運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1981-02-27 第94回国会 衆議院 地方行政委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十六年二月二十七日(金曜日)     午前十時三分開議  出席委員    委員長 左藤  恵君    理事 石川 要三君 理事 工藤  巖君    理事 中山 利生君 理事 安田 貴六君    理事 小川 省吾君 理事 佐藤 敬治君    理事 大橋 敏雄君 理事 青山  丘君       池田  淳君    小澤  潔君       小渡 三郎君    片岡 清一君       亀井 静香君    久間 章生君       久野 忠治君    塩谷 一夫君       野呂 恭一君    松野 幸泰君       加藤 万吉君    細谷 治嘉君       松本 幸男君    石田幸四郎君       部谷 孝之君    三谷 秀治君       田島  衞君  出席国務大臣         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長     安孫子藤吉君  出席政府委員         警察庁長官官房         長       金澤 昭雄君         警察庁刑事局保         安部長     谷口 守正君         警察庁交通局長 池田 速雄君         自治大臣官房審         議官      大嶋  孝君         自治大臣官房審         議官      矢野浩一郎君         自治大臣官房審         議官      金子 憲五君         自治大臣官房審         議官      川俣 芳郎君         自治省行政局長 砂子田 隆君         自治省行政局公         務員部長    宮尾  盤君         自治省財政局長 土屋 佳照君         自治省税務局長 石原 信雄君         消防庁長官   近藤 隆之君  委員外出席者         環境庁長官官房         環境調査官   浅野 楢悦君         大蔵省主計局主         計官      公文  宏君         文部省体育局学         校保健課長   長谷川善一君         文部省体育局学         校給食課長   奥田與志清君         運輸省航空局飛         行場部長    山本  長君         自治省財政局財         政課長     津田  正君         地方行政委員会         調査室長    岡田 純夫君     ————————————— 委員の異動 二月二十三日  辞任         補欠選任   田島  衞君     河野 洋平君 同日  辞任         補欠選任   河野 洋平君     田島  衞君     ————————————— 二月二十日  新産業都市建設及び工業整備特別地域整備のた  めの国の財政上の特別措置に関する法律等の一  部を改正する法律案内閣提出第一五号) 同月二十六日  地方税法及び国有資産等所在市町村交付金及び  納付金に関する法律の一部を改正する法律案  (内閣提出第一八号)  地方交付税法等の一部を改正する法律案内閣  提出第二五号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  新産業都市建設及び工業整備特別地域整備のた  めの国の財政上の特別措置に関する法律等の一  部を改正する法律案内閣提出第一五号)  地方自治地方財政警察及び消防に関する件      ————◇—————
  2. 左藤恵

    左藤委員長 これより会議を開きます。  地方自治地方財政警察及び消防に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。細谷治嘉君。
  3. 細谷治嘉

    細谷委員 せんだって行われました安孫子自治大臣所信表明について、若干の質問をしたいと思います。  最初に、前任者である石破自治大臣の病気というようなことがありまして、大蔵原案が出される五日くらい前の十二月十六日に、文字どおり重要な段階大臣に就任されたわけでございまして、大変だったと私も思っております。御苦労に対して敬意を表したいと思います。  ところで、所信表明でありますから主として自治大臣に御質問するわけでございますけれども質問の順序といたしまして、一月三十日に大蔵省が「財政中期展望」、こういうものを公表いたしました。この「財政中期展望」についてはいろいろ問題点がございますし、けさの新聞を読みますと産業計画懇談会、いわゆる財政審議会桜田武さんが代表世話人をしておるわけでありますが、この産業計画懇談会で「財政中期展望」をこういうふうに批判をしております。  ちょっと読んでみます。「五十六年度予算案を「財政再建につながらず、このままいけば、財政も経済も非常な難局に陥る」と、批判大蔵省が先に発表した財政中期展望についても「五十九年度に約七兆円の要増税額を打ち出したが、実行不可能」と決めつけている。」こういうふうに桜田武さんを代表世話人とする産業計画懇談会が、大蔵省のこの「財政中期展望」について厳しく批判をいたしております。  私も立ち入って申し上げませんけれども、毎年出されておる財政収支試算とはかなりねらいを違えた「財政中期展望」だと、そして全く連続性がない、すぽっとその年限りの、あるいは深慮遠謀を持った試算だと、こう言って差し支えないと思うのであります。  そこでお尋ねいたしたいことは、毎年毎年大蔵省財政収支試算なり「財政中期展望」というものを出しますと、二週間ぐらいおくれて、それをもとにいたしまして地方財政収支試算というものを自治省が発表いたしておりました。今回はどうなさるのか、まず大臣にお尋ねしたいと思います。
  4. 安孫子藤吉

    安孫子国務大臣 お答え申し上げます。  今回、大蔵省が「財政中期展望」というものを出したわけでございますが、従来の収支試算とはまた異なる立場からの展望でございます。お尋ねのとおりに、自治省は従来、収支試算というものを大蔵省が出しますと、これを受けまして地方財政に関する収支試算というものを出しておったことは承知をいたしております。  そこで、議論といたしまして、中期展望に相当するものを自治省でも策定すべきじゃないかという議論もございますが、これは国の場合と違いまして団体の数も大変多うございまするし、そしてまた独自の財源を持ってやっているわけでもございませんので、中期展望のようなものをつくることは非常にむずかしいと私どもは考えております。研究は続けますけれども、早期にそうした大蔵省展望にマッチしたような展望を出すことは大変困難だと考えております。  ただ従来、収支試算というものを出しておりまするので、この収支試算を本年度におきましてもやはり出すことは必要じゃないかと思いまして、その点の研究はいま進めておるところでございます。  なお、従来のいきさつもございまするので、政府委員の方からもお答えをして補足させてもらいたいと思います。
  5. 土屋佳照

    土屋政府委員 ただいま大臣からお答え申し上げたとおりでございまして、私ども大蔵省中期展望が出されましたときに資料もいただきまして、従来と同じ形で何らかそれと整合性をとりながら地方財政見通しというものもできないかということで、いろいろ検討したわけでございますけれども、まあ繰り返しになりますが、きわめて数の多い地方団体財政でございますし、また交付税なり国の財政ときわめて関連の深いところがございます。そういったものと整合性をとりながら、かつまた地方独自で行いますいろいろな施策というものを全部積み上げ方式で盛り込んでいくというのは容易ではございませんし、そしてまたそういった具体的な積み上げ方式そのものが、地方が独自で施策を進める立場にあるものをいわば規範的に押しつけるようなかっこうにもなりはせぬかといったようなこと等もございますし、いろいろな面から考えて国に対応するようなものは非常につくりにくい。  ただ、将来の地方財政運営のめどとなるような、あるいはいろいろと試行錯誤を行うための何か資料というものはつくらなければならぬと思いまして、現在いろいろ研究は進めておるところでございます。
  6. 細谷治嘉

    細谷委員 どういうことなのかちょっとわかりかねるのですけれども、つくるのかつくらないのか。お困りの点は私もわかるのですよ。理由の中に、数多い地方団体だということが一つの理由になっておりますけれども大蔵省財政中期試算というものを見ますと、どこへ歩いていくのかわからない、言ってみますと予備枠とかあるいは要調整額とかというものがあるわけですよ。こういうものを地方財政はどう受けとめるのか、これは選択を迫られておるわけですよ。その選択に対して自治大臣が、自治省が、あるべき地方財政収支というものは、あるいは中期的な見通しというのはこうあるべきだということを私は示さなければならぬと思うのですよ。  その限りにおいては、産業計画懇談会批判しておるのとは別の立場において、あるいは大蔵省財政中期試算というものを批判する内容も出てくるかもしれません。あるいは改善を要求する部分も出てくるかと思うのですよ。しかし、従来出しておって今度はなかなかむずかしいですよ、数多い地方団体が相手ですからというのは、理由にならない理由ですから、何らかの方向を自治省として示すべきだと私は思っております。  残念ながらこの財政中期試算というのは、示すには余りにも粗雑というかあるいは一方的といいますか、私から言わせますと言葉は汚いですけれども、一方的といいますか、あるいは来年度以降の増税をもくろんだ、そのためのPRの試算ということも言われておるわけでありますから、大変問題があるわけでありますけれども、何らかの方針をとらなければならぬのじゃないか、こう思うのですが、改めてひとつ自治大臣のお考えを聞かしていただきたい。
  7. 安孫子藤吉

    安孫子国務大臣 従来の手法による中期的な収支見通しというようなものは、ひとつぜひつくりたいと思っていろいろ検討しておるというのが現段階でございます。
  8. 細谷治嘉

    細谷委員 出したものを、ことしだけ何ら答えがない、山びこもなかったというようなことでは、自治省存在価値が疑われる、あるいは信頼感地方は失うと私は思うので、やはり何らかの形できちんとしたものを出していただきたい、こう思っております。  そこで、大臣所信表明についてお伺いするわけでありますけれども所信表明の中で大臣のお言葉がこうあります。これは二ページでありますけれども、「現行制度による歳入見込み額税制改正に伴う増収見込み額を加え、さらに昭和五十五年度補正予算により増額される地方交付税の一部を明年度分地方交付税総額に加算する措置を講ずることとした場合におきましても、なお一兆三百億円の財源不足が見込まれるに至りました。」文章をすっと読むと一息で読めるわけですよ。ところが、この内容が一体何なのかということになりますと、私もわかりませんし、恐らく自治大臣も頭の中にぴしゃっとすぐ浮かぶようなしろものではないのじゃないかと思います。  そこで、「現行制度による歳入見込み額」というのは幾らとつかみましたか、お尋ねいたします。
  9. 安孫子藤吉

    安孫子国務大臣 財政局長からお答えさせます。
  10. 土屋佳照

    土屋政府委員 明年度四十三兆五千二百億円程度と見込んだわけでございます。
  11. 細谷治嘉

    細谷委員 一兆六千五百億、ちょっと違った数字のようだったな。
  12. 土屋佳照

    土屋政府委員 失礼いたしました。ちょっと訂正させていただきます。四十二兆九千億円程度でございます。
  13. 細谷治嘉

    細谷委員 私がお聞きしておるのは、現行制度による歳入見込み額税制改正を加えた、ということは、四十四兆というのは最初総額の形ですか。こんな数字をやりとりしていると、時間がかかってしようがないんだけれども
  14. 土屋佳照

    土屋政府委員 私どもが、当初一兆六千五百億という現行制度もとにおきます財源不足というのを見込みました際の歳入は、現行制度もとにおける税収見込みというものを積み上げまして、その他の歳入、それから地方債は現状のもとにいろいろと傾向値等を探り出しまして、おおむねこのくらいの収入は見込めるであろうということで見込んだものと、歳出をいろいろと国の予算編成の過程で動向等をつかみながら積み上げたものと、比較いたしまして一兆六千五百億というのを出したものでございまして、その後の税制改正等と申しますと、地方税改正国税改正に伴います交付税の増額、そのほかに先般お認めいただきました特例法に基づく五十五年度補正予算に伴います交付税増加額のうちの繰り越し分、そういったものを見込んで結果的に一兆三百億円という財源不足というものが出てきたわけでございます。
  15. 細谷治嘉

    細谷委員 自治省が出しました「昭和五十六年度地方財政対策について」ということで、五十六年度の「財源不足額は、現行制度を前提とした場合の収支差額約一兆六千五百億円から」、一兆六千五百億円というのは固まったわけですね。  そこで、担当である財政課上長が、「地方財政」の二月号に詳しく一兆六千五百億について書いておるわけですよ。ちょっと御紹介いたしますと、昨年の募れに出ました地方制度調査会答申というものを基礎にいたしましていろいろな要素をこうやった結果、単独事業は八%の伸びをぜひ確保したい、こういう願いも込めまして、まず歳出の総枠、フレームをほぼ決めて、そうして幾ら足らぬのかということで一兆六千五百億円の不足が見込まれた、こう書いてある。私は、この財政課長論文を読みましてほぼわかったような感じがするのですけれども、やはり数字的にはきちっとわからない。  そこで、この一兆六千五百億というのはどうやって出てまいったのか。ちょっと時間がかかるからなにですが、後で資料でもいただけたら大変いいと思うのですが、いかがでしょうか。
  16. 土屋佳照

    土屋政府委員 積み上げの際の資料がございますので、後ほど御提出をいたします。
  17. 細谷治嘉

    細谷委員 一兆六千五百億円については資料を出していただける、こういうことであります。  そこで、この論文を読みますと、その一兆六千五百億円をどう穴を埋めるのか、こういうことに対して、自治省としては地方交付税率の五彩の引き上げ、恐らく八千億円とか九千億円程度を見込まれたんでしょう。二番目には臨時地方特例交付金所要額を確保する。交付税特別会計における借り入れをする、これによって地方交付税所要額を確保したい。そして残りの部分については財源対策債を、こういう方針で臨んでいったようであります。  ところが、大蔵省の方では、いやそれは困る、国も大幅な財源不足状況にあるんだから交付税率引き上げはだめだ、臨時地方特例交付金も減額すべきだ、財源対策債はできる限り発行し、その財源対策地方団体みずからの負担で講ずべきである、この三つを挙げて真っ向から対立した。真っ向から対立したあげくに、この論文によりますと、いま財政措置の問題になっております新しい制度も加えた結果、一兆三百億円という不足が生じたんだ。自治省大蔵省の主張が真っ向から対立して、そしてすったもんだやりとりしたあげく一兆三百億円という財源不足が確認された、こういうふうになっております。  ちょうど自治大臣に就任した、そして大蔵原案が決まる二十一日か二十二日ぐらいの最後段階、十二月二十日に両大臣覚書というのが交換されておるわけであります。大変重要な段階でありまして、ちょうど気合いが入って臨んでおるところでありますから、大臣、その辺の経過はここに書いてあるとおりでしょうか。
  18. 安孫子藤吉

    安孫子国務大臣 私も、就任早々でございまして土壇場のことでございましたが、私といたしましては、やはり地方交付税率引き上げをやってもらわにゃいかぬということを最大の眼目といたしまして、大体五%引き上げということを大蔵省に対しても強く要求をしたところでございます。しかし、国の事情から申しますとなかなかそういうわけにいかぬということで、国が地方交付税の中に繰り入れる金をふやすとかいろいろな考慮を払って、まあこれで何とかひとつやっていこうじゃないかというような最後の提案もございまして、自治省といたしましても十分検討いたしました結果、それではそれでいきましょうということに決意をいたしましてあのときは覚書を交換した、こういう事情になっております。  当時の経過につきまして、また財政局長からも申し添えます。
  19. 土屋佳照

    土屋政府委員 ただいまお示しのございましたような雑誌内容にございますように、私ども当初の見込みが一兆六千五百億ということでございましたが、まさに地方制度調査会等答申もございましたし、地方交付税法第六条の三の第二項の規定の趣旨から見ましても、この際は財源不足に対しては地方交付税率アップということを中心に据えて、いろいろと大蔵当局と折衝したわけでございます。  まあ大蔵当局といたしましては、いわば当然増経費増税によって賄わなければならないような状況であり、かつまた膨大な公債を抱え、赤字公債も発行しておる状況もと交付税率を変えるということは容易ではない、何とかやはり当面の財源補てんという形でいってもらいたい、特に臨時特例交付金どもすべてこの際はゼロにしてもらいたいというぐらいの厳しい国の財政状況もとにしてでの応対であったわけでございます。  私どもとしては、大臣もかわられたばかりでございましたが、二回の折衝を通じまして、この点については従来からの国会の審議も踏まえましてかなり強く要請をしたわけでございますけれども、何と申しましてもやはり増税によってやっと当然増経費を賄うといったような状況、また、国自体財政状況も私どもも理解はできます。そういった中で交付税率アップということは、なかなかぎりぎりのところまで来ても詰まらなかったという状況でございました。その結果私どもとしては、一兆三百億円はやや従来方式で根本的な改善に至りませんでしたけれども地方財政運営ができる形で補てんができる、補てんをするということで落ちつかざるを得なかったということでございます。
  20. 細谷治嘉

    細谷委員 時間が十分ありませんから、いずれまたこういう問題について詳しく質問する時間があると思います。私の印象では、ちょうどきのう手に入りましたこの雑誌を見ましても、大蔵省に一方的に押しまくられた、これが五十六年度地方財政対策だ、こう客観的に言えるのではないか。自治省あるいは大臣があちこちでやったので、まあまあ財源対策債も削れたし結構なことだ、自画自賛しておるようでありますけれども、やせがまんの自画自賛と言わざるを得ない、こう思います。  そこで、具体的にひとつ質問をいたします。  この両大臣覚書の中で、今度の交付税措置、一兆六千五百億から一兆三百億円になった問題については後でまた質問しますけれども、その一兆三百億円の財源対策の中で地方債を発行する場合に、政府資金というのがおおよそ四五%前後でありますから、六〇%になるまで地方財政対策として利子補給することになっております。その利子補給については国の一般会計が持つということになっておるわけですね。そして、それは交付税特会に入れることになっておるわけですが、ことしはそれを入れませんでした。  そこでお尋ねしたいのでありますけれども、入れない上に、五十六年度もまた、言ってみますと政府資金地方債全体の四六%弱、前年の四四%弱よりはちょっと上がりましたけれども、したがってまあ一四%程度利子補給の対象があるわけですよ。なぜ六〇%にしないのですか。今度は、交付税特会に入れている利子補給については計上しないということの覚書になって計上してないわけですから、それならかわりに政府資金六〇%、地方債資金良質化を図るというのが自治省の悲願でありますから、そうするのが筋でしょう。ところがそれはやらないで、依然として四六%程度で、六〇%になるまでは利子補給をいたしますよ、こう言っております。  今度の予算委員会大蔵の方から出ておる資料財投計画実績見込みあるいは実績、そういうものを見てみますと、ちょっと申し上げますと、五十五年度財投は今日、十一月末で三四・三%、新聞にも書いてありますように、かなりの不用額が生まれるのではないか、こういうことが報道されております。五十四年度はどうかと言いますと、七千九十三億円というのが不用額になっているのですよ。これは今度の予算委員会資料として出ておる数字であります。計画は十六兆八千三百二十七億円、実績見込みは十六兆一千七百六十億円、これが五十四年度財投計画見通し、したがって七千九十三億円が不用だ、こういうことであります。ちなみに、五十三年度はどうかといいますと、一兆五千二百五億円不用額になっているのですよ。  それでは、いま私が申し上げた四六%弱を六〇%に政府資金でやった場合にはどのくらいの政府資金が要るかといいますと、大体において九千億ちょっとですよ。今度の財投では、国債を消化するために従来よりも一兆円加えているでしょう。財投原資がない、財投原資がないと言うけれども財投計画そのものに現に七千九十三億円も五十四年度不用額が出ておる。五十五年度においても十一月末は三四%で、三分の一程度しか消化していない。こういう事態から見ていきますと、地方債良質化というのを、六〇%の利子補給を下らぬ、下らぬと言って、苦しいからという形でやっておりまして、そして利子補給をやってきた。その利子補給もやめておいて、こちらの方は改善しないというのはおかしいと私は思うのですよ。大臣、どうですか。六〇はやれる財投原資は間違いなくあると私は思うのですよ。お答えいただきたい。
  21. 土屋佳照

    土屋政府委員 地方債資金の確保の問題については、私どもかねがね大蔵当局とは、できるだけ良質資金が確保できるように努力しておるわけでございますが、そのもとになる財投資金状況等についていまお示しがございました。そういった傾向にあることは私ども承知いたしております。ただ運用の詳細については、大蔵当局ほど承知しておるわけではございませんけれども、いろいろ説明によりますと、その余剰分は翌年度原資に見込んでおるといったような、繰り越しの形でずっと続いておるといったようなこと等もあるやに聞いております。  それはともかく、私どもとしては、なるべくかつて五十年ころまでの政府資金の比率のように六〇%まで近づけたいという努力はしておるわけでございますが、全体の中でやはりそこまでは充当しかねるということでございます。したがって、六〇%が確保されたと同じように、利子補給という制度は今後も続けるということでございまして、すっきりしない点はございますが、努力をして少しずつ高めておるということでございます。  先ほど、その利子補給すらやめたではないかということでございますけれども、今回は、率直に申し上げまして国の財政が先ほど申し上げましたように、増税によって当然増経費を賄うような状況でございますし、なかなか苦しいということもございまして、私ども千百三十億はやめたわけではございませんで、支払いを五十六年度に限って後へ譲ったということでございます。それによって足りなくなる分は、借入金によって賄うといったようなことにいたします。したがいましてその千百三十億分につきましては、当然、返還するときは国が全額負担をするということで、一銭も地方には迷惑をかけないということでございます。返還の方法等補給をする時期をずらしたということでございまして、それはただいま申し上げましたような理由によるわけでございます。  いずれにいたしましても、財投状況等から見ればもっと努力して六〇%確保すべきではなかったかということにつきましては、私どももいろいろ折衝したわけでございますけれども、そこまで及ばなかったことは残念に思っておりますが、今後なおよくその点については大蔵当局とも相談をしながら、できるだけ充実をさせてまいりたいと思っておる次第でございます。
  22. 細谷治嘉

    細谷委員 公文さんにも質問したいのですけれども、きょう時間がないから改めてまたやることにいたします。  大体地方公共団体地方債計画においては、かつては六〇%確保されておったわけです。これが自治省の一つの基本的な態度であった。それが、原資が減った、なくなったというようなことから四〇%台に下がってきた。そして暫定的な措置として、六〇%になるまでは利子補給をするという措置が講じられた。もはやその暫定措置が恒久化しているわけです。恒久化して、自治省の逃げ場になっているわけです。いや六〇%は間違いなく取った、実質取っているのですとくるのであって、そしていわゆる政府資金のシェアを、良質資金を確保する努力を積み重ねないで、六〇%の利子補給に逃げ場を求めている。これは私はよろしくないと思う。今年度こういう措置をした以上は、それは既得権でありますから利子補給はあたりまえですよ、あたりまえですけれども、今後の問題としてきちんとしておくべきだったと私は思います。これは去年も竹下大蔵大臣にこの委員会の席で申し上げたわけでありますが、全然進んでいませんから一言言っておきます。  もう一つ、私は財政課長のこの論文を見まして、最近新聞で問題になっているところをなかなか的確にとらえて、反論というかあり方を言っております。私はこの論文を読ましていただいて敬服いたしました。  そこで、私が申し上げたいことは何かといいますと、「規律ある財政運営こそ自治体の課題」そのとおりです。これは二月四日のある新聞の社説でございますけれども、その社説を読んでいきますとどういうことが書いてあるかといいますと、「来年度地方財政計画では、」「地方単独事業費が大きく伸びていることも目立つ点である。」地方財政対策の一つの柱というのが単独事業を八%伸ばしたということがあって、自画自賛しているわけですが、そのとおり。ところが、新聞はどう言っているかというと、「しかし、問題なのは、単独事業費が計画で定められた本来の事業にあてられず、職員給与に回されやすいということである。自治体の給与についてはかねて国民の批判が強いが、その是正ははかばかしく進んでいない。自治省のラスパイレス指数でみると、給与水準は平均して国家公務員より七・二%も高い。なかには三〇%近く高いところもある。」それから人件費なり、事が議論してあります。これはある新聞であります。  もう一つのある新聞、どういうことを書いてあるかといいますと、「たとえば、五十三年度の場合、地方単独事業費は五兆八千七百億円の計画に対し、決算は四兆六千億円。この差額一兆二千億余円が職員の給与や一般行政費に流用されたのではないか、という疑いが持たれている。  五十六年度も、地方財政計画では事業費を伸ばしたが、実際の数字はどうなるのか。単独事業費の伸び率が「八%」を上回るかどうかは、自治体予算を診断する一つの目安になり得る。」こう書いてあります。これは私は新聞の方は、地方財政計画と決算との乖離、これをつかんで言っておるのではないかと思います。  試みに私は、地方財政計画の決算と計画との乖離を読んでみました。五十三年度では確かに単独事業は、地方財政計画に対してかなり落ち込んでおりまして二四%程度。精査いたしましても一八%落ち込んでおるのです。一方、公共事業の方は計画を二割も上回っておるのですよ。新聞の指摘はそのとおりです。五十一年度を見てみますと、大体そういう傾向が出ております。  ところが、それではそれがずっと行っているのかといいますとそうではありませんで、たとえば四十九年度はどうかといいますと、単独も計画どおり実施しております。四十六年度はどうかといいますと、これも地方財政計画どおり実施しております。それを上回っております。四十三年度を調べても、これは計画を上回っております。言ってみますと、四十年代には、地方財政計画単独事業というのが完全消化されておったわけです。ところが、五十年度以降になりまして補助事業、いわゆる公共事業というのを景気刺激の材料に使ったわけですから、公共事業、こういうものをやりまして、計画を二割以上上回って実行されておりますけれども単独事業が落ち込んでおります。新聞が指摘しているとおりであります。  そこでお尋ねしたいことは、財政課長がかなり詳しく書いてあって、そんなばかなことはないと。私もそう思います。人件費という一つの款があります。単独事業というのは一つの款でありますから、最近あるところの市長が解散をやりましたけれども、どんなに独裁的な者があっても法律で款項の移動はまかりならぬわけであります。ですから、単独事業の経費を人件費に使うというようなことはなかなかできないのですよ。しかし、新聞は社説で書いています。しかも、一つの新聞じゃなくてかなりの新聞が書いています。これについて適切な自治省の主張というのは、私は寡聞にしてこの「地方財政」の二月号の財政課長が書いた論文しか知らない。あとは、いかにも本当であるかのごとくやっておる。そういううわさが二遍、三遍と飛ぶと事実になってくるのですよ。大蔵の頭のいい官僚も、なるほどそうかというように思い込むことになります。誤った認識を持つようになります。これについて大臣自治省は一体何をしておったのですか。
  23. 安孫子藤吉

