閣提出第四  九号)  郵便為替法及び郵便振替法の一部を改正する法  律案内閣提出第六二号)      ――――◇―――――
  2. 佐藤守良

    佐藤委員長 これより会議を開きます。  電波法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。鈴木強君。
  3. 鈴木強

    鈴木(強)委員 今回の電波法の一部を改正する法律案内容を拝見しますと、郵政大臣免許がないのに無線局を開設した者に対する罰則規定整備ほか五点でございますが、最初に私は、この法案提出の仕方について大臣に強く要請をし、御所見を承っておきたいのでございます。  それは、御承知のような経過がございまして、電波放送法改正については長い間の懸案でございますが、従来、毎年委員会の都度電波法改正提案をするということで所信の御表明があったのでありますが、最近はそれがとだえております。そういう中で細切れに電波法改正が行われておるのでありますが、特に先般の放送大学の学園法案、この中で日本の電波行政に関する重大な問題が附則によって改正をされてまいりました。いま参議院の方で審議中でございます。  今回も、電波法の百三条にかかわる手数料の問題でございますが、これがまた十九項目にわたって手数料引き上げられることになっております。これまた各種手数料等改正に関する法律案、こういうことでそちらの方にゆだねられておるわけであります。ちょっと私、中を見てみますと、たとえば船舶とか航空機局免許申請手数料というものは現在一万五千円になっておりますが、これが三万円と倍に引き上げられます。また放送局の場合には、同様に免許申請の場合六万八千円が十三万六千円、こういうふうに引き上げられていくのでありまして、内容はかなり大幅な引き上げになっておるわけであります。こういう問題が別途提案をされ、きのう大蔵委員会の方で賛成多数で可決をされ、あすの本会議に上程される、こういうことになっておるわけであります。  一方、この法案の中には、百三条の例の新しくつくるでありましょう無線設備技術基準適合証明、これに対する手数料については、一項目を設けまして一万六千円というふうになっておるわけであります。これは恐らく設立されるでありましょう特殊的な機関、ここに証明料というものは支払うことになると思いますから、それを除いた技術基準適合証明手数料というものが一項載っておるわけです。手数料の一方はこっちの百三条、この法律に載り――これはわかります、新しく出ることですから。しかし、また一方では、そういうように十九項目が一括して提案される、これはどうも納得できないわけです。  本来、電波関係は当委員会の所管でございますので、何回も大臣に申し上げておりますように、願わくはこちらの方でやっていただくような民主的な手続をとられた方が私はいいと思うのですね。非常に残念に思っているわけです。今後は再びこういうことのないように、ぜひ御配意をいただきたい、こういうことだけ申し上げて大臣のお考えを聞いておきたい。
  4. 山内一郎

    山内国務大臣 逓信委員会にかけるべき法律審議はこの逓信委員会で御審議をいただく、これはもう原則で、当然のことでございます。また一方、手数料等各省にわたる問題もございますので、それはやはり一緒に御審議をいただくようなというよりも、どういうふうに横並びはなっているかということも、やはり便宜に法案を御提出願って御審議をいただくのも一つの方法じゃなかろうかと思いますが、原則はやはりここで御審議をいただくのがたてまえでございますので、今後は一層注意をしてまいりたいと考えておるわけでございます。
  5. 鈴木強

    鈴木(強)委員 それから、電監局長にちょっとお伺いしておきたいのですが、この手数料最高額を決めておられるわけですね。その範囲内において政令によって決める、こういうことになっておるわけです。われわれは残念ながらそのことについては全然関知をしておらない。したがって、今度の引き上げによりまして新しくそれぞれの項目に対する手数料が決まると思います。それからもう一つは、技術証明機関が設けられまして、その機関が取るであろう手数料については、これもまた恐らく政令で決められることになると思うのでありますが、その政令は現在準備されておるのかどうなのか。できれば、私たちはここでその政令内容を具体的に、これは幾らになるのかというふうに知りたいわけですけれども、その内容はどうなっておるのでありましょうか。
  6. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 お話し申し上げます。  私ども今度一括提案しております技術基準証明制度につきましては、たしか一万六千円ということで最高額の限度を法律に決めていただいたわけでございますが、いま現在技術基準証明制度に最も適すと申しますか、特殊無線設備ということで考えておりますのは三種類ばかりございますけれども、それぞれにつきまして、測定設備あるいは測定要員、何日くらいかかるかという、いわゆる人件費物件費を詳細に検討いたしまして、公益法人がやるものでございますので、原価に見合った額というようなことで、もう一度繰り返しますけれども、対象とする設備とそれに要する測定経費あるいは日時等を勘案して、きわめて合理的な形でまた能率を上げてやってまいりたいというふうに考えている次第でございます。  具体的には、それぞれの人件費物件費等につきましては一応の検討はいたしておりますけれども、実際に希望者が出てまいりまして申請する、そういうときに、実態もあわせ考えながら料金を決めてまいりたいというふうに考えております。
  7. 鈴木強

    鈴木(強)委員 本来ですと、法案審議の際に大体こういうところでいきたいというような素案でも示していただきたいわけですが、いま局長のおっしゃるとおりでございますようですから、ひとつ決まり次第委員の皆さんにもお配りいただくようにお願いしておきます。これはいいですね。  それから次にちょっとお伺いしておきたいのは、実は岩澤靖氏の件でございますが、氏は北海道テレビ放送社長をなさっておられたわけでございます。その後株の投機に関連しまして、御承知のような事件が起きているわけでございますが、まさか現在岩澤氏が北海道テレビ社長をしておるとは思いませんが、その点はどうなっておるか、ちょっとお伺いしたい。
  8. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 お答え申し上げます。  たしか三月の十九日だったと思いますけれども社長辞任いたしました。そして同日か翌日だったかと思いますけれども、副社長代表権を与え、三月二十九日この副社長代表取締役社長が正規に代表取締役社長になったという報告を聞いております。
  9. 鈴木強

    鈴木(強)委員 これはいろんな報道で私ども承知するわけですが、その報道によりますと、この岩澤氏の場合、札幌トヨペットとそれから北海道テレビ放送それから金星自動車グループ、この三社の簿外保証によって、西華産業の株を買い占めるための資金五百億円をつくった、こういうふうに言われているわけです。それでHTB負債額は約百四十億と言われておるわけでございますが、こういう負債を抱えたテレビ会社が今後どうなっていくのか、われわれとしては非常に心配になるわけでございます。少なくとも電波法放送法によって免許をされ、法に基づいてやっているこの民間放送でございますので、少なくとも免許した当時の条件を欠くようなことがあるとするならば、これは問題だと思うのです。まあいろんなことに私は余りここで触れたくないわけですが、触れたくないというか触れる必要はないと思いますが、問題はわれわれが関係しておりますテレビ放送会社の分について、電監局としては、いま私ちょっと申し上げましたようなことも伝えられておりますが、実情はどういうふうになっておるのか把握をされておるのでしょうか。  電波法上その他、なかなか立入検査とかあるいは書類を出せとかいうようなことが法制上できないようになっておるものですから、非常にやりにくいと思いますが、やっぱりこれはちょっと法制上の整備も必要ではないかと私考えたわけですけれども、その点を含めまして、局長から経過がどうなっているか説明していただきたいと思います。
  10. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 北海道テレビが紙上いろいろ報ぜられているようなことになっておるわけですけれども、私どもとしましても、非常に公共性の高い放送事業ということからもきわめて遺憾であり、また関心も持っておるわけでございます。それで、今後の北海道テレビがどう対策していくのかということについてでございますけれども同社責任者を呼びましたところ、いろいろ現在のところ会社としての債権債務状況というようなものを把握しながら現在真剣に検討しておるので、いましばらく時間が欲しい、十分な対策を持ってくる用意があるというようなことでございますので、そうした対策が固まるまでには若干時間がかかる、たとえば本年の六月ぐらいまでというふうな聴取も受けておるわけでございまして、そうした報告郵政省としましては受けまして、まあ当面会社側検討状況というものを十分見守って、その持ってくる対策なり結果に基づいて適切に対処をしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。  なお付言いたしますと、放送局免許取り消しというようなことになりますと、電波法ではかなり限定されております。たとえて申しますと、まあ外国銀行からの融資というような話がございますけれども、そうしたことで、もし――そういう事実はないというふうにいままでのところ把握しておりますけれども外国人が株を仮に二〇%以上持っている、そういうような形になっておるということになりますと、第五条に抵触いたしまして、これは取り消さざるを得ないということになります。  それから七十六条の二項だったかと思いますけれども、それによりまして、たとえば現在のところ北海道テレビはちゃんとした番組を従来どおり継続しておるということでございますけれども、もしも六カ月以上休止するというようなことになりますと、これも電波法上取り消さざるを得ないということになっておるわけでございます。  ただ、もうちょっと付言いたしますと、放送会社が仮に会社更生法の適用を受けたということになりましても、これは残念ながら幅波法取り消し事由にはなっていないというようなことで、直ちに放送局免許を取り消すというようなことにはならないわけでございますけれども、いずれにいたしましても、放送というものは非常に高い公共性があり、社会的責任というものがあるわけでございまして、郵政省としましてもそういうような事態が起こらないようにしかるべく指導をしてまいりたい、こういう所存でございます。
  11. 鈴木強

    鈴木(強)委員 大体わかりました。  事はいま局長のおっしゃったように公共的な性格の非常に強い放送事業でございますから、いささかなりとも免許の当時の条件をダウンさせないようにそれを堅持していけるという状態を続けてもらわなければこれは困るわけですから、もう少しきつい経営の監視をしていただくと同時に、あるいは何かテレビ朝日がてこ入れをするというようなお話も新聞等にちょっと出ておりますが、いずれにしても自主再建の計画というようなものはお持ちになっておられるのかどうか。社長でありました岩澤氏が現在行方をくらましているというようなニュースも流れておるわけでございますので、債権債務の点、その他なかなか定かにならないと思いますが、警察当局当局としてそれぞれまた取り調べ等いろいろな配慮を進めておられると思いますけれども郵政省としてもできる限り実情を把握されて、そしていま私が申し上げますような放送法免許したものですから、その欠格条項が出ないような形でいけるかどうか、それを見きわめていただきたいと思いますので、もう一度局長から答えてください。
  12. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 その辺につきましては先ほどもちょっと申し上げましたけれども、できる限り早急に事業を継続していけるという再建策を持ってくるようにということできつく指導をいたしておるところでございます。  それから先生いまおっしゃいましたテレビ朝日というようなことでございますけれども、それにつきましても、私ども複数局支配という観点からよく考えておりまして、仮にある会社が、別の会社代表権を持つ者が一〇%以上の株を持つというようなことになりますと、これは複数局支配というふうに私ども解釈いたしておりまして、マスコミ集中排除観点からもそういうことにならないように指導をしてまいる所存でございます。  もう一度繰り返しますと、前社長岩澤氏はHTBの株を一〇%持っていたというような話がございますけれども、それが他の会社HTB以外の会社代表者なりの手に渡るようなことになると、これは私どもとしては複数局支配ということでとらないところだ、こういうふうに考えております。
  13. 鈴木強

    鈴木(強)委員 わかりました。  大臣、この際、従来政府方針として、新聞テレビラジオ、このマスコミの独占三社がさらに複数テレビラジオというものは独占しない、要するにマスコミ集中排除という基本方針があったわけですけれども、その点は現在も変わりはないと確認をしていいですね。
  14. 山内一郎

    山内国務大臣 いま局長が一例を申し上げましたけれどもマスコミがたくさんの放送を持つような仕組み、こういうことは排除するという方針は変わりございません。
  15. 鈴木強

    鈴木(強)委員 それでは、総理府からおいでいただいていると思いますが、ちょっとここでお聞きしておきたいのは、五十六年度の国家予算が通っておりますが、その中で政府電波放送を利用して広報活動をおやりになると思うのでございますが、その広報活動基本はどこに重点を置いておられるのか、それから予算額幾らなのか、そしてその広報活動費総額の中でテレビラジオに分けてどうなっておるか、これをひとつお知らせいただきたいのでございます。
  16. 本多秀司

    本多説明員 お答えいたします。  総理府広報室におきまして昭和五十六年度の広報関係予算総額で百三十四億七百万円でございますが、そのうちテレビは三十九億八千八百万円、ラジオは三億九千三百万円でございます。それで、テレビラジオ及び活字媒体を用いて政府広報を展開してまいりたいというのが基本方針でございます。
  17. 鈴木強

    鈴木(強)委員 広報活動はいろいろあるわけですけれども、ある程度迅速性を要するものとか、何かそういうふうな一つ基準といいますか、テレビラジオを使う場合の広報活動基準というものがございますでしょうか。
  18. 本多秀司

    本多説明員 テレビあるいはラジオ等電波媒体につきましては、たとえばスポットであるとかあるいは番組の提供であるとか、こうした非常に迅速性あるいは視聴覚に訴えるという広報につきましては積極的にテレビあるいはラジオを用いるという基本方針でございます。
  19. 鈴木強

    鈴木(強)委員 全体とすれば百三十四億円、テレビが三十九億八千八百万円、それからラジオが三億九千三百万円、約四十億以上の予算を使って広報活動をなさるのでありますが、その活動成果と申しますか、テレビラジオを使って広報活動をやりました成果はどうなっているかというようなことに対する調査といいますか、判定といいますか、そういうものをなさっていらっしゃるんですか。
  20. 本多秀司

    本多説明員 お答えいたします。  ただいま手元資料がございませんので細かいところを申し上げかねますが、そういったテレビあるいはラジオ等を用いて行いました広報効果測定につきましては、放送モニターによります報告を求めるとかあるいは民間の企業で行われております視聴率のデータを取り寄せるとか、そういったことで効果測定をやっております。
  21. 鈴木強

    鈴木(強)委員 それでは、ここでは時間もございませんので、恐縮ですが、その成果の結果がまとまったものがございましたら別途いただきたいと思います。  それからもう一つは、五十五年度の決算が決まったところで結構ですから、五十五年度中にテレビラジオ広報活動いたしました状況を、テレビ局別ラジオ局別に何件、どのくらいの予算を使ったかということをひとつ資料として出していただきたいと思いますが、この二つの資料についてよろしゅうございますか。
  22. 本多秀司

    本多説明員 五十五年度におきますテレビを用いての広報活動状況につきましては、資料がまとまり次第お手元に差し上げたいと思います。  それからもう一つテレビ局あるいはラジオ局別の五十五年度における予算執行額でございますが、多少時間がかかるかと思いますが、できるだけ御要望に沿うよう努力いたしたいと思います。
  23. 鈴木強

    鈴木(強)委員 ありがとうございました。それで総理府の方は結構です。  その次に、有線放送もぐり架設についてちょっとお尋ねしたいのですが、まず、建設省からもおいでいただきました。  この問題は、何回か当委員会においても取り上げられておることでございますので、その経過について私は省略いたしますが、特に私ども非常に注目しておりましたこの件に対する判決が、先般、四月九日に東京地裁判決が出ております。いろいろ問題がありましたけれども建設省告発に踏み切り、法廷で争い、そしてこの判決まで持っていかれたことに対して、私は深い敬意を表するわけでございます。  どうも有線音楽放送等の問題につきましては、従来もぐり的に架設をする。したがってトラブルも起きてくる。これが全国的な組織に拡大をして各所に問題が出ておるというようなことで、これをどうするかということで大変問題になっていただけに、今回の判決については、一つのいい戒めとして今後の行政の面でプラスになるのではないか、私はこう思います。しかし、それだけで安心はできません。したがって、大阪市天王寺にございます株式会社ゆうせん、これが今回罰金刑になったわけですが、二十四万円。求刑は懲役十月、罰金十五万円、こういう言い渡しがあったのですが、結果的には二十四万円の罰金に終わっております。この経緯について、大変恐縮ですが、建設省の方から概略ひとつ御説明をいただきたいと思います。
  24. 山本重三

    山本説明員 ただいま御指摘の件でございますが、この事案は、昭和五十二年六月、株式会社ゆうせん代表取締役辻俊二が、道路管理者道路占用の許可を受けないで、東京都の練馬区と板橋区内国道二百五十四号線、それから同じく東京都内足立区内国道四号線及び千葉市内国道十四号線において、約三・六キロメートルにわたりまして電柱に有線音楽放送線架設し、これに対しまして道路管理者である関東地方建設局長が、監督処分として撤去命令を行ったわけでございますが、それにも従わなかったという事案でございます。  今回の判決に至りましたまでの経緯につきましては先生承知のとおりと存じますが、簡単に申し上げますと、有線音楽放送線の道路不法占用問題に対しましては、昭和四十七年から四十八年にかけまして一応正常化のための手続等を定め、これを各道路管理者に通達いたしますとともに、郵政省とも正常化の申し合わせを行いまして、これに基づきまして有線音楽放送協会に対して強力な指導を行いました。その結果、当時は一時的に正常化の傾向をたどったわけですが、残念ながら昭和五十一、二年ごろから再び不法占用状況が多発いたしましたために、私ども昭和五十二年三月に業界団体に対しまして、文書により団体内の業者に対して強力に指導するよう要請いたしました。またそれと同時に、不法占用をいたしております業者に対しまして、各道路管理者から口頭あるいは文書によりまして再三勧告を行ったのでございますが、なかなか改善の結果を得られなかった。そのため、特に悪質と見られました、先ほど申し述べました事案につきまして、株式会社ゆうせんに対して、道路法七十一条に基づく撤去命令をいたしました。これもまた、同社は全く無視いたしましたために、道路法三十二条違反及びやはり道路法七十一条違反告発したものでございます。  告発につきましては、昭和五十二年十二月十五日に警視庁に対しまして、それから同年十二月十七日に千葉県警に対してそれぞれ行いました。この結果、それぞれの事案につきまして、五十五年三月十九日及び同年六月二十八日に起訴されました。  両事案は、その後、東京地裁で併合審理され、本年四月九日、株式会社ゆうせんに対しまして罰金二十万円、辻俊二に対して罰金二十四万円という罰金刑判決が言い渡されたという次第でございます。
  25. 鈴木強

    鈴木(強)委員 建設省としても、関東エリアだけでなくて、恐らく全国的にこういった事件が後を絶たないのではないかと思うわけでございます。大阪とか名古屋とか、あるいは特に都市部ですね、有線音楽放送というようなものがいろいろな形でやられておるわけでございますので、そういう中からこの一つの問題を提起されてここまで持ってこられたことは本当によかったと思っております。  そこで、建設省郵政省とも常時連絡をとってこれらの問題については配慮されていると思うのですが、電監局長、いま現在、要するにもぐりと言われる有線放送会社を営んでいるものはどのぐらいあるものでございましょうかね。その実態の把握をされておりましたら、ちょっとお知らせいただきたいのです。
  26. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 把握をしておるわけでございますが、いまちょっと資料手元に出てまいらないのですけれども、大きな団体が四つばかりあるわけでございます。そのうちの特に二つの団体に所属しております業者の中に無断添架と申しますか、あるいは道路使用許可を得ないで敷設しておるというようなものが多いわけでございます。ちょっと数字はうろ覚えでございますので、すぐわかるわけでございますけれども、まことに申しわけありませんが、またその時点でお知らせするなりいたしたいと思います。申しわけございません。
  27. 鈴木強

    鈴木(強)委員 それでは、この四つの会社の名前、所在地、そういったものをひとつ後で資料で出していただきたいと思います。  それから、電気通信政策局長においでいただいているのですが、電電公社の場合とか、これは東京電力の方はちょっと別ですが、国道の場合、道路の使用許可を建設省から受けました電柱が立っているわけですけれども、その電柱に対して一つの線は共架を認めるというようなことを聞いているわけですけれども東京電力もそのような話を聞いているのですけれども、そういう実態についてはどうなっておるでしょうか。電電公社の方としても、これは非常に迷惑をしているように聞いておりますし、東京電力も同様に聞いておるのですが、そういうふうな実態について、政策局の方としては把握をされておりますか。
  28. 守住有信

