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1981-02-26 第94回国会 衆議院 逓信委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十六年二月二十六日(木曜日)委員長の指 名で、次のとおり小委員及び小委員長を選任し た。  電波放送に関する小委員       秋田 大助君    伊藤宗一郎君       加藤常太郎君    長谷川四郎君       畑 英次郎君    堀之内久男君       阿部喜男君    久保  等君       鈴木  強君    竹内 勝彦君       西村 章三君    藤原ひろ子君       依田  実君  電波放送に関する小委員長  加藤常太郎君 ――――――――――――――――――――― 昭和五十六年二月二十六日(木曜日)     午前十時三分開議  出席委員    委員長 佐藤 守良君    理事 伊藤宗一郎君 理事 加藤常太郎君    理事 畑 英次郎君 理事 堀之内久男君    理事 阿部喜男君 理事 鈴木  強君    理事 竹内 勝彦君 理事 西村 章三君       秋田 大助君    鴨田利太郎君       川崎 二郎君    早川  崇君       吹田  愰君    久保  等君       武部  文君    楯 兼次郎君       米田 東吾君    鳥居 一雄君       木下敬之助君    藤原ひろ子君       村上  弘君    依田  実君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 山内 一郎君  出席政府委員         郵政政務次官  渡辺 紘三君         郵政大臣官房長 奥田 量三君         郵政省郵務局長 魚津 茂晴君         郵政省貯金局長 鴨 光一郎君         郵政省簡易保険         局長      小山 森也君         郵政省電気通信         政策局長    守住 有信君         郵政省電波監理         局長      田中眞三郎君         郵政省人事局長 岡野  裕君  委員外出席者         人事院事務総局         公平局審議官  岡田  仁君         人事院事務総局         職員局審議官  叶野 七郎君         公正取引委員会         事務局取引部景         品表示指導課長 波光  巖君         公正取引委員会         事務局取引部景         品表示監視課長 加藤 中武君         文部省社会教育         局審議官    七田 基弘君         郵政大臣官房資         材部長     浜田  望君         労働省労働基準         局補償課長   林  茂喜君         日本電信電話公         社総裁     真藤  恒君         日本電信電話公         社総務理事   山内 正彌君         日本電信電話公         社総務理事   山口 開生君         日本電信電話公         社総務理事   小澤 春雄君         日本電信電話公         社技術局長   村上  治君         日本電信電話公         社監査局長   森谷 昭夫君         日本電信電話公         社業務管理局長 稲見  保君         日本電信電話公         社計画局長   岩崎 昇三君         日本電信電話公         社保全局長   菊地信一郎君         参  考  人         (日本放送協会         会長)     坂本 朝一君         参  考  人         (日本放送協会         副会長)    中塚 昌胤君         参  考  人         (日本放送協会         技師長)    高橋  良君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     坂倉 孝一君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     渡辺 伸一君         参  考  人         (日本放送協会         経営総務室長) 片岡 俊夫君         参  考  人         (日本放送協会         経理局長)   青柳 保夫君         参  考  人         (日本民間放送         連盟事務局長) 泉  長人君         逓信委員会調査         室長      芦田 茂男君     ――――――――――――― 委員の移動 二月二十六日  辞任         補欠選任   鳥居 一雄君     正木 良明君   河野 洋平君     依田  実君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認  を求めるの件(内閣提出承認第一号)  逓信行政に関する件      ――――◇―――――
  2. 佐藤守良

    佐藤委員長 これより会議を開きます。  逓信行政に関する件について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本日の委員会に、日本民間放送連盟事務局長泉長人君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 佐藤守良

    佐藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ―――――――――――――
  4. 佐藤守良

    佐藤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。武部文君。
  5. 武部文

    武部委員 私は、最初放送関係の問題についてお伺いをいたします。参考人の方には大変お忙しいところありがとうございました。  われわれは、いままでワースト番組などにつきまして、当委員会番組審議会会長その他においでをいただきまして、放送番組内容についていろいろ論議をしたことがございます。放送の問題は非常に重要でございまして、われわれは表現の自由であるとかあるいは番組編成の自由であるとか、そういうものを大変重要視しておるのであります。  いま放送業界で二強三弱一番外地などという言葉がはやっておることを私は聞きまして、何のことだろうかと思いました。一体二強三弱一番外地とは何だろうか、こう思っていろいろ聞いてみますと、視聴率を争っておる放送局内容がこういう言葉で言われておるということを知ったのであります。いま民放の中で最も視聴率の高い番組を持っておるのはTBSとNTV、この二つがずっといままで二強の中に入っておった。三弱とはフジとテレビ朝日とNHKだ。一番外地とは12チャンネルだ。これが現在放送業界の中でささやかれておる視聴率背景とした民放及びNHK視聴率の評価であります。先般来からこの順位が変わって、NTVは二強の中から三弱に落ち込んで、かわってNHKが二強の中に入った、こういうようなことさえ言われておるのであります。これは、いま申し上げましたように視聴率を根拠としたものでございますが、それほど放送業界におきましては厳しい競争が行われておる、このように見てよかろうと思います。  一体視聴率とは何だろうか。すでに八年ぐらい前のように私記憶いたしておりますが、この委員会に女優の高峰秀子さんに参考人で来てもらいました。そのときに視聴率論争をやったのですが、当時高峰さんは何と言ったかというと、視聴率競争ぐらいばかばかしいものはない、ビデオリサーチを備えつけておいて、ネコが見ておっても視聴率は上がるのだ、こういう話がございました。まさにそのとおりだと思います。そういう機械さえ備えつけておけば、見ておったって見ておらなくたって視聴率は上がっておる。実はしかし、そこまで視聴率というものは民放各社、あるいはNHKもそうでございましょうが、非常に関心の高いものであることは、これは当然だろうと思います。  そこで私は、きょうは特に民放コマーシャル、なかんずくいま非常に関心を呼んでおる子供向けコマーシャルの問題について、以下お尋ねをいたしたいのであります。  最初に申し上げましたように、私どもは、番組編成の自由であるとかあるいは表現の自由であるとか、そういうものについては非常に厳しい態度を持っておらなければならぬ、こういう立場は当委員会でもしばしば発言をされたところでございますし、私ども社会党は、特にこのことについて強い態度をいままで表明してまいりました。先般NHK受信料義務化をねらいとした放送法改正の問題が国会でいろいろ論議をされたことは、恐らく御承知だと思います。私どもは、申し上げたような表現の自由あるいは番組編成の自由、そういうものを規制する背景を持った放送法改正である、こういう考え方から、この放送法改正に反対をしてまいりました。どうやらこの放送法改正は日の目を見ないようでございますから大変結構だと思いますが、そういう基本的な考え方を持ちながらも、民放コマーシャルについては、やはり一定の制限なりあるいは規制なり、そういうことがいまこの段階では必要ではないか、そういう時期を迎えたのではないだろうか、こういうことを考えるがゆえに、この問題を実は皆さんお尋ねをいたしたいのであります。  民放コマーシャルがなければ成り立ちません。したがって、民放にとって、スポンサーは大事なお客であることは間違いございません。しかし、そのテレビ番組を見る者がなければこれまた成り立たないのでありまして、見る者もまた民放にとってはお客であるというふうな立場をとらなければならぬ、このように私は思います。したがって、番組やあるいはその中に出てくるであろうコマーシャル、こういう問題について視聴者の側から要望が出てきた、要請が出てきた、そういうことがあるならば、これは国民の電波でありますから、謙虚に放送業界としては受けとめなければならぬ、そういう態度を持つべきだというふうに私は思います。ワースト番組がいろいろございましたけれども、いろいろな点でそういう問題が再免許の際に一体どういうような条件になるのかという、いろいろやりとりもいたしましたけれども、いまだかつてわが国でそういう問題で再免許が交付されなかった例は残念ながら一件もない。聞くところによると、アメリカにおいては余りにも私的な経営に走ったテレビ会社放送業者が再免許を拒否されたという例があるそうでございますが、わが国ではございません。ということは、郵政省も機械的にこの再免許をやっておるではないかというような批判が出るということも私は当然だろうと思います。そういう前提に立ってこれからお伺いしたいのであります。  いま日本民間放送連盟の「放送基準」を見ますと、「前文」に「世論を尊び」とうたわれております。またその「綱領」に「児童および家庭に与える影響を考慮し、新しい世代の健全な育成につとめる。」と書いてあります。また同じようにこの「綱領」に「広告は、真実を伝え、視聴者に利益をもたらすようにつとめる。」このように書かれております。さらに今度は「基準」、この基準については「広告については、番組および他の広告との配列ならびに放送時刻との調和をはかる。」こういうふうになっています。いま私は「前文」「綱領」そして「基準」について申し上げました。こうした民放連基準を踏まえて、これから私は民放各社で問題になっておる子供向け番組コマーシャル一体どのような考え方でやっておるのかということをお伺いしたいのであります。  その前にもう一点だけ、前段として申し上げておかなければなりませんのは、広告費が非常にふえてきたということであります。五十五年の広告費は実に二兆二千八百十八億円という巨大な額に上りました。二兆二千八百十八億、この広告費の中でテレビラジオの占める割合はどのくらいか。テレビは七千八百九十一億、ラジオが千百六十九億、合計九千六十億――一兆円産業ラジオテレビ広告コマーシャルで約一兆円産業になっておる。これは広告の分野に占める割合は約四〇%に上るのであります。テレビラジオ広告というものが非常にふえてきた、こうした中でいま私が申し上げたような問題が出てきておる、こういうことを前提にしてお伺いいたしたいのであります。  そこで最初に、文部省何か御都合があるそうでございますから、文部省の方にお伺いいたしますが、いま私は民放連放送基準綱領広告、そういうものについて具体的なことを申し上げました。そこで、民放連の「放送基準」の「綱領」に「児童」云々ということが書いてあるということをいま申し上げましたのでおわかりいただけたと思いますが、現在問題になっておる子供向け番組の中で、特に懸賞つき景品つきコマーシャルの現状について、教育上の観点から、いまの民放連基準綱領の問題に関連をして、文部省はこの問題についてどのように考えておられるか、これをお伺いしたいのであります。
  6. 七田基弘

    ○七田説明員 先生からいまお話がございましたように、テレビコマーシャルの問題につきまして教育上あるいはいかがかと思われるようなものがございます。また、いまお話ございましたように、景品つきコマーシャルというような問題が教育上いかがな影響を持っているかということもございます。文部省といたしましてもそういうような問題につきましてはいろいろ憂慮はいたしております。しかし、基本的には、先ほどから先生お話がございましたように、表現の自由の絡みもございますので、私どもといたしましては、日本民間放送連盟自主規制をやっておられますし、その御努力期待をいたしながら見守っていきたいというように考えております。
  7. 武部文

    武部委員 いまあなたが御答弁になりました表現の自由とかそういうことについては、私が冒頭申し上げますように、きょうは触れようとは思っておりませんし、触れる必要はないと思うのです。これはまた別な問題であります。  問題は、民放特殊性であるコマーシャル、その中に、特に子供向け、そのまた子供向けの中に特に懸賞つき景品つき、これは表現の自由とか番組編成の自由とはいささか内容が違うのです。後でこの内容を申し上げますけれども、そういうものをことさらにこのコマーシャルの中に出して、まだ発育盛り児童子供たち影響を与える。これはもうお互いに子供や孫を持っておるからよくおわかりだろうと思いますが、まさしくこの景品つき懸賞つきに飛びついておる。そういう事実を私自身も知っていますが、恐らく皆さん方にもそういう心当たりはあるだろうと思うのです。そういうものが非常にはんらんをしておる。このことについて、文部省としてはこれに対してどういう見解を持っておるのか、また、これについて何かの措置をとる考えがあるのか、研究するあるいは調査をする、そういう考え方があるのか、これを聞かしていただきたい。
  8. 七田基弘

    ○七田説明員 ただいま申し上げましたように、この懸賞つきコマーシャルの中に、あるいは私たち考えてみましても教育上問題があるのじゃないかと思われるようなものがあることは確かでございます。  ただ、先ほど申し上げましたように、民間放送連盟の方におきましていろいろと御努力になっておりますので、その自主的な規制期待をいたしたいというように考えております。
  9. 武部文

    武部委員 非常に消極的だと私は思います。少なくとも文部省は、民放連放送基準に基づくところの自主規制とかそういうものに期待をしたいということをおっしゃっておるわけですが、これから申し上げることは、この自主規制というものが守られておるか、おらないかということを問題にしたいのであります。私は、残念ながら守られていない、そういう具体的な事実をこれから述べるわけであります。ぜひ文部省は一歩前向きで、この現在の自主規制が守られておるかどうかということ、そこへも目を突っ込んで関心を持ち、教育上の問題として取り上げてもらわなければ困る、そういう気持ちを持っておりますが、あなたの方はどこまでも民放連自主規制を尊重し、それに従うとかいうような態度ですが、それをさらに一歩進めて、むしろこういうことが問題になるということ自身、そこに何かがあるからこそ問題になるのであって、すでに昨年の二月には、子どものためのテレビCM連絡会というものができて、これから申し上げますが、そういうものができたということ自身が、この放送基準が守られておらなくて大変大きな問題になっておるからそういうものができておるのであって、文部省はこのことについてどうお考えでしょうか。
  10. 七田基弘

    ○七田説明員 先ほどから何回か同じような答弁をいたしておりましたこの問題につきまして、確かに教育上の配慮が非常に重要な問題だというようには考えております。そういうような問題につきまして、自主規制が必ずしも守られていないのではないかという御指摘があったわけでございますが、私どもといたしましては、基本的にはこれら民間放送連盟の方のお考えをさらに徹底さしていただきたいというように考えております。
  11. 武部文

    武部委員 一歩も前進いたしませんが、私はそういう文部省の姿勢では困ると思うのです。きょういろいろやりとりいたしますが、ぜひまた改めてやることにいたしますが、やはり放送基準が守られていない、いろんな問題が起きておる、そういうことをぜひ参考にして、さらに一歩進んだ立場で、文部省はこの問題に対処していただきたいということを特に要請をしておきたいと思います。  時間の関係で、これ以上あなたとやり合っていてもぐあいが悪いですから一歩進めますが、先ほどから申しますように、コマーシャルをはさんで民放視聴率競争をやっておるということを申し上げたわけですが、結局どの程度の視聴率があるか、どの番組はどれだけの人が見ておるかということを、それぞれが非常に関心が高い。したがって、このビデオ・リサーチ社あるいはニールセン社ですか、というようなところが毎日個々の番組について視聴率調査をし、発表しておるようです。また、週一回は週間の平均視聴率を発表しておるようですが、こういう民放視聴率、これを毎日、この番組この番組をみんな調査がされておる、また一週間日にはまとめて出ておる、こういうことについて、監督官庁郵政省は非常に関心を持っておられると思うのですが、知っておられましょうか。
  12. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 お答え申し上げます。  ビデオ・リサーチとかニールセンというようなところで、いわゆる視聴率調査というものを行い、それを専門誌等で発表しておるということは存じております。
  13. 武部文

    武部委員 知っておられるようですから結構ですが、そうすると、現在のどの番組にどういう視聴率があるというようなこともおわかりだろうと思います。  また、広告コマーシャル料金というものが、たしか七、八年前これまた私は当委員会で、余りにも高いじゃないかとびっくりして質問をしたことを記憶いたしておりますが、時間の関係で私の方から申し上げますが、いまスポット料金十五秒で、Aランクは六十五万円が最高でありますが、普通の民放は五十五万円、一局だけ六十五万円という十五秒スポット料金があるようであります。このコマーシャル料金というものが、タイム料金で一時間Aランクで二百六十万円、これが系列のネットワークの二十ないし二十三社に全部同じものが流れるわけでありまして、七、八年前に五十五分間番組で八時番組調査をしたときに、広告主が支払う金額は、制作費一千万、系列会社が二十社と見て二千万、そのほかにキー局に、当時は百五十万円でございましたが、それだけの金を広告主は払っておるということを私はここで指摘したことを記憶しておりますが、これがすでにタイム料金で二百六十万円、そして二十社ないし二十三社の系列会社が全部同じようにキー局に右へならえをする、そういうものの支払い、制作費、こういうものを考えると、一体ゴールデンタイムである晩の七時から十一時までの、六十分間の番組を借り切ったスポンサーが一社だったとすると、いまは合い乗りもございますが、一社で一つ番組を借り切って、一時間といっても大体五十五分ですが、民放で流した、そのときに二十社の系列会社が同じようにこれを流しておったということになると、借り切ったこのスポンサー一体幾ら広告料を払うかというような点については直ちに計算ができましょうか。さっき私が申し上げたように、タイム料金は二百六十万円キー局、そのほかに制作費が一本について五十五分間番組で大体どのくらい、二十社の系列会社が全部右へならえをして同じ番組を流すということになれば、これに対して、前回は大体百万円、七、八年前は百万円でございましたが、いまは一体どのくらいになっておるだろうか、こういうことがわかれば――これは広告のことでございまして、企業の秘密もあるでしょうからなかなかわかりにくいだろうと思いますが、広告主一つ番組を借り切って、一時間の番組の中にコマーシャルを入れて全国二十社に流した場合、大体どのくらいになるというふうにお考えでしょうか、もしわかれば……。
  14. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 お答え申し上げます。  先生がただいま御指摘になりましたようなこと、やはり仕事にも関係ございますので、うわさ話あるいは雑談の中ではときどき耳にするわけでございますけれども、こういう席ではっきりと申し上げるようなデータは残念ながら持ち合わせておりません。  それで、郵政省といたしまして、たとえば民放各社電波料に関するデータというようなことですけれども、正式には法令上そういうものをこういう場で発表できるような形で求めるということも現在はできないというようなことで、残念ながら存じていないということでございます。
  15. 武部文

    武部委員 七、八年前にああいう金額だということを私は申し上げましたが、われわれの推定からいきますと、もちろん高低はございますが、前の番組料として広告主が払った金額の一・五倍は下らない、そういう金額コマーシャル料金としてスポンサーから民放会社に払われておるということだけは大体推定ができるのであります。きょうはこれ以上のことは言いません。私の方で計算したものもございますが、大体そういうことになる。  そこで、時間の関係で先に進みますからお答えをいただきたいのでありますが、民放連の方にお伺いをいたしたいのであります。  先ほど申し上げましたように、昨年の二月に、婦人団体あるいは消費者団体、そういう人たちが約三十団体で結成したのがこの「子どものためのテレビCM連絡会」というものであります。そういう大変関心を持ち、子供の将来の教育大変心配人たちが集まってこういう会を結成された、こういうことでありますが、去年の七月七日とことしの一月二十九日の二回にわたって、民放連に対して、子供向けテレビ番組CMについてという申し入れが出ておるようであります。私もこれは詳細に見ておりますが、ことに一月のものにつきましては、子供向け番組の量と質の両面について詳細な申し入れがされておるのであります。具体的な内容がここに記載をされております。このことについてお伺いをしたいのであります。  浅野賢澄さん、会長でありますが、この方が昨年の十月の民放大会で、子供向けCMに対する批判要望に対しては積極的に取り組むべきものだ、こういうふうに考えるというような趣旨の発言をされておることを私は記録で拝見をいたしました。結構なことだと思いますが、民放連各社に対して、こういう申し入れに対して、どのように対応しておられるのか、最初にそれをお伺いしたい。
  16. 泉長人

    泉参考人 お答えいたします。  この児童向けコマーシャルに関する連絡会などの申し入れ、これはいまおっしゃったとおりでございます。民放連浅野会長が昨年の民放大会でいま先生がおっしゃったような発言をしたことも確かでございますが、その背景をちょっと申し上げさせていただきますと、一昨年の国際児童年を契機といたしまして、民放連としては、児童向けのコマーシャルについてやはり質、量ともに配慮すべきだということから、昨年の――民放連の中に放送基準審議会というのがございますが、ここでこの問題を取り上げまして検討をしたわけでございます。それを受けた形で浅野会長のいま言ったような発言があったわけでございますが、いずれにいたしましても、コマーシャルに関しましては最近はほとんど持ち込みが非常に多いわけでございます。民放連基準でいろいろつくっておりますけれども、ある程度精神綱領的な部分もございますし、細かい事例などもございません。したがいまして、コマーシャルをよくするためにはやはり民放連基準をただ民放各社が守るというだけではなくて、コマーシャルに関連されるスポンサー、代理店、それからそのクリエーティブ、コマーシャルのいろいろな手法を考え人たち、そういう人たちにわれわれの基準を十分理解してもらって、つくる段階でわれわれの考え方を十分理解した形でつくっていただければ、放送局に入ってくるコマーシャルがすでにわれわれがチェックしなくても済むようなものになってくるのではないか、その手だてはどうだろうということが一番の問題でございまして、民放連でいろいろその基準を細かく分析したり解析したりするよりも、やはり同じような立場コマーシャルに関連する人たちをよく説得し、お話し合いをするということに主眼を向けようではないか、そういう観点から出発いたしましたので、放送基準の中にあります広告基準、これは大人向け、子供向け関係なく、一般に広告基準になっておりますが、この中から、いろいろな判断力の乏しい幼児、児童、こういうものに対する広告はさらにこういうことまで考慮しなければならないということを考え出し、抜き出して、これをまとめることをいまやっております。  これがまとまりますと、これをいま申し上げましたような局外の人たちに十分説得し、協力してもらい、その人たち基準にしてもらいたいという作業をしていくわけでございますが、それと同時に、過去民放開始以来各社に考査の部局がございまして、入ってきたCMについていろいろチェックしております。いろいろ修正をお願いしたり、受け付けなかったりしたものもございますが、その考査事例というものを集大成しまして、考査事例集というものをそういうクリエーティブとか広告主などにお配りして、それで、刑法で言えば判例集みたいなものですね、そういう実際の判例があれば、こんなものはつくってはいけないのだなということがつくるときにわかる。その両面作戦でいこうじゃないかということでいま鋭意やっているところでございます。  たまたまそういう途上にいまお話がありました団体要望、そのほかにも幾つかの団体からいろいろ御要望がたくさんございます。そういうものも十分参考にさせていただきながら、自主的にいま申し上げたような作業を進めているというのが民放連基準関係の作業の現状でございます。
  17. 武部文

    武部委員 おっしゃるように、つくる段階が問題だということは私もよくわかります。つくる段階が一番大事なことでしょう。問題は、つくる方は見てもらわなければならぬ、見てもらってそれが効果を上げなければならぬということですから、なかなかむずかしい問題だと思うのです。むずかしい問題だが、それは避けて通ってはいけません。したがって、いま起きている問題はどこに問題点があるかということを、民放連がそういう視聴者皆さんの意見を十分広告主に伝えて、そしてその面からもこれを是正していくということについて私は賛成であります。それがぜひ実現するように努力してもらわなければならぬ、こう思います。  まだ二、三、次の問題がありますから、一応一括して質問して、後にまた御意見をお伺いしましよう。  そこで問題になるのは量の問題であります。子供向け番組の中のCMの量、これが非常に多い、多くなってきた、それによって番組の中断がなされる、そうすると子供の集中力がそこで損なわれる、そういう点が指摘をされておるのであります。民放連放送基準の中にコマーシャルの時間の基準というものが定めてあるようですが、それは一体どうなっておるのでしょうか。
  18. 泉長人

    泉参考人 テレビジョンにおきましては、週間の総放送時間に対して一八%という大枠の規制をしております。そのほかに、特にゴールデンタイムにおいては番組コマーシャルというものに最高大体一〇%でございます。時間が短いとちょっと違いますが、常識的には一〇%の規制をいたしております。
  19. 武部文

    武部委員 いまお答えがございましたように、テレビジョンのコマーシャルの量は一週で総量一八%ということになっているわけですが、テレビ番組というのは新聞や雑誌と違って残らない、消えてしまう、後には何も残らぬ、こういうことになるわけです。したがって、ある意味で言うならば、それは野放しだということが言えるわけでありますが、一体民放連としては現在の民放各社がこの基準であるところの一八%以内を守っておるというふうに断言できますか。
  20. 泉長人

    泉参考人 守っていると考えております。過去に調べたこともございますが、そのときは守られておりましたし、現在も様態は変わっていないと思います。
  21. 武部文

    武部委員 これは新聞の報道でございますが、婦人団体民放労連が調査をした。これによりますと、子供の視聴時間帯のCMの量は一八%をはるかに超えている。これは一年ほど前のことでございますが、地婦連が東京及び私の選挙区の鳥取県で調査をしたようであります。七社を対象にして調査をし、特に子供番組であるところの夕方の五時から八時、そういうところを調査いたしましたところが、平均一時間当たりコマーシャルが四十回、十二分三二秒、これは全体の二〇・九%になります。最も多かったケースは六十七回、二十分十五秒、これは三三・八%コマーシャルを入れておった。こういうことが調査の結果わかった、こういう報道がされております。  子供番組の中で「ドラえもん」というのがありますが、これは日曜は三十分、普通の日は十分、この十分の中に三分半、前後にコマーシャルが入っておる。三分の一になります。これでこの前後にやるわけですから、「ドラえもん」が両方からはさみ撃ちされてやせ細った、こういうふうなことさえ言われておる。それぐらいコマーシャルが多いのです。いま私が言ったのは、現実にストップウォッチを持って調べておるのですから、そういうことで三三・八%も一つ番組の中にコマーシャルが出ておる。こういうことから見るならば、総量の一八%を守っておるというようなことを何ぼ言われても、少なくともコマーシャル効果の最も大きい子供向け番組、ここにコマーシャルが集中されておるのじゃないかということが言えますが、そういう実態を御存じでしょうか。
  22. 泉長人