    安孫子国務大臣 地方財政計画の款項の問題については、御承知のとおりに地方団体を必ずしも拘束するものではない。したがって、お尋ねのように公共事業が非常に多いときには、恐らく単独の枠の中からこれに充当するものも出てきておったのじゃないか、そういう関係で単独事業費が落ち込んでおったという事情もあるのではなかろうか、こう思うのであります。しかし、地方団体の責任者といたしましては、やはりこの基準というものをよく心得て財政運営をしてもらわなければならぬ、こう思っておるわけであります。  新聞の社説等に出ておりますることは、たとえばラスパイレスの計算で申しますと一一〇であるとか一〇八であるとかという、そうした給与水準というものを見ますと、それはやはり地方財政の中からそういうものを支出しておるわけでございますから、そういうことを指摘いたしましてこの点を批判しておるんだろうと思いますが、たてまえはそういうものじゃないわけでございまするから、このたてまえを十分に尊重いたしまして、地方団体としては財政運営をしてもらいたい、こう思っておるわけでございます。この点は世の誤解を防ぐとともに、また地方団体におきましても、その趣旨を体してひとつ運営してもらいたいということを喚起してまいりたいと考えます。
  24. 細谷治嘉

    細谷委員 財政課長も、この社説を気にとめたのでしょう、書いております。たとえば公共事業と単独事業の伸び率がどういう関係で来ているのか、あるいは世間でよく人件費に回されると言っているが、地方公務員の増加という問題がやり玉に上がっているので、その増加というものについては、普通会計においては教育と警察消防が六三%ですよ。これは地方じゃなくて、国の方の基準に基づいてふえていっているものです。地方団体で福祉というのが二九%ふえておりますけれども、そのうちの圧倒的な部分というのは福祉関係でございます。しかし、そのシェアはわずかですよ。こういうことを指摘しております。そうして、地方単独事業の規模と人件費とを結びつけるのは余りにも短絡的な見解と言わざるを得ないと、ぱちんと書いてあります。  私は、この財政課長の見解には反対でありますけれども、それでは私がいま指摘した、四十年代には公共も補助事業もあるいは単独事業も完全に消化しておって、五十年代は一体どうして公共は消化してあるけれども単票の方が計画どおり消化してないのか。その原因は何かといいますと、今日の五十年代の地方財政の厳しさというものは、四十年代の地方財政の厳しさよりもはるかに厳しいものがある。そうして借金で生活をしておりますから、各自治体とももうこれ以上借金はごめんだ、こういうこと。あるいは、東京とか大阪のような大きなところが財政が不如意になってきておりますから、東京の財政再建等に絡んで大きなところも要するにもう単独事業をやめちゃえ、こういうところに原因があるのではないかと私は思いますけれども、ちょっぴり財政課長は、東京あたりが単独事業を減らしているから、こういうことだけであって、まだわれわれを納得させるような根拠を出してないのですよ。その根拠をひとつ明らかにしてこの委員会示していただく、あるいは世間に示していただく用意があるかどうか、お答えいただきます。
  25. 土屋佳照

    土屋政府委員 大臣から申し上げましたように、地方財政計画の性格はいわゆる具体的な予算ではございません。標準的な経費をマクロ的に計画上計上したものでございますから、おっしゃいますように流用ということ自体が起こり得ない性格のものだと思っておるわけでございます。  それはそれといたしまして、いまの四十年代と五十年代との違いは財源が苦しくなったからではないかという御指摘でございます。全般的に見ますと、四十年代の高度成長期では御承知のように税の自然増収も大幅でございました。公債の償還負担も最近のようには重くなっていなかったということでございまして、地方団体においても、計画を上回る自然増収と地方債等を財源として大幅に単独事業をふやすことが可能であったと思うのでございます。しかしながら、第一次オイルショックを契機といたしまして景気がやや停滞をいたしまして、安定成長経済に移行してまいりました五十年代には税収の伸びも鈍化して、全般的に抑制基調に立った財政運営を行っておりますために、単独事業の実施も鈍化するということになったと考えられるわけでございます。  こういった状況もとで、五十年代に単独事業の決算が計画との間で大きな乖離を生じたということにはいろいろ理由があると思いますが、一つには、決算上いわゆる継ぎ足し単独事業というものが補助事業として取り込まれておるという統計処理上の問題もございます。それによってかなり幅が狭まるわけでございます。それにいたしましても、補助、単独合わせた投資的経費としてつかまえた場合でも、若干の決算と計画との乖離はございますけれども、景気浮揚のために大幅に公共事業を伸ばした際に、どうしても公共事業の方が優先消化をされたという形で、率直に言うと手が回らなかったという面もあって、やや単独事業が減ったということもあるのではないかと思います。  また一般の地方団体は、大体計画に見合った事業量も確保しておるところが多いのでありますが、きわめて財政規模の大きい東京とか大阪とかいったような一部の団体財政が悪化したことから、単独事業をかなり抑制したという結果が出ております。これが全体としての単独事業の伸びを低めた要因にもなっているということが言えるのではないかと思います。そういうことがございまして、現実には五十年代に入って地方財政が厳しい状況に置かれたために、単独事業の伸びが低下したことは否めない事実だと存じます。  ただ、地方財政計画上必要な財源は、その計画が実行できるように完全に補てんをしておるわけでございますから、標準以上に高いほかの経費の抑制努力を払っていけば、施策の推進を進めることは可能であるというふうに私どもは考えております。したがって、財源が不十分であったから単独事業が落ちたんだと、一概に言うのはどうであろうかと私どもは考えておるわけでございます。全般として、地方財政が苦しいということは言えるわけでございますが、計画の中ではある程度バランスをとって財政措置をしておると私どもは思っておるわけでございます。いずれにいたしましても、決算と計画の乖離をとらえて単独事業を増加する必要がないような誤解を生ずることは、私どもとしては大変遺憾に思っております。  そのために、それがないような給与水準等の問題についても真剣に地方団体自体も取り組まなければならないと思いますが、それはそれといたしまして、さらに地方単独事業の積極的な実施を図って、立ちおくれております生活環境施設等の社会資本の整備を推進をいたしまして、実態に即した地域の振興が図られるようにこれを強力に活用してもらいたいと思っております。五十六年度あたりは、私どもが聞いておりますところでは、公共事業も二年続いて横ばいということもございまして、地方団体としては、この単独事業の実施にほかなり力を入れるという方向になっておるようでございますので、ただいまのような誤解もなくなるような方向へ進むのではないかというふうに考えております。
  26. 細谷治嘉

    細谷委員 誤解をしてもらっては困るわけで、私は大蔵のサイドに立って単独事業を落としてしまえと言っているのではない。八〇年代は地方の時代と言われておる。地方の時代というのは、住民のニーズというものをスタートにして自治を築き上げていく、こういうことであります。そうだといたしますと、単独事業はこれからの地方自治にとってはきわめて重要な柱でありますから、こういうものが計画どおり実行できるような財政の状態をつくり上げるのが自治大臣自治省の役目ではないか、こういう観点から物を申しておるわけでありまして、地方財政を抑えろというこの新聞の論説の意見とか、あるいは公文さんは別でしょうけれども大蔵のそういう意見に立って物を言っているのではないということを申し上げておきたいと思うのです。  そこで、時間がありませんから、この問題に関連して、税務局長も来ておるのですけれども自治大臣もこの五十六年度、五十七年度も加えて自主税源を確保していくということをしきりに言っておるわけです。ところが五十六年度税制改正を見ますと、言ってみますと国に圧倒的に税制改正が行われて、地方の方はどうかといいますと、七百五十六億円の制度としての増税である。七百五十六億円の八五%は国の法人税等のはね返りによる法人税割の増であって、地方の方で目立つのは府県税であるいわゆる不動産取得税の一%の引き上げ、それだけですよ。  それで、石原さんは頭がいいものですから、「地方税法」という雑誌の巻頭言に「ことしは地方税に真剣に取り組めなかった環境があった」ということをぴしゃっと書いてあります。私もその環境を認めるにやぶさかじゃありませんけれども、どうも消極的に過ぎたんじゃないか。増税賛成ということじゃありませんよ。圧倒的に一兆四千億円も国の増税をやっておいて、地方の方には何のことはない、税制を直したのは不動産取得税の一%だけ、あとは国のおかげで七百五十六億円の増税が起こった、これは少しいただけませんよ、こう言わざるを得ない。  それからもう一つ申し上げておきますけれども、一兆三百億円というのは了解しましたけれども、さっき言ったように、税の問題しかり、それから一兆三百億円の財源補てんするのも、言ってみますと地方交付税法附則の八条の三、これが五十四年度以降ずっとやってきているのを今度また変わったのです。五十二年度ですか単年度でやったのが、これは制度でございますといって、その制度というのは単年度は無理だというので八条の三ができて、そして半分は地方が持ちなさい、半分はひとつ交付税で入れましょう、その半分は国が持ってあげましょう、これができたのであります。今度はそれをちょっと横目で見ながら、消してはおりませんけれども大分後退しております。そして最終的には、借金でやる分が七割、交付税で処置する分が三割。従来は借金でやる分と交付税でやる分がフィフティー・フィフティー、これも後退しておるのです。ですから、私はいままで議論したことで、大臣を前に置いて恐縮でありますけれども、残念ながら五十六年度地方財政対策は、大臣が何と言おうと最近における最低の対策である、私はこう言っております。お答えをいただきたいのでありますけれども、時間がありませんから一方的に申し上げることをお許しいただきたいと思います。  それから、交通局長いらっしゃっておるのですが、最近また交通事故がふえ始めました。それは五十五年度だけふえたかといいますと、調べてみますと、いわゆる交通事故の死傷者は五十五年度ふえましたけれども、発生件数とか負傷者数というのは数年前からふえる傾向にあったわけです。これは憂慮すべき事態だと私は思うのです。そこで、自治大臣も今度交通安全についていろいろ努力しておるわけです。  最近ある新聞に警視庁の調査というのが出ておりました。十八歳と十九歳で免許を取ったのが七、八年たっても高い事故率だ。グラフをかいて示してあります。きのうかおととい、高等学校の卒業前に伊豆に行って暴走してやった。暴走族というのは、大体みんな十八歳とか十九歳が多い。こういうことになってまいりますと、三次計画ということでハードなものを進めるのも結構、ソフトの面をやるのも結構でありますけれども、免許を取得する年齢等について、成人になってから免許を取るという方が安全ではないか。走る凶器と言われているわけでありますから、この辺についても思い切った対策を講ずべきだと思います。  以上、もう時間がありませんからはしょって言ってきたわけですけれども、交通問題それから先ほど申し上げた点について、大臣からのお答えをいただければ幸いだと思います。
  27. 安孫子藤吉

    安孫子国務大臣 免許の年齢を引き上げたらいいじゃないか、それが交通対策上きわめて重要だという御指摘でございます。そういう面はあると思いまするが、世界各国の状況を見ましても大体十八歳というのが基準になっております。そういう事情もございまするので、いますぐに年齢を引き上げるという考えはございませんが、御意見のほどは十分に私どもとしても受けとめまして研究を続けていきたい、かように考える次第でございます。
  28. 細谷治嘉

    細谷委員 一分ありますから……。  私はみずからは運転はできませんけれども、工場に勤めておったとき等の経験からいきますと、事故を起こすというのは、やはり人間性というか人間の品性というかキャラクターといいますか、その辺に、九九・九%はいいんだけれども〇・〇一%もありますと事故がある。十八歳とか十九歳というまだ成年にならないときに取っておきますと、あたかもそれが成年になってからも通用するかのごとく、免許を取ったときのものがいわゆる習い性になって、七、八年たってもやはり事故が多いということにつながっているのではないか。そうだとすればやはり、諸外国の問題は別として、この狭い日本でははるかに自動車の密度というのは多いわけですから、もっと警視庁の調査というのを掘り下げた検討をして、必要があるとするならばこの辺思い切ってやるべきじゃないか、こう思っております。  財政当局あるいは税務当局に申し上げたものは、いずれまた委員会で御質問することにいたしまして、私の質問は終わります。
  29. 左藤恵

  30. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 公明党の石田でございます。大臣所信表明に対する質疑を若干申し上げたいと思うわけです。  まず、基本的に大臣の御意見を伺いながら、逐次具体的な問題に入っていくのがよろしいかと思うのでございますが、実は池田交通局長が交通安全特別委員会の方にも何か趣旨説明にお出かけにならなければならないというようなことだそうでございます。向こうの委員長はわが党の同僚議員でもございますので、大変失礼でございますが、大臣に基本的な問題を伺うのは後ほどにしまして交通問題の具体的な問題から入りたい、こう思いますので、よろしくお願い申し上げる次第です。  私は、交通安全問題を取り上げるのでございますが、焦点をずっとしぼりまして、いわゆる年少者の交通事故の状況並びにその対策について、これからただしてまいりたいと存ずる次第でございます。  最近、高校生のバイクなどの運転免許を禁止するというようなことが各県でだんだんと実施されているように、新聞、テレビ等で拝見をするわけでございます。一月十八日の某新聞によりますと、千葉県の校長会も高校生の運転免許禁止に同調いたしておる、こういうふうなことが報道されておるわけでございます。しかし、これは大変問題が多いところであろうと私は思うのでございます。  そこで、まず警察庁の方にお伺いをいたしますのは、こういった年少者の交通事故の状況はどうなっているか、また特に年少者が加害者になっている状況について何か特筆すべきことがあるか、そこら辺の御報告を最初にお受けをいたしたいと存じます。簡単にお願いします。
  31. 池田速雄

    池田政府委員 昭和五十五年中に十六歳から十九歳までの少年が、原動機つき自転車以上の車両を運転いたしまして第一当事者となりました交通事故の件数は五万三千百九十九件でございまして、全部の交通事故の一一・二%を占めております。また、二輪車の乗用中に死亡した者は六百三十四人でございまして、全交通事故死者の七・二%を占めておりまして、しかも対前年比では一一・四%、六十五人増加いたしております。  二輪車を運転いたしまして加害者、つまり第一当事者となりました統計は、五十五年中はまだ未集計でございますけれども、五十四年中で見ますと一万七千八百七十六件でございまして、全交通事故の三・八%、二輪原付事故の中では三七・四%という数字になっております。  この特徴といたしましては、サンプル調査でございますけれども、二輪車全体の事故では、運転者が死亡する比率が七一・三%、同乗者の死亡の比率が一一・一%、他の車あるいは歩行者等を被害者とするものが一七・五%ございますけれども、十九歳以下の場合には運転者の死亡しておる比率が六四・七%、同乗者の比率が一五・四%、他の車の乗用者、歩行者等の死亡が一九・八%ということになっておりますので、少年の運転につきましては加害性も強いということが言えようかと思います。
  32. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 それに関連して伺うわけでございますが、私がいままでの数字をいろいろ検討してみますと、やはり三十歳未満と三十歳以降ではかなり際立って事故率が違うという傾向があるというふうに考えておるのでございますが、その傾向だけ御返事をいただきたい。余り詳しい数字は要りません。
  33. 池田速雄

    池田政府委員 五十四年の資料になりますけれども、年齢別の交通事故発生の件数を免許保有者一万人当たりの件数で申し上げますと、十六歳から十九歳までの者が二百六十一・三ということになっておりますのに対しまして、二十から二十四歳までが百六十九・〇、二十五歳から二十九歳までが百十一・二、これが三十歳から三十四歳になりますと八十八・〇、三十五歳から三十九歳になりますと八十四・四、こういったような数字になっております。
  34. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 そこで、そういうふうに低年齢層ほどかなり事故率が高いという状況にかんがみて、各学校で大変に苦慮しているようでございます。これは警察庁と文部省両方伺いたいのでございますが、全国の高等学校の中で、運転免許の取得をしているけれどもその使用を禁止しているというような学校はどのくらい、あるいはそのパーセントはどの程度であるか、御報告をいただきたいと存じます。
  35. 池田速雄

    池田政府委員 私どもの方からお答えするのはあるいはいかがかと思いますけれども、私どもが聞いております範囲では、これは昨年の秋の数字でございますけれども、全国約五千四百校のうち、免許の取得につきましてほぼ全面的に禁止していると申しますか、そういう措置をおとりになっておるところが約一千校程度、それから通学あるいはアルバイト等目的を限りましてそういうものについて認めよう、こういうような措置をおとりになっておるところが約三千校程度あるやに聞いております。
  36. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 そこで、もう少しお伺いをしてみたいわけでございますが、このような状況を見ますと、全面的に禁止しているのは五千四百校のうち約千校でございますから二割弱、一部の使用を認めているというふうな表現でございますから、かなり制約をしているのが三千校ということになりますと、それが約六割弱ですか、かなり高い数字で高校はバイクの運転等については制限を加えておるわけでございます。  これが非常に問題なのは、いわゆる法的な根拠を持たずに、取り締まり機関以外のそういった機関が禁止措置を講じておるわけでございまして、そういうことが許されるか許されないかという問題ではなくて、好ましいかどうかという問題については、警察庁あるいは文部省はどういうお考えで、今後どういう方針でこれに対処しようとしておられるのか、お伺いをいたしたいと思うのです。これは将来ともに大変大きな影響を与えてまいりますので、警察庁と文部省両方からのお答えをいただきたいと思います。
  37. 長谷川善一

    ○長谷川説明員 お答えいたします。  文部省は、こういう学校における交通安全活動というのは、当面の事故を防止することを目的といたしました交通安全管理の活動というものと、自分の力で事故を防止し、将来のよき社会人としての資質を身につけさせることを目的といたしました交通安全教育の活動もございまして、両者の調和の上に立った活動の推進が必要であるというぐあいに考えております。したがいまして、単なる規制のみによる交通安全活動だけではなく、今後高等学校の新しい学習指導要領の趣旨に即しまして、正規の教育活動の全体を通じまして交通安全教育の一層の充実を図ってまいりたい、かように考えております。
  38. 池田速雄

    池田政府委員 交通安全を期することが一番大事であろうかと思いますが、そのための教育的な措置として、学校におかれて種々の措置をおとりになるということにつきましては、私どもといたしましては、高等学校等の判断を尊重しながら、その成果が上がるように見守ってまいりたいというふうに考えております。  ただ、おとりになっておりますいろいろな措置の中で、何と申しますか、私どもといたしましてはできる限りそういった生徒に対する安全の教育という観点からの措置をおとりいただいて、その措置に誤りのないようにしていただきたい。その過程でいろいろな措置をとられることはあろうと思いますけれども、何と申しましても、やはり安全を確保するために一体どうしたらいいかという観点からの御配慮をぜひお願いしたいというふうに考えておるわけでございます。
  39. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 大臣にちょっとお伺いをいたしたいのでございますが、いまお話をお聞き及びのとおり、警察庁にいたしましても文部省にいたしましても、それぞれの学校の自主性に任すあるいはPTAの意見、あるいは千葉県のように公聴会の意見等を尊重するということのようでございますけれども、いま大臣も仰せになりましたように、世界的な傾向としては運転免許の年齢を引き下げようという傾向にあるわけでございましょう。そのことと、いまのそれぞれの学校あるいは県あたりが対応しようとしておるのは逆行しておるわけですね。  それからまた、これは法律的に見れば、法的な根拠を持たないで禁止措置を講ずるということが問題なわけですね、完全に私的な権利を制限するわけでございますから。いずれにしましても、これは何らかの指導性を与えていかなければならない。法的な整備をするかあるいは行政指導でやっていくか、かなり法的な整備を基盤としたところの行政指導でなければ、それこそ憲法問題にも抵触する、基本的な人権にも抵触するというようなことになりますから、これはやはり明確な方針を持たなければいかぬ、こう私は思うのですが、大臣はいかがお考えになりますか。
  40. 安孫子藤吉

    安孫子国務大臣 きわめて重要な問題でございまするので、年齢をただ引き上げるというようなことだけで問題が済むかどうか、これも大変問題があると思います。したがって、運転者に対する教育の徹底化とか道徳的な考え方を強く植えつけてやるとか、いろいろなことをあわせてやらなければ問題は解決しないと思います。法制的な措置を講じたらいいじゃないかという御提案もあるように承りましたけれども、この辺も十分に検討しなければなかなか結論は出せないと思っております。私は、その点は検討してみたいと思いまするけれども、現段階においての考え方をひとつ政府委員の方からもお聞き取り願いたいと思います。
  41. 池田速雄

    池田政府委員 大変にモータリゼーションが進展いたしておりまして、年少のころから車とのかかわり合いを持つ時代になってきておる現実を踏まえまして、私どもといたしましては、現状のもとでは免許を与える際にはできるだけ教育をして慎重に、また免許を与えました後につきましても適正な教育あるいは指導、取り締まり、行政処分、こういったものでその安全性を確保してまいりたいと考えております。  こういった考えに立ちまして、年少者につきましては、免許取得時の講習を昨年の秋から実施するようにいたしましたし、また教習所におきます二輪の修習課程につきましても検討を加えまして、その時間数を四月からふやすことにいたしております。また、更新時の講習その他行政処分に伴います講習の際にも、年少者につきましては特にグループ分けをして、年少者にふさわしい教育をやるということに努めておるわけでございますが、さらに安全という点から見ましてどういう措置が一番いいかということを慎重に検討しながら対策を進めてまいりたいと思います。
  42. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 私は、交通安全教育の必要性、その大切さということを否定しているわけではないのであって、それを推進するのは当然ですよ。しかし問題は、私は別の問題提起をしているのであって、いわゆる私的権利を制限することにこれは基本的にどうしてもなるわけですよ。さりとて、いま学校あるいはPTA、それぞれの県でやっていることはあながち悪いことではないので、その整合性をきちんとしなければいかぬという問題提起をしているのであって、それはむずかしいということはわかりますよ。しかし、先ほどあなたからも御報告をちょうだいいたしたように、いま一部の制限行為を含めて五千四百校のうち三千校もやっているということで、大勢はその制限的な行為を推進しようとしているところにきてしまっているわけだから、それに対する何らかの根拠を与えないといけないんじゃないかというのが私の意見なんです。それに対して何らかの答えを早急に出すべき時期に現実に迫られているのだということを私は申し上げたいわけですよ。ですから、いつごろまで、あるいはことしいっぱいならことしいっぱいまでに結論を出すとか、何らかの結論を出す努力をしなければいかぬのじゃないですか。どうですか、もう一度、その点だけ。
  43. 池田速雄