    守住政府委員 お答えいたします。  有線音楽放送に関する郵政省の所管は二面あるわけでございまして、基本的には御承知かと思いますけれども、音楽放送業務あるいは業界に関しまして、有線ラジオ放送業務の運用の規正に関する法律、これは電波監理局の所管でございます。それからもう一面ございまして、その設備の設置に関しまして、あるいはその技術基準、いわゆる他人の通信に妨害を与えないとか、身体、人命とかこういう角度からの技術基準というものに関しまして、広くその他の有線電気通信設備全部を含むわけでございますけれども、有線電気通信法というのがあるわけでございます。  なお、御指摘の電電公社の電柱無断添架、電力柱、両方あるわけでございまして、この面につきまして私どもが把握しておりますところは、五十五年三月末現在、電電公社柱で無断添架というのが約三十五万五千本ある、それから電力会社の電力柱が約二十五万本ある、このように把握しておるわけでございます。  それからまねさらにお尋ねのいわゆる一柱一条と申しますか、こういう考え方の点でございますが、これは私が冒頭申し上げました二つの法律と関係なく、電柱所有者御自身がお定めになった基準であるというふうに理解しておりますが、公社側におきましても、その電柱はまず第一義は公衆電気通信の遂行のためでございますが、第二義的には警察や消防や道路、河川、鉄道及び水道等の公共的事業の線路設備を優先して添架させるという方針をお持ちでございます。したがいまして、有線音楽放送等の問題につきましては、こういう公共的なものの申請に応じられるような余地を確保するという物の考え方から、その有線音楽放送等の一般懸架につきましては一柱一条としておる、こういうふうにとらえておる次第でございます。電力会社もまた同じような考え方でございます。  したがいまして、基本的には電柱所有者と申しますか、それのお考えが基本にはなるわけでございますけれども、しかしまた、一柱一条という原則一つの先行した有線放送業者に非常に有利な条件としていわゆる地域独占的な結果をもたらすという面もあるわけでございまして、有線音楽放送業の位置づけ、内容公共性があるわけでございますが、果たしてそれが政策的に地域独占なのかどうか、全般としてもお考えになっておるわけでございますけれども、そういう面で独占の状態になりまして、これに対して後発の方が無秩序な状態が現出してくる、そして両者間に争いが起こる、こういうことではないかというふうにとらえておりまして、さらにいま建設省がお答えになりましたような道路許可すらも受けないという状況がそこに出ておるというふうに理解しておるわけでございます。  したがいまして、郵政省としましては、省内的に有線放送業務を所管します電波監理局を中心に、私ども設備面も持っておるわけでございますので、私の方、さらには建設省、通産省、それから電電公社、あとはまた電気事業連合会、こういうものと会合を持ちまして、共同して無秩序な有線音楽放送業者に強く自粛を呼びかける、特に悪質な業者に対しましては、建設省の方が道路の許可権をお持ちでございまして、私ども実は法務ともいろいろ御相談しておるわけでございますが、私どもの方は届け出制でやるというようなことから、これはやはり公判維持という角度からは道路占用許可の方からいった方がいいのじゃないかというようないろいろな御相談も受けておりまして、それぞれの立場、役割りで法違反するものについては強い姿勢で臨むということと同時に、他面では一柱一条ということからいって必然的独占の結果をもたらす面もありますので、この点についていろいろ事業体の方とも、集まりましていろいろ御相談をしておるというのがいまの状況でございます。
  29. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 前後して大変失礼でございますが、五十五年三月末現在の数字でございますけれども、届け出のございました施設数は五百六十五という形になっております。それから、別に無届け施設数でございますが、集計百九十九施設、こういう数字でございますが、よろしゅうございますでしょうか。
  30. 鈴木強

    鈴木(強)委員 建設省、そして郵政省政策局長電監局長から承りまして、わかりました。  それで大臣、これは政策局長のおっしゃったような面も法制一つあると思うのですよ、これは届け出制でございますから、許可制になっていない。したがって、一柱一条ということを公社なり東京電力がとっているということになりますと、後からのものほかけられないということになるわけですね。ですから、一般の無線局の場合ですとこれは当然許可を得てやることになるわけですけれども有線放送でございますから、その点が非常に規制がむずかしいと思うのですけれども、それらの点はいま言った三者、通産を含めまして十分に協議をした上で、どうあるべきかという姿をもう一度考えてみる必要があると思うのですよ。しかし、現在の法制下において無届けでやってみたりするような、そういう悪質なもぐり業者に対しては徹底的に取り締まらなければいかぬですよ。なかなか建設省がよくやったと私は思うのですね。東電でもあるいは電電公社でも告発して、一柱一条という線に違反をしておるなら争いもできると思うのですけれども、法廷でやりましても費用はかかる、時間はかかる、そんなことなかなかやり切れないわけですから。結局そういう盲点といいますか、それをうまく利用して夜陰に乗じて線路を引っ張っていく、そういう悪質な業者が出てくるわけですよ。そしてお互いに争い合っているわけですから、そういう人たちもお互いにもう少し理解し合うという立場に立って、今後の有線ラジオ放送のあり方をどうするかということを真剣にその人たちにも考えていただくと同時に、政府としてももう少しすっきりした形にして、この音楽有線放送独占というような、政策局長が言ったように、そういうことになることがいいのか悪いのか、これもやはり問題があると思うのです。その辺も含めて法制上の検討もしていただくように特にこの際お願いしておきたいと思いますが、御所見を一言お伺いしたいと思います。
  31. 山内一郎

    山内国務大臣 従来いろいろ問題がございました有線放送の電柱使用の問題、建設省の方では道路占用ということで明確に相なっているわけでございますが、郵政省の方がどうもまだ徹底していないという御指摘でございますので、私ももっともだと思うわけでございます。したがって、建設省の方とも相談もしないといけませんし、また、有線放送会社ともよく協議を重ねながら十分な対策を講じまして、一般の方に迷惑のかからないようにやってまいりたいと考えております。
  32. 鈴木強

    鈴木(強)委員 わかりました。建設省の方は結構です。ありがとうございました。  それから、きょうは警察庁からもおいでいただいているのですが、次に不法電波取り締まりについてお尋ねをしたいのでございますが、時間が余りありませんので……。  従来不法電波の取り締まりにつきましては、郵政省はもちろん監視員もございますし、不法電波の監視については万全の対策をとっていただいていると思いますが、かつて電波ジャックというような事件も起きまして、一層監視体制を強化するようにという意見もこの委員会でも出ておるわけでございます。現在約二万九千三百三十二件の捕捉をしておるようでございまして、御苦労はわかります。そのうち措置をしたものが三千七十七件ございまして、そのうち行政指導による措置が二千六百五十件、それから運用の事実が確認できて告発をしたものが四百二十七件、こう聞いておるわけです。したがって、四百二十七件の運用事実を確認して告発をした事件についてはその後どういうふうになってしまっておるのか。  それから警察の方にお聞きしたいのは、不法電波の取り締まりにつきましては、特に独自の立場におきましても取り締まりをやられておるように聞いております。したがって、トラックとかダンプカーとか暴走族とかいろいろあるわけでございますけれども、特に私がここでお伺いしたいのは、現在、市民ラジオは合法的に使用できるものは陸上では〇・五ワット以下、それから海上では〇・一ワット以下、そして使用周波数は二十メガヘルツから二十七メガヘルツで八波が許されているわけですね。これを使っている限りにおいては合法なんですが、しかし最近、この委員会でも問題になりましたが、国内で使用が禁止されております輸出用の無線機器、これが相当、百万台とも言われておるのですが、出回っておりまして、この輸出用の無線機器を使って電波を発射しているのがかなりあるようですね。たとえば四ワットから十ワットというような出力でやられるのですが、特に電力の増幅器をつけてやると百ワットぐらいになる大出力のものもあるそうです。したがって、こういう大型の違法無線器を積んだ長距離トラックとかいうようなものについては、直接テレビやFM放送等の受信にかなりの混信を与え、妨害を与えておる。それから、沿岸漁業無線等にも周波数が接近をしておりまして、その方面でも大変迷惑を受けておる、こういうふうなこともありまして、警察の方でもかなり力点を入れてやっていただいているようでございます。  特に、ここに私は四月六日の私の郷里の山梨県にございます山梨日日新聞という新聞の記事を持ってまいったのでありますが、山梨県警でも県内の違法無線による検挙というものが数倍にふえておる。しかも、暴走族というものが警察無線をキャッチして悪用したり、これがいま申し上げたように家庭用のテレビ受像にも障害を与えるというようなケースが大変ふえてきているわけでございます。特に昨年の六月には、皆さん御承知の、富士の近くに山中湖という湖がありますが、そのところで県警が暴走族を取り締まっている最中、このグループと対抗している別のグループが無線で情報をキャッチして、そして追い詰められたその相手のグループを待ち伏せして襲撃したというような例もあるわけです。それからまた、ダンプカーなんかは「こちら緋ぼたんのお竜。ケンさん、そちらの道路状況はいかが」「××地点でネズミ捕り中、注意してください。ドーゾ」そういうふうなことをやりまして、せっかくの警察の取り締まりを逃れていくようなものがあるんです。  山梨県は残念ながら死亡事故がワースト・ワン、ツーというところにありまして、県警も大変努力をしているようですけれども、そういうふうなわけで、警察の方でも足りない人数の中でかなり違法無線の問題については努力をしていただいていると思うのですが、大体郵政省と和協力をしてやっていただいていると思いますが、特に警察が独自でおやりになっているような状況はどうなのかということもひとつこの際知らしていただきたい、こう思いまして、両方からひとつお答えをいただきます。
  33. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 まず最初に、告発した四百二十七件、結果はどうなっているかということでございますけれども、四百二十七件と申しますのは実は五十四年度のものでございまして、ここにありますのは、五十二年度から五十四年度の三年間にかけて実は八百三十六名告発しております。その内訳でございますが、懲役刑の者が四名、罰金刑の者が六百八十六名、不起訴あるいは審判不開始となった者が百四十六名ということで、ほとんどが略式命令により執行されておるということでございます。なお、懲役刑の者につきましては全部執行猶予がついております。以上でございます。
  34. 鈴木強

    鈴木(強)委員 その懲役の最高刑は幾らになっていますか。
  35. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 ちょっといま確認いたしておりませんが、また後ほど調べましてお知らせいたします。
  36. 内田文夫

    ○内田説明員 お答えいたします。  この電波法違反の関係につきましては、高出力の市民ラジオが出回り始めましてから年々急増しておるわけでございまして、たとえば昭和五十四年には千二百十件の検挙をいたしておりますが、それが昭和五十五年には千七百二十八件と一年間で四三%もふえている、そういう状況になっております。  警察といたしましても、電波監理回と緊密な連絡をとりましてこの取り締まりに当たっておるわけでございますけれども、事柄の性質上、電波監理局の方で探知をいたしまして警察に告発があったその事件、それからさらに、それとお互いに交信をしているグループということで広がっていくということで検挙が進んでいくケースと、それから暴走族だとかそういうものにつきましては、たとえば交通の取り締まりというふうな過程を通じて現実に警察が現認をしてそれから捜査へ入っていく、こういう大きく言って二つのケースがあるわけでございます。  それで、警察で独自のケースといたしましては、ごく最近ではことしの二月に、これはダンプカーの運転手でございますけれども、これが相互に不法無線局を開設して連絡していたということ、それが警察のパトカーの無線と非常に混信をするというようなことから、この発信源を探査いたしまして、関係者五名を検挙しているというケースが東京でございます。  それから先ほど先生お話のありました五十五年六月、山梨県下での暴走族が警察の取り締まりを探知いたしまして、お互いに連絡をとって蝟集場所を変えた。そこで二つのグループが衝突をしたということから、電波法違反だけじゃなしに、暴力行為だとかあるいは傷害というものをあわせて検挙されたという事案もございます。  ちなみに、山梨県警の検挙の数字を見ましても、五十四年度の十二件が五十五年には二十二件とほぼ倍近い数字になっているというのが現状でございます。  さらに、最近先生もお話のありましたように、一般のテレビや何かに混信を来すとか、そういうような一般の人々にも大変迷惑を及ぼすというようなケースも多くなっておりまして、われわれの方といたしましても、この問題は今後とも真剣に取り組んでまいりたいと思っております。
  37. 鈴木強

    鈴木(強)委員 大変御苦労いただいておりますが、やはりこれは一面におきましては法律の不備その他もあると思います。したがって、そういう点を含めましてさらに十分な取り締まりをしていただきたいと思います。  御承知のように、現行電波法第百十条ですと、違法の無線機を運用したものは一年以下の懲役または五万円以下の罰金というふうに制定されておりますが、大臣免許がないのに無線局を開設した者に対するいわゆる罰則規定といいますか、運用の場面をつかまないと罰則できないというようなことで、そういう盲点が一つあったと思うのですね。したがって、今回それらの問題に対して整備されておりますし、罰金も何か二十万円に引き上げられたようなので、私は罰金引き上げることだけでもって取り締まりができると思っておりません。したがって、やはりその趣旨をよく周知して理解をしていただくということも一面にはやりながら、いままで苦労された悪質のものに対する取り締まりの不備等については、この法律改正によって今度はばしばしやれるわけですから、できるだけその現場を押さえていかなければならなかったというようなことから一歩進んでいるわけですから、その点はぜひこれからも大いにやっていただきたい。いままでは、アンテナが立っておって確かにそこから発信しているということがわかっても、実際にそこから発信しているところをとらえなければ処罰ができなかったわけでしょう。そういう点が今度整備されるわけですから、私は、そういう点ではこの改正案は非常に実情に合った改正だと思って賛意を表しておるわけです。  ですから、これをひとつ大いに活用しまして、警察庁も郵政も一体になって徹底的な取り締まりをやっていただいて、そういう違法電波が今後絶対に出ないようにしていただきたい、こう思います。大臣からちょっとお答えをいただきたい。
  38. 山内一郎

    山内国務大臣 従来は郵政大臣免許しなければ無線局は開設できない、こういう点は明確に相なっていたわけでございますけれども、その免許を受けないで開設している無線局が実際に運用といいますか活動しているときじゃないとつかまえることができなかったということで、郵政省としても懸命にそれをつかまえるべく努力をしてまいったのでございますけれども、今度はトラックのように無線機が移動しているものがたくさんできてきたのですね。どこか一定の個所に置いてあればまだつかみやすいのでございますけれども、そういう点を特に注意して今回の改正をしたのでございまして、今度は無断の免許のない無線局があればすぐこれをつかまえることができるという点で、こういう点を十分改正をしていただければ、取り締まりを厳重にやってまいりたい、こういうふうに考えております。
  39. 鈴木強

    鈴木(強)委員 時間がありませんので、最後に、大規模地震対策特別措置法というのができまして、国土庁が中心になりまして中央防災無線整備計画というのが立てられておると思います。――途中ですが、警察庁の方、ありがとうございました。もう結構ですから。  その進捗状況はどうなっておるのか、実はきょうお聞きしたかったのですが、これは郵政省の方でわかっていると思いますから後ほど資料で出していただくことにしまして、特にここで伺っておきたいのは、地方自治体の防災行政整備状況というのがどうなっているか。――これもちょっと時間がないので資料で結構です。  特に私がここで伺いたいのは、大規模地震対策特別措置法によりまして指定を受けております山梨県とか静岡県とか神奈川県とか、そういう指定を受けておる県、市町村の防災無線の設置状況はどういうふうになっておるか。これはいま着々といろいろな対策を立てておりますが、特に非常の場合に通信というものが非常に重要視されるわけでありますから、その点の状況がどうなっているか伺いたいと思います。私の選挙区なども大分各市町村がやっておるようでございますけれども、その点もどんなふうになっておるか。たとえばの例でわかっておったらひとつ知らしてもらいたいと思いますが、関係の指定された県、市町村の防災無線設置状況はどうか、これをひとつお知らせいただきたい。
  40. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 国土庁の分、あるいは県でやる分、あるいは地方市町村でやる分、皆詳細なデータができておりますのですぐにもお出しできると思います。  まず山梨県の防災行政用無線でございますけれども、五十四年度から一部運用を開始しておりまして、その後計画的に整備が進んでおります。それから五十六年度で全面運用の予定ということでございます。  それで、山梨県としての最終計画分でございますが、これは東八代支部及び東山梨支部に開設する固定局と二十五局の申請が出ております。近日中に予備免許を付与する形で事務処理を進めております。  次に、山梨県の市町村防災無線でございますけれども、市町村防災行政無線というのは五十三年度から創設したものでございますけれども、彼もふやしまして、地元の末端まで災害のときに市町村役場等と連絡がとれるようにという思想のものでございますが、山梨県で防災行政無線局または地方行政無線局、これは市町村段階のものでございますけれども、まだやっていない市町村が、塩山市、都留市あるいは西桂町等二十六市町村ということになっております。この二十六市町村のうち五十六年度中に設置を計画している町村は十町村で、西桂町、石和町、境川村、玉穂村等十町村というようなことになっておりますので、かなりの分が今年度中に解決するというふうに私ども把握しております。
  41. 鈴木強

    鈴木(強)委員 どうもありがとうございました。  静岡県等、指定地域に指定されております県、市町村の設置状況も、資料で結構ですから後ほど出していただきたいと思います。  それではこれで終わります。どうもありがとうございました。
  42. 佐藤守良

    佐藤委員長 鈴木強君の質疑は終わりました。  阿部未喜男君。
  43. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 私は、実は一昨日、アメリカの原子力潜水艦の当て逃げ事件で鹿児島県の方に党の方から調査に行ってまいりましたが、この調査を通じて改めて無線通信の重要性というものを認識をさせられました。  事故のあった日昇丸から発信をした海難救助のSOSの信号電波が、正確に発信をされ海上保安部あるいは付近航行中の船舶に受信をされているならば、いま行方不明になっておるお二方の救助はできておったであろうと思われるし、また救助をされた十二名の人たちも、冷たい海水の中で不安におののきながら一昼夜を過ごすような苦しみをせぬで済んだと思われたのでございます。  そこで、まず私は、海上保安庁の方から事故の模様を簡単に説明をしてもらいたいと思います。
  44. 豊福滋善

    ○豊福説明員 お答えいたします。  日昇丸は、四月九日に鹿児島県の下甑島の南方を航行しておりましたのですけれども、午前十時三十分ころ船底に異常な衝撃を受けて、それから約十五分後に沈没をしたということになっております。
  45. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 その後の模様を――海上保安庁の方で事情聴取をされておるようでございますから、その後どうなったか、簡単にひとつあわせて……。
  46. 豊福滋善

    ○豊福説明員 事故が発生しましてから、機関長は機関室を見に行きまして、機関室に海水が相当流入をしているということがわかりまして、それから船長に報告をしているわけですけれども、船長は、その状態でこの船は沈没をする危険性が多分にあるということで、総員に退船を命じております。  日昇丸には救命いかだが二つありまして、これをおろしまして、片方のいかだに八名と、もう一つのいかだに五名乗りまして、乗組員は十五名でありましたけれども、そのうちの十三名がいかだに乗って漂流しておった。二名が行方不明であるということは、その救命いかだがしばらく浮遊している間は別々のところに流れておりましたのでわからなかったのですけれども、その後二つのいかだがたまたま一緒になった時点で、お互いに相手の船にもう二名乗っておると思っておったのがいなかったということが確認をされた。そのまま浮遊を続けておったのでありますけれども、翌日の午前五時前後に海上自衛艦によって救出をされたというのが大体の事情でございます。
  47. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 特に事情聴取された中で、日昇丸の通信長熊谷さんという方の陳述があったと思うのですが、これはどうなっていますか。
  48. 豊福滋善

    ○豊福説明員 通信長の陳述でありますけれども、通信長は、事故が発生すると同時に照明が、船内電源が切れてしまったということがありまして、直ちに予備電源を入れまして予備送信機をスタンバイの状態にしておった。それによっていつでも遭難信号が出せる状態にしておって船長の指示を持っておったわけです。そうしたら、衝突から約五分くらいして船長が通信室に参りまして、SOSの遭難信号の発信の命令を下しました。それで通信長はその場でSOSを発信したのでありますけれども、船の傾きが非常に激しくて、SOSを全部打電しないまま、船長が船から早く逃げなさいということを言われまして、実際に遭難信号としてはSOSを三回とそれからDEという記号、それから呼び出し符号でありますJMTIというのを三回打ちまして、その次に位置、北緯何度何分ということを打つつもりで、位置「ホ」まで打ちまして、そのまま、それから船長の命令によって救命胴衣をつけて退船したということになっております。
  49. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 そこでまず、SOSの信号が、仮に位置は確認できないまでも、三回にわたって発信されておる。この人のお話によりますと、五百キロヘルツですか、これは万国共通のはずでございますから、これが三回にわたって発信されておるならば、正常の状態ならばどこかの海上保安部なり付近を航行中の船舶が傍受することになると思うのですけれども、これをどこかで受けた形跡はございませんか。
  50. 豊福滋善

    ○豊福説明員 もしこのとき正常に電波が出ておったとしますと、海上保安庁の海岸局の鹿児島とそれから佐世保、この付近は一応受信できる範囲内にあります。それから空中の状態にもよるわけですけれども、北九州にあります当庁の海岸局も一応受信できるのではないかと思われます。それから、そのほかに日本電信電話公社の海岸局も鹿児島にございます。これらのいずれの局においてもSOSの信号を受信しなかったということになっております。
  51. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 この熊谷さんという通信士はどういう資格の方でございますか。
  52. 豊福滋善

