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1981-02-10 第94回国会 衆議院 地方行政委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日昭和五十五年十二月二十二日)( 月曜日)(午前零時現在)における本委員は、次 のとおりである。    委員長 左藤  恵君    理事 石川 要三君 理事 工藤  巖君    理事 中山 利生君 理事 安田 貴六君    理事 小川 省吾君 理事 佐藤 敬治君    理事 石田幸四郎君 理事 青山  丘君       池田  淳君    臼井日出男君       小澤  潔君    小渡 三郎君       片岡 清一君    亀井 静香君       久間 章生君    久野 忠治君       塩谷 一夫君    地崎宇三郎君       野呂 恭一君    松野 幸泰君       五十嵐広三君    加藤 万吉君       細谷 治嘉君    松本 幸男君       斎藤  実君    部谷 孝之君       岩佐 恵美君    三谷 秀治君       田島  衞君 ――――――――――――――――――――― 昭和五十六年二月十日(火曜日)     午前九時三十六分開議  出席委員    委員長 左藤  恵君    理事 石川 要三君 理事 工藤  巖君    理事 中山 利生君 理事 安田 貴六君    理事 小川 省吾君 理事 佐藤 敬治君    理事 石田幸四郎君 理事 大橋 敏雄君    理事 青山  丘君       小澤  潔君    小渡 三郎君       片岡 清一君    亀井 静香君       北村 義和君    久間 章生君       久野 忠治君    高村 正彦君       塩谷 一夫君    野呂 恭一君       牧野 隆守君    松野 幸泰君       五十嵐広三君    加藤 万吉君       細谷 治嘉君    松本 幸男君       部谷 孝之君    岩佐 恵美君       三谷 秀治君    石原健太郎君       田島  衞君  出席国務大臣         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長     安孫子藤吉君  出席政府委員         警察庁長官官房         長       金澤 昭雄君         運輸省鉄道監督         局国有鉄道部長 永光 洋一君         自治政務次官  北川 石松君         自治大臣官房長 石見 隆三君         自治大臣官房審         議官      大嶋  孝君         自治大臣官房審         議官      矢野浩一郎君         自治大臣官房審         議官      川俣 芳郎君         自治省行政局長 砂子田 隆君         自治省財政局長 土屋 佳照君         消防庁次長   鹿児島重治君  委員外出席者         国土庁長官官房         防災企画課長  城野 好樹君         大蔵省主計局主         計官      公文  宏君         地方行政委員会         調査室長    岡田 純夫君     ――――――――――――― 委員の異動 昭和五十五年十二月二十二日  辞任         補欠選任   池田  淳君     坂本三十次君   斎藤  実君     大久保直彦君 同日  辞任         補欠選任   坂本三十次君     池田  淳君   大久保直彦君     大橋 敏雄昭和五十六年一月二十八日  辞任         補欠選任   田島  衞君     河野 洋平君 同日  辞任         補欠選任   河野 洋平君     田島  衞君 二月四日  辞任         補欠選任   池田  淳君     澁谷 直藏君   臼井日出男君     海部 俊樹君   小渡 三郎君     藤田 義光君   田島  衞君     河野 洋平君 同日  辞任         補欠選任   海部 俊樹君     臼井日出男君   澁谷 直藏君     池田  淳君   藤田 義光君     小渡 三郎君   河野 洋平君     田島  衞君 同月六日  辞任         補欠選任   田島  衞君     河野 洋平君 同日  辞任         補欠選任   河野 洋平君     田島  衞君 同月十日  辞任         補欠選任   池田  淳君     牧野 隆守君   臼井日出男君     高村 正彦君   地崎宇三郎君     北村 義和君   田島  衞君     石原健太郎君 同日  辞任         補欠選任   北村 義和君     地崎宇三郎君   高村 正彦君     臼井日出男君   牧野 隆守君     池田  淳君   石原健太郎君     田島  衞君 同日  理事石田幸四郎君同日理事辞任につき、その補  欠として大橋敏雄君が理事に当選した。     ――――――――――――― 昭和五十五年十二月二十二日  地方公務員法の一部を改正する法律案内閣提  出、第九十三回国会閣法第八号) 昭和五十六年一月二十六日  昭和五十五年度分として交付すべき地方交付税  の総額特例に関する法律案内閣提出第二  号) 同月二十七日  地方財政確立等に関する請願外四十四件(井  上一成紹介)(第一号)  同(中野寛成紹介)(第二号)  同(北側義一紹介)(第一一号)  同(春田重昭紹介)(第一二号) 二月四日  地方財政確立等に関する請願村上弘君紹  介)(第二七一号)  同(沖本泰幸紹介)(第三四九号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 二月二日  コミュニティ総合施設整備事業費補助制度の創  設に関する陳情書  (第一〇  号)  極左暴力集団追放に関する陳情書  (第一一号)  地下街等防災対策確立等に関する陳情書  (第一二号)  暴力団民事介入に対する取締強化に関する陳  情書  (第一四号)  は本委員会に参考送付された。     ―――――――――――――  本日の会議に付した案件  理事辞任及び補欠選任  国政調査承認要求に関する件  昭和五十五年度分として交付すべき地方交付税  の総額特例に関する法律案内閣提出第二  号)  地方自治地方財政警察及び消防に関する件      ――――◇―――――
  2. 左藤恵

    左藤委員長 これより会議を開きます。  この際、理事辞任の件についてお諮りいたします。  理事石田幸四郎君から、理事辞任の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 左藤恵

    左藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  引き続き、理事補欠選任を行うのでありますが、先例によりまして、委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 左藤恵

    左藤委員長 御異議なしと認めます。  それでは、委員長理事大橋敏雄君を指名いたします。      ————◇—————
  5. 左藤恵

    左藤委員長 次に、国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。  すなわち、本会期中、地方行政の実情を調査し、その健全なる発展に資するため、小委員会の設置、関係各方面からの説明聴取及び資料の要求等の方法により  一、地方自治に関する事項  二、地方財政に関する事項  三、警察に関する事項  四、消防に関する事項以上の各事項について、国政に関する調査を行うため、衆議院規則第九十四条の規定により、議長に対して承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 左藤恵

    左藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  7. 左藤恵

    左藤委員長 内閣提出、、昭和五十五年度分として交付すべき地方交付税総額特例に関する法律案議題とし、提案理由説明を聴取いたします。安孫子自治大臣。     —————————————  昭和五十五年度分として交付すべき地方交付税総額特例に関する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  8. 安孫子藤吉

    安孫子国務大臣 ただいま議題となりました昭和五十五年度分として交付すべき地方交付税総額特例に関する法律案提案理由とその要旨を御説明申し上げます。  昭和五十五年度補正予算により同年度分地方交付税の額が四千六十九億円増加することとなりますが、本年度におきましては、このうち普通交付税調整額の復活に要する額百二十億円と特別交付税増額に要する額二百四十四億円とを交付することとし、残余の額三千七百五億円を昭和五十六年度分地方交付税総額に加算して同年度に交付することができることとする必要がありまするので、昭和五十五年度分として交付すべき地方交付税総額特例に関する法律を制定することとし、所要規定を設けることとしておるのであります。  以上が、昭和五十五年度分として交付すべき地方交付税総額特例に関する法律案提案理由及びその要旨でございます。  何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  9. 左藤恵

    左藤委員長 以上で本案の提案理由説明は終わりました。      ————◇—————
  10. 左藤恵

    左藤委員長 地方自治地方財政警察及び消防に関する件について調査を進めます。  この際、安孫子国務大臣から、所管行政の当面する諸問題について説明を聴取いたします。安孫子国務大臣
  11. 安孫子藤吉

    安孫子国務大臣 委員各位には、平素から自治行政及び警察行政に格別の御尽力をいただき、厚く御礼を申し上げます。  この機会に所管行政の当面する諸般の問題につきまして所信の一端を申し上げ、各位の深い御理解と格段の御協力を賜りたいと存じます。  私はかねてから、民主主義は健全な地方自治基盤の上に成立するものと確信をいたしております。わが国地方自治は、戦後幾多の試練に耐えながらたゆみない発展を遂げ、国民の間に根をおろしてまいりました。しかしながら最近の社会経済情勢は、資源、エネルギーの制約、経済成長基調の変化、高齢化社会への移行、国民価値観変化等著しい変動を遂げつつあります。このような状況のもとにおきまして、地域住民福祉向上地域社会の健全な発展を図るためには、長期的な展望のもとに行財政全般にわたり見直しを行い、地方自治基盤の一層の充実を図ることが必要であります。  私はこのような認識のもとに、新しい時代に即応した地方自治確立のためたゆまざる努力を続けますとともに、明年度における所要地方行財政施策を講じてまいる考えでございます。  以下、その概要について御説明を申し上げます。  まず、昭和五十六年度地方財政対策について申し上げます。明年度地方財政収支見通しを行いましたところ、現行制度による歳入見込み額税制改正に伴う増収見込み額を加え、さらに昭和五十五年度補正予算により増額される地方交付税の一部を明年度分地方交付税総額に加算する措置を講ずることとした場合におきましても、なお一兆三百億円の財源不足が見込まれるに至りました。この財源不足につきましては、地方財政の運営に支障を生ずることのないよう、地方交付税増額措置及び建設地方債の発行により、完全に補てんすることといたしております。  次に、このほど策定を終え、本日閣議決定を見ました明年度地方財政計画について申し上げます。明年度地方財政計画につきましては、引き続く厳しい財政状況にかんがみまして、財政健全化を促進することを目途として、おおむね国と同一の基調によりながら、次の基本方針に基づき策定することといたした次第であります。  第一は、住民負担適正合理化にも配慮しながら地方税源充実を図りますとともに、地方交付税増額建設地方債発行等により地方財源確保することでございます。  第二は、歳出全般について徹底した節減合理化を行いつつ、他方、地域住民福祉充実を図るため、住民生活に直結した社会資本計画的整備及び住民生活の安全の確保等財源を重点的に配分することでございます。  第三は、定員管理適正化等により地方行財政運営合理化を図りますとともに、国庫補助負担基準改善等財政秩序確立を図ることでございます。  この結果、明年度地方財政計画規模は、歳入歳出とも四十四兆五千五百九億円と相なり、前年度に比較し二兆九千八十三億円、七・〇%の増加と相なっております。  また、地方公営企業につきましては、その経営の健全化を図るため、引き続き交通及び病院事業の再建を推進いたしますとともに、下水道等生活関連事業を中心に地方債資金所要額確保とその質の改善を図ることとしたほか、上水道事業経営基盤強化等のための地方債措置を講ずることといたしております。  地方税について申し上げます。御案内のとおりわが国経済は第二次石油危機の影響を次第に克服しつつあり、明年度の景気の動向については、全体として明るさが増すものと期待されております。このような経済状況から、明年度においては地方税につきましてもかなりの規模税収増加が期待できまするものの、自然増収のみではなお多額の地方財源不足を生じ、また昭和五十七年度以降におきましても、昭和五十年度以降累積してまいりました巨額の借入金の返済等を考慮いたしますれば、自然増収のみで財政収支の均衡を回復することは困難であると考えられます。このような事態に対応しながら、生活関連施設整備住民福祉向上等一定水準行政サービス確保していくためには、歳出の一層の節減合理化に徹しますとともに、税負担公平確保に努める必要があることはもとよりでございまするが、このような努力とあわせて、今後とも地方自主財源充実を図っていく必要があると考えております。  明年度税制改正におきましては、このような基本方針を踏まえつつ、現下の厳しい財政事情及び地方税負担の現状にかんがみ、税負担適正化既存税制による税源の充実を図ることを基本といたしております。まず、国税における法人税税率引き上げに伴う法人住民税増収額市町村税源充実に重点的に充てるため、道府県民税市町村民税法人税割税率を調整いたしますほか、法人住民税均等割税率適用区分の基準の変更、個人事業税課税対象事業として不動産貸付業等四業種の追加、不動産取得税税率引き上げ非課税等特別措置整理合理化等を行うことといたしております。  一方、個人住民税につきましては、最近における国民生活水準推移等にかんがみまして、その課税最低限のあり方についての検討を重ねてまいったのでありますが、地方財政現状等から見まして、その引き上げを行うことはきわめて困難であるところから、明年度におきましては、所得の金額が一定の金額以下の者について非課税措置を講ずることといたしております。  また、基地交付金及び調整交付金につきましてもそれぞれ増額を行うことといたしております。  地域社会振興整備につきましては、かねてより関係各位の深い御理解を賜っておるところでございますが、地域社会の健全な発展を図るためには、それぞれの地域の特性を生かしながら、その総合的な整備を図る必要があり、そのためには、地方公共団体が主体となってこれに取り組みますとともに、国におきましても積極的に協力する必要があるものと考えます。このため、過去十年余にわたり実績を積み上げてまいりました広域市町村圏施策の一層の充実を図ることとし、昭和五十四年度から新広域市町村圏計画の策定を進めてまいったところであります。この新計画においては、田園都市構想定住構想に即し、文化、教育、スポーツ、福祉、医療、産業等あらゆる地域の課題に対応する総合的な地域づくりを進めることといたしております。  明年度は、多くの圏域におきましてこの新計画に基づく事業の実施が本格的に開始されることに相なりますが、その円滑なる推進を図るために、明年度予算におきまして広域市町村圏における各種行政サービスシステムの中心となる田園都市中核施設整備に対する助成措置の創設を初め所要財政措置充実することとし、地方時代にふさわしい地域社会整備を積極的に推進してまいりたいと存じます。  また、地域的な連帯感に支えられました近隣社会としてのコミュニティーの形成を図るため、コミュニティーにおける生活環境整備コミュニティー活動の促進など、その施策の一層の推進を図ってまいりたいと考えております。  さらに、総合的な地域社会整備に不可欠な地域経済の振興につきましても、その対策推進してまいる考えでございます。  今日、住民生活に身近な行政に対する国民の関心と期待は一段と高まりつつあり、地方行政の果たすべき役割りはますます重要となってまいっております。このような状況のもとにおきまして、最近における社会経済情勢に即応して住民福祉向上地方自治基盤充実を図るためには、まず、国と地方公共団体との機能分担適正化を図りながら、国地方を通ずる行政簡素効率化を進めるとともに、自主的で責任ある地方行政を実現する必要があると考えます。  このため、第十七次地方制度調査会の答申に示されました「国、地方を通ずる行財政簡素効率化」と「地方分権推進」を基調として、これら答申の趣旨の早期実現に向けて最大限の努力をしてまいりたいと考えます。とりわけ、国と地方公共団体との関係に係る事務の再配分、国の地方出先機関整理縮小国庫補助金等整理合理化等につきまして速やかな実現が図られるよう努めますとともに、地方公共団体において事務事業見直し、機構及び定員管理適正化等を強力かつ計画的に推進するよう指導に努めてまいりたいと考えております。  地方公務員行政につきましては、かねてから公務員秩序確立と公務の公正かつ効率的な遂行に努めてまいったところでありますが、今後とも、この方針に基づき一服務規律及び綱紀の厳正な保持と公務能率向上を図るとともに、地方公務員給与水準制度運用適正化職員増加の抑制など、給与及び定員管理改善を一層推進し、もって住民の期待と信頼にこたえるよう、さらに積極的に取り組む所存でございます。  なお、国家公務員における定年制度の導入と並行して、地方公務員につきましても定年制度を設け、時代の要請にこたえてまいりたいと考えております。  わが国消防は、戦後自治体消防として発足しましてから、制度施設等各般にわたり着実な発展を遂げてまいりました。私は、この発展の成果を踏まえ、今後とも人命尊重を最優先として、複雑多様化し、かつ大規模化する災害に対処し得るよう消防科学化近代化推進いたしますとともに、消防機関住民及び事業所等が一体となった安全な地域社会づくりのための消防防災体制確立を図ってまいりたいと考えております。  まず、消防機関施設及び装備の一層の充実高度化計画的に推進いたしますとともに、小規模消防、特に組合消防基盤強化に努めてまいりたいと考えます。  次に、消防職団員に対する教育訓練充実し、その資質向上を図るとともに、消防職団員職務内容に適応した処遇の改善を図ってまいる考えでございます。  また、消防用設備等保守管理徹底事業所等自主防災組織強化を図るとともに、地域における防災活動の拠点となるコミュニティー防災センター整備を促進する等、幅広い住民の参加による自主防災体制の育成を図ってまいる考えでございます。  次に警察行政について申し上げます。  言うまでもございませんが、治安の維持は、民主主義国家の根幹をなすものであり、国民が豊かで平和な生活を送る基盤をなすものであります。私は流動する社会情勢に的確に対応する警察運営推進を図り、引き続き治安確保に努めてまいる考えでございます。  最近の犯罪情勢を見ますと、刑法犯認知件数は昨年再び増加し、昭和四十年以降の最高を記録いたしております。特に、金融機関対象強盗事件、身のしろ金目的の誘拐・殺人事件、多数の死傷者を伴う大規模爆発事故火災等国民に大いなる不安感を与える事案が多発いたしております。  このような厳しい犯罪情勢に対処するために、警察は、さらに捜査体制整備を図りますとともに、科学資器材を活用した捜査活動を一層推進してまいる考えでございます。  さらに、最近、民事事案への介入等一段と知能化巧妙化の傾向を強めておりまする暴力団に対しましては、組織の根絶を目指した総合的な取り締まりを引き続き強力に推進いたしますとともに、国民各層に急速に蔓延している覚せい剤事犯に対しても、その取り締まり徹底するほか、覚せい剤を拒絶する社会環境づくりに取り組んでまいる考えでございます。  また、少年非行は、ここ数年来増加傾向を示し、特に最近は、校内暴力暴走族による不法事犯等、その内容も凶悪、粗暴化の様相を呈しております。  そのため、非行実態に対応した警察活動を一層強化するほか、関係機関地域団体と密接に連携した、総合的な非行防止対策推進してまいる考えでございます。  次に道路交通問題について申し上げます。  昨今の道路交通情勢は、運転免許保有者数が四千三百万人に達し、また、自動車保有台数増加傾向にあるなど一段と複雑化し、さらに昨年は、昭和四十六年以降九年連続して減少してまいりました交通事故死者増加に転ずるなど、きわめて憂慮すべき状況にあります。  そのため、警察といたしましては、国民各位理解協力を得た交通事故防止対策推進を図るため、昭和五十六年度を初年度とする第三次交通安全施設等整備事業五カ年計画を発足させ、諸施策を一層充実強化してまいることとしておるところでございます。  次に当面の治安情勢でございますが、極左暴力集団は、引き続き、新東京国際空港に対する反対闘争を当面の課題としながら、テロ、ゲリラ闘争への動きを強めており、また、陰惨な内ゲバ事件を敢行するおそれもございます。さらに右翼の動向にも警戒を要するものがございますが、警察といたしましては、強靱な体制確立し、法と秩序を破壊する暴力的行為取り締まり徹底を期する所存であります。  以上、警察当面の諸問題につきまして申し述べたのでございますが、流動する社会情勢に的確に対応し、治安の万全を期するためには、警察体制整備充実を図り、警察官資質向上を図ってまいることが肝要でございます。このため、昭和五十六年度におきましては、緊急に体制充実強化を要するものにつきまして、地方警察官二千百三十人の増員を行うこととしたのでございます。  また、警察官資質向上を図るため、警察教養徹底と処遇の改善についてさらに配意いたしますとともに、警察職員の規律の保持並びに士気の高揚につきましても一層努力をいたし、もって国民の信頼にこたえてまいる所存であります。  以上、所管行政の当面の諸問題につきまして、所信の一端を申し述べましたが、委員各位の格別の御協力によりまして、その実を上げることができまするよう一層の御鞭撻と御指導をお願い申し上げる次第でございます。(拍手)
  12. 左藤恵