    池田政府委員 早急に、できる限りの対策は立て得るように努力してまいりたいと思います。
  44. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 大変不満足なお答えでございますが、むずかしい点もいろいろありますから、それ以上のことは申し上げません。いずれにしても早い時期にその方向性をぜひ出していただきたい、あるいは何らかの中間報告でもいいからどこかで検討すべきじゃないかということをつけ加えておきます。  それから、これは読売新聞かと思うのでございますけれども、安全運転を中学校、高校の正課に取り上げ、専任教師を配置して実技とマナーとを教える、これを政府が方針として決めたというようなことが発表になっているわけでございますが、果たして事実であるかどうか。事実だとすれば、この内容について簡単に項目を立てて御報告をちょうだいいたしたい。文部省に伺います。
  45. 長谷川善一

    ○長谷川説明員 お答えいたします。  昨年十二月の新聞に出ました「バイク、中高校の正課に」というような報道につきましては、中学校及び高等学校のすべての生徒に対しまして、二輪車を教材として運転者教育を行ってほしいという趣旨の記事であったかと思います。小学校、中学校及び高等学校における安全教育というのは、学級指導、ホームルームを中心に正規の教育活動として行われることとなっておりますので、報道の趣旨が、国語、数学といったような必修の教科として取り上げることを意味しておるものでございましたならば、文部省としては現在そういうようなことは考えていないとお答えするしかないわけでございます。
  46. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 私も文教委員会等におきまして、義務教育の中に交通安全教育を入れるべきだということを主張をしてきているわけなんです。これは自治大臣に一遍お伺いしたいと思うのでございますけれども、いわゆるペーバードライバーだけでも四千万という時代になってきているわけですね。そうしますと、いわゆる免許取得可能年齢人口の中の過半数が自動車を運転する可能性がある時代になっているわけです。  しかし教育問題というのは、やはり少年時代、青年時代にしっかりしておかないとならない。しかも日本は非常に事故率が高い。毎年一万数千人、負傷者を入れると約六十万人ということでございますから、昔で言えば毎年どこかで大がかりな戦争をしているのと同じような、残念ながらそういう結果になっているわけでございまして、安全教育というものをもっと徹底して行うべきじゃないか、私はこういうふうに考えているわけなんですけれども大臣はどんなお考えか。また、私と同じようなお考えであれば、そういう方向を推進なさるおつもりがあるかどうか、聞かしていただきたいと存じます。
  47. 安孫子藤吉

    安孫子国務大臣 やはり運転する者のモラルの問題がきわめて重要な問題でございますので、この点については学校教育においても積極的に取り上げまして、これに対応していくという体制をとることはきわめて重要な問題だと私も認識いたしております。
  48. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 文部省、長谷川さんにぜひまた部内でも御検討していただきたいと思いますので、いまそんな意見を申し上げたわけでございます。  この新聞発表によりますれば、この安全教育のために専任の教師を中学、高校に配置するのだということ、それから中学、高校に年間十時間から二十時間程度交通安全教育の授業を設ける、こういうようなことが実は発表になっているわけです。いまお伺いをいたしますと、まだ正式に決まったものではないというお話ではございますけれども、専任教師を置くということになりますと、これは予算の上でも大変な問題になるわけでございます。だから、慎重にはしていただきたいとは思いますけれども、この安全教育をさらに充実をさせていただきたい。  この間文部省に伺ったところによりますと、いわゆる教師に対する交通安全教育のテキストはあるのですけれども、児童、そういったものに対してはそういうようなテキストはないわけですね。そこら辺の問題も含めて御検討いただきたいことだけを御要望を申し上げておきたいと存じます。  それから、最後に交通局長さんに一つお伺いをするわけなんですが、低年齢層が事故を起こした場合、えてしてその責任の補償ということになりますと、親がかぶらなければならぬわけですね。それを私はあえて否定をしようというのではないけれども、やはり親が事故をかぶればいいんだというようなこことでは、事故を起こした当事者としては大変無責任になってしまうのである。だから刑を重くしようという意味ではありませんけれども、交通安全教育の面をもっと強化するとか、あるいは免許書きかえのときにそういうような事故を起こした者は点数制を厳しくするとか、あるいは教育時間が多くなるのだとか、そのくらいのことは当然、みんながみんなそうではないとは私は思いますけれども、親がかりの補償という場合には何らかのそういう措置を講じなければ、無責任時代を認めるようなことになって青少年の教育にも非常に悪かろうと思うのですけれども、ここら辺にもう一考すべき余地がないのか、この問題をお伺いをいたしておきたいと思います。
  49. 池田速雄

    池田政府委員 少年の運転者につきましては、先ほども申し上げましたように免許取得時に特別に講習をやることにいたしたわけでございますが、その際の一番の内容は、社会的な責任と申しますか、車を運転することによりましてこうこうこういう責任が生じておるのだということを十分に認識させることを主眼にしておるわけでございます。また、その後の違反事故等によりまして行政処分を受けました際にも後の講習がございますが、青少年だけのクラスをつくりまして、一般の運転者とは違った内容の教育をやることにいたしております。  点数制等を一般成人の場合と別個に立てるかといったような御指摘もいただきましたので、いろいろな点から総合的に検討いたしまして、さらに少年に対する特殊な措置というものがとれるかどうか、検討を続けてまいりたいと考えます。
  50. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 それでは、低年齢層の交通安全問題については以上といたします。交通局長さん、結構です。  それでは大臣、基本問題からお伺いをいたしてまいりたいと思うわけでございます。まずひとつ、地方の時代という問題について、大臣の所信を承りたいと思うわけでございます。  これが、大平総理が御存命中、施政方針演説の中にこの言葉が出てまいりまして、大変新しい日本列島づくりと申しますか、田中元総理の日本列島改造論とは違った意味で、私も地方におるわけでございますけれども、それぞれ非常に張り合いを持たせ、新しい息吹を感じさせた方針であったろうと私は存じます。その内容を拝見いたしましても、地域の特性と自発性を尊重するということを強調されましたので、非常に期待をいたしたわけなんでございます。  ところが、大平総理がお亡くなりになりましてから、その後この言葉はだんだん威力を失うといいますか、そういう状況になってさびしい思いをいたしておるわけでございます。きのうの本会議におきましても鈴木総理がその問題を質問されて、私もそういった地方の寒村の出身であるから、地方の充実に対しては、そのことを願っていることについては人後に落ちないというようなお話がございましたけれども、この一年間振り返ってみますと、どうも言葉のみありて内容が伴わずという感じがいたしてならないわけでございます。  鈴木内閣での自治大臣として、この地方の時代をどうお考えになり、またどんな方向でポイントを持ちながら進めていきたいとお考えになっていらっしゃるのか、まずお伺いをいたしたいと存じます。
  51. 安孫子藤吉

    安孫子国務大臣 大平総理が田園都市構想というものをスローガンとして出されたわけでありますが、このことは一般に対しまして非常に、地方を重視していかなくちゃならぬという大きな刺激になったと思っております。前々から、やはり地方というものをしっかりつくり上げていかなければ国全体はよくならぬのだということは、自明の理となっておるわけでございまするけれども、政治的な観点から申しまして、どうしても国の政治あるいは行政におきましても、中央が主であって地方が従というような傾向があったわけでございます。これを少なくとも並列的に、あるいは地方というものに主眼を置いた政治、行政の運営が行われなければ、日本全体の発展的活力というものがだんだんと失われてくるものではなかろうかと私は考えておったわけでございます。  これに対して、地方の時代という言葉が多くの人々によって叫ばれ、そしてまた一つの政治的な方向としてだんだんと定着しつつあるということは、きわめて望ましいことだと私は考えております。しかし、現実にそれをどういう形で具現をするかという問題になりますと、問題はなかなか複雑でございまして、そういうものをつくり上げていくというためには、関係者の不断の努力とまた地方団体関係者のたゆまざる精進とによってつくり上げていかなければならぬと考えておるわけでございます。それには端的に申しますと、地方団体に対しましてもっと財源を付与して、そして活力ある活動ができるような仕組みをつくり上げて  いくことが一つだと思います。  それから、地方が非常に重要だと申しましても、国を離れての地方というものはあり得ませんので、国と地方との関係におきまして、国の方も地方が活力を持って創意的に活動し得るような仕組みというものをつくり上げていく、これがいままでも叫ばれてきておりますけれども地方と国との事務分担、責任分担等について明確にして、両者相寄り合って国全体をよくしていく、地方を伸ばしていく、こういうような仕組みをつくり上げていくということが、端的に申しますと当面解決しなければならぬ問題だと存じておるものでございます。  同時にまた、地方におきましても中央に依存するということじゃなくて、自分たちの地域社会は自分たちの力で、自分たちの与えられた条件のもとにおいて、地域の活力をひとつ生み出そうという努力が非常に必要だろうと私は考えております。端的に申しますと、ともすれば地方におきましても何か困難な問題がありますと、それは国に頼んで解決してもらうのだという依存型の風潮がないわけでもございません。これも必要なことではございまするけれども、同時にまた自己努力というものをも地方団体としてはやはり心がけていかなければならぬ。この両々相まって、地方の時代というものが本当につくり上げられていくものでなかろうか、こういうふうに私は考えております。
  52. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 大臣の基本的なお考えは、私は大ぜいの方がそういう方向を支持なさる、こういうふうに思うのでございます。ただ、私は思いまするに、これは一つの例を挙げるわけでございますが、いま大臣も仰せになりました、地方の自律性を尊重するためにその活力を与えるためのシステム、仕組みというものも必要だというお考えを承ったのでございますが、私、一、二年前にオランダのハーグというところに行って、これは交通安全システムでございますが、ボンエルフゾーンシステムというものが実施されておるわけでございます。人と車の共有社会をつくろうという試みでございまして、この仕組みをいろいろ見てまいりますと、特に感心をしましたのは、国がこのボンエルフゾーンを育てるための法律を積極的につくっていく。このハーグという町は十万という小さな都市なんです。その都市が、全国に先駆けて試行錯誤でやっておるわけですけれども、それに対して法律もつくり、もちろん予算もつけというようなことでやりました。  これは非常に成功しまして、順次その他の都市にもそういうシステムを使っていこう、そういう方向が生まれてきた。それからECにおいても、交通部会でこの問題が取り上げられて、ヨーロッパ全体にも大変いいじゃないかということでこの考え方が広く採用されようとしておる。また日本においてもこの問題が、朝日新聞でシンポジウムが二回程度行われまして、交通安全協会あたりで紹介がございました。私も、非常に一生懸命この問題を推進してきた一人なんですが、この問題がいま行政の中にも取り入れられて、日本の場合は交通事情も大変に厳しいのでゾーン設定というようなことはできませんけれども、道路行政の上でこれを生かそうという試みがことしから予算化されるような方向に来ております。  一つの小さな都市で行われたこと、それを国も法律的にも財政的にもバックアップしたことが非常に大きな影響を与えておる。私は、地方の行政というものは、そういう形で日本なら日本全体に影響を及ぼしていくというのがより望ましい方向だと思うわけでございます。ところがいままでの地方整備の状況を見ると、中部圏とかあるいは北海道圏というような大がかりな整備に関する法律、システムというものは推進されようとしているけれども、もっと小型の特徴のあるものについて積極的に国がバックアップしようという方向は余り見受けないのじゃないか。ここら辺についてどんなお考えがあるか、お聞かせをいただきたいと存ずるわけです。
  53. 安孫子藤吉

    安孫子国務大臣 私も、お話の点については理解をするものでございまするが、中部圏でありますとかあるいは首都圏、こういう構想も実は上から流れた構想にどうしてもなりがちなわけでございます。問題は逆でございまして、地方からそういうものが上がってこなければ本当のものにはならない、こう考えるわけでございます。地方から上がってくる問題ということになりますと、首都圏とか中部圏で一体となるということの方よりも、むしろお話のような小規模のものにおいてその地域の実態に即したような構想が出てくる、それを国がバックアップいたしまして推進するような体制をつくっていくことがきわめて重要だとは考えております。  そうしたものが出てまいりますと、とかくそれを全国的に敷衍しようという考え方も出てくるわけでございまするが、必ずしもそういう問題は全国的に敷衍させなくてもいいのでございまして、地域地域の特徴というものがあるわけでございまするから、それはそれなりの限界を持った施策であっていいわけでございます。だから、そういう芽が出てまいりましたならば、国が、法律というところまでいくかどうかは別といたしましても、いろいろな面において考慮を払ってやって、それを育てていく。それが成功したからといって直ちに全国に及ぼすということでなく、そうした色合いのものを全国各地において活発に展開をされれば、それが地方の時代を促進する一つの力になるんじゃなかろうか、こんなふうに考えるわけでございます。
  54. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 時間が余りなくなってまいりましたので、他の問題に移りたいと存じます。  行政改革の問題について、大臣所信表明の中で何点か挙げられております。事務の再配分の問題、国の地方出先機関の整理縮小の問題、国庫補助金等の整理合理化の問題についてのポイントを挙げられております。その中の一つだけ、お伺いをするわけでございます。  国庫補助金の問題についてでございますけれども、ここ数年は国庫補助率も五十一年度とか五十二年度で四一%から四二%程度。四、五年は大体そんなところで動かなかったのでございますが、五十六年度に至って初めて四割をわずかに下回った、こういう状況でございますけれども、この数字を拝見をいたしておりましても、五十六年度で千六百八十七億ですか、しかし新規分がございますから五百二十七億を引きますと実際は千百六十億程度、こういうことです。五十六年度国庫補助負担額の一・五%ぐらいであって、どうも整理合理化が進んでいるようには思えない。  しかし、五十六年度ではせっかく四〇%を切ったわけですから、五十七年度においてはさらに結果的に件数を検討しつつ、金額の面でもやはり目標をつくって、どうしても補助金制度というものは、存続する以上は新規が全くないことは考えられない、いろいろな知恵を働かせなければならぬわけですから、新規も多少は出てくるのはやむを得ない。そうすると、新規分と整理分を加えるとなかなか進まないわけですねるそれは、整理すべきものは思い切った整理をしてもらわなければならぬわけでございますけれども、話を伺うと、その整理の目標は検討して件数を減らしていこう、こういうことだそうですが、あわせて金額の面もこの程度、五%程度はというような目標をつくりながら、この補助金の整理合理化を進めていく必要があるんじゃないかなと思っておるのですが、これに対するお答えをいただきたいと思います。
  55. 安孫子藤吉

    安孫子国務大臣 補助金整理の問題は、政府といたしましても、単に件数だけでなくて金額の面も重視をしてやっておるわけでございまするが、御指摘のとおりに、いろいろな事情がございましてなかなか進まないというのが現実の姿であろうと思います。なかんずく、その多くの補助金というものは法律に基づく補助金でございまするので、法律改正を必要とするというものがあるわけでございます。この辺が、政治的には大変むずかしい問題であると私どもは承知をいたしておるわけでございます。  それから、補助金も本当にやめていいものもあるわけでございます。しかし、新しい時代に即しまして、新しい補助金というものをつくらねばならぬという事情もあるわけでございまするが、この辺の調整をどうとっていくか、補助金整理問題というものは、言うことは大変造作ないのでございますけれども、実行の問題になりますときわめてむずかしい問題だということを認識いたしておるわけでございます。地方団体立場から申しますと、もっと弾力性のある補助金制度にした方が、地方の発展のために活用し得る面が多々あるわけでございまして、私どもは、一概に補助金を目のかたきにするということだけでなく、その一部については一般財源に転用していく、また残りのものについては、地方団体が創意工夫をこらしまして、活用し得るような補助金体制をつくるというようなことにいたすべきではなかろうかと思っておるわけでございます。  それにいたしましても、産業補助金なんかは別といたしまして、法律に基づく補助金が非常に多いのでございまして、この辺については、今後政治的課題として取り組んでいかなければならぬ問題であろうかと思っておる次第でございます。
  56. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 その問題でもう少し議論をいたしたいところなんでございますけれども地方自治改正問題もございますので、それ以上は申し上げません。しかし、いま大臣が仰せになった法律に基づく補助金、法律廃止が問題なんだとおっしゃるが、しかしこれはどこかでやらなければならない。ところが、自治省としては、いろいろ御苦心をしておられるのでしょうけれどもうまくいかぬ。地方制度調査会などにも、私も出させていただいたこともございますが、そういう問題が何年間も延々として議論のみがあるんですね、さっぱり進まぬ。そういった意味で、私は、地方財政改革推進本部ぐらいつくってやらなければいかぬのだろうと思うけれども、そのつくり方自体も、単なる調整機関でもだめだし、やはりかなり命令権がしっかりしたそういうものをつくらなければだめだと思うのですね。その点については、また次の機会に議論させていただきたいと存じます。そういう考えがわが党の中にもあるということだけ、御承知おきいただければと存じます。  それから、大臣所信表明の中で仰せになっております地方行政態様の整備の問題の中に「地方分権の推進」ということがございまして、それは具体的には地方自治改正問題だろうと思います。三月の十三日が法律提出のための最終閣議と聞いておりますが、もう二週間ぐらいしかないわけでございまして、これに間に合うのかどうか、まずお伺いをいたしたいと存じます。
  57. 安孫子藤吉

    安孫子国務大臣 今回地方自治法を改正いたしたいと思っておりますが、その要点は、地方制度調査会答申に基づく監査制度の問題等が主になるわけでございますが、その点についてはひとつ行政局長の方から申し上げたいと存じます。
  58. 砂子田隆

    ○砂子田政府委員 ただいま大臣からお答え申し上げましたように、地方自治法の一部改正をただいま検討いたしているところでございます。  内容は、十六次、十七次あるいは十八次の当面答申をいただきました内容に沿った改正をいたしたいと思っておりまして、お話のように三月十三日が期限でございますので、それに間に合わせるように現在鋭意検討中でございます。
  59. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 いままで新聞等によりまして拝見をしたところによりますれば三つ問題があって、一つは議会制度の整備の問題、それから二番目には監査委員制度改善の問題、それから三番目には意見提出権の制定の問題、こういうふうに伺っておるわけでございますが、その中での問題点を幾つかお伺いをいたしたい。特に地方のいろいろな意見を聞いてみますと、意見提出権の制定の問題の中で、単に任意的なものではこれは意味がないじゃないか、必ず聞かねばならないというような義務的なものでなければ意味がないけれども、大丈夫かという点が指摘をされております。簡単に御答弁いただきます。
  60. 砂子田隆

    ○砂子田政府委員 いまお話がございましたように、地方団体、そういうものの連合組織というものが、包括的にと申しますより地方自治の発展のために何かの法律改正等を行う場合に、意見の開陳ができることに改正をしようというふうにいま考えておりますが、いずれにいたしましても、国と地方公共団体、先ほど大臣からお話がございましたように、信頼関係あるいは共同関係あるいは対等な関係という形における今後の地方行政の進め方を考えますときに、そういう意見を申し出る機会を与えるというのは大変意味があることだと私は思います。そういう意味で、この意見の提出に関しましては、地方団体の意向というのが国政というものに適切に反映できるような方向を考えながら、いま各省との間で折衝している段階でございます。
  61. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 もうちょっと突っ込んだ御意見を聞かせていただきたいと思うのですが、要するに単なる聞くだけということになれば、いままでもいろいろな機会があって、意見の開陳が行われているわけでございますから、一体どういうシステムをお考えになっていらっしゃるのか。もう法律提出するわけですから、その内容までかなり詰まっているわけでしょう。どういう制度になるのか、もうちょっと詳しく御説明いただきたいと思うのです。
  62. 砂子田隆

    ○砂子田政府委員 この意見の提出権につきましては、実は法律上の立て方というのが大変むずかしゅうございます。他の法律の中にも、行政庁に対する意見の具申でありますとか建議でありますとか、そういうことを法定をしている法律があるわけでありますけれども、いまおっしゃいましたように六団体がどういう法的な組織と申しますか、そういうものたり得るのか、その辺が一つの今後の論点でもありますし、そういうところから詰めてまいりまして、六団体の意見が、少なくとも自分たちに関係あることについては十分に意見が反映されるというシステムをつくるように、いま鋭意検討はいたしております。  ただ、聞かなければならぬという話までなってまいりますと、なかなか行政庁との間の関連においてむずかしい問題がないわけではありません。私たちといたしましては、あとう限りそういうことのいろいろな問題点を排除しながら、公共団体の意見が何とか国政にうまく反映できるように現在苦心をいたしておるところでございまして、いま各省の折衝の段階でもありますので、しばらくお待ちをいただきたいと存じます。
  63. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 まあ、なかなかいまの段階ではいわく言いがたいというところなんでしょうけれども、しかしいま地方団体あるいはその他のところで期待をいたしておるのは、これまでの要望とは違うんだ、もう一歩突っ込んだものなんだということを期待しておるわけですね。そういう抽象的な表現であればお答えをいただけるんじゃないかと思うのだけれども、いままでよりはもっと着実に前進をしておる、こういうふうなことになりますか。
  64. 砂子田隆

    ○砂子田政府委員 これは、もともと第十七次の地方制度調査会が大変力を入れておった部分でございまして、そういうところから考えまして、私たちもなるべく地方制度調査会の意見が反映されるという形の法案にいたしたいと思っております。  ただ、御案内のとおりいまの地方団体という任意団体には、実のところ法人格がございませんし、これに対する請願でありますとかそういうことの法律的な適用がないわけであります。そういうことから申し上げますと、いままでは事実上の問題として意見が述べられておったというのを、少なくとも法律上意見を述べることができるという立場までまず引き上げる。引き上げるというと大変おかしい話ですが、そういう形まで持っていくということをまず考えなければいかぬだろう。そういうことによって、いままでよりも少なくとも公共団体の総体としての組織である連合組織の意見が、よりうまく国政の方に反映されるようになるのではないか、そういう観点からまずやっておりまして、その次に、それじゃそれを一体どの程度国政の中にうまく反映できるかという問題を詰めなければいかぬのですが、そのことをいま各省との間でやっておりますので、しばらくお待ちを願いたいと思います。
  65. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 それから議会制度の整備の問題の中で、議会運営委員会が設けられるようにするんだ、これはすでにやっておるところもあるわけでございまして、そのほかに参考人の意見聴取ができる制度をつくりたいということのようでございますが、これは国においてもそうでございますけれども、特に地方においては何か特殊な問題点が起きたときに、利害相対立する人たちを参考人として呼ぶということになると、非常に混乱が予測されるのではないかと真実は心配しておるわけですね。  国政レベルにおきましては、余りそういうことはございません。オイルショック後の物価問題等においては、各商社おいでいただいたというようなことがございますけれども、ああいう形でない、いわゆる問題が起きて、たとえば公害問題が起きる、それを利害得失の人たちを参考人として呼ぶなんということになりますと、非常に紛糾する場合が出てくるんじゃないか。かえって弊害になる場合すら考えられるが、そこら辺についての何らかの配慮と申しますか、そういった点などは十分お考えになっていらっしゃるでしょうか。
  66. 砂子田隆

