○鈴木(強)委員 わかりました。監督権強化ということになりますと、
電電公社発足の
基本的な問題にやはりかかわるものですから、その点を
お尋ねしたわけです。
それで、時間が余りありませんので、
久保委員の質疑と重複をしてもいけませんので、それを避けながら、ちょうどいい
機会です。
私は、実はきょう集中審議を前回
お願いいたしましたのも、昭和二十七年八月一日、
電電公社法が施行されまして二十八年近い年月を経過しているわけです。この間、非常な
成果を上げ、国民からも大変な評価をされている
事業だと私は確信をしているわけですね。したがって、そういう二十八年の長きにわたって
電電公社法というものが存在をし、その規制の中で
公社が
運営を続けてきたわけでございます。しかし、これから多様化する
電気通信情報化時代に向かってさらに一段と工夫をこらさなければならない時代に来ていることも事実なんですよ。したがって、先ほどから御質疑のありますように、この
政策局を設置するに対して
附帯決議がつけられ、その
附帯決議に基づいて電気
通信政策懇談会というものが設置されたわけでございますね。そしてその
懇談会で目下、
専門委員会が決めた四
項目について審議を進めていこう、こういう段階にあると思うのです。
その中から
一つ問題になっておりますのは、ここにございます「
公衆電気通信事業体の
あり方」という、
久保委員が指摘しましたような中に、
公社にするのか、あるいは
民営にするのか、特殊会社にするのか、あるいは
国営にするのか、そういう
あり方について、国の関与について
検討を加えるというような
項目があるものですから、まさしくこの
電電公社の
経営をどうするかという重大な問題がここで論議されるものだと思いますね。したがって、ある新聞は、
民営化の
方向に向かっているのだというような報道がなされたことも事実です。
それからもう
一つ、
地域分割あるいは
業務分割、これは
民営に移してやるのか、あるいは
公社のままやるのか、その点は明らかでございませんが、
地域分割、幾つかに分割するということですね。これは電力がやっているような九分割とか、あるいはいま
電電公社がとっております十一通信局ですか、こういうふうに分割するというようなことにも
考えられるし、あるいは
業務分割ということが言われております。これは電信電話あるいはデータ等、これから出てまいります新しい通信サービス、情報サービス、こういったもの等を切り離していくともとられる。
そういったことがもしここで論議されるとするならば、これは重大なことでございますから、私はこの際、古くして新しいような問題ではございますが、
電電公社の今日までの
制度の
あり方、こういう問題についてもう一度ここでおさらいをし、そしてこの
懇談会等におきましても、私
どもの
意見、これは私の
意見になると思いますが、ひとつ十分参考にしていただきたい、こういうことで申し上げているわけであります。
実はいろいろな経過がありまして
電電公社になったわけですが、いまは亡き
佐藤榮作総理が当時
郵政大臣、あのときは兼
電気通信大臣、こういうことでこの法案を
国会に提案をいたしました。当時は
委員会は
電気通信委員会と申しまして、その
委員会に提案された要旨をちょっと私ここでもう一度おさらいしてみたいと思うのです。
大臣はこういうふうに言われているのですね。
一つは、
電気通信事業というものが国有
国営で終始
経営されてきた。しかし昭和九年特別会計
制度が採用された後も
国営に伴う諸制約に縛られ、特に臨時軍事費というものを一般会計に繰り入れなければならないというようなことも強制された。そのために設備の拡張資金が十分かつ安定したものでなかった。要するに資金が獲得できなかった、これが
一つですね。それから、財務、会計、人事管理についても、一般行政官庁と同一の規律を受けていて活発な企業活動を阻害されてきた。三つ目には、戦争によって極度に荒廃した電信電話の復興は戦後の産業、経済、文化等国民生活の進展に伴うことができないで、国民の要望に十分こたえられなかった。昭和二十五年三月三十一日、
電信電話事業を
民営の長所を
最大限に取り入れた公共企業体に
運営せしめるべきだという電信電話復興審議会からの
答申がなされ、昭和二十五年四月二十六日、衆議院が公共企業体移行促進の決議を行った。しかし、当時、不幸にして朝鮮動乱が勃発をいたしまして、いろいろな問題があったためにおくれましたが、昭和二十七年、当時の
電気通信省を廃止して電電
事業を
公社経営に移行させるということに決まりまして、そうしてこの法案を提案をした次第です。こういうふうに
最初に述べられております。
それから、これからがその問題でありますが、要するに財務と会計と人事管理の面での
国営形態の欠陥を除去して企業的能率的
経営をなし得るためには、純然たる民間形態も
考えられるが、
事業が全国にわたる膨大な
組織及び設備を有し、巨額の資産を擁する公共
事業でありますから、これを民間に払い下げて株式会社
組織に切りかえることは、再評価、株式の引き受け等、困難な点があり、また強度の公益性、
技術的統一性を有するので、純民間企業では無理である。また公租公課の賦課が加わって、
経営の合理化が促進されてもなおかつ相当の料金値上げを招来することになり、年々巨額の拡張資金を民間にのみ求めることはほとんど望み得ないので、
民営は適当でない。これは
民営論を明らかに否定しているわけですね。
そこで
政府は、公衆電気
通信政策の合理的かつ能率的な
経営の体制を
確立し、
電気通信設備の整備及び拡充を促進し、国民の利便を確保して公共の福祉を増進するためには、
国会及び
政府から必要な監督を受けることによって
