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1981-05-08 第94回国会 衆議院 大蔵委員会 第28号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十六年五月八日(金曜日)     午前十時十一分開議  出席委員    委員長 綿貫 民輔君    理事 越智 伊平君 理事 大原 一三君    理事 小泉純一郎君 理事 山崎武三郎君    理事 伊藤  茂君 理事 沢田  広君    理事 鳥居 一雄君 理事 竹本 孫一君       相沢 英之君    麻生 太郎君       今枝 敬雄君    熊川 次男君       笹山 登生君    椎名 素夫君       中村正三郎君    平泉  渉君       平沼 赳夫君    藤井 勝志君       毛利 松平君    森田  一君       柳沢 伯夫君    山本 幸雄君       与謝野 馨君    佐藤 観樹君       塚田 庄平君    戸田 菊雄君       平林  剛君    堀  昌雄君       村山 喜一君    柴田  弘君       渡部 一郎君    正森 成二君       蓑輪 幸代君    柿澤 弘治君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 渡辺美智雄君  出席政府委員         内閣法制局第三         部長      前田 正道君         大蔵政務次官  保岡 興治君         大蔵大臣官房審         議官      梅澤 節男君         大蔵省主計局次         長       矢崎 新二君         大蔵省理財局次         長       宮本 保孝君         大蔵省証券局長 吉本  宏君         大蔵省銀行局長 米里  恕君         大蔵省国際金融         局次長     大場 智満君         国税庁直税部長 小幡 俊介君  委員外出席者         警察庁刑事局捜         査第二課長   漆間 英治君         行政管理庁行政         監察局監察官  加藤 武久君         法務省民事局参         事官      元木  伸君         郵政省貯金局規         画課経営企画室         長       荒瀬 真幸君         郵政省簡易保険         局業務課長   小野沢知之君         郵政省電波監理         局放送部業務課         長       岡  利定君         大蔵委員会調査         室長      葉林 勇樹君     ————————————— 委員の異動 五月七日  辞任         補欠選任   椎名 素夫君     奥田 幹生君 同日  辞任         補欠選任   奥田 幹生君     椎名 素夫君     ————————————— 五月七日  医業税制の確立に関する請願和田耕作君紹  介)(第三七一八号)  同(横山利秋紹介)(第三八四七号)  大型間接税導入反対及び歳出削減に関する請願  外二件(小沢辰男紹介)(第三七一九号)  同外三件(太田誠一紹介)(第三七二〇号)  同外一件(亀井善之紹介)(第三七二一号)  同外五件(三枝三郎紹介)(第三七二二号)  同(塩崎潤紹介)(第三七二三号)  同外一件(鳩山邦夫紹介)(第三七二四号)  同外三件(宮崎茂一紹介)(第三七二五号)  同外十件(天野公義紹介)(第三八四八号)  同(天野光晴紹介)(第三八四九号)  同(稲村利幸紹介)(第三八五〇号)  同(岩垂寿喜男紹介)(第三八五一号)  同外十六件(越智伊平紹介)(第三八五二  号)  同(大塚雄司紹介)(第三八五三号)  同(奥田幹生紹介)(第三八五四号)  同(小泉純一郎紹介)(第三八五五号)  同外一件(古賀誠紹介)(第三八五六号)  同(高村正彦紹介)(第三八五七号)  同(國場幸昌紹介)(第三八五八号)  同(佐藤文生紹介)(第三八五九号)  同(田中龍夫君紹介)(第三八六〇号)  同(竹本孫一紹介)(第三八六一号)  同(津島雄二紹介)(第三八六二号)  同外十件(鳩山邦夫紹介)(第三八六三号)  同(平沼夫君紹介)(第三八六四号)  同(船田元紹介)(第三八六五号)  同(武藤嘉文紹介)(第三八六六号)  同(粟山明君紹介)(第三八六七号)  同(渡辺省一紹介)(第三八六八号)  同(渡辺秀央紹介)(第三八六九号)  増税中止及び不公平税制是正に関する請願(菅  直人君紹介)(第三七四六号)  身体障害者に対する地方道路税免除等に関する  請願小杉隆紹介)(第三七四七号)  同(池端清一紹介)(第三七六八号)  同(岡田利春紹介)(第三七六九号)  同(北山愛郎紹介)(第三七七〇号)  ハイヤー、タクシーに対する自動車関係諸税の  減免等に関する請願五十嵐広三紹介)(第  三八三七号)  同(池端清一紹介)(第三八三八号)  同(河上民雄紹介)(第三八三九号)  同(佐藤敬治紹介)(第三八四〇号)  同(嶋崎譲紹介)(第三八四一号)  同(田邊誠紹介)(第三八四二号)  同(高沢寅男紹介)(第三八四三号)  同(広瀬秀吉紹介)(第三八四四号)  内職・パートタイム収入非課税限度額引き上  げ等に関する請願外二件(塚田庄平紹介)(  第三八四五号)  時給労働者所得税控除に関する請願山花貞  夫君紹介)(第三八四六号)  大衆増税大型消費税導入反対に関する請願  (川本敏美紹介)(第三八七〇号)  共済年金改善に関する請願大原亨紹介)(  第三八七一号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  銀行法案内閣提出第六六号)  中小企業金融制度等整備改善のための相互銀  行法、信用金庫法等の一部を改正する法律案  (内閣提出第六七号)  証券取引法の一部を改正する法律案内閣提出  第六八号)  銀行法施行に伴う関係法律整備等に関する  法律案内閣提出第七三号)      ————◇—————
  2. 綿貫民輔

    綿貫委員長 これより会議を開きます。  銀行法案中小企業金融制度等整備改善のための相互銀行法信用金庫法等の一部を改正する法律案証券取引法の一部を改正する法律案及び銀行法施行に伴う関係法律整備等に関する法律案の各案を一括して議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。柿澤弘治君。
  3. 柿澤弘治

    柿澤委員 銀行法案外法案について質疑をいたします。  今回の銀行法改正については大きな議論を呼びましたのがこれからの国債窓販、ディーリングについてでありますが、この点については大臣が後ほどおいでになるということでございますので後に譲りまして、ひとつ国際化時代銀行業務という点でこれからの銀行邦銀系現地法人等活動、それについてのこれからの大蔵省当局の御方針をいろいろとお伺いしていきたいと思います。  私ども伝えられるところでは、銀行法改正のさまざまな議論の中で、今後邦銀系の現法についての活動をいままで以上に自由化をしていくというか、そういう方針であるというふうに聞いておりますけれども、その辺はいかがでしょうか。
  4. 米里恕

    米里政府委員 お答えいたします。  邦銀海外活動につきましては、基本的な考え方といたしましては、これから漸次国際化進展ということが一層必要になってまいるわけでございますし、また内外金融機関の交流というものもいよいよ活発になってまいるという時代を迎えることになろうかと思います。そういった意味合いで、日本金融機関海外活動する場合には基本的には進出した先の国の法制金融慣行といったようなものを尊重しながら、それに加えましてわが国国内金融制度その他の特殊事情を勘案して行政を行ってまいりたいということが基本的な考え方と申せると思います。
  5. 柿澤弘治

    柿澤委員 海外現法の活動については従来から大蔵省の中の三局合意というものがあるわけですね。その三局合意の中で、証券業を営む銀行海外現法の設立に関しては出資割合その他についていろいろと制約があるけれども、この三局合意については今後撤廃をするという形で関係者合意を見ていると聞いておりますけれども、そのとおりと理解してよろしいでしょうか。
  6. 米里恕

    米里政府委員 御指摘のございました三局合意でございますが、三局と申しますのは、銀行局、証券局、国際金融局、三局でございます。この合意の内容は、いまお話がございましたように、日本銀行海外証券業務を営む現地法人を設立する場合におきまして、その出資比率あるいは現地銀行免許を取得しているかどうかといったようなことにつきまして金融機関種類別に、またその金融機関支店がその地区にあるかどうかということによりまして、細かく指導をしておるという一種の内部申し合わせ事項というような性質のものでございます。こういったような指導を行っておりますのは、基本的には日本におきます銀行証券業務分野調整ということに影響を及ぼすという考え方から行ってまいったわけでございますが、国際化時代を迎えまして実効上は逐次緩和してまいっておるというような状態にございます。今後におきましては、基本的には御指摘のように逐次制約をなくしていく。現地法規制あるいは金融慣行に従って、逐次緩和もしくは制約をなくしていく方向で進めてまいりたいというふうに考えております。
  7. 柿澤弘治

    柿澤委員 現在の出資その他の制限について逐次緩和をしてきているというお話でございますが、若干の緩和はありますけれども、たとえば現地法人銀行免許がある場合で、同地における支店がある場合で出資比率が一〇〇%の場合、その場合の都銀ではなくて長信銀については緩和をするというような措置を五十五年の三月にとっておられますね。それ以外、この出資比率の問題については四十九年の八月の三局合意以来変更があったわけでございますか。逐次緩和をしてきているというのはその一点だけなんでしょうか。それともほかの点もあるのでしょうか。
  8. 米里恕

    米里政府委員 御指摘出資比率等指導につきましては、いまお話のございました五十五年の三月にロンドン興銀銀行免許取得を認めたということによりまして、いま御指摘現地法人銀行免許がある場合のその地区支店がある場合、一〇〇%出資比率というものが長信銀行について、具体的には興業銀行について認められたということが具体的な改正でございます。  なおあえて言いますと、東京銀行につきまして本来これはこういったきめ細かいリスト範囲外として取り扱ってきたわけでございますが、これに準ずるような考え方でやってまいりましたけれども、昭和五十五年の七月にロンドン東銀のシェアを四六%、つまり五〇%未満の部類でありましたものが七〇%に引き上げるというようなことで、分類によりますと一〇〇から五〇の分類に上がったというようなことも講じております。ただ、これはこのリスト直接の対象ではございませんが、方向としては同様のことが言えようかと思います。
  9. 柿澤弘治

    柿澤委員 いまのお話を聞きますと、結局長信銀外国為替専門銀行については若干の緩和をしたということにすぎないのじゃないでしょうか。最近のいろいろな要望なり関係者の話を聞きますと、むしろ邦銀の中の都銀ですね、実力をつけてきた、海外業務についても実績を積んできた都銀について、いままでどおりの規制が今後必要なのかどうか。それが邦銀海外における活動手足を縛って、国際的な業務のある意味では発展というものを阻害しているんじゃないかというふうに考えられるわけですけれども、その点ではその問題に手をつける気があるのかどうか、その辺をお伺いをいたしたいと思います。
  10. 米里恕

    米里政府委員 御指摘のように都銀系証券現法は現在一〇〇%出資が認められていないという状態でございまして、そういった方面から何とかこれを認めてもらえないだろうかという強い希望があるということは承知しております。この点につきましては関係局とも十分今後とも協議検討してまいりまして、なかなか一朝一夕ということは事柄の性質上まいらないかと思いますが、引き続き十分検討していきたいと思っております。
  11. 柿澤弘治

    柿澤委員 外銀等出資を義務づけているわけですけれども、事実上増資をしようと思ってもなかなか先方が応じない、もしくはそういう形で現地法人をつくることに果たして必要性があるかどうか、これからの日本金融業国際化を考えますと、その辺については従来の考え方といいますか、哲学をこの際思い切って変える必要があるんじゃないだろうかという気がするわけでございますが、その点一朝一夕にはいかない、今後検討していきたいということですけれども、それでは銀行法改正法案いろいろ関係方面との折衝の過程で、三局合意については撤廃方向で考えるという点から見て後退をすることにならないのでしょうか。その辺ここで従来の考え方を見直す、むしろ変えるという必要があると思うのですけれども、いかがでしょうか。
  12. 米里恕

    米里政府委員 先ほど申しましたように、三局合意全体について漸次緩和ないし撤廃方向検討していきたいということの一環に含まれようかと思います。
  13. 柿澤弘治

    柿澤委員 それは検討というのは一体どのくらいのタイミングで行われるわけですか。
  14. 米里恕

    米里政府委員 各局間の協議事項でもございますので、いま私からいつという時期を申し上げるわけにはまいらないかと思いますが、個別の問題として逐次要望のあるマターについてはケースバイケース検討していきたいというように考えております。
  15. 柿澤弘治

    柿澤委員 いまの銀行局長の御答弁ですと、リストとかこういうものを全般的に見直すというよりも、問題があるといいますか、要望があったところを一つ一つ検討していく、しかし全体の三局合意そのものに手をつけるつもりはない、こういうことでしょうか。
  16. 米里恕

    米里政府委員 これは御指摘リスト自体を全体として再検討するやり方をとるのか、あるいは個別に出てきたときに現行のリストにかかわらず逐次処理していくのか、その辺は両方のやり方があろうと思います。まだ三局間でその方法論についてはいろいろな意見があるという状況でございます。
  17. 柿澤弘治

    柿澤委員 最近の日本経済金融面での国際化というものが急速に進展をしている状況でございますから、その点、慎重検討は結構ですけれども、時宜を得た解決策というものをぜひお願いをいたしたい。そうでないと、せっかくの国際化の波の中で邦銀系の現法が手足を縛られて活動の領域が狭まっていくということでは、日本経済全体としてもマイナスが大きいと思いますので、その点は御検討いただきたいと思います。  それから、そのほかにも、海外邦銀系現地法人についての活動では、本邦企業外債公募債幹事引受業務については別途指導があるわけですね。これについても今回の銀行法改正作業関連をして見直す、三局合意についての漸次緩和方向で見直すという中身の一つとして見直すと考えてよろしいわけでしょうか。
  18. 米里恕

    米里政府委員 御指摘になりました点は、日本銀行証券現法が日本企業公募外債引受幹事をなすに当たりまして、日本証券会社上席パートナーとするというように指導してまいったという点であろうかと思います。従来こういった指導をしてまいりましたのは、銀行証券のいわゆる業務分野調整の問題、特にこの場合には、本邦企業外債発行公募に当たりまして、その親銀行証取法六十五条の趣旨に反するような行為、つまり実質的には親銀行本邦企業との間でいろいろな話し合いが行われ、それによって証取法六十五条の趣旨に反するようなことにならないようにというような趣旨から指導してまいったものでございます。  この点につきましても、広い意味での三局合意と申しますか、そういう一環ではあろうかと思います。それからまた最近では若干、直接にこの問題に関連するかどうかということは見方がございますが、実質的な緩和、この関連の問題について緩和を図ったというような事例もございます。そういったようなことから、引き続きこの問題につきましてもいろいろ御意見のあるところでございますので検討してまいりたいと思っております。
  19. 柿澤弘治

    柿澤委員 これの関連の問題についてというのは、長信銀の中でのロンドン興銀興銀債引受主幹事という点でございますか。
  20. 米里恕

    米里政府委員 御指摘のとおり、興銀外債現地興銀系証券現法がメーンとして引き受けることが認められたということは、この問題に関連のあるマターであろうかと思います。
  21. 柿澤弘治

    柿澤委員 それを認めたということは、本邦企業外債引受幹事の問題についての緩和の一歩といいますか、一環というふうに考えてよろしいわけですか。
  22. 米里恕

    米里政府委員 なかなか微妙な問題でございまして、これに関連のある事項について一部緩和が図られたということかと思いますが、引き続いて証券局長から御答弁させていただきたいと思います。
  23. 吉本宏

    吉本(宏)政府委員 お答えいたします。  この問題は、本邦銀行海外証券現法が本邦企業外債の引き受けを行う場合に、親銀行影響力によりまして引受幹事案件を獲得するあるいは親銀行自体外債条件の決定に関与するというような事例がございまして、そういったことではやはり証券会社邦銀証券現法とのイコールフッティングにならないのではないか、こういう観点から指導が行われてきたわけであります。これは金融制度調査会答申、五十四年の六月に出ておりますが、これによりましても、「当該現地法人所在国法制取り扱いうる業務をできる限り認める方向に進めるべきであると考える。なお、この場合、我が国国内銀行証券との業務分野規制にかんがみ、我が国企業資金調達関連して、事実上親銀行当該業務を行うことのないように留意しなければならないことは当然である。」こういう指摘がございます。こういったことから申しましても、現在の規制を直ちに撤廃するということはいかがであろうか、かように考えております。
  24. 柿澤弘治

    柿澤委員 この関連の問題としては、もう一つ証券会社系の現法の銀行業務制限があったわけですけれども、これについては撤廃をされたというふうに聞いておりますが、しかし、現在バンキングライセンスイギリス等先方に申請をしたところ、バンクオブイングランドからはそのライセンスがおりていないというような実例があるようですけれども、この問題についてのロンドンでの今後の推移、どういうふうになるのか、その辺をぜひ見通しを聞かせていただきたいと思います。
  25. 大場智満

    大場政府委員 ただいま柿澤先生の御質問でございますが、ロンドンにおける日本証券会社バンキングライセンスの問題でございます。御指摘のように確かに英国当局バンクオブイングランドでございますが、まだそのバンキングライセンスを認めていない状況にございます。私ども理由をはっきりと知らしていただくわけにはいかないような状況ではございますが、推測いたしますに、一つロンドンにおける日本銀行の数が多いということが問題になっているやに聞いております。それからまた、今後証券会社銀行業務をやっていくときにどのような抱負といいますかあるいはどのような目標を持ってやっていくのか、その辺もう少し勉強したいというようなことのように聞いております。したがいまして、私どもこれからもバンクオブイングランド等と接触いたしまして、もし向こう側が要求するような資料あるいは向こう側が聞きたいような事項があればこれに対してできるだけの説明をしていきたい、このように考えております。
  26. 柿澤弘治

    柿澤委員 それから邦銀系の現法のバンキングライセンスの問題、これも外銀とのイコールフッティングといいますか、同じ条件での競争のためには必要だという議論が出てきているわけですけれども、このバンキングライセンス制限については今後緩和をするおつもりがあるのかどうか、その点をお伺いしたいと思います。
  27. 米里恕

    米里政府委員 御指摘の点につきましても、先ほど申し上げました三局合意の再検討、見直しの一環マターと考えております。
  28. 柿澤弘治

    柿澤委員 それからもう一つ邦銀外債発行が禁止をされているわけですけれども、この点についても五十四年の六月の金融制度調査会答申海外現法の海外での債券発行は認めていくことが適当という答申が出ているわけです。その点について今後どのようにこの答申を具体化していくつもりかお伺いをいたしたい。
  29. 米里恕

    米里政府委員 御指摘のような調査会答申もいただいておりますし、調査会では海外現法の海外での債券発行は前向きに考えるべきだというように言われております。そういったことも受けまして五十四年の十一月にスイス富士スイス債券発行を許可いたしました。以後海外現法の債券発行につきましては、ケースバイケースで処理していきたいというように考えております。
  30. 柿澤弘治

    柿澤委員 そうしますと、現在のところスイスだけで認められているわけですけれども、その他の国についてもケースバイケースで漸次認めていくというふうに考えてよろしいわけですか。
  31. 米里恕

    米里政府委員 他地域の現法につきましても、認めてほしいという要望が強いということを承知しております。ケースバイケース検討してまいりたいと思っております。
  32. 柿澤弘治

    柿澤委員 大蔵大臣おいでいただきましたので、この邦銀わが国銀行海外での活動、今後それを促進をして日本銀行業務といいますか金融業務海外での活動分野を広げる、そして日本経済国際化時代に備えるという意味での海外活動緩和について、これは各方面から強い要望も出ておりますし、時代の趨勢として当然考えていかなければいけない問題であろうと思いますけれども、その点についての大蔵大臣のお考え、御認識をお伺いをいたしたいと思います。
  33. 渡辺美智雄

    渡辺国務大臣 現地法制がどうなっておるか、その法制に従って原則的にはできるだけ機械的な制約でなくて実情に応じて認めていく、そういうふうにしてはどうか。ですから、基本的に緩和する方向で対処してまいりたいと考えます。
  34. 柿澤弘治

    柿澤委員 それでは別の次の問題に移りますが、今回の銀行法改正に絡んで一番議論をされたところは、今後の国債管理政策といいますか国債発行に備えての銀行国債取り扱い業務の問題であろうと思います。これは六十五条のかきね論から始まって長い経緯があるわけですけれども、今度の銀行法案の中では窓販については今後認めていくという方針であるというふうに伺っておりますが、その窓販の今後の取り扱いについては三人委員会を設けて今後検討するということになっているようですけれども、そう理解をしてよろしいわけでしょうか。
  35. 吉本宏

    吉本(宏)政府委員 ただいま御指摘のとおり、今回の法制整備によりまして銀行法律証券業務を営むことができるようになったわけでありますが、その実施時期等制度の運用に関しましては、三人程度の中立的な立場にある有識者によりまして懇談会を開き、この御意見も聞きながら最終的には大蔵大臣の責任において時期を決定いたしたい、このように考えております。
  36. 柿澤弘治

    柿澤委員 実は前回の当大蔵委員会での五月六日の質疑でございますが、その中で証券局長の御答弁を私聞いておりますと、三人委員会では時期の問題だけでなくて窓販を実施するか否かの是非の問題も議論をされるような答弁があったわけですけれども、その是非の問題は解決をしていると考えてよろしいわけですね。
  37. 吉本宏

    吉本(宏)政府委員 今回の法制整備の以前の段階におきまして、金融制度調査会並びに証券取引審議会におきましてかなり基本的な議論はなされているわけであります。したがいまして、こういった議論を再び繰り返すということは適当でないと私ども思っております。  ただ、実際に窓販の時期をいつにするかということになりますと、やはり国債管理政策上の立場国債管理政策国債安定消化を促進するために窓販がどの時点で必要であるかというような判断、あるいは窓販を実施した場合に公社債市場に及ぼす影響、たとえばはね返りの玉の処置だとかそれをどういう価格で買い取るかというような問題、さらに一体どういう範囲の金融機関窓販を認めるかどうか、こういった点もあわせて検討した上で窓販の実施時期を決定する、こういうことになろうかと思います。
  38. 柿澤弘治

    柿澤委員 いまの御答弁ですと、時期を決めるために必要な範囲でいろいろとその関係の問題も検討する、こういうふうに理解をいたしましたけれども、それでよろしゅうございますか。
  39. 吉本宏

    吉本(宏)政府委員 そういうことで結構でございます。
  40. 柿澤弘治

    柿澤委員 中立的な三人程度の委員による委員会ということでございますが、その委員会はいつごろおつくりになる予定でしょうか。  この問題は、銀行法に絡んで出てきた関係部局、関係業界等との話し合いの中ですでに大蔵大臣からも明言されていることでございますから、この銀行法案が成立した直後に三人委員会が設けられる、検討がスタートする、こういうふうに考えてよろしいでしょうか。
  41. 吉本宏

    吉本(宏)政府委員 法律成立後に検討いたしたい、このように考えております。
  42. 柿澤弘治

    柿澤委員 今後大変大きな問題になろうかと思うのですけれども、いまの三人委員会法律成立後にできるだけ早く設置をしたい、こういうお話ですが、設置をして検討を開始した以上、大体どのぐらいかかったら結論が出るのか。常識的に見て半年とか一年とかいうことになろうかと思うのですけれども、その辺についてはどうでしょうか。
  43. 吉本宏

    吉本(宏)政府委員 懇談会を設立した上で、その審議期間をどの程度にするかということを委員の先生にもお諮りをしなければならないと考えております。ただ、私どもの考え方としては、そう長期にわたって審議をするということは必ずしも考えておりません。
  44. 柿澤弘治