    泉参考人 個々の番組、それからその時間帯によって総量の一八%をオーバーしているところは確かにあると思います。これは週間の全放送時間に対するものでございまして、その配分につきましてはゴールデンについては一〇%ということがございますから、よそではどうしても多くならざるを得ない。特に四時、五時台にはガイドという時間がございまして、コマーシャルだけを出す五分間の時間などもございます。そういうのが子供の時間に接続いたしておりますと、それも勘定してしまえば相当な量になりますが、そういうある程度視聴率が低く、またスポンサーがつきにくいようなところは数でこなすというようなことがございまして、コマーシャルの数が多い時間というのもございます。  ただ、いま視聴者からいろいろ苦情が出てきまして、子供の時間帯のコマーシャルの多いということにつきましては、各社はその自主規制において、時間の一八%の配分の中で子供の時間にもっと配慮をしてほしいというようなことを責任者会議でも申し上げましたし、先ほど申し上げましたコマーシャルの質の改善を訴えるときにも、その量につきましては規制はしませんが、各社が自主的に十分配慮するようにということはつけ足したいというふうにいま審議会などは考えております。
  23. 武部文

    武部委員 一八%というのはあなたは大体守られておるとおっしゃるけれども、私の感覚では守られていないと思います。これは何ぼここでやりとりしてもしようがないですから、大体これはオーバーしておるというふうに見ています。前にもそういう具体的な調査キー局の中に出てきましたので、私はその資料を持っておりますが、きょうはこのことには触れません。しかし、いまあなたがお述べになったように、総量の一八%がある番組に集中するということについてはお認めになった。それが問題なんですよ。それがいま私が取り上げておる子供向け番組コマーシャルに集中しておるのではないか。さっき数字を述べましたけれども、そういうことになっておる。平均をしたらなるほど一八という数字があるいは出てくるかもしれないし、一九になるかもしれませんが、そういうことになるわけですね。  そこで、子供番組に挿入されるところのコマーシャルがこのように多い、こういうことは、コマーシャルを挿入することによって中断される回数が非常に多いことを意味するのです。当然のことであります。そうすると、先ほどちょっと申し上げましたけれども、この中断されるということは一体どういう影響を与えるだろうか。これは子供の集中力に影響を与えるというふうに私は言いましたけれども、逆に、そういうコマーシャルを入れて休む時間があればそれは子供にはかえっていいじゃないか、こういう反論もまたあるのです。しかし、これは程度ですよ。ちょっと映したらまたコマーシャル。余りにもコマーシャルの挿入が子供番組の中に多いんです。そういうことを考えると、程度だというふうに私は思うのですが、この集中力の問題等については、民放連としては、いまの子供向け番組の中にこのくらいの細切れで入っておっても子供の集中力を損ねるようなことは心配ないというふうにお考えになっておるのか、それとも、ちょっとあなたがおっしゃったようにこの点については是正すべきだというふうにお考えになっているのか、どうでしょうか。
  24. 泉長人

    泉参考人 やはり放送局子供に対する愛情はもちろんありますし、配慮はしております。それから番組も見てもらいたいわけです。したがいまして、番組の中断をたくさんすれば一体効果があるのかないのか、子供のためにいいか悪いか、そういうことは十分配慮しておりまして、最近、ごらんになっていただければわかりますように、たとえば三十分の場合でも三つの話なら三つの話に区切った間にしか入れないとか、そういう配慮をしておりますが、いずれにせよ、子供番組の多くのアニメーションというのは非常に製作費が高いわけでございます。いわゆる普通のドラマの番組の五割増しくらい高いわけでございますから、そういうものを、製作費を回収しようと思いますとまたコマーシャルが若干ふえるということはどうしてもやむを得ないことでございますが、入れ方につきましては、これは見てもらうために局としても努力をしなければならない問題でございますから、当然配慮をしなければならない問題であろう、このように思っております。
  25. 武部文

    武部委員 これはきょう私が取り上げた問題の中で大変重要な問題の一つであります。こんなにたくさんのコマーシャル子供番組の中に集中してきておる。それが子供の集中力を分散させたりするような、成長盛りの子供に与える影響というものも大きいわけでありまして、その点はぜひとも配慮してもらわなければならぬ。これはまた後で総括して申し上げますが、とりあえず進みます。  次に、内容の問題であります。  この内容の問題で取り上げなければならぬことは、商品の優位性を誇張してコマーシャルに出すというのが一つの問題点です。それからもう一つは、不当な比較主張、あれよりもこっちがいい、この商品は他のものよりもいい、こういう比較主張をやっている、これが二つ目の問題点です。さらには、これはちょっとひど過ぎると思うのですが、コマーシャル言葉の中に、君はまだかなんていう言葉が出てくるのです。君はまだかということは、おまえまだ買っておらぬのかということでしょう。こういう言葉は全く当を得ない言葉だと思うのです。そういうコマーシャル子供番組の中に随所に出てくる。君はまだかということ、これは大変問題だと思うのです。これは購買を強要することですよ。そういう内容コマーシャルがあるということは大変問題だ。したがって、判断力の十分といえないような子供に対してこういう大きな影響を与えるような内容については私は感心しない、こういうふうに思うのですが、この点についてはどういうふうにお考えでしょうか。
  26. 泉長人

    泉参考人 要望の中にもありますし、いま先生のおっしゃったような、たとえば仲間外れになるような売り方、宣伝の仕方、そういうものは非常によくない、これはやめなければいけないということは審議会の中でも当然問題になっておりまして、いま子供のための留意事項というものをつくっておりますが、その中にも当然含まれております。おっしゃったようなこと、そういうものもすべて含んでいま討議をしている最中でございます。
  27. 武部文

    武部委員 結構なことですから、ぜひそれはやっていただかなければなりません。  次は、最初に申し上げましたことで文部省にもお伺いをいたしたのでありますが、子供向けの景品、懸賞、こういう商品のコマーシャルが非常に多いということを申し上げました。これを分析いたしますと、商品の説明をする、そういう時間よりも景品や懸賞の説明が重点になっておる、こういうコマーシャルがある。これは懸賞や景品の説明が多いために、子供をして親にねだらせる、こういうことで商品を買わせるのがねらいじゃないかというふうに思うのです。土曜日の子供番組を見ますと、これはほかの人からも聞きましたが、土曜日の夜のあの子供番組、五時から八時ごろの間のに特にこれが集中しておる。子供はちゃんとねらっておりますよ、次の日曜日に買わせてやろうと思って。本当にこれは事実なんですよ。土曜日の番組の中のコマーシャルに特に景品だ、懸賞だというやつが出てくる。これを子供の方は賢いので、日曜日ちゃんとねらっておって、われわれも孫からねだられて、ちゃんとテレビで見ておって次の日曜日つかまえられて買わせられるのですから。そういう巧妙なやり方がコマーシャルの中に出てきておるのですよ。これは事実だ、調べてみるとわかると思うのですが。こういうことが考えられるのですね。したがって、民放連放送基準では景品とかそういうものについてどのような規定をしておられますか、景品、懸賞について。
  28. 泉長人

    泉参考人 ただいまの基準では「賞金および賞品などは過度に射幸心をそそらないように注意し、社会常識の範囲内にとどめる。」というようなことでありますが、先ほど申しましたように、子供に関するものについてはこれをさらに具体的にどういうふうに処理していくか、たとえば現金がその場でもらえるようなことは広告しないとか、いろいろな見方がございますので、これはいま研究していろいろ条文をつくりつつあるところでございます。
  29. 武部文

    武部委員 この「日本民間放送連盟放送基準昭和五十年」、ここに「視聴者の参加と懸賞・景品の取り扱い」という項目がございますね。八項目ございます。こういうものが守られておればいま言ったようなことは出てこないはずなんですよ。したがって、せっかくの基準が守られておらない。そして子供をそういうような懸賞や景品でもってつって、そして商品を買わせるねらいを持ってこのコマーシャル子供番組に集中しておるということが端的に指摘できるわけでありまして、先ほどあなたがおっしゃったような問題点も含めて、この規制についてひとつ審議会で十分な審議をしてもらいたい、そのように思いますが、いかがですか。
  30. 泉長人

    泉参考人 きょうの先生の御意見を十分審議会に反映させていきたいと思っております。
  31. 武部文

    武部委員 公正取引委員会いらっしゃいますか。――次に公取にお伺いをいたしますが、この間新聞をにぎわしました洗剤のコマーシャルの問題について、告発がございました。これについて公取はいろいろと調査をし検討を加えたようでありますが、この洗剤のコマーシャル、これはちょっとひどすぎる。私も見ましたが、恐らく見た方もあるだろうと思いますが、この洗剤のコマーシャルは非常に回数が多いのであります。特に、汚れたものが全部真っ白になる、どろんこの子供のシャツが洗たく機に投げ込まれたらほどなく真っ白いやつがぽんと飛んで出てくるというようなコマーシャルでありますが、この飛んで出たシャツは実は別なものだ。入れたシャツがきれいになって出たのではなくて、入れたものと全然別のやつが飛んで出ておる。こういうことがこのコマーシャルに出演をしておるタレントから証言があった。これが少なくとも告発の中心になっておるのです。そこから出てきたのです。こういうトリックを実は使ってやったのではないかということが問題になって、余りにもひどいじゃないか、がんこな汚れが真っ白になるというような表現は誇張だというようなところからこの問題が実は発生をしたのであります。しかも、投げ込んだズボンの中に残っておったくつ下まできれいになって出てきたなんて、こんなばかげたことをコマーシャルは堂々と述べているのであります。ズボンを洗ったらたまたまくつ下が入っておった、くつ下まできれいになって出てきた。そういうばかげたコマーシャルを抜け抜けとやっておる。公取がこれは明らかに景表法の不当表示の問題で取り締まらなければならない。にもかかわらず、今回やった処置は警告、ただ単なる警告だということを私は承知しておりますが、一体公取はどんなことをやりましたか。
  32. 加藤中武

    加藤説明員 お答えいたします。  合成洗剤のテレビコマーシャルにつきましては、お尋ねのようにございましたけれども、五十四年の九月に洗浄効果について、テレビコマーシャルのようには真っ白にならないではないか、それが不当表示ではないかという趣旨の申告がございまして、合成洗剤のテレビコマーシャルを行っている三社につきまして調査を行いまして、いろいろ事情聴取等も行いました。その結果、コマーシャルにつきましては、実際の洗浄力よりも汚れのひどさと洗い上がりの完全さといいますか、非常に白くなるとか、そういう洗浄効果を少し誇大にといいますか、行き過ぎて表現しているという面が見受けられまして、それが一般消費者に対しまして、洗剤の洗浄効果について誤認されるおそれがあるということから、三社につきまして、一部文書をもちまして景品表示法の第四条に違反するおそれがあるから改善されたいという趣旨の警告と要望を行っております。  それから、洗剤のメーカーの業界の団体であります日本石鹸洗剤工業会に対しましても、公正競争規約など洗剤の表示につきましての適正な表示基準を作成するなどをして、洗剤の広告表示につきまして適正化を図ってほしいという趣旨の要望を行いました。  なお、それに基づきまして、各社とも洗剤のコマーシャルにつきましては改善する意向がございまして、少しずつ改まっているところでございますが、引き続きその状況につきまして監視するとともに、公正競争規約の作成等につきましても、できるだけ早期につくってほしいというようなことの働きかけも引き続いて行っているところでございます。
  33. 武部文

    武部委員 いま私は具体的に洗剤の問題をお話をいたしましたが、さっきから申し上げるように、これはトリック。タレントがそういうことを証言をしておる。そこまでわかって余りにもひどいじゃないか、したがって、これは不当表示であり、景表法の点からいっても大変問題だということ、私もそのように直感をいたしました。表現から見ても、日本で初めてだとか、あるいはどんな汚れでもみんなきれいになるという万能型の宣伝をしておる。無害、無公害、一〇〇%安全だ、こういうような表現が出ておるわけであります。そういう中でいま申し上げたようなことが行われたわけでありますが、これはただ単なる警告では生ぬるい、そういう意見が出るのは当然だと私は思うのです。したがって、この洗剤のコマーシャルについては、いまの公正取引委員会態度では私は納得できないのであります。  いま、警告ということでありますが、警告した後、この後どうしようとしておるのですか。ちゃんと見ておって相変わらず同じようなものがあればどうしようとか、そんなことを考えているのですか。
  34. 加藤中武

    加藤説明員 コマーシャルにつきまして、まず御指摘のトリックの点でございますが、調査しました限りでは、一応洗い上がりとして掲げたものは、言われているような、週刊誌等で報道されているような新品ではなくて、それは確かに実際に汚れたものであって新品を使ったものではないというような説明でございまして、それらの効果についても社内的な研究所でのデータはあるというようなことから、根拠についても一応各社説明しておりまして、トリックであったという確証はつかめてなかったわけでございます。  それから、洗剤のコマーシャル、変わっておりまして、申告がありました当時の問題とされましたコマーシャルは、現在変わってきております。たとえば繊維の素材につきましても、衣料がポリエステルである場合と綿の場合とでは洗浄効果も違ってくるわけですが、そういった洗たくの条件などもコマーシャルの中に入れるとか、あるいは特にひどい汚れの場合の洗い方のつけおき洗いとかもみ洗いとか、そういったこともコマーシャルの中に入れるようにしているとかいうことで、以前と比べれば少しずつは改善されてきているというふうに見ております。
  35. 武部文

    武部委員 非常に手ぬるいと思います。ですから、この問題は、私はもうちょっと調べてみましてもう一回やります。  去年の七月十日付で、公正取引委員会に対して先ほど民放連に対する申し入れと同じような趣旨の申し入れがされておるはずであります。このことについて公正取引委員会はどのような対応をしておるのか、今後どのような姿勢で臨もうとしておるのか、これを聞きたいのですが、その中に特に私が指摘した問題がございます。「景品・懸賞付販売およびオープン懸賞のCMを景表法第三条および第四条により禁止すること。」こういう要望がございます。私は当然のことだと思うのですが、このことについて公正取引委員会は、この申し入れ書及びいま申し上げた具体的な子供番組の中で特に問題にしなければならぬ景品、懸賞、こういう問題について景表法三条、四条、こういうものによっての禁止、こういうことについてどういう考え方を持っていますか。
  36. 波光巖

    波光説明員 お答えします。  昨年七月に消費者団体から子供向けCM規制についての要望を受け取っております。この内容によりますと、非常に広範多岐にわたっておりまして、これらの問題も、景表法上の問題だけにとどまらないという内容のものがあるわけでございますが、公正取引委員会としましては、その商品について実際の物よりも優良であると誤認されるかどうかという景表法上の観点から検討するということになるわけでございます。  消費者の要望にもございますように、テレビコマーシャル影響力が非常に大きいということ、それから最近不当な表示だという具体的な指摘もございますので、現在の段階では、私どもとしてはいま申しましたような景表法上の観点から、具体的にどういう規制をする必要があるのかという点については、やはり専門的な学者先生方の研究をお願いしたいということで、早速そういう調査の依頼をいたしております。それで、具体的な規制をするかどうかにつきましては、そういう調査結果の内容を見まして決めたいと思っております。  それで、いま具体的に御指摘懸賞つき販売の点でございますけれども、これも最終的には研究結果を見た段階で検討したいと思いますけれども懸賞つき販売の金額が非常に多いということが一般的に射幸心をあおるという点があるわけでございまして、したがいまして、これはテレビCMに限らず、一般的に金額を制限するということが行われておるわけであります。テレビCMにおける懸賞つき販売というのも、現在そういう制限が行われた範囲内でのCMということになっておるわけでございまして、一般の販売の場合には懸賞つき販売はその制限の範囲内であれば許される、しかしCMだけ許されないということにするかどうかという点については、これは非常にむずかしい問題があるのではないだろうかという感じがいたしております。  いずれにしましても、この点を広告主あるいは民放連等のそういう放送媒体で自粛されるということであれば、これは非常に望ましいことでございますけれども、現段階における感じを若干申し上げておきたいと思います。
  37. 武部文

    武部委員 遅まきながら私は前進だと思いますが、しかし、これは毎日毎日放映されておるわけですから、至急に公取としては、さっきの問題と一緒に絡めて早く態度を決め、学者の先生の研究も早く、急いで対策を立ててほしい、このことを特に公取に要望しておきたいと思うのです。やはり公取が毅然たる態度でこの問題に対処してもらわなければ困る、こういう気持ちを持っておりますから、特に要望しておきたいのであります。  きょうは、この問題、初めてのことでありまして、時間もあとわずかになってしまいましたので、もう二つだけしてこの問題をやめます。  民放連にお伺いをいたしますが、先ほど二回にわたって要望なりが出たということを申し上げ、回答がございましたが、その中に、この放送基準と別に子供向けテレビCM基準、こういうものを新たに設定してほしい、こういう要望があります。これはごらんになったとおりだと思うのですが、確かにそういう要望がいままでに話をいたしました中からも出てくるだろうと思うのです。コマーシャルの量がどんどん子供向け番組に集中する。しかも内容もさっきから申し上げるように、成長期盛りの子供に与える影響も非常に大きなものがある、こういうことを考えると、基準の中に新たに子供向けテレビCM基準というものを設定してほしいという意見も当然に私は出てくるだろうと思うのです。そういうことについて現在民放連はどういうことを考えておるでしょうか、これをお伺いしたいと思います。
  38. 泉長人

    泉参考人 子供向けテレビCM基準を新たにつくろうということは、いま考えておりません。ただ、現在の放送基準、それから放送基準の中にあります広告基準、そういうものは十分解釈をいろいろ子供向けについても細かにしていけば、十分それで足りるということで、子供向けCMに対するガイドラインというようなものをこの放送基準に合わせてつくりたい。基準というよりもガイドライン的なものをつくりたい。それはわれわれ自身が守るのじゃなくて、われわれを取り巻く、CMをつくっている人たちにもガイドになって、同じような立場で守っていただきたいという趣旨から、連盟自体の、各社自体の持っている基準だけじゃなくて、もっと広い意味で通用できるようなものにガイドラインというものを合わせてつくりたいということでございまして、新しいわれわれの基準をつくるということは考えておりません。
  39. 武部文

    武部委員 いまの民放連ではそういう要望にはこたえられない、こういうお話のようですが、私はいま具体的な問題を例を挙げてお話をいたしましたように、大変問題が重要になってきておるだろうと思うのです。そういう意味で、この放送基準なるものが一体守られているのだろうか、これについても大変疑問を持つのであります。総量の点からいっても、内容の点からいっても、あらゆる問題について視聴率競争の方が優先をして、この放送基準がなおざりになっておるということを指摘せざるを得ないのであります。したがって、当面特にこの子供向け番組の問題について別な基準をつくってほしい、こういう要望があるのも当然だというふうにいま申し上げたわけですが、いまガイドラインということをおっしゃったわけです。一歩前進をして民放連放送基準を再検討をし、現在の状況とマッチしていないそういうものがあるならば、当然これは改正すべきです。そういう立場で真剣にこの問題について取り組んでいただきたい、このことを特に要望しておき、改めてまた時間を見てやりとりをしたいと思います。  最後にこの問題について郵政省要望しておきますが、先ほど申し上げるように、電波の許可は郵政省が与える。郵政省監督官庁であります。アメリカの例を一つ申し上げましたけれども、再免許は全く機械的に再免許が与えられておるだけのことだ、こういうことを申し上げました。一体現在の民放放送時間がどうなって、コマーシャルがどうなって、その内容がどうなって、国民が何をこれに対して望んでおるかというようなことは、四六時中常に監督官庁である郵政省調査をし、そういう状況をつかんでおかなければならぬと思うのです。残念ながらこのコマーシャルの料金等についても余り熟知しておられないようでありますが、このいま申し上げましたような内容が、特にこの近年視聴者の中から高まっておる、しかもそれが子供であるということが私は大変重要だと思うのです。おとなならいいんです。判断力でいいですから、見ようが見まいがそれは勝手でしょう。しかし子供番組の中に、特に時間帯が集中しておるわけですから、そこにそういうような問題点が出ておるわけですから、ぜひ郵政省もこの問題については真剣に取り組んでいただきたい。これを特に要望しておきます。答えは結構です。  放送の問題はもう時間がございませんからこれで終わりまして、大臣がお見えになったようですから、私は一つ二つ最後に質問をして終わりたいと思います。  まず最初に時間の関係一つだけ、年賀はがきのことについて郵務局長お尋ねしたいのですが、ことしは二十円であったためか、大変たくさん早く売れました。あっという間に売り切れたのであります。そこで苦情が出てきた。年賀はがきが買えないじゃないか。窓口に並んでも買えない、そういう苦情が出てきました。二十八億八千万枚ですか出たわけですが、私の郷里では、郵便局の隣に百貨店があります。郵便局に行っては一枚もない。ところが隣の百貨店の売り場に行くと、こういうものが並んでおるのであります。まことにきれいなもので、何ぼでも並んで、たくさん積んである。全部包んで十枚単位で乗っておるのであります。金額は十枚で六百円、七百円、八百円という種類になっています。これは六百円のものであります。一枚六十円です。こういうものは隣の郵便局には一枚もないが、百貨店にはもう山ほど積んである、こういうことであります。しかし高い。三倍から四倍もするわけです。高い。そこで苦情が出てきたのであります。  一体どうしてこういうものが郵便局の窓口にないのに百貨店に並んでおるのだろうか。これは当然買い占めであります。買い占めをしてこういう印刷をして、高い値段で出す。もしこれが売れなかったならば大変な損だが、どうしてこんなことをするだろうかと普通の人は思う。しかしそこはやはり向こうの方が頭がいいわけで、絶対に損せぬことを知っておる。これは郵務局長おわかりのとおりです。こうなったのです。  そうすると、これはどこで印刷しただろうか。これは地方で分散して印刷すれば印刷費が高くなりますから、いろいろ調べてみたら、関西は大阪、関東は東京、こういう一カ所で、大量の年賀はがきが買い占められて、そこで印刷をされて出ておる。  せめて何枚か出そうと思う人は、どこにもないからこれを買わざるを得ない。こういう結果になりました。郵便法上からいって残念ながらこれは違法行為ではございません。百貨店で余ったものは隣の郵便局へ持っていけば、三円ですか五円ですか、書損で二十円のはがきとかえてくれるわけです。取りかえてくれます。これで印刷費はとんとんになる。部数が多いのですから、むしろ印刷費の方が安いのです。そういう結果がことし起きたのですね。御承知のとおりだと思うのです。ここまで手が回るとはわれわれも、恐らくあなた方も思っておられなかったかもしれませんが、結果起きた。  そこで、苦情が出てきた。年賀はがきが窓口で売り出されたら、せめて二週間か二十日ぐらいまでは何枚か窓口で買えるようにしてほしいという投書が新聞に主婦の方から、何人か私は見ました。そうだと思います。一体これはどういう方法をとったらいいだろうか、来年はどうなるだろうか、この点についても若干心配です。来年は四十円ですから、そう売れぬかもしらぬ。ことしは二十円だったから売れたので、来年は売れぬかもしらぬが、そのことすら考えられますね。この実態と対策、これはどうでしょうか。余り先になるとまた忘れてしまうので、ひとつこの機会に聞いておきたいと思います。
  40. 魚津茂晴

    ○魚津政府委員 私どもその実態を承知しておりまして、苦々しく思っているわけでございます。国民の皆様方からもいろいろと御批判が出ておることも、一方では起きているわけでございます。  そこで、対策ということでございますが、先生も仰せのとおり、現行法では法規的には残念ながら取り締まれないということでございますので、事実上のいろいろの施策を講じて対抗するということになるわけでございまして、来年度の年賀はがきの発行枚数を決めますときに、ことしのそういった事実関係を十分念頭に置きまして枚数を決めるということと、それから枚数を決めても、なお事実早く売れてしまって郵便局に行っても買えないという事態があるいはあるかと思いますが、その際の増刷体制というような点についても準備をしてまいりたいと考えております。  なお、一つつけ加えさせていただきたいと思いますのは、印刷関係の方々の中からも自粛の声がことし出てまいりました。非常にいいことだと私は思っているわけでございますが、過日全日本印刷工業連合会長から私どものところに、国民の批判を受けるような行為は自粛されたいという旨の文書を傘下の方々に発しまして来年からはこういうことはやめたい、やめるべきだというような空気がそういった内部からも出ているということを聞いておりまして、そういうような自粛の動き、それから私たちの発行枚数、増刷体制というもの、両々相まってことしのような事態が起きないようにしてまいりたいと思います。
  41. 武部文

    武部委員 よくわかりました。法的な規制は確かにできませんから、そういう点でことしのようなことのないようにぜひ御配慮していただきたいものだと思います。結構です。  最後になりました。大臣にお伺いをいたしたいのであります。昨日、同僚の阿部委員から郵便貯金の点についていろいろ質問があったようであります。私は、このことについて一つだけ大臣の決意なりをお聞きしたいし、要望も申し上げておきたいのであります。  郵便年金とのかかわり合いから、総理の諮問機関として郵貯懇なるものが発足をいたしました。私ども立場から見れば、まことに奇怪至極だと思います。この郵貯懇なるもののねらいは一体何か、目的は何か。これは金利政策の一本化である、あるいは郵政省への資金集中の見直しだとかあるいは金融分野における官業のあり方を検討するとか、そういうことが目的とされておるようであります。しかし、本当のねらいはそうではない。このねらいは、もう明らかなように、郵貯の有利性というものに対して歯どめをかけて、そうして民間金融機関の資金の集中を図ろうとしておることはもう明らかであります。われわれはそのように見ておるのであります。  郵貯懇なるものはそういう目的を持ってつくられた、しかも、この懇談会はごく限られた有識者と称する人たち、したがって国民の声を聞くような中から選ばれた者ではないのであります。こういうことを考えますと、この人選についてもまことに遺憾である。郵政大臣がこれに対してクレームをつけられたのは私は当然だと思うのです。このような構成の郵貯懇が預金者であるところの国民の真の利益を守る、そういう答申を出すでしょうか。私はそう思わないのであります。したがって、郵便貯金というものは郵政大臣であるあなたが管理することが郵便貯金法にちゃんと決められておるのであります。したがって、預金者を守るために唯一の方法であるところの郵政大臣、権限を持っている郵政大臣はどのような決意でこの問題に臨まれようとしておるのか、これを最初にひとつお伺いしたい。
  42. 山内一郎

