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鈴木(強)
委員 最初に
NHKの
あり方について若干お伺いをしておきたいと思います。
御
承知のように
NHKは、
昭和二十五年の六月
放送法が施行されまして、それに基づいて公共
放送としての
使命を担ってがんばっていただいているわけでございますが、歴史をふり返ってみると、
NHKの第一波、第一声が
放送されたのは、御
承知のように大正十四年の三月二十二日でございます。それから、
受信料を取って社団法人としてスタートしたのが大正十五年の八月でございまして、当時ラジオだけでしたから、
受信料は一円、こういう時代からスタートしたわけであります。今日飛躍的な発展を来して、わが国における公共
放送の基幹
事業として活躍をしていただいているわけでございますが、考えてみると、この二十五年に
放送法が制定される当時のいきさつを見ましても、特殊法人、いわゆる公共
企業体的な特殊法人として公共
放送をやっていただく、こういうことが決められたのは、私はやはり、国の機関ではなくして、できるだけ自主性をその
企業に与え、その
企業が全力を尽くしてやっていくということだと思うのですね。したがって、この
放送法にもありますように、言論、
放送の自由というものは完全にこれは守られる。国内、国際の
番組基準はちゃんと
法律によって
規定されておる。しかも
受信料はそれぞれの契約者からいただいていく。こういうふうな姿になっておるんだと思うのです。したがって、国会に対してもそれぞれの
年度の収支
予算と
事業計画と資金
計画を出していただく。そして国会の
承認を得て、その中で
経営者が思う存分所期の目的を達成するためにがんばってもらうという性格のものだと私は思うのです。
きょうは
経営委員長にもおいでいただいておりますが、
経営委員は少なくとも
内閣総理
大臣が国会の
承認を得て任命されておるわけです。重要な事項は
経営委員会が決定をする。
会長はその
経営委員会によって決められていく。こういうシステムでございますから、どうかすると行政府あるいは立法府筋から必要以上の意見が出てくるということがあっては私はいけないと思うのですね。その自主性を尊重していくということであって、ですから国会がやるべきことは
法律によってちゃんとやるが、あとはやはり
経営者にお任せして思う存分やってもらう、これが私は
経営の
あり方だと思うのです。そういう意味においてきょうまでやっていただいていると思いますが、いろいろと私
どもいままでこの
委員会でも申し上げておりましたように、
NHKが官僚的な
立場に立って物を考えられては困る。だからもっとおれたちの
NHKだ、おれたちの
NHKだ、こういうやはり考え方を持たれるような、いい
番組とそして親しみやすい
NHKになってほしい、こういうことを強く念願をしてきょうまで参っておるわけでございます。その精神はいまも私は不動のものだと考えておるわけです。ですから私は、きょうの
質疑もそういう
立場に立って、基本的な、提案されております収支
予算に対してあるいは資金
計画に対して、
事業計画に対して、そういうものについて
質問をしたいと思うのです。どうかひとつ今後とも、この
放送法第一条あるいは四十四条、四十五条等の、
放送番組の
不偏不党、公正中立を期するという、こういう点はわれわれが強く主張しているわけですから、そういう点もひとつしっかりと胸に秘めて、これからもがんばっていただくようにお願いしておく次第でございます。
そこで、この五十六
年度の収支
予算を拝見しますと、前
年度予算に比べまして
収入の
伸び率は一・五%、それから支出の方が六・九%となっております。御
承知のように昨年は
収入が一・二%、支出は七・八%、それぞれ前年に比してそういうことになっておりますが、それ以上に実は悪化しているわけですね。料金
値上げをした翌年の
予算でありますが、そういうふうに私は見受けるわけでございます。したがって、五十五
年度に料金の
改定をいたしましたが、その時期が若干おくれたその落ち込みはあったでしょう。しかし、なかなか新しい契約者の発掘ということが困難な事態になっておる。未収金の徴収もなかなか思うようにいかない。そういうことからして、なかなかこの
収入をふやすということはむずかしい時期に来ているということをわれわれは
認識しておかなければならぬと思います。
それからもう一方、五十六
年度予算の支出の面でありますが、お伺いしますと約二百名の減員をしておる。しかしいろいろと
事業その他の問題もありまして、差し引きしますと百二十名の定員減になっておりますが、少なくとも二百名の減員を考えておるようです。ですから基本問題調査会でも述べておりますように、財政の安定のためには
収入の確保をやると同時に、いま問題になっている支出についても、
経営全般にわたり極力合理的、効率的な
運営を推進して支出を減らしていくというような点を
予算の
内容に盛り込んでおるように私は思います。しかし基本問題調査会から答申がありました第二次の問題につきましても、それに基づく五十五
年度の料金
値上げですね、そして五十六、七、八と、こういうふうに
年度を追って
計画が進められていくわけですが、いま
畑委員から御
質問がございましたが、五十七
年度、五十八
年度は一体収支はどうなっていくのか、さらにその先は一体どうなっていくのかという点が非常に心配なんです。四十三年に
値上げをして八年間据え置いておった
受信料が五十一年に値上がりになった。それから四年据え置いて昨年
値上げになった。今度は、この前の
予算審議の資料等によりますと、五十八年には赤字になる、こういうふうなことに聞いているわけですが、その辺はどうなのか。
それから、いま五十八年以後の
ビジョンについて
畑委員からも
質疑がありましたが、基本問題調査会にお任せするということでなくて、皆さんがもう少し英知を集めて、こういうことも考えられる、こういうことも考えられるということをやはり摘出して、その上に十二人の
経営委員の
方々にもお知恵を拝借して、そしてよりよいものをつくっていくという姿勢でなければいけないと思うのですね。もちろんそうだと私は思います。ですから、その辺の
長期展望というのをはっきり示していただいて、なおかつ収支はこうなんだ。そうなれば、
受信者の皆さんに協力をしていただいて、やはりやむなく
値上げをしていただくしかないわけでしょう。われわれとしては、できるだけそれは皆さんの
努力によって一年でも半年でもいいから先に延ばしてもらいたい、こういう願いを強く持っておりますが、独立採算制を強いられる
NHKの
予算としては、どうしてもというときにはどうしてもやはりそれは
視聴者の協力を得なければならない、それには
視聴者との対話、
視聴者との交流、本当に親しみやすい
NHK、信頼される
NHK、おれたちの
NHK、こういうやはり実感が――一人一人の
視聴者と
NHKの間に温かい血の通うようなことを考えておかなければだめですよ。そういう意味において、もう少し
長期ビジョンについては本格的に
協会が考えてほしい、こういう点を私は実は考えているものですから、その辺は第一番にお伺いをしておきたいと思います。
経営委員長もいらしておりますが、
経営委員長、大変御苦労でございます。大した報酬もなく大変な御苦労をいただいておりますが、どうぞひとつ、
経営委員長として何かお考えがございましたらその点もお聞かせをいただきたい、こう思います。