    ○豊福説明員 船舶の二級通信士の資格を持っております。
  53. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 外国航路の船舶の場合、これは二級でいいのですか、一級ですか。
  54. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 お答え申し上げます。二級でよろしいわけでございます。
  55. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 それで、この人は二級の免許を持つ通信士であって、御本人はSOSを発信した、こうおっしゃっておる。だれもそれを受信したものはない。これが現実です。したがって救難ができなかったのだと思いますけれども。さて、その電波状況として、発信をしたが受信ができないという原因は一体どういうことが考えられますか。
  56. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 いろいろ原因は考えられると思いますけれども、五百KCを入れるわけですから、火が入って十分な電力で出るまでには多少時間がかかるかもしれないというようなことがあろうかと思います。それから、デリンジャーなどという伝播異常でも起こっておればぐあいの悪いことがあろうかと思います。それから、かなり短時間であるといたしますと、いま海上保安庁の方からお話を伺いますと、場所までは言えなかったというようなことが不幸にして確認――通常ならば届く海岸局も五、六カ所はある、しかも世界的に共通と申しますか、最も普及しております五百キロヘルツでございます。こういうものが発信されますと、もしSOSよりも程度の低い通信をほかの局がしておりますならば直ちにやめなければいかぬというようなこともあるわけですけれども、SOSクラスよりも低い安全通信程度のクラスの通信があるいは不幸にして行われていたかもしれない、そういうようなことでございます。  なお、この日昇丸の船舶局の無線設備につきましてですが、五十四年の六月二十九日に定期変更検査をやっております。また五十五年三月十一日に別の内容の変更検査をやっております。最終的にこの船の定期検査は五十五年六月三日、中国電波監理局管内の尾道で検査をいたしております。  なお、この船舶でございますけれども、非常にたくさんの無線設備を十分に持っておるというふうに考えておるわけでございます。中波帯それから中短波帯、中波帯は五百キロヘルツが出る無線設備でございます。それから中短波帯は二千九十一キロヘルツ、短波帯、それぞれの無線電信装置、さらにこの船は国際VHFの無線電話装置というものも持っております。この十六チャンネルは国際の救難周波数でございまして、百五十六・八メガ、こういう波も持っておる。それから補助設備といたしましても、中波帯の無線電信装置、これは五百キロヘルツ出るわけでございます。  また、特殊な設備といたしまして警急自動電鍵装置それから警急自動受信機、救命艇用携帯無線電信、この無線機は五百キロヘルツ及び二千百八十二キロヘルツの遭難用の周波数を出せるようになっております。それからレーダーあるいは無線方位測定機、ロラン受信機、ファクシミリ受信機等を装置しておることがわかっておりまして、先ほど申しました検査の際にはいずれも合格しているというのが私どもの検査データに残っておるわけでございます。  ただ、伺いますと、救命艇用無線電信につきましては持ち出す時間がなかったというようなことも聞いておるわけでございます。それぞれの周波数帯で多少通達距離は違うわけでございますけれども、ぐあいがよければ五、六カ所では受けられたはずだというようなことで、私ども非常に残念に思っておる次第でございます。
  57. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 私も残念に思っておるのですが、特にどういうことが想定されるか。海上保安庁の保安部の方では、アンテナが裸線だったから、これが衝突したときに切れて金網か何かに短絡しておったために電波が出なかったのではないかというような原因についての想定もあるわけですが、その辺はどうお考えになりますか。
  58. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 その後調べたところ、アンテナがどういう状態になったのか、データは私聞いておりませんけれども、不幸にして衝突の瞬間にアンテナが切れるというようなことがあれば、残念ながらこれは届かない、非常に近くといいますか、ほとんど電波は届かないということになろうかと思います。
  59. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 そこで、検査をした結果通信機は大体正常であった、たくさんの通信設備を備えておった。ただ、この船はそのほかにも救命用のいかだやボートをたくさん持っておったのですけれども、役に立たぬものを持っておったのが明らかになっておるわけです。それで、通信機も持つのは持っておったが機能しなかったのではないかということを実は私は心配しておるのですけれども、完全にこの通信機が機能しておったということを立証するためには――四月八日の夜神戸を出てから事故に遭うまでの間にどこかの基地なり海上保安部と交信をした形跡は残っておりますか。
  60. 豊福滋善

    ○豊福説明員 日昇丸が最後に交信をした記録でございますけれども、私ども調査いたしました結果、四月九日の午前九時四十七分、事故発生の約一時間足らず前でありますけれども、日本電信電話公社の長崎の海岸局と連絡をとっておるということがわかっております。
  61. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 いまの九日の九時四十七分というのは日本時間ですか。日昇丸が使用しておった中国時間ですか。
  62. 豊福滋善

    ○豊福説明員 これは長崎の海岸局の記録でありますから日本時間だろうと思います。
  63. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 あれは日本時間だと大体十時三十分、中国時間だと大体十時、そういうことになるわけですね。
  64. 豊福滋善

    ○豊福説明員 中国時間は日本時間と一時間ずれておりますけれども、このときは船内の時計を三十分進ませたということになっておりますからそういうことです。
  65. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 わかりました。大体一時間時差があるわけですけれども、船によっては三十分ずつの調整を行う。たまたま日昇丸は三十分の調整を行っておったから中国時間では十時、日本時間では十時三十分。そうすると大体一時間にはならないですね。ごく近い時間に交信をした形跡が残っておる。そうなりますと、まず日昇丸の通信機材は検査に手落ちはなかった、こういうことになるわけでございます。  ただ、私が非常に心配したのは、十六人乗りのいかだが二つもあったのですが、そのいかだが海に入った途端に二つとも底が抜けてしまっているのです。いかだの底が抜けてしまったから八人と五人の方々はいかだの縁につかまっておって、あとは全部海水につかっておったわけですよ。およそ海難を救助する救命いかだが、ゴムボートが底が二隻とも抜けるというようなことは一体海上保安庁はどう考えますか。
  66. 豊福滋善

    ○豊福説明員 私は実は担当ではございませんけれども、やはりそういうことがあってはならないというふうに考えます。
  67. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 あってはならぬのですけれども、たまたま一隻が何かのあれで底が抜けたとかいうのならまだ偶然の事故だと言い得るのですけれども、実際に二隻とも救命ボートが完全に底が抜けてしまってみんなボートの縁につかまって一昼夜を過ごしておる。これも同じように点検の規定があって二年に一回か何か点検をしているはずなんです。それにもかかわらずこういう状態であったので、これは所管外ですけれども、所管の方の通信機について非常に心配をしたというのが質問の趣旨でございます。冒頭申し上げましたように、無線通信というものがこういうときに非常に大きい役割りを果たすということについて、私自身も認識を新たにいたしましたが、ひとつ関係の向きでも機材の検査等について今後十分御注意を願いたいと思っております。  同じくこれに関連をいたしまして、実は海上保安庁の方のお調べで明らかなように、日昇丸が何かにどすっと行き当たって沈没をする瞬間、沈没の直前にアメリカの原子力潜水艦が浮上をしたということを見ておるわけです。けさの読売新聞によりましても、アメリカからの日本への連絡によって、潜水艦が浮上して見たけれども日昇丸は安全に航行しておった、こういうふうに連絡が来ておる、そう詳しくアメリカとの話し合いの模様が出ていましたが、私が聞きたいのは、潜水艦というのは、通信をするときには浮上しなければ、いわゆるアンテナを出さなければ通信ができないのか、海の底からでも通信ができるのか、これを聞きたいのです。これは電波専門でしょう。
  68. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 まず受信でございますけれども、潜水艦がある程度の深度までならば長波と申しますか、そういうもので大電力で送っておりますと受信できるように聞いております。これはやはり深度によるんではないかというふうに思われます。  それから海の中を電波がどう伝わるかということですけれども、音波というものはある程度伝わるように聞いておりますけれども、これでは十分な通信はできないだろうというふうに思います。完全に浮上しなくても、何かの都合で上には顔を出したくないというようなときに、アンテナだけは出す必要があろうかと思いますけれども、それもそのときの使用形態であろうかと思います。かなり水面に近いところまで出でどこまで通達させるかという意図にもよろうかと思いますけれども、非常に不分明を言い方ですが、これはアンテナの水面からの出しぐあいにかなり左右されるだろう、けれども危険な状態のときには近い友艦とかに連絡する分には見えてなくても多少やれる余地があるだろう、それは周波数帯によるだろう、こういうふうに考えます。ただ、実験的知識は持っておりませんので何とも申しかねますけれども、大体そういうものじゃないかと思います。やはりちょこっとでもアンテナを外へ出そうとするんじゃないかと思います。
  69. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 私ども調査あるいはけさの読売新聞でアメリカと日本政府とのいろいろな話し合いといいますか、やりとりを見てみますと、潜水艦が浮上して日昇丸を確認して航行に支障はない、安全であるということを認めてまた水中にもぐった、こうなっている。もう一つ大事なことは、さらに飛行機に日昇丸の事故を見守るように指示をした、こうなっている。潜水艦と飛行機の交信というのはどういうことになりますか。やはり海の底からできますか。
  70. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 何らかの関係でヘリコプター等が潜水艦の沈んでおるすぐ海上といいますか、上空におる場合でもやはりアンテナを出す必要があるだろうという気がいたします。多少は見える程度に沈んでおって出す場合でも、やはり長波か何かを使わないと、VHFやそういうところではちょっと無理じゃないかというふうに考えますけれども、その辺のことにつきましては勉強したいと思いますが、ちょっと何とも申し上げかねます。
  71. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 電波の神様だからかなり詳しいと思ったのですが……。  それで、けさの新聞もそうですが、乗組員が見たときも、沈没後ボートに移っておるときに上空に飛来したアメリカの飛行機はいわゆるP3C、対潜哨戒機だったと言われておりますし、アメリカもそうであったと発表しておるのですが、これはどのくらいの能力のある通信機を積んでおるものでございますか。日本が買ったわけでしょう、P3Cというのを。その電波のことについて御承知ではありませんか。
  72. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 P3C自体についての知識はございませんけれども、対潜哨戒機か何かでこざいましょうか。ただ、最近の軍用の飛行機等につきましては、まるで通信機材そのもの、電子装置そのものというような気がいたしますので、あらゆるものを持っておるというふうに想定してよろしいのではないかと思います。
  73. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 あらゆるものと言っても、ぼくもわからないけれども、あらゆるものというのはあらゆるもので、どうも見当がつきませんが、私が聞きたかったのは、そのP3Cは、三沢の基地から鹿児島県の甑島の沖まで飛んでいるわけですね。その通信が三沢基地に届いたものか、もっと近くにおって届いたものか、それを聞きたかったわけですよ。三沢基地まで一挙に潜水艦から電波が飛ぶかどうか、そういう可能性があるかどうか、そこを聞きたかったわけです。
  74. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 鹿児島海域にいる潜水艦から三沢基地まで通信ができるかということでございますか。――できると思います。
  75. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 通信は可能じゃないかと私も思ったのですけれども、とにかくその飛行機は、アメリカの発表によって三沢基地のP3Cが現地に行っておる、これはけさの新聞で明確になっておるわけですけれども、いずれにしましても、私はこの事件調査させてもらってしみじみ感じたのは、日昇丸は沈没するときに、アメリカの潜水艦が浮上して、これはアメリカも言っておるように、日昇丸を確認して、日昇丸は安全であるということを日本に報告をしておるわけですが、そのときは実は日昇丸は、しりを高く上げて沈みつつあったわけです。その後飛行機が二回来ておるわけですね。アメリカの飛行機が二遍来て、最初にP3Cが来たときには信号灯を上げたんです。しかし、これは真上に上がらなかったという。波が打っておって、ボートから打ったものですから斜めに行ったので、信号灯が見えたかどうかはわからないが、飛行機と黄色いゴムポート二つつなぎ合わせたところの空間の距離は非常に近いものであって、乗っておる人の姿が大体見える程度であったから、ボートが見えないはずはない、こう言うのですが、飛行機もそういう漂流しておる遭難した者を見受けなかったというのが、アメリカから日本側に届いておる報告なんです。そしてその後また潜水艦がもう一遍潜望鏡だけを上げた、これも見たというふうに乗組員の方々は言っておるのですけれども、乗組員の方々の心情は、潜水艦がわざわざ浮かび上がって遭難現場を確認してくれた、しかし、潜水艦で救助されるということはそれは無理だろうと思ったけれども、飛行機がすぐ飛んできた、だからこの飛行機が連絡をとってくれれば、日本の海上保安部の出先からならば船で四時間なら完全に到着する地点であったし、飛行機ならば一時間ぐらいで来てもらえるところだから、必ず救援に来てくれるということをかたく信じてゴムボートにすがりついておった。ところが夕方になっても迎えに来ないし、とうとう明くる朝まで迎えに来てくれなかった。明くる朝、これは故意か偶然が、たまたまそこを日本の護衛艦が航海をしてそれを見つけてくれた、こういうことになっておるのですけれども、私は、乗組員の十三人の方々がボートにすがりながら、アメリカの飛行機なんだから、日本と一番仲のいいアメリカだから必ず助けてくれるものだと信じ込んでおったのに、全然救援に来てくれなかったそのことが非常に残念だということを聞きまして、私も非常に、率直に言って憤りを感じたわけでございますが、これはきょうの議題と面接関係はございません。  そこで、次に法案について二、三点お伺いしますが、先ほど同僚議員からもお話がありましたけれども、この法律案の関係資料、いわゆる白表紙と呼ばれるこの関係資料の七十四ページ「手数料の徴収」第百三条、これについてお伺いしたいのでありますけれども、この「手数料の徴収」の中で一部改正を行って、そして次の表の四の二を設けて「技術基準適合証明(指定証明機関が行うものを除く。)を申請する者」下の欄の金額「一万六千円」こういうふうに書かれておりますが、話に聞くところによると、この次の表の手数料については、他の手数料も今次その上限額が改正をされるやに聞いておりますが、どうなっておりますか。
  76. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 電波法の百三条のいろいろな電波関係の申請手数料あるいは免許手数料等、上限の額を決めるということでございますが、電波周係手数料につきましては、いわゆる一括法案というような形で他の各種の、政府が関係しております手数料改正と同様に実費主義というような原則によりまして、その手数料の額を行政コストに見合った適正なものに改めようということでございまして、いわゆる一括法案大蔵委員会の方で審議されておるところでございます。
  77. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 それは何か政府機関関係手数料法とかいうものをつくるわけでございますか。
  78. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 各種手数料等の改定に関する法律というところで、既定のものにつきましては、電波関係手数料につきましても、この法律によりまして上限額を引き上げるという形で提案、御審議いただいておるところと理解しております。
  79. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 その内容は、電波法の一部が変わるものではなくて、新しい法律ができるものでございますか。電波法の一部が変わるものでございますか。
  80. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 電波法の百三条関係が改正になるわけでございます。
  81. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 そうなるはずでございます。それならば、電波法の一部を改正する法律案がここにちゃんと提案をされておるのに、なぜ同じ電波法の一部改正を分けて別々に提案をしなければならなかったのか、その理由を聞かしてもらいたいのです。
  82. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 先ほどもそうした点での御質疑があったように記憶いたしますけれども、先ほどもちょっと申しましたけれども、各種手数料改正につきましては、実費主義の原則に従いまして、その手数料の額を行政コストに適正なものに改めよう、そして五十六年度の歳入党横もりは一電波関係手数料を影多数の法律にわたります各種手数料改正を前提として認められているということ等から、電波法関係手数料の上限額の改正部分につきましては、同様の趣旨に基づく他の各種手数料改正と一括して統一的な国会審議をお願いすることが適当であると考えられたので、これを先ほど申しました一括法案というふうなものに含めて御審議願うことにしたものでございますけれども、また今度の、いま先生が条文で御指摘になりましたように、ただいまこの場で御審議いただいております電波法の一部改正法案においても提案しているわけでございますけれども、この手数料に関係する改正事項は、新たな制度と申しますか、技術基準適合証明制度というものの導入に伴います新規手数料の創設とも言うべきものでございまして、既存の手数料の上限額を単純に引き上げると申しますか、横並びの関係で改正するものとは趣旨を異にするというふうにも考えられるわけで、この部分については新しい制度を創設する法律案と申しますか、ただいま御審議いただいておる法律案に含めたということでございます。
  83. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 牽強付会という言葉がありますが、無理にこじつけようとするからそういう無理なことをおっしゃらなければならなくなるのでございまして、大体新しく設けるのは制度であって、金額は上限を決めるのですから、金額は同じところで決めなければなりません。  いま実費を償うに足るものとおっしゃいましたが、果たして手数料が実費を償うに足るかどうか、これは私は率直に言って疑問を持っております。ただ、この証明の手数料としては、同種の手数料と見合いながら、その規模、それに要する手数、そういうものを勘案をして横並びでながめなければ一万六千円という上限が正しいかどうかという判断はできないと思うのです。横並びで他の手数料が、この種の機械の手数料はこうなっておる、この種の場合はこうだ、この免許はこうだ、こうずっと並べてみて大体一万六千円が上限として適当であろうとか、そうでなかろうという判断をしなければならない。新しく変わる、いま提案をされておる手数料がどうなるのかわれわれ全然わからなくて、ここに一つだけ金額一万六千円を新しい制度として持ってこられても、この一万六千円が正しいかどうか、比較するものが何もないのです。ですからこれは、そういうふうなお考えで国の手数料だから一括審議をする方がよろしいというのならば、この法案から一万六千円の金額は切り離して、追いかけていま審議をしておる方で一万六千円が正しいかどうかについて上限を決めてもらう、その方が正しい審査の仕方であって、他に比較をするものがない、比較するものはよそで審査しておるのに、この一万六千円が正しいかどうかとここで言われても、私ども正しいかどうか判断のしようがないのです。ですから、新しい制度ですから上の欄は結構ですが、下の欄の金額は別にやってもらったらどうですか。
  84. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 一万六千円という額をどういう考え方で決めたのかということでございますけれども、これはすでに入っております電波関係の各種の手数料とは性質が違うものでございまして、すでにありますものにつきましての審議というものは横並びということが必要でございますけれども、私ども一万六千円というふうに御提案申し上げている趣旨は、全く新しいこういう制度を導入しまして、予定しております無線設備、それを検査する、どういう測定設備が要るか、あるいはどの程度の時間がかかるか、人手がかかるかというようなことで行政コストというものがございますが、そうしたものをコストに算定いたしましたので、ただ一つ浮いている形になっておりますけれども行政コストの算定の方法は同じでございますので、そうした意味でひとりぼっちの形でございますけれども、私どもとしてはあえて御提案申し上げたということでございます。
  85. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 局長さんのようなお話になりますと、いまほかの手数料とまとめて上限を変えようとしておるのは行政コストではない、これだけが行政コストだというふうに聞こえるのですけれども行政コストと言う限りは、いま上限を変更しようとしておるほかの手数料とやはり同じ内容を持つものになるはずなんです。ほかのものは行政コストではない、他の上限の変更は行政コストではないが、これは行政コストで決めるんだから変わらないんだ、こうおっしゃるけれども、それは同じことなんですから率直におっしゃったらどうですか、本来ならばいまの手数料もこっちでやるのが本当だけれども、こっちの法案が遅くなりそうだから、国が早く金を取りたいので、五月から何とか金が取れるようにしたいので向こうに持っていったんだ、もうこれからはこういうことはしませんからとなぜおっしゃらないのですか。
  86. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 実は先ほど大臣がおっしゃいましたかと記憶しておりますけれども、私ども電波法をかなりの部分にわたります改正を御提案申し上げておるわけでございまして、その中で改正提案すべきである、同じ条文をなぜ同じ時期に別のところでやるのかというようなことでございますけれども、その辺につきましては、先ほど大臣が申しましたようなこともございますけれども、たびたびこういう形での御提案でまことに恐縮でございますが、ひとつ御理解をいただきたいというふうに存ずる次第でございます。
  87. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 大臣、前から私がくどくこのことを申し上げておるのは、国会の審査権に影響があるわけで、逓信委員会で審査をするのに、同じ電波法改正が一部はほかの委員会にかかるような仕組みになる、そうしてここにもまた電波法改正が出てくる、こういうことを繰り返されたのでは、国会の方の審議上非常に手数もかかるし迷惑だ、その意味でこれからはこういうことをなるだけやってもらいたくないという気持ちがあるからくどく申し上げておりますので、これからはなるだけ気をつけて提案をするという決意を大臣から表明してもらえば、この問題は終わりたいと思います。
  88. 山内一郎