    山内国務大臣 内閣に懇談会ができましたことでございますが、その点につきましてはいろいろと郵便貯金に関する問題も取り上げて懇談をされるわけでございます。  そこで、中立の委員ということでございますけれども、何としても一番重要なことは、従来の郵便貯金のあり方、百年ぐらいの歴史がございますし、国民の、一般の方々の預金を預かるものである、したがって国民の皆さん方の信頼を得なければいけない、そういうようなことから金利についても郵政審議会に諮って決めるというような法律に相なっているわけでございます。こういう点を十分にひとつそういう委員の方々にPRをして認識をしていただく、そういうことで第一回の郵政省の説明も終わっておりますけれども、さらに積み重ねまして十分な説明をすれば、必ず従来のやっていることについて納得をしていただける、私はこういうことを確信をいたしまして、さらにその方法について進めてまいりたいと考えているわけでございます。
  43. 武部文

    武部委員 その決意でぜひ国民の貯金を預かる郵政大臣としては努力をしていただきたいと思います。  もう一点貯金の問題でありますが、貯金事業は、いま申し上げたようにいろいろな意味で前途多難であります。しかしその反面、また前途洋々たるものを持っておる、このようにわれわれは見ておるのであります。  その一つとして、かねてから非常に要望も強かったし、また計画をされておるところの全国の郵便局を結ぶオンラインネットワーク、その計画は一体いまどのようになっておるのか、これが一点であります。同時に、これに伴う貯金あるいは振替などの能率化とサービスの向上策、これは一体どうなるのか、この点が二つ目。さらに郵便貯金もさることながら、振替、為替、そういう業務につきましても今後オンラインを利用して、利用の拡大あるいは利用者のサービス、そういうものを郵政省には努力してもらいたい、そういうことによって貯金事業というものは、たとえあのようないろいろな形の圧力があったにしても、将来大きく発展をする余地がある、このように私どもは見ておるわけでありますが、これについて郵政省の決意をお聞きをしたい。  ちょうど時間になりますから、それで私の質問を終わりたいと思います。
  44. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 為替、貯金のオンライン化の計画につきましては、国民利用者の皆様に対するサービスの向上ということのために昭和五十三年の八月から神奈川県において開始をいたしました。その後、対象地域を拡大をいたしてきております。五十六年の一月末現在で約六千四百の郵便局におきまして、オンラインによります業務の取り扱いを行っております。これは全国の完成予定時のおおむね三四%に当たります。国民の、人口の比率でまいりますと約五〇%の方々にオンラインサービスの提供をすることが可能になっておるわけでございます。今後順次取り扱い地域の拡大をいたしまして、五十八年度末には、全国網を完成させていきたいと考えております。  で、これからのサービスの向上でございますけれども、オンライン化によりまして、たとえば通常貯金の利子記入が即時化できる、あるいは未記入の元加利子の即時払いができる、あるいは為替等送金決済業務の迅速化といったことが図られます。そのほかに現金の自動預払いということ、これも現在CD、キャッシュディスペンサーという形でやっておりますが、預入もできるようなものもこのオンライン化計画の中で考えているところでございます。新しいサービスにつきましても、お客様のためになるようなサービスをこれからもさらに進めてまいりたいということでございます。これまでやっておりましたサービスのほかに、新しいサービスといたしましては、たとえば電信為替の払い渡し方法を多様化いたしますとか、あるいは小切手払いの口座におきまして、従来その口座を設けた上で小切手払いをするということになっておりましたものを、そういう口座を設けずに振替の口座から直接に小切手で払い戻しができるというふうなサービスも考えているわけでございます。  いずれにいたしましても、これは民間でもすでにやっておりますサービスを、実は遅まきではございますけれども郵政省といたしまして、国民利用者のために大いに進めてまいりたいと考えているところでございます。
  45. 武部文

    武部委員 では、私は以上で終わりますが、泉参考人には大変お忙しいところありがとうございました。
  46. 佐藤守良

    佐藤委員長 武部文君の質疑は終わりました。  久保等君。
  47. 久保等

    久保委員 私は、きょうは余り時間がございませんので、特に前々から問題になっております電電公社の国庫納付金問題について、まとめていろいろとお伺いをいたしたいと思っております。  昨年の十一月の二十六日にも私、当時行政管理庁の堀内政務次官にこの委員会出席をしてもらって、ほとんど一時間、行政管理庁当局に対する質問だけで実は終始をしたわけであります。当時、十一月の二十六日ではございましたが、この国庫納付金の問題については目下調査中である、あるいは検討中である、そういう答弁に終始をして、何ら具体的な経過なりあるいはまた政府の考え方なりを聞くことができなかったのであります。本日も、できれば中曽根長官においでを願って質疑をいたしたいと思っておりましたが、どうしても出席できないというお話でございますので、残念ながら行管に対する質問ができません。  そこできょうは、郵政大臣初め郵政当局にお伺いをいたしたいと思っておるのであります。  昨年の十一月二十六日当時の状況では、いろいろ新聞その他で国庫納付金の問題について伝えられておったのでありますけれども、責任ある行管の答弁は、いま申し上げましたように何ら聞くことができなかった。しかし、昭和五十六年度の国家予算の編成を前にして、きわめて早急に結論を出さなければならぬといったようなことはにおわされておったのであります。しかし、私が当委員会で質問をいたしておりました当時も、郵政省としてはその納付金制度に対して強く反対をせられてまいっておったと思うのでありまして、当時郵政大臣のお話の中にも、私の質問に対する御答弁ではございませんが、郵政大臣としてはいまのところとにかく正式な話を聞いていない、こういうような話であったわけであります。  しかしいまの段階で申し上げますならば、もうすでにこれに関する法律案まで国会に提出をせられるという段階になっておるわけなんです。したがって、最初はまず私この法律案の扱い方の問題についてちょっとお尋ねしたいと思うのです。  それは、財政運営に必要な財源の確保を図るための特別措置に関する法律案という形でいま国会に提案をせられております。しかしこの法案の中に盛り込まれておりますのは、例の赤字国債の発行並びに中央競馬会の国庫納付金の若干上積み、そういうもの、それに加えて電電公社の納付金制度の問題が織り込まれておる。この中身をちょっと考えてみても、電電公社の場合にはもちろん現在そういった制度はないわけでありますが、全く新しくそういうものを創設するわけであります。競馬会の場合には従来から納付金制度がある、その中に二百億ばかり特別に少しよけいこれに上乗せをさせようという中身のようであります。そういたしますると、電信電話事業をやっておりまする電電公社のこの制度は、私は、歴史的に考えてもまた制度的に考えてもあるいは現状から考えても、とうてい納得できるものではないしするのですが、とにかく十把一からげといったような考え方で法律案として出てまいっておるのですけれども、この提案そのものに問題があると思っておりますし、特にこの法律案の中身は、いま申し上げましたように、本質的に制度そのものにかかわる非常に重要な問題であります。電信電話事業というものを今後一体どう進めてまいるかという本質的な問題を含んでおると思うのです。この公社に対する納付金制度の問題については当然切り離して別個に提案をすべきだ、かように考えるのですが、いかにお考えになっておりますか。
  48. 守住有信

    守住政府委員 お答え申し上げます。  電電公社の臨時国庫納付金の立法措置につきましては、先生指摘のとおり、特例公債及びその他の歳入特別措置とあわせまして、財政運営に必要な財源の確保を図るための特別措置に関する法律案として国会に提出されたところでございます。  この点につきましては、第一の点といたしましては、いずれも歳出の財源を確保するための措置であり、その意味におきましては、立法の動機、趣旨を同じくしておる。それからもう一つの点は、基本的制度に恒久的な改正を加えるものではなく、臨時措置として特別立法されるもので、法律の性格を同じくしておる、こういう点などの理由のために、歳入確保のための臨時特別措置として取りまとめまして、これのうらはらに相なります一般会計予算とともに政府として国会に提出されておるわけでございます。したがいまして、先生指摘のように、仮に臨時とはいえ新制度の創設であるといたしましても、公社制度の基本を恒久的に変更しようというものでなくて、あくまでも臨時特例のものとしての歳入確保のための特別立法であるという意味合いにおきまして取りまとめられたものだというふうに理解をしておる次第でございます。
  49. 久保等

    久保委員 そういう御答弁ではとうてい納得できないのです。中央競馬会なりあるいは赤字国債は、もちろん昭和五十六年度だけに限っての措置であります。ところがこの電電公社の制度の場合については、なるほど臨時という名前がついているから臨時かもしれませんけれども、本質的にはやはり四年間にわたる新しい制度です。期限を限った新しい制度でして、決して五十六年度の予算に関連するものだけではありません。ところが他のものは五十六年度だけなんです。しかもまた、中央競馬会の場合には、見てみますると、これは従来から納付金制度があるわけなんです。それに要するに多少幅を広げて金額的に二百億円ばかりとにかく上乗せをするという中身なんです。したがって、これは現在それこそ制度としてあるわけです。しかし、電電公社の場合には、制度的にはもちろんありませんし、それが毎々郵政省あたりでも言っておるように、制度的な非常に変革をもたらす問題であることには間違いありません。しかも四年間にわたっているわけですから、臨時、臨時と言ってみたって、ほかと同じように平仄が合うような形になっておればその形の面から言って臨時ということも言えるかもしれませんが、しかし、少なくとも私はそういう臨時特例の問題だというふうな問題、あるいは財源確保――財源確保どころじゃなくて、電信電話事業に対する財源確保を一体どうしなければならぬかという問題が、これから後ぼつぼつ質問いたしますが、あるわけであります。何か全く他の一般会計の赤字補てんといいますか、財政再建のために、本来あるべき事業の本質そのものを曲げてまでそういう財源的な問題について協力をしなければならぬという理屈は、制度的に言っても理論的に言ってもかつまた現状から言ってもそういったことは認め得ない現状なんですから、私は本質論の議論は後ほどいたしますけれども、とにかく国会の法案そのものの審議のやり方そのものについても問題があると思う。同時に、公社全体の経営考えるならば、財務的に、総体的に、全体的に一括して検討してまいらなければ全体的な判断がつきかねる、これは当然のことです。  そういった点から言っても、これは全く名実ともに財源確保法案といったような形でもって一束にして国会に出すことについては、郵政省そのものの見識を私は疑いたくなるのですが、このことについて郵政大臣からひとつお答え願いたいと思います。
  50. 山内一郎

    山内国務大臣 いま局長から概略説明したとおりでございますが、従来、法案の立て方の問題は、それぞれ担当の委員会がございますから、それに沿うように法案を整備をして御審議をいただく、これはもう大原則であるわけでございます。  また一方、納付金のように、納付金だけを横並びで見ていただく問題、四年間といえども特例は特例でございますので、特例措置、赤字国債もその特例措置の一つに入るわけでございますが、そういう点を一緒に御審議をいただくというのもそういう意味において一つのやり方じゃなかろうか、こういうふうに考えておるわけでございます。  今後はひとつそういう点について――両方いろいろありますけれども、今回のように相なったわけでございまして、以上の点を御了承いただきたい、こう考えておるわけでございます。
  51. 久保等

    久保委員 いろいろそういう答弁をなさいましても、とても私ども理解するわけにはまいりません。したがって、この法案の扱い方については、議運の方でもって、ぜひ分離して出し直すように、もちろんその制度そのものに反対ですから私どもは撤回をすべきだと要請をするわけですが、仮に出すにいたしましても、分離をして出すべきだ、そういう主張を強くいたしておきたいと思います。  この問題だけにとらわれておったのでは中身の論議ができませんので中身に入ってまいりたいと思うのです。  郵政省はかねてからこの問題については、先ほどもちょっと触れましたが、賛成するわけにはまいらないという態度をとっておったと思うのですが、これが結果的には了承といいますか合意が成り立った形でいまお話し申し上げたように国会に提案されてまいった。一体、反対をしておったんだが了承せざるを得なかったというか、合意をいたしたその経緯――従来大体反対をしておった理由はどういう理由だったのか。細かくは結構ですが、反対をしておられた主な理由はどうだったか、その点ひとつお尋ねいたしたいと思います。
  52. 守住有信

    守住政府委員 お答え申し上げます。  先ほど先生指摘のように、行政管理庁の方で政府関係機関特殊法人の財務状況の見直しという動きがあったわけでございます。それに対しましては、行政管理庁の方で当時は調査中であるということでございましたが、その後財政当局としての大蔵省の方から、国の財政が先進諸国にも例を見ないような状況になっておるので、この赤字国債の減額というのに何としてでも取り組まなければならない、こういうふうな意味合いにおきまして、電電公社から臨時に国庫納付を求めたい、しかも、その内容につきましては、財政再建期間の終わるまで一千億を超えるような額を収入の方から出してもらいたい、こういうふうな要望が私どもの方へあるいはまた公社の方へもあったわけでございます。  私ども当時非常に反対いたしましたのは、まず、異常な財政状態でありますので、そこの点はいろいろ認識はしなければいかぬと思いますけれども、財政再建期間中という非常に不明確な期間でございますので、受けとめ方によりましては、国債の償還の問題等もございますので、これが非常に長期的にもなりやすいというふうな点もございますし、また、一千億を超えるものを損益の収入から出してもらいたい、こういうことでございますと、これが直ちに公社の経営はおろか加入者の方々の方の御負担に直接的にすぐ響いてくる、こういうことでございまして、そういう点を特に意識をいたしまして反対しておった次第でございます。
  53. 久保等

    久保委員 しかし、いまの程度の反対じゃきわめてこれは根拠が薄弱だと思うのですが、もう少し本質的な問題で反対をしておったのじゃないですか。ただ協力要請があった、時期的な問題が不明確だ、一体いつまでだというような点でどうも納得できないので反対しておった、その程度の反対だったですか。もう一遍ひとつ。
  54. 守住有信

    守住政府委員 これは公社とも十分打ち合わせをしながら進めておったわけでございますし、その反対的な理由というものも、広く国民の皆様にも御理解をいただかなければならぬというふうなこと、公社の財務の本質なり収支差額の性格論なり等々につきまして広く国民の皆様に御理解を得ながら、各界の方々の御理解を得ながらこの主張をやっていかなければならぬ。そういうものの中で、やはり先生おっしゃいますようなこのこと自体が公社制度になじむかどうかという点でございます。  公社発足以来の経緯を承知しておりますが、二大目標を達成はいたしました。電話電信につきましては非常な努力の中で三千八百万加入、四千万加入という世界に冠たる高度なサービスと品質ということを維持して二大目標は達成しましたけれども、なお今後の設備投資その他についても情報社会を控えていろいろな面が残っておるのだというふうなことも含めまして、その収支差額の性格論等々につきましても公社と一緒になりましていろいろPRその他をやった、こういうことでございます。
  55. 久保等

    久保委員 先ほどちょっとお尋ねしたように、昨年の十一月の二十六日ごろには正式にまだ話はなかったというような話だったのですが、一体いつごろから正式というか要するに相当具体的な話として話が出てきたのか、やむを得ず納得したということになったのでしょうが、最終的に一体いっその話がついたのか、合意に達したのか、その時期的な問題を少し御答弁願いたいと思うのです。
  56. 守住有信

    守住政府委員 各特殊法人の経営の見直しということでの点は、あれは十月の半ばごろであったかと思いますが、電電公社に対しまして行政管理庁から調査に入るということでございまして、公社の方からも私の方からもその後の取り扱い、まとめ等についてはどうだということでございましたが、先生委員会でも御指摘になりましたように、まだ検討中だ検討中だということで、その時点ではそういう段階でございます。  その後十一月末ぐらいの、私ちょっと、記憶でございますので、詳細な記録はいま手元にございませんけれども、そのころになりまして、大蔵省の方として、行政管理庁はそういう立場でやっておられて続行中だが、同時にこのことは財政再建の問題であるし、財政当局としてこれについてお願いをしたいということで、そのお願いをしたいという段階からだんだんその一つの案と申しますか、が出てまいったわけでございます。それが先ほど答弁申し上げました、財政再建期間中一千億を超える額を収入の方から協力してもらいたい、こういうことであったわけでございますが、またその後これは各方面の御論議を呼んだところでございまして、最終的には行政改革の見直しの十二月の閣議決定、さらにはそれと関連いたしましての五十六年度予算案の編成方針、そういう段階で最終的に、何と申しますか、気持ちの上ではいろいろございますが、公の席でございますので発言を差し控えさせていただきますけれども、まあやむなくと申しますか、合意をした、こういうことでございます。
  57. 久保等

    久保委員 特に金額の一千二百億円ということで話がついたというか、これは私は率直に言って、郵政省のそれまでの主張からいけば、勝った負けたという性格の問題ではございませんけれども、正論なり、あるいはまた実際責任を持って監督をしている郵政省とすれば、結果的には、非常に不本意ながらとは言いながら、結論が出たことについてはまことに私は当事者能力を疑いたくなるので、きわめて重大な譲歩というか妥協というか、妥協と言えば大体歩み寄って話がまとまるのが妥協なんだけれども、これは一方的に押し切られたという結果について、私は実は非常に遺憾に思っておりますが、その一千二百億円という金額が合意した形になったのはいつですか、その閣議以前の。
  58. 守住有信

    守住政府委員 お答え申し上げます。  与党である自民党の中におきましてもこの問題は各方面で取り上げられ、御論議をいただいたところでございまして、もちろん通信部会、電電基本問題会議、それから一方では行財政調査会、一方では財政部会、こういう状況があったわけでございまして、その行財政調査会の流れの中で自民党の総務会がございまして、ちょっとその総務会の日は忘れましたけれども、そこで大綱の方針が決まったわけでございます。  それを受けまして、これは財務の問題でございますので大蔵、郵政省、それからもちろん電電の問題でございますので電電公社も横に置きまして、一つのまとめたものが、意思統一をしたものがきのう阿部委員お話にございましたものでございますが、その考え方といたしましては、あくまでも、公社も申しておりますように、この性格を財政再建のための公社としての協力金である、こういう基本的性格のもとに、公社の財務力、財務体質と申しますか、あるいは資金調達力と申しますか、そういうものに着眼をいたしまして、一つ参考として……。
  59. 久保等

    久保委員 それを聞いているのではなくて、合意をした日を言ってください。
  60. 守住有信

    守住政府委員 総務会の最終は十二月の十七日でございまして、これに伴います行財政の改革の閣議は十二月の二十九日でございます。
  61. 久保等

    久保委員 いまお尋ねしますと、時間的な経過をながめると、まことに短期間に強引に押し切られたということを理解せざるを得ないのですね。私はその点非常に残念だと思いますよ。それは与党の諸君の意見も聞かなければいかぬし、与党の機関の決定ということは非常に重大な問題だと思うのです。しかし、いまお話があったように、与党の中でも特に専門的に担当しておられる通信部会の皆さんも、大変な御決意でやられたことも私どもも承知いたしております。そういう背景がありながら、なぜ無理な主張なり無理な方針というものが押しつけられるのか、そういったものが一体まかり通って国会に出てくるのか、私は、まことに不信感を持たざるを得ないのですね、そういう経過を考えますと。  先ほども申し上げたように公式の場のこの委員会、十一月二十六日には、まことに五里霧中みたいな話で目下調査中、目下検討中ですと。十二月早々には予算案の編成に入らなければならぬからとても一体時間がないんじゃないかと言ったら、ここ数日には何とかしなければなりませんが、目下のところはまだとても具体的にお話しするようなことにはなりませんというふうなことで説明せられたのですが、いまお話を聞くと、十七日にはすっかり決まってしまった。わずか半月前後で、何かえらい金額まで、一千二百億円というような形、四年間では四千八百億、これだけ重大な問題がいとも簡単に押し切られるなんというのは、まことに私は情ないと思うのですよ。一体そのことについて郵政大臣はどんなふうにお考えになりますか。
  62. 山内一郎

    山内国務大臣 いろいろと来年度の予算編成に当たりまして、これは大蔵省がやっていることですが、いかにして財源を確保するかということに懸命に努力をしていたようでございます。しかしなお赤字国債は減らしていかないといけない。そういう点を考えながら歳出の削減も図っていかなければいけない。こういう点でいろいろやりましても、今回予算案で提出をいたしておりますように、増税が相当な金額に上っている。そういう点から考えると、特殊法人から納付金を納めていただかなければ予算編成も成り立たない、こういうような強い大蔵省の内部のいろいろ作業があったようでございます。そこでいろいろ検討しました結果、納付金の方にどうしても御協力をいただかなければ予算編成もできないのだと、こういうような強い要請が大蔵大臣からもありましたし、閣議でも、こういう点についてはひとついろいろ問題があろうけれどもやるようにと、こういうような点がございまして、そこで私の方もやむを得ずこれは合意に達したと、こういうことであるわけでございます。
  63. 久保等

    久保委員 やむを得ずと言うが、それは、何しろ大蔵省の立場なり一般的な財政を考えれば、確かに今日財政再建問題は非常に重要な問題です。ただしかし、ないところからまであえて出す、これはあと予算案の問題で私ちょっと触れてお尋ねしますけれども、あって出すのならこれはなにですが、制度上は許されないがとにかくあったものだからやはりこの際は緊急事態だから出さざるを得ないのだというのなら、これも緊急性からいってあるいはうんやむを得ないかなということになるかと思うのです。ところが、制度的にもだめだが、同時に現在金がないわけですよ。五十六年度の予算を見ればわかるように、何のことはない、とにかく財投から金を借りなければならぬ。そして一方においてはとにかく無償で、無条件でひとつ拠出をいたしますよと、そういうばかな昭和五十六年度の予算の編成なんかはないですよ、それは。考えてみれば。  と同時に、この電電公社の場合、電気通信事業に対する納付金という問題は、もう少し歴史的な沿革をひとつ振り返って肝に銘ずべきだと思うのですよ。私は、過去における通信事業特別会計に対する納付金制度がかつてあった、そのことについての経過を簡単にひとつ御説明願います。どういう状況だったのか。
  64. 守住有信

    守住政府委員 公社法制定当時の国会の論議お尋ねだと思うわけでございますが……。
  65. 久保等

    久保委員 わからなければいいですよ。その以前の問題だよ。納付金制度の歴史。戦前、戦時中。
  66. 守住有信

    守住政府委員 戦前におきましては、郵便も含めまして逓信事業、これは一般会計からの支出といいますか収入支出であったわけでございますが、昭和九年に通信事業特別会計という特別会計がようやくと申しますかできまして、これは当時は郵便も含めておったわけでございますが、以来、通信事業特別会計が成立いたしましたときに、国庫納付制度、記憶でございますけれども、当時として年間三千二百万以内のもので予算の定める額を納付する……(久保委員「八千三百万」と呼ぶ)八千三百万でございました。八千三百万以内で予算の定める額を納付するということで、昭和九年以来昭和十八年まで国庫納付が行われておったというふうにとらえて……(久保委員「二十年」と呼ぶ)制度としては二十年でございますが、実態としては昭和十八年まで行われておるというふうに記憶をいたしております。
  67. 久保等

    久保委員 まあ政策局長個人をどうこう追及するわけじゃないですけれども、非常に重要な問題だから、郵政省としてもこういう納付金制度を創設するということになれば、過去においてもどうであったか。これは通信事業特別会計以外にはないのですね、国鉄の場合なんかやったことはないです。ところが、通信事業特別会計、いまお話があったように、郵便を含めての通信事業特別会計に対して、昭和九年以来当初は年間八千三百万円、ところが八千三百万円といっても当時の通信特別会計の固定資産が幾らかというと、わずかに三億数千万円だったのですね。私もいささか驚いておるのですが、通信事業特別会計での固定資産がわずかに三億数千万円の中で八千三百万円の納付金を納めたのです。  ところが、だんだんだんだん戦争が始まった。臨時軍事費、こういったものにまでだんだん吸い上げていくようなシステムになって、昭和十九年までの間で実に十二億数千万円に上る納付金を徴収しているんですよ。ところが、十二億数千万円というと大変な金額でして、いま申し上げるように、日本じゅうの電信電話、郵便関係の固定資産が総計で三億数千万円。昭和十九年当時の固定資産は約九億数千万円。その九億数千万円の当時の、すでに過去十一年間にわたる納付金というのは実に十二億数千万円に上っておったのです。  そういう結果がどういう結果をもたらしたのか。これは一々一問一答の形でなくて私から申し上げれば、したがって電信電話事業を例にとってみますと、非常に立ちおくれ荒廃した。もちろん、戦争で爆撃を受けた、戦災等によりまして。たとえば電話だけを取り上げて言えば、終戦当時にわずか五十数万になっておりましたが、しかし、とにかく焼けない電話全部含めても百万ちょっとぐらい、昭和二十年当時の電話の加入者の数というものは大体百万を少し超える程度の数であったわけです。それが電電公社発足当時には百五十五万と言われておりますが、とにかく大変な立ちおくれで、私どもも記憶にあるのは、当時個人が電話を持っているのは特権階級で、恐らく電話を持っておるのはほとんど、東京なんかの場合は別ですけれども、とにかく全国でわずかに百万ちょっとぐらいという状況に置かれたのですが、これは一にいま申し上げたような十二億数千万円に上る納付金を納めておった、結局、電信電話事業に対する大変なしわ寄せで、大変な立ちおくれであった。  そのことは同時に、技術の革新といいますか技術の発達に大変な障害を来した。そのことを戦争と結びつけるとおかしいですけれども、日本の電気通信技術、電波関係の技術というものが非常に立ちおくれておったことは御承知のとおりでして、何か潜水艦がそこらに来たんじゃないかといって測定する機械も何もないといったようなことで、何か無線だといって適当に海へ線だけほうり込むけれども、実際の機械もろくについていないような、そういったようなことでカムフラージュをしたというようなエピソードも私ども耳にしておるのですが、電気通信、電波を含めての技術の立ちおくれという大変な結果をもたらしたということも、これは歴史的な事実なんです。  そこで、昭和二十七年のあの電信電話公社法制定当時の話につながってまいるわけでありますが、国会において、とにかくそういった納付金制度を創設すべきではない、そういう強い議論があって、とにかく現行の電信電話公社法というものができ上がった。そういう経過があるだけに、今回またぞろ納付金制度という問題を、昔のそういった苦い経験というものを無視した形で考え出すこと自体が私は時代錯誤だと思います。確かにこの制度がなかった関係で、御承知のように電信電話事業、最近いろいろな不正問題が出ておりますが、不正問題については、これはきのうも新総裁も言っておりましたように厳正に処置をしなければならぬ問題だと私は思います。しかし、一方において電信電話事業がどういう経過をたどって今日に至ったか、このことについての正しい判断と正しい評価は評価としてやはりしなければならぬと思うのです。  ところが今度は、いま申し上げたように納付金制度を、四年間とはいいながら明らかに時代逆行的な制度をなぜ一体導入しなければならぬのか。国家財政が大変だから納付金制度で納めろと言うのですが、しかしあの財源確保法案は、私さっき申し上げたように電電だけ四年間にわたるもの、ほかのはみんな一年ですよ、赤字国債にしたって中央競馬会だって。それで、なぜ一体四年間という形で納付金を納めなければならぬのか、納めるような制度をつくらなければならぬのかということを考えますと、まことに平仄が合わぬのですよ。そういうことについて一体どうお考えになりますか。そういった歴史的な教訓を生かしていくことによって初めて、生きた事業なんですから、何もきのうがなくてきょうがあるんじゃなくて、ずっと長い間の歴史の積み重ねが今日の事業の発展をもたらしているんでして、しかもそれは単に金額だけの問題以上に制度的な問題として問題がある。先ほども申し上げたように、最初発足したときは八千三百万円でスタートする。最後には少なくとも億の単位のつくものが納付金として一般会計に納入されておるのです。そのことについて、通信政策局長は細かい点では御存じないのもやむを得ないかもしれませんが、しかし、とにかくいま申し上げたように終戦まであったのです。終戦の昭和二十年は混乱ですから納付金どうとかこうとかいうことにならなかったと思うのですが、十九年までの中ではきちっと臨時軍事費にもあるいはまた国債特別基金だとかいったような名目で出されておりますが、総計いたしますといま申し上げましたように実に十二億数千万円になっております。十九年までは完全に臨時軍事費にも納入をしておることになっておるのです。そういった歴史を今度の場合一体どう生かして努力をせられたのか。この点ひとつ簡単にお答え願いたいと思うのです。
  68. 守住有信

