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加藤(隆)
政府委員 まず最初にけさのレートでございますが、昨日、終わり値が二百十七円五十五銭でございました。寄りつきが大体同じぐらいの二百十七円二十五銭、十時現在二百十七円四十五銭でございます。
マルクと円とを比べてみますと、
マルクの昨日の終わり値が二・一八七〇と、円と
マルクとの
関係は大体百ぐらいの
関係で動いております。
それで御
指摘のドルとの
関係でございますが、ドルが強くなっておる、幾つかのことが言われておりますが、
一つは
金利にかなり差がある、あるいはポーランドの問題がある、あるいは
日本の円については貿易摩擦などがささやかれておるというようなことがございます。ただいま申し上げました
数字からおわかりいただけますように、全般的にドルが高い、
マルクと円との
関係で見ますと円の方が若干ではございますが強目傾向というような
状況にございます。
御
指摘の新外為管理法以降の為替管理政策という問題になりますが、新外為管理法は百八十度転回いたしまして原則禁止を原則自由にする、有事の場合だけ規制するという考え方に立っております。したがって、対外取引は基本的には自由にする。現にOECDの自由化コードで申しますと、いままで八つ留保をしておりましたが、今回の外為管理法によりまして三つまでに減らしております。したがって、対外
経済取引は全般的に自由化になっておるわけでございます。
その場合に、為替管理政策をどうするか、有事の場合はしばらくおきまして平時の場合にどう考えるかということでございますが、これは為替政策の領域と国内の全体の
経済政策と両方あるわけでございます。私
どもは為替政策の領域を担当しておるわけでございますが、
一つは、レートが乱高下する場合に弾力的に介入していくという基本方針を持っております。もう
一つは、御
指摘のように、経常収支が基本的に石油の価格の上昇ということで今後かなり長きにわたって赤でいかざるを得ないという
状況にございます。その場合に放置いたしておきますと円が安くなって
物価が上がるという問題が出てまいりますので、資本勘定の方で安定的なかっこうで資金を取り込むというようなことをやっていく。その場合に、先ほど申しましたように為替管理法上は自由でございますので、金が出たり入ったりするわけです。そこで、
物価の問題とか経常収支の動向とか
金利の問題とか、そういう国内の政策の方がディシプリンを持ってしっかりやられなければならないという問題に出てくるわけでございます。国内で
財政赤字がある、対外的にも赤字である、両方の赤字を踏まえながら
日本経済を
維持していくためには、単に為替政策の面だけではとてもしょい切れるものではないので、
物価なり賃金なりあるいは生産性なりそういう基礎的な
経済の条件をしっかりやっていくということがまず根本になければならない。
その場合に国際金融政策の領域でどういうことが補完的にできるかという問題になりますが、短期的にはただいまも申しましたように乱高下防止を目的とする機動的な介入、もう
一つは、長期安定資金をどういうかっこうでどこから取り込むかというようなことが国際金融政策の領域の問題だと思います。それからもう
一つは、国際的な通貨体制のあり方というような問題について積極的に
参加しながら安定的な通貨体制を目指して進んでいく。いろいろな議論が行われておりますが、目下のところはこれという具体案がございませんけれ
ども、たとえば代替勘定というようなもの、SDR中心で通貨体制を再構築するとか、あるいはドル以外に
マルク、円が
準備通貨化しつつあるわけでございますが、こういう複数
準備通貨化を、マネージングをどうやってやっていくか、
準備通貨が複数化しますとその間を渡り歩いて為替市場にいろいろと変動が大きくなるわけでございますから、こういうものをどういうかっこうでマネージングできるかというのが当面の通貨制度にかかわる問題点になっておりますが、具体的な案はなかなかいい案がございませんけれ
ども、そういうような面に
日本は
日本なりの独自の見解を積極的に打ち出していかなければいかぬというようなことを考えております。