    ○砂子田政府委員 私たちがいま参考人制度というのを考えておりますのは、御案内のとおり、地方議会における議会の権能を拡大をしようと申しますか、権能を強化しようという点に実は力を入れているわけでございまして、そういう点から実は参考人制度というのを設けようといま考えておるわけでございます。  おっしゃられますように、地方にあっていろいろな利害関係が錯綜して、かえって議会が混乱をするんじゃないかというお話は、私はないわけじゃないとは思いますが、やはりそれは各議会が自主的に判断をするということの立場に立たない限り、地方自治の確立というのは大変むずかしいのじゃないか。  むしろそういう訓練を幾つか経てきて、地方議会というものも住民の意思がくみ上げられるような方向への変換をしていくのだろう、こう思いますので、若干のトラブルがありましても、公共団体がやはりそれを自主的に解決をしていく、あるいは自分たちがそれを乗り越えていくという努力を実は期待したいというところに、この参考人制度をつくる目的も持っておるわけでありまして、いまの地方自治法の立場の中だけ申しますと、公述人だけの制度でありますとなかなかそこまではうまくいかないだろうという観点から、この制度を新しくつくろうと思っておりますので、御理解を願いたいと存じます。
  67. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 大変りっぱな見解をお示しでございますけれども、しかし最近の千葉やら東京のいろいろ状況を見ていると、なかなかそんなわけにはいかないところもあるようでございますね。まあいいでしょう。  それから最後にお伺いをしたいのは、地域の総合開発計画ですか、県の基本構想などが議会で議決されるような、そういうものを義務づけしよう、そういうことも検討されているようなんですけれども、これはいままで県知事さんなら県知事さんが自由にお考えになり、その構想を発表していらっしゃるわけですが、これを議会で議決してしまうと、県の中にいろいろな地方都市がたくさんあるわけでございまして、必ずしも合致しない問題が出てくる。そうすると、県は県で住民の代表が議決してしまっておるわけですし、地方都市は都市で地域代表が議決してしまうわけでございますから、その議決と議決がぶつかってしまう可能性もある。たとえば、広域下水道なんかの問題はそういう可能性が全くないわけではないのであって、そこら辺を考えるとこの問題はかなり慎重にしなければいかぬのじゃないかというふうに思うのですけれども、これに対するお考えはどんなものでしょうか。
  68. 砂子田隆

    ○砂子田政府委員 実は今度の法案に盛ります部分というのは、いままで市町村について基本構想を議会の議決をとるようにという規定がございました。それに合わせまして県についても同様の規定を設定しようじゃないかということで、いま検討をいたしておるところではございますが、実は御案内だと思いますが、基本構想でありますとかあるいは基本計画でありますとかあるいは実施計画でありますとか、そういう三つの柱が基本になっているというのが、従来の私たちが一つの地域における計画をつくります場合のスタンスでございます。  そこで、基本構想というものが県でできます場合には、この基本構想の中にはきわめて民間の活力を利用するところ、あるいは国側からの要請に基づくもの、あるいはみずからがやらなければいかぬものというような形のものが大まかに入ってきておりまして、具体的にどういう計画が行われるかというのは、さらにその公共団体の中における基本計画なりあるいは実施計画なりというものを進めない限り、入ってくるのが大変むずかしいだろうと思います。  そういう意味で、自分たちが住んでいる広域行政を行っている県というのは、地域的におおむねどういう地域づくりをしていくのかということを示すのが基本構想の大部分でありますから、市町村を包括している県と市町村との間のそごは余りないのだろうと思います。  それからもう一つは、すでに御案内だと思いますが、地方自治法の第二条第七項の規定によりまして、府県と市町村の事務というのは競合しないようにという規定がございます。そういう点を踏まえながら、まさに県と市町村とが対等と申しますか、自治体としての役割りを発揮しながら、お互いに計画を練り合わせていくということがますます必要になってくると思いますので、そういう点を私たちとしては理解をしながら、この構想を規定していこうというふうに考えているわけでございます。
  69. 石田幸四郎

    ○石田(宰)委員 時間が来ましたので、なお議論のあるところでございますが、これ以上の議論は申し上げません。ただ私としては、先ほど申し上げましたように、一つの都市が何か行政上の特徴を出し、それが非常にいいものであれば全地域的にそういうものが受け入れられるというようなことの方がより望ましい。そういうふうに思いますと、県全体で基本構想といえどもばちっと決めてしまうことが、果たしてそれぞれの市、町に制約的な影響を与えることにならないかということを心配しております。その点を意見として申し述べておきたいと存じます。  それから、本日は校内暴力の問題について大臣に所信をお伺いいたしたかったのでございますが、時間がありませんのでやめます。ただ、いままで大臣が表明されてきたことと、きょうサンケイ新聞には総務長官の談話等が載っております。あるいは文部大臣等のいままでの意見の表明もあるようでございまして、警察力の導入の問題については若干意見のそごがあるように存じますので、そこら辺十分な御調整をお願いしたい。  また、青少年の問題は、将来にわたって非常に大きな社会問題となろうかと存じます。世界的な傾向を見ますと、かつてのいわゆる大学紛争と同じような傾向なしとしない問題でございますので、大至急十分な御検討を御要望申し上げまして、私の質疑を終わりたいと思います。
  70. 左藤恵

    左藤委員長 午後一時より再開することとし、休憩いたします。     午後零時五分休憩      ————◇—————     午後一時七分開議
  71. 左藤恵

    左藤委員長 休憩前に引き紡ぎ会議を開きます。  質疑を続行いたします。青山丘君。
  72. 青山丘

    ○青山委員 大臣に、最初に御見解を伺っておきたいと思いますが、地方の時代という言葉が最近よく使われております。そういう意味で、現在の地方自治に対する御認識を伺っておきたいと思うのです。  地方の時代という言葉が使われて、言葉の上で地方がもてはやされている。しかし、真に地方自治体がその言葉にふさわしい、そして国民の信頼に足りる施策を進めていくためには、地方分権という観点からしますと、行政事務の再配分の問題がどうしても出てきます。それから何といっても財源の確保、これらの問題について大臣がどのように考えておられるのか、まず伺っておきたいと思います。
  73. 安孫子藤吉

    安孫子国務大臣 御承知のとおり、戦後におきましては憲法上も地方自治が確立をいたしたわけでございまするが、実態がそれにふさわしい状況になっておるかと申しますと、私どもは、その実態というものは必ずしもそれにふさわしいものではないと認識をいたしております。したがって、われわれは努力をいたしまして、これからさらに地方の自治を確立し、よってもって地方の時代というものをつくり上げていかなければならぬ、そういうふうに考えておるのでございます。  これを実施してまいりますためには、いろいろな手段、方法もございます。地域社会の方々の認識も、ある程度考えてもらわなければならぬという問題もありますが、国の制度といたしましても、やはり御指摘のような地方に権限を付与する地方分権、この問題がきわめて重要であり、また、それを裏づける意味におきましても財源の付与をしなくてはならぬ。そういう政策、手段とあわせて、地域社会におけるところの地方自治に対する認識の高揚によりまして、名実ともに備わる地方自治の時代というものがっくり上げられていくものだろう、こう考えております。  この道は決して容易なものではございませんけれども、今後さらに努力をして、一日も早くそれにふさわしいそうした地域社会がつくり上げられるように努力をしてまいりたいと考えておるところでございます。
  74. 青山丘

    ○青山委員 地方自治体といっても、これはなるほど国と一緒で、国も七十一兆円の借金、地方自治体もいまや大変な財政赤字。そういう意味で、たとえば交付税特別会計の借入金が八兆円ですか、それから地方債の増額、地方債残高が二十九兆円、こういうようなことで、応急的な処置としてこれまで財源の確保を図ってこられた。しかし、これは抜本的に改革していかなければならないと私は思うのです。なるほど地方の地域住民の理解を得ていく、しかし自治省の果たしていく役割りはきわめて大きいと思います。そういう意味で、税財政制度そのものの抜本的な改革をしていかなければ、地方の時代などと心地よい言葉を使っていただいても、真にそれぞれ地域の特性を持った地域整備、地域の発展ということはなかなかむずかしいであろうと思うのです。その辺の御見解はいかがでしょうか。
  75. 安孫子藤吉

    安孫子国務大臣 お説のとおりに、やはり基本といたしましては、地方の安定した財源の確保ということが重要だと考えております。現在の制度がそれにふさわしいものであるかどうかについては、いろいろ議論の余地がありますが、私どもといたしましては、特に自治省といたしましてこの地方財源を確立するという点については、今後とも最大の努力をしていきたいと考えておるところでございます。
  76. 青山丘

    ○青山委員 大臣所信表明演説の「総合的な地域振興策」の中で、「総合的な地域社会の整備に不可欠な地域経済の振興についても、その対策を推進してまいりたい」、私も、地域経済を健全な形で振興していくことが地方の時代にふさわしい地域の総合的な発展と整備につながっていく、そういう観点でこれまで通産省の施策について私なりに支持をし、積極的に進めていただけるものはぜひ進めていただくように私なりに取り組んできたつもりです。そして今回、総合的な地域経済の発展のために自治省が取り組んでくださる。すでにその経過というのはあるのでしょうけれども、どのようなことを考えておられるのか、お尋ねしたい。
  77. 安孫子藤吉

    安孫子国務大臣 これから地方の時代という場合にきわめて重要な問題は、それぞれの地域において特色のある一つの産業形態というものが大なり小なりつくり上げられていくということが、やはり一つの重要な要素だろうと考えておるわけでございます。  この問題を考えますと、戦後における日本の消費形態というものがマスプロのものによって支配されておるという状況もある中で、それに対応する地域経済というものももちろん考えにやならぬわけでありますけれども、同時にまた、地域地域において長い歴史的伝統を持つ産業なり、その地域にふさわしい産業なりというものがあるわけでございます。そういうものを生かしていく、さらに伸ばしていくという施策も、あわせて考えていかなくちゃならぬわけでございます。それでこそ、初めて地域経済の振興というものが成り立つものだろう、こう考えておるわけでございます。  これに対しては、いろいろな施策を持って通産省もそれぞれの業界を通じ、あるいは伝統工芸等についても施策を講じておるわけでございますけれども、それにしましても、地方団体というものが地方団体立場においてそれを支持していくというような体制をつくることがあわせてきわめて重要だろう、そういう点に着目いたしまして、自治省といたしましては、地域経済振興策に対しまして市町村が行う各般の施策について格段のてこ入れをしていきたい、こういう構想を持ちましてこの問題を取り上げておるわけでございます。
  78. 青山丘

    ○青山委員 すでにこの三年間、特定不況地域対策ということで取り組んでこられたと思うのですね。これが今度は衣がえをした形になると思うのです。過去三年間の経過を振り返ってみて、どういうふうに受けとめておられるのか、お尋ねしたい。
  79. 安孫子藤吉

    安孫子国務大臣 従来の経過等につきましては、担当者から御説明を申し上げます。
  80. 大嶋孝

    ○大嶋政府委員 過去にやってまいりましたのは、いわゆる急激に経済が落ち込んだということに対します緊急措置的なことをやってまいりまして、起債の特例あるいは交付税措置ということをやってきて、これはそれなりの成果があったものと私どもは考えております。それを踏まえまして、今後さらに積極的な施策を展開したいというのが、今年度から発足しようとしておる地域経済振興対策でございます。
  81. 青山丘

    ○青山委員 特定不況地域対策を進めていただいた、それなりの成果を上げてきておる、私はそういうふうに受けとめています。ただ問題は、いままでは商工業振興政策だと思って、私は通産省主導型だと考えておったのですが、実は地方へ行きますと、それぞれ商工業の団体等の調整等でまとまって振興施策を進めていくことに力を持たない。進めていくのがいいことだとわかっておるのですけれども、地域がなかなかまとまらない。そのためには、地方自治体がまとめ役になってくれるのが大変いい。ところが、地方自治体が裏づけとなるものが何もなくて、商工業団体に対してまとめ役といいますか、指導的な役割りが果たせない。そういうことで、何とかしたいなと私も考えていたのです。  そういう意味で、今回の地域経済振興対策というのは大変期待しておるのです。具体的にどのような方針で今年から進めていかれるのか、少し方針を聞かしていただきたいと思います。
  82. 安孫子藤吉

    安孫子国務大臣 お説のように、商工業という問題になりますと地域社会においてなかなかまとまりがつきにくい、こういうことは事実でございます。しかし、それを乗り越えて一つの方向を見出すためには、市町村が中心となってその調整役を買っていかなければならぬ、これもそのとおりだろうと思います。この辺は市町村長の見識に基づく問題ではございまするが、同時にまた、それに対する物的施設等の整備等を図ることも、その促進策の一つにはなるのじゃなかろうかということも考えられるわけでございます。  さような点について、自治省としても手をかしていくべきだろうという考え方もございまして、今回の措置も講じたわけでございまするが、この問題は、中央からこういうものということじゃなくして、地域社会において実態的にこういうものがあればさらに促進ができるというような地域の構想を取り上げて、これを促進していきたいという考え方に立ってこの政策を進めていこうと考えておるわけでございます。  なお、そのほかの詳細なことについては政府委員の方からお答えを申し上げます。
  83. 大嶋孝

    ○大嶋政府委員 概略を申し上げますと、一つは構造改善等推進地域というのを選定いたしまして、この中身といたしましては、特定不況地域振興総合対策要綱に基づきまして地域経済の構造改善のために必要な施策を積極的に講じておる、あるいは景況等の改善が著しく立ちおくれておりまして、地域経済安定のための特別な施策の実施が特に必要と認められるというようなところを構造改善等推進地域として取り上げてまいりたい。  それから特定の産業業種への依存度が非常に高い、したがってその産業業種の育成強化といったものが地域社会の健全な発展に必要である、不可欠であると認められるもの、それから地域経済活動の長期的な停滞化傾向が見られ、あるいはまた今後適切な経済振興のための施策を講じない場合においては停滞化が予測されるといったところ、それから地域の立地条件、資源等を活用した独創的な地域経済振興のための単独施策を講じておるといったところを一般振興地域として指定をいたしまして、地域経済振興対策を講じてまいりたい、かように考えておるところでございます。
  84. 青山丘

    ○青山委員 いまおっしゃったような要件を満たす対策を進めていきたい、いかなければならないと考えられる地域は、全国に一体どれくらいあるのでしょうか。
  85. 大嶋孝

    ○大嶋政府委員 現在、都道府県を通じまして市町村からいろいろな計画なりあるいは相談を受けておるところでございまして、現在のところ幾つというふうにまだ確定はしておりませんが、目下関係県と協議中であるということで御了解いただきたいと思います。
  86. 青山丘

    ○青山委員 私なりに調査してみますと、地域の産業を抱えておる都市は特定の産業に大変偏っていて、その産業の振興いかんでその地域の経済が大きく左右される、こういう地域が一万近くあるのではないかと思うのです。  御見解を伺っておきたいと思うのですが、今回対策を推進される地域はどれくらい考えておられるのか。
  87. 大嶋孝

    ○大嶋政府委員 先ほど申し上げましたように、まだはっきりした数字を申し上げられませんけれども、百数十ぐらいのところであろうかと思っております。
  88. 青山丘

    ○青山委員 余りこれで時間をとられると困るのですが、百数十というのは、百十くらいと百九十くらいまであると、ずいぶん差があるのですよ。地方自治体にしてみれば、これに非常にかけている自治体もあると思いますが、明確にここで打ち出すのはよろしくないですか。
  89. 大嶋孝

    ○大嶋政府委員 まずその対象地区を、先ほど申し上げましたように考え方があるわけでございますが、一つは特定不況地域等の産業構造の特殊性に起因する経済の停滞地域などにおきまして、地方公共団体を主体としております地域経済の構造改善に資するプロジェクトが実施されておる、そして、特別の財政需要を生ずることとなるといった場合に、これを推進地域として選定するという趣旨でございます。  先ほど申し上げましたように、現在、都道府県から地域の経済の現況あるいは地域経済振興のためのプロジェクトの実施状況計画等につきまして、事情聴取をしておるところでございます。したがいまして、この細目につきましては現在の調査結果を見て固めてまいりたいと思っておるところでございますが、百十か百九十かということになりますと、大体百四、五十ぐらいではなかろうかと思っております。
  90. 青山丘

    ○青山委員 何か意図があれば余り聞きませんけれども、私が聞いておるのと少し違うので、これはまた違う機会に取り組みたいと思います。  この地域経済の振興施策はぜひ進めていただきたいのですが、他の省庁がすでに進めておられる、たとえば地場産業振興モデル都市の構造であるとか他の省庁の施策と絡まり合ってきて、地方自治体が対応に困られるというのもどうかと思うのですね。今回の場合は、たとえば補助金を云々ということではないようですので、たとえば地方債の弾力的な運用をしていきたい、あるいは特別交付金で対応していくようですから、地方自治体が他の施策との絡み合いの中で対応に苦慮するようなことはありませんね。そういう点が、他の省庁との調整がうまくいってないと、せっかくの仏も魂が入らないでは残念です。いかがでしょうか。
  91. 大嶋孝

    ○大嶋政府委員 私どもの考えておりますのは、地方公共団体が中心になって行います単独事業を中心に考えておるわけでございまして、そういう意味合いにおきましては、他の省庁の施策と競合して混乱を生ずるということは決してないものだと考えております。
  92. 青山丘

    ○青山委員 地方自治体でもそれから自治省でもそうでしょうが、地域の経済を振興させていくための専門の部局だとか担当官というのはいないと思うのですね。それがちょっと心配なんですが、推進体制というのはよろしいですか。
  93. 大嶋孝

    ○大嶋政府委員 自治省の方といたしましても、担当の調査官を置いて専門にそれに当たらせておりますし、都道府県、市町村等におきましても、それに十分対応できることになっておると私どもは考えております。
  94. 青山丘

    ○青山委員 御苦労さまです。  きょうは、大臣所信表明に対する質問なんですけれども、特定の地方自治体の行政姿勢に対する質問を取り上げたいと思いますので、ぜひお許しをいただきたいと思います。——運輸省は来ておられますね。  一昨年の十一月に、航空審議会に関西国際空港部会が設置されました。工法小委員会に、建設工法について埋め立てとするか浮体とするか、この検討が進められてきたところでありました。この審議過程においては、わが党議員からたびたび環境、公害問題、これを中心とする質問を行って疑問点をただしてきたところであります。  この中で、埋め立ての場合の土取り予定地については、政府は次のような回答を行っているわけです。土取り候補地については、買い占め等の投機が行われてはいけない、そのために土取り候補地については一切発表をしてない。これが一つ。いま一つは、土取りを行うとすれば公有地で行う考えであって、土砂代金は建設工費の中に含まれていない。それはとりもなおさず、土砂を取ってやることによって跡地の利用ができる、その利益を提供することができる、そういうことで土砂代金を払う必要がない、こういうことが背景にあるわけですが、いまの発表しておらない、それから土砂代金は建設工費の中に含まれていない、こういうことについて最初にまず確認をしておきたい、間違いはありませんね。
  95. 山本長

    ○山本説明員 そのとおりでございます。
  96. 青山丘

    ○青山委員 工法選定を含めて開発計画が決まっていない段階で、政府、地方公共団体が介入あるいは誘導する形で土取り場の工作が先行することは許されないことであります。埋め立てと決まった場合に土取り場と目される和泉葛城山系における用地売買等の動きについて、把握しておられますか。
  97. 山本長

    ○山本説明員 把握しておりません。
  98. 青山丘

    ○青山委員 土取り場とのうわさの高い和泉葛城山系の主要の地区は、長い間未登記のままでありました祖先伝来の山林で、共有地あるいは財産区財産が多いわけです。しかるに、四十九年八月の航空審議会の答申の直後から、相次いで保存登記が行われ出しているのです。  空港予定地につながる泉南市楠畑、葛畑両地区について、具体的に尋ねていきたい。  四十九年答申直後から相次いで保存登記が行われておって、関係する二、三の共有地主に昨年春ごろ、私、直接尋ねたのです。ここらが土取りの中心になり、権利が高くなると言われたので、これからは皆と相談して動くことにしている、急に連帯感を強めて、土砂代の高値売りつけを図るかのような動きがあるわけです。政府はこのような動きをどのように把握してこられたか、またどのように対処しておられるのか、お尋ねいたします。
  99. 山本長

    ○山本説明員 関西国際空港計画につきましては、先生も御存じのとおりでございますが、運輸省といたしまして、大阪湾の泉州沖を候補地といたしまして各種の調査を実施しております。調査は、どういう空港があそこに建設可能であるか、これは航空審議会の答申を尊重しつつでございますけれども、そういった空港計画の姿がどういうものであるべきかということ、あるいはその空港を建設しあるいは設置したとするならば、環境にどういうふうな影響が発生するであろうか、あるいはその影響をどういうふうにすれば最小限に食いとめ得るであろうか、こういったことについて調査、検討あるいは関係機関との御相談をしてまいってきておるわけでございまして、現在もその状態でございます。したがいまして、運輸省といたしましても、あの泉州沖を候補地として各種のことをやっておりますけれども、つくる、建設するということが決められたわけでもございませんし、また政府としてもまだその段階まで至っておりません。  御質問の土取りにつきましては、あの地に埋め立てをいたします場合に、どうしても埋め立て工法ということでございますと土が必要でございますので、土取りに関する一般的な調査はいたしてきておりますけれども、土取り地の具体的な問題については、運輸省といたしましても何らの決定をいたしておるわけでもございません。先生御質問のような将来の決定を見越しての動きでありますれば、またそれが何らかの投機のような意図を持ったものでありますれば、われわれといたしましても実に残念であるというふうに考える次第でございます。
  100. 青山丘

    ○青山委員 これは、保存登記のほんの一例ですけれども昭和四十九年答申が出た、その登記の事例だけ申し上げたいと思うのです。  いまの楠畑、萬畑両地域の一部です。昭和二十五年一月に相続された、これが原因です。保存登記が四十九年十一月。日にちまで言ってもいいのですが、日にちは省きたいと思います。二十年に相続を得た。昭和四十九年十月、保存登記がなされています。それから昭和十六年十月に相続を得たものが五十一年七月に、それから二十四年七月に相続をしたものが五十一年三月、それから四十一年四月に相続したものが五十年十一月、それから五十一年八月にもまた保存登記をしておる。ここで申し上げてきたのは、本当にごく一部です。この物件が四十九年、答申直後に十五件、本当に限られた地域でざあっと保存登記がなされてきておる。こういう動きについて、運輸省どのように受けとめておられるのか、お尋ねしたい。
  101. 山本長

    ○山本説明員 それがどのような意図で行われ、あるいはそれが関西国際空港計画とどのような関係にあるのかということについて、私、把握しかねるわけでございますが、もしもそれが関西空港計画の決定というものを見越してといいますか、前提としての投機的な考え方に基づくものでありますとするならば、先ほど申し上げましたように、運輸省といたしましては非常に残念であるし、またそういうふうな動きをされることによって、関西国際空港の建設について何らかのいろいろ不信の目で見られるようなことが起きますれば、私たちとしては非常に残念であるし迷惑である、こういうふうに考える次第でございます。
  102. 青山丘

    ○青山委員 日本は土地の狭い国ですし、どうも土地に対する執着心の強い民族ですから、民間がそういう情勢をキャッチして、判断をして対応しようと動きが始まった、これはそれだけならばやむを得ない部分もあるかもしれませんが、実はそうでない動きがずいぶんあるのですね。これからちょっと触れていきたいと思いますが、この中で信達楠畑、葛畑地区の二、三の例について尋ねたい。  この地区は、町村合併によって泉南市に併合されたが、以前は楠畑が東信達村、葛畑が西信達村に属しておりました。そしてこの地区の山林は、登記上、楠畑地区は東橘達村大字楠畑ほか十四の大字の共有地あるいは財産区財産です。それから萬畑地区は、西信達村大字萬畑の共有地の形の所有地が大部分であったわけです。  ところが、その両地区の一部に、有力な土取り場と目される地域を取り囲むような形で大阪府の公有地が見受けられるわけです。私が調査した範囲で言いますと、東信達村大字楠畑ほか十四大字のうち楠畑六百七十一の一番、二十三万三千八百三十二平米、楠畑六百七十二の一番、十五万九千七百二十七平米、ほかにまだ葛畑もありますが、こうして見てきますと、楠畑ほか十四大字の共有地二カ所、計三十九万三千五百五十九平米というのは、昭和十年にすでに大阪府が、向こう五十年にわたってこの全域にわたって立木所有を目的とした地上権の設定登記をしているわけです。ですから、昭和六十年までは地上権者は大阪府なのです。ちょっとお見せしますので見てください。——しかもこの形状が、実に理解しがたい形状をしておる。これをつかんでおられましたか、初めてですか。
  103. 山本長

