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1981-02-25 第94回国会 衆議院 逓信委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日昭和五十五年十二月二十二日)( 月曜日)(午前零時現在)における本委員は、次 のとおりである。    委員長 佐藤 守良君    理事 伊藤宗一郎君 理事 加藤常太郎君    理事 畑 英次郎君 理事 堀之内久男君    理事 阿部喜男君 理事 鈴木  強君    理事 鳥居 一雄君 理事 西村 章三君       足立 篤郎君    秋田 大助君       鴨田利太郎君    川崎 二郎君       渡海元三郎君    羽田野忠文君       長谷川四郎君    早川  崇君       吹田  愰君    福永 健司君       森  美秀君    森山 欽司君       久保  等君    武部  文君       楯 兼次郎君    米田 東吾君       竹内 勝彦君    木下敬之助君       藤原ひろ子君    村上  弘君       依田  実君 ――――――――――――――――――――― 昭和五十六年二月二十五日(水曜日)     午前十時一分開議  出席委員    委員長 佐藤 守良君    理事 伊藤宗一郎君 理事 加藤常太郎君    理事 畑 英次郎君 理事 堀之内久男君    理事 阿部喜男君 理事 鈴木  強君    理事 竹内 勝彦君 理事 鳥居 一雄君    理事 西村 章三君       秋田 大助君    鴨田利太郎君       川崎 二郎君    長谷川四郎君       吹田  愰君    久保  等君       武部  文君    楯 兼次郎君       米田 東吾君    木下敬之助君       藤原ひろ子君    村上  弘君       依田  実君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 山内 一郎君  出席政府委員         内閣法制局第三         部長      前田 正道君         郵政政務次官  渡辺 紘三君         郵政大臣官房長 奥田 量三君         郵政大臣官房経         理部長     澤田 茂生君         郵政省郵務局長 魚津 茂晴君         郵政省貯金局長 鴨 光一郎君         郵政省簡易保険         局長      小山 森也君         郵政省電気通信         政策局長    守住 有信君         郵政省電波監理         局長      田中眞三郎君         郵政省人事局長 岡野  裕君  委員外出席者         大蔵省銀行局総         務課長     北村 恭二君         大蔵省銀行局保         険部保険第一課         長       松原 幹夫君         労働省労働基準         局監督課長   岡部 晃三君         自治省税務局固         定資産税課長  渡辺  功君         会計検査院事務         総局第五局審議         官       中村  清君         日本電信電話公         社総裁     真藤  恒君         日本電信電話公         社副総裁    北原 安定君         日本電信電話公         社総務理事   玉野 義雄君         日本電信電話公         社総務理事   山口 開生君         日本電信電話公         社総務理事   小澤 春雄君         日本電信電話公         社総務理事   小川  晃君         日本電信電話公         社監査局長   森谷 昭夫君         日本電信電話公         社計画局長   岩崎 昇三君         日本電信電話公         社経理局長   岩下  健君         逓信委員会調査         室長      芦田 茂男君     ――――――――――――― 委員の異動 二月二日  辞任         補欠選任   川崎 二郎君     正示啓次郎君   吹田  愰君     藤本 孝雄君 同日  辞任         補欠選任   正示啓次郎君     川崎 二郎君   藤本 孝雄君     吹田  愰君 同月四日  辞任         補欠選任   羽田野忠文君     田澤 吉郎君 同月五日  辞任         補欠選任   足立 篤郎君     江崎 真澄君 同月十六日  辞任         補欠選任   鴨田利太郎君     宇野 宗佑君   川崎 二郎君     始関 伊平君   吹田  愰君     正示啓次郎君   森  美秀君     瀬戸山三男君   依田  実君     河野 洋平君 同日  辞任         補欠選任   宇野 宗佑君     鴨田利太郎君   始関 伊平君     川崎 二郎君   正示啓次郎君     吹田  愰君   瀬戸山三男君     森  美秀君   河野 洋平君     依田  実君 同月十八日  辞任         補欠選任   依田  実君     河野 洋平君 同日  辞任         補欠選任   河野 洋平君     依田  実君 同月二十一日  辞任         補欠選任   久保  等君     野坂 浩賢君   藤原ひろ子君     松本 善明君 同日  辞任         補欠選任   野坂 浩賢君     久保  等君   松本 善明君     藤原ひろ子君 同月二十五日  辞任         補欠選任   依田  実君     河野 洋平君 同日  理事鳥居一雄君同日理事辞任につき、その補欠  として竹内勝彦君が理事に当選した。     ――――――――――――― 昭和五十五年十二月二十二日  国際電信電話株式会社法の一部を改正する法律  案(内閣提出、第九十三回国会閣法第二〇号)  日本放送協会昭和五十三年度財産目録、貸借対  照表及び損益計算書 昭和五十六年二月二十日  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認  を求めるの件(内閣提出承認第一号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  理事辞任及び補欠選任  国政調査承認要求に関する件  小委員会設置に関する件  小委員会における参考人出頭要求に関する件  逓信行政に関する件(郵政行政基本施策及び  日本電信電話公社事業概況)      ――――◇―――――
  2. 佐藤守良

    佐藤委員長 これより会議を開きます。  この際、理事辞任についてお諮りいたします。  理事鳥居一雄君から、理事辞任の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 佐藤守良

    佐藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次に、理事補欠選任についてお諮りいたします。  これは先例によりまして、委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 佐藤守良

    佐藤委員長 御異議なしと認めます。よって、理事竹内勝彦君を指名いたします。      ――――◇―――――
  5. 佐藤守良

    佐藤委員長 次に、国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。  逓信行政に関する事項  郵政事業に関する事項  郵政監察に関する事項  電気通信に関する事項  電波監理及び放送に関する事項 以上の各事項について、本会期中、その実情を調査し、対策を樹立するため、小委員会設置関係方面からの説明聴取及び資料要求等の方法により、国政調査を行うこととし、議長にその承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 佐藤守良

    佐藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ――――◇―――――
  7. 佐藤守良

    佐藤委員長 次に、小委員会設置に関する件についてお諮りいたします。  先日の理事会におきまして御協議願いましたとおり、電波放送に関する調査を行うため、小委員十三名から成る電波放送に関する小委員会設置いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 佐藤守良

    佐藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、小委員及び小委員長選任並びにその辞任及び補欠選任につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 佐藤守良

    佐藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  小委員及び小委員長は、追って指名し、公報をもってお知らせいたします。  次に、小委員会において参考人出席を求め、意見を聴取する必要が生じました場合には、参考人出席を求めることとし、その日時、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 佐藤守良

    佐藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ――――◇―――――
  11. 佐藤守良

    佐藤委員長 逓信行政に関する件について調査を進めます。  まず、郵政大臣所信表明を聴取いたします。山内郵政大臣
  12. 山内一郎

    山内国務大臣 逓信委員会皆様には、平素から郵政省所管業務の適切な運営につきまして、格別の御尽力をいただき、ここに厚くお礼を申し上げます。  この機会に、所管業務の当面する諸問題について、所信一端を申し上げ、皆様の御理解と御協力を賜りたいと存じます。  まず、郵便事業について申し上げます。  今日、郵便取扱物数年間百五十億通を超えるに至り、郵便国民基本的な通信手段として、今後とも重要な役割りを果たしていくものと考えます。  現在、郵便業務運行はおおむね順調に推移しており、今期年末年始におきましても国民の御協力をいただき、所期の運行確保することができました。  さて、郵便事業運営に要する財源確保を図るため、郵便料金改定等内容とした郵便法等の一部を改正する法律さき臨時国会で成立し、去る一月二十日から施行されました。これにより懸案でありました郵便事業財政改善する端緒を得ることができましたことに対し、厚くお礼を申し上げます。  この上は、同法律審議において承りました御指摘を今後の事業運営に生かし、特に、効率化推進需要確保に努め、国民生活に密着した信頼される郵便事業確立に努めてまいる所存であります。  次に、為替貯金事業について申し上げます。  郵便貯金は、百余年にわたり国営貯蓄機関として、また簡易で確実な貯蓄手段として、国民皆様に広く利用されており、今日では六十兆円を超える現在高となっております。  為替貯金事業といたしましては、今後とも国民皆様金融サービスについての多様化する御要望におこたえできるよう、その制度改善に努めるとともに、業務近代化推進し、国民皆様の健全な資産形成経済発展に寄与してまいる所存であります。  特に、今後における利用者サービスの拡充の基盤ともなるべき業務オンライン化については、昭和五十三年八月の取り扱い開始以来鋭意その拡大に努めるとともに、オンライン化進展等に伴い、郵便為替及び郵便振替サービス改善を図る等を内容とする関係法律改正案を今国会に提出する予定でありますので、よろしくお願いをいたします。  また、郵便貯金の持つ重要性にかんがみ、郵便貯金のあり方について省として基本的な考え方を確立していくため、先般、郵便貯金の今後果たすべき役割りについて郵政審議会に諮問したところであります。  なお、このたび内閣金融の分野における官業の在り方に関する懇談会が設けられましたが、広く金融全般にわたって、国民の立場に立った観点から論議され、公正な結論が出されることを期待しているものであります。  次に、簡易保険郵便年金事業について申し上げます。  簡易保険事業は、現在、保有契約件数五千三百万件、保有契約高五十一兆円を超え、また積み立てられた資金総額は十四兆七千億円に達しており、おおむね順調に運営されております。  ところでわが国は、他のどの国も経験したことのないような速さで高齢化社会を迎えようとしており、国としての対応が緊急かつ重要な課題となっております。そこで、郵政省といたしましては、その対応策の一環として、昨年から現行郵便年金改善充実についてその実現方に取り組んできたところでありますが、このたび郵便年金法及び簡易生命保険及び郵便年金積立金の運用に関する法律の一部を改正する法律案を今国会に提出いたしますので、よろしく御審議のほどお願いを申し上げます。  今後におきましても、国営事業としての使命を深く認識し、長期的な視野に立った事業経営を行うとともに、時代要請に的確に即応した制度改善サービス向上に努めてまいる所存であります。  さて、申し上げるまでもなく、郵政事業は三十一万余という多くの職員を擁し、人手に依存する度合いのきわめて高い事業であります。したがいまして、事業の円滑な運営を図る上で、明るく活力に満ちた職場をつくることが必要であり、今後ともそのために積極的な努力を傾けてまいる所存であります。  さらに、労使関係につきましても、相互の信頼関係の樹立を基礎に、安定した労使関係確立に努めてまいりたいと考えております。  また、郵政犯罪の防止につきましては、従来から省を挙げて努力してまいったところでありますが、今後とも防犯体制の整備、充実防犯意識の高揚を図って、事業信用確保を期す所存であります。  次に、電気通信行政について申し上げます。  国内電気通信におきましては、日本電信電話公社発足以来の課題とも言える加入電話の積滞解消全国ダイヤル自動化がほぼ達成されました。今後は、長期的視野に立った総合的な電気通信政策確立し、所要施策推進すべく鋭意検討を進めているところであります。  当面の課題である電話料遠近格差是正につきましては、これまでの措置に加え、新たに遠距離通話料を引き下げるとともに、日曜日及び祝日に係る通話料割引制度を導入することとし、このため、今国会公衆電気通信法の一部を改正する法律案を提出いたしますので、よろしく御審議のほどお願い申し上げます。  国の財政再建という喫緊の要請にかんがみ、臨時かつ特例的な措置として日本電信電話公社臨時国庫納付金国庫納付することとなり、これに関し、財政運営に必要な財源確保を図るための特別措置に関する法律案が今国会に提出されているところであります。  ところで、数年来、日米両国間の懸案事項でありました、日本電信電話公社の資材調達問題につきましては、幸い日本側の提案による調達手続により、昨年暮れ円満妥結を見るに至りました。  なお、昭和五十四年度決算検査報告において、日本電信電話公社経理について会計検査院からの指摘を受けましたことはまことに遺憾であり、今後再びこのような事態を招来することのないよう同公社を十分指導してまいる所存であります。  国際電気通信におきましても、増大し、多様化する国際電気通信需要に適切に対処するための諸施策を引き続き講じてまいる所存であります。  次に、電波放送行政について申し上げます。  今日、電波利用は、わが国社会経済活動のあらゆる方面に及んでおり、今後ともさらに増大する傾向にあります。  このような情勢にかんがみ、宇宙通信、テレビの音声多重放送など多様化し、高度化する国民情報需要動向電波に関する国際的動向とに即応し、適時適切な電波行政推進してまいる所存であります。  まず、電波法につきましては、最近における無線局免許申請者及び無線従事者国家試験受験者増加対応して、行政事務簡素合理化を図るとともに、申請者等の負担の軽減及び利便の増進を図る必要があるので、これらの事項内容とする改正案を今国会に提出する予定でありますので、よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。  宇宙通信開発とその実用化につきましては、昭和五十三年度から、実験用通信衛星及び放送衛星利用して各種の実験を進めており、この実験の成果を踏まえ、離島、辺地等との通信確保非常災害用通信等利用するために、実用通信衛星昭和五十七年度に、また、テレビジョン放送の難視聴解消利用するために、実用放送衛星昭和五十八年度に打ち上げることとし、関係機関とともに諸準備を進めているところであります。  また、これらの実用衛星管理等を効率的に行うために設立された通信放送衛星機構においても、これら両衛星の打ち上げに備えて所要準備を進めているところであります。  放送につきましては、放送事業者に対し、放送番組向上を図るよう強く期待いたしますとともに、テレビジョン放送の難視聴地域解消につきましても、今後とも積極的に取り組んでまいる所存であります。  以上、所管業務の当面の諸問題につきまして、所信一端を申し上げましたが、この裏づけとなります昭和五十六年度予算案につきまして概略を御説明いたします。  まず、一般会計でありますが、歳出予定額は二百四十億円で、この歳出予定額には、通信衛星による実験を初めとする宇宙開発利用推進に必要な経費のほか、電気通信政策推進放送行政国際協力推進電波資源開発利用秩序維持など、通信技術の著しい向上と複雑化する行政需要に即応した施策推進に必要な経費を計上いたしております。  次に、郵政事業特別会計でありますが、歳入歳出とも予定額は四兆一千三百二十五億円で、この歳入予定額の中には、昨年当委員会におきまして御審議をいただきました郵便料金改定による増収額として二千二百十一億円を予定いたしております。このため、昭和五十六年度年度における郵便事業損益は一千四十五億円の利益が見込まれておりますが、過年度における欠損のため、年度末には、なお一千六百三十四億円の累積欠損金が見込まれております。  また、歳出予定額におきましては、重要施策としております安定した郵便業務運行確保するために必要な経費を初め、郵便貯金簡易保険の増強と利用者サービス向上に必要な経費職場環境改善等の促進に必要な経費郵便局舎改善等のために必要な建設費、その他、所要人件費などを計上いたしております。  最後に、日本電信電話公社予算案について御説明申し上げます。  事業収入につきましては、三兆九千百九十九億円で、前年度に対し五百三十一億円の増加となっており、事業支出は三兆八千二百六十一億円で、前年度に対し二千三百三十七億円の増加となっております。  建設投資の額につきましては、一兆七千七百億円といたしております。これにより、一般加入電話百三十万加入増設等を行うとともに、電気通信網維持改善に特に配慮することといたしております。  また、さきに申し上げましたとおり、臨時かつ特例的な措置として、臨時国庫納付金一千二百億円の納付予定しております。  これらの建設投資及び国庫への臨時納付金等に必要な資金は、二兆四千四百八十六億円となりますが、その調達につきましては、減価償却引当金等内部資金で一兆三千二百七十九億円を、特別  ・借入金、加入者債券及び財政投融資による外部資金で一兆一千二百七億円をそれぞれ予定いたしております。  なお、外部資金のうち、財政投融資は一千五百億円を予定しております。  以上、種々申し述べましたが、郵政省所管業務の円滑な運営のため、委員各位の御支援、御協力を切にお願い申し上げる次第でございます。
  13. 佐藤守良

    佐藤委員長 これにて郵政大臣所信表明は終わりました。  次に、日本電信電話公社事業概要について説明を求めます。真藤日本電信電話公社総裁
  14. 真藤恒

    真藤説明員 事業概況の御説明に先立ち、一言ごあいさつを申し上げます。  去る一月五日付をもちまして、電電公社総裁を拝命いたしました真藤恒でございます。  現在、電電公社には種々のむずかしい問題がございますが、先生方の御指導をいただきながら職責を遂行してまいりたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。  それでは、事業概況説明に入らせていただきます。  電信電話事業につきましては、平素格別の御配慮と御支援を賜り、まことにありがたく御礼申し上げます。  先般、昭和五十四年度決算検査報告におきまして会計検査院から指摘を受けました問題に関しましては、国民皆様に対しまことに申しわけなく思っております。公社といたしましても、この問題発生以来、原因究明を行い、改善策を策定し推進してきたところでありますが、先般、総裁委員長とする業務執行改善推進委員会設置し、責任を持って、その実施状況の把握及び指導を行い、さらに改善措置の徹底を図ることといたしております。今後は、二度とかかる事態を招来せしめないよう、綱紀の厳正な保持に努めるとともに、全社一丸となって日常業務に邁進し、一刻も早く国民皆様信頼を回復するように、誠心誠意、最大限の努力をしていく所存であります。  日本電信電話公社の最近の事業概況につきまして御説明申し上げます。  まず、昭和五十五年度予算におきましては、事業収入を三兆八千六百六十八億円と見込んでおりますが、十二月末までの収入実績は二兆九千六百五十四億円でありまして、これは予定収入に対して二・一%の増収で順調に推移いたしております。  公社といたしましては、今後とも収入確保に努める所存でございます。  建設工事計画進捗状況について申し上げますと、工事費総額は前年度からの繰越額を加え一兆八千二百五億円であります。これに対し十二月末における契約額は一兆五千百六十億円でありまして、年間予定の八三・二%程度の進捗となっております。  公社は、発足以来電信電話サービス向上に努めてまいりました。  この結果、電信電話事業はいまやサービス量的拡大時代から利用者の多種多様な要望にこたえるサービス質的充実時代を迎えるようになったと考えております。  このような状況を踏まえて、電気通信の一層の発展を図り、今後ともさらに電信電話サービス改善に努め、安定した社会充実した国民生活に資するとともに、公社社会的使命を自覚し、国民信頼にこたえてまいりたいと考えております。  次に、昭和五十六年度予算案につきまして御説明申し上げます。  昭和五十六年度予算案につきましては、政府予算編成方針に沿いつつ、通話料金遠近格差是正等料金改定を織り込むとともに、加入電話需給均衡状態維持し、引き続き電信電話サービスについて改善することを基本として編成いたしました。  この通話料金改定内容としております公衆電気通信法の一部を改正する法律案につきましては、政府から国会に提出されることになっておりますので、よろしくお願いいたします。  なお、国の財政再建への協力として臨時かつ特例的に納付する国庫への臨時納付金については、四千八百億円を四年間で均等分割納付することとし、五十六年度所要額千二百億円を計上しております。  まず、事業収支計画でございますが、収入総額三兆九千百九十九億円で、その主な内訳電信収入五百九十二億円、電話収入三兆四千七百七十四億円、専用収入二千七百四十四億円等であり、昭和五十五年度予算に対し五百三十一億円の増加となっております。  また、支出総額三兆八千二百六十一億円で、その主な内訳は、人件費一兆二千九百九十八億円、物件費五千九百九十八億円、業務委託費千二百八十五億円、利子四千四百九億円、減価償却費一兆二千三十億円等であり、昭和五十五年度予算に対し二千三百三十七億円の増加となっております。  以上の結果、収支差額は九百三十八億円となります。  建設計画につきましては、投資規模一兆七千七百億円をもって加入電話需給均衡状態維持するとともに、電気通信網維持改善に努めることとして、次の主要工程を計画しております。  まず、一般加入電話の増設につきましては、最近における需要動向を勘案して百三十万加入を計画しております。また、公衆電話につきましては、終日利用可能な公衆電話を中心に七万四千個を計画しております。  基礎工程につきましては、電話局における設備の行き詰まり状況を考慮して分局開始を行うなど、合計二百二十五局の新電話局建設を行うことといたしております。  設備の維持、改良につきましては、旧形電話交換機から電子交換機等への更改、老朽ケーブル類の取りかえなど既設加入電話サービス改善のため積極的に実施することといたしております。  また、データ通信施設につきましては、需要動向等を考慮して工事費九百九十九億円をもってデータ通信設備二十五システム、データ通信回線二万四千六百回線等を計画しております。  さらに、非常災害時における通信確保を図る防災計画につきましては、大規模地震対策を含め積極的に実施することとするほか、農山漁村等における電話サービス改善のため、引き続き加入区域の拡大を実施するとともに、既設地域集団電話の一般加入電話への変更十四万加入を計画しております。  資金調達計画につきましては、以上の建設計画に要する資金一兆七千七百億円のほか、国庫への臨時納付金に千二百億円、債務償還等に五千五百八十六億円をそれぞれ必要としますので、調達すべき資金総額は二兆四千四百八十六億円となります。  このため、内部資金で一兆三千二百七十九億円、加入者債券で二千六百八十二億円、設備料で千四百三十五億円、財政投融資で千五百億円を充てるほか、債務償還等の額にほぼ見合う特別債・借入金五千五百九十億円の調達予定しております。  以上をもちまして、最近の公社事業概況説明を終わらせていただきます。
  15. 佐藤守良

    佐藤委員長 これにて日本電信電話公社事業概況説明は終わりました。     ―――――――――――――
  16. 佐藤守良

    佐藤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。堀之内久男君。
  17. 堀之内久男

    ○堀之内委員 ただいま当面する郵政行政並びにまた郵政事業等に対して大臣の所信を伺ったところでございますが、再度郵政大臣の御決意のほどをお尋ねいたしてみたいと思います。  郵政事業をめぐる諸情勢はきわめて厳しいものがございます。一昨年来、郵政省の悲願ともいうべき郵便個人年金の改善等につきましては、与野党挙げて努力をしてまいったところでありましたが、昨年度予算編成でようやく決着を見ましたが、年金の最高額という形でなかなか昨日まではまとまっていなかったようでありますけれども、昨晩党の三役、両大臣等の政治折衝によって決着を見たという報道がなされておりまして、けさほど拝見いたしまして、私はきわめて不満でありますが、これに対し大臣等もどのような努力をされたか。  さらにまた、先般内閣金融の分野における官業の在り方に関する懇談会等が設置をされたようでありまして、これは大蔵省を中心に金融当局がかねて考えておりました金利の一元化を図ろう、こういうことであろうかと思いますが、私どもは断じて承服できるものではないのであります。そもそも郵便貯金は個人のささやかな資産形成あるいはまた老後の生活安定のために最も安全でしかも信頼性の強い、そして手近な金融機関として国民郵便貯金を選んでおるわけでありまして、また長い歴史と伝統を有する郵便貯金の根幹にかかわる改悪案に対しましては、いかなる案も私どもは断じて承服できるものではありません。  そのほか電気通信政策におきましても、先般これに対する諸問題がいろいろと会計検査院から指摘をされ、さらにまた最近こうした郵便事業の改革も、郵便料金の値上げもなされましたが、その一つで、赤字として足を引っ張る逓信病院の問題、そういういろいろな問題がございます。こうした問題に対して大臣がどのような対策でこれの解決を図っていかれようとされておるか。  まず大臣の決意のほどを伺っておきまして、それから細部については順次質問に入りたいと思います。
  18. 山内一郎

    山内国務大臣 最初に、郵便個人年金の問題でございますけれども、だんだんと日本が老齢化社会を迎えるに当たりまして、いわゆる企業の年金のほかに余裕のある方はひとつ個人年金にお入りをいただいて老後において安心した生活ができるように、こういうようなねらいで郵便年金というものの従来ある年金を改善をいたしまして、支給される額が年とともに逓増していく、それからなおいまの最高限度額は二十四万円ということでありますので金額は非常に少ない、これを何とかふやしてまいりたい、こういう考え方でいろいろと大蔵省と折衝してまいったのでございます。最高限度額以外はもうすでに話がついていたのでございますが、最高限度額につきましては、郵政省は九十六万円を主張し、九十六万円というのは決して高い数字ではございません、全く妥当な数字である。大蔵省は三十万円程度ということで、調整が難航していたのでございますが、昨日、党の三役、官房長官の間に話がまとまりまして、七十二万円ということに決定をいたしましたので、七十二万として法案を提出をして御審議をいただきたいと考えているわけでございます。  それから、内閣にできました懇談会の問題でございます。  昨年の七月ごろから郵便貯金がだんだんと増額――急増というほどではございませんけれども、銀行預金がふえる以上にどんどんふえてまいったわけでございます。いまでは六十兆円を超えているわけでございます。そこで、いろいろと世論が、郵便貯金がいかにもふえて悪いような議論が出てくる。郵便貯金がふえるのは、何か一般の銀行の預金よりも郵便貯金のいいところがあるのではないか、けしからぬ話じゃないかというような論がどんどん出てまいりまして、そのときに、昨年末の予算の編成の最終段階において、そういう点をひとつ本当にそうかどうかということを当たってみようじゃないかというような議論が出されまして、郵政省といたしましても、そういうことは言われっ放しで幾らPRをしても、そういう議論が徹底いたしませんので、せっかくの機会であるということで、その文書に合意をいたしまして、ただいま郵政省から、委員会にもすでに出ておりますけれども、郵便貯金の本質について徹底したPRをやって御審議をしていただいておる、こういうような段階でございます。  次は、電電公社の不正不当の経理の問題でございますが、本当にもう遺憾のことであるという以上に言い方はございません。しかし、このままで放置するわけにはいきません。これに対するまず措置が第一であると、空出張、空会議でやって個人的にその経費が流れていたとすればこれは大変な問題でございますので、調査をさせましたところ、やはり個人的に消費をしている点もございますので、それの弁済をさせる。それからなお、こういうことが起こってきたる原因というような点を徹底調査をさせまして、五十五年の予算の執行、さらには五十六年度予算の編成についても、その点を考慮して、是正をしているというような現状であるわけでございます。  なお、逓信病院の点につきましては、現在、御指摘のとおりで、赤字でございます。したがって、一般の方に公開をしていこうという方向のもとに、すでに全国で二つの病院が一般公開にされて、おりますけれども、さらにその線を進めてまいりまして、赤字の解消に努めてまいりたい、こういうふうに考えております。
  19. 堀之内久男

    ○堀之内委員 ただいま大臣が一般的な考え方を述べられただけでございますので、あと、年金、貯金、逓信病院問題あるいはまた電電公社の問題については、これから順次詳しく御質問を申し上げることにいたしまして、これから質問に入らしていただきますが、わずか一時間の持ち時間でございますので、当局側でも答弁は要領よく簡単にお願いをいたしたいと思います。非常に物わかりはよいと思っておりますので、わからないときはさらに再度お尋ねをいたしますから、時間内に終われるようにお願いを申し上げておきたいと思います。  まず第一点でありますが、郵便関係におきましては、長年、収支の改善という立場で料金の改定があったりされておりましたが、昨日の臨時国会でこれが改定を見まして、いよいよ一月二十日から新しい料金について実施されたところであります。この実施後まだわずか一カ月しかたっておりませんので、小荷物の方は昨年十月からでありましたけれども、全体的なことは想定することはできないかとは思いますが、この間における郵便物数の増減と申しますか、これがどのような形で、著しい減少を見ているのかどうか、あるいは大して減っていないのかどうか、この点が一つ。  それと、特別会計として昨年の十月一日から予算が認められましたが、ことしの一月二十日、こういうことになりましたので、これの収支状況と申しますか、五十五年度末の決算見通し等について、おわかりであればこれをお願いをいたしたいと思います。
  20. 魚津茂晴

    ○魚津政府委員 お答え申し上げます。  まず料金改正後の物数の動向でございますが、通常につきましては御案内のとおり一月二十日から改正をさせていただいたわけでございますが、いまだ全国の全郵便局の種類別の動向については調査はしていないわけでございます。私ども把握をいたします主要局六十五局、抽出ということになりますが、その六十五局の一月二十日から二月十四日までの間におきましては、前年同期と比較いたしまして一一%の減少ということになっております。この一一%の数字が大きいのか小さいのかという意味で御参考に申し上げたいのは、先回の郵便料金改正後の同時期の物数の動向でございますが、この場合は三二%の減少になっておりました。したがいまして、今回の料金改正による物数減は、先回の料金改正時に比較いたしますと約三分の一にとどまっている、こういうことに相なるわけでございます。  したがいまして、私ども法案審議の際に申し上げたわけでございますが、料金改正の直後は確かに物数は減ってまいりますけれども、二年たちますと大体回復できるというふうに申し上げたところでございますが、その予測はこの数字からいたしましてまず間違ってはいないだろう。ともあれ私ども、料金の改正によりまして郵便離れが起きて、かえって財政が悪化しないようにということが一番大切なところでございまして、いろいろ施策を講じ、決意を新たにして今後財政の再建を図ってまいりたい、こういうふうに考えている次第でございます。  それから、料金の改正を十月一日に予定していたわけでございますが、一月二十日になったということの影響でございますが、この影響と、実は第三種郵便物の料金の若干の手直しをさせていただいたわけでございますが、これによりまして五十五年度の減収額は約五百六十五億でございます。したがいまして五十五年度は単年度で五百五十五億の欠損となりますが、五十六年度は、先ほど大臣の所信表明にもございましたが、一千四十五億の利益を生じまして、五十五年度末の累積欠損金は二千六百七十九億でございますが、五十六年度末には一千六百三十四億円となる、こういうふうに見込んでいる次第でございます。
  21. 堀之内久男

    ○堀之内委員 ただいまの物数においては大体一一%の減少、これは最初から想定された物数の減少であるかどうか、その中でもまた第一種か第二種か第三種か、どれが主なのかどうか、この辺の内訳をもう一回お尋ねします。
  22. 魚津茂晴

    ○魚津政府委員 お答え申し上げます。  一一%は私たちが想定していたよりも減り方としてはやや少ないというふうに考えております。ただ種類別の動向でございますが、これは先ほど申し上げましたように、調査は総体としてとらえておりますので、そこまではまだ詳細承知いたしておりませんが、その辺の分析は四月になりますと私たちできる、こういうふうに考えておりますので、その節にはまた御説明をさせていただきたい、こういうふうに思っております。
  23. 堀之内久男

    ○堀之内委員 先ほどの大臣の所信の中で、今回の郵便料金の値上げは郵便事業の財政改善の端緒を得ることができた、一つの足がかりを得た、こういうお話でございましたが、私どもも全くそうだと思います。料金値上げだけで郵政事業財政再建ができるとは考えられません。したがってその次に、今後効率化推進需要確保に最大の努力をしていきたい、こういう決意の表明もございました。  そこで、今回料金値上げはもう終わったわけでありますが、今後郵政財政の再建を図るという立場から、今日の郵便事業効率化、合理化等について二、三お尋ねをいたしていきたいと思います。  まず第一は、先般会計検査院から五十四年度決算検査報告の中で、第三種郵便物について御指摘を受けておるようであります。この指摘の概要とこれに対する郵政省の考え方、これが一つ。  次に、これまでも努力されておりますが、郵便事業の機械化という形で来年度一応取り組んでおられるようでありますが、この点の今後の推進、こういうことについて一つ。  さらにもう一つ、配達の一度化ということですが、地域によっては二回配達、こういうのもなされておるようでありますが、私は今日の事業等から考えましても、それだけのサービスをしなければならないのかどうか。先日委員長を中心にして欧米のそうした郵政事業も視察をいたしましたが、その節アメリカ等においてもごく一部だけ二回の配達であとはほとんど一日一回だ、こういうような形で郵便事業を進めておられるようです。こうした問題についてどのようなお考えを持っておられるか、お尋ねをいたします。
  24. 魚津茂晴

    ○魚津政府委員 お答え申し上げます。  まず効率化の観点からいろいろと御指摘、御提案があったわけでございますが、その前に、この三種の問題でございます。この三種の問題は、御案内のとおり、昨年十一月会計検査院から、三種の運用が適正を欠いている、その結果得べかりし利益が十分とられていないのではないだろうかというような御指摘がございまして、百九十八件具体的に指摘を受けたわけでございます。  そこで、私どもその御指摘を踏まえましていろいろやってまいりましたが、その結果、二月末に調べまして是正ができてないものにつきまして三種の認可の取り消しをする、こういう措置をいま取り運んでいるわけでございます。それを通じまして御指摘の、百九十八件の指摘について所要措置を完了いたしたい。ただ、三種は単に御指摘を受けた件数だけじゃございませんで、全国で約一万五千件にわたる認可の件数がございます。したがいまして、会計検査院調査をされたのは二千余りの件数でございますので、残りの件数につきましては私ども地方郵政局と相談をしました上で、適正に運用するあかしを立てるという意味で百九十八件の措置と同様なかっこうで順次監査をいたしまして、条件に合わないものにつきましては認可の取り消しをしてまいる、こういうことでおおよそ六月末を目途にして進めてまいりたい、こういうふうに考えております。  それから機械化の問題でございますが、機械化の問題につきましては、これもいろいろと私たち、すでにでき上がっている機械を順次条件が整っている局に新規に配備をするという施策を講じていくと同時に、新しいいろいろの機械を開発するという努力を続けてまいりまして、今後効率的な運営ができるように一層努力を進めてまいりたいというふうに考えております。  それから配達一度化の問題でございますが、これも先生仰せのとおりでございまして、私どもこの辺は労働組合とも十分話し合いをしまして、順次、現在二度配達をしている通常配達のサービスの適正化という意義づけをいたしまして今後進めてまいるわけでございますが、さしあたりましてことしの三月からまず第一歩をスタートいたしまして、五月までの間に全国のいわばモデル局という意味での二十三局、この二十三局につきまして配達一度化の施策を開始いたしたい、こういうふうに思っております。  ともあれ、郵便法が改正された後の郵便事業の最大の課題というのは、効率化を進めることがその一つだと思います。効率化元年という決意を新たにして、いろいろと施策を講じて皆様方の御期待に沿うように進めてまいる所存でございます。
  25. 堀之内久男

    ○堀之内委員 いま第三種郵便についてのお考えは大体わかりましたが、先般会計検査院からの指摘によりますと、当然得べかりし利益が五百五十五億六千百六十五万ですか、約五百五十五億正確にやっておれば取れるはずのものを二百七十三億でやっておるということで、差し引き二百八十二億の損失を与えているという強い御指摘がなされておる。また、この第三種の中には当然第三種として認めるべきでないものと相当数にわたっての御指摘がなされておるようです。したがって、ただいま局長から今後の方針についてお話がございましたが、ぜひそうしたことを強く実行をいただかなければ、ただ一般の一種、二種の料金値上げだけで今後の改善策を図るということはとうてい不可能だ、将来にわたって私は不可能だと思います。したがって、こういう不正というか、明らかに法で定められた第三種は第三種として認めるべきものだけに限り、こうした同窓会報だとか会社の社内報だとかあるいは業界紙あるいはまた公共団体の広報などをこれに認めておったということは、私どもも本当に初めて知ってびっくりいたしたようなところでありますので、この点は強く要望を申し上げておきたいと思います。  次に、一度化の問題でありますが、これは二十三局を選んでモデル的に実施したいということだそうですが、私は、それをやるならば二十三局だけをやり玉に上げるのではなくて、いま少し一度化が一それは一回よりは、二回、二回より三回配達をしてくれれば、もらう方はその方が便利であることは事実なんです。しかし私は、そこまでサービスをしなければいかぬのかということであって、一日一回ずつでやれば、急ぐ人は前もってその本人が早目に出せばいいわけであって、その辺は合理化という形で今後さらに真剣に取り組んで検討をしていただくように強くこれもお願いを申し上げておきたいと思います。二度配達されるのは局の近い市街地ということになろうかとは思いますが、そこだけを特別の扱いをしなければならぬという根拠はない、私はかように思います。やはり同じ郵便を出す者、お互いに公平なサービスを受けるべきであって、特別に局の近いところだけ受けなければならぬ、それは私は今日の公平の原則からいっておかしい、こういうように思いますので、さらに研究を強くお願いを申し上げておきたいと思います。  それから、機械化やそうしたもろもろの事業をやられて、いままで集配達人というのは大体どれぐらいおるのか、それがこの数年間でどれぐらい節約ができたのか、この点をおわかりであればちょっとお尋ねをしておきたいと思います。
  26. 魚津茂晴