    守住政府委員 その戦前の問題につきましてはあれでございますが、公社制度創設のときの事情、その基本的考え方、こういうことにつきましては大蔵当局との間にいろいろ議論を激しく繰り返したわけでございますけれども、大きな一つの資料といいますか糧といいますか、そういう意味で主張の根拠というふうにいたしたところでございます。
  69. 久保等

    久保委員 まあ戦前、戦時中の問題は余りお答えもいただけないだろうと思いますし、私申し上げたようなことで次に進みますけれども、いまお話があった公社制定当時の事情というものもぜひ銘記をして取り組んでもらわないと困ると私は思うのです。当時の佐藤榮作電気通信大臣が言っておられるように、結局国営でやってきたことに対する反省から公社になったと私は思うのですが、その反省の中に、従来の国営事業ではとにかく「財務、会計、人事管理等の面における一般行政官庁の制約を脱し、民営の能率的経営技術を取入れた自主的な企業活動を行い得る企業体としての公社形態に当事業の経営を行わしめることが最も適当」だと考えて公社法の提案をしたんだというようなことが言われておるのですよ。ちょうどこの批判に対する問題に入っていくような新しい一歩を今度は踏み出そうとしておるわけですよ。私はそういう点から考えても、せっかく今日まで公社形態になって――もちろんまだいろいろ問題があります。きのうも電電公社の総裁が言っておられましたように、制度的に改革をしなければならぬ問題があります。ありますが、いいところの芽を摘む、芽というよりも少し若木くらいになっておるかもしらぬけれども、若い木の枝なり幹なりに傷をつけるような形になっていく、私はそういうことを非常に憂うるものです。したがって、一体なぜそういった議論でもって大蔵当局あるいは行管あたりと丁々発止と議論ができなかったのか。しかも背景としては、先ほど言われるように、与党の専門に担当しておられる部会まで賛成できないというようなものを、さっきお聞きしたところによると、わずか半月前後でいとも簡単に結論が出た。私はこれはとても納得できないのですよ。  だから、その公社設立の精神から言って、現行制度の考え方、制度の上から言って、一体なぜ十分にそういったことでもって説得できなかったのか、これはひとつ大臣からお答え願います。
  70. 山内一郎

    山内国務大臣 いろいろ公社設立当時のことも私も勉強しているわけでございます。したがって、公社が自主的に独立採算制で大いに力を発揮しながらやるべきである、こういうことはもう十分に知っているわけでございます。したがって、二十七年設立以来今日まで電電公社は非常に勉強されまして、いわゆる企業としては非常に力がついてきた。財務的に見ても非常に力がついて、生産性の向上もされてまいって本日に至っているわけでございます。  そこで、問題が起こってまいりましたのは、国家財政の危機といいますか、予算の編成に当たりまして、どうしても特殊法人の納付金に頼らざるを得ない。しかし、頼ってせっかくの電電公社の事業が従来以上の仕事もできなくなってしまう、こういうようなことになっては大変でございますので、その点は十分に議論をいたしまして、ならないようにするのだという点、これは借入金によって納付金を納めてもらって、借入金につきましては、これは財投あるいは特別債でございますけれども、電電公社は力がありますから、長期にわたってこれを返していただくような経営をひとつやっていただけないでしょうかというような話がございまして、いろいろ電電公社の内容についても調べたのでございますが、その力はあるというような点を認めて合意をした、こういう経緯であるわけでございます。
  71. 久保等

    久保委員 大臣、そう言われるけれども、これは数字的に検討せられれば一目瞭然だと思うのですね。釈迦に説法ですが、とにかく現在抱えておる積もり積もった借入金あるいは電電債券、こういったものだけでもすでに五兆三千億円に上っておる。これが償還そのものもここのところ年間に五千六百億円ないし六千億円、昭和五十八年度以降になればこれがさらに六千数百億円になる、こういったようなことも、ここ数年の見通しを立てて考えても大変な元利償還をしなければならぬ借金を抱えておるわけです。  そこへもってきて長距離電話の夜間割引の拡大、あるいはまた、さらに今度新しく出されようとしておりますが、例の公衆法の改正による長距離通話料のこれまた値下げ、こういったような問題を考え、さらには例の行管が唯一の電電公社に余裕ありと見た根拠である収支差額の問題です。この収支差額がどういうことになっていくのか。これはなるほど本年度、五十五年度では予算上約二千七百億余り、約三千億円程度の収支差額が出る見込みです。したがって、その面からいくといかにも余裕があるように見えます。  では、一体五十六年度はどうなるのだ。これはもうすでに現在出されております昭和五十六年度の予算案で見ますると、これが急激に金額的には落ちて九百三十八億円と計上せられておりますが、そうなりますると一千億円を割るわけですね。本年度は三千億円程度であったが、来年度予算ではもう一千億円を割る。それで五十七年度は一体どうなるか。電電公社のきのうあたりの御説明を聞いておりますると、少し黒字が出るかもしれないが、とんとんだろうと言われております。さらにこれが五十八年度、五十九年度、明らかにこれは赤字にならざるを得ない。数字的な点では明確な答弁はありませんが、もちろんまだ五十八年度、五十九年度という先まで見通すことは困難だと思いますが、いずれにしても五十八年度を契機にして、五十八年度以降は赤字に転落することは必至じゃないかと思っておるのですが、この点、私のいまの判断が誤っておるかどうか、通信政策局長、どう判断しています。
  72. 守住有信

    守住政府委員 収支差額の推移の点でございますけれども、公社は、五十二年度から申し上げますと四千三百九十億円の収支差額、五十三年度は三千九百八億、五十四年度は四千五百二十九億、いずれも予算に対比しましても四百億とか六百四十億とか千五百六十五億とか、予算よりもはるかに上回る実績を上げておりますし、五十五年度は予算上は二千七百億、これはまだ決算の途中でございまして、十一月二十七日から深夜割引の創設とか、夜間割引の時間帯を広げたわけでございますけれども、この推移というものがマイナスの面とプラス増収の面と両面あろうかと思っております。したがいまして、この五十五年度の収支差額の二千七百億というのが、三千億ぐらいになるのか、従来のように四百、五百と上回っていくのかどうかも、多少疑問の点がございます。  それから五十六年度予算案でございますが、御指摘のとおり九百三十八億、こういうことで予算では見込んでおりますが、実績の推移というものも見ていかなければならない、こういうふうに考えております。しかし、大きな流れといたしましては、割引制度の十一月のもの、あるいは今後御審議をお願いしたいと思っております五百キロ以遠とか日曜、祝日の割引制度の導入だとか、そちらの面の流れの方からの収入面というものは、いままでと違って四千億、五千億というふうな収支差額ではない、こういうふうに見ておるわけでございます。  一方、今度は支出の面につきましては、いろいろ経費の節減とか、その他効率的な、経済的な技術革新を活用いたしましたところの仕組みをどんどん導入していただくというふうなことの経営努力で、公社当局はやっていっていただきたい。  なおまた、借入金の問題がございますが、すでに電電公社自身の財務力と申しますか、これの一つの指標は自己資本率でございますが、これは三八%余、四千八百億を引きますと三三%ぐらいになるわけでございますが、他の民間の優良企業と……(久保委員「五十八年度、五十九年度は一体どうなるか、それだけ言ってもらえばいい」と呼ぶ)五十八年、五十九年は、いま申し上げておりますように、収入面では料金の割引、値下げというふうな面で、だんだん従来のような高額な収支差額は出てこない、だんだん悪化していく、こういうふうに見ておるわけでございます。
  73. 久保等

    久保委員 私のお尋ねしているのは、的確な細かい数字は、二年先ぐらいの話ですから、もちろんわかりません。しかし、五十八年度を契機にして赤字に転落していく可能性が非常に強いではないかというふうに判断しているのですが、その私の判断が、いやそんなことはないというふうに判断されるのかどうか。五十八年度、五十九年度、この二年度にわたる見通しは一体どう立てておられるのか、これを通信政策局長お尋ねしたいと思います。そのことだけ簡単に言ってください。
  74. 守住有信

    守住政府委員 五十九年度に向かいましては、先ほど申し上げましたように収支が悪化していく……(久保委員「悪化というのはどの程度だ」と呼ぶ)計数的にはまだ公社自身も詰まっておりませんけれども、少なくとも赤字の方向へ、いわゆる黒じゃなくて赤の方向へ向かっていくであろう、こう見ております。
  75. 久保等

    久保委員 だから私は五十八年度――また五十八年度という年は拡充法がなくなった年なんですよ。例の建設資金がいまのところ約二千数百億円、この三千億円近い建設資金は拡充法によって資金調達している。その拡充法が五十七年度で切れるわけです。そういう問題を考えたときには――これは私は収支差額だけの問題を言ったのですから、もちろんそんな建設資金の問題は全然触れていないし、拡充法の問題も触れてなくて、収支差額は恐らく赤字に転落をしていくだろう。そこへもってきて建設資金約三千億円程度をどう調達するのか。財投からもらえばいい。財投からもらうといっても、これはただくれるならいいですよ。そうすればその計算は合いますよ。しかし、とにかく一千二百億円、四年で計算して四千八百億円、これは納付金ですから無条件にとにかく納める。そういう点を考えますと、少なくとも四年間にわたって納付金を納めるという今度の財源確保法案ですよ。そうすると、一体五十七年、五十八年の計算をどうしているのか。先ほど大臣一盛んに余裕があり力があるからと言うのですが、力がないのが一体どうして力があるように見せなければならぬのですか。私はだから五十八年、五十九年度というのはどういう見通しを持っておるかということは非常に大事だと思うのです。  少なくともこのような納付金は四年間にわたって、五十八年、五十九年度までですから、その間の自分のふところの計算をしないで、向こうの方が何か大変だ大変だというので、この際は借金してでもという、まことに雅量の大きい慈悲心に富んだ考え方だと私は思う。しかし、それはまことに電気通信事業を預かる郵政省――預かるといっても、監督をするという立場で預かる郵政省としては無責任だと私は思いますよ。そういうことで電電公社の経営基盤というものは一体どうなっていくのか。非常に危ない、非常に厳しい、言いかえれば赤字になるであろうという推測を通信政策局長まで考えていて、なぜ四年間にわたる納付金を納めなければならぬのか。大体無理でしょう。どうですか大臣、いま力がある、力があると言われたのだが、五十八年度、五十九年度の見通しから考えたときには、納付金を四年間にわたって納付をしなければならぬという法律案を出しておること自体に非常に大きな矛盾がある。それは不可能なことじゃないですか大臣。
  76. 山内一郎

    山内国務大臣 五十八年、九年の見通しの点でございますけれども、これはなかなか判断はむずかしいと思います。  そこで、先般の夜間割引の実施をしたのでございますけれども、相当赤字になるであろうと思っていた分が非常に収益がよかった、こういうような点もございますし、電電公社の経営の企業努力も従来以上にこういう点については厳しくやっていただかなければなりませんけれども、そういう点を考えていきまして四千八百億の負担は十分乗り切れていくであろう。要するに収支差額、直払っていくものではないのでございますから、金を借りましても長年にわたって返却をしていくという点を考えれば、やって乗り切れないことはない、こういうような判断でやってまいったわけでございます。
  77. 久保等

    久保委員 全くそういう認識というものは誤りですよ。だから、数字的に判断をしてもらわぬと困るのでして、ただ青空というか大空ながめて何か向こうの方明るい明るい、足元の方には大きな穴があいているというようなことでは困るのです。これは五十六年度の予算案をごらん願えば直ちにおわかりになりますように、今度の納付金を納めることによってどういう影響が出てきておるか。これは大臣の方からひとつお答え願いたいと思うのですが、どういうことになっておりますか。
  78. 山内一郎

    山内国務大臣 千二百億円の借り入れやることによる損益勘定の増加、これは八十億プラス十六億、九十六億は損益勘定で響いてくる、こういうことになっております。
  79. 久保等

    久保委員 そうじゃなくて、財投そのものが五十五年度では五百億借り入れているわけですね。ところが今度の五十六年度予算ではこれが千五百億円、すなわち財投だけを見てみても一千億円結局財投から金を借りる。これは借りるという表現の方が正しいと思うのですが、利息をつけて返さなければなりません。と同時に、特別債それから借入金、これが前年度というか五十五年度に比べると非常に巨額に上ってまいっております。これが五千五百九十億。五十五年度では三千三百十億円、これに対して五十六年度は、いま申し上げたように五千五百九十億円。したがって、前年度に比べて二千二百八十億円増です。これはある程度、この借入金あるいは特別債の発行そのものが本年度よりも来年度がふえるであろうという予想はかねがねあったのです。あったのですが、しかしこの千二百億円の納付金を納めるというようなことで、当初の予定よりも少なくとも約二百十億円程度のものは借入金がふくらんでいるのです。そうすると平氏は合いますよ。一千億円はとにかく大蔵省から財投でもらう。片や二百億円余りは、いま申し上げたように特別債なり借入金の金額をふやす。何のことない、借金をして差し上げているのですよ。まことに気前のいい話です。だから、五十六年度の予算そのものが非常に無理な、要するに千二百億円の穴のあくような形の予算が現実に編成されているのです。決して、そこらにある積立金を持っていくというようなことにはならぬのですよ。私は、この法律の方はまた法律の審議のときに言いたいと思っているのですが、積立金から持っていくということになっている。積立金から持っていくといったって、積立金がなかったらどうするのか。これは持っていけないですよ。しかし、法律は積立金から持っていくようになっています。そこらにも私は問題があると思っているのです。  しかし、そんな議論はまた別の機会にいたしますが、とにかく五十六年度の予算そのものが非常に無理な、できないようなことをただ数字的に合わして、借金を押しつける。しかも五十八年度、五十九年度になれば、そういった問題を抜きにしてでもこれは明らかに収支差額そのものが赤字に転落をしていく、そういう見通しの上に少なくとも立つ以上、こういった納付金制度というものは絶対に認めるべきじゃないと私は思うのです。大臣は、いや、いままでの経験からいって何とか、力があるから力があるからと言うけれども、やはり予算なり何なり数字を見て判断をしていただかないと大変なことになる。  それからさらに、最終的に私、これはもう行管の方の長官にお尋ねをしたいことだと思ったのですが、大臣も昨年のこの委員会でも御報告があったのですが、九月十二日に閣議でもって中曽根長官から提言がなされた特殊法人に対する見直しの問題、それは一般会計の赤字をどう埋めていくかということで、特殊法人の経営の見直しをやることにしたいという提言があった。これは昨年郵政大臣の方からも御答弁があったように「特殊法人の経営基盤の強化に配意しつつ、財務の厳正化を図る観点から経営の実態を見直し、赤字国債の縮減に資するよう、国の歳入増加を図るための所要の措置を推進する。」こういうふうになっているのですが、「特殊法人の経営基盤の強化に配意しつつ」こうなっているわけなんですよ。したがって、少なくとも今回出されておる財源確保法案そのものと、その中に含まれるしたがって電電公社の納付金の問題と、行管でこういう方針で進められた特殊法人に対する経営の見直しの問題と明らかに矛盾すると思うのですが、どうですか。
  80. 山内一郎

    山内国務大臣 行政改革大綱によりますと、特殊法人の経営基盤の強化に配意しながら国庫納付をやる、こういうことになっているわけでございます。したがって、先ほど申し上げましたように国庫納付につきましては、財投、特別債から借り入れをしてそれを納付する、こういうたてまえに相なっているわけでございまして、それ以外のことにつきましては、従来電電公社がやっておりましたように、いわゆる収支差額その他の借り入れによって計画決定の決まっているものについて事業を遂行していく、こういうたてまえになっておりまして、その点で十分に配意をしながら収益が上がるようにして、経営基盤の強化をしながら、納付金制度と両立するように努力をしていくというようなたてまえでこの点が決められているわけでございます。
  81. 久保等

    久保委員 それも御答弁になっていないですよ。経営基盤を強化するという問題と――借金することは一体経営基盤を強化することになりますか。借金をしてとにかく納付金を納めるというのですが、借金をするということは何か痛くもかゆくもないような話をしておりますが、借金をするということは経営基盤を弱化することでして、決して強化することにはなりません。しかもそれが五十六年度だとかというだけでなくて、五十七年、五十八年、五十九年と続いていくことを考えますと、これは電電公社の経営基盤を強化することになりますか。  少なくとも行管で言われた最初の基本方針というものは、経営基盤というものを弱化するようなことだけはしないということを前提にして考えたことだとするならば、今回のような提案というものに対しては、この点から言っても、郵政省としては断固反対せざるを得ない性格のものじゃないですか。それを、今後の努力期待するとかなんとかということを言われていますけれども、これはもう少しいまの電信電話事業、電気通信事業というものの実態を、数字的に財務的にひとつ的確に判断をせられた上で、どうするかということについて、それでまたできるだけ協力できる面があるなら協力すべきですよ。せっかく通信政策局というものを去年つくっているのに、二年先、三年先程度のことが見えないで何で通信政策を論ずることができるか。残念ながら、これは通信政策以前の問題ですよ。  しかも細かい話ではなくて、電気通信事業の根幹に触れる非常に本質的な納付金制度の問題に対して、しかも現状から考えても、先ほど来私が指摘するように、数字的に全く不可能なことである。借金をすることは、決して経営基盤の強化にはなりませんよ。そういう議論は、だれに聞いても、借金してやっているから経営基盤は強化しています、こんなことにはなりません。したがって、私はそういう点で、まことに残念ながら先ほど来の御答弁に対しては一つも納得することはできません。  したがって、納付金制度の問題については、私は強く政府そのものに対して撤回を要求しておきたいと思います。このことはいまさら言っているんじゃなくて、去年ああいう動きがあった中で、私どもは、郵政大臣はもちろんですが、行管長官あるいはまた大蔵大臣等にも何回にもわたって申し入れもいたしております。そういうわれわれの意向を無視して、先ほどお話があったように、わずか半月ぐらいの間に取りまとめたようなかっこうでもって出される、そういったことに対して、郵政大臣が心ならずもとにかく何かつじつまの合うような答弁をといって答弁をしておられるのですが、中身は全く私の質問に対して的確な御答弁にはなっておりません。  はなはだ残念ながら、時間が来ましたので私の質問は以上をもって打ち切りたいと思いますが、しかし、とにかく大事な電気通信事業を預っておる郵政大臣または郵政省の通信政策局長を初めとする関係者の方々には、ぜひもう少し筋を通した行政をやるように、全力を挙げて取り組むべきだと私は思います。いいかげんなところで、わずか半月ぐらいにだらだらっと何か知らぬがわけのわからぬような形で妥協したというような形でこういう法案が出されてきたり、あるいは予算の編成がなされたりすることでは、国民の期待を全く裏切ることになりまするから、その点を特に強く要請をしておきます。  特に今後この法案の審議については私どももまた十分に考えていきたいと思っておりますけれども、いまお話し申し上げましたように、法案の提出の仕方そのものにも問題がありますから、そこらから出直すように要請をして、私の質問を終わります。
  82. 佐藤守良

    佐藤委員長 久保等君の質疑は終わりました。  木下敬之助君。
  83. 木下敬之助

    ○木下委員 一月二十日に値上げをされたわけでございますけれども、値段が上がれば当然国民にとってはありがたくないことであるのはあたりまえのことですけれども、そのほかにも、値上げを行えばその切りかえのときの混乱も大変な迷惑をかけたと考えております。私も利用者の一人として、その当時いろいろ感じたような疑問を申し上げてみたいと考えます。  その前にまず、その値上げを行った後に郵便物数や収支状況はどう変わりましたでしょうか。
  84. 佐藤守良

    佐藤委員長 ちょっと速記をとめてください。     〔速記中止〕
  85. 佐藤守良

    佐藤委員長 それでは速記を起こしてください。  木下敬之助君。
  86. 木下敬之助

    ○木下委員 そういうことでございますので、それでは、せっかくですから電電公社の総裁にまずお尋ねいたしたいと思います。  このたび民間人としては初めて電電公社の総裁となられました真藤新総裁、昨年の一連の不正経理問題に端を発して明らかにされた、ずさんな経営に陥りやすい公社の体質等につきまして、これまで民間の企業で御苦労なさった目からながめた場合に、率直に言って、どういうところに問題があって、また、それを改善していくためにはどんな対策が必要であるとお感じになっておるのか、お聞かせを願いたいと思います。
  87. 真藤恒

    ○真藤説明員 お答え申し上げます。  まだ着任して日がたちませんからきちっと申し上げるのははばかりますが、経理手続が、膨大な組織でありますので地方に任せてありますけれども、それを中央で正確にチェックができるような仕組みが十分でないというふうに感じておりますが、これは私、もう少し具体的に入って改善するつもりでございます。  しかしながら、根本的にはやはり綱紀の粛正ということがこの際一番必要だと思いますので、事が事でございますので、私が綱紀粛正の特別な委員会委員長になりまして、今日までこの問題について深く携わった社員を地方別に割り当てまして、監査機能と協力しながら徹底的に洗い上げるということと同時に、並行的に出てきますいろいろな業務上の問題も取り上げまして、綱紀粛正とモラルの向上ということに全力投球したいというつもりで、すでに実行にかかっております。
  88. 木下敬之助

    ○木下委員 かつて総裁のもとで働いた方等からも、総裁の御手腕についてはよく聞いておりますので、どうか早く全体を把握されて存分に腕をふるわれることを期待いたしております。  その総裁が総裁に新任されてすぐ新聞で見ましたが、ステップ・パイ・ステップ交換機ですか、何か古いのがまだ入っているので、サービスの格差を是正しなければいかぬ、こういった話も聞きましたのですが、あれはどういうことでございますか。
  89. 真藤恒

    ○真藤説明員 これは社会面に出ておりましたけれども、世間話で、東京の町の真ん中にもまだステップ・バイ・ステップ局があるらしい、知らなかったけれども、ぼくの家の電話もそうなんだということを話しておりましたら、その中に新聞記者がおりまして、ああいうふうに作文されたのでございまして、別に重大な意味があるものではございません。
  90. 木下敬之助

    ○木下委員 意味がない問題でしょうけれども、やはりそのサービスの格差をぜひ是正していただきたいと考えております。所信の中にも「いまやサービスの量的拡大の時代から利用者の多種多様な要望にこたえるサービスの質的充実の時代を迎えるようになったと考えております。」と総裁は述べられております。これはこれでそのとおりだと思うのですけれども、こういった多種多様なものにこたえていくと、どうしてもそれの可能な地域とそうでない地域の差が大きくなっていくのではないかと考えられます。     〔委員長退席、堀之内委員長代理着席〕 ポケットベル等につきましても全国どこでもやれるわけではないでしょうし、自動車の中の電話等も大都市しかできない。そういう中でサービス格差の是正ということをどの程度お考えなのか、いま一度お聞かせいただきたいと思います。
  91. 真藤恒

    ○真藤説明員 設備投資の金額の許す限りにおいて、目下サービス格差の解消に主力を入れた投資を行っておりますが、この方針を当分設備投資の主目的として続けていくつもりでございます。
  92. 木下敬之助

    ○木下委員 いま言われましたように、格差を是正するというのに設備投資していくというのと、多種多様な要望にこたえるサービスの質的充実というのが、どうも最先端では全然反対の方向にあるのではないかと考えられるわけです。ただいま自動車の中での電話等も言いました。この辺を、いま少し方針のようなものをお聞かせいただかないと、どの程度までは格差を縮める方向に設備投資し、どんなものは最先端から格差を広げていく、どうなっておるのでございますか。
  93. 真藤恒