公共性を確保するとともに、一方、
事業経営上、財務、会計、人事管理の面において一般行政官庁の制約を脱し、
民営の能率的
経営技術を取り入れた自主的な企業活動を行い得る企業としての
公社形態に当
事業の
経営を行わせしむることが最も適当である、こういうふうに提案
理由の説明で述べております。
今日いろいろ論議されておりますが、わが日本の
電信電話事業というものは公共企業体が一番よろしい、私たちはこういう
基本的な
立場に立っていることをここではっきり申し上げておきたいと思います。
しかし、実際に
佐藤さんが提案されたこの提案
趣旨と、出ました
法律案の内容を見ますと非常に食い違いがあったわけです。ですから衆議院、参議院においてこの法案の修正が二十五カ所にわたって行われた。その最たるものは六十一条の全面改正、要するに黒字は一般会計に繰り入れなくてもよろしい。それから弾力条項の七十二条のただし書きが参議院におきまして追加された。これは新谷寅三郎さんが修正案を出しております。それから
経営委員も三人であったものを五人にした。それに
特別委員を含めて七人に現状なっておる。
理事というのも五人以上というのを十人以内、こういうふうに修正が成った、これは主なところであります。それからもう
一つ、大蔵
大臣がこうした企業に対して権限を発動できるような部面がかなりたくさんありました。しかし、そういう点はかなり削られまして、結果的には大蔵
大臣の権限については、
予算を作成してこれを提出するときに
郵政大臣と調整する、もう
一つは資金計画の場合ですね、大体ここらに限っていくような大修正がなされて成立したのでございます。
しかし、これでも非常に問題があるということで、皆さん御承知のように昭和二十九年十一月四日、臨時公共企業体合理化審議会の会長であった原安三郎先生から
答申が
政府になされております。これは吉田茂
総理大臣。これを見ますと、拘束
予算制度を廃止して基準
予算に切りかえなさい、こういうことが骨子になっている。そして、いまなお存続している官業的色彩を払拭し、
民営の長所を入れなさい、こういう点が
基本的に述べられている。
さらに、昭和三十二年十二月二十五日に公企体審議会の会長石坂泰三先生から
答申が出ております。これを見ますと、総理府に公共企業体監理
委員会を設けるということで、ここが監査をやる、そして
予算制度については「公共企業体の
予算及び決算は、
企業性にふさわしいものに根本的に改めるとともに
国会の決議を要しないものとする。」これはちょっと私たちも問題があると思いますが、思い切った「要しない」というところまではっきりと
答申を見ると出ているわけですね。それから、特に「公共企業体職員の
給与の体系は、その職務内容と労働条件とに応じて適正に定められるべきであって、必ずしも公務員のそれに従う必要はない。」「その業績に応じて巾のある賞与
制度を採用すべきである。」
予算制度の改正に伴う公労法第十六条等の改正が必要となるが、それは
政府が別途
考えなさい。要するに公労法上、賃金は
団体交渉によって決められる、そうなってありながら、
予算上、資金上の問題があればこれはできないと逃げているわけですね。総額
制度というものに阻まれている。
そこまで思い切った
改革をしなさいという
答申が二回にわたって行われているわけであります。
私も昭和三十一年に参議院に出ました。
予算委員会において歴代
総理大臣に毎年これを早く実施してくれ、そして本当に公共企業体としての正しい姿に戻してやってほしいということを申し上げましたが、
検討する、やりますと言って、ついにこれがなされずに今日に至っておる。その間、私がよく言うヘビの生殺しという中途半端な
公社法の中で、とにかく労使が協力して三千八百万の電話をつくってきた、こういうことの事実は国民とともにわれわれははっきり認識しておく必要があると思うのですね。
〔
委員長退席、畑
委員長代理着席〕
たまたまこの
懇談会の中で今回
民営にするかどうかというような論議も行われるというふうに私は聞くわけでありますが、われわれは断じてこの
公共性の強い
事業は公共企業体
制度を堅持していくべきであると思う。
もちろん部分的に、多様化する情報社会に向かって、ある部分においてはもう少し融通性のある
方向に持っていくということも一面においては
考えていかなければならないでしょう。何が何でも
公社だということも部分的にはやはり
考えなければならぬ点があると思います。ですから、データが始まりました当時も、特定回線というものを
考えてやっているわけです。ですから、この政策
懇談会の内容等、私、見るにつけましても、下手にしたらとんでもない
方向にいくのではないか、こういうことを実は、
久保委員がさっき御指摘されましたように、私も心配しておるものですから、こういう点も十分踏まえて今日の公共企業体
制度の中における不備、欠陥というのを一日も早く是正をして本来の姿に戻すということが本当に
大臣の仕事ではないか、私はこう思うのですよ。これは
大臣からも率直な御
意見を承っておきたいし、
総裁も大変御苦労です、昨年暮れ任命されまして三カ月ちょっとたったところです。非常に精力的に各地を図られまして、勉強されているようでございます。民間から
おいでになりましたので、いろんな面において公企体の窮屈さというのは身をもって体験されたと思いますが、短い期間でありましても、
総裁が御勉強なさいまして、現在の
公社制度というものについて、こういう点はこうしてほしいというような御希望がもしありましたら、率直にこの際聞かしていただいて、そして今後よりよいものをつくりたいという
考え方を私は持っておるものですから、お伺いするわけです。どうぞ
お願いいたします。