    左藤委員長 引き続き、昭和五十六年度自治省関係予算概要について説明を聴取いたします。石見官房長。     〔委員長退席石川委員長代理着席
  13. 石見隆三

    石見政府委員 昭和五十六年度自治省関係歳入歳出予算につきまして、概要を御説明申し上げます。  第一に、一般会計予算でありますが、歳入は千五百万円、歳出は八兆九千七十三億九百万円を計上いたしております。  歳出予算額は、前年度予算額七兆五千四百九十五億八千七百万円と比較し、一兆三千五百七十七億二千二百万円の増額となっております。  また、この歳出予算額組織別の額を申し上げますと、自治本省八兆八千八百四十九億百万円、消防庁二百二十四億八百万円、となっております。  以下、この歳出予算額のうち、主な事項につきまして、内容の御説明を申し上げます。  最初に、自治本省につきまして、御説明を申し上げます。  まず、地方交付税交付金財源の繰り入れに必要な経費でありますが、昭和五十六年度は八兆八百三十五億二千万円を計上いたしております。  この経費は、昭和五十六年度の所得税、法人税及び酒税の収入見込み額のそれぞれ百分の三十二に相当する金額の合算額八兆八百三十五億二千万円を交付税及び譲与税配付金特別会計へ繰り入れるために必要な経費であります。  次に、臨時地方特例交付金の繰り入れに必要な経費でありますが、千三百六億円を計上いたしております。  この経費は、地方財政状況等を考慮し、昭和五十六年度特例措置として交付税及び譲与税配付金特別会計を通じ地方交付税交付金として交付する財源の同特別会計への繰り入れに必要な経費であります。  次に、借入金等の利子の財源の繰り入れに必要な経費でありますが、五千五百二十四億七千五百万円を計上いたしております。  この経費は、地方交付税交付金に係る借入金及び一時借入金の利子の支払い財源を交付税及び譲与税配付金特別会計へ繰り入れるために必要な経費であります。  次に、国有提供施設等所在市町村助成交付金に必要な経費でありますが、百九十九億五千万円を計上いたしております。  この経費は、いわゆる基地交付金でありまして、米軍及び自衛隊が使用する国有提供施設等の所在する都及び市町村に対し、助成交付金を交付するために必要な経費であります。  次に、施設等所在市町村調整交付金でありますが、五十二億円を計上いたしております。  この経費は、特定の防衛施設が所在することに伴い税財政上特別の影響を受ける施設等所在市町村に対し、調整交付金を交付するために必要な経費であります。  次に、交通安全対策特別交付金に必要な経費として、四百二十三億四百万円を計上いたしております。  この経費は、交通安全対策の一環として、反則金収入に相当する金額を道路交通安全施設に要する費用に充てるため、都道府県及び市町村に対し交付するために必要な経費であります。  次に、新産業都市等建設事業債調整分の利子補給に必要な経費につきましては、百二十三億九千九百万円を計上いたしております。  この経費は、新産業都市、工業整備特別地域等の建設、整備の促進を図るため、建設事業債の特別調整分について利子補給金を交付するために必要な経費であります。  次に、地方公営交通事業再建債の利子補給に必要な経費でありますが、二十三億三千七百万円を計上いたしております。  この経費は、地方公営交通事業の再建を促進するため、再建事業経営する地方公共団体が起こした再建債について利子補給金を交付するために必要な経費であります。  次に、再建地方都市バス事業の車両更新費の補助に必要な経費でありますが、十億五千八百万円を計上いたしております。  この経費は、再建を行う地方都市バス事業経営する地方公共団体に対する当該事業の車両更新費の補助に必要な経費であります。  次に、公営地下高速鉄道事業助成に必要な経費でありますが、百九十四億二千六百万円を計上いたしております。  この経費は、昭和四十六年度末における公営地下高速鉄道事業債に係る支払い利子に相当するものとして発行を認める企業債の利子相当額について、地方公共団体に助成金を交付するために必要な経費であります。  次に、公営病院事業助成に必要な経費として、一億八千七百万円を計上いたしております。  この経費は、昭和四十八年度末における公営病院事業の不良債務の範囲内で発行を認めた公立病院特例債の利子について、地方公共団体に対し、助成金を交付するために必要な経費であります。  次に、公営企業金融公庫の補給金に必要な経費でありますが、九十八億九千九百万円を計上いたしております。  この経費は、公営企業金融公庫の上水道事業、下水道事業、工業用水道事業交通事業、市場事業、電気事業及びガス事業に係る貸付利率の引き下げのための補給金を同公庫に交付するために必要な経費であります。  なお、このほか、同公庫につきましては、出資金を増額するための経費七億円が大蔵省所管産業投資特別会計に計上されております。  次に、広域市町村圏等の整備推進に要する経費でありますが、八億二百万円を計上いたしております。  この経費は、田園都市構想に即し、地域社会の総合的な振興を図るため、新広域市町村圏計画並びに田園都市中核施設整備計画策定及びその整備に対する助成交付金の交付に必要な経費であります。  次に、選挙に関する常時啓発に必要な経費でありますが、十一億八千万円を計上いたしております。  この経費は、選挙人の政治常識の向上を図り、選挙をきれいにする国民運動及び政治倫理化運動を推進するために要する経費について、地方公共団体に対し補助する等のために必要な経費であります。  以上が自治本省についてであります。  次に、消防庁について、御説明を申し上げます。  まず、大震火災対策に必要な経費として、四十八億五千八百万円を計上いたしております。  この経費は、震災等大規模災害に備えるための消防防災無線通信施設及び耐震性貯水槽、コミュニティー防災センターなど震災対策のための諸施設充実を図るとともに、防災知識の啓発を推進するために必要な経費であります。  次に、消防施設整備費補助に必要な経費として、百五十九億七千九百万円を計上いたしております。  この経費は、市町村の消防力の充実強化を図るため、消防車、防火水槽など消防に関する施設及び装備の充実高度化地域の実情に応じて計画的に推進するとともに、石油コンビナート、空港等における防災対策推進を図るために必要な経費であります。  第二に、特別会計予算につきまして、御説明を申し上げます。  自治省関係の特別会計といたしましては、大蔵省及び自治省所管交付税及び譲与税配付金特別会計がありまして、この特別会計の歳入歳出予定額は、十七兆四百五十二億千三百万円となっております。  歳入は、地方交付税交付金及び借入金等利子の財源に充てるための一般会計からの受け入れ見込み額、地方道路税の収入見込み額、石油ガス税の収入見込み額の二分の一に相当する額、航空機燃料税の収入見込み額の十三分の二に相当する額、自動車重量税の収入見込み額の四分の一に相当する額、特別とん税の収入見込み額を計上いたしております。  歳出は、地方交付税交付金、地方譲与税譲与金及び借入金の償還財源等の国債整理基金特別会計への繰り入れ等に必要な経費であります。  以上、昭和五十六年度の自治省関係の一般会計及び特別会計予算の概要を御説明申し上げました。  よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
  14. 石川要三

    石川委員長代理 次に、昭和五十六年度警察関係予算の概要について説明を聴取いたします。金澤官房長。
  15. 金澤昭雄

    ○金澤政府委員 昭和五十六年度警察庁予算案につきまして、概要を御説明申し上げます。  昭和五十六年度警察庁予算総額は一千五百四十七億五千余万円でありまして、前年度当初予算額一千四百九十一億四百余万円に比較いたしまして、五十六億四千六百余万円の増額となっております。  次に、その内容の主なものについて御説明申し上げます。  第一は、警察庁一般行政に必要な経費五百二十三億二千七百余万円であります。  この経費は、警察庁、警察大学校及び地方機関の職員並びに都道府県警察の警視正以上の警察官の職員俸給等の人件費、都道府県警察官二千百三十人の増員に必要な教養経費等のほか、警察庁、警察大学校及び地方機関の一般事務経費であります。  第二は、電子計算機運営に必要な経費二十九億二千九百余万円であります。  この経費は、全国的情報管理システムその他のために設置した電子計算機組織運営に必要な電子計算機の借料とそれに付随する消耗品購入費等であります。  第三は、警察機動力の整備に必要な経費百三十九億一千八百余万円であります。  この経費は、大規模地震対策の一環ともなりますヘリコプター、警察車両の購入、警察装備品の整備及び警察通信施設整備並びにその維持管理等の経費であります。  第四は、警察教養に必要な経費二十二億三千余万円であります。  この経費は、警察学校入校生の旅費と警察学校における教養のための講師謝金、教材の整備費等であります。  第五は、刑事警察に必要な経費八億一千百余万円であります。  この経費は、暴力団犯罪及び一般犯罪の捜査、取り締まり指導、連絡等に必要な旅費、物件費並びに犯罪鑑識に必要な法医理化学器材等の整備費、消耗品費、死体の検案解剖の経費のほか、犯罪統計の事務等に必要な経費であります。  第六は、保安警察に必要な経費七千三百余万円であります。この経費は、青少年の非行防止、風俗取り締まり、麻薬、覚せい剤、密貿易、拳銃等銃砲危険物、公害等に関する犯罪の捜査、取り締まり指導、連絡等に必要な旅費、物件費等であります。  第七は、交通警察に必要な経費一億七千七百余万円であります。  この経費は、交通安全に関する広報及び運転者対策等に必要な物件費並びに交通取り締まり指導のための旅費等であります。  第八は、警備警察に必要な経費五億八千四百余万円であります。  この経費は、警備警察運営に関する会議指導、連絡等の旅費、器材類の整備等に必要な経費であります。  第九は、警察活動に必要な経費百四十一億四千六百余万円であります。  この経費は、犯罪の捜査、取り締まり警察活動に必要な旅費及び捜査費であります。  第十は、警察電話専用回線の維持に必要な経費四十一億五千万円であります。  この経費は、警察電話専用回線を維持するために日本電信電話公社に支払う、いわゆる警察電話専用料であります。  第十一は、犯罪被害給付に必要な経費十一億五千六百余万円であります。  この経費は、殺人、傷害等の犯罪により死亡しまたは重障害を受けた場合、その遺族または被害者に対し国が一定の給付を行う制度を実施するため必要な給付金及び事務費であります。  第十二は、千葉県警察東京国際空港警備隊に必要な経費五十億五千八百余万円であります。  この経費は、千葉県警察東京国際空港警備隊の維持、運営に必要な旅費、物件費及び空港警備隊員の人件費等の補助金であります。  第十三は、船舶の建造に必要な経費三億八千四百余万円であります。  この経費は、警察用船舶の建造に必要な経費であります。  第十四は、科学警察研究所に必要な経費七億三千七百余万円であります。  この経費は、警察庁の付属機関として設置されています科学警察研究所職員の職員俸給等人件費と鑑定、検査、研究に必要な機械、器具類の購入費、維持費、その他一般事務経費であります。  第十五は、皇宮警察本部に必要な経費四十五億四千八百余万円であります。  この経費は、皇宮警察本部職員の職員俸給等人件費のほか、行幸啓の警衛に必要な旅費、物件費、その他一般事務経費であります。  第十六は、警察庁の施設整備に必要な経費三十八億四千余万円であります。  この経費は、直接国庫の支弁対象となっております都道府県警察学校等の施設整備に必要な経費であります。  第十七は、都道府県警察費補助に必要な経費二百十五億三百余万円であります。  この経費は、警察法第三十七条第三項の規定による都道府県警察の一般の犯罪捜査、交通指導取り締まり、外勤警察活動、防犯活動等の一般行政費の補助に必要な経費であります。  第十八は、都道府県警察施設整備費補助に必要な経費二百六十一億七千百余万円であります。  この経費は、警察法第三十七条第三項の規定による都道府県警察警察署、派出所、駐在所、待機宿舎等及び交通安全施設整備費の補助に必要な経費であります。  以上、昭和五十六年度警察庁予算案の内容につきまして、その概要を御説明申し上げました。  よろしく御審議のほどお願いいたします。
  16. 石川要三

