○伊藤(茂)
委員 引き続き質問をいたします。
まず第一に、
武器輸出問題についてお伺いいたします。この
国会で大きな焦点の
一つが
武器輸出の規制に関する問題でございます。また、先般は全会一致で衆議院の決議がされたことも御
承知のとおりであります。その中には、「
政府は、
武器輸出について、厳正かつ慎重な態度をもつて対処すると共に
制度上の改善を含め実効ある
措置を講ずべきである。」ということが決議をされております。これは
税関の問題以外に当然多くの問題があるわけでありますが、
税関の
チェック機能に関する問題についてお伺いしたいと思います。
私も
横浜が選挙区でございまして、
横浜税関の皆さんなど役
職員の方にもよくお会いをいたします。ある人が言われておりましたが、正月以来毎日毎日
武器の
輸出とそれから
税関の機能という記事が出る。家へ帰って子供に、お父さんはどうしているのと聞かれた。その人は言っておりましたが、やはり子供からしかられたりすることのないように一生懸命やらなくちゃならぬと思いますというような
お話をしておりましたが、私も
税関の皆さんが胸を張っていい
仕事をしてもらえるような
制度なり環境をつくらなければならぬという思いがするわけであります。
そういう
意味でお伺いしたいと思いますが、この正月以来大きな問題となったこの
武器輸出規制につきましても、経過を見ますと、
税関の
チェックから問題が起こっているというよりも、警察庁が捜査に入ったり、あるいはまた新聞、マスコミが大きく取り上げたりというようなところから問題が表面化をしているというふうなことを感ずるわけでありまして、そういう
意味から言いますと、
税関の
チェック機能というものをどう強化したらいいのかということを改めて考えなければならないというふうなことであろうと思います。
国会の本
会議の決議もございましたし、いろいろな研究、検討もなされているように伺うわけでありますが、短い時間でございますから、私、感ずるところを、こういうことが必要ではないかという点を四つほどまとめて申し上げますので、お考えを伺いたい。
その
一つは、
武器の
チェックについて、
人員の問題もございますけれども、研修あるいは専門知識を高める、そういう
努力をこの際ぜひやっていただくことが必要ではないだろうか。ある
報道を見ましたら、現場の
税関職員からの声ということで、長く
税関に勤めているが
武器に関する研修は一度もなかった、
政府が果たして
武器禁輸に真剣に取り組む気があるのかわれわれでさえ疑問だというような
報道がちょっと載っておりました。また、二年前でしたかしばらく前に、フィリピンに手りゅう弾の部品が
輸出をされていたということが発見されまして問題となりました。これもその当時の記録を繰ってみますと、マニラ空港の
税関がこれを発見したということだったようであります。
税関の皆さんに聞いてみますと、まあ忙しくてペーパー
チェックだけになる、ヒューズという名目でくれば電気のヒューズだろうと思ってサインしてしまうというようなことだそうでありますが、現場からのこういう声が出ないように、
武器についてあるいは
武器輸出の
チェックについての研修、専門知識を高める、そういう具体的なアクションをぜひやる必要があるのではないかということが
一つであります。
二つ目には、
税関の
人員配置の問題があるのではないかと思います。これも現場の
関係者などからも聞くわけでありますが、最近の
税関の
人員配置の
状況を見ますと、
輸出通関部門の強化が非常に重要になっているにもかかわらず、管理総務部門の方がふえて
輸出通関部門が減る構造になっている。私は地元の
横浜税関の最近の
状況をちょっと聞いてみたのですが、
横浜税関で四十六年から五十五年までどういうふうに
人員配置の増減があったのかということを見てみますと、川崎とか鶴見とか本牧とか出張所がございますからあれなんですが、大きく分けて総務管理部門に配属されているいわゆる行(一)
職員、それからもう
一つは
輸出通関部門に配置されている行(一)
職員、これの増減を見てみますと、最初のいわゆる総務管理部門、これは四十六年から五十五年の間に三十五人から四十二人に七人ふえている。ところが現場で
チェックをする
職員、これはもう人手が足りなくて大変な
スピードアップを要求されているようでありますが、これは百六十三人から百五十九人にマイナス四人というふうなことであります。
〔
委員長退席、大原(一)
委員長代理着席〕
これを見ますと、総務管理部門に比べて
輸出通関部門が軽視されているといいますか、ふやされていない。確かにいろいろな技術処理の問題があるのではないかと私は思いますが、こういう問題のときに、
人員から見てこういうことがふさわしいかどうかということを痛感をするわけであります。
また、東京
税関の例を聞いてみましても、何かこの十年くらいの間に総務部門、管理部門の方が
人員の伸び率一八%、
輸出通関部門の方は一二%の伸び率というふうな同じようなことになっているわけであります。
私は
横浜税関でこの話を伺いますと、今度の
武器輸出規制問題、正月以来大阪
税関ですか、神戸
税関ですか、向こうの関西の方で話題になったようですが、
横浜でもこんなことがまた起こっては大変好ましくないことと私どもは思うわけでありますが、そういう
人員配置の考え方というものを再検討されるべきではないかというのが二つ目であります。
それから三つ目には、本省レベルか現場より上のレベルでのこの問題についての検討、研修、こういうものをぜひ精力的にやっていただきたいという気がするわけであります。
国会でも問題となりました、たとえば
武器と認定される問題について、日本の
通関統計には載っていない、ところが韓国の貿易統計年報とか韓国側の
資料には
武器として記載をされている、それを対比をして一体どういうことだというふうなことがこの
国会でも幾つか話題となりました。
私は、優秀な本省の皆さんですから、そういう問題意識を持って研究されれば、こういうことをどうとらえるべきなのかということもあらわれてくるのではないかと思います。先般も、七一年ですか、韓国の方の統計では日本から軍艦一隻を購入した、何かどこの工場でつくってどうとかという話を私もいろいろ読んでみました。ところが、日本では消防艇と書いてある、向こうでは軍艦、こんな問題もいろいろと疑惑を生むことではないだろうかというふうに思います。また、聞くところによりますと、韓国では
機械は二〇%、三〇%の
関税がかかる、
武器はノータックスである、こんな構造を巧みに利用して、何かやろうと思えばできないこともないのじゃないかという悪質なたくらみも構造的に考えられることではないだろうか。そういうものはやはり
チェックをしていく勉強をこの際ぜひやっていただきたい。
これもニュースで見ますと、二月の中旬の段階から各省でも、また関係する通産省とか外務省とか大蔵省、関係するところの共同検討会みたいなことも組織をされつつあるというふうなことも伺うわけでありますけれども、やはりこの
武器輸出関連のことについて、
国会決議にあるような具体的な実効ある
措置のための御
努力をやられるべきであると思いますし、また、進んでいるような話も伺うわけでありますが、それがどうなっているのかという問題
指摘が第三であります。
もう
一つ、四つ目には、体制の問題があります。また
人員の問題があります。四百万件以上もの
輸出許可件数に対して、
税関のスタッフは約七百人という
報道を読みました。また、大蔵省は近く大幅な
人員異動、総枠はなかなかふやせる時代じゃないですから、
重点配置という
意味での大幅な
人員異動を検討して、
税関の審査官をふやす方針というようなこともどこかのニュースで読みましたが、そういうこともなさるべきではないだろうかというふうに思うわけであります。
いろいろな問題があると思いますが、私なりに考えて以上四つぐらい思うわけでありまして、今後これらの問題が起きたらまさに日本の
税関が試されているという
時点に立っていると思いますので、お答えをお願いしたいと思います。済みません、短い時間ですから要領よくお答えください。