    柿澤委員 この新銀行法施行の時期はいつになるわけですか。
  45. 米里恕

    米里政府委員 銀行法につきましては、附則で法律が成立、公布になりましてから一年以内に政令で定める日ということになっておりますが、いろいろ経理の問題事業年度の問題、その他全般的な問題がございます。常識的に考えて、恐らく来年の四月一日から施行というのが一般的な施行の時期ではないかと思います。
  46. 柿澤弘治

    柿澤委員 そうしますと、来年の四月一日、まあ常識的な線だろうと思います。その施行の時期までにはこの三人委員会の結論を出していただく、もしくは出していただきたい。そうでないと、銀行法施行されたけれども重要部分についてはあいまいなままで残ってしまうということでは、これまた関係業界に対して大きな混乱を引き起こすおそれがあると思うわけですけれども、大体その辺が結論を出すめどというふうに考えてよろしいでしょうか。
  47. 吉本宏

    吉本(宏)政府委員 先ほども申し上げましたように、懇談会設立後に委員の先生方とも十分相談をしなければいけないと思っておりますし、現在の段階でいつまでに結論を出すということはちょっと申し上げかねる、このように考えております。
  48. 柿澤弘治

    柿澤委員 考え方の問題ですけれども、そう長期にわたることは考えられないというふうに証券局長はおっしゃいましたし、六月から来年の四月ということになれば大体十カ月、一年近くあるわけですから、その間に、中立的な委員、しかも両業界に精通をした方であるとすれば、そんなに長いこと小田原評定をすることもないような気がするわけで、おおよそのめどといいますか考え方として、感触としてはそんなところだというふうに私は理解をいたしますけれども、それでよろしいでしょうか。
  49. 吉本宏

    吉本(宏)政府委員 繰り返し申し上げますが、この問題は懇談会を設立した後に委員の先生にも十分お諮りをしなければならない、かように考えておりますので、いまの段階でいつまでということは申し上げかねるということであります。
  50. 柿澤弘治

    柿澤委員 あとは窓販の実施の時期をどうするか、この点については三つの問題点を証券局長指摘をされたわけですけれども、国債管理政策上の問題とか業界に与える影響とかその他の中で一番重要なポイントというのは、国債管理政策上の必要性ということになろうかと思うのですけれども、大体そう考えてよろしいでしょうか。
  51. 吉本宏

    吉本(宏)政府委員 国債管理政策上の問題もきわめて重要な要因である、このように考えております。
  52. 柿澤弘治

    柿澤委員 そうしますと、これも周知の事実ですけれども、借換債の大量の借りかえというものが六十年に来るわけですね。それまでの間には体制を整えなければいけないというような考え方が出てくる、そういう常識的な話もあるわけですけれども、遅くともということで考えている向きも多いようです。その点は大蔵省としてはどうお考えになっていますか。
  53. 吉本宏

    吉本(宏)政府委員 ただいま御指摘の点も非常に重要な点であると考えております。しかし、その他にいろいろ検討すべき問題もございますので、最終的に実施時期をいつにするかということは、懇談会にお諮りした上で大蔵大臣が決めるということにいたしたいと思います。
  54. 柿澤弘治

    柿澤委員 それから、この三人委員会のテーマですけれども、いわゆる窓販の問題だけに限定をされるのか、それともその他の国債のディーリングの問題も含めて議論をされるのか、その辺はいかがでしょうか。
  55. 吉本宏

    吉本(宏)政府委員 当面の問題といたしましては、やはり国民に一番関心事項となっております窓販問題を取り扱いたい、窓販の時期をどうするかということについて検討をしていただきたい、かように考えております。  ただ、窓販の問題を論議いたします場合には必ずはね返り玉の処置という問題が関連して出てまいります。これはやはり一部ディーリングにかかる話になってまいりますので、こういったこともあわせて御検討を願いたい、かように考えております。
  56. 柿澤弘治

    柿澤委員 そうしますと、はね返り玉の問題もあるし、窓販を実施する上ではディーリングの取り扱いというものもある意味では不可分の問題であるという点で検討課題となってこようというのが、いまのお考えでございますか。
  57. 吉本宏

    吉本(宏)政府委員 ただいま申し上げましたように、当面の問題は窓販の問題でございます。ただ、それに関連して一部ディーリングの問題もかかってくるんではないか、かように考えております。
  58. 柿澤弘治

    柿澤委員 そうしますと、窓販を実施する場合にはディーリングについても別の認可を同時にしないといけないということになるんでしょうか。それとも必ずしも同時でなくともいいというふうにお考えなんでしょうか。その辺は今後の取り扱いの問題ですけれども、不可分であると考えるべきなのか、それとも必ずしも不可分ではない、別途の認可で時期を分けてもいい、実施上は問題はないというふうにお考えなのか、その辺はいかがでしょうか。
  59. 吉本宏

    吉本(宏)政府委員 その点も含めまして今後検討いたしたい、かように考えております。
  60. 柿澤弘治

    柿澤委員 この窓販、ディーリングの問題は、大蔵大臣にお伺いをいたしますが、銀行法改正作業の中での各方面との議論が一番あったところだと思います。最終的に現在ここに提案されている形になったわけですけれども、その法案がまとまる過程の中で、今後窓販については三人委員会を設けて実施時期について検討するということになっておるようでございます。その点については大蔵大臣からも、いろいろ国会審議の過程で御説明をいただけるというふうに聞いているわけですけれども、大蔵大臣としてもこの問題が解決をしないと、といいますか、この問題について今後解決策を早急に見出していかないと、せっかく銀行法改正されても、一番大事なポイントについてあいまいさが残る。長い間あいまいなままで放置していくということでは、せっかくの法案がある意味で仏つくって魂入れずということになってしまうおそれもあるわけで、その点について今後の大蔵大臣としての御決意をお聞きいたしたいと思っております。
  61. 渡辺美智雄

    渡辺国務大臣 これは御承知のとおり現行銀行法でも窓販ができるとか、できないとか、よくわからない。銀行側はできると言うし、明文がないからできないという見方もあって、もともとわからない問題でございますが、今回は法律に明記をしたことでございますから、法の趣旨に従って、情勢に即して対処する。いま銀行局長証券局長がいろいろ条件を言いました。そのほかに、銀行協会、全銀協というのですか、あれの体質が少し変わって、そして当事者能力を持つようになれば私はいつでも認めてもいいんじゃないか、条件が整った上でですよ。だれを相手に交渉していいかわからないようでは、後でまた変わってきてしまうわけですから、こういうことではとてもだめだ。ですから、そういうように当事者能力を持ってしっかりすればいつでも認めます。
  62. 柿澤弘治

    柿澤委員 この問題については行政当局と関係業界、その信頼感といいますか、腹を割っての話し合いというものが一番大事だろうと思います。その点でいま大蔵大臣から、そうした体制が整えばいつでも認めますというお話があったわけでございますので、この点については銀行法案、この作成の過程でいろいろな議論がありました、わだかまりもありましたけれども、その点はぜひ今後関係者の努力で解消して、日本の金融が円滑にいくように私も希望しておきたいと思います。  それから次の問題に移ります。  今回は中小金融機関改正法案も出されているわけでございますが、その一つ一つについて特にポイントをお伺いをいたしたいと思います。  まず信用金庫法の改正でございますが、信用金庫法の改正の中では、今後信用金庫に外為業務を認めるという点が大きなポイントになっていると思います。この信用金庫さらには信用金庫の団体である全信連に対する外為の認可を今後どのようなスケジュールで認めるつもりか、その辺をお伺いいたしたいと思います。
  63. 大場智満

    大場政府委員 外国為替公認銀行として認める場合でございますが、外国為替及び外国貿易管理法第十条二項に「大蔵大臣は、当該銀行が十分な国際的信用を得ることが困難であると認める場合又は外国為替取引を行うに足りる職員を有していないと認める場合には、前項の認可をしてはならない。」という規定がございます。したがいまして私どもとしては、信用金庫が業務を始めた場合に国際的信用を得る見込みがあるかどうかという点が第一点、それから外国為替業務に習熟した職員を有しているかどうかという二点を中心にして考えていきたいと思っております。
  64. 柿澤弘治

    柿澤委員 その点については法改正を前にして、外国為替取扱高の大きな大手の信用金庫については為替業務に習熟をした人を迎えるなり体制づくりというのは着々と進んでいるように思うのです。  いま、これは資料として出していただいたのですけれども、相互銀行についてはすでに外為業務が認められているわけですが、その相互銀行の中で取扱高が少ない方を見てみましたら、五十四年度では二千四百万ドル、五十五年上期で九百万ドルというのが外国為替取扱高の一番少ない、しかも外為業務を認められている相互銀行です。それに比べて現在信用金庫の外為取扱実績を見ますと、五十四年度で三千五百万ドル、二千六百万ドルというのが上位の信用金庫でございますし、五十五年上期は、上期だけで二千万ドルに達するところもすでに出てきている。そういう意味では、外国為替業務を認められている相互銀行よりもすでに取扱高の大きな信用金庫が出てきておるわけです。それだけ日本の中小企業というものも海外取引がふえている、そのはね返りとして中小企業金融機関である信用金庫の外為取扱高がふえているわけでございますから、その点について今後の中小企業海外取引を円滑化する土でもこうした実績を持っているところ、そうしていまおっしゃった二つの条件を備えているところ、もしくは備える努力をしているところについては早急にお認めをいただくというのが大事ではないかと思いますが、その辺についてのお考えを聞かせていただきたいと思います。
  65. 大場智満

    大場政府委員 ただいまの外国為替の取り次ぎ実績につきましては、御指摘のとおり相互銀行の比較的取扱実績の少ないところは五十四年度で二千四百万ドルとかあるいは五十五年度上期で九百万ドルというふうな数字であると承知しております。また、このラインを上回る信用金庫が二、三行あるということも承知しております。もちろん先ほど申し上げましたように、外国為替銀行として業務が認められるためには、将来国際的信用を得る見込みがあることと職員の問題でございますので、いまのような数字的な裏づけも考えましてこの法の趣旨に沿った運用をしていきたい、このように考えております。
  66. 柿澤弘治

    柿澤委員 今後の中小企業関係の海外取引の増大に備えてその点も、金融機関の面からもぜひ手当てが必要だと思いますので、よろしくお願いをいたしたいと思います。  それから信用組合については今度の改正の中で、内国為替の取引について「組合員のためにする」という制限撤廃したわけですね。これは信組が今後郵貯の攻勢に備えて全銀データシステムへの参加を検討しているとか希望している、そういうものに備えたものとも考えられるわけですけれども、その辺今後どうなるのかお伺いをいたしたいと思います。
  67. 米里恕

    米里政府委員 御指摘のとおり、今回の改正案におきましては信用組合の内国為替取引につきまして、「組合員のためにする」取引ということに限定されておりましたものを「組合員のためにする」という文字を落としまして、広く一般的に内国為替取引ができるように措置したいというふうに考えておるわけでございます。  御指摘の全銀データシステムでございますが、今回一般的に内国為替取引が信用組合業界でできるということになりました場合には、関係方面とのいろいろな折衝が必要でございますが、できれば全銀データシステムに加盟することは適当なことではないかと思います。信用組合業界といたしましても、全銀データシステムに加盟するということになりますと、取引者のサービスの充実、ニーズに十分こたえるというようなことが促進される、資すると考えられますので、できるだけ早い時期に、二年程度を目標にいたしまして加入できるように促進していくことが望ましいのではないかと思っております。
  68. 柿澤弘治

    柿澤委員 それから相互銀行でございますが、相互銀行の今後のあり方、なかなか厳しい面があろうかと思います。しかし、中小企業対象の金融機関として地域の中でそれぞれの役割りを担っておるわけでございますので、今後の相互銀行の体質強化については特別の配慮が必要なのではないかと考えます。その点では、最近、店舗行政の面で体質強化店舗というようなものを認めるというような話も聞いておりますが、これからの店舗行政の面で相互銀行の体質強化にどのように取り組もうとしているのか、その辺をお伺いしたいと思います。
  69. 米里恕

    米里政府委員 相互銀行業界が今後中小企業金融専門機関として発展していくためには環境は決して容易なものではないと思います。特に高度成長の影響をかなり顕著に享受していた業界でございますので、成長パターンの変化によりまして経営基盤的にも非常に大きな影響を受けておるというようなことがあろうかと思います。そういったことを金融制度調査会でも審議されまして、昨年十一月の答申で自己努力ということをうたいますとともに、経営体質の安定強化に資するような取り扱い、つまり行政当局においてもたとえば資金吸収面あるいは店舗行政面等において検討されるべきであるという御提言をいただいておりますので、私どももその線で検討いたしまして、去る四月二十三日に発出いたしました店舗通達、五十六年度及び五十七年度の店舗通達でございますが、相互銀行業界に対しましては新たに体質強化店舗というものを認めることにしたわけでございます。この体質強化店舗と申しますのは、いわゆる小型店舗につきまして、相互銀行の小型店舗一店舗については、一般的に設置場所等についての制約がございます中で、相互銀行に限り弾力的な取り扱いが可能になるようにということを措置したわけでございます。  すなわち、具体的に申しますと、通常の小型店舗でございますと三百メートル以内云々というような制約が設置場所についてございますけれども、相互銀行の場合には原則として本店所在地の都道府県内であれば設置場所は自由に認める。それから店舗の人員でございますが、普通の小型店舗は十人以内ということになっておりますが、相互銀行の場合には十五名以内というような特則を認めるというように、相互銀行に限り特殊な店舗を認めることにしたわけでございます。店舗の果たします経営効率に占める役割りというのはかなり大きなものがあるかと思いますので、こういった制度を相互銀行業界も十分活用してその経営基盤の安定化、強化に今後ともに進まれるということを強く期待しておるわけでございます。
  70. 柿澤弘治

    柿澤委員 最後に、証券取引法改正案の中で一点質問をしたいと思います。  今回の証券取引法改正、これは銀行法改正関連をする形で行われているわけですけれども、同時に証券会社の兼業制限の規定を緩和するということで、四十三条を改正して外国のCD、CPを証券会社取り扱いできるようにというふうな改正が行われているわけでございますが、そのCD、CPの取り扱いはこの法改正後に直ちに認めることになるのか、それともこれも何か三人委員会でも考えて一年以上かけてじっくり検討するのか、その辺はどうなんでしょうか。
  71. 吉本宏

    吉本(宏)政府委員 御指摘証取法第四十三条の改正でございますが、これは改正外為法の施行に伴いまして国内の投資家の関心が高まっております外国のCDあるいはCPを証券会社が取り扱える道を開くこととしたものでございます。と申しますのは、CD、CPが流入いたしましてこれを証取法上の有価証券に指定いたしますと銀行が取り扱えなくなる。しかしこういったCDとかCPはいわゆる金融商品でございますので、証券会社だけということでなしに銀行と相乗りで取り扱うようにしてもいいのではないか。そういたしますと有価証券に準ずるものでも証券会社が扱えるような道を開くことが必要である、こういった趣旨で第四十三条の兼業承認の規定を若干緩和したということでございます。  しからばこれをいつ実施するのかという御指摘でございますが、これにつきましては、法律施行後申請があれば認可をしたい、かように考えております。
  72. 柿澤弘治

    柿澤委員 そうしますと、法律改正後申請があれば直ちに認可をしたい、こういうことでございますね。
  73. 吉本宏

    吉本(宏)政府委員 そういうことでございます。
  74. 柿澤弘治

    柿澤委員 この辺も銀行証券のいろいろかきね論の問題にも絡んでくると思うわけですけれども、そういう形で相互乗り入れが進んでいくということになりますと、今後問題が出てくるのが、現在は外国のCD、CPでございますけれども、国内発行されたCD、CPについては一体どうなんだ。今回、CD、CPの性格論からもしこういう規定を設けたのだとすると、国内のCD、CPは海外のCD、CPと性格が違うのかという議論が出てこようかと思うのですけれども、その辺についての取り扱いはどうなるのでしょうか。
  75. 吉本宏

    吉本(宏)政府委員 御案内のように現在国内でCDが発行されておりますが、これは完全な流通性がまだ付与されてないわけでございます。     〔委員長退席、大原(一)委員長代理着席〕 したがいまして、今後国内のCDに対しまして完全な流通性が与えられた段階でこれを証券会社が扱うかどうかということも検討されてしかるべきではないか、かように考えております。  それからCPでございますが、これは一つ資金調達手段になり得ると思っておりますが、金融市場とか証券市場にCPが発行された場合どういう影響が出てくるか、あるいはCPの発行形態をどうするか、さらにCPを発行する場合にその法的な裏づけが必要であるかどうか、さらに投資者保護のためにディスクロージャーの措置をとる必要があるかどうか、こういったかなりいろいろな問題がございます。したがいまして、こういった点につきまして十分検討した上で国内でCPを発行するかどうかを決定されてしかるべきではないか、かように考えております。  さらに、この問題を証券会社あるいは銀行に取り扱わせるかどうかにつきましては、その段階で関係局とも十分協議をしたい、かように考えております。
  76. 柿澤弘治

    柿澤委員 時間が参りましたので、これで質疑は終わりたいと思いますけれども、銀行法改正法案の作成作業の中で、行政当局、関係業界、いろいろと議論がございまして、それぞれの業界にとっても五十年に一回というような大改正の中で、将来の業界の展望、利害にも大きく絡む問題ですから、大いに議論はされてしかるべきだと思いますけれども、今後の日本の金融の健全な発展、金融秩序の維持ということを考えますと、やはり行政当局と関係業界との信頼感というのが一番大事だろうと思います。その点で、今後それぞれの業界、行政機関との信頼感の回復といいますか、確立といいますか、強化といいますか、そういう点について関係の皆さんの御尽力をひとつよろしくお願いをいたしたい、それをつけ加えまして、質問を終わります。
  77. 大原一三

    大原(一)委員長代理 塚田庄平君。
  78. 塚田庄平

    塚田委員 まず大蔵大臣に御答弁を求めたいと思うのですけれども、今度、五十年に一遍、半世紀の間放置されていた銀行法が新たな装いで登場したわけでございますが、銀行法答申を求めて成案を得て提出するまで、実に六年かかっております。答申までに四年間、それから答申を得て成案を得るまで二年間、計六年間経過しておるわけでございますが、この間に、もうこれは言うまでもない事実でございますが、証券業界あるいは銀行、そして大蔵省と、三者がまさに三つどもえの争いというか、絡んで、なかなか結論を得なかったというような経緯等もこれあり、新聞では、どうも嫁に行けない花嫁がのこのこあらわれてきたとか、あるいは三方一両損だとか、いろいろな言葉で今度の銀行法誕生劇をやゆしております。  こういった世間のいろいろな見方に対して、一体、五十年たって不磨の大典として出したつもりであろうが、果たしてこういう情勢の中で、この銀行法はこれから少なくとも五十年の風雲にさらに耐えていけるかどうかということについての、大蔵大臣としてのひとつ確信ある御答弁をいただきたい、このように考えております。
  79. 渡辺美智雄

    渡辺国務大臣 私は、銀行法はもっと早く改正されてよかったんじゃないか、そう思っております。しかし、金融の基本法であるというようなこともあって、もう一つは、いまお話しのように、いろいろな利害の交錯というものもございます。そういうようなことで少し改正に手間取ったということは事実でございますが、大法典でございますから、相当論議を尽くすということは決して悪いことではない、私はそう思っております。  しかし、一方で非常に金融の国際化が進む、あるいは国債発行ということがいままで考えられないほど大きな問題になっておって、その償還も大変な問題になっておる。それから、銀行も非常に大きくなっておって、日本の産業との関係ばかりでなく、最近に至っては、住宅ローンを初め個人との結びつきが非常に大きくなった。公共部門との取引も昔と違って非常に大きくなった。一方、経済がきわめて安定化の方向に変わってきたというようなこともございまして、そういうような事情に対応する銀行法に直していくということが、私は、今度の改正の背景であったと思います。したがって、こういうように変転きわまりない世界の情勢の中で、日本経済だけを考えればいいという時代でなくなったわけでございますから、今後どういうように世界の経済が変わっていくか、それも常に見きわめていなければならない。  したがって、今回銀行法改正したから、もう五十年間は銀行法改正しない、そういうものじゃないだろう、そうかといって、一年、二年で改正するなんということもないと思いますが、やはり必要に応じて、改正すべきものがあれば改正してよろしい、私はそう思っておるわけでございます。
  80. 塚田庄平

    塚田委員 私は、五十年と言ったのは比喩的に言ったのであって、いま大臣答弁されたとおり、恐らく今度の銀行法については、いままでの経緯等を考えますと、やはり五年ごとに、あるいは十年くらいで見直していかなければならぬような事態が来るんじゃないか。それはいま言ったとおり、国際的な問題もありますし、大体国債発行につきましても、これは大蔵省方針としても、ゼロにすることを目標にいま努力をしておりますし、いろいろな関係からいって、見直すべき時期が早いんじゃないかと思うのです。  その場合に、ちゅうちょなくこれを見直していくという態度でなければ、法律がかえって足かせになるというような事態も考えられますので、その点も含めまして、もう一度ひとつ決意をいただきたいと思います。
  81. 渡辺美智雄

    渡辺国務大臣 銀行の機能というものがその経済情勢に非常に適応しているかどうか、銀行の使命というものがそのときの経済情勢や国民の要望にかなっているかどうかというような観点から、常に注意深く見守る必要がございます。したがって、五年に一遍というふうに決めるわけにもいきませんが、そう硬直的に考える必要は少しもない。やはり塚田委員の言うように、必要に応じて、それは直すべきものがあれば直すということがあって何ら差し支えない、私はそう思っております。
  82. 塚田庄平

    塚田委員 そこで、見直すべき、これからひとつよく注視をするというか、これからの運用について十分関心を持ちながら見守っていかなければならぬ事項として、やはり私は、ディスクロージャーと監督業務との関係だと思うのですね。これは紙の裏表であって、残念ながら、調査会あるいは審議会の答申の線よりも、ディスクロージャーあるいは監督の面がずっと後退をいたしております。  これは「目的」の中で、第二項で、銀行の自主性を尊重するというようなこと等に重点を置いて法案作成がされたという経緯がございますし、そういう経過があるので、この二つの問題について、特に、ひとつ今後とも十分フランクな考えで臨んでもらいたい。  まず第一にディスクロージャーについてでございますが、残念ながら、答申に盛られました収支の状況とかあるいは営業の状況等について、これを一般の預金者に知らしめ得る手段が閉ざされております。字面では削ったんですね。これは銀行局長の言った原案、恐らくこれは理事会では、例の二月二十七日ですか、ある雑誌に発表されたいわゆる銀行局案というのが原案だ、こういうようにいま報告を受けておりますから、その原案から見ますと、ずっと後退をいたしておるわけでございます。そういう面でディスクロージャーが後退をする。監督につきましても、これははっきり言いまして、私は後退していると思うのですね。  いま一々条文を挙げて説明することは、時間がありませんしほかの質問もありますから避けたいと思いますが、この紙の裏表であるディスクロージャーと監督、ディスクロージャーがあるから、つまり自主的に内容を開示していく、そういった行為があってこそ初めて監督行政は緩むというか自主性を尊重するということになるのです。もしそれを閉鎖してしまうということになれば、逆に監督をきつくしなければならぬということになるので、この両々が両輪のごとく始動するところに初めて銀行経営の健全さが、あるいは預金者保護の立場が貫かれる、こう考えておりますので、まずこの二つについて、ひとつ十分今後とも、いろいろと他の委員からも質問が出ておりますので、決意を持ってこれら二つの条項について当たってもらいたい、こう思います。これは答弁要りません。  次は、金融の国際化という問題に絡んで、非常に忌まわしい事件が実は北海道で起きたわけでございますが、いわゆる岩沢グループ事件というものですね。これはもう各新聞、報道機関で大々的に報道されておりますし、これから質問をいたしますが、当然いろいろな調査も行われておりますので、前提は余り言うことを避けたいと思います。  まず銀行局に御質問をいたしたいのですが、今度の岩沢グループのこの株の買い占めあるいは誠備グループの失敗から来る大損害、そして系列会社五十数社がいままさにあっぷあっぷの状態だ。それで北海道の経済界はもちろん、中央経済界に与える影響も非常に大きい。従業員も万を数える従業員ということになりますと、これはほうっておけない社会問題だと思うのですが、それはさておいて、岩沢グループに対して仕手戦株の購入資金として邦銀あるいは生保、損保あるいは外銀、一体どのくらい岩沢につぎ込んだのか、貸したのかということについて発表願いたいと思います。
  83. 米里恕

