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1981-05-28 第94回国会 衆議院 石炭対策特別委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十六年五月二十八日(木曜日)     午前十時三十八分開議  出席委員    委員長 森中 守義君    理事 愛野興一郎君 理事 楢橋  進君    理事 三原 朝雄君 理事 岡田 利春君    理事 中西 積介君 理事 田中 昭二君    理事 小渕 正義君       太田 誠一君    古賀  誠君       藤田 義光君    保利 耕輔君       塚田 庄平君    鍛冶  清君       稲富 稜人君    小沢 和秋君       石原健太郎君  出席国務大臣         通商産業大臣  田中 六助君  出席政府委員         資源エネルギー         庁長官     森山 信吾君         資源エネルギー         庁長官官房審議         官       高橋  宏君         資源エネルギー         庁石炭部長   福川 伸次君         資源エネルギー         庁公益事業部長 石井 賢吾君         労働省職業安定         局失業対策部長 加藤  孝君  委員外出席者         厚生省年金局年         金課長     佐々木喜之君         通商産業省立地         公害局石炭課長 安藤 勝良君         運輸省海運局内         航課長     越村 安英君         商工委員会調査         室長      中西 申一君     ————————————— 本日の会議に付した案件  石炭対策に関する件      ————◇—————
  2. 森中守義

    森中委員長 これより会議を開きます。  石炭対策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。塚田庄平君。
  3. 塚田庄平

    塚田委員 けさ新聞を見ましたら、第一面、第二面はほとんどエネルギー問題、特にOPEC会議の後を受けましてどうするかという問題、あるいは原子力についての答申が出ております。あるいはまた三面を見ますと、全国にわたって炭鉱労働者が、第七次の石炭政策に向けて、われわれの主張が通るようにというためにそれぞれ行動を起こしております。具体的には坑底への座り込みとか、あるいは産炭地では、一般市民も含めたそういう大きな行動が盛り上がってきております。  そういう中で、いよいよ第七次の石炭政策答申が近づいてまいりました。そこへ持ってきて、十九日の閣議でエネルギー需給見通し見直し、あるいは下方修正と言ったらいいのか、これが行われ、そして見通し見直しが諮問されるという段階になりました。  エネルギーを包む情勢というのは、政府動きあるいは一般的な関心、そして国際的な情勢、非常に混沌といいますか、それぞれ動きが急になってきておりますが、ここでひとつ大臣に、最近のわが国を包むエネルギーの諸情勢を一体どうつかんでおられるか。先ほど申しましたとおり、二十六日のOPEC結論あるいは大きな問題である原子力発電のこれからの見通し、あるいは輸入炭等値上がり、あるいは海外共同開発のある意味においては行き詰まり、あるいはきょうなんかの新聞を見ますと、さらに共同開発が個別の会社によって海外で進められるというような記事等も出ております。  反面、たとえば石炭液化の問題については、SRCIIはどうもうまくないということで中止されるというような状態、きわめて混沌としておるのですが、これらの問題を踏んまえて、一体これからのエネルギー情勢はどうなっていくかということについて、ひとつ大臣考え方をこの際伺っておきたいと思います。
  4. 田中六助

    田中(六)国務大臣 塚田委員にお答え申し上げます。  確かに、現在のエネルギー情勢というものは、見方によっては全く混沌としておるというような見方が成り立ちます。これは、たとえば石油につきましては産油国OPEC、それから消費国、そういうようなものの立場が全く違うということが、根本的な問題になろうかと思います。  政府といたしましても、長期エネルギー暫定見通しというものを立てておりましたけれども、これをやはり見直さなければならないというような段階にもなっておりますけれども基本的には、わが国エネルギーというものは、塚田委員も御承知のように石炭は二千万トン体制。これは二千万トンと申しましても、現実にはそこまでいっていないのでございますけれども国内石炭というものを二千万トンだけは一応確保しておる。それを基本ベースにしておるわけで、あとエネルギーというものは、いろいろ代替エネルギーの工作と申しますか仕事をやっておりますけれども、これは緒についたということで、マスプロ、つまりこれを多くエネルギーとして転換できるという体制ではございません。  しかし御承知のように、日本は現在石油依存率七三%、石油自身依存率は九九・八%まで外国依存でございます。そういうようなことで、根本的には長期需給暫定見通しというようなことで、十年後に石油依存率を五〇%、それから代替エネルギーを五〇%というもくろみを立てておりましたけれども、この石油依存率をさらに五〇%以下に下げようということをいま考えておるわけでございます。  現時点では、これも御承知のように石油需給状態が非常に緩和されておりまして、まず、私ども東京サミットで、サミット諸国で一応決めました最高限度六百三十万バレルという石油確保というものが、現実にそれほど要らなくなっております。したがって、さらに石油依存率を五〇%から下げるという方向で持っていき得る確信はいまのところはあります。しかし、中長期的に見て、果たして油の依存率を下げるということを確定的に言えるかどうか、やはり非常に不透明な部分もございます。したがって、材料をすべてそろえますときに、エネルギーに対して対外依存率が強い日本だけに、不透明な部分があるということは即確定的なことが言えないというようなことで混沌としております。  しかし、基本ベースは、油の依存率を五〇%にする、あるいはそれからちょっと下げるというようなことの基本は変わらない。代替エネルギーによってあと五〇%を埋め合わすということにつきましても、いままでの需給見通しで私どもがやっておりますたとえば石炭海外石炭を含めまして一億六千三百五十万トンという、これはもちろん国内炭の二千万トンが含まれておるわけでございますけれども、そういう基本ベースは変わらないのですけれども、ジグザグとすることはいたし方がないと思います。しかし、計画そのものについては、代替エネルギーのそれぞれ石炭あるいは原子力あるいはLNG、地熱、そういうものに対する割り振りにつきましての基本ベースは変わらないというふうに私ども思っております。  したがって、簡潔にこれらをまとめて申し上げますと、十年後に五〇%、五〇%ということの考えベースに置いて、多少不透明な部分がございますが、いままでの方針ベースにしてちぐはぐになっているところを埋め合わすというような方針以外にはないのじゃないかということを考えております。
  5. 塚田庄平

    塚田委員 いま大臣から答弁がありましたが、私、例示的に四つの問題を挙げました。  一つは、二十六日のOPEC総会結論というものを一体どのように受けとめておるか、日本経済に及ぼす影響というのをどう考えておるか。不透明と言えば不透明なんですが、第一、決まってからサウジあたりは、いや、おれのところは二ドル上げるということを言ったことはない、一〇%の削減についても承知はしていないというような記事が載っているかと思うと、片方ではこの秋までには大体そういう方向におさまるだろう、確かに不透明な部面がありますけれども、全体的にやはり減産、そして値上げという方向方向としては進むのではないか。このような状態日本経済に及ぼす影響はどうかということ。  あるいは原子力の問題、これは後で高橋審議官の方からちょっと聞きたいと思うのですが、あるいは輸入炭、これは一般炭あるいは原料炭を問わずだんだんと値上がりをしてきております。後で数字を示してもいいのですが、そういう情勢の中で一体将来の見通しはどうなのか。つまりだんだんと値上がりしてきておるというのは、国内石炭価格と近づいてきておるという現象が出てきております。こういう見通しの中で一体将来どういうふうな状態になっていくのかということ。  それから海外エネルギー開発につきましては相当ジグザグいたしております。たとえば日米独石炭液化共同開発については中止せざるを得ない、あるいは三井のイラン化学開発問題等もうまくいっておらない、こういう四つ情勢があるのですが、いずれにせよ、お互いにナショナルインタレストといいますか、とにかく自分の国はどうなるかということを主体にしながらだんだんと考えを進めるような傾向になってきておる、こう私は全体的に見ておるのですけれども大臣、この点につきましても、見方といいますか、これはこれからの日本経済の将来を、あるいはエネルギーのあり方を決める重要な要素でございますので、再度御答弁を願いたいと思います。
  6. 田中六助

    田中(六)国務大臣 四つの点ということでございますが、私もいま答えたつもりでございますけれども長期的なエネルギーの問題でございますし、日本が対外的に依存率が高いだけにこちらの計画がそのまま、でんとしたものとして、不動の計画というものが立てられないのは、言いわけではございませんけれども、率直に申し上げましてそういう点があるわけでございます。  と申しますのは、先ほどから申し上げますように、石炭の二千万トン、これも千八百万トンくらいでしょうが、これ以外は日本エネルギーというものはほとんど海外に依存するという事態から、いろいろな不備な点があらわれておるわけでございまして、たとえば原子力発電所問題国内であるわけでございますけれども敦賀の問題などもございまして、なかなか思うように進まない、むしろ逆効果的なことがあるわけでございます。  SRCIIも、これは石炭液化の問題でございますけれども、これといたしましても、アメリカがいま契約不履行みたいなことを言い始めておるわけでございまして、それならばこれをいますぐどうするかということにつきましても、六月二十三、二十四日にボンでまた会議をすることになっておりますし、はっきりしたことを全部取りそろえていま申し述べろと言われましても非常に無理でございまして、私どもが現在言えるのは、基本ベースといたしまして、昨年の十一月から立てております需給見通し根幹をなしております油の依存率を五〇%に下げる、それから代替エネルギー、諸エネルギーを含めまして五〇%にするという基本方針、これは長期見通しとしてエネルギーに関しましては言い得る計画だというふうに私ども思います。
  7. 塚田庄平

    塚田委員 大変くどいようなんですが、いま大臣の言われた全体的な方向をつぶさに見てみますと、共同にせよ開発にせよ、あるいは今度のOPECの問題にせよ、とにかく一応有限資源でございますので、それぞれ各国ナショナルインタレストといいますか、一体どうしたら自分の国の利益が、あるいは自分国固有資源が長く、高く、しかも安全に保たれ得るかという視点に立ってそれぞれ、駆け引きと言っては非常に語弊がありますけれども、交渉を進めておる、こういう情勢だと理解していいでしょうかね。インタレストといいますか、利益というものを結局基本に置いているということです。
  8. 田中六助

    田中(六)国務大臣 御指摘のように、油を一つ例にとってみましても、産油国OPECで堂々と言明していますように、石油というものは有限なものである、したがって、これを担保にして自分たちは国の発展を図る以外ないわけであるから大事にしよう、そのためには、いまのような増産体制を含んだような生産体制は拒否して、むしろ減産をやろうということが一つですね。  もう一つは、価格を上げようじゃないかということをOPECで今回一応内定していると思います。ただ、サウジアラビアなどは価格についてそうではないというふうに二派に分かれておる。つまり穏健派と、過激派ではないでしょうけれども、そういう二派に分かれておるのは事実のようです。  ただ、私が懸念するのは、さきのバリ島のOPEC総会におきましても、サウジアラビアは絶対価格を上げない方にがんばるというような情報の方が確報みたいに政府にも入っておりました。私もまたサウジアラビアに赴きましたときに、向こうの責任者価格はがんばる、上げないというふうに言っておりましたところが、ふたをあけてみますと、OPEC諸国は全体的に一致いたしまして、価格も上げております。したがって、信じられないということはサウジアラビアに対して済まないことでございますけれども、今回も値上げはないとかあるとか言っておりますけれども、私は、やはり減産体制をしくということと価格値上がりはほとんど一致しているのじゃないかと思うのです。  しかし、これは不透明でございますし、サウジアラビアはがんばっていただいて、値上げがないのかもしれませんけれども、私ども、やはり頭の中に値上げがあるというふうにある程度考えて物事を計算しておった方がいいんじゃないかと思いますし、御指摘のように、それぞれの国々ナショナルインタレスト、つまり国益という観点からどの国も考えておるわけでございます。こちらは残念ながら九九・八%も石油を外に依存しておりますので、こういう国々動きに左右されるのは当然でございますし、そういう観点から、見通しが非常に暗い中でエネルギー体制をつくらなければなりません。  それだけに私ども代替エネルギーと申しますか、油の依存率を少なくするためにも、そしてまた代替エネルギーをどういうように開発するかについての財政金融あるいはその他頭脳的なシンクタンク、そういうものを集中してこれに当たらなければならないと考えます。
  9. 塚田庄平

    塚田委員 時間がないので私からどんどん言います。  さらに、代替エネルギーというと原子力石炭、こういった問題が大きくクローズアップされるのですが、たとえば石炭につきましても、いま外炭が非常にウエートを占めております。これは外炭が安いからなんですね。しかし現実には、たとえば五十年、原料炭三十ドル九十五セント、一般炭三十六ドル九十八セント、五十四年になりますと、原料炭は五十一ドル二十五セント、一般炭は四十三ドル十五セント、五十五年、去年ですが、これは原料炭五十六ドル十六セント、一般炭五十五ドル七十九セントと非常に上がってきております。この傾向は今後とも続いていくのじゃないか、このように考えております。  特に一般炭につきましては、日本国内揚げ地からさらに消費地に運ぶ運賃を入れますと、もう国内石炭とほとんど変わらぬと言っていいか、わずかな差に迫ってきていますね。これはいずれ原料炭も同じ運命をたどると思うのです。このことをまず第一に踏んまえていきたい。つまりだんだんと、安いから外炭を入れるという状態が容易でないような事態が来るのではないか。だから共同開発というのがあるんだと言えばそれまでですけれども、それだってやはりいろいろな隘路があるということを指摘しておきたいと思います。  また、原子力につきましても、この間原発敦賀事件がありました。三月期決算を見ますと、電力会社は莫大な利益を上げております。この莫大な利益を上げておる要因一つ二つ挙げますと、まず第一に円高差益、第二はやはり原子力発電稼働率が非常に高かった。そこへ今度の敦賀のこういう事件がどっと来たわけですね。これは敦賀原発で起きたんですが、原電はそのほかに東海第一、第二というのを持っています。しかし、それぞれの電力会社の持っておる原発で起きないとは言えない。いや、むしろ同じような事件が起こる可能性が非常に高い。この点について、敦賀原発を教訓にして、全国にわたって一斉に、定期検査ではなくて総点検を始めておるかどうか、お答え願いたいと思います。
  10. 田中六助

    田中(六)国務大臣 敦賀発電所の問題を契機に、私どもは、現在稼働しております原子力発電所日本国内の二十三基に対しまして全部総点検をするよう命じております。
  11. 塚田庄平

    塚田委員 点検したところでは、恐らく、私のところではそういうことはありませんという回答が幾つか来ているんでしょう、大臣
  12. 高橋宏

    高橋(宏)政府委員 今度の敦賀の件に関しまして、その原因が特に管理体制不備等から発生しておるということがわかったわけでございますが、その際に、特に一般用排水路放射性廃棄物処理いたします建屋との関係におきまして問題があった、こういうことがわかったわけでございまして、その件につきまして大臣がいまお答えされましたように、全発電所につきまして総点検を指示いたし、その結果、現在のところ、この一般排水路廃棄物処理建屋の下にあるという例がなかったことが確認されておるところでございます。
  13. 塚田庄平

    塚田委員 確認されたといっても、それはただ異状ありませんという報告をまるのみしているだけであって、調査団を編成して客観的に調べたわけじゃないのですよ。ちょうど核の持ち込みと同じで、おまえのところは大丈夫かと聞いて、いや大丈夫ですと言えば、それ以上入れないのですから。だから、この件につきましても、私は非常に不安定要因が多いと思います。特にきょう発表になりました原子力基本政策答申の要旨を見ますと、この廃棄物処理の問題につきましては大変な隘路がある、あれもいいんじゃないか、これもいいんじゃないか、これをこうしたらどうかというような、あれもこれもという答申になっております。どれかいいものをつかんだらどうかということなんですね。やはりここに原子力発電隘路があると私は思うのですよ。  私がこうくどくど言うのは、結局原子力についてはそういう隘路がある。他の問題については、それぞれ各国自分利益を求めながら行動しておるということになると、日本の場合、やはり国内エネルギーといいますか、これにまず第一に大きくエネルギー政策基本を置くべきだ、ここを言いたかったために、いままでずっと長い答弁を求めたわけです。  結局、エネルギー対策というのは、まず国内エネルギー安定供給、つまりセキュリティーの確保ということを第一に考えなければならぬのじゃないか。そういう場合に、大臣は前から答弁しておりますが、特に国内炭位置づけというのはますます重要になってくるのじゃないか。はっきり言いますが、いままで二千万トンというのはどちらかというと念仏のようになっておりました。しかし今度は、政策的な裏づけをきちっとした二千万トン以上の生産体制、これを政府責任を持って確立することが、これからの政策根幹にならなければならぬと私は思います。  いま坑底で三百人それぞれ座り込みをしながら政府政策を待っておる、あるいは何万という地域の人たちがそれぞれの行動を起こしておるというのは、一にかかってそこにあると思うのです。その点について、大臣にもう一遍、二千万トン確保を含めて決意のほどを伺いたいと思います。
  14. 田中六助

    田中(六)国務大臣 先ほどから申し上げておりますように、石炭がほとんど日本国産エネルギーということになるわけでございまして、第六次答申でも二千万トンをキープしろというような答申をいただいて、その対策に一生懸命でございますけれども、それぞれの炭鉱の事情もございまして、二千万トンになかなかいかない。財政金融その他の面で二千万トン体制環境づくり政府は必死でございますけれども炭鉱に事故などがあったり、生産がなかなかそのようにいきません。  しかし、御指摘のように、石炭が中心になって日本国産エネルギー対策というものをとらねばならないのは宿命でございます。したがって、石炭の二千万トンを維持するにはどうしたらいいかということにつきましては、新鉱開発とか、いままでの既成の炭鉱につきましての——御承知のように、日本は非常に深部に石炭があるために、他国と違ったようないろいろな悪条件というものがあるわけでございまして、あくまで二千万トンは維持しなければならないという考えは持っておりますけれども、それが実態と合わないということでございます。  しかし、御指摘のように、いかにこれを維持するかということにつきましては、より一層新鉱開発とかそういうものも含めまして、もうそろそろ、七月か、秋にはならないと思いますけれども、第七次答申石炭鉱業審議会から出ることになっておりまして、そこにまた新しい国内炭位置づけというものが出てくることは確実でございますので、その答申を待った上で、私どもはまた新たな考えを加味して実施に移したいと考えております。
  15. 塚田庄平

    塚田委員 いまの大臣考え方なのですが、そういった考え方答申に何とか反映させていただきたいという考え、私は承知いたしました。  しかし、今度新たに長期需給見通し改定を諮問いたしました。これは恐らく第七次石炭政策答申の後に答申が出てくると思うのですけれども、これとの整合性は一体どう考えておられるか、特に予算要求情勢等も踏んまえながら、この整合性について、何を基準にしてどうするかという点を明確に御答弁願いたいと思います。
  16. 福川伸次

    福川政府委員 塚田委員お尋ね長期需給暫定見通し改定作業との整合性の問題でございますが、これは総合エネルギー調査会でこれから検討に入って、秋に取りまとめが行われるものと思います。委員指摘のとおりに、順調に作業が進みますれば、恐らく、石炭鉱業審議会答申の後にエネルギー需給暫定見通し答申がまとまるのではなかろうか、そういうタイミングであると思っております。したがいまして、今後のエネルギー需給暫定見通し考え方につきまして、これは石油等々、もちろんいま御指摘がございました諸問題を踏まえて出てくるわけでございますが、恐らく、代替エネルギー開発ということにつきましての重要性は、その中で十分反映されると思っております。  したがいまして、私どもとしては、石炭鉱業審議会、これはいま非常に広い立場で、いま塚田委員も御指摘になりましたような海外炭の問題、あるいはエネルギー全体の立場からの整合性ある答申をということで、私どもも期待をいたしておるわけでございます。したがいまして、そこで出てまいりました結論あるいはその議論の過程というのは、総合エネルギー調査会の方での需給暫定見通し改定作業にも十分反映させていただくように私ども調査会にも御説明をし、あるいはまた事務的な詰めもしてまいりたいと思っております。
  17. 塚田庄平

    塚田委員 いまの部長答弁、二千万トン確保あるいはそれ以上の問題につきましても、今度の長期エネルギー需給見通しの中で十分生かされるようにしていきたい、こういう御答弁に聞き取りましたので、ぜひそのようにしていただきたいと思います。  それにしましても、長期見通しというものは、五十年八月に長期エネルギー需給計画というのが出ております。これは大体六十年を見通し計画なのですが、五十年に出して二年たちますとさらに長期エネルギー需給暫定見通しというのが出る。さらに二年たって五十四年八月になりますと長期エネルギー暫定見通し、ちょうどこれから二年たって五十六年、この秋にまた長期需給暫定見通し、こうなるのですね、二年二年で。見通しはみんな十年ないし十五年を見通し計画になっております。それが二年二年で変わらなければならぬというのは、一体どういうところに原因があるのですか。  なるほど、日本エネルギーというのは大部分海外要因需給が決まると言いますけれども、そればかりじゃない問題があると私は考えておるのですよ。まず大臣、こんなに需給見通しがどんどん変わっていく、しかも経済社会発展の七カ年計画の中では需給見通しはそのままなのですね。この間七カ年計画をフォローアップしましたね。エネルギーだけはそのままになっているのですよ。こういう企画庁と通産省とのエネルギーに対する考え方等のずれなども具体的にあらわれておりますので、十年、十五年の見通しを立てながら、二年ごとに改定していかなければならぬというのは、どこかに欠点があると思うのです。見通しが誤っておると言えばそれまでですけれども、一体どこに基本的な問題があると思いますか。
  18. 田中六助

