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戸田小
委員 課税最低限に対する
大蔵省の
見解はいままで何回も聞いております。それはわかっておるのですが、ただ、基本的人的控除において、
所得税の場合には人的控除は百十六万円でしょう。社会保険料十六万二千円、給与所得控除が六十九万二千二百円、合計二百一万五千円。それから住民税の場合には八十八万、七万八千八百円、六十二万五千二百円で、百五十八万四千円——先ほど百八十五万と私、ちょっと概数を言ったのは誤りですから百五十八万四千、こう訂正をしておきますが、いずれもこれは四人家族世帯です。そして生活保護費が百六十二万三千円ですから、そうしますと、すでに住民税のような場合には生活保護基準を下回っている。いままでは生活保護基準を下回らないようにいろいろ
努力してきた経験はいっぱいあるわけでしょう。それすら今回は、八一年の
地方税改正案は、これは自治省ですが、生活保護基準との調整、これはやめてしまったのですね。住民税所得割の非
課税限度、これは二十七万掛ける人数、これを全額として、それを超える所得については従前の二十二万でこれを
計算することになってしまったのですね。結果は百七十五万七千円、こういうことになっているのですね。しかしこれは今
年度だけですから、来
年度はまた
見直しする、こう言っている。だから若干生活保護基準との調整はここで試みられているわけですけれ
ども、しかし今後はどうだかわからぬ、こう言っているわけです。
いずれにいたしましても、いままでの
大蔵省の
見解は、
所得税の
課税最低限、どの
程度の所得階層から
所得税の
負担を求めるかという限界を画するもので、納税者の選定基準となるとともに徴税費の節減を図る機能を持っている、したがって、
課税最低限は主として徴税目的のものだ、いままでこういう
見解ですね。そうでしょう。これは
所得税法第二十二条で明確だと思うのでありますが、いろいろ要件があります。ありますが、
外国の場合は、たとえばアメリカは実額控除です。
作業衣または制服の費用あるいは会費(職務上関連を有するもの)、組合費、職業あっせん料、耐用年数一年以下の小道具あるいは職務に関連を持つ定期刊行物の購入費等々、雇用に必要な必要経費というものを実額控除で全部やっているわけでしょう。それからイギリスの場合も実額控除、もっぱら職務遂行上必要不可欠な経費を控除し策定するものとしている。通勤費の場合にはこれは認めていませんけれ
ども。西ドイツの場合にも実額控除または一定額(五百六十四マルク)の概算控除の選択、この二つを選択することになっているのですね。その中には、給与所得の取得、保全及び維持のために必要な経費、通勤費あるいは二重生活のために生ずる余分な
負担費あるいは特別な
作業衣及び器具費、職業団体に対する拠出金あるいは職務遂行上必要と認められる図書及び雑誌の費用、雇用目的上利用される資産の減価償却費及び保険料など、こういうものが認められている。はなはだしきは組合費まで必要経費に入っている。そういうところまできているわけですよ。
だから、この辺で私は、もう少し日本における
課税最低限、現下の税法からいっても、税法のたてまえは公平であることがまず
一つでしょう、もう
一つは、何といっても生活費に
課税しない、こういう
大原則のもとに税法というものがはぐくまれているんだと思うのですから、そういうものがここでめちゃくちゃに後退をしているということは、どうも経済第二の大国と言えないんだ。もう少しやはりヒューマンキャピタル、そういうかっこうで、法律や技術論だけじゃなくて私はそういう人間性を加味した、
一つの生活を土台にした、そういう
制度に一歩踏み込んでいく時期ではないだろうか、こう考えるのですが、それはどうでしょうか。