    ○魚津政府委員 機械化を初めといたしまして効率化、減量経営という施策郵便事業に、とりわけ昭和四十年代からいろいろの面で進めてまいっているわけでございますが、そのトータルといたしまして、機械が入ればそれに見合う人員が節減できるという態様のもの、それからある施策を講ずれば、本来ならば増員というかっこうで措置をしなくちゃならないものが増員をしなくて済む、抑制をすることができるといういろいろの態様が効率化による人員との関係であるわけでございます。  私、詳細、正確な数字は承知していないわけでございますが、おおよそそういうような角度で抑制するあるいは節減するというようなことで、一万人ちょっと超えた人間が節減し、抑制できたというふうに考えているわけでございます。
  27. 堀之内久男

    ○堀之内委員 ただいまのことについては、ちょっと局長も余り自信がないようですから、後日いろいろ資料等を出していただくことにいたしまして、次に進みますが、さらに私は、この効率化という形で集配局の統廃合を、これもわれわれが自分の地域を見ましても、あすこを特定集配局にしなければならぬという理由がないのが相当あると思うのです。市町村合併が行われ、あるいはこうして今日道路網がよくなり、通信網が発達し、車が発達したこの時代に、旧態依然たる姿でやはり特定局の集配局という形でずっと残してある。これは私は効率化、合理化という立場からいっておかしいと思うのです。こういうのこそある程度中央局に集中管理することによって人員の削減というのも可能だ、私はこういうふうに思います。こうした集配局の統廃合等についての考え方について一つ。  もう一つ、官庁というのはどこでも大体五時で閉まるものですね。ところが、郵便局に限って、しかもそれも集配局だそうですが、五時以降、聞いてみると八時ごろまで業務をやっておる。私はこれはどういうことで置かなければいかぬのか、過剰サービスじゃないかと思う。一般国民は五時になったら役所は閉まるもの、大体そういうふうに理解しておるのです。そしてその恩恵を受けるのもその周辺のわずかな人間しか受けない。そういう意味では、五時以降の窓口業務は必要じゃないんじゃないか。これがやはり郵政の全体の経営改善にもつながるのではないか。あるいは職員の労務対策からいっても、私は、当然やめるべきものはもう今日の時代に即した形で、金融機関等は三時に閉めるわけですから、それをわざわざ切手を売るために、小包を受け取るために五時以降も八時まで置くということは、今日の情勢から考えていかがか、こういうふうに感じますが、この二点についてもう一回局長の考えをお伺いいたします。
  28. 魚津茂晴

    ○魚津政府委員 具体的な問題の提起をしていただいたわけでございますが、集配局の統合ということでございます。おっしゃるように、私たちは、柱といたしましては、今後の効率化の有力な手段ということで考えております。ただ、集配局の統合をする、郵便区の調整をするというのは、私ども郵便をやっている者といたしまして条件は当然考えているわけでございます。やはり効率化を具体的に裏打ちする、メリットを生む統廃合というものでなければならないわけでございまして、ただ一律に、半分にするとかあるいは一定の数にするというわけにもまいらないわけでございます。具体的には、統合することによりまして現在よりも要員、経費が節減されるかどうか、あるいは服務が合理化されるかどうか、そういったような内部的な条件、それから当該地区の発展状況や道路の整備状況あるいは関係住民の意向等をも勘案しながらやるという外的な条件、日常生活に密着した郵便使命からすると、この外的条件も当然十分考えなければならない点でございまして、その内的な条件、外的な条件を満たすものを具体的な検討を待ちながら今後進めていくというようなことで、私ども、ここ一両年で全国で、これはあくまでまだ計画の素案でございますが、三十局から五十局程度はぜひやりたい、こういうふうにこの集配局の統合については考えているところでございます。  それから窓口の取扱時間、これはもう先生仰せのとおりでございまして、私ども、この窓口取扱時間も適正なサービス基準に直していきたいということで、これまた郵便物の時間別の利用状況を勘案するとか、あるいは地域住民の意見も、あるいはまたいろいろの要望も考えながら進めさせていただきたい。とにかく、現在集配普通局は午後八時まで郵便の窓口はあいているわけでございます。集配特定局においては午後六時まででございまして、それが適正な短縮によりまして二人配置するところを一人配置で済むということになりますと、だれが見てもこれは効率化施策につながるわけでございますので、この辺も、いろいろの点を勘案しながら、考慮しながら進めてまいりたい、こういうふうに思っている次第でございます。
  29. 堀之内久男

    ○堀之内委員 ただいまの局長の答弁では私は大変納得がいかないわけでありまして、集配局の統廃合というのを外的要件からできないなんぞと考えておったら絶対できませんよ。この前法務省なんか見てみなさい。登記所は小さなものは全部廃止したのです。それは、みんな登記所は町村にあった方がいいのです。みんな自分のところにあった方が便利がいいのです。しかし、今日の時代要請に応じて統廃合するということで基幹法務局に全部統合してしまったじゃないですか。ここ数年間にやったのです。やはりやるときはやれるように、合理化できるものは思い切ってやらなければいけません。外的要件、その地方の御意見を聞いてなんぞと言ったら、みんな置けということに決まっています。市町村みんなそうなります。そんなことを一々聞いておったら、あなた方は郵政事業というものを守っていかなければいかぬのであって、その地域の、ごきげんをうかがってやると言ったら、とても統合はできません。こんなことで財政再建郵政事業をやろうと思ったら大きな間違いであると思う。また、いまの窓口業務も全く同じです。いまの局長のような考え方では統合なんかできるものじゃないわけです。  これは一番いい例が法務省なんです。登記所を見てみなさい。登記所は個人個人の権利に一番つながる、あるいは市町村役場、一番大事な仕事なんだけれども、基幹にぽっと統合してしまった。われわれ代議士も猛烈に反対したけれども、法務省はやった。やってしまったら、それでみんな何とも言わない。だからそういう意味で、やれるものはあなた方が積極的に、これならば改善になる、サービス低下に余りならないと思えば、やはりどこまでやらなければならぬかという限度があると思うのです。サービスをやらなければ、サービスが低下したらいけませんなんぞ言ったら何も改善はできないのであって、その辺を強く要望申し上げておきます。これは答弁は要りません。  次に参ります。  逓信病院の問題を先ほどちょっと申し上げましたが、最近の逓信病院の運営状況についてお尋ねいたします。
  30. 岡野裕

    ○岡野政府委員 逓信病院の運営でございますが、平素からいろいろと御高配、御示唆をいただいておりましてありがとうございます。正直、一言で申しますと、決してはかばかしい利用率ではないということなのでございますけれども、数字でちょっと御披露いたしたいと思います。  利用状況と収支状況、二点についてのお話になるわけでございますが、五十四年度を見ますと、年間で三十四万人、これが入院でございます。それから外来の方で百三十万人、ベッド等病床の利用率は六〇%というような数字になっておるわけでございます。お金の勘定の方からいたしますと、収入年間で四十六億円、しかしながら支出の方は百四十八億円、したがいまして百二億の赤字であるというのが逓信病院の利用の実態でございます。  ただ、ちょっとお話をつけ加えますと、逓信病院というのは一般の民間さんの病院とちょっと異なったニュアンスがございまして、患者さんを施療するにとどまりませんで、むしろ前に出まして、健康管理をしてまいる、たとえば定期あるいは特別の健康診断でございますとか、それから労働安全衛生法で定められましたところの産業医の職場の巡回でございますとか、また平素これまた御心配をいただいておりますところのいろいろの職業性疾患等々につきまして、あるいは研究をし、あるいは検診をし、等々というようなこともいたしておりますものですから、これらを加えますと、会計検査院の数値をいただきましたところでは、五二%の収支率であるというようなお話でございます。  運営の実態はそんなところでございまして、これをどういう方向で是正してまいるか、先ほど大臣からお話を申しましたあのようなことその他等々努力はいたしているところでございます。
  31. 堀之内久男

    ○堀之内委員 人事局長が弁解がましいようなことで、五〇%ぐらいあるんだということですが、実際会計検査院指摘のこれを見てみますと、郵政省の職員の共済組合の支払い件数が一五・一%、支払い金額にいたしましてはたった七・七%、病院はなくてもいいぐらいの支払いなんですよ。よく言いますと、いや全国どこでも病院がないのでこういう金額になりますと言うが、それなら私は、病院があるところのたとえば鹿児島とか広島とかあるいは福岡とか、その辺の職員は皆逓信病院だけを利用するかというと、恐らく、個々のトータルを出してみないとわかりませんが、全体から見てたった七・七%なんですよ、金額から見て。共済組合連合会の病床の利用率なんか八六%ぐらい、いわゆる虎の門病院とか、そういうのは八六%も上がっておる。これは一般に開放もされておるからであろうとは思いますが、こうしたことを考えるときに、いかにも親方日の丸病院であるわけです。  つい先日、郵政省と国鉄が一番やり玉に上がっておるわけです。郵政省の方は、ほかの方は黒字ですが、郵便業務がこれだけ赤字だというのに、病院は百億も赤字を出してのうのうとしてつぶれない。国鉄にいたしましてもそのとおりです。だから、こういう国民の批判を受けるような事業というものを、やはり素直にこれは受けとめて改善を図っていかないと、今後の料金値上げにいたしましても、国民が素直に受けとめてくれないだろうと思います。しかもそうしたりっぱな病院があるならば、最近は広島と仙台を一般に開放するようにしたということですが、残る十四病院もなるべく早急に――よく逃げの手は、医師会が承諾しませんのでと言えばもうそれで済むことだから、そういうような形で逃げられますが、本当に今後逓信病院の健全な運営を図っていこうとするならば、やはり積極的に民間にも開放し、国民にも利用させるという形で、その上でまだ赤字が出たというならば、これはやはり国民もある程度理解をするのではなかろうか、こういうふうに思います。  したがって今後、こうした状況から見ましても、この逓信病院の運営についてはいま少し格段の努力をしていただき、やはり少しでも経営改善ができるようにお願いを申し上げておきたいと思います。この点について、もう一回局長の答弁を求めます。
  32. 岡野裕

    ○岡野政府委員 いろいろと御教示をいただきましてありがとうございます。先生がおっしゃいますように、本当に、逓信病院は十一ございますけれども、一般の民間さんの病院は十二万施設になっておるものですから、つい一般の医療施設の少ない当時から比べますと、私どもの利用率も非常に下がっている、おっしゃるとおりでございます。というようなことで、収支面からしますところの経営の改善は、どんなふうにしていったらいいだろうかというような観点に立ちまして、一つには冗費の節減、これは当然であるわけでございますが、診療単価の値上げを昨年の四月一日以降いたしました。おかげさまで、予算数値でございますが、十三億円の収入増に結びつくということで処理をしているところでございます。  また、堀之内先生から御指摘のございました一般開放の問題でございますが、これはちょっと事情をお話し申し上げますと、手前ども一般開放を部内限りでいたします場合には、せいぜい一カ月か二カ月ぐらいの準備期間がございますならば体制は整うわけでございます。しかしながら、その一般に御利用いただく場合に、健康保険の御利用がなければ無為に帰するのではないか。ただ私どもが一般開放しましても、保険の利用というのは私どもには権限がないのでございます。この権限を持ちますのは、厚生省指導のもとに各県知事さんがお持ちであるわけでございますが、県知事さんの方にお願いをし、ようよう県知事さんの方からお許しをいただくという方が、実ははかばかしく進んでおりません。これは権限外でございます。  そういうような場合に、県知事さんは、地元の医師会さんが了承なさるならばという御感触もおありのようでございます。で、県知事さんにも、ぜひその辺でお願いをいたしたいと申しているわけでございますが、はかばかしくないというのが実態で、それでは私どもも県知事さんのお手助けをして一生懸命医師会の皆様にもと言っているわけでございまして、医師会を口実にといいますつもりは、正直言って私どもにはないわけでございます。どうぞいらっしゃってくださいと言うわけでございますが、やはり健保がききませんと、かえってお客様は御不便だろうというようなことで、県知事さんにお願いを申し上げているという次第でございます。  ちょっと補足でございますが、ただ、そういうことにかかずつて遅くしているというつもりはございませんので、最近、先生からお話がございました広島と仙台、まだ一カ月ぐらいにしかなりませんので、数字は細かくは挙がっておりませんのですけれども、民間の皆様も相当御利用いただける、よかったな、それならますますほかの病院もそんなふうに竿頭一歩を歩めてまいりたい、こんなふうに思っておりますので、今後とも御指導をよろしくお願いいたします。
  33. 堀之内久男

    ○堀之内委員 余り長く答弁いただくと時間がありませんので……。さっき申し上げたとおりであります。  これは病院の方は、まだ言いたければたくさんあるのですよ。職員だけ保険単価八円にして、やっと今度九円にした。一般国民は十円ですから、職員にもやっぱり十円払わせなさいよ、内容改善をしようとすれば。だけどきょうは時間がありませんから、まあ、知事が医師会と言うとあなたが言うから、そう言っただけで、これからもう少し知事さんにも積極的に働きかけて、まあどの程度働きかけたかわかりませんが、これから強く働きかけて、そして医師会の方の了解をとるように。いまは医師会もちっとは弱いんですよ、脱税、脱税でやられておるから。いまごろが医師会をやるのに一番いいチャンスなんです。そんなことをやったら、また地元新聞ぐらいにばあっと書かせればいいんですよ。すぐ医師会は同意するよ。やろうと思えばどんなことでもできる。それをやらずにおっていろいろ言われたんじゃいかぬので、今後格段の御努力要望しておいて次に入ります。  次に、先ほども大臣に御質問申し上げましたが、今回内閣設置されました懇談会の経過については、もういまさら申し上げません。しかし、これに対して郵政省から先日御要望というか、郵便貯金の現状あるいはあり方、目的等についてお話があったと思っておりますが、それの状況について簡単にお聞かせいただきたいと思います。
  34. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 先生御指摘内閣に設けられました金融懇におきましては、経済の安定成長という変化がございます、その中で金融構造が大きく変わってきているということから、私どもといたしましては、いろいろ多様化しております国民金融サービスに対するニーズに対応しまして、現在、官業、それも郵便貯金のみを取り上げるのではなくて、金融制度各般にわたって幅広い検討が行われるべきであるというふうに考えているところでございます。二月十八日に第二回目の金融懇が開かれまして、その席でも私どもから幅広い検討の必要性ということについて当省の考え方を説明したところでございます。
  35. 堀之内久男

    ○堀之内委員 さらに大臣の方では、郵政審議会郵便貯金の今後果たすべき役割り、こういうことについてまた御諮問もなされておるようです。  そこで、大臣にお尋ねいたしますが、郵政審議会というのは法的に決められた審議会であります。金融懇というのは内閣の総理大臣の私的諮問機関であります。ところが、大臣がこの前の宮澤官房長官立ち会いのあの中でやったのを見ますと、両大臣はこの金融懇についてはその答申を尊重するとなっておったと思います。詳しく書いてあった資料をどこかへやりましたが、尊重するということになっております。そうすると郵政審議会は――まあ恐らく内閣設置された懇談会は金利一元化をやれという答申を出すだろうと私どもはいま想像をするわけですが、それを尊重するのか。郵政審議会というのは恐らく、今日までの長い歴史、伝統を考えるときに、また郵便貯金というものが今日まで果たした役割りを考えるときに、それは独自の、国民資産形成、ささやかな国民大衆の利益を守るという立場から金利というものは決められるべきものである、こういうように私は答申があると思う。これは、われわれ素人が考えてもそうなんです。という場合に、大臣はどのような判断、措置をされようと考えておられるか。まあ、はっきりは言えないと思っても、大臣の考え方だけでもお伺いをいたしておきたいと思います。
  36. 山内一郎

    山内国務大臣 いまのお話のように、内閣においてもいろいろ御検討いただく、それから郵政審議会においてもいろいろと審議をしていただく、いまこういう段階になっておるわけでございます。私は、いま結果というものはどういうふうになるかわかりませんけれども、徹底的に両方でやっていただければ同じようなことになるはずでございます、これは。郵便貯金というものは庶民の唯一の金融機関であり、しかし六十兆円にもなったからどうだこうだと言われますけれども、これは、国民郵便貯金に預けたいという気持ちがこういうふうにふえてまいったわけでございまして、そういうことを内閣においても徹底的に審議をしていただき、なお金利の問題につきましても、郵便貯金の金利と銀行の金利のあり方というものはおのずから違ってまいるわけでございます。そういう点を十分に徹底的にやっていただいて、これは同じような方向に行くべきものであるということを私は信じているわけでございます。
  37. 堀之内久男

    ○堀之内委員 私が非常に心配をいたしますのは、個人年金に関しての政府、党の合意という形で、個人年金のところにとんでもないこういう付録をつけられた。その中に、最後に「この検討の結果については、大蔵大臣も郵政大臣もこれを尊重することを確約する。」と、「確約」となっておる。ただ尊重するではなくて、「確約する」となっている。だから私どもは非常に心配をいたしているわけであります。  ただいま大臣が言われた、そういういい結果が両方とも出れば、いま申し上げたことは危倶にすぎないわけでありますが、私的諮問機関と公的な、いわゆる法令に定められた審議会の答申というものはおのずとそこに軽重の差があると私は思います。その点、篤とまた大臣の方でもよく御検討いただきまして、この郵政の郵便貯金事業に汚点の残らないように、大臣としてぜひとも節度ある行動をとっていただきますように強く要望を申し上げておきたいと思います。  以上、そして先に進ませていただきます。  次、年金問題についてちょっとお尋ねをいたします。  昨晩、党三役並びに両大臣の中で、官房長官立ち会いで七十二万と決まったということでありますが、この金額に対して大臣はやむを得ないと考えていらっしゃるのか、きわめて不満だが仕方がないと思っていらっしゃるのか、まずこの点を私はお尋ねをいたしたいと思います。
  38. 山内一郎

    山内国務大臣 郵政省といたしましては、従来から九十六万円が妥当で、決してこれは大きい数字じゃない、こういうことでずっとやってまいりまして、昨日は三役と官房長官の間に七十二万ということで決定したものでございまして、われわれの従来の主張とは違うということでございます。
  39. 堀之内久男

    ○堀之内委員 一昨年の予算編成のときに、いわゆる五者案というのがあるわけですね。あのときにはわが党の財政部会長と通信部会長も両方とも、それぞれ利害が相対するというとおかしいのですが、それぞれの政審の責任者が集まって、そして党の幹部の皆さんの立ち会いの中で五者案というのが決まった。それが今回のこの決定に当たりまして大蔵省が強い抵抗をいたしたということは、私どもとしても大変これは不満になるわけですが――大蔵省来ている――そこで、民間平均が三十万だから三十万円でよろしいと最初は言ったそうでありますが、民間の年金保険というのは一体どこまでが最高なのか、それをまず教えていただきたいと思う。
  40. 松原幹夫

    ○松原説明員 お答えいたします。  通常の場合は三千万円の年金の最高限度がございますが、正直なことを申しまして、中には青天井のものもございます。
  41. 堀之内久男

    ○堀之内委員 大体民間は青天井なんだよ。そして保険会社によって七千五百万円というのをつくっておるだけであって……。それが郵便の最高は九十六万で、九十六万もいかぬと言うし、郵政省も折れて譲って、百歩も譲った中で九十六万という五者案というのができたんだ、与党の中で。それをなぜあなた方が民間生命保険会社とぐるにならなければならぬのかね。大蔵省がおかしいんだよ。自民党がちゃんと五者案をつくっておったのを、あくまでそれでなければならぬというそのあなた方の態度に私どもは非常に不満を感じておる。なぜ民間生命保険会社を守らなければならぬか、その理由をひとつ……。
  42. 松原幹夫

    ○松原説明員 お答えいたします。  われわれの考え方といたしまして、この自由主義経済社会におきましては、官業のあり方がどこまで民業と競合していいのかということを基本的に議論する必要があるのじゃなかろうか、われわれはこのように考えております。(発言する者あり)特に……
  43. 佐藤守良

    佐藤委員長 ちょっと答弁中……(発言する者あり)ちょっと速記をとめてください。     〔速記中止〕
  44. 佐藤守良

    佐藤委員長 速記を起こして。  どうぞ松原課長。
  45. 松原幹夫

    ○松原説明員 答弁を継続させていただきます。  金融の分野における官業のあり方あるいは官業における資金集中の問題につきましては、内閣設置されましたいわゆる郵貯懇等で、有識者の間で真剣な討議がなされるものと思っております。ただ、われわれ大蔵省に職を奉じておる者といたしましては、官業のあり方はやはり民業の補完的役割りに徹すべきではなかろうか、このような考えを持っております。それで、民業の補完的な役割りというものの限度は一体どのものであろうか、このように考えたところ、従来の民間の生命保険会社の平均の年金年額が約三十万円ということでございますので、一般庶民のものとしての郵便年金、これはそこいら一般庶民が入れる程度の年金額であってしかるべきではなかろうか、このように考えておるわけでございます。  それで、若干補完して申しますと、そのほかに、まず国民の老後の安定を図るための年金というものは一体何でやるべきなのであろうか。まず第一義的には公的年金がこれをカバーすべきがあり方ではなかろうか、われわれはこのように考えております。そして、公的年金というのはどういうことであろうかと申しますと、現在厚生年金が一世帯当たり月約十四万四千円程度になっております。それから国民年金が一世帯、夫婦二人でございますが、月約十万円ということでございます。  それで、それじゃ老後の夫婦二人の生活の必要資金は一体月幾らぐらい必要なんであろうか、こう考えますと、一般調査機関いろいろございます、中には郵政省調査もございますが、大体夫婦月十六万円程度あれば老後の生活資金が通常賄える、このようになっております。(発言する者あり)最後まで聞いていただきたいと思います。それでその差額を申しますと、老後の生活資金二人で十六万円、厚生年金の場合は十四万四千円、国民年金の場合は十万円、と申しますと、公的年金の補完としての役割りを果たすのは夫婦二人で月約二万円ないし六万円あれば必要限度が賄われる、こういうことになります。としますと、一人当たり一体幾らになるかといいますと月一万円から三万円、その月一万円から三万円の年金を受け取れる限度額というのは一体幾らであろうかということになりますと、平均約三十万円程度の年金年額があればよろしいのではなかろうか、このようなことが三十万円の一つの根拠になっております。  それから、さらに申し上げますと、これはやはり郵政省のお調べでございますが、一世帯当たり年金のために拠出できる月の支払い額は一体どの程度であろうかと調査した結果がございます。これは五十四年度のものでございますが、月払えるのが九千二百円というのが平均の額でございます。それじゃ、三十万円の年金を得るために一体一人当たり幾ら払わなければならないかと申しますと、月一万四千円払わなければならないんです。月一万四千円払って二十年間掛けた場合に初めて三十万円の年金が受け取れる。十年間掛けた場合には少なくとも三万円近く払わなければいけない。五年間でその年金を受け取ろうとするためには一人当たり月その倍払わなければならぬ。そういったような掛金が払えるのかと……(「保険会社をなぜ守るのかという質問じゃないか」と呼ぶ者あり)保険会社を守るというような考え方ではなくてわれわれは国民のためにいかに……(「そうだろう、そんならいいじゃないか」と呼ぶ者あり)
  46. 堀之内久男

    ○堀之内委員 いまあなたがるる言わなくても、公的年金というのはわかっておるわけだよ。それは今後の日本の財政状況からいって、将来とも果たしてこのままの金額が物価スライドしてどんどん上がっていけるかどうかという不安がある。あなたはそれは保証はできぬでしょう。だから、自己防衛という立場で、国民が自分たちの自助の力で今後は年金を積み立てておこう、こういうことを考えておる。それをあなた、それも最高九十六万ということは八万ですよ。それくらいも国民ができないという大蔵省の考え方というものは、これは最高なんだから、そういうことを言っておるのに、あくまで認めないという大蔵省の、民間、民間、官業は民間の補完でなければいかぬ、どこからそういうのが生まれたのか、いっそういう思想が生まれたのか、それもわれわれは理解できない。しかも、民間は青天井だと言っておりながら、努力をせぬわけです。  もうからぬものは、生命保険会社というのはやらぬのだよ。だから、何もあなた、そんなこといつまでも生命保険会社の肩がわりをせぬで、われわれに反対運動が来たのは皆生命保険会社よ。年金をつぶしてくれと陳情団が来たのは生命保険会社だよ。なぜあなた方はそのお先棒を担がなければならないのか。そういうところをよく考えて、ささやかな九十六万という(「大蔵省がやらせておるんだ」と呼ぶ者あり)それはもちろんそうだ。それは大蔵省が後ろから突っついたことはわかっておるんだけれども、それは言わぬ。だけれども、もうこうして決まったことは決まった、党三役で決められた以上、われわれも当分はこれは従わざるを得ないと思っておりますが、いま少し国民要望するものを、生命保険会社とか官業とかそんなことは言うべき問題じゃないのよ。政治は国民のためにあるんであって、何も生命保険会社のためにあるんじゃない。強い末端からの要望、われわれは選挙区に帰って常に選挙民と接しておる。そういうことをわれわれは政治に反映させようと思って努力をしてまいりましたが、最初三十万が最高なんだというとてつもない案を出したということで大変憤りを感じておるわけであります。  そこで、これはあなたに言ってみてもしようがありませんからこの辺で終わりますが、大体年金は、あなた方の共済年金というのは高くなったときはやはり三十万ぐらいもらえるんだろう。会社あたりに勤めた人は、厚生年金は最高が十四万なんだよ。何でそんな年金格差をつけなければいけないんだ。あなた方公務員は最高三十万ばかりもらうんだから(「もっと高い」と呼ぶ者あり)もうちょっと高いですか。まだ高いそうだが、厚生年金は十四万だよ。国民年金を入れてもまだ二十万にならぬ。だから、それをあなた方と同じように一般大衆が生活しようと思ったら、やはりそういう年金を積み立てて年金をもらって足したらちょうど――あなた方は絶対入らぬよ。公務員が何が入るもんか。あなた、もう公務員は共済年金がどえらい高いんだから。国民にみんなあれだけの年金を払えばだれも文句は言わない。民間の会社の厚生年金にしても国民年金にしても、あなた方の最高の三分の一しかない。三分の一よりちょっと上かもしれぬが、それくらいしかもらえぬのです。だからそれを補う、老後は同じような生活をしようと思えば、やはりこういう年金を掛けておいて老後を一緒にしようと思う。そういうところにあなた方が水を差し生命保険会社を守るというところにきわめて不満を持つのです。答弁はもう必要ありません。後が必要でありますから、一応われわれのこうしたいままでの努力というか、われわれがこれまでした運動というのは、そういう国民的ニーズに従って国民の将来のためにやったことだ。何も郵政省を守るとかそうじゃないんです。大蔵省のためにしたんでもない。ただ国民の将来の老後のために一生懸命与党、野党ともやったんだ。そういうところをよく踏まえて、大蔵省としても今後いろいろと折衝するでしょうから、まだ事務的に煮詰まっていないところもあります。五者案のときのこの運用の内容についても大分あなた方がイチャモンをつけて削っておるようだが、今後郵政当局が大臣を中心にして、また大蔵省がこの年金の運用内容についてももう少し理解ある態度を示していただきますように、特にこれは強く要望申し上げておきたいと思います。  時間が来ましたが、仕方ありません。最後に電電公社のことを二点だけお願いを申し上げて、十分ぐらいオーバーしますがよろしくお願いします。  今回真藤総裁が就任されまして、私どもも心から歓迎をいたしておるところであります。就任一カ月を経過しておられるわけでありますが、今後公社経営の基本方針について率直な御所見を伺ってみたいと思うのであります。  総裁はいままで民間企業におられまして経営者としてすぐれた経営手腕を発揮され、しかもドクター合理化と言われるようなニックネームがあるように、徹底した効率的経営を推進された人であると承知をいたしております。そこで、真藤総裁に期待するところただ電電公社だけでなく、国民大衆が総裁の経営にきわめて期待をいたしておるものだ、私はかように考えておるわけであります。どうぞ今後の体質政善について公社総裁の率直な御意見をお聞かせいただきたいと存じます。
  47. 真藤恒

    真藤説明員 お答えいたします。  私が就任いたしましていま一番強く感じておりますのは、まず綱紀の粛正でございます。綱紀の粛正と私の言う意味に二つございまして、一つはこの間からのような不祥事件が二度と起こらないという意味に対する対策の綱紀の粛正でございます。もう一つは、民業に比べまして非常に非能率な形に長い間になっておりますので、これをもう少し能率化した経営の事務的処理ができるようにするということがまず緊急に要求されるところでございますので、この面に対して、さっき概況説明の中で申し上げましたように、私が責任者となって特別な組織をつくりましていま動き出しておるところでございます。  それからもう一つの問題は、電電公社、今日まで長い間の努力によって電話に関する限り大体世界のトップレベルになっておりますが、技術の革新及び世の中のニーズの変革に伴いまして、これから電電公社事業内容というものが大きく変換する出発点に立っておるということを認識いたしております。したがいまして、これから先の技術開発、中長期の投資計画というものをこの方向に向けて意識的に計画的にやっていく必要があると思います。現段階ではいろいろ世間で議論がございますが、まだ世間のコンセンサスが固まったという段階ではございません。察するところ、ことしじゅうには大筋の世の中のコンセンサスもまとまるかのように思いますので、その辺のことを受けまして、またこの席上で、あるいは部会でいろいろ御説明をし、お願いをすることが出てくると思いますが、根本問題は、いまの電気通信法の根本に触れる問題に触れざるを得ないかと考えておりますので、その辺、いずれ具体的にお願いに参ると思います。  あと、この間からの対米交渉の国際調達の問題でございますが、これは国際調達だけではございませんで、国内のマーケットに対しても同じ扱いをすることになりますので、いままで言われました電電ファミリーという言葉があるような調達のやり方は今後はできないことになりますし、またやるつもりもございません。それについての資材調達、機器調達の手続をいま急いで整備しておるところでございます。  いずれにいたしましても、こういうふうな変革に即しなくてはならぬときに、この間のような不祥事件がございましたので、まずわが身の姿勢を正す、また正してきたということを世間の方に、国民の方に認識されるような行動を積み上げることが第一条件だというふうに考えております。すべての施策はそこからスタートしていきたいと思っております。一部もうすでにスタートしておるつもりでございます。
  48. 堀之内久男

    ○堀之内委員 ただいま総裁から率直な考え方をお伺いいたしたわけでありますが、御指摘ありましたように、電電ファミリーというような形で、ある程度独占企業でありますので閉鎖的であった、こういうことをわれわれ自体も十分認識をするわけでありまして、いま総裁は、まさしくその点も追及をされていらっしゃるようであります。要は、この後電電公社を取り巻く諸問題はきわめて複雑、また多岐にわたってまいりますし、中でも御指摘のありました資材調達問題、これは東京ラウンドの日米間の資材調達ももちろんでありますが、国内の問題についてもまさしく的確に御指摘もいただき、あるいは不正経理問題、こうした問題も、さらに新しい今後の分野についての抱負もお伺いいたしましたが、どうぞ総裁がこれまで民間のすぐれた経営者として努力をされましたその手腕を、この電電公社の中に十二分に発揮していただきますように心から期待をし、お願いを申し上げる次第でございます。  今回、この電電公社は、まことに不本意ながら四千八百億の納付金という形が決まりました。このことは以前からこの委員会でも、私ども党でも、電電の経営内容からいって収支差額という名前を言われますが、民間で言えば黒字なんです。だから、この収支がこれだけ予想以上に出てきたというのは、やっぱり遠近格差が一番問題だ。諸外国の七十二倍というのは、これはおかしい。だからこれを率直に直すべきじゃないか。また収入の大多数を市外通話料で賄うような電電公社の経営もおかしいということで、前の総裁には何回か指摘をしたけれども、なかなかこれを聞き入れられなかった。それが今日の四千八百億の納付金という形につながっている。私の場合、国会のいろいろな形で国民要望を伝えるわけですから、この点は率直にこうした意見を取り入れていただいて、直すべきものは直していただく、こういう姿勢が大事だと思うのであります。その後、夜間通話料というのを去年の十一月からやりました。また、いよいよ今回、遠近格差是正と日曜、休日の法案を出そうとする。これを去年、おととし、私どもが一生懸命言っておるときに率直に受け入れておれば、こうした問題は起こらなかったと思う。  決断と実行ということがよく言われますが、私は、企業家にはそれがなければならないと思います。したがって、総裁が企業家として今後この公社運営に当たられるに当たりましては、ぜひそうした正しいことは率直に、そしてまた私どもと一緒になって実行に移していただきますように強く御要望を申し上げて、私の質問を終わらさしていただきます。
  49. 佐藤守良

    佐藤委員長 堀之内久男君の質疑は終わりました。  阿部喜男君。
  50. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 大臣は、所信表明の冒頭で、年末年始の郵便業務運行確保できた、そうお述べになりました。これはまことに喜ばしいことでございまして、同慶にたえません。大臣を初め関係の皆さん方の御労苦に感謝を申し上げます。  さらに、私たちが長年指摘をしてまいりました郵政労使関係も、正常化への明るい展望ができたと新聞等でも報じられておるところでございまして、労使双方の一層の正常化への努力を希望してやみません。この点について、大臣に所感があれば一言承りたいと思います。
  51. 山内一郎

    山内国務大臣 年末年始、職員みんなが本当によく働いてくれまして、豪雪地帯を除いては滞りなく年賀状も配達をしていただいて、本当によかったという気持ちでいっぱいでございます。今後の問題もいろいろございますけれども、私は、労使の間は、誠意を持って十分に話し合いをしなさい、そうすれば必ずこれはよくなるものであるということを絶えずみんなに言っておりますが、今後もさらにそういう方針でやってまいりたいと思っております。
  52. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 ところで、報道によりますと、懸案でありました特別昇給の制度について公労委の仲裁が出されたと聞いておりますが、これに対して、もし運用を誤りますと、特別昇給という制度はかえって職場での紛争を起こしかねない内容のものだというふうに考えますので、この運用については、労使紛争が起きないような特段の配慮をお願いしたいと思いますが、この点について、運用についての基本的な考え方を承っておきたいと思います。
  53. 山内一郎

    山内国務大臣 公労委の裁定が出まして、特別昇給というのが、一月の中旬でございましたか、おりたわけでございます。そこで組合の方もいろいろ御相談をされたようでございますが、これを受けて、ひとつ一緒になってやっていこうという方向に向かったように私は聞いております。したがって、この点もやはり従来と同じように、労使十分に話し合ってやっていかなければいけない、決まったからすぐ、これはだれだれをどうするかというふうに簡単にはまいらないと思いますが、十分に話し合って、ひとつ円満にやっていきたいものである、こういうふうに考えております。
  54. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 労使の合意ができれば、運用についてはぜひ過ちのないようにお願いをしたいと思います。  さて、大臣の所信表明の中で、私は気になることがあるのですけれども、まず、この郵便年金法の改正については、この国会に提出をいたしますので御審議のほどをよろしくお願いします、こういうことが書かれております。それから、電電公社の方でも「電気通信法の一部を改正する法律案を提出いたしますので、よろしく御審議のほどお願い申し上げます。」こう書かれております。それから、電波関係のところでも「改正案を今国会に提出する予定であります」からよろしくお願いします、と。まだ何か貯金のところにもそういうのがあって、よろしく御審議お願いします、こうなっておるのですが、ただ電電公社の「財政運営に必要な財源確保を図るための特別措置に関する法律案が今国会に提出されているところであります。」と、これは「ところであります。」と、こういうふうになっておるわけですが、ほかの議案については、それぞれ審議お願いしたい、こう述べられておりますのに、このいわゆる財源確保法については、こういうふうに、提出されておりますよというふうな言い方になっておるのですが、これは何か意図的なお考えでしょうか。
  55. 奥田量三

    ○奥田政府委員 お答え申し上げます。  ただいま御指摘電電公社臨時納付金関係につきましては、御承知のとおり特例公債及びその他の歳入特別措置とあわせまして、財政運営に必要な財源確保を図るための特別措置に関する法律案として提出されているということを御報告申し上げた次第でございまして、一方、公衆電気通信法あるいは郵便年金法その他、ただいま御言及になりました諸法案につきましては、本委員会に付託して御審議をいただくことを予定いたしまして、このような運びにいたした次第でございます。
  56. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 日本国憲法の第五章の各条では、内閣の権限や内閣の義務が規定をされております。それを受けて、国家行政組織法あるいは各省の設置法によって国務大臣を長とする各省の所掌事務の範囲及び権限が定められております。このようにして郵政省設置法第三条には、郵政省の任務が明記されておると思うのですが、これはそう理解して間違いございませんか。
  57. 奥田量三