    田中(六)国務大臣 たびたび申し上げておりますように、わが国エネルギーの依存の状態というのは、何よりも石油対外依存率が九九・八%、しかも金額にいたしますと約五百五十億ドル払うわけです。国際収支に膨大な影響も与えておるような状態、これから一刻も早く、しかも量的にも質的にも逃れなければいけないということは私ども痛感しておりますけれども日本の現状でそういうわけにはいかない。  しかも経済発展とか経済成長率、あるいは国民の生活というものは非常に向上しておるというような要素もございまして、これによってエネルギー見通しを、一応十年間でフィフティー・フィフティーにやるという長期的な見通しは、私は、大きく幅広く動かす必要はないと思うのです。それに向かって邁進する過程において二年ごと、二年ごとに改定するような状態があるのはおかしいという御指摘、ごもっともでございますけれども、やはり日本エネルギーがそれだけないということになり、また海外要因あるいは不透明な要因によって左右されるのは、これはもういたし方ないことで、長期的な見通しについての計画はそう大幅に変わる必要はございませんけれども、短期的には需要供給の関係で大幅に変わらなければいかぬ。  たとえば具体的に申しますと、石油だけではございません。たとえば石炭の問題にいたしましても、中国にこれだけ依存すると、中国の、それこそ長期的な契約においても、これが向こう側の都合で変わる。それからSRCIIにいたしましても、本当はアメリカとの契約でございますし、こういうものがアメリカから一方的に破棄されるなど、予測もできないことが、やはりエネルギー問題と絡まってそういうふうになっていくということでございますので、こちらとしては、国民の皆様にも、あるいは国会においても、変わるということについての指摘、激しくたたかれておりますので、変える腹はないわけでございますけれども、対外的な要因がどんどんどんどん出てくるわけで、変えざるを得ないというのが、私は率直に言って偽らざるお答えではないかというふうに考えます。
  19. 塚田庄平

    塚田委員 エネルギーの問題につきましては、いま言いました対外的な要因というのは、これは重大な要因であることは事実ですが、大臣、もう一つ、つまり政策的な努力を含めた、あるいは政策的な裏づけのある具体的な目標を立てないから、ただ趨勢的な見通しだけを立てている。したがって、そこに何か厚みのある政策的な、推進していくそういう力が、どうもエネルギーについては不足してきたというふうに私には感ぜられるんですよ。この点は有識者からもたびたび指摘されておるところなんで、見通しを出した以上は、具体的な政策と展望をきちっと裏づける。そうでないと、二年はおろか、一年ごとにこれから変わっていかなければならぬという見通しになってしまうと思うんですよ。大臣、これは率直に反省して、これからの見通しについては、やはり政策目標というか、政策手段というか、政策的な裏づけというか、こういったものをあわせてきちっとして出すということが必要だと思います。  特に、二千万トンの国内炭確保につきましては、これはどうしてもそういった具体的な政策の裏づけがなければならぬと思いますので、この点についての大臣考え方をひとつ聞きたいと思います。
  20. 田中六助

    田中(六)国務大臣 石炭は二千万トンを、第六次答申に基づいてそれを長期見通しの中にはっきりうたっておる。石炭全体を申しますと、先ほども申し上げましたように一億六千三百五十万トン、つまりそれから二千万トンの国内炭を引きますと、対外的に石炭だけでも依存が一億四千三百五十万トンあるわけでございます。そういうことをきちんと計画に書いておるのは、あるいは計画をそういうふうにしていっておるのは御承知のとおりだと思います。しかし、その計画が対外的な要因によって崩れるだけではなくて、たとえば二千万トンがなぜキープできないか。  一つの例をとりますと、北炭の夕張新鉱に見られますように、炭鉱の事故があると、長い間その事故の復旧あるいは今後の体制というものを勘案して、また狂ってはいけないからということで、十分労使に対する忠告もし、いろいろやっていかなければいかぬ。そういうぐあいで、日本における唯一のエネルギー資源である石炭におきましても、国内でそういうそごがあるわけでございます。  したがって、せめて石炭位置づけでもはっきりしろという意味だとは思いますけれども、二千万トンが実態的に、私どもが、さあやれ、どうやれと言いましても、御承知のように、たとえば石炭に関係しておる炭鉱の人々の平均年齢は四十二歳ぐらいでございます。それよりも老齢化するのをやっととどめておるというような程度で、雇用の問題、あるいは炭鉱が、先ほども申しましたように日本は非常に深く掘らなければなりません。したがって、そういう深部の問題とかがあって、労働条件あるいは経済的な環境、鉱区の問題、いろいろございます。しかし、石炭関係だけでも法律がすごく多いということは御承知のとおりと思いますけれども、私どもとしては、その計画をどういうふうに実現しようか、これを動かしてはいかぬということからいろいろなことをやっておるつもりでございますけれども、内外ともにエネルギー問題についてのそごが非常に多うございます。  原子力発電所につきましても二十三基稼働しておりますけれども、これを三十五基に持っていこうという計画を立て、御承知のようにあと十年後には五千百万キロワットから五千三百万キロワット予定しておるわけでございます。しかしそれも、こういうような最近の原子力発電所の事故というようなことから、大幅に後退する可能性もございまして、計画については、私ども、一応きちんとしてやっておるつもりでございますけれども、予測し得ないようなことがいろいろございまして、そごを来しておるわけでございますけれども、それも言いわけになりますので、私どもも、これからも石炭とか原子力あるいは代替エネルギーにつきましての計画は十分緻密にやっていって、皆様の信頼を得ていかなければならないというふうに思っております。
  21. 塚田庄平

    塚田委員 大臣、いま言われましたいろいろな隘路といいますか、これは、私どもも一応現実のものとして認めます。しかし、石炭炭鉱の深部化というのは避けられない。レベル六百ないし七百マイナスというようなことからさらに進んでいくというような事態、だからそれに対して具体的にどう対策を立てなければならぬか。もちろん対策を立てるためには金がかかります。こういった各炭鉱の経営基盤の確立について十分な配慮をなされてきたのかどうか。確かに、深部化は構造的です。しかし、その構造的なものを政策的に克服していくという努力がやはり足りなかったのじゃないか。私はその点を特に指摘しておきたいんですよ。  この際、特に炭価の問題について大臣にちょっと御質問したいと思いますが、この六次答申の中では、炭価は確かに外国炭に比べては割り高だ、しかし、この割り高を吸収する方策を早急に立てろ、こう言っているんですよ。これは文句はそのままです。「吸収する方策」と書いてあります。六次答申があって、政策ができてから、この海外炭との格差を吸収する具体的な方策は一体立てたのかどうかですね。こういう点についても、政策的な配慮が非常に足りないのじゃないか。  あるいはまた、炭鉱では、企業間の格差ということも問題でございます。これについては、六次答申の中では、たとえば差別価格の導入、安定補給金の傾斜配分、いまやっておりますけれども、これはいまので十分なのかどうか。この差別価格の導入ということ等について検討したのかどうか、六次ではしなさいと言っているのですから。あるいはこういった問題等については、三年ぐらいを限ってローリングしなさい、こういう六次答申にあるいろいろなことを何にも検討もしないし、具体的に政策的に立てていない。そしていま七次へ移る。私は、これでは七次も非常に心配だと思うので、もう過去のことは言いませんが、こういう問題に対する心構えをひとつ大臣、言ってください。
  22. 田中六助

    田中(六)国務大臣 第六次答申に表明されておる意見具申を何もしていないという御指摘でございますけれども一つの例をとってみましょう。  たとえば御指摘の炭価の問題でございますけれども海外炭国内炭との炭価の比較というものは、海外炭の方が安いということは御指摘のとおりでございましょう。国内炭の炭価を決める場合に、私どもは、第六次答申以前から、たとえば引き取り料金の問題につきまして、九電力会社並びに鉄鋼会社、ガス会社、その他セメント会社でもそうでございますけれども、主として電力あるいは鉄鋼会社にこういうような金で引き取ってほしいということで、炭量の引き取り方の交渉を実はするわけでございます。これは一つの行政指導と申しますか、われわれの毎年の大きな、一番頭の痛い課題です。それを何とかこれらの人々と折衝して、ある程度の炭価を決めまして、そして引き取ってもらっているわけでございます。  何にもせずにというような言葉は——余り私どもの苦心、苦労を強調するわけではございませんけれども、それぞれの引き取り会社に対して大体一月以上二月ぐらいの折衝をやるわけです。そういうことで石炭の引き取り量並びに引き取り価格を決めておるわけでございまして、答申にあらわれておるものを何にもしないというような御指摘ではございますけれども、そういうことではありません。  炭価以外のことにつきましても、常に答申に基づいて国会で御議論いただいておりますように、いろいろ答申にあらわれておる問題につきましては、細部にわたってみんなが納得するようなところまではどうかとは思いますけれども、それぞれ私どもはある程度の努力はしておるつもりでございます。
  23. 塚田庄平

    塚田委員 炭価の決定については毎々頭を痛めておるということでございますが、それは結局ルールがないからなんですよ。その場その場で——その場と言っては語弊がありますけれども、結局毎年毎年情勢に応じて決めていく、やはりここにルールをつくる必要があるのじゃないですかな。たとえばインフレ率をどう見るか、あるいは賃金の上昇分をどう見込んでいくかというような幾つかのルールを、要素をきちっと決めていれば、あとはその他の問題について頭を使えばいいのであって、こうなりますと頭が痛いというようなことではなくなるのじゃないか、こう思うのですよ。この一点どうですか。
  24. 田中六助

    田中(六)国務大臣 炭価を決めます場合に、むやみやたらにあるいは雲をつかむような話でもちろん炭価は決められません。したがって、やはりルールというものにのっとっておるわけです。そのルールとは何ぞやということでございますけれども、インフレ率とか賃金の動向とか、そういうものを十分科学的に加味して、その結果炭価の引き取り料金を決めておるわけで、何にもルールなくしてそういう炭価の決め方をしておるわけではございません。
  25. 塚田庄平

    塚田委員 ルールはないわけじゃないということですが、いま言った賃金の上昇率とかインフレ率をどう見るかということについての具体的な基準というのはあるというふうに、私は寡聞にして聞いておりません。私はたまたま二つの例を言いましたけれども、その点は幾つかの要素を並べてひとつルールを確立するということで検討を進めてもらいたいと思います。  もう時間がございません。最後に、第七次石炭政策の実効性確保の問題ですが、先ほど第六次に触れて申しましたとおり、私から見れば、残念ながら、第六次答申というのは十分な実効性を確保しないまま第七次に移行せざるを得ない。第七次も同じような状態で第八次ということではだめなんで、第七次ではっきりとその実効性を確保できるような対策が立てられなければならぬ、このように私は考えております。したがって、ここで最後に大臣から政策の実効性を確保する、本当に生き返った生き生きした政策、それが素直にそれぞれの分野にすっと入っていくような政策を立ててもらいたい、こう思いますので、この点についての大臣の決意を伺って、私は最初に戻ります。  二千万トンあるいはそれ以上を目標に具体的な政策の裏づけのある対策を立てるのだということを確認しながら、最後に大臣の所信をひとつ承りたいと思います。
  26. 田中六助

    田中(六)国務大臣 来し方十年ちょっとの間に六次も七次も答申をやらなければいけないという石炭の仕組みということについては、私どもも御指摘のように非常に残念に思いますし、何とかそう何度も何度も答申を得ないことを希望しております。しかし、先ほどからるる申し上げますように、日本エネルギー情勢あるいはそういうものから、石炭というものがその中に渦を巻いておるわけでございますので、いろいろなそごがございます。しかし、御指摘のようにできるだけそういうことのないように、そして石炭のでんとした位置づけができますように、一生懸命努力して御期待に沿わなければならないというふうに思います。
  27. 塚田庄平

    塚田委員 終わります。
  28. 森中守義

    森中委員長 岡田利春君。
  29. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 私は、第七次政策に関連して、政策に関する提言を含めながら質問をいたしたい、かように思います。  まず第一点は、第七次政策に取り組む姿勢の問題でありますが、先般の向坂さんの参考人としての意見の中で、石油価格が高騰している、また中長期的には石油需給ギャップがある、したがって、代替エネルギー確保をしなければならない、したがって、石油から割り安な石炭原子力への転換が考えられる、競合燃料としては石油から海外炭へ変化をしてきている、こういう状況認識の中で第七次政策に取り組む、こう述べられておるわけです。  しかし、もちろんこういう要因もございますけれども、第七次政策に取り組む姿勢は、国内石炭産業の安定を図る、このことが第一義的に考えられなければならないし、そういう姿勢で当然第七次政策に取り組むべきであるし、また大臣もそういう気持ちから石炭鉱業審議会に新政策の諮問をした、こう私は思うのでありますけれども、この点についてはいかがでしょうか。
  30. 田中六助

    田中(六)国務大臣 第六次答申に基づきまして、私どもは、国内炭エネルギー体制というものをはっきり確立しつつその実行に当たっておるわけでございます。したがって、第七次答申につきましても、国内並びに海外情勢の変化はありますけれども、第六次答申を得て私どもが対処したような腹づもりで、第七次答申が出ますれば、やはり第六次答申に当たっておるような腹構えで第七次答申の実行にも当たりたいというふうに考えます。
  31. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 ということは、私がいま述べた国内石炭産業の安定を図る、このことがやはり第一義的に考えられなければならない問題である。そしてまた、代替エネルギーとして内外の石炭資源確保しなければならない、こういうことを当然大臣としても考えられて諮問した、こう理解していいですか。
  32. 田中六助

    田中(六)国務大臣 そのように御理解していただいて結構だと思います。
  33. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 第七次答申に関連する基本理念について向坂さんは、国内資源を活用すること、第二には産炭地経済の振興と維持を図る、そして第三番目には経済性との調和、この三つの点を基本的姿勢として当委員会で述べておるわけです。私は、この基本理念は不十分であるという認識を実は持っています。  第七次答申に関する基本理念は、まず第一には、エネルギー資源の安定確保のための国際連帯としてのわが国石炭政策はどうあるべきか、このことがまず第一の理念でなければならないのではないか。たとえばフランスでも西ドイツでも、割り高な石炭を一定量確保しているということも、やはり国際的なエネルギー確保のその国の行動として石炭政策を展開している、こう思うわけです。高ければもう掘らないで外炭に依存するという安易な姿勢は今日許されないと思うわけです。  第二には、石炭安定供給。ストライキがあれば国内炭の貯炭は減ったわけであります。したがって、国内炭安定供給という面とセキュリティーの問題が第二の理念として考えられなければならぬのではないか。  そして第三に、向坂さんも述べられたように、産炭地地域経済の振興と維持。  そして第四点には、資源の効率的活用と開発技術を確保していく、温存していく。特に既存の炭鉱がもし中途半端で閉山をするということになれば、そのフィールドに関する資源を二度と採掘することはほとんど不可能なわけであります。そういう観点から考えても、資源の効率的活用という面が強調されなければならない。  私は、少なくとも第七次石炭政策基本理念は、この四つの理念に立って第七次政策がつくられなければならない、こう思うのでありますけれども、この点についてはいかがでしょうか。
  34. 福川伸次

    福川政府委員 委員指摘の第一点、エネルギー資源安定確保のための国際連帯と行動ということでございますが、これはIEAにおきましても、石油供給が不安定になっている、石油価格が高騰しているという状況を踏まえまして、代替エネルギー開発、その中でも石炭位置づけということを強く言っておりますし、また民間でも、CIAB、石炭諮問委員会というのがIEAに意見具申をしておりますが、これにつきましても、石炭の供給面あるいは利用におきます幾つかの助言、これを提案をいたしているわけでございます。内外の石炭の供給というのはその一環の中で考えていかなければならないという委員の御指摘は、私どももそのとおりであろうと思います。したがいまして、七次答申がどのようなふうにまとめられるかということですが、そういった国際的な視点というのは、私ども一つの重要なポイントだと思っております。  あと石炭のセキュリティー的な考え方エネルギーのセキュリティー的な考え方、この意味から国内石炭をどう位置づけるかという点は、私もこれまた重要な一つの検討の課題になるものと理解いたしております。もちろん、エネルギーでございますから、安定性、特にこういうような不安定な国際エネルギー情勢の中では安定性の確保ということが重要でございます。  ただ、また反面、このエネルギーは各産業活動の基礎をなすものでございますので、その安定性の保てる中でそれぞれの経済性、安く供給できるということとの調和をいかに保つかということが特に重要になったと思います。六〇年代あるいは七〇年代前半はむしろ経済性重視で、安定性にそう問題はございませんでしたが、今後はその安定性という点にややウエートを置いて考えなければならない状況になった。そういう意味では、国内石炭というのがバッファー的な機能も果たし得るという立場が十分に考え得るわけでございまして、その安定性、それと経済性、これをどのようにバランスをとって考えていくかというのがこの政策の視点であるというふうに思います。  三番目に御指摘の地域振興の維持という点につきましては、これは従来からも言われている観点でございまして、六次答申でもそのような思想が流れておったと思います。  第四点の、資源の効率的活用と関連技術の確保ということでございます。いま御指摘の効率的、いわゆる有効に効率的に活用を図っていこうということでございまして、これはもちろん有限の資源でございます。これをどのようなテンポで開発していくのがいいのか、安定的に長く確保していくのがいいのか。その辺は、その効率性、経済性等も加味しながら、資源を有効に活用していくという視点が当然入らなければならないと思いますし、現在も各炭鉱ごとに、どういうような条件で将来の生産がなし得るのか、その場合の経済性等を考慮しながら、また一方で国内石炭資源の持つ安定性の貢献度ということを加味して考えなければなりませんし、また関連技術ということも一つの重要な要因でございまして、今後、内外の、最初に委員が御指摘になりました国際連帯という立場から考えますれば、そういった日本の技術をその中に残していく、あるいはそれをまた国際的に活用していくということの意味づけということもあるというふうに思っておるわけでございます。  いずれにいたしましても、いろいろな視点を、各界の御意見を取り入れながら答申をまとめていただけるということでございますので、委員の御意見も恐らく審議会の検討小委員会の中でも十分な検討、配慮がなされるものと期待をいたしております。
  35. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 次に、政策を進めるに当たって、その裏づけである石炭並びに石油及び石油代替エネルギー特別会計も、同様来年三月末で期限が来るわけであります。今年の予算の組み立て方を見ますと、昭和五十四年度の積み残しが大体百十億あって、一千三百億程度の財源で石炭政策が組まれておるわけです。しかし、五十五年度の積み残しは少ないということがすでに前の委員会でも述べられているわけです。石油の状況から見れば、従量税であるこの石炭勘定分の財源の確保ということは非常に問題があるわけであります。  先般、エネルギー庁長官も本件について質問に答弁されておるわけですが、財源の石油関税の従量税を従価税に変えていくという考え方があるのか、あるいはこの財源に対して一体どういう考え方を持っているのか、あるいはまた石炭勘定の予算の費目について、費目のウエートを検討するという考え方があるのかどうかです。やはり財源に関する一応の検討がなければ第七次政策はできないのでありますけれども、この点についてはどういう御判断であるか、お聞かせ願いたいと思います。
  36. 森山信吾