    ○真藤説明員 ごく平たく申し上げますと、電話局の交換機を古いものを新しいものにかえますとかなりサービス格差はなくなってしまいます。端的に申し上げますと、古い交換機を電子交換機、あるいは電子交換機に付属するいろいろな高級な能力を持った装置をつけるということによりまして、サービス格差というものは取れていくわけでございます。
  94. 木下敬之助

    ○木下委員 そちらの方はわかりましたから、一番最先端で新しい技術を導入している部分について、全国的な格差をどうしていくかをどうぞ……。
  95. 岩崎昇三

    ○岩崎説明員 お答え申し上げます。  電電公社は現在三千八百万の電話を用意しておりまして、その他データ通信サービス等も提供しておりますけれども先生指摘のように、現在行っているサービスにつきましてもいろいろとサービス格差がございます。たとえば地方に行きますと、加入区域が小さいという問題、また加入区域の外にはまだ相当数の方がおられるという問題、それから大都市と地方都市との間ですと、大都市ではプッシュホンが売れるけれども、田舎の方にいるとプッシュホンの御要望があってもつけられないという問題、それからまた東京の中におきましても、東京はプッシュホンの提供地域でございますが、相当数の加入者の方は古い交換機に入っているから、それはやはりプッシュホンがつけられない。プッシュホンを例にとって申し上げましたけれども、そういうようなことでございます。  これらの問題につきましては早急にそういう格差を是正すべきだという総裁の御方針がございまして、いま検討中でございます。  そのことは当然できる限り早く格差を是正するようにやるわけでございますが、そのほか、いま先生が例に挙げられました自動車無線というのがございます。このような問題につきましても、これはやはり御要望があるということで、先ほど申し上げました格差是正をやり終わってからやるというようなことでは利用者の方の御要望にこたえ切れないということで、先ほどのようなステップ・バイ・ステップ交換機の更改というようなこともやりながら、なおかつ自動車無線等も導入していく。ただ導入したからにはできるだけ全国的に導入といいますか、サービス提供地域を拡大していかなければならない、このように考えております。
  96. 木下敬之助

    ○木下委員 そういうことで、どうぞ地域の格差のできるだけないように考えていただきたいと思います。  次に、キャッチホンについてお伺いいたしたいと思います。四十五年九月から始められたキャッチホンサービスについてどのような欠陥があったのか、また、すべてのキャッチホンに欠陥があったと考えていいのかどうかという点について御報告をお願いいたしたい。
  97. 村上治

    村上説明員 お答えさせていただきます。  キャッチホンの欠陥につきまして御説明する前に、若干技術的な問題で恐縮でございますが、一般的な電話の仕組みにつきまして御説明させていただきます。もともと電話というのは発信側が受話器をかけるまで着信側まで保留されるというふうな仕組みになっております。そうしますと、発信側が受話器を置くまで相手の着信側の方で再び発信ができないというふうなこともございまして、こういったことを防止する必要がございますし、またそういうふうな、発信側が置かないということで設備が無効に保留されるというふうなことがございますので、その後は一定の時間を経過いたしますと、着信側がかけましたら、発信側がまだ受話器を上げている、あるいは間違ってうまくかかっていないというふうな状態でも、回線を強制的に切断する機能を付与してございます。どのぐらいの時間を見て切るかというタイミングの問題でございますけれども、これは従来市内通話の場合ですと最大の場合で六分ぐらい、それから市外通話の場合には、通話の対地によりまして異なりますけれども、たとえば三十秒の対地ですと約五十秒弱とか、それから一番遠い二・五秒の対地でございますと最大で約四秒ぐらいというふうに大変区々になっておりますが、そういう一定の時間を見まして強制的に切ることにいたしております。  ところでいま御指摘のキャッチホンでございますけれども、キャッチホン加入者が発信しておりました、たとえば甲さんといたしますと、甲さんと通話中に乙さんから着信がございます。そうしますと、そういう着信があったということがわかりますので、キャッチホンを利用していただいておる発信者であるキャッチホン加入者が切りかえまして、乙さんと話をすることができるのがキャッチホンでございますが、その乙さんに切りかえまして、ちょっと長い話などをしますと、最初にかけられました甲さんの方が待ちかねて電話を切る、受話器を置くということがございます。この場合には、キャッチホン利用者が乙さんと話している間じゅう、発信側が受話器を上げているという状態、先ほど御説明いたしましたそういう状態と同様になりますので、通話対地なりあるいは装置の種類によりまして違いますけれども先ほど強制的に切断すると申し上げましたそのタイミング中は、最初にかけられました甲さんはもう一度発信しようと思って受話器を上げましても、市内の場合で六秒とか、市外の一番短いと四秒の間待っていただきませんと、再び発信することができないというふうな状態になるわけでございます。そういうふうなことが昨年の十月ごろに新聞等で指摘されました欠陥でございます。
  98. 木下敬之助

    ○木下委員 そういった欠陥というのは発売以前には予知できなかったのでしょうか。発売前の段階できっといろいろテストしていると思うのですけれども、問題はなかったのでしょうか。その点はどうですか。
  99. 村上治

    村上説明員 一般的にはキャッチホンの加入者の方が甲の方とお話をされまして、乙さんからかかった場合には乙さんの方へ出て、どなたからかかっているか、あるいは急な用かというふうなことを聞いて、甲さんの方へ戻ってから再びもう一度乙さんの方へかけるというふうなことを想定しておりまして、利用者の方がこのような使い方をなさるということは、残念ながら私どもは、先生指摘のように、四十五年当時、発売当初予測しておらなかったわけでございます。ただ、三年ほど前から一、二の方からそういったクレーム、御指摘がございまして、検討の結果、このようなケースがまれに起こることがわかりまして、改善すべく当時検討を始めたわけでございます。
  100. 木下敬之助

    ○木下委員 その苦情が出だしてから、欠陥を認めて、これは何とかこれから回収しようという方向になった、その辺ずいぶんずれがあるのです。最初のころには問題なしというふうに片づけておったと聞いておるのですが、もうちょっとその辺の経過を。
  101. 村上治

    村上説明員 ただいま御説明いたしましたように、当初われわれちょっと予測しかねたわけでございますが、約三年ほど前にそういう御指摘がありまして、どのようにそれを改善していくべきか、これは先ほど申しましたようにほとんど全国すべての交換機に工事をしていかなければいけないというふうなこともございますので、最も経済的で効果的な方法をということをいろいろ検討いたしまして、約二年前、五十四年度からその回収を全国的に開始したところでございます。
  102. 木下敬之助

    ○木下委員 約一年間ぐらい問題が問題であると気づきながらはっきりさせずにいた。その辺で最初に苦情を言った人たちにはずいぶん不信の思いをさせているんじゃないかと思います。こういった問題は、出たら率直にその問題に対応していかないといろいろと不信が増していくんじゃないかと考えております。今後の回収はどういうふうに、終了はいつごろの予定になっていますか。     〔堀之内委員長代理退席、委員長着席〕
  103. 村上治

    村上説明員 お答えさせていただきます。  そういう御指摘で公社としてもそういうようなことについて検討を始めたわけでございますけれども、その時点でキャッチホン利用者のお客様への利用法の周知とか、そういった点で直ちに行動を起こすべきであったというふうに考えておりますが、その点まことに申しわけなく存じております。深く反省いたしまして、今後二度とこういうことの起こらないようにいたしたいと考えております。  なお、そういったタイミングが区々であるというふうなことにつきましては、その後の検討の結果、先ほど御説明いたしました一番短い四秒程度というふうなことに統一をしようということで、これも五十四年度から約三年、全国の交換機の工事が要りますので三年というような予定で進めてまいっておりますけれども、できるだけこういったことのないように工事の促進方を検討いたしまして、五十六年の九月ごろといいますか、五十六年度の上半期には全国的に終了いたしたいというふうに考えておりますので、ひとつよろしくお願いしたいと思います。
  104. 木下敬之助

    ○木下委員 最後に四秒と言ったのは、普通の電話のときも四秒で切れるということですね。
  105. 村上治

    村上説明員 通常の通話でも、あらゆる通話につきまして四秒で、相手側が切れば発信側が上げておっても切れるようにいたすことにいたしております。
  106. 木下敬之助

    ○木下委員 続いて、マジックホンについてもお伺いいたしたいと思います。  昨年十一月十一日に摘発されたマジックホンは全国で何台ぐらい出回っていたわけですか。さらに、その摘発によってマジックホンを回収しておるのですか。どんなふうにやっておるようでございますか。
  107. 森谷昭夫

    ○森谷説明員 お答え申し上げます。  捜査当局の情報を総合して判断しますと約二千台が製造販売されているんじゃないかと言われておりますが、これにつきまして電電公社で確認しましたものにつきましては十三件告訴しております。これは一人で何台も持っているのがありますが、件数にしまして十三件告訴しております。差し押さえた台数は、これは捜査当局で差し押さえたわけでありますが約八百台でございます。それから、これは違法であると知らずに買った人がおりますから、これは自発的に返しておりますが、二百台ほど返しております。ですからあと千台ほど販売されておりながら回収されない、これは推定でありますけれども、ちょっとまだ把握されておりません。
  108. 木下敬之助

    ○木下委員 電電公社の被害額というのは総額どのくらいと考えておりますか。そしてまた、偽計業務妨害罪ですか、これに該当すると判断した根拠などをお聞かせいただきたい。
  109. 森谷昭夫

    ○森谷説明員 被害額は、これはマジックホンをつけている加入者にかかってきた電話が無料になるものでございますから、マジックホンをつけたところの加入者の度数はわかるのでございますけれども、どこからかかってくるか不特定多数の加入者からかかってきますので、この被害額が特定できませんのでちょっといまのところ把握しておりません。  それから偽計業務妨害罪につきましては、これは法務省の方の見解で刑法第二百三十三条でございますね、「虚偽ノ風説ヲ流布シ又ハ偽計ヲ用ヒ人ノ信用ヲ毀損シ若クハ其業務ヲ妨害シタル者ハ三年以下ノ懲役又ハ千円以下ノ罰金ニ処ス」というのがございますので、これを適用いたしております。また有線電気通信法というのがございますが、これの第二十一条で「有線電気通信設備を損壊し、これに物品を接触し、」云々というのがありまして、これは五十万円以下の罰金あるいは五年以下の懲役でございますが、これの両方を適用していま司法当局の方で対処していただいております。
  110. 木下敬之助

    ○木下委員 いま一つお聞きいたしたいのですが、これは国際電話がかかってきた場合でもやっぱり同じような効力を発揮するのですか。
  111. 守住有信

    守住政府委員 国際通話に対する影響の点の御指摘でございますけれども、外国の利用者の方に  マジックホンあるいはこれと同じような機能を果たすものがあります場合は日本発の方がただになるわけでございます。ところがこの場合はKDDの交換機を経由するわけでございますが、性能は、詳しくは存じませんが、非常に高度な交換機でございますためにこれは通話ができないようになっておるということでございます。  それから一方、日本の方にマジックホンがあるといたしまして、外国からかかってくる、こういう場合は外国の方がただになるわけでございますので、この点につきましては、外国の交換機というのはいろいろな性能がございますので、どの国はどのような性能の交換機だ、これにきちっと対応できるようなものかどうかということをいまKDDが実態を調査中、こういうことでございます。  それからなお、国際電話の交換手を通じますものは、これはできない、こういうことに相なるわけでございます。
  112. 木下敬之助

    ○木下委員 聞くところによると、このマジックホンは所持しているだけなら別に違反じゃない、そういったふうにも聞いておるのですが、日本国内のこういったもので海外に迷惑をかけておるというときに、国内の法律の適用方の甘さで海外に迷惑をかけるというのは日本全体への不信となる問題であろうかと考えますので、その辺はどこかがちゃんと責任を持ってやっておるのかどうか。一体これはどこが一番責任を感じてやっておるのかというのをお聞かせ願いたいと思います。
  113. 守住有信

    守住政府委員 法制度の面でこれに対処するというのは、当面はまず郵政省でございますので、通信主管庁として郵政省でございます。したがいまして、お尋ねのような諸点につきましては実は法務省の方とも内々いろいろ御相談しておるわけでございますが、当面は現在の公判の維持といいますか、確立というのが最大のものでございます。  なお、電電公社自身といたしましても電話社会に対するこれは一つの挑戦だというふうにとらえておりますので、公社自身がいろいろな機能、性能を発揮しましてこれが蔓延しないように対処してもらいたい、こう考えておる次第でございます。
  114. 木下敬之助

    ○木下委員 どうぞよろしくお願いします。  次に、ここのところずっと続いて起こっております交換機の故障についてお伺いいたしたいと思います。たくさんの報道を見ておるわけですが、全体を簡単に、大体どんな形でやっておるのかをお聞かせを願いたい。
  115. 菊地信一郎

    ○菊地説明員 お答え申し上げます。  先生指摘のように、電子交換機の故障が、最近、残念なことですが目立っておりまして、利用者の皆さんに大変御迷惑をおかけしているということを深くおわび申し上げます。  御質問の事故の原因でございますが、調べてみました結果、ハードウエアに原因のあるもの、これが一つの問題でございます。それからもう一つは、工事の手順でありますとかあるいは運用上に問題があったもの、これが二つ目の原因。それからもう一つは、新しいサービス機能を追加いたしますためにソフトウエア、プログラムでございますが、これの入れかえをやっておるわけでございます。そのときに起こったもの。大体こういうふうに分かれるのではないかと思います。  それからまた、御迷惑をおかけいたしました時間につきましても、神戸元町では大変長い時間御迷惑をかけたわけでございますが、数分ぐらいで回復しておるものもある、こういうふうな状況でございます。
  116. 木下敬之助

    ○木下委員 これはぜひなくしていかなければならないのですが、こうすれば完全になくなるといったふうな自信があるようにも見えないのですけれども、この霞ヶ関の事故等を契機にして特別委員会の設置を決定されたように聞いております。委員会による根本的対策等が確立されているのかどうか、そういった点についてお答えいただきたい。
  117. 菊地信一郎

    ○菊地説明員 お答え申し上げます。  いま障害の中身につきまして申し上げたわけでございます。  このような障害に直面いたしましての反省でございますが、昨今、通信の機能といいますか、役割りが大変高まっておるということでございまして、それだけに通信の信頼性というものにつきまして強い御期待が私どもにかけられておるということでありまして、私たちの責任は非常に重いものがある、こういうふうに痛感しております。公社といたしましては、当然のことでございますが、こういった事故を真剣に受けとめまして、この教訓を生かすべくいま反省しているわけでございます。  とりあえずの措置といたしましてすでに打った対策をちょっと申し上げますと、プログラムのチェック機能でございますが、これを強化しております。それから、予備の部品でございますが、この配備につきましても充実したということでございます。  このようなソフト面、ハード面の対策に加えまして、従来から行っておったわけでございますが、保守者の技能レベルの向上ということにつきまして、特に異常な場合が起こった場合にこれに即応できるような実戦的な訓練というものの充実を図っておる、実施しておるということでございます。  なお、このほか、先生からお話のありました特別委員会でございますが、本社内にこれをすでに設けてございまして、そのねらっているところは、システムの信頼性の一層の向上を図るための施策の検討、これが一つと、もう一つは、万一異常が起こりましても早くこれを回復させるための方策、この二つに分けまして対策を抜本的に見直している、こういうことでございます。  以上でございます。
  118. 木下敬之助

    ○木下委員 非常災害のときには何かまた特別な電話回線の確保とかを考えておられるのですか。緊急時に何か、そういった普通の事故じゃなくて、災害等のとき用にまた別のことを考えていることはございませんか。
  119. 菊地信一郎

    ○菊地説明員 先生の御質問は、たとえば地震だとか台風だとかそういうようなことでございますか。
  120. 木下敬之助

    ○木下委員 そういうことです。
  121. 菊地信一郎

    ○菊地説明員 その点について申し上げますと、災害対策の充実につきましては日ごろから心がけておるつもりでございますが、大体三つくらいの方針を立てまして進めて施策の充実を図っているところでございます。  その一つは、まずシステム全体の信頼性を高めていく、要するに災害に遭いましてもシステムが安定に動くようにしておくようにする。そのためには設備個々を強化しておくということのほかに、たとえば伝送路が一部やられましてもよそのルートで迂回して通話がさばけるようにするとか、そういうシステム全体としての信頼性を高める、これが一つでございます。  もう一つは、大きな災害が起こりましても、その被害を受けた地域が外との通話が全くできなくなるというようなことがあってはいけませんので、これを孤立防止と言っておりますが、そのようなことのないように進めておく。このために全国に移動型の無線機でありますとか、臨時の公衆電話作成のための無線回線機でありますとか、そのようなものを配備しております。  もう一つは、当然のことでございますが、万一災害に遭った場合には早くこれを復旧するということでございまして、そのための応急対策用の、たとえば移動型の電話機でありますとか、電源車でありますとか、無線機でありますとか、そういうようなものを配備いたしまして万一に備えておく、また、これを訓練によりまして有効に機能するようにさせていく。  大体この三つによっていま施策の強化を図っている、こういうことでございます。
  122. 木下敬之助

    ○木下委員 こういった交換機の故障というのはないにこしたことはないのですけれども、絶対ないだろうと思って信頼してきたものが裏切られたというか、非常に不安を持っている方も多いと思うのです。特にコンピューターがこれだけ発達して、一昔前では考えられないような便利な社会になっている反面、一たん故障が起こると、また災害等が発生したら、社会全体が麻痺してしまうというようなところまでもう来ているのではないかと思う。こういう不安感があるわけです。  また、たとえば電話料金等につきましても、ただコンピューターで計算されて請求される、どうも間違っているのじゃないかという気持ちがあるけれども、すっきりいくような回答ができない。  また、郵便貯金等につきましても、窓口で何かあったときにはもう払い出しも不可能になるのじゃないか。  またもう一つ、そういう故障の不安と同時に、どこか間違っていて間違った請求をされていてもわからない、不利な預金の扱いになっていてもわからないのじゃないか、こういったような個人個人の不安というものが少し高まってくるのではないかと考えられるわけです。  足が本当に地につかない、安心感のないコンピューターに使われておるような社会にだんだんなっていくという、こういう方向を最先端で方向づけているのが郵政省。大変な責任があると私は考えるわけです。こういう社会を方向づけて進めているのが、大臣、郵政省であるという自覚と責任、この辺のお考えを何か聞かせていただけたらと思います。
  123. 山内一郎

    山内国務大臣 技術がだんだん開発をされまして、非常に高度化し、便利になってきていることはもう事実でございます。  電電公社においても、技術開発の点においては非常にすぐれて、世界的の技術の開発をやっておりますけれども、機械に使われるようになって、機械がちょっと故障したら徹底的なダメージを受けるということは絶対に避けなければいけない。電子交換機についてもしかりでございますが、もう少しそういう点について十分研究をしていただいて、いわゆるダフな、しかも近代的なというような開発をやってもらいたい、こういうことをお願いしているところでございます。
  124. 木下敬之助

    ○木下委員 本会議の時間のようでございますので、あとはまた本会議後にということで、これにて……。
  125. 佐藤守良

    佐藤委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後零時五十九分休憩      ――――◇―――――     午後二時五十四分開議
  126. 佐藤守良

    佐藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。木下敬之助君。
  127. 木下敬之助

    ○木下委員 一月の二十日に郵便料金が値上げされたわけですが、値段が上がれば国民にはありがたくないことであるということはあたりまえですけれども、そのほかにも、値上げを行えば、その切りかえのときにいろいろな混乱等大変な迷惑をかけたと思っております。私も利用者の一人としてその当時感じた疑問を幾つか申し上げてみたいと思いますが、その前に、この値上げによってその後郵便物数や収支状況がいろいろと変化していると思いますが、まずその点をお聞かせいただきたい。     〔委員長退席、堀之内委員長代理着席〕
  128. 魚津茂晴

    ○魚津政府委員 お答え申し上げます。  値上げ直後の物数の影響でございますが、全国各局の物数を正確にはまだ調べていないわけでございます。大体四月になるとその実数が把握できるという仕組みになっているわけですが、そこで速報的な意味で、主要局六十五局をいま調査をしているわけでございます。その局からの数字で判断をいたしますと、前年の同期に比べまして約一一%の減少ということに相なっております。ちなみに、先回の五十一年の一月二十五日からの改正影響は三二%の減でございました。おおよそ三分の一の減ということになっておりますので、そこから判断いたしますと、私ども五十五年度は郵便物数はおおよそ二・三%の増、そして五十六年度になりますと四・五%の減ということで予想しているわけでございますが、その予想している数字から判断いたしまして、決してまあ甘い見通しではないというふうに判断されますので、まずまず安堵の気持ちで現在見ているところでございます。  それから収支の関係でございますが、五十五年度は、改正の時期が私ども当初考えておりました十月一日からかなりおくれましたので、五百五十五億程度の予定していた収入に比べまして少なくなりました。しかしながら、このまま物数をいま申し上げたような傾向で見通しをし、四月一日からいま一度十円値上げをさしていただくという仕組みに相なっているわけでございますが、そうしますと、来年度は約千四十五億程度の郵便の黒が期待できるというふうに見ているところでございます。
  129. 木下敬之助

    ○木下委員 では、大体見通しよりもいい方向で行っている、こういうことでございますが、その四月の再度の値上げについて、いままで考えていた見通しよりまたもう少しよくなるんじゃないかとか、幾らか見通しの差を考えておりますか。
  130. 魚津茂晴

    ○魚津政府委員 四月一日に十円値上げをして五十六年度のはがきの物数は五十五年に比べまして七・五%程度落ち込むというふうに見ているわけでございます。
  131. 木下敬之助

    ○木下委員 その一月二十日以前に見ていたわけでしょう、そういうふうに。いま現在ですか。その後の変動を見てそういうふうに考えておられるわけですか。
  132. 魚津茂晴

    ○魚津政府委員 その後の趨勢を見て、いま七・五%の減というふうに見ているわけでございます。
  133. 木下敬之助

    ○木下委員 この値上げの一月二十日前のことでございますけれども、そろそろ上がるんじゃないかとか、あれはいつだったかなというような話をいろいろな方としたのですが、この利用者に対して、いつから上がるというふうなことに関して、宣伝といいますか周知させるためのCM等を使ったりしたことがあるのかどうか、その辺をお聞かせ願いたいと思います。
  134. 魚津茂晴

    ○魚津政府委員 この料金改正をお認めしていただいた最初の私たちの仕事というのは、料金改正のある事実を国民の皆様方にPRするということであることは当然のことでございまして、いろいろの手段を講じましてPRをさしていただいたわけでございます。  主なものを若干具体的に申しますと、新聞広告の掲載、これは全国の十紙を使いまして二回にわたってPRをさしていただいたわけでございます。そのほか、当然のことですが、郵便局、簡易郵便局、切手類の売りさばき所におけるポスター、それから郵便料金表の掲出ということも当然やりました。それから、先生もごらんになっていただいたかと思うわけでございますが、すべてのポストに料金改正になりましたということで、手紙とはがきの料金に限られてはおりましたけれども、ステッカーを掲出したわけでございます。それから、利用者一般の方々に料金表のチラシを大量につくったとか、それから大口利用者あてにもそういった時日をPRするものをつくりまして配布をしたというようなことで、考えられるPRはしたつもりでございます。
  135. 木下敬之助

    ○木下委員 いつごろから変わるかということですけれども、現場というか、一般の一人一人は、いよいよあしただと、こういうふうに言われないとなかなかぴんとこない面もあるので、私としましては、ちょうど切りかえの前後くらいに非常に考えた人が多かったのではないかと思うので、特にこういった切りかえのときには親切にやられたらというふうに考えております。  特に、その親切という意味ですが、十九日と二十日にかけて出された郵便物ですね。私自身もちょうど出そうと思いまして、これはポストに結局十九日じゅうに入れればいいのか、それとも集配があしたになればもうだめなのかとか、微妙に迷った点もございます。その辺はどういうふうにされたのか、またその点の徹底に幾らか宣伝をはっきりとされたろうか、この点を伺いたいと思います。
  136. 魚津茂晴

    ○魚津政府委員 この一月十九日と一月二十日の扱いでございますが、もちろん法そのものは一月二十日からということではっきりしているわけでございますけれども、一月十九日のうちに差し出されたものがすべて旧料金という考え方を徹底してまいりまして、現実にどういうふうにやったかといいますと、一月二十日の最初の取り集め便、ポストを回って取り集めをしているわけでございますが、その取り集めにかかったものは、仮に一月の二十日に投函をされたという方であっても、結果として旧料金でいいという措置を決めまして全国に徹底をさした次第でございます。
  137. 木下敬之助

    ○木下委員 そのいまの全国に徹底というのが、どう扱うかを郵便局が徹底したのはあたりまえでわかるのですけれども、一般の利用する人にはその辺の厳密なところがわからなかったのじゃないか。だから、ある意味では先様に迷惑がかかることですから、余分に十円張ったはがきが十九日の夜にも投函されておったのではないか、こういうふうな点を考えるわけでございます。ではその辺の、十九日、二十日の扱いについての一般への徹底というものは図らなかったというふうにとってようございますか。
  138. 魚津茂晴

    ○魚津政府委員 一月十九日に差し出される方はまず旧料金であるというふうに考えておりまして、そういう二十日の最初の取り集め便で上がってくるものは、よしんば二十日に出したものであっても旧料金というようなPRは要らないだろうということで、先ほど申し上げた措置をとった次第でございます。
  139. 木下敬之助

    ○木下委員 その二十日の朝の分はいいんですけれども、出す方の側の身になれば、万が一手違いで行けば、受け取った側が追加料金を払わなければならないわけです。だから、出す方は万が一そういうことのないようにという思いでしていると思いますが、できるだけ出す側の身になった宣伝を大いにやっていただきたいと思っております。  それで、この切りかえによって前の二十円はがきというのはもうあと使わないわけだと思いますけれども、たくさん余りましたか。聞くところによると、大量に買おうとしたら二十円はがきが要望にこたえられるだけそこになかったというような局があった話も聞きますけれども、どのくらい余ったりなんかいたしましたか。
  140. 浜田望