    ○奥田政府委員 御指摘のとおり、郵政省の任務と権限は設置法第三条、四条に明らかに定められているところでございます。
  58. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 立法府であります国会は、この行政府の機構に対応して国会法、あるいは衆議院においては衆議院規則、参議院においては参議院規則で、常任委員会または特別委員会などを設けて、議案や請願の審査を行うというふうになっておると思いますが、これも間違いありませんか。
  59. 奥田量三

    ○奥田政府委員 彼指摘のとおりでございます。
  60. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 このようにして国会法の四十条、四十一条、衆議院においては衆議院規則の九十二条によって委員会の所管が規定をされております。そして、同法によって逓信委員会は「郵政省の所管に属する事項」を取り扱うということに定められておるところでございます。これは私ども国会の問題でございます。  そこで、当然のことながら、「郵政省の所管に属する事項」とは一体何なのか。それはこの逓信委員会で扱わなければならないものなのだ、そういう理解に立ちますと、郵政省設置法によれば三条一項二号で、郵便貯金事業というのは郵政省の所管事業になっております。それから、同四号で、電気通信に関する事務も郵政省の所管事項になっております。さらに、四条一項二十二号の二で、日本電信電話公社を監督するというのも権限として、これは設置法で認められておるところでございます。したがって、ただいま問題になりました、このいわゆる財源確保法律という、電電公社から納付金を納めるというその取り扱いは、郵政省の所管事項ではないのでしょうか。電電公社業務を扱い、さらには監督をする権限が与えられておる郵政省の所掌事務じゃないのでしょうか。
  61. 奥田量三

    ○奥田政府委員 日本電信電話公社の監督に関する事項は、郵政省の所管事項でございます。さように理解しております。
  62. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 その郵政省の所管事項である電電公社のいわゆる納付金の問題について、郵政省が一方的に、これはこの委員会に付託されないというふうに判断をされる根拠はどこにあるのですか。
  63. 守住有信

    守住政府委員 お答え申し上げます。  電電公社臨時国庫納付金の立法措置についてでございますけれども、これは特例公債や電電公社納付金ももちろん入っておりますけれども、歳入関係特別措置とあわせて、財政運営に必要な財源確保を図るための特別措置に関する法律案として国会に提出されたところでございますが、この関係につきましては、一つは、特例公債もそうでございますし、電電その他競馬会、輸銀、開銀等もそうでございますけれども、いずれも歳出の財源確保するための措置でございまして、政府全体の中でこの関連は立法の動機や趣旨を同じくしておる、こういう意味からが一つでございますが、もう一つの面は、電電公社基本的な制度と申しますか、納付制度というものを基本的に恒久的な制度として加えようというものでなくて、あくまでも臨時的な措置として特別立法されるものでございまして、そういう面からも一本の法律案として、政府といたしましてまとめて国会へ御審議お願いする。しかも、これが一般会計予算財源の裏づけということと密接不離な関係にございますので、予算案と同時に国会へ御審議お願いをされた、こういうことでございますので、そういう二つの意味で政府として取りまとめて国会へ御審議お願いした、こういうことでございます。  他方、公衆電気通信法……。
  64. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 もういい。それは後でいい。  まず私がお伺いしたのは、国会に提案をされたのはわかるのです。当委員会審議をされないと郵政省はどこかで決めたのかと私は聞いておるのです。この逓信委員会に付託をされないと郵政省はどこでお決めになったのですか、それをお伺いしておるのです。
  65. 守住有信

    守住政府委員 大蔵省とも事前にあれしたところでございますが、政府案として国会に提出するということでございまして、法律案の御審議は、国会でいろいろ御協議になって国会運営の中で御判断になることだ、こういうふうに聞いておる次第でございます。
  66. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 しかし、先ほどの官房長のお話では、この委員会での審議に入らないのでお願いしますとは言いませんでした、提案をされたところであります、こう書いてある、ほかのものはこの委員会審議をするからお願いしますと書いてあると、こう官房長はお答えになったのです。一体、この委員会に付託をされるかされないか、どこの所管になるのか、それは後で議論しますが、郵政省が勝手にお決めになったのはどこに根拠があるのですか。
  67. 奥田量三

    ○奥田政府委員 郵便年金法その他の法案につきましては、私ども、先ほど申し上げましたとおり、当然当委員会に付託されるものという予定で考えさせていただきました。  一方、財政措置の特例法につきましては、先ほど電気通信政策局長も申し上げましたとおり、国会でのお取り扱いについては、私どもとして年金法その他のような確たる見通しを持たないというような事情からあのような扱いにさせていただいた次第でございます。
  68. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 どうもわからないのです。どうしてそういうことに決めたのですか。郵政省が勝手に決めるものじゃないと、いま電気通信政策局長ですか、そうじゃなくて国会で決めてもらうのですとおっしゃる。あなたの方は、これは逓信委員会にはかからないのだとお決めになっておる。国会の権限を侵していることになりませんか。
  69. 奥田量三

    ○奥田政府委員 その点につきましては、いま少し慎重な配慮が適当であったかと存じますが、私どもの真意は、先ほど来申し上げておりますように、電電公社納付金を含む財政特別措置法につきまして、国会のお取り扱いについて云々するつもりは毛頭なかったということを申し上げさせていただきたいと存じます。
  70. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 これで議論しておっても仕方がないのですが、さっきから申し上げておりますように、この郵政省の所掌事務の中に入っておることだけは間違いがないのです。これは明らかなのです。電電公社業務というのは郵政省所管業務であることは間違いありません。また監督もそのとおりでしょう。そうであるならば、その電電公社の重要な部分をなす財政です。しかもその財政は、先ほど来同僚の議員からも質問がありましたように、単にいわゆる国庫納付金だけでなくて、そのほかに遠距離の通話料を調整をするとかあるいは先般夜間通話料の値下げをしております。さらに、この後、日曜、祭日の電話料の割引もやろう、そういうたくさんの内容を含んだ一つの財政の中で議論をしなければ、ばらばらにして議論をしても、所管する郵政省も、その所管に属する事項を議論するわが委員会も、責任が持てないのですよ。ですから、早く言えば郵政省は、電電公社の財政についてはその監督権限を放棄したのだろうか、そう思わざるを得ないのですが、いま話を聞きますと、大蔵省と協議してそう決めたと言いますが、それで一体電電公社の一体的な運用ができるだろうか。郵政省設置法にもそう書いてありますけれども、これは一体的に運用が図られなければならぬというのが所掌事務の冒頭に書かれておるわけですよ。これで一体的な運用ができますか。電電公社の監督や業務について、大臣どうお考えですか。
  71. 山内一郎

    山内国務大臣 非常にむずかしい問題でございますが、当該委員会郵政省所管のことは御審議いただくというのはもう基本的に決まっている問題でございます。ところが、その内容によりまして各省にまたがるものがある。たとえば財源確保の今度の法律でございますけれども、赤字国債の問題、臨時的に納付金を納める法律の問題、こういう問題はやはり一括して御審議を願わないと、あるところではこれはよろしい、これは反対であるというふうにばらばらになりますと、予算全体の歳入歳出の問題についても狂いが生ずるおそれもありますので、従来もございましたけれども、いわゆる縦の方はしっかりとここで御審議を願って、横に関係するところはそこに一番関係の深い委員会で御審議を願うというようなことをやっているというふうに、私もいままで国会におりましたけれども、そういうたてまえになっているというので、今度はまだこれからの問題でございますけれども、そういう点で特例財源の問題は一括してどこかの委員会で御審議願うのじゃないか、こういうふうに考えているわけでございます。
  72. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 財源の問題だから、国の収入にかかわる問題だから大蔵省の方に一括してやらなきやならないという理屈があるならば、財源を、予算を持っておる各省の審議は全部向こうでやらなきやならないのですよ。  いまの問題について言うならば、大臣のお考えは初めに納付金ありきでしょう。初めに納付金があるから、それを取るために抜き出して別に持っていかなければならぬでしょう。われわれは初めに電電公社ありきです。電電公社だって、その中から上納金が可能であるかどうかを審議しなければならない、こう考えるのです。基本が違うのですよ。大臣のお考えは初めに大蔵省に上納金を納めるということがあって、だから法律をこうまとめる、こうおっしゃるのでしょう。電電公社という郵政省のかかわる公社がある、その公社が上納金を納めることができるかできないかという議論をしなければならないというのがぼくらの考え方です。これは大臣のお考えは反対じゃないでしょうか、逆立ちしているのじゃないでしょうか。
  73. 山内一郎

    山内国務大臣 先生のおっしゃることもごもっともな点でございますけれども、いろいろな特別財源が一括して特例的に歳入に入るというものだけを集めて一つの法律にするというのも、これは一つの考え方であろうと思うわけでございます。そうなった場合に、どこの委員会でやっていただくかという問題になるわけでございますけれども、やはり、財源の問題でありますので、大蔵委員会に付託するのがいいんじゃないかというふうに私は考えているわけでございます。
  74. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 そこは基本的に違うのですよ。政府にとって都合がいいかもわかりません。政府にとって都合がいいかもわかりませんけれども、先ほど来私が申し上げておるように、憲法、国家行政組織法、設置法、そういうものを一貫して流れておるものは、それぞれの所掌する事務はそれに対応する国会の専門的な委員会で議論をするというたてまえになっておるわけです。政府にとって都合がいいから……。それでは、政府はそういう法律案を一遍にまとめて出していいというような根拠はどこにあるのですか。幾つかの省にかかわる問題、合議しなければならないとかいうようなものは別ですよ。しかし上納金の問題は電電公社だけの問題なんですよ。中央競馬会の問題は中央競馬会だけの問題だから、これは農林水産省でやればいいのです。電電公社の上納金は逓信委員会でやればいいのですよ。そして、その結論に従って歳入として国が組み立てられるのか組み立てられないのかという結論が出てくるはずであって、あなた方のお考えは、政府の都合で、初めに上納金ありき、そして電電公社から取るためにはどういう法律をつくるか、こういう考えでしょう。われわれは逆なんです。こういう金を電電公社が納めるだけの能力があるかどうか、そのことが利用者国民にどういう影響を及ぼすか、電電公社の先行きの財政状態はどうなるのか、そういうものを総合的に検討しなければならない、それが私は委員会に課せられた任務であると思っておるのです。  政府の都合によって勝手にそんなこと、法律をまとめてこれは一緒のものだからこうやりますなんか言われたんでは、委員会開くことは何もないですよ。予算の伴わない法案以外は委員会でやれないということになるでしょう。予算の伴うものはみんな国の歳入に関係があるのです、国の歳出にも関係があるのです。これは電電公社の上納金だけじゃないですよ。全部、予算の伴うものは、国の歳入、国の歳出に関係があるはずなんですよ。なぜ上納金だけが抜き出されて別の法案と一緒に、農林水産省のものやほかのものと一緒にされて出されなければならないのですか。  政府にとっては都合がいいかもわからぬが、ちゃんと行政組織法や設置法、それを受けて、いや、それに対応して、国会法さらには衆議院規則によって明確に所掌する事務が定められておるにもかかわらず、政府の一方的な都合で勝手に法律を練り合わせるというそのやり方については、先般来私は何度も口を酸っぱくして申し上げておるのです。一向に改善の色が見られませんから、まず郵政大臣は閣議において、電電公社のかかる問題が郵政大臣の所掌事務であるかどうかをもう一遍明確にしてください。どうですか。
  75. 山内一郎

    山内国務大臣 いろいろ考え方を申し上げましたけれども、財源の問題は一括して法律にするということは、御審議をいただく上においても、そういう観点から見れば、横並びで御審議していただくのに非常に都合がいいような気もするわけでございます。  ただ、どの委員会にかかるかというのは、これは国会の問題でございますから、その辺はよく御審議をいただいたらどうかと思っているわけでございます。
  76. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 どの委員会にかかるかはそれは国会の問題です。しかし法案の提出の仕方は、これは政府の問題ですよ。政府がその法案を提出するに当たって、国会法やあるいは衆議院規則あるいは設置法というものを無視して、自分たちの都合のいいように法案をつくるからこういう結果が出てくるのであって、最初から、郵政大臣の所掌に属する事項ならば、設置法によってあなたがこの委員会に上納金をどうしましょうかということを提案すればいいのであって、また、農林水産委員会には中央競馬会の法案が出ればいいのであって、政府の都合によって法をこれは明らかに曲げておるのじゃありませんか。  さらにぼくは進めますが、大臣、あなたの所掌事務である限りは、それは逓信委員会審議ができるように内閣の意思を統一してもらわなければ困るということ。  もう一つ申し上げますが、いかに政府の都合によって法案を出しておるかというもう一つの例です。  それは、この委員会電波法の一部を改正する法律が出されるはずです。この委員会に出されるのです。その電波法法律改正の中から百三条の改正だけを抜き出してほかの委員会にくっつけるように政府が仕組んでおる。百三条は何かというと、いわゆる放送についての免許の手数料です。免許の手数料の改正だけを抜き出してほかのところにくっつけておる、これはどういうわけでありますか。
  77. 山内一郎

    山内国務大臣 この点も大体似たようなものでございますけれども、たくさんの手数料の法律がございまして、それをやはり横並びで御審議を願わないといけないという、手数料の扱い方がばらばらになっても困るんじゃないか、全部横並びで同じような考え方で統一するために、同じその法律の中に全部入れ込んだ、こういうような考え方でございます。
  78. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 大臣御承知かどうか知りませんが、あの手数料は限度額を定めてあるのであって、その範囲内で決めることになっておるのです。したがって、これは限度額を決めることですから、直接的には国の歳入と何も関係がありません。さっき国の歳入に関係があるからとおっしゃいましたが、国の歳入に直接的には関係がないのですから、当然この委員会において、いままでもそうであったように、電波法の改正が出ておるのですから、その電波法の改正の中からわざわざ百三条だけを抜き出してよそに持っていく必要はない。この委員会で限度額を決める、その限度額の中で歳入として幾ら手数料を取るかというのは、行政上大蔵省と相談してお決めになって結構でしょう。しかし、限度額を決めることまでわざわざ電波法の改正の中から抜き出してよそのところにくっつけなければならぬというのは、いかに政府に都合のいいように法案の提出をしようかと考えておるからそういうことになるのでしょう。だから、国会法というものを無視してしまってそういうやり方になる。これは反省してもらわなければ困るのです。どうですか、これは。
  79. 田中眞三郎

    ○田中(眞)政府委員 お答え申し上げます。  ただいまの御指摘の点でございますけれども、昭和五十六年度の歳入見積もりでございますが、手数料を全面的に見直しまして、行政コストに見合った額を徴収するという立場から見積もられておるわけでございます。電波関係手数料でございますけれども、ほかに同種の、三十三の各種手数料の場合と同様に、電波法に決めます法定限度額を改正いたしませんと、行政コストに対応しました適正な額を徴収できないところまでまいっております。そういうことで、他の手数料とともに現時点での行政コストに見合う額をもって上限額とする、つまり実際に徴収いたします手数料の額を上限額とすることといたしまして、趣旨を同じくいたします他の手数料の改正と一括いたしまして統一的な国会審議お願いいたしたいというふうに考えているものでございます。
  80. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 そうすると、これは限度額を決めるんじゃなくて手数料そのものをお決めになるということになるのですか、あなたのお話ですと。
  81. 田中眞三郎

    ○田中(眞)政府委員 実情といたしまして、そういうところまできておるわけでございます。
  82. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 限度額即手数料になるかどうかは行政でお決めになればいいのです。あるいはならないかもわかりません。それは行政に任せられた範囲で、いわゆる限度額の範囲内でお決めになることは法律で規定されておるわけですから、その限度額をここでは決めるのであって、あと限度額をいっぱいとるのかもう少し安くするのか、それは限度額が決まった後で行政がお決めになる問題じゃないのですか、違うのですか。
  83. 田中眞三郎

    ○田中(眞)政府委員 先生のおっしゃるとおりでございますけれども、現在法律に決めております限度額でございますが、省令で決めております実際の手数料とほとんど一致したところまでまいっておるというのが実情だということでございます。
  84. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 実情はどうか私は知りませんよ、それは行政が決めることですから。実情が限度額いっぱいとるのかその範囲内でとるのか、それは行政の方でお決めになればいいのです。この委員会でやらなければならない法の改正は、いわゆる電波法の改正は、限度額を決めるのが法の改正であって、直接的には歳入に関係がない。そのあと、その範囲内でどうとるかというのが歳入に関係があるのです。そういう内容のものを、金をとることを目的としてわざわざ電波法改正の中から一条だけを抜き出してほかのところの法律にくっつけてやらねばならぬ理由が見当たらない。おかしいでしょう。政府の都合でやっておるのでしょう、あなたたちは。
  85. 田中眞三郎

    ○田中(眞)政府委員 先生の御論議ごもっともと思いますけれども、先ほども御説明申し上げましたように、同じような性格のものが三十三種類、手数料で関係しておるわけでございますので、趣旨を同じくする他の手数料と改定を一括いたしまして、統一的に国会審議お願いしたい、そういうふうに私どもとしては考えておる次第でございます。
  86. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 それでは手数料法という法律をつくりなさいよ。電波の免許の手数料あるいはその他三十幾種類あるならば、手数料法という法律をつくって、そこでおやりになればいいじゃないですか。いま法律でちゃんと、郵政省の所掌する事務はわれわれの方で、逓信委員会で審査をするとなっているのですから、それをわざわざ抜き出してそうしなければならないのならば、電波法から抜き出して手数料法という法律を別につくるんです。そして、各省が持っておる手数料にかかわるものはそこで一まとめにしておやりになればいいじゃないですか。そういうふうに法律を改正しなければ、何のための所掌事務かわからぬでしょう。  大臣、あなた所掌事務をお持ちになっておって、おわかりになりますか、自分の所掌事務であるのに、手数料だからこっちにいく、上納金だからこっちにいく、何もかもよそに行ってしまったら、大臣の所掌事務はしまいになくなるじゃないですか。  そういうものがぜひ必要であるならば、手数料法なら手数料法という法律を別におつくりになればいいじゃないですか。しかし、それでは困るのでしょう、郵政省の所管事務だから。政府が勝手なまねをして、手数料だからこっちだ、歳入だからこっちだ。歳入に関係のない法案なんか知れたものですよ。ほとんど歳入歳出関係がありますよ。  しかし私は、法案の出し方については、出し方ですから、あなた方以上に内閣総理大臣の責任ですから、改めて内閣官房長官にこの問題はただすことにして、きょうは以後この問題については保留をいたします。  そこで、政府が勝手に法案をつくって出しておる、政府の都合によって設置法も何も無視して法案を出しておる、これだけはよく頭に入れておいてくださいよ。  それから、内閣法制局は来ていますか。――いま私が議論した点について、法制局というのがありながらこういう取り扱いをしたことについてどう考えていますか。
  87. 前田正道

    ○前田(正)政府委員 委員会制度がとられております以上は、委員会の御所管を前提として法案の審議お願いするというのが原則であろうと存じます。  ただ問題は、先ほど大臣からお話がございましたように、法案の内容によりましてはばらばらになるのがいいか、それとも一括して御審議いただいた方がいいのかというのが問題の焦点であろうかと思います。したがいまして問題は、その法案が本当の意味で一本の法律とするのにふさわしい法律であるかどうかという観点が問題であろうと思います。そういう観点から見ました場合に、先ほど来御説明がありましたような趣旨で私どもといたしましては一本の法律にまとめたということでございます。
  88. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 これは余り議論せぬことにしておるのですが、法案の内容によって――法案の内容をつくるのがあなた方でしょう。それでは原則に立ち返って、それぞれの委員会が審査できるような法案のつくり方をするのがあなた方の任務じゃないのですか。でき上がったものをあなた方は見て、この法案はこうなっているからこっちに出さんならぬとお考えなんですか。法案をつくる段階で、これはたてまえとしてそれぞれの専門的な委員会審議を願わなければならぬからこういう法案のつくり方をしなければならないというふうにお考えになるのか。あなた方は法案の内容によってと言うが、内容をつくる段階でどう考えるのかということを私は言うんです。これは改めてやりますから、いいです。あなたと議論してもしようがないでしょう。  そこで委員長、これはお願いですけれども、この問題は私それぞれの各委員会の任務にもかかわる問題だと思うのです。したがって、こういう問題の取り扱いについてひとつ委員会の意見として議長の方にも見解を求むるなり、委員会の私どもの意見があったということを委員長から議長にお伝え願えれば非常にありがたいと思います。これは理事会ででもひとつ御審議を願いたいと思います。  それでは引き続いてまいります。いわゆる電電公社納付金問題について、「電電公社臨時納付金について」、もう中を読む暇はありませんが、こういう書き物があります。これは何でしょうか。これはだれとだれがどうこういうことに合意をしたものなのか私はわからないのですが、大臣、こういう「電電公社臨時納付金について」という書き物をごらんになったことがありますか。だれか知っておる者がおったら説明してください。
  89. 守住有信

    守住政府委員 お答え申し上げます。  この電電公社臨時納付金問題につきましては、いろいろ各方面で議論があり、省庁間でも大いに議論を重ねてきたところでございます。行財政の見直しあるいはまた五十六年度に臨む財政再建、こういう観点も含めまして論議があったわけでございますが、最終的に、自民党の総務会でも一定の方向が決定を見たわけでございますので、それを受けまして、大蔵省、郵政省電電公社三者が入りまして、実務的なメモといたしましてお互いの意識を統一するということで、いろいろな公社の今後の問題、資金調達等の問題も含めましてまとめた、こういう実務的なものでございます。
  90. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 いまちょっと、もう一度、だれとだれ。
  91. 守住有信

    守住政府委員 郵政省、大蔵省、電電公社の方々も一緒に入りまして、最終的に意識を統一した、こういうものでございます。
  92. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 私、これを見ても、だれがどこでこういうふうになったのかわかりませんが、意識を統一したというと、これは合意メモということになりますか。合意事項ということになりますか。何ですか、これは。その三者の合意事項ですか。
  93. 守住有信

    守住政府委員 いわゆる合意メモという意味、概念が不明確でございますけれども、少なくともその三者間ではお互いに議論を出し合いまして、最終的に意識を統一し、まとめた、こういうことでございますので、その三者間では合意をしている。それを基本としまして、またいろいろな法律案レベル等につきましても協議を重ねていっている、こういうものでございます。
  94. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 この問題はいずれ同僚のほかの方からやっていただくつもりですから深くは触れませんが、そういう事務レベルにおけるいろいろなお話し合いがあり、こういう合意のメモができたということになれば、その間いろいろなお話があったと思うのです。いま大臣の所信表明あるいは電電公社総裁のお話によりますと、四年間で四千八百億というお金を電電公社納付する、こういう内容になっておるようです。  何かそういう実務者レベルの間の話し合いでは、大蔵が、済まぬけれども電電公社に、一千億なんか言わぬが四、五百億でいいから出してもらえぬか、そういう話があったということをわれわれはたびたび耳にしておるのですが、それがいつの間に四千八百億になったのか。その四千八百億になったいきさつはどういうことなのですか。そういう話が実務者レベルであったのかなかったのか。
  95. 守住有信

    守住政府委員 これは昨年の四、五月あるいは七月以降、いろいろな点で、一つは行政管理庁の方からの電電公社に対する調査という形で、これは調査をしておるだけで中身はまだなかなか固まらないという状況でございました。一方、大蔵省の方からは、財政再建期間中一千億を超えるものを一般財政の窮迫した状況のために納付してもらいたい、こういう要望が私ども、もちろん公社の方へもあったわけでございますが、そういう状況があったということを御説明申し上げておきます。
  96. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 その話し合いの中で、一千億を超えるという話があったというのもいま聞きましたけれども、私らの耳には、大蔵省が、一千億でなくてもいいんだ、四百億でも五百億でもいいから何とか電電公社少し加勢してくれぬか、そういう話があったんでしょう。
  97. 守住有信

    守住政府委員 四、五百億というふうなことは全くございませんで、当時私どもも、一千億を超える金額を、財政再建期間中というのは非常に不明確な期間でございますので、その間収入から出してもらいたい、こういう点も重大な問題でございますので、当時そういう面からも非常に反対をいたしておりまして、新聞報道等もいたしたところでございますので、四、五百億というのは一切存じでおりません。
  98. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 大臣、電電公社の財産あるいは料金収入というものは加入者である国民の財産であり、国民の物だと私は思っておるのです。そういう国民の財産、国民の物を、政府が財政が苦しいからといって取り上げる、そういう発想は一体いかがなものでしょうか。本来余裕があるならば利用者国民に還元すべきであって、それを国が持っていくという発想は一体どういうことなんでしょうか。
  99. 山内一郎

    山内国務大臣 五十六年度予算の中でごらんいただければわかると思うわけでございますが、いわゆる収支差額、利益金でございますね、これは従来どおり納付金を納める場合といえども建設資本投資に入れまして、いま計画いたしておりますのは、遠距離の電話料を下げるとか、日曜祭日は割引するとか、そういう計画を変更しないで、納付金については借入金によって賄って逐次返済していく、こういうたてまえに相なっているわけでございます。
  100. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 そういうたてまえのようでございますが、私ども素人から考えますと、おれのところの財政が苦しいから、おまえ借金しておれにくれというのでしょう。違いますか。そうなりませんか。おれのところの財政が苦しいから、おまえが借金をして、おれにくれというのと違うのですか。返さぬでいいお金でしょうか。返さなければならないお金でしょう。うちの財政が苦しいから、おまえ向こうから借りてきておれにその金をくれという発想じゃないのですか。違うのですか。
  101. 山内一郎

    山内国務大臣 そのあたりは大蔵省の方が正確に答えられると思いますけれども、要するに五十六年の予算において、国家財政が非常に緊迫いたしておりまして、赤字国債も減額しなければいけない、しかも増税もしないとやっていけない、こういうような非常に苦しい立場であるから、電電公社も国の機関と考えられないことはございませんので、そこで納付金を納めてもらって、それはひとつ経営努力によって逐次返済するようにするというような考え方になっていると思います。
  102. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 電電公社のいろいろな問題につきましては後ほどお話をさせてもらいたいと思っておりますけれども、やはり電電公社に不正経理であるとかいろいろなそういう問題があったので公社がこういう不当な申し入れについて断り切れなかった、こういういきさつがあるのでしょうか。これは合意をされたのですから電電公社の方が正確でしょう。なぜこういうものに合意されたのか。国民の、利用者の財産を勝手に国に納めますというようなことに同意された電電公社の考え方がわからない。そういういきさつがあったので合意せざるを得なかったのかどうか、公社の方からひとつ。総裁は無理ですから、ほかの方で結構です。
  103. 岩下健

    ○岩下説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生御指摘の、いわゆる私どもの大変お恥ずかしい、すべからざる、いわゆる不正経理の問題と本件納付金の問題とは関係がないと私どもは思っております。郵政、大蔵両省、両大臣の間の折衝の結果、先生御承知のような形での、いわゆる国庫納付という考え方なりその方式が決まったわけでございまして、公社としましても、公社自身の固有の課題があるわけでございますが、国のこうした現況にかんがみまして、政府関係機関としまして協力することもまたやむを得なかろう、こういう判断に従いまして、五十六年度から千二百億円の納付をすることにした、こういうことでございます。
  104. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 でも、やっぱり電電公社もその財産の管理、運営等について逆立ちをした考えのようなんです。国から電電公社をお預かりしておるから、国から言われれば出さなければならぬというようなお考えのようですが、私が先ほど来申し上げているように、これは利用者国民の財産なんですから、こんなことを公社が勝手に決められちゃ困るんです。  そこで、そういうことを勝手に公社郵政大臣郵政省がお決めになったわけですから、では、次のことをどうお考えなんでしょうか。  いずれにしても返さなければならぬですから、このために電話料金の値上げということはあり得ないのか。あるいは建設、設備の面において利用者サービスが低下することはあり得ないのか。そういう点についてもここで、合意事項の中でいろいろ議論されておるようでございます。  もう一つ、このために、法律で定められて時限立法になっておる、国会の決議もついておる拡充法を延長するというようなことにはならないのか。そういう点はどうお考えですか。
  105. 岩下健

    ○岩下説明員 お答えいたします。  いわゆる国庫納付金の性格につきまして、公社としては、端的に申し上げまして、国の財政再建に対する協力金の拠出というふうに受けとめておるわけでございます。  その理由は、先ほども申し上げましたように、公社自身なすべき課題がたくさんある中で、なおかつこうした状況のもとでやむを得ない措置として納付に応ずることにしたわけでございますが、ただ、これが利用者の方々の負担にそのままつながるというようなことは申しわけないことでございますので、これを避けるためにも、一つには、いわゆる損費に計上しないで損益勘定支出に計上する、ただ、その資金は御指摘のように借金をもって調達をするわけでございます。  この年額千二百億円、総額四千八百億円という数字は、端的に言いまして公社にとりまして決して楽なものではございません。公社にとりましては大変な試練かと考えておりますが、ただ私どもとしましては、生産性の向上なりあらゆる企業努力をフルに、最大限に活用しまして、これの経営への影響をできるだけ吸収する、これによって現在の料金水準を少しでも長くもたせる、料金値上げの時期を少しでも長く先へ延ばす、このような努力をすることが私どもの責務というように考えております。  また資金調達の面につきましても、御指摘の拡充法の取り扱いの問題も含めまして、これから資金調達の多様化、国内債あるいは外債の発行も含めまして、多様化といった努力をすることにより.まして、今後事業の円滑な実施に極力支障を来さないように努力をしてまいりたい、かように考えております。
  106. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 観念論としてはわかりましたが、具体的に私がお伺いした、たとえば拡充法の延長などはもうやりませんとか、料金値上げは今日の計画では、たとえば四年間はやらないとか、この上納金、納付金を納めたからといって、あとは努力によって解消して、同じように四年間は値上げしませんとか、もう少し具体的な話し合いをしているのでしょう。それを少し知らせてください。
  107. 岩下健

    ○岩下説明員 お答えいたします。  今後の収支の見通しにつきましては、五十六年度は御案内のように九百三十八億円の収支差額を計上しております。五十七年度以降の見通しでございますが、これは昨年から実施しました夜間割引の影響なり何なり、こういったものを慎重に見きわめ、また物価動向等も見込んだ上で算定をしなければいけないわけでございますが、現時点におきまして的確な計数的なお答えが、申しわけございませんがまだできかねる状態ではございますけれども、五十七年度までは収支均衡、当然経営努力を前提にしてのものでございますが、収支均衡が可能かと思っております。五十八年度以降はこれが徐々に悪化をしていくのではなかろうかということを現時点で想定をしております。  また、料金の改定の時期の問題につきましては、こういった収支見通しの問題がございますが、しかし私どもとしてはあらゆる努力をしまして、現在の料金水準の維持を少しでも長く続けられるように努力をするということが基本的な責務かと、かように考えております。
  108. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 借入金ですけれども、利息等については、たとえば収支の計算の中、予算の中から落としていくとか、いろいろ問題があるようです。これはほかの方がお話しになるでしょうが、そこで、そういうふうなことになれば第六次の五カ年計画の見直しをする必要はない、そう理解していいですか。
  109. 岩下健

    ○岩下説明員 いわゆる六次計画は五十七年度までのものでございますが、現時点におきまして、先ほどお答えしましたように、五十七年度時点におきます現実の収支、これはまだ的確な計数をもってお答えできるような材料がございませんので、ただ申し上げられますことは、収支均衡は五十七年度までは私どもとしては何としてもやりたいということでございます。
  110. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 この際、特に電電公社総裁は先ほど所信表明の中で、先般来の一連の不祥事件について深く反省をされ、対策も立てておられるようですからそのことには触れませんが、私が申し上げたいのは、電信電話の事業というものは利用者国民のものであって、政府が勝手に金を取っていっていいというような形のものではない。もし余裕があるならばそれは利用者へのサービスあるいは料金の割り戻し、そういう形で処理をすべき性格のものではないかというふうに考えておりますので、この点、一言だけ総裁のお考えを承っておきたいと思います。
  111. 真藤恒

    真藤説明員 着任以来今日まで発達してきました電信電話公社内容を少し調査いたしました。その結果強く感じますのは、現在の電信電話公社の財産その他すべてのものは、国の独占企業としての保護のもとに加入者の支払いの金ででき上がったものでございまして、国からの助成、補助金は、最初の設立のときに百八十二億円、沖繩の合併のときに幾らか追加していただいた、それだけでございますから、御趣旨のように私は痛切に感じております。
  112. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 次の問題に移らしてもらいますが、先ほど同僚の議員からもお話がありましたけれども、内閣官房長官宮澤喜一という署名が入って、郵政大臣あてに「内閣総理大臣の御決裁を得て別紙一のとおり「金融の分野における官業の在り方に関する懇談会」を設置することといたしました。委嘱する有識者五名の名簿は別紙二のとおりであります。」こういうものが出されておるようでございます。  その内容を見ますと、「郵便貯金の急増を契機として、いわゆる金利政策の一元化、」というのが冒頭の書き出しでございますから、これは明らかに郵便貯金の急増を契機にして金利政策の一元化を目標にした懇談会だというふうに考えますけれども、この懇談会ができるに至った経過についてまずお伺いをしたいと思います。
  113. 佐藤守良

    佐藤委員長 阿部喜男君、ちょっと御了解を得たいと思いますが、先ほどの岩下経理局長納付金の答弁でちょっと間違いがあったようですから、大変申しわけありませんが、ちょっと訂正さしていただきたいと思います。その後郵政大臣お願いしたいと思います。  岩下経理局長
  114. 岩下健

    ○岩下説明員 先ほどお答えの中で、最初の御質問に対します五十六年度予算への納付金の計上方法につきまして、損金勘定に計上すると申し上げましたが、誤りでございまして、資本勘定でございますので、訂正させていただきます。申しわけございません。
  115. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 結構です。
  116. 佐藤守良

  117. 山内一郎

    山内国務大臣 内閣にできました懇談会ができますときの経緯を申し上げますと、五十六年度予算の決着がつく最終段階において、郵便年金をどうするかという三役の最高の会議があったわけでございます。そのときに、郵便年金はひとつ踏み切ってやろうじゃないかということも決定されたのでございますが、同時に、いま郵便貯金が非常にふえている、六十兆円を超えているわけでございますが、それに伴いましていろいろと議論が出ておるわけでございます。官業の郵便貯金がふえ過ぎていろいろ問題があるじゃないかと。たとえば、金利の問題がいわゆる二元化、実際は基本的には相談しながらやっているわけでございますが、二元化の問題があるからなかなか金融政策がうまくいかないじゃないかとか、こういういろんな議論がございまして、こういう問題はどうしても明確にしていかなければいけない問題であるというふうに私も考えておるわけでございます。  そこで、いろいろPRをしてやってまいったのでございますけれども、なかなか御理解をいただけない。ちょうどそういう話が出ましたので、私も同意をいたしたのでございますけれども、これはちょうどいい機会であるから徹底的に郵便貯金というものの内容を当たっていただいて、それは間違いであるというような御認識をいただくように積極的に働きかけていく、こういうことで懇談会において郵政省もいろいろな資料を提出いたしまして、十分に御理解をいただくように努力をしている最中でございます。
  118. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 私が先ほどから所掌事務あるいは所管事項ということについてくどく申し上げておりますのは、郵政省設置法の中で郵便貯金郵政大臣の所掌事務になっておるわけでございます。したがって、大臣だけでの判断では十分でない場合もあり得るので、郵政審議会令というものをつくって郵政審議会設置をされておりまして、この郵政審議会令の中で、郵便貯金に関する事項郵政審議会がいろいろ取り扱って建議をしたり意見を答申したりする、そういうようなシステムになっておるようでございます。  そこで、大臣はこれに同意をされた、その趣旨は、郵便貯金というものをもっと深く理解してもらいたかったからだ、こういうふうにおっしゃっておられますけれども、しかし、これは郵政省のお考えとは異なる懇談会になったのではないのですか。  では、もう少し具体的に申し上げましょう。これはどこから出した文章かわかりません。   内閣に設けられる金融問題に関する懇談会について  1 懇談会委員については公平に人選することとし、委員の決定に先立ち、当省と相談すること。 ですからどこかの省が出しているわけですね。  2 懇談会の検討項目としては、政府金融機関及び民間金融機関のあり方等を含め、広く金融の全般にわたって取り上げることとすること。  3 懇談会においては、当省の意見を十分聴取されたいこと。  4 懇談会会議開催の都度、当省の職員を出席させること。  5 懇談会の円滑かつ公正な運営に資するため、懇談会の事務局職員に当省職員を若干名充てること。 こういうことを、いわゆる申し入れと言うのでしょうか、なさなければならなかったということは、この金融の分野における官業の在り方に関する懇談会設置をされるまでに十分な合意ができていなかったからこういう申し入れをしなければならなかったんじゃないですか。どうなんですか。
  119. 山内一郎