    ○森山(信)政府委員 ただいま岡田先生から、財源対策についてどういうふうに私ども考えておるかという御質問がございましたので、端的にお答え申し上げたいと存じます。  まず第一点の原重油関税、現在の従量税を従価税に変える気はないかという御指摘につきましては、私どもはそういう気持ちはちょっと持ちにくいという感じでございます。と申しますのは、原重油関税そのものが、国際的に見ましてもとかく批判のある税制でございまして、国内におきましても、原油に関税をかけることにつきまして相当な御批判がございまして、原重油関税を現状のまま存続させることが、私どもとしては、まあ大変むずかしい中でがんばってきておるというのが率直な状況でございまして、そういう状況のときに、従量税を従価税に変えるということはまことに至難のわざではないかというふうに考えておるわけでございます。それが一点でございます。  ただ、石炭対策、特に近く答申が予定されております第七次対策を推進する上におきまして、財源が必要であることは言うまでもないわけでございまして、いまのままほうっておきますと、原油の輸入というものが必ずしもそう大きくはふえていかないということでございますから、財源が先細りといいましょうか、先の伸び率が余り期待できないということもございますので、そういう点を考えますと、従来とっておりました予算の組み入れ、これを定率法でやるよりも定額法でやった方がいいんじゃないかということで、五十六年度予算は定額方式を採用したわけでございます。  そこで問題は、五十七年度以降に、新たに特別会計法が改正される際に、五十六年度にとったような方式がそのまま適用されるかどうかは大変むずかしい問題もあろうかと思いますので、それを何とかくぐり抜けながら財源の確保を図っていこうということでございますが、もう一つ考え方は、エネルギー対策費はいろんな項目から成り立っておるわけでございます。御承知のとおり、原重油関税もございますし、それから石油税もございますし、あるいは電源開発促進税もございますし、そういった三本の特別会計でエネルギー特会が組み立てられておるわけでございますので、石炭対策費を原重油関税だけで賄うというやり方にいつまでもフィックスしておる必要もないのじゃないか、そういうような考え方をいま私は持っているわけでございます。  でき得ればエネルギー対策費全体の中で石炭対策の全体の確保を図っていく、つまり従来の予算の立て方の石炭対策費だけの枠内で処理しようとしますと、どうしても財源との絡みで無理が出てまいりますので、もう少し角度を変えた財源確保の方法論を検討すべき時期が来ているのではないかということでがんばりたいと思っておりますので、またお力を拝借しながら万全の措置を講じてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  37. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 次に、先ほど塚田議員も質問いたしましたけれども、二千万トンの生産体制の維持の問題であります。しかし、大臣も述べられておるように、現行はすでに一千八百万トン強の状況に生産規模は落ち込んでおるわけです。したがって、現行の一千八百万トン体制というものが拡大できるかどうか、これが一義的に考えなければならない問題だと思うわけです。  第二には、新鉱開発への着手と新鉱の開発体制について、また新たな視点で検討しなければならぬのではないか。たとえば新鉱開発体制は、メタルマインの海外開発方式なども採用してはどうか。これは、各社が共同で出資をする、しかし開発の主体は当然ある社がその主体になる、しかし出資は、メタルの海外開発の場合には各社が出資をする、いわばそういう共同的な基盤の上に新鉱開発をする、せめてこの程度の体制というものを築かなければならぬのではないか、またそういう体制をつくることによって新鉱開発へ着手することが可能ではないか、こう私は思うわけです。  そして第三番目には、封鎖鉱区あるいは新エネ機構の所有鉱区、これらの鉱区についても開発できるものは計画的に開発をしていく。恐らくこれらの地点は、当面着手するとすれば露頭採掘、オープンカットが多いと思うわけです。オープンカットの場合も計画性がなければなりませんし、同時にオープンカットできる量というものは炭価水準と重装備の装備の内容、これによって露頭の採掘の量が決まる、深度が決まってくる。したがって、個々に開発をしたのではなかなか効率的な、しかも資源を大切に開発することができないではないか。したがって、鉱害処理の後始末の問題等もありますから、採掘主体はやはり責任を持ってやり得る主体が必要である。言うなれば現在石炭採掘をしている業者、あるいはまたこれに自治体が加わることもあり得るでしょう。そういう開発主体も考え計画的、効率的にやる。  こういう点の積み重ねがないと、いま一千八百数十万トンになって、翌日ぽっと二千万トンになるわけじゃないわけですから、この二千万トン体制という問題については、せめてそういう視点の方向性は打ち出さなければならないのではないのか、私は最低限そう認識をするのでありますけれども、この点について御意見をお聞きいたしたいと思います。
  38. 福川伸次

    福川政府委員 第一点は、既存炭鉱生産のあり方の問題でございます。  岡田委員御高承のとおりに、第六次答申を作成いたしましたその時期は、当時二千万トンの生産水準を維持しておったわけでございまして、その後石油価格あるいは海外炭の動向等を考慮しながらそのような見通しを立てたわけでございますが、先ほど委員会でいろいろ御質疑がございますように、現実には千八百万トン程度の水準、こういうことに相なっておるわけでございます。この千八百万トン程度の生産水準をさらに拡大していく可能性があるかどうか、あるいはそのためにはどのような企業努力あるいは政府の支援があり得るかという点は、確かに御指摘のとおり一つの課題であろうと思います。   現在、私どもも関係の炭鉱経営者等、企業から見通し等をとっておりますが、むしろ現在のそれぞれの炭量、賦存状況等から考えてまいりますと、現行の稼働炭鉱につきましては現行の生産水準を、若干プラスマイナスはあろうと思いますが、五年あるいはでき得れば十年程度は一応現行程度の水準を維持していく、それを着実に実行していくというのを大体現在企業は考えておるようでございます。  私ども、これを非常にふやして、後どの程度長く維持できるかという点は十分山元に考えていただかなければならないと思っておりますが、先ほどから御議論がございますように、海外の諸情勢等を踏まえながら、現在の賦存状況あるいは今後の坑道展開の見通し、そのための必要な設備投資あるいは労働力の見通し等を見ながら、それを考えていく必要があろうと思います。私ども、現在のところは大体現有の炭鉱については現在程度の水準を維持していくというのが、長期観点に立って見ると望ましいのではないかという感じを持っておりますが、この点はなお詳しく検討をさせていただきたいと思います。  第二点は、新鉱開発のお尋ねがございました。  新鉱は、これはいま御承知のように天北あるいは釧路西部と二地域で調査を実施してまいりまして、現在その評価をすべき段階でございまして、これは経済性あるいは労働力の問題地上権との調整の問題、鉱害問題等から最終的な評価をしなければならない状況でございますが、現状におきましては、これまでの輸入価格等からしますと必ずしも経済性が十分でない、そのほかにもいろいろ問題があるということが指摘されておるわけでございます。  しかしながら、先ほども御議論がございましたように、今後エネルギー価格が全体として上がっていく、もちろん海外の輸入の石炭というのも、塚田委員先ほど御論議を展開しておられましたようにだんだん上がっていくであろう、私どもも、ここ二、三年あるいは四、五年、国際的な供給状況から見るとそのような展開をたどるかという気持ちを持っておりますが、今後それがどのような展開をしていくかということで、この新鉱の開発というものが、もちろん安定性と経済性の調和の上でどの程度進められるべきかという点を十分判断しなければならないと思います。  その場合に、御指摘の点は、共同出資会社等で業界全体でそれに取り組むということができないかという御指摘でございました。従来、新鉱の開発につきましては無利子融資等、かなり手厚い助成措置がございますが、今後それは企業の取り組みの姿勢でございまして、その鉱業権あるいはそれの処理の問題、あるいはそれに従事をいたします労働力の問題等を踏まえて、その辺は検討していかなければならないと思うわけでございまして、その辺の企業体制が、もし仮に業界全体の意見がまとまりまして、そのような共同開発に行くというのは、一つの示唆に富む御意見ではなかろうかと思っております。  それから露天掘りあるいは小規模の休眠鉱区の問題でございまして、これは現在、御承知のように現行法では消滅鉱区あるいは新エネルギー機構の保有鉱区につきましては原則的に禁止されておりまして、既存炭鉱からの一体的な開発が著しく合理的である場合に例外的に認める、こういうことになっております。消滅鉱区の拡大あるいは新鉱開発も含めまして、いま審議会でいろいろ御論議をいただいておりますが、御指摘のようにこの辺をどの程度緩和するか、また緩和する場合に、いま企業の能力という御指摘がございまして、私どもも最近の状況を踏まえて見ますると、ある程度経済的な採掘が可能なものも出てきておるのではなかろうかと思います。  それで、しからばいま御指摘のように経済性も保持し得る、あるいは環境等についても十分配慮がなされるというようなことで、この基準をどういうふうな形に緩和したらいいのかという点を実は審議会でも御論議をいただきたいと思っておるわけでございます。     〔委員長退席、中西(績)委員長代理着席〕 その辺の、どの程度まで緩和すべきかということにつきましていま検討いたしております。また何かいろいろ御示唆がございますれば、私どもも研究させていただきたいと思いますが、大きな方向は、何かその辺に一つの手がないだろうかということを模索、探求しておるということでございます。
  39. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 いま私が示した方向性が二千万トンを回復させる方向だ、こう思うわけであります。したがって、この点について、特に新鉱の開発という問題、この状況の中で新鉱を開発するということが労働力の確保石炭産業に対する認識を変える、非常にムードを転換をしていく、こういう意味で大きな意義があるのではないか、こう私は思いますので、せっかく部長答弁されましたけれども、ぜひひとつそういう方向に向かってこれからより検討していただきたい、こう思います。  次に、生産体制の問題でありますけれども、向坂さんは生産体制については私企業体制でいくのが大体大筋まとまった意見になりつつあるが、一部統一管理会社の構想もある、こういうお話があったわけであります。同時にまた、事業の共同化、特に空知四山、あるいはまたそのうちの二山、こういう表現を使って当委員会で御説明があったわけであります。  私は、それ以前に参考人の意見も聞いておりますから、いわゆる経営者側、労働者側の中でも、いまの体制がいいという参考人の意見も述べられておりますから、大きく生産体制を変えるということは今日の審議会の状況の中では恐らく不可能であろう、むずかしいであろう、実はこう認識をいたしておるわけです。  だがしかし、生産体制はそういう方向であっても、もし空知四山を一つにするというのであれば、一番悪いところを一つにするのですからよくなるはずがないわけであります。それならむしろ全部一つにした方がいいという議論になるのが当然ではないか、こういう意見すら実は持っておるわけであります。  ただしかし、一応そういう生産体制の中であっても、現行、制度的な問題では検討しなければならぬ面があるのではないか。私は、石炭流通管理会社のようなものを設立してはどうなんだろうか、実はこういう意見を持っておるわけです。たとえば電炭会社が特殊法人になったけれども、これを廃止して、その業務のうちマル近船の関係は新昭和石炭株式会社に移行されて、それからチェックする面については新エネルギー機構の部門にこれが吸収された、こういう経過をたどっておるわけです。  しかし、国内石炭安定供給のためには、やはり石炭業界自体の積極的な共同行為の確立が前提でなければならないと思うわけです。石炭業界の共同行為、こういうものが向坂さんのお話の中では求められておるわけでありますけれども、そういう相互間の自主的な努力や地域の事業の共同化を図っていく、こういうためにも一つの受けざらが必要ではないのか。あるいはまた格差解消という問題も一つの課題になっておるわけです。私は、そういう意味で、せっかくすでに会社もあるわけでありますから、そういう関係の中で石炭の流通管理会社を設定をしていく、こういう方向が望ましいという感じがするわけです。  たとえばドイツのルール炭田の場合も、初めは販売二社、そして販売一社化になって、そして統一ルール炭田株式会社ができた、こういう経過を西ドイツの政策もたどっておるわけでありますが、少なくとも第七次政策では、そういう国内石炭安定供給共同行為というものを責任を持ってやるんだという姿勢を前面に出して、そういう構想を検討してしかるべきではないか、こう思うのですけれども、この点はいかがでしょうか。     〔中西(績)委員長代理退席、委員長着席〕
  40. 福川伸次

    福川政府委員 幾つかの重要な視点を御指摘いただいたわけでございますが、いま空知四山あるいは二山、向坂参考人の御説明を引きながらの御発言がございましたが、いまあれをどのようにするかというのは、それぞれ関係企業もいろいろ検討を進めておるようでございます。  これは確かに、収益状況の悪い企業が二つ集まっても同じじゃないか、あるいは四つ集まっても同じじゃないかという御意見がございますが、その悪い条件の中でこれを合理的に採掘をしていく方法はないかということで、より効率的な採掘をすることができないか。それはもちろん合併という問題もあろうかとは思いますし、あるいは提携あるいは事業の共同化といったような形で合理的な採掘の方向にいくということは、一つの検討の課題ではなかろうかというふうに私どもも思っておるわけでございます。  さらにまた、いま石炭会社の事業の共同化というお話がございました。私どももこの事業の共同化の余地というのはいろいろあろうかと思っております。たとえば需要の確保、拡大といったようなものでさらに事業の共同化をするということも必要だと思いますし、あるいはそのほかいろいろな、先ほどお話の出ておりましたような生産体制の効率性を確保するといったような問題での共同化というのもいろいろ出てくる。これは私どもも企業も十分検討すべき課題でございますし、今後の方向性については私どもも十分研究をしたいと思っております。  流通一元化の問題がございまして、いま御指摘のような幾つかの組織があることはございます。この流通を一元化するということが一体いかなる意味を持つか、こういうことにつきましてはいろいろな観点から検討をしてみなければならないと思います。もちろん国内炭の安定生産、これは先ほどから申しておりますように、安定性と経済性をどのようなバランスで考えるかといったことを踏まえてでございますけれども、そのためにどういう炭価、価格のあり方が望ましいか、あるいはまたそれを実行するためにある組織をつくって必ずそこを通す、一元化をしてしまうということの方が果たして合理的なのか。その政策目的を達成する上で必要最小限度の政府の介入あるいは業界の共同行為、こういうことでいくのがいいのかという点は、いろいろな広い立場から検討してみなければならないというふうに思うわけであります。  そこで、一元化をいたす場合、もちろんその企業あるいは労使の努力ということが報われる体制ということもその中に考えてみなければならないというふうに思っておるわけでございまして、いまそうした問題を、私どもも、そういった幾つかの観点を慎重に考えて判断してみる必要があるというふうに思っておるわけでございます。審議会においても、その点をいろいろな角度から検討がなされておるわけでございまして、やがてその辺の取りまとめの時期に参る場合、またいろいろ御意見がございますれば、私どもも検討をさせていただきたいと思っております。
  41. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 内外炭の調整問題について、これも向坂さんは、IQ制度を適正に利用していく方法というものがやはり基本考えられないか、そして三年程度の需給計画を立てて、毎年ローリングしながら生産者、需要家の合意を求めていく、こういう方向について示唆されたわけであります。しかし、このことは第六次政策と同じ内容なんですね。第六次政策でもIQ制度の適正な運用、そして三年程度の需給計画をつくる、先ほど塚田委員指摘したように第六次政策にあるわけです。しかし、それが実際に実行できないわけです。  そして貯炭の激増という問題も出たわけであります。私は、海外炭の一元的輸入体制をつくる方がいいと思うけれども、なかなかいまの状況を見ますとこの意見が通りそうもない。これが通らないとすれば、私は一やはりまず第一に、外貨割り当て制度の一元化体制を通産省は確立すべきだ。原料炭一般炭石炭部と基礎産業局鉄鋼課に分かれている、この不自然な姿をやめて、まず一元化体制をつくるべきだ。同時に外割り運用委員会を石鉱審の中につくる、そして当然その事務局をつくらなければならない、ずんずん量がふえていくわけですから。  六十五年には、一般炭は五千三百五十万トンになるという状況でありますから、相当な仕事の量でもあるわけです。したがって、外割りの運用委員会を石鉱審の中につくって、その事務局が確立されなければならない。そして三年の需給計画を毎年ローリングをしていく、そういうものがぴしっと組み合わせをして体系づけられなければ、内外炭の調整というものはうまくいかないのではないか、こういう気がするわけです。  まして国際的な石炭の状況というのは、原料炭であろうと一般炭であろうと、今日の状況は、一物一価主義という傾向が非常に強まっておるわけです。私は、そういう状況から判断しても、この私が提案した三つの観点というものをぴしっと最低限確立しなければ、内外炭の調整については不安が残る、こう思うのでありますけれども、この点についていかがでしょうか。
  42. 福川伸次

    福川政府委員 内外炭の調整、これをどのようにすべきかという点でございます。  いまいろいろな御提言がございましたわけですが、いま私どもも、輸入炭国内炭、これをどのように調整をしていくかということで、国内炭の優先引き取りを確保するということと同時に、また海外炭をできるならばなるべく安く買ってくる、それでユーザーの負担をできるだけ軽くして、日本全体のエネルギーコストが総体としては高くならないということで考えていくべきではなかろうかというふうに思っております。もちろん国内炭の安定的な引き取りということはその中に十分生かすという上でのことでございます。  そうした場合に、どういうやり方が一番いいか。端的に申しますと、いま国内炭輸入炭は一物二価の形になっておるわけでございまして、海外炭をなるべく安く導入することが企業、ユーザーとしてはそれだけ国内炭の引き取りということについての余力も出てくるわけでございますので、そのような体制でいくということで、この方向を見出していきたいというふうに思っております。したがいまして、もちろんいま標準価格制度、あるいはこれをどのように改善していくかという点は当委員会でもしばしば御議論がございますが、そういった価格考えながら国内炭の引き取りを十分その中で確保していく、このような運用をしていくということが望ましいというふうに思っておるわけでございます。  引き取り問題につきまして、従来どちらかといえば価格問題と引き取り問題これが密接に絡んでおりまして、私どもは、大変残念なことではありますが、石炭業界と需要業界との話し合いあるいは協調という点が必ずしも十分ではなかった、それだけにこそ、いろいろ行政的な介入ということにならざるを得なかった事情がございますが、最近のように石炭の国際的な需給が大きく変化をしてきたという状況の中で、やはり引き取りを安定的にしていく、石炭業界と需要業界の協調関係をより高めていくということの努力が企業ベースでも行われるべきではなかろうかというふうに思っております。  国全体の需給を三年程度でローリングをしていくということは、従来もやっておったわけでありますが、需給部会、これは関係業界の方々もお入りいただいておるわけですが、そういう政府の指導、審議会での需給見通しということの前に、もう少し生産業界と需要業界との間で需要見通しあるいは引き取りの見通しというものを、三年程度のローリングをしながらその年の引き取りを固めていく、そういった協調体制を高めていくということが一つ方向ではないか、そういう意味で、いわば国全体の需給ということよりは、もう少し関係業界ごとでの話し合いという点はより密接にし、これを前進させていきたい。それは今後の方向として新しいより一層努力しなければならない方向ではないだろうかというふうに考えております。  それから、輸入割り当て制度に関しまして、もう少し一元的な方法を考えるべきではないかというお話でございます。従来、この点につきまして、岡田委員からもかねて御指摘をいただいたこともございましたが、この輸入割り当て制度の運用というのは、従来のようなことよりも、御指摘のように大変数量がふえてまいるということになりますと、割り当ての考え方、基準も順次変えてまいらなければならないわけでありますし、またその仕組み等もいろいろ改善をしなければならないというふうに思っておるわけであります。  従来、原料炭は需要業界の方の所管をしております部局でいたしておりますが、私どももこれは十分需給計画等を省内で練りまして、そして原料炭の輸入のあり方を確保いたしております。また、その点私どもも、全体の中で、石炭鉱業審議会需給部会等の御議論の中で国内需給状況ということを考えてまいっておりますので、いますぐ輸入割り当て委員会をつくる、あるいは石炭鉱業審議会の組織を改組するという必要は、いまのところないのではなかろうかというふうに考えておりますが、いずれにいたしましても、輸入割り当ての運用、基準、考え方、これは今度の政策の中の一つの重要なポイントにもなるわけでございますので、研究をさせていただきたいと思います。
  43. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 私は、通産省の機構の中で原料炭のIQの割り当てが鉄鋼課にあるということと、金属課というのが資源エネルギー庁に入ってないというのは、これは通産省の七不思議の一つだと思うのですね。今日の段階では、たとえば金属課でも、鉱業課はあるのですけれども、一般の金属の場合にはこれは資源エネルギー庁に入ってないわけですね、これは当然資源エネルギー庁の中の分野だと思うのです。河本さんは、指摘されればそのとおりだ、こう私に答えた経過が実はあるわけです。  同時に、この石炭の外割り制度が資源エネルギー庁からはみ出ているところに問題があるわけですよ。これはやはり今度の機会に是正しなければ不信を招くのではないか、私はそう思うので、いま検討されるというお話でもございますけれども、この点はぜひ一元化する方向で検討していただきたいということを申し上げておきたいと思います。特に外割り制度の場合には、ヨーロッパ三国も厳格な外割り制度をとっているわけです。しかも不足分を輸入するのだという思想性に立って英、独、仏の外割り制度は運用されているわけです。その点を踏んまえて、ぜひひとつ信頼できるそういうような体制をみずからつくるということが大事じゃないかということを御指摘申し上げておきたいと思います。  次に、基準炭価の設定の問題でありますが、これも向坂さんは、再生産に必要な炭価という点についても触れられておるわけです。しかし、需要家の負担能力、特に海外炭との格差の問題という点をつけ加えられて、このルールについて検討していきたいというお話があったわけであります。しかし、法五十八条の基準価格の点はいろいろ問題点があります。むしろいま石炭は遠くへ売った方が手取りがよくて、近くに売った方が手取りが悪いという仕組みに現行の基準炭価はなっているわけですね。たとえば釧路の港から小名浜に石炭を持っていくと、きちっと基準炭価の手取りがあって、輸送賃は補てんされるわけであります。ところが、逆に北海道の内陸に持っていくと手取りが悪くなる。こういう基準炭価の立て方になっておるわけですから、この点も研究しなければならない課題ではないか、私はこういう気がします。  同時に、炭価決定のルールといいますけれども、ルールというか、炭価決定の視点を一体どこに置くか、このポイントを定めなければ、やはり炭価の問題はいつでも問題になるのじゃないかと思うわけです。たとえばヨーロッパのドイツとかあるいはフランスの炭価水準を見ますと、日本が一万五千円の場合にほぼ二万円台、そういう状況にあるわけですね。フランスの場合には低いというけれども、これは生産コストの赤字分がありますから、これを換算すると、西ドイツの水準と変わらないわけです。ですから、フランスやドイツの場合には、わが国が一万五千円の場合にはすでにほぼ二万円の水準にある、こういう比較ができるわけです。  そういう面からいっても、日本石炭産業というものは、いろいろ言われるけれども、大変な努力をしているということが、そういう比較論でも証明されるのではないかと思うのです。ですから、これからの場合には二つの視点、法五十八条にも書いているように、石油価格動向、外炭価格動向、この両方の価格上昇、そういう視点の中で炭価を決めていく、こういう点が確立されなければならないのではないか、こう思うわけです。  特に問題なのは、電力料金の場合一値上げ申請するときに、その年度の炭価については申請内容として織り込まれている、それを通産大臣が認可するわけです。ところが、石油外炭の場合には国際価格でありますから、上がれば当然黙っていてもこれは上がるわけですね、当然それを受け入れるわけでありますから。国内炭に限っては、申請内容で抑えられておるから、申請内容よりはみ出すことは、これは受け入れば非常にむずかしいということで、なかなか電力関係の炭価の問題はスムーズにいかないという傾向があるわけです。そうであるとするならば、電力料金の値上げ申請に当たって、炭価については石鉱審の意見を聞いてそして決めるというような、ルールを変えなければならないのではないか、こういう気がしてならないわけであります。  そういう意味で、この炭価の問題について私はいま三点について触れたわけでありますけれども、どう受けとめられるのか、見解を承りたいと思います。
  44. 福川伸次