    米里政府委員 岩沢グループ全体に対しまして、邦銀、生保、損保、外銀合わせまして約三百七十億の融資が行われております。
  84. 塚田庄平

    塚田委員 別々に発表していただけなかったのですが、時間がありませんから私が言います。これが正しいかどうかということだけ、ひとつ首を縦に振るなり横に振るなりしてください。  邦銀、これは五十一億六千五百万、生保四十九億八千三百万、損保四十四億、外銀  外国銀行ですね、二百二十四億二千二百万、合わせまして、いま言いましたとおり約三百六十九億。ところが、このほかに実はグループが直接借り入れたものがございます。これは、私どもに入った資料によりますと八十六億になっておりますから、合計しまして大体四百五十五億七千万程度だと思いますが、間違っていたらひとつ御指摘願いたいと思います。
  85. 米里恕

    米里政府委員 大体おっしゃるような数字になっております。
  86. 塚田庄平

    塚田委員 時間もありませんので大変急ぎますが、実はこのグループというのは北海道で最大のグループと言っていいのですね。ところが、不思議に、邦銀の中で北海道の地銀、まあ代表的なのは拓銀とかあるいは北海道銀行、あるいは北海道に出ておる地銀、都銀支店、こういったものはほとんど貸してないのですね。     〔大原(一)委員長代理退席、委員長着席〕 ところが不思議に、東海銀行という全国第六位の都銀が、はっきり言います、株式の購入の借入金として貸し与えたのが十八億五千万、以下、札信だとかあるいは相互銀行、合わせまして十三行が金を出しておりますが、一体、地元のメーンバンクがさっぱり動かないで、支店を持っておる東海銀行が中心になりまして、これからまだ外銀との関係は後で質問いたしますが、動いたということについて、銀行局はこれはどうも不思議だなと思いませんか。
  87. 米里恕

    米里政府委員 御指摘の地元の金融機関につきましても、もちろんこの岩沢グループとの取引はあるわけでございまして、北海道拓殖銀行あるいは北海道銀行もかなりの取引が従来からあったというふうに聞いております。  東海銀行がなぜ選ばれたのかということは、いろいろ個別の事情もあったかと思いますし、特に特殊な理由があったというふうには考えておりません。
  88. 塚田庄平

    塚田委員 特に特殊な事情がなかったということですが、じゃ、以下これからいろいろ質問いたしますから。  東海銀行はみずから、少なくとも岩沢グループからの報告によりますと、株式の購入資金として十八億五千万貸しております。みずから貸すばかりじゃなくて、外銀紹介しているのですね。二百二十四億二千二百万というのは全部——全部と言っては何ですが、ある意味においてはそのもとをつくっていったのは東海銀行なんですよ。これが主たる銀行紹介し、またその銀行が今度は他の外銀紹介するということで、合わせて十二行ですね、この株式購入に金を出しておるというのが実態なんですけれども、これは認めますか。
  89. 米里恕

    米里政府委員 東海銀行が外国銀行に対してこの岩沢グループに対する融資を紹介し、一種の請書のようなものだと思いますが、レターを出しておるというようなことがあったことは事実だと思います。
  90. 塚田庄平

    塚田委員 局長、それは正確じゃないのですよ。外銀全部に出したわけじゃないのです。外銀の中でも出してないものもあるのですよ。それはもう詳しくは言いません。  そこで、そのレターなるものの性格なんですけれども、いま一種の請書だ、こう言いましたね。それで、確かにこのレターでは通常言う保証という言葉は使われておりません。つまり、ギャランティーという言葉は使われてないのです。しかし、アシュアあるいはエンシュアという言葉が使われております。これは外国ではいま言いました請書に相当するものだと私も考えます。請書というのは、今度は日本の商習慣から言うと保証的な意味が非常に強い、こう私どもは考えております。これは変な質問になりますけれども、アシュアあるいはエンシュアの語源はインシュアです。これは保険という意味なんですね。この辺、外国は語感に非常に敏感なので、そういう意味では保証的な意味としてこの請書に判をついてもらった、こう考えられるのですが、どうですか。
  91. 米里恕

    米里政府委員 いま先生から御指摘ございましたように、確かに一部についてそういうレターを出しております。このレターの性格がいかなるものであるかということにつきましては、これはなかなか一般的に判断することもむずかしいかと思います。現在法律上の解釈、性格論というものを当該外銀と東海銀行の間で詰めておりますので、どういう性格のものかということはそういった法律的な解釈にまつというようなことしかないのではないかと思います。
  92. 塚田庄平

    塚田委員 法律的な解釈にまつということになると、最後は裁判ですよということと同じなんですよ。そこで一番最初に戻るのですが、いま銀行法改正されて金融の国際化というのが叫ばれておる。そういう中で少なくとも外国銀行の有力な十二行と東海銀行が、しかも裁判上で争うということになれば、これは相互の信頼関係、いや外国銀行邦銀全体との信頼関係に非常に大きな影響を与えると思うのですが、どうですか。あなたは簡単にこれは法律的な決着をつけざるを得ない、こう言っておりますが、そういうことを望んでおるのですか。
  93. 米里恕

    米里政府委員 金融の国際化がこれだけ進んでまいりまして、邦銀外銀の間で信頼感が必要であるということはおっしゃるとおりだと思います。そういう意味で現在、邦銀外銀の間で問題が生じておるということは遺憾なことであろうかと思います。法律的と申しましたが、法律的な解釈に基づいて両当事者間でいま話し合いが行われておる、ローヤー同士の話し合いのマターになっておるというような状態でございますので、できましたらできるだけしこりが残ることがないように両方が十分な話し合いを行いましてその解決が出ることを期待いたしております。しかし、こういった種類の事件が再発するということは非常に望ましくないことでございますから、十分、融資管理の徹底について私どもからも口頭指導を行っておるという状況でございます。
  94. 塚田庄平

    塚田委員 さらに質問しますが、岩沢氏は四百五十五億七千万という膨大な借り入れをやったわけですね。その半分は外銀。それが私の計算で間違いなければ二百二十四億。そのうち実に、HTBという、これはテレビ放送会社なんですけれども、これが百四億の借り入れをやっておる。つまり外銀から百四億借りましてそれを岩沢にやったのですよ。HTBというのは、これは公共的な事業ですね。電波ももちろん郵政省の許可を得た電波なんです。この百四億を一体どういう処理の仕方をしているのか、この点について調べましたか、あるいはどういう処理をしたかということについてひとつ御答弁願いたいと思います。
  95. 米里恕

    米里政府委員 具体的な処理の仕方につきましては、申しわけございませんがつまびらかにいたしておりません。
  96. 塚田庄平

    塚田委員 それじゃ郵政省に聞きます。郵政省は直接電波の監督官庁ですからこの問題については十分関心を持っておると思うのです、大変な問題だと。どういう処理を一体テレビ会社はやりましたか。
  97. 岡利定

    ○岡説明員 お答え申し上げます。  このたびの事件によりまして北海道テレビ放送株式会社が多額の負債を抱えて、今後この北海道放送株式会社が放送局を適正に運営していけるかどうかということを含む非常に重要な問題であるとわれわれも認識いたしまして、三月二十日に新聞で報ぜられまして以来北海道テレビ放送からいろいろ事情を聴取してきておる状況でございます。先ほど先生御指摘いただきましたように北海道テレビ放送株式会社のいわゆる簿外の借入金というのは百四十一億円になっておりますが、そのうちの百四億円というのが先生御指摘のとおり外国銀行からの借り入れだと聞いております。これにつきましてどういうぐあいにやるのかという点でございますけれども、私ども郵政省といたしましては電波法、放送法に基づきまして放送局を監督しておる立場でございますけれども、電波法、放送法のたてまえによりますと放送会社というものが言論報道機関と位置づけられておりまして、経営の面できわめて自主性を保障されておるという面がございますので、われわれ経理内容自体につきまして詳しく調査する権限がないものでございますので、その辺につきまして十分把握いたしておらない状況でございます。
  98. 塚田庄平

    塚田委員 ただいま言いました三百六十九億、これについては簿外処理をしておるということは承知しておりますが、これは全体的にはちょっとなかなか答えられないと思いますので、HTBさんの、電波監理局の方はどうですか。
  99. 岡利定

    ○岡説明員 お答え申し上げます。  先生の御指摘のとおり簿外処理をしておると聞いております。
  100. 塚田庄平

    塚田委員 実はこれはHTBだけじゃなくて全部簿外処理です。私が言いました最後のグループが直接借り入れたもの、これについては不明です。しかし私の調べたところでは三百六十九億については全部簿外処理をやっております。  さて、法務省おりますか。——民事局の方に聞きたいのですが、これだけの金を借り入れて簿外処理をやるということになりますれば法律的に、特に商法に抵触するようなことはございませんか。この際特に法律三十三条の一項二号あるいは二百六十五条、二百六十条の二項、これら一連の法律に違反する、私はこう考えます。一体民事局の方ではどう見解を持っておるか、この際ひとつお伺いしたいと思います。
  101. 元木伸

    ○元木説明員 お答え申し上げます。  私どもの方で事実をつまびらかにしておりませんので、先生御指摘の事実を前提といたしましてお答え申し上げるわけでございますけれども、それによりますと、まず商法の三十三条の一項二号では「取引其ノ他営業上ノ財産ニ影響ヲ及ボスベキ事項」については会計帳簿に記載しなければいけないということになっておりますので、もし簿外ということであれば明らかにこの規定に違反するということになります。それからまた二百六十五条の問題でございますけれども、これはちょっと御指摘の事実がなかったわけでございますけれども、あくまで仮定でございますが、もしこの貸し付けが取締役会の承認を得ないで行われているということであるならばこれに違反するということでございます。それからなお二百六十条の二項の規定でございますけれども、現行法では二百六十条は一項しかございませんけれども、ただいま法務委員会で御審議いただいております商法の改正法律案がございますけれども、その二項では「多額ノ借財」につきましては取締役会の決議を経なければいけないということになっております。したがいまして、もし取締役会の決議を経ないまま借り入れたということであるならばこれに該当するかと存じます。
  102. 塚田庄平

    塚田委員 それでは、これは個人でやったのじゃないんだ、取締役会の決議を経ておるんだという場合あるいは総会の決定を経ておるんだという場合、新法に言ういわゆる「多額ノ借財」を取締役会が承認するということについてはできないことになっておるのじゃないですか、どうですか。この場合百四億という大きな金です。いやこれは外銀だけですから、邦銀を入れますと先ほど答弁がありましたとおり百五十億近いのですよ。こういう膨大な借金をすることは少なくとも新法ではできないことになっておるように読み取っておりますが、どうですか。
  103. 元木伸

    ○元木説明員 今回の改正法律案におきましては取締役会の決議を経なければ「多額ノ借財」はできないということになっておりますので、もし取締役会の決議を経なければ、これはできないということになります。
  104. 塚田庄平

    塚田委員 そうするとこれは取締役会の決議を経ていなければ背任の疑いがあるということですか、あるいは特別背任ですか。
  105. 元木伸

    ○元木説明員 そのことで直ちに背任等々の問題、これはまたその他の要件がいろいろ絡んでくると思いますので直ちにお答えはできないわけでございますけれども、少なくともこれを借り入れた取締役につきましては民事上の責任は生じると考えます。
  106. 塚田庄平

    塚田委員 さて、警察庁来ておりますか。それでは、こういう状態の中で残念ながら御当人が行方不明でございます。大体二カ月も行方不明ということはちょっと、外国へ飛んでおるのかあるいは地下へもぐっておるのかわかりませんけれども考えられないですね。しかし現実はそうです。そこで、いま民事局の方でいろいろと答弁がありました。きょうは時間がありませんから質問をこのぐらいにしますけれども、いろいろとほかの問題等も出ておるような状況の中で警察庁としてはこの問題拱手傍観しておるのかどうか、これをひとつ答弁願いたいと思います。
  107. 漆間英治

    ○漆間説明員 この問題につきましては道議会におきましても同様な御質問がございまして、その際に道警の方で答弁いたしておりますが、その答弁ぶりは関心を持って事態の推移を見守る、こういうように言っておるわけでございまして、決して拱手傍観をするわけではありません。
  108. 塚田庄平

    塚田委員 私は北海道議会でどうしだこうしたということを聞いているのじゃないですよ。これは全国的な問題で、しかも余り言いたくないことですが地元の大きな銀行では、黒川木徳それから加藤某、そして岩沢と金がぐるぐる回っているということはもうこれは周知の事実になっておりますよ。そういう中で関心を持って見守っておるということになれば、これは拱手傍観と変わらないじゃないですか、どうですか。
  109. 漆間英治

    ○漆間説明員 警察は犯罪捜査機関でありますので捜査するかどうかということについてはなかなか申し上げにくい立場でありますが、そういう立場を踏まえた上でなおかつ関心を持っておるということを言っておるわけでありますから、その辺のところはおくみ取りいただきたいと思います。
  110. 塚田庄平

    塚田委員 警察は捜査機関である、私は捜査という警察行為をいまやるべきだと言っておるのじゃないのです。これはもちろんちょっといま答えづらいでしょう。しかし関心を持ってということは、われわれの任務は捜査だ。捜査だから、それを背景にしてあるいはその本来的な要務を秘めながら、重大な関心を持って見守っておるのじゃなくてそれなりに動いておるのでしょう。どうですか。見守っておるじゃこれはちょっと引けないですね。
  111. 漆間英治

    ○漆間説明員 御質問に端的にお答えをいたしますと、要するにこの問題に関しては捜査すべき事柄があるかないか、それを見きわめるための作業はしておるということであります。
  112. 塚田庄平

    塚田委員 ただいまの答弁、私としては捜査の対象になるかどうかを目標にしながら少なくともそれなりの内部調査をやっておると受け取りたいと思うのです。それなりの、最近はやりの言葉なんですが、そう受け取っていいのですか。
  113. 漆間英治

    ○漆間説明員 この問題に関しましては先ほども御質問の中にもありましたが、関連する企業等の従業員を含めますといろいろ多数の方々がこの問題の推移にかかわっているわけであります。そういう状況を踏まえて、警察としては捜査機関としての立場からこの問題にアプローチをしておるわけでありますから、そのアプローチの仕方というのはおのずからそれなりの仕方があるわけであります。
  114. 塚田庄平

    塚田委員 それなり問答になってしまいましたが、大体意味するところはわかりました。私は、もう相当時間もたっておりますからいずれ早い機会に何らかの国民があるいは道民がわかるような結果をひとつ出してもらいたい、このように希望をいたします。  きて、銀行局でございますが、先ほどから外銀に対してレターを出した。それでそのレターの内容なんですが、これは出していただけますか。邦文じゃなくて原文で出していただけますか。
  115. 米里恕

    米里政府委員 個別の銀行がプライベートに出したものでございますので、私どもから資料として提出することは御容赦願いたいと思います。
  116. 塚田庄平

    塚田委員 それでは、絶対出さないというのですから、私の手元に入った資料によりますと、これは決して大蔵省じゃないですから、ほかの方から入っていますから局長安心してください。  いま言いましたとおり、アシュア、エンシュアという言葉を使いながらこう書いてあるのです。北海道テレビを東海銀行が支援、支持をしてその債務の履行を速やかにさせる、速やかに債務のすべてについてこれを払うように履行する、こう書いてあるのですよ。これはチェースに対して出した請書です。それからシアトルに出したあれですが、これは同グループの「債務にわれわれが積極的に関与することにより、少なくとも損害を受けないようにこれから最大限の努力をします」その点は受け合う、こうなっているのです。それから、ユナイテッドに出した請書によりますと、これまたもっと念が入っておるので、「もし貴行に質入れされている担保としての証券の価格が下落した場合には受け合う」というのですね。だから、担保力が下がった場合にはその分は受け合います、こう言っているのですよ。どうですか、局長、これでも争わなければならぬあいまいな事項であるかどうかということなんですね。少なくともこの三行については争わぬで、外銀の求めておるいわゆる保証をきちっとしなければならぬ。そうでないとこれは大変なところに発展するというふうに私は考えますが、どうですか。
  117. 米里恕

    米里政府委員 御指摘がございましたように、乙の文面を見ましても、かなりこの内容が異例のものであるということは申し上げられようかと思います。ただ、それが東海銀行の保証責任とどういう関係になるかということにつきましては、やはり当事者間で現在話し合いを続けておりますので、両者間で解決すべき問題だと考えております。
  118. 塚田庄平

    塚田委員 この問題ばかりやっていたんじゃもう時間がございませんから、いずれにせよこういう不祥事が起きまして、東海銀行につきましてももっと銀行局は、恐らく内部にいろいろな問題があったのかもしれませんけれども、この問題について少なくとも裁判で決着をつけるという情勢を迎えないでやるようにひとつ指導を強化する必要があると思うのです。その点局長の決意ある答弁をいただくと同時に、大臣は恐らくこういうことについては余りそう詳しいことは知らないだろうと思います。お聞きのとおりのような事態で国際的な信頼関係の問題になっておりますので、この問題を受けて、いまちょうど銀行法が審議されておるさなかのことでございますので、大臣としての決意もあわせていただきたいと思います。
  119. 米里恕

    米里政府委員 先ほども申し上げましたように、邦銀外銀の間でしこりが残るというようなことはまことに不適当なことであろうかと思いますので、当事者間で十分話し合いを行って円満に解決がなされるよう、あるいはまた今後かかる行為というものについて厳に自粛するように私どもとしても十分指導してまいりたいと思います。
  120. 渡辺美智雄

    渡辺国務大臣 私は法律家ではありませんから法律の委細はわかりませんが、あなたが読んだように、この請書か保証書か何か知らぬけれども、━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━しかしながら、道義的な責任は明らかでしょう。したがって、こういうようなものを出しておく以上はそれ相応の道義的な責任を感ずるのはあたりまえのことだと私は思っております。法律の決着というばかりが能じゃないですから、両方で話し合いをしているということでございますので、話し合いによって国際的な信頼をなくさぬように、銀行の信用もなくさないようにやってもらいたいと思います。
  121. 塚田庄平

    塚田委員 大臣、あなたいま容易ならぬことを言いましたね。━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━一体この問題についてそういう答弁で、しかも大蔵大臣がそういう言葉を使うということについて、あなたは適当だと思いますか。
  122. 渡辺美智雄

    渡辺国務大臣 少しわかりやすく言ったので、適当でないと思いますから、取り消します。取り消します。  この文書を読んでみると、文面だけからあっさり見れば確かに保証されたような気になるという意味のことを私は言ったわけです。したがって、そういうものを出しておく以上は、法律的な専門的な意味はよくわからぬけれども、道義的責任はあるでしょう。したがって、これは法律だけでただ争えばいいというものじゃなくて、こういうものを出しておく以上、やはり誠意を持って話し合いで決着をつけるべきものだという意味で言ったわけでございますから、御了承を願いたいと存じます。
  123. 塚田庄平

    塚田委員 それじゃ、この問題について銀行局の適切な指導を期待しながら、しかも場合によっては郵政省、重大な電波を握っておるところですからね。しかも電波に外銀が絡んでおるということになると、これはもう大変な問題に発展する可能性がありますので、むしろHTBにつきましては十分な監視、監督と今後の処置についてひとつ誤りないように指導をするということを私は要請をいたします。いいですね。  それでは、次に移ります。  がらっと変わってグリーンカードについて質問をいたしますが、理財局はおりますか。——きょうの新聞もそうですが、きのうの新聞もグリーンカードについて、これははっきり言います、新聞に出ておりますから。新聞によると、自民党では見直しをきのうかきょうか決定をしまして、その作業に入った。ある新聞によると、グリーンカードは実施する、そのかわりに少額貯蓄の限度額を上げる、これはある新聞の記事ですから真実性は私もわかりません。こういう状態の中で、いずれにせよグリーンカードについてある程度の修正といいますか、こういう記事が載っておるのですが、大蔵省はこの間グリーンカードについては相当議論を深めて、しかも特にプライバシーの侵害等につきましては満場一致の附帯決議をつけて決定したものでございますので、恐らくこれから一歩も後退することはないと思いますけれども、これまたひとつ決意をいただきたいと思います。
  124. 梅澤節男

    ○梅澤政府委員 グリーンカード制度の問題につきましては、この国会でも総理大臣並びに大蔵大臣から、五十五年の法改正趣旨に沿いまして既定方針どおり実施するということをたびたび表明されているところでございます。  先ほども御指摘になりました問題でございますけれども、私どもも新聞紙上等でそういうことを承知しているわけでございますけれども、まだ具体的にどういう問題をお取り上げになり、どういう問題を御検討になるかということを私どもも承知していない段階でございますので、こういった動きに対しまして大蔵省としてどういうふうに考えるかとか、あるいはとかくの論評を申し上げるということは現段階として差し控えたいというふうに考えるわけでございます。  それから非課税貯蓄の限度額そのものの議論でございますると、これもたびたび国会で大蔵省考え方を申し上げているわけでございますけれども、現在の貯蓄の動向等を考えました場合に、マル優それから特別マル優、郵便貯金も含めまして、現在の非課税貯蓄の限度額の水準は適当な水準にあるというふうに考えておりまして、この考え方については今後も私どもの考え方は変わらないというわけでございます。
  125. 塚田庄平

    塚田委員 梅澤さん、新聞ではいま言った限度額の問題とグリーンカードの問題とあわせて出ていますね。新聞ではですよ。だけれども、私は、グリーンカードの問題と、つまり総合課税のための手段としてがっちりと把握するというためにグリーンカードをやることと、それから限度額を下げるとか上げるとかということとは全然次元の違う問題だ、こう考えておるのですよ。だから、グリーンカードについてはもう法律で決定して、いつから実施ということが決まっておるのですから、これは決定どおりやるんですか、その決意がありますかと聞いておるのです。だから、むしろそういう限度額の上げ下げで取引しないで、やはりはっきりとグリーンカードについては実施をしますと私は答えてもらいたい。ずいぶんいろんな問題を乗り越えてできた法律ですから、まだ実施されない前に云々する、しかも政府・与党の方からいろいろと論議が出てくるということは私心外なんですよ。それで、梅澤さん、もう一遍その点についての御答弁を願いたいと思います。
  126. 梅澤節男