    山内国務大臣 まず、懇談会のメンバーの問題でございますが、官房長官は、これはもう絶対中立的な人を選んでやるんだ、こういうことで総理と御相談をされてお決めをいただいたものでございます。しかし、その前にもわれわれとしては、御理解をいただくにはやはり委員も重大でございますから、そういうような方も入れてもらいたいということは一応申し入れてあるわけでございます。したがって、そういう問題もありましたけれども、いや、これは絶対中立なんだからというようなことで設置をされて現在進んでいるわけでございます。  われわれとしていろいろ申し上げておることは、ねらいは、郵便貯金の本質を御理解いただくいろんな方法として、こういう点について気をつけていただいてやっていただければ御理解も早くいただけるんじゃなかろうか、こういう点でいろいろ申し上げたわけでございます。
  120. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 そういう申し入れといいますか、をおやりになった後で、もう一つ出ております。   内閣に設けられる金融問題に関する懇談会について   先に、内閣に設けられる「懇談会」について、中立・公正なものとするため、人選、検討項目等を、その決定に先立ち、当省と相談するよう申し入れたにもかかわらず、本日、人選について、一方的に通知がなされたことは、誠に遺憾である。   このようなことでは、今後真に中立的な立場で公正な審議確保されるか否か強い疑念を抱かざるをえない。   よって、強く、不満の意を表明するとともに、引き続き納得のいく人選について再考、善処方申し入れるものである。又懇談会の検討項目は政府金融機関及び民間金融機関のあり方等を含め、広く金融の全般にわたって取り上げることとすべきものであることを重ねて申し入れるものである。  郵政大臣が所掌する郵便貯金を皆さんに知ってもらうために、そういう趣旨で御賛同なさった懇談会は、所掌する大臣の意見、郵政省の意見を全然顧みなくてこういう懇談会をつくったということになれば、私が言うところの所掌事務とは一体何であったのか。そして本当にあなたがお考えになっておるように郵便貯金を議論するのを何でほかのところに頼まなければならないのか。ちゃんと郵政省があり郵政審議会があるじゃないか。それにもかかわらず、屋上屋とは言いません、これはぼくは上じゃなくて下だと思っていますが、先ほども意見がありましたけれども、こういうものをつくることに賛成したということが理解ができないのです。こんなことを言わなければならぬようなものをなぜ賛成されたのですか。どうお考えですか。
  121. 山内一郎

    山内国務大臣 確かに郵政審議会というのは設置法で郵政省に置いてございます。そこでいろいろな点について審議をいただいているのも、これは事実でございます。昨今貯金がふえた問題、金利の一元化についてもいまいろいろと御審議をいただいている最中でございます。しかし、どうしてもいろいろと言われますように、あれは郵政審議会というものを郵政省に置いてあるんではないか、郵便の値上げのときにもいろいろ御議論がございましたが、したがってこちらでも部内でも一生懸命検討いたしますけれども、やはり内閣にせっかくそういうものができたのでございますから、そこに御理解をいただくように最大の努力もひとつそれはすべきであるというような点で、いろいろ努力をしながら内容について十分御理解いただくようなことをいまやっておるわけでございまして、そういうふうに両方進んでいるわけでございますけれども、そういう点で一層の努力をしてまいりたいと考えております。
  122. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 どうもわからないのです。そうすると、いま郵政審議会というのは、郵便貯金について諮問をしても国民的な立場を代表しての結論を出す能力がない、そこでこういうものをつくらなければならない、そう政府はお考えですか。
  123. 山内一郎

    山内国務大臣 それはちょっと私の発言がまずかったかと思いますけれども、そういうのじゃございません。十分に御審議を有力な委員の方々がしていただいていままでも結論が出ているわけでございますが、郵便法の値上げのときにも、あれは内輪の審議会じゃないか、もっとしっかりしなさいよというようなこともございまして、これはこれで十分御審議をいただいてりっぱな答申を出していただけるわけでございますが、世の中のある人はそういう見方もするものでございますから、内閣においてもひとつやっていただいて十分な御理解をいただければ、これでりっぱなみんなのいわゆる郵便貯金に対する考え方というものが世の中に徹底していくんじゃないか、こういうように考えているわけでございます。
  124. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 郵政審議会というものを設けて、あなたの所掌事務が明確になっておる。ならば、そういう要らぬ世話をやいてもらわなくても、国務大臣である、郵政大臣である私が郵政審議会に諮って貯金の問題は解決をいたします、それが大臣の立場じゃないんですか。それをあなたはおっしゃらずに、それは結構なことです、郵便貯金のことをひとつこっちでもやってください、そうおっしゃったということは、みずから所掌事務を放棄をし、郵政審議会を不信しておるからです。  あなたの言葉の端々に、郵政審議会は身内だからだめなんだ、そういう意見があると。意見があるということは、あなたはそれを認めておるということになるね。認めておるからそういうことになるのであって、意見があってもそれは認めない、公正な判断を郵政審議会が常にしておるとあなたがお考えになるならば、そういう意見があろうとなかろうと――それは国会だっていろいろな意見があることはあなたも御承知のとおりです。与野党の間でもありましょうし、いろいろな意見があることは間違いない。しかし、この意見が正しいとあなたは思って行政をお進めになってきたし、国会はそういうことを決議してきておるわけなんですから、その中でちゃんと郵政審議会というものがあって、あなたが所掌する貯金業務についてもちゃんと審議をすることになっている。それを信頼しておるからあなたは諮問されたのでしょう。今後における郵便貯金の果たす役割りとかなんとかいうものを諮問されておるでしょう。信用せぬならそれを諮問する必要ないじゃないですか。それだけ信用できる郵政審議会がちゃんとありながら、なぜこういうあなたの所掌以外のところにお願いしなければならぬのですか。それはどういうわけですか。
  125. 山内一郎

    山内国務大臣 郵政審議会にはりっぱな委員の方がおいでになりまして、十分に御検討いただいて結論を出していただけるもの、これはもう確信しているわけでございます。しかし、いろいろと世論において、内閣においてもこういうものをやったらどうか、こういう提案がなされましたので、そういう成果が十分にほかのところでも上がれば、一層信頼が増すわけでございますので、そういうふうに懇談会設置することに私は合意したものでございます。
  126. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 あなたのおっしゃるのは、この懇談会をつくった趣旨とはずいぶん食い違っております。あなたは郵便貯金を理解してもらうためにとおっしゃいますけれども、この宮澤さんが出しておられる懇談会をつくった趣旨はそうではなくて、郵便貯金がふえ過ぎる、金利を一元化するように考えてみなきやならぬ、だからつくるんだ、こう言っておるんです。あなたは郵便貯金を理解してもらうためにつくる。宮澤さんの方はそうじゃないんです。貯金がふえ過ぎているじゃないか、だから金利を一元化しなければならぬ、そういう観点に立って検討するんだ、これが宮澤さんの方から言われている趣旨じゃないですか。全然あなたのおっしゃることと違うじゃないですか。
  127. 山内一郎

    山内国務大臣 懇談会ができる趣旨は、そういうことを検討してみようという趣旨でございまして、必ず郵便貯金がふえ過ぎてけしからぬという結論が出て、一元化しなきゃいけないという結論が出ると私は思ってないんです。本当にその委員の方々に御理解をいただければ、本当にそういういま申し上げたようなことに偏った結論が出るとは私は思ってないんです。
  128. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 そういう結論が出ると思っていないと言うけれども、私が読み上げたように、まず人選についてまことに遺憾であるとあなたはおっしゃっているのでしょう。その次に、審議確保されるか否か強い疑念を抱かざるを得ないと、あなた二点目におっしゃっている。三点目に、民間の金融機関についてもそのあり方を一緒に議論してもらいたい、こうあなたはおっしゃっている。あなたが考えておったものと全く違うものじゃないですか。あなたがお考えになっていたものならば、こういう疑念もなければ遺憾の意を表明することもないのですよ。遺憾の意を表明したり疑念があったりすることは、あなたがお考えになっていたものではなかった。  あなたはやっぱり郵政大臣として、自分の所掌事務を守って、ちゃんとある、信頼しておる郵政審議会に諮って、貯金業務は私の所管ですから私が運営しますと言うべきだったのですよ。それをひょろひょろっと賛成をして、さてつくられてみたらびっくりして、こういうものを二遍も三遍も持っていって、まことにこれは内閣の不統一といいますか、郵政大臣、これは私、言いたくないのですけれども、あるマスコミの人から聞きますと、閣議というのは見たことありませんが、閣議で大蔵大臣が一喝すると、ヘビににらまれたカエルみたいにほかの大臣がふるえ上がってしまう、やっぱり予算を持っているところは強いなと言うんですよ。私、見たことがないからわかりませんよ。わかりませんけれども、そういう悪口が出るくらい、これは先ほど御意見があったように、金融業界を中心にして、庶民の零細な預金を金融のために奉仕させようとしているにすぎないじゃないですか。これはそういうねらいをもってつくられておるじゃありませんか。  ですから、これから大臣は、少なくともいまおっしゃったようなお考えならば、郵便貯金が百年間の歴史を持って、零細な庶民のお金で、しかもこの十年間、目減りをすることを知りながら、ほかに手段がないから、国を信頼郵政省信頼して預けてきておる。その貯金が、その目的に従って長期にわたるものについては幾らか利子が高い。そのとおりでしょう。しかし、二年以内の定期だったら民間の方が金利が高いじゃないですか。それは、それぞれの貯金の持つ性格によって違うのです。何をいまさら一元化について議論しなければならぬ理屈があるのですか。一元化について議論しなければならぬ理屈は初めからないのですよ。あると思うのが間違いでしょう。金利の一元化について議論しなければならぬ、そのことを議論する必要は初めからないじゃないですか。発想が、業界にならって郵便貯金を業界並みにさせて、零細な庶民の負担において、犠牲において金融機関に追随しよう、そういう姿勢があるから、一元化について議論しましょうなんて、ばかなことになってくるんでしょう。その基本がわかっておれば、初めからこういうこと議論する必要はないんですよ。  したがって、大臣を初め郵政省は、この懇談会がどういうことをやるかわかりません。しかし明確な法で定められた郵政審議会があるのですから、その郵政審議会の結論についてはわれわれも耳を傾けます。しかし、この何かわからぬ内閣総理大臣の私的な諮問機関がどういう結論を出そうとも、われわれは、それがいい結論であろうと悪い結論であろうと、初めから耳を傾ける必要はないと理解をしております。その点、大臣の考え方を承りたい。
  129. 山内一郎

    山内国務大臣 いま一元化の必要は、もう知っている人は、そういう必要はないことは十分に認識しておりますけれども、そういう点がわからない人がいるわけなんです。二元化になっているのはおかしいじゃないか、一元化すべきであると言うような人にわかってもらう、本当にいいチャンスだと私は思っているわけなんです。したがってそこで十分に御審議をいただいて、郵政省も全力を挙げてPRをやる機会を得たわけでございますから、やらさしていただいて、そこでも私は同じ答えが出るものと信じてやってまいるわけでございます。もちろん、郵政審議会の結論を尊重する。これは、尊重より、従わなければいけない、こういうたてまえのものであるわけでございます。
  130. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 今日までの手続について、どうも大臣が履き違えて、あるいは実務家が履き違えたか、だれか知りませんが、郵政省が履き違えて、こういう間違ったものをつくることに同意をしてしまった。これは過ちであった。したがって、これからは郵便貯金というものについて、郵政省も所管をする業務として、国民の負託、国民の期待にこたえ得るように考えなければならぬ、こう理解していいわけですね。
  131. 佐藤守良

    佐藤委員長 明確に答弁しなければいけませんよ。
  132. 山内一郎

    山内国務大臣 そのとおりでございます。
  133. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 それで、郵政審議会の答申を尊重し、それに従う。たとえこっちの懇談会がどういう結論を出そうとも、そのことは、大臣が期待しておったようなものであるならばそれでいいですが、期待しないような結論が出たときには、こっちの言うことは聞かない、それでいいんですか。さっきそうおっしゃったですね。
  134. 山内一郎

    山内国務大臣 はっきりと結論が出る前から、これはどうなったらどうかというようなことは、ちょっと言いにくい問題でございまして、最大限の努力を、ひとつそういう方向でやらさしていただきます、こういうことで答弁をさしていただきたいと思うわけでございます。
  135. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 もうこれ以上詰めませんけれども、大臣、マスコミのそれぞれの解説なり、お読みになってくださいよ。ここであなたが幾らきれいごと言っても、これは明らかに違う結論が出るだろうと初めから言いよるんですよ。これは単なる懸念じゃない。私は懸念以上のものだと思っていますよ。かなりのところからいろいろな資料を集めてマスコミが検討した結果、恐らく懇談会郵政審議会は違う結論を出すだろうと言っておる。大臣は同じ結論が出ることを期待しておりますと言うけれども、私は恐らく逆に違う結論が出るだろう、そのことを懸念するから、先ほど堀之内さんも、私も、一生懸命になって言いよるんです。この国民の期待に背くことのないように、くれぐれも強く私からも申し入れをしておきます。  次に、時間がなくなりましたから、さっき郵便年金の改正について大蔵省が見えておったのですが、何かいろいろお話があったようですけれども、民間の保険会社は青天井だ、たまたまいま平均が三十万になっておる。もう一つは、掛金が一カ月何ぼになるからこれだけしか掛けられないだろう、そういう勝手なことをおっしゃっていましたが、これはこういう制度をつくった結果、それぞれ国民のニーズに応じて、私はこれだけ掛けられるからこれだけの年金がとれる契約をしましょう、私はこれだけの掛金しかできませんからこれだけの契約をいたしましょうということを決めるのであって、それは九十六万ということになれば九十六万積む人もあろうが、二十万の人もおるはずですよ。それぞれのニーズに応じて契約をすればいいのであって、民間が三十万だとか掛金がどうなるかとか、掛金はそれぞれの自分の能力によって決めることなんですから、それを黙って聞いておって、三十万円、これは民間の年金の平均がこうなっておりますとか、あるいは掛ける人も一万何ぼ掛けなければならぬ、あるいは四万円掛けなければならぬからできぬだろう、四万円だって掛けられますよ。  それともう一つ、なぜ一時払い込みの年金を取り消したのかですよ。これは私、聞いてみますと、さっきおっしゃったように退職された後とかいろいろな関係で、老後のことをお考えになると、退職金をおもらいになるのですが、退職金をおもらいになると、半分ぐらいは自由に使えるようにしておきたいが、あとの半分ぐらいは払い込んで年金にしておきたい、十年、二十年かかって掛けるのではなくて、もらったときの半分ぐらいは年金にして積み立てたい、そういう希望が非常に多いのです。それを、一時払い込みの年金を消してしまって、しかも三十万、全くこれは私は根拠がないと思うのですが、郵政省はどうお考えになっていますか。
  136. 小山森也

    ○小山(森)政府委員 郵政省といい大蔵省といい、政府職員がここで同じ答えをしなければならないのに、非常に教育が悪かったと申しますか、個人的見解を申し上げまして、御質問にないことを政府職員が申し上げましたことにつきまして、政府の一人として、若干問題ありと私は思っております。  つきまして、まず、民間の補完の問題であるというような話が出たのでございますけれども、こういった問題は、一つの市場が形成されている、年金市場というものがここにできていた場合において、そこにおいて補完の作用をどうするかというような議論がそこにある場合もあろうかと思いますが、現在、年金というのは全世帯数の一%から一・五%という状況でございます。したがいまして、民間の補完という、民間そのものの市場形成がなされていないという現状についての認識については、これはまだ政府部内で一致していないにもかかわらず、個人的な見解ではなかろうかと思います。  次に、掛金がこういう世論調査である。これは私どもの方でやった世論調査でございます。これには二面性がございます。一つは掛金の問題と、掛金を今度は掛けた後に年金を欲しいという願望、この両面を言って初めて一つの世論調査の結果というのは出るわけでございますけれども、この結果の片方の受け取りたい年金で一番多かったのは百十四万円というのが出ております。したがいまして、掛金の問題と受け取りたい要望と両方を申し上げて、円満な御回答になるのではないかと思いまして、訂正いたします。  次に、公的年金の補完の問題でございます。当該職員は現在のことを言っておりましたけれども、私どもの年金というのは、スタンダードの形では二十年間の掛金をしてその後年金を受け取るというのが大体のスタンダードの年金の形態だと思っておりますし、大体におきまして年金の制度を論ずる場合はこれをスタンダードにしております。それからまいりますと、二十年後、これの必要経費というのは、総理府の家計調査年報によりますと四十九万八千円というような、いわゆるこれはノミナルな形でございますけれども、そういう形が出ておりますと、厚生年金、国民年金等に対する不足額というのが二十万あるいは十七万というような計数になってまいります。  さて、それではそれを全部この個人年金のこういった任意年金によって賄うかどうかというのは、これはいろいろな金融資産をどのように個人個人が充当していくかという問題になるわけです。これは一つのスタンダードの標準として考えるべきであって、あとそれに対してどのような形でこういった生活費を賄っていくかというのは、利用する国民の選択の問題でございます。したがいまして、こういったものに対しまして、全部を年金でという方もありますでしょうし、あるいはほかの資産でというような問題があろうかと思います。  以上、計数において非常にいろいろな偏った計数も出ておりましたので、改めて私の方のデータ等で御説明申し上げた次第でございます。
  137. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 私も、大体いま答弁のあったように理解をしておるのでして、何も掛金が何ぼだとか、九十六万になったから九十六万の契約をしなければならぬというわけではないので、その中で選択ができるわけですから、その三十万などとばかげた金額のあれはないので、郵政の説明で大体わかりました。  質疑時間が大体終わったようですが、委員長、もう一つ……。  もう一つ伺っておきたいのですけれども、郵政省一般会計の中から、難視対策として、難視解消のために自治体等を通じて補助をするということになっております。これが金額は何億かあったようですが、これはどういう趣旨ですか。
  138. 田中眞三郎

    ○田中(眞)政府委員 お答えを申し上げます。  ただいま御質問にございました、難視対策に対します政府としての補助金でございますけれども、五十四年度に創設されたわけでございます。五十四年度に創設されまして、当初二億二百万円、五十五年度が八・四%増の二億一千九百万円、五十六年度要求中のものといたしましては、大変厳しい財政事情でございますけれども、五十五年度と同額というようなことになっております。  その趣旨でございますけれども、NHKの場合で申しますと、毎年中継局を建て、あるいは共聴設備等であまねく全国をカバーするという趣旨で努力してまいっておるわけでございますけれども、だんだん置局効率と申しますか、同じ施設に同じ金をつぎ込みましても、救済できる世帯が大変少ないというようなことで、政府としても、今日の事態においてテレビ文化から、辺地であるというためだけで享受できないということはまことに不公平なことである、そういう趣旨から補助金を出しまして、三分の一程度のものを補助すると申しますか、そういう考え方のものでございます。
  139. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 大臣、NHKが公共放送としての中立を守るためには、なるべく国が直接金を出すようなことはすべきではないということで、受信料によって運営されておる。この問題はいずれNHKの予算の審査の際に私は申し上げるのですが、問題は、郵政省が、いわゆる政府がそういう難視対策に三分の一程度金を出して、それから地方自治体が出す。この金は総額で十億に足らない。難視解消の責任は、本来NHK自体が負わなければならない責任なのです。何も国が難視解消の責任を負わなければならぬ理屈はないのです。ところが一方、国が当然やらなければならない、国が命令をする国際放送については、必要な金を払わなければならぬと私は酸っぱく言ってきたのです。ところが、NHKに必要な金を払わないのです。国際放送を命令しておきながら必要な金を払わなくて、これだけやるからこれだけ分やれ、こう言うのです。これだけ分というわけにNHKはいかぬから、したがってNHKは国際放送全体の中で賄っていく。しかしその割合は、ちゃんと国際放送の中でNHKの持ち分、国が命令した分ということを明確にして、国が出すべきものは法律で定められておるのですから国が出すべきだ。  また同じように、たとえば教育の機関であるとかあるいは福祉の機関等について受信料の免除をしております。しかし、これは本来国が福祉政策として処理をしなければならない問題であって、受信者の責任において、受信者の受信料で肩がわりをさせて、免除をすべき性格のものではないと私は思うのです。  そう考えると、本来当然国が出さなければならない、当然措置しなければならないところに対してはやっていなくて、そしてNHKがやらなきやならないところにわずかに金を出している。どうしても金を出せば口を出すことになりがちでございますから、NHKの中立性が失われていく、そういう心配があるわけです。  したがって、これはもう私も何遍も言ってきたのですが、二億か三億のはした金を難視解消だなどと言って国が出さなくても、それは国際放送の命令した必要な金が足らないのですから、これは次のNHKの予算のときに明確にしますけれども、その方にちゃんと郵政省は大蔵から金をもらってNHKの国際放送に出すべきである。あるいはまた、いま申し上げました受信料の免除をしておる、それは本来対象について国が処置をしなければならないものであるわけですから、そういうものに措置をすべきであって、難視解消に国が金を出して、NHKがやらなきやならぬ仕事を国がおやりになるということは間違いですから、この点だけは、これは郵政省一般会計の中に入っていますから、明確にしておきたいと思います。  言いたいことがあれば聞いておきます。
  140. 田中眞三郎

    ○田中(眞)政府委員 簡単にお答え申し上げたいと思います。  ただいまの先生の御指摘は、国際放送のための予算が十分でないのではないかということが一点かと思いますが、それにつきましては、まことに重要性があるということで、かねがね私ども力の限り増額を努力しておるつもりでございます。まあ交付金は九億九千八百万円、前年度より五・七%増ということで努力しておるつもりでございますけれども、これは言いわけになるかと思いますけれども、私どもの電波監理予算の伸びというものは一・五%、その中におきまして厳しい財政状況にありながら五・七%の増ということで、政府負担分の増額ということで六時間分増加を来年度において計画しておるということでございますが、なお十分であるとは思っていないところでございます。  次に、受信料の免除基準の問題でございますけれども、かねがね御指摘を受けまして、御存じのように五十三年度に、免除基準の中から六項目については廃止したというようなことで、また、五十五年五月からは、学校の中から大学あるいは高等専門学校の免除措置等も廃止いたしましたわけで、そういった観点に立ちまして、免除の見直しをなお引き続き、いろいろ連絡をとりながら、努力してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  141. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 そう言われると、もう一言言わにゃならぬ。  金がないのじゃなくて、金は難視地域の解消というなになら出てくるのです。国際放送の払わにゃならぬ金というと出てこない。これが私はおかしいと言うのです。同じ政府が金を出すのに、難視の解消でございますと言えば、NHKのやらなければならぬ仕事であるのに政府が金を出す。国際放送は、命令した分はちゃんと法律で国が負担しなきゃならない、そうなっておるのに、国際放送ですと言うと金を出さないのですよ。金がないのじゃなくて、金があるけれども、出し方が問題なんですよ。二億なり三億の金を難視解消で出せるのならば、国際放送の命令分としてこれは出すべきだ、その方がNHKの自主性を侵さないのだ、本来の任務でもある、こう申し上げておるわけで、これはいずれNHKの予算のときにもう少し明確にやりたいと思います。  大臣、いろいろ私も言いにくいこと、勝手なことを言いましたけれども、やはり先ほど堀之内さんも申しましたように、貯金にしろ、年金にしろあるいは郵便事業の問題にせよ、国民の側に立って、利用者国民を代表してしっかりしてもらいたい。そのしっかりしてもらいたいというのは、何もわれわれが郵政省の肩を持つという意味じゃございませんよ。国民の側に立ってわれわれは考えて真剣にやっているので、ある人は、わしはおやじが特定局長だけれども、わしは大蔵委員だから銀行の肩持つぜと言うた人がおりますけれども、ぼくらは、大蔵省だとか郵政省だとかいうふうに考えておりません。国民の側に立っていずれが正しいのかということを真剣に議論した。その結果、郵政省にももっとしっかりしてもらわねばならぬ、大臣にももっとしっかりしてもらいたい、そういうつもりでいろいろ申し上げましたが、行き過ぎた点はひとつ御容赦をいただきまして、私の質問を終わりたいと思います。
  142. 佐藤守良

    佐藤委員長 阿部喜男君の質疑は終わりました。  午後一時五十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後一時十六分休憩      ――――◇―――――     午後一時五十四分開議
  143. 佐藤守良

    佐藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。鈴木強君。
  144. 鈴木強

    鈴木(強)委員 最初に、提出予定法案について大臣にお伺いをいたします。  その一つは、放送法の一部改正法案のことですが、前国会にNHKの聴視料を義務化するための法律改正案が提出されておりましたが、廃案になりました。この資料を拝見しますと、検討中ということになっておりますが、もうこの国会には出てこない、こういうふうに判断してよろしゅうございますか。
  145. 田中眞三郎

    ○田中(眞)政府委員 お答え申し上げます。  放送法改正案は、受信料制度の趣旨の一層の明確化、受信者の負担の公平化に資するという観点から九十一国会に提出いたしましたけれども、審議未了、廃案となったところでございますけれども、その後五月に、日本放送協会の受信料が改正されたわけでございますけれども、その後の受信料の収納状況等を見ておりますと、目下のところ特別な落ち込みは見られないというようなことでございます。同改正案を今国会でどうするかということにつきましては、ただいま申しましたように今後の受信料の収納動向等を見きわめた上で、またその他の改正点もどうかというようなことで、慎重に検討をただいま進めておるというところでございます。
  146. 鈴木強

    鈴木(強)委員 それはもう聞き飽きるほど聞いているのです。だからもうこれは出さなくてもいいだろうということをもう一度聞いているわけです。大臣、もうこれは必要ないんじゃないですか。どうですか。
  147. 田中眞三郎

    ○田中(眞)政府委員 今国会にどうするかということでございますが、ただいまのところ提出を予定いたしておりません。
  148. 鈴木強

    鈴木(強)委員 その次に、先ほど同僚の阿部委員からも質問がありましたが、電波法の改正に便乗してというか、電波法の改正がこの国会には出てきますね。にもかかわらず、手数料の部分だけを一括して他の法律で決めるということ、これはちょっと政府の一方的な、要するに便宜主義だと思うのです、阿部委員と同じようにね。電波法が出てこないならまあまあある程度理解できるのですけれども、せっかく電波法が出てくるのに、この分だけは別の法律で出すということは、全く逓信委員会を無視しているような気がしまして納得できないわけですよ。しかも、この百三条の手数料改定については、無線局の免許申請の手数料等放送関係が六つありますね。その他船舶、航空機関係もありますが、全体で約十二億の五十六年度増収見込みになるわけです。ですから、こういったものを切り離して一括して他の法案と一緒に出すということは、私たちとしてはどうも納得できないわけです。もう一度、なぜ電波法の改正が逓信委員会に提案されるにかかわらず、この分だけ向こうへ持っていったのか、この点だけはっきりしておいていただきたい。
  149. 田中眞三郎

    ○田中(眞)政府委員 お答え申し上げます。  けさほどの当委員会でも御質疑を受けたわけでございますけれども、手数料の限度額を決める内容のものにつきましては、他に同じような法案が三十三あるということで、これは行政コストに見合った価格にするという観点からの改正でございます。一方、電波法の改正を予定しておりますその中に、改正点は四点ばかりあるわけでございます。その中の新しく導入します技術基準適合証明制度というのがございますけれども、この導入に伴いましても新規手数料の創設が必要になるかと考えております。また、二番目の柱でございます無線従事者国家試験を民間委託いたしたいというものがございます。手数料の収入区分の一部変更という内容のものでございますけれども、これらにつきましても百三条の改正ということになるわけでございます。これらは新しい手数料に関する改正といいますか、新しい手数料を導入するということでございまして、既存の手数料の法定額または上限額が単純に行政コストに見合う量かどうかという観点から改正いたします一般の行政手数料の改正案とはその性格を異にするというような考え方から、既存の手数料の改正部分につきましては一括法で他の同趣旨の手数料の改定とあわせて御審議お願いしたい、このように考えておる次第でございます。
  150. 鈴木強

    鈴木(強)委員 それは納得できないのです。電波法の一部改正がこの国会に提案をされ、私たちがここで審議をすることになっているわけですね。にもかかわらず、なぜこの部分だけ切り離したかということに対する答弁にはなってないです、これは。要するに、あなた方は九省庁三十四法律を一括してやろうという沖繩国会以来の悪いくせをますますやろうとしているのですよ。それにほかならないのですよ。ですから、今後ひとつ大臣も一これは別に電波法が出てこないということであれば多少わかるのですよ。先般の放送大学法案のときもわれわれは口を酸っぱくするほど申し上げてあるはずですね。ですから、今後こういう電波法等に関する法律等が提案される場合、その内容なんですから、それを別に手数料等を改正する法律案に持っていくということは、われわれの委員会からして見るとばかにされたような気がするのです。軽視されているような気がするのですよ。これはやはりここでやるべきですよ。そういう点は、提案権を持っているわけですから、今後ひとつ十分に内閣においても注意していただきたい。大臣の御所見を伺いたい。
  151. 山内一郎

    山内国務大臣 いろいろ先生の御趣旨はごもっともな点でございますけれども、法案の内容の相互関連性といいますか、手数料だけを見ますと、各法案にたくさん書いてございまして、一括やろうというところでございますので、それを勘案していま取り運びつつございますけれども、いまのやつはひとつやらさせていただいて、今後はひとつ慎重にやってまいりたいと考えておるわけでございます。
  152. 鈴木強

    鈴木(強)委員 ですから、これは法律として仮称ですけれども国会へ提案することになっているわけですから、今後こういう委員会軽視のようなやり方だけはやめてもらいたいと言うのですよ。そのことを聞いているのです。
  153. 山内一郎

    山内国務大臣 今後はひとつ気をつけてやってまいりたいと思います。
  154. 鈴木強

    鈴木(強)委員 次に、昨年の十月十五日に当委員会におきまして山内郵政大臣御就任後初の御意見がありまして、その節、私どもはいろいろな御意見を承りましたが、その中に郵便貯金の制限額を大体三百万から五百万に引き上げよう、それから高年層者に対する郵便貯金については別枠を設けていわゆるシルバー貯金というものの実現に努力をしたい、なおまたゆうゆうローンの貸し付け等につきましても額を引き上げたい、こういう御発言がございましたね。これはちょうど畑委員もいらしゃいますけれども、私たちの質疑の中で金額まで出ておるわけです。それに加えて、今度の個人年金の問題等もやっと、きょう委員会がある関係でやったのかどうか知りませんけれども、妥協の産物で七十二万円ですか、当初の私たちの願い、それから国民の願いというものを踏みにじって、そして中途半端な妥協案が出てきた。まことに私は残念に思っているのですね。  少なくとも大臣が御就任になられて、われわれ委員に向かって、こういうことをやりたい、われわれも万雷の拍手を送って、ぜひひとつ大臣にやってほしい、そういう期待を持って大臣の政治的な手腕をずっと見守り、またできるだけ応援をしてきたつもりです。ところがいよいよふたをあけてみると、シルバー貯金もだめ、限度引き上げもだめ、ゆうゆうローンの引き上げもだめ、個人年金についてもすったもんだですから、しかも個人年金をやる場合に金利の一元化ということを何か一本とられて、それについては――私はきょう朝日新聞をちょっと見たのですが、七十二万円にするかわりに金利の一元化をのんだように書いてある。これでは何をやってきたのだかさっぱりわからないわけですね。  私は、大臣が大いに努力をしてくれたことは認めますよ。しかし、結果的にわれわれの願いを裏切ると言うとおかしいですけれども、沿い得なかった結果になる。そういうことに対してもきょうの所信表明の中に一言半句も書いてない。もう少し、やってみたけれどもどうだったとか、そういうことは謙虚に国民の前に所信表明すべきだと私は思うのです。それがないから私はここで聞くのです。努力をしたけれどもだめだったと言うけれども、どういう努力をしてだめだったのか、それを明らかにしてもらいたい。
  155. 山内一郎

    山内国務大臣 私、就任して間もなくであったかと思いますけれども、郵便貯金の限度額三百万円を、非常に少いからもっと上げてもらいたい、そこで三百万円を五百万円とこういう提案を考え、もう一つは退職者の方が退職金をお預けになるのに、シルバー貯金と言っておりますけれども、一千万まで預けられるようにして、ともに利子に税金がかからないようにしよう、かかるのなら大したことはございませんけれども、利子にかからないようにということで、重点を置きまして大蔵省と折衝したところでございます。  ところが大蔵省は国家財政緊急ということを一本やりにして、増税をしなければいけない、国民の皆さん方に対して非常にあれでございますが増税をせざるを得ないというような財政の内容になっているわけでございまして、増税するのに、こちらは増税とは言いませんけれども、ある程度減税になるわけでございますから、三百万が五百万になれば減税になる、こういうことでございますので、二つの政策を一緒に受け入れるわけにはいかない、ことしはどうしても勘弁してもらいたい、こういうような事情からできなかったということになっているわけでございます。
  156. 鈴木強

    鈴木(強)委員 それは素人に言う話だと、ああそうかなというふうに聞こえるかもしれませんよ。しかし、これはわれわれに答弁するのには少し納得のできない答弁ですよ。なぜならば、郵便貯金財源というのはほとんど財政投融資として国家のために使われているじゃないですか。ですから、多少の優遇措置をやるのが郵便貯金の特質なんですよ。きょうも大蔵の課長が来ていろいろ言っていましたけれども、つまらないところにへ理屈をつけて、そして民間の保険会社の方にくみするわけです。これだって明らかにそうじゃないですか。郵便貯金が六十兆、七十兆になる、けしからぬ、そこには脱税行為があると言う。郵政省はそうでない、しかしグリーンカード制で五十九年からやろうということになっておるわけです。ですから、その理由だけでは国民は納得できませんよ。問題は、誠心誠意やったんだが、結局大蔵サイドに郵政大臣が負けた、そういうことなんですか。  ゆうゆうローンだって七十万を百万にする、予算折衝の段階でぴしゃっと削られちゃった。もう少し大蔵省が郵便貯金についても民間の貯金側につかないで、どっちが便利か、さっきもお話がありましたが、国民は民間銀行と郵便貯金と預ける場合に一体どっちが便利か。要するに国民を主体にして考えなければならぬのですね。何か官業が民業を荒らしているとか、そういうようなところに事を発展させてしまうおそれがあるのです。郵政審議会等もあるわけですから、そこらにも十分な根回しをし、御協力を得て、もっと政治勢力をつくり、われわれも一緒になってがんばれるわけですから。  そういう意味において、今回、残念ながら力不足してできなかったが、大臣としてはさらに勇気をふるって、自分が北陸地方の視察の際にわざわざ記者会見もして、そしてその所信を表明しているし、この委員会においても、はっきりここに議事録を持ってきているし、そのときの所信表明のあれがありますけれども、そうおっしゃっているわけですから、言ったことはやはりやる。やれないことは初めから言わなければいいんですよ。言えば、やると見ると言うんだ、みんな。そういうような信念を持って政治家は立ち向かっていかなければいけないと思います。  ただ、それは内閣の中でいろいろ意見もあるでしょう。ですから、そういう点をやはり郵便貯金者の立場に立って、国民の立場に立って郵政大臣が勇気を持って、場合によったら辞表を出すくらいの決意を持ってがんばってくれなければ、これは守れませんよ。前進しませんよ。結局大蔵省の言うとおりにまるめられちゃって、やりましたけれどもできませんでしたということでは、そういう話は私たちはもう二十何年問聞いている。だから、大臣としての主体性といいますか指導性といいますか、そういうものが国民から非常に疑問視されるんですよ。だから、やはりやれることはやれる、やれないことはやれないではっきりしてもらいたい。  あなたが今後さらにどこまで大臣をやられているかわかりませんが、大臣をやろうがやるまいが、あなたが大臣として御就任中に国民に向かって話したことは、実現のために全力を尽くしてやるという決意をいまお持ちですか。大変失礼ですけれども、ちょっと聞いておきたい。
  157. 山内一郎

    山内国務大臣 先ほど申し上げたような情勢でございましたけれども、これで決してあきらめたわけではございません。さらに引き続いてこの実現のために最大の努力をしてまいりたい、こう考えているわけでございます。
  158. 鈴木強