    福川政府委員 炭価をどのように決定するかというのは、私どもも、いろいろな要因を総合的に考えなければならないという気がいたしておるわけでございます。  現在の五十八条も、石炭生産費、石炭の輸入価格それから石炭以外の競合燃料の価格その他経済事情を考慮して決めろ、こうなっておるわけでございます。現在いろいろな御意見があり、一方にはそのコストを補てんするような、生産費を特に重視をする考え方一つございます。ユーザー側からは、御承知のようにもちろん国内炭の意義という点は十分認めながらも、ある程度その経済性を重視した視点で考えてもらいたいという需要業界の御意見とあるわけでございます。  いま岡田委員の、石油あるいは輸入の石炭価格をむしろ重視して考えていくべきではないかという御指摘がございます。これは私ども、かなり国内炭経済性を回復してきている国際的な状況の中で、それをどのように反映をさせていったらいいかという御指摘で、従来のコストを補てんするということにもう少し新しい要素を考慮すべきではないかという御示唆であろうというふうに思うわけであります。  それでは、いま上昇していく輸入炭あるいは輸入石油価格をどの程度に織り込み、あるいは国内生産費をどの程度のウエートで考えるか。現在国内炭は、全体として見ると現実にはかなり輸入炭よりは高い水準で引き取られておるわけでございますので、これを輸入炭の上昇そのままというわけにはいかない。しからばどの程度織り込んでいくかということが一つの大きな問題でございます。  基本的には、もちろん価格というのは売り手と買い手とで決まるわけでございますが、石炭生産の安定性を確保していくということから、そこにある程度の介入あるいはそのコンセンサスづくりということの仕組みがあるわけでございまして、いま御指摘のような点、これを数字的にどういうようなメカニズムで織り込むかという点は、大変私どもむずかしいと思いますが、いま御指摘のような視点、いわゆる生産費を重視をしていく考え方だけでは、これからの国内石炭需給等の展望をもちますと、果たしてそれが石炭業界に対して有利であるのかどうか、あるいはそこは今後輸入価格等を十分考えてやっていくべきではないかという御示唆は、私どもも、十分検討させていただかなければならない御見解であろうというふうに思います。  それから、電気料金の点について御指摘がございました。必要がございますれば公益事業部の方からお答えさせていただきますが、これは現在、電気料金につきましては電気料金部会の方でいろいろ御審議をいただいておるわけでございまして、私どもとしても、その辺は、いろいろな問題点等はそれぞれ料金決定の中に石炭業界の立場も十分反映するように努力をいたしたいと思いますが、なお必要がございますれば、その料金の決定の仕方につきましては公益事業部の方からお答えさせていただきます。
  45. 森山信吾

    ○森山(信)政府委員 炭価の決め方につきまして、ただいま石炭部長から御説明申し上げたとおりでございますが、第三番目の、電気料金の値上げの際に石炭鉱業審議会の意見を聞くことを義務づけたらどうだという御指摘につきまして、概要は石炭部長が御答弁申し上げたとおりでございますけれども、法律論から見まして、電気料金の値上げ申請をする際には、電気事業審議会料金部会で御審議をいただくということが一つのルールになっておりますし、それから基準炭価につきましては、御指摘のとおり石炭鉱業審議会がその任に当たっておるわけでございますから、そこに必ず義務づけをするということになりますと、かなりな法律的な無理があるのではないかということでございます。  岡田先生の御意見は、義務づけ、そういった法律論を超えた石炭鉱業審議会の意見を十分聞いた上で査定をすべきではないかという御意見だろうと拝聴いたしましたので、その御趣旨は私も全く理解できるところでございます。今後、料金改定に当たりまして石炭鉱業審議会の方から合理的な御示唆を賜れば、それを十分踏まえました上で査定作業に当たらせる、こういうような考え方を持ちたいと思っておる次第でございます。
  46. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 第七次政策に移行する間の昭和五十六年度の炭価の問題については、向坂先生と私の間で非常に重要なポイントであるという点について実は意見の一致を見ておるわけです。私は、特に五十六年度、五十七年度の炭価は、いまいろいろ検討しておる企業間あるいは炭鉱間の格差の是正問題と重大に関連が政策上あるではないか、こういう気がするわけであります。  私は、そういう意味で、いま海外炭の動向を見ますと、一番上昇の低いところを探したのです。一番低いところは十ドル上がっておるわけですね。一番高いのは中国の十七ドル上昇をいたしておるわけです。中国は下期に二十ドルになるのではないでしょうか。向こうの方の意向はそうだというから、中国の場合は大体二十ドル近くに下期はなる、倍になるわけです。そういう状況に、いまの海外炭の今年度の炭価の動向がすでに鮮明に出てまいったわけです。  そういう状況でありますから国内炭の炭価は、最低の十ドル分を一年で上げるのではなくして、相当分を二年で上げたらどうか。二千二百円にすれば最低千円、千円で上げたらどうか。そして格差是正については、安定補給金を石炭鉱業年金くらいの分を除いては全部財源として、安定調整交付金として活用していく、それで格差対策をやるということが、そのことによって思い切ってできるではないか。そういう視点というものが大事ではないかというような気がするわけであります。  そして共同事業をやるということも結構でしょう。あるいはまた坑道掘進補助金や保安補助金、保安補助金の中にはすでに急傾斜等の内容が含まれておるわけです。そういう点が大体トータルされて格差の是正ができるのであって、石炭協会が言っている、たとえば補助金をもらって納付金を出すということはナンセンスではないかという気がしてならないわけであります。  ただ、その場合に、北炭の固有格差の対策はぜひ検討してほしいと私は思うわけです。私は前にも指摘しましたように、第三次肩がわり以降閉山している山は六山あるけれども、そのうち四山は北炭であってあとの二山は、これは既存の炭鉱には関係がないという状況にある。あるいはまた、世界に類例のない、幌内炭鉱を水没をさせてこれを回復した。これは北炭の持つ固有の格差だと思うのですね。この程度のものは考えなければ、やはり全体の格差是正や安定体制がとれないではないかという見解を私は持っておるわけです。したがって、私のこの意見についてどのように考えられるか、この機会に承っておきたいと思います。
  47. 福川伸次

    福川政府委員 第一点は、五十六年度あるいは五十七年度両年にわたって、最近の十ドル相当分を二年にわたって半分ずつ引き上げるというような炭価改定をしてはどうかという御指摘でございます。  実は御指摘のとおりに、すでに五十六年の四月には、輸入一般炭の通関は六十二ドルということになっておりまして、五十五年度の平均の五十五ドルに対しましてかなりの上昇を示しております。最近行われておりますオーストラリア、中国等の炭価交渉の結果が今後さらに通関統計に反映してまいりますと、御指摘のように、さらにこの輸入炭価格というのは上昇してまいるということでございます。十ドル程度を上げろ、こういうことでございますが、現在、石炭協会におきまして、五十六年度の炭価をどの程度需要業界にお願いをしたらいいか、またその合理的な根拠はどうかということをいま検討をしておられまして、やがて需要業界と折衝に入られるというふうに思っております。  私どもも、前の御質問にございましたように、今後の標準炭価を考えてまいります場合に、海外炭価格の動向等はコストとともに一つの重要な要因になっておるわけでございまして、いま千円、千円というお話がございましたが、それが果たして合理的な説明であるかどうか、十分研究させていただきます。海外炭の動向、特に輸入動向、石油は御承知のようにかなり高いわけでございますが、こういった海外炭の動向、私どもも、ある程度これは炭価に反映させていくというのが、現在の標準炭価制度の法律の条項からいきますとそういう解釈になると思いますので、それは一つの要素として研究をさせていただくつもりでございますし、それはまた業界同士の話し合いの中にもそのような観点が入っていくことを期待をするわけでございます。  さらに、いま企業間格差のお話がございました。安定補給金をむしろ格差調整に全部振り向けることが好ましいのではないかということでございます。それで、この格差是正、実はかつて当委員会でも、格差を生じます自然的な条件、要素を幾つか並べて、それをコンピューターではじいたら格差が合理的に出るのではないかという御指摘をいただきましたが、自然条件の差、炭層の傾斜だとか深さだとか、いろいろな要素を一遍にコンピューターではじき出すということは大変にむずかしいことでございますし、またそこに企業努力等がございますので、もちろんかなりの部分は企業努力によって吸収されるべきものでございますが、それをどの程度にするかというのは大変むずかしいわけでございます。  それで、現在もある程度、格差是正ということで安定補給金の傾斜配分がなされておりますが、これももう少し傾斜をつけてはどうか、あるいは極端に言えば、先生のおっしゃるように全部これを格差是正に充てる、こういうことも御指摘がございましたが、それをどの辺まで考えていくのがいいかというのは、いろいろな経営分析等をいたしてみなければ結論が出ませんが、私どもは、これも検討小委員会の中で、さらにある程度格差是正をしていくという一つ考え方については、審議会でも十分御研究を願いたいというふうに思っております。現実に坑道の補助金あるいは保安の補助金は、結果といたしまして格差是正にはかなり役立つ非常に手厚い助成であるというふうに思います。そういった是正機能もその評価の中には織り込んで検討しなければならないものと考えております。
  48. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 格差是正をやる場合には、五十六年、五十七年の炭価がどういう傾向にあるかということが政策立案上密接不可分の関係が出てくると私は思うのですね。  いま部長から北炭の固有格差の問題については答弁がなかったのですけれども、これは検討外という意味でしょうか。
  49. 福川伸次

    福川政府委員 大変失礼いたしました。  北炭の格差是正をどうするかという御指摘がございましたが、北炭四社の経営再建につきましては、幌内の火災事故以来いろいろな経緯があるわけでございまして、十分再建が可能だという見通しのもとにいろいろな再建計画を出し、またそれに必要な助成措置等も講じ、あるいは関係金融機関の御協力を取りつけてまいったわけでございます。不幸にいたしまして、その後さらに事故が発生いたしましたりして、その再建がおくれておるわけでございますが、私どもとしては、現在、同社は経営再建の途上にあるわけでございまして、関係金融機関等の御協力も得ながら、政府としてもまさにできる限りの非常に異例の助成措置を講じておるわけでございます。私どもとしては、北炭四社の再建の成否というのは、このいま実施をいたしております再建計画が達成できるかどうかということでございまして、現在約三年間をめどに再建の方向を見出そうということで努力をしておるわけでございますので、北炭のその後の経営のあり方ということにつきましては、再建計画が終わりました、その達成の上で考えるべき課題ではないかというふうに考えております。
  50. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 わが国エネルギー政策の中で、国内エネルギーとしては、電力的に見ますと水力、水のエネルギーで電気を起こす、国内石炭でもって電気を起こす、大体わが国の場合発電コストというものは石油と水力が全く同じ水準にあって、石炭は安いわけですね。資料の中にそうなっておる。ですから、国内エネルギーである石炭をもし水力と同じ水準でとらまえればやはり大事にしなければならない、もう少し安定性を増さなければならないという視点が出てくるのではないか、私はこう思っておるわけです。そういう視点も踏んまえて格差是正、調整というものが国内全体の石炭産業の安定につながるという点について、ひとつ十分御議論を願いたい、こう思います。  次に、労働力確保に関連して空知炭田、特に七山あるわけでありますけれども、空知炭田の労働力の確保が一番問題だと思うのです。そうしますと、七山共同の技能者養成所をつくるとか、鉱山学校を設立する、こういう面がむしろ積極的に打ち出されていいのではないか。たとえば、鉱山学校方式というのは、中学を出た者を入れて鉱山学校で教育をするというのが従来とられた制度であります。これからは、たとえば高校を出てもある程度教育をして炭鉱に入れる、こうなるとむしろ技能養成所の方がそれには対応できるわけですが、まずこれを空知炭田の共同事業としてやることが望ましいのではないか、こういう意見を持っておるわけです。  同時に第二の問題として、炭鉱労働者に対する年金の問題でありますが、石炭鉱業年金は四十二年にできて、五年ごとの財源見直しでありますから、ちょうどことしがその年に当たっておるわけです。同時に、昭和五十三年に五年間の、坑内一万六千円、坑外三万二千円という制度の改正を行っておるわけです。そして今年がちょうど財源の見直しでありますし、いま石炭業界は一トン七十円補てんをいたしておるわけです。だが、制度か発足して十五年——二十年間とにかく炭鉱にいて有資格者が最高八千円。これはまだそういう人は出ていないわけですね、十五年にしかまだなりませんから。そうして十五年間これは一銭も上がっていないわけですね。  そういう意味では、石炭鉱業年金について、ちょうど財源見直しの時期でもあるし第七次政策の時期でもあるので、この見直しをすべきではないか、私はこういう意見を持っておるわけです。この点は厚生省の年金課の方から答弁を願いたいと思うわけです。
  51. 福川伸次

    福川政府委員 初めに技術者、技能者の養成の点について私どもの方からお答えさせていただきます。  保安技術者を確保する、あるいは保安技術の向上を図るというために、それぞれの炭鉱におきましていろいろな保安教育を実施をしておられる。また国といたしましても、それを補充する意味におきまして保安技術講習所あるいは鉱山保安センター等で保安教育を推進をしておるわけでございまして、いま御指摘のございました地域におきましては、岩見沢市に鉱山保安センターがございますが、それについては、四十三年度から保安技術教育等を実施をして、また昭和五十年度には新入者教育を加えるなどの事業の充実を図ってまいりました。また、本年度からは、保安技術職員を養成するための実業工業学校程度の教育を体系的に実施するというような努力をいたしておるわけでございます。  いま炭鉱共同で鉱山学校を設立するというような御指摘がございましたが、もし地元におきましてそのような具体的な要望がございますれば、私どもも関係省庁と十分協議して検討してまいりたいと思います。
  52. 佐々木喜之

    ○佐々木説明員 石炭鉱業年金のお尋ねについてお答えを申し上げたいと思います。  ただいま先生からお話がございましたように、石炭鉱業年金の財政につきましては、長期的な収支の均衡を図るという観点から、少なくとも五年に一度財政再計算を行うというふうに法律で定められておりまして、前回は昭和五十一年度に行っておりますので、本年度が再計算の実施時期に当たるわけでございます。  その財政再計算に当たりまして、将来にわたります給付をどういうふうに設定するか、あるいは掛金をどうするかというような問題につきましては、第一義的には石炭鉱業年金の方でいろいろお考えをまとめられまして、それを厚生省、私どもの方は指導監督するというような立場でございまして、まだ具体的な内容等は伺っておりませんけれども、いずれにいたしましても、年金という性格上、確実な財政収支、しかも長期的な見通しのもとに誤りなきようやってまいらなければならない性格のものでございますので、御趣旨を体しまして努力をいたす所存でございます。
  53. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 石炭鉱業年金は有沢答申に基づいて設定をされたわけです。現行はトン当たり七十円負担をしておるわけです。政策を立てるに当たって、炭価政策と格差是正、そして年金財源というのがあるわけですね。有沢答申の中では、政府補助金の中の一部を充てて石炭鉱業年金をやるべきだという答申に基づいて制度ができたわけでありますから、第七次政策を進めるに当たって関連が出てくるわけですね。  そういう意味で、この第七次政策の中で、この問題が厚生省の問題だから全然議論されないというのでは、やはり問題が残るのではないかという気がするわけです。そういう意味で、この九月、十月にかけて財源見直しの精査が一応でき上がる、こう承っておるわけですが、そういう視点も最終政策をまとめるに当たってぜひ忘れないように、これは石炭部の方でも、そういう点については十分考えていただきたいということを申し上げておきます。  時間がありませんから、あと三点あるわけですが、三点それぞれ質問申し上げておきたいと思います。  一つは、保安体制の確立の問題であります。  問題は、いまチームづくりが炭鉱の坑内ではあるわけですが、たとえばロング長というロングウォールの長がおるわけですね。だがこの人は、有資格鉱山労働者でもなければ指定鉱山労働者でもないのであります。保安上の責任、資格というものはないわけであります。だがしかし、自主保安体制を進めていくに当たっては、先山が何らかの形で保安資格を持っておるということは必要ではないか。いわゆる保安係員の補助的な仕事をするとか、そういう立場にあるわけですから、そういう保安資格を与えるべきではないのか。こういう検討がなされて、そしてさらに自主保安体制を進めていく、保安教育を進めていくという点がもう一度再検討されなければならぬではないか、こういう気がするわけです。  同時に、深部化移行に伴う対策はいままでも立てられておるわけですが、第七次政策の中では、深部化に対する保安対策、あるいはまた高温に対する対策というものが当然重要な課題になると思います。この点がどう検討されておるかということが第一点であります。  第二点は、鉱害問題も来年の通常国会に恐らく法律の改正、延長について提案されると思います、七月で期限が切れるわけでありますから。この鉱害二法の取り扱いは一体どうなっておるのか。同時に、今日の潜在鉱害量は把握できたのかできないのか。この点について承っておきたいと思います。  第三点は、コールセンターと内航運搬船の対策であります。  すでに運輸省の場合には、新聞報道の中でも、昭和六十五年に五千三百五十万トンの一般炭を輸入すれば、電力が七四%使う、そしてそのうち西日本、九州、沖繩に五七%が振り向けられる、二次輸送のものは二千百万トンである、そのうち海運によるものは千三百六十万トン、そして鉄道が七百万トン、トラックが百万トン、こういう調査も把握されておるわけです。そしてエネルギー港湾の制度を積極的に活用するということで電力港湾、コールセンター港湾、あるいは私設の石炭埠頭というものも配慮をしていく、運輸省はすでにこういう方針を出されておるわけです。  たまたま、マル近船については来年度がちょうど更新の時期を迎えるわけです。同時にまた、いまのマル近船は国内石炭を輸送するというだけに限定されておるわけですね。帰りにまた石炭を輸送することはできないわけであります。しかし、コールセンターができてくるわけですから、油の節約の面からいっても、当然このマル近船の運用について、今度の政策の中で再検討されなければならぬではないか。そういう意味で、運輸省の方はいままでのそういう規制について検討しておるのかどうかという点が一つ。  もう一つは、これから石油から石炭に転換していく場合に、船の場合であってもバンカーオイルからバンカーコールに転換するということが考えられていいのではないか。往復するところに必ず石炭があるわけでありますから、すでにオーストラリアの内航船ではバンカーコールを使っておるのでありますから、そういう検討もエネルギー政策の一環として進めるべきではないか。この点については運輸省でありますけれども、それぞれ三点について御答弁願いたいと思います。
  54. 安藤勝良

    ○安藤説明員 いま七次策で保安の今後の対策をどういうふうに考えているかという御質問、その点についてまずお答えいたします。  今後の一番の保安確保の命題は、深部化する自然条件の悪化に対応した対策をいかに立てるかということに尽きるかと私は考えております。そういった面から、ガスなりあるいは盤圧なりあるいは温度なり、そういったものが今後どういった形で悪化していくか、推移していくかということをよく見定めながら、従来進めてきました保安確保工事の問題だとか、あるいは技術開発の問題だとか、あるいは教育の問題そういった見定めた方向に合った対策をいかに充実させていくか、こういう観点に立っていま検討を進めているところでございます。  二点目の先山、これもいわば自主保安体制の中に組み込んだ形を考えるべきじゃないかという御質問でございます。今後の保安確保の大前提は、労使一体となった自主保安体制の確立にあるということを私は考えております。そういう意味で、やはり総ぐるみの保安体制を確立する必要があるのじゃないかという感じがいたしております。ただ、いま先生の御質問にもございました先山、これはまさしくある面では作業者の一員であるということも言えようかと思います。ただ、実態的に見ますと、作業場を管理している、実際また保安を管理している、こういった一面もあろうかと思います。法的には、御存じのように、係員もおります。また危険作業等につきましては有資格者あるいは指定鉱山労働者、こういった面の資格を付与した者もございます。  そういった中で、先山、あるいは法的に定められている資格を持った方々との調和、いわば責任分担、こういったものをどう調和させていくかということも十分検討しなければいかぬ問題じゃないかと考えておりまして、御指摘の点につきましては、今後十分検討してまいりたいと考えております。
  55. 福川伸次

    福川政府委員 鉱害二法につきましては、五十七年七月三十一日までに廃止されるというのが現行法の規定でございます。この二法の延長問題を含めまして、今後の鉱害対策のあり方につきまして来月早々にも石炭鉱業審議会に諮問を行いたいと考えております。なるべく早い機会に顔合わせをいたしたいと思っております。  また鉱害量の調査に関しましては、有資力炭鉱あるいは関係市町村等から提出されました調査票をもとに、いま石炭鉱害事業団の協力を得て、審査、現地調査等を実施、把握に努めているわけでございまして、私どもも、いろいろな補完的な調査等をしながら、いま最終的な取りまとめをいたしているところでございます。私ども、この鉱害量の調査、ほどなく取りまとめをいたして、鉱害二法のその後の取り扱いの石炭鉱業審議会での審査に役立てるようになるべく早く取りまとめたいと思っております。  それからもう一点、国内船の運航につきましてマル近船との関係で御質疑がございました。私どもも、今後コールセンターを建設し、さらにまた輸入炭の需要がふえていくということになりますと、国内輸送の問題が非常に大きな問題になります。私ども、現在海外炭問題懇談会におきましてそれぞれの石炭の需要の動向、それについて必要な流通の形態、コールセンター等を経るのかどうか、あるいは必要であればどういうような内航国内輸送手段を用いるかということのいま調査取りまとめをいたしておりまして、私どもも、いまそれぞれ専門的な御調査、御検討を煩わしているわけでございます。その結果をもちまして、私どもも運輸省の方とも十分連絡をとって、輸送問題につきまして遺漏なきを期したいと思っております。
  56. 越村安英