    山内国務大臣 逓信委員会に所属をいたします法律についての御審議逓信委員会でやっていただく、これは大原則であると思うわけでございます。今回手数料の問題が大変問題になってきたのでございますが、たくさんの法律手数料があるのでございまして、それをひとつ今回一斉に改正をしていこう、こういうような観点から、まことに諸先生方には申しわけないのでございますけれども、一括の法案提出をさせていただいたというわけでございます。すると、今度のこの新しい制度の技術基準適合証明手数料はおかしいじゃないか、なるほど向こうへ持っていけばよかったかもしれませんけれども、こういう技術基準適合証明という新しい制度が、その時点においてもう決定していればいいのですけれども、それが決定していないときに手数料だけ飛び出していくというのもちょっと考えなければいけない、こういうようなことで、まことに申しわけないのでございますけれども、今後はこういうことのないように注意をして、原則に従ってここの委員会で御審議をいただくようにということを心がけてまいりたいと考えております。
  89. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 終わりますが、手数料だけが後を追いかけていけばいいのです。本当はこの手数料一万六千円だけ別の法案にして向こうに持っていけばいいのですよ。しかしそれはへ理屈で、そんなものじゃなくて、経過を私も知らぬわけではありませんから、これからは十分気をつけてもらうようにお願いをしてこの問題は終わります。  その次に大臣行政改革が、総理も命をかけてやるとおっしゃって、いま大変なことになっておるわけでございますが、今度の新しい法律の中で、大臣提案理由の説明でも述べられましたように、第一点は、技術基準適合証明を行うために指定証明機関を設けて、これを公益法人にして民間にその業務を行わせようとしております。もう一つは、指定試験機関を設けて特定試験事務をこれまた同じように公益法人にして民間に行わせようとしております。この財政は一体どうなるのかということを調べてみましたら、これは大体いままで郵政省が国庫として受け入れておった手数料がこっちの指定される機関の方に入っていく。そうすると国庫の収入は明らかに減ります。何と言おうといままでよりも国庫収入が減ることは間違いありません。国庫収入が減るならば、それだけ仕事が簡素化されるわけですから人間が減ってこなければ行政機構の改革とマッチしないということになってきます。ところがお伺いすると、定員法の方でもどうも電波監理局の大変な減員になるということは出ておりません。きわめて素人的な一般論として言うと、仕事は少なくなったけれども人間は減らない、国庫は減った、そういうばかげた行政改革があるかと、こういうことに私は理屈がなると思うのですけれども、その辺がそうではないというところを皆さんにわかるようにひとつ説明してくれませんか。
  90. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 まず、技術基準証明制度導入の思想でございますけれども、近年十万台以上の無線局がふえてまいっております。それで恐らく今年中には二百万台を超すであろうというような情勢にあるわけでございますけれども、御存じのように電波監理局の人員というものはここ十年間ずっと減ってまいっております。十万台ないし二十万台ふえる無線局についての対応でございますけれども、やはり比較的定型的なものもございますけれども、どうしても新しい機種とかあるいはその重要度に応じましてそちらの方の検査というようなものに重点を置かなければいけないというようなところで、人員、経費を制限されている中でどうして電波行政と申しますか、無線局管理の実を上げていくか。どうしてももうパンク寸前であるというようなことで、技術基準適合証明制度につきましては、最近ふえてまいりました、新しく出てまいりました自動車公衆電話とかあるいはスピードメーターとか比較的数が多くて、しかも設置後に、どういうふうに設置されているか、つまりアンテナがどう張られておるかというようなことが余り関係のないもの、しかもやはり重要性はあるということで、そうしたものについては事前に技術基準証明制度、証明機関免許前の段階あるいはメーカーがつくった段階で審査をいたしまして、それによる電波法で決められております予備免許ないしは検査、工事落成後の検査というようなものを省略しまして対応してまいりたいというようなことがございます。  まず、ふえる無線局とふえない人員と経費でどうするかというようなことで、いろいろふえてまいります無線局に対応することでしぼり出した知恵というのが、一つ技術基準証明制度でございます。  それからもう一つ、国家試験の方でございますけれども、これは昨年の数字だと思いますけれども、二十二万人の従事者試験の申請者というものがございます。そのうちの十七万人が、いま新しく試験機関というものをつくって、そちらの方に実際の国家試験の事務に関するほとんどの部分をやっていただこうという性質のものでございまして、ただ試験問題の作成の基準的考え方あるいは試験をいたしました、合格にするあるいは不合格にする判定の基準、そうしたものだけは郵政大臣にそのまま残しまして、その他の受験票の受付あるいは試験問題の作成、それから会場の準備、試験の監督、機械的な採点基準によります採点等々をやろうとしておるわけでございますけれども、これによりましては、現在のところ大体年に二回かなりピーク的にやっておるわけですが、アルバイトあるいは検定課というところで試験をやっておるわけでございますけれども、そこ以外の他部の応援というようなことで、年間延べ一万人程度の力をかけておるわけでございます。これを民間に移譲いたしまして平均的に、経常的にと申しますか、東京の場合ほとんど毎週といいますか、いままでに比べれば、いままでは年二回であったわけですけれども、ほとんどいつでも受けられるというような状態にし、また地方におきましても二回の試験を三回にふやすというようなことで経常化すると同時に、採点等にも機械化等の設備を導入いたしまして能率を上げていこう、こういう考えでございまして、確かに従来、いままで電信級、電話級のアマチュアあるいは特殊無線技士の国家試験を国がやっておったわけでございますので、それに相当する部分の手はよそに向けられるわけでございます。  これにつきましては、やはり従事者自体につきましても、最近の海難事故等々によりまして、船舶に乗る従事者の素質の再教育とか新しい問題もいろいろ出てきておるわけでございまして、先ほども申しましたように、急増する無線局あるいは変貌する電波行政というものに、こうしたもので振り当てていかないことにはどうにもならないということで、確かに人数は浮くわけでございますけれども、より一層の電波行政の拡充、充実というようなことに振り向けてまいりたいというふうに思っておるわけでございます。
  91. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 大変詳細な御答弁をいただきましたが、要約すれば、仕事がふえてきた、試験の仕事もそれから基準適合証明の仕事もだんだんふえてきて、いまの陣容ではやっていけなくなったんだ。そこで増員をするか。しかし増員は非常に困難であるし、むしろ一部を民間機関に委託をした方が効率的である。そういう趣旨でございますでしょう。
  92. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 そのとおりでございます。
  93. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 そこをわかるようによく説明していただかないと、一般の考えでは、いままで現にやれておるわけです。一応曲がりなりにもやれておるわけです。ところが、新しいものをつくって国庫収入は減る、しかも人間は減らなければ、何のための行政改革なのかということになりがちですから、実はもっと大幅な増員をしてもらわなければならないのだ、それでなければやれないのだ。しかし増員をするというのはいまの社会情勢からも無理があるし、また、むしろ一部業務を民間に移管した方が効率的でもあり、利用者も便利になるから、それでこういうふうにやるのですと、こういうことになるのだろうと私は理解をしておるのですが、そういうことのようでございますから次にまいります。  資料の四十九ページでございます。第三十八条の二「技術基準適合証明」は、郵政大臣またはその指定する者が行う、こういうふうになっております。その次に「郵政省令で定める区分ごとに」証明機関を指定する、こういうふうになっておりますけれども郵政省令で定める区分」というのは、たとえば自動車公衆無線電話あるいはF三電波または単側波帯の電波云々とありますが、いまここに例として二つ挙がっておりますが、どういう区分になるように考えておられるわけですか。
  94. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 この法案を御審議いただいた後で、当面いま考えておりますのは、自動車公衆無線電話通信を行う陸上移動局、F三電波また単側波帯の電波を使用する陸上移動局または携帯局、それから空中線電力が五ワット――いま申しましたのは陸上移動局及び携帯局の電力でございますが、あとスピードメーターと言われておりますような十・五二五ギガヘルツの電波を使用する無線標定業務の局に使用する無線設備、この三種類というものをただいまのところ考えておるわけですけれども、どんどんいろいろ出てまいるだろう、そういうことで種類ごとにやりませんと、それに必要な測定設備あるいは知識等も必要とするというようなことで、区分ごとの分類が必要だ、こういう考え方でございます。
  95. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 そうすると、まず指定証明機関はさしむき三つぐらいの機関ができるというふうに理解していいのですか。この法案ができ上がってから、さしむき三つくらいの機関ができる、こういうことになりますか。
  96. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 お答え申し上げます。  現在、いま申し上げました対象になる台数はどのくらいかと言いますと、五十四年度の実績だと四千六百局ぐらいになっております。五十五年度はまだ集計が終わっておりませんけれども、七千六百局、こういうようなことで、まあ公益法人でございまして、利益を上げるというわけにはいかないので、この辺のものにつきましてはそれぞれに審査はするわけでございますけれども、指定機関としてはそんなに多くはならないと申しますか、適当なところの申請者があって、こうしたものに対応できる設備があるというようなことならば、なるべく数が少ない方がいい。たとえば一つ機関でやれる。同じような内容ではあるわけです、中の中身は違いますけれども。知識その他でかなり共通する部分もございますので、機関としてはいまのところ一つというふうに考えております。
  97. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 「区分ごとに」と書いてあるから、私はその区分ごとに機関ができていく……。そうすると、いまのところ自動車の移動無線、それからもう一つF三の単側の場合、そういうものが二つ機関ができる、また新しいものができればまたこの指定機関ができる、そう考えておったのですが、これは全部ひっくるめて一つですか。
  98. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 御提案しております法律の形は、それぞれに機関ができてもいい形になっております。ただ実際問題としては、使う場所とか測定器具等々で一つで十分できるというような確認ができれば、そういう数は少ない方がいいだろうといいますか、無用の競争等をいたしまして、特に同じ種類のものについて二つは、排除はしておりませんけれども、そういうことは困るだろうというふうに考えております。実際問題として好ましくないだろう、こういう考え方でございます。
  99. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 そうすると、同じ区分のものについては二つ以上ということは考えられないが、区分ごとには置くことができるように法律はなっておる、さしむきは財政上その他の関係から一つでやろうというお考えだ、そういうことでございますね。
  100. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 そのとおりでございます。それから、ちょっとくどいようですけれども、同じ一つのものについても法律上は二つできないことにはなっておりません。
  101. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 それからもう一つ、ここで大臣は「当該指定に係る区分」の「証明を行わない」というのが条文の中にあるわけです。そうすると、区分指定するわけですから、その指定に係るものは大臣は行わないのですけれども法律では大臣または指定する者が行うとなっておるわけですから、大臣はどういうときに、それではこの証明を行うわけですか。
  102. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 この技術基準適合証明というのを機関にお願いするわけでございますけれども、非常に重要なものでございます。ところがまあ仮に、たとえば天変地異というようなことがありまして、この機関がその業務ができない。それが非常に短期間であればよろしいわけですけれども、やはり一日たりといえども、だれもやる者がいないという形では困るということで、そうしたときにはごく短い期間を限って郵政大臣が、一たん外部機関に持たしたものもまたやらなければいかぬというようなことも起こり得るかもしれないということで、できないことにはしていない、こういうことでございます。並行してやろうという考え方ではございません。
  103. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 わかりました。  それからもう一つ。その次に資料の六十三ページの「無線従事者国家試験」のところでございますけれども、ここの法律の趣旨は「郵政大臣は、その指定する者に、特殊無線技士、電信級アマチュア無線技士又は電話級アマチュア無線技士の資格の」国家試験の「事務を行わせることができる。」こういうふうに大体規定をして、その二項で「前項の資格ごとに一を限り、特定試験事務を行おうとする者の申請により」云々、こうなっておりますが、ここでは明らかに第二項で「前項の資格ごとに一を限り、」ですから、これは最低三つできる、こういうことになりますか。いわゆる特殊無線技士の試験、それから電信紙アマチュア無線技士の試験、電話級アマチュア無線技士の試験という三つの機関は最低できる、こうなるのですか。
  104. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 形の上ではそういうことになりますけれども、ここに「資格ごとに一を限り、」というのは、資格が同じもので二つじゃ困る。国家試験ともあろうものが、同じ電話級のアマチュア無線技士の試験機関で二つあって、その間の問題の難易とか採点の不公正というようなものがあることは困る。同じクラスの同じ種類の従事者については一つであるべきだ、こういうことでございますので、逆に申しますと、二つを一つの試験機関がやって、もう一つは手が余るから別のことになるかもしれない、三つとも一つ機関がやることはあり得るかもしれない、その逆はだめだ、こういう趣旨でございます。
  105. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 では、これは必ずしも三つできるというわけではないわけですね。私はどうも先ほどから、証明機関にしても試験機関にしても、最低二つないし三つの機関ができるんだ、そうすると郵政省にとっても大変ありがたいことじゃないか、こう思っておったのですけれども、必ずしもそうじゃないようでございますが、財政の問題もありましょうから、その辺の運用についてはとやかく申し上げる気持ちはございません。  最後に、四十九ページ、第三十八条の二の第七項と第八項でございますけれども、通産大臣の意見を聞くということと、その次に通産大臣に「協議しなければならない。」という規定があるのです。意見を聞くということと「協議しなければならない。」ということは定義上どういう効力の違いがあるのか。  二点目に、協議が調わないときには一体どうなるのか、こ辺をちょっと聞かしてもらいたいのです。
  106. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 どうして通産大臣の意見を聞くあるいは協議をするということになっているのかということでございますけれども、まず意見を聞きますのは、技術基準適合証明の対象となる設備を決める場合に聞くということでございます。これは通産大臣が所管する電気用品取締法等に基づきまして、通産大臣は電気用品の安全を確保するために電気用品の型式認可を行っているわけでございますけれども、その対象機器と技術基準適合証明の対象設備とが同じものになる場合がある、そういう可能性がある。そうした場合には、お互いにそれが対象になっておるあるいはいないという知識が必要であろうというようなことで、それを教えてもらうという程度のものでございます。  それから協議につきましては、これは協議するのは技術基準適合証明の審査方法を決める場合に協議しましょう、こういう趣旨でございますけれども、やはり同じものが対象になる、そうした場合に双方の審査方法をできる限り一致させるというか、矛盾があるようなことでは困るという考え方で事前に協議して調整を図っておく必要があるということでございます。  協議の場合でございますけれども、お互いに自分の意見をぶつけ合う、相手が納得するかどうかということでございます。その場合に相互の意見をわかるように話し合うわけですけれども、まず基本的には協議ができるようにお話し合いを続けるということかと思いますけれども、どうしても協議が調わなかった場合はどうするのかという御質問かと思いますけれども、その場合には協議の経緯といいますか、議論を踏まえた上で最終的には郵政大臣の判断で処分等を行う、こういうことになるというふうに私どもは理解しておる次第でございます。
  107. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 お説のとおりで、実は去年ごろからこの法案については提案の予定があったけれども、通産省との間で必ずしも意見の一致を見なかった。早く言えば協議が調わなかった。調わなかったために一年間提案がずれてきているわけでしょう。前にあったのですから、これからも運用の中で協議が調わないことが多いのではないか。その場合に、法律用語で協議するものとすると決まってしまったら、協議が調わぬときはどうなるんだろうか。いま局長さんは郵政大臣が決めるんだとおっしゃったけれども、協議というものはそういうものでいいんですか。大丈夫ですか。法制局、どうですか。
  108. 関守

    ○関(守)政府委員 お答え申し上げます。  一般論として申し上げますと、意見を聞くとか、協議とか、それから同意というような言葉を使っておる場合がございます。一番強いのは同意という場合でございます。それから協議という場合には、その前後の言葉によりまして、たとえば俗な言葉で恐縮でございますけれども、協議離婚なんという場合には、これはお互いの意思が一致しなければできないということになるわけでございますから、一般論として協議ということでどうだというわけにはまいらないとは思いますけれども、こういうように行政機関行政機関に協議をするという書き方をしておきます場合には、先ほどお話もございましたように、お互いに意見を尽くすというのが基本でございまして、大体いままでのこういう規定の運用を見ておりましても、お互いに協議が調わなくてそのままに一方の機関が判断をしてやったというような例は余り聞いておりません。しかし、法律的に最終的な責任がどうなるのかと言えば、それはここに書いてございますように郵政大臣がこの仕事をするわけでございますので、万々一協議が調わないというような場合には郵政大臣がその協議の経緯を踏まえて判断をするということになろうかと思います。
  109. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 ぼくは余り法律は詳しくないのですが、たとえば労働組合の労働契約等の場合で、労使が協議をするというような場内には、協議が調わない場合には向こうが一方的にやるんだという一項が普通入るのです。もしあなたの解釈ならば、会社側が一方的にやれるということに最後になるから、わざわざ協議が調わないときはどうするという条項が入らなくてもいいように思うのです。日本語的に解釈すれば協議はあくまで協議であって、調わなければならないものであるけれども、どうしても調わないときはやれない、私はそう解釈するのですが、調わなくてもやれるというあなたの解釈と調わなければやれないというぼくの解釈の違いがあるのですが、いまあなたのお答えのとおりで間違いありませんか。
  110. 関守

    ○関(守)政府委員 先ほど申し上げましたように、協議を規定している規定の性質によりまして一概に言えないと思いますけれども、関係行政機関との協議の場合には、要するにだれが責任を持ってその仕事をするかということに最終的にはなるんだろうと思うのでございます。そういう趣旨からすると、まず普通の場合には、協議が調わないでやるということがお互いの官庁の間で仕事を円滑にするゆえんではございませんので、議を尽くしていくということになると思うのでございますけれども、最終的にそういうケースが生じた場合にどうなるかと言えば、責任を持った人が判断をしてやらざるを得ないということになろうかと思います。
  111. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 どうもまだ釈然としません。いままでの経過からすれば、そういうときは総理大臣が決断を下すとか、そういうことになっておるようでございますけれども、さっきおっしゃったように協議離婚というような場合は調わなければできないのですから、協議と言う限りは両方の意思が一致しなければできないと私は解釈しておるのですが、法制局というところがそういう解釈をなさっておるんなら、それで私は結構だと思います。そういうことは多分起こらないだろうということを期待をいたしまして、質問を終わります。
  112. 佐藤守良

    佐藤委員長 阿部未喜男君の質疑は終わりました。  午後一時から委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後零時二十六分休憩      ――――◇―――――     午後一時八分開議
  113. 佐藤守良

    佐藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  電波法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。久保等君。
  114. 久保等

    ○久保委員 私、最初にひとつ、三月の二十七日でしたか、電波技術審議会でもって答申の出ました文字放送の問題についてちょっとお尋ねしたいと思うのです。  電波技術審議会の方に諮問せられておりましたこの文字多重放送の問題について答申が出たわけなんですが、今後この問題についてはなお準備を進めて、将来は立法化も図ってまいらなければならぬのじゃないかと思っておるのですが、文字多重放送の第三者利用を許すか許さないかという問題が今後の一つ検討課題だろうと思うのです。文字放送を補完的な形で利用していくか、あるいはこれ単独の、いわば独立利用をしていくかといったような問題、それからいま申し上げましたように、第三者利用を認めるかどうかという問題、非常に大きな注目を浴びておる一つの問題ではないかと思うのです。文字放送を含めての音声多重といったような問題も、これまたいろいろ議論があるところですが、今後こういった問題をどう扱っていくかということについて、特に立法化していくとなればそれまでに一つの結論も出さなければならぬと思うのですけれども、きょうあすの問題ではないにしても、逐次技術的な、特に受信機の問題等についてのいろいろな開発等も今後実用化の方向に向かってされていかなければならぬと思うのですが、この問題をどういう形で今後扱ってまいろうとしておるのか、その点ちょっと電波監理局長の方からお伺いしたいと思うのです。
  115. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 文字多重放送につきましては、先生ただいまおっしゃいましたとおり、去る三月二十七日の電波技術審議会でいわゆるパターン方式について御答申をいただいたわけでございます。文字多重放送は、相当種類と申しますか、十種類程度の情報を文字または図形によりまして同時に送ることができるということでございまして、その利用形態につきましては、音声多重とは違いまして、一つ、二つぐらいは補完利用もあるでしょうけれども、何分にも十種類程度までできるということでございますので、そうした残りました八つなり九つなりにつきましては、独立的利用というものが中心になるであろう、技術的にもそうであるということで、文字多重放送を第三者に利用させるべきかどうかという問題が議論になってまいるわけでございます。  この多重放送に関する調査研究会議というのを私ども持ちまして、会長は東大の伊藤正己先生だったわけですけれども、五十一年の十二月の報告書では、多重放送の独立的利用を第三者が行うことを可能ならしめる措置等を具体的に検討するよう、そういうような御提言もいただいているところでございまして、まさにいろんなニューメディアが出てまいるわけですけれども郵政省といたしましても、マスメディアの集中排除あるいは電波の公平利用というような観点からも、文字多重放送の第三者利用については鋭意検討してまいりたいというふうに考えておるわけで、それぞれの関係機関に御意見を拝聴するというような機会も持っておるわけでございますけれども、いろんな問題がございます。  先生いま申されましたように、まだ受信機も市販されているわけではない。実験段階的な、研究室内のバラックセット的である。それから十種類近くもの情報が出せるとなると、一体だれがどういうおもしろい番組と申しますか、ニーズに対応したどういう種類の番組を送るのかというような問題、いろいろございますけれども、いずれにしましても、非常にニューメディアといたしまして華々しいといいますか、そういう未来を持っているものでございますので、鋭意検討を続けてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  116. 久保等

    ○久保委員 その検討の方法なんですが、郵政省内で検討するというのも検討一つの方法だろうと思うのです。まあしかし、利害関係の問題もこれは絡んでくるだけに、既設の免許を受けた放送事業者からすれば、特に関心の高いところでありますし、それからまた一方、そういった新しい方面に新規に手をつけていきたいと思っておる人たちも大ぜいいるわけですが、そういういわば利害相反する関係もあったりなどして、なかなかむずかしい問題もあろうかと思うのですが、それだけにいわば公正というか、十分に一般の国民の、受信者の立場からすればまた受信者の立場からできるだけ多々ますます弁ずという気持ちもあるでしょうし、いろいろそういった区々賛否両論の意見等があるだけに、この問題についての扱い方、したがって単に省内で検討するというだけでなくで、何らかの形の機関に――機関にというか調査会といいますか、そういったようなところでも検討するに値する問題ではないかと私は思っているのですが、郵政当局としては、いまのところどういう方法で検討を進めていこうというお考えなのか、その方法論について御答弁願いたいと思います。
  117. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 お答え申し上げます。  実は私どもの省内に昨年七月、放送の多様化に関する調査研究会議ということで、これは文字多重あるいは音声多重ももちろん含めるわけでございますが、多少もう少し範囲が広うございまして、放送衛星あるいはキャプテンシステムと申しますか、そういうものまで含んでいるわけですけれども、その中でも、多様化する放送のニューメディアと、それに対応して需要者の側がどういう要望を持っているかというような角度からも、文字多重を真正面に、それだけをつかまえた研究会議ではございませんけれども、識者にいま、昨年七月以来毎月一回程度の御審議をいただきまして、来年の春をめどにいたしまして、そういう問題も含めまして御検討いただいておる次第でございます。
  118. 久保等