    鈴木(強)委員 ぜひひとつこれからもがんばっていただきたいと思います。  それから、FM放送のことでちょっと伺っておきたいのです。  わが国にFM放送ができましたのは昭和四十四年の十二月、いろいろ問題がありました。大変な問題がありましたが、エフエム東京というのができ上がりました。この放送のやり方についても、最近私のところにもいろいろ疑問の点があるからということで投書も来ておりますが、きょうはそれは時間の関係で割愛します。ちょうど九年たった五十三年の十二月に、札幌、仙台、静岡、広島、熊本、この地域に予備免許がおりました。五十五年五月に金沢、松山、長崎に周波数の割り当てがありました。最近松山地区には予備免許がおりたようでございますが、どこを実際主体にしてやるかということに対して地元における大変な混乱が各地において起きているようでございます。  それはさておくとして、こういうふうに何か細切れ的に一つ出し、二つ出しいくようなやり方はだめですよ、こんなことをやったのでは。NHKは全国に、全県に各放送局があり、その放送局がFM放送をやっているわけです。小林武治大臣の当時に決めたあの方針があるならば、その方針に基づいてちゃんとやりなさいよ。それをこういうふうにして、どういう理由かわかりませんよ、地元の意見が強かったのか強くなかったのか知りませんが、それはどこの県だって早くやってもらいたいということは異口同音に言っているのです。ちゃんと全国のチャンネルプランをつくって、そしてあなたのところはいつまでにやります、申込者があったら出してください、そして公平に免許を認めて、そしてそれが一日も早く運営できるような、そういうことにこそ力を入れるべきであるが、どうもわれわれにとっては納得できないような免許の仕方がやられておるので、これはこれとしても、今後残された地域については一体どうするのか、この前の委員会でも私は聞いたのですけれども、わかったようなわからないような答弁をしているのです。その方針をひとつ示してください。
  159. 田中眞三郎

    ○田中(眞)政府委員 民間FMの普及のお話かと思いますが、先生ただいま申されましたように、東京、大阪、福岡、名古屋の四地区に昭和四十四年ないし四十五年において免許が行われたわけでございます。その後数年間国際的に中波ラジオの行方がどうなるかというようなことで、一時凍結したと申しますか、FMの免許は行われなかったわけでございますけれども、五十三年十二月になりまして、北海道、宮城、静岡、広島にいわゆるチャンネルプランの発表と申しますか、FMを割り当てたわけでございます。引き続きまして、五十五年六月になりまして石川、長崎、松山に割り当てたわけでございますけれども、ようやく松山につきましては去る二月六日になりましてまとまったということで、十数年ぶりに五番目の局と申しますか、電波が出るというような状況になっているわけでございます。  今後どうするのかということでございますけれども、新規割り当てにつきましては、今後とも原則として県域を単位といたしまして全国普及を図っていくという考え方でございます。ただ、周波数割り当てに当たりましては、県域放送としての経営の可能性、あるいはまだ残っております中波放送の外国混信対策がどの程度必要であるか、なおその当該地域におきます放送需要というようなものを総合的に勘案の上、できる限り早期に普及を図る見地から積極的に検討を進めてまいりたいと考えております。
  160. 鈴木強

    鈴木(強)委員 電波監理局長、こっちで聞きたいことだけ答えてください。まくら言葉は要らないんだ。そのためにこっちはちゃんと言っているんだ、時間がないから。原則論だとか、県域単位でやるとか、そういうことはわかっていますよ。  問題は、そういうふうになっておりながらなぜ細切れにぽつぽつとやるのかということなんです。その背景に何があるのか私たちは知っていますよ、それはここでは言いませんけれども。公共の電波というものはそういうことではだめなんだ。だから、これをこれから割り当てる場合に、経営の可能性があるかどうかなんということを言っているわけだ。  当時UとVとの混在方式でやる場合に、Vのあるところ、たとえば山梨県のようなところにUを持っていったって経営的に成り立たぬだろう、だからUなんか割り当てなくていいと私は言った一人なんですよ。ところがあなた方は、いや、それはもう経営は成り立つ、成り立つと言って、あんな山梨県の、八十万の県民で県予算が二千二百億くらいの県で、私は当初は非常に心配した。結局Uをつくってそれが赤字で――取り入れることになったならば、公共のための電波ですからね、そんなわけにはいかない。だから慎重だった。そのときにあなた方は、そんなことはわれわれが言っても全然耳をかさなかった。やればできる、下から需要があるからやるんだと言ってやったじゃないか。いまごろになってわれわれがあの当時言ったようなことを言い出しているというのは、これはおかしいんだ。だから電波行政というものは戦後一貫性が全然ないんです。そのときばったり。こう行って、右行って左行って、そんなことで日本の電波が正しくやれますか。私はそこを言いたいのですよ。     〔委員長退席、堀之内委員長代理着席〕  それから、中波の混信状態を見てなんて、そんなことはもう何年たっているのですか。まだ混信するかしないかのこと一つ研究できないのですか。電波監理局というのはそんなに貧弱なんですか。そんなことはわれわれに通用しない。だから、もうさっさと割り当てをして――たくさんの人たちが競願しているんだ。だから、放送の一社独占、そういうことは原則として貫いておられるわけですから、さっさと各県に周波数を割り当てさせなさいよ。大臣、そうしなければこれはだめですよ、結局ぶん取り合戦で。だから、この免許のあり方についても、臨時放送関係法制調査会から出ているように、委員会をつくってそこで免許を許可するようにしなさい、郵政大臣の手から離してやりなさいということくらいまであそこにも書いてあるし、戦後の免許の仕方の歴史を見ると、いろいろな問題があったのですよ、われわれから見ると。だから、早く大臣が命令して、そして全県に、残されたところに割り当てしていつ幾日までに――大ぜい申請者が出ているのですよ、みんな。そこへ割り当てたらいい。ちゃんと成り立っていきますよ。皆さんが心配するようなものではない。これはUやVのテレビ放送局と違ってそんなに金もかからぬ。やれる。どうぞひとつ、決断ですよ。いままで何回もやってきた。一つも動いていない。同じことを繰り返している。大臣の決断以外にないですよ。どうですか、大臣。やってくださいよ。
  161. 山内一郎

    山内国務大臣 私が大臣に就任いたしまして、FM、それからUHFもありましたけれども、ある地域に波の割り当てが出ているわけでございます。ところが、やろうとする人がなかなか出てこないという地域もその中に入っている。(鈴木(強)委員「FMを言っているのですよ」と呼ぶ)FMもそうでございます。(鈴木(強)委員「そんなことないですよ」と呼ぶ)それから、盛んにやりたいという人がたくさん競願になっているというところもある。  そこで、どうしてこういうことになっているのかという、やりたいという人もいないというのにいろいろ波が出ているかという点につきまして、私は、いま鈴木先生のおっしゃったように、やりたいという人がいる地域にはどんどん出したらどうですか、こういう方針に切りかえまして、いわゆる波を先に出さないで、やりたいという人がおいでになるところに波を出すようにしなさい、こういう方針でいま切りかえてやっているわけでございます。
  162. 鈴木強

    鈴木(強)委員 全国の県を全部調査してみて、私のところはFMは要りませんという県が幾つあるのですか。
  163. 田中眞三郎

    ○田中(眞)政府委員 お答えいたします。  ただいま先生が御質問のような観点から何か調査をするなり意見を聞くというようなことはやっておりませんので、数字的には把握をしておりません。
  164. 鈴木強

    鈴木(強)委員 把握していないなら、やり手がない県があるなんということは、大臣、何を根拠にして言っているのですか。
  165. 田中眞三郎

    ○田中(眞)政府委員 多分、大臣がおっしゃられましたのはUHFテレビのところかと思いますけれども、すでにチャンネルが出ておるところにつきまして、FMにつきましてはどことも希望者は出ておると思いますけれども、テレビなどにつきましては比較的何カ所かについて、そんなに多くはございませんけれども、本当の意味では希望者が、申請者が出ていないというところもあるわけでございます。その辺のことをおっしゃったので、FMのことをおっしゃったのではなかろうというふうに訂正させていただきます。
  166. 鈴木強

    鈴木(強)委員 あなたは部下だから大臣の都合のいいような解釈を言っているけれども、そうじゃないんだ。私はいまFMで質問しているわけだよ。FMでもって要らないところがあったらお目にかかりたいと思ったから聞いたわけだ。どこの県に行ったって早くやれと、NHKはどんどんやっておるわけですよ。これはFMの時代が来ているのですよ。ステレオだってそうでしょう。だからして大臣、早くチャンネルプランをつくって、そしておやりなさいと言っているのです。  これはもう小林武治先生がいたころ、やはり外国との混信等もありまして、AMとFMをどうするかということも論議したんですよ。U、V混在の問題をどうするか、いろいろ検討した結果、やはりFMに移行していく、中波のAMというのをできるだけ公共的な施設に使っていくんだということで方針が決まっているんだ。にもかかわらずそれが一つもやれないから、、ぼくが毎年毎年質問すると、何かしらやるようなことを言いながら一年延ばし、一年延ばしになっちゃって、三年来ると申請したものが却下されていく。出した人たちから見るとどういう気がしますか。郵政省は一体何をやっているんだ、やはりこういう不満の声すら上がっているんですよ。だから、せっかくある電波なんですから、これは早くやって、そしてそれぞれの県で、NHKと並んで民放のFM放送が聞けるようにしてあげなさいという全く筋の通った話をしているんですよ。だから大臣、ぜひひとつ電波監理局長に命令して、早くそのチャンネルをつくれ、そして需要にこたえなさい、こういうように言ってください。
  167. 山内一郎

    山内国務大臣 私、就任して以来、FM、UHFも、両方でございますけれども、やらさしてもらいたいという県もございますし、それから全然出てこない県もあるんですね。私もいろいろ陳情を聞いておりますけれども、FMは現在は七つぐらい出ておりますけれども、急いでひとつやってくれないかという県は二、三の県しかないんですね。鈴木先生のようにずっと全国的にというような声がありませんで、割り当てのしていないところで一、二やらさしてもらいたいという県がありますから、そこは準備のでき次第ひとつ監理局長に、これはすぐ出すようにしなさい、こういうように言っているわけでございます。
  168. 鈴木強

    鈴木(強)委員 大臣、大臣も役人を長くやられておりますから、だから自分の言ったことについては、何か合法化そうというような、大変失礼ですけれどもね、そういうことは私は政治家としてはおかしいと思うんですよ。ぼくはVHFやUHFの話をしているんじゃないですよ。現に全県からやってほしいという希望が来ているんですよ。これは一つであるか二つであるか知りませんよ。わが山梨県なんかはもう何回も何回も申請して、その都度却下されてみんな頭に来ているんですよ。あなた、せっかく書類をつくって、印紙を張って、それで出したものが却下されたときの申請者の気持ちを考えてごらんなさいよ。そういうものが何年続いているんですか、ぼくが言っているだけでも。ほかの県だって同じようですよ。だから、もう一度実情調査をさせるならさしていいですよ、さしてくださいよ。そうして希望のあるところにはもうどんどんと割り当ててやらせる、そういうくらいなことは、これはもう大臣の権限なんです。そうですよ。ですから、ぜひそういうふうにしてほしい。  何といいますかな、お役人さんというのは、これは大臣に言うばかりじゃないんだけれども、一遍言い出すと、われわれが追及してもそれを何とか合法化しようとしてへ理屈を持ってきては、こうでもない、ああでもないと言ってすごく積み上げをするわけだ。これが一番官僚の悪いところだ。私はもう長いことこれを言っているんですがね。ですから、自分のやったことが悪かったら悪い、申しわけない、率直に謝って、そしていい方向にすればいいんですよ。われわれだって自分たちの言っていることが絶対だなんて思っていませんよ。ただ、長くこういう立場におって、電波関係については二十二年近くぼくらも国会でやっているんですから、その歴史はちゃんと知っていますよ。ですから、そういう意味において政府を鞭撻して、そして何とかして早く利用者の期待にこたえてほしいという願いを私は全身にいっぱいしょって、この前の委員会でも申し上げたのです。しかし、まだ検討しているというようなことだからあのときは私はおきましたけれども、きょうはちょっとがまんできないものですから、ぜひひとつ大臣に、官僚の経験も持っておられるし、よくわかっていただけるだろうと思いますから、ぜひそういう必要なところには早く割り当てしてやらしてください、私はこういうことをお願いしているのです。
  169. 山内一郎

    山内国務大臣 私、これで鈴木先生と全く同じ意見なんです。それで、電波監理局も最近非常に張り切ってまいりまして、積極的にやっているつもりですけれども、なお足らざるところがあるようでございますので、一層やらさしてまいりたい、こういうふうに考えております。
  170. 鈴木強

    鈴木(強)委員 どうぞそれはお願いします。  それから、大臣は、御就任後の昨年の八月二十九日から九月四日までの六日間にわたりまして中国を訪問されておられます。これは先方の御招待によって行かれたように伺っております。電気通信関係については、中国はかなり立ちおくれていると私は見ておりますので、その際いろんな御相談があったと思うのでございますけれども、大臣と向こうの王さんという方でしたか、何とか部長さんとの間でお話し合いがなされたことについて、もしお差し支えがなければ、時間もありませんから、概略教えていただきたいと思います。
  171. 山内一郎

    山内国務大臣 昨年八月、向こうの郵電部長郵政大臣ですが、招待を受けて行ってまいったのでございますが、向こうと話し合いましたことは、日中事務当局間でひとつたびたび会合を持とうじゃないか、技術交流の問題ですが。それから、中国郵電部の幹部の方を日本のセミナーに招待をしよう。それから職員の交換の実施をすることによって技術交流をする。やはり主として技術交流の問題が中心なんです。中国のどこの施設をやってくれという話は全然出ませんで、私が視察した範囲では、中国も一生懸命に努力をされておりますが、ただ技術の面でもう少し足らざるところがあるから、ひとつ大いに交流をやってもらいたい、こういう趣旨がその会談の中心であったわけでございます。
  172. 鈴木強

    鈴木(強)委員 そして、その具体化のために何かおやりになっておられるのでしょうか。
  173. 奥田量三

    ○奥田政府委員 郵政大臣が昨年訪中しましたときの話し合いの中心的なポイントは、いま大臣からお答え申し上げたとおりでございまして、そのうち、中国郵電部幹部を日本のセミナーに招待することにつきましては、これは五十六年度に第一回を実現したいということで、私どもいま担当者レベルで逐次事務的な準備を始めているところでございます。  また職員の交換の問題につきましては、過去においても郵政省あるいは電電公社、国際電電で若干のそのような例がございますけれども、昨年の大臣の訪中を契機といたしまして、またその前後に、電電公社、国際電電それぞれのトップの訪中もございまして、そういうことをきっかけに、職員の交換についてはこれからますます活発にしていきたいという考え方が出てまいっております。  またそういった状況を受けまして、通信関係の各機関相互に連携をとりながら日中の協力を進めていくことが必要であろうということで、昨年の秋、大臣の帰国後におきまして、郵政省電電公社、国際電電、NHKといった関係機関で日中の技術交流に関する連絡協議の場を設けまして、寄り寄り相談をしながら、日中協力推進をいたしてまいりたいと努力をしております。  なお、つけ加えまして、政府レベルでの日中の技術協力でございますが、これは過去において余り例を見ませんでしたが、昨年の秋口、初秋以降、政府レベルの技術協力といたしまして、日本政府から初めて通信関係の専門家二名が中国に派遣されるというような事実もございますし、また中国からの研修員の受け入れも、五十五年度、これまでにすでに二十名に上るというふうなことで、逐次成果は上がっているものと思います。しかしながら、他の国々との通信関係の技術協力に比べますれば、まだまだ日中の関係においてはわが国としても協力すべき分野が質的にも量的にも多いものと考えておりまして、今後一層力を尽くしてまいりたいと考えているところでございます。
  174. 鈴木強

    鈴木(強)委員 私、最近、中国からいらした友人と話ししたのですが、たとえば天津あたりでも人口七百万ぐらいある。ところが、そこにはまだ電話というのは小学校に二つか三つくらいしかなくて、ところどころに公衆電話がある程度で、民間の家庭なんかにはほとんど電話はないらしいんですね。ですから、その人の言うのには、日本に来てみて非常にびっくりした、電話に関する限りは五十年から七十年おくれているでしょうというようなことを率直に述懐しておりました。私は不幸にしてまだ向こうに行っておりませんから、そういう実情はわかりませんけれども、その友人、個人ですけれども、何とか日本のすぐれたこういう技術あるいは機械を、中国との間でうまいぐあいに話し合っていただいて、われわれも早くこういうりっぱな電話を使うようにしたいなという話をつくづく言っておりました。たまたまそのとき私は、大臣が中国へ行かれたことを思い出しまして、そうだな、あのときにどういう話があったのかなというようなことも連想しまして、きょう伺ったわけですが、中国は一衣帯水の間柄にありますし、歴史的にも民族的にも非常に深い関係にあるところですから、他の国も、もちろん発展途上国とおっしゃるような国に対してもそうですけれども、特に中国に対して、もう少し積極的にわが国の方から手を差し伸べてやったらどうかな、こういうような気がするわけです。それには、いま官房長がおっしゃったように郵政省がイニシアをとっていただいても結構だと思いますが、何といってもその主体は電電公社でしょうから電電公社、国際電電、それからテレビ等についてもまだおくれているようですからNHK、そういうようなところとよく話し合いをしていただいて、早急にそういう方向を打ち出していただけるような御努力をひとつぜひやってほしいな、こう思っておるものですので、大臣の御所見も伺っておきたいと思うわけです。
  175. 山内一郎

    山内国務大臣 いろいろお話をしておりますと、いろいろな建設は自分のところでやりたい、ただ、建設するのに技術の点がおくれていれば援助してもらいたい、こういう国の基本的な方針のようでございます。したがって、建設もこちらがやれるような段階になれば、優秀な技術がございますから、どんどん建設も分担するようにしてやりたいと思っておりますけれども、現在のところはそういう情勢でございますので、技術交流を主としてやっている、こういう状況でございます。
  176. 鈴木強

    鈴木(強)委員 そういう中から、技術が必要であればその技術に対してどうするかということにも発展していくわけですから、そこを起点にして全体的な問題に対して日本が協力できるならば大いに協力をしてやった方がいいじゃないか、こう思いますので、御苦労ですけれども、ぜひ今後協力してやっていただきたいと思います。  今度は、電電公社の方にお伺いをしたいのでありますが、真藤総裁には一月五日に電電公社総裁に御就任になられ、以来、非常にむずかしい情勢の中で日夜御苦労いただいておりまして、私ども心から敬意を表している次第でございます。  先ほど、堀之内議員の方から、総裁になられての御所信と申しますか、きょう御説明になられたほかに若干の質疑がございまして、私はよく聞いておりました。総裁がまず一番におっしゃったのは綱紀の粛正に力を尽くして国民信頼を得たい。二つ目には、民営に比べて非能率的な面があるようにも思われるので、何か特別な組織をつくって動き出しております。三つ目に、電話に関する限り、まあ要するに、その表現はどうだったか知りませんが、最高水準のものに至って、よく発達してきている。しかし、これからは電報とか電話とか、そういうものより以上に、データとかファクシミリとか、いろんな多様化する国民のニーズがあるでしょう。したがって、それにこたえるための技術の革新と、それからそれをやるためについての利用者とのコンセンサスを得る必要がある、その点に努力をしたい、こうおっしゃいました。四つ目には、資材調達等についても、とかく電電ファミリーというようなことを言われておるが、そうでないような形にしていきたい、こうおっしゃいました。私は、いずれも当を得た、御就任後まだ日浅い中で急所をつかんでおられるなというふうにお伺いをしたのでございます。  この四つの中で、二番目に、民営に比べ非能率的な面があるように思われる点があるということもおっしゃいましたが、もう一つ私が総裁にお伺いをしたいのは、御承知のように日本電信電話公社昭和二十七年十月に発足をしまして約二十八年間たっております。この間に、非常に中途半端な、予算は、款項目節、国会承認を得る、団体交渉によって賃金が決められない、いろんな制約がございました。しかし、その中で、四千万近い電話を完全に自動化し、どこへでも通ずるような電話をつくりました。同時に、申し込めばもう二、三日でつくような電話になったわけです。この偉大な事業をなし遂げたことは、これは事実であります。  ただ、私たちはもっと現在の公社制度というものが、昭和二十九年にあるいは昭和三十二年にそれぞれ公共企業体審議会等から答申をされました幾つかの答申がございますが、公社に対する弾力性の問題あるいは予算に対する弾力性をもっと与える問題、そういった幾つかの問題がございまして、そういうことがなされておれば、もっと早い時期にもっとりっぱな事業ができたのではないか、こういうふうに考えるわけです。したがって、公社制度の改革というものについて、正直言って給与問題なんかについては総裁には当事者能力がないわけですね。そんなわけで、大変そういう点はお困りじゃないかと思うのです。公社制度について幾つかの問題点があると思いますが、まだ短い時間でございますから、大変失礼な質問をするかもしれませんけれども、そういう面で、就任されまして、ここはこうしたら非常にいいというような率直にお感じになった点がありましたら、四つの点につけ加えて、もしありましたらひとつ聞かせていただきたい、こう思うわけです。
  177. 真藤恒

    真藤説明員 まだ就任間もございませんので、ここで申し上げることが今後訂正する必要があることもあるということを前提にお聞き願いたいと思います。  着任いたしまして、いろんな審議会あるいはその他の政府に対する公社の扱い方ということについての結論、あるいはいわゆるレコメンデーションというふうなものを拝見いたしましたが、現在においては、ほとんどそれが具体化されていないというふうに私は解釈しております。いま御質問の中にありました人事問題、ことに給与問題に関する総裁としての公社当事者の自主性といいますか、当事者能力といいますか、こういうものに対しても、こういうふうに過去にレコメンドしてあるので、これができておればいろんな問題は非常に簡単に片づき、また従業員の自主的な勤労意欲、また経営サイドの幹部の責任感もずいぶん現在とは違ったものになっておるんじゃなかろうかという点を二、三見つけております。この点は今後またこういう場で見直していただくか、今度のいわゆる第二臨調でまた何かの御意見が出ると思いますが、そういう機会に何かの解決策が、進歩策が具体化していくということを希望しておる次第でございます。  平たく申しまして、国家機構の全体の中の電電公社総裁という立場は、ちょうど大企業の工場長、地方にたくさん工場を大企業は持っておりますが、その工場長にほとんど似ておるんじゃないかなという感じをいま持っております。権限その他、人事問題その他に関しましてそういう感じを非常に持っておりますが、ただ、この人事問題、給与問題だけが大工場の工場長と違っておりまして、ほかの手順はほとんど同じようでございます。  それから独占企業でございますので、国の行政の監督それから国会でのいろんな監督なり質問なりというのを受けるのは、これは当然のことだと了解いたしております。国会先生方の御叱責なり御注意、それから行政府からのいろんな御注意、指導というもののみが外部からの刺激でございまして、競争の原理のない独占事業というものの欠点を補うのは、いまの制度の中ではこれよりほかに方法はないということは十分了解いたしております。
  178. 鈴木強

    鈴木(強)委員 大体急所をつかんでおられるように拝聴しました。  それで実は、いまお話にもありまして、私も指摘しました昭和二十九年十一月四日に臨時公共企業体合理化審議会の会長原安三郎先生から、当時の内閣総理大臣吉田茂さんにあてた答申が一つ。それから昭和三十二年十二月二十五日、公共企業体審議会会長石坂泰三先生から当時の岸信介内閣総理大臣にあてた答申がございます。それからもう一つは、昭和三十九年九月二十九日に答申になりました公社制度に関する審議会というのがございまして、これは公制審と言っておるのでありますが、これを見ましても、もう思い切ってたとえば予算制度についても拘束予算制度を廃止しろ、そして思い切った自主性を与える方がよろしい、これは公制審の三十九年九月の答申にも出ておりますし、それから三十二年と二十九年の答申にも同様なことが出ておるんです。  私は、これにつきましてはもう毎年毎年予算委員会で歴代総理大臣にも質問をしましたが、もっともだ、検討する、やりましょうということでもって、とうとうたなざらしになって今日に至っているわけですよ。私たちはもう業を煮やしまして、昭和三十六年の四月に、社会党が実はこの答申に基づく法律改正案を出しました。私は当時参議院におりましたが、提案の理由を衆議院にも来ましてやったんです。ところが結局審議未了に終わってしまったといういきさつもあるわけでして、総裁もくしくもおっしゃるように、私もそう思うのでありますが、あの当時もう少し日本の公社企業というものが、これは国鉄も同じでありますし、電電も専売も同じでありますが、こういう答申を受けてまじめに政府がこれを取り上げて、そして改正すべき点は改正してやっておったら、もっとりっぱなものになっておったんだろうと悔やまれてならないわけです。私どもも力が足りなくて申しわけないと思っておるわけでありますが、本来は政府がその気になってくれなければこれはできないわけでございまして、そういう中でもって従業員、経営者大変苦労しながら仕事をやってきたというのが実情だと思います。それで、これは大臣御就任のときにもちょっと私は申し上げたのですけれども、一遍大臣にもこの答申をよく読んでいただいて、そして一回委員会においても、この問題に限った集中審議みたいなこともやってほしいというようなことも考えておったのです。これは委員長もひとつぜひ、これからも、まだきょう終わるわけではないのですから、この国会中にでも一回そういうふうな場をつくっていただいて、本当に公共企業体というものを所期の目的を達成できるようなりっぱなものにするために、足らざるは補い、悪いところは直して、民間と官業のいいところを入れて、そして思い切ってやれるような体制をつくるためにそういう時間をとっていただきたいと思うのです。ひとつ次回でも御検討いただくように、私も理事会に提案しておきましたけれども、そんなふうにお願いをしておきたいと思います。これは委員長、いいですか。
  179. 堀之内久男

    ○堀之内委員長代理 委員長の方によく伝えておきます。
  180. 鈴木強

    鈴木(強)委員 そういうわけですから、きょうはこの問題について突っ込んだ質疑が時間的にもできませんので、そういう場所をまた設けていただいて、そのときにはひとつフリートーキングみたいな形でぜひ大臣にも御出席していただいてお願いしたいと思っております。  それからその次に、これは非常に残念なことでございますが、私ども昭和五十四年度会計検査院からの報告書を拝見しました。詳細に不当事項あるいは不正経理事件ということに対する内容は読ませていただきました。  そこで、時間もありませんから、その具体的な内容がどうとかというようなことは、あの内容を報告書で見ておりますからここでは特に取り上げて申しませんが、総裁もおっしゃったように、綱紀を粛正して国民信頼を得るんだ、こういうことはやはりこの問題とも深いかかわり合いを持っておるものと思って私は聞いておったわけであります。  そこで、会計検査院から指摘をされております不当事項というものとどうかすると不正経理問題というのはごっちゃになりまして、そして非常に誤解したような考え方が国民の中に流れているようにも私は思うのですね。ですから、その辺はひとつ明確にしておくことが必要であろうと思います。そしてその責任はだれが負うのか、そういうことを明確にして国民の皆さんにも実態を明らかにする必要があると思います。そして私どもは、今後このような不祥事件が絶対に起こらないように、そのための具体的な対策というものをちゃんと立てておくことも必要だと思います。そして失われた国民からの信頼というものを取り返すことが、今日電電公社に課せられた重大な使命であろうと思います。  いまも申し上げましたように、戦後非常に苦しい中から、汗と涙を流しながら昼夜を問わずがんばってがんばってがんばり抜いて、そしてみんながびっくりするような電信電話事業の拡充発展をしてくれたことは事実でございます。そういう中にこういうことがひょっと出ますと、九仞の功を一實に虧いてしまう。優等生が一遍に落第生みたいな形に扱われてしまう。そういうことから、一部の人たちのやったことが全体の従業員の士気に影響するのは当然です。ですから、こういう点にひとつ意を置いていただいて、総裁がさっきおっしゃったような、これから再び起こらないという、そういうしっかりした体制をひとつつくっていただきたいと思います。  それで、その不当事項あるいは不正経理問題、あれを見ると、報告書の中に明らかになっておるのですが、これらの問題について若干――総裁、いつかテレビで私たまたま総裁の御発言を伺ったことがあるのですよ、朝の時間でございましたか。なるほどうまいところをついていらっしゃるなと思いましたけれども。そういう点で、そこいらの問題と、これからの総裁としての決意を最初に伺いたいと思います。
  181. 真藤恒

    真藤説明員 着任いたしまして、いろいろ不正経理の問題、話を聞き、事情を調べてみまして、いまの私の頭の中には、これは二つの性質の問題があるというふうに解釈しております。一つは、正当でない手続で公の目的に流用した問題と、もう一つは、正当でない手続をもちまして自分たちの会合費、あるいは公務上に幾らかの関係がある会合費、あるいはその他に流用したという、全然違った性質の問題が二つ同時に発生したものだというふうに考えておりますが、いずれにいたしましても、組織全体の中でそういうことが大がかりに行われておるというところに経営としての根本問題があるのだというふうに解釈いたしております。  したがって、こういうことは、さっき申しましたように、一番国民信頼感を損なうものでございまして、そうでなくても最近の風潮では、国営の独占企業というものに対する何とはなしの一般民衆の、ことに民間の企業に携わっておる国民の反感が根強くあるところにこういう問題が表面に出るということは、決定的な打撃を受けるということはもちろんでございます。その点、さきに申しましたように、こういう問題を綱紀粛正というやり方で締めていく。しかし締めていきますのには、後ろ向きだけの措置で締められるものではございませんので、多人数の人間の集団の心理状態といたしまして、あすに希望を持たせるやり方をやりながら締めていくというやり方をやっていきたいというふうに考えております。
  182. 鈴木強

    鈴木(強)委員 公社には経営委員会が任命する監事というのがございますね。二人いると思いました。任期三年。監事というのは、公社業務を監査し、その監査の結果を経営委員会に報告する義務を与えられているわけですね。先般、この監事の報告というのをちょっと私も拝見いたしましたが、具体的な経理面といいますか、予算の執行、そういった面まで深くタッチしているのかどうなのかちょっと疑問に思ったのです。それがやれるのかどうなのかということも、ちょっとこの表現では――業務を監査するのですから、財務、会計でないですからね。全体を見れると思うのですけれども、ウエートが、業務監査というところに重点が置かれているのじゃないか、こういうふうに思うわけです。ですから公社の場合でも、内部牽制組織というものはかなりしっかりしたものをつくっていると思うのでございますけれどもね。ですから、そういうものはあったとしても、本来は一人一人の経営者が――責任はぼくは経営者にあると思うのですよ。ですから経営者が本当に、公社人としての自信とプライドを持って、そして公僕として日本の電気通信事業のために命をささげて一生やるのだ、そういう観念に徹しておることが必要だと思うのですね。そういう倫理的な面における教育、啓蒙といいますか、そういったものがやはり一番大事だと思うのですよ。  ですから、いまの経営委員会も重大な決定権限があるにかかわらず、非常勤であり報酬も全然ない、その手下になるスタッフも全然ない。ですから何か孤立無援のような形の中で経営委員の五人の方、それから二人の準経営委員、七人おるわけですが、そういう方がやっておられると思うのですが、やはりこの経営委員会というものの機能をもう少し強化することも必要でしょうし、それから監事制度そのものについても再検討を加える必要があるし、たとえば監査委員会というようなものをつくって財務、会計等、厳重なチェックをするというようなことも一面は考えておく必要があると私は思いますが、いずれにしても今回起きた責任の所在というものを明確にし、そしてその上に立って再び問題が起こらないような配慮というものをしておく必要があると思うのですが、もう一度総裁、その点いかがでしょうか。
  183. 真藤恒

    真藤説明員 いまのお話の点、私も感づいております。これはしかし長い歴史もございますし、あれでございますが、さっき申しました一連の中で時間をかげながら考えていきたいというふうにいま考えております。具体的にいまここでどうというふうに申し上げるところまで、私の考えはまだまとまっておりません。
  184. 鈴木強

    鈴木(強)委員 大臣、いまお聞きになっておられまして、こういう事件が起きまして大臣も責任を感じておられると思いますが、いま総裁のおっしゃったように謙虚な気持ち、そしてやはり全体が姿勢を正していこうという気持ちに徹して公社はいま行こうとしているわけですね。ですから、これからもこういう事件の起こらないように十分な配慮をしていただいて、御指導をいただくということが必要だと思いますが、この件に対して大臣の所感をちょっと聞いておきたい。
  185. 山内一郎

    山内国務大臣 私も電電公社会計検査院の報告を聞いてまことに残念で、遺憾で、これ以上の言葉はないということを先ほど申し上げましたけれども、何としてもこれを再びやらないようにということで、まず事後の処理の問題、個人的に使った金は弁済、これは大体完了したようでございますが、その後は五十五年度改善をされつついま事業が執行されておりますけれども、五十六年の予算ではそれがさらに徹底して冗費の節約をやるように、こういうような基本ルールでやっておりますけれども、電電公社ができましたときの経緯は鈴木先生よく御承知のとおりでございますので、できるだけ自主的に、自分の責任においてよく監査機構も強化されまして、まずそれをやりながらなおかつ労使協調といいますか、お互いに話し合いをしながら気持ちよく働いていただけるようにやっていただきたいものである、そしてこういうようなことが再び起こらないようにしたいものである、こういうように考えております。
  186. 鈴木強