    ○越村説明員 輸入炭の二次輸送の問題につきましては、先ほど先生御指摘のように、一つの試案といたしまして将来二千百万トン程度出るであろう、そのうち海上輸送が千三百万トン程度になるであろうということを計算いたしました。ただ、これにつきましては、コールセンターの配置とかあるいは港湾の整備とかの関連で、将来とももう少し詰めてみなければわかりませんので、その辺、実態的にもう少し詳しい予測をいたしまして、その上で二次輸送の船隊の整備なりその他の措置を考えていきたいと思っております。  それから、御指摘のマル近船でございますが、これは昭和三十七年から四十三年ごろにつくられました石炭の専用船でございまして、石炭鉱業の近代化のために特別に措置をされた船でございます。現在二十一隻、十二万トン程度稼働しておりますけれども、先生御指摘のように船齢が十八年程度に達しておりまして、そろそろつくりかえの時期になっております。  ただ、これをつくりかえをいたしますときに、従来と同じように特別の安い金利の資金を導入してつくりかえをさせるかどうかということにつきましては、ほかの産業基礎物資、たとえば石油とか石灰石とか鉄鉱とか砂利とか、そういったいろいろな貨物との兼ね合いもございますので、その辺を——それから現在の輸送需要と船腹のバランス、そういったことを考えまして検討しなければなりませんが、現在のところは、つくりかえをいたしますときには特別の措置は必要ではないんではないかというふうに考えております。
  57. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 時間が足りませんであれなんですが、私は、第七次政策の問題点について、自分の提案も含めながらいま事務当局からも見解を承ったわけです。その点大臣もずっと聞かれておったと思うのですが、そういう意味で、最後に、いまのやりとりについての大臣の感想を求めて、終わりたいと思います。
  58. 田中六助

    田中(六)国務大臣 全体的なエネルギー問題の中でのわが国石炭位置づけというものを、第七次答申を受けてやはり明確にして、国内石炭産業の不備あるいは生産目標を達成するためのあらゆる条件というものを整えて、労働条件あるいは自然の条件の克服あるいは炭価の問題、海外石炭との問題、あらゆる問題をもう一度洗い直して、そうして具体的に処理していこうと、岡田委員の御指摘の点も十分踏まえて対処していきたいというふうに思います。
  59. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 終わります。
  60. 森中守義

    森中委員長 午後二時に再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後零時四十二分休憩      ————◇—————     午後二時十三分開議
  61. 森中守義

    森中委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。鍛冶清君。
  62. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 きょうは、最初に石炭液化の問題でお尋ねをいたします。  この件は、わが党の田中委員が本年度の田中大臣の所信表明に対する質疑の中でお尋ねをした件でございますが、その折も、この計画について大変心配した形で質問が交わされたと記憶いたしております。この件は一昨日、五月二十六日の日本経済新聞によりますと、「日米独の「石炭液化」中止」という表題のもとにこの問題の報道がなされております。  その中で言われておりますのは「日本、米国、西独の三カ国共同による石炭液化実用化プロジェクト「SRCII」の建設中止が確定した。政府筋によると、SRCIIの民間事業者である米ガルフ・オイル社、西独ルール・コーレ社と日本の企業グループ代表である三井石炭液化は最近の協議で、(1)SRCIIの建設は米、西独両国政府が出資しない以上、中止せざるをえない(2)建設中止の代わりに三カ国が共同作業中の詳細設計は完成させる(3)設計技術は集大成し、日本などが自主的に実用化プラントを建設できる体制をつくる——ことで合意した。米、西独の両政府はこの決定を了承し、六月にボンで開かれる三カ国会議で建設中止とそれに伴う契約変更を提案する。これに対し通産省は今週中に三井石炭液化や新日本製鉄などSRCII参加企業の意見を聞き対応策を決める予定だが、米、西独の撤退によりわが国が単独でプラント建設に動く可能性も出ている。」こういうふうなまくらのもとに記事が報道されております。  わが党の田中委員が心配した形が現実にあらわれてきたというふうに思いますが、この件の記事に対する内容、これは果たしてそういう形で確認できる内容のものなのか、またこれに今後どういう形で対応をなさろうとされるのか、その点について最初にお尋ねいたします。
  63. 福川伸次

    福川政府委員 石炭液化の三国のプロジェクトにつきましては、委員承知のとおり四月十四、十五両日、東京におきまして第一回の協議を開いたわけでございます。  その際、アメリカ側から、今後レーガンの新政策のもとで、従来のようにエネルギー省からの予算は支出がむずかしくなった、それから石油代替燃料公社のむしろ金融的な機能で支援をするという方向で検討できないかということの御提案があり、またさらにもう一つ非常に重要な問題といたしまして、研究開発としては確かにそういう性格を持っておりますけれども、研究を続けてまいり、いまフェーズ1で設計の作業中でございますが、やっております過程で非常にコストオーバーランになってきた、こういう指摘がございまして、したがいまして、いまの状況では十四億三千九百万ドルというプロジェクトコストの中で、六千トンの商業化のデモンストレーションプラントを完成することはむずかしいということが、アメリカから話があったわけでございます。その後アメリカは持ち帰りまして、今後そのコストの見通しがどうか、それからスケジュールがどういうふうになるかということの再検討をいたしておる、そういう過程でございます。  四月に集まりましたときには、六月四日、五日にボンで次の協議をしようということになっておりましたが、その後コストの見通し等の作業が必ずしも当初のようなスケジュールになってまいりません、検討にかなり時間がかかるということでございますので、六月二十三、二十四の両日、ボンで協議をするということに相なったわけでございます。その場合、今後の取り扱いについて検討がなされるということでございます。  現在、いま委員新聞で引用なさいましたように、民間側で——民間側と申しますのはSRCインターナショナル社、これはガルフとドイツのルール・コーレそれから日本側、三社でのジョイントベンチャーでございますが、そのSRCインターナショナル社がアメリカのエネルギー省の要請を受けまして、コストとスケジュールの見積もりをいま提出をいたしておりまして、それによりますと、かなりのコストの増大ということが言われておるわけでございます。  現在、それを各国において検討をしている段階でございまして、その見積もりについて、これは民間の見積もりでございますので、それにつきまして米国政府がどのように評価し、どのように今後の取り扱いをするかという点については、まだ米国政府も連絡をしておりません。したがいまして、設計段階だけでとどめてその建設を中止するという決定がなされたというふうには私どもは理解をいたしておりません。  また一方、新聞によりますと、六千トンのプラントの建設それから規模の縮小案と並びまして、コストの見積もりの一環として、設計のみを完成させるということをいま引用なさったわけでございますが、これにつきましても、私ども承知いたしておる限りでは、SRCインターナショナル社が取締役会で正式に決定をしたというふうにはまだ承知をいたしておりません。また日本も、いま三井SRCという名前をお出しになられましたが、そのほか新日鉄その他、中心になります五社がこの取り扱いを検討いたしておりますが、これは現在まだ検討中でございまして、日本の民間企業の方も統一された見解には至っていないわけでございます。  従来、六千トンの規模で建設までいくことはむずかしいということは四月でその方針が大体確認されたわけでございますが、その代替案といたしまして、規模を縮小して完成させるか、あるいはいま御指摘になられたような途中の段階まで作業をして、特に技術的な解明に重点を置くようなことにするのか、あるいはここでもう見込みなしということでこれをターミネートするのか、いろいろな対案を今後考えなければならないわけでありますが、私どもといたしましても、民間のそういった作業が進み、日本側の民間の意向も確かめ、また米国政府のコストの見積もりについての評価、あるいはこれに基づく代替案を受けて、慎重に検討いたしまして、今後の、六月の二十三、二十四の両日の協議に臨みたいというのが現在の状況でございます。
  64. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 そうしますと、この問題は、はっきりとした確認はまだ先のことになるけれども、どうもそういう方向に行って、最終的には新聞報道等の結論的なものにならざるを得ないだろう、こういうふうな状況判断をしておられるのかどうか、その点再度お尋ねをいたします。
  65. 福川伸次

    福川政府委員 ただいまのところ、民間のSRCインターナショナル社のコストの見積もり、あるいはその過程の中でそのような方向が検討なされたということではあろうかと思いますが、アメリカあるいはドイツの政府ベースでその案をどのように評価し、あるいはどのような代替案が今後の石炭液化の技術開発を進める上で一番いいかという点については、まだ私ども政府の見解を承知をいたしていないわけでございます。したがいまして、いまこういった新聞に出ているような方向事態が収束されるのかどうかという点につきまして、私どもとしては、まだそういうふうに即断する段階に至っていない、まだいろいろな代替案の検討がされている状況であるというふうに理解をいたしております。
  66. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 限られた時間でございますので先に進ましていただきますが、この件については予算も組んで支出もすでにいたしている部分もあるようでありますし、ひとつこういうことがむだにならないようにしっかりとした形で対応をやっていただきたい。御要望を申し上げておきます。  次に、長期エネルギー需給暫定見通しの抜本的再検討という問題が最近言われておりますが、この件についてお尋ねをいたします。  去る五月十九日に、総合エネルギー対策推進閣僚会議におきまして、長期エネルギー需給暫定見通しの抜本的再検討を行うことが決定されたようでございまして、この検討の内容については、昭和六十五年度のエネルギー需要の相当程度の引き下げを目指すものであり、特に石油需要の大幅な低下というものを考えなきゃならないだろうということが言われているようであります。ここにも通産省からの五月十九日付で出ました文書を参考にいただいております。  「今後のエネルギー政策長期エネルギー需給見通しについて」というこの中でも、三番目の項目で「我が国としては、中長期の国際石油情勢に照らし、また最近の我が国石油消費節減の動向を参酌して、東京サミット等で決定された六百三十万バーレル/日(昭和六十年)の石油輸入目標を相当程度下回りつつその安定供給確保を図り、一昨年八月の総合エネルギー調査会需給部会中間報告における昭和六十五年度七億キロリットル(原油換算)のエネルギー需要の相当程度の引下げを目指し、昨年環境の保全に留意しつつ策定された石油代替エネルギーの供給目標の実現に努めることを目標として、総合エネルギー対策を強力に推進することが肝要である。」ということもうたわれております。  こういうような中で、これは石炭の財源との絡みも出てまいりますのでお尋ねを申し上げるわけですが、昭和六十五年度の総エネルギーの需要量はどの程度の水準を想定されて見直しをされておるのか、またその場合の経済成長率はどのくらいになるのか、またエネルギーの弾性値はどういう形で見込まれておるのか、さらに中長期の国際石油事情をどのように見通しをされておるのか、こういった点でお聞かせを願えれば、お答えをいただきたいと思います。
  67. 森山信吾

    ○森山(信)政府委員 ただいま御指摘のございましたように、政府におきましては、長期需給暫定見通しの抜本的な見直しをやりたいということでございまして、十九日の関係閣僚会議及び二十二日の総合エネルギー調査会に対する諮問をしたわけでございます。  そこで、いま御質問のございました、そういう改定作業の中で、昭和六十五年度のエネルギー需要をどの程度に見込んでいるかということでございますが、私ども現在持っております計画では、七億キロリッターの見込みを持っているわけでございますけれども、それが具体的にどの程度の数字になるかにつきましては、先ほど申し上げましたように、総合エネルギー調査会需給部会に諮問をしたばかりでございまして、政府サイドとしてこれこれの数字が望ましいという予断をお示しするのもいかがかという観点から、そういう点につきましてはまだはっきり申し上げてないわけでございます。  いずれにいたしましても、今回の改定の一番大きなポイントは、六十年及び六十五年におきます六百三十万バレル・パー・デーという輸入石油量を大幅に引き下げるということでございますので、その観点からいたしますと、七億キロリッターは相当大幅に引き下がってもいいんではないかという気持ちを持っているわけでございます。ただ、具体的な作業は、いまから総合エネルギー調査会で検討していただくことになっておりますので、私どもがこの程度の数字を頭に描いているということは、この席では差し控えをさせていただきたいと思うわけでございます。  それから、経済成長率につきましては、現在政府が持っております七カ年計画によります成長、すなわち五・五%程度というものをあくまでも前提として、私どもは今度の改定作業も行っていきたい、そういう諮問をしてみたいというふうに考えておりますし、弾性値につきましては、御高承のとおりに、現在の計画見通しのあの弾性値は、最初の五カ年間が〇・七七、次の五カ年間が〇・七五という弾性値をはじいているわけでございます。  ただ、これは七億キロリッターの総需要とのバランスにおきましてはじいたわけでございますけれども先ほど申し上げましたように、七億キロリッターという総需要を相当引き下げるという前提に立ちますと、当然にこの弾性値の方も引き下げていかざるを得ないということでございまして、ちなみに過去二年間の実績を申し上げますと、弾性値は〇・五から〇・五三くらいの見当になっております。これは省エネルギーが大変浸透したこと、それからエネルギー原単位を民間においても大変向上させていただいた、こういうことの効果だろうと思っているわけでございますけれども、ただ、過去二年間の実績だけで十年間の見通しをスライドさせることも若干問題があろうかと思いますので、そういう点も含めまして、総合エネルギー調査会で今後数カ月検討をしていただきたいというふうに考えておる次第でございます。
  68. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 こういう見直しの、いま取っかかりでございますが、そういう中での総合エネルギー政策の中における石炭位置づけというものも、これまた再度検討しなければならぬ大切なことになると思いますが、こういう点について、どういう位置づけをお考えになっていらっしゃるのか。これは大臣にお尋ねをいたしたいと思います。
  69. 田中六助

    田中(六)国務大臣 私ども需給暫定見通しの中で、昭和六十五年、つまり十年先には石油依存率を五〇%に下げる、あと代替エネルギーでこれをカバーするということでありまして、この基本的な方針は大幅に変わることはないわけでございます。したがって、代替エネルギー五〇%の中で大きな座を占めるのはやはり石炭でございまして、私ども国内二千万トン体制を維持すると同時に、海外石炭を一億四千三百五十万トン、一般炭原料炭を含めましてそういうものを予測しておりまして、合わせて一億六千三百五十万トンという石炭をその代替エネルギーの中心に据えております。もう一度言いますと、国内はあくまで二千万トンを維持したいという体制でございます。
  70. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 次に進めさせていただきます。  石炭対策の財源について、いまお尋ねした問題と絡めながらお尋ねいたしたいと思いますが、産炭地域振興臨時措置法も十年延長が決定されて、今月十五日から施行になっておりますが、同時にまた、石炭対策の新しい政策答申が予定されておる中で、この産炭地域の振興対策、それから鉱害対策等を含めまして、総合的な石炭政策というものがこれからは強力に展開されていくというふうに私たちは確信をしておるわけでありますけれども、それに伴いまして、当然石炭対策に要する財源が増加してくるのじゃないか。特に産炭地域振興臨時措置法の十年延長と絡みまして、私ども地元福岡の状況を見てみまして、十年延長で果たして確実にいろいろな問題が解決できるだろうかという不安も多分に残っております。  そういう中で、この財源の問題というものに特に私ども注目をいたしておるわけでございますが、いまも御質問申し上げましたように、「長期エネルギー需給暫定見通し」を再検討する中で、特に石炭の財源となっております原重油関税関係の収入が、石油の輸入が減ることによってずいぶんと減ってくるのじゃないか、いわゆる財源が減ってくるのではないかという心配が大変あるわけでございます。こういう見通し再検討の中で、石油輸入量はどのくらい減ってくるというふうに見通しを持たれているのか。また、こういう原重油関税の収入は終局的にはどういう推移になっていくという見通しを持っておられるか。  さらに、石炭対策が必要とする資金の中長期見通しというものはどういうふうに見ておられるのか。資金計画整合性を欠いたときにどういうふうに対策を講じられるのか。現実に原重油関税等が減ってきた場合に、石炭に対する新規財源については何かお考えになっていらっしゃるのか。たくさん並べましたが、こういった点につきまして、確たる見通し対策等についてお聞かせいただきたいと思います。
  71. 森山信吾

    ○森山(信)政府委員 御高承のとおり、現在の石炭対策費の主力は原重油関税から賄っておりますけれども、いまお話がございましたように、原油の輸入量がそれほど大きく伸びていかないということが懸念されておるわけでございます。本日告示いたしました五カ年間の石油供給計画で見てまいりますと、五十六年度の原油の輸入量が二億五千六百万キロリットルでございますし、五十七年は約三・九%の原油の伸び、それ以降は二・六%、二・二%、一・八%という大変小さな伸びしか期待できないということになっておるわけでございます。したがいまして、原重油関税に頼っております石炭対策費を、従来のパターンのままで財源的な賄いをするということになりますと、かなり窮屈になってこざるを得ないという心配があるわけでございます。  そこで、しからば原重油関税の特別会計への繰り入れの際に従来の比率を変更する方がよろしいのか、あるいはもう少し財源を新規に求めるという考え方をとったらよろしいのかということにつきまして現在検討しているわけでございますけれども、まず第一点の、現在の繰り入れは、御承知のとおり十二分の十が石炭対策費で、十二分の二が石油ということになっておりまして、その比率を大幅に変えるということは、現実の問題としてなかなかむずかしいだろうということでございます。  五十六年度は、定率法をやめまして定額法にしたわけでございますけれども、そういうことで果たして抜本的な財源対策がとれるかどうかにつきましては、若干疑問がございますので、どうしても新しい方向を探らざるを得ないということでございます。  しからば、新しい方向としまして新税に期待するかということになりますと、いま増税なき財政再建ということも内閣としての至上命令でございますので、新しい税を求めていくことも不可能であろうということでございまして、私どもがいま検討いたしておりますのは、総合的なエネルギー予算の中で石炭位置づけをはっきりさせることによりまして、予算の組み方、石炭対策費の組み方について少し弾力的な組み方をした方がいいのじゃないかなというようなことをいま検討している最中でございまして、いずれことしの八月末には来年度の予算要求をしなければならぬわけでございますので、そのときまでにははっきりした考え方を持ちまして予算要求したいと思っております。  ただ、基本的に言えますことは、苦しい財源の中で何とかやりくりをしまして、近く答申がされるであろう第七次答申、あるいは先生の御指摘になりました、産炭地振興法の延長によります今後の産炭地対策、これが可能になるような財源手当てというものを極力求めていきたいと考えている次第でございます。
  72. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 法延長に伴う今後の十年間、さらに石炭関連の各法律、来年度もいろいろ期限切れが出てまいりますが、これは当然延ばしていかなければならぬと思いますが、こういう絡みの中で、過去の十年間より以上の相当の財源が確保されないと、大変な問題が起こってくるのじゃないかというふうな気もいたしておりますので、いま長官お答えの形の中で、財源確保についてはより一層の努力をしていただくように御要望申し上げておきます。  次に移らせていただきますが、産炭地域振興対策の現状についてお尋ねをいたしたいと思います。  先ほど申し上げましたように、産炭地域振興臨時措置法の改正案が五月十五日から施行されておりますけれども、この改正案の施行に伴いまして、これは過去いろいろ委員会の中で御質問も申し上げ、お答えも聞いてきたわけでございますが、いよいよ現実の問題として対処しなければならない、さらにはこれからの十年の第一歩を踏み出すものとして、五十七年度予算の中に反映もしていかなければならない、こういう大切なときに当たりまして、いろいろと考えていかなければならない問題がございますが、その点をお尋ねいたしたいと思います。  最初に、経済生活圏の設定の問題でありますが、設定につきまして、私もこの前、地元が福岡でございますので福岡の方の状況、これは新聞報道等もいろいろなされておりますが、そういった関係を調べてまいりましたところ、大体地元の方では、福岡県が中心になりまして、各市町村からも人が出てきての検討の中で、経済生活圏というものを大体四ブロックにしようという意向を固めておられるようであります。  これは私もいろいろと意見を聞き、私なりにながめてみまして、やむを得ないのかなというふうな気もいたしますが、こういった経済生活圏の設定につきましては、通産段階では、上がってきたものを検討して、さらに意見交換をして最終的に決める、こういうことになるのだとは思いますが、こういう経済生活圏の設定の問題、それからこれに伴う発展計画の策定ということがいま急がれているわけでありますが、特にこれは予算との関連も出てまいります。こういうものはなるべく早く決定をして方向づけをしなければならぬ、こう思うわけでありますが、この経済生活圏につきましては、地元から上がってきたもの、大体の検討をされたものの内容は尊重して、そのまま通産としては認めていくという方向にあるのかどうか、こういった点。  それから発展計画の策定につきまして、これは来年度の予算の中に繰り入れられる形態の中で、この発展計画の策定というものが通産段階でも最終的に押さえられるのかどうか。それと、指定解除の問題なども大変な問題としてありますが、こういった点について、どういうふうな流れになっており、どういうお考えで進めていこうとされておるのか、お尋ねをいたします。
  73. 福川伸次