    ○山本説明員 初めて知る話でございます。
  104. 青山丘

    ○青山委員 いまあなたにお見せしたこの土地は、大宇の共有地の一部が昭和五十一年三月二十二日に泉南市に寄付されているわけです。そしてその土地を、大阪府が泉南市から買っているのです。泉南市は、ただでもらった土地を売っているわけです。信達村楠畑大字共有地六百七十一の一番は、もとは地続きで二十三万六千三十平米ありました。現在は二十三万三千八百三十二平米です。ですから六百七十一の一番は二千百九十八平米が、六百七十一番の四から八までに登記が分筆されているのです。これは、それよりさかのぼること約一年、昭和五十年四月十八日に、寄付を目的としてすでに分筆の登記がなされていたのです。そして五十一年三月二十二日に、泉南市に所有権が移転しているわけです。そしてそれから一週間後、五十一年三月二十九日には、売買によって大阪府に所有権の移転が行われている。  しかもこの移転関係の地形というものは、いまお見せしたように、形状からして土取り場有力地と目される地区を取り囲むような形をしており、帯状の奇妙な山林を泉南市及び大阪府が取得しておる。こんな奇妙な土地を泉南市がただでもらって大阪府に売りつける、その合理的な理由が理解できない。これはまた後で申し上げますが、こんな土地が一体どんな理由で所有権の移転がなされておるのか、つかんでおられますか。
  105. 山本長

    ○山本説明員 把握しておりません。
  106. 青山丘

    ○青山委員 この時期は、運輸省が昭和五十一年五月二十九日に大阪府知事に対して、泉南市沖に観測塔設置を正式に要請しておりました。そうですね。これは確認しておきたいのですが、その直前です。時期的に、設置のためのいわゆる根回しが行われておった時期に当たります。共有地がベルト状に泉南市に寄付されて泉南市が大阪府に売却したことが、いわゆる土取りとその跡地利用、土砂採取の利益等を保証する一つの証文として行われた疑いがきわめて濃いと言わなければならないが、どうでしょう。これが一つ。  それからもう一つは、観測塔設置に伴い、運輸省と泉南市との間に協定書かあるいは覚書が取り交わされておるはずですが、提出いただきたい。御答弁を求めます。
  107. 山本長

    ○山本説明員 先ほど御説明いたしましたように、運輸省といたしまして土取り地、いわんや土取り候補地とでも言うべきものさえ現段階において決めておるわけではございません。過去にも決めたことはございません。先生の御質問の泉南市と土取りについて観測塔設置の際に何か約束があるのではないか、こういうふうなお尋ねでございますけれども、運輸省として土取り地を決めた、あるいは候補地すら決めたということはございませんので、そういった約束めいたことが行われたということは私はないと思います。またそういうことは、先生の御質問ではございますけれども信じがたい気持ちでございます。  観測塔の設置に際しまして、大阪府あるいは泉南市と現地の局が五十一年にいろいろ折衝した経緯がございます。先生御質問の、協定書なり覚書があるのではないかという御質問でございますが、調査をいたしまして御報告をいたしたいと思います。
  108. 青山丘

    ○青山委員 観測塔設置、これは必要なものでしょうから、それはそれなりにそのための努力をされるのはわかります。それが正式に提出されたのが五十一年の五月二十九日、それよりも二カ月さかのぼって三月の二十九日に、大阪府がこの理解しがたい形状の土地を買っているのです。それから一週間前に泉南市は寄付を受けています。それからさかのぼること約一年、五十年の四月に寄付を目的として分筆登記がなされているのです。それからさかのぼること約半年で、航空審議会の答申が出ている。  この動きをずっと見てみますと、一年前にすでに寄付をするといって、分筆登記が五十年四月になされているのですね。そして五十一年三月二十二日に、泉南市が寄付を受けているわけです。一週間先には大阪府に売っているわけです。どんな土地でも、寄付を受けたその土地を一週間で売るということは一般にはまずあり得ない。あり得ないとすれば、大阪府に対してはもうすでにその話がついておった。大阪はその土地を取得した、するだけの何らかの理由があったはずです。しかし、普通の土地ならともかく、こんな山の中で沢沿いの、本当にベルト状の妙な地形を確保するだけの積極的な理由は一体何か。自治省、これはつかんでいますか。大阪府がこんな土地を確保するために何らかの相談がありましたか。
  109. 土屋佳照

    土屋政府委員 府県における個々の工事用のそういった土地の取得等について、私どもは一々承知はいたしておりません。
  110. 青山丘

    ○青山委員 どういう目的でこの土地を取得したのか、それはぜひ調査していただきたい。実は奇妙な土地を大阪府が買うている。しかもそれは、すでに立木所有という目的を持って地上権の設定がされておる土地です。それを寄付を受けてからわずか一週間の間に、売買契約が取り交わされて所有権が移転した。これはだれが考えてみたって、泉南市と府との話し合いはもうすでについておった。そして、その前にさかのぼること約一年、分筆登記がなされておって、その一年後に寄付ということで所有権の移転がなされておる。と言えば、すでにさかのぼること一年前に大阪府からの話は来ておる。しかもその時期が、観測塔設置の正式な申請がなされたわずか二カ月前で、一応手続上全部済んでおる。なぜこんな動き方がなされなければならないか。  たとえばこんなに妙な土地でも、それは機材置き場としては使えますし、土取りを全部やっちゃってから跡地を利用するときに公共用地として何らかの意味があるかもしれませんし、地元に対する了解を取りつけるための起請文のような形でこの土地を大阪府が確保させられた、あるいはしてきたということだって考えられるわけです。こんな奇妙な土地を手に入れるだけの積極的な理由はどうしたって理解できない。自治省も運輸省もどう思われますか、この土地を積極的に手に入れなければならなかった理由というものを。  泉南市だってただでもらっているのですから、本当に寄付するのならただで出せばいいのです。それをわざわざ大阪府が買っているということは、何らかの意思の表示である。つまりそれは、跡地は必ず利用させてやりますよ、そのかわりに証文のような形でこの土地だけはうちが買わさせてもらいましょうか——普通なら、そんなことは信用できぬからと言われても、それだけやってくれればということで地元は了解しますし、泉南市はむしろ、当面わずかな金額でしょうけれども利益こそ上がれ、共有地主に対しての説得の材料になるということからすれば、この段階ではまだ埋め立てとは決められていないにもかかわらず、埋め立てがすでに既定の路線であるかのような、そういう動きがこの地域においてもうなされておったと理解せざるを得ないのです。こういう動きに対して、どのようにお考えでしょうか。
  111. 山本長

    ○山本説明員 候補問題の議論の以前にもうすでに埋め立てと決まっておったということ、あるいはさらに土取り地まで何か約束がなされていたというふうな推測をし得る御質問でございますけれども、運輸省といたしまして、先ほどから申し上げておりますように、土をどこから取るか、どういう方法で取るかということにつきましては、関西国際空港というものをつくっていくということを政府レベルにおいて決められてからのことでございまして、その後において地方公共団体等と環境への影響などを十分考えながら決めていくという方針でございますし、これまでもそういう方針でございました。  私は、本省におけるこの関西国際空港問題に対する担当者でございます。私も、先生のおっしゃるようなそういった何か約束めいたことが行われたということは聞いておりませんし、また、私としてはあり得ないことだ、せっかくの御質問でございますけれども、信じがたいことだというふうにすら考えておる次第でございます。
  112. 青山丘

    ○青山委員 運輸省がそういう確信を持っておられること、私は結構だと思うのですが、信じられぬこととこういう動きが現実に行われていることとは分けて考えていただきたい。よろしいですか。  そこで、寄付を目的として分筆登記をすでに五十年の四月にやり、その一年後、五十一年三月二十二日に寄付をして、一週間後には泉南市が売り渡している。それから二カ月後には、観測塔設置の正式な要請が出されている。そういう動きの中で、旧東信達村大字共有地の寄付というのは、運輸省の要請として大阪府と泉南市が合意した後で、一週間さかのぼって登記の手続が行われているとも見受けられるわけです。運輸省と泉南市の間で観測塔設置に関する合意がその後成立して、工事契約が行われているわけです。  こういう一連の動きともう一つは、関西国際空港部会が設置されて、建設工法小委員会で工法選択審議が開始される前に、すでに泉南市は空港建設反対の決議、これが白紙撤回をされているわけです。私、地域の決められることにとやかく言うつもりはありませんし、その問題で云々する、白紙撤回がおかしいと言っているわけじゃないのです。私が言いたいのは、そういう動きがあった、これは事実あったのです。そういう背景の中でこういう土地の地権の移動がなされておる、これは一体何を意味していると思いますか。  大阪府のやることは私は知らない、そんなわけにいかないでしょう。これは完全に府と泉南市と共有地主との間に、あるいは何らかの形で運輸省がかかわり合ってきておる、その形としてここに妙な帯状の土地が大阪府に売りつけられておる。これは重要なことですね。その後、埋め立てにするのか浮体にするのかと工法小委員会でやっさもっさ一生懸命やって、私たちも、国会でもどういう建設工法がいいのかというのを論議してきたのです。これはまさに本末転倒です。どういう理由でこの土地が確保されておるのか、私には理解できない。何らかの裏のやりとりがあったと考えられてもあたりまえじゃないか。運輸省と自治省の御見解を伺いたい。
  113. 土屋佳照

    土屋政府委員 率直に申し上げまして、私どもいろいろな地方団体が関係省庁の万般の仕事に絡んで土地の取得とかをなさることは、これはきわめて数が多いだろうと思います。それについて、自治省地方団体と関係があるからといって、一々そういった契約について承知しておるわけでもございません。きわめて大きなプロジェクトで、地方債の許可等をしたものが違う形でやったとかいうようなことになりますと、そういうものは一応目につきますし、またチェックもできるわけでございますが、関係省庁のいろいろな工事の土地の取得等についてどういう理由でどうかということは、私どもはよくわからないわけでございます。もちろん、その手続その他不当、違法な行為等があれば、それは会計事務上の違法でございますから、あるいは不当な支出でございますから、そういう面でのチェックということは地方団体を指導しながらしてまいるわけでございますが、土地の取得等についてどういう目的でというところまで立ち入ってということは、なかなかわかりません。  ただ、おっしゃいました件について、何らか契約なり手続その他で問題があるのかもわかりませんので、そういった点では関係地方団体の様子を私どもとしても聞いてみたいと思っております。
  114. 山本長

    ○山本説明員 運輸省と府と市の間において、何らかの一つの上に立った行為があったのではないかという御質問については、先ほど私からお答え申し上げましたように、そういうことはないと思いますし、それは信じがたいことだと私は考えます。しかしながら、この国会の場において先生の一つの大きな問題の提起でございます。私どもといたしましても、その事実あるいはどういう意図であったのかということについて、できる限りの調査をしてみたい、かように考える次第でございます。
  115. 青山丘

    ○青山委員 時間が来ましたので、最後に一、二点要望しておきたいと思います。  この地権の移動の意図について、自治省はひとつ調査をしていただきたいと思います。それから取得の経過を教えていただきたい。それから運輸省は、観測塔設置に伴う泉南市との協定書、党書があるはずです。ぜひ提出をしていただきたい。それから最後に一つ、こういう奇妙な土地の地権の移動についての御見解を伺いたい。どうですか。
  116. 山本長

    ○山本説明員 先ほどお見せいただいたわけでございますけれども、具体的なその場所あるいは大きさ等についてつまびらかにいたしません。  さらにまた、私そういった土を取るといいますか、土地の処理に関する土地の所有について、こういう形状ならばどういう意図でどういう目的であったかということを推測するだけの知識がございませんので、明確なお答えは差し控えさせていただきたい、かように考えます。
  117. 青山丘

    ○青山委員 もう時間ですね。はい。やめます。  泉南郡泉南町信達楠畑六百七十一の一番、これが分筆の原因で、これと、六百七十二の一番が分筆されて、片方は二千百九十八平米、片方は九百三十四平米、合わせて三千百三十二平米、この地権の移動があるのです。調査していただきたいと思います。  質問を終わります。
  118. 左藤恵

    左藤委員長 三谷秀治君。
  119. 三谷秀治

    ○三谷委員 小金井市の星野市長が行いました公費空出張事件について、同市長が行いました市議会に対する虚偽の発言がもとになりまして、不信任の決議をされました。これに対して、昨日星野市長は、同市議会を解散するという報復措置をとりました。これは、地方自治法百七十八条で市長に与えられております解散権を行使したものでありますが、しかし、これは解散権の乱用ではないかというふうに思います。  大臣も御承知のとおり、この事件は、星野市長が御婦人を同伴して公費による空出張を行ったのみならず、このことが露見してからの議会側の追及に対して虚偽の発言を続けたものであって、政策問題などで議会側と争うという性質のものではありません。九万市民の信託を受けておる市長としての資質や人格が問題となっておるのでありまして、政策上の対立があるわけではありません。このような状況の中で不信任を受けて、辞任するのではなくて、軽挙盲動に等しい解散権を行使したわけでありますが、これはいかがなものでしょうか、大臣の見解をお聞きしたいと思うのです。
  120. 安孫子藤吉

    安孫子国務大臣 地方自治団体の長と議会との関係は、お互いに抑制する場合もありますし、協力する場合もあるし、両々相まちまして、地方自治体の健全な発展を図っていくというたてまえになっておるわけでございますが、市長なり自治体の長と議会との間に確執がある場合においては、これを調整する手段として、議会には不信任案を提出する権利を持たせる、また市長に対しては解散権を与える、そういう形において両者の調和を図っていこうというのがたてまえになっておることは、私があえて覆うまでもないことでございます。  今回の事案は、結局、方策と申しますかルールに従いまして、市長が自己の責任と判断、そういうものに基づいて解散権を発動したということでございます。したがいまして、たてまえの上においては、いま乱用というお言葉がございましたが、そういうことにはどうもなりにくい。結論は、今回の選挙におきまして市民がどう判断するかという結果にかかっておるものじゃなかろうか、こんなふうに考えるわけでございます。
  121. 三谷秀治

    ○三谷委員 議会の解散権といいますものは、本来的に言うと、議会側と市長側との政策上の対立といいますか、これが本来のものであって、こういう破廉恥な行為といいますか、そういうことが原因になって不信任を受けて、しかもそれを解散によって報復するというようなことは、これは正常な行為としては私どもは考えられません。もちろんこれは自治の問題でありますから、自治に介入することは好ましくないわけでありますけれども、しかし、これに対する正常な見解やあるいは意見を持つことは必要なことであって、いわんや自治体と住民との信頼関係を維持するために、絶えず指導的な職務を果たされております大臣として、当然それがあってしかるべきではないかと私は思うわけでございますが、いかがでございましょう。
  122. 安孫子藤吉

    安孫子国務大臣 今度解散権を執行した市長、これもまた選挙によって選ばれた市長でございます。市民がそれなりの支持をしておった市長だろうと思うのでございますが、この市長がその責任と判断においてこういう措置を講じたということでございますから、私の立場においてこれに対して特別の批判をするということは避けるべきであろうと考えます。
  123. 三谷秀治

    ○三谷委員 あなたのは、法律解釈の機械的な適用といいますかその範囲にとどまっておりますが、これは一般国民が考えまして常軌を逸する行為であるという点からしますと、合法、非合法という問題は別としまして、倫理的、道義的にどうあるべきか、そういう頂門の一針とでも言うべきものを当然大臣としてはお持ちになるべきだと私は思うわけでございますが、その点はどうでしょうか。
  124. 安孫子藤吉

    安孫子国務大臣 この点は、市民が判断する結果になるだろうと思います。
  125. 三谷秀治

    ○三谷委員 最終的には市民が判断しますけれども、その判断に至るまでに、市長の行為についての一定の評価といいますか、あるいは行政を預かる者としての倫理性といいますか、そういうものはおのずから別個にあるわけであって、それに対する意見を大臣が持つということは、私は必要なことだと思います。しかし、いまおっしゃっている範囲のところでそれ以上には進まぬようでありますから、そのことだけ申し上げておきます。  もう一つは、奈良県の香芝町におきまして、町長の急死をめぐって、後どうするかというので非常に混乱をしております。これなども、五十数日たつわけでありますが、自治省の指導はどうなっているのでしょうか。ここでも非常に問題が複雑になってきておる。明確な指導に欠けておるように思いますけれども、どうでございましょうか。
  126. 安孫子藤吉

    安孫子国務大臣 奈良県の問題は、どういうふうに指導するかという問題じゃございませんので、選挙法の規定に従ってそれぞれの措置を講じていくということで進めるのが至当であろう、かように考えておるわけでございます。もちろん地域の問題でございますから、あるいは県等において若干いろいろな相談にあずかっている点はあろうと思いますけれども、これは選挙法の関係から来ている問題でございますので、その正しい解釈に基づいて措置されるということに相なるのではなかろうかと考えております。
  127. 三谷秀治

    ○三谷委員 もちろん、選挙法上から申しますと問題は非常に明確なわけです。ところが、それが依然として現地においては明確になっていない。そこに指導上の弱さとかあいまいさがあるのではないかということをお尋ねしているわけです。
  128. 安孫子藤吉

    安孫子国務大臣 これは、奈良県当局に対しまして、選挙法上の解釈については明瞭にいたしておると私は考えております。
  129. 三谷秀治

    ○三谷委員 解釈を明白にされまして、その線に沿って収束をしなければいかぬわけですけれども、そうなっていないのはどこに原因があるのでしょうか。
  130. 安孫子藤吉

    安孫子国務大臣 現地のことでありますから、私、必ずしも明瞭なお答えはできませんけれども、地域社会におきましてその辺すっかり割り切った形においてまとまっていないという点に問題があるのではなかろうかと思います。これは地域の問題でございますので、その間に立って県当局等もいろいろ相談にはあずかっているだろうと思いますが、県にいたしましても、それを調整するとかなんとかという問題ではあり得ないだろうと私は思っております。
  131. 三谷秀治

    ○三谷委員 おっしゃるとおりに、法律上の解釈が明確でありますから、調整の余地はないものであります。ですから、こういう問題はもっと迅速に解決されるべきものでありますのにされていない。そこに、問題はどこにあるのかという疑問が起きてくるわけです。法律に従った処置がなぜとれないのか、とるような適正な指導がなされておるのかどうか、その点に疑問を持つわけでありますが、どうでしょうか。
  132. 安孫子藤吉

    安孫子国務大臣 地方の問題でございますから、いろいろなものが絡んでおることは御承知のとおりでございます。しかし、法律の趣旨というものははっきりさせておりますので、現地におきましてはその線に沿うて解決されるものだろうと私どもは見ております。
  133. 三谷秀治

    ○三谷委員 法律の趣旨というのは、繰り上げ当選をやるべきだという趣旨でございますか。
  134. 安孫子藤吉

    安孫子国務大臣 いまの選挙法のたてまえから申しますと、そういうことに相なるだろうと思います。
  135. 三谷秀治

    ○三谷委員 五十四年九月十日に第十七次地方制度調査会が「新しい社会経済情勢に即応した今後の地方財政制度のあり方についての答申」を行いました。これに基づいて自治省が行政指導を強めておりますが、いわゆる地方自治体における行政の減量経営が激しく進行しております。このため、地域住民の暮らしと福祉が大きく揺すぶられまして、少なくない地方自治体においては実際に行政が後退をしておるという状況が見受けられております。  大臣所信表明で、この答申の早期実現と地方自治体における事務事業の見直し等について、強力かつ計画的に推進するよう指導に努めるということを言われております。政府にしろ自治体にしろ、行政というものは国民全体に奉仕すべきものであって、そのためにより少ない経費でより効率的な行政に努めることは行政関係者の当然の責務であります。  この立場から自治省が行政指導を行うことはとやかく言うつもりはありませんが、しかし現実に行政改革、いわゆる減量経営というものが、その名で進行しております事態の特徴というものは、住民サービスの切り捨てであり福祉削減であり住民負担の強化といった、本来住民奉仕の原則に基づいて自治体が行う分野からの後退であり、行政改革の名によりまして実は自治体の破壊が進んでいるのではないか、こういうふうに考えておりますが、自治省は行政改革についてどのような指導を行って、自治体に何を期待していらっしゃるのか、この点をお聞きしたいと思うのです。
  136. 安孫子藤吉

    安孫子国務大臣 御意見の内容でございますが、行政も能率化を図り、最小の経費をもって最大の効果を上げるという基本的な方針もとにこれを執行するというのがたてまえであることはもちろんのことでございます。そこで、行政改革というものは、そういうものをひとつ見直して実行しようではないかという観点に立って考えておるわけでございます。そうした線に沿うて、地方団体に対しましても私どもは助言をしたいと考えております。
  137. 三谷秀治

    ○三谷委員 現在行政が文書等で行われております。その内容等についてどのようにやろうとしているか、もう少し具体的に御説明願いたいと思います。
  138. 砂子田隆

    ○砂子田政府委員 ただいまお話がございましたように、第十七次の地方制度調査会答申がございました。これはすでに御案内のとおり内容に二つございまして、一つは行政の簡素効率化でございます。もう一つは、地方分権の推進というのが大きな柱になっているわけでございます。もともと行政の役割りから申し上げますと、社会経済の変化に即応するように行政が運営されるべきでございますし、国民の価値観に従って行政運営がなされ、行政がその役割りを担っていくというのが行政に対する私たちの考えでもございます。そういう意味から、国が昨年の暮れに、行政改革本部による行政改革の推進に関する閣議決定を行いました。それに従いまして、公共団体についても同様の要請をいたしておるわけであります。  その中を申し上げますと、一つは国と地方との間における機能分担の明確化。どちらかと申しますと、国と地方とが責任を明確にして仕事をし運営するという基本に立ちまして、一つは公共団体における事務事業の見直し、あるいは国と同様の補助金の整理合理化、あるいは許認可事務に対しての見直し、そういうことを推進するように要請をいたしているところでございます。
  139. 三谷秀治

    ○三谷委員 行政の趨勢としましては、行政の領域が非常に拡大してきておるというのがこの十数年来の特徴でございます。新しい行政課題が次々生まれております。たとえば消費者行政だとか交通安全行政、公害行政、休日夜間医療行政、文化・スポーツ行政などという新しい領域が非常にふえてまいりました。それからいま一つは、既存の行政の内容におきまして大きく拡大し、あるいは分化しております。ですから、たとえば低所得者対策、児童、母子、障害者、老人、同和などの行政の内容と量は、一昔前の民生行政全般のそれに匹敵するほどになっております。これは行政が好きこのんで増量したものではありません。いまの政策の帰結でありまして、これは一つの法則的なものになっておるわけであります。  そこで、いま減量だとか軽量化だとか言う状況ではない。地域社会の共同業務がいよいよ拡大拡充されておるわけでありますから、縮小や減量であってはならぬと思うのです。これはますます拡大をし、充実をするという性質のものでありますから、減量という考え方では社会の客観的法則に反するではないかと思うわけでございますが、その点はどうでしょうか。
  140. 砂子田隆

    ○砂子田政府委員 お話がございましたように、福祉行政の推進というのは地方公共団体にとりまして大変大事なことでございます。他面、いままでの高度経済成長から安定成長への移行ということがございます。そういう中におきまして、従前やっておりましたいろいろな地域開発に対する見直しというのは当然あるわけでして、そういう部分の減量化ということは一般的にうなずけることではなかろうか。しかし、片方を見ましても、お話がございましたように住民のサービスを維持する、行政がやり得る限界においてそういうことをやるのは当然でございますから、そういう意味の後退を意味するものではないというふうに理解をいたしております。
  141. 三谷秀治

    ○三谷委員 いまおっしゃるとおりですと、まことに結構でございます。要するに、産業基盤整備的な地域開発のシェアというものが減らされて、住民福祉にその重点が転移をするという状態でありますならまことに結構でございますが、そうではないのでしょう。自治省の指導的な書簡等を見ましても、むしろ住民福祉の方の切り捨てが積極的に進められてきておるのではないかと私は思うわけであります。それがいわゆる都市経営論に基づく民間委託論、あるいは守備範囲論だとかいろいろな理論化されたものとして主張されておるわけでありますが、どういうものを民間委託にすればいいとお考えになっておって、そして自治体の首長に意見の照会などされましたか、お聞きしたいのです。
  142. 砂子田隆