    ○浜田説明員 お答え申し上げます。  料金改正に伴うはがきの残枚数、これはできるだけ少なくするように努力してまいりましたのでございますが、五十六年一月三十一日現在におきまして、全国で八千七百八十八万四千枚というふうに集計されております。
  141. 木下敬之助

    ○木下委員 時間の都合で計画どおりに全部やれませんからちょっとまとめて申し上げますけれども、そういったようなむだがあり、また料金不足が特に往復はがき等で――私どもも催し物をするにしても、この切りかえ時期に変にかかれば往復はがきで非常に迷惑をかける、だからと言って先に値上がりしたのを張って出すわけにもいかないし、この値上げの時期というのはいろいろな混乱が起こると思うのです。こういった混乱の中には、いまのようなむだもある。残ることもむだですけれども、また、そのときの低い料金のが大量に欲しいというのにこたえるほど全国にばらまけばもっと余るわけですから。これがまた四月から行われようとしている。考えてみますと、わずかな期間に二度の値上げで、こういうような二度の値上げをするということがやはり国民に対して大変な欺瞞であるという言い方もできるのじゃないかと思うわけですね。やはり値上げの幅を小さく見せんがためにこういった形にして、ただでさえ値が上がるのに、その間のいろいろな迷惑を国民にかけてしまった、こういった点について大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  142. 山内一郎

    山内国務大臣 郵便料の値上げの御審議のときにもいろいろそういう点も御審議をいただいたわけでございますが、二十円から四十円というのは二倍でございますので、やはり緩和策として三十円を設けたい、設けた方がいいのじゃないかというわれわれの原案でございましたけれども、そういう点をお認めいただいたわけでございますが、そのとおりさせていただいているわけでございます。
  143. 木下敬之助

    ○木下委員 いま言った、実際には倍に上がるのを、いかに途中の三十円を経過して国民にショックを与えないようにするかというのは、そういう目で国民をながめて政治をやっていくということは、私は非常な不信につながると考えます。特に当初の予定以上に短い間しかこの三十円のことがなかったわけでございますから、その点は考えるといたしましても、やはり率直に国民に全部を伝えて、ありのままを伝えて理解を求めるという姿勢を持っていただきたい、それがいま諸問題で政治不信を招いているのに大きな関係があると私は信じて、今後よく国民のためを考えてやっていただきたいということを申し伝えまして、私の質問を終わらせていただきます。
  144. 堀之内久男

    ○堀之内委員長代理 これにて木下敬之助君の質問を終わります。  村上弘君。
  145. 村上弘

    村上(弘)委員 近畿電通局のいわゆる不正経理事件についてですが、不正な手段でお金を浮かすということが大変重大な問題であることは言うまでもありません。特に近畿電通局の五つの部でわずか二年間に七千七百七十二件の出張のうち三千九十六件、約四〇%が空出張というようなことは、これはまあ金のつくり方にも問題があるが、大変な異常な事態と言えると思うのですね。お金にすると四億一千二百万の出張費のうちの二億六千八百万が空出張、六五%、半分以上です。こういうことがどうしてわからなかったのかということは、これは考えられないことですね。そんなことが本省でわからないのが摩可不思議と言っていいでしょう。  しかしもっと大事なのは、それを何のために使ったかということです。お母さんが病気だということで心ならずも人のお金に手をつけたというようなことであれば、まだ情状酌量ができるのですね。何に使ったのか、何のために使ったのか。こういう点では、当時の新聞報道ではいろいろ出ておりますが、毎日のように料亭やナイトクラブで会合し、三次会、四次会と遊び回っていた。一人平均年間百万円程度の飲食代だ。一部の者は数百万円も使っておった。これは去年の十一月二十九日付の朝日に出ておりますが、そのうちの約三割は労組幹部の接待であったというようなことも言われておるわけです。  それで点検の文書によりますと、これらは必要性の薄いものの支出の枠に入るのでしょうか、そういうことのためにいわゆる自己弁済というものの割り当て弁済四億六千七百万というようなこともやられておるわけですが、ちょっとお尋ねしたいのは、この出されている文書によると、経理の手続上の問題についてあれこれ調べもし指摘もしておりますが、一体何のために、どのように使ったのかというようなことはつかんでいるのかどうか、それをまずお聞きしたいと思います。
  146. 森谷昭夫

    ○森谷説明員 お答え申し上げます。  使った内容は、主として部外あるいは部内者との会食費でございます。そのほかに慶弔費でありますとか、あるいは部内外のレクリエーション活動に対する補助でありますとか、タクシー代だとか夜食代とか、こういったものがございます。
  147. 村上弘

    村上(弘)委員 きわめてきれいごとだと思いますが、きのう公社の新総裁は、みずから先頭に立ってみずから手を染めて業務執行改善の推進に当たるという決意を述べられ、一時的なものと思っていないというようなことも述べておられるわけですが、この執行を改善するには、やはりどんなことがやられていたのか、その内容がリアルにつかまれていなければ実際の改善というのはできないと思うのですね。そういう点では、いまのような通り一遍の実態の把握ではとても改善はできないと思いますが、総裁はそういう状態については聞いておりますか。
  148. 真藤恒

    ○真藤説明員 いまごく事務的にお答えしましたが、実態は私かなり詳しくつかんでおるつもりでございます。
  149. 村上弘

    村上(弘)委員 それが本当にリアルにつかまれておるのかどうかということが、私は今後の改善のかぎだと思うのです。  郵政大臣もこの問題についてはびっくりしておる、人心を一新してかからなくちゃならぬということを言っておられるわけですが、本当にそうするためには、国民の信を回復するためには、あんな通り一遍のことではなくて、やはり国民の前に公社がみずからその実態を明らかにするということが必要だと思いますが、郵政大臣としては、このことを当委員会で詳しく明らかにするというふうにさせる意思がありますか。
  150. 山内一郎

    山内国務大臣 電電公社の会計検査の指摘の問題につきましては、私も聞いて遺憾というより驚いたわけでございますが、まずどういうところからこういうことが起こってきたかというのが第一点の問題、いま御指摘のとおりでございます。それから個人的に使ったような金、これはもちろん当然のことでございますが国庫に返さなければいけない。  そこで、いろいろと電電公社にもその点を注意をいたしまして、今後こういうことがないように、どうしても何か無理が生じてこういうことになっているのなら、そういう点は是正しなければいけないというような点を厳重に厳達をいたしまして、そういう点についていま徹底的に調査をされつつある段階じゃないか、あるいはそれを実施に移しつつある段階ではないか、こういうように私は考えておりまして、それができましたら私も十分に聞いて今後の参考にし指導してまいりたい、こういうように考えております。(村上(弘)委員「ここで報告しますか」と呼ぶ)  その点は、まだ調査中でございますので、電電公社とも打ち合わせしたいと思います。
  151. 村上弘

    村上(弘)委員 私は、言葉がどんなにきれいであっても、それが本当に裏づけを持つかどうかは、やはり公社がみずからそのリアルな姿を国民の前に明らかにするかどうか、ここにかかっておると思うのです。それがやられるならば、まあ汚い中身も国民の前にはっきり出せば、ああそこまでみずからを国民の批判にさらすという態度をとったのかということで信頼は改まり、人心も一新するのだろうと思うのです。それをやらなければ、きれいごとで終わったということになると思うのです。  総裁は相当決意を持っておられると思うのですが、総裁は相当つかんでおられることをある段階にきた場合にここで報告する意思がありますか。
  152. 真藤恒

    ○真藤説明員 御質問があれば報告する義務があると心得ております。
  153. 村上弘

    村上(弘)委員 それでは、この問題については一定の段階で報告を求めたいと思いますので、用意をしておいていただきたいと思います。  次に、納付金をめぐる問題とそれからそれに対する公社や郵政省の姿勢の問題についてお聞きしたいと思うのですが、政府が財政危機を口実に電電公社から四年間で四千八百億を国庫に納付させよう、それでそういう法案を出してきておるわけですが、この大企業本位の経済財政政策を続けて、そして莫大な赤字をつくってそのツケを大増税という形で国民に押しつけて、その上に電電などの納付金ということを強要してきておる。二重、三重の税金の取り立てだという声が出ておるのも当然だと思うわけです。  ただ、この問題をめぐる郵政省や公社の対応についてはいろいろ問題があるんじゃないかと思うのです。去年の九月段階の対応はそれなりに筋が通っていたと言ってもいいかもしれません。  たとえば、去年の九月十八日、電電公社はこの納付金問題に対して、電電納付金構想に反対する五項目の見解を出しておりますね。そして「公社の事業が利用者の負担の上に成り立っていることや、独立採算制の公企体として設立されていることを指摘した上で、赤字のときは料金値上げで利用者に負担してもらうのだから、黒字になれば夜間通話料金の値下げなどの形で利用者に還元するのが筋である」こういう趣旨のことを述べている。また郵政大臣も、これは去年の九月十二日、閣議の後の記者会見で「電信電話料金の黒字は利用者の負担で生み出したものであり、電電独立採算の原則からしても、国庫納付は認めがたい」こういう趣旨のことを述べています。そして「黒字の一部を国庫へ納付せよ」という場合には「独立採算の原則に立った電電公社法の根本的な改正が必要となり、大きな政治問題になることは必至」であるとの見通しを明らかにした。これは九月十二日付の朝日の夕刊の記事でありますが、黒字が出た場合は再投資あるいは利用者還元に回すべきで、国庫に納付するのはおかしい、こういう趣旨のことを述べているわけです。いまそれなりにというのは後で述べますが、それなりに筋が通っておる。  ところが、十一月段階では大分おかしくなってきておるように思うんですね。これは十一月二十日の読売の記事でありますが、当時の秋草総裁はこういうことを突如と言い出した。一つは「市内通話などは約二倍に引き上げたい」。第二は「料金値上げの際に一々国会の議決を必要としない法定制緩和の措置を盛り込むことを検討したい」。それから三つ目は「納付金制度が決まり、国に吸い上げられる金額が大きくなれば、その分だけ値上げ幅も大きくなるだろう」というようなことを言っておるわけですね。この発言に対しては、当時私ここでお聞きしたのですが、郵政大臣は当時心外であるというようなことも言っておったわけです。  しかしながら、十一月二十七日には、これは首相との会見の後の記者会見で郵政大臣が述べていることですが、首相が「電話利用税という手も一般論としてある」というようなことを述べた。それで郵政大臣も、どちらが主導権をとったのかわかりませんが、この会見で電話利用税を問題にして「電話料が月に一万円以上の家庭から二百円ずつ利用税としてもらっても、全世帯では四百億円の増収になる」というようなことを述べておるかに報道されておるわけです。  こういう十一月段階での公社や郵政大臣のこの納付金をめぐる対応というものは、あの当時新聞でも盛んに俗に言えばたたかれたと思いますね。非常識な電話料金値上げ発言だとか電話利用税とは何だというようなことで、いわば公社や郵政省が居直った、一体だれに向かって居直っているんだというようなことで、国民の側から見れば総スカンという状態になったように私は思うわけです。  大体国民に奉仕し、国民から支持を得なければならない公共企業体である電電公社が、こういう納付金問題をめぐって国民に矛先を向ける、そういう対応をするに至った。しかも当時電通近畿の経理不正事件などが摘発され、これがまた追い打ちをかけるような形で公社や郵政省を孤立状態に追い込んでいったということが言えると思うのですね。偶然かどうか知りませんが、大蔵省や行管の方が相当上手だというように世間は見ていたでしょう。しかし、こういうようなことになるのには目の向けどころが根本的に間違うておるんじゃないかということを思うのですね。  御承知のように、電話というのは国民にとってはなくてはならない基本的な通信手段でありますし、しかも電話料などの家計に占める比率というものは年々ふえています。昭和四十九年度で見ますと一万九千三百七十三円、全家計消費支出の一・一%であったのが昭和五十四年度には四万六千七百八十二円、一・八%、こういうふうにふえてきておりますが、過去十年間で七・四倍、家計支出に占める比率は金額そのものがふえてきています。  一方では、こういう状態をしり目にといいますか、電電の方は、収支差益というのですか、経常利益が五十二年から五十四年の三年間だけで一兆二千億円、こういうふうな累積になっておる。ですから、当時の新聞の投書にも出ておりますが、大体独占事業でもうけているのはおかしい、剰余金は料金引き下げによって利用者に返還するのが当然である、これは朝日の十一月二十二日付の投書欄ですが、これはもう当時いっぱい出ていますね。こういう状況であるわけです。  あの納付金をめぐっての公社や郵政省の対応が全く国民から見ても常識離れ、常識を疑うというような状態になり、全く孤立無縁のような状態になっていったことの根本には、こういう国民にしっかり足を据えた立場、姿勢というものがしっかりすわっていないからではないのかということを思うわけです。  そこで、大臣にお聞きしたいわけですが、この間の納付金問題に対する対応ですね、特にあの十一月段階の対応について、あなたは国民や世論の共鳴が得られたというふうに思うておりますか。
  154. 山内一郎

    山内国務大臣 納付金の話が出かかったときに、国の予算の財源が非常に逼迫している、こういうことでこのときはいろんな財源について大蔵省で検討している当時だと思います。そこで、いろいろと収支差額からとるようにというような話もありまして、収支差額というものは当然国民に還元すべきものである、従来もやっておりますし、来年におきましても、これはたとえば遠方の料金が高いのを割引する、あるいは日曜祭日の料金を割引するという計画でいま予算案を御審議をいただいておるわけでございますが、したがってそういうことはおかしいのじゃないか。もしはっきりして幾らというような金額を決めてやるとすれば、電話を利用される方に負担を願うとか、つまり増税をしなければいけないというような事情は片っ方にあったわけなんです。増税をして国民の皆さん方にどうしても御迷惑をかけざるを得ないというような情勢があるなら、電話を利用される方に一定の御負担を願うとはっきりとその点は数字的にも出てくるじゃないかというようなことで、私は一案として申し上げましたけれども、その点は全然反響がなくてどなたも議論にならなかったわけでございます。そういうような情勢で、その当時の発案に対しては私はいまは全然考えておりません。
  155. 村上弘

    村上(弘)委員 十一月段階の公社や郵政省の対応が非常に的外れであり、もっと言えば間違っておるということについてはもっと真剣に考えておく必要があるんじゃないかというように思います。同時に九月段階のいわゆる独立採算制というものを前提としての主張については、現在はどういう考えでおるか、あわせて聞いておきたいのです。
  156. 山内一郎

    山内国務大臣 従来から非常に電電公社が御苦心をされましいわゆる独立採算制で電話料金の収入によって設備をしたり、また借入金によっていろいろ新しい開発あるいは設備をされて、いま電話の状態が非常によくなっておるわけでございます。したがって、従来どおりいわゆる独立採算制で当然やっていくべき性格のものである、こういうことはいまでも私は考えは変わりません。  ただ、来年度の予算の編成のときに出てまいりました問題が、異常な赤字国債も減らさないといけない、昭和六十年から大変なことになる、それから歳出の削減も極力全力を挙げてやってみた、これは大蔵省の言い分ですが、それでもなおかつ相当な増税をしなければ予算の編成もできないというような情勢に相なってきた。  そこで特殊法人の経営状態といいますか、そういう点を洗い直しをして、行政管理庁の方で財源的にそういうことがカバーできるものかできないものかというようなことを経営状態を調査をされまして、従来の電電公社の実績あるいは事業の活動力、こういう点から勘案をしていけば、臨時かつ特例的に四千八百億円の金額程度であれば今後の企業努力期待をしてやれるのじゃないかというような御判断もあったわけでございますが、この点につきましては国家全体の問題でもございますし、郵政省といたしましても合意せざるを得なかった、こういうような状況であるわけでございます。
  157. 村上弘

    村上(弘)委員 私どもの党は独立採算制それ自体を是認しているわけじゃないのです。郵便、電報、電話などの国営あるいは公営の企業、公共企業を独算制でやるということは必ずしも妥当であるとは思っておりません。しかしながら、一応独算制というものが現にあるということを前提として見るならば、赤字のときには受益者負担、利用者に値上げを押しつける、こういうことが行われる以上、黒字のときには当然利用者にその利益を還元するというのが筋になるわけであって、あなたが当時法的には筋が通らないと言っておられるのは、その主張自体は筋が通っておると思うのですね。しかしああいう形で巻き上げられそうになってきたということは、やはり国民の電電に十分なり切っていなかった、それ以前にもっと還元をしておくべきだったのだということが言えると思うのです。黒字だから納付させるのだということで言えば、赤字のときには本来なら一般会計から補てんさせるべきであり、この間でも赤字になれば、臨時でも赤字を一般会計から補てんするということになったら、実際にそうなるかどうかは別としても、それは筋になるだろうと思うのです。いまあなたは独算制のたてまえについては同じ考えを持っておられるようですが、そうであるならば、今日も大幅な黒字があるわけですから、当然料金の値下げを軸とした利用者への還元を行うということを、いまからでも遅くはないのであって、やる必要があると思うのですが、どうですか。
  158. 山内一郎

    山内国務大臣 先ほど申し上げましたけれども、昨年の十一月には夜間割引の実施をいたしております。それから五十六年度の予算の計画といたしましては、遠距離の電話料金の値下げそれから日曜祭日の割引、こういう点を計画しているわけでございます。
  159. 村上弘

    村上(弘)委員 いま大臣が言われた遠近格差の是正だとか日曜祝日の割引だとか、また去年から行った深夜割引の導入だとかあるいは夜間割引の時間帯の拡大だとか、こういうことはわが党も一貫して主張してきておったことで、それ自体はいいことなんですが、しかし五十二年から五十四年の間の一兆二千億円の利益と比べてみるならばいかにも少ない。わずか一五%ですね。大多数が設備投資に向けられておるわけですね。設備投資も利益還元だという論もありますけれども、しかし国民から見たらそれはまた別なんです。  この設備投資については特に私たち問題だと思うのは、これはかつてもこの委員会でしたか、指摘したことがありますが、昭和五十三年、平山という協和電設の社長が「電電関連産業界の展望を語る」という座談会の中で大変なことを言っております。「いまは戦争がないわけです。戦争がないわけですから、平和的な破壊がなければ技術は進歩しないと思うのです。平和的な破壊とは何かといえば、要するに在来の設備ではできないサービスを提供するため、まだ耐用年数があるけれども取りかえるということです。こういうことでないと大義名分がないわけです。」ひどいことを言っているわけですね。要するに、こういうメーカーがもうけていくためには耐用年数がまだあっても取りかえるということが必要なんだということについて、サービスを提供するためにという大義名分が要るんだというようなことを言っておるわけですね。「どこまで合法的に古い設備をどんどんかえていけるか、それがこれからの勝負ではないかと思っています。」はっきり言ったものですね。こういう見地がこの設備投資に大いに作用しているということは当然考えられるわけですね。  新総裁は、これもまた二月三日の朝日に出ておりますが、こういうことが報道されていますね。「電電公社の体質改善のために送り込まれた真藤恒・新総裁が」と、こうなっておるわけですが、「新しい通信網の建設より、まず、できるだけ早く時代おくれの交換機を引退させ」なければいかぬ、それをやるように公社の首脳部に厳命した、首脳部はまごついておるというような報道です。大きな見出しは、「交換機 交換しなさい」こういうわけですね。これは平山戦略から言うならば、さらに大義名分がきわめて巧妙に出てきておるんじゃないか、私はそう思いながら読んだわけです。そうではないと言われるかもしれませんが、今日のいわゆる経常利益の国民に対する還元の実態から見るならば、しかもたくさん余っているじゃないかと言って巻き上げられるまでになってきておるこの実態から見るならば、こういう考え方が一方にあり、他方では実際に国民への直接の還元というものがきわめて乏しいということが批判の対象になるのは当然だと思うのです。私は、そういう点では、もっと積極的に直接的に利用者への還元をやるべきだ、思い切ってその姿勢をとるべきじゃないのかということを強調したいわけです。  たとえばこういうことができないかということですね。いまプュシュホンというのがありますが、これの付加使用料が大変高いですね。基本料金のほかに千三百円ですよ。ところが、これが大変高いということで評判が悪い。これは、札幌の市役所では、昭和四十六年に新庁舎ができたということもあって、プッシュホンを三百四十台設置した。ところが、大変高くついてかなわぬということで、五十一年度には経費節減ということで、全部またダイヤルに返してしまったということが言われていますね。  公社では、昭和四十四年から五十四年の間のプッシュホンの普及計画が三百三十八万一千台に対して売り上げが三百十八万一千台で、九四%しか達成しておりません。これは相当強力に下部を督励して普及をさしてきたようでありますが、なおかつこうですね。現場ではプッシュホンのことを、当時は押しボタン式何とか言っておったそうですがね。プッシュホンは押し売り電話機だというニックネームがつくぐらい強制されてきた。しかしこの間、一たんつけておきながらまた廃止していっておるのが大分あるのですね。昭和四十四年に廃止率が〇・七%であったのが五十一年には六%になっている。五十四年で三・七%ちょっと下がってきておりますが、廃止する理由は、昭和五十四年の集計によると、料金が高いから、使用料が高いからというのが三三%ですね。これほど高い割りにメリットがないということが言われておるわけです。  ですから、先ほど私いろいろ述べましたけれども、もっと利用者への利益の還元ということをやる必要があるし、この際思い切って付加使用料を下げたらどうか。そうすれば、便利な面もあるんですからね。短縮して電話がかけられるというような面もあるわけだから、付加使用料をもっと下げれば、実際には普及がもっと進むのではないかということも考えられるわけですが、そういうことをやる考えはないかどうか、お聞きしたいと思います。
  160. 真藤恒

    ○真藤説明員 まず、料金の値下げの問題でございますが、この納付金の問題で年間千二百億の利益の減ということに、実質上なります。それから、さっきおっしゃっていました夜間割引、祭日の料金の割引、そういうふうなものが平年度で、現在見積もりますと約二千三百億くらいの減収になります。両方合わせますと三千六百億の減収の形になるわけでございますが、五十六年度の利益を予定してみますと九百億台、千億前後の収支差額くらいしか見込めない。すべての数字の傾向が出ておりますので、いま仰せのように料金を下げるのはやまやまでございましても、経済的にすでにその能力を失いつつあるというのが現状でございます。いま御承認を求めておる五十六年度の予算案が明らかにそれを示しております。五十七年度になりますと、それが収支とんとんというくらいのところにまでなる。しかし、そのためにはかなりの努力を必要とする。五十八年暮れになりますと、このままでいきますとかなりの赤字になる傾向でございますが、私ども、従業員の協力を得て、どこまでこの赤字を減らしていくかということに全力を投入せざるを得ないのが、現在の電電公社の置かれている中期的な見通しでございます。  それから、さきの朝日新聞の件でございます。これは午前中も御質問がございましたが、全く作文された形のものでございまして、世間話をしておって、東京の中に一番古い交換機の電話局がまだあるということ、しかもそれがわが家の電話がつながっている局だということを私初めて知りまして、こういうことがまだあるんだ、ちょっと気のきいた新しい電話サービスを期待するためには、隣の局につないで電話番号を変えなければいかぬ、東京のど真ん中にまだそれがあるらしいといって話しておったんですが、それがああいうふうな記事になったんでございますから、これは私事にわたりまして恐縮でございますが、釈明しておきます。(村上(弘)委員「プッシュホンの場合。肝心なところが外れている」と呼ぶ)  実はこのプッシュホンというのは、仰せのとおりの傾向は少しなきにしもあらずでございますが、このプッシュホンがつけられる電話局というのは、将来御要望に応じてかなりいろいろな非電話サービスができる設備のある電話局になっておるというふうに御了解いただきたいと思います。ですから、私の家の電話はまだプッシュホンがつけられません。(村上(弘)委員「使用料を下げるということは」と呼ぶ)使用料の方は、いま申しましたように、経理的に来年から非常に苦しく、急速に悪くなってまいる傾向でございますので、もうしばらく収入の状況を見て研究さしていただきたいと思います。
  161. 村上弘

    村上(弘)委員 これから苦しいということを言われるわけですが、その中身にはきょうは余り触れませんけれども、実際には過大な減価償却をやられておるとか耐用年数を実際よりも短く見ておるとか、あるいは設備料を資本勘定に入れて収入の中に計上しないというような問題だとか、内容を見れば実際にはもっともうけがあるという状態が隠されておることがあると思うのです。ですから、そういうような考え方や対応をしてきたところに今回の納付金を押しつけられてくるような原因もあるということが言えるわけで、そういうことをもう一遍全部見直すべきじゃないかということを私は指摘しておきたいと思うのです。いつでも苦しい苦しいと言ってさえおればいいという考え方をやめて、もっとそういう中でも努力をして、たとえば私が一つの例として挙げたプッシュホンの使用料を下げる、そのことの方がまだ普及が進んで利益にもなるのじゃないかということも言っておるわけですから、検討してほしいと思うのです。  時間がなくなってしまいましたけれども、私は障害者に対する対策の問題についてお聞きしておきたいと思うのです。  去年の十一月二十六日にこの委員会でこの問題を私は取り上げまして幾つかの項目を提起しました。当時、郵政大臣は貴重な意見を聞かせてもらったと述べつつ、「何とかして新しい政策をやりたいという意欲をもちましていま取りまとめている最中でございます」ということを述べられたわけです。そういう点では、いままでお聞きしたことは抜きにして、それ以外に今度新しく障害者に対して、特に電話の面で対策をとる考えがまとまったかどうか、一言お聞きしておきたいと思うのです。
  162. 守住有信

    守住政府委員 電話の面での福祉関係の面でございますが、この福祉関係の料金負担という基本論は別にいたしまして、電電公社自身としてはいろいろな技術力を駆使いたしまして、福祉関係のいろいろな面で即応できるような技術の開発というものに努力をいたしておるところでございますし、あるいはまた、今度はそういうハードサービス面だけでなくてその他の面、たとえば盲人の方々への点字の電話帳とか、そういうことについても考究しておる。それもまた郵政省としても取りまとめつつあるという状況でございます。
  163. 村上弘