    ○久保委員 その研究会議とやらはどういう構成でできておるのですか。
  119. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 十五人の先生方でございますけれども、会長は吉國一郎法制局長官でございます。中には評論の方あるいは新聞協会の方あるいは放送行政に詳しい経験者等々で、十五名の委員から御審議をお願いしておるわけでございます。
  120. 久保等

    ○久保委員 そうですか。そういう研究会があるのを私も寡聞にして知らなかったのですが、もちろん当面の問題、先ほど来お話があるようなことについて、そういう研究会議検討せられることも大事だと思うのですが、現在ある電波審議会、こういったようなところでも、当然さらにそういう研究会議で出た結論に基づいて審議をされるというような手続になっていくんでしょうか。
  121. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 電波監理審議会でございますけれども、これは五名の識者の方々に、どちらかといいますと郵政大臣の行います重要な事項につきまして、主として具体的に御諮問申し上げるという形で御審議いただいておるわけでございますけれども、そういうわけで、こうした電波監理審議会には、私ども持っております、いま申しました放送多様化研究会議の進捗状況あるいは途中までの経過というようなことは当然必要に応じて御報告申し上げ、その先生方からいろいろ御意見もいただく時間を設けておるというのが実情でございます。
  122. 久保等

    ○久保委員 いま研究会議そのものはどういう形なんですか。大臣のいわば諮問機関といったような性格を持っておるんですか。どういう性格のものですかね。
  123. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 私的諮問機関でございます。
  124. 久保等

    ○久保委員 私的諮問機関ではあるのでしょうが、もちろん私的諮問機関には間違いないと思うのですが、そのテーマですね。たとえばきちっとしたものを諮問するという形で諮問しているのか、それともそれほどかたくななものじゃなくて、懇談的ななにから何かだんだんと問題点をしぼっていくというような形でやっているのか。もう少しきちっとした形で、大臣からの諮問事項なら諮問事項を明示して、その諮問事項に対して答申を求めるというような形でやっているのか。どうも何か名前からしてちょっと長たらしいような、しかも何か余りはっきりしないような名前なんですが、どの程度のものなのか。私的諮問機関はわかっているのですけれども
  125. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 放送の多様化に関する調査研究会議という名前になっておるわけですけれども、実はその辺、先生がいま御指摘になりましたようなことが事実、調査研究会議でも問題になってきているといいますか、どちらかと申しますと、これは先ほども申しましたように、非常に新しいメディアの方も、文字放送から放送衛星、ファクシミリあるいは高品位テレビというようなものが出てきた。それからまたペイテレビというようなものも出てきた。それから、一般の受信者の側でどういうニーズを持っているのかというようなことでアンケート調査等もいたしたわけでございます。これはもちろんその設置要綱というものはあるわけですけれども先生方にいま周辺関係と申しますか、基礎的な知識というものを御説明申し上げたわけですけれども、実はいま先生がおっしゃいましたようなこと、一体どういうものについてどの程度まで深くやるべきなのかということで、正直申しまして、どちらかと言いますとニューメディアを控えて華々しいというか、色鮮やかなスケッチを描くというような感じのことで進んでまいっておる面もあるわけですが、昨年七月に出発いたしましてからもう七回程度になっておるわけですけれども、もう少し具体的な問題について、郵政省としてどの問題とどの問題については結論を出してもらいたいのかというようなお話も出てまいりまして、次の次ぐらいの会議におきまして報告書をいただくわけですけれども、その中のアウトラインと申しますか章と申しますか、報告書の目次というようなものをつくることによりまして、そういう角度から一般的に触れておけばいい問題と具象に御提言をいただかなければいけぬ問題というようなことに少し分けてみようじゃないかというような話になってきております。  それで、私どもどういうものにつきましてその調査研究会議でお取り上げいただくかは、調査研究会議にお願いする形になりますので私から何とも申し上げられない面もあるわけですけれども、いま御指摘のような文字多重はどうあるべきか、第三者利用についてはどういう考え方がいいのか。御指摘のように、放送事業者といたしますれば自分たちの施設である、それをたとえば新聞あたりが非常に関心を持っておる、それを利用する形、それからレンタルにするのか、その際に編集の責任はどちらが持つのかといういろいろな問題がございますが、その辺につきましては、私は、放送の多様化全般的にお触れいただくと同時に、この問題あたりについてはかなり具体的にお取り上げいただいたらどうかというふうには考えておる次第でございます。
  126. 久保等

    ○久保委員 それはそれで、当面のいろいろな具体的な問題について調査研究をせられる目的で設けられたのでしょうから、それはそれで進めていただくことは結構で、当面の問題についてもひとつできる限り――法制化の問題が必要であるならば当然そういう方向にやはり計画的に審議も進めてまいる必要があると思うのです。  ところで、現在あります電波審議会の問題についてもちょっとお尋ねしたいと思うのですが、この電波審議会はなかなか大変な重要な機関だろうと思うのですが、ここで結局郵政大臣の処分に対する不服審査の問題があるわけなんです。これについての処理模様をちょっと資料で出していただいたのですが、この資料によりまして、なかなかこれも問題がむずかしいからこういうことになるのでしょうけれども、不服審査で昭和四十八年、九年あたりに申し立てがあって、それに対する審理が進められてきているのだろうと思うのですが、現在なおこれが係争中というか審理中というか、そういう状態になっておるようでして、少し時間がかかり過ぎておるのです。  これは四つばかりありますので一々読み上げると大変ですが、異議申し立て人は神奈川放送東京テレビジョン放送、広島テレビジョン放送、仙台テレビジョン放送、いずれも免許拒否処分の取り消しといったようなこと、あるいはまたさらにつけ加えて他の会社に対する予備免許処分の取り消しといったようなこととあわせて申し立てておるようでありますが、時間的にどういうことになるのか見てみますと、昭和五十四年、五十五年それぞれ年一回ずつくらい聴聞が開かれて今日に至っておるようです。こういったことが大変おくれているというのは、どういう状況なんでしょうか。
  127. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 先生いま出されましたように、四十八年に不服申し立てが四件ございます。それで発起人代表はいずれも松尾昭弥氏でございます。  この四件の各異議の申し立てに係る審理についてでございますが、五十三年までは割り当て可能周波数の関係、免許手続に関するいろんな争点あるいは一本化調整のやり方等に関します争点というようなものについてそれぞれ審理を進めてきたわけでございますけれども、実は昭和五十四年になりまして異議申し立て人が交通事故に遭われた等のこともありまして、延期されて現在に至っておるわけでございます。本年に至りまして、実は先ほど申しました異議申し立て人からの申し出もございまして、同じような案件でございますので、異議申し立ての方法等を整理するというようなことで現在話し合いを続けておるという段階でございます。いわゆる審理はしばらく休んでおるといいますか、そういう形になっております。
  128. 久保等

    ○久保委員 この審議会の運営なんですが、こういう申し立てが出てくると、それに対して審議会の方に郵政大臣は諮問をする、その諮問をするに当たっては審理官を指名するということになっておるのですが、この審理官は一名ですか複数のこともあるのですか、それからどういう方がこの審理官になっておられるのですか。
  129. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 大臣がそういう案件につきまして監理審議会の方に諮問いたしますと、監理審議会の先生から審理官を御指名いただきます。これはどの案件につきましても正副、主任審理官と補佐審理官と申しますか、実は郵政省には三人の審理官が現在おられますけれども、その方々が二人ずつ案件ごとに正副として審理をいただいておる、こういう次第でございます。
  130. 久保等

    ○久保委員 先ほど時間がないから、私は特に四十八年二件と四十九年に申し立てた二件、合計四件の問題についてお尋ねしているのですが、何しろ八年程度の日数がたってなおかつ話し合いを続けておるのだと言われるのですが、やはり法律がちゃんとあるのですから、この法律にのっとって処理をしていかないと、これは一〇〇%この方針で間違いないといったような形での結論というのはなかなか出しにくいのかもしれぬけれども、しかし少なくとも、そういう異議の申し立てがあって八年たってなおかついまだに片づかないというのも、どうも処理が余りにも――一般の裁判でももう少しスピードアップできるのじゃないかと思うのです。しかもかかっておる案件がその後はしばらくなくて、五十四年になってまた五件ばかり出ておるようですけれども、いずれにしてもこの異議申し立ての審査がもう少し促進できないものだろうかという感じを受けます。  余り内部に立ち入ったことは全然私は聞いてもおりませんし、知りませんけれども、少なくともこの資料等を拝見する限りにおいては、法律にもこの手続的なことがある程度詳細に、いわば一般の訴訟法とでも言うべきような手続も決まっておるわけですから、もう少し促進できないだろうかという疑問を持つのですが、どうでしょう。
  131. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 こうした案件につきましては、先ほども申しましたように、正副の審理官が責任を持ってお進めいただくわけでございますけれども、その審理官の命によりまして、私ども郵政省郵政大臣の指定職員というようなことでその会合に出るわけでございますし、また異議申し立て人の方々の御都合もあるわけでございまして、異議申し立て人と私ども郵政省職員と申しますか、電波監理局長以下の職員と不服申し立ての審査をどうリードするかは、基本的には正副審理官の御意向でございまして、正副審理官が、私どもの意見も聞いていただきますけれども、異議申し立て人の意見も聞いた上でやっておる、実情といたしましてはそういうことになっておりまして、その審理官の采配というものによりましての時間がかかっておるということでございまして、それは私どもの方からも審理官の方にもっと促進してくれという言い方もできますし、また異議申し立て人の方も同じことが言えるという形になっておる次第でございます。
  132. 久保等

    ○久保委員 電波法の上では時と場合によっては東京高等裁判所に持ち込むということが最終的に認められておるようですが、従来から裁判所に持ち込んだような事例はありませんか。
  133. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 何件かございます。ただいま裁判所で係争中のものもございます。  それで先生先ほどの四十八年の件につきましてはいま話し合いを続けているというふうに申しましたけれども、これは同じ案件につきまして、私どもの感触としては、まとめまして近いうちに話し合いがつくと申しますか、その審理は終わることになるというふうに期待しておるわけでございます。
  134. 久保等

    ○久保委員 もちろんその審理官が出した結論といいますか、事案の決定案について電波審議会で結論を出す、それに基づいてさらに大臣が最終的というか、大臣がそれに対する決裁をするというような手続があるわけですから、単に一般の裁判所に事が係属中といったような案件と違うので、あくまでも郵政省内における審議会なりあるいはまた最終的には郵政大臣の決裁というようなことで問題が次々と決められていくのだろうと思うのですが、そういう形で時間が余りにも長くかかり過ぎるということもまことにどうも余り感心しないところですが、そういう点で促進方を要望しておきたいと私は思うのです。  同時に、電波審議会というのは非常に重要な任務を持っておって、法律上は郵政大臣に対する勧告をすることもできるということになっておるのですが、余り勧告という問題が実行せられたことはないようなお話です。資料等何かあったらと思ったら、そういったことはいままでなかったようなお話です。そこで私は時間がございませんから結論として申し上げたい点は、電波法放送法改正問題について、前々から申しておりますように非常に重要問題が山積をしておると思うのです。先ほどお話があったような比較的当面の緊急問題、しかもそれはきわめて具体的な問題についても調査研究会議といったようなところでこなしてもらうことも必要だと思うのですが、しかし、さらにその根っこになる放送法なり電波法改正問題が今日まで全く凍結状態で推移してきていることは、この委員会で機会あるごとに私のみならず同僚委員の方からも強く要請をしてまいっておるところでありますし、同時に衆議院の逓信委員会でも小委員会等を設けて放送電波改正問題についてかねがね検討を続けてまいっております。こういう点から考えてみると、電波法放送法改正そのものはずいぶん長くから懸案になっておるわけでして、例の臨時放送法調査会というものが前に設けられたのも、振り返ってみますと昭和三十七年に諮問をした、ちょうど二十年になるわけです。そして二年間かかって答申がなされ、その後改正案が出されたのが昭和四十一年、しかし国会では審議未了になったという経過を振り返ってみても、臨放調で答申を行うべく諮問されたのがいま申し上げたようにもう二十年前。しかもその問題は未解決のままずっと持ち越されてきておるわけですが、私は、この放送法調査会的なものをぜひ設けて早く検討したらどうかということを前々から申しておるのですが、一向にそういったことについての具体的な措置がとられない。  それでいま、御承知のように放送大学学園法案もいよいよ参議院の文教の方で審議がだんだんと大詰めになってまいったような情勢にありますが、あの案件も御承知のようにああいう形で出されてまいって、私ども非常に強い不満を今日も持っておるわけなんです。この問題について一体今後どういうふうに取り運ぼうとしておるのか。これはたなへ上げたままとにかく当分の間凍結状態にしておくつもりなのかどうなのか。いつもお尋ねするとその機会ごとに時の郵政大臣は、極力検討いたしておりまして早急に何らか結論を出して国会に提案いたしたい、こういう答弁もわれわれ耳にたこができるほど聞いておるのです。具体的な先ほど来の問題も処理をしていかなければなりませんが、根っこの根本的な電波放送に関する基本法ともいうべき二法の改正問題、これはぜひ早急に手をつけるべきだと私は思うのですけれども、この点についてはひとつ電波監理局長それからまた郵政大臣の方から責任ある答弁をぜひ少し伺っておきたいと思うのです。近々われわれはまた小委員会も開く予定ですけれども、これはこの委員会でもひとつぜひ何かしら、だらだらして二十年たっても相変わらず混沌としておるという情勢では済まされないと思うのですが、その点お伺いをしたいと思います。
  135. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 昭和四十一年三月に電波法及び放送法のかなり基本にわたる改正案を提出いたしましたわけですけれども審議未了、廃案となった。その後まだ提案されていないわけでございますけれども、それで、さきの改正法案の際のいろいろな関係方面の意見というものも非常に多岐にわたっておる。あるいはその後、二十年というようなことですけれども放送衛星とかあるいは多重放送等、新たに発生した分野もある。それらもまた流動的な要素が多いというようなことで、言いわけと申しますか、そういう形になるわけでございますけれども、何分にも事が表現の自由にかかわる問題であるというようなことで、私どもとしましては、省内の組織でございますけれども、毎週のように一つ一つの問題につきまして調査検討し、また各人の意見も吐いているというようなことなんでございますけれども、非常にむずかしくて、私どもの省内でも考え方によりましてなかなかまとまらないというのが実態でございますが、ともかく問題はあるということで、いままで省内でいろいろな形での検討をしばらく続けてきたわけでございますけれども先生のお話にございました臨放調的なものも入れまして改正案にこぎつけるべきではないかということでございますけれども、いま直ちにこういう案についていかがでしょうかというところまでは私どもの準備も進んでいないわけでございまして、抜本的な改正案をまとめるということになりますれば、御提案のようなたとえば臨放調に似たようなもの、そういうような機関にお諮りすることにして御意見を伺うということについては、十分傾聴いたしまして考えてまいりたいと考えておる次第でございます。
  136. 山内一郎

    山内国務大臣 いま局長から概略を述べましたけれども、ともかく放送技術といいますか、情報化の問題は、本当に日進月歩というか、行きどころがわからないくらいに毎日進歩しているという情勢でございまして、法制の面がおくれていることは確かでございます。最近の文字多重一つとりましても、どういう体系が一番いいかということを極力研究しているのでございますけれども、第三者が行うべきかどうかという点、それから放送衛星の問題も新しい問題として起こりつつある問題でもありますし、大いに早くやって成案を得たいということを言いたいのでございますけれども、非常にむずかしい問題が山積いたしておりますので、極力勉強はいたしますが、権威者の話も十分に聞きながら、また諸先生方のお知恵もかりながら間違いのないような方向に持ってまいりたいと考えておるわけでございます。
  137. 久保等

    ○久保委員 私は、前々からの懸案問題という問題があると思うのです。いま言ったように、とにかく臨放調で一応結論が出て提案までしたのですから、その当時から懸案の問題もあると思うのです。その後技術開発に伴ういろいろな新しい問題も出てきていると思うのです。だから、日々の技術革新に伴ういろいろな具体的な問題だけに目を覆われていると、それに応待するだけでもなかなか対応し切れない。忙しいとかなんとかいう点で言えばまことに目まぐるしい。電波放送のみならず、電気通信関係というのは技術発展の現状からすると大変だと思います。しかし、長い間の問題、それこそラジオテレビがまだできないころにつくった電波法であり放送法であるだけに、現状に全く合わない状態になってきておるわけです。そこへもってきて先般のようにああいう国営放送ともいうべき放送大学学園というのがぽつんと出てくる、従来の臨放調でも予想もしなかったようなことがぼんと出てくるということでは、総体的にながめたときにきわめて不均衡というか、そのときそのときの情勢に振り回されたようなかっこうで放送法そのものがこぶをつくったりなんかするような形での改正がなされるようなかっこうになって不体裁な形にもなっておると思うのです。  いろいろ問題があることはわかりますけれども、それからいま局長が言われるように省内だけでもいろいろ議論がある。議論があって当然だと私は思うのです。大いに自由な議論を闘わせてもらうことは結構ですが、いろいろ議論をしたけれども、結局整理がつかぬというような点については、単なる省内で議論するのじゃなくて、むしろこういう意見、こういう意見があるのだが一体どちらがいいのだろうかというような形で、さらに国会の場でも議論をするというふうにして、論点を整理してもらった形でそれぞれの機関にかけて議論もするというふうにしていきませんと、いや大変なんだ大変なんだ、内部では検討しているのです、検討しているのですと何年言っても、何十年やっても結論は出ないと私は思うのです。だから、そういうふうに焦点を整理してもらって、しかし最終的にはまだ結論を出すところにはいっていないけれども、そういう未成熟でもいいから、論点を整理した形である程度オープンの場で議論をするというふうに作業を進めてもらわないと問題は片づかないと思うのです。  放送大学法案の問題にしても、私、当時から臨放調でも設けろと言ったのですが、あの話だってもういまから二年くらい前になりますね。おととしあたりの話なのですよ。ところが、いまさらそんなものを設けてみたってというようなお話だったのだけれども、いまから考えると二年間――私は普通、調査会に諮問して二年間あればどんなむずかしい問題でも大体結論的なものが答申されると思うのです。一日延ばしに延ばして、結局何のことはない約二十年間。しかもあの二十年前の情勢を言えば、さらにさかのぼって十年もあるいは十数年も前から放送法電波法改正をしなければならぬという議論があって、とにかく昭和三十七年に諮問をするという段階になったのです。そういうことを考えると、とにかく踏ん切りをつけることが必要だと思うのです。  そういう点で大臣大臣も二年、三年と腰を落ちつけてやってもらえるといいのですが、なかなかそうもいかない事情もあるようですが、とにかく電波監理局長のところで議論があるなら議論があることを少し整理してもらって、それで電波放送に関する小委員会なら小委員会のわれわれのところにも提示してもらって、何も結論が出ないことが恥ずかしいわけでもないし、また怠慢であるわけでもないわけでして、問題が非常にむずかしいがゆえに議論が分かれることは当然だと思うのです。そういったことをお互いに議論しながら整理をしていってだんだん集約をしていくという形で、問題の処理を図るように取り組んでもらいたいと思うのです。いかがでしょう、大臣の方から簡単にひとつ……。
  138. 山内一郎

    山内国務大臣 いまこうやったらどうかという具体的な御提案がございまして、私も本当にそのとおりだと思うわけでございます。したがって、省内でも十分に議論を闘わせている最中でございますけれども、結論が出ないまま出す問題、一応は結論が出た問題と区分をしながら小委員会に提示をさせていただいて御検討をしていただきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  139. 久保等

