○矢澤
政府委員 物品税の対象の
考え方でございますが、ただいま先生からお話がございましたように、
物品税ができましたのは
昭和十二年でございます。当時
小売課税五、製造課税五ということで十品目から出発をしていったわけでございますが、戦時中でもございましてだんだん課税品目をふやしまして、
昭和十九年には約百四品目の物が課税対象になっております。この当時はまだ
国民の
消費生活もそれほど豊かでございませんので、
消費物資も多様化していないということで愛玩用動物が課税になったり、最後の方では銘木それから銘竹まで課税になるというような
状態でございました。その後、戦後に入りまして、
一つは戦時色を払拭する必要がある、また当時
国民の
生活も窮乏していたものでございますから、
物品税の課税対象を縮小する、あるいは免税点を
引き上げる、あるいは
税率を引き下げるというような課税対象あるいは免税点等の合理化が行われたわけでございます。続いて
昭和三十年代に入りますと、先ほど局長からもお話しいたしましたように、今度は高度成長期に入りまして
財政も非常に大きな
自然増収に支えられまして、所得税の減税も年々行われるというようなことから、
国民生活の安定のためにさらに課税対象の縮減あるいは
生活必需品に配慮した免税点の
引き上げ等が行われております。この
考え方が変わってまいりますのが
昭和三十年代の末期から四十年にかけてでございまして、そのときには
国民生活の面でもかなりの変貌がございました。
一つには
消費物資がそれまでの
時代と比べて非常に潤沢に回ってきた。それから
国民生活の面でも所得水準が上がる。さらに所得水準も平準化してくる。したがって、
消費の
内容も高級な物が大量に使われる。また
消費者の選択も多様化してくるというような
時代に入ったわけでございます。そして一方
税制の中の
考え方も、
福祉社会を迎えるに当たって非常に大きな
財源を調達しなければならない。その場合には、いままでのように直接税中心主義の
財政ではなかなかやっていけないのじゃないかということで、直接税と
間接税の適当な組み合わせ、タックスミックスと申しますか、そういう見方の中で
間接税が再評価されるような
時代になったわけでございます。そういう流れを受けまして、
物品税の課税対象はただいま先生からお話がございましたように奢侈品、趣味・娯楽品、それから比較的高価な便益品というふうに限られてきたわけでございますけれども、特に比較的高価な便益品を中心にして課税対象の
拡大が図られるような情勢になっております。
昭和四十八年度にもそういった観点から幾つかの
物品税の新たな課税対象が取り込まれておりますが、これは主として比較的高価な便益品という
考え方に従って取り入れたものでございまして、その
考え方、基準は二つございます。
一つは、新しく出てきた物品で現行課税物品と競合する物。それからもう
一つは、
国民生活の高度化と申しますか
消費の高度化に基づいて新規に開発された物品というものが取り入れられてきたわけでございます。今回の
改正も全くこれと同じような基準で考えておるものでございまして、たとえば電気冷蔵庫の四百リットル以上のものを取り入れるとかいう
改正は、いままで新規物品の中で現行の課税物品と比べてバランスを欠いているという一種のバランス
是正の問題でございます。それからビデオ関係あるいはビデオプロジェクター、こういった関係の物は
昭和四十八年の
改正以来新しく開発された物品でございます。そういった
意味で今回の課税物品の選定に当たりましてはここ十年来定着した
考え方に基づいているものでございまして、特に恣意的に課税対象を
拡大したというような
考え方は私どもは持っておりません。
それからちょっとくどくなりますが、第二の御質問の点の普及率と
物品税の関係でございます。一時は確かに税調の答申等を読みますと、先ほど申し上げましたように
消費が高級化あるいは平準化してくる。その中で
生活必需的な物はもう
物品税をかけなくてもいいじゃないかという
時代がございました。しかしながら、
昭和四十年代に入りますと
消費が高級化、平準化してくるということは、逆に言えばその裏側には所得の平準化ということもあるわけでございまして、普及率がかなり高くなった物でもそれはやはり担税力のある物である。したがって、一般化したからといって
物品税をかけないという
考え方もおかしいのじゃないかというようなことが税調の答申で言われております。いま先生から御
指摘のございました電気冷蔵庫、電気洗たく機、カラーテレビ、これは普及率の一番高い物でございますが、いずれも九九%あるいは九八%、ほとんど一〇〇%台に近い物でございます。この辺も、普及をしているからすなわち
生活必需的であると考えるのかあるいは所得水準が高くなったのでこういうふうに普及してきたのだというふうに考えますれば、それはそれなりに担税力のある物でございますから、そういう
意味で普及率が高まった、すなわち一般化してきた、したがって
物品税をかけるべきではないという
考え方は私どもはとっていないところでございます。
ちょっと長くなりまして、恐縮でした。