    鈴木(強)委員 これは公社制度等の問題とも絡みまして、いろいろまた意見もありますが、時間がありませんから次に移ります。  もうすでに同僚委員から指摘されておりますが、公社納付金の問題でございます。  率直に言って、日本の国家財政を再建するためにということで電電公社から現在決算上黒字になっているその金を取り上げようということを考えついたのだと思いますが、現在のこの公社法制定のいきさつからしましても、当初政府が提案された公社法は、黒字は一般会計に納めてもらう、そのかわり赤字になればこれは補てんしてもらえる、要するに当時の国鉄方式だった。それが衆参両院の審議の過程において、発展、拡充が非常に急ピッチで行われなければならない事業にかんがみ、黒字のあった場合には資本勘定に入りそれからまた建設財源に回っていく、こういう仕組みに法律が変わったわけですよ。  ですから、私はそういう意味から言って、政府みずからが立法の趣旨に反して、四年間であろうともその四千八百億の金を取り上げようということは、その立法の精神に全く反したことであって、違法の行為を予算編成のときにやったんだ。まあ違法なことを知っているでしょう。ですから、今度は一括して納付金の法律をどこかの委員会に出してそれによって合法化しよう、こういうことだと思うのですよ。  私どもは、大臣もこの問題については最初から非常に固い決意で納付金については反対の態度をとられておりました。われわれもそれを信頼し、鞭撻し、プッシュもいたしました。しかし結果的にこの四千八百億を四年間にわたって納めることになったのでございますが、私たちは率直に言って、この後第七次五カ年計画、第八次五カ年計画、続いて参りますこの公社事業計画というものがこの措置によってどういう影響を受けるのか。少なくともプラスにはならない、マイナスになっていく。それをどうしてカバーしていくのか、非常に心配があるわけですね。  しかも遠近格差是正も長い懸案でありました。これを直すことは私たちは大賛成であります。加えて今度は五百キロ以上の値下げと日曜祭日の割引をやります。そうしますと、平年度にいたしまして約二千二、三百億になりますか、それに政府納付金が千二百億ですから、三千数百億の金が消えていくわけですね。ことしの収支決算を見ると九百三十八億ですか、一応黒字になっておりますが、果たしてこれが五十七年度どうなっていくのか、五十八年度どうなっていくのか。さっきもお話がありましたように、拡充法は五十七年に切れます。しかもこれは理由があるので、昭和四十七年に切れまして、これが最後ということで十年間の延長をしてきているわけですから、これを延ばすということはいままでの経緯からして不可能に近いわけですね。  そうなりますと、一体第七次計画、第八次計画がうまくいくのかどうなのか。国民のニーズは非常に強くなってきている。電信電話の需要供給は満ちた。どこにも電話が通ずるようになった。しかし、まだ古い機械がたくさんあるわけですから、それを新しい機械にかえていかなければならない。料金も誤算があるのじゃないかといって、この委員会でもずいぶん追及されております。ですから、その明細書がわかるような機械も早く取りつけてもらいたい、こういう希望もあります。それから、ファクシミリを初めこれからいろんな新しいサービスが出てくるでしょう。それからパリへ行ってみて私ども驚くのですけれども、街頭を見ても電柱は一本もない。みんな地下に入っておりますね。日本におきましても、とりあえず大都市くらいはああいうふうな方法によって街の美観をつくっていくということも大事でしょう。そういうためには、共同溝の設置なりあるいはいろんな工夫をしなければなりませんし、もろもろのやりたいことはあると思うのですね。ですから、そういう七次、八次に対する建設財源がどうなっていくのか、それに対してこのことがどういう悪い影響を及ぼすのかということの心配を、私は強く持っておるわけですね。ことしは千二百億財投から金を出して、そして吸い上げた分は見てやろう。これはしかし借金でございますからね。  公社に聞きたいのですが、たとえば四年間四千八百億とられて、利息を幾ら払って、そして何年償還なんですか。結局元本で四千億の金が幾ら余って返ってくるのか、こういうことも聞きたいし、それから総裁の頭の中にありましたら教えてもらいたいのですが、なければ事務当局でもいいのですけれども、第七次計画について私はこの前の委員会でも秋草総裁に質問しました。第六次の三年目にきている、もう四年目に入る。そうしますと、五十八年から新しい計画を起こさなければならぬわけですね。だからどういうふうな仕事をやろうとしているのか、地域サービスはどうなるのか、さっき言ったようないろんなことを考えながら、第七次ではこれだけの金がかかりますというものを持っているかと聞いたら、持っていない、できていないと言う。それなら第六次と第七次とどっちが金がかかると思うかと聞いたら、第七次の方がかかるでしょうというような抽象的な回答しか返ってこない。  ですから総裁、これはもっと積極果敢に長期計画をつくって、それに骨をつけ肉をつけて血を通わせるようなものをつくって、それを国民の前に明らかにして、電電公社はこういうところを目標にしていくんだ、そういうプリンシプルを示していくことも必要だと思うのですよ。そういうものがあってこそ初めて、今度これだけの金をとられればこれだけはね返ってきてこれだけ影響があります――当面は建設財源財政投融資で見てくれるかもしれませんよ。しかしそれはやがて借金として返ってくる。料金は下げる、銭はとられる、拡充法はもう期限がくる、一体どこから財源を求めてくるか。みんな借金じゃないか。いま五兆三千億もある借金にますます借金が加わる。債務償還の金はふえてくる。それが国民によくわかるような一つのものがなければこれは話にならないんです。ひとつ総裁がぜひそういう点を督励して計画の促進をしていただいて、国民にもよく理解をしていただき、コンセンサスを得ていこうというその総裁の考え方、それを基本にしてやれば私はりっぱなものができていくと思うのですよ。そういう点から、この問題については公社法違反のことを政府が立法府を無視してやった、これはけしからぬ。それで、千二百億財投で見ると言うけれども、そんなもの借金だ。これが幾ら返さなければならぬのか。大変な借金をさせられてくる。そんなばかげたことはないと私は思っております。  ですから、遠距離格差の問題等についても、本当ならばわれわれが最初から主張しておったグループ料金制というものがあるんですよ。それは確かに問題でした、この前のときに。杉並の道路一つ隔てて武蔵野市になる。武蔵野市を二十三区に入れるかどうか。武蔵野市の方から言えば、二十三区、こんな広いところを当時は何ぼかけたって七円でいったわけです。その後三分になりましたけれどもね。ですから、そんな差別があっておかしいじゃないか。じゃもっと三鷹も入れろ、八王子まで入れろ、こういう意見もあった。そこまではいかないとしてももう少し工夫するとか、あるいは山梨県でしたら、甲府を中心にして近村があります。最近局番をなくして甲府と同じ番号になりました。やはりグループ料金制というものを志向しながら長距離電話の料金についても考えて、そして将来の収支の問題等も考えながら料金が安定化していくようなことを考えなければ、一方だけ下げちゃって再来年は料金値上げだということになったんじゃ困るでしょう。赤字になったら千二百億とろうと言ったって、納付金の法律つくったって、これは取れませんよ。  要するに、これは従業員の努力だ。一生懸命がんばって、そして努力して黒字をつくるわけでしょう。黒字をつくってまた取り上げられる。従業員の苦労だって大変なことですよ。従業員の待遇のことだって考えなければならぬ。そういう意味において、一つのきちっとしたわかりやすいもの、基本を早くつくっていただいて、そしてこれを国民の皆さんによく周知してやっていくというようなことをしてもらいたいと思うのです。  いまもう時間がありませんからあれもこれもみんな言ってしまいましたけれども、どうかひとつこの納付金について、私たちはあくまでも反対でございまして、そんなばかげたことをやられたんじゃ電電事業というものを破壊する大きな爆弾だ、こう考えておるわけですから、いまからでも撤回してやってもらいたいと思うのですが、予算を組んじゃったんですからなかなかそうもいかないでございましょうから、できるだけ来年からでも打ち切ってもらう。そのかわりにはその体制をつくってやってもらうというような形にしていただきたいな、こう思っているわけですよ。これはひとついまの話の中から総裁からも御所見があったら承りたいと思います。
  187. 真藤恒

    真藤説明員 公社の将来問題についての御質問でございますが、その前に、四千八百億を全部財投の借り入れで賄う、それによって設備をするということになりますと、公社の負担は最終的に約八千八百億の負担になります。それで、これは十余年間にわたってそうなるわけでございます。  ところで、この公社のこれから先の基本問題をどう考えるかということでございますが、いまおっしゃいましたように、私、着任いたしまして、次の中長期計画を説明してくれと申しましたが、まだできておりませんので、いままず第一発といたしまして素人の私の考えを事務局に示しまして、私のその考え方で早急に第一次的な社内だけの素案をまとめまして、それによって、それをたたき台にしてもう少し具体化していくということにいたしまして、これから先の基本問題につきまして関係のところに御説明に上がる予定にしております。これだけの世帯の問題でございますのでなかなか時間もかかりますけれども、余り時間をかけておりますといまおっしゃいましたように五十七年度が切れてしまいますので、急いでそれをしっかりしたものにしてまとめていきたいと思っております。  それから、こういうふうに明らかに先詰まりになることが見えておるところに納付金の問題とかいうことも出てまいりましたのですが、何とかかんとか理屈は言いましても、結局のところ従業員とわれわれとが一緒になって協力して、知恵と闘志と勤労意欲で生産性を上げていきながら収入を図り、ふやし、コストを下げるという方向に努力しませんことには、決して問題は根本的には解決いたしません。ただ、その努力によるメリットと世の中一般のインフレとのはさみ打ちの中でどう逃げるかということであろうと思いますが、もうしばらくこの問題についての御猶予をいただきまして、いま申し上げましたように社内でいろいろな計画をつくり始めておりますので、御猶予願いたいと思います。
  188. 鈴木強

    鈴木(強)委員 四千八百億借りて、結局返すときには八千六百億ですか、倍の利息がつくわけですね。これはえらいことになるのですね。公社の方はどうですか。料金値下げもあるわけですけれども、いまの料金でいつごろまでもつというふうに、だれか研究しているのありますか。
  189. 岩崎昇三

    ○岩崎説明員 お答えいたします。  先生御承知と思いますが、昭和五十六年度予算案では九百三十八億円の収支差額を見込んでおります。この収支差額を見込むに当たりまして、当然のことではございますが、昨年十一月二十七日から実施いたしました夜間通話料の値下げ、それから五十六年度から実施を予定しております遠距離通話料金の引き下げ並びに日曜、祝日料金の割引、そのほか先ほど先生のお話ありました国庫への臨時納付金に伴う影響、こういうものを全部織り込んだ数字でございます。  五十七年度以降どうなるかという先生の御質問の御趣旨だと思いますけれども、いろいろと増収政策あるいは経費節減等の経営努力を最大限いたしまして五十七年度は若干の黒字が見込まれますけれども、五十八年度以降は事業収支が逐年悪化していくというふうに考えられております。  それで、どの程度になるかという問題でございますけれども、これはいま申し上げましたような各種の料金制度にかかわります影響を十分見きわめていかなければいけませんので、今後その状況を見ながら判断していきたいというふうに考えております。
  190. 鈴木強

    鈴木(強)委員 時間が参りまして、大変後の竹内質疑者に申しわけありません。それで、もう質問できませんから、ちょっと資料を欲しいのですが、その一つは、きのうも大阪の北浜ですか、電話回線八百回線が不通になっている。それから二月十九日に霞ケ関電話局、十月三日に神戸、本年一月に神戸、それから二月九日に福岡と、D10、D20、D30、大、中、小といろいろなタイプがあるんですけれども、これについて本当は全国の四線加入のうちで電子交換機に切りかえたところが幾らあるのか、それが一つ、それからあとはこの原因は何なのか、原因の追求はどうなっているか、そういう点を含めて、ひとつ後ほど資料で出していただきたいと思います。  それからもう一つ、ことしは大変な豪雪がございまして、三八豪雪にまさる大雪で各地とも大変苦労されていると思いますが、特に北陸とか東北とか北海道とか信越とかそういった雪の多い地域における郵便――これは郵政省ですね。郵便の疎通状態、最高どのくらいおくれたか、そういった状況、それから電話については市内外線の障害がどのくらいであったのか、そういうふうなものの復旧にはどのくらいかかったとかというふうな資料を、時間がありませんから、ぜひひとつ出していただくことをお願いして、私の質疑を終わります。どうもありがとうございました。
  191. 堀之内久男

    ○堀之内委員長代理 鈴木強君の質疑はこれにて終了いたしました。  竹内勝彦君。
  192. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 去る臨時国会で成立いたしました郵便法等の一部改正の法律が本年一月二十日から料金の値上げといった形で施行されてきました。そこで、はがきだとか封書といったものが値上げされたことによってその後郵政業務に何らかの変化というものが伴ってきたのではないか、こういうふうに感じるわけです。取扱量の増減や収支のバランスといったものを含めてその後の経緯を現在までのところどうなっておるか、知らせていただきたいと思います。
  193. 魚津茂晴

    ○魚津政府委員 お答え申し上げます。  まず料金の値上げが郵便利用にどのような影響を与えたかということでございますが、端的に申しまして、まだ一月二十日から二月の下旬でございますので、正確に断定的な影響というものは言いかねるわけでございますが、私ども調査をいたしております数字から言いますと、前年の同期に比べましておおよそ一一%の減ということでございます。この一一%が多い、少ないということを御判断いただくという意味で、先回、五十一年一月二十五日に改正をさせていただいたわけでございますが、そのときのいわゆる料金ショックというもののおおよそ三分の一、そういう減り方であるということで、私ども率直に申し上げまして、その料金の影響が少ないという点について喜んでいるところでございます。  それで、その影響等についていま少し申しますと、物数がいま減っているわけでございますので、郵便業務運行、地域的には豪雪等で問題のあるところもないわけじゃなかったわけでございますが、業務運行が非常に順調にいっているというふうに言えるかと思います。  それから、いろいろと法改正によりまして従来のサービス改善したところがあるわけでございますが、その改善した内容につきましても、お客様からいろいろ喜ばれているというふうに受けとめているわけでございます。  それから、この改正による収支への影響ということでございますが、改正というのは当然収支を改善するためにお願いをし、御了承をいただいたところでございます。ただ、先生御案内のとおりでございますが、改正し実施する時期がおくれた、それから三種の料金も当初考えていました内容に比べまして若干の修正をさせていただきました。そういうようなことから、五十五年度、当初は二十四億程度黒字ということで単年度を見積もっていたわけでございますが、本五十五年度につきましては結果としては約五百五十五億の欠損になるんじゃないだろうかというふうに見ているわけでございます。ただ、五十六年度になりますと一千四十五億の利益を見込んでおりますので、したがいまして、五十六年度末には一千六百三十四億の赤ということで、五十七年度末になりますと当初私ども見越しておりました現在の累積赤字の約半分程度に縮めることができるというふうにわれわれ考えているところでございます。
  194. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 郵政省のこのたびの新種個人年金についてお伺いいたします。  まず、高齢化社会の中で年金等の社会保障に関する国民要望、こういったものは強まっております。今回郵政省が個人年金案について大蔵省と折衝が行われて、その内容、民間の機関で行っておる年金問題との競合、こういった面で何らかの摩擦があるのではないか、こういったことが考えられます。そういう中で、官業が民業を圧迫していくのではないか等々と言われている中で、なぜ今回こういう法案を持ち出してきたのか。今後考えていくわけでございますけれども、まずその理由としてどういったものがあるのか。国民のいろいろなニーズというものがあるわけでございますけれども、その辺をどうとらえておるのか。そしていま言った民業との圧迫、競合の面での民間機関での何らかの摩擦というものがないのかどうなのか、その辺の調整がどうなっているのか、その辺を御説明いただきたいと思います。
  195. 小山森也

    ○小山(森)政府委員 もうすでに先生御存じのことと存じますけれども、郵便年金というのは大正十五年から郵政省がやっている業務でございます。したがいまして、まず第一に御説明申し上げたいのは、新たに業務を開始するものではなしに、もうすでに六十年近い歴史のある業務であるということでございます。  それではなぜ民業との関係というのがいろいろ問題にされるかという点でございますけれども、商品といいますか、業務内容そのものについて見ますと、民間であろうと官業である郵政省事業でありましょうと、いわゆる個人年金というのは、生命表を用いました保険数理、これを基本としてつくられておりますので、したがいまして内容そのものにおきましてはそう大差のな.いものでございます。ただ、その間における営業努力その他において掛金が若干変わってくるという点がありますと同時に、また生命表をどの生命表を使うかというようなことによって若干異なる場合もありますが、これはほとんど同じようなものを使っておりますので、そう差のあるものではございません。そういたしますと何が違うかと申しますと、やはり全国的な郵便局網を使うという点におきまして、利用者側から見た場合におきまして、たとえばいままで一つの会社の事業所のものしか利用できなかったところが、確実にもう一つの郵便局というものを利用できる年金がそこに出てくるということで、多くの事業主体が存在する、利用する選択肢が多いということで、きわめて意義があることではないかと思うのでございます。  なお、これが民業圧迫になるかどうかということは、いろいろ見解の相違もあるところでございますけれども、民業の圧迫になるかどうかということは、まず第一に考えなければならないのは、いま現在民業が圧迫されるような形での年金の事業を行っているかどうかということだろうと存ずるわけでございます。民業は昭和三十五年から業務を行っておりまして、二十年余たっておりますけれども、いまだに世帯の普及率は一%から一・五%という範囲にとどまっておりまして、いわゆる民業を圧迫するというような意味での市場そのものがないという前提が考えられると思います。  また同時に、それでは郵便局がこの事業を行った場合におきまして、非常に多くの契約がとれて、そのことによって金融資産そのものの流れに影響が与えられるのじゃないか。たとえば、本来ならば預金に行くべきものを年金に、あるいはいままでの生命保険に行くものも年金にという形で郵便局の方に流れるのではないかという懸念でございます。これにつきましては、個人負担の任意年金というものの考え方がなかなか現在浸透いたしておりませんと同時に、一つ一つの契約に至りますまでは、個人個人のこれに御加入なさる方のいろいろな意味での理解を深めた上で、さらにこれに対する具体的な誘導というものがありませんと、なかなか契約ができないということが現状で言えると思います。したがいまして、これがいわゆる破壊的な形でもって、金融資産の変動に影響を与えるということはまず考えられないというふうにわれわれは考えております。  なお、こういったような状態でございますので、全国に持っております郵便局で、この郵便年金というものの理解を深めることは、年金思想というものが全国的に広まりまして、市場が広がり、民間のいろいろな業務におきましても、こういったものが、事業を行う上においても促進する一つの材料になるのではないか、むしろこのように考えている次第でございます。
  196. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 これは御承知のとおりで、グリーンカード制度を契機として官業の民業圧迫論、こういったものが言い出された。そして行政改革の観点から、政府への資金集中が好ましくない、こういう議論が高まっている最中ですよね。すでに蓄積された郵貯、六十兆を超しているこの郵貯であるとか簡易保険の巨額の資金量、こういったものを考えていくと、国営郵政事業資金の運用について、国の財政投融資利用されていく結果、この六十兆にも及ぶ郵便貯金を初め、簡易保険でも指摘されるように、民間資金の流動性というものに将来問題を招くのではないか、こういったことがございますね。  そこで、今回郵政省がこの個人年金を新しい形で実施をすることによって、より一層の資金がこういった郵政当局に集中することになるんじゃないか。そうすると、民間企業の活力、あるいは日本経済の機能にも影響が出てくる、こういうふうに言っておるところもあるのですよ。この前も論議になったとおりですよね。そういった面をどう考えておるか、御説明いただきたいと思います。
  197. 小山森也

    ○小山(森)政府委員 個人年金の改正案そのものによる影響だけというふうにとらえてみますと、私どもの行いました世論調査――この世論調査は、任意年金につきましては、いまだどこの機関もやっておりませんで、郵政省だけがやった調査でございます。これは、日本にはこれ以外に調査結果がないというものでございますけれども、それによりますと、年間の新契約件数は約七万件ではないか、五年後の資金量は約一千七百億円くらいではないかというふうに推定されます。むろんこれは営業努力によりますというか、むしろ利用者側に立ちまして、もっと努力をすることによってふえることが望ましいことであると思いますけれども、この調査の結果につきましては、いわゆる掛金とか、望ましい、何といいますか、受取金額とか、いろいろな面から見まして、個人年金になじむといいますか、対応できる御希望というものをとった結果がこのようになっております。  なお、そういうことになりますと、民間の持っております現在の資金量を、この個人年金を開始することによって、こちらの方に大きく流れを変えるということは、いまのところ考えられないのではないかと思っております。  なお、民間の活力その他につきましては、民間の活力とは一体何かというようなことにつきましても、いろいろ論議の中にはあろうかと思いますけれども、現在の金融秩序の間において、その幅を大きく変えるというようなことはないものと考えております。
  198. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 そういう御決意で進んでいくということは、国民の立場から見ると、これは国民が有利な方向に一だれだってお年寄りになっていくわけです。そういう意味からいけば、ぜひいい年金ができていく、これはもう私ども望むものでございます。ところが、とやかく言われるのは、郵政当局と大蔵との間でいろんな摩擦があったり、いま私が申し上げたような問題点でいろいろと支障が出てくるというようなことになってはならないと思うわけですね。  そこで、いままでこういった個人年金があったことはいまも説明がございましたけれども、国民の側から見ますと、あの戦中戦後の混乱期に大変なインフレというものを経験してきた中で、この年金というものは余り親しまれていない。そういう中で、今回この個人年金がどういう面で国民にとってメリットがあるのか。いままでの民間等の年金と比較してこういった点が有利なんです、こういったものをもうちょっとわかりやすく御説明いただきたいと思うわけでございます。
  199. 小山森也

    ○小山(森)政府委員 先ほども御説明申し上げましたけれども、いわゆる営業の、業務の中身そのもの、あるいは国民皆様方に御利用いただく種類そのものにつきましては、民間の事業とそう大差のないものになろうかと思います。これは、どういたしましても基本になりますのが、先ほど申し上げましたように、生命表というものに基づきまして算出してまいります数理計算上から金額が出てまいりますので、特にそういった点で差のあるものはまず考えられないと申し上げていいのではないかと思います。  それじゃ何がメリットかという重ねてのお尋ねでございますが、これはやはりまず第一に、先ほど申し上げましたが、年金というものの理解が深まることによって、年金そのものを利用するという形態と自己のいまの生活というものをつなぐ気持ちの上でのつながりが具体的につながってくるということから、非常に利用しやすくなるということがありますと同時に、具体的に場所としても、全国的にこういったものを取り扱う郵便局が存在するということから、選択の幅が広がるという点、利用者側から見た場合に非常に使いやすいものになるのではないか、こう思っております。
  200. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 それでは、この個人年金が昨年末の予算編成の過程で郵政省がかなり強行に押していって大詰めで認められたという形に報道がございました。そういう中で、こうとってはいけないかもしれませんが、その前提条件として、実は郵貯懇談会つまり鈴木総理の私的諮問機関である金融の分野における官業の在り方に関する懇談会、こういったものをつくり、そうしていよいよ本格的な審議に入っていったわけですね。御承知のとおり、郵貯問題に関してはかねてより郵政審議会というものがございます。これは山内郵政大臣が、時期もかなりそういったものに対抗したというような形に受け取れるわけですが、一月二十二日にこの審議会に対して郵便貯金の果たす役割りを諮問しておりますね。一般的に見ると鈴木総理の私的諮問機関の郵貯懇との兼ね合いは一体何なのか。ともすると同じようなことを対立して検討する機関ではないのかという見方も出てくるわけです。また、これは大蔵省と郵政省との関係にいまなっているわけでございますので、郵貯懇というのは一体何をするところなのか、大蔵省としてどういう性格ととらえているか伺っておきたいと思います。
  201. 北村恭二

    ○北村説明員 お答えさせていただきます。  いま先生お尋ねのとおり、この懇談会設置は昨年末の郵便個人年金に関します政府・自民党の合意に基づくものでございまして、この合意に基づきまして、本年一月内閣総理大臣の諮問機関といたしまして、有識者による検討の場として金融の分野における官業の在り方に関する懇談会というものが設置されたわけでございまして、その検討結果についてこれを尊重するということになっているわけでございます。  大蔵省といたしましても、ここで取り上げておることとなっております金利政策の一元化とかあるいは官業への資金集中といった重要な問題につきまして、こういうような場で検討していただくということについては大変有意義なことではないかと考えております。
  202. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 郵政大臣にお伺いしておきます。  総理の私的諮問機関である郵貯懇の性格に関しては、いま大蔵省の方から話がございましたが、この郵貯懇が金利政策の一元化やあるいは郵貯への資金集中の見直し、政策金融と民間金融のあり方などを検討するとされておりますけれども、御承知のとおり銀行と郵貯との対立の深刻さ、これは百年戦争と言われているほど厳しいものでございます。これは郵政大臣も御存じのとおりです。それで、八月末をめどに何らかの結論を出そうということでこの郵貯懇はやっております。しかしあなたは、郵政大臣としてはすでに郵政審議会郵便貯金の果たす役割りを諮問している。こういったものにかんがみて、郵貯懇の提案、どう出てくるかわかりませんが、どのように受け入れて郵政行政に反映させていく考えか、大臣のお考えをお聞きしておきたいと思います。
  203. 山内一郎

    山内国務大臣 昨年の中ごろから郵便貯金がふえてまいりました。いろいろな原因があるかと思いますけれども、六十兆円以上になってきた、そういうような問題、それから金融政策としてもっと利子を一元化したらどうか、こういうような意見も出てまいったようなわけでございます。そういうようなことで、いわゆる郵貯懇というところでも御審議を願うわけですが、これも先ほど申し上げましたように、せっかくの機会でございますので、郵便貯金の本質というものをその中で十分知ってもらいたい、こういうことで委員先生方にPR、あるいは会合で郵政省の意見を十分にいま開陳しているような段階でございます。  それから、郵政審議会の問題は、昨年十一月にいろいろ郵政審議会の意見が出まして、郵便貯金がふえておりますことについても十分審議しなければいけないのじゃないかというようなことで、たまたま時期が一致したわけでございますが、私は、両方とも真剣にやっていただければ、従来の長い伝統とかそういう経緯を知っていただければ、これは同じような結論が出ると考えているわけでございます。
  204. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 非常に楽観的な見方でございますが、大臣、いわば郵貯懇に対立したような形で、郵貯に関して同じようなときに郵政審議会に諮問をした。大臣はいま、同じような結論が出てくるだろうというように答弁をされましたが、もし郵貯懇と郵政審議会の意見が対立するとした場合、これはどちらを優先させる考えですか。
  205. 山内一郎

    山内国務大臣 現在の段階では、対立した場合、そうなったらどうかというのは、お答えしにくいというより、私はそういうふうにならないと思っておりますので、なった場合のことでございますが、私は現在ではならないと考えておりますので御答弁は差し控えたい、こういうふうに考えております。
  206. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 この郵貯懇に対して、たとえば金利の一元化の問題であるとか官業への資金集中などについての考え方、こういったものに関して郵政省が、一つには現行の預貯金金利の決定方法は、郵貯と銀行預金の性格の違いを反映したバランスのとれたものであり、一元化すべきでないという要望を持っておるようでございます。また郵貯の問題は、郵貯の急増にあるのではなく郵貯資金の運用面にある、こういうふうに考えている。もう一つは、郵貯懇談会では、国債など各種金利の決定方法、金利体系、金利の自由化なども検討し、護送船団方式と言われる大蔵省の金融行政についてもメスを入れるべきだというような考え方を持っておるようでございますが、この郵貯懇に対する郵政省側の要望点というのは一体どんなことですか、ここではっきりさせておいてください。
  207. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 お答えいたします。  先生御指摘金融懇に対します郵政省の考え方につきましては、金利の問題に関しましてはこういうふうなことを考えております。  つまり、現在の郵便貯金の金利は、預金者である国民大衆の利益の増進に十分考慮を払うとともに、あわせて一般の金融機関の預金の利率にも配意するということにされております。これに対しまして、民間の金融機関の預金金利は金利調整審議会の答申を受けて決定されますけれども、主として金融業界あるいは産業界の立場から決定される面が強うございます。こういう二つのもの、郵貯の金利につきましては、広く各界を代表する学識経験者から構成されます郵政審議会の答申、片方が金利調整審議会の答申ということになりますけれども、こういうそれぞれの立場から決定されるものが併存をいたしておりますことによりまして、事実上両者で状況に応じた調整がなされている、結果的に国民全体の利益も擁護され、国の政策としての適正さが確保されているというふうに考えているわけでございます。そういうことで、現行の金利決定方式は適切なものである、この方式を変更して金利の一元的な統制をしようということは、預金者保護の機能を失わしめることになるのではないかというのが私どもの考え方でございます。  なお、集まりました資金に関します問題につきましては、これまでも日本の経済発展の大きな力になってまいりました。また、これからもその有効性というものは十分存在をすると思いますし、たとえば新しい技術開発の問題あるいは社会開発、資源・エネルギーの問題といったものに対します資金需要というものが十分存在いたしますし、あるいは、これまで比較的なおざりにされておりました個人に対します貸し付けというふうな側面にも配意をしていかなければいけないであろうというのが郵政省としての考えでございます。
  208. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 いまの考え方は、大蔵省どうでしょう、そういう考え方に対して現在大蔵省としてどんなお考えを持っていますか。
  209. 北村恭二

    ○北村説明員 懇談会におきます大蔵省の意見陳述が、実は三月半ば過ぎに予定されておりますので、そこで大蔵省としてどのような意見を申し上げるかは、現在鋭意内部で調整中でございますが、金利問題につきましては、やはり金融政策、金利政策というのは、広い国民経済的な観点から考えていかなければならない問題ということがございます。したがいまして、預貯金金利でございますと、当然預金者への配慮というような問題もございますけれども、さらにそのときそのときに応じた景気政策というような意味で、これを機動的に運営していかなくてはいけないといったような問題があるわけでございまして、そういった問題と、現在行われております金利の決定方式ということの間に問題がないかどうかということについては、私ども、これからいろいろ検討すべき問題があるのではないかというふうに考えておりまして、そういったこともその中で意見として申し上げたいというふうに考えております。
  210. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 もう一点大蔵省に聞いておきます。  いま郵政大臣は、非常に楽観的に、郵貯懇も審議会も必ず同じような結論になっていく、対立することは考えられないというお考えですが、大蔵省、それでいいのですか。いろいろ要望点があるようですよ。そういったものが必ず合意できるようなものになるのかどうか、この際はっきりしておいてください。
  211. 北村恭二

    ○北村説明員 大変むずかしいお尋ねでございまして、私ども、内閣に置かれております郵貯懇談会でどういう御結論と申しますか、考え方が述べられるかということは、今後大蔵省がいろいろ意見を述べていく中でお考えいただきたいと思いますが、果たして郵政審でどのような議論がなされ、あるいはどういうような結論が出るかというようなことにつきましては、先ほど大臣おっしゃっていることでございますし、私から申し上げるのはちょっといかがかと思いますので、これで失礼させていただきます。
  212. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 それでは、このたびこうして郵貯六十兆円を突破し、さらに郵便年金がスタートしていくことになれば、そういう形でこの郵便貯金の占める割合は、これは他の民業を大きく上回っていくわけですね。国民によって支えられておる郵貯でございます。そういう中でこの資金のほとんどが、いま資金運用部資金に回され、しかもそれが国債を引き受けるというような形で、実際国民そのものに還元されていくという形とはほど遠いものがございますね。この際、国民にとって有利で非常にやりやすい、官民に貸し付けができる制度ですね。     〔堀之内委員長代理退席、委員長着席〕 たとえばこの郵便年金に入っている人は、それを担保にして手軽にお金を借りることができるとか、あるいはローンの創設など、そういったものまで取り入れていくとかそのようなことを積極的に考えるときが来たのではないか、こう考えるわけでございますが、御所見をお伺いしたいと思います。
  213. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 お答えいたします。  先ほど御指摘の、内閣に設けられました金融問題懇談会に対します郵政省といたしましての立場は、現在、経済の高度成長から安定成長への基調の変化、それからまた、金融構造の変化といったものがございます。その中で国民金融に対するニーズというものがいろいろ高度化し、あるいは多様化してきております。そういうことで、われわれといたしましては、この懇談会に向けまして金融制度各般にわたる幅広い検討をしていただきたいということを強く要望いたしておるわけでございます。先生お話しのように、集まりました資金の運用につきましては、全国の津々浦々から、しかも郵便貯金と申しますのは、九九・二%までが個人のものでございます。そういう全国津々浦々から一人一人の国民の貴重な資産ということで集められましたものでございますので、しかもそれが比較的長期に滞留するという性格を持っております。そういう面から、これまでも日本経済という形の中で十分活用されてまいり、それが日本国民にも利用されてまいりました。また、これまでも地方貸し付けというふうな形を通じても地方還元は行われてまいりましたけれども、われわれといたしましては、そういった地方への資金需要にさらに工夫を重ねる面があるのではないか。資金の性格から申しまして、そういう側面があるのではないか。それからまた個人部門、これまで比較的産業資金としての供給面に力が置かれ、どちらかといいますと、それに対するコストというふうな面で見られがちでございました個人預金、預金の面におきましても、あるいは貸し付けの面におきましても、これから先、一層の重要性というものが出てまいると思いますので、そういった個人に対する資金供給という面でも、これから工夫が必要なのではないかというふうに考え、また主張をしているところでございます。
  214. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 先ほど大臣の所信の表明の中にもございましたが、無線局免許申請者あるいは無線従事者国家試験受験者増加に伴って、行政事務簡素合理化ということから、これらの事項内容とする改正案を今国会に提案したい、こう言っておりますが、その法案ですね。無線従事者国家試験受験者に対して郵政大臣の指定する者にも行わせることができる、こういうようにございますけれども、ちょっとその点を概略説明をしていただけませんか。その点をちょっとはっきりさせたいと思います。
  215. 田中眞三郎

    ○田中(眞)政府委員 ただいま私どもが国会に提出準備中の電波法改正案の要点でございますけれども、まず、大きく四つございます。  まず第一は、最近無線局が非常にふえてまいっておりますので、そうした無線局の免許手続の簡素合理化を図りたい。また、あわせて申請者の負担を軽減したいという観点から、新たに技術基準適合証明制度というものを導入いたしまして、無線設備の機器の検査を簡略化いたしたいということで、郵政大臣の指定する者にもそうした新しい技術基準適合証明というものが行えるようにいたしたいというのが第一点でございます。  第二点は、先生がただいま言及されました無線従事者の国家試験でございますけれども、この従事者も非常にふえております。特にそのうち電話級アマチュア無線技士の資格を取りたいという者の増加がはなはだしいということで、そうした特に増加のはなはだしい一定の資格の国家試験の実施に関する事務を郵政大臣の指定する者にも行わせることができるようにいたしたいというのが第二点でございます。  第三点は、最近の諸外国の情勢に応じまして、わが国におきましても外国人に対しまして、一定の条件のもとでアマチュア無線局の免許を与えることができるようにいたしたい。国際交流とともに、そういう相互主義の上に立ちまして、そうした希望をかなえたいというのが第三点の柱でございます。  第四点は、最近、不法無線局、いわゆるハイパワー市民ラジオというようなものが増加いたしまして、正規の無線局の運用にも差し支えるようなことになってきております。そうした免許を受けないで無線局を開設することを処罰する、規制するというようなかっこうにいたしたいということ、この四点でございます。
  216. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 特にその中で、郵政大臣の指定する者にも行わせるという、この指定する者というのは一体どういう対象を考えておるのですか。
  217. 田中眞三郎

    ○田中(眞)政府委員 二つあるわけでございますけれども、まず技術基準適合証明を行わせる民間機関といたしましては、そうした技術基準適合証明を行うことを希望する公益法人でございまして、改正法に要件を決めようと考えておるわけですけれども、そうした要件に適合する者ということになります。  次に、指定基準でございますが、公益法人であること、それから技術基準適合証明を行うにふさわしいあるいは能力を持ちます職員あるいはそうした証明を行うに足りる設備を有することというようなことが必要になろうかと思います。また、そうした機関がすでに現在技術基準適合証明以外の業務を行っているというものである場合には、この適合証明業務を行うに当たりまして、そうしたいままでやっております業務によりまして技術基準適合証明の仕事自体が不公正になるようなおそれのないもの、そういうようなことを勘案いたしまして決めたいというふうに考えておる次第でございます。
  218. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 行政事務簡素合理化、まあいろいろあった経緯を踏まえ、そういったものの大義名分はわかります。しかし、この指定する者の性格、内容、こういったものをはっきりしておかないと、たとえば天下り先の拡大であるとか利権が絡むようなことがあったりしては断じてならない、こう考えます。その点をぜひよくはっきりとさせておいていただきたいと思います。  そこで、いま無断の電波の話がございましたが、同じように有線音楽放送に関して、実は本委員会において、昨年の十一月でございますが、採択された請願がございます。「有線音楽放送の正常化に関する請願」で、その要旨は「有線音楽放送業界においては、ここ十年来、設備の無届設置、道路の不法占用、または電柱無断添架等の違法行為が横行して、業界秩序を著しく乱し、正当に事業を営む者に多大の損害を与えているばかりでなく、傷害事件まで引き起こす深刻な事態となっている。ついては、有線音楽放送を正常化」してもらいたいというものでございます。  これは妥当と認めて採択をしておりますが、この問題に関しては現在どのように処理されて、どんなふうになっておるのか、どんな検討がされておるのか、あるいは無届け設置等の実情をどの程度まで掌握しておるのか、御説明をいただきたいと思います。
  219. 田中眞三郎

    ○田中(眞)政府委員 お答え申し上げます。  まず、有線音楽放送の現状をどのようにとらえておるかということでございますけれども、先生御指摘のとおり非常に困った状況にございます。違法行為は後を絶たないというようなことで、その正常化につきましてはこれまでも大きな業界団体、四つばかりございますけれども、また大手事業者に対しまして再三にわたって注意、指導を行う、あるいは特に悪質な事業者に対しましては告発等を行ってきたところでございますけれども、先生御指摘のとおりであり、また請願も出てまいっておるわけでございます。昨年の十一月に衆議院でも採択されましたし、また同じような請願が参議院の方にも出ておるわけでございますけれども、その請願の御趣旨に沿いまして、現在のところ道路管理者あるいは電柱所有者等の関係機関と緊密な連絡をとりながら毎月のように会議もやりまして、効果的な対策を鋭意検討中というところでございます。  またさらに、郵政省といたしましては、有線音楽放送事業に対します姿勢を明確にするとともに、法を無視してそうした業務を営む事業者に対しましては、その是正について監督指導等をもって厳しく対応する。そうしまして、有線音楽放送の正常化について引き続き努力を続けてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  220. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 十年来続いているという問題を鋭意検討というのではしょうがないよ。今後この請願の趣旨に沿って、具体的にいつごろまでに、どういう中身で、どうやっていくかぐらい答えられなければ。もう一度答えてください。
  221. 田中眞三郎

    ○田中(眞)政府委員 先生おっしゃるとおりでございまして、私も従来から国会の論議もよく読んでおりまして非常に不満でございます。ただ、効果的な対策を鋭意検討中ということで申し上げたわけですけれども、いつごろまで、どういう内容で検討するのかということにつきましては、いましばらく御猶予をいただきたいというふうに思っております。いましばらくでございます。
  222. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 ぜひ早急にお願いしたいと思います。  そこで、時間の関係で次の問題へ移りますが、電電公社納付金、国庫納付するということで、財政再建という国庫窮乏の折から臨時かつ特別的な措置である、こう言っていますね。この上納金は原則として、本来は利用者である国民のものであるわけですから、利用者に還元すべきものでございます。したがって、今後も臨時かつ特例的な形で上納金を納付していかなければならないことになってはこれは大変なことでございます。この見解を、何をもって今回特例としたのか、今後はどういうときが特例となるのか、その見解を明確にする必要があると思いますけれども、いかがでしょうか。
  223. 守住有信