    福川政府委員 産炭地域振興臨時措置法につきましては、十年間延長ということで、それに向けましていま作業を急いでおるところでございます。  まず、御指摘経済生活圏の圏域の確定についてどうかということでございましたが、私どもも、地方公共団体と申しますか、道及び県の意向はできる限り尊重いたしたいというふうに思っております。法案の審議の過程でも、いろいろ御議論がございましたが、自治省あるいは建設省等々でいろいろやっておられます行政上の圏域がございますが、そういった広域市町村圏あるいは地方生活圏、こういったものとの整合性を見ながら、この経済生活圏域を設定をしていこうということで、道県とも連絡をいたしております。私どもも、できる限り道県の意向を尊重してまいりたいと思いますし、また私どもも、必要があればなるべく早い段階から意見交換をするというような形でこれを確定してまいりたいというふうに思っております。  作業といたしましては、この圏域の設定と同時に基本計画改定するかどうかということがございます。さらにまた、いま御指摘がございました広域発展計画、道県がつくります広域的な視点に立ちました発展計画の地元の素案というのができてまいりまして、さらにそれをもとにいたしまして実施計画に至る、こういう作業手順になるわけでございます。  さらに形式的に申しますれば、実施計画ができました後に、それをもとにしたいわゆる実施プログラム的な意味での広域発展計画の確定、こういうことに至るわけでございます。いま関係の道県でも鋭意作業をお進めいただいております。私どもも、できるだけ早くこの方向づけをいたしてまいりたいと思っておりますが、いま御指摘の福岡県を四つにしようということは、私どもの方はまだ承知いたしておりませんが、そういう方向で検討がお進みになり、コンセンサスができてまいるということになりますれば、それが設定に至り、さらにそれを計画の基礎にしていく、こういうことになろうかと思っております。  大体のめどといたしましては、少なくとも圏域の設定それから解除基準の策定、あるいは基本計画を直すわけでございますが、これにつきましては秋、できれば九月中ぐらいにでもめどをつけたいと思いますし、それから広域発展計画の地元の素案は十月ごろあるいは十一月、秋には実施をして、それから新しい法律の時期に入りましてなるべく早い時期に、年内にも実施計画をつくる、こういうようなことでいたしたいということで、関係道県との作業を進めてまいりたいというふうに思っております。  また、関係省庁との連絡体制につきまして、法案の審議の過程でいろいろと御指摘がございまして、私どもも、いま申し上げましたような作業手続、これをさらに自治体の作業の中で関係省庁でも内容を御指導いただかなければならないわけでございますので、昨日、各省連絡会を開催いたしまして、連絡協調体制を密にするという一環でこの作業案を御説明申し上げ、関係省庁との一体的な運用ということでの協力体制を進めつつあるということを申し上げておきたいと思います。
  74. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 事務段階、事務レベルで、いまの圏域の設定にしましても、発展計画の策定にしましても、鋭意急がれておるということは十分わかるわけでありますけれども、いまおっしゃったような流れの中で、果たして来年度、五十七年度予算の中に、具体的に予算の要求とその反映をさせ得るのであろうかという心配が非常にするわけでございますが、こういった点については大丈夫だという自信をお持ちなのかどうか、この点お尋ねをいたします。
  75. 福川伸次

    福川政府委員 御指摘のとおりに、予算要求は八月末までに提出をいたす予定に相なっておるわけでございます。いまこういった作業が道県を中心に進められており、また関係省庁でもそれの支援体制を進めていただくということになるわけでございますが、いま申し上げましたことも内容的には順次明らかになってまいるわけでございまして、最終的な確定に至りませんでも、その目指すところあるいはその意図するところは順次明らかになってくるというふうに思っております。したがいまして、本年度の予算の執行につきましても、あるいはまた来年度の予算要求につきましても、それぞれの作業を途中の段階でもくみ上げて、予算要求等につきましては支障のないように、私どもも関係省庁、関係道県あるいは市町村とも十分連絡を密にしながら、そこは支障がないように努力をしてまいる所存でございます。
  76. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 そこらあたりが大変心配になりますので、特に再々申し上げるようですが、これからの十年間というものは、いままでより以上に力を入れていただき、また財源確保ないしは予算の投入、各省庁との連絡を密にしながらやらないと、十年でまた落ちこぼれてしまうという可能性が十分あるのではないかという心配がございます。そういう意味で、出発に当たって、くどいように申し上げているわけですが、この最初の出発に当たっての予算の措置に十分反映できるように、今後もさらに対策を講じていただきたいと思います。  その中で一つ、新しく本年度から十一億の調整額が予算として計上されておりますけれども、地元の方で、これは困るので早くはっきり決めてもらいたいというような要望が出ておりますのは、この調整額の交付要領ですね、これを早く策定してもらいたい、これは発展計画の策定との絡みの中でもそういう要望も出ておるわけでございますが、この交付要領についてはどういう形でいつごろ策定されて出てくるのか。  それから、この新規の調整額、本年度は通産当局の努力でこういうものが計上されておりますが、われわれ地元の立場から考えてみますと、これは毎年ふくらんだ形で予算はぜひ計上していただきたいなという要望の強い予算になるわけでありますが、これが行革との絡みの中で、来年、再来年あたりどういう形になっていくのだろうかという心配もございます。これはぜひいま申し上げたような形で予算は確保しながらやっていただきたいと思うのですが、この点について、二点お尋ねをいたします。
  77. 福川伸次

    福川政府委員 御指摘の特定事業促進調整額でございますが、いまその交付要綱を鋭意検討いたしております。六月ないしは七月には、それは確定をして関係方面に御連絡をいたしたいというふうに考えております。  それから、五十七年度の予算について十全を期すようにというお励ましの言葉をいただきました。御高承のとおりに財政事情はきわめて厳しい状況にあるわけでございます。しかし、私どもといたしましては、五十六年度の執行の状況を見、想定し、さらにまた今後の産炭地域の広域的な振興対策、これを見定めながら、それに必要な資金需要等の把握に努めまして、この予算の確保につきましては適正を期していくということで、ぜひ努力をしてまいりたいというふうに思っております。
  78. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 予定された時間が参りましたので、最後に一問だけお尋ねして終わりたいと思いますが、いま申し上げたような形はぜひひとつ強力に推進をお願いいたしたいと思います。  それで、最後に一つですが、産炭地域振興臨時措置法はもう十年間延長が確定いたしましたけれども、来年度から次々にまた石炭関係の法律が期限切れになってまいりますが、こういう関係法律の延長期間の考え方等についてお尋ねをいたしまして、質問を終わらせていただきます。
  79. 田中六助

    田中(六)国務大臣 産振法は御承知のように国会で十年延長になりました。鉱害復旧並びに鉱害対策の二法は来年の七月の終わりに期限切れになります。その他関連法もございますが、産振法が十年延長されておりますし、これらはつながっておる法律でもございますし、それを勘案して対処しなければならないと思っております。それぞれ石炭鉱業審議会の各部門に諮りたいと思っておりますので、その答申も得た上勘案して処理していきたいというふうに考えます。
  80. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 どうもありがとうございました。
  81. 森中守義

    森中委員長 小渕正義君。
  82. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 かなりの部分、ほとんど広範囲にもう午前中から質疑が交わされておりますので、ポイントをしぼってお尋ねをしたいと思います。  まず最初に、先ほど鍛冶委員からも質問がございまして、要するに、一昨日も報道されました「日米独の「石炭液化」中止」の報道記事に対しましての現在の状況の御説明がございました。この問題は、実は過日の二月の予算委員会の中でもこの種の問題が取り上げられて、政府が予算措置を講じておるにもかかわらず、レーガン政権においてはこれをやめるという動きをしておるが、そういう関係でどうなのかということが論議になったと思います。その当時の大臣の説明では、政府同士の一つの協議、協定の中ででき上がった問題であるので、そう軽々にアメリカ側の事情だからといってやめるということは困る、そういう意味で、どこらあたりに真意があるのか、そこらあたりをもう少し詰めてみたい、要約するとこういうような大臣答弁があったように私は理解しておるわけであります。  そういう関係から考えまして、二日ほど前の報道記事との関連で、大臣としてこの問題はどのようにお考えなのか。少なくともことしの一月ごろからこの問題は世間に表面化しておるわけでありますので、アメリカ側としては、三国共同による液化関係のプロジェクトは中止するという態度はもう決定的じゃないかと思うわけでありますが、大臣のこの問題に対する今日までの経緯の中における見通しといいますか結論といいますか、そういうものをお尋ねしたいと思います。
  83. 田中六助

    田中(六)国務大臣 SRCIIの問題につきましては、まさしく御指摘のとおりの答弁をしてまいりましたが、六月二十三、二十四日にボンで日独米の三国でまた話し合うようになっておりますけれども、アメリカはレーガン大統領の年頭教書にありましたように、これを一般会計から外しておるわけでございます。私どもとしては、あくまでこれはおかしいじゃないかということをいまも主張しております。しかし、アメリカが一般会計からの費用はいやだということでございますし、今後のコストとスケジュールの見積書をSRCインターナショナル社、つまり日独米の三者で構成しておるこの会社に要求しておりますし、この会社もそういう観点から見積書を出しております。  したがって、その結論というものをどういうふうに持っていくかでございますが、私といたしましては、その計画書そのものは非常に膨大な資料でございますが、ここまで来た以上その資料をまず手に入れていくこと、向こうはそれさえも渋っておる点もございましたけれども、それはあくまでわが方といたしましては主張して、一応六月のボンの会議でその点を十分話し合おうということになっておりますので、その点の期待を含めて、私どもはボンの会議に代表を臨ませたいというふうに思っております。
  84. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 最後まで期待といいますか希望を捨てないで、そういう意味でいろいろとなお引き続き努力したいということのようです。そのボンでの会議の結果どのようなものになるかわかりませんが、これは新聞報道でありますが、場合によっては日本単独でも、予算措置が一応講ぜられている八百億円の範囲の中で、単独事業としてでもプラント関係のものは取り組まれる可能性もあるというようなことをちょっと示唆したような記事になっておるわけであります。当局としては、この日米独石炭液化問題についての最終的な決着がどうしても結果的にはお流れになったということになった場合は、わが国独自でも何らかの形で推進する、そういう意向がおありなのかどうか、その点をお尋ねいたします。
  85. 田中六助

    田中(六)国務大臣 先ほど申し上げましたように、計画書と申しますか一つの見積書はいままで参っておりますので、ある程度の足は突っ込んでおるわけでございます。したがって、すべての仕事がそうでございますが、計画書とか見積書があれば、日本も、私どもの工業技術院あるいは民間では三井鉱山は液化の事業をすでにやっておりますので、そういうことの経験を踏まえますれば、計画書の上にのっとって日本独自でもやろうかという案が当然一つの案として浮かび上がるのじゃないかと思っておりますけれども、六月の末の会議、それからそこでどういうように発展するかということも勘案して決めなければなりませんが、いま御指摘の点は、もしもこれが不調に終わった場合、日本の将来の代替エネルギーというものを考えた場合には、そういうものも一つの案であろうかとは思っております。
  86. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 仮定の話なのでこれ以上は申し上げませんが、不調に終わった場合でも、少なくとも石炭の液化、ガス化というのはこれから取り組まなければならない大きな仕事でございますし、わが国の技術をもってしても私は当然可能なものだと信じます。したがって、ひとつぜひそういう決意の中で、これからも積極的にわが国独自の技術としてでも取り組まれるよう特に期待し、お願いしておきたい一かように思います。  次に、一口に二千万トン体制と言われている点についてお尋ねいたしますが、わが国長期エネルギーの基調の中で、わが国石炭産業については二千万トン体制を維持するということがその基調の中の一つでありますが、この二千万トン体制というのは一体どういうことなのか。現在の生産量から見ますならば千八百五十万トン、千九百万トン程度。しかし、五十四年、三年を見ますと貯炭が約三百万トン程度。それを合計いたしますと二千百万トン以上、大体そういう体制ができるわけであります。  生産からだけ見ますならば二千万トンまでは手が届かない、こういう状況の中で、数年、過去見ましても千七百五十から千八百五十、よくても千九百万トンですか、少なくとも二千万トンにはまだいかないような状況で過去の状況は推移しているわけでありますが、この二千万トン体制を維持するというのは、そういう意味では、一体、直接の生産体制としての二千万トンを言っているのか、またはそういう貯炭を含めて常時わが国としては二千万トン年間ずっと確保するのだという意味で言われているのか、その点をひとつまず明らかにしていただきたい。  それから、二千万トン体制ということは、少なくとも生産体制であるならば、それの確保できないギャップについてはこれからどのような対策を立てようとされておるのか。今日の生産体制の各それぞれの山の状況の中で果たして可能なのかどうなのか。それを可能にするためにはどういう手を打たなければならないのか。そういうものについての当局のお考えをひとつお示しいただきたい、かように思います。
  87. 福川伸次

    福川政府委員 第六次の答申におきましては、二千万トン体制の維持をめどとするということがうたわれておるわけでございます。この当時の考え方といたしましては、ちょうどこの第六次の答申を策定をいたしました、その作業の行われておりました当時は、二千万トン以上の生産が出ておったわけでございます。それで今後、当時といたしましてその後、油炭格差、石油石炭との格差というのは解消に向かう、それから国内炭輸入炭との格差は今日あらわれるような形にそれほど大きくはなるまいという想定のもとに、当時ありました生産水準を維持していこうという考え方で、大体二千万トンの体制ということがうたわれたものというふうに考えておるわけでございます。  しかしながら、不幸にいたしまして、当時想定しておりませんでした円高が非常に進行をするということで、海外輸入炭がかなり格差が出てしまった。こういう状況があり、また第一次オイルショックの後の不況が予想以上に深刻であった。特に当時は原料炭中心の需要でございましたが、その需要先であります鉄鋼業の不況ということで需要の不振が起こった。さらにまた災害等が不幸にしてありまして、そして減産が行われたといったようなことで、現実生産はそれ以後大体千八百万トン前後で推移をしてくる、こういうことになったわけでございます。  それで、考え方といたしましては、いま在庫も含めての二千万トンかというお尋ねでございましたが、第六次の政策は、いわゆる生産出炭で二千万トン程度と、当時の生産を維持していこうという考え方でありましたが、いま申し上げましたような事情で二千万トンを下回らざるを得なかったというのが現実の推移で、当初想定しておりましたものとは異なった推移をたどらざるを得ない状況に相なったというわけでございます。  この生産水準をどうするかということでございますが、この二千万トンの生産体制を今後の石炭政策あるいはエネルギー政策の中でどのように位置づけていくかということにつきましては、本日もいろいろ御議論があったわけでございます。新鉱の開発可能性ということも一つの検討の課題でございます点はここでもしばしば御意見があったわけでありますが、今後、現有の炭鉱ということを見ますると、今後の合理化努力によりまして現状程度の生産水準は一応維持していきたいというのが石炭企業の考え方でございますが、さらにその後、新鉱とかあるいは再開発、買い上げ鉱区あるいは消滅鉱区の再開発といったようなことが可能であるかどうかということをさらに検討してみる必要があるというふうに思うわけでございます。  新鉱の開発につきましては、ここ数年いろんな形で調査をし、その可能性を検討してまいっておりますが、従来までの検討の結果によりますと、経済性においてもこれまたかなり問題があるし、また、地上権との調整の問題あるいは鉱害問題等々に問題があるわけでございまして、いますぐ採算に乗る、あるいは現有炭鉱と同等程度の形にいくにはなかなかむずかしい問題がございますが、今後の国際的な石炭需給考え、これからの価格の推移等を想定してみますと、かなり従来とは違った状況に相なってくるというふうに思うわけでございます。  したがいまして、今後、その国内炭鉱の新規あるいは現有の炭鉱も含めまして賦存状況等々を考え、さらにまた将来の価格動向、需給動向を踏まえて、さらに現状程度の生産水準をそのまま維持するのか、あるいはさらにもう少し拡大の方向が可能であるのかということを十分検討をして、第七次策としてその国内炭位置づけを明らかにしていく。こういうようなことで、私どもとしても、二千万トンの体制、第六次政策でやってまいりましたことに現実の推移を踏まえまして、今後のお考え方答申で明らかにされていくということになるのではないかというふうに考えておるわけでございます。
  88. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 ただいまの説明によりますと、要するに第六次答申の状況の中では生産出炭としての二千万トンの大体状況にあった、その後不況の進行または特にどちらかというと海外炭との価格格差の問題等から、結果的には千八百万トン体制になっておるのだ、こういうような意味の御説明だと思います。  したがいまして、お尋ねしたいのは、二千万トン体制確保すると言いながらも、そういう海外炭その他との価格の格差の問題、そういった外の要因といいますか、需給の面からの制約で、場合によっては二千万トンが千八百万トンになり千七百万トンになり、または千九百万トンになるというような、そういう変動要素を持つということでこの二千万トン体制というものを考えられておるのかどうか。  それとも、あと一つは、二千万トン体制を本当に確保するとすれば、現在のそれぞれの状況の中でも、手を打てば絶えず生産体制としての出炭は二千万トンは確保できる、またそれはぜひ維持する、そういう意味でとらえていいのかどうかということになりますと、どうもいまの答弁ではそこらあたりはかなり幅があるような、そういういろいろな外的条件の中で絶えずこの二千万トン体制と言われながらも不安定な状況に置かれている、こういうふうな感じを率直に受けざるを得ないわけでありますが、その点はいかがでしょうか。  これからも、エネルギー需給の中のわが国国内炭二千万トン体制が大きな一つの基調であるということが先ほどからも言われておるわけでありますから、そういう二千万トン体制の基調というものが、そういういろいろな外的要因またはいろいろなそういう要因の中で絶えず変動する、そういうことがあって果たしていいのかどうかという疑問をわれわれは持つわけでありますが、その点に対する確たる見解をひとつお示しいただきたいと思います。
  89. 福川伸次

    福川政府委員 午前中からもいろいろ御議論がございますように、私どもも、国内石炭生産、これを安定的に確保していくということが非常に重要であるというふうに思っておるわけでございます。もちろん、今後の生産の中に経済性を全然無視していいか、無視してもある一定量を必ず出すとまで言い切るのはいかがかとは思いますけれども経済性と安定性というものの調和を図って、できる限り安定的な出炭体制をつくっていく、こういうことが非常に重要なことではなかろうかというふうに思っておるわけでございます。  先ほどの需要面の問題あるいは海外炭の問題も一つの課題でございましたが、国内につきましても、従来いわゆる骨格構造の若返り等々の助成措置を講じながら、現有炭鉱生産の維持に私どもも努力をしてきたわけでございますが、いろいろな先ほど申しましたような事情でこのような推移になってきたわけでございます。  きょう国会でもいろいろ御議論がございましたように、国内の賦存状況と、それから今後の海外の国際的な石炭需給あるいは価格の動向を踏まえながら、今後の生産体制考えていかなければならないわけでございまして、いまいろいろ申し上げましたような諸条件とどのように融合し、経済性と安定性の調和を図ってこの生産体制をつくっていくのかということを、今後の答申の中で明らかにされることを私どもも非常に期待をしているということでございます。
  90. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 結局、政府が現在見直しをやられておりますが、長期エネルギー需給計画の中では、石油にかわるべき代替エネルギーが少なくとも五割以上のウエートを占めるような、そういう計画が一応盛り込まれておるわけでありまして、そういう中における石炭のウエートは、逐次高くなっていくことは御承知のとおりであります。したがって、この需給計画を見ますと、一九八〇年代の後半になりますと、ほとんども海外炭が主要な部分を占めるような状況になるわけであります。  そういう関係で考えますならば、わが国国内炭というものは、そういう海外炭との格差、最近また若干変動はありますが、どうしても国内炭海外炭との価格の格差問題を中心にして、どちらかというと国内炭というものは非常に不安定な状況の中に置かれていくのではないか。少なくとも一九八五年または七年というような後半を見ますならば、そのウエートから見ましても、海外炭が大きなウエートを占めるわけであります。そういう点からいきますと、私は、国内炭の存立さえ危ぶまれるような状況が、場合によっては起こり得るのではないかという感じさえします。  というのはなぜなのかと申し上げますと、かつての石油の関係から石炭産業が撤退していったというのは、そういう経済性という問題が重視されたための結果であったわけであります。したがいまして、先ほどから私がお尋ねしておりますのは、ここのところで国内炭の二千万トン体制は、どのような状況になろうとも、絶対これはわが国エネルギー需給の中における基調として確保するんだというきっちりとしたものがはっきりない限りは、変動的な要因をそういうもので考えるとするならば、私は、結果的にはそういう海外炭のいろいろな問題に押しまくられて、国内炭はますます不安定な中において、減産体制にならざるを得ないような状況に追い込まれることなしとしないというような感じがするわけであります。  したがいまして、先ほどからお尋ねしておるわけでありますが、政府が策定しておる長期エネルギー需給計画の中での二千万トン体制というのは、どのような外的要因があろうとも、やはりわが国国内炭として絶対にこれだけは確保する、生産体制をこれだけは守っていくんだという、そういう確たる基本線が貫かれるのかどうか、その点についての考え方はどうなのかということをお尋ねしておるわけでありますので、その点について再度ひとつ見解をお願いいたします。
  91. 福川伸次