    石川委員長代理 以上で説明は終わりました。      ————◇—————
  17. 石川要三

    石川委員長代理 昭和五十五年度分として交付すべき地方交付税総額特例に関する法律案議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。五十嵐広三君。
  18. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 いま提案説明がございました問題につきまして、まず御質問を申し上げたいと思う次第であります。  今回、交付税の補正による増額の大部分、つまり今年度国税三税の自然増収に伴う地方交付税交付金の増二千九百九億円及び五十四年度地方交付税精算分の千百六十億、計四千六十九億円から、今年度普通交付税の調整戻し分として地方団体に交付する百二十億円、それから三月特別交付税増額分二百四十四億円を控除した三千七百五億円を五十六年度に繰り越す、こういうことでありますが、一体なぜそういう特例措置を講ずるのか。先ほどの御説明でも、残余の額三千七百五億円を昭和五十六年度分地方交付税総額に加算して同年度に交付することができることとする必要があるので、こう御説明があるのでありますが、その必要の根拠について御説明いただきたいと思います。
  19. 北川石松

    ○北川政府委員 ただいま五十嵐委員からの御質問の点でございますが、従来多額の財源不足を生じておりまする地方財政状況にかんがみまして、昭和五十五年の補正予算に伴う地方交付税増加額から所要額を控除し五十六年度地方交付税に加算することが、地方財政健全化のために適当であると判断いたした次第でございまして、よろしくお願いいたします。
  20. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 追加財政需要があるかどうかということは、結局は個々の地方団体が自主的に判断すべきものであって、国の段階で一括して五十六年度に繰り越すというような措置をとることは、どうも交付税単年度処理の原則に照らしましても問題があるのではないか。地方財政秩序であるとか地方交付税の本来の性格からいって、こういう特例措置をとることは適当なこととは思われぬのでありますが、いま次官は、健全なる地方財政のためにというお話がありましたが、むしろそれは逆行することに、地方財政秩序からいうと問題があるのではないかと思うのでありますが、いかがですか。
  21. 北川石松

    ○北川政府委員 ただいま五十嵐委員から御指摘の点につきましては、地方財政財源に充て、また所要地方行政の中に交付税の必要性を加味して今日までまいっております。特に、今回三千七百五億の予算を五十六年度に繰り越すことの特例をお願い申し上げますのは、将来の財政状況を見まして地方財政の円滑なる運営を図るためには、これを五十六年度特別交付税として繰り越すことが必要であるという見解のもとに、お願いをした次第でございます。  詳しい点につきましては、事務当局より御説明をいたさせますから、よろしくお願いいたします。
  22. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 ただいま政務次官から基本的なお点でお答えを申し上げたわけでございますが、五十五年度補正予算に伴います地方交付税増加額につきましては、よく御承知のように、毎年度巨額の財源不足を生じ膨大な累積赤字を抱えております地方財政状況にかんがみまして、地方財政健全化に資するという見地から、その使途については、私どもとしてもいろいろな角度から慎重に検討を行ったわけでございます。  たとえば、すでに発行した地方債の繰り上げ償還に充て得るかどうか、五十五年度発行予定の財源対策債の減額に充てる方法があるのか、あるいは特別会計借入金の償還に充てる方法があるのかといったような見地から、それぞれについて検討したわけでございますけれども、結果といたしましてはそれぞれに問題がございまして、昭和五十五年度普通交付税の調整減額分の復活財源として充てるべき額と所要特別交付税増額分を控除した額は、五十六年度地方交付税に加算する措置を講ずる、そのことによって五十六年度財源不足額を減少させると同時に、財源対策債の縮減を図るということができるわけでございますので、それが地方財政健全化に資するというふうに私どもとしては判断したわけでございます。     〔石川委員長代理退席、委員長着席〕 また、さらに重ねて御指摘がございましたような、年度間調整といった点については地方の自主性に任せるべきではないかという点につきましては、私どもも、地方団体の自主性、自律性という点から考えますと、年度間調整は原則的には地方団体が行うのがたてまえであるというふうに考えております。しかし、先ほども申し上げましたような地方財政状況から見まして、しかも、膨大な赤字という場合でも個々の団体が借りております地方債、そういう形での赤字のほかに、大もとのところで交付税特別会計で一括して借り入れておるといったような特別な財政状況のもとでございますので、そういった場合はすでに策定されました地方財政計画に従って財政運営が進められてきた。この年度末に至りまして、補正予算に伴って交付税の増加額が生じたわけでございますから、こういう際は、全体的な財源対策の中で地方財政健全化に資する方向で処理をすることが適当であるというふうに判断をしたわけございます。  るる申し上げましたように、いろいろな角度から検討いたしましたが、やはり全体的な財源対策の中で地方財政健全化を図っていくということが大事であろうということで、御指摘のような増加分についての措置をとった次第でございます。
  23. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 どうも納得がいかぬのでありますが、先ほどお配りいただきました調査室資料第一号でありますが、十ページの下半分ぐらい、「なお、今回の特別交付税の二百四十四億円は、五十五年度特別交付税総額が四千八百四十七億円(前年度比五%増)と限られている上に、昨夏の冷害や今冬の豪雪などで地方団体の追加財政需要が特に多いという観点から増額されたものであり、この額は、三月分の特別交付税に加え地方団体の除雪事業等に対して追加交付することが予定されている。」こうなっているわけであります。しかしこれは、二百四十四億の今回の特交の増額というのが決まったのは、去年の十二月二十日ですかの地財交渉の中で決まったわけですね。しかしそのときには、別に豪雪なんということにはなっておらなかったのじゃないですか。その辺はどうなんですか。
  24. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 御指摘のように、五十六年度財源対策を講じます際に、五十五年度に生じてまいります交付税のうちから特別交付税を二百四十億余り措置をするということにいたしたわけでございますが、その際は、御承知のようにまだ雪が降ってなかったわけでございます。本年度は、非常に交付税の伸び率が低かった、したがって増加額も少なかったわけでございますけれども、特に冷害による特別の財政需要が非常に多かったわけでございます。そういうことを頭に置いて今後の財政需要を考えました場合に、私どもとしては当然過去の例に照らして、豪雪が起こった場合はどういうふうになるかとか、いろいろなことを含めて検討したわけでございます。そういうことから、豪雪等による新たな財政需要の発生も見込まれるということで、五%ではとても足りないということを考えまして、せめてこれは一〇%台に乗せるべきだという考えのもとに実は増額を図ったわけでございます。  確かに、そのときに、どの程度の正確な額が要るとかどうとかいうことはなかったわけでございます。過去の実例等に照らしてこのくらいの枠は必要だ、これだけあればある程度対応できるというような想定をして、これだけの額を確保したわけでございます。
  25. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 そういうことだろうと思うのでありますが、とにかく、しかしこれほどの豪雪被害というのは全く当時は予想はしておらなかったのじゃないだろうかと思うのであります。冷害に加えてのこの豪雪でありますから、地方での財政需要というものも大変なものがあろうというふうに思うのであります。  そこでちょっと国土庁の方、きわめて簡潔で概要でいいのですけれども、今回の豪雪の規模といいますかその程度、あるいはそれに対する対策であるとか、あるいはまたそれに対する財政的な措置等についての考え方を、手短で結構でございますからちょっとお話しいただきたいと思います。
  26. 城野好樹

    ○城野説明員 御説明を申し上げます。  昨年の十二月中旬からの豪雪によりまして、現在、死者が八十六名、負傷者七百二十七名、建物の全半壊等百九十戸というような被害を生じております。  現在のところ政府におきましては、五十六年豪雪災害対策本部を設けておりまして、われわれの方で事務局を勤めさせていただいておるわけでございます。地方公共団体におきましては、県レベルで災害対策本部、雪害対策本部というようなものを置かれておりますのが、福井、富山、右川を初め十二府県でございます。市町村で災害対策本部等を置かれておりますのは三百七十八市町村、災害救助法の適用をしております市町村が四十一市町村ということになってございます。  一時、国鉄、国県道等不通個所もございましたが、現在のところ除雪に努め、また、雪の状況がかなり落ちついてきておりますので、不通個所は、なだれの危険による一時的な交通どめ以外はない状況でございます。  ことしの雪の特徴を申し上げますと、五十二年の雪の状況と比べてみますと、降り方が一カ月早かったということが言えると思います。それから、豪雪地帯でございます北海道、青森、秋田というような北の方が、まだその水準に達していないと申しますか九割方という感じでございまして、どちらかと申しますと西の方、つまり福井、富山、新潟というようなところで非常に雪が降っておりまして、ある一定の公共団体に限って申し上げますと、三八豪雪よりも多いというようなところもあるわけでございます。総じて申し上げますと、三十八年の豪雪ほどはまだ降っていない。全体的には降っていない。ただ、西の方にそれがシフトしたということと、それから寒くなる前に降りましたものですから、雪の質が非常に重くなっておりまして、そのために除排雪等に非常に難渋をしておるというような状況があらわれております。  政府の方としましては、対策本部を設けまして、諸般の対策の調整を図っておるところでございますが、すでに新聞等で御存じのように、二月四日に本部会議を開催いたしまして、これらの対策につきましてややまとめたものがございます。  その主なものを申し上げますと、道路交通をとにかく確保する。今後も雪が降ることが予想されますので、道路交通確保に全力を挙げるということでございまして、これに対する財源確保につきましては、今後とも万全を期するということにいたしておるわけでございます。なお、市町村道の除排雪の費用につきましては、昭和五十一年に、平年度の除雪費を超える分について二分の一の国庫補助をやった例がございます。その特例措置に準じた措置を講ずるということを決めておる次第でございます。  そのほか、林業関係の被害が非常に出ておりまして、これにつきましては、今後被害の全体像の把握に努めながら、激甚災害の復旧造林の指定等の措置を検討していただくことといたしております。  特に、中小企業者に対しましては、閣議の決定によりまして、激甚災並みの低利の融資を政府系の金融機関によりまして実施するということにいたしておりますし、被害農林漁業者に対しましても、天災融資法の適用を前提としたつなぎ融資ということを考えておるわけでございます。  なお、当委員会関係することとしましては、地方財政上の措置といたしまして、除排雪費用が著しく多額に上る地方公共団体につきましては、所要経費の報告を求めまして、普通交付税額、降積雪量等を勘案した特別交付税を交付していただくということで、現在作業に入ってもらっておると理解をいたしております。  そのほか、租税の減免等につきましては、現在、所得税法の改正を国会にお願いしてございまして、雪おろし費用につきまして、年五万円を超える支出金額を雑損控除として所得控除ができる措置をとろうということにしておる次第でございます。  以上、主な点について申し上げた次第でございます。
  27. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 いま、大体御説明いただいたそれぞれのことについて、ぜひひとつ精力的に作業を進めていただきたいと思います。あるいはまた、お聞きしますと、死者等の災害の弔慰金についても、従前の百万円ではとても少な過ぎるのじゃないかということ等もあるようでありますし、これらにつきましてもそれ相応の御努力を、これは法改正が必要なそうなのでありますが、そんなこと等についてもお願いを申し上げておきたいというふうに思います。  そこで、いま御説明がありましたように相当な被害規模ということになっているわけでありますが、これに対して、とても交付税の措置だけでは限界があるわけでありますから、五十一年程度の被害の場合でも当然予備費の使用が行われたわけであって、ぜひひとつ今年も予備費使用による助成措置を行うべきだというふうに思うのでありますが、大蔵省、ちょっと見解をお伺いしたいと思います。
  28. 公文宏

    ○公文説明員 お尋ねのように、特別交付税中心にして除排雪の経費に対する財源措置を講じていくということがまず大原則であろうと思いますけれども、いまお話がございましたように、五十一年度の例でございますと、豪雪の程度が全国的に広がっておりましたし、それから除排雪のための経費の増加が巨額であるというようなことがございましたので、本来なら全額地方負担で行うべき市町村道の除雪費につきまして、特に臨時特例措置としまして平年度の除雪費を超える二分の一について国費で負担をする、その負担につきましては予備費の支出をするということを五十一年度では行ったわけでございます。  今回の豪雪につきましては、もちろん、いま降雪中でもございますし、全体としての被害の総額地方の負担増の状況あるいは特別交付税がどの程度に決まるかというようないろいろな問題がございますので、まだ不確定ではございますけれども、必要があれば五十一年度に準じた措置を国費においてやりたいというふうに考えております。
  29. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 ぜひ、そのような措置をおとりいただくようにお願いを申し上げたいと思います。  先ほどお話がございましたように、二百四十四億の特交増額分を決めた段階では、この豪雪の問題は生じておらぬ時期の話であって、その後こういう大変に規模の大きい災害が起こっておるわけでありますから、そういう面でどうも極端な傾斜で特交の配分がなされると、これまたそうでないところは、従前の冷害その他もあるわけで、いろいろ問題の出てくる自治体もあろうと思いますので、ぜひひとつここは予備費を活用するという面でも強く大蔵省に御折衝いただきたい、こういうぐあいに思います。  そこで、次の問題に移りたいと思うのでありますが、それは新幹線の整備五線にかかわる問題で、関係地方自治体としてはこの間来非常に心配の多い地元負担の点について、御質問申し上げたいというふうに思うわけです。  五十六年度の政府予算案で新幹線整備五線の工事費として百二十億円計上したようでありますが、運輸省の方にお伺いいたします。つまり、ことしはやるわけですね。それは何線を着工しようというお考えでおられるのか、その辺ちょっと、まずお伺いしたいと思います。
  30. 永光洋一

    ○永光政府委員 お答えいたします。  五十六年度の予算につきましては、いま先生がおっしゃいましたように、国鉄と鉄建公団につきましてそれぞれ二十億、ずつ合わせて四十億の調査費と、さらにそれぞれ四十億合わせて八十億のいわゆる財政投融資及び利用債による建設費というものがついておるわけでございますが、考え方としまして、この前に申しました調査費につきましては、これは従来からいわゆる調査費で整備五線について調査をやっておりまして、これにつきましては引き続き所要調査を進めたいというふうに考えておりますが、建設費としての財政投融資並びに利用債によりますところの八十億につきましては、なおいろいろ前提要件がございまして、どの線をどうするというようなことを現在はまだ考えておりません。
  31. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 十二月の上旬ですか、自民党の国鉄基本問題調査会及び交通部会で整備新幹線の通過各県に工事費や利子の三分の一を負担させる案をまとめて、関係の知事さんら各県代表の意見を求めたと新聞等では伝えておるわけであります。この場合、地元負担の額は最低で八十億、最高で四千五百億になると言われておりまして、各県とも千億から二千億程度の負担というのであります。実はこれは大変な額なんでありまして、自民党の部会の考えとしてはこういうことのようでありますが、運輸省としてはどうですか。
  32. 永光洋一

    ○永光政府委員 ただいま申しましたように、建設費として計上いたしました財政投融資及び利用債につきましては、これは公的助成の方法あるいは地域の負担に関する制度整備されるまでということで、一応条件がついた建設費を計上しておるわけでございまして、新幹線の建設は都市間旅客輸送の一翼を担いまして、地方の開発発展にも資しますし、あるいは地方住民生活なり利便の向上にも資するわけで非常に役割りとしては大きい、こういうふうに考えるわけでありますが、今後の新幹線につきましては、輸送量の想定も従来ほどには見込まれませんし、採算上等の問題もございまして、従来のような助成方式では国鉄財政等の面からもいろいろ問題があるところであります。したがいまして、非常に地域の要請が強い、地域の開発効果もあるし、先ほど申しましたような地域住民の利便の向上という観点からも、何らかの形での地域の負担というようなことを検討するということで、一応それを条件にいたしまして建設費がついておるわけでございます。  そういうことでございますので、自民党の報告につきましても地元負担を前提としておるという報告が出ておりますので、一つの検討の素材としてわれわれとしても今後関係省庁と検討してまいりたい、こういうふうに考えております。
  33. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 もう一遍お聞きしますけれども、八十億というのは、つまり地元が負担する、そういう財政的な協力をするということを条件にこれについてはつけてあるのだ、言いかえればそういうものがなくちゃ執行していかないのだ、条件というのは。そういうぐあいに受け取っていいですか。
  34. 永光洋一

