○武部
委員 後でもう一つ、この資料から申し上げたいと思いますが、実は「
電話の向うはこんな顔」という本がございまして、これは去年発売されたものですが、この中にいま私が申し上げたことが書いてあります、十三・九倍が一番遠い距離と区域内との格差だ、こういうふうに、それがコスト上における
数字だ、こう書いてあるのですが、いまの
お話と若干違うようであります。それはそれとして、一つお聞きしたかったのであります。
そこで私は、時間の
関係で料金の問題だけにしぼってこれからお尋ねをいたします。
確かにこの料金というものは、
電電事業が健全な運営をされていかなければならぬ、そのために前提としたものでなければならぬということは、私も基本的にそのとおりだと思います、しかし、あくまでも公正でなければならぬ、これは料金決定の原則でなければならぬと思うのです。したがって、不公正があるならばこれは直ちに
努力をして公正な料金にするようにしていかなければならぬ、そのためにこそ、われわれはグループ料金制というものを十数年前から提案をして検討を求めてきたのであります。電信
電話諮問
委員会の答申というのがここにございますが、これは五十三年一月五日、電信
電話諮問
委員会会長都留重人さんから電信
電話公
社総裁の秋草さんに出されたものであります。この中にやはりこの問題がはっきりとうたわれておるのであります。
これを見ますと、かねがね私
どもが一つのモデルケースとして出しておったイギリス式のグループ料金制というものがここへ記載をされております。もちろんこのグループ料金制というのはイギリスだけではなくて、ニューヨーク方式もある、あるいは隣接方式をとっておる西ドイツの方式もある、いろんなグループ料金制があります。しかし、ニューヨークは直ちに日本に適用はなかなか困難であろう、したがって今日最も近いグループ料金制としてわが国に適用されるであろう、参考になるであろうというものはイギリスにおけるグループ料金
制度だと、ここにもはっきり記載をされておるのであります。ここにもイギリスの具体的なものがございますが、そういうイギリスの料金
制度を参考にしながら――ここにははっきりと、「イギリスにおけるグループ料金
制度は、料金区域の境界付近で市内通話と市外通話の料金格差が生じないなど評価できる面もあるので、これを参考にしながら、区域内、隣接区域、非隣接区域の間に不公平が生じないように、秒数などによる調整を行うことが
考えられてしかるべきであろう。」全部は読みませんが、そういう諮問に対する答申がここにはっきりとうたわれております。
何遍も言うように、私
どもはこの問題は十数年前から
指摘をしておるのであります。確かにむずかしい問題はあります。しかしこのことは、遠近格差の中で、たとえ困難であろうとも
努力をしながら成案を得ていかなければならぬということを何回も言い、
公社側もそのことについては検討をし勉強させてもらうというようなことを答えておきながら、今日十数年経過をしたわけです。そして昨年の十一月にはあのような
法律改正が出てきた。また今度も、それとは全然
関係ない遠距離だけを低減をする。こういうことになってきたわけですから、私は料金問題について
公社側に一貫性がない、このように
指摘せざるを得ないのであります。
一つの例を申し上げましょう。先ほど
東京の例がございましたが、私はごく最近体験をしたわけですが、私の
地元に飛行場があります。この飛行場はターミナルが非常におんぼろで、全然問題にならぬので、今度ターミナルをつくろうということになって、りっぱなターミナルビルが完成をいたしました。前にあったビルの――ビルなんというものではありませんが、建物と今度の建物とは約百メートル離れておる。私の
地元は二つの市が隣り合わせにひっついておりますが、ちょうどその飛行場が境界線になっておるのです。私はよく知っておるから、今度建物が建てはこれは市外通話になるなと思っていましたけれ
ども、ほかの人は全然わかりません。その建物と建物との間が奇妙なことにちょうど境界線であります。したがって、新しいターミナルができた途端に
電話は市外通話であります。
今度新しいターミナルができた市は約三万数千の小さな市です。こっちの市は十二、三万、約四倍、ほとんど全部もとのところの通話なんです。ターミナルビルはいま物すごく混雑しています。
電話料は一遍に市外通話になっちゃった。これはついこの間のことでありますが、それがあるからこそわれわれは、グループ料金制としてその隣接の
地域だけは同じ料金にしたらどうだ。確かにイギリスとかアメリカとか西ドイツのやり方というのはそういう簡単なものじゃありません、距離別にいろいろやっておりますから。そういうことをやっておったんでは時間がたつから、せめて隣の区域だけは同じ料金にしたらどうだ、こういうことをわれわれも提案をしておるわけであります。
こういうことがなぜできないのか、私は大変疑問に思うし、
利用しておる方から見れば、きのうまでは市内達話で十円でやっておったのに、きょうから市外かと、全然局番も違ってしまっておる。建物は約百メートルしか離れておりません。こういうことが現実にあるんです。そういう問題を解決するためにこのグループ料金制というものをわれわれはかねてから提唱しておったのです。
これはどこでも出てくると思うのです。隣の家、隣の道――道を隔たればもう市外ですから、こういうものを解決することになぜもっと
電電公社は力を入れないのだろうか。ちょっとこの点だけ……。