    福川政府委員 いま、外的な要因の中で非常に不安定な状況になるのではないかというお話でございました。御指摘のとおり、今後輸入炭のウエートはかなり大きくなってまいりまして、国内炭の比重が低くなってまいるわけであります。しかし、私どもも、国内炭の安定的な生産ということに役立ちますように、従来から国内炭の優先利用ということで外貨割り当て制度の運用を図ってまいりましたし、またそれぞれ骨格構造の若返り等々の助成措置を講じてきたわけでございます。  今後のエネルギーの供給見通しの中で国内炭位置づけはもちろん明確にされなければならないわけでございますが、今後国内炭が私企業原則ということで展開されてまいります限り、ある数字を絶対的に維持する、こういうことにつきましては、私企業原則でもございますことでありますし、また経済はそれぞれいろいろな実態によって動くわけでございますから、その結果がどうなるかという保証につきましては、私どももいろいろ問題があろうかと思いますが、今後の政策を展開していきます将来のめどということにつきましては、けさほどからいろいろ御議論がございましたような形でこの政策の展開をしていく、その基礎をいま石炭鉱業審議会の中で御議論を願っているということでございまして、私どもとしては、ここでのいろいろ御議論も踏まえながら、石炭鉱業審議会答申の中に盛り込まれていくということを期待をしているというわけでございます。
  92. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 政府国内炭優先活用という場面ではいろいろな努力をされておることについては、これは率直に肯定するわけでありますが、先ほど申しますように、経済の原理、特に今日、経済メカニズムに依存しているような運営のあり方等から考えますならば、必然的に経済性の追求という面から、先ほどのような不安定な状況の中にますます追い込まれるのじゃないか、実は私はそういう問題が非常に内包されているような感じがいたします。したがいまして、この問題は、わが国のこういったエネルギー政策に対する基本的な一つの柱として、国内炭二千万トン体制をどうするかということについて、きちっとしたものをはっきり据えておかないことには、経済性の中における問題から、そういったいろいろな外的要因の中で絶えず揺れ動く不安定な状況になるのではないかということを私、非常に懸念するわけであります。  したがいまして、この問題はまた後で第七次の答申の関係の議論がなされようかと思いますので、その節に申し上げたいと思いますが、ともかくそういう意味で、私は、ぜひひとつここらあたりで、いままで以上に大胆な一つの発想を持ってこの問題に取り組まないことには、単なる作文上だけの、わが国エネルギー対策国内炭二千万トンの位置づけというだけに終わってしまうのではないか、非常にそういう感じがするわけでありますので、その点一言意見を申し上げながら、次に移りたいと思います。  次に、これから石炭を盛んに活用するような段階に来るわけでありますが、この「コール・ノート」の中で、拝見してみましたのですが、要するに、これから石炭をどんどん活用する場合において、付属的ないろいろな問題が発生いたします。脱硝、脱硫装置の問題、大気汚染の関係の問題、それから一番大きなのは、私は、そういった技術的な脱硝、脱硫装置なんというのは解決していくと思いますが、灰の問題、要するに利用した後の灰の処理をどうするかということは、これからの大きな課題だと私は思います。そういう意味で、ひとつ長期的な視野に立って、灰処理の技術開発はどのような現状になっておるのか。  この「コール・ノート」の中では、イギリスや西ドイツあたりは約五〇%程度のそういったものがもう開発されて活用されているようなことが出ていますが、わが国の場合はこれはデータが載っていませんけれども、そういう灰処理の活用技術の開発状況はどうかということと、それとあわせて、これから膨大な灰が石炭処理することによって発生してくるわけでありますが、そういう意味での長期的な視野に立った対策というものが、現在検討が進められておるのかどうか、その点をお尋ねいたします。
  93. 福川伸次

    福川政府委員 御指摘のように、今後石炭の利用が進む、とりわけ石炭火力発電所の能力が増大してまいりますと、その灰の処理というのが大きな問題になります。セメントにつきましては、その灰もその中でまた有効に利用していけるということになりますが、主として大きく問題が出てまいりますのは石炭火力であろうというふうに思うわけでございます。  一応私どもの方で大体の推算をいたしますと、六十五年度で約六百万トン程度の灰が発生するのではなかろうかという一つの推算もございますが、この問題をいまから研究開発を含めて十分やっていかなければならないわけであります。いま灰の処理の仕方といたしましては、これを埋め立てに使う、あるいは物によっては一部海洋投入処分をするということもありますが、第三の方法として、有効利用を図っていくという方法があるわけでございます。この灰を資源として有効に活用する、この技術を促進することが非常に重要であるわけでございます。  現在もセメントの混和材あるいは肥料、それから炭鉱の採掘後の充てんといったようなものに利用されておるわけでございますが、さらにその利用範囲を一層拡大していくということのために、昭和五十五年度から石炭利用技術振興費補助金という補助金の対象の中に、その補助対象のテーマといたしまして石炭灰の有効利用技術ということで、重要研究課題といたしましてこれを選定いたしまして、土木用あるいは建築材料用あるいはセメントの原料等々いろいろございますが、たとえば断熱、防音材等に使うとか、いろいろな利用の範囲を拡大をしていくということをいま研究を進めておるわけでございます。  現在、石炭火力発電所の灰処理センター等の調査も進めておりまして、これにつきましても委託調査を三億円計上いたしまして五十六年度実施をいたしておりますが、この石炭の灰の有効活用あるいは火力発電所の灰の処理問題ということにつきましては、いまから十分努力をしていかなければならないということで、関係者でいまそのような努力をいたしておるということでございます。
  94. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 そういった研究投資については、ぜひひとつ思い切ってやっていただくようにお願いしておきたいと思います。  次に、あと一つお尋ねしますが、わが国石炭の埋蔵量は一体幾らあるのか、これについて同一基準による、全国的な規模による科学的調査をやったのは、一九五一年から五五年ごろにかけてやられた以後何もやられていないということで、現状の中においてはっきりしたものがどの程度あるのか、つかみにくいような話も聞くわけでありますが、現在当局で把握されているのは大体どのような状況にわが国の場合あるのかということをひとつお聞かせいただきたい、かように思います。
  95. 福川伸次

    福川政府委員 御指摘のように、昭和二十五年から三十年の六年間にわたりまして全国規模で埋蔵量調査を実施いたしたわけでありますが、そのときのものによれば、理論可採埋蔵量で二百億トンということが言われております。それから実収可採炭量というのをどういうふうに推定するかということでございますけれども、大体昭和五十五年程度の状況で一定の条件のもとに推算をいたしてみますると、大体トン当たり三万円程度のコストで千二百メートルより浅いところということで推定をいたしますと、大体十億トンという計算がございます。いま既存の区域におきましては大体七億トン、さらに新規の区域で三億トンということでございまして、大体採炭コスト三万円程度という前提を置いてみますると、一応十億トン程度ということの推算がなされておるわけでございます。
  96. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 実収炭量ですか、大体千二百メーター程度の深部までの中で、三万円のコストの中で十億トンですか。ということは、現在は大体どの程度なんですか、三万円というこのコストのあれは。
  97. 福川伸次

    福川政府委員 大体採炭コストは一万五、六千円ぐらいであろうかと思います。
  98. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 それでは最後に、きょうサンケイ新聞にちょっと載っておって、ほかの新聞は載ってなかったのですが、北海道炭労の諸君が国内炭優先利用等の要求をもって二十七日、きのうからきょうにかけて四十八時間のストライキというか、坑内に座ってストライキをやっておるような記事が報道されておりましたが、その状況について当局で把握しておれば、ひとつお知らせいただきたいと思います。
  99. 福川伸次

    福川政府委員 炭労北海道の地方本部は、炭労中央本部の第七次石炭政策に対する要求貫徹と同時に国民世論にアピールするとの方針のもとに、五月二十七日一番方から四十八時間坑底座り込みを行っておるという御報告を受けております。現在のところ、作業等には直接の影響は出ていないということでございますが、この石炭政策につきまして、いろいろ関心を呼んでおるわけでございますが、私どもとしても、今後の七次政策ということにつきましては各界の御意見をいただきながら、国民世論の納得のいく形で、石炭鉱業審議会の方で妥当な答申が出されるのを期待しておるわけでございます。
  100. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 生産影響ないようなストライキだそうでございますが、第七次石炭政策に対する意思表明としての国民運動的な状況から行われたということのようですが、ちょっと腑に落ちないのは、そういうことであれば、われわれにも当然そういった行動を、われわれはこうやってやるんだということでのもっとアピールがあっていいと思うのですけれども、サンケイ新聞を読まなかったら、だれもそんな国民的な関心にはなっていないんじゃないかと思いますが、そこらは運動の問題でしょうけれども。  あと一つお尋ねしますが、きのうからきょうのそういったスケジュールの中でやられるというスケジュールが決まったのはいつごろか。きょうのこの石炭対策委員会に合わせてやられたんじゃないかという感じさえしますので、ちょっとそこらあたり、前からスケジュールがあっておるのかどうか、お尋ねしたいのです。
  101. 福川伸次

    福川政府委員 私どもも、そういう御計画があるということは一部新聞等で、いつでございましたか、数日前拝見いたしましたが、そういうことで、おやりになるということを私ども承知をいたしましたのは二、三日前でございます。
  102. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 これで終わります。
  103. 森中守義

    森中委員長 小沢和秋君。
  104. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 先日からこの石炭特別委員会に二回参考人の方々に来ていただきまして、私も勉強させていただいたわけです。その意見を伺った中で私なりに感じたような点も出しながら、まず質問をしてみたいと思うのです。  私は、特に石炭鉱業審議会の中でも第七次答申のいわばまとめの中心になられる向坂参考人の意見に関心を持っておったわけでありますけれども、一方では、国内炭いわゆる石炭産業の立て直しの好機だというようなことも言われているけれども、しかし、全体としてみると、必ずしも楽観的な見通しを持っておられない。私企業として今後もやっていくとすれば、それぞれの企業間の格差というのは非常に大きくて、安定補給金などを傾斜配分するぐらいでは落ちこぼれる炭鉱も出てくるんじゃないかというような可能性まで指摘をされているわけであります。まだこれは議論の最中だから当局としては答えにくい点はあるかもしれないけれども、当局もこういうような認識なのか。  こういう認識だとすると、私はやはり第七次石炭答申では、抜本的な国内炭に対するてこ入れ策というものを打ち出すことはどうしても必要になってくるのじゃないかということを感ずるわけですけれども、その点いま現在、当局としてはどういう認識をお持ちなのかということをお尋ねしたいと思います。
  105. 福川伸次

    福川政府委員 きょうも午前中から関係各委員の方からいろいろ御議論がございましたように、いま国際的なエネルギー需給、その中での石炭需給というのは非常に大きく変貌を遂げております。一時海外炭価格国内に比べてかなり安いという状態になっておりましたが、最近は非常に海外炭価格が上昇しつつございまして、国内炭の競争力は、そういう意味でいえば非常に改善を見つつある、こういう状況になってきていることは、私どもも事実そのとおりだと思っております。  海外の港湾、輸送施設あるいは炭鉱開発テンポを考えてみますと、ここ二、三年あるいは四、五年はこのようなややタイトぎみの状況が国際的に続くのではないかということで、もちろん価格石油のようになることはないと思いますが、やはり価格はある程度上昇傾向をたどる。国内炭との格差は縮小に向かうのではないかと私ども考えているわけでございます。そういう状況になってまいります。  一方同時に、国内炭は奥部化あるいは深部化の傾向をたどる。したがって、さらに一層の合理化をしてその不利な条件を吸収していく、こういう必要があるわけでございますが、私どもも、いま約千八百万トン程度の生産を維持しております既存の炭鉱、これは五年あるいは十年それなりの合理化投資を進めていけば、現在程度の生産水準は維持できるのではなかろうかというふうな考え方でいま見ているわけでございます。なお、いま最終的にいろいろな賦存状況あるいは投資の状況等を見て精査をいたしておるところで、まだ結論的なものではございませんが、とりあえずの感触としては、現在程度の国内炭を維持していくのではなかろうか。したがいまして、既存の炭鉱がさらに縮小される、あるいは閉山に向かうというようなことは、ここ五年あるいは十年一そういう可能性はむしろ少ないのではないかと思っているわけでございます。  しかし、また一方、では国内炭の現在の規模、千八百万トンをさらにどんどんふやしていって、千九百万、二千万あるいは二千万を超えていけるかということになりますと、いま既存の炭鉱を長く安定的に操業していくという観点等を考えてみますと、私どもとしては、いまの水準をここしばらく安定的に維持していくことの方が、将来のためにもどうもいいのではなかろうかという感じを持っているわけでございます。したがって、ここ数年間にしりすぼみになるという認識は、いま私どもは持っていないわけでございます。  次に、新鉱をどういうふうに考えていくかという問題がございまして、これも午前中に御議論がありましたように、新鉱の開発あるいは消滅鉱区、休眠鉱区の再開発、こういうことをどうしていくかということでございます。いままでの状況でございますと、新鉱の開発はコスト、経済性の面あるいは環境問題の面、そのほか地上権との調整等いろいろな問題があるということがつとに指摘されてきているわけでございますけれども、今後、いま申し上げましたような国際的なと申しますか、輸入価格の上昇、こういう傾向を想定してみますと、物によっては経済的に採掘ができる物も出てくるのではなかろうか、こういうことをいま考えているわけでございまして、その辺の状況をいろいろ検討している、こういうことであるわけでございます。  いままだ答申を検討していただいているところでございますので、私どもが大きく方向性をここで申し上げるのもいかがかとは思いますけれども、午前中の論議を踏まえて、さらに既存炭鉱等の見通しをということでございますと、私どもはいまそのように考えているわけでございます。
  106. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 いま当面つぶれるような山が出ることはないだろうというお話でした。私もぜひそういうような山が出ないようにということを願って質問をしているわけなんです。  ところが、この前の参考人のお話を伺っている中で、北炭などの経営の実態がずいぶん深刻なんじゃなかろうかという感じもしたわけです。特にその深刻さはどういう形で出ているかというと、労働者の皆さんに対する賃金などは半分しか支払われていないというような話も出たように思います。それから、これは私自身が指摘したのですけれども、保安の状態が非常に悪化している。わずか三カ月間に四名亡くなっている。私は、労使にこの点について警告を発する意味でも指摘をしたわけなんです。ところが、その後もまた事故が起こったというようなことを聞いているわけです。  これでは、山を立て直そうということでも、賃金は悪し、保安は悪しということでは、出勤して働こうという意欲もなかなか起こらぬのじゃないか。そうするとまた能率が上がらない。だから賃金や何かにまたはね返ってくるというような、北炭の状況はそういう悪循環みたいな状態があるのではなかろうかというようなことも私は考えているわけです。どうしてもこういう炭鉱を立て直していこうというのであれば、労働者の諸君が働きやすいように、賃金などについてこういう非常にひどい状態に対して、国自身がもっと手を打って改善できるように、国としても援助する必要があるんじゃなかろうか、あるいは保安などについても万全を期するように指導を強力にやって、働いても安心というような状態をつくる必要があるんじゃなかろうかということも強く感じたのですが、この点どういうふうな取り組みがいまなされておりましょうか。
  107. 福川伸次

    福川政府委員 ただいま北炭の例についてお尋ねがございました。小沢委員も御承知のとおりに、この北炭、五十年の幌内の事故以来再建計画を幾たびか修正し、また大変残念なことでしたが、不幸な事故が再発する、こういう経緯をたどってまいったわけでございます。昨年の八月二十七日に夕張新鉱で火災が発生いたしました以後、この会社の再建をどのようにしていくかという点につきましては、私ともも私どもなりに関係者の御意見、知識を糾合して再建計画を何回か私どもの方からも御指摘も申し上げ、会社でも練り直していただいて、一番大事なことは、委員も御指摘のとおりに保安の確保であるわけでございまして、会社計画が過大ではないか、あるいは保安がおろそかになっているのではないかという点を、十分私どもも、技術の御専門の方々の御意見も聞きながらチェックさせていただいたわけでございます。  むしろこれまでの計画の反省に立ちまして、従来のように、まず出炭ということではなくて、まず骨格構造をきちんとする。そしてそういう事故が起こらないような形にまず骨格構造の整備に前半の投資は重点を置いていく、そうすることが将来の出炭増につながる、こういう考え方で、当初会社が意図しておりました出炭計画よりも前半はむしろ下げさせる。そして将来の準備に備えるというような形で坑道展開等を見、そして出炭計画も前半は抑えぎみにし、また当初の資金も確保する、こういうことで考えてきたわけでございまして、私どもも、いろいろ関係の石炭鉱業審議会委員の方たち等の御意見を伺いましても、ほかの山に比べて、一応妥当な計画になったのではないかと思っているわけでございます。  それによりまして、たとえば能率あるいは出稼率等につきましてもそう無理のない形でできる計画になったのではないか。その計画を踏まえまして、関係金融機関に、企業は当然お回りになられましたが、私どもも、企業の方たちの御協力、コンセンサスの取りつけにいろいろなお話し合いをさせていただいたわけでございます。確かに、御指摘のとおり、その後の過程で、私どもも大変残念なことでございますが、特にことしに入りましてからの事故で、北炭系の企業にどうも事故が多いという点、大変心を痛めているところでございまして、小沢委員からもこの前御指摘がございましたけれども、私どもの立地公害局あるいは鉱山保安監督局の方からも保安の確保には再三警告を発し、しかるべく指導をしているということでございます。  私どもとしても、この北炭の再建計画ということが関係金融機関、関係者あるいは財政資金の大きな負担の上にいま進行いたしておるところでございます。かなり無理のない計画になったというふうに考えておりますので、これが適正に実行される、その過程で保安には万全を期していただきたいということは、私ども本当に心から強く願っておるものでございます。
  108. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 私は、賃金も支払いなどの状態が非常に悪いと聞いていますが、それについても、国としても積極的に援助、指導をしているかということをお尋ねしているわけです。  それから、新しい質問ももう一つつけ加えます。  参考人の方々の発言をもう一遍さっき読み返してみたら、国内炭の増産の可能性について、いますぐにも千九百万トンぐらいいけるというふうに言っておられる方もいる。あるいは五十二年以降生産しても引き取ってもらえないので、各社とも自衛のため減産したんだというような発言もあります。そういう点から見るならば、千八百万トンというのは、私は、無理なく増産がある程度のところまではすぐにでもできるという状態にあるのではないかという感じがするのです。そういう可能性があるというふうに当局も見ておるのかどうか。そしてあるとすれば、国内炭をやはり少しでも増産をする。それが必要ならば、業界などにも引き取りを指導してでもぜひそういうような方向を強めていくべきじゃないかということを考えるのですが、この点どうなっておりましょうか。
  109. 福川伸次

    福川政府委員 賃金の問題につきましては、これは労使で協議をして決めていただく問題ということでございますので、その点について行政上とやかく申し上げるということは、私どもとしては差し控えるという方針で対処をいたしております。  それから千八百万トンの増産の可能性がいかがかという御指摘でございました。もちろん、石炭生産というのは、そのときの状況で若干の変動はございます。現に昭和五十四年度は千七百七十六万トン、千八百万トンを若干下回っておりましたが、五十五年度は千八百万トンを若干上回る、こういうことで、それは若干の変動はあるわけでございます。  この国内の貴重な資源を有効に、効率的に活用していくということから考えますれば、それは採炭にのみ非常に一時的に力を入れれば、あるいは現在の既存の炭鉱において増産し得る可能性はなきにしもあらずかもしれませんが、やはりいま御指摘の保安あるいは長期的な構造の骨格の展開等、山を長く安定的に操業さしていくということから考えますと、既存の炭鉱では大体現在程度の水準、これはもちろん若干プラスアルファ、ときによりマイナスアルファ、若干の変動要因はあろうかと思いますが、現在程度の水準を現在の既存の炭鉱では維持していくというのが、長い目で見れば効率的になっているのではなかろうかという気持ちを持っておりますが、なお先回お断り申し上げましたとおり、現在、各炭鉱ごとの賦存状況あるいは合理化計画、投資等の検討をいたしておりますので、さらにその点はもう少し詳細に検討をいたしたいと思っております。
  110. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 国内炭を本格的に増産をしていくためには、先ほどから議論をされておりますように、どうしても新鉱の調査開発ということが必要だと思うのです。  そこで、お尋ねしたいと思うのですが、五十年、五十一年にかけて、そういう新たな可能性を探るということで、全国で九カ所ほどの調査をやられたと聞いております。そしてその結果について先日一部の新聞に内容が報道されておって、九州にも有望なところがあるというような話になっておるようですけれども、その内容について御報告を願いたいと思います。
  111. 福川伸次