    ○久保委員 それじゃ、改正法の中身について一、二お尋ねしたいと思うのです。  先ほども同僚委員の方から御質問があった問題なのですが、例の無線設備についての技術基準適合証明を行う機関として指定証明機関というものを今度つくることになるようでありますが、これはどういう構想で、具体的には役員なりその他の構成がどういうことになっていくのか、それからこれをつくるとした場合に、先ほどの局長のお話を聞いておって、複数機関をつくるのほかえってまずいというようなお話だったと思うのですが、単一のものかどうか。もしそうだとすれば、全国的に考えると中央に一カ所だけ設けておるという程度ではなかなか需要にこたえ切れないので、何らかの地方機関的なものも設けなければならぬ。その構想を御説明願いたいと思うのです。
  140. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 指定証明機関はどんなものを考えておるかということでございますけれども、最近移動する無線局あるいは携帯局と称するようなものが非常にふえてきた。これを申請者の便宜を考え、また手数も省いていかに処理していくか。しかも電波の規律を守っていく。そういう形の考え方でございまして、先ほども説明申し上げましたけれども、三機種についてただいまのところ考えておるわけで、その件数は七千か九千ぐらいにことしあたりでなろうか、九千件くらいの無線設備を証明していただこうと考えておるわけでございます。これはそういう指定を希望する法人に申請していただきまして、果たしてスタッフなり設備なり能力なりがそれにたえ得るかどうか、郵政大臣にかわって行ってもらいますので、公正な判断ができるかというようなことが審査基準になるわけでございますけれども、ただいまのところはそうしたものにつきましては無線設備検査検定協会というのが実はあるわけでございますけれども、ここがすでに同じような型式検定等の作業もやっているわけでございますけれども、こうしたところなども一つの候補になろうかというふうに考えております。それで、ことしでマキシムに見積もりましても九千程度の無線設備というようなことでございますので、このものを二つ、三つのところでやるというようなことになりますと、手数料等の関係、あるいはもともと公益法人でございますから利益を上げるわけではございませんけれども、そういう趣旨のものになるわけですけれども一つ程度で、将来そうしたものが非常にふえてまいるということになりまして、そういう機関の能力からオーバーするというようなことになればまた別かと思いますけれども、現在のところはそんなところでございます。  それから、二番目に御指摘の、東京になろうかと思いますけれども東京だけでやるのなら不公平じゃないか、公正な証明を希望するものについて不便を与えないかということでございますが、ただいま考えております自動車無線電話、あるいはスピードメーターのもの、あるいは携帯移動局というようなものについてはほとんどがメーカーは東京に集中しております。それで、一、二の大阪のメーカーも考えられるというようなことで、大阪には支所の一つぐらいは必要になるかもしれないというようなことでございます。それから、場合によっては東京大阪というようなことじゃなくて、別の地区でそういうかなりの量の設備の証明を希望するというようなことになりますれば、この機関の職員あるいは証明員が出張いたしましてそのサービスをするというようなことも必要になろうかと思います。そういうようなことで、一カ所だけによりまして不便をかけるということがないように指導してまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  141. 久保等

    ○久保委員 その指定証明機関を設立するに当たっては、希望者が申請をする、申し出る、その辺について役員その他財政的な基盤が十分であるかないかとか、いろいろ基準が一応設けられておるのですが、その基準に照らして単に審査をして許可を与えるという形なのか、それともある特定のものをつくり上げるということについて、郵政省そのものが公益法人なるがゆえにその設立についてあっせんをする、そういったような指導をするという形で設立をしていくのか、どういうことになるのでしょうか。もし前者の場合だとすると、これは大ぜい希望者がいる、しかしいまお話があったように、そんなにたくさん、特に先ほどお話があったような程度の案件を処理してまいるということになれば、そう二つも三つもあったのではかえっていろいろ弊害が出てくるというおそれがある。そこで、一つにしなければならぬということになると競願みたいな形になるものですから、そのうちのどちらか一つにしぼらなければならぬというような問題が出てくるのか。そういった問題はどうでしょう。
  142. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 技術基準証明関係の機関のお話だというふうに思いますけれども、この指定機関にお願いしてみたいと考えております業務というものは、もともと収益事業ではないわけでございます。郵政大臣にかわってそういう業務を行うというようなことで、もともと営利の対象にはならないというふうに考えておるわけでございます。  それで、そういうようなことを希望する公益法人が申請してまいりますと、その申請する機関の職員なり持っておる設備、あるいはそうした希望する機関の適合証明業務をどういうふうにやりたいという実施の方法、あるいは財政的な基礎があるかどうか、そういうようなことを審査した上で、多分ないと思いますけれども、もしも二つ競合するというようなことになりますれば、いま申し上げましたような各項目に適合する度合いというものから見て、指定機関としてより適合度のあるものを指定するというようなことになるわけで、法のたてまえもそういうかっこうにはなっておりますけれども、ともかく無線設備検査検定協会というようなものはすでにございまして、これは型式検定でございますから今度導入しようとする技術基準適合証明制度をやるというかっこうでできているものではございませんけれども、そこらあたりが希望してくれればかなり適合度は高いといろふうには実は考えておる次第でございます。
  143. 久保等

    ○久保委員 公益法人ですから利益を上げることが目的ではないという仕組みになるのでしょうが、その運営費なりその法人の運営上の経費というものは、結局収入としては手数料だけしか期待できないような性格のものですか、どういうことになりますか。その財政的な基盤の問題を一応これを認定する場合に一つの要素にしていますけれども、財政的基盤というのは一体どういうことを指しているのでしょうか。
  144. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 御指摘のとおり、手数料だけでございます。人件費なり物件費というものを考えました上での適正な価格を手数料にいたしまして、能率的に機械化を導入する等の手段によってやってもらいたいというふうに考えておる次第でございます。そういうところから御提案申し上げている中に、国がやる場合と同じでございますけれども、一万六千円というような上限額を決めておる次第でございます。
  145. 久保等

    ○久保委員 では最後に一つお尋ねしますが、例の不法無線の問題が午前中もちょっと同僚委員の方からお尋ねがありましたが、このちょうだいしている資料を拝見しますと、昭和五十三年度と五十四年度を比較して五十四年度が大変な、これは市民ラジオですが、監視の結果によって捕捉せられたいわゆる不法無線局ですが、これはどういう理由でこんなに多くなっているのか。要するに監視を非常に強化した結果こういう数字が出たのか、それとも監視体制は同じだったのだけれども結果的に五十三年度に比べると五十四年度は非常に顕著なふえ方をしたということなのでしょうか。五十一年、五十二年、五十三年の傾向はだんだんふえてはいますが、そう目立ったもの――目立ったというかそう大きな差はないと思うのですが、五十四年度になると五十二年度に比べてばかに大変な数にふえているのですが、その理由は何なのでしょうか。
  146. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 この問題につきましては、私どもかねがね努力しているわけでございまして、販処規制法案というような角度からの取り締まりというようなこともできないかというようなことも先生御高承だと思いますけれども、いろいろな角度から放置するわけにはまいらないという状況になってきたわけでございます。そういうことで、五十二年度あたりに特にアメリカへの輸出向けの機器というものが、アメリカ側の法制が変わったというようなことで舞い戻ってきまして、日本の市場にはんらんしたものがふえてきたというのが一つあろうかと思います。これは放置するわけにはいかぬということで一段と取り締まりを強化した、それから監視車等もふやしたというようないろいろな要素がございまして、それがまた、何とかしなければいかぬという形で開設だけで捕捉したい、電波規制の中に入れたいというような法案にもなってきた。やはり時の勢いと申しますか、どうしてもあらゆる面から努力しないといけない、放置できないという形になってきた。それが五十四年度の捕捉数あるいは告発数というような形であらわれてきたもの、こういうふうに理解しております。
  147. 久保等

    ○久保委員 それでは最後に要望申し上げておきたいと思うのですが、今度法改正によって無線の施設をしただけの状態で違法だということになれば、それぞれこれに対して処分をしていくということになったことは一歩前進だと私は思うのですが、同時に無線設備の販売段階で何らかの形でやはりそういった方面の自粛、反省を大いに求めなければならぬと思うのです。そういう点ではこれは今度の法の規制の対象にはなっておらないわけなんですけれども、製造販売というその段階に対して強い指導郵政省としてするべきじゃないかと私は思うのですが、そういうことについてはどういうふうに考えていますか。私は、とにかく設置をして運用しようとするのもけしからぬけれども、しかしそういった施設をどんどん製造して販売する、これもけしからぬ話だと思うのですが、そこらに対しては少し厳しく指導をしてもらいたいと思うのだけれども、どういう考え方でおられますか。
  148. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 先生おっしゃいますとおりでございまして、もともと売っているじゃないかというようなことで、そこらに基本的な問題があるというようなことで、先ほどもちょっと申しましたけれども、何とか販売規制法案というものに結びつかないか、あるいはそういう向きの検討も進めたわけでございますけれども、いずれにいたしましても、最も効果的には市場に回らないというようなことでございますが、法的な角度についてはただいま御提案申し上げておりますような開設の段階で捕捉する、こういうようなことでございますけれども、従来にも増して今後とも通産省あるいはその他の関係団体とも御相談あるいは御協力を得ながら、開設による法の規制、それから販売の面の指導、協力というようなかっこうで両面から成果を上げてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  149. 久保等

    ○久保委員 終わります。
  150. 佐藤守良

    佐藤委員長 久保等君の質疑は終わりました。  木下敬之助君。
  151. 木下敬之助

    ○木下委員 時間の都合もありまして、ちょっと関連の質問を先にやらせていただきたいと思います。  文字多重放送についてお聞きいたします。  先ほどの久保先生のお話にも出てきましたし、私は、三月十九日の委員会鳥居先生の質問とその答弁の議事録を読むと誤解を招くおそれのある紛らわしい表現がありましたので、確認させていただきたいと思います。  その一つは、先ほどの久保先生とのやりとりにも出てまいりました第三者利用という点です。この第三者という言葉が少し紛らわしいのですが、第一者を何で第二者を何でとらえたときの第三者なんでしょうか。
  152. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 第一者と申しますか、第二者がないわけでございますけれども、第一者は放送と申しますか、これはテレビに多重するわけでございますので、本来テレビ免許を受けましてテレビの絵と音を出しておる、これが施設そのものを持っておる、そして現に放送事業を行っておるというかっこうでございまして、第三者利用と申しますのは、この現に免許を受け、設備を持って放送事業を行っておる方以外の方ということでございます。たとえばAというテレビ会社が送っておる、第三者というのはそれ以外の方、施設なりを持ってない方、そういう意味でございます。
  153. 木下敬之助

    ○木下委員 私もそう解釈しておるのですが、鳥居先生は、「新聞社か民放があるいは第三者機関か、」こういう質問をされておるわけですね。その流れがずっとございますので、もしそういった感覚で、第三者というのは民放でも新聞でもないというふうにとらえておられるのだったら大変大きな問題でございますので確認させていただきたいのです。そういうことでようございますね。放送の主体以外で、第三者の中には新聞も入っているという見方でよろしゅうございますか。
  154. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 そのとおりと私も解釈いたしております。
  155. 木下敬之助

    ○木下委員 先ほど大臣も第三者と申されましたが、大臣の第三者の解釈もそういうことでよろしゅうございますか。
  156. 山内一郎

    山内国務大臣 いまある放送局放送している、その中で認める場合に、その放送局以外という意味と解釈をしております。
  157. 木下敬之助

    ○木下委員 それがわかればもういいわけですけれども、もう一点、鳥居先生の質問に田中政府委員がお答えになっているのに、「新聞に独立的な利用、そういう意向が強いとかいうようなことは否定申し上げたい」こういうふうな答弁がございまして、意向が強いということを否定しているというのは私どもわかるわけですが、その辺を少しあいまいにすると新聞を否定するというふうにちょっととれるので、一部の報道には新聞を否定したととられた報道も私、ちょっと目にしておりますので、この点も重ねて確認をさせていただきたいと思います。
  158. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 私、そういうことを申したように、議事録がどうなっておりますでしょうか、新聞社の方々で非常にこのテレビの文字多重の利用について関心をお持ちだというのが私の理解でございますけれども、それにつきましていいとか悪いとかどうだとかいうふうには私はまだ申す段階にもございませんし、そういうのにもしなっておりましたら、誤報といいますか、誤りとられたというふうに思います。
  159. 木下敬之助

    ○木下委員 私もそう解釈しておりますので、確認させていただいたまででございます。  いま一つ新聞との関係で私の方からお話し申し上げたいことは、新聞が民放各社と系列が進んだりしている、それは全国紙のことなんですね。新聞の業界と話し合っておるという言葉も前に出てまいりましたけれども新聞にも全国紙と地方紙というのがあって、地方紙は地方紙なりに大きな役割りを果たしていて、これがこの文字放送等の問題について必ずしも利害が一致しない、新聞一つの目でながめた場合には誤解を招く点があるのではないかと思われますので、この点、地方紙の存在というものと、また、そことの話し合いとをどういうふうに考えておられるか聞かせていただきたいと思います。
  160. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 文字多重放送につきましての技術基準電波技術審議会からお答えいただいたというようなことで、これにつきまして私ども、関係の方、周辺の方あるいは御関心のある方、そういうところから、どういうお考えだろうかというようなことで、放送事業者あるいは庁本新聞協会等、やはり御意見をいただけるのはそういうところだろうというようなことでございまして、私ども中央紙と地方紙、そういうような区別も全然しておりません。御意見のある方からはどんな御意見でもいただきたい、そうして方向を誤らないようにしたいというのが私どもの気持ちでございます。
  161. 木下敬之助

    ○木下委員 区別していないというのは大変いいことなんですが、区別していないというのが、新聞協会で出てきた意見が新聞業界全部を代表している一つの意見だととられると誤解が出てくるのじゃないか、こういうふうに考えておりますので、どうかひとつ、新聞といっても協会を通じての意見だけでは完全じゃない、この問題に関しては大きく分けて二通りの意見があるというふうな目を持っていただきたい。区別するとか差別じゃなくて、そういうふうな考えでやっていただきたいということを申し上げたいと思います。  いま一つ、文字放送につきましてはマスメディアの集中排除という見方が言われるわけですけれども新聞の方からながめてみましたら、文字放送というのは文字を使っているんだ、放送で音声だけでなくて文字を使っているという意味と、将来に向けて、これが家庭においてハードコピー等で紙面にとることができたような場合には、これは電波新聞とも言えるんじゃないか。また、新聞が将来そういう形で新聞業界の発展というか、家庭にこういった機械を通じて、電波を通じて紙面を届けるような状況が起こったようなときには、これは新聞の未来と言えるんじゃないか。新聞の未来の芽がここに出てきて、それが重なることは、マスメディアの集中というより、逆に新聞が将来あるべきというか、なっていく姿が先に出てきたものだという見方をすることができるんじゃないか、こういうふうな考えを持っておるのですが、どうお考えになられますか。
  162. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 ハードコピーがとれるようになると、新聞電波を通して届けられるということになるのではないかというお話でございますけれども文字多重放送は、文字あるいは図形をブラウン管上に表示するわけでございますけれども、受信者側で特別な装置と申しますか、アダプターといいますか、ハードコピーをつくるものはとれるというふうに考えております。したがいまして活字メディアになる情報の提供ができる、こういう意味においては新聞と同じ形態になるものでございます。  しかしながら、文字多重放送というのはやはり多重でございまして、情報量は多くないわけでございます。非常にすき間と申しますか、ごく短期間を合間に利用するというようなことでございますので、たとえば新聞にはいろいろな写真が載りますけれども、写真の電送はまず困難だというふうに思うわけでございますから、現在の新聞の代替機能をこの文字多重でやれるだろうということにはならないんじゃないか、情報量の点において。  そういうようなことから、いずれにしましても、文字多重放送の実施主体をどうするかというその検討でございますけれども、いま先生が申されましたマスメディアの集中排除の問題というような点についても十分配慮する必要がある、いまのところ、どちらの御意見が強いか、どういうことになるのか、私どもも勉強中である、こういうことになるわけでございます。     〔委員長退席、堀之内委員長代理着席〕
  163. 木下敬之助

    ○木下委員 マスメディアの集中になるのか。それとも集中じゃなくて同じものだという見方ができるのかという点を私はいま問題を提起したつもりでございます。  情報の量が余り多くないということでしたが、ここで仮に少量でも電波新聞的なものが芽生えた場合に、この次に大量のものを送れるものが出てきたときに、それが一体新聞の分野なのか、それとも今回の文字多重の発展的な姿なのかというのが先で誤解を招くことがあると思いますので、情報が少ないから新聞の未来の姿ではないという結論をここで出されても、その先で多量のものが出てきたときに非常に大きな問題が起こると思いますので、この機会にその点も問題提起をしておきたいと考えます。  具体的な経営形態というか、どういう形で収入を図るのか。たとえばテレビ等と同じようにCMを入れるのか、それとも受信契約みたいな形でするのかとか、いろいろな問題がうわさされているわけですが、こんな形でしたいとかいう具体的な要望みたいなものがどこからか出ておるのでしょうか。
  164. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 ただいま文字多重放送をどのように利用するのか、あるいはその場合の実施主体をだれにするのか、その経営の見通しはどうか等につきましては、先ほども申し上げたかと思いますけれども、目下関係各方面の意見も聞きながら鋭意検討を進めておるというところでございますが、現在のところまだ申し上げられるようなことは何も、当然結論も得られてないわけでございます。  それから免許等について、文字多重放送を申請したい、あるいは許可してもらいたいという具体的な申請なり要望というものは聞いておりません。ただ聾唖者連盟でございますけれども、これは利用する側でございますけれども、聾唖者連盟の方からは字幕放送というもの、これは独立利用というか第三者利用じゃなくて、補完に近い形になろうかと思いますけれども、そうした方々からは早期に実施してほしい、これは字幕をつけてほしい、こういうことでございます。そういう要望は出ていますが、文字多重放送自体の独立的利用、第三者利用じゃございませんが第三者利用も含めての独立的利用、そういうものについての具体的な提案等々は聞いておりません。
  165. 木下敬之助

    ○木下委員 いろいろとありがとうございました。またその具体的な要望等が出ましたら、出たというか、そちらに出てくるようになりましたら、また教えていただきたいと思います。  それでは、本日の議題となっております電波法改正の中で、外国人に対しても相互主義に基づいてアマチュア無線局免許が与えられるようになるということは、国際的な常識として広がっていく中で、日本もそのグループに入るということで、大変望ましいことと思います。  ちょっと細かいことを二、三点質問させていただきたいと思います。外国人の開設に必要な無線従事者資格というのはどういうふうになっておりますか。
  166. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 外国人がこの法案が通りまして実施するという場合に、外国の方が日本でアマチュアを運用したい、こういうふうな場合でございますけれども法案にもございますように、日本人が相手の国へ行かれた場合に免許をいただけるかというようなことが基本になるわけでございますけれども、従事者資格につきましては、その方が自分の国においてアマチュア無線資格というものをお持ちになっておれば、特別なことは、日本での資格は必要ない、それで十分であるというふうに考えておる次第でございます。
  167. 木下敬之助

    ○木下委員 その国によってそれぞれが国家試験をしているかどうかわかりませんけれども、日本で日本の試験を受けて取りたいというような外国人の方は、日本で試験を受けて取れるわけですか。
  168. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 取れることになっております。
  169. 木下敬之助

    ○木下委員 それから先ほどの答弁の中では、その国での資格があればという感じだったですけれども、その国以外の国で、たとえばいま外国人が日本で取ったというような場合、その人はまだその人の母国以外のところでも大体使えるような国際的な問題なのでしょうか。
  170. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 それはちょっと国によりましていろいろ事情が変わってくるのじゃないかというふうに思っております。
  171. 木下敬之助

    ○木下委員 日本人の場合も外国で免許がどこか取れるような国があるのか、またそこで取れたら日本の国内では試験を受けなくてもこの資格が持てるようになるのか、その点も教えていただきたい。
  172. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 二つ御質問があったかと思いますけれども、日本人が外国で従事者資格を取れる国というのはどんなところがあるかということが一つあったと思いますけれども、これまでに調査いたしましたところでは、アメリカでは日本人は各級のどんなクラスの無線従事者の資格でも得られるそうでございます。またドイツ民主共和国、東ドイツにおきましては、一年以上滞在した者にはアマチュア無線従事者の資格が得られるというふうなことがわかっております。それ以外のことについては不明でございます。  二番目の御質問ですが、日本人が外国において何らかの無線の資格をお持ちになって日本に帰った場合に、それが国内で有効であるかということについては、自動車免許とちょっと違いまして、その点については改めて郵政大臣の資格試験なり電波法に従った形で勉強していただく、こういうことになろうかと思います。
  173. 木下敬之助

    ○木下委員 外人が日本でする場合はそこの国の免許でよくて、その国の免許を持っておる日本人が日本でその免許ではできなくて、受け直さなければいけないということは、私は大変矛盾に感ずるのですが、その点どうでしょうか、こんなものでございましょうか。
  174. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 日本人の場合、特別不公平というふうにもとれるわけでございますけれども、日本人の場合、アマチュアの試験を受けるということにつきましては、これは言葉の問題もありまして、その程度のものは必要であるというふうに考えておるわけですが、外国人が日本へ来てアマチュアについてその本国の資格を持っておればなぜいいのか。これは、アマチュアというものは使います。波数帯そのものも国際的にも一致しておる、国などによりまして違っておりませんし、それから特に外国、遠いところと交信する場合は、最近は別でございますけれども、昔はトンツーであるというようなことで言葉の問題も余りない、こういうようなことから、逆に申しますと、いまそれじゃ一緒に合わせるということで、外国人が日本でアマチュアをやるときに資格をお取りなさい、それは日本語でやる資格だ、こういうことになりましては、せっかく今度のように相互主義で開放いたしましても、その法の精神と申しますか、アマチュアに限っては個人の趣味でやるわけでございますから、せっかくとびらを開いたけれども、開いたことにならない。やはりほとんど日本語で覚えてその日本の郵政大臣免許を取る、従事者資格を取るということでは、半分閉ざしてしまったというようなことになるのじゃなかろうか。それとアマチュアの業務の内容というものを考えたときに、日本ではお取りいただかなくても本国でお取りいただいておれば十分であろう。特に無線局の扱いについての知識でございますので、これを変なふうに知識不足で運用されると混信を起こしたりするということなんで、その辺については、日本語の知識のほかに無線設備の知識もお持ちだ、無線通信というものについての良識を持っておられる、そういうふうに判断して道を開きたい、こういう次第でございます。
  175. 木下敬之助