    ○砂子田政府委員 公共団体におきます民間委託というのは何が望ましいかということにつきましては、公共団体それぞれがやはり自主的な判断を下すべきものであろうと私は思っております。ただ、最近の一つの傾向といたしまして、民間に委託しておるものを五十三年ころ調査いたした結果によりますと、庁舎の清掃でありますとか警備でありますとか、あるいは屎尿の収集でありますとかごみの収集、あるいは集会施設等の管理、そういうものを委託の範囲として公共団体が自主的に行っているのがわりあいに多いという調査は出ております。
  143. 三谷秀治

    ○三谷委員 民間委託を非常に奨励されておることは間違いがありません。  そこで、民間委託といいますのは公共サービスを民間サービスに移すことでありますが、公共サービスと民間サービスには本質的な原理的な違いがあると思いますけれども、その点はどうお考えでしょうか。
  144. 砂子田隆

    ○砂子田政府委員 先ほど申し上げましたように、公共の立場から見て何が委託されるべきかというのは、公共団体が自分たちの公共の使命というものをそれぞれ持っておるわけでありますから、公共がサービスを行うべきものはやはり公共がやるし、あるいは公共団体がみずからやらなくても住民のサービスにそれほど関係はないのだということにつきましては、公共団体がそれぞれ自主的に判断をしてやっているものだと思っております。  ただ、委託の議論というのは、実は自治省自身が考えておるということよりも、御案内のとおり地方制度調査会の中でも多分にそういう論議が出ておりまして、地方制度調査会の中の一つの考え方といたしましては、施設の運営でありますとか屎尿でありますとか、先ほども申し上げましたじんかいの収集処理でありますとか、そういうものは住民のサービスそれ自体にそれほど大きい影響がないのではないか。そういう点からの委託というものを進めても、住民自身にとって問題が起こるということは余りないという前提に立ちながら、委託の方法を進めているというふうに理解をいたしております。
  145. 三谷秀治

    ○三谷委員 民間の企業的サービスの動機と目的というのは利潤獲得の可能性にある、これは原理的なものだと私は思っております。ですから、必ずしも蓄積を求めない場合、つまり非営利法人によるサービスの場合でも、経理的な経営的な採算が成立することがサービスの開始ないし継続の絶対的な条件である。要するに、経営採算の論理によりましてサービスの内容程度が規定されております。これに対して行政によります公共サービスは、利潤の採算とは無関係に社会的必要を充足するために開始されるものである、そういうふうに思うわけでございます。ですから、公共サービスの本質といいますのは社会的必要性の論理でありますし、民間委託というやり方、この政策は、経営採算の論理によって社会的必要の論理を阻害することになるのではないか、そう考えるわけでございます。ですから、そういう方向に行政がどんどん進んでしまいますと行政の空洞化を招きますし、同時に行政の公共性の否定につながるものだというふうに思うのでございます。  いま減量経営ということを盛んに自治省が強調されておりますが、自治省計画では一体どれだけの減量が可能なのか、どれだけの部門においてどれだけの減量をやるべきなのか、そういう目標をお持ちでございましょうか。  昨年一月の行政監理委員会の民間への提言としましては、地方公務員の定員の上限基準を設定する、こういうことも言っております。これが地方版の総定員制になるわけでありますが、これを掲げております。今後五年間に一〇%程度地方公務員のカットを主張しておりますが、この具体化が自治省がおっしゃる減量経営の内容であり目標なんでしょうか、その点をお尋ねしたいと思います。
  146. 砂子田隆

    ○砂子田政府委員 ただいまお話がございました地方公務員の上限の決定のやり方、これは実は私たちがいまの地方自治を考えます場合に、関係省庁との間で大変問題になっている点であることはすでにおわかりいただいていることと存じます。公務員自身の数をどうするかというのはきわめて地方自治それ自体の問題でございまして、国がとやかく関与すべき筋合いのことではなかろうと私たちは思っております。そういう意味で、一%削除をしろという議論をわれわれは申し上げるつもりはありません。  ただ、こういういろいろな社会の変動を見てまいりますと、少なくとも一般の国民の中には、公務員というものの数が多いのではないかという批判があることもこれまた事実でございます。そういう点を顧みて、各公共団体みずから削減できるものは削減をしていく、そういうような自主的な判断に基づいた削減計画をおつくりいただくことは、それは一つの方法として、住民との間であるいは議会の中で議論していただいて結構なことだと思いますが、私たちが頭越しにどのくらい減らすのが妥当だとかいうような話を申し上げるつもりはございません。
  147. 三谷秀治

    ○三谷委員 そうしますと、定員の上限基準などについては自治省は考えていないということだと思います。  もう一つお尋ねしますが、軽量化と関連をしまして、いわゆる広域行政化が徐々に進められております。その一つの結節点として、県を廃止して道州にするという考え方、地方庁という呼び方をしている人もおりますが、そういう主張が財界を中心にしてかなり強まってきております。今日自治省が誘導しております新広域市町村圏、つまり町や村を大きな市にまとめる、その上に道州を置くという考え方でありますが、こういう展望自治省はお持ちになっておりますでしょうか。最近の報道を見ますと、中曽根行管長官と大臣との話し合いの中で、府県制度の廃止の問題については第二次臨調で結論を出すかのようなニュースを見ましたが、これについて自治省はどう考えているか。
  148. 砂子田隆

    ○砂子田政府委員 広域市町村圏に基づく広域行政の推進というのは、幾度となく申し上げましたから御案内だと思いますが、そもそも昭和四十四年ごろの都市と農村というものを考えまして、都市に住む人も農村に住む人もともに行政というものから受ける利益は同じにすべきだという観点に立ちまして、都市と農村の一体的な行政を運用することが住民のニーズにこたえる方法ではなかろうかということで、実は広域市町村圏というのを推進してまいったことは御案内のとおりだと存じます。  そこで、この広域市町村圏の推進の過程におきまして、全国で第三次総合計画というのがございまして、その中で故大平総理が提唱いたしておりました田園都市国家構想というのが出てまいりました。一般的には定住圏構想と言われたりいろいろしておりますけれども、それに従いまして全体的に住みよい社会をつくっていく、あるいは人間の居住環境をよりよくするという観点から、しかも住民の活力をさらに培養しながら豊かな生活をするという観点に立っての新しい行き方をするということで、この広域市町村圏というのを新広域市町村計画ということに改めてまいったわけでございます。その中では、むしろこれからの地域における住民の雇用の問題でありますとか性別、職業あるいは世代というものを超えた一つの集まり、連帯感を深めていくということにつきまして、この広域市町村圏を進めてまいっているところでもございます。そういう意味の広域行政の推進というのは、行政の上ではぜひ必要であろうと私は思っております。  さらにお尋ねの道州制の件でございますが、実は前にもこれは地方制度調査議論されたことがございまして、一時、地方制ということで答申をいただいたことがございます。実は私たちも、よく財界が道州制ということを言っている内容を完全に把握しているわけではありませんが、当時の地方制の話というのは、公共団体というものを拡大していこう、言うならば、自治体としての地方制をどういうふうにするかという議論からの地方制度調査会答申であったように思います。  しかし、いま財界で提唱されておりますのは、誤りであれば申しわけないのですが、要するに、国側から見た一つの組織体の集まりというふうに見たブロック的な集まりを少し考え直そうじゃないかということを見ているという点であろうと思いますが、どちらにするかということによって、おのずから内容的に大変違ったものになるだろうと思っております。ですから、必ずしも道州制というものが、どういう機会にどういう形で出てくるかということはつまびらかでありませんが、いまのところ、自治省が道州制を推進していくという考え方は持っておりません。
  149. 三谷秀治

    ○三谷委員 第二次臨調で道州制問題を議論するかのような口吻を中曽根長官が述べられておるようでありますが、大臣はその事実について御承知になっておりますか。何か大臣との話の中でそういうことを述べられておるようでございますが、いかがでございましょう。
  150. 安孫子藤吉

    安孫子国務大臣 それは誤伝でございまして、道州制等の問題について中曽根長官と私が話をしたことは全然ございません。これだけはひとつ御了承願いたいと思います。
  151. 三谷秀治

    ○三谷委員 そうしますと、この道州制問題については、いま行政局長がおっしゃいましたのと同じように、自治省としては、府県を合併して道州にするという考え方、あるいはその道州は自治体ではなしに地方庁にするという考え方についての展望は、いま全くお持ちになっていないということなのでしょうか。
  152. 砂子田隆

    ○砂子田政府委員 いずれそういうことが議題になります場合には、御案内のとおり地方制度調査会の議を経なければ、地方制度自身の問題でございますからできないと思っておりますが、いまのところ、そういうことが地方制度調査会の議題になるとは聞いておりません。
  153. 三谷秀治

    ○三谷委員 客観的に物をおっしゃっていますが、地方制度調査会には私もずいぶん長い間御厄介になりましたが、あれは自治省のイチジクの葉であって、要するに身内委員会といいますか、そういうセンスのものでありますから、あそこから新規に客観的な発想が生まれるとは私どもは考えておりません。だから、自治省がそういう考えであれば、そこでも問題になる点はきわめて弱かろうと思うのでございます。  そこで、軽量化と称する民間委託でございますが、これは自治体の労働者から仕事と職場を奪うだけでなく、住民サービスの低下をもたらす非常に危険なものだと思っておるわけでございます。何といいましても、経営的あるいは商業的な感覚で地方公共団体の事務や事業を実施したのでは、これは事務事業の公共的性格が失われるのは当然であります。たとえば学校給食などの例でも明白であります。公共的見地あるいは教育的見地と経営的見地、商業的見地とはしばしば矛盾するわけでありますから、その矛盾する方向に行政を志向しようという最近の自治省の指導というものは、私どももきわめて心外に思うのでございます。  ですから、たとえば民間委託といいますけれども、私立大学の問題を考えてみたらすぐわかるわけだ。きょうも北陸大学ですか、二十七億の不正と申しますか、適当でない経理の処理があったように新聞で拝見しました。医科系の大学、歯科系の大学に対する監査の問題などが出ております。つまりこれが教育の民間委託なんだ。教育の民間委託というものが、結局は大学の腐敗、運営の不正常といったことをもたらしておるわけでありますから、それをいま各方面にわたって全般的にやっていこうというお考えのようでありますが、これは大変いただけない考え方だと私は思うのでございます。  そこで、たとえば学校給食の点でお尋ねしますが、観念的な議論をしても仕方がありませんから、具体的な事例で少しお尋ねしたいと思います。  昭和五十一年に宝塚市が、市内の六つの中学校の合計六千七百食の給食を、PTAなどの反対を押し切りまして民間業者に委託しました。この委託によってどのような問題が発生しましたか、自治省は御承知でございましょうか。文部省もお越しになっておりましたら、お知らせをいただきたいと思います。
  154. 奥田與志清

    ○奥田説明員 先生お尋ねの宝塚市の件でございますけれども、お話のように、市内の中学校六校の学校給食を民間業者に委託したいという計画を持ちまして五十二年度に実施したわけでございますけれども、その実施に当たりまして、契約の内容で、調理師の免許状を持っている人による調理をお願いしたいということでございましたけれども、その契約内容が履行されないというふうなことが判明いたしまして、そういうことが中心になり関係者からこのやり方について批判が出、そして宝塚市自身が設置いたしますところの調理場で宝塚市の責任で調理がなされるというようなことになったと私どもは承知いたしております。
  155. 砂子田隆

    ○砂子田政府委員 ただいま文部省の方からお話がございましたが、文部省を通じて存じております。
  156. 三谷秀治

    ○三谷委員 文部省の民間委託についての基本的な見解はどうなっているのでしょうか。
  157. 奥田與志清

    ○奥田説明員 先生御存じかと思うのですが、学校給食は、学校教育法等の法令によりまして設置者の責任において実施するというふうになっております。そこで学校給食業務の具体的な実施に当たりましては、学校給食が学校教育上教育活動の重要な一環だというふうなことから、他の教育活動との関連に留意しながら運営するということが重要でございますし、それから成長期の児童生徒に、地域の実情に応じた栄養豊かな魅力のある、しかも多様な食事を提供するというふうなこともございます。  さらにまた、衛生管理体制というものを十分徹底してやっていくというふうな要請もございますして、他のいわゆる一般の集団給食とは違った性格を持っているという点がございますので、私どもとしましては、従来から原則として直営方式が望ましいという考え方のもとに、これまでも必要な助成措置等々を講じてまいっておりますし、また、私どもと同じような考え方が関係者の間に定着をしているというふうな状況でございます。  お尋ねにない点かもしれませんが、こういうことを通じまして、今日は特に行政の簡素化ということが要請されているわけでございますけれども、民間に委託をしてはどうかという意見が確かにございます。私どもはその要請には、学校給食調理場の効率的な運営というものにもっと真剣に取り組んで、この要請にこたえてほしいということを指導しているところでございます。
  158. 三谷秀治

    ○三谷委員 つまり学校給食については、文部省としては、教育的な見地から直営でやるべきだという考え方、自治省の方は、採算が安くつけば民間委託をする方がいいという考え方でありますが、その一つの矛盾といいますか、宝塚市が方針を変更しまして直営に戻った。当時委託をやめさせるために県の教育委員会は、宝塚市の新設中学校給食調理場補助二校のうち一校は補助金をつけないという態度に出た。これは文部省の態度であります。これに対して自治省は、それならその分は特交で見ようというので、特別交付税を配って片をつけてやるというふうな態度をとって委託の推進を図ったという事実があるわけです。これは最終的には市が委託を取りやめましたから、文部省の補助金はもちろん出ました。しかし、自治省がそのような姿勢を持って委託を強行しようとする態度というものは全く首肯できないものでありますが、これはどのような理念でおやりになっておるんでしょうか。
  159. 砂子田隆

    ○砂子田政府委員 先ほどお答え申し上げましたとおり、事務事業の民間委託ということにつきましては、一般的に公共団体が必ずしも実施する必要がないというものにつきましては公共団体の自主的な判断で民間委託を行うこと、これは私たちはむしろそういうやり方というのがあるだろうと思っております。ただ、その場合に先ほど先生おっしゃいましたが、採算さえ合えばいいんだという形でわれわれが委託の話を申し上げているわけではございませんで、やはりその中にあります住民サービスの問題でありますとかあるいは確保の問題でありますとか、そういうことは当然に公共団体自身も考えなければいかぬことでありますから、そういうことを勘案しながら民間委託ということを進めなさいという指導をいたしておるわけでございますし、今後ともそういう観点に立って民間委託ということをやるならやりなさいと言っているし、これからもそうしたいと思っております。
  160. 三谷秀治

    ○三谷委員 やるならやりなさいという指導ですと、それほど強行的なものじゃありませんが、民間委託は好ましい、そしてどんどん軽量化を図りなさい、これが要するに都市経営論の基本の理念になっているようでありますが、それをそのまま地方自治体に押しつけてもらいますと、何でもかんでも委託だ、結局地方公共団体の存在がなくなってしまう、内容がなくなってしまう、そういう自己否定にもつながってくるものでありますから、これについてはそれほど強制的なといいますか強い指導はしていないといまおっしゃっているようでありますが、私は特にそういうことについては留意してほしいと思うのです。
  161. 砂子田隆

    ○砂子田政府委員 ただいま申し上げましたようにいろんなやり方、公共団体が民間に任せてもいいという仕事は私はやはりあるだろうと思います。その場合には、先ほど申し上げましたように公共団体の役目がそれで完全に終わってしまうわけではありませんで、そこから派生するいろいろな住民のサービスの問題なりそういうものは当然考えるべきものであるし、採算がとれるからそれは大いにやりなさいということで推奨するつもりはこれもまたございません。そういう観点に立ちまして、委託というのを公共団体が自主的に判断をして進めるならば、それはそれなりの意味合いがあるだろうというふうに理解をいたしているところであります。
  162. 三谷秀治

    ○三谷委員 新しい行政需要の一つとして、空きかん公害の問題が一つの社会的な問題になっております。非回収飲料容器の散乱が年間数十億本と言われておりまして、地域環境を著しく破壊しておる、このまま放置できない状況に立ち至っております。また散乱しないまでも、一般ごみとして収集処理する場合でも別の膨大な負担を必要としております。京都あたりで条例をつくるという問題などがありまして、いろいろ注目を集めておりますが、これは一自治体の力で片がつく問題ではないことはだれが考えてもわかることでございます。これに対して一体政府は、全く黙視してわれ関せずという態度なのか、あるいは何らかの具体的な対応策をお持ちになっておるのか、お聞きしたい。まず環境庁にお尋ねしたいと思う。
  163. 浅野楢悦

    ○浅野説明員 先生御指摘のように空きかんの散乱につきましては、京都市でももちろんございますけれども、全国各地でその処理等について多々問題が提起されておるところでございます。  空きかんを含めまして地域の美化清掃と申しますか廃棄物の処理につきましては、従来から地方公共団体がそれぞれ地域の実情に応じまして対策を講じられてまいっておるところでございまして、これはこれといたしまして大変結構なことだと思いますが、一面これだけ全国的な問題になってまいりますと、国といたしましても地方公共団体施策を補完すると申しますか、国が全国共通的な側面において対応すべき課題はあろうかと存じます。  その意味におきまして先般、私ども環境庁が呼びかけたということでございますが、関係十一省庁にお集まりを願いまして空カン問題連絡協議会を発足させたところでございます。今後この連絡協議会の場を通じまして、国としてどういうような対策が講じ得るか、また関係各省が具体的にどのような課題について取り組めるかというようなことを鋭意検討し、実行に移せるものはできるだけ早く実行に移すという姿勢で検討してまいりたいと考えておるところでございます。
  164. 三谷秀治

    ○三谷委員 検討に入った段階で、まだ具体には何のお見通しもついてはいないということなんでしょうか。
  165. 浅野楢悦

    ○浅野説明員 実はいま申し上げました空カン問題連絡協議会は、過去二度会合を持っておるところでございます。具体的な対応策につきましては、私どもの連絡協議会は毎月一遍程度の頻度で開催していくことを予定しておりますけれども、次回以降具体的な検討に入ってまいりたいということでございます。  なお、国におきましては、従来から関係各省がみずから実施する、あるいは業界等を指導いたしまして空きかん問題を含めました散乱ごみ対策を一部実施しておりますけれども、それを今後引き続き実施していくことは当然でございますけれども、従来以上の施策が何かとれないか、その辺に重点を置いて今後検討をさせていただきたいというふうに考えておるところでございます。
  166. 三谷秀治

    ○三谷委員 対応が非常に鈍いといいますか、立ちおくれております。これほど社会問題化するまでにいろいろな現状が認識されるわけですから、もう少しそれに基づいて方針を打ち出すということをやらなければ、自治体がしんぼうし切れなくなって条例をつくる。しかし、生産者などは他の自治体に住んでいるわけでありますし、なかなか一自治体で効果的な手段が出てこないのは当然なんです。大阪府の市長会、東京都の市長会、要するに大都市の空きかん公害の最も多い地域でありますが、連名の要望書が昨年の五月に政府に出ておりますが、これについて自治省は御承知でしょうか。
  167. 大嶋孝

    ○大嶋政府委員 ちょっと寡聞にして私存じ上げておりません。
  168. 三谷秀治

    ○三谷委員 これは、環境保全のため、また都市清掃行政が円滑に行われるために、廃棄物処理法第三条に定められております「事業者の責務」の適正な運用が図られるようにしてもらいたい。つまり、空かんにつきましても事業者責任を明確にさせるべきである、そういうことを一つ述べております。それから、処理不適正困難物については、認定基準、事業者の回収体制の整備、回収を怠った者に対する措置等、その対策について制度的な見直しを検討してもらいたい。この内容については後で自治省にお尋ねします。空かん、空びん、廃プラスチック等の容器等いわゆる処理不適正困難物にあっては、紙製品等処理の容易なものに切りかえるなど事業者に対する指導をしてもらいたい。こういう内容になっておるわけでございます。この要望についてどのようにお考えでしょうか、お尋ねしたいと思います。
  169. 浅野楢悦

    ○浅野説明員 先生の御質問は、容器をかんから紙その他の容器に転換してはどうかという点についての御質問と承ってお答えさせていただきますが、容器問題につきましても、確かにいろいろ検討すべき課題はあろうかと思います。ただ、容器問題につきましては、食品衛生上の問題あるいは運送等のコストの問題、さらには製造過程におけるエネルギー消費量の問題等、多角的な観点からの検討が必要かと思います。したがいまして、なかなかにわかには結論を得ることがむずかしかろうと思っておりますけれども、やはり容器のあり方等につきましても、私ども連絡協議会等の場で今後検討すべき課題であろうかと存じております。
  170. 三谷秀治

    ○三谷委員 現行法では、汚泥、廃油、廃プラスチックなど十九種類を事業活動に伴って発生したごみとして産業廃棄物に指定しておりますが、空かんなどではそのような指定項目に入れることはできないのでしょうか。それも検討の対象になるわけでしょうか。
  171. 浅野楢悦

    ○浅野説明員 実は、いま先生御指摘の問題は、廃処法三条一項ないしは二項の関係の御質問でございますが、御承知のように廃処法の一般的な所管は厚生省でございまして、私ども環境庁の方からお答え申し上げるのは僣越でございますが、従来厚生省から承っております話によりますと、いわゆる散乱しております空きかんにつきましては、三条二項に、廃棄物の適正な処理が困難にならないように事業者はしなければならないという条項がございますけれども、この対象には空きかんは当たらないのだということを承っておるところでございます。
  172. 三谷秀治

    ○三谷委員 厚生省はお見えでありませんから、そこの理論的な解釈というのはよくわかりませんが、私どもは、これも当然事業者責任を明らかにさせることが必要だろうと思います。しかし、きょうは所管の担当の方がいらっしゃいませんから、この問題はここまでにしておきます。  もう一つの問題は制度上の問題であります。自治体がこの種のごみに対応できる制度上の措置というものが必要なわけであって、その点がどうなっておるか。空かん対策は非常に金がかかります。厚生省に言わせますと、たとえば国道にかんがほうってあったら、それは国の責任であって、建設省の管轄である、府県道や府県の施設に投棄されたものは府県の責任で処理すべきである、市町村道や市町村の施設に投棄されたものは市町村が処理すべきであるということです。きょう出てこいと言ったら、出てこれないという説明を聞きましたから了解はしましたが、そういう話脅しておりました。  しかし、一体建設省がかんの始末をどうしてするのか、あるいは府県がどうしてかんの始末をやるのか。これは当然市町村がやっていかなければ仕方がない。事業者責任を明確にして処理を事業者にさせるという第一義の問題がありますが、それでも完全にきれいになり切るものじゃありませんから、二次的には市町村がこの空かんの散乱などについて対応策をとっていかなければならない。ところが、これは経費がかかり過ぎて、とてもじゃありませんが手が出せないと言っている。これについて自治省は一体どう考えていくのか。これは一つの問題だと思います。  藤井寺市といいまして、私の住んでおります近くに人口六万三千の市がありますが、週一回不法投棄監視車というのを出しております。パトロール車でありますが、それは一つ一つ拾って集めるわけじゃありません。パトロール車を出して、比較的まとまってかんが散乱しているところをマークしておいて、月二回の公共施設の廃棄物回収日にそれを回収してくる、こういう措置をとっております。週一回不燃物の回収の口をつくりまして、廃テレビや廃冷蔵庫などと一緒に回収をしておるわけでございますが、そういう措置もとっております。しかし、ごみで集めましたものは前処理が必要になってくる。生ごみ、不燃物と一緒に集めてくるわけでありますが、磁石を使って金属その他を分類しますが、この機械設備が一億円と言っております。こういうのは行政需要として自治省は一体どのように計算をされておるのか、お尋ねしたいと思います。
  173. 土屋佳照

    土屋政府委員 ただいまの空きかんの問題は、通常のごみという形で清掃費で見るわけにもまいらない、なかなかむずかしい問題でございます。その財政措置をどうするかということは、確かに、おっしゃるように地方団体のかなりな負担になりつつございますので、大きな問題でございますが、事業者の責務ないし負担という問題もございますし、また資源再利用の問題等もいろいろ関連してまいるわけでございまして、私どもただいま、すぐどういうふうに措置をするという適切な策を持っておりませんが、環境庁を中心に空カン問題連絡協議会等もございます。そういったところで検討される中で、私どもも、国における財政措置等が一体どうなるかということも含めまして、地方団体に対する財政措置の要否、あるいはまた必要であるならどういうやり方をするかということも検討してまいりたいと思っております。
  174. 三谷秀治