    村上(弘)委員 福祉電話に関するところが大変漠然としておるわけですが、御承知のように現在福祉電話は国が三分の一、都道府県が三分の一、市町村が三分の一の設備料を負担して、お年寄りやらあるいは外出困難な障害の方々に設置しておりますね。  たとえば、大阪で見ますと、五十四年度末で千八百九十台が設置されておりますが、その実情を見ますと低所得者が大変多いわけで、大半の自治体で基本料の全額負担をやっておるわけです。それから、一定度数の通話料も負担しておる。高槻市で見ますと七十九台設置しておりますが、さらに五十五年度中に二十一台設置ということですが、この場合基本料金はもちろんのこと、通話料についても一カ月六十度までは市が負担するというような状態になっているわけです。今後、五十六年度でこの制度を打ち切って、日常用具給付実施事業いわゆるメニュー方式に厚生省では移行しようとしておるようですが、そうなると福祉電話、特にそこの自治体が独自に努力してやっておる対策がますますはみ出していくことが予想されるわけです。ですから、国際障害者年がいよいよ始まっておるのに、電話の面ではむしろ後退していくということすら懸念されるわけです。ですから、少なくともこういう福祉電話についてはメニュー方式で一つの枠の中へ入れるのじゃなくて、独自に持続するように郵政省あるいは公社としてはやるべきじゃないか。同時に、いままでの基本料だとか度数料を各自治体が自腹を切って出しているわけですが、こういうことに対しては、それこそ利用者への利益還元また障害者年にふさわしい事業ということで、基本料や度数料の免除措置を新たに講ずべきではないか。  もう一つは付加使用料の場合、プッシュホンの問題も当然ありますが、シルバーホン、たとえば  「あんしん」「めいりょう」「ひびき」こういうものについては実際に高くて使えないという実情があるわけですから、この使用料については全額免除すべきじゃないかと思うのですが、どうですか。
  164. 守住有信

    守住政府委員 御指摘の点、先ほど料金の問題があるがと申し上げましたが、料金面から見ましてどちらが負担すべきかという問題が基本的にあるわけでございますが、なお私どもといたしましては、公社と相談いたしまして、地方自治体が設置いたしております老人福祉電話等の場合にこれが自治体でございますので、いままでは基本料、使用料が事務用ということに相なっておったわけでございますが、実態は個人の住宅につけられておるわけでございますので、自治体自体は国、自治体ということで補助もいたしておりますけれども、いままでの事務用電話を住宅用電話の方に切りかえたいということで、これは法改正を要するわけでございますけれども、このたび御審議をお願いしょうと考えております公衆電気通信法の中にも一条項設けておる次第でございます。
  165. 村上弘

    村上(弘)委員 基本料や度数料はどうなのですか。
  166. 守住有信

    守住政府委員 先ほどプッシュホンの話も出たわけでございますが、実はプッシュホンも値下げするということになりますと、国民多数の方は黒電話でございますので、そのコストというものをよく踏まえておきませんと、多数の黒電話の方々の負担に多少かもしれませんけれども値下げがかかわってくるという面もございますので、私ども認可に当たりましては、特に基本的黒電話以外の付加サービス的な端末機等の多様なサービスに対しましては、その料金面では黒電話の方々にその負担がかからないようにということを念頭に置いて審査するわけでございますが、同時に電話全体の中での福祉電話ということになりますと、その料金をどちら側が負担すべきかという基本論もございますので、私どもはその料金の点については従来どおりの政策を維持しておる次第でございます。
  167. 村上弘

    村上(弘)委員 時間が来ましたのであと一問にしたいと思うのですが、いまの答弁は全然問題にならぬですね。いつも問題になりますが、国鉄などでは二百六十万人の障害者に対して三十五億の減免措置を実際やっておる。NHKでは二十六万世帯に対して十四億円の受信料の減免をやっておるとか、道路公団などでもやっておりますね。そういう基本論などというものは実際にはやる気さえあれば打開できる問題であるということが言えますし、また実際に、約半年間ではありましたけれども、減免措置を公社自身もやってきたわけですから、やる気があったらできるということです。ですから、いまのようなことではなしに、基本的に検討をやり直すべきだということをつけ加えておきたいと思うのです。  先ほど言われました視力障害者に対する点字の電話帳の問題ですね。これについては、いままでの通達によると、通信局は、必要に応じて一般電話帳を補充するものとして点字電話帳を発行することができるものとするということになっており、点字電話帳は、盲人協会等の要望に基づいて発行するもの、こうなっておって、実際には知らないんですね。だから岡山市などでは、自分の市で独自に協会と話し合ってお金を出して電話帳をつくっておる。そういう制度があるのを知っていますかと言ったら、知りませんということですね。岡山市がそういうふうに市が金を出して盲人用の点字電話帳をつくったという岡山市の点字電話帳というのはこれですがね。こういうようなものを出しているということも公社の方は知らないという状況にあるわけです。ですから最後にお聞きしておきたいのは、そういう不親切なやり方ではなしに、それこそ一般加入者と同じように、電話をかけるに当たって配付される電話帳、それでは用が足せないわけですから、ぜひもっとPRもし、直接出向いていって、そして都道府県だけではなしに、この二百一地域で電話帳を出しておりますね、それぞれの地域に対応して、公社の側が点字電話帳を発行できます、どうしましょうかと言って相談に行くということをやるべきではないかと思いますが、そういうことをやりますかどうか、それだけお聞きして、終わりたいと思います。
  168. 稲見保

    ○稲見説明員 ただいまの点字電話帳につきましての電電公社としての発行、あるいは地方自治体、福祉団体等の発行に対する協力の問題でございますけれどもお話のように、必ずしも従前積極的に私どもの方から出向くという姿勢には乏しかったということは事実でございまして、本年、国際障害者年ということもございまして、電電公社としては、もう一つアクセルを踏むといいますか、積極的に必要な対応をしていこう、こういう姿勢を決めまして指導を始めておるところでございます。  ただ、府県単位がいいのか、個別の市町村単位がいいのかということは、これは画一的に決めるというのにはちょっとなじまないと思いますので、地方の事情等も十分勘案しながら、地況に合った対処をしてまいりたいというふうに考えております。
  169. 堀之内久男

    ○堀之内委員長代理 村上弘君の質問は、これで終わります。  依田実君。
  170. 依田実

    依田委員 最初に、電電問題の調達問題について真藤総裁にお伺いをさせていただきたい、こう思うのであります。  先般、アメリカとの間で、いわゆる三段階方式によるこれからの資材調達方式が決まったわけであります。主に前総裁がタッチされてやったわけでございますけれども、これからの実施状況、これが大事ではないか。門戸は開いたけれども実際にどの程度資材を調達したかという、それが大事だ、こう思うのであります。新しくアメリカの通商代表に決まりましたブロックが向こうの議会  で、政府調達について三年後に見直すのだ、こう  いうことを言ったとも伝えられておるわけでありまして、そういう意味でも、これから電電公社がこの資材調達問題、特にアメリカとの関係についてどういうふうに対応されるのか、新しい総裁としての御意見を承らしていただきたいと思います。
  171. 真藤恒

    ○真藤説明員 私どもあの問題については、いま積極的に取り組む姿勢で事務処理を急いでおりますが、詳細につきましては担当者から御説明申し上げます。
  172. 山内正彌

    山内説明員 お答えします。  ただいま総裁から概括的に申し上げましたが、昨年の十二月十九日に日米両政府代表のもとに妥結いたしました。これには外務省、郵政省の諸官一庁の方、それから特に国会の先生方には大変に御協力、御指導をいただきましてありがとうございました。  それで、ただいまその合意事項に基づきましていろいろ準備を進めてまいっているところでございますが、特に一月十日に第一回の、これはガットのコードによりまして調達をする九品目につきまして公示を行っております。この九品目につきましては、内外のメーカーなり商社等から問い合わせなり実際の申請がございます。  なお、これに引き続きまして、特に交換書簡の中で電電公社が調達いたします手続の大綱を添付してございますけれども、なお、その手続のガイドブックというものをつくることにしておりまして、これが三月あるいはちょっと四月にかかるかとも思いますけれども、このガイドブックの作成をいま急いでおるところでございます。  なお、そのほかトラックI、ガットのコードで調達いたします物品につきましては、四月以降も引き続いて早期に実施をしてまいりたいということで、関係の部局におきまして作業を進めておるところでございます。
  173. 依田実

    依田委員 御説明のとおりこれから実行されるわけでございます。ひとつ実が上がる、こういうことでいくようにお願いをさせていただきたい、こう思うわけであります。  次に、大臣の所信表明の中で、五十八年に放送衛星を上げ難視聴の解消に活用したい、こういうお話でございます。いまそういう計画を見ておりますと、いわゆるハードの方は進んでおるけれども、それに対してのソフトの面が、対応というか、どういうふうにこれを実際に活用していくのか、その辺についてまだ不明というか、よくわからないところがあるわけでありまして、たとえばその衛星からの電波をどうやって受けて難視聴を解消するのか。いわゆるミニサテみたいなところに受けてやるのか。いまですと、まだ個々の家でパラボラアンテナをつくるのはなかなか大変だろう、こう思うわけであります。それをどういうふうに受けるのか、あるいはまた、チャンネルプランも決まらないところでどういうふうにしてこれを運用していくのか、その辺について御説明を少ししていただきたい、こう思うわけであります。
  174. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 お答え申し上げます。  五十八年度に放送衛星を打ち上げるわけでございますけれども、これを受信の側で見たときにどういう受け方をするのかというのが最初の御質問かと思いますけれども放送衛星を利用いたしますと、ほとんど日本全国一〇〇%と言っていい形で電波は降ってまいるわけでございます。ただ、場所によりまして強さが変わってまいります。この放送衛星の電波は、いまのところ能登半島の輪島付近が一番強い形でその周りに降ってくるという形でございますが、一番強いところでは三十センチ程度の。パラボラアンテナ、それから日本の大部分の、本土ですと直径約一メートル程度の。パラボラアンテナ、それから以下の場合にでもアダプターと申しますか、SHF帯を現在のテレビ受信機で受かるように変換装置が必要でございます。そういうもので強さ的に申しますと、日本のほとんど全部では個別に受信するという形が考えられるわけですけれども、周辺になりまして多少電波の弱いところ、あるいは都市のビル陰というようなところになりますと電波が弱くなるということで大型の。パラボラアンテナが必要となってまいります。アダプターについてはどちらの場合でも同じでございます。ということで日本の大部分では一メートル程度のアンテナで受かる。周辺になりますと、大型のパラボラアンテナを必要といたしますので、こうした場合には、たとえば特に沖繩、南大東島あるいは北大東島、小笠原諸島ということになりますと、ここの場合は四・五メートル程度のアンテナを必要とする。そうしました場合には四・五メートルのアンテナで受けまして、これを専門の受信機で変換いたします。そして、そこに従来の中継局用の送信機を一つつけまして再発射する、それを各家庭では従来の、現在ありますようなテレビ受像機で受ける、こういうようなかっこうでございます。  ちなみに、小笠原が五百世帯あるいは南大東島でございますと七百世帯、こういうようなことでございますが、直径約四・五メートルのパラボラアンテナと送信機を使って各家庭へ送るというようなことになろうかと思います。  それからチャンネルの件でございますが、これは国際的な会議におきまして、日本が衛星用に使えるチャンネルというのが現在八チャンネル割り当てがございまして、五十八年度に打ち上げます放送衛星におきましては、そのうちの二チャンネルをさしあたり使うということになっております。SHF帯と申します。これを従来使っておりますUHF帯なりVHF帯の周波数に変換して、いまあります受像機で受ける、こういうからくりになっております。
  175. 依田実

    依田委員 時間が短いものですから、次に移らせていただきます。  いわゆる郵便貯金、これが非常に大きくなる、あるいはまた今度の年金など、こういう問題で、いわゆる官業と民業のあり方、分野調整、こういうもの、あるいはまた金利の一元化、こういうものについていろいろ世論が出ておるわけであります。そこで、金融の分野における官業の在り方に関する懇談会、いわゆる郵貯懇というのが設定されたわけでございます。ところが最近の動きを見ておりますと、どうもエスカレートしておるところがあるのじゃないか。これができるとすぐに郵政省が金利の一元化に反対だ、こういうことを言っておるわけでありまして、識者によれば省があって政府がないというようなことも言われておるわけでございまして、昨日の審議、私は出ませんでしたけれども、どうもいろいろ熱心な討議が行われた、こういうことでございます。また、郵政大臣が郵政審議会の会長にどうも郵貯懇と同じような問題について諮問をしておるのじゃないかというようなことも言われておるのでありまして、せっかくできた郵貯懇でありまして、識者の人たちがこれから集まっていろいろ検討するわけでありますから、もう少し冷静な態度でこれの成り行きを見守る必要があるのじゃないか、こう思いますが、大臣の所感はいかがでございましょうか。
  176. 山内一郎

    山内国務大臣 内閣に総理の諮問機関として懇談会ができまして、郵政省としてもいろいろ説明をしている、こういう段階でございます。  そこで、委員の方々に郵便貯金というものはどういうものであるかという御理解は徹底的にやらないといけない、こういうことで熱心にその懇談会においても郵政省として出席をして御説明をさしていただいておるわけでございますが、その本質を納得していただくまでは一生懸命に御理解をいただくようにやる、こういう趣旨でございます。
  177. 依田実

    依田委員 その問題の最大の一つは金利の一元化、これについてきっといろいろ諮問が、討議が行われるのじゃないか、こういうふうに思うわけであります。  そこで、先日日銀が預貯金金利についての基本的な考え方、こういうものをまとめておるわけでありまして、これは長いものですが、要点だけ申し上げますと、まず第一点、今後の国際資本交流の一層の活発化などを展望すると、政策の有効性確保のためには金利機能の一層の活用が重要となってくる、そしてこの金利機能活用のためには各種の金利が弾力的に動くような体制が必要である、こういうふうにまず言っておるわけであります。そういう前提に立ちまして、金利全体が金融市場の基調の変化を反映してある程度の幅で同じ方向に変動するような場合には、小口預貯金あるいは個人預貯金の金利も全体の金利の動きと合わせて変更されることが必要だ、郵便貯金金利についてもそうした考え方、慣行が確立される必要がある、こういうふうに言っておるのであります。  そしてまた、重ねまして、預貯金金利を変更する場合、郵便貯金と民間預金の金利変更のタイミングが一致していることが必要だが、最近における郵便貯金金利の変更、特に引き下げ時についてはどうも民間との間でかなりタイムラグを生じる場合が多い、これが郵便貯金と民間預金との間の資金シフトを惹起している、こういうふうに断定しておるわけです。  こういうことに対して郵政省としてはどういうお考えをお持ちになっておるのでしょうか。
  178. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 初めに、先ほど大臣への御質問がございました点で、郵政審議会に関します点をちょっと補足をさせていただきますと、これはことしの一月二十二日に、郵便貯金の今後の役割りについてということで諮問をいたしてございますけれども、これは実は昨年の十一月の段階で金利の引き下げの諮問をいたしましたときに、郵政審議会の方から、郵便貯金のあり方について主体的に幅広く検討をすべきであるという要望が出されておりまして、これを受けまして、近時いろいろ郵便貯金の果たすべき役割りというものが関心を呼んでおるときでもございますので、昨年の十一月の答申を受けまして一月に諮問をいたしたということでございます。  それから、ただいまの金利一元化についての御質問でございますが、預貯金の金利の中で、民間の金融機関、預貯金金利でございますが、これは御承知のとおりでございますけれども、臨時金利調整法に基づきます金利調整審議会の議を経て決められる。一方、郵便貯金につきましては、郵便貯金法の規定に従いまして郵政大臣が郵政審議会に諮問した上で政令で定める、こういうことになっております。     〔堀之内委員長代理退席、委員長着席〕 郵便貯金と申しますものは、いわゆる簡易で確実な少額の貯蓄の手段ということで、郵便貯金法によりまして、預金者の利益を増進する、預金者の利益の保護を図りながら、あわせて民間金融機関の金利にも配意をするというのが規定にございます。そういう考え方を念頭に置いて決めているわけでございますが、実際問題といたしまして、先ほど申しました金利調整審議会の方が産業界あるいは金融界の立場にウエートを置いてお決めになるであろう。郵政審議会に諮問いたしますときには、民間のそういった金利にも配意をしながら、かつは預金者の保護ということにも十分な配慮を加えて決定をしている。事実上われわれ大蔵省との間でも十分な意思疎通をこれまでも図ってきておるわけでございます。こういう形で両者が併存をしておることによって妥当な政策的な決定がなされているというふうに考えております。  それから、日銀のお話でございますが、これは先生の御指摘は、先日の二月十八日付の朝日新聞に載った、日銀の基本的な考え方ではないかと存じますが、これは日銀として正式に公表したものではないとわれわれ承知をいたしております。そういうことで、朝日の新聞紙上に掲載をされましたものを前提にして私ども考えを申し上げたいわけでございます。  預貯金の金利と申しますものは公定歩合と必ずしも連動するものではございませんけれども、公定歩合の変動に伴いまして預貯金金利の改定が要請される場合がございます。現にこういう要請に従いましてこれまでもたびたび改定をいたしてきておるわけでございます。ただ、その時点での経済情勢のもとで、先ほど申しました意見の交換、意見の調整というふうなことのために若干の日時を要するという場合がございます。ただ、これをもちまして金融政策の運営に格別の支障があるというのは当たらないというふうにわれわれは考えている次第でございます。
  179. 依田実

    依田委員 それは郵政省のお考えでありますけれども、これは日銀の公式発表じゃないというお話ですが、日銀のある人に私も電話でいろいろ聞いておりますが、しかし一方には、これからいろいろ情勢の変化に対応して金利を迅速に決める必要があるときに、やはり郵便貯金の金利がなかなかそれと連動しないということでは困るんだという考え方が非常に根深いものがあるのじゃないかと私は思うのであります。  また、いま局長がおっしゃった中の、小口預金だ、こういうお考えですが、この日銀なんかの、朝日のスクープだということですから日銀の公式発表かどうかは別といたしまして、これを見ると、小口貯金はひとり郵便局だけが扱っているわけではない、こう書いてある。ほかのところでも手広く扱っておる。そしてまた、ここが大事なところなんですが、郵便貯金は低所得者層のみならず高所得者層を含め各所得層に平均的に分散して利用されている、特に低所得者層のための貯蓄機関とは言えない、こういうことがもうすでに既成の事実だ、こういうことを書いておるわけです。それはまた私は政府部内にそういう考え方があるのじゃないかと思うのです。そういうことに対して、これはあくまでも低所得者の小口の預金だ、これだけ言い切ることができるのかどうか、貯金局長にちょっとお伺いいたします。
  180. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 御承知のように郵便貯金というものは、あまねく公平にサービスを提供するということを旨といたして百年余の歴史を持っているものでございますけれども、いまお話のございましたいわゆる所得層別の問題でございますが、これもおっしゃいますように低額に限らないではないかという点につきましては、いわゆる所得階層別に幾つかの階層を切りました場合の利用者の利用率というものをわれわれ把握をいたしておりますけれども、それは他の、たとえば市、郡、規模別の利用の状況とかあるいは世帯主の職業別の利用状況とかと並びまして、所得階層別におきましても率の上での大きな変化なしに利用されている、あまねく利用されているというのが郵便貯金の特色であろうと考えております。  それから、小口性という点につきましては、これは通常貯金、銀行で申しますと普通預金に当たりますが、それから定期性の預金、これは郵便局では定額、定期貯金、民間では定期預金といった形になっておりますが、これを一口座あるいは一証書当たりの現在高でとりますと、やはり郵便貯金が、たとえば定期性のものでございますと、郵便貯金の一口当たりが十八万五千円に対しまして都市銀行が四十三万二千円、あるいは相互銀行の場合でも三十九万五千円というふうな数字がございまして、小口なものであるというふうにわれわれ考えているわけでございます。  それから、先ほどのタイムラグがあるという点でございますが、これは先ほども申し上げましたように、二つの決定機関がございます。決定につきましては、先ほど申しましたように、公定歩合の変動に伴います預貯金金利の変動が要請をされました場合には、十分な意見調整をしながらそれぞれの審議会に諮って決定を見ているわけでございます。ただ、その中での意見調整に若干日時を要する場合がございますけれども、そういう中で預金者の利益というものが郵政審議会への諮問という形を経る中で実現をしているのじゃないだろうか。もちろん、民間の金融機関の中にも個人の預貯金というものがあることをわれわれ決して忘れているわけではございませんし、先ほども申し上げましたように、郵便貯金法の中でも、あわせて民間預金の金利にも配意をして決めるということがございますので、そういう中で預金者の利益に配意をした水準というものが現在の貯金金利の決定方式という形で保たれているのではないだろうか、われわれはこのように考えているわけでございます。
  181. 依田実

    依田委員 もう一つ、よく言われるのでありますが、この郵便貯金の金利を下げる、特に下げる場合に、庶民の大事な預金だからその利息を下げるな、こういうことでなかなか下がらないわけであります。  ところがこの一方の議論として、きょうは日銀の意見ばかり申し上げますが、こういうことを言うておるのです。私もこれはなかなかいいことじゃないか、こう思うのであります。貯蓄の増強とは単に郵便貯金という形での貯蓄の増強ではなく、国民経済全体としての貯蓄の増強であるべきことは明らかであり、場合によっては、金利の引き下げなど貯蓄者に目先の不利になることがあっても、それを通じて経済の安定的発展、所得の増加が最終的に貯蓄の増強につながるような場合には、そうした方向へ金利の変化が行われなくてはならない、こう言っておるわけであります。つまり、その金利操作がおくれて、そのためにかえって景気にマイナスになる。全体として貯蓄が減るのでは困る。それよりも、目先は多少利下げになって不利になるかもしれないけれども、長い目で見ると日本経済の運営がうまくいって国民全体のふところが豊かになるのが正当ではないか、こういう議論だろうと思うのであります。私も全くこの議論の方が正しい、こう思うのでありますが、この点いかがでしょう。
  182. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 お答えをいたします。  ただいま先生指摘の、日本の経済運営の中でというふうなお話でございますが、これは私たちも、日本の経済の中における郵便貯金であり、郵便貯金金利の問題であるということは十分認識をいたしておるつもりでございます。また同時に、先ほどから申し上げております郵便貯金法十二条の後段にございます民間預金の金利にも配意をするということがそのことの一つの大きなあらわれであろうというふうに理解をいたしております。  それから、いま先生の御指摘の、全体的な金利の下げが景気の向上につながり、それがたとえば国民の所得の増加に伴う全体的な利益の増加につながるのではないかというふうな意味の御指摘であったかと思います。そういうふうな考え方というものも、郵政省といたしましても、特に利下げの局面では、全体の景気動向等の中から利下げによります経済的な効果というふうなものも念頭に置きながら郵政審議会の御意見をお伺いをしているという場面もございます。  ただ、最近の状況から申し上げますと、経済基調が変化をいたしてまいりまして、つまり、金利を引き下げることによって景気がうんとよくなる、いわゆる高度成長の時代には所得にそれがめぐりめぐって回ってくるという度合が高い場面がございましたけれども、低成長と安定成長という中では、なかなかにそういうかつての高度成長時代のような所得の向上も必ずしも期待できないという一面。  それからもう一つは、最近の社会状況の変化でございますけれども、高齢化社会というものが到来をしております。その高齢化社会という側面でとらえますと、経済活動によるプラスを受ける方が、高齢化ということの中で所得によってその生計を営むという度合いが減ってきているという側面もございます。  そういったことで、経済基調そのものをどう見るかということは、われわれも決して頭から全く消し去っているわけではございませんけれども、そういう経済社会の基調の変化ということも加味をしながら、われわれとしては預金者の利益、そして民間の預貯金金利の動向というものに配意をしていこうということでございます。
  183. 依田実

    依田委員 ちょっと残念ながら次の委員会へ飛ばなくちゃなりませんものですから、私の言い分だけで申しわけありません。こういう議論が政府の中のほかの省あるいはまた民間からいろいろ出てくるというのは、私はこういうところに基本的な問題があるのじゃないかと思うのであります。  つまり、定額貯金というような有利な貯金が郵政省努力の中でその利益が出て利息が払えるなら問題はない、こういうことであります。しかるに、見ているとどうもどこかでつじつま合わせが行われているのじゃないか。要するにその場所は郵便会計と貯金会計の間の連動か、あるいはまた財投の先への政府からの助成か、どこか知らないけれどもわれわれの税金が使われておるのじゃないか、それで郵便貯金の高額な利息が払われているのじゃないかというのが多くの国民と識者の中にあるわけでありまして、それをなくしていかなければならぬ。そうしなければ遠からず第二の国鉄に必ずなると私は思うのです。この定額貯金が長い期間いまの高い利息でやっていけると私は思わない。  きょうは大変申しわけありませんが、郵政省から反論の言いたいところを私だけ言わせていただいて終わりますけれども、そういう意味でこれからこの問題についてはひとつ慎重に御審議をいただきたいと思うわけであります。どうもありがとうございました。
  184. 佐藤守良