    ○梅澤政府委員 先ほども申し上げましたように、総理大臣並びに大蔵大臣の今国会における御答弁を引用させていただいたわけでございますけれども、大蔵省といたしまして、五十五年度の所得税法改正に基づきまして五十九年一月一日から実施されますグリーンカード制度につきましては既定方針どおり確実に実施するということでございます。
  127. 塚田庄平

    塚田委員 それじゃ次に移ります。  ちょっと労働金庫の問題、これは関連した中小金融機関の関係ですけれども、実は労働金庫については今度ずいぶん改正されまして、私は、全体的な方向としては非常にいい方向改正された、このように考えております。しかし、実際しさいに検討してみますと、せっかくこの法律改正されたその趣旨が生かされない幾つかの細かい問題がございます。もう時間もございませんからそれらの問題を少し一括して質問をいたしますので、御答弁をいただきたいと思うのです。  まず第一は、共済組合の労金への加入問題でございます。労金に加入資格はあっても、加入するためには出資をしなければならないことになっております。端的に言いますと、この出資は、少なくとも業務経理からいいますと、相手方、共済組合の方にその出資を受け入れる場所がないわけです。はっきり言いますと、共済組合の出資に関する部分の短期経理の勘定科目の中で出資金という科目はないわけです。加入金はあります。ありますけれども、出資金はないために出資を受け入れるわけにいかない。したがってせっかく資格はありますけれども加入することができないという一つの問題があります。これを一体どう解決するかということがまず第一点でございます。  第二点は、店舗でございますが、労働金庫というのは、通常の金融機関と違いまして、まさに庶民、消費者向けの金庫でございますので、業務を主とするものでもなければ、また利益を追求するものでもないという意味において、支店の設置については他の銀行と横並びで規制するということではなくて、もっと自由にやるべきではないかということです。  それから第三は員外の貸し付けでございます。これも確かに員外貸し付けが今度できるようになりました。しかしこれは政令で相当制約があるのでございますが、この員外貸し付けにつきましても、たとえば労働組合なんかでは主婦会などというそういう会をつくっているところもございます。そういうところへの員外の貸し付けあるいは労働組合が一つのマンションに入っております。いまマンション修繕などといっても相当金がかかるのです。だから十人共同でやる場合に二人が金がない場合にはこれはできないわけです。そういう場合に、この二人に対してあとの八人が何らかの保証をすることによってマンションの修繕ができるような、そのためには、信用金庫に許されておる員外貸し付けのほかに、もっと広く労金の場合は認めなければならないのじゃないか、こう考えているのです。  大変口早に三項目言いましたが、これらについて簡単でいいですから、恐らく今後検討の課題だと思いますが、どういう態度でその課題に取り組むか、御答弁を願いたいと思います。
  128. 矢崎新二

    ○矢崎(新)政府委員 まず第一点の共済組合の関係の御質問にお答えを申したいと思います。  御指摘のございましたように、労働金庫法の規定によりますと、国家公務員の共済組合連合会、これは労金に出資することによりまして会員となる資格が認められる仕組みにはなっておるわけでございます。ただ、一方、国家公務員共済組合法によりますと、この資金運用の基本的な考え方といたしまして、安全かつ効率的な運用ということを基本原則に掲げているわけでございます。こういったような観点から、共済組合法に基づきます資金運用の対象といたしましては、共済組合の保有資金が余裕金としての性格を持っているということあるいは資金の流動性を確保しなければいけないといったようなこと、そういったもろもろの事情を総合的に勘案いたしまして、資金の運用の対象といたしましては、金融機関への預金等のほか有価証券というものに限定をしているということでございます。したがいまして、流通性のある有価証券としての性格を持っていないものにつきましては、一般的に労金に対する出資に限りませんで運用の対象にしていないわけでございます。  それからさらにこの労金につきましては、会員資格を取得いたしますと、労金法の仕組みからいいますと、労金からの資金の貸し付けなりあるいは手形割引等の会員としての恩恵を受けられる、こういう仕組みになっておるわけでございますけれども、一方、国家公務員共済組合の場合は、財政の健全性を維持するという観点から、原則として第三者からの借入金が禁止をされておるという事情がございます。こういったことから見まして、労金法によりまして国家公務員共済組合が金庫の会員になれる道が開かれてはいるわけでございますけれども、共済組合といたしましては、現在会員となることの必要性なりメリットという点についてそういうものが乏しいというふうに考えておりまして、資金運用の対象としては認めていないということでございます。  今後の考え方はどうかという点につきましては、やはり先ほども申し上げましたように、安全かつ効率的な運用を確保するという基本原則に照らしまして、今後とも慎重に判断をしていきたいというふうに考えております。
  129. 米里恕

    米里政府委員 御質問の二番目の店舗でございますが、御指摘のように労働金庫の店舗というものは中小企業金融専門機関である信用金庫あるいは信用組合と若干性格を異にするという面もございますので、そういった中小企業金融専門機関とは切り離して別個に店舗行政を行っております。具体的に申しますと、労働金庫協会で全国的な調整を行いまして、その調整の結果を当局に申請してこられるというプロセスをとっておりまして、労金協会から調整されました結果のものにつきましてはほとんどが認可されておるというような状態になっております。そういうことで、年々大体御希望どおり調整の結果が認められておるという現状でございます。  それから、三番目の御質問の員外貸し付けでございますが、政令でどういうものを予定しているかということはまだこれからの問題ではございますが、まず、政令で総枠といたしまして労金の資金貸し付けの総額の百分の二十以内とするという縛りをかけたい。これは本来の性格を著しく逸脱しないようにという観点からの措置でございます。あと内容をどうするかというのはこれからの検討マターでございますが、少なくとも協同組織金融機関の員外貸し付けというものは例外措置であるということではございますし、また信用金庫、信用組合等とのバランスというものもございます。今後労金協会とも十分協議しながら具体的に決めてまいりたいと考えております。
  130. 塚田庄平

    塚田委員 もう一つだけ再質問をちょっと。  例の共済組合の関係なんですけれども、労働金庫は確かに以前は若干の不安定性はあったと思うのです、率直に言って。しかし、もう今日に至ってはきちっと安定しておりますし、また共済組合から預かっておる金もすでにもう百三十億を超えておるわけです。これを効率的に運用するためにはやはり長期の預かりということにならなければできないわけなんです、短期でやったんでは。そういう面からいって効率的に運用する、あるいは安全性の面からいってもこれを前向に検討してもらわないと実態にそぐわないと思うのです。せっかく加入の資格はもらったけれどもできないというようなことになりますからね。この点再度御答弁をいただいて終わりたいと思います。
  131. 矢崎新二

    ○矢崎(新)政府委員 労働金庫に対する出資と申しますのは、御承知のとおりいわゆる会員たる資格をそこで発生させるという性格のものでございまして、仮に出資証券のような形がとられる場合でございましてもそれが流動性のあるというふうなものではございません。そういうようなこともございまして、共済組合の資金運用の基本的な考え方に立って考えた場合に、果たして適当かどうかという点はやはりいろいろ検討を要する問題があるわけでございまして、先ほどもお答え申し上げましたように、共済組合の資金運用の基本原則である安全かつ効率的な運用を確保するということに照らしながら今後とも慎重に判断をさせていただきたいということでございます。
  132. 塚田庄平

    塚田委員 終わります。
  133. 綿貫民輔

    綿貫委員長 村山喜一君。
  134. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 私は、今回提案をされました四法案について、総括的な意味から金融制度のあり方の問題について、大蔵大臣の所見をお伺いしたいと思います。  いま日本銀行の監理官はどなたですか。
  135. 米里恕

    米里政府委員 銀行局長ということになっております。
  136. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 私は、日銀法を見ておりましたら、これは大臣御承知のように、戦時中にできた法律がかたかな法律として今日になお依然として現存をしているわけですね。その中で、四十五条ですが、「主務大臣ハ特ニ日本銀行監理官ヲ置キ日本銀行業務ヲ監視セシム」となっている。だからあなたが任命をしたはずなんだけれども、どうもわれわれ国会の方に配られております官公庁名簿、あの中には日本銀行監理官というのは出ていないですね。専売の方は監理官というのがちゃんと出ているのです。それで私は、これは大蔵省設置法に基づいて銀行局長が兼務だということを調べてわかったのです。大臣もそれを忘れているくらい、まあ日本銀行法という法律が今日実定法よりも慣習法というのですか慣例法を中心にして動いているという感じがしてならないわけでありますが、それは日銀の中立性という面から見ましても、長い間皆さん方が行政実例の上に積み重ねをして一つ方向性というものを行政当局として持っておるように、金融当局というのも市場に対するいろいろな経験数値の上に一つ方向性というものを出しているという意味においては、その方がすぐれている制度運用のあり方だと考えているわけです。  ところが、われわれが今度の銀行法改正をめぐりまして思い起こしますと、第一次石油ショックがありました、狂乱物価が生まれ、そして過剰流動性が発生をし、おまけに銀行等が商社に対する偏重した金融をやって、しかも商社は品物を隠して値段をつり上げているというような状況の中から、一体この問題をどうするかということで大変論議になりました。単に銀行法の五十年来の装いを新たにして近代的な法体系に改めるというだけのものではなかった、そういうことから、その場合には日銀のあり方の問題まで含めまして、あるいは政府系の金融機関のあり方の問題まで含めて幅広い論議が行われておったことは、大臣も御承知のとおりでございます。そこで、各党の金融政策というのを当時それぞれ聞いておりますると、幅広い論議が行われて、そしてこの際戦時中にできた日銀法の改正や、あるいは今日輸銀や開銀等に見られるような各種の政府系金融機関のあり方の問題まで含めて、ひとつあるべき姿というものを出していこうではないかという論議がなされておりました。  ところが、今回出されてまいりましたのは、銀行法改正あるいは専門金融機関のグレードの格上げというようなものを中心にして証券業法の改正等の四法案が出されてきたにすぎない。こういうことになってまいりますると、一体日銀法の改正等の問題は、もういまの内閣のもとではあるいは自民党の内閣のもとでは将来にわたって検討もしないし、改正の手続もしないし、そういうようなのはお蔵入りだよ、そして政府系の金融機関のあり方の問題については、これは第二臨調の結論待ちだよという政治の姿勢でございますか、大蔵大臣の所見をお伺いをしておきたいと思う。
  137. 渡辺美智雄

    渡辺国務大臣 確かに、日本銀行法昭和十七年につくった法律でございますからいろいろ問題点がないとは申せないと思います。しかし、日本銀行法がいまのままで政策遂行上特に支障があるということもいまのところございません。それはいま村山委員が言ったようにいろいろ慣例的なものや日銀の中立性というものを政府も認めていろいろやっていただいておりますから、そういう点で補っておるということは確かだと思います。しかしながら、資本金が本当に一億円でいいのか、一口出資額を百円とするなんというようなこと書いてますからね。こういうことが現実に合ってないことはだれが考えたって、株式だって一口五万円にしようといま話をしているところであって、いろいろ問題があろう。この前は日本銀行改正をやろうというときに審議会に諮ってやったのですが、両論併記みたいなかっこうになってしまって、結局成案を得なかったということであります。しかし日銀法の改正というのはわが国経済全体のあり方とも非常に深い関係がございますので、仮に改正をするといたしましても相当慎重な審議をした上でなければなるまい。今後とも各方面意見を十分に聞きながら勉強してまいりたいと考えます。
  138. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 その問題については深く触れませんが、慣例法といいますか慣習法が実定法よりも先行していく姿の中で現実に法律の運用というものがなされているわけでございますから、これは大蔵省にとりましては非常に、監視をしたり監督をしたり許可をしたり命令をしたり自由にできるような法律でございますから、直したくはないだろうと思うのであります。しかし、どう考えてみましても、日銀政策委員の中には大蔵省代表も入っている、そして日銀法以外の、たとえば準備預金に関する法律の四条三項でも、準備率の問題等についても大臣の認可を必要とするというような条項が別の法律にもある。そういうふうにしてまたその上に監理官までおりまして、そして常時監視をしている。悪いことをしているのじゃないかというような法体系の中では、これは大蔵省にとっては便利であっても、どうも日本の金融の独自性、中立性というものを発揮して、これから国際化された金融政策をやっていこうという段階の中にあっては、どうも法律の方が非常におくれているような感じがしてならないのは私ばかりじゃないと思いますので、この問題については渡辺大蔵大臣時代には改正はできないだろうけれども、あなたが総理大臣にでもなったらひとつ考えるというような方向の長期的展望の中で問題を考えておかなければいかぬ問題じゃないかということを指摘だけしておきます。  私が次にお尋ねしたいのは、時の問題でございます。  鈴木総理がいまアメリカにレーガン大統領に会いに行っておいでになる。その中でアメリカは、五月の五日に公定歩合を一%引き上げまして一四%にした。きょうの日経新聞を見てみましても、四日続きで日経ダウ平均でどんどん株価も下がっている。株価が下がるだけじゃなくて債券相場も続落をしておりますね。そして五月発行国債の新発債が予定どおり売れそうにない。しかも国債の市場は、六・一国債は九・七%から一〇%近くまではね上がってきた、こういうような状況の中で、大蔵省の方でせっかく苦労して五月の六日から長期金利を一斉に〇・三%引き下げて景気の安定のための手を打ってきた、そういうようなのは水のあわになりつつありますね。これが日米のパートナーシップと言うんですか日本とアメリカとの間の同盟関係という姿の中の金融の一こまであろうかと私は思うと、一体大蔵当局はどういうような気持ちで考えておるのか。また、そういうようなパートナーシップだとか同盟関係にあるというようなことを言いながら、そういうふうにがちゃんとやられてしまう。原子力潜水艦の当て逃げだってそうでしょう。旋回をしているP3Cが救命ボートで浮かんでいるのを見ながらそれを見捨てていくような姿が、これが日米軍事同盟の姿だとしか思えないのですよ。ましてやこの金融の公定歩合政策の問題もこういうふうにがちゃんとやられて一四形になりましたよ、プライムレートも上がりますよ。そしてアメリカの方に短期資金から全部吸収してしまう。これがアメリカの、アメリカ独自の今日の経済のインフレを抑制をして、そして通貨数量の増発を抑えていこうという一国限りの金融政策としては、通貨政策としてはわかる。わかるけれども、そういうことをやっていった場合に皆さん方の方には事前に通告はなかったのですか。かやの外に置かれて、何もおまえたち日本政府の方には知らせることも必要ない、こういうようなことで、結果としてそれがわかってきて、これはいかぬと言って怒っているという姿でしょうか。この問題についてはどういうふうにとらえておいでになるんですか。
  139. 渡辺美智雄

    渡辺国務大臣 アメリカの高金利問題については、ヨーロッパ特にドイツなどでも数カ月前には余り好感を持っておらなかった。下げてもらいたいという空気が強かったことは事実でございます。しかし、最近に至りましてはアメリカの経済の立て直しということが世界経済にとってプラスになるという点から、やむを得ないことではないかという空気に変わっておるのも事実でございます。極端な政策の変更があるような場合には事前にひとつ連絡とってくれという話はいたしてあります。今回は一%ということであって、極端なというようにもとってはおりません。いまレーガン大統領が国会に対して歳出のカットと減税法案をかけております。歳出カットは大体うまくいくというように当局者は見ております。減税の問題についてはインフレになるという反対論が下院の民主党を中心にかなり根強くございます。そこで、この法案を通すためには、企業減税部分については各党とも大体話が煮詰まっておる。所得税減税については反対が強い。結局は、インフレという問題でそういう反対論の根拠を与えるようなことになったのでは法案が通らないということも考慮に入れて、やはり通貨の面からインフレ抑制に短期的に見て力を入れたというように私は解釈をいたしております。  この間もマクナマー財務副長官などとも話をいたしました。短期的にはそういうような高金利のときもあるが、中長期で見れば必ずこれは下げの方向に行く、そして、この政策は両法案がワンセットですから、それが通過をするということになれば必ずいい方向に行く、その法案のワンセットの通過を最優先にしているというのがアメリカの政策当局者の考え方だ、かように私は理解をいたしておりまして、直ちにこれをもって抗議するというものでもございませんので、それに相応して対応していく必要がある、かように考えております。
  140. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 大臣、大変アメリカに理解のある態度をお持ちのようだけれども、こういうような高金利政策をアメリカはとっているのです。  何か新聞によりますと、この十四日の日には十カ国の蔵相代理の会議がパリで行われるというような話も出ているようでございますが、それは事実ですか。
  141. 渡辺美智雄

    渡辺国務大臣 蔵相会議の話は聞いておりません。(村山(喜)委員「代理」と呼ぶ)それは何とも申し上げられません。
  142. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 大臣が知らないのだから、代理の会議はないのだろうと思います。  これは大蔵省の理財局に聞きますが、五月発行国債の応募者利回りは〇・三五九%ですか、下げたのですね。発行条件が下がり、そして新発債が売れにくい状況が出てきている中で、いわゆる指標銘柄であります六・一国債が九・八五%。きょうの日経新聞を見てみますと、きのうの債券相場のところにはそういうふうに出ている。そういう中で、四月は二千七百億円の国債証券関係が売ったわけですが、五月は八百億円も売れないだろうというふうに言っているようです。理財局長はおいでにならないようだが、国債消化については、大臣、あなたはいまアメリカの政策に対して非常に理解ある態度をお持ちでありましたけれども、国内のそういうような国債の問題等について、あるいは長期金利の改定をやって、これから安定した経済運営をやっていく上においては支障はないというふうに判断をしておいでですか。
  143. 渡辺美智雄

    渡辺国務大臣 影響がないとは申し上げません。申し上げませんが、アメリカが一%公定歩合を引き上げてインフレの防止に力を入れる、ワンパッケージの法案を通して経済の安定と繁栄を図るという瀬戸際に来ておる問題であって、それにクレームをつけるというわけにもいかない。確かにその影響が世界じゅうみんなあるわけです。それは事実でございます。
  144. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 アメリカのインフレがどういうふうになっていくのか、高金利政策が適用されてそれでおさまるものなのかどうか、これは長期的な展望で見ないと判断はできないだろうと思います。いずれにいたしましても、鈴木総理がアメリカに行って日米友好関係を推進しようというやさきにがつんとやるようなかっこうというのは、野党の私たちが見ましても、余りにもばかにし過ぎているようなアメリカの政策みたいに思われてなりません。ましてやそれが国内の金融政策の上に大きな影響が今後出てくることが明らかになっている現実を踏まえてまいりますと、もう少しシビアな立場大蔵大臣は対処してもらわなければいけないのじゃないかということを申し上げておきます。  そこで法案の中身の問題に入りますが、今回の法律改正案の目玉というのもいままでにお聞きをいたしました。社会的公共性とか、効率性の実現とか、あるいは経営内容の公開とか、そういう制度の導入が目玉になっているのだという話でございます。ところが、今度の銀行法改正の論議は、金融制度調査会が五十年五月に諮問を受けて、四年余り普通銀行のあり方と銀行制度の改正に取り組んでようやく答申をした。その後、中小企業金融専門機関のあり方と制度の改正の問題について一年かけて答申をした。だから六年ぐらいかかって出てきた。この法案は、一体激動を続けておる今日の金融の実体面を踏まえたものであるのであろうか。単なる近代化の装いをして、あるいは事実を追認する程度にとどまっているのではなかろうかという気がしてなりません。そういう立場から問題をお聞きしてまいりたいと考えるわけでございますが、金融市場の現局面を大臣はどういうふうに理解し、また銀行局はどういうふうにとらえているのかということについてお尋ねをしてみたいと思います。  日本の経済もこれからじわじわとスタグフレーションが浸透してくるであろうという予測は、経済企画庁あたりでもしているようでございますし、これは、今日のスタグフレーションの状況の中で見てまいりますと、世界的な金融の危機の時代という問題がわれわれの目の前に出てきているのじゃないかと思うのであります。片一方、国内にありましては、大企業の場合には力をつけてまいりましたから、現先市場等において企業の自己金融の力が出てきた。片一方、財政面においては、財政赤字で今後もやはり国債発行をしなければならないという時代。その反面、したがって公社債市場というものは拡大をしていく。また、いままでは、銀行に集まった金が、高度成長の時代には家計部門から銀行というパイプを通じて産業分野企業の方に流れていく、そういう循環をとっていたものが、このごろは、個人の金融といいますか、パーソナルファイナンスという問題が非常に大きなウエートを占めてくる。したがいまして、従来のように企業金融を重視した、それを柱にした金融政策だけでは問題の対処ができない時代に入ってきているということを考えてみますと、非常に問題が大きくなってきているのじゃないか。したがいまして、金融の一元化論という問題についても疑問が出てきている点はそこにあると言わなければなりません。同時に、国際的に見てまいりますと金融の国際化時代という問題が出てきている。そういう状況の中で新しい外国為替法の制定が昨年なされた。そういう状況の中で、今度提案をされました金融四法がこれからの八〇年代の金融を担っていくものとして、これは業法でございますから組織法の上から見て果たしてそれに対応することができるであろうか。そのビヘービアと業法との調整がうまくいくのであろうかということを考えなければならない問題を含んでいるのじゃないだろうかと思うのでございます。これでやっていけるんだ、こういうことで提案をされているのだと思うのですが、大丈夫でしょうか。
  145. 渡辺美智雄