    ○三谷委員 いまの局長の答弁では私は納得がいきません。この空かんの処理というものは実際にたくさんの経費を必要としている。要するに地方財政需要としては避けがたいものである。それでありますならば、自治省としましてもそれに対応する措置をとるということにしてもらわなければ、事業者責任の問題だとか、あるいはその他もろもろの対応策と同列のものではないのであって、現実にいま地方自治体が負担している行政、財政上の需要に対してこたえる性質のものでありますから、もう少し積極的な姿勢をとってもらいませんといかぬだろうと思います。
  175. 土屋佳照

    土屋政府委員 地方団体のいろいろな需要に対しては、財政運営が円滑にできますように私どもとしては対応する責務を感じておるわけでございます。現実にいまある問題についてはいろいろ聞いておりますが、そのために財政運営上特に困ったということは聞いておりませんけれども、非常に問題があることは事実でございます。かといって、そういったものの処理に要する費用は全部地方団体が持つべきかどうか、そこらにはなお疑問がございますので、そういった点について検討を要するという意味で先ほど申し上げたわけでございます。  実際上の財政需要を現実問題としてどう処理をするかということにつきましては、具体的な問題として特に必要がある点については、それぞれの大きな問題を抱えたところと相談はしてまいりたいと思っております。ただ、いまのところで、たとえば普通交付税の算定項目で見るとかどうとかいうところまで至っていないということでございまして、それが財政上大きな影響があるということになれば、私どもとしては当然対応していかなければならないと思っております。
  176. 三谷秀治

    ○三谷委員 この空かんの処理でどれほどの負担が出るかということは、幾つかの事例を持っておりますが、もう時間が来ておりますから、それを反復して羅列をして私の主張を実証するという手続は省略させてもらいます。しかし、こういう財政需要が現実にあるということはお認めになると思うのです。  そこで、それは果たして地方自治体が負担すべきものかどうかということをおっしゃっていますけれども、市町村が処理しなければどうするわけですか。もう日本はかんの谷底に埋まってしまうわけだ。だから、当然これは市町村が処理しなくちゃいかぬ。事業者責任を明確にして事業者に責任を持たせるとおっしゃるのであれば、それはそれで結構であります。  しかし、地方自治体がそういう財政上の需要に迫られておって、現実にそういう処理をしております限りは、自治省がほおかぶりをして後で先でということではいかぬのであって、実態を調べて適正な処置をとっていただきたい、そのことを要望しますが、どうでしょう。
  177. 土屋佳照

    土屋政府委員 基本的ないろいろな問題はあろうかと思います。その解決は漸次進めていきたいと思っておりますが、当面の問題として必要なことに対しては、私どもも適切な対応を考えます。
  178. 三谷秀治

    ○三谷委員 時間でございますので、終わります。
  179. 左藤恵

    左藤委員長 田島衞君。
  180. 田島衞

    田島委員 私は、新自由クラブを代表して、当委員会における大臣所信を中心に数項目、それぞれ数点にわたって御質問を申し上げたいと思います。  まず最初は、地方財政に関連してでありますけれども、聞く方も少し耳にたこができただろうと思うのですが、言う方も少し飽きてきたのですけれども、現在の地方交付税法というのは、まさにその実態がこの数年間存在の意義を失っていると言ってもいいと思うのです。しかし、何とかこれを守っていかなければいけない、そのための改善努力としてどのようなことをされているか、できればまずその辺からお答えをいただきたいと思います。
  181. 土屋佳照

    土屋政府委員 交付税の性格は、それぞれの地方団体に標準的な必要な行政水準を維持させるということと、そのための必要財源の保障をするということ、もう一つは御承知のように財源偏在の状況を調整をする、そういった機能を持っておるわけでございます。そういった意味から私どもとしては、地方交付税についてはあくまでもその内容が適切なものでなければなりませんので、特に基準財政需要の算定において現実にマッチしたような形で毎年見直しを行い、実態に即した新しい費目をつくったりして対応できるような形にしてきておるわけでございます。  ただ、最初におっしゃいましたように、そういったいろいろな努力はしてまいっておりますけれども、結果として最近非常に財政状況が悪化してきた、特に税収の比重が落ちてきたといったようなことから、不交付団体がだんだん少なくなってきておる。そういった意味で、全般として見れば不交付団体というのは、たとえば都道府県の中では東京都だけではないかといった意味では、一体そこの需要が適切に見られておるのかどうか、あるいはまたそういった状態に至ったのは、やはり基本的に地方税収というものについて配慮が足りない、そういった税が出てこないために大抵の団体が交付団体になってしまっておるという御指摘にもつながるのではないかと思っております。  まさに交付税制度のあり方については、最初に申し上げました機能が果たせるような形で内容について改善を図るとともに、一方ではやはり地方税という形での自主財源の強化ということをあわせて考えていかなければならないだろうと考えておるわけでございます。
  182. 田島衞

    田島委員 もちろん地方税財源の充実ということも考えなければいけないことですが、何かというと一般住民の税負担にばかり頼りがちな考え方というのは一考を要することで、いまもお答えのとおり、もう数年間にわたって、たとえば都道府県団体で東京都だけが唯一の不交付団体、あとは全部交付団体。では、その東京都がそんなに悠々たる財政内容でいるかというと、まことに厳しい実質赤字財政の中で苦しんでいる。この東京都が赤字財政であることの主張をどんどん強めていって、東京都にもちゃんと交付をしてくれということになったら、まさに不交付団体というのはなくなってしまう。そうしたら、もう地方交付税法なんというのはあってなきに等しいというか、もうその法律はやめなければならぬ。  そういう中で毎年少しでもいい方に向かっているならともかく、そうでないとすれば、もう抜本的に地方交付税法そのものの存廃を考えるか、しからずんば税財源の国と地方との配分について思い切って考えなければだめだと思うのです。現在の国の財政事情からすれば、改めて税財源地方に譲れと言ったってとても譲れるどころの話ではない。とすれば、やはり地方交付税法そのものを考えるか、その他の方法を考える以外にないと思うのですが、その点大臣いかがでしょうか。
  183. 安孫子藤吉

    安孫子国務大臣 交付税法はだんだん意味がなくなるではないか、こう言いますけれども交付税法の一つの目的と申しますか、必要性といいますか、東京都の例を挙げられましたが、全国の各府県、市町村を考えますと、そこに大きな格差があるわけでございます。非常に税負担能力のある地方もあるし、ない地方もあるし、ない方はない方でがまんしていろと言うわけにもいかない。その辺の不均衡を財政的にも是正をしなくてはならぬ、こういうのが交付税法の一つの考え方でございまするので、意味がないことにはならないのではなかろうかと私は思っておるわけであります。  それから、今後交付税なんかやめてしまって何か別のことを考えたらいいではないかというお尋ねの点もあったと思いますが、なかなか知恵は出し切れないと思っております。いろいろな研究をした結果、現在の交付税法ができておるわけでございますから、これをやめて何か新しい制度をと申しましても、いま申しましたとおり各地方地方において税源の対象が均一でもありませんし、独立税源を与えるといったってなかなかそういうわけにもいかない。そういたしますと、やはり交付税というものは残しておいてこれの改善をやっていくということと、それから国が取っておりまする税金をある程度地方に独立財源として与えるということにわれわれは努力をしていかなければいかぬだろう、こういうふうに思っておるところでございます。
  184. 田島衞

    田島委員 いつも言っていることですけれども、別に交付を受けている地方団体に対する思いやりというものは全然ないわけじゃありませんけれども、物事それにも限度があると思うのですよ。東京は税財源が豊富だ、こう言いますけれども、その東京都もいま申し上げたとおり赤字財政で、実質は非常に苦しんでおる。苦しんでおるばかりじゃない、不交付団体であるということの理由をもって二重に財政調整の不利な立場を強いられているわけですね。そのほかにも、たとえば義務教育費における教職員の給与費国庫負担分、これは地方財政法から言ったって、東京都の財政需要がどうあろうとこうあろうと、全額法の指示するとおりに国庫が負担してしかるべきだと思うのですよ。  ところが、それまで東京都は不交付団体であるということの理由をもってちゃんと制限を受けている。地方道路譲与税しかり。そればかりじゃない。これは大臣も兼務されておる警察行政についてだって、東京都が抱えておるところの警察行政というのは非常に過重なものを抱えておるわけです。たとえば、この国会がある、議事堂がある、そこに総理官邸がある、あるいは衆参両院議長の公邸がある、あるいは外国の大公使館がある。いろいろなものが東京なるがゆえにある。あるがゆえに、そこに普通ならなくてもいいはずの警備が必要とされる。現実に大臣だって年じゅうここら辺をお歩きになって、年じゅう機動隊のバスをあっちこっちに置いてやらなければならぬ。これは東京なるがゆえにしょっておる行政負担なんです。  これについては、毎年特別に東京都から陳情をする。そして予算措置も若干の考慮はされておるものの、決してそれで十分ではない。むしろ、ほんのわずかの考慮にしか過ぎないと言えるし、そのほか東京都が持つところの、いわゆる首都という正規なものではありませんけれども、通称首都と称せられるような巨大な都市であり、そこにいろいろな目的で大ぜいの人間がまるでるつぼのように集まるという東京都の持つ特殊な性格の中で、普通なら抱えなくてもいいいろいろな問題を抱え、いろいろな行政負担をそこに強いられている。そういうことを考えたら、あるいは地方団体よりも東京都の方がよっぽど苦しい負担をしょっていると言ってもいいはずで、ただ税財源が豊富にあるだろうということだけをもってすることはいささか片手落ちのきらいがあるのじゃないか、こういうふうに思うのですけれども、そういう点も含めて、東京都不交付団体けしからぬ、交付しろと言ったら、地方交付税法は本当にすっ飛んじゃうのですよ。不交付団体の一つもない地方交付税法なんというのはあり得ようはずがない。  だから、私たち東京都に関係のある者はいつもじっとこらえて、地方交付税法の存在を守るためにも東京都は不交付団体に甘んじて歯を食いしばってがんばらなければならぬな、こう思っておるけれども、いつまでもがんばらしていいというものじゃないと思うのです。だから、その不交付団体立場はもう少しがんばるにしても、不交付団体なるがゆえにこれもあれもとしょわせたことぐらいはもう少し改善してくれたらよさそうなものだと思うけれども、その点についてはいかがでしょうか。
  185. 土屋佳照

    土屋政府委員 いろいろとお話を伺ったわけでございますが、御承知のように、全体の行政のうちの七割は地方が分担をしているという状況でございますから、それに対応できるように税金を主体にした配分が行われればよろしいのでございますけれども、何度も申し上げますように税源の偏在がはっきりいたしております。税源のきわめて乏しいところのために国税三税の三二%を地方交付税という形で留保いたしまして、それで財源保障もしており財源調整もしておるというわけでございますが、いかなる時代であろうといまのような税源偏在があります限りは、財源の保障という意味では、また財源調整という意味でも、やはり交付税の存在というのは必要であろうと思うのでございます。  ただ、そういったことの中で、いま東京都についてるるお話がございましたように、東京都は富裕だ富裕だと言ってもこれは相対的なものだということでございますが、確かに私どもがいろいろな基準財政需要なりを算定いたしますときは標準的な行政をとっておるわけでございますから、東京都はそれ以上にもっと財源が必要であるのだ、こういう御説ではございます。しかし私どもとしては、できるだけ態容補正その他いろいろ用いまして、東京都の通常超えておる財政需要というものについて算定をしても、なおかつ結果としては不交付団体になっているということでございます。これが一概に富裕だからと言ってきめつけるというつもりはないわけでございますが、制度上そういうことになっておるというわけでございます。  そのために、おっしゃいますように、義務教育の国庫負担あるいは道路譲与税における制限といったような点については、私どもとしても最近徐々に改善はしておるところでございまして、五十六年度地方道路譲与税についてはございませんでしたけれども、義務教育についてはたしか二十三億七千万円くらいまた改善がなされたはずでございまして、徐々にではございますが改善をしておるつもりでございます。しかし、何と申しましても、いまのような交付税制度でございます限り、それがよりよく機能した形になるには、やはりもう少し自主財源地方税が増強される方が望ましいと思っております。  ただ、いま国、地方を通じて非常に困窮しておるような状況でございますから、今後行政のあり方、行政のレベルというものはどれだけのものが必要か、それに対応する国民の負担はどうあるべきか、その場合に国と地方との機能分担のあり方はどうあるべきか、そういうことをもう少し突っ込んで議論をして、その中においていまの税財源の配分等を含めて検討しなければ根本的な解決にはならないだろうと思っておりますが、さしあたって、御指摘のございましたようないろいろなその他の面での制限とかどうとかといった点については、できるだけ必要なものは是正をしていく努力をし、また現行制度の中でもなるべく都市財源をふやしていくというようなことは、努力をしなければならないと思っておる次第でございます。
  186. 田島衞

    田島委員 確かに、当局において毎年ほんのわずかでも考慮してくださっておることは認めます。それからまた、地方交付税法というものの必要も全然認めないというわけじゃありませんが、金融機関だってそれなりの存在価値はあるけれども、だからといって預金者がだれもいない、借りる者ばかりといったら金融機関にならぬですよ。それと同じことだし、それからまた地方交付税法に基づくところの不交付団体にはこのような財政調整制限を設けるということだって、もしそれ盛んに論議されるところの憲法——憲法論議というとすぐ九条を引っ張り出しますけれども、何も憲法の論議というものは九条だけのことじゃないので、憲法上果たして地方財政法が優先するか、それからまたこの地方交付税法が優先するかという議論になったら、これはなかなかむずかしい問題ですぞ。意外とそういう制限まかりならぬとなる可能性の方が強いと私は思う。いまここでそれを詰めようとは思いませんけれども、そういうことなども含めて真剣に今後も取り組んでいただきたいことを要望して、次に移ります。  大臣の所信の中に、地方財政に関連して歳出全般についての徹底した節減合理化を図る、こういう言葉があります。まことに歓迎すべき言葉であります。歓迎すべき言葉であるけれども、果たしてその実効をどの程度上げられるかということになると、はなはだ疑わしいものがある。言葉では簡単に歳出全般についての徹底した節減合理化、こう言いますけれども、いままでそう満足になるほどなと思えるようなものができたためしがない。そこで一体、この歳出全般についての徹底した節減合理化とは、具体的にどのような面にメスを入れ、どのような手段、方法でやろうとするのか。余り長い時間だと私の質問時間がなくなっちゃいますから、端的に要点をとらえてお答えをいただきたいと思います。
  187. 土屋佳照

    土屋政府委員 ただいまお示しのように、歳出の節減合理化ということを全般的に申しております。今後とも事務、事業、機構の簡素合理化とか職員配置の適正化あるいは給与水準の適正化、一般行政費の節約、地方においても補助金の整理統合、先ほど議論になりましたが民間委託の問題等も含めて、徹底した節減合理化を図るべきだと思っております。ただ、それは三千幾らの団体に個々に指導するわけではございませんし、それぞれの団体が自治権を持ち議会を持って運営をしておられるわけでございますから、そういった趣旨に従って全般的に合理化を図っていただきたいと思っておるわけでございます。  ただ、関連して申し上げますと、たとえば五十六年度地方財政計画に当たりましても、全般的にそういった抑制基調に立って規模も抑えておりますし、給与関係費等についても職員数の抑制を図りますとともに、給与改善費も国に準じて一%とするといったような形をとっております。そしてまた、たとえば職員定数についても、教員、警察官、消防職員等を除いては、一般の国家公務員の定数削減計画に準じて落としておりまして、そういった中身は全部地方団体にも示してあるわけでございます。そういったことを頭に置いていろいろと地方団体にやっていただく。また、一般行政費等についても、財政計画で伸びは何%ということ、すべて地方団体もおわかりになるわけでございます。そういった全体を含め地域の実態に応じて、どういったやり方をすれば合理化できるかということはいろいろそれぞれのお立場で考えていただく、そういう指針的なものは私の方でお示しをしておる、こういうことでございます。
  188. 田島衞

    田島委員 そういう程度のことでしたら、いままでも毎年やられておることだろうと思うのですが、過去の実績から見てもおわかりのとおり、なかなか実際の効果というのは上がらぬものです。指導はしておると言うけれども、指導している程度のやり方じゃとても実際の効果というのは上がってこない。  たとえば職員定数の問題一つ取り上げましても、公務員というのは、よほど悪いことでもしない限りはまさかやめさせるわけにはいかない。としたら、削減の方法をどうする。結局、やめていったり何だりして自然に少なくなる、その少なくなるのに対する補充をうんと抑えていく、これ以外にないのですよね。だったら、そんなにばさばさと少なくなりっこないのですよ。ほんの少しずつしか減っていかない。だから、言葉の上で簡単に言うけれども現実にはできない。現実にできないことを言うよりは、むしろできることでそれだけは間違いなくやっていくぞという決意でないと、なかなか節減合理化なんというのはできないと思うのです。そういう点は、ひとつただ言葉を使うだけじゃなくて、もうそんな段階じゃないと思うのですよね。  国の方だってそうだ。私が言うまでもないことですけれども、いまのように特例公債という特例という名前がついているにもかかわらず、毎年毎年まるで普通の四条公債か何かと同じようにばかばか額をふやして発行していって、とどのつまりはどうにもならなくなって何とかそれを減らさなければならぬなんという、そんな間抜けたやり方をしていれば、財政がパンクしてしまうのはあたりまえの話、それは地方だって同じですよ。  そこで、今度は次の地方公営企業の経営の健全化、これも地方公営企業の経常を健全化したいということが書いてあるわけですけれども、これもまたなかなかむずかしいことです。一体どうやって地方公営企業の経営の健全化を具体的にやるのか、それを、これまたできるだけ要点をとらえて簡潔にお答え願いたいと思います。
  189. 金子憲五

    ○金子政府委員 御指摘のように公営企業、現在も非常に困難な経営状態にございます。特に石油ショックの後におきまして、五十一年度、五十二年度にかけまして非常に多額の累積欠損金を出す、あるいは不良債務を出すというような状況で、まさに公営企業は危機的な状況にあったわけでございますけれども、その後における各種の措置それから各団体の経営改善努力によりまして、現在のところ、個々の企業につきましては問題があるところもございますけれども、全体として見ますと単年度収支は大体とんとんでもってやっておる。したがいまして、累積欠損金は大体横ばいでございますけれども、不良債務につきましては年々漸減をしておる、このような状況になっております。  経営改善につきまして行っている努力でございますけれども、各地方団体において経営改善努力を行うのはもちろんでございますけれども、私どもの方といたしましては、これにつきまして各種の考え方、やり方についての指導を行っております。その他国庫補助をそのときの情勢の推移に合わせまして充実措置を講ずる。あるいは企業債の額の確保あるいは質の改善あるいはその内容につきましても、いろいろ工夫をこらした措置を講じております。それからさらに、経費の負担区分等に基づきます一般会計からの繰り出し措置あるいはこれと結びついております所要の交付税措置、これらにつきまして年々努力を重ねてきておるところでございます。
  190. 田島衞

    田島委員 地方公営企業の経常の健全化ということを考えるなら、もう少し現実に地方公営企業の中へ飛び込んでいって、場合によったら何日かそこへ通ってその実態を勉強してきた方がいいですよ。そうしたら何かがつかめる。ただ役所の中で、何とか経営健全化の方法ないかななんて言ったって、それはしょせんは言葉だけに終わっちゃいますよ。じゃ、全然道がないかというと、ないことはない。すぐにもやればやれる方法もある。     〔委員長退席、安田委員長代理着席〕  たとえば抜本的な方法とすれば、本来公営企業というものの持っている性格、その趣旨、目的とは何だ、いわゆる一般企業に対するある程度の抑制措置ですよね。そのために公営企業というのはある。だから、公営企業がやるところのたとえば交通にしても、その料金というのは一般の私鉄、私バスなんかより安くなきゃいかぬ。ところが、みんな高くなっちゃっているんでしょう。反対に公営企業の料金が先に上がって、その後それならばうちの方も上げさせてもらいましょうといって、後からくっついて私営の方が上がってくる、こういう状況。  それから、私の場合には外へ助けを求める手段、方法がない、みずからの借金でもする以外は。ところが、公営企業の場合は親方日の丸。何かというとすぐ一般会計から繰り出して助けてやる。こんなやり方をしておったら、甘ったれはいつまでたったって直らない。いっそのこと、ばっさり一般会計からの繰り出しまかりならぬとやってごらんなさい。直ってくる。そんなことをすぐやれと言ったってできっこないでしょうけれども、それをやれば直ってくる。  なぜかと言うと、経営意欲そのものが全然違うのですよ。私は東京都出身だから、東京都の都営交通なんかのことはよく知っているのですけれども、皆さん方、都内をもし歩いておったら、都バスと私営のバスとどういうふうに走っておるか、一緒に走っているときに見てごらんなさい。もし前後して走っておったら、追い越していくのは間違いなく私営のバス、悠々と追い越されて結構ですよ、どうぞお先へと譲っているのが公営バスなんだ。なぜか。お署さん乗ったって乗らなくたって知ったこっちゃない、むしろ乗らないでくれた方が楽なんですよ。ところが、私営の方のバスは、少しでもお客さん乗せなきゃ営業成績が上がらない。だから一生懸命追い越して先行って停留所へ行くわけ、そこで拾っていく。その後、ああ、だれもいなくてちょうどいいやってなもんで悠々と公営バスが行くんだ。これで成績よくなるわけないじゃないですか。  だから、先ほどの歳出全般についての節減合理化だとか、地方公営企業の赤字財政の問題だとか、こういうものを考えてくるときに、もし本当にどうでもこれは何とかしなければならぬなという決意があるなら、もうそろそろ抜本的な腹を固めてその計画を練らなければだめだ。それは何だ。いっそのこと民間に任せちゃいなさい、その方がよほどいい。  たとえば東京都で言えば、本来都営交通の料金の方がはるかに私営のより安いところに存在の意味があるのでしょう。ところが、そっちの方が高くていつも値上げの先頭に立つ。それでもってしかも赤字ばかり出して、一般会計から繰り出しをしてそれだけ税金を食ってしまう。これじゃ公営企業——たとえば、いま交通の問題を取り上げているのですけれども、一例を交通に挙げて、公営企業の存在なんて要らぬでしょうが。要らぬものを何で置いておく。そこらが一つの問題点。  言うならば、もうそろそろ分散への転換といいますか、国の仕事も、国でやるより都道府県に任せた方がいいなと思う仕事はどんどん都道府県におろす、あるいは直接国から民間に委託しちゃった方がいいものは民間に横へずらす。都道府県またしかり。市区町村におろす、あるいは民間に横へずらす。市区町村から民間へ外す。こういう動きにまじめに取り組んでいかないと、国も地方も幾らどうがんばったって、財政はもう救いようなくなりますよ。その点をよほど慎重に考えてもらわぬと、いまのうちは言葉だけで何とか言ったって済むけれども、いよいよになったらもうにっちもさっちもいきませんぜ。そこらのところどうですかね、そんなところまで憂慮していませんか。まだのんきに構えているのかどうなのか。
  191. 金子憲五

    ○金子政府委員 公営企業がややもすれば経営の効率化において欠けるところがあるという御指摘の点につきましては、私どもも日ごろから痛感しておるところでございます。年々改善の目標を定めて努力をするようにしておりますけれども、まだ十分でございませんけれども、その点についてはさらに一層努めてまいりたいというふうに思っております。
  192. 田島衞

    田島委員 いまのお話のような、年々一生懸命改善の方策を云々と言っていても、絶対直らぬということを私はここで予見というか、予測をしても間違いない。絶対直らぬ、どんどん悪くなってもよくはならない。じゃ、そうなったらどうしますか。
  193. 土屋佳照