    福川政府委員 昭和五十年、五十一年度にわたりまして全国九地域、このうち九州関係は五地域について調査を実施をいたしまして、その後比較的有望であると思われます二地域にしぼりまして、これは天北地区と釧路西部地域でございますが、五十二年度以降開発に係る諸問題について、さらに調査、検討を進めてみているところでございます。現在までの調査結果では、経済性あるいは地上権との調整、鉱害問題、あるいは労働力の問題等で、なおいろいろ解決すべき問題があるということの指摘がされておりますが、これは今後の石炭を取り巻く環境がどうなるかということでさらに検討を進めなければならないという点は、先ほど申し上げたとおりでございます。  九州地区につきましては、世知原、西彼杵、筑豊、小倉沖、芦屋沖、この五つをいろいろ調査をいたしたわけでございますが、なおそれぞれ、たとえば炭量は有望だけれども海域のため調査が不足である、あるいは用地の確保の問題がある、あるいは炭量が少ない、いろいろな問題が指摘されておるわけでございます。一部鉱業権が設定されておるところもございまして、企業によっては一部関心を持ち始めているところもございますけれども、現在までのところの国内炭開発可能性調査におきますと、いろいろ調査はいたしておりますが、それぞれにまだ問題を抱えておるというのが現在の結果でございまして、今後これをどのように考えていくかということにつきましては、さらに石炭鉱業審議会の検討の過程で勉強をしてまいりたいと思っております。
  112. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 新聞記事によると、たとえば小倉の沖合いなどは、いわゆる可採炭量が三千三百万トンぐらいで、二百五十億円ぐらいの設備投資をすれば月七十二万五千トンぐらいの出炭が見込める、そして四十年間採炭可能であるというような報道であったようです。これはあなた方が調査した結果ということで報道されているのですが、こういう事実には間違いがないかどうか、その点確認してください。  そして先ほど当局の方からいただいた資料によりましても、小倉沖あるいは西彼杵といったようなところについては、いずれも「海域のため調査不足」と書いてあるのですが、私は、北海道だけでなく、全国的に国内炭開発可能なところはどこでも手がけていくべきだというような立場から、こういうようなところについても、五十一年当時とはまた状況も違っておるわけですし、ぜひ調査をする、そして漁民など関係者の十分な納得も得て、これが開発できるような方向に国としても努力をしてもらいたいと考えるのですが、見解はいかがですか。
  113. 福川伸次

    福川政府委員 私ども内部的に、いま申し上げたような形で九州地区について五地域調査をいたしたわけでございますが、これは幾つかの前提を置いた数字でございますので、それが直ちに確かな結論というわけではございませんが、当時はそのような試算をいたしたようでございます。ただ、いまの小倉沖では、たとえば響灘の総合開発計画との調整の問題でありますとか、あるいは漁業との調整の問題でありますとか、あるいは鉱業用地の確保とかいったような非常に大きな問題がございまして、さらに開発に着手するには相当いろいろな問題があるということが指摘されているわけでございます。  それからまた、この新しい開発可能性について、今後さらに国としても調査を進めるべきではないかという御指摘でございました。  もちろん、従来も企業もそれなりに調査を進めてまいりましたし、いろいろな過程で、従来私どもも、特に後半は二地域にしぼって調査をしてまいったわけでありますが、今後の開発可能性につきましては、いま私ども、審議会の方でも、技術系の関係の委員の方たちともいろいろ御議論をいただいております。その御議論の結果をよく踏まえまして、第七次政策の一環として今後の対応策を検討させていただきたいと思っております。
  114. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 次に、鉱害の問題についてお尋ねをしておきたいと思うのです。  先ほどもちょっと問題になりましたけれども、いわゆる鉱害二法の問題です。これが間もなく期限切れになるわけでありますけれども、これまで大臣は、しばしば産振法の十年延長とこの鉱害二法の延長とは切り離しては考えられないというような答弁をされてきたと思いますけれども、この鉱害二法についても十年延長すべきだという見解を大臣はお持ちだというふうに理解していいのでしょうか。
  115. 田中六助

    田中(六)国務大臣 産振法は国会の皆様の議決によって十年延長になりました。鉱害二法、その他六法、七法とも言われておりますけれども、これは関連があるのは事実でございます。したがって、延長問題を取り上げたときに、それを来年期限が来たからもうすぽっと切るということはどうもいかがなものかと思っております。しかし、産振法が十年間だから他の法律も十年間というようなことにつきましては、私ども大きな疑問を持っておりますし、延長についての考えは持っておりますけれども、何年間というようなことは全く私どもの頭にまだ決まっておりません。
  116. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 いまの大臣のお話を聞くとちょっと心もとないのですけれどもね。いまの復旧のテンポなどでいった場合に十年間では済まぬのじゃないか。だからもっとテンポを上げて、これからの十年間に何とか片づけたいものだ、こういうふうに私たちは考えているのですけれども、では大臣は、やりようによってはもっと早く済むというようなお考えのもとにそういうことを言われるわけでしょうか。
  117. 田中六助

    田中(六)国務大臣 鉱害復旧が早く済む済まないということも問題でありましょうけれども、やはり財政とかいうこともありますし、無資力、有資力の問題もございますし、そういう点は今後の検討課題となっております。
  118. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 いま財政というお話が出ましたけれども、それは、財政のことを全然無視してこういうことをやれという主張は私どももできないと思いますけれども、しかし、何といっても、この鉱害の復旧というのはあいまいにして途中でほうり出すことはできない、やはり筑豊を本当によくしていく上では最後までこれをやり遂げなければならないというふうに私は考えているのですけれども大臣は、その決意という点では、筑豊出身でもあるし、揺るぎはないんじゃないかと私は思いますが、どうも先ほどからのお話を聞いていると、ちょっとそこのところ、もう一遍念を押したいという気持ちです。  それから、いまのと関連しますけれども、いわゆる第二臨調で、どこを削っていくかということでいま盛んに議論が始まっていると思います。特に鉱害の復旧などというのは、鉱害というのはどういうことかというようなことがわからない方々には、なかなか理解を得られないという面があることも事実ですし、それだけに私は、この鉱害復旧などについては集中攻撃を受けやせぬかという心配をいたすわけであります。こういうような点についてはやはり大臣は大いにがんばっていただかなければならない立場だと思いますけれども、この点の見通しなりまた決意なりもあわせて伺っておきたいと思います。
  119. 田中六助

    田中(六)国務大臣 残存鉱害に対する鉱害復旧を放棄して、しり切れトンボにするというような考えは持っておりません。  それから第二点の、第二臨調が行革というような名のもとで鉱害復旧関係を切るんじゃないだろうかという御質問でございますが、まだ私ども、そういう話を直接聞いたこともなければ間接的にもお話を伺っておりませんし、何とも言えませんけれども、そういう話があれば、もちろん詳細に説明申し上げまして、断ることになると思います。
  120. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 これは将来の問題ですから、しかし、将来と言ってももう目の前にそういう問題が起ころうとしていると思いますので、ぜひがんばっていただきたいと思うのです。鉱害復旧の問題については私たちもいろいろな陳情なども受けるわけです。だから、ただ延長だけでなしに、この機会に改善もいろいろな面でしなければ、本当の鉱害復旧は進まないということも痛感しておるわけです。  それで近く、来月早々にも諮問をしたいというお話がたしか先ほどございましたけれども、そうすると、諮問をする内容というのももう固まりつつあるのじゃないかと思うのです。それで、私がいま申し上げたような改善も含めて諮問をするのが当然だというふうに考えますけれども、そういうような諮問になるかどうか。もし改善を考えているとすれば、どういうような点の改善を諮問したいとお考えかも明らかにしていただきたいと思います。
  121. 福川伸次

    福川政府委員 先ほどもお答え申し上げましたように、この延長問題につきまして石炭鉱業審議会に来月上旬にもと思っております。できるだけ早く、できれば来週にでも関係部会のお顔合わせを願うというようなことにもいたしたいということで、いま準備をしておるわけでございます。  諮問はどうかということでございますが、これにつきましては、これは七次政策も同様でございますけれども、この法律の期限が参りました場合に、延長問題等その後の対策はどういうことであるかというようなことで、諮問といたしましては、広く一般的な形でその後のあり方を諮問をする、こういうことになるわけでございますが、まだちょっと文章的には固まっておりませんが、その延長につきまして、その後のあり方を含めて諮問の御審議を願う、こういうことにいたしております。  どこを直すかどうかという点につきましては、いま調査等もいたしておりますので、私どもとして、ここですぐ、こことこことここということをいまのところ申し上げる段階には至っておりませんが、各界から寄せられておりますようないろいろな問題は一応関係部会にはお諮りをいたしまして、御審議の方向を決めていただくということにいたしたいというふうに思っております。
  122. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 では、もう一つの問題として、炭鉱跡地の有効利用の問題についてお尋ねをしたいと思うのです。  これは、産振法の延長の答申が出されました中に一項目わざわざ述べてあった問題です。私どもが見ましても、実際に町の中心部に近いようなところが昔の炭鉱跡地ということで、そこが開放されないために町づくりにも非常に大きな支障を来しているというようなところが幾つもあります。  たとえば一つだけ例を挙げますと、飯塚市の場合には、三菱鉱業の鯰田炭鉱の跡地があるのですね。いままで飯塚市の方は、何回もここにたとえば歴史資料館などをつくりだいとかいうことで打診をしたりしましたけれども、ここが三菱鉱業にとっては発祥の地だ、だからよそに渡したくない、できればオール三菱の分譲住宅というようなものでもつくってみたいということは話に出たというのですけれども、いつになっても全く放置されたままで、整地も何もされずに残骸が醜い跡をさらしておるというような状況で今日まで至っておるわけです。しかもその問題について、三菱の決断を迫ろうということで、市会議員の方などが上京して本社に会おうとしても、いやそれは市当局とだけ話をしたいとか言って、会いたくないような態度までとるという状況があるわけですね。  そこでお尋ねをしたいと思うのですが、こういうような答申が出された。またいま申し上げたような実態がある。そして一方では、地域発展計画の策定がもう始まっておるという状況を考えて、こういう炭鉱跡地の有効利用のために、国としても関係企業などに対して積極的に指導をするようなことがいま必要になってきているのじゃないかと考えるのですけれども、その点について取り組んでいるかどうか、取り組んでいるとすればどういうような状況かということについて御説明を願いたいと思います。
  123. 福川伸次

    福川政府委員 御指摘の飯塚市におきます三菱鉱業その他の石炭企業の炭鉱跡地の問題でございますが、飯塚市は、たしか十年ほど前に、同市に所在いたします炭鉱の跡地の所有者、住友とか三菱とかがございましたが、これにつきましてある程度の譲渡を受け入れていたケースがあるわけでございます。私ども、いま御指摘の点初めて伺ったわけでありますが、現在までのところ、その飯塚市としても、いまの炭鉱跡地の譲渡について特に問題になっているということも、私ども承知をいたしておりませんでしたし、また市と三菱鉱業セメントとの関係は一応非常にうまくいっているというふうに承知いたしておったところでございます。  確かに産炭地振興法の審議の過程におきまして、炭鉱跡地の問題をどうするかというのは関係委員の方からもいろいろ御議論、御指摘がございまして、合理的な跡地利用によっての地域発展を図るという観点からその整備活用を促進する、こういうことは確かに少なくないものと思っております。ただこの場合でも、産炭地振興法の審議の過程でも申し上げましたが、それがうまくいかないときにいろいろな権利関係が錯綜しているという問題があるわけでございまして、国といたしましても今年度調査を行いまして、幾つか、地方公共団体の土地利用計画がありながらそれが進まないという問題につきましては、それぞれ問題点の類型化を行いまして、所要の措置を検討してまいるということをお答えをいたしたわけでございます。  私どもとしても、今後地方の自主性、地方の創意工夫ということを中心にいたしまして、地域的な発展計画をつくっていただこうということでございますので、それが具体的な土地利用計画を示しながら関係者との折衝をされて、その合意、理解が出て実施に移すことを期待しておるわけでございますが、私どもとしても、今年度、先ほど申しましたようなかっこうで調査を行いまして、さらにその問題点の類型化等を行いながら、どのような措置を講ずる必要があるのか、あるいはどういうことを対応策として考えていったらいいのか、その辺は検討してまいりたいと思っております。
  124. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 これで終わりたいと思いますけれども、いまの点、もう一遍ちょっとはっきりさしてほしいんですよ。飯塚市などが、そこの三菱鉱業の跡地をぜひ使いたいということで、いままで何遍も折衝したけれども、さっぱりらちが明かない、こういう状況だというふうに私は聞いているのですが、そうだとすれば、国としても、会社などにも適切な指導などをしていただきたいという気持ちを私は持っているわけです。その点どうですか。
  125. 福川伸次

    福川政府委員 私どもが市と接触をいたしました限りにおきましては、市としては特に三菱鉱業セメントとの間で何かそういう問題があるということは、私どもとしては承知をいたしておりませんが、市が適切な計画を持っておるということであれば、三菱鉱業セメントの方も、公共用として使うということであれば考えると言っておるようでありますから、私どもとしては、いまのところ市がそういうことで会社の方に御折衝になれば、特に三菱鉱業セメントに何か問題がある、あるいは市と三菱鉱業セメントとの間に何か非常にまずい関係があるというふうには承知しておりません。話し合いを進める上で、特に何か障害があるということは、私どもとしてはいまは聞いておりません。いま私どもとしてはそういう状況におります。
  126. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 終わります。
  127. 森中守義

  128. 石原健太郎

    ○石原(健)委員 初めに、資源エネルギー庁にお尋ねしたいのでありますけれども、一ころ省エネという言葉がずいぶん使われまして、通産省もいろいろ音頭をとられた記憶があります。国民の中にもそれなりの共感を呼び、定着しかかっていたようにも思うのでありますけれども、最近は省エネという言葉が余り使われなくなったような気がいたします。それどころか、公益事業部が一月に出したこの冊子には、何カ所かで「電源立地の加速的推進」という言葉が使われております。省エネと言っていた当時には、単に石油を節約することだけを考えておられたのか、あるいはまた最近になってその辺の考え方が変わったのか、御説明をいただきたいと思います。
  129. 石井賢吾

    ○石井政府委員 私ども石油需給確保観点からいたしまして、エネルギーの節減というのが第一でございます。それとあわせまして石油代替のエネルギー確保するというのが課題になってまいるわけでございまして、その過程におきまして、私どもとしては、電力シフトという問題が起きるんではなかろうかということを考えておるわけでございます。  そういう意味におきましては、電力の安定供給確保するということは、同時に代替エネルギーの導入促進を図るという観点におきまして、どうしても電力需給の安定のための立地の加速化というのは必要事ではなかろうか。私どものこれまでの試算でまいりますと、ことしの三月までの電源開発調整審議会で決定されました電源のみで今後の電力の供給を見てまいりますと、六十年代初期におきまして、地域によりまして供給予備率がきわめて過小になってしまう地域もございます。そういう観点も含めまして、代替エネルギーの導入促進という観点需給の安定という見地から、私どもとしては電源立地の加速的推進が必要であるということで判断いたしておるわけでございます。
  130. 石原健太郎

    ○石原(健)委員 公益事業部が発表された数字によりますと、五十五年度末の総発電量が一億三千万キロワットで、それが六十五年度の予定では二億三千百万キロワット、約一・八倍に増加する見通しのようであります。そういたしますと、やはりこれは単にシフトだけではなくて、発電量そのものを飛躍的に増大させる、そういったことで省エネという時代は過ぎ去ったような感じを私は抱かざるを得ないのでありますけれども、この約一・八倍の増加分の発電所は電力の消費地に建設が予定されるのか、あるいはどちらかといえば従来電力供給県と言われてきたような地域に建設されるのか、その辺の見通しと、現在電力を大量に他府県に供給している府県はどんなところがあるかを御説明ください。
  131. 石井賢吾

    ○石井政府委員 ただいま先生御指摘の増加量は年度末電源でございまして、これは供給量の増加というよりかピーク時需要に対応いたしました供給設備の増加の計画でございます。私ども、いま五十六年度の電力会社の施設計画を受理いたしまして、ちょうどこれが十年間の計画を立てておりますので、この間の数字を見てまいりますと、電力需要といたしましては年率五・二%程度の需要が見込まれるわけでございますが、ピークの需要の伸びと申しますのは、それを上回りましてほぼ六・一%の伸びではなかろうかと思っております。したがいまして、そういう年率でのピークの伸びというものに合わせまして施設を設置する必要が出てまいるわけでございます。それに対応しました年度末電源がいま御指摘の数値でございます。  ただ、総合エネルギー調査会需給部会におきまして暫定エネルギー見通しの再検討に入っておるわけでございますが、その一環としまして、私どもも、電力需要の伸び及びピークの伸びに対応する電源設置の必要度というものをさらに再吟味してまいりたいと思っておるところでございます。  それから、第二の御質問の電源の立地がどういう地域に行われるであろうかということでございますが、確かに、電力のコストということを考えてまいりますと、同時に地盤その他の支持基盤を考えて、電源適地というものがどうしても偏在化しているのが今日の現状でございます。そういう意味からいたしますと、勢いこれまで各県にお願いしているような形で電源適地というものが限られた地域であるとわれわれ思っておりますが、そういうところでの立地を今後とも推進していかなくてはいかぬのじゃなかろうかと思っております。  ただいま御指摘の電力の大量生産県はどこかというお尋ねでございますが、具体的に数字を持ち合わせておりませんけれども、私ども今年度に特別交付金構想というのを実現することで十月から実施に移すべく検討いたしておりますが、その特別交付金の対象府県は、自県での電力消費量以上に一・五倍を上回って電力を他府県に移送しているという点に着目しまして、そういう電源集中地域に対する振興策を考えることにいたしておりますが、それで参りますと十四府県ございます。一番高いところは福島県あるいは福井県というところが挙げられるかと思います。
  132. 石原健太郎

    ○石原(健)委員 いまおっしゃったその福島県を例にとらせていただきますと、五十四年度の総発電力量は三百五十六億キロワットアワーで、そのらち二百八十七億キロワットアワーというものは、ほとんど東京向けだと思うのですけれども、他府県に移出されているわけです。残りのわずか六十九億キロワットアワーが福島県で消費されているにすぎない。  しかるに電気料金はどうかといいますと、東京より福島の方が高くなっているのが現実であります。東京は二十二円九十七銭、福島は二十三円二十八銭、大阪は二十円七十五銭で、福島は大阪より一割以上高いのが現実です。住民の声はこういうことにはとても納得できないということなのでありますけれども、通産省ではこうした点どうお考えになっているか、お聞かせください。時間が余りありませんので簡単で結構です。
  133. 石井賢吾

    ○石井政府委員 経済的、社会的に考えまして電力会社による格差の存在というものは、それぞれの九電力体制で運営いたしておりますので若干の差は出てまいるわけでございますが、最近に至りましてのエネルギー需給の逼迫からいたしまして、電源種類別の格差というのはきわめて大きくなっているわけでございます。そういう意味におきまして、電力会社の電源構成によりまして大きな差が出てまいりますのと、特に東北地域におきます配電コストがきわめて高い。  一例で申しますと、電灯料金が東北管内が高くなりましたのは昭和三十三年でございます。それが電力料金まで高くなったのは、昭和五十五年でございます。実に二十数年間は電力料金は東北の方が安いという時代が続いたわけでございますが、これは何を示すかと申しますと、配電コストが非常に高いということでございます。したがいまして、配電コストの高さをカバーするだけの電源端におきますコストの低下を実現しなくてはいかぬわけでございます。そういう意味におきまして、東北、東電連帯いたしましてたとえば相馬共同火力といったような形で、東北の需要が余り伸びない中でコストの安い代替電源を導入するという仕組みを推進するということで、私どもとしては地域格差の解消を図ってまいりたいと思っておるところでございます。
  134. 石原健太郎

    ○石原(健)委員 その配電コストが電気料金に非常に大きなウエートを占めるとすれば、北海道電力などは本当は東北よりもっと高いのじゃないかと私は考えるのですけれども、それはさておきまして、最後に大臣のお考えをお聞かせいただきたいのであります。  発電県におきましては、原子力発電所周辺では絶えず事故の不安というようなものに心を痛め、また火力発電所周辺では環境の悪化に耐える、そのような犠牲を払いながら消費地より高い電気料金を払っているのが現実であるわけであります。電気料金の格差というものは関係者の努力でだんだん解消されるものと期待いたし、また今年度から新たな交付金制度が発足いたしまして、これらの面の改善も逐次図られるとは思うのでありますけれども、いままでの施策では雇用の増大につながらないとか、施設をつくってもらっても、後の維持が大変でとても地元の負担に耐え切れない、あるいは地域の振興に余り結びつかないといった声が強いのでありますけれども、発電地域の振興策を今後どのようにお図りになるお考えか。  通産省としては、電源立地が加速的に推進されて、電気さえ安定的に供給されればそれでよいとお考えになるのか、あるいは電源地帯そのものも安定的に発展するようさらに一層の施策を進められるお考えか、その辺をお伺いしたいと思います。
  135. 田中六助

    田中(六)国務大臣 私どもといたしましては、電源立地の周辺整備ということが頭にございますし、その地域の福祉並びに振興ということを前提にしております。したがって、過去の交付金に加えまして、五十六年度は特別交付金を出すと同時に、電源周辺地域整備のための交付金と二点にわたって出しております。  それからもう一つは、電気料金の格差をなくするためにも、その地域の住民については各戸ごとに実質的な料金の軽減を図ると同時に、企業に対してもその地域に行く工場、そういうものに対する料金の割引なども考えておりますし、またその地域の投資促進税と申しますか、そういう意味で雇用の促進を図って工場誘致をするための減税措置というようなものを図っております。  いずれにしても、原子力発電所などはいろいろな事故もあって不安感もあるでしょう。そういう意味でやはりその地域の福祉、それから振興というものをあくまで頭に置いてやっていきたいというふうに考えます。
  136. 石原健太郎

    ○石原(健)委員 質問を終わります。ありがとうございました。
  137. 森中守義

    森中委員長 本日の質疑通告者の質疑は全部終了いたしました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時二十分散会