    渡辺国務大臣 先ほどから銀行法改正を必要とした現在の金融財政事情等の背景及び構造の変化等については何度も申し上げておりますから、先生のような専門家にここで重ねて申し上げることは差し控えます。  私は、この四法ですべていいというふうに考えておるわけではございません。現在のそういういろいろな国際的、国内的な構造の変革に対応するためにどうしても直さなければならぬというようなものを今回の銀行法改正として直したわけであって、十年、二十年そのままでいいというわけにはあるいはいかないかもわからない。先ほども塚田委員の話があったように、ある時期が来れば見直しをするということも必要だと思います。いずれにいたしましても、変転きわまりない国際情勢に対して一歩先を見て改正はしておりますが、さらに予測しがたい問題が起きて世界の流れが大きく変わるというようなときには、それに対応できるように対処をしていかなければなるまい、さように考えております。
  146. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 そこで、今日まで大蔵省がとってまいりました金融行政のあり方の問題について、自己反省があるのかないのかということまで含めてちょっとお尋ねしてみたいと思うのです。  大蔵省は、金融の組織論から考えまして、民間の金融機関と政府の金融機関がある、その民間の金融機関には普通銀行があり専門金融機関がある、その普通銀行と専門金融機関との間にはいわゆる長短の金融の分離論というものを一つの柱にして、そして普通銀行の場合には商業銀行的な性格を、流動性のあるものとして位置づけながら、長期金利は長信銀やあるいは信託銀行に任していく、そういうような形で分類をしながら高度成長期をやってこられたわけですね。高度成長の時代は、中小の専門金融機関銀行を補完的な形で助けるというものが働いてきた。しかしながら、高度成長が終わりまして安定成長期に入ってくる、そういう中で発展をする経済に対して円滑な資金を供給する、あるいは大衆化、総合化の時代に資金を供給する、そして大企業は先ほども言いましたように自己金融力を強めていく。こういう状況の中にあって、安定成長期の段階で従来のような形の長短金融分離論で果たしてうまくやっていけるのだろうかということを考えますときに、これはやはりある程度の修正を必要とするのじゃないだろうか、あるいは業務上のかきねの引き下げをやらなければならない問題が今日出てくるのじゃないか。そうなった場合には競争の激化が生まれて中小の経営が危機に瀕するから、あるいは金融秩序が混乱をするからそういうような行政指導で今日までやってきたんだとおっしゃるけれども、しかし郵便貯金に見られるように片一方には個人預金の三〇%、六十兆円がたまっている、そして都市銀行のシェアは毎年落ちていく、国債は買わなければならない、シンジケート団として持たなければならぬ、持っていると評価損が出るし、売却をすれば売却損が出る、こういうような姿の中でわれわれとしても窓販の問題を許可せよという要求が出てくる、それじゃいかぬからと言って、今度は証券業界の方にはCDやCPの領域についても、おまえたちもそういう分野で仕事をやらせるからということで調整を図りながら提案をしてきた、こういうふうに私は見えるわけでございます。  たとえば、きょうの新聞にも住宅ローンの問題が出ておりました。あるいはこの前質問に答えて大臣が、三年の新規定期の問題については、告知定期領金については前向きで考えるんだという発言もされていたようでございますが、いままで短期資金を扱って商業銀行的な行政指導をやっておいでになりました。ところが、資金需要という点から考えると、住宅ローンみたいに長期の二十年ものを取り扱わなければならない。そこには大変無理をしながらやらざるを得ない。しかも、銀行というものは金を瓶けるところだというふうに思っていた感覚が、われわれも銀行から金を借りて自分の家をつくったり、あるいはもっと有利に預金を回転してもらって資産として運用してもらいたいという預金者の要求が働く。したがいまして、郵貯の方が十年も預けておいたら長期運用で二・一倍になる、だから郵便貯金の方に預けた方が金利としてはよけい入るからというので預ける、そういう傾向が出てくる、金利選好性という問題が働いてくる。ですから、そこにいろいろな価値観の違いなり、あるいは金融機関に対する国民のニーズの変化というものが生まれてくる。こういうようなものに対応していままでと同じような分業体制が金融機構のあるべき姿として正しいんだ、これでこれからもずっとやっていくんだという考え方でこの法律はおつくりになったものかどうか。これは大臣よりも銀行局長の方が適切な答弁がいただけると思いますので、銀行局長の方からお答えいただきたい。
  147. 米里恕

    米里政府委員 いろいろ御指摘がございましたように、確かに経済あるいは金融環境が著しい変化をしておる、あるいは社会的ないろいろな問題、お挙げになりました個人の価値観の多様化とかそういったようなことも含めまして、金融機関としても新しい環境のもとで今後どう進めていくかということが金融機関経営においてもあるいは制度論においても十分考えられなければならないということであろうかと思います。  今度の金融制度調査会の審議、御承知の五十年から五十四年まで行いました審議の中では、そういったバックグラウンドの変化というものをとらえまして、その新しいバックグラウンドの中でどういう形で金融制度あるいは金融機関行政金融機関経営というものがなされれば適当であるかということについて非常に時間をかけて種々議論が行われたわけでございます。  具体的に御指摘のございました普通銀行と長期金融専門機関の問題も特に一つの項目として取り上げられまして、かなり長い時間をかけて議論されたわけですが、結論的には今後ともに長期の専門性を持った金融機関は必要である、こういう結論に達しております。  その考え方でございますけれども、調査会答申で挙げております点が幾つかございますが、その主要な点は、現在長期金融に対する特殊な需要というものは従来にも増して今後も高まっていくのではないか、こういう考え方でございまして、特に産業構造の転換あるいは資源、社会開発等大規模プロジェクトに関連した貸し出しというようなものが新たな分野として長期資金需要の大きな割合を占めるに至っておる。  また、長期金融機関の融資自体を見ますと、融資期間は一層長期化するというような傾向もある。非製造向けを中心といたしましての長期運転資金の割合も非常に高まってきておるというような中におきまして、そこに専門的な知識、経験を持った金融機関がその専門性を十分発揮していくということが国民経済的な均斉のとれた発展の角度からは望ましい、こういう考え方でございます。  普通銀行と長期信用銀行グループとの間は、競争的な相互補完関係という言葉を使っておりますが、そういった競争的な相互補完関係の中で専門性を発揮するべきである、こういう考え方から、基本的には専門制度というものの役割りを今後ともに認めていきながら、しかし、その業務の周辺の部分においては十分相互に競争が働くような仕組みというものが最も望ましいのではないか、こういう考え方でございます。  この銀行法のもとをなしました金融制度調査会自体の基本的な考え方が、いわゆる効率化、これは金融政策、金融制度金融機関経営のそれぞれの効率化ということがあろうかと思いますが、そういった効率化の思想と一方、公共性あるいは社会性、この二つの理念というものをいかに具体的に調和させていくか、こういうことからでき上がっているわけでございますが、むしろこの専門機関制度というのは、どちらかというと効率化ということよりは、より公共性、社会性、つまり国民経済的に必要とする分野にきめ細かく円滑に金融が供給されるかどうかというような角度からの考え方が強いかと思います。  そういったような意味合いで、今後ともに基本的には長期信用銀行グループあるいは信託銀行といったような長期資金をもっぱら担当する分野というものはなお存置していいのではないか。まあ最近ではトレンドとしていわゆる普通銀行も非常に長期貸し出しの割合が次第にふえている傾向にはございますが、全貸し出しの中で依然として三分の一くらいが長期資金というくらいの水準でございますが、長期信用銀行、信託銀行になりますと総資金のうちの八割以上が長期資金に回っておるというようなことで、実態もまだかなりの相違がございます。そういったような意味合いから長期、短期の分離と申しますか、分離と言うと強過ぎるかもしれませんが、一応専門性を存しながら、しかも競争的補完関係を続けていくということが今度の銀行法のバックグラウンドにある考え方であるというふうに申し上げられようかと思います。
  148. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 私は、長信銀行なり信託銀行が一般の都市銀行と競争をして短資市場において勝てるとは思っていないのです。それはおっしゃるとおりです。しかしながら、資金需要という面から長期的な資金の要求というものが都市銀行、普通銀行に対しても強くなりつつある、やはりそれにこたえていかなければならないという一つの社会的な要請がある。あるいはまた預金者の場合には、新種預金に求められるように、できるだけ有利な資金回転をしてもらって金利を安定して元本、金利が保証をされ、そして運用利回りがうまくいくように運用してくれという預金者の要請もある、それにこたえていくためには、いままでとられた専業主義が最善の金融形態だという行政指導のあり方自体が一体いかがなものであろうか。  大和銀行は御承知のようにこれは信託部門を兼業している、兼営銀行ですね。多角的な経営ができる、いろいろなお客のニーズにこたえることができる、証券金融としてあるいは中小企業金融としての専門的な分野におけるそういうような競争力が強い、そしてまた決算を見てみると非常にうまくいっている、こういうような問題が現にある。したがいまして、信託兼務は当面は現在の取り扱いを維持するということで金融制度調査会も出してはおられるわけです。しかしながら、信託銀行は別だよという形で分離させていった。しかも、それは金融制度調査会に付議しているわけでもない、ましてや国会に提案をして国会の審議の結果を仰いできたわけでもない。今日まで行政指導として一貫してやられてきた大蔵省の政治の姿勢が、高度成長の時代はそれでよかったけれども、これから安定成長の時代に入っていく中で、金融機関の利ざやが縮小していく中で、大量の国債発行しなければならない段階の中で、果たしていままでのような仕組みが妥当であろうかということに対して私は一つの懸念を持っておりますので、その点を申し上げたわけです。大臣いかがでございましょうか。
  149. 渡辺美智雄

    渡辺国務大臣 部分的には御主張のような御意見もあろうかと存じます。しかし、全体から見ると各種金融機関はそれぞれの目的を持った法制の中でつくられてきておって、いろいろな利害が錯綜していることも事実でございます。中小企業は中小企業としての役割りがございますし、長銀は長銀、短期の銀行銀行の役割りがあります。そのかきねをみんな取り払うということはむしろ弊害の方が多いのじゃないか。また、いま大和銀行の例が出まして、大和のように一部信託業務等も扱うということの方がいいんじゃないかというお話もございました。したがって、部分的な乗り入れの問題についてはあるいは議論があろうかと存じますが、十分それについては取引先の要望にこたえてどういうようなサービスの拡充ができるか、適正な競争を動かすことができるか等も含めて検討をしてみたいと思います。
  150. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 理財局の宮本次長お見えでございますから、先ほどの御答弁もこの際お聞かせいただければ結構だと思います。  アメリカの高金利政策の展開によりまして、御承知のように六・一国債、これが東京証券取引所の関係できのう現在の価格が九・八五という取引になった。それから、五月発行の新しい国債から応募者利回りを〇・三五九%引き下げる。これも大分強引に措置をされておったわけですが、五月は四月に比べて四分の一ぐらいに縮めて証券業界では売りに出したけれども、八百億円が完売ができそうにない、こういうような記事が出ているのだが、今後国債発行の売却について支障はないのかどうかという問題をお聞きをしているわけでございます。
  151. 宮本保孝

    ○宮本(保)政府委員 お答え申し上げます。  先生御指摘のとおり国債発行条件を改定いたしましたが、その後市況がやや軟化いたしております。そういうことでございますけれども、私どもといたしましては、国債発行条件につきましては、預貯金金利を〇・七五%下げたという一つの事実と、それからもう一つは金利を下げたいという政策的な要請もございまして、クーポンレートにつきまして〇・四を下げ、そのかわり実勢を勘案いたしまして発行価格を現行よりも二十五銭落としまして九十八円五十銭ということで、応募者利回りにつきましては〇・三五の下げということで対処いたしたわけでございます。その後御指摘のとおりアメリカの金利が上昇いたしました。主としてそういう要因によりまして国債の市況がやや軟化いたしておるわけでございますけれども、私どもといたしましては、この点につきましては発行量によって若干調整をいたしております。実は五月という月は余剰月でございまして、去年は九千億を出したわけでございますけれども、ことしは諸般の情勢を勘案いたしまして二千八百億円にとどめるというふうな措置をとりまして、証券、金融、シ団両方にとりましてこれならば消化できるのではないかというふうな数字を御提示いたしまして御了承を得ておるところでございます。私どもといたしましては、債券市況の回復ということを切に念願しながら、できるだけ消化に万全を期してまいりたい、こう考えております。
  152. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 これは銀行局に聞きますが、公定歩合を下げました結果、短期のプライムレートはいま幾らですか。
  153. 米里恕

    米里政府委員 今回公定歩合を一%下げて、それに対しまして短期プライムレートは〇・七五下げでございましたので六・七五だったと思います。
  154. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 そこで、きのう現在の東京のコールの無条件物は、出し手の方で何ぼになっておりますか。
  155. 米里恕

    米里政府委員 コールレート、無条件物中心で、五月二日現在で七・一八七五でございます。
  156. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 これは七日のものも七・一八七五です。二日の場合も偶然に一致したんでしょうが、そうすると資金需要が出てまいる。そこで、コール市場から借り入れましてそして金を貸す。短期のプライムレートよりも下がって貸すようなところはもちろんないわけですが、それをにらみながら貸していく場合に、金融機関が損をしてまで貸すはずはないわけですね。だから資金需要はあっても、そういうような高いコールの資金を借りて損をして貸してやるというようなことがないがために、企業の資金繰りがうまくいかないというような実例はございませんか。いわゆるそういう逆ざや状況が生まれて、そういうことから銀行の方にお願いをしてもなかなか金を貸してくれない、こういうような状況は生まれておりませんか。
  157. 米里恕

    米里政府委員 御承知のとおり、金融機関のコストの中で、もちろん外部債金利も一定の割合を占めますけれども、大部分はやはり預金金利でございます。そういったような意味合いで、必ずしもコールレートの上げ下げと貸出金利というものが非常に密接な関係にあるというわけでもない。一方、もちろんコールレートは金融緩和政策、特に量的な日銀の金融調節によりまして上げ下げされるということで、基調としては現在金融緩和政策をとっているわけですから、そういった意味では短期金利も逐次低下してまいるという形にあるわけでございますが、それはあくまでも金融機関としては限界的な資金調達の手段でございますので、大宗をなします預金のコストがどうなるかということがやはり貸出金利には一番密接な関係があるというふうに考えております。
  158. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 今回法律改正がなされる中で、中小の専門の金融機関法律改正は概して評判がいいわけです。しかしながら、これですべての中小金融の問題が解決をした、またそれを利用する中小企業者の金融措置が完全なものになったんだというふうに考えたら、これは間違いだろうと思うのです。したがいまして、中小企業の金融の問題点というのは、どう考えてまいりましても借り入れ条件が不利である。それから長期資金の借り入れがなかなか困難である。それに、銀行は景気のいいときには中小企業分野まで手を出すのですが、不安定期になると中小企業に対しては引き上げる、こういうようないわゆる中小企業向けの貸し出しの不安定性という問題は依然として残っている。こういう中で相互銀行の相互の字も取ることができなかった、そういう実態にないことも事実です。  それから、協同組合法に基づく信金なりあるいは信用組合なりという問題も、これは今日のそういう資本主義のゆがみの中で協同組合でそれをカバーしていかなければならないという立場から考えてまいりますと、信用金庫なり信用組合に金融の効率化原則だけを押しつけたって、これはできっこないわけでございます。そういうような面で協同組合原則に立った問題のとらえ方をもう一遍しなければならないんじゃないだろうかという考え方が出るわけでございますが、それに対してはどういうふうにお考えになっておりますか、簡潔にお答えを願いたい。
  159. 米里恕

    米里政府委員 おっしゃるとおり、効率化という側面だけでは中小企業金融機関はなかなか律し切れないということでございまして、そういった意味では協同組合原則というものを基本として今度の改正法案も考えております。  ただ、その取引先である中小企業のニーズというものが経済の変転に従いましていろいろ変わってまいる、いわばニーズが拡大してまいるというようなことにつきまして、取引金融機関である中小金融機関の機能もそれにマッチしたものに逐次変えていく、その分におきましてはややオーバーラップして他種金融機関との競争も拡大していく、こういう形に進みつつあるように思います。
  160. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 最後に一つだけ。大臣、聞いておってください。金の問題ですがね。  自民党の方じゃ斎藤栄三郎さんを中心に委員会をつくっていろいろ検討していらっしゃるように聞いております。この際、銀行法改正が行われる中で、金証券発行するのかどうかわかりませんが、仮にそういうようなものが今後発行され、金の取引が現物取引から先物取引に至るまで処理がされるということになった場合には銀行法改正のどの条項によって処理がされるのか、これが第一点。  それから、いまブラックマーケットというのですか、そういうように市場がないわけですから田中貴金属を中心にしましてその取り扱いをされているようですが、たとえばクルーガーランド、これはメタルのような形になって、十分の一オンスぐらいの大きさ、三グラムぐらいのメタルですね、それが十枚重なったら大きいものとかえてやる。これが十分の一オンス程度の大きさであれば物品税の対象にもならないというようなことでOLには大変評判がいい。そこで、不動産を買うのにも大衆は金がない、株にはちょっと手が出ない、危なくてしょうがない、そういうような状況の中で金というものが有力な資産運用として浮かぶ上がってきた。  それで、香港市場における一オンスの価格を調べてみると四百八十二ドルぐらいしている。それを田中貴金属では一グラム三千三百七十五円から八十円ぐらいのところで決めて取引をやっているようです。去年の一月には八百五十ドルぐらいだったわけですから、そのときに買った人はいま評価すると大変損をしている。しかし、いま安いときだから買っておけばもうかるぞ、こういうような形の中にあるわけでございますが、金証券発行するような形で取引が始まった場合にはこれは一体何と同じように位置づけて——たとえば株の売買取引のように一銘柄二十万まではキャピタルゲインについては課税しませんよ、こういうようなのがあるわけです。五十回以下の場合でもそうだ。この場合は税金は取らない。じゃ金の場合も大きなものを買えば物品税の対象になるが金証券のそういうようなものについては一体どうするのだ、こういうような問題がずいぶん世間をにぎわしているわけですね。これは一体どうされるのですか。そこから税金を取るつもりでいらっしゃるのですか。ちょっとお伺いしたい。
  161. 渡辺美智雄

    渡辺国務大臣 税金のことまではまだ考え及ばないのでございまして、金の取引を、要するにいまブラックマーケットができて現実には先物売買やなんかもやっておる、いろいろな被害も出ておるということでございますので、自民党などでも、金の先物市場というものをきちっと認めて、そしてある一定のルールのもとに取引を、現実にやっているのだから認めたらいいじゃないかという動きがあることも事実でございます。  そこで、大蔵省としてもこれに関心がないわけではございません。それじゃ銀行に金の売買を認めるのかというような御質問もときどきございます。これも金の売買についていま一体どういうふうな状態になっているのか、外国ではどうやっているのか、今後日本ではどういう方向に持っていった方がいいのかというような問題は、まだ技術的な問題も詰めが足らぬわけですから、一概にこうだと私は言えないのでございますが、仮に先物が認められるということになれば現物の市場も整備をする必要があると私は思っております。そのときには現在の銀行法でできるのか、これは付随業務のその他の事項で読めないことはない、私はそう思っております。しかしやらせるかどうかという問題については結論を得ておりませんので、もうしばらく勉強の機会が必要である、かように考えております。
  162. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 銀行局長、これは改正銀行法の第十条の第二項、「その他の銀行業に付随する業務」この中でやろうと思えばできる、こういうことで理解しておっていいですか。
  163. 米里恕

    米里政府委員 おっしゃるとおり、十条第二項の「次に掲げる業務その他の銀行業に付随する業務を営むことができる。」というところで読めるというふうに考えております。
  164. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 終わります。
  165. 綿貫民輔

    綿貫委員長 午後三時に再開することとし、この際、休憩いたします。     午後一時十六分休憩      ————◇—————     午後三時三分開議
  166. 綿貫民輔

    綿貫委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  午前に引き続き質疑を続行いたします。柴田弘君。
  167. 柴田弘

    ○柴田委員 私は、銀行法改正関連をいたしまして金融資産の国民ニーズの多様化という問題あるいはまた金融機能の円滑化という観点から、午前中の塚田委員の質問にも出ておりましたが一つはグリーンカードの問題、いま一つは郵政省の郵便年金の問題について質問をしていきたいと思います。  まずグリーンカードの問題であります。塚田委員もおっしゃっておりましたが、きのう、きょう等のマスコミを見てまいりましても、新聞報道ですが自民党さんの間でいろいろな見直し論があるということであります。マスコミの報道によれば党の政調会が党の税制調査会へ諮問をされる、こういうことであります。そこで、私はこのグリーンカード制につきましては機会あるごとに総理あるいは大蔵大臣に質問をしてまいったわけでありますが、こういった見直し論が本当に不公平税制を是正していく、そういった観点から、国民経済的な視点に立ったしかも国民生活を守る立場からの見直しということであるならばこれは結構なことであるわけでございます。それからもう一つ申し上げたいことは、やはりこういった新制度導入について、これは初めてのことでありますからいろいろな議論があってもいいと私は思います。問題はそういった議論に対してどう大蔵省が対応していくか、こういったことではないかと思います。  そこでまず大臣にお伺いをしていきたいのは、こういった自民党内部における見直し論について承知なさってみえるのかどうか、もし承知されていないとするならばこういった議論があることについてはどうお考えになっているか、この点をお伺いをしていきたい。
  168. 渡辺美智雄

    渡辺国務大臣 午前中から事務当局が答えたように、大蔵省当局といたしましては変更する考えはございません。何か党でいろいろなことを言っているという話は聞いておりますが、私のところには何も伝わっておりません。私は、山中貞則さんが党の税調会長でもありますからその方でやってくださいと、山中さんに党の方の関係は預けてありますから、何も変化はないと思います。
  169. 柴田弘

    ○柴田委員 そこで大臣、新聞によればこの見直し論は、一つはこのグリーンカードを廃止する、二つ目には実施時期を延期する、三つ目にはマル優の非課税限度額を引き上げる、三百万を五百万にするということだそうでございます。それで第一点と第二点、このグリーンカード制の廃止の問題、二番目の実施時期の延期という問題、これは先ほどの大臣答弁にもありましたように、かねがね本会議あるいは当委員会等で総理初め大蔵大臣答弁なされてみえますように、ない、こう私は理解をしております。この辺をまず一つ確認をしたいということ、それからいま一つはこの非課税限度額の引き上げ。もしこういった見直しが党内でまとまって大蔵省当局に働きかけがあった場合には、この三百万を五百万にされるお考えがあるのかないか、それも絶対ないと言い切れるのかどうか、ひとつ明確な答弁を承りたい。
  170. 渡辺美智雄

    渡辺国務大臣 私は予算委員会などでも五十九年の実施までには周辺整備は一部やるかもしれないということは言ってあります。しかし三百万を五百万にするという考えはございません。
  171. 柴田弘

    ○柴田委員 わかりました。  それでは次、お伺いをしていきたいわけでありますが、このグリーンカードの問題につきましてはさきの当委員会におきまして、たしか四月十日でございましたが、私は大臣初め大蔵省当局にいろいろとお聞きをいたしました。ここで私が御提案申し上げましたのは、このグリーンカード制を完全に実施していくために、過去においていろいろな事情から他人名義や架空名義あるいは無記名で預金をしてしまった預金者も多い、こういった預金者に対して不安と動揺を与えないようによく留意しながら総合課税のソフトランディング、軟着陸を図っていく必要があるのじゃないか、そのための指導体制あるいは相談体制というものを、もちろん大口の脱税者は別でございますが、こういった不安と動揺を与えないようなそういった体制を一日も早くつくっていくべきではないかというふうに質問をいたしました。これに対して大蔵大臣も、「私もそう思っておるのです。」こういうふうに御理解ある御答弁をいただきまして、とにかく無税のものはおろして分離課税の方に積んでおいてもらえば追及はしません。極端に二年とか三年とかいうものはどうか知らないけれども、何十年もかかってふやしたものは追及したって始まらないわけですから、むしろありのまま出してもらって、いまのうちからそろそろ分離課税の方に回してもらっておけば、いままで隠れてあるいは知らずに脱税をやっていたような人は、とにかくことしじゅうに積みかえてもらえばいい、こういうように思っておるのですと答弁をいただきました。重ねて私がいわゆる昭和四十八年の名古屋方式ということについて質問をいたしました。まず、ここでも大臣は名古屋方式というのは非常に実情に合った、人心をよくつかんだ方式だと思っておる、こういうことで名古屋方式がいいのじゃないか、だから十分にもっと実務的なことを考えてPRをしていきたい、こういうふうに御理解ある御答弁をいただいたわけであります。そこで私は国税庁にお伺いしていきたいわけでありますが、国税庁もちょうど次長が御答弁をいただいたわけでありますが、大臣の御答弁を踏まえて検討していく、こういうふうな御答弁をいただいたわけであります。その後一カ月近くたっておるわけでありますが、私の提案についてどう検討しているのかどうか、検討の内容、そして相談体制確立のそのめどについてはどのようないまスケジュールで進んでいるのかお尋ねをしていきたい、こういうように思うわけであります。     〔委員長退席、大原(一)委員長代理着席〕
  172. 小幡俊介