    ○永光政府委員 いまの八十億の建設費につきましては、公的助成の方法と地域の負担に関する制度整備されるまで留保をするということになっております。
  35. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 大体お聞きすると、自民党さんのお考えのような趣旨で運輸省も考えている、大筋そんなようなことのように受け取るのでありますが、しかし、これはさっきもちょっと言いましたけれども大変な負担額になるわけですね。三通りばかりの計算の仕方を、自民党さんの方では一応案としては出しているようでありますが、このうちの二十年全額利子補給という案で見てみますと、たとえば北海道の場合には四千五百億円、そうすると五十五年度の予算規模が、これは補正の分も含めて北海道の予算というのは一兆四千四百億ぐらい、この今年度の予算総額のうちの三割強ということになるわけですね。青森の場合ですと、これは北海道新幹線、東北新幹線両方にまたがって負担するわけですから、その両方を考えると、青森県の年間予算の六割強という驚くべき額になる。長野で四割強、富山で七割、熊本で四割強、長崎、鹿児島で三割くらい。こんな金を自治体に負担せいと言ったってできるものでないじゃないですか。できるできないよりも、これは明らかに地方財政法違反でないかと思うのですが、自治省の見解はどうですか。
  36. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 私どもの考え方といたしましては、新幹線の建設そのものが、国土の基幹的な交通網の整備の一環といたしまして日本国有鉄道あるいは鉄建公団が行う事業であると思っております。現行の国と地方間の事務配分なり財源配分のたてまえから見まして、地方団体がこれに関する財政負担をする性格のものではないというふうに考えております。また、いまお示しのございましたように、地方財政再建促進特別措置法の二十四条の二項の規定によります日本国有鉄道等への寄付などの禁止というのはこういった趣旨から設けられたのでございまして、地方公共団体財政負担をすることはできないものでございますし・また厳しい地方財政の現況から見まして、いま自民党案というよりも部会あたりでの一つの試案として出されておるものではございますが、その資料等を見ましても、地方公共団体が現実にこういった巨額の負担をする余地があるはずはないと私どもは考えております。
  37. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 非常に明快な御答弁で心強く思うわけです。法違反でもある、そんなことは全く考えられぬということでありますが、次官、なおひとつ念を押してお答えをいただければありがたいと思います。
  38. 北川石松

    ○北川政府委員 五十嵐委員の、地方公共団体が新幹線の負担をすることは、ただいま財政局長から御説明申し上げたとおりでありますし、自治省は地方自治団体の発展のためにあるものと考えておりますので、そのようにいたしたいと思っております。
  39. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 しかも、大体交通というのはもっと計画的に体系的に考えるべきで、地元の負担のできるところから先にやるとかやらないとかという発想もおかしな話であって、どうもその辺は新幹線の問題だけでなくて、論ぜられている本当にいま地方の自治体としては頭の痛い国鉄再建法による地方線の廃止の問題も同じようなことが言えるのじゃないかと思うのでありますが、いまの新幹線の点はひとつぜひそんなことでがんばってほしいと思います。  そこで、地方線の問題に最後に少し移りたいのであります。  全国の市町村あるいは都道府県が全く青くなっている問題でありますが、お伺いすると、それらの地方自治体の大変な心配というものを、気持ちをくんで、いわばその代表選手のようなかっこうで自治省が運輸省との交渉の中で大変にがんばっているという話をわれわれは仄聞していて、そういう面では非常にうれしく心強く思うわけです。  しかし、一説では、口の悪いのがいて、あれはやはりポーズではないか、しまいにはばさりといくのではないかということも言われていないわけではないのですが、ぼくはそう思わないのです。これは本気になってやってくれているなと思うのでありますが、何か近々政令が決まるとか決まらぬとか言われておる折からだけに、ここでひとつ自治省としての踏ん張りぐあいを心配しておる全国の沿線の自治体にもこの際お知らせをいただく意味で、少しお漏らしを願いたい、こういうふうに思います。
  40. 大嶋孝

    ○大嶋政府委員 ポーズではないかというお話だそうでございますけれども、決してそういうことではございませんで、私どもとしては、地方ローカル線というものが地域社会におきまして、重要な基盤施設として大きな役割りを果たしておるということに着目をいたしまして、やはりどうしても地域の実情、将来の開発の状況といったものを十分配慮した上で、特定地方交通線というものを選定をしなければならない、それを無視された選定ということはあり得ないということで、基本的には考えておるわけでございます。
  41. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 もうちょっと中身に入って、どうですか、次官からでも。こうやってがんばっているんだというようなところをひとつ。
  42. 北川石松

    ○北川政府委員 ただいまの五十嵐委員の、地方公共団体の中の民意をとうとぶ御質問の中でのローカル線廃止ということは、自治省といたしましては、法令の設けられた範囲内の折衝でありまして、地方の民意をどのように生かすかということで、いま運輸省と鋭意折衝中でございまして、地方公共団体のそういう熱情を無視することはできないと考えております。
  43. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 ぼくらなんか、再建法による地方線の廃止というのは、本当にいわば過疎の促進法ではないかというようなことを言っているわけです。去年の十一月に国土庁が発表した過疎白書を見ましても、昭和三十五年当時から見ると、老人人口比率は確実にふえて、六十五歳以上人口は当時の二倍になっておるということだそうです。反面、青年人口は実に半分近い激減をしている。ですから、一方で過疎対策法ができてはいるのでありますが、そういう中で過疎の実態というものは一向に直っていかない。  この白書では、またこういうことを言っています。人口定住を実現するため、生活環境、生産基盤、就業機会など、諸条件を総合的に整備しなければならぬ。いいことを言っているわけであります。言っているのだけれども、実際にやっていることは逆行するようなことが、地方線の廃止のように出てくる。これではうまくないと思うのですね。三全総における定住圏構想でもそうだし、あるいは自治省における田園都市の広域市町村圏考え方だって同じことで、そういう構想と具体的な中身と全く逆なことが現実にわれわれの前にどんどん行われているということは、地方から見ると、地方時代どころか非常に地方虐待の時代でないか、こういう気持ちがしてならないわけです。  ここはやはり自治省ががんばってほしい。さっき言いましたように、非常にがんばっていただいているというふうにはお聞きしているのでありますが、何としても腰を入れて、結果から見てやはりポーズであったかなんというようなことはないとは思うが、しかしそういうことにならぬようにがんばってほしいと思うのです。ぼくはどう考えたって、確かにいま歴史的な転換期を国鉄は迎えている、しかしそういう大きな転換期だから、カーブは大きく回るようにしなくてはいかぬと思うのです。余り急に、直角に曲がるような考え方でいると脱線するのじゃないかと思うのです。  それで、運輸省の方もお見えになっておるようでありますからちょっとお聞きしておきますが、運輸政策審議会で作業中の総合交通政策の見直しというのは、大体いつごろ答申になる予定ですか。
  44. 永光洋一

    ○永光政府委員 直接の担当でありませんので、はっきりしたことは申し上げかねますが、ことしの春から夏にかけて答申を得るというように聞いております。
  45. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 大体、総合的な交通政策ができないで、どうしてレールの問題だけ先行できるのですか、ぼくはおかしいと思うのだ。やはりいろいろな交通の分野があるわけで、そういう分野、分野の機能に応じた総合的な交通政策というものができて、その中で国鉄というのはどういう任務を分担するのかということにならなければ本当でないんじゃないですか。地方の各地域交通総合政策だってそうでしょう。いまそれぞれ各地方で作業が進んでいる。これからあちこちでまとまっていくわけですね。そのまとまった上で、その地域におけるレールの地方線がどうなるのか、残すのかやめるのかということだって判断していかなくてはいかぬわけで、そんなことが後になってしまってレールの問題だけ先行するということは、ぼくはやはり国土全体の交通政策としておかしいのではないかと思う。どうもそんな意味からいったって、国鉄再建法というのは、法律はできたのだけれどもここのところで少し執行猶予してはどうですか。もう少し慎重に、総合的な交通政策を練って悔いの残らぬようにしていく。目の前の財政の問題だけでなくて、その必要があるのではないかとぼくは思うのですが、いかがですか。
  46. 永光洋一

    ○永光政府委員 国鉄の経営問題といいますか、経営再建という問題は、やはり国家財政の中の三K問題の一つとして解決すべき緊要な課題であると思いますので、それの一環としての地方交通対策というのはわれわれとしては早急に取り組みたい、こういうふうに考えておりますので、ひとつその点は御理解をお願いしたいと思います。
  47. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 この後も、先輩の小川委員さんから関連する質問があるようでありますから、ぼくはこれで終えたいと思いますけれども、一九七三年に西ドイツの新交通政策で「人間優先−交通政策のための時刻表」というのを出していて、ここで彼らなりの総合交通政策を立てている。ぼくは、その政策の中で非常に学ぶべきものだと実は感じましたのは、社会的な交通費用というものをまず計量化して、国民経済としての交通バランスシートというものをつくっているわけですね。そういうようなことをやはりわが国だってやる必要があるのではないか。  たとえばその西ドイツの場合で、自動車がどんどんふえていって道路が渋滞する、その混雑費用というのは一体どうかという計算をしているわけです。大体混雑率は八%くらい、金額にして百億マルクという計算になっているのですね。あるいはまた交通事故がある。その交通事故の人的なあるいは物的な、しかも直接、間接の費用、弁護士費用から警察費用から全体を含めて、そういう交通事故関連の総費用というものが何ぽかという計算をする。向こうでは百八十億マルクというのであります。ですから、いまどんなところですか、円で一マルクですと百円をちょっと切っていますか、仮に百円と計算しても混雑費用で一兆円、交通事故の直接、間接の費用で一兆八千億円、こうなるわけですね。  こういうような計算というものをそれぞれきちっと立ててみて、一体道路におけるコストというのはどうで、レールにおけるコストは何ぼか、こんなことを計量化した上で総合的な交通政策を立てて、分野別に必要な政策的な誘導をする。あるいは税制上で誘導をすることもあると思うし、あるいはまた財政投融資上引っ張っていく方法もあると思うし、規制の上で誘導する方法もあろうと思うわけだし、そういうものがなされながらレールの問題が出てこなければ、ぼくは本当でないと思うのですよ。  けさある新聞で、おととい発表になった運賃の問題が出て、「救いのない国鉄運賃値上げ」というテーマで書かれていましたが、そういう感じがしますね。それは運賃の値上げだけでそれを考えていくとか、つまり国鉄の範囲内だけで国鉄の問題を考えるというのではなくて、もう少しやはり総合的な交通政策として把握をしない限り、ぼくは、いつまでこういうことを論じていたって、いい打開策というものは出てこないのじゃないかという感じがしてなりません。そういう意味からもつくづく感じますのは、余り政令による地方線の廃止を急がないで、切ろうと思えばいつでも切れるように法律というものはできているわけだから、むしろここでじっくりと総合的な論議を進めて、その中で判断していくべきじゃないかという感じもするわけです。また、そんな意味も含めながら、地方自治体の切ない心情というものをひとつおくみ取りいただいて、自治省、なおひとつ御踏ん張りいただきたいということをお願いを申し上げて、質問を終えたいと思います。
  48. 左藤恵

    左藤委員長 関連して、小川省吾君。
  49. 小川省吾

    小川(省)委員 今回の政府の補正予算で四千六十九億円の交付税が出てまいりまして、三千七百五億円を来年度へ回して三百六十四億円を五十五年度に使うということでございますけれども、本来ならば交付税というのは翌々年度に回すのが本当であり、ノーマルな姿であろうというふうに思っております。そういう意味では、昭和五十六年度地方財政対策財源総額を一兆四千億と定めてやればよかったのに、三千七百五億円を来年度に回すということでございますけれども、ノーマルな姿に当然どこかで返さなければならないのですけれども、どういう形にどういう方向で今後持っていこうとされておるのか、その辺を伺います。
  50. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 今回の五十五年度地方交付税増額分を、特定のものを除いて五十六年度へ繰り越して使うということにいたしましたのは、先ほどるる申し上げましたように、地方財政健全化という見地から、いろいろな角度から検討いたしまして、総合的な財政対策という形の中で実は処理をすることになったわけでございます。この点については、私どもも地方の自主性、自律性という観点から見れば、年度間調整というものは本来地方団体が考えていくことがたてまえだろうと思うわけでございます。しかし、きわめて異常な現実の事態に対応して、いまのような方式をとっておるわけでございます。  今後どうしていくかということになりますと、そのときどきの地方財政状況を十分勘案して、判断をしていかなければならないというふうに考えております。地方財政の収支の均衡が回復をいたしまして、健全化が達成できた場合は、おのずから対応の仕方も異なってくるということになるかもしれませんが、今回は先ほどから申し上げましたような方式が最も適当であるという判断をいたしたわけでございます。  本質的な点に立ち返ってどうするかということは、今後のそういった地方財政状況を見ていかなければならぬし、また地方財政の収支の均衡を回復をいたしまして健全性を回復するということが私どもの願いであり、そのための各歳出面での節約のほかに、制度面にわたっても今後いろいろと検討を進め、実現できるように努力をしなければならないというふうに考えております。
  51. 小川省吾

    小川(省)委員 地方財政が厳しい状態にあることはよくわかります。ですから、そういう措置をとられたことも理解できないわけではないのですけれども、地方財政が収支が好転をして健全な状態にいつ戻るか。あるいは私はしばらくの間戻れないのではないかというふうに思っているのですが、いつごろになったらそういう収支の状態が健全な状態になるというふうに見ておられますか。
  52. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 ここ数年間、毎年大幅な収支の不均衝状態でございますが、五十四年度、五十五年度と漸次財源不足額も減少してまいりまして、五十六年度も減ってはきておりますが、基本的に考えますと、やはり一兆を超える大きな収支の不均衡の状態にございます。私どもとしては、そのことのほかに、すでに今日までに普通債で二十九兆円も累積があるといったようなことや、交付税特別会計で七兆七千億の借入残があるといったような、そういった地方財政の体質というものについて十分反省をして、その健全性への回復ということに心がけなければならないと思っておるわけでございます。  ただ、現在はきわめて抑制基調に立って歳出も縮めておりますが、今後どういった形になっていくのか。基本的には、私はやはり歳出の節減、合理化ということを基本に置いて、そしてまた歳入面においては、基本的には地方税の増強ということを中心に、所要の交付税の確保ということを図っていかなければなりません。それが今後いつごろ回復するかということになりますと、今日のような非常に不安定、不透明な時代でございますので、私どもとしてもできるだけ歳出面で切り詰めながら、別途ただいま申し上げましたような歳入面での工夫を講じていかなければならないわけでございますけれども、明確にいつごろならよろしいという、そういうふうに健全性が回復できるというめどはつかないわけでございます。  しかし、なるべく早期に収支の不均衡を解決するのみならず、過去の借入金等について返済ができるような体質に持っていきたいということで、今後地方制度調査会その他いろいろ御意見を伺いながらなお努力をしてまいりますが、いつごろ回復するのかという直截的なお尋ねに対しては、ちょっと私もお答え申し上げにくいわけでございます。できるだけ早期にということで努力をするということしか、申し上げかねるわけでございます。
  53. 小川省吾