    土屋政府委員 いま公営企業中心でのお話でございますが、行政全般にわたってお話があったわけでございまして、私どもとしても、いまのような行政の状況収支の不均衡ということを考え合わせますと、全般的に行政を見直しまして、やはり国なり地方団体が分担すべき分野、あるいは民間がやる方が効率的である分野というものを基本的に見直していくべき必要があると思っております。そして、それぞれの機能分担に応じての適切な財政の仕組み、財源の仕組みを考えていかなければならないと思っております。  公営企業についても、いろいろ合理化をしなければなりませんが、公営企業自体は本来独立採算ということで運営しなければなりませんが、一方ではその採算性を無視してもやらなければならない必要性もあるというようなことから、一般財源との分担関係ということも頭に入れて運営してきておる。それがだんだん親方日の丸になってしまったり、そしてまた最近のように非常に都市化した地域では、企業環境そのものが悪化してしまってなかなか採算に合わないということ等もございまして、いろいろ複雑な面で経営がむずかしくなってきておる。確かに民間等と比べて経営努力が足りない面もありましょうし、しかし一方では、いま申しました公営でなければやれないものもないわけではない。そこらをどう見ていくかということでございますが、おっしゃいますように、中途半端な、一時的なその場しのぎではとても対応し切れないような事態にだんだんなってきておるような気がいたします。  私ども、いろいろな研究会等を設けてそれを勉強しながら、どうしたらいいかという検討を進めておるわけでございますが、なかなか急速にこうすればこうなるという結論まで得ておりませんけれども、おっしゃいました意味で小手先だけでなくてもう少し抜本的に、そしてまた現在の社会情勢を踏まえた、企業環境を踏まえた視点に立って政策を選んでいかなければならぬというふうに考えております。引き続いて私ども、十分勉強してまいりたいと思っております。
  194. 田島衞

    田島委員 いまお話の中にあったけれども、もう現在、公営でその企業をやっておかないと困るんだということなんかほとんどないですよ。さっきも言ったとおり公営企業の存在の意義というのは、その公営でやらなければほかの民間ではとてもそんな企業はいろいろな事情からいってできないというようなものがあるか、公営でやることによってうんとその料金を抑えることができるという性格を持っているか、どっちかです。ところがそうじゃない。反対にいまやまさに企業悪です。だったら、もういっそのことやめちゃった方がいいですよ。  まあ、私の言い方は乱暴かもしれぬけれども、むしろたとえば東京都、よそのことを言うと悪いから東京都のことを言えば、東京都の都営交通なんかなくなった方が、都民は安い料金で都内を歩けるかもしれません。都営交通料金が上がるから一般の方も上がる。だんだんだんだん高い料金で歩かなければならぬ。だったら、都営交通というのは何やっているのですか。都民のために不利益行為をやっていることになりますよ。しかも一方においては、一般会計からの繰り出しという形で税金をどんどん食っちまう。それでいて、一生懸命やっているかというとやっていない。できるだけお客さんを乗せないように努力している。  そうかと思うと、これはよけいなことかもしれぬけれども、皆さんは知っているかどうかわかりませんが、相便会計というのがあるのですよ。相互便乗会計というのがある。たとえば国鉄ただで頼みます、乗せてもらう、そのかわり都営交通、都バス頼みます、乗せてもらう、お互いにただの乗りっこをする。それもただだけじゃなくて、ちゃんとある会計をとってそれを組合同士で納めている。そういうことだってあるのですよ。そんなこと、私はいま改めて言うわけじゃないけれども、そういうふうになったら、もうよほど抜本的に考えなければうそですよ。改善改善なんて言っていたって、何で役所の机の上で頭しぼって改善できますか、絶対できない。そこらひとつもう一回、清水の舞台から飛びおりたつもりで再検討してもらいたいと思います。  時間の関係で次に移りますけれども地方税の関係で、「昭和五十年度以降累積してきた巨額の借入金の返済等を考慮すれば、」とある。この意味がちょっと私にわからぬのだけれども、この昭和五十年以降累積してきた巨額の借入金とはどのような借入金のことを指しているのか、それをまずばんと名前だけ教えてください。
  195. 土屋佳照

    土屋政府委員 借入金と申しますと、地方債とそれから交付税特別会計における借入金でございます。地方債の中には、建設債として通常発行しておる地方債もございますが、五十年度以降の財政状況が悪化したための財源対策のために発行したいわゆる財源対策債というものも、建設公債ではございますがその中に含まれておる、そういったものでございます。
  196. 田島衞

    田島委員 その中で問題なのはやはり後者の方だろうと思うのですけれども、建設公債なんかの場合は、これは一種の社会資本の充足のための投資に使うことですから、将来の国民、都民あるいは県民、府民というか、そういう人たちが何らかの恩恵を受けるための投資だからいいけれども、いまのお答えの後者の方はあくまでも財政上の理由からするところの一極の借入金。そこらの問題は、住民の責任じゃなくて、やはり財政を預かる者の責任。で、そういうことを理由にして地方税をもっと取り上げろなんというのは、どう考えても筋違いだと思うのですよ。その点についてどうですか。
  197. 土屋佳照

    土屋政府委員 一つの事業を行います場合に、国庫補助等は別といたしまして、地方債とそれ以外の財源については普通交付税で見るということ等でやっておるわけでございますが、いま申し上げました財源対策債というのは建設公債であることは間違いございません。赤字公債ではないわけでございますが、従来でございますと充当率が低かった、残りは大体交付税で賄えるような仕組みになっておったものが、交付税不足してまいりましたために、そこのギャップを建設公債ではあるが地方債で埋めた、要するに地方債の充当率を高めたというかっこうで、従来に比べると最近は地方債の発行が多くなってそれが累積しておるのだ、こういうことでございます。  ですから、本質的に建設公債であることは間違いないのでございますけれども、問題は、地方交付税が足りないためにそういうことになったわけでございますから、私どもとしては地方交付税の率を高めたい、そして財源対策債の割りを減らしたいということで、五十六年度におきましても財源対策債は五十五年度の七五%充当から六〇%に減らす、その減った分は地方交付税をふやすというかうこうで徐々に努力しておるところでございまして、今後ともそういう努力は続けなければならないと思っておるところでございます。
  198. 田島衞

    田島委員 本質的と言うけれども、実質的には建設公債ではないと思うのです。建設公債という形をとらなきゃならないからそういう名目を使っているだけの財源対策、それはもう明らかにいわゆる建設公債とは実質的には違うわけです。だけれども、その議論をしていると今度は時間がなくなってしまいますから、それはまたの機会にします。  次に、不動産貸付業等の個人事業税の課税対象化、それから不動産取得税の税率の引き上げ。私は、別に不動産業者から頼まれていませんから、そういう新しく税の課税対象化にしたりあるいは税率を上げることを一概にいかぬと言いませんけれども、問題は、そういう一連の税の強化と、それから問題になっている地価の高騰、地価が余り上がっては困る、地価を安定させなきゃいかぬということとの関連はどうなりますか。こういう不動産貸付業等の個人事業税の課税対象化というか、あるいは不動産取得税率を引き上げたら地価は上がるのか下がるのか、それとも全然影響ないか。
  199. 石原信雄

    ○石原政府委員 個人事業税の課税対象に不動産貸付業を追加するという改正を今回お願いしているわけでありますが、個人事業税は個人の所得を課税標準としてこれに税を課するというものでございます。したがいまして、直ちにそれが地価と連動するという性格のものではないと思います。  それから、不動産取得税は不動産の取得に対して課せられる流通税でありますから、理論的には税率アップ分だけ取得に当たっての負担がふえる、したがって、土地の取得の際に土地を購入する人の負担がふえるということは避けられないわけであります。ただ、今回の税率アップは、従来三%であったものを四%に引き上げる、一%の引き上げであります。不動産取得税の課税標準は土地の取得価格でありますが、これについては評価額によって課税しておりますので、この一%の税率アップが直ちに時価に一%掛けたものよりはかなり少ないと見ております。  いずれにいたしましても、税負担がふえる分だけは取得に当たっての負担がふえる、このことは否定できないと思います。
  200. 田島衞

    田島委員 不動産を貸し付けている人が個人事業税の課税対象にされるとすれば、いやだってその単価を上げてきますよ。働かなくたってもらうものをふやせという時代ですからね。いわんや経費がふえてきたら、必ず今度は自分でもらう方を上げてくれというのは当然のことですよ。こんなことはわかり切った話じゃないですか。  それから不動産取得税の税率を上げたら、さなきだに高くて手に入らないと言っている不動産が、やっと貯金してお金をためて、自分の家をつくるための土地を求めたいなんという人は、それだけまた求めにくくなるわけでしょう。求めにくくなることだけは事実ですよ。どうですか、それは。余り長くなくひとつ短く……。
  201. 石原信雄

    ○石原政府委員 確かに一%だけ重くなるということは否定できないと思います。  ただ、今回は、一般の住宅取得につきましては税率引き上げを五年間は行わない、従来のままに据え置くという措置を考えておるところでございます。
  202. 田島衞

    田島委員 何年問は据え置くということは、影響があっては困ると思うから据え置く。だったら、いっそのことやらなければいいじゃないですか。どうですか。据え置くというのは、急にやったら困るでしょう。だから据え置くというのは、それが法律や何かの用語なんです。ということは、困ると思ったら据え置きじゃなくて、全然やらなかったらなおいいじゃないですか。違いますか。  先に進みます。  その次に、「時代の要請に即応する行政態様の整備」、まことにいい文句なんだけれども、この「時代の要請に即応する行政態様の整備」ということの「時代の要請」というのはどのようにとらえているのか。残り時間が少ないですから、これまた余り長くなく短く、すぱっと、こういうことと教えてください。
  203. 砂子田隆

    ○砂子田政府委員 最近の社会経済の変化は大変著しいものがございまして、簡単に申し上げれば、資源、エネルギーの制約なりあるいは経済成長の基調の変化なり、あるいは高齢化社会への移行なりということで、地域社会の構造的な変化が著しい、そういう時代の要請があります。しかも、日常の住民の生活に直結をします公共団体の仕事というのは多種多様にわたっておりまして、そういう価値観の多様化に対応する方策をまた見つけなければならぬだろう。しかも、そういう意味で価値観が多様化すればするほど、今度は選択の問題も出てくるでしょう。そういうように要請するような方向に来ているということを申し上げているわけでございます。
  204. 田島衞

    田島委員 それはそれでわかりますが、時代の要請というのはなかなか複雑な要請ですよ。その複雑な時代の要請に、単純なことでも、わかり切った、これをこうすればもう完全にこうなるのがわかっているのだがなと思ったって役所ができない。即応する行政態様なんてできるのですか。即応というのは、ぱっと言えばぱっとすぐやるのが即応というのです。十分検討させていただきましてなんというのは即応じゃないのですよ。即応というのは、こういうことをどうするの、ああ、それはこうしますというのが即応。そんな即応する行政態様なんというのはできるのですか、できないのですか。いや、それは言い過ぎなら言い過ぎでいいけれども、ちょっと聞かしてくださいよ。
  205. 砂子田隆

    ○砂子田政府委員 これは一つの行政の姿勢でございまして、そういうふうに即応できるような行政態様に持っていかなければならぬという大臣の意思表明でございます。
  206. 田島衞

    田島委員 即応する行政態様の整備というんだから、これは考え方じゃないでしょう。やろうとしている具体的な行動のことだよ。だから、あなたのお答えじゃちょっと調子が狂ってきちゃうんだけれども、それは余り責めてもしようがない。  そこで、そのことを含めて、国、地方公共団体相互の機能分担の適正化についてという字句も続いてあるのですが、先ほど私が取り上げた、抜本的に行政機能というものを国から地方に分けた方がいいものは分ける。それがさらに普遍化していけば、国からあるいは地方公共団体から民間に任した方がいいというものは任せるという発想にもつながるわけだけれども、そういう意味も含めての国、地方公共団体相互の機能分担の適正化ということなのか。つまり、さっき私が言ったように、行政機能そのものが、ここでやるよりここでやらした方がもっと効率的にいく。要するに経費もかからない、効果は上がる。言うならば最小の経費で最大の効果を上げよという行政の最大至上命令というか、それに沿うためにはむしろ国でやっているより都道府県の方がいい、都道府県より市区町村の方がいい、あるいはそれより民間に任した方がよっぽどいいというようなことも含めてのですかということです。
  207. 砂子田隆

    ○砂子田政府委員 おっしゃるとおりでございます。要するに、国と地方公共団体というのは、それぞれ自分で果たすべき役割りがございまして、そういうものが協力をしながら行政を遂行していくのがわれわれの任務でございます。そういう形におきますと、国と地方との間でやるべき役割りというのは何なのだということに少しメスを入れなければいかぬだろう。それがまた行政改革を進める上にとって大変大事なことですということを申し上げておるわけでございます。
  208. 田島衞

    田島委員 時間がだんだんなくなりますから、公務員行政について少し聞こうと思ったんだけれども、さっき少しそれにも触れているからそれは飛ばしまして、消防行政に関連してですけれども、この前のホテルの火事、大変大量な死者を出した。そのときに私は消防庁に質問をして、大量の死者を出した原因というのは、一体火なのか煙なのかけがなのか何なのか。煙じゃないかと思うけれどもどうだと言ったら、調査中、調査中でまことにのどかな話しか聞こえなかったのだけれども、いま現在わかりましたか、どうでしょうか。
  209. 近藤隆之

    ○近藤政府委員 その結果につきまして、現在報告を受けておりませんのではっきりしたことはわかりませんけれども、煙によって亡くなられた方が非常に多いと聞いております。
  210. 田島衞

    田島委員 まだ調査の結果わかりませんが、こうらしいですという返事、大変頼もしい返事ですよ。一体あの火事からどのぐらい時間がたっているのか。あしたにも火が出るかもしれぬ、もっとでっかい火事が発生するかもしれぬ、それなのにうんと時間のたった過去の事実の中から何が原因だということさえつかみ出せぬで、何で対応が考えられるのですか。消防行政は死んでいるのかね。われわれ素人が考えたって、いまのように新建材を多用する建物の中でぱっと火が出たら何が一番こわいか。火で焦がされるより先にまず煙でみんなばたばた倒れるだろう。倒れたままもちろん焼け死ぬことになるんでしょうけれども、一番こわいのは煙だ。だれに聞いたって、恐らく子供だって大体わかるんじゃないですか。それを、専門にそのことについて懸命な検討をし、調査を進め、それに対応する方法はどうしたらいいかを一日も早く、一刻も早くはじき出さなければならぬ消防庁が、まだ調査中で確たることはわかりませんけれども、おおむねそうじゃないかと思うなんということで消防行政できますかな。むしろわかっているじゃないですか。  じゃ、その後に同じような大きいホテルか何かで火事が出たらどうします。そのときにも話をした。スプリンクラーが用意があったとかないとかと言うけれども、スプリンクラーなんて設備をさしたら大変な金がかかる。そんな金をかけさせるならむしろ呼吸器、マスクというかガスマスクというものの設置義務を必ずつくって、所定の位置、従業員の人数に応じた数、これを備えつけさせることが大事じゃないか。できればお客さんに対する対応も。それだけでどれだけ助かったかわからぬと思う。  要するに、煙に対する対策でもあれば落ちついて火のない方へ逃げることだってできる。だけれども、もうもうたる煙の中に囲まれちゃって呼吸できなかったら、逃げる道を探すことだってできませんよ。そんなことは素人だって——あの火事の直後にわれわれはそれを痛感した。だからその後の委員会で聞いた。だけれども、そのときはいま調査中で、何が原因ともわかりません。きょう聞いたら、よっぽど的確な答えが——調査の結果こうなって、それに対する対策はこういうふうにやっていますということを聞こうと思ったから、どうだと聞いたらまだだろうと思うじゃ、対策について一歩進めて聞く元気がなくなっちゃうじゃないですか。少ししっかりしてくださいよ。
  211. 近藤隆之

    ○近藤政府委員 川治のケースにつきまして、死亡者の最終的な死因が何であるかという御照会だと思います。それにつきましては、現在私報告を受けておりませんので、おおむね煙であろうと申し上げたわけでございます。  ここ数年の火事による死者の状況を見てみますと、おおむね三五%から四〇%程度が煙による死亡、五十数%がやけどによる死亡、そういう結果になっております。したがいまして、このところビル火災等が多うございますので、煙による死傷が一定のウエートを持ってずっと引き続いておるという状況でございますが、私どもこれに対する対策というのは早急に拡充していかなければならないと思っております。  御承知のように、基本的にはこれは建築基準法の問題でございまして、建築基準法の中でも煙に対する対策といたしまして、建物の構造につきまして幾つかの規定が現在設けられておることは御承知のとおりでございます。消防法上におきましても、カーテンでございますとかじゅうだんでございますとか、そういったものについては防炎措置を講じておりますし、あるいは火災を消すための場合の防炎された通路の確保というようなことも規定されております。さらに火災による煙からいかに避難するかという場合、これは心理的な要素等々いろいろございますので、これに対してどう対策をとるかということにつきましては、ここ数年来消防研究所を中心として検討しておるところでございます。  さらに、煙に対する防煙マスクの関係でございますが、一昨年以来先生からたびたび御指摘を受けておるところでございます。私ども五十三年十月から二年にわたりまして、その方面の研究者、医者、心理学者等々を集めまして検討を重ねておったわけでございますが、昨年十一月にようやくその答申をいただき、それに基づきまして基準を策定したところでございます。  現在、その基準に基づきまして、市販されておりますいろいろな防煙マスクがそれぞれどの程度の性能を持っておるかということを調べているわけでございまして、もしそれによりましてそれぞれの業者が認定を受けるということになりますと、一般の市民の方々はこのマスクはどの程度の性能を持つのだということがはっきりいたしますので、しっかりした選択ができるんじゃないかと思います。この前の御質問にも申しましたように、煙の態様等もいろいろでございます。それから市販されております防煙マスクも多様でございまして、万一使い方を誤まればかえって犠牲を大きくするということもございますので、今回そういった基準及び認定ということに踏み切ったわけでございます。  それから、御質問の中で、これの一定の施設における備えつけの義務づけという御示唆がございました。これは現時点ではともかく、将来の問題としては検討したいと思いますが、いまの段階におきましては、まだ認定制度を始めたばかりでございますので、国民の方々がこういうマスクというものに関心を持ってできるだけ備えつけてもらうということがまず第一じゃないかと思います。この二月末日から二週間にわたりまして春の火災予防運動を全国的に展開しておるわけでございますが、その中におきましても、このマスクの重要性ということを強調いたしております。国民の間にその必要性ということを十分PRするように、各消防機関を督励しておる段階でございます。
  212. 田島衞

    田島委員 大変残念ながら、消防行政については不満。熱意に欠ける。現にいまのお答えだって、一般の国民の皆さんにそういうものの備えつけ、その重要性についてPRしています、それでいて一方では、どういうものが使い物になるかならぬか一生懸命いま検討中です、おかしいじゃないですか。消防庁そのものは、いろいろ対応の仕方がある、煙の種類もある、だから下手に使ったらかえって被害を大きくするかもしれないから、どんなものなら使わしてよろしいかどうか、いま一生懸命検討中だと言いながら、国民の皆さんよ、大変マスクは重要ですから、みずから努力して備えつけた方がいいですよというのは、それはどういうわけだ。そんな理屈はどこへ行ったって通りませんよ。しかも、要するに最近の近代都市における火災で、その被害の中で一番大きな直接の原因が煙だということは、いまこんなところで私と議論している問題じゃない、そんなものはもう既定の事実だよ。しかも私が何回、それこそいやになるほど、もう飽きちゃうほどこのことを言っている。全然前進していない。よっぽど消防庁はマスクというのはきらいなんだね。マスクというと、身ぶるいするほどきらいなんじゃないかね。どうなんですか。
  213. 近藤隆之

    ○近藤政府委員 ただいま御説明したつもりでございますが、言葉がちょっと足りなくて誤解を招いたのかと思います。  二年間の研究の成果をもとに昨年の十一月に消防庁としての基準を作成いたしました。その基準に基づいて、それぞれマスクをおつくりになっておるところの業者の方々から、このマスクはどの程度の性能を持つかという検定申請がいまずっと出て、幾つかについてはそれを行ったところでございます。そうなりますと市民の方々は、このマスクはこの程度の性能を持つということがはっきりするわけでございます。したがって必要なマスクを選ぶことができる、その段階になりましたので、この春の火災予防運動を活用いたしましてマスクの必要性、重要性というのを国民の間にPRしておるということを申し上げたわけでございます。
  214. 田島衞

    田島委員 消防庁については、特段の努力を強く要望します。  それから警察庁官房長、来ていただいたのかもしれませんが、申しわけありませんけれども時間がありません、特にそんなに聞くこともありませんから終わります。      ————◇—————
  215. 安田貴六

    ○安田委員長代理 内閣提出、新産業都市建設及び工業整備特別地域整備のための国の財政上の特別措置に関する法律等の一部を改正する法律案を議題とし、提案理由の説明を聴取いたします。安孫子自治大臣
  216. 安孫子藤吉

    安孫子国務大臣 ただいま議題となりました新産業都市建設及び工業整備特別地域整備のための国の財政上の特別措置に関する法律等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  新産業都市建設及び工業整備特別地域整備のための国の財政上の特別措置に関する法律及び首都圏、近畿圏及び中部圏の近郊整備地帯等の整備のための国の財政上の特別措置に関する法律は、新産業都市、首都圏近郊整備地帯等の整備を促進するために必要な国の財政上の特別措置を講ずることを目的とし、昭和五十年度までの事業を適用の対象とするものとして、それぞれ昭和四十年五月、昭和四十一年七月に制定されたものであり、その後、昭和五十一年三月の法律改正により、特別措置の適用の対象は、昭和五十五年度までの事業とされております。  政府といたしましては、新産業都市建設促進法等に基づき新産業都市建設基本計画等を策定し、鋭意、整備事業の実施に努めてきたところでありますが、諸般の事情によりこれらの地域に必要な公共施設の整備はいまだ十分でない状況にあります。このような状況にかんがみ、さらに新産業都市、首都圏近郊整備地帯等の建設整備を推進するため、昭和五十六年度以降も引き続き国の財政上の特別措置を講ずる必要があると考えられるのであります。  また、公害の防止に関する事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律は、国民の健康で文化的な生活を確保する上において公害の防止がきわめて重要であることにかんがみ、公害防止計画等に基づき実施される公害防止対策事業の一層の推進を図るために必要な国の財政上の特別措置を講ずることを目的とし、昭和五十六年三月三十一日までの時限立法として、昭和四十六年五月に制定されたものであります。  政府といたしましては、公害防止計画地域等における公害防止対策事業の推進に努めてきたところでありますが、諸般の事情により公害防止計画の目標等が十分達成されるに至っておらず、昭和五十六年以降も公害防止対策事業を推進するため国の財政上の特別措置を継続する必要があると考えられるのであります。  以上が、この法律案を提案する理由であります。  次に、法律案内容について御説明を申し上げます。  まず第一に、新産業都市建設及び工業整備特別地域整備のための国の財政上の特別措置に関する法律につきましては、都道府県分の利子補給措置について政令の定める基準により財政力による調整を行うこととするとともに、市町村分の国庫補助負担率のかさ上げ措置について財政力による調整の割合を若干高めることとした上、同法の適用期間を五カ年間延長することといたしております。  第二に、首都圏、近畿圏及び中部圏の近郊整備地帯等の整備のための国の財政上の特別措置に関する法律につきましては、市町村分の国庫補助負担率のかさ上げ措置について財政力による調整の割合を若干高めることとした上、同法の適用期間を五カ年間延長することといたしております。  第三に、公害の防止に関する事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律につきましては、その有効期限を十カ年間延長し、昭和六十六年三月三十一日までとすることといたしております。  以上が、新産業都市建設及び工業整備特別地域整備のための国の財政上の特別措置に関する法律等の一部を改正する法律案の提案理由説明及びその内容の概要であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げる次第であります。
  217. 安田貴六

    ○安田委員長代理 以上で本案の提案理由の説明は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ります。  次回は来る三月三日午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時二十一分散会