    ○小幡政府委員 ただいま先生御指摘いただきましたように、総合課税制度への円滑な移行を図っていくということは私どもにとりましても大変重要な任務だというふうに考えておるわけでございます。先生に御指摘いただきましたように、かつて名古屋国税局管内におきまして名古屋方式というものがとられたことがあるわけでございますが、私どももこの総合課税に対するソフトランディングということにつきましては先生のおっしゃるとおりだと思うわけでございますので、私たちといたしましてもグリーンカード制度のいろいろな細目の検討が目下進められておるわけでございますが、そういう作業と並行いたしまして私どもの方のそういう体制ということにつきましても着実に勉強を進めてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  173. 柴田弘

    ○柴田委員 直税部長、それはこの間の次長の答弁と全然一歩も前進してないわけなんですね。この間もうすでにそういった私の提案に対しては賛成しますという答弁があったわけなんですね。私のいまお聞きしているのは、一カ月たったのですが、それはいまここでこういう相談体制でこういうようなものでひとつやっていきますよという答弁はできないにしても、私の提案した事項を含めて一つのものをつくって、一体いつをめどにしてそういったものをつくっていかれるのか、あるいはまたもしここで——名古屋方式がいいということでありますが、それを含めてということですから、それ以外にこういったことも検討していますよ、それが実施されるかどうかは別にして、こういった形でいまスケジュールを組んでやっておりますよといったことを私はお聞きしているわけなんでございますがね。この間の答弁と全然変わりません。どうですか。
  174. 小幡俊介

    ○小幡政府委員 グリーンカード制度につきましては、先生御案内のように、その骨子はすでに法律が制定をされておるわけでございますけれども、その具体的な内容ということになりますと、たとえば政令というふうなものもまだこれから出されるというふうな状況にあるわけでございます。またいま大臣もいろいろな周辺の整備の問題もあるというふうなことをお話しになったわけでございます。私どもといたしましては、この非常に大事なグリーンカード制度、画期的な総合課税への移行、これを円滑に進めてまいるというためにそれらのもろもろの問題とあわせて私ども国税庁としてどう対応していくことが一番いい方法であるかということについて真剣に検討しておる、こういうことでございますので、しばらく御猶予をいただきたい、かように思う次第でございます。
  175. 柴田弘

    ○柴田委員 しばらく御猶予くださいと言うのですが、いつまで猶予すればいいのですか。それを聞いておるのです。
  176. 小幡俊介

    ○小幡政府委員 非常に大事な問題でございます。グリーンカード問題は先生もしばしば御指摘いただきますように大事な問題でございますし、またこの問題が話題になっておるということはそれだけ非常に大きな影響力を持った問題でありますし、私どもとしても非常に画期的な制度改正であるというふうに思っておるわけでございます。そういう意味で、私どもも先生の御趣旨を体して真剣に検討しておるわけでございますので、いまこの席でいつということを申し上げられないのはまことに恐縮でございますが、ひとつ御理解を賜りたい、かように思う次第でございます。
  177. 柴田弘

    ○柴田委員 部長さん、いま私ちょっと言いましたよ。大臣がこの間の質問に対して四月十日に「とにかくことしじゅうに積みかえてやってもらえばいい、」こういうようにおっしゃっているのですよ。大臣、たしかそうでしたね。会議録にちょんと載っておるわけです。つまり、それは制度改正ということもあります。これは後でまた大臣に聞きます。それは主税局がいろいろと検討しておる、大臣がいろいろおっしゃったいわゆる高額所得者の累進税率の引き下げの問題あるいは新聞等で言われております二分二乗法ですか、妻の所得を配慮する、こういったいわゆる法改正あるいは制度改正ということになってくるわけであります。そういったものとワンパッケージにして出すというような趣旨は私は理解できないわけはないわけなんですが、この相談体制の問題は大臣が、とにかくことしじゅうに積みかえてもらえばいいとおっしゃっているのですから、やはり一生懸命検討していらしゃるのはわかるし、その検討の内容については余り言いたくないということかもしれませんが、その辺のめどぐらいは持っておったっていいじゃないか、こう思うのですよ。どうでしょうか、大臣
  178. 渡辺美智雄

    渡辺国務大臣 御承知のとおり毎日国会でして、直税部長も毎日出ておるわけですから、なかなか具体的なことをやっている時間がない。これも事実なんです。国会を早く終わらせて、そうして抜本的に検討に入るということでございます。ただ、グリーンカードというのは五十九年から実施するわけですから、六年、七年、八年、こうあるわけです。ただ、私が言っているのは、そのときに当然有税になるべき人が無税で脱税をしているのが問題なんでございまして、それはいままでやっておった人は早く全部有税の方へ切りかえてもらえばそういうものについては特別にせんさくはいたしませんよ。大口脱税でもやっているのはどうか知りませんよ、ここ二、三年の間に。しかし、五年も六年ももっと前のものなどはせんさくをいたしません、無税でオーバーしているのは問題にしますよということを言っているわけですから、そういうものを踏まえて名古屋方式というようなものも参考にしながらこれから検討する。また実施時期は五十九年から実施するのです。だからもうあわてていまやらなくたって、とりあえず国民の皆さんにお願いしたいのは、要するに無税で源泉課税も払わないというのは危ないよ、いまのうちに有税に切りかえておく方が安全ですということを知ってもらえば、とりあえず、さしずめ心配ない、そう思っているわけです。
  179. 柴田弘

    ○柴田委員 どうしてもそのめどについてはあるいは検討の内容については御答弁をしたくないということですから、時間の関係もありますのでこれ以上申しません。  そこで大臣、これは重ねてくどくなって恐縮ですけれども、いま私がちょっと申しましたように、高額所得者の累進税率の問題ですとか、それから妻の所得を配慮する二分二乗法の問題だとかやはりこういったものが、大臣がこの委員会でも答弁されておりますように、グリーンカード制実施のためのソフトランディングを図っていく一つの制度改正のあれになるのではないか、こういうふうに私は理解をしておるわけでありますが、この辺のところと、それからやはりそういった相談体制ということも、そういった制度改正と合わせてワンパッケージにして出していったらどうかというふうな感じも実はしないでもないのですね。その辺のところはこれからということかもしれませんが、もし私の言ったことが御理解をいただければ、大臣のお考えもあると思いますので、ひとつそこら辺のところをちょっと御答弁をしていただきたいと思っていますが、いかがなものでしょうか。
  180. 渡辺美智雄

    渡辺国務大臣 先ほどお答えしたと同じでございます。いま言ったようなものがやはり五十九年から実施でございますから、どれくらいのものができるかは歳出カットでどれくらいの財源が浮くか、景気の動向がどうなるかというような問題との絡みで全体として見なければならない。したがって、景気も落ち込まないようにしなければならぬし、景気の動向にも大きく作用します、税収の問題でございますから。その次は何といっても歳出カット、歳出カットが何ぼできるかということによって幅が違ってくる、そう思っております。
  181. 柴田弘

    ○柴田委員 これ以上は、やりましてもなかなか前向きな答弁も出ないと思いますので、この辺にします。  次は、郵便年金の問題について大蔵省あるいは郵政省にいろいろお聞きいたしますが、今度の法改正によりましてこの郵便年金の最高限度額、いろいろ紆余曲折があったそうでございますが、七十二万に決まった、この七十二万の年金額になるためには、給付開始前のファンドが千二百五十万にならなくてはならないということだそうでございます。  現在、郵貯の預入総額の制限額は三百万、これは御案内のとおりです。この限度管理について、昨年来いろいろな問題が提起をされまして、大蔵、郵政、両省間で五十九年以降は五十八年以前預入分を含め、グリーンカード番号で管理していくということが決まっている。この郵便年金につきましても私は思うのですが、七十二万円の年金額の最高限度額が仮にこのように決まったとしましても、各個別にこの制限額の管理が厳正に行われ、超過契約が厳しく防止をされなければ、大量の資金を郵便年金という形で運用できることになってしまうわけであります。この限度管理が厳正に行われなければ官民の業務分野調整議論意味のないものになってしまうのではないかと考えます。この点について大蔵省の御見解をお聞きをしていきたい、このように思います。
  182. 米里恕

    米里政府委員 郵便年金の名寄せ、御指摘のとおり非常に重要な問題であろうかと思います。この点につきまして、私どもと郵政省との間で名寄せを強力に実施いたしまして、超過契約は防止するということのために積極的な対策を講じるということで合意を見ております。
  183. 柴田弘

    ○柴田委員 いま局長から答弁があったわけでありますが、翻って、これは郵政省にお聞きしておきますが、簡易保険ですね、この簡易保険は簡易生命保険法によりまして、保険金額は被保険者一人について一千万とされております。これは当然超過契約があってはならないと私は思っておるわけでありますが、この超過契約の防止のための措置はどういうふうにとっていらっしゃるか。具体的にはどのような仕組みで、あるいはまたこの超過契約というものを防止なさるのか、お聞きをしておきたいわけです。
  184. 小野沢知之

    ○小野沢説明員 お答えいたします。  御指摘のいわゆる超過契約の防止につきましてですが、国営事業の責任といたしまして私ども正すべきは正すべきだという姿勢で臨んでおりまして、従来から関係職員の指導を徹底いたしまして積極的に各種の対策、措置を講じてきているところでございます。  具体的な内容を若干申し上げますと、まず第一に、未然防止措置としての加入者に対する周知でございますけれども、簡易保険には保険金額の最高制限制度があるということの周知をビラ類や保険契約申込書用紙に記載しておりますほか、契約申し込みの受理の際に申込者等にその辺のことについて十分説明しております。  次は郵便局における監査の体制でございますけれども、保険契約申込書に既契約の状況を記載させて超過契約をチェックするとともに、役職者が保険契約申込書を毎日検査いたしまして超過契約をチェックしております。  次に、審査機関である地方簡易保険局における監査体制でございますが、郵便局から送付されました保険契約申込書の審査の際に超過契約をチェックするとともに、現在総合機械化システムを利用しての監査、つまり電子計算機によるチェックを実施いたしまして超過契約の防止に万全を期している、こういう状況でございます。
  185. 柴田弘

    ○柴田委員 いま御丁寧に何項目かの超過防止対策につきましての説明を賜ったわけであります。ところが、現実にそういった郵政省の対策に対しまして、現実の問題として、この簡易生命保険については行政管理庁の監察によりましても相当数の超過契約の事例があるというふうに聞いております。行政管理庁の監察によりますと、四年間に同一被保険者名で七件の契約を結び、千五百五十万を超過している例も見られた、こういうようにお聞きをしているわけでございますが、そこで行政管理庁にお聞きいたしますが、この簡易生命保険の超過契約事例、その実態についてはどうなんでしょうか。
  186. 加藤武久

    ○加藤説明員 行政管理庁といたしましては、昭和五十三年度に簡易生命保険事業に関します行政監察を実施いたしましたが、その中で保険金の最高制限額の励行状況につきましても調査をいたしました。その結果、先生御指摘のとおりの違反事例があったわけでございまして、被保険者別の保険金額の的確な把握を行いまして超過契約の防止を図るよう勧告をいたしているところでございます。
  187. 柴田弘

    ○柴田委員 行政管理庁ですが、あなたの方が監察をされた結果、二十六局に対して監察をされて九十九件あった。それから、いま申しましたように、四年間で同一被保険者が七件の契約を結んで千五百五十万を超過している、こういう例もあった、これはこのとおりでいいわけなんですね。
  188. 加藤武久

    ○加藤説明員 先生御指摘のように、私どもが五十三年度に調査したところによりますと、私どもが調査いたしましたのは二十六郵便局でございますが、その二十六郵便局につきまして九十九件の超過契約が見られたわけでございます。またその中に、これは同一被保険者につきまして四年間に七件の契約を結びまして千五百五十万円も超過していた事例があったわけでございますが、現在におきましては、先ほど郵政省からも御説明がございましたように、簡易保険総合機械化システムによりますチェックその他所要の改善措置がとられているもの、このように理解いたしております。
  189. 柴田弘

    ○柴田委員 そこで問題は、郵便年金に返りまして、私は超過契約があってはいけないというふうに考えておりまして、やはりこの問題は官民の業務分野のあり方の問題にもかかってくる重大な事柄であるというふうに思います。  昨年の当委員会委員会における参考人質疑におきましても、やはり郵政省の郵便年金構想については、民間の金融機関としても非常に関心を持っておる、こういうような参考人の御意見があったわけでございます。  それで私は重ねて行政管理庁にお伺いしたいわけでありますが、新しい郵便年金の超過契約の防止、これは今後とも厳しく監視をしていかなければならない、そういった必要がある、こういうふうに思いますが、行政管理庁の御方針はいかがでしょうか。
  190. 加藤武久

    ○加藤説明員 郵便年金の限度額につきましては、年金額の最高額が定められました趣旨から考えましてもこれを厳正に管理していくことは当然のことでございます。私どもといたしましては、当面郵政省におきます郵便年金業務の運営の状況を見守ってまいりまして、必要に応じまして今後この問題につきましても行政監察を行うことにつきまして検討をいたしたい、このように考えております。
  191. 柴田弘

    ○柴田委員 行政管理庁ありがとうございました。  では、次の問題に入らさせていただきます。  次は銀行法改正、本論に入らさせていただきますが、まず総体的な面から大臣の御見解を伺っておきたいわけであります。  今回の銀行法改正を提案されるまでの経緯を見てまいりますと非常に紆余曲折した感があります。最終決定をされました改正案も、私は代表質問で申しましたように、金融制度調査会答申からディスクロージャーの問題とか大口融資規制の問題は後退したと考えております。結局は将来の金融のあり方あるいは金融制度のあり方、そういったものに対する明確なビジョン、そういうものを欠いて——大蔵大臣がくしくもこの提案をされる前の四月十日夕方記者会見をされたその中で、これは政治だよ、こうおっしゃったそうでございますが、やはり妥協の産物、足して二で割ったような改正案と言わざるを得ないのではないか、私はこんなふうな感じを抱いているわけでありますが、大臣はどのような御感想を持ってみえるのか、お伺いをしたい。
  192. 渡辺美智雄

    渡辺国務大臣 やはり人の意見もいろいろ聞いてみないと、独善的なことだけがいいというわけではございませんので、なるほどなと思う点も幾つかございます。  それで、もともとこの法案の提出については原則がありまして、私は財政演説で申し上げているように、関係方面との調整の上提案をいたしますということを言っておるわけですから、一方的に聞く耳は持たないということで自分の案だけをごり押しするという考えはもともと持っておりません。したがって、みんなが満足がいって、そうして体面上も中身もこちらの予定をしたというか、金融制度調査会で言ったことと大差のないものがつくられた。野党の皆さんからもそんなに反対を受けないというようなことでございますから、私はおおむね満足であると思って——どんなものでも一〇〇%満足というものはないのです。したがって、おおむね満足でございます。
  193. 柴田弘

    ○柴田委員 おおむねという言葉が出ましたので、完璧ではないということですね、おおむねというのは。ですからこれ以上は私は申しませんが、私は先ほど申したような感じを持っている。恐らく私と同じような考え方を抱いていらっしゃる方もあるのではないかというふうに思います。  そこで、これは大臣でなくても銀行局長で結構でございますが、現行銀行法改正する理由、これは四点あったのではないかと思います。  一つは、安定成長経済下に対応した銀行の健全経営の確保の問題。二つ目には、銀行の公共性、社会性の維持発展の問題。三つ目は、国債大量化時代への対応。四つ目は、昭和二年当初には予想されておりませんでしたいわゆる銀行国際化への対応の問題。こういった四つの目的が今回の銀行法改正によって明確に貫かれたと言えるかどうか。一つ一つ簡潔で結構ですから納得のいく御説明をお伺いをしたいと思います。
  194. 米里恕

    米里政府委員 御指摘のとおり、大体いまお挙げになりました四つの点が今後の金融環境として恐らく主要なものであろうかと私どもも思っております。  そういった四点につきましてそれがどういうふうに銀行法案に生かされたかという点を申し上げますと、まず第一点は、いわゆる成長パターンの変化、特に高度成長から安定成長への移行に伴う経済環境あるいは金融環境の変化でございます。この点は恐らく世界的にも主要国においては同じような状態が起こっておりまして、そういう経済環境、金融環境の変化というものは、金融機関にとりましては非常に環境が厳しいという状況になる、いわば収益基盤というものについてこれから一層の努力が必要であるというような状態であろうかと思います。そういったような状態のもとで金融機関の公共性、社会性という観点からこれに即するためには、いま一層の努力を健全経営の確保ということに注がなければならないということが基本的な対応であろうかと思います。そういった趣旨で第一条の目的規定の中でも、その考え方、経営の健全性による公共性の要求にこたえるということをうたっておりますとともに、特にいわゆる大口信用供与規制につきましては、主たる目的は、こういった健全経営の指標の柱とする、いままで行政指導でやっておりましたものを、内容をきっちりと整理いたしまして法律段階で規定することによりまして健全経営の柱としていく、こういう考え方が出ているわけでございます。なお、この点は先進主要国、諸外国におきましても同じような形で、大口信用供与規制の規定がますます重要みを帯びておるという形で推移しております。  それから第二点は、銀行の大衆化と申しましょうか、個人に対しまして銀行が与信面でも受信面でも非常に接点が広くかつ深くなってまいったということでございます。これまた一時的な傾向、一過性という問題ではなく、今後の経済成長に伴いまして銀行の負わされた使命の一つであろうかと思います。そういった意味での公共性の関係といたしましては、ディスクロージャーというものがその考え方の線に沿った規定でございますし、先ほど申し上げました大口信用供与規制につきましても、これは健全経営の面がありますとともに、できるだけ多くの方から預かった預金を広く適正に配分していくという資金の適正配分からの考え方も入っているというふうに申せるかと思います。  それから三番目は、いわゆる大量国債発行、消化という時代を迎えまして、国債を抱いた経済環境あるいは国債を抱えた金融環境、金融機関経営に対処いたしますために、一番典型的に挙げられますものは、金融機関の公共債に対する証券業務の位置づけというものをこの機会に制度的にはっきり案文化させていただいたという点であろうかと思います。  それから四番目は、国際化への対応でございますが、この点もまさに、諸外国の一九七九年、八〇年あたりの金融法規の改正を見ますと、いずれも内外の金融機関の積極的な交流に対する対処というものが諸外国の法改正一つの目玉になっておるというような状態でございます。わが国におきましても、およそ昭和二年ごろには考えられもしなかったような形での金融機関の内外交流が進んでおるわけでございます。この必要性を受けましていわゆる外国銀行に対する規定の整備というものを図りますとともに、たとえば海外現地法人の株式等の取得についての規定を整備したというような対応をいたしております。大体御指摘のようなバックグラウンドのもとで今度の銀行法改正というものが行われておりますので、そういった線に沿ってそれぞれ条文を整備しておるというふうに私どもは考えております。
  195. 柴田弘

    ○柴田委員 そこで、金融制度調査会答申でもありましたように、競争原理の導入の問題あるいは金利機能の活用の問題、こういった金融行政に対する規制緩和というものの必要性というものも金融制度調査会答申にもあったのではないかというふうに記憶しております。ですから、これらを実現をしていくためには、今回のこの銀行法改正と並行して金融、証券を包括をした行政全般の自由化と言いますとちょっと行き過ぎかもしれませんが、やはりそういった方向への問題検討ということ、それから臨時金利調整法などの取引法、こういったものをある程度は規制緩和方向に沿って改革をしていく、あるいはまたそれを検討していく諸情勢の変化がいまあるのではないか、こんなふうに考えているわけであります。この点について、大蔵大臣の御意見、今後の対応等についてどうお考えになっていろかということについて一つの中長期の展望を踏まえて御答弁をいただきたいと考えております。
  196. 渡辺美智雄

    渡辺国務大臣 御承知のとおり日本の金融というのは、日本の経済が世界の経済につながっている以上世界の金融に日本の金融もつながっているわけです。したがって、世界全体の動きというものは常に頭から忘れるわけにはいかない。日本国内においても安定成長時代に入ってきておる、国際化が進んでおる、いろいろなことで今回の金融の改正をやってきたわけでございますが、さらに金利の自由化というような問題もやってはどうかという御意見でございます。しかし、自由化にはいろいろ問題がございまして、いまのような状態で実施をすればやはり弱い零細な金融機関が先にお手上げになってくるという問題がございます。そういうものが中小企業を初めどういうように国民生活に影響を及ぼすか、即断を許さない問題があります。金融機関の健全性の確保ということも大事でございますし、そのことは裏返しにすれば預金者の保護ということにもなっておりますし、中小企業向けの比較的弱い金融機関がもしなくなるようなことになればこれもまた別な大変な問題が起きますから、いろいろな条件を考えながら自由化問題は進めなければならない。ただ私どもといたしましては、どうしても必要な規制は置きますが、金利体系等についてはできるだけ弾力化の方向で持っていく必要がある、かように考えております。現にCDの導入やコール、手形市場の金利の自由化、弾力化ということをやっておるのはそのためでございます。
  197. 柴田弘

    ○柴田委員 大臣、金利の自由化を、私、すぐやれと言っているわけではないのでありまして、やはり今後の中長期の展望に立って、金融とか証券とかそういったかきね論争ではなくして、今後の対応としては行政全般のいわゆる国民経済的な視点に立った一つ方向というものを打ち出していくべきではないか。あるいはたとえばこれは臨時金利調整法の規制緩和の問題、これは金利の自由化というふうに受け取られたかもしれませんが、今回の三井の問題にいたしましても、日銀のガイドラインを反則したという問題も、私はこの問題、反則は反則としていけないとは思います。がしかし、これは一面から言えば預金者の利益に沿ったものではあるわけです。いまそういった方向へ、国民の金利選好意識の高まりというものが私は金融資産の多様化というものに関連をして出てきた一つの問題だ、こう思います。だから、いままでの認識あるいは金融のあり方、行政のあり方ではこれからの金融情勢を律していけないのではないか。一銀行法改正だけで済まされぬ事態になりつつあるんではないですかというような意味において御提案を申し上げた、いまもお話ししたわけですね。そういう点をひとつ御理解をいただきたい、こういうふうに思います。この辺はよろしゅうございますか。そういった意味でも言っておるわけなんです。
  198. 米里恕

    米里政府委員 銀行法案法案でございますからこれはどうしても監督あるいは規制の面が法案を見る限りは強く出てくるということになろうかと思いますが、この法案作成のバックグラウンドになりました金融制度調査会の基本的な認識といたしましては、公共性とともに金融機関の自主的努力による効率化というものを行政の中心にすべきである、こういう考え方がございます。したがいまして、私どももできるだけいままでの行政指導の中で、重要な行政指導法律の規定の中に織り込まさせていただくとともに、それ以外の行政指導については公共性を力説する余り行政が過保護行政あるいは過剰介入といったことがないように経営者の自主性を尊重するということによって活力を最大限に発揮でき、国民サービスが促進されるというような方向が望ましいと考えております。そういった意味で、一般論といたしましては行政の面では自由化できるところ、弾力化できるところは具体的にどういう事項を弾力化、自由化できるかということを個々の項目について目下検討中でございます。ガイドラインのお話が出ましたが、この問題は、ガイドラインというものを日銀が決めることによりましてそれに基づいて預金利率表を各行が届け出ているという性格のものでございまして、金融政策上の問題でもありあるいは金融秩序の問題でもある。したがって、たとえば定期預金を中途解約して現在の制度、商品では利率が落ちるというものに反するような行為をするということは好ましくないと考えております。ただ、そういった中途解約によって極端に利率が落ちるということはおかしいではないかという御議論がございましたら、それはそういったような新商品をつくるかどうかを検討してみる価値があるというような問題であろうかと思います。
  199. 柴田弘