    小川(省)委員 昭和五十五年度に三百六十四億を回すわけでございますけれども、百二十億の調整戻しと、特別交付税として二百四十四億でございますけれども、除雪対策費用として、来月の上旬に配分をされる特別交付税の豪雪対策の費用としては、この二百四十四億だけなんですか。それとも、あるいは全体では三百億なり三百五十億なりというのを考えておられるのですか、どうですか。特別交付税の中で豪雪対策に回される予定の額というのは、おおよそどのくらいになるのですか。
  54. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 豪雪対策として特別交付税がどの程度になるかということでございますが、私どもといたしましては、適切な時期に関係地方団体から報告を求めまして、その結果に基づいて普通交付税措置額を上回る団体について、特別交付税によって措置をするということにしておるわけでございます。したがいまして現時点では、除排雪経費等が全国的にどの程度の額に上るのかということがまだ不明でございますので、特別交付税でどの程度措置すべきかということはわかってないわけでございます。  二百四十四億を豪雪対策として使うという意味ではございませんで、すでに措置しております本年度の経常経費でございます除雪経費、普通交付税の六百二十二億、それとあわせてできるだけ特別交付税で枠をとって対応してまいりたいと思っておるわけでございます。
  55. 小川省吾

    小川(省)委員 いま言われるように、除排雪の費用として二百四十四億では、私は恐らく不足だろうと思いますので、ぜひひとつ存分な費用を見ていただきたい。そして同時に、先ほど五十嵐委員からもありましたけれども予備費を使うような形にして、厳しい地方自治体の財政状態でございますから、ぜひひとつ十分な豪雪対策費用を計上していただきたい、このことをお願いしておきたいというふうに思っています。  そこで運輸省に伺うわけでございますが、これまた五十嵐委員の方から御質問がございましたけれども、当然総合交通政策を確立して後に、ローカル線を切るなどということは打ち出すべきであったにもかかわらず、なぜ国鉄は財政がらみの地方交通線を切り捨てる方向を先に出して、総合交通政策の確立をおくらせたのか、この辺私ども大変疑問のところでございまして、なぜそのような方向をとったのか、伺いたいと思います。
  56. 永光洋一

    ○永光政府委員 総合交通体系と申しますか、鉄道の役割りというようなものにつきましては、従来から、昭和四十六年当時の総合交通体系答申等々もありますが、国鉄再建にかんがみます一昨年の十二月の閣議了解におきましても、鉄道の特性としての分野は都市間輸送と大都市の鉄道輸送、それから定型大量な貨物輸送、この三分野がわが国における鉄道の特性が発揮できる分野であって、この点に集中重点化を進めて、その他の分野については、他の、たとえば道路輸送等の特性がより優位であるというような観点から減量化を進めるという考え方は、やはり全体の交通の総合性の中から生まれた一つの考え方ではないかと思います。  しかも地方の輸送につきましては、これは昭和四十六年度の総合交通関係答申あるいはその後の三全総等の考え方におきましても、交通需要の少ない地方交通については道路を利用する交通機関が主たる分野を占めることになるだろうし、道路輸送への転換が適切と認められる地方の鉄道については、順次地方の足を確保しながら転換していく方が国民経済的にいいのではないか、こういうような考え方が従来からつながれておりまして、そういうような考え方のもとにそれを踏まえながら、さらに国鉄の経営という観点から地方ローカルにつきましてその対策推進していこうということでございまして、総合的な交通の視野からやってないということではないと思います。  さらに、先ほど申しましたように運輸省におきまして、運輸政策審議会で総合的な交通政策を練っております。これは恐らく一つの大きな考え方を打ち出すということでありましょうし、むしろ地方のローカル線対策につきましては、再建法で述べられておりますように、それぞれの線について個別に協議会を開催しまして、その線の代替交通についてどうするかということを十分地方の御意見を聞きながら進めていくことによって対応いたしたい、こう考えております。
  57. 小川省吾

    小川(省)委員 時間がありませんから、永光国有鉄道部長と大嶋審議官、北川政務次官に要望をいたしておきたいと思います。  実は私の選挙区にも、足尾線という廃止予定になっている一本の線がございます。私は委員会の中で何回も取り上げて質問を申し上げましたし、特に硫酸を輸送をしておる線でございます。そういう意味でこういうものは、政令を制定する際にはぜひ外していただくようにお願いしたい。二百台以上のタンクローリーで硫酸を輸送するなどということは、住民にとっては危険きわまりないことでございますから、こういうものは政令を指定するときにはぜひ外していただきたい、このように思っているわけであります。  政令は、運輸省の願望としては二月下旬ということでございますが、何も急ぐことはない。全体的な、総合的な交通政策が確立をされてからでも結構なんでありますから、ぜひひとつ政令の確定は延ばしていただいて、全体的なコンセンサスが得られるような状態になってから行っても十分である、こう思っています。自治省が、このローカル線の廃止について非常にがんばっていただいておることは、心から敬意を表しておりますが、そういう意味でぜひ、運輸に対して同意を与えることのないように今後ともがんばってください、このことをお願い申し上げまして質問を終わります。
  58. 左藤恵

  59. 大橋敏雄

    大橋委員 私は、この地方行政委員会に所属をいたしましてきょうが初めての質問であるわけですが、それに自治大臣が予算委員会の方にとられていましておいででない、非常に残念に思いますけれども、幸いに優秀な政務次官さんがおいでですから、短い時間ではございますが真剣に質疑を交わしたいと思っております。  よく八〇年代は地方時代だとか、民主主義地方自治にある、あるいは国民生活に直結しているのは言うまでもなく地方自治である、こういうことが盛んに言われるわけでございます。こういう言葉からすれば、何となく胸ふくらむ思いで私もこの委員会に参ったわけでございますが、地方行政のふたを開いて中をのぞいて見れば、そこには財源不足に泣いている地方公共団体の実態が浮かび上がってくるわけです。  また、財政力指数というものによって全国三千三百二団体の内容を分類してみますと、都道府県が財政力〇・三未満が十四団体、二九・八%、同じく財政力指数〇・三から〇・五が二十団体、四二・六%、〇・五から一が十二団体、二五・五%、一以上というのがわずか一団体、これは東京都だけです。  市町村になれば、財政力指数〇・三未満が千六百三十七で五〇・三%もある。〇・三から〇・五が八百九十三で二七・四%、〇・五から一が六百六十一の二〇・三%、一以上はわずか六十四、二%ということですね。いわゆる特交の不交付団体というものは、わずかに二%ということであるわけです。  そこでお伺いしたいわけでございますが、現在地方公共団体地方債の残高、特別会計からの借入金残高は幾らになっているのかということ、特に五十年度以降毎年財源不足が続いて、公債発行等借入金で穴埋めということはなされて、つじつま合わせば行われているわけです。たとえば公債などは、五十年度から毎年一兆円から一兆六千億、あるいは借入金にしても一兆円から二兆六千億と大変な内容になっているわけですけれども、その残高がいま幾らなのか、お尋ねしたいと思います。
  60. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 御指摘のように、地方債残高あるいは特別会計借り入れの残高がかなりな額に上っておりますが、五十五年度末で申し上げますと、地方債の普通会計分が二十九兆一千四百六十九億ということでございます。なおそのほかに、公営企業等のその他会計分が十七兆二百億円ということに相なる予定でございます。それから交付税特別会計の借入残高が七兆六千九百七十億円ということでございまして、この普通会計の地方債の残高と交付税特別会計の借入残高を合わせますと三十六兆八千四百三十九億円ということでございます。かなりな額になっております。
  61. 大橋敏雄

    大橋委員 いまの説明のとおり、合計しますと約三十七兆円程度の残高があるわけでございますが、このような厳しい状況下にある地方公共団体の立場からしてみれば、きょう審議いたしております補正予算による地方交付税の支給ということは大変ありがたく、またうれしいものであろうと私は思うのです。ところが、今回とられようとしております特例措置というものは、補正予算による地方交付税額が四千六十九億円ですか、そのうち五十五年度支給されようとしているのがわずかに三百六十四億円、五十六年度に三千七百五億円が繰越加算されようとしているわけです。私は、このような割り振りというものを一体だれがどこでどのような判断で下すのか、お尋ねしたいわけです。いかがですか。
  62. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 御承知のように五十五年度地方交付税につきましては、年度当初に総額を決定いたしまして、それに応じて普通交付税特別交付税それぞれ交付をいたしておるわけでございます。ただ今回は、五十五年度末に至りまして国の方で補正予算を組まれる、補正予算に伴って国税三税が新たに追加される、その追加に伴う地方交付税というものが増加されてきたわけでございまして、その分は当初から実は見込んでいなかったわけでございますから、これを今後どういうふうに使うかということになりますと、いろいろな角度から検討をしなければならないわけでございます。  私どもといたしましては、五十五年度に使うかどうかにつきましては、すでに財政計画に従ってそれぞれの措置をしてきておりますし、追加財政需要として考えられます給与改定等については、三千五百億円の別途追加財政需要に対応する額を財政計画上組んでおりましたために、それで処理ができるということもございまして、新しく需要として出てくるものは、たとえば豪雪その他がどうなるかということを含めていろいろと頭には描いておったわけでございますけれども、そういった冬季における時として起こってまいります豪雪対策等は別といたしまして、それ以外のものではもうこれ以上余り追加の必要はないというような観点に立ちまして、五十五年度にいまの交付税として出てきましたものを全部使う必要はないというふうには考えておったわけでございます。  それはそうであるけれども、一体四千六十九億、これは五十四年度分の精算額を含めての四千六十九億でございますが、これの処置についていろんな角度から検討いたしまして、先ほどもちょっと申し上げましたが、すでに発行した地方債の繰り上げ償還なりあるいは五十五年度発行予定の財源対策債の減額に充てるとか、あるいは交付税特別会計借入金の償還に充てるとか、いろんな方法も検討してみましたが、それぞれに問題がございましてなかなかうまくいかない。そういったことで、当然に復活しなければなりません昭和五十五年度普通交付税の調整減額分百二十億円と、あとは豪雪等頭に描かれるいろいろな追加財政需要の増額分二百四十四億円を控除した額は、ただいまの地方財政状況から見まして五十六年度へ送り込んで、そうして将来の地方財政のあり方を考えながら、全体として健全化が図られる方向で利用していくということの方が適切であるというふうに判断をいたしたわけでございます。そういった観点から、いま申し上げたような繰り越しの特例措置を講ずるということにしたわけでございます。
  63. 大橋敏雄

    大橋委員 要するに諸般の事情を判断し、自治省自体が一方的に決めたのだ、このように理解していいですね。
  64. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 ただいま申し上げましたように、全体的な地方財政の姿というものを頭に置いて、私どもいろいろ議論をする過程におきましては、率直に申し上げまして地方六団体等の御意見等もございます。そういったところの意見なども聞きながら、私どもとしては全体としてこれが一番いい方法であろうということを進めたわけでございまして、関係方面と全然無関係に進めたというつもりではないわけでございます。
  65. 大橋敏雄

    大橋委員 政務次官にお尋ねしますけれども、そもそも各自治体の行政水準を維持していくために交付されるいわゆる地方交付税、そういうことですから、原則的には単年度主義といいますか、各地方公共団体の主体的な判断に任せることが私は当然の姿である、こう考えるわけです。そこで、今回の補正予算で出てくる交付税は全額五十五年度に支給すべきなんだ、それが自治法の精神にも基づくのじゃないか。いまの局長さんの話によりますと、まるで相談なしにやったわけじゃないけれどもとおっしゃいますが、他人のことをこちらが勝手に判断して措置していくような印象を受けてなりません。政務次官としてここをどうお考えになるか、ちょっと聞かせてください。
  66. 北川石松

    ○北川政府委員 大橋委員の非常に綿密な、地方交付税措置について現在の地方公共団体財政状況等から見れば今年度にこれは全部処理すべきじゃないかという御指摘は、法の趣旨から見てもごもっともだと思うのでございますが、先ほど財政局長が御説明申し上げましたような諸種の事情を勘案しまして、これは五十六年度に、皆さんの御議決を賜るならば交付税として繰り越したい、こういう処置でございますので御了承賜りたいと思います。
  67. 大橋敏雄

    大橋委員 時間が限られておりますので次に進みますけれども、局長さんの先ほどの説明では、今度の補正予算による地方交付税の五十五年度内の支給額というものは三百六十四億円ですね。その内容普通交付税が百二十億、特別交付税が二百四十四億円である、間違いありませんね。本来地方交付税の配分割合といいますか、これは普通交付税特別交付税、九四対六ということにならねばならぬはずなのに、この基準には全く合っていない、こう見えるわけでございますが、その理由を述べていただきたいと思います。
  68. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 毎年度地方財政につきましては、年末からいろいろと地方財政対策を講じまして、そして地方財政計画というものを国会にお出しをいたしまして、その際に、たとえば五十五年度でございますと、八兆七百七十五億という枠を決めて、それで配分をするということにしたわけでございまして、その基礎になるものは、各地方団体の基準財政需要額というものを算定をいたしまして、そして財源不足額というものを交付税で補うということで、大体八兆七百七十五億で処理できる財政計画のもとで今日まで運営をしてまいったわけでございます。  そこで、年度末になりまして、国税の補正に伴って地方交付税増加するということになりますと、それは当然のことながら、いわゆる調整減額をした分は法律上戻さなければならない。あとの使い方はどうかというと、法律のたてまえとしては、これは特別交付税で配るということになっております。六条の三の第一項の規定がございます。  ただ、昨年度もそうでございましたが、本年度におきましても、私ども、その増加してまいりました交付税をどう使うのが一番いいかということは、いろいろな角度から検討しなければならない。確かに、当該年度に配るということも一つの方法であるわけでございますが、るる申し上げましたように、いまのような大幅な収支の不均衡で膨大な累積赤字を抱えておって、しかも個々の地方団体が地方債起債をするという形で借金をしている以外に、大もとのところで交付税特別会計で八兆にも近いものを借り入れておる、そういった状態の中で、将来にわたって地方財政健全化を図っていく上には、それはどうすればいいのだろうか。  もちろん、当該年度にどうしても使わなければならない財政需要があれば別でございます。ただ、先ほども申し上げましたように、必要な追加財政需要は、ある程度財政計画に従って運営できるという形になっておる。そういうもとで年度末に出てきたお金をどう使うかということになりますと、特別な豪雪対策等のために所要の交付税額を留保する以外は五十六年度に繰り越して、借金をこれ以上余りふやきないというかっこうで健全化対策を進める方が適切である、そういった判断に立ったわけでございまして、私ども勝手にやるわけでもございませんし、地方団体の全体の姿を十分配慮したつもりでもございますし、かつまた、そういうことをするのが私どもの務めでございます。関係方面の意見等もいろいろと聞きながら、まあいろいろな見方はありましょうけれども、現段階においてはこれが一番いい方法ではあるまいか、よりベターじゃないかということで、こういった措置をとった次第でございます。
  69. 大橋敏雄

    大橋委員 要するに、その三百六十四億の内訳、普通交付税の百二十億、特別交付税二百四十四億、先ほどの割合配分からいきますと、基準は逆転しているんじゃないかという質問に対しまして、二百四十四億円は、今度の豪雪対策等の問題もこれあり、こういう額になっているんだ、こういうお話でございましたが、先ほどからの質疑を伺っておりましても、当然これはさきの冷夏被害の対策費等も配慮されている、このように判断するわけでございますが、冷夏被害あるいは五六豪雪対策費ということを考えるならば、この程度の交付金では話にならぬのじゃないか。  きょう国土庁からおいでになっていると思うのですが、豪雪対策本部から今回の豪雪の被害の内容を、簡単でいいですから御説明をしてください。
  70. 城野好樹