    ○木下委員 もう時間が来ましたので質疑を終わりますけれども、いまの点は矛盾があるというふうに私は考えておりますので、これは時期が来れば訂正される方がよかろうかと思います。どうもありがとうございました。
  176. 堀之内久男

    ○堀之内委員長代理 藤原ひろ子君。
  177. 藤原ひろ子

    藤原委員 先日来各委員会におきまして取り上げられておりますように、四月の九日、午前十時三十分ごろ、日本の船籍日昇丸という貨物船が米海軍の原子力潜水艦ジョージ・ワシントン号によって沈没させられた、こういう事件が起きたわけでございます。  この日昇丸には乗組員十五名が乗っており、そのうち十三名は十日の早朝海上自衛隊の護衛艦「あきぐも」によって救助され、残りの二名が行方不明となり、不幸にも死体で発見された、こういう重大な事件でございます。  日昇丸の二級無線士の資格を持つ熊谷通信長の証言によりますと、米原潜ジョージ。ワシントン号の衝突時、つまり十時三十分ごろ、通信員が執務していた、そのときに左舷の機関室にショックがあった、そして船内の照明が切れてしまった。非常用の電源を入れ、受信送信、それから受信機を作動する状態で船長の命令を待っていた。その後十時三十七分ごろ、船長が命令を出して電信に切りかえて、三回引き続きDEJMTI、北緯の「ホ」でやめてボートに乗り移った、こういうことでございます。ところが、海上保安庁の海岸局でも一般海岸局でも、この遭難の通信を傍受されていなかったというふうに聞いているわけです。  そこで、最初に郵政省にお尋ねをするわけでございますが、遭難通信、緊急通信、非常通信、こういうものは何のために、どのような方法で行われるのか、またそれを受けた無線局というのはどのように対応しなければならないことになっているのでしょうか、お尋ねをいたします。
  178. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 まず、最も緊急度の高い遭難通信について御説明申し上げたいと思いますけれども、遭難通信というのは最高度のものでございまして、人命の安全にかかわる最重要の通信であるということで、電波法は、遭難通信を受信した海岸局、船舶局等に対しまして、最優先かつ即座の応答義務あるいは遭難している船舶または航空機を救助するため最も便宜な位置にあります無線局に対して通報する等、救助の通信に関して最善の措置をとるべきであるということを決めてございます。それから、遭難通信等に用いられる周波数による聴守義務というようなものも設けております。そうした角度からあらゆる手段を通じて遭難通信の円滑な即応を図ろうという趣旨のものでございます。  また、海岸局、船舶局等におきまして無線通信に従事する者が、いま申しました遭難通信の取り扱いをしなかった、あるいはその遭難通信の取り次ぎを遅延させたということになりますと、一年以上の有期懲役刑が科せられる、このような形になっております。  なお、遭難通信の通信方法と先生いまおっしゃいましたけれども、そういう通信のやり方と遭難通信の取り扱いにつきましては、無線局の運用規則というもので詳細な規定を設けておるわけでございます。  重要度でございますが、遭難通信、緊急通信、安全通信、そういうような順序になっておりますけれども、遭難通信というものは最高級に扱われなければならない、こういう規定になっております。
  179. 藤原ひろ子

    藤原委員 それでは防衛庁にお尋ねをしたいと思いますが、日昇丸の通信長は遭難通信を送った、一方海上保安庁の海上局ではその通信について傍受していないということであるわけですね。  今回の事件に関連しまして、ある軍事評論家がこう言っておられます。今回の事故は、米原潜がよほどの油断が、急浮上しなければならない理由があったのだろう、P3Cが上空を飛んでいたというから、上空との送発信、ポラリス発射訓練をしながら高速度で航行中だったとも考えられる、こう述べておられます。そして推測として、日昇丸がSOSを打電する間もなく瞬時に沈没するほどの衝撃を受けたのはそのためかもしれないとも述べておられるわけです。しかし、米国の政府及び日本政府事件の全容を明らかにしていない現在、これらの点につきましては一切不明のままであるわけです。この事件につきまして、日本政府みずから米政府に問い合わせ、その真相を徹底的に究明することがいま強く求められているわけです。  当時の事実関係につきまして防衛庁に具体的にお聞きをしたいと思うわけですが、遭難しました乗組員を発見した海上自衛艦が、海上に遭難者がいるということを知ったのはどのような状況のもとで、どの船がいつ発見したんでしょうか。時間はいつなのでしょうか。お答えいただきたいと思います。
  180. 萩次郎

    ○萩説明員 遭難されました十三名の方を発見いたしまして救助しましたのは、海上自衛隊の第二十二護衛隊の「あおくも」「あきぐも」の両護衛艦でございます。  この二隻でペアを組みまして第二十二護衛隊と呼ばれているわけでございますが、この二隻は奄美大島の古仁屋港で広報活動、PRをしておったわけですが、それが終わりまして四月九日の午前九時に、佐世保に訓練をしながら帰るということで出港したわけでございます。  それで北上してまいりまして、四月十日の午前四時二十五分、「あきぐも」の当直士官及び見張り員が、左舷の約十五度、四マイルから六マイル先にオレンジ色の信号灯が上がっている、これは救難信号でございますが、これを確認しまして、「あおくも」「あきぐも」は直ちにその方向に変針をしたということでございます。そうしまして、それからおよそ二十分後に救命いかだがロープで連結されて流れている、その中に人影があるということで、直ちに作業を開始したわけでございます。それで救助をした結果、その救助をされた人から話を聞きますと、日昇丸の乗組員であり、どうも潜水艦らしきものにぶち当てられたようだということを聞きまして、初めて事態がわかったということでございます。
  181. 藤原ひろ子

    藤原委員 それでは、発見した後どのようなことをされたのでしょうか。また、海上保安庁のどこに、いつ、どういう内容で知らされたのでしょうか。十三名の救助は、海上保安庁の説明によりますと、五時八分に終了したというふうに聞いておりますが、それに間違いないのでしょうか。
  182. 萩次郎

    ○萩説明員 ただいまお話がありましたように、生存者十三名を「あきぐも」に収容して、救命いかだも揚げ終わったというのが、お話がございましたとおり五時八分でございます。海上保安庁との関係につきましては、その前の五時四分に第二十二護衛隊司令、この二艦の最高指揮官でございますが、この護衛隊司令から無線で佐世保海上保安部に、漂流者発見、救助作業を実施中との第一報を送ってございます。     〔堀之内委員長代理退席、委員長着席〕 その後海上保安庁より巡視船が出動されまして、十二時四十五分に巡視船「かみしま」に生存者を引き渡したという経緯でございます。
  183. 藤原ひろ子

    藤原委員 発見をしたのが午前四時二十五分と先ほどおっしゃったわけですが、保安庁への通報が午前五時四分。そうすると約四十分もかかっているわけですね。これは一体なぜでしょうか。また、保安庁の説明によりますと、第一報の内容は、北緯三十一度二十八分、東経百二十九度二十分、漂流中のゴムボートを発見、船名は日昇丸、船籍は愛媛県、十三名乗っているゴムボートを救助中ということでございますが、これに間違いはないでしょうか。
  184. 萩次郎

    ○萩説明員 先ほども申し上げましたように、四時二十五分に左十五度前方大体四マイルないし六マイルに信号灯を見つけたということで、それから現場に向かったわけでございます。それで、船二隻で信号灯が見つかってからすぐ引き揚げられるというわけではございませんで、波風ございますから、そういうことで、二十五分に発見してから救助を開始しましたのが四十二分ということで十七分後ということでございます。それで五時四分に海上保安部にその旨を通知、で、五時八分に生存者の収容を完了したということでございます。
  185. 藤原ひろ子

    藤原委員 いままでの説明を整理してみますと、まず第一に、護衛艦は信号弾を見て現場に急行した。それは海上で緊急事態が起きているということであるわけですね。それを知って現場に向かった。二つ目には、救助作業の開始が午前四時四十二分だ。三つ目には、そして救助が終了する直前の午前五時四分に保安庁に初めて通報した。そのときに、船籍は愛媛県、船名は日昇丸、人数は十二名、こういうことまで通報しているけれども、行方不明者二名いるということは言っておられないわけですね。船籍、船名までわかったのに、行方不明がいるということがその時点でわからなかった、こういうことになると思うわけですね。この点ですが、防衛庁はこのような大事なことが、重大な問題がなぜ通報できないのか。全員の救助が終わるまでこの行方不明者が二名いるということがわからなかったのでしょうか。いかがでしょう。
  186. 萩次郎

    ○萩説明員 十三名を直ちに救助活動をしまして、先ほど申しましたような時点で救助活動がまず終わりまして、十三名から事情を聞きましたところ、まだ二名残っているということで、残る二名の捜査をその時点で直ちに開始したということでございます。
  187. 藤原ひろ子

    藤原委員 いまの御答弁では国民は納得するものではない。特にこの新聞には、遺体になられた御主人に対して、本当に新聞記事を読んでも胸が痛むというふうな状況が出ているわけですけれども、発見したのが午前四時二十五分、海上保安庁に第一報を入れたのが午前五時四分、救助し終わったのが午前五時八分という借間であるわけですから、発見してから第一報を入れるまでの時間、実に四十分かかっているわけです。そういう答弁では私は納得がいかおいわけですけれども、わが党の質問者が他の委員会で待っておりますので、防衛庁はこれでお帰りいただいて、次に海上保安庁の方にお尋ねをしたいと思います。  海上自衛隊の護衛艦「あきぐも」からの通報というのは、電波法の第五十二条で言うところの遭難、緊急、安全、非常その他の通信に分類するという通信に属するのでしょうか。いかがでしょう。
  188. 藤原康夫

    藤原説明員 どれに該当するかといいますと、目的外通信ということになります。
  189. 藤原ひろ子

    藤原委員 それでは海上保安庁は、船籍愛媛県、それから船名は日昇丸、十三名救助という第一報を聞かれてどのようお措置、つまり対策ですね、これをとられたのでしょうか。第一報を聞いた後ほどのような具体的な行動をとられたのでしょうか。さらには、第二報は何時に聞いて、聞いた後は何をされたのか。その点御説明いただきたいと思います。
  190. 藤原康夫

    藤原説明員 先ほどから出ておりますように、午前五時四分に護衛艦の「あおくも」から佐世保海上保安部に第一報が入ったわけですけれども、これはまだ救助中ということでございましたので、当庁といたしましては遭難に関するいろいろな情報の収集をしておったところでございます。第二報が入りましたときに二名行方不明ということが判明いたしましたので、海上保安庁といたしましては直ちに巡視船「さつま」それから「かみしま」を出動させるとともに、航空機二機を出動させまして、捜索等を開始いたしております。その後は、御案内かと思いますが、六時二十五分から第十管区の海上保安本部の通信所におきまして、無線電信あるいは無線電話で一般航行船舶に対しまして二名の方の行方不明に留意していただくようにというような緊急放送をしております。それ以後につきましては、遭難の方を自衛艦から引き継いで串木野まで運ぶとか、あるいは漂流物の発見をいたしますとか、油の発見をいたしましたとか、そういったことがございました。
  191. 藤原ひろ子

    藤原委員 いまおっしゃいましたように、第一報で救助中の通報があった。つまりそれは、船籍は愛媛県、それから船名は日昇丸、十三名が救助、こう言ってきた内容であるわけですね。海難救助を使命とする保安庁ですから、ここには当然日本の船舶のことに関する書類というのはきちんと備えつけられているはずですね。つまり日本船舶明細書、これを見れば、これに該当する船が何隻かあるわけです。一番大きい船だと考えれば、乗組員が十三名というはずがないわけですね。もっと多いはずなんです。ここにも「職員」「九」「部」と書いて「十三」「日昇丸」と書かれているわけですが、そうすれば、護衛艦が行方不明者がいると言ってこなくても、保安庁としては、これは行方不明者がいるぞ、こういうふうに思われても当然だと思うのですね。備えつけてあるこれを見ただけでも、私たちでもすぐわかるわけですね。そうしましたら、通報はないけれども行方不明者がいるんだ、大変だということで付近を航行中の船舶に対して直ちに、一分一秒を争って通報しなければならない、こういうふうに思うのですが、この通報が相当おくれております。これはなぜでしょうか。
  192. 藤原康夫

    藤原説明員 私どもといたしましては、確実な情報をつかまないと、ちょっと緊急放送などがしにくいことがございまして、鋭意内容を、情報を懸命につかんでおったということでございます。
  193. 藤原ひろ子

    藤原委員 人命にかかわることですからね、確実なことで、もう死んでしまった、浮いているかもしれないというようなことを通報したって何もならないわけですからね。ひょっとしたら行方不明者がいるから、極力みんなで応援をして人命を救助するために協力してくれ、こういうことを通報されてあたりまえなのに、確かに行方不明なのかどうかというようなことまでしっかりと確かめなければそういう通報ができないというようなことは、私は本当におかしいと思うし、行方不明であった野口船長と松野下という一等航海士の方、この二人の遺体が昨夕発見されたわけです。この一等航海士の方の奥さんはまだ四十歳そこそこですね。中学一年生と四年生の子供がおられる。部屋に閉じこもったまま出てこない。アメリカ領事館からお見舞いに行くと言っても断ったというふうに書かれているわけですが、私は、これを読んで本当に新たな悲しみと心からの怒りを禁じ得ないわけなんです。  何とかしようがあったんじゃないか。お二人とも日昇丸と書かれた救命胴衣をつけて、万全の装備をして救助を求めていたわけですね。少なくとも発見した時点で、連絡を受けた時点で一刻も早く救助の手が差し伸べられていたなら、私は助かった、助かったんじゃないかというふうにも考えるわけです。その人の運命だからいたし方ないなどと言う方もあるかもわかりませんが、これでもって万全の策を講じたとは言えないというふうに素人目にも判断するわけなんですね。一刻も早く救助の手を差し伸べなければならない、それが海上保安庁の任務だろうというふうに私は思うわけです。  電波法の第六十四条に基づきまして、海岸局及び船舶局の場合は一時間のうち二回も沈黙時間がつくってあるわけですね。このような場合に緊急の通報ができるようになっているのに、なぜそれをやらないで、五時四分に通報を受けてから六時二十五分まで付近の船舶に対する通報をしなかったのか、これも全然納得のいかない話であるわけですね。先ほどの護衛艦のとった行動といい、いずれも遭難通報として扱っていないわけですね。  きょうは電波法改正審議する日でもありますから、私はこれ以上は深く質問をいたしませんけれども、米軍の行動といい、自衛隊の護衛艦の行動といい、大いに疑問の残る問題であるということを強く指摘をしておきたいと思うわけでございます。この点ぜひそれぞれの部署で今後徹底的に明らかにしていただきたい、強く要望もしておきたいと思います。  それじゃお帰りいただいて結構でございます。  では、今回の法改正に関連をいたしまして幾つかお聞きをしたいと思います。  先ほど同僚委員からも質問がありました不法無線局の問題についてお尋ねをしたいと思います。特に違法な市民ラジオによりますテレビラジオの受信や小型漁業無線への妨害、混信、これは見過ごすことのできない事態になっているわけです。これらの不法無線局の実態についてどのように把握をされているでしょうか。摘発件数、市民ラジオによる受信妨害などの苦情件数、これも一緒にお答えをいただきたいと思います。
  194. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 不法市民ラジオの実態でございますけれども、その不法無線局の九〇%以上は、わが国では使用を認めておりませんいわゆるハイパワー市民ラジオと呼ばれます無線局で占めているわけでございます。このハイパワー市民ラジオは不法な多くのチャンネルと申しますか、周波数を強力な電力で出すということで、大半は長距離トラックあるいはダンプカー等の車両に取りつけられておりまして、運転手仲間の雑談あるいは道路情報等の連絡に使われておるというような実情でございます。これらの中にはいわゆるチャンネルと申しますか、周波数ごとに愛好者グループというようなものをつくって運用しているものがあり、さらに一部悪質なものには暴力団が介入しておるというようなことも聞いておる次第でございます。  このハイパワー市民ラジオから出される電波でございますけれども、出力も大きい、また電波の質も余りよくないというようなことで、発射地点に近い一般家庭のテレビあるいはFM放送の受信に障害を与える、あるいはいまおっしゃいましたように、沿岸漁業に使用しております周波数に近いということで、沿岸漁業用の無線局に混信を与えておる。また場合によっては、その近くに遭難用の周波数もあるわけでございますけれども、そうした周波数にも障害を与えるおそれが考えられるわけでございます。  次に、取り締まり状況でございますけれども、最近五年間を申し上げますと、監視の結果捕捉しております局数が、五十年度五千九百六十六局、五十一年度四千五百二十九局、五十二年度七千百七十二局、五十三年度一万二百三十九局、五十四年度は二万九千九百五十九局というような多数に上っておるわけでございます。  それから、措置局数、措置というのは告発ないし行政指導をしたものでございますけれども、不法であることを捕捉した上で何らかの措置をとりました数字を挙げてまいりますと、五十年度千九局、五十一年度八百三十二局、五十二年度千百四十七局、五十二年度千五百二十六局、五十四年度三千三百九十八局というような形になっておるわけでございます。  そのうちで告発いたしましたのが、五十年度が六十八局、五十一年度が八十九局、五十二年度が百二十一局、五十三年度百十局、五十四年度四百四十六局、そのような数字になっておるわけでございます。  いま申しました数字が不法無線局でございまして、そのうちの大多数が不法市民ラジオ、ハイパワー市民ラジオと称されるものでございます。
  195. 藤原ひろ子

    藤原委員 この不法無線局の九割が二十六メガヘルツ帯から二十八メガヘルツ帯までの周波数を使用するという不法な市民ラジオであるわけですね。これらわが国では使用できない多チャンネル、高出力の送受信機で、いまおっしゃいましたように一般にハイパワー市民ラジオ、こういうふうに言われているわけなんですね。こうした不法市民ラジオの急増の原因ですね、どのように考えていらっしゃるのでしょうか。簡単にお答えいただきたいと思います。
  196. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 先ほどの数字でもわかりますように、ハイパワー市民ラジオといいますのは、もともとはアメリカへ輸出しておった機械で、これは実は市民ラジオは二十六メガから二十八メガ帯の周波数帯を使っておるものでございますけれども、日本とアメリカでは制度が違っております。これにつきましてはやはりいろいろ事情があるわけでございますけれども、日本の場合、電力で言いますれば〇・五ワット、海上だと〇・一ワットに制限していただいている。周波数のチャンネルの数も八つ、こういうようなことでございますけれども、アメリカでは、聞くところによりますと二十三チャンネル、最近四十チャンネルにふえたというようなことも聞いております。また電力も〇・五ワットに比べて十数倍の値まで許可されておる、こういうことでございますけれども、そのアメリカ市場に向けまして日本からかなりの輸出がなされておったわけでございますけれども、アメリカの国内の事情でこの市民ラジオを扱う規則が変わった。また従来輸出しておりました程度の質では許可にならなくなった、こういうようなことで、アメリカ輸出向けに出されておったものがアメリカで売れなくなって日本に返ってきた、逆流された、納め切れなくなった、そういうようなことでダンピング等によりまして不法に販売されたということでございます。  そういうことで私どもといたしましても、その摘発に努めるということ、あるいは関係省庁、関係団体の協力を得まして、こうした機器は日本では違法でございますのでというようなことで、通産省とも相談いたしまして、いろいろ法令周知を年間を通じて広報活動をやる。また一方、監視の機能を強化いたしまして捕捉するというようなこと、いろいろやっておりますわけでございますけれども、不法無線局として捕捉しますためには、現在のところ郵政大臣免許を受ける必要があるわけですけれども、開設だけでは、あるいは車に積んで運んでいるだけでは規制できない。運用の実態をつかまえ、記録をとり、何月何日に運用しておった、そういう事実を突きつけない限り規制することができない、そういうような観点からいたしまして、ただいま御審議いただいております法の中で、郵政大臣免許を得ないで開設しておる、電波が発射し得る状態になるという時点をつかまえまして規制に持ち込みたい、こういうことで御提案申し上げておる次第でございます。
  197. 藤原ひろ子

    藤原委員 輸出用であった製品が国内に出回ったということが主な原因だというふうにおっしゃっているように思うのですけれども電波といいますのは限りある資源ですね。国民の共有財産でもあるわけです。現在では日常生活の上でこれはもう欠かすことのできないものであるわけですけれども、不法な機器が製造されたり販売をされたりしております。こういう事態につきましては、単に取り締まりの強化というだけでなくて、電波法違反する無線設備の製造販売についても必要な対策をとるべきだというふうに思うわけですけれども郵政省のお考えを聞きたいのですが時間がありませんので、大体先ほどからので理解ができますから、通産省としてこういった事態についてどういう対策を持っていらっしゃるでしょうか、簡単にお答えいただきたいと思います。
  198. 田中達雄