    ○柴田委員 いま局長さんが答弁されましたが、できる限りの経営の効率化という観点、そういった観点から行政自由化を今後検討をしていく、こういうふうにおっしゃいました。もしここで具体的にこういった問題、自由化したらいいんじゃないかあるいはああいった問題はだめだよと、今後検討されるということでありますが、そういった大蔵省当局としての一つのここで御答弁をいただける行政自由化検討事項というものがあればこの際お聞かせをいただきたいわけでありますが、いかがでしょう。
  200. 米里恕

    米里政府委員 現在いろいろ行政自由化につきまして検討いたしております。昨年の暮れの段階で各種金融機関からヒヤリングを行いまして、業界としてどういう行政上の自由化要望しているかというようなことを聞きましたわけですが、それに引き続きまして内部的にいろいろ検討をしております。けさほどお話が出ました国際業務面における自由化というものをどう検討していくかというような問題もございますし、それから配当についてどう考えていくかというような問題もございます。これはいずれも行政上の問題でございます。あるいは業務範囲についてどのくらい弾力的に考えていくかというような問題もございますし、また関連会社というものをどういうふうに取り扱っていくかということも現在検討しております。一方、現在、報告提出資料というものをかなりいろいろな種類から徴しておるわけでございますが、その辺も必要性を再検討いたしまして、もし出さなくてもいいというようなそれほど緊要性のないものであったらこの点も簡素化していきたい、こういう多様的な面で現在検討中でございます。
  201. 柴田弘

    ○柴田委員 この問題はいろいろと議論があるところです。また改めて私も勉強させていただきましてあれさせていただきます。  時間が余りありませんので、郵政省と大蔵省に対して、、いま非常に問題になっております金利の一元化の問題、銀行法改正の中におけるディスクロージャーの問題、それから国債引き受けの問題、この三点にしぼってここで両方の御意見をお聞かせいただきたいと思います。  それで、郵政省は金利の一元化の問題には反対だということが言われております。これは事実かどうか。いま郵便貯金の金利と民間の金融機関の預金金利は別の方式で決定されている。これは国民の利益に沿うものです。御案内のように、郵貯が郵政審議会、銀行預金が金利調整審議会と別な機関に諮って決められている。現在のこの金利決定方式を変えるべきではない、郵貯懇談会に金利の一元化には反対をするというふうに注文をつけていらっしゃるわけです。それから、ディスクロージャーの問題についても、今回の銀行法の全面改正案を見ても、民間金融機関の方が経営内容の開示、すなわちディスクロージャーには消極的だ、こういうようにおっしゃっておるわけです。それから国債の引き受けについては、資金運用部による国債引き受けの増額が当面は妥当であるとしても、将来は国債の安易な発行などの弊害もある点に触れ、国債発行主体、つまり大蔵省と引受主体を分離すれば弊害はないとして、郵政省が国債を直接引き受けることを要求なさっていらっしゃるということですね。それから最近では、郵便貯金などの資金を資金運用部資金として大蔵省が統一的に運用しているのは適正な資金配分を妨げていると指摘をされ、郵政省が郵貯を集めた資金を直接運用する方が資金の性格に最も合った運用を可能にする、こういうふうにおっしゃって、自主運用構想、国債、地方債、金融債などの各種債券の直接の取得あるいは地方への還元融資あるいは個人に対する貸し付け、こういったものを郵政省がすべきであるというふうにおっしゃっておるわけでありますが、この辺のところはそのとおりというふうに理解してよろしゅうございますか。郵政省にお聞きしたい。
  202. 荒瀬真幸

    ○荒瀬説明員 お答え申し上げます。  まず金利一元化の問題でございますけれども、これは現在、郵便貯金の金利が郵政審議会に諮問をいたしまして政令で決まっている、それから民間金融機関につきましては金調審で審議されて日本銀行によって決められているという現行の方式につきまして見直しを行い、特に金融政策を機動的、弾力的に運営するためにそういった一元的な機構と申しますか、そういった方向検討する必要があるのだという考え方であろうと思いますけれども、これに対しまして郵政省といたしましては、この議論には基本的に、預貯金というものにつきましては種々の性格を持ったものがある、特に貯蓄性預金と営業性預金といった性格が大きく違ったものが含まれておりまして、これを総体として一本化して金利を決めていこうということにつきましては大きな疑問があるのではなかろうかという考え方でございます。したがいまして、現在のところ主として預金者保護の立場から決定する場と、産業界、金融業界といったものを主とする立場、そういったことから決めている場といったものがございまして、チェック・アンド・バランスの機能が働きまして結果的に各界の利害が調整されているという状況につきましては問題はないのではなかろうかというふうに考えている次第でございます。こういった状況につきまして一元化を行うということにつきましては、預金者保護の機能というものを失わしめるといった懸念が非常に大きいというような問題をはらんでおるということでございまして、郵政省といたしましては現行の方式を維持すべきであるというふうに考えている次第でございます。  次に、郵便貯金資金による国債の引き受けにつきましては、特に現在国債の大量発行時代ということで金融市場とか金融機関の経営といったところでいろいろな影響が出ておる、こういったことを解消する一つの方法といたしまして、国債消化の多様化の方法といたしまして郵便貯金資金をこれに充てるといったことは非常に有意義であろうというふうに考える次第でございます。  郵便貯金資金をそういった国債等各種債券に運用する場合に、現在の統合運用と申しますか資金運用部を通じて運用する場合と、郵政省が直接運用する方法とあるわけでございますけれども、まず現在の資金運用部による郵便貯金資金の運用の実態につきましては、財投機関の中には資金の未消化とか民間金融機関との競合とかいろいろな問題が発生しているというのが事実でございます。こういったことは郵便貯金の資金の提供者という立場から見ましても、やはり見直していただく必要があるのではなかろうか。その見直しをする際に、郵便貯金の資金は集めています郵政省で直接運用することも含めて見直すということもやはり検討課題の一つではなかろうかというふうに考えているわけです。  それと特にもう一点は、資金運用部を通じて運用する場合には預託利率というものが郵便貯金特別会計の収入になるわけでございます。現在これは七・五%でございます。直接運用する場合には、国債で申し上げますと七・六八六でございますので、より高い運用、有利な運用が可能になりまして、預金者に対する還元といったものが今後さらに充実されることが可能になるわけでございます。そういった面からも直接運用という方策につきましては検討に値するのではなかろうか、かように考えておる次第でございます。
  203. 柴田弘

    ○柴田委員 ディスクロージャーの問題はやはりちょっと言えなかったかと思うので、そこまでは答弁を求めませんが、大蔵省、時間がありませんので簡潔で結構ですが、金利一元化の問題、いま郵政省から答弁がありました。お聞きのとおりです。それから国債の直接引き受けの問題、これも郵政省から答弁がありましたね。この二点について大蔵省としてはどう考えておるか、簡単で結構ですから御答弁いただきたい。
  204. 米里恕

    米里政府委員 金利一元化の問題でございますが、これはいわゆる金利決定方式が現在二元化されているというものを一元化すべきではないかというのが私どもの意見でございます。金融政策、公定歩合を初めといたします金利政策を行います際に、ことに間接金融のウエートが非常に高いわが国の金利体系におきましては、預貯金金利がどうなるかということが金利全体の水準に非常に大きな影響を与える。したがって、金利政策を行う際にはできるだけ機動的、弾力的に金利政策、ことに預貯金金利の変動ということもなし得る必要があると思いますが、それが異なった二つの理念で異なったシステムで決められるということになりますと、どうしても適切なタイミングで公定歩合の上げ下げあるいは諸金利の上げ下げを行うことが非常に困難になる。経済あるいは物価の動向から見まして、国全体のために行われる金融政策の効果というのは、回り回って預貯金者ももちろん含めましてその可処分所得の増加、その他に影響するわけでございますから、どうしてもそういった一元化が必要であるというふうに私どもは考えております。
  205. 宮本保孝

    ○宮本(保)政府委員 国債の引き受けについて御答弁を申し上げます。  現在の郵便貯金のお金は、特別会計その他の特別会計の積立金などと一緒にされまして、資金運用部資金法によりまして資金運用部資金として一元化的に統合、管理されておるわけでございますけれども、これは資金量を大きくいたしまして安定的なものにいたしますと、スケールメリットを生かしました資金の効率的、弾力的な運用を図ることができる、それからまた重複投資等を排することができまして、国民の各般のニーズにバランスよく対処することができる。それから財政金融政策の整合性でございますけれども、これが一元的運用によりまして最もよく図られるのではないかという気がいたします。  私どもは、統合的に運用いたすことによりまして、たとえば五十六年度につきましては国債にどのぐらい、公共投資にどのぐらい、そして政策金融にどのぐらい配分するのがいいか等につきまして全体的見地から運用を図っておるところでございまして、こういうような資金運用部資金の統合的な運用が財政投融資といたしまして戦後の日本経済をかなり支えてきたということが言えると思いますので、国債を直接に郵便貯金が購入することにつきましては消極的でございます。
  206. 柴田弘

    ○柴田委員 時間がありませんからあれですが、とにかくいまお聞きのとおり金利の一元化問題、それから国債の引き受けの問題は、大蔵省当局と郵政省の考え方とは大いに差があるというふうに思う。とにかく証券と金融の証券業務をめぐってのいわゆるかきね論争ではありませんが、同じ政府部内でこのように意見が食い違う。これはこういった一つ議論を国民が見ておったならば一体どう感ずるかということなんですね。確かに金利一元化の問題については、これは郵貯懇談会に諮問をしている。これにどういうような結論が出るか、これは今後のあれなんですが、もしこういった金利一元化の結論が出た場合は、これは本当は郵政大臣にお聞きすべきことかもしれませんが、私の記憶が間違いなければ、郵政大臣はもうすでに郵貯懇談会答申に従う、大蔵大臣ももちろん従う、こうおっしゃっているわけでありますが、金利一元化の方向、そうなれば郵便貯金法の改正という問題にも波及してくるのではないか、私はこういうふうに思いますが、この辺のところはいま絶対できないというようにわが党の理事がおっしゃったわけでありますが、とにかく意見が食い違う、この辺のところをどういうふうに郵政省は対応されていかれるか。  それから、大蔵大臣に最後になりますが、とにかくいま言いましたように同じ政府部内で郵政省と大蔵省が対立をしている。かきね論争かどうか知りませんが、考え方が違う。こういったものを私は統一をしていかなければならない、それはやはり国民経済的な視点に立った考え方ということになるんじゃないかと思いますが、今後この二つの問題についてどう対応していかれるのかお伺いをいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  207. 米里恕

    米里政府委員 先生よく御存じのとおり、現在総理の諮問機関として五人の学識経験者、中立的な方々が熱心にヒヤリングを行っておられまして、その機会に大蔵省あるいは郵政省からもそれぞれ意見を申し述べているところでございます。したがいまして、この五人委員会の結論がこの重要な問題につきましてきわめて実り多きものになることを私どもとしては期待しておるということでございます。
  208. 柴田弘

    ○柴田委員 それはおきまして、局長さん、金利一元化については郵貯懇談会でやっていますよということですが、もし一元化の問題が出たら、郵政省はいま二元化論とおっしゃっているのですが、それに従われるかどうかということと、それから大蔵大臣には、金利の一元化の問題はともかくとして、郵貯懇談会の結論を待つわけですが、国債の問題がありますよ。国債の問題まで郵貯懇談会で恐らくやってないと思うのです。やっておったらそれはいいことですけれども、いま国債の問題は違いますね。その辺については今後どう対応されていくのか、郵政省と話し合っていかれるのかどうか、その辺のところをお聞きしているわけです。どうでしょう。
  209. 渡辺美智雄

    渡辺国務大臣 内閣の郵貯懇で金利一元化の議論をするということですが、その中に国債問題まで入るのかどうか、私当事者でございませんので、入ってないんじゃないかという気がしますが、内容がよくわかりません。
  210. 柴田弘

    ○柴田委員 郵政省、どうですか。
  211. 荒瀬真幸

    ○荒瀬説明員 現在、郵便貯金をめぐっていろいろな場で議論されている、その場の一つといたしまして金融懇というものがございます。これにつきましては、八月下旬をめどに検討されておりまして結論が出ることになっておりまして、郵政省といたしましては、経緯を踏まえて結論を尊重してまいりたいという考え方でございます。  金融懇のヒヤリングに対しまして郵政省の考え方は、現在の郵便貯金をめぐる諸問題というものは、これはやほり金融システムそのものをめぐる問題の一つの場面である。したがいまして、金利決定のあり方の問題もその一つではございますけれども、幅広く郵便貯金の資金の運用のあり方とか官業全般の問題について、それに関連して民業を含めまして検討していただきたいという主張をいたしておるわけでございまして、期待をしているわけでございます。そういった観点から幅広く郵便貯金を含めた今後の方向づけといったことを期待しておるわけでございます。
  212. 柴田弘

    ○柴田委員 ちょっと時間が超過しましたけれども、大臣、いまのわかりませんというのは本当にわからぬのですか。将来、郵政省の方は、要するに自分の方で郵便貯金で国債を引き受ける、大蔵省の方は資金運用部でやったらいい、いままでどおり資金運用部の方へ融資もどんどんやってください。こういう意見なんです。これは意見が郵政省と大蔵省との間で食い違っておるというふうに理解をしなければならないわけですね。だから、それをどういうふうにやっていったらいいのか。これは政府部内で大蔵大臣が郵政大臣と話されるのか、あるいは総理のところで結論が出るのか、将来の展望を踏まえてきちっとしていかなければ、国民の目から見れば、大蔵省はこう言っておる、それから郵政省はこう言っておる、こういった議論は同じ政府部内で同じことについて対立をしているというようにしかとれないんじゃないですか。だから、将来何らかの一つのものをつくっていかなければならないのじゃないですかということを私は言っているわけです。それをわかりませんという答弁。それだけちょっと簡単でいいですから答弁してください。
  213. 渡辺美智雄

    渡辺国務大臣 私は勘違いしまして、要するに郵貯懇でどういうことをやるのかというその内容の具体的な話だと思ったものですから、当事者でないのでわかりませんということを申し上げたのです。  私どもの方は、国債の問題については市中消化というものを主体にしてやっておりますが、運用部において、運用部の運用の一つとして国債を持っておることも事実でございまして、そういうことはいろいろな資金というものはばらばらに運用しないで、政府関係の資金は運用部で一本に集めた方がいいということを主張しているわけでございます。
  214. 柴田弘

    ○柴田委員 わかりました。  どうも時間を超過して恐縮です。
  215. 大原一三

    大原(一)委員長代理 竹本孫一君。
  216. 竹本孫一

    竹本委員 銀行法がいよいよ衆議院における最後の審議の過程に入ったと思うのでございますが、この法案がまとまって今日ここに至るまでにはずいぶん長い道のりがあったと思います。その間大蔵省は、銀行局も証券局もあるいはその他の部局も一体になって大変な御努力であった、非常な御苦心があったと思いますので、その点に関しましてはまずもって深く敬意を表しておきたいと思います。  ただ、いずれにいたしましても非常に長丁場でありまして、私が最初に予算委員会で質問したのは七年前、金融制度調査会答申が出てからでも二年、去年の、法案がややまとまってからでも小一年、そういうことでこれはずいぶん長い方の記録ではないかと思うように、大変長い道のりでございました。先ほど委員部か事務局かわかりませんが、こういう資料をもらいましたが、五月六日現在のベストテンとして審議時間が大蔵は百十六時間十五分、予算は百十二時間五十二分、その他は大体五十時間。こういうことで、ベストテンという言葉はちょっとおかしいと思うのです。ワーストテンではないかとばくは思いますが、少なくともこれはロンゲストテンではある。そういう長い長丁場をえらい御苦労を願ったということで敬意を表するわけであります。  そこで、新聞等が銀行法に対していろいろな批評を下しております。一部には三方一両損だというようなことを言っておる。しかし私に言わせますとこの法案がまとまれば三方一両得である、まとまらなかったらそれこそ一両損である、こう思うのですね。新聞というのはおもしろく書きますから、必ずしも適正でないかもしれませんけれども、いずれにいたしましても、これは関係各方面銀行界も証券界も、もちろん大蔵省も非常なベストを尽くして、それぞれが譲るべきところは譲ってまあまあ一つの成果を得たのであるという意味において私は評価をしておるということを申し上げたいのであります。  ただその場合に、私どもが感じとして受け取ったことを申し上げますと、一つ大蔵省に対して民間の不信感というものが相当強いということをちょっと感じました。それからもう一つは、世の中はどこでもそうでありますが、この問題をめぐっていろいろの論議の過程でずいぶんわからぬことを言う者もおるものだということも感じました。  そういう意味でちょっと私の感じたところで大臣に伺ってみたいと思いますのは、たとえば監督規定がいろいろ変わったということになっているわけでございますが、天下の公器である銀行というものが一定の枠内において大蔵省の監督を受けるということは当然である、また監督規定という以上は最悪の場合にも備えていろいろなことを書いておくのが当然である、そういう意味において監督規定が厳しく見えるということはむしろ当然であって、余りなまぬるいものでは監督規定にはならない、そういうふうに私は思います。  それからもう一つは、監督規定が多いから削れというのでもとの原文に返ったようでございますけれども、民主主義というものは、どこまでは大蔵省は監督する、それから先はもうやらないんだという自粛といいますか限界を明確にしておくということの方がむしろ民主的である。やるべきこととやってはならないこととの限界をはっきりしておいて、ここまではちゃんとコントロールがあるけれどもそれから先は自由に創意を発揮してもらいたい、こういうのがむしろ進歩的な考え方である。そういう意味で、条文を細かく書いておいたものを削り落としてしまったということはめんどうくさくなくなった面もあるけれども、むしろ自分たちの守備範囲というものが明確にならなくなったという意味においてはそれこそ一歩後退したかもしれない。いずれにいたしましても、監督規定に対する理解というものが一部には足らないというふうに私は思う。  次に、もう一つはディスクロージャーの問題もありますが、これらの問題も一体だれのためのディスクロージャーであるかということについての理解が一部には足らないと思うのですね。銀行自身のためにも、自分たちはこういう努力をしている、こういうふうにいま経理の状態はなっておる、収支の決算はこうなっておるということを少しでも、より多く一般に窓口を広げて教えるとか知らせるとかいうことは銀行に対する信頼を増すゆえんであって、知られたら困るというなら困る方が悪いので、大体自分たちの姿というものを正直に、オープンにするということの方が正しいあり方である。それが銀行に対する信頼を拡大するゆえんであって、むしろプラスになる。そういう意味から言えば、ディスクロージャーは何か自分たちが痛いところを次々にえぐり出されるというような感じで受けとめること自体が間違っておるのであって、ディスクロージャーは、もちろん預金者にも安心してもらうし、また国民から信頼されるということで銀行の社会的な信頼も大きくなるという意味において非常に結構なものである、こういうふうに私は思っておる。  それからもう一つ、ついでに申しますが、第一条に公共性の問題が入った。公共性の問題も、文章があるかないかということにかかわらず金融機関の今日の大きな支配的影響力を考えれば、銀行の公的な使命というものは当然でありまして、文章があるから国債をたくさん持てというわけでもなさそうだし、また文章がないからといって銀行が反社会的な行動ができるものでもない。  そういう意味においては、長い間いろいろ論議が行われましたけれども、余り生産性はない。むしろ私どもが、感じから言えば若干認識不足と申しますか誤解と申しますか、そういうものがあったのではないか。むしろこれをこの機会に大いに取り払ってもらいたいと思う。  この点についてまず大蔵大臣のお考えを、印象で結構ですが承りたいと思います。
  217. 渡辺美智雄

    渡辺国務大臣 監督規定の問題で最初のたたき台とかなり違ったのではないか、これは私も読んでみまして、最初銀行局が考えたことは、もとの監督規定というものは非常に強大にできておる、それを現代風の法律に直すと制限列挙的になる。そういうことで、法制局などはその方がいいじゃないかということでこしらえたわけでありますが、なるほど文章が長くなって、見ると銀行法というものが何だか監督取り締まり法みたいな法律になるという印象のあることも事実なんです。私はどちらだって構わないのです。しかし業界側の方も、余り監督監督ばかり言われちゃ困るみたいな話もあったし、どっちでもいいことだから、それならば簡単にした方がいいのじゃないかということで簡単にしたということは事実なんです。しかしながら、同時に新事態に対処するものは入れなければならないということで、現行法でない子会社の検査権というものを法定する。それから国内の資産保有命令というようなものを、外国銀行等に対して特に必要なことでございますから、こういうものは抜かない。大事なポイントはきちっと入れてあるわけでございます。  ディスクロージャーの問題については、答申でも自己責任と自主性に基づいた努力をディスクロージャーの前提にしているわけでございまして、今回も訓示規定にしたということで御批判があるわけでございますが、内容については、答申等であれだけのことをいろいろ議論されておりますから、どれを出すかということになると、出すべきものは出すというのが良心的な銀行ということになってきて、出すべきものを出さないということになれば何で出さないのかなというような疑問を持たれることになりますから、おのずから私はみんなそれぞれ良識に従っていろいろ創意工夫をして——半分は会社のPRにもなるわけですから。しかし、一方においては義務的に社会に内容を明らかにするという両面において、みんなが競争の立場にもございますので、これは一遍やってみればわかると思いますが、私は決して悪い改正ではない、そう思っております。  それから最後に銀行の公共性の問題、銀行の使命というような問題で、そこに公共的な物の考え方、健全な経営、適切な経営というようなものを入れたことも事実でございます。したがいまして、私はそういう意味では新しい時代の要求に応ずる姿勢の骨組みというものはきちっとみんな入れたつもりでございます。
  218. 竹本孫一

    竹本委員 次に、第二番目にお伺いしたいのは、今度の証券との関係でいろいろな問題が深刻に展開をされたわけでございますが、やはり銀行の経営というものは健全経営、預金者保護、貯蓄の尊重ということが根本でなければならぬ。そういう意味で、従来の銀行行政というものは何をおいても第一に預金者保護ということでやってきたし、その関係において、専業主義と兼業主義という考え方がありますけれども、従来専業に、もっぱら銀行銀行経営に当たっていくべきものであるということに少なくともたてまえはなっておったと思うのですが、今度、これはある意味から言えば自然発生的にといいますか、時代が変わってまいりますと、当然銀行もいままでの同じ枠の中にというわけにもいかないでしょう。     〔大原(一)委員長代理退席、委員長着席〕 そういう意味においてきわめて自然に、大臣のよく使われる自然体でプラスアルファの仕事が加わることもまた当然のことだと思います。  そこで、ちょっと結論的なことだけお伺いしたいのですが、一つは公共債に限って今度は銀行にもこれを認めるのだということになっていくわけでございますが、それを専業主義というものはやめて兼業主義に転換するというふうに受け取るのか。もう一つ言うならば、公共債を突破口にしてあらゆる証券業務銀行が出ていく、突破口ができるというふうに受け取るのか、あるいはそうでないように受け取るのか。これはまたいろいろ誤解を招いても困りますので、大臣から結論的なところを端的にお伺いいたしたい。
  219. 渡辺美智雄

