○檜山
説明員 まず第一点のマントの問題でございます。
この問題につきましては、通常坑内においてガス爆発等の災害を防止する場合、削岩機とかローダーとか、こういったものの動力源として大体四ないし五気圧の圧縮空気を用いておりまして、エアマントはこの圧縮空気を
利用した緊急時における空気の
供給設備いこういうふうになっております。
御指摘のとおり、エアマントの使用には圧縮空気が高速でもって放出されるということでございますので、冷却効果等によって、待避者がある場合、その体温低下というような問題が起こるということが十分考えられるわけでございますが、この温度
対策といたしまして、幾つかありますが、減圧弁によって、この四ないし五気圧の圧縮空気を減圧して使用する、こういうふうな方法も考えられますけれ
ども、減圧することによって、風量とかあるいは風圧が低下して、そしてエアマント内へ今度はガスが浸入する、こういうふうな問題が起こるとか、この減圧弁というのは、構造上あるいは操作上、いろいろむずかしい問題があるということでございますので、これにつきましては
関係機関の
協力のもとに、今後慎重に
検討してまいりたいというふうに考えております。
それから続きまして、簡易救命器の問題でございますけれ
ども、これは現在、御
承知のようにマインゼムあるいはライフゼムといったものが避難所に設置されているわけでございます。ただ、その重さは、マインゼムの場合六キログラム、それからライフゼムの場合は十二キロということでかなり重い。したがいまして、定置式として備えつけているという
状況でございますけれ
ども、最近のガス突出事例におきます罹災者が脱出時の土砂によって埋没するということよりも、むしろ多量のメタンガスによって、酸欠によって死亡する、窒息死、こういうふうなこともございますので、こういったメタンガスによる酸欠から脱出者を守るというために、軽量の操作の簡単な携帯用救命器、こういうものの
開発が期待されているわけです。
当省としましては、この目的を達成するために、いろいろこれまで
検討を重ねてきております。
現状の技術では、マインゼムあるいはライフゼムと同等の性能を有する携帯用のものの
開発はいま現在ではまだ非常に困難な
状況でございますけれ
ども、これも何とかできないかということでやってきておりますが、最近の一連の災害の事例ということにかんがみて、さらにこの製品の
調査あるいは新製品の
開発、その
可能性について
検討してまいりたいというふうに考えております。
それから、その次の問題でございます、先山に何らかの
保安資格を与えて、刻々と変わる坑内の
状況に対しての
保安確保という問題でございますが、この点につきましても、何らかの資格を与えることの必要性のいかん、あるいはその場合の
問題点、こういったことにつきまして従来からも御指摘がございますので、業界あるいはその
関係者の
意見を聞きつつ、
検討を重ねてきておりますけれ
ども、幾つか
問題点がございまして、まだ最終的な結論には達してない。
幾つかの
問題点と申しますのは、一つは、先山は御
承知のように数人の
作業従事者の中で、
作業遂行上の責任者ということになっているわけでございます。したがって、この先山に
一定の法的な
保安資格というものを与えるということは、
作業当事者が
保安管理面の資格を兼ねるということになりまして、
保安管理
体制の面で問題が生ずるおそれがないかどうか。それから、仮に責任はあくまでも係員ということで、その補助であるというようなことを考えた場合でも、この先山と
保安係員との職務権限の
範囲、こういったものをどういうふうに決めるか、現在の
保安管理
体制との調整は非常にむずかしいのではないかということが一つでございます。
それから第二点は、
保安に関する職務を来任させるということによって、本来の
作業の遂行自体が場合によっては中途半端になるということで、不完全な状態というのがそのことによって招来されるというような指摘も一部なされております。
それから第三には、
保安資格を与えた場合に、これは
最後の問題にも若干絡んでくると思いますが、処遇の面での変更というようなことにもやはりなってくるのではないかということで、いろいろ以上のような問題がございまして、
作業個所ごとの
保安確保というのは非常に重要でございますけれ
ども、いまのような
問題点がございますので、この点につきましては今後とも係員の資質の向上というようなことに努める。同時に、いろいろと個々の炭鉱について
状況も違いますので、なおさらに
検討を重ねてまいりたいというふうに考えております。
最後の、三池の事例がちょっと出まして、係員の
確保は給与体系の問題で非常にむずかしいというようなお話がありまし五が、給与の面で係員が不利益をこうむらないように、
保安の
確保というのは非常に重要なことで、その中での係員の仕事というのは非常に
中心でございますので、係員のそういったことがないように、これはやはり
改善を図っていかなければならない問題じゃないかというふうに考えております。