    ○城野説明員 御説明申し上げます。  昨年の十二月中旬からの豪雪等による被害でございますが、先ほども申し上げましたように、死者八十六名、負傷者七百二十七名、建物の全壊・流失八十八戸半壊が百二戸、あと、床上、床下の浸水等が約三千戸、一部の破損、これはひさしの雪による破損でございますが、約四千戸余となっております。  現在、先ほども御説明を申し上げましたように、道路交通確保に全力を挙げておりまして、これについて相当の費用がかかるものというふうに考えておりますが、それぞれにつきまして、現在その実態の把握に努めているところでございます。現在も雪が降り続いておりますものですから、気象庁の方の予報によりますと、二月の中旬くらいに最後の寒波が来るだろうという予想でございまして、それが一応一段落しました段階で、それらの所要額、また被害額というものを対策本部において取りまとめる予定にいたしておる次第でございます。
  71. 大橋敏雄

    大橋委員 いまの対策本部の説明では、最終的な被害額がまだ出ていない。けれども、その説明内容からして、これはもう想像を絶するほどの大被害だと私は判断しますということで、これに対して関係の市町村に対する特別交付金、全体で二百四十四億の中から配慮されていくわけでございますが、これではとてもとても不十分である、私はこのように思うわけですね。  しかしながら、特別交付税の性格といいますか、その内容からして、みずからそこに限界があります。だから私は、特別交付税だけでそうした被害対策を行っていけということも考えものだという考えがあるわけでございまして、これも先ほどから、当然大蔵省が予備費をこれに投入すべきだという意見が出ておりました。私もそのように思います。過去に二回、三回と、そういう経験を踏んできているわけでございます。  きょう、大蔵省の方が来ていますね。どうですか、これは今回も予備費を投入するお考えがあるかどうか、お尋ねしておきたいと思います。
  72. 公文宏

    ○公文説明員 豪雪に伴いますいろいろな地方負担についての財源措置の問題でございますが、原則として普通交付税、それから、それ以上に上回る場合には特別交付税というたてまえになっております。  特別交付税がいまの時点でどのぐらいになるかということは、先ほどからの御説明のとおり、被害額あるいは所要額がわかりませんので確定しないところでございますけれども、お尋ねは、それだけでは足りないので予備費はどうかということでございます。  予備費につきましては、五十一年度の豪雪の際に、幹線市町村道の除雪費が非常に巨額に上ったという事態がございまして、それに対しまして、平年度の除雪費を上回る額の二分の一について特に国庫負担をした例がございます。これは予備費で出しました。今回につきましても、先ほどからの御説明がありますように、被害額、所要額の全貌がまだわからないわけでございますけれども、そういう額の見通しが立ち、あるいは特別交付税の額の見通しが立ってまいりました時点で、必要があれば、予備費等国費の措置をいたすつもりでおります。
  73. 大橋敏雄

    大橋委員 政務次官、いまお聞きのとおり、大蔵省としては、その必要があればいつでも予備費は使うぞ、こう言っておりますので、特に自治省として、地方団体を守る意味からも、積極的に大蔵省に働きかけていただきたいと思います。  そこで大蔵省に、要望になりますけれども、災害のその都度、救済対策費の捻出問題この予備費云々という議論が出てくるわけでございますが、いつの場合も場当たり的な措置のように感じられてなりません。したがいまして、恒久的対策といいますか、そういう意味から補助制度のあり方を検討して、いまのような趣旨の対策をぜひとも立ててもらいたい、これは強く要望しておきます。  時間も迫ってまいりましたのですが、次に移ります。  五十六年度地方公共団体財源不足は相も変わらず一兆三百億円ということであるようでございますが、問題は昭和五十年度以来毎年毎年財源不足が続いているわけであります。私は、これは対策上何か大きな欠陥があるのじゃないか、手落ちがあるのじゃないかな、こういうふうに実は思うわけであります。時間がございませんので問題点だけ指摘していきますけれども、地方公共団体財源対策の議論の中に交付税率引き上げ問題があるわけですね。現在国税三税の三二%という税率が決まっているわけでございますけれども、これは昭和四十一年以来ずっと据え置きになっております。ちなみに、交付税率三二%の過去の推移を見てまいりますと、昭和二十九年が二二%であったわけです。三十一年二五%、三十二年が二六%、三十三年二七・五%、三十四年二八・五%、三十七年二八・九%、四十年二九・五%と、このように改善されてきたわけですが、昭和四十一年に三二%と改善されて以来十五年放置されているわけです。これは私は問題だと思うのですよ。  いろいろ理由はありましょうけれども、五十五年二月のこの地方行政委員会で当時の後藤田自治相も、地方税あるいは交付税といった一般財源をふやしていく努力が必要だ、いずれの日かこういった根本にメスを入れることを考えねばならない、そうしなければ財源不足は続くということをおっしゃっているわけですね。また、三二%問題は、むしろ三十六、七年ごろから議論されてきた問題であるということですね。こういうことを答弁していらっしゃるわけですけれども、裏を返せば、財源不足の解消の基本といいますか根本は、交付税率改善引き上げということに尽きると私は思うのですけれども、この点についてどう考えられているか、お尋ねしたいと思います。
  74. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 御指摘のございましたように、地方財政昭和五十年度後半から大幅な財源不足に見舞われておるわけでございまして、そういったことから私どもといたしましても、五十二年度地方財政対策以来毎年度、交付税率引き上げの要求を含めて地方交付税総額確保努力を続けてまいったところでございます。五十六年度地方財政対策に当たりましても、地方財政が五十五年度に引き続いて地方交付税法第六条の三の第二項に該当する事態になる、引き続いて著しい財源不足状況になるということが見込まれましたので、六条の三第二項の規定に即しまして、地方交付税率の五%引き上げを含めていろいろ地方財政対策についての協議をしたわけでございます。  しかしながら、巨額の特例公債を発行いたしております国家財政状況もきわめて異常な状況でございまして、そういった中でまた将来の見込みが必ずしも十分立たない中で、国と地方との間の恒久的なと申しますか、基本的な財源配分の方式でございます交付税率引き上げるということはなかなか容易なことではございません。そういったことでいろいろと議論はございましたけれども、今回も実現には至らないで、五十六年度中においては臨時地方特例交付金のほかにいろいろな方策を講じまして、必要な交付税の所要額確保したわけでございます。  しかしながら、基本的には、御指摘のございましたように交付税率は長い間据え置かれておりますし、現実に五十五年度においても国税三税の三九・八%程度を借入金を含めて配っておるわけでございますから、交付税が不足しておることは事実でございます。そういったこともございまして、現実に巨額の財源不足を生じておるわけでございますから、できるだけ速やかにこういった状況から脱却をいたしまして財政の健全性を回復する、そして国民生活向上に必要な施策を適切に推進できるようにするということが必要でございまして、そのためには基本的にはやはり地方税源充実強化を図らなければなりませんが、地方交付税税率引き上げなり対象税目の拡大等によって、所要額を安定的に確保していく必要があると思っております。  御指摘がございましたように、毎年そういった決意をもって処しておるわけでございますけれども、何せ御承知のような国全体の姿でございます。容易に解決が進まない。行政のレベルと国民の負担との関連等を考えながら、今後どういった方向にしたらいいのかということは、引き続いて各方面の御意見を承りながら検討していく緊急の課題だと思っております。
  75. 大橋敏雄

    大橋委員 これは重要な問題ですから、また後日、大臣もおいでの中で議論してみたいと思います。  最後の質問になりますが、公債費に関して若干お尋ねしたいと思います。  適正な地方債の発行は必要でございますが、後年度にその償還費がいわゆる公債費となっていくことは言うまでもございません。すなわち、公債費の増加というものは一般財源の使用を大きく拘束し、財政硬直化につながるおそれが大いにあるわけです。  そこでお伺いしたいわけでございますが、現在の公債費総額は幾らになっているかということ、また歳出総額の割合はどの程度になっているかということですね。結論から申し上げておきますが、公債費の増加というものは財政硬直化につながるわけでございますので、これを食いとめるためにいかなる指導、いかなる措置がとられているか、これもあわせて答弁願って私の質問を終わりたいと思います。まず数字の方から言ってください。
  76. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 御指摘のとおり、公債費が毎年累増してまいっておるわけでございまして、五十五年度は三兆七百六十六億と見ておりましたが、明年度財政計画においては三兆六千九百八十六億ということで、二〇・二%ふえていくというふうに見ておるわけでございます。これは五十年度以降大幅な収支不均衡の状態に陥っておりまして、毎年度財源対策のための地方債の増発等を行ってきました結果、ふえてきておるわけでございます。  地方財政計画における公債費の歳出に占める割合は、昭和五十年度が四・五%でございました。それが五十一年度五・五%、五十二年度は六%というふうにふえてまいりました。五十三年度が六・五%、五十四年度六・八%、五十五年度が七・四%、五十六年度計画では八・三%と、逐年上昇をしてきておるわけでございます。  私どもとしては、こういった状況になりまして、後年度地方財政に大きな影響を与えることに相なりますので、できるだけいわゆる財源対策債の縮減を図りたいということで、交付税の増額を図りながら、一方では財源対策債の縮減に努めてまいったわけでございます。五十五年度においてもかなりな額を縮減いたしましたが、来年度五十六年度におきましても三千四百億円縮減を図るということにいたしておるわけでございまして、いわゆる建設公債の中でも当然後代の負担に残してもいい健全なものは、これはある程度ふえてもやむを得ないことでございます。またいい面もあるわけでございます。ただいま申し上げました財源対策債というものをできるだけ縮減していきたいということで順次減らしておりますが、今後とも引き続いてそういった方向で努力をいたしたいと思っております。
  77. 大橋敏雄

    大橋委員 では終わります。
  78. 左藤恵

  79. 部谷孝之

    部谷委員 私も、地方交付税総額特例に関する法律について質疑をいたしたいと思います。若干の質問を試みたいと思いますが、大体どの方も同じようなところへ焦点が合いますので、いささかの重複もありますけれどもそれなりにひとつ御答弁をいただきたい、このように思います。     〔委員長退席中山(利)委員長代理着席〕  昨年度に引き続きまして、今年度もまた同じような措置によりまして地方交付税増額分を来年度に繰り入れようとしておりますが、本来地方交付税というものは単年度主義が原則でありまして、今年度中に交付すべきであると考えるわけであります。今回の措置は、そのたてまえを崩すことになると思うのでありますが、こうした例外を設ける積極的な理由は何なのか。先ほど五十嵐委員からも御質問がございましたが、その御説明ではどうも十分でございませんので、ひとつ重ねてお答えを願いたい。  また、これも小川委員の方からの御指摘がございましたけれども、交付税の精算分は翌々年度の予算に計上するというのが慣例になっておるわけでありますが、五十四年度の精算額を五十五年度補正予算に計上された理由、これもひとつ重ねて御答弁をいただきたいと思います。
  80. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 地方財政全体を見てまいりました場合に、地方団体の自主性、自律性という見地からは、お示しのございましたように、地方財政年度間調整は原則的には地方団体が行うのがたてまえであると思っております。したがいまして、当該年度に交付税が増額されてきました場合は、現行の交付税法の規定に従って処理すればいいということになるわけでございます。  それは原則的にはそうだと私どもも思うのでございますけれども、ただ、現在のように地方財政が毎年度巨額の財源不足を生じ、膨大な累積赤字を抱えておるといった状況のもとにおきましては、直ちに増加分を当該年度で全部使うのはどうであろうかということを考えるわけでございます。しかも、その膨大な累積赤字は、個々の地方団体ごとに起債をされて借金をされておるわけでございますが、それ以外に、地方団体が直接借金しておるという感じを持っておられない大もとのところでの交付税特別会計での一括借り入れ、そういったものも八兆に近い大きなものになっておるわけでございますから、そういった状況下において、しかもすでに策定をされました地方財政計画に従ってそれなりに財政運営が進められてきておるわけでございます。その年度末に至った段階で補正予算に伴って交付税の増加額を生じたといったような場合は、やはり全体として地方財政財源対策という枠内で地方財政健全化に資する方向で処理をすることが、私どもは適切ではないかと思っておるわけでございます。  先ほども申し上げたわけでございますが、地方財政の収支が均衡を取り戻して地方財政健全化された場合には、またおのずから違った選択ができると思うのでございますが、いま申し上げたような状況の中で、年度末において出てきた交付税の増加額というものをどうするかとなりますと、所要のものを除いた残りはできるだけ健全化の方向へ回して使うことが適切ではないかということで、いわゆる調整戻しと特別交付税所要額を除いた残りは五十六年度財源として使わせてもらいたい、こういうことでお願いをしておるわけでございます。  それからなお、お示しのように、毎年の国税における剰余金に伴います交付税の増加額は、いわゆる精算分というものは翌々年度へ送るわけでございますから、五十四年度分は黙っておっても実は五十六年度に回るわけでございます。この千百六十億円については、あるいは国税の大蔵当局が御説明された方が適当かとは思いますが、ちょうど五十五年度補正予算を組まれる際に剰余として判明しておるものは、あわせて計上されたということでございます。また、計上されてそれを五十六年度へ私どもが送り込んだとしても、本来五十六年度で使用すべきものでございますから、別に実質的な面では支障もでございませんので、私どもとしては、大蔵省のそういうことにしたいという要請に対しは、特に意見は申し上げなかったわけでございます。
  81. 部谷孝之

    部谷委員 地方交付税は、申すまでもなく地方の一般財源であります。財政需要というものは地方団体みずからが判断すべきものであって、いわば国が一律に判断するということは適当でない、このように私は思います。したがって、年度間調整というものは自治体の自主性に任せるべきだと思うのであります。そして、たとえば減債基金等の積み立て、そうしたものに充てることによってそうした意義が生かされてくるのではないか、こういうふうに思うのでありますが、その点についていかがでしょう。
  82. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 ただいまお示しのように、地方財政年度間調整ということについては、原則的には地方団体が行うのがたてまえだということについては、私も同感でございます。ただ、繰り返しはやめますが、先ほどからるる申し上げたような意味合いにおいて、今回の交付税の増加分というものは、所要額を除いた残りは財源対策全体の中で判断をするのがよかろうということで、繰越措置をとったわけでございます。  それ以外に方法はなかったのかというようなことでございますが、私どもとしても、当該年度に配賦をして適切な使用というものがほかに考えられるかもしれないということでいろいろ検討いたしました。たとえば、すでに発行した地方債の繰り上げ償還ということも考えてみたわけでございますが、これは、公社債市場において広く流通しておりますものを短期間に大量のものを償還するということになりますと、公社債市場を大変混乱に陥れますし、地方債の信用も失わせる、今後の発行条件にも影響を与えるということもございましてこういったこともなかなか容易ではないし、いまお示しのように減債基金に積み立てるということも一つの方法ではございますが、結果としてそういうことへ配分した分は、五十六年度財源が不足をすることになりまして、何らかの形でまた借金をしなければならぬということになります。果たしてそれは得策であろうかということもございます。いろいろなことを考えたわけでござ  そのほかにも、五十五年度発行予定の財源対策債の減額に充てることも考えたわけでありますが、これは、返還する際における国の負担分というものの措置ができていないわけでございますし、また、地方だけがそういうことをいたしましても、結局五十六年度財源が足りない分は借り入れをしなければならぬということにも相なるわけでございます。特別会計借入金の償還についても同じでございまして、なかなかこれといった名案もない。まあ一つの方法は、いまおっしゃいましたように、配分はしても使わないで基金に積み立てて適切に運用すればいいではないか、これは一つの考えでございますけれども、結局五十六年度財源対策考えました場合は新しい借り入れをするのがいいのかどうか、いろいろなことを含めて検討する必要がでございました。  そういったことで、結局もとに戻るわけでございますが、原則的なたてまえは別といたしまして、私どもとしては地方六団体等の意見も聞きながら、この段階ではお示ししてお願いをしておりますような法案の方向に従うのがやはり適切であろうというふうに判断をした次第でございます。
  83. 部谷孝之