    田中説明員 お答え申し上げます。  私どもといたしましても、輸出用のハイパワーの市民バンドラジオが国内で販売され電波障害を起こしておることは非常に遺憾なことだ、このように考えておりまして、従来とも郵政省と協力をいたしながら、たとえば不法電波一掃月間の際など、機会をとらえましては製造業者団体、販売業者団体電波法上使用が認められていないような機器の製造販売は厳に慎むように通達を出すことによりまして、現在まで指導してきているところでございます。  なお、この生産、販売の規制についていかがかということでございますけれども、今次の電波法改正でこの不法電波、不法CBラジオにつきましての対処措置も含まれておりますので、これらの効果を見ながらさらに郵政省さんと御協議してまいりたい、このように考えております。
  199. 藤原ひろ子

    藤原委員 このようなハイパワー市民ラジオであるとか高出力の小型発信機というような違法な機器を取り締まっていく上で、どうしても製造販売についても郵政省と通産省が必要な協力をして全力を挙げていただかなければならない。今後ともその点強力に御努力をいただきたいというふうに思います。  時間がありませんので、最後に私は提案を含めて申し上げたいと思いますが、アマチュア無線従事者の国家試験の問題ですね。アマチュアの無線は電波を広く国民に開放していくという上で大変大きな役割りを示しておりまして、災害時における通信の確保などに大きく貢献してまいりました。五十四年度のこの試験の申告者数は十七万四千七百八十九人となっており、年々増加をいたしております。アマチュア無線技士の有資格者というのは十年前の四倍になっているというふうに聞いております。今後とも広く門戸を開いて、試験制度として充実をしていかなければならないと思うわけですが、特に私は体の不自由な方たちですね、こういう方たちへの便宜についての対策をいろいろと考えてこられたと思うのですけれども、養成課程の方でとられている措置について簡潔にお答えをいただきたいと思います。
  200. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 お答え申し上げます。  身体の不自由な人に対するアマチュア無線技士についてどのような配慮をしているかということについてでございますけれども、点字による試験及び口述による試験ができるようなことになっております。  それで、目の見えない者に対する従事者資格の問題でございますけれども、三十三年度から電話級アマチュア無線技士の門戸を開き、四十年度から電信紙アマチュア無線技士につきましてそれぞれ口述によって試験を行っておる。また第一級、第二級の非常に電力の高いアマチュア無線技士に対しても、昭和五十三年度から門戸を開放し、試験を受けていただけるようにしたわけでございます。  それから、目の見えない方を除く身体の不自由な方でございますけれども、答案の筆記は無理だ、適当でないと認められる者に対しては、四十八年から電話級アマチュア無線技士、それから昭和四十九年から電信紙アマチュア無線技士の試験に当たりましては、それぞれ口頭で解答を述べられるというようなことにしております。また第一級、第二級アマチュア無線技士につきましては、一般の方と同じ一般的な方法で実施をしております。  それからさらに身体の不自由な受験者の場合には、必要に応じまして介添え人が要るというような場合には試験室へも入室を認めるというようなこと。  それから療養施設等に出張して行います国家試験でございますけれども予算も限られ要員も非常に厳しい状況にはございますけれども、十分にその実情を考慮いたしまして、できる限り要望に添うように、私ども努力しておるつもりでございます。  あるいは先生の御質問は養成課程というような御質問だったかと思いますが、一般に私どもが特にアマチュアの無線従事者国家試験につきまして、身体障害者の方にできる限りのことをしたいということで努力してまいっておる実情をお話し申し上げた次第でございます。
  201. 藤原ひろ子

    藤原委員 私もハムをやっておられる方々にお会いしてお話を聞いてきたんですけれども、たとえば大阪身体障害者団体連合会の事務局長をやっておられる田中逸郎さんという方ですけれども、障害者の中で自動車を運転する人も大変多くなってきている、山道などで故障したときにハムの仲間に呼びかけて助かったという例をいろいろお話ししてくださったわけです。  このように、アマチュア無線が重要な役割りを障害者の方たちに対して持っているということを聞きまして、私はぜひこれをやっていただきたいなと思うので提案があるのですけれども、障害者の方たちにとって全国十カ所で行われる試験会場、ここに行くのに大変だというのですね。行きますと、それこそ小学生からお年寄りまで非常に幅広い方たちが受験しに来られているのですが、試験官の方にも聞いてみますと、これはもう大変だということなんですね。そこで、障害者の施設などへ試験官の方が出向いていただいて、日が違ってもいいわけですから、試験問題さえ幾種類がつくっていただいておけばできるのじゃないかと思うのですが、そういう施設で要望の強いところに出向いていただいて養成課程をもっと開いていただく、またいま申しました障害者施設などでの出張試験、こういうことを考えていただいたらどうだろう。ことしは国際障害者年でもありますから、聴覚障害者の場合でも視覚でできる機器の開発、こういうものもこれだけ科学文明が進んでまいりましたから不可能ではないのじゃないか。国際障害者年に当たって、そういう出張試験であるとか、それから聴覚障害者に向けての視覚による機器の開発とか、こういうやり方をぜひ検討していただきたい。それを強く要望して終わりますが、いかがでしょうか、検討していただけるでしょうか。簡単で結構でございます。
  202. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 お答え申し上げます。  ここに、先生先ほど御質問の養成課程について、身体障害者についての実施状況も参っております。五十三年度六月五日から六月三十日まで、蓮田市というところの埼玉県筋ジストロフィー黒浜訓練センターということで、受講者は三十二名の方がお受けいただいております。それからまた、同じく五十三年度九月九日から十月二十二日にかけまして、大阪市の市立盲学校におきまして、盲人の方に十九人受講していただいておるというようなことでございます。また五十四年度におきましても、先ほど申しました大阪市の市立の盲学校で十六人の受講者に対して、また五十四年度の十月には四街道町の国立療養所下志津病院の筋ジストロフィーの三十八名の方を対象にして養成課程の講義も開いておる次第でございます。  また国家試験についての出張試験でございますけれども、先ほども申し上げましたけれども予算、人員等限られておりますけれども、できる限り御要望に沿うような形で続けてまいりたいということでございます。
  203. 藤原ひろ子

    藤原委員 終わります。
  204. 佐藤守良

    佐藤委員長 藤原ひろ子君の質疑は終わりました。  竹内勝彦君。
  205. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 この電波法の質疑に入る前に、同じ電波の問題でございますので、若干関連した問題をお伺いさせていただきたいと思います。時間もあれですので、的確に簡明にお答えいただければ結構だと思います。  まず、先般来新聞報道などで問題になっておりました北海道テレビ岩澤社長問題で伺いたいと思います。御承知のように電電公社の経営委員でもございましたこの岩澤氏は、代表権の乱用ということでテレビ会社の株を質権として運用していたことが去る事件で明るみに出ました。今後同様なケースが考えられないともいえません。  そこで伺っておきたいわけでございますが、全国のテレビ会社社長の自社株の保有状況、一%以上保有している会社数が五十一社あると伺っておりますが、この保有割合というのはどうなっておりますか。
  206. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 お答え申し上げます。  最高の社の場合は一〇%、最低の場合は一%でございまして、平均いたしますと四・九%というような数字になっております。
  207. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 今回の岩澤氏の事件を通して、郵政省として放送局免許を与える立場からどのようにとらえておるか。公共性の非常に強い電波を扱うという点から、単に一般の事業経営とは違うと思うわけですね。そういった意味で今後どうしていくのか、その見解を伺っておきたいと思います。
  208. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 現在の電波法放送法のもとでは言論報道機関としての放送事業者の自主性というものを高度に尊重するという観点から、民放の経営者に対しましては自主的な経営権というものを保障しているところでございます。ところで、このたびただいま御指摘のように、北海道テレビが株式投機というものに関連して多額の負債を抱えた、それで社長辞任し、会社に対する不信も持たれるという状況になっているわけで、公共性の高い放送事業の経営のあり方が問われておるということで私どもとしてきわめて残念に考えておる次第でございます。  北海道テレビの今後の対策についてでございますけれども同社におきまして、社の債権債務状況というようなものを早急に把握して、現在真剣に検討を進めておるというようなことでございますので、この具体的な再建策というものが固まるまでには若干時間をいただきたいということでございますが、郵政省としましては、その会社側検討状況対策の立て方、そういうようなものに基づきまして適切に対処していきたいというふうに考えておる次第でございます。
  209. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 では次に同じく郵政省所管にかかわる問題をお伺いしておきたいと思います。  全国有線音楽放送協会というのがございます。これに加盟している業者の数は何社くらいございますか。
  210. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 いわゆる有線音楽放送の事業者を取りまとめている団体でございますけれども、四団体というようなことになっております。事業者数は百九十二というふうに把握いたしております。
  211. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 この指導監督の責任のある郵政省として、加盟業者が違法行為を行っている実態、これは把握していると思いますけれども、有線ケーブルの無断架設について道路法違反東京地裁で有罪判決が出たことと同時に、また去る四月三日、府中市で道路上に低くだれ下がった有線音楽放送ケーブルがトラックの積み荷にひっかけられて切れ、下を歩いていた少年を直撃した、そして大けがをさせる事件が起きました。この有線音楽放送ケーブルは電柱の使用申請契約をしていない無断利用だ、こういうことが報道されております。この状況をどのように判断し、どんな見解を持っているか。同時に郵政省としてこの問題にどう処置をとったのか、御説明ください。
  212. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 最近の裁判で問題となりましたような電柱の無許可利用者の実態あるいは道路不法占拠の状況ということでございますけれども、電柱への無断添架の実態といたしましては、五十五年三月末現在で電電公社柱で申しますと約三十五万五千本、電力会社柱が約二十五万本、その後もふえておるというふうに聞いておるわけでございます。  こうした音放線の設置に当たりまして、他人の電柱に無断で添架する、そして音放業務を行うわけでございますけれども、正直に許可をとって業務を行っている業者がばかを見ると申しますか、おもしろくないということで、こういうことは一日も早く秩序立ったものにする必要があるというようなことでございまして、先日の委員会でもお話が出たかと思いますけれども請願も出ておる、その請願の趣旨に沿いましてその具体的対策について関係機関郵政省建設省、通産省、電力会社、電電公社等と協議中の段階でございます。  それで最近も関係機関との対策会議、いろいろ開いておるわけでございますけれども、三月六日には正常化のための具体的条件及びそのプロセスをどうするかというのが議題になっております。三月二十三日には有線音楽放送事業に対する郵政の基本姿勢の明示と正常化のための具体的対策をどうするか、それから四月十四日には、判決が出たわけですけれども判決に対する考え方及び今後の対応、特に一柱一条原則の見直し、事業者への指導等、そういうようなことで、午前中も御指摘がございましたけれども、法の問題、含まれている問題いろいろあるわけでございますけれども、私どもも前向きに検討いたしたいというふうに考えておる次第でございます。
  213. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 ぜひそのようにお願いしたいのですが、請願の採択についても、法案を作成中であるとさきの本委員会におきましても御答弁いただきました。違法行為を行っている業者に対してどのような措置をとるのか、法案作成によってもしも現在まで違法行為をしてきた業者を認めるというような形をとるならば、郵政省として違法行為を是認することになってしまうわけです。これは正規の手続を行い、法を守ってきた業者にとっては死活の問題になってまいります。違法行為業者をそのまま認めるということは監督官庁としての責任になってくると思いますけれども、そういった面も含めて御答弁ください。
  214. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 先般の東京地裁におきます有罪判決というものも踏まえまして、今後とも違反大手事業者及び関係団体に対し強力に監督指導を続けてまいりたいということでございます。  郵政省といたしましては、そうした指導の立場から有線音楽放送業務の運用に対する基本的姿勢というものを明確にするとともに、違法行為に及んでいる背景というものも考慮に入れなければいかぬ。いずれにいたしましても、公平な立場で自由に競争できるような環境を整備する必要がある。そういう観点から、関係機関の協力を得まして法的問題も含めて検討していきたいと考えておる次第でございます。
  215. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 今回の電波法の一部を改正する法律案の中で、郵政省からいただいた資料によれば、電話級アマチュア無線技士の資格試験あるいは落成検査施行、こういったときの収支の状況を見ると赤字の状況でございますね。このような試験を公益法人におろすということは幾ら行政改革と言いながらも許されるのかどうか、そういった面をお伺いしたいと思います。
  216. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 その辺二つあるわけでございますけれども、まず国家試験の方でございますけれども、現在国家試験は無線従事者、十七資格あるわけでございますけれども、それを年二回施行しておるということでございますが、そのうちの大多数を占めますところの、さしむき電話級のアマチュアを考えておるわけでございますが、これは十五万人という予想でございます。現在のところどうしておるかと申しますと、非常に数が多いわけでございますけれども、年二回四十日ほどでやっておるわけでございますが、この国家試験センターというものにおろしますと平均化されるであろう。そうしたことでいまのところ、いままでのやり方ですと直接携わる者のほかにアルバイトあるいは他部課の応援というようなことで一万人の者を投入しておるわけでございますけれども、この構想では、特に東京においては常設しよう、毎週でも試験をやれるようにしようというようなことで平均化しょう、そうすると人件費も平均化されて、いつでも受けられるわけでございますので、そうしたものによる平均化と機械化等によりますいろいろな合理化というようなものによりまして、私ども再三再四収支状況を計算したわけでございますが、現時点では、現在二千円でございますけれども、その程度の額で十五万人、これも年がら年じゅう試験を受けられる形になるので多少はふえるのじゃないかというようなことも計算の中には入れてございますけれども、そうしたことから能率が上がり、平均化され、数字も上がるというようなことで収支は償うであろう、国がやる場合と同じにやれると考えておる次第でございます。  それから、技術基準適合証明制度のものでございますけれども、これにつきましては対象の機種としていま考えておりますものについて見てみますと、五十六年度で七千件から八千件ぐらいのものが対象になろうかと思いますけれども、これも大量に持ち込んでいただきまして、一カ所で自動化した機械で測定するというような形で十分収支が償えると考えておる次第でございます。
  217. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 そういうつもりでやるのは結構でございますけれども、いま郵政省が直接施行しておる場合には赤字になっておる、こういった面から、もしも公益法人に委託したとして、赤字になった場合の解消策、受験料等の値上げをするのかあるいは国庫補助金等で手当てをするのか、また公益法人の収支において、たとえばその反対に剰余金が出た場合には国庫納付にするべきだという考え方もあるわけですけれども、そういった場合どうするのか。受験料等は本来国庫にすべて納入されていったわけですが、この法改正によって第三者への委託となればその分だけ国庫の減収となるのじゃないか、いま緊急の課題となっている財政再建に逆行することになるのではないかと思いますけれども、その点はどうでしょう。
  218. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 いろいろ御質問をいただいたようでございますけれども、午前中も問題になりましたけれども、この手数料をどうするかということにつきましては、原価に見合う価格というようなことでございますし、考えております対象が公益法人というようなことでございますので、公益法人は元来営利団体ではないというようなことで、仮に収益が上がり過ぎたというようなことになりますと、それに見合った価格に下げるべきであると考えておりますし、マイナスの面につきましては、収支が赤字になっても国庫補助金というようなものは考えておりません。それなりに努力をしていただいて、許される手数料の範囲内で収支を償っていただきたいと考えておる次第でございます。
  219. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 時間ですのでもう一問で終わります。大臣、最後に答えてください。  この公益法人をいまつくることの目的、どういう理由か。一般に官民一体となって安上がりな政府づくりを目指して行政改革に取り組もう、特に鈴木総理は政治生命をかける、こう言っております。こういう中で高級官僚の政府関係機関への天下りが国民的に批判されている折、このような法人をつくることは、とかく天下りが少ないと言われている郵政省の天下り機関を反対にふやすのではないかというような印象を与えることは、電波行政を担当する郵政にとっても好ましいことではないと思います。そういったことはまずないと思いますけれども、その点大臣としてどんなふうに考えておりますか、述べてください。
  220. 山内一郎

    山内国務大臣 公益法人ができました場合にだれがやるかという問題でございますけれども、ある程度の知識がないと困る場合もございますし、民間の方でも十分な知識を持っておられる方もございますので、そういう点をよく検討して決めてまいりたいと考えております。
  221. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 終わります。
  222. 佐藤守良

    佐藤委員長 竹内勝彦君の質疑は終わりました。  これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     ―――――――――――――
  223. 佐藤守良

    佐藤委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決いたします。  電波法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  224. 佐藤守良

    佐藤委員長 起立総員。よって、本案は可決いたしました。  なお、ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  225. 佐藤守良

    佐藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕      ――――◇―――――
  226. 佐藤守良

    佐藤委員長 次に、郵便為替法及び郵便振替法の一部を改正する法律案を議題といたします。  まず、提案理由の説明を求めます。山内郵政大臣。     ―――――――――――――  郵便為替法及び郵便振替法の一部を改正する法  律案     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  227. 山内一郎

    山内国務大臣 郵便為替法及び郵便振替法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び主な内容を御説明申し上げます。  この法律案は、現在実施しつつある為替貯金業務のオンライン化に伴い、国民の要望にこたえて郵便為替及び郵便振替のサービスの改善を図る等のため、郵便為替法及び郵便振替法について所要の改正を行おうとするものであります。  まず、郵便為替法の一部改正内容について申し上げます。  第一は、普通為替及び電信為替につきましては、受取人が為替金の払い渡しを受ける郵便局を差出人に原則として指定していただいておりますが、利用者の利便を図るため、どこの郵便局においても払い渡しを受けることができるようにしたいとするものであります。  第二は、普通為替証書を亡失した場合につきましては、利用者の利便を図るため当該普通為替証書の有効期間の経過前におきましても、差出人もしくは受取人の請求により普通為替証書を再交付することまたは差出人の請求により為替金の払い戻しをすることといたしたいとするものであります。  第三は、電信為替の払い渡し方法といたしましては、現行法上電信為替証書を発行しこれと引きかえに払い渡す方法と受取人に現金を送達して払い渡す方法がありますが、これに加えて、郵便局の窓口で受取人に現金を交付することにより払い渡すことができることといたしたいとするものであります。  第四は、普通為替証書及び電信為替証書の一枚当たりの金額の制限額を、社会経済情勢の推移にかんがみ、現行の十万円から百万円に引き上げることといたしたいとするものであります。なお、これに伴いまして、普通為替及び電信為替の料金につきまして所要の調整を行うほか、電信為替の料金につきましては、現行法において電信に関する料金を基準として省令で定める金額を加えていることにかえ、郵便に関する料金を基準として省令で定める金額を加えることといたしたいとするものであります。  第五は、郵便為替の料金につきまして、一時に多数の利用の申し込みをする郵便為替等で一定の基準に適合する場合には、省令で定めるところによりその料金を低減することができることとするものであります。  以上のほか、小切手、郵便振替の払い出し証書等の証券または証書を為替金に充てることができることとする等の内容を織り込んでおります。  次に、郵便振替法の一部改正の主な内容について申し上げます。  第一は、小切手払いにつきましては、郵便振替業務の総合機械化によりまして、小切手を振り出した加入者の振替口座の現在高が郵便局の窓口で即時に把握できることとなりますので、小切手払い口座を廃止し、振替口座の現在高の範囲内で小切手払いの請求ができることといたしたいとするものであります。  第二は、通常現金払い及び電信現金払いにつきましては、受取人が払出金の払い渡しを受ける郵便局を、加入者に原則として指定していただいておりますが、利用者の利便を図るため、どこの郵便局においても払い渡しを受けることができるようにいたしたいとするものであります。  第三は、通常現金払い及び電信現金払いの払い渡し方法といたしましては、払い出し証書と引きかえに払い渡す方法がありますが、これに加えて、郵便局の窓口で現金を交付することにより払出金を払い渡すことができることといたしたいとするものであります。  第四は、払い出し証書及び簡易払いの支払い通知書の一枚当たりの金額の制限額を、社会経済情勢の推移にかんがみ、払い出し証書につきましては、現行の十万円を百万円に、支払い通知書につきましては、現行の五万円を十万円に引き上げることといたしたいとするものであります。なお、これに伴いまして、通常現金払い及び電信現金払いの料金につきまして所要の調整を行うほか、電信扱いの郵便振替の料金につきましては、電信に関する料金を基準として省令で定める金額を加えることを廃止し、通常現金払い及び電信現金払いの料金につきましては、郵便に関する料金を基準として省令で定める金額を加えることといたしたいとするものであります。  第五は、郵便振替の料金につきまして、一時に多数の利用の申し込みをする払い込みもしくは払い出し等で一定の基準に適合する場合には、省令で定めるところによりその料金を低減することができることといたしたいとするものであります。  以上のほか、外国郵便振替に関する料金で条約にその範囲が定められていないものにつきましては、万国郵便連合の郵便振替に関する約定に規定する料金を超えない範囲円で省令で定めることができることとする等の内容を織り込んでおります。  なお、この法律の施行期日は、昭和五十六年十月一日といたしております。ただし、総合機械化の進捗状況等により、サービス改善の実施期日が異なるものにかかわる改正規定等につきましては、これと異なる施行期日を定めることといたしております。  以上、この法律案提案理由及び主な内容につきまして御説明申し上げました。何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
  228. 佐藤守良

    佐藤委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。  本案に対する質疑は明日に譲ります。  次回は、明二十三日午前九時五十分理事会、十時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時三十八分散会      ――――◇―――――