    守住政府委員 先生の御指摘のとおり、これはあくまでも臨時かつ特例のものである、その特例というのはどういう意味かということでございますが、御指摘のとおり、今回の措置は現行の公社法では全く予定をしていないものでございます。しかし、財政の再建というのが喫緊の課題であり、これに協力をするという意味で、臨時納付金法律的性格、用語もなっておりますけれども、そういう意味であくまでも特例のものである、こういう意味でございます。
  224. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 大臣、あなたは当初、この問題に関しては強硬に反対、こう言っておりました。しかし、この問題に形の上では現在は妥協されて、臨時かつ特例的なものだと先ほどの所信の表明の中にもございました。わずか半年くらいで決意がぐらぐらするようじゃしょうがないわけですね。そこで、本当に大臣はどういう点を今回特例だ、どういった点が大変だと感じて妥協したのか、その点をはっきりしておいてください。
  225. 山内一郎

    山内国務大臣 国家財政が、国債がだんだんふえてまいりまして、その返還にも非常に事を欠くようになってきた、こういうような状態にいまなってきておるわけですが、赤字国債だけでも昭和五十九年までにこれをなくしていこう、毎年赤字国債を発行することをなくしていこう、こういうような国家財政の一つの目標があるわけでございます。その線に沿って、来年度、五十六年は第一年目でございますが、六、七、八、九とこの四年間だけひとつしんぼうしてくれれば国家財政は立ち直るものである、こういうことで五十九年で赤字国債の発行をなくするという基本的な計画のもとに四年間と限られたものでございまして、そういう意味において特例である、こういうことでございます。
  226. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 現在大蔵省と自治省との間で地方財政再建策、こういった面の一環として、電電公社などが地方自治体に納めている固定資産税相当分納付金の二分の一減額、この措置の廃止を検討しているのだ、特にまた自治省は、去る参議院の予算委員会におきましても、この電電公社に対する固定資産税の減額措置をやめる方向で再検討するということを大臣が明らかにしておりますけれども、一体これはどのような考え方なのですか。自治省、お伺いしたいと思います。
  227. 渡辺紘三

    渡辺説明員 ただいま竹内委員から御指摘ありましたように、公社につきましては固定資産税相当額を納付金という制度をとっております。これは、公社という性格といいますか、納税者が公社でありますから納付金という制度をとっておりますが、本質は、ただいま御指摘がありましたように、固定資産税ということで従来から考えられて今日に至っております。しかし、公社の持っております公共的性格から、一般の固定資産税とは違いまして、価額の二分の一とするという特例をとってきたところでありまして、関係市町村もそれなりにそういうことで納得といいますか、了解をしておったところであります。しかし、昨年末、電電公社の剰余金につきまして国庫納付問題が起こりまして、そうであるならば、二分の一に軽減しておいて、それで国に納付するというのであれば、どうも地方財政も大変だし、いろいろかねてから議論のあったところだから、その二分の一を廃止してほしいという強い要望が市長会等を通じまして関係市町村から出されているところでございます。  この問題につきましては、地方制度調査会においても審議が行われまして、これについて、公社の持っておる性格も含め、同時に公社の負担する租税その他の公的負担関係も含め、将来廃止する方向で検討すべきではないかというような答申があったところでありまして、私どもといたしましては、そういった答申もありますものですから、今後の検討課題というふうに考えているところでございます。
  228. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 大臣、これは電電公社はこの特例措置が廃止される場合新たにまた五百億円近い税金を地方自治体に支払うことになる、こういった形ですね。これは予算委員会でもいまの説明のとおりです。自治大臣が、国庫納付金に関連して市町村へのものを検討したい、こういう答弁をしていますね。郵政大臣として、これは公社を管轄する一番の郵政大臣として、臨時かつ特例なんというようなことでまた後退して妥協をしていくというような形になったら、これは大変なことでございます。大臣、この問題について、どうお考えですか。率直な感想を述べてください。
  229. 山内一郎

    山内国務大臣 二分の一になった経緯をいろいろ調査してまいりますと、二分の一になったということは、やはりいろんな施設が地元に非常にプラスになっている、マイナスの面もあるでしょうから二分の一は取られますけれども、プラスの面もあるから二分の一にしてやる。こういう経緯からいきまして、従来どおり続けて二分の一にしてもらいたい、こういうふうに考えております。
  230. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 ひとつ決意がぐらつかないようによろしくお願いしたいと思います。  最後に、時間の関係で終わりますが、ひとつ、この国庫納付金の特例といい、いまのこの市町村への特例を外す、こういった問題といい、あるいはまた今後――今回は電話料金の値下げ、こういったもので検討がされていきます。また、この前もそういった形で行われました。しかし郵政省郵便料金の値上げに関してこの前とった態度、こういった中で法定制を緩和していった、これはまたいろいろ大きな問題が今後出てくるのではないか。郵政大臣として、この郵貯の金利一元化等の問題を含め、国民にすべて直接的に結びついておるがゆえに、国民の側に立った努力をしていかなければ、これはもう郵政大臣としての大事な使命を果たしていくことにならないわけでございますので、いまの御決意も含めて、最後に、いままでのこの流れから見て、いろいろと重要な問題が幾つもございますので、ひとつ最後に大臣の見解をお伺いして終わりたいと思いますので、よろしくお願いします。
  231. 山内一郎

    山内国務大臣 いろいろと昨年から重大な問題が連続して発生いたしまして、私もいろいろ苦労してまいりましたけれども、何としても郵政、郵便事業というものは国民のサイドに立っている事業である、国民信頼を受けながらやらなければいけない事業である、こういうことはもう絶えず痛切に感じているわけでございます。しかし、また片一方、国家的な要請もある、こういうことでいろいろな問題が発生したわけでございますけれども、今後もいまと同じような考え方で国民の立場に立ってやってまいりたい、こう考えておるわけでございます。
  232. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 ありがとうございました。
  233. 佐藤守良

    佐藤委員長 竹内勝彦君の質疑は終了いたしました。  西村章三君。
  234. 西村章三

    西村委員 初めに郵政大臣にお伺いをいたします。  財政再建元年と言われる五十六年度予算編成につきまして、昨年夏以来の政府対応の仕方を見ておりますと、郵政省所管事業に対する風当たりが特に厳しい様相でございます。郵便貯金の増大に伴う金融の分野における官業のあり方の見直し、金利政策の一元化問題、さらには郵便年金の創設、電電公社のいわゆる上納金の問題、郵政省所管事業を取り巻く環境は一段と厳しくなってきた。そして、これら諸問題の中には、すでにおおむね決着したものもございますが、まだまだこれからいよいよ山場を迎える、こういうものが多いわけであります。いずれにいたしましても、それぞれの問題が業務なり経営の根幹にかかわるものであり、今後重大な影響を及ぼす内容を持つものばかりであります。これらの問題の決着いかんが、いわば郵政省所管業務の将来にわたって、盛衰を左右する、こう申し上げても過言ではございません。  そこで私は、これら一連の問題、すなわち郵便貯金郵便年金、これらの改善充実電電公社の上納金問題について、今日までの郵政省としての対応、それから今後に臨む基本的な姿勢について、最高責任者であります郵政大臣から率直なお考えを承りたいと思います。
  235. 山内一郎

    山内国務大臣 まず郵便貯金の問題でございますが、昨年の七月ごろから郵便貯金が大変ふえてまいりまして、現在は六十兆円以上になっている、こういう現況でございます。その状況を踏まえて、これを取り巻く問題として、官業が民業を圧迫しているじゃないかというような問題、それからなお金融政策としては、利子の問題で郵便貯金の利子が自由にできない、こういうような観点からいろいろ問題を投げかけているわけでございます。こういう問題はぜひとも解明をして、郵便貯金というものはかくあるべきものであると、こういうような本質論を郵政省としてもPRをしておりますけれども、なかなか徹底しない。したがって、今回内閣にできました懇談会、これはちょうどいい機会でございますので、大いにPRをしまして、郵便貯金の百年の歴史から始まって今日に至る経緯とか、国民の立場で考えればこういう点は当然であると、こういう問題で大いにがんばってまいりたいと考えているわけでございます。  それから年金の問題は、御承知のとおりにいわゆる公的年金はございます。しかし、今後長い目で見た場合に、高齢化社会になったときに高齢者の方々が安心していけるかどうかという問題は、いまの状態ではいろいろ問題がありそうでございますので、それの補完的といいますか、自力更生できる人は、ひとつ郵便年金に入っていただいて、いわゆる個人年金に入っていただいて、公的年金をカバーしてひとつ安心した生活を老後に送っていただきたい、こういうふうに考えているわけでございます。  それから、もう一つは納付金の問題でございますけれども、いろいろ電電公社は非常に努力をされまして、最近では財務状況も大分よくなっているわけでございます。もう一方から、国家財政が非常に緊迫していると、こういうことで特殊法人の納付金という問題が発生をいたしまして、いわゆる臨時で特例的な措置として協力してもらいたいと、こういうような申し出によりまして合意をしたわけでございますが、これは電電公社におきましても大変な問題でございまして、いままでの事業というものはやはり続けていかなければいけない。事業を減らすわけにはいかない。それを保ちながら、借入金によって納付金を納めながら、なおかつ企業努力をしていただいて健全な経営をやっていただかなければいけない。こういうことでお願いを申し上げているような次第でございます。
  236. 西村章三

    西村委員 順次お尋ねをいたしてまいりますが、郵便貯金の増大に伴いまして、いわゆる金融分野における官業のあり方、これの検討機関としての内閣総理大臣の私的諮問機関、いわゆる金融懇というのですか、金融問題に関する懇談会、この設置につきましては、郵政省の申し入れにもかかわらず、申し入れが一方的に無視をされまして、一方的な人選で設置をされた。すでにもう二回もの会合が開かれているわけでございます。私は、懇談会の個々のメンバーにつきましてはそれぞれごりっぱな方だとは思っておるのでありますが、懇談会設置の背景といいますか、あるいはその検討課題としての金融分野における官業のあり方、これはもう明確になっておるわけですね。さらには、通称といいますか、略称といいますか、郵政省の方は金融懇と言われておりますが、大蔵省はこれを郵貯懇、マスコミもほとんどが郵貯懇。こういう名称から考えまして、もうすでに審議以前からいささか偏っていると私は考えざるを得ないのであります。これで果たして中立公正な運営が行われるのかどうか、これも疑念を持たざるを得ないのであります。人選の見直しとともに、郵政省が当初に申し入れられて、これは却下をされ、さらに再度申し入れられたと言われる懇談会の検討項目、二回目の申し入れについてどのような回答があったのか、教えていただきたいと思います。
  237. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 金融懇につきましては、これまで郵便貯金につきましても検討されることになるということでございまして、そうだとしますと人選その他についても郵政省に相談があるというふうに考えておりまして、その人選の決め方についての意見を申し述べたところでございます。先生おっしゃいますように、われわれといたしましても五人の委員につきまして異を唱えたものではございません。預金者の立場を理解した委員の人選について要望したところでございます。結果的には、おっしゃいますようにすでに二回の審議が始まっているわけでございます。そこで、この二月の十八日にヒヤリングがございまして、郵政省の意見を説明をさせていただいたわけでございます。その場におきましても、預金者の立場について、これは人選という意味ではございませんで、検討の内容、検討の仕方という意味におきまして、預金者の立場について十分反映されるように強く要望したところでございます。
  238. 西村章三

    西村委員 局長さん、当初これは五項目の申し入れをされたはずでございますね。いろいろあったと思いますが、その五項目のうち一項目でも、この検討項目一つもまだいま要望段階だ、こういうことなんですね。たとえば会議の際には必ず職員を同席させるとか、あるいは事務局構成についても入れろ、こういういろいろな要望を行っておられたのですが、これが全く実現をしておらぬ、こういうことですね。一方的に支配をされた、こう理解をしてよろしいのですか。
  239. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 御指摘のように二回申し入れをいたしております中の、一月の七日に先生御指摘の五項目を申し入れてございます。  その中で、一点目は懇談会委員について公平な人選と、郵政省に相談をしてほしいという点。二点目では、懇談会の検討項目として政府金融機関、民間金融機関のあり方等を含め、広く金融の全般にわたって取り上げてほしいということ。三番目に、懇談会においては、当省の意見を十分聴取されたいこと。四番目としまして、懇談会会議開催の都度、当省の職員を出席させること。五番目といたしまして、懇談会の事務局職員に当省職員を充てること。五点と申しますのは、そういうことでございます。  この中で、一点目につきましては、先ほど申し上げたとおりでございます。二点目の「広く金融の全般にわたって」という点につきましては、これはかねがね私ども強く申し入れをいたしております。それから、先ほど申しました二月十八日のヒヤリングの際にも、郵政省の考え方といたしまして幅広く取り上げてもらいたいということを主張いたしました。この面につきましては、五人の委員の中にもその方向での若干の感触が示されているというふうに受けとめております。それから、当省の意見につきましては、一回、先日ヒヤリングの機会がございましたけれども、私どもといたしまして必ずしも意を尽くせないという面もございましたので、そのときにも重ねてのわれわれの説明の機会を要望いたしてございまして、これも日は必ずしも定かではございませんが、もう一度六月ごろにということで、機会を与えていただける見通しがございます。それから、当省の職員につきましては、オブザーバーという形でございますけれども、一人出席いたしております。それから、事務局職員につきましては、内閣郵政省から出ておりました職員がその仕事を一部担当するという形がとられているところでございます。
  240. 西村章三

    西村委員 要望を入れてくれるかどうかという感触だけではだめなんでございまして、これからも鋭意御努力をいただきたいと思うのです。問題は期限が限られておりまして、一応八月まで、こういうことにもなっておるようでございますので、一層の御努力お願いいたしたいと思います。  郵政大臣郵政審議会に対しまして、郵便貯金の今後果たすべき役割りについて諮問をされました。けさからも多くの方々から質問があったわけでありますが、郵政審議会というのはもう法に基づくはっきりとした公的機関であります。金融懇、いわゆる郵貯懇は総理大臣とはいえあくまで私的な諮問機関であります。大臣はどちらの機関を重く見られるのか、どちらの権威が高いとお考えになるのか、明確にお答えをいただきたいと思います。
  241. 山内一郎

    山内国務大臣 これはなかなか比較しにくいむずかしい問題ですが、郵政審議会法律に基づいて設置をされておるものでございます。もう一つのは内閣の、総理のいわゆる私的な懇談会である、こういうことで格が違うと思います。
  242. 西村章三

    西村委員 これはもう常識的に考えまして法律に基づく審議会の方が権威を持つ、あるいは重視をするというのは当然のことだろうと思うのであります。  それから、さらにお伺いをいたしたいのは答申の時期でありますが、いわゆる郵貯懇が八月だと明示をされておる。一方郵政審議会が、会議を開いていただいた結果来年の一月だと、若干タイミングがずれるようなことになっておるわけでありますが、これで果たして影響があるのかどうか。何か中間報告でも求めるというようなことも一部報道されていたように思いますが、いかがでございますか。
  243. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 郵政審議会につきましては一月二十二日に第一回が開かれまして、その中で特別委員会という形でいたしますけれども、われわれといたしましては全体としての御意見をいただくのを一年をめどにいたしておりますけれども、その途中の段階におきまして必要に応じまして中間的な答申というものをいただくことも考えており、また現に郵政審議会委員の中から、やはり事項によっては早く中間的な答申をすべきだというふうな御意見もいただいておりまして、現在そのような考え方のもとに事務を取り運んでいるところでございます。
  244. 西村章三

    西村委員 中間報告でも何でもいいのでありますが、タイミングのずれぬように、せっかく諮問なすったわけですから、せっかくの御努力をいただきたいと思います。  そこで、関連をしてお尋ねをいたすのでありますが、郵便年金、御苦労いただいて昨日ようやく決着をいたしました。この年金の創設につきましては、昨年の十二月二十八日に政府・与党間で合意されている文書があるわけであります。その中で、郵貯懇の設置と、その検討結果の尊重確約、けさからもお尋ねがございましたが、これが個人年金の創設の前提条件となっておる。これを裏返して考えますと、個人年金の創設と引きかえに現在の郵便貯金のあり方について見直しなり制約を受ける、受けてもよい、こういうことにも解釈ができるのでありますが、その受けとめ方は一体どう受けとめておられるのか、お尋ねしたいと思うのです。
  245. 山内一郎

    山内国務大臣 懇談会の結論は尊重するということでございまして、懇談会の結論がどういうふうに出るかでございますが、その点はいまの段階では明確になっておりませんので、ぴったりどういうふうになるかということはいまの段階ではまだ不明でございます。
  246. 西村章三

    西村委員 そういうことをお尋ねしておるわけではないのであります。ここに個人年金に関しての政府・党の合意書、明確にあるわけでございますが、個人年金については、次の条件でこれを実施する。その前段で、いわゆるこの郵貯懇の設置、この結果についてはそれぞれの大臣がこれを尊重する。いわば引きかえ条件みたいに、郵便年金を認めることについてその前提条件としてこれがついておる。この辺のところにわれわれは非常に不可解に感じるところがあるわけなんですね。その辺について大臣の受けとめ方はどうだったのか、そのことをお尋ねしておるわけです。
  247. 山内一郎

    山内国務大臣 懇談会設置と、それから年金は九月から発足するということは、同時に決定されたことでございます。
  248. 西村章三

    西村委員 どうも政治的にいろいろニュアンスがあるように思われてなりません。けさほど来の同僚委員の質問もありましたから、いまはくどくどしく申し上げませんが、これと引きかえに何か取引をしたような感じ、われわれはそういう気がしてならないわけでございます。  そこで、年金問題に入るのでありますが、昨日決まりました最高限度額は七十二万円でございました。これに至るまで、当初は、一昨年のときでございましたが、これは原案が二百四十万円、それがさらに九十六万円に一年のうちに後退をして、最終的には七十二万円ということで落ちついたのでありますが、この郵便年金というものは、先ほど局長から御答弁ございましたように、大正十五年から、古くから制度化されておった。なぜこれが早く有効に活用されなかったのか。高齢化社会の到来というものは去年おととしに始まったものではございません。もっと早くから予測ができたはずであります。なぜ今日までニーズに合うように改善をしないで放置をしてきたのか、この辺のところをお尋ねをいたしたいと思います。
  249. 小山森也

    ○小山(森)政府委員 先生のおっしゃるとおり、実はこれが現在でも八万件の契約件数は持っているわけでございます。ただしかしながら、第二次世界大戦の後におきます経済混乱、この際に年金というものに対する基本的な考え方が非常に崩れまして、これをどのような形で具体的に再建していくかということにつきまして時間がかかったことは、まずその第二次大戦のときの物価といいますか、貨幣価値と実際の給付との差が余り大き過ぎたというような点から、若干立ちおくれがあったことは御指摘のとおりだと存じます。ただしかしながら、これにつきましては、高齢化社会の到来というものはすでに当然予測できました。しかも、私どもの郵政省に対して、この個人年金というものは行うべきであるとして法律が命じておるということも、もう一つの課題としてあったわけでございます。  そこで、昭和五十二年になりまして、これをどのような形にすべきかということになりまして、検討を始めたわけでございますけれども、何分ともこの問題につきましてはいろいろな条件を整えなければならない。したがいまして、これは基本的な考えから検討すべきであるというようなことがありまして、外部の専門家への委託等、あるいはすでに高齢化社会が到達しております外国の実情等の調査、これに約三年かかった次第でございます。郵政省といたしましては、この郵便年金法に基づく、しかも現状に合いますような制度への改革というものは、このような経緯でもって努力したつもりではございますが、御指摘のように、その間における時間というものが長かったということも、一つの批判として当然傾聴しなければならないのではないかと思っております。
  250. 西村章三

    西村委員 時間が刻々進んでまいりますので、この法案はいずれ当委員会に付託をされますので、細かいことはそのときにお尋ねをいたしたいと思います。  次いで電電公社納付金問題でありますが、この問題は、そもそも公社の会計が大幅な黒字になった、この辺から出てきたのであります。そこでお伺いをいたしますが、電電公社の決算において収支差益が出たのは、いわゆる公社通信設備など固定資産の約八割が加入者債券や電電債などの利用者の拠出によって賄われている事実、さらに旺盛な技術開発や経営努力によって収益が生み出されてきた、こういうことであります。申し上げるまでもございませんが、電信電話事業というものは、受益者負担の原則で運営をされ、独立採算制を基礎にしている。したがって、赤字になれば料金値上げでカバーをしてまいりましたし、またそのかわりに、黒字になれば利用者に還元をする、これが受益者負担の本旨であります。その意味で、今回の上納金制度というものは、この本旨をゆがめるものではないのか。結果的にコストを押し上げて、料金値上げの時期も早まり、かっ上げ幅も大きくしてしまう。結局しわ寄せは国民利用者の方にこうむることになる。一体この収支差益というものは、だれに還元すべきものだと基本的に考えておられるのか、私はこの点についてお尋ねをいたしたいと思います。
  251. 岩下健

    ○岩下説明員 お答えいたします。  電電公社の固定資産が約八兆円ございますが、そのうち先生御指摘のように、約八割に相当します部分が何らかの利用者の拠出によって形成されたものでございます。そういう意味におきまして、基本的に利用者の料金からいわば生み出されました収支差額、これは利用者の方々にまずもって還元すべきもの、かように考えております。
  252. 西村章三

    西村委員 これは当然のことであろうと思うのでありますが、公社は五十一年の料金改定以降、毎年黒字を出してこられました。いろいろな御努力があったと思います。特に五十四年度の決算では、史上最高の四千五百二十九億円の黒字が計上されておるわけであります。もちろん、赤字よりも利益金が出ることあるいは利益金が大きくなることについては大いに結構でございます。しかし、それはやるべきことをやって、その結果としてであって、やるべきことをやらないで幾ら剰余金が出てもあるいは黒字が出ても、これはしようがないのであります。  やるべき内容利用者への還元方法というのはいろいろございます。先ほど竹内委員の方からもお話がございました。現在、たとえば公社の建造物、土地等の固定資産税が特例措置で減額をされております。いま地方自治体は国と同様でございまして、それぞれ大きな赤字を抱えて財源探しに躍起になっておるのであります。しかし、法律によりまして三公社にかかわるいわゆる市町村の納付金、これは算定基準額の二分の一の特例措置でもって減額がされておるのであります。五十五年度におきましては、電電公社のこの対象市町村がおよそ三千二百五十五を数えておりますし、その納付金額は半額で四百八十七億円、この四百八十七億円といいますのは、これは三公社の中では一番の大口でございますが、赤字の国鉄ならいざ知らず、この特例を廃止をして正常に戻すことによって、これも一つの還元の方法になるのではないか。  先ほど自治省の方からもお答えがございました。地方制度調査会でもそういう方向での答申を出しておる。当委員会でも過去に強い要望が何回か出されてまいりました。この際、これにつきましても見直すなりあるいは再検討する。こういうお考えは今日段階でどういうふうに考えておられるのか、お答えをいただきたいと思います。
  253. 岩下健

    ○岩下説明員 お答えいたします。  いわゆる市町村への納付金、これは先生御指摘のとおり、昭和三十一年に法律が制定をされまして、初めて市町村に対しまして、ほかの二公社ともども、公社の固定資産につきまして地方へ納付をするという制度ができたわけでありますが、その際、公社の持っております事業の強い公共性、それからまた私企業にない各種の制約がある、こういった点を勘案いたしまして、課税対象額を一般固定資産税におきますものの二分の一にするという特例をしいたわけでございます。  その後公社事業は、各市町村、自治体におきまして、公共の福祉を増進をするという目的に沿いまして鋭意努力をしてまいりました。市町村住民の日常の生活とかあるいは経済活動に多大の利便を提供し得てきた、こういうふうに考えております。この点は法の制定の当時と現在といささかも変わっておらないと考えておりますので、私どもとしましては、この二分の一のいわゆる特例措置、これを廃止をするということにつきましては、筋道の問題としましてもまた現実の財務の負担の問題といたしましてもお受けすることはできない、かように考えております。
  254. 西村章三

    西村委員 私もこの問題につきましては慎重に検討しなければならぬことはよく承知をいたしておるわけでございますが、たまたま国に、いま市町村納付をいたしております四百八十三億円の十倍にも値する上納金を出そうということでございましょう。こういうことから考えますと、きわめて矛盾があるということを申し上げたいのであります。これは一遍改めて検討していただきたいと思います。  それからもう一つ、この上納金の問題でありますが、この構想が行政管理庁から提示されました時点で、これは昨年の十一月でございましたか、二十七日の郵政省における記者会見ですか、郵政大臣の記者会見で、納付金のかわりに電話利用税の新設を提案されたことがあったはずでございます。電話利用税構想というものは、これはもう将来にわたって永久的に制度化されるものでありますし、また利用者の反発も非常に強い、国民利用者の負担増も大きい、こういう中で、いまこの電話税につきましてのお考え方といいますか、これをさらに推進しようというお考えなのか、あの時点におきまして課徴金よりもこの方がいいという単なる御発言にとどめられるのか、この辺について伺いたいと思います。
  255. 山内一郎

    山内国務大臣 納付金の問題が出てまいりましたときに、収支差額から取るべきであるかとか取ったらどうかだとか、自己資本率云々というようないろいろな問題がございまして、はっきりしない理論であったというふうに私はそのときは受け取ったわけでございます。それで、同じ金を供出するには、電話の一般使用料に何分かのプラスをして出すような制度ができれば性格もはっきりしてくるじゃないかというようなことを考えて発言したものでございますが、いまの段階では全然考えておりません。
  256. 西村章三

    西村委員 結構でございます。先へ進みます。  次に、電電公社の不正経理問題についてお尋ねをさしていただきます。  今回の事件は電電公社始まって以来の最大の不祥事であります。摘発した会計検査院調査によりますと、旅費の不正経理分、いわゆる架空出張、空出張が総額でおよそ三億八千七百三十五万円、会議費の不正分、これも架空の会議や不正規の会議で不当に使った金額が九億四千五百三十九万円、膨大な額に上がっております。特に会議費はもうむちゃくちゃです。すなわち会議費として昭和五十三年度及び五十四年度の二年間支出をされました総額が、これを総裁もよく聞いていただきたいのでありますが、件数にして八千二百七十八件、十七億四千六百三十万円のうち、不正分は何と件数にして七千八百五十件、金額にして九億四千五百三十九万円、パーセントに直しますと件数の九五%、金額の五四%、言葉をかえますと、全体のうちで件数のほとんど全部、金額の半分以上が架空もしくは不当な会議ででっち上げられていたことになるわけであります。また、これら旅費や会議費から浮かして会食に使われたものが、そのうちの総計で四億二千二百十二万円、わずか二年間です。日曜、祝日を除きましても、これで換算いたしますと、一日におよそ七十万円ずつ公金で毎日、毎日飲んだり食ったりしておったことになる。一体これはどういうことなんですか。  特にわれわれが許せないことは、これだけ行財政改革が叫ばれておる、経費の節減が要求をされておる、しかも鉄建公団や各省庁の空出張、やみ給与、電電公社とはきょうだいのような立場にありますKDDの乱脈な経理が世上騒然となって、一層の綱紀の粛正が世論になっている真っ最中に、これを横目でながめてなおかつ改めようともせずに五十五年にまで継続してこられた、これは傍若無人の、神を恐れぬ態度だと私どもは思います。私には、罪の意識どころか、普通の感覚すら麻痺しているとしか思えない。しかも、昨年の、五十五年の二月一日の本院の予算委員会におきまして、当時の総裁は、わが党の塚本書記長の質問に答えまして、やみ出張などと言われるが、事電電公社に関する限りこれはあり得ない、こう断言をされておるのであります。総裁国会で胸を張っている間にずっとその悪事というものは続いていた。こんなでたらめがどうしてわからなかったのですか。なぜ長い間放置されたまま外部の人から摘発されるまでほうってあったのか、まずこのことについて答えてください。
  257. 小澤春雄

    ○小澤説明員 お答え申し上げます。  御指摘のとおりでございまして、一言もない大変に不届きな、しかもわれわれとして国民にも本当に申しわけない事態でございます。昨年の二月一日の衆議院予算委員会で、塚本先生から秋草前総裁に御質問がありましたとき、私もその場におりまして承っておりましたが、当日は、例の一月九日以来新聞等に盛んに出ておりましたいわば電電公社の超過勤務手当のプラスアルファとしての一括支給の問題がやみ給与ではないかということが中心の質問あるいは回答でございましたが、それに関連いたしまして、先生いまお話しのように、そういう問題はやみでも空でもない、総裁の当事者能力の最低限の問題処理だという回答をしたその後で、しかし空出張というような、こういう不正なことは絶対にありません、このように回答いたしました。  しかしながら、その後会計検査院の御調査によりまして、その一、二カ月後から、電電公社の大阪、近畿通信局における空出張問題が次第に明らかになってまいりまして、五月二十八日にその実態をつかまえまして、関係の処分を行ったのでございますが、これについては、秋草前総裁もその後のいろいろな機会に自分の不明を心からおわびして、そこまで目が届かなかったし、また大変な事態を出来したことにつきましては申しわけないということを、国会の場でもあるいは報道機関等に対しても深く陳謝をいたしておったところでございます。  このような問題が起きましたことは、先生御指摘のとおりでございまして、一言に言えば、綱紀の弛緩それから公私峻別観念の欠如という一言に尽きます。そのほか、いろいろな会計上の問題とか、いろいろございますが、これにつきましては、点検委員会を設けましていろいろと問題点をえぐり出しまして、これに対して目下鋭意、改善施策を講ずるとともに、本日の委員会の冒頭で真藤総裁からも業務概況説明でもお話しいたしましたように、業務執行改善推進委員会をつくりまして、総裁みずからが委員長になりましてこの問題には真剣に取り組んでいく、このような姿勢を示しておるところでございます。大変に申しわけない事態でございました。
  258. 西村章三

    西村委員 この事件のために総裁までおやめになるという非常にお気の毒な事態が発生したわけでございますが、そういう事態がどうしてわからなかったのですか。私は不思議でならないのです。  聞くところによりますと、不正を働いた連中は、部や課ごとに裏帳簿までつくっておった。架空名義の預金や口座を持って金をプールして、それを自由気ままに好きなように使っていたそうですが、これでは悪質な計画的な犯行、あるいは組織ぐるみ、公社ぐるみ、こう言われてもしようがないですね。  その後、電電公社は自主的に内部調査を行われたようでございますが、まず、どのような体制と方法で調査をされたのか、簡単に答えてください。
  259. 小澤春雄

    ○小澤説明員 お答えいたします。  昨年五月から八月にかけまして、業務執行点検委員会というものをつくりました。この内容は、大変たくさんございますが、一言で申し上げますと、このような不祥事件の起きた原因は何かということを掘り下げまして、私ども四つの原因をつかみました。  一つは、たとえば部内で会合する場合は一回二千円、同種会合は年一回に限るというような厳しい会計基準があった、それを逃れるために空出張でプールした金を使ったとか、あるいは予算の管理方法が非常に会議費、旅費に対して不行き届きであったとか、それから経理の事務担当者がいろいろな事務処理方法について、会計の厳しさあるいは企業会計の一銭たりといえどもおろそかにしてはならない、こういう観念に欠けて、形式的に事務処理をしておったということ。  それからもう一つは、電電公社の大量開通時代にいろんな事務簡素化を行いましたが、これが会計事務のような本来簡素化してはならない面にまで及んで、たとえば出張など、帳簿で一連で番号をつけるものを伝票形式にしておったとか、このようなことが不正経理を発生させた原因であるということを究明いたしました。  これにつきましては、一点一点についてつぶさに改善方策を講じ、本年は、先ほど申し上げました委員会で、これを一つ一つ検証してまいる、あるいは推進してまいる、このようにいたしております。
  260. 西村章三

    西村委員 時間が非常に乏しゅうございますので、具体的に要点だけお尋ねいたしますから、簡単に答えていただきたいのであります。  これらに関係した人、これは管理職の人だけですか。  それから、業務上必要とされる会食の程度あるいは接待の範囲というのはどの辺までなのか。  部外者とはどういう人を指すのか、部外者との会食ですね、その中での部外者です。  それから、二回にわたってもう処分はなされたわけでございますが、この処分はどういう基準で行われたのか。  それから、自主弁済額がおよそ四億六千七百万円、これは業務外使用ということで認定をされているようですが、この認定基礎というものは一体どのような支出を考えたのか。配分の基準というのはどこに置かれたのか。  さらにもう一つ、弁済対象者は全管理職に及んだとわれわれは聞いておるのでありますが、これは非常にまじめで養良な、事件と全く無関係の人まで多数含まれておる。職場規律というものは、言うまでもございませんが信賞必罰、これでありますが、白も黒も一緒くたにして、これで果たして今後の公社内の公正というものが保たれるのかどうか、非常に疑問に思っておるところでございます。  数多く申し上げましたが、それぞれ端的に答えていただきたいと思います。
  261. 森谷昭夫

    ○森谷説明員 お答え申し上げます。  最初の、これに関与したのは管理者のみかという御質問でございますけれども、こういった不正な経理に基づく行為であるということを認識しながら参加したというのは管理者だけでございます。  それから次に、ちょっと先生前後するかもわかりませんが、抜けたところがありましたらまたお願いしたいと思いますが、部外者とはどういう者をいうかということでございますが、部外者と申しますのは電電公社の職員以外の人、こういうふうに私ども通称しております。  それから、二回にわたります処分をやりましたが、その基準は何かということでございます。これは私どもの就業規則あるいは会計規程、そういったものに違反をした場合に、懲戒規程によりまして処分をいたすわけでございますが、それに従いまして量定をいたしまして処分を行いました。  それから、自主弁済の関係でございますが、認定に当たって、私どもが基準と申しますか、基準的なものとして考えましたのは、業務上の必要性が強いもの、確かにその金の出し方は悪いことではございますけれども、使途が業務上の必要性が強いものと業務上の必要性が薄いものと私たちなりに判断をして分けまして、それで業務上の必要性が薄いものにつきまして、任意弁済と申しますか自主弁済と申しますか、いたしたわけでございます。弁済の対象者は、本来これは予算執行職員等の責任に関する法律というものに基づきまして関係責任者というのは決まっておるわけでございますけれども、契約等担当役等でございますけれども、これは百四名でございます。原則としては本来百四名でお返ししなければいけないのでございますけれども、金額が非常に膨大でございます。したがいまして、関係職員だけでは返せません。しかし、返せないということで公社に与えた損害を補てんしないということは許されないことでございます。そこで、とりあえず急いで返すには全国の管理者にお願いをして協力してもらう、それでとにかく公社に与えた損害をまずもって補てんする、こういう考え方でお願いをしたわけでございます。したがって、全管理者と申しましても、現場の管理者の皆さんは非常に下級のと申しますか、給料の低い方もおりますので、そういう人は除いておりますけれども、お願いをいたしまして、強制はいたしておりません。  以上でございます。
  262. 西村章三

    西村委員 まだ抜けています。  業務上必要とされる会食の程度というのは一体その会計基準でどの程度のものを考えておられるのか。
  263. 森谷昭夫

    ○森谷説明員 業務上の必要性が強いと認められましたのは、部外者との会食で、たとえば販売の促進でありますとか道路占用等の部外折衝というような会合でございますね。それから、部内者の会食でございましても、夜遅くまで仕事をして同一機関内で夜食をしたというような場合、あるいは下部機関に説明会に行きまして、さらに説明会の延長のようなかっこうで会食をしながら打ち合わせをするというような形でございますね。それから、管外の機関との会食、これは部内者でありましても管外の機関との会食でございますとか、あるいは深夜帰宅する場合のタクシー代でありますとか、その他職責上認められる範囲の香典とか弔電あるいは部外者へのおみやげとか、それから各種レクリエーション活動に対する補助とか、そういう支出につきましては業務上の必要性が強いというふうに考えております。それ以外のものにつきましては、業務上の必要性が薄いという考え方で区分けをしております。
  264. 西村章三