    部谷委員 いま原則的なたてまえは別として云々というお話があったのですが、地方交付税法の六条の三の第一項、これは「毎年度分として交付すべき普通交付税総額が第十条第二項本文の規定によって各地方団体について算定した額の合算額をこえる場合においては、当該超過額は、当該年度特別交付税総額に加算するものとする。」と明確に条文化しておるわけでありまして、やはりこうした法律の趣旨に沿った措置をやっていくことが筋ではないか、こういうふうに思うのでありますが、繰り返しても同じ御答弁になろうかと思いますので、この点についての質疑は終わります。  そこで、今度の特別交付税増額に要する二百四十四億円、これは何を基準として出されたのか、もう一度お尋ねをいたします。
  84. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 御承知のように、五十五年度の当初の特別交付税総額は四千八百四十七億円でございますが、前年度に比べてわずか五%の増と非常に伸び率が低いわけでございます。その上に、本年度は予期しない冷害による特別の財政需要が著しく多額に上ったということもございましたのと、同時にまた私ども、今後の財政需要として何が起こるであろうかということも昨年いろいろ検討したわけでございますが、まさに気象庁あたりの長期予報でも非常に多くの雪が十一月ごろには予測されておりましたので、そういった豪雪等による新たな財政需要の発生も見込みまして、とても当初の特別交付税の枠では窮屈であるということで、それでは各般の財政需要に対応するのがむずかしいという判断に立ったわけでございます。  そこで、五十五年度補正予算編成に伴います交付税の増加額の処理に当たりましては、一方では明年度地方財政対策も考慮しながら今後の財政需要にも対応するというために、五十四年度特別交付税の伸び、これは九・三%でありましたが、それを上回る一〇%の伸びはどうしても確保したいということで、二百四十四億円を五十五年度特別交付税増額に充てるということにいたしたわけでございます。全般的な枠の中で予見されるいろいろな事態に何とか対応できる範囲まで広げようということで、この程度増額を図ったわけでございます。
  85. 部谷孝之

    部谷委員 これもさっき同僚議員からの質疑の中であったわけですが、自治、大蔵両大臣の折衝が昨年暮れ、十二月二十日に行われまして、五十六年度地方財政対策が決められたわけでありまして、来年度財源不足額を一兆三百億円と見込んでおるわけですが、この措置は今回の交付税の増収分の来年度への繰越額、これを見込んでおらないと思うのですが、重ねてお尋ねいたします。
  86. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 私どもが五十六年度財源対策をいろいろと検討しております際は、現行制度を前提として議論したわけでございまして、現行制度を前提といたします場合は一兆六千五百億円程度の財源不足が見込まれたわけでございます。それから税制改正に伴います地方交付税増額七百五十億円、それから国税の税制改正に伴う増額に対応する地方交付税増額が約二千九百億円、それらを差っ引き、かついま申し上げましたような五十五年度に生じてまいります補正に伴う増加額のうち、所要のものを差っ引いた残りを五十六年度へ繰り越すという措置を講ずるという見込みのもとに、一兆三百億円という財源不足額を算出したわけでございます。
  87. 部谷孝之

    部谷委員 福井県や新潟県を中心といたします豪雪は、いわばことしに入って本格化したものでありまして、これも先ほど指摘がありましたけれども、政府が豪雪対策本部を設置されたのが一月九日、そして豪雪対策として講ずる措置という合意をなされましたのが二月四日、こういうことになっております。そして、そうした措置の中に地方財政上の措置として特別交付税を交付するように決められておるわけであります。ここにいうところの特別交付税を交付するようにという、こういう文言の中にはこの二百四十四億は入っていないというふうに判断すべきではないか、私はこういうふうに思うわけです。十二月二十日時点ですでに三月交付分の特別交付税の額を内定しておきながら、新たに生じたこのような財政需要に対しまして特別交付税で十分対応していけるのかどうかという心配を持っておるわけであります。  先ほど御説明ございましたが、過去の例に照らして特別交付金の前年度比五%程度のアップでは不足だというふうにいろいろな計数から考えられるのでせめて一〇%のアップをした、そのことが二百四十四億の基礎である、こういうふうに言われておるわけでありますが、実際それで十分なのかどうかということが一つ。それから、なぜ豪雪を見込むという先ほどの御説明があったのか。気象庁の長中期予想がそういう予想をしたというふうに受け取れるような御説明でありましたが、実際そうした根拠を出すような気象庁の中長期予想があったのかどうか、そこもあわせて御答弁をいただきたい。
  88. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 昨年の暮れに豪雪等を見込んでいろいろ対策を講じたということは、まだその時期では十分見込めていなかったではないかということを含めてのお尋ねでございます。私どもは、ことしの特別交付税考えます場合にいろいろな要素を考えたわけでございまして、たとえば現年災害は去年よりはずっと減っているとかどうとかということで、総枠の配分についていろいろな中身の洗い出しをやって検討するわけでございますが、そういう過程で冷害というものが思ったよりも大きく出てまいりましたので、そのために、特にことしは交付税の伸び率がわずか五%でございましたから、これではとてもその後の財政需要に対応できないという心配が強うございました。  特に、最近では五十一年の豪雪が大変でございましたし、ことしもどうなるだろうか、これは内輪話になるわけでございますが、いろいろ検討しましたが、十一月二十日に気象庁の長期予報というのが出されて、これは特に一月に入ると非常に大雪が降るということになっております。そういうことを頭に置きながら、いろいろな事態が予想されるが、普通交付税等も含めて対応するにはまあこの程度の枠があればいいかな、その枠が先ほど申し上げました一〇%は超えたいということでございました。  そういう中で必要な財源確保しよう、こういうことにしたわけでございまして、その場合でも、いまの補正予算の二百四十四億を追加いたしますと特別交付税総額が五千九十一億円になるわけでございまして、もうすでに十二月に千三百四十億円を配分、交付をいたしておりますので、三月分は三千七百五十一億円になります。そういった総枠の中で、今後具体的に調査をいたしまして、除排雪経費にかかった費用というものが出てまいります。それを頭に置いて、かつまた本年度の六百六十二億の措置をいたしました普通交付税との関連、それから積雪量等を配慮して、全体として措置をするということになるわけでございます。したがいまして、いま追加したものが、それが豪雪対策だということではなくて、追加した五千九十一億円全体の中でいまの普通交付税措置状況を見たり除排雪経費に要した額等を頭に置いて、できるだけ豪雪対策として枠を配分したい、こういうことで対応していきたい、こう思っておるわけでございます。
  89. 部谷孝之

    部谷委員 気象庁は……。
  90. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 先ほど申し上げましたのは、五十五年の十一月二十日の気象庁予報部の発表でございますが、長くなりますので肝心のところだけ申し上げますと、十二月については日本海側では大雪の降るおそれがありますということでございます。一月では半ばごろから寒波が続き、日本海側で大雪が降りましょうといったようなこと等もございました。  しかし私どもは、もちろんこの予報部の発表もそうでございますが、過去のいろいろな例、特に先ほど申し上げました五十一年度のときに大雪が降った、その程度の雪あるいはそれ以上とまでは予測はしておりませんでしたが、そういったものが来ても全体として対応できるようなことは考えておかなければならないということで、予測の段階ではございましたが、いまのようなことも含めてある程度の枠を確保する、一〇%以上に乗せるということで努力をしたつもりでございます。
  91. 部谷孝之

    部谷委員 この二百四十四億の積算の基礎というのはなかなかむずかしいと思うのですが、最終的に特別交付税、この二百四十四億を加えますと、結果的に六%になるのです。このことは普通交付税九四%、特別交付税六%、それと実は符合してくるわけでありまして、それほどいろんな理由を並べなくても、六%にしたんだということではないかという気が私はするのですが、これを繰り返しますとまた、もう時間がありませんので、それは、私はそう考えておるという御理解をいただきたいと思います。  そこで、きのう社公民三党の政審から自民党の政調会の方へ、五六豪雪対策に対しての申し入れをいたしたわけでありますが、その中で、特に自治省にかかわると思われる問題について御見解をただしてみたい、このように思います。  まず、生活保護やひとり暮らしの老人、身体障害者、母子家庭、そういう世帯の雪おろし、除排雪、あるいは生活保護や危険住宅の避難などについては当然地方自治体が援助措置を講ずべきであると考えるが、実態はどのようになっておりますか。こうした弱者に対する措置をまず自治体がとるべきであるわけでありますが、そのとった措置に対して国はどうこれを援助していくかという問題があろうかと思います。こうした自治体の行う措置につきまして、きめの細かい自治省の指導、あるいは自治体に対して国が特別の補助を行う必要があると思いますが、自治省の御見解はいかがでありましょうか。  また、交付税の積雪補正係数の見直し、あるいは固定資産税減免の拡大、豪雪見舞い金の支給などの財政措置を講ずるお考えはないかどうか、この点についてもお尋ねをいたします。
  92. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 ただいま生活保護、母子家庭などの世帯の雪おろしなり、あるいは危険住宅の避難等について、どういった実態であるかということでございますが、私どもも詳細な実態は承知をいたしておりません。地方団体、特に市町村は住民生活に密着した行政を行っておりますので、いろいろなやり方でこういったことに対応しておるものだと思っておりますが、そういったことに要する経費等は、私ども豪雪対策の一環としていろいろと実情を聞き、適切な資料を求めて、報告を受ける際に、いろいろと事情を聞きまして、どうしても必要な経費につきましては、特別交付税の算定等において配慮するということもでき得ると思っておりますが、実態を十分聞いてみたいと思っております。  それから、自治体の援助に対する自治省の考え方ということになりますと、具体的にいろいろなことがあろうと思っておりますが、生活保護世帯等に対します特別の補助等については、これは所管の厚生省の方でいろいろ御検討いただくことだと思っております。関係方面には、私の方から御趣旨は伝えておきたいと思っておりますが、自治省としてはそういった関係省庁の援助措置を含めまして、地方団体が豪雪対策に要した経費が地方団体の財政運営を圧迫しないように、適切な配慮をできるだけしてまいりたいと思っております。  それから、積雪度に係る交付税上の措置の問題でございましたでしょうか。−通常の降雪時における除排雪経費につきましては、普通交付税の算定の上で寒冷補正を適用いたしまして、除排雪機械の燃料費とか運搬排雪の経費等を措置しておりますが、これらの経費につきましては、従来から見直し等を行いまして充実強化を図ってきておるわけでございまして、年々普通交付税における額もふえておるわけでございます。今後もいろいろな実態、今回の実情等も勘案しながら、的確な算入に努めてまいりたいと思っておるわけでございます。  なお、この見舞い金の支給などの財政措置につきましては、豪雪対策本部が国土庁にございますが、そこらでいろいろと検討されると思っております。私ども、直接的に関与いたしておりませんけれども、そういった趣旨は十分国土庁の方にもお伝えし、きょうここに見えておりますので、お聞き取りいただいておるとは思います。  税の問題については、ちょっと税務当局からお答え申し上げます。
  93. 川俣芳郎

    ○川俣政府委員 今回の豪雪に関連いたしまして、固定資産税の減免につきましてのお尋ねにお答えをいたします。  一般的に災害によりまして被害を受けました納税者の救済対策につきましては、昭和三十九年に出しました通達「災害被害者に対する地方税の減免措置等について」、この通達で減免等の基準を示しております。今回の豪雪につきましても、この基準に基づきまして納期限の延長、徴収猶予、減免等の措置が適切にとられるように指導をいたしておるところであります。  そこで、固定資産税の減免につきましては、ただいま申し上げました通達の基準によりますと、まず農地等の土地につきましては、被害面積に応じまして最高一〇〇%、最低四割の減免をいたすことにいたしております。また家屋及び償却資産につきましては、これも被害の程度に応じまして四割から十割の軽減または免除の措置をとることといたしておりますので、私どもといたしましては、この基準で十分対応できるのではなかろうか、かように考えております。
  94. 部谷孝之

    部谷委員 時間がなくなりましたので、最後に一問だけお尋ねをいたしますが、先ほど大蔵省の方から五十一年度の雪害の際に予備費を二分の一出した、特に出しましたと、この特にというところに非常に力を入れて言われたのでありますが、特に出されたのが実は二十億であります。私は、今度の豪雪はそんなものではとても足りないと思います。いまの話とちょっと離れますが、わが党が行った調査によりましても、今回の豪雪による道路、公共施設の除雪経費だけで、恐らく三月末には福井、新潟二県だけで二百億から三百億程度、こういうものが見込まれておるわけでありまして、それだけで今回の特交の増加分二百四十四億をはるかに上回るということになるわけでありまして、そうした予備費に対する姿勢をもう少し積極的にしていただく必要があるのではないかと思うのでありますが、最後にお尋ねをいたします。
  95. 公文宏

    ○公文説明員 予備費について十分な配慮をしていただきたいという御質問でございます。先ほどから申しておりますように、今度の豪雪によるいろいろな地方負担の増がどのくらいになるのかということにつきましては、まだ十分把握ができてない段階でございますし、それから原則的にはまず普通交付税特別交付税という制度がございまして、そういうものによってある程度補てんをしていくわけでございますから、その上でなおかつどのくらい足りないかというような問題が固まってまいりません段階では、ちょっと確たることは申し上げられないわけでございますけれども、私どもとしては必要があれば五十一年災に準じた措置はとっていきたい、しかももちろんそれが真に必要なものであれば、十分それに配慮できるようにしてまいりたいと思っております。
  96. 部谷孝之

    部谷委員 終わります。
  97. 中山利生

    中山(利)委員長代理 岩佐恵美君。
  98. 岩佐恵美

    岩佐委員 昨年に引き続いてことしもまた三千七百五億円の、本来五十五年度分として交付すべき交付税を五十六年度に繰り越す特例措置を行うわけですけれども、この問題について、原則的には当該年度に発生した国税三税収入に対応する地方交付税は当該年度に配分すべきであるし、またそれを年度間にわたって調整するかどうかは地方団体が判断すべきものであると考えますが、この点について確認をしておきたいと思います。
  99. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 ただいまお話のございましたように、地方団体の自律性といった観点からは、地方財政年度間調整というのは原則的に地方団体が行うのがたてまえでございます。私もそう思っております。そういった意味では、地方交付税法の六条の三の第一項の規定もあるわけでございますから、年度末に交付税の増加等があった場合はその年度で交付をするということも一つの方法として考えられるわけでございます。  しかしながら、そういった方法をとらなかったのはなぜかということでございますが、現実にはいま地方財政は毎年度巨額の財源不足を生じておりますし、膨大な累積赤字を抱えておるわけでございまして、個々の地方団体が自分で起債をされたものを計画的に返済をしていく、そういった形で処理できるもののほかに、大もとのところで交付税特別会計において一括して借り入れておる額がもう八兆円にも上っておる、そういった特別な状況下にあるわけでございます。  そういった状況でございますから、私どもとしては今回の増加額をどうするかということは、いろいろと幅広い角度から検討したわけでございますけれども、全体として見れば、すでに策定をされました地方財政計画に従って五十五年度ずっと財政運営が進められてきましたし、そしてまた給与改定等の追加財政需要にも大体対応ができたわけでございます。そういった形で進んできて、年度末に至りまして補正予算に伴って交付税の増加額を生じたといった場合は、本年度ぜひとも配らなければならないような大きな需要というものは考えられない。  もちろん、先ほどから申し上げておりますように、豪雪その他いろいろの需要がございます。そういったものは当然のこととして五十五年度財源に充てたいと思っておりますけれども、それ以外のものにつきましては、全体的な財源対策の中で地方財政健全化に資する方向で処理することが適当であると判断をいたしまして、補正に伴います交付税の増加分については、所要額以外のものは五十六年度財源に充てるといった措置をとったわけでございます。
  100. 岩佐恵美