    渡辺国務大臣 銀行が公共債を扱うといってもそれは付随業務ということでございまして、やはり銀行が本業である、付随的に必要に応じてというように解釈したいと思っております。
  220. 竹本孫一

    竹本委員 そこで、これに関連してもう一つですが、三人の懇談会というか委員会ができるという、先ほど来いろいろ議論がありましたが、三人の委員会ができてその結論が出る前に銀行証券業務に関しては大体五十八年からやるのだとかやらないのだとかいうような記事が出ます。これは私は三人委員会に対しても大変失礼なことになるのではないか。また本質的に考えましても、三人委員会で専門家が十分各般の情勢を検討した上でどういう条件のもとにいつやるかという結論を出さるべきであって、三人委員会をつくると言っておきながら、大体結論は五十八年ごろからやるのだというような言い方は、これはもちろん大蔵省がやったかやらぬかわかりませんが、新聞に出ておる。そういうことは不謹慎であると思いますが、大臣はいかがですか。
  221. 吉本宏

    吉本(宏)政府委員 ただいま御指摘の三人委員会でございますが、この法律が成立した後に三人程度の中立的な立場にある有識者によりまして懇談会を設けて、この懇談会にいろいろいま先生御指摘のような問題点について諮問をしたい、このように考えております。最終的な決定はもちろん大蔵大臣がなさることは当然でございます。  なお、五十八年度に窓販を実施するというようなことが新聞に出ておるではないかという話でございますが、現在の段階で私どもは特定の時期を想定いたしましていつから実施するというようなことは全く考えておりません。
  222. 竹本孫一

    竹本委員 大臣、いま証券局長から申しましたけれども、私が申しましたように、せっかく懇談会を三人の方に願った以上は、その前に勝手な報告あるいは勝手な記事が出ないように、その点は注意をしていただきたいということが一つ。  それから、あわせて最近新聞では、今度は銀行法もできて銀行もいまの本業を大いに積極的にやらなければならぬというようなことから新種預金といったようなものも取り組もうという気魄を示しておるように思います。そしてまたそれはある意味においてこれからの銀行のあり方として積極的に意味のあることだと思いますけれども、大蔵大臣はこれをどういうふうに受けとめておられるか、また指導していかれるつもりであるか、お伺いをいたしたい。
  223. 渡辺美智雄

    渡辺国務大臣 先ほどの質問で答弁漏れが一つありましたが、銀行は公共債を扱うようになって、これを突破口で今後ほかの証券業務に入るのか、これについては社債とか株式、そういうようなものにまで業務を広げることを認める考えはございません。  以上であります。  それからもう一つ、新種預金の問題、告知預金ということが言われておるわけでございますが、これらにつきましては、やはりいろいろな点で銀行も新種預金の開発が必要だということで、期日指定定期預金、個人マル優に限定する、預け入れ限度は三百万円、違うところは預け入れの元本方式、期間は三年、据え置き一年、解約一カ月以上前に期日を通知すればよい、そうすると金利で有利な取り扱いをする、こういうようなことがいま検討されておるわけです。利息の計算方法は一年複利計算、これらの問題については委細は事務当局から聞いてもらいたいと思いますが、正式の届け出があれば受理したいと考えております。したがって、それはボーナス時期前に届け出があれば受理をする考えであります。
  224. 竹本孫一

    竹本委員 銀行が大いに積極的な活動を始めることは結構でございます。ぜひその方向大臣の努力をお願いしたいと思います。  大臣はお急ぎのようでございますから、以上で結構です。あと局長にみっちり伺いましょう。  実は大臣が急がれるというので話を途中からやったわけですけれども、本論に返りまして、まず一つは、今度の銀行法改正についてビジョンが足りないとかいったようないろいろな批判が新聞等にも出ております。そういう問題にも関連をして、ビジョンの第一といえば自由化の問題である、第二は国際化の問題である。いろいろそういうビジョンの描き方もあろうかと思いますが、私はまず第一に、金利の自由化という問題について大蔵省のお考え方を承っておきたいと思います。  確かにいまのような硬直した形では、特に国際化時代には話はうまくいかないというふうに思いますけれども、同時に自由化にはいろいろなマイナスの面もある。プラスばかりではない。そういう意味でこれはなかなか簡単に割り切れるものではない。むしろ自由化に向かって一歩、一歩弾力的にこのことを考えて運用していく以外にはないと思うが、大蔵省としては、自由化に対してはいかなる前提条件が必要であると考えておられるか、その辺をよく伺っておきたいと思います。
  225. 米里恕

    米里政府委員 御質問の金利自由化の問題でございますが、基本的には自由化ということはやはり方向としては適当なことであるというふうに私どもは考えております。いわゆる景気調整の有効性という観点、あるいは資金のできるだけ効率的な配分という観点から見ましても、また、これだけ経済自体が国際化進展を見ております現状においては、国際化の面からの即応というような点からも、できるだけ金利機能を積極的に活用していくということは結構なことだと思っております。  金利機能の活用の中に弾力化、自由化というようなことが入ろうかと思いますが、弾力化についてはできるだけ弾力化を今後ともに進めてまいるということであろうかと思います。自由化につきましては、確かにおっしゃいますようなメリット、デメリットいろいろあろうかと思います。特に最近では手形、コール市場の自由化あるいは金利自由なCDという新商品の創設あるいは外貨預金の金利の自由化といったような自由化が一歩、一歩進んでおりますが、自由化の中で最大の問題は、やはり預貯金金利の自由化をどう考えるかという問題であろうかと思います。  預貯金金利の自由化につきましては、諸外国でもいろいろな形がございますけれども、特にわが国の場合には金利体系の中に占める預貯金金利のウエートというものは非常に中心的な役割りをなしている。あわせまして各種金融機関資金調達、コストの変動を通じまして、各種金融機関の融資活動にも大きな影響を与えるというような非常に大きな問題であろうかと思います。そういったような意味合い、あるいは中小企業金融専門機関というもののレーゾンデートル、立場というようなものを総合して考えてみますと、預貯金金利についてはやはり相当慎重な態度が必要であろうというふうに感じております。
  226. 竹本孫一

    竹本委員 おおむねいまの局長の御答弁で私は満足でありますが、次に、先ほど大臣に質問しました専業主義の問題について、もう一度少し伺っておきたいのだが、従来、専業主義というか、大臣の言葉で言うと、銀行の本業を純粋に守っていくという立場から、御承知のように信託業を引き離したり、あるいは証券を分離したりしてきたわけですね。それが今度新しく証券業務、公共債についての規定ができるということによって、従来の流れと方向が変わるのであるかどうであるかということを事務当局としてのお考えを伺っておきたい。
  227. 米里恕

    米里政府委員 戦後わが国に定着してまいりました直接金融と間接金融の担い手というものを一応分けて考えるというような基本的な体制を、今回の法改正によってすっかり変えてしまおうというような考え方ではございません。そういった直接金融、間接金融のそれぞれの専門家というものがその主たる担い手になっていくというような制度の前提をとりながら、しかし客観情勢も非常に変化いたしますし、あるいは国民のニーズその他いろいろな政策的な目的というようなものもございますので、そういった土壌の上に立って、今回公共債に限りまして金融機関業務として適当であるかどうかということを検討しました結果、銀行法上に公共債の規定を明文化した、こういうことでございますので、基本的に変わったということではないと思います。
  228. 竹本孫一

    竹本委員 証券局長がいらっしゃるからついでにいまの話に関連して申しますが、先ほど申しましたように、自然発生的に銀行が公共債を初めとしていろいろ分野を受け持たなければならない面が出てくると思うのです。そしてまた相互乗り入れといったような考え方あるいはかきねを低くしろというような考え方がいろいろあります。そういう流れの見通しの一つとして、将来は証券会社国債を担保にして金を貸すこともやるというようなことまで考える人もおるようで、ちょっと記事を読んだことがありますが、そういう点について証券局長のお考えはどうでありますか。
  229. 吉本宏

    吉本(宏)政府委員 ただいま銀行局長からも答弁がございましたように、戦後昭和二十三年に証券取引法ができまして、これはアメリカのグラス・スティーガル法というものを母法にした法律でございますが、これによって現在の直接金融と間接金融の分離ということが明確になったわけであります。その根拠規定は申すまでもなく六十五条でございまして、これによりまして銀行の営む証券業務が原則禁止ということになりまして、これを公共債に関しては例外ということで、これについては認めようということになったわけであります。  公共債を除外した理由といたしましては、預金者保護の観点から見てリスクがないのではないかとか、あるいは銀行のいわゆる企業支配という観点からして余り問題ないのではないかということで、この六十五条におきまして公共債だけは認めようということになったわけであります。したがいまして、今回の法律改正はこれを基本としたものでございまして、六十五条の基幹は何ら変更されてないということでございます。  それでは将来証券会社が、たとえば株式を担保にして金を貸すとか、あるいは若干金融面に乗り出すという問題でございます。現在でもただいま申し上げた信用取引等におきまして、株式を担保にするファイナンスというものは行っております。しかし、これはあくまでもそういった株式取引に伴うファイナンスでございまして、現在銀行が行っているような一般的な金融という分野証券会社が乗り出そうというようなことは私ども全く考えておりません。また、基本的な性格といたしましても、銀行はむしろ資産の運用、ストックの商売でございます。それに対しまして証券会社はフローの商売と申しますか、売買を基本とした商売でございます。そういった点で性格も基本的に異なりますし、私どもがいわゆるバンクディーリングに対してかなり批判的な見解をとっておりますのも、有価証券の売買というものが、銀行の基本的なそういった性格から見てどうなんだろうかということで問題にしているわけでございまして、証券会社のそういった性格から見ましても、金融分野証券会社が乗り出すということは全く考えておりません。  ただ、先ほども申し上げましたが、今回四十三条を若干改正いたしまして、これによって将来有価証券に準ずるような金融商品と申しますか、CDとかCPとか、そういうものが実際に国内で取り扱われるというような場合になりましたときに、これは銀行証券相乗りというような形で証券会社が取り扱うということは結構なんではないか、このように考えております。
  230. 竹本孫一

    竹本委員 いまの問題にちょっと関連をいたしますけれども、また先ほど来いろいろ議論がありましたが、銀行にそういう証券業務を、時期とか内容とかいうのは一応別にいたしまして、どういう条件が整えば認可するということになるのか。その認可をする場合の条件というものは何であるか。銀行といいましても銀行は数が非常に多いので、都市銀行、地方銀行あるいはその他の金融機関、いろいろ事情が違う、能力も違うと思うのですが、そういうことも含めていかなる条件のもとに認可することになるのかという点をひとつ伺いたい。  それからあわせて、必要がなければ認可するということもないわけでしょうから、一体これからの国債発行あるいは借換債の問題と同時に必要性の問題とともに能力の問題もありますから、金融資産そのものはどの程度にだんだんふえていくのか。それからいまの必要の問題にもう一遍返りますけれども、国債発行というものは財政再建の過程においてだんだん減らしていく、特に赤字公債は二兆円ずつ減らしていく、それから一方においては、全部郵便貯金で国債を買えとは私は申しませんが、資金運用部が国債を買い入れる能力なり努力なりが拡大されていく、そういういろいろな諸条件を総合勘案いたしまして、こういう場合に大いに銀行にも協力してもらわなければならぬ必要が出るし、またこういう条件のもとに銀行にもそれだけの能力が出るであろうしというようなことで、最後の判断が、結論が出ると思うのですけれども、いま申しましたような前提となる諸条件について両局長からきわめて簡単に項目だけで結構ですからお示しを願いたいと思います。
  231. 吉本宏

    吉本(宏)政府委員 先ほど申し上げましたように、銀行証券業務、特に窓販の認可の時期につきましては三人委員会と申しますか、中立的な懇談会の御意見を聞いて、その上で決定したい、かように考えているわけでございますが、その時期の決定に当たりまして恐らく論議の対象となり得ると私ども考えておりますのは、一つ国債管理政策上の要請でございます。国債安定消化を促進するという観点から窓販を実施する必要ありや否やという問題であろうかと思います。この点については最近五十五年度の実績を見る限りでは三兆九千億に上る証券会社の取扱分がございまして、これは長期国債、割引国債、中期国債を含めた数字でございますけれども、約四兆円近い国債証券会社によって売りさばかれているという事実も注目する必要があるのではないかと思っております。  それから第二に、銀行は新規参入という形になるわけでありますけれども、銀行窓販を実施した場合に公社債市場にどういう影響があるか、たとえばはね返り玉と申しますか、個人に販売したものがはね返ってくる、それを買い取る必要があるわけでございますが、この場合に市場価格によるか理論価格によるか、そういった問題もございます。また証券会社自身がかなり公共債、あるいは広く言えば公社債の業務が拡大しております。したがいまして、銀行が新規参入した場合には当然にそれだけ証券会社の収支に影響が出てくるわけでございます。そういった点についてどう考えるか。さらにこれは後ほど銀行局長から話があると思いますが、金融機関の範囲をどう考えるか、そういった問題も含めまして検討したい、このように考えております。
  232. 竹本孫一

    竹本委員 最後に銀行局長一つ伺っておきたいのですが、この前本会議質問のときにも私一口申しましたけれども、この銀行法改正で一応一つの山を越えるわけでございますけれども、将来展望の問題として、一つは中央銀行のあり方をどう考えるかという問題があると思うのです。これは古くて新しい問題でありまして、ずいぶん前に非常に広範な調査研究の報告が出たこともあります。しかし簡単に申しますと、きわめてポイントは簡単でありまして、中央銀行の独立性というか、あるいは中立性というものをどこまで尊重するかという問題であろうと思います。これも基本的には政治というものは最高のものでございますから政治がすべてに優先する、コントロールするということは私は当然だと思います。しかし、いまの実情から考えますと、そのことがむしろマイナスの面が多い。そういう意味から中央銀行のあり方をこれから考える場合にも十分その点は慎重にやってもらわなければいけない。特に最近でもそうでありますけれども、やはり日本銀行日本銀行としての独自の権限と使命をちゃんと法律的にも持っておるのですから、それを政党人が勝手にかれこれ言うたり余剰介入と申しますか何と申しますか、するということは何のための日本銀行の独立性かわからなくなる。また特に公定歩合の問題等につきましても、政策効果という面からいっても、公定歩合を引き下げた翌日からもうあと一%なんということを勝手に言えば、アナウンスメント効果はほとんどなくなってしまう。そういう意味でこれは非常に慎重に政治家も言わなければならぬと私は思う。  それから特にもう一つは、国内だけの問題ではない。日本銀行が金利あるいは公定歩合をどうするかという問題は、先ほど来いろいろ議論がありましたように国際化時代でございますから、その国際的な影響がどうなるか、それが為替相場にどう反映してくるかということまで総合的、世界的視点から判断をして結論を出さなければならぬ。それをどこかで演説しておるようなつもりでぼんぼんぶち上げたのでは、これはわが国の金融政策の上に非常にマイナスになる。そういう意味で私はたびたびこれを強調したいのですが、とにかく公定歩合の問題にしても、あるいは日銀のあり方にしても、その独自の権限と使命を尊重するということについて特に慎重でなければならぬし、そういう意味でまた大きな展望の中で日本銀行は将来いかにあるべきかということを考えるべきではないかと思うが、その点についての考え。  時間がありませんからもう一つ。今度は日本銀行以上にもう一つ話が大きくなりますが、世界銀行あるいはIMF。これも御承知のように戦後できたIMFあるいは世界銀行あるいは第二世銀といったようなものが、特にまた日本が国際社会に大きな経済大国として臨んできて、これから新しい、正しい意味の世界の新秩序を考えるという場合に、従来のIMFはそのままでよろしいのか、あるいはこれに対処する日本のあり方はいままでのとおりでよろしいのか、少し話が大きくなって恐縮ですけれども、世界化時代には世界史的な視点からそういう問題にも取り組んでいかなければならぬと思うが、そういう問題は考えておられるかおられないか伺って終わりにいたします。
  233. 米里恕

    米里政府委員 まず日本銀行法の問題でございますが、竹本先生よく御承知のとおり、三十年代に日銀法改正についていろいろな角度から非常に綿密な議論が行われたわけでございます。結局昭和四十年になりまして、結論的には日銀法は金融の基本法である、今後のわが国の金融の方向を決めることとなるために慎重に審議する必要があるということで日銀法改正検討が中止されて現在に至っているわけでございます。日銀法は戦争中の昭和十七年に制定された法律であるというようなことでもう大分たっておるので新しい事態に即して見直すべきではないかという御意見もございますけれども、もちろん現在の日銀法のもとにおきましても、政府としては日本銀行の中立性というものは何よりも重要なものであるということで、その金融政策の運営その他におきまする自主性というものは極力尊重してまいっておるわけでございます。現在の日銀法に基づきまして政策遂行上特にどこかの条文が非常に支障になっているかというと、これもいろいろ議論がございますけれども、具体的に必ずしもそうでないというような面もございますし、先ほどの四十年の中止になった際の理由にもございますように、わが国経済全体のあり方に非常に幅広く、かつ深く関連する問題であるというようなことで、同法の改正についての検討については慎重に配慮していかなければならないというふうに考えております。
  234. 大場智満

    大場政府委員 先生御指摘のように一九七一年八月の米国による金兌換停止以来、固定相場制度を中心とする仕組みが崩壊いたしましたのはそのとおりでございます。しかし、その後IMF、世銀の機能を見てまいりますと、ある部門ではむしろ役割りを強めた点もございます。たとえば開発途上国に対する融資、これは世銀もございますし、また国際収支援助ということでIMFもございますが、こういった資金協力はかなりの規模、またかなり適切な融資がなされているように思うわけでございます。また、その他の融資以外の面におきましても、開発途上国問題についての世銀、IMFの取り組み方には私どもとしても目をみはってといいますか、かなりいい対応をしているという点もございまして、私どもは今後も両機関の適切な活動に期待しているわけでございます。  それから、固定相場制度が崩壊したわけでございますので、御承知のとおり、いま多くの国で変動相場制がとられているわけでございます。そしてこの変動相場制というものは、この三年、四年の推移を見てみますとかなりうまく機能したのではないかと私は見ております。第一次石油ショック、第二次石油ショックを乗り切るに当たって、変動相場制があったから乗り切れたという面もあるのではないかというふうに思っているわけでございます。しかし、他面また変動相場制に起因します問題もあるわけでございまして、相場の乱高下あるいは行き過ぎという問題もございます。そういう点につきましては、私どもとしては、今後国際間の協力を強めるということで対処していきたいというふうに考えているわけでございます。  最後に米ドルの役割りでございますが、確かに米ドルの役割りは、私はかつてほどではなくなったとは思います。しかし、いま世界の通貨を見まして、何といいましても米ドルが最も重要な通貨であることは否定できないというふうに思っております。準備通貨としてのシェアで見ましても米ドルはまだ七八%、あとマルクの一二%、円の四%という事情にございまして、米ドルの役割りはまだ非常に高いと思っておりますが、今後SDRその他いろいろな工夫をいたしまして、こういった従来の米ドル中心の体制を補っていく必要があるかと考えております。
  235. 竹本孫一

    竹本委員 最後に要望一つ申し上げるわけですが、いま日本銀行の問題についてお話もありました。確かにいま、日本銀行の運営の面で具体的にこうした大きな矛盾があるというふうには私も考えておりません。しかし何と申しましても、いまお話もありましたように昭和十七年ですか、戦争中にできた法律である。文句を読んでみても、総力発揮といった戦争中の言葉がそのまま出てきて、人によっては不愉快な感じを持つ人もおるでしょう。そういう意味で余りにも古い。昭和十七年ですから、いま五十六年だからもう四十年たっていますね。銀行法は五十年、中央銀行は四十年、これから取り上げてからまた七、八年かかりますからこれもまた五十年です。金融制度というものはそうたびたび変わっては困りますけれども、この激動期に五十年前の法律を振り回して喜んでおるというところに、問題意識が足らないという大きな問題がありはしないかという点をもう少し掘り下げて考えてもらいたい。  特にいまは、御承知のように経済学から申しましても、戦争中の総動員体制の考え方からその後はケインズ経済学で、公債も積極的にどんどん出していけというところまで来た。それが今度は供給サイドの経済学に変わるとかあるいは低成長に変わるとか、あるいはスタグフレーションはもう決定的だというような調査をきょうかきのうかのテレビでも言っていましたけれども、そういうスタグフレーション時代における中央銀行のあり方というものは、二昔前ですからね、ケインズ経済学の時代のその一つ前の戦争時代の中央銀行のあり方とは画期的に質的に変わらなければならぬ、どこをどう変えなければならぬかという問題を研究してください、こう言っているのです。その点をひとつ留意していただきたい。要望です。  それからもう一つ、世銀その他の国際化の問題についても日本考え方を変える必要がありはしないか。話はちょっと変わるけれども、御承知のようにフランスの日本に対する自動車の輸入制限は三%でしょう。それで私は、けしからぬやつだという意味も含めましていろいろ読んだり考えたりしておりますと、フランスの考え方の方があるいは本質をついているんですね。フランスは日本の自動車の輸入を三%に制限する、自由貿易でドイツ人がいろいろ努力をしてくれておっても、常にフランスがその他のヨーロッパを引っ張って日本に対して厳しい風を巻き起こすということですが、だんだん調べてみるとフランス人の考え方はこういうことなんですね。たとえば自動車はヨーロッパ、ECはどこでもその国の自動車の二〇%までは輸入をさせておる。まあ、二〇%ぐらいはよその国の自動車が入ってくるのは今日世界の常識だ、それが自由貿易体制なんだということでしょう。そのときに日本が買っている自動車は大体二%だ、よその国の自動車を二形しか買わないような日本は発展途上国だと言うのですよ。われわれは経済大国だと言っていばっているけれども、フランス人の感覚では日本は発展途上国という待遇をしているのですよ。発展途上国は、自由貿易の時代だから先進国に対しては自由に入れていくのが本当だ、しかし発展途上国は頭の程度も半分なんだからとにかくコントロールを自由にやってよろしい、制限は自由にやってよろしい、だから、日本が二形しか入れないのに五割増しで三%の輸入制限ならむしろ日本はありがたく思えというのがフランスの論理らしいのですね。要するに、世界の貿易の自由化あるいは国際金融の世界化というような時代に対するわれわれの受けとめ方は、フランスに言わせればすべてが大体発展途上国型なんだ、したがってフランスは三%で平気でおる。われわれが憤慨して調べてみればそういう経過がある。  そういう意味で、先ほど来のいろいろな御説明は承っておきますけれども、やはり新しい国際化時代には、われわれは経済の大国とかあるいは先進国とか自分がそう思うだけではなくて、世界がそう認めるようなあり方をしていないと発展途上国としての取り扱いを受ける、これはやむを得ないと思うのですね。だから、それはフランスを責める前にわれわれ自身が反省しなければならぬ。国際的ないろいろの努力あるいは援助、協力、そういうような問題についても、あるいは円やドルの問題についても、この辺で大きく考え方を変える必要がありはしないかということの問題提起をしたのでございますから、そういうふうに受けとめて御努力願いたい。  以上、要望を申し上げまして質問を終わります。
  236. 綿貫民輔

    綿貫委員長 次回は、来る十二日火曜日午前九時四十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時散会