    佐藤委員長 依田実君の質疑は終わりました。  楯兼次郎君。
  185. 楯兼次郎

    ○楯委員 いま金利の問題が出ましたので、大臣にちょっとお伺いしたいと思います。  午前中の同僚委員の質問では、俗に言う金利一元化についてはあくまでも郵政省の従来の方針を堅持するという決意を大臣は表明されたわけでありますが、本年度の資金の財投への配分を見ましても、細かくは調べておりませんが、ちょっと聞きますと余っておるようであります。将来これらの資金の運用についてどういうことを考えておられるか、これが第一点。第二番目には、預金者に対するサービスの向上といいますか、そういう面についてどう考えておるか。この二点をお伺いしたいと思います。
  186. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 お答えいたします。  ただいまの財投の問題でございますが、郵便貯金の大部分の原資は資金運用部に預託をされているわけでございますが、最近、その資金運用部の資金をも含めました財投の中で不用額が出ているというふうな議論がございます。  私ども、これまで郵便貯金の原資が財投の大きなウエートを占め、そして日本の経済あるいは国民生活基盤醸成といったことに大きな役割りを果たしてきたというふうに自負をいたしておるわけでございますが、その役割りは今後とも変わることがないであろう。ただ、巷間言われておりますような資金の不用、あるいはもう一つ民間との競合というような点につきましては、せっかくお客様からお預かりをした大事なお金であり、かつまた日本のためにより効率的な、有効な使われ方が望ましい。この有効な使われ方につきましては、これまでのような使い道のほかに、たとえば資源エネルギーの問題といった新しい分野への融資の問題がございます。それからまた、いま民間等が問題にいたしております国債の消化といった面でも、郵貯資金をさらにこれに充てるというふうなことが考えられないだろうかというふうに考えております。  それから先ほどの利用者に対するサービスという点でございますが、これは現在一つにはオンライン化ということを進めております。オンライン化はこれまで民間等ではもうすでに多くの機関で実施されておりまして、実は郵政省といたしましてはむしろ遅きに失したという気持ちでもあるわけでございますけれども、現在五十三年八月から神奈川県を皮切りにいたしまして、五十八年度末を目途に整備を進めているわけでございます。現在、全国の郵便局の中の大体三四%ちょっとをカバーするに至っております。御利用いただける人口でまいりますと、全人口の約半分の方々に利用していただけるようになっておりますが、こういった問題につきまして、さらにわれわれはこのオンラインというものを中心にしましてのサービス向上を図っていこうということを考えているわけでございます。
  187. 楯兼次郎

    ○楯委員 聞きたいことはたくさんありますが、時間が制約されておりますので、次へ移ります。  私は具体的な例を申し上げまして振動病に対する郵政省の対策をお聞きをいたします。これは昨年の十月二十九日の日にここで三十分ばかり人事局長とやりとりをしましたので、細かい点は申し上げません。簡単に申し上げます。  東海郵政局管内の中津川郵便局の職員が二名、五十四年の六月二十五日に東海郵政局に公務災害の適用を申請いたしました。ところが五十五年の七月一日東海郵政局長は両君に対し公務外の判定の通知をよこしたわけであります。  そこで私が疑問に思いますのは、この両君は、名前を申し上げますと名古屋の大学病院それから県立の下呂病院、町立の上矢作病院、三カ所で診断を受けまして、この三カ所の公立の病院はいずれもレイノー現象がある、いろいろ話を聞けば、その原因はバイクによると思われる。この地方では有名な病院でありますが、この三病院の意見はぴったり一致しておるわけであります。ところが労災病院は、郵政省の指定によって診断を受けたわけでありますが、検査の結果といいますか、どうしても診断書を公表いたしません。これが不可解な第一です。本人が要求をした場合には当然調査結果、診断書等を本人に交付すべきである、こういうふうに私は思うのですが、これはなぜ出さないのか。郵政省の方から依頼をして調査、診断をされましたので、その出さない理由をお聞きしたいと思います。
  188. 岡野裕

    ○岡野政府委員 先年十月二十九日の日に先生から御指摘をいただきましたこと、おっしゃられるとおりでございまして、その後も東海の郵政局の方と御本人さん等につきましていろいろその報告等受けているところではございますが、結論的に先生がおっしゃいますところの中部労災病院で検査をいたしました結果をなぜ当該本人に話をいたさないのであるかという点につきましては、これは正直申しますと、治療行為でございますれば先生おっしゃいますような診断書を差し上げまして、それに基づいていろいろの施療をしていただくというようなこともあろうかと存ずるわけでありますけれども、今日私どもが中部労災病院に委嘱をいたしておりますのは、御本人さんが振動性疾患の症状がある、これが公務上であろうか、公務外であろうかという意味での検査、これに限って御委嘱を申し上げているところでございます。したがいまして、いわゆる施療のために必要とするような診断書をいまの中部労災病院としては発行いたさない、こんなふうなことで処理をいたしているところでございます。
  189. 楯兼次郎

    ○楯委員 後でお聞きすることを先にあなたに答弁されてしまったのですが、公務外と判断をするという点については、あなたの答弁を聞いておると何でもないようだけれども、これは重大な意味があると私は思うのです。そのことをこの次にお聞きをするのですが、私は簡単に聞きます。  診断書は、法律か規則かあるいは申し合わせかによって、患者から要求があっても出さないのかどうかということですよ。どうですか。
  190. 岡野裕

    ○岡野政府委員 仰せでございますが、その公務上、公務外の判定につきましては国家公務員災害補償法によって決まっているところでございますが、この法の適用につきまして、人事院御当局あるいは労働省等々のお考えも徴しまして、いま郵政省としまして中部労災病院に、上、外の判定を委嘱しているところでございます。その委嘱の内容に基づきまして、施療用に必要としますような診断書というものは徴さないということにいたしているところでございます。
  191. 楯兼次郎

    ○楯委員 出さない、出さないとおっしゃるが、それは何に基づいて出さないのか。検査を受けた患者が、ほかの病院ではみんな診断書をもらっておるのです。したがって、これと対照して相違があれば、その点から本人の病気の研究、新しい処置が生まれてくると思うのです。ところが労災病院だけは、いま局長の言われるようなことを言っておるかどうかわかりませんが、本人がいただきたいと言っても、出さないということでもらえないわけです。だからあなた方が、患者、検査対象者が再三要求する診断書というか検査書というか、結果について出さないと言うその法的根拠をお聞きしておるのです。法律か規則か手続か何かあるのですか。
  192. 岡野裕

    ○岡野政府委員 私どもが労災病院に委嘱をしております中身、これによりまして検査はいただきますけれども、検査を受けられました当該御本人さんに先生がおっしゃいますような診断書を出すということを含んでおらないがゆえに、労災病院としては診断書の御交付をいたさない、こういうことでございます。
  193. 楯兼次郎

    ○楯委員 それはなぜ出さないのですか。何もあなたの方の病気の判断に支障がなければ、検査の結果を素直に正当に評価するなら、診断の結果を本人の要求によって出したっていいじゃないですか。それは初めから、その患者の検査をする場合には診断書は出してはいけないよ、出すでない、こういう申し入れによってやるのですか。どうもわからぬですね。
  194. 岡野裕

    ○岡野政府委員 私どもと労災病院との、言いますならば、私どもが委嘱をしました内容の中に診断書というようなものを交付をするというものが入っていないがゆえに、その診断書を出しておらないということでございます。  しからば、何ゆえにそういうものを委嘱の中身として含んでおらないかという点になりますと、先生もちょっとお話しになられましたけれども、御自分がお受けになられましたよその病院のお医者様との意見の相違がその辺から出てくるのでというお話もあったわけでございますが、というようなことになりますと、多分御本人さんとされては、労災病院に、あなたのくれた診断書というのは、こうこうこういう点で在来の私の主治医との診断が異なるが、この辺はどういうことであろうかということになろうかと思うわけでございますが、これは、私どもが公務上、外の判定をいたしました場合に、御不服がもし御本人さんにおありでありますならば、言いますならば人事院さんに不服の申し立てができる、そしてその申し立ての場では、いまお話しをしましたような、私どもの労災病院からいただきました検査結果といいますようなものも人事院の方に提出をすることになっておりますものですから、ちょうどその種の争いは人事院の場でひとついただきたいものである。そうでありませんと労災病院といたしましては非常に煩頑な仕事まで引き受けることになるというようなことで、言いますならば交通整理をいたしました結果、人事院さんの方でお争いをいただくという場がありますので、個々の労災病院の診断書は出す必要がないのではないか、こんな判断に基づいているわけでございます。
  195. 楯兼次郎

    ○楯委員 私の質問しておることを正確に受け取って答弁してくれぬから困るのです。できないからしないのか、わざととぼけて言ってみえるのかわかりませんが、検査対象者が要求をした場合にそれを出さないという規則でもあるのかどうかということですよ。  ただ、あなたの方の、ほかの医者の見立てと違っては後の処理方が困るからそれは秘密にしておくのだ、そういう意味ですか。ちょっとおかしいと思うのですよ。
  196. 岡野裕

    ○岡野政府委員 私どもの方で労災病院に診断書を出すようにというように申し上げてないからでございます。
  197. 楯兼次郎

    ○楯委員 どうもわからぬですけれども、私も時間を守らなければいけませんので、また後へ尾を引くと思いますが……。  それでは、患者といいますか検査該当者が要求をしても診断書を出していけない、こういうことを郵政省が言っておるから出さないのだ、こういうことですね。そういう受け取り方でいいわけですね。
  198. 岡野裕

    ○岡野政府委員 先ほどお話を申しました先生の御意図でございますが、御本人さんがどうも労災病院から診断の結果を聞いたことと、それから御本人が主治医さんから在来聞いていたことと差があっておかしいというようなことを先生思い浮かべられて、そのために診断書様のものが欲しいということだろうと思うわけでございますが、つまりそのような差がありまして御不服の場合は人事院の方で不服審査をすることになっております。そういうように解決の場がございますものですから、労災病院からは診断書を出さないということで私どもは措置をいたしているところでございます。
  199. 楯兼次郎

    ○楯委員 何回繰り返しても同じことだと思うのですが、人事院が調査をするのに支障があるから出さないのだと言うのは、郵政省は自分のところの職員の病気についてどういう態度をとっておるのか不思議でかなわぬですよ。  だからあなたがそういうことを言われるなら、次に、あなた先ほど先に答弁されたのですが、病気は認めるのですよ。労災病院の診断書は本人に渡っておらないけれども、東海郵政局長の名によって病気は認めるが、おまえの病気は公務外の病気である、つまり公務外の原因によって起きた病気である、こういう通達を本人のところへよこしておるわけです。だから病気は認めるが、その病気の起きた原因は公務内ではない、公務外であるという判定はどうやってやるのですか。で、私は二十九日には、三百六十五日勤務の時間と勤務外の時間に監視をしておったのかというような話をしたのですが、病気は認めるがその原因は公務外であるという判定の作業経過と判定者は一体だれですか。だれがそれを決めるのですか。それを説明してください。
  200. 岡野裕

    ○岡野政府委員 ただいまお話しの労災病院からの検査結果に基づきまして、郵政省として、具体的には東海郵政局長の文書になるわけでございますが、東海郵政局の名におきまして判定をするわけでございます。よろしゅうございましょうか。
  201. 楯兼次郎

    ○楯委員 いや、だから郵政局もその診断書によって病気であるということは認めておるのですよ。それが公務外であるという判定はどうやって決めるのかというのです。公務内、公務外というのはどうして決めるのかということです。  だからあなた、自分が一人で責任をしょわぬでも、作業過程とその判断を下す人を素直に言ってもらえればいいですよ。そうすれば質問を次に進めます。
  202. 岡野裕

    ○岡野政府委員 前回、先生お話し申し上げましたように、バイク乗務に伴うところの振動性疾患でございますが、これにつきましては、公務災害認定のための基準と言い得ますものが実は定まっておりません。また、振動工具といいますようなものも人事院の規則で定まっているわけでございますが、その中にバイクというようなものの名がございません。というような中で、人事院御当局とも御相談の上、いまチェーンソー等に伴うところの振動障害、これの認定基準が労働省の方の基準で基発三百七ということでございますものですから、これに準拠をいたしまして、一つ一つ模索をしながら上であるとか外であるとかというような判定をいたしておるところでございます。
  203. 楯兼次郎

    ○楯委員 私は、病気は認めるがそれは公務外の原因で起きたという原因はどうしたってわからない。あなたがここで何時間やっても解決できぬと思います。  だから、これまた後日お伺いすることとして、労働省の方見えていますか――郵政省が病気を認めたけれども公務災害に指定しないという原因は、労働省の例の三百七号の条文の中にそれらしい文章はあるのですよ、ところが具体的にオートバイという項目がないものですから郵政省は逃げておると思うのです。そこでお伺いしたいのですが、十月二十九日に私がここで質問をした、そのときに、労働省は、あなた方かどうかわかりませんが、こういうことを言っておるのですよ。「専門家等の検討もある意味でなされたという郵政当局の関係の資料等取り寄せまして、私どもさらに今後検討をしてみたいと思います。」労働省ではこういう答弁をしておるのですが、検討されましたか。
  204. 林茂喜

    ○林説明員 前の会議のときには私ではございませんで、私は最近かわりましたのですが、郵政当局でこの問題を検討するために設けられました専門委員会関係の資料を私どもも御指摘のようにいただきまして検討を行っております。その検討結果では、自覚症状を訴える郵便局の外務員についての検診等を行ったところ、末梢障害はモーターバイクの振動だけが原因であるというような確証を欠いておって、モーターバイクの振動を主因とする振動障害とは断定しがたい、しかし、なおさらに本障害に関して研究、検討を進めるべきだ、こういうふうにしているというふうに理解しております。  また、レイノー現象の発現なり手指の血行の障害などが現実に見られているところから、実際の予防措置を考えていく必要があるということも強調されております。  私どもの認定基準の中にバイクが入ってないということが一つの大きな問題になっておるわけでございますが、御存じのように、バイク等の乗り物による振動の生体への影響というものは、エンジンの負荷だけでなくて、道路の問題、気候の問題、いろいろな問題が考えられまして、チェーンソー等の振動工具とはちょっと異質なものでございます。そういう意味から、その身体への機序、まあ腰の方から上がってくるか、いろいろな面への身体障害に至る機序が必ずしも明らかでない。そういう意味であそこに列挙している認定基準で言う振動工具と明示することには、いまとしてはまだ問題がある。そうした意味で今後ともほかの事例その他を踏まえて検討してまいりたいと思いますが、ただ、あそこに明示してないから振動障害として認定はできないということではございませんで、障害として……。
  205. 楯兼次郎

    ○楯委員 時間がないですから。それでわかりました。  それで、労働省の労基発第三百七号に明示がしてないからなかなか入れがたい、まだ検討中である、ただしオートバイを全然否定はしない、これは余り従来の考えと変わっておらぬと思うのですよ。なぜ私が名古屋大学、県立下呂病院あるいは町立病院の診断書と労災病院の診断書を突き合わせる必要があるかというのはそこなんです。公立のほかの三カ所の病院は、レイノー現象である、これはもうどうしてもバイクが原因であるという診断を三者とも出しておる。にもかかわらず、郵政省の方は、秘密になっておる労災病院の検査結果によって、判断しがたいと、断定はしておらないけれども、いま労働省のあなたの言われたようなことを口実にして言っておるわけです。だから私は、労災病院の診断書をなぜ出さないか、こういうことを言うわけです。  しかし、これは時間もございません。問題は、いま両者は、聞いてみますると勤務を休んでおりますので、大変でありまするから、救済方法を先にやりたいと思います。  そこで、国家公務員災害補償法の二十四条に基づいて、あなたの方は責任回避だと思うのですけれども、人事院へ申し出よ、こういうことでありまするから、人事院の方へ申し出なさい、こういうことを私は本人には言って、やがて出てくると思うのです。そこで、人事院の方お見えになりますか――昨年、五十五年の三月の二十八日、参議院の決算委員会で人事院の総裁はこういうことを言ってみえますね。この振動病について「その都度経過等を聞きながら、その時点時点に立って適切にひとつ基準が早急に決められるように私自身も督励をしてまいりたい、」こういう総裁答弁をしておるのです。もう大体一年になろうとしておりますので、この総裁の答弁どおりやられておるかどうか。
  206. 叶野七郎

    叶野説明員 昨年の三月の総裁答弁の段階では、郵政省当局の方でその道の専門家の集まりであります振動障害対策協議会というものをつくってそこで鋭意調査研究しておるという段階であったわけであります。われわれとしても、非常に専門的な問題でありますもので、やはりその結論というものを大いに尊重してそれ以後においていろいろの基準策定等を考えるべきであるという姿勢をとっておるわけであります。これにつきましては、昨年の七月ですか、委員会の方で要するにモーターバイクと振動病の機序との関係が必ずしも解明されないという結論が出ましたために、われわれといたしましても一般の認定基準の作成というものは困難であるというふうに話したわけでございます。  そこで、さしあたり先ほども労働省の方で申しましたように、いわゆる労基の三百七号というようなものに準拠いたしまして個々個別に振動病についての判定をしていくという従来どおりの姿勢を続けていかざるを得ないという結論になっています。
  207. 楯兼次郎

    ○楯委員 余り進んでおらないようですけれども、人事院へ申し立てがあった場合に、人事院における審査の方法がいま郵政省でお答えになったようなやり方では、結論は一緒だと思うのです。だから、どういうやり方をやられるかわかりませんが、少なくとも先ほど私が申し上げました他の三公立病院の診断結果ぐらいは参考とされるであろうと思うのですが、郵政省の検査結果とは違いますよという点をここで述べていただきたいということと、本人は病人でもう非常に苦労しておりまするので、本人が非常に苦痛を感じるとかあるいは本人の財政負担になるというようなことはないのか、こういう点を心配しております。  それからもう一つは、人事院に申し立てがあって災害補償法の適用になった事例はどのぐらいあるか、最近の事例をお答えいただきたいと思います。
  208. 岡田仁

    ○岡田説明員 ただいま御質問のありました三点についてお答えしたいと思います。  まず第一点の、人事院が災害補償の実施に関しまして審査の申し立てを受けた場合にいかなる調査を行うかということでございますが、これは、審査の申し立てがありましてこれを受理いたしますと、なるべく速やかに職員を現地に派遣いたしまして、本人から詳しい事情聴取を行うとともに、勤め先の同僚、上司その他、場合によりましては家族等からも事情を伺う。それから、本人が診療を受け、あるいは検査を受けました医療機関、医師その他にその担当者が伺いまして、そして医療を行った方が現存しておられればその方から直接事情を聞く。同時に、医療関係の記録その他、レントゲン写真であるとか、その場合に応じてでございますが、こういうものをお借りしまして、それを持って帰って、そして専門家から成ります災害補償審査委員会で検討するという道筋になるかと思います。  それから、次にお尋ねのありました費用の点でございますが、これはすべて私どもの職員が、仮にどんな山の中でも、申し立て人のいらっしゃる御都合のよいところに伺いまして、こちらからいろいろな事情聴取等を行うわけでございますので、そのために特段に申し立て人の方に御負担がかかるというようなことはないかと思います。  それから第三点は……。
  209. 楯兼次郎

    ○楯委員 あなたの方で、補償法二十四条が適用になった場合。
  210. 岡田仁

    ○岡田説明員 失礼いたしました。  たとえば最近十年間の件数について申し上げますと、申し立て件数が八百三十七件ございまして、そのうち取り下げその他を除きますと、判定件数が六百件ございます。そして、そのうち容認といいますか、要するに申し立てた方の、これを公務災害である、あるいはその他の場合もございます。たとえば治癒の時期の認定とか、多少別なものもございますけれども、そういうものを全部含めまして、六百件の判定のうち容認いたしましたのが百五十三件、率にしまして二五・五%ほどでございます。  以上でございます。
  211. 楯兼次郎

    ○楯委員 一分過ぎたけれども、時間厳守しますよ。
  212. 佐藤守良

    佐藤委員長 ちょっと速記をとめて。     〔速記中止〕
  213. 佐藤守良

    佐藤委員長 速記を始めて。
  214. 楯兼次郎

    ○楯委員 時間厳守で……。  ありがとうございました。
  215. 佐藤守良

    佐藤委員長 楯兼次郎君の質疑は終わりました。      ――――◇―――――
  216. 佐藤守良

    佐藤委員長 次に、放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題とし、審査に入ります。  参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本件の審査が終了するまで、随時参考人として日本放送協会当局の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等については、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  217. 佐藤守良

    佐藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ―――――――――――――
  218. 佐藤守良

    佐藤委員長 それでは、提案理由の説明を求めます。山内郵政大臣。
  219. 山内一郎

    山内国務大臣 ただいま議題となりました日本放送協会昭和五十六年度収支予算、事業計画及び資金計画の提案理由につきまして御説明申し上げます。  この収支予算、事業計画及び資金計画は、放送法第三十七条第二項の規定によりまして、郵政大臣の意見を付して国会に提出するものであります。  まず、収支予算について概略を申し上げます。  事業収支におきましては、事業収入は前年度に比べ四十億五千万円増の二千八百二十九億七千万円、事業支出は前年度に比べ百七十五億七千万円増の二千七百十八億三千万円となっております。  この結果、事業収支差金は百十一億四千万円となっております。  この事業収支差金につきましては、七十五億円を債務償還に使用することとし、三十六億四千万円を翌年度の財政を安定させるための財源として、その使用を繰り延べることとしております。  資本収支におきましては、テレビジョン、ラジオ放送網の建設、放送設備の整備等のための建設費として、二百七十億円を計上しております。  次に、事業計画につきましては、その主なものは、テレビジョン放送及びラジオ放送の全国普及を図るため、放送網の建設を行うとともに、放送衛星について必要な設備の整備を進めること、視聴者の意向に応じた豊かな放送番組を提供すること、受信料負担の公平を期するため、受信料制度の周知徹底を図るとともに、受信契約の増加と受信料の確実な収納に努めること等となっておりますが、これらの実施に当たっては、極力合理的、効率的運営に努めることとしております。  最後に、資金計画につきましては、収支予算及び事業計画に対応する年度中の資金の需要及び調達に関する計画を立てたものであります。  郵政大臣といたしましては、これらの収支予算等について慎重に検討いたしました結果、これをおおむね適当であると認め、お手元に配付されておりますとおりの意見を付することといたした次第であります。  以上のとおりでありますが、何とぞよろしく御審議の上、御承認のほどお願いいたします。
  220. 佐藤守良

    佐藤委員長 次に、補足説明を求めます。参考人日本放送協会会長坂本朝一君。
  221. 坂本朝一

    ○坂本参考人 ただいま議題となっております日本放送協会昭和五十六年度収支予算、事業計画及び資金計画につきまして御説明申し上げます。  昭和五十六年度は、昭和五十五年度を初年度とする三カ年の経営計画の第二年度として、厳しい経営環境を踏まえ、財政の安定を図るとともに経営計画期間中を通じて収支の均衡を図ることを経営の基本課題としております。このため、収入の確保に全力を傾注するとともに、経営全般にわたり、極力業務の合理的、効率的運営を推進しつつ、放送の全国普及とすぐれた放送の実施に努め、公共放送としての社会的使命を果たしてまいる所存であります。  次に、昭和五十六年度の主な事業計画について御説明申し上げます。  まず、建設計画につきましては、難視聴地域の解消をより効率的に推進することとして、テレビジョン局の建設、共同受信施設の設置、中波放送局の新設、増力及びFM放送局の建設などを行うほか、放送衛星についても必要な設備の整備を進めることとしております。  また、テレビジョン音声多重放送の拡充に必要な設備の整備、放送番組充実のための機器の整備を進めるほか、老朽の著しい放送設備の取りかえ等を実施することといたしております。  次に、事業運営計画について申し上げます。  まず、国内放送では、テレビラジオ放送とも、視聴者の意向を積極的に受けとめ、充足感のある番組の実施と放送番組の国際交流を推進するとともに、ローカル放送についても地域の特性に即して、一層充実することとし、また、テレビジョン音声多重放送については、放送時間と放送地域の拡充を行うことといたしております。  国際放送においては、放送を通じて国際間の理解と親善に寄与するとともに、海外の日本人に対する内外諸情報の提供を積極的に行い、また聴取の実態に即して受信の改善に努めることといたしております。  広報及び営業活動につきましては、地域の特性に即したきめ細かい施策により、幅広い視聴者の意向を積極的に吸収し、これを事業運営に的確に反映させ、また、受信料負担の公平を期するため、視聴者の生活態様に即した営業活動を積極的に推進して、受信契約の増加と受信料の確実な収納に努める所存であります。  調査研究につきましては、放送番組放送技術の向上に寄与する調査研究を推進し、その成果を放送に生かすとともに、一般にも公開することといたしております。  以上の事業計画の実施に当たりましては、業務全般にわたり効率化を積極的に推進して経費の節減を図ることとし、要員については、事業計画の遂行に必要な最小限にとどめ、年度内百二十人の減員を行うこととしております。また、給与につきましては、適正な水準を維持することといたしております。  これらの事業計画に対応する収支予算について申し上げますと、事業収支において、収入総額は二千八百二十九億七千万円、このうち、受信料収入については二千七百六十三億一千万円を予定しております。これは有料契約者数について、カラー契約の増加等により、契約総数において五十五万件の増加を見込んだものであります。  これに対して支出は、国内放送費などの事業運営費、減価償却費、支払い利息など総額二千七百十八億三千万円を計上しております。  事業収支差金百十一億四千万円につきましては、このうち七十五億円を債務償還に充て、三十六億四千万円を翌年度の財政を安定させるためその使用を繰り延べることといたしております。  次に、資本収支は、支出において、建設費二百七十億円、通信・放送衛星機構への出資に二億七千万円、債務の償還に八十二億七千万円、総額三百五十五億四千万円を計上し、収入には、これらに対する財源として、事業収支差金、減価償却引当金、放送債券及び借入金等を合わせて総額三百五十五億四千万円を計上いたしております。  以上、日本放送協会昭和五十六年度収支予算、事業計画等につきましてそのあらましを申し述べましたが、一九八〇年代における公共放送としての果たすべき役割りがますます重要になっていることに思いをいたし、今後の事業運営に当たっては、協会の総力を結集して協会に課せられた責務の遂行に努める所存でございますので、委員各位の変わらざる御協力と御支援をお願いいたし、あわせて何とぞよろしく御審議の上、御承認賜りますようお願い申し上げます。
  222. 佐藤守良

    佐藤委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。  本件に対する質疑は後日に譲ることといたします。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時十五分散会      ――――◇―――――