    西村委員 時間が迫ってまいりましたが、郵政大臣、今回の一連のこの不正事件というものを考えますと、原因はいろいろあるわけでございますが、私は、最大の反省点は公社の職員一人一人が公共企業体の職員としていかに自覚と使命を持って保持するか、こういうことだと思うのです。同時に制度的な欠陥やあるいは運用に誤りがあるのならば、これはまた当然正すべきでありまして、これらを通じて再発防止の実現に努めるべきだと思います。したがって、法改正や制度あるいは内規、この見直しが必要なものにつきましては、真剣にかつ早急に検討すべきだと思うのですが、監督官庁としての最高責任者である郵政大臣の見解を承りたいと思います。
  265. 山内一郎

    山内国務大臣 本当に私も聞いてびっくりするというより、まことに遺憾で言うことがないぐらいの問題でございます。そこで、いろいろ公社からも話がありましたけれども、大筋においては今後ないような方向に進んでいると思いますけれども、まず、公社の中のいわゆる一般の職員並びに特に経理に携わる者が、国会で決定した予算を執行する心構えが私は必要だと思うのです、予算費目はちゃんと決まっておるのですから。その点を十分に自覚していただいて、後はいかにその点を監査するか、監査機構も補強されつつあるようでございますけれども、そういたしまして、人心を一新して、この際新しい出発としてこういうことがないように指導してまいりたいと考えております。
  266. 西村章三

    西村委員 時間が参りました。最後に新総裁にお伺いいたしますが、先ほど来お聞きのとおりでございます。今回の不祥事というものは今後の公社経営に多くの問題を提起したと思います。新総裁公社の再建と健全な発展のために御就任をされ、御苦労いただくわけでございますが、責任者として電電公社のこれからのあり方はどうあってほしいと思われるのか、また現行制度的な欠陥としてどんなものがいま考えられるのか、さらに今回の事件にかんがみまして内部的な倫理観の確立をいかに図っていくか、こういった観点からひとつ総裁としての忌憚のない御意見を承りたいと思います。
  267. 真藤恒

    真藤説明員 お答えします。  着任いたしまして内部の話をいろいろ調査いたしまして、私が着任して一番先に新しく問題を提起して事を始めたのは、綱紀粛正の問題でございまして、いかに考えましてもこれは総裁みずからが指揮をとり、みずからが責任をとってやるべきものだと判断いたしましたので、公社としては歴史的に異例なことのようでございますが、総裁が責任者となりまして特別な組織をつくりまして、いまの御趣旨に沿う活動の方針を与えて、目下すでにその組織は活動に入っております。  私は、平たく申し上げまして、こういう組織でございますので、犬やネコの毛並みに沿って長い間運営されてきたものだと心得ております。でなければこういうことは起こるはずがございませんので、私はいまからときどき逆なでをやるつもりでおります。それによって、もっと仕事の合理化の種も出てまいりましょうし、それからこういうことの起こる原因も出てくると思います。そういうふうな運営のやり方で今度の綱紀粛正の組織をつくりましたが、これは一時的なものとは私は思っておりません。相当の時間をかけて激しく指揮しながら、われみずからその行動の一端を担ってやるつもりでございます。  それと、私まだ就任間もございませんので、こういう問題が起こる制度的な根源がいずくにありやということは、私みずから手を染めまして腹に入って、こういう場に御説明申し上げて、直すべきところは直すようにお願いしたいと思っております。いま具体的にこうだこうだと言うのは、私はまだ自信はございません。そういうふうなつもりでやっていくつもりでございます。
  268. 西村章三

    西村委員 時間が超過をいたしまして御迷惑をかけました。私の質問はこれで終わります。
  269. 佐藤守良

    佐藤委員長 西村章三君の質疑は終わりました。  藤原ひろ子君。
  270. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 会計検査院は、昨年十二月十日昭和五十四年度決算検査報告内閣に提出いたしました。     〔委員長退席、畑委員長代理着席〕 この中で幾つかの不正事項、不当事項指摘をされているわけでございますが、その中でも件数から言いましても、また金額から言いましても、最大のものが電電公社であるわけです。わけても多数の幹部職員が直接関与した近畿通信局などにおける空出張、空会議は、国民大多数の大きな怒りと不信を招いております。私は、最初にこの問題についてお伺いをしたいと思います。  まず、会計検査院にお尋ねをいたしますが、あなた方は公社の幹部職員を中心とする空出張、空会議での不当支出が約十三億円あるという指摘をされました後、予算執行職員等の責任に関する法律、予責法の定めに従って現在弁償責任の検定作業に入っておられるわけでございます。この作業の終了見込みの時期と、現在までの検定作業の中でその支出業務上必要でないと認められるもの、つまり言いかえれば私的な目的のために支出をしたと考えられるものがあるのかどうか、お答えをいただきたいと思います。
  271. 中村清

    ○中村会計検査院説明員 お答えいたします。  ただいま先生がおっしゃいましたように、不当事項として指摘したものにつきましては、その不当事項予算執行職員等の責任に関する法律に規定する弁償責任に該当するかどうかということを検定しなければならないことになっております。この検定は除斥期間が三年でございますので、この期間内にどうしても検定しなければならないわけでございますが、五十三年度分の不正経理で早い時期に発生したものにつきましては、この三月末で三カ年になりますので、三月中には結論を出すよう、いま官房の検定室で鋭意作業中でございます。  それから次に、先生がおっしゃいました私的ということでございますが、その前に先生がおっしゃいました業務運営上の必要性が薄い場合、こういう言葉に言いかえさせていただきますと、こういう経費もかなり含まれているという心証を持っております。
  272. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 それでは電電公社にお尋ねをいたしますが、この問題は、一昨年の通常国会でわが党の東中議員が指摘をしましたのが事の始まりでございますが、このときに当時の小澤監査局長がこう言っておられます。「管理者職員が会食するとかいう場合は、もちろん個人負担をすべきであるというふうに私ども厳しく指導しておりまして、そういう問題につきましてはむしろ監査のかなり重要な項目としてこれまでも監査をしてまいりましたし、また現在も指導しているところでございます。」こう答えているわけです。これは昭和五十四年二月二十八日のことです。ところが、わが党の再三の指摘によりまして会計検査院が大変苦労して検査をしたら、まさにびっくりするような事態が明るみに出てきたわけですね。そうするとあなた方今度は何をやったか。公社は、最高の人で減給一カ月という処分を早々にされて、全国の管理職に自主弁済に協力するように呼びかけられたわけです。  私どもは公社がなぜこんなに早く動き出すのかと不思議に思って、先日この問題で電電公社監査局の近藤次長から公社の考え方をお聞きいたしました。処分をするからにはこの事件の性格、そして、なぜこのようなことが起きたのか、また、だれにどのような責任があるのか、さらには、公社としては正確につかんだ上でやったのでしょうね、このことを確認いたしました。すると、当然ですというお答えでした。同時におっしゃいましたのは、指摘をされた事項はすべて業務上必要な支出であったという認識である、こういうふうに答えられたわけです。電電公社はこんな自分に都合のいい結論をどうして大急ぎで出したのですか。  先ほども会計検査院から御答弁がありましたが、私的な目的で支出をしていないかどうか調査をしている最中です、三月末にそれが出てまいります、そういうものもあるかもしれないというふうなことも暗におっしゃっているわけなんです。不正経理問題に関する公社の言います認識の結論、これは実はまだ出されていないわけです。あなた方がやっていることは国民の目を何とかごまかそうとしているとしか考えようがないわけです。この際、公社はこの事件の性格と原因について認識をちゃんとしているのかどうか明らかにしていただきたいと思います。
  273. 小澤春雄

    ○小澤説明員 お答えいたします。  ただいま藤原先生御指摘のように、豊崎局の空会議九十九万五千八百六十円という問題が東中先生から御指摘がございましたときに私がそのように答弁いたしました。その考え方はいまも変わってはおりません。  処分をなぜ事案不確定の時期にしたのかという御質問でございますが、私どもといたしましては、検査院から推問書をいただいたりあるいは事案の内容の事前の指摘を受けましたことに並行いたしまして、電電公社の内部監査を実行いたしまして、検査院の御調査の結果並びにわれわれが把握した事実というものが符合しているということを確認いたしました時点で処分を発令した次第でございます。したがって、いま検査院の方からお話がございました検定作業が三月中に終了したということでございますと、その場合の検定した結果の内容が私どもが自主的に検証いたしました結果と食い違うというようなことがございました場合には、処分の責任内容その他につきましても当然に考え直す意思がある、このように考えている次第であります。しかし、何よりもまず国民に対しておわびの姿勢を示す、公社の反省の姿を一日も早く示すということで総裁の処分権に基づいて処分を発令した、こういうことでございます。
  274. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 何が自主的でしょうか。一体何を言いたいのですか。いま会計検査院が答弁されたこととは全く違うわけです。あなた方、予責法をどう勉強されていらっしゃるのですか。何と書かれているのですか。きょうは時間がございませんので、私はこの問題につきましては次の機会に質問をしたいと考えておりますが、いずれにいたしましても、電電公社対応は問題の解決について不十分だとか不熱心だとかいうものではなくて、むしろ問題の核心をいかにして隠すか、こういうことに力を注いでいるというふうな印象を受けるわけです。自主弁済と称して関係のない職員にまで弁済についての協力をさせている。決して強制はいたしませんと先ほどおっしゃいましたけれども、新聞にも出ていることはどうでしょうか。借金をしたりあるいはボーナスは飛んでしまった、自分たちはこのようなものに関係がないのになぜこんなことをさせられるのだろう。口とおなかとは違うわけです。その家族だって、これは本当に不当だ、うちのお父ちゃんそんなことしてないのになぜ家族にまでしわ寄せが来るのだろう、こういう不満があるのは当然のことです。公社ぐるみで悪いことをしたんだから公社ぐるみでかばい合っているんだ、こういうふうにしか国民には映らないわけです。  私は会計検査院の検定作業が終了いたしました段階で改めてこの問題について取り上げて質問をさせていただくことを申し上げまして、この問題に対する大臣の所見をお伺いして次に移りたいと思います。
  275. 山内一郎

    山内国務大臣 いろいろ電電公社において検査院で問題になるようなことをして、本当に心から遺憾に思っておるわけでございます。いまいろいろ御指摘ございまして、私も公社がいろいろと調査をして何とかして国民信頼を得たいと努力していることは非常に認めているわけでございますが、いまの先生の御指摘もございましたので、そういう点についても指導してまいりたいと考えております。
  276. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 次に、私は郵便事業の問題、その中でも配達の問題についてお尋ねをしたいと思います。  昨年の臨時国会でも郵便事業につきましていろいろ論議をされたわけですが、その中でも郵便事業の性格、使命は、憲法で保障された通信の秘密を守り、信書の送達を行う、こういう非常に重要な役割りを持っておるわけでございます。ですから、この信書の送達に従事をする郵便職員の任務、これは大変重要なものがあるというふうに私は考えるわけでございますが、郵政省はいかがでしょうか。
  277. 魚津茂晴

    ○魚津政府委員 先生仰せのとおりでございまして、事実また私たちに適用になる法律、たとえば国家公務員法の百条で職員は職務上知り得た秘密を守らなくちゃならないというようなことでございますとか、それから郵便利用関係についての法律でございますところの郵便法におきましても、郵便業務に従事する職員というのは当然通信の秘密、これを守らなくちゃならないという法律の整備ができておりまして、それに基づいて厳正に法を執行しておる、こういうのが実情でございます。
  278. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 この非常に重要な郵便業務に携わっておられる人々の中に団地配達員と呼ばれる人たちがおられます。私はこの人たちがどんな仕事をしていらっしゃるのか調査をしてみました。たとえば、京都市に大原野局というのがあります。ここの局は洛西ニュータウンという大きな団地を抱えておりますが、この団地の配達を団地配達員の方がやっているわけです。朝九時前に九人のママさん配達員が局へ出勤をいたしまして、団地の郵便物を配達順に整理をして、そして各自の受け持ちに出ていくわけです。勤務時間は一日四時間、日曜日を除いて毎日出勤をしております。いわゆるパートの勤務者ですね。  労働省にきょうはおいでいただいているわけでございますが、今日パート、臨時という雇用形態が民間、国、地方自治体、あれこれを問わずにあらゆる産業分野に及んできております。そして、この多くがだれかといいますと、婦人のパートタイマーであり、しかも一時的、臨時的、補助的なものとしてではなくて、恒常的なものとして組み込まれているわけです。それにもかかわらず、同じ仕事をしながら賃金を初め労働条件に差がつけられて、退職金も払われず一方的に解雇されるというふうなことなど、低賃金で、パートと名がつけば労働法も何もあったものではない、全くの無権利状態に置かれているわけです。  そこで、労働省の方でも、婦人パートタイム労働者の権利を守るために指導をしておられるわけでございますが、私はここに婦人少年局長名で昭和四十五年の一月十二日に出された、十年前に出された婦発第五号という通達をいただいております。ここでは婦人のパートタイマーについてこのように定義づけをしております。「パートタイム雇用は、身分的な区分ではなく、短時間就労という一つの雇用形態であり、パートタイマーは労働時間以外の点においては、フルタイムの労働者と何ら異なるものではない」労働省、これに間違いありませんでしょうか。いかがでしょう。
  279. 岡部晃三

    ○岡部説明員 お答え申し上げます。  パートタイムの定義、先生御承知のとおりいろいろございますが、一般的には、労働時間が短いものというふうに定義をされて扱われている場合、それからまた、当該事業所においてパートと呼ばれているものを指す場合、いろいろ統計上の処理もございますけれども、その労働法上の地位ということになりますというと、パートであるという雇用形態のいかんを問わず、労働基準法等の適用関係につきましては原則として適用があるということは当然のことでございます。
  280. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 パートタイマーは、労働時間以外の点ではフルタイムの労働者と何ら異なるものではない、こういうことでございますね。このことは婦人少年局の通達だけではなくて、労働基準局の方も、労働基準という機関誌、広報誌の八一年の二月号を見せていただいたわけですけれども、おたくの方も同じように言われております。――御答弁は結構でございます。  そうしますと、当然のこととして労働基準法を初めとするさまざまな労働者保護に関する諸法令というのは厳密に適用されるはずですね。労働省、いかがでしょうか。
  281. 岡部晃三

    ○岡部説明員 原則としておっしゃるとおりでございます。ただ、その短時間就労ということの結果、たとえば個々の規定を考えてまいりますと、たとえば失業保険というものが適用になるかどうかということを考えてみますというと、これは制度の性格からおのずからその時間の長さ等によりまして、現在、ある方は入る資格があり、ある方は入る資格がないというふうな個別的な問題はございますけれども、全般的に労働者保護法規の適用という点では先生おっしゃるとおりと存じます。
  282. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 そこで団地配達員、いわゆるママさん配達員の問題でございますが、郵政省にお尋ねをしてまいりたいと思います。  主婦のパートタイマーによる団地配達は、十年前の昭和四十五年に始まっております。現在、全国で約百六十局に約千三百名のママさん配達員がおられるということです。  ある配達員の方はこのように訴えております。「郵便配達は、他人様の信書を配る大切な仕事です。パートといっても、雨の日も、風の日も、台風がきても休むわけにはまいりません。カッパをきて、小包をかかえ、カバンをさげて団地の階段を上ったり下りたりします。しかし、八年やっても時給六〇〇円、一時金といっても年末にわずか三五〇〇〇円のモチ代程度、本ちゃんの男の人と同じ仕事をしているのにこれではおかしいではありませんか。もう少し考えてもらえないものでしょうか」こう訴えておられます。  また、御主人の転勤でやめられました方は、「五年やっても、やめるときは、表彰状一枚きり、一銭の退職金もない、民間でもいくらかはあるのに」こう不満を訴えておられます。  待遇の改善を切々と訴えておられるわけですが、郵政省、ママさん配達員の賃金は幾ら出しておられますでしょうか。昨年いただいた資料では1時間給約六百円、全国平均だということでございましたが、いまはどうなっているのでしょうか。
  283. 魚津茂晴

    ○魚津政府委員 お答え申し上げます。  団地配達、いわゆるママさん配達の方は全国的に分散をしております。現在、団地配達のその制度をとってないのは四国と信越がございますが、そのほかの地域に分かれているものですから、その地域に応じた賃金単価を事実上は考えているわけでございます。そういったことを前提にして申し上げますと、現在時間給にいたしまして、平均をいたしますと六百五十円に相なるわけでございます。  それで、最高を申しますと、これは東京管内でございますが、六百七十四円、それから最低の額、これは北陸管内にございますが、五百六十五円ということに相なっているわけでございます。
  284. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 勝手に労基法を解釈して、地域に応じた賃金を考えているということですけれども、労働省の答弁ですと、パートタイマーというのは、労働時間が短いだけで、それ以外ではフルタイマーと何ら異ならないということなんですね。婦人少年局の第五号、この通達でも、パートタイマーの賃金については同種の労働者の賃金と均衡を保ったものであるべきだ、こういうふうに明記をされているわけです。ところが、京都のある局で聞きますと、ママさん配達員の時間給は五百六十円でした。これは高卒新採の郵便外務員職員の一時間当たりの給与と比べましてもはるかに低い賃金です。さらに五年、六年と勤務されているベテランのママさん配達員、高卒の方よりも低い賃金で働いているわけです。こういうことに事実なっているわけです。同じ郵便配達をしているのにこれほどの賃金格差をつけるというのは、どういう理由でしょうか。大臣、お答えいただけませんでしょうか。
  285. 魚津茂晴

    ○魚津政府委員 お答え申し上げます。  基本的にパートタイマーとフルタイマー、これは勤務時間の長さの相違だけで、あとは合理的に区別をつけ得る理由はないという点については、私も同感でございます。  ただ、私はここで申し上げたいと思いますのは、いわゆる郵政職員として本務者という立場の方、それから郵政職員として非常勤という立場の方、この本務者と非常勤のその地位の差というものから差が出てくるということは私はあり得ると思うわけでございます。あり得るという意味は、そういう区別をしてはならない、あるいは差をつけてはならないというような法律上の根拠もございませんし、それから現に私たちの郵政省で、労働条件につきましては基本的には労働協約が締結されているわけでございますが、その労働協約の中においても本務者の労働条件、とりわけ賃金でございますが、賃金の労働協約の内容、そして非常勤の関係の労働協約の取り決めというものがはっきりと区別されているわけでございます。そういった差がいま先生が御指摘なさる根源になっておるといいますか、基本的にはそこから出てくるものである、こういうふうに私たち理解をしておるところでございます。     〔畑委員長代理退席、委員長着席〕
  286. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 いまの御答弁は全く矛盾をしていると思うのですね。本務者と非常勤とは、地位の差からこういう賃金にも格差が出てくるのだ、あり得ることだ、あたりまえだ。パートというのはこれはほとんど団地ママさん、婦人ですね。全く私は婦人に対する差別発言に等しいというふうに思うのです。パートもフルタイマーと同等に扱いなさい、こういうふうに明記しているのは、いまも申し上げておりますように労働省の通達にもあるのですね。つまりこれは国の方針なんですね。ところが、政府の一部である郵政省でこれができていないし、そんなことしたっていいのだという御答弁をいまおっしゃったわけです。私はずっと根本の考えの中に婦人差別の意識があるというふうにしか考えられないわけですが、主婦は、このパートは安上がりでよいというふうなお考えでしょうか。  こんなことは通用しないのです。労基法の四条、男女同一賃金の原則、これがきちんとあるではありませんか。私はこういうものに違反のおそれさえあるというふうに思いますよ。郵便事業に責任を持つという点でも、そこで働く労働者をきちんと処遇するのは当然ではありませんか。労働省の指導をきちんと郵政省は受けられて改めるべきだ、こういうふうに思います。第一にこの点どうでしょうか、改めるでしょうか。  さらに、この低い賃金の払われ方にも私は問題があるというふうに思うわけです。それは先ほど全国平均で時間給六百五十円だと言われました。ところが、私が調査しただけでも五百六十円から六百二十円、あるいは六百三十円、まちまちなんです。団地配達員のおられます地域では、大都市やその周辺の人口急増地域だというふうに思うのですけれども、どうしてこれほど差があるのでしょうか。先ほどいろいろ合理的に区別しないけれども、地域によって差があるというふうに言われましたけれども、条件としては大体同じですね。しかもどこも六百五十円もらっているというところはないわけです。どうしてこういうことになるのか。これが質問の第二点目です。明確な御答弁を求めます。
  287. 魚津茂晴

    ○魚津政府委員 第一点のパートタイマーに対するゆえなく差別をするという趣旨の問題でございますが、私が申し上げておりますのは、非常勤というグループの職員それから本務者という職員の労働条件、これはひとり郵政省だけでなくて、ほかの職場においてもその差というものが現実にはあると思っております。したがいまして、私が特に強調いたしたいと思いますのは、非常勤という職員のグループの中でフルタイムとパートタイムのそのことによって差がついてくる、単に時間の問題だけじゃなくて、そのことによっていろいろと差をつけるということになりますと、先生先ほど来挙げておられる政府の方針と申しますか労働省のそういう方針にも反することになろうかと思いますが、非常勤というグループと本務者というグループの労働条件というのは、もちろん論議としてはあろうかと思います。その差というものが適当であるかどうか、また差をつけるということ自体論議があるかと思いますが、現実の制度としては許容する制度になっているということで申し上げたいと思います。  それから賃金単価の差でございますが、これは現在賃金の差というのはまだ日本の中では地域的な差というものが現に存在するわけでございます。そういったようなことを考えながら具体的に単価を決めるということの中から出てきたものでございまして、確かに団地の配達という労働の対価といたしましては基本的にはそう差がつかないと思いますが、その置かれている地域の総合的な諸条件から差が出てくるということは一概に否定はできないのじゃないだろうか、こういうふうに思う次第でございます。
  288. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 魚津郵務局長は実際に見て歩かれて、実際の方からお話を聞かないからそんなのんきなことを言っていられる。いいくらいなことを言っていられると思うのです。労働基準局の方でもきちんとこういうものを出しているのですよ。かわって読み上げますと、「パートタイマーは正社員等と異なり、労働基準法の適用は無いんだと労使とも思い違いしている場合があるようです。しかし、一般にパートタイマーというのは、単に正社員等と比べて労働時間が短いというにすぎませんから、これを他の労働者と区別して労働基準法と労働保護法規を適用しないということはあり得ません。」ですから、先ほども申し上げましたようにもう少しよく研究されて改善をしなければ、ここでああだこうだと弁解をされたら、議事録に残るのですよ。大変恥をかかれるのじゃないか。歴史的な恥だというふうに私は思います。  そこでもう一点、ママさん配達員の賃金の改定は、毎年職員給与の改定に伴って行われているわけです。昨年ですと十一月なんです。正職員の場合は四月分からの改定分が支給をされているわけです。当然同じようにすべきでございます。ところが私の聞くところでは、十一月分から改定されたところとか一月のところとか、全く改定されないところと、実にまちまちなんです。だから、問題として取り上げているのです。全国的な斉一性を当然持つべきだ。国家公務員の賃金がこんなまちまちというようなことでいいのでしょうか。パートだからいいというお考えでしょうか。そんなことはパートだからどうでもいい、ママさん配達希望の主婦は幾らでもいるのだ、こういう考えでしたら全く大間違い。婦人労働者を使い捨てるのだ、婦人労働者はぞうきんと同じだという考えではありませんか。大問題だと思うのですね。すぐに改善すべきですよ。いかがでしょうか。
  289. 魚津茂晴

    ○魚津政府委員 歴史的な恥ということでは一大事だと思いますので、若干申し上げさせていただきたいと思います。  郵政省の非常勤、それからいま問題になっておりますところの団地主婦の方々の処遇というものの基本的な感覚といたしまして、私は基準法上の労働者のらち外にあるものだというふうには決して考えていないわけでございます。あくまでも労働基準法の労働者であって、そして非常勤とパートタイムということの中から来る差というものは、それはそれなりに説明のつく差であるというふうに考えているわけでございます。  したがいまして、たとえば団地配達の方々が、労働基準法上の三十九条になるわけでございますが、三十九条で年次休暇の条文がございます。その条文の要件に合致する限りにおいては、年次休暇も当然付与する。事実は、年次休暇というのは六労働日でなくて十日、十労働日を与えているわけでございます。そういうこととか週休とかいろいろの点、あるいは解雇予告をする必要があるときは解雇予告、あくまでも労働者という点でとらまえまして、労働法等の保護の中において、その中でわれわれ具体的な労働条件を決めさせていただいているということでございます。  それから賃金の問題につきましては、現在の仕組みといたしましては上限と下限を中央で決めまして、その上限と下限の中で所属長が具体的に決めるという仕組みになっているということの中から若干の差が、その地域ごとの団地によりまして差があるという実態でございます。
  290. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 郵務局長、言えば言うほど歴史的恥をかくと思うのですね。このらち外にあると考えていないとおっしゃいますが、らち外にあるから問題にしているのです。らち外に置かれているという現実が厳然としてあるわけです。後でも言いますけれども、年次有給休暇がとれておりますか。解雇というときに三十日前にきちんと言われておりますか。たとえば労働基準法では、雇い入れに当たって労働条件を明示すべきことを使用者に義務づけております。第十五条一項ですね。こういうことが事実やられていないわけですね。だから、見もしないで調査もしないでそんなことを言ったら歴史的な大恥だ、私はこう言っているわけです。  また、一つの団地を三人のママさんで配達しているところで、たとえば一人が病気なので休んだとき、大体のところがほかの二人の人で配達しているわけですね。しようがないからそうしなければならないわけです。五人、九人の区では、残った人の中で時間的に融通のきく人が配達をする、こういう形態がとられているわけです。こうした場合に、本来の自分の仕事を終わった上でやっているのですから、当然割り増し賃金は支払われている、こうお考えになりますか。支払われておりますね、いかがでしょう。
  291. 魚津茂晴

    ○魚津政府委員 いま仰せのようなケースの場合に、四時間を超えて労働するという場合には、その分の賃金というのは当然見ているわけでございます。ただ、いわゆる超過勤務手当という感覚で百分の百二十五支給するかどうかという点になりますと、現在はたとえば四時間のパートタイムの方が五時間――その雇用契約という点からしますと、一時間超勤といいますか労働の延伸ということになるわけでございますが、それを基準法上の百分の百二十五で割り増しというかっこうで支給はしておりません。
  292. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 婦人というのは大変正直なんですね。人が休まれてその分がふえる、しかし四時間の中で配らなければならない、こういう方がおられるわけですね。そうしたらゆっくりゆっくりその人の分五時間やればつけてやるけれども、おまえはあほだ、四時間の中で配っているから金はやらない、こういうことになっているわけです。  先ほどの婦発第五号、この通達では賃金について、そのほか「フルタイムの労働者に適用されている諸規定や職場の慣行その他の労働条件が、短時間就労という特性に基づくものを除き、パートタイマーにも同様に確保」すべきだ、こういうふうに言われているわけです。この規定から申しましても、ママさん配達員というのは祭日も出勤していますが、祭日や勤務手当の支給、それから一時金の支給も年末のもち代程度ということではなくて、フルタイム労働者と同じようにママさん配達員に二・五カ月であれば二・五カ月分支給する、こういうことでないとだめなんです。改善を検討すべきだというふうに思いますが、お答えいただきたいと思います。時間がありませんから、簡単にお答えください。
  293. 魚津茂晴

    ○魚津政府委員 本務者の労働条件と非常勤という身分の団地配達の方々の労働条件というものの差がいまのままでいいかどうかという論議、これは私たちは絶えず耳を傾け検討はしていかなくちゃならないと思いますが、本務者と全く同じ労働条件にすべしという議論については私たちくみし得ないところでございます。
  294. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 もう一遍パートに対する問題についてよく労働基準法を御研究いただきたい。  次に、労働基準法第三十九条では、一年間継続勤務し全労働日の八割以上出勤した労働者には最低六日間の年次有給休暇を与えなければならないということになっております。先ほど年次有給休暇はあるというふうにおっしゃっておりましたが、どのようにとられているでしょうか。
  295. 魚津茂晴

    ○魚津政府委員 年次休暇は、とにかく一年八割以上出勤をするという三十九条の要件でございますが、その要件に合致する人に対してはその翌年から私たちの場合には十日の年次有給休暇を発給をいたしているわけでございます。したがいまして、その発給を受けた年次休暇をとるということはまさにこれは労働者の権利でございまして、その権利は行使をされているというふうに理解をしているわけでございます。
  296. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 いまおっしゃったように就業規則で一年勤めた人は十日、六年の人は十六日、こういうふうに決まっているわけです。ところが実態は違うんですね。私の調査したところでも年休のとれないというところがたくさんあるわけです。就業規則を使用者側が破っているわけです。とんでもないことではありませんか。いまの御答弁ですと、こういうものを出していない局長というのは処分にも値するというふうに思いますが、大臣、一体どうなんでしょうか。
  297. 山内一郎

    山内国務大臣 いまいろいろ郵務局長の答弁それから藤原先生の御指摘を聞いていたのでございますが、食い違う点が大分あるようでございます。したがって、郵務局長にもう一度労働省とよく打ち合わせをさして、また別の機会に答弁をさせるようにしたいと思っておるわけでございます。
  298. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 ぜひそのようにしていただきたいと思います。  労働省、こういう場合も年休は与えられますでしょうね。たとえば、局の指示で四人のローテーションを組まされて、三日出勤して一日休み、つまり毎日出勤するのは三人だ、こういう勤務形態でやっている場合ですね。もちろん四人とも一年以上継続して勤務をしておりまして、全労働日の八割以上出勤しているわけです。こういう場合も当然労基法に基づいて年次有給休暇は与えられるのでしょうね。いかがでしょうか。
  299. 岡部晃三

    ○岡部説明員 先生いま提起された問題は非常にむずかしい法律議論に実はかかわり合いがございます。  労働基準法の規定をそのまま読みますというと、前年において労働すべき日の八割を現実に労働すれば、六日から始まりまして毎年一日ずつふやしていく年休を取得する権利がございます。しかし、たとえばある労働者が月に二回ぐらいしか働かない、あるいは週に一回というふうなことで、年間の総労働日がたとえば二十日とか三十日というふうなきわめて少ないパート労働者の場合に、果たしてそのまま基準法の規定を適用して、これはマキシマムにいくと二十日まで法律上義務づけられるわけでございますが、二十日までの年休を認めるということになりますと、二十日の労働日に対して二十日の年休があるという、これは極端なケースでございますが……(藤原委員「そんなこと聞いていない。いま例を出しました」と呼ぶ)はい。したがいまして、先生のおっしゃいますようなそういうローテーションのような、週に一回あるいは二回しか働かない労働者についての年休取得権の問題というのは、労働基準法がその制定当初全く予定していなかったジャンルの問題でございます。それにつきましては、法律の文章をそのまま読みますというとそういうふうな解釈も可能でございますが、しかし、その辺につきましては、私ども、現在どういう解釈を打ち立てるべきか、内部的に検討中の段階でございます。
  300. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 労働省、ちょっと聞き損ないしておられますが、一日しか出勤していないんじゃなくて、三日出勤して一日休んでいる、こういう例ですから。時間がありませんので、また後ほど個別にお尋ねをしていきたい。いまのはちょっと誤解があるということなんです。  そうすれば、ママさん配達員にも当然公務災害は認められるということであり、また休業補償、こういうものもあるべきなんですね。私の調査でも、交通事故にあったとかあるいは配達中に階段を踏み外してけがをしたというふうな外務職特有の事故も起こっているわけです。ところが、こういったものが公務災害で処理されていない。局長に言ったけれども認めてもらえなかったというふうなケースなんかもあるわけですが、こういった点も含めて指導が必要だというふうに思うわけです。もう御答弁いただきませんけれども、そういうことはしなければならないことだ。  それから、郵政省の方で配達業務に必要なかばんやくつなどは支給はされておりました。ところで、団地配達というのは原則として徒歩ということになっておりますね。これは全く矛盾があるのです。こういうことを一律にはできません。数多くの団地の中には、地域が広いとかあるいは坂道が多い、こういう理由でバイクでないと配れない、小包みを持って、郵便物を持って徒歩では行けない、自転車では無理だ、四時間では配り切れないというところが事実あるわけです。私も何カ所かお伺いをしましたが、実際にこれではバイクでないととても回れない、こういうふうに思いました。そうすると、この方々はガソリン代などは自己負担で仕事をしているわけですね。バイクの支給まではいますぐにはできないだろう。そういうことがすぐにはできなくとも、せめてそれじゃガソリン代ぐらいは局の方で出すべきだ、こういうふうに思うのですが、これも御検討をいただきたい。要望をいたします。  もう一点、労働省に確認しておきたいのですが、パートタイマーであっても、労基法二十条、二十一条の解雇の規則、解雇予告制の規定、これは当然適用されますね。いま郵務局長もするのだとおっしゃいました。もう一度確認をしたいと思います。簡単にお願いします。
  301. 岡部晃三

    ○岡部説明員 解雇予告につきましては、労働基準法二十条、二十一条によりまして三十日前の予告または予告手当の支払いという規定がございますけれども、これは非常に短期の労働者につきましては適用がないわけでございます。しかしながら、短期の労働者であるかどうかというふうな実態判断につきましては、これはケース・バイ・ケースの判断で行えることに相なるわけでございます。
  302. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 私は、ママさん配達員の労働条件についてきょうはずっと質問をしてまいったわけですけれども、ずっと見てみて、この特徴は、賃金を初め労働条件が全国の各局でばらばらであるということですね。そして重大なことに、当然守るべき労働基準法や郵政省の定めた規則そのものも十分に守られていない、こういうことを強く感じました。同時に、これらの深刻な憂慮すべき実態を本省自身が全く知らない。呼んで何遍かお尋ねをしたのですけれども、全く知っておられない。  こうしたことの根本には、一つにママさん配達員を労働者と見ていないというところにあると思うのですね。このことが、ひいては国民の信書の送達という責任重大な郵政事業に対する軽視につながっていくのではないかとさえ私は思うわけなんです。  そこで最後に、労働省の分として最後ですが、こうした重大なことが国の官庁の中で起こっているという実態が御理解いただけたと思います。  一方政府は、行政改革の名のもとに婦人少年室の廃止の動き、こういうものさえあるわけです。これは婦人の社会的地位の向上あるいは働く権利、こういうものに全く逆行するものだ。婦人少年室の廃止ではなくて、いま充実こそ必要ではないかと私は思うわけです。  私は、婦人パートの労働者を初めとする深刻な実態を見るにつけて、いまこそ婦人の働く権利を一層擁護していかなければならない、こう思います。労働基準局の監督行政の面からも一層の強力な指導が必要だというふうに考えますが、労働省のお考えをお聞きしたいと思います。
  303. 岡部晃三

    ○岡部説明員 労働省におきましては、婦人問題の解決ということは行政の重点の一つにかねてから掲げて努力をしているところでございます。  特に婦人のパートの問題というのは、最近の産業構造の変化に伴いまして大きな問題となって出てきているところでございまして、これはまた、言うなればサービス業と申しますか、国民に非常にかかわり合いの深い産業において多く雇われておりますので、そういうところにおける女性パートの問題の解決、その労働条件の維持改善ということにつきましては今後とも労働省として努めてまいる所存でございます。
  304. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 最後に郵政大臣にお尋ねいたしますが、民間ではなくて、先ほども申しました、政府が責任を持って事業をしている、こういうところにパートがおられるわけですね。そういう中で、労働省から、先ほど申しましたようなこういった通達が出ていることを御存じだったのか御存じなかったのか、もし御存じなかったならば、いまからでも遅くないと私は思うのです。婦人少年局長のこの第五号通達、これを謙虚に受けとめていただいて、婦人パート労働者に対する認識をまず改めていただきたい。そして、この通達に基づいて、全国的にママさん配達員の処遇はどうなっているのか、これをすぐに調査をすることが必要だ。そして三つ目には、早急に労働条件の改善をすべきだ、すべき点が多々あるからそれをよく調べて改めなければならないというふうに私は感じてきょうは質問させていただいたわけでございますが、大臣の責任ある御答弁をお願いをして終わりたいと思います。
  305. 山内一郎

    山内国務大臣 先ほども申し上げたのでございますけれども、どうも郵務局長の答弁と御指摘があるようでございますので、この点は労働省と十分に打ち合わせをさせまして労働省で決めた基準によって実施をするようにやってまいりたいと思いますが、まず調査をさせることをお約束をいたします。
  306. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 終わります。
  307. 佐藤守良

    佐藤委員長 藤原ひろ子君の質疑は終わりました。  次回は、明二十六日午前九時五十分理事会、十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時十二分散会