    岩佐委員 再三、自治省としての地方財政健全化に資する方向でこうした措置をとったのだという説明がされているわけですけれども、私はこうした年度間調整というのは、本来交付税を交付した上で地方団体の自主性に任せればよいと思うし、またそれが地方財政法上にもきちんと義務づけられているわけですから、そうした自治省が上の方で一括処理をするというようなことはどうかというふうに思うわけです。  先ほどからも議論があるところですが、五十六年度地方財政計画によると、地方財源の不足見込み額は一兆三百億というふうになっていますけれども、当初は一兆七千億ということではなかったのでしょうか、その点についてお伺いしたいと思います。
  101. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 いろいろと検討をする過程において混乱を起こさないように、私どもは正確な数字は言わなかったときがございますから、あるいは一兆七千億円というような言い方をしたときがあったかもしれませんが、私どもが詰めてきて公式に発表しておりますのは、現行制度のもとでは一兆六千五百億円の財源不足である、こういうふうに考えておったわけでございます。
  102. 岩佐恵美

    岩佐委員 その一兆六千五百億、これにしても私どもはどうも低く見積もられているのじゃないかと思いますけれども、この額が例年大蔵省との折衝の中で切り詰められていっているというのが通例になっているようですが、ことしは一兆三百億円に最終なったわけですが、この大蔵省との交渉の中で自治省の態度として、交付税の増額分について五十五年度に使用するということを要求されたかどうか、その点についてお伺いしたいと思います。
  103. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 地方財政健全化を図るという見地から、国と同様に私どもも、抑制基調に立って地方財政計画の編成に臨んだことは事実でございます。そういった過程でいま私どもとしては、必要な財政需要には当然対応できるように努力したつもりでございますが、たとえば公共事業等が横ばいであるといったようなことから全体としての需要は抑制されまして、財源不足額というのも減ってまいりました。その過程で五十五年度の補正に伴う交付税分は全部五十五年度で使うべきだという主張をしたかということにつきましては、私ども先ほどからるる申し上げたような見地から、当然今回欲張るという方向ではなくて、全体として財政再建に役立つ方向で利用するということにしたわけでございます。ただ、そういった五十五年度地方交付税の大部分は繰り越すような形にいたしましたが、本年度どれだけ使うのが適切かという点については、いろいろと大蔵当局とは議論をしたわけでございますけれども、これを本年度に全部使うという方向で特に議論をしたわけではございません。
  104. 岩佐恵美

    岩佐委員 そうすると五十五年度で使うということについて、全く初めから自治省の方としては大蔵省に主張しなかった、最初から理解あるというか、五十六年度に繰り入れるんだという形で主張をされたということですか。
  105. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 私どもとしては、先ほど申し上げましたような全般的な地方財政対策の中で、この増加した交付税をどのように使うかということでいろいろ苦慮したわけでございまして、自治省自体として六団体等の意見も聞きながら対策を講じたわけでございます。結果的に、五十五年度で仮に使うといたします場合は非常に多くの問題がありますことと、一々申し上げませんが、と同時に、それが五十六年度へ送られないということになりますと、また五十六年度地方財政対策において借入金がそれだけ増加をするといったようなことでもございます。やはりその場合は、全体としての地方財政の実態に即した方向をとらなければならない。そういった判断をいたします場合には、先ほど申し上げましたように年度末に至る補正でございますので、特別なもの以外はほとんど財政需要は満たしておる。だから追加をして基金に積み立てるという方法もございますけれども、ぜひとも追加配分をいたしまして地方に使ってもらうような財政需要があるかどうかについては、私どもはそれほど大きなものはないと判断し、全体として見て、来年その分がなければまた借金をしなければならぬ、そういった全体の動きを見ながら私どもが判断をしたわけでございます。
  106. 岩佐恵美

    岩佐委員 今回の補正は、昨年夏の冷害対策が主なものになっていますが、交付税の措置の方も、昨年は調整分を除けばすべて繰り越しをしているわけですが、本年は特別交付税を残しているわけです。この二百四十四億、先ほどからも議論をされているところですが、主に冷害対策というふうに考えてよろしいわけですね。
  107. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 今回の二百四十四億円は、私どもが冷害対策のために追加することに決めたというわけではございませんで、特別交付税の枠というのは四千八百億余りもともとあったわけでございますが、そういったものをどのように三月に至るまでの間に配るかということについて種々検討しておるさなかに異常な冷害というものが起こりまして、これに相当な額が食われるということもわかりましたし、またそういうことになりますとだんだん枠が少なくなってまいりますので、今後の豪雪対策等を考えれば全体としての枠が足りない。そこで、私どもとしては、全体として一〇%台には何としてでも乗せたい、それぐらいの額がなければ将来にわたる追加財政需要にも対応し切れない、冷害等にも対応し切れないということでございまして、そういった意味で追加をしたわけでございます。そういうことで二百四十四億を追加して一〇・三%の伸びを見、五千九十一億円を確保することによって全般的な対応が何とかできるであろうというふうに判断をしたわけでございます。
  108. 岩佐恵美

    岩佐委員 昨年十二月中旬からの大雪で、東北、北陸地方は大変な被害に見舞われております。二月四日現在で一番新しい数字をもらったわけですが、死者が八十三名、そして負傷者が六百九十六名、大変な被害です。当然地方自治体の負担も多くなっていて、これは私ども直接その当該県に伺ったわけでございますけれども、たとえば福井県、当初予算で除雪費一億五千五百万円計上している、それを補正して三十億計上した。ところが一月三十一日現在で、もうすでに三十二億六千万円使っている。最終見込みは恐らく五十二億を超えるだろう、そういうようなことが言われています。  それから富山県の場合には、二月四日現在で十四億四千万円。これは、いま福井県もそれから富山県も県道だけなんです。これは市町村を入れると、福井県の場合には四十四億五千万円、そして最終見込みは五十七億円。富山の場合には県道だけで十四億四千万円、最終見込みが十八億で、市町村の道路については六億四千万、最終二十八億になるだろう。  石川、秋田、それぞれ伺ったわけですが、細かく申しますと、県道で石川県の場合には六億二千万、それから市町村道で十五億五千万。それから秋田の場合には三億九千万、これは県道だけです。それから山形も伺ってみましたけれども、県道、一般国道分ということで現在使用しているのが十二億、そして最終が十七億から十九億になるだろうというふうに言っておられるわけです。これは道路の除雪費だけであります。このほかに公共施設の除雪費とかあるいは雪捨て場、テレビでもずいぶん報道されていますけれども、そういうところを新たに設けるということになると大変な経費になるわけでございます。  気象庁の話では今月中旬にもう一度寒波が来るだろう、そういう状況になっています。こうした中で、全国知事会などから特別交付税増額配分の要求が出ていて、三月に配分される特別交付税総額が二百四十四億円を含めて三千七百五十一億円になると計算されるわけですけれども、これでは十分対応できないのではないかというふうに思われます。本年度特別交付税総額が、先ほどからのお話で前年度比五%増の四千八百四十七億円、これに特別措置の二百四十四億を加えても——これはもともと二百四十四億というのは、先ほど同僚委員の指摘もありましたところですけれども、主に冷害対策を考慮してとられたもので、特交の総額を決めた昨年十二月二十日の段階では今回の豪雪予想はできなかったというふうに言えるわけですから、今度の豪雪被害に対する交付税上の対策は全くとられていないということと同様だというふうに言わざるを得ないと思います。したがって、この特別交付税総額の枠内で豪雪被害自治体への対策をとろうとすれば、当然他の団体へのしわ寄せがいくことは明白だと思います。  土屋財政局長が昨年わが党の安藤議員の質問に対して、またきょうの質疑の中でも繰り返し言っておられますけれども、交付税を繰り越す理由として、年度末においてはすでに追加財政需要が余り考えられない、そういう理由を挙げておられるわけですけれども、今年度の場合にはこの豪雪被害という財政需要があるわけです。これは特殊な事情だし、それから額も、いま申し上げたわかっているだけでも大変な額だというふうに思います。豪雪被害に対して十分な財政措置をする上でも、また予算の年度内使用という点からも、繰り越さないで年度内配分ということをすべきだというふうに私どもは繰り返し主張したいところでございます。この豪雪被害に対する十分な財政措置を含めて、政務次官のお考えを伺いたいと思います。     〔中山(利)委員長代理退席、委員長着席〕
  109. 北川石松

    ○北川政府委員 ただいま岩佐委員から、非常に綿密な詳しい内容を伴った御質問でございます。  豪雪地帯は予測しない豪雪であるという御指摘でございますが、予報では十一月二十日に、大雪が降るであろうという予測を踏まえての二百四十四億と申しましても、事これで足れりとはしないと思います。また北海道から沖繩に至るところの各地方団体の特交に対する期待も裏切ってはならない、このように考えるものでございまして、そういう見地から、先週また先々週の政務次官会議におきまして、予備費をもってこの豪雪の排除その他に大蔵は見るべきであるということを申し上げてまいりました。先ほど大蔵当局が答弁いたしましたように、五十一年度の処置を勘案して検討したい、このように言っておる次第でございますので、そういう見解からこの対策はなされていく。そういう点で交付税の議決を賜り、翌年度繰り越しを認めていただきますならば、これは五十六年度地方財政への対応に処するところの財源にしたい、こう私は考えておるものでございます。
  110. 岩佐恵美

    岩佐委員 次に、公園費の経常経費のことについてお伺いをしたいと思います。  御承知のように、公園は快適な都市環境を提供し、都市公害を緩和して、災害時には避難場所として大変重要な役割りを果たしているわけです。おくればせながらわが国でも、昭和四十七年に公園整備五カ年計画策定されて以来、年々その整備が進められて、五十三年度末では都市計画区域内人口当たりの都市公園面積も、三十年代の二倍の水準にまで来ているわけです。でも、まだまだ欧米水準と比べると低いわけで、来年度から第三次の整備計画が始まろうとしています。今後ますます公園面積がふえていくことと思いますし、当然整備費とともに地方自治体の公園の維持管理費、これはますます大きなものになってきているわけで、交付税上どのような措置がとられているのか、この点大変関心があるわけでございますけれども、簡単に御説明をいただきたいと思います。
  111. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 都市公園の維持管理経費につきましては、地方公共団体におきます維持管理費に係る財政需要の動向等を勘案しながら、普通交付税の算定上毎年充実を図ってきておるわけでございます。いまもお話がございましたように、第一次の都市公園等整備五カ年計画の発足した四十七年度行政項目として公園費というものを創設をいたしまして、単位費用を新設したわけでございますが、五十一年度には実態調査を行いまして、それを基礎に標準団体におきます職員の計画的な増員等を行ってきておりまして、単位費用の大幅な引き上げを図っております。  さらに五十三年度には、公園管理費の需要額へのより的確な算入を図るということから、都市公園面積を指標とする密度補正を新設をいたしまして、基準財政需要額の算定の充実強化に努めておるところでございます。単位費用等につきましてはかなりな伸びを示しておるわけでございまして、私どもとしてはそれなりの対応をしてきたと思っておるわけでございます。
  112. 岩佐恵美

    岩佐委員 自治省が五十一年度調査をされて、そして年々上げてきているということについて、あるいはいろいろな対策をとられてきているということについては、私どももそれはそれなりにやっておられるという努力は認めるわけでございますけれども、どうもそうは言っても、これは自治省からもらった資料ですけれども、全国的に公園費の経常経費の歳出一般財源に対する基準財政需要額の割合がまだまだ低いのではないか。五十二年度については三七・九%、五十三年度については四九・五%、五十四年度では五八・七%、徐々には上がってきてはおりますけれどもまだまだ低い。このことについては、単純には比較はできないというふうに思いますけれども、それでも数字的に見ると問題があるというふうに思います。  それで、具体的に私も幾つかの都市について調べてみました。たとえば日野市ですけれども、五十二年度三三・三三%、五十三年度四七・六二%、五十四年度四九・一二%、大変低いわけですね。それから八王子の場合には、五十三年度六〇%、五十四年度六五%となっています。それから町田市を見てみますと、五十二年度一八・三八%、五十三年度二五・一六%、五十四年度三三・七三%。それから多摩市の場合には、これがちょっとひどくて五十二年度一七・九五%、密度補正がされたときにちょっと上がって五十三年度一九・一二%、ところが五十四年度はまた一〇・一一%、こういうふうに低いわけですね。  この調べていく中でわかったことなんですけれども、低い中でも特に一人当たりの公園面積が大きいところほど、実態と需要額算入の差が大きいということがわかりました。たとえば日野市の場合には、五十四年度で一人当たりの台帳面積が四・七六であるわけですね。それと多摩市の場合には四・二二というふうになっていて、こういうふうに一人当たり公園面積が大きいところほど、経常経費の圧迫がひどいというふうになっています。各市の公園の管理の形態など考慮していかなければなりませんし、実態がこうだからといって需要額の算入も一〇〇%それに合わせるということも、交付税制度の意図するところからいって一〇〇%という要求はどうかとも思いますけれども、しかし、実態と非常に乖離しているということは大きな問題だというふうに思います。  今後、都市公園がどんどんふえていきます。それに要する維持管理費というのも当然負担になってくるわけでございますので、正常に需要額に算入をして、地方自治体に財政上の負担をかけない努力が今後ともますます必要になってくると思うのでございますけれども、その点についていままでこういうふうにやったからいいよということではなくて、実態はこうなのでぜひ御努力をいただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
  113. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 先ほども申し上げましたように、都市公園の維持管理費につきましては、基準財政需要額の算定において単位費用の大幅な引き上げとか、特に五十三年度以来設けました密度補正の算定に用いる単価の大幅な引き上げをいたしてきておるわけでございまして、特にこの密度補正などは、五十三年度から五十四年度では一二三・六%伸ばし、五十五年度は七六・四%伸ばすといったような形で、大幅に引き上げてはきております。しかしながら、ただいまいろいろと数的な乖離をお示しになったわけでございますが、そういった実態があろうかと思います。率直に申し上げて、またお話にもございましたように、公園の維持管理に見込んでおります経費は標準的な形で見ておるわけでございますから、実態と乖離があってもこれは不思議ではないのでありますけれども、全般的にいまおっしゃいましたような形であるということになりますと、やはりわれわれとしても考えていかなければならぬ面があろうかと思っております。そういった意味で、今後とも都市公園面積の増加に対応して需要額算定の充実強化を図っていかなければならないと思いますが、とりわけお話がございましたように、都市公園面積の大小によって維持管理費に差が見られるといったようなことがあるとすれば、今後とも密度補正の充実強化等によりまして、的確な算入ができますように努力をしてまいりたいと存じます。
  114. 岩佐恵美

    岩佐委員 以上で私の質問を終えたいと思いますけれども、本来に返りまして、そもそも五十五年度補正予算によって自然増収となりました四千六十九億円、これはその全額が地方交付税として地方自治体の固有財産であり、当然に五十五年度分として地方自治体に配分すべきものであると考えます。自治省は、特別交付税など一部を除いて五十五年度財源として措置せず、五十六年度に繰り越そうとしていることについて、これは予算の年度制の立場から、地方の固有財産である交付税について国が恣意的な年度間調整を加えていくということ、また五十五年度地方交付税総額そのものが地方自治体の実際の財政需要に比べて著しく圧縮されていること等の点を考えるとき、今回の措置というのを私たちは容認できないと考えております。  重ねて、年度内に今回の補正による増額分四千六十九億円を直ちに地方自治体に配分をして、その使途及びその調整については地方自治体の自主性にゆだねることを強く主張いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  115. 左藤恵

    左藤委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  116. 左藤恵

    左藤委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決に入ります。  昭和五十五年度分として交付すべき地方交付税総額特例に関する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  117. 左藤恵

    左藤委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。   この際お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  118. 左藤恵

    左藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  119. 左藤恵

    左藤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時五十六分散会