○正森
委員 守秘義務、守秘義務と言っても、児玉譽士夫の脱税のときだって守秘義務で論戦をして、逮捕され起訴されている者についてはやはりここまでは言わなければいけませんと言って、私はあのときの航空機調査特別
委員会で相当大きな声を上げて、磯邊長官はある
程度言ったのです。それでも守秘義務ですか。それなら、守秘義務なら守秘義務でもいいよ。なぜこの人についてこれだけ守秘義務にこだわるかということをこれから
お話ししたいと思うのです。
この近藤病院というのはこういうぐあいに二回にわたって脱税で起訴されている。起訴されるというのはよくよくのことなんです。大抵はお金を払えばそれで済むのでして、よほど悪質でなければそういうぐあいにはならないのです。ところが——ちょっと資料を置き忘れて見当たりませんが、宙で覚えておりますから申しますが、この近藤病院には
昭和五十年前後から所轄の税務署長が、兵庫税務署ですが、その税務署長が三人まで顧問税理士として天下っているのです。管内の兵庫税務署の署長だった者や国税局の査察部次長になった者が全部で八人天下っているのです。顧問税理士に税務署、国税庁の職員から天下るということは多うございまして、それが一人じゃない、二人行く場合を二階建てというのだそうです。中には十六階建てというのがあるのだそうです。十六人ぐらいいて、顧問税理士室というのがあって、そこでいろいろやっているところもあるのです。ここは八人天下りまして八階建てですね。そしてそのうち四人ぐらいは、これはひどい病院だと思ったのでしょうか一年でやめたらしいのです。やはりまじめな税務職員がおるのですね。ところが四人ぐらいは現在でも顧問税理士なんです。そのうち少なくとも一人は兵庫税務署長で、その人物は五十四年に有罪になったその事件のときに摘発をした張本人なんです。それが事件係属中に、兵庫税務署長、自分が、その管内だったのですよ、取り締まる
立場に立ったのがやめると同時に顧問税理士に天下って、そして経
理事務を取り扱っていたんですね。今度の脱税についても重大な関与をしている疑いがあるんですね。名前もわかっているのです。名前を申しましょうか、また守秘義務だと言って言わないかもしれないから。嵯峨時重という男なんです。八人全部名前がわかっているんですよ。だけれども、余り名前を挙げるのも本意じゃないから、一人だけ代表で
責任をとってもらって名前を挙げておくけれども。不届き千万でしょう。まあ不届き千万と言えるかどうか、それは大いに問題があるのでしょうけれども。
ですから世間では、結局、税務署長が天下って、そしてこういう脱税をやらせておるのではないかという声があるんですね。いまみたいに守秘義務だとかなんとかかんとか言って、新聞に広く載っており、逮捕されて、司直がやっておることについて、逮捕被疑事実なんてもう世間に公表されているのです、そのことも言わないということになると、やはりそうだなあ、その息は国税庁の次長ぐらいまでかかっているのかなという気に国民はなるんですね。そんなことでどうして、お酒は
値上げする、法人税は
値上げする、物品税は
値上げする、それで国民にがまんしてくれと言えますか。私は、国税庁の職員全員悪いなんて言っているのではないのです。九九%まではまじめな職員で、一生懸命やっておられると思いますし、私は、まじめにやっておられる方も多数知っております。しかし、こういうのが出ますと、やはり全体が疑われることになる。しかも、私はこの問題について
質問すると言っているのに、次長の答弁の態度というのはああいう態度なんですね。そんなことで国民の信頼を得ることができますか。
大臣、もう少し
お話ししましょうか。これは
昭和五十三年八月三十一日の参議院の決算
委員会なんです。わが党の沓脱タケ子議員が当時の磯邊律男国税庁長官に
質問をして、私が申しました例の天下り税理士と言われる国税庁の職員のどうかと思われる点について指摘しているんですね、七月にもやったのですが。その中で、二十年余り勤続する部内のある職員から大阪国税局長に建議が出ているのです。その建議書を沓脱さんが手に入れて、そして
委員会でそれを読み上げているんですね。それを全部読み上げますと非常に長くなりますから、ごく一部を申しますと、
大臣、よく聞いてください、同じ国税庁の職員がこう言っているんですよ。
先ず例年二月頃になりますと会社毎の顧問リストを元にして候補会社を選定し、未処理の事業
年度のあるものは以後五月末位迄の間にかなりの調査期間を見込んだ実地調査計画を盛り込みます。そして増差所得から相手方の反応次第で概ね一千万円内外から数百万円の減額をするのが普通です。つまり、もっと所得があるじゃないかと見つけておいて、そして相手の顔色を見ながらそれを下げるというのです。
又調査時期に至らない会社には幹部が訪れ、自後一年ないし二年の間調査を省略するとか、優良、準優良への格上げ等の取引条件を切り出す訳です。つまり、やめていく上司を顧問税理士にするためにこういうことをその副署長や統括官上席がやっておる、こういうことを書いておるのです。「局長は」というのは国税局長ですね。あっせんを止めることは職員の士気に
影響するとも言われましたが、大
部分の未だ長い将来のある我々職員にはこんな腐敗堕落したあっせんを続けることはやり切れない思いなのです。報道された内幕がすべて真実であることは、部内から憤激の声のかけらも出ず、只沈黙だけであった事実からしても推察願えると思います。今後もあっせんを続けるということは、とりも直さず圧力による押し付け、課税面での取引等の不正を続けるということに他ならないと職員も納税者も理解することでしょう。
六月ごろになると毎年いやでも耳にするのが顧問先のあっせんの話です。顧問先のあっせんと共に申告是認、調査省略の交換条件が成立して数百万円の
税金を脱税していても帳消しになります。大企業でも、調査をしても、天下り税理士と統括官の談合で調査した
税金も三分の一にされてしまうのです。これは私が言っているんじゃないのです。部内の職員が大阪の国税局長に出した建議書の中に書いてある。それをわが党の沓脱議員が
質問の中で明らかにしているのです。こういうような事実がありまして、自粛します、こう言ったので、大分よくなったかと思ったら、今度の近藤病院の事件があり、そして所管の兵庫税務署長等々が天下って、事件の最中に、摘発した当の本人が、それでまた今度十億円もというのをやらしておるその顧問税理士だ。こんなことで国民が国税庁や徴税当局や、あるいはそのもとになる増税
法案をつくる
大蔵省を信頼すると思いますか、しかも私が遺憾にたえないのは、
渡辺美智雄大蔵大臣はやはり政治家だから、私の言わんとするところをわかっていただいて、先ほどの端数切り上げの問題でも、間税部長とは違った答弁をされましたから私はすぐ引き下がりました。いまどうですか。国税庁の次長は、こういう問題だぞということがわかっておって、被疑事実についてはもう世間に大
部分公表されているのに、守秘義務である、こう言って答えようともしないでしょう。こういう事実があれば、こういう人たちをかばわなければならないから国会でも答弁しないんだなと常識のある国民なら
考えるのがあたりまえではありませんか。そういうことで
値上げをしたって、国に対する納税義務があるんだから納めるのがあたりまえだというような姿勢では、これは役所はうまくいっても、政治というものはうまくいかないです。ですから、私はくどくどと多くは申しませんが、ちょうどもう時間も参りましたので、
大蔵大臣に政治家として御
所見を承っておきたいと思います。